本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1によるセンサーネットワークシステムを示すブロック図である。センサーネットワークシステムはセンサによる計測で得られたセンサ情報をサーバにて収集するシステムであり、1台または複数のセンサ端末1と、中継端末2と、データベースサーバ4と、移動体5とを有する。中継端末2とデータベースサーバ4は、インターネット、携帯電話網、電話網などのネットワーク3に接続されている。中継端末2とセンサ端末1は直接無線通信が可能である。移動体5は、少なくとも一部に無線回線を含む通信経路でセンサ端末1およびデータベースサーバ4と通信が可能である。
センサ端末1は、充電式の電源装置(不図示)とセンサ(不図示)を有し、電源装置から供給される電源で動作し、センサで計測したセンサ情報を送信する無線端末である。センサ端末1は、例えば、道路、橋梁、トンネルなどの構造物に設置され、その構造物の状況や周辺の環境を、温度、振動、電流、あるいは歪などを指標としてセンサで計測する。本実施例では、センサ端末1は、得られたセンサ情報を中継端末2に送信する。
中継端末2は、センサ端末1から受信したセンサ情報をデータベースサーバ4へ送信する。中継端末2は、例えば、センサ端末1が設置される構造物の近傍に複数のセンサ端末1に対して1つ設置されるデータ中継用の端末である。センサ端末1は、商用電源を施設するのが困難な場所への設置を想定し、内蔵した充電式の電源装置で動作する構成としたが、中継端末2は必ずしも商用電源の施設が困難とは限らず、外部からの商用電源で動作するものであってもよい。
データベースサーバ4は、センサ端末1から送信されたセンサ情報を中継端末2経由あるいは移動体5経由で取得し、自装置内に記録するコンピュータである。
移動体5は、センサ端末1の設置場所まで移動し、センサ端末1の電源装置に充電電力を供給する。この動作を移動給電と称することにする。移動体5はヘリコプタ、自律走行車、飛行船など自律に移動する如何なるものであってもよいが、ここでは飛行船であるとし、飛行船5とも称することにする。
本実施例によれば、飛行船5がセンサ端末1の設置場所に移動して充電電力を供給するので、センサ端末1が設置された場所まで作業員が行かなくてもセンサ端末1を充電することができる。
また、センサ端末1は電源装置の電池残量を示す電池残量情報を送出する機能を備える。一例として、センサ端末1は電池残量情報をセンサ情報と共に同一メッセージで送信する。
電池残量情報は中継端末2経由あるいは飛行船5経由でデータベースサーバ4に送られる。データベースサーバ4は各センサ端末1からの電池残量情報を取得し、電池残量情報に基づいてセンサ端末1への充電の要否、すなわち給電対象とするか否かを判定する。そして、データベースサーバ4は、給電対象のセンサ端末1を指定した給電要求を送信する。本実施例では一例として、データベースサーバ4は一定時間間隔で定期的に給電要求を送信する。この給電要求は飛行船5に送られる。飛行船5は、データベースサーバ4からの給電要求を取得し、その給電要求で指定されたセンサ端末1の設置場所に移動し、そのセンサ端末1の電源装置に充電電力を供給し、充電を行う。
本実施例では、データベースサーバ4がセンサ端末1の電池残量に基づき充電すべきか否か判定し、充電すべきセンサ端末1を移動体5に通知するので、移動体5の給電対象とできる範囲が1つの中継端末2の範囲に限定されず、複数の中継端末2をまたぐ区域への給電が可能である。
また、本実施例では、一例としてデータベースサーバ4は一定時間間隔で定期的に給電要求を送信する。この給電要求は飛行船5に送られる。移動体5は、データベースサーバ4からの給電要求を取得し、その給電要求で指定されたセンサ端末1の設置場所に移動し、そのセンサ端末1の電源装置に充電電力を供給し、充電を行う。
図2は、実施例1による給電要求のメッセージ構成を示す図である。
給電要求は、例えば図2のような、各給電対象区域を示す区域識別子D11と、飛行船5が給電対象区域へ向かうための道順や給電対象区域の場所情報を示す給電対象区域の位置D12と、飛行船5が給電対象区域へ到着した後に給電をするための飛行ルートを示す給電対象区域での飛行ルートD13と、給電対象となっているセンサ端末1の台数D14と、電源15の残量が減って給電対象となっているセンサ端末1を識別する給電対象センサ端末識別子D15とを含む。ここでは、一例として、1つの区域に1つの中継端末2が存在する構成を採用し、区域識別子D11として中継端末2の識別子を使用する。ただし、1つの区域に複数の中継端末2が存在する構成を採用することも可能であり、その場合、上述のように、複数の中継端末2をまたぐ区域のセンサ端末1に対して1つの飛行船5が給電を行うことも可能である。
飛行船5は、図2の給電要求を受取ると、給電要求のデータに含まれる給電対象区域の位置情報を元に、所定のルートに従って移動し、その途上にある給電対象のセンサ端末1へ給電する。ここで区域とは、1つの橋梁やトンネル等の監視対象のエリアを指す。1つの区域には、1台の中継端末2と、1台または複数台のセンサ端末1が所属する。例えば、1本の橋梁に中継端末2が1台とセンサ端末1が3台設置されている場合は、中継端末2が1台とセンサ端末1が3台を当該区域に所属する端末となる。
図3は、実施例1によるセンサ端末1のブロック図である。図3を参照すると、センサ端末1は、通信部11と、センサ制御部12と、電源制御部14と、電源15と、被給電部16と、RFID17とを有している。
