<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場等の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持金具18が固定されている。これら上側支持金具17及び下側支持金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
なお、外枠11における右上部分、詳しくは上枠部と右枠部との連結部分には、遊技機主部12の開閉を検知する検知センサが設けられており、この検知センサからの検知情報に基づいて遊技機主部12の開放が監視される構成となっている。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15(図3参照)とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
内枠13における回動基端側の端部には、前扉枠14が回動可能に取り付けられており、同前扉枠14は正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13における回動基端側の端部には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に取り付けられており、同裏パックユニット15が正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20と、枠体20の前面に取り付けられ各種装飾等が施されたカバー体21とを主体に構成されており、内枠13における前面側のほぼ全域を覆っている。前扉枠14の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を遊技機前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部22(図1参照)が形成されており、その窓部22はガラスユニット30によって同前扉枠14の背面側から覆われている。
図2に示すように、枠体20には窓部22を囲むようにしてガラスユニット設置部23が形成されている。詳しくは、ガラスユニット設置部23は、枠体20の背面側に配されているとともにパチンコ機10の前方に向けて凹んでおり、その底部に上記窓部22が配設されている。ガラスユニット30は、ガラスユニット設置部23に嵌まることで上下方向及び左右方向への変位が規制されている。
ガラスユニット30は、透明性を有する前後一対のガラスパネル31と、それらガラスパネル31を保持するガラスホルダ32とを備えている。ガラスホルダ32は、窓部22に沿って形成された環状の枠部を有しており、同枠部によって囲まれた領域にガラスパネル31が収容されている。
再び図1を参照して説明すれば、前扉枠14(詳しくはカバー体21)には遊技状況に応じて発光する各種ランプ等の発光手段が設けられている。発光手段は、窓部22の周縁に沿ってLED等の発光体を内蔵した環状電飾部24により構成されている。環状電飾部24は、窓部22の上側であって左右方向における中央に配設されたトップランプ部25と、窓部22の左右両側に設けられたサイドランプ部26とを有してなり、それらトップランプ部25及びサイドランプ部26においては、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、トップランプ部25の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部27が設けられている。
前扉枠14における窓部22の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部29には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
上側膨出部28において上皿33(遊技球の貯留領域)よりも前側となる部位には、遊技者らにより手動操作される操作ボタンユニット40が設けられている。操作ボタンユニット40は、後述する図柄表示装置の表示画面等にて所定の演出を行わせることを目的として遊技の進行の過程で遊技者が所定の指示を行うための操作装置である。
下側膨出部29と横並びとなる位置には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル45が設けられている。遊技球発射ハンドル45が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と、下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有している。通路形成ユニット50の上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれる。
次に、図4に基づき内枠13について詳細に説明する。図4は内枠13の正面図である。なお、図4においては、図2と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース60を主体に構成されている。樹脂ベース60の前面における回動基端側(図4の左側)には、その上端部及び下端部に内枠金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側(図1の左側)には、それら内枠金具71,72に対応させて軸受け金具57,58が設けられている。内枠金具71,72には軸部が形成されており、それら軸部が前扉枠14の軸受け金具57,58の軸受け孔に挿入されることで内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら内枠金具71,72及び軸受け金具57,58は内枠13に対する組付機構を構成している。
内枠13の前面には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材59が複数設けられている(図2参照)。前扉用鉤部材76が鉤受け部材59に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、図3に示すように、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース60の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記前扉枠14に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
樹脂ベース60の前面における略中央部分には、遊技盤80を収容する遊技盤収容部61が形成されている。遊技盤収容部61は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤80を収容する収容空間を区画形成しており、樹脂ベース60に取り付けられた遊技盤80がその収容空間に嵌まった状態となっている。
遊技盤80は、透明性を有する合成樹脂材料によって形成されており、その前面が遊技盤収容部61の開放部分を通じて樹脂ベース60の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスパネル31によって覆われている。後側のガラスパネル31は、遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は合成樹脂製に限定されるものではなく、木製とすることも可能である。
以下、図5に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図5は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84及び可変表示ユニット85等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口86が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域PEから排出される。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘87が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘87や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
可変入賞装置82は、通常は遊技球の入賞を不可とする閉状態になっており、大当たりの際には遊技球の入賞が許容される開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、同可変入賞装置82の開放が複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として繰り返されるように設定されている。
可変表示ユニット85は遊技盤80の中央上寄りに配置されており、その下方に作動口83a,83bが配置されている。より詳しくは、作動口83a,83bは、作動口83aを上側、作動口83bを下側として上下に並設されている。下側の作動口83bには、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物が設けられている。電動役物は、作動口83bへの入球が困難となる閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)と、当該閉鎖状態よりも遊技球の入球が容易となる開放状態(サポート状態又はガイド状態)とに切り替え可能となっており、上記スルーゲート84への入賞に基づく抽選に当選した場合に主制御装置によって開放状態となるように制御される。電動役物の開閉態様としては、上側の作動口83aよりも下側の作動口83bへの入賞頻度が低くなるように設定された低頻度サポートモードと、上側の作動口83aよりも下側の作動口83bへの入賞頻度が高くなるように設定された高頻度サポートモードとが設定されており、各作動口83a,83bへの入球に基づく抽選によって所定の当たり結果となった場合に低頻度サポートモードから高頻度サポートモードへ移行される構成となっている。
可変表示ユニット85及び作動口83a,83bは、遊技性を司る部位であり遊技者の注意が集まりやすい。それら可変表示ユニット85及び作動口83a,83bを遊技機中央において上下に並べて配置することで両者間での視線の移動量を抑え、遊技者の目に生じる負担の低減に貢献している。
可変表示ユニット85は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置94を備えている。図柄表示装置94は、液晶ディスプレイ(表示画面94a)を備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御されている。具体的には、表示画面94aにおいては、左,中,右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示される。そして、大当たり発生時には、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示され、特別遊技状態へと移行される。なお、表示画面94aにおける表示態様を以下のように変更してもよい。すなわち、上段,中段,下段に並べて図柄を表示し、それら図柄を左右方向にスクロールさせるようにして変動表示させてもよい。
また、可変表示ユニット85は、図柄表示装置94を囲むようにして形成されたセンターフレーム95を備えている。センターフレーム95の上部には、第1特定ランプ部96及び第2特定ランプ部97が設けられている。また、センターフレーム95の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部98,99が設けられている。下側の保留ランプ部98は、図柄表示装置94及び第1特定ランプ部96に対応しており、遊技球が作動口83a,83bを通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部98の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部99は、第2特定ランプ部97に対応しており、遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部99の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
また、センターフレーム95において表示画面94aの側方(左側)に位置する部分には、上記操作ボタンユニット40が操作された場合にその操作回数を示唆する操作回数表示部95aが設けられている。操作回数表示部95aは、縦方向に複数の発光体(LED)が並べて実装された発光基板とそれを覆う透明カバーとを有してなり、後述する表示制御装置に対して電気的に接続されている。操作回数表示部95aは、操作ボタンユニット40の操作が繰り返されることで下側の発光体から順に点灯するように、その表示内容が表示制御装置によって制御される。
再び図4を用いて説明すれば、樹脂ベース60における遊技盤収容部61(遊技盤80)の下方には、遊技球発射ハンドル45の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が後述する補強プレートを介して樹脂ベース60に取り付けられている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、後述する遊技領域区画部材と共に遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分104と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分105とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分104→出口部分105)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分105の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが隙間を隔てて斜めに対峙するように配置されている。このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55(図3参照)が配設されている。ファール球通路55は前扉枠14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1等に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
また、樹脂ベース60には、遊技盤収容部61からの遊技盤80の取り外しを不可とするロック状態と、同遊技盤80の取り外しを許容するアンロック状態とに切替可能なロック装置が複数設けられている。ロック装置はロック状態にて遊技盤80の前面に当接する当接部を有しており、同当接部が遊技盤80の前面に当接することによって遊技盤80の前扉枠14側への変位が抑えられることとなる。
樹脂ベース60において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース60を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔を覆うようにして通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース60に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53(図2参照)が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
