JP2015153567A - 電極ペースト、電極形成方法及び電極構造 - Google Patents

電極ペースト、電極形成方法及び電極構造 Download PDF

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Abstract

【課題】電極と半導体の界面に生じる接触抵抗を低減した電極構造を提案し、それを実現する電極ペーストと電極形成方法を提供する。【解決手段】本発明の電極ペーストは、太陽電池を含む半導体2の表面3に電極4、5を形成するための電極ペーストであり、金属微粒子を主成分とし、半導体微粒子4a、5aを配合している。半導体微粒子4a、5aにはIII−V属化合物半導体やIV属型半導体などの微粒子が使用される。金属微粒子として銀微粒子などが使用される。電極ペーストを半導体2の表面3に塗着して電極パターンを形成し、これを焼成して金属微粒子から電極4、5を形成し、半導体微粒子4a、5aを電極4、5の内部に全体的に分散させる電極形成方法が提供される。その結果、表面3に電極4、5が形成された半導体2で、電極4、5の内部に半導体微粒子4a、5aが全体的に分散した電極構造が実現される。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池などの半導体の表面に電極を形成するために塗着される電極ペーストに関し、更に詳細には半導体に電極を形成するための電極ペースト、電極形成方法及び電極構造に関する。
半導体の表面に電極を形成した半導体装置には、電力発生を目的とした複数の半導体層からなる太陽電池装置や、電力発生以外を目的とした磁気抵抗素子や発行デバイスなどの半導体装置がある。これらの半導体装置の中で、半導体微粒子を利用した各種の従来技術が存在する。これらの中で特許文献1〜特許文献5に示された従来技術を以下に説明する。
特許文献1である特開2011−108514号公報は、半導体装置として色素増感太陽電池素子及びその製造方法を提供している。
本願の図9は、前記色素増感太陽電池素子の概略断面図である。この色素増感太陽電池素子は、基板101aの上に導電性基板101bを設けた導電性透明基板101と、バッファ層102と、半導体粒子層103と、有機導電性ポリマー層104と、最上面に銀集電電極層105から構成されている。図示するように、半導体粒子層103は、色素が付着した半導体粒子が多数凝集して構成されており、光電変換する表面積を増大させるために、多数の半導体粒子を凝集させている点に特徴を有する。
しかし、この特許文献1には、導電性基板101bや銀集電電極層105に半導体粒子を包含することは全く記載されず示唆さえされていない。
特許文献2である特開2013−16787号公報は、半導体装置として太陽電池及びその製造方法を提供している。
本願の図10は、前記太陽電池の概略断面図である。この太陽電池201は、下部電極218の上に配置されたp型シリコン基板211から上方に複数のp型シリコンからなるp型ナノワイヤ212を突出させ、このp型ナノワイヤ212を突出状に被覆する半導体膜213を配置している。突出状の半導体膜213の表面には多数の光反射性粒子215が分散配置されている。更に、光反射性粒子215の上にITO透明電極216を充填形成し、上方に上部電極217が配置されている。p型ナノワイヤ212と半導体膜213が一体となって突出状の多数の光電変換膜214を形成する。また、光反射性粒子215は金属や半導体(金属化合物半導体を含む)が好ましいと記載されている。
光反射性粒子215は入射光を乱反射するために配置されており、突出状の光電変換膜214の間の凹部に入射した光を効率的に吸収する作用を行う。つまり、光反射性粒子215を半導体粒子から構成しても、その乱反射作用によって光電変換膜214から入射光を効率吸収するために配置されているのである。
しかし、この特許文献2には、上部電極217や下部電極218に半導体粒子を使用することは全く記載されず示唆さえされていない。
特許文献3である特開2011−129925号公報は、半導体装置として半導体ナノ結晶を用いた太陽電池モジュールを提供している。
本願の図11は、前記太陽電池モジュールの概略断面図である。この太陽電池モジュールは、p型のシリコン半導体基板300の上面にn型のエミッタ層302を配置し、エミッタ層302の上に反射防止膜306を形成し、反射防止膜306の特定位置から前面電極304を形成し、反射防止膜306の上に半導体ナノ結晶粒子315を分散させた充填層310が配置されている。シリコン半導体基板300の下には後面電極308が形成されている。
充填層310の中にある半導体ナノ結晶粒子315は、入射光より低いエネルギーの出力光を放出する作用を有し、光電変換効率を増大させるために含入されている。
しかし、この特許文献3には、前面電極304や後面電極308の中に半導体微粒子を含入させることは全く記載されず示唆さえされていない。
特許文献4である特開2012−231154号公報は、半導体装置として半導体ナノ結晶及びドープされた有機材料を含む層を含むデバイス及び方法を提供している。
本願の図12は、太陽電池とは異なる発光デバイスの概略断面図である。基体401の上面に第1電極402が形成され、その上にホール輸送層である第1層403が形成され、更にその上に電子輸送層である第2層404が形成され、その上に第2電極405が配置されている。半導体ナノ結晶、即ち半導体微粒子は第1層403又は第2層404に注入されている。或いは、前記第1層403と前記第2層404の間に半導体ナノ結晶を含む別個の発光層を含ませてもよい。第1電極402と第2電極405の間に電圧を印加すると、ヘテロ構造体の半導体ナノ結晶粒子によってエレクトロルミネッセンスを発生させることができる。
しかし、この特許文献4には、第1電極402及び第2電極405に半導体ナノ結晶粒子を含入することは記載されておらず示唆さえされていない。
特許文献1〜特許文献4以外の従来技術として、特開平06−104504号公報の特許文献5が存在する。特許文献5は太陽電池では無く、一般の半導体装置である半導体薄膜磁気抵抗素子及びその製造方法を提供している。その詳細は、以下に詳述する。
特開2011−108514号公報 特開2013−16787号公報 特開2011−129925号公報 特開2012−231154号公報 特開平06−104504号公報
前述したように、特許文献1〜4には、電極の内部に半導体微粒子を包含することは記載されておらず、その意図さえ全くないことは明確である。しかし、特許文献5は少し状況が異なっている。特許文献5の特開平06−104504号公報は、半導体薄膜磁気抵抗素子及びその製造方法に関連している。
本願の図13は、InSbを用いた半導体薄膜磁気抵抗素子の概略断面図である。この半導体薄膜磁気抵抗素子は、ガラス基板501の上にInSbからなる半導体層502を形成し、半導体層502の表面の複数箇所に、半導体層502のInSbを硫化して硫化層503を形成し、この硫化層503の上に短絡電極504を形成する。即ち、硫化層503は硫化InSbから形成されている。更に、短絡電極504を封入するように保護層506が配置される。半導体層502の端部表面には端子電極505が設けられている。端子電極505は純金属であるクロムから形成されている。
特許文献5の特徴は、InSbからなる半導体502の表面に硫化InSbからなる硫化層503を設け、その上にクロムからなる短絡電極504を構成する点である。硫化層503を設けた理由は、「要約」に記載されているように、高温下においても短絡電極504が半導体層502と反応し難く、低接触抵抗値の安定な短絡電極を得るためである。
