JP2015119153A - 発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】p型窒化物半導体と電極とのコンタクト抵抗を低減し、発光効率及び信頼性も向上させた半導体発光素子を提供する。
【解決手段】
p型窒化物半導体層上に酸化物半導体透明導電膜が形成された発光素子において、前記p型窒化物半導体層と前記酸化物半導体透明導電膜との間に、n型InxGa1−xN(x>0)層が形成されたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】
p型窒化物半導体層上に酸化物半導体透明導電膜が形成された発光素子において、前記p型窒化物半導体層と前記酸化物半導体透明導電膜との間に、n型InxGa1−xN(x>0)層が形成されたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、主として、p型窒化物半導体材料の上に電極を有する発光素子に関する。
近年、半導体発光素子用の半導体材料として、窒化物半導体材料が多く用いられている。窒化物半導体材料は、SiやSiC、サファイア、酸化物、I I I-V族化合物を基板とし、その上にMOCVD法やMBE法によって形成される。
しかし、p型窒化物半導体材料は移動度が小さいため、横方向への電流拡散が小さい。このため、半導体発光素子に電圧を印加しても、発光領域は電極直下に限定され、半導体発光素子の表面全域に電流が拡散しにくい。したがって、このような半導体発光素子に使用される電極には、p型窒化物半導体材料とオーミック接触が可能で、かつ半導体発光素子が発する光に対して透明な材料として、例えばITO(Indium−Tin−Oxide)やZnO(Zinc−Oxide)等で構成される(特許文献1参照)。
しかし、p型窒化物半導体材料は移動度が小さいため、横方向への電流拡散が小さい。このため、半導体発光素子に電圧を印加しても、発光領域は電極直下に限定され、半導体発光素子の表面全域に電流が拡散しにくい。したがって、このような半導体発光素子に使用される電極には、p型窒化物半導体材料とオーミック接触が可能で、かつ半導体発光素子が発する光に対して透明な材料として、例えばITO(Indium−Tin−Oxide)やZnO(Zinc−Oxide)等で構成される(特許文献1参照)。
半導体材料と電極材料がオーミック接触するメカニズムは完全に理解されているわけではないが、その界面におけるキャリアの移動にトンネル効果が作用していると言われている。一般的には半導体材料と電極材料の界面にはキャリアのポテンシャル障壁が存在し、そのポテンシャル障壁をキャリアがトンネル効果により移動することで電流が流れる。このため界面での結晶欠陥の種類や密度、またイオン密度によりポテンシャル障壁の幅やトンネル電流に作用するポテンシャル障壁中の欠陥準位が変わってきて、接触抵抗が変化する。つまり電極のコンタクト抵抗は半導体界面の構造が大きく影響する。
ところで、特許文献1に示されるような半導体発光素子においては、発光効率の改善の要求が強まっており、半導体発光素子の動作電圧(順方向電圧)を小さくすることが求められる。そのためには、窒化物半導体と電極とのコンタクト抵抗を低くする必要がある。発光素子の順方向電圧を下げることは、発光効率改善のために重要である。また、駆動時の発熱も減少するため信頼性向上にもつながる。
しかし、p型窒化物半導体は、Mgドーパントが形成するアクセプタ準位が比較的深いため、キャリア濃度がそれほど高くできず、それに起因して電極とのコンタクト抵抗を下げることが難しいという問題があった。
そこで本発明は、p型窒化物半導体と電極とのコンタクト抵抗を低減し、発光効率及び信頼性も向上させた発光素子を提供することにある。
そこで本発明は、p型窒化物半導体と電極とのコンタクト抵抗を低減し、発光効率及び信頼性も向上させた発光素子を提供することにある。
本発明の一態様によれば、p型窒化物半導体層上に酸化物半導体透明導電膜が形成された発光素子において、前記p型窒化物半導体層と前記酸化物半導体透明導電膜との間に、n型InxGa1−xN(x>0)層が形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、p型窒化物半導体と電極とのコンタクト抵抗を低減し、発光効率及び信頼性も向上させた発光素子を提供できる。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各領域の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による発光素子1(半導体発光素子)の断面構造を示している。本実施形態による発光素子1は、シリコンカーバイド、あるいはシリコン等によって形成された基板11上にn型GaN層(n型窒化物半導体層)12、活性層13、p型GaN層(p型窒化物半導体層)14をこの順に積層し、これをダイシング、またはへき開することにより形成されている。活性層13は、例えば一般的な多重量子井戸(
