JP2015109979A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】遊技者が早期に飽きてしまうことを抑制する。【解決手段】表示情報決定手段により決定された表示情報の種別が履歴情報として履歴情報記憶手段により記憶される。表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典が遊技者に特典付与手段により与えられる。履歴情報記憶手段に記憶された表示情報が表示されることに基づいて特典付与手段により与えられる特典が特典可変制御手段により可変される。【選択図】図130

Description

本発明は、パチンコ機に代表される遊技機に関するものである。
従来より、始動口への遊技球の入賞に伴って抽選を行い、所定の図柄を表示装置で所定時間の間、変動表示させた後、抽選結果を示す図柄で停止表示させる抽選遊技が実行される。所定の図柄が変動中に、抽選結果を遊技者に報知する予告図柄等が表示される。
特開2012−223600号公報
この種のパチンコ機において、表示装置で表示される演出には限りがあり、同じ演出が何度も表示されることで、遊技者が遊技に飽きてしまうという問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者が遊技に飽きてしまうのを抑制できる遊技機を提供することを目的とする。
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による判定結果を示す識別情報を表示する表示手段と、その表示手段に表示する前記識別情報の演出態様を決定する演出態様決定手段と、その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報を決定する表示情報決定手段と、その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、前記表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典を遊技者に与える特典付与手段と、前記履歴情報記憶手段に記憶された表示情報が表示されることに基づいて前記特典付与手段により与えられる特典を可変する特典可変制御手段とを有する。
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記表示手段に前記当否判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を所定の抽選に基づいて決定する遊技状態決定手段と、を有し、前記特典付与手段は、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様を付与するものである。
請求項1記載の遊技機によれば、始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定手段による判定結果を示す識別情報が表示手段により表示される。その表示手段に表示する識別情報の演出態様が演出態様決定手段により決定される。その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報が表示情報決定手段により決定される。その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別が履歴情報として履歴情報記憶手段により記憶される。表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典が遊技者に特典付与手段により与えられる。履歴情報記憶手段に記憶された表示情報が表示されることに基づいて特典付与手段により与えられる特典が特典可変制御手段により可変される。
これにより、履歴情報に基づいて、特典が可変して設定されるので、遊技を長く行うことで特典を可変されることを楽しむことができる。よって、遊技者がより長期間遊技を行うように促すことができるという効果がある。
請求項2記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、表示手段に当否判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方が遊技状態設定手段により設定される。その遊技状態設定手段により設定される遊技状態が所定の抽選に基づいて遊技状態決定手段決定される。遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様が特典付与手段により付与される。
よって、遊技者は、履歴情報に基づいて、報知態様が報知されるか否かの特典が可変するので、遊技をより長く行うことで、報知態様が報知されるようにして遊技を行うことができるという効果がある。
第1実施形態におけるパチンコ機の正面図である。 パチンコ機の遊技盤の正面図である。 パチンコ機の背面図である。 パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。 遊技盤の正面模式図である。 動作ユニットの正面斜視図である。 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。 動作ユニットの正面図である。 動作ユニットの正面図である。 動作ユニットの正面図である。 動作ユニットの正面図である。 回転動作ユニットの正面斜視図である。 回転動作ユニットの背面図である。 分解した回転動作ユニットを正面視した回転動作ユニットの分解正面斜視図である。 分解した回転動作ユニットを正面視した回転動作ユニットの分解正面斜視図である。 (a)は、ケース体の正面図であり、(b)は、固定部材の正面図である。 第1歯車、第2歯車及び第3歯車のケース体による支持構造を模式的に図示する模式図である。 複合動作ユニットの正面斜視図である。 分解した複合動作ユニットを正面視した複合動作ユニットの分解正面斜視図である。 複合動作ユニットの一部を分解した状態における複合動作ユニットの分解斜視図である。 開閉第1歯車、開閉第2歯車、回転第1歯車及び回転第2歯車の正面斜視図である。 開閉第1歯車及び開閉第2歯車と回転第1歯車及び回転第2歯車とを第1軸及び第2軸に組み付ける工程を時系列で説明する複合動作ユニットの部分拡大正面図である。 開閉第1歯車及び開閉第2歯車と回転第1歯車及び回転第2歯車とを第1軸及び第2軸に組み付ける工程を時系列で説明する複合動作ユニットの部分拡大正面図である。 裏アーム体に対する開閉第2歯車及びスライドラック部材の相対的な変位状態を説明するための複合動作ユニットの分解正面図である。 動作部材の開閉動作および回転動作を時系列で図示した複合動作ユニットの正面図である。 開閉第1歯車と開閉第2歯車との歯合状態および回転第1歯車と回転第2歯車との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニットの正面模式図である。 開閉第1歯車と開閉第2歯車との歯合状態および回転第1歯車と回転第2歯車との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニットの正面模式図である。 開閉第1歯車と開閉第2歯車との歯合状態および回転第1歯車と回転第2歯車との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニットの正面模式図である。 第1係合部材及び一対の第2結合部材が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット及び第2結合動作ユニットの正面図である。 第1係合部材及び一対の第2結合部材が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット及び第2結合動作ユニットの正面図である。 (a)は、第1結合動作ユニットの正面図であり、(b)は、図33(a)の矢印XXXb方向視における第1結合動作ユニットの底面図である。 第1結合動作ユニットの分解正面斜視図である。 第1結合動作ユニットの分解背面斜視図である。 駆動部の背面図である。 (a)は、スライド機構部の正面斜視図であり、(b)は、スライド機構部の背面斜視図である。 分解したスライド機構部を正面視したスライド機構部の正面斜視図である。 分解したスライド機構部を背面視したスライド機構部の背面斜視図である。 (a)は、第1結合部材が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニットの正面図であり、(b)は、第1結合部材が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニットの背面図である。 (a)は、第1結合部材が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニットの正面図であり、(b)は、第1結合部材が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニットの背面図である。 第2結合動作ユニットの正面斜視図である。 (a)は、第2結合動作ユニットの正面図であり、(b)は、第2結合動作ユニットの背面図である。 第2結合動作ユニットの正面図である。 第1結合部材及び一対の第2結合部材が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット及び第2結合動作ユニットを正面視したモデル図である。 円環形成部材が退避位置に配置された状態における円環動作ユニットの正面斜視図である。 円環形成部材が結合位置に配置された状態における円環動作ユニットの正面斜視図である。 分解した円環動作ユニットを正面視した円環動作ユニットの分解正面斜視図である。 分解した円環動作ユニットを背面視した円環動作ユニットの分解背面斜視図である。 (a)は、リンク部材の正面斜視図であり、(b)は、リンク部材の背面斜視図であり、(c)は、図50(a)の部分Lcにおけるリンク部材の部分拡大正面斜視図であり、(d)は、図50(a)の矢印Ld方向視におけるリンク部材の側面図である。 円環動作ユニットの部分拡大背面図である。 一対の円環形成部材が退避位置に配置された円環動作ユニットを模式的に図示する円環動作ユニットの背面模式図である。 図52のLIII−LIII線における円環動作ユニットの断面模式図である。 一対の円環形成部材が退避位置および結合位置の中間となる位置に配置された円環動作ユニットを模式的に図示する円環動作ユニットの背面模式図である。 図54のLV−LV線における円環動作ユニットの断面模式図である。 一対の円環形成部材が結合位置に配置された円環動作ユニットを模式的に図示する円環動作ユニットの背面模式図である。 図56のLVII−LVII線における円環動作ユニットの断面模式図である。 アーム部材が張出位置に張り出された状態における揺動動作ユニットの正面斜視図である。アーム部材820が退避位置に退避された状態における揺動動作ユニット800の正面斜視図である。 アーム部材が退避位置に退避された状態における揺動動作ユニットの正面斜視図である。 分解された揺動動作ユニットを正面視した揺動動作ユニットの分解正面斜視図である。 (a)は、アーム部材が退避位置に配置された状態における揺動動作ユニットの背面図であり、(b)は、図61(a)の部分LXIbにおける揺動動作ユニットの部分拡大背面図である。 (a)は、揺動動作ユニットの背面図であり、(b)は、図62(a)の部分LXIIbにおける揺動動作ユニットの部分拡大背面図である。 (a)は、揺動動作ユニットの背面図であり、(b)は、図63(a)の部分LXIIIbにおける揺動動作ユニットの部分拡大背面図である。 (a)は、揺動動作ユニットの背面図であり、(b)は、図64(a)の部分LXIVbにおける揺動動作ユニットの部分拡大背面図である。 通常遊技期間と時間演出期間とにおける背景モードの選択例の一例について示したタイミングチャートである。 各種カウンタの概要を示す図である。 (a)は、主制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、主制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 (a)は、特別図柄大当たり乱数テーブルを模式的に示した模式図であり、(b)は、大当たり種別選択テーブルを模式的に示した模式図であり、(c)は、普通当たり乱数テーブルを模式的に示した図である。 (a)は、変動パターン選択テーブルの一部である大当たり用変動パターン選択テーブルを模式的に示した模式図であり、(b)は、変動パターン選択テーブルの一部である外れ用変動パターン選択テーブルを模式的に示した図である。 (a)は、音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 通常背景が表示される場合のサブ変動パターン選択テーブルを模式的に示した模式図である。 強制背景が表示される場合のサブ変動パターン選択テーブルを模式的に示した模式図である。 通常背景選択テーブルを模式的に示した模式図である。 通常背景予告選択テーブルの内容を模式的に示した図であり、(b)は、強制背景予告選択テーブルの内容を模式的に示した図である。 表示制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。 転送データテーブルを模式的に示した模式図である。 描画リストの一例を模式的に示した模式図である。 主制御装置内のMPUにより実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される特別図柄変動処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される特別図柄変動開始処理を示したフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される始動入賞処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される普通図柄変動処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行されるスルーゲート通過処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される時間設定処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動パターン選択処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動表示設定処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される同期演出管理処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行されるブート処理を示すフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行されるコマンド割込処理を示したフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行されるV割込処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行される変動パターンコマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行される停止種別コマンド処理を示したフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行される表示用演出コマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行される表示用予告コマンド処理を示したフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行される表示用背面コマンド処理を示すフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行されるエラーコマンド処理を示すフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行される表示設定処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行される警告画像設定処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行されるポインタ更新処理を示したフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行される転送設定処理を示したフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行される常駐画像転送設定処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行される通常画像転送設定処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行される描画処理を示したフローチャートである。 図99(b)形態における回転部材と特別図柄との作動タイミングの一例について示したタイミングチャートである。 (a)〜(b)は、図99(b)形態における回転部材が作動する場合の第3図柄表示装置に表示される特別図柄の表示態様の一例を示したタイミングチャートである。 図99(b)形態における回転部材が作動する場合の第3図柄表示装置に表示される特別図柄の表示態様の一例を示したタイミングチャートである。 (a)は、図99(b)形態における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、図99(b)形態における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 図99(b)形態における疑似変動選択テーブルの一部を模式的に示した模式図である。 図99(b)形態における疑似変動選択テーブルの一部を模式的に示した模式図である。 図99(b)形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理2を示したフローチャートである。 図99(b)形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動パターン選択処理2を示したフローチャートである。 図99(b)形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される通常演出選択処理を示したフローチャートである。 図99(b)形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される入賞コマンド受信処理を示したフローチャートである。 第3実施形態における融合演出が実行される場合の一例を示したタイミングチャートである。 (a)〜(b)は、第3実施形態における融合演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。 第3実施形態における融合演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。 (a)〜(b)は、第3実施形態における長押し演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。 (a)は、第3実施形態における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、第3実施形態における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 (a)は、第3実施形態における融合演出選択テーブルの内容を模式的に示した図であり、(b)は、第3実施形態における融合変動パターン選択テーブルの内容を模式的に示した図である。 主制御装置内のMPUにより実行される大当たり制御処理を示すフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理3を示したフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される通常演出選択処理2を示したフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される大当たり演出処理を示したフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される融合大当たり演出処理を示したフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される枠ボタン入力監視・演出処理を示したフローチャートである。 (a)〜(b)は、第4実施形態における大当たり演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例を示した図である。 (a)〜(b)は、第4実施形態における大当たり演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例を示した図である。 (a)は、第4実施形態における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、第3実施形態における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 第4実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される大当たり演出処理2を示したフローチャートである。 (a)〜(b)は、第5実施形態におけるである複合動作ユニットが動作する場合の第3図柄表示装置で表示される表示態様の一例について示した図である。 (a)〜(b)は、第5実施形態におけるである複合動作ユニットが動作する場合の第3図柄表示装置で表示される表示態様の一例について示した図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図35を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の下方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の第1特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。また、第1入賞口64の下方左側には第2可変入賞装置650が配設されており、その略中央部分に他の入賞口63,64,640と同程度の大きさの円形形状からなる第2特定入賞口650aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65a,650aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65a,650aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65a,650aが所定時間開放される。この特定入賞口65a,650aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、第1特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第1特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が第1特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
第2可変入賞装置650は、具体的には、第2特定入賞口650aへ球を案内する案内路と、その案内路の第2特定入賞口650a側とは反対側となる開口部である開口651と、その開口651の開放および閉鎖を行うための駆動役物650bと、その駆動役物650bを開口651の下辺を軸に左右方向に開閉駆動するための小開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第2特定入賞口650aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には小開放口ソレノイドを駆動して駆動役物650bを右方に傾倒し、球が第2特定入賞口650aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65a,650aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65a,650aが所定時間開放され、その特定入賞口65a,650aの開放中に、球が特定入賞口65a,650a内へ入賞することを契機として特定入賞口65a,650aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65a,650aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71及び第2アウト口72が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640,650aにも入賞しなかった球は、第1アウト口71又は第2アウト口72を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される一方、第2アウト口72は、第2特定入賞口650aの左側に配設される。即ち、第2アウト口72は、第2特定入賞口650aを挟んで第1アウト口71の反対側に配設される。
よって、遊技領域を流下する球であって、第2特定入賞口650aよりも正面視右側(図2右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下され、第1アウト口71を通って球排出路へ案内される一方、第2特定入賞口650aよりも正面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下され、第2アウト口72を通って球排出路へ案内される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22、RTC(リアルタイムクロック)264などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、駆動モータ340,430,522,640,740,830が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
なお、主制御装置110および音声ランプ制御装置113、表示制御装置114の構成の詳細については、図66〜図78を参照して後述する。
次いで、図5を参照して、遊技盤13における入賞口63,64,65a,640,650aやアウト口71,72などの各構成のレイアウト(配置)について説明する。図5は、遊技盤13の正面模式図である。なお、図5では、入賞口63,64,65a,640,650aなどの各構成が模式的に図示されると共に、遊技盤13の一部が部分的に拡大して図示される。
図5に示すように、内レール61は、遊技領域の正面視において、右下側に配置される部分(第1アウト口71よりも右側の部分)が、直線状に延設されると共に第1アウト口71から離間される方向へ向けて上昇傾斜して形成される。
内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、それら両レール61,62と共に遊技領域の外縁を画定する樹脂製の外縁部材73が配設される。外縁部材73は、外レール62を延長した円弧状の壁面を内面側に設けて形成される円弧壁部73aと、その円弧壁部73aの下方に連設され鉛直方向(図5上下方向)に沿って直線状に延設される壁面を内面側に設けて形成される垂直壁部73bと、その垂直壁部73bの下方に連設され内レール61へ向けて下降傾斜しつつ直線状に延設される壁面を内面側に設けて形成される傾斜壁部73cとからなる。
このように、内レール61、外レール62及び外縁部材73により画定される遊技領域は、略円形状の一部(図5下方右側部分)が、略矩形状に形成され外方へ拡大された形状とされる。詳細には、第1アウト口71よりも右側に配設される内レール61の直線状の部分と、外縁部材73の傾斜壁部73c及び垂直壁部73bとにより画定される領域が略矩形状に形成される。
これにより、遊技領域が内レール61及び外レール62を延長した略円形状に形成される場合と比較して、略矩形状の領域(図5下方右側部分)を備える分、遊技領域全体としての面積を拡大することができる。よって、その拡大した領域を、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67などを配設するスペースとして、或いは、球を流下させる経路を形成するためのスペースとして活用して、各入賞口63,64,65a,640,650aや球の流下経路などの配置の自由度を高めることができる。その結果、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方(図5下側)へ下げることができるので、その分、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、従来のパチンコ機では、第3図柄表示装置81の下方において、第1入賞口64、第2入賞口640及び可変入賞装置65が上下方向(図5上下方向)に沿って直列に配置されていた。そのため、第3図柄表示装置81の下方に必要なスペースが上下方向に嵩み、かかる第3図柄表示装置81の大型化が阻害されていた。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、遊技領域の拡大された部分(略矩形状の領域、図5下方右側部分)を入賞口などの配設スペースあるいは球の流下経路の形成スペースとして利用することができる。具体的には、本実施形態では、第2入賞口640および第1可変入賞装置65が第1入賞口64の直下ではなく、上述した遊技領域の拡大された部分に配置される。よって、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
また、本実施形態の遊技機13によれば、第2特定入賞口650aも、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向一側(可変入賞装置65と反対側、図5左側)にオフセットされ、かつ、内レール61(遊技領域の下縁)に当接する位置(即ち、第2特定入賞口650aと内レール61との間を球が通過不能となる位置)に配置される。よって、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
この場合、本実施形態の遊技盤13によれば、遊技領域から球排出路へ球を排出するための経路を2ヶ所(第1アウト口71及び第2アウト口72)に設けることで、第3図柄表示装置81の更なる大型化が可能とされている。
即ち、第3図柄表示装置81を大型化するためには、かかる第3図柄表示装置81の下縁の位置が下方に下がるため、その分、入賞口の位置も下方へ下げる必要がある。例えば、第1入賞口64の位置が下方へ下がると、案内板部材74(右打ち時の球(可変表示装置ユニット80の右方を通過した球)を第2特定入賞口650aへ案内する部材)の位置も、球を流下させるスペースを第1入賞口64との間に確保するべく、下方へ下げる必要が生じ、その結果、第2特定入賞口650aの位置も下方へ下げる必要が生じる。
しかしながら、第2特定入賞口650aの位置が下方へ下がり過ぎると、第2特定入賞口650aの下方(内レール61との間)に球を流下させるためのスペースを確保できなくなる。即ち、入賞口に入賞されずに流下した球を第1入賞口64の下方に配設されるアウト口から排出できなくなる。そのため、かかる第2特定入賞口650aの位置を下方へ下げるには限界があり、第3図柄表示装置81を十分に大型化することができない要因となる。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第1アウト口71に加え、第2アウト口72が、第2特定入賞口650aを挟んで、第1アウト口71の反対側に配設されている(即ち、第2特定入賞口650aの右側および左側に第1アウト口71及び第2アウト口72がそれぞれ配設されている)ので、遊技領域を流下する球であって、第2特定入賞口650aよりも正面視右側(図5右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下させ、第1アウト口71により球排出路へ排出できる一方、第2特定入賞口650aよりも正面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下させ、第2アウト口72から球排出路へ排出できる。
このように、遊技領域から球排出路へ球を排出するための経路を2ヶ所(第1アウト口71及び第2アウト口72)に設けることで、第2特定入賞口650aの下方(内レール61との間)に、球を流下させるためのスペースを確保することを不要とできる。よって、第2特定入賞口650aの位置を更に下方に下げる(内レール61に近接させる又は連設させる)ことができるので、その分、案内板部材75の位置を下方へ下げることができ、ひいては、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、その分、第3図柄表示装置81の更なる大型化を図ることができる。
なお、本実施形態では、第2入賞口640および第1特定入賞口65aが盤面右側にオフセットされて配設されると共に、第2特定入賞口650aが盤面左側にオフセットされかつ内レール61に近接(又は当接)されて配設されることで、回転動作ユニット300による演出をより効果的に行うことができる。
即ち、遊技者が右打ちを行う場合には、球が流下する盤面右側のみが遊技者により注目され、特に、第2入賞口640への入賞がなされなかった球に対しては、それ以降の流下が遊技者に注目されることは少ない。この場合、本実施形態では、可変表示装置ユニット80の右方を通過した球のうち、第2入賞口640の上側を右から左へ通過した球は、案内板部材74の上側を通過し、第2特定入賞口650aへ向けて流下される。そのため、第2入賞口640への入賞がなされなかった場合でも、次いで、第2特定入賞口650aへの入賞の機会が発生し、その第2特定入賞口650aへの入賞の期待から、第2入賞口640の上側を右から左へ通過した球を遊技者に注目させる(視線を向けさせる)ことができる。これにより、遊技者の視線を、可変表示装置ユニット80下方における盤面中央にも向けさせることができる。後述するように、本実施形態では、第1入賞口64の背面側に回転動作ユニット300が配設され、その回転動作ユニット300が遊技盤13越しに(遊技盤13を透過して)視認可能とされるので、第2入賞口640への入賞がなされなかった球が、第2特定入賞口650aへ向けて流下する際に、回転動作ユニット300による演出も遊技者に視認させ、かかる回転動作ユニット300の演出効果を高めることができる。
上述したように、遊技盤13は、ベース板60が光透過性の樹脂材料から形成され、そのベース板60の背面側に配設される回転動作ユニット300を正面側から遊技者に視認させることが可能とされる。ここで、回転動作ユニット300は、第1入賞口64への入賞を契機として又は入賞による抽選の結果を契機として動作される装置であり、遊技盤13(ベース板60)の背面側において、第1入賞口64に対応する位置に配設される。
よって、第1入賞口64へ向けて流下する球を目で追う遊技者に対し、特に、第1入賞口64に球が入賞した場合には、その第1入賞口64の背後において、回転動作ユニット300による演出を視認させることができるので、第1入賞口64への球の入賞に伴う演出を効果的に行うことができる。なお、回転動作ユニット300の詳細構成については後述する。
この場合、第1入賞口64に対し、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が左右方向(遊技領域の幅方向、図5右方向)にオフセットされて配置されているので、その分、第1入賞口64及び回転動作ユニット300の位置を下方(図5下側)へ下げることができ、その結果、回転動作ユニット300を第1入賞口64に対応する位置であって遊技盤13(ベース板60)の背面側に配設する場合であっても、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、従来のパチンコ機のように、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が上下方向に直列に配置される場合には、第1入賞口64に対応する位置において遊技盤13(ベース板60)の背面側に回転動作ユニット300を配設することは、かかる回転動作ユニット300と第2入賞口640及び第1可変入賞装置65とが干渉するため、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65の配設に必要なスペースが上下方向に嵩み、第3図柄表示装置81の大型化を阻害することになる。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第1入賞口64に対し、第2入賞口640、第1可変入賞装置65及び第2可変入賞装置650が左右方向(遊技領域の幅方向)にオフセットして配置されているので、これら第2入賞口640、第1可変入賞装置65及び第2可変入賞装置650と回転動作ユニット300との干渉を回避でき、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができ、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
特に、第1可変入賞装置65については、遊技領域の下方右側の略矩形状に拡大された領域を利用して右側にオフセットされることで、そのオフセット量を十分に確保できると共に、第2可変入賞装置650については、第1アウト口71に加えて第2アウト口72が設けられることで、球が流下するための下方のスペースの確保を考慮せずに、その位置を下方へ下げることができる。これにより、回転動作ユニット300を配設するためのスペースをより広く確保できるので、第3図柄表示装置81の大型化と回転動作ユニット300の大型化という背反する課題を解決することができる。その結果、第3図柄表示装置81による演出効果と回転動作ユニット300による演出効果との両者の演出効果を高めることができる。
ここで、回転動作ユニット300は、第1入賞口64を中心として回転可能な略円形状に形成される。これにより、第1入賞口64を取り囲む周囲全体を演出のための領域とすることができる。即ち、回転動作ユニット300による演出をその第1入賞口64の背面側において遊技者に視認させることできる。よって、第1入賞口64への入賞を契機として演出が開始される場合には、球が入球した第1入賞口64を中心とする領域で演出が行われることにより、第1入賞口64への入賞に伴う演出の演出効果を高めることができる。
また、回転動作ユニット300の状態(例えば、回転位置や点灯状態)が所定の状態となったことを契機として、第1入賞口64へ球を入賞させることを遊技者が開始する場合には、遊技者が視認している対象物(所定の状態となった回転動作ユニット300)の中心へ向けて遊技球を入球させることとでき、回転動作ユニット300による演出の演出効果を高めることができる。
更に、このように、回転動作ユニット300が略円形状に形成されることで、かかる回転動作ユニット300の周囲のスペースを有効に活用でき、他の入賞口などのための配設スペースを効率的に確保できる。特に、第2可変入賞装置650の配設スペースを効率的に確保できる。即ち、第1可変入賞装置65については、遊技領域の下方右側の略矩形状に拡大された領域を利用して第1入賞口64に対して右側にオフセットできるため、その右側へのオフセット量を比較的確保しやすい一方、第2可変入賞装置650については、内レール61が円弧状に湾曲されているが故に、第1入賞口64に対する左側へのオフセット量を十分に確保することが困難となる。この場合、回転動作ユニット300が略円形状とされていることで、かかる回転動作ユニット300の下方左側において、第2可変入賞装置650を配設するためのスペースを内レール61との間に効率的に確保できる。
また、回転動作ユニット300は、第1入賞口64を中心とする略円形状に形成されるので、かかる回転動作ユニット300を遊技領域の幅方向(図5左右方向)略中央に配置することができる。即ち、第3図柄表示装置81の下縁と内レール61との間の距離(図5上下方向の距離)が最大となる仮想線上に、回転動作ユニット300の中心を配置することができる。よって、第3図柄表示装置81の大型化を図りつつ、遊技領域の限られたスペースを有効に活用できるので、回転動作ユニット300を配設するためのスペースをより広く確保して、かかる回転動作ユニット300の大型化も効率的に行うことができる。
本実施形態では、上述したように、第2入賞口640が、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)にオフセットされて配置される。この場合、第2入賞口640は、その開口641が遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)を臨む姿勢で配設される。これにより、第2入賞口640への入賞のために球を流下させるスペースを、かかる第2入賞口640の上方に設けることを不要として、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
また、本実施形態では、上述したように、第2特定入賞口650aが、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向一側(第1可変入賞装置65と反対側、図5左側)にオフセットされて配置される。この場合、第2特定入賞口650aは、その開口651が遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)を臨む姿勢で配設される。これにより、第2特定入賞口650aへの入賞のために球を流下させるスペースを、かかる第2特定入賞口650aの上方に設けることを不要として、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、第2入賞口640の開口641及び第2特定入賞口650aの開口651が遊技領域の上方(図5上側)の臨む姿勢で配設される場合には、球を流下させるためのスペースを開口641,651の真上に確保する必要が生じ、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を上方に上げる必要が生じ、第3図柄表示装置81の大型化が阻害される。これに対し、本実施形態のように、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨む場合には、球を流下させるためのスペースを開口641,651の斜め上方(図5右上側)に確保すれば良く、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
このように、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨む場合には、電動役物640a,650bを、第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの真上ではなく、第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの側方に配置することができる。即ち、電動役物640a,650bの配置スペースを第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの真上に確保する必要がなく、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の更なる大型化を図ることができる。
更に、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、その開口641,651の開放および閉鎖を行うための電動役物640a,650bを一対設けることを不要として、片側のみとすることができる。これにより、電動役物640a,650bを駆動するための駆動手段(例えば、ソレノイド)に必要とされる容量を小型化して、部品コストの削減を図ることができる。同時に、消費エネルギーの抑制を図ることができる。
また、開口641が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、第2入賞口640への入賞の難易度が過度に低下することを防ぐことができる。即ち、本実施形態では、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げるので、入賞口等の配設スペースが限定され、第2入賞口640と、スルーゲート67との配置位置の間隔が狭くなる。そのため、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が上下方向に直列に配置される従来のパチンコ機に比較して、第2入賞口640へ入球させる難易度が低下し、遊技性を損なう恐れがある。そこで、開口641を遊技領域の幅方向他側を臨むように形成することで、第2入賞口640の真上から球が入賞することを防止すると共に、電動役物640aが開状態にある場合にのみ第2入賞口640に入賞可能とさせることができる。これにより、第2入賞口640へ入賞させる難易度が低下することを防ぎ、遊技性を向上させることができる。
また、開口651が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、第2特定入賞口650aの開口651から、第2特定入賞口650aまでの距離(図5左右方向寸法)を長くしても、第3図柄表示装置81と第2特定入賞口650aとの間の距離に影響を与えない。よって、第3図柄表示装置81の大型化を図りつつ、第2特定入賞口650aへの球の入賞を検出するセンサ装置652を開口651と第2特定入賞口650aとの間に配設することができる。これにより、第2特定入賞口650aへ球が入賞したことの検出速度を速めることができるので、入賞に伴う遊技者の高揚感を高めることができる。
これに加えて、第2特定入賞口650aへのオーバー入賞を防止することができる。即ち、開放されている第2特定入賞口650aに所定個数(例えば10個)の球が入賞したことを契機として、第2特定入賞口650aが閉鎖されるように構成する場合、10個目の球が入賞すると即座に駆動役物650bが閉鎖されることが望ましい。しかし、センサ装置652がベース板60の後方に配設される場合、開口651からセンサ装置652までの距離が離れる。
そのため、10個目の球が開口651を通過してからセンサ装置652に到達するまでの期間、即ち駆動役物650bが開状態である期間が長くなり、11球目以降の球が開口651から第2特定入賞口650aに入賞可能な状態が長期間にわたって形成され、遊技の公平性を欠く恐れがある。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第2特定入賞口650aへの球の入賞を検出するセンサ装置652が開口651と第2特定入賞口650aとの間に配設されているので、開口651を通過した球がセンサ装置652に検出されるまでの期間を短くできる。これにより、11球目以降の球が開口651から入賞可能な状態を生じにくくし、オーバー入賞を防止することができる。
ここで、本実施形態の遊技盤13において、第1特定入賞口65aと、第2特定入賞口650aとは、それぞれ遊技盤13の左右(他側と一側)方向にオフセットして配置されていることで、遊技者に左右の打ち分けをさせ、遊技性の向上に寄与する。
即ち、本実施形態の遊技盤13においては、第1特定入賞口65aへは可変表示装置ユニット80の右方を通過する方が入賞しやすい一方で、第2特定入賞口650aへは可変表示装置ユニット80の左方を通過した方が入賞しやすい配置となっている。どちらの特定入賞口が開放するかは、その時の大当たりの停止図柄によって決定され、遊技者は、開放される側の特定入賞口を狙うために、左右に打ち分けることになる。
どちらの特定入賞口が開放されるかは、大当たりの停止図柄ごとの回数(ラウンド)単位で設定可能であるので、第1特定入賞口65aもしくは第2特定入賞口650aのみが毎回開放する場合がある一方で、第1特定入賞口65aと第2特定入賞口650aとが回数(ラウンド)ごとに交互に開放する場合もある。
そのため、遊技者はどちらの特定入賞口が開放するかを回数(ラウンド)単位で確認し、その開放される特定入賞口を狙うために左右に打ち分ける必要があるので、遊技者に遊技盤13の他側のみでなく、一側にも注目させる効果がある。即ち、遊技者が遊技盤13の一側もしくは他側のみに注目するという状況が生じることを防止し、第1入賞口64の後方に配置される回転動作ユニット300が視界に入る状況を作り出すことで、回転動作ユニット300に注目させることができると共に、その演出効果を向上させることができる。
また、左右の打ち分けをする判断を、大当たりの回数(ラウンド)ごとにさせることで、遊技者を退屈させることを防止できると共に、遊技者に左右の打ち分けを行わせることで、同じ姿勢で遊技することにより生じる疲労感を緩和することができる。
次いで、図6から図13を参照して、動作ユニット200について説明する。まず、図6から図9を参照して、背面ケース210への各ユニット300〜800の収容構造について説明する。
図6は、動作ユニット200の正面斜視図であり、図7から図9は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。なお、図8では、揺動動作ユニット800、円環動作ユニット700及び第1結合動作ユニット500が背面ケース210に装着された状態が図示され、図9では、図8に示す装着状態に加えて更に第2結合動作ユニット600及び複合動作ユニット400が背面ケース210に装着された状態が図示される。
図6から図9に示すように、動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図7紙面手前側)が開放された箱状に形成される背面ケース210を備える。背面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
動作ユニット200は、背面ケース210の内部空間に、回転動作ユニット300、複合動作ユニット400、第1結合動作ユニット500、第2結合動作ユニット600、円環動作ユニット700及び揺動動作ユニット800がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
具体的には、第1結合動作ユニット500は開口211aの上方となる位置において、円環動作ユニット700は開口211aの下方となる位置において、揺動動作ユニット800は開口211aの左右となる位置において、それぞれ背面ケース210の底壁部211に配設される(図8参照)。
この図8に示す状態に対し、第2結合動作ユニット600は円環動作ユニット700の前面側に、複合動作ユニット500は揺動動作ユニット800の前面側に、それぞれ重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図9参照)。この図9に示す状態に対し、回転動作ユニット300が第2結合動作ユニット600の前面側に重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図6参照)。
このように、本実施形態では、所定の動作ユニット(例えば、第2結合動作ユニット600)に対し、他の動作ユニット(例えば、回転動作ユニット300)が前面側に重ね合わされた積層状態で配設されるので、正面視において、所定の動作ユニットの少なくとも一部(例えば、第2結合動作ユニット600の表ケース体612、図42参照)を、他の動作ユニットによって遮蔽することができる。
言い換えれば、遊技盤13が光透過性材料から形成され、その遊技盤13の背面側に配設される動作ユニットを遊技者が視認可能とされる場合に、所定の動作ユニットの必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を他の動作ユニットにより遊技者から遮蔽することができる。これにより、他の動作ユニットによって遮蔽される所定の演出部材については、その全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
次いで、図10から図13を参照して、各ユニット300〜800の動作態様の概略について説明する。なお、図10から図13の説明においては、図6から図9を適宜参照する。
図10から図13は、動作ユニット200の正面図である。なお、図10では円環動作ユニット700の円環形成部材790が結合位置に配置された状態が、図11では揺動動作ユニット800のアーム部材820が張出位置に配置された状態が、図12では第1結合動作ユニット500の第1係合部材539及び第2結合動作ユニット600の第2結合部材630が結合位置に配置された状態が、図13では複合動作ユニット400の動作部材491,492が張出位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
円環動作ユニット700は、一対の円環形成部材790を備え、これら一対の円環形成部材790を、図8に示す退避位置と図10に示す結合位置との間で動作(変位)させる。図8に示す退避位置では、一対の円環形成部材790は、左右に振り分けられつつ、回転動作ユニット300の背面側に退避され、遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図10に示す結合位置では、一対の円環形成部材790は、背面ケース210の開口211a中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面)に配置されると共に、互いに結合される(一対の円環形成部材790により円環形状が形成される)。
揺動動作ユニット800は、揺動(回転)可能に形成される一対のアーム部材820を備え、これら一対のアーム部材820を、図8に示す退避位置と図11に示す張出位置との間で動作(変位)させる。図8に示す退避位置では、一対のアーム部材820は、複合動作ユニット400の背面側に退避され、遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図11に示す張出位置では、一対のアーム部材820は、背面ケース210の開口211a内(即ち、第3図柄表示装置81の正面)にその先端を張り出させる。
第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630をそれぞれ備え、これら第1係合部材539及び一対の第2結合部材630を図9に示す退避位置と図12に示す結合位置との間で動作(変位)させる。図9に示す退避位置では、第1係合部材539は複合動作ユニット400の背面側に退避されると共に、第2結合部材630は複合動作ユニット400の背面側に退避され、それぞれ遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図12に示す結合位置では、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が背面ケース210の開口211a中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面)に配置されると共に、互いに結合される。
複合動作ユニット400は、揺動(回転)可能に形成される4本の部材(動作部材491,492)を備え、これら4本の部材(動作部材491,492)を、図9に示す退避位置と図13に示す張出位置との間で動作(変位)させる。図9に示す退避位置では、4本の部材(動作部材491,492)は、背面ケース210の開口211a(即ち、第3図柄表示装置81)の側方に退避され、2本一組がそれぞれ上下方向に沿って直線状に整列した姿勢に配置される。一方、図13に示す張出位置では、4本の部材(動作部材491,492)は、背面ケース210の開口211a内(即ち、第3図柄表示装置81の正面)にその先端を張り出させ、開口211aの中央からそれぞれ放射直線状に延びる姿勢に配置される。
回転動作ユニット300は、回転可能に形成される回転部材330を備え、その回転部材330を回転動作させる。なお、図10から図13に示すように、回転動作ユニット300の回転部材330は、定位置において回転動作され、また、複合動作ユニット400の動作部材491,492は、張出位置または退避位置のいずれの位置においても最前面に配置されるため、遊技盤13(図2参照)を介して、常に遊技者から視認可能とされる。
これら各動作ユニット300〜800は、それぞれ独立して動作可能に形成されると共に、上述したように、重ね合わされた(積層された)状態で配設されるので、各動作ユニット300〜800のうちの層を違えて配設されるものについては、同時に動作させることができる。即ち、図10から図13で例示したように、各動作ユニット300〜800をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。
図14から図19を参照して、回転動作ユニット300について説明する。図14は、回転動作ユニット300の正面斜視図であり、図15は、回転動作ユニット300の背面図である。
回転動作ユニット300は、上述したように、遊技盤13(ベース板60)の背面側において、第1入賞口64(図2又は図5参照)に対応する位置(正面視において重なる位置)に配設される演出部材であり、正面中央に受入口361が開口され、第1入賞口64に入賞された球を、受入口361から受け入れ、案内通路380を介して、図示しない球排出路へ案内する。
回転動作ユニット300の正面側には、正面視円環状の回転部材330と、装飾用の樹脂製部材である装飾部材370とが配設され、回転部材330の略中心部分には、受入口361(固定部材360)が配置される。回転部材330は、光透過性の樹脂材料から回転可能に形成され、その背面側に配設されたLEDの点灯や点滅を前面側へ透過させると共に、自身が回転されることで、第1入賞口64(図2又は図5参照)の周囲において、所定の演出を行う。
図16及び図17は、分解した回転動作ユニット300を正面視した回転動作ユニット300の分解正面斜視図である。なお、図16では、回転部材330のみを分解した状態が図示される。また、図17では、装飾部材370の図示が省略されると共に、第1歯車351と第3歯車353との一部が部分的に断面視される。
図16及び図17に示すように、回転動作ユニット300は、その最背面側において骨格をなすケース体310と、そのケース体310に固着される電飾基部320と、その電飾基部320の正面側に配設される回転部材330と、その回転部材330に駆動モータ340の回転駆動力を伝達するための複数の歯車(第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353)と、それら複数の歯車のうちの第1歯車351をケース体310に固定するための固定部材360と、ケース体310の周囲に配設される装飾部材370と、を主に備えて構成される。
ケース体310は、電飾基部320に対応する正面視略円環状に形成される電飾基部取り付け部311と、その電飾基部取り付け部311よりも背面側に後退して形成される歯車取り付け部312と、それら電飾基部取り付け部311及びは歯車取り付け部312の外縁からそれぞれ外方へ延設される取り付け台座313とを主に備え、これらが樹脂材料から一体に形成される。
電飾基部取り付け部311には、正面側に電飾基部320が、外周側に装飾部材370が、それぞれ締結ねじにより締結固定される。歯車取り付け部312は、第1歯車351から第3歯車353の外形にそれぞれ対応して凹設される正面視略円形状の3つの凹部が互いに連なって形成され、これら各凹部に第1歯車351から第3歯車353がそれぞれ収納(配設)される。
電飾基部取り付け部311の内周側には、歯車取り付け部312のうちの第1歯車351が収納される部位の上方に、開口311aが開口形成される。ケース体310に開口311aが形成されることで、かかる開口311aを介して、ケース体310の背面側から締結ねじにより第1歯車351(締結座部351d)に回転部材330(被締結部333)を締結固定することができる。よって、回転部材330の正面側に締結ねじが露出することを回避して、その外観の向上を図ることができる。
歯車取り付け部312には、第1歯車351が収納される凹部に、通過口314と、被締結部315と、挿通部316と、ガイド凸部317とがそれぞれ形成される。通過口314は、固定部材360の受入口361に連通される通路であり、固定部材360の受入口361から流入した球を、ケース体310の背面側に形成される案内通路380へ案内する。
なお、案内通路380は、ケース体310の背面に断面コ字状の部材が装着されることで、その装着された部材とケース体310の背面との間に球が通過可能な通路として形成される(図15参照)。案内通路380は、ケース体310の背面において通過口314に連通されると共に、下方へ向けて延設される。
取り付け台座313には、挿通孔が穿設されており、その挿通孔に挿通された締結ねじを第2結合動作ユニット600の表ケース体612に締結することで、回転動作ユニット300が第2結合動作ユニット600を介して背面ケース210に締結固定される(図9及び図42参照)。
被締結部315は、固定部材360を歯車取り付け部312に締結固定するための締結ねじが締結される部位(内周にめねじが刻設された凹部)であり、通過口314を挟んで左右非対称となる位置に一対が形成される(図18参照)。挿通部315は、歯車取り付け部312(ケース体310)を背面側の第2結合動作ユニット600の表ケース体612(図9及び図42参照)に締結固定するための締結ねじを挿通させるための貫通孔であり、通過口314の上方に形成される。
ガイド凸部317は、第1歯車351の回転をガイド(案内)するためのレール状の部位であり、正面視円環状の凸部として歯車取り付け部312の正面から突設される。第1歯車351の背面には、ガイド部317に対応する正面視円環状のガイド凹部351eが凹設されており(図19参照)、そのガイド凹部351eにガイド突部317が嵌め入れられることで、歯車取り付け部312に対する第1歯車351の回転位置が規定される。
ここで、歯車取り付け部312は、ガイド凸部317に取り囲まれて形成される正面視円形状の領域において、通過口314が中心から下方にずれた位置(偏心した位置)に配設される一方、被締結部315が通過口314を挟んで左右に配設され、挿通部316が通過口314の上方に配設される。これにより、後述するように、限られたスペースにおいて締結固定のためのスペースを効率的に確保しつつ、ケース体310及び固定部材360の剛性を確保することができる。
歯車取り付け部312には、第2歯車352が収納される凹部に、軸部318が突設される。軸部318は、第2歯車352を軸支するための軸体であり、第2歯車352の中心に穿設された軸孔352aに挿通される。なお、本実施形態では、第2歯車352の軸孔352aに挿通された軸部318の先端に、第2歯車352の抜け止めを設けることを省略可能に形成される。詳細については後述する。
歯車取り付け部312の背面には、第3歯車353が収納される凹部に対応する位置に、駆動モータ340が配設される。駆動モータ340は、その駆動軸340aを歯車取り付け部312の正面(第3歯車353が収納される凹部内)に突出させた状態で配設され、その駆動軸340aに第3歯車353が固着される。
電飾基部320は、正面視円環状に形成されると共に正面側に複数のLED321aが実装される基板部321と、その基板部321の正面に配設されると共に基板部321の正面を複数の領域に区画する区画部322とを備えて構成される。
詳細には、区画部322は、基板部321の内縁および外縁に沿って延設される正面視環状の内縁リブ322a及び外縁リブ322bと、それら両リブ322a,322bの間に所定間隔を隔てつつ同心に形成される正面視環状の中間リブ322cと、これら各リブ322a〜322cの中心から径方向外方へ向けて放射直線状に延設される複数の放射リブ322dとが格子状に交差して配設される。なお、複数の放射リブ322dは、周方向等間隔(本実施形態では略30度間隔)に配設される。
よって、本実施形態では、電飾基部320には、内周側に12個および外周側に12個の合計24個の領域が区画部322により区画され、それら区画された各領域には、それぞれ1乃至2個のLED321aが配設される。これにより、各LED321aをそれぞれ個別に点灯や点滅させる際には、その点灯や点滅に関連する領域と関連しない領域との間で明暗の差を大きくすることができ、その結果、演出効果を高めることができる。
回転部材330は、中心に開口が形成される正面視円環状の回転本体331と、その回転本体331の外縁から軸方向に延設される円筒状の外壁部332とを備え、これらが光透過性の樹脂材料から一体に形成される。回転本体331の中心に形成される開口の内径は、固定部材360の外径に対応されており、組み立て状態では、回転本体331の開口内に固定部材360が収容される(図14参照)。
回転本体331の背面には、被締結部333が複数箇所(本実施形態では3箇所)に形成される。被締結部333は、回転本体331(回転部材330)を第1歯車351に締結固定するための締結ねじが締結される部位(内周にめねじが刻設された凹部)であり、回転本体331の中心からそれぞれ同距離となる位置であって、周方向に不等間隔となる位置に配設される。
回転本体331の正面には、正面視環状に形成されると共にそれぞれ同心に配置される複数の環状突部331a〜331eと、それら環状突部331a〜331eの中心から径方向外方へ向けて放射直線状に延設される複数の放射突部331fとが突設される。なお、複数の放射突部331fは、周方向等間隔(本実施形態では略30度間隔)に配設される。即ち、本実施形態では、放射突部331fの周方向間隔が、電飾基部320の放射リブ322dの周方向間隔に一致される。
回転本体331は、全体に均等の肉厚(厚み寸法)に形成されており、環状突部331a〜331e又は放射突部331fが突設される部分では、その突設される分だけ肉厚(厚み寸法)が厚く(大きく)される。よって、これら各突部331a〜331fが突設される部分において、光を透過しにくくすることができる。
この場合、回転動作ユニット300の組み立て状態では、径方向の最外方に位置する環状突部331eに対応する位置(正面視において重なる位置)に区画部材322の外縁リブ322bが、環状突部331dの次に径方向外方に位置する部位であって環状突部331d及び環状突部331cの間に対応する位置(正面視において重なる位置)に区画部材322の中間リブ322cが、それぞれ配置される。
このように、回転部材330には、電飾基部320の区画部材322により区画された各領域に対応する領域が、各突部331a〜331fにより区画されているので、電飾基部320の各LED321aをそれぞれ個別に点灯や点滅させる際には、その点灯や点滅に関連する領域と関連しない領域との間で明暗の差を大きくすることができ、その結果、演出効果を高めることができる。
かかる領域の区画は、回転部材330においては、上述したように、環状突部331a〜331e及び放射突部331fを正面から突設させ、厚み寸法を大きくすることにより達成する。これにより、例えば、回転部材330の正面に領域を区画するための印刷を施したりや別部材を配設する必要がなく、回転部材330全体を単一色により形成できるので、製品コストの削減を図ることができるだけでなく、その演出効果を高めることができる。
回転部材330は、外壁部332の内径寸法が、電飾基部320の区画部材322(外縁リブ322b)の外径寸法と略同一または若干大きな寸法に設定され、組み立て状態では、外壁部332の内周側に電飾基部320の区画部材322が内嵌される構造とされる。これにより、LED321aの光が区画部材322の外周側から漏れることを抑制し、正面側への光の照射を効率良く行わせることができる。また、第1歯車351に回転部材330を締結固定する際には、外壁部332に区画部材322が内嵌される構造とすることで、かかる内嵌状態とすることで、両者を芯合わせさせた状態で相対回転させることができる。即ち、両者を相対回転させるのみで、第1歯車351の各締結座部351d(挿通孔)に対して回転部材330の各被締結部333を位置合わせすることができ、径方向の位置を調整する必要がないので、その分、作業性の向上を図ることができる。
第1歯車351は、中心に開口を有しその開口内に固定部材360が挿通可能とされる正面視円環状の第1本体351aと、その第1本体351aの外周面に刻設される歯351bと、その歯351bよりも第1歯車351の正面側(回転部材330側)となる位置で第1本体351aの外周面からフランジ状に張り出す第1フランジ部351cと、その第3フランジ部351cよりも第1歯車351の正面側(回転部材330側)となる位置で第1本体351aの外周面から張り出す複数(本実施形態では3個)の締結座部351dと、第1本体351aの背面側に凹設され歯車取り付け部312のガイド凸部317が挿通されるガイド凹部351e(図19参照)と、を備え、固定部材360が歯車取り付け部312に締結固定されることで、その固定部材360と歯車取り付け部312との間で回転可能に保持される。
第1歯車351は、第1本体351aの外周面から第1フランジ部351cが張り出して形成されるので、かかる第1フランジ部351cにより第1歯車351の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、第1フランジ部351cが歯351bの軸方向端面に連設されるので、歯351bの剛性を高めることができる。その結果、第2歯車352との間の歯合状態を適正として、伝達効率の向上を図ることができると共に歯351b,352bの耐久性の向上を図ることができる。また、第1フランジ部351cは、後述するように、第2歯車352の抜け止めを兼用するので、その分、抜け止め用の部品を省略して、部品コストの削減が図ることができる。
締結座部351dは、回転本体331(回転部材330)の被締結部333に締結固定される部位であり、回転本体331の各被締結部333に対応する位置にそれぞれ配設される。即ち、各締結座部351dには、被締結部333に締結する締結ねじを挿通させるための挿通孔が穿設されており、その挿通孔は、第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置であって、周方向に不等間隔となる位置に配設される。よって、第1歯車351と回転部材330とは、1の位相位置のみで締結固定が可能となるので、第1歯車351に回転部材330を組み付ける際には、その周方向位置を作業者が間違えて組み付けることを回避できる。
第1歯車351と回転部材330とを1の位相位置のみで締結固定を可能とするためには、必ずしも第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置に各締結座部351の挿通孔が配設されている必要はない。各締結座部351の挿通孔は、周方向に等間隔となる位置であって、回転本体331の中心からの距離がそれぞれ異なる位置に配設されていても良い。
但し、本実施形態のように、第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置に各締結座部351の挿通孔を配設することが好ましい。即ち、各締結座部351dの長さ寸法(張り出し長さ)をそれぞれ同一とできるので、第1歯車351を樹脂材料から射出成形する場合には、その成形性の向上を図ることができるからである。
ここで、ケース体310の背面側から締結ねじを締結座部351dの挿通孔を介して回転部材330の被締結部333に締結固定するためには、ケース体310に開口311aを開口形成する必要がある。この場合、第1歯車351の中心からそれぞれ異なる距離に各締結部材351の挿通孔が配置される場合には、各挿通孔の移動軌跡が異なることとなり、その分、開口311aの開口幅を大きくする必要があるため、剛性の低下を招くところ、本実施形態によれば、各挿通孔の移動軌跡を同一とできるので、その分、開口311aの開口幅を最小に抑えることができる。

第2歯車352は、正面視円形状の第2本体352aと、その第2本体352aの外周面に刻設される歯352bと、第2本体352aの中心に穿設される軸孔352cとを供え、その軸孔352cに歯車取り付け部312の軸部318が挿通されることで、第1歯車351に歯合された状態で歯車取り付け部312に回転可能に保持される。
第3歯車353は、正面視円形状の第3本体353aと、その第3本体353aの外周面に刻設される歯353bと、その歯353bよりも第3歯車353の正面側(回転部材330側)となる位置で第3本体353aの外周面からフランジ状に張り出す第3フランジ部353cと、とを備え、第3本体353aに駆動モータ370の駆動軸340aが固着されることで、第2歯車352に歯合された状態で駆動モータ340の駆動軸340aに保持される。
よって、駆動モータ340が回転駆動され、第3歯車353が回転されると、その回転が第2歯車352に伝達され、第2歯車352が回転されると共に、その第2歯車352の回転が第1歯車351に伝達され、第1歯車351が回転される。その結果、第1歯車351に締結座部351d及び被締結部333を介して締結固定される回転部材330に駆動モータ340の駆動力が伝達され、かかる回転部材330が回転される。
なお、第1歯車351の場合と同様に、第3歯車353は、第3本体353aの外周面から第3フランジ部353cが張り出して形成されるので、かかる第3フランジ部353cにより第3歯車353の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、第3フランジ部353cが歯353bの軸方向端面に連設されるので、歯353bの剛性を高めることができる。その結果、第2歯車352との間の歯合状態を適正として、伝達効率の向上を図ることができると共に歯353b,352bの耐久性の向上を図ることができる。また、第3フランジ部353cは、後述するように、第2歯車352の抜け止めを兼用するので、その分、抜け止め用の部品を省略して、部品コストの削減が図ることができる。
固定部材360は、第1歯車351を歯車取り付け部312に固定するための円柱状の部材であり、受入口361と、挿通部362とを備える。受入口361は、遊技盤13への装着状態において、第1入賞口64に連通される通路であり、第1入賞口64から流入した球を、歯車取り付け部312の通過口314へ案内する。挿通部362は、固定部材360を歯車取り付け部312の被締結部315又は挿通部316に締結または挿通する締結ねじを挿通させるための貫通孔である。
図18(a)は、ケース体310の正面図であり、図18(b)は、固定部材360の正面図である。なお、図18(a)では、第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353がケース体310に配設された状態が図示されると共に、第1歯車351及び第3歯車353の一部が部分的に断面視される。
図18(a)及び図18(b)に示すように、ケース体310の歯車取り付け部312に形成される通過口314は、上述したように、第1歯車351の中心から下方(図18(a)下側)に位置ずれして(偏心して)配置される。そのため、歯車取り付け部312は、通過口314の周囲に形成される円環状の領域において、通過口314の上方の幅寸法(図18(a)上下方向寸法)が下方の幅寸法に比較して広くされる。
第1歯車351の内周側に挿通され、歯車取り付け部312に締結固定される固定部材360についても同様に、その固定部材360に形成される受入口361は、固定部材360の中心から下方(図18(b)下側)に位置ずれして(偏心して)配置される。そのため、固定部材360は、受入口361の周囲に形成される円環状の領域において、受入口361の上方の幅寸法(図18(b)上下方向寸法)が下方の幅寸法に比較して広くされる。
このように、本実施形態では、通過口314及び受入口361を位置ずれ(偏心)させ、その周囲(円環状の領域)の一部に広い(幅寸法が大きくされた)部分を形成すると共に、その広くされた部分に挿通部316,362をそれぞれ配置(穿設)するので、限られたスペースを有効に活用して、大径の孔を穿設できると共に、かかる場合でも、ケース体310及び固定部材360の剛性を確保することができる。
即ち、挿通部316,362は、回転動作ユニット300を第2結合動作ユニット600の表ケース体612(図9又は図42参照)に締結固定するための締結ねじが挿通可能な孔として形成される部位であり、支持する重量が嵩むことから大径の締結ねじが挿通されるため、比較的大径の孔として形成される必要があるところ、上述のように、一部に広い(幅寸法が大きくされた)部分を形成することで、かかる部分を利用して、大径の孔を穿設するスペースを効率的に確保できる。一方で、このような大径の孔を穿設する場合でも、部分的に広くされた領域に孔が穿設されるため、その剛性を確保できる。
図19は、第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353のケース体310による支持構造を模式的に図示する模式図であり、図18の矢印XIX方向視に対応する。なお、図19では、ケース体310が断面視されると共に、第1歯車351及び第2歯車352の一部が部分的に断面視される。
図19に示すように、第1歯車351は、背面側に凹設されたガイド凹部351eに歯車取り付け部312のガイド凸部317が嵌め入れられることで、歯車取り付け部312に回転可能に支持される。また、第1歯車351は、歯車取り付け部312に締結固定される固定部材360によって、歯車取り付け部312から軸方向(図19上側)へ脱落することが規制される。一方、第3歯車353は、駆動モータ340の駆動軸340aに固着される。なお、固着の方法としては、例えば、圧入によるものや接着剤によるものが例示される。
第2歯車352は、第2本体352aに穿設される軸孔352cに歯車取り付け部312の軸部318が挿通されることで、その歯352bが第1歯車351及び第3歯車353の歯351b,353bに歯合された状態で、歯車取り付け部312に回転可能に軸支される。
この場合、上述したように、第1歯車351及び第3歯車353には、それら第1本体351a及び第3本体353aの外周面から径方向外方へ張り出す第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cがそれぞれ形成されており、これら第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、第2歯車352の軸方向端面に重なる位置まで張り出されている。これにより、第2歯車352が、歯車取り付け部312の軸部318から軸方向(図19上側)へ抜け出ることを規制することができる。その結果、抜け止め用の部品を軸部318の先端に配設する必要がないので、その分、部品点数を削減して、部品コストを抑えることができる。また、組み立て時には、第2歯車352については、歯車取り付け部312の軸部318を軸孔352cに挿通させるだけで良く、抜け止めの部品を装着する工程を省略できるので、その分、製造コストを抑えることができる。
本実施形態では、第1歯車351の第1フランジ部351cと第3歯車353の第3フランジ部353cとが第2歯車352に対して異なる2箇所で当接するので、第2歯車352が軸方向へ抜け出ることを確実に規制できるだけでなく、かかる第2歯車352が軸部318に対して傾斜しながら回転することを抑制できる。その結果、第2歯車352の歯352bと第1歯車351及び第3歯車353の歯351b,353bとの歯合状態を適正として、伝達効率の向上と耐久性の向上とを図ることができる。特に、第2歯車352に当接する2箇所は位相を約180度異ならせる位置に設定されるので、上述した効果をより顕著に発揮できる。なお、2箇所の位相は、約160度から約180度の範囲内に設定されることが好ましい。
ここで、第1歯車351及び第3歯車353の第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、歯351b及び歯353bの谷よりも山頂側に張り出されていれば足りる。歯351b及び歯353の谷よりも張り出されていれば、第2歯車352の歯352bの山頂側の端面に当接できるからである。また、第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cの形成に要する材料を抑制して、軽量化および材料コストの削減を図ることができるからである。但し、第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、歯351b及び歯353の山頂側よりも更に径方向外方へ張り出されていることが好ましい。第2歯車352の傾斜をより確実に抑制できるからである。
次いで、図20から図30を参照して、複合動作ユニット400について説明する。
なお、複合動作ユニット400は、上述したように4本の部材(動作部材491,492)を備え(図7及び図13参照)、それら各部材(動作部材491,492)を動作(変位)させるための4つのユニットからなる。即ち、複合動作ユニット400は、背面ケース210の正面視において、開口211aの左側に上下方向に沿って列設される2つのユニットと、開口211aの右側に上下方向に沿って列設される2つのユニットからなる。この場合、各部材(動作部材491,492)を動作(変位)させるための構造(技術思想)は4つのユニットにおいてそれぞれ同一であるので、以下においては、これら4つのユニットのうちの1のユニット(開口211aの右側上方に配設されるユニット、図7及び図13参照)を複合動作ユニット400と称して説明する。
図20は、複合動作ユニット400の正面斜視図である。図20に示すように、複合動作ユニット400は、取り付けベース410の前面側に動作部材491,492が配設され、この動作部材491,492に開閉動作および回転動作を複合的に行わせる(図27参照)。即ち、動作部材491,492は、互いの長手方向を平行とする姿勢で対向配置されており、その対向間隔を拡大縮小させる動作(開閉動作)と、取り付けベース410に配設される基部側を中心として回転する動作(回転動作)とが実行可能に形成される。なお、取り付けベース410の前面には、装飾体として形成される装飾部材411が配設される。
本実施形態では、動作部材491,492の2種類の動作態様(開閉動作および回転動作)を1の駆動モータ430により実行が可能となるように形成される。そのため、2種類の動作態様に対して駆動モータ430を個別に設ける必要がなく、その分、製品コストの削減を図ることができる。かかる構造の詳細構成について、図21から図23を参照して説明する。
図21は、分解した複合動作ユニット400を正面視した複合動作ユニット400の分解正面斜視図である。また、図22は、複合動作ユニット400の一部を分解した状態における複合動作ユニット400の分解斜視図であり、図22左側に図示される構成が正面視されると共に図22右側に図示される構成が背面視される。なお、図21及び図22では、装飾部材411の図示が省略されると共に、図22では、取り付けベース410の図示が省略される。
図21及び図22に示すように、複合動作ユニット400は、背面ケース210(図7参照)に配設される取り付けベース410と、その取り付けベース410に取り付けられる保持ケース420と、その保持ケース420に回転可能に軸支される複数の歯車と、それら複数の歯車を回転駆動力するための駆動力を発生する駆動モータ430と、保持ケース420に基端が回転可能に軸支される裏アーム体471及び表アーム体472と、それら裏アーム体471及び表アーム体472の対向面間に狭装されるスライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と、それら第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の先端に連結される動作部材491、492とを主に備える。
保持ケース420は、取り付けベース410に取り付けられる裏ケース体421と、その裏ケース体421の正面側に対向配置される表ケース体422とを備え、それら裏ケース体421と表ケース体422との対向間に形成される内部空間に複数の歯車が回転可能に軸支されつつ収容される。
保持ケース420には、裏ケース体421の背面側に駆動モータ430が配設されると共に、裏ケース体421及び表ケース体422の対向間には、3本の回転軸(減速軸425、第1軸426及び第2軸427)がそれぞれ駆動モータ430の駆動軸と平行となる姿勢で架設され、これら減速軸425から第2軸427に複数の歯車が回転可能に軸支される。なお、駆動モータ430の駆動軸には、ピニオンギヤ431が固着される。
複数の歯車は、減速軸425に軸支される減速歯車441と、第1軸426に軸支される開閉第1歯車451及び回転第1歯車461と、第2軸427に軸支される開閉第2歯車452及び回転第2歯車462とからなる(図24及び図25参照)。減速歯車441は、大径の歯車441aと、その大径の歯車441aに同軸に一体に形成される小径の歯車441bとを備え、ピニオンギヤ431の回転を減速させつつ開閉第1歯車451へ伝達する。ここで、図23を参照して、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462について説明する。
図23は、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の正面斜視図である。開閉第1歯車451は、本体部451aと、その本体部451aに貫通形成され第1軸426が挿通される挿通孔451bと、その挿通孔451bを中心として本体部451aの外周に全周にわたって刻設される歯451cと、本体部451aの軸方向端面(正面)から突出され挿通孔451bを挟んで位置する一対の連結突部451dと、本体部451aに貫通形成され挿通孔451bの側方に位置する位置決め孔451eとを備える。
回転第1歯車461は、開閉第1歯車451の正面側に配設されその開閉第1歯車451と共に第1軸426(図21及び図22参照)に軸支される歯車であり、本体部461aと、その本体部461aに貫通形成され第1軸426が挿通される挿通孔461bと、その挿通孔461bを中心として本体部461aの外周の一部に刻設される歯461cと、本体部451aに貫通形成され挿通孔461bを挟んで位置する一対の連結孔461dと、本体部451aの外周から径方向外方へ張り出して形成され光センサにより検出される被検出部461eとを備える。
なお、回転第1歯車461の本体部461aは、歯461cの形成領域を除く(即ち、歯461cが非形成とされる)領域の外周面が挿通孔461bの軸を中心とする円筒面(以下「円筒面461a1」と称す)として形成される。円筒面461a1の外径(挿通孔461bの軸からの距離)は、歯461cの歯先円の外径よりも小さく、かつ、歯461cの歯底円の外径よりも大きくされる。これにより、後述するように、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の向上と、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分の剛性の向上との両立を図ることができる。
また、回転第1歯車461の一対の連結孔461dには、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dがそれぞれ内嵌可能に形成され、この内嵌により、開閉第1歯車451に対し回転第1歯車461の回転位置(位相)を位置決めすることができると共に両者を連結して同位相で一体的に回転させることができる。
開閉第2歯車452は、本体部452aと、その本体部452aに貫通形成され第2軸427が挿通される挿通孔452bと、その挿通孔452bを中心として本体部452aの外周の一部に刻設される歯452cと、本体部452aの軸方向端面(正面)から突出される連結突部452dと、本体部452aに貫通形成され位置決め孔452eとを備える。
なお、開閉第2歯車452は、裏ケース体421との間に裏アーム体471を挟み込んだ状態で(即ち、裏アーム体471の正面側に)配設され、その裏アーム体471の軸支孔471aに沿って立設される円筒状の部分に挿通孔452bが回転可能に軸支される(図21及び図22参照)。また、開閉第2歯車452の連結突部452dは、スライドラック部材481の連結溝481cに連結され、この連結を介して、開閉第2歯車452の回転がスライドラック部材481に伝達される(図26参照)。
回転第2歯車462は、本体部462aと、その本体部462aに貫通形成され第2軸427が挿通される挿通孔462bと、その挿通孔462bを中心として本体部462aの外周の一部に刻設される歯462cと、本体部462aの軸方向端面(正面)から突出されると共に内部に孔が貫通形成される一対の連結突部462dと、本体部452aに貫通形成される位置決め孔462eとを備える。
なお、回転第2歯車462の本体部462aは、歯462cの両側に連設されると共に歯が非形成とされる領域の外周面(以下「非形成面462a1」と称す)が挿通孔462b側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を径方向外方側に有する)湾曲面として形成される。詳細には、非形成面462a1の曲率は、回転第1歯車461の円筒面461a1と同一の曲率または若干小さな曲率(即ち、若干大きな半径)に設定される。
また、回転第2歯車462は、開閉第2歯車452の正面側(軸方向に重ねた姿勢)に配設されるが、この開閉第2歯車452とは独立された状態(即ち、異なる位相で相対回転可能な状態)で第2軸427に軸支される。また、回転第2歯車462は、連結突部462dの孔に挿通された締結ねじを表アーム体472の連結突部472e(図22参照)に締結することで、互いの連結突部462d,472eどうしが連結される。よって、かかる連結を介して、回転第2歯車462と表アーム体472(及び裏アーム体471)とを同位相で一体的に回転させることができる。
このように、回転第2歯車462には、その連結突部462dに表アーム体472の連結突部472e(図22参照)が締結固定されるので、連結突部462d,472eを介して両者を複数箇所(本実施形態では2箇所)で連結して、回転第2歯車462及び表アーム体472を一体の構造体として形成できる。その結果、表アーム体472の剛性を利用して回転第2歯車462の剛性を高めることができる。
ここで、後述するように、回転第2歯車462は、その非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461から反力を受けるため(図28から図30参照)、その反力に抗するための剛性を確保する必要がある。この場合、例えば、回転第2歯車462を厚肉化すれば重量が増加し、高剛性の素材を採用すれば材料コストが嵩む。
これに対し、本実施形態の回転第2歯車462によれば、表アーム体472の剛性を利用して(即ち、表アーム体472と一体となることで)、その剛性を高めることができるため、回転第2歯車462の厚肉化や高剛性素材を採用する必要がない。これにより、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化を図りつつ、回転第2歯車462の耐久性の向上を図ることができる。
特に、回転第2歯車462は、その連結突部462dが非形成面462a1の背面側(即ち、組み立て状態において、非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の円筒面461a1と対向する位置、図28から図30参照)に配設されるので、後述するように、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から反力を受ける部分の剛性を表ケース体472等の剛性や金属製の締結ねじを利用して効果的に高めることができる。その結果、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化とその耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
また、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯車比(ギヤ比)は、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯車比(ギヤ比)と同一とされる。よって、後述するように、回転第1歯車461が単位回転角度だけ回転される際に回転第2歯車462が回転される回転角度は、その単位回転角度と同じだけ、開閉第1歯車451が回転される際に回転第2歯車462が回転される回転角度と一致される。
図21及び図22に戻って説明する。組み立て状態では、駆動モータ430のピニオンギヤ431には、減速歯車441の大径の歯車441aが歯合され、減速歯車441の小径の歯車441bには、開閉第1歯車451が歯合されると共に、開閉第2歯車451には、開閉第2歯車452が歯合され、また、回転第1歯車461には、回転第2歯車462が歯合される(図24及び図25参照)。よって、駆動モータ430が回転駆動されると、その回転が、ピニオンギヤ431及び減速歯車441を介して、開閉第1歯車451に伝達され、かかる開閉第1歯車451が回転される。
この場合、上述したように、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とは、連結突部451dの連結孔461dへの内嵌により連結されているので、同位相で一体的に回転可能とされる。即ち、開閉第1歯車451が回転されると、その回転により、回転第1歯車461も回転され、開閉第1歯車451の回転は開閉第2歯車452へ、回転第1歯車461の回転は回転第2歯車462へ、それぞれ伝達される。
なお、本実施形態では、開閉第2歯車452と回転第2歯車462とは、互いに独立されており、異なる位相で相対回転可能とされる(図28から図30参照)。そのため、駆動モータ430の回転駆動力により、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とを一体的に回転させつつも、開閉第2歯車452へは回転駆動力が伝達され、かつ、回転第2歯車462へは回転駆動力が遮断された状態を形成できる。即ち、動作部材491,492の回転動作が停止され、かつ、開閉動作が実行される状態を形成できる。なお、かかる構造および動作の詳細については後述する。
裏ケース体421には、第1軸426及び第2軸427のそれぞれの側方に位置決め孔421a,421bが貫通形成される。また、これら位置決め孔421a,421bに対応して、取り付けベース410にも位置決め孔410a,410bが貫通形成される。即ち、取り付けベース410に裏ケース体421が締結固定されると、位置決め孔421aに対し位置決め孔410aが、位置決め孔421bに対し位置決め孔410bが、それぞれ連通する位置に配置される。
本実施形態では、これら位置決め孔421a,421bと各歯車451,452,462の位置決め孔451e,452e,462eとにそれぞれ円柱状の冶具を挿通させることで、裏ケース体421に対する各歯車451,452,461,462の取り付け位置(位相)、及び、回転第1歯車461及び開閉第1歯車451と回転第2歯車462及び開閉第2歯車452との間の位相(回転位置)を位置決めすることができる。かかる位置決めの方法については後述する。
裏アーム体471は、表アーム体472と共に回転第2歯車462の回転を動作部材491,492へ伝達して、かかる動作部材491,492を回転動作させるための部材であり(図26参照)、第2軸427が挿通される軸支孔471aと、締結ねじ(図示せず)が挿通される複数(本実施形態では4個)の挿通孔471bと、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483をそれぞれ回転可能に軸支する複数(本実施形態では4本)の軸部471cと、断面コ字状の凹溝として裏アーム体471の長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凹溝471dと、軸支孔471aの側方に貫通形成される位置決め孔471eとを備える。
なお、軸支孔471aには、裏ケース体421に配設されるカラー427aが内挿され、これにより、裏アーム体471が裏ケース体421に対し第2軸427を中心として回転可能とされる。また、軸支孔471aを内周面により形成する円筒状の部分は、第2開閉歯車452の挿通孔452bに内挿され、かかる円筒状の部分の外周面により第2開閉歯車452が回転可能に軸支される。
位置決め孔471eは、回転第2歯車462の位置決め孔462及び開閉第2歯車452の位置決め孔452eにそれぞれ対応する位置に貫通形成される。即ち、後述するように、裏アーム体471に表アーム体472が結合(締結固定)されると共に、表アーム体472に回転第2歯車462が結合(締結固定)されると、裏アーム体471の位置決め孔471eと回転第2歯車462の位置決め孔462eとの位相(第2軸427を中心とする回転位置)が一致される。一方、開閉第2歯車452は、その挿通孔452bが裏アーム体471の円筒状の部分に回転可能に軸支されているところ、かかる軸支部分を中心として開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して相対回転され、所定の回転位置に配置されると、その開閉第2歯車452の位置決め孔452eは、裏アーム体471の位置決め孔471e及び回転第2歯車462の位置決め孔462eに対し、その位相(第2軸427を中心とする回転位置)が一致される。
表アーム体472は、第2軸427が挿通される軸支孔472aと、裏アーム体471へ向けて突出されると共に裏アーム体471の挿通孔471bに挿通された締結ねじが先端に締結可能に形成される複数(本実施形態では4本)の嵩上げ締結部472bと、軸部471cの先端を受け入れ可能な凹部である複数(本実施形態では4個)の受入凹部472cと、断面コ字状の凹溝として表アーム体472の長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凹溝472dと、軸支孔472aを挟んで配置され回転第2歯車462の連結突部462dに連結(締結固定)される連結突部472eと、を備える。
なお、軸支孔472aには、表ケース体422に配設されるカラー422aが内挿され、これにより、表アーム体472が表ケース体422に対し第2軸427を中心として回転可能とされる。即ち、表アーム体472は、連結突部462d,472eを介して、回転第2歯車462に連結されているため、回転第2歯車462が回転第1歯車461から回転駆動力を受けて第2軸427を中心として回転されると、その回転第2歯車462と共に表アーム体472(及びその表アーム体472に連結される裏アーム体471)も第2軸427を中心として回転される。
裏アーム体471及び表アーム体472は、裏アーム体471の挿通孔471bに挿通した締結ねじが表アーム体472の嵩上げ締結部472に締結されることで、裏アーム体471の正面と表アーム体472の背面とを互いに対向させた姿勢で結合される。この場合、両者の対向面(正面および背面)の間には、嵩上げ締結部472bの突出高さの分に対応する隙間(空間)が形成される。よって、この隙間を利用して、スライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483を変位可能に配設することができる。
スライドラック部材481は、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と共に開閉第2歯車452の回転を動作部材491,492へ伝達して、かかる動作部材491,492を開閉動作させるための部材であり(図26及び図27参照)、長尺状の本体部481aと、その本体部481aの左右両側にラックギヤとして形成されるラック部481bと、本体部481aの長手方向一端に形成される連結溝481cと、本体部481の正面および背面から断面略矩形に突設されると共に本体部481aの長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凸部481dとを備える。
スライドラック部材481の連結溝481cは、上述したように、開閉第2ギヤ452の連結突部452dが挿通される溝であり、連結突部452dが摺動可能な溝幅を有すると共に本体部481の長手方向に直交する方向に沿って直線状に延設される。また、スライドラック部材481は、組み立て状態では、そのガイド凸部481dが、裏アーム体471及び表アーム体472のガイド凹溝471d,472dに内挿される。そのため、スライドラック部材481が裏アーム体471及び表アーム体472に対してスライド移動可能な方向は、ガイド凹溝471d,472dの延設方向(即ち、裏アーム体471及び表アーム体472の長手方向)に規制される(図26参照)。
第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483は、本体部482a,483aと、その本体部482a,483aの長手方向一端に貫通形成される軸支孔482b,483bと、その軸支孔482b,483bを中心としてピニオンギヤとして形成されるギヤ部482c,483cと、本体部482a,483aの長手方向他端に貫通形成される連結孔482d,483dとを備えて形成され、それぞれ一対がスライドラック部材481の左右両側においてそのギヤ部482c,483cをスライドラック部材481のラック部481bに歯合させた状態で配設される。
軸支孔482b,483bは、組み立て状態において、裏アーム体471の軸部471cが挿通されて軸支される孔であり、これにより、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483は、軸支孔482b,483b(軸部471c)を中心として裏アーム体471及び表アーム体472に対して回転可能とされる。よって、スライドラック部材481を裏アーム体471及び表アーム体472に対してスライド移動させることで、ラック部481b及びギヤ部482c,483cの歯合を介して、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483を回転させることができる。
動作部材491,492は、その背面側から円柱状に突出され第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の連結孔482d,483dに挿通可能に形成される複数(本実施形態では4本)の嵩上げ締結部491a,492aを備える。嵩上げ締結部491a,492aの突出先端は、締結ねじを締結可能に形成される。よって、連結孔482d,483dに嵩上げ締結部491a,492aの突出先端が挿通されると共に、その挿通方向と反対側から突出先端に締結ねじを締結することで、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483に動作部材491,492が連結される。
なお、嵩上げ締結部491a,492aには、その突出先端を除く外周面に、リブ状の部位が張り出して形成されており、そのリブ状の部位の端面が第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の正面に当接される。これにより、嵩上げ締結部491a,492aの突出高さの分だけ、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483から嵩上げされた位置に動作部材491,492を配置できる。よって、スライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と動作部材491,492との間に表アーム体472が配設される構造においても、かかる表アーム体472と干渉することなく、動作部材491,492の開閉動作を行うことができる。
なお、一対の第1ピニオン脚部材482の間には、コイルスプリングからなる付勢ばね484が弾性的に引張変形された状態で配設され、かかる付勢ばね484の弾性回復力を、一対の第1ピニオン脚部材482が互いに近接する方向へ作用させるように構成される。これにより、動作部材491,492を開閉動作において閉じた状態とする際には、付勢ばね484の付勢力を利用して、動作部材491,492どうしを密着させ、隙間が形成されることを抑制できる。
次いで、図24及び図25を参照して、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の位置決め方法について説明する。なお、かかる位置決め方法の説明においては、図21から図23を適宜参照する。
