JP2015135548A - 組立歩留予測装置、組立歩留予測プログラムおよび組立歩留予測方法 - Google Patents

組立歩留予測装置、組立歩留予測プログラムおよび組立歩留予測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製品の組立歩留を精度よく予測する。【解決手段】組立歩留予測装置1は、取得部と多変量分布算出部211と予測部22とを有する。取得部は、各部品における部分寸法間の相関情報を含む部分寸法の多変量分布パラメータ56,63を取得する。多変量分布算出部211は、部分寸法の多変量分布パラメータ56,63と感度情報53とに基づき、チェック箇所寸法の多変量分布57,67を算出する。ここで、感度情報53は、各部分寸法の変化が製品における複数のチェック箇所の寸法に与える影響の度合いを示す。また、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57,67は、同一の部品における各部分寸法の変化が複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含む。そして、予測部22は、算出されたチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57,67に基づき製品の組立歩留60,68を予測する。【選択図】図2

Description

本発明は、組立歩留予測装置、組立歩留予測プログラムおよび組立歩留予測方法に関する。
製品、例えば携帯電話,スマートフォン,PDA(Personal Digital Assistants)の筐体などは、複数種類の部品を組み立てて作製される。部品を製造する際には製造ばらつき(分布)があるため、各部品を設計値通りに製造することができない。そこで、製品の検査時には、組立後の製品に含まれる複数のチェック箇所(検査箇所)の寸法が測定される。そして、全てのチェック箇所の寸法が予め定められた許容範囲内に入った場合、組立後の製品は良品であると判定する一方、許容範囲に入らなかった場合、組立後の製品は不良品であると判定している。
ここで、チェック箇所は、図22に示すように、部品の組立によって生じる、製品の一部分で、例えば、部品と部品との隙間や、部品と部品の重なり部分である。図22は、製品の部分寸法,製品のチェック箇所および当該チェック箇所の寸法について説明する図である。図22に示す例において、製品Pは、2つの部品A,Bを組み立てたもので、2つのチェック箇所#1,#2を有している。また、部品Aの部分A1,A2および部品Bの部分B1,B2は、製品Pのチェック箇所#1,#2の寸法に影響する部分である。より具体的に、部分A1の寸法および部分B1の寸法は、チェック箇所#1の寸法(=部分B1の寸法−部分A1の寸法)に影響する。また、部分A2の寸法および部分B2の寸法は、チェック箇所#2の寸法(=部分A2の寸法+部分B2の寸法)に影響する。
なお、以下において、製品に含まれる全てのチェック箇所の寸法が許容範囲内に入る確率、つまり作製された製品が良品である割合を、「製品歩留」または「製品の組立歩留」という。
従来、製品歩留を高く保つために、製品の設計段階では、例えば図23に示すようにチェック箇所の歩留情報や製品歩留が予測され当該予測の結果が設計に反映される。また、製品の組立段階では、例えば図24に示すようにチェック箇所の歩留情報や製品歩留が算出され当該算出の結果が製造プロセスに反映される。ここで、図23は製品の設計段階での歩留の予測手順の一例を示す図であり、図24は製品の組立段階での歩留の予測手順の一例を示す図である。
図23に示す例(設計段階)では、設計データD1として、部品の部分の設計値と、当該設計値のばらつきと、製品の組立図と、チェック箇所の設計値と、チェック箇所の寸法の許容範囲とが予め取得される。ここで、設計段階は製品の設計をしている段階で、設計段階では未だ部品は実際に製造されていない。このため、設計値のばらつき(製造ばらつき)は、過去の経験的情報あるいはシミュレーション結果から想定され、部分の一変量正規分布として得られる。また、チェック箇所の設計値は、各部分が設計値通りに製造されたものと仮定した場合の、チェック箇所の寸法である。
このとき、上述した設計データに基づき組立歩留解析が行なわれ(図23のS1参照)、製品の全てのチェック箇所#1,#2,…のそれぞれについて寸法の分布および歩留情報D2と、部品の部分寸法の変化がチェック箇所#i(i=1,2,…)の寸法に与える影響の度合いを示す感度情報D3とが得られる。各チェック箇所#iの歩留情報は、各チェック箇所#iの寸法の分布に基づき、各チェック箇所#iの寸法が許容範囲内に入る確率Piとして得られる。また、感度情報D3は、例えば部品の部分寸法が1mm変化した場合にチェック箇所が何mm変化するかを示す情報である。
そして、各チェック箇所#iは独立しているものと仮定して、各チェック箇所#iの寸法が許容範囲内に入る確率Piに基づき、下式(1)によって製品歩留D4が簡易的に近似計算され予測される(図23のS2参照)。
製品歩留(D4)=Πii (1)
また、設計段階では、全てのチェック箇所の歩留(確率Pi)が目標歩留をクリアしていれば、現在の設計データを用いることで設計対象の製品が目標歩留で製造されると判断され、設計を終了する。一方、一箇所でも目標歩留をクリアしないチェック箇所が存在する場合は、全てのチェック箇所の歩留が目標歩留をクリアするまで、設計変更が行なわれる。設計変更を行なう場合、上述した感度情報が用いられる。これにより、各部品の製造ばらつきを想定した設計が行なわれる。
図24に示す例(組立段階)では、実際に製品を組み立てる部品が製造されている。つまり、組立段階は工場等で製品を量産する段階で、組立段階では、設計段階と異なり、製品を組み立てる部品がすでに製造されている。このため、上述した設計段階で得られた設計データD1のほかに、実際に製造された部品の情報D5が得られる。このとき、部品の情報D5は、製造された部品のサンプル測定結果から推定されるもので、各部品の部分寸法や、部分寸法のばらつき情報(例えば平均および分散)である。ここで得られるばらつき情報は、各部分寸法の分布、つまり一変量分布であって多変量分布ではない。
このとき、上述した設計データと製造された部品の情報とに基づき組立歩留解析が行なわれ(図24のS3参照)、製品の全てのチェック箇所#1,#2,…のそれぞれについて寸法の分布および歩留情報D6が得られる。各チェック箇所#iの歩留情報は、各チェック箇所#iの寸法の分布に基づき、各チェック箇所#iの寸法が許容範囲内に入る確率Piとして得られる。そして、各チェック箇所#iは独立しているものと仮定して、各チェック箇所#iの寸法が許容範囲内に入る確率Piに基づき、上式(1)によって製品歩留D7が簡易的に近似計算され予測される(図24のS4参照)。
また、組立段階では、全てのチェック箇所の分布,歩留が設計で想定した許容範囲内に入っていれば、現状の製造プロセスによって製品が目標歩留で製造されると判断され、現状の製造プロセスによる製品製造が継続される。一方、一箇所でも分布,歩留が許容範囲内に入っていないチェック箇所が存在する場合は、全てのチェック箇所の分布,歩留が許容範囲内に入るまで、製造プロセスの変更(例えば金型の調整)が行なわれる。
特開平10−40289号公報 特開平10−105594号公報
上述した技術では、同じ部品はいつも同じ分布で製造され(製造プロセスばらつきは無い)、且つ、部品の部分間の相関は無い又は少ないので歩留に影響しないという前提で、製品の設計や組立が行なわれている。このため、製品に含まれる全てのチェック箇所の高歩留を達成すれば製品歩留も高くできているものと考えられ、製品の歩留を精度よく予測することは重要視されていない。したがって、複数のチェック箇所に影響する部品の部分があるため実際にはチェック箇所間の相関が存在するにもかかわらず、チェック箇所間の相関を無視して上式(1)により簡易的に製品歩留が算出されている。
ところが、近年、製品の微細化、製造技術の限界に伴い、上記前提が崩れ、全てのチェック箇所を高歩留にすることが達成できなくなってきている。そのため、製品歩留を上げるべく、製品の歩留を精度よく予測することが重要になってくる。しかしながら、上述した技術では、製品における各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮せず、各部分や各チェック箇所は独立しているという仮定の下で、製品歩留を予測しているため、製品歩留の予測精度が極めて悪いという課題がある。
一つの側面で、本発明は、製品の組立歩留を精度よく予測することを目的とする。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的の一つとして位置付けることができる。
本件の組立歩留予測装置は、複数の部品によって組み立てられる製品の組立歩留を予測するもので、取得部,多変量分布算出部および予測部を有する。ここで、前記取得部は、各部品における複数の部分寸法間の相関情報を含む部分寸法の多変量分布パラメータを取得する。また、前記多変量分布算出部は、前記取得部によって取得された前記部分寸法の多変量分布パラメータと前記各部品における各部分寸法の変化が前記製品における複数のチェック箇所の寸法に与える影響の度合いを示す感度情報とに基づき、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出する。前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータは、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含む。さらに、前記予測部は、前記多変量分布算出部によって算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき前記製品の組立歩留を予測する。
一実施形態によれば、製品の組立歩留を精度よく予測することができる。
本実施形態に係る組立歩留予測装置のハードウェア構成例および機能構成例を示すブロック図である。 図1に示す歩留計算処理部の構成の一例を示すブロック図である。 図2に示すモンテカルロ処理部の構成の一例を示すブロック図である。 図2に示すモンテカルロ処理部の構成の他例を示すブロック図である。 製品の設計段階での本実施形態に係る組立歩留予測装置の動作を概略的に説明する図である。 製品の組立段階での本実施形態に係る組立歩留予測装置の動作を概略的に説明する図である。 製品の設計段階での本実施形態に係る組立歩留予測装置の動作を説明するフローチャートである。 製品の組立段階での本実施形態に係る組立歩留予測装置の動作を説明するフローチャートである。 図8に示すステップS22の歩留計算処理を説明するフローチャートである。 図8に示すステップS24の歩留計算処理を説明するフローチャートである。 図4に示すモンテカルロ処理部によって実行される高速モンテカルロ処理を説明するフローチャートである。 本実施形態の組立歩留予測装置への入力データである感度情報の一例を示す図である。 本実施形態の組立歩留予測装置への入力データである設計データ(部分の設計値およびばらつき情報)の一例を示す図である。 本実施形態の組立歩留予測装置への入力データである設計データ(チェック箇所の設計値および許容範囲)の一例を示す図である。 本実施形態の組立歩留予測装置への入力データである部品サンプル測定情報の一例を示す図である。 本実施形態の組立歩留予測装置への入力データである部品サンプル測定情報の他例を示す図である。 本実施形態の組立歩留予測装置からの出力データであるチェック箇所の分布および歩留の一例を示す図である。 本実施形態の組立歩留予測装置による処理の中間データ(部分寸法の多変量分布パラメータ)である部分の平均ベクトルおよび分散共分散行列の一例を示す図である。 図3および図4に示すモンテカルロ処理部の製品歩留計算部(第1歩留算出部)による処理手順を説明するフローチャートである。 製造プロセスばらつきを説明する図である。 製造プロセスばらつきを説明する図である。 製品の部分寸法,製品のチェック箇所および当該チェック箇所の寸法について説明する図である。 製品の設計段階での歩留の予測手順の一例を示す図である。 製品の組立段階での歩留の予測手順の一例を示す図である。
以下に、図面を参照し、本願の開示する組立歩留予測装置、組立歩留予測プログラムおよび組立歩留予測方法の実施形態について、詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能を含むことができる。そして、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
〔1〕本実施形態の構成
まず、図1〜図4を参照しながら、本実施形態の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る組立歩留予測装置1のハードウェア構成例および機能構成例を示すブロック図である。図2は、図1に示す歩留計算処理部20,412の構成の一例を示すブロック図である。図3は、図2に示すモンテカルロ処理部の構成の一例(符号22参照)を示すブロック図である。図4は、図2に示すモンテカルロ処理部の構成の他例(符号22′参照)を示すブロック図である。
図1に示すように、組立歩留予測装置1は、例えば複数の部品A,Bによって組み立てられる製品P(図22参照)の組立歩留60,68などを予測する。組立歩留予測装置1は、少なくとも、CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro-Processing Unit),コンピュータ等の処理部2と、RAM(Random Access Memory),HDD(Hard Disk Drive),SSD(Solid State Device)等の記憶部3とを有している。
