JP2015119799A - マイクロ波治療器 - Google Patents
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Abstract
Description
従来のマイクロ波治療器の例を図3に示す。装置は、図3(A)に示すように、トライアック21と高圧トランス22と整流回路23を有し高電圧を発生する電力供給部20と、電力供給部20の出力を陽極電圧としてマイクロ波を発生するマグネトロン24と、マグネトロン24で発生したマイクロ波をアンテナ26に伝送する伝送線路25と、伝送線路25によって伝送されてきたマイクロ波を放射するアンテナ26を有する。
また、図には記載していないが、装置には制御部と操作パネルを設けており、制御部はトライアック21のゲートGや後述の表示部、治療時間を含めて装置全体の制御を行い、操作パネルはマイクロ波出力を設定する出力調節部や治療時間を設定する治療時間設定部、治療の様子を表示する表示部などを有する。
マグネトロン24が発生するマイクロ波の強さは、トライアック21のゲートGを制御して通流率を制御することで、調節することができる。
で位相を制御され、、
出力調節部を操作するとその操作量(出力調節ボリュームの場合、ボリュームの回転角度)の情報は制御部に転送され、この操作量に応じて制御手段はトライアック21のゲートGを制御し、通流率を制御する。トライアック21の出力は高圧トランス22で昇圧され、整流回路23で整流されて、陽極電圧としてマグネトロン24の陽極に供給される。
マグネトロン24の陽極電圧が発振電圧以上になるとマグネトロン24は発振してマイクロ波を発生し、発生したマイクロ波は伝送線路25(通常は動軸ケーブルを使用)を介してアンテナ26に伝送されて生体に輻射されるが、陽極電圧が発振電圧以上になる時間を制御して、マイクロ波出力(以下、「出力」とする)の強さを制御している。
一旦、出力を適切な値に設定した後は、治療時間の間、設定した一定の出力でマイクロ波を発生し、治療を行う。ここでいう出力が適切な値とは、組織が温熱治療に適した温度に加温され、患者が適温と体感するときの出力のことである。
マイクロ波を照射すると、照射部の組織温度は徐々に上昇し、約8分間で43℃程度に達している。この時点でマイクロ波照射を停止しているため、その後、組織温度は徐々に低下している。しかし、マイクロ波照射を停止しないで照射を持続すると、組織温度はさらに上昇する。
組織温度上昇の程度は、図3(C)に示すように、マイクロ波出力に依存する。出力が高いとa曲線のように組織温度は熱傷閾値TL(後述)を超えて上昇し、出力が低いとc曲線のように組織温度は深部体温TBに達せず、出力が適度であれば高いとb曲線のように組織温度は深部体温TBと熱傷閾値TLの間になる。
ヘリカルアンテナを使用したマイクロ波治療器では、通常、腰部や上背部など、大きな部位の治療では80〜100ワット程度、肩や膝など、サイズが小さな部位では、もう少し低い出力で治療を行っている。
ヘリカルアンテナはアンテナの先端から1波長程度離して、つまり非接触で使用する。このため、漏洩するマイクロ波もあり、加温のための効率は低下する。
このような患部をマイクロ波治療で温熱治療を行うには、組織温度を深部体温TBよりも高く維持することが重要である。
一方、人の細胞は、42〜43℃を超えると熱傷を起こし、死滅する。熱傷が生じる閾値をここでは熱傷閾値TLとする。
このため、マイクロ波治療では、組織温度を深部体温TBと熱傷閾値TLの間に維持して、治療を行う。
このため、組織温度をよく反映する温感を指標にして、出力を調節している。
出力調節部を操作して出力を上げながら患者の温感を聴取し、患者が適温と感じた時点で出力調節部の操作を停止し、治療時間が終了するまでその出力を維持するようにしている。
マイクロ波の出力を上げていくと、組織温度は徐々に上昇し、やがて深部体温TBを超え、マイクロ波の出力が大きいと、さらに上昇し、やがて熱傷閾値TLを超える。この過程で、患者は、患部の組織温度が深部体温TB以下のときは温感を感じず、深部体温TB程度になると少し温かく感じ、さらに温度が上昇すると快適な温感(適温)が得られ、さらに温度が上昇し、42℃程度になると熱く感じ、さらに高温になるとやがて熱傷が生じる。
つまり、温感という指標を用いることで、組織温度を深部体温TBと熱傷閾値TLの間の大よそ何度程度かを知ることができ、適温と感じた点が温熱治療のための適切な温度である。
操作部を操作して治療時間を入力し、アンテナ26を患部に向け、出力調節部を操作し、患者に温感を確認しながら出力を上げ、患者が温感を感じはじめ、さらに出力を上げて適温と感じた時点で出力調節部の操作を停止し、その出力を、治療時間が終了するまで、維持するようにしている。