図24及び図25は、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452と回転第1歯車461及び回転第2歯車462とを第1軸426及び第2軸427に組み付ける工程を時系列で説明する複合動作ユニット400の部分拡大正面図である。なお、図24(a)では、減速ギヤ425に減速歯車441が組み付けられた状態が、図24(b)では、図24(a)に図示される状態に対して更に第1軸426に開閉第1歯車451が組み付けられた状態が、図25(a)では、図24(b)に図示される状態に対して更に第2軸427に開閉第2歯車452及び回転第2歯車462が組み付けられた状態が、図25(b)では、図25(a)に図示される状態に対して更に第1軸426に回転第1歯車461が組み付けられた状態が、それぞれ図示される。
ここで、複合動作ユニット400は、上述したように、駆動モータ430の回転駆動力を減速歯車441を介して開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452へ順に伝達することで、その開閉第2歯車452の回転によりスライドラック部材481を変位させ、動作部材491,492の開閉動作を行うと共に、駆動モータ430の回転駆動力を減速歯車441を介して回転第1歯車461及び回転第2歯車462へ順に伝達することで、その回転第2歯車462の回転により裏アーム体471及び表アーム体472を回転させ、動作部材491,492の回転動作を行う。
そのため、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を適正に行う(即ち、部材どうしの干渉や移動範囲のずれの発生を回避する)ためには、開閉第1歯車451に対する開閉第2歯車452の回転位置(位相、歯合位置)、及び、回転第1歯車461に対する回転第2歯車462の回転位置が、それぞれ所定の回転位置に位置決めされた上で、これら各歯車451〜462が保持ケース420にそれぞれ組み付けられている必要がある。
しかしながら、従来の遊技機では、このように、一方の歯車に対する他方の歯車の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めした上で、これら両歯車を組み付けるには、作業者が両歯車の回転位置を目視により調整して組み付ける必要があったため、作業が煩雑であり、作業効率が悪いばかりか、組み付け不良の発生する恐れがあった。
これに対し、本実施形態では、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461に対する開閉第2歯車452及び回転第2歯車462それぞれの相対的な回転位置(位相、歯合位置)と、これら各歯車451,452,461,462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めする位置決め構造を備え、この位置決め構造を利用することで、各歯車451〜462を保持ケース420に組み付ける際に、その作業性を向上させつつ、組み付け不良の発生を回避することが可能に構成される。
具体的には、まず、図24(a)に示すように、減速軸425に減速歯車441を組み付け、ピニオンギヤ431に歯合させる。上述したように、取り付けベース410の位置決め孔410a,410b(図21参照)には裏ケース体421の位置決め孔421a,421bがそれぞれ連通されているので、取り付けベース410の背面側から、位置決め孔410a,410bにそれぞれ冶具(図示せず)を挿通し、かかる冶具を位置決め孔421a,421bから裏ケース体421の正面側に突出させる。なお、冶具は、位置決め孔410a等の内径と同等または若干小さな外径を有する断面円形の円柱状体として形成される。
次いで、裏ケース体421の位置決め孔421aから突出される冶具を、開閉第1歯車451の位置決め孔451eに挿通させつつ、開閉第1歯車451を第1軸426に組み付ける(軸支させる)。これにより、図24(b)に示すように、開閉第1歯車451を減速歯車441に歯合させると共に、開閉第1歯車451の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
この裏ケース体421に対して位置決めされた状態(開閉第1歯車451の位置決め孔451eに冶具が挿通された状態)を維持しつつ、次いで、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を第2軸427に組み付ける(軸支させる)。
なお、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462は、裏アーム体471及び表アーム体472と一体化された状態で作業される。即ち、開閉第2歯車452は、その挿通孔452が裏アーム体471の円筒状の部分が軸支され、回転第2歯車462は、その連結突部462dが表アーム体472の連結突部472eに締結固定された状態で、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462が裏アーム体471と表アーム体472との対向間に介設される。また、裏ケース421の位置決め孔421bに挿通される冶具は、回転第2歯車462の位置決め孔462eに挿通可能となる高さ位置まで裏ケース421の表面から突出される。
この場合、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の第2軸427への組み付けは、裏ケース体421の位置決め孔421bから突出される冶具を、裏アーム体471の位置決め孔471e、開閉第2歯車452の位置決め孔452e及び回転第2歯車462の位置決め孔462eに順に挿通させつつ、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を第2軸427に組み付ける(軸支させる)。これにより、図25(a)に示すように、開閉第2歯車452を開閉第1歯車451に歯合させ、開閉第1歯車451に対する開閉第2歯車452の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めすることができると共に、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
この裏ケース体421に対して位置決めされた状態(少なくとも裏アーム体471の位置決め孔471eに冶具が挿通された状態)を維持しつつ、最後に、第1軸426に軸支されている開閉第1歯車451の連結突部451dを、回転第1歯車461の連結孔461dに挿通させつつ、回転第1歯車461を第1軸426に組み付ける(軸支させる)。これにより、図25(b)に示すように、回転第1歯車461を回転第2歯車462に歯合させると共に、回転第2歯車462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
回転第1歯車461を第1軸426に取り付けた(軸支させた)後は、冶具を裏ケース体421の背面側から抜き取る。これにより、裏ケース体421(第1軸426及び第2軸427)への各歯車451〜462の組み付け(軸支)が完了される。
このように、本実施形態によれば、裏ケース体421の第1軸426及び第2軸427の側方に平行に冶具が立設され、この冶具を位置決め孔451e等に挿通させつつ各歯車451〜462を順に第1軸426及び第2軸427等に組み付ける(軸支させる)ことで、裏ケース体421を基準として、各歯車451〜462の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めすることができる。即ち、第1軸426や第2軸427を各歯車451〜462へ挿通させるのと同時に冶具の挿通も行うことができるので、組み付け作業と位置決め作業とを同時に実行可能として、作業性の向上を図ることができる。
特に、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462については、開閉第2歯車452の位置決め孔452eが貫通孔として形成されるので、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の第2軸427への組み付け(軸支)を同時に行うことができる。特に、本実施形態では、裏アーム体471の位置決め孔471eが貫通孔として形成されるので、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を裏アーム体471及び表アーム体472と一体化した状態で第2軸427へ組み付ける(軸支させる)ことができる。よって、各アーム体471,472と各歯車452,462をそれぞれ位置決めしつつ組み付ける必要がなく、一度の組み付け作業で位置決め作業も完了でき、その作業性の向上を図ることができる。
また、この場合には、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とに対し、それぞれに専用の冶具を準備する必要がなく、共通の冶具を使用することができるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。更に、
開閉第2歯車452及び回転第2歯車462は互いに独立して相対回転可能である必要があるところ、冶具を裏ケース体421の背面側へ脱抜すれば開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を独立して回転可能とすることができる。よって、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462のそれぞれに個別に回転軸を設ける必要がなく、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を共通の回転軸(第2軸427)に軸支させることができるので、かかる点からも製品コストの削減を図ることができる。
一方で、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461は、互いに連結され同位相で一体的に回転可能である必要がある。この場合、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461は、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dを、回転第1歯車461の一対の連結孔461dに挿通(内嵌)させることで、それら両歯車451,461どうしを連結して、その回転位置(位相)の位置決めと、同位相での一体的な回転とを同時に可能とする。即ち、両歯車451,461の回転位置(位相)の位置決めと、一体的な回転のための両歯車451,461どうしの連結とを連結突部451d及び連通孔461dに兼用させることができ、回転位置を位置決めする(即ち、冶具を挿通する)ための貫通孔と、一体的な回転のための連結構造とのそれぞれを個別に設ける必要がない。これにより、両歯車451,461の形状を簡素化して、製造上の歩留まりの向上を図ることができる。また、回転第1歯車461(本体部461a)に貫通して形成される貫通孔の形成数を抑制できるので、その分、剛性を確保して、耐久性の向上を図ることができる。
特に、回転第1歯車461には、一対の連通孔461dが貫通孔として形成されるが、これら一対の連通孔461dには、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dが挿通(内嵌)されるので、その嵌め合い構造により、回転第1歯車461(本体部461a)の剛性の向上を図ることができる。
ここで、本実施形態の位置決め構造によれば、上述の通り、裏ケース体421の正面から冶具を突出させ、この冶具を利用して回転位置の位置決めを行いつつ、各歯車451〜462を順に第1軸426及び第2軸427等に組み付ける(軸支させる)ところ、全ての歯車451〜462の組み付けが完了した後に、裏ケース体421の背面から冶具を脱抜することができる。即ち、各歯車451〜462をそれぞれ組み付ける際には、各歯車451〜462のうちの既に組み付けられている歯車451〜462の位置決め孔451e〜462eに冶具が挿通された状態を維持しつつ、各歯車451〜462のうちの残りの歯車451〜461の組み付け作業を行うことができる。これにより、既に組み付けられている歯車451〜461を作業者が作業中に不用意に回転させてしまうことを回避できるので、作業性の向上を図ることができると共に、位置決めされた回転位置の信頼性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とが第1軸426に、開閉第2歯車452と回転第2歯車462とが第2軸427に、それぞれ同軸に配設されるので、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452との間におけるバックラッシュと、回転第1歯車461及び回転第2歯車462との間におけるバックラッシュとを同じ方向で発生させることができる。これにより、後述するように、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を行う際には(図27から図30参照)、その演出タイミングにずれが生じることを抑制できる。
次いで、図26を参照して、動作部材491,492の開閉動作について説明する。図26(a)から図26(c)は、裏アーム体471に対する開閉第2歯車452及びスライドラック部材481の相対的な変位状態を説明するための複合動作ユニット400の分解正面図であり、動作部材491,492及び表アーム体472が取り外された状態が図示される。なお、図26(a)は、図26(b)に対して、開閉第2歯車452が反時計回り(左回り)に、図26(c)は、図26(b)に対して、開閉第2歯車452が時計回り(右回り)に、それぞれ回転された状態に対応する。
図26(a)から図26(c)に示すように、開閉第2歯車452の挿通孔452bには、裏ケース体271の円筒状の部位(図21及び図22参照)が挿通されており、これにより、開閉第2歯車452は、裏ケース271に対して第2軸427を中心として相対的に回転可能とされる。
一対の第1ピニオン脚部材482は、上述したように、互いの間に架設された付勢ばね484(図22参照)の付勢力により、互いが近接する方向へ付勢された状態で、裏アーム体471の軸部471cに軸支孔482bが回転可能に軸支される。即ち、付勢ばね484の付勢力を受けることで、一対の第1ピニオン脚部材482のうちの図26(b)右側に位置する第1ピニオン脚部材482は軸部471cを中心に反時計回り(左回り)に回転される一方、図26(b)左側に位置する第1ピニオン脚部材482は軸部471cを中心に時計回り(右回り)に回転される。よって、スライドラック部材481は、一対の第1ピニオン脚部材482の回転を介して作用する付勢ばね484の付勢力により、両アーム体471,472のガイド凹部471d,472d(図21及び図22参照)に沿って、下方(開閉第2歯車452から離間する方向、図26(b)下側)にスライド変位される。
よって、図26(b)に示すように、付勢ばね484の付勢力に抗して開閉第2歯車452が回転されていない状態では、開閉第2歯車452は、その連結突部452dがスライドラック部材481により下方(図26(b)下側)へ引き寄せられ、スライド変位の方向(図26(b)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L1とされる。また、一対の第1ピニオン脚部材482は、それらの連結孔482dの間の間隔が間隔W1とされる。
図26(b)に示す状態から、例えば、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に反時計回り(左回り)に回転されると、連結突部452dがスライドラック部材481の連結溝481c内を摺動することで、かかる連結突部452dの移動がスライドラック部材481を付勢ばね484の付勢力に抗しつつ上方(図26(a)上側)へスライド変位させる。
即ち、図26(a)に示すように、開閉第2歯車452が所定の回転位置まで回転されると、スライド変位の方向(図26(a)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され(L2<L1)、その距離L1,L2の差の分だけ、スライドラック部材481が上方へスライド変位される。このスライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、一対の第1ピニオン脚部材482は、互いが離間する方向へ回転され、それらの連結孔482dの間の間隔が拡大されて間隔W2とされる(W1<W2)。
なお、一対の第2ピニオン脚部材483についても、一対の第1ピニオン脚部材482と同様であり、図26(b)に示す状態では、互いに近接する姿勢(それらの連結孔483dの間の間隔が最小となる状態)に配置され、図26(a)に示す状態では、スライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、互いに離間する姿勢(それらの連結孔483dの間の間隔が最大となる状態)に配置される。
図26(a)に示す状態から、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に時計回り(右回り)に回転されると、図26(b)に示す状態に復帰される。この図26(b)に示す状態から、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に時計回り(右回り)に更に回転されると、連結突部452dがスライドラック部材481の連結溝481c内を摺動することで、かかる連結突部452dの移動がスライドラック部材481を付勢ばね484の付勢力に抗しつつ上方(図26(c)上側)へスライド変位させる。 これにより、図26(a)に示す場合と同様に、開閉第2歯車452が所定の回転位置まで回転されると、図26(c)に示すように、スライド変位の方向(図26(c)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され(L2<L1)、その距離L1,L2の差の分だけ、スライドラック部材481が上方へスライド変位される。このスライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、一対の第1ピニオン脚部材482(及び第2ピニオン脚部材483)は、互いが離間する方向へ回転され、それらの連結孔482dの間の間隔が拡大されて間隔W2とされる(W1<W2)。
次いで、図27から図30を参照して、複合動作ユニット400による動作部材491,492の回転動作および開閉動作について説明する。
図27(a)から図27(d)は、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を時系列で図示した複合動作ユニット400の正面図である。なお、図27(a)では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態が、図27(b)では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態が、図27(c)では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態が、図27(d)では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態が、それぞれ図示される。
図28から図30は、開閉第1歯車451と開閉第2歯車452との歯合状態および回転第1歯車461と回転第2歯車462との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニット400の正面模式図である。なお、図28(a)は図27(a)の状態に、図28(b)及び図29(a)は図27(b)の状態に、図29(b)は図27(b)及び図27(c)の間の遷移状態に、図29(c)及び図30(a)は図27(c)の状態に、図30(b)は図27(d)の状態に、それぞれ対応する。また、図28(b)及び図29(a)と図29(c)及び図30(a)とには、それぞれ同一の状態が図示される。
ここで、図28から図30では、裏アーム体471及び表アーム体472が二点鎖線を用いて模式的に図示される。また、図28から図30では、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dのうちの一方の連結突部451dと、回転第1歯車461の一対の連結孔461dのうちの一方の連結孔461dとにそれぞれハッチングを付して図示し、このハッチングを付した連結突部451d及び連結孔461dを後述する回転角度θ0〜θ4の基準として説明する。即ち、開閉第1歯車451及び回転第1歯車462は、ハッチングを付した連結突部451dがハッチングを付した連結孔461dに挿通(内嵌)され、これらが同じ回転位置に配置される。
また、図28から図30では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態(図27(a)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ0と、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態(図27(b)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ1と、動作部材491,492が上昇位置U及び下降位置Dの間に配置され且つ閉鎖された状態(図27(b)及び図27(c)の間の状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ2と、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態(図27(c)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ3と、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態(図27(d)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ4と、それぞれ定義する。
図27(a)及び図28(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置が回転角度θ0にある場合には、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態とされる。即ち、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心に所定の回転位置まで時計回り(右回り)に回転され、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮されることで、スライドラック部材481が上方(第2軸427に近接する方向)へスライド変位された状態(図26(c)に示す状態)とされる。
この場合、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の本体部461aにおける円筒面461a1に、回転第2歯車462の本体部462aにおける非形成面462a1が当接される。上述したように、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1は、第1軸426を中心とする円筒面として形成されると共に、回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1は、第2軸427挿通孔462b側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を第1軸426側に有する)湾曲面であって回転第1歯車461の円筒面461a1と同一の曲率または若干小さな曲率(即ち、若干大きな半径)の湾曲面として形成される。
よって、これら円筒面461a1と非形成面462a1との当接により、回転第2歯車462(即ち、その回転第2歯車462に固定される裏アーム体471及び表アーム体472)の第2軸427を中心とする回転が不能とされる。即ち、円筒面461a1及び非形成面462a1を、第2軸427を中心として回転第2歯車462が回転されることを規制(即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持)するストッパ手段として機能させることができる。
ここで、従来の遊技機において、回転可能に配設される動作部材と、その動作部材に回転駆動力を付与する駆動モータとを備え、駆動モータの回動駆動力により動作部材を所定の回転範囲で回転させるものがある。この場合、例えば、動作部材の回転範囲の終端が上昇位置とされ、その回転範囲の終端に配置された動作部材に重力が作用される場合には、動作部材が重力の作用により回転(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、従来の遊技機では、駆動モータの駆動力を重力(動作部材の重量)に対抗させることで、動作部材の回転(下降)を規制する(即ち、動作部材を回転範囲の終端に保持する)構造であるため、動作部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、本実施形態によれば、動作部材491,492が回転範囲の終端(上昇位置U)に配置されると、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1と回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1とが当接されることで、動作部材491,492の回転動作(回転第2歯車462の回転動)を規制できる。即ち、本実施形態では、上述の通り、動作部材491,492が回転範囲の終端(上昇位置U)に配置されると、動作部材491,492と駆動モータ430とが切り離されるため、駆動モータの回転駆動力を利用して動作部材491,492を上昇位置Uに保持不能となるところ、円筒面461a1及び非形成面462a1の当接を利用して、動作部材491,492を上昇位置Uに機械的に保持できる。その結果、動作部材491,492の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
この場合、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1と回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1とは、互いが当接された場合(即ち、動作部材491,492が上昇位置U(及び、後述する下降位置D)に配置された場合)に、回転第2歯車462の第2軸427を中心とする両方向(右回り及び左回り)への回転を規制可能な形状に形成されるので、回転第2歯車462の第2軸427を中心とする回転を一方向のみ(即ち、動作部材491,492が重力の作用により下降位置Dへ向けて下降される方向のみ)で規制可能な形状に形成される場合と比較して、移動範囲の終端(上昇位置U(及び、後述する下降位置D))に到達した際の動作部材491,492の振動を収束させ、移動範囲の終端に動作部材491,492を速やかに位置決めできる。更に、動作部材491,492をその移動範囲の終端に安定した状態で保持できるので、上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、停止状態にあるべき動作部材491,492が外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)により振動や位置ずれすることを抑制できる。
特に、本実施形態では、回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1は、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1に当接された場合(即ち、動作部材491,492が上昇位置U(及び、後述する下降位置D)に配置された場合)に、回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)を中心として円弧状に湾曲する形状であって、回転第1歯車461の円筒面461a1と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成される。
これにより、回転第2歯車462の非形成面462a1を、回転第1歯車461の円筒面461a1に滑らかに当接させることができると共に、両者を面接触で当接させやすくできる。その結果、円筒面461a1及び非形成面462a1を滑らかに当接させ、動作部材491,492がその移動範囲の終端(上昇位置U(及び、後述する下降位置D))に到達して停止される際の衝撃を緩やにできると共に、円筒面461a1及び非形成面462a1の接触圧力を小さくして、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の耐久性の向上を図ることができる。
ここで、回転第2歯車462は、上述したように、表アーム体472の剛性を利用して(即ち、表アーム体472と一体となることで)、その剛性が高められている。よって、回転第2歯車462の厚肉化や高剛性素材を採用する必要がなく、これにより、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化を図りつつ、回転第2歯車462の耐久性の向上が図られている。
特に、回転第2歯車462は、上述したように、その連結突部462dが非形成面462a1の背面側(即ち、非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の円筒面461a1と対向する位置)に配設されるので、上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から反力を受ける部分の剛性を効果的に高めることができる。その結果、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化とその耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
更に、回転第2歯車462の連結突部462dは、その非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)と対向する位置に配設される。即ち、連結突部462dと第1軸426とを結ぶ直線上に非形成面462a1が配設される。上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から受ける反力は、連結突部462dと第1軸426とを結ぶ直線に沿って作用されるため、回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)と対向する位置に回転第2歯車462の連結突部462dが配設されることで、表アーム体472を利用して、回転第1歯車461(円筒面461a1)から反力を受ける部分の剛性を高める効果をより一層発揮できる。また、転結凸部462dには、金属製の締結ねじが挿通されるため、その点においても、剛性を高めることができる。
図27(a)及び図28(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ0から回転角度θ1へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間で滑り(摺動)が発生するため、回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されず、回転第2歯車462(及び裏アーム体471及び表アーム体472)は回転されない。これにより、動作部材491,492の回転動作を行わなず(即ち、回転動作を停止させた状態として)、動作部材491,492を上昇位置Uに保持することができる。
このように、本実施形態では、回転第1歯車461に円筒面461a1を形成し、その円筒面461a1に回転第2歯車462の非形成面462a1を向かい合わせることで、上述した遮断状態(回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されない状態)を形成する構造なので、回転第1歯車462の剛性の向上を図ることができる。
即ち、回転第1歯車461の全周(円筒面461a1に相当する領域)にわたって歯461cを形成する場合であっても、その歯461cの歯先面に回転第2歯車462の非形成面462a1を向かい合わせて滑らせる(摺動させる)ことで、上述した遮断状態を形成することができる。しかしながら、この場合には、歯461cが形成(凹設)される分、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の低下を招く。これに対し、本実施形態では、回転第2歯車462の非形成面462a1に向かい合う領域に円筒面451a1を形成する(歯451cを形成しない)ので、その分、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の向上を図ることができる。
また、回転第1歯車461の全周(円筒面461a1に相当する領域)にわたって歯461cを形成する場合には、回転第2歯車462の非形成面462a1は、回転第1歯車461の歯461cの歯先面よりも第2軸427側に後退されていることが必要となる。その結果、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分における後退量が大きくなるため、その分、その剛性の低下を招く。
これに対し、本実施形態によれば、回転第1歯車461には円筒面461a1が形成されると共に、その円筒面451a1は、上述したように、歯451cの歯先面と歯底面との間に位置されるため、回転第2歯車462の非形成面462a1の後退量を小さくできる。これにより、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分の突出量を確保して(後退量が大きくなることを抑制して)、回転第2歯車462において、非形成面462a1形成部分の剛性の向上を図ることができる。
特に、回転第2歯車462の非形成面462a1は、上述したように、第2軸427側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を第1軸426側に有する)湾曲面として形成され、歯462cから周方向へ離間するに従って前方(回転第1歯車461側)へ向けて張り出す形状(即ち、第2軸427からの距離が大きくなる形状)とされるので、回転第1歯車461の円筒面461a1に対する摺動(遮断状態の形成)を可能としつつ、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分における突出量を大きくして、その剛性を更に高めることができる。
開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452は、それら開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯451c,452cどうしが歯合されているので、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ0から回転角度θ1へ向けて回転されると、開閉第1歯車451の回転が開閉第2歯車452に伝達され、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心として相対的に反時計回り(左回り)に回転される。
その結果、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L1に拡大され、スライドラック部材481が下方(第2軸427から離間する方向)へスライド変位される(図26(b)参照)。これにより、図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示すように、開放されていた動作部材491,492を閉鎖された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ、開閉動作を実行して、開放されている動作部材491,492を閉鎖させることができる。
図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ1まで回転され、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態では、回転第2歯車462の非形成面462a1が回転第1歯車461の円筒面461a1の終端に達し、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯461c,462cどうしが歯合直前の状態とされる。
よって、図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ1から回転角度θ3へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、それら回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯461c,462cどうしが歯合されることで、回転第1歯車461の回転が回転第2歯車462へ伝達され、回転第2歯車462が裏アーム体471及び表アーム体472と一体となって第2軸427を中心として時計回り(右回り)に回転される。これにより、図29(b)に示すように、動作部材491,492の上昇位置Uから下降位置Dへ向けての回転動作を行うことができる。
一方、上述したように、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯車比(ギヤ比)は、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯車比(ギヤ比)と同一とされるため、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ1から回転角度θ3へ向けて回転されると、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462も同様に同位相で一体的に回転される。即ち、開閉第2歯車452は、裏アーム体471及び表アーム体472に対して相対的に回転されず、図29(b)に示すように、これら回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とが第2軸427を中心として同位相で一体的に回転される。即ち、動作部材491,492の開閉動作を停止する(動作部材491,492を閉鎖された状態に保持する)ことができる。
これにより、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ2から更に回転されると、動作部材491,492を閉鎖された状態に保持しつつ、回転動作を実行して、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ3に達することで、図27(c)並びに図29(c)に示すように、上昇位置Uに配置されていた動作部材491,492を下降位置Dに配置することができる。
図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ3まで回転された状態では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態とされる。この場合、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、互いの歯461c,462cどうしの歯合が解除され、回転第1歯車461の本体部461aにおける円筒面461a1に、回転第2歯車462の本体部462aにおける非形成面462a1が当接される。
即ち、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の互いの歯461c,462cどうしの歯合が解除される(歯合不能とされる)ことで、回転第1歯車461から回転第2歯車462への回転駆動力の伝達を遮断して(遮断状態を形成して)、回転第2歯車462の回転(即ち、動作部材491,492の回転動作)を停止させることができる。
ここで、従来の遊技機では、動作部材の停止は、駆動モータの回転駆動力を動作部材に伝達する歯車の回転位置を検出するセンサ装置を設け、そのセンサ装置により歯車が所定の回転位置まで回転されたことが検出された場合に、或いは、駆動モータの駆動量(回転数やステップ数)を検出(計数)して、その駆動量が所定量に達した場合に、それぞれ動作部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動モータの駆動を停止していた。この場合、例えば、電気的ノイズの影響による回転位置や駆動量の検出不良などに起因して、動作部材が移動範囲の終端に達しているにも関わらず、駆動モータが停止されないことが発生し得る。そのため、従来の遊技機では、移動部材の移動範囲の終端にストッパを設け、駆動モータが適正に停止されない場合には、ストッパによって動作部材の移動を規制する構造であった。しかしながら、このように動作部材の移動をストッパにより規制する構造では、動作部材がストッパに衝突した際に、これら動作部材やストッパの破損を招く恐れがあるだけでなく、駆動モータに過大な負荷が作用して、駆動モータの破損も招く恐れもある。
これに対し、本実施形態によれば、上述の通り、動作部材491,492がその移動範囲の終端(下降位置D)に達すると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯合を解除して(歯合不能として)、駆動モータ430(図21及び図22参照)から動作部材491,492(回転第2歯車462)への回転駆動力の伝達を遮断することができる。これにより、駆動モータ430の回転駆動力が発生され続けている場合であっても、動作部材491,492を停止させることができる。
その結果、動作部材491,492と他の部材との衝突による破損を回避できる。また、仮に、動作部材491,492が他の部材へ衝突されたとしても、動作部材491,492は駆動モータ430から切り離されており(即ち、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯合が解除されており)、駆動モータ430は空転している状態なので、かかる駆動モータ430に過大な負荷が作用することを回避できる。なお、後述するように、動作部材491,492が下降位置Dから上昇位置Uへ向けて回転動作され、上昇位置Uに達する場合においても同様である。
上述したように、円筒面461a1及び非形成面462a1は、互いに対応する形状の湾曲面として形成される。よって、これら円筒面461a1と非形成面462a1との当接により、回転第2歯車462(即ち、その回転第2歯車462に固定される裏アーム体471及び表アーム体472)の第2軸427を中心とする回転が不能とされる。即ち、円筒面461a1及び非形成面462a1を、第2軸427を中心とする回転第2歯車462の回転を規制可能(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持可能)とするストッパ手段として機能させることができる。
図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ3から回転角度θ4へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間で滑り(摺動)が発生するため、回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されず、回転第2歯車462(及び裏アーム体471及び表アーム体472)は回転されない。これにより、動作部材491,492の回転動作を行わず、その回転動作を停止する(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持する)ことができる。
一方、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452は、それら開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯451c,452cどうしが歯合されているので、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ3から回転角度θ4へ向けて回転されると、開閉第1歯車451の回転が開閉第2歯車452に伝達され、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心として相対的に反時計回り(左回り)に回転される。
その結果、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され、スライドラック部材481が上方(第2軸427へ近接する方向)へスライド変位される(図26(c)参照)。これにより、図27(d)及び図30(b)に示すように、閉鎖されていた動作部材491,492を開放された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ、開閉動作を実行して、閉鎖されている動作部材491,492を開放させることができる。
図27(d)及び図30(b)に示すように、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態となった後は、次いで、駆動モータ430(図21及び図22参照)を上述の場合と逆方向に回転駆動して、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ4から回転角度θ0へ向けて回転させることで、上述した動作(開閉動作および回転動作)を逆順で実行できる。
即ち、図27(d)及び図30(b)に示す回転角度θ4の状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ3へ回転させる。これにより、図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示すように、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、動作部材491,492の回転動作を停止させつつ(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ)、開閉第2歯車452の時計回り(右回り)への回転により、連結溝481c及び第2軸427の間の距離を距離L1に拡大して、開放されていた動作部材491,492を閉鎖された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ、開閉動作を実行して、開放されている動作部材491,492を閉鎖させることができる。
次いで、図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示す回転角度θ3の状態から、回転角度θ2を経て、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ1へ回転させる。これにより、図27(b)及び図29(a)に示すように、回転第2歯車462を裏アーム体471及び表アーム体472と一体に反時計回り(左回り)に回転させ、動作部材491,492を下降位置Dから上昇位置Uへ回転動作させると共に、開閉第2歯車452は、裏アーム体471及び表アーム体472に対して相対的に回転させず、これら回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とを第2軸427を中心として同位相で一体的に回転させることができる。即ち、動作部材491,492を閉鎖された状態に保持しつつ、回転動作を実行して、下降位置Dに配置されていた動作部材491,492を上昇位置Uに配置することができる。
このように、本実施形態では、動作部材491,492を下降位置Dから上昇位置Uへ向けて移動させる回転動作を開始する際には、先に、動作部材491,492の開閉動作のみを行った後に、動作部材491,492の回転動作を行う。即ち、駆動モータ430(図21及び図22参照)の回転駆動力が回転第2歯車462へ伝達されることを遮断する遮断状態を形成した後に、駆動モータ430の回転駆動力を回転第2歯車462へ伝達する伝達状態を形成するので、動作部材491,492の回転動作を開始するために駆動モータ430に必要とされる回転駆動力を抑制でき、その結果、駆動モータ430の小型化を図ることができる。
即ち、停止状態(即ち、上昇位置U又は下降位置D)にある動作部材491,492の回転動作を開始する際には、静止している物体を動かすことになるため、動作部材491,492に発生する慣性力を上回る力をかかる動作部材491,492に作用させる必要があり、駆動モータ430に必要とされる回転駆動力が大きくなる。特に、動作部材491,992の回転動作は、かかる動作部材491,492だけでなく、その動作部材491,492の開閉動作を行う機構部分(例えば、スライドラック部材481や各ピニオン脚部材482,483など)やその機構部分を保持する各アーム体471,472なども含めた全体を動かす必要があり、その回転動作を開始する際の慣性力が大きくなる。また、下降位置Dにある動作部材491,492を上昇位置Dへ向けて回転動作させる際には、慣性力に加え、動作部材491,492の重量(重力の作用)にも抗する必要がある。そのため、駆動モータ430の大型化を招く。
一方で、動作部材491,492の回転動作が開始された後は、その動作部材491,492の運動状態を維持しようとする慣性の働きが作用することから、駆動モータ430に必要とされる回転駆動力は、動作部材491,492の回転動作を開始する際に必要とされる回転駆動力と比較して、小さくなる。換言すれば、動作部材491,492の移動が開始された後は、最大出力が不必要に大きな駆動モータ430が使用されている状態にあるといえる。
これに対し、本実施形態によれば、まず、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、回転駆動力が回転第2歯車462には伝達されない状態(遮断状態、図30(b)から図30(a)に遷移する間の状態)において駆動モータ430を回転駆動させることができ、かかる駆動モータ430の駆動状態に勢い(回転第1歯車461側に慣性力)を持たせることができる。その後、回転第1歯車461が回転第2歯車462に歯合される(即ち、伝達状態が形成される)ことで(図29(c)から図29(b)へ遷移する状態を参照)、駆動モータ430の回転駆動に勢いを持たせた状態で、動作部材491,492の回転動作を開始することができる。これにより、駆動モータ430を小型化しても、動作部材491,492の移動を開始することができる。換言すれば、動作部材491,492の回転動作が開始された後に、最大出力が不必要に大きな駆動モータ430が使用されるという状態の発生を抑制できる。
特に、この遮断状態においては、動作部材491,492の開閉動作が行われるが、開閉動作では、駆動モータ430の駆動力により動かす(移動または変位させる)物体は、動作部材491,492のみであり、回転動作の場合のように、動作部材491,492に加えて、その機構部分や各アーム体471,472なども含めた全体を動かす必要がない。そのため、駆動モータ430の負荷は小さく、その駆動状態に十分に勢い(回転第1歯車461側に慣性力)を持たせることができる。
なお、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1とは、歯461c,462cを挟んで両側に形成され、上昇位置U及び下降位置Dの2位置において、円筒面461a1に非形成面462aが当接される状態(遮断状態)を形成することができる。よって、下降位置Dにある動作部材491,492の上昇位置Uへの移動が開始される際だけでなく、上昇位置Uにある動作部材491,492の下降位置Dへの移動が開始される際にも、駆動モータ430の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。
図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示す回転角度θ1の状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ0へ回転させる。これにより、図27(a)及び図28(a)に示すように、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、動作部材491,492の回転動作を停止させつつ(即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ)、開閉第2歯車452の時計回り(右回り)への回転により、連結溝481c及び第2軸427の間の距離を距離L2に短縮して、閉鎖されていた動作部材491,492を開放された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ、開閉動作を実行して、閉鎖されている動作部材491,492を開放させることができる。
以上のように、本実施形態の複合動作ユニット400によれば、第2軸427を中心に回転(回転動作)される裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)と、それら裏アーム体471及び表アーム体472に配設され互いに近接離間する方向へ開閉(開閉動作)される動作部材491,492(第2移動部材)とを備え、動作部材491,492(第2移動部材)の開閉動作を行う間は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)の回転動作を停止させる一方(図28及び図30参照)、動作部材491,492(第2移動部材)の開閉動作を停止させる間は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)の回転動作を行う(図29参照)という複合動作を1の駆動モータ430により実行可能とされる。
ここで、従来の遊技機では、第1移動部材および第2移動部材の移動動作を1の駆動モータにより行う場合、駆動モータが駆動力を発生する状態と駆動力の発生を停止した状態との2つの駆動状態を形成することで、第1移動部材および第2移動部材の動作態様を切り替える構造であったため、第1移動部材および第2移動部材の両者が共に移動するか或いは両者が共に停止するという動作態様のみが形成可能とされ、第1移動部材または第2移動部材の一方を移動させつつ他方を停止させることはできなかった。そのため、第1移動部材または第2移動部材の一方を移動させつつ他方を停止させるためには、第1移動部材を移動させるための駆動モータと第2移動部材を移動させるための駆動モータとをそれぞれ個別に設ける、即ち、合計2個の駆動モータを設ける必要があった。
これに対し、本実施形態では、上述の通り、動作部材491,492(第2移動部材)又は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)のうちの一方を動作させつつ他方を停止させる動作態様を1の駆動モータ430により達成できるので、動作部材491,492の移動および停止による演出効果を高めつつ、駆動モータ430の必要数を低減して、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図31から図45を参照して、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600について説明する。
図31は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の正面図であり、図32は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の正面図である。なお、図31及び図32に図示される第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の配設位置(対向間隔)は、それら両ユニット500,600が背面ケース210に収容された状態における配設位置(対向間隔)に対応する。
図31及び図32に示すように、第1結合動作ユニット500は、スライド機構を介して上下に昇降可能に形成される第1係合部材539を備えると共に、第2結合動作ユニット600は、リンク機構を介して左右に揺動可能に形成される一対の第2結合部材630を備え、第1結合動作ユニット500の下方に第2結合動作ユニット600が所定間隔を隔てて配設される。これら第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の対向間に位置する空間の背面側(図31及び図32紙面奥側)には、第3図柄表示装置81(図2参照)が配設される。
第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630をそれぞれ昇降および揺動させることで、図31に示す退避位置または図32に示す結合位置に配置する。図31に示す退避位置では、第1係合部材539が上昇されると共に、一対の第2結合部材630がリンク機構の傾倒により左右に離間され、第3図柄表示装置81(図2参照)の前面側が開放された状態とされる(図6参照)。一方、図32に示す結合位置では、第1係合部材539が下降されると共に、一対の第2結合部材630がリンク機構の起立により互いに近接され、これら第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が第3図柄表示装置81の前面側に配置されると共に互いに結合される(図12参照)。
この場合、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600によれば、左右に隣り合わせに配置された一対の第2結合部材630へ向けて、第1係合部材539が下降され、その第1係合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630のそれぞれの上面630aに当接されることで、互いを近接させる方向への力が一対の第2結合部材630に作用される。これにより、第1係合部材539の下面539eと一対の第2結合部材630の上面630aとを密着させることができるだけでなく、左右に隣り合う一対の第2結合部材630の対向面どうしも密着させることができる。その結果、これら各結合部材539,630を、互いの間に隙間が形成されることを抑制しつつ、結合させることができる。よって、複数の部材を結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
まず、第1結合動作ユニット500について、図33から図41を参照して説明する。
図33(a)は、第1結合動作ユニット500の正面図であり、図33(b)は、図33(a)の矢印XXXb方向視における第1結合動作ユニット500の底面図である。また、図34は、第1結合動作ユニット500の分解正面斜視図であり、図35は、第1結合動作ユニット500の分解背面斜視図である。なお、図35では、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図33から図35に示すように、第1結合動作ユニット500は、基板部材510と、その基板部材510の正面側に配設されると共に駆動力を発生する駆動部520と、その駆動部520が発生する駆動力を受けて上下方向にスライド変位(昇降)されると共に基盤部材510の正面側に配設されるスライド機構部530と、そのスライド機構部530に駆動部520の駆動力を伝達する部材であって基板部材510の背面側に配設される第1リンク部材541と、その第1リンク部材541と対称となる姿勢で基板部材510の背面側に配設される第2リンク部材542と、基板部材510の前面側にスライド機構部530を挟んで左右に配設される一対の嵩上げ部材550と、それら一対の嵩上げ部材550の正面側に配設される装飾部560と、基板部材510の正面側に配設され第2リンク部材542に付勢力を付与する付勢ばね571と、を主に備える。
なお、嵩上げ部材550は、背面側が開放された箱状に形成され、基板部材510の正面側に配設される駆動部520を嵩上げ部材550の内部空間に収容可能とされる。これにより、後述するように、駆動部520を基板部材510の前面側に配設した場合でも、基板部材510の前面側であってスライド機構部530の側方に形成されるデッドスペースを有効に活用でき、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
基板部材510は、正面視横長の矩形板状に形成される部材であり、一対の案内溝511と、それら一対の案内溝511のうちの一方の案内溝511に沿って並設されるラック部512と、一対の案内溝511を挟んで左右に形成される連結溝513,514と、連結溝513の側方に形成される軸支孔515と、基板部材510の正面側および背面側にそれぞれ突設される支持軸516と、を主に備える。
案内溝511は、スライド機構部530の挿通軸531cを基板部材510の正面側から背面側へ挿通させその挿通軸531cと各リンク部材541,542とを基板部材510の背面側において連結可能とするための溝状の開口であり、基板部材510の幅方向略中央において一対が互いに平行を保ちつつ上下方向に沿って直線状に延設される。案内溝511は、その溝幅がスライド機構部530の挿通軸531cの外径寸法よりも大きな寸法に設定され、挿通軸531cを案内溝511の延設方向に沿ってのみ移動可能とする。即ち、スライド機構部530は、その挿通軸531cが案内溝511に案内されることで、案内溝511の延設方向に沿って上下方向に移動(昇降)可能とされる。
ラック部512は、案内溝511の延設方向に沿う平面に複数の歯512aが刻設されたラックギヤとして形成される部位であり、基板部材510の正面側に固着される。基板部材510にスライド機構部520が組み付けられた状態では、そのスライド機構部530のピニオンギヤ537(図38参照)がラック部512の歯512aに歯合される。よって、スライド機構部530が案内溝511の延設方向に沿って移動(昇降)されると、そのスライド機構部530の移動に伴って、ピニオンギヤ537が回転駆動される。
連結溝513は、駆動部520の連結軸526を基板部材510の正面側から背面側へ挿通させその連結軸526と第1リンク部材541とを基板部材510の背面側において連結させるための溝状の開口であり、案内溝511へ向けて凸となる円弧状に湾曲して延設される。詳細には、連結溝513は、軸支孔515の軸心を中心とする円環形状の一部を切り取った形状に形成される。連結溝513は、その溝幅が駆動部520の連結軸526の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定され、連結軸526を連結溝513の延設方向に沿ってのみ移動可能とする。
軸支孔515は、第1リンク部材541の基端側を軸支する支持軸527を挿通させるための開口であり、連結溝513を挟んで案内溝511の反対側に配設される。なお、支持軸527は、後述するように、駆動部520のケース体521に固着され、駆動部520が基板部材510の正面側に配設されることで、支持軸527の先端が軸支孔515を介して基板部材510の背面側に突出される。第1リンク部材541は、軸支孔515を介して突出された支持軸527に基端側が軸支され、かかる支持軸527を中心として回転される。
連結溝514は、第2リンク部材542の係止爪542bを基板部材510の背面側から正面側へ挿通させその係止爪542bに付勢ばね542の端部を基板部材510の正面側において形成させるための溝状の開口であり、案内溝511へ向けて凸となる円弧状に湾曲して延設される。即ち、連結溝514は、第2リンク部材542が支持軸516を中心として回転される際に係止爪542bの移動を許容する大きさの開口として形成される。
支持軸516は、第2リンク部材542及び付勢ばね571を軸支するための軸体であり、上述したように、基板部材510の正面側および背面側にそれぞれ突設される。なお、支持軸516は、一対の案内溝511の中間を通過する仮想直線を対称線として、軸支孔515と線対称となる位置に配設される。第2リンク部材542は、基板部材510の背面側に突設された支持軸516に基端側(軸支孔542a)が軸支され、かかる支持軸516を中心として回転される。また、付勢ばね571は、基板部材510の正面側に突設された支持軸516に保持される。
なお、付勢ばね571は、ねじりコイルばねとして形成され、そのコイル部が支持軸516に保持(ガイド)されると共に、一対の腕部のうちの一方の腕部が第2リンク部材542の係止爪542bに係止され、他方の腕部が基板部材510の係止爪517に係止される。付勢ばね571は、一対の腕部が互いに近接する方向へ弾性変形された状態で配設されており、その弾性回復力により第2リンク部材542の係止爪542bを上方へ押し上げる方向(図34及び図35の上側)へ向けて付勢する。即ち、付勢ばね571の付勢力は、第2リンク部材542を図35に示す姿勢(先端側を案内溝511の上端側に位置させる姿勢)に保持する方向へ作用される。
駆動部520は、スライド機構部530を上下方向にスライド変位(昇降)させるための駆動力を発生するためのユニットであり、基板部材510の正面側であって、スライド機構部530の側方に配設される。ここで、駆動部520について、図36を参照して説明する。
図36は、駆動部520の背面図である。なお、図36では、基板部材510に駆動部520を組み付けた状態における基板部材510の連結溝513及び軸支孔515の位置が二点鎖線を用いて模式的に図示される。
図36に示すように、駆動部520は、ケース体521と、そのケース体521の正面側に配設されると共に駆動軸をケース体521の背面側に突出させる駆動モータ522(図34及び図35参照)と、その駆動モータ522の駆動軸に固着されるピニオンギヤ523と、そのピニオンギヤ523に歯合されると共にケース体521の背面から突設される回転軸524aに回転可能に軸支されるクランク歯車524と、そのクランク歯車524に一端が回転軸525aを介して回転可能に軸支される連接棒525と、その連接棒525の他端から突設される連結軸526と、ケース体521の背面から突設される支持軸527と、を主に備える。なお、駆動モータ522の駆動軸、回転軸524a,525a、連結軸526及び支持軸527は、それぞれ平行に配設される。
連接棒525の一端をクランク歯車524に回転可能に軸支する回転軸525aは、クランク歯車524の回転軸524aに対して偏心する位置に配置され、連接棒525の他端から突設される連結軸526は、上述したように、基板部材510の連結溝513に挿通されその連結溝513の延設方向に沿ってのみ移動可能とされる。そのため、クランク歯車524、回転軸525a及び連接棒525は、クランク歯車524の回転運動を、連接棒525を介して、連結軸526の往復運動に変換するクランク機構を構成する。
即ち、駆動モータ522の回転駆動によりピニオンギヤ523が回転され、その回転によりクランク歯車524が一方向(例えば、矢印A1方向)に回転されると、連結軸526が連結溝513の延設方向に沿って一方向(矢印B1方向)へ変位される一方、駆動モータ522が逆方向に回転駆動され、クランク歯車524が他方向(矢印A2方向)に回転されると、連結軸526の移動方向が逆転され、かかる連結軸526が連結溝513の延設方向に沿って他方向(矢印B2方向)へ変位される。
なお、駆動部520(ケース体521)が基板部材510の正面側に組み付けられた状態では、上述したように、連結軸526及び支持軸527は基板部材510の連結溝513及び支持孔515にそれぞれ挿通され、それら連結軸526の先端および支持軸527の先端をそれぞれ基板部材510の背面側に突出させる(図34及び図35参照)。
この場合、連結軸526は第1リンク部材541の長手方向中間部(連結孔541b)に、支持軸527は第1リンク部材541の基端部(軸支孔541a)に、それぞれ回転可能に連結されるので(図35参照)、駆動モータ522の回転駆動により、連結軸526を連結溝513に沿って変位(矢印B1方向または矢印B2方向)させることで、第1リンク部材541を、支持軸527を中心として回転させることができる。
図33から図35に戻って説明する。第1リンク部材541は、駆動部520の連結軸526とスライド機構部530の挿通軸531cとを連結して、駆動モータ522の駆動力をスライド機構部530に伝達するための部材であり、長尺板状に形成される。第1リンク部材541には、基端部に軸支孔541aが、長手方向中間部に連結孔541bが、基端部の反対側となる先端部に摺動孔541cが、それぞれ形成される。
軸支孔541a及び連結孔541bは、正面視円形状の貫通孔として形成され、駆動部520の軸支軸527及び連結軸526がそれぞれ回転可能に挿通される。一方、摺動孔541cは、第1リンク部材541の長手方向に長径方向を沿わせた正面視長穴形状の貫通孔として形成され、その長穴形状(長径方向)に沿って摺動可能にスライド機構部530の挿通軸531cが挿通される。
よって、第1リンク部材541が支持孔541aを中心として摺動孔541cを上昇させる方向(矢印B1方向、図36参照)へ回転されると、スライド機構部530の挿通軸531cが基板部材510の案内溝511に沿って上方へ変位され、スライド機構部530が上昇される一方、第1リンク部材541が支持孔541aを中心として摺動孔541cを下降させる方向(矢印B2方向、図36参照)へ回転されると、スライド機構部530の挿通軸531cが基板部材510の案内溝511に沿って下方へ変位され、スライド機構部530が下降される(図40及び図41参照)。
ここで、本実施形態では、基板部材510の前面側に連接棒525が、基板部材510の背面側に第1リンク部材541が、それぞれ配設され、これら連接棒525及び第1リンク部材541が基板部材510の連結溝513を介して互いに連結(接続)されるので、これら連接棒525及び第1リンク部材541により形成される駆動力の伝達経路(即ち、クランク歯車524の回転軸524aと連結軸526とを連結する部分(連接棒525)、及び、連結軸526と挿通軸531cとを連結する部分(第1リンク部材541の連結孔541bから摺動孔541cまでの部分)の長さ寸法)が長くなる。そのため、駆動モータ522の駆動力を伝達する際に連接棒525及び第1リンク部材541が変形して、駆動力をスライド機構部530(挿通軸531c)へ安定して伝達できないおそれがある。
これに対し、本実施形態によれば、第1リンク部材541に基端側(軸支孔541a)が、基板部材510の背面において、支持軸527に回転可能に軸支されるので、その支持軸527が固着される駆動部520のケース体521及びそのケース体521が締結固定される基板部材510の剛性を利用して、連接棒525及び第1リンク部材541の全体としての剛性を高めることができる。その結果、駆動モータ522の駆動力を伝達する際に連接棒525及び第1リンク部材541が変形することを抑制して、かかる駆動力をスライド機構部530(挿通軸531c)へ安定して伝達することができる。
特に、本実施形態では、連接棒525及び第1リンク部材541のうちの第1リンク部材541(軸支孔541a)を基板部材510に回転可能に軸支するので、連接棒525を基板部材510に回転可能に軸支する場合と比較して、かかる基板部材510に軸支される箇所からスライド機構部530(挿通軸531c)までの駆動力の伝達経路を短くでき、その結果、駆動力のスライド機構部530(挿通軸531c)への伝達をより一層安定させることができる。
第2リンク部材542は、付勢ばね571とスライド機構部530の挿通軸531cとを連結して、付勢ばね571の付勢力をスライド機構部530に伝達するための部材であり、長尺板状に形成される。第2リンク部材542には、第1リンク部材541と同様に、基端部および先端部に軸支孔542a及び摺動孔542cが、それぞれ形成される。軸支孔542aには、基板部材510の支持軸516が回転可能に挿通され、摺動孔542cには、スライド機構部530の挿通軸531cが挿通される。また、第2リンク部材542の長手方向中間部には、係止爪542bが形成される。係止爪542bは、上述したように、連結溝514を介して、基板部材510の正面側に配置され、付勢ばね571の腕部を係止する。
よって、第2リンク部材542は、第1リンク部材541と共に、スライド機構部530を左右対称に保持するので、かかるスライド機構部530のスライド変位を安定して行わせることができる。また、スライド機構部530には、第2リンク部材542を介して、付勢ばね571の付勢力が上昇方向(第2リンク部材542の先端側(摺動孔542c)を上昇させる方向)に作用されるため、スライド機構部530を上昇させる際には、駆動部520の駆動力を補助することができる。これにより、駆動モータ522の大型化を抑制できる。
なお、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の軸支孔541a,542aに挿通された支持軸527,516には、抜け止めとして、Eリングとして形成される止め輪Eが装着されると共に、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の摺動孔541c,542cに挿通された挿通軸531cには、抜け止めとして、摺動孔541c,542cの溝幅よりも大径の座面(頭部またはワッシャ)を有する締結ねじが締結される(図35参照)。
ここで、第1リンク部材541については、第1リンク部材541の連結孔541bに挿通される連結軸526に対し、抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が省略される。即ち、3本の軸のうちの2本(支持軸527及び挿通軸531c)に抜け止めを施すことで、残りの1本(連結軸526)については、その抜け止めを省略でき、その分、抜け止めに要する部品点数を低減できる。特に、長尺となる第1リンク部材541の基端側および先端側の2本の軸に対して抜け止めを施し、それら基端側および先端側の中間となる位置の軸に対して抜け止めを省略する構造とすることで、抜け止めを省略した軸(連結軸526)が連結孔541bから抜けることを抑制しつつ、第1リンク部材451を安定して回転させることができる。
スライド機構部530は、上述したように、基板部材510の案内溝511に沿って上下方向にスライド変位(昇降)する機構部分であり、その第1係合部材539を、所定位置まで下降させることで、第2結合動作ユニット600の第2結合部材630に結合させる(図32参照)。ここで、図37から図39を参照して、スライド機構部530について説明する。
図37(a)は、スライド機構部530の正面斜視図であり、図37(b)は、スライド機構部530の背面斜視図である。また、図38は、分解したスライド機構部530を正面視したスライド機構部530の正面斜視図であり、図39は、分解したスライド機構部530を背面視したスライド機構部530の背面斜視図である。
図37から図39に示すように、スライド機構部530は、A層ベース板531と、B層ベース板532及びB層装飾体533と、C層ベース板534及びC層装飾体535と、第1ピニオンギヤ537と、第2ピニオンギヤ538と、第1結合部材539と、を備え、駆動部520から第1リンク部材541を介して伝達される駆動力により第1結合部材539を上下にスライド変位(昇降)させる。
なお、本実施形態のスライド機構部530によれば、A層ベース板531と第1結合部材539との間に2組のダブルラック・ピニオン構造が介在され、第1リンク部材541からA層ベース板531が受けた駆動力が、2組のダブルラック・ピニオン構造を介して、第1結合部材539へ伝達されることで、かかる第1結合部材539のスライド変位(昇降)を増速させることができるように構成される。
A層ベース板531は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部531aと、その本体部531aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝531bと、本体部531aの背面から突設されると共に案内溝531bを挟んで左右に並設される複数本(本実施形態では合計6本)の挿通軸531cと、本体部531aの正面側へ突設され第1ピニオンギヤ537を回転可能に軸支する支持軸531dと、を備える。
A層ベース板531は、複数本の挿通軸531cを基板部材510の案内溝511にそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された挿通軸531cの先端に案内溝511の溝幅よりも大径のカラーCを抜け止めとして締結固定することで、基板部材510にスライド変位(昇降)可能に保持される(図35参照)。この場合、支持軸531dに軸支された第1ピニオンギヤ537が、基板部材510のラック部512に歯合される。
なお、本実施形態では、複数本の挿通軸531cのうちの2本の挿通軸531cは、上述したように、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の摺動孔541c,542cに挿通した上でその先端に締結ねじを抜け止めとして締結する。
また、本実施形態では、複数の挿通軸531cは、A層ベース板531の長手方向(図39上下方向)中央よりも上方側(図39上側)にそれぞれ位置する。よって、後述するように、スライド機構部530が自身の重量により基板部材510の正面側で前方へ向けて前傾姿勢となる場合に、その前傾姿勢をカラーCや第1リンク部材541及び第2リンク部材542によって効果的に規制することができ、その結果、スライド機構部530(A層ベース板531)を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
B層ベース板532は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部532aと、その本体部532aに貫通形成される複数の挿通孔532bと、本体部532aの背面から突設される複数の挿通軸532cと、本体部532aの側面にその本体部532aの長手方向に沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部532dと、を備える。
B層ベース板532は、複数本の挿通軸532cをA層ベース板531の案内溝531bにそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された挿通軸532cの先端に締結ねじを抜け止めとして締結することで、A層ベース板531にスライド変位(昇降)可能に保持される。
この場合、B層ベース板532(本体部532a)の側面に配設されたラック部532dが、A層ベース板531(支持軸531d)に軸支された第1ピニオンギヤ537に歯合される。即ち、第1ピニオンギヤ537は、基板部材510のラック部512及びB層ベース板532のラック部532dとの両者に歯合され、これにより、1組目のダブルラック・ピニオン構造が形成される。よって、基板部材510に対してA層ベース板531がスライド変位(昇降)されると、1組目のダブルラック・ピニオン構造を介して、B層ベース板532がA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される。即ち、B層ベース板532は、A層ベース板531よりも増速された状態で、基板部材510に対してスライド変位(昇降)される。
B層装飾体533は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する部材であり、B層ベース板532に固着され、そのB層ベース板532と一体となってスライド変位(昇降)される。詳細には、B層装飾体533は、その背面から突設される複数の挿通軸533aを備え、その挿通軸533aに、B層ベース板532の挿通孔532bに挿通された締結ねじが締結されることで、B層ベース板532の前面側に固着される。
なお、B層装飾体533の複数の挿通軸533aは、第1結合部材539の案内溝539b及びC層ベース板534の案内溝534bに挿通された上で、B層ベース板532に固着される。この場合、B層装飾体533の複数の挿通軸532aのうちの1の挿通軸532aは、第2ピニオンギヤ538を回転可能に軸支する。よって、B層装飾体533及びB層ベース板532がA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される際には、第2ピニオンギヤ538もA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される。
C層ベース板534は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部534aと、その本体部534aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝534bと、本体部534aに貫通形成される複数の挿通孔534cと、本体部532aの前面側において案内溝534bに沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部534dと、を備える。
C層装飾体535は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する部材であり、C層ベース板534に固着され、そのC層ベース板534と一体となってスライド変位(昇降)される。詳細には、C層装飾体535は、その背面から突設される複数の挿通軸535aを備え、その挿通軸535aに、C層ベース板534の挿通孔534cに挿通された締結ねじが締結されることで、C層ベース板534の前面側に固着される。
第1結合部材539は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する共に、第2結合動作ユニット600の一対の第2結合部材630に当接して結合状態を形成するための部材であり(図32参照)、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部539aと、その本体部539aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝539bと、本体部534aの下方に連設される装飾部539cと、本体部532aの背面側において案内溝539bに沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部539dと、を備える。
なお、第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eは、中央へ向けて下降傾斜する2つの平坦面が組み合わされて形成される。即ち、第1結合部材539(装飾部539c)は、その正面視形状が、中央が下降方向(図38下方向)へ向けて突出する逆V字形状に形成される(図40及び図41参照)。この第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eは、上述したように、結合位置において、第2結合部材630の上面630aに当接される(図32参照)。
また、第1結合部材539の下面539eには、その中央に正面視横長矩形状の凹部539e1が凹設される。この凹部539e1には、結合位置において、第2結合部材630の上面630aから突設される凸部630a1が収納(凹凸嵌合)される。この凹凸嵌合により、結合位置において、第1結合部材539に対する一対の第2結合部材630の相対変位(前後方向および左右方向)を規制できる。
C層ベース板534及び第1結合部材539は、それらC層ベース板534及び第1結合部材539の案内溝534b,539bに、B層装飾体533の複数の挿通軸533aがそれぞれ挿通されることで、B層装飾体533及びB層ベース板532の間でそれぞれスライド変位(昇降)可能に保持される。
この場合、B層装飾体533の挿通軸533aに軸支された第2ピニオンギヤ538が、C層ベース板534(本体部534a)の正面側に配設されたラック部534dと、第1結合部材539(本体部539a)の背面側に配設されたラック部539dとの両者に歯合され、これにより、2組目のダブルラック・ピニオン構造が形成される。よって、A層ベース板531に対してB層ベース板532(及びB層装飾体533)がスライド変位(昇降)されると、2組目のダブルラック・ピニオン機構を介して、第1結合部材539がB層ベース板532(及びB層装飾体533)に対してスライド移動される。即ち、第1結合部材539は、B層ベース板532よりも増速された状態で、基板部材510に対してスライド変位(昇降)される。
図33から図35に戻って説明する。上述したように、第1結合部材500は、基板部材510の正面側にスライド機構部530を配設し、そのスライド機構部530(A層ベース板531)の背面から突出される複数(本実施形態では6本)の挿通軸531cを、基板部材510の案内溝511にそれぞれ挿通させ、それら挿通された複数の挿通軸531cのうちの一部(4本)の挿通軸531cにはカラーCを抜け止めとして装着する一方、残り(2本)の挿通軸531cは第1リンク部材541及び第2リンク部材542に連結する(図35参照)。
ここで、従来の遊技機においても、移動部材(スライド機構部530に相当)に複数の挿通軸(挿通軸531cに相当)を設け、それら複数の挿通軸を、基板部材(基板部材510に相当)の案内溝(案内溝511に相当)に挿通させ、駆動手段(駆動部520に相当)の駆動力により、移動部材を案内溝に沿ってスライド変位させる構造のものが知られている。
この場合、移動部材のスライド変位を安定して行わせるためには、案内溝に挿通させる挿通軸の数を多くすることが好ましい。一方で、挿通軸の数を多くすると、その挿通軸を保持する(案内溝からの抜け止めを行う)ための部品(カラーCに相当)の数も増加し、コストが増加する。そのため、移動部材のスライド変位の安定化を可能としつつ、コストを削減する方法が要請されていた。
これに対し、本実施形態によれば、駆動モータ522の駆動力をスライド機構部530(A層ベース板531)に伝達する第1リンク部材541を、スライド機構部530が配設される正面側とは反対側となる基板部材510の背面側に配設し、かかる第1リンク部材541を、基板部材510の案内溝511から突出される複数の挿通軸531cのうちの1の挿通軸531cに連結するので、これら複数の挿通軸531cの案内溝511からの抜け止めを行うための複数のカラーCのうちの1のカラーCを、第1リンク部材541に兼用させることができる。その結果、挿通軸531cの数は確保して、スライド機構部530(A層ベース板531)のスライド変位の安定化を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
特に、本実施形態では、スライド機構部530が配設される正面側とは反対側となる基板部材510の背面側に、第2リンク部材542を第1リンク部材541に対して案内溝511を挟んで対称に配設すると共に、かかる第2リンク部材542を、基板部材510の案内溝511から突出される複数の挿通軸531cのうちの1の挿通軸531cに連結するので、第1リンク部材541及び第2リンク部材542からスライド機構部530が受ける支持反力を対称とすることによる効果(スライド機構部530のスライド変位の安定化)を図ることができるだけでなく、複数のカラーCのうちの1のカラーCを、第2リンク部材542によっても兼用させることができるので、挿通軸531cの数は確保して、スライド機構部530(A層ベース板531)のスライド変位の安定化を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の部品点数を低減して、コストの削減を図ることをより一層達成できる。
このように、本実施形態では、第1リンク部材541及び第2リンク部材542を基板部材510の背面側に配設することで、スライド変位の安定化とコストの削減とを図る。更に、本実施形態では、駆動部520にクランク機構(クランク歯車524、連接棒525及び連結軸526)を構成させると共に、基板部材510に連結溝513を開口形成するので、かかる連結溝513を介して、連結軸526を第1リンク部材541に連結させることで、駆動部520を基板部材510の正面側に配設することができる。これにより、基板部材510の正面側に第1結合動作ユニット500の構成要素を集中させることができるので、限られたスペースを有効に活用して、各構成要素の配置を効率的に行うことができ、その結果、第1結合動作ユニット500の小型化を図ることができる。
特に、第1結合動作ユニット500は、スライド機構部530の前面側に装飾部560が配設されるため、これらスライド機構部530と装飾部560とが前後方向(図33(b)上下方向)に重なり、その分、前後方向の寸法が嵩む。これに対し、本実施形態によれば、上述のように、駆動部520が基板部材510の前面側に配設可能となることで、かかる駆動部520を、基板部材510の前面側であってスライド機構部530の側方に形成されるデッドスペースに配設できる。即ち、スライド機構部530及び駆動部520の比較的寸法が嵩む2要素を左右方向に並設させることができる。これにより、限られたスペースのうちのデッドスペースを有効に活用して、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
更に、この場合には、本実施形態によれば、第1リンク部材541が平板状に形成されると共に、かかる第1リンク部材541が、基板部材510の背面側において、支持軸527を中心として回転される構造であるので、その第1リンク部材541の移動のための空間を平面的とすることができる。即ち、第1リンク部材541の移動のための空間を基板部材510の背面側の平面的なスペースで確保することができ、前後方向(図33(b)上下方向)に大きな空間として確保する必要がない。よって、この点からも、第1結合動作ユニット500の特に前後方向の小型化を図ることができる。
なお、第2リンク部材542についても同様であり、連結溝514を利用することで、付勢ばね571を基板部材510の前面側に配設して、上述したデッドスペースを有効に活用すると共に、その第2リンク部材542の移動のための空間も平面的とすることができ、その結果、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
次いで、図40及び図41を参照して、第1結合動作ユニット500の動作について説明する。なお、この説明においては、図34から図39を適宜参照する。
図40(a)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の正面図であり、図40(b)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の背面図である。図41(a)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の正面図であり、図41(b)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の背面図である。なお、図40及び図41では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図40(a)及び図40(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置にある状態では、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A1方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B1方向へ変位されており(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542は、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを上昇させる方向(図40(b)上方)に回転された姿勢に配置される。よって、スライド機構部530のA層ベース板531(図38及び図39)が基板部材510の案内溝511の上端側(図40(b)上側)に配置され、第1結合部材539が上昇された(退避位置は配置された)状態が形成される。
なお、この場合、上述したように、第2リンク部材542には、付勢ばね571の付勢力が作用されている。かかる付勢ばね571の付勢力は、第2リンク部材542の姿勢を、図40(b)に示す姿勢(即ち、軸支孔542aを中心として摺動孔542cを上昇させる方向に回転された姿勢)に保持する方向に作用される。よって、第1結合部材539を図40(a)に示す退避位置に安定して保持させることができる。特に、退避位置において停止状態にあるべき第1結合部材539に外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)が作用され、かかる第1結合部材539に上下方向への振動が発生される場合でも、付勢ばね571の付勢力を利用して、第1結合部材539の上下方向への振動を速やかに収束させることができる。
図40(a)及び図40(b)に示す状態から、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A2方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B2方向へ変位されると(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542は、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを下降させる方向(図40(b)下方)へ回転される。これにより、スライド機構部530のA層ベース板531が基板部材510の案内溝511に沿って下降され、上述したように、2組のダブルラック・ピニオン機構が作用されることで(図38及び図39参照)、第1結合部材539が下降される。
図41(a)及び図41(b)に示すように、第1リンク部材541及び第2リンク部材542が、その軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを下降させる方向へ更に回転され、スライド機構部530のA層ベース板531(挿通軸539c)が基板部材510の案内溝511の下端側(図41(b)下側)に配置されることで、第1結合部材539が下降された(結合位置は配置された)状態が形成される。
なお、図41(a)及び図41(b)に示す状態から、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A1方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B1方向へ変位されることで(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542が、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを上昇させる方向(図41(b)上方)へ回転される。これにより、スライド機構部530のA層ベース板531が基板部材510の案内溝511に沿って上昇され、上述したように、2組のダブルラック・ピニオン機構が作用されることで(図38及び図39参照)、第1結合部材539が上昇される。その結果、図40(a)及び図40(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置に配置(復帰)される。
本実施形態によれば、スライド機構部530が2組のダブルラック・ピニオン機構を介して第1結合部材539を上下方向にスライド変位させる構造であるので、かかる第1結合部材539のスライド変位を高速化することができる。一方で、第1結合部材539を、図41(a)に示す結合位置から図40(a)の退避位置まで上昇させる際には、第1結合部材539のみでなく、スライド機構部530の他の構成部材のそれぞれも、重力の作用に逆らって上昇させる必要があるため、駆動モータ522(図34及び図35参照)の負荷が大きくなる。
これに対し、本実施形態では、上述したように、付勢ばね571の付勢力が、第2リンク部材542の姿勢を、図40(b)に示す姿勢(即ち、軸支孔542aを中心として摺動孔542cを上昇させる方向に回転された姿勢)に保持する方向に作用させる。よって、第1結合部材539を、重力の作用に逆らって、図41(a)に示す結合位置から図40(a)の退避位置まで上昇させる際には、付勢ばね571の付勢力を補助力として利用することができるので、その分、駆動部520の駆動モータ522に必要とされる駆動力を小さくして、その容量の小型化を図ることができる。
ここで、基板部材510は、その案内溝511の延設方向が鉛直方向(図40及び図41上下方向)に対して若干傾斜した姿勢で配設される。詳細には、案内溝511の下端側を基板部材510の正面側(前方側、図40(a)紙面手前側)へ張り出させた(案内溝511の上端側を基板部材510の背面側(後方側、図40(a)紙面奥側)へ後退させた)姿勢で配設される。これにより、基板部材510の正面側に配設されるスライド機構部530が自身の重量により前傾姿勢(基盤部材510の正面から離間する方向(前方側)へ倒れこむように傾斜される姿勢)となることを抑制できるので、その分、カラーCへの負荷を小さくして、その耐久性の向上を図ることができる。
しかしながら、スライド機構部530はその各要素(例えば、A層ベース板531、B層ベース板532、C層ベース板534など)が重ね合わされて構成されるため、基板部材510の上述した鉛直方向に対する傾斜を大きくし過ぎると、スライド機構部530の各要素どうしが密着されやすくなり、そのスライド変位の際の摺動抵抗が大きくなる。そのため、上述した傾斜を十分大きくすることはできず、よって、カラーCには比較的大きな負荷が作用される。
この場合、本実施形態では、スライド機構部530とそのスライド機構部530の挿通軸531cに連結(接続)される第1リンク部材541及び第2リンク部材542との間に基板部材510が介在されるため、スライド機構部530の前傾姿勢を、カラーCだけではなく、第1リンク部材541及び第2リンク部材542によっても規制することができる。その結果、カラーCへの負荷を抑制して、その耐久性の向上を図ることができると共に、スライド機構部530を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
特に、複数の挿通軸531cは、上述したように、A層ベース板531の長手方向中央よりも上方側にそれぞれ位置する(図39参照)。よって、スライド機構部530が自身の重量により基板部材510の正面側で前方へ向けて前傾姿勢となる場合に、その前傾姿勢をカラーCや第1リンク部材541及び第2リンク部材542によって効果的に規制することができ、その結果、スライド機構部530(A層ベース板531)を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
次いで、第1結合動作ユニット500の下方に配設される第2結合動作ユニット600について(図31及び図32参照)、図42から図45を参照して説明する。
図42は、第2結合動作ユニット600の正面斜視図である。図43(a)は、第2結合動作ユニット600の正面図であり、図43(b)は、第2結合動作ユニット600の背面図である。なお、図43(a)では、表ケース体612の図示が省略される。また、図42及び図43では、一対の第2結合部材630が退避位置に退避された状態が図示される。
図42及び図43に示すように、第2結合動作ユニット600は、裏ケース体611及び表ケース体612と、それら裏ケース体611及び表ケース体612に基端側がそれぞれ回転可能に軸支されるリンク手段(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)と、それら内側リンク部材621及び外側リンク部材622のそれぞれの先端側に回転可能に軸支される第2結合部材630と、内側リンク部材621及び外側リンク部材622を変位させるための駆動力を発生する駆動モータ640と、その駆動モータ640の駆動力を内側リンク部材621及び外側リンク部材622に伝達するための伝達手段(ピニオンギヤ651及び伝達歯車652)と、を主に備えて構成される。
なお、本実施形態では、リンク手段、第2結合部材630、駆動モータ640及び伝達手段からなる組が、裏ケース体611及び表ケース体612の左右にそれぞれ1組ずつ合計一対が配設される。この場合、裏ケース体611及び表ケース体612の左側に配設される組と右側に配設される組とは、裏ケース体611及び表ケース体612の幅方向(図43(a)左右方向)中央を通る仮想線に対して略対称に形成される点や装飾部分の形状が異なる点を除き、実質的に同一の構成であるので、同じ符号を付して説明する。
裏ケース体611及び表ケース体612は、それぞれ樹脂材料から板状に形成される部材であり、所定間隔を隔てつつ互いに向かい合わせに締結固定され、その対向面間(内部空間)にリンク手段(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)と伝達手段(ピニオンギヤ651及び伝達歯車652)とを収容する。
裏ケース体611には、円弧状に湾曲して形成される一対の案内溝611aが開口形成される。案内溝611aは、後述する基端軸621aを中心とする円弧状に湾曲され(即ち、基端軸621aを中心とする円環形状の一部を切り取った形状に形成され)、内側リンク部材621の背面に回転可能に軸支されたカラー621dが内嵌される。案内溝611aの溝幅は、カラー621dの外径寸法よりも若干大きな寸法に形成される。よって、後述するように、内側リンク部材621が基端軸621aを中心として回転される際には、カラー621dが案内溝611aの延設方向に沿って案内されることで、内側リンク部材621(及び外側リンク部材622)の回転を安定させることができる。ひいては、結合位置における第2結合部材630の位置精度を高めることができる。
内側リンク部材621及び外側リンク部材622は、その基端側が基端軸621a及び622aを介して裏ケース体611及び表ケース体612に回転可能に軸支される一方、その先端側が先端軸621b,622bを介して第2結合部材630に回転可能に軸支される。
この場合、内側リンク部材621及び外側リンク部材622は、基端軸621a及び基端軸622aの間の距離と先端軸621b及び先端軸622bの間の距離とが等しくされ、かつ、基端軸621a及び先端軸621bの間の距離と基端軸622a及び先端軸622bの間の距離とが等しくされることで、平行リンク機構として形成される。よって、内側リンク部材621及び外側リンク部材622が基端軸621a,622aを中心に回転されると、第2結合部材630が回転中心を持たずに平行に(即ち、図43(a)に図示する姿勢を維持したまま)移動される。
第2結合部材630は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成すると共に結合位置において第1結合部材539に結合される部材であり(図32参照)、第1結合部材539の下面539eが当接される上面630aと、他方の第2結合部材630が隣り合う際に互いに当接される対向面630bとが形成される。
なお、上面630aは、図43に示す第2結合部材630の正面視において、対向面630b側へ向けて下降傾斜する平坦面として形成され、対向面630bは、鉛直方向に平行な平坦面として形成される。よって、一対の第2結合部材630は、結合位置において、互いの対向面630bどうしが当接されると、一対の第2結合部材630の上面630a側の正面視形状が、中央が凹むV字形状に形成される(図44(b)参照)。これら一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれには、上述したように、結合位置において、第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eが当接される(図32参照)。
また、一対の第2結合部材630の上面630aには、対向面630b側にそれぞれ正面視横長矩形状の凸部630a1が突設される。この凸部630a1は、結合位置において、第1結合部材539の下面539eに凹設される凹部539e1に収納(凹凸嵌合)される。この凹凸嵌合により、上述したように、結合位置において、第1結合部材539に対する一対の第2結合部材630の相対変位(前後方向および左右方向)を規制できる。ここで、凸部630a1は、その厚み寸法が突設先端へ向かうほど小さくされる。そのため、第1結合部材539の下面539eに一対の第2結合部材630の上面630aが結合(当接)される際には、凹部539e1に凸部630a1を挿入(内嵌)させやすくすることができる。
内側リンク部材621の基端側には、歯車部621cが一体に形成される。歯車部621cは、基端軸621aを中心として径方向外方へ張り出す扇形状に形成される部位であり、その扇形状の外周面に複数の歯が刻設される。この歯車部621cには、後述する伝達歯車652が歯合される。
