JP2015152860A - 電気光学光変調器 - Google Patents

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今井 欽之
Kaneyuki Imai
欽之 今井
卓弘 稲垣
Takahiro Inagaki
卓弘 稲垣
純 宮津
Jun Miyatsu
純 宮津
小林 潤也
Junya Kobayashi
潤也 小林
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Abstract

【課題】従来よりも低電圧で動作させることができる電気光学光変調器を提供すること。
【解決手段】電気光学結晶はKTN単結晶で、長さ4mmで厚さ2mmとした。厚さ方向が、結晶の<100>方向である。このKTN単結晶は、電界ゼロでの相転移温度Tc=35℃であったので、これを少し上回り、臨界終点近傍の温度である40.5℃に温度調節器等で保持しながら使用する。この温度での電界ゼロでの比誘電率は15,000である。電極は双方とも、Pt/Auを順に蒸着して形成されている。KTN単結晶を、40.5℃で温度制御し、さらに、両電極間にやはり臨界終点近傍となる620Vのバイアス印加電圧を印加した状態で、波長633nmのレーザ光を入射する。バイアス電圧に交流の制御用電圧を重畳したところ、検光子から出射される光の強度が変調されることを確認した。
【選択図】図1

Description

本発明は、光の位相や強度を電気的に変調する電気光学光変調器に関する。
ある種の結晶に外部から電界を印加すると、印加電界に応じてこの結晶の屈折率が変化することがあり、この現象を電気光学効果と呼び、この効果を発現する結晶などの物質を、電気光学材料と呼ぶ。電気光学材料に光を入射して透過させるとき、電界を印加すると、屈折率が変化するため、出射する光の位相が変化する。この現象を利用して、光の位相を電気的に制御する素子や、さらに応用して光の強度を電気的に制御する素子が作製されている。電気光学効果がポッケルス効果とも呼ばれることから、これらの素子は、ポッケルスセルとも呼ばれる。また、電気光学材料をプリズム状に整形し、電界を印加することによって屈折角を変え、透過する光ビームの向きを変える、光偏向器も作製されている。これらの光素子を、総称して電気光学変調器と呼ぶこととする。
但し、従来の電気光学変調器では、実用に十分な変調を行うためには、1000V前後の高い電圧を印加する必要がある。変調を行う度にこのような高い電圧を発生させると電源に大きな負荷が掛かるので、電源への負荷を減らすために低電圧で駆動させることが望ましい。
低電圧化の最も簡単な方法は、光が電気光学材料中を透過する距離を長くすることであるが、素子が大型になってしまう。小型の素子で低電圧化するためには、電気光学効果を強く発現する材料を用いれば良い。このような材料として、後述するKTNなど、反転対称性を有する酸化物の電気光学材料が有望である。
一般的な電気光学効果では、屈折率変化が印加電界に比例し、これをポッケルス効果と呼ぶが、反転対称性を有する電気光学材料では屈折率変化は印加電界の二乗に比例し、これをカー効果と呼ぶ。この電気光学材料では、従来よく用いられてきたニオブ酸リチウムなどと比較して、電気光学効果が桁違いに大きく、変調電圧を大きく低減することができる。
Amnon Yariv著、多田邦雄、神谷武志監訳、「光エレクトロニクス 展開編」、丸善、2000年、pp.462−468
しかしながら、反転対称性を有する電気光学材料を用いても、変調電圧は100V近くを必要とすることが多く、低電圧化は不十分であった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来よりも低電圧で動作させることができる電気光学光変調器を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、反転対称性を有するペロブスカイト型単結晶材料からなる基板に、該基板の対向する2面のそれぞれに電極膜を設置した電気光学光変調器であって、前記ペロブスカイト型単結晶材料の温度と前記電極膜間に印加するバイアス電圧を、該ペロブスカイト型単結晶材料が臨界終点近傍になるように設定し、前記バイアス電圧に制御用交流電圧を重畳することにより、前記ペロブスカイト型単結晶材料中を透過する光に対して光変調を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気光学光変調器において、前記電極膜は、前記ペロブスカイト型単結晶材料とショットキ接合されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