通信部11は、中継端末2および飛行船5と無線通信を行う。センサ制御部12は、接続されているセンサ13を用いて所定の指標値を0測定する。電源制御部14は、電源15の残量を確認する機能を備えている。電源15は、充電可能な電池で構成された電源装置である。被給電部16は、飛行船5から給電を受け、その電力を電源15へ供給する。RFID17は、センサ端末1に固有のID情報を記憶しており、近距離通信でそのID情報を送出する小型装置であり、センサ端末1の位置を飛行船5に通知するために使用される。
センサ端末1に接続されるセンサ13としては、例えば、温度センサ、振動センサ、電流センサ、ひずみセンサなどが挙げられる。センサ端末1は事前に決められた測定規則に従い、センサ13を用いて対象のデータを測定する。例えば橋梁の安全性をチェックするためのセンサ端末1ならば、橋梁に設置されたひずみセンサで1分ごとにひずみデータを測定し、データベースサーバ4にその測定データを送る。またセンサ端末1は、電源制御部14が得た電源15の残量の情報もデータベースサーバ4に送る。RFID17は一例としてパッシブ方式のRFIDであり、飛行船5からのRFID読み取り信号を受けてセンサ端末1自身のID情報を返す。これにより飛行船5は、センサ端末1が近傍にあることと、そのセンサ端末1を識別するID情報を知ることができる。飛行船5からセンサ端末1に充電用の電力が供給されると、センサ端末1は、飛行船5から供給される電力を被給電部16で受け、その電力で電源15を充電する。給電が完了すると、センサ端末1は、給電完了信号を、通信部11を通じて飛行船5に無線通信で送信する。
なお、飛行船5からセンサ端末1への給電方法としては例えば磁気共鳴方式が採用可能である。また、センサ端末1と中継端末2および飛行船5との無線通信は、例えばZigbee(登録商標)や無線LAN、特定小電力無線が採用可能である。
図4は、実施例1による中継端末2のブロック図である。図4を参照すると、中継端末2は、通信部21と、データ処理部22から構成される。通信部21は、当該中継端末2の区域に所属する1つまたは複数のセンサ端末1との無線通信と、データベースサーバ4とのネットワーク3を介した通信を行う。データ処理部22は、センサデータに中継端末識別子を付加して所定のフォーマットに整え、通信部21を利用して、整えたセンサデータをデータベースサーバ4に送信する。
図5は、実施例1によるデータベースサーバ4に送られるセンサデータの一例を示す図である。データベースサーバ4に送られるセンサデータは、例えば図5のように中継端末識別子D21とセンサ端末識別子D22とセンサの測定値D23と電源15の残量D24とを含む。上述のように、中継端末2は1つの区域に対して1つ設置され、その区域あるいは中継端末2に対して、1つまたは複数のセンサ端末1が所属している。中継端末識別子は、中継端末2を識別する情報で得あるとともに、区域を識別する情報として利用される。
中継端末2はセンサ端末1から受けたセンサデータのフォーマットを図5のように整え、データベースサーバ4へ送信する。
また、区域内のいずれか1つのセンサ端末1にネットワーク3経由での通信を行う機能を持たせ、中継端末2としての機能も持たせてもよい。またその場合、センサ端末1を兼ねる中継端末2も給電対象として含め、中継端末2は、自身の電池残量も他のセンサ端末1の電池残量と同様にデータベースサーバ4に通知することにしてもよい。
図6は、実施例1によるデータベースサーバ4のブロック図である。図6を参照すると、データベースサーバ4は、通信部41と、データ制御部42と、時刻管理部43と、端末情報データベース45と、給電区域データベース44とを有している。
通信部41は、中継端末2とネットワーク3経由の通信を行い、また飛行船5と無線通信を行う。
データ制御部42は、センサ端末1から受取ったセンサデータ(測定値)および電池残量に、センサ13の種類の情報と時刻管理部43による時刻情報(センサデータの取得時刻)とを付加し、端末情報データベース45に格納する。
図7は、実施例1による端末情報データベース45の一例を示す図である。端末情報データベース45には、センサデータの取得時刻D31と、所属する中継端末識別子D32と、センサ端末1ごとの識別子であるセンサ端末識別子D33と、搭載するセンサ13の種類D34と、センサ13の測定値D35と、電源15の残量D36とが保持される。この例では、中継端末ID1の区域に、センサ端末ID11と、センサ端末ID12と、センサ端末ID13という3台のセンサ端末1が所属している。
時刻管理部43は、端末情報データベース45にセンサデータを格納する際に付加する時刻情報を生成する。
給電区域データベース44は、区域ごとの中継端末識別子と、区域の位置情報と、区域における飛行ルートと、区域に所属するセンサ端末数と、その所属センサ端末1の位置情報とを予め保持する。図8は、実施例1による給電区域データベース44の一例を示す図である。給電区域データベース44は、区域の中継端末識別子D41、区域の位置D42、飛行ルートD43、所属するセンサ端末数D44、所属するセンサ端末識別子D45、所属するセンサ端末の位置D46について、一例として図8に示すような値を持つ。
また、データベースサーバ4は、事前に設定した時間間隔で飛行船5に給電要求を送信する。
