[第1実施形態]
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、図1〜図71に基づいて説明する。なお、以下の説明において「左右」とは、パチンコ遊技機10を正面から見たときの左右である。
<パチンコ遊技機10の前面側の概要構造について>
パチンコ遊技機10は、図2に示す遊技盤11の前面にガイドレール12で囲まれた略円形の遊技領域Rを備え、その遊技領域Rを、パチンコ遊技機10の前面に備えた前面窓10W(図1参照)を通して視認することができる。
図1に示すように、パチンコ遊技機10の前面の下部には、遊技球を貯留可能な球受け皿13が設けられている。球受け皿13の右側方には、発射ハンドル14が備えられ、この発射ハンドル14を回動操作することで、図示しない発射装置から遊技領域Rに向かって遊技球が発射される。また、発射ハンドル14の回動操作量に応じて、遊技球の発射強度を任意に調節することができる。
図2に示すように、遊技盤11のうち遊技領域Rの中央には、異形の表示窓が貫通形成され、その表示窓に表示装飾枠20が前側から嵌め込まれている。そして、表示装飾枠20を通して、遊技盤11の裏面側のディスプレイ15が前方に臨んでいる。また、表示装飾枠20は遊技盤11の前面から突出していて、ディスプレイ15の前方を遊技球が流下することを禁止している。そして、遊技領域Rが表示装飾枠20により、左右方向で左側流下領域Raと右側流下領域Rbとに分けられ、上下方向で上部連絡通路23と下部流下領域Rcとに分けられている。
表示装飾枠20の下辺部の上面は、左右方向の両端部から中央に向かって下り傾斜したステージ21になっており、表示装飾枠20の左側辺には、左側流下領域Raを流下する遊技球を、表示装飾枠20の内側に取り込むためのワープ路(図示せず)が形成されている。ワープ路を通過した遊技球は、ステージ21の左端から放出されて、ステージ21上を左右に転動する。また、ステージ21上で転動し終えた遊技球は、ステージ21の中央部から下部流下領域Rcに流下する。
左側流下領域Raの上部には、発射装置(図示せず)から発射された遊技球を、遊技領域Rに進入させるための球打出口16が設けられている。また、表示装飾枠20の上端面は、ガイドレール12に沿って円弧状に延びた内側ガイド面22となっており、上部連絡通路23は、それらガイドレール12と内側ガイド面22との間に挟まれて円弧状をなし、左側流下領域Raの上部と右側流下領域Rbの上部とを連絡している。
比較的弱い発射強度で発射された遊技球は、表示装飾枠20や左側流下領域Raに設けられた障害釘に衝突し、上部連絡通路23に進入することなく左側流下領域Raを流下する。一方、比較的強い発射強度で発射された遊技球は、球打出口16からそのままガイドレール12に沿って上部連絡通路23を通過し、右側流下領域Rbを流下する。以下、遊技球が左側流下領域Raを流下するように発射強度を調整して行う遊技のことを「左打ち遊技」といい、遊技球が右側流下領域Rbを流下するように発射強度を調整して行う遊技のことを「右打ち遊技」という。
<左側流下領域Raについて>
左側流下領域Raには、全体に亘って複数の障害釘が分散配置されており、左側流下領域Raの下部には、風車17と、複数の一般入賞部18とが設けられている。一般入賞部18はポケット構造をなしており、その上面には、常時開放の一般入賞口18Aが形成され、その一般入賞口18Aに遊技球が1球ずつ入賞可能になっている。そして、一般入賞口18Aに入賞する度に、所定数の賞球が払い出される。
<下部流下領域Rcについて>
下部流下領域Rcには、ステージ21の中央部の真下にセンター入賞部31が設けられている。センター入賞部31は、一般入賞部18と同様のポケット構造をなし、その上面に常時開放のセンター始動口31Aを有し、そのセンター始動口31Aに遊技球が1球ずつ入賞可能になっている。そして、センター始動口31Aに入賞する度に、所定数の賞球が払い出される。また、下部流下領域Rcには、風車17からセンター入賞部31に向かって複数の障害釘が一列に配設されており、その障害釘列によって、左側流下領域Raを流下した遊技球の一部が、センター始動口31Aに向かうように構成されている。本実施形態では、左側流下領域Raを流下した遊技球のうちの約5〜6%(「左打ち遊技」を1分間(100球)続けた場合に5〜6球)が、センター始動口31Aに入賞するように構成されている。また、右側流下領域Rbを流下した遊技球は、殆どセンター始動口31Aに入賞しないように障害釘や表示装飾枠20等によって流下方向が規制されている。
下部流下領域Rcのうちセンター入賞部31の右側方位置には、特別始動口33Aが設けられている。特別始動口33Aは、遊技盤11の前面(遊技領域R)に向かって開放しており、始動口扉33Tによって開閉可能となっている。始動口扉33Tは、特別始動口33Aの下端部を中心にして前後に回動可能となっており、常には、起立姿勢に保持されて、特別始動口33Aを閉鎖している。そして、始動口扉33Tが前側に倒されて特別始動口33Aを開放し、その倒れた始動口扉33Tを案内にして遊技球が1球ずつ入賞可能になっている。また、特別始動口33Aに遊技球が入賞する度に、所定数の賞球が払い出される。
<右側流下領域Rbについて>
右側流下領域Rbの下寄り位置には、サイド入賞部32が設けられている。図3に示すように、サイド入賞部32は、一般入賞部18と同様のポケット構造をなし、その上面に常時開放のサイド始動口32Aを有し、そのサイド始動口32Aに遊技球が1球ずつ入賞可能になっている。そして、サイド始動口32Aに入賞する度に、所定数の賞球が払い出される。
右側流下領域Rbのうちサイド入賞部32より下流側には、始動ゲート30が配置されている。始動ゲート30は、サイド入賞部32の右斜め下方に離して配置されており、遊技球が1つずつ内側を鉛直下方に向かって通過することができるようになっている。
始動ゲート30より下流側には、第2アタッカー口35Aが設けられている。第2アタッカー口35Aは、始動ゲート30の真下位置よりやや左側でかつ、サイド入賞部32の真下位置よりやや右側にずれた位置に配置されており、始動ゲート30を通過した遊技球が入賞可能となっている。第2アタッカー口35Aは、特別始動口33Aと同様、遊技盤11の前面(遊技領域R)に向かって開放しており、アタッカー扉35Tによって開閉可能となっていて、前側に倒れたアタッカー扉35Tを案内にして遊技球が1球ずつ入賞することができる(アタッカー扉35Tによって閉鎖された入賞不能または困難状態と、アタッカー扉35Tが前側に倒れた入賞可能または容易状態に切り替わる)。その第2アタッカー口35Aに入賞した遊技球は、一度、遊技盤11の裏側を通って次述する大入賞ブロック34内に排出される。また、第2アタッカー口35Aの右隣には球受突壁37が設けられ、その球受突壁37に受け止められた遊技球が、前側に倒れたアタッカー扉35Tに受け渡されるようになっている。
<大入賞ブロック34について>
遊技領域Rの右下部分には、右側流下領域Rbを流下してきた遊技球の大部分を受け止めるガイド上面34Bを有した大入賞ブロック34が設けられている。そのガイド上面34Bは左下がりに傾斜していて、受け止めた遊技球を特別始動口33Aへと案内する。なお、左側流下領域Raを流下した遊技球は、殆ど特別始動口33Aに入賞しないように障害釘や表示装飾枠20等によって流下方向が規制されている。
大入賞ブロック34のガイド上面34Bのうち第2アタッカー口35Aより特別始動口33A側にずれた部分には、遊技球の直径の2〜4倍の範囲に亘って第1アタッカー口34Aが形成されかつ通常はシャッター板34Tにて閉塞されている。これにより、通常は、ガイド上面34B上を遊技球が右端から左端まで転動して上述の如く特別始動口33Aに案内される。そして、シャッター板34Tが遊技盤11の前面より後方に引っ込むように開いて第1アタッカー口34Aが開放状態になると、右側流下領域Rbを流下してガイド上面34Bの右端部分で受け止められた遊技球の大部分が、第1アタッカー口34Aに入賞する(シャッター板34Tによって閉鎖された入賞不能または困難状態と、シャッター板34Tが後方に引っ込むように開いた入賞可能または容易状態に切り替わる)。
図3に示すように、大入賞ブロック34の内部には、通常口36CとV確定口36Aと内部排出口35Hとが設けられている。通常口36Cは、大入賞ブロック34内の下部左寄り位置に配置されている。そして、第1アタッカー口34Aを通して大入賞ブロック34に入球した遊技球は、全て通常口36Cから遊技盤11の後側に取り込まれる。また、遊技球が第1アタッカー口34Aから通常口36Cを経て遊技盤11の後方に取り込まれる度に、一般入賞口18Aや始動口31A,32A,33Aへの入賞時より多くの賞球が払い出される。
内部排出口35Hは、進入規制部材36Bの右斜め上方に配置されている。そして、第2アタッカー口35Aに入賞した遊技球が内部排出口35Hから大入賞ブロック34内に排出される。V確定口36Aは、大入賞ブロック34内の下部右寄り位置に配置され、そのV確定口36Aの上方には、V確定口36Aへの遊技球の入球を禁止した閉位置とV確定口36Aへの入球を許容した開位置との間で前後動する進入規制部材36Bが備えられている。そして、第2アタッカー口35Aを通して大入賞ブロック34に入球した遊技球は、進入規制部材36Bが開いていれば、殆どがV確定口36Aから遊技盤11の後側に取り込まれる。また、進入規制部材36Bが閉じていると、第2アタッカー口35Aを通して大入賞ブロック34に入球した遊技球は、進入規制部材36B上を通過して大入賞ブロック34内を左側に移動し、通常口36Cから遊技盤11の後側に取り込まれる。そして、遊技球が第2アタッカー口35Aに入賞してから通常口36C又はV確定口36Aの何れかを通過して遊技盤11の後方に取り込まれる度に、一般入賞口18Aや始動口31A,32A,33Aへの入賞時より多くの賞球が払い出される。
なお、大入賞ブロック34のうちガイドレール12に沿った外縁部分には、右側流下領域Rbと下部流下領域Rcとを連絡するアウト通路39が形成されており、サイド始動口32Aや第2アタッカー口35Aに入賞せず、ガイド上面34Bの上にも落下しなかった遊技球は、このアウト通路39を通過して、遊技領域Rの最下部に設けられたアウト口19に回収される。
<右側流下領域Rbの流下経路について>
右側流下領域Rbの上部には、その右側流下領域Rbを流下する遊技球の全てが通過する共通基幹経路50が設けられている。共通基幹経路50は、遊技球が1つだけ通過可能は幅をなして上下方向に延び、その共通基幹経路50の下端部に、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52とが二股状に連絡されている。第2基幹流下経路52は、第1基幹流下経路51との分岐部から遊技領域Rの外縁部に沿って下方に延びており、その下端部の排出口52Bが、始動ゲート30に向かって左斜め下方に開放している。また、第2基幹流下経路52は、遊技球をサイド始動口32Aに入賞させないように案内して、始動ゲート30や、その下流側に配置された特別始動口33A、第1及び第2のアタッカー口34A,35Aに向かわせる。
さらに、第2基幹流下経路52は、比較的小さく左右に蛇行しており、その下端部には図6に示すように第2基幹流下経路52内を蛇行しながら下端部に到達した遊技球を跳ね返して、排出口52Bから始動ゲート30に向かわせる跳ね返し部58が設けられている。跳ね返し部58は、第1基幹流下経路51や第2基幹流下経路52を構成する壁部材とは別部品の板金又は弾性部材で構成されており、第2基幹流下経路52を構成する壁部材に形成された側面開口部52Cを外側から塞いでいる。
図3に示すように、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52との分岐部には、振分部材53が設けられている。振分部材53は、遊技盤11の前面に対して垂直な回動軸J1を中心にして、第1案内位置(図3に示す状態)と第2案内位置(図4に示す状態)との間で傾動可能となっている。また、図5に示すように、振分部材53は、回動軸J1から上方(共通基幹経路50)に向かって延びた上方規制部54Cと、回動軸J1から第1基幹流下経路51側に延びて上方規制部54Cとの間で左受容部53Aを形成する左規制部54Aと、回動軸J1から第2基幹流下経路52側に延びて、上方規制部54Cとの間で右受容部53Bを形成する右規制部54Bとを備えている。左受容部53A及び右受容部53Bには、それぞれ遊技球が1つだけ受容可能となっている。そして、図3に示す第1案内位置では、上方規制部54Cが第1基幹流下経路51側に傾いて、右受容部53Bが共通基幹経路50と対向し、その右受容部53Bに遊技球を受け入れ可能となり、図4に示す第2案内位置では、上方規制部54Cが第2基幹流下経路52側に傾いて、左受容部53Aが共通基幹経路50と対向し、その左受容部53Aに遊技球を受け入れ可能となる。
また、振分部材53の真下には、山形の傾動規制ストッパ55が設けられており、その傾動規制ストッパ55に、左規制部54A及び右規制部54Bが当接することで、振分部材53が、上記した第1案内位置と第2案内位置とに位置決めされる。そして、振分部材53は、遊技球の自重によって第1案内位置と第2案内位置とに切り替わり、共通基幹経路50に進入した遊技球を、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52とに自動的に振り分ける。このように、振分部材53は、共通基幹経路50を通過した遊技球を第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52とに正確に振り分けるため、遊技球が進む経路を正確に調整することが可能となる。
図3に示すように、第1基幹流下経路51は、第2基幹流下経路52との分岐部から、第2基幹流下経路52よりも大きく左右に蛇行しながら下方に向かって延びており、遊技球が通過する通過時間が、第2基幹流下経路52よりも長くなるように構成されている。第1基幹流下経路51の下流側には、サイド始動口32A、特別始動口33A、始動ゲート30等が設けられている。
第1基幹流下経路51の途中には、球遊転部材57が備えられている。図5に示すように、球遊転部材57は、遊技球を受ける受壁57Aと、受壁57Aを上下に貫通し、遊技球が1つずつ通過可能な排出孔57Bとを有している。球遊転部材57は、所謂、「クルーン」のように、遊技球を排出孔57Bの周りで周回させてから排出孔57Bに転落させることができ、第1基幹流下経路51における遊技球の通過時間を不規則に変化させる。
図6に示すように、第1基幹流下経路51の下端部には、遊技球をサイド始動口32Aに入賞させるように案内する第1案内流下経路61と、遊技球をサイド始動口32Aに入賞させないように案内して(第1案内流下経路61を流下しなかった場合)、始動ゲート30や、その下流側に配置された特別始動口33A等に向かわせる第2案内流下経路62とが連絡されている。なお、サイド始動口32Aは、第1基幹流下経路51を通過した遊技球が特別始動口33Aに到達するよりも早く到達するように配置され、サイド始動口32Aに到達した遊技球はサイド始動口32A入賞することで下流側に流下しないように構成されている。
第1基幹流下経路51の下端部には、遊技球が転動するように右下がりに傾斜した転動傾斜面56が備えられている。転動傾斜面56における遊技球の転動先には、第1案内流下経路61への進入口61Aが上方に向かって開口している。また、第1案内流下経路61への進入口61Aより下流側に、第2案内流下経路62が延びており、その第2案内流下経路62の下端部と第2基幹流下経路52の下端部とが合流している。ここで、第2案内流下経路62の下端部の排出口62Bは、第2基幹流下経路52の排出口52Bより始動ゲート30の真上に近い位置に配置されている。
