JP2015120831A - ポリマー、非線形光学材料用組成物、非線形光学材料、光導波路および光制御デバイス - Google Patents

ポリマー、非線形光学材料用組成物、非線形光学材料、光導波路および光制御デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】非線形光学効果、耐熱性、絶縁耐圧、透明性、パッシベーション膜を形成する際に用いる溶剤への耐溶剤性に優れた非線形光学材料を形成し得るポリマー、該ポリマーを含む非線形光学材料用組成物、該非線形光学材料用組成物を硬化してなる非線形光学材料、該非線形光学材料を用いた光導波路、および該光導波路を備えた光制御デバイスの提供。【解決手段】互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する特定構造の化合物(Y)と;互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物(Z)と;化合物(Y)および化合物(Z)からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有し、かつ非線形光学効果を発現する有機化合物(B)との、少なくとも脱ハロゲン化水素縮合反応を含む反応により生成した縮合物からなるポリマーを用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、非線形光学材料を形成し得るポリマー、該ポリマーを含む非線形光学材料用組成物、該非線形光学材料用組成物を固化してなる非線形光学材料、該非線形光学材料を用いた光導波路、および該光導波路を備えた光制御デバイスに関する。
非線形光学効果を利用した光制御デバイスとして、光変調素子、光スイッチ等が知られている。非線形光学効果とは、物質に強電場(光電場)を加えた際に生じた電気分極と加えた電場との間で非線形な関係を示す現象である。非線形光学材料とは、このような非線形性を顕著に示す材料である。
二次の非線形応答を利用した非線形光学材料としては、第二高調波(SHG:Second Harmonic Generation)を発生する材料や、電場の一次に比例して屈折率変化を引き起こすポッケルス効果(一次電気光学効果)、いわゆる電気光学効果(EO効果)を示す材料等が知られている。
該光制御デバイスに用いられる非線形光学材料としては、光制御デバイスの製造プロセスが簡便である、大面積化が容易である等の点から、有機高分子のマトリックス中に、非線形光学効果を発現する有機化合物が分散し、かつ電場配向処理によって配向した非線形光学材料(いわゆる電気光学ポリマー)が注目されている。
該非線形光学材料には、下記の(i)〜(v)の特性が要求される。
(i)非線形光学効果に優れた材料であること。
(ii)マトリックスのガラス転移温度(Tg)が低いと、強制的に配向された非線形光学効果を発現する有機化合物の配向が緩和し、非線形光学効果が低下する点から、マトリックスのTgが充分に高い、すなわち耐熱性に優れた材料であること。
(iii)マトリックス中に、非線形光学効果を発現する有機化合物を電場配向処理によって配向させる際、印加される電圧が高いほど、非線形光学効果に優れる。材料の絶縁耐圧が低い場合、電場配向処理の際にショート(短絡)を起こすため、絶縁耐圧の高い材料であること。
(iv)光伝送損失が小さい点から、使用波長(1.3μm帯または1.5μm帯)における透明性が優れた材料であること。
(v)光制御デバイス等の表面にパッシベーション膜(表面保護膜)を形成するために、ポリイミド溶液を塗布することがあるため、ポリイミド溶液の溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンに溶解しにくい材料であること。
(i)〜(iv)の特性に優れた非線形光学材料を形成し得る組成物としては、下記のものが提案されている(特許文献1)。
架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(J1)、
架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(J2)、ならびに
架橋性官能基および炭素数8以下のハロアルキル基置換芳香環を有する化合物(J3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(J)と、
下式(K)で表される化合物(K)と、
フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(L)とを、
脱ハロゲン化水素剤の存在下に縮合反応させて得られた含フッ素ポリアリーレンプレポリマーと、
非線形光学効果を発現する有機化合物とを含む、非線形光学材料用組成物。
Figure 2015120831
ただし、rは、0〜3の整数であり、xおよびyは、それぞれ独立に0〜3の整数であり、Rfは、炭素数8以下のフルオロアルキル基であり、Rfは、炭素数8以下のフルオロアルキル基であり、芳香環内のFは、該芳香環の水素原子がすべてフッ素原子で置換されていることを表す。
国際公開第2013/154078号
ところで、最近では、耐熱性がさらに優れる非線形光学材料が必要とされることがある。そこで、耐熱性がさらに優れる非線形光学材料を形成できる非線形光学材料組成物が求められている。
本発明は、非線形光学効果、耐熱性、絶縁耐圧、透明性、パッシベーション膜を形成する際に用いる溶剤への耐溶剤性に優れた非線形光学材料を形成し得るポリマー、該ポリマーを含む非線形光学材料用組成物、該非線形光学材料用組成物を硬化してなる非線形光学材料、該非線形光学材料を用いた光導波路、および該光導波路を備えた光制御デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[11]の構成を有するポリマー、非線形光学材料用組成物、非線形光学材料、光導波路および光制御デバイスを提供する。
[1]下記化合物(Y)と下記化合物(Z)と下記有機化合物(B)との、少なくとも脱ハロゲン化水素縮合反応を含む反応により生成した縮合物からなる、ポリマー。
化合物(Y):下式(Y)で表され、かつ互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物。
化合物(Z):互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物。
有機化合物(B):化合物(Y)および化合物(Z)からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有し、かつ非線形光学効果を発現する有機化合物。
Figure 2015120831
ただし、nは0〜3の整数であり、aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、RfおよびRfは、それぞれ独立に炭素数8以下のフルオロアルキル基、ニトリル基またはニトロ基であり、芳香環内のFは該芳香環の水素原子がすべてフッ素原子で置換されていることを表す。
[2]前記化合物(Y)に由来する単位と、前記化合物(Z)に由来する単位と、前記有機化合物(B)に由来する単位との合計(100モル%)のうち、前記有機化合物(B)に由来する単位の割合が1〜40モル%である、[1]のポリマー。
[3]下記化合物(X)と下記化合物(Y)と下記化合物(Z)と下記有機化合物(B)との、少なくとも脱ハロゲン化水素縮合反応を含む反応により生成した縮合物からなる、ポリマー。
化合物(X):
架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(X1)、
架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(X2)(ただし、化合物(X1)および化合物(X3)を除く。)、ならびに
架橋性官能基および炭素数8以下のハロアルキル基置換芳香環を有する化合物(X3)(ただし、化合物(X1)を除く。)からなる群から選ばれる1種以上の化合物。
化合物(Y):前記式(Y)で表され、かつ互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物。
化合物(Z):互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物(ただし、化合物(X)を除く)。
有機化合物(B):化合物(X)、化合物(Y)および化合物(Z)からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有し、かつ非線形光学効果を発現する有機化合物。
[4]前記化合物(X)に由来する単位と、前記化合物(Y)に由来する単位と、前記化合物(Z)に由来する単位と、前記有機化合物(B)に由来する単位との合計(100モル%)のうち、前記有機化合物(B)に由来する単位の割合が1〜40モル%である、[3]のポリマー。
[5]前記反応性基が、前記化合物(Y)のフッ素原子置換芳香環と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基、または前記化合物(Z)のフェノール性水酸基と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基である、[1]〜[4]のいずれかのポリマー。
[6]前記有機化合物(B)が、10−30esu以上の2次分子超分極率を有する、[1]〜[5]のいずれかのポリマー。
[7]前記有機化合物(B)が、電子吸引基および電子供与基がπ電子共役系によって橋渡しされた構造を有する化合物である、[1]〜[6]のいずれかのポリマー。
[8]前記有機化合物(B)が、電子吸引基および電子供与基がπ電子共役系によって橋渡しされた構造と、反応性基との間に複素環を有する化合物である、[7]のポリマー。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかのポリマーを含む、非線形光学材料用組成物。
[10]溶剤(C)をさらに含む、[9]の非線形光学材料用組成物。
[11]前記[9]または[10]の非線形光学材料用組成物を、前記有機化合物(B)に由来する単位が配向した状態で固化してなる固化物である、非線形光学材料。
[12]コアおよびクラッドのいずれか一方または両方が、[11]の非線形光学材料からなる、光導波路。
[13]前記[12]の光導波路と、前記非線形光学材料に電圧を印加する電極とを備えた、光制御デバイス。
本発明のポリマーおよび非線形光学材料用組成物は、非線形光学効果、耐熱性、絶縁耐圧、透明性、パッシベーション膜を形成する際に用いる溶剤への耐溶剤性に優れた非線形光学材料を形成し得る。
本発明の非線形光学材料は、非線形光学効果、耐熱性、絶縁耐圧、透明性、パッシベーション膜を形成する際に用いる溶剤への耐溶剤性に優れる。
本発明の光導波路および光制御デバイスは、低い電圧で充分な非線形光学効果を発現でき、非線形光学効果を長期間維持でき、光伝送損失が小さい。
本発明の光導波路の一例を示す断面図である。 光導波路の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の光制御デバイスの一例を示す平面図である。 本発明の光制御デバイスの他の例を示す平面図である。 本発明の光制御デバイスの他の例を示す平面図である。 本発明の光制御デバイスの他の例を示す平面図である。 本発明の光制御デバイスの他の例を示す平面図である。
本明細書においては、式(Y)で表される化合物を化合物(Y)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「フルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換された基であり、「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基である。
「メタクリロイル(オキシ)基」とは、メタクリロイル基またはメタクリロイルオキシ基を意味する。アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、アリル(オキシ)基、トリフルオロビニル(オキシ)基も同様である。
「数平均分子量」は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定することによって得られるポリスチレン換算の数平均分子量である。
ポリマー等における「単位」とは、付加重合性化合物、縮重合性化合物等の重合性化合物が重合することによって形成された、該重合性化合物の1分子に由来する部分である。 「単位」は、重合によって重合性化合物から直接形成された構造を有するものであってもよく、重合性化合物から直接形成された構造が化学的変換によって別の構造に変化してなるものであってもよい。また、単官能性の化合物から形成される、分子鎖の末端や側鎖を構成する部分も「単位」と称する。
「縮合物」とは、脱ハロゲン化水素縮合反応により生成した生成物を意味し、脱ハロゲン化水素縮合反応以外の反応により形成された結合を有していてもよい。
「固化物」とは、非線形光学材料用組成物を溶融または軟化させた後、冷却して固化したものを意味する。非線形光学材料用組成物が架橋性官能基を有するポリマーおよび架橋性添加物のいずれか一方または両方を含む場合は、非線形光学材料用組成物を溶融もしくは軟化させた際、または固化物とした際に、架橋性官能基同士を架橋反応させてもよい。
〔ポリマー〕
(第1の態様)
本発明のポリマーの第1の態様は、下記化合物(Y)と下記化合物(Z)と下記有機化合物(B)との、少なくとも脱ハロゲン化水素縮合反応を含む反応により生成した縮合物からなるポリマー(A1)である。
