JP2015149956A - リグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基質の膨張を抑えるとともに該基質にアンモニア水を十分に浸透させることができるバイオマスの前処理方法を提供する。【解決手段】バイオマスの前処理方法は、基質混合物を得る工程において、反応容器2内に基質を収容し、反応容器2内の空気を排気することにより反応容器2内を減圧した後に、アンモニア水を添加して混合する。【選択図】 図1

Description

本発明は、バイオエタノールの製造に用いられるリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法に関するものである。
近年、自動車用燃料として、ガソリン−エタノール混合燃料を用いることが検討されている。前記ガソリン−エタノール混合燃料に用いるために、リグノセルロース系バイオマスを用いてエタノールを製造する技術が検討されている。
前記リグノセルロース系バイオマスは、セルロースを含んでおり、該セルロースを糖化酵素を用いて糖化処理することによりグルコース等の糖に分解し、得られた糖を発酵させてエタノールを得ることができる。
ところが、前記リグノセルロース系バイオマスは、セルロースの他にヘミセルロース及びリグニンを主な構成成分としており、通常該セルロース及び該ヘミセルロースは、該リグニンに強固に結合しているため、そのままでは該セルロースに対する酵素糖化反応を行うことが難しい。従って、前記セルロースを酵素糖化反応させるに際しては、予め前記リグノセルロース系バイオマスを前処理して酵素糖化反応が可能な状態としておくことが望ましい。
前記リグノセルロース系バイオマスを酵素糖化反応が可能な状態とするために、反応容器で、基質としてのリグノセルロース系バイオマスとアンモニア水とを混合して基質混合物とし、該基質混合物を所定温度に加熱すると共に該温度に所定時間保持する前処理方法が知られている。前記前処理方法によれば、前記基質からリグニンを解離させ又は該基質を膨潤させることにより、該基質としてのリグノセルロース系バイオマスを酵素糖化反応可能な状態とすることができる(例えば特許文献1参照)。
尚、本願において、解離とは、セルロース等に結合しているリグニンの結合部位のうち、少なくとも一部の結合を切断することをいう。また、膨潤とは、液体の浸入により結晶性セルロースを構成するセルロース等に空隙が生じ、又は、セルロース繊維の内部に空隙が生じて膨張することをいう。
特開2011−234688号公報
しかしながら、前記従来の前処理方法において、前記基質と前記アンモニア水とを混合するときに、前記基質中に介在する空気によって前記基質が膨張し、嵩密度が減少する。これに対応するためにあらかじめ前記基質の投入量を少なくする必要があり、前処理効率が低下するという不都合がある。更に、該基質に該アンモニア水が浸透しにくく、該基質からリグニンを解離させ又は該基質を膨潤させることが不十分になることがあるという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、基質の膨張を抑制するとともに該基質にアンモニア水を十分に浸透させることができるバイオマスの前処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記従来の前処理方法において、前記基質が膨張し、更に前記アンモニア水が浸透しにくい理由について鋭意検討した結果、該基質の内部に存在する空気、該基質の表面に付着する空気又は該表面から放散した空気によって該基質が膨張して嵩密度が減少し、該アンモニア水の該基質への浸透が阻害されることを知見した。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであり、前記目的を達成するために、反応容器で、基質であるリグノセルロース系バイオマスとアンモニア水とを混合して基質混合物を得る工程と、該基質混合物を所定温度に加熱すると共に該温度に所定時間保持することにより該基質からリグニンを解離させ又は該基質を膨潤させてアンモニア含有糖化前処理物を得る工程とを備えるリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法において、該基質混合物を得る工程では、該反応容器内に該基質を収容し、該反応容器内の空気を排気することにより該反応容器内を減圧した後に、該アンモニア水を添加して混合することを特徴とする。
