JP2015111987A - 太陽光発電システムの設計方法 - Google Patents

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宏和 永井
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政也 鈴木
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Daichi Tokuyasu
大地 徳安
健二 保浦
Kenji Yasuura
健二 保浦
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Abstract

【課題】複数の太陽光発電装置よりなる太陽光発電システムを設計するに際し、それぞれの太陽光発電装置の受光面に周囲の太陽光発電装置が形成する日影が発電効率に与える影響を考慮し、かつ設置される土地の形状に応じて、高い発電効率が得られる太陽光発電システムの設計方法を提供すること。【解決手段】複数の直線が交差してなる仮想的なメッシュの交点上に太陽光発電装置を配置し、さらに敷地を示す敷地図上にメッシュを配置する。そして、それぞれの太陽光発電装置の受光面上に、周囲に位置する太陽光発電装置によって日影が形成されることによる発電量の低下率として、内的日影損失を算出する。内的日影損失を算入した発電量が閾値以上となるように、メッシュの交点間の距離、太陽光発電装置の数およびメッシュ上での配置、方位に対するメッシュの回転角、敷地内におけるメッシュの配置場所を決定する。あるいは、簡略化したモデルを用いて設計を行う。【選択図】図3

Description

本発明は、太陽光発電システムの設計方法に関するものであり、さらに詳しくは、複数の太陽光発電装置が配列された太陽光発電システムにおいて、太陽光発電装置の受光面に形成される周囲の太陽光発電装置の日影による発電効率への影響を考慮した太陽光発電システムの設計方法に関するものである。
集光装置を備える太陽光発電装置においては、発電パネルの受光面を太陽光の入射方向に垂直に向けることによって、高効率の発電を行うことができる。そこで、天球における太陽の運動に伴って、発電パネルの受光面を常に太陽光の入射方向に垂直に向けられるように、太陽光発電装置には、太陽追尾装置がしばしば備えられる。太陽追尾装置が、発電パネルを方位角方向および高度方向に回転可能に支持することにより、発電パネルの受光面が太陽の位置を追尾することが可能とされる。この時、発電パネルの受光面の配置角度は、例えば特許文献1に記載されるように、天球における太陽の位置を天文学的知見に基づいて算出することにより、決定することができる。
特開2009−186094号公報
複数の太陽光発電装置が並べて配列される場合には、それぞれの太陽光発電装置の受光面に、周囲の太陽光発電装置が日影を作ることで、発電効率が低下される。特に、太陽光発電装置が上記のような集光装置および太陽追尾装置を備える場合には、日影による発電効率の損失の影響が顕著である。発電量を上げるべく太陽光発電装置の配置間隔を狭くすれば、このような周囲の太陽光発電装置が形成する日影の影響は、ますます大きくなる。太陽光発電の普及に伴い、様々な土地に太陽光発電装置が設置されるようになっており、限られた土地で高効率に電力を得るためには、日影の影響も考慮しながら、土地の形状に応じて、高い発電効率が得られるように、太陽光発電装置の配置を行うことが重要となる。
本発明が解決しようとする課題は、複数の太陽光発電装置が配列されてなる太陽光発電システムを設計するに際し、それぞれの太陽光発電装置の受光面に周囲の太陽光発電装置が形成する日影が発電効率に与える影響を考慮し、かつ設置される土地の形状に応じて、高い発電効率が得られる太陽光発電システムの設計方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる第一の太陽光発電システムの設計方法は、発電パネルの受光面に太陽光を入射されて発電を行う複数の太陽光発電装置を敷地に配置してなる太陽光発電システムの設計方法において、複数の直線が交差してなる仮想的なメッシュの交点上に前記太陽光発電装置を配置し、さらに前記敷地を示す敷地図上に前記メッシュを配置し、それぞれの太陽光発電装置の前記受光面上に、周囲に位置する太陽光発電装置によって日影が形成されることによる発電量の低下率として、内的日影損失を算出し、前記内的日影損失を算入した発電量が閾値以上となるように、前記メッシュの前記交点間の距離、前記太陽光発電装置の数および前記メッシュ上での配置、方位に対する前記メッシュの回転角、前記敷地内における前記メッシュの配置場所よりなる設計パラメータの組を決定することを要旨とする。
ここで、前記太陽光発電装置の発電パネルが地表面に形成する日影のうち、周辺の建造物が地表面に形成する日影と重なる領域の割合を、前記受光面上において前記建造物の日影が占める面積の割合とみなして、前記建造物の日影による発電量の低下率として外的日影損失を算出し、前記内的日影損失に加え、前記外的日影損失を算入した発電量が前記閾値以上となるように、前記設計パラメータの組を決定することが好ましい。
また、前記内的日影損失および外的日影損失の算出は、前記太陽光発電装置の受光面上の日影が形成された部分においては、発電がなされないとみなして行われるとよい。
また、前記内的日影損失の算出は、1つの太陽光発電装置に隣接して配置された8個の太陽光発電装置が形成する日影を考慮して行われ、前記メッシュの端縁に位置し、隣接する太陽光発電装置の数が8個未満である太陽光発電装置に対しては、その8個未満の太陽光発電装置が形成する日影が考慮されることが好ましい。
そして、前記内的日影損失および外的日影損失の算出は、天候による日照率または日射量の季節変動または発電の季節変動を表す他の指標の変動を考慮し、通年で行われることが好ましい。
本発明にかかる第二の太陽光発電システムの設計方法は、複数の太陽光発電装置を敷地に配置してなる太陽光発電システムの設計方法において、前記太陽光発電装置はそれぞれ、前記敷地の地面に平行な長さWの横方向辺と該横方向辺と垂直な長さVの縦方向辺とを有して受光面に太陽光を入射されて発電を行う発電パネルと、前記発電パネルが太陽の入射方向を向くように太陽を追尾させる太陽追尾装置と、を有してなり、南北方向からの回転角が5°以下であり、間隔aで平行に並べられた複数の直線と、東西方向からの回転角が5°以下であり、間隔bで平行に並べられた複数の直線とが交差してなる仮想的なメッシュを前記敷地上に配置し、さらに前記メッシュの交点上に前記太陽光発電装置を配置し、前記太陽光発電装置が設置される場所の緯度をφ、δ=23.45°として、前記間隔aおよび間隔bを、下記の式(1)〜(3)を全て満たすように定めることを要旨とする。
(1)V/sin(φ+δ)<b≦2V/sin(φ+δ)
(2)1.4W<b≦3W
(3)a≧b
ここで、前記発電パネルの傾斜運動軸の地表面からの高さをh、前記メッシュの南側の端縁に位置する各太陽光発電装置に対して、真南から±15°の範囲に、南北方向の距離でDBだけ離れた位置に存在する建造物の高さをHとして、下記の式(A)をさらに満たすことが好ましい。
(A)(H−h)tan(φ+δ)+V/2cos(φ+δ)≧DB
上記第一の太陽光発電システムの設計方法においては、複数の太陽光発電装置を配列して太陽光発電システムを構築するに際し、個々の太陽光発電装置の受光面に他の太陽光発電装置の日影が形成されることによる発電効率の低下にあたる内的日影損失が見積もられる。そして、内的日影損失を算入した発電量が所定の閾値以上となるように、各太陽光発電装置の相対配置が決定される。これにより、太陽光発電システム全体として、所望される発電効率を満足できるように、設計を行うことができる。また、太陽光発電装置を配置するメッシュを敷地図上に配置しながら内的日影損失の見積もりを行うので、太陽光発電システムが設置される土地の面積や形状に制約がある場合にも、その制約の範囲内で、所望の発電効率を達成できる太陽光発電装置の配置を決定することができる。