MQW:Multi-Quantum-Well)構造を有している。InGaNやGaN によって形成され、発光素子1を高効率とするため、数nm〜数十nmの薄膜を多層積層することによって形成されている。高効率とするためには、優れた光学的結晶性および結晶性を得る必要があり、活性層13の製造には、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)が用いられる。
図1は、本発明の第1の実施形態による発光素子1(半導体発光素子)の断面構造を示している。本実施形態による発光素子1は、シリコンカーバイド、あるいはシリコン等によって形成された基板11上にn型GaN層(n型窒化物半導体層)12、活性層13、p型GaN層(p型窒化物半導体層)14をこの順に積層し、これをダイシング、またはへき開することにより形成されている。活性層13は、例えば一般的な多重量子井戸(
MQW:Multi-Quantum-Well)構造を有している。InGaNやGaN によって形成され、発光素子1を高効率とするため、数nm〜数十nmの薄膜を多層積層することによって形成されている。高効率とするためには、優れた光学的結晶性および結晶性を得る必要があり、活性層13の製造には、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)が用いられる。
p型GaN層14上には、n型InGaN層18(n型InxGa1−xN(x>0))が形成される。さらに、n型InGaN層18上には酸化物半導体透明導電膜15が形成される。酸化物半導体透明導電膜15は、活性層13が発する光に対して透明な材料として、例えばITOやZnO等で構成される。
特許文献1では、p型窒化物半導体材料とITOやZnOなどの酸化物半導体透明導電膜がオーミック接触した構造となっている。前述のとおり、p型窒化物半導体材料上にオーミック性電極を形成するときには、他の多くの半導体−金属のオーミック接触と同様に、トンネル電流が大きく寄与すると理解される。トンネル電流が、半導体−金属界面のポテンシャル障壁を通過することで電流が流れるが、その界面に存在する結晶欠陥もまたトンネル電流に大きく寄与する。
ITOやZnOなどの酸化物半導体透明導電膜は、本来半導体でありバンドギャップを有している。また、一般的な製法では酸素欠損に起因するn型半導体特性となる。故にp型窒化物半導体上にITOやZnOなどを形成すると、p型窒化物半導体上にn型半導体を形成することになる。このとき窒化物半導体機能層に発光のための駆動電流を流す場合、前記p型窒化物半導体と酸化物半導体透明導電膜の界面では、n型半導体からp型半導体に電流を流すため、通常の拡散電流機構では電流は流れず、やはり接合界面に存在するポテンシャル障壁を通過するトンネル電流による電流が流れると考えられる。よって前述と同様その界面に存在する結晶欠陥もまたトンネル電流に大きく寄与する。特にITOやZnOなどの場合、バンドギャップを持つ点と金属よりキャリア密度が低い点で、界面に存在する結晶欠陥がトンネル電流に影響する割合が大きくなる。
そのため、本発明に係る発光素子1においては、p型GaN層14と酸化物半導体透明導電膜15との間にn型InGaN層18を形成することで、トンネル電流に影響する前記結晶欠陥に着目し、接触抵抗を飛躍的に低下できる構造を実現した。
図2は、第1の実施形態に係る発光素子1において、n型InGaN層18の厚さ(膜厚)に対する発光素子1の順方向電圧Vfの値を示したものである。比較例1は発光素子1の比較対象として、n型InGaN層18の厚さを0、すなわちn型InGaN層18を形成しない構造である。サンプル1は、n型InGaN層18の厚さを10nmとし、サンプル2はn型InGaN層18の厚さを20nmとした。比較例1、サンプル1及びサンプル2のp型GaN層14は180nm、酸化物半導体透明導電膜15は200nmで形成しており、n型InGaN層18の厚さのみが異なっている。図2を見ると、比較例1のVfは3.1Vであるのに対し、サンプル1のVfは3.0Vと比較例1よりも0.1V低い値を示している。