樹脂ベース60において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能な状態で樹脂ベース60によって支持されている。また、樹脂ベース60にはシャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられており、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路と、本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路とがそれぞれ連通し、遊技球の移動が許容されることとなる。
次に、図6を参照して内枠13(樹脂ベース60及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図6は内枠13の背面図である。
樹脂ベース60の背面における回動基端側(図6の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース60の背面には、裏パックユニット15を内枠13に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
既に説明したように樹脂ベース60における遊技盤収容部61の底部分には樹脂ベース60の厚さ方向に貫通し同樹脂ベース60の背面側に開放された中央開口64が形成されており、その中央開口64が遊技盤収容部61に収容された遊技盤80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は中央開口64を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、図7に基づき遊技盤80の背面の構成について詳細に説明する。図7は遊技盤80を後方から見た斜視図である。
遊技盤80の背面には、可変表示ユニット85(図5参照)を遊技盤80に対して搭載する合成樹脂製の台座部材141が固定されている。台座部材141は、遊技盤80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80の背面のほぼ全域を覆っている。台座部材141の一部は樹脂ベース60の中央開口64を通じて同樹脂ベース60の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置94(図5参照)と、その図柄表示装置94を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置94及び表示制御装置は前後方向(樹脂ベース60の厚さ方向)に図柄表示装置94が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤80には、表示制御装置の後方に位置するようにして報知・演出制御装置ユニット142が搭載されている。報知・演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に報知・演出制御装置143が装着されている。
報知・演出制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
報知・演出制御装置ユニット142の下方には、台座部材141を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤80の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
台座部材141において遊技盤80の背面と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82,上作動口83a,下作動口83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、台座部材141には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口86についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口86を介して排出通路内に導出される。
また、上記回収通路には、遊技盤80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知するカウントスイッチと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。更に、台座部材141において可変表示ユニット85の左右両側には、スルーゲート84を通過する遊技球を検知するゲートスイッチが設けられている。これら各種スイッチは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置162に出力される構成となっている。
次に、図3及び図8に基づき裏パックユニット15について説明する。図8は裏パックユニット15の正面図である。
図3に示したように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、図8に示すように、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット85を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板(図示略)が設けられている。外部端子板には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部215が形成されており、固定レバー134が挿通部215に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル45の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243には電源スイッチ247が設けられている。電源スイッチ247を操作することにより、パチンコ機10の電源を投入状態(オン状態)又は遮断状態(オフ状態)に切り替え可能となっている。
ここで、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。上記主制御装置162には、RAM消去スイッチ166が設けられている。当該RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
パチンコ機10等の遊技機においては、作動口83への入球に基づいて大当たり等の抽選が実行され、その抽選結果が遊技盤80に設けられた図柄表示装置94(表示画面94a)にて報知される。故に、遊技中は特に遊技盤80(特に図柄表示装置94の表示画面94a)に遊技者の注意が向きやすい。そのような実情に鑑みて、本実施の形態に示す遊技機(パチンコ機10)については、遊技を行う際の視認性の担保等、遊技者への配慮がなされている。
具体的には、図9の概略図に示すように、パチンコ機10が遊技ホール等の島設備に設置された状態にて遊技盤80(特に図柄表示装置94の表示画面94a)が遊技者の顔の正面に位置するように構成されている。つまり、遊技者の顔がガラスパネル31よりも前側であっても、図柄表示装置94の前方となる領域(後述する特定領域SE)に位置するように構成されている。これにより、遊技者Pの視界に遊技盤80(特に図柄表示装置94の表示画面94a)が収まりやすくなっている。
既に説明したように、遊技を行う際には上述した遊技球発射ハンドル45を手で操作して遊技球を発射させる必要がある。このため、パチンコ機10と遊技者との距離が近くなりやすい。故に、遊技盤80よりも上側に配置されたトップランプ部25については遊技者の視野(目を動かさずに見える範囲)から外れる可能性が高くなる。ここで、人間の視野の拡がりについては、個人差はあるものの、左右方向においては凡そ180度〜200度(両目で同時に見える範囲は凡そ120度)、上下方向においては上側に凡そ60度、下側に凡そ70度である。故に、トップランプ部25については、サイドランプ部26と比較して遊技者の視野から外れた死角に位置する可能性が高くなる。特に、遊技盤80の大型化に伴って前扉枠14の窓部22が拡大されると、トップランプ部25の配置は図9に示すようにその配置に係る制約が強くなるため、上述した不都合が発生する可能性が高まる。また、遊技者の視野にトップランプ部25が入っている場合であっても、当該トップランプ部25が視野の内外の境界付近に位置している場合には、色や動きの把握が難しくなり、視認レベル(識別レベル)は著しく低下する。
以上の理由から、トップランプ部25を用いて光演出を行ったとしても、表示画面94aに注視している遊技者に上手くアピールすることができず、当該光演出を見逃がされる可能性が生じる。故に、トップランプ部25に光演出機能(遊技者に対する報知・演出機能)を付与したとしても、それが上手く機能しなくなることが懸念される。そもそもトップランプ部25が遊技者に対する演出・報知の機能が付与されているのではなく、他の遊技者やホール管理者等への報知機能が付与されている場合には、上記不都合は生じないものの、当該トップランプ部25を遊技者に対する演出・報知用の手段として使用する場合に上記不都合が発生することとなる。確かに、遊技者と遊技機との距離を離すことにより上述した不都合を解消することは可能ではあるが、そのような対応では遊技盤80の視認性や操作性の低下等の他の不都合を招来し得る。
本実施の形態に示すトップランプ部25においては、当該トップランプ部25に光演出機能を付与した場合に生じる上記不都合への対策が講じられていることを特徴の1つとしている。以下、図10(a)及び図11を参照して、本実施の形態におけるトップランプ部25について説明する。図10(a)はトップランプ部25の内部構造を示す部分断面図(図9のA−A線部分断面図)、図11はトップランプ部25を主要な構成毎に分解して示す分解斜視図である。
<トップランプ部25>
図10(a)に示すように、トップランプ部25は、光源が搭載された中核(コア)としての発光装置301とトップランプ部25の外郭を形成するハウジング302とを備え、発光装置301がハウジング302内に収容された状態で枠体20及びカバー体21に固定されている。
ハウジング302は、有色透明な合成樹脂材料からなるカバー体310を有している。カバー体310は上方に開放された半球状をなしており(図11参照)、その上側の開放部分が枠体20等への取付部として機能する蓋体320によって覆われている。これらカバー体310及び蓋体320を組み合わせることで、上記発光装置301の収容空間が区画形成されている。
蓋体320は皿状をなしており、その底部321には当該蓋体320の内部空間と上記収容空間とを繋ぐ開口部322が形成されている。底部321には、開口部322を収容領域とは反対側(上方)から覆うようにして中継基板330が配設されている。発光装置301は、中継基板330を介して報知・演出制御装置143と電気的に接続されており、報知・演出制御装置143からの信号に基づいて光演出を行う(稼動する)。
ハウジング302内に収容された発光装置301は、報知・演出制御装置143による制御の対象としての発光ユニット350を有している。発光ユニット350は、複数の発光体356(詳しくはLED)が取り付けられた柱状の発光ブロック355、及び発光ブロック355が固定された台座351により構成されている。台座351は上下に延びる円筒状をなし(図11参照)、その上端部に形成された上側フランジ部352が底部321に固定されることでハウジング302に一体化されている。また、下端部に形成された下側フランジ部353は発光ブロック355が取り付けられる取付部として機能している。台座351の中空部分については、上記開口部322に連通しており、これら中空部分及び開口部322を通じて発光ブロック355と中継基板330とが配線によって接続されている。
本実施の形態においては、発光ブロック355の周面において遊技機正面側を向く部分以外の部分(側面及び背面:後述する中心軸線CL1側となる部分)が発光体356の配設領域となっている。これにより、発光ブロック355からの光が遊技機前方へ直接照射されることが回避されている。より具体的には、発光ユニット350(発光ブロック355)からの光の照射範囲は、遊技機後方及び斜め後方となるように規制されている。
発光装置301には、発光ブロック355からの光を遊技機前方へ反射する光反射機構が搭載されている。光反射機構は可動式となっており、この光反射機構が動作することにより、反射光の照射方向、すなわちトップランプ部25からの光の照射方向が変化する構成となっている。以下、光の照射方向を多様化させる可変式の光反射機構を可変機構340と称する。
<可変機構340>
可変機構340は、光反射手段としてのリフレクタ364が設けられた可動体360と、当該可動体360を保持する保持手段としてのホルダ部材370とを備え、ホルダ部材370が蓋体320に取り付けられることによりハウジング302と一体化されている。
先ず、蓋体320に対する可変機構340の取り付けに係る構成について説明する。蓋体320の底部321には、発光ユニット350の設置領域(上側フランジ部352)を囲むようにして環状凸部323が形成されている。環状凸部323は、円筒状をなしており、その中心軸線が上記開口部322及び発光ユニット350(台座351)の同軸となるように構成されている。
ホルダ部材370は上記発光ユニット350を囲む円筒部371を有しており、当該円筒部371の内径が環状凸部323の外径と同等となるように構成されている。ホルダ部材370は、その内部に環状凸部323が挿入されるようにして配置され、環状凸部323の外面に対して円筒部371の内面が面接触している。環状凸部323の中心軸線とホルダ部材370(円筒部371)の中心軸線とが同軸となっており、ホルダ部材370は同中心軸線CL1を中心とする回転が許容された状態で蓋体320によって保持されている。なお、ホルダ部材370を回転可能に保持することができるのであれば、その保持構造の詳細な構成については任意である。
蓋体320の底部321には、ホルダ部材370を回転させる駆動部としてモータ381が配設されている。モータ381は中継基板330を介して報知・演出制御装置143に接続されており、報知・演出制御装置143からの駆動信号に基づいて動作する。モータ381の駆動力がホルダ部材370に伝達されることで、ホルダ部材370が上記中心軸線CL1を中心に回転することとなる。
ホルダ部材370の円筒部371は、その下端部が発光ユニット350の台座351の下端部と同じ高さ位置となるように形成されており、上記発光ブロック355はホルダ部材370によって囲まれた領域よりも下方に突出した状態となっている。これにより、発光ブロック355からの光がホルダ部材370によって遮られることが回避されている。
ホルダ部材370の下端部には、発光ブロック355と同じ側(下方)に延出する左右一対の延出部372が形成されている。延出部372は発光ユニット350(詳しくは中心軸線CL1)を挟んで相対向しており、それら延出部372に跨るようにして軸部373が固定されている。
上記可動体360は長板が並設されてなる本体部361を有し(図11参照)、本体部361の中間位置には軸部373が挿通される軸受け孔362が形成されている。軸受け孔362と軸部373とが係合することにより、軸部373を中心とした回動(姿勢変化)が許容された状態で可動体360がホルダ部材370によって保持されている。
