JP2015168099A - 表面に微細構造を有する樹脂シートおよびその製造方法 - Google Patents

表面に微細構造を有する樹脂シートおよびその製造方法 Download PDF

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亀島 久光
Hisamitsu Kameshima
久光 亀島
研二 宗内
Kenji Muneuchi
研二 宗内
西川 洋平
Yohei Nishikawa
洋平 西川
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Abstract

【課題】表面に所望の微細構造を有する樹脂シートおよび当該樹脂シートをロール・トゥ・ロールで製造するのに適した製造方法を提供する。
【解決手段】表面に微細構造を有する樹脂シートの製造方法であって、型の表面に設けられた複数の突起を基材に押し込んだ後に、押し込んだ突起を基材から引き離す型押し工程と、型の突起が押込まれた基材の面に、基材浸透性塗液を塗布する塗布工程とを備える。基材浸透性塗液は、基材浸透性成分を含有する。基材浸透性成分は塗液の全重量の5重量%以上含まれる。また、基材浸透性塗液は、基材浸透性のない不揮発性成分を更に含んでもよい。この場合、基材浸透性でない不揮発性成分100重量部に対して、30重量部以上の基材浸透性成分が含まれる。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に微細構造を有する樹脂シートおよびその製造方法に関する。
表面に微細構造を持つ樹脂シートの製造のために工業的に行われている主な方法としては、フォトリソ法、インプリント法、スクリーン印刷法、粒子などを含む塗液を塗布する方法等が知られている(特許文献1、非特許文献1および2参照)。
フォトリソ法は、基材上への感光性レジストの塗布、所望パターンのフォトマスクを介した露光、未露光部分(未硬化レジスト部分)の洗浄、といった工程を経て表面に微細凹凸を形成する方法である。ただし、フォトリソ法は、煩雑であり高コストな工程を含むので、ロール・トゥ・ロールでのフィルムの製造には適さないという課題がある。
インプリント法には、熱可塑性の基材を加熱しながら所望パターンの型を押し付けることで表面に微細凹凸を形成する熱インプリント法と、基材上に塗布された光硬化性樹脂に所望パターンの型を押し付けた後、光照射により形状固定して凹凸を形成する光インプリント法がある。ただし、両者とも型を押し付ける際に気泡が噛んでしまうことが避けられず、表面の微細凹凸構造に欠陥が発生し易いという課題がある。また、型を押し付けた後引き離す際に、熱可塑性樹脂や硬化樹脂の一部が型にとられてしまうことが避けられず、欠陥が発生し易いという課題がある。
スクリーン印刷法は、基材上へ所望パターンのスクリーン版を介して熱もしくは光硬化性の樹脂をパターン状に塗布後、熱もしくは光によって樹脂を硬化させることで凹凸を形成する方法である。ただし、基材上へ塗布された樹脂がダレてしまうことや、スクリーン版開口部はメッシュ状であることから、微細な凹凸の形成には不向きであるという課題があり、通常解像度は30μm程度に留まる。
粒子などを含む塗液を塗布する方法では、粒子をパターン状に制御することが難しく所望パターン状の凹凸を形成することはほぼ不可能である。
国際公開第2009/041279号
「微細転写・加工技術全集」、技術情報協会、2008年8月29日、P.3〜13、279〜297 「エレクトロニクス分野における高精度スクリーン印刷技術」、技術情報協会、2001年12月、P.127〜162
本発明は、表面に所望の微細構造を有する樹脂シートおよび当該樹脂シートをロール・トゥ・ロールで製造するのに適した製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る樹脂シートは、基材の少なくとも1つの面に不揮発性成分を含む混合層を有し、混合層の表面に微細な凹凸構造が形成されるものである。
また、本発明に係る樹脂シートの製造方法は、型の表面に設けられた複数の突起を基材に押し込んだ後に、押し込んだ突起を基材から引き離す型押し工程と、型の突起が押込まれた基材の面に、基材浸透性塗液を塗布する塗布工程とを備える。基材浸透性塗液は、基材浸透性成分を含有し、基材浸透性成分が塗液の全重量の5重量%以上含まれる。
本発明によれば、表面に所望の微細構造を有する樹脂シートを実現できる。また、当該樹脂シートをロール・トゥ・ロールで製造するのに適した製造方法を実現できる。
第1の実施形態に係る樹脂シートの製造方法を示す概略工程図 第2の実施形態に係る樹脂シートの製造方法を示す概略工程図 第3の実施形態に係る樹脂シートの製造方法を示す概略工程図 実施例1で用いた型に形成されている凹凸構造のSEM写真 実施例1における型押し工程の説明図 実施例1で作製したサンプル表面のAFM観察結果を示す図 実施例5におけるジエチレングリコールジアクリレートの基材浸透性確認時のIRスペクトル 非接触表面・層断面形状計測システムで計測した実施例12のサンプルの表面形状プロファイル 非接触表面・層断面形状計測システムで計測した実施例13のサンプルの表面形状プロファイル 非接触表面・層断面形状計測システムで計測した実施例14のサンプルの表面形状プロファイル
本発明に係る樹脂シートは、表面に微細構造が形成されたものであり、次の2つの工程(I)および(II)を少なくとも備える製造方法によって製造可能である。
(I)表面に微細な突起パターンを形成するための型を基材表面に押し当てて、型に設けられた突起を基材内部にまで押し込み、その後、基材から型を引き離す「型押し工程」
(II)型が押し込まれた基材の面に、基材浸透性塗液を塗布する「塗布工程」
以下、図面を参照しながら、各実施形態に係る樹脂シートの製造方法の詳細を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る樹脂シートの製造方法を示す概略工程図である。
まず、型押し工程を行う。具体的には、図1(a)に示すように、基材1と、表面に複数の微細な突起が所定パターンで配列された型2とを用意し、型2における突起が設けられた面を基材1の表面に対向させる。次に、図1(b)に示すように、基材1に型2を押し当てて、突起を基材1の内部まで押し込む。型2の押し込み量は、所望の微細構造に合わせて、適宜決定することができる。次に、図1(c)に示すように、型2を基材1から引き離す。以上の工程を経ることによって、基材1の表面に、型2の突起の押し込みにより変質した変質箇所3が複数形成される。この変質箇所3は、型2に設けられた突起の配列パターンと対応する配列パターンで形成される。この結果、基材1の表面に微細な凹凸パターンが形成される。突起の形状は、円錐、円柱状、またその他の形状でも良い。突起は、突起の底部に対して、先端部が突出していれば良い。底部に対する、底部と先端部との高さの差が大きい、すなわちアスペクト比が大きいほど、最終的に形成される微細な凹凸パターンのアスペクト比が大きくなるので好ましい。