その際、データ制御部42は、端末情報データベース45から抽出した電源15の残量が事前に設定した閾値以下に減っているセンサ端末1と、センサデータの通知が途絶しているセンサ端末1とを抽出し、それらのセンサ端末1の情報と、給電区域データベース44の給電対象区域についての情報とで給電要求を生成し、飛行船5に送信する。例えば、電源15の残量が満充電時の容量の30%を閾値というように予め設定しておけばよい。
データ制御部42は、給電要求を送信するタイミングを、時刻管理部43が管理する時刻情報と事前に設定した時間間隔とを基に決定する。給電要求を送信する時間間隔はそれぞれの区域ごとに適切な時間に設定してもよい。
データベースサーバ4は、飛行船5が待機場所に待機している状態にあるか、給電しているあるいは給電のために飛行している状態(給電飛行または移動給電)にあるか、を常時認識している。また、飛行船5が給電のために飛行中であれば、データベースサーバ4は、どのセンサ端末1に向けて飛行している状態であるか常時認識することができる。
例えば、データベースサーバ4は飛行船5が給電飛行状態であれば、その給電飛行における給電対象のセンサ端末群の電池残量の監視を一時的に停止しておき、飛行船5が待機場所へ戻ったら、そのセンサ端末群に対する電池残量の監視を再開する。電池残量の監視を再開する際、一例として、データベースサーバ4は、飛行船5が給電飛行中に送られてきたデータも含めて、これまでのセンサ端末群の電源残量に関する情報を全て一旦リセットし、新たにセンサ端末群の電源残量の監視を開始する。
あるいは、データベースサーバ4は、飛行船5が給電飛行中にセンサ端末1から電池残量不足を示すデータが送られていた場合、現在、飛行船5の給電対象となっているセンサ端末のリスト内に、電池残量不足を知らせてきたセンサ端末1が含まれているかどうかを確認する。電池残量不足を知らせたセンサ端末が今回の給電対象のセンサ端末1に含まれていない場合、データベースサーバ4は、その電池残量不足を知らせたセンサ端末1を次回の給電対象に加えることにしてもよい。このとき、何度給電しても電池残量が低いままであるなど、なんらかの異常が発生していると推定されるセンサ端末があれば、データベースサーバ4は、アラームを発して作業者等に異常を通知してもよい。
図9は、実施例1による飛行船5のブロック図である。飛行船5は、通信部51と、GPS52と、給電対象センサ端末情報保持部53と、RFID検知部55と、移動部56と、給電部54から構成される。
通信部51は、センサ端末1およびデータベースサーバ4と無線通信を行う。給電要求は通信部51によって受信される。
GPS52は、飛行船5の位置情報を取得する。なお、給電対象のセンサ端末1が、屋内等、障害物が多く通常のGPSでは高い精度で位置情報が得られない環境に設置されている場合、屋内でも高精度に位置が測定できる屋内GPS装置を設置し、それを使用する。
給電対象センサ端末情報保持部53は、データベースサーバ4から受信した給電要求の情報を保持する。具体的には、給電要求にて指定された給電対象のセンサ端末1を示す給電対象情報が、この給電対象センサ端末情報保持部53に保持される。
RFID検知部55は、センサ端末1のRFID17と近距離通信し、センサ端末1のセンサ端末識別子を取得する。センサ端末1のセンサ端末識別子が取得できることで、そのセンサ端末識別子が示すセンサ端末1が給電可能な位置にあることを確認することができる。
移動部56は、GPS52で取得される位置情報に基づき、飛行船5を駆動し、またその移動を管理する制御部である。移動部56は、給電対象センサ端末情報保持部53に保持されている給電対象情報に基づき、給電対象のセンサ端末1の設置場所に移動するように自装置を駆動する。移動部56の制御により、飛行船5は所望の区域に移動し、所望の飛行ルートで飛行し、センサ端末1に給電が可能な所望の位置に移動することができる。
給電部54は、センサ端末1の電源15へ給電を行う。給電対象のセンサ端末1へ給電が可能な位置に飛行船5が来ると、給電部54がセンサ端末1の電源15へ充電電力を供給する。
例えば、飛行船5は、給電対象区域の位置情報を元に給電対象区域まで移動する。給電飛行の飛行ルートは、区域内の全てのセンサ端末1を経由するように予め設定された固定の飛行ルートである。飛行船5は、給電飛行中に、給電対象のセンサ端末1に該当するセンサ端末識別子を返信するRFID17を検知すると、その場で停止し、センサ端末1の電源15への給電を実施する。この際、RFID検知部55とセンサ端末1のRFID17との位置がずれていると判断すると、ずれがなくなる方向へ動き、給電の効率を上げる。例えば、位置のずれはRFID17からの受信電波の強度とGPS52で得られる位置情報とを基に調整することができる。センサ端末1は充電が完了すると飛行船5に給電完了信号を送信する。飛行船5は、センサ端末1から給電完了信号を受信すると、給電を終了し、飛行ルートに沿った飛行を再開する。指定された飛行ルートの全行程を飛行し終えると、飛行船5は、給電対象区域に対する給電を完了したと判断し、データベースサーバ4に対して給電完了を通知し、飛行船5の待機場所に戻る。
図10は、実施例1によるセンサーネットワークシステム全体の動作を示すフローチャートである。
センサ端末1は、定期的にセンサ13のセンサ値と電源15の残量のデータを中継端末2経由でデータベースサーバ4へ送信している。データベースサーバ4はセンサ端末1から受信したデータに時刻情報を付加して端末情報データベース45へ蓄積している。
