JP2015128007A - 太陽光採光システム及び展示システム - Google Patents

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Yukio Taniguchi
口 幸 夫 谷
正 弘 波多野
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正 弘 波多野
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Abstract

【課題】鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を明るく照明することが可能な太陽光採光システムを提供する。【解決手段】太陽光採光システム1は、太陽光を取り込んで所定の空間、例えば部屋92に導くものである。太陽光採光システム1は、取り込んだ太陽光の光路を調整する光路調整手段30を備える。光路調整手段30は、当該太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、取り込まれた太陽光の光路を調整する。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光を採光する太陽光採光システムに係り、とりわけ、鉛直方向に対して傾斜した方向を明るく照明可能な太陽光採光システムに関する。また、本発明は、この太陽光採光システムを備えた展示システムに関する。
例えば特許文献1に開示されているように、店舗の屋上または天井から太陽光を採光する「天窓構造」あるいは「トップライト構造」とも呼ばれる太陽光採光システムの開発が進められている。太陽光採光システムは、COの削減に寄与し、また直接的に省エネルギーを実現することができるシステムとして、注目を浴びている。
特許文献1に記載の太陽光採光システムは、屋根に設置された採光手段と、採光手段で採光された太陽光を出射する出射面を有する光路調整手段と、を有している。出射面は、光拡散板として構成されている。このため、特許文献1に記載の太陽光採光システムによれば、店舗内の空間の広範囲をムラなく照らすことができる。
特開平05−295863号公報
ところで、店舗には、互いに離間して複数の商品棚が並べられ、隣り合う商品棚の間に通路が設けられている。商品棚に並べられた商品を視やすくし、以て、顧客が商品を買い求めやすくするためには、太陽光採光システムから店舗内の空間へ、鉛直方向に対して傾斜した光を多く出射して、通路よりも商品棚を明るく照明した方が好ましい。しかしながら、従来の太陽光採光システムの出射面は、光拡散板として構成されているため、店舗内の空間の広範囲をムラなく照らしてしまう。したがって、従来の太陽光採光システムでは、通路よりも商品棚を明るく照明することはできない。
なお、店舗に限られず、例えば事務所や住宅等の一般の建物においても、太陽光採光システムから建物内の空間へ、鉛直方向に対して傾斜した光を多く出射して、床よりも壁を明るく照明する方が好ましい場合がある。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を明るく照明することが可能な太陽光採光システム及びこの太陽光採光システムを備えた展示システムを提供することを目的とする。
なお、従来の太陽光採光システムにおいて、採光された太陽光を出射する出射面を構成する光拡散板の拡散機能を弱めることも考えられる。しかしながら、この場合、季節または時間帯によって変動する太陽の位置に応じて、店舗内の空間の明るく照明される範囲が変化してしまう。この点、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、太陽光採光システムが、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を安定して明るく照明することができればさらに都合がよい。
本発明による第1の太陽光採光システムは、太陽光を取り込んで所定の空間に導く太陽光採光システムであって、
取り込んだ太陽光の前記空間への出射方向を調整する光路調整手段を備え、
前記光路調整手段は、当該太陽光採光システムから前記空間への出射光が、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、取り込まれた太陽光の光路を調整する。
本発明による第1の太陽光採光システムにおいて、当該太陽光採光システムから前記空間への出射光が、鉛直方向に対して傾斜した複数の方向に光度のピークを持ってもよい。
本発明による第2の太陽光採光システムは、太陽光を取り込んで所定の空間に導く太陽光採光システムであって、
取り込んだ太陽光の前記空間への出射方向を調整する光路調整手段を備え、
当該太陽光採光システムから前記空間への出射光を、鉛直方向に平行な各平面内の各方向から計測したときに、最も大きい値を示す光度の向きが鉛直方向となす角度の大きさを配光角とすると、鉛直方向に平行な或る平面内で鉛直方向に対して前記配光角の大きさだけ傾斜した方向から計測される前記出光面の光度の値が、前記最も大きい光度の値の1/2よりも小さい。
本発明による第1または第2の太陽光採光システムにおいて、太陽光を取り込み、取り込んだ少なくとも一部の太陽光の進行方向を、前記光路調整手段に向かうように変更させる採光手段をさらに備えてもよい。
本発明による第1または第2の太陽光採光システムにおいて、前記光路調整手段は、当該光路調整手段に特定方向から入射する光の前記空間への出射方向を、当該太陽光採光システムから前記空間への出射光の光度のピークとなる方向に変更し、
前記採光手段は、第1の入射方向から入射する太陽光の進行方向を変更して、変更後の進行方向が前記特定方向に沿うようにし、且つ、第1の入射方向とは異なる第2の入射方向から入射する太陽光の進行方向を変更して、変更後の進行方向が前記特定方向に沿うようにしてもよい。
本発明による第1または第2の太陽光採光システムにおいて、前記採光手段は、シート状の採光本体部と、前記採光本体部に設けられ、当該採光本体部から突出する複数の採光単位プリズム要素と、を含む採光シートを有していてもよい。
本発明による第1または第2の太陽光採光システムにおいて、前記複数の採光単位プリズム要素のうちの少なくとも1つの採光単位プリズム要素は、少なくとも1つの他の採光単位プリズム要素と異なる形状を有していてもよい。
本発明による第1または第2の太陽光採光システムにおいて、前記複数の採光単位プリズム要素は、前記採光本体部の入光側面上に配列された複数の第1採光単位プリズム要素と、
前記採光本体部の出光側面上に配列された複数の第2採光単位プリズム要素と、
を有し、
各第1採光単位プリズム要素は、太陽光が入射する入射面と、当該入射面に入射した太陽光を前記光路調整手段に向けて反射させる反射面と、を有し、
各第2採光単位プリズム要素は、入射する太陽光を前記光路調整手段に向けて屈折させる屈折面を有していてもよい。
本発明による第1または第2の太陽光採光システムにおいて、前記採光手段は、前記採光シートから離間して配置された反射部材をさらに有し、
前記反射部材は、太陽光を当該採光シートに向けて反射させ、当該太陽光を前記採光シートに導いてもよい。
本発明による第1または第2の太陽光採光システムにおいて、前記採光手段と前記光路調整手段との間を延びるようにして、前記採光手段と前記光路調整手段とに接続された導光手段をさらに備え、前記導光手段は、前記採光手段によって取り込まれた太陽光を前記光路調整手段に導いてもよい。
本発明による第1または第2の太陽光採光システムにおいて、前記光路調整手段は、シート状の調整本体部と、
前記調整本体部に設けられ、当該調整本体部から突出する複数の調整単位プリズム要素と、を有し、
前記複数の調整単位プリズム要素は、前記調整本体部のシート面への法線方向と平行な特定方向から入射する光の進行方向を、当該太陽光採光システムから前記空間への出射光の光度のピークとなる方向に曲げてもよい。
本発明による展示システムは、前記いずれかの特徴を有する第1または第2の太陽光採光システムと、
前記空間内に配置された展示装置と、を備え、
前記太陽光採光システムから前記空間への出射光が、前記展示装置に向かう方向に光度のピークを持つ。
本発明による展示システムにおいて、前記展示装置に対向して配置された第2展示装置をさらに備え、
前記展示装置及び前記第2展示装置は、前記太陽光採光システムから前記空間への出射光が出射される出光面の鉛直方向における下方となる位置を間に挟むようにして配置され、
前記太陽光採光システムから前記空間への出射光が、前記第2展示装置に向かう方向に第2の光度のピークを持ってもよい。
