JP2015134100A - 移動装置及び内視鏡システム - Google Patents

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誠二 岩▲崎▼
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Abstract

【課題】位置検出センサを用いることなく、複数の位置で正確に移動体を停止させて保持する。
【解決手段】SMAワイヤ52に通電して収縮させ、移動レンズ枠33の操作桿部33aをストッパ53から離間する方向に移動させる。同時に、電磁コイル77に通電して位置決め軸71を操作桿部33aに向かって移動させ、移動レンズ枠33の操作桿部33aを位置決め軸71の先端に突き当て、近点位置に保持する。SMAワイヤ52を更に収縮させ、同時に電磁コイル77の通電電流の極性を反転させて位置決め軸71を吸引して超近点位置とすることで、移動レンズ枠33の操作桿部33aを超近点位置に移動させて保持する。これにより、移動レンズ枠33を光軸方向に移動させる際に、位置検出センサを用いることなく、複数の位置に正確に停止させて保持することができ、コスト上昇を抑制しつつ内視鏡先端部の小型化を図ることが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、相対する2方向に移動可能な移動体の移動範囲を可変する移動装置及び該移動装置を有する内視鏡システムに関する。
従来から、内視鏡は、人体の体内(体腔内)の観察、処置等、或いは工業用のプラント設備内の検査、修理等のため広く用いられている。このような内視鏡においては、対物光学系のレンズを保持するレンズ枠を撮影光軸方向に移動する移動装置を備えるものがあり、撮影像へのフォーカス機能、及びズーミング/テレ機能を可変することができる。
このような移動装置としてのレンズ枠を移動させる光学系は、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1の開示されている光学系では、移動レンズ枠に形状記憶合金ワイヤを連結し、この形状記憶合金ワイヤの加熱収縮及び冷却膨張により、移動レンズ枠の光軸方向への進退移動を可能としている。
特開2009−148369号公報
しかしながら、ワイヤによって物体を移動させる装置では、初期位置とワイヤを牽引しての最終位置との2位置以外では、位置検出センサを設ける等の対策をとらない限り、正確な位置決めが困難である。このため、内視鏡等に適用しようとする場合、先端部の小型化を阻害するばかりでなく、コスト上昇を招いてしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、位置検出センサを用いることなく、複数の位置で正確に移動体を停止させて保持することのできる移動装置及び内視鏡システムを提供することを目的としている。
本発明の一実施態様による移動装置は、相対する2方向に移動可能な移動体と、前記移動体を前記2方向へ移動させる駆動力を発生する第1のアクチュエータと、前記移動体の移動位置を複数の位置に規制可能な位置規制部と、前記第1のアクチュエータの作動を制御し、前記移動体の移動範囲を前記位置規制部によって規制される範囲で可変制御する制御部と、を備え、前記位置規制部は、前記移動体が突き当たる突き当て部を有して前記2方向に移動可能な可動突き当て部材と、前記可動突き当て部材を前記2方向へ移動させる駆動力を発生する第2のアクチュエータと、を有し、前記制御部は、前記第1のアクチュエータに加えて前記第2のアクチュエータの作動を同一の駆動ケーブルにより制御し、前記第2のアクチュエータにより前記可動突き当て部材の前記突き当て部を前記2方向に移動させることにより、前記第1のアクチュエータによって移動する前記移動体の移動範囲を可変制御する。
本発明の一実施態様による内視鏡システムは、前記移動装置を有する内視鏡システムであって、前記移動体は、前記内視鏡の先端部に設けられたレンズを一体的又は間接的に保持するレンズ枠である。
本発明によれば、位置検出センサを用いることなく、複数の位置で正確に移動体を停止させて保持することができ、内視鏡システムに適用した場合、コスト上昇を抑制しつつ先端部の小型化を図ることが可能となる。
本発明の実施の第1形態に係り、内視鏡システムの構成図 同上、レンズ移動ユニットの説明図 同上、移動レンズ枠の摺動保持構造の構成例1を示す説明図 同上、移動レンズ枠の溝部を示す説明図 同上、移動レンズ枠の他の溝部を示す説明図 同上、移動レンズ枠の摺動保持構造の構成例2を示す説明図 同上、移動レンズ枠の摺動保持構造の構成例3を示す説明図 同上、移動レンズ枠の摺動保持構造の構成例4を示す説明図 同上、円筒管のスリットを示す説明図 同上、湾曲時のワイヤの弛みを示す説明図 同上、防水カバーの構成例1を示す説明図 同上、防水カバーの構成例2示す説明図 参考例に係り、防水カバーの構成を示す説明図 図13の防水カバーを適用したアクチュエータの説明図 第1形態に係る、レンズ移動ユニットの制御回路を示す説明図 同上、レンズ移動ユニットの位置制御のタイミングチャート 同上、移動レンズが近点位置に移動した状態を示す説明図 同上、移動レンズが超近点位置に移動した状態を示す説明図 同上、レンズ移動ユニットの他の構成例を示す説明図 同上、移動レンズが調整リングの位置に移動した状態を示す説明図 同上、弾性部材が調整リングの位置から更に牽引された状態を示す説明図 本発明の実施の第2形態に係り、レンズ移動ユニットの説明図 同上、レンズ移動ユニットの位置制御のタイミングチャート 同上、移動レンズが近点位置に移動した状態を示す説明図 同上、移動レンズが超近点位置に移動した状態を示す説明図 本発明の実施の第3形態に係り、レンズ移動ユニットの説明図 同上、レンズ移動ユニットの制御回路を示す説明図 同上、レンズ移動ユニットの位置制御のタイミングチャート 同上、移動レンズが近点位置に移動した状態を示す説明図 同上、移動レンズが超近点位置に移動した状態を示す説明図 本発明の実施の参考例に係り、レンズ移動ユニットの説明図 同上、位置規制部の説明図 同上、振動基板の変形例を示す説明図 同上、レンズ移動ユニットの位置制御のタイミングチャート 同上、移動レンズが近点位置に移動した状態を示す説明図 同上、移動レンズが超近点位置に移動した状態を示す説明図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に説明する各実施形態においては、本発明に係る移動装置として、対物光学系のレンズを光軸方向に移動して観察倍率を可変可能なレンズ移動ユニットを有する内視鏡への適用例について説明するが、本発明は、例えば内視鏡用シース等の機器にも適用可能である。