化合物(Y):下式(Y)で表され、かつ互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物。
化合物(Z):互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物。
有機化合物(B):化合物(Y)および化合物(Z)からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有し、かつ非線形光学効果を発現する有機化合物。
Figure 2015120831
ただし、nは0〜3の整数であり、aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、RfおよびRfは、それぞれ独立に炭素数8以下のフルオロアルキル基、ニトリル基またはニトロ基であり、芳香環内のFは該芳香環の水素原子がすべてフッ素原子で置換されていることを表す。
ポリマー(A1)の一実施態様は、たとえば、下式に示すように、化合物(Y)と、化合物(Z)と、反応性基として化合物(Z)のフェノール性水酸基と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基を有する有機化合物(B)とが脱ハロゲン化水素縮合反応することにより、各単位間が2つのエーテル結合によって結合されたはしご状のポリマーであると考えられる。下式で表されるポリマー(A1)は、pが異なる複数種のポリマー(A1)の混合物となる。また、分子鎖の一方または両方の末端が化合物(Y)に由来する単位または化合物(Z)に由来する単位で停止した縮合物も存在する。なお、ポリマー(A1)は下式で表されるものに限定はされない。
Figure 2015120831
ただし、Ryは、化合物(Y)から脱ハロゲン化水素縮合反応に寄与する4個のフッ素原子を除いた残基であり、Rzは、化合物(Z)から脱ハロゲン化水素縮合反応に寄与する4個のフェノール性水酸基を除いた残基であり、Rbは、化合物(B)から脱ハロゲン化水素縮合反応に寄与する2個のフッ素原子を除いた残基であり、pは、0以上の整数である。
(第2の態様)
本発明のポリマーの第2の態様は、下記化合物(X)と下記化合物(Y)と下記化合物(Z)と下記有機化合物(B)との、少なくとも脱ハロゲン化水素縮合反応を含む反応により生成した縮合物からなるポリマー(A2)である。
化合物(X):
架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(X1)、
架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(X2)(ただし、化合物(X1)および化合物(X3)を除く。)、ならびに
架橋性官能基および炭素数8以下のハロアルキル基置換芳香環を有する化合物(X3)(ただし、化合物(X1)を除く。)からなる群から選ばれる1種以上の化合物。
化合物(Y):前記式(Y)で表され、かつ互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物。
化合物(Z):互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物(ただし、化合物(X)を除く)。
有機化合物(B):化合物(X)、化合物(Y)および化合物(Y)からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有し、かつ非線形光学効果を発現する有機化合物。
ポリマー(A2)の一実施態様は、たとえば、下式に示すように、化合物(X1)と、化合物(Y)と、化合物(Z)と、反応性基として化合物(Z)のフェノール性水酸基と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基を有する有機化合物(B)とが脱ハロゲン化水素縮合反応することにより、各単位間が2つのエーテル結合によって結合されたはしご状のポリマーであると考えられる。下式で表されるポリマー(A2)は、化合物(X1)と化合物(Y)と化合物(Z)と有機化合物(B)との縮合物からなる、pが異なる複数種のポリマー(A21)と;化合物(X1)と化合物(Y)と化合物(Z)との縮合物からなる、pが異なる複数種のポリマー(A22)と;化合物(Y)と化合物(Z)と有機化合物(B)との縮合物からなる、pが異なる複数種のポリマー(A23)(前記ポリマー(A1)に相当)との混合物となる。また、分子鎖の一方または両方の末端が化合物(Y)に由来する単位または化合物(Z)に由来する単位で停止した縮合物も存在する。なお、ポリマー(A2)は下式で表されるものに限定はされない。
Figure 2015120831
ただし、Rx1は、化合物(X1)から脱ハロゲン化水素縮合反応に寄与する1個のフェノール性水酸基を除いた残基であり、Ryは、化合物(Y)から脱ハロゲン化水素縮合反応に寄与する4個のフッ素原子を除いた残基であり、Rzは、化合物(Z)から脱ハロゲン化水素縮合反応に寄与する4個のフェノール性水酸基を除いた残基であり、Rbは、化合物(B)から脱ハロゲン化水素縮合反応に寄与する2個のフッ素原子を除いた残基であり、pは、0以上の整数である。
(脱ハロゲン化水素縮合反応)
脱ハロゲン化水素縮合反応は、塩素原子もしくは臭素原子を有するアルキル基、またはフッ素原子置換芳香環を有する化合物のハロゲン原子結合炭素原子と、アルコール性水酸基またはフェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基との間の反応である。該反応により炭素−酸素結合が形成され、2つの化合物が結合する。
たとえば、フッ素原子置換芳香環を有する化合物とフェノール性水酸基を有する化合物との縮合反応においては、フェノール性水酸基から誘導されるフェノキシイオンが、芳香環のフッ素原子が結合した炭素原子を攻撃し、次いで、ハロゲン原子が脱離する反応機構等によりエーテル結合が形成される。
フッ素原子置換芳香環を有する化合物が互いにオルト位にある2つのフッ素原子を有し、フェノール性水酸基を有する化合物が互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基を有する場合には、該縮合反応により、各化合物が2つのエーテル結合によって結合される。2つのエーテル結合によって結合された部分は、1,4−ジオキシン骨格となる。
フッ素原子置換芳香環を有する化合物が互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有し、フェノール性水酸基を有する化合物が互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する場合には、該縮合反応により、各化合物が重合する。各化合物に由来する単位が1,4−ジオキシン骨格によって交互に連結された分子鎖からなるはしご状のポリマーが生成する。
化合物(Y)は互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物であり、化合物(Z)は互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物である。したがって、化合物(Y)と化合物(Z)は縮合してはしご状のポリマーを形成できる。化合物(Y)と化合物(Z)との縮合で形成される炭素−酸素結合の炭素原子は、芳香環を構成する炭素原子である。炭素−酸素結合の酸素原子が芳香環を構成する炭素原子に結合した酸素原子であることにより、各化合物間にアリーレンエーテル構造が形成される。ポリマー(A1)およびポリマー(A2)(以下、ポリマー(A1)およびポリマー(A2)をまとめてポリマー(A)とも記す。)はアリーレンエーテル構造を有するポリマーである。
化合物(X)は、ハロゲン原子結合炭素原子を有する化合物またはフェノール性水酸基を有する化合物である。化合物(X)におけるハロゲン原子結合炭素原子またはフェノール性水酸基の数やその位置によって、化合物(X)は化合物(Y)または化合物(Z)と縮合してポリマーを形成する、または化合物(Y)と化合物(Z)が縮合した分子鎖の末端や側鎖に組み込まれる。化合物(X)が互いにオルト位にある2つのフッ素原子またはフェノール性水酸基を有する場合には、該縮合反応により、化合物(X)と化合物(Y)または化合物(Z)とが2つのエーテル結合によって結合される。2つのエーテル結合によって結合された部分は、1,4−ジオキシン骨格となる。
有機化合物(B)は、化合物(Y)および化合物(Z)(化合物(X)を用いる場合にはさらに化合物(X))からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有する有機化合物である。反応性基がハロゲン原子結合炭素原子またはフェノール性水酸基である場合には、有機化合物(B)におけるハロゲン原子結合炭素原子またはフェノール性水酸基の数やその位置によって、有機化合物(B)は化合物(Y)または化合物(Z)と縮合してポリマーを形成する、または化合物(Y)と化合物(Z)が縮合した分子鎖の末端や側鎖に組み込まれる。有機化合物(B)が互いにオルト位にある2つのフッ素原子またはフェノール性水酸基を有する場合には、該縮合反応により、化合物(B)と化合物(Y)または化合物(Z)とが2つのエーテル結合によって結合される。2つのエーテル結合によって結合された部分は、1,4−ジオキシン骨格となる。
(化合物(X))
化合物(X)は、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(X1)、架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(X2)(ただし、化合物(X1)および化合物(X3)を除く。)、ならびに架橋性官能基および炭素数8以下のハロアルキル基置換芳香環を有する化合物(X3)(ただし、化合物(X1)を除く。)からなる群から選ばれる化合物である。ポリマー(A2)の製造には化合物(X)の1種以上が用いられる。
化合物(X)は、ポリマー(A2)に架橋性官能基を導入するために用いられる。
化合物(X)は架橋性官能基を有する化合物であり、一方、化合物(Y)および化合物(Z)は、架橋性官能基を有しない化合物である。化合物(X)を化合物(Y)または化合物(Z)と縮合させる際、架橋性官能基を反応させないことにより、架橋性官能基を有するポリマー(A2)が得られる。
脱ハロゲン化水素縮合反応では架橋性官能基は反応しない。したがって、脱ハロゲン化水素縮合反応等の架橋性官能基を反応させない反応のみでポリマー(A2)を製造した場合には、ポリマー(A2)中の架橋性官能基の数はポリマー(A2)中の化合物(X)に由来する単位の数に比例する。一方、化合物(X)が有する架橋性官能基と、有機化合物(B)の反応性基とを反応させて、有機化合物(B)に由来する単位をポリマー(A2)に組み込む場合、ポリマー(A2)の製造過程において架橋性官能基が消費され、ポリマー(A2)中の架橋性官能基の数はポリマー(A2)中の化合物(X)に由来する単位の数に比例せず、相対的にその数は減少する。
架橋性官能基は、ポリマー(A2)の製造時の脱ハロゲン化水素縮合反応においては実質上反応を起こさず、外部エネルギー(熱、光(化学線)、電子線等)を与えることによって反応し、ポリマー(A2)の分子間の架橋または鎖延長によって高分子量化を引き起こす官能基である。後述するように、架橋性官能基の一部はポリマー(A2)の製造時に有機化合物(B)の反応性基と反応させるために用いられることがある。
架橋性官能基の具体例としては、ビニル(オキシ)基、アリル(オキシ)基、エポキシ基、マレイミド基、アジド基、イソシアネート基、アクリロイル(オキシ)基、メタクリロイル(オキシ)基、トリフルオロビニル(オキシ)基、エチニル基、メチルエチニル基、エチルエチニル基、プロピルエチニル基、n−ブチルエチニル基、tert−ブチルエチニル基、フェニルエチニル基、1−オキソシクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル基、ジアリールヒドロキシメチル基、ヒドロキシフルオレニル基、シクロブタレン環、オキシラン環等が挙げられる。反応性が高く、高い架橋密度が得られる点から、ビニル基(オキシ)、アリル(オキシ)基、アクリロイル(オキシ)基、メタクリロイル(オキシ)基、エチニル基、tert−ブチルエチニル基およびフェニルエチニル基からなる群から選ばれる架橋性官能基が好ましく、固化物(非線形光学材料)の耐熱性に優れる点から、ビニル基、エチニル基、フェニルエチニル基が特に好ましい。
ポリマー(A2)に含まれる架橋性官能基は、1種でも2種以上でもよい。
<化合物(X1)>
化合物(X1)は、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物である。
化合物(X1)としては、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を1個有する化合物(X11)、または架橋性官能基およびフェノール性水酸基を2個有する化合物(X12)が好ましい。なお、化合物(X1)、化合物(X11)、化合物(X12)に含まれる架橋性官能基は、上述のポリマー(A2)に含まれる架橋性官能基であり、具体例および好ましい例は同様である。
化合物(X1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(X11)の具体例としては、ビニル基、アリル基、ビニルオキシ基、マレイミド基、アリルオキシ基、アクリロイル(オキシ)基またはメタクリロイル(オキシ)を有するフェノール類[4−ヒドロキシスチレン等]、エチニルフェノール類[3−エチニルフェノール、4−フェニルエチニルフェノール、4−(4−フルオロフェニル)エチニルフェノール等]等が挙げられる。