本発明によれば、太陽光採光システムから所定の空間への出射光が、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、太陽光採光システムに取り込まれた太陽光の光路が調整されるため、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を明るく照明することができる。また、本発明によれば、太陽光採光システムに取り込まれた太陽光を利用するため、省エネルギー及びCOの削減に貢献することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、太陽光採光システムが取り付けられた展示システムを模式的に示す縦断面図である。 図2は、太陽光採光システムの要部を示す概略斜視図である。 図3は、図1に示す太陽光採光システムの採光手段を示す正面図である。 図4は、図3に示す点線Aで囲まれた領域を拡大して示す図であって、第1採光単位プリズム要素を示す正面図である。 図5は、図3に示す点線Bで囲まれた領域を拡大して示す図であって、第2採光単位プリズム要素を示す正面図である。 図6は、図3に示す点線Cで囲まれた領域を拡大して示す図であって、第2採光単位プリズム要素を示す正面図である。 図7は、図1に示す太陽光採光システムの光路調整手段を拡大して示す正面図である。 図8は、ある時間帯での、鉛直方向及び第1方向の両方に平行な面内の各方向から計測された、太陽光採光システムから部屋内への出射光の光度の分布を示すグラフである。 図9は、ある時間帯での、鉛直方向及び第2方向の両方に平行な面内の各方向から計測された、太陽光採光システムから部屋内への出射光の光度の分布を示すグラフである。 図10は、光路調整手段の調整単位プリズム要素の他の構成例を示す正面図である。 図11は、光路調整手段の調整単位プリズム要素のさらに他の構成例を示す正面図である。 図12は、図2に対応する図であって、採光手段の他の形態を示す斜視図である。 図13は、シミュレーション対象とした太陽光採光システムのモデルを示す斜視図であり、(a)は、太陽光採光システムが取り付けられた建物を模式的に示す図であり、(b)は、太陽光採光システムの要部を示す図である。 図14は、シミュレーションした太陽光採光システムの別のモデルを示す斜視図であり、(a)は、太陽光採光システムが取り付けられた建物を模式的に示す図であり、(b)は、太陽光採光システムの要部を示す図である。 図15は、図13に示すモデルに対して、採光手段に入射した光量に対する、各調査対象となる平面に到達する光の光量の割合を実際にシミュレーションした結果を示す図である。このうち、図15(a)は、冬至の南中時における太陽の位置の条件にてシミュレーションした図であり、図15(b)は、春分の南中時における太陽の位置の条件にてシミュレーションした図であり、図15(c)は、夏至の南中時における太陽の位置の条件にてシミュレーションした図である。 図16は、図14に示すモデルに対して、採光手段に入射した光量に対する、各調査対象となる平面に到達する光の光量の割合を実際にシミュレーションした結果を示す図である。このうち、図16(a)は、冬至の南中時における太陽の位置の条件にてシミュレーションした図であり、図16(b)は、春分の南中時における太陽の位置の条件にてシミュレーションした図であり、図16(c)は、夏至の南中時における太陽の位置の条件にてシミュレーションした図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図1〜図16においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。図1〜図16は、本発明による一実施の形態及びその変形例を説明するための図である。このうち、図1は、太陽光採光システム及び展示システムの全体構成を説明するための図である。
太陽光採光システム1は、太陽光を取り込んで所定の空間、例えば部屋92に導く採光手段10と、取り込んだ太陽光の部屋92への出射方向を調整する光路調整手段30と、採光手段10と光路調整手段30との間を延びるようにしてこれらに接続された導光手段20と、を備えている。以下に説明する例では、図1に示すように、建物90の屋根91から導光手段20が延び出して、当該延び出した先端に採光手段10が支持されている。そして、採光手段10で採光された光は、導光手段20を介して光路調整手段30まで案内され、光路調整手段30から壁94で区画された部屋92に出射光Lが照射されるようになっている。
このような太陽光採光システム1によれば、採光手段10で採光した光を室内照明光として用いることができる。すなわち、この太陽光採光システム1を用いることにより、省エネルギーを直接的に実現することができ、また、COの削減にも貢献し得る。とりわけ、ここで説明する太陽光採光システム1によれば、以下に詳述するように、鉛直方向に対して傾斜した方向を安定して明るく照明することができる。以下、このような太陽光採光システム1をなす各構成要素について詳述していく。
先ず、採光手段10について図2及び図3を参照して説明する。図2は、太陽光採光システム1の要部を示す概略斜視図である。図3は、図1に示す太陽光採光システム1の採光手段10を示す正面図である。採光手段10は、季節や時間帯に応じて入射方向が変動する太陽光を安定して取り込むために設けられている。本実施の形態の採光手段10は、太陽光を取り込み、取り込んだ少なくとも一部の太陽光の進行方向を光路調整手段30に向かうように変更する。とりわけ、図3に示す採光手段10は、水平面に平行となるように配置されている。そして、図3に示す採光手段10は、季節により、または朝夕と昼間との間で太陽の高度が変化しても、安定して太陽光を取り込むことができるよう構成されている。
具体的な構成として、図2及び図3に示すように、採光手段10は、シート状の採光本体部12と、採光本体部12に設けられ、当該採光本体部12から突出する複数の採光単位プリズム要素13と、を含む採光シート11を有している。
なお、本明細書における「単位プリズム」とは、屈折や反射等の光学的作用を光に及ぼして、当該光の進行方向を変化させる機能を有した要素のことを意味し、呼称の違いのみに基づいて、「単位要素」、「単位形状要素」、「単位光学要素」および「単位レンズ」といった要素から区別されるものではない。
このうち、採光本体部12は、入光側面12a及び出光側面12bを含むシートとして形成され、一定の厚みを有している。採光本体部12は、採光単位プリズム要素13とともに、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、アクリルスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等の高い光透過性を有した樹脂から形成され得る。一例として、採光本体部12及び採光単位プリズム要素13をなす樹脂の屈折率は、1.45〜1.65程度に調整される。
一方、複数の採光単位プリズム要素13は、図3に示すように、採光本体部12の入光側面12a上に配列された複数の第1採光単位プリズム要素14と、採光本体部12の出光側面上に配列された複数の第2採光単位プリズム要素15と、を有している。入光側に配列された複数の第1採光単位プリズム要素14が設けられている領域と、出光側に配列された複数の第2採光単位プリズム要素15が設けられている領域とは、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1、すなわち鉛直方向からみて、互いにずれている。これにより、入光側面12a上に配置された第1採光単位プリズム要素14によって偏向された太陽光が、出光側面12b上に配置された第2採光単位プリズム要素15に入射することを抑制することができる。図示する例では、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1からみて、複数の第1採光単位プリズム要素14同士が互いに隣り合うように並べられ、複数の第2採光単位プリズム要素15同士も互いに隣り合うように並べられている。すなわち、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1からみて、複数の第1採光単位プリズム要素14と複数の第2採光単位プリズム要素15とは、交互に並べられていない。
ここで、本明細書において、「シート面」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(フィルム状部材、板状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。以下の説明では、採光本体部12のシート面12cは、採光本体部12の入光側面12a及び出光側面12bと平行となっている。添付された各図において、採光本体部12の出光側面12bを、採光本体部12のシート面12cとして図示する。
第1採光単位プリズム要素14は、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対して大きく傾斜した光を全反射させることを意図されている。図2に示すように、複数の第1採光単位プリズム要素14は、採光本体部12の入光側面12a上に、採光本体部12のシート面12c内を直線状に延びる配列方向に沿って並べて配列されている。本実施の形態では、第1採光単位プリズム要素14の配列方向が南北を直線状に結ぶ第1方向d1となす角度は、当該配列方向が東西を直線状に結ぶ第2方向d2となす角度よりも小さくなっている。図示する例では、第1採光単位プリズム要素14の配列方向は、第1方向d1に平行となっている。
そして、各第1採光単位プリズム要素14は、採光本体部12のシート面12c内を配列方向に交差する方向に延びる長手方向に沿って延びている。本実施の形態では、第1採光単位プリズム要素14の長手方向が東西を直線状に結ぶ第2方向d2となす角度は、当該配列方向が南北を直線状に結ぶ第1方向d1となす角度よりも小さくなっている。図示する例では、第1採光単位プリズム要素14の長手方向は、第2方向d2に平行となっている。
図4に、第1採光単位プリズム要素14を拡大して示す。図4に示すように、各第1採光単位プリズム要素14は、当該第1採光単位プリズム要素14の長手方向、すなわち第2方向d2に直交する断面において、三角形形状となっており、入光側に突出した頂部14aを有している。上述のように、第1採光単位プリズム要素14は、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が大きい太陽光L21を反射させ、当該太陽光L21の進行方向が、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が小さくなるように変更させる機能をもつ。この第1採光単位プリズム要素14による反射は、第1採光単位プリズム要素14をなす樹脂の屈折率と、第1採光単位プリズム要素14周囲の空気層の屈折率と、の相違に基づいた全反射である。