(第1形態)
先ず、本発明の実施の第1形態について説明する。
図1において符号1は内視鏡システムを示し、観察部位に対する通常観察から拡大観察までが可能な内視鏡2と周辺装置200とを備えて構成されている。内視鏡2は、操作部7と、挿入部6と、ユニバーサルコード8と、内視鏡コネクタ(以下、単にコネクタと称す)9とから主要部が構成されている。周辺装置200は、光源装置3と、ビデオプロセッサ4と、接続ケーブル4aと、モニタ5とから主要部が構成されている。内視鏡2と周辺装置200とは、コネクタ9により互いに接続されている。
内視鏡2の操作部7には、ビデオスイッチ14、送気送水操作釦15、吸引操作釦16、湾曲操作ノブ17、ズームレバー18等の操作部材が配設され、さらに、これらの操作部材より先端側に、把持部7aと処置具挿入口19とが配設されている。また、内視鏡2の挿入部6は、先端部11と湾曲部12と可撓管部13とにより構成されている。
湾曲部12は、操作部7に設けられた湾曲操作ノブ17により湾曲操作されるものであり、先端部11と可撓管部13との間に配設されている。一方、先端部11の挿入方向先端側(以下、単に先端側と称す)の先端面11aには、後述する撮像装置20の光学ユニット30(いずれも図2参照)の光軸方向の先端側に位置する対物レンズ22が配設されている。
尚、先端面11aには、対物レンズ22の表面に水や空気等の流体を噴きつけて対物レンズ22の表面を洗浄するノズル23、照明光を出射する照明窓24、処置具挿通路を兼ねた吸引管路の先端開口25等が配設されている。
一方、内視鏡2のユニバーサルコード8の先端には、コネクタ9が設けられている。このコネクタ9は、周辺装置200の光源装置3に、ライトガイドコネクタ9aを介して接続されている。また、コネクタ9には、ビデオコネクタ9bを介して、光源装置3をビデオプロセッサ4に電気的に接続するための接続ケーブル4aが接続されている。
ライトガイドコネクタ9aからは、ファイババンドルからなるライトガイド(図示せず)が延出され、コネクタ9内、ユニバーサルコード8内、操作部7内及び挿入部6内を介して先端部11内の照明窓24に近接する位置まで挿通されている。ライトガイドは、光源装置3からの照明光を照明窓24に伝送するものであり、これにより、照明光を照明窓24を介して体腔内に照射することができる。
また、ビデオコネクタ9bからは、後述する撮像ケーブル43(図2参照)が延出され、コネクタ9内、ユニバーサルコード8内、操作部7内及び挿入部6内を挿通され、先端部11内の撮像装置20のイメージセンサユニット41に回路基板42(いずれも図2参照)を介して電気的に接続されている。撮像ケーブル43は、撮像装置20のイメージセンサユニット41で撮像した観察部位の像の電気信号を、ビデオコネクタ9bを介してビデオプロセッサ4へと伝達する。ビデオプロセッサ4は、イメージセンサユニット41からの電気信号を変換処理し、モニタ5に映像信号を送る。これにより、モニタ5には、観察部位の画像が表示される。
次に、先端部11内に設けられた撮像装置20について説明する。
図2に示すように、撮像装置20は、先端部11に配設され、対物光学系を構成する光学ユニット30と、対物光学系によって結像される光学像を電気信号に変換する撮像ユニット40と、光学ユニット30のレンズを光軸方向に進退移動させる移動装置としてのレンズ移動ユニット50とから主要部が構成されている。
光学ユニット30は、先端の対物レンズ22を保持する前枠31と、対物レンズ22後方の移動レンズ32を保持し、光軸方向で相対する前後方向に移動可能な移動体としての移動レンズ枠33と、移動レンズ32後方のレンズ34を保持する後枠35とを備えている。本形態においては、前枠31は、対物レンズ22を保持するとともに、対物レンズ22の後方で移動レンズ枠33を光軸方向に沿って摺動自在に保持する内摺動面を有しており、この内摺動面の一部に、移動レンズ枠33の外周部から延出される後述の操作桿部33aが挿通されるスリット状の切り欠き部が光軸方向に設けられている。また、後枠35は、前枠31に嵌合・固定され、後述するガイドパイプ57を支持する支持桿部35aが外周部から延出されている。
また、撮像ユニット40は、CCDやCMOS等のイメージセンサを有するイメージセンサユニット41と、このイメージセンサユニット41の入出力信号を処理する各種回路を実装した回路基板42とを備えている。回路基板42は、例えばリジット基板又はフレキシブル基板から構成され、複数のリード線のリードピンを介して接続される撮像ケーブル43が延出されている。尚、回路基板42周囲の空間には接着剤等が充填され、回路基板42及び撮像ケーブル43との接続部が保護されている。
ここで、前枠31内の移動レンズ枠33の摺動保持構造について説明する。移動レンズ枠33の摺動性は、移動レンズ枠33を収納する前枠31と移動レンズ枠33とのクリアランスや、両者が接触する接触面の加工仕上げによる表面粗さに依存し、これらを適切に管理することで、スムーズな摺動性を確保することができる。しかしながら、摺動接触面の加工精度を上げるとコスト上昇を招き、特に、移動レンズ枠33は、操作桿部33aが突出される等して単純な円筒面でないため、摺動接触面の加工が難しく、高価なものとなる可能性がある。このため、例えば、図3〜図9に模式的に例示するような摺動保持構造を採用するようにしても良い。
図3に示す摺動保持構造の構成例1では、前枠31と移動レンズ枠33との間に、円柱状の介在棒36を配設し、この介在棒36を介して移動レンズ枠を移動させるようにしている。介在棒36は、図4に示すように、移動レンズ枠33の外周面に光軸と平行に形成した複数の溝部33b内に収納され、移動レンズ枠33が前枠31内を移動するとき、移動レンズ枠33と前枠31とが直接接触することなく、介在棒36を介して移動レンズ枠33が移動する。
介在棒36が収納される移動レンズ枠33の溝部33bは、光軸を基準点として適切な底面位置(溝深さ)が決定されており、加工が簡単な介在棒36の外径と前枠31の内周面の加工寸法と溝部33bの底面位置とを管理することにより、移動レンズ枠33の外摺動面に高い加工精度を要することなく、安価で良好な摺動性を有する摺動保持構造を実現することができる。しかも、前枠31の内摺動面には、介在棒36のみがほぼ線接触で接触するため、異物の噛み込みによる摺動不良を低減して安定した摺動性を得ることができる。