しかし、硫化層503は全体が半導体の硫化InSbからなる極めて薄い層で、短絡電極504とは全く別個に形成されている。確かに、硫化層503を設けることにより接触抵抗値を低減できる効果は認められるが、半導体502の表面に硫化層503と短絡電極504の2層を形成するため、半導体薄膜磁気抵抗素子の成形手順が複雑になり、製品が高価になる欠点を有している。しかも、特許文献5には、接触抵抗を低減させる為に、硫化層503を設けないで、短絡電極504の全体に半導体微粒子を分散させる技術思想は全く存在しない。
一般に、電極と半導体の界面にはショットキー障壁が形成され、電極と半導体の間に接触抵抗と呼ばれる電気抵抗が発生する。この接触抵抗は電導性を低下させる要因になる。特許文献5は電導性を改善することを目的としているが、薄膜状の硫化層503の存在だけでは、薄膜状であるが故に、短絡電極504と半導体層502の界面のショットキー障壁の改善には不十分であり、接触抵抗値を十分に低減させることは困難である。
従って、本発明の目的は、電極と半導体表面の界面に生じる接触抵抗を低減させるために、電極の中に半導体微粒子を全体的に分散させた電極構造を提案することである。また、本発明の目的は、前記電極構造を実現するために、金属微粒子を主成分としたペーストの中に半導体微粒子を混合分散させた電極ペーストを提供し、半導体の表面に前記電極ペーストを所定形状に塗着して電極パターンを形成し、この電極パターンを焼成することによって半導体微粒子を全体に分散させた電極を形成する電極形成方法を提供することである。その結果、半導体微粒子が全体的に分散された電極が半導体表面に形成されるから、電極と半導体表面の間に形成されるショットキー障壁を緩和して接触抵抗を低減することに成功したものであり、半導体装置の電気的特性を効率化することに成功した。
本発明の第1の形態は、半導体の表面に電極を形成するための電極ペーストであり、金属微粒子を主成分とし、更に半導体微粒子を配合した電極ペーストである。
本発明の第2の形態は、前記半導体が太陽電池であり、前記太陽電池の表面に電極を形成する太陽電池用電極ペーストとして使用する電極ペーストである。
本発明の第3の形態は、前記半導体微粒子としてIII−V属化合物半導体の微粒子を使用する電極ペーストである。
本発明の第4の形態は、前記半導体微粒子としてIV属型半導体の微粒子を使用する電極ペーストである。
本発明の第5の形態は、前記金属微粒子として銀微粒子を使用する電極ペーストである。
本発明の第6の形態は、前記太陽電池の受光面側がIV属型半導体にIII属又はV属の特定元素を添加してp型半導体又はn型半導体に形成されているとき、前記電極ペーストに前記受光面側に添加された前記特定元素及び/又は前記特定元素と同族元素を更に追加成分として配合した電極ペーストである。
本発明の第7の形態は、前記太陽電池の受光面側がIII属の特定元素の注入によりp型半導体に形成されているとき、前記電極ペーストに更にアルミニウム微粒子が配合される電極ペーストである。
本発明の第8の形態は、第1〜第7形態のいずれかの電極ペーストを半導体の表面に塗着して電極パターンを形成し、前記電極パターンを焼成して前記金属微粒子により電極を形成し、前記焼成により前記半導体微粒子を前記電極の内部に全体的に分散して配置させる電極形成方法である。
本発明の第9の形態は、請求項2〜7のいずれかの電極ペーストを太陽電池の受光面側及び/又は非受光面側に塗着して受光面側電極パターン及び/又は非受光面側電極パターンを形成し、前記受光面側電極パターン及び/又は非受光面側電極パターンを焼成して前記金属微粒子により受光面側電極及び/又は非受光面側電極を形成し、前記焼成により前記半導体微粒子を前記受光面側電極及び/又は前記非受光面側電極の内部に全体的に分散して配置させる電極形成方法である。
本発明の第10の形態は、表面に電極が形成された半導体であり、前記電極の内部に半導体微粒子が全体的に分散して配置されている電極構造である。
本発明の第11の形態は、前記半導体が太陽電池であり、前記電極が受光面側電極及び/又は非受光面側電極であるときに、前記受光面側電極及び/又は前記非受光面側電極の内部に前記半導体微粒子が全体的に分散して配置されている電極構造である。
本発明の第1の形態によれば、半導体の表面に電極を形成するための電極ペーストであり、金属微粒子を主成分とし、更に半導体微粒子を配合した電極ペーストを提供できる。
前述したように、金属と半導体の界面にはショットキー障壁が形成され、障壁幅と障壁高さにより界面に接触抵抗が生じる。半導体表面に電極を形成する従来の電極ペーストは、金属微粒子と有機ビヒクルから構成され、焼成により半導体表面に金属微粒子が焼結した電極が形成される。このような従来の電極ペーストでは、電極と半導体の界面に前述したショットキー障壁が形成され、接触抵抗が大きくなって電導性を低下させる。
そこで、本第1形態では、金属微粒子を主成分とする電極ペーストの中に半導体微粒子を配合し、焼成により金属微粒子の金属焼結体又は金属溶融固化体からなる電極の内部に半導体微粒子を全体的に分散状に配置する。本発明者は、電極と半導体の界面に生じたショットキー障壁は、電極内部の全体に分散した半導体微粒子の存在により緩和され、結果的に接触抵抗の低減を促進すると考えた。そしてTLM法(伝送長法、Transfer Length Method)により接触抵抗が有効に低減していることを確認し、本発明を完成するに至った。但し、ショットキー障壁が理論的にどのように緩和されるかについては、現状では定かではない。
半導体微粒子の含量m(g)の添加率rは、金属微粒子の含量M(g)に対し0mass%より大きく10mass%以下が好ましい。即ち、r=m/M×100(mass%)としたとき、0mass%<r≦10mass%である。ショットキー障壁の緩和効果は添加率rが0mass%より大きければ効果が有り、10mass%を超えると半導体含量が大きくなり過ぎて効果が無くなるからである。
金属微粒子の元素としては、Ni、Cu、Au、Ge、Ag、Al等が利用でき、半導体との接合性や電気抵抗、酸化耐性、融点その他の特性に応じて選択される。半導体粒子としては、IV属型半導体、III−V属化合物半導体、II−VI属化合物半導体、その他の化合物半導体から適宜選択される。特に、半導体表面と電極間の接触抵抗を低減するために、半導体表面を有する半導体の種類との整合性も判断される。
本発明の第2の形態によれば、前記半導体が太陽電池であり、前記太陽電池の表面に電極を形成する太陽電池用電極ペーストとして使用する電極ペーストを提供することができる。
一般に、太陽電池は、p型半導体とn型半導体を積層した構造を有している。p型半導体は半導体にIII属(B、Al、Ga、In、Tlのいずれか)から選択された特定元素を追加成分として添加して構成され、n型半導体は半導体にV属(N、P、As、Sb、Biのいずれか)から選択された特定元素を追加成分として添加して構成されている。
p型半導体表面に塗着される電極ペーストには、半導体微粒子だけを配合してもよいし、半導体微粒子と共にIII属の特定元素の追加成分を配合してもよいし、半導体微粒子と共に前記特定元素とは異なるIII属の同族元素の追加成分を配合してもよい。例えば特定元素がBの場合には、追加成分はBでも良いし、又はIII族のAl、Ga、In、Tlでもよい。電極ペーストを所定形状に塗着した電極パターンを焼成した場合に、電極ペーストからIII属元素がp型半導体の内部に拡散してもp型半導体のp型特性に影響を与え難いからである。
n型半導体表面に塗着される電極ペーストには、半導体微粒子だけを配合してもよいし、半導体微粒子と共にV属の特定元素の追加成分を配合してもよいし、半導体微粒子と共に特定元素とは異なるV属の同族元素の追加成分を配合してもよい。例えば特定元素がBiの場合には、追加成分はBiでも良いし、また追加成分はV族のN、P、As、Sbでもよい。電極ペーストを所定形状に塗着した電極パターンを焼成した場合に、電極ペーストからV属元素がn型半導体の内部に拡散してもn型半導体のn型特性に影響を与え難いからである。