とりわけ、少なくとも1つの第1採光単位プリズム要素14は、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が大きい第1の入射方向Y1から入射する太陽光L21の進行方向を、所定の特定方向Xに沿うように変更させる。ここで、特定方向Xとは、後述する光路調整手段30に入射した光が、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lの光度のピークとなる方向に曲げられるようになる場合の、光路調整手段30への入射方向と平行な方向をいう。図示する例では、後述するように、特定方向Xは、鉛直方向と平行であり、ゆえに、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1とも平行である。
図4に示すように、第1採光単位プリズム要素14は、太陽光が入射する入射面14bと、入射面14bを透過した太陽光を全反射させて当該第1採光単位プリズム要素14から採光本体部12内に入射させる反射面14cと、を含んでいる。図示する例では、入射面14bが、太陽側となる一側、すなわち南北における南側に面している。また、反射面14cが、太陽の反対側となる他側、すなわち南北における北側に面している。さらに、入射面14bは、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対して他側に傾斜し、反射面14cは、前記法線方向nd1に対して一側に傾斜している。
第1採光単位プリズム要素14の反射面14cが採光本体部12のシート面12cに対してなす角度である反射面角度θ1は、少なくとも1つの他の第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1と異なっている。本実施の形態では、第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1は、任意の他の第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1と異なっている。各第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1は、季節や時間帯に応じて太陽の位置が変動しても、光路調整手段30への太陽光の入射方向の変動が小さくなるように、決定される。本実施の形態では、採光手段10への入射角度が法線に対して40°〜80°である太陽光を偏向することを意図して、各第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1を決定している。
図3に示す例では、第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1は、当該第1採光単位プリズム要素14が配置された第1方向d1における位置に応じて変化していく。本実施の形態では、任意の一つの第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1は、当該一つの第1採光単位プリズム要素14よりも第1方向d1に沿って一側に配置された他の第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1よりも小さい。もっとも、任意の一つの第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1は、当該一つの第1採光単位プリズム要素14よりも第1方向d1に沿って一側に配置された他の第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1よりも大きくてもよい。
ただし図4に示す例に限られず、製造の容易さを考慮して、反射面角度θ1が異なる複数の種類の第1採光単位プリズム要素14を形成してもよい。あるいは、全ての第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1を同一にしてもよい。
なお、図3に示す例では、第1採光単位プリズム要素14の長手方向に直交する断面において、第1採光単位プリズム要素14が三角形形状となっている例を示したが、第1採光単位プリズム要素14の形状は、上述した形状に限定されない。第1採光単位プリズム要素14は、その入射面14bや反射面14cが湾曲していてもよく、両者は曲面をなすように繋がっていてもよい。また、反射面14cには反射層が形成されていてもよい。
次に、第2採光単位プリズム要素15について詳述する。第2採光単位プリズム要素15は、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対して大きく傾斜していない光を屈折させることを意図されている。図2に示すように、複数の第2採光単位プリズム要素15は、採光本体部12の出光側面12b上に、採光本体部12のシート面12c内を延びる配列方向に沿って並べて配列されている。本実施の形態では、第2採光単位プリズム要素15の配列方向が南北を直線状に結ぶ第1方向d1となす角度は、当該配列方向が東西を直線状に結ぶ第2方向d2となす角度よりも小さくなっている。図示する例では、第2採光単位プリズム要素15の配列方向は、第1採光単位プリズム要素14の配列方向と平行になっている。
そして、各第2採光単位プリズム要素15は、採光本体部12のシート面12c内を配列方向に交差する方向に延びる長手方向に沿って延びている。本実施の形態では、第2採光単位プリズム要素15の長手方向が東西を直線状に結ぶ第2方向d2となす角度は、当該配列方向が南北を直線状に結ぶ第1方向d1となす角度よりも小さくなっている。図示する例では、第2採光単位プリズム要素15の長手方向は、第1採光単位プリズム要素14の長手方向と平行になっている。
図5及び図6に、第2採光単位プリズム要素15を拡大して示す。図5及び図6に示すように、各第2採光単位プリズム要素15は、当該第2採光単位プリズム要素15の長手方向、すなわち第2方向d2に直交する断面において、三角形形状となっており、入光側に突出した頂部15aを有している。本実施の形態の第2採光単位プリズム要素15は、入射する太陽光L22を屈折させ、当該太陽光L22の進行方向を、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が小さくなるように変更させる機能をもつ。この第2採光単位プリズム要素15による屈折は、第2採光単位プリズム要素15をなす樹脂の屈折率と、第2採光単位プリズム要素15周囲の空気層の屈折率と、の相違に基づく。
とりわけ、図5に示すように、少なくとも1つの第2採光単位プリズム要素15は、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が大きくはない第2の入射方向Y2から入射する太陽光L22の進行方向を、鉛直方向に平行な特定方向Xに沿うように変更させる。さらに、本実施の形態では、図6に示すように、少なくとも1つの別の第2採光単位プリズム要素15は、前記法線方向nd1に対してなす角度が大きくはない第3の入射方向Y3から入射する太陽光L23の進行方向を、鉛直方向に平行な特定方向Xに沿うように変更させる。なお、第3の入射方向Y3が前記法線方向nd1に対してなす角度は、第2の入射方向Y2が前記法線方向nd1に対してなす角度よりも大きく、第1の入射方向Y1が前記法線方向nd1に対してなす角度よりも小さい。
図5及び図6に示すように、第2採光単位プリズム要素15は、採光本体部12に入射した太陽光L22、L23を、光路調整手段30に向けて偏向させる屈折面15cと、屈折面15cと採光本体部12の出光側面12bとの間を延びる立上面15bと、を含んでいる。図示する例では、立上面15bが第1方向d1に関して一側に位置しており、屈折面15cが第1方向d1に関して他側に位置している。さらに、屈折面15cは、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対して一側に傾斜している。
第2採光単位プリズム要素15の屈折面15cが採光本体部12のシート面12cに対してなす角度である屈折面角度θ2は、少なくとも1つの他の第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2と異なっている。本実施の形態では、第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2は、任意の他の第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2と異なっている。各第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2は、季節や時間帯に応じて太陽の位置が変動しても、光路調整手段30への太陽光の入射方向の変動が小さくなるように、決定される。本実施の形態では、採光手段10への入射角度が法線に対して10°〜40°である太陽光を偏向することを意図して、各第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2を決定している。
図3に示す例では、第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2は、当該第2採光単位プリズム要素15が配置された第1方向d1における位置に応じて変化していく。本実施の形態では、任意の一つの第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2は、当該一つの第2採光単位プリズム要素15よりも第1方向d1に沿って一側に配置された他の第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2よりも大きい。もっとも、任意の一つの第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2は、当該一つの第2採光単位プリズム要素15よりも第1方向d1に沿って一側に配置された他の第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2よりも小さくてもよい。