この場合、介在棒36は溝部33bに固着する必要がないため、外周面にフッ素樹脂等をコーティングして摺動性をより向上させることも可能である。また、図5に示すように、移動レンズ枠33の外周部には、直線状の溝部33bに代えて螺旋状の溝部33cを形成するようにしても良く、使用する介在棒の本数を低減することができる。結果、部品点数の低減による組み付け作業性の向上を図ることができる。
また、摺動保持構造として、図6に示す構成例2を採用しても良い。この構成例2では、移動レンズ枠33の溝部33bに加えて、前枠31の内周面側にも溝部31aを設け、前枠31の溝部31aと移動レンズ枠33の溝部33bとの間に介在棒36を収納する。これにより、安価で良好な摺動性を確保することができるばかりでなく、移動レンズ枠33の回転方向の動きを規制して移動レンズ32を介した画像品質を安定化させることができる。
尚、図3の構成例1は移動レンズ枠33の外周面に溝部33bを設け、図6の構成例2は、移動レンズ枠33の外周面と前枠31の内周面とに、それぞれ、溝部33b、溝部31aを設ける例であるが、移動レンズ枠33外周面の溝部33bを廃止し、前枠31の内周面のみに溝部31aを設けるようにしても良い。
一方、図7に示す摺動保持構造の構成例3は、移動レンズ枠33の操作桿部33aの前後の外周部に、フッ素樹脂をコーティングした2個の円筒管37を嵌合して取り付け、一体化するものである。構成例3においても、前枠31の内周面と移動レンズ枠33の外周面とが直接接触することはなく、円筒管37を介して摺動移動させるようにしている。
すなわち、移動レンズ枠33が移動するとき、摩擦係数の小さな円筒管37の表面が前枠31の内周面に対する摺動面となり、スムーズな摺動とすることができる。また、前枠31の内周面と移動レンズ枠33の外周面とが直接接触しないため、両者を金属材料で形成して摺動させる場合に比較して摺動面が傷つき難くなり、良好な摺動性を長期に渡って確保することができる。
しかも、加工が簡単な円筒管37にフッ素樹脂をコーティングし、嵌め合いにより移動レンズ枠33に組み付けるだけであるため、安価な構成で良好な摺動保持構造を実現することができる。これにより、摩擦による移動レンズ32のふらつきを低減して画像品質を安定化させることができる。
この場合、図8の構成例4に示すように、2つの円筒管37に代えて1つの円筒管38を用いるようにしても良い。図8に示す円筒管38は、外周面にフッ素樹脂をコーティングし、移動レンズ枠33の操作桿部33aを挿通可能なをスリット38aを所定長さで部分的に開口したスリット付き円筒管である。
この構成例4の円筒管38も、同様に、移動レンズ枠33に嵌合して一体化することで、構成例3と同様の効果を得ることができる。構成例4では、更に、1つの移動レンズ枠33に対して1つの円筒管38で済むことから組立てがより容易となり、作業時間の短縮を図ることができる。
尚、円筒管38のスリット38aは、図9に示すように、円筒管38の全長に渡って開口するスリット38a’としても良い。
次に、移動レンズ枠33を光軸方向に移動させるレンズ移動ユニット50について、図2に戻って説明する。
レンズ移動ユニット50は、前枠31に設けられた切り欠き部内で移動レンズ枠33の操作桿部33aを光軸方向に移動可能とする移動ワイヤ51と、この移動ワイヤ51に連結されて移動ワイヤ51を光軸方向に進退移動させる駆動ワイヤ52と、移動レンズ枠33の操作桿部33aの移動位置を規制する位置規制部としての位置規制ユニット70とを主要構成として備えている。
尚、移動レンズ枠33の操作桿部33aは、前枠31の外周部に固定されるストッパ53によって先端側への移動が規制され、また、ストッパ53内に介装されたコイルバネ54により、操作桿部33aがストッパ53から離間する方向に付勢されている。
移動ワイヤ51は、その先端側が押圧部材55に連結・固定されている。押圧部材55は、操作桿部33aの端面に当接される当接部55aと、移動ワイヤ51が挿通される保持パイプ56と同様の保持部55bとを備えて構成されている。また、移動ワイヤ51の後端側は保持パイプ56内を挿通され、保持パイプ56から突出する部位でカシメ等により駆動ワイヤ52に連結・固定されている。押圧部材55の保持部55bと保持パイプ56とは、後枠35の支持桿部35aによって支持されるガイドパイプ57内に収納されており、保持部55bと保持パイプ56との間に、コイルバネ58が介装されている。
移動ワイヤ51に連結される駆動ワイヤ52は、加熱されると収縮し、冷却されると膨張する形状記憶合金(SMA;Shape Memory Alloys)を第1のアクチュエータとして用いている。以下、駆動ワイヤ52をSMAワイヤ52と適宜記載する。SMAワイヤ52は、絶縁チューブ59内を挿通され、操作部7側に延出される駆動ケーブル60の一方の芯線60aに電気的に接続されると共に、絶縁チューブ59と保持パイプ56とを連結する連結パイプ61にジャンパ線62を介して電気的に接続されている。連結パイプ61は駆動ケーブル60の他方の芯線60bと電気的に接続されている。
SMAワイヤ52に通電しない初期状態では、ストッパ53のコイルバネ54によって移動レンズ枠33の操作桿部33aをストッパ53から離間する方向に付勢する力よりも、ガイドパイプ57内のコイルバネ58によって押圧部材55を移動レンズ枠33の操作桿部33aに当接させて押圧する力の方が大きくなるように設定されている。この状態で、駆動ケーブル60の芯線60a,60bに電流を流すと、SMAワイヤ52が収縮し、移動ワイヤ51を介して押圧部材55が移動レンズ枠33から離間する方向に牽引され、移動レンズ枠33の操作桿部33aがストッパ53のコイルバネ54によってストッパ53から離間する方向に移動する。
尚、絶縁チューブ59内に挿通されるSMAワイヤ52によって押圧部材55を牽引する場合、挿入部6が湾曲操作されると、図10に示すように、湾曲軌跡の内外周差によってSMAワイヤ52に弛みLが生じ、湾曲操作されていない直線形状の場合と比較してワイヤを引張る長さが異なってくる虞がある。このような場合、SMAワイヤ52の通電電流を湾曲形状に応じて正確に制御するためには、内視鏡先端部に位置検出センサを設ける等の対策をとる必要があり、内視鏡先端の小型化を阻害するばかりでなく、コスト上昇を招いてしまう。
ここで、ワイヤの弛み長さΔLは、湾曲角度をθ、ワイヤの湾曲虚像軌跡半径をr1、チューブの湾曲半径をr0とすると、ワイヤの湾曲部虚像軌跡の長さθ・r1と、ワイヤの実際の湾曲部長さθ・rとの差で表すことができる。ワイヤの湾曲虚像軌跡半径r1は、チューブの湾曲半径r0、ワイヤの直径d、チューブの内径Dで表すことができ、最終的に、ワイヤの弛み長さΔLは、下式で表すことができる。