本発明の第3の形態によれば、前記半導体微粒子としてIII−V属化合物半導体の微粒子を使用する電極ペーストを提供することができる。
III−V属化合物半導体とは、III属元素(B、Al、Ga、In、Tl)とV属元素(N、P、As、Sb、Bi)を組み合わせて構成される半導体で、例えばBN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaSb、InP、InN、InAs、InSb等の二元系半導体や、AlInAs、AlInP、AlGaP、AlGaAs、GaInAs、GaInP等の三元系半導体や、AlInAsP、AlGaInP、AlGaInAs、AlGaAsP、GaInAsP等の四元系半導体や、AlGaInAsP等の五元系半導体が利用できる。半導体微粒子の特性としては、金属微粒子と相溶性を有し、ギャップエネルギーEgが小さいことが有利で、融点が1000℃以下、ギャップエネルギーEgが1eV以下が好ましい。特に、融点とEgの観点から、GaAs(710℃、0.70eV)、InN(約500℃、0.70eV)、InAs(943℃、0.36eV)、InSb(525℃、0.17eV)が好適である。
本発明の第4の形態によれば、前記半導体微粒子としてIV属型半導体の微粒子を使用する電極ペーストを提供できる。
IV属型半導体としては、融点(℃)とギャップエネルギーEg(eV)と共に記載すると、Si(1414℃、1.11eV)、Ge(938℃、0.67eV)、Sn(232℃、0.1eV(αSnの場合))、Pb(328℃)がある。金属微粒子と相溶性を有し、ギャップエネルギーEgが小さいことが有利で、融点が1000℃以下、ギャップエネルギーEgが1eV以下が好ましい。特に、融点とEgの観点から、Ge、Sn、Pbが好ましい。また、Pbは特殊な性質を有するから、特に、Ge、Snが好適である。
本発明の第5の形態によれば、前記金属微粒子として銀微粒子を使用する電極ペーストを提供することができる。前述したように、金属微粒子としては、Ni、Cu、Au、Ge、Ag、Al等の広範囲の金属が利用できる。特に、融点と耐酸化性と半導体微粒子との相溶性の観点からAgが好適である。後述するが、AgはInSbやSnといった半導体微粒子と相図において液相を有することが証明されており、Ag微粒子が特に好適である。
本発明の第6の形態によれば、前記太陽電池の受光面側がIV属型半導体にIII属又はV属の特定元素を添加してp型半導体又はn型半導体に形成されているとき、前記電極ペーストに前記受光面側に添加された前記特定元素及び/又は前記特定元素と同族元素を更に追加成分として配合した電極ペーストを提供することができる。
本形態を具体的に説明すると、太陽電池の受光面側がp型半導体で、IV属型半導体(Si、Ge、Sn、Pb)にIII属(B、Al、Ga、In、Tl)の特定元素(例えばBと仮定)を添加している場合には、電極ペーストに前記特定元素(このときはB)や同族元素(Al、Ga、In、Tl)を追加成分として配合してもよいということである。また、太陽電池の受光面側がn型半導体で、IV属型半導体(Si、Ge、Sn、Pb)にV属(N、P、As、Sb、Bi)の特定元素(例えばBiと仮定)を添加している場合には、電極ペーストに前記特定元素(このときはBi)や同族元素(N、P、As、Sb)を追加成分として配合してもよいということである。
その理由は以下の通りである。p型半導体の表面に形成される電極の構造として、単に半導体微粒子を分散させるだけでなく、p型半導体特性に近似させるためにp型成分、即ちIII属元素を配合させた方が、ショットキー障壁の緩和作用が強力になると考えたからである。同様に、n型半導体の表面に形成される電極の構造として、単に半導体微粒子を分散させるだけでなく、n型半導体特性に近似させるためにn型成分、即ちV属元素を配合させた方が、ショットキー障壁の緩和作用が強力になると考えた次第である。
また、追加成分は電極の内部に広く原子状に分散させることが望ましいから、III属元素又はV属元素の有機物が好ましい。電極パターンを焼成すると、有機成分が気散してIII属元素又はV属元素だけが電極の内部に原子状態で全体的に分散させることが可能になる。
本発明の第7の形態によれば、前記太陽電池の受光面側がIII属の特定元素の注入によりp型半導体に形成されているとき、前記電極ペーストに更にアルミニウム微粒子が配合される電極ペーストを提供することができる。III属の中で、Al、Ga、In、Tlは金属であるが、その中でもAlは融点が660℃で他元素と比較して安価な金属であり、Cu、Au、Ge、Ag等の電極金属より融点が低く相溶性が高い。従って、Alを電極ペーストに配合することによって、主たる電極金属であるAg、Ag等の高価な金属量を低減でき、Al自体がIII属であるからp型半導体の中に拡散してもp型特性への影響が少ないという利点がある。
本発明の第8の形態によれば、第1〜第7形態の電極ペーストを半導体の表面に塗着して電極パターンを形成し、前記電極パターンを焼成して前記金属微粒子により電極を形成し、前記焼成により前記半導体微粒子を前記電極の内部に全体的に分散して配置させる電極形成方法を提供できる。
電極ペーストには、金属微粒子の主成分と、半導体微粒子が混合状態で分散されている。この電極ペーストを半導体の表面に所定形状に塗着すれば、金属微粒子と半導体微粒子が全体的に分散した電極パターンが形成される。半導体の全体を焼成炉に配置して焼成すると、有機成分が気散し、金属微粒子と半導体微粒子が相溶状態で固結し、又は金属微粒子と半導体微粒子が表面融解して焼結して電極が形成される。完成した電極の中には半導体微粒子が全体的に分散状に配置されている。従って、半導体と電極の界面に発生するショットキー障壁が電極内部に全体分散した半導体微粒子により緩和され、本発明が目的とする電極構造が構成されることができる。
本発明の第9の形態によれば、請求項2〜7のいずれかの電極ペーストを太陽電池の受光面側及び/又は非受光面側に塗着して受光面側電極パターン及び/又は非受光面側電極パターンを形成し、前記受光面側電極パターン及び/又は非受光面側電極パターンを焼成して前記金属微粒子により受光面側電極及び/又は非受光面側電極を形成し、前記焼成により前記半導体微粒子を前記受光面側電極及び/又は前記非受光面側電極の内部に全体的に分散して配置させる電極形成方法を提供することができる。
本形態は、電極ペーストが太陽電池用電極ペーストの場合に適用される。具体的に説明すると、電極ペーストを太陽電池の受光面側に所定パターンに塗着して受光面側電極パターンを形成する。この受光面側電極パターンを焼成炉の中で焼成すると、金属微粒子と半導体微粒子が相溶して固結し、又は表面融解して焼結し、半導体微粒子が全体に分散した受光面側電極が形成される。また、電極ペーストを太陽電池のひ非受光面側に所定パターンに塗着して非受光面側電極パターンを形成する。この非受光面側電極パターンを焼成炉の中で焼成すると、金属微粒子と半導体微粒子が相溶して固結し、又は表面融解して焼結し、半導体微粒子が全体に分散した非受光面側電極が形成される。
受光面側がp型半導体の場合には、電極ペーストにIII属の特定元素やその同族元素、Alを添加して受光面側電極を形成してもよく、このときは非受光面側がn型半導体であるから、電極ペーストにV属の特定元素や同族元素を添加した電極ペーストを非受光面側に塗着して非受光面側電極を形成する。
