それでも、シリコン・オン・インシュレータの埋込み酸化物の下に反射器を実装することは、非標準で特別注文のシリコン・オン・インシュレータウエハを使用することになり、フォトニクス素子の製造が簡単に行かなくなる。
効率を増加させるための代替の方法が知られている。第1の例では、回折格子カプラの効率は、シリコン導波路の厚さを局所的に増加させてシリコン回折格子を付与することによって、増加する。それでも、後者は、回折格子のスペクトル応答を制御するために、幾何学的寸法の厳密な管理を要求する。他の既知の例では、基板除去および金属堆積を行うことによって、ミラーが回折格子の下方に実装される。その結果、効率的で容易な生産可能なフォトニクスカプリング素子についてのニーズが存在している。
本発明の目的は、良好なカプリング効率と実質的に容易な製造可能性とを組み合わせた、放射線結合用のフォトニクス素子を提供することである。
本発明の実施形態の利点は、製造のために、複雑な処理ステップの必要性なしで、従来の半導体・オン・インシュレータ基板が利用できることである。
本発明の実施形態の利点は、シリコン・フォトニクス・プラットフォームが利用できることであり、システムにおいて、コンポーネント、例えば、能動コンポーネントの高レベル集積を可能にする。
本発明の実施形態の利点は、熱依存性からほとんど影響を受けず、複雑な製造ステップを必要としないシステムが利用できることである。
上記目的は、本発明に係る方法および素子によって達成される。
本発明は、半導体導波路へ放射線を結合させるための半導体フォトニクス素子に関する。該フォトニクス素子は、半導体基板と、半導体基板の上に位置決めされた埋め込み酸化物層と、埋め込み酸化物層の上に位置決めされ、放射線が結合される半導体導波路とを備えた半導体・オン・インシュレータ基板を含む。フォトニクス素子はまた、埋め込み酸化物層の上に位置決めされ、半導体導波路へ入射放射線を結合させるように構成された回折格子カプラを備える。半導体基板は、半導体基板の裏面に、半導体基板の裏面および回折格子カプラを経由して半導体導波路と結合する入射放射線を受け入れるための凹部を有する。光学経路は逆転可能であり、素子は、半導体導波路から回折格子カプラおよび半導体基板の裏面を経由して放射線を結合させるのに同様に適することに留意する。
本発明の実施形態の利点は、SOI基板の裏面からの放射線を結合させることによって、フォトニクス素子の製造のために標準のSOIウエハを利用できることである。本発明の実施形態の利点は、フォトニクス素子の良好な効率が得られることである。
フォトニクス素子は、回折格子カプラの上に位置決めされ、第1通過の際、回折格子カプラと相互作用しなかった放射線を反射させるための反射器をさらに備えてもよい。放射線を回折格子カプラに再び反射させることによって、より高いカプリング効率が得られる。本発明の実施形態の利点は、基本的な基板と埋め込み酸化物層との間にミラーを導入する必要があるのを回避し、複雑な製造ステップを必要とせずに、効率的なシステムを利用できることである。
先行技術において、製造は、典型的には、シリコン層の転写(transfer)を行う前に、多重層の堆積を必要とする。層は、堆積する必要があり、基板上に成長できないため、接合プロセスおよびウエハ分割プロセスはより困難であり、その結果、より低い接合品質、より高い欠陥計数および過剰なウエハ湾曲をもたらす。これらの手法において、既製の基板が利用できず、特別注文の基板が必要になる。これらの特定の配置に起因して、本発明の実施形態に係る素子を製造するために、既製の基板が利用できる。
本発明の実施形態の利点は、薄くした基板部分を経由して放射線が結合可能であり、全体的なカプリング効率を増加させ、より多くの放射線が回折格子カプラに到達することである。
半導体基板の裏面における凹部は、50μm未満の厚さを有してもよい。放射線の結合のために近い接近を有するために、典型的には、基板の機械的安定性を阻害することなく、または限定的な阻害とともに、凹部は可能な限り薄くするべきである。
導波路カプラは、SiN導波路カプラでもよい。本発明の実施形態の利点は、SiNが低い損失であり、低い熱依存性を有し、製造変動に対して高い許容度を有することから、SiNカプラを素子内で使用できることである。本発明の実施形態の利点は、SiN回折格子は実質的に大きなバンド幅を有することである。
半導体・オン・インシュレータ基板は、シリコン・オン・インシュレータ基板でもよく、ここで、半導体導波路はシリコン導波路である。本発明の実施形態の利点は、シリコン・フォトニクス・プラットフォームが、能動素子、例えば、変調器、検出器などのプラットフォームを提供し、高レベルの集積を可能にすることである。