処理部2は、記憶部3から所定のアプリケーションプログラム(組立歩留予測プログラム)を読み出して実行することで、後述する多変量分布パラメータ決定部10,歩留計算処理部20,多変量分布パラメータ推定部30および信頼区間計算部40としての機能を果たす。なお、前記所定のアプリケーションプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど),ブルーレイディスク等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、処理部2は、当該記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置としての記憶部3に転送し格納して用いる。
記憶部3は、前記所定のアプリケーションプログラムを保存するほか、処理部2による処理に必要な各種情報等を保存する。例えば、記憶部3は、前記各種情報等として、部分のばらつき情報51および設計値52;部品の感度情報53;チェック箇所の設計値54および許容範囲55を、設計段階での組立歩留予測処理前に予め保存する。また、記憶部3は、前記各種情報等として、部品サンプル測定情報61を組立段階での組立歩留予測処理前に予め保存する。さらに、記憶部3は、前記各種情報等として、組立歩留予測装置1による予測結果である、チェック箇所歩留58,69;製品歩留60,68;チェック箇所歩留信頼区間70;製品歩留信頼区間71を保存する。また、記憶部3は、前記各種情報等として、組立歩留予測装置1による予測処理中に得られる情報(図1〜図17の符号56,57,59,59′,59″,62〜67,67′,72〜76参照)を一時的に保存する。
以下、処理部2によって実現される、多変量分布パラメータ決定部10,歩留計算処理部20,多変量分布パラメータ推定部30および信頼区間計算部40としての機能について、図1〜図4を参照しながら説明する。
〔1−1〕多変量分布パラメータ決定部(取得部)10および多変量分布パラメータ推定部(取得部)30について
多変量分布パラメータ決定部(取得部)10は、製品Pの設計段階において、予め想定される製品Pの製造ばらつき51に基づき、各部品A,Bにおける複数の部分寸法間の相関情報(相関,関係性)を含む部分寸法の多変量分布パラメータ56(図2,図7参照)を決定し取得する。製造ばらつきは、製造時に確率的に生じる、設計値(符号52参照)からのずれであり、材質,温度,湿度,製造機械の違いといった様々な要因によって生じる。このため、設計段階において、製造ばらつきの情報51は、過去の経験的情報あるいはシミュレーション結果から想定される。なお、部品の部分の設計値52およびばらつき情報51については図13を参照しながら後述する。また、部分寸法の多変量分布パラメータ56は、例えば部分寸法の多変量正規分布(同時分布)のパラメータである平均(平均ベクトル)および分散共分散行列として取得される。
多変量分布パラメータ推定部(取得部)30は、製品Pの組立段階において、製造された各部品の実測値である部品サンプル測定情報61に基づき、各部品A,Bにおける複数の部分寸法間の相関情報(相関,関係性)を含む部分寸法の多変量分布パラメータ63(図2,図8,図9参照)を推定し取得する。多変量分布パラメータ推定部30は、部品サンプル測定情報61における測定サンプル数(標本数)62も出力する。なお、部品サンプル測定情報61については、図15,図16を参照しながら後述する。また、部分寸法の多変量分布パラメータ63も、多変量分布パラメータ56と同様、例えば、部分寸法の多変量正規分布のパラメータである平均および分散共分散行列として取得される。
ここで、部分寸法は、例えば、図22を参照しながら前述した部分A1,A2や部分B1,B2の寸法である。つまり、製品Pは、例えば、2つの部品A,Bを組み立てたもので、2つのチェック箇所#1,#2を有している。また、部品Aの部分A1,A2および部品Bの部分B1,B2は、製品Pのチェック箇所#1,#2の寸法に影響する部分である。
〔1−2〕歩留計算処理部20について
歩留計算処理部20は、後述するチェック箇所の多変量分布のパラメータ57,67;チェック箇所歩留58,69;製品歩留60,68を算出するもので、図2に示すようにチェック箇所計算部21とモンテカルロ処理部22(22′)とを有する。また、チェック箇所計算部21は、多変量分布計算部211とチェック箇所歩留計算部212とを有する。なお、後述する信頼区間計算部40における歩留計算処理部412も、図2に示す歩留計算処理部20と同様に構成され、後述するチェック箇所の多変量分布のパラメータ67′,チェック箇所歩留66,製品歩留65を算出する。ここでは、歩留計算処理部20の構成とともに歩留計算処理部412の構成についても説明する。
多変量分布計算部(多変量分布算出部)211は、製品Pの設計段階において、多変量分布パラメータ決定部10によって取得された部分寸法の多変量分布パラメータ56と、感度情報53と、部分の設計値52と、チェック箇所の設計値54とに基づき、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57を算出する。また、多変量分布計算部211は、製品Pの組立段階において、多変量分布パラメータ推定部30によって取得された部分寸法の多変量分布パラメータ63と、感度情報53と、部分の設計値52と、チェック箇所の設計値54とに基づき、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67を算出する。さらに、歩留計算処理部412に属する多変量分布計算部211は、図10を参照しながら後述するごとく、ブートストラップサンプル64毎にチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67′を算出する。
ここで、感度情報53は、前述した感度情報D3と同様、各部品における各部分寸法の変化が製品Pにおけるチェック箇所#i(i=1,2,…)の寸法に与える影響の度合い(感度,影響度)を示すものである。なお、感度情報53については、図12を参照しながら後述する。
また、チェック箇所寸法は、例えば図22を参照しながら前述したチェック箇所#1,#2,…のそれぞれについての寸法である。そして、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57,67(67′)は、それぞれ、例えば、チェック箇所寸法の多変量正規分布のパラメータ(中間データ)である平均ベクトルおよび分散共分散行列として取得される。
このようなチェック箇所寸法の多変量分布57,67(67′)は、それぞれ、同一の部品における各部分寸法の変化が各チェック箇所#iの寸法に影響を与えることに起因して複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報(相関,関係性)を含んでいる。なお、チェック箇所寸法の多変量分布の分布パラメータ57,67(67′)である平均ベクトルおよび分散共分散行列については、図18を参照しながら後述する。
チェック箇所歩留計算部(第2歩留算出部)212は、製品Pの設計段階において、多変量分布算出部211によって算出されたチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57と複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とに基づき、各チェック箇所#iの組立歩留58を算出する。また、チェック箇所歩留計算部212は、製品Pの組立段階において、多変量分布算出部211によって算出されたチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67とチェック箇所の寸法許容範囲55とに基づき、各チェック箇所#iの組立歩留69を算出する。さらに、歩留計算処理部412に属するチェック箇所歩留計算部212は、多変量分布算出部211によってブートストラップサンプル64毎に算出されたチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67′とチェック箇所の寸法許容範囲55とに基づき、ブートストラップ64毎に、各チェック箇所#iの組立歩留66を算出する。
なお、チェック箇所の寸法許容範囲55は、チェック箇所の許容範囲55という場合がある。また、チェック箇所の設計値54は、前述したように、各部分が設計値52の通りに製造されたものと仮定した場合の、チェック箇所の寸法である。チェック箇所の設計値54および寸法許容範囲55については、図14を参照しながら後述する。
モンテカルロ処理部(予測部)22または22′は、製品Pの設計段階において、多変量分布算出部211によって算出されたチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57に基づき製品Pの組立歩留(製品歩留)60を予測する。また、モンテカルロ処理部22または22′は、製品Pの組立段階において、多変量分布算出部211によって算出されたチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67に基づき製品歩留68を予測する。さらに、歩留計算処理部412に属するモンテカルロ処理部22または22′は、図10を参照しながら後述するごとく、ブートストラップサンプル64毎に多変量分布算出部211によって算出される多変量分布パラメータ67′に基づき、各ブートストラップサンプル64の製品歩留65を予測する。
ここで、モンテカルロ処理部22は、図3に示すように、モンテカルロサンプル生成部221と製品歩留計算部222とを有する。
モンテカルロサンプル生成部(第1サンプル生成部)221は、製品Pの設計段階において、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57に基づき、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル59を、モンテカルロシミュレーションによって生成する。また、モンテカルロサンプル生成部221は、製品Pの組立段階において、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67に基づき、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル59′を、モンテカルロシミュレーションによって生成する。さらに、歩留計算処理部412に属するモンテカルロサンプル生成部221は、多変量分布算出部211によってブートストラップ64毎に算出されたチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67′に基づき、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル59″をモンテカルロシミュレーションによって生成する。
製品歩留計算部(第1歩留算出部)222は、製品Pの設計段階において、モンテカルロサンプル生成部221によって生成されたモンテカルロサンプル59に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき製品Pの組立歩留60を算出する。また、製品歩留計算部222は、製品Pの組立段階において、モンテカルロサンプル生成部221によって生成されたモンテカルロサンプル59′に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき製品Pの組立歩留68を算出する。さらに、歩留計算処理部412に属する製品歩留計算部222は、モンテカルロサンプル生成部221によって生成されたモンテカルロサンプル59″に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき製品Pの組立歩留65を算出する。
一方、モンテカルロ処理部22′は、モンテカルロ処理部22と同様の処理をより高速に実現するためのもので、図4に示すように、正規化部223,固有ベクトル・固有値算出部224,モンテカルロサンプル生成部221′および製品歩留計算部222′を有する。
正規化部223は、製品Pの設計段階において、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57および複数のチェック箇所の寸法許容範囲55を正規化する。また、正規化部223は、製品Pの組立段階において、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67および複数のチェック箇所の寸法許容範囲55を正規化する。さらに、歩留計算処理部412に属する正規化部223は、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67′および複数のチェック箇所の寸法許容範囲55を正規化する。
固有ベクトル・固有値算出部224は、正規化部223によって正規化されたチェック箇所寸法の多変量正規分布(正規化後のチェック箇所の多変量正規分布の分散共分散行列74)から、複数の固有ベクトルと各ベクトルに対応する固有値75とを特異値分解によって算出する。
モンテカルロサンプル生成部(第1サンプル生成部)221′は、下記空間において、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル76を、モンテカルロシミュレーションによって生成する。上記空間は、複数の固有ベクトルのうち、固有値によって定義される累積寄与率が所定閾値を超える固有ベクトルによって張られる。
製品歩留計算部(第1歩留算出部)222′は、モンテカルロサンプル生成部221′によって生成された複数のモンテカルロサンプル76に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、正規化部223によって正規化された複数のチェック箇所の寸法許容範囲72とをそれぞれ比較する。そして、製品歩留計算部222′は、当該比較の結果に基づき製品Pの組立歩留60,68(65)を算出する。
〔1−3〕信頼区間計算部(第1信頼区間算出部および第2信頼区間算出部)40について
信頼区間計算部40は、第1信頼区間算出部および第2信頼区間算出部としての機能を果たす。