化合物(X11)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(X12)の具体例としては、ビス(フェニルエチニル)ジヒドロキシビフェニル類[2,2’−ビス(フェニルエチニル)−5,5’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビス(フェニルエチニル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等]、ジヒドロキシジフェニルアセチレン類[4,4’−ジヒドロキシトラン、3,3’−ジヒドロキシトラン等]等が挙げられる。
化合物(X12)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、化合物(X1)におけるフェノール性水酸基は、反応系中で発生させてもよい。具体的には、化合物(X1)におけるフェノール性水酸基として、アルカリ存在下で脱離し、フェノール性水酸基となる保護基を有するフェノール性水酸基も含む。また、化合物(X1)としては、脱ハロゲン化水素剤存在下でフェノール性水酸基を与える、エステル等の化合物も含む。たとえば、上記化合物(X1)におけるフェノール性水酸基の代わりにアシルオキシ基を有する化合物(4−アセトキシスチレン、3−エチニルアセトキシベンゼン等)を用いてもよい。
<化合物(X2)>
化合物(X2)は、架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(ただし、化合物(X1)および化合物(X3)を除く。)である。
化合物(X2)としては、フッ素原子置換芳香環としてペルフルオロ芳香環(ペルフルオロフェニル、ペルフルオロビフェニル等)を有する化合物(X21)が好ましい。なお、化合物(X2)、化合物(X21)に含まれる架橋性官能基は、上述のポリマー(A2)に含まれる架橋性官能基であり、具体例および好ましい例は同様である。
化合物(X2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(X21)の具体例としては、ビニル(オキシ)基、アリル(オキシ)基、マレイミド基、アクリロイル(オキシ)基またはメタクリロイル(オキシ)を有する含フッ素アリール類[ペンタフルオロスチレン、ペンタフルオロベンジルアクリレート、ペンタフルオロベンジルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、ペルフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニルトリフルオロビニルエーテル、3−(ペンタフルオロフェニル)ペンタフルオロプロペン−1、N−ペンタフルオロフェニルマレイミド等]、含フッ素アリールアセチレン類[ペンタフルオロフェニルアセチレン、ノナフルオロビフェニルアセチレン等]、含フッ素ジアリールアセチレン類[フェニルエチニルペンタフルオロベンゼン、フェニルエチニルノナフルオロビフェニル、デカフルオロトラン等]等が挙げられる。比較的低温で架橋反応が進行し、かつ得られるポリマー(A2)の固化物(非線形光学材料)の耐熱性に優れる点から、含フッ素アリールアセチレン類が好ましい。
<化合物(X3)>
化合物(X3)は、架橋性官能基および炭素数8以下のハロアルキル基置換芳香環を有する化合物(ただし、化合物(X1)を除く。)である。ハロアルキル基におけるハロゲン原子は塩素原子または臭素原子である。
化合物(X3)としては、化合物(X31)が好ましい。なお、化合物(X3)、化合物(X31)に含まれる架橋性官能基は、上述のポリマー(A2)に含まれる架橋性官能基であり、具体例および好ましい例は同様である。
Figure 2015120831
は、架橋性官能基を有し、フェノール性水酸基を有しない1価の有機基である。架橋性官能基と芳香環との間に単結合、または、2価の有機基(アルキレン基、アリーレン基等)を有していてもよい。
は、炭素数8以下のハロアルキル基であり、−R−Xで表されるハロアルキル基が好ましい。ただし、Rは、炭素数8以下(好ましくは炭素数4以下)のアルキレン基であり、Xは、塩素原子または臭素原子である。
化合物(X3)としては、架橋性官能基の反応性が高く、ポリマー(A2)のキュア温度を低くできる点から、クロロメチルスチレン、クロロエチルスチレン、クロロプロピルスチレン、ブロモメチルスチレンが好ましく、クロロメチルスチレンが特に好ましい。
化合物(X3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(化合物(Y))
化合物(Y)は、下式(Y)で表され、かつ互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物である。化合物(Y)において、1つのフッ素原子が複数の組に同時に所属することはない。
Figure 2015120831
ただし、nは0〜3の整数であり、aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、RfおよびRfは、それぞれ独立に炭素数8以下のフルオロアルキル基、ニトリル基またはニトロ基であり、芳香環内のFは該芳香環の水素原子がすべてフッ素原子で置換されていることを表す。
aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、RfおよびRfが多くなると化合物(Y)の製造が困難となる点から、0〜2が好ましく、0が特に好ましい。
RfおよびRfは、それぞれ独立に炭素数8以下のフルオロアルキル基、ニトリル基またはニトロ基である。
炭素数8以下のフルオロアルキル基としては、固化物(非線形光学材料)の耐熱性に優れる点から、炭素数8以下のペルフルオロアルキル基が好ましい。具体例としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロオクチル基等が挙げられる。
化合物(Y)の具体例としては、化合物(Y−1)〜(Y−12)等が挙げられる。
Figure 2015120831
化合物(Y)としては、入手容易な点から、化合物(Y−1)、化合物(Y−8)が好ましく、得られる固化物(非線形光学材料)が絶縁耐圧および耐熱性に優れる点から、化合物(Y−8)が特に好ましい。
化合物(Y)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(化合物(Z))
化合物(Z)は、互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物である(ただし、化合物(X)を除く)。化合物(Z)において、1つのフェノール性水酸基が複数の組に同時に所属することはない。
化合物(Z)における互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組の数は、はしご状のポリマーを確実に形成できる点から、2組が特に好ましい。また、互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる第1の組と、互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる第2の組とは、第1の組のフェノール性水酸基が結合する炭素原子と、第2の組のフェノール性水酸基が結合する炭素原子とが隣接しない位置に存在することがより好ましく、異なる芳香環に存在することが特に好ましい。
化合物(Z)の具体例としては、化合物(Z−1)〜(Z−12)等が挙げられる。
Figure 2015120831
ただし、化合物(Z−6)におけるRは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基または炭素数3〜8のシクロアルキル基であり、反応のしやすさから水素原子、炭素数1〜5のアルキル基が特に好ましい。
化合物(Z)としては、入手容易であり、得られる固化物(非線形光学材料)の耐熱性に優れる点から、化合物(Z−2)が特に好ましい。
化合物(Z)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(有機化合物(B))
有機化合物(B)は、化合物(Y)および化合物(Z)(化合物(X)を用いる場合にはさらに化合物(X))からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有し、かつ非線形光学効果を発現する有機化合物である。
<反応性基>
反応性基は、有機化合物(B)がポリマー(A)の生成過程でポリマー(A)に組み込まれるために必要な官能基である。
反応性基としては、化合物(Y)のフッ素原子置換芳香環と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基;化合物(Z)のフェノール性水酸基と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基;化合物(X)の架橋性官能基と反応し得る基;脱ハロゲン化水素縮合反応以外で化合物(Z)等のフェノール性水酸基と反応し得る基;化合物(X)、化合物(Y)または化合物(Z)が有する、架橋性官能基以外でかつ脱ハロゲン化水素縮合反応に関与しない官能基と反応し得る基等が挙げられる。
ただし、架橋性官能基と反応し得る基の場合は、該基を有する有機化合物(B)の使用量は、生成するポリマー(A2)の架橋性官能基を失わせるほどの量であってはならない。フェノール性水酸基と反応し得る基またはフッ素原子置換芳香環と反応し得る基の場合は、該基を有する有機化合物(B)の使用量は、化合物(Y)と化合物(Z)との脱ハロゲン化水素縮合反応を阻害するほどの量であってはならない。
反応性基としては、脱ハロゲン化水素縮合反応のみでポリマー(A)が得られる点、およびポリマー(A2)の架橋性官能基を減少させない点から、化合物(Y)のフッ素原子置換芳香環と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基、または化合物(Z)のフェノール性水酸基と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基が好ましい。また、有機化合物(B)と化合物(Y)または化合物(Z)とが2つのエーテル結合によって結合されて剛直な結合を形成できる。有機化合物(B)に由来する単位の配向が緩和しにくくなり、その結果、固化物(非線形光学材料)の耐熱性が優れる点から、有機化合物(B)は互いにオルト位にある2つのフッ素原子または互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基を有することが好ましい。
化合物(Y)のフッ素原子置換芳香環と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基としては、アルコール性水酸基またはフェノール性水酸基が挙げられ、固化物(非線形光学材料)の耐熱性に優れる点、および脱ハロゲン化水素縮合反応を制御しやすい点から、フェノール性水酸基が好ましい。
化合物(Z)のフェノール性水酸基と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基としては、塩素原子もしくは臭素原子を有するアルキル基、またはハロゲン原子置換芳香環が挙げられ、固化物(非線形光学材料)の耐熱性に優れる点、および脱ハロゲン化水素縮合反応を制御しやすい点から、フッ素原子置換芳香環が好ましい。
他の反応性基としては、メルカプト基、アミノ基、ビニル(オキシ)基、アリル(オキシ)基、エポキシ基、マレイミド基、アジド基、イソシアネート基、アクリロイル(オキシ)基、メタクリロイル(オキシ)基、トリフルオロビニル(オキシ)基、エチニル基、1−オキソシクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル基、ジアリールヒドロキシメチル基、ヒドロキシフルオレニル基、シクロブタレン環、オキシラン環が挙げられる。反応を制御しやすい点からは、メルカプト基、アミノ基、アジド基が好ましい。
有機化合物(B)の構造中における反応性基の位置は限定されず、有機化合物(B)を構成するいずれの原子上に位置してもよい。
<非線形光学効果>
本発明の非線形光学材料が充分な非線形光学効果を発現するためには、非線形光学効果を発現する有機化合物(B)の2次分子超分極率、有機化合物(B)の双極子モーメント、電場配向処理の際の分極電圧、およびポリマー(A)に含まれる、有機化合物(B)に由来する単位の含有量が重要となる。
有機化合物(B)としては、10−30esu以上の2次分子超分極率を有する化合物が好ましい。2次分子超分極率は、1分子あたりの光非線形性を表す指標であり、下式(1)から推算できる。
Figure 2015120831
ただし、βCTは、2次分子超分極率である。hはプランク定数、mは電子の質量、Wは二準位のエネルギー差、Winは入射光のエネルギー、fは振動子強度、δは二準位の双極子モーメントの差である。
2次分子超分極率は、ソルバトクロミック法(SC法)(J.Org.Chem.,1989年,第54巻,p.3774)、EFISH法(J.Chem.Phys.,1977年,第66巻,p.2664)、ハイパーレイリー散乱法(HRS法)等によって実測できる。また、特開平5−93929号公報に記載のPPP−MO法のように、計算化学的に2次分子超分極率を求めることもできる。
本発明における2次分子超分極率とは、HRS法によって求めた値をいう。
有機化合物(B)の2次分子超分極率や双極子モーメントを大きくする構造としては、電子吸引基および電子供与基がπ電子共役系によって橋渡しされた構造が好ましい。
