JP2015162961A - 分光感度測定による有機薄膜太陽電池の評価方法、および、評価装置 - Google Patents

分光感度測定による有機薄膜太陽電池の評価方法、および、評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子ドナー及び電子アクセプターの領域毎に、励起子の生成・拡散の効率を評価できる有機薄膜太陽電池の評価方法を提供すること。【解決手段】評価方法は、順バイアス印加工程、分光感度測定工程、解析工程を含む。順バイアス印加工程では、薄膜素子の電極間に順バイアス電圧を印加する。分光感度測定工程では、薄膜素子に単色光を照射し、その波長を変化させつつ電極間電流を検出し、これをスペクトル特性とする。解析工程では、スペクトル特性から薄膜素子の各領域の効率を評価する。分光感度測定工程では、順バイアス電圧を零から正の電圧値まで変化させて、バイアス電圧ごとにスペクトル特性を取得する。解析工程では、電子ドナー領域の吸収波長域におけるスペクトル特性の変化に基づいて該領域の効率を評価し、電子アクセプター領域についても同様にその吸収波長域のスペクトル特性の変化に基づいて評価する。【選択図】 図5

Description

本発明は有機薄膜太陽電池の評価方法に関する。
近年、有機薄膜太陽電池の開発が進み、その発電効率は段々と高くなってきている。有機薄膜太陽電池の発電メカニズムは、現在、太陽電池市場を形成しているシリコン太陽電池のそれとは大きく異なる。いずれも光電変換による発電である点では共通するが、シリコン太陽電池の場合は、
(1)光吸収、
(2)電荷分離による電子とホールの生成、
(3)電子とホールは半導体層を輸送され、それぞれの電極に収集される、
というプロセスで発電し、電極間に接続された外部負荷に電流が流れる。
一方、有機薄膜太陽電池では、発電メカニズムが複雑となる。
(1)光吸収、
(2)光を吸収した有機分子から励起子が生成される、
(3)励起子が半導体層を拡散する、
(4)励起子が界面で電荷分離して電子とホールになる、
(5)電子とホールは半導体層を輸送され、それぞれの電極に収集される、
というプロセスで発電する。以下、有機薄膜太陽電池の発電メカニズムおよび従来の評価方法について、図8〜10に基づいて説明する。
図8は、上記プロセスを詳しく示したものである。有機薄膜太陽電池を構成する電子ドナー層(p型半導体)の有機分子が光を吸収すると、個々の有機分子から励起子(エキシトン) D* と呼ばれる電子とホールの対が生成される。励起子 D* は、クーロン力(荷電粒子間に働く力)で束縛状態となったものである。励起子 D* は、電子ドナー層を拡散し、電子ドナー層と電子アクセプター層の界面に達すると、電子 A- とホール D+ に空間的に分離する。これを電荷分離と呼ぶ。そして、電子 A- は、電子アクセプター層を輸送され−電極に収集される。ホール D+ は、電子ドナー層を輸送され+電極に収集される。
有機薄膜太陽電池の光電変換効率は、従来、次のようにして評価されてきた。
図9に示すように、薄膜素子の電極間に順方向のバイアス電圧を印加し、また、薄膜素子に光源からの疑似太陽光を照射して、電極間に流れる電流密度を測定する。ここでは、電圧−電流特性を取得するためにバイアス電圧を変化させて、これに伴う電流密度の測定値の変化を測定する。図10に、横軸をバイアス電圧として、縦軸を電流密度とした電圧−電流特性を示す。以降、これを J-V 特性カーブと呼ぶ。
J-V 特性カーブにおいて、バイアス電圧を0Vから順方向に電圧を増やしていき、電流密度がゼロになる点を開放電圧 Vocとして読み取る。また、バイアス電圧を0Vにした場合の電流密度を短絡電流密度 Jscとして読み取る。さらに、カーブ上で、V値とJ値の積が最大になる点を、最大出力点(VMAX、JMAX)として読み取る。これらの値から、次式により、薄膜素子の形状因子 FF を求める。
FF = JMAX × VMAX /( Voc × Jsc ) ・・・(1)
薄膜素子の光電変換効率(PCE)は、次式で表される。
PCE(%) = Voc × Jsc × FF / Pin ・・・(2)
式(2)において、開放電圧 Voc と短絡電流密度 Jsc の積に、形状因子 FF を掛けた値は、発生した電力エネルギーである。この値を入力した光エネルギー( Pin )で割ることにより、光電変換効率(PCE)が得られる。
このような疑似太陽光照射下の J-V 特性カーブを取得して太陽電池の変換効率を評価する方法については、特許文献1や特許文献2に開示がある。
特開2011−82396号公報(段落0078〜0079) 特開2011−66265号公報(段落0031〜0032)