第1信頼区間算出部は、部品サンプル測定情報(実測値)61の測定サンプル数(標本数)62が少ないことに起因して、部品サンプル測定情報61から推定される部分寸法の多変量分布パラメータ63に生じる誤差を推定する。そして、第1信頼区間算出部40は、推定された誤差と感度情報53とに基づき各チェック箇所#iの組立歩留の信頼区間70を算出する。
また、第2信頼区間算出部は、部品サンプル測定情報(実測値)61の測定サンプル数(標本数)62が少ないことに起因して、部品サンプル測定情報61から推定される部分寸法の多変量分布パラメータ63に生じる誤差を推定する。そして、第2信頼区間算出部40は、推定された誤差と、感度情報53と、後述するブートストラップサンプル64毎に多変量分布計算部211によって算出されるチェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67′とに基づき、製品Pの組立歩留の信頼区間71を算出する。なお、信頼区間とは、歩留の値が所定確率で入る範囲のことである。例えば、所定確率を95%とした場合、歩留の値が95%以上の確率で0〜0.5の範囲に入る場合、当該範囲0〜0.5を信頼区間とする。
信頼区間計算部40は、図2に示すように、ブートストラップ歩留計算部41とチェック箇所歩留信頼区間計算部42と製品歩留信頼区間計算部43とを有する。さらに、ブートストラップ歩留計算部41は、ブートストラップサンプル生成部411と歩留計算処理部412とを有する。
〔1−3−1〕第1信頼区間算出部について
まず、信頼区間計算部40が第1信頼区間算出部として機能する場合の、ブートストラップサンプル生成部411,歩留計算処理部(第3歩留算出部)412およびチェック箇所歩留信頼区間計算部42としての機能について説明する。
このとき、ブートストラップサンプル生成部(第2サンプル生成部)411は、標本数62と部分寸法の多変量分布パラメータ63とに基づき、部分寸法の多変量分布パラメータ63の分布パラメータ(平均ベクトル,分散共分散行列)についてのブートストラップサンプル64を、パラメトリックブートストラップ法によって生成する。
歩留計算処理部(第3歩留算出部)412は、図2を参照しながら前述した歩留計算処理部20と同様に構成されている。そして、歩留計算処理部412の多変量分布計算部211は、ブートストラップサンプル生成部411によって生成されたブートストラップサンプル64毎に、感度情報53に基づき、チェック箇所寸法の多変量分布のパラメータ67′を算出する。また、歩留計算処理部412のチェック箇所歩留計算部212は、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布のパラメータ67′と複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とに基づき、各チェック箇所#iの組立歩留66を算出する。
チェック箇所歩留信頼区間計算部(チェック箇所歩留信頼区間算出部)42は、歩留計算処理部(第3歩留算出部)412によってブートストラップサンプル64毎に算出された各チェック箇所#iの組立歩留66に基づき、各チェック箇所#iの組立歩留の信頼区間70を算出する。なお、信頼区間70の具体的な算出手法については後述する。
〔1−3−2〕第2信頼区間算出部について
また、信頼区間計算部40が第2信頼区間算出部として機能する場合の、ブートストラップサンプル生成部411,歩留計算処理部(第4歩留算出部)412および製品歩留信頼区間計算部43としての機能について説明する。
このとき、ブートストラップサンプル生成部(第2サンプル生成部)411は、第1信頼区間算出部のブートストラップサンプル生成部411と同様にして、ブートストラップサンプル64を、パラメトリックブートストラップ法によって生成する。
歩留計算処理部(第4歩留算出部)412は、例えば図3を参照しながら前述したモンテカルロ処理部22を含むものである。この場合、歩留計算処理部412の多変量分布計算部211は、ブートストラップサンプル生成部411によって生成されたブートストラップサンプル64毎に、感度情報53に基づき、チェック箇所寸法の多変量分布のパラメータ67′を算出する。また、歩留計算処理部412のモンテカルロサンプル生成部221は、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布のパラメータ67′に基づき、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル59″を、モンテカルロシミュレーションによって生成する。そして、歩留計算処理部412の製品歩留計算部222は、生成された複数のモンテカルロサンプル59″に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき製品Pの組立歩留65を算出する。
製品歩留信頼区間計算部(製品歩留信頼区間算出部)43は、歩留計算処理部(第4歩留算出部)412によってブートストラップサンプル64毎に算出された製品Pの組立歩留65に基づき、製品Pの組立歩留の信頼区間71を算出する。なお、信頼区間71の具体的な算出手法については後述する。
なお、歩留計算処理部(第4歩留算出部)412は、処理の高速化のために例えば図4を参照しながら前述したモンテカルロ処理部22′を含むものであってもよい。この場合も、歩留計算処理部412の多変量分布計算部211は、上述と同様、ブートストラップサンプル64毎に、感度情報53に基づき、チェック箇所寸法の多変量分布のパラメータ67′を算出する。また、正規化部223は、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布のパラメータ67′および複数のチェック箇所の寸法許容範囲55を正規化する。さらに、固有ベクトル・固有値計算部224は、正規化されたチェック箇所寸法の多変量正規分布(正規化後のチェック箇所の多変量正規分布の分散共分散行列74)から、複数の固有ベクトルと各ベクトルに対応する固有値75とを特異値分解によって算出する。また、モンテカルロサンプル生成部221′は、前記空間において、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル76を、モンテカルロシミュレーションによって生成する。そして、製品歩留計算部222′は、生成された複数のモンテカルロサンプル76に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、正規化された複数のチェック箇所の寸法許容範囲72とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき組立歩留65をブートストラップサンプル64毎に算出する。
〔2〕本実施形態の動作
次に、図5〜図19を参照しながら、本実施形態に係る組立歩留予測装置1の動作について説明する。
〔2−1〕組立歩留予測装置1の動作概略について
まず、図5および図6を参照しながら、本実施形態に係る組立歩留予測装置1の動作概略について説明する。なお、図5は、製品Pの設計段階での本実施形態に係る組立歩留予測装置1の動作を概略的に説明する図である。また、図6は、製品Pの組立段階での本実施形態に係る組立歩留予測装置1の動作を概略的に説明する図である。
図5に示すように、製品Pの設計段階において、組立歩留予測装置1は、設計データの一部(符号51,52,54,55参照)と感度情報53とに基づき、チェック箇所の分布(多変量分布パラメータ)57および歩留58と、製品歩留60とを予測算出する。設計データの一部としては、部品の部分の製造ばらつき51と、部品の部分の設計値52と、チェック箇所の設計値54および許容範囲(寸法許容範囲)55とが含まれる。
ここで、製造ばらつき51は、前述の通り、予め想定される製品Pにおける各部品の部分寸法のばらつき情報である。製造ばらつき51および設計値52に基づき、各部品における複数の部分寸法間の相関情報(相関,関係性)を含む部分寸法の多変量分布パラメータ56が、組立歩留予測装置1における多変量分布パラメータ決定部10によって決定される。また、感度情報53は、前述の通り、各部品における各部分寸法の変化が製品Pにおけるチェック箇所#iの寸法に与える影響の度合い(感度,影響度)を示す。なお、感度情報53は、例えば設計データに基づき組立歩留解析ツールによって取得され出力される(例えば図23のS1参照)。
そして、組立歩留予測装置1における歩留計算処理部20によって、設計値52,54と許容範囲55と部分寸法の多変量分布パラメータ56とに基づき、複数の部品によって組み立てられる製品Pの組立歩留60とチェック箇所の分布57および歩留58とが予測算出される。チェック箇所の分布57および歩留58は、製品Pの設計変更を行なう際に用いられる。
このように、本実施形態の組立歩留予測装置1によれば、製品Pの設計段階において、製品Pにおける各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮しながら、製品歩留60が予測される。このため、製品歩留60を精度よく予測することができる。したがって、設計者等は、高精度で予測された製品歩留60に基づき、製品歩留60を確実に最適化(最大化)するよう設計変更を行なうことができる。
一方、図6に示すように、製品Pの組立段階において、組立歩留予測装置1は、設計データの一部(符号52,54,55参照)と感度情報53と部品サンプル測定情報61とに基づき、チェック箇所の分布(多変量分布パラメータ)67,歩留69および信頼区間70と、製品Pの組立歩留68および信頼区間71とを予測算出する。設計データの一部としては、部品の部分の設計値52と、チェック箇所の設計値54および許容範囲(寸法許容範囲)55とが含まれる。
組立段階では、実際に製品を組み立てる部品が製造されている。つまり、組立段階は工場等で製品を量産する段階で、組立段階では、設計段階と異なり、製品Pを組み立てる部品がすでに製造されている。このため、実際に製造された部品から部品サンプル測定情報61が得られる。当該部品サンプル測定情報61に基づき、各部品における複数の部分寸法間の相関情報(相関,関係性)を含む部分寸法の多変量分布パラメータ63が、組立歩留予測装置1における多変量分布パラメータ推定部30によって推定される。このとき、部品サンプル測定情報61における測定サンプル数(標本数)62も、多変量分布パラメータ推定部30によって取得される。
そして、組立歩留予測装置1における歩留計算処理部20によって、設計値52,54と感度情報53と許容範囲55と部分寸法の多変量分布パラメータ63とに基づき、複数の部品によって組み立てられる製品Pの組立歩留68とチェック箇所の分布67および歩留69とが予測算出される。チェック箇所の分布67および歩留69は、製品Pの製造プロセスの変更(例えば金型の調整)を行なう際に用いられる。
また、組立歩留予測装置1における信頼区間計算部40によって、設計値52,54と感度情報53と許容範囲55と測定サンプル数52と部分寸法の多変量分布パラメータ63とに基づき、チェック箇所歩留69の信頼区間70と、製品歩留68の信頼区間71とが予測算出される。
このように、本実施形態の組立歩留予測装置1によれば、製品Pの組立段階において、製品Pにおける各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮しながら、製品歩留68が予測される。このため、製品歩留68を精度よく予測することができる。したがって、設計者等は、高精度で予測された製品歩留68に基づき、製品歩留68を確実に最適化(最大化)するよう製造プロセスの変更(例えば金型の調整)を行なうことができる。
また、本実施形態の組立歩留予測装置1によれば、製品Pの組立段階において、製品Pにおける各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮しながら、チェック箇所歩留の信頼区間70や製品歩留の信頼区間71が予測される。このため、チェック箇所歩留の信頼区間70や製品歩留の信頼区間71を精度よく予測することができる。したがって、設計者等は、高精度で予測されたチェック箇所歩留69の信頼区間70や製品歩留68の信頼区間71を参照することで、チェック箇所歩留69や製品歩留68がどの程度ぶれる可能性があるかを正確に判断することができる。
〔2−2〕設計段階での組立歩留予測装置1の動作について
次に、図7に示すフローチャート(ステップS11〜S15)に従って、製品Pの設計段階での本実施形態に係る組立歩留予測装置1の動作について説明する。なお、図7に示す歩留計算処理P1は、歩留計算処理部20において実行されるステップS12〜S15の処理を含んでいる。また、図7に示すモンテカルロ処理P2は、モンテカルロ処理部22において実行されるステップS14およびS15の処理を含んでいる。
製品Pの設計段階においては、まず、予め想定される製品Pの製造ばらつき情報51と、部分の設計値52とに基づき、多変量分布パラメータ決定部10によって、部分寸法の多変量分布パラメータ56が決定される(ステップS11)。パラメータ56は、前述した通り、例えば、部分寸法の多変量正規分布(同時分布)の平均(平均ベクトル)および分散共分散行列である。
ステップS11で決定された多変量分布パラメータ56と、部分の設計値52および感度情報53と、各チェック箇所#iの設計値54とに基づき、多変量分布計算部211によって、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57が算出される(ステップS12)。パラメータ57も、例えば、チェック箇所寸法の多変量正規分布(同時分布)の平均(平均ベクトル)および分散共分散行列である。
そして、ステップS12で算出された多変量分布パラメータ57と、各チェック箇所#iの許容範囲55とに基づき、チェック箇所歩留計算部212によって、各チェック箇所#iの組立歩留(チェック箇所歩留)58が算出される(ステップS13)。このとき、各チェック箇所#iの多変量分布パラメータ57と各チェック箇所#iの許容範囲55との関係から、チェック箇所歩留58が算出される。
