JP2015116684A - 金属表面と異種材料との接合方法、異種材料接合金属材料の製造方法及び異種材料接合金属材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属表面と異種材料との接合方法において、金属材料の表面をレーザスキャニング加工することで、前記金属材料の表面と異種材料とを接合するための接合部を形成する工程と、前記異種材料に設けられた熱可塑性の突起部を加熱し、且つ、該突起部を前記接合部に加圧することで、前記金属材料の表面に前記異種材料を溶着により接合する工程と、を設けた。
【選択図】図1
Description
前記方法において、前記レーザスキャニング加工は、ある走査方向について前記金属材料の表面をレーザスキャニング加工する工程と、前記走査方向とクロスする別の走査方向について前記金属材料の表面をレーザスキャニング加工する工程とを含んでいてもよい。
この場合に、前記ある走査方向と前記別の走査方向のレーザスキャニング加工のいずれも、複数回重畳的に実施してもよい。
また、前記ある走査方向と前記別の走査方向のレーザスキャニング加工のいずれも、ハッチング幅0.02〜0.6mmで実施してもよい。
また、前記ある走査方向と前記別の走査方向とのクロスする角度が45°以上であることが好ましい。
さらに、ある走査方向と前記別の走査方向とのクロスする角度が略90°であることがより好ましい。
また、前記方法において、前記接合部が、凹凸形状をなしていると共に、前記凸部の少なくとも一部がブリッジ形状又はオーバーハング形状をなしていることが好ましい。
また、前記方法において、前記異種材料が、熱可塑性の樹脂、エラストマ又はプラスチックアロイであってもよい。
また、前記方法において、前記金属材料が、鉄、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金又はステンレス鋼であってもよい。
本発明はまた、上述した接合方法における各工程を含む、異種材料接合金属材料の製造方法である。
本発明はまた、上述した製造方法により得られた、異種材料接合金属材料である。
前記異種材料接合金属材料において、前記金属材料と接合された前記異種材料をJIS K6850に従い破壊したときの剥離強度が4MPa以上であることが好ましい。
1 金属材料と異種材料の接合方法
1−1 金属材料
1−2 異種材料
1−3 接合部形成工程
1−4 接合工程
2 異種材料接合金属材料の製造方法
3 異種材料接合金属材料
本形態に係る金属材料と異種材料の接合方法は、金属材料の表面に異種材料を接合するための接合部を形成する接合部形成工程と、接合部が形成された金属材料と異種材料とを接合する接合工程と、を含む。以下、図1を参照しながら、本形態に係る接合方法に用いる材料(金属材料10と異種材料20)について述べた後に、上記各工程について詳述する。図1は、本形態に係る金属材料10と異種材料20の接合方法を模式的に示す説明図である。
本形態における金属材料10としては、特に限定されないが、例えば、鉄、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金又はステンレス鋼が挙げられる。尚、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ラップトップPC等の電気・電子機器の筐体として用いる場合には、軽量化の観点から、アルミニウムやマグネシウム等の、密度5g/cm3以下の軽金属の単体又はこれら軽金属を主成分とする合金を用いることが好適である。また、金属材料10は、レーザスキャニング加工を阻害しない範囲において、陽極酸化処理等の表面処理、塗装又はめっきが施されていてもよい。例えば、端子表面へ金、銀、スズ、ニッケル等のめっき・表面処理がされていても、後述するレーザスキャニング加工を行うことができる。
本形態に係る金属材料10は、その表面に異種材料20との接合部11を有している。ここで、当該接合部11は、後述するように、レーザスキャニング加工により形成され、凹凸形状をなしていると共に、好適には、前記凸部の少なくとも一部がブリッジ形状又はオーバーハング形状をなしている。ここで、「ブリッジ形状」とは、生成された凸部の頂上同士が溶融してつながりアーチ状になり下部に孔があいている形状のものを指す。尚、凸部のすべてがブリッジ形状をなしておらず、一部の凸部がオーバーハングしてきのこ状・杉の木状になっていても、或いは、オーバーハングしていない単なる凸状であってもよい。ここで、図2に、前記ブリッジ形状の概念図の一例を示す。まず、図2(a)は、一方の凸体と他方の凸体両方が倒れこむような形で両方の凸体の間に孔が形成された形状である。次に、図2(b)は、一方の凸体が他方の凸体に倒れこむような形で両方の凸体の間に孔が形成された形状である。次に、図2(c)は、一方の凸体と他方の凸体の上部が溶融した結果、垂れ下がったブリッジが両方の凸体間に掛けられた形状である。次に、図2(d)は、一方の凸体と他方の凸体とが一体化した状態で中央に孔が形成された形状(トンネル状)である。