第1案内流下経路61への進入口61Aには、スライド板64が備えられている。そのスライド板64は、転動傾斜面56における転動方向に直動し、図6に示すように進入口61Aを開放した開放状態と、図7に示すように、進入口61Aを塞いだ閉鎖状態とに自動的に交互に切り替わる。また、進入口61Aにおける遊技球の噛込みを防止するために、スライド板64は、閉鎖状態から開放状態へと切り替わるときの移動速度より、開放状態から閉鎖状態へと切り替わるときの移動速度の方が速くなっていると共に、スライド板64の下面側の前端縁が斜めにカットされている。さらに、スライド板64の開閉周期は、発射装置による遊技球の連続的な発射周期(連続的に発射を継続した場合の間隔)と異なるように設定されていて、スライド板64の閉鎖状態で遊技球が進入口61A上を通過するタイミングになるように意図的に遊技球の発射タイミングを合わせることができないようになっていて、遊技の公平性を保つことができる。なお、本実施形態の発射装置は、0.6秒の1球の割合で遊技球を発射する仕様となっており、スライド板64は、0.5秒に1回の割合で、不利開放状態から有利閉鎖状態に切り替わる仕様となっている。
図6に示すように、サイド始動口32Aは、第1案内流下経路61への進入口61Aの真下に離して配置され、進入口61Aから第1案内流下経路61に転落した遊技球の殆どはサイド始動口32Aに入賞するようになっている。
第1案内流下経路61のうち、進入口61Aとサイド始動口32Aとの間には、第1入賞逸脱経路63L,63Rが連絡している。第1入賞逸脱経路63L,63Rは、第1案内流下経路61の進入口61Aとサイド始動口32Aとの間を斜め下方に落下して第1案内流下経路61から逸れた遊技球又は、サイド始動口32Aの開口縁で跳ね返った遊技球を受け入れて、特別始動口33Aに向かわせるようになっている。ここで、サイド入賞部32の右側に形成された第1入賞逸脱経路63Rは、第2案内流下経路62に隣接して設けられており、第2基幹流下経路52と第2案内流下経路62の下端同士の合流部に開放している。即ち、始動ゲート30は、第2基幹流下経路52、第2案内流下経路62及び第1入賞逸脱経路63Rの何れを通過した遊技球も入賞可能な位置に配置されている。これに対し、サイド入賞部32の左側に形成された第1入賞逸脱経路63Lは、遊技球が始動ゲート30を通過することなく、第2アタッカー口35Aや、その下流側の、発射されてから流下して到達するまでの距離がサイド始動口32Aよりも遠くに配置されている特別始動口33Aへと向かうように案内する。なお、第1案内流下経路61の進入口61Aは、サイド始動口32Aの真上に配置されているから、第1案内流下経路61に進入した遊技球がサイド始動口32Aに入賞せずに第1入賞逸脱経路63L,63Rに逸れることはほとんどなく、第1入賞逸脱経路63L,63Rに逸れることは極めてまれなケースである。
ここで、上述した振分部材53及びスライド板64を設けたことにより、右側流下領域Rbを流下した全ての遊技球のうちの約2〜3%(「右打ち遊技」を1分間(100球)続けた場合に2〜3球)が、サイド始動口32Aに入賞するように構成されている。即ち、サイド始動口32Aとセンター始動口31Aとを比較すると、遊技状態(高確率状態と低確率状態と)にかかわらず、サイド始動口32Aの方がセンター始動口31Aよりも、遊技球が入賞し難い構成となっている。
<スライド板64の開閉について>
図27には、スライド板64の駆動装置65が示されている。駆動装置65は、従動アーム66とモータ67とを備え、それらがカム機構によって連結されている。従動アーム66の上端部は遊技盤11に直交する回転軸J2に軸支され、従動アーム66の下端寄り位置には、スライド板64が一体に設けられている。また、従動アーム66の下端部には、コイルバネ68が連結され、そのコイルバネ68が、従動アーム66をストッパ69に当接させた原点位置(図27(A)に示す位置)に付勢している。その原点位置のとき、スライド板64は有利閉鎖状態(図7に示す状態)になる。
従動アーム66には従動カム66Aが設けられており、モータ67の出力回転軸67Jには主動カム67Aがギヤ連結されている。主動カム67Aは、円筒面からカム突部67Tが突出した構成をなしており、従動カム66Aがそのカム突部67Tを乗り越える過程で、従動アーム66が原点位置と、原点位置から離れた移動端位置(図27(B)に示す位置)との間を往復動するように構成されている。従動アーム66が移動端位置のとき、スライド板64が不利開放状態(図6に示す状態)になる。
即ち、図27(A)から同図(B)への変化に示すように、主動カム67Aのカム突部67Tが、従動カム66Aを押圧して従動アーム66を原点位置から移動端位置へと移動させることで、スライド板64が有利閉鎖状態から不利開放状態へと変化し、図27(B)から同図(C)への変化に示すように、従動カム66Aがカム突部67Tを乗り越えることで押圧が解除され、その押圧が解除されたときに、移動端位置への移動によって増加したコイルバネ68の弾発力により従動アーム66が原点位置に移動して、スライド板64が有利閉鎖状態に戻るように構成されている。
<当否判定権について>
上記した始動ゲート30、センター始動口31A、サイド始動口32A及び特別始動口33Aに遊技球が入賞すると当否判定権が発生し、その当否判定権を使用した当否判定が行われる。これら当否判定について以下説明する。
<小当り当否判定権について>
遊技球が始動ゲート30を通過すると「小当り当否判定権」が発生し、その小当り当否判定権を使用して、特別始動口33Aを開放状態とする「小当り遊技」を行うか否かの「小当り当否判定」が行われる。その小当り当否判定の判定結果は、表示装飾枠20の一部に設けられた小判定報知部(図示せず)で報知される。小判定報知部では、予め定められた「小判定演出期間」に亘って小当り報知演出を行った後で、小当り当否判定の判定結果を報知する。また、「小判定演出期間」中に、始動ゲート30を遊技球が通過した場合には、その分の「小当り当否判定権」が予め定められた上限数(例えば最大4つ)まで保留され、それ以上は「小当り当否判定権」は発生しない。そして、保留された「小当り当否判定権」は、発生順(古い順)に使用される。
<第1の当否判定権について>
センター始動口31A及びサイド始動口32Aにそれぞれ遊技球が入賞すると第1の当否判定権がそれぞれ発生し、それら第1の当否判定権を使用して大当り当否判定が行われる。第1の当否判定権を使用して行われた大当り当否判定の結果は、ディスプレイ15の例えば画面左上部分に設けられた第1判定報知部15G(図2参照)で報知される。その第1判定報知部15Gは、例えば0〜9の範囲で変化する判定図柄を3つ横並びに配置してなり、大当り当否判定の結果を報知する際には、それら判定図柄を上下方向に変動表示(例えば、スクロール)してから停止表示するという報知演出を行う。そして、大当り当否判定が当りの場合には、停止表示された3つの判定図柄の組み合わせが、当りを意味する当り図柄組み合わせ(例えば、ぞろ目の3桁数)となり、外れの場合には、外れを意味する外れ図柄組み合わせ(例えば、ぞろ目以外の3桁数)になる。また、第1の当否判定権に基づく判定報知演出(第1判定報知部15Gの変動表示)を行っている間、及び、後述の大当り遊技を行っている間に、センター始動口31A,サイド始動口32Aに遊技球が入賞した場合には、その分の第1の当否判定権が、予め定められた上限数である例えば最大4つまで保留され、それ以上は第1の当否判定権は発生しない。そして、保留された第1の当否判定権は、発生順(古い順)に使用される。
<第2の当否判定権について>
特別始動口33Aに遊技球が入賞すると第2の当否判定権が発生し、その第2の当否判定権を使用して大当り当否判定が行われる。その第2の当否判定権を使用して行われる大当り当否判定の結果は、表示装飾枠20の右下部に一体に設けられた第2判定報知部25で報知される。第2判定報知部25では、判定報知演出を行った後、大当り当否判定の結果を表示する。その第2判定報知部25は、複数のLEDで構成された判定図柄で、判定報知演出はLEDの点滅(変動表示)にて行う。そして、大当り当否判定が当りの場合には、判定報知演出の後で全てのLEDが点灯状態になり、外れの場合には、判定報知演出の後で、一部又は全部のLEDが消灯状態になる。
第2の当否判定権に基づく判定報知演出(LEDの点滅)を行っている間、及び、後述の大当り遊技を行っている間に、特別始動口33Aに遊技球が入賞した場合には、その分の第2の当否判定権が、予め定められた上限数である例えば最大4つまで保留され、それ以上は第2の当否判定権は発生しない。そして、保留された第2の当否判定権は、発生順(古い順)に使用される。また、上記したように第1の当否判定権同士の間及び第2の当否判定権同士の間では、発生順に当否判定権を使用して判定報知演出が開始され、第1又は第2の一方の当否判定権の判定報知演出が実行中か否かとは無関係に他方の当否判定権の判定報知演出が開始される。以下、適宜、第1の当否判定権に基づく判定報知演出のことを「第1の判定報知演出」といい、第2の当否判定権に基づく判定報知演出のことを「第2の判定報知演出」という
<大当りの種類について>
下記表1に示すように、第1の当否判定権を使用した「大当り当否判定」の当りには、「特典無し大当り」と「特典付き大当り」との2種類があり、第2の当否判定権を使用した「大当り当否判定」の当りには、「特典付き大当り」のみがある。つまり、第2の当否判定権の当り(つまり、特別始動口33Aに入賞したときの大当り)で、「特典付き大当り」になる確率は100%である。これに対し、第1の当否判定権で当り(つまり、センター始動口31A又はサイド始動口32Aに入賞したときの大当り)で、「特典付き大当り」になる確率は例えば1/5(即ち、20%)、「特典無し大当り」になる確率は4/5(即ち、80%)に設定されている。
上記表1に示した何れの大当りであっても大当りになると、第1又は第2のアタッカー口34A,35Aを開放状態にする「大当り遊技」が実行される。その「大当り遊技」は、2ラウンドで構成され、第1ラウンドで第1アタッカー口34Aのみが開放状態になり、第2ラウンドで第2アタッカー口35Aのみが開放状態になる。また、第1及び第2のアタッカー口34A,35Aの開放は、予め定められた規定の開放期間(例えば、15秒間)を上限とし、その開放期間中に予め定められた規定数(例えば、10球)の遊技球が入賞すると直ちに閉鎖する。なお、上記配置により第1又は第2のアタッカー口34A,35Aに遊技球を入賞させるには右打ちを行う必要があるので、より多くの賞球を望む遊技者にとって「大当り遊技」中は「右打ち遊技」が必須になる。
第2ラウンド中には、予め設定された態様でアタッカー扉35Tが作動して第2アタッカー口35Aが開放する。「特典付き大当り」では、普通に右打ちを行っていれば第2アタッカー口35Aに遊技球が入球する(例えば、1秒間の開放を複数回繰り返す)一方、「特典無し大当り」では、右打ちを行っても通常は第2アタッカー口35Aに遊技球が入球しない(例えば、1秒間の開放を1回のみ行う)ように設定されている。即ち、「特典無し大当り」の大当り遊技中に、遊技球がV確定口36Aに入球することは実質的にはない設定になっている。なお、V確定口36Aを開閉する進入規制部材36Bの動きは、「特典付き大当り」か「特典無し大当り」かに拘らず一定となっている。
大当り遊技中にV確定口36Aに入球したか否かにより、その大当り遊技後の「大当りの判定確率」及び「小判定演出期間の長さ」の一方又は両方が通常時に比べて変更されるようになっている。
<確率について>
「大当り当否判定の確率」に関しては、通常時より当りとなる確率が高い「高確率状態」と通常通りの「低確率状態」との2つの設定がある。ここで、「低確率状態」から「高確率状態」に切り替わることが「確変」と呼ばれ、「高確率状態」が「確変状態」と呼ばれている。以下の説明では、「低確率状態」を適宜「非確変状態」と呼ぶこととする。本実施形態では、「大当りとなる判定確率」は、「高確率状態」で1/10、「低確率状態」で1/99に設定されている。また、「大当りとなる判定確率」は、センター始動口31A、サイド始動口32A及び特別始動口33Aのいずれも同じであるが、前述したように第2の当否判定権の当り、つまり特別始動口33Aに入賞した場合の当りは、100%の確率で「特典付き大当り」であるのに対し、第1の当否判定権の当り、つまりセンター始動口31A又はサイド始動口32Aに入賞した場合の当りは、1/5の確率で「特典付き大当り」、4/5の確率で「特典無し大当り」になるので、最も遊技者が望む「特典付き大当り」を引く確率は、特別始動口33Aに入賞した場合は、高確率状態で1/10、低確率状態で1/99となる一方、センター始動口31A又はサイド始動口32Aに入賞した場合は、高確率状態で1/50、低確率状態で1/495ということになる。
<時短について>
本実施形態では、「大当り当否判定」が行われる頻度が通常より高い「時短状態」と通常通りの「非時短状態」との2つの設定がある。詳細には、「通常状態」のときは、第1及び第2の判定報知演出の実行時間は、共に、例えば、15秒〜180秒に設定されているのに対し、「時短状態」では、例えば、第1の判定報知演出の実行時間は、30秒〜360秒に設定され、第2の判定報知演出の実行時間は、「通常状態」のときよりも短い2秒に設定されている。これにより、例えば30秒間に行われる「大当り当否判定」の回数は、「通常状態」では最大4回(第1,第2の当否判定権を使用した大当り当否判定で2回ずつ)であるのに対し、「時短状態」では最大16回(第1の当否判定権を使用した大当り当否判定で1回,第2の当否判定権を使用した大当り当否判定で15回)となり、「時短状態」の方が「非時短状態」よりも「大当り当否判定」が行われる頻度が高くなる。
また、「小判定演出期間」に関しても、比較的短い「時短用の小判定演出期間」(例えば、1秒)と、比較的長い「通常用の小判定演出期間」(例えば、10秒)との2つの設定がある。時短状態になると非時短状態に比べて前述した「小当り当否判定」の実行頻度が高くなり、「小当り」となる頻度も高くなる。また、時短状態で小当りとなったときには、非時短状態で小当りとなったときより特別始動口33Aの開放時間が長くなるように設定され(例えば、時短状態で小当りとなったときは、2秒間の開放を3回繰り返し、非時短状態で小当りとなったときは、1秒間の開放を1回だけ行う)、非時短状態で右打ち遊技を行っても特別始動口33Aにほとんど入賞することはないが、時短状態で右打ち遊技を行えば特別始動口33Aに多くの遊技球が入賞するようになっている。なお、本実施形態では、時短状態のときの方が非時短状態のときよりも「小当り当否判定」において「小当りとなる確率」が高くなるように設定されている。
<V確定口36Aへの入球の有無について>
大当り遊技後に「大当りの判定確率」,「第1及び第2の判定報知演出期間の長さ」及び「小判定演出期間の長さ(変動時間の長さ)」が変更されるか否かは、その大当り遊技中にV確定口36Aに遊技球が入球したか否かによって確定される。具体的には、前記した表1に示したように、第1の当否判定権か第2の当否判定権かに拘わらず、「特典付き大当り」となった場合には、その大当り遊技中にV確定口36Aに遊技球が入球すれば、その大当り遊技後に「確変状態」でかつ「時短状態」(以下、これを適宜「確変有り時短状態」という)になり、V確定口36Aに遊技球が入球しなければ、「確変状態」ではない「時短状態」(以下、これを適宜「確変無し時短状態」という)になる。また、「特典無し大当り」となった場合には、その大当り遊技中にV確定口36Aに遊技球が入球すれば、その大当り遊技後に「時短状態」ではない「確変状態」(以下、これを適宜「時短無し確変状態」という)になり、V確定口36Aに遊技球が入球しなければ、「確変状態」ではなく「時短状態」でもない「通常状態」になる。これら遊技状態の決定は、現状が「通常状態」か「確変有り時短状態」か「確変無し時短状態」か「時短無し確変状態」かに拘わらず行われる。但し、「確変無し時短状態」だけは、大当り当否判定で当りになる前に行われた大当り当否判定の外れ回数が、予め定められた大当り判定上限回数に達した時点で終了して「通常状態」に転落する。