本発明の前処理方法では、前記基質混合物を得る工程は次のように行う。まず、前記反応容器内に前記基質を収容する。次に、前記反応容器内の空気を排気することにより該反応容器内を減圧する。このとき、前記基質の表面に付着する空気又は該表面から放散した空気が前記反応容器外へ排気される。この後、前記反応容器内の前記基質に前記アンモニア水を添加して混合する。
前記混合の際、前記基質の表面に付着する空気及び該表面から放散した空気が前記反応容器外へ排気されていることにより、前記基質の膨張を抑制することができるとともに、該基質に前記アンモニア水を十分に浸透させることができる。この結果、前記アンモニア含有糖化前処理物を得る工程において、確実に、前記基質からリグニンを解離させ又は該基質を膨潤させることができる。
本発明の前処理方法は、さらに、前記アンモニア含有糖化前処理物から放散されたアンモニアを、前記反応容器に接続された排気導管を介して、アンモニアを回収するアンモニア回収手段に案内する工程を備え、前記基質混合物を得る工程では、該反応容器内の減圧を、該反応容器内の空気を該排気導管を介して排気する真空ポンプにより行うことが好ましい。
このようにすることにより、前記アンモニア含有糖化前処理物に含まれるアンモニアを放散させて、前記排気導管を介して前記アンモニア回収手段にて回収することができる。前記アンモニア回収手段にて回収されたアンモニアは、水に溶解させてアンモニア水とすることにより、前記基質混合物を得る工程で再利用することができる。
また、前記基質混合物を得る工程において、前記反応容器内の減圧を、前記アンモニアの回収に用いる前記排気導管を介して排気させることにより、該排気導管を有効に利用することができる。
さらに、前記真空ポンプを用いる場合には、反応容器内の空気を、前記排気導管の前記アンモニア回収手段の上流側で外部に排気することが好ましい。このようにすることにより、前記アンモニア回収手段に空気が流入することを阻止して、流入する該空気と共に該アンモニア回収手段内のアンモニアが外部に排出されて該アンモニアの回収効率が低下することを防ぐことができる。
ところで、本発明の前処理方法では、前記反応容器の排気口に前記基質が付着する等して、該反応容器の気密性が低下し、該反応容器内の減圧を正常に行うことができないことがある。
そこで、本発明の前処理方法は、前記反応容器内の圧力を検知し、該反応容器内が所定圧力に達した後さらに該減圧を所定時間保持した後の圧力と該所定圧力との差分が所定範囲を超えたとき、該反応容器の気密性に異常があると判断することが好ましい。
前記反応容器の気密性に異常があると判断されたときには、該反応容器の排気口に前記基質が付着していないか等を点検し、該基質を除去する等して、該気密性を改善することができる。
本実施形態の前処理方法を実施する装置構成を示すシステム構成図。 図1に示す2元系ヒートポンプのラインの一例を概略的に示す説明図。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態では、前処理として、基質とアンモニア水とを混合した基質混合物を加熱してアンモニア含有糖化前処理物を得た後に、該アンモニア含有糖化前処理物からアンモニアを除去してアンモニア分離糖化前処理物を得る。さらに、アンモニア分離糖化前処理物に糖化酵素を含む溶液を添加して得られる基質・糖化酵素混合物を酵素糖化処理に供する。
本実施形態の前処理方法は、図1に示す前処理装置1を用いて実施することができる。
前処理装置1は、反応容器2と、アンモニア水凝縮器3と、アンモニア水吸収塔4と、アンモニア水タンク5とを備えている。
反応容器2は、上部に、基質供給導管6と、アンモニア水供給導管7と、図示しない糖化酵素溶液供給導管、酸水溶液供給導管及びイオン交換水供給導管とが配設されていると共に、アンモニアガス及び水蒸気を排出しアンモニア水凝縮器3に案内する第1排気導管8が排気弁9とバグフィルタ10とを介して配設されている。
基質供給導管6は、基質としてのリグノセルロース系バイオマス、例えば稲藁を反応容器2に供給し、アンモニア水供給導管7は、図示しないアンモニア水タンクからアンモニア水を反応容器2に供給する。また、前記糖化酵素溶液供給導管は、糖化酵素を含む溶液(以下、糖化酵素溶液と略記する)を反応容器2に供給し、前記酸水溶液供給導管は、希硫酸等の酸水溶液を反応容器2に供給する。
また、反応容器2は、上部に配設されたモータ11と、モータ11から反応容器2内部に垂下される回転軸12と、回転軸12から水平方向に延出された撹拌翼12aとを備える。