一方、モンテカルロ処理部22においては、ステップS12で算出された多変量分布パラメータ57と、各チェック箇所#iの許容範囲55とに基づき、製品Pの組立歩留(製品歩留)60が予測される(モンテカルロ処理P2参照)。このとき、まず、モンテカルロサンプル生成部221において、各チェック箇所#iの多変量分布パラメータ57に基づき、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル59がモンテカルロシミュレーションによって生成される(ステップS14)。
この後、製品歩留計算部222において、モンテカルロサンプル毎に、ステップS14で生成された各モンテカルロサンプル59に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とが比較される。当該比較によって、モンテカルロサンプル毎に、全てのチェック箇所が許容範囲内に含まれるか否かがチェックされる。そして、製品歩留60が、生成された複数のモンテカルロサンプル59のうち、全てのチェック箇所寸法が許容範囲55内に含まれるモンテカルロサンプル59の割合として算出される(ステップS15)。当該割合は、一つのモンテカルロサンプル59において全てのチェック箇所寸法が許容範囲55内に含まれる確率に相当する。
〔2−3〕組立段階での組立歩留予測装置1の動作について
次に、図8に示すフローチャート(ステップS21〜S26)に従って、製品Pの組立段階での本実施形態に係る組立歩留予測装置1の動作について説明する。なお、図8に示す信頼区間計算処理P3は、信頼区間計算部40において実行されるステップS23〜S26の処理を含んでいる。また、図8に示すブートストラップ歩留計算処理P4は、ブートストラップ歩留計算部41において実行されるステップS23およびS24を含んでいる。
製品Pの組立段階においては、まず、製造された各部品の実測値である部品サンプル測定情報61に基づき、多変量分布パラメータ推定部30によって、部分寸法の多変量分布パラメータ63が推定され取得される。また、多変量分布パラメータ推定部30によって、部品サンプル測定情報61における測定サンプル数(標本数)62も出力される(ステップS21)。パラメータ63は、前述した通り、例えば、部分寸法の多変量正規分布(同時分布)の平均(平均ベクトル)および分散共分散行列である。
ステップS21で推定された多変量分布パラメータ63と、部分の設計値52および感度情報53と、各チェック箇所#iの設計値54および許容範囲55とに基づき、歩留計算処理部20において、各チェック箇所#iの多変量分布パラメータ67と製品歩留68とチェック箇所歩留69とが予測算出される(ステップS22)。ステップS22での歩留計算処理については、図9を参照しながら後述する。
そして、ブートストラップサンプル生成部411において、ステップS21からの標本数62および多変量分布パラメータ63に基づき、部分寸法の多変量分布パラメータ63についてのブートストラップサンプル64が、パラメトリックブートストラップ法によって生成される(ステップS23)。
この後、歩留計算処理部412において、ステップS23で生成されたブートストラップサンプル毎に、部分の設計値52および感度情報53と、各チェック箇所#iの設計値54および許容範囲55とに基づき、各ブートストラップサンプル64のチェック箇所歩留66および製品歩留65が算出される(ステップS24)。ステップS24での歩留計算処理については、図10を参照しながら後述する。
そして、チェック箇所歩留信頼区間計算部42においては、ステップS24でブートストラップサンプル毎に算出された各ブートストラップサンプル64のチェック箇所歩留66に基づき、各チェック箇所#iの組立歩留の信頼区間70が算出される(ステップS25)。なお、信頼区間70の具体的な算出手法については後述する。
また、製品歩留信頼区間計算部43においては、ステップS24でブートストラップサンプル毎に算出された各ブートストラップサンプル64の製品歩留65に基づき、製品歩留の信頼区間71が算出される(ステップS26)。なお、信頼区間71の具体的な算出手法については後述する。
〔2−3−1〕図8に示すステップS22の歩留計算処理について
次に、図9に示すフローチャート(ステップS221〜S224)に従って、図8に示すステップS22の歩留計算処理、つまり歩留計算処理部20の動作について説明する。なお、図9に示すモンテカルロ処理P5は、モンテカルロ処理部22において実行されるステップS223およびS224の処理を含んでいる。
ステップS22においては、まず、ステップS21で推定された多変量分布パラメータ63と、部分の設計値52および感度情報53と、各チェック箇所#iの設計値54とに基づき、多変量分布計算部211によって、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67が算出される(ステップS221)。パラメータ67も、例えば、チェック箇所寸法の多変量正規分布(同時分布)の平均(平均ベクトル)および分散共分散行列である。
そして、ステップS221で算出された多変量分布パラメータ67と、各チェック箇所#iの許容範囲55とに基づき、チェック箇所歩留計算部212によって、各チェック箇所#iの組立歩留(チェック箇所歩留)69が算出される(ステップS222)。このとき、各チェック箇所#iの多変量分布パラメータ67と各チェック箇所#iの許容範囲55との関係から、チェック箇所歩留69が算出される。
一方、モンテカルロ処理部22においては、ステップS221で算出された多変量分布パラメータ67と、各チェック箇所#iの許容範囲55とに基づき、製品Pの組立歩留(製品歩留)68が予測される(モンテカルロ処理P5参照)。このとき、まず、モンテカルロサンプル生成部221において、各チェック箇所#iの多変量分布パラメータ67に基づき、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル59′がモンテカルロシミュレーションによって生成される(ステップS223)。
この後、製品歩留計算部222において、モンテカルロサンプル毎に、ステップS223で生成された各モンテカルロサンプル59′に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とが比較される。当該比較によって、モンテカルロサンプル毎に、全てのチェック箇所が許容範囲内に含まれるか否かがチェックされる。そして、製品歩留68が、生成された複数のモンテカルロサンプル59′のうち、全てのチェック箇所寸法が許容範囲55内に含まれるモンテカルロサンプル59′の割合として算出される(ステップS224)。当該割合は、一つのモンテカルロサンプル59′において全てのチェック箇所寸法が許容範囲55内に含まれる確率に相当する。
〔2−3−2〕図8に示すステップS24の歩留計算処理について
次に、図10に示すフローチャート(ステップS241〜S244)に従って、図8に示すステップS24の歩留計算処理、つまり歩留計算処理部(第3歩留算出部および第4歩留算出部)412の動作について説明する。なお、図9に示すモンテカルロ処理P6は、モンテカルロ処理部22において実行されるステップS243およびS244の処理を含んでいる。
ステップS24の処理は、ステップS23で生成されたブートストラップサンプル毎に実行される。ステップS24においては、まず、ステップS21で生成されたブートストラップサンプル64と、部分の設計値52および感度情報53と、各チェック箇所#iの設計値54とに基づき、多変量分布計算部211によって、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ67′が算出される(ステップS241)。パラメータ67′も、例えば、チェック箇所寸法の多変量正規分布(同時分布)の平均(平均ベクトル)および分散共分散行列である。
そして、ステップS241で算出された多変量分布パラメータ67′と、各チェック箇所#iの許容範囲55とに基づき、チェック箇所歩留計算部212によって、各チェック箇所#iの組立歩留(チェック箇所歩留)66が算出される(ステップS242)。このとき、各チェック箇所#iの多変量分布パラメータ67′と各チェック箇所#iの許容範囲55との関係から、各ブートストラップサンプル64のチェック箇所歩留66が算出される。
一方、モンテカルロ処理部22においては、ステップS241で算出された多変量分布パラメータ67′と、各チェック箇所#iの許容範囲55とに基づき、各ブートストラップサンプル64の製品歩留65が予測される(モンテカルロ処理P6参照)。このとき、まず、モンテカルロサンプル生成部221において、各チェック箇所#iの多変量分布パラメータ67′に基づき、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル59″がモンテカルロシミュレーションによって生成される(ステップS243)。
この後、製品歩留計算部222において、モンテカルロサンプル毎に、ステップS243で生成された各モンテカルロサンプル59″に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、複数のチェック箇所の寸法許容範囲55とが比較される。当該比較によって、モンテカルロサンプル毎に、全てのチェック箇所が許容範囲内に含まれるか否かがチェックされる。そして、各ブートストラップサンプル64の製品歩留65が、生成された複数のモンテカルロサンプル59″のうち、全てのチェック箇所寸法が許容範囲55内に含まれるモンテカルロサンプル59″の割合として算出される(ステップS244)。当該割合は、一つのモンテカルロサンプル59″において全てのチェック箇所寸法が許容範囲55内に含まれる確率に相当する。
〔2−4〕高速モンテカルロ処理(モンテカルロ処理部22′の動作)について
次に、図11に示すフローチャート(S31〜S34)に従って、図4に示すモンテカルロ処理部22′によって実行される高速モンテカルロ処理について説明する。つまり、図7,図9,図10にそれぞれ示すモンテカルロ処理P2,P5,P6が図4に示したモンテカルロ処理部22′によって実行される場合の動作(モンテカルロ処理部22′の動作)について説明する。
モンテカルロ処理部22′では、上述したモンテカルロ処理部22で実行される処理を下記項目(a1)および(a2)の点について変更することで、製品歩留60,68,65の予測精度を保ちつつモンテカルロ処理P2,P5,P6の高速化を実現することができる。
(a1)チェック箇所#i(i=1,2,…,n;nは2以上の整数)毎の許容範囲55の大きさで、チェック箇所の分散共分散行列を調整(正規化)する。
(a2)正規化されたチェック箇所の分散共分散行列の固有ベクトルのうち、固有値の大きいものから上位D個の固有ベクトルで張られる空間に、チェック箇所#iのモンテカルロサンプル76を近似的に生成する。ここで、Dは、n未満の整数(D<n)で、固有値によって定義される累積寄与率が所定閾値を超える固有ベクトルの最小数である。
上述のような変更を行なったモンテカルロ処理部22′では、次元数がnからDに削減されることで、1つのモンテカルロサンプル当たりの計算量が減るため、モンテカルロ処理P2,P5,P6を高速化することができる。また、チェック箇所の良/不良が変化しやすい方向(歩留の感度のある方向)が固有ベクトルから特定され、感度のある領域の次元の数に応じて、生成すべきモンテカルロサンプル76の数が決定される。感度のある領域の次元の数が小さいほど少ないサンプル数で精度よく製品歩留60,68,65を予測することができる。以上の理由により、本実施形態のモンテカルロ処理部22′によれば、製品歩留60,68,65の予測精度を保ちつつモンテカルロ処理P2,P5,P6の高速化が実現される。
さて、図11に示すように、モンテカルロ処理部22′においては、多変量分布パラメータ57,67,67′と、各チェック箇所#iの設計値54および許容範囲55とに基づき、製品歩留60,68,65が予測される。
まず、正規化部223において、チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ57,67,67′とチェック箇所の設計値54および寸法許容範囲55とが正規化される(ステップS31)。つまり、各チェック箇所#iの設計値54が0で且つ各チェック箇所#iの許容範囲55の大きさが1になるよう座標変換が行なわれる。また、多変量分布パラメータ(平均,分散共分散行列)57,67,67′も、前記座標変換後の座標系のものに変換される。
この後、固有ベクトル・固有値算出部224においては、ステップS31で正規化されたチェック箇所寸法の多変量正規分布(正規化後のチェック箇所の多変量正規分布の分散共分散行列74)から、複数の固有ベクトルと各ベクトルに対応する固有値75とが特異値分解によって算出される(ステップS32)。
そして、モンテカルロサンプル生成部221′において、ステップS31で正規化後のチェック箇所の多変量正規分布の平均73と、ステップS32で算出された固有ベクトルおよび固有値75とに基づき、チェック箇所のモンテカルロサンプル76が生成される(ステップS33)。
このとき、複数の固有ベクトルのうち、固有値によって定義される累積寄与率が所定閾値を超える上記D個の固有ベクトルが抽出される。抽出されたD個の固有ベクトルによって張られる空間において、複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプル76が、モンテカルロシミュレーションによって生成される。このようにして、固有値の大きい固有ベクトルを用いてチェック箇所のサンプル76が近似的に生成される。
そして、製品歩留計算部222′において、モンテカルロサンプル毎に、ステップS31で得られたチェック箇所#iの許容範囲(正規化後)72と、ステップS33で生成されたモンテカルロサンプル76とに基づき、製品歩留60,68,65が算出される(ステップS34)。