ここで、太陽光発電装置の発電パネルが地表面に形成する日影のうち、周辺の建造物が地表面に形成する日影と重なる領域の割合を、受光面上において建造物の日影が占める面積の割合とみなして、建造物の日影による発電量の低下率として外的日影損失を算出し、内的日影損失に加え、外的日影損失を算入した発電量が閾値以上となるように、設計パラメータの組を決定する場合には、周辺の建造物が形成する日影の影響まで考慮しながら、太陽光発電装置の配置を決定することができるので、より正確に、所望の発電効率を達成できる太陽光発電システムを設計することができる。また、発電パネルの受光面に周辺の建造物の日影が形成される面積の割合を、地表面において発電パネルの日影が建造物の日影と重なる面積の割合に近似しているので、太陽の天球上での移動に伴い、建造物の日影と発電パネルの受光面の相対的位置関係が変化しても、建造物の日影の発電効率への影響を比較的簡便に評価することができる。
また、内的日影損失および外的日影損失の算出が、太陽光発電装置の受光面上の日影が形成された部分においては、発電がなされないとみなして行われる場合には、各太陽光発電装置の受光面上に形成される影の面積を幾何的に算出することにより、簡便に日影損失の見積もりを行うことができる。
また、内的日影損失の算出が、1つの太陽光発電装置に隣接して配置された8個の太陽光発電装置が形成する日影を考慮して行われ、メッシュの端縁に位置し、隣接する太陽光発電装置の数が8個未満である太陽光発電装置に対しては、その8個未満の太陽光発電装置が形成する日影が考慮される場合には、ある太陽光発電装置の受光面への日影の形成を考慮する周囲の太陽光発電装置の数が8個以下に限定されるため、簡便に内的日影損失を見積もることができる。特にメッシュが等間隔に形成されている場合には、メッシュの端縁以外の部位に配置された太陽光発電装置における内的日影損失を、一様に見積もることができ、太陽光発電システム全体としての内的日影損失の見積もりが簡素化される。
そして、内的日影損失および外的日影損失の算出が、天候による日照率または日射量の季節変動または発電の季節変動を表す他の指標の変動を考慮し、通年で行われる場合には、地域特有の天候の影響を考慮しながら、日影損失を算入した発電量が所定の閾値以上となるように太陽光発電システムを設計することができ、一年間の通算として、高い発電効率を実現することができる。
上記第二の太陽光発電システムの設計方法においては、式(1)および(2)の左側不等式によって、南側の太陽光発電装置の発電パネルが北側の太陽光発電装置の発電パネルの受光面に大面積の影を形成しやすい典型的な条件において、そのような影が形成されないように、距離a,bが規定されている。これにより、第一の太陽光発電システムの設計方法におけるように、具体的な日影損失値の算出およびそれに基づいた発電量の見積もりを行わなくても、発電パネルが形成する日影の影響が少なくなるような太陽光発電装置の相対配置を、簡単な計算によって見積もることができる。従って、非常に簡便に、高い発電効率を有する太陽光発電システムを設計することができる。また、式(3)によって、太陽高度が低いときに東西方向に長く延びる日影の影響を少なくしながら、高密度で太陽光発電装置を配置することができる。加えて、式(1)および式(2)の右側不等式によって、距離bが不要に大きくなりすぎないように、制限されている。これらにより、敷地形状の制約の中で、多数の太陽光発電装置を配置し、高い発電効率を達成することができる。
ここで、周辺の建造物との関係において、上記の式(A)をさらに満たす場合には、通年の発電量に対して大きな日影損失を与えやすい太陽光発電システムの南側に存在する建造物との距離DBを簡単な計算で規定することにより、その建造物が形成する日影による発電効率の低下を、効果的に抑制することができる。
本発明の実施形態にかかる太陽光発電システムを構成する太陽光発電装置の一例を示す概略図である。 上記太陽光発電装置に使用される発電パネルの斜視図である。 本発明の第一の実施形態にかかる太陽光発電システムの設計方法を示すフロー図である。 太陽光発電装置の配置を示す模式図であり、(a)は太陽光発電システムが設置される土地の敷地図、(b)は太陽光発電装置の相対配置を定めるメッシュである。 敷地図上へのメッシュの配置の例を示す図であり、(a)は配置が最適化されていない場合、(b)は配置が最適化されている場合を示す。 周囲の太陽光発電装置によって日影が形成された受光面を示す模式図である。 日影損失の実測値と設計値の比較の例を示す図である。 周辺建造物と発電パネルの日影の関係を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は地表面における平面図である。 本発明の第二の実施形態にかかる太陽光発電システムの設計方法を示す模式図であり、(a)は冬至の南中時における発電パネルの側面図であり、(b)は太陽の方位角が45°の状態における発電パネルの上面図である。 冬至の南中時における発電パネルと南側の建造物の日影の位置関係を示す側面図である。
以下、本発明の第一および第二の実施形態にかかる太陽光発電システムの設計方法の詳細について、図面を参照しながら説明する。まず、両実施形態にかかる設計方法によって設計される太陽光発電システム1と、該システムを構成する太陽光発電装置Pの概略を説明する。
<太陽光発電装置>
最初に、太陽光発電システム1を構成する個々の太陽光発電装置Pの一例について、図1および図2を参照しながら構成を簡単に説明する。図1に概略を示すように、太陽光発電装置Pは、発電パネル10および太陽追尾装置20を有してなっている。発電パネル10は、地盤に固定された太陽追尾装置20によって支持される。
発電パネル10は、受光面10aに入射された太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換し、出力するものである。図2に示すように、発電パネル10は、集光レンズ(一次光学系)13と、複数の発電レシーバ11が、マトリクス状に支持板19上に配置されてなる。なお、発電パネル10においては、昆虫や雨滴の侵入を避けるために外周部に壁面部材が設けられ、発電レシーバ11が集光レンズ13および支持板19と壁面部材によって形成された筐体に収容されてもよいが、図2では壁面部材を除いて示している。
集光レンズ13は、発電レシーバ11に太陽光を集光する。発電レシーバ11は、半導体よりなる太陽光発電素子12を備え、集光された太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。発電レシーバ11は、太陽光発電素子12に加え、集光した太陽光を空間的に均一にして太陽光発電素子12の表面に導く光学部材(二次光学系またはホモジナイザと称する;図略)、および太陽光発電素子12によって得られた電流の取り出し等に使用される回路系(図略)などを備える。
集光レンズ13としては、高い集光特性と軽量性が両立されるという点において、フレネルレンズが好適に使用される。太陽光発電素子12は、表面(受光面)の中心が集光レンズ13の焦点位置となるように、かつ半導体表面が集光レンズ13の光軸に垂直になるように配置される。太陽光が集光レンズ13の光軸(回転対称軸)に平行に入射されると、太陽光発電素子12の表面上の焦点位置にスポット状に集光され、高い電流密度で発電が行われる。よって、集光レンズ13を備えない平板型の発電パネルと比較して、小面積の太陽光発電素子12を用いて高効率の発電を行うことができる。ここで、集光レンズ13の光軸に垂直つまり太陽光発電素子12の表面に平行な、集光レンズ13の頂部を通る平面が、発電パネル10の受光面10aとなっている。
このように、発電パネル10は、太陽光を集光して発電を行うものであるので、発電パネル10の受光面10aが、太陽光の入射方向に垂直に配置されている場合に、発電パネル10での発電効率が最も高くなる。このため、発電パネル10は方位角方向(旋回方向)A1および高度方向(傾斜方向)A2の配置角度を変化させられるように、太陽追尾装置20に支持されており、常に受光面10aが太陽光の入射方向に垂直な方向を向くように制御されている。これにより、太陽の天球上での位置が変化しても高効率での発電が持続される。