ただし図5に示す例に限られず、製造の容易さを考慮して、屈折面角度θ2が異なる複数の種類の第2採光単位プリズム要素15を形成してもよい。あるいは、全ての第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2を同一にしてもよい。
なお、図4及び図5に示す例では、第2採光単位プリズム要素15の長手方向に直交する断面において、第2採光単位プリズム要素15が三角形形状となっている例を示したが、第2採光単位プリズム要素15の形状は、上述した形状に限定されない。第2採光単位プリズム要素15は、その立上面15bが傾いていてもよく、また立上面15bや屈折面15cが湾曲していてもよく、両者が曲面をなすように繋がっていてもよい。
なお、採光手段10の採光シート11の入光側及び出光側の少なくとも一方に、透明シートが積層されてもよい。これにより、採光手段10の採光機能を維持しながら、熱や紫外線、水分、湿度などに対する耐性を高めることができる。好ましくは、採光手段10の採光シート11の入光側及び出光側の両方に、透明シートが積層される。
このような採光手段10によって取り込まれた太陽光は、導光手段20によって光路調整手段30に案内される。図1及び図2に示すように、導光手段20は、軸方向に沿って延びる中空のダクト21を含んでいる。本実施の形態のダクト21は、前記特定方向X、すなわち鉛直方向に沿って延びている。上述のように、ダクト21は、建物90の屋根91から延び出して、当該延び出した上端で採光手段10を支持している。一方、ダクト21の内面21aの下部に囲まれる空間内に、光路調整手段30が設けられている。
図示する例では、ダクト21の軸方向に直交する断面において、当該ダクト21は、中空の多角形状、具体的には中空の矩形の断面形状を有している。ただし、このような例に限定されず、ダクト21は、中空の円形乃至楕円形の断面形状を有してもよい。また、ダクトを介さず、採光手段10と光路調整手段30が接していてもよい。
このようなダクト21の内面21aは、光を反射する機能、好ましくは、光を正反射、すなわち鏡面反射する機能を有し、これにより、内部を通る光がその内面21aで反射して案内される。このようなダクト21として、例えば、銀やアルミ等の高反射率材料によって内面をコートされた金属製板材を用いて作製され得る。
次に、採光手段10によって取り込まれた太陽光を出射する光路調整手段30について説明する。光路調整手段30は、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を安定して明るく照明するために設けられている。本実施の形態の光路調整手段30は、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、採光手段10によって取り込まれた太陽光の光路を調整する。
具体的な構成として、図2に示すように、光路調整手段30は、シート状の調整本体部32と、調整本体部32に設けられ、当該調整本体部32から突出する複数の調整単位プリズム要素33と、を含む光路調整シート31を有している。このうち調整単位プリズム要素33は、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2から入射する光の進行方向を、当該法線方向nd2に対して傾斜した方向に変更させるように機能する。とりわけ、本実施の形態では、調整本体部32のシート面32cは、水平面と平行になっており、ゆえに、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2は、鉛直方向と平行になっている。したがって、調整単位プリズム要素33は、鉛直方向から入射する光の進行方向を、鉛直方向に対して傾斜した方向に変更させるように機能する。
光路調整手段30を構成する調整本体部32は、入光側面32a及び出光側面32bを含むシートとして形成され、一定の厚みを有している。調整本体部32の出光側面32bによって、光路調整手段30の出光面30aが形成されている。図示された実施の形態では、光路調整手段30の出光面30aは、平滑面となっている。なお、ここでいう「平滑」とは、光学的な意味合いでの平滑を意味するものである。すなわち、ここでは、或る程度の割合の可視光帯域の透過光が、スネルの法則を満たしながら屈折するようになる程度を意味している。したがって、例えば、出光側面71bの十点平均粗さRz(JISB0601)が最短の可視光波長(0.38μm)以下となっていれば、十分、平滑に該当する。また、以下の説明では、調整本体部32のシート面32cは、調整本体部32の入光側面32a及び出光側面32bと平行となっている。添付された各図において、調整本体部32の出光側面32bを、調整本体部32のシート面32cとして図示する。
このような調整本体部32は、調整単位プリズム要素33とともに、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、アクリルスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等の高い光透過性を有した樹脂から形成され得る。一例として、調整本体部32及び調整単位プリズム要素33をなす樹脂の屈折率は、1.45〜1.65程度に調整される。
一方、複数の調整単位プリズム要素33は、図2に示すように、調整本体部32の入光側面32a上に配置されている。複数の調整単位プリズム要素33は、調整本体部32上に隙間無く配列され、光路調整手段30の入光面を形成している。上述のように、調整単位プリズム要素33は、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2から入射する光の進行方向を、当該法線方向に対して傾斜した方向に変更させる屈折プリズムとして機能する。図2に示すように、複数の調整単位プリズム要素33は、調整本体部32の入光側面32a上に、調整本体部32のシート面32c内を直線状に延びる配列方向に沿って並べて配列されている。本実施の形態では、調整単位プリズム要素33の配列方向は、第1採光単位プリズム要素14の配列方向及び第2採光単位プリズム要素15の配列方向と平行になっている。そして、各調整単位プリズム要素33は、採光本体部12のシート面12c内を配列方向に交差する方向に延びる長手方向に沿って延びている。本実施の形態では、調整単位プリズム要素33の長手方向は、第1採光単位プリズム要素14の長手方向及び第2採光単位プリズム要素15の長手方向となっている。
図7に、調整単位プリズム要素33を拡大して示す。図7に示すように、各調整単位プリズム要素33は、当該調整単位プリズム要素33の長手方向、すなわち第2方向d2に直交する断面において、三角形形状となっており、入光側に突出した頂部33aを有している。上述のように、調整単位プリズム要素33は、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2から入射する光の進行方向を、当該法線方向に対して傾斜した方向に変更させる機能をもつ。この調整単位プリズム要素33による屈折は、調整単位プリズム要素33をなす樹脂の屈折率と、調整単位プリズム要素33周囲の空気層の屈折率と、の相違に基づく。具体的な構成として、調整単位プリズム要素33は、採光手段10によって取り込まれた太陽光を、鉛直方向に対して傾斜した方向に向けて偏向させる一対の屈折面33b、33cを含んでいる。図示する例では、第1方向d1に関して一側に配置された屈折面33bが、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2から入射する太陽光L31を、鉛直方向に対して他側に傾斜した方向に向けて偏向させ、第1方向d1に関して他側に配置された屈折面33cが、前記法線方向nd2から入射する太陽光L32を、鉛直方向に対して一側に傾斜した方向に向けて偏向させるようになっている。
調整単位プリズム要素33の一方の屈折面33bが調整本体部32のシート面32cに対してなす角度である屈折面角度θ3は、他の調整単位プリズム要素33の屈折面角度θ3と等しくなっている。ただし、調整単位プリズム要素33の屈折面角度θ3は、他の調整単位プリズム要素33の屈折面角度θ3と異なっていてもよい。同様に、調整単位プリズム要素33の他方の屈折面33cが調整本体部32のシート面32cに対してなす角度である屈折面角度θ4は、他の調整単位プリズム要素33の屈折面角度θ4と等しくなっている。ただし、調整単位プリズム要素33の屈折面角度θ4は、他の調整単位プリズム要素33の屈折面角度θ4と異なっていてもよい。とりわけ、図7に示す例では、調整単位プリズム要素33の屈折面角度θ4は、調整単位プリズム要素33の屈折面角度θ3と等しくなっている。したがって、図7に示す調整単位プリズム要素33は、第2方向d2に直交する断面において、二等辺三角形形状となっている。
なお、図7に示す例では、調整単位プリズム要素33の長手方向に直交する断面において、調整単位プリズム要素33が三角形形状となっている例を示したが、調整単位プリズム要素33の形状は、上述した形状に限定されない。調整単位プリズム要素33は、その屈折面33bや屈折面33cは湾曲していてもよい。
上述のように、第1方向d1に関して一側に配置された屈折面33bが、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2から入射する太陽光L31を、鉛直方向に対して他側に傾斜した方向に向けて偏向させ、第1方向d1に関して他側に配置された屈折面33cが、前記法線方向nd2から入射する太陽光L32を、鉛直方向に対して一側に傾斜した方向に向けて偏向させる。したがって、本実施の形態の光路調整手段30によれば、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して第1方向d1の一側及び他側に傾斜した2つの方向に光度のピークを持つように、取り込まれた太陽光の光路を調整することができる。上述のように、特定方向Xとは、光路調整手段30に入射する光が、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lの光度のピークとなる方向に曲げられる場合の、光路調整手段30への入射方向と平行な方向をいう。したがって、本実施の形態の特定方向Xは、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2と平行であり、ゆえに、鉛直方向とも平行である。