また、受光面側がn型半導体の場合には、電極ペーストにV属の特定元素やその同族元素を添加して受光面側電極を形成してもよく、このときは非受光面側がp型半導体であるから、電極ペーストにIII属の特定元素や同族元素、Alを添加した電極ペーストを非受光面側に塗着して非受光面側電極を形成する。
更に、電極ペーストに金属微粒子と半導体微粒子を配合して、Alや特定元素、その同族元素を配合しなければ、p型半導体やn型半導体を区別することなく、この電極ペーストは受光面側にも非受光面側にも適用でき、受光面側電極パターンと非受光面側電極パターンを同時に形成でき、焼成により受光面側電極と非受光面側電極の両者を同時に形成することが可能になる。
本発明の第10の形態によれば、表面に電極が形成された半導体であり、前記電極の内部に半導体微粒子が全体的に分散して配置されている電極構造である。
前述したように、従来の特許文献には、半導体微粒子が内部に分散した電極構造は存在しない。半導体表面に形成された電極であって半導体微粒子が内部全体に分散した電極構造は極めて新規である。しかも、半導体と電極の界面におけるショットキー障壁を半導体微粒子が緩和し、緩和自体の理論は不明であるが、現実に半導体と電極の間の接触抵抗が低減することを本発明者が初めて発見したものであり、電極構造が高度の進歩性を有することは明白である。半導体には、太陽電池や、太陽電池以外の一般の半導体が包含される。
本発明の第11の形態によれば、前記半導体が太陽電池であり、前記電極が受光面側電極及び/又は非受光面側電極であるときに、前記受光面側電極及び/又は前記非受光面側電極の内部に前記半導体微粒子が全体的に分散して配置されている電極構造を提供できる。
半導体が太陽電池であるとき、受光面側電極と非受光面側電極の両方が存在する。本形態では、受光面側電極だけに、非受光面側電極だけに、又は受光面側電極と非受光面側電極の両方に半導体微粒子が全体的に分散して配置される電極構造が提供される。半導体表面と電極の界面にはショットキー障壁が形成されるが、前記受光面側電極及び/又は前記非受光面側電極の内部に前記半導体微粒子を全体的に分散すると、前記ショットキー障壁が緩和され、電極と半導体表面の間における接触抵抗が低減する減少が、本発明者により初めて発見された。この事実は極めて新規性を有し、且つ高度の進歩性を有することが明白である。
本発明に係る電極構造を有した半導体装置の縦断面図である。 本発明に係る電極構造を有した太陽電池装置からなる半導体装置の縦断面図である。 本発明に係る電極ペーストの実施形態としてAg微粒子とInSbからなる半導体微粒子の混合物の電極ペーストの相図。 本発明に係るAg微粒子とInSb微粒子からなる電極ペースト(実施例1〜4)を塗着焼成した電極と半導体表面との間の接触抵抗の測定図。 図4の実施例4(InSb3.0%)により形成された電極の表面と断面のSEM図。 本発明に係る電極ペーストの実施形態としてAg微粒子とSnからなる半導体微粒子の混合物の電極ペーストの相図。 本発明に係るAg微粒子とSn微粒子からなる電極ペースト(実施例5〜7)を塗着焼成した電極と半導体表面との間の接触抵抗の測定図。 図7の実施例7(Sn0.9%)により形成された電極の表面と断面のSEM図。 従来技術である特許文献1(特開2011−108514)に記載された色素増感太陽電池素子の概略断面図。 従来技術である特許文献2(特開2013−16787)に記載された太陽電池の概略断面図。 従来技術である特許文献3(特開2011−129925)に記載された太陽電池モジュールの概略断面図。 従来技術である特許文献4(特開2012−231154)に記載された発光デバイスの概略断面図。 従来技術である特許文献5(特開平06−104504)に記載された半導体薄膜磁気抵抗素子の概略断面図。
以下に、本発明に係る電極ペースト、電極形成方法及び電極構造の実施形態及び実施例を図面及び表を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電極構造を有した半導体装置の縦断面図である。半導体装置1は半導体2と電極4、5から構成され、電極4、5は半導体表面3の上に接合して形成されている。電極4、5は金属を主成分として構成され、電極4、5の内部には半導体微粒子4a、5aが全体に分散して配置されている。電極4、5は半導体2に電圧を印加したり、半導体を流れる電流を導出したり、半導体に電流を導入するために設けられている。上述したように、本発明の特徴は、電極4、5の内部に半導体微粒子4a、5aを全体に分散して配置している点にある。
半導体2と金属からなる電極4、5とが接触する界面には、通常ショットキー障壁が形成され、このショットキー障壁は界面を通過する電子などの荷電粒子に対し電気的な抵抗になることが知られている。この場合には、半導体と電極の間に電気的な接触抵抗が発生し、大きな接触抵抗は電気的特性を阻害する要因になる。この接触抵抗を低減させることが本発明の目的である。本発明者は長年の技術経験の感から、電極4、5の中に半導体微粒子を全体的に分散配置すれば、ショットキー障壁が緩和され、接触抵抗が小さくなるのでは、と考えた。その理論的根拠については詰め切れていないが、実験的に確認することが技術者としての前提であり、接触抵抗の減少を実験的に確認した結果、本願発明を提案するに至ったのである。
金属微粒子と、半導体微粒子と有機ビヒクルを混錬して電極ペーストを形成すると、電極ペーストの中に半導体微粒子が全体的に分散して混入する。この電極ペーストを半導体表面に塗着して電極ペーストパターンを形成し、この電極ペーストパターンを焼成すると、金属微粒子が焼結又は溶融して電極が形成され、しかも半導体微粒子が全体的に分散配置された電極が形成される。焼成温度により、半導体微粒子が金属微粒子と表面融解して粒子状態で焼結する場合もあれば、半導体微粒子と金属微粒子が相溶して電極形成される場合があるが、どちらにおいても半導体微粒子が電極の内部に全体的に分散配置されることに変わりは無い。いずれにしても、本発明では、半導体微粒子が電極の内部に全体的に分散して配置されることが重要である。
図2は、本発明に係る電極構造を有した太陽電池装置からなる半導体装置の縦断面図である。半導体装置1には種々の装置が存在するが、図2では半導体装置1が太陽電池装置の場合を示している。半導体2はp型半導体2pとn型半導体2nの接合した状態で構成されている。半導体2の受光面9には、光8の反射を防止する反射防止膜7が成膜されている。半導体表面としてはp型半導体表面3pとn型半導体表面3nが存在するが、図2の実施形態では、前記受光面9はp型半導体表面3pに設定されている。p型半導体表面3pである受光面9には、電極4、4が電気的に接触して接合されている。また、n型半導体表面3nには電極5が電気的に接触して接合されている。これらの電極4、5の内部には半導体微粒子4a、5aが全体的に分散して配置されている。
配置状態については、図1で説明したことがそのまま適用されるので、ここでは反復して述べない。また、図2ではp型半導体表面3pを受光面9として選んだが、n型半導体表面3nを受光面9として選んでもよいことは云うまでもない。
表1は、電極金属の種類と融点を示している。電極を形成する金属微粒子の材料には種々の金属種が使用できるが、表1はその代表例を示し、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Au(金)、Ge(ゲルマニウム)、Ag(銀)、Al(アルミニウム)が使用できる。融点はバルク状態の金属の融点を示しており、本発明では金属微粒子が使用されるから、粒径が減少するに従って、表の値よりも融点は減少して行く。例えばAgでは、バルクの融点は961℃であるが、粒径がnmオーダーになると200℃位で融解し、融点の温度依存性が知られている。この性質は金属を含む物質一般に共通である。従って、バルク融点が1455℃のNiであっても、粒径を小さくすると融点が1000℃位になるのは当然である。また、電極金属の緻密化のためには焼成時に金属微粒子が溶融した方がよいので、小さな粒径を選択する方がよいと考えられる。