電気光学光変調器に記載の発明は、前記ペロブスカイト型単結晶材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN:KTa1−xNb、0<x<1)であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の電気光学光変調器において、前記ペロブスカイト型単結晶材料は、光変調中、相転移が生じないことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の電気光学光変調器において、前記ペロブスカイト型単結晶材料を透過した光が入射する検光子をさらに備えたことを特徴とする。
本発明は、電気光学光変調器を従来よりも低電圧で動作させることを可能にする。
電気光学効果を利用した光変調器のうち、典型的な光強度変調器の構成を示す図である。 ペロブスカイト型結晶構造を有する単結晶材料における臨界現象について説明するための相図である。 電界ゼロ・相転移温度Tcの点から発する相境界線の臨界終点を示す相図である。 (a)は、カリウムに対して5%のモル比でリチウムを添加したKTN結晶に電界(E)を印加した際に生じる分極(P)の関係を示すP−E曲線の測定例を示す図であり、(b)は、それぞれの曲線(1)〜(3)の、相図の中での走査位置(1)〜(3)を模式的に示す図である。 図4のグラフより導出したεを、電界の関数として描画した図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
電気光学効果の中でも、2次の効果に分類されるカー効果では、電界の2乗に比例した屈折率変化Δnが発生する。
Figure 2015152860
ここで、nは電界印加前の屈折率、Eは電界、sは電気光学係数である。しかし、電気光学効果は、電界によって直接引き起こされるのではなく、電界印加によって発生した分極が引き起こす、という考え方もある。この場合は、屈折率変化は次式のように書かれる。
Figure 2015152860
ここで、Pは分極である。また、gも電気光学係数と呼ばれることがあるが、sとは異なるので、区別のためにg係数と呼ぶことにする。ところで、ほとんどの電気光学材料では、100を超えるような巨大な比誘電率を有しているので、
Figure 2015152860
が成り立つ。ただし、εは真空の誘電率、εは比誘電率である。この(3)式を(2)敷に代入して(1)式と比較すると、
Figure 2015152860
であることがわかる。多くの電気光学材料は酸化物結晶であり、酸素八面体構造を結晶構造の一部として有する。酸素八面体構造を有する物質は、構成元素が変わっても温度が変わっても、g係数は大きく変わらず、これに対して比誘電率εは温度によって大きく変化する。このため、大きく温度変化する電気光学係数sよりもg係数が本質的であるとみなされる。
図1に、電気光学効果を利用した光変調器のうち、典型的な光強度変調器の構成を示す。上下面に電極膜102、103を付けたブロック状の電気光学材料101に、変調しようとする光を入射する。入射光は、x軸方向に振動電界を向けたx偏光と、y軸方向に振動電界を向けたy偏光との双方を含み、両偏光成分は位相が合っているとする。
これらの偏光は、電気光学材料ブロックの内部を、互いに干渉せずに独立して、異なる速度で進む。速度が異なるのは、電極によって印加する電界と光の電界が平行なx偏光と、これらの電界が互いに直交するy偏光とで、感じる屈折率が異なるからである。反転対称性を有する電気光学結晶の場合、電界がゼロの場合は、両偏光に対する屈折率が等しくn0であることが多い。しかしそれでも、g係数の偏光ごとの違いはあるので、電界を印加した場合は、偏光ごとの屈折率が異なる。前者のx偏光に対するg係数をg11、後者のy偏光の場合をg12と書く。このため、電気光学材料ブロックを透過すると、両偏光間で位相差Δφを生じ、(2)式を用いて下記のように算出される。
Figure 2015152860
Lは、図1に示す電気光学材料ブロック101の長さで、λは光の波長である。電気光学材料ブロック101を透過したあと、光はx軸に対して45°傾いた偏光を透過させるように設置された検光子104を透過する。このとき、x,yのどちらの偏光成分からも、x軸に対して45°傾いた偏光成分が抽出され、同じ偏光同士で干渉が起こる。
位相差Δφがゼロの時は位相が合っていて、2つの光成分は強め合い、光強度は最大になる。位相差Δφがπの時は、2つの光成分は弱め合い、光強度は最低になる。この、位相差をπまたは−πにする電圧を、半波長電圧Vと呼ぶ。
一般的な半波長電圧はポッケルス効果で定義されるが、カー効果の場合は、(5)のΔφを−πとおいて、(3)式を用いて、
