JP2015128872A - 記録装置及び記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリッジの加減速領域で記録ヘッドが記録動作を行う場合であっても、個々のドットを正確な位置に高精度に記録することが可能な記録装置を提供する。
【解決手段】複数の駆動パルスを生成する間隔を、キャリッジの移動速度の変化に応じて1パルスずつ調整する。これにより、キャリッジの加速時、減速時および等速移動時のいずれにおいても、駆動パルスの発生間隔を適切に制御することが出来、個々のドットを正確な位置に安定して記録することが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリアル型の記録装置の記録位置制御方法に関する。
シリアル型の記録装置では、記録ヘッドを搭載したキャリッジが記録媒体に対して往復移動し、その往復移動の最中に記録ヘッドが記録データに基づいてドットを記録する。この際、ドットを記録するタイミングは、記録媒体に対するキャリッジの位置に基づいて制御される。具体的には、キャリッジには磁気式や光学式のエンコーダが配備されており、このエンコーダがキャリッジの移動方向に沿って周期的なパターンが形成されたエンコーダフィルムを検出し、パターンの検出に伴ってパルスを発生する。
この際、エンコーダフィルムに、互いに位相が1/4周期分だけずれたA相とB相の2つのパターンが形成しておくことにより、記録装置の制御部は、パルスの発生状況からキャリッジ40の速度や移動方向および現在位置を把握することが出来る。そして、これら情報に基づいて、記録ヘッドの駆動パルスを適切なタイミングで生成することが出来る。
但し、一般に高精細な画像が要求される状況においては、エンコーダフィルムに形成されたパターンよりも高い記録解像度で駆動パルスが生成されることが要求される。よって、多くの記録装置では、エンコーダが生成するパルスの周波数を逓倍した周波数で駆動パルスを生成している。
図11は、エンコーダからの出力パルスと、これに基づいて生成される駆動パルスの関係を示すタイミングチャートである。制御部は、エンコーダから出力される連続する2つの立ち上がりタイミング(t0とt1)の間隔T0を計測する。そして、これを記録解像度に応じてn等分し、2回目のパルス立ち上がりタイミングt1から、t=T0/nの間隔でn倍に逓倍した周波数で駆動パルスを生成する。このようにすれば、キャリッジに多少の速度変動が生じてTの実測値が変動しても、駆動パルスの周期tは、その時々に検出されたTに基づいて設定されるので、記録媒体に対し正しい位置にドットを記録することが可能となる。
但し、キャリッジ40の加速時や減速時のように明らかに速度が大きく変動する状況で図11のような駆動制御を行うと、記録ヘッドの駆動タイミングが不安定になり、記録位置ずれが発生してしまう場合がある。例えば、再度図11を参照して説明すると、加速時にはt0とt1の間隔T0よりもt1とt2の間隔T1の方が短くなる。このため、t1のタイミングから、t=T0/nの間隔でn回連続で駆動パルスを発生させると、n回目の駆動が十分に終了しないうちに、次のパルスの立ち上がりがt2で確認されてしまうことがある。そして、そのタイミングt2から、周期t´=T1/nで新たな駆動パルスの生成が開始されると、n番目とn+1番目の間で局所的に駆動の間隔が極端に短くなってしまい、ドットが正常に記録出来ないおそれが生じる。
このような状況に対し、例えば特許文献1には、記録ヘッドが実際に記録動作を行うのは主にキャリッジが等速移動する間であることに着目し、キャリッジが等速移動する間と、加減速移動する間で駆動制御を異ならせる技術が開示されている。具体的には、キャリッジが等速移動を行っている間は、従来のようにエンコーダからの出力パルスが確認されたタイミングt2で次の駆動パルスを発生させる。その一方で、加減速を行っている間は、エンコーダからの出力パルスが確認されても、直前のパルス駆動が完結してから、すなわちt2より遅れて次のパルスを発生するのである。このような特許文献1を採用すれば、低解像度のエンコーダを用いながらも、ドットの記録を安定させた状態で、逓倍による高解像度の記録を行うことが可能となる。