シリコン太陽電池であれば、図9、10のように、疑似太陽光下による J-V 特性カーブから読み取った各パラメータ(Voc、Jsc、FF)に基づく評価手法に、一定の信頼性があった。シリコン太陽電池における形状因子 FF は、キャリア(電子およびホール)の輸送性能の指標であると考えられ、短絡電流密度 Jsc は、光吸収性能およびキャリアの輸送性能の指標であると考えられ、開放電圧 VOC は、p−n接合における内蔵電位に関係すると考えられている。例えば、形状因子 FF の値が大きい、つまりキャリアの輸送性能がよいにも関わらず、短絡電流密度 Jsc の値が小さい場合には、光吸収性能が障害になっている、といった具合に評価できた。
一方、有機薄膜太陽電池の場合、その発電プロセスには、図8に示す(2)励起子の生成、(3)励起子の拡散、(4)励起子の電荷分離、という特有のプロセスがあるため、各パラメーター(Voc、Jsc、FF)の起源は、シリコン太陽電池と同じではなく、様々な要因が複雑に絡み合っている。一般的には次表の関連性があると考えられている。
(表1)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
パラメータ 関連性が強いと考えられる事項(要因)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
開放電圧( Voc ) 有機分子のエネルギー準位
(ドナーのLUMO、アクセプタのHOMO間)
短絡電流密度( Jsc ) 光吸収、励起子拡散長、キャリアの輸送、キャリアの収集
形状因子( FF ) キャリアの輸送
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
有機薄膜太陽電池においても、キャリア(電子およびホール)の輸送性能を評価したい場合は、シリコン太陽電池と同様に、形状因子 FF の大きさが判断材料になると考えられていた。その根拠は、開放電圧 Voc が、キャリアの輸送とは関係しないこと、短絡電流密度 Jsc が、光吸収、励起子の拡散、キャリアの輸送・収集などの要因の総和になっていること、である。
しかしながら、形状因子 FF は、疑似太陽光の照射による J-V 特性カーブに基づいて算出されるパラメータであり、薄膜素子全体の性能を示しているに過ぎない。端的に言うと、発電メカニズムの最終的な結果は評価できるが、各プロセスの中身はブラックボックスである。他のパラメータ( Voc,Jsc )についても、同様のことが言える。
そのため、有機薄膜太陽電池の各領域(電子ドナー、電子アクセプター)で起きていることや、有機薄膜太陽電池に特有の励起子の振る舞いなどを議論したいという要求に、従来の評価方法では応えることができなかった。つまり、薄膜素子全体の性能が、どの領域のどういうプロセスに起因しているかを特定できる評価方法が必要になる。特に、有機薄膜太陽電池に特有の励起子に関しては、電子ドナー及び電子アクセプターの領域毎に、これらの生成およびその拡散のプロセス効率を評価できる手法が求められる。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電子ドナー及び電子アクセプターの領域毎に有機薄膜太陽電池の性能を評価できる方法、特に、励起子の生成・拡散のプロセス効率をその領域毎に評価できる方法、および、その評価装置を提供することを目的とする。
発明者らは、光吸収の波長域が各領域で異なることに着目し、次のような評価方法を見出した。薄膜素子に順方向のバイアス電圧を印加した状態で分光感度(スペクトル)を測定し、バイアス電圧の変化に伴った分光感度の変化(スペクトル形状の変化)を解析する、という手法である。
すなわち、本発明に係る有機薄膜太陽電池の評価方法は、バイアス電圧の印加工程と、分光感度測定工程と、解析工程とを有することを特徴とする。
まず、バイアス電圧の印加工程で、電子ドナー領域および電子アクセプター領域を含んで構成された薄膜素子の電極間に外部から順方向のバイアス電圧を印加する。
次に、分光感度測定工程で、前記薄膜素子に単一波長光を照射し、この単一波長光の中心波長を所定波長域にて連続的に変化させながら、前記薄膜素子の電極間を流れる電流値を検出し、これをスペクトル特性として取得する。
ここで、前記分光感度測定工程では、前記順方向のバイアス電圧を零から正の電圧値までの範囲にて変化させて、該バイアス電圧ごとに前記スペクトル特性を取得する。
そして、解析工程では、前記スペクトル特性を解析して前記薄膜素子の各領域のプロセス効率を評価する。すなわち、解析工程では、前記電子ドナー領域の吸収波長域における前記スペクトル特性の変化率に基づいて該領域のプロセス効率を評価する。または、前記電子アクセプター領域の吸収波長域における前記スペクトル特性の変化率に基づいて該領域のプロセス効率を評価する。
なお、本発明において単一波長光とは、ある波長域に光強度が集中した光を指す。特定波長にてピークとなる強度分布をもった光である。