太陽追尾装置20は、地盤に固定された支柱21の上部に、発電パネル10の方位角方向A1における配置角度を変化させる(発電パネル10を旋回させる)旋回駆動機構22と、発電パネル10の高度方向A2における配置角度を変化させる(発電パネル10を傾斜させる)傾斜駆動機構23とを備える。旋回駆動機構22と傾斜駆動機構23の働きにより、発電パネル10が太陽を追尾し、太陽が天球上で移動しても、太陽の入射方向に垂直に発電パネル10の受光面10aが向けられる。太陽追尾時の具体的な発電パネル10の方位角方向A1および高度方向A2における配置角度は、天文学的知見に基づいた天球上での太陽の運動軌跡をもとに算出すればよく、特許文献1に示されているような公知の追尾方法におけるアルゴリズムを適用することができる。
<太陽光発電システム>
次に、太陽光発電システム1の概略を説明する。上記のような太陽光発電装置Pを複数配置したものが太陽光発電システム1である。太陽光発電システム1は、図4(b)に示すように、複数の直線が交差してなる仮想的なメッシュMの交点に、太陽光発電装置PをP1,P2,…,PNとN台配置したもので構成される。図4(b)の例では、N=17である。図4(b)では、各太陽光発電装置Pi(iはN以下の自然数)の発電パネル10の回転範囲を円で示している。各太陽光発電装置Piで得られた電流は、集約され、適宜直流から交流へと変換されたうえで、利用に供される。各太陽光発電装置Piの太陽追尾装置20は、同期して制御され、全太陽光発電装置Piの発電パネル10の受光面10aが同一の方位角および高度に向けられる。通常は、メッシュMは等間隔に並べられた縦横の直線が直交するように設定される。
メッシュMの交点に、N台の太陽光発電装置Piが配置された太陽光発電システム1は、図4(a)に敷地図(地図)を示す敷地Sに配置される。つまり、各太陽光発電装置Piが敷地S内の地盤に固定される。図4(a)では、敷地Sは周囲を田地、住宅等他の施設に囲まれ、複雑な形状を有している。
<第一の実施形態にかかる太陽光発電システムの設計方法>
次に、本発明の第一の実施形態にかかる太陽光発電システムの設計方法について説明する。本設計方法は、太陽光発電装置Pおよび周辺建造物が形成する日影の影響を考慮して、所望の発電効率が得られるように、太陽光発電システム1における複数の太陽光発電装置Pの相対配置、つまりメッシュMの形状と、敷地SにおけるメッシュMの配置を適切に選択するものである。メッシュMの形状と敷地SにおけるメッシュMの配置を規定する具体的な設計パラメータとしては、以下のものが挙げられる。
・メッシュMの交点間の距離(メッシュピッチ)a,b
・太陽光発電装置Pの数NおよびメッシュM内における配置
・方位に対するメッシュMの回転角θ
・敷地S内におけるメッシュMの配置場所L
1.周辺建造物がない場合
まず、太陽光発電システム1の周辺に、各太陽光発電装置Pの発電パネル10の受光面10aに日影を形成するような建造物が存在しない場合を扱う。
図4(b)のように多数の太陽光発電装置Piがマトリクス状に配列されていると、ある1つの太陽光発電装置Piの発電パネル10の受光面10a上に、その太陽光発電装置Piの周囲に配置された太陽光発電装置Pj(jはiを除くN以下の自然数)の発電パネル10が日影を形成する。すると、日影の部分には太陽光が照射されなくなるか、照射されても光量が非常に小さくなる。これにより、受光面10aに日影が形成された太陽光発電装置Piにおいては、日影の面積に応じて、発電効率(日影がないとした場合の受光面10aに入射した光のエネルギーに対する実際の発電量の比)が小さくなる。この発電効率の低下が内的日影損失である。太陽光発電システム1においては、発電量を予測し、またその予測に基づいて、必要な発電量が得られるように設計を行うことが求められる。このため、本設計方法においては、必要な発電量の下限値を閾値として定め、実際の太陽光発電装置Piの配置に対して予測される内的日影損失を算入した発電量が、その閾値以上となるように、太陽光発電装置Piの配置にかかる上記各設計パラメータを設定する。
図3に、太陽光発電システム1における各設計パラメータの設定方法を表したフロー図を示す。各ステップは、電子計算機等の演算手段を適宜用いて実行することができる。
まず、ステップS1において、方位に対するメッシュMの回転角θを選択する。ここで、メッシュMの東西方向に平行に近い方の軸をX軸、南北方向に近い方の軸をY軸とする。回転角θは、東西/南北方向に対するメッシュMのX/Y軸の回転角として規定される。本設計方法においては、最終的に発電量が閾値以上となるように、回転角θを他の設計パラメータとともに選択(最適化)するが、回転角θの初期値が最終的に選択される値に近い方が、各設計パラメータの選択を正確かつ効率的に行うことができる。つまり、回転角θの初期値として、できるかぎり多数の太陽光発電装置Piを配置でき、発電量ができる限り大きくなると予測されるような値を選ぶことが好ましい。具体的には、敷地Sの境界を構成する略直線部の最長辺SaとメッシュMのX軸またはY軸が略平行になるようにすれば、多数の太陽光発電装置Piを配置できると考えられる。図4の例では、θは約5°となっている。
次に、ステップS2で、X軸方向およびY軸方向におけるメッシュMの交点間の距離(メッシュピッチ)aおよびbを選択する。また、太陽光発電装置Piの数Nと、メッシュM内での各太陽光発電装置Piの配置を選択する。ここで、メッシュM内での各太陽光発電装置Piの配置とは、メッシュM内のどの交点に各太陽光発電装置Piを配置するかということであり、例えば図4(b)では、略東方からX軸に沿って、3個、4個、6個、4個と太陽光発電装置Piが並んで配置されており、略東方から3列目までは南端の太陽光発電装置Pi(P1,P4,P8)の位置が順次南方に1ピッチずつずれているという配置が採用されている。これらステップS2で選択される各設計パラメータについても、ステップ1で選択される回転角θと同様に、発電量ができる限り大きくなると予測されるような値を初期値として選ぶことが好ましい。このようにして、ステップS1およびステップS2において、各設計パラメータを選択することで、図4(b)のように、メッシュMの形状が選択される。
このように選択されたメッシュMに対して、ステップS3において、内的日影損失を見積もる。内的日影損失を見積もる具体的な方法については、後に説明するが、ここで見積もる内的日影損失は、各太陽光発電装置Piの受光面10aに他の太陽光発電装置Pjの発電パネル10が形成する日影による影響であり、敷地Sとは独立して得られる。
次に、ステップS4において、敷地図上でメッシュMを敷地S内の配置場所Lに配置する。つまり、ステップS1,S2で各設計パラメータを選択して形成した図4(b)のメッシュMを、図4(a)の敷地図と同じ縮尺で表示し、敷地図上で、メッシュMを敷地S内の配置場所Lに重ねる。配置場所Lは、メッシュMを敷地S内のどの位置に配置するかということを示しており、例えばメッシュMの原点を適宜設定し(図4、図5の例では太陽光発電装置P6が配置されるメッシュ交点に設定している)、その原点が配置される位置として配置場所Lを規定することができる。図5(a)ではメッシュMの原点を配置場所L1に配置しており、図5(b)では別の配置場所L2に配置している。
そして、ステップS5において、選択した設計パラメータの組の妥当性を判定する。つまり、ステップS3で得られた内的日影損失を算入して全太陽光発電装置Piにおける総発電量を見積もり、所定の閾値以上となっているかどうかを判定する。また、ステップS5でメッシュMを敷地Sに重ねた際に、メッシュMが敷地Sに収まっているかどうかを判定する。図5の例では、(a)の配置では、3台の太陽光発電装置P3,P13,P17が敷地Sの中に収まっていない。一方、(b)の配置では、全ての太陽光発電装置Piが敷地Sの中に収まっている。
ステップS5で、閾値以上の発電量が得られており、かつメッシュMが敷地Sに収まると判定された場合(ステップS5でYesの場合)には、ステップS6に移行し、ステップS1,S2,S3で選択した設計パラメータの組、つまりメッシュMの回転角θ、メッシュピッチa,b、太陽光発電装置Pの数NおよびメッシュM内における配置、敷地S内におけるメッシュMの配置場所Lの組を、設計値として採用する。
一方、ステップS5で、閾値以上の発電量が得られていない、および/またはメッシュMが敷地Sに収まっていないと判定された場合(ステップS5でNoの場合)には、ステップS1またはS2またはS4に回帰し、メッシュMの回転角θ、メッシュピッチa,b、太陽光発電装置Pの数NおよびメッシュM内における配置、敷地S内におけるメッシュMの配置場所Lの各設計パラメータの少なくとも1つを前回の判定時の値から変更し、ステップS3における内的日影損失の見積もりとステップS5における判定(あるいはステップS5における判定のみ)を再度行う。