大当り遊技中におけるディスプレイ15上の表示は、上記表2に示すように、どの遊技状態での大当りか、その大当りが第1及び第2の当否判定権のうちどちらの当否判定権によるものか、第2の当否判定権による大当りの場合、第1判定報知部15Gが変動中か否か、によって異なる。具体的には、「通常状態」における大当り遊技では、ディスプレイ15に例えば「V」という文字が表示され、「確変状態」における大当り遊技では、「V」という文字は表示されない。なお、「確変状態」において第1の当否判定権によって当りとなった場合は、その当りが「特典付き大当り」であれば、ディスプレイ15に例えば「確変継続」と表示され、「特典無し大当り」であれば、例えば「確変終了」と表示される、「確変報知演出」が行われる。
また、「通常状態」において第1の当否判定権によって当りとなった場合は、第1判定報知部15Gの判定図柄が表示されなくなる。ここで、「通常状態」において第2の当否判定権によって当りとなった場合は、大当り遊技開始時に第1判定報知部15Gの判定図柄が変動中でなければ(停止表示であれば)、第1の当否判定権による大当り遊技と同様に第1判定報知部15Gの判定図柄が表示されなくなり、第1判定報知部15Gの判定図柄が変動中であれば、第1判定報知部15Gの変動表示が継続される。つまり、第1判定報知部15Gの変動中に大当り遊技が開始された場合に、「V」という字とともに、第1判定報知部15Gが継続して変動表示する(後述するように変動時間の計時は行われていないが、遊技者に変動表示しているように見せるために実際の変動表示と同じ変動態様が表示される)ので、遊技者に対して第2の当否判定権による大当り遊技であると認識させることができ、第1判定報知部15Gの変動途中で突然大当り遊技が始まったという違和感を遊技者に感じさせにくくすることができる。
なお、「確変状態」では、第1の当否判定権による大当り遊技、及び、第1判定報知部15Gの停止表示時に開始された第2の当否判定権による大当り遊技の場合は、第1判定報知部15Gの停止表示が継続され、第1判定報知部15Gの変動中に開始された第2の当否判定権による大当り遊技の場合は、第1判定報知部15Gの変動表示が継続される。
<遊技状態に応じた左打ち遊技と右打ち遊技の選び方について>
前述したように、「特典付き大当り」の大当り遊技中では、普通に右打ちを行っていればV確定口36Aに遊技球が入球し、「特典無し大当り」では、V確定口36Aに遊技球が入球することは実質的にはないように第2アタッカー口35Aの開放タイミングとV確定口36Aの開放タイミングとが設定されているので、「大当り当否判定」で「特典付き大当り」になれば、極めてまれなケースを除いて、「確変有り時短状態」になり、「大当り当否判定」で「特典無し大当り」になれば、「確変」でも「時短」でもない「通常状態」になる。そして、「通常状態」では、前述したように右打ち遊技を行っても特別始動口33Aにほとんど入賞することはなく、また、サイド始動口32Aよりセンター始動口31Aの方が入賞し易い構造になっているので、「通常状態」で遊技を始めて、より多くの賞球を得るべく「大当り当否判定」を行わせるためには、センター始動口31Aへの入賞を狙って左打ち遊技を行うことが好ましい打ち方になる。その結果、大当り当否判定が行われて当りとなり、大当り遊技が実行されたときには、第1アタッカー口34A及び第2アタッカー口35Aに入賞させるために右打ち遊技を行うことが好ましい打ち方になる。
また、「通常状態」でセンター始動口31Aに入賞して当りになった場合、その当りが「特典無し大当り」であったときには「通常状態」が継続されることになる。一方、「特典付き大当り」であったときには、V確定口36Aに入賞させれば、大当り遊技後に「通常状態」から「確変有り時短状態」に昇格することになる。そして、「確変有り時短状態」では、今度は特別始動口33Aへの入賞が容易になるので、右打ち遊技を続けることが好ましい打ち方となる。その「確変有り時短状態」における右打ち遊技中は特別始動口33Aに入賞して当りになれば、その当りは必ず「特典付き大当り」であるので、V確定口36Aに入賞させれば「確変有り時短状態」が継続されることになる。ところが、サイド始動口32Aに入賞して当りになり、その当りの内の4/5の確率の「特典無し大当り」になると、「確変有り時短状態」から「通常状態」に転落することになる。換言すると、「確変有り時短状態」でサイド始動口32Aに入賞したときには、外れになれば「通常状態」に転落する危険性は全くないが、当りになると「転落」する危険性が高まる。つまり、「確変有り時短状態」でサイド始動口32Aに入賞して当りになったときには、4/5の確率で「通常状態」へと「転落」する憂き目にあうロシアンルーレット遊技が実行されることになる。
これにより、「確変有り時短状態」で右打ち遊技を行っている遊技者の心理を、特別始動口33Aには入賞するが、サイド始動口32Aには入賞しないことを願うように仕向けることができる。そして、特別始動口33Aとその特別始動口33Aを開くための始動ゲート30を狙うワクワク感と共に、それらの上流側のサイド始動口32Aに入賞してしまわないかというドキドキ感を抱かせて、遊技の趣向性を高めることができる。
<判定報知演出の実行時間について>
大当り当否判定が当りか否かの判定報知演出の実行時間に関しては、遊技状態に応じて以下のように設定されている。例えば、「通常状態」のときの第1及び第2の判定報知演出の実行時間は、上述したように15秒〜180秒に設定されている。「時短状態」のときの第1及び第2の判定報知演出の実行時間は、「確変無し時短状態」か「確変有り時短状態」かにより異なっている。すなわち、「確変有り時短状態」では、第1の判定報知演出の実行時間は、30秒〜360秒に設定され、第2の判定報知演出の実行時間は、「通常状態」のときよりも短い2秒に設定されている(上記「時短状態」の説明では、この「確変有り時短状態」のときを例に挙げている)。一方、「確変無し時短状態」では、第1及び第2の判定報知演出の実行時間は、共に、「通常状態」のときよりも短い4秒に設定されている。また、前述したように、第1と第2の当否判定権の間では、第1又は第2の一方の判定報知演出が実行中か否かとは無関係に他方の判定報知演出が開始されるので、「確変有り時短状態」で右打ち遊技を行っているときには、例えば、1つの第1の判定報知演出の実行時間(30秒〜360秒)の間に、第2の判定報知演出が複数回に亘って実行されることがしばしばおこる(図12(B)参照)。
<大当り遊技と判定報知演出との関係について>
第1又は第2の一方の当否判定権に基づいた大当り遊技の実行中は、他方の当否判定権に基づいた判定報知演出(第1判定報知部15G又は第2判定報知部25による演出)は、継続して行われる。つまり、第1判定報知部15G又は第2判定報知部25が変動し続ける。そして、その大当り遊技の終了後、変動表示が大当り遊技の実行時間分延長して行われ、その後停止される。つまり、当否判定結果の表示(判定図柄の停止表示)が先延ばしにされる。以下に詳細を説明する。
第1の判定報知演出の実行時間は、当初から所定の第1の判定報知演出時間(30秒〜360秒)に設定されていて、第1の判定報知演出として判定図柄の変動表示が実行されると、その演出実行時間がカウントされて、その演出実行時間分が当初の第1の判定報知演出時間から減らされていく。ここで、判定図柄の変動表示中に大当り遊技が実行されると、判定図柄の変動表示は継続して行われる(変動表示が継続して行われているように見せている変動表示が行われる)ものの、演出実行時間のカウントは中断される。換言すれば、大当り遊技の実行中か否かに拘わらず、第1の判定報知演出を実行して(判定図柄の変動表示を実行して)、その演出実行時間をカウントし、第1の判定報知演出中に大当り遊技が実行された場合には、大当り遊技の総実行時間分を、当初の第1の判定報知演出時間の後に加え、第1の判定報知演出時間が大当り遊技の実行時間分だけ実質的に延長される。これにより、判定報知演出は、大当り遊技の実行後、大当り遊技の実行時間分、当初の演出時間から延長して行われることとなる。この構成によれば、大当り遊技の実行中に当否判定結果が表示されるということがなく、遊技者は、他方の判定報知演出の成り行きを気にすることなく、大当り遊技に集中して取り組むことができる。図8から図12にはこの演出実行時間カウントの中断に係る概念が示されている。なお、図8〜図11では、説明の便宜上、第1の当否判定権の判定報知演出の実行時間に対する第2の当否判定権の判定報知演出の実行時間の比率が実際の比率より大きくなっている。
また、本実施形態の判定報知演出は第1又は第2の何れか一方の当否判定権に基づいた大当り遊技の実行中は、他方の当否判定権に基づいた判定報知演出を継続して、演出実行時間のカウントのみ中断するように構成しているが、必ずしも本実施形態と同様の構成にする必要はなく、例えば演出実行時間のカウントが中断した時点で他方の判定報知演出も同時に中断、或いは停止し(表示していた変動表示の態様を消したり、仮停止状態にするなど)、演出実行時間のカウントの再開と同時に中断した判定報知演出を再開、或いは新たな判定報知演出を実行するように構成してもよい。
ここで、外れの第1の判定報知演出を行っている間に、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が開始されると、その大当り遊技の実行時間分、第1の判定報知演出が延長され、その分、保留されている第1の当否判定権の消化を遅らすことができる。特に、「確変有り時短状態」であって、保留された第1の当否判定権の中に「当り」が含まれている場合には、将来、その当りによる大当り遊技の実行後に、現在の「確変有り時短状態」が「通常状態」へと「転落」する可能性がある。従って、「確変有り時短状態」のときに第2の当否判定権で当りを引き当てることで「通常状態」に転落し得るピンチの到来を、遅らせることが可能になる。
<当りの重複排除について>
図8及び図9に示すように判定結果が当りとなる一方の当否判定権に基づく判定報知演出(つまり、大当り遊技の直前に行われる判定報知演出)の実行時間中に、他方の当否判定権に基づく判定報知演出が開始されたときには、他方の当否判定権に基づく判定報知演出の判定結果は、必ず、強制的に外れになるように制御されている(本実施例では当否判定を行わずに外れになるように構成されている)。これにより、第1又は第2の一方の当否判定権に基づく大当り遊技の実行中に、他方の当否判定権の大当り遊技を開始しなければならないような事態の発生を防いでいる。また、第1及び第2の当否判定権は発生後に直ちに使用されるか保留されるかに拘わらず、発生直後に直ちに当りか否かが先読み判定されるようになっている。そして、本来は当りとなるはずの第1の当否判定権が強制的に外れにされた場合には、その当りキャンセルの報知がディスプレイ15で行われるようになっている。
ここで、本実施形態では、「確変有り時短状態」において、第1の当否判定権に係る判定報知演出の実行時間の方が、第2の当否判定権に係る判定報知演出の実行時間に比べて長く設定されているので、第1の当否判定権の当りとなる判定報知演出の実行時間中に第2の当否判定権の判定報知演出が開始されて、本来、当りであった第2の当否判定権が強制的に外れにされることはしばしばある。これに対し、第2の当否判定権の当りとなる判定報知演出の実行時間中に、第1の当否判定権の判定報知演出が開始されて、本来、当りであった第1の当否判定権(入賞時に取得した当否用の乱数値が当りの場合)が当否判定を行わずに強制的に外れにされることも稀にある。この場合、上記したロシアンルーレット遊技を回避したことになり、「確変有り時短状態」から「通常状態」へと「転落」する危機から脱出したことになるので、ディスプレイ15における当りキャンセルの報知を見た遊技者は、危険を危機一髪で回避した幸運感を抱くことになる。なお、当りキャンセルの報知の態様としては、例えば、ディスプレイ15に「危険回避」と表示することや、ディスプレイ15の画面が暗い状態から明るくなることが挙げられる。また、音声や効果音で当りキャンセルの報知を行ってもよい。
また、図10及び図11に示すように、他方の当否判定権に基づいた判定報知演出の中断無しに大当り遊技が開始され、その大当り遊技の実行中に第1及び第2の当否判定権の両方の保留が揃った状態になったときには、いずれの保留が先に生じたかに拘わらず、大当り遊技の終了後に、第1の当否判定権、第2の当否判定権の順番で判定報知演出が開始されるように制御されている。このとき、第1の当否判定権の大当り当否判定が当りであれば、その当りに基づいて大当り遊技が行われ、第2の当否判定権に基づく判定報知演出の判定結果は、実際の当否とは無関係に強制的に外れにされる。これにより、大当り遊技後に第1と第2の当否判定権の両方の判定報知演出が開始し得る状況になったときに、遊技者にドキドキ感を与えることができる。
また、第2の当否判定権の当りでは、遊技状態が「確変有り時短状態」から「通常状態」へと転落することはないが、第1の当否判定権の当りでは、遊技状態が「確変有り時短状態」から「通常状態」に転落する可能性があるから、「確変有り時短状態」で、第1と第2の当否判定権の両方の判定報知演出が開始し得る状況になったときに、遊技状態を変化し易くすることができる。
<基礎残時間の報知による演出について>
「確変有り時短状態」中は、遊技者の心理を更に高揚させるために、「確変有り時短状態」の残時間に係る「液晶表示時間」が、図2に示すようにディスプレイ15の例えば左端の残時間表示部15Hに表示される(以下、適宜、「残時間報知演出」という)。
この「液晶表示時間」を表示するために、「確変有り時短状態」中は、保留されている第1の当否判定権が外れだけの場合、それら外れの第1の判定報知演出の実行予定時間の合計が「基礎残時間」として演算され、保留されている第1の当否判定権に当りがある場合には、その大当り遊技が開始されるまでの第1の判定報知演出の実行予定時間の合計が「基礎残時間」として演算される。つまり、保留中の第1の当否判定権が全て外れである場合の「基礎残時間」とは、現時点から保留中の外れの第1の判定報知演出を全部実行するために最低限必要な時間のことであり、保留中の第1の当否判定権に当りがある場合の「基礎残時間」とは、現時点から保留中の第1の当否判定権による大当り遊技が開始されるまでの最短時間のことである。
そして、基礎残時間が「0」になった後には、「大当り遊技」が開始され得る。残時間表示部15Hには、基礎残時間に基づいた「液晶表示時間」がカウントダウン表示される。ここで、第1の当否判定権の「大当り遊技」の終了後には、現在の「確変有り時短状態」が「通常状態」へと転落し得るので、「液晶表示時間」のカウントダウン表示により「通常状態」へと転落し得るピンチの到来が刻一刻と迫ってくる緊迫感を遊技者に与えることができる。
また、第1及び第2の当否判定権は発生後に直ちに使用されるか保留されるかに拘わらず、発生直後に直ちに当りか否か及び第1の判定報知演出の変動時間が先読み判定されるようになっている。これにより、保留されている第1の当否判定権群中の当たりの有無が判り、上記「基礎残時間」の演算が可能になる。なお、この先読み判定は、当たりか否かの判定については入賞時の遊技状態に関係なく、低確率状態の場合と高確率状態の場合の当否判定を同時に行う一方、判定報知演出の実行時間は入賞時の遊技状態によって判定される。例えば、高確率状態のときに発生した当否判定権については、たとえ、この当否判定権の消化の前に低確率状態となる場合であっても、高確率状態で実行可能な判定報知演出の実行時間の中から選択される。なお、低確率状態のときに発生した当否判定権の保留を基に「基礎残時間」が演算される場合、先読み判定された低確率状態での判定報知演出の実行時間ではなく、第1の判定報知演出の実行時間の最短時間である「30秒」を判定報知演出の実行時間として、演算される。
