JP2015110214A - 非蒸発型ゲッタ材、非蒸発型ゲッタモジュール、及び非蒸発型ゲッタポンプ - Google Patents

非蒸発型ゲッタ材、非蒸発型ゲッタモジュール、及び非蒸発型ゲッタポンプ Download PDF

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一彦 間瀬
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Abstract

【課題】本発明は、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度を高めること、非蒸発型ゲッタポンプの製造コスト及び修理コストを低減すること、並びに非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を高めることを目的とする。
【解決手段】網目状構造を有することを特徴とする非蒸発型ゲッタ材、該非蒸発型ゲッタ材を含むことを特徴とする非蒸発型ゲッタモジュール、該非蒸発型ゲッタ材又は該非蒸発型ゲッタモジュールを含むことを特徴とする非蒸発型ゲッタポンプ。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゲッタ材の表面積を増大させて気体の吸着速度を高めることが可能な非蒸発型ゲッタ材、非蒸発型ゲッタポンプの製造コスト及び修理コストを低減することが可能な非蒸発型ゲッタモジュール、並びに排気速度を高めることが可能な非蒸発型ゲッタポンプに関する。
2011年の東日本大震災後の原子力発電所の停止により電力不足が発生して以来、社会全体において省エネルギーがより一層望まれるようになってきており、特に、供給電力の大部分を消費する産業界においてはエネルギー消費の低減が強く望まれている。産業界の幅広い分野、例えば、半導体、太陽電池、液晶ディスプレイ、有機EL素子、機能性薄膜の製造等の分野において用いられる基盤装置として、真空ポンプがある。真空ポンプの使用による消費電力は、産業界全体における消費電力の相当部分を占めており、例えば、半導体製造工場では、真空ポンプの使用による消費電力の工場全体の消費電力に対する割合は相当程度(約13%)であることが知られている。このような事情を踏まえ、真空科学技術の分野において、省エネルギー型の真空ポンプの開発は最優先の課題とされている。
エネルギー消費が極めて少ない真空ポンプとして、非蒸発型ゲッタ(以下、「NEG(NON−EVAPORABLE GETTER)」ともいう)材を備える非蒸発型ゲッタポンプが注目されている(例えば、特許文献1参照)。非蒸発型ゲッタポンプでは、加熱により活性化した(例えば、Zr−V−Fe合金からなる)非蒸発型ゲッタ材の表面に、ポンプを接続した真空装置内部に残留するガスを吸着させることによって、真空装置からの排気が行われる。非蒸発型ゲッタポンプは、省エネルギー型であることに加えて、10〜10-10Paという比較的広い圧力範囲での排気を可能にする、振動・騒音を全く生じない、小型・軽量である、ポンプ用オイルを必要としない等の利点も備えることから、高い有用性を有している。
従来、非蒸発型ゲッタ材は、製造上の簡便性という理由から、Zr−V−Fe合金等の金属粉体を焼結用容器に加え、その後真空下で焼結させる工程を含む製造方法により製造されており、非蒸発型ゲッタ材としては、金属焼結体を用いるのが一般的とされてきた。
特開2012−225337号公報
しかしながら、金属焼結体からなる従来の非蒸発型ゲッタ材は、表面積が比較的小さく、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度が十分ではないという問題があった。そこで、本発明は、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度を高めること、非蒸発型ゲッタポンプの製造コスト及び修理コストを低減すること、並びに非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を高めることを目的とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
本発明の非蒸発型ゲッタ材は、網目状構造を有することを特徴とする。本発明の非蒸発型ゲッタ材によれば、非蒸発型ゲッタ材の表面積を大きくすることができ、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度を高めることができるため、非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を高めることができる。