このようにして、ステップS5の2つの判定条件が満たされるまで、ステップS1〜S5を繰り返して実行することで、所定の閾値以上の発電量が得られ、かつ敷地Sに収まる太陽光発電システム1の設計パラメータの組を得ることができる。
ここで、ステップS5でNoであった場合に、ステップS1,S2,S4のいずれに回帰し、いずれの設計パラメータを前回判定時の値から変更するかは、メッシュMや敷地Sの形状、前回の判定結果等に応じて、適宜選択すればよい。例えば、ステップS5における判定で、発電量は閾値以上となったが、メッシュMが敷地Sに収まらなかった場合は、ステップS4に回帰し、まず敷地図上におけるメッシュMの配置場所Lを微調整すればよい。そして微調整の結果、ステップS5において、メッシュMが敷地Sに収まっていると判定できる状態になっていれば、ステップS6に進み、その時選択されていた設計パラメータの組を採用すればよい。一方、そのメッシュMの敷地図上における配置を調整しても、敷地Sに収まらない場合には、太陽光発電装置Pの数Nを減少させること、あるいはメッシュM内での配置を変更することが必要であると判断し、ステップS2に回帰すればよい。
これに対し、ステップS5における判定で、発電量が閾値に達していない場合には、ステップS1またはステップS2に回帰すればよい。そして、回転角θ、メッシュピッチa,b、太陽光発電装置Pの数N、メッシュM内での太陽光発電装置Piの配置のいずれかの設計パラメータを変更すればよい。この際、例えば発電装置Pの数Nが制約されている等のように、変化が許されない設計パラメータや、変化させても内的日影損失に与える影響が小さいと予測される設計パラメータ、かなり最適値に近い値を既に選択していると考えられる設計パラメータ等の値を固定し、それ以外の設計パラメータを変化させることで、効率的に適切な設計パラメータの組を探し出すことができる。この際、変化させるべき各設計パラメータを順次変化させることで、複数の設計パラメータを変化させながら、それらの適切な組み合わせを探索することができる。あるいは、多変量解析等、公知の解析法を用いて、設計パラメータの組み合わせを網羅的に探索し、適切な設計パラメータの組を探し出してもよい。
以上のようにして、太陽光発電システム1の設計パラメータを選択することで、内的日影損失を加味したうえで、所望される閾値以上の発電量を得ることができる。内的日影損失を考慮することは、大面積の影が形成される日の出付近や日没付近の時間帯においては、特に重要である。また、敷地Sへの収容を判定しながら、所望の発電量が得られる設計パラメータを選択するので、形状が複雑である等の制約がある敷地Sにも、太陽光発電システム1を設置し、高い発電効率を実現することができる。メッシュピッチa,bを小さくすると、太陽光発電装置の数Nを増やすことができ、発電量の増加に寄与することができるが、各太陽光発電装置Piに対する日影の影響が大きくなってしまうことによって、発電効率が低下してしまうというように、各設計パラメータは独立して内的日影損失および発電量に影響を与えるわけではなく、相互に連動している。そこで、上記のように、各設計パラメータを変化させながら発電量が閾値以上であるかどうかとメッシュMが敷地Sに収まっているかどうかに基づいて判定を行うことで、インタラクティブに(各パラメータ間の相互作用を加味して)太陽光発電システム1の配置設計を行い、高い発電効率を有する太陽光発電システム1を実現することができる。
なお、図3に示したフロー図では、ステップS5で見積もられた発電量が閾値以上となっていれば、必ずしも発電量が最大になっていなくても、ステップS6に進み、その時の設計パラメータの組を採用するようになっているが、最大の発電量が得られるまで、各設計パラメータの最適化を続け、最適な太陽光発電システム1の設計パラメータを探し出してもよい。すると、太陽光発電システム1における発電効率を、敷地Sの形状等による制約の範囲内で、最大にすることができる。
また、ここでは日影が太陽光発電システム1に影響を与えるような建造物が周辺にない場合を扱っており、図3に示したフロー図では、各太陽光発電装置Piの受光面10aに他の太陽光発電装置Pjの発電パネル10が形成する影の影響のみを考えたが、周囲の建造物等、他の太陽光発電装置Pj以外によって太陽光発電装置Piの受光面10aに形成される日影の影響が想定される場合には、ステップS4とステップS5の間で、適宜そのような日影が発電量に与える影響を考慮すればよい。周囲の建造物による日影の影響の見積もり方法に関しては、後述する。
(内的日影損失の見積もり)
ここで、図3のステップS3において実行される内的日影損失の見積もり方法について説明する。内的日影損失を見積もるに当たり、まず、各太陽光発電装置Piにおける内的日影割合を算出する。内的日影割合とは、太陽光発電システム1を構成するある太陽光発電装置Piの発電パネル10の受光面10aに、太陽光発電装置Piの周囲に位置する他の太陽光発電装置Pjによって形成される日影の総面積が、発電パネル10の受光面10aの面積に対して占める割合のことである。内的日影割合は、(1)天文学的知見によって得られた太陽の位置(例えば特許文献1参照)、(2)その太陽光発電装置Piと、影を形成する太陽光発電装置Pjの位置関係、(3)太陽追尾によって規定される太陽光発電装置Pi,Pjの発電パネル10の配置角度、に基づいて幾何学的な考察を行うことで、算出することができる。なお、内的日影割合の算出に当たっては、(1)の太陽の位置、およびそれに基づいて得られる(3)の発電パネル10の配置角度について、太陽追尾時の制御パラメータを設定する場合とは異なり、特許文献1に開示されているような精密な見積もりは必要とされない。適宜近似し、内的日影割合の算出を簡便に行えるようにすればよい。
内的日影割合の算出に際し、複数の太陽光発電装置Pjが形成する影が重なる可能性があることに注意が必要である。図6に、簡略化した例として、太陽光発電装置Piの受光面10aに、他の3台の太陽光発電装置Pj,Pj’,Pj”がそれぞれ影sh1,sh2,sh3を形成している場合を示す。ここで、影sh1と影sh2は領域sh12において重なり、影sh1と影sh3は領域sh13において重なり、影sh2と影sh3は領域sh23において重なっている。また、影sh1,sh2,sh3は、領域sh123において三重に重なっている。ここで、内的日影割合の算出にあたり、領域sh12,sh13,sh23,sh123は、それぞれ一度ずつのみ、日影の面積に算入し、図中に太線で囲んだ領域shとして示す日影の総面積を算出する。つまり、日影shの総面積を、以下のように算出する。
sh=(sh1+sh2+sh3)−(重複部分)
=(sh1+sh2+sh3)−(sh12+sh13+sh23−sh123)
ある太陽光発電装置Piの受光面10aに形成する影の面積は、近くに位置する太陽光発電装置Pjほど大きい。そこで、太陽光発電装置Piに隣接する太陽光発電装置Pjが形成する影のみを考慮することで、内的日影割合の算出をさらに簡素化することができる。図4(b)に示したような縦横に直交するメッシュMにおいては、メッシュMの端縁以外の部位に位置する太陽光発電装置Pi(図4(b)ではP6,P11)は、8方位に隣接する8個の太陽光発電装置Pj(P6の場合は、P1,P2,P3,P5,P7,P10,P11,P12)に囲まれている。一方、メッシュMの端縁に位置する太陽光発電装置Piにおいては、隣接する他の太陽光発電装置Pjの数が8個未満である。このように、全ての太陽光発電装置Piについて、8個以下の他の太陽光発電装置Pjからの日影の影響を考慮すればよいことになる。また、メッシュピッチa,bが等間隔に設定されていれば、メッシュMの端縁以外の部位に位置する太陽光発電装置Pi(P6,P11)については、日影の形状が同一であることになるので、内的日影割合の算出が一層簡素化される。