また、反応容器2の内部には、圧力を検知する圧力センサ13が設けられている。圧力センサ13は、反応容器2内の圧力が所定圧力Pに達し、さらに所定時間が経過した後の圧力Pと、該所定圧力Pとの差分が所定範囲、例えば0〜10kPaの範囲を超えたときに異常と判断する図示しない異常判断手段に接続されている。
また、反応容器2の外側には、熱媒体が流通されるジャケット14が配設され、ジャケット14には温水導管15が接続されている。
温水導管15は、ジャケット14の上部から導出された第1の熱媒体としての温水を温水タンク16、温水ポンプ17、空冷ファン18、2元系ヒートポンプ19、逆止弁20、開閉弁21を介して、ジャケット14の底部に循環させるようになっている。
温水導管15は、逆止弁20と開閉弁21との間から分岐する温水バイパス導管22を備えている。温水バイパス導管22は、開閉弁23を介して温水タンク16に接続され、開閉弁23の下流に流量計24を備えている。
尚、温水タンク16には第1補給水導管25が設けられており、第1補給水導管25は第1給水弁25aを介して第1補給水タンク26に接続されている。
アンモニア水凝縮器3は、第1排気導管8から導入されたアンモニアガス及び水蒸気の少なくとも一部を冷却することにより該アンモニアガス及び水蒸気を凝縮させてアンモニア水とするものであり、凝縮したアンモニア水を排出する第1排液導管27を備えている。第1排液導管27は、凝縮したアンモニア水をさらに冷却する凝縮水タンク28、第1排液ポンプ29を介してアンモニア水タンク5に接続されている。
また、アンモニア水凝縮器3は、凝縮しなかったアンモニアガス及び水蒸気を排出し、アンモニア水タンク5に案内する第2排気導管30を備えており、第2排気導管30は開閉弁31を介してアンモニア水タンク5に接続されている。第2排気導管30は開閉弁31の上流で第3排気導管32を分岐しており、第3排気導管32は途中に真空ポンプ33を備え、開閉弁31の下流で第2排気導管30に合流している。
また、第3排気導管32の真空ポンプ33の上流には開閉弁34が設けられ、真空ポンプ33の下流には開閉弁35が設けられている。第3排気導管32は、真空ポンプ33と開閉弁35との間で第4排気導管36を分岐している。第4排気導管36には開閉弁37が設けられ、第4排気導管36の他端は大気に開放されている。
アンモニア水吸収塔4は、底部でアンモニア水タンク5の天面に連通しており、第2排気導管30によりアンモニア水タンク5に案内されたアンモニアガス及び水蒸気をアンモニア水に吸収(溶解)させる。このため、アンモニア水吸収塔4は、アンモニア水循環導管38を介してアンモニア水タンク5から供給されるアンモニア水をシャワリングするシャワリング装置39を上部に備えている。
アンモニア水循環導管38は、アンモニア水タンク5から循環ポンプ40、アンモニア水熱交換器41、アンモニア水濃度センサ42を介してシャワリング装置39に接続されている。アンモニア水熱交換器41は、アンモニア水循環導管38に循環されるアンモニア水を冷却する機能を備えている。また、アンモニア水吸収塔4には、第2補給水導管43が設けられており、第2補給水導管43は第2給水弁44を介して第2補給水タンク45に接続されている。
アンモニア水タンク5は、アンモニア水を排出する第2排液導管46を備えており、第2排液導管46は、第2排液ポンプ47を介して図示しないアンモニア水タンクに接続されている。尚、前記アンモニア水タンクには、反応容器2にアンモニア水を供給するアンモニア水供給導管7が接続されている。
また、アンモニア水凝縮器3には、第1排気導管8から導入されたアンモニアガス及び水蒸気を冷却する低温水導管48が接続されている。低温水導管48はアンモニア水凝縮器3から導出された第2の熱媒体としての低温水を低温水1次タンク49、低温水1次ポンプ50、2元系ヒートポンプ19、第1切替弁51、アンモニア水熱交換器41、凝縮水タンク28を介して、アンモニア水凝縮器3に循環させるようになっている。
第1切替弁51には低温水バイパス導管52が接続されており、低温水バイパス導管52は第2切替弁53を介して他端部が低温水1次タンク49に接続される。また、第2切替弁53には冷水導管55が接続されており、冷水導管55は他端部が低温水2次タンク56に接続されている。第1切替弁51、第2切替弁53は、低温水の流路を切り替えることができる。