特開2001−063145号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、キャリッジが加速したり減速したりする最中であっても、検出されたTの中で複数の駆動パルスが等間隔に生成される。そのため、速度が変化するキャリッジの実位置と記録ヘッドがドットを記録するべき位置に多少のずれが生じ、そのずれがTの中で徐々に蓄積されていくことになる。結果、特許文献1を採用した場合、ドット自体は記録されるものの、その記録位置が本来の位置からずれてしまい、記録媒体に対し所定の解像度で高精度にドットを記録することが出来ない状況が生じてしまっている。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。よって、その目的とするところは、キャリッジの加減速領域で記録ヘッドが記録動作を行う場合であっても、個々のドットを正確な位置に高精度に記録することが可能な記録装置を提供することである。
そのために本発明は、記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体に対して相対的に移動させながら、前記記録ヘッドにより前記記録媒体にドットを記録する記録装置であって、前記キャリッジが所定の距離だけ移動するごとに信号を発生するエンコーダと、該エンコーダから発生された2つの信号の間に相当する実測された時間Tの間に、前記記録ヘッドを駆動するための複数の駆動パルスを生成する生成手段と、を備え、前記生成手段は、前記複数の駆動パルスを生成する間隔を、前記キャリッジの移動速度の変化に応じて1パルスずつ調整することを特徴とする。
本発明によれば、キャリッジの加速時、減速時および等速移動時のいずれにおいても、駆動パルスの発生間隔を適切に制御することが出来、個々のドットを正確な位置に安定して記録することが可能となる。
本発明に適用可能なシリアル型の記録装置の概略構成図である。 実施例1における駆動タイミング制御の構成を示すブロック図である。 駆動テーブル切り替え位置データを説明するための図である。 駆動テーブル切り替え位置コントローラが実行する工程のフローチャートである。 (a)〜(c)は、複数の駆動テーブルの内容を示す図である。 駆動パルスタイミング生成回路が実行する工程を示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、駆動パルスのタイミングチャートである。 実施例2における駆動タイミング制御の構成を示すブロック図である。 駆動パルスタイミング生成回路が実行する工程を示すフローチャートである。 実施例2における駆動パルスのタイミングチャートである。 エンコーダ出力パルスと駆動パルスを示すタイミングチャートである。
[実施例1]
図1は、本発明に適用可能なシリアル型の記録装置50の記録部の概略構成図である。給紙カセット37に収容されている記録媒体Pは、1枚ずつ記録部に向けてB方向に給紙され、記録ヘッド9による記録可能領域まで搬送される。インクジェット方式の記録ヘッド9を搭載したキャリッジ40は、図のA方向に往復移動し、相対的な移動中に記録媒体Pに1走査分の画像を記録する。記録ヘッド9による1走査分の記録と、1走査分の記録幅に相当する量の記録媒体PのB方向への搬送動作とを交互に行うことにより、記録媒体Pには所定の画像が徐々に形成されて行く。
記録ヘッド9を搭載するキャリッジ40は、キャリッジモータ34の駆動力がキャリッジベルト35を介して伝達されることにより、ガイド軸33に案内支持されながら矢印A方向に往復移動する。この際、キャリッジ40に取り付けられたエンコーダ1が、キャリッジ40の移動方向に沿って延在するエンコーダフィルム36上の周期的なパターンを検出することにより、キャリッジ40のA方向における現在位置が判断される。そして、当該判断に基づいて、記録ヘッド9への駆動パルスの発生タイミングが制御されるようになっている。
図2は、本実施例の記録装置における駆動タイミング制御の構成を示すブロック図である。エンコーダ1から出力されたエンコーダ信号2は、エッジ間隔測定回路3および位置カウンタ27に入力される。エッジ間隔測定回路3は、例えば図11に説明したように、エンコーダ信号のON/OFFを検索し、その立ち上がりタイミングt0、t1、t2・・・より連続する2回の立ち上がりタイミングの間隔T0、T1・・を取得する。そして、これをエッジ間隔データ4として駆動パルスタイミング生成回路5に出力する。本実施例において、実際のエンコーダフィルム36におけるパターンは、互いに位相が1/4周期分だけずれたA相とB相が存在するが、ここでは簡単のため、エッジ間隔測定回路3は、A相の立ち上がりタイミングのみを取得するものとする。但し、このような構成は限定されるものではない。エッジ間隔測定回路3は、A相の立ち上がりと立ち下がりの両エッジを検出しても良いし、A相とB相の両方の両エッジを検出する構成であっても構わない。