以上のように、受光面10aにおける内的日影割合を算出した後、その内的日影割合をもとに、各太陽光発電装置Piの発電効率の低下率である内的日影損失を求める必要がある。受光面10a上の日影が形成されている部分においても、実際には日射量がゼロになるわけではないが、集光型太陽光発電装置1においては、入射光を微小領域に集光して発電を行うため、日影以外の領域で得られる電流密度に比べ、日影の領域で得られる電流密度は無視しうる程度である。よって、日影の領域では発電が行われないとして、各太陽光発電装置Piの内的日影損失を、日影の面積(内的日影割合)に比例するものとみなし、内的日影損失の見積もりを簡素化することができる。
さらに、各太陽光発電装置Piにおける内的日影損失を平均することで、太陽光発電システム1全体としての内的日影損失を算出することができる。この際、直列接続されている太陽光発電装置Piについては、各太陽光発電装置Pi間での内的日影割合の差によって生じるミスマッチ損失の影響をさらに考慮することが必要である。
以上のようにして、1年のうちの任意の日の任意の時間における内的日影損失を算出することができる。さらに、内的日影損失の評価が必要な間隔で1日の日の出から日没までの時間を分割し、分割されたそれぞれの時間において、太陽の位置と日射量を考慮して、内的日影損失を算出する。このように、1日の中での太陽の位置と日射量の変化を考慮しながら内的日影損失を算出することで、1日を通した発電量を正確に見積もることができる。なお、日本のように地平線が見えることがまれである地域においては、日の出から日没までを、太陽が障害物の陰から出る時刻から障害物に隠れる時刻に置き換えることが好ましい。
さらに、内的日影損失の算出は、通年で行われることが好ましい。この際、太陽の天球上での運動に伴う太陽高度や日射量の変化に加え、天候による日照率の季節変動、つまり、晴れの日が多い季節ほど日照率が高いという要素、または日射量等、発電の季節変動を表す他の指標の変動を考慮することがさらに好ましい。地域の天候特性によっては、日照率の変化の考慮が特に重要となる。例えば、日本において、冬に曇天の日が多いことによって日照時間が短くなる日本海側の地域では、内的日影損失がないとした場合でも冬の発電効率が低いので、冬に比較的晴天の日が多い太平洋側に地域と比較して、冬の内的日影損失が約1/2となる。このような地域では、冬の内的日影損失の比重を小さくし、夏の内的日影損失の比重を大きくするような季節に応じた重みづけをおこなって内的日影損失を評価することで、一年を通じて積算した発電効率が高くなるような太陽光発電システム1を得ることができる。
図7に、以上のような内的日影損失の見積もり方法の妥当性を検証したデータの例を示す。ここでは、上記のように、一日の中での内的日影損失の変化、天候による日照率の変化を取り込んだ年間の日照時間の変化を考慮しながら、一年を通じて、内的日影損失を見積もっている。この見積もりによって得られた値(設計値)を、実際の太陽光発電システムにおいて実測された内的日影損失(実測値)と比較した。実際の太陽光発電システムの設置条件は、以下のとおりである。なお、各発電パネルの受光面に日影を形成するような建造物は、周辺に存在しなかった。
・発電パネルのサイズ:4.28m×6m
・a=13m、b=8.8m、θ(南北軸からの傾き)=4.7°
・設置場所:愛知県常滑市
・内的日影損失の測定条件:発電モジュール5個ごとに電流センサを1つ設け、出力電流をモニターした。その出力電流が日影によって急落するのを検出し、全体の出力電流に対する割合から、損失率を算出した。
図7の結果よると、設計値は実測値とよく一致している。このことは、上記のように、各太陽光発電装置Piの受光面10aに周囲の太陽光発電装置Pjの発電パネル10が形成する日影の割合の見積もりに基づいて算出された内的日影損失が、高い精度を有していることを示している。そして、このように見積もられる内的日影損失に基づいて発電量を見積もり、その発電量が所定の閾値よりも高くなるように、あるいは最大となるように太陽光発電システム1における各太陽光発電装置Piの配置を設計することで、高い発電効率を有する太陽光発電システム1を得ることができる。
ところで、本実施形態にかかる設計方法おいては、受光面10aに入射された太陽光が集光され、太陽追尾装置20を備える集光型の太陽光発電装置Pよりなる太陽光発電システム1を扱ったが、対象は必ずしもこのような太陽光発電システム1に限られない。集光系と太陽追尾装置20を備える太陽光発電システム1においては、日影の形成がなければ高い発電効率が得られることにより、内的日影損失の影響が深刻となるので、内的日影損失の低減を考慮した上記設計方法の有用性が非常に高い。しかし、集光系および/または太陽追尾装置を有さない太陽光発電装置よりなる太陽光発電システムに対しても、効果は限定的であるものの、同様の設計方法を適用することは可能である。
2.周辺建造物がある場合
次に、太陽光発電システム1の周辺に、太陽光発電装置Pの発電パネル10の受光面10aに日影を形成するような建造物Bが存在する場合を扱う。
太陽光発電システム1の周辺に建造物Bがある場合には、その建造物Bが各太陽光発電装置Pの発電パネル10の受光面10aに日影を形成することで、発電効率の低下が起こる(外的日影損失)。そこで、このような建造物Bが存在する場合には、上記で見積もられた内的日影損失に加えて、建造物Bが形成する日影による外的日影損失を考慮して、太陽光発電システム11における太陽光発電装置Pの配置を決定する。
周辺建造物Bがない場合には、図3のフロー図において、ステップS3で内的日影損失を見積もったうえで、ステップS4で敷地図上にメッシュMを配置場所Lに配置し、ステップS5で発電量を見積もっている。周辺建造物Bによる外的日影損失を考慮する場合には、ステップS4において、メッシュMを配置場所Lに配置した後、その配置場所Lにおける外的日影損失を見積もり、内的日影損失と合わせて、総日影損失を算出すればよい。そして、ステップS5において、総日影損失に基づく総発電量が所定の閾値以上になっているかを、メッシュMが敷地Sに収まっているかと併せて判定すればよい。さらに、その判定結果に基づき、発電量が閾値以上になるように、あるいは最大になるように、ステップS1,S2,S4において、各設計パラメータを調整することができる。なお、外的日影損失を考慮する場合、内的日影損失は、ステップS3において独立に見積もらなくても、ステップS4においてメッシュMを配置場所Lに配置した状態で、外的日影損失とともに見積もってもよい。
ここで、具体的な外的日影損失の見積もり方法を説明する。内的日影損失の算出に際しては、メッシュMにおいて、太陽光発電装置Pが規則配列されているうえ、各太陽光発電装置Pの発電パネル10の姿勢(配置角度)の相対関係が不変であるので、天球上での太陽の位置の変化によらず、内的日影割合を類似の演算にて見積もることができる。これに対し、天球上における太陽の位置を基準とした周辺建造物Bと各太陽光発電装置Pの姿勢との間の関係は、時時刻刻変化するため、周辺建造物Bが太陽光発電システム1を構成するどの太陽光発電装置Pの受光面10aに、どのような面積および形状を有する日影が形成されるかは、1日および1年の中で大きく変化する。建造物Bが複雑な形状を有する場合や、複数の建造物Bが周辺に存在する場合には、周辺建造物Bが形成する日影の面積および形状の経時変化はさらに大きくなる。よって、ある太陽光発電装置Piの発電パネル10の受光面10aに他の太陽光発電装置Pjによって形成される日影の面積を直接見積もることで内的日影損失を比較的容易に見積もることができるのとは異なり、各太陽光発電装置Piの発電パネル10の受光面10aにおいて、周辺建造部物Bの日影が占める面積の割合としての外的日影割合を、幾何的に直接見積もろうとすると、大きな演算上の負荷を要する。
そこで、地表面Gに形成される発電パネル10の日影SH1と建造物Bの日影SH2の位置関係に基づいて、発電パネル10の受光面10aにおける外的日影割合を間接的に算出することで、演算を簡素化することができる。具体的には、図8に示すように、ある太陽光発電装置Piの発電パネル10が地表面Gに形成する日影SH1の面積Ar1のうち、建造物Bが地表面Gに形成する日影SH2と重なる重畳部SH3の面積Ar3の割合を、受光面10aにおける外的日影割合とみなせばよい。