本形態における異種材料20としては、金属材料10の表面と溶着により接合可能な材料であれば特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマ又はプラスチックアロイを挙げることができる。更には、光硬化型樹脂のような熱以外のエネルギで硬化するものや、複数の成分を混合することにより化学的に固化させる等、熱以外で硬化する材料であってもよい。より詳細には、熱可塑性樹脂(汎用樹脂)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、熱可塑性樹脂(汎用エンジニアリング樹脂)としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレフタレート(GF―PET)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、熱可塑性樹脂(スーパーエンジニアリング樹脂)としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノ−ル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート、エラストマとしては、熱可塑性エラストマやゴム、例えば、スチレン・ブタジエン系、ポリオレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2−ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル系、アイオノマーを挙げることができる。更には、熱可塑性樹脂にガラスファイバーを添加したものや、ポリマーアロイ等も挙げることができる。
また、本形態に係る異種材料20には、突起部21が設けられている。突起部21は熱可塑性材料により形成されており、所定の加熱方法で加熱されることにより溶融する。この突起部21を金属材料10の接合部11に接触させた状態で加熱及び加圧するか、または、溶融状態もしくは軟化状態の突起部21を接合部11に加圧することで、溶融した突起部21を構成する材料(熱可塑性材料)が、接合部11の凹凸形状の凹部に充填される。このように、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が、接合部11の凹凸形状の凹部に充填された後に再び固化することで、溶融した突起部21が再凝固した溶着部22を介して、金属材料10と異種材料20とが接合部11にて強固に接合される。
接合部形成工程は、上述した金属材料10の表面をレーザスキャニング加工することで、金属材料10の表面に異種材料20を接合するための接合部11を形成する工程である。接合部11は、レーザ光を照射して、金属材料10の表面を溝堀加工及び溶融させ再凝固させる条件にて加工することにより形成される。好適には、ある走査方向についてレーザスキャニング加工された後、前記走査方向とクロスする別の走査方向についてレーザスキャニング加工されたことにより形成される。以下、クロスレーザースキャニングの際の好適条件に関し、まず特に重要なパラメータである「クロス角度」及び「繰り返し加工回数」に関する好適条件を説明し、次いで他のパラメータに関する好適条件を順次説明することとする。
接合工程は、上述した接合部形成工程後に実施され、異種材料20に設けられた熱可塑性の突起部21を加熱し、且つ、該突起部21を接合部11に加圧(押圧)することで、金属材料10の表面と異種材料20とを溶着により接合する工程である。この接合工程では、金属材料10の表面に異種材料20が溶着により接合される。溶着とは、熱可塑性材料(本形態では異種材料20又は突起部21)をその融点を超えるまで加熱し、接合材料(本形態では金属材料10)と接触させた状態で圧力を加えることで、熱可塑性材料と接合材料とを分子レベルで結合させることをいう。溶着には、一般に、超音波溶着、振動溶着、熱溶着等があるが、本形態では、突起部21を加熱及び加圧することで溶融させることができる方法であれば特に限定されず、超音波溶着、振動溶着、誘導加熱による溶着(誘導溶着)、高周波による溶着(高周波溶着)、レーザ溶着、熱溶着、スピン溶着等、公知の各種溶着方法を適用することができる。
超音波溶着は、15〜50kHz程度の超音波振動を、ホーンと呼ばれる共鳴体から加圧した熱可塑性材料に加えた際に生じる摩擦熱を利用して、熱可塑性材料と接合材料とを接合させる方法である。超音波振動の周波数や出力は、熱可塑性材料の大きさや材質により適宜調整する。本形態では、上記摩擦熱により突起部21が溶融し、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が接合部11の溝部11aに充填されることで、金属材料10と異種材料20とが強固に接合される。