また、本発明において順方向のバイアス電圧とは、シリコン太陽電池でのp−n接合の内蔵電位が弱められる方向に印加される外部電圧と同方向の印加電圧である。
また、本発明においてスペクトル特性とは、横軸を単一波長光の中心波長とし、縦軸を電極間電流に基づく光電変換効率IPCE(例えば、外部量子効率EQE)としてプロットされる特性を示す。
ここで、前記解析工程で評価するプロセス効率は、電子ドナー領域または電子アクセプター領域で生成される励起子の生成効率または拡散効率であることが好ましい。
本発明に係る有機薄膜太陽電池の評価方法は、
電子ドナー領域および電子アクセプター領域を含んで構成された薄膜素子の電極間に外部から順方向のバイアス電圧を印加する工程と、
前記薄膜素子に単一波長光を照射し、この単一波長光の中心波長を所定波長域にて連続的に変化させながら、前記薄膜素子の電極間を流れる電流値を検出し、これをスペクトル特性として取得する分光感度測定工程と、
前記薄膜素子に疑似太陽光を照射し、前記順方向のバイアス電圧を零から正の電圧値までの範囲にて連続的に変化させながら、前記薄膜素子の電極間を流れる電流値を検出し、これを電圧−電流特性として取得する電圧−電流特性取得工程と、
前記スペクトル特性および前記電圧−電流特性に基づいて前記薄膜素子の形状因子(FF)を算出し、該形状因子によって前記薄膜素子を評価する解析工程と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記分光感度測定工程では、前記バイアス電圧を零とした場合と、前記順方向のバイアス電圧を前記電圧−電流特性に基づく最大出力点の電圧(VMAX)にした場合の、前記スペクトル特性をそれぞれ取得する。
また、前記解析工程では、前記電圧−電流特性に基づく最大出力点の電圧(VMAX)、開放電圧(Voc)と、前記分高感度測定工程で得た各スペクトル特性に基づく短絡電流密度(Jsc)、最大出力点の電流密度(JMAX)とを用いて、次式により前記形状因子(FF)を算出する。
(数1) FF = JMAX × VMAX /( Voc × Jsc )
本発明に係る分光感度測定による有機薄膜太陽電池の評価装置は、バイアス電圧印加手段と、分光手段と、電流検出手段と、バイアス電圧変更手段と、スペクトル取得手段と、解析手段と、を備えることを特徴とする。
バイアス電圧印加手段は、電子ドナー領域および電子アクセプター領域を含んで構成された薄膜素子の電極間に外部から順方向のバイアス電圧を印加する。分光手段は、前記薄膜素子に単一波長光を照射し、かつ、この単一波長光の中心波長を所定波長域にて連続的に変化させる。電流検出手段は、前記単一波長光の照射によって前記薄膜素子の電極間に流れる電流値を検出する。
バイアス電圧変更手段は、前記順方向のバイアス電圧を零から正の電圧値までの範囲にて変更する。スペクトル取得手段は、前記バイアス電圧ごとに、単一波長光の中心波長と電極間に流れる電流値との関係をスペクトル特性として取得する。
解析手段は、前記スペクトル特性を解析して前記薄膜素子の各領域のプロセス効率を評価する。
本発明の評価方法によれば、分光感度測定工程において、順方向のバイアス電圧を変化させて、変化するバイアス電圧ごとにスペクトル特性を取得する。そうすると、順方向のバイアス電圧の変化に伴って、スペクトル特性がどのように変化するかが分かる。ここで、吸収波長域が、薄膜素子の構成材料(電子ドナー、電子アクセプターなど)毎に異なることを利用して、評価したい構成材料の吸収波長域におけるスペクトル特性の変化を捉える。例えば、スペクトル特性の変化率などを算出する。このように特定の吸収波長域におけるスペクトル特性の変化に基づいて、その構成材料が占める領域でのプロセス効率を評価することができる。
例えば、電子ドナー領域での励起子の生成・拡散プロセスの性能を評価したり、電子アクセプター領域での励起子の生成・拡散プロセスの性能を評価したりすることができるので、発電性能が低下した有機薄膜太陽電池について、薄膜素子のどこの層、または、どの領域の有機分子が障害になっているか、ということを簡便に特定することができる。
以上のように、本発明の評価方法によって、薄膜素子の性能がどの領域のプロセス効率に起因しているかを特定することができるようになった。
本発明の評価方法の対象となる有機薄膜太陽電池の一般的な構成を示す図。 本発明の評価装置の概略構成を示す図である。 本発明の評価装置に係る一実施形態を示す構成図である。 本発明の評価方法により取得されるスペクトル特性の一例を示す図。 本発明の評価方法により取得されるスペクトル特性の他の例を示す図。 図3及び図4に示すスペクトル特性の減少率を示す図である。 疑似太陽光照射時の電圧−電流特性を示す図である。 有機薄膜太陽電池の発電メカニズムを説明するための図である。 従来の評価装置の概略構成を示す図である。 従来の評価方法を説明するための電圧−電流特性を示す図である。