一方、エンコーダ信号2の発生回数はキャリッジ40の移動距離に相応することから、位置カウンタ27はこの回数をカウントし、その値を位置カウント信号23として駆動テーブル切り替え位置コントローラ24に出力する。また、駆動テーブル切り替え位置レジスタ26には、後述する駆動テーブルを切り替えるべき位置の情報(具体的には切り替えるべき位置カウント信号値)が記憶されている。駆動テーブル切り替え位置レジスタ26は、当該情報を駆動テーブル切り替え位置データ25として駆動テーブル切り替え位置コントローラ24に提供する。
駆動テーブル切り替え位置コントローラ24は、位置カウンタ27から受信した位置カウント信号23と、駆動テーブル切り替え位置レジスタ26から提供された駆動テーブル切り替え位置データ25を比較する。そして、駆動テーブルを切り替えるタイミングであるか否かを通知する駆動テーブル切り替え信号22を出力する。
図3は、駆動テーブル切り替え位置レジスタ26に記憶されている駆動テーブル切り替え位置データ25を説明するための図である。図において、横軸は、1回分の記録走査を実行する際のキャリッジ40の走査方向における位置を示し、これは位置カウンタ27から出力される位置カウント信号23の値に相当する。縦軸はキャリッジ40の移動速度を示している。
1回分の記録走査を実行する際、キャリッジ40は、キャリッジモータ34によって加速され、所定速度に達すると所定の距離だけその速度が維持され、その後減速されて停止する。すなわち、1回分の記録走査は、加速期間、等速移動期間、減速期間の3つの期間に分類して考えることが出来る。
本実施例では、加速期間、等速移動期間、および減速移動期間の夫々で、異なる駆動テーブルを使用する。そのため、加速から等速移動に移行するタイミング、および等速移動から減速に切り替えるタイミングで、駆動テーブル切り替え信号が発信されるようにしている。つまり、駆動テーブル切り替え位置レジスタ26には、加速から等速移動に移行するタイミングに相当する位置カウント値、および等速移動から減速に切り替えるタイミングに相当する位置カウント値の2つが記憶されている。そして、これらが順番に駆動テーブル切り替え位置コントローラに提供されるようになっている。
図4は、駆動テーブル切り替え位置コントローラ24が記録動作時に実行する工程を説明するためのフローチャートである。記録動作が開始されると、駆動テーブル切り替え位置コントローラ24は、位置カウンタ27より位置カウント信号23が入力される度、その内容を更新する(ステップS10)。そして、ステップS11では、更新した位置カウント信号23を、駆動テーブル切り替え位置レジスタ26から提供された駆動テーブル切り替え位置データ25と比較する。ここで、両者が等しい場合は、駆動パルスタイミング生成回路5に向けて駆駆動テーブル切り替え信号を発信する(ステップS12)。一方、両者が等しくない場合は、まだ駆動テーブルを切り替えるタイミングでは無いと判断し、ステップS10に戻る。
再度図2に戻る。駆動パルスタイミング生成回路5は、駆動パルス周期計算回路10とパルスカウンタ28を利用しながら、駆動テーブル切り替え信号22とエッジ間隔データ4に基づいて、適切なタイミングで複数の駆動パルスタイミング信号6を発信する。具体的に説明すると、駆動パルスタイミング生成回路5は、駆動テーブル切り替え信号22に基づいて、駆動テーブルセレクト信号29を出力する。駆動テーブルセレクト信号29とは駆動テーブル記憶手段12に記憶された複数の駆動テーブルの中から実際に使用するテーブルを切り替えるための信号である。よって、これを受けた駆動テーブル記憶手段12は、切り替え後のテーブルデータを、駆動テーブルデータ11として駆動パルスタイミング生成回路5に提供する。駆動パルスタイミング生成回路5は、駆動パルス周期計算回路10を用い、受信した駆動テーブルデータ11とエッジ間隔データ4とから、複数の駆動パルスを適切な周期で生成する。そして、パルスカウンタ28でカウントしながら、駆動パルスを1つずつヘッド駆動回路7に送信する。駆動パルスタイミング信号6を受信したヘッド駆動回路7は、受信した駆動パルスタイミング信号6に基づいて記録ヘッド9を駆動し、インクを吐出させる。