低温水2次タンク56には冷水供給導管57が設けられており、冷水供給導管57は低温水2次ポンプ58を介して、第1切替弁51の下流側で低温水導管48に接続されている。尚、低温水1次タンク49には第3補給水導管59が設けられており、第3補給水導管59は第3給水弁60を介して第3補給水タンク61に接続されている。
次に、本実施形態の前処理装置1の作動について説明する。
前処理装置1では、まず、前回の処理で得られた糖化処理物が反応容器2底部の排出口(図示せず)から排出され、次工程に移送される。
次に、基質供給導管6から新たな基質としてのリグノセルロース系バイオマス、例えば反応容器2への稲藁の供給を開始した後、2元系ヒートポンプ19の運転を開始する。また、温水導管15からジャケット14へ加熱用熱媒体としての温水が供給されて、ジャケット14と2元系ヒートポンプ19との間で循環が開始され、熱媒体としての温水自体及びジャケット14を昇温する。
次に、アンモニア水供給導管7からアンモニア水が反応容器2に供給される。このとき、反応容器2では、モータ11により回転軸12が回転駆動され、撹拌翼12aで前記稲藁とアンモニア水とが攪拌されることにより、基質混合物が調製される。本実施形態では、前記作動が基質混合物を得る工程に相当する。
前記基質混合物は、温水導管15からジャケット14に供給される温水により、反応容器2内で所定の温度、例えば80〜85℃の範囲の温度に昇温される。前記基質混合物が前記所定温度に達するまでの間、撹拌翼12aによる撹拌が継続される。
次に前記基質混合物が前記所定の温度に昇温された後、前記撹拌及び温水ポンプ17及び2元系ヒートポンプ19が停止され、加熱が終了し、該基質混合物は該所定の温度に所定の時間、例えば1〜6時間保持される。この結果、前記基質からリグニンが解離され、又は該基質が膨潤されて、該基質としての稲藁が酵素糖化反応可能な状態とされたアンモニア含有糖化前処理物を得ることができる。本実施形態では、前記作動がアンモニア含有糖化前処理物を得る工程に相当する。
次に、前処理装置1では、アンモニア分離糖化前処理物を得る工程を開始するために、2元系ヒートポンプ19の運転を再開し、さらにジャケット14への温水の供給を開始させる。排気弁9を開弁することにより、前記アンモニア含有糖化前処理物に含まれるアンモニア水をアンモニア水及び水蒸気として放散させ、バグフィルタ10を介して第1排気導管8からアンモニア水凝縮器3に案内する。このとき、反応容器2内の圧力は前記加熱により大気圧より高くなっており、排気弁9を開弁することにより、前記アンモニア含有糖化前処理物からアンモニア水を容易に放散させることができる。
前記アンモニアガス及び水蒸気は、低温水導管48からアンモニア水凝縮器3に供給される低温水により冷却され、その一部が凝縮し液化してアンモニア水となり、第1排液導管27を介して凝縮水タンク28に排出される。前記アンモニア水は、凝縮水タンク28において低温水導管48から供給される低温水によりさらに冷却された上、第1排液ポンプ29を介してアンモニア水タンク5に送られる。
また、前記アンモニアガス及び水蒸気の残部は、開閉弁31を開弁することにより第2排気導管30を介してアンモニア水タンク5に導入される。前記アンモニアガス及び水蒸気の圧力は、放散されるに従って低下し、大気圧に等しくなるとそれ以上の放散が難しくなる。
そこで、前記アンモニアガス及び水蒸気の圧力が大気圧に等しくなったならば、開閉弁31を閉弁し開閉弁34及び開閉弁35を開弁すると共に、真空ポンプ33を作動させることにより、反応容器2内のアンモニアガス及び水蒸気を吸引し、第2排気導管30及び第3排気導管32を介してアンモニア水タンク5に導入する。
アンモニア水タンク5に導入された前記アンモニアガス及び水蒸気は、次いでアンモニア水タンク5に連通するアンモニア水吸収塔4に導入される。アンモニア水吸収塔4では、循環ポンプ40によりアンモニア水循環導管38を介して循環されるアンモニア水をシャワリング装置39によりシャワリングすることにより、前記アンモニアガス及び水蒸気を該アンモニア水に吸収(溶解)及び凝縮させる。
本実施形態では、前記アンモニアガス及び水蒸気のアンモニア水凝縮器3における凝縮と、アンモニア水吸収塔4における吸収とが、放散されたアンモニアガス及び水蒸気をアンモニア水として回収する工程に相当する。
このとき、アンモニア水循環導管38の途中に設けられたアンモニア水熱交換器41により、前記アンモニアガス及び水蒸気を前記アンモニア水に吸収(溶解)及び凝縮させる際に生成する溶解熱及び潜熱が低温水導管48を流通する低温水により回収されると共に、該アンモニア水が冷却される。