尚、型押し工程において、図1(b)および(c)に示す突起の押し込みは、基材1と型2との位置関係を変更しながら複数回行っても良い。このようにすることで、型2に設けられた突起パターンの和(論理式でのORに相当する)に対応する微細な変質箇所3のパターンを基材1表面に形成することができる。
次に、塗布工程を行う。具体的には、図1(d)に示すように、型のパターンに対応して変質箇所が生じた基材1の表面に、基材浸透性塗液4を塗布する。塗布した基材浸透性塗液4は、基材1に浸透し、浸透した基材1の表面部分を膨潤させ、膨潤部分5が生じる。このとき、基材浸透性塗液4による膨潤は、基材1の塗布面全体で生じる。ただし、基材1の塗布面において、型押し工程で形成された変質箇所3には、それ以外の箇所と比べて基材浸透性成分が浸透しやすいため、変質箇所3の膨潤量が相対的に大きくなる。型押し工程において、突起部が押し込まれ、引き離された後の部分(変質箇所3)は、押し込まれた後に一定量の復元(膨張)をする。そのことにより、変質箇所3の表層付近は、基材1のその他の部分と比較して低密度化する。低密度化した変質箇所3は、その他の部分と比較して基材浸透性塗液が浸透し易い。そのことにより、変質箇所3は、その他の部分と比較して大きく膨潤し、凸部を形成する。この結果、図1(e)に示すように、基材1の表面に、型2の突起に対応したポジパターンで微細な突起が形成される。尚、ポジパターンとは、型2に設けられた突起とほぼ同じ配列パターンで突起が配置されたパターンをいう。
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係る樹脂シートの製造方法を示す概略工程図である。
本実施形態に係る製造方法は、型押し工程において、基材1の表面に型のパターンに対応した変質箇所を形成するために第1の型6および第2の型7を用いる点において、第1の実施形態に係る製造方法とは異なる。
まず、型押し工程において、図2(a)に示すように、表面に複数の微細な突起が所定パターンで配列された第1の型6を基材1に押し当てて、第1の型6に設けられた突起を基材1の内部まで押し込む。第1の型6の押し込み量は、所望の微細構造に合わせて、適宜決定することができる。次に、図2(b)に示すように、第1の型6を基材1から引き離す。次に、図2(c)に示すように、表面に複数の微細な突起が所定パターンで配列された第2の型7を基材1に押し当てて、第2の型7に設けられた突起を基材1の内部まで押し込む。第2の型7の押し込み量は、所望の微細構造に合わせて、適宜決定することができる。次に、図2(d)に示すように、第2の型7を基材1から引き離す。以上の工程を経ることによって、基材1の表面に、第1の型6の突起および第2の型7の突起の押し込みにより変質した変質箇所3が複数形成される。この変質箇所3は、第1の型6に設けられた突起の配列パターンと、第2の型7に設けられた突起の配列パターンとを重畳したパターンで形成される。この結果、基材1の表面に微細な変質箇所3のパターンが形成される。
尚、図2の例では、第1の型6に設けられる突起パターンと、第2の型7に設けられる突起パターンとが異なっている。具体的には、第1の型6と第2の型7とで、突起の寸法(径および長さ)や突起の配置ピッチが異なっている。第1の型6および第2の型7に設ける突起の寸法や配置ピッチは、製造する樹脂シートに求められる諸特性(例えば、求められる光学特性)に応じて適宜設計される。
また、型押し工程において、図2(a)および(b)に示す第1の型6を用いた突起の押し込みと、図2(c)および(d)に示す第2の型7を用いた押し込みとの一方また両方を、基材1と第1の型6および/または第2の型7との位置関係を変更しながら複数回行っても良い。このようにすることで、第1の型6および第2の型7に設けられた突起パターンの複数パターンの和に対応する微細な変質箇所3のパターンを基材1表面に形成することができる。
次に、塗布工程を行う。具体的には、図2(e)に示すように、型のパターンに対応して変質箇所が生じた基材1の表面に、基材浸透性塗液4を塗布する。塗布した基材浸透性塗液4は、基材1に浸透し、浸透した基材1の表面部分を膨潤させ、膨潤部分5が生じる。このとき、基材浸透性塗液4による基材1の塗布面全体で生じる。ただし、基材1の塗布面には型押し工程において、第1の型6の突起パターンに対応する変質箇所3と、第2の型7の突起パターンに対応する変質箇所3とには、それ以外の箇所と比べて基材浸透性成分が浸透しやすいため、変質箇所3の膨潤量が相対的に大きくなる。この結果、図2(f)に示すように、基材1の表面に、第1の型6の突起に対応したポジパターンに配列される微細な突起と、第2の型7の突起に対応したポジパターンに配列される微細な突起とが形成される。このように、設けられた突起のパターンが異なる複数の型を用いることにより、基材1の表面に寸法および配列ピッチの異なる微細な突起を形成できる。
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態に係る樹脂シートの製造方法を示す概略工程図である。
本実施形態に係る製造方法は、型押し工程において、基材1の表面に型のパターンに対応した変質箇所を形成するための第1の型8と、基材2の裏面に配置する第2の型9とを用いる点において、第1の実施形態に係る製造方法とは異なる。