図10を参照すると、予め決められた給電要求を送信するタイミングになると、データベースサーバ4はその時点で電源15の残量が一定値以下まで減っているセンサ端末1を抽出し、そのセンサ端末1への給電を依頼するための給電要求を生成し、飛行船5に送信する(ステップS101)。飛行船5はその給電要求を受信する(ステップS102)。そして、飛行船5は、待機状態から給電飛行状態へ遷移し、給電要求で指定された区域へ行く(ステップS103)。
更に、飛行船5は、与えられた飛行ルートで飛行して給電対象のセンサ端末1の付近に移動し(ステップS104)、更に、RFID検知部55で検知されるセンサ端末識別子を頼りに給電対象のセンサ端末1の設置位置に停止し(ステップS105)、給電を実施する(ステップS106)。電源15の充電が完了すればセンサ端末1から飛行船5に給電完了信号が送信されるので、飛行船5は、その給電完了信号を受信するまで、ステップS106〜S107を繰り返し、給電を続ける(ステップS107のNO)。給電中のセンサ端末1から給電完了信号を受信すると(ステップS107のYES)、飛行船5は、当該センサ端末1の電源15への給電を完了する(ステップS108)。
続いて、飛行船5は、飛行ルートの全行程を飛行し終えたか否か判定する(ステップS109)。飛行ルートを飛行し終えていなければ、飛行船5は、ステップS104に戻って次の給電対象のセンサ端末1まで移動し、その後の処理を続ける。飛行船5は飛行ルートを飛行し終えれば、当該区域のセンサ端末1への給電が完了したと判定し待機場所に戻って処理を終了する(ステップS110)。
以上説明したように、本発明によれば、飛行船5がセンサ端末1の電源15へ給電するため、効率的にセンサ端末1に給電できる。
また、給電対象のセンサ端末1が高所に設置されている場合、飛行船5を用いることで、飛行船5が自律飛行で高所まで行くため、作業員が高所まで行く必要がなく、作業員の転落などの危険を回避することができる。
また、給電対象のセンサ端末1が発電所や工場の中など、作業員の出入りが制限されていたり、立ち入ることが危険であったりする場合、飛行船5が自律飛行にて現地まで行くため、作業員が現地まで行く必要がなく、制限されずにセンサ端末1の電源15へ給電することができる。
また、飛行船5が自律飛行にてセンサ端末1の電源15へ給電するため、ベテランの作業員を養成しなくても、効率よくセンサ端末1の電源15へ給電することができる。
(実施例2)
実施例1では、データベースサーバ4が飛行ルートを飛行船5に通知したが、実施例2では、飛行船5自身が飛行ルートを決定しながら、給電飛行する。飛行船5が、給電対象のセンサ端末1を巡回する飛行ルートを作成し、その飛行ルートでセンサ端末1への給電を行うので、データベースサーバ4は飛行ルートを生成および指定する必要がない。
図11は、実施例2による飛行船5のブロック図である。実施例2の飛行船5は、図11に示すように、図9の飛行船5の構成に加え、更に飛行ルート判断部57を有している。通信部51と、GPS52と、給電対象センサ端末情報保持部53と、RFID検知部55と、移動部56と、給電部54は、基本的には図9に示した実施例1のものと同様である。
図12は、実施例2による給電要求の一例を示す図である。図12に示すように、実施例2では、データベースサーバ4から飛行船5に通知される給電要求には、飛行ルートD13が含まれておらず、給電対象センサ端末の位置データD16および電池残量D17が含まれている。
飛行ルート判断部57は、センサ端末1から受信される電源15の残量の情報を基に給電対象とするセンサ端末1を決定する。例えば、電源15の残量が閾値以下のセンサ端末1を給電対象とすればよい。また、飛行ルート判断部57は、その給電対象のセンサ端末1のセンサ端末識別子および位置と、GPS52で得られる自装置の位置情報とから給電飛行するための飛行ルートを判断する。
その際、飛行ルート判断部57は、まず、図12の給電要求の給電対象となったセンサ端末1の中で、給電飛行の開始地点(通常は待機場所)から最も近い位置にあるセンサ端末1を選び、それを最初の給電対象とする。そして、移動部56は、GPS52で得た自身の位置情報とセンサ端末1の位置とに基づき、飛行ルート判断部57で決定した飛行ルートに従って移動する。このとき、RFID検知部55で給電対象のセンサ端末1からそのセンサ端末識別子の受信を検知すると、移動部56がその場で自身を停止させ、給電部54がセンサ端末1の電源15への給電を開始する。そして、飛行船5は、給電を行っているセンサ端末1から給電完了信号を受取ると、そのセンサ端末1の充電が完了したと判断し、未だ給電をしていない給電対象のセンサ端末1の中から、自身の現在位置から最も近い位置にあるセンサ端末1を次の給電対象に選択し、そのセンサ端末1の設置位置への移動を開始する。全ての給電対象のセンサ端末1への給電が完了したら、飛行船5は待機場所に戻る。
(実施例3)
実施例1では、飛行ルートが予め固定的に定められていたが、実施例3では、データベースサーバ4が給電要求を生成するときに、その給電要求の給電対象とするセンサ端末1を通るように飛行ルートを決定する。これによれば、飛行船5は、給電対象のセンサ端末1だけを巡回すればよいので効率がよい。
図13は、実施例3による給電要求を示す図である。図13に示すように、実施例3では、データベースサーバ4から飛行船5に通知あれる給電要求において飛行ルートが指定される。