駆動モータ640は、裏ケース体611の背面側に配設され、裏ケース体611の正面側に突出された駆動モータ640の駆動軸には、ピニオンギヤ651が固着される。そのピニオンギヤ651には、伝達歯車652が歯合され、伝達歯車652には、上述したように、内側リンク部材621の歯車部621cが歯合される。
次いで、図44を参照して、第2結合動作ユニット600の動作について説明する。なお、この説明においては、図43(a)を適宜参照する。
図44(a)及び図44(b)は、第2結合動作ユニット600の正面図であり、表ケース体612の図示が省略される。なお、図44(a)では、一対の第2結合部材630が退避位置および結合位置の中間に配置された状態が、図44(b)では、一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
図43(a)に示す退避位置では、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに離間する方向へそれぞれ傾倒され、一対の第2結合部材630が左右に離間される。この図43(a)に示す状態(退避位置)から左右の駆動モータ640がそれぞれ回転駆動され、ピニオンギヤ651が回転されると、その回転が伝達歯車652を介して内側リンク部材621の歯車部621cに伝達され、歯車部621cが基端軸621aを中心に回転される。その結果、左右の内側リンク部材621が基端軸621aを中心にそれぞれ回転され、図44(a)に示すように、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに近接する方向へ起立される。
図44(a)に示す状態から左右の駆動モータ640が更に回転駆動されると、図44(b)に示すように、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに近接する方向へ更に起立され、一対の第2結合部材630が結合位置に配置される。即ち、一対の第2結合部材630が左右に隣り合い、互いの対向面630bどうしが当接される。一方、図44(b)に示す状態から、駆動モータ640が上述の場合とは逆方向に回転駆動されると、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに離間する方向へ傾倒され、図43(a)に示すように、一対の第2結合部材630が退避位置に退避される。
図31及び図32に戻って、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の結合動作について説明する。なお、この説明においては、図45を適宜参照する。図45は、第1結合部材539及び一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600を正面視したモデル図である。
上述したように、第1結合動作ユニット500の第1結合部材539及び第2結合動作ユニット600のの第2結合部材630の結合は、図31に示す状態(退避位置)から、一対の第2結合部材630をリンク機構の起立により互いに近接させて左右に隣り合わせに配置すると共に、その左右に隣り合わせに配置された一対の第2結合部材630へ向けて、第1結合部材539を下降させ、図32に示すように、第1結合部材539の下面539eを一対の第2結合部材630のそれぞれの上面630aに当接させることで、行われる。
ここで、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、図45に示すように、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aの水平面に対する傾斜角度が角度θとされる。そのため、第1結合部材539が鉛直方向(図45上下方向)に沿って下降(スライド変位)された際に、かかる第1結合部材539の下面539eから第2結合部材630の上面630aに作用される鉛直方向の力Fは、下面539e及び上面630aに垂直な方向の力成分Fv(=F×cosθ)と、下面539e及び上面630aに平行な方向の力成分Fp(=F×sinθ)とに分解することができる。なお、ここでは、力Fを、第2結合部材630の上面630aにおける幅方向中央に作用する集中荷重として近似する。
この場合、本実施形態では、下面539e及び上面630aの水平面に対する角度θは、内側リンク部材621及び外側リンク部材622の鉛直方向に対する角度αよりも小さな角度に設定される。更に、本実施形態では、上面630aの幅方向中央を始点として力成分Fvの作用方向が延長されると、その延長線が、外側リンク部材622の基端軸622aよりも内側(内側リンク部材621の基端軸621a側)を通過するように形成される。
これにより、図45に示すように、結合位置において、一対の第2結合部材630が左右に隣り合わせに配置されると共に、それら一対の第2結合部材630の隣り合う方向と略直交する方向(鉛直方向、図45上下方向)から第1結合部材539が第2結合部材630へ向けて下降され、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、一対の第2結合部材630を隣り合う方向において互いに近接させる方向への力を形成することができる。その結果、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aを結合させるだけでなく、一対の第2結合部材630の対向面630bどうしを結合させることができ、複数の部材(第1結合部材539及び一対の第2結合部材630)を結合させることによる演出効果を確保することができる。
即ち、従来の遊技機においても、一対の部材を移動可能に設け、それら一対の部材をそれぞれ異なる退避位置に退避させると共に、その異なる退避位置からそれぞれ移動させて結合位置に配置させることで、一対の部材どうしを結合させるものがある(例えば、特開2012−115300号公報を参照)。この場合、結合位置において、一対の部材の間に隙間が形成されるなど、その結合が適切に行われない場合には、一対の部材どうしを結合させることによる演出効果が損なわれる。しかしながら、上述した従来の遊技機では、一対の部材が対称形状とされるので、かかる一対の部材どうしを向かい合わせで結合させることは比較的容易であるが、3以上の部材どうしを適正に(即ち、隙間の発生を抑制しつつ)結合させることが困難であった。
これに対し、本実施形態によれば、上述したように、結合位置において、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、一対の第2結合部材630を隣り合う方向において互いに近接させる方向への力を形成することができるので、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aとの間に隙間が発生することを抑制できるだけでなく、一対の第2結合部材630の対向面630bどうしの間に隙間が発生することを抑制しつつ、これら各部材どうしを互いに結合させることができる。即ち、3以上の部材どうしを適正に結合させることができ、その結合による演出効果を確保することができる。
この場合、本実施形態では、図32及び図45に示すように、一対の第2結合部材630は、その上面630a側(図32及び図45上側)における正面視形状(図32及び図45に図示する形状)が、中央が下方(図32及び図45下方)へ向けて凹む凹形状とされる一方、第1結合部材539は、下面539e側(図32及び図45下側)における正面視形状(図32及び図45に図示する形状)が、一対の第2結合部材630の形状に対応して、中央が下方(図32及び図45下方)へ向けて突出する突出形状とされる。
そのため、上述のように、基準位置において、第1結合部材539が一対の第2結合部材630へ向けて下降され、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、凹形状および突出形状に起因して、一対の第2結合部材630の間に第1結合部材539が入り込み、かかる第1結合部材539が一対の第2結合部材630を互いに離間する方向へ押し拡げる態様(即ち、互いの対向面630bの間に隙間が形成される態様)を遊技者に想起させる。
これに対し、本実施形態によれば、結合位置において、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されることで、一対の第2結合部材630を互いに近接させる方向への力を形成して、これら一対の第2結合部材630を、互いの対向面630bの間に隙間が発生することを抑制しつつ、結合させることができる。その結果、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
次いで、図46から図57を参照して、円環動作ユニット700について説明する。
図46は、円環形成部材790が退避位置に配置された状態における円環動作ユニット700の正面斜視図であり、図47は、円環形成部材790が結合位置に配置された状態における円環動作ユニット700の正面斜視図である。
図46及び図47に示すように、円環動作ユニット700は、リンク部材770を介して昇降および回転される一対の円環形成部材790を備え、上述したように、開口211a(第3図柄表示装置81(図2参照))の下方であって、回転動作ユニット300の背面側となる位置において、背面ケース210に配設される(図6から図9参照)。円環動作ユニット700は、一対の円環形成部材790を回転させつつ昇降させて、図46に示す退避位置または図47に示す結合位置に配置する。
図46に示す退避位置では、一対の円環形成部材790が左右に離間されつつ下方に下降され、第3図柄表示装置81(図2参照)の前面側が開放された状態とされる(図6参照)。一方、図47に示す結合位置では、一対の円環形成部材790が互いに近接する方向に回転されつつ上方に上昇され、かかる一対の円環形成部材790が結合されることで第3図柄表示装置81の前面側に円環形状を形成する(図10参照)。
この場合、円環動作ユニット700によれば、一対の円環形成部材790が上方に上昇され結合位置に配置されると、かかる円環形成部材790を結合位置(上昇された位置)に機械的に保持できるように形成され、その結果、一対の円環形成部材790を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーを抑制できる。
図48は、分解した円環動作ユニット700を正面視した円環動作ユニット700の分解正面斜視図であり、図49は、分解した円環動作ユニット700を背面視した円環動作ユニット700の分解背面斜視図である。
図48及び図49に示すように、円環動作ユニット700は、中間ケース体710と、その中間ケース体710の背面側に配設される背面ケース体720と、その背面ケース720と反対側となる中間ケース体710の正面側に配設される正面ケース体730と、中間ケース710に配設されると共に回転駆動力を発生する駆動モータ740と、その駆動モータ740の回転駆動力を伝達するための歯車群(第1歯車751〜第6歯車756)と、その歯車群を介して伝達される回転運動を直線運動に変換するラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及び一対のラック762)と、そのラック・ピニオン機構における一対のラック762に基端がそれぞれ回転可能に軸支される一対のリンク部材770と、それら一対のリンク部材770の先端が軸支される昇降ベース体780と、その昇降ベース体780に基端が回転可能に軸支される一対の円環形成部材790とを主に備えて形成される。
中間ケース体710は、背面側に配設される背面ケース体720との間で歯車群およびラック・ピニオン機構を回転可能およびスライド変位可能に保持すると共に、正面側に配設される正面ケース体730との間でリンク部材770の基端をスライド変位可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部711と、その本体部711の開口形成される挿通溝712と、本体部711の上縁から上方へ張り出す張出部713とを主に備える。
挿通溝712は、中間ケース体710(本体部711)の正面側に配設される一対のリンク部材770の挿通軸772をそれぞれ挿通させ、それら挿通させた一対のリンク部材770の挿通軸772を本体部711の背面側において一対のラック762の挿通孔762cにそれぞれ挿通させるための溝状の開口であり、本体部711の長手方向に沿って直線状に延設される。なお、挿通溝712は、その溝幅がリンク部材770の挿通軸772の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定される。
張出部713は、リンク部材770の背面に当接してそのリンク部材770の前後方向(例えば、図56紙面垂直方向)への揺れを抑制するための部位であり、本体部711の長手方向中央において上方へ張り出され、張り出し先端から本体部711の上縁へ向けて末広がりとなる(幅が広くなる)正面視略三角形状に形成されると共に、その正面713aが本体部711の正面711aと面一(段差を有さず滑らかに連接され且つ互いに平行)となるように形成される。
よって、後述するように、リンク部材770が起立状態へ向けて回転(変位)される際には、張出部713の正面713aがリンク部材770の背面に当接することで(図47及び図56参照)、また、リンク部材770が起立状態とされた際には、張出部713の正面713aとケース体730の柱部732との間でリンク部材770を挟み込むことができる(図47参照)。これにより、リンク部材770の姿勢が特に不安定となりやすい起立状態およびその近傍において、リンク部材770に当接できるので、かかるリンク部材770の前後方向への揺れを効果的に抑制できる。
なお、張出部713の縁部は、正面視において円弧状に湾曲して形成される。よって、リンク部材770の起立されるに従って(即ち、その姿勢が不安定となりやすくなるに従って)、リンク部材770の背面に当接可能な張出部713の正面713aの面積を拡大することができ、リンク部材770の前後方向への揺れを効果的に抑制できる一方で、張出部713が正面から視認される面積をより小さくして、外観が損なわれることを抑制することができる。
また、張出部713は、その張り出し方向先端(図48及び図49上側)に形成される頭部713bが正面(前方)へ突出されており、この頭部713bが後述する正面ケース体730の柱部732の頂部に連結される。よって、後述するように、一対のリンク部材770が直立に起立されると、それら一対のリンク部材770の対向間に張出部713の頭部713bが介設される。
背面ケース体720は、中間ケース体710との間で歯車群およびラック・ピニオン機構を回転可能およびスライド可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部721と、その本体部721に開口形成される挿通溝722と、その挿通溝722に平行に並設される先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724と、歯車群(第2歯車752〜第6歯車756)及びピニオンギヤ761をそれぞれ回転可能に軸支する複数の軸725とを主に備える。
挿通溝722は、ラック762の背面から突出されるリンク部材770の挿通軸772(即ち、中間ケース体710の挿通溝712を介してラック762の挿通孔762cに挿通された挿通軸772)をそれぞれ受け入れるための溝状の開口であり、本体部721の長手方向に沿って直線状に延設される。即ち、挿通溝722は、組み立て状態において、中間ケース体710の挿通溝712と正面視において重なる位置に形成される。なお、挿通溝722は、その溝幅がリンク部材770の挿通軸772の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定される。
先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724は、ラック762の先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bをそれぞれ挿通させ、その移動方向を規制するための溝状の開口であり、挿通溝722との間に所定間隔を隔てつつその挿通溝722と平行に並設される。なお、先端ガイド溝723は、その溝幅が後端ガイド溝724の溝幅よりも小さな寸法に設定され、かかる先端ガイド溝723にはラック762の後端ガイド軸762bが挿通不能に形成される。これにより、背面ケース体720へラック762を組み付ける際の組み付け不良を抑制でき、ひいては、組み付け作業の作業性の向上を図ることができる。
正面ケース体730は、中間ケース体710との間で一対のリンク部材770をスライド変位可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部731と、その本体部731の正面に配設されると共に鉛直方向に沿って延設される柱状の柱部732とを主に備える。
本体部731は、その背面731aが、中間ケース体710における本体部711の正面711a及び張出部713の正面713aと平行な平坦面として形成され、後述するように、リンク部材770が傾倒状態と起立状態との間で回転(変位)される際には、かかるリンク部材770の正面および背面に対し、本体部731の背面731aと本体部711の正面711a及び張出部713の正面713aとを当接させる。これにより、リンク部材770の前後方向(例えば、図54の紙面垂直方向)への揺れを効果的に抑制しつつ、かかるリンク部材770を傾倒状態および起立状態の間で回転(変位)させることができる。
柱部732は、案内棒733を内部に保持すると共に中間ケース体710の張出部713との間でリンク部材770を挟み込むための部位であり、正面(図48紙面左手前側)が開放された箱状に形成される。案内棒733は、昇降ベース体780の昇降を案内するための部材であり、金属材料から断面円形の棒状体として形成され、その軸心を鉛直方向に沿わせた姿勢で柱部732の内部に保持される。なお、このように、柱部732を正面が開放された箱状に形成し、その柱部732の内部に案内棒733を収納することで、デッドスペースを利用して案内棒733を配置することが可能となり、円環動作ユニット700全体としての小型化を図ることができる。
案内棒733は、後述するように、昇降ベース体780の被案内部784に挿通されることで、かかる被案内部784を介して、昇降ベース体780の移動方向を鉛直方向(案内棒733の軸心方向)に案内する。この場合、案内棒733は、ラック762の歯面よりも前方(正面側)であって、昇降ベース体780(本体部781)よりも後方(背面側)に配置されるため、後述するように、ラック762に対して昇降ベース体780を正面側にオフセット配置することによる効果の発揮と、昇降ベース体780のスムーズな昇降動作の確保との両立を図ることができる。
駆動モータ740は、中間ケース体710の正面側に配設され、その駆動軸を中間ケース体710(本体部711)の背面側に突出させる。この駆動モータ740の駆動軸には、第1歯車751が固着され、その第1歯車751には、背面ケース体720の複数の軸725にそれぞれ軸支された第2歯車752〜第6歯車756がそれぞれ順に歯合されると共に、第6歯車756には、背面ケース体720の軸725に軸支されたピニオンギヤ761が歯合される。
ラック・ピニオン機構は、上述したように、ピニオンギヤ761と、一対のラック762とからなり、ピニオンギヤ761が背面ケース体720の軸725に回転可能に軸支されると共に、そのピニオンギヤ761を挟んで一対のラック762が互いの歯面を向かい合わせた姿勢で対向配置される。
なお、ラック762には、その長手方向一端および他端に先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bがそれぞれ突設されると共に、後端ガイド軸762bの側方に挿通孔762cが貫通形成される。先端ガイド片762aは、直方体形状の突起として、後端ガイド軸762bは、断面円形の軸体として、それぞれ形成される。これら先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bが、上述したように、背面ケース体720の先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724に挿通されることで、ラック762のスライド変位(直線運動)の方向が両ガイド溝723,724の延設方向に規制される。
一対のリンク部材770は、ラック・ピニオン機構を介して伝達される駆動モータ740の駆動力を昇降ベース体780及び円環形成部材790に伝達するリンク機構を構成するための部材であり、長手方向一側(基端)がラック762に連結されると共に長手方向他側(先端)が昇降ベース体780及び円環形成部材790に連結される。ここで、リンク部材770の詳細構成について、図50を参照して説明する。
図50(a)は、リンク部材770の正面斜視図であり、図50(b)は、リンク部材770の背面斜視図であり、図50(c)は、図50(a)の部分Lcにおけるリンク部材770の部分拡大正面斜視図であり、図50(d)は、図50(a)の矢印Ld方向視におけるリンク部材770の側面図である。
リンク部材770は、長尺板状の本体部771と、その本体部771の長手方向一側(基端)において本体部771の背面から突設される挿通軸772と、その挿通軸772とは反対側となる本体部771の長手方向他側(先端)において本体部771の正面から突設される突設壁部773と、その突設壁部773の突設先端に配設される歯車部774とを備える。
挿通軸772は、上述したように、中間ケース体710の挿通軸712を介して、ラック762の挿通孔762cに挿通される断面円形の軸体である。突設壁部773は、歯車部774の配設位置を本体部771の正面(前方)側へオフセットさせるための部位であり、本体部771の正面から突設高さhで突設される。歯車部774は、中央に貫通形成される軸支孔774aと、その軸支孔774を中心として外周に刻設される複数の歯774bとを備え、軸支孔774aに昇降ベース体780の軸782が挿通(軸支)されると共に、歯774bを介して、円環形成部材790の歯車部792(歯792b)に歯合される。
本実施形態では、歯車部774(歯774b)は、その歯すじの方向が軸方向に平行な平歯車として形成されると共に、歯車部774の歯774bが突設壁部774の壁面全体に延長して刻設される。よって、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより、その歯車部774が、歯合対象である円環形成部材790の歯車部792に対して相対変位された場合でも(図48及び図49参照)、突設壁部774の壁面に延長して刻設されている歯774bを、円環形成部材790の歯車部792(歯792b)に歯合させることができ、その分、これら歯車部774と歯車部792との歯合が外れることを抑制できる。また、上述したたわみやねじれによる相対変位が発生し、歯車部774,792が軸方向に相対変位される場合であっても、突設壁部774の壁面に延長して刻設されている歯774bの分、歯車部774(歯774b)と歯車部792(歯792b)との間の歯合面積を確保できるので、これら各歯774b,772bの偏磨耗を抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。
ここで、例えば、歯車部774の外周面(径方向外方)に本体部771が連結される形状であれば、歯車部774の軸方向端面に座面の面積を確保しやすい。しかしながら、本実施形態では、歯車部774の背面(軸方向端面)に突設壁部773を連結する構造であるため、その突設壁部773の分、歯車部774の軸方向端面に確保可能な座面の面積が減少される。
この場合、突設壁部773は、歯車部774の歯774bが延長して刻設される壁面とは反対側の壁面(軸支孔774aの軸心側の壁面)が、軸支孔774の軸心を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されるので、突設壁部773が歯車部774の背面(軸方向端面)に連結される場合であっても、歯車部774の軸方向端面に座面の面積を確保でき、その分、歯車部774の軸方向端面に配設されるカラーC(図49参照)を大径化することができる。更に、リンク部材770(本体部771、突設壁部773及び歯車部774)を樹脂材料から一体に成形する場合には、突設壁部773において、歯774bが形成される壁面と反対側の壁面を凹曲面として形成することで、突設壁部773だけでなく、本体部771及び歯車部774を含めた全体としての肉厚を均一化でき、その成形性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、突設壁部773には、その全面(すなわち、本体部771の正面との連接部分まで)にわたって歯774bが刻設されるので、歯774bが形成される領域を十分に確保して、円環形成部材790の歯車部792(図48及び図49参照)との歯合が外れることをより確実に抑制できる。また、上述したように、リンク部材770(本体部771、突設壁部773及び歯車部774)を樹脂材料から一体に成形する場合には、突設壁部773の途中までしか歯774bが延長されない場合と被各して、突設壁部773における肉厚をその全体にわたって均一化して、その成形性の一層の向上を図ることができる。
なお、リンク部材770は、上述したように、本体部771の正面から突設壁部773が突設高さhで突設され、その突設壁部773の突設先端に歯車部774が配設れるので、その突設壁部773の突設高さhの分だけ、本体部771から歯車部774を離間させることができる。即ち、組み立て状態において、昇降ベース体780の配設位置を、突設壁部773の突設高さhの分だけ、ラック762から正面(前方)へ離間(オフセット)させることができる(図55及び図57参照)。かかるオフセットによる作用については後述する。
図48及び図49に戻って説明する。昇降ベース体780は、リンク部材770を介して伝達される駆動モータ740の駆動力により退避位置および結合位置の間を上下に昇降される部材であり、本体部780と、その本体部780の背面から突設されリンク部材770の歯車部774(軸支孔774a)を軸支する一対の軸782と、それら一対の軸782の下方に並設され円環形成部材790の歯車部792(軸支孔792a)を軸支する一対の軸783と、それら一対の軸783の下方において本体部781の背面に配設されると共に正面ケース体730の柱部732(案内棒733)によって鉛直方向に案内される被案内部784と、本体部781の背面に配設されるカバー体785とを主に備える。
被案内部784には、案内棒733が挿通可能な挿通孔が複数形成され、その挿通孔に案内棒733が挿通されることで、昇降ベース体780の移動方向が案内棒733の軸心方向に沿う方向のみに規制される。
カバー体785は、リンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792の軸方向端面に対面して配設される部材であり(図51参照)、正面視略台形状の頭部785aと、その頭部の下縁から下方に帯状に延設されると共に頭部785aよりも細幅とされる延設部785bとを備え、これらが金属製の薄板から一体に形成される。後述するように、歯車部774,792に相対変位が発生する場合には、その歯車部774,792の軸方向端面にカバー体785(頭部785a及び延設部785b)が当接されることで、その相対変位を抑制して、歯車部774どうしの歯合状態および歯車774どうしの歯合状態を適正に保つことができる。
なお、リンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792は、それら各歯車部774,792の軸支孔774a,792aに軸782,783をそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された軸782,783の先端に軸支孔774a,792aよりも大径のカラーCを介設しつつ締結ねじを締結固定することで、軸782,783に回転可能に軸支された状態で保持される。
一対の円環形成部材790は、リンク部材770を介して伝達される駆動モータ740の駆動力により回転駆動されると共に結合位置において円環形状を形成するための部材であり、円環形状を略2分割した形状に形成される本体部791と、その本体部791の周方向一側(基端)に配設される歯車部792とを主に備える。歯車部792は、昇降ベース体780に軸支されると共にリンク部材770の歯車部774に歯合される部位であり、中央に貫通形成される軸支孔792aと、その軸支孔792aを中心として外周に刻設される複数の歯792bとを備える。
なお、歯車部792が配設される側とは反対側の本体部791の周方向他側(先端)には、磁石(図示せず)が埋設されており、結合位置において円環形状を形成する際には(図47参照)、円環形成部材790の先端どうしを磁石の磁力を利用して密着させることができる。その結果、一対の円環形成部材790による円環形状の形成を確実に行うことができる。
次いで、図51を参照して、リンク部材770と昇降ベース体780及び円環形成部材790との連結状態について説明する。図51は、円環動作ユニット700の部分拡大背面図である。なお、図51は、昇降ベース体780が退避位置および結合位置の間に配置された状態が図示され、後述する図54の状態に対応する。
図51に示すように、昇降ベース体780には、一対の軸782(図49参照)に一対のリンク部材770の先端(歯車部774)がそれぞれ軸支されると共に、一対の軸783(図49参照)に一対の円環形成部材790の基端(歯車部792)がそれぞれ軸支され、リンク部材770の歯車部774と円環形成部材790の歯車部792とが歯合される。
よって、後述するように、駆動モータ740の回転駆動力がラック・ピニオン機構を介して一対のリンク部材770に伝達され、かかる一対のリンク部材770が歯車部774(軸782、図49参照)を中心として昇降ベース体780に対して回転され、その回転が歯車部774,792どうしの歯合を介して円環形成部材790に伝達されることで、円環形成部材790が歯車部792(軸783、図49参照)を中心として歯車部昇降ベース体780に対して回転される。同時に、一対のリンク部材770が各ケース体710,720,730に対しては起立または傾倒されることで、昇降ベース体780が各ケース体710,720,730に対して昇降される(図52から図57参照)。
ここで、昇降ベース体780は、長尺板状に形成されるリンク部材770の先端に連結され、そのリンク部材770を介して各ケース体710,720,730に対する昇降が行われるため、昇降動作時には、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれによって、昇降ベース体780の前後方向(図51紙面垂直方向)への振動や揺れが発生しやすい。また、円環形成部材790についても、自身が長尺板状に形成されると共に、昇降ベース体780に連結される基端と反対側の先端が自由端とされるため、昇降動作時において、昇降ベース体780に対する振動や揺れを発生させやすい。特に、本実施形態では、円環形成部材790の先端に磁石が埋設されるため、その先端の重量が嵩み、その分、円環形成部材790が振動や揺れを更に発生させやすい。
このような昇降ベース体780の前後方向への振動や揺れは、リンク部材770と昇降ベース体780との間の相対変位を引き起こす。即ち、リンク部材770に一体に形成される歯車部774と円環形成部材790の歯車部792との間の相対変位を引き起こす。同様に、円環形成部材790の昇降ベース体780に対する振動や揺れは、その円環形成部材790に一体に形成される歯車部792とリンク部材770の歯車部774との間の相対変位を引き起こす。そのため、歯車部774,792の歯合状態が不安定となり、駆動力の伝達不良により円環形成部材790の回転動作および昇降ベース体780の昇降動作が適正に行われなくなるばかりか、歯車部774,792の磨耗が促進され、耐久性の低下を招く。
これに対し、本実施形態では、昇降ベース体780の背面にカバー体785を配設し、そのカバー体785をリンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792の軸方向端面に対面させて配設する。これにより、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより昇降ベース体780や円環形成部材790に振動や揺れが発生し、歯車部774,790どうしの間に相対変位が発生しようとしても、それら歯車部774,790の軸方向端面にカバー体785(頭部785a及び延設部785b)を当接させることで、歯車部774,792の間の相対変位を抑制して、その歯合状態を適正に保つことができる。その結果、駆動力の伝達不良を抑制して、円環形成部材790の回転動作および昇降ベース体780の昇降動作を適正に行うことができると共に、歯車部774,792の磨耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、図51に示すように、カバー体785の頭部785aがリンク部材770の歯車部774の上方に配置されると共に、カバー体785の延設部785bがリンク部材770の歯車部774どうしの間、及び、円環形成部材790の歯車部792どうしの間に配置される。よって、歯車部774,792の軸方向端面のうちの、軸782及び軸783(図49参照)を挟んで、リンク部材770の本体部771及び円環形成部材790の本体部791と反対側となる軸方向端面に、カバー体785の頭部785a及び延設部785bを当接させ、それら歯車部774,792の相対変位を効果的に規制できる。
例えば、リンク部材770が起立状態にある或いは起立状態に近い状態(例えば、図51に示す状態)にある場合には、リンク部材770の本体部771に対して軸782(図49参照)を挟んで反対側には、カバー部材785の頭部785aが配置されるので、リンク部材770の本体部771のたわみやねじれに伴う歯車部774の変位を、カバー体785の頭部785aにより効果的に規制できる。同様に、例えば、リンク部材770が傾倒状態(例えば、図52に示す状態)にある或いは傾倒状態に近い状態にある場合には、リンク部材770の本体部771に対して軸782(図49参照)を挟んで反対側には、カバー部材785の延設部785bが配置されるので、リンク部材770の本体部771のたわみやねじれに伴う歯車部774の変位を、カバー体785の延設部785bにより効果的に規制できる。
一方、円環形成部材790については、その回転位置(即ち、リンク部材770が起立状態にあるか傾倒状態にあるか)に関わらず、その歯車部792の左右(図51左方および右方)に円環形成部材790の本体部791が配置されるので、かかる円環形成部材790の本体部792に対して軸783(図49参照)を挟んで反対側に、カバー部材785の延設部785bを配置して、円環形成部材790の本体部791のたわみやねじれに伴う歯車部792の変位を、カバー体785の延設部785bにより効果的に規制できる。
なお、本実施形態では、一対のリンク部材770の各歯車部774は、その下方に位置する円環形成部材790の歯車部792と歯合されるだけでなく、左右に隣接する歯車部774どうしも歯合される。同様に、一対の円環形成部材790の各歯車部792は、その上方に位置するリンク部材770の各歯車部774と歯合されるだけでなく、左右に隣接する歯車部792どうしも歯合される。
これにより、一対の円環形成部材790の回転動作の同期精度の向上を図ることができる。即ち、駆動モータ740の回転駆動力は、ラック・ピニオン機構を介して、一対のリンク部材770に伝達され、更に、これら一対のリンク部材770から一対の円環形成部材790に伝達される(図48及び図49参照)。この場合、ラック・ピニオン機構の一対のラック762はピニオンギヤ761に対して互いに独立している。よって、一対のラック部材770及び一対の円環形成部材790もそれぞれお互いに独立している場合には、ピニオンギヤ761に対するラック762の位相ずれ量(例えば、バックラッシ量や寸法公差)が一対のラック762で異なり、また、ラック762に対するリンク部材770の位相ずれ量(例えば、挿通孔762cに対する挿通軸772のがたつき量)が一対のリンク部材770で異なり、更に、リンク部材770に対する円環形成部材790の位相ずれ量(例えば、軸支孔774a,792aに対する軸782,783のがたつき量、或いは、歯774bに対する歯792bのがたつき量)が一対の円環形成部材790で異なり、これらの位相ずれが積み重なることで、一対の円環形成部材790の回転動作に位相ずれが発生し、同期精度が低下される。
これに対し、本実施形態では、一対のリンク部材770の歯車部774どうしを歯合せ、かつ、一対の円環形成部材790の歯車部792どうしを歯合させるので、上述した位相ずれが駆動力の伝達経路中で発生する場合であっても、かかる位相ずれを円環形成部材790の回転動作に現出させず(即ち、駆動力の伝達経路の最下流において位相ずれを吸収でき)、その結果、円環形成部材790の回転動作における同期精度の向上を図ることができる。
次いで、図52から図57を参照して、円環動作ユニット700の動作について説明する。なお、この説明においては、図46から図51を適宜参照する。
図52は、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図53は、図52のLIII−LIII線における円環動作ユニット700の断面模式図である。図54は、一対の円環形成部材790が退避位置および結合位置の中間となる位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図55は、図54のLV−LV線における円環動作ユニット700の断面模式図である。図56は、一対の円環形成部材790が結合位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図57は、図56のLVII−LVII線における円環動作ユニット700の断面模式図である。
なお、図52から図57では、図面を簡素化して理解を容易とするために、中間ケース体510、背面ケース体520及び正面ケース体530からなる外殻構造、駆動モータ740及び歯車群(第1歯車751〜第6歯車756)からなる駆動構造、或いは、カバー体785などの図示が省略される。但し、図52、図54及び図56では、中間ケース体710の本体部711及び張出部713(正面711a,713a)における上縁の位置、及び、正面ケース体730の本体部731(背面731a)における上縁の位置を、それぞれ二点鎖線を用いて模式的に図示する。
図52及び図53に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された状態では、一対のラック762が互いに離間する方向へ展開されており、その先端側(先端ガイド片762a側)の歯面がピニオンギヤ761に歯合される。よって、一対のラック762の後端側(挿通孔762c)に基端側(挿通軸772)が軸支される一対のリンク部材770は、傾倒された状態とされ、かかる一対のリンク部材770の先端側(歯車部774)が軸支される昇降ベース体780は最下方に配置される。また、一対の円環形成部材790は、互いに離間する方向へ展開され(左右に振り分けられ)ている。
この状態(一対の円環形成部材790が退避位置に配置された状態)から駆動モータ540が駆動され、その回転駆動力が歯車群を介してピニオンギヤ761に伝達されると(図48及び図49参照)、ピニオンギヤ761が図52右回り(時計回り)に回転され、そのピニオンギヤ761の回転に伴い、一対のラック762がその展開長さを短縮する方向(後端側の挿通孔762cを互いに近接させる方向)へ直線運動される。その結果、一対のリンク部材770は、その基端側(挿通軸772)が中央へ向けて(即ち、互いに近接する方向へ向けて)変位されることで、次第に起立される。
その結果、図54及び図55に示すように、昇降ベース体780に対する一対のリンク部材770の相対的な回転が形成され、その回転が歯車部774,792を介して、一対の円環形成部材790に伝達されることで、かかる一対の円環形成部材790が昇降ベース体780に対して相対的に回転され、その一対の円環部材790の先端どうしが近接される。同時に、一対のリンク部材770の起立動作により、ラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及びラック762)に対する昇降ベース体790の相対的な変位が形成され、かかる昇降ベース790が上昇される。
このように、円環動作ユニット700では、ラック・ピニオン機構に基端を軸支させた一対のリンク部材770の先端に昇降ベース体780を軸支して、一対のリンク部材770の起立または傾倒により昇降ベース体780を昇降可能としつつ、更に、昇降ベース体780に基端が軸支された円環形成部材790の歯車部792を、リンク部材770の歯車部774に歯合させることで、昇降ベース体780に対するリンク部材770の相対的な回転により円環形成部材790を回転可能とする。
即ち、駆動モータ740の駆動力を昇降ベース体790へ伝達する手段(昇降させる手段)と、駆動モータ740の駆動力を円環形成部材790へ伝達する手段(回転させる手段)とを、それぞれ個別に設ける必要がなく、リンク部材770に兼用させることができるので、その分、部品点数を削減して、製品コストの低減を図ることができる。また、円環形成部材790の回転運動と上下方向への直線運動とを平行して行うことができ、即ち、円環が定位置で形成されるのではなく、上下方向に位置を変化させつつ円環が順に形成されるので、その演出効果を高めることができる。
一方で、本実施形態では、上述の通り、リンク部材770の歯車部774と円環形成部材790の歯車部792とを歯合させ、これら歯車774,792の歯合を介して、リンク部材770の回転を円環形成部材790に伝達するが、この場合、例えば、図54及び図55に示すように、一対のリンク部材770の起立が進行されると、重心位置が高くなることから、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより、昇降ベース体780(及び、一対の円環形成部材790)の前後方向(図54紙面垂直方向、図55左右方向)への振動や揺れが発生しやすくなる(前後方向への変位量が大きくなる)。
これらリンク部材770(本体部771)又は円環形成部材790(本体部791)のたわみやねじれ或いは前後方向への振動や揺れは、それらリンク部材770及び円環形成部材790に一体に形成された歯車部774,792に影響を与え、歯車部774,792を相対的に変位させることで、それら歯車部774792の歯合が外れるおそれがある。仮に、それら歯車部774,792の歯合が外れることを回避できたとしても、歯合状態(歯合面積)が不安定となり、歯面の一部に面圧が集中することで、歯774b,792bの偏磨耗を招き、耐久性が低下するおそれがあった。
これに対し、本実施形態では、リンク部材770には、本体部771と歯車部774とを連結する突設壁部773の壁面に歯774bが延長して刻設されているので(図50参照)、上述した歯車部774,792の相対変位が発生した場合でも、は774bの延長の分、歯車部774,792どうしの歯合を維持しやすくできる。その結果、歯合が外れることを抑制できるだけでなく、歯合状態を安定化させ、歯774b,792bの偏磨耗を抑制することができ、その耐久性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、図54及び図55に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置および結合位置の中間となる位置に配置され(具体的には、ピニオンギヤ761に対するラック762の相対可動範囲の中間位置にラックが配置され)、一対のリンク部材770の起立角度が所定の角度に達すると、歯車部774の歯774bであって、突設壁部773に刻設される歯774bに連なる歯774bが(図50参照)、円環形成部材790の歯車部792における歯792bとの歯合を開始する。
よって、図54及び図55に示す状態から後述する図56及び図57に示す状態までの範囲(即ち、リンク部材770の起立角度が大きくなるために、昇降ベース体790の前後方向への振動や揺れが発生しやすくなり、歯車774,792の歯合が最も外れやすくなる範囲)において、突設壁部773の壁面に延長して刻設した歯774bを有効に活用できる。その結果、歯車774,792の歯合が外れることの抑制あるいは歯774b,792bの耐久性の向上を効果的に達成できる。
図54及び図55に示す状態から、駆動モータ740の駆動により、ピニオンギヤ761が図52右回り(時計回り)に更に回転され、一対のラック762がその展開長さを更に短縮する方向(後端側の挿通孔762cを互いに近接させる方向)へ直線運動されると、一対のリンク部材770が略垂直に起立される。即ち、昇降ベース体780の軸782(図49参照)とリンク部材770の挿通軸782とを結ぶ方向が略垂直とされる。その結果、図56及び図57に示すように、一対の円環形成部材790が結合位置に配置され、それら一対の円環形成部材790の先端どうしが当接されることで、円環形状が形成される。
この場合、一対の円環形成部材790が結合位置に配置された状態(即ち、一対のリンク部材770が直立状態(鉛直方向に沿う姿勢)まで起立された場合)には、これら一対のリンク部材770の対向面間に、前面ケース体730の柱部732と中間ケース体710の張出部713の連結部分(本実施形態では、張出部713の頭部713b、図48及び図49参照)が介設され、その連結部分(張出部713の頭部713b)の左右の側面が一対のリンク部材770の対向面に当接されるので(図56参照)、円環形状を形成した一対の円環形成部材790及びその一対の円環形成部材790を支える昇降ベース体780の姿勢を結合位置において安定化することができる。
即ち、結合位置では、一対のリンク部材770が直立に起立された状態となり、重心が高くなることで、かかる一対のリンク部材770が挿通軸772を中心として左右(図56左右方向)に回転しやすくなると共に、その一対のリンク部材770の左右の回転を受けてラック762もその直線運動の方向(図56左右方向)へ移動されやすくなる。そのため、それらリンク部材770及びラック762の姿勢の維持が困難となり、その結果、リンク部材770の先端に配設される昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢も不安定となる。
これに対し、本実施形態によれば、一対のリンク部材770の対抗面の間に正面ケース体730(柱部732)と中間ケース体710(張出部713)との連結部分(張出部713の頭部713b)が介設されるので、かかる連結部分(頭部713b)によって、一対のリンク部材770の挿通軸772を中心とする左右方向への回転およびラック762の直線運動の方向への移動を規制することができる。これにより、一対のリンク部材770を起立状態に維持して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を結合位置において安定化できる。
また、リンク部材770は、一対が左右(図52、図54及び図56の左右方向)に略対称に向かい合わせに配置されるので、比較的下方に傾倒された状態(例えば、図52から図55までの間)においては、一対のリンク部材770が挿通軸772を中心として左右(図52及び図54の左右方向)に回転しようとする動作を、向かい合わせに配設された一対のリンク部材770どうしで互いに打ち消し合うことができ、その姿勢の維持が可能となる。
一方で、リンク部材770は、平板形状に形成されることもあり、前後方向(例えば、図54の紙面垂直方向)の変位に対しては、その姿勢の維持が困難である。この場合、本実施形態では、リンク部材770の基端側(挿通軸772側)を、中間ケース体710及び正面ケース体730との対向面で挟み込む。即ち、リンク部材770が傾倒状態と起立状態との間で回転(変位)される際には、かかるリンク部材770の基端側における正面および背面に対し、正面ケース体730(本体部731)の背面731aと中間ケース体710(本体部711)の正面711aとを当接させることができる。これにより、リンク部材770の前後方向(図54の紙面垂直方向)への揺れを効果的に抑制しつつ、かかるリンク部材770を傾倒状態および起立状態の間で安定して回転(変位)させることができる。その結果、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることができる。
特に、本実施形態では、中間ケース体710(本体部711)の幅方向中央部分には張出部713が上方へ向けて張り出し形成され(図48及び図49参照)、かかる張出部713は、図56に示すように、幅方向中央部分に近づくに従って(即ち、リンク部材770が起立されるに従って)、その正面713aの上縁の位置が高くされる(即ち、リンク部材770の背面に当接可能な面積が大きくされる)。
このように、中間ケース体710(本体部711)の正面711aの上縁の位置を全体に高くするのではなく、中央部分のみを部分的に高くすることで、上縁の位置が高くされた中間ケース体710の壁面により外観が損なわれる(或いは、第3図柄表示装置81の配設領域が縮小される)ことを抑制しつつ、リンク部材770が起立状態に近づくほど、張出部713の正面713aとリンク部材770の背面との間の当接可能な面積を広くして、リンク部材770の姿勢を維持する(前後方向への揺れを抑制する)効果を高めることができる。その結果、外観が損なわれることを抑制しつつ、リンク部材770を起立状態近傍において安定して回転(変位)させることができる。即ち、結合位置において昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して保持できると共に、結合位置の近傍において、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることができる。
なお、本実施形態では、図52に示すように、中間ケース体710の張出部713が、その正面713aを、退避位置に退避された(即ち、最下方まで傾倒された)一対のリンク部材770の背面に当接可能な形状に設定される(図46参照)。これにより、結合位置において昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して保持することと、結合位置の近傍において、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることとを目的として、その上縁の高さ位置を高くした部分(張出部713)を利用して、退避位置(最下方)に配置された昇降ベース780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して維持する効果も同時に得ることができる。
なお、図56及び図57に示す状態から、駆動モータ740が上述の場合とは逆方向に回転駆動されると、ピニオンギヤ761が図56左回り(反時計回り)に回転され、そのピニオンギヤ761の回転に伴い、一対のラック762が展開される(即ち、後端側の挿通孔762cを互いに離間させる方向へ直線運動される)。その結果、一対のリンク部材770が徐々に傾倒され、図52及び図53に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置に退避される。
ここで、円環動作部材700では、ラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及び一対のラック762)に、一対のリンク部材770を介して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が作用される。即ち、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、一対のリンク部材770を介して、一対のラック762を展開させる方向へ作用される。そのため、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790が結合位置から下降されるおそれがある。この場合、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量に対し、駆動モータ740の駆動力を対抗させることで、昇降ベース体780の下降を規制する(即ち、昇降ベース体780を結合位置に保持する)構造では、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーが嵩んでしまう。
これに対し、本実施形態では、上述したように、リンク部材770の本体部771と歯車部774との間には突設壁部773が介設され、その突設壁部773の突設高さhの分だけ、本体部711から歯車部774が前方(正面)側へオフセットされている(図50(d)参照)。よって、例えば図55及び図57に示すように、昇降ベース体780は、ラック762の歯面に平行な方向であってラック762の移動方向に直交する方向(即ち、図54及び図56の紙面手前側、図55及び図57の左側)に、リンク部材770の厚み寸法(即ち、本体部771及び歯車部774の厚み寸法と突設壁部773の突設高さhとの合計寸法)の分だけ、ラック762からオフセット(離間)される。
これにより、ラック762には、リンク部材770を介して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、上述したオフセット方向へ向けても作用される。即ち、リンク部材770からラック762に作用される力成分として、昇降ベース体780がオフセットされる方向への力成分を発生させることができ、その分、ラック762をその移動方向へ移動させる力成分を小さくすることができる。その結果、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーを抑制できる。
特に、本実施形態では、図56に示すように、結合位置においては、リンク部材770が鉛直方向に沿う姿勢で起立され、昇降ベース体780の軸782(図49参照)とリンク部材770の挿通軸772とを結ぶ方向がラック762の歯面に略直交される。よって、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、リンク部材770を介して、ラック762に作用される場合に、そのリンク部材770からラック762に作用する力成分として、ラック762を展開させる方向(即ち、起立状態にあるリンク部材770を傾倒させる方向)への力成分が発生することを抑制できる。これにより、駆動モータ740の駆動力を解除しても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持することができ、その結果、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーを抑制できる。
なお、詳細には、本実施形態では、図56に示すように、昇降ベース体780の一対の軸782間の水平方向(図56左右方向)における距離T1が、一対のリンク部材770の挿通軸772間の水平方向における距離T2よりも小さくされる(T1<T2)。これにより、一対のリンク部材770がそれぞれ鉛直方向に対し若干傾斜した姿勢(即ち、一対のリンク部材770がハの字状となる姿勢)で起立される。このように、一対のリンク部材770をハの字状となる姿勢としておくことで、かかる図56に示す状態(結合位置)から退避位置への動作を開始するために、駆動モータ740を上述の場合とは逆方向に回転駆動する際には、その回転駆動による一対のラック762の展開(即ち、一対のリンク部材770の傾倒)を容易かつ確実に開始させることができる。
特に、本実施形態では、円環形成部材790の本体部791の先端には磁石が埋設され、本体部791の先端どうしが磁着されているため、駆動モータ740の駆動力を解除しても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持しやすくできる。一方で、結合位置から退避位置への動作を開始する際には、その磁石の磁着力を解除させる必要がある。この場合、一対のリンク部材770をハの字状となる姿勢としておく(即ち、T1<T2を設定する)ことが、結合位置での結合状態の保持と、結合位置から退避位置への動作開始時の結合状態の解除との両者の確実化を両立するという点で特に有効となる。
ここで、円環形成部材790の本体部791の先端に埋設される磁石を省略しても良い。なお、この場合には、昇降ベース体780の一対の軸782間の水平方向(図56左右方向)における距離T1と、一対のリンク部材770の挿通軸772間の水平方向における距離T2とを略同一とするか(T1=T2)、或いは、前者を後者よりも大きくすることが好ましい(T2<T1)。これにより、駆動モータ740の駆動力を解除した場合であっても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持しやすくできる。
なお、本実施形態では、案内棒733が、ラック762の歯面よりも正面側(図57左側)であって、昇降ベース体780(本体部781)よりも背面側(図57右側)に配置される。また、案内棒733が挿通される昇降ベース体780の被案内部784は、昇降ベース体780(本体部781)の最下方に配置される。即ち、ラック762に対する昇降ベース体780の前方へのオフセットの方向において、リンク部材770の挿通軸772がラック762の挿通孔762cに挿通される部分と、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790からなる構造体の重心位置との間となる位置に、案内棒733が配置され、この案内棒733及び被案内部784を介して、昇降ベース体780の昇降が案内される。かかる配置により、上述したラック762に対して昇降ベース体780を正面側にオフセット配置することによる効果の発揮と、昇降ベース体780のスムーズな昇降動作の確保との両立を図ることができる。
次いで、図58から図64を参照して、揺動動作ユニット800について説明する。
なお、揺動動作ユニット800は、上述したように2本のアーム部材820を備え(図7及び図11参照)、それら両アーム部材820を動作(変位)させるための2つのユニットからなる。即ち、揺動動作ユニット800は、背面ケース210の正面視において、背面ケース210内の上方であって、開口211aを挟んで左右に配設される2つのユニットからなる。この場合、アーム部材820を動作(変位)させるための構造(技術思想)は2つのユニットにおいてそれぞれ同一であるので、以下においては、これら2つのユニットのうちの1のユニット(開口211aの左側に配設されるユニット、図7及び図11参照)を揺動動作ユニット800と称して説明する。
図58は、アーム部材820が退避位置に退避された状態における揺動動作ユニット800の正面斜視図であり、図59は、アーム部材820が張出位置に張り出された状態における揺動動作ユニット800の正面斜視図である。
図58及び図59に示すように、揺動動作ユニット800は、基端が回転可能に軸支されるアーム部材820と、そのアーム部材820に回転駆動力を付与する駆動モータ830とを備え、図58に示す退避位置と、図59に示す張出位置との間でアーム部材820を揺動動作(回転)させる。退避位置では、アーム部材820は、垂直下方へ向けて垂下された姿勢となり、複合動作ユニット400の背面側に退避されることで、遊技者から視認不能とされる一方(図6参照)、張出位置では、アーム部材820は、その先端を上方へ持ち上げて斜め下方へ向けて傾斜する姿勢となり、その先端を第3図柄表示装置81(図5参照)の正面に張り出させる。
この場合、本実施形態では、図59に示す張出位置にアーム部材820が配置されると、後述するように、アーム部材820を機械的に張出位置に保持可能とされる。そのため、アーム部材820が重力の作用(自身の重さ)により退避位置へ向けて回転しないように、駆動モータ830の駆動力を対抗させる必要がなく、その分、アーム部材820を張出位置に保持するために必要とされる駆動モータ830の消費エネルギーを抑制することができる。この詳細構成について、図60から図64を参照して説明する。
図60は、分解された揺動動作ユニット800を正面視した揺動動作ユニット800の分解正面斜視図である。また、図61(a)は、アーム部材820が退避位置に配置された状態における揺動動作ユニット800の背面図であり、図61(b)は、図61(a)の部分LXIbにおける揺動動作ユニット800の部分拡大背面図である。なお、図61(a)及び図61(b)では、取り付けベース810が取り外された状態の揺動動作ユニット800が図示される。
図60及び図61に示すように、揺動動作ユニット800は、背面ケース210(図7参照)に配設される取り付けベース810と、その取り付けベース810に基端が回転可能に軸支されるアーム部材820と、そのアーム部材820を回転駆動するための駆動力を発生する駆動モータ830と、その駆動モータ830が配設されると共に取り付けベース810の正面に配設される表ケース体840と、を主に備えて構成される。
取り付けベース810は、表ケース体840との間にアーム部材820の基端および駆動モータ830を収容するための部材であり、正面視縦長の矩形状に形成される。取り付けベース810は、その正面から突設されると共にアーム部材820を回転可能に軸支するための軸811を備える。
アーム部材820は、長尺形状に形成される本体部821と、その本体部821の基端側に溝状の開口として形成される溝部822と、その溝部822とは反対側となる本体部821の先端側の正面に覆設されると共に装飾体として形成される装飾部823と、その装飾部823及び溝部821の間となる位置において本体部821に貫通形成される軸支孔824と、を主に備えて構成される。
溝部822は、直線状に延設される第1溝822aと、その第1溝822aの一端に連接され円弧状に湾曲して延設される第2溝822bとからなり、これら両溝822a,822bから正面視L字状の溝として形成される。言い換えると、溝部822は、第1溝822aの対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹設された凹部が第2溝822bとされる。
なお、第2溝822bの円弧形状は、突設ピン833が第1溝822aの終点(第1溝822aと第2溝822bとの接続位置)に配置された状態(図63(b)参照)において、駆動モータ830の駆動軸831を中心とする円弧形状に一致される。また、第1溝822a及び第2溝822bの溝幅は、互いに同一の寸法に設定される
アーム部材820は、その軸支孔824に取り付けベース810の軸811を挿通させることで、その基端が取り付けベース810に対して回転可能に軸支される。この場合、アーム部材820には、その本体部821の正面であって、軸支孔824の近傍となる領域に、表ケース体840の当接面部841が当接される(図61(b)参照)。これにより、アーム部材820は、その基端が取り付けベース810及び表ケース体840の対向間に回転可能な状態で保持される。
駆動モータ830は、その駆動軸831に基端が固着されると共に駆動軸831から径方向外方へ延設される板状の駆動アーム832と、その駆動アーム832の先端に突設される突設ピン833とを主に備え、その突設ピン833をアーム部材820の溝部822に挿通させた状態で、表ケース体840の背面に締結ねじにより締結固定される。
突設ピン833は、上述した通り、アーム部材820の溝部822に挿通される部位であり、アーム部材820の溝部822(第1溝822a及び第2溝822b)の溝幅と同等または若干小さな外径の円柱状体として形成される。よって、駆動モータ830の駆動軸831が回転駆動される際には、突設ピン833がアーム部材820の溝部822内をその溝部822の延設方向に沿って移動され、その結果、アーム部材820が軸811を中心として回転される。
次いで、図62から図64を参照して、揺動動作ユニット800の揺動動作について説明する。なお、この説明においては、図61を適宜参照する。
図62から図64は、揺動動作ユニット800のアーム部材820を退避位置から張出位置へ動作させる過程を時系列で説明する図であり、図62(a)、図63(a)及び図64(a)は、揺動動作ユニット800の背面図であり、図62(b)、図63(b)及び図64(b)は、それぞれ図62(a)の部分LXIIb、図63(a)の部分LXIIIb及び図64(a)の部分LXIVbにおける揺動動作ユニット800の部分拡大背面図である。
なお、図62は、駆動モータ830が回転駆動され、アーム部材820が退避位置から張出位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が、図63は、アーム部材820が張出位置に到達した直後の状態が、図64は、アーム部材820が張出位置に到達し、かつ、駆動モータが更に回転駆動された状態が、それぞれ図示される。
図61(a)及び図61(b)に示すように、アーム部材820が退避位置に配置される状態では、アーム部材820は下方へ向けて垂下された姿勢とされ、突設ピン833は、溝部822の第1溝822aにおける始点(第2溝822bに接続される側と反対側の端部、図61(b)右側)に位置される。
なお、この退避位置では、アーム部材820の本体部821の側面から突設される突部821aの突設先端面が、取り付けベース810の側壁における規制面812に所定間隔を隔てて対面される。よって、外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)を受けて、アーム部材820が軸811を中心として回転される場合には、突部821aを規制面812に当接させて、アーム部材820の回転を規制することができ、かかる回転を速やかに収束させることができる。
図61(a)及び図61(b)に示す状態(アーム部材820が退避位置に配置された状態)から駆動モータ830の駆動軸831が回転駆動され、駆動アーム832が図61(b)左回り(反時計回り)に回転されると、突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点(第2溝822bに接続される側、図61(b)左側)へ向けて移動される。
これにより、図62(a)及び図62(b)に示すように、アーム部材820が軸支孔824を中心として図61(b)右回り(時計回り)に回転される。駆動モータ830の駆動軸831が更に回転駆動され、駆動アーム832が図62(b)左回り(反時計回り)に更に回転された結果、突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点に達すると、図63(a)及び図63(b)に示すように、アーム部材820が張出位置に配置される。
ここで、従来の遊技機においても、第1軸(軸811に相当)と、その第1軸を中心に回転される移動部材(アーム部材820に相当)と、その移動部材に駆動力を付与する駆動モータ(駆動モータ830に相当)とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を、第1軸を回転中心として回転させるものがある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、移動部材が上昇位置(張出位置に相当)に配置される場合、その移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。この場合、上述した従来の遊技機では、駆動モータの駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を上昇位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、本実施形態の揺動動作ユニット400によれば、アーム部材820を張出位置に機械的に保持することで、駆動モータ830の駆動力を解除可能として、アーム部材820を張出位置に保持するために要する消費エネルギーを抑制できる。
即ち、本実施形態よれば、図63(a)及び図63(b)に示す状態(突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点に達し、アーム部材820が張出位置に配置された直後の状態)において、駆動モータ830が更に回転駆動される。これにより、駆動アーム832が図62(b)左回り(反時計回り)に更に回転されることで、図64(a)及び図64(b)に示すように、突設ピン833が溝部822の第2溝822b内に移動された(受け入れられた)状態を形成する。
このように、本実施形態では、第1溝822aの終点に第2溝822bが連接されており(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹部が凹設されており)、アーム部材820が張出位置に配置された状態では、突設ピン833が第2溝822b内に移動された(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹設された凹部に突設ピン833が受け入れられた)状態が形成されるので、アーム部材820を張出位置に機械的に保持する(アーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心に回転されることを規制する)ことができる。即ち、駆動モータ830の駆動力を解除されたとしても、アーム部材820を張出位置に機械的に保持でき、その分、アーム部材820を張出位置に保持するために要する駆動モータ830の消費エネルギーを抑制できる。
更に、本実施形態では、図64(a)及び図64(b)に示す状態において、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向に対し、突設ピン833と軸支孔824(軸811)とを結ぶ方向が略直交し、かつ、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向に対し、突設ピン833が位置する部分の第2溝822bの互いに対向する内壁面が略直交するように形成される。
よって、アーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心として回転されると、第2溝822bの内壁面は、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向と一致する方向へ向けて、突設ピン833を押圧するため、アーム部材820が回転され、第2溝822bの内壁面によって突設ピン833が押圧されたとしても、駆動モータ830の駆動軸831を回転させることができない。即ち、アーム部材820を回転させることができない。
従って、駆動モータ830の駆動力が解除されている状態において、例えば、遊技者が遊技機を叩いたり揺らしたりすることで、アーム部材820が揺らされた場合でも、かかるアーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心に回転されることを規制でき、その結果、張出位置に確実に保持しておくことができる。
この場合、上述したように、第2溝822bの円弧形状は、図63(b)に示すように、突設ピン833が第1溝822aの終点(第1溝822aと第2溝822bとの接続位置)に配置された状態において、駆動モータ830の駆動軸831を中心とする円弧形状に一致される。よって、第1溝822bの終点に配置された突設ピン833を第2溝822b内へ移動させる(受け入れさせる)際には(即ち、図63に示す状態から図64に示す状態に遷移する際には)、突設ピン833の移動軌跡と第2溝822bの内壁面の形状とが一致されているので、張出位置に配置されたアーム部材820の姿勢が変動することを回避することができる。
即ち、図63に示すように、アーム部材820が張出位置に配置された後には、かかるアーム部材820の張出位置における姿勢が変動することを抑制しつつ(停止状態に維持しつつ)、突設ピン833を第2溝822b内に移動させ(受け入れさせ)、アーム部材820を張出位置に機械的に保持することができる。
ここで、溝部822は、第1溝部822aの終点から第2溝822bが軸支孔824と反対側(軸支孔824から離間する側)へ向けて延設される形状(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの軸支穴824と反対側の内壁面に凹部が凹設される形状)であっても、本実施形態の場合と同様に、アーム部材820の機械的な保持が可能である。しかしながら、この場合には、アーム部材820が張出位置に配置された後、突設ピン833を第2溝822b内へ移動させる(受け入れさせる)際に、駆動モータ830の回転方向を切り替える必要が生じ、制御が煩雑となると共に、動作の信頼性が低下する。
これに対し、本実施形態では、溝部822は、第1溝部822aの終点から第2溝822bが軸支孔824側(軸支孔824に近接する側)へ向けて延設される形状(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの軸支穴824側の内壁面に凹部が凹設される形状)であるので、駆動モータ830の回転方向を切り替えることなく、アーム部材820を退避位置から張出位置へ配置し、かつ、凹設ピン833を第2溝822b内へ移動させて(受け入れさせて)、アーム部材820を張出位置において機械的に保持する動作を行うことができる。その結果、制御を簡素化できると共に、動作の信頼性を向上させることができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の位置決め孔451e,462eが貫通孔として本体部451a,462aに貫通形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の位置決め孔451e,462eを有底の凹部としても良い。有底の凹部とした場合でも、上記実施形態の場合と同様の方法により、その凹部に冶具を挿入することで、その取り付け位置などの位置決めすることができる一方、貫通孔として形成する場合と比較して、開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の剛性を確保できるので、その耐久性の向上を図ることができる。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の長さを異ならせることで、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高める場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の長さを同一として、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉とすることは当然可能である。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、第1ピニオン脚部材482のギヤ部482c及びラック部481bの間のギヤ比と、第2ピニオン脚部材483のギヤ部483c及びラック部481bの間のギヤ比とが同一である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482のギヤ部482c及びラック部481bの間のギヤ比と、第2ピニオン脚部材483のギヤ部483c及びラック部481bの間のギヤ比とを異なるギヤ比としても良い。これにより、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高めることができる。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の両者がラック部481bと歯合される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482又は第2ピニオン脚部材483のいずれか一方のみをラック部481bと歯合させ、他方についてはラック部481bに歯合させず裏アーム体471及び表アーム体472に回転可能に軸支するのみとしても良い。これにより、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高めることができる。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、動作部材491,492の開閉動作および回転動作として、回転第1歯車461及び開閉第1歯車451を回転角度θ0から回転角度θ4まで連続して回転させる動作を一単位として説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、回転角度θ0〜θ4の範囲内で動作の単位を区切ることは当然可能である。
上記実施形態では、第1結合動作ユニット500において、A層ベース板531の背面に挿通軸531cが3本を一列として二列並設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各列の挿通軸531cの本数は、2本以下であっても良く、或いは、4本以上であっても良い。
上記実施形態では、第1結合動作ユニット500において、A層ベース板531の背面に上下に並ぶ3本の挿通軸531cのうちの中央の挿通軸531cに第1リンク部材541及び第2リンク部材542を連結する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上下に並ぶ3本の挿通軸531cのうちの上側の挿通軸531c又は下側の挿通軸531cに第1リンク部材541及び第2リンク部材542を連結しても良い。
上記実施形態では、第1結合動作ユニット500において、第1リンク部材541の軸支孔541a及び摺動孔541cに挿通される支持軸527及び挿通軸531cに対しては抜け止めとして止め輪Eを装着または締結ねじを締結する一方、連結孔541bに挿通される連結軸526に対しは、抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が省略される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら3ヶ所のうちの少なくとも1ヶ所において抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が施されていれば良い。
<本実施形態における制御処理の詳細説明について>
ここで、図4を参照して、詳細に本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、図10を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図79照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図87参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、特別図柄の保留球を記憶するための4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)からなる特別図柄保留球格納エリア203aが設けられており、特別図柄保留球実行エリアが設けられている。特別図柄保留球格納エリア203aの各エリアには、第1入賞口64または第2入賞口640への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2の各値がそれぞれ格納される。
また、RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる普通図柄保留球格納エリア203bが設けられており、これらの各エリアには、球が左右何れかのスルーゲート67を通過したタイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜299)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜299の値を取り得るカウンタの場合は299)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜299の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜299の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図79参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図87参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される特別図柄大当たり乱数テーブル(図68(a)参照)によって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄大当たり乱数テーブルによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この特別図柄大当たり乱数テーブルは、特別図柄の低確率時(特別図柄の低確率状態である期間)用と、その低確率時より特別図柄の大当たりとなる確率の高い高確率時(特別図柄の高確率状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。尚、特別図柄の高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図68(a)参照)と、特別図柄の低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図68(a)参照)とは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。
ここで、特別図柄保留球格納エリア203aに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数でなければ、即ち、特別図柄の外れとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の外れ時のものとなる。
一方で、特別図柄保留球格納エリア203aに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の大当たり時のものとなる。この場合、その大当たり時の具体的な表示態様は、同じ特別図柄保留球格納エリア203aに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値が示す表示態様となる。
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり乱数カウンタC1は、0〜299の範囲の2バイトのループカウンタとして構成されている。この第1当たり乱数カウンタC1において、特別図柄の低確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は3個あり、その乱数値である「7」は、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が300ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が3なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/300」となる。
一方で、特別図柄の高確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は10個あり、その値である「0〜9」は、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の高確率時には、乱数値の総数が300ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が10なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/30」となる。
また、本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されている。そして、大当たり種別選択テーブル202b(図68(b)参照)に設定される、この第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0〜59」であった場合の大当たり種別は、「大当たりA(16R確変大当たり)」となる。また、値が「60〜99」であった場合の大当たり種別は、「大当たりB(16R通常大当たり)」となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、第1当たり種別カウンタC2が示す乱数の値によって、2種類の当たり種別(大当たりA、大当たりB)が決定されるように構成されている。尚、第1当たり種別カウンタC2の値(乱数値)から、特別図柄の大当たり種別を決定するための乱数値は、特別図柄大当たり種別テーブル202b(図68(b)参照)により設定されており、このテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆる短時間外れ、長時間外れ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図87参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターン選択テーブル202d(図69(a)〜(b)参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
次に、図69を参照して、主制御装置110のROM202内に設けられている変動パターン選択テーブル202dについて説明する。変動パターン選択テーブル202dは、大当たり用変動パターン選択テーブル202d(図69(a)参照)と外れ用変動パターン選択テーブル202d(図69(b)参照)とを少なくとも有している。なお、本実施形態では、省略したが、時短用、確変用の各遊技状態における専用の変動パターン選択テーブルを設定して、遊技状態によって切り替えるように設定してもよい。
図69(a)に示すように、変動開始する特別図柄1の当否判定結果、変動開始時の特別図柄1の保留球数に対応して、それぞれ、変動種別カウンタCS1の値に基づいて、各変動パターンを選択する構成となっている。ここで、決定される変動パターンは、変動パターンの大まかな種別、変動時間が決定される事となる。「大当たりA」、「大当たりB」共通の当否判定結果が大当たりの場合に選択される変動パターンとして、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」各種が規定されている。各変動パターンに対して、変動種別カウンタCS1の値が割り付けられており、当否判定結果が当たりであれば、取得している変動種別カウンタCS1の値に基づいて、変動パターンが決定される。なお、当否判定結果が当たりである場合には、保留個数の値に関わらず、変動種別カウンタCS1の値に基づいて、変動パターンが選択される。ここで、当否判定結果が当たりである場合には、「ノーマルリーチ」よりも、「スーパーリーチ」となる変動パターンの方が選択され易く設定されている。よって、当否判定結果が当たりである場合には、「スーパーリーチ」の変動パターンが実行されて大当たりとなる頻度が増え、遊技者は、「スーパーリーチ」の変動パターンが選択されると大当たりへの期待を持ちやすい。
なお、「ノーマルリーチ」の大当たりの変動パターンであるノーマルリーチ大当たり変動パターンAは、左図柄列Z1と右図柄列Z3とで同じ図柄で停止表示されるリーチ表示態様を経て、中図柄列Z2が所定時間変動表示した後に、リーチ表示態様の主図柄と同じ図柄で停止表示される変動表示態様である。「ノーマルリーチ」の大当たりの変動パターンは、後述する「スーパーリーチ」の大当たりとなる変動パターンと比較して、比較的に短い変動時間で構成されている。
「スーパーリーチ」の大当たりの変動パターンであるスーパーリーチ大当たり変動パターンA〜Cは、ノーマルリーチ大当たり変動パターンAと同様に、リーチ表示態様で表示され、その後に、キャラクタ等が表示されて、リーチ表示態様で表示されている図柄と同じ図柄で中図柄列Z2が停止表示されるか否の演出が実行される。「スーパーリーチ」の変動パターンは、「ノーマルリーチ」の変動パターンよりも比較的に長い変動時間で構成されている。
次に、図69(b)を参照して、外れ用の変動パターン選択テーブル202dである外れ用変動パターンテーブルについて説明する。特別図柄の当否判定結果が外れである場合に選択される変動パターンとしては、外れ用の変動パターンとして、「短時間外れ(短時間用)」、「長時間外れ(短時間用)」、「ノーマルリーチ外れ」、「スーパーリーチ外れ」が規定されている。「短時間外れ」の変動パターンである短時間外れ変動パターンは、他の変動パターンよりも短い変動時間(800ms)で構成され、リーチ表示態様で表示されることなく、所定時間の間、主図柄が変動表示された後に、左図柄列Z1、右図柄列Z3、中図柄列Z2の順で主図柄が停止表示される表示態様が実行される。「長時間外れ」の変動パターンである長時間外れ変動パターンは、短時間外れ変動パターンよりも長い変動時間(12000ms)で構成されている。「ノーマルリーチ外れ」の変動パターンであるノーマルリーチ外れ変動パターンは、ノーマルリーチ大当たり変動パターンの対して中図柄列Z2がリーチ表示態様の図柄とは異なる図柄で最終的に停止表示されることで異なる表示態様で構成された抽選結果が外れである事を示す表示態様である。このノーマルリーチ外れ変動パターンは、当否判定結果が外れである場合には、後述するスーパーリーチ外れ変動パターンよりも選択され易く構成されている。また、「スーパーリーチ外れ」であるスーパーリーチ外れ変動パターンは、スーパーリーチ大当たり変動パターン各種に対して、最終的に外れを示す表示態様で表示される点で異なる表示態様である。
特別図柄の当否判定結果が外れである場合には、変動開始時の特別図柄の保留個数が0〜2個である場合と3個〜4個である場合とで、選択される変動パターンの割合が異なるように変動種別カウンタCS1が各変動パターンにそれぞれ割り付けされている。
保留個数が0個〜2個である場合には、「短時間外れ」の変動パターンには、変動種別カウンタCS1の値が割り付けられておらず、選択されない構成となっている。これにより、保留個数が0〜2個である時には、選択される変動パターンの変動時間が比較的長くなり、その間に第1始動口64a、第2入賞口640に遊技球を入球させやすくして、特別図柄の変動が停止した期間(遊技の抽選が実行されない期間)が発生してしまうのを抑制できる。
また、保留個数が3個〜4個である場合には、「短時間外れ」の変動パターンが選択される割合が多く設定されている。これにより、保留個数が3個〜4個と上限個数に近い場合には、短い変動パターンが選ばれやすく構成することで、第1入賞口64または第2入賞口640に入球しても、保留個数以上の無効球となってしまう不具合を抑制することができる。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜239の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり239)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかのスルーゲート67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)によって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、普通当たり乱数テーブル202cによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄の当たりと判定する。また、この普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)は、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態である期間)用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時(普通図柄の時短状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。さらに、普通図柄の当たりの種別は、通常当たりと長時間当たりとが設定されており、それぞれ第2当たり乱数カウンタC4の値が設定されている。
ここで、普通図柄の通常当たりは、通常遊技状態(低確率遊技状態)、大当たり遊技状態では、0.2秒の開放時間で電動役物640aが開放状態に作動される動作が、1回実行される当たりである。また、時短中、確変期間においては、1秒間の開放時間で電動役物640aが開放状態に作動される動作が、2回繰り返される当たりである。一方、長時間当たりは、遊技状態に関わらず、1秒間の開放時間で電動役物640aが開放状態に作動される動作が、2回繰り返される当たりである。
なお、本実施形態では、通常当たりにおける時短中、確変期間で実行される電動役物640aの開放動作と長時間当たりにおける開放動作とを同じに設定したが、それに限らず、長時間当たりを別の開放動作としてもよい。具体的には、例えば3秒間の間、開放状態となる動作を1回行うようにしてもよい。このように構成することで、長時間当たり時に、より第2入賞口640へ球を入球させることができ、通常遊技中に、特別図柄2での変動表示を実行させ易くすることができ、新鮮味のある予告表示等が表示される特別図柄2の変動表示により遊技者に遊技演出の変化を楽しませることができる。
なお、本実施形態では、図68(c)に示すように、普通図柄の低確率時において、取得した第2当たり乱数カウンタC4の値が5から20のいずれかであれば、普通図柄の通常当たりであると判別される。一方、普通図柄の高確率時において、取得した第2当たり乱数カウンタC4の値が5から204のいずれかであれば、普通図柄の通常当たりであると判別される。
このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。よって、低確率時には、電動役物640aが動作される頻度を低くして、第2入賞口640へ入球する頻度を少なくすることができる。従って、第1始動口64aに入球させることが中心となり、遊技者の遊技球の消費を多くして、遊技店側の利益を増大させることができる。一方、高確率となる時短中と確変期間では、電動役物640aが動作する機会を「1/1.2」の確率で与えることができ、第2入賞口640への入球機会を増大させることができる。よって、遊技者の遊技球の消費を抑制して、遊技者に有利な遊技状態を設定することができる。従って、遊技者が、高確率での遊技を目指して遊技をすることができ、より多くの時間遊技を行わせることができる。
パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、球がスルーゲート67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が30秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜20」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示される。その後、第2入賞口640が「0.2秒間×1回」だけ開放される。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第1始動口64aが「0.2秒間×1回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「0.5秒間×2回」開放しても良い。
一方で、普通図柄の高確率時に、普通図柄の大当たりとなる乱数値は200個あり、その範囲は「5〜204」となっている。これらの乱数値は、高確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図11(a)参照)に格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が200なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/1.2」となる。
パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、球がスルーゲート67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が3秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜204」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第2入賞口640が「1秒間×2回」開放される。このように、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第2入賞口640の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1始動口64aへ球が入球し易い状態となる。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第2入賞口640が「1秒間×2回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「3秒間×3回」開放しても良い。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜239)、タイマ割込処理(図79参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図87参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
図4に戻り、説明を続ける。RAM203は、図66に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図87参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図88参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図85参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、図67(b)に示すように、特別図柄保留球格納エリア203aと、普通図柄保留球格納エリア203bと、特別図柄保留球数カウンタ203cと、普通図柄保留球数カウンタ203dと、時短中カウンタ203eと、確変フラグ203fと、その他メモリエリア203zとを有している。
特別図柄保留球格納エリア203aは、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
より具体的には、球が第1入賞口64または第2入賞口640へ入賞(始動入賞)したタイミングで、各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、保留第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、特別図柄の抽選が行われる場合には、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリアに記憶されている各カウンタC1〜C3の各値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶された各カウンタC1〜C3の各値に基づいて、特別図柄の抽選などの判定が行われる。
尚、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となる。そこで、他の保留エリア(保留第2エリア〜保留第4エリア)に記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリア(保留第1エリア〜保留第3エリア)に詰めるシフト処理が行われる。本実施形態では、特別図柄保留球格納エリア203aにおいて、入賞のデータが記憶されている保留エリア(第2保留エリア〜第4保留エリア)についてのみデータのシフトが行われる。
普通図柄保留球格納エリア203bは、特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有している。これらの各エリアには、第2当たり乱数カウンタC4が格納される。
より具体的には、球が左右何れかのスルーゲート67を通過したタイミングで、カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、入賞した順序が保持されつつ、入賞に対応するデータが格納される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリアに記憶されているカウンタC4の値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶されたカウンタC4の値に基づいて、普通図柄の当たりの抽選などの判定が行われる。
尚、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となるので、特別図柄保留球格納エリア203aの場合と同様に、他の保留エリアに記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリアに詰めるシフト処理が行われる。また、データのシフトも、入賞のデータが記憶されている保留エリアについてのみ行われる。
特別図柄保留球数カウンタ203cは、第1入賞口64または第2入賞口640への入球(始動入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる特別図柄(第1図柄)の変動表示(第3図柄表示装置81で行われる変動表示)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この特別図柄保留球数カウンタ203cは、初期値がゼロに設定されており、第1入賞口64または第2入賞口640へ球が入球して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図82のS404参照)。一方、特別図柄保留球数カウンタ203cは、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図82のS205参照)。
この特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図80のS206、図82のS405参照)。保留球数コマンドは、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が変更される度に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が変更される度に、主制御装置110より送信される保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
尚、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドに基づいて保留球数を管理し、保留球数が変化する度に表示制御装置114に対して、保留球数を通知するための表示用保留球数コマンドを送信する。表示制御装置114は、この表示用保留球数コマンドによって通知された保留球数を基に、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に保留球数図柄を表示する。
普通図柄保留球数カウンタ203dは、スルーゲート67における球の通過に基づいて第2図柄表示装置83で行われる普通図柄(第2図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203dは、初期値がゼロに設定されており、球がスルーゲート67を通過して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図84のS704参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dは、新たに普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される毎に、1減算される(図83のS605参照)。
球が左右何れかのスルーゲート67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)が4未満であれば、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、普通図柄保留球格納エリア203bに記憶される(図84のS705)。一方、球が左右何れかのスルーゲート67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203dの値が4であれば、普通図柄保留球格納エリア203bには新たに何も記憶されない(図84のS703:No)。