まず、型押し工程を行う。具体的には、図3(a)に示すように、基材1を表裏から挟むように第1の型8および第2の型7を配置する。より詳細には、表面に複数の微細な突起が所定パターンで配列された第1の型8を基材1の表面側に配置すると共に、表面に突起が設けられた第2の型9を基材1の裏面側に配置する。次に、図3(b)に示すように、基材1に第1の型8を押し当てて、突起を基材1の内部まで押し込む。型2の押し込み量は、所望の微細構造に合わせて、適宜決定することができる。本実施形態では、基材1の裏面側に突起を有する第2の型9が配置されているので、第2の型9の突起の頂面に対応する部分において、基材1に対する第1の型8の突起の押し込み量が最も大きくなり、第2の型9の突起の頂面以外に対応する部分においては、基材1に対する第1の型8の突起の押し込み量が相対的に小さくなる。この結果、図3(c)に示すように、第1の型8を基材1から引き離すと、基材1の表面に、第1の型8の押し込みにより変質した、深さの異なる変質箇所3が複数形成される。この変質箇所3は、第1の型8に設けられた突起の配列パターンと対応する配列パターンで形成されるが、第2の型9に設けられた突起の配列パターンに応じて深さが異なる。この結果、基材1の表面には、第1の型8に設けられた突起パターンと、第2の型9に設けられた突起パターンとの積(論理式でのANDに相当する)に対応する微細な変質箇所3のパターンが形成される。第2の型9の形状は特に限定されず、ロール状であれば、平板状に比べ、ロール・トゥ・ロールで製造する際に好ましく利用できる。また、第2の型9は、1つである必要はなく、複数並べて用いても良い。第2の型9を複数用いる場合、基材1には、第1の型8及び第2の型9に設けられた突起パターンの積に対応する微細な変質箇所3のパターンが複数組形成される。第2の型9としてワイヤーを用いる場合、複数のワイヤーを並べて用いても良い。
尚、型押し工程において、図3(a)および(b)に示す突起の押し込みは、基材1と、第1の型8および/または第2の型9との位置関係を変更しながら複数回行っても良い。このようにすることで、第1の型8および第2の型9に設けられた突起パターンの積の和に対応する微細な変質箇所3のパターンを基材1表面に形成することができる。
次に、塗布工程を行う。具体的には、図3(d)に示すように、型のパターンに対応して変質箇所が生じた基材1の表面に、基材浸透性塗液4を塗布する。塗布した基材浸透性塗液4は、基材1に浸透し、浸透した基材1の表面部分を膨潤させ、膨潤部分5が生じる。このとき、基材浸透性塗液4による基材1の塗布面全体で生じる。ただし、基材1の塗布面には型押し工程で形成された変質箇所3には、それ以外の箇所と比べて基材浸透性成分が浸透しやすいため、変質箇所3の膨潤量が相対的に大きくなる。この結果、図3(e)に示すように、基材1の表面に、第1の型8の突起に対応したポジパターンに配列され、複数の微細な突起が形成される。このように、基材1の表裏に配置した2種類の型を用いることによって、基材1の表面に形成する突起の範囲や形状を制御することができる。
ここで、第1〜第3の実施形態に係る製造方法で用いる材料や型の詳細を説明する。
<基材>
基材1としては、樹脂基材が用いられる。金属基材および金属酸化物基材は硬すぎるため、型の突起の押し込みが不十分となる。また、樹脂基材の中でもある種の塗液成分が浸透でき、塗液成分の浸透に伴い膨潤する性質を有するものが用いられる。この性質を有する樹脂基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロースなどが例示される。
また、基材として、支持体上に塗液浸透性層を形成してなる基材も使用できる。塗液浸透性層とは、使用したい基材浸透性塗液が含む成分が浸透可能な層のことをいう。尚、塗液が基材浸透性を有するか否かの判断は、後述する揮発性成分もしくは不揮発性成分における判断基準を満たすか否かで判断される。
<型押し工程で使用する型>
型(型2、第1の型6、第2の型7、第1の型8、第2の型9)は、基材1より硬い材質で形成することが好ましい。この場合、型押し工程において型の表面に設けられた突起部分の劣化が抑制される。樹脂基材を用いる場合に使用する型の材質としては、金属もしくは金属酸化物が好ましい。型の材質として、例えば、シリコン、ステンレス、ガラス、アルミニウムなどが例示される。
また、所望の突起パターンが形成された型の作製方法には、既存の各種方法を用いることができる。また、型2の表面に防錆性などの保護処理がなされていてもよい。
基材1への型の押し込み方法としては既存の方法を用いることができる。例えば、平板台上に設置した基材1に対して平板状の型を設置し、型の上から荷重がかかったロールを回転させて突起を基材1に押し込む方法や、ロールとロール状の型の間に基材1を配置してロールとロール状の型で基材1に荷重をかけて挟み込む方法などが挙げられる。ロール・トゥ・ロール工程に適する点で、ロールとロール状の型の間に基材1を設置してロールとロール状の型で基材1に荷重をかけて挟み込む方法がより好ましい。
基材1から型を引き離す方法としては、平板状型を用いる工程であればエアシリンダなどによって型を持ち上げればよい。また、ロール状の型を用いるロール・トゥ・ロール工程であれば、基材1の走行に伴って基材1から型を引き離すことができる。
基材浸透性塗液4としては、基材1に浸透し、かつ、基材1を膨潤させる性質を有する成分を含む塗液を使用する。ここで、基材浸透性塗液は、基材を溶解させる性質を有する成分を含む塗液も含む。溶解は、浸透および膨潤現象を経た後の現象といえるからである。
<基材浸透性塗液>
本発明に用いられる基材浸透性塗液4が基材浸透性成分を含む場合、以下の条件(a)を満たす。
(a)基材浸透性塗液4に、基材浸透性成分が塗液100重量部のうち5重量部以上の割合で含まれている
条件(a)を満たさない場合、すなわち、塗液100重量部のうち、基材浸透性成分が5重量部より少ない場合には、塗液の基材1への浸透が不十分であり凹凸が形成されない。
また、基材浸透性塗液4が、基材浸透性成分に加えて、基材浸透性でない不揮発成分を含んでもよい。この場合、以下の条件(b)を更に満たす。
(b)基材浸透性塗液4には、基材浸透性でない不揮発性成分100重量部に対して30重量部以上の割合で基材浸透性成分が含まれている
基材浸透性成分と、基材浸透性でない不揮発成分とを含む場合、基材1への基材浸透性成分の浸透に伴って、基材浸透性でない不揮発成分も基材に浸透する。この基材浸透性でない不揮発成分の浸透により、基材1の膨潤が促進される。条件(b)を満たさない場合、すなわち、基材浸透性でない不揮発性成分100重量部に対して、基材浸透性成分が30重量部より少ない場合、基材浸透性成分が基材1へ浸透していく際に基材浸透性でない不揮発性成分も伴って浸透していく効果が小さくなる。
また、基材浸透性塗液4が、基材浸透性成分と、基材浸透性のない不揮発成分とを含む場合、基材浸透性塗液4を塗布した後の基材1の塗布面側には、基材成分と不揮発性成分とが混合した混合層が形成される。基材1の膨潤によって生じる突起は、この混合層に形成される。混合層に含まれる不揮発成分は、突起の形態を安定して維持するのに役立つ。
基材浸透性塗液4に含まれる成分が基材浸透性を有するか否かは、当該成分が揮発性であるか不揮発性であるかに応じて、下記基準によって決定される。
まず、基材浸透塗液4を構成するある成分が、例えば溶剤などの揮発性成分である場合、以下の方法で測定した基材の膨潤率が25%以上である成分、もしくは、基材を溶解させる成分を基材浸透性成分として使用できる。