図8(a)に簡略化して示すように、発電パネル10の総面積Ar’1のうち、建造物Bの日影SH2が形成される領域の面積Ar’3の割合(Ar’3/Ar’1)は、地表面Gにおいて、発電パネル10が形成する日影SH1の面積Ar1のうち、建造物Bの日影SH2と重なる重畳部SH3の面積Ar3の割合(Ar3/Ar1)と等しいとみなすことができる。さらに、発電パネル10の表面の大部分を集光レンズ13が占めることで、発電パネル10の面積Ar’1のうち、大部分を受光面10aが占めているとみなせる場合には、発電パネル10の受光面10aにおける建造物Bの日影SH2の割合である外的日影割合を、Ar3/Ar1つまりAr’3/Ar’1に近似することができる。このように、地表面Gに形成される建造物Bの日影SH2と発電パネル10の日影SH1との関係をもとに外的日影割合を見積もることで、天球上の太陽の位置に対して常に同一の方向に形成される2つの日影の幾何的関係を扱うことになるので、発電パネル10の受光面10aにおける建造物Bの日影SH2を直接扱う場合よりも、演算が簡素になる。
具体的な外的日影割合の見積もりは、以下のようにして、適宜演算手段を用いて実行することができる。まず、図8(b)に示すように、建造物Bの外縁を構成する多角形の各頂点が地表面Gに形成する日影vr1,vr2…について、ある時刻における太陽の天球上での位置を始点とした位置ベクトルを算出する。つまり、太陽と建造物Bの外縁に対応する上記多角形の各頂点とを結び、地表面Gと交わる点を、日影vr1,vr2…を表すベクトルの終点とする。
次に、発電パネル10を、グリッド状に要素分解し、各要素が地表面Gに形成する日影e1,e2…について、同様に代表点の位置ベクトルを求める。ここで、発電パネル10を要素分解するに際し、建造物Bの日影SH2との関係において、各要素の日影e1,e2…を1つの代表点の位置ベクトルで近似できるように、各要素の大きさを設定すればよい。ただし、図8(b)では、見やすさのため、各要素e1,e2…の面積を大きくして示している。
そして、発電パネル10の各要素の日影e1,e2…に対応する代表点の位置ベクトルの終点が、建造物Bの頂点の日影vr1,vr2…の位置ベクトルの終点を結んで形成される多角形Pgの内側にあるか、外側にあるかを判定する。そして、内側にあると判定された要素の数(面積)が、発電パネル10の全要素の数(面積)に占める割合をもって、外的日影割合とする。
そして、得られた外的日影割合をもとに、建物Bの日影SH2に由来する各太陽光発電装置Piの発電効率の低下率として、外的日影損失を求めればよい。この際、上記内的日影損失の見積もりと同様に、日影の領域では発電が行われないとして、各太陽光発電装置Piの外的日影損失を、外的日影割合に比例するとみなせばよい。さらに、ミスマッチ損失を考慮しながら各太陽光発電装置Piにおける外的日影損失を平均することで、太陽光発電システム1全体としての外的日影損失を算出することができる。さらに、内的日影損失と同様に、外的日影損失についても、1年および1日を複数期間に分割して、それぞれの期間の代表日および代表時間において見積もりを行い、日照率等の季節変動要素を考慮しながらそれらを合算し、通年で評価すればよい。外的日影損失を評価する代表日としては、1年の中で、15日ごとに24日を抽出する形態を例示することができ、代表時間としては、それら代表日における日の出から日没までを51分割した時間を例示することができる。
なお、上記のように、図3のステップS5の発電量の評価を行う段階よりも前に、外的日影損失と内的日影損失を合算し、総日影損失を見積もっておき、それに基づいて、発電量を見積もる必要がある。この合算は、内的日影割合と外的日影割合の状態で行い、各太陽光発電装置Piの受光面10aに形成される全日影の割合である総日影割合を算出してから、総日影損失への変換を行っても良い。あるいは、内的日影損失と外的日影損失をそれぞれ独立に見積もったうえで、合算して総日影損失としてもよい。いずれの場合にも、各太陽光発電装置Piに内的日影損失を与える周囲の太陽光発電装置Pjの日影と、外的日影損失を与える周辺建造物Bの日影の重複部分を、二重に総日影損失に算入しないことで、より一層正確に日影損失を見積もることができる。
以上のように、外的日影損失を考慮して、太陽光発電システム1における各太陽光発電装置Piの配置を決定することで、発電量が所定の閾値よりも高くなるような、あるいは最大となるような太陽光発電システム1を、一層正確に設計することができる。そして、周囲に建造物が存在しない平原のような広大な敷地のみならず、例えば都市部等、周囲に建造物が存在するような条件の限られた敷地にも、できる限り発電効率を高めた太陽光発電システム1を設置することが可能となる。
<第二の実施形態にかかる太陽光発電システムの設計方法>
上記第一の実施形態においては、各太陽光発電装置Pが選択した位置に配置され、発電パネル10がある配置角度をとっている状態に対して、日影損失の具体的な値を算出し、その算出値に基づいて、1日あるいは1年を通した発電量を見積もった。そして、その発電量の値が所定の閾値以上となるように、あるいは最大となるように、各太陽光発電装置Pの配置に関する設計パラメータを選択した。日影損失の値の算出には、ある程度複雑な演算が必要となり、さらに各設計パラメータを変化させながら適切あるいは最適な設計パラメータを見極めるためには、多量の演算が必要であり、事実上、電子計算機を駆使することが欠かせない。そのような演算の結果、日影損失を精密に見積もり、高い発電効率を有する太陽光発電システム1を設計することができるが、それほどに日影損失の見積もりについての精度が要求されない場合には、簡略な見積もりにより、日影の影響を小さく抑えられる太陽光発電システム1を設計することができる。その具体例を、第二の実施形態にかかる太陽光発電システムの設計方法として説明する。
第二の実施形態にかかる太陽光発電システムの設計方法においては、各太陽光発電装置Piの周囲に配置された他の太陽光発電装置Pjの日影が与える影響が大きくなるような典型的な状況を想定する。そして、それらの状況において、ある太陽光発電装置Piの受光面10aに周囲の太陽光発電装置Pjの日影が形成されないように、各太陽光発電装置Pの間の相対配置を決定する。第一の実施形態においては、メッシュピッチa,b、太陽光発電装置Pの数NおよびメッシュM内における配置、メッシュMの回転角θ、敷地S内におけるメッシュMの配置場所Lを変化可能とした。これに対し、本第二の実施形態においては、演算の簡略化のために設計パラメータに制約を設けており、メッシュMの回転角θが小さく、θ=0°と近似できる状況のみを対象とする。
1.周辺建造物がない場合
まず、太陽光発電システム1の周辺に、各太陽光発電装置Pの発電パネル10の受光面10aに日影を形成するような建造物が存在しない場合を扱う。この場合には、特に簡略化した演算で太陽光発電システム1を設計することができる。つまり、設計パラメータのうち、メッシュピッチa,bのみを変化可能とする。そして、内的日影損失を与える日影の形状がメッシュピッチa,bのみによって定まるという簡単なモデルを採用し、上記のようにθ=0°とするのに加え、太陽光発電装置Pの数NおよびメッシュM内における配置、敷地S内におけるメッシュMの配置場所Lに関しては、内的日影損失に影響を与える設計パラメータとしてあらわには扱わない。
上記のように、本設計方法においては、回転角θが小さく、θ=0°と近似できる状況、つまり、メッシュMのX軸が東西方向に概略平行となり、Y軸が南北方向に概略平行となっている状況を対象とする。おおむね、θ=5°以下であれば、本設計方法を適用することができる。
本実施形態にかかる設計方法においては、上記のように、日影の影響が大きくなりやすい典型的な状況を想定し、その状況で内的日影損失が生じないように、メッシュピッチa,bに条件を課す。典型的な状況の1つとして、冬至の南中時を挙げることができる。冬至には太陽高度が1年の中で最も低くなり、南中時には太陽が真南に位置するからである。各太陽光発電装置Pは太陽追尾装置20を備えており、発電パネル10の受光面10aが太陽の入射方向に垂直に向くので、南中時には、全ての太陽光発電装置Pの発電パネル10の受光面10aが南を向いており、ある太陽光発電装置P1’の発電パネル10がその北側に位置する太陽光発電装置P2’の発電パネル10の受光面10aに正面から影を落とす。しかも冬至の時は南中時に北隣の太陽光発電装置P2’の発電パネル10に形成されるこの影の長さが1年で最も長くなる。これにより、冬至の南中時には1年の中で内的日影損失の影響が最も出やすくなる。この傾向は、図7でも示されるとおりである。そこで、冬至の南中時に太陽光発電装置P1’の発電パネル10がその北隣の太陽光発電装置P2’の発電パネル10に影を落とさないように、南北方向のメッシュピッチbを定める。以下、矩形の発電パネル10について、地面に平行な横方向辺の長さをW、横方向辺に垂直な縦方向辺の長さをVとする(図1参照)。太陽追尾において、発電パネル10は横方向辺が地面に平行な状態を維持して旋回および傾斜する。