Figure 2015152860
と求められる。
(4),(6)式より、比誘電率が大きい材料で、電気光学効果が大きく、したがって半波長電圧を抑制することができることが分かる。そこで、相転移に付随する誘電率の発散現象を利用することができる。
温度を変化させると、特定の温度で結晶構造が変わる現象があり、構造相転移と呼ばれる。ペロブスカイト型結晶構造を有する単結晶材料は、この構造相転移を発現する材料が多い。タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN:KTa1−xNb、0<x<1)を主成分とする単結晶材料は、その代表例で、温度変化で構造相転移が3回起こり、温度領域別に4つの相を有する。
最も高温で発現するのが立方晶相で、そのすぐ下の相が正方晶相であり、ここでは特に、立方晶から正方晶に相転移する温度を単に相転移温度と呼ぶことにする。立方晶相において、温度を下げて相転移温度に近づくと、それに連れて比誘電率が劇的に増加する。この現象はキュリーワイス則と呼ばれ、KTNの場合、比誘電率は最大で数万にもなる。このため、KTNを所定の温度に制御することにより、巨大な電気光学効果を発現することが可能となる。
また、KTNでは、組成xを変えると、相転移温度を変えることができる。相転移温度を、温度制御がやりやすい室温近辺になるよう、組成を選ぶと、室温近辺で温度制御することにより、巨大な電気光学効果を簡便に得ることができる。前記のように、ペロブスカイト型結晶構造を有する単結晶材料は、大抵が構造相転移を発現するものの、KTNのように都合よく、室温近辺で相転移する材料は、少ない。例えばよく知られるチタン酸バリウムは、相転移温度は約120℃と、高温である。
近年、この相転移に関して臨界現象と呼ばれる現象が注目されている。図2に、ペロブスカイト型結晶構造を有する単結晶材料における臨界現象について説明するための相図を示す。横軸は電気光学材料の温度、縦軸は電気光学材料に印加する電界の絶対値である。中央の斜めの直線は、相の境界を示しており、この線の右側が立方晶相、左側が正方晶相の安定に存在する条件(温度・電界)の領域である。相境界線と横軸が交わる点の温度が、上記の通常の意味での相転移温度Tcである。この温度よりも右側は温度が高く、立方晶相になり、左側は温度が低く、正方晶相になる。
前記のように、相転移温度は材料の組成によって決まるが、外部から電界を印加すると、相転移温度は変化する。もともと立方晶であっても、電界を印加すると、結晶は電歪効果という現象によって歪み、正方晶の構造に近づく傾向があり、大抵の場合、相転移温度は電界と共に上昇する。図2において、相境界線が傾いているのは、図の上方に向かうにしたがって電界を強くすると、正方晶の安定な温度領域が広がり、より高い温度でないと立方晶にならないことを示している。
近年の研究で、電界ゼロ・相転移温度Tcの点から発する相境界線には、図3に示すように、終点があることが判明した。この終点は、Critical end pointと呼ばれるので、ここでは臨界終点と呼ぶことにする。この臨界終点よりも上の領域には、相境界がなく、立方晶相と正方晶相とを明確に区別することができない。なぜならば前述のように、電界ゼロでは立方晶相であっても、電界を印加すると、電歪効果によって結晶が歪み、結晶構造は正方晶と似たものになるからである。それでも、臨界終点よりも電界が小さい場合は、正方晶相と立方晶相との間の相転移に際しては、潜熱が発生して、結晶は急激に大きく歪む。しかし臨界終点よりも大きい電界を印加している場合、温度変化によって結晶のひずみ状態が急激に変化するような、明瞭な相転移温度はなくなり、潜熱もなくなる。ここではこれを、臨界現象と呼ぶ。
図4(a)に、カリウムに対して5%のモル比でリチウムを添加したKTN結晶に電界(E)を印加した際に生じる分極(P)の関係を示すP−E曲線の測定例を示す。3つの曲線(1)〜(3)は、KTN結晶をそれぞれ異なる一定の温度に制御した状態で測定したものである。すなわち図4は、図2の横軸上の特定の位置から縦方向に走査して分極を測定したもの、と言える。図4(b)に、それぞれの曲線(1)〜(3)の、相図の中での走査位置(1)〜(3)を模式的に示す。