反射器は、分布ブラッグ反射器でもよい。本発明の実施形態の利点は、周知で効率的な反射器が利用できることである。分布ブラッグ反射器は、交互配列したSiO2層とSi層のスタック、または交互配列したSiO2層とSiN層のスタックを含んでもよい。本発明の実施形態において、構造は、従来の構造とは反転して使用しているため、反射器、例えば、分布ブラッグ反射器は、基板、回折格子カプラおよび導波路の上に設置することができ、その結果、最初に他の材料を除去する必要性がなく、従来の堆積技術を用いて付与できる。反射器は、反射性の金属層、例えば、アルミニウム層などでもよい。
本発明はまた、光学システムに関する。該光学システムは、上述したような少なくとも1つのフォトニクス素子と、フォトニクス素子に集積された少なくとも1つの能動素子とを備える。
システムはさらに、光ファイバを備えてもよく、これは、光ファイバと半導体導波路との間で放射線を結合させるために、フォトニクス素子の凹部の近傍またはその中に位置決めされる。
本発明はまた、半導体導波路へ放射線を結合させるための方法に関する。該方法は、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面を経由して入射する入射放射線を供給することと、回折格子カプラを経由して半導体導波路へ放射線を結合させることとを含み、回折格子カプラおよび半導体導波路は、半導体・オン・インシュレータ基板の表側に位置決めされる。該方法はまた、回折格子カプラによって結合されなかった放射線を、回折格子カプラの上に位置決めされた反射器で反射させることを含む。本発明に係る実施形態の利点は、効率的な放射線カプリングが行われることであり、放射線が最初に入射したときに回折格子カプラによって結合しなかった放射線がカプラに向けて再び反射して、その結果、放射線と回折格子カプラとの追加の相互作用をもたらすからである。
入射放射線を供給することは、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面を経由して凹部に入射放射線を供給することを含んでもよい。
本発明はまた、半導体導波路から光ファイバに放射線を結合させるための方法に関する。該方法は、半導体導波路内に入射放射波を供給することと、半導体導波路から到来する放射線を、回折格子カプラを経由して半導体・オン・インシュレータ基板を通じて結合させることと、半導体・オン・インシュレータ基板を通じて結合した放射線を、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面に位置決めされた光ファイバに受け入れることとを含む。
放射線を光ファイバに受け入れることは、光ファイバを、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面での凹部に位置決めすることを含んでもよい。
本発明はまた、放射線を半導体導波路へ結合させるのに適したフォトニクス素子を製造する方法に関する。該方法は、半導体基板と、半導体基板の上に位置決めされた埋め込み酸化物層と、埋め込み酸化物層の上にあって、放射線が結合される半導体導波路とを備えた半導体・オン・インシュレータ基板を入手することと、半導体・オン・インシュレータ基板の表側において半導体・オン・インシュレータ基板の上部層の中または上に回折格子カプラを設けることと、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面において半導体・オン・インシュレータ基板の半導体基板に凹部を設けることとを含む。
該方法はさらに、半導体・オン・インシュレータ基板の表側に反射器を設けることを含んでもよく、反射器は、回折格子カプラを覆っており、半導体基板の裏面を経由して入射し、半導体導波路に最初に結合することなく反射器に到達した放射線を反射するのに適している。
本発明の特定かつ好ましい態様が、添付した独立および従属の請求項に記述されている。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴および他の従属請求項と適切に組み合わせてもよく、請求項に明記されたものだけに限らない。本発明のこれらのおよび他の態様が、後述する実施形態を参照しながら明らかになり解明されるであろう。
本発明は、特定の実施形態に関して一定の図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は、概略的かつ非限定的なものである。図面において、幾つかの要素のサイズは、説明目的のために誇張したり、縮尺どおり描写していないことがある。寸法および相対寸法は、本発明の実際の具体化に対応していない。
さらに、説明および請求項での用語「第1」「第2」などは、類似の要素を区別するために使用しており、必ずしも時間的、空間的、ランキングまたは他の手法での順番を記述するためではない。ここで使用した用語は、適切な状況下で交換可能であり、ここで説明した本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能であると理解すべきである。