なお、駆動テーブル記憶手段12に記憶される複数の駆動テーブルデータの内容は、CPU15から出力される駆動テーブルライトデータ14として書き込み可能であり、駆動データリードデータ13として読み出し可能になっている。また、駆動テーブル切り替えレジスタ26に記憶される切り替え位置の情報についても、CPU15から出力される駆動パターン切り替え位置ライトデータ17として書き込み可能であり、駆動パターン切り替え位置リードデータ16として読み出し可能になっている。
図5(a)〜(c)は、駆動テーブル記憶手段12に記憶されている複数の駆動テーブルの内容を示す図である。図5(a)は、キャリッジ40の加速時に選択されるテーブル、同図(b)はキャリッジ40の減速時に選択されるテーブル、同図(c)は等速移動時に選択されるテーブルを夫々示している。本実施例において、駆動タイミング生成回路5は、エッジ間隔データ4から得られる間隔(時間T)の中にn個の駆動パルスを生成する。表は、そのn個のパルス夫々における発信タイミングを算出するための係数αを示している。具体的に説明すると、k番目のパルスを生成する際、駆動パルス周期計算回路10は、エッジ間隔測定回路3から得られる2つのパルスの間隔Tに対し、k番目に該当する係数αを乗算する。これにより、直前の(k−1)番目の駆動パルスを発信したタイミングから、k番目の駆動パルス発信するタイミングまでの周期(t=α×T)を算出する。
ここで、例えば図5(a)に示した加速時のテーブルを参照すると、1〜nの整数の総和をbとするに、1番目のパルスは、エッジ測定回路からエッジ間隔データが入力されてからt=n/b×Tだけ経過したタイミングで発信される。また、2番目のパルスは、1番目のパルスが発信された時点からt=(n−1)/b×Tだけ経過したタイミングで発信される。さらに、最後のn番目のパルスは、(n−1)番目のパルスが発信された時点からt=1/b×Tだけ経過したタイミングで発信される。このように加速時においては、発信される駆動パルスと駆動パルスの間隔が徐々に狭まって行く構成になっている。
一方、図5(b)に示した減速時のテーブルを参照すると、1番目のパルスは、エッジ測定回路からエッジ間隔データが入力されてからt=1/b×Tだけ経過したタイミングで発信される。また、2番目のパルスは、1番目のパルスが発信された時点からt=2/b×Tだけ経過したタイミングで発信される。さらに、最後のn番目のパルスは、(n−1)番目のパルスが発信された時点からt=n/b×Tだけ経過したタイミングで発信される。このように減速時においては、発信される駆動パルスと駆動パルスの間隔は、徐々に広がって行く構成になっている。
これに対し、図5(c)に示した等速移動時のテーブルを参照すると、1番目〜n番目まで、全ての駆動パルスの発信間隔は、t=1/n×Tに等しく統一される。このような3種類のテーブルが、加速時、等速移動時、減速時のそれぞれに応じて駆動パルスタイミング生成回路5に提供される。そして、駆動パルス周期計算回路10がパルスカウンタのカウント値kに基づいて周期tを算出し、算出されたtに従って駆動パルスタイミング生成回路5は、駆動パルスをヘッド駆動回路7に発信する。なお、図5の例では、係数が一次関数的に変化する形態を示しているが、実際には加速や減速時のキャリッジ速度を実測し、その結果に基づいて適切な係数がそれぞれの駆動テーブルに設定されればよい。
図6は、駆動パルスタイミング生成回路5が記録動作時に実行する工程を示すフローチャートである。本処理が開始されると、駆動パルスタイミング生成回路5は、まず、ステップS1にてエッジ間隔測定回路3よりエッジ間隔データ4の入力があったか否かを判断する。エッジ間隔データ4が入力されたと判断すると、ステップS2に進む。
ステップS2では、駆動テーブル切り替え位置コントローラ24より駆動テーブル切り替え信号22の入力があったか否かを判断する。入力を受けていない場合は、現状の駆動テーブルで駆動パルスの生成可能と判断し、ステップS5にジャンプする。一方、駆動テーブル切り替え信号22の入力があった場合はステップS3に進み、駆動テーブルを切り替えるため駆動テーブルセレクト信号29を、駆動テーブル記憶手段12に向けて発信する。