この出力調節の様子を図3(D)に示す。同図の上段はマイクロ波出力、下段は組織温度のグラフである。患者に温感を確認しながら出力を徐々に上昇させ、出力をPsにした時間tbに患者が温感は適度であると答えたため、出力をPsに維持し、治療終了時間toまで治療をおこなっている。
患者が適温と感じているため、組織温度は深部体温TBと熱傷閾値TLの間である。
例えば腰や上背部の治療では、出力を80〜100ワット程度にして組織が加温されると、大部分の人で適度の温感が得られ、膝や肩などのより小さな部位の治療ではそれより低い出力で適度の温感が得られる、人による温感の差は小さいこと、出力を多少変化させても温感の変化は少ないことが知られている。
このため、出力調節は図3(E)に示すようにおこなう。つまり、例えば腰や上背部の治療では、前述のように、最初から適切とされている出力(80〜100ワット)に設定して、より小さな部位の治療ではもう少し低い出力にして、治療を開始し、途中で温感を確認し、必要に応じて出力を微調節するという方法が取られる。
しかし、図3(D)や(E)に示すように、治療開始後、組織温度が深部体温TBまで加温されるのに要する時間tBまでの間は、温感が得られず、治療効果も得られない。
また、適切な温感が得られた時点で出力をPsに設定しても、加温には遅れ時間が存在するため、その後徐々に組織温度が上昇し、熱傷閾値TLに達し、熱傷を生じる可能性もある。設定した出力Psが大きすぎて、熱傷閾値TLを超えることもある。逆に、出力が小さすぎ、治療の途中で深部体温TB以下になり、治療効果が得られないこともある。
本発明はこれらの課題を解決するためのものである。
マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、
前記マイクロ波発生手段に電力を供給する電力供給手段と、
前記マイクロ波発生手段で発生するマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、
電力供給手段を含む装置の制御を行う制御手段と、
治療開始直後に組織温度を急速に温熱治療に適した温度にして適度の温感が得られるようにする急速加温手段と、治療時の患者の温感を一定に維持するように前記マイクロ波照射手段のマイクロ波出力を制御する温感制御手段
を備えるマイクロ波治療器とした。
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載のマイクロ波治療器において、
治療開始直後に組織温度を急速に温熱治療に適した温度にして適度の温感が得られる初期出力Psから、患者の温感を一定に維持しながら、最終出力Peまで直線的に減少させるようにした。
請求項3記載の発明では、請求項1記載のマイクロ波治療器において、
患者の温感を一定に維持しながら、出力を、初期出力Psから最終出力Peまで、指数関数的に漸減させるようにした。
請求項4記載の発明では、請求項2又は請求項3記載のマイクロ波治療器において、
初期値Psと最終値Peの一方又は両方を変更可能にした。
また、治療中、温感が一定になるように前記電力供給手段を制御する温感制御手段を設けた。このため、従来より高い温熱治療効果を得ることができ、また、ため、従来より安全な治療を行うことができる。
請求項2記載の発明では、治療開始直後に組織温度を急速に温熱治療に適した温度にして適度の温感が得られる初期出力Psにし、その後、患者の温感を一定に維持しながら、最終出力Peまで直線的に減少させる。
このため、治療時間の大部分の間、組織温度を深部体温TBと熱傷閾値TLの間に維持し、従来より高い温熱治療効果と安全な治療を行うことができる。
請求項3記載の発明では、マイクロ波発生手段の出力Pを初期出力Psから最終出力Peまで指数関数的に漸減させるようにして、温感を一定にすることができる。
このため、治療時間の大部分の間、組織温度を深部体温TBと熱傷閾値TLの間に維持し、従来より高い温熱治療効果と安全な治療を行うことができる。
請求項4記載の発明では、初期値Psと最終値Peの一方又は両方を変更することができる。
このため、腰や上背部のような大きな組織の治療から、手や足のような小さな部位の治療まで、加温特性が異なる部位に応じて初期値Psと最終値Peの調節をおこない、きめ細かな治療をおこなうことができる。
装置の構成は、図1(C)に示すように、装置は電力供給手段1と、マイクロ波発生手段2と、マイクロ波照射手段3と、制御手段4を有する。また、本発明の制御手段4はマイクロ波照射時に得られる温感が一定になるように前記電力供給手段を制御する温感制御手段を有する。
電力供給手段1と、マイクロ波発生手段2と、マイクロ波照射手段3は、例えば、図3(A)のように、従来と同様の構成にしてもよい。
図には記載していないが、装置には操作パネルを設け、出力調節手段(例えば出力調節ボリュームなど)や治療時間設定手段、表示手段等を設けている。