このとき、ステップS33で生成された各モンテカルロサンプル76に含まれる複数のチェック箇所の寸法と、ステップS31で正規化された複数のチェック箇所の寸法許容範囲72とがそれぞれ比較される。当該比較によって、モンテカルロサンプル毎に、全てのチェック箇所が許容範囲72内に含まれるか否かがチェックされる。そして、製品歩留60,68,65が、生成された複数のモンテカルロサンプル76のうち、全てのチェック箇所寸法が許容範囲55内に含まれるモンテカルロサンプル76の割合として算出される。当該割合は、一つのモンテカルロサンプル76において全てのチェック箇所寸法が許容範囲72内に含まれる確率に相当する。
〔2−5〕組立歩留予測装置1の詳細について
次に、図12〜図19や数式を参照しながら、本実施形態の組立歩留予測装置1の詳細について説明する。以下では、組立歩留予測装置1の詳細として、例えば、入力データ,出力データ,中間データの具体例や、組立歩留予測装置1の構成要素のより具体的な動作などについて説明する。
〔2−5−1〕感度情報53(入力データ)について
まず、図12を参照しながら、本実施形態の組立歩留予測装置1への入力データである感度情報53の一例について説明する。図12は、感度情報53の一例を示す図である。
感度情報53は、前述した通り、例えば部品の部分寸法が1mm変化した場合にチェック箇所が何mm変化するかを示す値に関する情報である。また、感度情報53は、全ての種類の部品における全ての部分の、全てのチェック箇所に対する感度(影響度)を含んでいる。感度情報53は、例えば図12に示すような行列によって表現される。
図12では、製品Pが3種類の部品A,B,Cから組み立てられn個のチェック箇所を有するとともに、部品A,B,Cのそれぞれがp個,q個,r個の部分を有する場合の感度情報53が例示されている。図12に示す感度情報53はn行m列の行列であり、m=p+q+rである。また、ai,jは、部分#j(jは1〜mの整数)のチェック箇所#i(iは1〜nの整数)に対する感度である。
〔2−5−2〕設計データ(入力データ)について
次に、図13および図14を参照しながら、本実施形態の組立歩留予測装置1への入力データである設計データについて説明する。図13は、設計データである部分の設計値52およびばらつき情報51の一例を示す図である。図14は、設計データであるチェック箇所#iの設計値54および許容範囲55の一例を示す図である。
各部品A〜Cの部分#jの設計値52は、例えば図13に示すように、設計で決めた各部分#jの寸法(部分寸法)の値である。また、ばらつき51は、各部分#jの寸法の誤差の大きさを表し、図13に示すように、例えば公差、または標準偏差,分散で表現される。ばらつき51の分布が正規分布であると仮定した場合、公差を3σとする場合が多い。ここで、1σは、仮定する正規分布の標準偏差である。なお、ばらつき範囲を公差で表す場合、設計値52は、ばらつき範囲の真ん中の値になるように設定される。設計値52からばらつき範囲の境界までの値が公差になる。
各チェック箇所#iの設計値54は、前述の通り、各部品A〜Cの部分#jが全て設計値通りに製造されたものと仮定した場合の、チェック箇所#iの寸法の値であり、例えば図14に示すように与えられる。また、各チェック箇所#iの許容範囲55は、製品Pが良品となるために、各チェック箇所#iが満たすべき寸法の範囲を表すもので、例えば図14に示すように、通常、下限値と上限値とで表現される。
〔2−5−3〕部品サンプル測定情報61(入力データ)について
次に、図15および図16を参照しながら、本実施形態の組立歩留予測装置1への入力データである部品サンプル測定情報61について説明する。図15は部品サンプル測定情報61の一例を示す図であり、図16は部品サンプル測定情報61の他例を示す図である。
部品サンプル測定情報61は、例えば図15または図16に示すように、実際に製造された部品のサンプル測定結果として得られる、部品名,部分名,部分寸法,ばらつき,標本数(サンプル数)などの情報を含む。図15に示す部品サンプル測定情報61において、各部分#jの寸法やばらつきは、各部分#jの平均(平均ベクトル)と分散共分散行列とで表現される。また、図16に示す部品サンプル測定情報61のように、各部分#jの寸法やばらつきは、平均ベクトルおよび分散共分散行列のもととなった生の測定データ(実測値)として与えられもよい。図16に示す部品サンプル測定情報61で部分の測定データを表す行列においては、例えば、j番目の行が部分#jの測定データに相当し、1つの列は同じ部品(個体)の各部分の測定値に相当する。
〔2−5−4〕出力データについて
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1からの出力データについて説明する。
製品Pの組立歩留(製品歩留)60,68(65)は、本実施形態の組立歩留予測装置1からの出力データであり、一つの予測値(例えば97.5%)である。
また、チェック箇所歩留信頼区間70および製品歩留信頼区間71も、本実施形態の組立歩留予測装置1からの出力データであるが、信頼区間70,71については後述する。
さらに、各チェック箇所#iの分布および歩留(多変量分布パラメータ57,67(67′)やチェック箇所歩留58,69(66))も、本実施形態の組立歩留予測装置1からの出力データであり、例えば図17に示すように出力される。図17は、本実施形態の組立歩留予測装置1から出力されるチェック箇所#iの分布情報および歩留情報の一例を示す図である。
チェック箇所#iの分布情報は、チェック箇所#iの、寸法の分布を表すパラメータである。図17に示すように、通常、分布情報は、チェック箇所寸法の平均および分散の値である。また、チェック箇所#iの歩留情報は、チェック箇所#iの組立歩留の値、つまりチェック箇所#iの寸法が許容範囲55内に収まる確率に相当する値である。
〔2−5−5〕中間データについて
次に、図18を参照しながら、本実施形態の組立歩留予測装置1による処理の中間データ(部分寸法の多変量分布パラメータ)について説明する。図18は、中間データの部分寸法の多変量分布パラメータ57,67,67′である部分の平均ベクトルおよび分散共分散行列の一例を示す図である。
部分寸法の多変量分布パラメータは、図18に示すように、部分の平均ベクトルX(図18中でXの上に横バーが付されているが明細書中では省略)と分散共分散行列Σとで表現される。このとき、多変量分布としては、正規分布が仮定される。図18に示すように、平均ベクトルXは、全種類の部品の全部分#1〜#mの寸法平均値を統合したものである。また、分散共分散行列Σは、全種類の部品の全部分#1〜#mの分散を統合したものである。
〔2−5−6〕多変量分布パラメータ決定部10について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1における多変量分布パラメータ決定部10の、より具体的な動作について説明する。
(b1)部分#j(jは1〜mの整数)の寸法のばらつき情報51が公差で与えられた場合、多変量分布パラメータ決定部10は、与えられた公差から、下式(数1)で示す、部分の分散共分散行列Σ(多変量分布パラメータ56)を生成する。
Figure 2015135548
ただし、tjは、部分#jの寸法の公差であり、上式(数1)では、公差が3σである例が示されている。
また、多変量分布パラメータ決定部10は、部分の平均ベクトルX(多変量分布パラメータ56)を、各要素(部分#jの寸法の平均値)が対応する部分#jの設計値となるように生成する。
(b2)部分#jの寸法のばらつき情報51が各部分#jの正規分布の平均および分散で与えられた場合、多変量分布パラメータ決定部10は、与えられた分散から、下式(数2)で示す、部分の分散共分散行列Σ(多変量分布パラメータ56)を生成する。
Figure 2015135548
ただし、σj 2は、部分#jの寸法の分散である。
また、多変量分布パラメータ決定部10は、部分の平均ベクトルX(多変量分布パラメータ56)を、各要素(部分#jの寸法の平均値)が対応する部分#jの正規分布の平均となるように生成する。
(b3)部分#jの寸法のばらつき情報51が部品の種類毎に正規分布の平均ベクトルおよび分散共分散行列で与えられた場合、多変量分布パラメータ決定部10は、与えられた各種類#k(kは1〜部品の種類数の整数)の分散共分散行列Σkから、下式(数3)で示す分散共分散行列Σ(多変量分布パラメータ56)を生成する。
Figure 2015135548
また、多変量分布パラメータ決定部10は、部分の平均ベクトルX(多変量分布パラメータ56)を、各種類#kの平均ベクトルから、下式(数4)に示すように生成する。
Figure 2015135548
〔2−5−7〕多変量分布パラメータ推定部30について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1における多変量分布パラメータ推定部30の、より具体的な動作について説明する。
(c1)部品サンプル測定情報61が部分の平均ベクトルと分散共分散行列とで表現されている場合(例えば図15参照)、多変量分布パラメータ推定部30は、部品サンプル測定情報61としての平均ベクトルと分散共分散行列とをそのまま多変量分布パラメータの推定値として出力する。この場合、多変量分布パラメータ推定部30は、多変量分布パラメータ決定部10による上記項目(b3)の場合と同様、各部品の平均ベクトルと分散共分散行列との推定値を用いて平均ベクトルXおよび分散共分散行列Σ(多変量分布パラメータ63)を生成する。
(c2)部品サンプル測定情報61が生のサンプル測定データである場合(例えば図16参照)、多変量分布パラメータ推定部30は、部品サンプル測定情報61としての測定結果から、標本平均ベクトルと不偏分散共分散行列とを算出する。そして、多変量分布パラメータ推定部30は、算出した標本平均ベクトルと不偏分散共分散行列とを多変量分布パラメータ推定値とし、上記項目(c1)の場合と同様、当該推定値を用いて平均ベクトルXおよび分散共分散行列Σ(多変量分布パラメータ63)を生成する。なお、標本平均ベクトルおよび不偏分散共分散行列は、一般的な演算手法によって算出される。
〔2−5−8〕チェック箇所の多変量分布計算部211について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1におけるチェック箇所の多変量分布計算部211の、より具体的な動作について説明する。
チェック箇所寸法の分布は多変量正規分布であり、チェック箇所の多変量分布計算部211は、当該多変量正規分布の平均ベクトルZおよび分散共分散行列Σ(多変量分布パラメータ57,67,67′)を、部分の多変量分布パラメータ56,63(64)と感度情報53とチェック箇所の設計値54とから、下式(数5)により解析的に算出する。
Figure 2015135548
ただし、平均ベクトルZは、下式(数6)で与えられる。
Figure 2015135548
上式(数6)の平均ベクトルZの要素Ziは、チェック箇所#iの寸法の平均である。また、Yは下式(数7)で与えられる設計値ベクトルである。
Figure 2015135548
上式(数7)の設計値ベクトルYの要素Yiは、チェック箇所#iの設計値である。さらに、上式(数5)において、Aは感度行列(図12参照)、Xは部分寸法の平均ベクトル、μは部分の設計値のベクトル、Σは部分の分散共分散行列である。
そして、分散共分散行列Σのi番目の対角成分ΣZ,iiがチェック箇所#iの分散となる。
〔2−5−9〕チェック箇所の歩留計算部212について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1におけるチェック箇所の歩留計算部212の、より具体的な動作について説明する。
チェック箇所の歩留計算部212は、解析的に算出されたチェック箇所の多変量分布パラメータ57,67,67′と、チェック箇所の許容範囲55と、正規分布の累積分布関数とを用いて、各チェック箇所#iの寸法が許容範囲55内に収まる確率を、チェック箇所歩留58,69,66として算出する。ここで、正規分布の累積分布関数は、統計処理を行なうツール等では、関数,ライブラリで通常用意されている。
ここで、i番目のチェック箇所#iの分布は、一変数の正規分布であり、チェック箇所#iの平均は、前記平均ベクトルZのi番目の要素であり、チェック箇所#iの分散は、前記分散共分散行列Σのi番目の対角成分である。これらの情報と、チェック箇所#iの許容範囲55とから、歩留計算部212は、チェック箇所#iの寸法が許容範囲55内に収まる確率、つまりチェック箇所#iの組立歩留58,69,66を算出する。
〔2−5−10〕高速モンテカルロ処理を行なわないモンテカルロ処理部22について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1において高速モンテカルロ処理を行なわない場合のモンテカルロ処理部22(モンテカルロサンプル生成部221)の、より具体的な動作について説明する。
モンテカルロサンプル生成部221は、以下の項目(d1)〜(d3)の手順に従ってM組のモンテカルロサンプル59,59′,59″を生成する。Mの値は、チェック箇所の数nに応じて変更される。例えば、M=100とする。
(d1)モンテカルロサンプル生成部221は、平均0かつ分散1の標準正規分布に独立に従うn×M個の乱数を生成する。
(d2)モンテカルロサンプル生成部221は、上記項目(d1)で生成した乱数を要素とするn行M列の行列Rを生成する。
(d3)モンテカルロサンプル生成部221は、下式(数8)に従う行列計算を行なって、各列が一組の(チェック箇所#1,…,チェック箇所#n)のサンプルになっているn行M列の行列Rを生成する。
Figure 2015135548
上式(数8)において、右辺第2項の(Z,…,Z)は、全ての列が平均ベクトルZであるn行M列の行列である。また、Uは分散共分散行列ΣZ′の固有ベクトルu1,…,unを固有値の大きい順にならべたもの、つまりU=(u1,…,un)である。さらに、Λは、下式(数9)に示すような、固有値の平方根を対角要素にもつn行n列の行列である。
Figure 2015135548
上述のように生成された行列RはM組のモンテカルロサンプル59,59′,59″として製品歩留計算部222へ出力され、製品歩留計算部222において、行列Rに基づき製品歩留60,68,65が算出される。製品歩留計算部222による処理は、後述する高速モンテカルロ処理を行なうモンテカルロ処理部22′における製品歩留計算部222′による処理と同様であるので、製品歩留計算部222による処理については、図19を参照しながら後述する。