時短中カウンタ203eは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203eの値が0であれば、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。この時短中カウンタ203eは、初期値がゼロに設定されており、主制御装置110において特別図柄の抽選が行われ、特別図柄の大当たりと判定される度に、その大当たり種別に応じた値が設定される。即ち、特別図柄の大当たりになった場合には、時短中カウンタ203eの値が幾つであるかに関わらず、大当たり種別に応じた値が新たに設定される。
具体的には、大当たり種別が「大当たりB」であると判定されると、時短中カウンタ203eは100に設定される(図80のS214参照)。その後、時短中カウンタ203eの値が0になるまで、特別図柄の変動演出が終了する毎に1が減算される(図80のS217)。
普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、時短中カウンタ203eの値が参照され、その値が1以上であれば、高確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)に基づいて、普通図柄の抽選が行われる一方、時短中カウンタ203eの値が0であれば、低確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)に基づいて、普通図柄の抽選が行われる(図83のS610,S611参照)。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置83、第2図柄保留ランプ84、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ208や、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図85参照)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。
音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示される背景モードを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、音声出力装置226、ランプ表示装置227を制御し、また、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110からのコマンドや、音声ランプ制御装置113に接続された各種装置等の状況に応じてエラーを判定し、そのエラーの種別を含めてエラーコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114では、受信したエラーコマンドによって示されるエラー種別(例えば、振動エラー)に応じたエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に遅滞無く表示させる制御が行われる。
音声ランプ制御装置113のROM222には、図70(a)に示すように、サブ変動パターン選択テーブル222a、通常背景選択テーブル222b、通常背景予告選択テーブル222c、強制背景予告選択テーブル222dが格納されている。また、音声ランプ制御装置113のRAM223には、図70(b)に示すように、入賞情報格納エリア223a、特別図柄保留球数カウンタ223b、普通図柄保留球数カウンタ223c、変動開始フラグ223d、停止種別選択フラグ223e、演出カウンタ223f、背景選択カウンタ223g、変動態様選択カウンタ223h、時間演出実行フラグ223j、設定時間記憶エリア223k、演出モード記憶エリア223n、通常背景モード記憶エリア223o、その他記憶エリア223zが少なくとも設けられている。
サブ変動パターン選択テーブル222aは、主制御装置110から出力される変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81で表示される特別図柄(第3図柄)の変動表示態様や、音声内容、ランプ等の点灯態様等の変動パターンを選択するためのデータテーブルである。なお、主制御装置110から出力される変動パターンでは、大まかな変動態様である、変動時間、リーチ、非リーチ等が指定されており、その内容に基づいて、音声ランプ制御装置113では詳細な内容が決定される。
図71〜図72を参照して、本実施形態におけるサブ変動パターン選択テーブル222aについて詳細を説明する。このサブ変動パターン選択テーブル222aは、後述する設定されている背景モードの種別(通常背景モードまたは強制背景モード)に対応して、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図71参照)と強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図72参照)とで少なくとも構成されている。なお、その他、時短中や確変中である場合の専用のテーブル等があるが図示とその説明は省略した。
本実施形態では、詳細については後述するが、第3図柄表示装置81に表示される背景により背景モードがそれぞれ設定される。通常背景モードは、モードA〜Dの4種類のモードが抽選により決定されて、そのモードに対応した背景画像が設定される。背景画像の種類としては、モードAとして海(通常A)、モードBとして山(通常B)、モードCとして川(通常C)、モードDとして谷(通常D)の4種類があり、それぞれ第3図柄表示装置81の背景画像として設定される。強制背景モードでは、時間演出期間において表示される背景画像が設定される。時間演出期間中には、海の中の背景画像となり、時間演出期間の残り期間が表示される。
また、本実施形態では、後述するが、選択されている背景モードによりそのモードに対応した予告演出態様が選択されるように構成されている。この予告演出態様は、第3図柄表示装置81で表示される表示態様や音声演出、ランプ等の点灯態様等が設定される。
図71に示すように、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルでは、当否判定結果に対応してそれぞれの変動パターンが変動態様選択カウンタ(図示せず)に基づいて選択されるように構成されている。なお、当否判定結果が外れである場合に選択される変動パターンである短外れと長外れとの変動パターンはそれぞれ1種類のみであるので、選択される変動態様選択カウンタに関わらず、主制御装置110から出力される変動パターンの種別に応じて短外れ、長外れの変動パターンが選択される構成となっている。
図72に示すように、強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルでは、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルと同様に当否判定結果に対応して、それぞれの変動パターンが変動態様選択カウンタの値に基づいて選択されるように構成されている。時間演出期間専用の背景が選択される点で、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルと強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルとは選択される変動パターンの内容が異なる。なお、選択される変動パターンの変動時間や変動種別(リーチ外れ、ど外れ、リーチ当たり等)には代わりがないが、第3図柄表示装置81に表示される表示態様が異なる。強制背景専用のサブ変動パターン選択テーブルでは、時間演出期間専用の変動パターンであり、具体的には、背景画像に対応して海の中にいる演出が主に表示される。
通常背景選択テーブル222bは、通常背景モードの決定を行うためのデータテーブルである。図73は、この通常背景選択テーブル222bの内容を模式的に示した図である。通常背景選択テーブル222bは、変動パターンの選択を行う場合に、後述する背景選択カウンタ223gの値を取得して、その値と選択する変動パターンの種別(リーチ種別、短・長外れ等)に対応して設定された判定値とを照合することで、その判定値に設定されている通常背景モードを選択する構成となっている。
具体的には、図73に示すように、当否判定結果が当たりで、選択される変動パターンの種別がノーマルリーチである場合には、通常背景モードAの判定値として「0〜15」、通常背景モードBの判定値として「16〜60」、通常背景モードCの判定値として「61〜90」、通常背景モードDの判定値として「91〜100」がそれぞれ設定されている。ここで、背景選択カウンタ223gは、「0〜198」までの範囲でメイン処理において更新されるカウンタ値であるので、判定値として設定されていない背景選択カウンタ223gの値を取得している場合には、通常背景モードの変更は実行されないこととなる。また、現在、通常背景モード記憶エリア223oに設定されている通常背景モードと同じ通常背景モードが選択された場合にも、通常背景モードの変更は実行されない。
また、通常背景選択テーブル222bでは、通常背景モードDは、当否判定が当たりの場合のみに選択されるように判定値が設定されているので、通常背景モードDが選択されて谷の背景が第3図柄表示装置81に表示されると大当たりであることを早期に判別できる。よって、遊技者は、谷の背景に切り替わって表示してくれることを期待して遊技を行うことができ、遊技に早期に飽きてしまうのを抑制できる。
さらに、通常背景選択テーブル222bでは、当否判定結果が当たりであると、外れである場合よりも通常背景モードAが選択され難く設定されており、逆に、通常背景モードB〜Cは、外れである場合よりも当たりである場合の方が選択され易く設定されている。これにより、遊技者は、特別図柄の変動開始時に第3図柄表示装置81の背景画像が通常背景モードB〜Cのいずれかの背景モードに切り替わった場合には、大当たりになるのではと期待することができる。特に、通常背景モードCは、通常背景モードBよりも当否判定結果が大当たりである場合に外れの場合よりも選択され易く設定されているので、通常背景モードDに対応する背景画像が表示されるとさらに大当たりへの期待を遊技者に抱かせることができる。
また、例え、通常背景モードB、Cに対応する背景画像に切り替わって、その特別図柄の変動が外れであったとしても、通常背景モードAに対応する背景画像に切り替わらない限り、大当たりへの期待を継続して遊技者に抱かせることができる。また、例え、通常背景モードAに対応する背景画像が表示された場合にも、当否判定が大当たりであるときに選択されるようにも設定されているので、大当たりへの期待を全く持てず遊技者を失望させてしまうことを抑制できる。
通常背景予告選択テーブル222c(図74(a)参照)は、選択されている通常背景モードに対応した予告表示態様(予告内容)を選択するための選択テーブルである、予告表示態様としては、第3図柄表示装置81に特別図柄が変動されている間に、その変動中の特別図柄の当否判定結果を遊技者に示唆するためのキャラクタ画像や文字等が表示される。また、通常背景予告選択テーブル222cで選択される予告表示態様は、選択されている通常背景モードに対応してそれぞれ専用の予告表示態様が設定されている。
具体的には、通常背景モードAが選択されている場合に選択される通常A専用予告1〜3では、海の生物(例えば、カニ、イルカ等)が選択され、通常B専用予告1〜3では、山の生物(例えば、狸、熊等)が選択され、通常C専用予告1〜3では、川の生物(例えば、メダカ、アメンボ等)が選択され、通常D専用予告1〜3では、谷の生物(例えば、鶴、鷹等)が選択されるように予め設定されている。
図74(a)に示すように、通常背景予告選択テーブル222cでは、通常背景モードのそれぞれに対して、変動中の特別図柄の当否判定結果が当たり、外れに分けて、演出カウンタ223fの判定値がそれぞれの予告表示太陽に対して設定されている。なお、演出カウンタ223fは、「0〜198」の範囲でメイン処理(図87参照)が実行される毎に他のカウンタと同様に更新される(処理の図示は省略)カウンタ値であるが、通常背景予告選択テーブル222cに設定されていないカウンタ値を取得した場合には、予告表示態様が選択されない。また、当否判定結果が当たりである場合の方が外れである場合よりも、予告表示態様は各通常背景モードにおいて選択され易く設定されているので、予告表示態様が選択されることで、遊技者は変動中の特別図柄の抽選結果が当たりではないかと期待できる。よって、予告表示態様の表示を期待して遊技を行うことができる。
なお、この通常背景予告選択テーブル222cに設定されている予告表示態様は、第3図柄表示装置81に強制背景が表示されている場合にも、内部的に選択されている通常背景モードに基づいて選択される構成となっている。このように構成することで、強制背景モードが設定されている場合にも多様な予告表示態様を表示させることができる。よって、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制できる。また、後述するが、強制背景モード専用の予告表示態様も表示されるので、それぞれの予告表示態様を組み合わせて大当たりへの期待度を遊技者が予測することができる。
強制背景予告選択テーブル222d(図74(b)参照)は、強制背景モードが設定されている場合(時間演出期間が設定されている場合)に第3図柄表示装置81に表示する強制背景モード専用の予告表示態様を選択するための選択テーブルである。強制背景モード専用の予告表示態様としては、強制専用予告1〜4がそれぞれ設定されており、魚の群れや、珊瑚等の予告表示態様が設定されている。また、図74(b)に示すように、当否判定結果に対応して演出カウンタ223fの判定値がそれぞれの予告表示態様に対して設定されている。ここで、当否判定結果が当たりである場合の方が外れである場合よりも予告表示態様が選択され易いように設定されているので、遊技者は予告表示態様が選択されることにより変動中の特別図柄の当否判定結果が当たりであることを期待することができる。また、強制背景モードが設定されている場合には、上述したように、通常背景モードの予告表示態様が設定されるので、強制背景モード専用の予告表示態様が選択されなかった場合にも、通常背景モードの予告表示態様が選択されることで大当たりへの期待をより持つことができる。また、多くの種類の予告表示態様が表示され易くなるので、強制背景モードに移行することを期待して遊技を行うことができる。
次に、図70(b)に戻って、音声ランプ制御装置113のMPU221のRAMの内容について説明する。
入賞情報格納エリア223aは、1つの実行エリアと、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。本パチンコ機10では、主制御装置110において始動入賞となった場合に、その始動入賞に応じて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値から、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選が行われた場合に得られる各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が主制御装置110において予測(推定)され、その予測された各種情報が、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ入賞情報コマンドによって通知される。
音声ランプ制御装置113では、入賞情報コマンドが受信されると、その入賞情報コマンドにより通知された各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が入賞情報として抽出されて、その入賞情報が、入賞情報格納エリア223aに記憶される。より具体的には、抽出された入賞情報が、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。
また、入賞情報格納エリア223aは、パチンコ機10が特別図柄の大当たりとなった場合にも参照される。本実施形態では、パチンコ機10が特別図柄の大当たりとなり、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると、第3図柄表示装置81において大当たり演出が行われる。上述したように、大当たり演出は、オープニング演出が行われる期間と、ラウンド演出が行われる期間と、エンディング演出が行われる期間との3つの期間に分けられる。オープニング演出は、これからパチンコ機10が特別遊技状態へ移行して、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが繰り返し開放されることを遊技者に報知するための演出であり、ラウンド演出は、これから開始されるラウンド数を遊技者に報知するための演出である。また、エンディング演出は、特別遊技状態の終了を遊技者に報知すると共に、時短期間表示を行う(大当たり終了後に遊技者に付与される遊技価値(普通図柄の時短期間)を遊技者に報知する)、または、確定演出表示を行う(保留されている特別図柄の抽選において抽選結果が大当たりとなることを遊技者に報知する)ための演出である。
音声ランプ制御装置113では、主制御装置110からのエンディングコマンドを受信すると、入賞情報格納エリア223aを参照して、記憶されている入賞情報の中に、特別図柄の大当たりを示す入賞情報があるかを判定し、特別図柄の大当たりを示す入賞情報がある場合には、その入賞情報に応じた大当たり種別を取得する。
特別図柄保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、特別図柄保留球数カウンタ223bにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1入賞口64または第2入賞口640への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得して、特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する(図30のS1408参照)。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄保留球数カウンタ223bの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄保留球数カウンタ223bの値は、第3図柄表示装置81における保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄保留球数カウンタ223bに格納すると共に、格納後の特別図柄保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値分の保留球数図柄を第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、特別図柄保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203aと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203aの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
普通図柄保留球数カウンタ223cは、第2図柄の保留球数をカウントするためのカウンタである。主制御装置110から受信する第2図柄の保留球数コマンドに基づいて、そのコマンドが示す保留球数を記憶する。
変動開始フラグ223dは、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドを受信した場合にオンされ(図91のS1402参照)、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる(図93のS1702参照)。変動開始フラグ223cがオンになると、受信した変動パターンコマンドから抽出された変動パターンに基づいて、表示用変動パターンコマンドが設定される。
ここで設定された表示用変動パターンコマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図90参照)のコマンド出力処理(S1302)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
停止種別選択フラグ223eは、主制御装置110から送信される停止種別コマンドを受信した場合にオンされ(図91のS1405参照)、第3図柄表示装置81における停止種別の設定がなされるときにオフされる(図93のS1707参照)。停止種別選択フラグ223dがオンになると、受信した停止種別コマンドから抽出された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に基づいて、停止種別をそのまま設定する。
演出カウンタ223fは、音声ランプ制御装置113において、予告表示態様や演出の抽選等を実行する場合に使用する演出用のカウンタ値である。この演出カウンタ223fは、「0〜198」までの範囲で繰り返し更新されるカウンタ値であり、図示は省略したが音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図90参照)により更新処理が実行される。なお、この演出カウンタ223fは、ソフト的にカウントして更新される構成としたが、それに限らず、クロック端子等を利用してカウントするカウンタ回路により更新する構成としてもよい。このように構成することで、MPU221の制御処理に関わらず高速で更新することが可能であるので、同じカウンタ値が毎回選択されるような不具合を抑制できる。
背景選択カウンタ223gは、通常背景モードを通常背景選択テーブル222bより選択するためのカウンタである。この背景選択カウンタ223gは、「0〜198」の範囲で繰り返し更新されるカウンタ値である。なお、この背景選択カウンタ223gは、演出カウンタ223fと同様にメイン処理(図90参照)において更新される処理が実行されるが演出カウンタ223fと同期しないように、更新頻度が異なるように設定されている。これにより、背景選択カウンタ223gと演出カウンタ223fとが同期してしまうのを抑制できる。
変動演出態様選択カウンタ223hは、サブ変動パターン選択テーブル222aより変動パターンを選択する場合に用いられるカウンタである。この変動演出態様選択カウンタ223hは「0〜198」の範囲で繰り返し更新される。なお、この変動演出態様選択カウンタ223hは、メイン処理(図90参照)において更新される処理が実行されるが、演出カウンタ223f、背景選択カウンタ223gとは同期しないように、更新頻度がそれぞれ異なるように設定されている。
設定時間記憶エリア223kは、時間演出を実行する時刻情報が記憶される記憶エリアである。本実施形態では、パチンコ機10に電源が投入されると、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される時間設定処理(図89、S1212)のS1221の処理によりRTC292より現在の時刻情報が取得される。そして、S1224の処理により、その取得した時間から1時間毎に10分間の時間演出を実行するための開始時刻が算出されて、24時間経過するまでの開始時刻がそれぞれ設定時間記憶エリア223kに記憶される。音声ランプ制御装置113のMPU221は、設定時間記憶エリア223kの時刻となると時間演出期間であることを示すモードBを設定して、特別図柄の変動パターンを強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図72参照)より選択するように切り替える。そして、時間演出期間である10分が経過したと判別すると、時間演出期間以外である演出モードAを設定して、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222aから変動パターンを選択するように切り替えられる。
これにより、複数のパチンコ機10を同時に電源が投入可能なように、電源装置に予め接続して、一括して電源を投入することで、各パチンコ機10で同じ電源投入時刻を取得して、同じ時間演出の開始期間を時間設定記憶エリア223kに記憶することができる。よって、各パチンコ機10で同じタイミングで時間演出が開始され、変動パターンの選択や強制背景モードに対応する背景画像(本実施形態では、海中の画像)に切り替えられるので、複数のパチンコ機10に跨って一体感のある演出を行うことができる。
演出モード記憶エリア223nは、時間演出期間以外の演出モードである演出モードA、時間演出期間中の演出モードである演出モードBのどちらかを示すデータが記憶される記憶エリアである。この演出モード記憶エリア223nに設定されているデータにより現在のモードの状態を判別して選択するサブ変動パターン選択テーブル222aの種別が切り替えられる。
通常背景モード記憶エリア223oは、通常背景選択テーブル222bより選択された通常背景モードの種別を示すデータが記憶される記憶エリアである。なお、通常背景モード記憶エリア223oに記憶された通常背景モードに対応する背景画像は、時間演出期間以外である演出モードAが設定されている場合に、第3図柄表示装置81に表示される。時間演出期間内である演出モードBが設定されている場合には、第3図柄表示装置81には、強制背景モードに対応した背景画像が表示されるが、演出モードBが設定されている期間であっても、通常背景モードを切り替える処理は実行されて、通常背景モード記憶エリア223oには、この処理で決定された通常背景モードの種別が記憶される。
本実施形態では、強制背景モードが設定されている演出モードBの期間であっても、通常背景モードの予告表示態様は、通常背景モード記憶エリア223oに設定されているは通常背景モードの種別に基づいて選択され第3図柄表示装置81に表示される。よって、時間演出期間内であっても、通常背景モード記憶エリア223oに記憶されているデータが更新されることで、表示される予告表示態様を切り替えることができ、多様な演出を遊技者に提供できる。従って、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制できるという効果がある。
その他メモリエリア223zは、遊技の処理で使用する各種データや、カウンタ、フラグ等が設定されるエリアである。
RAM223は、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図91参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動表示(変動演出)を制御するものである。この表示制御装置114の詳細については、図75を参照して後述する。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図27参照)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次に、図75を参照して、表示制御装置114の電気的構成について説明する。図75は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
なお、詳細については後述するが、本実施形態において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方で、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有している。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
ここで、本実施形態において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(図95のS1801参照)の終了後に実行される初期化処理(図95のS1802参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(図78参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(図97(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
尚、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235fが設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235b、第3図柄エリア235dが少なくとも設けられている。
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、第1入賞口64への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(図95のS1803,S1804参照)。
ここで、電源投入時変動画像について説明する。表示制御装置114は、電源投入直後に、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送すると、続いて、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。この残りの画像データの転送が行われている間、表示制御装置114は、先に電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて、電源投入時主画像(図示なし)を第3図柄表示装置81に表示させる。
このとき、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、電源投入時主画像の表示画面上に、画面に向かって右下の位置に「○」図柄の電源投入時変動画像と、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は、それを画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合はそれを示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、第1入口球64に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、「○」、「×」を示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動演出画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に第1入口球64に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
図75に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、第1入賞口64への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
また、第3図柄エリア235dには、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄として、木箱といった後方図柄からなる主図柄や、後方図柄とかんな,風呂敷,ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄とからなる主図柄に対応する画像データも常駐される。これらの画像データは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示されるデモ演出に用いられる。これにより、デモ演出が第3図柄表示装置81に表示されると、そのデモ演出において、第3図柄として数字の付されていない主図柄が表示される。よって、遊技者は、数字の付されていない主図柄を第3図柄表示装置81の表示画像から視認することによって、当該パチンコ機10がデモ状態にあることを容易に認識することができる。
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
エラーメッセージ画象エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画象エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、各サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
尚、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233i、描画対象バッファフラグ233j、演出モード記憶エリア233m、背景変更フラグ233nを少なくとも有している。
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア434に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、ラウンド演出、エンディング演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。尚、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。遊技者は、この変動演出における停止図柄を視認することで大当たり種別を認識でき、大当たり種別に応じて付与される遊技価値を容易に判断することができる。
また、第1入賞口64または第2入賞口640は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口であるので、普通図柄の大当たりとなって電動役物が開放され、球が第1入賞口64へ入り易くなると賞球が多くなる。これにより、パチンコ機10は、遊技を行っても、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態になるので、遊技者は、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態で特別図柄の大当たりを得られるという期間感を得ることができる。従って、遊技者の遊技への参加意欲を高めることができるので、遊技者に遊技への参加意欲を継続して持たせることができる。
尚、デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
データテーブル格納エリア233bには、ラウンド演出、エンディング演出およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
ここで、図76を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。図76は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。尚、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。尚、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。この背面種別は、通常背景モードA〜D、強制背景モードに対応する背景画像(海、山、川、谷、海中のいずれか)を特定する情報が記載されている。また、背面種別は、上記した背面画像と異なる背面画像を表示させることを特定する場合、どの背面画像を表示させるかを特定する情報も合わせて記載されている。
MPU231は、この背面種別によって、通常背景モードA〜D、強制背景モードのいずれかを表示させることが特定される場合は、演出モードAであれば、通常背景画像記憶エリア223oに設定されている通常背景モード(音声ランプ制御装置113が通常背景モードを更新したことに基づいて出力されたコマンドにより判別)により、演出モードBであれば、強制背景モードに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。一方、上記した背景画像と異なる背面画像を表示させることが特定される場合は、背面種別から表示させるべき背面画像を特定する。
尚、本実施形態では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(図76の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(図78参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
次いで、図77を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。図77は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、各演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
尚、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(図77のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(図77のアドレス「0002H」が該当)。
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
尚、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(図77の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図78参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
例えば、図77の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、図示しない電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(図95参照)の中でオンに設定される(図95のS1805参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(図105(b)のS3405参照)。
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(図97(b)のS2101参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(図97(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図97(b)のS2109参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(図98〜図101参照)および表示設定処理(図102〜図104参照)が実行される。
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(図105(a)のS3301参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(図105(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(図106参照)を実行する。
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図78参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図78参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。尚、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図78参照)に、その転送データ情報を追加する。
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図97(b)のS2103参照)の中で、ポインタ更新処理(図104のS3005参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される。
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図78参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置341の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
ここで、図78を参照して、描画リストの詳細について説明する。図78は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図78に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といった各スプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233jで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、一番最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)で割った値である。
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図97(b)参照)の表示設定処理が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(図102のS3007参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
格納画像データ判別フラグ233iは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
この格納画像データ判別フラグ233iは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(図95のS1802参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233iは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
そして、格納画像データ判別フラグ233iの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(図106参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233iを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM235の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(図106のS3517参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(図106のS3518参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
描画対象バッファフラグ233iは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(図107のS3602参照)。
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
描画対象バッファフラグ233jは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233jの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図97(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われる(図107のS3602参照)。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
演出モード記憶エリア233mは、音声ランプ制御装置113により設定された演出モードに基づいて出力される表示用演出コマンドが示す演出モードに対応するデータが記憶される記憶エリアである。
背面変更フラグ233nは、音声ランプ制御装置113から表示用背面コマンドを受信したことを示すフラグである。この背面変更フラグ233nは、音声ランプ制御装置113から出力される表示用背面コマンドを受信した場合に、表示制御装置113のMPU231により実行される表示用背面コマンド処理(図101、S2213)のS2701の処理によりオンに設定される。一方、通常画像転送設定処理(図106、S3303)のS3414の処理において、オフに設定される。
この背景変更フラグ233nは、背面画像を変更するタイミングであることを判別する為に用いられ、後述する背面画像判別フラグ233oが示す背面画像に表示態様が変更されて第3図柄表示装置81に表示される処理が実行される。
背景画像判別フラグ233oは、音声ランプ制御装置113から出力される表示用背面コマンドが示す背景画像に対応するフラグが記憶される記憶エリアである。本実施形態では、通常背景モードA〜D(海、山、川、谷)のそれぞれに対応する専用の背面画像判別フラグ233oと、強制背景モードに対応する専用の背面画像判別フラグ233oとが予め設定されており、受信したコマンドに対応する背面画像判別フラグ233oがオンに設定される。なお、新たに背面画像判別フラグ233oがオンに設定されることに基づいて、その他の背面画像判別フラグ233oはオフに設定される。
<主制御装置110の制御処理について>
次に、図79から図87のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図79は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では239)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、299,99,239)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37において表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行し(S104)、その後、第1入賞口64への入賞(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、始動入賞処理の詳細は、図80〜図82を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置83において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、スルーゲート67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図84を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図80を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図80は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図79参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37において行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理では、まず、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S201)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
特別図柄の大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S202:No)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を取得する(S203)。次に、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0よりも大きいか否かを判別し(S204)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0でなければ(S204:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)を1減算し(S205)、演算により変更された特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを設定する(S206)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図87参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄保留球数カウンタ203cの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する。
S206の処理により保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフトする(S207)。S207の処理では、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。S207の処理が実行された後には、特別図柄変動開始処理が実行される(S208)。なお、特別図柄変動開始処理(S208)については、図81を参照して、詳細を後述するが、第1図柄、第3図柄の変動を開始する(動的表示を開始する)処理が実行される。一方、S204の処理において、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が0であると判別された場合には(S204:No)、この処理を終了する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、第1図柄表示装置37において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S209)。第1図柄表示装置37において実行される変動表示の変動時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この変動時間が経過していなければ(S209:No)、本処理を終了する。
一方、S209の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S209:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様を設定する(S210)。停止図柄の設定は、図81を参照して後述する特別図柄変動開始処理(S208)によって予め行われる。この特別図柄変動開始処理が実行されると、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。より具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて特別図柄の大当たりか否かが決定されると共に、特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりAとなるか、大当たりBとなるかが決定される。
尚、本実施形態では、大当たりAになる場合には、第1図柄表示装置37において青色のLEDを点灯させ、大当たりBになる場合には赤色のLEDを点灯させる。また、外れである場合には赤色のLEDと緑色のLEDとを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S210の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37において実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであるかを判定する(S211)。今回の抽選結果が特別図柄の大当たりであれば(S211:Yes)、2種類ある特別図柄の大当たり(大当たりA、大当たりB)のうち、大当たり種別が何であるかを判定し(S212)、大当たり種別が大当たりAであれば、大当たり遊技後の遊技状態を確変期間である高確率に設定する(S213)。その後、S215の処理を実行する。大当たり種別が大当たりBであれば、RAM203の時短中カウンタ203eに100を設定する(S214)。その後、S215の処理を実行する。そして、S215の処理において、特別図柄の大当たりの開始を設定し(S215)、本処理を終了する。
S211の処理において、今回の抽選結果が特別図柄の外れであれば(S211:No)、時短中カウンタ203eの値が1以上であるかを判定し(S216)、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば(S216:Yes)、時短中カウンタ203eの値を1減算して(S217)、本処理を終了する。一方、時短中カウンタ203eの値が0であれば(S216:No)、S217の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図81を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動開始処理(S208)について説明する。図81は、特別図柄変動開始処理(S208)を示したフローチャートである。この特別図柄変動開始処理(S208)は、タイマ割込処理(図79参照)の特別図柄変動処理(図80参照)の中で実行される処理であり、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、「特別図柄の大当たり」又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行うと共に、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。
特別図柄変動開始処理(S208)では、まず、実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2の各値を取得する(S301)。
次に、現在、遊技状態が確変期間中(高確率遊技状態)であるか判別する(S302)。なお、確変期間であるか否かの判断は、図示を省略した確変フラグがオンであるか判別することにより実行される。この確変フラグは、大当たりAに基づく大当たり遊技終了したことに基づいて、オンに設定される。一方、大当たり遊技の開始に基づいて、オフに設定される。
確変中であると判別された場合は(S302:Yes)、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であるので、S303の処理に移行する。S303の処理では、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S303)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている30の乱数値と1つ1つ比較する。上述したように、特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「0〜9」の10個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、これらの当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
一方、S302の処理において、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であると判別した場合には(S302:No)、S304の処理を実行する。S304の処理では、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S304)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている3の乱数値と1つ1つ比較する。特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「7」の1個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、これらの当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
S305の処理では、S303またはS304の処理によって取得した特別図柄の抽選結果が、特別図柄の大当たりであるかを判定し(S305)、特別図柄の大当たりであると判定された場合には(S305:Yes)、S301の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値に基づいて、大当たり時の表示態様を設定する(S306)。より具体的には、S301の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値と、特別図柄大当たり種別テーブルに格納されている乱数値とを比較し、2種類ある特別図柄の大当たり(大当たりA、大当たりB)のうち、大当たり種別が何であるかを判定する。上述したように、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜59」の範囲にあれば、大当たりA(16R大当たり、大当たり遊技後次の大当たりまで確変期間)であると判定し、「60〜99」の範囲にあれば、大当たりB(16R大当たり、普通図柄の時短期間100回)である判定する。
このS306の処理では、判定された大当たり種別(大当たりA、大当たりB)に応じて、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)が設定される。また、大当たり種別に対応した停止図柄を、第3図柄表示装置81において停止表示させるべく、大当たり種別(大当たりA、大当たりB)が停止種別として設定される。
次に、大当たり時の変動パターンを決定する(S307)。S307の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいて大当たり用変動パターンテーブル202d(図69(a)参照)よりノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。なお、変動種別カウンタCS1の数値と変動時間との関係は、テーブル等により予め規定されている。
例えば、外れ用の変動パターンとしては、「外れ(長時間用)」、「外れ(短時間用)」、「外れノーマルリーチ」各種、「外れスーパーリーチ」各種、「外れスペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA・大当たりB・大当たりC共用の変動パターンとしては、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりC用の変動パターンとしては、「スペシャルリーチ」各種が規定され、当たり・外れ共用の変動パターンとしては、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定されている。
S306の処理において、特別図柄の外れである判定された場合には(S305:No)、外れ時の表示態様を設定する(S308)。S308の処理では、第1図柄表示装置37の表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納されている停止種別選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる停止種別として、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。
ここでは、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であれば、S301の処理で取得した停止種別選択カウンタC3の値と、高確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を設定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜89」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「90〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチを設定し、「98,99」であれば前後外れリーチを設定する。一方、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であれば、停止種別選択カウンタC3の値と、低確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を設定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜79」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「80〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチを設定し、「98,99」であれば前後外れリーチを設定する。
次に、外れ時の変動パターンを決定する(S309)。ここでは、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、S308の処理と同様に、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいて外れ用変動パターンテーブル202d(図69(b)参照)より、完全外れ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。
S307の処理またはS309の処理が終わると、次に、S307の処理またはS309の処理で決定した変動パターンを表示制御装置114へ通知するための変動パターンコマンドを設定する(S310)。次いで、S307又はS309の処理で設定された停止種別を表示制御装置114へ通知するための停止種別コマンドを設定する(S311)。これらの変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、メイン処理(図87)のS1001の処理で、これらのコマンドが音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113は、停止種別コマンドをそのまま表示制御装置114へ送信する。S311の処理が終わると、特別図柄変動処理へ戻る。
次に、図82のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(S105)を説明する。図82は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。この始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図79参照)の中で実行され、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞(始動入賞)の有無を判断し、始動入賞があった場合に、各種乱数カウンタが示す値の保留処理と、その保留された各種乱数カウンタが示す値から、特別図柄における抽選結果の先読みを実行するための処理である。
始動入賞処理(図82、S105)が実行されると、まず、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S401)。ここでは、第1入賞口64への入球を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が第1入賞口64に入賞したと判別されると(S401:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を取得する(S402)。そして、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S403)。
そして、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞がないか(S401:No)、或いは、第1入賞口64への入賞があっても特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が4未満でなければ(S403:No)、S407の処理へ移行する。一方、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞があり(S401:Yes)、且つ、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が4未満であれば(S403:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)を1加算する(S404)。そして、演算により変更された特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを設定する(S405)。
ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図87参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄保留球数カウンタ203cの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する。
S405の処理により保留球数コマンドを設定した後は、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値を、RAM203の特別図柄保留球格納エリア203aの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納する(S406)。尚、S406の処理では、特別図柄保留球カウンタ203cの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
次いで、S407で取得した各カウンタ値と、現在の遊技状態(高確率遊技状態であるか低確率遊技状態であるか)と特別図柄保留球格納エリア203aに格納されている保留球の各データとに基づいて、変動開始時の当否判定結果を判別する(S407)。このS407の処理を特別図柄の当否判定結果が変動開始時に判定されるよりも前に判定されることから抽選結果を先読みするという。
S407の処理における先読みの判定結果が大当たりであるか判別する(S408)。先読みの判定結果が大当たりであると判別された場合には(S408:Yes)、大当たり入賞コマンドを設定する(S409)。この大当たり入賞コマンドは、音声ランプ制御装置113に対して、先読み結果が大当たりであったことを示すものであり、S406で取得した各カウンタ値の情報とその判定結果を示すコマンドが生成される。
一方、S408の処理において、先読み結果が外れであると判別した場合には(S408:No)、停止種別に対応した外れ入賞コマンドを設定する(S410)。この外れ入賞コマンドは音声ランプ制御装置113に対して、先読みの判定結果が外れであることを示すコマンドであり、S406で取得した各カウンタ値の情報も判別可能なコマンドが生成される。S409、S410の処理が実行された後、この処理を終了する。
次に、図83を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S106)について説明する。図83は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。この普通図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図19参照)の中で実行され、第2図柄表示装置83において行う第2図柄の変動表示や、第2入賞口640に付随する電動役物の開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるか否かを判定する(S601)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置83において当たりを示す表示がなされている最中と、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御がなされている最中とが含まれる。判定の結果、普通図柄(第2図柄)の当たり中であれば(S601:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でなければ(S601:No)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S602)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中でなければ(S602:No)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S603)。次に、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0よりも大きいか否かを判別し(S604)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0であれば(S604:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0でなければ(S604:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1減算する(S605)。
次に、普通図柄保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S606)。S606の処理では、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球格納エリア203bの実行エリアに格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S607)。
次に、RAM203の時短中カウンタ203eの値が1以上であるかを判定する(S608)。尚、時短中カウンタ203eは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203eの値が0であれば、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。
時短中カウンタ203eの値が1以上である場合は(S608:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S609)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S609:Yes)、S611の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、普通図柄の抽選が当たりとなりにくくなるように構成されている。これは、特別図柄の大当たり中(即ち、特別遊技状態中)は、遊技者が特別入賞口65aに入賞させようとして球を打つので、第2入賞口640に付随する電動役物が開放されて、特別入賞口65aに入賞させようとした球が、第2入賞口に入ることをできるだけ抑制するためである。尚、特別入賞口65aは、第2入賞口640の直ぐ下に設けられているので、特別図柄の大当たり中に第2入賞口640に球が入ることを抑制していても、第2入賞口640には球が多く入球する。その結果、殆どの場合、パチンコ機10が特別遊技状態に移行している間に、保留球数は最大(4回)になる。
S609の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S609:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)と基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S610)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)に格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜204」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,205〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図68(c)参照)。
S608の処理において、時短中カウンタ203eの値が0である場合は(S608:No)、S611の処理へ移行する。S611の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)とに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S611)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)に格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜20」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,21〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する。
次に、S610またはS611の処理によって取得した普通図柄の抽選結果が、普通図柄の当たりであるかを判定し(S612)、普通図柄の当たりであると判定された場合には(S612:Yes)、当たり時の表示態様を設定する(S613)。このS613の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されるように設定する。
そして、時短中カウンタ203eの値が1以上であるかを判定し(S614)、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば(S614:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S615)。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S615:Yes)、S617の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、球が第2入賞口640に入ることをできるだけ抑制するために、普通図柄の当たりになった場合でも、普通図柄の外れとなった場合と同様に、電動役物の開放回数および開放時間が設定される。
S615の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S615:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物の開放期間を1秒間に設定すると共に、その開放回数を2回に設定し(S616)、S619の処理へ移行する。S614の処理において、時短中カウンタ203eの値が0である場合は(S614:No)、S617の処理へ移行する。S617の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、第1始動口64aに付随する電動役物の開放期間を0.2秒間に設定すると共に、その開放回数を1回に設定し(S617)、S619の処理へ移行する。
S612の処理において、普通図柄の外れであると判定された場合には(S612:No)、外れ時の表示態様を設定する(S618)。このS618の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「×」の図柄が点灯表示されるように設定する。外れ時の表示態様の設定が終了したら、S619の処理へ移行する。
S619の処理では、時短中カウンタ203eの値が1以上であるかを判定し(S619)、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば(S619:Yes)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を3秒間に設定して(S620)、本処理を終了する。一方、時短中カウンタ203eの値が0であれば(S619:No)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を30秒間に設定して(S621)、本処理を終了する。このように、特別図柄の大当たり中を除き、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第1始動口64aの解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1始動口64aへ球が入球し易い状態となる。
S602の処理において、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であれば(S602:Yes)、第2図柄表示装置83において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S622)。尚、ここでの変動時間は、第2図柄表示装置83において変動表示が開始される前に、S620の処理またはS621の処理によって予め設定された時間である。
S622の処理において、変動時間が経過していなければ(S622:No)、本処理を終了する。一方、S622の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S622:Yes)、第2図柄表示装置83の停止表示を設定する(S623)。S623の処理では、普通図柄の抽選が当たりとなって、S613の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「○」図柄が、第2図柄表示装置83において停止表示(点灯表示)されるように設定される。一方、普通図柄の抽選が外れとなって、S618の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「×」図柄が、第2図柄表示装置83において停止表示(点灯表示)されるように設定される。S623の処理により、停止表示が設定されると、次にメイン処理(図87参照)の第2図柄表示更新処理(S1007参照)が実行された場合に、第2図柄表示装置83における変動表示が終了し、S613の処理またはS618の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)される。
次に、第2図柄表示装置83において実行中の変動表示が開始されたときに、普通図柄変動処理によって行われた普通図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、普通図柄の当たりであるかを判定する(S624)。今回の抽選結果が普通図柄の当たりであれば(S624:Yes)、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御開始を設定し(S625)、本処理を終了する。S625の処理によって、電動役物の開閉制御開始が設定されると、次にメイン処理(図87参照)の電動役物開閉処理(S1005参照)が実行された場合に、電動役物の開閉制御が開始され、S616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで電動役物の開閉制御が継続される。一方、S624の処理において、今回の抽選結果が普通図柄の外れであれば(S624:No)、S625の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図84のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるスルーゲート通過処理(S107)を説明する。図84は、このスルーゲート通過処理(S107)を示すフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図79参照)の中で実行され、スルーゲート67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し保留するための処理である。
スルーゲート通過処理(図84、S107)では、まず、球がスルーゲート67を通過したか否かを判定する(S701)。ここでは、スルーゲート67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球がスルーゲート67を通過したと判定されると(S701:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S702)。そして、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S703)。
球がスルーゲート67を通過していないか(S701:No)、或いは、球がスルーゲート67を通過していても普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が4未満でなければ(S703:No)、本処理を終了する。一方、球がスルーゲート67を通過し(S701:Yes)、且つ、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が4未満であれば(S703:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1加算する(S704)。そして、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第2当たり乱数カウンタC4の値を、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納して(S705)、本処理を終了する。尚、S705の処理では、普通図柄保留球カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
図85は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S801)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図86を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図86は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S902)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S903)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S904)、オンされていれば(S904:Yes)、処理をS912へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S904:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S905)、記憶されていなければ(S905:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS912へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S905:Yes)、RAM判定値を算出し(S906)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S907:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS912へ移行する。なお、図29のS1014の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S912の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S912)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S913,S914)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S913,S914)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S913,S914)を実行する。RAMの初期化処理(S913,S914)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S913)、その後、RAM203の初期値を設定する(S914)。RAM203の初期化処理の実行後は、S910の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S904:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S905:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S907:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S908)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S909)、S910の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
S910の処理では、演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113および表示制御装置114に対して各種演出の実行を許可する。次いで、割込みを許可して(S911)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図86を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図86は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS1001〜S1007の各処理が実行され、その残余時間でS1010,S1011のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、タイマ割込処理(図79参照)の実行中に、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1001)。具体的には、タイマ割込処理(図79参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図80参照)や始動入賞処理(図82参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。また、始動入賞処理で設定された入賞コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止種別コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。また、大当たり制御処理(図87参照)で設定されたラウンド数コマンド、エンディングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1002)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1003)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たり演出の実行や、可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S1004)。大当たり制御処理では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aまたは特定入賞口650aを開放し、特定入賞口65aまたは特定入賞口650aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本実施形態では、大当たり制御処理(S1004)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
次に、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1005)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図83参照)のS625の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37の表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1006)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図81参照)のS307の処理またはS309の処理によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37において開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37のLED37aの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図81参照)のS307の処理またはS309の処理によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37において実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動開始処理(図81参照)のS307の処理またはS309の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37に停止表示(点灯表示)する。
次に、第2図柄表示装置83の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1007)。第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置83において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置83では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図83参照)のS623の処理によって第2図柄表示装置83の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置83において実行されている変動表示を終了し、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1008)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1008:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1009)、既に所定時間が経過していれば(S1009:Yes)、処理をS1001へ移行し、上述したS1001以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1009:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1010,S1011)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1010)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299、239)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1002の処理と同一の方法によって実行する(S1011)。
ここで、S1001〜S1007の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。
また、S1008の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1008:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図85のNMI割込処理が実行されたということなので、S1012以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1012)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1013)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1014)、RAM203のアクセスを禁止して(S1015)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1008の処理は、S1001〜S1007で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1010とS1011の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1001の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1001の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S901)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されたりすることで、S1001の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり、暴走することなく正確な制御をしたりすることができる。
<音声ランプ制御装置113により実行される制御処理>
次に、図88から図94を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図88を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図88は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1201)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1318の電源断処理(図90参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1202)。図88を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図90のS1315参照)、S1318の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1318の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1202:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1318の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1203)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1206の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1203:Yes)、S1204へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1203:No)、S1208へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1203:Yes)、S1204へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1318の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1203:No)、S1208へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1202:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1318の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1204へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1204の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1204)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1205:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1206)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1205:No)、RAM223の異常を報知して(S1207)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S1208の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1208)。電源断フラグはS1318の電源断処理の実行時にオンされる(図90のS1317参照)。つまり、電源断フラグは、S1318の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS1208の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1318の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1208:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1209)、RAM223の初期値を設定した後(S1210)、割込み許可を設定して(S1211)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS1208の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1204からS1206の処理を経由してS1208の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1208:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1209をスキップして、処理をS1210へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1210)、割込み許可を設定して(S1211)、時間設定処理を実行し(S1212)、メイン処理へ移行する。
次に、図89を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される立ち上げ処理(図88参照)内の一処理である時間設定処理(S1212)について説明する。図89は、この時間設定処理(S1212)の内容を示したフローチャートである。
時間設定処理(図89、S1212)では、まず、RTC292より現在の時刻情報を取得する(S1221)。ここで、音声ランプ制御装置113には、現在時刻を計時することが可能なRTC292が設けられている。このRTC292は、内部にパチンコ機10から電力が供給されなくても作動することが可能な電源手段(ボタン電池等)が設けられている。これにより、パチンコ機10に電力が供給されていない状態であっても、時刻を計時することができる。
また、RTC292は、パチンコ機10が製造される時に、予め各パチンコ機10に取り付けられるRTC292が計時する時刻情報が同期するように所定の治具により時間情報が設定されている。これにより、各パチンコ機10のRTC292で同期した計時情報を計時することができる構成となっている。
S1221の処理で取得した時間情報が期限データ内(本実施形態では、3年以内)であるか判別する(S1222)。時間情報が期限内であると判別した場合には(S1222:Yes)、時間演出実行フラグ223jをオンに設定する(S1223)。取得した時間情報に基づいて、時間演出期間を算出して、設定時間記憶エリア223kに設定する(S1224)。ここで、本実施形態では、1時間毎に時間演出として、時間演出専用の背景画像と変動パターンに切り替える演出が実行される。そのため、S1224の処理では、S1221の処理で取得した時間情報から1時間が経過した時間が最初の時間演出の開始時刻として算出され、その後、10分間の時間演出期間後から、さらに1時間経過した時刻が2回目の時間演出期間として設定される。同様にして、S1221で取得した時刻から24時間後までの間における時間演出の開始時刻が算出されて設定時間記憶エリア223kに記憶される。通常、パチンコ店の営業時間は、9時から23時までの14時間であるので、24時間分の開始時刻を設定しておけば、多少営業時間が長くなっても、対応できる。
なお、本実施形態では、RTC292より電源投入時刻を取得して、その時刻から、時間演出の開始時刻を算出して設定するように構成したが、それに限らず、電源投入時刻を記憶しておき、RTC292の時刻情報を判別して、所定時間(本実施形態では、1時間)が経過した場合に時間演出を実行するように構成してもよい。また、RTC292から取得した電源投入時刻に基づいて、60分のカウンタを設定して、そのカウンタを更新することにより、時間演出の開始タイミングを判別するように構成してもよい。
S1222の処理において、取得した時間情報が期限外のデータであると判別した場合には、この処理を終了する。ここでは、時間演出実行フラグ223jがオフのままであるので、時間演出は実行されない。このように、3年が経過すると時間演出が実行されないように設定されるので、RTC292の内部電源である電池等の電力が低下して、計時の精度が落ちて、各パチンコ機10のRTC292が計時する時刻にばらつきが生じることにより、時間演出の開始タイミングが各パチンコ機10でばらついてしまう不具合を抑制できる。
次に、図90を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図90は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、今回のS1301の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1301)、1m秒以上経過していなければ(S1301:No)、S1302〜S1310の処理を行わずにS1311の処理へ移行する。S1301の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1302〜S1310が主に表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1311の変動表示設定処理や、S1312のコマンド判定処理や、S1313およびS1314のカウンタ値を更新する処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。S1312の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S1311の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S1301の処理で1m秒以上経過していれば(S1301:Yes)、まず、S1303〜S1312の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1302)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1308の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1303)、その後電源投入報知処理を実行する(S1304)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1305の処理へ移行する。