<有機薄膜太陽電池の構成>
図1に、有機薄膜太陽電池を構成する薄膜素子の一例として、単純p−n積層型の薄膜素子を示す。
透明電極 ITO の上にp型半導体層が形成されている。ここではp型半導体層として結晶性の高い励起子ブロック層 DIP を使う。この励起子ブロック層 DIP の上にp型半導体層 DBP を製膜する。このp型半導体層 DBP は、光を吸収して励起子を生成する役目を担う。さらに、p型半導体層 DBP の上にn型半導体層を製膜する。このn型半導体層も、光を吸収して励起子を生成するものが用いられ、ここでは例えばフラーレン C60 とする。n型半導体層の上にアルミニウムなどの上部電極を設ける。DIP、DBP、C60の半導体材料を積層して構成した薄膜素子を、ここでは、DIP/DBP/C60 で表示する。
<発電メカニズム>
基本的には、図8で説明したプロセスとなる。ここでは、p型半導体層 DBP とn型半導体層 C60 の分子構造が異なるため、各半導体層で吸収される光の波長域が異なっていることを強調しておく。n型半導体層 C60 は、フラーレンと呼ばれ、短波長域(500nm以下)に大きな吸収域を持ち、長波長域にはほとんど吸収域を持たない。p型半導体層は、DBPに限られず様々な種類の有機分子を使用できるが、DBPを含めて大体の材料は、n型半導体層 C60よりも長波長側に吸収域(500〜650nm)を持っている。太陽光を受けた場合、p型半導体層 DBP およびn型半導体層 C60 の有機分子がそれぞれの波長域の光を吸収して励起子を生成する。
図1において、p型半導体層 DBP で生成された励起子は、そのp型半導体層を拡散する。そして、p型半導体層 DBP とn型半導体層 C60 の界面(p−n接合領域)で、励起子は電子とホールに電荷分離する。一方、n型半導体層 C60 で生成された励起子は、そのn型半導体層を拡散し、同様に、界面で電荷分離する。このようにして、n型半導体層 C60 に電子が溜まり、p型半導体層 DBP にホールが溜まり、n−p半導体層間に電位が生じる。通常、電荷分離した電子とホールをキャリアと呼ぶ。
従って、電極間に何らかの外部負荷を接続すれば、界面で電荷分離した電子は、n型半導体層 C60 を通って上部電極に輸送され、ホールは、p型半導体層 DBP 及び励起子ブロック層 DIP を通って透明電極 ITO に輸送され、外部負荷に電流が流れる。なお、n型半導体層 C60 は、受け取った電子の輸送を担うことから、電子アクセプターと呼ばれる。p型半導体層は、電子を供与し、ホールの輸送を担うことから、電子ドナーと呼ばれる。
図1の薄膜素子は一例に過ぎず、励起子ブロック層 DIP を用いないで、DBP/C60 で表示される材料構成の薄膜素子を用いてもよい。また、単純p−n積層に代えて、バルクへテロ層を用いてもよい。例えば、p型半導体層とn型半導体層を共蒸着した共蒸着バルクへテロ層である。具体例として、単層である励起子ブロック層 DIP 上に、p型半導体層 DBP とn型半導体層 C60 の共蒸着バルクへテロ層を製膜したもの( DIP/DBP:C60で表記)がある。
<評価装置>
以下、図面に基づき本発明の一実施形態に係る評価装置について説明する。
まず、図2に評価装置の概要を示す。評価装置は、光源10、分光手段20、電圧印加・電流検出手段30、および図示しない解析手段40を備える。分光手段20は、光源10から出力される光を単一波長光に分光するとともに、その単一波長光を評価対象である薄膜素子50に照射する。電圧印加・電流検出手段30は、薄膜素子の電極間に順方向のバイアス電圧を印加するとともに、電極間に流れる電流を検出する。解析手段40は、分光手段20の中心波長の情報、および、検出される電流値の情報から分光感度特性(スペクトル特性)を取得する。さらに、解析手段40は、バイアス電圧に応じたスペクトル特性の変化に基づいて、薄膜素子の領域毎のプロセス効率を評価する。
具体的な装置構成の一例を図3に示す。光源10には、Xeランプ 150W「型式 BSO-X150LC 」を用いる。分光器20には、回折格子搭載の分散型分光器「分光計器社製、型式 M25」を用いる。分光器20は、光源10からの光を分光して、薄膜素子に単一波長光を照射する。また、分光器20は、回折格子を駆動して単一波長光の中心波長を所定波長域にて連続的に変化させる。なお、分光器20と薄膜素子50の間に光量制御手段22(光量可変 ND フィルタ)を設けてもよい。この光量制御手段22によって、分光された単一波長光の中心波長に関わらず、薄膜素子に一定強度の光を照射することができる。光量制御手段22に代えて、分光感度特性が検定されている標準検出器を使用して分光補正をしてもよい。