表2には、半導体微粒子を構成する元素が示されている。IV属元素は真正半導体とも呼ばれ、それ自体で半導体になり、又は半導体的物性を有し、C、Si、Ge、Sn、Pbの各物質はIV属半導体と云われる。例えば、SiとGeを合金化しても半導体になり、C、Si、Ge、Sn、Pbの2種以上を使用したIV−IV属化合物半導体もIV属半導体を構成する。
表2で、InSnやGaP等のように、III属元素(B、Al、Ga、In、Tl)とV属元素(N、P、As、Sb、Bi)を組み合わせて構成される合金類もIII−V属化合物半導体として半導体を構成する。また、ZnSやPbSe等のように、II属元素(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd)とVI属元素(O、S、Se、Te、Po)を組み合わせて構成される合金類もIII−V属化合物半導体として半導体を構成する。以上から分かるように、種々の元素を組み合わせた合金又は相溶体で半導体的性質を有するものは、本発明の半導体微粒子の材料として利用できる。
表3には、IV属型半導体の具体例とそのバルク状の融点(℃)とギャップエネルギーEg(eV)が示されている。具体的には、Si(1414℃、1.11eV)、Ge(938℃、0.67eV)、Sn(232℃、αSnでは0.1eV)、Pb(328℃)である。αSnはギャップエネルギーが0.1eVである。SnとPbは室温でも金属特性を有する金属である。これらの真正半導体は本発明の半導体微粒子に適用できる。IV−IV属化合物半導体の場合には、CSn、CGe、CSn,CPb,SiSn,SiPb,GeSn,GePb等の種々の物質が有り、本発明の半導体微粒子に適用できる。
表4には、III−V属化合物半導体の例とその融点(℃)及びギャップエネルギーEg(eV)が示されている。具体例として、BN(2967℃、6.4eV以上)、AlP(2550℃、2.45eV)、AlAs(1740℃、2.16eV)、AlSb(1050℃、1.6eV)、GaAs(1238℃、1.43eV)、GaSb(710℃、0.70eV)、InP(1062℃、1.35eV)、InN(約500℃、0.70eV)、InAs(943℃、0.36eV)、InSb(525℃、0.17eV)がある。特に、融点が1000℃以下で、ギャップエネルギーEgが1eV以下の半導体が本発明の半導体微粒子の材料として好適である。その理由はそれらの条件の半導体を電極内に全体分散させると、金属−半導体界面のショットキー障壁を緩和し易いと考えられ、しかも焼成時に半導体微粒子と金属微粒子の焼結特性や溶融特性を好適化できると考えるからである。従って、表4の中では、融点が1000℃以下で、ギャップエネルギーEgが1eV以下の半導体として、GaSb、InN、InAs、InSbが選択され、特に好適と考える。しかし、この条件に限らず、III−V属化合物半導体は、本発明の半導体微粒子として使用可能と考える。
表5には、II−VI属化合物半導体の例とその融点(℃)及びギャップエネルギーEg(eV)が示されている。具体例として、BeO(2570℃、10.6eV)、ZnO(1975℃、3.37eV)、ZnS(1185℃、3.6eV)、ZnSe(1525℃、2.7eV)、ZnTe(1296℃、2.25eV)、CdS(100気圧で1750℃、2.42eV)、CdSe(1350℃、1.73eV)、CdTe(1092℃、1.49eV)、PbS(1114℃、0.37eV)、PbSe(1065℃、0.27eV)、PbTe(905℃、0.29eV)、CuO(1201℃、1.2eV)、CuO(1235℃、2.1eV)がある。特に、融点が1000℃以下で、ギャップエネルギーEgが1eV以下の半導体が本発明の半導体微粒子の材料として好適である。その理由はそれらの条件の半導体を電極内に全体分散させると、金属−半導体界面のショットキー障壁を緩和し易いと考えられ、しかも焼成時に半導体微粒子と金属微粒子の焼結特性や溶融特性を好適化できると考えるからである。従って、表5の中では、融点が1000℃以下で、ギャップエネルギーEgが1eV以下の半導体として、PbS、PbSe、PbTeが選択され、特に好適と考える。しかし、この条件に限らず、II−VI属化合物半導体は、本発明の半導体微粒子として使用可能と考える。
表6には、半導体用の電極ペーストの組成(InSb)が示されている。この表6では、電極の内部に全体的に分散される半導体粒子として、III−V属化合物半導体の一例が示され、特に好適な半導体粒子であるInSbが使用される場合を説明している。勿論、InSbと異なる他のIII−V属化合物半導体が使用されてもよい。表4からも分かる様に、InSbは融点が525℃とかなり低く、ギャップエネルギーEgが0.17eVと小さいことが特徴である。
ギャップエネルギーEgが0.17eVと極端に低いから、電極中にInSb粒子が全体的に分散しても、ショットキー障壁を効率的に緩和すると考えられる。また、InSbの融点は525℃と低温であり、ペーストの焼成温度は通常700℃〜900℃の範囲であるから、ペーストを焼成するときにInSbは溶融され、焼成時に表面融解した金属微粒子の表面に融解して合金状態を形成し易いと考えられる。また、融点が低い金属微粒子は焼成中に溶融され、溶融した金属微粒子とInSb微粒子が相互に合金になり、緻密な電極が形成される。
しかも、後述するように、バルク融点が525℃のInSbとバルク融点が961℃と高いAgとは、相図において相溶した液体相が存在し、相互に合金を形成し易い性質を有する。
表6に示されるように、AgとInSbを使用した電極ペーストの例として、金属微粒子としてAg微粒子は0.5μm〜8μmの粒径範囲且つ60mass%〜90mass%の質量範囲で配合され、半導体微粒子としてInSb微粒子は0.5μm〜10μmの粒径範囲且つAg微粒子に対し0.05mass%〜5mass%の質量範囲で配合され、ガラスフリットとしてPbガラスは0.5μm〜10μmの粒径範囲且つ2mass%〜10mass%の質量範囲で配合され、残量は有機ビヒクルが配合されて、ペースト全体で100mass%となる。
更にmass%を明確にするために、本明細書において、電極ペーストは、金属微粒子と半導体微粒子とガラスフリットと有機ビヒクルを合わせて、全体は100mass%に設定される。但し、半導体微粒子のmass%だけは、金属微粒子の含量を100mass%と仮定したときに、金属微粒子含量に対する添加率で表現される。例えば、電極ペースト中のAg含量が80mass%で、半導体含量が0.5mass%と表示されるとき、ペーストを100mass%として実際の半導体含量は、80mass%×0.005=0.4mass%になる。即ち、ペースト100gとすると、Ag含量は80g、半導体含量は80g×0.005=0.4gとなる。この計算方式は明細書の全体を通じて適用される。
表7には、半導体用の電極ペーストの他の組成(Sn)が示されている。この表7では、電極の内部に全体的に分散される半導体粒子として、IV属型半導体の一例が示され、特に好適な半導体微粒子であるSnが使用される場合を説明している。Snと異なる他のIV属型半導体が使用されてもよい。表3からも分かる様に、Snは融点が232℃とかなり低く、ギャップエネルギーEgが0.1eV(αSnの場合)と小さいことが特徴である。