相転移温度Tcから13℃上の温度(曲線(1))では、立方晶相が安定であり、(3)式に示したように、通常通り分極は電界に比例するので、ほぼ直線のグラフとなる。しかし、相転移温度Tcまで2.8℃に近づけた場合(曲線(3))、もはや(3)式の線形性は成り立たず、電界の増加にともなって徐々に直線からずれてゆき、2kV/cmの手前で急激に分極が増加する。これは、低電界では立方晶であったものが正方晶へ相転移したことを示しており、図4(b)では、曲線(3)の直線上を下から進み、相境界線を超えたことを示している。その後、分極は飽和傾向を示し、折り返して電界を下げてくると、電界増加の時に分極が急変したところでは同様には急変せず、さらに電界を1.5kV/cm程度まで下げたところで急減し、往路の曲線に合流している。いわゆるヒステリシス特性を示しており、潜熱を伴う相転移が起こっていることが分かる。
相転移温度Tcの5.5℃上の場合(曲線(2))は、図4(b)の(2)に示すように、臨界終点のすぐそばを通る直線上の走査で、曲線(1)と(3)との中間の形状の曲線を示している。この温度では、3kV/cm手前で曲線(3)と同様な分極の急増が見られるが、曲線(3)ほど急峻ではなく、さらに、ヒステリシスがほとんどない。ヒステリシスが微小であることから、この分極の急増に際して潜熱はほとんど発生せず、相転移が不明瞭であることが分かる。
電気光学材料に対して一定のバイアス電界Eに重畳して変調電界ΔEを加える場合、分極を電界の関数として、
Figure 2015152860
のように変調電界ΔEで展開できる。通常の誘電体と同じく(3)式が成り立つ場合、
Figure 2015152860
は誘電率に等しい。そこで、通常の誘電体の比誘電率に習って、下記のようにεを定義する。
Figure 2015152860
これより(7)式は次のように書ける。
Figure 2015152860
これを(5)式に代入すると、
Figure 2015152860
が得られる。変調電圧ΔEを加えている時の位相差Δφの変動量に対しては、中括弧内の第1項は、バイアス電界を一定にする場合は定数となって屈折率の原点をずらす効果しかないので、無視できる。また、変調電界ΔEが小さい場合は、第3項は微小であるので、無視できる。これらを(10)式から除くと、
Figure 2015152860
が得られる。さらに、半波長電圧は次式のようになる。
Figure 2015152860
これは、バイアス電界Eを大きくすることにより、分極を大きくして、小さな変調電界ΔEでも光の位相変調を大きくすることができることを示しているが、この技術自体は、よく知られたものであった。
一方、本発明では、温度とバイアス電界を臨界終点近傍に設定することにより、(11)式において、分極Pのみならず、εをも大きくすることができ、ヒステリシスが微小であるため電界増加時、減少時のどちらにおいてもほぼ同じ大きさのεが得られることから、変調能力を飛躍的に高めることができる。
図5に、図4のグラフより導出したεを、電界の関数として描画した図を示す。このKTN結晶では、通常の比誘電率εは最大でも20,000程度であるが、相転移温度Tcの5.5℃上の場合((2))で、(8)式で定義したεはバイアス電界3.1kV/cmにて80,000あまりにもなることがわかる。このときの分極Pは6.5μC/cmであることを用いると、光軸方向の長さ4mm、厚さ(電極間距離)2mmのKTN結晶を変調器に用いるならば、これらの数値は、He−Neレーザの633nm波長の光に対し、半波長電圧が、わずかに1.9Vであることを示している(nに2.2、g11−g12に0.174m/Cを用いた)。これは、特別な高圧アンプを用いずとも、一般的なIC回路で十分に駆動できることを示している。
尚、図4に示す曲線(3)からも分かるように、相転移を伴う領域でもεは大きくなる。しかし、その場合、εは非常に狭い領域において発散するほど大きなものとなり、かつ、電界を大きくしていった時にεが大きくなる電界強度と、電界を小さくしていった時にεが大きくなる電界強度とは大きく異なる。そのため、変調電界ΔEを印加中、常に安定して大きなεを得ることは困難である。
(電極材料)
電気光学材料に高い電圧を印加すると、電極から電荷が注入され、結晶内に空間電荷が発生し得る。この空間電荷により電圧の印加方向に電界の大きさの傾斜が生じ、電気光学効果によって、同時に屈折率の変調にも傾斜が生じる。電界の大きさに傾斜が生じると、均一に臨界状態を実現することが困難になるし、また、屈折率変調に傾斜が生じると、結晶を透過する光ビームが曲がってしまう。これを防止するためには、電気光学材料に電圧を印加した際に、この材料の内部に空間電荷が形成されない方がよい。
空間電荷の量は、キャリアの注入効率に依存する量であるため、電極から注入されるキャリアの注入効率は小さい方がよい。電気光学結晶において電気伝導に寄与するキャリアが電子の場合には、電極材料の仕事関数が大きくなるにつれて、電極と基板との間はショットキ接合に近づき、キャリアの注入効率は減少する。従って、電極は、電気光学材料とショットキ接合が形成される材料であることが好ましい。