電子吸引基としては、ニトロ基、シアノ基、ジシアノビニル基、トリシアノビニル基、トリシアノフラン基(2−dicyanomethylene−3−cyano−4,5,5−trimethyl−2,5−dihydrofuran)等が挙げられる。
電子供与基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシル基、ハロゲン原子、メルカプト基、水酸基、チオエーテル基等が挙げられる。
π電子共役系としては、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環等)、π電子共役複素環(チオフェン環、フラン環、ピリジン環、チアゾール環等)、芳香環およびまたはπ電子共役複素環と不飽和結合(>C=C<、−N=N−、−C≡C−、>C=N−等)との組み合わせ、不飽和結合の繰り返し等が挙げられる。
有機化合物(B)としては、たとえば、公知の非線形光学効果を発現する有機化合物のうち、反応性基を有する化合物;公知の非線形光学効果を発現する有機化合物に反応性基を導入したもの等が挙げられる。
公知の非線形光学効果を発現する有機化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
π電子共役系が芳香環またはπ電子共役複素環である化合物:
スチレン誘導体[4−(N,N−ジエチルアミノ)−β−ニトロスチレン等]、
アニリン誘導体[4−ニトロアニリン、4−(N,N−ジエチルアミノ)ニトロベンゼン、2−メチル−4−ニトロアニリン、4−ニトロフェニルプロリノール、4−シクロオクチルアミノニトロベンゼン、N−シアノメチル−N−メチル−4−ニトロアニリン等]、
ピリジン誘導体[4−シクロオクチルアミノニトロピリジン、4−アダマンタンアミノニトロピリジン、2−(N−プロピノール)−5−ニトロピリジン等]、
ベンゾ複素環誘導体[5−ニトロインドール、クロロニトロベンゾオキサジアゾール等]等。
π電子共役系が芳香環および/またはπ電子共役複素環と不飽和結合との組み合わせである化合物:
スチルベン誘導体[4−メトキシ−4’−ニトロスチルベン、4−ブロモ−4’−ニトロスチルベン、4−(N,N−ジメチルアミノ)−4’−ニトロスチルベン、4−(N,N−ジエチルアミノ)−4’−ニトロスチルベン、4−(N,N−ジプロピルアミノ)−4’−ニトロスチルベン、3−メチル−4−メトキシ−4’−ニトロスチルベン等]、
アゾベンゼン誘導体[4−(N,N−ジメチルアミノ)−4’−ニトロアゾベンゼン、4−(N,N−ジエチルアミノ)−4’−ニトロアゾベンゼン、後述する有機化合物(B−1)等]、
スチルバゾリウム誘導体[4’−ジエチルアミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムのメトスルホネート塩、4’−ジエチルアミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムのヨウ素塩等]、
ベンジリデンアニリン誘導体[テレフタル−ビス{(p−ジエチルアミノ)アニリン}等]、
ポリアリーレンビニレン誘導体[ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チェニレンビニレン)等]、
フェニルポリエン誘導体[Chem.Mater.,2001年,第13巻,p.3043−3050に記載の化合物、後述する有機化合物(B−3)等]、
特開2011−002793号公報に記載のピリジニウム誘導体、
特開2011−002793号公報に記載のアズレニウム誘導体、
特開2011−002793号公報に記載のキノリウム誘導体、
Chem.Mater.,2001年,第13巻,p.3043−3050に記載の化合物、
米国特許出願公開第2009/0137772号明細書に記載の化合物等。
π電子共役系が不飽和結合の繰り返しである化合物:
ポリジアセチレン誘導体、
ポリ(1,4−ジエチニルベンゼン)誘導体、
ポリアセチレン誘導体等。
<具体例>
反応性基として、化合物(Y)のフッ素原子置換芳香環と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基、または化合物(Z)のフェノール性水酸基と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基を有する有機化合物(B)の具体例としては、たとえば、下式で表される有機化合物(B−1)〜(B−4)が挙げられる。
Figure 2015120831
有機化合物(B−2)および有機化合物(B−4)の連結部Vは、エーテル基、チオエーテル基、複素環等が挙げられ、剛直であり、固化物(非線形光学材料)の耐熱性に優れる点から複素環が好ましい。
複素環の具体例としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、1,2,3−トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、フタラジン環、プテリジン環、クマリン環、クロモン環、1,4−ベンゾジアゼピン環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾフラン環、プリン環、アクリジン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環等が挙げられる。
有機化合物(B−2)および有機化合物(B−4)は、連結部Vが1,2,3−トリアジン環の場合、式(B−2−1)および式(B−4−1)に示すような1,4−アイソマーと1,5−アイソマーの化学構造を取ることができる。
有機化合物(B)としては、1,4−アイソマーのみ、1,5−アイソマーのみ、1,4−アイソマーと1,5−アイソマーとの混合物のいずれも使用できるが、分子の直線性が高く、配向状態を保持できる点からは、1,4−アイソマーが主成分であることが好ましく、1,4−アイソマーのみであることが特に好ましい。
Figure 2015120831
Figure 2015120831
有機化合物(B−1)は、たとえば、Chem.Mater.,2011年,第23巻,p.862またはPolym.Chem.,2011年,第2巻,p.157に記載の方法により製造できる。
有機化合物(B−2)は、たとえば、下記の方法により製造できる。
有機化合物(B−1)を塩化メタンスルホニル(MsCl)と反応させ、化合物(b−1)を得る。次いで、アジ化ナトリウムの求核置換反応によって、化合物(b−2)を得る。銅触媒存在下または無触媒加熱条件下で、化合物(b−2)とアルキン化合物の付加反応を経て、有機化合物(B−2)を得る。ただし、式中のGは、反応性基(フッ素原子置換芳香環等)、または反応性基を有する有機基(アリール基、アルキル基等)を表す。
Figure 2015120831
有機化合物(B−3)は、たとえば、Synth.Commun.,2006年,第36巻,p.1367〜1372に記載の方法により製造できる。
有機化合物(B−4)は、有機化合物(B−3)を出発原料とし、有機化合物(B−2)の製造と同様にして製造できる。
有機化合物(B−2)および有機化合物(B−4)の混合物における1,4−アイソマーの混合比を向上させるためには、含塩素有機溶媒で希釈し、非極性溶媒と極性溶媒との混合液中に撹拌しながら滴下し、凝集させる方法が好ましい。本法によれば、1,4−アイソマーを選択的に分離可能であり、精製工程を一段階で実施できる。
含塩素有機溶媒としては、有機化合物(B−2)および有機化合物(B−4)の溶解性に優れる点から、クロロホルム、塩化メチレン等が好ましい。
非極性溶媒としてはヘキサン、ペンタン等が挙げられ、極性溶媒としてはメタノール、エタノール等が挙げられる。有機化合物(B−2)および有機化合物(B−4)に対する非極性溶媒と極性溶媒との混合比は、凝集収率が高くなる点では、4:6〜1:1(体積比)が好ましい。
有機化合物(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ポリマー(A)の製造方法)
ポリマー(A1)の製造方法としては、たとえば、下記方法(α1)〜(γ1)が挙げられ、1段階の脱ハロゲン化水素縮合反応でポリマー(A1)が得られる点、および分子量の高いポリマー(A1)が得られる点から、方法(α1)が好ましい。
(α1)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(Y)と化合物(Z)と有機化合物(B)とを縮合反応させる方法。
(β1)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(Y)と化合物(Z)とを縮合反応させて得られた縮合物に、有機化合物(B)を反応させる方法。
(γ1)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(Z)と有機化合物(B)とを縮合反応させて得られた縮合物に、化合物(Y)を縮合反応させる方法。
ポリマー(A2)の製造方法としては、たとえば、下記方法(α2)〜(ζ2)が挙げられ、分子量の高いポリマー(A2)が得られる点から、方法(α2)が好ましい。
(α2)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(Y)と化合物(Z)と有機化合物(B)とを縮合反応させて得られた縮合物に、化合物(X)を反応させる方法。
(β2)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(X)と化合物(Y)と化合物(Z)と有機化合物(B)とを縮合反応させる方法。
(γ2)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(X)と化合物(Y)と化合物(Z)とを縮合反応させて得られた縮合物に、有機化合物(B)を反応させる方法。
(δ2)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(Y)と化合物(Z)とを縮合反応させて得られた縮合物に、化合物(X)と有機化合物(B)とを反応させる方法。
(ε2)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(X)と化合物(Y)と化合物(Z)とを縮合反応させて得られた縮合物に、化合物(X)と有機化合物(B)とを反応させる方法。
(ζ2)脱ハロゲン化水素剤の存在下に化合物(Z)と有機化合物(B)とを縮合反応させ、次いで化合物(Y)を縮合反応させて得られた縮合物に、化合物(X)を反応させる方法。
脱ハロゲン化水素剤としては、塩基性化合物が好ましく、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物またはアルコキシドが特に好ましい。具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、tert−ブトキシカリウム等が挙げられる。
脱ハロゲン化水素剤の使用量は、化合物(Z)のフェノール性水酸基の1モルに対し、1モル以上が必要であり、1.1〜3モルが好ましい。
縮合反応条件は、10〜200℃で1〜120時間が好ましく、20〜180℃で2〜100時間がより好ましく、40〜160℃で3〜80時間が特に好ましい。
縮合反応は、極性溶媒中で行うことが好ましい。極性溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性の極性溶媒を含む溶媒が好ましい。極性溶媒には、生成するポリマー(A)の溶解性を低下させず、縮合反応に悪影響を及ぼさない範囲で、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゾトリフルオライド、キシレンヘキサフルオライド等が含まれていてもよい。これらを含有することによって、溶媒の極性(誘電率)が変化し、反応速度をコントロールできる。
ポリマー(A)の固化物(非線形光学材料)の耐熱性や可とう性を向上するために、ポリマー(A)の製造時に共縮合成分を添加してもよい。
共縮合成分としては、フェノール性水酸基を2個有しかつ架橋性官能基を有しない化合物(W)が挙げられる。
化合物(W)としては、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシターフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、ジヒドロキシフェナントラセン、ジヒドロキシ−9,9−ジフェニルフルオレン、ジヒドロキシジベンゾフラン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルプロパン、ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジヒドロキシビナフチル等の2官能フェノール類が挙げられる。
化合物(W)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリマー(A)は、縮合反応後に、必要に応じて、中和、再沈殿、抽出、ろ過等の方法で精製される。精製は、効率がよい点から、製造時において好ましく使用される極性溶媒が存在する状態または後述する溶剤(C)に溶解または分散された状態で行うことが好ましい。
ポリマー(A1)の数平均分子量は、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜10,000がさらに好ましく、1,000〜5,000が特に好ましい。前記範囲内であれば、ポリマー(A)および溶剤(C)を含む非線形光学材料用組成物を塗布しやすく、得られる固化物(非線形光学材料)が、耐熱性、機械特性、耐溶剤性に優れる。