S1305の処理では客待ち演出処理が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1306)。客待ち演出処理では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、特別図柄保留球数カウンタ223bの値に応じて保留ランプ(図示せず)を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1307)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22が操作されたことを通知する枠ボタン操作コマンドを設定する。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理を実行し(S1308)、その後音編集・出力処理を実行する(S1309)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S1309の処理後、液晶演出実行管理処理が実行され(S1310)、S1311の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS1308のランプ編集処理が実行される。なお、S1309の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
S1311の処理では、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1311)。このコマンド判定処理(S1311)の詳細については、図91を参照して後述する。次いで、変動表示設定処理が実行される(S1312)。この変動表示設定処理(S1312)では、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドが生成されて設定される。その結果、そのコマンドが表示制御装置114に送信される。尚、この変動表示設定処理の詳細については、図93を参照して後述する。S1312の処理が終わると、同期演出管理処理を実行する(S1313)。この同期演出管理処理(S1313)については、図94を参照して後述する。
S1313の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1317)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1315の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1317:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1319)、電源断処理を実行する(S1320)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1321)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1317の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1317:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1318)、RAM223が破壊されていなければ(S1318:No)、S1301の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1318:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図91を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1311)について説明する。図91は、このコマンド判定処理(S1311)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1311)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図90参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。
コマンド判定処理では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信したか否かを判定する(S1401)。変動パターンコマンドを受信した場合には(S1401:Yes)、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dをオンし(S1402)、変動パターン選択処理を実行する(S1403)。
ここで、図92を参照して、変動パターン選択処理(S1403)の詳細について説明する。図92は、この変動パターン選択処理(S1403)を示したフローチャートである。
変動パターン選択処理(S1403)では、まず、演出カウンタ223fの値を取得する(S1501)。次に、背景選択カウンタ223gの値を取得する。その後、取得した背景選択カウンタ223gの値に基づいて、通常背景選択テーブル223b(図73参照)より背景モードの種別について選択する(S1503)。なお、ここでは、現在選択されている通常背景モードと同じ背景モードが選択された場合には、同じ背景モードが設定される。一方、異なる背景モードが選択された場合には、その背景モードが設定されて、表示されている背景の変更が設定される。一方、背景モードの設定がない背景選択カウンタであった場合にも背景モードの変更は行われず、現在設定されている背景モードがそのまま維持される。
S1503の処理において、通常背景モード記憶エリア223oに記憶されている通常背景モードと異なる通常背景モードが選択されたか、即ち、通常背景モードの変更があったか判別する(S1504)。通常背景モードの変更が抽選されたと判別した場合には(S1504:Yes)、S1503の処理で選択された通常背景モードを通常背景モード記憶エリア223oに設定(記憶)する(S1505)。選択された通常背景モードを示す(S1505の処理で新たに通常背景モード記憶エリア223oに設定された通常背景モードを示す)表示用背景コマンドを設定する(S1506)。その後、S1507の処理を実行する。一方、S1504の処理において、通常背景モードに変更がないと判別した場合には(S1504:No)、S1507の処理を実行する。
S1507の処理では、現在、演出モード記憶エリア223nに設定されている演出モードが演出モードA(時間演出期間以外の遊技状態)であるか判別する。演出モードAが設定されていると判別した場合には(S1507:Yes)、変動態様選択カウンタ223hの値を取得して、その値に基づいて、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図71参照)より主制御装置110から受信している変動パターンコマンドが示す種別に対応した変動パターンを選択する(S1508)。選択されている通常背景モード(通常背景モード記憶エリア223nに記憶されている通常背景モード)と演出カウンタ223fの値とに基づいて、通常背景予告選択テーブル222c(図74(a)参照)より予告演出態様を選択して設定する(S1509)。その後、この処理を終了する。
一方、S1507の処理において、設定されている演出モードが演出モードAでない、即ち、演出モードBであると判別した場合には(S1507:No)、変動態様選択カウンタ223hを取得して、その値に基づいて、強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図72参照)より主制御装置110から受信している変動パターンコマンドが示す種別に対応した変動パターンを選択する(S1510)。選択されている通常背景モード(通常背景モード記憶エリア223nに記憶されている通常背景モード)と演出カウンタ223fの値とに基づいて、通常背景予告選択テーブル222c(図74(a)参照)より予告演出態様を選択して設定する(S1511)。選択されている演出カウンタ223fの値に基づいて、強制背景予告選択テーブル222d(図74(b)参照)より予告演出態様を選択して設定する(S1512)。
このように、演出モードBが設定されている時間演出期間中には、強制背景モードに対応する背景画像に切り替えて表示されているが、通常背景モードに対応する予告演出も、強制背景モードに対応する予告演出もそれぞれ選択されて表示されることが可能となっている。これにより、強制背景モード中であっても多様な予告演出を表示することができる。よって、遊技者が時間演出期間で退屈してしまう不具合を抑制できる。
また、S1507以降の処理に示したように、時間演出期間中である場合には、強制背景モード専用の予告演出と、通常背景モード専用の予告演出がそれぞれ選択される。ここで、時間演出期間中においても、変動パターンの設定時に、通常背景モードの変更処理が行われるので、時間演出期間中にも選択される予告の種別を切り替えることが可能となり、変化に富んだ予告演出を時間演出期間中にも表示させることができる。よって、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうのを防止できる。
次に、図91に戻って説明を続ける。S1401の処理において、変動パターンコマンドを受信していない場合には(S1401:No)、次いで、主制御装置110より停止種別コマンドを受信したか否かを判定する(S1404)。そして、停止種別コマンドを受信した場合には(S1404:Yes)、RAM223の停止種別選択フラグ223dをオンに設定し(S1405)、受信した停止種別コマンドから停止種別を抽出して(S1406)、メイン処理に戻る。ここで抽出された停止種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図93参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の停止種別を通知する表示用停止種別コマンドを設定するために用いられる。
一方、停止種別コマンドを受信していない場合には(S1404:No)、次いで、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1407)。そして、保留球数コマンドを受信した場合には(S1407:Yes)、保留球数コマンド受信処理を実行する(S1408)。
S1407の処理において、保留球数コマンドを受信していない場合には(S1407:No)、次いで、主制御装置110より入賞コマンドを受信したか否かを判定する(S1409)。そして、入賞コマンドを受信した場合には(S1409:Yes)、受信した入賞コマンドが示す入賞情報を入賞情報格納エリア223fに格納する(S1410)。その後、メイン処理に戻る。上述したように、本パチンコ機10では、球が第1入賞口64または第2入賞口640へ入賞(始動入賞)すると、主制御装置110において各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得された各カウンタC1〜C3の各値が、特別図柄1保留球格納エリア203a、特別図柄2保留球数格納エリア203bにそれぞれ記憶される。また、主制御装置110において各カウンタC1〜C2、CS1の各値が取得されると直ちに、本来の特別図柄の大当たり抽選とは別に、取得された各カウンタC1〜C2の各値から、その本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報が先読み(予測)される。そして、主制御装置110において先読みが終了すると、先読みにより得られた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を含む入賞コマンドが、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信される。
S1409の処理において、入賞コマンドを受信していない場合には(S1409:No)、その他のコマンドを受信したか否かを判定し、その受信したコマンドに応じた処理を実行して(S1419)、メイン処理に戻る。例えば、その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行う。
次に、図93を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S1312)について説明する。図93は、この変動表示設定処理(S1312)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S1312)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図90参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し設定する。
変動表示設定処理(図93,S1312)では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dがオンか否かを判別する(S1701)。そして、変動開始フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1701:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S1706の処理へ移行する。一方、変動開始フラグ223dがオンであると判別された場合(S1701:Yes)、変動開始フラグ223dをオフし(S1702)、次いで、コマンド判定処理(図91参照)のS1403の処理において、変動パターンコマンドから抽出した変動演出における変動パターン種別を、RAM223より取得する(S1703)。
そして、取得した変動パターン種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用変動パターンコマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1704)。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
次いで、入賞情報格納エリア223aに格納されたデータをシフトする(S1705)。S1705の処理では、入賞情報格納エリア223aの第1エリア〜第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、第1エリア→実行エリア、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、S1706の処理へ移行する。
S1706の処理では、RAM233に設けられた停止種別選択フラグ223dがオンか否かを判別する(S1706)。そして、停止種別選択フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1706:No)、主制御装置110より停止種別コマンドを受信していない状態であるので、この変動表示設定処理を終了し、メイン処理に戻る。一方、停止種別選択フラグ223dがオンであると判別された場合(S1706:Yes)、停止種別選択フラグ223dをオフし(S1707)、次いで、コマンド判定処理(図91参照)のS1406の処理において、停止種別コマンドから抽出された変動演出における停止種別を、RAM223より取得する(S1708)。主制御装置110からの停止種別コマンドによって指示された停止種別をそのまま、第3図柄表示装置81における変動演出の停止種別として設定する(S1708)。その設定された停止種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用停止種別コマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1709)。表示制御装置114では、この表示用停止種別コマンドを受信することによって、この表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
次に、図94を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図90参照)内の一処理である同期演出管理処理(S1313)について説明する。図94は、この同期演出管理処理(S1313)の内容を示したフローチャートである。この同期演出管理処理(S1313)では、RTC292より時間情報を判別して、現在の演出モードが演出モードAの期間(時間演出期間外)であるか、演出モードBの期間(時間演出期間内)であるか判別して、演出モードの切替を実行する処理を実行する。
同期演出管理処理(図94、S1313)では、まず、時間演出実行フラグ223jがオンに設定されているか判別する(S1710)。時間演出実行フラグ223jがオフであると判別した場合には(S1710:No)、この処理を終了する。一方、時間演出実行フラグ223jがオンであると判別した場合には(S1710:Yes)、RTC292より「時、分」の時間情報を取得する(S1711)。演出モードBが設定されているか判別する(S1712)。演出モードBが設定されていない、即ち、演出モードAが設定されていると判別した場合には(S1712:No)、S1711で取得した時間情報(時刻情報)は、設定時間記憶エリア223kに記憶されている時間演出期間の開始タイミングであるか判別する(S1713)。時間演出期間の開始タイミングであると判別した場合には(S1713:Yes)、演出モード記憶エリア223nに演出モードBに対応するデータを設定する(S1714)。表示制御装置114に対して、演出モードBに移行したことを示す表示用演出コマンドを設定する(S1715)。表示制御装置114に対して、強制背景モードに対応した背景画像に変更するように指示する表示用背景コマンドを設定する(S1716)。その後、この処理を終了する。
一方、S1712の処理において、演出モード記憶エリア223nに設定されている演出モードが演出モードBであると判別した場合には(S1712:Yes)、取得した時間情報は演出開始期間(演出開始のタイミングから10分間の期間)外であるか判別する(S1717)。演出開始期間外であると判別した場合には(S1717:Yes)、演出モードAに対応したデータを演出モード記憶エリア223nに設定する(S1718)。演出モードAに移行したことを表示制御装置114に対して通知するための表示用演出コマンドを設定する(S1719)。設定されている通常背景モードに対応した背景画像に変更することを表示制御装置114に対して通知するための表示用背景コマンドを設定する(S1720)。
次に、図95から図107を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。尚、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
まず、図95を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。図95は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源回路115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、本実施形態のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S1801)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
ここで、図96を参照して、ブート処理(S1801)について説明する。図96は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S1801)を示すフローチャートである。
上述したように、本実施形態では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S1901)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S1902)。これにより、MPU231は、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
また、S1902の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
S1902の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S1903)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S1904)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(図95のS1801参照)の終了後に実行すべき初期化処理(図95のS1802参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S1905)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
このように、ブート処理(S1801)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
尚、図96に示すブート処理では、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S1902の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S1903〜S1905の処理を実行するようにしてもよい。
また、S1901の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S1901及びS1902の処理を含めて複数回繰り返した後、S1903〜S1905の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
また、本実施形態では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S1901及びS1902の処理を行わずに、S1903〜S1905の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
ここで、図95の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S1802)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。尚、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S1803)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S1803の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S1804)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラは、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
S1804の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S1805)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(図105(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(図105(a)のS3302参照)。
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(図97(b)参照)において、図11に示す電源投入時画像(電源投入時主画像や電源投入時変動画像)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(図97(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図97(b)のS2109参照)が実行される。
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置114に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、第1入賞口64へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、図示しない電源投入時変動画像をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているので、その転送に時間がかかるので、電源投入後、電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
S1805の処理の後、割込許可を設定し(S1806)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S1806の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
次いで、図97(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。図97(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S2001)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
次いで、図97(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。図97(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リスト(図78参照)を作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、図97(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S2101)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S2101:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、上記した電源投入時画像ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S2102)を実行し、次いで、表示設定処理(S2103)を実行する。
コマンド判定処理(S2102)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。尚、このコマンド判定処理の詳細については、図98〜図101を参照して後述する。
表示設定処理(S2103)では、コマンド判定処理(S2102)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。尚、この表示設定処理の詳細については、図102〜図104を参照して後述する。
表示設定処理が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S2104)。このタスク処理では、表示設定処理(S2103)もしくは簡易表示設定処理(S2109)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次に、転送設定処理を実行する(S2105)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面画像変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。尚、転送設定処理の詳細については、図105および図106を参照して後述する。
次いで、描画処理を実行する(S2106)。この描画処理では、タスク処理(S2104)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S2105)により設定された転送指示とから、図78に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する。尚、描画処理の詳細については、図107を参照して後述する。
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S2107)。そして、V割込処理を終了する。S2107の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、大当たりC、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ、チャンス目)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
一方、S2101の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S2101:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、電源投入時画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S2108)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S2109)を実行して、S2104の処理へ移行する。
次いで、図98〜図101を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S2102)の詳細について説明する。まず、図37は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
このコマンド判定処理では、図98に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S2201)、未処理の新規コマンドがなければ(S2201:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S2201:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(S2103)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S2202)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S2203)。
そして、未処理のコマンドの中に、まず、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別し(S2204)、表示用変動パターンコマンドがあれば(S2204:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S2205)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図99(a)を参照して、変動パターンコマンド処理(S2205)の詳細について説明する。図99(a)は、変動パターンコマンド処理を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S2301)。
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S2301の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
これに対し、本実施形態のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
次いで、S2301で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S2302)。そして、各変動パターンに対応する変動表示データテーブル毎に設けられたデータテーブル判別フラグのうち、S2301の処理によって設定された変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオンすると共に、その他の変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオフに設定する(S2303)。表示設定処理では、S2303の処理によって設定されるデータテーブル判別フラグを参照することによって、表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルが、どの変動パターンに対応するものであるかを容易に判断することができる。
次いで、S2301の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S2304)、ポインタ233fを0に初期化する(S2305)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S2306)、変動パターンコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S2305の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S2301の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S2302の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、表示設定処理では、S2304の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
ここで、図98の説明に戻る。S2204の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S2204:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S2206)、表示用変動種別コマンドがあれば(S2206:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S2207)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図99(b)を参照して、停止種別コマンド処理(S2207)の詳細について説明する。図99(b)は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止種別コマンド処理では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(大当たりA、大当たりB、リーチ、完全外れのいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S2401)、その停止種別テーブルと、V割込処理(図97(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S2402)。
そして、各停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S2402の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオフに設定する(S2403)。
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S2402の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(S2104)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S2403によって設定された停止図柄判別フラグからS2402の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。尚、第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
図98に戻り、説明を続ける。S2206の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別されると(S2206:No)、表示用演出コマンドがあるか判別する(S2208)。表示用演出コマンドがあると判別した場合には(S2208:Yes)、表示用演出コマンド処理を実行する(S2209)。
ここで、図100(a)を参照して、表示用演出コマンド処理(S2209)について説明する。図100(a)は、この表示用演出コマンド処理(S2209)の内容を示したフローチャートである。
表示用演出コマンド処理(図100(a)、S2209)では、まず、受信したコマンドに対応する演出モードを演出モード記憶エリア233mに設定する(S2501)。その後、この処理を終了する。
次に、図97の説明に戻る。S2208の処理において、表示用演出コマンドがないと判別した場合には(S2208:No)、表示用予告コマンドがあるか判別する(S2210)。表示用予告コマンドがあると判別した場合には(S2210:Yes)、表示用予告コマンド処理を実行する(S2211)。
ここで、図100(b)を参照して、表示用予告コマンド処理(S2211)について説明する。図100(b)は、表示用予告コマンド処理(S2211)の内容を示したフローチャートである。
表示用予告コマンド処理(図100(b)、S2211)では、まず、受信したコマンドに対応する予告表示態様の表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する(S2601)。
図98に戻り説明を続ける。S2212の処理で表示用予告コマンドがないと判別した場合には(S2210:No)、表示用背景コマンドを受信しているか判別する(S2212)。表示用背景コマンドを受信していると判別した場合には(S2212:Yes)、表示用背景コマンド処理を実行する(S2213)。
ここで、図101(a)を参照して、表示用背景コマンド処理(S2213)について説明する。図101(a)は、この表示用背景コマンド処理(S2213)の内容を示したフローチャートである。表示用背景コマンド処理(図101、S2213)では、まず、背景変更フラグ233nをオンに設定する(S2701)。この背景変更フラグ233nをオンに設定することにより、背景画像を変更するタイミングであることが判別できる。
受信したコマンドが強制背景モードに対応する背景画像に変更することを示すコマンドであるか判別する(S2702)。強制背景モードに対応する背景画像に変更することを示すコマンドであると判別した場合には(S2702:Yes)、強制背景モードに対応する背面画像の背面画像判別フラグ233oをオンに設定する(S2703)。その後、この処理を終了する。一方、S2702の処理において、強制背景モードを示すコマンドでない、即ち、通常背景モードに対応する背景画像に変更することを示すコマンドであると判別した場合には(S2702:No)、演出モードAに設定されているか判別する(S2704)。演出モードAが設定されていると判別した場合には(S2704:Yes)、変更後の背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233oをオンに設定する(S1705)。その後、この処理を終了する。一方、S2704の処理において、演出モードAが設定されていないと判別した場合には(S2704:No)、この処理を終了する。
図98に戻って説明を続ける。S2212の処理において、表示用背景コマンドがないと判別した場合には(S2212:No)、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S2214)、エラーコマンドがあれば(S2214:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S2215)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図101(b)を参照して、エラーコマンド処理(S2215)の詳細について説明する。図41(b)は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S2801)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S2802)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
表示設定処理では、S2801の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S2802の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
尚、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S2902に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
ここで、図98の説明に戻る。S2214の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S2214:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S2219)、S2201の処理へ戻る。
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS2201の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S2201:Yes)、再びS2202〜S2219の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S2201〜S2218の処理が繰り返し実行され、S2201の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
尚、V割込処理(図97(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S2109)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、図11に示す電源投入時画像を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(図99(a)参照)および停止種別コマンド処理(図99(b)参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(図99(a)参照)では、S2301の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主動画像エリア235aおよび電源投入時変動動画像エリア235bに格納されているので、S2302の処理では、転送データテーブルバッファ233bにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
次いで、図102〜図104を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S2103)の詳細について説明する。図102は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
この表示設定処理では、図102に示すように、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S3001)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S3001:No)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されていないと判断して、S3002〜S3004の処理をスキップし、S3005の処理へ移行する。一方、新規フラグがオンであれば(S3001:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S3002)、S3003〜S3004の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
S3003の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S3003)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S3003:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S3004)。
ここで、図103を参照して、警告画像設定処理の詳細について説明する。図43は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S3101)。
タスク処理では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
そして、警告画像設定処理では、S3101の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S3102)、表示設定処理に戻る。
ここで、図102の説明に戻る。警告画像設定処理(S3004)の後、又は、S3003の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S3003:No)、次いで、S3005の処理へ移行する。
S3005では、ポインタ更新処理を実行する(S3005)。ここで、図104を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。図104は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S3201)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
S3201の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S3202)。その結果、End情報であれば(S3202:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S3203)、デモ用表示データテーブルであれば(S3203:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3204)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S3205)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
一方、S3203の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S3203:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S3206)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S3202の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S3202:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
ここで、図102に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を展開する(S3006)。タスク処理では、先に展開された警告画像などと共に、S3006の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S3007)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S3008)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S3008:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S3008:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S3009)。
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S3009:Yes)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3010)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3011)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3012)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S3013)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S3014)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S3015)、V割込処理に戻る。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233bに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
尚、S3015の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S2104)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S3015によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、S3009の処理において、確定表示フラグがオンではなくオフであれば(S3009:No)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S3016)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S3016:Yes)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3017)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3018)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S3019)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S3020)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S3021)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンド、または、ファンファーレコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
S3016の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S3016:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
尚、V割込処理(図97(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S2109)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像の一方の画像(「○」または「×」)を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
次いで、図105及び図106を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S2105)の詳細について説明する。まず、図105(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S3301)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S3301:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S3302)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、図105(b)を参照して後述する。
一方、S3301の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S3301:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S3303)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、図106を参照して後述する。
次いで、図105(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2105)の一処理である常駐画像転送設定処理(S3302)について説明する。図105(b)は、この常駐画像転送設定処理(S3302)を示すフローチャートである。
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S3401)、転送指示を送信していれば(S3401:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S3402)。このS3402の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S3402の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S3402:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S3402:Yes)、S3403の処理へ移行する。また、S3401の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S3401:No)、S3403の処理へ移行する。
S3403の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S3403)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S3403:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S3404)、常駐画像転送設定処理を終了する。
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM236の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM236の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S3403の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S3403:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S3405)、常駐画像転送設定処理を終了する。これにより、V割込処理(図97(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(図97(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図97(b)のS2109参照)ではなく、コマンド判定処理(図98〜図101参照)および表示設定処理(図102〜図104参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(図106参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(図105(a)のS3301:No参照)。
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像および電源投入時変動画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、背面画像や、第3図柄、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
次いで、図106を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2105)の一処理である通常画像転送設定処理(S3303)について説明する。図106は、この通常画像転送設定処理(S3303)を示すフローチャートである。
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S2103)のポインタ更新処理(S3005)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S3501)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S3502)、転送データ情報であれば(S3502:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S3503)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S3504)、S3505の処理へ移行する。
また、S3502の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S3502:No)、S3503及びS3504の処理をスキップして、S3505の処理へ移行する。S3505の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S3505)、転送指示を設定していれば(S3505:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S3506)。
このS3506の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S3506の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S3506:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S3506:Yes)、S3507の処理へ移行する。また、S3505の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S3505:No)、S3507の処理へ移行する。
S3507の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S3507)、転送開始フラグがオンであれば(S3507:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S3508)、S3503の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S3517の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S3507:No)、背景変更フラグ223nはオンであるか判別する(S3509)。背景変更フラグ233nがオンであると判別した場合には(S3509:Yes)、背景変更フラグ233nをオフに設定し(S3510)、オンに設定されていつ背面画像判別フラグ233oに基づいて、対応する背面画像を特定して、転送対象画像データに設定する(S3511)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグ233oに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S3512)、S3513の処理へ移行する。
S3513の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S3513)。このS3513の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233iを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233iより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
そして、S3513の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S3513:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
一方、S3517の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S3513:Yes)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S3514)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S3514の処理の後、格納画像データ判別フラグ233iを更新し(S3515)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233iの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で、表示用停止種別コマンドに対応する処理が実行され、その結果、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報が大当たりの停止種別であると判別された場合は、ファンファーレ演出において使用する画像データを遅滞なくキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。また、先に実行されたコマンド判定処理の中で背面画像変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データのうち、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納されていない画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
また、本実施形態では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
次いで、図107を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の描画処理(S2106)の詳細について説明する。図107は、この描画処理を示すフローチャートである。
描画処理では、タスク処理(S2104)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別ならびにそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータ(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報)、及び、転送設定処理(S2105)により設定された転送指示から、図78に示す描画リストを生成する(S3601)。即ち、S3601の処理では、タスク処理(S2104)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別から、各スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを特定し、その特定された格納RAM種別とアドレスとに対して、タスク処理で決定されたそのスプライトに必要なパラメータを対応付ける。そして、各スプライトを、1フレーム分の画像の中で最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えた上で、その並び替え後のスプライト順に、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)として、スプライトの画像データが格納されている格納RAM種別ならびにアドレスおよびそのスプライトの描画に必要なパラメータを記述することで、描画リストを生成する。また、転送設定処理(S2105)により転送指示が設定された場合は、その描画リストの末尾に、転送データ情報として、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを追記する。
尚、上述したように、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
描画リストを生成すると、その生成した描画リストと、描画対象バッファフラグ233jによって特定される描画対象バッファ情報とを画像コントローラへ送信する(S3602)。ここでは、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は、描画対象バッファ情報として第1フレームバッファ236bに描画された画像を展開するよう指示する情報を含め、描画対象バッファフラグ233jが1である場合は、描画対象バッファ情報として第2フレームバッファ236cに描画された画像を展開するよう指示する情報を含める。
画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに基づいて、その描画リストの先頭に記述されたスプライトから順に画像を描画し、それを描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファに上書きによって展開する。これにより、描画リストによって生成された1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができる。
また、描画リストに転送データ情報が含まれている場合は、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出し、その格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスまでに格納された画像データを順にキャラクタROM234から読み出してバッファRAM237aに一時的に格納した後、通常用ビデオRAM236が未使用状態にあるときを見計らって、バッファRAM237aに格納した画像データを通常用ビデオRAM236の転送先先頭アドレスによって示されるエリアに順次転送する。そして、この通常用ビデオRAM236に格納された画像データは、その後にMPU231より送信される描画リストに基づいて使用され、描画リストに従った画像の描画が行われる。
尚、画像コントローラ237は、描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像の画像情報を読み出して、駆動信号と共にその画像情報を第3図柄表示装置81に送信する。これにより、第3図柄表示装置81に対して、フレームバッファに展開した画像を表示させることができる。また、一方のフレームバッファに描画した画像を展開しながら、一方のフレームバッファから展開した画像を第3図柄表示81に表示させることができ、描画処理と表示処理とを同時並列的に処理することができる。
描画処理は、S3602の処理の後、描画対象バッファフラグ233jを更新する(S3603)。そして、描画処理を終了して、V割込処理に戻る。描画対象バッファフラグ233jの更新は、その値を反転させることにより、即ち、値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。
ここで、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図97(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われることになる。これにより、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。よって、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。よって、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
また、上記実施形態では、音声ランプ制御装置113と、表示制御装置114とを別々に設けているが、代わりに、それぞれの装置113,114を一体化し、一つの装置として設けても良い。
また、上記実施形態では、まず、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へコマンドが送信され、音声ランプ制御装置113によりコマンドが受信されると、音声ランプ制御装置113において表示制御装置114へ送信すべきコマンドが決定され、その後、音声ランプ制御装置113から表示制御装置114へコマンドが送信されるように構成されている。これに対して、まず、主制御装置110から表示制御装置114へコマンドが送信し、表示制御装置114によりコマンドが受信されたら、表示制御装置114において音声ランプ制御装置113へ送信すべきコマンドを決定させ、その後、表示制御装置114から音声ランプ制御装置113へコマンドを送信するように構成しても良い。
また、上記実施形態では、画像コントローラ237がキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ画像データを転送する処理を実行する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、MPU231が直接キャラクタROM234にアクセスし、キャラクタROM234から画像データを読み出して、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送してもよい。そして、この場合、MPU231がキャラクタROM234から読み出した画像データを一旦バッファRAM237aに格納し、次いで、MPU231が、転送先の常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が未使用であるか否かを判別して、未使用であれば、バッファRAM237aから転送先の常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ画像データを転送するようにしてもよい。
この場合、転送先の常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が未使用であるか否かの判別は、画像コントローラ237が常駐用ビデオRAM235にアクセスしていること(即ち、使用中であること)を示す常駐用ビデオRAMアクセスフラグ(図示せず)と、画像コントローラ237が通常用ビデオRAM236にアクセスしていること(即ち、使用中であること)を示す通常用ビデオRAMアクセスフラグ(図示せず)とを画像コントローラ237に設け、MPU231が転送先のバッファRAMに対応するアクセスフラグを確認することで行うようにしてもよい。
或いは、画像コントローラ237と常駐用ビデオRAM235との間で送受信される信号、或いは、画像コントローラ237と通常用ビデオRAM236との間で送受信される信号をMPU231によって監視し、その信号の状態から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が未使用であるか否かを確認してもよい。或いは、画像コントローラ237が常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に対してアクセスを開始する場合や、アクセスを終了する場合に、随時、その情報を画像コントローラ237からMPU231に通知することによって、MPU231はその通知に基づいて常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が未使用であるか否かを判断してもよい。
或いは、画像コントローラ237が第3図柄表示装置81を走査する場合に、その走査がブランク期間中であるか否かを、MPU231が画像コントローラ237の駆動状態を確認するか若しくは画像コントローラ237からの通知によって把握し、走査状態がブランク期間にある場合は、各ビデオRAM235,236が未使用中であると判断してもよい。これにより、画像コントローラ237は第3図柄表示装置81の走査状態だけを確認して、未使用中であるか否かを判断するので、その判断を簡単に行うことができる。
また、この場合、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブル、又は、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fで示されるアドレスにNullデータではない転送データ情報が存在する場合に、その転送データ情報に従って、キャラクタROM234から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236へ転送する処理を開始するようにしてもよい。ここで、表示データテーブル等に従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236に格納されるように、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って画像データを転送することにより、表示データテーブル等に従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず通常用ビデオRAM236に格納させておくことができる。そして、その通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
なお、キャラクタROM234から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236へ転送する処理は、MPU231によって実行される表示メイン処理またはメイン処理のループの中で行うようにしてもよい。これにより、MPU231において、コマンド割込処理やV割込処理といった表示制御装置114における重要な処理が行われていない時間を利用して、画像データの転送処理を実行することができる。また、コマンド割込処理やV割込処理は、表示メイン処理などよりも優先して実行される処理であるので、コマンド割込処理やV割込処理に影響を与えることなく、MPU231が画像データの転送処理を実行することができる。
上記実施形態において、MPU231は、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のそれぞれが持つアドレスを用いて、各ビデオRAMを管理するのではなく、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236とで共通に用いられるアドレス体系の中で、各ビデオRAM毎に異なるアドレス領域を割り当てて、それぞれのビデオRAMを管理してもよい。このようにすれば、MPU231から画像コントローラ237に対して、アクセスしたいビデオRAM(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を直接指定することなく、単にアドレスを指定するだけで、そのアドレスで指定された領域が常駐用ビデオRAM235に対するものであるのか、通常用ビデオRAM236に対するものであるのかを画像コントローラ237が判断することができる。即ち、MPU231から画像コントローラ237に対して、アクセスすべきビデオRAMとそのビデオRAMの領域のアドレスとを指定する場合に、単に共通のアドレス体系の中で設定されたアドレスを指定すればよいので、その指定を行う命令の構成を単純化することができる。例えば、MPU231から画像コントローラ237に対して送信され描画リストにおいて、スプライトのデータの格納先を示す情報として、格納RAM種別を含めることなく、単に共通のアドレス体系の中で設定されたアドレスを用いて格納先のアドレスを指定するだけでよいので、その描画リストの構成を単純化することができる。
上記実施形態では、キャラクタROM234をMPU231と画像コントローラ237の接続される内部バス(バスライン240)に直接接続して設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、キャラクタROM234を画像コントローラ237に直接接続して設けてもよい。また、キャラクタROM234の入出力仕様を、マスクROMの入出力仕様に変換するブリッジ回路を設け、そのブリッジ回路を介してキャラクタROM234を内部バス(バスライン240)または画像コントローラ237に接続して設けてもよい。
このブリッジ回路を設けることにより、キャラクタROMとして一般的なマスクROMを用いることを前提に設計された既存の画像コントローラ237又は内部バス(バスライン240)をそのまま使用して、NAND型フラッシュメモリ234aにより構成されたキャラクタROM234を接続することができる。尚、キャラクタROM234が画像コントローラ237やブリッジ回路を介して接続される場合であっても、MPU231からキャラクタROM234に直接アクセスできるように構成してもよい。
上記実施形態では、キャラクタROM234がNAND型フラッシュメモリ234aで構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、大容量で且つ安価な不揮発性の記憶手段、例えば、ハードディスクなどによって構成されてもよい。このような大容量で且つ安価な記憶手段は、一般的に読み出し速度が遅いが、表示制御装置114を上記実施形態で説明した構成とすることにより、表示させたい時間に画像を問題なく表示させることができる。
上記実施形態では、キャラクタROM234にNOR型ROM234dを設け、その第1プログラム格納エリア234d1にMPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、NAND型フラッシュメモリ234aよりも高速に読み出し動作が可能な不揮発性の記憶媒体によって構成されたメモリに第1プログラム格納エリアを設けて、そのエリアにMPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納するようにしてもよい。例えば、NOR型ROM234dに代えて、FeRAM(Ferroelectric RAM)、MRAM(Magnetoresistive RAM)又はPRAM(Phase change RAM)などをキャラクタROM234に設け、それに第1プログラム格納エリアを設けて、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納してもよい。
また、上記実施形態では、内部バス(バスライン240)に接続されたNOR型ROM234dに第1プログラム格納エリア234d1を設け、そのエリアにMPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、NAND型フラッシュメモリ234aよりも高速に読み出し動作が可能な不揮発性の記憶媒体によって構成されたメモリを内部バス(バスライン240)に接続し、そのメモリに第1プログラム格納エリアを設けて、そのエリアにMPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納するようにしてもよい。例えば、NOR型ROM234dに代えて、FeRAM(Ferroelectric RAM)、MRAM(Magnetoresistive RAM)又はPRAM(Phase change RAM)などを内部バス(バスライン240)に設け、それに第1プログラム格納エリアを設けて、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納してもよい。
上記実施形態では、ROMコントローラ234bにおいて、内部バス(バスライン240)のアドレスが「0000H」に指定されたことを検知すると、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムをバッファRAM234cへセットした上で、指定されたアドレスに対応するデータ(命令コード)をバッファRAM234cから読み出して、内部バス(バスライン240)を介してMPU231へ出力する場合について説明した。これに対し、ROMコントローラ234bが電源装置115から電源が投入されたことを検出すると、ROMコントローラ234bが第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムをバッファRAM234cへセットしておき、次いで、ROMコントローラ234bにおいて内部バス(バスライン240)のアドレスが「0000H」に指定されたことを検知すると、指定されたアドレスに対応するデータ(命令コード)をバッファRAM234cから読み出して、内部バス(バスライン240)を介してMPU231へ出力してもよい。この場合、MPU231がシステムリセット解除後に内部バス(バスライン240)に対してアドレス「0000H」を指定すると、既にバッファRAM234cに第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムがセットされているか、セットされる途中であるので、キャラクタROM234は、アドレス「0000H」がMPU231によって指定されてからより少ないディレイで対応するデータ(命令コード)を出力することができる。従って、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231において表示メイン処理の起動を短時間で行うことができる。その結果、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における補助演出部または第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
また、ROMコントローラ234bは、内部バス(バスライン240)に指定されたアドレスが、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されている制御プログラムを指定するものであると検知すると、第1プログラム記憶エリア234d1から直接、指定されたアドレスに対応するデータ(命令コード)を読み出し、内部バス(バスライン240)を介してMPU231に対して出力するようにしてもよい。これにより、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231において表示メイン処理の起動を短時間で行うことができる。その結果、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における補助演出部または第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。また、この場合、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されている制御プログラム(ブートプログラム)をバッファRAM234cにセットする処理を行わないようにしてもよい。これにより、キャラクタROM234における電力消費を抑制することができる。
上記実施形態では、常駐用ビデオRAM235を画像コントローラ237に接続して設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、MPU231とキャラクタROM234と画像コントローラ237とが接続される内部バス(バスライン240)に直接接続して設けてもよい。また、キャラクタROM234が上記ブリッジ回路を介して内部バス(バスライン240)または画像コントローラ237に接続される場合、そのブリッジ回路に常駐用ビデオRAM235を接続して設けてもよい。ブリッジ回路に常駐用ビデオRAM235を接続するように構成すれば、既存の画像コントローラ237又は内部バス(バスライン240)が、常駐用ビデオRAM235を直接接続可能に構成されていなくても、常駐用ビデオRAM235を表示制御装置114に容易に設けることができる。
上記実施形態では、表示制御装置114に1つの常駐用ビデオRAM235と1つの通常用ビデオRAM236とを設ける場合について説明したが、各種ビデオRAMの数はこれに限定されるものではなく、より多くのビデオRAMを設けてもよい。また、常駐用ビデオRAMを複数設け、それぞれに各種モードなどに応じた画像に対応する画像データを常駐させておき、そのモードに応じて使用する常駐用ビデオRAMを選択するようにしてもよい。
上記実施形態では、常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236を、1ポート型(入出力ポートが1ポート)のDRAMによって構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、マルチポート型のRAMを用いてもよい。これにより、常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236への書き込みと読み出しを同時に行うことができるので、例えば、通常用ビデオRAM236から画像データを読み出して画像の描画を行いながら、キャラクタROM234から読み出された画像データを通常用ビデオRAM236へ書き込む処理を並列処理することができる。よって、画像データの書き込みによって描画処理が遅延するおそれを抑制することができる。
また、上記実施形態では、常駐用ビデオRAM235と通常用ビデオRAM236とを別のメモリによって構成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、1つのRAMを常駐領域と通常領域とに分割し、それぞれの領域に対して、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のそれぞれと同一の内容が記憶されるようにしてもよい。尚、1つのRAMで常駐領域と通常領域とを構成する場合、そのメモリの入出力ポートが、常駐領域および通常領域のうち一方の領域によって、読み出し又は書き込み処理で占有されることを防止するため、マルチポート型のRAMを用いるのが望ましい。
上記実施形態における常駐用ビデオRAM235に格納される画像データの種類は一例であり、その種類は、第3図柄表示装置81に表示させる画像の内容に応じて適宜設定されるものであってもよい。この場合、主制御装置110または音声ランプ制御装置113から受信した受信コマンドやその他外部からの入力に応じて、即座に第3図柄表示装置81へ表示すべき画像に対応する画像データを少なくとも常駐用ビデオRAM235へ常駐させるのが好ましい。
上記実施形態では、キャラクタROM234に格納された画像データの一部を常駐用ビデオRAM235へ転送し、常駐させる場合について説明したが、キャラクタROM234に格納された全ての画像データを常駐用ビデオRAM235へ転送してもよい。この場合、常駐用ビデオRAM235に非常駐のキャラクタROM234に格納された画像データは存在しないので、通常用ビデオRAM236は、画像コントローラ237による描画によって得られた描画画像データを格納するための専用メモリとして用いてもよい。
上記実施形態では、常駐用ビデオRAM235は、電源投入中、上書きされずにその内容が保持され続ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、主制御装置110または音声ランプ制御装置113から受信したコマンドに基づき、第3図柄表示装置81に表示させる画像を大きく異ならせる場合など、所定の契機に基づいて、常駐用ビデオRAM235に常駐させる画像データを上書きして更新するようにしてもよい。この場合、第3図柄表示装置81に表示させる画像を変更する間、移行期間として所定の移行画像を表示させてもよい。また、その移行画像に対応する画像データは、電源投入時に常駐用ビデオRAM235に格納され、その他の常駐用画像が更新されるときにも更新されずに常駐用ビデオRAM235に保持され続けるようにしておいてもよい。また、その移行画像を表示させている間に、MPU231が直接キャラクタROM234にアクセスして新たに常駐すべき画像データを読み出し、その読み出した画像データを、バッファRAM237aを介して、常駐用ビデオRAM235の未使用中(即ち、移行画像に対応する画像データが読み出されていない期間中)に転送するようにしてもよい。或いは、その移行画像を表示させている間に、MPU231が画像コントローラ237に対して新たに常駐すべき画像データの転送指示(転送データ情報)を送信し、画像コントローラ237が、その転送指令(転送データ情報)に従ってキャラクタROM234から常駐すべき画像データを読み出し、バッファRAM237aを介して、常駐用ビデオRAM235の未使用中(即ち、移行画像に対応する画像データが読み出されていない期間中)に転送するようにしてもよい。
また、常駐用ビデオRAM235を更新する場合、予め移行画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送しておき、通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて移行画像を第3図柄表示装置81に表示させもよい。そして、その移行画像が表示されている間に、MPU231が直接キャラクタROM234にアクセスして、新たに常駐すべき画像データを読み出し、その読み出した画像データを、バッファRAM237aを介して転送するようにしてもよい。或いは、MPU231より常駐すべき画像データの転送指示を受けた画像コントローラ237がキャラクタROM234にアクセスして、新たに常駐すべき画像データを読み出し、その読み出した画像データを、バッファRAM237aを介して転送するようにしてもよい。移行画像を表示させている間に、常駐用ビデオRAM235の内容を更新することにより、遊技者に違和感を持たせることなく、その常駐用ビデオRAM235の更新を行うことができる。
上記実施形態において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データを全て常駐した後、停電解消時に常駐用ビデオRAM235のデータが正常か否かを判定するためのRAM判定値を記憶させておき、電源投入後に表示制御装置114のMPU231で実行される表示メイン処理またはメイン処理の中で、電源投入時主画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送開始する前に、RAM判定値を確認し、そのRAM判定値が正常な値であれば、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが正常に格納され続けていることを意味するので、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送を非実行とするように構成してもよい。この場合、簡易画像表示フラグをオフにすることで、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送を非実行となるようにしてもよい。これにより、瞬停の発生によって、表示制御装置114にシステムリセットが入力され、MPU231によって表示メイン処理またはメイン処理の実行が開始された場合であっても、常駐用ビデオRAM235のデータが正常に格納されている場合は、無駄にキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に画像データが転送されるのを防ぐことができ、停電復帰にかかる時間を短縮することができる。特に、キャラクタROM234は、読み出し速度の遅いキャラクタROM234aによって構成されているので、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に画像データを転送する場合には長い時間を要する。これに対し、本変形例のように常駐用ビデオRAM235にRAM判定値を記憶させることで、瞬停などにより常駐用ビデオRAM235のデータが正常に残っている場合は、その画像データの転送に要する時間を短縮できるので、第3図柄表示装置81に対して、即座に通常の演出画像を表示させることができる。よって、遊技者に即座に遊技を開始させることができる。なお、RAM判定値は、例えば常駐用ビデオRAM235に記憶される画像データのチェックサム値であってもよい。また、このRAM判定値に代えて、常駐用ビデオRAM235の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりデータの有効性を判断するようにしても良い。
上記実施形態では、バッファRAM237aを画像コントローラ237内に設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、画像コントローラ237の外に設けてもよい。例えば、バッファRAMを単独で構成し、内部バス(バスライン240)に直接接続するように構成してもよい。また、キャラクタROM234が上記ブリッジ回路を介して内部バス(バスライン240)または画像コントローラ237に接続される場合、そのブリッジ回路内にバッファRAMを設けてもよい。更に、そのバッファRAMを有するブリッジ回路に常駐用ビデオRAM235が直接接続されてもよい。この場合、ブリッジ回路に接続されたキャラクタROM234から、ブリッジ回路に設けられたバッファRAMを介して、常駐用ビデオRAM235へ画像データを転送できるので、データ信号のやりとりが多い内部バス(バスライン240)に影響されることなく、効率的に転送を行うことができる。
上記実施形態では、バッファRAM237aの記憶容量を、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分とする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、適宜設定されるものであってもよい。例えば、第3図柄表示装置81が有する表示画面の走査期間のうち、実際の画像が表示される表示領域以外の走査領域であるブランク領域上を走査している期間(ブランク期間)中に、バッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ画像データの転送が完了できる程度のデータ容量を、バッファRAM237aの記憶容量としてもよい。これにより、バッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、このブランク期間に生じる各ビデオRAM235,236の未使用期間を利用することで、確実に行うことができる。
上記実施形態では、バッファRAM237aを1つ設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、バッファRAMを2つまたはそれ以上設けてもよい。この場合、一のバッファRAMにキャラクタROM234から読み出された画像データを格納している間に、別のバッファRAMから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ格納された画像データを転送するように構成してもよい。また、1つのバッファRAMの中で領域を2つ又はそれ以上に分割し、一の領域にキャラクタROM234から読み出された画像データを格納している間に、画像データが格納されている別の領域から常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ、その画像データを転送するように構成してもよい。いずれの場合であっても、キャラクタROM234から読み出された画像データのバッファRAMへの書き込みと、バッファRAMに書き込まれた画像データの常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への転送とを並列して処理できるので、その処理にかかる時間を短縮できる。
上記実施形態では、電源投入時主画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送する場合について説明したが、この電源投入時主画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送してもよい。これにより、通常用ビデオRAM236に格納された電源投入時主画像に対応する画像データを用いて、電源投入時主画像を表示させながら、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ常駐すべき画像データを転送することができる。そして、この間、常駐用ビデオRAM235からは画像データが読み出されないので、常駐用ビデオRAM235の使用状態を監視することなく、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ画像データを転送できるので、その画像データの転送を早く完了させることができると共に、処理の簡素化を図ることができる。
同様に、上記実施形態では、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送する場合について説明したが、この電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送してもよい。これにより、通常用ビデオRAM236に格納された電源投入時主画像や電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて、第3図柄表示装置81に電源投入時画像を表示させながら、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ常駐すべき画像データを転送することができる。そして、この間、常駐用ビデオRAM235からは画像データが読み出されないので、常駐用ビデオRAM235の使用状態を監視することなく、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ画像データを転送できるので、その画像データの転送を早く完了させることができると共に、処理の簡素化を図ることができる。
上記実施形態では、電源投入時主画像に対応する画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介して常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送する場合について説明したが、電源投入時主画像に対応する画像データを転送する間は、常駐用ビデオRAM235から画像データの読み出しが行われないので、電源投入時主画像に対応する画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介さずに常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ直接転送してもよい。また、電源投入時主画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送し、通常用ビデオRAM236に格納された電源投入時主画像に対応する画像データを用いて電源投入時主画像を表示させることなどにより、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ常駐すべき画像データを転送する間、常駐用ビデオRAM235から画像データの読み出しが行われないように構成されている場合は、常駐すべき画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介さずに常駐用ビデオRAM235へ直接転送してもよい。これにより、バッファRAM237aを介さずに、より早く画像データの転送を終えることができる。
同様に、上記実施形態では、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介して常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送する場合について説明したが、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを転送する間は、常駐用ビデオRAM235から画像データの読み出しが行われないので、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介さずに常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ直接転送してもよい。また、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送し、通常用ビデオRAM236に格納された電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて第3図柄表示装置81に電源投入時画像を表示させることなどにより、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ常駐すべき画像データを転送する間、常駐用ビデオRAM235から画像データの読み出しが行われないように構成されている場合は、常駐すべき画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介さずに常駐用ビデオRAM235へ直接転送してもよい。これにより、バッファRAM237aを介さずに、より早く画像データの転送を終えることができる。
上記実施形態では、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合に、音声ランプ制御装置113により背面画像変更コマンドや枠ボタン操作コマンドが生成され、表示制御装置114によってその背面画像変更コマンドや枠ボタン操作コマンドに基づき、第3図柄表示装置81に表示される背面画像やスーパーリーチの演出態様を変更する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より受信したコマンドの内容に基づいて、遊技機10の遊技状態を把握し、その遊技状態に応じて、例えば、遊技状態の変更にあわせて、背面画像変更コマンドや遊技状態コマンドを生成してもよい。これにより、表示制御装置114では、その背面画像変更コマンドや遊技状態コマンドに基づき、遊技状態に応じて背面画像やスーパーリーチの演出態様を変更することができる。また、表示制御装置114が直接遊技機10の遊技状態を把握し、その遊技状態に応じて、背面画像やスーパーリーチの演出態様を変更してもよい。そして、変更後の背面画像、または、変更後の演出態様のスーパーリーチに対応する背面画像の少なくとも一部の範囲に対応する画像データが常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されることによって、その常駐された範囲から、その背面画像を、背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて即座に表示させることができる。
また、表示制御装置114は、表示データテーブル、転送データテーブル、追加データテーブルや合成データテーブルの規定に従って背面画像を変更してもよい。この場合、変更後の背面画像に対応する画像データは、転送データテーブル、合成データテーブルや表示データテーブルに記載された転送データ情報に従って、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ予め転送されるように構成してもよい。ここで、転送データテーブル、合成データテーブルや表示データテーブルに記載された転送データ情報によって背面画像の画像データを転送する場合、元々の背面画像が格納された通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアに新たな背面画像が格納されるように転送データテーブルの転送データ情報を規定してもよいし、元々の背面画像が格納された通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアとは別のエリアに新たな背面画像が格納されるように転送データテーブルの転送データ情報を規定してもよい。後者の場合、背面画像を遊技者によって選択されて表示されていた元の背面画像に戻す際に、改めて元の背面画像に対応する画像データを転送する必要がないので、表示制御装置114の処理負荷の増大を抑制することができる。
また、上記実施形態では、振動センサの出力信号を音声ランプ制御装置113に入力し、音声ランプ制御装置113にて振動エラーが検出された場合、エラーコマンドを表示制御装置114へ送信することにより、表示制御装置114にて第3図柄表示装置81へ即座に警告画像を表示させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、振動センサの出力信号を主制御装置110へ入力し、主制御装置110にて振動エラーを検出して、主制御装置110からそのエラーを通知するエラーコマンドを音声ランプ制御装置113および表示制御装置114のいずれかへ送信するようにしてもよい。そして、音声ランプ制御装置113に対してエラーコマンドが送信される場合は、音声ランプ制御装置113がそのエラーコマンドを受けて、表示制御装置114へ更にそのエラーを通知するエラーコマンドを送信するようにしてもよい。