アンモニア水タンク5に貯留されるアンモニア水は、アンモニア水凝縮器3及び凝縮水タンク28における凝縮及び冷却と、アンモニア水吸収塔4におけるアンモニア水への溶解との結果、例えば15〜20℃の範囲の温度に冷却されている。前記範囲の温度に冷却されたアンモニア水は、第2排液導管46を介して第2排液ポンプ47により外部へ取り出され、反応容器2における前記基質混合物の調製に再利用される。
反応容器2では、前記アンモニア含有糖化前処理物から前述のようにしてアンモニア水が放散された結果、アンモニアが分離されたアンモニア分離糖化前処理物を得ることができる。
次に、反応容器2に、前記酸水溶液供給導管を介して前記酸水溶液を供給し、撹拌するとともに、前記糖化酵素溶液供給導管を介して前記糖化酵素溶液を供給し、撹拌する。これにより、前記アンモニア分離糖化前処理物と前記糖化酵素溶液とが混合された基質・糖化酵素混合物を得ることができる。このとき、必要に応じてイオン交換水供給導管を介してイオン交換水を供給し、前記基質・糖化酵素混合物の含水率を調節してもよい。
次に、反応容器2内で酵素糖化処理を行うことにより、前記基質・糖化酵素混合物は少なくとも一部が糖化された後、得られた糖化処理物は前述のように反応容器2底部の排出口(図示せず)から排出され、次工程に移送される。そして、反応容器2では次回の処理が準備される。
次に、反応容器2におけるアンモニア含有糖化前処理物を得るときの前記基質混合物の加熱について、さらに詳細に説明する。
まず、反応容器2での基質の加熱について説明する。基質供給導管6により反応容器2へ前記基質が供給を開始した後、温水が温水導管15を介して反応容器2のジャケット14に供給される。この結果、熱媒体(温水)自体及びジャケット14の加熱が開始される。その後、アンモニア水供給導管7によりアンモニア水が供給され、前記基質と該アンモニア水とが撹拌翼12aで撹拌されて混合されることにより基質混合物が調製される。
本実施形態の前処理方法では、基質混合物を調製する前から前記熱媒体及びジャケット14の加熱を開始すること、そして温水タンク16内にこの前に行った前処理時にアンモニア分離前処理物を得る工程時に回収された温水を使用できるため、該基質混合物が前記所定の温度に昇温するまでに要する時間を短縮することができる。また、前記基質混合物が前記所定の温度に昇温するまでの間に撹拌翼12aにより撹拌が行われているが、撹拌時間を短縮することができ、撹拌に要するエネルギーを低減することができる。
次に、低温水1次タンク49に貯留されている低温水の循環ルートを示す。アンモニア含有糖化前処理物を得るときは、第1切替弁51を作動させ、低温水導管48と低温水バイパス導管52とを接続するように切り替える。
このようにすると、低温水1次タンク49に貯留されている低温水が、低温水1次ポンプ50を経由し、低温水導管48及び低温水バイパス導管52により、低温水1次ポンプ50、2元系ヒートポンプ19、第1切替弁51、第2切替弁53を経て、低温水1次タンク49に戻る経路で循環されるようになる。
このとき、低温水導管48に循環される前記低温水は、前述のように、2元系ヒートポンプ19の第1熱交換器74で前記二酸化炭素と熱交換することにより、アンモニア水凝縮器3でアンモニアガスを凝縮させることができる温度、例えば10〜15℃の範囲の温度を目標に冷却される。ただし、始動時はその温度よりも高くなっているので低温水1次タンク49に戻る経路で循環されている。
次に、温度センサ54により検出される前記低温水の温度が、目標の10〜15℃の範囲の温度に冷却されたならば、第2切替弁53が低温水バイパス導管52と冷水導管55とを接続するように切り替えられる。この結果、10〜15℃の範囲の温度以下の低温水(以下、冷水という)が低温水2次タンク56に貯留され、アンモニア分離糖化前処理物を得る工程で使われることとなる。
次に、2元系ヒートポンプ19について、詳細に説明する。2元系ヒートポンプ19は2種類の熱媒体を用いるヒートポンプであり、図2に示すように、第1の循環導管71と、第2の循環導管72との2種類の熱媒体の循環系を備えている。前記2種類の熱媒体として、例えば、第1の循環導管71には二酸化炭素が循環され、第2の循環導管72にはトリフルオロエタノールが循環される。
第1の循環導管71は、途中に膨張弁73、低温水導管48に循環される低温水と熱交換する第1熱交換器74、圧縮機75、第2の循環導管72に循環されるトリフルオロエタノールと熱交換する第2熱交換器76を備えている。また、第2の循環導管72は、途中に膨張弁77、第1の循環導管71に循環される二酸化炭素と熱交換する第2熱交換器76、圧縮機78、温水導管15に循環される温水と熱交換する第3熱交換器79を備えている。