ΔL=θ・r1−θ・r0=θ(r0+(D−d)/2)−θ・r0=θ(D−d)/2
従って、ワイヤの弛みを解消するには、図10に示すように、ワイヤの弛み長さ分ΔLだけチューブが伸びれば良く、本形態における絶縁チューブ59は、湾曲時に掛かる張力Tによって伸び、SMAワイヤ52の弛みを吸収するように形成されている。張力で伸びる長さは、チューブの材質やチューブの肉厚によって調整する。また、チューブの伸びは、全体でも良いが、一部のみが弾性変形して他の部分は弾性変形しないようにしても良い。
これにより、チューブ内でのワイヤの張り状態を常に一定として位置制御を容易にすることができる。しかも、先端に位置センサ等を設けることなく正確な位置制御が可能となるため、小型のアクチュエータで内視鏡先端の細径化を図ることができる。尚、この湾曲時のワイヤの弛みを解消して位置制御性を向上する手法は、移動レンズ枠にワイヤを連結してモータ等で牽引するような機構においても同様である。
次に、SMAワイヤ52の通電に伴う移動レンズ枠33の移動位置を規制する位置規制ユニット70について説明する。
本実施形態においては、移動レンズ枠33は、移動レンズ枠33の操作桿部33aがストッパ53に当接する初期位置で、移動レンズ32の位置に応じた観察倍率が最小となる遠点の位置と、操作桿部33aがストッパ53から所定距離だけ離間して観察倍率が拡大される近点の位置と、操作桿部33aがストッパ53から更に離間されて観察倍率が最大となる超近点の位置との3位置に調整される。
位置規制ユニット70は、移動レンズ枠33の操作桿部33aが突き当たる突き当て部を有して前後方向に移動可能な可動突き当て部材としての位置決め軸71と、この位置決め軸71を前後方向に移動させる駆動力を発生する第2のアクチュエータとしての駆動力発生部75とを有して構成される、複数点の位置決め用ユニットである。
位置決め軸71は、後枠35の支持桿部35aにガイドパイプ57と平行に挿通され、支持桿部35aから突出する両側に、それぞれ位置調整部材72F,72Rが固定されて抜け止めされている。位置調整部材72F,72Rは、例えば、位置決め軸71の両端側に設けられた雄ネジに螺合するナットで構成されている。
位置調整部材72Fは、移動レンズ枠33の操作桿部33aに対向する側の突出長さが操作桿部33aの位置を超近点の位置に規制する長さとなるように調整された後、接着剤やカシメ加工等によってロックされる。一方、位置調整部材72Rは、反対側の突出長さが操作桿部33aの位置を近点の位置で規制する長さとなるように調整された後、同様に接着剤やカシメ加工等によってロックされる。
また、位置決め軸71は、全体或いは位置調整部材72R側の部分が永久磁石となるように形成され、この永久磁石の位置決め軸71を磁力による駆動力で軸方向に進退移動させる。このため、駆動力発生部75は、磁性体からなる鉄心76と、この鉄心76の外周側に巻回された電磁コイル77とからなる電磁石で構成されている。電磁コイル77は、一端が駆動ケーブル60の芯線60aに電気的に接続され、他端が電流調整用の補正抵抗78に接続されている。補正抵抗78は、連結パイプ61と電気的に接続されており、電磁コイル77の他端が補正抵抗78から連結パイプ61を介して駆動ケーブル60の芯線60bと電気的に接続される。
尚、以上の移動ワイヤ51及びSMAワイヤ52、位置規制ユニット70を有するレンズ移動ユニット50は、防水性を確保するため、全体がカバーによって覆われている。このカバーは、専用の防水カバーを用いても良いが、図11〜図13に例示するような防水カバーを適用することも可能である。
図11に示す構成例1の防水カバー85は、両端が開口された円筒状の部材で形成され、長手方向先端側にスリット状の開口部85aを設けたものである。この防水カバ−85は、例えば、開口部85a先端をストッパ53に装着してレンズ移動ユニット50のアクチュエータ部を覆い、後端側の円筒部分から駆動ケーブル60を延出する。防水カバー85の内視鏡先端部との接合部及び駆動ケーブル60の延出部には、接着剤等を塗布或いは充填して防水性を確保する。
このような防水カバー85は、単純に円筒形の防水カバーを用いる場合に比較して、スリットの分だけ径方向の寸法を小さくすることができ、内視鏡の先端部の細経化に寄与することができる。この場合、内視鏡先端部の形状によっては、防水カバー85に代えて、図12に示す構成例2の防水カバー86を採用しても良い。この防水カバー86は、両端が開口された円筒状の部材の長手方向中間部にスリット状の開口部86aを設けたものであり、内視鏡先端が細径で、その後方が太径の段付き形状であるような場合に適合させることができる。
尚、防水カバー85,86は、モータや減速ギヤ等をアクチュエータとして有するレンズ移動ユニットにも適用することが可能である。
図13および図14は、アクチュエータにSMAワイヤを用いず、圧電素子を用いたインパクトドライブアクチュエータ(Impact Drive Actuator)に、防水カバー80を取り付けた参考例である。
このアクチュエータは、接続されたケーブル182からの電源供給により振動し前後運動する圧電素子181と、圧電素子181に固定され電圧印加による圧電素子181の振動に同期して前後運動する押圧棒180と、移動レンズ枠33の操作桿部33aに取り付けられるとともに押圧棒180が挿通され押圧棒180に接触する板バネからなる保持バネ81と、を備えている。
そして、例えば移動レンズ枠33を先端側に移動させる場合は、圧電素子181を先端側へは遅く基端側へは早く振動させる。圧電素子181が先端側へ遅く動いた際は、圧電素子181と同期して動く押圧棒180と、押圧棒180と接触している保持バネ81と、の間の摩擦力により、保持バネ81は押圧棒180と連れ動き、移動レンズ枠33とともに先端側に移動する。そして、圧電素子181が基端側へ早く動いた際は、圧電素子181と同期して動く押圧棒180と、押圧棒180と接触している保持バネ81と、の間の摩擦力が働かず滑ることにより、保持バネ81は押圧棒180と連れ動かずその場に残り、移動レンズ枠33は位置が変化しない。圧電素子180のこの振動を繰り返すことにより、移動レンズ枠33は先端側に移動していく。
また、移動レンズ枠33を基端側に移動させる場合は、上述した圧電素子180の振動を逆にすることにより行われる。