通常であれば、p型GaN層14と酸化物半導体透明導電膜15の界面(ポテンシャル障壁内)において、n型InGaN層18を挿入すると、イオン電荷の補償効果によってポテンシャル障壁の幅(空乏層)は広がると考えられ、トンネル電流が流れ難くなり、Vfは上昇するはずである。しかし実際にはVfは低下している。これは、p型GaN層14と酸化物半導体透明導電膜15の界面(ポテンシャル障壁内)において、n型InGaN層18の挿入により形成される欠陥が、移動するキャリアに有効に働いていると考えられる。
一方で、サンプル2のVfは、4.0Vと比較例1よりも大きくなっている。これは、n型InGaN層18を厚くしていくと、空乏層が広がりすぎてトンネル確率が減少すること及びバルクとしての特性が出ることにより、n型InGaN層18とp型GaN層14の界面によるpn接合の抵抗が発生すると考えられるためである。
そして、このVfが上昇していく傾向は、n型InGaN層18を10nmよりも大きくした場合に見られた。しかし、n型InGaN層18が1nm未満である場合はVf低減効果が得られない。そのため、n型InGaN層18の厚さは、p型GaN層14と酸化物半導体透明導電膜15界面(ポテンシャル障壁内)でのトンネル電流が有効に働く1nm以上、10nm以下であることが好ましい。
そして、このVfが上昇していく傾向は、n型InGaN層18を10nmよりも大きくした場合に見られた。しかし、n型InGaN層18が1nm未満である場合はVf低減効果が得られない。そのため、n型InGaN層18の厚さは、p型GaN層14と酸化物半導体透明導電膜15界面(ポテンシャル障壁内)でのトンネル電流が有効に働く1nm以上、10nm以下であることが好ましい。
また、n型InGaN層18におけるInの組成は、0.05以上、0.4以下であることが好ましい。これはp型GaN層14と酸化物半導体透明導電膜15の界面(ポテンシャル障壁内)におけるトンネル電流にInが重要であるためと考えられる。Inが0.05未満であると、Vf低減効果が生じない。一方、Inが0.4を超えると同様にVf低減効果が得られない。これは、Inが0.4を超えると、結晶品質が低下して、トンネル電流に有効な欠陥が少なくなると考えられるためである。
また、n型InGaN層18は、n型である場合のみVf低減効果が得られる。言い換えると、n型InGaN層18をp型のInGaN層とした場合にはVf低減効果は得られない。これはVf低減に影響している界面欠陥(p型GaN層14と酸化物半導体透明導電膜15のポテンシャル障壁内の欠陥)がn型ドーパント(SiやSe)に起因することを示唆している。
なお、実施形態1の構造におけるn型InGaN層18は、Siをドープしたn型InGaN層で形成している。
なお、実施形態1の構造におけるn型InGaN層18は、Siをドープしたn型InGaN層で形成している。
酸化物半導体透明導電膜15上にはAlやAu等からなる外部接続用のp側電極16が接続されており、発光素子1の外部の正電源から正孔(ホール)がp側電極16に供給される。これにより、p型GaN層14から活性層13に正孔が供給される。
基板11の裏面側にも外部接続用のn側電極17が接続されており、発光素子1の外部の負電源から電子がn側電極に供給される。これにより、基板11を経由してn型GaN層12から活性層13に電子が供給される。
n型GaN層12から供給された電子とp型GaN層14から供給された正孔とが活性層13で再結合して光を発生する。
基板11の裏面側にも外部接続用のn側電極17が接続されており、発光素子1の外部の負電源から電子がn側電極に供給される。これにより、基板11を経由してn型GaN層12から活性層13に電子が供給される。
n型GaN層12から供給された電子とp型GaN層14から供給された正孔とが活性層13で再結合して光を発生する。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態による発光素子1の断面構造を示している。第1の実施形態と異なる点は、n型InGaN層18と酸化物半導体透明導電膜15との間にNi層19が形成されている点のみである。その他の構造は第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
図3は、本発明の第2の実施形態による発光素子1の断面構造を示している。第1の実施形態と異なる点は、n型InGaN層18と酸化物半導体透明導電膜15との間にNi層19が形成されている点のみである。その他の構造は第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