データベースサーバ4では、データ制御部42が、各センサ端末1から通知された電源の残量の情報に基づき給電対象とするセンサ端末1を決定する。更に、データ制御部42は、最も短い移動距離で給電対象の全てのセンサ端末1の設置位置を通るように、データベースサーバ4が保持している区域ごとのセンサ端末1の位置の情報に基づき、飛行ルートを決定する。あるいは、センサ端末1に予め重要度を付与しておき、データベースサーバ4が、その重要度の高いセンサ端末11を優先的に給電するような飛行ルートを決定することにしてもよい。
飛行船5の移動距離が少なくなるような飛行ルート決定方法の例としては、最近傍法、クリストファイズの解法等が挙げられる。また、センサ端末1の重要度の付与方法としては、例えば電源15の残量が特に減っているセンサ端末1を優先するという方法や、作業者やデータベースサーバ4が重要なセンサ端末1を事前にシステムに設定しておく方法などが採用可能である。
飛行船5では、決定した飛行ルートの各給電対象のセンサ端末1の設置場所を巡回し、そのセンサ端末1の電源15に充電電力を供給する。飛行船5は通知された指示に従って移動するだけで容易に給電対象のセンサ端末1を巡回して充電することができる。
(実施例4)
実施例1では、飛行船5が与えられた飛行ルートに従って自律的に飛行したが、実施例4では、飛行船5は自律飛行せず、操縦者が遠隔操作により飛行船5を操縦する。
図14は、実施例4によるセンサーネットワークシステムのブロック図である。実施例4のセンサーネットワークシステムは、図1に示した構成に加え、更にコントローラ6を有している。
図15は、実施例4による飛行船のブロック図である。実施例4の飛行船5は、図15のように、図9に示した構成から、給電対象センサ端末情報保持部53とGPS52を除いた構成である。
通信部51は、操縦者が操作するコントローラ6と無線通信を行う。
移動部56は、コントローラ6からの飛行の指示に従い、自装置を移動させる。
給電部54は、コントローラ6からの給電の指示に従い、給電の開始および停止を行う。
RFID検知部55にて給電対象のセンサ端末1からセンサ端末識別子が検知されると、そのセンサ端末識別子の情報が通信部51からコントローラ6へ通知される。
また、通信部51でセンサ端末1の電源15の残量が受信されると、その情報は通信部51からコントローラ6へ通知される。
図16は、実施例4によるコントローラ6のブロック図である。コントローラ6は、通信部61と、給電指示部62と、移動方向指示部63と、画面表示部64とを有している。通信部61は、データベースサーバ4および飛行船5と無線通信を行う。給電指示部62は、センサ端末1への給電の開始および停止を飛行船5へ指示する。
移動方向指示部63は、操縦者の操作に従って、移動する方向を飛行船5に指示する。
画面表示部64は、給電対象のセンサ端末1のセンサ端末識別子と、そのセンサ端末1の電源15の残量と、RFIDの無線電波が到達する程度まで飛行船5が接近しているセンサ端末1あるいは飛行船5が給電中のセンサ端末1のセンサ端末識別子とを表示する。給電対象のセンサ端末1は、データベースサーバ4が決定し、コントローラ6に通知し、コントローラ6はそれを表示する。飛行船5の飛行は、操縦者が、コントローラ6に表示された給電対象のセンサ端末1を見て、操作する。
図17は、実施例4によるデータベースサーバ4からコントローラ6へ通知されるデータの一例を示す図である。
データベースサーバ4は、給電が必要なセンサ端末1を決定してコントローラ6に通知する。その通知を受けたコントローラ6は、給電対象のセンサ端末識別子と、その位置情報等が表示される。あるいは、コントローラ6の画面上に、給電対象区域の地図と、給電対象のセンサ端末1の位置を図示しても良い。
操縦者が、コントローラ6に備えられた移動方向指示ボタン(不図示)を使用して移動方向を指示すると、その情報が飛行船5へ送信される。また、操縦者がコントローラ6に備えられた給電開始ボタンまたは給電停止ボタンを使用して、給電の開始または停止を指示すると、その情報が飛行船5へ送信される。
この際、操縦者が飛行船5に指示を行う移動方向は操縦者が判断する。データベースサーバ4が判断した給電対象のセンサ端末1のセンサ端末識別子および電源15の残量と、飛行船5から通知される飛行船5の近くにあるセンサ端末1のセンサ端末識別子および電源15の残量とを、画面表示部64で文字として表示することで、操縦者にそれらの情報が通知される。
なお、コントローラ6は、専用端末であってもよいし、PC(Personal Computer)あるいはタブレット端末にアプリケーションを実装することで実現されるものであってもよい。
操縦者は、給電対象区域まで飛行船5を運んでいき、飛行船5の飛行を開始する。飛行船5はコントローラ6からの移動方向指示に従って移動する。また、飛行船5は、コントローラ6から給電の開始または停止の指示があると、指示に従いセンサ端末1へ給電を開始または停止する。画面表示部64には、飛行船5が受け取ったセンサ端末1の識別子が表示され、給電中またはその時点でRFIDの無線信号が認識できる距離まで飛行船5が接近しているセンサ端末1のセンサ端末識別子を操縦者に通知する。
(実施例5)
実施例1では、データベースサーバ4が給電要求を生成し、飛行船5へ送信したが、実施例5では、データベースサーバ4が生成した給電要求は中継端末2を経由して飛行船5へ送信される。