ポリマー(A2)の数平均分子量は、1,000〜500,000が好ましく、1,500〜200,000がより好ましく、1,500〜150,000がさらに好ましく、1,500〜10,000が特に好ましく、1,500〜5,000が最も好ましい。前記範囲内であれば、ポリマー(A)および溶剤(C)を含む非線形光学材料用組成物を塗布しやすく、得られる固化物(非線形光学材料)が、耐熱性、機械特性、耐溶剤性に優れる。
また、ポリマー(A)中に水酸基が残存しない方が、固化物(非線形光学材料)の1.3μm帯または1.5μm帯における透明性に優れる点から好ましい。
ポリマー(A)の数平均分子量および残存水酸基は、化合物(X)、化合物(Y)、化合物(Z)および有機化合物(B)の仕込み比率を変化させる、反応時間を調整する等によって制御できる。
化合物(Z)の使用量は、化合物(Y)の1モルに対して、0.5〜2モルが好ましく、0.6〜1.5モルが特に好ましい。
化合物(X)の使用量は、ポリマー(A2)における架橋性官能基の所望の含有量に応じて設定される。また、ポリマー(A2)の製造時に架橋性官能基の一部が有機化合物(B)の反応性基と反応させるために用いられる場合には、該反応による架橋性官能基の減少量と得られるポリマー(A2)における架橋性官能基の所望の含有量に応じて、化合物(X)の使用量が設定される。
ポリマー(A2)における架橋性官能基の含有量は、ポリマー(A2)の1gに対して0.1〜4ミリモルが好ましく、0.2〜3ミリモルが特に好ましい。架橋性官能基の含有量が前記範囲の上限値以下であれば固化物(非線形光学材料)の脆性が大きくならず、靭性に優れる。架橋性官能基の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、固化物(非線形光学材料)の耐熱性および耐溶剤性に優れる。
有機化合物(B)の使用量は、ポリマー(A)における、有機化合物(B)に由来する単位の含有量、該単位と架橋性官能基とのモル比等を考慮して設定される。
ポリマー(A1)において、化合物(Y)に由来する単位と、化合物(Z)に由来する単位と、有機化合物(B)に由来する単位との合計モル数(100モル%)のうち、有機化合物(B)に由来する単位の割合は、1〜40モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましく、1〜10モル%が特に好ましい。有機化合物(B)に由来する単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、非線形光学材料における非線形光学効果が充分に優れる。有機化合物(B)に由来する単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、固化物(非線形光学材料)の耐熱性、絶縁耐圧が充分に優れる。
ポリマー(A2)において、化合物(X)に由来する単位と、化合物(Y)に由来する単位と、化合物(Z)に由来する単位と、有機化合物(B)に由来する単位との合計モル数(100モル%)のうち、有機化合物(B)に由来する単位の割合は、1〜40モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましく、1〜10モル%が特に好ましい。有機化合物(B)に由来する単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、非線形光学材料における非線形光学効果が充分に優れる。有機化合物(B)に由来する単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、固化物(非線形光学材料)の耐熱性、絶縁耐圧が充分に優れる。
ポリマー(A2)における、有機化合物(B)に由来する単位と、架橋性官能基とのモル比は、有機化合物(B)に由来する単位:架橋性官能基=60:40〜1:99が好ましく、50:50〜20:80が特に好ましい。
有機化合物(B)に由来する単位と架橋性官能基との合計のモル数に対する架橋性官能基のモル数の割合が99%以下であれば、有機化合物(B)に由来する単位の含有量が充分に確保され、40%以上であれば、固化物(非線形光学材料)の耐熱性および耐溶剤性に優れる。
(作用効果)
以上説明した本発明のポリマー(A)は、下記の理由から、非線形光学効果、耐熱性、絶縁耐圧、透明性に優れた非線形光学材料を形成し得る。
化合物(Y)および化合物(Z)(化合物(X)を用いる場合にはさらに化合物(X))は、それぞれ芳香環を有するため、同じく芳香環等のπ電子共役系を有する有機化合物(B)との相溶性に優れる。そのため、化合物(Y)および化合物(Z)(化合物(X)を用いる場合にはさらに化合物(X))と、有機化合物(B)とを均一な状態で反応させることができ、ポリマー(A)中の有機化合物(B)に由来する単位が分子中に偏りなく分布したものとなる。そのため、非線形光学特性を示す単位が高密度で凝集し、配向が困難になって非線形光学効果の低下を招くことがない。
ポリマー(A)は、互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物(Y)と、互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物(Z)との縮合反応により生成したはしご状のポリマーであると考えられる。剛直な構造を有するはしご状のポリマーはTgが高いため、耐熱性に優れた非線形光学材料を形成し得る。また、はしご状のポリマーは、絶縁耐圧、パッシベーション膜を形成する際に用いる溶剤への耐溶剤性に優れた非線形光学材料を形成し得る。
また、ポリマー(A)は芳香環を有するため、非線形光学材料の耐熱性がさらに優れる。
ポリマー(A)においては、化合物(Y)と化合物(Z)(化合物(X)を用いる場合にはさらに化合物(X))の縮合物と、非線形光学特性を発現する有機化合物(B)とが共有結合で結合している。有機化合物(B)が、化合物(Y)と化合物(Z)(化合物(X)を用いる場合にはさらに化合物(X))の縮合物が形成するマトリックス中に分散しているだけではなく、直接結合していることから、熱をかけたときに、有機化合物(B)の動きが制限される。このため、一度配向した有機化合物(B)に由来する単位の配向が緩和しにくくなり、高温でも非線形光学特性を維持できる、すなわち耐熱性の高い材料が得られる。
また、有機化合物(B)が、電子吸引基および電子供与基がπ電子共役系によって橋渡しされた構造と、反応性基との間に複素環を有する場合は、複素環による剛直な結合を有することになることから、有機化合物(B)に由来する単位の配向がさらに緩和しにくくなり、その結果、非線形光学材料の耐熱性がさらに優れる。
また、有機化合物(B)が反応性基に互いにオルト位にある2つのフッ素原子を有するまたは反応性基として互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基を有する場合は、有機化合物(B)と化合物(Y)または化合物(Z)とが2つのエーテル結合によって結合されて剛直な結合を形成でることから、有機化合物(B)に由来する単位の配向がさらに緩和しにくくなり、その結果、非線形光学材料の耐熱性がさらに優れる。
ポリマー(A)は、フッ素原子を有する。すなわちC−H結合の水素原子がフッ素原子に置換されたC−F結合を有するため、C−H結合の存在割合が少ない。C−H結合は光通信の使用波長(1.3μm帯または1.5μm帯)において吸収を有するため、C−H結合が少ないポリマー(A)は、使用波長における光に吸収が抑えられ、使用波長における透明性が高い。ポリマー(A)を含む非線形光学材料用組成物の固化物(非線形光学材料)は、1.3μm帯における透明性が高いため、既存の光学素子との適合性がよい光導波路を与える。石英系光ファイバを用いた光伝送装置においては、1.3μm帯を使用波長とする場合が多いため、該使用波長に適合する受光素子等の光学素子に、前記固化物を用いることができる。
〔非線形光学材料用組成物〕
本発明の非線形光学材料用組成物は、ポリマー(A)を含む。なお、ポリマー(A)は、通常単一化合物ではなく、種々の構造を有する縮合物の混合物であると考えられる。
本発明の非線形光学材料用組成物に含まれるポリマー(A)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明の非線形光学材料用組成物は、ポリマー(A)のみからなるものであってもよく、ポリマー(A)以外の他の成分をさらに含む組成物であってもよい。
本発明の非線形光学材料用組成物は、必要に応じて、溶剤(C)、架橋性添加物(D)(ただし、ポリマー(A2)を除く。)、熱硬化促進剤(E)、感光剤(F)、接着性向上剤(G)、他の添加剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(溶剤(C))
本発明の非線形光学材料用組成物は、溶剤(C)を含むことで基材への塗布性が良好になる。
溶剤(C)としては、公知のものを用いることができる。具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、イソ酪酸イソブチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリアセチレン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン等が挙げられる。
溶剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤(C)を含む場合、非線形光学材料用組成物中のポリマー(A)の濃度は、非線形光学材料用組成物の総質量(100質量%)のうち、1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。
(架橋性添加物(D))
本発明の非線形光学材料用組成物は、架橋性添加物(D)を含んでいてもよい。架橋性添加物(D)は、非線形光学材料の耐熱性をより向上させる成分である。
架橋性添加物(D)は、架橋性官能基を2個以上有することが好ましく、2〜20個有することがより好ましく、2〜8個有することが特に好ましい。架橋性添加物(D)が架橋性官能基を2個以上有していると、分子間を架橋できるため、固化物(非線形光学材料)の耐熱性を向上できる。なお、架橋性添加物(D)に含まれる架橋性官能基の具体例および好ましい例は、上述のポリマー(A2)に含まれる架橋性官能基の具体例および好ましい例と同様である。
架橋性添加物(D)の具体例としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレートトリウンデシレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノウンデシレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性エトキシ化イソシアヌル酸のトリアクリレート(新中村化学社製の「ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート」等)、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、下式(D−1)で表されるエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、下式(D−2)で表されるプロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールメタクリレート、下式(D−3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2015120831
架橋性添加物(D)の市販品としては、下記のポリエステルアクリレート等が挙げられる。
二価アルコールと二塩基酸からのポリエステルジオールの両末端をアクリル酸で修飾した化合物:東亞合成社製、アロニックス(登録商標)シリーズ(M−6100、M−6200、M−6250、M−6500)。
多価アルコールと多塩基酸からのポリエステルポリオールの水酸基末端をアクリル酸で修飾した化合物:東亞合成社製、アロニックス(登録商標)シリーズ(M−7100、M−7300K、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050)。
本発明の非線形光学材料用組成物における架橋性添加物(D)の含有量は、非線形光学材料用組成物に含まれる溶剤(C)を除く全成分の合計量(100質量%)のうち、0〜90質量%が好ましく、0〜50質量%が特に好ましい。
(熱固化促進剤(E))
本発明の非線形光学材料用組成物を熱固化させる場合、非線形光学材料用組成物に熱固化促進剤(E)を含ませてもよい。熱固化促進剤(E)は、非線形光学材料用組成物の熱固化(熱架橋)を促進する作用を有する化合物である。
熱固化促進剤(E)としては、ラジカル重合開始剤として公知のものを用いることができる。具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。
本発明の非線形光学材料用組成物における熱固化促進剤(E)の含有量は、非線形光学材料用組成物に含まれる溶剤(C)を除く全成分の合計量(100質量%)のうち、0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が特に好ましい。
(感光剤(F))
本発明の非線形光学材料用組成物を光固化(光架橋)させる場合、非線形光学材料用組成物に感光剤(F)を含ませてもよい。