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
請求項で使用した用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していないことに留意する。記述した特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を、参照したように特定するように解釈する必要があるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはこれらのグループの存在または追加を除外していない。こうして表現「手段A,Bを備えるデバイス」の範囲は、構成要素A,Bのみから成るデバイスに限定すべきでない。本発明に関して、デバイスの関連した構成要素だけがAとBであることを意味する。
本明細書を通じて「一実施形態」または「実施形態」への参照は、実施形態との関連で記載した特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通じていろいろな場所での「一実施形態」または「実施形態」の語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照していないが、そうこともある。さらに、1つ又はそれ以上の実施形態において、本発明から当業者にとって明らかなように、特定の特徴、構造または特性は、いずれか適切な方法で組み合わせてもよい。
同様に、本発明の例示の実施形態の説明において、本開示を合理化し、本発明の1つ又はそれ以上の種々の態様の理解を支援する目的で、単一の実施形態、図面、または説明において、本発明のいろいろな特徴が一緒にグループ化していることがあると理解すべきである。しかしながら、この開示の方法は、請求項の発明が、各請求項で明示的に記載したものより多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈すべきでない。むしろ下記の請求項が反映しているように、発明の態様は、単一の前述した実施形態の全ての特徴より少ない場合がある。こうして詳細な説明に追従する請求項は、この詳細な説明の中に明示的に組み込まれており、各請求項は、本発明の別々の実施形態として自立している。
さらに、ここで説明した幾つかの実施形態が、他の実施形態に含まれる幾つかの他でない特徴を含むとともに、当業者によって理解されるように、異なる実施形態の特徴の組合せが本発明の範囲内にあって、異なる実施形態を構成することを意味する。例えば、下記の請求項において、請求した実施形態の何れも、何れの組合せで使用可能である。
ここで提供した説明では、多数の具体的な詳細を説明している。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施してもよいことは理解されよう。別の例では、本説明の理解を曖昧にしないために、周知の方法、構造、および技法は詳細には示していない。
本発明の実施形態において、フォトニクス素子を参照する場合、例えば、シリコン・オン・インシュレータ基板などの半導体・オン・インシュレータ基板をベースとしたフォトニクス・プラットフォーム、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、窒化シリコン、炭化シリコンなどをベースとした集積化導波路を用いて製作された素子を参照する。
好都合には、本発明の実施形態に係るフォトニクス素子が、シリコン・フォトニクス・プラットフォームでのシリコン・オン・インシュレータ基板をベースとしており、これは高集積化フォトニクス回路にとって極めて興味深い材料系である。高い屈折率コントラストにより、フォトニック導波路およびサブミクロン寸法を持つ導波路コンポーネントが、極めて小さいスケールで光を案内し、折り曲げ、制御することが可能になり、その結果、種々の機能がチップ上に集積化できる。こうした導波路は高レベルの小型化を可能にし、このことは有利である。さらに、こうした導波路タイプでは、放射線がフォトニクス集積回路との出入りで効率的に結合できる。シリコン・オン・インシュレータを使用することは、幾つかの技術的な利点を有する。CMOS産業に起因して、シリコン技術は、性能、再現性、スループットおよびコストの点で、他のプレーナーチップ製造技術よりも桁違いに優れた成熟レベルに到達している。ナノフォトニックICがウエハスケールのプロセスを用いて製造可能であり、これは、ウエハが多数のフォトニック集積回路を収容できることを意味する。