本体部361の一端部には上記リフレクタ364が配設されており、本体部361の他端部には重り363が配設されている。重り363の重量については、可動体360の重心GPが上記軸部373(回動中心)よりも他端寄りとなるように設定されている。回動中心と重心GPとをずらすことにより、可動体360はリフレクタ364が上側且つ重り363が下側となるように傾くこととなる。
ここで、可動体360の本体部361には、ホルダ部材370(円筒部371の下端部)に当接することにより、それ以上の回動を阻止するストッパ部366が形成されている。ストッパ部366が円筒部371の下端部に当接して、当該可動体360が斜めに傾いた状態が、可動体360の待機状態である。なお、この状態では重心GPは中心軸線CL1から外れている。
報知・演出制御装置143からモータ381に駆動信号が入力されると、ホルダ部材370が上記中心軸線CL1を中心として回転を開始する。これに追従して、ホルダ部材370に保持されている可動体360も回転することとなる。
待機状態(静止状態)から回転を開始した初期の段階では摩擦等の抵抗によって回転速度が低くなり、回転が継続されることにより加速されて回転速度が徐々に速くなる。回転速度が所定速度に達した後は定常回転に移行する。この際、回転速度が速くなるにつれて、可動体360に生じる遠心力も大きくなる。このように遠心力が大きくなることにより、重力に抗して重り363が上昇且つリフレクタ364が降下して、水平面に対する可動体360の傾きANG1が徐々に小さくなる。
モータ381が停止する等して可動体360の回転速度が遅くなった場合には、可動体360に生じる遠心力が小さくなる。このように遠心力が小さくなることにより、重力によって重り363が降下且つリフレクタ364が上昇して、水平面に対する可動体360の傾きANG1が徐々に大きくなる。
ここで、上記可変機構340の動作態様を踏まえて、図10(b)及び図12を参照してトップランプ部25による光演出の流れについて説明する。図10(b)は光演出の流れを示すタイミングチャート、図12は各状態での光の照射方向を示す概略図である。
図10(b)に示すように、t1のタイミングにて光演出が始まると、発光ユニット350の発光体356への発光信号の出力(電力供給)が開始されるとともに、モータ381への駆動信号の出力が開始される。これにより、発光ユニット350から光が可動体360のリフレクタ364によって遊技機前方へ照射される。
なお、リフレクタ364の反射面365は回転中心とは反対側に凸となる曲面状をなしており反射光の拡散が抑制されている。つまり、発光ユニット350からの光は反射面365によって拡がりが抑えられた状態で、当該反射面365の向きに照射されることとなる。言い換えれば、リフレクタ364(反射面365)には、トップランプ部25からの光の照射方向(光軸)を規定する機能が付与されている。
t1のタイミングから所定期間が経過したt2のタイミングとなるまで回転速度が徐々に速くなる。所定期間については、少なくとも可動体360の回転数が所定回数(本実施の形態においては1回)よりも多くなるように設定されている。本実施の形態においては、可動体360が回転式となっているが、上記所定期間中に少なくとも可動体360が一回転する構成とすることにより、後述する第1照射状態にて少なくとも1度は遊技機前方に向けて光が照射されるように担保されている。
ここで、t1のタイミングからt2のタイミングとなるまでの光の照射態様について図12(a)を参照して説明する。この期間中は、リフレクタ364(リフレクタにより規定される光軸)が斜め下方を向いている。このため、トップランプ部25からの光は斜め下方に向けて照射される。具体的には、発光ユニット350から照射された光は水平方向に向けて照射されるが、その延長上に位置するリフレクタ364によってその向きが変更される。リフレクタ364の向きについては、光の照射方向が上記図柄表示装置94(表示画面94a)の前方となる特定領域SEを通過するように規定されている。
既に説明したように、特定領域SEは遊技者Pの頭H(詳しくは目)が位置すると想定される領域である。このため、特定領域SEへの光は遊技者Pに向けて照射されることとなる。以下、可動体360が傾いて特定領域SEに向けて光が照射される状態を第1照射状態と称する。第1照射状態では遊技者Pに向けて光が照射されるため、遊技者は光が照射された旨を把握することができる。
その後、回転速度が上昇して所定速度に到達したta2のタイミングでは、図12(b)に示すように、上述した遠心力によって可動体360の傾きが減少して、その姿勢がほぼ水平となるように変化する。これにより、光の照射方向が略水平方向となり、特定領域SEに向けた光の照射が回避されることとなる。つまり、トップランプ部25からの光は、遊技者Pの頭上を通過して、当該遊技者Pに向けた光の照射が回避されることとなる。以下、特定領域SEに向けた光の照射が回避された状態(第1照射状態よりも光の照射方向が遊技機外側に変化した状態)を第2照射状態と称する。
第2照射状態であっても、トップランプ部25が点滅している様子については、遊技者Pによる目視で確認が可能となっている。但し、この場合に遊技者Pの目に届く光の量は上記第1照射状態と比較して少なくなっている。これにより、トップランプ部25を直視した場合であっても、それが眩しい等の不快感を遊技者に与える要因となることが抑制されている。なお、本実施の形態においては、曲面状のカバー体310を通じて光が照射される構成となっており、このカバー体310を通過する際に光が拡散される。故に、第2照射状態にてトップランプ部25が直視された場合には、遊技者に対してトップランプ部25が点滅しているかのような印象を与えることができる。
トップランプ部25が第2照射状態となった後は、第1照射状態による光演出の期間よりも長い期間に亘って当該第2照射状態のまま光演出が継続される。つまり、光演出の終了するt3のタイミングとなるまで発光ユニット350への発光信号の出力(電力供給)が継続される。t3のタイミングにて発光信号の出力が停止すると、発光ユニット350が消灯する。その後、t4のタイミングにてモータ381への駆動信号の出力が停止されることとなる。
モータ381が停止すると、可動体360及びホルダ部材370の回転速度が摩擦等の抵抗によって急速に低下し、t5のタイミングでは待機状態への復帰が完了する。但し、t3のタイミングにて既に発光ユニット350が消灯しているため、この復帰過程にて遊技者に向けた光の照射が行われることはない。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
トップランプ部25による光演出中にトップランプ部25が第1照射状態から第2照射状態に切り替る構成となっている。第1照射状態では遊技盤80の前方となる特定領域SEに向けて光が照射される。これにより、遊技者が図柄表示装置94等を注視している場合であっても、当該遊技者に光演出が開始された旨を教示することができる。一方、第2照射状態では光が第1照射状態よりも外側(特定領域SE外)に照射される。つまり、第1照射状態等を経て遊技者がトップランプ部25に注目したとしても、光が過度に直接的となって遊技者に眩しい,煩わしい等の不快感を与えることを抑制できる。このように、光演出に遊技者の注目が向くように促し、且つ光演出が注視された場合には遊技者に向けた光の照射を抑えることにより、光演出が遊技意欲を減退させる要因になることを好適に抑制できる。
第1照射状態によって遊技者に光演出が行われていることを教示した後に第2照射状態とすることにより、第2照射状態での光演出が見逃される機会を減らすことができる。つまり、第1照射状態での光の照射によって遊技者の注意を光照射手段に向けさせることにより、トップランプ部25を用いた光演出の機能を好適に発揮させることができる。また、遊技者の視野から外れた位置にトップランプ部25を配置した場合であっても光演出機能を担保できるため、遊技者の視野に係る制約を抑え、光照射手段としてのトップランプ部25の配置自由度の向上に貢献することもできる。
上述したように、遊技者の注意をトップランプ部25に向けさせる第1照射状態では遊技者に向けた光の照射によって上記教示機能を好適に発揮できる。しかしながら、このような光の照射は遊技者の注意を引く契機となれば足り、当該照射が光演出の大半を占めてしまうと遊技者に煩わしいとの印象を与える要因になる。そこで、本実施の形態に示したように、第1照射状態による光の照射期間を第2照射状態による光の照射期間よりも短くなるように設定することにより、上記不都合の発生を好適に抑制でき、第1照射状態と第2照射状態とを1の光演出にて好適に共存させることが可能となる。
トップランプ部25を用いた光演出を行う場合には第1照射状態→第2照射状態→第1照射状態の順に切り替る。このように第1照射状態への復帰を完了しておくことにより、トップランプ部25を用いて次回の光演出を行う際の準備を整えておくことができる。これにより、次回の光演出を迅速且つ円滑に行うことができる。
ここで、光照射の開始タイミングを第2照射状態に切り替る前とし、光照射の終了タイミングを第1照射状態への切り替え前とすることにより、上記教示機能を担保しつつ当該教示機能が意図せぬ場面で発揮される等して光演出の見栄え等が低下することを回避できる。
発光ユニット350の周りを可動体360が周回することにより、発光ユニット350からの光が可動体360に付属のリフレクタ364によって反射されることとなる。このように、回転式のリフレクタ364を用いて発光態様を変化させることにより、トップランプ部25による光演出に見た目の変化を生じさせることができる。これにより、光演出の単調化を抑制できる。
特に、可動体360が回転する際の中心軸線CL1と可動体360の重心位置とをずらすことで可動体360の姿勢を自重によって傾けておくことができる。回転速度が低い状態では可動体360の傾きが維持され、ある程度周回を重ねて回転速度が安定する定常回転に移る。このように定常回転に移った状態では、回転速度が高くなってそれに起因する遠心力も大きくなる。回転速度の増加→遠心力の増加→可動体360の姿勢の変化とすることにより、上述した第1照射状態/第2照射状態の切り替えを実現している。
このように、可動体360の回転動作に基づいて当該可動体360の姿勢を変化させる構成とすれば、状態切替のための独自の駆動部が不要となる。これは、多彩な機能を搭載することでトップランプ部25及びそれに付随する構成が大型化して配置自由度が低下することを抑制する上で有利である。
第1照射状態による教示機能を担保する上では、第1照射状態となる期間をある程度確保する必要があるが、モータ381はその特性上で駆動信号を入力することで一気にそのトルクが上昇する。この点、中心軸線CL1と可動体360の重心位置とのずれによって回転に起因する摩擦等の抵抗を増大させている。これにより、ホルダ部材370を回転させる際に必要なトルクを大きくし、定常回転に移るまでの期間を遅延させている。このように構造的側面から第1照射状態での光演出を担保することにより、例えば駆動制御にて供給電圧の調整等を行う必要がなく、駆動制御に係る制御負荷の増加を好適に抑制することができる。
トップランプ部25を回転灯とすることにより、遊技中の演出効果を高め、遊技を盛り上げるという遊技者に対する演出としての機能の他、他の遊技者に例えば当たり等の遊技状態を報せることで競争心を煽る等の他者報知の機能を付与している。すなわち、トップランプ部25は遊技演出及び他者報知の2つの機能を併有している。このような構成においては、パチンコ機10に最も近い位置にいるのは当該遊技機にて遊技中の遊技者であるため、他者への報知を優先して発光レベルを設定した場合、光量が過度となり遊技者に眩しい等の不快感を与えるおそれがあり、遊技者に合わせて発光レベルを下げるとすれば、他者への報知が十分に機能しない可能性がある。
発光制御によって発光レベル(光量)の調整を行うことで、これら本来相反する目的を達成することも可能ではあるが、そもそも発光レベルを低くすることはトップランプ部25の存在意義を低下させる要因になり得る。この点、上記構成によれば、発光レベルではなく、光の照射方向を変化させることにより簡易な構成にて上記課題を解決することができる。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、光の照射方向を規定する回転中心(中心軸線CL1)を固定式としたが、回転中心を可変させる構成とすることも可能である。以下、図13を参照して本実施の形態におけるトップランプ部25Aの構成について説明する。図13(a),(b)はトップランプ部25Aの構造及び動作を示す概略図、図13(c)は光の照射方向を示す概略図である。なお、トップランプ部25Aにおける主要な構成については、上記第1の実施の形態に示したトップランプ部25と共通となっているため、ここでは相違する構成を中心に説明し、共通となる構成については説明を援用する。
トップランプ部25Aのホルダ部材370Aは蓋体320に対して固定されており、当該ホルダ部材370Aによる保持対象が発光ユニット350Aに変更されている。なお、可動体360については省略されており、可動体360に付属のリフレクタ364については発光ユニット350Aに移設されている(リフレクタ364A参照)。
発光ユニット350Aは、ホルダ部材370Aに設けられた左右一対のアーム部375Aによって保持されている。アーム部375Aは左右方向に延びる円柱部を有してなり、アーム部375Aの中心軸線CL2を中心とした回動が許容された状態にて、ホルダ部材370Aに取り付けられている。これにより、発光ユニット350Aは、中心軸線CL2を中心とした前後方向への傾き(姿勢変化)が許容されている。なお、ホルダ部材370には、発光ユニット350A(台座351A)が当接することにより、それ以上の回動を阻止するストッパ部374Aが形成されており、当該ストッパ部374Aによって回動範囲が規定されている。
アーム部375Aを構成する円柱部の先端部分にはリング部376Aが形成され、このリング部376Aを介して左右の円柱部が繋がっている。リング部376Aは、発光ユニット350A(台座351A)に形成された円環状の溝部354Aに係合している。
溝部354Aは、台座351の中心軸線と直交する仮想平面状に位置し、その中心軸線CL3がリング部376Aの中心軸線と同軸となるように形成されている。これにより、発光ユニット350Aは、当該中心軸線CL3を中心として回転可能なっている。つまり、アーム部375Aによって発光ユニット350Aが回転可能に保持されている。
発光ユニット350Aの台座351A(詳しくは下側フランジ部353A)には、上記中心軸線CL3を挟んで発光ブロック355と反対側となる位置にリフレクタ364Aが固定されている。リフレクタ364Aは発光ブロック355と対峙しており、発光ブロック355からの光がリフレクタ364Aに反射して遊技機前方に照射される。
本実施の形態に示す発光ユニット350Aについても上記可動体360と同様に、重心GPが中心軸線CL3よりも発光ブロック355側となるようにずれている。これにより、発光ユニット350Aは発光ブロック355が下側、リフレクタ364Aが上側となるように斜めに傾いており、上記ストッパ部374Aに当接することでそれ以上の傾きが抑えられている。なお、このようにストッパ部374Aに当接した状態(斜めに傾いた状態)が、発光ユニット350Aの待機状態である。