図8に、ある時間帯での、鉛直方向及び第1方向d1の両方に平行な面内の各方向から計測された出光面30aから出射する光の光度の分布を示す。また、図9に、ある時間帯での、鉛直方向及び第2方向d2の両方に平行な面内の各方向から計測された出光面30aから出射する光の光度の分布を示す。図8及び図9に示すグラフにおいて、横軸に、出光面30aから出射する光の光度を計測した方向が、鉛直方向に対してなす角度(°)を示し、縦軸に、この光の光度を計測した方向における光度の値(cd)を示す。なお、図8及び図9に示すグラフの横軸では、鉛直方向に対して一側に傾斜した方向に向かう光の光度を計測する場合を正の値で示し、鉛直方向に対して他側に傾斜した方向に向かう光の光度を計測する場合を負の値で示す。
図8及び図9に示すグラフから理解されるように、出光面30aから出射する光の光度のピークは、鉛直方向に対して第1方向d1の一側及び他側に傾斜した2つの方向となる。図8に示すグラフから理解されるように、出光面30aから出射する光の光度の最も大きい値Iv1を示す方向は、鉛直方向に対して第1方向d1の一側に傾斜した方向である。この出光面30aから出射する光の光度の最も大きい値Iv1を示す方向が鉛直方向となす角度の大きさを配光角α1とする。図9に示すグラフから理解されるように、鉛直方向及び第2方向d2の両方に平行な平面内で、鉛直方向に対して配光角α1の大きさだけ傾斜した方向から計測された出光面30aの光度の値Iv2は、最も大きいピークの値Iv1の1/2よりも小さい。すなわち、鉛直方向に平行な或る平面内で鉛直方向に対して配光角α1の大きさだけ傾斜した方向から計測される出光面30aの光度の値Iv2が、最も大きい値Iv1の1/2よりも小さい、という平面が存在する。このような形態によれば、出光面30aから鉛直方向に対して配光角α1の大きさだけ傾斜した環状の領域において、明るく照明される領域と、明るく照明されない領域と、が画定される。したがって、明るく照明される位置に照射対象物、例えば展示装置2を配置することにより、照射対象物を選択的に明るく照明することができる。とりわけ、照射対象物として商品棚を配置した場合、商品棚に並べられた商品を視やすくし、以て、顧客が商品を買い求めやすくすることができる。
なお、光路調整手段30の光路調整シート31の入光側及び出光側の少なくとも一方に、透明シートが積層されてもよい。これにより、光路調整手段30の光路調整機能を維持しながら、熱や紫外線、湿度等に対する耐性を高めることができる。好ましくは、光路調整手段30の光路調整シート31の入光側及び出光側の両方に、透明シートが積層される。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
冬季や朝や夕方の時間帯において、太陽の高度は比較的低い。上述のように、採光手段10の採光本体部12のシート面12cは、水平面に平行となっている。このため、太陽光は、採光手段10の採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対して大きく傾斜した方向から採光手段10に入射する。図3及び図4に示すように、このような、前記法線方向nd1に対してなす角度が大きい太陽光L21が第1採光単位プリズム要素14に入射すると、当該第1採光単位プリズム要素14で全反射する。具体的には、太陽光L21は、第1採光単位プリズム要素14の入射面14bを透過して反射面14cに到達すると、当該反射面14cにて全反射する。上述のように、少なくとも1つの第1採光単位プリズム要素14は、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が大きい第1の入射方向Y1から入射する太陽光L21の進行方向を、特定方向Xに沿うように変更させる。したがって、全反射した太陽光L21の多くは、特定方向Xに概ね沿って光路調整手段30に向かっていく。
特定方向Xに概ね沿って光路調整手段30に入射した太陽光L31、L32は、調整単位プリズム要素33によって、鉛直方向に対して傾斜した方向に偏向させられる。具体的には、第1方向d1に関して一側に配置された屈折面33bに入射した太陽光L31は、鉛直方向に対して他側に傾斜した方向に向けて偏向させられ、第1方向d1に関して他側に配置された屈折面33cに入射した太陽光L32は、鉛直方向に対して一側に傾斜した方向に向けて偏向させられる。この結果、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lの光度のピークが、鉛直方向に対して傾斜した2つの方向となるように形成される。これにより、出光面30aの中央から光の光度のピークとなる方向に沿った位置に配置された照射対象物が選択的に明るく照明される。
一方、夏季、特に昼間の時間帯においては、太陽の高度は比較的高い。このため、太陽光は、採光手段10の採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対して大きく傾斜していない方向から採光手段10に入射する。このような、前記法線方向nd1に対してなす角度が大きくない太陽光L22、L23が第2採光単位プリズム要素15に入射すると、当該第2採光単位プリズム要素15で、当該法線方向nd1に対してなす角度がより小さくなるように偏向させられる。本実施の形態では、図5及び図6に示すように、少なくとも1つの第2採光単位プリズム要素15は、前記法線方向nd1に対してなす角度が大きくはない第2の入射方向Y2から入射する太陽光L22の進行方向を、前記法線方向ndに平行な特定方向Xに沿うように変更させる。したがって、偏向された太陽光L22の多くは、特定方向Xに概ね沿って光路調整手段30に向かっていく。
特定方向Xに概ね沿って光路調整手段30に入射した太陽光L31、L32は、調整単位プリズム要素33によって、鉛直方向に対して傾斜した方向に偏向させられる。具体的には、第1方向d1に関して一側に配置された屈折面33bに入射した太陽光L31は、鉛直方向に対して他側に傾斜した方向に向けて偏向させられ、第1方向d1に関して他側に配置された屈折面33cに入射した太陽光L32は、鉛直方向に対して一側に傾斜した方向に向けて偏向させられる。この結果、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lの光度のピークが、鉛直方向に対して傾斜した2つの方向となるように形成される。これにより、出光面30aの中央から光の光度のピークとなる方向に沿った位置に配置された照射対象物が選択的に明るく照明される。
以上のように、本実施の形態によれば、光路調整手段30は、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、取り込まれた太陽光の光路を調整する。このような形態によれば、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を明るく照明することができる。したがって、明るく照明される領域に照射対象物を配置することにより、照射対象物を選択的に明るく照明することができる。とりわけ、照射対象物として商品棚を配置した場合、商品棚に並べられた商品を視やすくし、以て、顧客が商品を買い求めやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した複数の方向に光度のピークを持つ。このような形態によれば、鉛直方向に対して傾斜した複数の方向を明るく照明することができる。したがって、明るく照明される各領域に照射対象物を配置することにより、照射対象物を選択的に明るく照明することができる。とりわけ、照射対象物として商品棚を配置した場合、商品棚に並べられた商品を視やすくし、以て、顧客が商品を買い求めやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、太陽光を取り込み、取り込んだ少なくとも一部の太陽光の進行方向を、光路調整手段30に向かうように変更させる採光手段10をさらに備えている。このような形態によれば、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、当該太陽光を安定して取り込んで光路調整手段30に向かわせることができる。この結果、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を安定して明るく照明することができる。
また、本実施の形態によれば、光路調整手段30は、当該光路調整手段30に特定方向Xから入射する光の光路を、当該太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lの光度のピークとなる方向に曲げ、採光手段10は、第1の入射方向Y1から入射する太陽光の進行方向を変更して、変更後の進行方向が特定方向Xに沿うようにし、且つ、第1の入射方向Y1とは異なる第2の入射方向Y2から入射する太陽光の進行方向を変更して、変更後の進行方向が特定方向Xに沿うようにする。このような形態によれば、一の時間帯に第1の入射方向Y1から採光手段10に入射する太陽光を、採光手段10によって特定方向Xに沿うように曲げ、さらに、光路調整手段30によって、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lの光度のピークとなる方向に曲げることができる。また、他の時間帯に第2の入射方向Y2から採光手段10に入射する太陽光を、採光手段10によって特定方向Xに沿うように曲げ、さらに、光路調整手段30によって、当該太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lの光度のピークとなる方向に曲げることができる。したがって、少なくとも2つの時間帯において、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を極めて安定して明るく照明することができる。