防水カバー80は、保持バネ81を変形させ押圧棒180との間に摩擦力を発生させ、移動レンズ枠33の前後移動を可能にする保持機能と防水機能とを併せ持つカバーである。詳細には、防水カバー80は、操作桿部33aに取り付けられる保持バネ81と、この保持バネ81を押圧するバネ部82aを有するカバー本体82とを備えている。
保持バネ81は、例えば板バネで形成され、操作桿部33aの両側面を挟持して略菱形の開口部を有する部材である。また、カバー本体82は、レンズ移動ユニット50全体をを覆うドーム状の部材であり、保持バネ81の尾根状の部分に当接して押圧する半円筒状のバネ部82aを有している。
このような防水カバー80を装着すると、バネ部82a及び保持バネ81の弾性力により、保持バネ81が押圧棒180の外周面に押し付けるように付勢され、保持バネ81と押圧棒180との間に確実に摩擦が発生する。これにより、レンズ移動ユニット50の開口部分を覆って防水性を確保することができるばかりでなく、例えば、遠点、近点、超近点の各位置への移動レンズ枠33の確実な移動や、移動レンズ枠33を所望の位置に確実に保持することが可能となり、所定位置で移動レンズ32を確実に固定して画像品質を安定化させることができる。尚、移動レンズ枠33の外周から突出される突起33dは、回転防止用の突起である。
次に、レンズ移動ユニット50による対物光学系の遠点位置、近点位置、超近点位置への制御について説明する。
図15に示すように、レンズ移動ユニット50のSMAワイヤ52と電磁コイル77及び補正抵抗78とは、制御部90によって制御される電源91に対して並列に接続されている。制御部90は、例えば、操作部7或いはビデオプロセッサ4内に設けられ、操作部7に設けられたズームレバー18等の操作に連動して電源91から供給する電力を可変し、遠点、近点、超近点の3位置への移動及び保持を制御する。
この遠点、近点、超近点の3位置制御では、図16に示すように、SMAワイヤ52及び電磁コイル77が非通電で駆動電流が0のときには、移動レンズ枠33は遠点の初期位置に保持されている。その状態でSMAワイヤ52が電流I11で駆動され、電磁コイル77が電流I21で駆動されると、移動レンズ枠33が近点の位置に移動する。
すなわち、SMAワイヤ52に電流I11が通電されると、SMAワイヤ52が加熱されて収縮し、SMAワイヤ52に連結される移動ワイヤ51を介して押圧部材55が移動レンズ枠33から離間する方向に牽引される。これに伴い、移動レンズ枠33の操作桿部33aをストッパ53に押圧する不勢力がなくなり、ストッパ53のコイルバネ54により、移動レンズ枠33の操作桿部33aがストッパ53から離間する方向に移動する。
同時に、電磁コイル77に通電される電流I21により、鉄心76を中心とする磁界が発生し、この磁界による磁力で永久磁石からなる位置決め軸71が移動される。例えば、位置決め軸71全体を永久磁石で形成し、鉄心76に対向する側の端部がN極、操作桿部33aに対向する側の端部がS極である場合、鉄心76の位置決め軸71に対向する部位がN極となるように磁界を発生させる。尚、位置決め軸71の一部に永久磁石を設置する場合には、S極が鉄心76に対向し、N極が操作桿部33a側となるよう永久磁石を設置し、鉄心76の永久磁石に対向する側がN極となるように磁界を発生させる。
その結果、N極同士の反発力により位置決め軸71が操作桿部33aに向かって移動し、位置調整部材72Rによって移動が規制されて保持される。これにより、移動レンズ枠33の操作桿部33aがストッパ53から離間して位置決め軸71の先端に突き当てられて停止し、移動レンズ32が図17に示すような近点位置となる。近点位置に達した後は、SMAワイヤ52、電磁コイル77の駆動電流は、それぞれ、電流I12,I22に低減され(I12<I11;I22<I21)、発熱を抑制しながら近点位置に保持される。尚、このときの保持電流は、所定のデューティ比での間欠駆動としても良く、より効果的に発熱を抑制することができる。
次に、SMAワイヤ52及び電磁コイル77の駆動電流の極性が反転され、SMAワイヤ52が電流−I11で駆動され、電磁コイル77が電流−I21で駆動されると、SMAワイヤ52が更に収縮し、押圧部材55が移動レンズ枠33から更に離間する方向に移動しようとする。同時に、電磁コイル77の通電電流の極性の反転によって鉄心76の磁極の極性が反転し、位置決め軸71に対向する磁極がS極となり、位置決め軸71と鉄心76との間に吸引力が発生する。
その結果、位置決め軸71が鉄心76に向かって移動し、位置調整部材72Fによって移動が規制されて保持される。これにより、移動レンズ枠33の操作桿部33aが位置決め軸71に突き当てられる位置がより手元側に移動し、移動レンズ32が図18に示すような超近点位置に移動する。そして、超近点位置に達した後は、SMAワイヤ52、電磁コイル77の駆動電流は、それぞれ、電流−I12,−I22に低減され( −I12 < −I11 ; −I22 < −I21 )、発熱を抑制しながら超近点位置に保持される。尚、この場合において保持電流を所定のデューティ比での間欠駆動としても良く、より効果的に発熱を抑制することができる。
これにより、本実施形態においては、移動レンズ枠33を光軸方向に移動させる際に、位置検出センサを用いることなく、複数の位置に正確に停止させて保持することができ、コスト上昇を抑制しつつ内視鏡先端部の小型化を図ることが可能となる。また、対物光学系の安定した性能を得て画像品質を向上させることができる。
尚、上述のレンズ移動ユニット50は、ストッパ53のコイルバネ54と、ガイドパイプ57内のコイルバネ58との2つのコイルバネを用いている。従って、レンズ移動ユニットの径方向の寸法には、コイルバネの直径が加算されることになり、内視鏡先端部の細径化を図る上での支障となる可能性がある。
このため、図19〜図21に示すように、コイルバネを廃止し、線状の弾性部材87を用いるようにしても良く、レンズ移動ユニットをシンプルな機構として内視鏡先端部の細径化が可能となる。しかも、コイルバネのように圧縮長さや径方向の設置スペース等の制約を低減し、先端部長さを短縮することも可能となる。
弾性部材87は、弾性を有するゴム等の有機高分子材料で形成され、一部に常に張力が働き、他の部分は、状況によって張力が掛かったり、掛からなかったりするように取り付けられる。具体的には、前枠31の外周部に固定されるストッパ53を変更してストッパ53_Aとし、移動レンズ枠33の操作桿部33aを変更して操作桿部33a_Aとし、弾性部材87の一端をストッパ53_Aに取り付けて操作桿部33a_A内を挿通し、操作桿部33a_Aの背面側で中途部分を固定する。更に、操作桿部33a_A背面側から延出される弾性部材87の他端を、SMAワイヤ52が非通電のときには弛みを有するように移動ワイヤ51の先端部に取り付ける。