[膨潤率の測定方法]
1.15mm×15mmの正方形となるようにカットした基材小片を基材小片が十分に浸漬可能な量の該当成分へ浸漬させる。
2.12時間後、基材小片の溶解が進んでおり小片形状を維持していないものは溶解したと判断し、基材小片が小片形状を維持しているものは溶液中でサイズを測定し面積の増加分を膨潤率とする。
ここで、基材小片を基材小片が十分に浸漬可能な量とは、浸漬後12時間経って基材1へ該当成分が浸透していった後でも、該当成分の全てが浸透せず、容器内に十分に存在し、膨潤した基材小片が浸漬状態となっている量をいう。
例えば基材1としてトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、上記の方法で測定した膨潤率または溶解性は、以下の表1の通りである。
Figure 2015168099
したがって、基材1としてトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、トルエン、MIBK、酢酸ブチル、メチルセロソルブは基材浸透性成分としては使用できず、ジアセトンアルコール、酢酸エチル、MEK、酢酸メチルセロソルブ、アセトン、酢酸メチル、1,3−ジオキソランは基材浸透性成分として使用できる。
次に、基材浸透塗液4を構成するある成分が、例えばモノマーや添加剤などの不揮発性成分である場合、以下の方法で測定したIRスペクトルにおいて基材成分が明らかに検出されるものを基材浸透成分として使用する。
[IRスペクトルの測定方法]
1.基材上へウェット膜厚2μmで該当成分を塗布する。
2.該当成分を塗布した基材を120℃で1分間加熱する。
3.プリズムとしてKRS5(プリズム角度45°)を用いたATR測定を実施しスペクトルを得る。
例えば、基材1としてトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、上記の方法で測定すると、ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレンジアクリレートを用いた場合には、IRスペクトルにおいて基材成分が明らかに検出されることから、これらを基材浸透性成分として使用できる。一方、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートを用いた場合には、IRスペクトルにおいて基材成分の検出が明らかではなく、これらを基材浸透性成分として使用できない。
ここで、用いる塗液が基材浸透性塗液であるかどうかは、用いる基材1の種類によっても異なるが、上記条件(a)、(b)を満たしていれば基材浸透性塗液として使用でき、条件を満たす限り用いる塗液の成分などに制約はない。
基材浸透性塗液として、溶剤のみ、樹脂のみ、溶剤および樹脂の組み合わせを使用できる。また、基剤浸透性塗液には各種添加剤が添加されていてもよい。
溶剤としては既存のものが適宜使用可能であり、以下のものが例示される。1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸ジメチル、シクロヒキサノン、アセトン、MEK、MIBK、ジアセトンアルコール、酢酸メチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、IPA、エタノール、メタノール、水。
樹脂としては既存のものが適宜使用可能であり、非硬化性樹脂や、ビニル基を有する化合物、アクリロイル基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、ポリオール類、環状エーテル基を含む化合物などの硬化性樹脂が例示される。
添加剤としては既存のものが適宜使用可能であり、以下のものが例示される。表面調整剤である、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、塗液安定化剤である、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤、増粘剤、光や熱により樹脂を硬化させる、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、ウレタン硬化促進剤。
尚、基材浸透性塗液4の塗布方法としては既存の技術を使用することができる。例えば、グラビア塗工法、ダイ塗工法、インクジェット塗工法、ワイヤーバー塗工法、カーテン塗工法などを利用できる。
(その他の実施形態)
尚、型押しされた基材1へ基材浸透性塗液4を塗布した後、揮発性成分の除去のために乾燥工程を実施してもよい。乾燥方法としては既存の方法を用いることができ、例えば加熱による方法、風を吹きつける方法などがある。温度や風量などは除去したい揮発性成分の特性により適宜選択することができる。
また、型押しされた基材1へ基材浸透性塗液4を塗布した後、基材浸透性塗液4の基材1への浸透を促進させるために加温してもよい。加温方法としては既存の方法を用いることができ、温度や時間などは浸透させたい塗液の特性により適宜選択することができる。
また、型押しされた基材1へ基材浸透性塗液4を塗布した後、浸透した成分の固定もしくは表面の硬度付与のために、加温もしくは電離放射線照射を行なってもよい。即ち、上述した製造方法が更に、加熱工程もしくは電離放射線照射工程を含んでも良い。基材浸透性塗液4中に熱硬化性成分が含まれる場合は加温が好ましく、基材浸透性塗液4中に、例えばUV硬化性成分等の電離放射線硬化性成分が含まれる場合は、UV光照射が好ましく、基材浸透性塗液4中にEB硬化性成分が含まれる場合はEB照射が好ましい。
更に、型押し工程より前に、有機溶剤、もしくは、有機溶剤および添加剤からなる混合溶液を基材へ塗布するプレ塗布工程を含んでも良い。プレ塗布工程を実施しておくことで、より高い凸部を形成できる場合がある。これは、基材表面の性質が変わり(変質し)、前述した推定メカニズムにおける、押し込まれた部分(変質箇所3)とそれ以外の部分の密度差を大きくする効果があるからであると推定している。
(効果等)
以上説明したように、本発明に係る製造方法を用いることにより、型のパターンに対してポジパターンの凹凸が表面に形成された樹脂シートを製造可能である。例えば、あるパターン状に配列した突起からなる型を用いて製造した場合、型と同じパターン状に配列した突起が表面に形成された樹脂シートを得ることができる。