ギャップエネルギーEgが0.1eVと極端に低いから、電極中にSn微粒子が全体的に分散すると、ショットキー障壁を効率的に緩和すると考えられる。また、Snの融点は232℃であり、InSbと比較してもかなり低温である。ペーストの焼成温度は通常700℃〜900℃の範囲であるから、ペーストを焼成するときにSnは溶融され、焼成過程で表面融解した金属微粒子の表面に融解して合金状態を形成すると考えられる。また、融点が低い金属微粒子は焼成中に溶融され、溶融した金属微粒子とSn微粒子が相溶して相互に合金になり、緻密な電極を形成することができる。
しかも、後述するように、バルク融点が232℃のSnとバルク融点が961℃と高いAgとは、相図において相溶した液体相が存在し、相互に合金を形成し易い性質を有する。
表7に示されるように、AgとSnを使用した電極ペーストの例として、金属微粒子としてAg微粒子は0.5μm〜8μmの粒径範囲且つ60mass%〜90mass%の質量範囲で配合され、半導体微粒子としてSn微粒子は0.5μm〜10μmの粒径範囲且つAg微粒子に対し0.05mass%〜5mass%の質量範囲で配合され、ガラスフリットとしてPbガラスは0.5μm〜10μmの粒径範囲且つ2mass%〜10mass%の質量範囲で配合され、残量は有機ビヒクルが配合されて、ペースト全体で100mass%となる。
半導体微粒子であるSn微粒子の添加率は、InSbの場合と同様に、金属微粒子含量に対するmass%である。
表8には、太陽電池のp型半導体受光面の電極ペーストの組成(InSb)が示されている。即ち、この実施形態の電極ペーストは、p型半導体の表面が受光面であるときにこの受光面に対して塗着される電極ペーストの組成に特化されている。半導体微粒子としてInSb微粒子が使用されるから、表6でInSbに関して説明した特徴を全て有しており、ここでは再記しない。InSbはIII−V属化合物半導体の一例として使用されており、InSbと異なる他のIII−V属化合物半導体が使用されてもよい。
表8に示されるように、AgとInSbを使用した電極ペーストの例として、金属微粒子としてAg微粒子は0.5μm〜8μmの粒径範囲且つ60mass%〜90mass%の質量範囲で配合され、半導体微粒子としてInSb微粒子は0.5μm〜10μmの粒径範囲且つAg微粒子に対し0.05mass%〜5mass%の質量範囲で配合され、ガラスフリットとしてPbガラスは0.5μm〜10μmの粒径範囲且つ2mass%〜10mass%の質量範囲で配合される。また、Al微粒子は3μm〜10μmの粒径範囲且つ1mass%〜5mass%の質量範囲で配合され、有機ビヒクルとして有機ボロンが残量だけ配合され、全成分で100mass%になるように調整される。
半導体微粒子であるInSb微粒子の添加率は、金属微粒子であるAg微粒子の含量に対するmass%であることは云うまでもない。
表8の電極ペーストの特徴は、Al微粒子及び有機ボロンを含有する点である。受光面がp型半導体であるから、III属元素をIV属型半導体に添加してp型半導体に設定している。p型半導体表面にIII属元素であるAlやBを含有した電極ペーストを塗着して焼成した場合に、仮にAlやBがp型半導体の内部に拡散してもp型特性を阻害しない特性を有する。Al微粒子は金属であり、Agを主成分とした電極ペーストの場合、安価なAlを添加することによりAg含有量を低減できるから、金属量を保持しながら電極ペーストを安価に製造できる利点を有する。また有機ボロンを有機ビヒクルとして利用できるから、従来から使用されてきた溶剤と増粘剤の替わりになり、コストダウンを実現できる。
表9には、太陽電池のp型半導体受光面の電極ペーストの組成(Sn)が示されている。即ち、この実施形態の電極ペーストは、p型半導体の表面が受光面であるときにこの受光面に対して塗着される電極ペーストの組成に特化されている。半導体微粒子としてSn微粒子が使用されるから、表7でSnに関して説明した特徴を全て有しており、ここでは再記しない。
表9に示されるように、AgとSnを使用した電極ペーストの例として、金属微粒子としてAg微粒子は0.5μm〜8μmの粒径範囲且つ60mass%〜90mass%の質量範囲で配合され、半導体微粒子としてSn微粒子は0.5μm〜10μmの粒径範囲且つAg微粒子に対し0.05mass%〜5mass%の質量範囲で配合され、ガラスフリットとしてPbガラスは0.5μm〜10μmの粒径範囲且つ2mass%〜10mass%の質量範囲で配合される。また、Al微粒子は3μm〜10μmの粒径範囲且つ1mass%〜5mass%の質量範囲で配合され、有機ビヒクルとして有機ボロンが残量だけ配合され、全成分で100mass%になるように調整される。
半導体微粒子であるSn微粒子の添加率は、金属微粒子であるAg微粒子の含量に対するmass%であることは云うまでもない。
表9の電極ペーストの特徴は、表8と同様に、Al微粒子及び有機ボロンを含有する点である。Al及びBを利用する特徴とその作用効果は表8で説明したことと同様であるから、ここでは再記しない。
表10には、太陽電池のn型半導体受光面の電極ペーストの組成(InSb)が示されている。即ち、この実施形態の電極ペーストは、n型半導体の表面が受光面であるときにこの受光面に対して塗着される電極ペーストの組成に特化されている。半導体微粒子としてInSb微粒子が使用されるから、表6でInSbに関して説明した特徴を全て有しており、ここでは再記しない。InSbはIII−V属化合物半導体の一例として使用されており、InSbと異なる他のIII−V属化合物半導体が使用されてもよい。
表10に示されるように、AgとInSbを使用した電極ペーストの例として、金属微粒子としてAg微粒子は0.5μm〜8μmの粒径範囲且つ60mass%〜90mass%の質量範囲で配合され、半導体微粒子としてInSb微粒子は0.5μm〜10μmの粒径範囲且つAg微粒子に対し0.05mass%〜5mass%の質量範囲で配合され、ガラスフリットとしてPbガラスは0.5μm〜10μmの粒径範囲且つ2mass%〜10mass%の質量範囲で配合される。また、有機ビヒクルとして有機リンが残量だけ配合され、全成分で100mass%になるように調整される。
半導体微粒子であるInSb微粒子の添加率は、金属微粒子であるAg微粒子の含量に対するmass%であることは云うまでもない。
表10の電極ペーストの特徴は、有機ボロンを含有する点である。受光面がn型半導体であるから、V属元素をIV属型半導体に添加してn型半導体に設定している。n型半導体表面にV属元素であるリン(P)を含有した電極ペーストを塗着して焼成した場合に、仮にリン(P)がn型半導体の内部に拡散してもn型特性を阻害しない特性を有する。更に、Ag含量を低減するためにV属の金属元素としてSbやBiを添加してもよい。但し、SbやBiはレアメタルであり、稀少で且つ高価である弱点がある。本形態では、有機リンを有機ビヒクルとして利用できるから、従来から使用されてきた溶剤と増粘剤の替わりになり、コストダウンを実現できる。
表11には、太陽電池のn型半導体受光面の電極ペーストの組成(Sn)が示されている。即ち、この実施形態の電極ペーストは、n型半導体の表面が受光面であるときにこの受光面に対して塗着される電極ペーストの組成に特化されている。半導体微粒子としてSn微粒子が使用されるから、表7でSnに関して説明した特徴を全て有しており、ここでは再記しない。
表11に示されるように、AgとSnを使用した電極ペーストの例として、金属微粒子としてAg微粒子は0.5μm〜8μmの粒径範囲且つ60mass%〜90mass%の質量範囲で配合され、半導体微粒子としてSn微粒子は0.5μm〜10μmの粒径範囲且つAg微粒子に対し0.05mass%〜5mass%の質量範囲で配合され、ガラスフリットとしてPbガラスは0.5μm〜10μmの粒径範囲且つ2mass%〜10mass%の質量範囲で配合される。また、有機ビヒクルとして有機リンが残量だけ配合され、全成分で100mass%になるように調整される。