ここで、本発明の非蒸発型ゲッタ材は、厚さ10mm、風速5m/秒の条件下における圧力損失が200mmAq以下であることが好ましく、比表面積が500m2/m3以上であることが好ましく、多孔率が50%超であることが好ましい。また、本発明の非蒸発型ゲッタ材は、Zr、V、Ti、Hf、Ni、Zr−V合金、Ti−V合金、Ti−Zr合金、Ni−Cr合金、Zr−V−Fe合金、Ti−Zr−V合金、Hf−Zr−V合金、Ti−Zr−Hf合金、Ti−Hf−V合金、Ti−Zr−Hf−V合金からなる群から選択される少なくとも1種の金属からなるものとしてよく、特に、Zr、Ti、又はZr−V−Fe合金からなるもの、Ni又はNi−Crからなるものが好ましい。
本発明の非蒸発型ゲッタモジュールは、上記本発明の非蒸発型ゲッタ材を含むことを特徴とする。本発明の非蒸発型ゲッタモジュールによれば、非蒸発型ゲッタポンプの製造コスト及び修理コストを低減することができる。
本発明の非蒸発型ゲッタポンプは、上記本発明の非蒸発型ゲッタ材を含むか、又は、上記本発明の非蒸発型ゲッタモジュールを含むことを特徴とする。本発明の非蒸発型ゲッタポンプによれば、上記本発明の非蒸発型ゲッタ材の効果により、非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を高めることができる。
本発明の非蒸発型ゲッタ材によれば、気体の吸着速度を高めることができる。
本発明の非蒸発型ゲッタモジュールによれば、非蒸発型ゲッタポンプの製造コスト及び修理コストを低減することができる。
本発明の非蒸発型ゲッタポンプによれば、排気速度を高めることができる。
(a)は、本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す非蒸発型ゲッタ材の一部((a)中、四角枠で示す部分)を拡大して示す図である。 本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例を示す正面図である。 本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例を示す上面図である。 図2及び図3に示す本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例を、図3の線A−Aに沿う面により切断したときの断面図である。 図2及び図3に示す本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例を、図2の線B−Bに沿う面により切断したときの断面図である。 本発明の非蒸発型ゲッタポンプの一例を示す正面図である。 本発明の非蒸発型ゲッタポンプの一例を示す上面図である。 本発明の非蒸発型ゲッタポンプの別の例を示す上面図である。
以下、図面を参照して、本発明の非蒸発型ゲッタ材及び本発明の非蒸発型ゲッタポンプの実施形態について詳細に例示説明する。
(非蒸発型ゲッタ材)
図1(a)に、本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例の斜視図を示し、図1(b)に、(a)に示す非蒸発型ゲッタ材の一部((a)中、四角枠で示す部分)を拡大して示す。
本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例1(以下、「ゲッタ材1」ともいう)は、図1(a)に示すように、概観では円環体状の形状を有し、図1(b)に示すように、金属又は合金からなる本体部1aと気孔部1bとで構成される、海綿体のような三次元の網目状構造を有する。
以下、ゲッタ材1を非蒸発型ゲッタポンプにおいて用いた場合の効果を記載する。
従来の非蒸発型ゲッタ材は、金属粉体を焼結させることによって製造される金属焼結体からなるため、表面積が比較的小さく、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度が十分でなかった。一方、本発明の非蒸発型ゲッタ材によれば、非蒸発型ゲッタ材の表面積を大きくすることができ、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度を高めることができるため、非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を高めることができる。
本発明の非蒸発型ゲッタ材によれば、前述のゲッタ材の表面積の増大の効果により、同じ吸着速度を達成するために必要な非蒸発型ゲッタ材の量を低減することができる。これにより、非蒸発型ゲッタ材の製造に必要な原料を低減することができるため、非蒸発型ゲッタ材の製造コストを低減することができる。
また、本発明の非蒸発型ゲッタ材によれば、前述のゲッタ材の量の低減の効果により、ゲッタ材を軽量化することができる。これにより、非蒸発ゲッタ材を支持するための支柱を特に設けることなく、非蒸発型ゲッタ材を加熱する役割を果たす絶縁管(図2中、符号14で示す)によりゲッタ材を支持することができ、非蒸発型ゲッタポンプの材料及び組立工程を削減することができる。
非蒸発型ゲッタ材は、ポンプ内において(例えば、約450℃程度まで)加熱され、活性化されて、気体の吸着作用を獲得するのであるが、活性化された非蒸発型ゲッタ材は発火等の危険性をも有する。本発明の非蒸発型ゲッタ材によれば、前述の通り、使用される非蒸発型ゲッタ材の量を低減することができるため、非蒸発型ゲッタポンプの安全性を高めることができる。