前記低温水は、2元系ヒートポンプ19の第1熱交換器74において二酸化炭素と熱交換することによりアンモニア水凝縮器3でアンモニアガス及び水蒸気を凝縮させることができる温度、例えば10〜15℃に冷却される。また前記二酸化炭素は、2元系ヒートポンプ19の第1熱交換器74において前記低温水と熱交換することにより加熱される。
また、2元系ヒートポンプ19では、第2の循環導管72に循環されるトリフルオロエタノールが、第2熱交換器76で第1の循環導管71により供給される前記二酸化炭素と熱交換することにより加熱される。前記トリフルオロエタノールは、第3熱交換器79で温水導管15により供給される温水と熱交換して冷却される。この結果、温水導管15により第3熱交換器79に供給される前記温水は、反応容器2において前記基質混合物を加熱することができる温度に加熱される。
次に、アンモニア水凝縮器3によるアンモニアガス及び水蒸気の冷却及び凝縮について、さらに詳細に説明する。
前処理装置1では、まず、アンモニア分離前処理物を得る初期段階を除く通常時は、第1切替弁51により低温水導管48の上流と下流とが接続されており、低温水1次ポンプ50が作動されている。
この結果、低温水1次タンク49に貯留されている低温水が、低温水導管48により取り出され、低温水1次ポンプ50、2元系ヒートポンプ19、第1切替弁51、アンモニア水熱交換器41、凝縮水タンク28、アンモニア水凝縮器3を経て、低温水1次タンク49に戻る経路で循環される。
このとき、前記低温水は、2元系ヒートポンプ19を介して、温水と熱交換することにより冷却される。そして、前記低温水は、アンモニア水熱交換器41及び凝縮水タンク28でアンモニア水と熱交換して該アンモニア水を冷却し、アンモニア水凝縮器3でアンモニアガス及び水蒸気と熱交換することにより該アンモニアガス及び水蒸気を冷却する。一方、前記低温水自体は、前記アンモニア水、及び前記アンモニアガス及び水蒸気により加熱される。
次に、アンモニア分離前処理物を得る工程の初期段階について説明する。排気弁9を開弁して反応容器2内のアンモニア含有糖化前処理物から放散されるアンモニアガス及び水蒸気がアンモニア水凝縮器3に導入される段階に至ったならば、第2切替弁53により低温水バイパス導管52と冷水導管55とが接続された状態で、低温水2次ポンプ58が作動される。このようにすると、低温水2次タンク56に貯留されている前記冷水が冷水供給導管57及び低温水導管48を介し、アンモニア水熱交換器41、凝縮水タンク28を経由して、アンモニア水凝縮器3に供給される。
本実施形態の前処理方法は回分(バッチ)式であるので、アンモニア水凝縮器3において、アンモニアガス及び水蒸気を凝縮させる際に、前記放散の初期段階では、アンモニア含有糖化前処理物から高濃度且つ大量のアンモニアガス及び少量の水蒸気が放散され、該高濃度のアンモニアガス及び少量の水蒸気がアンモニア水凝縮器3に導入される。このため、前記初期段階では、前記高濃度のアンモニアガス及び少量の水蒸気を冷却するために大きな冷却熱エネルギーが必要となる。そこで、前述のように、低温水2次タンク56に貯留されている前記冷水をアンモニア水凝縮器3に供給することにより、前記高濃度かつ大量のアンモニアガス及び少量の水蒸気を効率よく冷却し、十分に凝縮させることができる。
その後、低温水2次タンク56に貯留される前記冷水の水位が下限に達したことが水位センサ(図示せず)により検出されたならば、第1切替弁51が低温水導管48の上流と下流とを接続するように切り替えられる。
そして、アンモニア水凝縮器3から導出された低温水が低温水導管48により、低温水1次タンク49、低温水1次ポンプ50、2元系ヒートポンプ19、第1切替弁51、アンモニア水熱交換器41、凝縮水タンク28を介して、アンモニア水凝縮器3に循環される通常の冷却状態に移行する。このときには、放散されるアンモニアガス及び水蒸気のアンモニアガスの濃度も量も既に低減しているので、前記通常の冷却状態の低温水により十分に前記アンモニアガス及び水蒸気を冷却し、凝縮させることができる。
さらに、本実施形態の前処理方法では、前記基質混合物を得る工程において、反応容器2に前記基質を供給した後且つ前記アンモニア水を供給する前に、次のようにして、反応容器2内の空気を外部へ排出する。