発光ユニット350を中心軸線CL3を中心に回転させる駆動部としてのモータ381Aは、蓋体320の底部321の上側に配設されている。モータ381Aと発光ユニット350Aとは、上記開口部322を通じて駆動力伝達手段により接続されている。本実施の形態では、中心軸線CL3の傾きが中心軸線CL2を中心に変化する構成となっている。そこで、発光ユニット350Aの姿勢が変化した場合であっても、当該変化を妨げること無く、且つ駆動力の伝達機能が担保されるように、駆動力伝達手段として例えば変形可能な連結部が設けられている。但し、駆動力伝達手段の具体的な構成については、上記各種機能が担保されるのであれば任意に変更してもよい。
トップランプ部25Aにて光演出が実行される際には、図13(a)に示すように、発光ユニット350Aが斜めに傾いた状態にて、発光ユニット350Aの発光体356に発光信号が出力されるとともに、モータ381Aに駆動信号が入力されることとなる。
モータ381Aから発光ユニット350Aに駆動力が伝達されると、発光ユニット350Aが斜めに傾いた中心軸線CL3と中心に回転を開始する。これにより、トップランプ部25Aからの光が斜め下方(具体的には上記特定領域SE)に向けて照射される第1照射状態となる。
モータ381Aへの駆動信号の出力が継続され、発光ユニット350Aの回転速度が上昇すると、それによって発光ユニット350Aに発生する遠心力も増大することとなる。本実施の形態においては、回転速度が所定速度に達すると当該所定速度での定常回転に移行する。この結果、図13(b)に示すように、中心軸線CL3が略鉛直方向を向いた状態、すなわちトップランプ部25Aからの光が略水平方向に照射される(具体的には上記特定領域SEの上方に向けて照射される)第2照射状態となる。
本実施の形態においては、上記第1の実施の形態とは異なり、回転中心軸線の傾きを変化させることで第1照射状態及び第2照射状態への切り替えがなされる。このような構成とすることにより、光の照射方向が当該第1の実施の形態と相違している。そこで以下、図13(c)の概略図を参照して、光の照射態様について説明する。
遊技ホール等の島設備においては、複数の遊技機が横並びとなるように配列されることが一般的である。このため、遊技を行う際には、左右の遊技機にて遊技を行っている遊技者が存在することがある。図13(c)に示す例では、パチンコ機10Aが横に並べて3台配置されており、中央に位置するパチンコ機10Aにてトップランプ部25Aによる光演出が実行される場合に光が照射される方向を1点鎖線によって示している。
第2照射状態にて光が照射される場合には、中心軸線CL3が略鉛直方向を向いているため、光は水平方向に照射される。この場合、中央のパチンコ機10AMにて遊技中の遊技者PMよりもその左右両隣にて遊技中の遊技者PL,PRに対しても同じように光が照射されることとなる。つまり、他社報知の機能が上手く発揮されることとなる。寧ろ、トップランプ部25AMから離れている遊技者PL,PRのほうが光演出が行われていることを把握しやすいとも考えられる。
ここで、第1照射状態にて光が照射される場合には、その方向が楕円を描くように変化することとなる。つまり、光が照射される向きが前方から後方にずれればずれるほど、光が照射される高さ位置が高くなることとなる。より具体的には、リフレクタ364Aが遊技機前方を向いた状態すなわちトップランプ部25AMの光軸が正面側を向いている状態では、斜め下方(詳しくは特定領域SEM)に向けて光が照射されるが、リフレクタ364Aが側方を向いた状態すなわちトップランプ部25AMの光軸が左側又は左側を向いている状態では、真横に向けて光が照射される。そして、その過程では、トップランプ部25AM(リフレクタ364A)の光軸の向きが当該光軸と左右のパチンコ機10AL,10ARに対応した特定領域SEL,SERとの重なりを回避するように変化する。
このため、第1照射状態にて照射された光は、該当するパチンコ機10AMにて遊技を行っている遊技者PMに向けて照射されやすい一方、隣のパチンコ機10AL,10ARにて遊技を行っている遊技者PL,PRに向けて照射されにくくなっている。つまり、光の照射対象が該当するパチンコ機10AMにて遊技中の遊技者をメインとするように報知機能が一部制限されている。これは、遊技者に位いち早く光演出が行われている旨を報知して、他者よりも先に光演出を把握させる工夫である。これにより、遊技者に優越感を与えることができる。
<第3の実施の形態>
上記第1の実施の形態では、可動体の姿勢を変化させることにより、光の照射方向(照射角度)を変更させる構成としたが、本実施の形態においては、光の照射方向を変化させる構成(「切替手段」に相当)が上記第1の実施の形態と異なっている。具体的には、可動体360の傾き(姿勢)を変化させることにより第1照射状態/第2照射状態の切り替えを行うのではなく、発光ユニット350と可動体360との相対位置を変化させることにより、第1照射状態と第2照射状態との切り替えを行っていることを特徴の1つとしている。
以下、図14(a)を参照して、本実施の形態におけるトップランプ部25Bに係る構成について説明する。図14(a)はトップランプ部25Bの内部構造を示す概略図である。なお、トップランプ部25Bについては上記第1の実施の形態に示したトップランプ部25と主要な構成が共通となっている。そこで、これら共通する構成については説明を援用し、トップランプ部25との相違点を中心に説明する。
トップランプ部25Bに設けられた発光ユニット350Bについては、移動可能な状態でハウジング302Bの蓋体320B(詳しくは底部321B)により保持されている。具体的には、底部321Bには内外に貫通するスリット322Bが形成されており、このスリット322Bを通じて発光ユニット350の発光ブロック355Bがハウジング302B内の空間に突出している。
スリット322Bは、可動体360Cの中心軸線CL4を挟んで当該中心軸線CL4と交差する方向(前後方向)に延びており、このスリット322Bに沿った発光ユニット350Bのスライド移動(水平移動)が許容されている。つまり、発光ユニット350Bは前後方向にスライド移動可能な状態で保持されている。なお、スライド移動可能な全範囲において、発光ユニット350Bの姿勢(発光体356Bの光軸の向き)は同様となる。
蓋体320Bの底部321Bには、発光ユニット350Bを駆動させる「駆動部」としてモータ391Bが配設されている。モータ391Bは報知・演出制御装置143に電気的に接続されており、報知・演出制御装置143からの駆動信号に基づいて動作する。つまり、発光ユニット350Bの位置については、報知・演出制御装置143によって制御される構成となっている。
なお、本実施の形態に示す可動体360Bについては、中心軸線CL4を中心として回転可能となっている点、その一端に中心軸線CL4側を向くリフレクタ364Bが設けられている点では上記第1の実施の形態に示した可動体360と構成が一致しているものの、当該可動体360Bの回転に伴ってその姿勢が変化することは無い。
ここで、リフレクタ364Bの反射面365Bの形状について補足説明する。反射面365Bは、上端から下端に向けて中心軸線CL4側に湾曲しており、その曲率が下端に近づくほど大きくなるように構成されている。このため、発光ユニット350Bからの光の到達位置が上下方向にて変化した場合には、光の反射角度についても変化することとなる。
発光ユニット350Bが動作範囲の最も奥側となる位置に配置されている状態では、発光ユニット350B(発光体356B)からの光が上下方向において反射面365Bの中間位置に向けて照射される。この場合、光の反射角度が相対的に大きくなり、当該光は斜め下方(詳しくは上述した特定領域SE)に向けて反射されることとなる。このような特定領域SEに向けた光の照射については、全スライド範囲のうち凡そ半分の範囲で実現される。つまり、この範囲に発光ユニット350Bが配置されている状況下にて光の照射を行う状態が、上述した第1照射状態に相当する。
一方、発光ユニット350Bが動作範囲の最も手前側となる位置に配置されている状態では(2点鎖線参照)、発光体356Bの向きは第1照射状態と同様となるが、リフレクタ364Bからの距離が大きくなることにより、発光ユニット350B(発光体356B)からの光が第1照射状態にて光が照射される位置よりも下側に向けて照射される。この照射部分については、曲率が急激に大きくなっており、光の反射角度が小さくなるように規制される。
より具体的には、リフレクタ364Bの反射面365Bに入射した光は、略水平方向へと反射されることとなる。このような位置に発光ユニット350Bが配置されている状況下にて光の照射を行う状態が、上述した第2照射状態に相当する。
トップランプ部25Bにて光演出を行う場合には、先ず、発光ユニット350B(発光体356B)への発光信号の出力を開始するとともに、モータ381,391Bへの駆動信号の出力を開始する。発光ユニット350Bの移動速度は、第1照射状態から第2照射状態へと切り替るスライド中間位置に到達するまでに、可動体360Bが少なくとも1回転するように規定されている。これにより、光演出初期は、斜め下方に向けてすなわち特定領域SE(遊技者)に向けて光が照射されることとなる。
その後、発光ユニット350Bがスライド中間位置に到達すると、光の照射状態が第1照射状態から第2照射状態に切り替り、水平方向に向けてすなわち特定領域SEの上方に向けて光が照射されることとなる。
第2照射状態にて光の照射を行った後は、先ず発光ユニット350Bへの発光信号の出力及びモータ381への駆動信号の出力を停止させ、その後、モータ391Bへ発光ユニット350Bを演出前の位置に復帰させる駆動信号を出力する。これにより、トップランプ部25Bは光演出が開始される前の状態に復帰し、次回の光演出の準備が完了することとなる。
本実施の形態においては、発光ユニット350Bをモータ391Bによって移動させることで、光の照射状態を変化させることができる。つまり、可動体360の回転動作と光の照射状態とが一義的に関連付けられているわけではない。故に、例えば光演出を行っている最中に発光ユニット350を前後に移動させることにより、光の照射方向が波状に変化するように見せることが可能であり、更なる発光態様の多様化を実現できる。
なお、本実施の形態においては、発光ユニット350Bがスライド移動する場合に、その姿勢が変化しない構成としたが、スライド移動に伴って発光ユニット350Bの姿勢が変化する構成とすることも可能である。例えば、蓋体320Bの底部321Bを途中位置から傾斜させる等して、傾斜部分に発光ユニット350Bが到達することにより、発光体356Bの光軸の向きが上側又は下側に傾く構成とするとよい。
<第4の実施の形態>
上記第3の実施の形態においては、発光ユニット350Bをスライド移動させることにより、光の照射状態を第1照射状態/第2照射状態に切り替える構成としたが、本実施の形態においては、発光ユニット350を固定式としている点で上記第3の実施の形態と構成が相違している。ここで、本実施の形態では発光ユニット350を固定式とし且つ可動体360の傾き(姿勢)の変化を伴わない構成にて、照射状態の切り替えを実現させるための工夫がなされている。
以下、図14(b)を参照して、本実施の形態におけるトップランプ部25Cに係る構成について説明する。図14(b)はトップランプ部25Cの内部構造を示す概略図である。なお、トップランプ部25Cについては上記第3の実施の形態に示したトップランプ部25Bと主要な構成が共通となっている。そこで、これら共通する構成については説明を援用し、トップランプ部25Bとの相違点を中心に説明する。
トップランプ部25Cに設けられた発光ユニット350Cについては、ハウジング302Cの蓋体320C(詳しくは底部321C)に固定されている。発光ユニット350Cは発光基板351Cを有し、当該発光基板351Cには可動体360Cの回転中心軸線(中心軸線CL5)と交差する方向(詳しくは前後方向)に第1発光体356aC及び第2発光体356bCが離間して設けられている。第1発光体356aCは上記第3の実施の形態にて発光ユニット350Bが最も奥側に位置している状態での発光体356Bと同じ位置に配置されており、第2発光体356bCは同じく第3の実施の形態にて発光ユニット350Bが最も手前側に位置している状態での発光体356Bとほぼ同じ位置に配置されている。
なお、本実施の形態においては、第2発光体356bCからの光が第1発光体356aCによって遮られることを抑制すべく、その高さ位置が第1発光体356aCよりも低くなるように工夫されている。
リフレクタ364Cの反射面365Cの形状については、上記第3の実施の形態に示した反射面365Bと同様であるため説明を援用する。
第1発光体356aCが発光した場合には、第1発光体356aCからの光が上下方向において反射面365Cの中間位置に向けて照射される。この場合、光の反射角度が相対的に大きくなり、当該光は斜め下方(詳しくは上述した特定領域SE)に向けて反射されることとなる。つまり、第1発光体356aCからの光によってトップランプ部25Cから光を照射する状態が、上述した第1照射状態に相当する。
一方、第2発光体356bCが発光した場合には、第2発光体356bCからの光が第1照射状態にて光が照射される位置よりも下側に向けて照射される。反射面365Cにおいてこの光が照射される部分については、曲率が急激に大きくなっており、光の反射角度が小さくなるように規制される。より具体的には、リフレクタ364Cの反射面365Cに入射した光は、略水平方向へと反射されることとなる。このように第2発光体356bCからの光によってトップランプ部25Cから光を照射する状態が、上述した第2照射状態に相当する。
ここで、トップランプ部25Cにて光演出を行う場合には、先ず、発光ユニット350C(第1発光体356aC)への発光信号の出力を開始するとともに、モータ381への駆動信号の出力を開始する。これにより、光演出初期は、斜め下方に向けてすなわち特定領域SE(遊技者)に向けて光が照射されることとなる。
その後、可動体360が中心軸線CL5を中心に少なくとも1回転した後のタイミングにて、発光信号の出力対象が第1発光体356aCから第2発光体356bCに変更される。これにより、光の照射状態が第1照射状態から第2照射状態に切り替り、水平方向に向けてすなわち特定領域SEの上方に向けて光が照射されることとなる。
以上詳述したように発光対象の変更によって第1照射状態/第2照射状態の切り替えを行うことにより、駆動機構を簡素化できる。これは、トップランプ部25Cの小型化等を実現する上で有利である。
<第5の実施の形態>
上述した第1〜第4の実施の形態に示したトップランプ部25にて光演出を行う場合には、光の照射態様に規則性が生じる。光の照射態様を規則的に変化させることは相応の目的がある場合には効果的であるが、光演出の多様化や見た目の斬新さ等を追及する上では改善の余地がある。
本実施の形態では、トップランプ部25Dに係る構成を構造的側面から工夫することにより発光態様を様々に変化させるように構成したことを特徴の1つとしている。具体的には、トップランプ部25Dについては上記トップランプ部25と同様に、発光装置301D及び当該発光装置301Dを収容するハウジング302Dによって構成されているが、発光装置301に係る構成が特徴的なものとなっている。そこで、以下、図15を参照して、トップランプ部25Dに内蔵された発光装置301Dについて説明する。図15(a)はトップランプ部25Dの内部構造を示す概略図、図15(b)は発光装置301Dを主要な構成毎に分解して示す分解斜視図である。