従来の非蒸発型ゲッタ材は多孔率が低いため加工が困難であった一方、本発明の非蒸発型ゲッタ材は多孔率が高いため、切断、打ち抜き等の加工が容易である。
従来の非蒸発型ゲッタ材は表面積が比較的小さく、非蒸発型ゲッタ材の限られた部分しか気体の吸着に関与しないため、ポンプからの排気に寄与するNEG部分のNEG全体に対する割合が十分でない可能性があった。一方、本発明の非蒸発型ゲッタ材は表面積が比較的大きく、非蒸発型ゲッタ材の大部分が気体の吸着に関与するため、ポンプからの排気に寄与するNEG部分のNEG全体に対する割合を高めることができると考えられる。そのため、本発明の非蒸発型ゲッタ材によれば、従来の非蒸発型ゲッタ材と比較して、非蒸発型ゲッタ材の単位体積当たりの吸着量を増加させることができる可能性がある。
なお、本発明の非蒸発型ゲッタ材の形状及び寸法等は、図1(a)に示すものに限定されることなく、非蒸発型ゲッタポンプの構造、使用条件等に従って、適宜定めることができる。
以下、本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例1が備える物性について記載する。
ゲッタ材1は、定性的には通気性を備えることが好ましい。ここで、通気性を示す物性として圧力損失を考慮した場合、ゲッタ材1では、厚さ10mm、風速5m/秒の条件下における圧力損失が200mmAq以下であることが好ましい。なお、「圧力損失」とは、JIS B 9927(クリーンルーム用エアフィルター性能試験方法)に従って求められる値を指す。圧力損失を上記範囲とすれば、ゲッタポンプ内の気体とゲッタ材とが接触する効率を高めることができる。
上記圧力損失の上限は、ゲッタポンプ内の気体とゲッタ材とが接触する効率を高める観点から大きいことが好ましく、例えば、100mmAq以下、75mmAq以下、50mmAq以下としてよい。上記圧力損失の下限は、特に限定されることなく、例えば、5mmAq以上、10mmAq以上、30mmAq以上としてよい。
なお、ゲッタ材1と比較して、金属焼結体からなる従来の非蒸発型ゲッタ材は、通常、通気性を有しない。
また、ゲッタ材1では、比表面積が500m2/m3以上であることが好ましい。なお、「比表面積」とは、JIS Z 8830(ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)に従って求められる値を指す。比表面積を上記範囲とすれば、ゲッタポンプ内の気体とゲッタ材とが接触する面積を大きくすることができる。
上記比表面積の下限は、ゲッタポンプ内の気体とゲッタ材とが接触する面積を大きくする観点から大きいことが好ましく、例えば、1000、1500、2000、2500、3000m2/m3としてよい。上記比表面積の上限は、特に限定されることなく、例えば、7500、7000、6500、6000、5500m2/m3としてよい。
更に、ゲッタ材1では、多孔率が50%超であることが好ましい。なお、「多孔率」とは、JIS Z 2501(焼結金属材料−密度、含油率及び開放気孔率試験方法)に従って求められる値を指す。多孔率を上記範囲とすれば、ゲッタポンプ内の気体とゲッタ材とが接触する機会を増やすことができる。
上記多孔率の下限は、ゲッタポンプ内の気体とゲッタ材とが接触する機会を増やす観点から大きいことが好ましく、例えば、60%以上、70%以上、80%以上、85%以上、90%以上としてよい。上記多孔率の上限は、特に限定されることなく、例えば、100%未満、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95%以下としてよい。
更に、ゲッタ材1では、セル数を6〜52個/インチとしてよい。セル数は特に限定されることなく、セル数の下限は、10個以上、20個以上とすることができ、セル数の上限は、50個以下、40個以下とすることができる。
更に、ゲッタ材1では、孔径を0.5〜3.2mmとしてよい。孔径は通気性を有する限り特に限定されることなく、孔径の下限は、1.0mm以上、1.5mm以上、2.0mm以上とすることができ、孔径の上限は、3.0mm以下、2.5mm以下、2.0mm以下とすることができる。
本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例1の原料としては、例えば、Zr、V、Ti、Hf、Ni等の1成分系金属、Zr−V合金、Ti−V合金、Ti−Zr合金、Ni−Cr合金等の2成分系金属、Zr−V−Fe合金、Ti−Zr−V合金、Hf−Zr−V合金、Ti−Zr−Hf合金、Ti−Hf−V合金等の3成分系金属、Ti−Zr−Hf−V合金等の4成分系金属等が挙げられる。これらの金属及び合金は、1種単独で用いてもよく複数種組み合わせて用いてもよい。非蒸発型ゲッタ材を上記金属又は合金からなるものとすれば、気体の吸着能力を特に高めることができるため、非蒸発型ゲッタポンプの排気能力を特に高めることができる。