このような構成では、SMAワイヤ52が非通電のときには、弾性部材87の操作桿部33a_Aの前方側の弾性部87aの張力によって操作桿部33a_Aがストッパ53_Aに当接される初期位置に保持されている。その状態でSMAワイヤ52に通電すると、SMAワイヤ52が加熱されて収縮し、移動ワイヤ51を介して弾性部材87の操作桿部33a_Aの後方側の弾性部87bの弛み部分が引っ張られ、弛みが無くなった後、弾性部87a,87bが弾性変形し、移動レンズ枠33の操作桿部33a_Aが後方に移動して図20に示す位置となる。
尚、図19〜図21においては、位置規制ユニット70を省略した2位置制御の例を示しているが、位置規制ユニット70を搭載し、3位置制御させることもできる。
図20においては、操作桿部33a_Aは、後枠35の先端外周に固定される環状の調整リング88に当接している。位置規制ユニット70を用いる場合には、操作桿部33a_Aは、位置決め軸71に当接する。
図20の位置から更にSMAワイヤ52に電流を流してSMAワイヤ52を加熱・収縮させると、弾性部材87が更に牽引されて弾性部87bのみが伸長され、図21に示すような位置となる。その後、SMAワイヤ52の通電をオフすると、SMAワイヤ52が冷却・伸長して弾性部材87によって移動レンズ枠33が前方に移動し、図19の初期位置に戻る。
このとき、図20の状態から図21の状態の間では、SMAワイヤ52が伸縮しても移動レンズ枠33(操作桿部33a_A)は動かない。すなわち、図20の位置から図21の位置の間は、弾性部材87の弾性部87bのみが伸長されて不感帯となり、位置に対する通電電流の敏感性を低減して制御性を向上することができる。
また、弾性部材87は、前方側の弾性部87aと後方側の弾性部87bとを別部材として構成しても良く、前方側の弾性部87aの弾性定数よりも後方側の弾性部87bの弾性定数を大きくする。この場合には、弾性部87bの弛みは無くとも良く、SMAワイヤ52に弛みを吸収する動作をさせる必要がなくなる。結果、SMAワイヤ52の収縮量が少なくても移動レンズ枠33が動き始めるので、良好な移動レスポンスを得ることが可能となる。
(第2形態)
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。
第2形態は、第1形態のレンズ移動ユニット50の構成を若干変更するものである。詳細には、図22に示すように、第2形態におけるレンズ移動ユニット50_Aは、位置規制ユニット70を変更した位置規制ユニット70_Aを用いている。
この位置規制ユニット70_Aは、位置規制ユニット70の位置決め軸71を磁歪材料で形成し、この磁歪材料で形成した位置決め軸71’を延長して電磁コイル77の鉄心76に代えるものであり、電磁コイル77で発生する磁界を位置決め軸71’に印加する。そして、電磁コイル77で発生する磁界の強さを可変することにより、位置決め軸71’の歪量を可変して先端の突き当て部を軸方向に移動させ、位置調整部材72F,72Rを用いることなく近点及び超近点の位置で保持させる。その他の構成は第1形態と同様である。
第2形態では、図23に示すように、SMAワイヤ52が電流I12で駆動され、電磁コイル77が電流I22で駆動されると、SMAワイヤ52の収縮によって押圧部材55が移動レンズ枠33から離間する方向に牽引される。同時に、電磁コイル77に電流I22を通電して磁界を発生させ、位置決め軸71’に印加する。磁歪材料から形成される位置決め軸71’は、印加される磁界に応じた歪量で軸方向に収縮し、先端に移動レンズ枠33の操作桿部33aが突き当てられる。
電磁コイル77の駆動電流I22は、位置決め軸71’の先端位置が図24に示す近点位置となるような磁界を発生するように設定されており、電磁コイル77を電流I22で駆動することで、移動レンズ枠33を近点位置に移動させることができる。そして、近点位置に達した後も、SMAワイヤ52、電磁コイル77の駆動電流を、それぞれ、電流I12,I22に保持することで、近点位置を保持することができる。
更に、SMAワイヤ52の駆動電流、電磁コイル77の駆動電流を、それぞれ、電流I11,I21に増加させると、SMAワイヤ52が更に収縮し、押圧部材55が移動レンズ枠33から更に離間する方向に移動しようとする。同時に、電磁コイル77の通電電流の増加によって位置決め軸71’に印加される磁界の強さが増大し、位置決め軸71’の軸方向の収縮量が増加する。その結果、移動レンズ枠33の操作桿部33aが位置決め軸71’の先端部に突き当てられる位置がより手元側に移動し、図25に示すような超近点位置に移動する。超近点位置に達した後は、SMAワイヤ52、電磁コイル77の駆動電流を、それぞれ、電流I11,I21に保持することで、超近点位置を保持することができる。
第2形態においても、第1形態と同様、移動レンズ枠33を複数の位置に正確に停止させて保持することができ、コスト上昇を抑制しつつ内視鏡先端部の小型化を図ることが可能となる。
(第3形態)
次に、本発明の実施の第3形態について説明する。
図26に示すように、第3形態におけるレンズ移動ユニット50_Bは、第1形態の移動レンズ枠を移動させるアクチュエータを変更し、振動による移動送り機構として機能する摺動用アクチュエータ100を用いるものである。このアクチュエータの変更に伴い、第3形態では、第1形態の移動レンズ枠33を若干変更した移動レンズ枠33_Aを用いるが、この移動レンズ枠33_Aの移動位置を調整する位置規制ユニット70は、第1形態と同様の機構を採用することができる。
摺動用アクチュエータ100は、収納枠101内に配設される振動子102と振動基板103と電磁コイル104とを主要部として構成されている。振動子102及び電磁コイル104は、駆動ケーブル60_Aを介して送信される信号により駆動される。
振動子102及び振動基板103は、前後方向へ伸縮する振動を発生する振動発生部を構成するものである。振動子102は、例えば積層圧電素子によって形成され、ベース基板105上に固定部材106によって固定されている。振動基板103は、振動子102の自由端側に結合される板状の部材であり、例えば絶縁材料に導電性材料を成膜して形成されている。
また、振動基板103の先端部と収納枠101との間には、振動基板103を振動子102側に常時付勢するコイルバネ107が介装されている。また、移動レンズ枠33_Aとほぼ対向する位置で、振動基板103と収納枠101の内面側との間には、以下に説明する移動子33_Abを収納枠101に押圧する押圧力を発生する押圧力発生部としての電磁コイル104が配設されている。