また、本発明に係る製造方法によれば、基材に対する型押し工程と、基材浸透性塗液の塗布工程とを行うことにより、基材1の表面に所望の突起からなる微細構造を形成することができるので、ロール・トゥ・ロールでの樹脂シートの製造に好適である。また、熱インプリント法のように、基材を加熱により軟化させる必要がなく、かつ、光インプリント法のように、樹脂の効果前に型押しを行う必要がないので、型押し工程において基材が型に取られたり、基材上の樹脂に気泡が噛んだりすることがない。
また、本発明に係る製造方法では、型に形成した微細な突起に対応するポジパターンとして基材上に微細な突起を形成できるので、型に設けた突起のサイズに応じて、ミクロンオーダーの突起からなる微細構造を形成できる。
以下に実施例および比較例を示す。ただし、本発明は以下の実施例によっては限定されるものではない。
<実施例1>
図4は、実施例1で用いた型に形成されている凹凸構造のSEM写真であり、図5は、実施例1における型押し工程の説明図である。
基材として、富士フイルム社製のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムTD80ULMを用いた。型として、4μmピッチでコーン型の突起が最密充填構造状に配置されたシリコン製の型(図4)を用いた。
基材の型押し工程は、次のように行った。アイコーエンジニアリング製の精密荷重測定機(図示せず)に台座12を載置し、台座12上に型2を設置した。型2の凹凸構造が設けられた面に、基材1およびニトリルゴム11(縦4mm×横4mm、1mm厚)を順に載置し、測定器の押し込み治具10でニトリルゴム11を押圧した。このニトリルゴム11は、基材1の全面に対して型2を均一に押し込むためのものである。精密加重測定器による押し込み条件は、荷重490N、押し込み時間30秒とした。押し込み後、測定機の押し込み治具10をニトリルゴム11より引き離した。
実施例1においては、塗液として酢酸エチルを用いた(表3の塗液1)。前述した揮発性成分の基材浸透性測定方法によれば、酢酸エチルによるTACの膨潤率は78%であった。したがって、酢酸エチルは基材浸透性成分である。よって、実施例1において、塗液1は基材浸透性塗液である。
塗布工程は、次のように行った。型押しを行った基材の表面に、塗液である酢酸エチルをワイヤーバー#6を用いて塗布した後、120℃で60秒乾燥させた。
図6は、実施例1で作製したサンプル表面のAFM観察結果を示す図である。サンプル表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、型に形成された突起の配置(4μmピッチ)とほぼ同じ配置で複数の突起が形成されていることが確認された。サンプル表面に形成された突起の高さは250nmであった。
<実施例2>
塗液としてジアセトンアルコール(表3の塗液2)を用いたことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて実施例2のサンプルを得た。前述した揮発性成分の基材浸透性測定方法によれば、ジアセトンアルコールによるTACの膨潤率は27%であった。したがって、ジアセトンアルコールは基材浸透性成分であり、実施例2において、塗液2は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMで観察したところ、型に形成された突起の配置(4μmピッチ)とほぼ同じ配置で複数の突起が形成されていることが確認された。サンプル表面に形成された突起の高さは30nmであった。
<比較例1>
塗液としてメチルセロソルブ(表3の塗液3)を用いたことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて比較例1のサンプルを得た。前述した揮発性成分の基材浸透性測定方法によれば、メチルセロソルブによるTACの膨潤率は16%であった。したがって、メチルセロソルブは基材浸透性成分ではなく、比較例1において、塗液3は基材浸透性塗液ではない。
サンプル表面をAFMで観察したところ、4μmピッチの凹凸は確認されなかった。
<比較例2>
塗液としてMIBK(表3の塗液4)を用いたことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて比較例2のサンプルを得た。前述した揮発性成分の基材浸透性測定方法によれば、MIBKによるTACの膨潤率は0%であった。したがって、MIBKは基材浸透性成分ではく、比較例2において、塗液4は基材浸透性塗液ではない。
サンプル表面AFMで観察したところ、4μmピッチの凹凸は確認されなかった。
<実施例3>
塗液として、酢酸エチルとMIBKを重量比において5:95で混合した溶液(表3の塗液5)を用いたことと、ワイヤーバー#40を用いたこととを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて実施例3のサンプルを得た。MIBKは上述のように基材浸透性成分ではないが、基材浸透性成分である酢酸エチルが全塗液成分中の5重量%含まれていることから、実施例3において、塗液5は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMで観察したところ、4μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは90nmであった。
<比較例3>
塗液として、ペンタエリスリトールトリアクリレートとMIBKと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンを重量比において40:60:2で混合した溶液(表3の塗液6)を用いたことと、塗液の塗布および乾燥の後で300mJ/cmの強度で高圧水銀ランプによる紫外線照射処理を実施したこととを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて比較例3のサンプルを得た。上述のようにMIBKは基材浸透性成分ではない。また、ペンタエリスリトールトリアクリレートについて、前述した不揮発性成分に係る基材浸透性の測定を実施したところ、IRスペクトル上に基材由来のスペクトルの検出が明らかではなかった。したがって、ペンタエリスリトールトリアクリレートは、基材浸透性成分ではなかった。1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンは常温固体の成分であり、基材浸透性は確認されなかった。よって、比較例3において、塗液6は、基材浸透性成分を含まず、基材浸透性塗液ではない。
サンプル表面をAFMで観察したところ、4μmピッチの凹凸は確認されなかった。
<実施例4>