ゲッタ材1は、Zr、Ti、又はZr−V−Fe合金からなることが特に好ましい。非蒸発型ゲッタ材を上記金属又は合金からなるものとすれば、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着能力を顕著に高くすることができるため、非蒸発型ゲッタポンプの排気能力を顕著に高めることができる。Zr、Ti、又はZr−V−Fe合金の中では、気体の吸着能力の観点から、Zr−V−Fe合金が更に特に好ましい。
ゲッタ材1は、Ni又はNi−Crからなることが特に好ましい。Niは、従来、非蒸発型ゲッタ材の原料として用いられていないものの、H2やN2を吸蔵しO2、CO、CO2、H2O、Cxyを吸着する能力を有するため、非蒸発型ゲッタ材の原料の新たな候補となり得る。更に、Niは、安価であり、良好な加工性や高い安全性を有するという特徴もある。非蒸発型ゲッタ材をNi又はNi−Crからなるものとすれば、安価であり、良好な加工性や高い安全性を有する、新規な非蒸発型ゲッタ材を提供することができる。
(非蒸発型ゲッタ材の製造方法)
以下、本発明の非蒸発型ゲッタ材の製造方法について記載する。
本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例1の第一の製造方法について記載する。
この製造方法では、網目状構造を有する基礎材料を、金属粉末を含有するスラリー中に含浸させ、その後、スラリーが付着した基礎材料を加熱することによって、非蒸発型ゲッタ材を製造する。
具体的には、まず、樹脂材料を適当な有機溶媒に溶解させて準備したバインダに金属粉末を加えることによって金属粉末含有スラリーを調製する((a1)スラリー形成工程)。この工程(a1)において、金属粉末としては、前述のゲッタ材1に好適に用いられる金属及び合金を用いることができ、特に限定されない。樹脂材料としては、高温(例えば、100〜600℃)で燃焼、分解、蒸発するもの、例えば、アクリル樹脂等を用いることができる。有機溶媒としては、常温常圧で揮発性のもの、具体的には、アセトン、エタノール、トルエン等が挙げられる。
次に、調製した金属粉末含有スラリーに、網目状構造を有する基礎材料を浸漬させることによって、基礎材料の表面にスラリーを付着させて、スラリー付着基礎材料を調製する((b1)浸漬工程)。この工程(b1)において、網目状構造を有する基礎材料としては、発泡剤を用いて作製したポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン等の発泡体が挙げられる。
第一の製造方法では、更に、調製したスラリー付着基礎材料を常温常圧で乾燥させることによって、金属付着基礎材料を調製する((c1)乾燥工程)。
最後に、金属付着基礎材料を加熱することによって、バインダ及び基礎材料を除去しつつ、金属粉末を焼結させて、網目状構造を有する非蒸発型ゲッタ材を調製する((d1)加熱工程)。この工程(d1)は、例えば、内部を真空又は不活性ガス雰囲気として加熱することが可能な真空炉等を用いて、行うことができる。まず、バインダ及び基礎材料を、炉内を、例えば、100℃〜600℃で加熱することによって、燃焼、分解、蒸発させて、真空炉内から除去する。その後、炉内を、例えば、600℃超で更に加熱することによって、バインダ及び基礎材料を除去した後に残る金属粉末を焼結させる。
本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例1の第二の製造方法について記載する。
この製造方法では、網目状構造を有する基礎材料に導電処理を施し、次いで、処理された基礎材料に電気めっきを施して、その後、めっきにより金属が被覆された基礎材料を加熱することによって、非蒸発型ゲッタ材を製造する。
具体的には、まず、基礎材料となる網目状多孔体を後述の電気めっきに供するため、網目状多孔体の表面を導電性物質で被覆する導電処理を施すことによって、導電層付着多孔体を調製する((a2)導電処理工程)。この工程(a2)では、例えば、樹脂材料を適当な有機溶媒に溶解させて準備したバインダに導電性物質の粉末を加えることによって調製した混合物を、網目状多孔体に塗布する。ここで、網目状多孔体としては、樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布等が挙げられ、導電性物質としては、例えば、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属、カーボンブラック、黒鉛等の炭素粉末が挙げられる。
次に、導電層付着多孔体に対して電気めっきを施すことによって、網目状多孔体の表面に金属をめっきして、金属被覆多孔体を調製する((b2)電気めっき工程)。この工程(b2)は、当業者に周知の手法を用いて、行うことができる。めっきに用いられる金属としては、前述のゲッタ材1に好適に用いられる金属及び合金を用いることができ、例えば、融点や水溶性の観点から、Ni、Ni−Cr合金を好適に用いることができる。