本発明の実施形態において、能動素子を参照する場合、少なくとも1つのコンポーネント、例えば、集積検出器、集積放射線源または集積変調器などを参照する。他のコンポーネントも、シリコン・フォトニクス・プラットフォームに製作されたフォトニクス素子、例えば、集積光学空洞、集積光学共振器、集積光学カプラ、導波路、テーパー、波長可変フィルタ、位相シフタ、変調器、またはこれらの組合せにおいて容易に集積できる。
本発明に係る実施形態において、半導体基板の裏面を参照する場合、導波路が存在する側と比べて半導体基板の反対側を参照する。本発明の実施形態において、これは、BOXが堆積される基板側に対応している。
本発明に係る実施形態において、回折格子カプラを参照する場合、一方向から他方向へ入射放射線を結合させるため、例えば、放射線を他方向に案内することによって光学素子へ結合させるためのカプラを参照する。こうした回折格子カプラは、典型的には周期的構造をベースとしている。それは、1つの方向に周期性を有してもよく、2つの方向に周期性を有してもよい。
第1態様において、本発明の実施形態は、半導体導波路へまたは半導体導波路から結合する放射線のための半導体フォトニクス素子に関する。こうした結合は、例えば、光ファイバへまたは光ファイバから、あるいは自由空間へまたは自由空間から行ってもよい。フォトニクス素子は、半導体基板と、半導体基板の上に位置決めされた埋め込み酸化物層と、埋め込み酸化物層の上にある半導体導波路とを備えた半導体・オン・インシュレータ基板を含む。こうした半導体・オン・インシュレータ基板は、伝統的に入手可能な半導体・オン・インシュレータ基板を完全にベースとしてもよい。詳細には、本発明の実施形態の利点は、フォトニクス素子を製造するために、基板の既存層を変更するための極めて複雑なプロセスを必要することなく、伝統的な半導体・オン・インシュレータ基板が使用できることである。
フォトニクス素子の機能は、半導体導波路からまたは半導体導波路へ放射線を結合させることである。本発明の実施形態によれば、フォトニクス素子はさらに、埋め込み酸化物層の上に位置決めされ、半導体導波路へまたは半導体導波路から入射放射線を結合させるように構成された回折格子カプラを備える。さらに、実施形態によれば、半導体基板は、半導体基板の裏面に、半導体基板の裏面および回折格子カプラを経由して半導体導波路と結合する入射放射線を受け入れるための凹部を有する。光学経路の可逆性の観点から、素子は、凹部を経由して放射線を、半導体導波路から回折格子カプラを通って半導体基板の裏面を経由して放射線を、例えば、凹部に位置決めされた光ファイバへ、または自由空間へ結合させるために使用できる。
一例として、本発明の実施形態はこれに限定されないが、本発明の特定の実施形態の利点ならびに標準および任意の特徴について、図1と図2を参照して説明する。図1は、追加の反射器が存在しない、一実施形態に係るフォトニクス素子を示す。図2において、類似のフォトニクス素子が示されており、追加の反射器が、カプリング効率を増加させるために導入されている。
特定の例のフォトニクス素子100は、半導体・オン・インシュレータ基板100をベースとしている。こうしたSOI基板110は、任意のタイプのSOI基板でもよい。それでも、好都合には、シリコン・オン・インシュレータ基板が使用でき、これらは容易に入手でき、光学能動素子を集積するのに良好な特性を有し、良好に開発されたプラットフォームを提供するからである。SOI基板110は、典型的には、任意の適切な半導体材料で製作でき、例えば、ゲルマニウムでもよく、本例では、シリコン基板である半導体基板を含んでおり、埋め込み酸化物層120を支持している。半導体基板は、典型的には、裏面から導入された凹部を含む。こうした凹部は、半導体基板の裏面を通して、半導体基板の他の面に位置決めされた光学コンポーネントへまたは該光学コンポーネントからの放射線の結合を可能にする。非凹部での半導体基板の厚さは、典型的には、伝統的なSOI基板で650μm〜800μmである。放射線結合のために近い接近を可能にするために、好都合には、基板を薄くした凹部112は、50μm未満、例えば、0μm〜50μmの範囲の厚さを有する。好都合には、厚さは、充分な強度と、放射線結合のための近い接近とを提供するように選択される。
凹部は、後述する回折格子の格子エリアを覆うのに充分に大きい面積がある。より一般的には、凹部は、半導体導波路に向けて基板に入射した放射線スポット内の全ての放射線を結合するのに充分大きな面積がある。凹部は、基板を、任意の適切な方法、例えば、エッチング、研磨、ミーリング、レーザアブレーションなどのレーザ処理等で処理することによって導入できる。