実施例5は、飛行船5が1つの区域または近い範囲の複数の区域に所属し、所属する区域の周辺に待機場所がある場合を想定したものである。飛行船5が給電要求を各中継端末2から受信する構成とすることで、飛行船5が広域の無線ネットワークによる通信の機能を備える必要が無く、比較的近距離の通信の機能を備えていればよい。
図18は、実施例5によるセンサーネットワークシステムのブロック図である。センサーネットワークは、センサ端末1、中継端末2、ネットワーク3、データベースサーバ4、および飛行船5を有している。各装置の基本的な機能は実施例1と同様であるが、以下の点で相違する。
データベースサーバ4は、給電要求を生成すると、その給電要求を、給電要求の対象である区域に所属する中継端末2へネットワーク3経由の通信で送信する。
中継端末2は、データベースサーバ4から給電要求を受信すると、対象区域に所属する飛行船5へ無線通信で、その給電要求を送信する。
飛行船5は、所属する区域についての飛行ルートの情報を事前にデータベースサーバ4から受け取って、保持している。それ以降はルートに変更等あった場合のみ、更新のために飛行船5はデータベースサーバ4から飛行ルートの情報を送信される。
飛行船5は、中継端末2から給電要求を受信すると、保持していた飛行ルートで移動し、給電要求で指定された給電対象のセンサ端末1への給電を実施する。
本実施例では、飛行船5は所属する区域の近傍に待機場所を持つので、給電要求に対応して迅速に給電を実施できる。
(実施例6)
実施例3では、データベースサーバ4が給電要求を生成したが、実施例6では、中継端末2が給電要求を生成する。中継端末2がセンサ端末1の電池残量から充電すべきか否か判定し、充電すべきセンサ端末1を飛行船5に通知するので、1つの区域に1つの中継端末2が存在する構成に好適であり、データベースサーバ4にセンサ端末1の電源15の残量を通知する必要が無い。
実施例6のセンサーネットワークシステムの概略的構成は図18に示したものと同様である。
センサ端末1は、センサ13によって測定したセンサ情報と、電源15の残量の情報とを無線通信により中継端末2に送信する。
中継端末2は、センサ端末1から受信した情報のうち、センサ情報をネットワーク3経由の通信でデータベースサーバ4に送信する。データベースサーバ4は、受信したセンサ情報を端末情報データベース45へ蓄積する。
また、中継端末2は、センサ端末1から受信した情報のうち、電源15の残量の情報を監視し、電源15の残量が予め設定した閾値以下まで減ったセンサ端末1の台数をカウントする。そして、電源15の残量が予め設定した閾値以下まで減ったセンサ端末1が所定台数以上になると、中継端末2は、それらのセンサ端末1を給電対象とする給電要求を生成し、飛行船5に送信する。
飛行船5は、所属する区域に対する飛行ルートの情報を事前にデータベースサーバ4から受け取って保持している。それ以降、飛行船5は、ルートに変更等あった場合のみ、更新のためにデータベースサーバから飛行ルートの情報を受信する。
飛行船5は、給電要求を受信すると、待機状態から飛行状態に遷移し、所定の飛行ルートで飛行して給電対象のセンサ端末1に対して給電を行う。飛行船5は、指定された飛行ルートを飛行し終えると、給電対象区域に対する給電を完了したと判断して待機場所へ戻る。
図19は、実施例6によるセンサーネットワークシステム全体の概略的動作を示すフローチャートである。図19のフローチャートは、ステップS201にて、中継端末2が給電要求を生成し、飛行船5に送信する点で、図10のフローチャートと異なっている。
(実施例7)
実施例1では、電源15の残量が閾値以下になったセンサ端末1を給電対象とし、一定時間間隔で給電要求を送ったが、実施例7では、電源15の残量が閾値以下になったセンサ端末1の台数が所定台数に達したら、給電要求を送る。所定台数のセンサ端末1をまとめて給電することができるので、飛行船5の1回の運行で所定以上の台数のセンサ端末5を効率よく充電することができる。
実施例7のセンサーネットワークシステムの基本的な構成は、図1に示したものと同様である。
実施例7では、データベースサーバ4は常にセンサ端末1の電源15の残量を監視し、1つの区域内で、電源15の残量が事前に設定した閾値以下に減っているセンサ端末1の台数が事前に設定した台数以上認められたとき、当該区域の当該センサ端末1への給電を要求する給電要求を飛行船5へ送信する。給電要求は、データベースサーバ4から飛行船5に送られてもよく、あるいは中継端末2経由で飛行船5に送られてもよい。飛行船5は、データベースサーバ4または中継端末2から給電要求を受信すると、その給電要求における給電対象となっているセンサ端末1に対する給電を行う。
なお、給電対象のセンサ端末1に給電を行う際の飛行船5の飛行ルートは、予め固定的に定められた飛行ルートであってもよく、あるいはデータベースサーバ4が生成し、給電要求で飛行船5に通知した飛行ルートであってもよく、あるいは、飛行船5が自身で生成した飛行ルートであってもよい。
(実施例8)
実施例1では、飛行船5は所定の飛行ルートの全行程を固定的に飛行したが、実施例8では、飛行船5は7飛行ルートに従って飛行している間、自装置内の電源の残量を監視しており、残量が減少すると自発的に待機場所に戻って充電し、充電を終えると再び飛行ルートに戻る。給電用の電源を有する飛行船5が自身でその充電タイミングを決定して実施するので、データベースサーバ4や中継端末2などの外部装置が飛行船5の給電用電源の電池残量を取得し、充電タイミングを決定し、指示するとった処理が不要である。