また、図3のように、単一波長光の照射方向が鉛直上向きになるように各光学機器を配置するとよい。この場合、薄膜素子50は、その透明電極ITOが下面となるように、ホルダーなどによって保持される。
電圧印加・電流検出手段30「ケースレー社製、Model2401」は、薄膜素子50の電極間に直列に接続された可変抵抗器32、直流電圧源34、及び、電流計36を含んで構成される。直流電圧源34は、薄膜素子に順方向のバイアス電圧を印加するように、+出力端子を透明電極側に、−出力端子を上部電極側に向ける。可変抵抗器32は、順方向のバイアス電圧を変化させる。順方向のバイアス電圧の調整範囲は、少なくとも、0V から薄膜素子の開放電圧 Voc までの範囲を含むものとする。電流計36は、順方向のバイアス電圧を印加した状態で、単一波長光による光電変換を行った際に薄膜素子の電極間に流れる電流値を検出する。本実施形態では、電圧印加・電流検出手段30が、スペクトル取得手段を兼ねている。
なお、図3には図示しないが、評価装置には、さらに、疑似太陽光( Xeランプ 150W、AM1.5フィルタ, 100mW/cm2 )を分光しないでそのまま薄膜素子に照射する機能、および、その疑似太陽光下の J-V特性カーブを取得する機能を備えていることが好ましい。つまり、順方向バイアス電圧を零から正の電圧値まで連続変化させて、疑似太陽光下での電極間電流を検出できるようになっているとよい。
<評価方法>
次に、本発明に特徴的な薄膜素子のプロセス効率の評価方法を説明する。
ここでは、具体的に図4に示す薄膜素子( DBP/C60 )のスペクトル特性結果を使って説明する。薄膜素子に順方向の一定バイアス電圧を印加した状態でスペクトル特性(分光感度)を測定する。スペクトル特性は、横軸に単一波長光の中心波長をとり、縦軸に検出された電流値から算出される変換効率として例えば外部量子効率EQE(%)をとって、単一波長光による変換効率を全波長域に渡ってプロットした。図4中の「0V」で表すスペクトル特性は、バイアス電圧を零にして取得したものである。順方向のバイアス電圧を複数のレベルに変化させて、各電圧レベルでのスペクトル特性を同様に測定する。図4中の0.5V、0.6V、0.72V、0.75Vで表す各スペクトル特性がその結果である。
太陽電池の評価として、各波長の単色光を照射してその波長における変換効率、いわゆる外部量子効率(EQE)を測定して、有機分子の光吸収がどの割合で発電に寄与しているかを評価することは、従来から行なわれていた、しかし、本発明のように、順方向のバイアス電圧のレベルを変えて、各電圧レベルでのスペクトル特性を取得し、これに基づいて評価するという手法は無かった。特に、薄膜素子に電流を多く流す逆バイアス電圧の印加ではなく、本発明では実用的な駆動電圧範囲である順方向のバイアス電圧を印加して、評価することに特徴がある。つまり、バイアス電圧を0Vからプラス方向に掛けていき、この間のスペクトル特性の変化を捉える。
バイアス電圧の変化に伴う分光感度の変化(スペクトル形状の変化)に基づいて、各層のプロセス効率を評価する。ここでは、光吸収の波長領域がn型半導体層とp型半導体層で異なることを利用する。つまり、n型半導体層 C60 の吸収波長域を 500nm 未満に定めて、この波長域(波長域Aで示す)でのスペクトル形状の変化に基づいて、n型半導体層 C60 の分子によるプロセス効率を評価する。C60 の吸収波長域としては、400〜500nm 未満がより好ましい。また、p型半導体層 DBP の吸収波長域を 500〜650nm に定めて、この波長域(波長域Bで示す)でのスペクトル形状の変化に基づいて、p型半導体層 DBP の分子によるプロセス効率を評価する。
図5には、別の薄膜素子 DIP/DBP/C60 の評価結果を示す。順方向のバイアス電圧を0V、0.5V、0.7V、0.78V、0.8V、0.85Vにして得た各スペクトル特性である。波長域A、Bの設定は、薄膜素子(DBP/C60)の場合と同じ。
図4、5が示すスペクトル形状の変化から分かることを説明する。
まず、n型半導体層 C60 については、波長域Aでのスペクトル形状の変化に基づいて、C60 のプロセス効率が評価される。C60 のプロセス効率とは、n型半導体層 C60 が光吸収によって励起子を生成してから、最終的にキャリアが各電極に収集されるまでの全プロセスの効率を総和したものである。つまり、このプロセスには、n型半導体層 C60 が光を吸収して励起子を生成するプロセス、その C60 起源の励起子が再結合や消失をしないで膜中を拡散するプロセス、界面においてC60 起源の励起子がキャリアに電荷分離するプロセス、そのC60 起源のキャリアが再結合や消失をしないで膜中をそれぞれの電極に向けて輸送されるプロセス、C60 起源のキャリアを各電極が収集するプロセスの全てを含む。