半導体微粒子であるSn微粒子の添加率は、金属微粒子であるAg微粒子の含量に対するmass%であることは云うまでもない。
表11の電極ペーストの特徴は、表10と同様に、有機リンを含有する点である。リン(P)を利用する特徴とその作用効果は表10で説明したことと同様であるから、ここでは再記しない。
[実施例1〜4:p型半導体受光面用のInSbを含んだ電極ペースト]
実施例1〜4では、太陽電池のp型半導体受光面に使用するInSbを含有した電極ペーストに関し、InSbの添加率を4段階に変えて作成した4種の電極ペーストを試作し、太陽電池のp型半導体受光面に焼成により電極を形成した。電極とp型半導体受光面との間の接触抵抗をTLM法により測定し、接触抵抗の低減を確認した。その詳細について以下に説明する。
表12は、実施例1〜4として、太陽電池のp型半導体受光面の電極ペースト(InSb)の一覧表である。実施例1〜4の電極ペーストには、金属微粒子として粒径が1.5μmのAg微粒子が83mass%だけ含有され、半導体微粒子として粒径が5μmのInSb微粒子が4段階の添加率で含有されている。添加率はAg微粒子に対し0.75mass%(実施例1)、1.5mass%(実施例2)、3.0mass%(実施例3)、3.5mass%(実施例4)の4段階で変えられ、InSbが添加されていない電極ペーストは比較例1として示されている。換言すると、電極ペースト中での含有率は、実施例1では83mass%×0.0075=0.62mass%、実施例2では83mass%×0.015=1.24mass%、実施例3では83mass%×0.030=2.48mass%、実施例4では83mass%×0.035=2.90mass%になる。粒径が6μmのAl微粒子は1.7mass%、ガラスフリットとして粒径が3μmのPbガラスが5.8mass%、有機ビヒクルとして有機ボロンが残量であり、電極ペーストの全体は100mass%になる。
図3は、本発明に係る電極ペーストの実施形態としてAg微粒子とInSbからなる半導体微粒子の混合物の相図である。実施例1〜実施例4の電極ペーストをp型半導体受光面に塗着し、焼成して電極を形成したときに、AgとInSbとの相溶性と合金化の考察に利用される。図3において、Lで表示された斜線の領域がAgとInSbが混合状態で相溶した液体相を表している。横軸はAgの原子組成百分率(at%)であり、縦軸は温度を表している。銀含有率が増加するほど液体相(L)の温度は高くなる傾向にあるが、焼成温度が高温になる程、AgとInSbとの混合物が相溶して液体相を形成する可能性は高くなることが分かる。例えば、焼成温度を800℃と仮定すると、800℃までの昇温過程の途中でAgとInSbとが相溶して液体相を形成すれば、冷却したときにAgとInSbとが合金を形成すると考えられる。しかも、液体中では全成分が均一に混合されるから、最終的に形成される電極の中で、半導体微粒子であるInSbが全体に均一に分散することができる。本発明者は、InSbが電極内部で全体的に均一分散するほど、InSbによるショットキー障壁の緩和効果が強くなると考えている。
図4は、実施例1〜4の電極ペーストをp型半導体受光面に塗着焼成して作成された電極とp型半導体受光面との間の接触抵抗の測定結果図である。接触抵抗の測定は、金属・半導体の界面の接触抵抗測定法であるTLM法で実施された。横軸は電極の焼成温度(℃)であり、縦軸はTLM法で得られる接触抵抗(Ω)である。実施例1は0.75%、実施例2は1.5%、実施例3は3.0%、実施例4は3.5%、比較例1は「添加なし」で示されている。焼成温度は755℃、770℃、785℃、800℃の4段階で電極を作成し、各焼成温度毎に接触抵抗を測定した。「添加なし」と比較して接触抵抗が小さくなっているかどうかが判断基準である。
0.75%(実施例1)、3.0%(実施例3)、3.5%(実施例4)では、全焼成温度で「添加なし」(比較例1)と対比して接触抵抗が低下していることが分かった。また、1.5%(実施例2)でも770℃と800℃の焼成温度では「添加なし」(比較例1)と対比して接触抵抗が低下していることが分かった。従って、InSbの添加率が0.75%〜3.5%の範囲で、InSbの添加によって接触抵抗が低下することが実験的に証明された。この様に、InSbの半導体微粒子を電極の内部に全体的に分散させることにより、電極と半導体表面との間の接触抵抗が低下することが実証された。この実験事実から、半導体微粒子を電極内部に分散させると、ショットキー障壁が緩和されることが分かった。現在の段階では理論的な説明は不十分であるが、今のところ本発明者はショットキー障壁の緩和だと考えているが、他の理論的説明が有るかもしれない。しかし、接触抵抗の低下の実験的事実は動かないと考えている。
図5は、図4の実施例4(InSb3.5%)により770℃で焼成された電極の表面と断面のSEM図である。図5の中で、2.5Kは倍率が2500倍、5Kは倍率が5000倍を示し、SEM図は走査型電子顕微鏡により得られた。表面像は電極表面の状態を示し、断面像は電極を切断した切断面の状態を示している。これら表面像及び断面像から電極には多くの孔が見られ、金属微粒子とInSbの半導体微粒子は表面融解により相互に焼結していると判断される。また、Ag微粒子とInSb微粒子が完全溶融している場合には孔が少ない緻密構造を呈すると考えられるから、770℃の焼成では表面溶融により電極が形成されると判断する。しかし、焼成温度を更に高温にすると、完全溶融により電極構造は孔の少ない緻密構造になると考える。
[実施例5〜7:p型半導体受光面用のSnを含んだ電極ペースト]
実施例5〜7では、太陽電池のp型半導体受光面に使用するSnを含有した電極ペーストに関し、Snの添加率を3段階に変えて作成した3種の電極ペーストを試作し、太陽電池のp型半導体受光面に焼成により電極を形成した。電極とp型半導体受光面との間の接触抵抗をTLM法により測定し、接触抵抗の低減を確認した。その詳細について以下に説明する。
表13は、実施例5〜7として、太陽電池のp型半導体受光面の電極ペースト(Sn)の一覧表である。実施例5〜7の電極ペーストには、金属微粒子として粒径が1.5μmのAg微粒子が83mass%だけ含有され、半導体微粒子として粒径が5μmのSn微粒子が3段階の添加率で含有されている。添加率はAg微粒子に対し0.3mass%(実施例5)、0.6mass%(実施例6)、0.9mass%(実施例7)の3段階で変えられ、Snが添加されていない電極ペーストは比較例2として示されている。換言すると、電極ペースト中での含有率は、実施例5では83mass%×0.003=0.25mass%、実施例6では83mass%×0.006=0.50mass%、実施例7では83mass%×0.009=0.75mass%になる。粒径が6μmのAl微粒子は1.7mass%、ガラスフリットとして粒径が3μmのPbガラスが5.8mass%、有機ビヒクルとして有機ボロンが残量であり、電極ペーストの全体は100mass%になる。
図6は、本発明に係る電極ペーストの実施形態としてAg微粒子とSnからなる半導体微粒子の混合物の相図である。実施例5〜実施例7の電極ペーストをp型半導体受光面に塗着し、焼成して電極を形成したときに、AgとSnとの相溶性と合金化の考察に利用される。図6において、Liquidで表示された斜線の領域がAgとSnが混合状態で相溶した液体相を表している。横軸はAgの原子組成百分率(at%)であり、縦軸は温度を表している。銀含有率が増加するほど液体相(Liquid)の温度は高くなる傾向にあるが、焼成温度が高温になる程、AgとSnとの混合物が相溶して液体相を形成する可能性は高くなることが分かる。例えば、焼成温度を800℃と仮定すると、800℃までの昇温過程の途中でAgとSnとが相溶して液体相を形成すれば、冷却したときにAgとSnとが合金を形成すると考えられる。しかも、液体中では全成分が均一に混合されるから、最終的に形成される電極の中で、半導体微粒子であるSnが全体に均一に分散することができる。本発明者は、Snが電極内部で全体的に均一分散するほど、Snによるショットキー障壁の緩和効果が強くなると考えている。