塗液として、ペンタエリスリトールトリアクリレートとMIBKと酢酸エチルと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンを重量比において40:60:14:2で混合した溶液(表3の塗液7)を用いたことを除き、比較例3と同じ方法および材料を用いて実施例4のサンプルを得た。酢酸エチルは上述のように基材浸透性成分であり、全塗液成分中に12.1重量%含まれている。また、上述のようにMIBKとペンタエリスリトールトリアクリレートと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンは基材浸透性成分ではないが、酢酸エチルは基材浸透性成分である。基材浸透性ではない不揮発性成分であるペンタエリスリトールトリアクリレートと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンを合わせた重量を100重量部とした場合、基材浸透性成分である酢酸エチルは33.3重量部であり30重量以上である。よって、実施例4において、塗液7は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMで観察したところ、4μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは60nmであった。
<実施例5>
塗液として、ジエチレングリコールジアクリレートとMIBKと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンを重量比において5.5:94.5:0.5で混合した溶液(表3の塗液8)を用いたことと、ワイヤーバー#40を用いたこととを除き、比較例3と同じ方法および材料を用いて実施例5のサンプルを得た。
図7は、実施例5におけるジエチレングリコールジアクリレートの基材浸透性確認時のIRスペクトルである。
上述のようにMIBKと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンは基材浸透性成分ではない。ジエチレングリコールジアクリレートについて、前述した不揮発性成分に係る基材浸透性の測定を実施した。図7において、曲線13は、ジエチレングリコールの基材浸透性確認時のIRスペクトルであり、曲線14は、ジエチレングリコールのIRスペクトルであり、曲線15は、基材(TD80ULM)のIRスペクトルである。図7に示すように、IRスペクトル上に基材由来のスペクトルが明らかに検出された。したがって、ジエチレングリコールジアクリレートは基材浸透性成分である。基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートが全塗液成分中に5.5重量%含まれているおり、基材浸透性のない不揮発性成分である1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトン100重量部とした場合、基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートは1100重量部であり30重量部以上である。よって、実施例5において、塗液8は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMで観察したところ、4μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは50nmであった。
<比較例4>
塗液として、ジエチレングリコールジアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとMIBKと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンを重量比において20:80:50:5で混合した溶液(表3の塗液9)を用いたことを除き、比較例3と同じ方法および材料を用いて比較例4のサンプルを得たとした。上述のようにMIBKと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンとペンタエリスリトールトリアクリレートは基材浸透性成分ではないが、基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートが全塗液成分中に12.9重量%含まれている。ただし、基材浸透性成分ではない不揮発性成分であるペンタエリスリトールトリアクリレートと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンを合わせた重量を100重量部とした場合、ジエチレングリコールジアクリレートは23.5重量部であり、30重量部未満である。よって、比較例4において、塗液9は基材浸透性塗液ではない。
サンプル表面をAFMにて観察したところ、4μmピッチの凹凸は確認されなかった。
<比較例5>
基材としてPETフィルムである東レ社製ルミラーT60(125μm厚)を用いたことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて比較例5のサンプルを得た。酢酸エチルに対して前述した揮発性成分における基材浸透性の測定を実施すると膨潤率は0%であった。したがって、PETに対して酢酸エチルは基材浸透性成分ではなく、比較例5において、塗液9は基材浸透性塗液ではない。
サンプル表面をAFMにて観察したところ、4μmピッチの凹凸は確認されなかった。
<比較例6>
型の材質としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いたことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて比較例6のサンプルを得た。上述のように酢酸エチルは基材浸透性成分であることから、比較例6において、塗液1は基材浸透性塗液である。
乾燥したサンプル表面をAFMにて確認したところ、4μmピッチの凹凸は確認されなかった。
<実施例6>
塗液を塗布した後に加温せず室温で60秒放置したことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて実施例6のサンプルを得た。上述のように酢酸エチルは基材浸透性成分であることから、実施例6において、塗液1は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMにより観察したところ、4μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じの配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは250nmであった。
<実施例7>