このように、n型InGaN層18と酸化物半導体透明導電膜15間にNi層19を介在させることで、発光素子1のVfをさらに低減させることができる。これも実施形態1で説明したのと同様に、p型GaN層14と酸化物半導体透明導電膜15の界面(ポテンシャル障壁内)でのキャリア移動に有効に働いているためと考えられる。なお、Ni層19をPt層としても同様の効果を生ずるが、以下Ni層を用いた場合を例として説明する。
具体的には、図2において説明したサンプル1のn型InGaN層18と酸化物半導体透明導電膜15間に1.2nmのNi層を介在させた場合、発光素子1のVfは2.95Vであり、Ni層を介在させない場合(3.0V)よりも0.05V低い値であった。
具体的には、図2において説明したサンプル1のn型InGaN層18と酸化物半導体透明導電膜15間に1.2nmのNi層を介在させた場合、発光素子1のVfは2.95Vであり、Ni層を介在させない場合(3.0V)よりも0.05V低い値であった。
図4は、Ni層19の厚さ(膜厚)に対する発光素子1の順方向電圧Vfと光出力の関係を表したグラフである。Vfが最も低い値(2.95V)を示したのは、Ni層19の厚さが0.5nm〜10nmの範囲であった。Ni層19の厚さが0.5nm未満の場合、Ni層19を挿入した効果が小さいためにVfの低減効果も小さい。一方で、10nmを超えるとVfが上昇する。これは、Ni層19がバルクとしての特性が出ることにより、Ni層19とn型InGaN層18の界面による接触抵抗と、Ni層19と酸化物半導体透明導電膜15の界面による接触抵抗が発生すると考えられるためである。つまり、Ni層19は、トンネル電流が有効に働く0.5nm以上、10nm以下が好ましい。
但し、Ni層19の厚さが2nmを超えると、Ni層19挿入による光透過率の減少により発光素子1の光出力が徐々に低下する。そのため、Ni層19の最も好ましい厚さは0.5nm〜2nmである。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1・・・発光素子
11・・・基板
12・・・n型GaN層(n型窒化物半導体層)
13・・・活性層
14・・・p型GaN層(p型窒化物半導体層)
15・・・酸化物半導体透明導電膜
16・・・p側電極
17・・・n側電極
18・・・n型InGaN層
19・・・Ni層
11・・・基板
12・・・n型GaN層(n型窒化物半導体層)
13・・・活性層
14・・・p型GaN層(p型窒化物半導体層)
15・・・酸化物半導体透明導電膜
16・・・p側電極
17・・・n側電極
18・・・n型InGaN層
19・・・Ni層
Claims (6)
- p型窒化物半導体層上に酸化物半導体透明導電膜が形成された発光素子において、
前記p型窒化物半導体層と前記酸化物半導体透明導電膜との間に、n型InxGa1−xN(x>0)層が形成された発光素子。 - 基板と、
前記基板上に形成されたn型窒化物半導体層と、
前記n型窒化物半導体層上に形成された活性層と、
前記活性層上に形成されたp型窒化物半導体層と、
前記p型窒化物半導体層上に形成された酸化物半導体透明導電膜と、を備え、
前記p型窒化物半導体層と前記酸化物半導体透明導電膜とによって形成されるポテンシャル障壁内に、n型InxGa1−xN(x>0)層が形成された発光素子。 - 前記n型InxGa1−xN層の厚さが1〜10nmであることを特徴とした請求項1または2に記載の発光素子。
- 前記n型InxGa1−xN層のxは0.05以上、0.4以下であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光素子。
- 前記n型InxGa1−xN層と前記酸化物半導体透明導電膜の間に0.5〜10nmのNi層を形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光素子。
- 前記Ni層の厚さは0.5〜2nmであることを特徴とした請求項5に記載の発光素子。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013263623A JP2015119153A (ja) | 2013-12-20 | 2013-12-20 | 発光素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013263623A Pending JP2015119153A (ja) | 2013-12-20 | 2013-12-20 | 発光素子 |
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