図15(a)に示すように、発光装置301Dは、発光ユニット450Dと当該発光ユニット450Dを多方向に回転可能とする可変機構460Dとがユニット化されてなり、ハウジング302Dの蓋体320D(詳しくは底部321D)に取り付けられている。具体的には、底部321Dから下方に延出して設けられた左右一対のアーム部325Dによって保持されている。
ここで、先ず発光ユニット450Dの構成について説明する。発光ユニット450Dは複数のピースを組み合わせてなる球状のケース体451Dを有している。ケース体451Dには、ケース体451Dの内部領域を2分する仕切り部452Dが形成されており、2分された領域のうち広い側に発光基板455D及びリフレクタ457Dが収容されている。
発光基板455D及びリフレクタ457Dは仕切り部452Dに固定されており、発光基板455Dにおける発光体456Dの搭載面が、リフレクタ457Dの反射面と対峙するように配置されている(図15(b)参照)。ケース体451Dには透明性が付与されており、発光体456Dからの光はリフレクタ457Dに反射された後、ケース体451Dを通じてケース体451D外へと射出される。
可変機構460Dは、発光ユニット450Dの外側に重ねて配置された複数のリング部材471D,481Dを有している。これらリング部材471D,481Dは、ケース体451Dの中心部(中心点CP)を中心とする円環状をなしており、その直径が大小相違することで、上述した層状配置を可能としている。以下、内側に配置されたリング部材471Dを「内側リング部材471D」、外側に配置されたリング部材481Dを「外側リング部材481D」と称し、これらリング部材471D,481D及びその連結構造について補足説明する。
外側リング部材481Dには、左右一対の軸ピン483Dが固定されており、これら軸ピン483Dがアーム部325Dに形成された軸受け部326Dに挿通されることで当該アーム部325Dによって回動可能に保持された状態となっている。軸ピン483D及び軸受け部326Dによって規定された外側リング部材481Dの回転中心軸線(中心軸線AX1)は当該外側リング部材481Dの中心点(中心点CP)を通過するように構成されている。
軸ピン483Dには、アーム部325に固定された駆動部としてのモータ491Dが連結されている。モータ491Dは中継基板330を介して報知・演出制御装置143に接続されており、報知・演出制御装置143から駆動信号が入力されることで動作する。モータ491Dが動作した場合には、その動力が軸ピン483Dを通じて外側リング部材481Dに伝わり、当該外側リング部材481Dは中心軸線AX1を中心に回転することとなる。
外側リング部材481Dの内側に配置された上記内側リング部材471Dは、外側リング部材481Dと同心円状をなしており(中心点が一致するように構成されており)、外側リング部材481Dの内面と内側リング部材471Dの外面との間に一定の隙間が確保されるようにして対峙している。これにより、リング部材471D,481D同士の接触が回避されている。
内側リング部材471Dには、外側に突出するようにして上下一対の軸ピン472Dが固定されている。軸ピン472Dの先端部分が、外側リング部材481Dに形成された軸受け孔482Dに挿通されることで、両リング部材471D,481Dが連結されている。軸ピン472Dは、中心軸線AX1と交差(詳しくは直交)しており、当該軸ピン472D及び軸受け孔482Dによって規定された軸線(中心軸線AX2)を中心とした内側リング部材471Dの回転が許容されている。つまり、外側リング部材481Dには、内側リング部材471Dを回転可能に保持する保持手段としての機能が付与されている。外側リング部材481Dが回転した場合には、内側リング部材471Dが当該外側リング部材481Dに追従して上記中心軸線AX1を中心として回転することとなる。
また、内側リング部材471Dには、内側に突出するようにして左右一対の軸ピン473Dが固定されている。軸ピン473Dの先端部分が、ケース体451Dに形成された軸受け孔453Dに挿通されることで、内側リング部材471Dと発光ユニット450とが連結されている。軸ピン473D及び軸受け孔453Dによって規定された軸線(中心軸線AX3)は、中心軸線AX1と一致する(重なる)ように構成されており、当該軸ピン473Dを中心とした発光ユニット450Dの回転が許容されている。つまり、内側リング部材471Dには、発光ユニット450Dを回転可能に保持する保持手段としての機能が付与されている。これにより、発光ユニット450Dが可変機構460Dを介してアーム部325Dにより保持された状態となっている。
中心軸線AX1〜AX3の交点は、ケース体451Dの中心点CPと一致している。但し、発光ユニット450Dの重心GPについては、これら各中心軸線AX1〜AX3から外れた位置となるように発光ユニット450Dの重量バランスに偏りが与えられている。本実施の形態においては、図15に例示しているように、中心軸線AX1,AX3が左右方向、中心軸線AX2が上下方向を向いている状態においては、重心GPが中心点CPの右斜め下方に位置するように構成され、この状態ではリフレクタ457Dの反射面が遊技機正面側を向いている。
本実施の形態においては、上述した重心GPのずれによって発光ユニット450Dの初期状態については、ばらつきがある程度抑えられるものの、内側リング部材471D,481Dの初期状態については特定の状態に限定されることがない。このため、モータ491Dに駆動信号を出力してトップランプ部25Dにおける光演出を開始する場合であっても、開始時の状態は都度異なることとなる。
このような、開始条件の違いによって、光の照射態様についても様々になり得るため、以下、図16を参照して、トップランプ部25Dの照射状態の切り替えの原理について説明する。図16は、トップランプ部25Dにて光演出が行われる場合の光の照射方向の変化について例示した概略図である。
図16(a)に示す静止状態(待機状態)にて光演出を開始する場合には、報知・演出制御装置143からモータ491Dへの駆動信号の出力が開始されるとともに、発光基板455D(発光体456D)への発光信号の出力が開始される。
モータ491Dへ駆動信号が入力されると、モータ491Dが回転し、その動力が軸ピン483Dに伝えられる。これにより、中心軸線AX1と中心として、外側リング部材481Dが回転を開始する。既に説明したように外側リング部材481Dと内側リング部材471Dとは軸ピン472Dによって連結されており、この軸ピン472Dの位置も外側リング部材481Dに追従して変位する。これにより、内側リング部材471Dは外側リング部材481Dに追従して中心軸線AX1を中心に回転することとなる(図16(a)→図16(b)参照)。なお、図16(b)においては、外側リング部材481Dの回転角度が180度に達した状態を例示している。
このようにして、内側リング部材471Dが回転することで、当該内側リング部材471Dの姿勢が変化すると、発光ユニット450Dの重心GPのずれの影響が内側リング部材471Dに及ぶ。つまり、図16(b)に示すように、内側リング部材471D及び発光ユニット450Dをユニットとして見た場合の重心GPが中心軸線AX2から外れていることで、この重心GPが最下位となるようにして、中心軸線AX2を中心とする内側リング部材471Dの自転が発生することとなる。
これにより、内側リング部材471Dの姿勢が変化し、当該内側リング部材471Dに連結された発光ユニット450についてもその向きが変わることとなる。これにより、光の照射方向が変化し始める。
その後、更に外側リング部材481Dが回転し、その回転角度が180度に達すると、図16(c)に示したように、光演出開始時と比較して、内側リング部材471Dの向きが変化し、更には発光ユニット450Dの向きも変化する。つまり、外側リング部材481Dの回転が内側リング部材471Dの姿勢が変化を促し、これが当該内側リング部材471Dを中心軸線AX2を中心として回転させる要因となる。中心軸線AX2を中心とする内側リング部材471Dの回転の原動力は、発光ユニット450Dの重量(すなわち重力)である。
内側リング部材471Dの姿勢が変化すれば、当該内側リング部材471Dに連結されている発光ユニット450の向きが変わり、全ての中心軸線AX1〜AX3が各々交差することとなる。この結果、モータ491Dからの駆動力がより直接的に発光ユニット450の向きを変化させるように作用することとなる。
なお、軸ピン472D,473Dと軸受け孔453D,482Dとの間には回転に伴って摩擦抵抗が発生する。この摩擦抵抗についても発光ユニット450を中心軸線AX3を中心に回転させる原動力として作用し得る。
発光ユニット450Dが自転を開始すると、中心軸線AX1を中心とする回転、中心軸線AX2を中心とする回転、中心軸線AX3を中心とする3つの回転が合成され、発光ユニット450Dの姿勢(向き)が目まぐるしく変化することになる。
そして、発光ユニット450Dの重心GPと中心軸線AX2,AX3との関係によって、発光ユニット450Dの重量が回転を加速させるように作用する場合と、回転を妨げるように作用する場合とが発生し、回転態様の多様化が実現され、回転の規則性を低下させることができる。これにより、光の照射方向が不規則に変化しているように見せることが可能となる。
次に、発光ユニット450Dの発光基板455Dへの電力供給に係る構造について説明する。本実施の形態に示すリング部材471D,481D、軸ピン472D,473D,483Dについては全て導電性を有する金属を用いて形成されている。つまり、それらリング部材471D,481D、軸ピン472D,473D,483D自体が電力の供給経路(発光信号の伝達経路)を構築している。各部材471D,472D,473D,481D,483Dの接触状態が維持されている限りは、上記電力供給機能が担保されることとなる。
本実施の形態に示す発光ユニット450については、その周りを複数のリング部材471D,481Dが周回するため、中継基板330と発光基板455Dとの接続に際して、配線経路を確保することが難しくなっているが、上述したように可変機構460Dそのものを電力供給経路とすることにより、電力供給経路の確保が各リング部材471D,481Dの動作領域の確保を妨げる要因になることを回避している。
また、可変機構460D自体を電力の供給経路とすることにより、電力供給用の構成を配置する配置領域が不要となり省スペース化を促進できる。特に、外部からの電力供給を可能とすることで、発光ユニット450自体に電池等の電源を搭載する必要がなくなるため、発光ユニット450Dの軽量化に貢献できる。発光ユニット450Dを軽量化することにより、発光ユニット450Dを動作させる際の応答性を好適に向上させることができる。
以上詳述した第5の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
トップランプ部による光演出が単調になれば、見た目の華やかさを維持することはできてもトップランプ部自体への注目度を向上させることは困難になる。この点、本実施の形態によれば、光の照射方向を多様に変化させることにより光演出が単調になることを好適に抑制できる。
また、遊技者の顔(目)の位置については、遊技者の体格や姿勢に応じてある程度のばらつきが生じ得るところ、光の照射方向が1の回転方向に限定されては、遊技者の視界に光が届かず、光演出が上手く機能しない可能性が高くなる。この点、本実施の形態に示すトップランプ部25Dによれは、光の照射方向を多様に変化させることにより、そのような不都合の発生を好適に回避できる。
発光ユニット450Dが可変機構460Dごと中心軸線AX1を中心に回転すると、当該回転を契機として発光ユニット450Dが他の方向へ回転することとなる。つまり、発光ユニット450Dには可変機構460Dと同じ方向への回転(中心軸線AX1又は中心軸線AX2を中心とする回転)及びそれとは異なる方向への回転(中心軸線AX3を中心とする回転)が加わることとなる。これにより、同時に複数方向へ発光ユニット450Dを回転させることができ、光の照射方向を好適に多様化できる。
複数方向に発光ユニット450を回転させる構成においては、例えば各回転方向に応じてモータ等の駆動部や駆動機構を各々設けることで上記各種効果を享受できる。しかしながら、このような構成では製造コストや部品点数の増大、ひいては光照射に係る構成の占有領域を増大させて、ランプ部の配置自由度を低下させる要因となり得る。
この点、本実施の形態に示す構成によれば、所定方向への回転→可変機構460D/発光ユニット450Dの位置関係の変化→所定方向とは異なる方向に発光ユニット450Dが回転する。このように、可変機構460D/発光ユニット450Dの位置関係の変化を利用して他方向への回転が発生する構成とすれば、複数方向への回転を実現する場合であっても駆動部(駆動源)等が複数必要になることを回避できる。これにより、上記各種不都合の発生を好適に制えることができる。
発光ユニット450Dとモータ491Dとの間に複数の中間構成体(リング部材471D,481D)が介在している。モータ491Dからの動力が外側リング部材481Dに伝わると、当該外側リング部材481Dが中心軸線AX1を中心に回転する。外側リング部材481Dが回転すると当該外側リング部材481Dに連結された内側リング部材471Dが同外側リング部材481Dに追従して回転する。そして、内側リング部材471Dが回転すると当該内側リング部材471Dに連結された発光ユニット450Dが同内側リング部材471Dに追従して回転する。但し、各中心軸線AX1〜AX3のずれによって、外側リング部材481D、内側リング部材471D、発光ユニット450Dの全ての回転が完全に同期するわけではなく、同期する回転と非同期となる回転とが合成される。このような回転差を利用することにより、動力を発光ユニット450Dに伝える構成であっても、それを複数の方向への回転力に転換することが可能となる。
また、「連結部」としての各軸ピン472D,473Dをリング部材471D,481Dの一方に固定、他方に非固定とすることにより、連結箇所に発生する摩擦を利用して回転差を発生させることができる。これにより、上述した非同期での回転に貢献できる。
発光ユニット450Dとモータ491Dとの間に複数の中間構成体(リング部材471D,481D)が介在している構成では、それらリング部材471D,481Dの回転を許容するスペース(動作スペース)が嵩むことは好ましくない。そこで、本実施の形態に示したように、内部に発光ユニット450Dを収容するようにしてリング部材471D,481Dを層状に配置し、各リング部材471D,481Dの回転中心を一致させることにより、複数のリング部材471D,481Dを各々可動式(回転式)としたことが動作スペースを無駄に増大させる要因になることを抑制できる。
各リング部材471D,481Dの重心(中心)が各回転中心軸線から外れている場合には、それらリング部材471D,481Dの動きに各リング部材471D,481Dの重心のずれが作用しやすくなる。これは、リング部材471D,481Dの動きにメリハリを与える上で有利であるが、このような重心のずれは動きの安定化(定常化)の要因になり得る。回転運動への各リング部材471D,481Dの重心の寄与度を下げる(詳しくは払拭する)ことにより、摩擦、ガタ等の製造誤差や環境条件等に起因した僅かな違いによって発光ユニット450Dの回転を不規則にすることができ、光演出の単調化の抑制に好適に貢献できる。
中心軸線AX1及び中心軸線AX2が同一平面上に位置することにより、駆動力を外側リング部材481Dを介して内側リング部材471Dに伝達する際の伝達ロスを好適に軽減できる。また、両リング部材471D,481D間の動作隙が無駄に拡張されることを抑制して、伝達機構の薄型化(小型化)を実現できる。これにより、発光態様の多様化に伴う占有領域の圧迫を好適に抑制できる。