残時間表示部15Hにおける「液晶表示時間」のカウントダウン表示中に、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が実行された場合は、ディスプレイ15において第1の判定報知演出としての判定図柄の変動表示中に、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が実行された場合に行われる処理に準じた処理が行われる。即ち、前述の如く、第1の判定報知演出の実行時間は、当初から所定の第1の判定報知演出時間(30秒〜360秒)に設定されていて、第1の判定報知演出として判定図柄(以下、適宜「第1の判定図柄」という)の変動表示が実行されると、その演出実行時間がカウントされて(以下、カウントされる演出実行時間を、適宜、「特図1変動時間」という)、その演出実行時間分が当初の第1の判定報知演出時間から減らされていくが、第1の判定図柄の変動表示中に第2の当否判定権に基づく大当り遊技が実行されると、第1の判定図柄の変動表示は継続して行われるものの、演出実行時間のカウントは中断される処理が行われていた。換言すれば、大当り遊技の実行中か否かに拘わらず、第1の判定報知演出を実行して(判定図柄の変動表示を実行して)、その演出実行時間をカウントし、第1の判定報知演出中に大当り遊技が実行された場合には、大当り遊技の総実行時間分を、当初の第1の判定報知演出時間の後に加え、第1の判定報知演出時間を大当り遊技の実行時間分だけ実質的に延長する処理を行っている。残時間表示部15Hにおける「液晶表示時間」のカウントダウン表示に関しても、これに準じた処理を行うために、「液晶表示時間」の素となる「基礎残時間」は、第1の判定報知演出時間の実質的な延長時間を取り込んで演算される。
具体的には、「基礎残時間」の演算は、例えば、第1の判定報知演出が開始されたタイミングと、第1の当否判定権の保留が発生したタイミングで必ず行う。そして、第1の判定報知演出中に大当り遊技が実行された場合、第1の判定報知演出中の大当り遊技の総実行時間が15秒未満であったときには「基礎残時間」の演算を行わず、15秒以上であったときには、その15秒以上の第1の判定報知演出時間の実質的な延長時間を取り込むために以下のタイミングで「基礎残時間」の演算を行う。即ち、第1の判定報知演出時間の実質的な延長時間が15秒以上であったときには、その延長時間を除いた当初の第1の判定報知演出時間における終了タイミングで、「基礎残時間」の演算を行う。このとき、その延長時間内の数値のうちの「15」の最大公倍数と、保留されている第1の当否判定権に係る実行予定時間とを合わせた時間を、「基礎残時間」として演算する。これにより、第1の判定報知演出中に大当り遊技が実行された場合には、大当り遊技の総実行時間分に応じて、15秒の倍数分、「基礎残時間」が実質的に延長される。具体的には、延長時間が「10秒」のときは「基礎残時間」が延長されず、延長時間が「20秒」のときは「基礎残時間」が「15秒」延長され、延長時間が「35秒」のときは「基礎残時間」が「30秒」延長される。また、このため、第1の判定報知演出時間の実質的な延長時間が15秒で割り切れない時間(例えば、10秒)であった場合には、基礎残時間と、延長時間を含めた第1の判定報知演出時間との間に端数(例えば、10秒)の演算誤差が生じる。なお、この演算誤差を修正する処理に関しては後に詳説する。
残時間表示部15Hでは、「液晶表示時間」として最初から「基礎残時間」の全部を表示するのではなく、「基礎残時間」を一部ずつ順次「液晶表示時間」に追加しながらカウントダウン表示する。具体的には、第1の判定報知演出の開始時(第1の当否判定権が消化されるとき)に、その開始される第1の判定報知演出の判定報知演出時間を所定時間(例えば、15秒)毎のブロックに分割する。そして、そのブロックの消化が開始されるタイミングで、「液晶表示時間」に追加する「上乗せ時間」の抽選を行う。つまり、カウントダウンされる「液晶表示時間」に、所定時間(例えば、15秒)毎に「基礎残時間」の一部が上乗せされていく。例えば、「液晶表示時間」が「20秒」、基礎残時間が「60秒」、抽選で決定された上乗せ時間が「25秒」の場合、最初の「20秒」から所定時間、例えば、15秒経過して、「液晶表示時間」が「5秒」となったときに、「25秒」が上乗せされて、「液晶表示時間」が「30秒」となる(この時点での基礎残時間は45秒)。その後も、「基礎残時間」がなくなるまで所定時間(例えば、15秒)毎に「基礎残時間」から抽選された「上乗せ時間」を「液晶表示時間」に加えながらカウントダウン表示していき、「基礎残時間」がなくなるときには、「液晶表示時間」も「0」となっている。このように、残時間表示部15Hでは、カウントダウン表示が進むと、「基礎残時間」から抽選された「上乗せ時間」が「液晶表示時間」に上乗せされて、残時間が一気に増えるという演出を行うので、恰も「確変有り時短状態」からの転落が延期されたかのような演出になり、遊技者の気分を盛り上げることができる。
また、「上乗せ時間」などの演出の抽選を第1及び第2の判定報知演出の開始時(判定図柄の変動開始時)だけでなく所定時間ごとに行うことで、本実施形態のように長い判定報知演出の演出時間が設定された場合であっても定期的に演出が実行され、遊技者を退屈させないようにすることができる。
また、第2の当否判定権に基づく大当り遊技の実行により、第1の当否判定権に基づく判定報知演出の変動時間のカウントが中断された場合に、その中断分の時間は、第1の判定報知演出の当初の判定報知演出時間の終了時(ブロックが全て消化されたとき)に、当初の基礎残時間に上乗せされる。詳細には、中断分の時間の合計が一定長(例えば15秒)を超えた場合、中断分の時間は改めて所定時間(例えば、15秒)毎のブロックに分割され、そのブロック単位で基礎残時間に上乗せされ、一定長に満たなかった場合には切り捨てられる。
メイン表示演出部15Uでは、上乗せ時間を上乗せしてそのカウントダウン表示を開始する前に、上乗せされた後の「液晶表示時間」を所定時間に亘って表示する演出(これを以下「上乗せ演出」という)が行われ、上乗せ演出の終了後に、上乗せ演出で表示された「液晶表示時間」からカウントダウン表示を開始する(図2参照)。この「上乗せ演出」の実行時間は、抽選によって決定される。また、「上乗せ演出」の実行中には、前述したブロックの消化が開始されるタイミングであっても、「上乗せ演出」の抽選は行われない。なお、上述した例では、「上乗せ演出」の実行時間を0秒と仮定して「液晶表示時間」の増減の流れを説明している。以下に、「上乗せ演出」を含めた「液晶表示時間」の増減の流れを説明する。最初の「20秒」からのカウントダウン表示が、15秒後に「5」となったときに、2秒間の上乗せ演出後に「25秒」を上乗せした「液晶表示時間」として「28」を表示し、その上乗せ演出を「2秒間」(この間にカウントダウン表示は「5」→「3」になる)行った後で、残時間表示部15Hにおける「液晶表示時間」のカウントダウン表示を「3」→「28」にして、その「28」からカウントダウン表示を開始する。
ここで、「確変有り時短状態」で保留されている第1の当否判定権に当りがある場合には、残時間表示部15Hによるカウントダウン表示が終了した(「0」になった)後で、第1の当否判定権の当りによる「大当り遊技」が開始される。つまり、残時間表示部15Hのカウントダウン表示が終了するまでは、極めてまれなケースを除いて、現在の「確変有り時短状態」から転落することはないから、遊技者は、少なくとも残時間表示部15Hに表示された時間分は、「確変有り時短状態」が保証されていると認識して、その残時間表示部15Hにおけるカウントダウン表示と、「上乗せ時間」が追加されたときの残時間表示部15Hと、メイン表示演出部15Uにおける上乗せ演出とを見ながら遊技を楽しむことができる。
ここで、上述した「極めてまれなケース」とは、「確変有り時短状態」で第2の当否判定権の大当り遊技が行われ、その大当り遊技でV確定口36Aに入球させることに失敗した場合のことであり、この場合には、残時間表示部15Hに表示された時間よりも早く、「確変有り時短状態」から「確変無し時短状態」へと転落する。この場合の残時間報知演出や上乗せ演出については、後に詳説する。
<「残時間報知演出」の内部処理について>
「残時間報知演出」の内部処理について概要を説明する。図73に示すように、本実施形態では、「残時間報知演出」において「液晶表示時間」を制御するために、「特図1変動時間タイマ」、「変動シナリオタイマ」、「主制御タイマ」、「演出タイマ」、「液晶タイマ」の各種タイマが備えられている。
「特図1変動時間タイマ」は、第1の判定報知演出の変動時間(特図1変動時間)をカウントするためのものであり、第1の判定報知演出開始時にその規定変動時間がセットされ、常には時間経過に合わせて減算される一方、第2の当否判定権に基づく大当り遊技の実行中にはその減算が中断される。
「変動シナリオタイマ」は、第1の判定報知演出の開始時にカウントスタートして15秒毎にカウントを再スタートするタイマで、この15秒のピリオドが、前述した「ブロック」に相当する。
「主制御タイマ」は、前述のごとく演算される「基礎残時間」を管理するもので、第1の判定報知演出が開始されるタイミングと、第1の当否判定権の保留が発生したタイミングと、当初の第1の判定報知演出時間の終了時に「特図1変動時間タイマ」が15秒以上残っているタイミングとの3つのタイミングで、演算された「基礎算時間」がセットされる。そして、「主制御タイマ」は、ブロックの消化が開始されるタイミングで15秒減算される(即ち、15秒刻みで減算される)。なお、1つめのブロックの消化が開始されるタイミング(第1の判定報知演出の演出開始時)では、15秒の減算は行われない。つまり、「主制御タイマ」のカウント結果は、真の「基礎残時間」に対して、0〜15秒の範囲で遅れることになる。
「演出タイマ」は、上乗せ演出の実行時間を管理するもので、ブロックの消化が開始されるタイミングで行われる上乗せ演出の抽選時に、その抽選で決定した上乗せ演出の実行時間がセットされる。そして、次のブロックの消化が開始されるタイミング(原則、15秒後)で15秒減算される(即ち、15秒刻みで減算される)。なお、このタイミングで、減算後の「演出タイマ」が、「0」の場合には、再び上乗せ演出の抽選が行われ、「0」でない場合には、上乗せ演出の抽選は行われない。
「液晶タイマ」は、「液晶表示時間」と15秒毎に一致するもので、ブロックの消化が開始されるタイミングで行われる上乗せ演出の抽選時に、その抽選で決定した「上乗せ時間」を上乗せした時間に更新される。また、「演出タイマ」と同様に、次のブロックの消化が開始されるタイミング(原則、15秒後)で15秒減算される(即ち、15秒刻みで減算される)。そして、このタイミングで上乗せ演出の抽選が行われると、減算後の「液晶タイマ」に、抽選で決定した「上乗せ時間」を上乗せした時間に更新される。
ここで、「演出タイマ」と「液晶タイマ」とは、15秒減算されるタイミングがブロックの消化が開始されたタイミングであるので、実行中の第1の判定報知演出に係る全てのブロックが消化され、かつ、次の第1の判定報知演出が開始されないタイミングでは、減算は行われない。このとき、これらのタイマは、前述したタイミングの15秒後、又は、次の第1の判定報知演出が開始されたタイミングで15秒減算される。
主要タイマと「液晶表示時間」の増減の流れを、図73に基づいて説明する。図73には、液晶表示時間及び液晶タイマが「10」のタイミングで特図1変動時間「60」の第1の判定報知演出が開始され、かつ、第1の当否判定権の保留がない場合の各種タイマのタイムチャートが示されている。まず、特図1変動時間が「60」であるため、4つのブロックに分割され、「主制御タイマ」には「60」がセットされる。ここで、1つめのブロックの消化が開始されるタイミング(第1の判定報知演出が開始されるタイミング)で、上乗せ演出の抽選が行われる。このとき、「上乗せ時間」は、「主制御タイマ」の値から「液晶タイマ」の値を引いた数値以内(例えば、60−10=50以内)の値になるように抽選される。例えば、抽選された上乗せ時間が「30秒」で上乗せ演出の実行時間が「10秒」の場合、演出タイマには「10」がセットされ、液晶タイマは直ちに30秒上乗せされて「10」から「40」となる。そして、メイン表示演出部15Uには、上乗せ演出後の液晶表示時間である「30」が、上乗せ演出として10秒間表示され、この間、残時間表示部15Hの液晶表示時間は、「10」から「0」までカウントダウンされる。その後、その「0」に「30秒」が上乗せされて、液晶表示時間が「30」となり、「30」からカウントダウンが行われる。
2つめのブロックの消化が開始されるタイミング(第1の判定報知演出開始から15秒後)に、主制御タイマ「60」、演出タイマ「10」、液晶タイマ「40」は15秒ずつ減算され、それぞれ「45」、「0」、「25」となる。「演出タイマ」が「0」であるので、再び上乗せ演出の抽選が行われる。このとき、「液晶表示時間」は前回の上乗せ演出直後から5秒経過していて、「30」から「25」となっている。そして、「上乗せ時間」が、20秒(45(主制御タイマ)−25(液晶タイマ))以内となるように抽選される。例えば、抽選された上乗せ時間が「10秒」で上乗せ演出の実行時間が「10秒」の場合、液晶タイマ「25」は直ちに10秒上乗せされて「35」となる。そして、残時間表示部15Hの液晶表示時間は、「25」から「15」まで10秒間カウントダウンされた後に、10秒上乗せされて「25」となり、「25」からカウントダウンが行われる。その後も同様に15秒ごとに上乗せ演出が行われ、「液晶タイマ」及び「液晶表示時間」が更新されていく。
また、図74の※1に示すように、抽選された上乗せ演出の実行時間が15秒以上である場合、次のブロックの消化が開始されるタイミングでは、上乗せ演出の抽選は行われない。例えば、抽選された上乗せ演出の実行時間が20秒であった場合、その上乗せ演出が開始されるタイミング(図74の※2、2つめのブロックの消化が開始されるタイミング)で、「演出タイマ」が「20」にセットされる。そして、その15秒後(3つめのブロックの消化が開始されるタイミング)に、演出タイマ「20」が15減算されて「5」となる(図74の※3)。このとき、「演出タイマ」が「0」でないので、上乗せ演出の抽選は行われない。これによれば、上乗せ演出中に、次の上乗せ演出が開始される事態を防ぐことができる。
ここで、「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とは、上乗せ演出の抽選時(「液晶タイマ」においては15秒減算後、かつ、上乗せ前)に一致するように構成されている。具体的には、図73に示すように、例えば、「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とが共に「25」で(図73の※1のタイミング)、上乗せ時間が「10秒」で、上乗せ演出の実行時間が「10秒」の上乗せ演出が抽選で決定されたとき、液晶タイマ「25」は直ちに「10秒」上乗せされて「35」となる。この時点で、「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とにずれが生じる。一方、「液晶表示時間」は、その10秒後(図73の※2のタイミング)、つまり、「25」から「15」までカウントダウンされた後に、「10秒」上乗せされて「25」となる。この時点でも、液晶タイマ「35」と液晶表示時間「25」とはずれている。そして、その5秒後に、液晶タイマ「35」は15秒減算されて「20」となり、「液晶表示時間」も「25」から5秒間カウントダウンされて「20」となるので、「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とが再び一致する。つまり、「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とは、15秒刻みでしか一致しない。