図7は、実施例5〜7の電極ペーストをp型半導体受光面に塗着焼成して作成された電極とp型半導体受光面との間の接触抵抗の測定結果図である。接触抵抗の測定は、金属・半導体の界面の接触抵抗測定法であるTLM法で実施された。横軸は電極の焼成温度(℃)であり、縦軸はTLM法で得られる接触抵抗(Ω)である。実施例5は0.3%、実施例6は0.6%、実施例7は0.9%、比較例2は「添加なし」で示されている。焼成温度は755℃、770℃、785℃、800℃の4段階で電極を作成し、各焼成温度毎に接触抵抗を測定した。「添加なし」と比較して接触抵抗が小さくなっているかどうかが判断基準である。
0.3%(実施例5)、0.9%(実施例7)では、全焼成温度で「添加なし」(比較例2)と対比して接触抵抗が低下していることが分かった。また、0.6%(実施例6)でも770℃、785℃、800℃の焼成温度では「添加なし」(比較例2)と対比して接触抵抗が低下していることが分かった。従って、Snの添加率が0.3%〜0.9%の範囲で、Snの添加によって接触抵抗が低下することが実験的に証明された。この様に、Snの半導体微粒子を電極の内部に全体的に分散させることにより、電極と半導体表面との間の接触抵抗が低下することが実証された。InSbの場合と同様に、この実験事実から、半導体微粒子を電極内部に分散させると、ショットキー障壁が緩和されることが分かった。現在の段階では理論的な説明は不十分であるが、今のところ本発明者はショットキー障壁の緩和だと考えているが、他の理論的説明が有るかもしれない。しかし、接触抵抗の低下の実験的事実は動かないと考えている。
図8は、図7の実施例7(Sn0.9%)により770℃で焼成された電極の表面と断面のSEM図である。図8の中で、2.5Kは倍率が2500倍、5Kは倍率が5000倍を示し、SEM図は走査型電子顕微鏡により得られた。表面像は電極表面の状態を示し、断面像は電極を切断した切断面の状態を示している。これら表面像及び断面像から電極には多くの孔が見られ、金属微粒子とSnの半導体微粒子は表面融解により相互に焼結していると判断される。また、Ag微粒子とSn微粒子が完全溶融している場合には孔が少ない緻密構造を呈すると考えられるから、770℃の焼成では表面溶融により電極が形成されると判断する。しかし、焼成温度を更に高温にすると、完全溶融により電極構造は孔の少ない緻密構造になると考える。
尚、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
以上詳述したように、本発明により、電極と半導体表面の界面に生じる接触抵抗を低減させるために、電極の中に半導体微粒子を全体的に分散させた電極構造が提供される。同時に、本発明により、前記電極構造を実現するために、金属微粒子を主成分としたペーストの中に半導体微粒子を混合分散させた電極ペーストも提供される。しかも、半導体の表面に前記電極ペーストを所定形状に塗着して電極パターンを形成し、この電極パターンを焼成することによって半導体微粒子を全体に分散させた電極を形成する電極形成方法も提供される。その結果、半導体微粒子が全体的に分散された電極が半導体表面に形成されるから、電極と半導体表面の界面に形成されるショットキー障壁が緩和されるため、界面での接触抵抗が低減し、半導体装置の電気的特性が効率化する。
従って、本発明により、半導体メーカー、装置メーカー、半導体使用製品メーカー等の産業の隆盛に貢献することができる。
1 半導体装置(太陽電池装置)
2 半導体
2p p型半導体
2n n型半導体
3 半導体表面
3p p型半導体表面
3n n型半導体表面
4 電極
4a 半導体微粒子
5 電極
5a 半導体微粒子
7 反射防止膜
8 光
9 受光面
101 導電性透明基板
101a 基板
101b 導電性薄膜
102 バッファ層
103 半導体粒子層
104 有機導電性ポリマー層
105 銀集電電極層
201 太陽電池
211 P型シリコン基板
212 P型ナノワイヤ
213 半導体膜
214 光電変換膜
215 光反射性粒子
216 ITO透明電極
217 上部電極
218 下部電極
300 シリコン半導体基板
302 エミッタ層
304 前面電極
306 反射防止膜
308 後面電極
310 充填層
315 半導体ナノ結晶粒子
401 基体
402 第1電極
403 第1層(ホール輸送層)
404 第2層(電子輸送層)
405 第2電極
501 ガラス基板
502 半導体層
503 硫化層
504 短絡電極
505 端子電極
506 保護層

Claims (11)

  1. 半導体の表面に電極を形成するための電極ペーストであり、金属微粒子を主成分とし、更に半導体微粒子を配合したことを特徴とする電極ペースト。
  2. 前記半導体が太陽電池であり、前記太陽電池の表面に電極を形成する太陽電池用電極ペーストとして使用される請求項1に記載の電極ペースト。
  3. 前記半導体微粒子としてIII−V属化合物半導体の微粒子を使用する請求項1又は2に記載の電極ペースト。
  4. 前記半導体微粒子としてIV属型半導体の微粒子を使用する請求項1又は2に記載の電極ペースト。
  5. 前記金属微粒子として銀微粒子を使用する請求項1〜4のいずれかに記載の電極ペースト。
  6. 前記太陽電池の受光面側がIV属型半導体にIII属又はV属の特定元素を添加してp型半導体又はn型半導体に形成されているとき、前記電極ペーストに前記受光面側に添加された前記特定元素及び/又は前記特定元素と同族元素を更に追加成分として配合した請求項2〜5のいずれかに記載の電極ペースト。
  7. 前記太陽電池の受光面側がIII属の特定元素の注入によりp型半導体に形成されているとき、前記電極ペーストに更にアルミニウム微粒子が配合される請求項6に記載の電極ペースト。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の電極ペーストを半導体の表面に塗着して電極パターンを形成し、前記電極パターンを焼成して前記金属微粒子により電極を形成し、前記焼成により前記半導体微粒子を前記電極の内部に全体的に分散して配置させることを特徴とする電極形成方法。
  9. 請求項2〜7のいずれかに記載の電極ペーストを太陽電池の受光面側及び/又は非受光面側に塗着して受光面側電極パターン及び/又は非受光面側電極パターンを形成し、前記受光面側電極パターン及び/又は非受光面側電極パターンを焼成して前記金属微粒子により受光面側電極及び/又は非受光面側電極を形成し、前記焼成により前記半導体微粒子を前記受光面側電極及び/又は前記非受光面側電極の内部に全体的に分散して配置させることを特徴とする電極形成方法。
  10. 表面に電極が形成された半導体であり、前記電極の内部に半導体微粒子が全体的に分散して配置されていることを特徴とする電極構造。
  11. 前記半導体が太陽電池であり、前記電極が受光面側電極及び/又は非受光面側電極であるときに、前記受光面側電極及び/又は前記非受光面側電極の内部に前記半導体微粒子が全体的に分散して配置されている請求項10に記載の電極構造。
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