感光剤(F)としては、公知のものを用いることができる。具体例としては、IRGACURE(登録商標) 907(α−アミノアルキルフェノン系)、IRGACURE(登録商標) 369(α−アミノアルキルフェノン系)、DAROCUR(登録商標) TPO(アシルホスフィンオキサイド系)、IRGACURE(登録商標) OXE01(オキシムエステル誘導体)、IRGACURE(登録商標) OXE02(オキシムエステル誘導体)(いずれもBASF社製)等が挙げられる。これらのうち、DAROCUR(登録商標) TPO、IRGACURE(登録商標) OXE01、IRGACURE(登録商標) OXE02が特に好ましい。
本発明の非線形光学材料用組成物における感光剤(F)の含有量は、非線形光学材料用組成物に含まれる溶剤(C)を除く全成分の合計量(100質量%)のうち、0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が特に好ましい。
(接着性向上剤(G))
本発明の非線形光学材料用組成物は、シランカップリング剤等の接着性向上剤(G)を含んでいてもよい。接着性向上剤(G)を添加することにより、非線形光学材料用組成物の固化物からなる層と、これに隣接する層との接着性を向上できる。
本発明の非線形光学材料用組成物における接着性向上剤(G)の含有量は、非線形光学材料用組成物に含まれる溶剤(C)を除く全成分の合計量(100質量%)のうち、0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%が特に好ましい。
(他の添加剤)
本発明の非線形光学材料用組成物は、必要に応じて、安定剤類(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合防止剤等)、界面活性剤類(レベリング剤、消泡剤、沈殿防止剤、分散剤等)、可塑剤、増粘剤等の他の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
〔非線形光学材料〕
本発明の非線形光学材料は、本発明の非線形光学材料用組成物の固化物であって、該固化物中の有機化合物(B)に由来する単位が配向している、非線形光学材料である。
該有機化合物(B)に由来する単位が配向していることで、非線形光学材料は非線形光学特性に優れる。
本発明の非線形光学材料は、たとえば、下記の工程(I)、工程(II)および工程(III)を経て製造できる。
(I)非線形光学材料用組成物からなる膜を形成する工程。
(II)加熱下、非線形光学材料用組成物からなる膜に電場を印加して有機化合物(B)に由来する単位を配向させる工程。
(III)有機化合物(B)に由来する単位が配向している状態で膜を固化させ、非線形光学材料を形成する工程。
(工程(I))
非線形光学材料用組成物からなる膜の形成方法としては、プレス成形法、押出成形法、溶液キャスト法等、公知の方法が挙げられる。膜厚の均一性、光制御デバイスへの加工性の点から、溶液キャスト法が好ましい。
溶液キャスト法による該膜の形成方法としては、には、溶剤(C)を含む本発明の非線形光学材料用組成物を基材の上に塗布し、次いで溶剤(C)を除去する方法が好ましい。
基材としては、各種金属基板(アルミニウム、金、鉄、ニッケル、クロム、ステンレス等からなる基板)、各種半導体基板(シリコン、酸化シリコン、酸化チタン、酸化亜鉛、ガリウムヒ素等からなる基板)、ガラス基板、プラスチック基板(ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド等からなる基板)等を用いることができる。
基材表面には必要に応じて機能膜が形成されていてもよい。機能膜としては、たとえば、導電膜、絶縁膜、光反射膜、光導波路膜等が挙げられる。基材表面上の機能膜は必要に応じて全面膜であってもパターン化された膜であってもよい。特に、有機化合物(B)に由来する単位を配向させるために、非導電性の基材表面には導電膜が形成されていることが好ましい。
前記のように、半導体基板、ガラス基板、プラスチック基板等の非導電性基板の表面には、必要に応じて導電膜が形成されてもよい。導電膜としては、金属材料(金、チタン、銅、モリブデン、タングステン等)、各種酸化物(酸化スズ、酸化インジウム、酸化スズ−酸化インジウム複合酸化物(以下、「ITO」とも記す。)等)、各種有機半導体(ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン等)等が用いられる。導電膜付基板を用いる場合、非線形光学材料用組成物からなる膜は導電膜の上に形成される。
塗布方法としては、公知の方法が挙げられる。具体的には、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ダイコート法、バーコート法、ドクターコート法、押し出しコート法、スキャンコート法、刷毛塗り法、ポッティング法、インクジェット、印刷等が挙げられる。
溶剤(C)の除去は、減圧する、加熱する、減圧下で加熱する等の常法によって行うことができる。加熱する温度および時間は、溶剤(C)を除去でき、かつ非線形光学材料用組成物が完全に熱硬化しない条件とする。
(工程(II))
工程(II)では、工程(I)で得た、非線形光学材料用組成物からなる膜を、ポリマー(A)のTgの−70〜70℃で加熱し(以下、「ポーリング温度」とも記す。)、ポリマー(A)を軟化した状態で電場を印加し、有機化合物(B)に由来する単位を配向させる処理(以下、「ポーリング処理」とも記す。)を行う。
ポーリング処理の方法としては、公知の電場の印加方法、コロナ放電を利用した方法等を採用できる。印加電圧は、1〜15kVが好ましく、2〜10kVが特に好ましい。
ポーリング温度は、ポリマー(A)のTgの−50〜50℃が好ましい。
(工程(III))
工程(III)では、有機化合物(B)に由来する単位が配向している状態で膜を固化させ、次に電場を取り除き、非線形光学材料を形成する。
膜の固化は、温度を20〜60℃程度まで低下させることによって行われる。
(膜中の架橋反応)
工程(II)〜(III)において、外部エネルギーの作用によってポリマー(A2)等の架橋性反応基同士を反応させてもよい。外部エネルギーとしては、熱(すなわち熱架橋)または光(化学線。すなわち光架橋。)が挙げられ、これらを併用してもよい。
架橋反応を熱を用いて行う場合、架橋温度は、ポーリング温度と同じであってもよく、さらに高く設定してもよい。工程を簡略に行うためには、ポーリング温度と同じ温度で処理するのが好ましい。
熱により架橋反応させた後は、温度を20〜60℃程度まで低下させ、次に電場を取り除き、非線形光学材料を形成する。熱以外の方法で架橋反応させる場合は、工程(II)で有機化合物(B)に由来する単位を配向させた後、架橋反応させる前に、温度を20〜60℃程度まで低下させてもよい。
架橋反応を熱を用いて行う場合、非線形光学材料用組成物に熱固化促進剤(E)を含ませてもよい。温度は、40〜500℃が好ましく、60〜400℃がより好ましく、70〜300℃がさらに好ましく、120〜280℃が特に好ましい。温度が低すぎると、ポリマー(A2)または該ポリマー(A2)を含む組成物の保存時における安定性が確保できず、温度が高すぎると、ポリマー(A2)自体や基材の熱分解、有機化合物(B)に由来する単位の分解が起こるおそれがある。
架橋反応を光を用いて行う場合、非線形光学材料用組成物に感光剤(F)を含ませることが好ましい。
外部エネルギーとして光を用いる場合、所望の部分にのみに光を選択的に照射すれば、露光部のみを高分子量化させ、未露光部分を現像液に溶解させて除去できる。必要に応じて、露光、現像の後にも、光、熱等の外部エネルギーを与えて、さらに高分子量化させてもよい。
本発明の非線形光学材料は、非線形光学効果、耐熱性、絶縁耐圧、透明性に優れるため、光導波路、光制御デバイス等に使用できる。光導波路、光制御デバイス等は非線形光学効果を長期間維持でき、光伝送損失が小さい。
〔光導波路〕
本発明の光導波路は、コアおよびクラッドのいずれか一方または両方が、本発明の非線形光学材料からなるものである。他方が無機材料からなるものであってもよい。すなわち、コアが本発明の非線形光学材料、クラッドが無機材料の組み合わせ、または、コアが無機材料、クラッドが本発明の非線形光学材料の組み合わせであってもよい。
コアが無機材料、クラッドが非線形光学材料からなる光導波路の具体例としては、IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS,2010年,第45巻,第1号,p.235に記載の光導波路が挙げられる。このような光導波路における非線形光学材料として本発明の非線形光学材料を用いることができる。
図1は、本発明の光導波路の一例を示す、コアの長さ方向に対して垂直な断面図である。図1に示す光導波路1は、互いに平行に、かつ間隔をあけて設けられた複数のコア10と、コア10の周囲を囲むクラッド20とを有するフィルム状のものである。
(コア)
コア10の屈折率は、クラッド20の屈折率よりも高い。
コア10の断面形状は、図示例では矩形であるが、これに限定されない。たとえば、台形、円形、楕円形、5角形以上の多角形であってもよい。コア10の断面形状が多角形である場合、その角が丸みを帯びていてもよい。
コア10の断面形状および大きさは、光源または受光素子との結合効率等を考慮して適宜設計すればよい。結合効率は、コア径および開口数(NA)に依存する。
コア10の数は、図示例では4本であるが、これに限定されない。
コア10の幅aおよび高さbは、それぞれ1〜100μm程度が好ましい。コア10の幅aおよび高さbが1μm以上であれば、光源または受光素子との結合効率の低下が抑えられる。コア10の幅aおよび高さbが100μm以下であれば、曲げ半径(R)が1mm程度で曲げられた場合であっても、曲げ損失が小さく抑えられる。また、受光素子として用いられるフォトダイオード(PD)の受光部の大きさ(幅および高さ)が、通常100μm以下であるため、この点からもコア10の幅aおよび高さbは100μm以下であることが好ましい。
(クラッド)
クラッド20は、アンダークラッド層22とオーバークラッド層24とからなる。
アンダークラッド層22の材料およびオーバークラッド層24の材料は、コア10の屈折率よりもアンダークラッド層22の屈折率およびオーバークラッド層24の屈折率が低くなる材料であれば、同じであっても異なっていてもよい。
アンダークラッド層22の厚さcおよびオーバークラッド層24の厚さdは、開口数(NA)の値に応じて、光の損失が小さくなるように設計される。アンダークラッド層22およびオーバークラッド層24の一方または両方が無くて、コア10が空気層に接している構成でも光の伝送は可能であるが、アンダークラッド層22およびオーバークラッド層24が設けられていることが好ましい。
アンダークラッド層22の厚さcは、コア10の保護の点から、5〜50μmが好ましい。
オーバークラッド層24の厚さdは、コア10の保護の点から、コア10の高さbよりも厚く、かつ15〜150μmが好ましい。
クラッド20の厚さ(c+d)は、20〜200μmが好ましい。
(光導波路の製造方法)
本発明の光導波路は、たとえば、下記工程(a)〜(c)を経て製造できる。光導波路の製造方法においては、コアおよびクラッドのいずれか一方または両方の形成に、本発明の非線形光学材料用組成物を用いる。
(a)基材の表面にアンダークラッド層を形成する工程。
(b)アンダークラッド層の表面にコアを形成する工程。
(c)アンダークラッド層およびコアの表面を覆うようにオーバークラッド層を形成する工程。
以下、図1に示す光導波路1のオーバークラッド層24を本発明の非線形光学材料用組成物によって形成し、アンダークラッド層22およびコア10を、有機化合物(B)やそれに由来する単位を含まない樹脂組成物(以下、樹脂組成物(H)という。)によって形成する方法を例にとり、光導波路の製造方法を詳しく説明する。
有機化合物(B)に由来する単位を含まない樹脂組成物(H)としては、有機化合物(B)に由来する単位を含まないこと以外は本発明のポリマー(A)と同様のポリマーを含む樹脂組成物が好ましい。該ポリマーは、化合物(Y)および化合物(Z)(必要に応じてさらに化合物(X))の縮合物からなるポリマーであることが好ましい。該ポリマーは、国際公開第2013/154078号に記載の、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(J1)、架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(J2)、ならびに架橋性官能基および炭素数8以下のハロアルキル基置換芳香環を有する化合物(J3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(J)と、前述式(K)で表される化合物(K)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(L)とを、脱ハロゲン化水素剤の存在下に縮合反応させて得られた含フッ素ポリアリーレンプレポリマーであることも好ましい。この有機化合物(B)に由来する単位を含まないポリマーを含む樹脂組成物(H)はまた、有機化合物(B)を含まない。
樹脂組成物(H)の膜を形成するにあたっては、前記ポリマーと溶剤(C)を含む樹脂組成物(H)を、溶剤(C)を含む本発明の非線形光学材料用組成物と同様に用いることが好ましい。
なお、樹脂組成物(H)はポリマーや添加剤の相違により、その固化物の屈折率を変化させることができる。したがって、樹脂組成物(H)の固化物として、本発明の非線形光学材料用組成物の固化物の屈折率よりも高屈折率の固化物や低屈折率の固化物を形成でき、また、本発明の非線形光学材料用組成物と同じ屈折率を有する固化物も形成できる。
(工程(a))
図2に示すように、基材30の表面に、樹脂組成物(H)を塗布し、溶剤(C)を除去して樹脂組成物(H)の膜を形成し、必要に応じて加熱および/または光照射を行って固化させ、アンダークラッド層22を形成する。基材30の表面に樹脂組成物(H)の膜を形成する前に、接着性向上剤(G)を基材30の表面に塗布してもよい。また、アンダークラッド層22、コア10およびオーバークラッド層24の各層間にも接着性向上剤(G)を塗布してもよい。