ステップS4では、図5(a)〜(c)のいずれか1つのテーブルを、新たな駆動テーブルデータ11として読み込み更新する。ステップS5では、パルスカウンタのカウント値kを1に設定する。
ステップS6において、駆動パルスタイミング生成回路5は、現在設定されている駆動テーブルデータを参照し、パルスカウンタ28が示すカウンタ値kに対応する係数αを取得する。更にステップS7では、駆動パルス周期計算回路10を用いて、k番目のパルスの周期t、すなわち(k−1)番目のパルスを発生してからk番目のパルスを発生するまでの時間tを算出する。その後、ステップS8にて、ステップS6で算出した周期tに従ってk番目のパルスを発信する。
続くステップS9ではパルスカウンタ28のカウンタ値を1つアップし(k=k+1)、ステップS10ではカウンタ値kが、k>nであるか否かを判断する。k≦nの場合は、次のパルスを生成するためにステップS6に戻る。一方、k>nの場合は、次のエッジ間隔データの処理に移るため、ステップS1に戻る。
図7(a)〜(c)は、駆動パルスタイミング生成回路5が生成する駆動パルスのタイミングチャートである。図7(a)はキャリッジ40の加速時、同図(b)はキャリッジ40の減速時、同図(c)はキャリッジ40の等速移動時をそれぞれ示している。図では、エンコーダ信号のA相、B相、およびA相の連続する2回の立ち上がりタイミングから得られる時間Tより生成されるn個の駆動パルスを示している。
キャリッジ加速時、駆動パルスタイミング生成回路5は、時間差Tと図5(a)に示した駆動テーブルを用い、n個の駆動パルスを発生する。結果、図7(a)にみるように、徐々に間隔が狭まりながらn個の駆動パルスが発信される。キャリッジ減速時、駆動パルスタイミング生成回路5は、時間Tと図5(b)に示した駆動テーブルを用い、n個の駆動パルスを発生する。結果、図7(b)にみるように、徐々に間隔が広がりながらn個の駆動パルスが発信される。キャリッジ40の等速移動時、駆動パルスタイミング生成回路5は、時間Tと図5(c)に示した駆動テーブルを用い、n個の駆動パルスを発生する。結果、図7(c)にみるように、等間隔でn個の駆動パルスが発信される。
以上説明したように本実施例によれば、記録ヘッド9の駆動タイミングを1パルスずつ適切に設定するための駆動パルステーブル12を、キャリッジ40の加速時、減速時および等速移動時で独立に設けている。これにより、キャリッジ40の加速時、減速時および等速移動時のいずれにおいても、駆動パルスの発生間隔を適切に制御することが出来、個々のドットを正確な位置に安定して記録することが可能となる。
[実施例2]
図8は、本実施例の記録装置における駆動タイミング制御の構成を示すブロック図である。実施例1と異なる点は、最小駆動周期設定レジスタ20が備えられていることである。
通常、1つのドットを正常に記録するためには、直前のパルス発生から最低限度必要な時間(最低周期)が存在し、本実施例ではこの値をtminとする。そして、最小駆動周期設定レジスタ20は、この最低周期tminを記憶し、必要に応じて駆動パルスタイミング生成回路5に提供する。なお、この最低限パルス幅tminについても、駆動テーブルや駆動テーブル切り替え位置情報と同様、CPU15から出力される最小駆動周期ライトデータ18として書き込み可能であり、最小駆動周期リードデータ19として読み出し可能とする。本実施例では、駆動パルスタイミング生成回路5が、この最低周期tminを確保しつつ駆動パルスを発生することに特徴がある。
図9は、本実施例において、駆動パルスタイミング生成回路5が記録動作時に実行する工程を示すフローチャートである。本処理が開始されると、駆動パルスタイミング生成回路5は、まず、ステップS21にてエッジ間隔測定回路3よりエッジ間隔データ4の入力があったか否かを判断する。エッジ間隔データ4が入力されたと判断すると、ステップS22に進む。