一方、p型半導体層 DBP については、波長域Bでのスペクトル形状の変化に基づいて、DBP のプロセス効率が評価される。DBP のプロセス効率とは、p型半導体層 DBP が光吸収によって励起子を生成してから、最終的にキャリアが各電極に収集されるまでの全プロセスの効率を総和したものである。つまり、このプロセスには、DBP 起源の励起子に関する生成・拡散・電荷分離の各プロセス、および、DBP 起源のキャリアに関する輸送・収集の各プロセスの全てを含む。
仮に、順バイアス電圧を0Vから0.6Vまで増加した場合に、波長域「A」のスペクトル形状が小さくなった、言い換えると、波長域Aでの変換効率が減少したとすると、これは、n型半導体層 C60 のプロセス効率が低下したと言える。また、仮に、順バイアス電圧を同様に増加した場合に、波長域「B」のスペクトル形状が小さくなったとすると、これは、p型半導体層 DBP のプロセス効率が低下したと言える。
このような評価方法によって、改めて図4の結果を見ると、薄膜素子 DBP/C60 については、波長域A,Bのいずれも、スペクトル形状が全体的に小さくなっている。順バイアス電圧の増加に伴って、n型半導体層 C60 とp型半導体層 DBP の両方の変換効率が低下していると言える。特に、短波長側(C60の吸収波長域)で大きく落ち込んでいる。これは、C60 の半導体領域で励起子の拡散がうまくいかないため、言い換えると、膜厚が拡散長よりも大きいために、励起子が失活しているからだと言える。このように半導体層毎に効率を評価することができる。
一方、図5の結果を見ると、薄膜素子 DIP/DBP/C60 については、波長域Aではバイアス電圧の増加に伴って、変換効率の減少量が大きく成り、スペクトルの形状も変化している。これに比較して、波長域Bでの効率の減少量は少なく、スペクトル形状の変化は小さいことが分かる。これは、薄膜素子に励起子ブロック層DIPを入れたことで、長波長側のDBP の吸収波長域での効率が改善されたからである。つまり、DIPによってp型半導体層DBPで生成された励起子が効率よく界面に拡散し、さらに電荷分離がうまくいったと言える。また、励起子ブロック層DIPで改善されたのはDBPだけであり、n型半導体層 C60 の効率の減少は改善されていないことが分かるので、新たにn型半導体層 C60 の効率改善の手法が必要であると評価することができる。
さらに、詳しい評価も可能になる。図5のように、吸収波長域ごとにスペクトル形状の変化に違いが生じた場合には、励起子の生成・拡散のプロセスを特定して、そのプロセスの効率を層毎に評価することができる。なぜなら、励起子の電荷分離のプロセスについては、励起子の起源がn型半導体であってもp型半導体であっても、共通の界面でのプロセスであるから、電荷分離のプロセス効率は同程度になるはずだからである。また、各層でのキャリアの輸送、および、各電極でのキャリアの収集の各プロセスについても、キャリアの起源がn型半導体であってもp型半導体であっても、共通の半導体層でのプロセスであるから、これらのプロセス効率も同程度になるはずだからである。
従って、図5の場合、順バイアス電圧の増加に伴って、n型半導体層 C60 での励起子の生成・拡散の効率は低下しているが、p型半導体層 DBP での励起子の生成・拡散の効率については比較的、維持され易いことが分かった。n型半導体層 C60 では、励起子の再結合が大きく、消失(失活)も大きいと評価することができる。
従来の分光感度特性評価(IPCE測定)でも、単色光を照射しながら電流を計測することで、どこの波長域の光を吸収してどれくらい発電しているかを確認していた。しかし、短絡電流密度 Jsc に相当する値を取得する目的であるため、バイアス電圧をかけずに電流値を計測していた。
これに対して、本発明の評価方法では、スペクトル特性(分光感度)を取得する際に、順方向のバイアス電圧を例えば0Vからプラス方向に掛けていくことに特徴がある。順方向のバイアス電圧は、界面での内蔵電位を打ち消す方向に作用して、励起子からキャリアを押し出す力(電荷分離)を弱める。そうすると各半導体領域で、励起子が再結合しやすくなる。結果として、順方向のバイアス電圧によって電流値は低下し、分光感度に変化が生じる。本発明では、この分光感度の変化、つまり、スペクトル形状の変化を利用することにより、各半導体領域(光吸収領域)での励起子の再結合の発生頻度が分かり、その領域での励起子の活動の様子を見て取れるという利点がある。
本実施形態の評価方法においては、図6に示すようなスペクトルの減少率(変化率)を算出して、吸収波長域ごとの減少率に基づいて、薄膜素子を評価すると効率的である。例えば、材料ごとに基準値を定めておき、その吸収波長域のスペクトルから算出した減少率が基準値を下回った場合は、順バイアス電圧の増加に伴って変換効率が低下した、と判断し、基準値以上の場合は、変換効率が維持されたと判断してもよい。