図20は、実施例8による飛行船5のブロック図である。実施例8の飛行船5は電源制御部58および電源59を有する点で図9に示したものと異なっている。電源59は、センサ端末1の電源15を充電する電力を供給するための電源である。電源制御部58は、電源59の残量を管理し、また電源59からの給電の開始および停止を制御する。また、実施例8では、移動部56は、センサ端末1の設置場所まで移動し、センサ端末1の電源15に充電電力を供給する給電飛行を実施中に、電源59の電池残量が閾値以下になったと電源制御部58で判断されると、待機場所に戻り、待機場所にて電源59の充電が完了すると、給電飛行を再開する、
図21は、実施例8によるセンサーネットワークシステム全体の動作を示すフローチャートである。ステップS309、S310の処理があることが図10に示したものと異なっている。
飛行船5は、ステップS308にて給電中だったセンサ端末1の電源15への給電を完了すると、電源制御部58により、飛行船5が備える電源59の残量を確認し、その残量が設定された閾値以下になっているか否か判定する(ステップS309)。
電源59の残量が閾値以下になっていれば、電源制御部58は、移動部56へ給電飛行を一旦休止し、充電するように指示する。飛行船5は、電源59の充電を指示された移動部56により待機場所に移動し、電源59を充電する(ステップS310)。充電を終えると、飛行船5は、飛行ルートの全行程を飛行し終えたか否か判定する(ステップS311)。飛行ルートを飛行し終えていなければ、飛行船5は、移動部56により給電飛行を休止した地点に戻り(ステップS304)、給電飛行を再開して未だ給電していない給電対象のセンサ端末1への給電を行う。ステップS309において、電源59の残量が閾値以下になっていなければ、飛行船5は、ステップS111の判定に移行する。
(実施例9)
実施例8では、飛行船5が給電用の電源59の残量が減ってくると自律的に待機場所に戻って充電を行ったが、実施例9では、データベースサーバ4が給電対象の全てのセンサ端末1の給電を一回の給電飛行により一括で行うか、複数回の給電飛行に分けて行うかを決める。それにより、飛行船5の給電用の電源59への充電を予め考慮した飛行ルートを計画し、実施することができる。
実施例9の飛行船5は、基本的な構成が図20に示したものと同様であり、電源制御部58と電源59を有している。電源59は、センサ端末1の電源15を充電する電力を供給するための電源である。電源制御部58は、電源59の残量を管理し、また電源59からの給電の開始および停止を制御する。実施例9では、飛行船5が待機場所に待機している状態において、電源制御部58が電源59の残量を確認し、電源59の残量情報を所定の時間間隔でデータベースサーバ4に送信している。
図22は、実施例9によるセンサーネットワークシステム全体の動作を示すフローチャートである。
まず、データベースサーバ4が、各センサ端末1からの電源15の残量の情報に基づいて、給電対象のセンサ端末1を選択する(ステップS401)。更に、データベースサーバ4は、飛行船5から通知された電源59の残量の情報を確認する(ステップS402)。
続いて、データベースサーバ4は、給電対象のセンサ端末1の台数と、飛行船5の電源59の電源残量とに基づき、飛行ルートを決定し(ステップS403)、その飛行ルートを含む給電要求を飛行船5に送信する(ステップS404)。
その飛行ルートを決定し、給電要求を生成する際、データベースサーバ4は、飛行船5の電源59の残量の情報と給電対象であるセンサ端末1の台数の情報とに基づき、待機場所から出発して待機場所に戻る1回の給電飛行で全ての給電対象のセンサ端末1への給電を実施するか、複数回の給電飛行に分けて実施するかを判断する。複数回に分けて給電対象のセンサ端末1の給電を行う場合、データベースサーバ4は、飛行ルートに帰還ルートを組み込む。
帰還ルートとは、途中で給電飛行を休止し、その地点から待機場所まで飛行し、その後、待機場所から給電飛行を休止した地点に戻るルートである。これにより、給電飛行を途中で休止し、待機場所に一旦戻り、電源59を充電した後、給電飛行を休止した地点から給電飛行を再開することが可能となる。
給電飛行を休止する地点およびタイミングは、飛行船5の電源59の残量が無くなる前に飛行船5を待機場所に戻すように決定すればよい。
図22に戻り、飛行船5は、給電要求を受信すると、その給電要求の対象区域へ移動する(ステップS406)。
続いて、飛行船5は、給電要求にて指定された飛行ルートに従って給電対象のセンサ端末1の設置場所に移動し(ステップS407)、さらにRFIDの無線信号を頼りにセンサ端末1の電源15の充電に適した位置に移動して停止する(ステップS408)。そして、飛行船5は、当該センサ端末1の電源15への給電を行い(ステップS409)、給電中のセンサ端末1からの給電完了信号の受信を監視する(ステップS410)。飛行船5は、給電完了信号を受信していなければ、ステップS409に戻り、給電を続ける。
給電完了信号を受信すると、飛行船5は、そのセンサ端末1への給電を完了する(ステップS411)。続いて、飛行船5は、飛行ルートの次の行先が待機場所であるか否か調べる(ステップS412)。次の行先が待機場所でなければ、飛行船5は、ステップS407に戻り、次の給電対象のセンサ端末1の設置位置へと移動して給電を行う。