ステップS22において、駆動パルスタイミング生成回路5は最小周期設定レジスタ20をアクセスし、最小周期tminを取得する。更にステップS23において、駆動パルスタイミング生成回路5は、ステップS21で取得したエッジ間隔データ4の値Tと、ステップS22で取得した最小周期tminから、調整用時間T´=T−n×tminを算出する。ここで、調整用時間T´とは、時間Tにおいて最小周期tminをnパルス分確保した後の残りの時間ととなり、本実施例ではこの時間を用いてn個のパルスの駆動間隔を調整する。
続くステップS24では、T´>0であるか否かを判断する。T´>0の場合、調整用時間T´をn個のパルスに振り分けるためにステップS25へ進む。一方、T´≦0の場合、パルスの周期、すなわち直前のパルスを発生してから注目するパルスを発生するまでの時間tを最小周期tminに固定し(ステップS34)、ステップS31にジャンプする。
ステップS25〜S28は実施例1のステップS2〜S5と同様である。すなわち、駆動テーブル切り替え位置コントローラ24より駆動テーブル切り替え信号22の入力があったか否かを判断し、入力を受けていない場合は、ステップS28にジャンプする。一方、駆動テーブル切り替え信号22の入力があった場合はステップS3に進み、駆動テーブルを切り替えるため駆動テーブルセレクト信号29を、駆動テーブル記憶手段12に向けて発信する。
ステップS27では、駆動テーブル記憶手段12に記憶されている複数のテーブルの中から1つのテーブルを読み込み、これを更新し、更にステップS5では、パルスカウンタのカウント値kを1に設定する。
ステップS29において、駆動パルスタイミング生成回路5は、現在設定されている駆動テーブルデータを参照し、パルスカウンタ28が示すカウンタ値kに対応する係数αを取得する。更にステップS30では、駆動パルス周期計算回路10を用いて、k番目のパルスの周期t、すなわち(k−1)番目のパルスを発生してからk番目のパルスを発生するまでの時間tを算出する。具体的には、選択された駆動パルステーブルにおいて、k番目のパルスのための係数をα(k)とすると、この係数を調整用時間T´に乗算した値に最低周期tminを加算し、t=tmin+α(k)×T´を得る。その後、ステップS31にて、ステップS30で算出した周期tに従ってk番目のパルスを発信する。
続くステップS32ではパルスカウンタ28のカウンタ値を1つアップし(k=k+1)、ステップS33ではカウンタ値kが、k>nであるか否かを判断する。k≦nの場合は、次のパルスを生成するためにステップS29に戻る。一方、k>nの場合は、次のエッジ間隔データの処理に移るため、ステップS21に戻る。以上で本処理が終了する。
図10は、駆動パルスタイミング生成回路5が生成する駆動パルスのタイミングチャートである。ここではキャリッジ40の減速時のタイミングチャートを示している。個々のパルスは、最小周期tminを確保しながら、徐々にその間隔が増えていることがわかる。
以上説明した本実施例によれば、実施例1と同様の駆動パルス駆動テーブル12を、キャリッジ40の加速時、減速時および等速移動時で独立に設けながらも、最小駆動周期設定レジスタ20より、時々に必要な最低周期tminを取得している。これにより、キャリッジ40の加速時、減速時および等速移動時のいずれにおいても、最低周期tminを確保しながら駆動パルスの発生間隔を適切に制御することが出来、個々のドットを正確な位置に安定して記録することが可能となる。
なお、以上では図5(a)〜(c)に示したように、個々のパルスの生成タイミングを算出するためのパラメータとして、時間Tに対する係数αを記憶する駆動テーブルを用意したが、本発明はこのようなテーブル構成に限定されるものではない。例えば、実測された時間Tとパルス順番kの組み合わせから、周期tが直接取得できるようなテーブルとしても良い。
P 記録媒体
1 エンコーダ
3 エッジ間隔測定回路
5 駆動タイミング生成回路
9 記録ヘッド
36 エンコーダフィルム
40 キャリッジ
50 記録装置

Claims (10)

  1. 記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体に対して相対的に移動させながら、前記記録ヘッドにより前記記録媒体にドットを記録する記録装置であって、
    前記キャリッジが所定の距離だけ移動するごとに信号を発生するエンコーダと、
    該エンコーダから発生された2つの信号の間に相当する実測された時間Tの間に、前記記録ヘッドを駆動するための複数の駆動パルスを生成する生成手段と
    を備え、