なお、他の薄膜素子として、バルクヘテロ層( DIP/DBP:C60 )の場合について説明する。本実施形態の方法で評価することにより、各材料領域( DBP、C60 )の半導体分子が、それぞれ光を吸収して励起子を生成し、それらの励起子がバルクヘテロ層の中を拡散し、界面で電荷分離し、生じたキャリアがバルクヘテロ層を通って各電極まで輸送され、各電極に収集されるまでのプロセス効率を評価することができる。すなわち、薄膜素子のプロセス効率を材料領域(DBP、C60)毎に評価できる。特に、吸収波長域ごとにプロセス効率の変化に違いが生じる場合には、励起子の生成・拡散のプロセスを特定して、そのプロセスの効率を材料領域(DBP、C60)毎に評価することができる。
本発明の評価方法は、最終的には形状因子 FF の評価(解釈)に応用される。
太陽電池の性能を表すパラメータとして形状因子 FF は、前述したように、
FF = JMAX × VMAX /( Voc × Jsc ) ・・・(1)
で表される。従来、この形状因子は、図7のように疑似太陽光照射時の J-V 特性カーブから、開放電圧 Voc、短絡電流密度 Jsc、および、最大出力点(VMAX、JMAX)を読み取って、式(1)に代入したものであった。
<分光感度特性から見積もった形状因子>
ここでは、分光感度特性から見積もった形状因子 FF について、従来の形状因子との違いや有用性を説明する。スペクトル特性の評価、つまりEQE評価の際に、順バイアス電圧を掛けることで、分光感度特性から形状因子 FF を見積もることができる。このような形状因子 FF の解析によって、有機薄膜太陽電池に特有のプロセスである励起子の拡散効率についての評価が可能になった。
まず、バイアス電圧を印加しないでスペクトル特性を測定し、そのスペクトルを積分することにより、短絡電流密度 Jsc の値を見積もる。次に、最大出力点の電圧値 VMAX に近い値のバイアス電圧を印加した状態でスペクトル特性を測定し、そのスペクトルを積分することにより、最大出力点となる電流密度 JMAX を見積もる。他に必要な最大出力点の電圧 VMAX および開放電圧 Voc については、疑似太陽光照射時の J-V 特性カーブから求める。これらの値を式(1)に代入して、分光感度特性から見積もった形状因子 FF を算出する。
このような本発明の評価方法に係る形状因子 FF について、さらに具体的な試験結果に基づいて説明する。例えば、薄膜素子 DBP/C60 についての本発明に係る形状因子は、FF=0.52(但し、VMAX=0.72V )となった。このように、形状因子 FF が小さくなったのは、図4に示したように、順バイアス電圧が 0V から最大出力点 VMAX=0.72V に近づくに連れて、分光感度(変換効率IPCE)の値も 35% 減少しており、この分光特性に基づいて最大出力点JMAXを算出するからである。この形状因子を、従来の疑似太陽光下の J-V 特性カーブに基づく形状因子 FF=0.62 (図7参照)と比較すると、その保持率は 82% になった。この保持率は、従来の形状因子に対する本発明に係る形状因子の割合を示す。
一方、別の薄膜素子 DIP/DBP/C60 についての本発明に係る形状因子は、FF=0.62(但し、VMAX=0.78 )となった。このように、形状因子 FF が大きくなったのは、図5に示したように、順バイアス電圧が 0V から最大出力点 VMAX=0.78V に近づいた際、分光感度の値は 25% しか減少しておらず、この分光特性に基づく最大出力点JMAXが比較的大きい値になったからである。この形状因子を、従来の疑似太陽光下の J-V 特性カーブに基づく形状因子 FF=0.71 (図7参照)と比較すると、その保持率は 87% になった。
薄膜素子 DBP/C60 よりも、薄膜素子 DIP/DBP/C60 の形状因子 FF が大きい理由は、半導体層(DBP、C60)での励起子の拡散効率が良好であり、さらに励起子ブロック層 DIP により電極での励起子の再結合が防止されたためである。よって、分光感度が順バイアス電圧に依存せず大きな値を維持して、本発明の方法で求めた形状因子 FF が大きな値になったと言える。
反対に、薄膜素子 DBP/C60 は膜質の不完全性などにより、励起子の拡散効率およびキャリアの輸送効率が低く、これらの再結合も多い。そのため、分光感度が順バイアス電圧の増加に伴って低下してしまい、求められた形状因子 FF が小さな値になったと言える。
本発明に係る形状因子 FF を用いれば、従来の形状因子のようにキャリアの輸送効率だけでなく、励起子の拡散効率の評価もできることが分かる。これは、形状因子 FF の解析の際に、順バイアス電圧を印加することによって可能になった。このように、本発明に係る評価方法は最終的には薄膜素子の形状因子 FF の新しい評価方法として発展させることができる。