表示手段には、設定した治療時間やボリュームで設定した出力、現在の出力等が表示される。
このため、本発明の装置は従来と同様、患者の温感を確認しながら出力調節をおこなって治療することもできる(通常モード)。通常モードでは、前述のように、患者に温感を確認しながら出力を調節することができる。
急速加温手段により、治療開始直後に組織温度を急速に温熱治療に適した温度にして適度の温感が得られるようにしている。このため、治療開始直後から組織温度が温熱治療に適した温度にされるため、従来よりも効果的な温熱治療をおこなうことができ、患者の満足も得ることができる。
また、治療中、温感が一定になるように前記電力供給手段を制御する温感制御手段を、制御手段に設けている(定温感モード)。従来は、図3(D)や(E)に示すように、治療開始時に、温感を聴取して、適温が得られる出力Pe1にして、治療を行っていた。
これに対して本請求項記載の発明は、温感を聴取しながら、治療中も、温感が一定になるように、出力を制御している。つまり、組織の熱容量を考慮に入れており、出力Pe1よりも小さな出力Peに制御する。
温感が一定になるということは、組織温度を一定に維持しているということである。組織は熱容量を有しているため、加温後は、マイクロ波出力を減少させてもよく、逆に、出力を減少させて、組織温度の過剰な上昇を防止し、熱傷の危険を回避することができる。
つまり、本発明の、温感制御手段は、組織は熱容量を考慮して、組織温度が適切な温度になるように、従来よりも小さなマイクロ波出力になるように制御していることが特長である。
このため、従来よりも高い治療効果を得ることができる。
また、治療期間中、常に照射部組織温度を深部体温TBと熱傷閾値TLの間に維持することができる。しかも、治療中も温感が一定になるように出力を制御しているため、組織に蓄積した熱の分、マイクロ波供給を少なくすることができ、マイクロ波出力を従来よりも小さく制御している。
このため、治療中に照射部組織温度が熱傷閾値TLを超えて熱傷を生じる危険性を回避できるとともに、深部体温TB以下になって治療効果が得られなくなるという問題も解決できる。
本請求項記載の発明は、図3(C)のbの曲線に示すように、ある出力Pe1を照射すると、ほぼ全ての患者で、照射部組織温度を温熱治療に適した温度にすることができるという生体の性質に基づく。例えば、腰部を、ヘリカルアンテナを用いて、80ワットの出力で治療を行うと、照射部組織温度を温熱治療に適した温度にすることができ、患者は適温という温感を得ることができる。このときの出力をPe1とすれば良い。
しかし、組織は熱容量を有するため、本発明では、出力をPe1よりも小さなPeにしている。
また、照射部組織温度が深部体温TBに達するまでに時間tBを短縮するには、前述の出力Peよりも大きな出力Psにすればよい。
一方、生体組織の加温特性は、組織が均一であれば、直線性を有する。つまり、出力を変化させると、照射部組織温度は直線的に変化する。
以上の3点を勘案し、請求項2記載の発明では、図1(A)に示すように、出力を、治療開始時の初期出力Psから最終出力Peまで直線的に減少させるようにした。
このとき、一定の温感が得られるように、tsを決定した。
本発明では、実際に臨床で使用されている出力を参考に、さらに多数の人で実験をおこな、得られたデータを解析し、出力をPsとPe、tsを決定している。
前述のヘリカルアンテナは患部からマイクロ波の1波長程度離して使用するが、接触式のアンテナを用いると、外部に漏れるエネルギーが少なくなり、加温効率が高くなる。このため、腰部の治療では、Psを100ワット、Peを50ワット、tsを5分にすると、治療開始直後から治療終了まで、適度の温感が得られ、効果的な温熱治療を行うことができることを確認している。
このようなことから、前述のように、例えばヘリカルアンテナを用いて、腰部に100ワットのマイクロ波を照射すると、照射部組織温度の上昇と患者が感じる温感は、人による大きな差はなく、ほぼ同じ出力で大部分の人を治療できる。
ただし、治療部位が変わると、例えば腰と膝とでは、出力は変更する必要がある。また、照射アンテナを変えたり、接触式と非接触式のアンテナでは、後述のように、PsとPeともに変更する必要がある。
前述のように、この出力Pe1に対して、本発明のPeは組織の加温特性のほかに、組織の熱容量を考慮して求めている。Peも、Pe1と同様、個人差は少ないため、同じ患部であれば同じ温感制御手段を用いることができる。
本発明の出力Peは、従来の装置の設定出力Pe1よりも低くするため、従来以上に熱傷の危険性を回避することができる。
請求項2記載の発明は、マイクロ波照射時の生体組織の温度特性は直線的であるという点に着目したものであるが、これに対して請求項3記載の発明は、人の温感は、温度と温感の関係がA特性を有するという点に着目したものである。温度と温感の関係がA特性を有するということは、温度と温感が指数関数の関係にあるということである。聴覚や痛覚など、人の感覚はほとんどがA特性を有するとされている。