「液晶タイマ」は、実際には15秒刻みでしか減算されないが、仮に時間経過とともに1秒刻みで減算されると仮定すると、上乗せ演出後の液晶表示時間「25」と液晶タイマ「25(35−10)」とは一致することとなる。即ち、「液晶タイマ」は、上乗せ時間を、上乗せ演出の抽選時に前もって加算されて、上乗せ演出後に「液晶表示時間」と一致するように構成され、「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とが上乗せ演出の抽選時に一致するようになっている。これにより、上乗せ演出の抽選時に、例えば、上乗せ後の「液晶表示時間」が「主制御タイマ」を超える等の上乗せ不可能な「上乗せ時間」が決定されることを防ぐことができる。
さて、図73の※3に示されたように、途中で第2の当否判定権による大当り遊技が実行されると、「特図1変動時間タイマ」では、減算が中断され、大当り遊技の終了後に、その減算が再開される。一方、「液晶表示時間」や、「主制御タイマ」、「液晶タイマ」等の他のタイマは、大当り遊技中も減算が継続される。
例えば、「特図1変動時間タイマ」の減算が10秒間中断されていた場合、「液晶表示時間」は、ブロックが全て消化された時点(図73の※4、当初の変動時間が経過した時点)で「0」となる。「特図1変動時間タイマ」は、その10秒後に「0」となり、第1の判定報知演出が終了する。また、「液晶タイマ」は、ブロックが全て消化された時点では減算されないため、例えば「15」のままとなり、その15秒後に15秒減算されて「0」となる。
また、図75に示すように、「特図1変動時間タイマ」の中断時間が15秒以上であった場合、全てのブロックが消化された時点(図75の※1、当初の変動時間が経過した時点)で、残りの「特図1変動時間タイマ」が再び15秒ずつのブロックに分割される。例えば、残りの「特図1変動時間タイマ」が20秒の場合、1つのブロックが作成され、そのブロックの消化が開始されるタイミングで上乗せ演出の抽選がさらに行われる。
ここで、第2の当否判定権による大当り遊技の実行によって第1の判定報知演出が当初よりも長引いたときに、次の第1の判定報知演出が開始されると、上乗せ演出抽選時に「液晶タイマ」と「液晶表示時間」との間にずれが生じることがある。以下に詳細を説明する。
図76には、60秒の第1の判定報知演出が2回行われ、1回目の第1の判定報知演出で10秒間「特図1変動時間タイマ」が中断される場合の各種タイマの流れが示されている。まず、1回目の第1の判定報知演出が開始されるタイミングでは、この第1の判定報知演出の実行予定時間と、次に予定されている第1の判定報知演出の実行予定時間とを合わせた「120秒」が「主制御タイマ」にセットされる。以降、途中までは、図73に示された各種タイマの流れと同様に各種タイマが増減していくので割愛し、主制御タイマが「90」→「75」となるタイミング(図76の※1)から説明する。まず、「90」→「75」となる(4つめのブロックの消化が開始される)タイミングでは、「液晶タイマ」及び「液晶表示時間」がともに、例えば、「12」となっている。そして、上乗せ演出の抽選で、上乗せ時間が「28秒」、上乗せ演出の実行時間が「10秒」と決定すると、液晶タイマ「12」は直ちに「28秒」上乗せされて「40」となる。一方、「液晶表示時間」は、「12」から10秒間カウントダウンされて「2」となった後に、28秒上乗せされて「30」となる。その5秒後(図76の※2)には、4つめのブロックが消化し終わり、当初の変動時間が経過したことになる。また、「特図1変動時間タイマ」の中断時間が「10秒」で15秒未満であるため、ブロックの追加も行われない。このとき、全てのブロックが消化され、かつ、次のブロックの消化が開始されないので、「液晶タイマ」は減算されず、「40」のままとなる。一方、「液晶表示時間」は「30」から5秒間カウントダウンされて「25」となっている。
そして、その10秒後に、「特図1変動時間タイマ」が「0」となり、1回目の第1の判定報知演出が終了するとともに、2回目の第1の判定報知演出が開始される(図76の※3)。第1の判定報知演出の実行時間「60秒」が4つのブロックに分割され、一つめのブロックの消化が開始され、上乗せ抽選が行われる。このとき、液晶タイマ「40」は、ブロックの消化の開始に伴い15秒減算されて「25」となる一方、「液晶表示時間」は、「25」から10秒間カウントダウンされて「15」となる。つまり、「液晶表示時間」は時間経過通りに減算されるのに対し、「液晶タイマ」は、実際には「25秒」経過しているのに「15秒」しか減算されないので、その差である「10秒」のずれが上乗せ演出抽選時の両者の間に生じることになる。
ここで、このように「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とがずれたまま、残時間報知演出が進行すると、例えば、主制御タイマが「15」、「液晶タイマ」が「10」、「液晶表示時間」が「0」となったときに、実際には「15秒」以内の時間が上乗せ可能であるのに、「5秒」以内で上乗せ時間が抽選されてしまう。これでは、「主制御タイマ」が残っているのに「液晶表示時間」が「0」となってしまうことが、「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とにずれが生じていない状態よりも起こりやすくなってしまう。
このような事態を防ぐために、本実施形態では、上乗せ後の「液晶表示時間」は、上乗せ直前の「液晶表示時間」に「上乗せ時間」を追加した値ではなく、「液晶タイマ」から上乗せ演出の実行時間(演出タイマ)を引いて「上乗せ時間」を加えた値が設定される構成になっている。具体的には、ずれが生じているタイミング(図76の※3)の上乗せ演出の抽選で、上乗せ時間が「15秒」、上乗せ演出の実行時間が「10秒」と決定すると、液晶タイマ「25」は直ちに15秒上乗せされて「40」となる。一方、「液晶表示時間」は、「15」から10秒間カウントダウンされて「5」となった後に(図76の※4)、この「5」に15秒上乗せされて「20」となるのではなく、上乗せ演出時の液晶タイマ「25」に上乗せ演出の実行時間分の10秒を引いて15秒上乗せして「30」となる。これにより、その5秒後に上乗せ演出が抽選されるタイミングにおいて(図76の※5)、「液晶表示時間」は「40」から15秒減算されて「25」になり、「液晶タイマ」は「30」から「25」となるので、両者が再び一致する。このように、本実施形態では、上乗せ演出の度に、「液晶表示時間」を「液晶タイマ」に合わせる処理を行うので、両者の間にずれが生じても、上乗せ演出によってそのずれを修正することができる。さらに、このずれの修正を、上乗せ演出のタイミングで行うので、遊技者に違和感を感じさせにくくすることができる。
なお、本実施形態では、確変状態における第1の判定報知演出の時間は15の倍数となるように構成されており、大当り遊技による特図1変動時間タイマの中断が生じた場合のみ、上述したような「液晶表示時間」と「液晶タイマ」とのずれが生じるが、仮に第1の判定報知演出の時間に15の倍数以外の時間が含まれており、両者の間にずれが生じる構成であっても、上述した処理により、ずれた状態が長時間継続することを防ぐことができる。
なお、「液晶タイマ」と「液晶表示時間」とが上乗せ演出の抽選時にずれていても、「液晶表示時間」が「液晶タイマ」よりも大きくなることはないため、上乗せ後の「液晶表示時間」が「主制御タイマ」を超える等の上乗せ不可能な「上乗せ時間」が抽選されることはない。
<メイン表示演出部の表示について>
確変有り時短状態の間、メイン表示演出部15Uでは、「上乗せ演出」が行われている時間以外の時間に「確変有り時短状態用演出」が行われる。「確変有り時短状態用演出」では、例えば、特定のキャラクターが走っている映像がメイン表示演出部15Uに表示される。そして、「上乗せ演出」が開始されると一旦「確変有り時短状態用演出」は表示されなくなり、「上乗せ演出」終了後に再び表示される。この「確変有り時短状態用演出」を表示することで、確変有り時短状態であることを遊技者に対して認識させることができる。
<上乗せ演出中の転落について>
前述したように極めてまれなケースであるが、「確変有り時短状態」で第2の当否判定権の大当り遊技が行われ、その大当り遊技でV確定口36Aに入球させることができずに「確変有り時短状態」から「確変無し時短状態」に転落することがある。また、「確変無し時短状態」は、前述したように、大当り当否判定で当りになる前に行われた大当り当否判定の外れ回数が、大当り判定上限回数に達した時点で終了して「通常状態」に転落する。このため、図12(A)に示すように、大当り判定上限回数の設定しだいでは、メイン表示演出部15Uで「確変有り時短状態用演出」が表示されている状態で、遊技状態が「確変無し時短状態」から「通常状態」にさらに「転落」し、すると、特別始動口33Aに殆ど遊技球が入賞しなくなるので遊技者が遊技状態の急変に気づき、演出内容と遊技状態との落差に違和感を覚える事態が起こり得る。
これに対し、本実施形態のパチンコ遊技機10では、第1の判定報知演出の最長実行時間より長く、「確変無し時短状態」が継続されるように、大当り判定上限回数が設定されている。具体的には、第1の判定報知演出の最長実行時間は、「確変有り時短状態」のときに実行され得る「360秒」であり、「確変無し時短状態」における第2の判定報知演出の実行時間は、「4秒」であるので、大当り判定上限回数は90回(=360/4)以上の値に設定されている。これにより、図12(B)に示すように、遊技状態が「確変無し時短状態」であるうちに、メイン表示演出部15Uにおける「確変有り時短状態」用の演出表示が終了する。そして、本実施形態のパチンコ遊技機10では、「確変有り時短状態」用の演出表示が終了した後、ディスプレイ15のメイン表示演出部15Uに「確変無し時短状態」用の演出表示(例えば、「Danger」という表示)を行ってから、遊技状態が「確変無し時短状態」から「通常状態」にさらに転落すると同時に、ディスプレイ15のメイン表示演出部15Uの表示も「通常状態」用の演出表示に移行する。これにより、上記違和感を遊技者に与えることがなくなり、遊技を楽しませることができる。
また、上述した「確変有り時短状態」から「確変無し時短状態」への転落であって、特に、第2の当否判定権の大当り遊技の実行直前又は実行中に、メイン表示演出部15Uでの「上乗せ演出」(上乗せ後の「液晶表示時間」の表示)が開始され、その大当り遊技の終了後にも「上乗せ演出」が継続して実行されている場合には、大当り遊技の終了後に、「上乗せ演出」が行われる(上乗せ後の「液晶表示時間」が表示される)一方で、遊技状態が「確変有り時短状態」から「確変無し時短状態」に転落する。
ここで、遊技状態が「確変無し時短状態」に転落したことを受けて、残時間表示部15Hのカウントダウン表示(残時間報知演出)を直ちに終了してしまうと、大当り遊技の終了後に実行途中の「上乗せ演出」との間で、演出の整合性がとれなくなる。即ち、メイン表示演出部15Uでは、次の上乗せを意味する「上乗せ演出」が行われる一方で、残時間表示部15Hでは、「液晶表示時間」のカウントダウン表示が終了するという状態になる。
これに対し、本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、「上乗せ演出」の実行途中で、第2の当否判定権の当りにより「確変有り時短状態」から「確変無し時短状態」へと転落した場合には、「上乗せ演出」が終了しかつ、「上乗せ演出」の表示内容通りに、残時間表示部15Hにブロック時間(上乗せ後のブロック時間)を表示してから、そのブロック時間のカウントダウン表示(残報知演出)の終了を早めるように構成してある。具体的には、例えば、上乗せ演出として、メイン表示演出部15Uに「18秒」という表示を行った状態で、大当り遊技が終了して「確変有り時短状態」から「確変無し時短状態」へと転落した場合には、上乗せ演出が終了した後で、残時間表示部15Hに一旦「18」と表示する。その後、残時間表示部15Hのカウントダウン速度を速めて、表示されている「液晶表示時間」よりも短い時間で(例えば、3秒以内に)残時間表示部15Hに表示されている「液晶表示時間」を「0」にする(このことを、適宜「時短演出」という)。これにより、「上乗せ演出」と「残時間報知演出」との間で演出の整合性を図ることができかつ、遊技状態と演出とを速やかに整合させることができる。なお、「時短演出」は「液晶表示時間」を「時短演出」の演出時間内に「0秒」にすることができればよく、例えばメイン表示演出部15Uに表示された「18秒」をカウントダウンすることなくいきなり「0秒」にしてもよい。なお、「時短演出」は、上乗せ演出が抽選されるタイミングで「上乗せ演出」に代わって実行される。これにより、上乗せ演出中に時短演出が実行される事態を防ぐことができる。
なお、上述した構成のうち、スライド板64は、本発明の「入賞調整開閉部材」に相当する。
<不正行為や故障による異常の検出について>
遊技領域Rのうち、右側流下領域Rbの各所には、本発明に係る複数の遊技球検出センサZ1〜Z4が配置されており、それら複数の遊技球検出センサZ1〜Z4による遊技球の検出結果を利用して不正行為や故障による異常を検出することが可能となっている。また、これら遊技球検出センサZ1〜Z4による異常検出とは別に、第1の当否判定権に基づく判定報知演出の実行の有無と、第2の当否判定権に基づく判定報知演出の実行の有無とに基づいて、不正行為や故障による異常を検出することが可能になっている。
<遊技球検出センサZ1〜Z4について>
右側流下領域Rbのうち共通基幹経路50には、第1の遊技球検出センサZ1が設けられている。この第1の遊技球検出センサZ1によって、共通基幹経路50を通過する(即ち、右側流下領域Rbを流下する)全ての遊技球が検出される。
第1基幹流下経路51の下端部に連絡した第1案内流下経路61には、第2の遊技球検出センサZ2が設けられている。第2の遊技球検出センサZ2は、サイド始動口32Aから真上に離れた位置に配置されており、この第2の遊技球検出センサZ2によって第1案内流下経路61を通過する全ての遊技球が検出される。
第2案内流下経路62には、第3の遊技球検出センサZ3が設けられている。この第3の遊技球検出センサZ3によって、第2案内流下経路62を通過する全ての遊技球が検出される。ここで、第2の遊技球検出センサZ2による検出数と、第3の遊技球検出センサZ3による検出数の合計が、第1基幹流下経路51を通過した遊技球の数となる。
さらに、サイド始動口32Aの内部には、第4の遊技球検出センサZ4が備えられており、その第4の遊技球検出センサZ4によって、サイド始動口32Aに入賞した全ての遊技球が検出される。なお、サイド始動口32Aは、本発明の「入賞口」及び「第1入賞口」に相当する。
<第1〜第3の遊技球検出センサZ1〜Z3を利用した異常検出について>
本発明の「基幹通過部」としての共通基幹経路50を通過した遊技球は、発射強度とは無関係に、本発明の「第1分岐路」としての第1基幹流下経路51と、本発明の「分岐路」としての第2基幹流下経路52とに、交互に1球ずつ振り分けられる。従って、振分部材53が正常に機能しているならば、第1基幹流下経路51を通過する遊技球の数と、第2基幹流下経路52を通過する遊技球の数との差は、最大でも「1球」となる。換言すれば、第1基幹流下経路51を通過した遊技球と、第2基幹流下経路52を通過した遊技球の数との間に、大差がつくような場合には、振分部材53に何らかの異常が発生している可能性がある。そこで、本実施形態では、第1基幹流下経路51に振り分けられた遊技球の数と、第2基幹流下経路52に振り分けられた遊技球の数との差を、第1〜第3の遊技球検出センサZ1〜Z3による検出結果から算出し、その差が、定めた基準許容範囲を超えた(例えば、「20球以上」になった)場合に、異常有りと判定して、異常報知を行う。異常報知とは、パチンコ遊技機10に備えたスピーカからのエラー音の発生、エラーランプの点灯、ディスプレイ15でのエラー表示、遊技店のホールコンピュータへのエラー報知等のことであり、以下の説明における「異常報知」も同じである。