10 光源
20 分光器(分光手段)
30 電圧印加・電流検出手段
32 可変抵抗器(バイアス電圧変更手段)
34 直流電圧源(バイアス電圧印加手段)
36 電流計(電流検出手段)
40 解析手段
50 薄膜素子

Claims (4)

  1. 分光感度測定による有機薄膜太陽電池の評価方法であって、
    電子ドナー領域および電子アクセプター領域を含んで構成された薄膜素子の電極間に外部から順方向のバイアス電圧を印加する工程と、
    前記薄膜素子に単一波長光を照射し、この単一波長光の中心波長を所定波長域にて連続的に変化させながら、前記薄膜素子の電極間を流れる電流値を検出し、これをスペクトル特性として取得する分光感度測定工程と、
    前記スペクトル特性を解析して前記薄膜素子の各領域のプロセス効率を評価する解析工程と、を備え、
    前記分光感度測定工程では、前記順方向のバイアス電圧を零から正の電圧値までの範囲にて変化させて、該バイアス電圧ごとに前記スペクトル特性を取得し、
    前記解析工程では、前記電子ドナー領域の吸収波長域における前記スペクトル特性の変化率に基づいて該領域のプロセス効率を評価し、または、前記電子アクセプター領域の吸収波長域における前記スペクトル特性の変化率に基づいて該領域のプロセス効率を評価することを特徴とする有機薄膜太陽電池の評価方法。
  2. 請求項1記載の評価方法において、前記解析工程で評価するプロセス効率は、電子ドナー領域または電子アクセプター領域で生成される励起子の生成効率または拡散効率であることを特徴とする有機薄膜太陽電池の評価方法。
  3. 分光感度測定による有機薄膜太陽電池の評価方法であって、
    電子ドナー領域および電子アクセプター領域を含んで構成された薄膜素子の電極間に外部から順方向のバイアス電圧を印加する工程と、
    前記薄膜素子に単一波長光を照射し、この単一波長光の中心波長を所定波長域にて連続的に変化させながら、前記薄膜素子の電極間を流れる電流値を検出し、これをスペクトル特性として取得する分光感度測定工程と、
    前記薄膜素子に疑似太陽光を照射し、前記順方向のバイアス電圧を零から正の電圧値までの範囲にて連続的に変化させながら、前記薄膜素子の電極間を流れる電流値を検出し、これを電圧−電流特性として取得する電圧−電流特性取得工程と、
    前記スペクトル特性および前記電圧−電流特性に基づいて前記薄膜素子の形状因子(FF)を算出し、該形状因子によって前記薄膜素子を評価する解析工程と、を備え、
    前記分光感度測定工程では、前記バイアス電圧を零とした場合と、前記順方向のバイアス電圧を前記電圧−電流特性に基づく最大出力点の電圧(VMAX)にした場合の、前記スペクトル特性をそれぞれ取得し、
    前記解析工程では、前記電圧−電流特性に基づく最大出力点の電圧(VMAX)、開放電圧(Voc)と、前記分高感度測定工程で得た各スペクトル特性に基づく短絡電流密度(Jsc)、最大出力点の電流密度(JMAX)とを用いて、次式により前記形状因子(FF)を算出することを特徴とする有機薄膜太陽電池の評価方法。
    (数1)
    FF = JMAX × VMAX /( Voc × Jsc )
  4. 分光感度測定による有機薄膜太陽電池の評価装置であって、
    電子ドナー領域および電子アクセプター領域を含んで構成された薄膜素子の電極間に外部から順方向のバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段と、
    前記薄膜素子に単一波長光を照射し、かつ、この単一波長光の中心波長を所定波長域にて連続的に変化させる分光手段と、
    前記単一波長光の照射によって前記薄膜素子の電極間に流れる電流値を検出する電流検出手段と、
    前記順方向のバイアス電圧を零から正の電圧値までの範囲にて変更するバイアス電圧変更手段と、
    該バイアス電圧ごとに、単一波長光の中心波長と電極間に流れる電流値との関係をスペクトル特性として取得するスペクトル取得手段と、
    前記スペクトル特性を解析して前記薄膜素子の各領域のプロセス効率を評価する解析手段と、を備えることを特徴とする有機薄膜太陽電池の評価装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017175714A (ja) * 2016-03-22 2017-09-28 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー 電流電圧測定システム及び電流電圧測定方法

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