型を押し込む際の荷重を150N、押し込む時間を1秒としたことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて実施例7のサンプルを得た。上述のように酢酸エチルは基材浸透性成分であることから、実施例7において、塗液1は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMにて観察したところ、4μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは160nmであった。
<実施例8>
型として2μmピッチでコーン型の突起が最密充填様に配置されたものを用いたことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて実施例8のサンプルを得た。上述のように酢酸エチルは基材浸透性成分であることから、実施例8において、塗液1は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMにて観察したところ、2μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは170nmであった。
<実施例9>
塗液として、ジエチレングリコールと酢酸エチルと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンを重量比において50:50:2.5で混合した溶液(表3の塗液10)を用いたことと、ワイヤーバー#22を用いたことと、塗液の塗布および乾燥の後で300mJ/cmの強度で高圧水銀ランプによる紫外線照射処理を実施したこととを除き、実施例8と同じ方法および材料を用いて実施例9のサンプルを得た。上述のように1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンは基材浸透性成分ではないが、基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートと酢酸エチルを合わせると、全塗液成分の97.6重量%である。また、基材浸透性ではない不揮発性成分である1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトン100重量部とした場合、基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートと酢酸エチルを合わせた重量は4000重量部であり30重量部以上である。よって、実施例9において、塗液10は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMにて確認したところ、2μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは190nmであった。
<実施例10>
基材への前処理として、酢酸メチルをワイヤーバー#6で塗布後、120℃で15秒乾燥させたことと、型を引き離した後に塗布する塗液としてジエチレングリコールと1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンを重量比において100:5で混合した溶液(表3の塗液11)を用いたこととを除き、実施例9と同じ方法および材料を用いて実施例10のサンプルを得た。上述のように1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンは基材浸透性成分ではないが、基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートが全塗液成分の95.2重量%である。また、基材浸透性ではない不揮発性成分である1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトン100重量部とした場合、基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートは2000重量部であり30重量部以上である。よって、実施例10において、型を引き離した後に塗布する塗液11は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMにて観察したところ、2μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは270nmであった。
<実施例11>
基材への前処理用塗液として、リン酸トリフェニルの6重量%酢酸メチル溶液を用いたこと以外は、実施例10と同じ方法および材料を用いて実施例11のサンプルを得た。上述のように1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトンは基材浸透性成分ではないが、基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートが全塗液成分の95.2重量%である。また、基材浸透性ではない不揮発性成分である1−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルフェニルケトン100重量部とした場合、基材浸透性成分であるジエチレングリコールジアクリレートは2000重量部であり30重量部以上である。よって、実施例11において、型を引き離した後に塗布する塗液11は基材浸透性塗液である。
サンプル表面をAFMにて確認したところ、2μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が形成されていることが確認された。突起の高さは300nmであった。
<実施例12>
基材に対して型を押し込む処理を、少し位置をずらして2回実施したことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて実施例12のサンプルを得た。上述のように酢酸エチルは基材浸透性成分であるので、実施例12において、型を引き離した後に塗布する塗液1は基材浸透性塗液である。
図8は、非接触表面・層断面形状計測システムで計測した実施例12のサンプルの表面形状プロファイルである。尚、図8以降に示す表面形状プロファイルは、非接触表面・層断面形状計測システムとして、菱化システム社製VertScanを使用して取得したものである。
図8に示すように、サンプル表面には、4μmピッチで型に形成された突起の配置とほぼ同じ配置で突起が少しずれて2重に形成されており、型に形成された突起のパターンの和に対応するパターン状に突起が形成されていることが確認された。
<実施例13>