<第6の実施の形態>
上記第5の実施の形態に示した構成では、発光ユニット450Dの重心GPを不変としたが、本実施の形態では、発光ユニット450Eの重心を変化させる重心位置可変機構495Eを備えていることを特徴としている。以下、図17を参照して、本実施の形態における発光ユニット450E(詳しくは重心位置可変機構495E)について説明する。図17(a)は発光ユニット450Dの内部構造を示す発光ユニット450の部分破断図、図17(b)は発光ユニット450Dを上方から見た概略図、図17(b)は発光ユニット450Dを側方から見た概略図である。なお、本実施の形態においては、重心位置可変機構495D以外の構成は、上記第5の実施の形態と同様であるため、説明を援用する。
図17(a)に示すように、重心位置可変機構495Eは、重り部材としての球体496Eと、当該球体496Eを揺動可能に収容する通路形成部材497Eとを有し、この通路形成部材497Eがケース体451Dの仕切り部452Dに固定されることで、ケース体451Dと一体化されている。
図17(b)に示すように、通路形成部材497Eは、発光基板455Dとリフレクタ457Dとの間に配置されている。通路形成部材497Eは、中心軸線AX3と交差する方向に延びており、その中間位置にてケース体451Dの中心点を通過している。通路形成部材497Eの通路幅及び通路高さについては、球体496Eの直径寸法よりも僅かに大きく設定されており、当該通路形成部材497Eに球体496Eの移動経路が規定されている。
また、通路形成部材497Eにおける上面及び下面については、中心から離れるにつれて高くなるように湾曲している。このため、発光ユニット450Eが回転した場合に発生する遠心力と反する力を、球体496Eに付与することが可能となっている。
発光ユニット450Eについては、中心軸線AX1を中心とする回転と、中心軸線AX2を中心とする回転と、中心軸線AX3を中心とする回転とが加わるが、中心軸線AX1を中心とする回転については主としてモータ491Dからの駆動力が寄与するが、それと比較した場合、中心軸線AX2,AX3を中心とする回転については、発光ユニット450Eの重量の寄与率が高くなる。ここで、上記重心位置可変機構495Eによって、発光ユニット450Eの重心が移り変わる構成とすれば、すなわち不安定さを付与する構成とすれば、上述した回転の規則性を一層好適に低下させることができる。
また、規則性を低下させることにより、初期状態についても様々になり得るところ、初期状態の条件によっては発光ユニットの重心位置のずれが上手く機能せず、光演出の開始から発光ユニットに姿勢の変化が発生するまでにタイムラグが生じて応答性が低下する場合が発生し得る。この点、発光ユニット450Eに振動や姿勢の変化等が僅かにでも発生した場合には、それが重心を変化させるように作用することで、積極的に発光ユニット450Eの姿勢を変化させて、中心軸線AX2を中心とする内側リング部材471Dの回転を促すことができる。これにより、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
また、内側リング部材471Dの回転→発光ユニット450Eの姿勢変化→発光ユニット450Eの重心位置の変化→内側リング部材471Dの姿勢の変化を促進→発光ユニット450Eの居付きを抑制させることができる。これにより、複数のリング部材471D,481Dを介在させる構成であっても、発光ユニット450E単独での動きを活発化させることができる。
発光ユニット450E自体が中心軸線AX3を中心として回転し、更に当該発光ユニット450Eが内側リング部材471Dとともに中心軸線AX2を中心として回転する構成においては、発光ユニット450Eの向きが様々に変化し得る。この際、重り部材としての球体496Eの位置が極端に偏ってしまうと、上述した不規則さが低下すると想定される。そこで、通路形成部材497Eに高低差を付与すれば、発光ユニット450Eの向きの変化に応じて球体496Eの位置が変化し、当該球体496Eが一箇所に居座り続けることを抑制することができる。これにより、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
<その他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記各実施の形態では、「扉体」としての前扉枠14に「光照射手段」としてのトップランプ部25を配設したが、トップランプ部25の配設位置(配設対象)については遊技機前方から視認可能な部位であれば足り、例えば遊技盤80を配設対象とすることも可能である。
また、遊技盤80よりも上側にランプ部25を配設するのではなく、遊技盤80の下側(例えば上側膨出部28)にランプ部25を配設する構成としてもよい。この場合、ランプ部25の向きを上下に逆転させた上で、「作用部」を構成する可動体360の重心GPが回動中心部に対してリフレクタ364側となるように変更するとよい。これにより、回転初期の遠心力の小さい状態では斜め上方に向けて光が照射され、回転速度が上がって遠心力が大きくなった状態では略水平に光を照射させることができる。
(2)上記第1の実施の形態では、「作用部」を構成する可動体360を傾けることにより、光の照射方向を変更する構成としたが、発光装置301全体を傾けることにより、光の照射方向を変更する構成とすることも可能である。
(3)上記第1の実施の形態では、可動体360の姿勢を変化させることにより、光の照射箇所を変更する構成としたが、光の照射箇所を変更することができるのであれば姿勢の変化を必須とするものではない。可動体360の高さ位置を変更することにより、光が照射される高さ位置を変更する構成としてもよい。
なお、作用部の姿勢や位置を変更する手段として、遠心力を利用する必要はない。回転に応じて姿勢を変化させるリンク機構を設けることにより、回転力をより直接的に作用させる構成とすることも可能である。但し、このようなリンク機構を採用する場合には、第1照射状態→第2照射状態への切り替え後に元の状態(第1照射状態)に復帰させるための動作(反転動作)等が不要となるように工夫することが好ましい。
(4)上記第1の実施の形態では、可動体360を回転させた結果として当該可動体360の姿勢が変更される構成とすることにより「駆動部」としてのモータ381からの動力を利用して複数の異なる動きを実現させたが、駆動力の発生源を共通化する必要は必ずしもない。回転用の駆動手段と姿勢変更用の駆動手段とを個別に設けてもよい。
(5)上記第1の実施の形態では、1のリフレクタの向きを変更することにより、トップランプ部25が第1照射状態/第2照射状態に切り替る構成としたが、複数のリフレクタを併用することも可能である。例えば左右に延びる中心軸線を中心として前後に回転するリフレクタを追加し、当該リフレクタによって、上下に光が照射される構成とすることも可能である。遊技者の体格等に応じて目の高さ位置は様々になるが、上下に光が照射されることにより、そのような違いを好適に許容することができる。
(6)上記第1〜第4の実施の形態では、トップランプ部25が第2照射状態となった場合には、光が水平方向に照射され、「所定領域」としての特定領域SEへの光の照射を抑える構成としたが、少なくとも第1照射状態よりも遊技機外側となるようにして照射方向(光軸の向き)が変更されるのであれば足り、必ずしも特定領域SEへの光の照射を否定するものではない。
また、第1照射状態にて光が照射される「所定領域」については、図柄表示装置94(表示画面94a)の前方となる特定領域SEに限定されるものではない、遊技盤80に形成された遊技領域PEが遊技者の注目の向きやすい部位である点に鑑みれば、「所定領域」として遊技盤80の前方領域を設定することも可能である。
(7)上記第1〜第4の実施の形態では、「光源」としての発光体356からの光が遊技機後方へ照射される構成としたが、これに限定されるものではない。発光体356からの光の照射方向については任意である。例えば、発光体356を発光ブロック355の前面側に追加してもよい。また、発光体356をLEDから白熱灯や蛍光灯等に変更することも可能である。
(8)上記各実施の形態では、「作用部」として光を反射するリフレクタ364,457Dを設けたが、これに限定されるものではない。例えば光を拡散する光拡散部や光を遮る遮光部を設けることも可能である。このような変更を行う場合には、発光体356,456Dからの光の照射方向が逆となるように、当該発光体356,456Dを逆向きとなるように配置するとよい。
(9)上記第5及び第6の実施の形態では、「第1中間構成体」としての内側リング部材471D及び「第2中間構成体」としての外側リング部材481Dを環状をなすように形成したが、重心が回転中心と重なるように形成されているのであれば足り、具体的な形状については任意である。
例えば、第1中間構成体及び第2中間構成体を球状に形成してもよい。但し、上述したように内部に「発光部」としての発光ユニット450Dが収容されており、この発光ユニット450Dからの光の照射が妨げられることは発光機能を低下させる要因になるため好ましくない。そこで、例えば各中間構成体を球状とする場合には、内部の発光ユニット450Dからの光が通過可能となるように、中間構成体にスリットや貫通孔等の開口を形成したり、光を透過する光透過部を設けたりすることが好ましい。
なお、重心を回転中心から外れた位置に設定することも可能ではあるが、この場合、そのような重心位置のばらつきが不規則な変化を妨げる要因になり得る。そこで、このような影響を抑える上では重心位置を回転中心軸線上に位置するように形成することが好ましい。
(10)上記第5及び第6の実施の形態では、「第2中間構成体」としての外側リング部材481Dを回転させる「駆動部」としてモータ491Dを設け、外側リング部材481Dの回転によって、内側リング部材471D及び発光ユニット450Dが回転する構成としたが、内側リング部材471Dを回転させる駆動部や発光ユニット450Dを回転させる駆動部を各々設けてもよい。
(11)上記第5及び第6の実施の形態では、リング部材471D,481D及び軸ピン472D,473D,483Dに導電性を付与することにより、それらリング部材471D,481D及び軸ピン472D,473D,483Dを発光ユニット450Dの発光体456Dへ電力を供給する供給経路(通電経路)として利用したが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、リング部材471D,481D及び軸ピン472D,473D,483Dに通電経路を形成する配線等を内蔵し、これら配線によって上記供給経路を構築してもよい。
但し、リング部材471D,481D及び発光ユニット450Dの位置関係が不規則に変化する構成においては、配線にねじれが生じ供給経路を担保することが困難になったり配線のねじれが発光ユニット450Dの回転を妨げる要因になったりすると懸念される。故に、上記実施の形態に示したように、各構成450D,471D,481Dが軸ピン472D,473D,483Dを介して接触状態が維持されることにより供給経路が形成される構成として、位置関係(位相等)の多様性を許容する構成とすることが好ましい。
(12)上記第5の実施の形態では、「重り」としての球体496Eと当該球体496Eが揺動可能な通路部形成部材497Eとによって「重心位置可変手段」を構成したが、発光ユニット450Eの重心を変化させることができるのであれ、その具体的構成については任意である。例えば、モータ等のアクチュエータを駆動させることにより重心を変更させる構成とすることも可能である。
(13)上記第1〜第4の実施の形態では、トップランプ部25を光演出中に第1照射状態及び第2照射状態に切り替える構成としたが、これに限定されるものではなく、照射状態の切り替えを行わない構成とすることも可能である。例えば、第1光演出においてはトップランプ部25を第1照射状態として光照射を行い、第2光演出においてはトップランプ部25を第2照射状態として光照射を行う構成とすることも可能である。
更には、光が照射される光軸の向きが水平方向と斜め下方とに切り替る構成としたが、光軸の向きについては固定式であってもよい。例えば、該当遊技機にて遊技中の遊技者に対する報知機能とその左右に並設された他の遊技機にて遊技中の遊技者に対する報知機能とを比較した場合には、後者よりも前者の方がより重要になる。つまり、報知機能についても対象によって強弱を設けることが好ましい。このような事情に配慮すれば、光軸の向きが斜め下方を向くように固定することにより、該当遊技機にて遊技中の遊技者に対する報知機能を左右に並設された他の遊技機にて遊技者に対する報知機能よりも強調できる。
(14)上記各実施の形態では、発光体356へ供給される電力を増大させることにより発光演出を実行する際の光量を多くすることも可能である。但し、供給電力を増大させた場合には、発光体356の発熱量が増すと想定される。上述したように閉空間に発光体356を収容している場合には熱がこもることとなり、変色や変形等の概観不良や動作不良が発生しやすくなると懸念される。そこで、光量を増加させる場合には、熱伝導率の高い放熱板等を発光体356に併設するとよい。放熱板の少なくとも一部を上述した発光体356の収容空間(閉空間)外に突出させることにより、放熱機能を好適に向上させることができる。
(15)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される特徴的な構成について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴A群は、「パチンコ機等の遊技機には、表示画面にて絵柄を変動表示する絵柄表示装置を備えているものがある。この種の遊技機では、例えば遊技領域に設けられた作動口を遊技球が通過したことを契機として、当たり状態等の遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生させるか否かの抽選がなされ、上述した絵柄の変動表示が開始される。抽選に当選した場合には、表示画面に特定の絵柄組合せ等が最終停止表示されることにより、その旨が報知される。遊技機の前面部等には遊技の進行に伴って点灯又は点滅するランプ等の光照射手段が設けられており、当該光照射手段においては、発光色や発光パターン等の発光態様を様々に変化させることで遊技中の演出効果を高め、遊技を盛り上げるという遊技者に対する発光演出を実行する機能や、遊技者へ特定の条件等が成立したことを報知する機能が付与されている(例えば特許文献1)。」という背景技術について、「但し、上述した光照射手段については、光の照射による演出又は報知機能を発揮する上で未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴A1.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成されている遊技盤(遊技盤80)と、
遊技状況に応じて遊技機前方へ光を照射する光照射手段(トップランプ部25)と、
前記光照射手段を稼動させることにより光演出を実行する演出実行手段(報知・演出制御装置143や可変機構340等)と
を備え、
前記演出実行手段は、前記光照射手段による光の照射状態を前記光演出中に、前記遊技盤の前方となる所定領域に向けて光を照射する第1照射状態、及び当該第1照射状態よりも遊技機外側へ光を照射する第2照射状態に切り替える切替手段(可変機構340)を有していることを特徴とする遊技機。