図9(a)に、冬至の南中時にある太陽光発電装置P1’の発電パネル10が、北隣の太陽光発電装置P2’の発電パネル10に影を落とさない臨界の状態を、東方から見た側面図として示す。太陽光発電システム1が設置された場所の緯度をφ、天の赤道からの黄道の傾きである23.45°をδとして、冬至の南中時の太陽高度は、π/2−φ−δである。つまり、太陽光発電装置P1’は、地面からπ/2−φ−δの角度で、北側に日影shを形成する。この日影shの中に、北隣の太陽光発電装置P2’が入らないように、bの値を定めればよい。図9(a)のように、太陽光発電装置P2’の発電パネル10の南側端部がちょうど影shの境界部に位置する状態においては、b=V/cos(π/2−φ−δ)=V/sin(φ+δ)となっている。よって、冬至の南中時に太陽光発電装置P2’の発電パネル10に太陽光発電装置P1’の発電パネル10の影ができない条件は、
b>V/sin(φ+δ) (1a)
である。
一方、bを大きくしすぎると、太陽光発電装置Pを密に設置することができず、高い発電効率が得られない。そこで、図9(a)のモデルの近似精度や、冬至南中時以外における日影形成条件の冬至南中時からの逸脱を考慮し、おおむね、bを図9(a)の状態の2倍以下としておくことで、南北方向に形成される日影の影響を低く抑えながら、太陽光発電装置の設置密度を上げることができる。つまり、南北方向のメッシュピッチbについて、以下の条件を課す。
V/sin(φ+δ)<b≦2V/sin(φ+δ) (1)
次に、日影の影響が大きくなりやすい別の典型的な状況として、太陽の方位角(北が0°、東が90°)が±45°である状況を挙げることができる。これは、おおむね9時および15時に相当し、太陽の高度が比較的低くなっており、かつ日射が比較的強い朝夕の時間である。このような時間帯には、太陽光発電装置P1’が北隣の太陽光発電装置P2’の受光面10aに比較的長い影を形成し、比較的大きな内的日影損失を与える。
図9(b)に、太陽の方位角が45°の際に、太陽光発電装置P1’の発電パネル10が北隣の太陽光発電装置P2’の発電パネル10に影を落とさない臨界の状態を、上方から見た図として示す。この時、太陽光発電装置P1’の影shは、北西方向に形成される。この影shの境界部に北隣の太陽光発電装置P2’の南西方向端部が位置する状態においては、b=√2Wとなっている。これより、太陽の方位角が±45°の際に、太陽光発電装置P2’の発電パネル10に太陽光発電装置P1’の影ができない条件は、
b>1.4W (2a)
と書くことができる。
一方、上記と同様に、bを大きくしすぎると、太陽光発電装置Pを密に設置することができず、高い発電効率が得られない。そこで、図9(b)のモデルの近似精度や、太陽の方位角が±45°の場合よりも南北方向に長い日影が形成される場合があることを考慮し、おおむね、bを図9(b)の状態の2倍以下(b≦2√2W≒3W)としておくことで、太陽光発電装置の設置密度を上げる。つまり、南北方向のメッシュピッチbについて、以下の条件を課す。
1.4W<b≦3W (2)
以上の(1)式および(2)式をともに満たすようにbを選択すれば、多くの状況において、ある太陽光発電装置P1’の発電パネル10がその北隣に位置する太陽光発電装置P2’の受光面10aに日影を形成しないか、あるいは形成してもその面積が小さく、内的日影損失に与える影響が小さくて済む。また、不要にbを大きくすることで、太陽光発電装置Pの設置密度を制限しなくて済む。
さらに、太陽高度が低くなるほど、長い影が生じ、ある太陽光発電装置Pがその周囲の太陽光発電装置Pの受光面10aに影を形成しやすくなる。太陽高度が低い時間帯には、影は南北方向ではなく、東西方向に近い方向に延びる傾向がある。従って、メッシュMにおいて、東西方向のピッチaを南北方向のピッチbよりも長くした方が、内的日影損失を低く抑えながら、同じ土地面積当たりの太陽光発電装置Pの設置密度を多くすることができる。この観点から、
a≧b (3)
の条件を課す。
以上のように、内的日影損失の影響を低減する観点から、メッシュピッチa,bに課される条件を検討したが、そもそも、隣接する太陽光発電装置Pの発電パネル10が、太陽追尾のために回転した際に相互に衝突しないことが最低限の条件として求められる。つまり、発電パネル10の受光面10aを水平にした時の回転円の直径をDとして、
a≧D (4)
b≧D (5)
であることが必要である。ここで、Dは、D=(W+V0.5である。
以上の式(1)〜(5)の条件をまとめると、
max(D,V/sin(φ+δ),1.4W)<b≦min(2V/sin(φ+δ),3W) (6)
a≧b (7)
をともに満たすことが、メッシュピッチa,bに課される条件となる。ここで、max(v1,v2,v3)は、v1,v2,v3のうち最も大きい値、min(v1,v2)は、v1,v2のうち小さい方の値を意味する関数である。式(6)および式(7)の要件を満たすように太陽光発電装置Pを配列すれば、周囲の太陽光発電装置Pが形成する日影による内的日影損失を低く抑え、高い発電効率を得ながら、太陽光発電装置Pを高密度で配列することができる。
上記のモデルでは、太陽光発電装置Pの数Nや、各太陽光発電装置PがメッシュM内のどの部位に配置されているか、つまりメッシュMの端縁に配置されているか端縁以外に配置されているか等、そして敷地S内でのメッシュMの配置場所Lが考慮されていない。そこで、式(6),(7)を満たすメッシュピッチa,bを各太陽光発電装置Pの間に設けながら、敷地S内に配置できるだけの太陽光発電装置Pを配置していけばよい。このようにすることで、内的日影損失の影響を低く抑えながら、形状や面積に制約がある敷地Sにも、できるかぎり多数の太陽光発電装置Pを配置することができる。
本実施形態にかかる設計方法においては、日影影響が大きくなりやすい典型的な状況のみを考慮しており、また、式(1),(2)の導出に際して、ある太陽光発電装置P1’の発電パネル10がその北隣の太陽光発電装置P2’の発電パネル10に形成する影の影響しか考慮していない。このため、1日および1年の任意の時間における状況に対して内的日影損失を具体的に見積もり、また最大8個の太陽光発電装置Pjが1つの太陽光発電装置Piの受光面10aに形成する日影の影響を考慮している第一の実施形態にかかる設計方法に比べて、見積もりの精度においては劣る。しかし、必要な計算過程が簡略化され、また演算量も大幅に少なくなっている。このように、第二の実施形態にかかる設計方法においては、簡単な少量の計算を用いながら、内的日影損失の影響が小さく抑えられた太陽光発電システム1の設計が可能となっている。具体的な内的日影損失の値は、敷地S内での太陽光発電装置Pの設置数や配置場所にもよるが、典型的には、本第二の実施形態にかかる設計方法で設計された太陽光発電システム1における内的日影損失は、1割以内(数パーセント)となる。この値は、図7に示した第一の設計方法で設計した太陽光発電システム1における内的日影損失と遜色ないものであり、簡便な演算を用いながらも、高い発電効率を有する太陽光発電システム1の設計が可能であることを示している。
2.周辺建造物がある場合
周辺建造物Bが形成する日影による外的損失も、簡略化したモデルを用いて、見積もることができる。内的日影損失と同様、外的日影損失も、冬至の南中時に大きくなる。そこで、外的日影損失も、冬至の南中時を基準として考える。そして、冬至の南中時に太陽光発電システム1に日影が影響を与えるのは、太陽光発電システム1に対して、略南側に位置する建造物Bである。よって、そのような建造物Bが形成する日影SH2による外的日影損失に注目し、そのような建造物Bと太陽光発電システム1の間の距離を規定する。