振動溶着は、超音波溶着と類似しているが、100〜300Hz程度の低い周波数を用い、振幅の大きな横振動を熱可塑性材料に加えることで、接合材料と非常に強固に溶着させる方法である。この振動溶着は、大型の素材に適した方法である。本形態では、超音波溶着と同様に、摩擦熱により突起部21が溶融し、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が接合部11の溝部11aに充填されることで、金属材料10と異種材料20とが強固に接合される。
誘導溶着は、電磁誘導コイルを利用して物理的に離隔している被誘導体に電流が流れる電磁誘導(誘導加熱)を用いる方法である。この誘導溶着は、短時間で容易に高温を得ることが可能であるため、金属材料を数百度の高温になるまで昇温し、異種材料(熱可塑性樹脂等)に近接させて輻射熱を利用して溶着する方法もある。これは電磁誘導を利用した非接触熱板溶着と呼ばれる。本形態では、金属材料10又は異種材料20(突起部21)を誘導加熱し、金属材料10又は異種材料20の熱を突起部21に伝達させるか、突起部21を直接加熱することで突起部21が溶融し、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が接合部11の溝部11aに充填されることで、金属材料10と異種材料20とが強固に接合される。なお、誘導溶着は、誘導加熱により加熱する材料(被加熱材料)が金属材料10の場合には磁性材料や鉄系材料が対象となり、被加熱材料が異種材料20(樹脂)の場合には導電性の化合物を含む樹脂が対象となる。
高周波溶着は、高周波エネルギの電界作用によって、熱可塑性材料そのものを内部から発熱させる方法である。この高周波溶着は、物理的な振動がない金型で挟みこむので表面の仕上がりが良い。ただし、対象となる熱可塑性材料は、塩化ビニル等に限定される。本形態では、高周波エネルギの電解作用により突起部21を内部から発熱させることで突起部21が溶融し、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が接合部11の溝部11aに充填されることで、金属材料10と異種材料20とが強固に接合される。
レーザ溶着は、光を透過する光透過性材料と光を吸収する光吸収性材料とを、適度な圧力で重ね合わせ光透過性材料にレーザを照射すると、レーザが光透過性材料を透過して光吸収性材料に吸収され光吸収性材料が発熱することを利用して光透過性材料と光吸収性材料とを接合する方法である。このレーザ溶着では、レーザの焦点範囲が極めて狭いため、接合させる材料には高い成形精度が求められる。本形態では、接合部11を形成した金属材料10にレーザ光を照射して金属材料10(少なくとも接合部11)を加熱する。この加熱した金属材料10の接合部11に突起部21を加圧することにより、金属材料10から突起部21に熱が伝達して突起部21が溶融し、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が接合部11の溝部11aに充填されることで、金属材料10と異種材料20とが強固に接合される。この場合、金属材料10の裏面側からレーザ光を照射し、間接的に接合部11を加熱してもよい。また、レーザ溶着方法としては、以下のような方法もある。すなわち、金属材料10として光吸収性材料を用い、異種材料20(及び突起部21)として光透過性材料を用い、異種材料20側からレーザを照射し、異種材料20(及び突起部21)を透過したレーザが金属材料10に吸収されることで金属材料10が加熱される。この金属材料10の熱を突起部21に伝達させることで突起部21が溶融し、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が接合部11の溝部11aに充填されることで、金属材料10と異種材料20とが強固に接合される。
熱溶着は、熱伝導の作用によって熱可塑性材料を加熱する方法である。溶着は、熱と圧力を利用しているので広義には全ての溶着は熱溶着であるとも言えるが、一般的には、熱溶着には、加熱した板(熱板)を熱可塑性材料又は接合材料に直接押し当てる熱板式溶着、溶着面に直接熱風を当て、熱可塑性材料の厚みの影響を受けない熱風式溶着、被加熱物にヒータ線を加圧し、瞬間的に大電流を流して発熱させ、被加熱物を加熱させる抵抗加熱溶着(インパルス式溶着)、コテと呼ばれる加熱板を挟み込んでローラで加圧するコテ式溶着等が含まれる。この熱溶着は、熱可塑性材料の溶融量が多くなるため、接合面が立体面でも対応しやすく気密や液密をとりやすいという特徴がある。本形態では、金属材料10に熱板を押し当てたり、接合部11に熱風を当てたり、金属材料10にヒータ線を加圧して瞬間的に大電流を流したり、コテで金属材料10を挟み込んでローラで加圧したりすることで、金属材料10を加熱する。この加熱した金属材料10の熱を突起部21に伝達させることで突起部21が溶融し、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が接合部11の溝部11aに充填されることで、金属材料10と異種材料20とが強固に接合される。