パチンコ機等の遊技機においては遊技盤(遊技領域)が遊技者の注意の向きやすい部位である点に鑑みて、当該遊技機が遊技ホール等の島設備に設置された状態にて遊技盤が遊技者の顔の正面に位置するように構成されることが一般的である。これにより、遊技を行う際の視認性の担保等、遊技者への配慮がなされている。
本特徴においては、光演出中に光照射手段の照射状態の切り替えがなされる。第1照射状態では遊技盤の前方となる領域(所定領域)に向けて光が照射され、遊技者に光演出が実行されている旨を好適に知らせることができる。一方、第2照射状態では光が第1照射状態よりも外側に照射される。つまり、第1照射状態等を経て遊技者が光照射手段に注目したとしても、光が過度に直接的となって遊技者に眩しい,煩わしい等の不快感を与えることを抑制できる。故に、光の照射状態の切り替えを行うことにより、光演出に遊技者の注目が向くように促し、且つ光演出を注視した場合であっても遊技者に向けた光の照射を抑えることにより、光演出が遊技意欲を減退させる要因になることを好適に抑制できる。
特徴A2.前記光照射手段は、前記第1照射状態においては前記所定領域に向けて光を照射する一方、前記第2照射状態においては遊技機の前方となる領域であって前記所定領域外の領域に向けて光を照射するように構成されていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
上述したように、遊技盤は遊技者の顔の正面に位置するように構成されていることが一般的であるものの、遊技者の体格や姿勢等によって顔の位置が相違し得る。故に、特徴A1に示した眩しさの軽減機能を発揮する上ではそのような条件の違いに配慮することが好ましい。ここで、本特徴に示すように、第2照射状態においては所定領域外に向けて光を照射することにより、上述した体格や姿勢等の違いを好適に許容することができる。これにより、光照射手段による光演出の機能を担保しつつ、光照射手段を注視した遊技者に対して過度に強い光が照射されることを抑制できる。
なお、特徴A1及び特徴A2に示す光演出に、遊技中の演出効果を高め、遊技を盛り上げるという遊技者に対する演出としての機能の他、他の遊技者に当たり等の遊技状態を報せることで競争心を煽る等の他者報知の機能を付与している場合、すなわち光照射手段が遊技演出及び他者報知の2つの機能を併せ有する場合、以下の懸念が生じる。遊技機に最も近い位置にいるのは当該遊技機にて遊技中の遊技者であるため、他者への報知を優先して発光レベルを設定した場合、光量が過度となり遊技者に眩しい等の不快感を与えるおそれがあり、遊技者に合わせて発光レベルを下げるとすれば、他者への報知が十分に機能しない可能性がある。
発光制御によって発光レベル(光量)の調整を行うことで、これら本来相反する目的を達成することも可能ではあるが、そもそも発光レベルを低くすることは光照射手段の存在意義を低下させる要因になり得る。この点、特徴A1や特徴A2に示す構成によれば、発光レベルではなく、光の照射方向を変化させることにより簡易な構成にて上記課題を解決することができる。
特徴A3.前記切替手段は、前記光演出を行う場合に、前記光照射手段による光の照射状態を前記第1照射状態から前記第2照射状態に切り替える手段を有していることを特徴とする特徴A1又は特徴A2に記載の遊技機。
特徴A3によれば、第1照射状態によって遊技者に光演出が行われていることを教示した後に第2照射状態とすることにより、第2照射状態での光演出が見逃される機会を減らすことができる。つまり、第1照射状態での光の照射によって遊技者の注意を光照射手段に向けさせることにより、光照射手段を用いた光演出の機能を好適に発揮させることができる。また、遊技者の視界から外れた位置に光照射手段を配置した場合であっても光演出機能を担保できるため、光照射手段の配置自由度の向上に貢献することもできる。
なお、「一連の光演出の開始時には前記光照射手段を前記第1照射状態とし、その後、第2照射状態に切り替えた後は当該光演出終了まで第1照射状態への切り替えが規制される構成」とするとよい。係る構成によれば、遊技者の注意が光照射手段に向いていない状況下にて遊技者に向けて光を照射することにより光照射手段(光演出)への注意を促して、注意を促した後は遊技者に向けて過度に強い光が照射されることを好適に回避できる。
特徴A4.前記切替手段は、前記光演出を行う場合に、前記光照射手段による光の照射状態を前記第1照射状態とする期間が前記第2照射状態とする期間よりも短くなるように構成されていることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
特徴A3等に示したように、遊技者の注意を光照射手段に向けさせる第1照射状態では遊技者に向けた光の照射によって上記教示機能を好適に発揮できる。しかしながら、このような光の照射は遊技者の注意を引く契機となれば足り、当該照射が光演出の大半を占めてしまうと遊技者に煩わしいとの印象を与える要因になる。そこで、本特徴に示すように、第1照射状態による光の照射期間が第2照射状態による光の照射期間よりも短くなるように設定することにより、上記不都合の発生を好適に抑制でき、第1照射状態と第2照射状態とを1の光演出にて好適に共存させることが可能となる。
特徴A5.前記切替手段は、前記光照射手段を前記第1照射状態から前記第2照射状態に切り替える第1手段と、当該第1手段による切り替えを行った後に前記光照射手段を前記第2照射状態から前記第1照射状態に復帰させる第2手段とを有し、
前記演出実行手段は、前記第1手段によって前記第2照射状態となる前に前記光照射手段による光照射を開始させる手段と、前記第2手段による前記第1照射状態への復帰前に前記光照射を終了する手段とを有していることを特徴とする特徴A1乃至特徴A4のいずれか1つに記載の遊技機。
本特徴に示すように、光演出を行う場合には第1照射状態→第2照射状態→第1照射状態となるように構成することにより、光照射手段を用いて次回の光演出を行う際の準備を整えておくことができる。これにより、次回の光演出を迅速且つ円滑に行うことができる。ここで、光照射の開始タイミングを第2照射状態に切り替る前とし、光照射の終了タイミングを第1照射状態への切り替え前とすることにより、可変式の光照射手段による上記教示機能を担保しつつ光演出の見栄え等が低下することを回避できる。
特徴A6.前記光照射手段は、光軸の向きを前記所定領域側及び前記所定領域とは反対側に変更可能となっており、
前記切替手段は、前記光照射手段の光軸の向きを変更させることにより、前記第1照射状態及び前記第2照射状態の切り替えを行うように構成されていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A1等に示したように光の照射方向を変化させる場合には、所定領域側及びそれとは反対側とに光軸の向き(傾き)を変更する構成とすればよい。これにより、光照射手段の位置の変化を抑えつつ、光の照射方向(光軸の向き)を可変させる構成を好適に実現することができる。
特徴A7.前記光照射手段は、
光源(発光体356を有する発光ユニット350)と、
前記光源からの光を反射又は遮光する作用部(リフレクタ364を有する可動体360)と、
前記作用部を前記光源の周りを周回可能に保持する保持部(ホルダ部材370)と、
前記作用部を周回させる駆動部(モータ381)と
を有してなり、
前記切替手段は、前記作用部の周回動作に伴って前記光照射手段の光軸の向きを変化させるように構成されていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
特徴A7によれば、光源の周りを作用部が周回することにより、光源からの光が反射又は遮光されることとなる。このように、作用部を用いて発光態様を変化させることにより、光照射手段による光演出に見た目の変化を生じさせることができる。これにより、光演出の単調化を抑制できる。
特に、作用部の周回動作に伴って光照射手段の光軸が変化する。このように、作用部の動作→光軸の向き(傾き)変化とすることにより、発光態様の多様化を実現しつつ、それに基づいて第1照射状態/第2照射状態の切り替えを行うことができ、更には状態切替のための独自の駆動部が不要となる。これは、多彩な機能を搭載することで光照射手段及びそれに付随する構成が大型化して配置自由度が低下することを抑制する上で有利である。
なお、本特徴を「前記光照射手段(光源及び作用部を有する発光部)は、当該光照射手段の回転によってその回転中心と交差する方向へ光を照射するように構成されており、前記切替手段は、前記光照射手段の回転動作に基づいて当該光照射手段の光軸の向きを変化させるように構成されていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。」とすることも可能である。
特徴A8.前記作用部は、前記光源からの光を反射することにより前記光照射手段における光軸を規定する機能が付与されており、
前記切替手段は、前記作用部の周回動作に基づいて、当該作用部の姿勢を変化させることにより、前記第1照射状態及び前記第2照射状態の切り替えを行うように構成されていることを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
特徴A8によれば、作用部が周回動作することにより、作用部の姿勢が変化する。作用部に光照射手段における光軸を規定する機能が付与されている構成にて、当該作用部の周回運動に基づいて作用部の姿勢を変化させる構造特性を利用すれば、駆動部からの動力を作用部の姿勢の変化に利用でき、特徴A7に示した効果を好適に発揮させることが可能となる。
特徴A9.前記作用部は、当該作用部の重心が同作用部の周回中心部から外れた位置となるように形成され、自重によって傾いた状態でその周回中心部が前記保持部によって保持されており、
前記保持部は、周回動作に伴った作用部の傾きの変化を許容するように構成されており、
前記切替手段は、前記作用部が回転することで発生する遠心力によって当該作用部の姿勢を変化させることにより、前記第1照射状態及び前記第2照射状態の切り替えを行うように構成されていることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
特徴A9によれば、作用部の周回中心部と重心位置とをずらすことで作用部の姿勢を自重によって傾けておくことができる。周回開始時にはある程度大きなトルクが必要であり、周回速度も低いが、ある程度周回を重ねて周回速度が安定すると周回速度が高くなってそれに起因する遠心力が大きくなる。このように周回速度が上がって遠心力が増大した場合に、それを契機として作用部姿勢の変化を促すことにより特徴A8等に示した技術的思想を好適に実現することができる。
特徴A10.前記作用部の周回方向と、前記光軸の向きが変化する方向とが交差していることを特徴とする特徴A8又は特徴A9に記載の遊技機。
特徴A10によれば、周回体による光の反射又は遮光機能を担保しつつ照射状態の切替を行う構成にて、一方の機能の実現に他方の機能が足枷になることを好適に回避できる。
特徴A11.前記光照射手段は、前記遊技盤よりも上側に配置されており、周回中心部を挟んで前記作用部における光反射部(リフレクタ364)とは反対側に重心が位置するように構成されていることを特徴とする特徴A8乃至特徴A10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A11によれば、周回速度が相対的に低い低速状態では重心位置のずれによって作用部が初期の姿勢を維持しようとするが、周回速度が上がることにより重力に抗して姿勢が変化することで作用部の向きが変化する。ここで、光照射手段が遊技盤よりも上側に配置されているため、周回開始時には上記所定領域に向けて光を照射し、その後、周回速度が上がることでそれよりも外側に向けて光を照射することができる。つまり、遊技盤よりも上側に光照射手段を配置している構成においては、重心位置、光反射部、周回中心部の位置関係を上述の如く規定することにより、構成の複雑化を抑えつつ、光演出の開始を遊技者に教示する機能と光演出による注目度向上効果とを発揮することができる。
特徴A12.前記光照射手段は、前記遊技盤よりも下側に配置されており、周回中心部に対して前記作用部における光反射部(リフレクタ364)と同じ側に重心が位置するように構成されていることを特徴とする特徴A8乃至特徴A10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A12によれば、周回速度が相対的に低い低速状態では重心位置のずれによって作用部が初期の姿勢を維持しようとするが、周回速度が上がることにより重力に抗して姿勢が変化することで作用部の向きが変化する。ここで、光照射手段が遊技盤よりも下側に配置されているため、周回開始時には上記所定領域に向けて光を照射し、その後、周回速度が上がることでそれよりも外側に向けて光を照射することができる。つまり、遊技盤よりも上側に光照射手段を配置している構成においては、重心位置、光反射部、周回中心部の位置関係を上述の如く規定することにより、構成の複雑化を抑えつつ、光演出の開始を遊技者に教示する機能と光演出による注目度向上効果とを発揮することができる。
特徴A13.前記光照射手段は、前記遊技盤の上方又は下方に配設されていることを特徴とする特徴A7乃至特徴A12のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A13によれば、光軸の向き(傾き)を変化させて光演出の教示機能と光演出による注目度向上効果とを発揮させる場合には、光照射手段を遊技盤の上方又は下方に配設されている構成との組み合わせによって更なる効果が期待できる。つまり、回転によって光を遊技機正面だけでなく、左右にも照射させることにより、上述した他者報知の機能を発揮できる。ここで、第1照射状態での教示機能については、当該遊技機にて遊技を行っている遊技者を主たる対象として行われるものであり、仮に隣で遊技を行っている遊技者に同じレベルでの教示が行われた場合には、主たる対象に対しての光演出である意義が薄れてしまう。この点、光軸を遊技者側に傾けた状態にて光照射を行った場合には、光の放射方向が正面側よりも左右両側にて高くなるようにずれるため、遊技機正面への教示機能を強化する一方、他者への報知機能を抑えることができる。これにより、実用上好ましい構成が実現される。
特徴A14.前記遊技盤を遊技機前方から覆う透明パネル(ガラスパネル31)と、当該パネル部を支持する枠部(枠体20)とを有する扉体(前扉枠14)を備え、
前記光照射手段は、前記枠部に設けられていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A13のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A1〜特徴A13に示した技術的思想は、そもそも遊技者の視界から外れた位置に光照射手段が配置されている特徴A14に示す構成との組み合わせにより、その効果を好適に享受できる。言い換えれば、特徴A1〜特徴A13に示した技術的思想を適用することにより、遊技者の視界の外に位置しやすい枠部に光照射手段を配設することによる弊害の発生を回避し、光照射手段の配置自由度の向上に貢献することができる。
<特徴B群>