具体的には、電気光学結晶において電気伝導に寄与するキャリアが電子の場合には、電極材料の仕事関数は、5.0eV以上であることが好ましい。例えば、仕事関数が5.0eV以上の電極材料として、Co(5.0)、Ge(5.0)、Au(5.1)、Pd(5.12)、Ni(5.15)、Ir(5.27)、Pt(5.65)、Se(5.9)を用いることができる。()内は仕事関数を示し、単位はeVである。また、これらの元素の酸化物も、仕事関数が5.0eV以上の電極材料として、好適に用いることができる。
一方、電気光学結晶において電気伝導に寄与するキャリアが正孔の場合には、正孔の注入を抑えるために、電極材料の仕事関数は、5.0eV未満であることが好ましい。例えば、仕事関数が5.0eV未満の電極材料として、Ti(3.84)等を用いることができる。なお、Tiの単層電極は酸化して高抵抗になるので、一般的には、Ti/Pt/Auを順に積層した電極を用いて、Tiの層と電気光学結晶とを接合させる。さらに、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnOなどの透明電極を用いることもできる。
なお、これまでは電気光学光変調器の例として、例えば図1を用いて光強度変調器について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。電気光学材料に電圧を印加することで、電気光学効果に基づく該材料の屈折率変化を利用する光変調器であれば、本発明を利用できることは言うまでもない。
(実施例)
KTN単結晶を用いて、図1に示した光強度変調器と同じ構成の光強度変調器を作製した。電気光学結晶はKTN単結晶で、長さ4mmで厚さ2mmとした。厚さ方向が、結晶の<100>方向である。このKTN単結晶は、電界ゼロでの相転移温度Tc=35℃であったので、これを少し上回り、臨界終点近傍の温度である40.5℃に温度調節器等で保持しながら使用する。この温度での電界ゼロでの比誘電率は15,000である。電極は双方とも、Pt/Auを順に蒸着して形成されている。
KTN単結晶を、40.5℃で温度制御し、さらに、両電極間にやはり臨界終点近傍となる620Vのバイアス印加電圧を印加した状態で、波長633nmのレーザ光を入射する。x軸に対して45°をなすような直線偏光にて入射したため、x偏光の成分とy偏光の成分とは等しい強度であった。バイアス電圧に交流の制御用電圧を重畳したところ、検光子から出射される光の強度が変調されることを確認した。このとき、半波長電圧は1.9Vであった。すなわち、ピーク・トゥ・ピークで、1.9Vの制御用交流電圧で、光強度をほぼ0%から100%まで変調することができた。
101 電気光学結晶
102、103 電極
104 検光子

Claims (5)

  1. 反転対称性を有するペロブスカイト型単結晶材料からなる基板に、該基板の対向する2面のそれぞれに電極膜を設置した電気光学光変調器であって、
    前記ペロブスカイト型単結晶材料の温度と前記電極膜間に印加するバイアス電圧を、該ペロブスカイト型単結晶材料が臨界終点近傍になるように設定し、
    前記バイアス電圧に制御用交流電圧を重畳することにより、前記ペロブスカイト型単結晶材料中を透過する光に対して光変調を行うことを特徴とする電気光学光変調器。
  2. 前記電極膜は、前記ペロブスカイト型単結晶材料とショットキ接合されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学光変調器。
  3. 前記ペロブスカイト型単結晶材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN:KTa1−xNb、0<x<1)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学光変調器。
  4. 前記ペロブスカイト型単結晶材料は、光変調中、相転移が生じないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気光学光変調器。
  5. 前記ペロブスカイト型単結晶材料を透過した光が入射する検光子をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電気光学光変調器。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110967848A (zh) * 2019-12-20 2020-04-07 南开大学 基于钽铌酸钾晶体双线型波导的模式调制系统及方法

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