この異常検出により、振分部材53に対する不正行為や振分部材53の故障によって、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52との何れか一方への振り分けが極端に偏る異常を検出することができる。より具体的な例として、サイド始動口32Aへの入賞によって「確変状態」から転落することを回避するために、第1基幹流下経路51への振り分けを回避する不正行為を検出することができ、遊技店が被る損害を軽減することができる。また、第1〜第3の遊技球検出センサZ1〜Z3の何れか1つ又は2つが故障して遊技球を検出不可能になった異常も検出することができる。
<第2〜第4の遊技球検出センサZ2〜Z4を利用した異常検出について>
上述したように、第1基幹流下経路51に振り分けられた遊技球は、予め定められた頻度(具体的には、例えば、第1基幹流下経路51を50球通過する毎に、2〜3球程度の頻度)でサイド始動口32Aに入賞するように構成されている。そこで、本実施形態では、サイド始動口32Aへの入賞頻度を、第2〜第4の遊技球検出センサZ2〜Z4による検出結果から算出し、入賞頻度が少な過ぎたり、多過ぎる場合に異常有りと判定して、異常報知を行う。
具体的には、本発明の「基幹通過部」としての第1基幹流下経路51を通過する遊技球の数が、予め定められた基準通過数(例えば500球)に達したときに、本発明の「分岐路」としてのサイド始動口32Aに入賞した遊技球の数が、予め定められた基準下限振分数(例えば12球)より少なくなっていた場合には、サイド始動口32Aへの入賞頻度が少な過ぎるとして、異常有りと判定する。また、異常有りと判定された回数が、第1基準回数(例えば2回)を超えた場合に、上記の異常報知を行うと共に、第1基準回数より多い第2基準回数(例えば5回)を越えた場合には、異常報知に加えて遊技を続行不可能にする。
サイド始動口32Aへの入賞頻度が少な過ぎるという異常を検出することにより、例えば、第1案内流下経路61での球詰まりやスライド板64が不正行為や故障によって閉鎖状態で停止した異常を発見することが可能となる。そのため、「確変状態」からの転落を避けるために、第1案内流下経路61に進入した遊技球がサイド始動口32Aに入賞しないようにする不正行為(例えば、第1案内流下経路61に進入した遊技球を磁石で第1入賞逸脱経路63L,63Rに誘導する行為)を発見することが可能となる。また、異常有りの判定回数が第2基準回数を越えた場合に、遊技を続行不可能にするから、異常報知に対して適切な対象がなされず遊技が継続された場合でも、遊技店が被る損害の拡大を抑えることができる。
また、基幹通過部としての第1基幹流下経路51を通過する遊技球の数が、予め定められた基準通過数(例えば、500球)に到達するまでに、サイド始動口32Aに入賞した遊技球の数が、予め定められた基準上限振分数(例えば100球)を超えた場合には、サイド始動口32Aへの入賞頻度が多過ぎるとして、異常有りと判定する。そして、異常有りと判定された場合には、異常報知を行う。
また、サイド始動口32Aへの入賞頻度が多過ぎるという異常を検出することにより、例えば、第2案内流下経路62での球詰まりやスライド板64が不正行為や故障によって開放状態で停止した異常を発見することが可能となる。また、例えば、糸付きの遊技球を使ってサイド始動口32Aへの入賞を偽装することで、不正に賞球を獲得する行為を発見することが可能となる。また、サイド始動口32Aへの入賞頻度が多過ぎるという異常を検出することで、通常遊技状態時にセンター始動口31Aよりもサイド始動口32Aに多く入賞させるという行為を抑制させることが可能となる。
<第2と第4の遊技球検出センサZ2,Z4を利用した異常検出について>
上述したように、第1案内流下経路61を通過した遊技球は、殆どサイド始動口32Aに入賞するように構成されているから、第2の遊技球検出センサZ2で検出した遊技球の数と、第4の遊技球検出センサZ4で検出した遊技球の数との間に大差がつくような場合には、異常が発生している可能性がある。そこで、本実施形態では、第2の遊技球検出センサZ2で検出した遊技球の数と、第4の遊技球検出センサZ4で検出した遊技球の数との差(入賞差)が、予め定めた許容入賞差を超えた場合に、異常有りと判定して、異常報知を行う。詳細には、入賞差が第1の許容入賞差を超えた(例えば10球に達した)場合に異常報知を行い、入賞差が第1の許容入賞差より大きい第2の許容入賞差を超えた(例えば15球に達した)場合には、異常報知に加えて遊技を続行不可能にする。
これにより、「確変状態」からの転落を避けるために、第1案内流下経路61に進入した遊技球がサイド始動口32Aに入賞しないようにする不正行為(例えば、磁石で第1入賞逸脱経路63L,63Rに誘導する行為)を発見することが可能となる。また、糸付きの遊技球を使ってサイド始動口32Aへの入賞を偽装したり、磁石によって遊技球をサイド始動口32Aに誘導することで、不正に賞球を獲得する行為を検出することができる。また、第2の遊技球検出センサZ2或いは第4の遊技球検出センサZ4が故障して遊技球を検出することができなくなった異常も検出することが可能になる。さらに、入賞差が第2の許容入賞差を超えた場合に遊技を続行不可能にするから、異常報知に対して適切な対処がなされず遊技が継続された場合でも、遊技店が被る損害の拡大を抑えることができる。
<大当り当否判定の実行の有無に基づく異常検出について>
右打ち遊技において、遊技球は、発射装置の発射強度とは無関係に、上述した入賞頻度でサイド始動口32Aに入賞するから、統計上、第2の当否判定権の大当り当否判定が特定回数実行される毎に、第1の当否判定権の大当り当否判定が1度は実行されるように構成されている。従って、第1の当否判定権の大当り当否判定が1度も実行されることなく、第2の当否判定権の大当り当否判定が、特定実行回数を超えて繰り返された場合には、不正行為や故障などの何らかの異常が発生している可能性がある。
このような異常を検出するために、本実施形態では、第1の当否判定権の判定報知演出が実行されていない状態で、第2の当否判定権の判定報知演出が開始された回数をカウントすると共に、そのカウント数を、第1の当否判定権の判定報知演出の実行中に第2の当否判定権の判定報知演出が開始される度にリセットする演出回数カウンタを備え、演出回数カウンタのカウント数が予め定められた第1の許容回数を越えた場合に異常有りと判定するように構成されている。
これにより、「確変状態」からの転落を避けるために第1の当否判定権に基づく大当り当否判定を不正に回避する行為、例えば、振分部材53やスライド板64の不正操作や磁石を使用した遊技球の誘導によって、サイド始動口32Aへの入賞を回避する行為を検出することができる。また、第1〜第4の遊技球検出センサZ1〜Z4による検出結果では検出することができない異常(例えば、制御基板に電気ノイズを与えて第2の当否判定権を不正に獲得する行為)を検出することができる。さらに、第1〜第3の遊技球検出センサZ1〜Z3が全て故障した場合でも、サイド始動口32Aへの入賞頻度が少な過ぎるという異常を検出することができる。
<パチンコ遊技機10の制御フローについて>
以上が、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御フロー以外の説明である。次に、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御フローに関して詳説する。なお、以下に説明する制御フローのうち、本発明に深く関わるのは、図21〜図26に示す「不正監視処理」(S17)と、図13及び図14に示す「不正監視用電源投入時設定処理」(S2)であるが、これら以外の遊技全般の制御フローについても併せて説明する。
パチンコ遊技機10の電源をオンすると、パチンコ遊技機10に備えられた主制御回路(図示せず)がメインプログラムPG1を実行する。図13に示すように、メインプログラムPG1では、先ず、CPU等の初期設定を行う(S1)。
初期設定(S1)に次いで、不正監視用電源投入時設定処理(S2)を実行する。この処理(S2)では、図14に示すように、後述する不正監視処理(S17)で使用する各種値の初期値を設定する。具体的には、まず、振分装置異常検出処理(S30)で使用する「監視値A」の初期値として「20」を設定する(S20)。
次いで、右始動口入賞異常1処理(S31)で使用する制限値Bの初期値として「6」を記憶し、「基数値B」の初期値として「0」を設定し、「監視値B」の初期値として「0」を設定する(S21)。
次いで、右始動口入賞異常2処理(S32)で使用する「基数値C」の初期値として「0」を設定し、「監視値C」の初期値として「0」を設定する(S22)。
次いで、右始動口入賞異常3処理(S33)で使用する「監視値D」の初期値として「15」を設定する(S23)。
次いで、右始動口入賞異常3処理(S34)で使用する「監視値E」(上述した「演出回数カウンタ」に相当する)の初期値として「0」を設定する(S24)。なお、初期設定(S1)及び不正監視用電源投入時設定処理(S2)は、メインプログラムPG1が、電源オン後の1回目にランされたときだけ実行し、それ以降は実行しない。
不正監視用電源投入時設定処理(S2)から、後述する割り込み処理(S6)を実行するまでの残余時間には、以下のステップS3〜S5の各処理をループして行う。まず、割り込みを禁止し(S3)、タイマ割り込みが入って来ても割り込み許可となるまで割り込み処理(S6)を行わないようにする。続いて、普通図柄・特別図柄乱数更新処理(S4)を実行する。この処理(S4)では、下記表3に示した乱数カウンタを1加算して更新する。更新したカウンタ値はRAMの更新値記憶領域に逐一記憶する。普通図柄・特別図柄乱数更新処理(S4)が終了すると、割り込みを許可し(S5)、割り込み処理(S6)を実行可能とする。
乱数カウンタとしては、表3に示したラベル−TRND−A,ラベル−TRND−AZ,ラベル−TRND−RC,ラベル−TRND−T,ラベル−TRND−B1,ラベル−TRND−B2,ラベル−TRND−B3,ラベル−TRND−H等のカウンタが設けられている。
これら乱数カウンタは、パチンコ遊技機10が電源オンされたときに0から始まって乱数更新処理(S4,S11)が行われると1加算され、各乱数カウンタ毎に予め定められた上限値に至ると0に戻されて、再び0からの加算を繰り返す。
そして、始動ゲート30を遊技球が通過したことを起因に、保留記憶の上限になっていなければ、上記表3に示した乱数カウンタのうち、ラベル−TRND−Hのカウンタ値を取得し、RAMに記憶する。また、センター始動口31A、サイド始動口32A、特別始動口33Aに遊技球が入賞したことを起因に、保留記憶の上限になっていなければ上記表1に示した乱数カウンタのうちラベル−TRND−H以外(ラベル−TRND−A、ラベル−TRND−AZ等)の各カウンタ値を取得して、RAMに記憶する。以下、上記3つの始動口31A,32A,33Aへの入賞時に取得される複数のカウンタ値(ラベル−TRND−A、ラベル−TRND−AZ等)を纏めて、適宜、「特別図柄関連カウンタ値」という。
ここで、RAMの乱数記憶領域には、取得した特別図柄関連カウンタ値やラベル−TRND−Hのカウンタ値を、それぞれ予め定められた保留の上限まで記憶可能となっている。そして、乱数記憶領域に記憶された各カウンタ値(乱数値)は、古いものから順に遊技に使用されるようになっている。また、保留記憶が上限である状態で上記3つの始動口31A,32A,33Aに入賞した場合、各カウンタ値は取得せず、賞球だけが払い出される。
割り込み処理(S6)は、例えば、4msec周期で入力する割り込みパルスに従って実行される。そして、割り込み処理(S6)が終了してから、次に割り込み処理(S6)が開始するまでの残余処理期間中に、普通図柄・特別図柄乱数更新処理(S4)による各種カウンタ値(表3参照)の更新処理を複数回に亘って繰り返し実行する。
割り込み処理(S6)について説明する。図15に示すように、割り込み処理(S6)では、まず、コマンド処理(S10)を行う。コマンド処理(S10)では、RAMの出力バッファにセットされた各種コマンドを、対応するサブ制御装置(例えば、表示制御装置、ランプ制御装置等)に出力する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S11)は、上記したメインプログラムPG1のループ処理内で行われている普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S4)と同じである。即ち、上記表3に示した各種カウンタ値は、割り込み処理(S6)の実行期間と、その残余処理期間(割り込み処理(S6)の終了後、次の割り込み処理(S6)が開始されるまでの期間)の両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S11)に次いで、始動入賞口スイッチ検出処理(S12)が実行される。この処理(S12)では、始動ゲート30への遊技球の通過や、センター始動口31A、サイド始動口32A、特別始動口33Aへの遊技球の入賞を条件にして、上述した特別図柄関連カウンタ値やラベル−TRND−Hのカウンタ値を取得し、RAMの乱数格納領域に記憶する。この処理(S12)によって、上述した小当り当否判定権、第1の当否判定権、第2の当否判定権が発生する。
図15に示すように、始動入賞口スイッチ検出処理(S12)に次いで、普通動作処理(S13)を行う。この処理(S13)では、始動ゲート30の通過を条件に取得(RAMの乱数記憶領域に記憶)した普通図柄当否判定用乱数値(ラベル−TRND−H)に基づいて「小当り判定」を行うと共に、その判定結果が「小当り」である場合には、「小当り遊技」を実行する。
普通動作処理(S13)の次の特別動作処理(S14)では、センター始動口31A又はサイド始動口32Aへの入賞によって発生した第1の当否判定権(特別図柄関連カウンタ値)と、特別始動口33Aへの入賞によって発生した第2の当否判定権(特別図柄関連カウンタ値)とに基づいて、大当り当否判定、判定報知演出、大当り遊技、その他、第1及び第2の当否判定権に基づく各種処理を行う。
特別動作処理(S14)では、図16に示すように、現状の「動作ステータス」に対応した処理が行われる。「動作ステータス」としては、第1の当否判定権に対応した「特図1動作ステータス」と、第2の当否判定権に対応した「特図2動作ステータス」とがあり、それら特図1動作ステータスと特図2動作ステータスが、第1と第2の当否判定権に基づく遊技(判定報知演出や大当り遊技等)の進行状況に応じて変化する。
特図1動作ステータスと特図2動作ステータスは、それぞれ「0」〜「8」の9段階で、電源投入時は共に「0」であり、現状の動作ステータスに応じた処理が完了すると、それぞれ次の動作ステータスに更新されて、新たな動作ステータスに対応した処理を開始する。以下、特別動作処理(S14)を詳説する前に、特図1動作ステータスと第1の当否判定権に基づく遊技の進行状況との関係について説明する。なお、特図2動作ステータスと第2の当否判定権に基づく遊技の進行状況との関係も同じである。
特図1動作ステータスは、第1判定報知部15Gにおいて第1の当否判定権の判定報知演出(判定図柄の変動表示)を開始するときに「0」から「1」に更新される。また、判定報知演出が終了して「外れ」の判定結果を報知(外れの判定図柄を停止表示)するときに「1」から「2」に更新され、「当り」の判定結果を報知(当りの判定図柄を停止表示)するときに「1」から「3」に更新される。また、特図1動作ステータスは、外れの判定結果の報知を終了するときに「2」から「0」に更新され、当りの判定結果の報知を終了するときに「3」から「4」に更新される。特図1動作ステータスが「2」から「0」に更新されることで、第1の当否判定権に基づく次の判定報知演出を開始することが可能になり、特図1動作ステータスが「3」から「4」に更新されることで、第1の当否判定権に基づく大当り遊技を開始することが可能になる。