〔2−5−11〕正規化部223について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1における正規化部223のより具体的な動作、つまり高速モンテカルロ処理で行なわれる正規化処理について説明する。
正規化部223は、下式(数10)に従って、正規化後のチェック箇所の多変量正規分布パラメータ(符号73,74)である平均ベクトルZ′と分散共分散行列ΣZ′とを算出する。
Figure 2015135548
上式(数10)において、行列Gは、下式(数11)のように与えられる。下式(数11)において、dはi番目のチェック箇所#iの許容範囲55の大きさである。
Figure 2015135548
また、正規化部223は、下式(数12)のようにチェック箇所許容範囲55も正規化し、正規化後の許容範囲72を算出する。ここで、正規化前のチェック箇所#iの許容範囲の下限および上限をそれぞれLli,Lhiとすると、正規化部223は、正規化後のチェック箇所#iの許容範囲の下限Lli′および上限Lhi′をそれぞれ下式(数12)のように算出する。
Figure 2015135548
なお、チェック箇所によって許容範囲の大きさが異なるため、複数のチェック箇所における寸法が例えば同じ0.1mmだけずれても、良/不良への影響がチェック箇所によって異なってくる。そこで、各チェック箇所の歩留への影響が同じになるようにすることが、正規化を行なう目的である。
〔2−5−12〕固有値・固有ベクトル計算部224について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1における固有値・固有ベクトル計算部224のより具体的な動作、つまり高速モンテカルロ処理で行なわれる固有値・固有ベクトル計算処理について説明する。
固有値・固有ベクトル計算部224は、正規化後のチェック箇所の分散共分散行列Σ′(符号74参照)から、固有ベクトルu1,…,uと各固有ベクトルに対応する固有値λ1,…,λとを、特異値分解によって算出する(符号75参照)。ただし、固有ベクトルuiは、固有値λiの大きい順で並べられ、且つ、各固有ベクトルuiの大きさは1に正規化されている。
さらに、固有値・固有ベクトル計算部224は、下式(数13)によって定義される「累積寄与率C(D)」が所定閾値(例えば0.95)を超える最小の値D(Dはn未満の整数)を求め、u1,…,uを各列とする、u行D列の行列U=(u1,…,u)を生成する。
Figure 2015135548
〔2−5−13〕チェック箇所のモンテカルロサンプル生成分221′について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1におけるチェック箇所のモンテカルロサンプル生成部221′のより具体的な動作、つまり高速モンテカルロ処理で行なわれるモンテカルロ生成処理について説明する。
モンテカルロサンプル生成部221′は、以下の項目(e1)〜(e3)の手順に従ってM組のモンテカルロサンプル59,59′,59″を生成する。Mの値は、前述したD(<n)の値に応じて変更される。例えば、M=100とする。
(e1)モンテカルロサンプル生成部221′は、平均0かつ分散1の標準正規分布に独立に従うD×M個の乱数を生成する。
(e2)モンテカルロサンプル生成部221′は、上記項目(e1)で生成した乱数を要素とするD行M列の行列Rを生成する。
(e3)モンテカルロサンプル生成部221′は、下式(数14)に従う行列計算を行なって、各列が一組の(チェック箇所#1,…,チェック箇所#n)のサンプルになっているn行M列の行列Rを生成する。
Figure 2015135548
上式(数14)において、右辺第2項の(Z,…,Z)は、全ての列が平均ベクトルZであるn行M列の行列である。また、Uは、固有値・固有ベクトル計算部224で上述のごとく生成されるu行D列の行列U=(u1,…,u)である。さらに、Λは、下式(数15)に示すような、固有値の平方根を対角要素にもつD行D列の行列である。
Figure 2015135548
上述のように生成された行列RはM組のモンテカルロサンプル76として製品歩留計算部222′へ出力され、製品歩留計算部222′において、行列Rに基づき製品歩留60,68,65が算出される。
〔2−5−14〕製品歩留計算部222,222′について
次に、図19を参照しながら、本実施形態の組立歩留予測装置1における製品歩留計算部222,222′の、より具体的な動作について説明する。図19は、図3および図4に示すモンテカルロ処理部22,22′の製品歩留計算部222,222′による処理手順を説明するフローチャートである。
n行M列の行列Rの各列は、一組の(チェック箇所#1,…,チェック箇所#n)のサンプルになっている。製品歩留計算部222,222′は、それぞれモンテカルロサンプル生成部221,221′からのn行M列の行列Rの各列(一サンプル)についてチェック箇所の許容範囲内であるか否かをチェックする。そして、製品歩留計算部222,222′は、全サンプル数Mに対する、許容範囲内であると判断されたサンプルの数の割合を、製品歩留60,68,65として算出する。
以下、図19に示すフローチャート(ステップS41〜S50)に従って、製品歩留計算部222,222′による製品歩留算出手順について説明する。
まず、製品歩留計算部222,222′は、行列Rの処理対象列を示す“j”に“0”を設定するとともに、“good”に“0”を設定してから(ステップS41)、jを1インクリメントする(ステップS42)。ここで、“good”は、全てのチェック箇所寸法が許容範囲内に入ったサンプルの数を示すパラメータである。
この後、製品歩留計算部222,222′は、jが全サンプル数(行列Rの列数)Mを超えているか否かを判断する(ステップS43)。jが全サンプル数Mを超えている場合つまりj>Mである場合(ステップS43のYESルート)、行列Rの全サンプルに対する処理を完了しているので、製品歩留計算部222,222′は、製品歩留60,68,65として「good/M」を算出する(ステップS50)。
jが全サンプル数Mを超えていない場合つまりj≦Mである場合(ステップS43のNOルート)、製品歩留計算部222,222′は、処理対象列(サンプル)#jにおけるチェック箇所を示す“i”に“0”を設定する(ステップS44)。この後、製品歩留計算部222,222′は、iを1インクリメントしてから(ステップS45)、処理対象列#jにおけるチェック箇所#iの要素(寸法)RA,ijとチェック箇所#iの許容範囲(下限Lliおよび上限Lhi)とを比較する(ステップS46)。
比較の結果、寸法RA,ijが許容範囲外である場合(ステップS46のNOルート)、製品歩留計算部222,222′は、今回の処理対象列#jに対する処理を終了し、ステップS42の処理へ移行し、次のサンプルに対する処理を行なう。
比較の結果、寸法RA,ijが許容範囲内である場合(ステップS46のYESルート)、製品歩留計算部222,222′は、iがチェック箇所数nに達しているか否かを判断する(ステップS47)。iがチェック箇所数nに達していない場合(ステップS47のNOルート)、製品歩留計算部222,222′は、ステップS45の処理へ移行し、次のチェック箇所に対する処理を行なう。
iがチェック箇所数nに達している場合(ステップS47のYESルート)、製品歩留計算部222,222′は、今回の処理対象列(サンプル)の全チェック箇所が許容範囲内であったと判断し、“good”に“1”を加算する(ステップS48)。そして、製品歩留計算部222,222′は、jが全サンプル数Mに達しているか否かを判断する(ステップS49)。
jが全サンプル数Mに達していない場合(ステップS49のNOルート)、製品歩留計算部222,222′は、ステップS42の処理へ移行し、次のチェック箇所に対する処理を行なう。一方、jが全サンプル数Mに達している場合(ステップS49のYESルート)、行列Rの全サンプルに対する処理を完了しているので、製品歩留計算部222,222′は、製品歩留60,68,65として「good/M」を算出する(ステップS50)。
〔2−5−15〕ブートストラップサンプル生成部411について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1におけるブートストラップサンプル生成部411の、より具体的な動作について説明する。
ブートストラップサンプル生成部411は、部分寸法の多変量分布パラメータ(平均,分散共分散行列)63と標本数62とから、パラメトリックブートストラップ法を用い、多変量分布パラメータ(平均ベクトル,分散共分散行列)についてのブートストラップサンプル64を生成する。ブートストラップサンプル生成部411による処理は、以下の項目(f1)〜(f5)の手順に従って行なわれる。ここで、部品種類#k(k=1,2,…)の部分寸法の多変量分布の平均ベクトルをX、当該多変量分布の分散共分散行列をΣ、標本数をNとする。なお、パラメトリックブートストラップ法については、例えば、小西 貞則 (著), 越智 義道(著), 大森 裕浩 (著)「計算統計学の方法―ブートストラップ・EMアルゴリズム・MCMC(シリーズ予測と発見の科学 5)(朝倉書店刊)を参照。
(f1)ブートストラップサンプル生成部411は、平均Xおよび分散共分散行列Σの多変量正規分布に独立に従う、N組の乱数を生成する。
(f2)ブートストラップサンプル生成部411は、上記項目(f1)で生成したN組の乱数の標本平均X および不偏分散共分散行列Σ を算出する。
(f3)ブートストラップサンプル生成部411は、上記項目(f1),(f2)の処理を、部品の種類の数だけ繰り返し実行する。
(f4)ブートストラップサンプル生成部411は、標本平均X および不偏分散共分散行列Σ (k=1,2,…)から、多変量分布パラメータ決定部10と同様の機能により、一組のブートストラップサンプル64としての平均ベクトルXおよび分散共分散行列Σ を決定する。
(f5)ブートストラップサンプル生成部411は、上記項目(f1)〜(f4)の処理を、必要なブートストラップサンプル数(例えばB組;Bは2以上の整数)だけ繰り返し実行する。
〔2−5−16〕歩留計算処理部412および信頼区間計算部42,43について
次に、本実施形態の組立歩留予測装置1における歩留計算処理部412,チェック箇所歩留信頼区間計算部42および製品歩留信頼区間計算部43の具体的な動作について説明する。
歩留計算処理部412,チェック箇所歩留信頼区間計算部42および製品歩留信頼区間計算部43は、以下の項目(g1)〜(g3)の手順に従って、チェック箇所歩留信頼区間70および製品歩留信頼区間71の算出処理を行なう。ここで、ブートストラップサンプル生成部411によって予め用意されたB組のブートストラップサンプル64を、平均ベクトルX(b)および分散共分散行列Σ (b)(b=1,…,B)とする。
(g1)歩留計算処理部412は、b=1のブートストラップサンプルつまり平均ベクトルX(b)および分散共分散行列Σ (b)(b=1)を用いて、当該ブートストラップサンプルについての製品歩留65および各チェック箇所の歩留66を算出する。
(g2)歩留計算処理部412は、b=2,3,…,Bのそれぞれについて、上記項目(g1)の処理を繰り返し実行する。これにより、全部で、B個の製品歩留とB組のチェック箇所歩留とが算出される。
(g3)信頼区間計算部42,43は、予め与えられた信頼区間の割合α(例えば0.95(95%))に応じて、各チェック箇所,製品のそれぞれについて、歩留の小さい方からの割合が[(1−α)/2]から[1−(1−α)/2]までをそれぞれの歩留の信頼区間として算出する。
〔3〕本実施形態の効果
本実施形態の組立歩留予測装置1によれば、製品Pの設計段階において、製品Pにおける各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮しながら、製品歩留60が予測される。このため、製品歩留60を精度よく予測することができる。したがって、設計者等は、高精度で予測された製品歩留60に基づき、製品歩留60を確実に最適化(最大化)するよう設計変更を行なうことができる。
また、本実施形態の組立歩留予測装置1によれば、製品Pの組立段階において、製品Pにおける各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮しながら、製品歩留68が予測される。このため、製品歩留68を精度よく予測することができる。したがって、設計者等は、高精度で予測された製品歩留68に基づき、製品歩留68を確実に最適化(最大化)するよう製造プロセスの変更(例えば金型の調整)を行なうことができる。
さらに、本実施形態の組立歩留予測装置1によれば、製品Pの組立段階において、製品Pにおける各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮しながら、チェック箇所歩留の信頼区間70や製品歩留の信頼区間71が予測される。このため、チェック箇所歩留の信頼区間70や製品歩留の信頼区間71を精度よく予測することができる。したがって、設計者等は、高精度で予測されたチェック箇所歩留69の信頼区間70や製品歩留68の信頼区間71を参照することで、チェック箇所歩留69や製品歩留68がどの程度ぶれる可能性があるかを正確に判断することができる。
また、本実施形態の組立歩留予測装置1によれば、製品Pにおける各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮して、チェック箇所の分布57および歩留58も精度よく予測算出される。したがって、設計者等は、高精度で予測されたチェック箇所の分布57および歩留58を参照しながら、製品歩留60,68を確実に改善するように製品Pの設計変更を行なうことができる。