具体的には、メッシュMの南側の端縁に位置する各太陽光発電装置P3’、つまり、太陽光発電装置Pが南北方向(Y方向)にピッチbで並べられた列のそれぞれの最南端に位置する太陽光発電装置P3’と、その太陽光発電装置P3’に対して、真南から±15°の範囲内に位置する建造物Bの間の位置関係を考慮する。図10に示すように、地表面Gから太陽光発電装置P3’の傾斜運動軸(発電パネル10の縦方向辺を二等分する位置)までの高さをh、太陽光発電装置P3’(の傾斜運動軸10bの位置)から建造物Bまでの南北方向に沿った距離をDB、建造物Bの地表面Gからの高さをHとする。建造物Bが複数ある場合や複雑な形状を有する場合には、建造物Bまでの距離DBおよび建造物Bの高さHは、太陽光発電装置P3’が設置された位置から南方に位置する部位において計測した値とする。
図10は、冬至の南中時に建造物Bが形成する日影SH2が、太陽光発電装置P3’の発電パネル10上に形成されない臨界の状態を東方から見て示している。この状態では、発電パネル10の南側端縁が、ちょうど日影SH2の端縁に位置している。この時、高さhの位置における日影SH2の長さをd1、高さhの位置における日影SH2の北側端縁と太陽光発電装置P3’の傾斜運動軸10bの間の距離をd2として、d1+d2=DBとなっている。ここで、図10から分かるように、d1=(H−h)tan(φ+δ)、d2=(V/2)/cos(φ+δ)である。
よって、冬至の南中時に太陽光発電装置P3’の発電パネル10に建造物Bの日影SH2が形成されない条件は、
(H−h)tan(φ+δ)+V/2cos(φ+δ)≧DB (A)
となる。メッシュM中の各南北方向(Y方向)列の南端に位置する太陽光発電装置P3’において、式(A)が満たされれば、その列の全太陽光発電装置Pの発電パネル10に建造物Bの日影SH2が形成されないことになる。
敷地Sにおいて、上記式(A)を満たす距離DBを建造物Bとの間に設けるように太陽光発電装置Pを配置する南限の位置を規定し、そこから北側に、上記式(6),(7)を満たすメッシュピッチa,bで、敷地S内に配置できるだけ多数の太陽光発電装置Pを配置していけばよい。このようにすることで、内的日影損失および外的日影損失の影響を低く抑えながら、敷地Sに、できるかぎり多数の太陽光発電装置Pを配置することができる。
なお、上記のように、太陽光発電システム1を構成する全ての太陽光発電装置Pの高さhが全て同じである場合には、式(A)がメッシュMの南側の端縁に位置する太陽光発電装置P3’に対して成り立てば、他の太陽光発電装置Pにおいても、建造物Bの日影SH2が発電パネル10に形成されないことになるが、高さhが太陽光発電装置Pの間で異なっている場合にも、南北方向列ごとに、(H−h)/DBが最も大きくなる太陽光発電装置Pについて、式(A)が成り立つようにすれば、その列の全太陽光発電装置Pの発電パネル10に日影SH2が形成されないことになる。また、上記の考察では、通年の発電量に大きな影響を与えるのは、冬至の南中時に発電パネル10に日影を形成するような建造物Bであるということを根拠に、演算を簡略化するために、太陽光発電装置P3’に対して南北方向から±15°の範囲以外にある建造物が形成する日影の影響は考慮していない。しかし、それ以外の方位にも建造物がある場合に、同様の考えにより、その建造物までの距離が、太陽光発電装置Pの傾斜運動軸10bの高さにおける建造物の日影の長さと日影の端縁から傾斜運動軸10bまでの距離の長さとの和よりも長くなるようにすれば、その建造物が形成する日影の影響を受けないように、太陽光発電装置Pを配置することができる。例えば、内的日影損失を低減するメッシュピッチbを見積もるのに想定したように(図9(b)参照)、太陽の方位角が±45°である状況を想定し、太陽光発電装置Pの南東方向および南西方向に位置する建造物の日影が発電パネル10上に形成されないように、その建造物との距離を規定してもよい。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 太陽光発電システム
10 発電パネル
10a 受光面
11 発電レシーバ
12 太陽光発電素子
13 集光レンズ
20 太陽追尾装置
P(P1,P2,…,PN,P1’,P2’,P3’) 太陽光発電装置
M メッシュ
a,b メッシュピッチ
θ メッシュの回転角度
L(L1,L2) メッシュの配置場所
B 周辺建造物

Claims (7)

  1. 発電パネルの受光面に太陽光を入射されて発電を行う複数の太陽光発電装置を敷地に配置してなる太陽光発電システムの設計方法において、
    複数の直線が交差してなる仮想的なメッシュの交点上に前記太陽光発電装置を配置し、さらに前記敷地を示す敷地図上に前記メッシュを配置し、それぞれの太陽光発電装置の前記受光面上に、周囲に位置する太陽光発電装置によって日影が形成されることによる発電量の低下率として、内的日影損失を算出し、前記内的日影損失を算入した発電量が閾値以上となるように、前記メッシュの前記交点間の距離、前記太陽光発電装置の数および前記メッシュ上での配置、方位に対する前記メッシュの回転角、前記敷地内における前記メッシュの配置場所よりなる設計パラメータの組を決定することを特徴とする太陽光発電システムの設計方法。
  2. 前記太陽光発電装置の発電パネルが地表面に形成する日影のうち、周辺の建造物が地表面に形成する日影と重なる領域の割合を、前記受光面上において前記建造物の日影が占める面積の割合とみなして、前記建造物の日影による発電量の低下率として外的日影損失を算出し、前記内的日影損失に加え、前記外的日影損失を算入した発電量が前記閾値以上となるように、前記設計パラメータの組を決定することを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システムの設計方法。
  3. 前記内的日影損失および外的日影損失の算出は、前記太陽光発電装置の受光面上の日影が形成された部分においては、発電がなされないとみなして行われることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電システムの設計方法。
  4. 前記内的日影損失の算出は、1つの太陽光発電装置に隣接して配置された8個の太陽光発電装置が形成する日影を考慮して行われ、前記メッシュの端縁に位置し、隣接する太陽光発電装置の数が8個未満である太陽光発電装置に対しては、その8個未満の太陽光発電装置が形成する日影が考慮されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽光発電システムの設計方法。
  5. 前記内的日影損失および外的日影損失の算出は、天候による日照率または日射量の季節変動または発電の季節変動を表す他の指標の変動を考慮し、通年で行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽光発電システムの設計方法。
  6. 複数の太陽光発電装置を敷地に配置してなる太陽光発電システムの設計方法において、
    前記太陽光発電装置はそれぞれ、前記敷地の地面に平行な長さWの横方向辺と該横方向辺と垂直な長さVの縦方向辺とを有して受光面に太陽光を入射されて発電を行う発電パネルと、前記発電パネルが太陽の入射方向を向くように太陽を追尾させる太陽追尾装置と、を有してなり、
    南北方向からの回転角が5°以下であり、間隔aで平行に並べられた複数の直線と、東西方向からの回転角が5°以下であり、間隔bで平行に並べられた複数の直線とが交差してなる仮想的なメッシュを前記敷地上に配置し、さらに前記メッシュの交点上に前記太陽光発電装置を配置し、
    前記太陽光発電装置が設置される場所の緯度をφ、δ=23.45°として、前記間隔aおよび間隔bを、下記の式(1)〜(3)を全て満たすように定めることを特徴とする太陽光発電システムの設計方法。
    (1)V/sin(φ+δ)<b≦2V/sin(φ+δ)
    (2)1.4W<b≦3W
    (3)a≧b
  7. 前記発電パネルの傾斜運動軸の地表面からの高さをh、前記メッシュの南側の端縁に位置する各太陽光発電装置に対して、真南から±15°の範囲に、南北方向の距離でDBだけ離れた位置に存在する建造物の高さをHとして、下記の式(A)をさらに満たすことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電システムの設計方法。
    (A)(H−h)tan(φ+δ)+V/2cos(φ+δ)≧DB
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