スピン溶着は、接合させる一方の材料を固定し、他方の材料を加圧しながら回転させることにより接触面で発生する摩擦熱を利用した方法である。このスピン溶着は、溶融量を多くすることもできるため、気密や液密がとりやすく、自動車部品等で多く用いられている方法である。本形態では、金属材料10と異種材料20のいずれか一方を固定し、いずれか他方を加圧しながら回転させることで、摩擦熱により突起部21が溶融し、溶融した突起部21を構成する熱可塑性材料が接合部11の溝部11aに充填されることで、金属材料10と異種材料20とが強固に接合される。
以上説明した金属材料10及び異種材料20を用いて、上述した接合部形成工程及び接合工程を実施することで、金属材料10と異種材料20とが接合部11を介して接合された本形態に係る異種材料接合金属材料を製造することができる。
以上で説明した製造方法の各工程、すなわち、接合部形成工程及び接合工程を実施することにより、本形態に係る異種材料接合金属材料を得ることができる。この異種材料接合金属材料では、上述したように、アンカー効果を有する接合部11と突起部21とが複雑に噛み合うことで、金属材料10と異種材料20とが極めて強固に接合されている。
具体的には、本形態に係る異種材料接合金属材料では、接合部10に特定の樹脂(標準試料)を接合させた際の剥離強度が、4MPa以上であることが好適であり、7MPa以上であることがより好適であり、8.5MPa以上であることが更に好適であり、10MPa以上であることが特に好適である。この程度の剥離強度を奏すれば、接着剤等の接合剤無しに、また薬品により金属材料10の表面を処理しなくとも、金属材料10と異種材料20とを強固に安定して接合することが可能となる。但し、当該強度はあくまで「特定の樹脂」を接合させた場合の剥離強度であり、実際の剥離強度は「異種材料」の種類により変わる。例えば、「異種材料」としてエラストマ(弾性体)を適用した場合には、実際の剥離強度自体は低い値となる(但し、当該エラストマは接合部11に強力に結合しているため、実際の剥離強度を測定した場合には、接合面にエラストマがむしれて残るレベルとなる)。尚、本特許請求の範囲及び本明細書にいう「剥離強度」は、JIS K6850の「接着剤−剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法」に準じて行うものとする。当該試験は、概略、試験片の両端をチャックに固定し、一定速度で引張荷重をかけ、接合面が剥がれた際の荷重又は材料が破断した際の荷重(引っ張り強度)を記録することにより実施する。ここで、水平な引張荷重のみが試験片にかかるよう(垂直方向の荷重がかからないよう)、図5(B)に示すように、樹脂面と金属面の両面に支持体をあてて厚みを合わせる。また、標準試料となる「特定の樹脂」は、PBT樹脂(例えば「東レ トレコン(登録商標) 1101G30 Bk」)とする。尚、参考までに、本明細書における当該剥離強度の測定例を図5(A)に示す。ここで、図中、「1」は金属材料、「2」は特定の樹脂(PBT)、「3」は支持体、「A」は接合部面積を示す。但し、この剥離強度は、引っ張り強度を接合部11の面積で除した値であるので、基本的には図5に示した条件には拘束されない。尚、本例では、引張試験機として東洋精機ストログラフV10−C(商標)を用い、チャック間距離(上下チャック先端部分の間隔)を30mmに設定し、引っ張り速度を5mm/minに設定して行った。
次に、本形態に係る異種材料接合金属材料の用途について説明する。この異種材料接合金属材料は、接合部11を介して金属材料10と異種材料20とを強固に接合させることができるので、落下や振動等の衝撃が好ましくない電気又は電子機器用の部品として用いることが好適である。あるいは、本形態に係る異種材料接合金属材料は、接合後に金属材料10と異種材料20との界面を後加工しなくとも高度な気密性を達成できるので、高レベルで防水が求められる分野、例えば、川、プール、スキー場、お風呂等での使用が想定される、水分や湿気の侵入が故障に繋がる電気又は電子機器用の部品として用いることも好適である。従って、本形態に係る異種材料接合金属材料は、例えば、内部に樹脂製のボスや保持部材等を備えた、電気・電子機器用筐体として有用である。ここで、電気・電子機器用筐体としては、携帯電話の他に、カメラ、ビデオ一体型カメラ、デジタルカメラ等の携帯用映像電子機器の筐体、ラップトップPC、ポケットコンピュータ、電卓、電子手帳、PDC、PHS、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯用情報あるいは通信端末の筐体、MD、カセットヘッドホンステレオ、ラジオ等の携帯用音響電子機器の筐体、液晶TV・モニター、電話、ファクシミリ、ハンドスキャナー等の家庭用電化機器の筐体等を挙げることができる。