基材30としては、プラスチックフィルム、シリコン等が挙げられる。プラスチックフィルムの材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
光導波路が、クラッド20と基材30とが一体化された状態で使用される場合には、樹脂組成物(H)に接着性向上剤(G)を含ませることが好ましい。
(工程(b))
図2に示すように、アンダークラッド層22の表面に、前記アンダークラッド層を形成した樹脂組成物(H)よりも高屈折率の樹脂組成物(H)を塗布し、溶剤(C)を除去して樹脂組成物(H)の膜を形成し、必要に応じてプリベークを行って半固化させ、コア前駆体層12を形成する(工程(b1))。
次いで、図2に示すように、コア前駆体層12をフォトリソグラフ法で加工してコア10を形成する。たとえば、フォトマスクを介してコア前駆体層12に対して光照射(露光)を行った後、現像することによってコア10を形成する(工程(b2))。
必要に応じてポストベークを行ってコア10を完全に固化させる。
(工程(c))
図2に示すように、アンダークラッド層22およびコア10の表面に、前記アンダークラッド層を形成した樹脂組成物(H)と同じ屈折率を有する本発明の非線形光学材料用組成物を塗布し、溶剤(C)を除去して非線形光学材料用組成物の膜を形成する。必要に応じて、アンダークラッド層22と同様に、加熱および/または光照射を行って固化させる。オーバークラッド層24が形成でき、光導波路1が得られる。必要に応じて基材30を剥離して取り除いてもよい。なお、図2(c)に示される光導波路1においては、制御電極はオーバークラッド層24の上に設けられる。
〔光制御デバイス〕
本発明の光制御デバイスは、本発明の光導波路と、該光導波路のコアおよびクラッドのうち、本発明の非線形光学材料からなるものに電圧を印加する電極とを備えたものである。
本発明の光制御デバイスの具体例としては、位相制御型デバイス(位相変調器、温度保証型位相変調器、単一側帯波発生用セロダイン位相変調器、分岐干渉型変調器、バランスブリッジ型変調器)、方向性結合器型デバイス(方向性結合器型変調器/スイッチ、反転Δβ型方向性結合器、進行波型方向性結合器、光波長フィルタ)、屈折率分布型制御デバイス(内部全反射型スイッチ、分岐スイッチ、TE−TMモードスプリッタ、交差型バイポーラスイッチ、カットオフ型スイッチ)、電気光学グレーティング制御型デバイス(光偏向器、ブラッグ回折型スイッチ、TE−TMモード変換器、光波長フィルタ、偶・奇モード変換型光波長可変フィルタ、導波−放射モード変換器)等が挙げられる。
図3〜7は、本発明の光制御デバイスの一例を示す平面図である。
図3は、直線型変調器の構造を示すものである。本発明の非線形光学材料からなる1本のコア10および該コア10を覆うクラッド20からなる光導波路1と、コア10を挟むように配置された一対の制御電極40と、コア10の一端に配置された偏光子42と、コア10の他端に配置された検出子44とを備える。
図4は、マッハツェンダー型変調器の構造を示すものである。途中で分岐して2本となり、その後再び合流して1本となる、本発明の非線形光学材料からなるコア10および該コア10を覆うクラッド20からなる光導波路1と、分岐部分における一方のコア10を挟むように配置された一対の制御電極40とを備える。
図5は、方向性結合型スイッチの構造を示すものである。本発明の非線形光学材料からなり、途中で間隔が狭くされた2本のコア10および該コア10を覆うクラッド20からなる光導波路1と、間隔が狭くされた部分において2本のコア10を外側から挟むように配置された一対の制御電極40とを備える。
図6は、Y分岐型スイッチの構造を示すものである。本発明の非線形光学材料からなり、途中で2本に分岐したコア10および該コア10を覆うクラッド20からなる光導波路1と、分岐部分において2本のコア10を外側から挟むように配置された一対の制御電極40とを備える。
図7は、リング共振器型変調器の構造を示すものである。直線状のコア11、該コア11に間隔をあけて形成された本発明の非線形光学材料からなるリング状のコア10および該コア10およびコア11を覆うクラッド20からなる光導波路1と、コア10の外周に沿って配置された円弧状の外側制御電極46と、コア10の内側に配置された円形状の内側制御電極48とを備える。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、例1〜3および11〜13が実施例、例4、5、14および15が参考例、例6および16が比較例である。
〔物性の測定〕
(Tg)
ポリマーについて、TAインスツルメント社製のQ1000を用い、示差走査熱量測定を行った。具体的には、10℃/分で40℃から350℃まで昇温および降温を2回繰り返して測定し、中間点ガラス転移温度を求めた。
(Td5%
ポリマーの熱質量減少率が5%となる時の温度(Td5%)は、マックサイセンス社製のTG−DTA2000SAを用い、示差熱−熱重量同時測定を行った。具体的には、10℃/分で室温(20〜25℃)から600℃まで昇温を行い、加熱昇温した際の質量減少量とその際の温度を求めた。測定雰囲気には、乾燥ガス(窒素または空気)を用いた。
(数平均分子量)
ポリマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」とも記す。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:TSKgel MultiporeH (XL)−m、
ガードカラム:TSKguardcolumn MP(XL)、
検出器:紫外−可視(UV)検出器、
データ処理:東ソー社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」、
カラム温度:40℃、
展開溶媒:テトラヒドロフラン、
流速:1.0mL/分、
標準:前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の単分散ポリスチレン(東ソー社製「A−500」、「A−1000」、「A−2500」、「A−5000」、「F−1」、「F−2」、「F−4」、「F−10」、「F−20」、「F−40」、「F−80」、「F−128」、「F−288」、「F−550」)を用いた。
(非線形光学効果(SHG強度))
溶剤(C)を含む非線形光学材料用組成物を、0.5μm孔径のポリテトラフルオロエチレン製フィルタでろ過した後、ITO電極付ガラス基板のITO電極側の表面にスピンコートし、ホットプレート上にて200℃で2時間乾燥させて、ポリマーからなる膜厚2μmの膜を形成した。
次に、ポーリング処理と必要に応じて架橋反応を行い、非線形光学材料を製造した。すなわち、260℃に加温したホットプレート上に、前記膜を形成させたITO電極付ガラス基板を置き、その上にポリイミドフィルムを置いた。ITO電極と上部に設置したニードル型電極との間(4mm)に6.5kV/cmの電界を印加しながら、260℃で1時間加熱した後、50℃まで冷却し、電界の印加を停止し、非線形光学材料を得た。
得られた非線形光学材料のSHG強度を以下のように測定した。
ITO電極付ガラス基板上に形成された非線形光学材料に対して、膜方向からYAGレーザより発振される波長1,064nmのレーザ光を照射し、発生する波長532nmのSHGの強度(以下、「SHG強度」とも記す。)を、光電子増倍管を検知器として用いて測定した。なお、非線形光学材料を透過する1,064nmのレーザ光は、赤外吸収フィルタでカットし、モノクロメータにより532nmのSHG強度のみを取り出して測定した。SHG強度の値が大きいほど、二次の非線形光学効果に優れることを示す。
(高温保持後のSHG強度の維持率)
前記SHG強度の評価で製造した非線形光学材料を、140℃または160℃のイナートオーブン中に静置し、30分間または5時間保持した。所定時間経過後、非線形光学材料をオーブンから取り出し、再びSHG強度を測定した。イナートオーブンに入れる前のSHG強度を分母にとり、高温保持後のSHG強度を分子にとって、維持率を算出した。該維持率が高いほど、耐熱性に優れた材料であることを示す。
(絶縁耐圧)
溶剤(C)を含む非線形光学材料用組成物をシリコン基板の上にスピンコートし、ホットプレートを用いて70℃で90秒間加熱した後、さらに、100℃で90秒間加熱した。次いで、縦型炉を用いて200℃で60分間、窒素雰囲気下でファイナルベークを行い、膜厚1.5μmの固化物を得た。
該固化物について、日本エス・エス・エム社製の水銀CV測定装置SSM495を用いて絶縁耐圧を測定した。
(透明性)
上述のSHG強度測定と同様にして、ポリマーからなる膜厚2μmの膜を形成した。島津製作所製のTG−UV−3600を用いて、塗膜の1.3μmにおける吸光度を測定した。下記の基準にて評価した。
○(良好):1.3μmおよび1.5μmにおける吸光度が0.1以下であり、透明性が高い。
×(不可):1.3μmおよび1.5μmの一方または両方における吸光度が0.1より大きく、透明性が低い。
(耐溶剤性)
ポリマーの1mgに溶剤(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)またはγ−ブチロラクトン(GBL))を加えたときの状態を目視で確認し、下記の基準にて評価した。
○(良好):ポリマーが溶剤に溶解しない。
△(可):ポリマーが溶剤にわずかに溶解した。
×(不可):ポリマーが溶剤に溶解した。
〔有機化合物(B)〕
(有機化合物(B−1))
有機化合物(B−1)として、東京化成工業社製、商品名:D3284を用意した。
有機化合物(B−1)の2次分子超分極率は、文献(J.Phys.Chem.,1991年,第95巻,p.10631〜10643.)によると49×10−30esuである。有機化合物(B−1)は、上述した「公知の非線形光学効果を発現する有機化合物」の例示のうち「π電子共役系が芳香環および/またはπ電子共役複素環と不飽和結合との組み合わせである化合物」であって、アゾベンゼン誘導体の一例である。
Figure 2015120831
(有機化合物(B−2−a、B−2−b))
有機化合物(B−1)(10g、32.8mmoL)と塩化メタンスルホニル(MsCl。18.7g、MsClとして15.9mmoL)とをテトラヒドロフランに溶解させた。トリエチルアミン(17.7g)を加え、0℃で2.5時間攪拌した。水中(500mL)に反応溶液を滴下し、析出した固体をろ過により取り出し、真空乾燥して化合物(b−1)を得た。
化合物(b−1)(11.3g、28.7mmoL)と、アジ化ナトリウム(NaN。3.81g、NaNとして57.3mmoL)とをジメチルスルホキシドに溶解させ、80℃、1時間加熱撹拌した。水中(300mL)に反応溶液を滴下し、析出した固体をろ過により取り出し、真空乾燥して粉末状の化合物(b−2)を得た。化合物(b−2)(9.4g、27.8mmoL)とペンタフルオロアセチレン(PFPA。23.7g、PFPAとして122.4mmoL)を1,2−ジクロロベンゼン(169mL)に溶解させ、180℃、5時間加熱還流し、有機化合物(B−2)(有機化合物(B−2−a)と有機化合物(B−2−b)の混合物であり、有機化合物(B−2−a)と有機化合物(B−2−b)の存在比は1:1〜4:1である。)を含む反応液を得た。
Figure 2015120831
上述の反応液と同等量のクロロホルムで希釈し、ヘキサンとメタノールの1:1(体積比)の混合液中に滴下し、再凝集した。水、メタノール、ヘキサンの順番で洗浄しながら吸引ろ過により取り出し、真空乾燥して有機化合物(B−2−a)(8.38g、15.8mmoL)を得た。また、ろ液を回収した。
上述の通り回収したろ液を、溶媒留去し、析出した沈殿物をヘキサンで洗浄しながら吸引ろ過により取り出し、真空乾燥して有機化合物(B−2−b)(3.41g、6.41mmoL)を得た。
〔例1〕
有機化合物(B−2−a)(0.44g、0.800mmoL)と、化合物(Z−2)(1.68g、5.30mmoL)と、化合物(Y−8)(1.63g、4.90mmoL)とを、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」とも記す。)中、70℃で80時間、炭酸カリウム(4.56g、33.0mmoL)の存在下に加熱撹拌した。次いで、有機化合物(B−2−a)に含まれるペンタフルオロフェニル基のパラ位とメタ位に相当するフッ素原子の消失を19F−NMRで確認した。その後、DMAc溶液をセライト上でろ過し、pHが中性になったことを確認した後、水にゆっくりと加えて再沈し、微粒固体をろ過した。固体を水、メタノール、ジクロロペンタフルオロプロパン(AK−225:製品名、旭硝子社製)、ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥し、橙色粉末状のポリマー(A1−1)(2.42g、収率87.7%)を得た。ポリマー(A1−1)のTg、Td5%、数平均分子量を表1に示す。
ポリマー(A1−1)の同定は、H−NMRおよび19F−NMRにより行った。
ポリマー(A1−1)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm): 1.16(s、3H)、3.30(s、2H)、4.03(s、2H)、4.72(s、2H)、6.77(s、2H)、7.26〜7.78(m、150H)、8.33(s、1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−162.8(s、24F)、−154.3(s、1F)、−141.7(s、24F)、−138.8(s、24F)。