一方、本実施形態のモンテカルロ処理部22′では、次元数をnからDに削減することで、1つのモンテカルロサンプル当たりの計算量が削減され、モンテカルロ処理P2,P5,P6を高速化することができる。また、チェック箇所の良/不良が変化しやすい方向が固有ベクトルから特定され、感度のある領域の次元の数に応じて、生成すべきモンテカルロサンプル76の数が決定される。感度のある領域の次元の数が小さいほど少ないサンプル数で精度よく製品歩留60,68,65を予測することができる。このため、本実施形態のモンテカルロ処理部22′によれば、製品歩留60,68,65の予測精度を保ちつつモンテカルロ処理P2,P5,P6の高速化が実現され、ひいては製品歩留60,68,65の予測の高速化も実現される。
なお、近年の製品の微細化、製造技術の限界に伴い、例えば図20および図21に示すように、製造プロセスのばらつきが、部品のサイズに対して相対的に増加している。このため、製造プロセスのばらつきによって、同じ種類の部品を同じように製造しようとしても同じように製造することができない。つまり、同じ種類の部品を、部品寸法の分布が同じになるよう製造することができなくなっている。したがって、製造時の条件(製造プロセス)によって分布に違いがあり、それらの部品の組合せ毎に製品の組立歩留を精度よく予測する必要が生じている。本実施形態の組立歩留予測装置1によれば、部品の製造ばらつきや、製品Pにおける各部品の部分間やチェック箇所間の相関を考慮して、製造プロセスばらつきにも対応しながら製品歩留60,68を精度よく予測することができる。なお、図20および図21は、製造プロセスばらつきを説明する図である。
〔4〕その他
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形、変更して実施することができる。
〔5〕付記
以上の各実施形態を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の部品によって組み立てられる製品の組立歩留を予測する組立歩留予測装置であって、
各部品における複数の部分寸法間の相関情報を含む部分寸法の多変量分布パラメータを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記部分寸法の多変量分布パラメータと前記各部品における各部分寸法の変化が前記製品における複数のチェック箇所の寸法に与える影響の度合いを示す感度情報とに基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出する多変量分布算出部と、
前記多変量分布算出部によって算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき前記製品の組立歩留を予測する予測部と、
を有する、組立歩留予測装置。
(付記2)
前記予測部は、
前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成する第1サンプル生成部と、
前記第1サンプル生成部によって生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する第1歩留算出部と、
を含む、付記1に記載の組立歩留予測装置。
(付記3)
前記予測部は、
前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータおよび前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲を正規化する正規化部と、
前記正規化部によって正規化された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータから、複数の固有ベクトルと各ベクトルに対応する固有値とを特異値分解によって算出する固有ベクトル・固有値算出部と、
前記複数の固有ベクトルのうち、前記固有値によって定義される累積寄与率が所定閾値を超える固有ベクトルによって張られる空間において、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成する第1サンプル生成部と、
前記第1サンプル生成部によって生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、前記正規化部によって正規化された前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する第1歩留算出部と、
を含む、付記1に記載の組立歩留予測装置。
(付記4)
前記多変量分布算出部によって算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータと前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とに基づき前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留を算出する第2歩留算出部をさらに有する、付記1〜付記3のいずれか一項に記載の組立歩留予測装置。
(付記5)
前記取得部は、予め想定される前記製品の製造ばらつきに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータを取得する、付記1〜付記4のいずれか一項に記載の組立歩留予測装置。
(付記6)
前記取得部は、製造された各部品の実測値に基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータを取得する、付記1〜付記4のいずれか一項に記載の組立歩留予測装置。
(付記7)
前記実測値の標本数に起因して前記部分寸法の多変量分布パラメータに生じる誤差を推定し、推定された誤差と前記感度情報とに基づき前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留の信頼区間を算出する第1信頼区間算出部をさらに有する、付記6に記載の組立歩留予測装置。
(付記8)
前記第1信頼区間算出部は、
前記標本数と前記部分寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータについてのブートストラップサンプルを、パラメトリックブートストラップ法によって生成する第2サンプル生成部と、
前記第2サンプル生成部によって生成された前記ブートストラップサンプル毎に、前記感度情報に基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布パラメータと前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とに基づき前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留を算出する第3歩留算出部と、
前記第3歩留算出部によって前記ブートストラップサンプル毎に算出された前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留に基づき、前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留の信頼区間を算出するチェック箇所歩留信頼区間算出部と、
を含む、付記7に記載の組立歩留予測装置。
(付記9)
前記実測値の標本数に起因して前記部分寸法の多変量分布パラメータに生じる誤差を推定し、推定された誤差と、前記感度情報と、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記製品の組立歩留の信頼区間を算出する第2信頼区間算出部をさらに有する、付記6に記載の組立歩留予測装置。
(付記10)
前記第2信頼区間算出部は、
前記標本数と前記部分寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータについてのブートストラップサンプルを、パラメトリックブートストラップ法によって生成する第2サンプル生成部と、
前記第2サンプル生成部によって生成された前記ブートストラップサンプル毎に、前記感度情報に基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成し、生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する第4歩留算出部と、
前記第4歩留算出部によって前記ブートストラップサンプル毎に算出された前記製品の組立歩留に基づき、前記製品の組立歩留の信頼区間を算出する製品歩留信頼区間算出部と、
を含む、付記9に記載の組立歩留予測装置。
(付記11)
前記第2信頼区間算出部は、
前記標本数と前記部分寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータについてのブートストラップサンプルを、パラメトリックブートストラップ法によって生成する第2サンプル生成部と、
前記第2サンプル生成部によって生成された前記ブートストラップサンプル毎に、前記感度情報に基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布パラメータおよび前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲を正規化し、正規化された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータから、複数の固有ベクトルと各ベクトルに対応する固有値とを特異値分解によって算出し、前記複数の固有ベクトルのうち、前記固有値によって定義される累積寄与率が所定閾値を超える固有ベクトルによって張られる空間において、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成し、生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、正規化された前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する第4歩留算出部と、
前記第4歩留算出部によって前記ブートストラップサンプル毎に算出された前記製品の組立歩留に基づき、前記製品の組立歩留の信頼区間を算出する製品歩留信頼区間算出部と、
を含む、付記9に記載の組立歩留予測装置。
(付記12)
複数の部品によって組み立てられる製品の組立歩留を予測するコンピュータに、
各部品における複数の部分寸法間の相関情報を含む部分寸法の多変量分布パラメータを取得し、
取得された前記部分寸法の多変量分布パラメータと前記各部品における各部分寸法の変化が前記製品における複数のチェック箇所の寸法に与える影響の度合いを示す感度情報とに基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、
算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき前記製品の組立歩留を予測する、
処理を実行させる、組立歩留予測プログラム。
(付記13)
前記コンピュータに、さらに、
前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成し、
生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する、
処理を実行させる、付記12に記載の組立歩留予測プログラム。
(付記14)
前記コンピュータに、さらに、
前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータおよび前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲を正規化し、
正規化された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータから、複数の固有ベクトルと各ベクトルに対応する固有値とを特異値分解によって算出し、
前記複数の固有ベクトルのうち、前記固有値によって定義される累積寄与率が所定閾値を超える固有ベクトルによって張られる空間において、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成し、
生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、正規化された前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する、
処理を実行させる、付記12に記載の組立歩留予測プログラム。
(付記15)
前記コンピュータに、
製造された各部品の実測値に基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータを取得する、
処理を実行させる、付記12〜付記14のいずれか一項に記載の組立歩留予測プログラム。
(付記16)
前記コンピュータに、さらに、
前記実測値の標本数に起因して前記部分寸法の多変量分布パラメータに生じる誤差を推定し、推定された誤差と前記感度情報とに基づき前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留の信頼区間を算出する、
処理を実行させる、付記15に記載の組立歩留予測プログラム。
(付記17)
前記コンピュータに、
前記標本数と前記部分寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータについてのブートストラップサンプルを、パラメトリックブートストラップ法によって生成し、
生成された前記ブートストラップサンプル毎に、前記感度情報に基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布パラメータと前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とに基づき前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留を算出し、
前記ブートストラップサンプル毎に算出された前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留に基づき、前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留の信頼区間を算出する、