特図1動作ステータスが「4」になると、大当り遊技の開始時に必要な処理が実行され、この処理が完了すると、特図1動作ステータスは「4」から「5」に更新される。上記したように、大当り遊技は2ラウンドで構成されており、1回のラウンド中に動作ステータスは「5」→「6」→「7」と変化する。全てのラウンドが終了すると、特図1動作ステータスは「7」から「8」へと更新される。特図1動作ステータスが「8」になると、大当り遊技の終了時に必要な処理が実行され、この処理が完了すると、特図1動作ステータスは「8」から「0」に更新される。そして、特図1動作ステータスが「0」に戻ることで、第1の当否判定権に基づく次の判定報知演出を開始することが可能になる。
以上の点を踏まえて、特別動作処理(S14)をさらに詳説する。特別動作処理(S14)では、まず、大当り遊技中か否か(第1と第2の一方の動作ステータスが「4」〜「8」であるか否か)を判定し(S130)、大当り遊技中である場合(S130でYes)には、大当り遊技に関する動作処理(S131A又はS131B)を行う。具体的には、第1の当否判定権に基づく大当り遊技中である場合には、図19に示す特図1大当り動作処理(S131A)を行い、第2の当否判定権に基づく大当たり遊技中である場合には、図20に示す特図2大当り動作処理(S131B)を行う。特図1大当り動作処理(S131A)では、特図1動作ステータス「4」〜「8」に応じた処理が実行され、特図2大当り動作処理(S131B)では、特図2動作ステータス「4」〜「8」に応じた処理が実行される。なお、特図1大当り動作処理(S131A)と特図2大当り動作処理(S131B)が並行して行われることはない。特図1大当り動作処理(S131A)及び特図2大当り動作処理(S131B)については後述する。
大当り遊技中ではない場合(S130でNo)には、特図2動作ステータスが「3」(当りの当否判定結果を報知する場合)であるか否かを判定する(S132)。特図2動作ステータスが「3」ではない場合(S132でNo)には、特図1動作タイマ(第1の当否判定権に基づく判定報知演出の残り時間)が「0」であるか否かを判定し(S133)、特図1動作タイマが「0」ではない場合(S133でNo)には、特図1動作タイマを1減算(S134)し、特図1動作タイマが「0」である場合(S133でYes)には、ステップS134をジャンプして、特図1変動動作処理(S135)を行う。特図1変動動作処理(S135)を開始する時点で、第1の特別動作ステータスは、必ず「0」〜「3」になっており、特図1変動動作処理(S135)では、第1の特別動作ステータス「0」〜「3」に応じた処理が実行される。この処理(S135)において、特図1動作ステータスは「1」〜「4」の何れかに更新されることがある。特図1変動動作処理(S135)を抜けたら、再び、大当り遊技中か否かを判定する(S136)。大当り遊技中である場合(S136でYes)、具体的には、直前の特図1変動動作処理(S135)において、特図1動作ステータスが「3」から「4」に更新された場合には、直ちに特別動作処理(S14)を抜ける。
なお、特図1変動動作処理(S135)において特図1動作ステータスが「3」から「4」に更新されて、特別動作処理(S14)を抜けた場合、次回の特別動作処理(S14)から、ステップS132〜S140の処理が行われなくなり、特図1大当り動作処理(S131A)が繰り返し行われるようになる。そして、特図1大当り動作処理(S131A)で特図1動作ステータスが「8」から「0」に戻されると、その次の特別動作処理(S14)から、再びステップS132以降の処理が行われるようになる。
ステップS132において、特図2動作ステータスが「3」ではない場合(S132でNo。外れの判定結果を報知する場合)、或いは、特図1変動動作処理(S135)の後で、特図1動作ステータスが「4」になっていない場合(S136でNo)には、特図1動作ステータスが「3」であるか否かを判定する(S137)。特図1動作ステータスが「3」である場合(S137でYes)には、この処理(S14)を直ちに抜ける。一方、特図1動作ステータスが「3」ではない場合(S137でNo)には、特図2動作タイマ(第2の当否判定権に基づく判定報知演出の残り時間)が「0」であるか否かを判定し(S138)、特図2動作タイマが「0」ではない場合(S138でNo)には、特図2動作タイマを1減算(S139)し、特図2動作タイマが「0」である場合(S139でYes)には、ステップS139をジャンプして、特図2変動動作処理(S140)を行う。特図2変動動作処理(S140)を開始する時点で、特図2動作ステータスは、必ず「0」〜「3」であり、特図2変動動作処理(S140)では、第2の特別動作ステータス「0」〜「3」に応じた処理が実行される。この処理(S140)において、特図2動作ステータスは「1」〜「4」の何れかに更新されることがある。
ここで、特図1特別動作処理(S135)において、特図1動作ステータスが「3」に更新された場合には、上記したステップS138〜S140の処理をジャンプして、特別動作処理(S14)を抜ける。つまり、特図1動作ステータスが「3」以上になると、その後は、特図2動作タイマの減算(S139)及び特図2変動動作処理(S140)を禁止した状態で、特図1動作ステータス「3」〜「8」に応じた処理(S131A,S135)が繰り返し実行される。これにより、特図1動作ステータス「3」の状態で、第2の判定報知演出の実行時間の計時が停止され、次の変動が行われないので第2の当否判定権に基づく当否判定も行われないから、特図2動作ステータスが「3」になることが禁止される。そして、第1の当否判定権に基づく大当り遊技が行われている間は、第2の当否判定権に基づく判定報知演出は実行されず、実行中の判定報知演出の計時は中断されることになる。
また、特図2特別動作処理(S140)において、特図2動作ステータスが「3」に更新された場合には、次回の特別動作処理(S14)から、特図1動作タイマの減算(S134)及び特図1変動動作処理(S135)を禁止した状態で、特図2動作ステータス「3」〜「8」に応じた処理(S131B,S140)が繰り返し行われる。これにより、特図2動作ステータスが「3」の状態で、第1の判定報知演出の実行時間の計時が停止され、次の変動が行われないので、第1の当否判定権に基づく当否判定も行われないことから特図1動作ステータスが「3」になることが禁止される。そして、第2の当否判定権に基づく大当り遊技が行われている間は、第1の当否判定権に基づく判定報知演出は実行されず、実行中の判定報知演出の計時は中断されることになる。
特図1変動動作処理(S135)は図17に示されている。特図1変動動作処理(S135)では、現在の特図1動作ステータスをチェックし(S150)、その特図1動作ステータスに応じて、特図1待機処理(S151)、特図1変動処理(S152)、特図1外れ確定処理(S153)、特図1大当り確定処理(S154)を行う。
特図1待機処理(S151)では、保留中の第1の当否判定権がある場合に、その第1の当否判定権を使用して大当り当否判定を行い、判定結果や判定報知演出の設定、特図1動作タイマの初期値(判定報知演出の実行期間)の設定等を行う。また、第1の当否判定権を使用して大当り当否判定を行う前に、第2の当否判定権を使用した大当り当否判定で「大当り」が発生している否かをチェックし、第2の当否判定権による「大当り」が先に発生している場合には、第1の当否判定権の大当り当否判定を行わずに、強制的に「外れ」の判定結果を報知する(特図1動作ステータスが「2」になる)ように設定する。そして、これら処理を終えると、特図1動作ステータスが「0」から「1」に更新される。
特図1変動処理(S152)では、毎回、特図1動作タイマをチェックして、特図1動作タイマが「0」になったときに、大当り当否判定の判定結果に応じて特図1動作ステータスを「2」(外れの場合)又は「3」(大当りの場合)に更新する。
特図1外れ確定処理(S153)では、特図1動作ステータスを「2」から「0」に更新する。一方、特図1大当り確定処理(S154)では、特図1動作ステータスを「3」から「4」に更新する。
以上が、特図1変動動作処理(S135)の説明であるが、特図2変動動作処理(S140)もこれと同様にして行われる。即ち、図18に示すように、特図2変動動作処理(S140)では、現在の特図2動作ステータスをチェックし(S160)、特図2動作ステータスに応じて特図2待機処理(S161)、特図2変動処理(S162)、特図2外れ確定処理(S163)、特図2大当り確定処理(S164)を行う。これら処理(S160〜S164)は、特図1変動動作処理(S135)内で実行される各処理(S150〜S154)と同じであるから、重複する説明は省略する。
特図1大当り動作処理(S131A)は、図19に示されている。特図1大当り動作処理では、上大入賞口内処理(S170)を行った後、現在の特図1動作ステータスをチェックし(S171)、その特図1動作ステータスに応じて、特図1大当り開始処理(S172)、特図1大入賞口開放処理(S173)、特図1大入賞口閉鎖1処理(S174)、特図1大入賞口閉鎖2処理(S175)、特図1大当たり終了処理(S176)を行う。上大入賞口内処理(S170)では、大当り遊技における第2アタッカー口35Aの開放時間や、内部の進入規制部材36Bの動作(V確定口36Aの開放時間)に関する設定を行う。
特図1大当り開始処理(S172)では、大当り遊技の開始時に行うオープニング演出や、大当り遊技全般の設定を行い、動作ステータスを「4」から「5」に更新する。特図1大入賞口開放処理(S173)では、大当り遊技中の第1アタッカー口34A及び第2アタッカー口35Aの開放動作に関する処理を行うと共に、ラウンド遊技の終了条件(規定の開放期間が終了したか、規定数の遊技球が入賞したか)をチェックし、その終了条件が成立した場合に、動作ステータスを「4」から「5」に更新する。
特図1大入賞口閉鎖1処理(S174)では、ラウンド遊技の終了条件の成立に伴って、第1アタッカー口34A又は第2アタッカー口34Bを閉鎖するための処理を行い、動作ステータスを「6」から「7」に更新する。特図1大入賞口閉鎖2処理(S175)では、大当り遊技の最終ラウンドが終了したか否かを判定し、最終ラウンドが終了した場合には、動作ステータスを「7」から「8」に更新し、未実行のラウンドが残っている場合には、動作ステータスを「7」から「5」に更新する。特図1大当たり終了処理(S176)では、大当り遊技の終了時に行うエンディング演出に関する処理や、フラグのリセット等を行い、動作ステータスを「8」から「0」に更新する。
特図2大当り動作処理(S131B)は、図20に示されており、特図1大当り動作処理(S131A)と同様にして行われる。即ち、上大入賞口内処理(S180)を行った後、現在の特図2動作ステータスを判定し(S181)、その特図2動作ステータスに応じて、特図2大当り開始処理(S182)、特図2大入賞口開放処理(S183)、特図2大入賞口閉鎖1処理(S184)、特図2大入賞口閉鎖2処理(S185)、特図1大当たり終了処理(S186)を行う。これら処理(S180〜S186)は、特図1大当り動作処理(S131A)内で実行される各処理(S170〜S176)と同じであるから、重複する説明は省略する。
図15に示すように、特別動作処理(S14)に次いで、保留球数処理(S15)、電源断監視処理(S16)、不正監視処理(S17)、その他処理(S18)が実行されると、割り込み処理(S6)を抜ける。保留球数処理(S15)、電源断監視処理(S16)及びその他処理(S18)については、本発明に深く関連しないので説明を省略し、以下、本発明に深く関わる不正監視処理(S17)について詳説する。
<不正監視処理(S17)の制御フロー>
図21に示すように、不正監視処理(S17)では、振分装置異常検出処理(S30)、右始動口入賞異常1処理(S31)、右始動口入賞異常2処理(S32)、右始動口入賞異常3処理(S33)、右始動口入賞異常4処理(S34)、その他処理(S35)を行って、右流下領域Rbにおける遊技球の振分異常や入賞異常等を検出する。この不正監視処理(S17)を行っているときの主制御回路が、本発明の「異常判定手段」に相当する。
振分装置異常検出処理(S30)は、図22に示されている。この処理(S30)では、上述の「第1〜第3の遊技球検出センサZ1〜Z3を利用した異常検出」を実行する。
具体的には、図22に示すように、まず、右打ち遊技の開始時(具体的には、大当り遊技の開始時)であるか否かを判定する(S40)。右打ち遊技の開始時である場合(S40でYes)には、本発明の「カウンタ」に相当する監視値Aの初期値として「20」を設定する(S41)。
次に、第1の遊技球検出センサZ1が遊技球を検出したか(遊技球が共通基幹経路50を通過したか)否かを判定し(S42)、遊技球を検出した場合(S42でYes)には、「監視値A」が「0」であるか否かを判定する(S43)。「監視値A」が「0」ではない場合(S43でNo)には、監視値Aを1減算(S44)する。このステップS44を実行しているときの主制御回路が、本発明の「第1カウント手段」に相当する。
次に、第2の遊技球検出センサZ2が遊技球を検出したか(遊技球が第1案内流下経路61を通過したか)否かを判定し(S45)、遊技球を検出した場合(S45でYes)には、「監視値A」が「40」以上であるか否かを判定する(S46)。「監視値A」が40以上ではない場合(S46でNo)には、「監視値A」に「2」を加算する。このステップS46を実行しているときの主制御回路が、本発明の「第2カウント手段」に相当する。
次に、第3の遊技球検出センサZ3が遊技球を検出したか(遊技球が第2案内流下経路62を通過したか)否かを判定し(S48)、遊技球を検出した場合(S48でYes)には、「監視値A」が「40」以上であるか否かを判定する(S49)。「監視値A」が「40」以上ではない場合(S49でNo)には、「監視値A」に「2」を加算(S50)してから、この処理(S30)を抜ける。このステップS50を実行しているときの主制御回路が、本発明の「第2カウント手段」に相当する。
ここで、振分部材53が正常に作動していて、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52とに交互に1球ずつ遊技球が振り分けられている状態では、第1の遊技球検出センサZ1が遊技球を2回検出する毎に、第2の遊技球検出センサZ2又は第3の遊技球検出センサZ3の何れか一方が遊技球を1回検出する。即ち、監視値Aは、基本的に「20±5」くらいの範囲内で変動し得るように構成されている。
これに対し、「監視値A」が「0」であった場合(S43でYes)、即ち、第2基幹流下経路52に振り分けられた遊技球の数が、第1基幹流下経路51に振り分けられた遊技球の数より「20球」以上多い場合や、「監視値A」が「40」以上であった場合(S46又はS49でYes)、即ち、第1基幹流下経路51に振り分けられた遊技球の数が、第2基幹流下経路52に振り分けられた遊技球の数より「20球」以上多い場合には、第1基幹流下経路51と第2基幹流下経路52との間で振分異常(例えば、振分部材53に対する不正行為又は故障)が発生していると判定して、異常報知を行う(S51)。このステップS51を実行しているときの主制御回路が、本発明の「異常報知手段」に相当する。
右始動口入賞異常1処理(S31)は、図23に示されている。この処理(S31)では、上述の「第2〜第4の遊技球検出センサZ2〜Z4を利用した異常検出」を実行する。
図23に示すように、右始動口入賞異常1処理(S31)では、まず、第2の遊技球検出センサZ2が遊技球を検出したか(遊技球が第1案内流下経路61を通過したか)否かを判定し(S52)、遊技球を検出した場合(S52でYes)には、基数値Bを1加算する(S53)。次に、第3の遊技球検出センサZ3が遊技球を検出したか(遊技球が第2案内流下経路62を通過したか)否かを判定し(S54)、遊技球を検出した場合(S54でYes)には、基数値Bを1加算する(S55)。つまり、基数値Bとは、第2の遊技球検出センサZ2による検出回数と、第3の遊技球検出センサZ3による検出回数の合計であり、本発明の「基幹通過部」としての第1基幹流下経路51に振り分けられた遊技球の数のことである。