まず、反応容器2を密閉し、開閉弁31及び開閉弁35を閉弁する共に、排気弁9、開閉弁34及び開閉弁37を開弁した状態で、真空ポンプ33を作動させる。これにより、反応容器2内の空気、前記基質の表面に付着する空気及び該表面から放散した空気等が、第1排気導管8、第2排気導管30、第3排気導管32及び第4排気導管36を介して大気に排気され、該反応容器2内が減圧される。
このとき、圧力センサ13により検知された反応容器2内の圧力が所定圧力Pに達した後、所定時間が経過した後の圧力Pを圧力センサ13により検知し、図示しない前記異常判断手段により、該圧力Pを該所定圧力Pと比較する。そして、前記圧力Pと前記所定圧力Pとの差分が前記所定範囲以内である場合には、前記異常判断手段は正常であると判断し、その後、反応容器2へのアンモニア水の供給が行われる。
一方、前記圧力Pと前記所定圧力Pとの差分が前記所定範囲を超える場合には、前記異常判断手段は異常と判断する。この場合には、作業者は、反応容器2の排気弁9等に前記基質が付着していないか等を点検し、該基質を除去する等して反応容器2の気密性を確保する。その後、再び前記減圧が行われる。
本実施形態の前処理方法によれば、前記基質の表面に付着する空気及び該表面から放散した空気が除去されていることにより、前記基質の膨張を抑制することができるとともに、該基質に前記アンモニア水を混合したときに、該基質に前記アンモニア水が十分に浸透された前記基質混合物を得ることができる。
この結果、前記基質混合物を加熱して前記アンモニア含有糖化前処理物を得る工程において、確実に、前記基質からリグニンを解離させ又は該基質を膨潤させることができる。
また、前記基質の表面に付着する空気等を反応容器2外へ放出する際に、アンモニア水吸収塔4の上流で第3排気導管32から分岐した第4排気導管36を介して外部に排気するので、アンモニア水吸収塔4へ空気が流入することを阻止することができる。これにより、アンモニア水吸収塔4に流入する空気と共にアンモニア水吸収塔4内のアンモニアが外部に排出されて、アンモニアの回収効率が低下することを防ぐことができる。
1…前処理装置、 2…反応容器、 3,4…アンモニア回収手段、 8,30,32,36…排気導管33…真空ポンプ。

Claims (4)

  1. 反応容器で、基質であるリグノセルロース系バイオマスとアンモニア水とを混合して基質混合物を得る工程と、
    該基質混合物を所定温度に加熱すると共に該温度に所定時間保持することにより該基質からリグニンを解離させ又は該基質を膨潤させてアンモニア含有糖化前処理物を得る工程とを備えるリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法において、
    該基質混合物を得る工程では、該反応容器内に該基質を収容し、該反応容器内の空気を排気することにより該反応容器内を減圧した後に、該アンモニア水を添加して混合することを特徴とするリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法。
  2. 請求項1記載のリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法において、
    さらに、前記アンモニア含有糖化前処理物から放散されたアンモニアを、前記反応容器に接続された排気導管を介して、アンモニアを回収するアンモニア回収手段に案内する工程を備え、
    前記基質混合物を得る工程では、該反応容器内の減圧を、該反応容器内の空気を該排気導管を介して排気する真空ポンプにより行うことを特徴とするリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法。
  3. 請求項2記載のリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法において、
    前記基質混合物を得る工程では、反応容器内の空気を、前記排気導管の前記アンモニア回収手段の上流側で外部に排気することを特徴とするリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法において、
    前記反応容器内の圧力を検知し、該反応容器内が所定圧力に達した後さらに該減圧を所定時間保持した後の圧力と該所定圧力との差分が所定範囲を超えたとき、該反応容器の気密性に異常があると判断することを特徴とするリグノセルロース系バイオマスの糖化前処理方法。
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