    前記生成手段は、前記複数の駆動パルスを生成する間隔を、前記キャリッジの移動速度の変化に応じて1パルスずつ調整することを特徴とする記録装置。
  2. 前記生成手段は、前記時間Tと、前記複数の駆動パルスのそれぞれに対応するパラメータが予め記憶されている駆動テーブルとに基づいて、前記複数の駆動パルスを生成する間隔を調整することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記パラメータは前記時間Tに対する係数であり、前記生成手段は前記時間Tに前記係数を乗算することにより、前記複数の駆動パルスを生成する間隔を調整することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記生成手段は、前記時間Tと、前記複数の駆動パルスのそれぞれに対応するパラメータが予め記憶されている駆動テーブルと、前記駆動パルスを生成する間隔の最低限度である最低周期とに基づいて、前記複数の駆動パルスを生成する間隔を調整することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  5. 前記パラメータは、前記時間Tから前記複数の駆動パルスの分の前記最低周期を差し引いた調整用時間に対する係数であり、前記生成手段は前記調整用時間に前記係数を乗算した値に前記最低周期を加算することにより、前記複数の駆動パルスを生成する間隔を調整することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記キャリッジを移動させるために、前記キャリッジを加速し、所定速度に達すると該所定速度を維持し、さらに前記キャリッジを減速することにより、前記相対的な移動を行う移動手段を更に備え、
    前記生成手段は、前記キャリッジの加速期間と、前記所定速度を維持する等速移動期間と、前記キャリッジの減速期間とで、前記駆動テーブルを切り替えることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の記録装置。
  7. 前記エンコーダが発生する前記信号の立ち上がりの回数をカウントするカウント手段を更に備え、前記生成手段は、前記カウント手段のカウント値に応じて、前記駆動テーブルを切り替えることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  8. 前記駆動テーブルの複数を記憶する第1の記憶手段と、前記駆動テーブルを切り替えるための前記カウント値を記憶する第2の記憶手段と、を更に備え、
    前記第1の記憶手段に記憶される前記駆動テーブルおよび前記第2の記憶手段に記憶される前記カウント値は、書き換え可能であることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
  9. 前記加速期間で使用される前記駆動テーブルでは、前記時間Tの間に生成される前記複数の駆動パルスの間隔が徐々に短くなるように前記パラメータが定められており、
    前記等速移動期間で使用される前記駆動テーブルでは、前記時間Tの間に生成される前記複数の駆動パルスの間隔が等間隔になるように前記パラメータが定められており、
    前記減速期間で使用される前記駆動テーブルでは、前記時間Tの間に生成される前記複数の駆動パルスの間隔が徐々に長くなるように前記パラメータが定められていることを特徴とする請求項6または7に記載の記録装置。
  10. 記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体に対して相対的に移動させながら、前記記録ヘッドにより前記記録媒体にドットを記録する記録方法であって、
    前記キャリッジが所定の距離だけ移動するごとに信号をエンコーダから発生する工程と、
    前記エンコーダから発生された2つの信号の間に相当する実測された時間Tの間に、前記記録ヘッドを駆動するための複数の駆動パルスを生成する生成工程と
    を有し、
    前記生成工程では、前記複数の駆動パルスを生成する間隔を、前記キャリッジの移動速度の変化に応じて1パルスずつ調整することを特徴とする記録方法。
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