次いで、第4の遊技球検出センサがZ4が遊技球を検出したか(本発明の「分岐路」としてのサイド始動口32Aに入賞したか)否かを判定し(S56)、遊技球を検出した場合(S56でYes)には、監視値Bを1加算する(S57)。
次に、基数値Bが、500以上であるか否か(第1基幹流下経路51に振り分けられた遊技球の数が500球以上)であるか否かを判定し(S58)、基数値Bが500未満である場合(S58でNo)には、この処理(S31)を抜ける。即ち、基数値Bが500以上になるまで、上述したステップS52〜S58の処理を繰り返す。
基数値Bが500以上である場合(S58でYes)には、その時点の監視値Bが12未満(サイド始動口32Aへの入賞数が12球未満)であるか否かを判定する(S59)。監視値Bが12以上(サイド始動口32Aへの入賞数が12球以上)である場合(S59でNo)には、サイド始動口32Aに対する必要最低限の入賞頻度は確保されていると判定し、基数値Bと監視値Bを共に「0」にリセット(S66)してから、この処理(S31)を抜ける。
これに対し、監視値Bが12未満(サイド始動口32Aへの入賞数が12球未満)である場合(S59でYes)には、異常有り(サイド始動口32Aへの入賞頻度が少な過ぎる)と判定して、制限値B(初期値「6」)を1減算し(S60)、減算後の制限値Bが「0」になったか否かを判定する(S61)。減算後の制限値Bが「0」である場合(S61でYes)、即ち、異常有りと判定された回数が、通算で「6回」に達した場合には、異常報知を行うと共に、例えば、発射装置を停止させて、遊技を続行不可能にする(S62)。その後、制限値Bを初期値である「6」に再設定し(S63)、基数値B及び監視値Bを「0」にリセットして(S66)から、この処理(S31)を抜ける。
減算後の制限値Bが「0」ではない場合(S61でNo)には、制限値Bが「3」以下であるか否かを判定する(S64)。制限値Bが「3」以下である場合(S64でYes)、即ち、異常有りと判定された回数が、通算で3回以上、6回未満である場合には、異常報知のみ行い(S65)、基数値B及び監視値Bを「0」にリセットして(S66)から、この処理(S31)を抜ける。なお、ステップS62及びS65を実行しているときの主制御回路が、本発明の「異常報知手段」に相当する。また、ステップS60の処理を実行しているときの主制御回路が、本発明の「異常判定カウント手段」に相当する。
また、制限値Bが「3」以下ではない場合(S64でNo)、即ち、異常有りと判定された回数が、通算で2回以下である場合には、異常報知を行わずに、基数値B及び監視値Bを「0」にリセットして(S66)から、この処理(S31)を抜ける。
つまり、この処理(S31)では、遊技球が第1基幹流下経路51に500球振り分けられる毎に異常判定を行い、500球振り分けられた時点で、サイド始動口32Aに12球以上入賞していない(本発明の「基準下限振分数より少ない)場合に、異常有りと判定する。そして、異常有りと判定された回数が通算で2回を超える(本発明の「第1基準回数」を超える)と異常報知が行われ、5回を超える(本発明の「第2基準回数」を越える)と異常報知に加えて遊技が続行不可能になる。
右始動口入賞異常2処理(S32)は、図24に示されている。この処理(S32)では、上述の「第2〜第4の遊技球検出センサを利用した異常検出」を実行する。
図24に示すように、右始動口入賞異常2処理(S32)では、まず、第2の遊技球検出センサZ2が遊技球を検出したか(遊技球が第1案内流下経路61を通過したか)否かを判定し(S70)、遊技球を検出した場合(S70でYes)には、基数値Cを1加算する(S71)。次に、第3の遊技球検出センサZ3が遊技球を検出したか(遊技球が第2案内流下経路62を通過したか)否かを判定し(S72)、遊技球を検出した場合(S72でYes)には、基数値Cを1加算する(S73)。つまり、基数値Cとは、第2の遊技球検出センサZ2による検出回数と、第3の遊技球検出センサZ3による検出回数の合計であり、第1基幹流下経路51に振り分けられた遊技球の数である。
次いで、第4の遊技球検出センサがZ4が遊技球を検出したか(サイド始動口32Aに入賞したか)否かを判定し(S74)、遊技球を検出していない場合(S74でNo)には、基数値Cが500以上(第1基幹流下経路51に振り分けられた遊技球の数が500球以上)であるか否かを判定する(S78)。基数値Cが500未満(S78でNo)である場合には、そのままこの処理(S32)を抜ける。一方、基数値Cが500以上(S78でYes)である場合には、基数値Cと監視値Cとを「0」にリセットしてから(S79)、この処理(S32)を抜ける。
第4の遊技球検出センサがZ4が遊技球を検出(サイド始動口32Aに入賞)した場合(S74でYes)には、監視値Cを1加算し(S75)、加算後の監視値Cが「100」を越えたか否かを判定する(S76)。監視値Cが「100」を越えていない場合(S76でNo)には、ステップS78にジャンプして、基数値Cが500以上であるか否かを判定する。一方、監視値Cが「100」を超えている場合(S76でYes)には、直ちに異常報知を行う(S77)。ステップS77を実行しているときの主制御回路が、本発明の「異常報知手段」に相当する。
つまり、第1基幹流下経路51を通過した遊技球の数が500球(本発明の「基準通過数」)に到達するまでに、サイド始動口32Aに入賞した遊技球が100球(本発明の「基準上限振分数」)を超えた場合には、サイド始動口32Aへの入賞頻度が多過ぎるとして、異常有りと判定する。
右始動口入賞異常3処理(S33)は、図25に示されている。この処理(S33)では、上述の「第2と第4の遊技球検出センサZ2,Z4を利用した異常検出」を実行する。また、右始動口入賞異常3処理(S33)を実行しているときの主制御回路が、本発明の「入賞異常判定手段」に相当する。
右始動口入賞異常3処理(S33)では、まず、第4の遊技球検出センサZ4が遊技球を検出(サイド始動口32Aに入賞したか)したか否かを判定し(S80)、遊技球を検出した場合(S80でYes)には、監視値Dが「15」未満であるか否かを判定する(S81)。
監視値Dが「15」未満ではない場合(S81でNo)は、ステップS83に進み、監視値Dが「15」未満である場合(S81でYes)には、監視値D1を1加算して(S82)からステップS83に進む。
次に、第2の遊技球検出センサZ2が遊技球を検出したか(第1案内流下経路61に遊技球が進入したか)否かを判定し(S83)、遊技球を検出していない場合(S83でNo)は、この処理(S33)を抜ける。
第2の遊技球検出センサZ2が遊技球を検出した場合(S83でYes)には、監視値Dを1減算して(S84)から、減算後の監視値Dが「0」であるか否かを判定する(S85)。減算後の監視値Dが「0」である場合(S85でYes)、即ち、第2の遊技球検出センサZ2による遊技球の検出回数から、第4の遊技球検出センサZ4による遊技球の検出回数を差し引いた値(本発明の「入賞差」)が所定値(例えば「15」)になった場合(本発明の「第2の基準入賞差」としての「14」より大きくなった場合)には、異常報知を行うと共に、例えば、発射装置を停止させて、遊技を続行不可能にする(S86)。その後、監視値Dを初期値である「15」に再設定(S87)してから、この処理(S33)を抜ける。
減算後の監視値Dが「0」ではない場合(S85でNo)には、監視値Dが「5」以下であるか否か、即ち、第2の遊技球検出センサZ2による遊技球の検出回数から、第4の遊技球検出センサZ4による遊技球の検出回数を差し引いた値(本発明の「入賞差」)が「10」以上になった場合(本発明の「第1の許容入賞差」としての「9」より大きくなった場合)には、異常報知のみを行い(S89)、この処理(S33)を抜ける。なお、ステップS86及びS89を行っているときの主制御回路が、本発明の「異常報知手段」に相当する。
右始動口入賞異常4(S34)処理は、図26に示されている。この処理(S34)は、上記した「大当り当否判定の実行の有無に基づく異常判定(変動開始を起因にした異常判定)」である。
具体的には、図26に示すように、右始動口入賞異常4処理(S34)では、まず、第2の当否判定権に基づく判定報知演出の開始時(特図2動作ステータスが「0」から「1」に切り替わったとき)であるか否かを判定する(S90)。判定報知演出の開始時ではない場合(S90でNo)には、この処理(S34)を抜ける。
一方、第2の当否判定権に基づく判定報知演出の開始時である場合(S90でYes)には、第1判定報知部15Gが待機状態であるか否か、即ち、特図1動作ステータスが「0」であるか否かを判定し(S91)、特図1動作ステータスが「0」ではない場合(S91でNo)、即ち、第1の当否判定権に基づく判定報知演出又は判定結果の報知を実行中である場合には、上述した「演出回数カウンタ」としての監視値Eを「0」にリセットして(S95)、この処理(S34)を抜ける。
一方、第1判定報知部15Gが待機状態である場合(S91でYes)には、監視値Eを1加算して(S92)、加算後の監視値Eが「100」以上であるか否かを判定する(S93)。監視値Eが「100」以上ではない場合(S93でNo)には、監視値Eをそのままにして、この処理(S34)を抜ける。これに対し、監視値Eが「100」以上であった場合(S93でYes)、即ち、第1の当否判定権に基づく判定報知演出が1度も行われることなく、第2の当否判定権に基づく判定報知演出が100回(第1の許容回数以上)繰り返された場合には、異常有り(第1の当否判定権の発生頻度が少な過ぎる)と判定して、異常報知を行う(S94)。その後、監視値Eを「0」にリセットして(S95)から、この処理(S34)を抜ける。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、図28に示した右始動口入賞異常4処理(S34a)が、上記第1実施形態の右始動口入賞異常4処理(S34)とは異なる。即ち、本実施形態の右始動口入賞異常4処理(S34a)では、第1の当否判定権の判定報知演出が行われていない状態で、第2の当否判定権の「大当り遊技」が開始された回数をカウントすると共に、第1の当否判定権の判定報知演出の実行中に第2の当否判定権の「大当り遊技」が実行された場合にカウント数をリセットする遊技回数カウンタを備え、遊技回数カウンタのカウント数が予め定められた第2の許容回数を越えた場合に異常有りと判定して、異常報知を行う。即ち、第1の当否判定権の判定報知演出が1度も行われることなく、第2の当否判定権の大当り当否判定が第2の許容回数を超えて繰り返された場合に、異常有りと判定する。
詳細には、図28に示すように、まず、第2の当否判定権に基づく大当り遊技の開始時(特図2動作ステータス「3」から「4」に切り替わったとき)であるか否かを判定する(S90a)。大当り遊技の開始時ではない場合(S90aでNo)には、直ちにこの処理(S34)を抜ける。
一方、第2の当否判定権に基づく大当り遊技の開始時である場合(S90aでYes)には、第1の当否判定権に基づく判定報知演出中であるか否か、即ち、特図1動作ステータスが「1」であるか否かを判定し(S91a)、判定報知演出中である場合(S91aでYes)には、「遊技回数カウンタ」としての監視値Eを「0」にリセットして(S95)、この処理(S34)を抜ける。
一方、第1判定報知部15Gが判定報知演出中ではない場合(S91aでNo)には、監視値Eを1加算して(S92)、加算後の監視値Eが「10」以上であるか否かを判定する(S93a)。監視値Eが「10」以上ではない場合(S93aでNo)には、監視値Eをそのままにして、この処理(S34a)を抜ける。これに対し、監視値Eが「10」以上であった(第2の許容回数を超えた)場合(S93aでYes)には、異常有り(第1の当否判定権の発生頻度が少な過ぎる)と判定して、異常報知を行う。その後、監視値Eを「0」にリセットして(S92)から、この処理(S34a)を抜ける。本実施形態の構成によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記第1及び第2実施形態における振分装置異常検出処理(S30)では、共通基幹経路50を遊技球が通過する毎に、監視値A(本発明の「カウンタ」)を「1」ずつ減算し、第1基幹流下経路51を遊技球が通過する毎に、監視値Aを「2」ずつ加算していたが、これらの加減算を逆にしてもよい。
(2)また、第2基幹流下経路52を通過する遊技球を第5の遊技球検出センサによって検出するようにし、共通基幹経路50を通過する毎に、監視値Aを「1」ずつ減算(又は加算)し、第1基幹流下経路51を通過する毎に監視値Aを「1」ずつ加算(又は減算)し、第2案内流下経路52を通過する毎に監視値Aを「1」ずつ加算(又は減算)するようにしてもよい。
(3)上記第1及び第2実施形態では、第1の当否判定権の判定報知演出が実行されていない状態で、第2の当否判定権の判定報知演出又は大当り遊技が開始された回数を演出回数カウンタ又は遊技回数カウンタでカウントしていたが、小当り当否判定権の小判定演出が実行されていない状態で、大当り当否判定権の判定報知演出(又は大当り遊技)が開始された回数をカウントしかつそのカウント数を、小判定演出の実行中に大当り当否判定権の判定報知演出(又は大当り遊技)が開始される度にリセットするようにして、そのカウント数が、予め設定された許容回数を超えた場合に異常有りと判定するように構成してもよい。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る遊技機は、遊技球が流下する遊技領域と、遊技領域内に遊技球を発射する発射装置と、遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な基幹通過部と、基幹通過部を通過した遊技球が入球可能又は通過可能な複数の分岐路とを有し、基幹通過部を通過した遊技球が、発射装置の発射強度とは無関係に、必ず、任意の1つの分岐路に択一的に振り分けられるようにした遊技機において、基幹通過部を通過する遊技球の数と、何れかの分岐路に振り分けられた遊技球の数とを検出するか、又は、互いに異なる2つ以上の分岐路に振り分けられた遊技球の数をそれぞれ検出する複数の遊技球検出センサと、複数の遊技球検出センサによる遊技球の検出結果を利用して、振分通過異常の有無を判定する異常判定手段と、異常判定手段が異常有りと判定したときに報知を行う異常報知手段とを備え、基幹通過部を通過した遊技球が、複数の分岐路に順次に1球ずつ振り分けられるように構成すると共に、基幹通過部を通過する遊技球の数と、複数の分岐路のうち何れか1つの第1分岐路に振り分けられた遊技球の数とを複数の遊技球検出センサで検出し、異常判定手段は、基幹通過部を遊技球が通過する毎にカウンタを1ずつ減算又は加算する第1カウント手段と、第1分岐路を遊技球が通過する毎に複数の分岐路と同数の数値を、第1カウント手段による加減算とは逆になるようにカウンタに対して加算又は減算する第2カウント手段とを備え、カウンタのカウント数が予め定めた基準許容範囲を超えた場合に異常有りと判定するように構成したところに特徴を有する。
サイド始動口32Aへの入賞頻度が少な過ぎるという異常を検出することにより、例えば、第1案内流下経路61での球詰まりやスライド板64が不正行為や故障によって閉鎖状態で停止した異常を発見することが可能となる。そのため、「確変状態」からの転落を避けるために、第1案内流下経路61に進入した遊技球がサイド始動口32Aに入賞しないようにする不正行為(例えば、第1案内流下経路61に進入した遊技球を磁石で第1入賞逸脱経路63L,63Rに誘導する行為)を発見することが可能となる。また、異常有りの判定回数が第2基準回数を越えた場合に、遊技を続行不可能にするから、異常報知に対して適切な対処がなされず遊技が継続された場合でも、遊技店が被る損害の拡大を抑えることができる。