第二の製造方法では、更に、金属被覆多孔体を加熱することによって、網目状多孔体を除去して、めっきされた金属からなり、網目状構造を有する非蒸発型ゲッタ材を調製する((c2)熱処理工程)。この工程(c2)は、例えば、高温に加熱することが可能な炉等を用いて、行うことができる。炉内を、例えば、600℃以上に加熱することによって、網目状多孔体を除去することができる。
(非蒸発型ゲッタモジュール)
図2に、本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例の正面図を示す。図3に、本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例の上面図を示す。
図4に、図2及び図3に示す本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例を、図3の線A−Aに沿う面により切断したときの断面図を示す。図5に、図2及び図3に示す本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例を、図2の線B−Bに沿う面により切断したときの断面図を示す。
本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例10(以下、「ゲッタモジュール10」ともいう)は、図2〜図5に示すように、第1の支板11aと、第1の支板11aと互いに離間し対向して配置された第2の支板11bと、ピル形状(錠剤形状)を有する多数個の上記本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例1と多数個のワッシャー12wとを1個ずつ交互に積み重ねることによって作製された4本の非蒸発型ゲッタピル−ワッシャー積層体12と、非蒸発型ゲッタピル−ワッシャー積層体12に囲まれるように配置され、内部に直線状の電熱線13hを有する2本の絶縁管13pを含むヒーター13と、8本の支柱14とを備える。
なお、本発明の非蒸発型ゲッタモジュールは、上記本発明の非蒸発型ゲッタ材1を含んでいれば、特に限定されることなく、例えば、非蒸発型ゲッタピル−ワッシャー積層体12の本数は4本でなくてもよく、非蒸発型ゲッタピル−ワッシャー積層体12の代わりに、非蒸発型ゲッタピル間にワッシャー12wが挟み込まれていない非蒸発型ゲッタピル積層体を備えていてもよい。
上記ゲッタモジュール10を複数個備える非蒸発型ゲッタポンプ(後述)を構成した場合、非蒸発型ゲッタポンプの部品の汎用性を高めることができ、これにより、非蒸発型ゲッタポンプの製造コストを低減することができる。また、ゲッタモジュール10によれば、ポンプに不具合が発生したときに、故障部分があるモジュールのみを交換すれば、ポンプ全体を修理することが可能となることによって、非蒸発型ゲッタポンプの修理コストも低減することができる。
また、上記ゲッタモジュール10を複数個備える非蒸発型ゲッタポンプを構成した場合、モジュール化していない非蒸発型ゲッタ材を備える非蒸発型ゲッタポンプを構成した場合と比較して、ゲッタポンプ内の気体とゲッタ材とが接触する面積を大きくすることができる。そのため、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度を更に高めることができ、非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を更に高めることができる。
本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例10では、網目状構造を有する非蒸発型ゲッタ材を用いて複数個の非蒸発型ゲッタモジュールを構成するため、ゲッタポンプ内の気体の各分子の単位時間当たりの移動距離を大きくすることができ、ゲッタポンプ内の気体とゲッタ材とが接触する実効的な面積を大きくすることができる。そのため、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度を更に高めることができ、非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を更に高めることができる。
特に、本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例10は、ワッシャーを非蒸発型ゲッタピル間に挟み込んでなる非蒸発型ゲッタピル−ワッシャー積層体12を備えるため、非蒸発ゲッタピルのみを積み重ねてなる非蒸発型ゲッタピル積層体を備える場合と比較して、多数個の非蒸発型ゲッタ材全体における非蒸発型ゲッタ材の表面積を飛躍的に大きくすることができる。そのため、非蒸発型ゲッタ材の気体の吸着速度を飛躍的に高めることができ、非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を飛躍的に高めることができる。