ステップS412にて、次の行先が待機場所であれば、飛行船5は、待機場所に移動し、電源59の充電を行う(ステップS413)。続いて、飛行船5は、飛行ルートの全行程を飛行し終えたか否か判定する(ステップS414)。飛行ルートの全行程を飛行し終えていなければ、飛行船5は、ステップS407に戻り、待機場所へ帰還した地点の次の給電対象のセンサ端末1の設置位置に移動して給電を継続する。
飛行ルートの全行程を飛行し終えていれば、飛行船5は待機場所で処理を終了する(ステップS415)。
(実施例10)
実施例1では、センサ端末1を充電して動作させておき、定期的にセンサ情報を取得したが、実施例10では、センサ情報を取得したいセンサ端末1だけに、したいときだけ電源を供給して動作させ、センサ情報を取得する。
データベースサーバ4は、センサ情報を取得すべきセンサ端末1を決定し、当該センサ端末1からセンサ情報を取得することを要求するための情報取得要求を飛行船5に送信する。飛行船5は、情報取得要求を受信し、その情報取得要求にて指定されたセンサ端末1の設置場所に移動し、センサ端末1の電源15に無線電波を送信し、センサ端末1から送信されたセンサ情報を受信してデータベースサーバ4に送信する。センサ端末1は、電源15としてキャパシタなどの小型で容量の小さい電源をもち、飛行船5からの給電が行なわれている間のみセンサ13を用いた測定や無線通信を行うパッシブな端末である。すなわち、センサ端末1は、電源15が、受信した無線電波のエネルギーをセンサ13に電源として供給する回路であり、給電が行なわれないとき、センサ端末1は、電源15がオフの状態となり、センサ13による測定や測定結果の送信を行なわない。パッシブ端末であるセンサ端末1をセンサ情報が欲しいときだけ動作させ、センサ情報を取得するので、センサ端末1が蓄電池を備える必要が無く、飛行船5が給電用に大容量の電池を備える必要が無い。
データベースサーバ4は、センサ13による測定結果であるセンサ情報が必要だと判断すると、そのタイミングで、飛行船5に対して、該当するセンサ端末1への給電を要求するための給電要求(情報取得要求でもある)を送信する。例えば、監視対象の構造物に亀裂が発見され、その周辺の状態の情報を取得したいという場合が想定される。
図23は、実施例10において亀裂の生じた橋梁の状態を測定する様子を説明する図である。図23には、センサ端末1が各所に設置された橋梁91に亀裂92が生じた様子が示されている。ここでは亀裂92が生じた周辺の状況を詳細に調査するために、破線で囲んだセンサ端末1で測定されるセンサ情報を取得する必要があるとする。
データベースサーバ4は、破線で囲んだセンサ端末1を給電対象とする給電要求を飛行船5に送信する。給電要求を受信した飛行船5は、該当するセンサ端末1の設置位置に移動し、センサ端末1への給電を行なう。給電されたセンサ端末1はセンサ13による測定でセンサ情報を取得し、その測定結果をデータベースサーバ4に送信する。このとき、センサ端末1は、測定結果を、中継端末2を通じてデータベースサーバ4に送信するものであってもよいし、あるいは測定結果を飛行船5に送信するものであってもよい。
なお、実施例10では、飛行船5が、各センサ端末1からセンサ情報を取得し待機場所に帰還した後、各センサ端末1の測定結果をまとめてデータベースサーバ4に送信することにしても良い。
(実施例11)
実施例1では、飛行船5は、センサ端末1に給電を行うのみで自身でセンサによる測定を行う物ではなかったが、実施例11では、飛行船5が、センサ端末1と同様にセンサを搭載しており、自身でもセンサ情報を取得できる。
図24は、実施例11による飛行船5のブロック図である。図24を参照すると、実施例11の飛行船5は、図9に示したものにセンサ5Aおよびセンサ制御部5Bを加えた構成である。
データベースサーバ4は、飛行船5に搭載されたセンサ5Aでの測定が必要と判断した場合に、飛行船5に、測定場所の情報を含む測定指示を送信する。測定指示には、測定場所を示す位置情報が含まれている。また、飛行船5が複数種類のセンサ5Aを有する場合、測定指示には、測定に使用するセンサの種類を示す情報が含まれる。
飛行船5による測定が必要と判定する判断基準としては、例えば、センサ端末1自体の故障が疑われる場合、あるいはセンサ端末1に搭載されたセンサ13では測定できない情報が必要になった場合などが挙げられる。
測定指示を受けた飛行船5は、移動部56により、指定された測定場所へ移動し、センサ5Bの制御により、指定されたセンサ5Aで測定を行ない、測定結果のセンサ情報を通信部51からデータベースサーバ4へ送信する。
なお、データベースサーバ4は、飛行船5への測定指示を、飛行船5に対してセンサ端末1への給電を要求する給電要求に含めて送信してもよい。また、飛行船5は、センサ端末1への給電とともに、自身のセンサ5Aによる測定を実施することができるものであってもよい。その場合、飛行船5はセンサ端末1へ給電を行う給電飛行を行い、指定された測定場所に到達したらセンサ5Aでの測定を行い、測定終了後はまた給電飛行を続けるということができる。飛行船5に搭載されるセンサ5Aとしては、例えばカメラ、温度センサ、湿度センサ、照度センサ等がある。
上述した本発明の各実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例のみに限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。