JP2015150871A - 中空合成樹脂板及びこれからなる箱 - Google Patents
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Abstract
Description
上記中空合成樹脂板を構成材料として成形されたプラスチックダンボール、コンテナ、及びパネル板等の中空合成樹脂板は、成形性のし易さから大量に使用される反面、再利用のしにくさ、再利用の困難さ、衛生上の問題などにより使い捨てされていた。
したがって、本発明の目的は、従来の石油由来のエチレンを用いて製造された中空合成樹脂板と機械的特性の物性面で遜色ない機械的特性を有するバイオマス由来のエチレンを用いたポリオレフィンを含む樹脂組成物からなる中空合成樹脂板及びこれからなる箱を提供することである。
(バイオポリオレフィン)
樹脂組成物は、バイオマス由来のエチレン(以下、バイオエチレンとする)を重合してなるバイオマス由来のポリオレフィン(以下、バイオポリオレフィンとする)を含有する。
バイオポリオレフィンの原料となるエチレンの製造は、特に限定されず、従来公知の方法、例えばエタノールの脱水反応により得ることができる。
なお、精製はエタノール中の不純物総量が1ppm以下となる程度に行うことが好ましい。
酵素の分解物であるアミン、アミノ酸等の含窒素化合物や、その分解物;等が挙げられる。
バイオポリオレフィンの用途によっては、これらの不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去してもよい。精製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法が挙げられる。このとき用いる吸着剤は特に限定されず、従来公知の吸着剤を用いることができる。
バイオポリオレフィンの原料モノマーとして、上記バイオエチレン以外のモノマーとして石油由来のエチレン又はエチレン以外のα−オレフィンをさらに含んでもよい。
上記のα−オレフィンの炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3〜20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、又はオクテンを用いることが好ましい。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
樹脂組成物は、上記のバイオポリオレフィンを樹脂組成物全体100重量%に対して、5重量%以上、好ましくは10〜95重量%含んでなるものである。樹脂組成物中のバイオマス由来のエチレンの濃度が5重量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな中空合成樹脂板を実現できる。
てもよく、樹脂組成物全体として、バイオマス由来のエチレンの濃度が、上記範囲内であればよい。
次いで、本発明に係る中空合成樹脂板の構造について説明する。中空合成樹脂板は、略平行に離間して配された一対のライナー2と、ライナー2間に所定の方向に沿って配されたリブ1とからなる。ライナー2は、略平行に配される板状構造のものを指す。ライナー2の配置間隔や、ライナー2の厚さ等は特に限定されるものではないが、通常、全体の厚さが3〜15mmとなるように、それぞれ設定される。なお、場合によっては、ライナーを略平行に3枚以上設ける構成としてもよい。
図2に記載の装置は、押出機3、Tダイ(ダイ)4、賦形ダイ5、第1引き取りロール対6、アニール炉7、冷却ライン8、第2引き取りロール対9、スリット10、および裁断機11を備えている。なお、図2(a)の樹脂のラインの右端は、図2(b)の樹脂のラインの左端につながっている。
〔測定・条件〕
(1)バイオマス度
樹脂組成物のバイオマス度は、加速器質量分析計(AMS)を用いて放射性炭素(C14)測定により算出した。具体的には測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトを、タンデム加速器をベースとしたC14−AMS装置を用いてC14の計数、C13の濃度(C13/C12)、C14の濃度(C14/C12)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素のC14濃度の割合を算出した。
(2)メルトフローレート(MFR)
ポリエチレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に従い、温度190℃、荷重2.16kgfで測定した。ポリプロピレン系樹脂は、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。なお、単位はg/10minである。
(3)曲げ試験
JIS K7203に示される試験装置を用いて、MD方向の試験片として50mm(TD方向)×150mm(MD方向)を、TD方向の試験片として50mm(MD方向)×150mm(TD方向)を用いて、曲げ速度10mm/分、スパン間距離100mmにて測定した。
(4)デュポン衝撃試験
JIS K7211の規格に従い、70mm×70mmの試験片、1/2インチφの撃芯を使用し、23℃の温度にて行った。
加工性は、抜き加工性と融着加工性の2つの項目で評価した。抜き加工性については、以下の手順で評価した。
まず、厚み5mmt、目付1000g/m2の中空合成樹脂板を2枚用意する。そして、図3の外形の抜き型を使用し、油圧プレスにて抜き加工を行う。中空合成樹脂板が抜き加工により端部が割れ、糸バリが発生せずきれいに抜ける場合には、「抜き加工性が良好である」と評価した。
融着加工性については、のり付け部12が正面部13に対して直角になるように折り曲げ部14Cで折り曲げ、側面部15が正面部13に対して直角になるように折り曲げ部14Dで折り曲げ、第2内フラップ16が側面部15に対して直角になるように折り曲げ部14Fで折り曲げ、第2外フラップ17が正面部13に対して直角になるように折り曲げ部14Bで折り曲げる。さらに、両方の中空合成樹脂板1ののり付け部12を他方の中空合成樹脂板の側面部15の内面に熱融着して貼り付ける。
2枚の中空合成樹脂板の表面同士を熱板で溶融後2枚のシートを圧着し一体化することが可能であれば「熱融着性が良好である」と評価した。なお、2枚の中空合成樹脂板は、上面が開口した六面体状の箱形に形成される。
(中空合成樹脂板の作製)
押出機(115mmφ単軸押出機)にてTダイ(押出幅1500mm、断面形状は図1(a)のタイプ)を用いた異型押出成形にて、中空合成樹脂板を作製した。
使用材料としては、バイオポリオレフィンとして高密度ポリエチレン(Braskem社製)、商品名:SHE150、バイオマス度94.5%、密度0.948g/cm3、MFRが1.0g/10minである材料を使用した。
押出成形の条件として、押出機やTダイの温度は200〜230℃、押出機は、218kg/h、引取速度は4.0m/minで行った。
得られた中空合成樹脂板について評価を行い、結果を表1にまとめた。
使用材料としては、石化由来のポリエチレンとして、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン製)、品名:HY540、バイオマス度0%、密度0.96g/cm3、MFRsが1.0g/10minである材料を使用した。その他の押出成形の条件、装置は、実施例1と同様に行い、結果を表1にまとめた。
2 ライナー
3 押出機
4 Tダイ
5 賦形ダイ
6 第1引き取りロール対
7 アニール炉
8 冷却ライン
9 第2引き取りロール対
10 スリット
11 裁断機
Claims (5)
- バイオマス由来のエチレンを重合してなるポリオレフィンを5重量%以上含有し、メルトフローレートが1g/10分以上3g/10分以下の樹脂組成物からなる中空合成樹脂板(但し、樹脂組成物全体の重量を100重量%とする)。
- 一対の平行なライナーの間に、複数のリブで仕切られた中空部を有し、
前記ライナーは2層以上の積層体からなり、当該積層体の少なくとも1層は石油由来のエチレンから製造されたポリオレフィンからなる層である請求項1に記載の中空合成樹脂板。 - 前記樹脂組成物のバイオマス度は、5以上である請求項1又は2に記載の中空合成樹脂板(但し、バイオマス度は放射性炭素年代測定C14の測定値から算出された値を用いる)。
- 成形時に生成したスクラップ材を含む請求項1から3いずれかに記載の中空合成樹脂板。
- 請求項1から4いずれかに記載の中空合成樹脂板からなる箱。
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