処理を実行させる、付記16に記載の組立歩留予測プログラム。
(付記18)
前記コンピュータに、さらに、
前記実測値の標本数に起因して前記部分寸法の多変量分布パラメータに生じる誤差を推定し、推定された誤差と、前記感度情報と、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記製品の組立歩留の信頼区間を算出する、
処理を実行させる、付記15に記載の組立歩留予測プログラム。
(付記19)
前記コンピュータに、
前記標本数と前記部分寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータについてのブートストラップサンプルを、パラメトリックブートストラップ法によって生成し、
生成された前記ブートストラップサンプル毎に、前記感度情報に基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成し、生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出し、
前記ブートストラップサンプル毎に算出された前記製品の組立歩留に基づき、前記製品の組立歩留の信頼区間を算出する、
処理を実行させる、付記18に記載の組立歩留予測プログラム。
(付記20)
複数の部品によって組み立てられる製品の組立歩留を予測するコンピュータが、
各部品における複数の部分寸法間の相関情報を含む部分寸法の多変量分布パラメータを取得し、
取得された前記部分寸法の多変量分布パラメータと前記各部品における各部分寸法の変化が前記製品における複数のチェック箇所の寸法に与える影響の度合いを示す感度情報とに基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、
算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき前記製品の組立歩留を予測する、組立歩留予測方法。
1 組立歩留予測装置
2 処理部(CPU,コンピュータ)
3 記憶部(メモリ)
10 多変量分布パラメータ決定部(取得部)
20 歩留計算処理部
21 チェック箇所計算部
211 多変量分布計算部(多変量分布算出部)
212 チェック箇所歩留計算部(第2歩留算出部)
22,22′ モンテカルロ処理部(予測部)
221,221′ モンテカルロサンプル生成部(第1サンプル生成部)
222,222′ 製品歩留計算部(第1歩留算出部)
223 正規化部
224 固有ベクトル・固有値算出部
30 多変量分布パラメータ推定部(取得部)
40 信頼区間計算部(第1信頼区間算出部,第2信頼区間算出部)
41 ブートストラップ歩留計算部
411 ブートストラップサンプル生成部(第2サンプル生成部)
412 歩留計算処理部(第3歩留算出部,第4歩留算出部)
42 チェック箇所歩留信頼区間計算部(チェック箇所歩留信頼区間算出部)
43 製品歩留信頼区間計算部(製品歩留信頼区間算出部)
51 部分のばらつき情報(製品の製造ばらつき)
52 部分の設計値
53 部品の感度情報(影響度)
54 チェック箇所の設計値
55 チェック箇所の許容範囲(チェック箇所の寸法許容範囲)
56,63 部分の多変量分布のパラメータ(部分寸法の多変量分布パラメータ)
57,67,67′ チェック箇所の多変量分布のパラメータ(チェック箇所寸法の多変量分布パラメータ)
58,69 チェック箇所歩留(チェック箇所の組立歩留)
59,59′,59″,76 チェック箇所のモンテカルロサンプル
60,68 製品歩留(製品の組立歩留)
61 部品サンプル測定情報(実測値)
62 部品の標本数(サンプル数)
64 ブートストラップサンプル
65 ブートストラップサンプルの製品歩留(製品の組立歩留)
66 ブートストラップサンプルのチェック箇所歩留
70 チェック箇所歩留信頼区間
71 製品歩留信頼区間
72 チェック箇所の許容範囲(正規化後)
73 正規化後のチェック箇所の多変量分布の平均
74 正規化後のチェック箇所の多変量分布の分散共分散行列
75 固有ベクトルおよび固有値

Claims (12)

  1. 複数の部品によって組み立てられる製品の組立歩留を予測する組立歩留予測装置であって、
    各部品における複数の部分寸法間の相関情報を含む部分寸法の多変量分布パラメータを取得する取得部と、
    前記取得部によって取得された前記部分寸法の多変量分布と前記各部品における各部分寸法の変化が前記製品における複数のチェック箇所の寸法に与える影響の度合いを示す感度情報とに基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出する多変量分布算出部と、
    前記多変量分布算出部によって算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき前記製品の組立歩留を予測する予測部と、
    を有する、組立歩留予測装置。
  2. 前記予測部は、
    前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成する第1サンプル生成部と、
    前記第1サンプル生成部によって生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する第1歩留算出部と、
    を含む、請求項1に記載の組立歩留予測装置。
  3. 前記予測部は、
    前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータおよび前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲を正規化する正規化部と、
    前記正規化部によって正規化された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータから、複数の固有ベクトルと各ベクトルに対応する固有値とを特異値分解によって算出する固有ベクトル・固有値算出部と、
    前記複数の固有ベクトルのうち、前記固有値によって定義される累積寄与率が所定閾値を超える固有ベクトルによって張られる空間において、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成する第1サンプル生成部と、
    前記第1サンプル生成部によって生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、前記正規化部によって正規化された前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する第1歩留算出部と、
    を含む、請求項1に記載の組立歩留予測装置。
  4. 前記多変量分布算出部によって算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータと前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とに基づき前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留を算出する第2歩留算出部をさらに有する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の組立歩留予測装置。
  5. 前記取得部は、製造された各部品の実測値に基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータを取得する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の組立歩留予測装置。
  6. 前記実測値の標本数に起因して前記部分寸法の多変量分布パラメータに生じる誤差を推定し、推定された誤差と前記感度情報とに基づき前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留の信頼区間を算出する第1信頼区間算出部をさらに有する、請求項5に記載の組立歩留予測装置。
  7. 前記第1信頼区間算出部は、
    前記標本数と前記部分寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータについてのブートストラップサンプルを、パラメトリックブートストラップ法によって生成する第2サンプル生成部と、
    前記第2サンプル生成部によって生成された前記ブートストラップサンプル毎に、前記感度情報に基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布パラメータと前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とに基づき前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留を算出する第3歩留算出部と、
    前記第3歩留算出部によって前記ブートストラップサンプル毎に算出された前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留に基づき、前記複数のチェック箇所それぞれの組立歩留の信頼区間を算出するチェック箇所歩留信頼区間算出部と、
    を含む、請求項6に記載の組立歩留予測装置。
  8. 前記実測値の標本数に起因して前記部分寸法の多変量分布パラメータに生じる誤差を推定し、推定された誤差と、前記感度情報と、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記製品の組立歩留の信頼区間を算出する第2信頼区間算出部をさらに有する、請求項5に記載の組立歩留予測装置。
  9. 前記第2信頼区間算出部は、
    前記標本数と前記部分寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータについてのブートストラップサンプルを、パラメトリックブートストラップ法によって生成する第2サンプル生成部と、
    前記第2サンプル生成部によって生成された前記ブートストラップサンプル毎に、前記感度情報に基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成し、生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する第4歩留算出部と、
    前記第4歩留算出部によって前記ブートストラップサンプル毎に算出された前記製品の組立歩留に基づき、前記製品の組立歩留の信頼区間を算出する製品歩留信頼区間算出部と、
    を含む、請求項8に記載の組立歩留予測装置。
  10. 前記第2信頼区間算出部は、
    前記標本数と前記部分寸法の多変量分布パラメータとに基づき、前記部分寸法の多変量分布パラメータについてのブートストラップサンプルを、パラメトリックブートストラップ法によって生成する第2サンプル生成部と、
    前記第2サンプル生成部によって生成された前記ブートストラップサンプル毎に、前記感度情報に基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、算出された当該チェック箇所寸法の多変量分布パラメータおよび前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲を正規化し、正規化された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータから、複数の固有ベクトルと各ベクトルに対応する固有値とを特異値分解によって算出し、前記複数の固有ベクトルのうち、前記固有値によって定義される累積寄与率が所定閾値を超える固有ベクトルによって張られる空間において、前記複数のチェック箇所の寸法データの組をそれぞれ含む複数のモンテカルロサンプルを、モンテカルロシミュレーションによって生成し、生成された前記複数のモンテカルロサンプルに含まれる前記複数のチェック箇所の寸法と、正規化された前記複数のチェック箇所の寸法許容範囲とをそれぞれ比較し、当該比較の結果に基づき前記製品の組立歩留を算出する第4歩留算出部と、
    前記第4歩留算出部によって前記ブートストラップサンプル毎に算出された前記製品の組立歩留に基づき、前記製品の組立歩留の信頼区間を算出する製品歩留信頼区間算出部と、
    を含む、請求項8に記載の組立歩留予測装置。
  11. 複数の部品によって組み立てられる製品の組立歩留を予測するコンピュータに、
    各部品における複数の部分寸法間の相関情報を含む部分寸法の多変量分布パラメータを取得し、
    取得された前記部分寸法の多変量分布パラメータと前記各部品における各部分寸法の変化が前記製品における複数のチェック箇所の寸法に与える影響の度合いを示す感度情報とに基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、
    算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき前記製品の組立歩留を予測する、
    処理を実行させる、組立歩留予測プログラム。
  12. 複数の部品によって組み立てられる製品の組立歩留を予測するコンピュータが、
    各部品における複数の部分寸法間の相関情報を含む部分寸法の多変量分布パラメータを取得し、
    取得された前記部分寸法の多変量分布パラメータと前記各部品における各部分寸法の変化が前記製品における複数のチェック箇所の寸法に与える影響の度合いを示す感度情報とに基づき、同一の部品における各部分寸法の変化が前記複数のチェック箇所の寸法に影響を与えることに起因して前記複数のチェック箇所の寸法間に生じる相関情報を含むチェック箇所寸法の多変量分布パラメータを算出し、
    算出された前記チェック箇所寸法の多変量分布パラメータに基づき前記製品の組立歩留を予測する、組立歩留予測方法。
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