型押し工程において、実施例1で用いた4μmピッチの型を基材へ押し込んだ後、実施例8で用いた2μmピッチの型を基材へ押し込んだことを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて実施例13のサンプルを得た。上述のように酢酸エチルは基材浸透性成分であるので、実施例13において、型を引き離した後に塗布する塗液1は基材浸透性塗液である。
図9は、非接触表面・層断面形状計測システムで計測した実施例13のサンプルの表面形状プロファイルである。
図9に示すように、サンプル表面には4μmピッチの型の突起の配置とほぼ同じ配置の突起と、2μmピッチの型の突起の配置とほぼ同じ配置の突起とが、重畳されて形成されており、2種類の型の突起のパターンの和に対応したパターン状に突起が形成されていることが確認された。
<実施例14>
型押し工程において、図5に示したニトリルゴムの代わりにステンレス(SUS)製で直径100μmのワイヤーを複数本並べて用いたことと、荷重を50Nとしたこととを除き、実施例1と同じ方法および材料を用いて実施例14のサンプルを得た。上述のように酢酸エチルは基材浸透性成分であるので、実施例14において、型を引き離した後に塗布する塗液1は基材浸透性塗液である。
図10は、非接触表面・層断面形状計測システムで計測した実施例14のサンプルの一部の表面形状プロファイルである。
サンプル表面には、型の押し込み時にワイヤーが接していた面と逆の面に、ワイヤーが接していた部分にのみ4μmピッチで突起が形成されていることが確認された。また、突起の高さは、ワイヤーの幅方向の中心部で最も高く、幅方向の両端縁に向かうに従って低くなっていることも確認された。つまり、直径100μmの円筒の周面形状と、4μmピッチの突起パターンとの積に対応するパターンで突起が形成されることが確認された。
表2に、上述した実施例1〜14および比較例1〜6の一覧を示し、表3に、使用した塗液1〜11の組成を示し、表4に、実施例10および11で行った前処理を示す。
Figure 2015168099
Figure 2015168099
Figure 2015168099
以上説明したように、基材とその基材に対して浸透性を有する基材浸透性塗液を用いることで、型の押し込みと塗液塗布といった非常に簡単な工程で、型のパターンに対応したパターン状の凹凸が表面に形成された樹脂シートが得られることを確認できた。また、型のパターンの和や積に対応するパターン状の凹凸が表面に形成された樹脂シートが簡便に得られることが確認できた。また、型に形成されているパターンに対応するポジパターン状の凹凸が表面に形成された樹脂シートが簡便に得られることが確認できた。
本発明に係る微細構造を有する樹脂シートは、光拡散シート、防眩シート、反射防止シート、ホログラムシート、回折シート、マイクロレンズシート等の光学用途の樹脂シートや、アンチブロッキングシート、易接着シート、隔壁付シート、細胞培養シート、抗菌シート、撥液シート等の光学用途以外の樹脂シートに利用可能である。
1…基材
2…型
3…変質箇所
4…基材浸透性塗液
5…膨潤部分
6…第1の型
7…第2の型
8…第1の型
9…第2の型
10…押し込み用治具
11…ニトリルゴム
12…台座
13…ジエチレングリコールの基材浸透性確認時のIRスペクトル
14…ジエチレングリコールのIRスペクトル
15…基材(TD80ULM)のIRスペクトル

Claims (12)

  1. 基材の少なくとも1つの面に不揮発性成分を含む混合層を有し、
    前記混合層の表面に微細な凹凸構造が形成される、樹脂シート。
  2. 表面に微細構造を有する樹脂シートの製造方法であって、
    型の表面に設けられた複数の突起を基材に押し込んだ後に、押し込んだ突起を前記基材から引き離す型押し工程と、
    前記型の突起が押込まれた前記基材の面に、基材浸透性塗液を塗布する塗布工程とを備え、
    前記基材浸透性塗液は、基材浸透性成分を含有し、
    基材浸透性成分が塗液の全重量の5重量%以上含まれる、樹脂シートの製造方法。
  3. 前記基材浸透性塗液は、基材浸透性のない不揮発性成分を更に含み、
    基材浸透性でない不揮発性成分100重量部に対して、30重量部以上の基材浸透性成分が含まれることを特徴とする、請求項2に記載の樹脂シートの製造方法。
  4. 前記基材は樹脂からなり、
    前記型は金属もしくは金属酸化物からなることを特徴とする、請求項2または3に記載の樹脂シートの製造方法。
  5. 前記基材が、主としてトリアセチルセルロースからなることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  6. 前記基材浸透性塗液は、熱硬化性成分を含み、
    前記塗布工程の後に、前記基材浸透性塗液が塗布された基材に対して加温処理を行なう加熱工程を更に備えることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  7. 前記基材浸透性塗液は、電離放射線硬化性成分を含み、
    前記塗布工程の後に、前記基材浸透性塗液が塗布された基材に対して電離放射線照射処理を行なう電離放射線照射工程を更に備えることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  8. 前記型押し工程より前に、有機溶剤、もしくは、有機溶剤と添加剤とからなる混合溶液を基材へ塗布するプレ塗布工程を更に備えることを特徴とする、請求項2〜7のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  9. 前記型押し工程は、前記型に設けられた突起を前記基材に複数回押込む工程を含むことを特徴とする、請求項2〜8のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  10. 前記型押し工程は、突起のパターンが異なる複数の型を少なくとも1回ずつ前記基材へ押込んで引き離す工程を含むことを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  11. 前記型に設けられた突起のパターンに対してポジパターンの微細構造が表面に形成されることを特徴とする、請求項2〜10のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  12. 請求項2〜11のいずれかに記載の製造方法により製造された、表面に微細構造を有する樹脂シート。
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