本請求項記載の発明の出力の制御のグラフを図2に示す。図2では、初期出力Psと最終出力Peを請求項2と同じにし、出力を指数関数的に減少させている。図の細線の直線は請求項2記載の温感制御手段の例である。
出力が最終出力Peになる時間tcは、図1のtsよりも大きくなる(2倍程度になる)。
しかし、実際には指数関数ではなく、例えば双曲線関数のように、漸減する関数であれば、温感を一定に維持することもできる。
本請求項記載の発明により、患者の温感をより適切に維持し、より効果的に温熱治療を行うことができる。
アンテナが接触式と非接触式で、また、腰部と膝のように患部の大きさが異なる場合、初期値Psと最終値Peが異なることを示している。このような場合、初期値Psと最終値Peを変更する必要がある。また、マイクロ波治療で、患者が適温と答える温度にする出力は、個人差は少ないが、実際には、患者によっては初期値Psと最終値Peを変更する必要があることもある。
請求項4記載の発明は、初期値Psと最終値Peを調節することができるようにし、上記の問題を解決するようにしたものである。
本請求項記載の発明により、部位の大きさや患者の温感が異なっても、より適切に出力と温感を得ることができ、きめ細かに、効果的なマイクロ波治療を行うことができる。
制御部に設けた温感制御手段には、図1(A)又は図2の出力手段が設けられている。
温感制御手段に、治療部位(例えば腰部や膝など)に適したマイクロ波発生手段の出力Pを初期出力Psから最終出力Peできるようにしているものでは、治療部位に相当するプログラムを選択する。
その後、治療を開始すると、温感制御手段によって電力供給手段を制御し、図1(A)又は図2のように、初期出力Psから最終出力Peに出力を減少させながら治療を行う。この間、本発明により、治療開始直後から治療終了時まで、患者が得る温感は一定に保たれ、組織温度も適切な値に保たれ、効果的な温熱治療を行うことができる。
治療開始直後に、温感が強すぎる場合又は弱すぎる場合は、請求項4記載の発明により、初期出力Psを調節することができる。実際には操作パネルに初期出力Ps調節手段を設けて置けばよい。また、最終出力Peにした後の温感が適切に得られない場合、最終出力Peを調節すれば良い。
Claims (4)
- マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、
前記マイクロ波発生手段に電力を供給する電力供給手段と、
前記マイクロ波発生手段で発生するマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、
電力供給手段を含む装置の制御を行う制御手段と
を有するマイクロ波治療器において、
治療開始直後に組織温度を急速に温熱治療に適した温度にして適度の温感が得られるようにする急速加温手段と、
治療時の患者の温感を一定に維持するように前記マイクロ波照射手段のマイクロ波出力を制御する温感制御手段
を備えることを特徴とするマイクロ波治療器。
- 治療開始直後に組織温度を急速に温熱治療に適した温度にして適度の温感が得られる初期出力Psから、患者の温感を一定に維持しながら、最終出力Peまで直線的に減少させるようにしたことを特徴とする、請求項1記載のマイクロ波治療器。
- 患者の温感を一定に維持しながら、出力を、初期出力Psから最終出力Peまで、指数関数的に漸減させるようにしたことを特徴とする、請求項1記載のマイクロ波治療器。
- 前記初期値Psと前記最終値Peの一方又は両方を変更可能にしたことを特徴とする、請求項2又は請求項3記載のマイクロ波治療器。
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CN112057743A (zh) * | 2020-08-28 | 2020-12-11 | 张福森 | 一种户外急救用除毒器 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001161833A (ja) * | 1999-12-06 | 2001-06-19 | Marutaka Co Ltd | 電波加温器 |
JP2006296645A (ja) * | 2005-04-19 | 2006-11-02 | Og Giken Co Ltd | マイクロ波治療装置 |
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2013
- 2013-12-20 JP JP2013264684A patent/JP2015119799A/ja active Pending
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