移動レンズ枠33_Aは、外周部から延出される操作桿部33_Aaの先端に、摺動用アクチュエータ100によって光軸方向へ進退移動される磁性体からなる移動子33_Abが固設されている。移動子33_Abは、収納枠101の振動基板103と対向する面の外表面上を摺動移動可能に配設され、近点及び超近点の位置で移動子33_Abの後端面が位置規制ユニット70の位置決め軸71の先端部に突き当てられるように設定されている。
図27に示すように、摺動用アクチュエータ100の電磁コイル104は、電源91に対して位置規制ユニット70の電磁コイル77及び補正抵抗78と並列に接続され、振動子102は電源91とは異なる別の電源92に接続されている。これらの電源91,92は、制御部90_Aによって制御され、振動子102と2つの電磁コイル104,77とが同期をとって駆動制御される。
具体的には、図28に示すように、摺動用アクチュエータ100の振動子102が三角波の電圧Vpで間欠駆動され、振動子102で振動が発生して振動基板103に伝達される。振動基板103の振動は、電圧Vpの立ち上がり部分で振動基板103が先端方向に向かって変位し、電圧Vpのピークからの立ち下がり部分で復帰する伸縮動作が周期的に繰り返される機械振動となる。
このとき、摺動用アクチュエータ100の電磁コイル104を、電圧Vpの立ち上がりに同期して電流I1で駆動すると、移動レンズ枠33_Aの移動子33_Abと振動基板103との間に吸引力が発生して移動子33_Abが収納枠101の外表面に押圧され、振動基板103の先端方向への変位に伴って移動子33_Abが収納枠101の外表面を先端方向へ摺動移動する。そして、電磁コイル104の通電を、電圧Vpのピーク値からの立ち下がりに同期してオフすると、移動子33_Abが収納枠101の外表面から離間し、振動基板103のみが先端方向への変位から復帰する。
この動きが周期的に繰り返されることで、移動子33_Abが先端方向へステップ的に移動されていく送り機構の動きが実現され、移動レンズ枠33_Aが図26に示す遠点位置に達する。このとき、位置規制ユニット70の電磁コイル77は、摺動用アクチュエータ100の電磁コイル104と同期して比較的小さい電流I2でオンオフされ、位置決め軸71が近点位置の規制位置に保持されている。
移動子33_Abを遠点位置へ移動させた後は、振動子102の駆動を停止して、電磁コイル104を一定の電流I1で連続通電することで、移動子33_Abを収納枠101の同じ位置に止まらせ、遠点位置に保持することができる。位置規制ユニット70の電磁コイル77も、一定の電流I2で連続通電することで、位置決め軸71が不要な動きをしないように保持しておく。
次に、摺動用アクチュエータ100の電磁コイル104の通電タイミングを、電圧V0のピークからの立ち下がり部分で電流I1を通電するタイミングとすると、振動基板103が先端方向への変位から復帰するタイミングで移動子33_Abが収納枠101の外表面に当接され、収納枠101の外表面を先端側から遠ざかる方向に摺動移動する。この動きが繰り返され、やがて移動子33_Abが位置規制ユニット70の位置決め軸71に当接するが、このとき、位置規制ユニット70の電磁コイル77は、摺動用アクチュエータ100の電磁コイル104と同期して電流I2よりも大きい電流I2'でオンオフされ、移動子33_Abの移動を停止させて図29に示す近点位置に保持する。
移動子33_Abを近点位置へ移動させた後は、同様に、振動子102の駆動を停止して、電磁コイル104を一定の電流I1で連続通電することで、移動子33_Abを収納枠101の同じ位置に止まらせ、近点位置に保持する。また、位置規制ユニット70の電磁コイル77も、一定の電流I2'で連続通電し、位置決め軸71を確実に保持する。
次に、電磁コイル104,77の駆動電源の極性を反転させ、摺動用アクチュエータ100の電磁コイル104を近点への移動と同じタイミングで駆動しつつ、位置規制ユニット70の電磁コイル77を電流−I2’で駆動すると、位置決め軸71が鉄心76に吸引されて移動し、位置調整部材72Fによって移動が規制されて保持される。これにより、移動子33_Abが図30に示す超近点の位置に向かって移動し、最終的に、移動子33_Abが位置規制ユニット70の位置決め軸71先端に突き当てられて停止する。超近点位置に達した後は、振動子102の駆動を停止して、電磁コイル104を一定の電流−I1で連続通電することで、移動子33_Abを収納枠101の同じ位置に止まらせ、超近点位置に保持する。また、位置規制ユニット70の電磁コイル77も、一定の電流−I2'で連続通電し、位置決め軸71を確実に保持する。
尚、振動子102の駆動電圧Vpに対する電磁コイル104,77の通電タイミングは、上述したタイミングに対して、振動伝達系の応答遅れを考慮して、適宜、ディレイを設けるようにしても良い。
第3形態においても、移動レンズ枠33_Aを複数の位置に正確に停止させて保持することができ、第1,第2形態と同様、コスト上昇を抑制しつつ内視鏡先端部の小型化を図ることが可能となる。
(参考例)
次に、本発明の実施の参考例について説明する。この参考例は、前述の第3形態に対して、摺動用アクチュエータ100と独立して電気的に駆動される位置規制ユニット70を簡素化し、摺動用アクチュエータ100による移動子33_Abの動きを機械的に規制するものである。
具体的には、本参考例におけるレンズ移動ユニット50_Cは、図31に示すように、移動子33_Abと収納枠101との間に、位置規制ユニット70を簡素化した位置規制部110を配設する。この位置規制部110は、図32に示すように、摺動面を複数段階の表面粗さで仕上げ加工した板状の部材で形成され、本参考例においては、遠点から近点に対応する領域R1が鏡面仕上げの領域、近点から超近点に対応する領域R2が所定の粗さの粗面仕上げの領域とされている。
尚、位置規制部110は、収納枠101の摺動面の表面粗さを複数段階に変化させて一体的に形成しても良い。また、本参考例では、位置規制ユニット70を簡素化していることから、摺動用アクチュエータ100を光学ユニット30の光軸により接近させて配置することが可能であり、内視鏡先端の細径化を図ることができる。