また、本実施の形態によれば、採光手段10は、シート状の採光本体部12と、採光本体部12に設けられ、当該採光本体部12から突出する複数の採光単位プリズム要素13と、を有している。このような形態によれば、季節や時間帯に応じて入射方向が変動する太陽光を安定して取り込んで光路調整手段30に向かわせる採光手段10を、構造の複雑化を回避しながら容易に実現することができる。
とりわけ、本実施の形態によれば、複数の採光単位プリズム要素13は、採光本体部12の入光側面12a上に配列された複数の第1採光単位プリズム要素14と、採光本体部12の出光側面12b上に配列された複数の第2採光単位プリズム要素15と、を有し、 各第1採光単位プリズム要素14は、太陽光が入射する入射面14bと、当該入射面14bに入射した太陽光を光路調整手段30に向けて反射させる反射面14cと、を有し、各第2採光単位プリズム要素15は、入射する太陽光を光路調整手段30に向けて屈折させるようになっている。このような形態によれば、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が大きい太陽光L21を、第1採光単位プリズム要素14によって反射させ、当該太陽光L21の進行方向が、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が小さくなるように変更させることができる。一方、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対して大きく傾斜していない太陽光L22を、第2採光単位プリズム要素15によって屈折させ、当該太陽光L22の進行方向を、採光本体部12のシート面12cへの法線方向nd1に対してなす角度が小さくなるように変更させることができる。この結果、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、採光手段10によって光路調整手段30への入射方向の変動を抑制することができる。これにより、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、光路調整手段30によって太陽光の光路を安定して導くことができる。結果として、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を安定して明るく照明することができる。
また、本実施の形態によれば、第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1は、任意の他の第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1と異なっている。この場合、太陽の光度の変化に合わせて、各第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1を決定することができる。この結果、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、採光手段10によって光路調整手段30への入射方向の変動を効果的に抑制することができる。これにより、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、光路調整手段30によって太陽光の光路を極めて安定して導くことができる。結果として、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を極めて安定して明るく照明することができる。
また、本実施の形態によれば、第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2は、任意の他の第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2と異なっている。この場合、太陽の光度の変化に合わせて、各第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2を決定することができる。この結果、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、採光手段10によって光路調整手段30への入射方向の変動を効果的に抑制することができる。これにより、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、光路調整手段30によって太陽光の光路を極めて安定して導くことができる。結果として、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を極めて安定して明るく照明することができる。
また、本実施の形態によれば、光路調整手段30は、シート状の調整本体部32と、当該調整本体部32に設けられ、当該調整本体部32から突出する複数の調整単位プリズム要素33と、を有し、複数の調整単位プリズム要素33は、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2に平行な特定方向Xから入射する光の進行方向を、当該太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lのピークとなる方向に曲げるようになっている。このような形態によれば、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を安定して明るく照明する光路調整手段30を、構造の複雑化を回避しながら容易に実現することができる。
また、本実施の形態によれば、採光手段10と光路調整手段30との間を延びるようにして、採光手段10と光路調整手段30とに接続された導光手段20をさらに備え、導光手段20は、採光手段10によって取り込まれた太陽光を光路調整手段30に案内する。このような形態によれば、採光手段10によって取り込まれた太陽光を、導光手段20を介して光路調整手段30に案内することができるため、より多くの光を光路調整手段30に導くことができる。これにより、光路調整手段30から部屋92へより多くの太陽光を導くことができ、結果として、太陽光採光システム1に取り込まれた太陽光を効率良く活用することができる。
ところで、図1には、上述した機能をもつ太陽光採光システム1を、展示システム100に適用した例が示されている。展示システム100は、部屋92内に配置された展示装置2と、当該展示装置2と間隔を空けて当該展示装置2に対向して配置された第2展示装置3と、を備えている。展示装置2及び第2展示装置3は、光路調整手段30の出光面30aの鉛直方向における下方となる位置を間に挟むようにして配置されている。光路調整手段30の出光面30aの鉛直方向における下方となる位置には、通路93が設けられており、通路93は、展示装置2と第2展示装置3とに挟まれている。さらに、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、展示装置2に向かう方向に第1の光度のピークを持ち、第2展示装置3に向かう方向に第2の光度のピークを持つ。
このような展示システム100によれば、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、展示装置2、3に向かう方向に光度のピークを持つため、展示装置2、3を選択的に明るく照明することができる。これにより、展示装置2、3に並べられた展示品を視やすくするとともに、展示品を目立たせることができる。
さらに、展示システム100によれば、展示装置2及び第2展示装置3は、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが出射される出光面30aの鉛直方向における下方となる位置を間に挟むようにして配置され、出射光Lが、第2展示装置3に向かう方向に第2の光度のピークを持っている。この場合、互いに間隔を空けて対向する展示装置2及び第2展示装置3の各々を明るく照明すると共に、当該一対の展示装置2、3の間に設けられた通路93を相対的に暗くすることができる。この結果、太陽光採光システム1に取り込まれた太陽光を有効に活用することができる。
とりわけ、展示装置2及び第2展示装置3を効果的に照明する観点から、調整単位プリズム要素33の配列方向が、展示装置2と第2展示装置3との対向する方向に対してなす角度の大きさは、0°以上且つ45°未満となることが好ましい。図1において、調整単位プリズム要素33の配列方向は、展示装置2と第2展示装置3との対向する方向に平行となっている。
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態では、光路調整手段30の出光面30aが平滑面で形成されている例を示したが、出光面30aの構成は、上述した構成に限定されない。出光面30aから出射する光の光度のピークが鉛直方向に対して傾斜した方向となる範囲で、出光面30aに拡散機能を付与してもよい。好ましくは、出光面30aから出射する光の光度の最も大きい値Iv1を示す方向が鉛直方向となす角度の大きさを配光角α1としたときに、鉛直方向に平行な或る平面内で鉛直方向に対して配光角α1の大きさだけ傾斜した方向から計測される出光面30aの光度の値Iv2が、光度の最も大きい値Iv1の1/2よりも小さい、という平面が存在する範囲で出光面30aに拡散機能を付与するのがよい。例えば出光面30aにエンボス加工により凹凸を形成することにより、出光面30aの拡散機能が得られる。あるいは、出光面30aに拡散機能を付与する例に限定されず、光路調整手段30の調整本体部32に拡散成分を分散させて、光路調整手段30に拡散機能を付与してもよい。さらに別の例として、光路調整手段30の出光側に、さらに拡散シートを設けてもよい。