〔例2〕
反応時間を80時間から23時間に変更した以外は、例1と同様にしてポリマー(A1−2)(3.24g、収率77%)を得た。ポリマー(A1−2)のTg、Td5%、数平均分子量を表1に示す。
〔例3〕
ポリマー(A1−1)(0.60g、0.238mmoL)と化合物(X1)である4−アセトキシスチレン(0.050g、0.309mmoL)とを、DMAc中、水酸化カリウム存在下0℃で反応させ、ポリマー(A2−1)を製造した。得られたポリマー(A2−1)のDMAc溶液をセライトろ過した後、再び塩化アンモニウムのメタノール水溶液にゆっくりと加えて再沈精製し、吸引ろ過、洗浄、真空乾燥することで橙色粉末状のポリマー(A2−1)(0.5g、収率73.3%)を得た。ポリマー(A2−1)のTg、Td5%、数平均分子量を表1に示す。
ポリマー(A2−1)の同定は、H−NMRおよび19F−NMRにより行った。
ポリマー(A2−1)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.16(s、3H)、3.30(s、2H)、3.94(s、2H)、4.64(s、2H)、5.20(d、2H)、5.63(d、2H)、6.50(s、2H)、7.18〜7.79(m、150H)、8.28(s、2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−162.9(s、24F)、−141.5(s、24F)、−138.5(s、24F)。
〔例4〕
化合物(Z)の代わりに、下式で表される化合物(以下、「TrisP」とも記す。)を用意した。
Figure 2015120831
有機化合物(B−2−a)(0.43g、0.811mmoL)とTrisP(0.50g、1.63mmoL)とを、DMAc中、40℃で6時間、炭酸カリウム(1.03g、7.3mmoL)の存在下に加熱撹拌した。次いで、有機化合物(B−2−a)に含まれるペンタフルオロフェニル基のパラ位に相当するフッ素原子の消失とメタ位に相当するフッ素原子のシフトを19F−NMRで確認した後、化合物(Y−8)を投入して40℃、20時間加熱撹拌し、ポリマー(M−1)を製造した。得られたポリマー(M−1)のDMAc溶液をセライト上でろ過し、pHが中性になったことを確認した後、塩化アンモニウムのメタノール水溶液にゆっくりと加えて再沈し、固体をろ過した。固体をメタノール、AK225、ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥し、橙色粉末状のポリマー(M−1)(1.53g、収率87.4%)を得た。ポリマー(M−1)の数平均分子量は、13,000であった。19F−NMRから、ポリマー(M−1)に含まれるペルフルオロビフェニルのパラ位に相当するフッ素原子は、ポリマー(M−1)1gに対して0.464mmoLであった。ポリマー(M−1)のTg、Td5%、数平均分子量を表1に示す。
ポリマー(M−1)の同定は、H−NMRおよび19F−NMRにより行った。
ポリマー(M−1)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.13(s、3H)、2.16(s、3H)、3.30(s、2H)、4.03(s、2H)、4.73(s、2H)、6.75(s、2H)、6.77〜7.18(m、30H)、7.81(s、1H)、7.83〜7.90(m、4H)、8.31(s、2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−160.9(s、2F)、−154.3(s、2F)、−153.3(s、12F)、−150.6(s、1F)、−140.9(s、2F)、−138.4(s、13F)、−137.7(s、2F)。
〔例5〕
有機化合物(B−2−a)(0.22g、0.414mmoL)とTrisP(0.50g、1.63mmoL)とを、DMAc中、40℃で6時間、炭酸カリウム(1.03g、7.3mmoL)の存在下に加熱撹拌した。次いで、有機化合物(B−2−a)に含まれるペンタフルオロ基のパラ位に相当するフッ素原子の消失とメタ位に相当するフッ素原子のシフトを19F−NMRで確認した後、化合物(Y−8)を投入して40℃、20時間加熱撹拌し、ポリマー(M−1)を製造した。得られたポリマー(M−1)のDMAc溶液をセライト上でろ過し、pHが中性になったことを確認した後、塩化アンモニウムのメタノール水溶液にゆっくりと加えて再沈し、固体をろ過した。固体をメタノール、AK225、ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥し、橙色粉末状のポリマー(M−2)(1.51g、収率93.2%)を得た。ポリマー(M−2)の数平均分子量は、13,000であった。19F−NMRから、ポリマー(M−2)に含まれるペルフルオロビフェニルのパラ位に相当するフッ素原子は、ポリマー(M−1)1gに対して0.624mmoLであった。ポリマー(M−2)のTg、Td5%、数平均分子量を表1に示す。
ポリマー(M−2)の同定は、H−NMRおよび19F−NMRにより行った。
ポリマー(M−2)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl、基準:TMS)δ(ppm):1.13(s、3H)、2.16(s、3H)、3.32(s、2H)、4.03(s、2H)、4.73(s、2H)、6.75(s、2H)、6.94〜7.05(m、30H)、7.63(s、1H)、7.82〜7.90(m、4H)、8.31(s、2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−160.9(s、2F)、−154.4(s、2F)、−153.4(s、9F)、−150.6(s、1F)、−140.9(s、2F)、−138.5(s、9F)、−137.8(s、2F)。
〔例6〕
化合物(Z)の代わりに、下式で表される化合物(以下、「THB」とも記す。)を用意した。
Figure 2015120831
DMAc中、化合物(Y−8)とTHBとを炭酸カリウムの存在下に反応させた後、化合物(X1)である4−アセトキシスチレンを水酸化カリウムの存在下に反応させて、ポリマー(M−3)を合成した。得られたポリマー(M−3)のDMAc溶液を、塩酸水溶液に投入して再沈精製し、真空乾燥して粉末状のポリマー(M−3)を得た。ポリマー(M−3)のTg、Td5%、数平均分子量を表1に示す。
Figure 2015120831
〔例11〜15〕
表2に示すポリマーを、固形分の濃度が15質量%となるようにシクロヘキサノンに溶解し、非線形光学材料用組成物を製造した。
得られた非線形光学材料用組成物を用い、非線形光学効果(SHG強度)、高温保持後のSHG強度の維持率、絶縁耐圧、透明性、耐溶剤性を評価した。結果を表2に示す。
〔例16〕
ポリマー(M−3)および有機化合物(B−2−a)の質量比が80:20の割合になるように、かつポリマー(M−3)および有機化合物(B−2−a)の合計の濃度が15質量%となるようにシクロヘキサノンに溶解し、非線形光学材料用組成物を製造した。
得られた非線形光学材料用組成物を用い、非線形光学効果(SHG強度)、高温保持後のSHG強度の維持率、絶縁耐圧、透明性、耐溶剤性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2015120831
互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組有する化合物(Z)を用いた例1〜3のポリマー(A)によれば、耐熱性およびパッシベーション膜を形成する際に用いる溶剤への耐溶剤性に優れた非線形光学材料が得られた。
化合物(Z)の代わりに、フェノール性水酸基を3個有するが、それらが互いにオルト位に存在しない化合物を用いた例4〜6のポリマー(M)の場合、得られた非線形光学材料の耐熱性およびパッシベーション膜を形成する際に用いる溶剤への耐溶剤性が劣っていた。
本発明のポリマーは、非線形光学効果を利用した光制御デバイス(光変調器、光スイッチ等)に用いられる非線形光学材料の原料として有用である。
1 光導波路
10 コア
11 コア
12 コア前駆体層
20 クラッド
22 アンダークラッド層
24 オーバークラッド層
30 基材
40 制御電極
42 偏光子
44 検出子
46 外側制御電極
48 内側制御電極

Claims (13)

  1. 下記化合物(Y)と下記化合物(Z)と下記有機化合物(B)との、少なくとも脱ハロゲン化水素縮合反応を含む反応により生成した縮合物からなる、ポリマー。
    化合物(Y):下式(Y)で表され、かつ互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物。
    化合物(Z):互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物。
    有機化合物(B):化合物(Y)および化合物(Z)からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有し、かつ非線形光学効果を発現する有機化合物。
    Figure 2015120831
    ただし、nは0〜3の整数であり、aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、RfおよびRfは、それぞれ独立に炭素数8以下のフルオロアルキル基、ニトリル基またはニトロ基であり、芳香環内のFは該芳香環の水素原子がすべてフッ素原子で置換されていることを表す。
  2. 前記化合物(Y)に由来する単位と、前記化合物(Z)に由来する単位と、前記有機化合物(B)に由来する単位との合計(100モル%)のうち、前記有機化合物(B)に由来する単位の割合が1〜40モル%である、請求項1に記載のポリマー。
  3. 下記化合物(X)と下記化合物(Y)と下記化合物(Z)と下記有機化合物(B)との、少なくとも脱ハロゲン化水素縮合反応を含む反応により生成した縮合物からなる、ポリマー。
    化合物(X):
    架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(X1)、
    架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(X2)(ただし、化合物(X1)および化合物(X3)を除く。)、ならびに
    架橋性官能基および炭素数8以下のハロアルキル基置換芳香環を有する化合物(X3)(ただし、化合物(X1)を除く。)からなる群から選ばれる1種以上の化合物。
    化合物(Y):下式(Y)で表され、かつ互いにオルト位にある2つのフッ素原子からなる組を2組以上有する化合物。
    化合物(Z):互いにオルト位にある2つのフェノール性水酸基からなる組を2組以上有する化合物(ただし、化合物(X)を除く)。
    有機化合物(B):化合物(X)、化合物(Y)および化合物(Z)からなる群から選ばれる1種以上と縮合反応または付加反応し得る反応性基を有し、かつ非線形光学効果を発現する有機化合物。
    Figure 2015120831
    ただし、nは0〜3の整数であり、aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、RfおよびRfは、それぞれ独立に炭素数8以下のフルオロアルキル基、ニトリル基またはニトロ基であり、芳香環内のFは該芳香環の水素原子がすべてフッ素原子で置換されていることを表す。
  4. 前記化合物(X)に由来する単位と、前記化合物(Y)に由来する単位と、前記化合物(Z)に由来する単位と、前記有機化合物(B)に由来する単位との合計(100モル%)のうち、前記有機化合物(B)に由来する単位の割合が1〜40モル%である、請求項3に記載のポリマー。
  5. 前記反応性基が、前記化合物(Y)のフッ素原子置換芳香環と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基、または前記化合物(Z)のフェノール性水酸基と脱ハロゲン化水素縮合反応し得る基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
  6. 前記有機化合物(B)が、10−30esu以上の2次分子超分極率を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
  7. 前記有機化合物(B)が、電子吸引基および電子供与基がπ電子共役系によって橋渡しされた構造を有する化合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー。
  8. 前記有機化合物(B)が、電子吸引基および電子供与基がπ電子共役系によって橋渡しされた構造と、反応性基との間に複素環を有する化合物である、請求項7に記載のポリマー。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマーを含む、非線形光学材料用組成物。
  10. 溶剤(C)をさらに含む、請求項9に記載の非線形光学材料用組成物。
  11. 請求項9または10に記載の非線形光学材料用組成物を、前記有機化合物(B)に由来する単位が配向した状態で固化してなる固化物である、非線形光学材料。
  12. コアおよびクラッドのいずれか一方または両方が、請求項11に記載の非線形光学材料からなる、光導波路。
  13. 請求項12に記載の光導波路と、前記非線形光学材料に電圧を印加する電極とを備えた、光制御デバイス。
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