半導体基板110の上には、上述したように、埋め込み酸化物層120が設けられる。埋め込み酸化物層120は、典型的には1μm〜4μmの範囲の厚さを有する。一例において、SOIはシリコン・オン・インシュレータ基板であり、埋め込み酸化物層は酸化シリコン層である。埋め込み酸化物層120の上には、半導体層が存在しており、本発明の実施形態に従って半導体導波路130が位置決めされる。1つの特定の例における半導体導波路130は、シリコン導波路である。本発明に係る少なくとも幾つかの実施形態の利点は、シリコン導波路を使用することであり、これは光学能動コンポーネントの導入を可能にする。こうした能動コンポーネントの例は、検出器(この場合、フォトニクス素子は、典型的には放射線を導波路内に結合させるのに適している)、放射線源、例えば、集積レーザのような集積放射線源(この場合、フォトニクス素子は、典型的には素子からの放射線を結合させるのに適している)、光学変調器などである。こうした能動コンポーネントは、他のプラットフォームに導入できるが、シリコン・フォトニクス・プラットフォームは有利に既に開発されており、その結果、良好なテクニックがこれらのコンポーネントの製造または導入のために既知である。上述したように、より受動的なコンポーネントも半導体導波路の中または近傍に存在できる。コンポーネントが典型的に導入される位置を図2の矢印220で示している。
本発明の実施形態によれば、素子100は、半導体導波路130からまたは半導体導波路130へ入射放射線を結合させるための回折格子カプラ140をさらに備える。こうした回折格子カプラ140は、典型的には周期的構造であり、1次元周期性または2次元周期性を有してもよい。本発明の実施形態によれば、回折格子カプラ140は、他の特徴を有してもよい。回折格子カプラ140は、アポダイズ(apodized)回折格子でもよい。本発明の実施形態において、回折格子カプラ140は、案内層として窒化シリコンを用いて製作してもよい。回折格子カプラは、SiN導波路内の周期的構造でもよい。回折格子カプラは、半導体導波路と結合してもよい。
本発明に係る特定の実施形態において、フォトニクス素子は、回折格子カプラの上方に位置決めされた反射器をさらに備える。こうした反射器は、第1通過の際、回折格子カプラにおいて導波路と結合しなかった放射線を、回折格子カプラの方向に再び反射する任意のタイプの反射器でもよい。こうして結合の機会が増加し、フォトニクス素子カプラの効率も増加する。特定の実施形態において、反射器は、分布ブラッグ反射器(DBR)でもよい。DBRの一例が、交互配列したSiO2層とSi層のスタック、または交互配列したSiO2層とSiN層のスタックである。反射器の他の例が、金属層、例えば、アルミニウム層である。
他の態様において、本発明は、放射線を取り扱うための光学システムに関する。光学システムは、第1態様に記載したようなフォトニクス素子を備え、さらに、フォトニクス素子の凹部に位置決めされ、半導体基板の裏面を経由してフォトニクス素子での半導体導波路と結合する放射線ビームを供給するように構成された光ファイバを備える。光ファイバは、基板の凹部と結合してもよい。こうした結合は、任意の適切な手段、例えば、光学接着剤などを用いて行ってもよい。典型的には、光ファイバは、一方の側でフォトニクス素子と結合し、他方の側で放射線源または放射線を検出するための検出器と直接または間接に結合してもよい。
光学システムは、さらに追加の光学コンポーネントを備えてもよい。上述のように、多数の能動または受動コンポーネントがフォトニクス素子内に存在してもよい。本発明に係る実施形態から利益が得られる光学システムは、任意のタイプの光学システム、例えば、光学検出システム、光学通信システム、光学データ処理システムなどでもよい。例として、本発明の実施形態は、これに限定されないが、光学システム300の一例を図3に示しており、第1光学サブシステム310と、第1光学サブシステム310を、第2光学サブシステム320と連結するフォトニクス素子100と光学的に連結する光ファイバ150とを示す。
更なる態様において、本発明は、半導体導波路へ放射線を結合させるための方法に関する。実施形態によれば、該方法は、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面を経由して入射する入射放射線を供給することと、回折格子カプラを経由して半導体導波路へ放射線を結合させることとを含み、回折格子カプラは、半導体・オン・インシュレータ基板の表側に位置決めされる。幾つかの実施形態において、半導体・オン・インシュレータの裏面を経由して入射する放射線を供給することは、半導体・オン・インシュレータ基板での基板裏面で基板の凹部に放射線を供給することを含んでもよい。幾つかの特定の実施形態において、該方法はまた、回折格子カプラによって結合しなかった放射線を、回折格子カプラへ向けて再び反射することを含む。こうした反射では、回折格子カプラの上に位置決めされた反射器が使用できる。該方法は、フォトニクス素子または光学システムのコンポーネントの機能性を発現するステップを含んでもよい。