上記ゲッタモジュール10では、非蒸発型ゲッタピル−ワッシャー積層体12の本数は、非蒸発型ゲッタピル近傍にヒーターを通すスペースを確保する観点から、3本以上であることが好ましく、また、非蒸発型ゲッタモジュールに用いる非蒸発型ゲッタ材の量を低減して、モジュールの製造コストを低減する観点から、6本以下であることが好ましく、4本であることが特に好ましい。
(非蒸発型ゲッタポンプ)
図6に、本発明の非蒸発型ゲッタポンプの一例の正面図を示す。図7に、本発明の非蒸発型ゲッタポンプの一例の上面図を示す。
本発明の非蒸発型ゲッタポンプの一例100では、図7に示すように、8個の上記本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例10が、電流導入101Fを中心とする円周上に所定の間隔を空けて等間隔で配置されている。ここで、非蒸発型ゲッタポンプの稼働時には、電熱線13hを発熱させることにより、ゲッタ材1を、高温で所定時間(例えば、450℃で10分間)加熱して、ゲッタ材1を活性化する。
なお、本発明の非蒸発型ゲッタポンプは、上記本発明の非蒸発型ゲッタ材1を含んでいれば、特に限定されることはない。
本発明の非蒸発型ゲッタポンプでは、複数個のゲッタモジュール10は、電流導入101Fに関して対称となるように、配置されていればよく、例えば、図7において用いられるゲッタモジュール10の個数を8個以外の個数(例えば、4個等)としてもよく、また、例えば、図8に示すように、9個のゲッタモジュール10が配置されていてもよい。
本発明の非蒸発型ゲッタポンプによれば、上記本発明の非蒸発型ゲッタ材の効果により、非蒸発型ゲッタポンプの排気速度を高めることができる。
また、本発明の非蒸発型ゲッタポンプによれば、上記本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの効果により、非蒸発型ゲッタポンプの製造コスト及び修理コストを低減することができる。
以上、図面を参照して、本発明の非蒸発型ゲッタ材、本発明の非蒸発型ゲッタモジュール、及び非蒸発型ゲッタポンプの実施形態について例示説明したが、本発明の非蒸発型ゲッタ材、本発明の非蒸発型ゲッタモジュール、及び非蒸発型ゲッタポンプは、上記の例に限定されることはなく、上記実施形態には、適宜変更を加えることができる。
本発明の非蒸発型ゲッタ材によれば、気体の吸着速度を高めることができる。本発明の非蒸発型ゲッタモジュールによれば、非蒸発型ゲッタポンプの製造コスト及び修理コストを低減することができる。本発明の非蒸発型ゲッタポンプによれば、排気速度を高めることができる。本発明に係る非蒸発型ゲッタポンプは、加速器等の試験設備、真空冶金装置、真空化学装置、真空薄膜形成加工装置、表面分析装置等に好適に用いることができる。
1 本発明の非蒸発型ゲッタ材の一例(ゲッタ材)
1a 本体部
1b 気孔部
10 本発明の非蒸発型ゲッタモジュールの一例
11a 第一の支板
11b 第二の支板
12 非蒸発型ゲッタピル−ワッシャー積層体
12w ワッシャー
13p 絶縁管
13h 電熱線
13 ヒーター
14 支柱
100 本発明の非蒸発型ゲッタポンプの一例
101F 電流導入

Claims (9)

  1. 網目状構造を有することを特徴とする、非蒸発型ゲッタ材。
  2. 厚さ10mm、風速5m/秒の条件下における圧力損失が200mmAq以下であることを特徴とする、請求項1に記載の非蒸発型ゲッタ材。
  3. 比表面積が500m2/m3以上であることを特徴とする、請求項1に記載の非蒸発型ゲッタ材。
  4. 多孔率が50%超であることを特徴とする、請求項1に記載の非蒸発型ゲッタ材。
  5. Zr、V、Ti、Hf、Ni、Zr−V合金、Ti−V合金、Ti−Zr合金、Ni−Cr合金、Zr−V−Fe合金、Ti−Zr−V合金、Hf−Zr−V合金、Ti−Zr−Hf合金、Ti−Hf−V合金、Ti−Zr−Hf−V合金からなる群から選択される少なくとも1種の金属からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非蒸発型ゲッタ材。
  6. Zr、Ti、又はZr−V−Fe合金からなることを特徴とする、請求項5に記載の非蒸発型ゲッタ材。
  7. Ni又はNi−Crからなることを特徴とする、請求項5に記載の非蒸発型ゲッタ材。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の非蒸発型ゲッタ材を含むことを特徴とする、非蒸発型ゲッタモジュール。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の非蒸発型ゲッタ材を含むか、又は、請求項8に記載の非蒸発型ゲッタモジュールを含むことを特徴とする、非蒸発型ゲッタポンプ。
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