以下の特徴B群は、「パチンコ機等の遊技機には、表示画面にて絵柄を変動表示する絵柄表示装置を備えているものがある。この種の遊技機では、例えば遊技領域に設けられた作動口を遊技球が通過したことを契機として、当たり状態等の遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生させるか否かの抽選がなされ、上述した絵柄の変動表示が開始される。抽選に当選した場合には、表示画面に特定の絵柄組合せ等が最終停止表示されることにより、その旨が報知される。遊技機の前面部等には遊技の進行に伴って点灯又は点滅するランプ等の光照射手段が設けられており、当該光照射手段においては、発光色や発光パターン等の発光態様を様々に変化させることで遊技中の演出効果を高め、遊技を盛り上げるという遊技者に対する発光演出を実行する機能や、遊技者へ特定の条件等が成立したことを報知する機能が付与されている(例えば特許文献1)。」という背景技術について、「発光部の発光態様の多様化により遊技への注目度を図る上では、発光部に係る構造に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴B1.遊技状況に応じて発光する発光部(発光ユニット450D)と、
前記発光部を互いに交差する複数の方向に回転させることにより、当該発光部の光の照射方向を変化させる照射方向可変手段(可変機構460D)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
発光部による演出(以下、発光演出という)が単調になれば、見た目の華やかさを維持することはできても発光部自体への注目度を向上させることは困難になる。この点、本特徴によれば、光の照射方向を多様に変化させることにより発光演出が単調になることを好適に抑制できる。
また、遊技者の顔(目)の位置については、遊技者の体格や姿勢に応じてある程度のばらつきが生じ得るところ、光の照射方向が1の回転方向に限定されては、遊技者の視界に光が届かず、発光演出が上手く機能しない可能性が高くなる。この点、本特徴によれは、光の照射方向を多様に変化させることにより、そのような不都合の発生を好適に回避できる。
特徴B2.発光部(発光ユニット450D)及び当該発光部を覆うカバー部(ケース体451D)を有し、遊技状況に応じて遊技機前方へ光を照射する光照射手段(トップランプ部25D)と、
前記発光部を互いに交差する複数の方向に回転させることにより、当該発光部の光の照射方向を変化させる照射方向可変手段(可変機構460D)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
発光部による演出(以下、発光演出という)が単調になれば、見た目の華やかさを維持することはできても発光部自体への注目度を向上させることは困難になる。この点、本特徴によれば、光の照射方向を多様に変化させることにより発光演出が単調になることを好適に抑制できる。
また、遊技者や観客の位置については、状況によって様々になるところ、光の照射方向が1の回転方向に限定されては、遊技者の視界に光が届かず、発光演出が上手く機能しない可能性が高くなる。この点、本特徴によれは、光の照射方向を多様に変化させることにより、そのような不都合の発生を好適に回避できる。
特徴B3.前記照射方向可変手段は、
前記発光部を回転させる駆動力を発生させる駆動部(モータ491D)と、
前記駆動部からの駆動力を前記発光部に伝達する伝達機構(リング部材471D,481D等)と
を有してなり、
前記伝達機構は、前記駆動部からの駆動力によって当該伝達機構及び前記発光部が所定方向に回転するとともに、当該回転に基づいて当該所定方向とは異なる方向に前記発光部を回転させるように構成されていることを特徴とする特徴B1又は特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、伝達機構及び発光部が所定方向へ回転すると、当該回転に基づいて発光部が他の方向へ回転することとなる。つまり、発光部には伝達機構と同じ方向への回転及び伝達機構とは異なる方向への回転が加わることとなる。このようにして、同時に複数方向へ発光部を回転させることにより、特徴B1等に示した効果を発揮する上で、駆動に係る構成が複雑になることを好適に抑制できる。
特徴B4.前記伝達機構は、前記所定方向への回転により当該伝達機構と前記発光部との位置関係の変化が変化することにより、当該所定方向とは異なる方向に前記発光部を回転させる力が生じるように構成されていることを特徴とする特徴B3に記載の遊技機。
複数方向に発光部を回転させる構成においては、例えば各回転方向に応じてモータ等の駆動部や駆動機構を各々設けることにより、特徴B1等に示した各種効果を享受できる。しかしながら、このような構成では製造コストや部品点数の増大、ひいては光照射手段に係る構成の占有領域を増大させて、当該光照射手段の配置自由度を低下させる要因となり得る。
この点、本特徴によれば、所定方向への回転→伝達機構/発光部の位置関係の変化→所定方向とは異なる方向に発光部が回転する。このように、伝達機構/発光部の位置関係の変化を利用して他方向への回転が発生する構成とすれば、複数方向への回転を実現する場合であっても駆動部(駆動源)等が複数必要になることを回避できる。これにより、上記各種不都合の発生を好適に制えることができる。
特徴B5.前記伝達機構は、
前記発光部の外側に設けられた第1中間構成体(内側リング部材471D)と、
前記第1中間構成体の外側に設けられ、前記駆動部に接続された第2中間構成体(外側リング部材481D)と、
前記発光部及び前記第1中間構成体を相対回転可能に連結する第1連結軸部(軸ピン473D)と、
前記第1中間構成体及び前記第2中間構成体を相対回転可能に連結する第2連結軸部(軸ピン472D)と、
前記第2中間構成体を回転可能に軸支する支持部(アーム部325Dの軸受け部326D)と
を有し、
前記第1連結軸部により規定された第1回転中心軸線と前記第2連結軸部により規定された第2回転中心軸線とが交差するように、且つ当該第2回転中心軸線と前記支持部により規定された第3回転中心軸線とが交差するように構成され、
前記第1連結軸部によって前記第1中間構成体及び前記発光部が連結されることにより、前記第2回転中心軸線を中心として、それら第1中間構成体及び発光部が一体となって回転可能となるように構成されていることを特徴とする特徴B3又は特徴B4に記載の遊技機。
特徴B5によれば、発光部と駆動部との間に複数の中間構成体が介在している。ここで、駆動部からの動力が第2中間構成体に伝わると、当該第2中間構成体が第3回転中心軸線を中心に回転する。第2中間構成体が回転すると当該第2中間構成体に連結された第1中間構成体が同第2中間構成体に追従して回転する。そして、第1中間構成体が回転すると当該第1中間構成体に連結された発光部が同第1中間構成体に追従して回転する。但し、各回転中心軸線のずれによって、第1中間構成体、第2中間構成体、発光部の全ての回転が完全に同期するわけではなく、同期する部分と非同期となる部分との違いが生じる。このような違い(回転差)を利用することにより、動力を発光部に伝える構成にて、それを複数の方向への回転力に転換することが可能となる。
特徴B6.前記第1連結軸部は、前記発光部及び前記第1中間構成体の一方に固定され、他方接触した状態にてそれら発光部及び第1中間構成体を連結するものであり、
前記第2連結軸部は、前記第1中間構成体及び前記第2中間構成体の一方に固定され、他方に接触した状態にてそれら第1中間構成体及び第2中間構成体を連結するものであることを特徴とする特徴B5に記載の遊技機。
本特徴に示すように、連結部を固定式/非固定式とすることにより、各連結部に発生する摩擦を利用して回転差を発生させることができる。これにより、特徴B5に示した非同期での回転を好適に実現することができる。
特徴B7.前記第1中間構成体及び前記第2中間構成体は、円環状又は球状をなしており、内外に重ねて配置され、
前記第1中間構成体の回転中心及び前記第2中間構成体の回転中心が一致していることを特徴とする特徴B5又は特徴B6に記載の遊技機。
特徴B5に示したように、発光部と駆動部との間に複数の中間構成体が介在している構成では、中間構成体自体の回転を許容するスペース(動作スペース)が嵩むことは好ましくない。そこで、本特徴に示すように、内部に発光部を収容するようにして中間構成体を層状に配置し、各中間構成体の回転中心を一致させることにより、各中間構成体を可動式(回転式)としたことが動作スペースを無駄に増大させる要因になることを抑制できる。
特徴B8.前記第1中間構成体は、当該第1中間構成体の重心が前記第1回転中心軸線上に位置するように形成され、
前記第2中間構成体は、当該第2中間構成体の重心が前記第2回転中心軸線上に位置するように形成されていることを特徴とする特徴B5乃至特徴B7のいずれか1つに記載の遊技機。
各中間構成体の重心位置が各回転中心軸線から外れている場合には、それら中間構成体の動きに各中間構成体の重心位置のずれが作用しやすくなる。これは、中間構成体の動きにメリハリを与える上で有利であるが、このような重心位置のずれは動きの安定化(定常化)の要因になり得る。回転運動への各中間構成体の重心位置の寄与度を下げることにより、摩擦、ガタ等の製造誤差や環境条件等に起因した僅かな違いによって発光部の回転を不規則にすることができ、発光演出の単調化の抑制に好適に貢献できる。
特徴B9.前記伝達機構は、前記第1回転中心軸線と、前記第2回転中心軸線とが同一平面上に位置するように形成されていることを特徴とする特徴B5乃至特徴B8のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B9によれば、各回転中心軸線が同一平面上に位置することにより、駆動力を第2中間構成体を介して第2中間構成体に伝達する際の伝達ロスを好適に軽減できる。また、両中間構成体間の動作隙が無駄に拡張されることを抑制して、伝達機構の薄型化(小型化)を実現できる。これにより、発光態様の多様化に伴う占有領域の圧迫を好適に抑制できる。
特徴B10.前記発光部は、当該発光部の重心位置が前記第1回転中心軸線及び前記第2回転中心軸線の両軸線上から外れた位置となるように構成されていることを特徴とする特徴B5乃至特徴B9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B10によれば、第1中間構成体と発光部との位置関係が変化した場合に、第1中間構成体を発光部の重さによって回転させることが容易となる。これにより、特徴B4に示した技術的思想を好適に具現化できる。
特徴B11.前記発光部に設けられ、前記第1中間構成体が回転に伴って前記発光部の重心位置を前記第2回転中心軸線からずれるように変化させる重心位置可変手段を有していることを特徴とする特徴B5乃至特徴B10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B11によれば、第1中間構成体の回転→発光部の回転→発光部の重心位置の変化→第1中間構成体の姿勢の変化を促進→発光部の居付きを抑制させることができる。これにより、複数の中間構成体を介在させる構成であっても、発光部単独での動きを活発化させることができる。
特徴B12.前記重心位置可変手段は、前記発光部に設けられた重り部材と、前記重り部材を揺動可能に保持する保持部とを有してなることを特徴とする特徴B11に記載の遊技機。
特徴B12に示すように、重り部材を揺動可能に保持する構成とすれば、重心位置の不安定度合いを増すことが可能となる。重心位置が様々に変化することで特徴B11に示した効果を一層好適に発揮させることができる。
特徴B13.前記保持部は、当該保持部の中間部分が前記第1回転中心軸線と前記第2回転中心軸線とが交差する箇所を通過し、前記第1回転中心軸線と交差するように延びており、
前記中間部分と前記保持部の両端部分とでは高低差が設けられていることを特徴とする特徴B12に記載の遊技機。
発光部自体が第1回転中心軸線を中心として回転し、更に当該発光部が第1中間構成体とともに第2回転中心軸線を中心として回転する構成においては、発光部の向きが様々に変化し得る。この際、上記重り部材の位置が極端に偏ってしまうと、上述した不規則さが低下すると想定される。そこで、保持部を本特徴に示す構成とすれば、発光部の向きの変化に応じて重り部材の位置が変化し、重り部材が一箇所に居座り続けることを抑制することができる。これにより、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
特徴B14.前記第1中間構成体の内面及び前記第2中間構成体の内面の少なくとも一方には、前記発光部からの光を反射する又は遮る作用部が形成されていることを特徴とする特徴B5乃至特徴B13のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B14によれば、発光部に対して相対回転の許容されている中間構成体に光反射部又は遮光部を設けることにより、光照射手段全体での発光態様の更なる多様化を実現できる。発光部用の駆動機構を利用することにより、このような効果を発揮させることが構成の複雑化を招く要因になることを回避できる。
特徴B15.前記第1中間構成体及び前記第2中間構成体の少なくとも一方には、前記発光部からの光を拡散させる光拡散部が形成されていることを特徴とする特徴B5乃至特徴B14のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B15によれば、発光部に対して相対回転の許容されている中間構成体に光拡散部を設けることにより、光照射手段全体での発光態様の更なる多様化を実現できる。発光部用の駆動機構を利用することにより、このような効果を発揮させることが構成の複雑化を招く要因になることを回避できる。
特徴B16.前記第2中間構成体の外側に設けられた電源部と、
前記電源部からの電力を前記発光部に供給する電力供給部と
を備え、
前記電力供給部は、前記第1連結軸部、前記第2連結軸部、前記第1中間構成体及び前記第2中間構成体からなる導電経路を有していることを特徴とする特徴B5乃至特徴B15のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B16によれば、導電経路が各種構成の動作を妨げる要因になることを回避できる。また、発光部自体に電池等の電源を搭載する必要がないため、発光部の軽量化に貢献できる。発光部を軽量化することにより、発光部を動作させる際の動きが鈍くなることを抑制できる。
特徴B17.遊技状況に応じて光を発する発光部を備え、
前記発光部は、
光を発する光源と、
前記光源の周囲を回動可能となるように設けられ、当該光源からの光を反射又は遮光可能な第1回動部材と、
前記第1回動部材よりも外側に配設され、前記光源の周囲を回動可能となるように設けられ、前記光源又は前記第1回動部材からの光を反射又は遮光可能な第2回動部材と
を有し、
前記第1回動部材及び前記第2回動部材は、前記第1回動部材の回転中心軸線と前記第2回動部材の回転中心軸線とが交差する方向に延びるように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴B17によれば、回動方向の異なる複数の回動部材によって発光体からの光を拡散又は遮光することにより、発光態様を様々に変化させることができる。
特徴B18.前記第1回動部材が回動している状況下にて、前記第2回動部材を回動させる手段を有していることを特徴とする特徴B17に記載の遊技機。
特徴B18によれば、複数の回動部材を合わせて動作させることにより、各回動部材が単独で動作する場合と比較して、発光態様の更なる多様化に貢献できる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル45)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域(遊技領域PE)内に配置された各遊技部品(釘87等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。