その場合、振動基板103から振動子102にかけての部位が撮像ユニット40に接近することになるため、図33に示すように、振動基板103に、イメージセンサユニット41を保持する枠体を避ける開口部103aを設けるようにしても良い。振動基板103に開口部103aを設けても、振動子102からの振動は先端まで伝達されるため、特に支障はなく、振動子102等の突出部分を撮像ユニット40のエリアと重ねることで、径方向の小型化を図ることが可能となる。
本参考例における遠点、近点、超近点への移動制御は、基本的には第3形態と同様の駆動タイミングで行われるが、振動子102の振動を、移動子33_Abが摺動する摺動面の面粗さに応じて制御する。すなわち、図34に示すように、遠点への移動は振動子102へ印加する電圧Vpを電圧V1で駆動するが、遠点から近点への移動は、移動子33_Abが位置規制部110の鏡面仕上げの領域R1のみを通過させる必要があるため、振動子102を駆動する電圧Vpを電圧V1から電圧V2に下げて移動させることで、摩擦抵抗が大きくなる領域R2の境界で移動子33_Abが位置規制部110に張り付いた状態を維持し、移動子33_Ab停止させることができ、図35に示す近点位置に保持することができる。
一方、移動子33_Abを近点から超近点へ移動させる場合には、粗面領域である領域R2の摩擦抵抗に打ち勝って移動させる必要がある。このため、振動子102の駆動電圧を電圧V2からより大きな電圧V1に上げて駆動することで、三角波の入力電圧の1ステップ当たりの変位量や変化速度を増大させる。これにより、摩擦抵抗の大きい領域R2であっても電磁コイル104の通電を電圧Vpのピーク値への立ち上がりに同期してオフにすることで、移動子33_Abが位置規制部110から離間し、位置規制部110のみが先端方向へ移動する。そして、電磁コイル104の通電を電圧Vpのピーク値からの立ち下りに同期してI1を通電することで、移動子33_Abが位置規制部110に吸着し、移動子33_Abを後方に移動させることができ、図36に示す超近点位置に移動させることができる。この超近点位置は、電磁コイル104を一定の電流I1で駆動し、移動子33_Abを後枠35の先端外周に固定される環状の調整リング35bに当接させておくことで保持される。
本参考例においても、移動レンズ枠33_Aを複数の位置に正確に停止させて保持することができ、コスト上昇を抑制しつつ内視鏡先端部の小型化を図ることが可能となるが、本参考例では、簡素な構成で位置規制を行うことができ、よりコストを抑制することが可能となる。
1 内視鏡システム
2 内視鏡
22 対物レンズ
30 光学ユニット
32 移動レンズ
33 移動レンズ枠
50 レンズ移動ユニット
52 駆動ワイヤ(SMAワイヤ)
70 位置規制ユニット
71 位置決め軸
75 駆動力発生部
90 制御部
100 摺動用アクチュエータ
102 振動子
103 振動基板
104 電磁コイル
110 位置規制部

Claims (6)

  1. 相対する2方向に移動可能な移動体と、
    前記移動体を前記2方向へ移動させる駆動力を発生する第1のアクチュエータと、
    前記移動体の移動位置を複数の位置に規制可能な位置規制部と、
    前記第1のアクチュエータの作動を制御し、前記移動体の移動範囲を前記位置規制部によって規制される範囲で可変制御する制御部と、を備え、
    前記位置規制部は、
    前記移動体が突き当たる突き当て部を有して前記2方向に移動可能な可動突き当て部材と、前記可動突き当て部材を前記2方向へ移動させる駆動力を発生する第2のアクチュエータと、を有し、
    前記制御部は、
    前記第1のアクチュエータに加えて前記第2のアクチュエータの作動を同一の駆動ケーブルにより制御し、前記第2のアクチュエータにより前記可動突き当て部材の前記突き当て部を前記2方向に移動させることにより、前記第1のアクチュエータによって移動する前記移動体の移動範囲を可変制御することを特徴とする移動装置。
  2. 前記可動突き当て部材は永久磁石を有し、
    前記第2のアクチュエータは、磁極の極性を可変可能な電磁石を有し、
    前記電磁石の磁極の極性を変えることにより、前記永久磁石を介して前記可動突き当て部材の前記突き当て部を前記2方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の移動装置。
  3. 前記可動突き当て部材は磁歪材料で形成され、
    前記第2のアクチュエータは、前記可動突き当て部材に印加する磁界を発生する電磁コイルを有し、
    前記電磁コイルで発生させる磁界の強さを可変することにより、前記可動突き当て部材の歪量を可変して前記突き当て部を前記2方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の移動装置。
  4. 前記第1のアクチュエータは、供給された電力で前記2方向に伸縮することにより、前記移動体を前記2方向に移動可能とする形状記憶合金を有することを特徴とする請求項1記載の移動装置。
  5. 前記第1のアクチュエータは、
    前記2方向へ伸縮する振動を発生する振動発生部と、前記移動体を前記第1のアクチュエータに押圧する押圧力を発生する押圧力発生部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記振動発生部で前記振動を発生させる駆動信号と、前記押圧力発生部で前記押圧力を発生させる駆動信号とを互いに同期させて制御し、前記振動の伸長又は収縮に同期して前記移動体を前記第1のアクチュエータに押圧しながら摺動移動させることを特徴とする請求項1記載の移動装置。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の移動装置を有する内視鏡システムであって、
    前記移動体は、前記内視鏡の先端部に設けられた対物レンズを一体的又は間接的に保持するレンズ枠であることを特徴とする内視鏡システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023166740A1 (ja) * 2022-03-04 2023-09-07 オリンパスメディカルシステムズ株式会社 駆動装置、内視鏡システムおよび駆動方法

Cited By (1)

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WO2023166740A1 (ja) * 2022-03-04 2023-09-07 オリンパスメディカルシステムズ株式会社 駆動装置、内視鏡システムおよび駆動方法

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