また、上述した実施の形態では、図7に示すように、複数の調整単位プリズム要素33が、調整本体部32の入光側面32a上に並べて配列された例を示したが、調整単位プリズム要素33の構成は、上述した構成に限定されない。図10及び図11に、調整単位プリズム要素33の他の構成例を示す。図10に示す例では、複数の調整単位プリズム要素33は、調整本体部32の出光側面32b上に、第1方向d1に平行な配列方向に沿って並べて配列された複数の第1調整単位プリズム要素34からなる。複数の第1調整単位プリズム要素34は、調整本体部32上に隙間無く配列され、光路調整手段30の出光面30aを形成している。
各第1調整単位プリズム要素34は、当該第1調整単位プリズム要素34の長手方向、すなわち第2方向d2に直交する断面において、三角形形状となっており、出光側に突出した頂部34aを有している。第1調整単位プリズム要素34は、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2、すなわち特定方向Xから入射する光の進行方向を、当該法線方向に対して傾斜した方向に変更させる反射プリズムとして機能する。この第1調整単位プリズム要素34による反射は、第1調整単位プリズム要素34をなす樹脂の屈折率と、第1調整単位プリズム要素34周囲の空気層の屈折率と、の相違に基づいた全反射である。具体的には、第1調整単位プリズム要素34は、採光手段10によって取り込まれた太陽光L33、L34を、鉛直方向に対して傾斜した方向に向けて反射させる一対の反射面34b、34cを含んでいる。
このような形態であっても、第1方向d1に関して一側に配置された反射面34bが、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2から入射する太陽光L33を、鉛直方向に対して他側に傾斜した方向に向けて反射させ、第1方向d1に関して他側に配置された反射面34cが、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2から入射する太陽光L34を、鉛直方向に対して一側に傾斜した方向に向けて反射させることができる。したがって、図10に示す光路調整手段30によれば、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して第1方向d1の一側及び他側に傾斜した2つの方向に光度のピークを持つように、取り込まれた太陽光の光路を調整することができる。
あるいは、図11に示す例では、複数の調整単位プリズム要素33は、調整本体部32の出光側面32b上に配列されている。複数の調整単位プリズム要素33は、第1方向d1における一側に配置された複数の第2調整単位プリズム要素35と、第1方向d1における他側に配置された複数の第3調整単位プリズム要素36と、を含んでいる。各第2調整単位プリズム要素35及び各第3調整単位プリズム要素36は、それぞれの長手方向、すなわち第2方向d2に直交する断面において、三角形形状となっており、入光側に突出した頂部35a、36aを有している。
具体的には、第1方向d1における一側に配置された第2調整単位プリズム要素35は、採光手段10によって取り込まれた太陽光を、鉛直方向に対して傾斜した方向に向けて偏向させる屈折面35bと、屈折面35bと調整本体部32の入光側面32aとの間を延びる立上面35cと、を含んでいる。屈折面35bは、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2に対して他側に傾斜している。図示する例では、屈折面35bが第1方向d1に関して一側に位置しており、立上面35cが第1方向d1に関して他側に位置している。
一方、第1方向d1における他側に配置された第3調整単位プリズム要素36は、採光手段10によって取り込まれた太陽光を、鉛直方向に対して傾斜した方向に向けて偏向させる屈折面36cと、屈折面36cと調整本体部32の入光側面32aとの間を延びる立上面36bと、を含んでいる。屈折面36cは、調整本体部32のシート面32cへの法線方向nd2に対して一側に傾斜している。図示する例では、立上面36bが第1方向d1に関して一側に位置しており、屈折面36cが第1方向d1に関して他側に位置している。
このような形態であっても、図11に示すように、前記法線方向nd2に対して他側に傾斜した第2調整単位プリズム要素35の屈折面35bが、当該法線方向nd2に平行な特定方向Xから入射する太陽光L35を、鉛直方向に対して他側に傾斜した方向に向けて偏向させ、前記法線方向nd2に対して一側に傾斜した第3調整単位プリズム要素36の屈折面36cが、当該法線方向nd2に平行な特定方向Xから入射する太陽光L36を、鉛直方向に対して一側に傾斜した方向に向けて偏向させることができる。したがって、図11に示す光路調整手段30によっても、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して第1方向d1の一側及び他側に傾斜した2つの方向に光度のピークを持つように、取り込まれた太陽光の光路を調整することができる。
また、上述した実施の形態では、図7に示すように、複数の調整単位プリズム要素33が、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した2つの方向に光度のピークを持つ例を示したが、このような例に限定されない。例えば、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した1つの方向に光度のピークを持ってもよい。この場合、例えば、各調整単位プリズム要素33を、上述した第2調整単位プリズム要素35または第3調整単位プリズム要素36のいずれか一方のみから構成すればよい。あるいは、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した3つ以上の方向に光度のピークを持ってもよい。この場合、例えば、各調整単位プリズム要素33を、調整本体部32から突出する角錐状のプリズムで構成すればよい。とりわけ、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して傾斜した4つの方向に光度のピークを持つ場合、例えば、各調整単位プリズム要素33を、調整本体部32から突出する四角錐状のプリズムで構成すればよい。さらに別の例として、太陽光採光システム1から部屋92への出射光Lが、鉛直方向に対して所定の角度だけ傾斜した各方向に光度のピークを持ってもよい。この場合、例えば、複数の調整単位プリズム要素33を、調整本体部32から突出する円錐状のプリズムで構成すればよい。
また、上述した実施の形態では、図1に示すように、太陽光採光システム1は、太陽と採光シート11とを結ぶ方向から入射した太陽光を主として採光する例を示したが、太陽光を取り込む採光手段10の形態は、上述した形態に限定されない。図12に、採光手段10の他の形態を示す。図12に示す例では、採光手段10は、採光シート11から離間して配置された反射部材18をさらに有している。反射部材18は、太陽光を採光シート11に向けて反射させ、当該太陽光を採光シート11に導くようになっている。図示する例では、反射部材18は、屋根91(図1参照)に支持されている。反射部材18は、一定の向きで屋根91に固定されていてもよいし、それ自体既知の駆動機構によって可動に屋根91に支持されていてもよい。反射部材18が可動に屋根91に支持されている場合、太陽の位置に応じて、反射部材18の位置または向きを変更させることができる。これにより、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、太陽光を採光シート11に安定して導くことができる。
このような反射部材18は、光を反射する機能、好ましくは、光を正反射、すなわち鏡面反射する機能を有し、これにより、太陽光を反射して採光シート11に導くことができる。このような反射部材18として、例えば、銀等の高反射率材料によってコートされた金属製板材や鏡を採用することができる。
反射部材18によれば、太陽光を採光シート11に向けて反射させることで、より多くの太陽光を採光シート11に導くことができる。この結果、太陽光の採光効率を向上させることができる。とりわけ、反射部材18が可動に屋根91に支持されている場合、太陽の位置に応じて、反射部材18の位置または向きを変更させることができる。これにより、季節や時間帯に応じて太陽光の入射方向が変動しても、太陽光を採光シート11により安定して導くことができる。
また、上述した実施の形態では、図2に示すように、採光本体部12のシート面12cは、水平面と平行な平面になっている例を示したが、採光本体部12のシート面12cの形態は、上述した形態に限定されない。例えば、採光本体部12のシート面12cは、水平面に対して傾斜した平面であってもよい。あるいは、採光本体部12のシート面12cは、入光側に凸な屈曲面あるいは曲面であってもよい。例えば、入光側に凸な屈曲面として、鉛直方向に平行な断面において三角形形状の屈曲面が挙げられ、例えば、入光側に凸な曲面として、鉛直方向に平行な断面において楕円形状の曲面が挙げられる。このような形態によれば、太陽の高度が低い場合に、採光手段10に入射する太陽光の光量を増大させることができ、より多くの太陽光を光路調整手段30に向けて取り込むことができる。
また、上述した実施の形態では、図2に示すように、採光手段10を構成する採光シート11と、光路調整手段30を構成する光路調整シート31とが、互いに離間して配置された例を示したが、これらの配置は、上述した配置に限定されない。例えば、採光手段10を構成する採光シート11と、光路調整手段30を構成する光路調整シート31とが、接合層を介して接合されていてもよい。あるいは、採光手段10と光路調整手段30とが、一体の部材として構成されていてもよい。この場合、例えば、シート状の光学シートの入光側に、採光手段をなす複数の採光単位プリズム要素が配列され、当該光学シートの出光側に、光路調整手段をなす複数の調整単位プリズム要素が配列され得る。