一方、振動センサの出力信号を表示制御装置114に入力し、表示制御装置114にて振動エラーの有無を検出するように構成してもよい。そして、振動エラーが検出された場合、エラー発生フラグをオンにし、更に、振動エラーに対応するエラー判別フラグをオンすることによって、表示設定処理においてエラー発生フラグがオンであることを判別した場合に警告画像設定処理を実行することで、第3図柄表示装置81へ即座に警告画像を表示させてもよい。この場合、これにより、音声ランプ制御装置113から表示制御装置114へのエラーコマンドの送受信が不要となるため、より早く警告画像を第3図柄表示装置81へ表示させることができる。
また、上記実施形態では、振動センサが遊技板13の裏面に取り付けられている場合について説明したが、振動センサに代えて、若しくは、振動センサと共に、磁石センサが遊技板13の裏面に取り付けられてもよい。この磁石センサは、磁石などの磁界によって球の流れが変えられ、意図的に入球口への入球が行われることを抑制するために、遊技板に加えられた磁界を検出するためのセンサであり、磁石センサの出力信号は、主制御装置110,音声ランプ制御装置113および表示制御装置114のいずれかに入力されるようにしてもよい。そして、磁石センサの出力信号が主制御装置110に入力される場合は、その磁石センサの出力信号に基づき主制御装置110によって遊技板13に磁界が加えられたと判断されると、その磁界エラーを伝えるエラーコマンドが主制御装置110から音声ランプ制御装置113経由で、または、直接、表示制御装置114に対して送信されるようにしてもよい。また、磁石センサの出力信号が音声ランプ制御装置113に入力される場合は、その磁石センサの出力信号に基づき音声ランプ制御装置113によって遊技板13に磁界が加えられたと判断されると、その磁界エラーを伝えるエラーコマンドが音声ランプ制御装置113から表示制御装置114に対して送信されるようにしてもよい。そして、表示制御装置113の常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画象エリア235fには、磁界エラーを第3図柄表示装置81の表示によって報知するためのエラーメッセージ画像に対応する画像データが常駐されるように構成し、主制御装置110又は音声ランプ制御装置113から磁界エラーを伝えるエラーコマンドを受信すると、表示制御装置113は、第3図柄表示装置81にその警告画像を表示するようにしてもよい。また、磁石センサの出力信号が表示制御装置110に入力される場合は、その磁石センサの出力信号に基づき表示制御装置114によって遊技板13に磁界が加えられたと判断されると、表示制御装置113は、エラー発生フラグをオンすると共に、磁界エラーに対応するエラー種別フラグをオンに設定することで、第3図柄表示装置81にその警告画像を表示するようにしてもよい。これにより、表示制御装置114は、主制御装置110又は音声ランプ制御装置113からのエラーコマンドを受信し、或いは、磁石センサからの出力信号に基づいて、磁界エラーの発生を把握すると、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成した場合であっても、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画像エリア235fに常駐されているエラーメッセージ画像を用いて、遅滞なく磁界エラーを報知するエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に表示させることができる。よって、遊技者により遊技板に対して磁界が加えられると、第3図柄表示装置81によるエラーメッセージ画像の表示によって、その磁界エラーが即座に報知されるので、遊技者に対して不正な行動を抑止させることができる。
一の演出における一部または全部の色調を変化させるために必要な描画内容を追加データテーブル又は表示データテーブルによって規定する場合、その追加データテーブル又は表示データテーブルでは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間において、色調を変化させるスプライトの種別と、そのスプライトにおける変化後の色調を指定する色情報とを規定するものであってもよい。そして、MPU231は、表示データテーブルバッファ452dに設定された表示データテーブルに規定される追加描画内容においてポインタ233fにより示されるアドレスに色調を変化させるスプライトの種別と、そのスプライトにおける変化後の色調を指定する色情報とが規定されていた場合、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに規定される描画内容においてポインタ233fにより示されるアドレスに規定された対応のスプライト種別の色情報を、表示データテーブルの追加描画内容により規定された色情報に置き換えて、描画リストを作成するようにしてもよい。これにより、画像コントローラ237では、追加データテーブルによって規定された色情報に基づいて、そのスプライトの色調を変化させながら画像の描画を行うことができる。
また、一の演出において表示される画像を変更して表示させるために必要な描画内容が表示データテーブルによって規定される場合、その表示データテーブルでは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間において、置き換え対象のスプライト種別と、新たに表示すべきスプライト種別と、その新たに表示すべきスプライトの描画情報とを規定するものであってもよい。そして、MPU231は、表示データテーブルバッファ452dに設定された表示データテーブルに規定される追加描画内容において、ポインタ233fにより示されるアドレスに、置き換え対象のスプライト種別と、新たに表示すべきスプライト種別と、その新たに表示すべきスプライトの描画情報とが規定されていた場合、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに規定される描画内容において、ポインタ233fにより示されるアドレスに規定された各種スプライトのうち、置き換え対象のスプライトに代えて、新たに表示すべきスプライト種別と、そのスプライトの描画情報とを描画リストに含めるようにしてもよい。これにより、画像コントローラ237では、新たに表示すべきスプライトを含む画像の描画を行うことができる。
また、上記実施形態では、表示データテーブルにおいて、その表示データテーブルに規定された描画内容に従って画像を描画する場合に必要となる画像データの転送データ情報を含める場合について説明したが、それに加えて、表示データテーブルに規定された追加描画内容に従って画像を描画する場合に必要となる画像データの転送データ情報(追加転送データ情報)を含めてもよい。この場合、追加転送データ情報は、各アドレス毎に、その追加表示可能な演出を識別するための識別情報(「追加演出1」、「追加演出2」・・・等)に対応付けて、追加描画内容と共にまたは追加描画内容とは別個に規定されるものであってもよい。そして、MPU231は、追加して表示すべき演出を決定すると、その決定された演出に対応する識別情報に対応付けられた追加描画内容と追加転送データ情報とを含めて、描画リストを作成するように構成してもよい。
これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、追加描画内容に従った描画で用いられるスプライトの画像データを、その画像データが用いられる前に予め通常用ビデオRAM236に転送しておくことができる。よって、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、追加して表示すべき演出を容易に且つ確実に第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、表示データテーブルに規定された追加転送データ情報を用いることによって、追加描画内容に基づく画像の描画を指示しながら、必要な画像データを通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、追加描画内容によって多くのスプライトの描画を指定することができる。よって、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種態様な演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。
上記実施形態では、遊技者にスーパーリーチを選択させる変動パターンに対応する表示テーブルにおいて、遊技者により選択され得る全てのスーパーリーチに対応する描画内容を表示データテーブル内に規定しておき、遊技者によって選択されたスーパーリーチに対応する描画内容だけを特定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、選択されたスーパーリーチに対応する描画内容を、表示データテーブルに追記するようにしてもよい。これによって、遊技者により選択されたスーパーリーチの描画内容を容易に特定することができる。また、表示データテーブルに全てのスーパーリーチに対応する描画内容を規定しておく必要がないので、表示データテーブルのデータサーズが大きくなることを抑制できる。
上記実施形態では、表示データテーブルに、描画内容と、転送データ情報とを含める場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、表示データテーブルには、描画内容と転送データ情報とを規定し、追加して表示すべき演出の追加描画内容は、追加データテーブルに規定してもよい。この場合、ワークRAM233には、追加データテーブルバッファを設け、追加して表示すべき演出が決定された場合に、その演出に対応する追加データテーブルを追加データテーブルバッファに設定するようにしてもよい。また、その追加データテーブルは、追加描画内容だけでなく、その追加描画内容に従って行われる画像の描画に必要な画像データの転送データ情報(追加転送データ情報)を含めて規定するものであってもよい。これにより、追加データテーブルを用いて追加して表示すべき演出の描画内容と、その描画に必要な画像の転送データ情報とを特定することができるので、追加データテーブルおよび追加用転送データテーブルからそれぞれ描画内容と転送データ情報とを特定する場合と比較して、その特定に要する処理の負荷を軽くすることができる。
上記実施形態では、表示制御装置114において、表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターン毎に表示データテーブルを用意する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、変動演出を、例えば、「変動立ち上げ」、「高速変動」、「予告演出」、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」といった各要素毎に表示データテーブルを用意し、表示用変動パターンコマンドに示される変動パターンに応じてその変動演出に必要な要素を特定した上で、その特定された変動演出に必要な用紙に対応する表示データテーブルを1つにまとめて、その変動パターンに対応する最終定期な表示データテーブルを生成するようにしてもよい。「変動立ち上げ」、「高速変動」、「ノーマルリーチ」などは、それぞれの変動パターンに共通した表示が行われる場合が多い。よって、このように変動演出を要素化し、それぞれの要素に対応して表示データテーブルを用意することで、データテーブルを効率的に持たせることができる。
上記実施形態では、表示データテーブルおよび転送データテーブルで、共通のポインタ233fを用いて、そのポインタ233fによって示されるアドレスから描画内容や転送データ情報を特定する場合について説明したが、それぞれのデータテーブルに対して、ポインタを用意してもよい。
上記実施形態では、画像コントローラ237が、描画処理を終了する1フレーム分の画像の表示間隔毎(上記実施形態では20ミリ秒毎)に、V割込信号をMPU231に対して送信する場合について説明したが、画像コントローラ237は、第3図柄表示装置81を駆動して1フレーム分の画像を表示させる度に、このV割込信号をMPU231に対して送信するようにしてもよい。第3図柄表示装置81の駆動は、常に1フレーム分の画像を常に等時間間隔(20ミリ秒間隔)で表示されるように行われるので、1フレーム分の画像の表示毎にV割込信号を送信することで、その時間間隔を計時しなくても正確に保つことができる。
上記実施形態では、画像コントローラ237は、MPU231から送信される描画対象バッファ情報に基づいて、描画した画像を展開すべきフレームバッファを特定すると共に、もう一方のフレームバッファから先に展開された画像情報を読み出して、第3図柄表示装置81に送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、画像コントローラ237が、描画リストを受信する毎に、描画した画像を展開すべきフレームバッファを交互に選択するようにし、その選択されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像情報を読み出して、第3図柄表示装置81に送信するようにしてもよい。また、画像コントローラ237が、第3図柄表示装置81に1フレーム分の画像情報を送信する度に、描画した画像を展開すべきフレームバッファと、第3図柄表示装置81に対して画像情報を出力するフレームバッファとを入れ替えるようにしてもよい。
上記実施形態では、確定表示演出に対応する確定表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定された後、その確定表示演出が終了するまでに、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より変動パターンコマンド(表示用変動パターンコマンド)及びデモコマンド(表示用デモコマンド)のいずれも受信しなかった場合は、デモ演出に対応するデモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する場合について説明したが、これを、再び確定表示演出に対応する確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するようにしてもよい。また、この場合、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より変動パターンコマンド(表示用変動パターンコマンド)及びデモコマンド(表示用デモコマンド)のいずれかが受信されるまで、確定表示演出が終了するたびに、確定表示演出に対応する確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに再設定するようにしてもよい。これにより、主制御装置110から変動パターンコマンド又はデモコマンドを受信するまで、第3図柄表示装置81に確定表示演出を表示させ続けることができる。
上記実施形態では、デモ演出が、背面画像を変化させると共に「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄を停止表示させるものである場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、数字の付された主図柄または数字の付されていない主図柄からなる第3図柄を、半透明状態で停止表示させるものであってもよい。また、第3図柄を表示させずに背面画像だけを変化させるものであってもよい。また、変動表示で用いられる第3図柄や背面画像とは全く異なるキャラクタや背面画像を表示させるものであってもよい。
上記実施形態では、表示制御手段114において、電源投入後にまず電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送し、その転送完了後に電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させてから、残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、表示制御手段114において、電源投入後にまず電源投入時主画像に対応する画像データのみをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送し、その転送完了後に電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させてから、電源投入時変動画像に対応する画像データを含む常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するようにしてもよい。これにより、電源投入時主画像を電源投入後により早く第3図柄表示装置81へ表示させることができるので、遊技者やホール関係者、又は、製造時の工場等における動作チェックにおいて、パチンコ機10が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができる。
また、この場合、MPU231が、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送完了を監視するようにしてもよい。これにより、電源投入時変動画像エリア235bに電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されて以降に、音声ランプ制御装置113より表示用変動パターンコマンドを受信すれば、その表示用変動パターンコマンドに基づき、電源投入時変動画像エリア235bに格納された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて、簡易的な変動表示を第3図柄表示装置81に表示させることができる。なお、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させた直後に行うのが望ましい。これにより、電源投入時変動画像による変動表示をより早く行えるようにすることができる。
上記実施形態において、表示データテーブルおよび転送データテーブルは、20ミリ秒を1単位として表した時間に対応して、その時間に描画すべき画像の内容(描画内容)や、その時間に転送すべき画像データの情報(転送データ情報)を規定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、所定の時間間隔毎に表示内容を規定するものであればよい。この所定の時間間隔は、第3図柄表示装置81のフレームレートにあわせて設定するようにしてもよい。例えば、第3図柄表示装置81のフレームレートが30fps、即ち、第3図柄表示装置81が、1秒間に30フレームの画像を表示するものである場合は、第3図柄表示装置81は1/30秒毎に1フレームの画像が表示されるので、表示データテーブルは、1/30秒間隔毎に表示内容を規定するものにしてもよい。
また、表示データテーブルにおいて、所定の時間間隔毎に規定される描画すべきスプライト種別として、そのスプライト種別そのものを指示するのではなく、そのスプライト種別に対応する画像データが格納されたキャラクタROM234のアドレスを規定するものであってもよい。表示制御装置114では、第3図柄表示装置81に表示すべきスプライト種別に対応する画像データをキャラクタROM234から読み出すため、各スプライト種別に対応付けて、そのスプライト種別の画像データが格納されたキャラクタROM234のアドレスを管理している。よって、表示データテーブルにおいて、所定の時間間隔毎に規定される表示内容として、そのスプライト種別に対応する画像データが格納されたキャラクタROM234のアドレスを規定すれば、各スプライト種別に対応付けて、スプライトを特定する情報とキャラクタROM234のアドレスとの両方を管理する必要がなくなるため、処理負担の軽減を図ることができる。
上記実施形態では、表示制御装置114のワークRAM233に格納画像データ判別フラグ233iを設け、スプライト毎に、対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを記憶させる場合について説明したが、これに代えて、画像格納エリア236aに格納されているスプライト種別を示す情報をワークRAM233に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、所定のスプライト種別の画像データを転送指示する場合に、ワークRAM233に記憶された画像格納エリア236aに格納されているスプライト種別を示す情報を参照して、その所定の画像データが既に画像格納エリア236aに格納されているか否かを判別し、格納されていなければ、その所定のスプライト種別の画像データの転送指示を設定してもよい。また、MPU231は、所定のスプライト種別の画像データの転送指示を設定した場合、その転送指示が設定されたスプライト種別を示す情報をワークRAM233に格納すると共に、そのスプライト種別の画像データが格納される画像格納エリア236aのサブエリアに格納されていたスプライト種別を示す情報を消去するようにしてもよい。
上記実施形態では、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ所定のスプライト種別の画像データを転送する際に、格納画像データ判別フラグ233iに基づいて、そのスプライト種別の画像データが通常用ビデオRAM236に格納されているか否かを判断し、通常用ビデオRAM236に、その所定のスプライト種別の画像データが格納されていれば、その転送処理を非実行とする処理を、MPU231が行う場合について説明したが、この処理を、画像コントローラ237が行うようにしてもよい。この場合、画像コントローラ237に設けられたワークRAMに、格納画像データ判別フラグ233iと同等のフラグを用意して、各スプライト毎に、対応する画像データが通常用ビデオRAM236に格納されているかどうかを記憶させてもよい。また、画像コントローラ237に設けられたワークRAMに、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているスプライト種別を記憶させるようにしてもよい。なお、この場合、MPU231は、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への所定のスプライト種別の画像データの転送が必要であれば、通常用ビデオRAM236における画像データの格納状態に関わらず、画像コントローラ237に対して、その画像データの転送データ情報を送信するようにしてもよい。
上記実施形態では、複数の背面画像のうち、「背面A」に対応する画像データのみを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2以上の背面画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐させるようにしてもよい。例えば、一部のスーパーリーチで用いられる背面画像の画像データを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐させてもよい。特に、出現頻度が高い又は高いと予想されるスーパーリーチの背面画像を常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐させることにより、キャラクタROM737から通常用ビデオRAM536への画像データの転送処理が実行される回数を抑制することができる。
上記実施形態では、転送データテーブル又は表示データテーブルによって、ポインタ233fで示されるアドレスに対応付けて画像データの転送指令が規定され、MPU231は、その表示ポインタにより規定される所定の時間にその転送指令で指示された画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送するように画像コントローラ237を制御する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、表示データテーブルの先頭に、その表示データテーブルにおいて必要となるスプライト種別に関する情報を記載し、MPU231は、その表示データテーブルの先頭に記載された情報に基づいて、必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送するように画像コントローラ237を制御してもよい。若しくは、音声ランプ制御装置113から受信したコマンドに基づき、MPU231がそのコマンドに対応して第3図柄表示装置81に表示すべきスプライト種別を判断して、その画像種別の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送するように画像コントローラ237を制御してもよい。
上記実施形態では、「島ステージ」の背面画像である背面Cにおいて、その画像の一部の色調が時間と共に変化する場合について説明したが、画像全体の色調が時間と共に変化するものであってもよい。また、背面画像として、時間の経過と共にスクロールしたり、色調が変化したりするものだけではなく、また、そのような背面画像に代えて、時間の経過と共に、登場する物体(例えば、人物)が移動したり、変化したりするようなものであってもよい。
上記実施形態では、変動演出が行われる第3図柄表示装置81にて連続予告演出も実行する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、パチンコ機10に第3図柄表示装置81とは別の第4図柄表示装置を設け、第3図柄表示装置81で実行される変動演出と合わせて、第4図柄表示装置に第4図柄を表示させることによって、連続予告演出を実行してもよい。この場合、第4図柄表示装置の制御を表示制御装置114で行ってもよいし、音声ランプ制御装置113で行ってもよい。また、各種演出に応じて作動する役物をパチンコ機10に設け、その役物を変動演出と合わせて所定の態様で作動させることによって、連続予告演出を実行してもよい。また、音声ランプ制御装置113の制御により、パチンコ機10の音声出力装置226から連続予告演出用の音声を出力させることによって、連続予告演出を実行してもよいし、パチンコ機10の電飾部29〜33を変動演出と合わせて点灯または点滅させることによって、連続予告演出を実行してもよい。
これにより、第3図柄表示装置81(および第1図柄表示装置37)において変動演出が行われる度に、連続して第4図柄表示装置に図柄が表示されたり、役物が所定の態様で作動したり、音声出力装置226から音声が出力されたり、若しくは、電飾部29〜33が点灯または点滅することによって、遊技者に対して大当たりの期待感を持たせることができる。また、遊技者は、通常、変動演出が行われる第3図柄表示装置81を注視して遊技を継続して行うが、第3図柄表示装置81とは別の第4図柄表示装置による図柄の表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、若しくは電飾部29〜33の点灯・点滅によって連続予告演出が行われるので、遊技者に対して、通常とは異なる演出が行われたことを容易に認識させることができる。また、連続予告演出を、第4図柄表示装置による図柄の表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、または電飾部29〜33の点灯・点滅といった簡単な制御で容易に連続予告演出を行わせることができる。
また、連続予告演出を音声出力装置226からの音声出力や、電飾部29〜33の点灯または点滅によって行えば、その連続予告演出の制御は音声ランプ制御装置113によって行われるので、始動入賞時における当否判定や変動開始時の抽選処理を主制御装置110に行わせ、連続予告演出を音声ランプ制御装置113に行わせ、変動演出を表示制御装置114に行わせることで、パチンコ機10により連続予告演出を行う場合、それぞれの制御装置に各処理を分担させることができる。よって、1つの制御装置に負荷が集中するのを防ぐことができるので、各制御装置のMPUに求められる性能を低く抑えることができる。
尚、第3図柄表示装置81における連続予告演出用の図柄の表示、第4図柄表示装置における連続予告演出用の図柄の表示、役物の所定の態様での作動、音声出力装置226からの音声出力、及び、電飾部29〜33の点灯または点滅のうち、少なくとも2以上を組み合わせ、それぞれを連動させて制御することにより、連続予告演出を実行してもよい。これにより、より多彩な連続予告演出を実行させることができる。また、連続予告演出の実行方法(第3図柄表示装置81による表示、第4図柄表示装置による表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、電飾部29〜33の点灯または点滅、又は、それらの組み合わせ)を変えることで、連続予告演出終了後の遊技状態(15R確変大当たり、2R確変大当たり、時短大当たり、外れ)に応じて選定される連続予告演出態様を複数用意してもよい。
また、上記実施形態では、連続予告演出が行われる場合に、変動演出とは別の連続予告演出用の画像が第3図柄表示装置81に表示される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連続予告演出を、変動演出が終了したときに表示される停止図柄として、所定の図柄の組み合わせである、所謂「チャンス目」を表示させることによって行ってもよい。この場合、表示制御装置113のMPU221で実行されるコマンド判定処理の停止種別コマンド処理(図37参照)の中で、チャンス目に対応する停止図柄判別フラグをオンにすると共に、その他の停止図柄判別フラグをオフに設定するようにしてもよい。コマンド判定処理では、停止識別コマンド処理の後に連続予告コマンド処理を実行するので、表示用停止識別コマンドの受信によって設定された停止図柄に代えて、チャンス目が停止図柄として設定されるので、変動停止時にチャンス目を確定表示させることができる。そして、第3図柄表示装置81において、変動演出ごとに停止図柄としてチャンス目が連続して表示されれば、遊技者に対して、最終的に大当たりが得られる期待感を持たせることができる。
上記実施形態では、主制御装置110が、音声ランプ制御装置113に対して通知する始動入賞時に取得した各種カウンタ(第1当たり乱数カウンタC1,第1当たり種別カウンタC2,停止種別選択カウンタC3)の情報を、保留球数コマンドに含める場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、別のコマンドによって、始動入賞時に取得した各種カウンタ(第1当たり乱数カウンタC1,第1当たり種別カウンタC2,停止種別選択カウンタC3)の情報を音声ランプ制御装置113に通知してもよい。
上記実施形態において、主制御装置110は、入賞コマンドに、始動入賞時に取得した各種カウンタ(第1当たり乱数カウンタC1,第1当たり種別カウンタC2,停止種別選択カウンタC3)に基づいて行われる特別図柄の抽選結果を示す各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を含めた上で、音声ランプ制御装置113に対してその入賞コマンドを送信し、音声ランプ制御装置113は、入賞コマンドに含められた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)に従って、入賞コマンドが送信された時点で保留された保留球に対応して行われる特別図柄の抽選結果や変動演出後の停止種別を推定し、その推定結果と、その時点で保留されている保留球数に基づいて、連続予告演出を行うか否かを決定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、主制御装置110は、始動入賞時に取得した各種カウンタの値から、その始動入賞に対応する各種カウンタ(第1当たり乱数カウンタC1,第1当たり種別カウンタC2,停止種別選択カウンタC3)の値を入賞コマンドに含めて音声ランプ制御装置113に通知し、音声ランプ制御装置113は、その通知された各種カウンタ値に基づいて、連続予告演出を行うか否かを決定してもよい。また、主制御装置110は、始動入賞時に取得した各種カウンタの値から推定した、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選結果や変動演出後の停止種別に基づいて連続予告演出を行ってもよいか否かを判断して、少なくとも判断結果を入賞コマンドに含めて音声ランプ制御装置113に通知し、音声ランプ制御装置113はその判断結果を基に、最終的に連続予告演出を行うか否かを決定してもよい。更に、主制御装置110で連続予告演出を行うか否かを判断し、その判断結果を入賞コマンドに含めて音声ランプ制御装置113へ通知し、音声ランプ制御装置113は、連続予告演出の演出態様だけを決定するようにしてもよい。入賞コマンドに含める情報として、推定した始動入賞に対応する特別図柄の抽選結果や変動演出後の停止種別に関する情報、連続予告演出を行ってもよいか否かの情報、又は、連続予告演出を行うか否かの情報とすることによって、各種カウンタの値を含める場合と比較して、入賞コマンドのコマンドサイズを小さくすることができる。尚、推定した始動入賞に対応する抽選の結果や変動演出後の停止種別に関する情報、連続予告演出を行ってもよいか否かの情報、又は、連続予告演出を行うか否かの情報は、入賞コマンドとは別のコマンドによって、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されてもよい。
また、音声ランプ制御装置113において、コマンド判定処理(図33参照)の中で実行される連続予告判定処理(S1410)によって連続予告演出の実行が決定され、また、その連続予告演出態様が決定された段階で、その連続予告演出の実行決定と連続予告演出態様とを表示制御装置114へ通知するコマンドを、表示制御装置114に対して送信するようにしてもよい。そして、表示制御装置114では、このコマンドの受信を契機として、その連続予告態様で使用される連続予告画像種別の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送するように送信指示を設定してもよい。これにより、連続予告演出が行われる変動演出が開始される前から、連続予告態様で使用される連続予告画像種別の画像データのキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への転送を開始させることができるので、連続予告演出によってその連続予告画像種別に対応する画像データが用いられる前に、確実にその画像データを通常用ビデオRAM236へ格納しておくことができる。
また、表示制御装置114は、連続予告演出で用いられる画像データを、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた連続予告演出画像専用のサブエリアに格納するようにしてもよい。これにより、連続予告演出で用いられる画像データが、他の画像データによって上書きされるのを防ぐことができるので、所望の連続予告画像種別に対応する画像データが通常用ビデオRAM236に格納されている確率を高くすることができる。よって、連続予告演出で用いられる画像データが繰り返し転送されるのを抑制することができる。
また、音声ランプ制御装置113より送信される停止種別コマンドに、最後の連続予告演出であることを通知する信号を含めてもよい。これにより、表示制御装置114において、連続予告演出の表示が最後であることを認識できるので、連続予告演出が行われている間は、その連続予告演出で用いられる通常用ビデオRAM236に格納された画像データが上書きされないように制御を行っている場合、その上書き制御の解除を容易に行うことができる。
また、上記実施形態においては、表示用変動パターンコマンドに連続予告演出の実施と連続予告画像種別とに関する情報を含める場合は、変動パターン毎に連続予告画像に非対応の表示データテーブルと、各連続予告画像種別毎に対応した表示データテーブルとを用意し、表示制御装置114は、表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンおよび連続予告画像種別に応じて、対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するようにしてもよい。即ち、表示データテーブルには、変動パターンに対応する描画内容と、連続予告画像種別に対応した連続予告演出の描画内容とが共に含まれたものを用いてもよい。尚、この場合は、連続予告種別に対応した追加データテーブルの設定は必要ない。よって、設定すべきデータテーブルを少なくすることができるので、処理負担の増加を抑えることができる。尚、この場合、連続予告画像種別に対応した画像データの転送指示は、表示用変動パターンコマンドの受信に合わせて行われるようにしてもよい。これにより、転送データテーブルについては、変動パターン毎に1つ用意すればよいので、データテーブルが増加することを抑制できる。
上記実施形態において、連続予告演出が行われる変動演出の停止図柄は、主制御装置110によって定められた停止図柄(前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れリーチ)に基づいて、音声ランプ制御装置113によって設定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、音声ランプ制御装置113によって連続予告演出の実行が決定された場合に、保留されていた最後の変動演出の停止図柄が大当たりでなければ、その最後の変動演出の停止図柄を、主制御装置110により定められた停止図柄ではなく、前後外れリーチ態様の停止図柄に置き換えて設定するようにしてよい。これにより、連続予告演出が行われる最後の変動演出の停止図柄は、主制御装置110により定められた停止図柄ではなく、必ず前後外れリーチとなるので、遊技者に対して高い期待感を持たせることができる。
上記実施形態において、保留されていた全ての変動演出と共に連続予告演出を行う場合に、各変動演出は、それぞれの変動開始時に行われる抽選結果に基づく演出態様で行われることになるが、この場合、保留されていた最後の変動演出以外の変動演出の演出態様を外れ変動演出に変更するように構成してもよい。そして、音声ランプ制御装置113において表示用変動パターンコマンドを生成する処理(図37のS1704参照)によって、連続予告演出の設定状況と、連続予告演出の実行回数に応じて変動パターンを変更するようにしてもよい。尚、変動演出後の停止図柄が大当たりである場合には、変動演出の演出態様を更新せず、主制御装置110によって定められた変動パターンに基づき、変動演出の演出態様をそのまま表示するようにしてもよい。ここで、連続予告演出が連続して行われても、対応する変動演出の態様が例えばスーパーリーチ変動演出であるにも関わらず結果として大当たりが現出しない状況が続けば、遊技者の期待感を後退させてしまうおそれがあるが、連続予告演出が連続して行われると共に、最後に実行される変動演出以外の変動演出が連続して外れ変動演出で行われることによって、最後に実行される変動演出に対して、遊技者により高い期待感を持たせることができる。
上記実施形態では、連続予告演出の実行が決定された場合に、常に第3図柄表示装置81において連続予告演出を実行する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、連続予告演出の実行が決定された状況で、枠ボタン22が遊技者によって押下された場合に、連続予告演出を第3図柄表示装置81において実行するようにしてもよい。
上記実施形態では、変動演出を実行する場合に、全図柄Z1〜Z3を遊技者が視認不可な程度に高速にスクロールする高速変動を表示させる場合について説明したが、この高速変動の表示に代えて、全図柄Z1〜Z3をそれぞれ視認不可な程度に縮小して表示したり、全図柄Z1〜Z3をそれぞれ多数の白い点がランダムに表示されるスノーノイズ状の画像として表示してもよい。
上記実施形態において、球が入球した場合に特別図柄の大当たりの抽選が開始される第1始動口64aが遊技盤13に1つ配設されている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、それぞれ独立して入球が検出されて大当たりの抽選が開始される複数(例えば、2つ)の第1入球口が遊技盤13に配設されていてもよい。この場合、各第1入球口において保留があった場合に主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ送信する保留球数コマンドには、いずれの第1入球口による保留であるかを示す情報を含めてもよい。また、変動を開始する場合に主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ送信する変動パターンコマンドにも、いずれの第1入球口により保留された変動演出であるかを示す情報を含めてもよい。これにより、音声ランプ制御装置113において、第1入球口毎にそれぞれ保留球数カウンタを用意しておき、保留球数コマンドを受信した場合、その保留球数コマンドに示された第1入球口に対する保留球数カウンタに保留球数を設定し、変動パターンコマンドを受信した場合、その変動パターンコマンドに示された第1入球口に対する保留球数カウンタを1減らせば、第1入球口毎に保留球数をカウントすることができる。
また、複数の第1入球口が設けられている場合、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信した場合に連続予告演出の開始を決定すると、その時点で全ての第1入球口により保留されている変動演出(保留球)にわたって、連続予告演出を実行させてもよい。また、複数の第1入球口が設けられており、一の第1入球口に保留されている変動演出を優先的に実行するパチンコ機においては、その優先的に変動演出が実行される第1入球口に入球された場合に限り、連続予告演出の開始を決定するようにしてもよい。これにより、優先度の低い第1入球口に保留された変動演出に対して連続予告演出が開始されないので、優先度の低い第1入球口に保留された変動演出に対して連続予告演出が開始され、優先度の高い第1入球口に絶え間なく変動演出が保留される場合に、連続予告演出がなかなか終了しないという事態が生じるのを抑えることができる。
上記実施形態では、主制御装置110において特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が更新される度(即ち、増加した場合や、減少した場合にそれぞれ)に、保留球数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、主制御装置110において特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が増加する場合だけ、保留数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する。また、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信された変動パターンコマンドを受信すると、特別図柄保留球数カウンタ223bの値を1減らすように構成する。これにより、主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ保留数コマンドを送信する回数と、音声ランプ制御装置113が保留数コマンドを受信する回数とをそれぞれ減らすことができるので、主制御装置110および音声ランプ制御装置113の制御的負担を軽減することができる。
上記実施形態では、音声ランプ制御装置113において、入賞コマンドを受信した場合に連続予告演出の開始が決定されると、その時点で保留されていた全ての変動演出について連続予告演出を実行する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連続予告演出の開始が決定された場合に、更に個々の変動演出において、連続予告演出を実行するか否かを決定してもよい。これにより、変動演出ごとに連続予告演出が出現したりしなかったりするので、遊技者に対して、連続予告演出の出現に対する期待感を持たせることができ、遊技者を飽きさせない演出を行うことができる。この場合、音声ランプ制御装置113のMPU221によって連続予告判定処理(図31参照)が実行される度に更新され、個々の変動演出において連続予告演出を実行するか否かを決定するためのカウンタを設けてもよい。そして、その連続予告判定処理において、連続予告演出を行う場合に(S1517:Yes)、個々の変動演出において連続予告演出を実行するか否かを決定するためのカウンタの値が所定の値に限り、連続予告演出を開始するようにしても良い。また、この場合、対応する変動演出に対して連続予告演出実行を設定するカウンタの所定の値の数(範囲)を、条件に応じて変更してもよい。この条件としては、例えば、連続予告演出を開始するか否かを判断する時の特別図柄保留球数カウンタ223bの値や、残りの連続予告演出の実行回数、判断が行われる変動演出の変動パターン、一連の連続予告演出終了後の遊技状態(大当たりA、大当たりB、大当たりC、外れ)、若しくは、これらの2以上の組み合わせなどが挙げられる。これにより、条件に応じて、各変動演出において連続予告演出の実行が決定される確率が変更されるので、遊技者に対して、各変動演出における連続予告演出の出現割合に注目させることができる。
上記実施形態では、主制御装置110から各コマンドが音声ランプ制御装置113に対して送信され、その音声ランプ制御装置113から表示制御装置114に対して表示の指示がなされるよう構成したが、主制御装置110から表示制御装置114に直接コマンドを送信するものとしてもよい。また、表示制御装置に音声ランプ制御装置を接続して、表示制御装置から各音声の出力とランプの点灯を指示するコマンドを音声ランプ制御装置に送信するよう構成してもよい。さらに、音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1の制御装置として構成するものとしてもよい。音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1つの制御装置として構成する場合、エラー発生コマンドといった音声ランプ制御装置113で生成して表示制御装置114に通知したコマンドに代えて、連続予告フラグやエラー発生フラグといった各種フラグを生成し、そのフラグに基づいて、表示データテーブルや、転送データテーブルを表示データテーブルバッファ233dや、転送データテーブルバッファ233eに設定したり、警告画像などの各種画像データを生成したり、必要な画像データの転送指示を設定したりしてもよい。
上記実施形態においては、第1始動口64aへの入賞およびスルーゲート67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定してもよい。また、第1始動口64aへの入賞に基づく変動表示の保留球数を、第3図柄表示装置81の一部において、数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしてもよく、第1図柄表示装置37とは別体でランプ等の発光部材を設け、該発光部材によって保留球数を通知するように構成してもよい。
また、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、縦方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであってもよい。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。
<第2実施形態におけるパチンコ機10>
次に、図108〜図117を参照して、第2実施形態におけるパチンコ機10について説明する。本第2実施形態におけるパチンコ機10の構成では、上述の第1実施形態におけるパチンコ機10の構成に、回転部材が回動する演出の場合に第3図柄表示装置81で表示される主図柄の変動表示の停止タイミングと回動部材が所定の停止位置で停止するタイミングとを合わせる制御が実行される点で相違する。なお、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
<第2実施形態におけるパチンコ機10の演出について>
次に、図108〜図110を参照して、本第2実施形態における演出内容について説明する。図108は、本第2実施形態において疑似連続予告が実行される場合の一例についてタイムチャートである。本実施形態では、音声ランプ制御装置113が主制御装置110より出力される入賞コマンドに基づいて、疑似変動を実行するか否かの抽選を実行する。ここで、疑似変動とは、特別図柄の1の変動を複数回の特別図柄の変動であるかのように擬似的に見せる変動のことである。疑似変動では、第3図柄が1の特別図柄の変動時間の中で、複数回、変動開始と仮の変動停止をした後に完全に停止する。これにより、遊技者は、複数回の変動が実行しているように見えることができる。また、疑似変動において、疑似変動される回数(特別図柄が変動開始する回数)は、当否判定結果が大当たりである方が、外れである場合よりも多い回数が設定され易いように構成したので、疑似変動であることを認識している遊技者であっても、1変動中に特別図柄が何回変動するか(何回の疑似変動が設定された疑似変動であるか)を楽しみに遊技を行うことができる。
図108に示した、疑似変動では、疑似変動の回数が4回に設定された場合の例を示したタイムチャートである。特別図柄の変動開始が設定されると変動開始を初めて、所定期間変動表示された後に、所定時間変動した後に、仮停止される。この場合、第3図柄は「335」等のチャンス目で仮停止される。仮停止中は、第3図柄がわずかに、揺れて表示される揺れ変動で表示される。なお、この仮停止されている状態であっても第1図柄の動的表示は変わらず継続されている。所定期間(2秒程度)仮停止した後に、2回目の疑似変動が開始される(疑似変動1で示した変動)。
図109(a)は、疑似変動1で示した疑似変動が開始された場合の、第3図柄表示装置81と回動部材300とを示した図である。ここで、第3図柄が変動開始されてまもなく(0.5秒後等)すると、図108(b)に示すように、回動部材300が回動を開始する。ここで、第3図柄が2回目の疑似変動を開始してから、少し遅延して、回動部材300の回動が開始されるのは、この後、変動時間が経過して第3図柄が仮停止されるタイミングと、回動部材300が高速状態で所定位置(本実施形態では、「2」が表示されている位置が真上となる位置)に停止する(図110参照)タイミングとが一致するようにするために、変動時間に合わせて調整された時間遅延して回動部材300の回転が開始される。
図110に示すように、疑似変動1で設定されている疑似変動時間が経過すると、第3図柄は、「335」のチャンス目を示す組み合わせで表示される。なお、本実施形態では、チャンス目は第3図柄の左図柄と、中図柄とが同じ図柄であり、右図柄のみが異なる組み合わせをチャンス目に設定している。チャンス目については、リーチ目に設定してもよいし、大当たり以外の組み合わせであれば適宜設定してよい。
第3図柄がチャンス目で仮停止されるタイミングで、回動部材300は高速状態のまま真上に「2」が停止する位置で停止される。そして、第3図柄表示装置81には、疑似変動が継続されることを示す「継続」の文字が表示される。また、回動部材300の表面に示した数字は疑似変動を実行した回数を示しており、当該変動の中で何回目の疑似変動が行われたかを判別できるように構成されている。
本実施形態では、入賞コマンドを受信した場合に、特別図柄の1変動において、主図柄を所定時間で複数回変動表示させる疑似変動を実行するか否かの抽選が実行される。疑似変動が実行されると決定された場合には、予め主制御装置110により決定された変動時間内において抽選で決定された回数で主図柄が変動表示される。なお、特別図柄の変動表示時間が経過するまでは、主図柄が停止する場合には、揺れ変動されて仮停止の状態で停止表示された後に、再度変動表示される。
なお、疑似変動における変動時間は、疑似変動回数により、特別図柄の変動時間を超えない時間にそれぞれの変動時間が抽選により設定される。本実施形態では、疑似変動の最大回数は4回であるので、予め主制御装置110で選択されている変動パターンの種別に割り振られている変動時間を4で割った時間以下の時間が1回の疑似変動の時間として抽選により設定されるように構成されている。そして、それぞれ、疑似変動の抽選で設定された回数に対して変動時間が設定されて、最終回の疑似変動については、これまで選択された疑似変動の変動時間の合計を特別図柄の変動時間より減算した時間が変動時間として設定される。
また、各疑似変動が開始される場合には、その回数を遊技者に報知するように、回動部材330が所定位置で停止される。回動部材330には、表側に疑似変動の回数を示す数字が設けられており、その数字が表示されている位置を最上部にして停止表示された場合に、その位置に表示されている数字が現在の疑似変動の回数を示している。
回動部材330は、毎回、同じ回転速度となるように制御されている。よって、疑似変動のそれぞれの変動時間が異なると、疑似変動の停止タイミングと回動部材330の停止タイミングとを合わすことが困難な場合がある。しかしながら、本実施形態では、疑似変動の時間に合わせて、それぞれ回転部材330の回動開始タイミングを遅延させて設定することで、疑似変動の停止タイミングと回転部材330を所定位置で停止させるタイミングとを一致させることができる。
なお、本実施形態では、回動開始タイミングを遅延させることで、タイミングを合わせるように制御したが、それに限らず、回動部材の回動速度を疑似変動の変動時間に合わせて可変させるようにすることで、タイミングを合わせるように構成してもよい。
また、回動速度を可変させて合わせることで、タイミングを合わせる場合には、回動速度を疑似変動の回数が多くなる毎に早くするように設定してもよい。このように設定することで、疑似変動の回数を疑似変動の回動速度で遊技者に報知することができる。
<第2実施形態における電気的構成について>
次に、図111〜図113を参照して、本第2実施形態における電気的構成について説明する。第2実施形態における電気的構成では、第1実施形態における電気的構成に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222とRAM223との内容がそれぞれ変更されている点で相違する。なお、その他の構成については、第1実施形態と同一の構成であるので、その図示と説明を省略する。
図111(a)は、第2実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221におけるRAM222の内容を模式的に示した模式図である。本第2実施形態におけるROM222は第1実施形態に対して、疑似変動選択テーブル222eと疑似変動秒数選択テーブル222fとが追加されている。
図112を参照して、疑似変動選択テーブル222eについて説明する。疑似変動選択テーブル222eは、入賞コマンドを受信した場合に、その入賞コマンドがリーチとなる変動パターンを示していると、取得した演出カウンタ223fの値に基づいて、疑似変動を実行するか否かが抽選により実行される。
詳細には、図112に示すように、疑似変動選択テーブル222eは、当否判定結果が当たり、外れのそれぞれに対応して、リーチ種別毎にそれぞれ疑似変動回数が設定されている。抽選結果が当たり、外れに共通して、ノーマルリーチでは、疑似変動回数は2回が最高回数となっている。また、当たりである場合で、スーパーリーチとスペシャルリーチについては最高回数が4回となっており、外れである場合には、3回となっている。これにより、疑似変動回数が4回となった場合には、遊技者は、当否判定結果が大当たりであることを認識することができる。よって、遊技者は、疑似変動が開始されると、疑似変動が継続して実行されて、4回まで継続しないかと期待して遊技を行うことができる。
また、図112に示すように、各リーチ種別毎に、それぞれ疑似変動回数が複数設定されており、その回数に対して、それぞれ演出カウンタ223fの判定値が割り付けされている。そして、取得した演出カウンタ223fの値と判定値とが一致した場合に、その判定値に設定されている疑似変動回数が設定される構成となっている。また、判定値に設定されていない演出カウンタ223fの値が取得された場合には、疑似変動を実行しないと抽選される。
また、当否判定結果が当たりである方が、疑似変動が選択され易いように、判定値の数が多く設定されている。これにより、疑似変動が開始されると遊技者は大当たりへの期待を持って遊技を行うことができる。よって、遊技者は、疑似変動が開始されることを期待して遊技を行うことができ、疑似変動が開始されるのを目標にして遊技を行うことができる。
次に、図113を参照して、疑似変動秒数選択テーブル222fについて説明する。図113は、この疑似変動秒数選択テーブル222fを模式的に示した図である。疑似変動秒数選択テーブル222fは、疑似変動の変動秒数(疑似変動選択テーブル222eにより選択された疑似変動の回数それぞれに対する変動秒数)を決定するための選択テーブルである。この疑似変動秒数選択テーブル222fには複数の疑似変動秒数がリーチ種別に対して設定されている。ノーマルリーチとスーパーリーチについては、共通して、5000ms,7000ms,10000ms,12000msがそれぞれ設定されており、各疑似変動秒数に対して演出カウンタ223fの判定値が割り付けされている。また、スペシャルリーチに対しては、5000ms,7000ms,10000ms,12000ms,16000msがそれぞれ設定されており、各疑似変動秒数に対して、それぞれ判定値が割り付けされている。
ここで、疑似変動秒数選択テーブル222fでは、各リーチで設定される最高回数の疑似変動回数が選択されて、その回数すべてに対して、最長の疑似変動秒数が選択されたとしても、特別図柄の変動秒数を超えないように設定されている。
この疑似変動秒数選択テーブル222fは、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する通常演出選択処理(図116、S1520)のS1523の処理において、取得した演出カウンタ223fの値に、後述するランダムカウンタ223tの値を加算して、更新した値に基づいて、S1524の処理より疑似変動回数に対応した疑似変動秒数が選択される。ここで、S1523の処理では、ランダムカウンタ223tの値(0〜99のいずれか)の値が加算された場合に、演出カウンタ223fの上限値を超えると、その加算した値から、198を減算した値で更新される。具体敵には、取得している演出カウンタ223fの値が「190」で、ランダムカウンタ223tの値が「20」であれば、190+20=210であり、上限値である「198」を超えたので、210−198=12となり、演出カウンタ223fの値が12に更新されて設定される。また、設定された疑似変動の回数と同じだけ、疑似変動秒数が回数毎にそれぞれ設定される。
次に、図111(b)を参照して、第2実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。図111(b)は、このRAM223の内容を模式的に示した模式図である。第3実施形態におけるRAM223は、第1実施形態におけるRAM223に対して、疑似変動フラグ223p、疑似変動回数記憶エリア223r、疑似変動秒数記憶エリア223s、ランダムカウンタ223tがそれぞれ追加されている。その他の構成については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
疑似変動フラグ223pは、疑似変動を実行することが決定されていることを示すフラグである。この疑似変動フラグ223pは、対応する入賞情報に対してオンに設定されるものであり、変動開始時に疑似変動を実行するか否かを判別できるように構成されている。この疑似変動フラグ223pは、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する入賞コマンド処理(図117、S1430)のS1425の処理により疑似変動を実行すると抽選された場合にオンに設定される。また、通常演出選択処理(図116、S1520)のS1521の処理により、疑似変動フラグがオンであると判別されると、自動的にオフに設定される。
疑似変動回数記憶エリア223rは、疑似変動回数を記憶するための記憶エリアである。音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する入賞コマンド処理(図117、S1430)のS1423の処理により疑似変動選択テーブル222eより疑似変動回数が選択されると、その選択された回数が記憶される。
疑似変動秒数記憶エリア223sは、疑似変動の変動秒数が回数毎に記憶される記憶エリアである。例えば4回の疑似変動が選択されている場合には、1日目〜4回目までの疑似変動の変動秒数がそれぞれ記憶される。
ランダムカウンタ223tは、演出カウンタ223fの値に加算して、演出カウンタ223fの値をランダムな値にするためのカウンタである。図示は省略したが、電気的な乱数回路によりカウントされる値がこのランダムカウンタ223tに記憶される。
<第2実施形態における制御処理について>
次に、図114〜図117を参照して、本第2実施形態において実行される制御処理について説明する。本第2実施形態では、第1実施形態に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行するコマンド判定処理(図91、S1311)がコマンド判定処理2(図114、S1330)に変更されている点で相違する。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、図示とその説明を省略する。
図114を参照して、本第2実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理2(S1330)について説明する。図114は、このコマンド判定処理2(S1330)の内容を示したフローチャートである。コマンド判定処理2(図114、S1330)は、第1実施形態におけるコマンド判定処理(図91、S1311)に対して、変動パターン選択処理(図92、S1403)が変動パターン選択処理2(図115、S1430)に、S1410の処理が入賞コマンド受信処理(図117、S1430)にそれぞれ変更されている点で相違する。その他の処理については、同一の処理が実行される。
S1402の処理が実行された後に、変動パターン選択処理2が実行される(S1420)。図115を参照して、この変動パターン選択処理2(S1420)について説明する。図115は、この変動パターン選択処理2(S1420)の内容を示したフローチャートである。変動パターン選択処理2(S1420)は、第1実施形態における変動パターン選択処理(S1403)に対して、S1508〜S1509までの処理が削除され、通常演出選択処理(図116、S1520)が追加されている点で相違する。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
S1507の処理において、演出モードAが設定されている、即ち、時間演出期間以外の遊技状態であると判別された場合には、通常演出選択処理を実行する(S1520)。図116を参照して、この通常演出選択処理(S1520)について説明する。図116は、この通常演出選択処理(S1520)の内容を示したフローチャートである。
通常演出選択処理(図116、S1520)では、まず、疑似変動フラグ223pがオンに設定されているか判別する(S1521)。疑似変動フラグ223pがオフに設定されていると判別した場合、即ち、疑似変動を実行すると決定されていない変動であると判別した場合には(S1521:No)、変動態様選択カウンタ223hの値を取得して、対応するサブ変動パターン選択テーブル222aより変動パターンを選択して設定する(S1522)。通常背景モード記憶エリア223oに設定されている通常背景モードの種別と、取得した演出カウンタ223fの値とに基づいて、予告演出を通常背景予告選択テーブル222cより選択する(S1523)。その後、この処理を終了する。
一方、S1521の処理において、疑似変動フラグ223pがオンであると判別した場合、即ち、疑似変動を実行すると決定されていると判別した場合には(S1521:Yes)、後述する入賞コマンド受信処理(図117、S1430)のS1425の処理において、疑似変動回数記憶エリア223rに記憶されている疑似変動回数を読み出す(S1524)。
読み出した疑似変動回数が0であるか判別する(S1525)。読み出した疑似変動回数が0より大きい値であると判別した場合には(S1525:No)、読み出した疑似変動回数から1減算して更新する(S1526)。演出カウンタ223fの値にランダムカウンタ223rの値を加算して更新する。この場合、加算した値が演出カウンタ223fの上限値である198を超えた場合には、その値から198を減算した値を更新した値として設定する。
なお、ランダムカウンタ223rの値は、音声ランプ制御装置113のMPU221の処理速度よりも何百倍も速い高速でカウンタ値を「0〜99」の範囲で更新しているので、S1527の処理をする毎に取得するランダムカウンタ223rの値は異なる値に更新されることが可能である。よって、演出カウンタ223fの値を可変させることができ、疑似変動回数毎に異なる変動時間を選択することが可能となる。よって、ランダムな変動時間で疑似変動を回数毎に行うことができる。
S1527の処理を実行した後には、S1527の処理で更新した演出カウンタ223fの値に基づいて、疑似変動秒数選択テーブル222fより疑似変動秒数を選択して、疑似変動秒数記憶エリア233tに疑似変動の回数(1の変動内の何回目の疑似変動であるか)に対応させて疑似変動秒数が設定される(S1528)。設定された疑似変動秒数に対応した回動役物可動データシナリオを設定した疑似変動に対応して設定する(S1529)。
ここでは、決定された疑似変動秒数に対応して、疑似変動回数に対応した位置で回動役物300を停止するための稼働データが設定される。詳細には、2回目の疑似変動であり、疑似変動秒数として7000msが設定されている場合には、7000msの疑似変動の間、高速で回動部材300を回動させた後に、第3図柄の中図柄(中図柄が最後に仮停止される)が仮停止されるタイミングと同期して、回動役物300の「2」が示してある位置を真上にして停止表示させる駆動データが設定される。本実施形態では、停止タイミングを同期させるために、回動部材300の回動開始位置(回動が開始される時にどの位置(どの数字またはダイヤ図柄が真上で停止されているか)と停止位置と疑似変動時間とに対応して、回動部材300を回動開始させるタイミングのデータが設定される。
よって、回動部材300は、回動開始するタイミンが第3図柄の変動が開始してから、設定された時間分遅延して回動開始することとなる。S1529では、この遅延時間が設定される。
その後、S1521の処理に戻り、S1526で更新した疑似変動回数が0であるか判別して、0であると判別されるまで、繰り返し、S1526〜S1529の処理を実行する。これにより、設定された疑似変動回数について、すべて、疑似変動秒数とそれに合わせた回動部材300の稼働データが設定される。疑似変動回数を0であると判別した場合には(S1525:Yes)、この処理を終了する。
次に、図117を参照して、本第2実施形態におけるコマンド判定処理2(図114、S1330)内のS1409の処理で入賞コマンドを受信していると判別した場合(S1409:Yes)に実行される入賞コマンド受信処理(S1430)について説明する。図117は、この入賞コマンド受信処理(S1430)の内容を示したフローチャートである。
入賞コマンド受信処理(図117、S1430)では、まず、受信した入賞コマンドは、リーチ種別の変動パターン(ノーマルリーチ、スーパーリーチ、スペシャルリーチ)が選択される入賞が発生したことを示す入賞コマンドであるか判別する(S1421)。受信した入賞コマンドがリーチ種別を示す入賞コマンドであると判別した場合には(S1421:Yes)、演出カウンタ223fの値を取得する(S1422)。その取得した演出カウンタ223fの値、受信した入賞コマンドが示す当否判定結果、リーチ種別に基づいて、疑似変動選択テーブル222eより疑似変動の抽選を実行する(S1423)。ここでは、疑似変動回数が設定された演出カウンタ223fを取得する場合には、対応する疑似変動回数を疑似変動回数記憶エリア223rに記憶する。
S1424の抽選結果が疑似変動ありであるか、即ち、疑似変動回数記憶エリア223rに疑似変動回数が設定されているか判別する(S1424)。疑似変動なしと判別した場合には(S1424:No)、この処理を終了する。一方、疑似変動ありと判別した場合には(S1424:Yes)、対応する入賞情報格納エリア223aに対応した疑似変動フラグ223pをオンに設定する(S1425)。その後、この処理を終了する。
<第3実施形態におけるパチンコ機10について>
次に、図118〜図128を参照して、第3実施形態におけるパチンコ機10について説明する。本実施形態におけるパチンコ機10では、第1実施形態におけるパチンコ機10に対して、大当たり変動である場合にその大当たり変動とその後の大当たり遊技中の演出とを利用して、バトル演出を第3図柄表示装置81に表示する構成である点と、枠ボタン22を特別図柄の変動中に連打する演出が選択される構成が加えられている点とで相違する。なお、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、図118〜図120を参照して、本第3実施形態におけるバトル演出について説明する。本第3実施形態におけるバトル演出は、当否判定結果が大当たりである特別図柄の変動態様とその変動態様の後に実行される大当たり遊技機期間で表示される大当たり遊技表示とでキャラクタ(主人公と敵)の戦いを表示して、その勝敗の結果等により抽選された大当たりの種別を報知するものである。
図118は、本第3実施形態におけるバトル演出表示態様の変動時間の構成を示したタイムチャートである。図118は、特別図柄の当否判定結果が当たりで、その特別図柄の変動表示の後には、大当たり遊技が実行されることが確定している場合の例を示してある。ここでは、大当たりとなる特別図柄の変動時間がバトル演出の前半期間として設定されている。この前半期間では、図119(a)に示すように、第3図柄表示装置81に主人公と敵が対峙して、どちらが先に攻撃するかという演出が表示される。この場合には、第3図柄は、第3図柄表示装置81の表示領域の右上に縮小されて変動表示される。これにより、遊技者は、特別図柄の変動中であることを認識できる。その後、縮小された第3図柄は、大当たりを示すぞろ目の組み合わせで表示される。なお、本第3実施形態では、第3図柄の数字の種別によっては、大当たり種別を報知していない。このように構成することで、遊技者は、大当たりとなった場合に、大当たり種別が大当たりAであるか大当たりBであるかを判別できないので、バトル演出の勝敗の結果により大当たりAであるか大当たりBであるかを報知する構成となっている。主人公が勝利すれば、大当たりAであり、敵が勝利すれば、大当たりBであることを遊技者は認識できる構成となっている。
図118に示す大当たり遊技期間では、図119(b)に示すようなバトル演出の後半の表示態様が表示される。バトル演出の後半では、図119(b)に示すように、主人公が攻撃権を得て攻撃を行う表示態様が表示される例と、図120に示すように敵が攻撃権を得て攻撃を開始する表示態様が表示される例とが設定されている。
図119(a)に示すように、主人公が攻撃する例では、主人公が攻撃することで、敵を倒すことができれば、大当たりの種別が大当たりA(16R確変大当たり)であることを示す「攻撃で倒せたら確変昇格!!」という文字が表示される。一方、図120に示すように、敵が攻撃する例では、主人公が敵から攻撃されることで、主人公が敵からの攻撃を防ぎ倒されなかったら大当たりの種別が大当たりA(16R確変大当たり)であることを示す「攻撃を防げたら確変昇格!!」という文字が表示される。
このように、主人公、敵のどちらが攻撃権を得ても大当たりAであることが報知される可能性がある演出に構成したので、遊技者は、大当たり遊技後の遊技状態が高確率遊技状態(確変)に設定されることへの期待を持って遊技を行うことができる。
ここで、遊技状態が高確率遊技状態に設定されている場合においては、次に、大当たりとなるまでは、高確率遊技状態が維持されているので、遊技者としては、大当たりが付与されることは当たり前となってしまう。遊技者の関心は、次の、大当たりで大当たり種別が大当たりA(16R確変大当たり)であるか、大当たりB(16R通常大当たり)であるかに向けられる。遊技者としては、大当たりAが決定されることで、高確率遊技状態(確変)が次の大当たり後にも継続して付与されることを期待して遊技を行っている。
本実施形態では、高確率遊技状態が付与されている場合に、当否判定結果が大当たりとなる特別図柄の変動期間と、その後に実行される大当たり遊技の時間とを合わせて、一つの演出(バトル演出)として、大当たりAであるか、大当たりBであるかを第3図柄表示装置81で表示するように構成したので、その演出にかけられる時間を長く設定することができ、演出の内容をより多様にすることができる。
また、従来の構成では、特別図柄の変動期間で大当たりの報知を行い、その後、大当たり遊技中に大当たりAであるか、大当たりBであるかの報知演出を行っていた。この構成では、遊技者は、確変遊技状態であると、特別図柄の変動では、大当たりの報知には、関心が薄いので、興味が低下しており、特別図柄の変動期間が退屈となってしまう不具合がった。しかしながら、本実施形態では、特別図柄の変動期間と大当たり遊技の期間とを合わせて大当たりAであるか、大当たりBであるかの報知演出(バトル演出)を実行するようにしたので、遊技者が退屈する不具合を抑制できる。
次に、図121(a)〜(b)を参照して、本実施形態におけるボタン演出について説明する。ボタン演出とは、特別図柄の変動パターンの一種であり、枠ボタン22を押下することで、第3図柄表示装置81の演出表示態様が可変する演出である。図121(a)に示すように、第3図柄の変動表示中に、枠ボタン22を連打するように遊技者に促す表示態様が表示される。そして、枠ボタン22の形を模した図柄の下方には、枠ボタン22を押下できる残り時間を示す残時間インジケータMが表示される。残時間の減少に基づいて、残時間インジケータMの表示色が可変するように構成されている。本実施形態では、残時間の期間を赤色の表示色として、残時間が減少すると、その分が白色に可変されて(赤色で表示された部分が減少)するように可変して表示される(図121(b)参照)。
また、残時間インジケータMの左側には、枠ボタン22を長押しすることで、自動的に連打しているのと同じ状態に制御(判別)されることを示す「長押しでオート連打」に文字が表示されている。そして、表示領域の上部には、枠ボタン22が連打することに基づいて色が可変するインジケータが表示されている。このインジケータには目盛りが表示されており、その目盛りが変動中の特別図柄の当否判定結果が当たりであることへの期待度に設定されている。枠ボタン22を連打して、インジケータの目盛りがより大きい値の所まで色が可変(白色から赤色に可変)して表示されると遊技者は、変動中の特別図柄に対する当否判定が当たりではないかと期待することができる。
また、図121(b)に示すように、枠ボタン22が長押し(3秒または1秒間連続して枠ボタン22を押下)すると、枠ボタン22を模した図柄の上に長押しを検出して、自動的に連打している状態に設定されていることを示す「オート連打中」の文字が表示される。なお、本実施形態では、長押しと判定される枠ボタン22の押下期間は、枠ボタン22の操作が有効と判定される残時間によって可変して設定される。具体的には、残時間が5秒以下となると、それまで3秒間連続して枠ボタン22が押下されていた場合に、長押しと判別されていた設定が、1秒間連続して枠ボタン22が押下されると長押しと判別されるように切り替えて設定される。これにより、残時間が残り少なくなってから枠ボタン22を長押ししても、インジケータをより多く貯めることができ、ボタン演出を楽しむことができる。
なお本実施形態では、残時間によって、枠ボタン22を長押ししたと判別する判定時間を変えるように構成したが、それに限らず、インジケータを可変させる量を増加させたり、可変させるスピードを早く構成するようにしてもよい。また、残時間が所定値(例えば、3秒以下)等になった場合に、枠ボタン22が操作されると、インジケータが可変される値であった最大値や、所定値(例えば、目盛りMAXまで表示される演出が選択されていれば、目盛り1まで等)までインジケータを可変させて表示するように構成してもよい。
<第3実施形態における電気的構成について>
次に、図122〜図123を参照して、本第3実施形態における電気的構成について説明する。本第3実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成は、第1実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222の内容と、RAM223の内容とが変更されている点で相違する。その他の構成については、同一の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
図122(a)は、本第3実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222の内容を模式的に示した模式図である。第3実施形態におけるROM222は、第1実施形態におけるROM222に対して、融合演出選択テーブル222gと融合変動パターン選択テーブル222hとがそれぞれ追加されている。その他の構成は、第1実施形態と同一の構成であるので、その詳細な説明を省略する。
融合演出選択テーブル222gは、大当たり中のラウンド表示態様を選択するための選択テーブルである。図123(a)は、この融合演出選択テーブル222gの内容を模式的に示した模式図である。図123(a)に示すように、大当たり種別に対応して、それぞれ複数のラウンド表示態様が設定されている。大当たりA(16R確変大当たり)である場合には、主人公が最終的に勝利する表示態様で設定されたラウンド表示態様が設定されており、大当たりB(16R通常大当たり)であれば、主人公が最終的に敗北する表示態様で設定されたラウンド表示態様が設定されている。
また、融合演出選択テーブル222fでは、大当たり遊技が開始される前に実行された大当たりを報知した特別図柄の変動パターンに対応して、それぞれラウンド表示態様が設定されている。これにより、特別図柄の変動内容に対応したラウンド表示態様を選択することができるので、演出の辻褄を合わせることができるように構成されている。各前変動の変動パターンの内容に対して複数のラウンド表示態様が設定されており、そのそれぞれに演出カウンタ223fの値が割り付けされている。具体的には、後述する特別図柄のバトル演出(融合演出)の変動パターンを選択するための融合変動パターン選択テーブル222gの説明をする際に、説明する。
融合変動パターン選択テーブル222gは、特別図柄のバトル演出の変動パターンを選択するための選択テーブルである。図123(b)は、融合変動パターン選択テーブル222gの内容を示した模式図である。本実施形態では、バトル演出の変動パターンは特別図柄の当否判定結果が大当たりである場合に選択されるように設定されている。大当たり種別に対応させて、それぞれバトル演出の変動パターンが設定されている。そして、各バトル演出に対して、変動態様選択カウンタ223hの判定値が割り付けされている。
具体的には、敵攻撃開始変動パターンA,Bは、敵が攻撃を仕掛けるバトル演出である。この敵攻撃開始変動パターンA,Bは、ノーマルリーチの種別に対応するものであり、主制御装置110からノーマルリーチを示す変動パターンコマンドが出力された場合に選択される。主人公攻撃開始変動パターンA,Bは、主人公が攻撃を仕掛けるバトル演出である。この主人公攻撃開始変動パターンA,Bは、スーパーリーチの種別に対応する変動パターンであり、主制御装置110からスーパーリーチを示す変動パターンコマンドを受信した場合に選択される。同時攻撃開始変動パターンA,Bは、主人公と敵とが同時に攻撃を仕掛けるバトル演出である。この同時攻撃開始変動パターンA,Bは、スペシャルリーチの種別に対応する変動パターンであり、主制御装置110からスペシャルリーチを示す変動パターンコマンドを受信した場合に選択される変動パターンである。
また、本実施形態では、この融合変動パターン選択テーブル222gより選択された変動パターンの種別に基づいて、大当たり中のラウンド表示態様が前述した、融合演出選択テーブル222fより選択される。図123(a)に示すように、敵攻撃開始変動パターンA,Bのどちらかが選択されていた場合には、大当たり種別が大当たりAであれば、演出カウンタ223fの値に基づいて、逆転演出A,Bのどちらかが選択される。このラウンド演出では、敵の攻撃を耐えて主人公が勝利するラウンド演出が表示される。一方、大当たりBである場合には、敵勝利演出A,Bのどちらかが演出カウンタ223fの値に基づいて選択される。この敵勝利演出A,Bでは、主人公が敵に勝利するラウンド演出が表示される。
主人公攻撃開始変動パターンA,Bのどちらかが選択されていた場合には、大当たりAであれば、通常勝利演出A,Bのどちらかが演出カウンタ223fの値に基づいて選択される。この通常勝利演出A,Bでは、主人公が攻撃を仕掛けてそのまま敵を倒すラウンド演出が表示される。一方、大当たりBであれば、主人公負け演出A,Bのどちらかが演出カウンタ223fの値に基づいて選択される。この主人公負け演出A,Bは、主人公が攻撃を仕掛けても、敵を倒すことができなかったことを示すラウンド表示態様が表示される。
同時攻撃開始変動パターンA,Bのどちらかが選択されていた場合には、大当たりAであれば主人公攻撃勝利演出A、敵攻撃逆転勝利演出Bのどちらかが演出カウンタ223fが表示される。同時攻撃開始変動パターンA,Bでは、主人公と敵とが同時に互いに攻撃を仕掛けているので、主人公が攻撃権を最終的に得て勝利する主人公攻撃勝利演出Aと敵が最終的に攻撃権を得るが、その攻撃に主人公が耐えて勝利する敵攻撃逆転勝利演出Bとが表示される。一方、大当たりBであれば、敵攻撃勝利演出Aまたは主人公攻撃逆転負け演出Bが演出カウンタ223fの値に基づいて選択される。敵攻撃勝利演出Aは、最終的に敵が攻撃権を得て勝利するラウンド演出が表示される。主人公攻撃逆転負け演出Bは、最終的に主人公が攻撃権を得るが、敵がその攻撃に耐えて主人公が負けてしまうラウンド演出が表示される。
このように、特別図柄の変動パターンとその後に表示されるラウンド演出とをストーリーが繋がるように選択されるので、遊技者は、一連の演出として変動パターンの演出とラウンド演出とを楽しむことができる。
また、本実施形態では、特別図柄の変動パターンによる表示態様とラウンド演出とのつながりは、黒い画面を表示する(画面をブラックアウト)ことによってつなげているが、それに限らず、繋ぎ専用の画像を選択するように構成してもよい。このように構成することで、より、特別図柄の変動表示態様(変動パターン)とラウンド演出の表示態様とを繋がりのある表示演出で表示できる。
図122(b)は、第3実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223の内容を模式的に示した模式図である。第3実施形態におけるRAM223は、第1実施形態におけるRAM223に対して、融合演出フラグ223uとSW有効時間記憶エリア223vとSW押下カウンタ223wとがそれぞれ追加されている。その他の構成については、第1実施形態と同一の構成であるので、その詳細な説明を省略する。
融合演出フラグ223uは、融合変動パターン選択テーブル222gより変動パターンが選択されたことを示すフラグである。融合変動パターン選択テーブル222gよりバトル演出の変動パターンが選択されたことに基づいて、この融合演出フラグ223uがオンにされることで、その後に実行される大当たりのラウンド表示態様では、融合演出選択テーブル222fよりラウンド表示態様が選択される処理が実行される。
SW有効時間記憶エリア223vは、枠ボタン22が操作された場合にその操作が有効と判別される有効時間が記憶される記憶エリアである。このSW有効時間記憶エリア223vは、図121(a)〜(b)に示したSW演出が行われる変動パターンが選択されたことに基づいて、その変動パターンに対応した有効時間が設定される。
SW押下カウンタ223wは、枠ボタン22を押下している時間を判別するものである。なお、枠ボタン22を連打している場合にも、SW押下カウンタ223wは加算して更新されるので、連打している期間をカウントしているカウンタでもある。
<第3実施形態における制御処理>
次に、図124〜図129を参照して、本第3実施形態におけるパチンコ機10の制御処理について説明する。第3実施形態における制御処理は、第1実施形態に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図91、S1311)がコマンド判定処理3(図125、S1340)に、変更されている。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明を省略する。
図124を参照して、主制御装置110のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1004)について説明する。図124は、この大当たり制御処理(S1004)の内容を示したフローチャートである。
大当たり制御処理(図124、S1004)では、まず、大当たり開始のタイミングであるか判別する(S1101)。大当たり開始のタイミングであると判別した場合には(S1101:Yes)、大当たりの開始を音声ランプ制御装置113により通知するためのオープニングコマンドを設定する(S1102)。大当たり開始のタイミングでないと判別した場合には(S1103:No)、この処理を終了する。一方、大当たり開始のタイミングでないと判別した場合には(S1101:No)、大当たり遊技中であるか判別する(S1103)。大当たり遊技中であると判別した場合には(S1103:Yes)、新たなラウンド開始のタイミングであるか判別する(S1104)。新たなラウンド開始のタイミングであると判別した場合には(S1104:Yes)、第1可変入賞装置65または第2可変入賞装置650のいずれかを開放する処理を実行する(S1105)。新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定する。なお、本実施形態では、通常遊技状態で大当たりした場合には、第1可変入賞装置65が開放され、高確率遊技状態で大当たりした場合には、第2可変入賞装置650が開放するように設定される。
一方、新たなラウンドの開始タイミングでないと判別した場合には(S1104:No)、開放中の第1可変入賞装置65または第2可変入賞装置650を閉鎖する条件(10球入賞したか、30秒が経過したか)が成立しているか判別する(S1107)。閉鎖する条件が成立したと判別した場合には、開放中の第1可変入賞装置65または第2可変入賞装置650を閉鎖する処理を実行する(S1108)。一方、閉鎖する条件が成立していないと判別した場合には(S1107:No)、この処理を終了する。
次に、図125を参照して、本第3実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理3(S1340)について説明する。図125は、このコマンド判定処理3(S1340)の内容を示したフローチャートである。第3実施形態におけるコマンド判定処理3(図125、S1340)は、第1実施形態におけるコマンド判定処理(図91、S1311)に対して、変動パターン選択処理(図92、S1403)が変動パターン選択処理3(S1440)に変更され、S1412〜S1413までの各処理がそれぞれ追加されている。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明を省略する。
変動パターン選択処理3(S1440)は、第1実施形態における変動パターン選択処理(図92、S1403)のS1508〜S1509の処理が通常演出選択処理2(図126、S1530)に変更されている点で第1実施形態と相違する。その他の処理については、同一の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
次に、図126を参照して、第3実施形態における変動パターン選択処理3(S1440)内の処理である通常演出選択処理2(S1530)について説明する。図126は、この通常演出選択処理2(S1530)の内容を示したフローチャートである。この通常演出選択処理2(S1530)は、S1507の処理(図92参照)において、演出モードAが設定されている(時間演出期間以外である)と判別した場合(S1507:Yes)、実行される処理である。
通常演出選択処理2(図126、S1530)では、まず、当否判定結果が大当たりであるか判別する(S1531)。当否判定結果が外れであると判別した場合には(S1531:No)、変動態様選択カウンタ223hの値を取得して、対応する変動パターンを通常背景専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図71参照)より選択する(S1532)。選択されている通常背景モード種別と演出カウンタ223fの値とに基づいて、予告演出を通常背景予告選択テーブル222c(図74(a)参照)より選択して設定する(S1533)。その後、この処理を終了する。
一方、S1531の処理において、当否判定結果が大当たりであると判別した場合には(S1531:Yes)、変動態様選択カウンタ223hの値を取得して、その値に対応する変動パターンを融合変動パターン選択テーブル222g(図123(b)参照)より選択する(S1534)。融合演出フラグ223uをオンに設定する(S1535)。その後、この処理を終了する。
このように、本実施形態では、当否判定結果が大当たりであるバトル演出専用の変動パターンが選択される。これにより、遊技者は、バトル演出が開始されることで、大当たりしたことを判別できる。そして、そのバトル演出の内容により大当たり種別が報知されるので、大当たり種別の報知に集中して遊技を行うことができる。
図125に戻って説明を続ける。S1409の処理において、入賞コマンドを受信していないと判別した場合には(S1409:No)、大当たり遊技のコマンドを受信しているか判別する(S1412)。ここで、大当たり遊技のコマンドとは、オープニングコマンド、ラウンド数コマンドが該当する。大当たり遊技のコマンドを受信していると判別した場合には(S1412:Yes)、大当たり演出処理を実行する(S1413)。この大当たり演出処理(S1413)については、図127を参照して説明する。
図127は、この大当たり演出処理(S1413)の内容を示したフローチャートである。この大当たり中に表示するラウンド表示態様等の設定が実行される。
大当たり演出処理(図127、S1413)では、まず、融合演出フラグ223uをオンであるか判別する(S1541)。融合演出フラグ223uがオフである、即ち、バトル演出の変動パターンが選択されて大当たりしたものでないと判別した場合には(S1541:No)、受信したコマンドに基づいて、ラウンド表示態様を表示することを指示する表示用コマンドを設定する(S1542)。
一方、融合演出フラグ223uがオンであると判別した場合には(S1541:Yes)、融合演出処理を実行する(S1544)。この融合演出処理(S1544)については、図128を参照して説明する。
図128は、融合大当たり演出処理(S1544)を示すフローチャートである。大当たり演出処理(図128、S1544)では、まず、受信したコマンドがオープニングコマンドであるか判別する(S1551)。受信したコマンドがオープニングコマンドであると判別した場合には、演出カウンタ223fの値を取得する(S1552)。取得した演出カウンタ223fの値と大当たり種別とに基づいて、融合演出選択テーブル222f(図123(a))よりラウンド表示態様(バトル演出)を選択する(S1553)。
選択したラウンド表示態様に設定されているオープニング時のラウンド表示態様を設定し、対応した表示用コマンドを設定する(S1554)。その後、この処理を終了する。
一方、受信したコマンドがオープニングコマンドでないと判別した場合には(S1551:No)、受信したコマンドはラウンド数コマンドであるので、選択されているラウンド表示態様よりそのラウンド数コマンドが示すラウンド数に対応したラウンド表示態様を設定し、それに対応した表示用コマンドを設定する(S1556)。その後、この処理を終了する。このように、ラウンドに対応した、表示態様が順に表示されるので、大当たり遊技の進行に合わせて表示を行うことができる。
次に、図129を参照して、本第3実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のメイン処理(図90)内の一処理である枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)について説明する。図129は、この枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)の内容を示したフローチャートである。
枠ボタン入力監視・演出処理(図129、S1307)では、まず、SW有効時間が0より大きい値であるか判別する。SW有効時間が0であると判別した場合には、SW有効時間記憶エリア223vの値をリセットする(S1732)。その後、この処理を終了する。
一方、SW有効時間が0より大きい値であると判別した場合には(S1731:Yes)、SW有効時間を経過時間分減算して更新する(S1733)。SW有効時間が5秒以下であるか判別する(S1734)。SW有効時間が5秒以下であると判別した場合には(S1734:Yes)、長押し判断値を1秒に設定する(S1735)。一方、SW有効時間が5秒以下でないと判別した場合には(S1734:No)、長押し判断値に3秒を設定する(S1736)。
S1737の処理では、枠ボタン22が押下されたか判別する(S1737)。枠ボタン22が押下されたと判別した場合には(S1737:Yes)、SW押下カウンタ223wの値を1加算する。SW押下カウンタ223wの値は、S1735またはS1736の処理で設定されている長押し判断値以上であるか判別する(S1740)。長押し判断値以上であると判別した場合には(S1740:Yes)、SWインジケータを変動パターンに設定されている演出値の範囲で1加算させる(S1741)。更新したSWインジケータを表示するための表示用コマンドを設定する(S1742)。その後、この処理を終了する。
一方、S1740の処理でSW押下カウンタ223wが長押し判断値以下であると判別した場合には(S1740:No)、この処理を終了する。一方、S1737の処理において、枠ボタン22が押下されていないと判別した場合には(S1737:No)、枠ボタン22が押下されていない期間が所定時間(本実施形態では、0.5秒間)以上であるか判別する(S1743)。所定時間以上であると判別した場合には(S1743:Yes)、SW押下カウンタを初期値である0にリセットする(S1739)。一方、所定時間未満であると判別した場合には(S1743:No)、この処理を終了する。
このように、本実施形態では、枠ボタン22が押下されてから0.5秒以内に押下されていれば、連打しているとして、SW押下カウンタ223wの値を1加算して更新する。そして、長押し判定値以上となると、SWインジケータを可変させるように設定される。なお、SWインジケータが可変する量は、変動パターン毎に予め設定されており、当否判定結果の期待度を表すように設定されている。
よって、遊技者は、長押ししても、連打をしても、インジケータを可変させることができる。さらに、長押し判断値は、SW有効時間によって可変して設定されるので、SW有効時間が残り少なくなっても、インジケータを可変させる演出を遊技者に見せることができる。なお、SW有効時間の値により、インジケータを可変させる速度を早くするように設定してもよい。
本実施形態では、大当たり変動において、バトル演出の前半演出を表示して、その後の大当たり遊技においてバトル演出の後半演出を表示するように構成した。このように構成することで、特別図柄の変動時間を短く構成しても、バトル演出の演出時間を十分に設定することができ、遊技者に時間効率の良い遊技を提供でき、さらに遊技の興趣を向上させた遊技機を提供することができる。
なお、本実施形態では、大当たり変動で実行されるバトル演出の前半演出では、主人公と敵とのどちらが攻撃権をとることができるかの演出を実行して、その後の大当たり演出において、主人公が攻撃する場合には、敵を倒すことができれば、大当たりの種別が大当たりA(確変)であることを示し、倒すことができなければ大当たりB(通常大当たり)であることを報知するように構成した。また、敵が攻撃する場合には、敵からの攻撃を防ぐことができれば、大当たりAであることを報知し、攻撃を防げなければ、大当たりBであることを報知する構成とした。
なお、本実施形態では、特別図柄の変動パターン(バトル演出)と大当たり遊技のラウンド表示態様とをそれぞれ選択する構成としたが、それに限らず、大当たりの当否判定結果に基づいて、特別図柄の変動パターンを選択する場合には、その後に実行される大当たり遊技の時間も含んだ演出時間を算出して、その演出時間に対応したバトル演出を選択するように構成してもよい。このように構成することで、バトル演出を選択する回数を減らすことができ、制御を容易に行うことができる。
<第4実施形態におけるパチンコ機10について>
図130〜図133を参照して、第4実施形態におけるパチンコ機10について説明する。本実施形態では、第3実施形態において説明したバトル演出について、主人公が敵に対して攻撃する技の履歴により、敵に与えるダメージを可変させる点で第3実施形態とは相違する。
本第4実施形態では、敵の種類を複数設定して、各敵に対して、主人公が攻撃して敵を倒すことができた技(頭突き、剣での攻撃等)と倒した敵とが履歴として記憶される。同じ敵に対して、その履歴に残っている技が実行された場合には、敵に与えるダメージを大きくするように構成した。よって、主人公が成長していくように遊技者は感じることができ、一度出た技が再度選択されても飽きることなく楽しむことができる。
また、本実施形態では、技の履歴を記憶するように構成したが、それに限らず、攻撃した場所(敵の頭、胴体、足等)を記憶しておき、履歴に記憶されている攻撃箇所は、敵の弱点となるように設定するように構成してもよい。このように構成することで、演出の数が多くなく、同じ演出が選択される場合にも、遊技者は飽きずにその演出を楽しむことができる。
次に、図130〜131を参照して、第4実施形態における第3図柄表示装置81に表示される特別図柄の変動中と、大当たり遊技中に表示されるバトル演出について説明する。図130(a)は、第3図柄表示装置81において、特別図柄(第3図柄)の変動表示が実行されている場合に、演出表示態様(変動パターン)として表示されるバトル演出の表示態様の一例を示した図である。本実施形態では、敵と出会うことができた表示態様を表示することで遊技者に大当たりであることを報知している。なお、縮小して表示された第3図柄はこの場合、大当たりであることを示す「777」のぞろ目で停止表示される。
第3図柄表示装置81の表示領域の左上には、これまでのバトル演出において、戦って倒した敵の履歴とその時倒した技が上下に並列して表示されている。これにより、遊技者は、次に同じ敵と戦うバトル演出が表示された場合には、一度倒している敵であることを認識できる。さらに、倒した敵の数も認識することができる。
また、本実施形態では、敵を倒した場合には、その敵を倒した技がその敵の弱点として、次回から設定される。制御的には、その弱点となった技が選択されて表示されると、敵の残り体力を示すライフポイント(HP)で示されたインジケータが通常の2倍減るように設定される。これにより遊技者は、バトル演出が表示されて、一度戦った敵が選択されて表示されたとしても、敵の弱点である技を主人公が実行しないかと期待して遊技を行うことができ、同じ敵であることで飽きてしまう不具合を抑制できる。よって、敵の数を少なく設定していても、同じ敵を使い回すことができる。
図130(b)は、大当たり遊技中に主人公が剣を使った攻撃により敵である角獣を倒した場合の表示態様を示した図である。本実施形態では、主人公が敵に勝利する演出を大当たりラウンド中に表示することで、大当たりの種別が大当たりA(16R確変大当たり)であることが報知されるように構成されている。また、表示領域の左上の履歴が表示されているエリアには、敵の種別を示す「角獣」が表示されて、その下に倒した技の種類を示す「剣」の文字が表示されている。
また、図131(a)は、主人公が角獣を頭突きによって倒した場合の表示態様を示した図である。この場合には、表示領域の履歴を表示する左上に、敵の種別を示す「角獣」が表示され、その下に倒した技を示す「頭突き」が表示されている。さらに、図130(c)は、主人公がキックにより敵である角獣を倒した場合の表示態様を示した図である。この場合にも、表示領域の左上には、倒した敵の種別である「角獣」の下に、倒した技の種別を示す「キック」の文字が表示される。図130(b)〜図131(b)に示した表示態様のように、以前の履歴に加えて、今回の履歴が表示されるので、遊技者は、これまでの履歴をわかり易く認識できる。
なお、本実施形態では、選択される変動パターンの種別により、敵の種類や表示される技の種類等は予め決められている(変動パターンにより設定されている)構成としたが、それに限らず、敵の種別を遊技者が枠ボタン22を操作することにより選択できたり、攻撃する場合に技の種別を一覧より選択できるように構成してもよい。このように構成することで、遊技者は、一度倒した敵を倒し易い敵と認識して、再度、同じ敵を選んで遊技したり、すべての敵を倒すことを目標にして遊技を行ったりすることで、遊技に早期に飽きてしまう不具合を抑制できる。また、技が選択できる場合に、相手の弱点となる技が含まれているかを期待して遊技を行うことができ、遊技の興趣を向上させることができる。技を選択できる構成では、当否判定結果が確変である場合に、確変でない場合よりも敵の弱点となる技が一覧に含まれ易く構成することで、遊技者は演出を確変が付与されることへの期待とを結びつけて遊技を行うことができる。
<第4実施形態における電気的構成>
次に、図132を参照して、本第4実施形態における電気的構成について説明する。本第4実施形態における電気的構成は、第1実施形態における電気的構成に対して、音声ランプ制御装置113のROM222の内容と、RAM223の内容とが変更されている点で相違する。その他の構成については、第1実施形態と同一の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
図132(a)は、本第4実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222の内容を模式的に示した模式図である。第4実施形態におけるROM222は、第1実施形態におけるROM222に対して、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222aの内容が変更され、大当たり演出選択テーブル222hが追加されている。
本第4実施形態における通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222aでは、第3図柄表示装置81で表示される変動パターンの表示態様が図130(a)に示すようなバトル演出の表示態様に変更されている。ここで、当否判定結果が大当たりである場合には、特別図柄がぞろ目で揃い、敵と出会う表示態様が表示される。遊技者は、敵と出会うことで、大当たりであることを認識して、バトル演出が開始されることを判別できる。
大当たり演出選択テーブル222hは、大当たり遊技における各ラウンド演出で表示するバトル演出を選択するための選択テーブルである。ここでは、図130(b)〜図131(b)に示したような様々なバトル演出の表示態様が現在のラウンド回数と演出カウンタと大当たり種別とに基づいて選択されるように設定されている。大当たり種別が大当たりAである場合には、図130(b)〜図131(b)に示したように、主人公が勝利する演出が最終的には選択されるように設定されている。一方、大当たり種別が大当たりBである場合には、図示を省略したが、主人公が敵に負けてしまう演出が最終的には、選択されるように設定されている。即ち、勝敗が必ず決定するラウンド数(本実施形態では、15R目)が開始される場合に選択されるバトル演出はすべて勝敗が決定するバトル演出態様に設定されている。バトル演出により敵のライフポイントが0となった場合には、そのラウンドで大当たりAが決定されていれば、主人公が勝利する表示態様が設定され、大当たりBであれば、敵が逃走してしまう表示態様が表示されるように設定されている。また、15ラウンドの前のラウンドで、主人公のライフポイントが0となった場合には、決定されている大当たり種別が大当たりAである場合には、主人公が復活してライフポイントが最大値に増える演出表示態様が表示され、大当たりBである場合には、主人公が敗北してしまう表示態様が表示される。