以上説明した本形態に係る接合方法、製造方法及び異種材料接合金属材料によれば、以下のような効果を奏する。第1に、レーザスキャニング加工によるアンカー効果を有する接合部11を形成し、さらに、熱可塑性樹脂等の異種材料20の接合箇所に適切な形状の突起部21を設けることで、溶着により、短時間且つ強固に、金属材料10と異種材料20とを接合(一体化)させることができる。第2に、先行技術とは異なり、金属材料10と異種材料20とを一体化する際にインサート成形のための金型が不要となる。従って、先行技術では、樹脂等の異種材料20の成形は、金属材料10を金型に投入した後で射出成形等することで、金属材料10との一体化と同時に行う必要があったが、本形態によれば、金属材料10の成形(板金加工等)と異種材料20の成形とをそれぞれ別個に行った後、後工程で、成形した金属材料10と成形した異種材料20とを溶着により一体化させることができる。従って、金属材料10及び異種材料20の成形の自由度が大きくなる。第3に、通常の異種材料20(樹脂等)の金型を用意し、部品加工を行うだけで、金属材料10と異種材料20とを接合させるために、特別な対応を取る必要が無い。第4に、成形条件設定も、樹脂等の異種材料20の外観及び寸法を管理する条件とすればよく、マージン幅を比較的広く取ることが可能となる。そのため、成形サイクルの短縮化、ひいてはコスト削減も期待できる。第5に、金属材料10の加工精度も、金型に投入するレベルの精度は不要で、異種材料20との一体化の際に組み合わせ寸法を保証できるレベルで十分となる。そのため、コスト削減も期待できる。第6に、大きな金属材料10の一部に異種材料20を接合する場合、一体化した製品(異種材料接合金属材料)が比較的大きなものでも、先行技術と異なり、必ずしも大きな金型や成形設備が必要ではなくなる。第7に、既に金型のある樹脂等の異種材料20について、接合用の特定の形状(例えば、突起部21)を追加することにより、接着剤や両面テープ等を使用することなく、容易に金属材料10と一体化することが可能となり、接合の効率が改善される。
11 接合部
20 異種材料
21 突起部
22 溶着部
Claims (12)
- 金属材料の表面をレーザスキャニング加工することで、前記金属材料の表面に異種材料を接合するための接合部を形成する工程と、
前記異種材料に設けられた熱可塑性の突起部を加熱し、且つ、該突起部を前記接合部に加圧することで、前記金属材料の表面に前記異種材料を溶着により接合する工程と、
を含むことを特徴とする、金属表面と異種材料との接合方法。 - 前記レーザスキャニング加工は、ある走査方向について前記金属材料の表面をレーザスキャニング加工する工程と、前記走査方向とクロスする別の走査方向について前記金属材料の表面をレーザスキャニング加工する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ある走査方向と前記別の走査方向のレーザスキャニング加工のいずれも、複数回重畳的に実施する、請求項2に記載の方法。
- 前記ある走査方向と前記別の走査方向のレーザスキャニング加工のいずれも、ハッチング幅0.02〜0.6mmで実施する、請求項2又は3に記載の方法。
- 前記ある走査方向と前記別の走査方向とのクロスする角度が45°以上である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ある走査方向と前記別の走査方向とのクロスする角度が略90°である、請求項5に記載の方法。
- 前記接合部が、凹凸形状をなしていると共に、前記凸部の少なくとも一部がブリッジ形状又はオーバーハング形状をなしている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記異種材料が、熱可塑性の樹脂、エラストマ又はプラスチックアロイである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記金属材料が、鉄、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金又はステンレス鋼である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法における各工程を含むことを特徴とする、異種材料接合金属材料の製造方法。
- 請求項10に記載の製造方法により得られた、異種材料接合金属材料。
- 前記金属材料と接合された前記異種材料をJIS K6850に従い破壊したときの剥離強度が4MPa以上である、請求項11に記載の異種材料接合金属材料。
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