次に、本件発明者らが行ったシミュレーション結果について図13及び図14を参照して説明する。図13は、シミュレーション対象とした太陽光採光システム1のモデルを示す斜視図である。図13に示すシミュレーションモデルでは、図2から図9を参照して説明した太陽光採光システム1の構成に対応している。図14は、シミュレーションした太陽光採光システムの別のモデルを示す斜視図である。
各モデルの寸法は、図13または図14に示す通りである。図13に示されていない寸法等は以下のように設定した。
採光手段10に関して、各第1採光単位プリズム要素14の反射面14cの反射面角度θ1を、57.3°とし、入射面14bが採光本体部12のシート面12cに対してなす角度を77.7°とし、各第2採光単位プリズム要素15の屈折面15cの屈折面角度θ2を、24.2°とした。なお、モデルの簡略化のために、各第1採光単位プリズム要素14の反射面角度θ1を同一にし、各第2採光単位プリズム要素15の屈折面角度θ2を同一にした。採光本体部12をなす樹脂材料は、屈折率1.50のものを使用した。一方、光路調整手段30に関して、各調整単位プリズム要素33の屈折面33b、33cの屈折面角度θ3、θ4を60°とした。調整本体部32をなす樹脂材料は、屈折率1.50のものを使用した。また、導光手段20に関して、ダクト21の内面21aは、反射率90%の鏡とした。
図14に示すモデルは、図13に示すモデルに対して、採光手段10の採光シート11の代わりに、屈折率1.50からなるガラス板110を用い、光路調整手段30を構成する光路調整シート31を省いた形態に対応している。
以上のモデルに対して、次の条件で、採光手段に入射した光量に対する、各調査対象となる平面に到達する光の光量の割合をシミュレーションした。調査対象となる平面として、部屋92を区画する、第1方向d1における一側面92a、水平面に平行な床面92b及び第1方向d1における他側面92cを採用した。光の入射角度は、時刻を南中時とし、季節を冬至、春分または夏至としてそれぞれ調査した。表1に、採光手段10に入射した光の光量に対する、各平面に到達する光の光量の割合をシミュレーションした結果を示す。さらに、冬至、春分及び夏至の南中時における太陽の位置の条件にて、図13に示すモデルに対して実際にシミュレーションした結果を示す図を、それぞれ、図15(a)、図15(b)及び図15(c)に示す。また、冬至、春分及び夏至の南中時における太陽の位置の条件にて、図14に示すモデルに対して実際にシミュレーションした結果を示す図を、それぞれ、図16(a)、図16(b)及び図16(c)に示す。
Figure 2015128007
表1に示すように、図13に示すモデルでは、冬至、春分及び夏至のいずれにおいても、鉛直方向における下方に位置する床面92bよりも鉛直方向に対して傾斜した領域に位置する一側面92a及び他側面92cを、大きな光量の変動もなく安定して明るく照明することができた。すなわち、図13に示すモデルでは、季節に応じて太陽光の入射方向が変動しても、鉛直方向よりも鉛直方向に対して傾斜した方向を安定して明るく照明することができた。
一方、図14に示すモデルでは、冬至、春分においては、鉛直方向における下方に位置する床面92bよりも鉛直方向に対して傾斜した領域に位置する一側面92a及び他側面92cを明るく照明することができたが、一側面と他側面の明るさが大きく異なってしまった。また、夏至においては、鉛直方向における下方に位置する床面92bが最も明るくなってしまった。また、図14に示すモデルでは、冬至、春分及び夏至の間で、床面92b、一側面92a及び他側面92cのそれぞれに到達する光量の割合の変動も大きくなってしまった。
1 太陽光採光システム
2 展示装置
3 第2展示装置
10 採光手段
11 採光シート
12 採光本体部
12a 入光側面
12b 出光側面
12c シート面
13 採光単位プリズム要素
14 第1採光単位プリズム要素
14b 入射面
14c 反射面
15 第2採光単位プリズム要素
15c 屈折面
18 反射部材
20 導光手段
30 光路調整手段
30a 出光面
31 光路調整シート
32 調整本体部
32c シート面
33 調整単位プリズム要素
33b、33c 屈折面
34〜36 第1〜3調整単位プリズム要素
92 部屋(空間)
100 展示システム
α1 配光角
Y1〜Y3 第1〜3の入射方向
L 出射光
X 特定方向

Claims (13)

  1. 太陽光を取り込んで所定の空間に導く太陽光採光システムであって、
    取り込んだ太陽光の前記空間への出射方向を調整する光路調整手段を備え、
    前記光路調整手段は、当該太陽光採光システムから前記空間への出射光が、鉛直方向に対して傾斜した方向に光度のピークを持つように、取り込まれた太陽光の光路を調整する、太陽光採光システム。
  2. 当該太陽光採光システムから前記空間への出射光が、鉛直方向に対して傾斜した複数の方向に光度のピークを持つ、請求項1に記載の太陽光採光システム。
  3. 太陽光を取り込んで所定の空間に導く太陽光採光システムであって、
    取り込んだ太陽光の前記空間への出射方向を調整する光路調整手段を備え、
    当該太陽光採光システムから前記空間への出射光を、鉛直方向に平行な各平面内の各方向から計測したときに、最も大きい値を示す光度の向きが鉛直方向となす角度の大きさを配光角とすると、鉛直方向に平行な或る平面内で鉛直方向に対して前記配光角の大きさだけ傾斜した方向から計測される前記出光面の光度の値が、前記最も大きい光度の値の1/2よりも小さい、太陽光採光システム。
  4. 太陽光を取り込み、取り込んだ少なくとも一部の太陽光の進行方向を、前記光路調整手段に向かうように変更させる採光手段をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽光採光システム。
  5. 前記光路調整手段は、当該光路調整手段に特定方向から入射する光の前記空間への出射方向を、当該太陽光採光システムから前記空間への出射光の光度のピークとなる方向に変更し、
    前記採光手段は、第1の入射方向から入射する太陽光の進行方向を変更して、変更後の進行方向が前記特定方向に沿うようにし、且つ、第1の入射方向とは異なる第2の入射方向から入射する太陽光の進行方向を変更して、変更後の進行方向が前記特定方向に沿うようにする、請求項4に記載の太陽光採光システム。
  6. 前記採光手段は、シート状の採光本体部と、前記採光本体部に設けられ、当該採光本体部から突出する複数の採光単位プリズム要素と、を含む採光シートを有している、請求項4または5に記載の太陽光採光システム。
  7. 前記複数の採光単位プリズム要素のうちの少なくとも1つの採光単位プリズム要素は、少なくとも1つの他の採光単位プリズム要素と異なる形状を有している、請求項6に記載の太陽光採光システム。
  8. 前記複数の採光単位プリズム要素は、前記採光本体部の入光側面上に配列された複数の第1採光単位プリズム要素と、
    前記採光本体部の出光側面上に配列された複数の第2採光単位プリズム要素と、
    を有し、
    各第1採光単位プリズム要素は、太陽光が入射する入射面と、当該入射面に入射した太陽光を前記光路調整手段に向けて反射させる反射面と、を有し、
    各第2採光単位プリズム要素は、入射する太陽光を前記光路調整手段に向けて屈折させる屈折面を有している、請求項6または7に記載の太陽光採光システム。
  9. 前記採光手段は、前記採光シートから離間して配置された反射部材をさらに有し、
    前記反射部材は、太陽光を前記採光シートに向けて反射させ、当該太陽光を前記採光シートに導く、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の太陽光採光システム。
  10. 前記採光手段と前記光路調整手段との間を延びるようにして、前記採光手段と前記光路調整手段とに接続された導光手段をさらに備え、
    前記導光手段は、前記採光手段によって取り込まれた太陽光を前記光路調整手段に案内する、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の太陽光採光システム。
  11. 前記光路調整手段は、シート状の調整本体部と、
    前記調整本体部に設けられ、当該調整本体部から突出する複数の調整単位プリズム要素と、を有し、
    前記複数の調整単位プリズム要素は、前記調整本体部のシート面への法線方向と平行な特定方向から入射する光の進行方向を、当該太陽光採光システムから前記空間への出射光の光度のピークとなる方向に曲げる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の太陽光採光システム。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載された太陽光採光システムと、
    前記空間内に配置された展示装置と、を備え、
    前記太陽光採光システムから前記空間への出射光が、前記展示装置に向かう方向に光度のピークを持つ、展示システム。
  13. 前記展示装置に対向して配置された第2展示装置をさらに備え、
    前記展示装置及び前記第2展示装置は、前記太陽光採光システムから前記空間への出射光が出射される出光面の鉛直方向における下方となる位置を間に挟むようにして配置され、
    前記太陽光採光システムから前記空間への出射光が、前記第2展示装置に向かう方向に第2の光度のピークを持つ、請求項12に記載の展示システム。
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