次に、図132(b)を参照して、本第4実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。図132(b)は、RAM223の内容を模式的に示した図である。第4実施形態におけるRAM223は、第1実施形態におけるRAM223に対して、履歴記憶エリア223x、ライフポイント記憶エリア223yがそれぞれ追加されている。その他の構成は第1実施形態と同一である。
履歴記憶エリア223xは、バトル演出において、倒した敵の情報と、その敵を倒した技との情報がそれぞれ対応して順番に記憶される記憶エリアである。この履歴記憶エリア223xは、電源断されると初期化されて、初期値(履歴がない状態)にリセットされる。
ライフポイント記憶エリア223yは、主人公と敵のライフポイントに対応する値をそれぞれ記憶する記憶エリアである。主人公のライフポイントは、予めバトル開始時に設定される。また、敵のライフポイントもバトル開始時に敵の種別に基づいて固有値が設定される。
<第4実施形態における制御処理について>
図133を参照して、本第4実施形態における制御処理について説明する。本第4実施形態では、第1実施形態に対して、コマンド判定処理(図91、S1311)がコマンド判定処理4(図示せず)に変更されている点で第1実施形態と相違する。その他の構成については、第1実施形態と同一の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
本第4実施形態におけるコマンド判定処理4(図示)せずは、第1実施形態におけるコマンド判定処理(図91、S1311)に対して、第3実施形態におけるコマンド判定処理3(図125、S1340)のS1412の処理と、大当たり演出処理(S1413)が大当たり演出処理2(図133、S1460)に変更された処理とがそれぞれ追加されている点で、第1実施形態とは相違する。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
次に、図133を参照して、本第4実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理4(図示せず)内の一処理である大当たり演出処理2(S1460)について説明する。図133は、この大当たり演出処理2(S1460)の内容を示したフローチャートである。
大当たり演出処理2(図133、S1460)では、まず、受信したコマンドはオープニングコマンドであるか判別する(S1561)。受信したコマンドがオープニングコマンドであると判別した場合には(S1561:Yes)、履歴記憶エリア223xより演出履歴を読み出して、敵の弱点を設定する(S1562)。演出カウンタ223fの値を取得して、大当たり演出選択テーブル222hよりラウンド数と取得した演出カウンタの値と、判定されている大当たり種別とに基づいて、大当たり演出パターン(バトル演出の表示態様)を決定する(S1563)。S1563の処理で決定された大当たり演出パターンおよびS1562で読み出した演出履歴に対応した表示用コマンドを設定する(S1564)。
このように、大当たり開始時のオープニングコマンドを受信した場合には、これまでのバトル演出での履歴を読み出して、その履歴を表示制御装置113に対してコマンドにより通知する。よって、表示制御装置113は、履歴情報を判別して、第3図柄表示装置81に履歴を報知する表示態様を表示できる。その後、この処理を終了する。また、おオープニングコマンドを受信した場合には、1R目のラウンド演出として、開始時に対応したバトル演出が大当たり演出選択テーブル222hより選択されるように構成されているので、ラウンドが進むにつれて、ストーリー性のあるバトル演出を行うことができる。ここで、ストーリー性のあるバトル演出とは、例えば、1R目では、両者がにらみ合いどちらが攻撃を仕掛けるのかという演出をし、2R目〜4R目では、最初に仕掛けた方の攻撃の演出が行われ、5R目〜7R目では、攻撃を受けた相手が攻撃に耐えることができるかという演出が行われる。その間に、敵のライフポイントが0となると、決定されている大当たり種別により大当たりAであれば、主人公が勝利する表示態様が表示され、大当たりBであれば、敵が逃走する表示態様が表示されて、バトル演出が終了する。そして、大当たりラウンドの演出としては、キャラクタ等が表示される通常のラウンド演出が実行される。このように、各ラウンドにバトル演出の流れが設定されており、最終的には15R目で勝敗が決する演出が必ず設定されることで、遊技者は、主人公が勝つことができるかという演出について、楽しみながら見ることができる。また、大当たりの種別が大当たりAである方が、大当たりBである場合よりも、主人公が攻撃を仕掛ける演出が選択され易かったり、敵からの攻撃を耐える(ライフポイントが減らない)演出が選択され易かったりするように構成されている。これにより、遊技者は、大当たり遊技の15R前の途中の演出により、大当たり種別が大当たりAであるか否かを予測することができ、大当たり遊技をより楽しむことができる。
一方、S1561の処理において、受信したコマンドが大当たりコマンドでないと判別した場合には(S1561:No)、演出カウンタ223fの値を取得して、その取得した値、大当たり種別、ラウンド数に基づいて、次のラウンドで表示するバトル演出を大当たり演出選択テーブル222hより選択(決定)する(S1565)。
選択された演出内容は、S1562の処理において敵の弱点に設定されている攻撃であるか判別する(S1566)。敵の弱点に設定されている攻撃であると判別した場合には(S1566:Yes)、決定された演出内容に基づいて、敵のライフポイントを通常の2倍で減算してライフポイント記憶エリア223yに記憶する(S1567)。一方、S1566の処理において、選択された演出内容が敵の弱点に対する攻撃でないと判別した場合には、決定された演出内容に基づいて、敵のライフポイントを通常の1倍で減算するように設定する(S1568)。ここでは、敵が攻撃を受ける場合には、ライフポイントが減算されてライフポイント記憶エリア223yに設定されるが、敵が主人公を攻撃する演出である場合には、主人公のライフポイントの減算が実行される。
敵のライフポイントが0より大きい値であるか判別する(S1569)。敵のライフポイントが0以下であると判別した場合には(S1569:No)、今回決定されている大当たり種別は大当たりA(16R確変大当たり)であるか判別する(S1570)。決定されている大当たり種別が大当たりA(16R確変大当たり)であると判別した場合には(S1570:Yes)、勝利の演出内容を示す表示用コマンドを設定する(S1571)。このコマンドを表示制御装置113が受信すると、第3図柄表示装置81に図130(b)〜図131(b)に示したような勝利の演出内容を示す表示用コマンドを設定する(S1571)。敵を倒した技を、敵の弱点として設定し、勝利した敵に対応して履歴記憶エリア223xに記憶する(S1572)。その後、この処理を終了する。一方、S1570の処理において、大当たり種別が大当たりB(16R通常大当たり)であると判別した場合には(S1570:No)、敵が逃走した表示態様を示す表示用コマンドを設定する(S1573)。遊技者は、敵が逃走した表示態様が第3図柄表示装置81に表示されると、大当たり種別が大当たりBであることを認識できる。
一方、S1569の処理において、敵のライフポイントが0より大きい値であると判別した場合には(S1569:Yes)、主人公のライフポイントは0より大きい値であるか判別する(S1574)。主人公のライフポイントが0以下の値であると判別した場合には(S1574:No)、大当たり種別が大当たりAであるか判別する(S1575)。大当たり種別が確変であると判別した場合には(S1575:Yes)、遊技者が復活して元気になる演出内容を示す表示用コマンドを設定する(S1576)。ここでは、主人公のライフポイントも最大値に更新してライフポイント記憶エリア223yに設定される。
一方、S1575の処理において、大当たり種別が大当たりBであると判別した場合には(S1575:No)、主人公の敗北を示す表示態様を第3図柄表示装置81に表示するように指示する表示用コマンドを設定する(S1577)。また、S1574の処理において、主人公のライフポイントが0より大きい値であると判別した場合には(S1574:Yes)、この処理を終了する。
このように、遊技者は、ラウンド毎に決定される演出によりライフポイントが増減し、ライフポイントが0になった場合には、決定されている大当たり種別に基づいて、演出が切り替わって表示させることで、遊技者があたかもバトルの結果により大当たり種別が決定されているような気持ちになることができる。
<第5実施形態におけるパチンコ機10について>
次に、図134〜図135を参照して、第5実施形態におけるパチンコ機10について説明する。図134(a)は、複合動作ユニットが動作する前の状態を示している。第3図柄表示装置81には、斜め、中央ラインの4ラインがリーチ状態で表示されている。ここで、図134(b)に示すように、複合動作ユニットが第3図柄表示装置81の表示領域側に向けて回動して、それぞれ、左右上下に表示されている第3図柄(4図柄、2図柄)を覆うように可変される。
その後、図135に示すように、複合動作ユニットが左右上下図柄を隠さない位置に可変されると、図柄が通常図柄(4図柄、2図柄)から確変図柄(1図柄、7図柄)にそれぞれ変えて表示される。このように、複合動作ユニットが動作することにより、第3図柄の種別が遊技者に有利な図柄へと変更されるので、遊技者は複合動作ユニットが動作することを期待して遊技を行うことができる。
また、本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、スロットマシンやパチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしてもよい。
パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップスイッチの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
なお、本実施形態では、主制御装置、音声ランプ制御装置、表示制御装置等に制御装置を分けて構成したが、一つの制御装置のみにまとめて構成してもよい。
なお、上記した各実施形態の一部または全部をそれぞれ組み合わせて構成してもよい。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段の駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達状態と、前記駆動手段から前記移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを形成可能とされ、少なくとも前記第1位置にある前記移動部材の前記第2位置への移動が開始される際には、前記遮断状態が形成された後に前記伝達状態が形成されることを特徴とする遊技機A1。
遊技機A1によれば、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、伝達手段により遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されるので、移動部材の移動を開始するために駆動手段に必要とされる駆動力を抑制でき、その結果、駆動手段の小型化を図ることができる。
即ち、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、静止している物体を動かすことになるため、移動開始時に移動部材に発生する慣性力を上回る力をかかる移動部材に作用させる必要があり、駆動手段に必要とされる駆動力が大きくなる。その結果、駆動手段の大型化を招いていた(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。一方で、移動部材の移動が開始された後は、その移動部材の運動状態を維持しようとする慣性の働きが作用することから、駆動手段に必要とされる駆動力は、移動部材の移動を開始する際に必要とされる駆動力と比較して、小さくなる。換言すれば、移動部材の移動が開始された後は、最大出力が不必要に大きな駆動手段が使用されている状態にあるといえる。
これに対し、遊技機A1では、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、伝達手段により遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されるので、駆動手段が発生可能な駆動力が小さくても、移動部材の移動を開始させることができる。即ち、伝達手段により先に遮断状態が形成されることで、無負荷状態で駆動手段に駆動力を発生させることができ、その駆動手段の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。その後、伝達手段により伝達状態が形成される(遮断状態から伝達状態に切り替えられる)ことで、駆動手段は、駆動状態に勢いがついた状態(慣性力が大きな状態)で、移動手段へ駆動力を伝達させることができる。これにより、駆動手段を小型化しても、移動部材の移動を開始させることができる。換言すれば、移動部材の移動が開始された後に、最大出力が不必要に大きな駆動手段が使用されている状態を抑制できる。
遊技機A1において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される駆動手段側部材と、その駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される移動部材側部材と、を備え、駆動手段側部材または移動部材側部材の少なくとも一方は、前記歯が非形成とされ前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方と歯合不能とされる非形成部を備えることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、伝達手段は、駆動手段側部材および移動部材側部材が歯合可能に形成されるので、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転されると、その駆動手段側部材に歯合される移動部材側部材が回転され、この移動部材側部材の回転を介して、移動部材へ駆動力が伝達される(伝達状態が形成される)。この場合、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方には、歯が非形成とされる非形成部が形成されるので、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転され、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に非形成部が配置されると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされ、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断される(遮断状態が形成される)。
よって、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、先に非形成部を利用して遮断状態を形成することで、駆動手段側部材を空転させることができるので、駆動手段を無負荷状態で駆動させることができ、駆動手段の駆動状態に勢い(駆動手段側部材に慣性力)を持たせることができる。その後、空転する駆動手段側部材を移動部材側部材に歯合させる(即ち、伝達状態を形成する)ことで、駆動手段は、駆動状態に勢いがついた状態で、移動手段の駆動を開始することができる。これにより、駆動手段を小型化しても、移動部材の移動を開始することができる。
このように、遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、伝達手段は、駆動手段側部材および移動部材側部材からなり、それら駆動手段側部材または移動部材側部材の少なくとも一方に歯が非形成とされる非形成部を設ける構成なので、駆動手段側部材と移動部材側部材との間の相対的な回転位置(非形成部の回転位置)に応じて、遮断状態と伝達状態とを切り替えることができる。即ち、かかる状態の切り替えを達成するための構成に、アクチュエータ装置を必要とせず、歯車のみから構成できるため、構造を簡素化して、製品コストの削減を図ることができる。
ここで、駆動手段側部材および移動部材側部材に形成される歯は、相手の歯との歯合を介して、動力の伝達に用いられる機械要素である。この場合、歯の歯すじの形状には限定されない。例えば、次に例示される歯車の歯を、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯に適用することができる。歯車としては、例えば、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、かさ歯車、まがりばかさ歯車、ねじ歯車、冠歯車、マイタ歯車、内歯車、ハイポイドギヤ、ウォームギヤなどが例示される。以下に示す各種発明の概念においても同様である。
遊技機A2において、前記駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが前記非形成部を備え、それら駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、前記遮断状態が形成されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが非形成部を備え、それら駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、遮断状態が形成されるので、駆動手段側部材および移動部材側部材の非形成部における外径を確保して、それら駆動手段側部材および移動部材側部材の剛性の向上を図ることができる。
即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方のみが非形成部を備える(即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方には周方向の全周にわたって歯が形成される)場合には、非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯との歯合を避けることができる位置まで後退されていることが必要となる。具体的には、非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の歯における谷底よりも回転軸側へ後退されていることが必要となる。その結果、非形成部における後退量が大きくなるため、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の非形成部における外径が小さくなり、その分、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の剛性の低下を招く。
これに対し、遊技機A3によれば、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが非形成部を備えるので、これら両非形成部は、向かい合う非形成部に対して干渉しない位置まで後退していれば足りる。具体的には、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯における谷底と山頂との間に両非形成部を位置させることができ、谷底よりも回転軸側へ後退させる必要がない。その結果、非形成部における後退量を小さくできる分、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれの非形成部における外径を確保して、それら駆動手段側部材および移動部材側部材の剛性の向上を図ることができる。
遊技機A3において、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部は、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方における非形成部は、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯から周方向へ離間するに従って前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部へ向けて張り出す形状とされることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが備える非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部が駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方における非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯から周方向へ離間するに従って駆動手段側部材または移動部材側部材の一方に形成される非形成部へ向けて張り出す形状(即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の回転軸からの距離が大きくなる形状)とされるので、これら両非形成部どうしの干渉を回避して、遮断状態の形成を可能としつつ、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の非形成部における外径を大きくして、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の剛性を更に高めることができる。
遊技機A3又はA4において、前記駆動手段側部材および移動部材側部材は、第1の位相位置および前記第1の位相位置とは異なる位相位置である第2の位相位置のそれぞれにおいて、前記駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、前記遮断状態が形成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A3又はA4の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材は、第1の位相位置および第2の位相位置の2ヶ所において、遮断状態を形成することができるので、第1の位相位置および第2の位相位置を移動部材の第1位置および第2位置に対応させることで、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際だけでなく、第2位置にある移動部材の第1位置への移動が開始される際にも、遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されることで、駆動手段の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。即ち、駆動手段が発生可能な駆動力が小さくても、移動部材が第1位置にある場合および第2位置にある場合の双方において、移動部材の移動を開始させることができる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記移動部材は、第1移動部材と第2移動部材とを備え、前記伝達手段は、前記駆動手段の駆動力を前記第2移動部材へ伝達する伝達状態と、前記駆動手段から前記第1移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを同時に形成可能とされることを特徴とする遊技機B1。
遊技機B1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動力が伝達手段により第1移動部材および第2移動部材へ伝達され、これら第1移動部材および第2移動部材が移動される。この場合、伝達手段は、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達する伝達状態と、駆動手段から第1移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを同時に形成可能とされるので、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材の移動を1の駆動手段により行う場合、従来品では、駆動手段が駆動力を発生する状態と駆動力の発生を停止した状態との2つの駆動状態を形成することで、第1移動部材および第2移動部材の動作態様を切り替える構造であるため、第1移動部材および第2移動部材の両者が共に移動するか或いは両者が共に停止する動作態様のみが形成可能とされ、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させることはできなかった。そのため、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させるためには、第1移動部材を移動させるための駆動手段と第2移動部材を移動させるための駆動手段とをそれぞれ個別に設ける必要があった(例えば、特開2011−139766号公報を参照)。
これに対し、遊技機B1によれば、上述の通り、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できるので、第1移動部材および第2移動部材の移動および停止による演出効果を発揮可能としつつ、駆動手段の数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機B1において、前記伝達手段は、前記駆動手段が発生する駆動力を前記第1移動部材へ伝達する第1伝達部材と、前記駆動手段が発生する駆動力を前記第2移動部材へ伝達する第2伝達部材とを備え、前記第1伝達部材は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される第1駆動手段側部材と、その第1駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記第1駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記第1移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される第1移動部材側部材と、を備え、第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の少なくとも一方は、前記歯が非形成とされ前記第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の他方と歯合不能とされる非形成部を備えることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動力が、第1伝達部材により第1移動部材へ伝達されると共に第2伝達部材により第2移動部材へ伝達され、第1移動部材および第2移動部材がそれぞれ移動される。
この場合、第1伝達部材は、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材が歯合可能に形成されるので、駆動手段の駆動力により第1駆動手段側部材が回転されると、その第1駆動手段側部材に歯合される第1移動部材側部材が回転され、この第1移動部材側部材の回転を介して、第1移動部材へ駆動力が伝達され、第1移動部材が移動される。また、第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の一方は、歯が非形成とされる非形成部を備えるので、駆動手段の駆動力により第1駆動手段側部材が回転され、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材の歯合位置に非形成部が配置されると、第1駆動手段側部材と第1移動部材側部材とが歯合不能とされ、駆動手段から第1移動部材への駆動力の伝達が遮断される(遮断状態が形成される)。即ち、この第1伝達部材による遮断状態の形成は、第2伝達部材による第2移動部材への駆動力の伝達とは独立して行うことができる。これにより、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。
このように、遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、第1伝達部材は、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材からなり、それら第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の少なくとも一方に歯を非形成として非形成部を設ける構成なので、第1駆動手段側部材と第1移動部材側部材との間の相対的な回転位置(非形成部の回転位置)に応じて、遮断状態と伝達状態とを切り替えることができる。即ち、かかる状態の切り替えを達成するための構成に、アクチュエータ装置を必要とせず、歯車のみから構成できるため、構造を簡素化して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機B2において、前記第2伝達部材は、前記駆動手段の駆動力を前記第1移動部材へ伝達する伝達状態が前記第1伝達部材により形成されている際に、前記駆動手段から前記第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、第2伝達部材は、駆動手段の駆動力を第1移動部材へ伝達する伝達状態が前記第1伝達部材により形成されている際に、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされるので、第1移動部材を移動させつつ第2移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。即ち、遊技機B2の奏する効果(即ち、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できるという効果)に加え、第1移動部材を移動させつつ第2移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。これにより、駆動手段の数を低減して、製品コストの削減を図りつつ、第1移動部材および第2移動部材の移動および停止の動作態様のバリエーションを増加して、その演出効果を高めることができる。
遊技機B3において、前記第2伝達部材は、溝状の溝部およびその溝部に沿って移動可能に形成されるピン部を備えると共に、それら溝部およびピン部が前記駆動手段から前記第2移動部材までの駆動力の伝達経路中に配設され、前記ピン部が前記溝部に沿って移動されることで、前記駆動手段の駆動力を前記第2移動部材へ伝達する伝達状態を形成可能とされ、前記ピン部が前記溝部に対して停止されることで、前記駆動手段から前記第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、ピン部が溝部に沿って移動されることで、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達する伝達状態を形成可能とされる一方、ピン部が溝部に対して停止されることで、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされるので、駆動手段の駆動力を第1移動部材へ伝達する伝達状態が第1伝達部材により形成されている(即ち、第1移動部材が移動されている)際には、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断して、第2移動部材を停止させる一方、駆動手段から第1移動部材への駆動力が第1伝達部材により遮断されている(即ち、第1移動部材が停止されている)際には、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達して、第2移動部材を移動させることができる。
遊技機B4において、前記第2伝達部材は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される第2駆動手段側部材と、その第2駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記第2駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記第2移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成されると共に前記溝部またはピン部の一方が配設される第2移動部材側部材と、を備え、前記第2駆動手段側部材が前記第1伝達部材の第1駆動手段側部材と同軸に配設されると共に、前記第2移動部材側部材が前記第1伝達部材の第1移動部材側部材と同軸に配設されることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B4の奏する効果に加え、第2伝達部材の第2駆動手段側部材および第2移動部材側部材が第1伝達部材の第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材とそれぞれ同軸に配設されるので、第2伝達部材の第2駆動手段側部材および第2移動部材側部材の間におけるバックラッシュと、第1伝達部材の第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材の間におけるバックラッシュとを同じ方向で発生させることができ、これにより、第1移動部材と第2移動部材との演出タイミングにずれが生じることを抑制できる。
なお、遊技機B5において、前記第1伝達部材の第1駆動手段側部材に前記第2伝達部材の第2駆動手段側部材が固着される構成としても良い。これによれば、第1伝達部材の第1駆動手段側部材に第2伝達部材の第2駆動手段側部材が固着されるので、第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材の両者へ駆動手段の駆動力をそれぞれ伝達するための部材を必要とせず、第1駆動手段側部材または第2駆動手段側部材のいずれか一方へ伝達する部材があれば足りる。よって、部品点数を削減して、或いは、部品を小型化して、製品コストの削減を図ることができる。
ここで、第1駆動手段側部材に第2駆動手段側部材に固着されるとは、これら第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材の回転が同期すれば足りる趣旨である。よって、第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材は、別体に形成され、それらが固着される構成でも良く、一体に形成されていても良い。別体に形成される場合、両者の固着方法としては、例えば、接着材による接着、超音波による溶着、ねじによる締結、一方に設けた突部を他方に設けた凹部や穴に内嵌させる方法、これらを組み合わせた方法などが例示される。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される駆動手段側部材と、その駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される移動部材側部材と、を備え、前記駆動手段側部材および移動部材側部材は、前記歯が非形成とされ互いに歯合不能とされる非形成部をそれぞれ備え、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に互いの非形成部が配置されると、前記移動部材側部材の非形成部が前記駆動手段側部材の非形成部に当接可能に形成されることを特徴とする遊技機C1。
遊技機C1によれば、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転されると、その駆動手段側部材に歯合される移動部材側部材が回転され、この移動部材側部材の回転に伴い、移動部材が移動される。駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が更に回転され、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に互いの非形成部が配置されると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされる。これにより、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断され(遮断状態が形成され)、移動部材が停止される。即ち、移動部材がその移動範囲の終端に配置される。この場合、移動部材側部材の非形成部が駆動手段側部材の非形成部に当接可能に形成されるので、かかる移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる方向への移動部材側部材の回転を規制できる。即ち、移動部材の移動を規制できる。
この場合、移動部材の停止は、従来、次のように行われていた。即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の回転位置を検出するセンサ装置を設け、そのセンサ装置により駆動手段側部材または移動部材側部材の所定の回転位置までの回転が検出された場合に、移動部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動手段の駆動を停止する。或いは、駆動手段の駆動量(例えば、駆動手段をステップモータで構成する場合のステップ数)を検出(計数)して、その駆動量が所定量に達した場合に、移動部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動手段の駆動を停止する(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、例えば、電気的ノイズの影響による回転位置や駆動量の検出不良などに起因して、移動部材が移動範囲の終端に達しているにも関わらず、駆動手段が停止されないことが発生し得る。そのため、従来の遊技機では、移動部材の移動範囲の終端にストッパを設け、駆動手段が適正に停止されない場合には、ストッパによって移動部材の移動を規制する構造であった。しかしながら、このように移動部材の移動をストッパにより規制する構造では、移動部材がストッパに衝突した際に、これら移動部材やストッパの破損を招く恐れがあるだけでなく、駆動手段に過大な負荷が作用して、駆動手段の破損も招く恐れもある。
これに対し、遊技機C1によれば、上述の通り、移動部材がその移動範囲の終端に達すると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされることで、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断されるので、駆動手段の駆動力が発生され続けている場合であっても、移動部材を停止させることができる。よって、移動部材と他の部材との衝突による破損を回避できる。また、仮に、移動部材が他の部材へ衝突されたとしても、移動部材は駆動手段から切り離されており、駆動手段は空転している状態なので、かかる駆動手段に過大な負荷が作用することを回避できる。
また、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材に駆動力を付与する駆動手段とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を所定の移動範囲で移動させる遊技機がある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。
この場合、例えば、移動部材の移動範囲の終端が上昇位置とされ、その移動範囲の終端に配置された移動部材に重力が作用される場合には、移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を移動範囲の終端に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機C1によれば、上述の通り、移動部材が移動範囲の終端に配置されると、移動部材側部材の非形成部が駆動手段側部材の非形成部に当接されることで、移動部材側部材の回転(移動部材の移動)を規制できる。即ち、遊技機C1では、移動部材が移動範囲の終端に配置されると、移動部材と駆動手段とが切り離されるため、駆動手段の駆動力を利用して移動部材を終端に保持不能となるところ、非形成部の当接を利用して、移動部材を移動範囲の終端に機械的に保持できる。その結果、移動部材の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
遊技機C1において、前記駆動手段側部材の非形成部および前記移動部材側部材の非形成部は、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置され、互いが当接された場合に、前記移動部材側部材の両方向への回転を規制可能な形状に形成されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部は、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置され、互いが当接された場合(即ち、移動手段がその移動範囲の終端に配置された場合)に、移動部材側部材の両方向への回転を規制可能な形状に形成されるので、移動部材側部材の回転を一方向のみ(例えば、移動部材が重力の作用により移動される方向のみ)で規制可能な形状に形成される場合と比較して、移動範囲の終端に到達した際の移動部材の振動を収束させ、移動範囲の終端に移動部材を速やかに位置決めできると共に、移動部材をその移動範囲の終端に安定した状態で保持できるので、停止状態にあるべき移動部材が外力(例えば、遊技者が遊技盤を叩く又は揺らすことで発生する外力)により振動や位置ずれすることを抑制できる。
遊技機C2において、前記駆動手段側部材の非形成部は、その駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、前記移動部材側部材の非形成部は、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置された場合に、前記駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状であって前記駆動手段側部材の非形成部の円弧と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成されることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、駆動手段側部材の非形成部は、その駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、移動部材側部材の非形成部は、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置された場合に、駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状であって駆動手段側部材の非形成部の円弧と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成されるので、駆動手段側部材の非形成部に移動部材側部材の非形成部を滑らかに当接させることができると共に、両者を面接触で当接させやすくできる。これにより、非形成部どうしを滑らかに当接させ、移動部材がその移動範囲の終端に到達して停止される際の衝撃を緩やにできると共に、非形成部どうしの接触圧力を小さくして、駆動手段側部材および移動部材側部材の耐久性の向上を図ることができる。
また、駆動手段側部材の非形成部と移動部材側部材の非形成部とが同心の円弧状に湾曲されるので、駆動手段側部材の回転位置(位相)によらず、移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接可能として、移動部材側部材の両方向への回転を規制可能とできる。即ち、移動部材がその移動範囲の終端に到達した後に駆動側歯車が更に回転されたとしても、移動部材側部材の回転を両方向において規制でき、その結果、移動部材をその移動範囲の終端に保持することができる。
遊技機C1からC3のいずれかにおいて、前記移動部材側部材は、複数の被締結部を備え、前記移動部材は、前記複数の被締結部を介して前記異動部材側歯車に締結固定されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、移動部材が複数の被締結部を介して移動部材側部材に締結固定されるので、これら複数箇所で連結された移動部材側部材および移動部材により一の構造体を形成できる。即ち、移動部材の剛性を利用して移動部材側部材の剛性を高めることができる。即ち、移動部材側部材は、その非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に駆動手段側部材から反力を受けるため、その反力に抗するための剛性を確保する必要がある一方、例えば、厚肉化すれば重量が増加し、高剛性の素材を採用すれば材料コストが嵩むところ、遊技機C4によれば、移動部材の剛性を利用して(即ち、移動部材と一体となることで)、移動部材側部材の剛性を高めるため、移動部材側部材の厚肉化や高剛性素材の採用をする必要がない。これにより、移動部材側部材の軽量化および低コスト化を図りつつ、移動部材側部材の耐久性の向上を図ることができる。
遊技機C4において、前記移動部材側部材は、前記被締結部が前記移動部材側部材の非形成部を挟んで前記駆動手段側部材と対向する位置に配設されることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C4において、移動部材側部材は、被締結部が、移動部材側部材の非形成部を挟んで駆動手段側部材と対向する位置に配設されるので、移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に駆動手段側部材から反力を受ける部分の剛性を効果的に高めることができる。その結果、移動部材側部材の軽量化および低コスト化と移動部材側部材の耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
なお、移動部材歯車の被締結部は、移動部材側部材の非形成部を挟んで駆動手段側部材の回転軸と対向する位置に配設されることがより好ましい。移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に移動部材側部材が受ける反力は、駆動手段側部材の回転軸と移動部材側部材の非形成部とを結ぶ線に沿って作用されるため、駆動手段側部材の回転軸と対向する位置に被締結部が配設されることで、駆動手段側部材から反力を受ける部分の剛性を高める効果をより一層発揮できるからである。
第1位置および第2位置の間で第1軸を中心に回転可能に形成される移動部材と、その移動部材を回転させるための駆動力を発生する駆動手段とを備えた遊技機において、前記駆動手段から伝達される駆動力により第2軸を中心に回転される回転部材と、その回転部材に配設されると共に前記第2軸に対して偏心して位置するピン部材とを備え、前記移動部材は、前記ピン部材を内壁面に沿って案内する溝状の案内溝部を備え、前記案内溝部は、その案内溝部の内壁面に凹設されると共に前記ピン部材を受入可能に形成される凹部を備え、少なくとも前記第1位置では、前記ピン部材が前記凹部に受け入れられることで、前記移動部材が前記第1位置に機械的に保持されることを特徴とする遊技機D1。
遊技機D1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動手段から伝達される駆動力により回転部材が第2軸を中心に回転され、その回転部材に配設されたピン部材が移動部材の案内溝部に沿って案内される。ピン部材は回転部材の第2軸から偏心して位置するので、ピン部材が案内溝部の内壁面に沿って案内されることに伴って、移動部材が第1位置と第2位置との間で第1軸を中心に回転される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1軸と、その第1軸を中心に回転される移動部材と、その移動部材に駆動力を付与する駆動手段とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を第1位置と第2位置との間で第1軸を回転中心として回転させる遊技機がある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、例えば、第1位置が上昇位置とされる場合、第1位置に配置された移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を第1位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機D1によれば、少なくとも第1位置では、案内溝部の内壁面に凹設された凹部にピン部材が受け入れられることで、移動部材が第1位置に機械的に保持される。即ち、駆動手段の駆動力を解除としても、移動部材を第1位置に機械的に保持できるので、その分、駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
更に、案内溝部の内壁面に凹設した凹部にピン部材を受け入れさせて、移動部材を第1位置に機械的に保持する構造なので、案内溝部の内壁面のみにより移動部材を第1位置に機械的に保持する構造と比較して、案内溝部および回転部材の配置の自由度を高めることができる。
なお、凹部は、有底である必要はなく、貫通していても良い。即ち、案内溝部に連通すると共に互いに対向する内壁面を有していれば足りる。以下に示す各種発明の概念においても同様である。
遊技機D1において、少なくとも前記第1位置では、前記凹部の内壁面が、前記第1軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略平行となり、かつ、前記第2軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略直交することを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、少なくとも第1位置では、凹部の内壁面が、第1軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略平行となる向きに配置され、かつ、第2軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略直交する向きに配置されるので、駆動手段の駆動力を解除した状態であっても、移動部材の第1軸を中心とする回転は、第2軸とピン部材とを結ぶ方向と平行となる方向へピン部材を凹部の内壁面が押圧することとなるため、かかる移動部材の回転に伴うピン部材の押圧によっては、回転部材の第2軸を中心とする回転を形成することができない。これにより、移動部材の第1位置における保持をより強固に行うことができる。よって、例えば、遊技者が遊技機を叩いたり揺らしたりすることで、移動部材が揺らされた場合でも、移動部材を第1位置に確実に保持することができ、重力方向下方へ向けて移動(下降)してしまうことを抑制できる。
遊技機D1又はD2において、前記凹部の内壁面は、前記移動部材が第1位置に配置された状態において前記回転部材の第2軸を中心とする円弧状に湾曲して形成されることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、凹部の内壁面は、移動部材が第1位置に配置された状態において回転部材の第2軸を中心とする円弧状に湾曲して形成されるので、移動部材が第1位置に配置された後、かかる移動部材の姿勢が変動することを抑制しつつ、ピン部材を凹部に受け入れさせることができる。
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記凹部は、前記案内溝部の対向する内壁面であって、前記移動部材が前記第2位置から第1位置へ移動される際に前記ピン部材が摺動する側の内壁面に凹設されることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、凹部は、案内溝部の対向する内壁面であって、移動部材が第2位置から第1位置へ移動される際にピン部材が摺動する側の内壁面に凹設されるので、駆動手段の駆動方向(回転部材の回転方向)を切り替えることなく、移動部材を第2位置から第1位置へ移動させ、かつ、凹部にピン部材を受け入れさせて、移動部材を第1位置に保持させることができる。
遊技機D1からD4のいずれかにおいて、前記凹部は、前記案内溝部の対向する内壁面であって、前記第1軸に近い側の内壁面に凹設されることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D1からD4のいずれかの奏する効果に加え、凹部は、案内溝部の対向する内壁面であって、第1軸に近い側の内壁面に凹設されるので、案内溝部と第1軸との間のデッドスペースとなる領域に凹部を配設でき、その分、小型化を図ることができる。更に、このように凹部が第1軸側に配設されることで、移動部材が第1位置に配置された状態における第1軸とピン部材との間の距離をより短くできるので、移動部材の第1軸を中心とする回転に伴い凹部の内壁面がピン部材を押圧する力を小さくできる。これにより、移動部材の第1位置における保持をより強固に行うことができる。
スライド移動可能に形成される移動部材と、その移動部材をスライド移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記移動部材のスライド移動の方向に沿って延設される開口として形成されるスライド孔を有するベース部材を備え、前記移動部材は、前記ベース部材のスライド孔に挿通される複数の突出部を備え、前記伝達手段は、前記移動部材が配設される前記ベース部材の一面側と反対側となる前記ベース部材の他面側に配設され前記駆動手段の駆動力を前記移動部材へ伝達するリンク部材を備え、そのリンク部材が、前記ベース部材のスライド孔を介して前記ベース部材の他面側に突出される前記移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも1の突出部に接続されることを特徴とする遊技機E1。
遊技機E1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動手段から伝達される駆動力により伝達手段のリンク部材が変位され、そのリンク部材の変位が移動部材の突出部に伝達される。これにより、移動部材の突出部がスライド孔に沿って移動されることで、移動部材がスライド移動される。
ここで、パチンコ等の遊技機において、スライド移動可能に形成される移動部材と、その移動部材をスライド移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、その駆動手段の駆動力を伝達手段により移動部材に伝達して、移動部材をスライド移動させる遊技機がある(例えば、特開2004−229885号公報を参照)。この場合、移動部材のスライド移動を安定して行わせるためには、スライド孔に挿通させる突出部の数を多くすることが好ましい。一方で、突出部の数を多くすると、その突出部を保持する(スライド孔からの抜け止めを行う)ための部品の数も増加し、コストが増加する。そのため、移動部材のスライド移動を安定化させつつ、コストを削減する方法が要請されていた。
これに対し、遊技機E1によれば、伝達手段が、駆動手段の駆動力を移動部材へ伝達するリンク部材を備え、そのリンク部材が、移動部材が配設されるベース部材の一面側と反対側となるベース部材の他面側に配設され、ベース部材のスライド孔を介してベース部材の他面側に突出される移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも1の突出部に接続されるので、突出部を保持するための部品のうちの少なくとも1の部品をリンク部材に兼用させることができる。その結果、突出部の数は確保して、移動部材の安定したスライド移動を可能としつつ、突出部を保持するための部品の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
遊技機E1において、前記伝達手段は、前記リンク部材に接続され前記駆動手段から伝達される駆動力を前記リンク部材に伝達する接続部材を備え、前記ベース部材は、開口として形成される接続孔を備え、前記駆動手段と前記伝達手段の接続部材とが前記ベース部材の一面側に配設されると共に前記ベース部材の接続孔を介して前記接続部材が前記リンク部材に接続されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、リンク部材に接続され駆動手段から伝達される駆動力をリンク部材に伝達する接続部材を伝達手段が備えると共に、開口として形成される接続孔をベース部材が備え、ベース部材の接続孔を介して接続部材がリンク部材に接続されるので、駆動手段と伝達手段の接続部材とを移動部材と共にベース部材の一面側に配設することができる。これにより、ベース部材の一面側に構成部材を集中させる(即ち、ベース部材の他面側への構成部材の配設を抑制する)ことができ、その結果、スペースを効率的に使用して、全体としての小型化を図ることができる。
遊技機E2において、前記伝達手段のリンク部材は、前記ベース部材の他面側において前記ベース部材に回転可能に軸支されることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、駆動手段の駆動力を移動部材へ安定して伝達することができる。即ち、伝達手段は、ベース部材の一面側に接続部材が、ベース部材の他面側にリンク部材が、それぞれ配設され、これら接続部材およびリンク部材がベース部材の接続孔を介して接続されるので、これら接続部材およびリンク部材により形成される駆動力の伝達経路が長くなる。そのため、駆動手段の駆動力を伝達する際に接続部材およびリンク部材が変形して、移動部材へ安定して伝達できないおそれがある。これに対し、リンク部材が、ベース部材の他面側においてそのベース部材に回転可能に軸支されるので、ベース部材の剛性を利用して、接続部材およびリンク部材の全体としての剛性を高めることができ、その結果、駆動手段の駆動力を接続部材およびリンク部材を介して移動部材へ安定して伝達することができる。
特に、遊技機E3では、接続部材およびリンク部材のうちのリンク部材をベース部材に回転可能に軸支するので、接続部材をベース部材に回転可能に軸支する場合と比較して、かかるベース部材への軸支箇所から移動部材の突出部までの距離を短くでき、その結果、駆動手段の駆動力の移動部材への伝達の安定化をより少ない軸支箇所で達成することができる。
遊技機E1からE3のいずれかにおいて、前記ベース部材は、板状に形成されると共に前記スライド孔の延設方向を垂直方向する姿勢に配置され、そのベース部材のスライド孔に沿って前記移動部材が垂直方向にスライド移動されることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E1からE3のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材が、板状に形成されると共にスライド孔の延設方向を垂直方向する姿勢に配置され、そのベース部材のスライド孔に沿って移動部材が垂直方向にスライド移動されるので、リンク部材をベース部材の他面側に配設する構成を有効として、移動部材を安定してスライド移動させることができる。即ち、ベース部材がスライド孔の延設方向を垂直方向とする姿勢に配置される場合には、移動部材は重力の作用によりベース部材の一面側から離間する方向へ向けて前傾姿勢となるところ、移動部材に接続されるリンク部材と移動部材との間にはベース部材が介在されるため、移動部材の前傾姿勢を、突出部を保持するための部品だけでなく、リンク部材によっても規制することができ、その結果、移動部材を安定した状態でスライド移動させることができる。
遊技機E4において、前記リンク部材は、前記移動部材の少なくとも中央よりも上方側に位置する突出部に接続されることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、リンク部材は、移動部材の少なくとも中央よりも上方側に位置する突出部に接続されるので、重力の作用によりベース部材の一面側から離間する方向へ向けて前傾姿勢となる移動部材に対し、移動部材の前傾姿勢をリンク部材により効果的に規制することができ、その結果、移動部材を更に安定した状態でスライド移動させることができる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設され前記ピニオンの回転に伴い水平方向へ変位されるラックと、そのラックに一端が接続されると共に前記移動部材に他端が接続され前記ラックの水平方向への移動に伴い起立または傾倒されるリンク部材と、を備え、前記リンク部材の起立により前記移動部材が上昇位置に配置されると共に前記リンク部材の傾倒により前記移動部材が下降位置に配置され、前記移動部材の上昇位置では、前記リンク部材の一端および他端を結ぶ方向が前記ラックの歯面および前記ラックの移動方向のそれぞれに直交する平面内に位置されることを特徴とする遊技機F1。
遊技機F1によれば、駆動手段の駆動力によりピニオンが回転され、そのピニオンの回転によりラックが水平方向一側へ変位されると、そのラックの水平方向一側への変位に伴いリンク部材が傾倒され、リンク部材が傾倒されるに従って移動部材が下方位置へ向けて下方へ移動(下降)される一方、ピニオンの回転によりラックが水平方向他側へ変位されると、そのラックの水平方向他側への変位に伴いリンク部材が起立され、リンク部材が起立されるに従って移動部材が上昇位置へ向けて上方へ移動(上昇)される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材に付与する駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、伝達手段が駆動力の伝達経路の一部にラック・ピニオンを含んで形成される遊技機がある(例えば、特開2012−065923号公報を参照)。この場合、移動部材が上昇位置に配置された場合には、移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を上昇位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機F1によれば、移動部材の上昇位置では、リンク部材の一端および他端を結ぶ方向がラックの歯面およびラックの移動方向のそれぞれに直交する平面内に位置されるので、リンク部材からラックに作用する力成分として、ラックを水平方向へ移動させる方向への力成分が発生することを抑制できる。これにより、駆動手段の駆動力を解除しても、移動部材を上昇位置に保持することができ、その結果、移動部材の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
遊技機F1において、前記伝達手段のピニオン及びラックがそれぞれ回転可能および移動可能に配設されるベース部材を備え、前記伝達手段は、少なくとも前記ラックおよびリンク部材をそれぞれ一対備えると共に前記リンク部材が前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設され、前記ベース部材は、前記移動部材が上昇位置に配置された場合に前記一対のリンク部材の対向面間に介設されると共に前記一対のリンク部材の対向面に当接可能に形成される介設部を備えることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、移動部材が上昇位置に配置された場合に、一対のリンク部材の対向面間に介設されると共に一対のリンク部材の対向面に当接可能に形成される介設部をベース部材が備えるので、移動部材の姿勢を上昇位置において安定化できる。即ち、上昇位置では、一対のリンク部材が起立されるためその姿勢の維持が困難となり、移動部材の姿勢が不安定となりやすいところ、一対のリンク部材の対抗面の間に介設部が介設されることで、かかる介設部によって、一対のリンク部材の対向方向(即ち、ラックの移動方向)への変位を規制することができる。これにより、一対のリンク部材を起立状態に維持して、移動部材の姿勢を上昇位置において安定化できる。
遊技機F1又はF2において、前記伝達手段のピニオン及びラックがそれぞれ回転可能および移動可能に配設されるベース部材を備え、前記伝達手段は、少なくとも前記ラックおよびリンク部材をそれぞれ一対備えると共に前記リンク部材が前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設され、前記ベース部材は、前記ラックの移動方向に沿って延設されると共に互いに所定間隔を隔てて対向配置される一対の対向壁部を備え、それら一対の対向壁部の対向面間に前記一対のリンク部材の一端側がそれぞれ介設されることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F1又はF2の奏する効果に加え、ラックの移動方向に沿って延設されると共に互いに所定間隔を隔てて対向配置される一対の対向壁部をベース部材が備えるので、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。即ち、リンク部材は、一対がラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設されるので、ラックの移動方向に対しては向かい合わせに配設された一対のリンク部材どうしで互いの変位を打ち消し合うことができ、その姿勢の維持が可能である。一方で、リンク部材は、ラックの移動方向に直交する方向に対しては、移動部材がオフセットされていることから、外乱の入力に伴い重心位置の変動が発生し易く、その姿勢の維持が困難であるところ、一対の対向壁部の対向面間に一対のリンク部材の一端側がそれぞれ介設されることで、これら一対の対向壁部によって、一対のリンク部材のラックの移動方向に直交する方向への変位を規制することができる。これにより、一対のリンク部材の姿勢を維持して、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。
遊技機F3において、前記ベース部材の一対の対向壁部の少なくとも一方は、前記移動部材が上昇位置へ近づくに従って、その立設高さが高くされることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、移動部材が上昇位置へ近づくに従って(即ち、リンク部材が起立されるに従って)、対向壁部の立設高さが高くされる(即ち、対向壁部に対しリンク部材の一端側に対面にする面積が大きくなる)ので、外観の向上を図りつつ、移動部材の移動の安定化を図ることができる。即ち、対向壁部の立設高さを全体にわたって高くするのではなく、部分的に高くすることで、対向壁部により外観が損なわれることを抑制でき、かつ、リンク部材が起立される(即ち、移動部材を安定した姿勢で移動させることが困難になる状態になる)ほど、対向壁部によってリンク部材の姿勢を維持する効果を高めることができる。その結果、外観が損なわれることを抑制しつつ、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。
なお、この場合、ベース部材の一対の対向壁部の少なくとも一方であって、前記立設高さが高くされた部分は、移動部材が下降位置に配置された状態(即ち、リンク部材が倒伏された状態)において、リンク部材の他端側(移動部材に接続される側)に対面可能な立設高さに設定されることが好ましい。この構成によれば、移動部材の移動中の姿勢を安定化するために立設高さを高くした部分を利用して、下降位置に配置された移動部材の姿勢を維持する効果も同時に得ることができる。
遊技機F1からF4のいずれかにおいて、前記ラックの歯面に直交する方向へ延設される延設部材を備えると共に、前記移動部材は、前記延設部材に摺動可能に連結され前記延設部材の延設方向に沿って案内される案内部を備え、前記移動部材が前記ラックの歯面に平行な方向であって前記ラックの移動方向に直交する方向へオフセットされ、前記延設部材は、前記移動部材がオフセットされる方向において前記リンク部材と移動部材の重心位置との間に配設されることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F1からF4のいずれかにおいて、ラックの歯面に直交する方向に延設されると共にその延設方向に沿って移動部材の案内部を案内する延設部材を備え、その延設部材は、移動部材がオフセットされる方向において、リンク部材と移動部材の重心位置との間に配設されるので、移動部材をオフセットさせる効果(即ち、移動部材の保持に必要な消費エネルギーの抑制)を発揮させつつ、移動部材のスムーズな移動を確保することができる。
なお、リンク部材を一対設けると共にそれら一対のリンク部材の対向間に介設部を設ける場合には、かかる介設部の内部に延設部材を配設することが好ましい。一対のリンク部材が向かい合う中央部分に延設部材が配置され、移動部材の移動の案内効果を高めつつ、デッドスペースとなる介設部の内部を有効活用して、全体としての小型化を図ることができるからである。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達部材は、少なくとも一部に歯を有すると共に前記移動部材が連結される第1伝達部材と、その第1伝達部材の歯に歯合可能な歯を少なくとも一部に有する第2伝達部材と、その第2伝達部材に連結され前記駆動手段の駆動力を前記第2伝達部材へ伝達する連結部材と、を備え、前記連結部材には、前記第2伝達部材の歯に連続する歯が形成されることを特徴とする遊技機G1。
遊技機G1によれば、駆動手段の駆動力が連結部材を介して第2伝達部材に伝達されると、第2伝達部材が回転され、その第2伝達部材の回転が互いの歯の歯合を介して第1伝達部材に伝達され、第1伝達部材が回転される。その結果、第1伝達部材に連結される移動部材が第1伝達部材の回転に伴って移動される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、移動部材が連結された第1伝達部材と、その第1伝達部材に歯合されその歯合を介して駆動手段の駆動力を第1伝達部材へ伝達する第2伝達部材とにより駆動手段の一部が形成される遊技機がある(例えば、特開2011−110376号公報を参照)。この場合、駆動手段の駆動力により第2伝達部材が回転され、その第2伝達部材に歯合される第1伝達部材が回転されることで、その第1伝達部材に連結された移動部材が第1伝達部材の回転に伴い移動される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、移動部材が第1伝達部材に連結されているため、駆動手段の駆動力により第1伝達部材および第2伝達部材を回転させて、移動部材を移動させている際に、移動部材に揺れが発生すると、その移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位され、第2伝達部材との歯合が外れるおそれがあった。第1伝達部材および第2伝達部材の歯合が外れることを回避できたとしても、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位される分、第2伝達部材の歯との歯合面積が減少して、歯面の一部に面圧が集中することで、歯の偏磨耗を招き、耐久性が低下するおそれがあった。
これに対し、遊技機G1によれば、連結部材には、第2伝達部材の歯に連続する歯が形成されるので、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位された場合でも、その第1伝達部材の歯を、連結部材に形成される歯に歯合させることができる。これにより、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることを抑制できる。また、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位される場合に、第1伝達部材の歯と第2伝達部材および連結部材の歯との歯合面積を確保できるので、これら各歯の偏磨耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
なお、第1伝達部材の歯および第2伝達部材の歯は、それぞれ全周にわたって形成されている必要はなく、周方向の一部に形成されていれば足りる。以下においても同様である。また、他の歯車においても同様である。
遊技機G1において、前記連結部材は、前記第2伝達部材の軸方向端面からその第2伝達部材の軸方向に沿って立設されると共に前記歯が形成される歯形成部と、その歯形成部の立設先端に接続される本体部とを備え、前記歯形成部は、前記歯が形成される側と反対側の面が前記第2伝達部材の軸を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、連結部材の歯形成部は、第2伝達部材の軸方向端面からその第2伝達部材の軸方向に沿って立設され、第2伝達部材の歯に連続する歯が形成される側と反対側の面が第2伝達部材の軸を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されるので、かかる連結部材の歯形成部を第2伝達部材の軸方向端面に連結する場合であっても、第2伝達部材の軸方向端面の面積を確保でき、その分、第2伝達部材の軸方向端面に装着される固定部材を大径化できる。また、第2伝達部材および連結部材が樹脂材料から一体に成形される場合には、上述のように歯が形成される面と反対側の面を凹曲面として形成されることで、歯形成部における肉厚を均一化して、その成形性の向上を図ることができる。
遊技機G2において、前記連結部材の歯形成部には、前記第2伝達部材の軸方向端面から前記本体部までの範囲にわたって前記歯が形成されることを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、遊技機G2の奏する効果に加え、連結部材の歯形成部には、第2伝達部材の軸方向端面から本体部までの範囲にわたって歯が形成されるので、歯が形成される領域を十分に確保して、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることをより確実に抑制できる。また、第2伝達部材および連結部材が樹脂材料から一体に成形される場合には、上述のように歯形成部の全体にわたって歯が形成されることで、かかる歯形成部における肉厚をその全体にわたって均一化して、その成形性の向上を図ることができる。
遊技機G1からG3のいずれかにおいて、前記第1伝達部材および第2伝達部材が配設されると共に移動可能に形成される第2移動部材と、その第2移動部材を直線方向に案内する案内部材と、を備え、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合され前記ピニオンの回転に伴い変位されるラックと、を備えると共に、前記連結部材は、前記ラックに一端が接続されると共に前記第2伝達部材に他端が接続されることを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G1からG3のいずれかの奏する効果に加え、第1伝達部材および第2伝達部材が配設される第2移動部材を備え、その第2移動部材が案内部材により直線方向に案内され、伝達手段が、駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合されると共にピニオンの回転に伴い変位されるラックとを備え、連結部材は、ラックに一端が接続されると共に第2伝達部材に他端が接続されるので、駆動手段の駆動力によりラック・ピニオンを動作させることで、連結部材を変位させ、かかる連結部材の変位に伴い、第2伝達部材の回転と第2移動部材の直線移動とを同時に行うことができる。即ち、第2伝達部材に歯合される第1伝達部材には移動部材が連結されているので、移動部材を回転させつつ、その移動部材を第2移動部材と共に直線移動させることができ、その結果、演出効果を高めることができる。また、駆動手段の駆動力の移動部材への伝達と第2移動部材への伝達とを1の部材(連結部材)に兼用させることができるので、部品点数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機G4において、前記ラックは、前記ピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設され前記ピニオンの回転に伴い水平方向へ変位され、前記第2移動部材は、前記ラックの水平方向への変位に伴い上下方向に前記案内部材によって案内され、前記連結部材は、前記第2移動部材が上昇位置に配置された際に、前記歯形成部に形成される歯が前記第1伝達部材の歯に対応する位置に配設されることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、ラックは、ピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設されピニオンの回転に伴い水平方向へ変位され、第2移動部材は、ラックの水平方向への変位に伴い上下方向に案内部材によって案内されるので、駆動手段の駆動力によりピニオンが回転され、そのピニオンの回転によりラックが水平方向一側へ変位されると、そのラックの水平方向一側への変位に伴い連結部材が傾倒され、連結部材が傾倒されるに従って第2移動部材が下方位置へ向けて下方へ移動(下降)される一方、ピニオンの回転によりラックが水平方向他側へ変位されると、そのラックの水平方向他側への変位に伴い連結部材が起立され、連結部材が起立されるに従って第2移動部材が上昇位置へ向けて上方へ移動(上昇)される。
この場合、第2移動部材が上昇位置に配置された状態では、連結部材が起立されるためその姿勢の維持が困難となり、第2移動部材の姿勢が不安定となる。これに伴い、第2移動部材に配設される移動部材の姿勢が更に不安定となる。そのため、第2移動部材の揺れが移動部材の揺れを更に顕著とさせ、かかる移動部材の揺れに伴う第1伝達部材の変位が大きくなる。即ち、第2移動部材が上昇位置に配置された状態では、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れやすい。
これに対し、遊技機G5によれば、遊技機G4の奏する効果に加え、連結部材は、第2移動部材が上昇位置に配置された際に、歯形成部に形成される歯が第1伝達部材の歯に対応する位置に配設されるので、移動部材の揺れに伴う第1伝達部材の変位が大きくなり、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が最も外れやすくなる状態において、歯形成部に形成される歯を有効に活用できる。これにより、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることを効果的に抑制できる。
なお、遊技機G4又はG5において、前記伝達手段が、前記ラック、そのラックに一端が接続される連結部材、その連結部材の他端が接続される第2伝達部材、その第2伝達部材に歯合される第1伝達部材、及び、その第1伝達部材に連結される移動部材からなる組を一対備えると共に、一方の組の第1伝達部材および第2伝達部材が他方の組の第1伝達部材および第2伝達部材にそれぞれ歯合された状態で、一方の組と他方の組とが前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設されるように構成しても良い。これによれば、一方の組における移動部材と他方の組における移動部材との同期精度の向上を図ることができる。また、第1伝達部材どうしのみ又は第2伝達部材どうしのみが歯合される形態であっても移動部材の同期精度の向上を図ることができるところ、第1伝達部材と第2伝達部材とがそれぞれ歯合されることで、歯合箇所(歯合面積)を多くして、その分、歯面の面圧を分散させることができるので、耐久性の向上を図ることができる。
移動可能に形成される複数の移動部材と、それら複数の移動部材をそれぞれ移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を前記複数の移動部材へそれぞれ伝達する伝達手段と、を備え、前記複数の移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる前記退避位置から移動されて基準位置に配置されることで前記複数の移動部材が結合される遊技機において、前記複数の移動部材は、互いに近接する方向へ移動され前記基準位置において隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材と、それら第1移動部材および第2移動部材の隣り合う方向と略直交する方向から前記第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接される第3移動部材と、を備え、前記第3移動部材が前記基準位置において前記第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、前記第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材が結合されることを特徴とすることを特徴とする遊技機H1。
遊技機H1によれば、駆動手段の駆動力が伝達手段によって第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材に伝達されることで、それら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる退避位置から移動されて基準位置に配置される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される複数の移動部材と、それら複数の移動部材をそれぞれ移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を前記複数の移動部材へそれぞれ伝達する伝達手段とを備え、複数の移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる退避位置から移動されて基準位置に配置されることで複数の移動部材が結合される遊技機がある(例えば、特開2012−115300号公報を参照)。この場合、基準位置における複数の移動部材の結合が適切に行われていないと、これら複数の移動部材を結合させることによる演出効果が損なわれる。しかしながら、上述した従来の遊技機のように、対称形状の一対の移動部材どうしを向かい合わせで結合させることは比較的容易であるが、3以上の移動部材を結合させることが困難であった。
これに対し、遊技機H1によれば、基準位置において、第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置されると共に、それら第1移動部材および第2移動部材の隣り合う方向と略直交する方向から第1移動部材および第2移動部材へ向けて移動された第3移動部材が第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接されると、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成されるので、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を適切に結合させることができる。その結果、複数の移動部材を結合させることによる演出効果を確保することができる。
遊技機H1において、前記第1移動部材および第2移動部材が第1当接部分および第2当接部分をそれぞれ備えると共に、それら第1当接部分および第2当接部分のそれぞれに当接される第3当接部分を前記第3移動部材が備え、前記第3移動部材の第3当接部分が前記第1移動部材および第2移動部材の第1当接部分および第2当接部分にそれぞれ当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、前記第1移動部材および第2移動部材は、前記第3移動部材に対面する側の外観形状が、前記第1当接部分および第2当接部分により形成されると共に前記第1移動部材および第2移動部材どうしの当接面へ向けて凹む凹形状とされる一方、前記第3移動部材は、前記第1移動部材および第2移動部材に対面する側の外観形状が、前記第3当接部分により形成されると共に前記第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出する突出形状とされることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、基準位置において第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置され、それら第1移動部材および第2移動部材の第1当接部分および第2当接部分に対して第3移動部材の第3当接部分が当接されると、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、これにより、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材が結合される。
この場合、第1移動部材および第2移動部材は、第3移動部材に対面する側の外観形状(第1当接部分および第2当接部分の組み合わせ)が、中央が凹む凹形状とされる一方、第3移動部材は、第1移動部材および第2移動部材に対面する側の外観形状(第3当接部分)が、第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出される突出形状とされるので、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を、退避位置から基準位置へ移動させ、基準位置において結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との互いの対面する側の外観形状が、上述のように、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材が凹形状とされ、その凹形状へ向けて移動される第3移動部材が突出形状とされる形態では、退避位置から基準位置へ配置される際に、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材の間へ第3移動部材が入り込み、第1移動部材および第2移動部材を互いに離間する方向へ押し拡げる態様を遊技者に想起させるところ、遊技機H2によれば、基準位置において第3移動部材(第3当接部分)が第1移動部材および第2移動部材(第1当接部分および第2当接部分)に当接されることで、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成して、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を結合させることができる。これにより、遊技機H1の奏する効果に加え、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
なお、遊技機H2においては、第1移動部材および第2移動部材がベース部材に第1リンク機構および第2リンク機構によりそれぞれ支持されると共に、基準位置において第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置された状態では、第1リンク機構および第2リンク機構がベース部材側に対して第1移動部材および第2移動部材側の間隔が狭くされるハの字状に配置されることが好ましい。第1リンク機構と第2リンク機構とがなす角度に対し、第1当接部分および第2当接部分と第3当接部分とがなす角度を設定することで、基準位置において、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成できるからである。
遊技機H1において、前記第1移動部材および第2移動部材は、前記第3移動部材に対面する側の外観形状が、それら第1移動部材および第2移動部材どうしの当接面へ向けて凹む凹形状とされる一方、前記第3移動部材は、前記第1移動部材および第2移動部材に対面する側の外観形状が、前記第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出する突出形状とされることを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、第1移動部材および第2移動部材は、第3移動部材に対面する側の外観形状が、中央が凹む凹形状とされる一方、第3移動部材は、第1移動部材および第2移動部材に対面する側の外観形状が、第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出される突出形状とされるので、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を、退避位置から基準位置へ移動させ、基準位置において結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との互いの対面する側の外観形状が、上述のように、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材が凹形状とされ、その凹形状へ向けて移動される第3移動部材が突出形状とされる形態では、退避位置から基準位置へ配置される際に、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材の間へ第3移動部材が入り込み、第1移動部材および第2移動部材を互いに離間する方向へ押し拡げる態様を遊技者に想起させるところ、遊技機H3によれば、基準位置において第3移動部材が当接されることで、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成して、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を結合させることができる。これにより、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
遊技機H3において、前記第1移動部材および第2移動部材が第1当接面および第2当接面を備えると共に、それら第1当接面および第2当接面のそれぞれに当接される第3当接面を前記第3移動部材が備え、前記第3当接面と前記第1当接面および第2当接面とのうちの少なくとも一方は、前記第3移動部材が前記基準位置へ向けて移動される際の進行方向側ほど末広がりとなる傾斜面として形成され、第3当接面が第1当接面および第2当接面の両側から当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材が互いに近接させる方向へ変位されることを特徴とする遊技機H4。
遊技機H4によれば、遊技機H3の奏する効果に加え、第3当接面と第1当接面および第2当接面とのうちの少なくとも一方は、第3移動部材が基準位置へ向けて移動される際の進行方向側ほど末広がりとなる傾斜面として形成され、第3当接面が第1当接面および第2当接面の両側から当接されることで、第1移動部材および第2移動部材が互いに近接させる方向へ変位されるので、かかる第1移動部材および第2移動部材の互いに近接する方向への変位を確実に行わせることができる。そのため、第1移動部材および第2移動部材を移動可能とする構造を簡素化できると共に、その構造の設計の自由度を高めることができる。
遊技機H4において、前記第1当接面および第2当接面は、前記第1移動部材および第2移動部材の外観形状を形成する部分の背面側にそれぞれ配設されると共に、第3当接面は、前記第3移動部材の外観形状を形成する部分の背面側に配設されることを特徴とする遊技機H5。
遊技機H5によれば、遊技機H4の奏する効果に加え、第1移動部材および第2移動部材の外観形状を形成する部分の背面側に第1当接面および第2当接面がそれぞれ配設されると共に、第3移動部材の外観形状を形成する部分の背面側に第3当接面が配設されるので、これら第1当接面、第2当接面および第3当接面が遊技者に視認されることを抑制できる。よって、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材とにおける外観形状として凹形状と突出形状とを設定することで、遊技者の予想と異なる態様で動作させる効果を高めることができる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備え、前記伝達手段が、第1伝達部材と、その第1伝達部材に対して所定の位相で歯合される第2伝達部材とを備えた遊技機において、前記第1伝達部材に対する前記第2伝達部材の歯合位置を前記所定の位相に位置決めする位置決め手段を備えることを特徴とする遊技機I1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、伝達手段が、第1伝達部材と、その第1伝達部材に対して所定の位相で歯合される第2伝達部材とを備えた遊技機がある(例えば、特開2009−125092号公報を参照)。この遊技機によれば、駆動手段の駆動力により第1伝達部材または第2伝達部材の一方が回転されると、その一方の回転により第1伝達部材または第2伝達部材の他方が回転され、その他方の回転により移動部材が移動される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、第1伝達部材に対して第2伝達部材が所定の位相で歯合されていない場合には、移動部材の移動範囲にずれが生じる。そのため、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付ける(歯合させる)際には、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めした上で組み付ける必要があり、その位置決め作業が煩雑であった。
これに対し、遊技機I1によれば、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めする位置決め手段を備えるので、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付ける(歯合させる)際には、かかる位置決め手段を利用して、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付けることができる。即ち、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めする際に、その位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。
なお、上述した通り、第1伝達部材の歯および第2伝達部材の歯は、それぞれ全周にわたって形成されている必要はなく、周方向の一部に形成されていれば足りる。
遊技機I1において、第1伝達部材および第2伝達部材が回転可能に軸支されるベース部材を備え、前記位置決め手段は、前記ベース部材に形成される第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部とそれら第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部に対応する位置において前記第1伝達部材および第2伝達部材にそれぞれ形成される第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部とにより構成されることを特徴とする遊技機I2。
遊技機I2によれば、遊技機I1の奏する効果に加え、ベース部材に第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が形成されると共に、それら第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部に対応する位置において第1伝達部材および第2伝達部材に第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部がそれぞれ形成されるので、第1ベース位置決め部に第1伝達部材位置決め部を一致させると共に、第2ベース位置決め部に第2伝達部材位置決め部を一致させつつ、第1伝達部材および第2伝達部材をベース部材に組み付けることで、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めすることができる。その結果、位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。
特に、第1ベース位置決め部または第1伝達部材位置決め部の少なくとも一方、及び、第2ベース位置決め部または第2伝達部材位置決め部の少なくとも一方が貫通孔として形成される場合には、かかる一方の貫通孔に冶具を挿通させると共にその挿通させた冶具の先端を他方に当接(又は挿通)させることで、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めする位置決め作業をより簡易に且つ正確に行うことができる。
遊技機I2において、前記ベース部材は、そのベース部材の正面へ向けて突設され前記第1伝達部材および第2伝達部材に挿通される第1軸および第2軸を備え、前記第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されることを特徴とする遊技機I3。
遊技機I3によれば、遊技機I2の奏する効果に加え、ベース部材の正面から突出され第1伝達部材および第2伝達部材に挿通される第1軸および第2軸をベース部材が備える場合に、第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されるので、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めしつつ、これら第1伝達部材および第2伝達部材をベース部材に組み付ける際に、それら位置決め作業と組み付け作業とを同時に行うことを可能として、その作業性の向上を図ることができる。
即ち、遊技機I3によれば、第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されるので、ベース部材の背面から第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部へ冶具を挿通させることで、かかる冶具を、第1軸および第2軸と共に、ベース部材の正面から突出させることができる。これにより、ベース部材の正面から第1伝達部材および第2伝達部材を第1軸および第2軸にそれぞれ組み付ける(挿通させる)作業と同時に、冶具の先端を第1伝達部材および第2伝達部材の第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部に当接(又は挿通)させる位置決め作業を行うことができる。その結果、位置決め作業と組み付け作業とを同時に行うことができ、その分、作業性の向上を図ることができる。
遊技機I2又はI3において、前記第1伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材の互いに対応する位置に前記第1伝達部材位置決め部が貫通孔としてそれぞれ形成されることを特徴とする遊技機I4。
遊技機I4によれば、遊技機I2又はI3の奏する効果に加え、第1伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材の互いに対応する位置に第1伝達部材位置決め部が貫通孔としてそれぞれ形成されるので、これら一対の歯車の位置決め作業を同時に行うことができ、その分、位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。また、これら一対の歯車の位置決め作業を共通の冶具を用いて行うことができるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。更に、一対の歯車どうしを結合する必要がないので、これら一対の歯車を相対回転可能に共通の軸に軸支させることができる。なお、第2伝達部材においても同様に構成しても良い。
遊技機I2からI4のいずれかにおいて、前記第2伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材は、一方の部材から突出される突出部と、その突出部を受け入れるために他方の部材に凹設される凹部とを備えると共に、それら一対の部材のうちの前記ベース部材側に配置される部材に前記第2伝達部材位置決め部が形成されることを特徴とする遊技機I5。
遊技機I5によれば、遊技機I2からI4のいずれかにおいて、第2伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材のうちのベース部材側に配置される部材に第2伝達部材位置決め部が形成されるので、かかる第2伝達部材位置決め部を利用することで、一対の部材のうちのベース部材側に配置される部材を所定の位相に位置決めすることができる。この場合、一対の部材どうしは、一方の部材の突出部を他方の部材の凹部に受け入れさせることにより、これら一対の部材を、所定の位相に位置決めできると共に、相対回転不能(即ち、同期して回転可能)に共通の軸に軸支させることができる。特に、一対の部材どうしは、突出部が凹部に受け入れられて嵌合されるので、その分、全体としての剛性を高めることができる。
なお、凹部は、有底である必要はなく、貫通孔として形成されていても良い。即ち、凹部は、一対の部材を同軸に重ねる際に、連結突部を受け入れて周方向(回転方向)の位置決めが可能に形成されていれば足りる。
液晶表示装置と、その液晶表示装置よりも下方に配設される複数の入賞口と、それら複数の入賞口に入賞されず流下した遊技球を遊技領域から排出するアウト口と、を備えた遊技機において、前記複数の入賞口のうちの第1の入賞口は、前記遊技領域の下縁との間に遊技球の通過を不能とする位置まで前記遊技領域の下縁に近接して又は前記遊技領域の下縁に当接して配設され、前記アウト口は、前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向一側に配設される第1のアウト口と、前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向他側に配設される第2のアウト口と、を備えることを特徴とする遊技機J1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置と、その液晶表示装置よりも下方に配設される複数の入賞口と、それら複数の入賞口に入賞されず流下した遊技球を遊技領域から排出するアウト口とを備えた遊技機がある(例えば、特開2012−143268号公報を参照)。近年では、演出効果を高めるために、液晶表示装置の大型化が要請される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、液晶表示装置を大型化するために、かかる液晶表示装置の下側縁部の位置を下方へ下げると、その分、入賞口の位置も下方へ下げる必要があるところ、入賞口の位置が下方へ下がり過ぎると、入賞口の下方(遊技領域の下縁、例えば、内レールとの間)に遊技球が流下するためのスペースを確保できなくなる。即ち、入賞口に入賞されずに流下した遊技球をアウト口から排出できなくなる。そのため、入賞口の位置を下方へ下げるには限界があり、その結果、液晶表示装置を十分に大型化することができなかった。
これに対し、遊技機J1によれば、アウト口は、複数の入賞口のうちの第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側に配設される第1のアウト口と、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向他側に配設される第2のアウト口とを備えるので、第1の入賞口に入賞されずにその第1の入賞口よりも幅方向一側に流下した遊技球については第1のアウト口により遊技領域から排出できる一方、第1の入賞口に入賞されずにその第1の入賞口よりも幅方向他側に流下した遊技球については第2のアウト口により遊技領域から排出できる。これにより、第1の入賞口の下方(遊技領域の下縁、例えば、内レールとの間)に遊技球が流下するためのスペースを確保する必要がない。よって、かかる第1の入賞口の位置を、より下方へ(即ち、遊技領域の下縁との間に遊技球の通過を不能とする位置まで)下げることができるので、その分、液晶表示装置を大型化することができる。
遊技機J1において、前記複数の入賞口のうちの第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出が行われる演出部材を備え、前面側に前記遊技領域が形成される遊技盤が光透過性材料からなり、前記演出部材が前記遊技盤の背面側において前記第2の入賞口に対応する位置に配設されると共に、前記第2の入賞口および演出部材が前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向一側または幅方向他側に配設されることを特徴とする遊技機J2。