更なる態様において、本発明は、半導体導波路から光ファイバに放射線を結合させるための方法に関する。該方法は、半導体導波路内に入射放射波を供給することと、半導体導波路から到来する放射線を、回折格子カプラを経由して半導体・オン・インシュレータ基板を通じて結合させることと、半導体・オン・インシュレータ基板を通じて結合した放射線を、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面に位置決めされた光ファイバに受け入れることとを含む。特定の実施形態において、光ファイバは、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面での凹部に位置決めしてもよい。他の実施形態において、該方法は、回折格子カプラによって方向付けられた放射線を、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面の方向に再び反射させることによって、半導体・オン・インシュレータ基板の表面に向けて方向変更することを含んでもよい。該方法は、フォトニクス素子または光学システムのコンポーネントの機能性を発現するステップを含んでもよい。
一態様において、本発明は、放射線を半導体導波路へ結合させるのに適したフォトニクス素子を製造する方法に関する。該方法は、半導体基板と、半導体基板の上に位置決めされた埋め込み酸化物層と、埋め込み酸化物層の上にあって、放射線が結合される半導体導波路とを備えた半導体・オン・インシュレータ基板を入手することを含む。本発明の実施形態の利点は、従来の半導体・オン・インシュレータ基板が使用できることである。代替として、半導体・オン・インシュレータ基板は、例えば、従来の半導体プロセス技術を用いて製造することも可能である。
該方法はまた、半導体・オン・インシュレータ基板の表側において半導体・オン・インシュレータ基板の上部層の中または上に回折格子カプラを設けることを含む。回折格子カプラ、例えば、SiN回折格子カプラを半導体・オン・インシュレータ基板の上に形成することは、従来の半導体プロセス技術を用いて実施できる。
該方法はまた、半導体・オン・インシュレータ基板の裏面において半導体・オン・インシュレータ基板の半導体基板に凹部を設けることを含む。こうした凹部は、任意の適切な方法、例えば、レーザアブレーション、ミーリング、研磨、エッチング等を用いて得られる。
該方法はさらに、半導体・オン・インシュレータ基板の表側に反射器を設けることを含んでもよく、反射器は、回折格子カプラを覆っており、半導体基板の裏面を経由して入射し、半導体導波路に最初に結合することなく反射器に到達した放射線を反射するのに適している。反射器を設けることは、従来の半導体プロセス技術を用いて実施できる。
図4a〜図4fは、本発明の一実施形態に係る例示の方法に従って、フォトニクス素子の製造時の種々の中間状態を示しており、製造プロセスの標準的および任意の特徴を示している。第1ステップにおいて、半導体・オン・インシュレータ基板が得られる。これにより本発明の実施形態の利点は、基板は既製の基板でもよいことである。それでも代替として、半導体・オン・インシュレータ基板は、当業者に知られている多数の処理ステップを用いて製造することによっても得られる。
半導体・オン・インシュレータ基板は、図4aに示す。本例での半導体基板110はSi基板であり、本例での埋め込み酸化物層120はSiO2層であり、半導体導波路130が形成されることになる半導体層401は、本例ではSi層である。
第2ステップにおいて、導波路130および、可能性ある能動コンポーネントが形成される。こうした導波路を形成する方法は、それ自体は当業者に周知のものであり、詳細には説明していない。得られた導波路130は、図4bに示す。処理時に導入される追加の層も示している。これは、本例ではGeコンポーネント403を含み、そして導波路用のクラッド層として使用できる追加の層402が示される。
次のステップにおいて、回折格子カプラ140、本例ではSiN回折格子カプラが導入される。回折格子カプラ140は、図4cに示す。
追加の任意のステップにおいて、能動コンポーネント、例えば、放射線源または検出器と接触するための電気コンタクト404が設けられる。これらは、図4dに示す。
さらに追加の任意のステップにおいて、反射器210が導入される。本ケースでは、図4eに示すように、反射器は、SiN回折格子カプラ140の上方に位置決めされたDBR反射器である。
最終ステップにおいて、凹部が基板110の裏面に形成され、凹部112が得られる。これは、図4fに示される。
上記は、フォトニクス素子を製造するための例示のフローを説明しているが、必要に応じて、他の処理ステップおよび特定の処理テクニックが使用できることは当業者に理解されるであろう。実施形態はこれによって限定されない。