遊技機J2によれば、遊技機J1の奏する効果に加え、複数の入賞口のうちの第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出が行われる演出部材を備え、その演出部材は、光透過性材料からなる遊技盤の背面側において第2の入賞口に対応する位置に配設されるので、第2の入賞口へ遊技球が入賞される場面を視認する遊技者に対しその場面の背後において演出部材による演出も同時に視認させることができ、第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出を効果的に行うことができる。
この場合、第2の入賞口および演出部材は、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側または幅方向他側に配設されるので、かかる第2の入賞口および演出部材の位置を下方へ下げることができ、その分、液晶表示装置の下側縁部の位置を下方へ下げることができる。その結果、演出部材を配設した場合であっても、液晶表示装置を大型化することができる。
即ち、第2の入賞口に対応する位置において遊技盤の背面側に演出部材を配設することは、かかる演出部材が液晶表示装置と干渉するため、液晶表示装置の大型化を阻害することになる。これに対し、上述したように、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側および幅方向他側に第1のアウト口および第2のアウト口が配設されることで、かかる第1の入賞口の位置を下方へ下げることができるだけでなく、かかる第1の入賞口の遊技領域の幅方向一側または幅方他側における配設位置の自由度を確保できるので、その分、第2の入賞口および演出部材の配設スペースを確保できることとなり、その結果、遊技機J2によれば、第2の入賞口に対応する位置において遊技盤の背面側に演出部材を配設するレイアウトが可能となった。
遊技機J2において、前記第2の入賞口が前記遊技領域の幅方向略中央に配設されることを特徴とする遊技機J3。
遊技機J3によれば、遊技機J2の奏する効果に加え、第2の入賞口が遊技領域の幅方向略中央に配設されるので、液晶表示装置の大型化を図りつつ、遊技領域の限られたスペースを有効に活用して、演出部材を配設するためのスペースをより広く確保できる。即ち、かかるレイアウトにより、液晶表示装置および演出部材の双方の大型化を効率的に行うことができる。また、第2の入賞口が遊技領域の幅方向略中央に配設されることで、かかる第2の入賞口までの遊技球の流下経路を長くすることができる。これにより、第2の入賞口へ遊技球を入賞させるための遊技性を高めることができると共に、その第2の入賞口への入賞に伴う演出部材による演出への期待感を高めることができる。
遊技機J2又はJ3において、前記遊技盤の背面側に配設される第2の演出部材を備え、その第2の演出部材は、正面視において、少なくとも一部が前記演出部材に重なる位置に配設されることを特徴とする遊技機J4。
遊技機J4によれば、遊技機J2又はJ3の奏する効果に加え、遊技盤の背面側に配設される第2の演出部材を備え、その第2の演出部材は、正面視において、少なくとも一部が演出部材に重なる位置に配設されるので、遊技盤が光透過性材料から形成される場合に、第2の演出部材の必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を演出部材により遊技者から遮蔽することができる。これにより、第2の演出部材は、全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
遊技機J2からJ4のいずれかにおいて、前記演出部材は、前記第2の入賞口を中心として回転可能な円形に形成されることを特徴とする遊技機J5。
遊技機J5によれば、遊技機J2からJ4のいずれかの奏する効果に加え、演出部材は、第2の入賞口を中心として回転可能な円形に形成されるので、第2の入賞口を取り囲む領域の全体において演出を行うことができ、その第2の入賞口への入賞に伴う演出の演出効果を高めることができる。
この場合、第2の入賞口は、その上方および下方の双方に遊技球を流下させるためのスペースが確保できる位置に配設される必要があり、かつ、第2の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側または幅方向他側であって遊技領域の下方となる位置に第1の入賞口が配設されるため、演出部材が第2の入賞口を中心とする円形に形成されることで、第2の入賞口の周囲に確保できるスペースを最大限有効に活用でき、その結果、演出部材の面積を大きくして、その演出効果を高めることができる。
<特徴K群>(SPGT中に、通常背景時の予告表示態様を表示)
所定の抽選条件の成立に基づいて抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を表示する表示手段と、その表示手段に表示する識別情報を動的表示する動的表示手段と、遊技機への電力供給が断された状態でも計時可能な計時手段とを備えた遊技機において、前記計時手段の時間情報が定められた設定時間情報であるかを判別する時間情報判別手段と、その時間情報判別手段により前記設定時間情報であると判別したことに基づいて、通常時に設定されている第1演出状態から第2演出状態に所定期間の間、切り替える状態切替手段と、前記表示手段に表示される複数の背景画像であって、前記第1演出状態と前記第2演出状態とのそれぞれに対応付けられた背景画像を選択する背景選択手段と、その背景選択手段により選択された前記背景画像の種別に応じて、前記表示手段に前記識別情報が動的表示されている間に、前記表示手段に表示する演出態様を、その背景画像に対応付けられた複数の演出の中から1の演出を選択可能な演出選択手段と、を備え、その演出選択手段は、前記第1演出状態が設定されている場合には、第1演出態様群の中より前記演出態様を選択するものであり、前記第2演出状態が設定されている場合には、前記第1演出態様群と前記第2演出態様群とからそれぞれ前記演出態様を選択するものであることを特徴とする遊技機K1。
遊技機K1によれば、所定の抽選条件の成立に基づいて抽選が抽選手段により実行される。その抽選手段による抽選結果を示す識別情報が表示手段により表示される。その表示手段に表示する識別情報が動的表示手段により動的表示される。遊技機への電力供給が断された状態でも計時手段により計時される。計時手段の時間情報が定められた設定時間情報であるかが時間情報判別手段により判別される。その時間情報判別手段により設定時間情報であると判別したことに基づいて、通常時に設定されている第1演出状態から第2演出状態に所定期間の間、状態切替手段により切り替えられる。表示手段に表示される複数の背景画像であって、第1演出状態と第2演出状態とのそれぞれに対応付けられた背景画像が背景選択手段により選択される。その背景選択手段により選択された背景画像の種別に応じて、表示手段に識別情報が動的表示されている間に、表示手段に表示する演出態様を、その背景画像に対応付けられた複数の演出の中から1の演出が演出選択手段により選択される。第1演出状態が設定されている場合には、第1演出態様群の中より演出態様を選択するものであり、第2演出状態が設定されている場合には、第1演出態様群と前記第2演出態様群とからそれぞれ演出態様が演出態様選択手段により選択される。これにより、第2演出状態が設定されている場合にも多様な演出態様が選択されるので、遊技の演出を多様にすることができる。よって、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制できるという効果がある。
遊技機K1において、前記背景選択手段は、前記第1演出状態が設定されていることに基づいて、前記複数の異なる第1演出状態専用の背景画像の中より1の背景画像を選択し、前記第2演出状態が設定されていることに基づいて、前記第1演出状態専用の背景画像と前記第2演出状態専用の背景画像とを選択し、前記第2演出状態が選択されている場合には、前記第2演出状態の背景画像が強制的に前記表示手段に表示されるものであることを特徴とする遊技機K2。
遊技機K2によれば、遊技機K1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、背景選択手段は、第1演出状態が設定されていることに基づいて、複数の異なる第1演出状態専用の背景画像の中より1の背景画像が背景選択手段により選択される。第2演出状態が設定されていることに基づいて、第1演出状態専用の背景画像と第2演出状態専用の背景画像とが背景選択手段により選択される。第2演出状態が選択されている場合には、第2演出状態の背景画像が強制的に前記表示手段に表示される。これにより、計時手段により計時された時間が設定時間となると、複数の遊技機で同期したタイミングで専用の背景画像に変更することができる。よって、遊技者にインパクトのある演出を提供することが可能となるという効果がある。
遊技機K1またはK2において、前記演出選択手段は、前記第1演出状態が設定されている場合には、前記背景選択手段により選択されている前記背景画像に基づいた専用の演出態様を選択し、前記第2演出状態が設定されている場合には、前記背景選択手段により選択されている前記第1演出状態専用の背景画像に対応する専用の演出態様と、前記第2演出状態専用の背景画像に対応する専用の演出態様とをそれぞれ選択するものであることを特徴とする遊技機K3。
遊技機K3によれば、遊技機K1またはK2の奏する効果に加え、第1演出状態が設定されている場合には、背景選択手段により選択されている背景画像に基づいた専用の演出態様が選択される。第2演出状態が設定されている場合には、背景選択手段により選択されている第1演出状態専用の背景画像に対応する専用の演出態様と、第2演出状態専用の背景画像に対応する専用の演出態様とがそれぞれ演出選択手段により選択されるので、第2演出状態が設定されている場合にも多様な演出を遊技者に提供できるという効果がある。
<特徴L群>(大当たり変動と大当たりのラウンド演出とに跨ってバトル演出を実行)
抽選条件の成立に基づいて、当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報を表示可能な表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、前記表示手段に特定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により特典遊技が実行された後に設定される第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を決定する遊技状態決定手段と、を有した遊技機において、前記当否判定結果が前記特定の当否判定結果である場合に、前記動的表示手段により動的表示される前記識別情報の動的表示態様として、第1動的表示態様を決定する動的表示態様決定手段と、前記特典遊技実行手段が特典遊技を実行している間に、前記表示手段に演出態様を表示させる演出態様表示手段と、その演出態様表示手段により表示される前記演出態様を前記遊技状態決定手段により決定される前記遊技状態の種別に基づいて選択する演出態様選択手段と、を有し、前記第1動的表示態様と前記演出態様とは、互いに組み合わせて表示されることにより、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を報知する報知表示態様となるものであることを特徴とする遊技機L1。
遊技機L1によれば、抽選条件の成立に基づいて、当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報が表示手段による表示される。その表示手段に表示される識別情報が動的表示手段により動的表示される。表示手段に特定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。その特典遊技実行手段により特典遊技が実行された後に設定される第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態とのどちらか一方が遊技状態設定手段により設定される。その遊技状態設定手段により設定される遊技状態が遊技状態決定手段により決定される。当否判定結果が特定の当否判定結果である場合に、動的表示手段により動的表示される識別情報の動的表示態様として、第1動的表示態様が動的表示態様決定手段により決定される。特典遊技実行手段が特典遊技を実行している間に、表示手段に演出態様が演出態様表示手段により表示される。その演出態様表示手段により表示される演出態様が遊技状態決定手段により決定される遊技状態の種別に基づいて演出態様選択手段により選択される。第1動的表示態様と演出態様とは、互いに組み合わせて表示されることにより、遊技状態決定手段により決定された遊技状態を報知する報知表示態様となる。これにより、決定された遊技状態を報知する演出期間を長く設定することができる。よって、多様な演出を行うことができる。従って、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制できるという効果がある。
抽選条件の成立に基づいて、当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報を表示可能な表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、その動的表示手段により前記識別情報を動的表示する時間を決定する動的表示時間決定手段と、前記表示手段に特定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により前記特典遊技が実行されている期間に前記表示手段に演出態様を表示する演出態様表示手段と、前記特典遊技実行手段により特典遊技が実行された後に設定される第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を決定する遊技状態決定手段と、を有した遊技機において、前記当否判定結果が前記特定の当否判定結果である場合に、前記動的表示時間決定手段に決定されている動的表示時間に前記演出態様表示手段により前記演出態様が表示される表示時間とを含んだ合成表示時間を決定する合成表示時間決定手段と、その合成表示時間決定手段により決定された合成表示時間に対応して、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を示す状態情報の動的表示態様を決定する動的表示態様決定手段とを有するものであることを特徴とする遊技機L2。
遊技機L2によれば、抽選条件の成立に基づいて、当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報が表示手段に表示される。その表示手段に表示される識別情報が動的表示手段により動的表示される。その動的表示手段により前記識別情報を動的表示する時間が動的表示時間決定手段により決定される。表示手段に特定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。その特典遊技実行手段により特典遊技が実行されている期間に表示手段に演出態様が演出態様表示手段により表示される。特典遊技実行手段により特典遊技が実行された後に設定される第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態とのどちらか一方が遊技状態設定手段により設定される。その遊技状態設定手段により設定される遊技状態が遊技状態決定手段により決定される。当否判定結果が特定の当否判定結果である場合に、動的表示時間決定手段に決定されている動的表示時間に演出態様表示手段により演出態様が表示される表示時間とを含んだ合成表示時間が合成表示時間決定手段のより決定される。その合成表示時間決定手段により決定された合成表示時間に対応して、遊技状態決定手段により決定された遊技状態を示す状態情報の動的表示態様が動的表示態様決定手段により決定される。これにより、決定された遊技状態を報知する演出期間を長く設定することができる。よって、多様な演出を行うことができる。従って、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制できるという効果がある。
<特徴M群>(疑似変動回数を示す回動役物の停止タイミングを仮停止タイミングと同期させる)
始動条件の成立が検出された場合に情報を取得する取得手段と、その取得手段により取得された前記情報を記憶する記憶手段と、抽選条件の成立に基づいて、前記取得手段により取得された前記情報に基づいて、当否判定する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報を表示可能な表示手段と、その表示手段に表示する前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、を有した遊技機において、前記識別情報の動的表示において実行する複数種類の表示態様の中から前記表示手段で行わせる前記識別情報の表示態様を選択する選択手段を備え、前記表示態様には、一の識別情報の動的表示の中で擬似的な動的表示を所定回数行う表示態様である擬似連続態様を含み、その擬似連続態様を実行している場合に、現在行われている擬似的な動的表示が、擬似連続態様が開始されてから何度目の擬似的な動的表示かを報知する報知態様が前面側に付された回動可能な回転手段と、その回転手段を回転して、疑似連続態様のそれぞれの動的表示時間と同期して所定の報知態様を示す位置で停止させる回転制御手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機M1。
遊技機M1によれば、始動条件の成立が検出された場合に情報が取得手段により取得される。その取得手段により取得された情報が記憶手段により記憶される。抽選条件の成立に基づいて、取得手段により取得された情報に基づいて、当否判定手段により当否判定される。その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報が表示手段により表示される。その表示手段に表示する識別情報が動的表示手段により動的表示される。識別情報の動的表示において実行する複数種類の表示態様の中から表示手段で行わせる識別情報の表示態様が選択手段により選択される。表示態様には、一の識別情報の動的表示の中で擬似的な動的表示を所定回数行う表示態様である擬似連続態様が含まれている。その擬似連続態様を実行している場合に、現在行われている擬似的な動的表示が、擬似連続態様が開始されてから何度目の擬似的な動的表示かを報知する報知態様が前面側に付された回動可能な回転手段を回転して疑似連続態様のそれぞれの動的表示時間と同期して所定の報知態様を示す位置で回転制御手段により停止される。これにより、疑似変動の停止と回転手段に停止タイミングを合わせることができる。よって、遊技者が疑似変動の回数の報知と疑似変動の停止タイミングのずれにより、違和感を感じる不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機M1において、前記回転手段は、円形状の回転部を有し、その回転部の前面側の円周面に前記報知態様として、疑似変動の回数を示す図柄が付与されており、前記回転制御手段は、疑似変動の回数を示す図柄が所定の停止位置に前記疑似変動態様の停止タイミングと同期して停止するように制御するものであることを特徴とする遊技機M2。
遊技機M2によれば、遊技機M1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、円形状の回転部を有し、その回転部の前面側の円周面に報知態様として、疑似変動の回数を示す図柄が回転手段に付与されている。疑似変動の回数を示す図柄が所定の停止位置に疑似変動態様の停止タイミングと同期して停止するように回転制御手段により制御される。よって、遊技者にわかり易く疑似変動の回数を報知できるという効果がある。
遊技機M1またはM2において、前記回転手段が疑似変動の動的表示時間の終了タイミングで所定の停止位置で停止させることができるように前記回転手段の回転開始時期を判別する判別手段を有し、前記回転制御手段は、前記判別手段により判別された前記回転開始時期に従って前記回転手段の回転を開始するものであることを特徴とする遊技機M3。
遊技機M3によれば、遊技機M1またはM2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、回転手段が疑似変動の動的表示時間の終了タイミングで所定の停止位置で停止させることができるように回転手段の回転開始時期が判別手段により判別される。判別手段により判別された回転開始時期に従って回転手段の回転が回転制御手段により開始される。これにより、回転手段に停止位置が所定の位置となるように制御できる。よって、回転手段の制御を容易にできるという効果がある。
遊技機M1〜M3のいずれかにおいて、前記回転制御手段は、前記回転手段を回転させる場合に、低速度状態を経て高速度状態で回転させ、その高速度状態から所定位置に停止させる制御を実行するものであることを特徴とする遊技機M4。
遊技機M4によれば、遊技機M1からM3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、回転手段を回転させる場合に、低速度状態を経て高速度状態で回転させ、その高速度状態から所定位置に停止させる制御が回転制御手段により実行される。よって、回転手段を高速の状態から停止されるので、遊技者に迫力のある報知を行うことができるという効果がある。
<特徴N群>(SW長押し演出で、SW有効時間の残時間によりSWチャージ演出の可変速度を可変させる。)
始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定結果が所定の結果であることに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、を有し、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が操作された場合にその操作が有効と判別される有効期間を設定する有効期間設定手段と、その有効期間設定手段によって前記有効期間が設定されている場合に、操作されたことに基づいて操作条件が成立したかを判別する操作判別手段と、その操作判別手段により前記操作条件が成立したと判別されたことに基づいて、所定の演出を実行する演出実行手段と、前記操作条件を前記有効期間の残り期間に基づいて可変して設定する条件可変設定手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機N1。
遊技機N1によれば、始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定結果が所定の結果であることに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が操作された場合にその操作が有効と判別される有効期間が有効期間設定手段により設定される。その有効期間設定手段によって有効期間が設定されている場合に、操作されたことに基づいて操作条件が成立したかが操作判別手段により判別される。その操作判別手段により操作条件が成立したと判別されたことに基づいて、所定の演出が演出実行手段により実行される。操作条件が有効期間の残り期間に基づいて可変して条件可変設定手段により設定される。これにより、有効期間の残り期間に基づいて、操作条件を可変して設定されるので、演出が実行される条件を可変させることができる。よって、遊技者に有効時間の残り期間が変化することで、異なる遊技を体感させることができる。従って、遊技者が遊技に早期に飽きてしまう不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機N1において、前記操作判別手段は、前記有効期間内に前記操作手段が所定期間以上の間、継続して操作されたと判別した場合に、前記操作条件が成立したと判別するものであり、前記条件可変設定手段は、前記有効期間の残り期間に応じて所定期間を可変して設定するものであることを特徴とする遊技機N2。
遊技機N2によれば、遊技機N1の奏する効果に加え、操作判別手段は、有効期間内に操作手段が所定期間以上の間、継続して操作されたと判別した場合に、操作条件が成立したと操作判別手段により判別される。有効期間の残り期間に応じて所定期間を可変して条件可変手段により設定される。よって、有効期間の残り期間が少なくなっても、容易に操作条件を満たすことが可能となるので、遊技者が演出を楽しむことができるという効果がある。
<特徴O群>(バトル演出の過去の履歴により敵の弱点、主人公の得意技等を設定する)
始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による判定結果を示す識別情報を表示する表示手段と、その表示手段に表示する前記識別情報の演出態様を決定する演出態様決定手段と、その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報を決定する表示情報決定手段と、その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、前記表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典を遊技者に与える特典付与手段と、前記履歴情報記憶手段に記憶された表示情報が表示されることに基づいて前記特典付与手段により与えられる特典を可変する特典可変制御手段とを有することを特徴とする遊技機O1。
遊技機O1によれば、始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定手段による判定結果を示す識別情報が表示手段により表示される。その表示手段に表示する識別情報の演出態様が演出態様決定手段により決定される。その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報が表示情報決定手段により決定される。その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別が履歴情報として履歴情報記憶手段により記憶される。表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典が遊技者に特典付与手段により与えられる。履歴情報記憶手段に記憶された表示情報が表示されることに基づいて特典付与手段により与えられる特典が特典可変制御手段により可変される。これにより、履歴情報に基づいて、特典が可変して設定されるので、遊技を長く行うことで特典を可変されることを楽しむことができる。よって、遊技者がより長期間遊技を行うように促すことができるという効果がある。
遊技機O1において、前記表示手段に前記当否判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を所定の抽選に基づいて決定する遊技状態決定手段と、を有し、前記特典付与手段は、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様を付与するものであることを特徴とする遊技機O2。
遊技機O2によれば、遊技機O1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、表示手段に当否判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方が遊技状態設定手段により設定される。その遊技状態設定手段により設定される遊技状態が所定の抽選に基づいて遊技状態決定手段決定される。遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様が特典付与手段により付与される。よって、遊技者は、履歴情報に基づいて、報知態様が報知されるか否かの特典が可変するので、遊技をより長く行うことで、報知態様が報知されるようにして遊技を行うことができるという効果がある。
遊技機A1からA5,B1からB5,C1からC5,D1からD5,E1からE5,F1からF5,G1からG5,H1からH5,I1からI5,J1からJ5、K1からK3、L1からL2、M1からM4、N1からN2、O1からO2のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA5,B1からB5,C1からC5,D1からD5,E1からE5,F1からF5,G1からG5,H1からH5,I1からI5,J1からJ5、K1からK3、L1からL2、M1からM4、N1からN2、O1からO2のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA5,B1からB5,C1からC5,D1からD5,E1からE5,F1からF5,G1からG5,H1からH5,I1からI5,J1からJ5、K1からK3、L1からL2、M1からM4、N1からN2、O1からO2のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
10 パチンコ機(遊技機)
13 遊技盤
64 第1入賞口(第2の入賞口)
71 第1アウト口(アウト口)
72 第2アウト口(アウト口)
81 第3図柄表示装置(液晶表示装置)
本発明は、パチンコ機に代表される遊技機に関するものである。
従来より、始動口への遊技球の入賞に伴って抽選を行い、所定の図柄を表示装置で所定時間の間、変動表示させた後、抽選結果を示す図柄で停止表示させる抽選遊技が実行される。所定の図柄が変動中に、抽選結果を遊技者に報知する予告図柄等が表示される。
特開2012−223600号公報
この種のパチンコ機において、表示装置で表示される演出には限りがあり、同じ演出が何度も表示されることで、遊技者が遊技に飽きてしまうという問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、遊技者が遊技に飽きてしまうのを抑制できる遊技機を提供することを目的とする。
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、定を実行する定手段と、その定手段による判定結果を示す識別情報を表示する表示手段と、その表示手段に表示する前記識別情報の演出態様を決定する演出態様決定手段と、その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報を決定する表示情報決定手段と、その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、前記表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典を遊技者に与える特典付与手段と、前記履歴情報記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて、前記特典付与手段に付与される特典を可変する特典可変制御手段とを有する。
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記特典可変制御手段は、前記履歴情報記憶手段に記憶された履歴情報に対応する表示情報が表示されることに基づいて前記特典付与手段により与えられる特典を可変するものである。
請求項3記載の遊技機は、請求項1または2記載の遊技機において、前記表示手段に前記判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を所定の抽選に基づいて決定する遊技状態決定手段と、を有し、前記特典付与手段は、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様を付与するものである。
請求項4記載の遊技機は、請求項1から3のいずれかに記載の遊技機において、前記履歴情報記憶手段に記憶された前記履情報を示す報知態様を前記表示手段に表示する手段を有するものである。
請求項1記載の遊技機によれば、判定を実行する判定手段と、その判定手段による判定結果を示す識別情報を表示する表示手段と、その表示手段に表示する前記識別情報の演出態様を決定する演出態様決定手段と、その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報を決定する表示情報決定手段と、その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、前記表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典を遊技者に与える特典付与手段と、前記履歴情報記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて、前記特典付与手段に付与される特典を可変する特典可変制御手段とを有する。よって、遊技者がより長期間遊技を行うように促すことができるという効果がある。
請求項2記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記特典可変制御手段は、前記履歴情報記憶手段に記憶された履歴情報に対応する表示情報が表示されることに基づいて前記特典付与手段により与えられる特典を可変するものである。よって、遊技者がより長期間遊技を行うように促すことができるという効果がある。
請求項3記載の遊技機によれば、請求項1または2記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記表示手段に前記判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を所定の抽選に基づいて決定する遊技状態決定手段と、を有し、前記特典付与手段は、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様を付与するものである。よって、遊技者がより長期間遊技を行うように促すことができるという効果がある。
請求項4記載の遊技機によれば、請求項1から3記載の遊技機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記履歴情報記憶手段に記憶された前記履情報を示す報知態様を前記表示手段に表示する手段を有するものである。よって、遊技者がより長期間遊技を行うように促すことができるという効果がある。
第1実施形態におけるパチンコ機の正面図である。 パチンコ機の遊技盤の正面図である。 パチンコ機の背面図である。 パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。 遊技盤の正面模式図である。 動作ユニットの正面斜視図である。 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。 動作ユニットの正面図である。 動作ユニットの正面図である。 動作ユニットの正面図である。 動作ユニットの正面図である。 回転動作ユニットの正面斜視図である。 回転動作ユニットの背面図である。 分解した回転動作ユニットを正面視した回転動作ユニットの分解正面斜視図である。 分解した回転動作ユニットを正面視した回転動作ユニットの分解正面斜視図である。 (a)は、ケース体の正面図であり、(b)は、固定部材の正面図である。 第1歯車、第2歯車及び第3歯車のケース体による支持構造を模式的に図示する模式図である。 複合動作ユニットの正面斜視図である。 分解した複合動作ユニットを正面視した複合動作ユニットの分解正面斜視図である。 複合動作ユニットの一部を分解した状態における複合動作ユニットの分解斜視図である。 開閉第1歯車、開閉第2歯車、回転第1歯車及び回転第2歯車の正面斜視図である。 開閉第1歯車及び開閉第2歯車と回転第1歯車及び回転第2歯車とを第1軸及び第2軸に組み付ける工程を時系列で説明する複合動作ユニットの部分拡大正面図である。 開閉第1歯車及び開閉第2歯車と回転第1歯車及び回転第2歯車とを第1軸及び第2軸に組み付ける工程を時系列で説明する複合動作ユニットの部分拡大正面図である。 裏アーム体に対する開閉第2歯車及びスライドラック部材の相対的な変位状態を説明するための複合動作ユニットの分解正面図である。 動作部材の開閉動作および回転動作を時系列で図示した複合動作ユニットの正面図である。 開閉第1歯車と開閉第2歯車との歯合状態および回転第1歯車と回転第2歯車との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニットの正面模式図である。 開閉第1歯車と開閉第2歯車との歯合状態および回転第1歯車と回転第2歯車との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニットの正面模式図である。 開閉第1歯車と開閉第2歯車との歯合状態および回転第1歯車と回転第2歯車との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニットの正面模式図である。 第1係合部材及び一対の第2結合部材が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット及び第2結合動作ユニットの正面図である。 第1係合部材及び一対の第2結合部材が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット及び第2結合動作ユニットの正面図である。 (a)は、第1結合動作ユニットの正面図であり、(b)は、図33(a)の矢印XXXb方向視における第1結合動作ユニットの底面図である。 第1結合動作ユニットの分解正面斜視図である。 第1結合動作ユニットの分解背面斜視図である。 駆動部の背面図である。 (a)は、スライド機構部の正面斜視図であり、(b)は、スライド機構部の背面斜視図である。 分解したスライド機構部を正面視したスライド機構部の正面斜視図である。 分解したスライド機構部を背面視したスライド機構部の背面斜視図である。 (a)は、第1結合部材が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニットの正面図であり、(b)は、第1結合部材が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニットの背面図である。 (a)は、第1結合部材が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニットの正面図であり、(b)は、第1結合部材が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニットの背面図である。 第2結合動作ユニットの正面斜視図である。 (a)は、第2結合動作ユニットの正面図であり、(b)は、第2結合動作ユニットの背面図である。 第2結合動作ユニットの正面図である。 第1結合部材及び一対の第2結合部材が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット及び第2結合動作ユニットを正面視したモデル図である。 円環形成部材が退避位置に配置された状態における円環動作ユニットの正面斜視図である。 円環形成部材が結合位置に配置された状態における円環動作ユニットの正面斜視図である。 分解した円環動作ユニットを正面視した円環動作ユニットの分解正面斜視図である。 分解した円環動作ユニットを背面視した円環動作ユニットの分解背面斜視図である。 (a)は、リンク部材の正面斜視図であり、(b)は、リンク部材の背面斜視図であり、(c)は、図50(a)の部分Lcにおけるリンク部材の部分拡大正面斜視図であり、(d)は、図50(a)の矢印Ld方向視におけるリンク部材の側面図である。 円環動作ユニットの部分拡大背面図である。 一対の円環形成部材が退避位置に配置された円環動作ユニットを模式的に図示する円環動作ユニットの背面模式図である。 図52のLIII−LIII線における円環動作ユニットの断面模式図である。 一対の円環形成部材が退避位置および結合位置の中間となる位置に配置された円環動作ユニットを模式的に図示する円環動作ユニットの背面模式図である。 図54のLV−LV線における円環動作ユニットの断面模式図である。 一対の円環形成部材が結合位置に配置された円環動作ユニットを模式的に図示する円環動作ユニットの背面模式図である。 図56のLVII−LVII線における円環動作ユニットの断面模式図である。 アーム部材が張出位置に張り出された状態における揺動動作ユニットの正面斜視図である。アーム部材820が退避位置に退避された状態における揺動動作ユニット800の正面斜視図である。 アーム部材が退避位置に退避された状態における揺動動作ユニットの正面斜視図である。 分解された揺動動作ユニットを正面視した揺動動作ユニットの分解正面斜視図である。 (a)は、アーム部材が退避位置に配置された状態における揺動動作ユニットの背面図であり、(b)は、図61(a)の部分LXIbにおける揺動動作ユニットの部分拡大背面図である。 (a)は、揺動動作ユニットの背面図であり、(b)は、図62(a)の部分LXIIbにおける揺動動作ユニットの部分拡大背面図である。 (a)は、揺動動作ユニットの背面図であり、(b)は、図63(a)の部分LXIIIbにおける揺動動作ユニットの部分拡大背面図である。 (a)は、揺動動作ユニットの背面図であり、(b)は、図64(a)の部分LXIVbにおける揺動動作ユニットの部分拡大背面図である。 通常遊技期間と時間演出期間とにおける背景モードの選択例の一例について示したタイミングチャートである。 各種カウンタの概要を示す図である。 (a)は、主制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、主制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 (a)は、特別図柄大当たり乱数テーブルを模式的に示した模式図であり、(b)は、大当たり種別選択テーブルを模式的に示した模式図であり、(c)は、普通当たり乱数テーブルを模式的に示した図である。 (a)は、変動パターン選択テーブルの一部である大当たり用変動パターン選択テーブルを模式的に示した模式図であり、(b)は、変動パターン選択テーブルの一部である外れ用変動パターン選択テーブルを模式的に示した図である。 (a)は、音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 通常背景が表示される場合のサブ変動パターン選択テーブルを模式的に示した模式図である。 強制背景が表示される場合のサブ変動パターン選択テーブルを模式的に示した模式図である。 通常背景選択テーブルを模式的に示した模式図である。 通常背景予告選択テーブルの内容を模式的に示した図であり、(b)は、強制背景予告選択テーブルの内容を模式的に示した図である。 表示制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。 転送データテーブルを模式的に示した模式図である。 描画リストの一例を模式的に示した模式図である。 主制御装置内のMPUにより実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される特別図柄変動処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される特別図柄変動開始処理を示したフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される始動入賞処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される普通図柄変動処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行されるスルーゲート通過処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。 主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される時間設定処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動パターン選択処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動表示設定処理を示したフローチャートである。 音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される同期演出管理処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行されるブート処理を示すフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行されるコマンド割込処理を示したフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行されるV割込処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示したフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行される変動パターンコマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行される停止種別コマンド処理を示したフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行される表示用演出コマンド処理を示したフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行される表示用予告コマンド処理を示したフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行される表示用背面コマンド処理を示すフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行されるエラーコマンド処理を示すフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行される表示設定処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行される警告画像設定処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行されるポインタ更新処理を示したフローチャートである。 (a)は、表示制御装置内のMPUにより実行される転送設定処理を示したフローチャートであり、(b)は、表示制御装置内のMPUにより実行される常駐画像転送設定処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行される通常画像転送設定処理を示したフローチャートである。 表示制御装置内のMPUにより実行される描画処理を示したフローチャートである。 図99(b)形態における回転部材と特別図柄との作動タイミングの一例について示したタイミングチャートである。 (a)〜(b)は、図99(b)形態における回転部材が作動する場合の第3図柄表示装置に表示される特別図柄の表示態様の一例を示したタイミングチャートである。 図99(b)形態における回転部材が作動する場合の第3図柄表示装置に表示される特別図柄の表示態様の一例を示したタイミングチャートである。 (a)は、図99(b)形態における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、図99(b)形態における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 図99(b)形態における疑似変動選択テーブルの一部を模式的に示した模式図である。 図99(b)形態における疑似変動選択テーブルの一部を模式的に示した模式図である。 図99(b)形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理2を示したフローチャートである。 図99(b)形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される変動パターン選択処理2を示したフローチャートである。 図99(b)形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される通常演出選択処理を示したフローチャートである。 図99(b)形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される入賞コマンド受信処理を示したフローチャートである。 第3実施形態における融合演出が実行される場合の一例を示したタイミングチャートである。 (a)〜(b)は、第3実施形態における融合演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。 第3実施形態における融合演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。 (a)〜(b)は、第3実施形態における長押し演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例である。 (a)は、第3実施形態における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、第3実施形態における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 (a)は、第3実施形態における融合演出選択テーブルの内容を模式的に示した図であり、(b)は、第3実施形態における融合変動パターン選択テーブルの内容を模式的に示した図である。 主制御装置内のMPUにより実行される大当たり制御処理を示すフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理3を示したフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される通常演出選択処理2を示したフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される大当たり演出処理を示したフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される融合大当たり演出処理を示したフローチャートである。 第3実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される枠ボタン入力監視・演出処理を示したフローチャートである。 (a)〜(b)は、第4実施形態における大当たり演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例を示した図である。 (a)〜(b)は、第4実施形態における大当たり演出が実行される場合の第3図柄表示装置に表示される表示態様の一例を示した図である。 (a)は、第4実施形態における音声ランプ制御装置のROMの内容を模式的に示した図であり、(b)は、第3実施形態における音声ランプ制御装置のRAMの内容を模式的に示した図である。 第4実施形態における音声ランプ制御装置内のMPUにより実行される大当たり演出処理2を示したフローチャートである。 (a)〜(b)は、第5実施形態におけるである複合動作ユニットが動作する場合の第3図柄表示装置で表示される表示態様の一例について示した図である。 (a)〜(b)は、第5実施形態におけるである複合動作ユニットが動作する場合の第3図柄表示装置で表示される表示態様の一例について示した図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図35を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の下方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の第1特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。また、第1入賞口64の下方左側には第2可変入賞装置650が配設されており、その略中央部分に他の入賞口63,64,640と同程度の大きさの円形形状からなる第2特定入賞口650aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65a,650aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65a,650aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65a,650aが所定時間開放される。この特定入賞口65a,650aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、第1特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第1特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が第1特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
第2可変入賞装置650は、具体的には、第2特定入賞口650aへ球を案内する案内路と、その案内路の第2特定入賞口650a側とは反対側となる開口部である開口651と、その開口651の開放および閉鎖を行うための駆動役物650bと、その駆動役物650bを開口651の下辺を軸に左右方向に開閉駆動するための小開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第2特定入賞口650aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には小開放口ソレノイドを駆動して駆動役物650bを右方に傾倒し、球が第2特定入賞口650aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65a,650aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65a,650aが所定時間開放され、その特定入賞口65a,650aの開放中に、球が特定入賞口65a,650a内へ入賞することを契機として特定入賞口65a,650aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65a,650aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71及び第2アウト口72が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640,650aにも入賞しなかった球は、第1アウト口71又は第2アウト口72を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される一方、第2アウト口72は、第2特定入賞口650aの左側に配設される。即ち、第2アウト口72は、第2特定入賞口650aを挟んで第1アウト口71の反対側に配設される。
よって、遊技領域を流下する球であって、第2特定入賞口650aよりも正面視右側(図2右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下され、第1アウト口71を通って球排出路へ案内される一方、第2特定入賞口650aよりも正面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下され、第2アウト口72を通って球排出路へ案内される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22、RTC(リアルタイムクロック)264などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、駆動モータ340,430,522,640,740,830が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
なお、主制御装置110および音声ランプ制御装置113、表示制御装置114の構成の詳細については、図66〜図78を参照して後述する。
次いで、図5を参照して、遊技盤13における入賞口63,64,65a,640,650aやアウト口71,72などの各構成のレイアウト(配置)について説明する。図5は、遊技盤13の正面模式図である。なお、図5では、入賞口63,64,65a,640,650aなどの各構成が模式的に図示されると共に、遊技盤13の一部が部分的に拡大して図示される。
図5に示すように、内レール61は、遊技領域の正面視において、右下側に配置される部分(第1アウト口71よりも右側の部分)が、直線状に延設されると共に第1アウト口71から離間される方向へ向けて上昇傾斜して形成される。
内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、それら両レール61,62と共に遊技領域の外縁を画定する樹脂製の外縁部材73が配設される。外縁部材73は、外レール62を延長した円弧状の壁面を内面側に設けて形成される円弧壁部73aと、その円弧壁部73aの下方に連設され鉛直方向(図5上下方向)に沿って直線状に延設される壁面を内面側に設けて形成される垂直壁部73bと、その垂直壁部73bの下方に連設され内レール61へ向けて下降傾斜しつつ直線状に延設される壁面を内面側に設けて形成される傾斜壁部73cとからなる。
このように、内レール61、外レール62及び外縁部材73により画定される遊技領域は、略円形状の一部(図5下方右側部分)が、略矩形状に形成され外方へ拡大された形状とされる。詳細には、第1アウト口71よりも右側に配設される内レール61の直線状の部分と、外縁部材73の傾斜壁部73c及び垂直壁部73bとにより画定される領域が略矩形状に形成される。
これにより、遊技領域が内レール61及び外レール62を延長した略円形状に形成される場合と比較して、略矩形状の領域(図5下方右側部分)を備える分、遊技領域全体としての面積を拡大することができる。よって、その拡大した領域を、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67などを配設するスペースとして、或いは、球を流下させる経路を形成するためのスペースとして活用して、各入賞口63,64,65a,640,650aや球の流下経路などの配置の自由度を高めることができる。その結果、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方(図5下側)へ下げることができるので、その分、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、従来のパチンコ機では、第3図柄表示装置81の下方において、第1入賞口64、第2入賞口640及び可変入賞装置65が上下方向(図5上下方向)に沿って直列に配置されていた。そのため、第3図柄表示装置81の下方に必要なスペースが上下方向に嵩み、かかる第3図柄表示装置81の大型化が阻害されていた。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、遊技領域の拡大された部分(略矩形状の領域、図5下方右側部分)を入賞口などの配設スペースあるいは球の流下経路の形成スペースとして利用することができる。具体的には、本実施形態では、第2入賞口640および第1可変入賞装置65が第1入賞口64の直下ではなく、上述した遊技領域の拡大された部分に配置される。よって、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
また、本実施形態の遊技機13によれば、第2特定入賞口650aも、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向一側(可変入賞装置65と反対側、図5左側)にオフセットされ、かつ、内レール61(遊技領域の下縁)に当接する位置(即ち、第2特定入賞口650aと内レール61との間を球が通過不能となる位置)に配置される。よって、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
この場合、本実施形態の遊技盤13によれば、遊技領域から球排出路へ球を排出するための経路を2ヶ所(第1アウト口71及び第2アウト口72)に設けることで、第3図柄表示装置81の更なる大型化が可能とされている。
即ち、第3図柄表示装置81を大型化するためには、かかる第3図柄表示装置81の下縁の位置が下方に下がるため、その分、入賞口の位置も下方へ下げる必要がある。例えば、第1入賞口64の位置が下方へ下がると、案内板部材74(右打ち時の球(可変表示装置ユニット80の右方を通過した球)を第2特定入賞口650aへ案内する部材)の位置も、球を流下させるスペースを第1入賞口64との間に確保するべく、下方へ下げる必要が生じ、その結果、第2特定入賞口650aの位置も下方へ下げる必要が生じる。
しかしながら、第2特定入賞口650aの位置が下方へ下がり過ぎると、第2特定入賞口650aの下方(内レール61との間)に球を流下させるためのスペースを確保できなくなる。即ち、入賞口に入賞されずに流下した球を第1入賞口64の下方に配設されるアウト口から排出できなくなる。そのため、かかる第2特定入賞口650aの位置を下方へ下げるには限界があり、第3図柄表示装置81を十分に大型化することができない要因となる。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第1アウト口71に加え、第2アウト口72が、第2特定入賞口650aを挟んで、第1アウト口71の反対側に配設されている(即ち、第2特定入賞口650aの右側および左側に第1アウト口71及び第2アウト口72がそれぞれ配設されている)ので、遊技領域を流下する球であって、第2特定入賞口650aよりも正面視右側(図5右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下させ、第1アウト口71により球排出路へ排出できる一方、第2特定入賞口650aよりも正面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下させ、第2アウト口72から球排出路へ排出できる。
このように、遊技領域から球排出路へ球を排出するための経路を2ヶ所(第1アウト口71及び第2アウト口72)に設けることで、第2特定入賞口650aの下方(内レール61との間)に、球を流下させるためのスペースを確保することを不要とできる。よって、第2特定入賞口650aの位置を更に下方に下げる(内レール61に近接させる又は連設させる)ことができるので、その分、案内板部材75の位置を下方へ下げることができ、ひいては、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、その分、第3図柄表示装置81の更なる大型化を図ることができる。
なお、本実施形態では、第2入賞口640および第1特定入賞口65aが盤面右側にオフセットされて配設されると共に、第2特定入賞口650aが盤面左側にオフセットされかつ内レール61に近接(又は当接)されて配設されることで、回転動作ユニット300による演出をより効果的に行うことができる。
即ち、遊技者が右打ちを行う場合には、球が流下する盤面右側のみが遊技者により注目され、特に、第2入賞口640への入賞がなされなかった球に対しては、それ以降の流下が遊技者に注目されることは少ない。この場合、本実施形態では、可変表示装置ユニット80の右方を通過した球のうち、第2入賞口640の上側を右から左へ通過した球は、案内板部材74の上側を通過し、第2特定入賞口650aへ向けて流下される。そのため、第2入賞口640への入賞がなされなかった場合でも、次いで、第2特定入賞口650aへの入賞の機会が発生し、その第2特定入賞口650aへの入賞の期待から、第2入賞口640の上側を右から左へ通過した球を遊技者に注目させる(視線を向けさせる)ことができる。これにより、遊技者の視線を、可変表示装置ユニット80下方における盤面中央にも向けさせることができる。後述するように、本実施形態では、第1入賞口64の背面側に回転動作ユニット300が配設され、その回転動作ユニット300が遊技盤13越しに(遊技盤13を透過して)視認可能とされるので、第2入賞口640への入賞がなされなかった球が、第2特定入賞口650aへ向けて流下する際に、回転動作ユニット300による演出も遊技者に視認させ、かかる回転動作ユニット300の演出効果を高めることができる。
上述したように、遊技盤13は、ベース板60が光透過性の樹脂材料から形成され、そのベース板60の背面側に配設される回転動作ユニット300を正面側から遊技者に視認させることが可能とされる。ここで、回転動作ユニット300は、第1入賞口64への入賞を契機として又は入賞による抽選の結果を契機として動作される装置であり、遊技盤13(ベース板60)の背面側において、第1入賞口64に対応する位置に配設される。
よって、第1入賞口64へ向けて流下する球を目で追う遊技者に対し、特に、第1入賞口64に球が入賞した場合には、その第1入賞口64の背後において、回転動作ユニット300による演出を視認させることができるので、第1入賞口64への球の入賞に伴う演出を効果的に行うことができる。なお、回転動作ユニット300の詳細構成については後述する。
この場合、第1入賞口64に対し、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が左右方向(遊技領域の幅方向、図5右方向)にオフセットされて配置されているので、その分、第1入賞口64及び回転動作ユニット300の位置を下方(図5下側)へ下げることができ、その結果、回転動作ユニット300を第1入賞口64に対応する位置であって遊技盤13(ベース板60)の背面側に配設する場合であっても、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、従来のパチンコ機のように、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が上下方向に直列に配置される場合には、第1入賞口64に対応する位置において遊技盤13(ベース板60)の背面側に回転動作ユニット300を配設することは、かかる回転動作ユニット300と第2入賞口640及び第1可変入賞装置65とが干渉するため、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65の配設に必要なスペースが上下方向に嵩み、第3図柄表示装置81の大型化を阻害することになる。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第1入賞口64に対し、第2入賞口640、第1可変入賞装置65及び第2可変入賞装置650が左右方向(遊技領域の幅方向)にオフセットして配置されているので、これら第2入賞口640、第1可変入賞装置65及び第2可変入賞装置650と回転動作ユニット300との干渉を回避でき、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができ、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
特に、第1可変入賞装置65については、遊技領域の下方右側の略矩形状に拡大された領域を利用して右側にオフセットされることで、そのオフセット量を十分に確保できると共に、第2可変入賞装置650については、第1アウト口71に加えて第2アウト口72が設けられることで、球が流下するための下方のスペースの確保を考慮せずに、その位置を下方へ下げることができる。これにより、回転動作ユニット300を配設するためのスペースをより広く確保できるので、第3図柄表示装置81の大型化と回転動作ユニット300の大型化という背反する課題を解決することができる。その結果、第3図柄表示装置81による演出効果と回転動作ユニット300による演出効果との両者の演出効果を高めることができる。
ここで、回転動作ユニット300は、第1入賞口64を中心として回転可能な略円形状に形成される。これにより、第1入賞口64を取り囲む周囲全体を演出のための領域とすることができる。即ち、回転動作ユニット300による演出をその第1入賞口64の背面側において遊技者に視認させることできる。よって、第1入賞口64への入賞を契機として演出が開始される場合には、球が入球した第1入賞口64を中心とする領域で演出が行われることにより、第1入賞口64への入賞に伴う演出の演出効果を高めることができる。
また、回転動作ユニット300の状態(例えば、回転位置や点灯状態)が所定の状態となったことを契機として、第1入賞口64へ球を入賞させることを遊技者が開始する場合には、遊技者が視認している対象物(所定の状態となった回転動作ユニット300)の中心へ向けて遊技球を入球させることとでき、回転動作ユニット300による演出の演出効果を高めることができる。
更に、このように、回転動作ユニット300が略円形状に形成されることで、かかる回転動作ユニット300の周囲のスペースを有効に活用でき、他の入賞口などのための配設スペースを効率的に確保できる。特に、第2可変入賞装置650の配設スペースを効率的に確保できる。即ち、第1可変入賞装置65については、遊技領域の下方右側の略矩形状に拡大された領域を利用して第1入賞口64に対して右側にオフセットできるため、その右側へのオフセット量を比較的確保しやすい一方、第2可変入賞装置650については、内レール61が円弧状に湾曲されているが故に、第1入賞口64に対する左側へのオフセット量を十分に確保することが困難となる。この場合、回転動作ユニット300が略円形状とされていることで、かかる回転動作ユニット300の下方左側において、第2可変入賞装置650を配設するためのスペースを内レール61との間に効率的に確保できる。
また、回転動作ユニット300は、第1入賞口64を中心とする略円形状に形成されるので、かかる回転動作ユニット300を遊技領域の幅方向(図5左右方向)略中央に配置することができる。即ち、第3図柄表示装置81の下縁と内レール61との間の距離(図5上下方向の距離)が最大となる仮想線上に、回転動作ユニット300の中心を配置することができる。よって、第3図柄表示装置81の大型化を図りつつ、遊技領域の限られたスペースを有効に活用できるので、回転動作ユニット300を配設するためのスペースをより広く確保して、かかる回転動作ユニット300の大型化も効率的に行うことができる。
本実施形態では、上述したように、第2入賞口640が、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)にオフセットされて配置される。この場合、第2入賞口640は、その開口641が遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)を臨む姿勢で配設される。これにより、第2入賞口640への入賞のために球を流下させるスペースを、かかる第2入賞口640の上方に設けることを不要として、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
また、本実施形態では、上述したように、第2特定入賞口650aが、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向一側(第1可変入賞装置65と反対側、図5左側)にオフセットされて配置される。この場合、第2特定入賞口650aは、その開口651が遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)を臨む姿勢で配設される。これにより、第2特定入賞口650aへの入賞のために球を流下させるスペースを、かかる第2特定入賞口650aの上方に設けることを不要として、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、第2入賞口640の開口641及び第2特定入賞口650aの開口651が遊技領域の上方(図5上側)の臨む姿勢で配設される場合には、球を流下させるためのスペースを開口641,651の真上に確保する必要が生じ、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を上方に上げる必要が生じ、第3図柄表示装置81の大型化が阻害される。これに対し、本実施形態のように、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨む場合には、球を流下させるためのスペースを開口641,651の斜め上方(図5右上側)に確保すれば良く、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
このように、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨む場合には、電動役物640a,650bを、第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの真上ではなく、第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの側方に配置することができる。即ち、電動役物640a,650bの配置スペースを第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの真上に確保する必要がなく、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の更なる大型化を図ることができる。
更に、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、その開口641,651の開放および閉鎖を行うための電動役物640a,650bを一対設けることを不要として、片側のみとすることができる。これにより、電動役物640a,650bを駆動するための駆動手段(例えば、ソレノイド)に必要とされる容量を小型化して、部品コストの削減を図ることができる。同時に、消費エネルギーの抑制を図ることができる。
また、開口641が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、第2入賞口640への入賞の難易度が過度に低下することを防ぐことができる。即ち、本実施形態では、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げるので、入賞口等の配設スペースが限定され、第2入賞口640と、スルーゲート67との配置位置の間隔が狭くなる。そのため、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が上下方向に直列に配置される従来のパチンコ機に比較して、第2入賞口640へ入球させる難易度が低下し、遊技性を損なう恐れがある。そこで、開口641を遊技領域の幅方向他側を臨むように形成することで、第2入賞口640の真上から球が入賞することを防止すると共に、電動役物640aが開状態にある場合にのみ第2入賞口640に入賞可能とさせることができる。これにより、第2入賞口640へ入賞させる難易度が低下することを防ぎ、遊技性を向上させることができる。
また、開口651が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、第2特定入賞口650aの開口651から、第2特定入賞口650aまでの距離(図5左右方向寸法)を長くしても、第3図柄表示装置81と第2特定入賞口650aとの間の距離に影響を与えない。よって、第3図柄表示装置81の大型化を図りつつ、第2特定入賞口650aへの球の入賞を検出するセンサ装置652を開口651と第2特定入賞口650aとの間に配設することができる。これにより、第2特定入賞口650aへ球が入賞したことの検出速度を速めることができるので、入賞に伴う遊技者の高揚感を高めることができる。
これに加えて、第2特定入賞口650aへのオーバー入賞を防止することができる。即ち、開放されている第2特定入賞口650aに所定個数(例えば10個)の球が入賞したことを契機として、第2特定入賞口650aが閉鎖されるように構成する場合、10個目の球が入賞すると即座に駆動役物650bが閉鎖されることが望ましい。しかし、センサ装置652がベース板60の後方に配設される場合、開口651からセンサ装置652までの距離が離れる。
そのため、10個目の球が開口651を通過してからセンサ装置652に到達するまでの期間、即ち駆動役物650bが開状態である期間が長くなり、11球目以降の球が開口651から第2特定入賞口650aに入賞可能な状態が長期間にわたって形成され、遊技の公平性を欠く恐れがある。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第2特定入賞口650aへの球の入賞を検出するセンサ装置652が開口651と第2特定入賞口650aとの間に配設されているので、開口651を通過した球がセンサ装置652に検出されるまでの期間を短くできる。これにより、11球目以降の球が開口651から入賞可能な状態を生じにくくし、オーバー入賞を防止することができる。
ここで、本実施形態の遊技盤13において、第1特定入賞口65aと、第2特定入賞口650aとは、それぞれ遊技盤13の左右(他側と一側)方向にオフセットして配置されていることで、遊技者に左右の打ち分けをさせ、遊技性の向上に寄与する。
即ち、本実施形態の遊技盤13においては、第1特定入賞口65aへは可変表示装置ユニット80の右方を通過する方が入賞しやすい一方で、第2特定入賞口650aへは可変表示装置ユニット80の左方を通過した方が入賞しやすい配置となっている。どちらの特定入賞口が開放するかは、その時の大当たりの停止図柄によって決定され、遊技者は、開放される側の特定入賞口を狙うために、左右に打ち分けることになる。
どちらの特定入賞口が開放されるかは、大当たりの停止図柄ごとの回数(ラウンド)単位で設定可能であるので、第1特定入賞口65aもしくは第2特定入賞口650aのみが毎回開放する場合がある一方で、第1特定入賞口65aと第2特定入賞口650aとが回数(ラウンド)ごとに交互に開放する場合もある。
そのため、遊技者はどちらの特定入賞口が開放するかを回数(ラウンド)単位で確認し、その開放される特定入賞口を狙うために左右に打ち分ける必要があるので、遊技者に遊技盤13の他側のみでなく、一側にも注目させる効果がある。即ち、遊技者が遊技盤13の一側もしくは他側のみに注目するという状況が生じることを防止し、第1入賞口64の後方に配置される回転動作ユニット300が視界に入る状況を作り出すことで、回転動作ユニット300に注目させることができると共に、その演出効果を向上させることができる。
また、左右の打ち分けをする判断を、大当たりの回数(ラウンド)ごとにさせることで、遊技者を退屈させることを防止できると共に、遊技者に左右の打ち分けを行わせることで、同じ姿勢で遊技することにより生じる疲労感を緩和することができる。
次いで、図6から図13を参照して、動作ユニット200について説明する。まず、図6から図9を参照して、背面ケース210への各ユニット300〜800の収容構造について説明する。
図6は、動作ユニット200の正面斜視図であり、図7から図9は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。なお、図8では、揺動動作ユニット800、円環動作ユニット700及び第1結合動作ユニット500が背面ケース210に装着された状態が図示され、図9では、図8に示す装着状態に加えて更に第2結合動作ユニット600及び複合動作ユニット400が背面ケース210に装着された状態が図示される。
図6から図9に示すように、動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図7紙面手前側)が開放された箱状に形成される背面ケース210を備える。背面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
動作ユニット200は、背面ケース210の内部空間に、回転動作ユニット300、複合動作ユニット400、第1結合動作ユニット500、第2結合動作ユニット600、円環動作ユニット700及び揺動動作ユニット800がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
具体的には、第1結合動作ユニット500は開口211aの上方となる位置において、円環動作ユニット700は開口211aの下方となる位置において、揺動動作ユニット800は開口211aの左右となる位置において、それぞれ背面ケース210の底壁部211に配設される(図8参照)。
この図8に示す状態に対し、第2結合動作ユニット600は円環動作ユニット700の前面側に、複合動作ユニット500は揺動動作ユニット800の前面側に、それぞれ重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図9参照)。この図9に示す状態に対し、回転動作ユニット300が第2結合動作ユニット600の前面側に重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図6参照)。
このように、本実施形態では、所定の動作ユニット(例えば、第2結合動作ユニット600)に対し、他の動作ユニット(例えば、回転動作ユニット300)が前面側に重ね合わされた積層状態で配設されるので、正面視において、所定の動作ユニットの少なくとも一部(例えば、第2結合動作ユニット600の表ケース体612、図42参照)を、他の動作ユニットによって遮蔽することができる。
言い換えれば、遊技盤13が光透過性材料から形成され、その遊技盤13の背面側に配設される動作ユニットを遊技者が視認可能とされる場合に、所定の動作ユニットの必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を他の動作ユニットにより遊技者から遮蔽することができる。これにより、他の動作ユニットによって遮蔽される所定の演出部材については、その全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
次いで、図10から図13を参照して、各ユニット300〜800の動作態様の概略について説明する。なお、図10から図13の説明においては、図6から図9を適宜参照する。
図10から図13は、動作ユニット200の正面図である。なお、図10では円環動作ユニット700の円環形成部材790が結合位置に配置された状態が、図11では揺動動作ユニット800のアーム部材820が張出位置に配置された状態が、図12では第1結合動作ユニット500の第1係合部材539及び第2結合動作ユニット600の第2結合部材630が結合位置に配置された状態が、図13では複合動作ユニット400の動作部材491,492が張出位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
円環動作ユニット700は、一対の円環形成部材790を備え、これら一対の円環形成部材790を、図8に示す退避位置と図10に示す結合位置との間で動作(変位)させる。図8に示す退避位置では、一対の円環形成部材790は、左右に振り分けられつつ、回転動作ユニット300の背面側に退避され、遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図10に示す結合位置では、一対の円環形成部材790は、背面ケース210の開口211a中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面)に配置されると共に、互いに結合される(一対の円環形成部材790により円環形状が形成される)。
揺動動作ユニット800は、揺動(回転)可能に形成される一対のアーム部材820を備え、これら一対のアーム部材820を、図8に示す退避位置と図11に示す張出位置との間で動作(変位)させる。図8に示す退避位置では、一対のアーム部材820は、複合動作ユニット400の背面側に退避され、遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図11に示す張出位置では、一対のアーム部材820は、背面ケース210の開口211a内(即ち、第3図柄表示装置81の正面)にその先端を張り出させる。
第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630をそれぞれ備え、これら第1係合部材539及び一対の第2結合部材630を図9に示す退避位置と図12に示す結合位置との間で動作(変位)させる。図9に示す退避位置では、第1係合部材539は複合動作ユニット400の背面側に退避されると共に、第2結合部材630は複合動作ユニット400の背面側に退避され、それぞれ遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図12に示す結合位置では、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が背面ケース210の開口211a中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面)に配置されると共に、互いに結合される。
複合動作ユニット400は、揺動(回転)可能に形成される4本の部材(動作部材491,492)を備え、これら4本の部材(動作部材491,492)を、図9に示す退避位置と図13に示す張出位置との間で動作(変位)させる。図9に示す退避位置では、4本の部材(動作部材491,492)は、背面ケース210の開口211a(即ち、第3図柄表示装置81)の側方に退避され、2本一組がそれぞれ上下方向に沿って直線状に整列した姿勢に配置される。一方、図13に示す張出位置では、4本の部材(動作部材491,492)は、背面ケース210の開口211a内(即ち、第3図柄表示装置81の正面)にその先端を張り出させ、開口211aの中央からそれぞれ放射直線状に延びる姿勢に配置される。
回転動作ユニット300は、回転可能に形成される回転部材330を備え、その回転部材330を回転動作させる。なお、図10から図13に示すように、回転動作ユニット300の回転部材330は、定位置において回転動作され、また、複合動作ユニット400の動作部材491,492は、張出位置または退避位置のいずれの位置においても最前面に配置されるため、遊技盤13(図2参照)を介して、常に遊技者から視認可能とされる。
これら各動作ユニット300〜800は、それぞれ独立して動作可能に形成されると共に、上述したように、重ね合わされた(積層された)状態で配設されるので、各動作ユニット300〜800のうちの層を違えて配設されるものについては、同時に動作させることができる。即ち、図10から図13で例示したように、各動作ユニット300〜800をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。
図14から図19を参照して、回転動作ユニット300について説明する。図14は、回転動作ユニット300の正面斜視図であり、図15は、回転動作ユニット300の背面図である。
回転動作ユニット300は、上述したように、遊技盤13(ベース板60)の背面側において、第1入賞口64(図2又は図5参照)に対応する位置(正面視において重なる位置)に配設される演出部材であり、正面中央に受入口361が開口され、第1入賞口64に入賞された球を、受入口361から受け入れ、案内通路380を介して、図示しない球排出路へ案内する。
回転動作ユニット300の正面側には、正面視円環状の回転部材330と、装飾用の樹脂製部材である装飾部材370とが配設され、回転部材330の略中心部分には、受入口361(固定部材360)が配置される。回転部材330は、光透過性の樹脂材料から回転可能に形成され、その背面側に配設されたLEDの点灯や点滅を前面側へ透過させると共に、自身が回転されることで、第1入賞口64(図2又は図5参照)の周囲において、所定の演出を行う。
図16及び図17は、分解した回転動作ユニット300を正面視した回転動作ユニット300の分解正面斜視図である。なお、図16では、回転部材330のみを分解した状態が図示される。また、図17では、装飾部材370の図示が省略されると共に、第1歯車351と第3歯車353との一部が部分的に断面視される。
図16及び図17に示すように、回転動作ユニット300は、その最背面側において骨格をなすケース体310と、そのケース体310に固着される電飾基部320と、その電飾基部320の正面側に配設される回転部材330と、その回転部材330に駆動モータ340の回転駆動力を伝達するための複数の歯車(第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353)と、それら複数の歯車のうちの第1歯車351をケース体310に固定するための固定部材360と、ケース体310の周囲に配設される装飾部材370と、を主に備えて構成される。
ケース体310は、電飾基部320に対応する正面視略円環状に形成される電飾基部取り付け部311と、その電飾基部取り付け部311よりも背面側に後退して形成される歯車取り付け部312と、それら電飾基部取り付け部311及びは歯車取り付け部312の外縁からそれぞれ外方へ延設される取り付け台座313とを主に備え、これらが樹脂材料から一体に形成される。
電飾基部取り付け部311には、正面側に電飾基部320が、外周側に装飾部材370が、それぞれ締結ねじにより締結固定される。歯車取り付け部312は、第1歯車351から第3歯車353の外形にそれぞれ対応して凹設される正面視略円形状の3つの凹部が互いに連なって形成され、これら各凹部に第1歯車351から第3歯車353がそれぞれ収納(配設)される。
電飾基部取り付け部311の内周側には、歯車取り付け部312のうちの第1歯車351が収納される部位の上方に、開口311aが開口形成される。ケース体310に開口311aが形成されることで、かかる開口311aを介して、ケース体310の背面側から締結ねじにより第1歯車351(締結座部351d)に回転部材330(被締結部333)を締結固定することができる。よって、回転部材330の正面側に締結ねじが露出することを回避して、その外観の向上を図ることができる。
歯車取り付け部312には、第1歯車351が収納される凹部に、通過口314と、被締結部315と、挿通部316と、ガイド凸部317とがそれぞれ形成される。通過口314は、固定部材360の受入口361に連通される通路であり、固定部材360の受入口361から流入した球を、ケース体310の背面側に形成される案内通路380へ案内する。
なお、案内通路380は、ケース体310の背面に断面コ字状の部材が装着されることで、その装着された部材とケース体310の背面との間に球が通過可能な通路として形成される(図15参照)。案内通路380は、ケース体310の背面において通過口314に連通されると共に、下方へ向けて延設される。
取り付け台座313には、挿通孔が穿設されており、その挿通孔に挿通された締結ねじを第2結合動作ユニット600の表ケース体612に締結することで、回転動作ユニット300が第2結合動作ユニット600を介して背面ケース210に締結固定される(図9及び図42参照)。
被締結部315は、固定部材360を歯車取り付け部312に締結固定するための締結ねじが締結される部位(内周にめねじが刻設された凹部)であり、通過口314を挟んで左右非対称となる位置に一対が形成される(図18参照)。挿通部315は、歯車取り付け部312(ケース体310)を背面側の第2結合動作ユニット600の表ケース体612(図9及び図42参照)に締結固定するための締結ねじを挿通させるための貫通孔であり、通過口314の上方に形成される。
ガイド凸部317は、第1歯車351の回転をガイド(案内)するためのレール状の部位であり、正面視円環状の凸部として歯車取り付け部312の正面から突設される。第1歯車351の背面には、ガイド部317に対応する正面視円環状のガイド凹部351eが凹設されており(図19参照)、そのガイド凹部351eにガイド突部317が嵌め入れられることで、歯車取り付け部312に対する第1歯車351の回転位置が規定される。
ここで、歯車取り付け部312は、ガイド凸部317に取り囲まれて形成される正面視円形状の領域において、通過口314が中心から下方にずれた位置(偏心した位置)に配設される一方、被締結部315が通過口314を挟んで左右に配設され、挿通部316が通過口314の上方に配設される。これにより、後述するように、限られたスペースにおいて締結固定のためのスペースを効率的に確保しつつ、ケース体310及び固定部材360の剛性を確保することができる。
歯車取り付け部312には、第2歯車352が収納される凹部に、軸部318が突設される。軸部318は、第2歯車352を軸支するための軸体であり、第2歯車352の中心に穿設された軸孔352aに挿通される。なお、本実施形態では、第2歯車352の軸孔352aに挿通された軸部318の先端に、第2歯車352の抜け止めを設けることを省略可能に形成される。詳細については後述する。
歯車取り付け部312の背面には、第3歯車353が収納される凹部に対応する位置に、駆動モータ340が配設される。駆動モータ340は、その駆動軸340aを歯車取り付け部312の正面(第3歯車353が収納される凹部内)に突出させた状態で配設され、その駆動軸340aに第3歯車353が固着される。
電飾基部320は、正面視円環状に形成されると共に正面側に複数のLED321aが実装される基板部321と、その基板部321の正面に配設されると共に基板部321の正面を複数の領域に区画する区画部322とを備えて構成される。
詳細には、区画部322は、基板部321の内縁および外縁に沿って延設される正面視環状の内縁リブ322a及び外縁リブ322bと、それら両リブ322a,322bの間に所定間隔を隔てつつ同心に形成される正面視環状の中間リブ322cと、これら各リブ322a〜322cの中心から径方向外方へ向けて放射直線状に延設される複数の放射リブ322dとが格子状に交差して配設される。なお、複数の放射リブ322dは、周方向等間隔(本実施形態では略30度間隔)に配設される。
よって、本実施形態では、電飾基部320には、内周側に12個および外周側に12個の合計24個の領域が区画部322により区画され、それら区画された各領域には、それぞれ1乃至2個のLED321aが配設される。これにより、各LED321aをそれぞれ個別に点灯や点滅させる際には、その点灯や点滅に関連する領域と関連しない領域との間で明暗の差を大きくすることができ、その結果、演出効果を高めることができる。
回転部材330は、中心に開口が形成される正面視円環状の回転本体331と、その回転本体331の外縁から軸方向に延設される円筒状の外壁部332とを備え、これらが光透過性の樹脂材料から一体に形成される。回転本体331の中心に形成される開口の内径は、固定部材360の外径に対応されており、組み立て状態では、回転本体331の開口内に固定部材360が収容される(図14参照)。
回転本体331の背面には、被締結部333が複数箇所(本実施形態では3箇所)に形成される。被締結部333は、回転本体331(回転部材330)を第1歯車351に締結固定するための締結ねじが締結される部位(内周にめねじが刻設された凹部)であり、回転本体331の中心からそれぞれ同距離となる位置であって、周方向に不等間隔となる位置に配設される。
回転本体331の正面には、正面視環状に形成されると共にそれぞれ同心に配置される複数の環状突部331a〜331eと、それら環状突部331a〜331eの中心から径方向外方へ向けて放射直線状に延設される複数の放射突部331fとが突設される。なお、複数の放射突部331fは、周方向等間隔(本実施形態では略30度間隔)に配設される。即ち、本実施形態では、放射突部331fの周方向間隔が、電飾基部320の放射リブ322dの周方向間隔に一致される。
回転本体331は、全体に均等の肉厚(厚み寸法)に形成されており、環状突部331a〜331e又は放射突部331fが突設される部分では、その突設される分だけ肉厚(厚み寸法)が厚く(大きく)される。よって、これら各突部331a〜331fが突設される部分において、光を透過しにくくすることができる。
この場合、回転動作ユニット300の組み立て状態では、径方向の最外方に位置する環状突部331eに対応する位置(正面視において重なる位置)に区画部材322の外縁リブ322bが、環状突部331dの次に径方向外方に位置する部位であって環状突部331d及び環状突部331cの間に対応する位置(正面視において重なる位置)に区画部材322の中間リブ322cが、それぞれ配置される。
このように、回転部材330には、電飾基部320の区画部材322により区画された各領域に対応する領域が、各突部331a〜331fにより区画されているので、電飾基部320の各LED321aをそれぞれ個別に点灯や点滅させる際には、その点灯や点滅に関連する領域と関連しない領域との間で明暗の差を大きくすることができ、その結果、演出効果を高めることができる。
かかる領域の区画は、回転部材330においては、上述したように、環状突部331a〜331e及び放射突部331fを正面から突設させ、厚み寸法を大きくすることにより達成する。これにより、例えば、回転部材330の正面に領域を区画するための印刷を施したりや別部材を配設する必要がなく、回転部材330全体を単一色により形成できるので、製品コストの削減を図ることができるだけでなく、その演出効果を高めることができる。
回転部材330は、外壁部332の内径寸法が、電飾基部320の区画部材322(外縁リブ322b)の外径寸法と略同一または若干大きな寸法に設定され、組み立て状態では、外壁部332の内周側に電飾基部320の区画部材322が内嵌される構造とされる。これにより、LED321aの光が区画部材322の外周側から漏れることを抑制し、正面側への光の照射を効率良く行わせることができる。また、第1歯車351に回転部材330を締結固定する際には、外壁部332に区画部材322が内嵌される構造とすることで、かかる内嵌状態とすることで、両者を芯合わせさせた状態で相対回転させることができる。即ち、両者を相対回転させるのみで、第1歯車351の各締結座部351d(挿通孔)に対して回転部材330の各被締結部333を位置合わせすることができ、径方向の位置を調整する必要がないので、その分、作業性の向上を図ることができる。
第1歯車351は、中心に開口を有しその開口内に固定部材360が挿通可能とされる正面視円環状の第1本体351aと、その第1本体351aの外周面に刻設される歯351bと、その歯351bよりも第1歯車351の正面側(回転部材330側)となる位置で第1本体351aの外周面からフランジ状に張り出す第1フランジ部351cと、その第3フランジ部351cよりも第1歯車351の正面側(回転部材330側)となる位置で第1本体351aの外周面から張り出す複数(本実施形態では3個)の締結座部351dと、第1本体351aの背面側に凹設され歯車取り付け部312のガイド凸部317が挿通されるガイド凹部351e(図19参照)と、を備え、固定部材360が歯車取り付け部312に締結固定されることで、その固定部材360と歯車取り付け部312との間で回転可能に保持される。
第1歯車351は、第1本体351aの外周面から第1フランジ部351cが張り出して形成されるので、かかる第1フランジ部351cにより第1歯車351の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、第1フランジ部351cが歯351bの軸方向端面に連設されるので、歯351bの剛性を高めることができる。その結果、第2歯車352との間の歯合状態を適正として、伝達効率の向上を図ることができると共に歯351b,352bの耐久性の向上を図ることができる。また、第1フランジ部351cは、後述するように、第2歯車352の抜け止めを兼用するので、その分、抜け止め用の部品を省略して、部品コストの削減が図ることができる。
締結座部351dは、回転本体331(回転部材330)の被締結部333に締結固定される部位であり、回転本体331の各被締結部333に対応する位置にそれぞれ配設される。即ち、各締結座部351dには、被締結部333に締結する締結ねじを挿通させるための挿通孔が穿設されており、その挿通孔は、第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置であって、周方向に不等間隔となる位置に配設される。よって、第1歯車351と回転部材330とは、1の位相位置のみで締結固定が可能となるので、第1歯車351に回転部材330を組み付ける際には、その周方向位置を作業者が間違えて組み付けることを回避できる。
第1歯車351と回転部材330とを1の位相位置のみで締結固定を可能とするためには、必ずしも第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置に各締結座部351の挿通孔が配設されている必要はない。各締結座部351の挿通孔は、周方向に等間隔となる位置であって、回転本体331の中心からの距離がそれぞれ異なる位置に配設されていても良い。
但し、本実施形態のように、第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置に各締結座部351の挿通孔を配設することが好ましい。即ち、各締結座部351dの長さ寸法(張り出し長さ)をそれぞれ同一とできるので、第1歯車351を樹脂材料から射出成形する場合には、その成形性の向上を図ることができるからである。
ここで、ケース体310の背面側から締結ねじを締結座部351dの挿通孔を介して回転部材330の被締結部333に締結固定するためには、ケース体310に開口311aを開口形成する必要がある。この場合、第1歯車351の中心からそれぞれ異なる距離に各締結部材351の挿通孔が配置される場合には、各挿通孔の移動軌跡が異なることとなり、その分、開口311aの開口幅を大きくする必要があるため、剛性の低下を招くところ、本実施形態によれば、各挿通孔の移動軌跡を同一とできるので、その分、開口311aの開口幅を最小に抑えることができる。

第2歯車352は、正面視円形状の第2本体352aと、その第2本体352aの外周面に刻設される歯352bと、第2本体352aの中心に穿設される軸孔352cとを供え、その軸孔352cに歯車取り付け部312の軸部318が挿通されることで、第1歯車351に歯合された状態で歯車取り付け部312に回転可能に保持される。
第3歯車353は、正面視円形状の第3本体353aと、その第3本体353aの外周面に刻設される歯353bと、その歯353bよりも第3歯車353の正面側(回転部材330側)となる位置で第3本体353aの外周面からフランジ状に張り出す第3フランジ部353cと、とを備え、第3本体353aに駆動モータ370の駆動軸340aが固着されることで、第2歯車352に歯合された状態で駆動モータ340の駆動軸340aに保持される。
よって、駆動モータ340が回転駆動され、第3歯車353が回転されると、その回転が第2歯車352に伝達され、第2歯車352が回転されると共に、その第2歯車352の回転が第1歯車351に伝達され、第1歯車351が回転される。その結果、第1歯車351に締結座部351d及び被締結部333を介して締結固定される回転部材330に駆動モータ340の駆動力が伝達され、かかる回転部材330が回転される。
なお、第1歯車351の場合と同様に、第3歯車353は、第3本体353aの外周面から第3フランジ部353cが張り出して形成されるので、かかる第3フランジ部353cにより第3歯車353の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、第3フランジ部353cが歯353bの軸方向端面に連設されるので、歯353bの剛性を高めることができる。その結果、第2歯車352との間の歯合状態を適正として、伝達効率の向上を図ることができると共に歯353b,352bの耐久性の向上を図ることができる。また、第3フランジ部353cは、後述するように、第2歯車352の抜け止めを兼用するので、その分、抜け止め用の部品を省略して、部品コストの削減が図ることができる。
固定部材360は、第1歯車351を歯車取り付け部312に固定するための円柱状の部材であり、受入口361と、挿通部362とを備える。受入口361は、遊技盤13への装着状態において、第1入賞口64に連通される通路であり、第1入賞口64から流入した球を、歯車取り付け部312の通過口314へ案内する。挿通部362は、固定部材360を歯車取り付け部312の被締結部315又は挿通部316に締結または挿通する締結ねじを挿通させるための貫通孔である。
図18(a)は、ケース体310の正面図であり、図18(b)は、固定部材360の正面図である。なお、図18(a)では、第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353がケース体310に配設された状態が図示されると共に、第1歯車351及び第3歯車353の一部が部分的に断面視される。
図18(a)及び図18(b)に示すように、ケース体310の歯車取り付け部312に形成される通過口314は、上述したように、第1歯車351の中心から下方(図18(a)下側)に位置ずれして(偏心して)配置される。そのため、歯車取り付け部312は、通過口314の周囲に形成される円環状の領域において、通過口314の上方の幅寸法(図18(a)上下方向寸法)が下方の幅寸法に比較して広くされる。
第1歯車351の内周側に挿通され、歯車取り付け部312に締結固定される固定部材360についても同様に、その固定部材360に形成される受入口361は、固定部材360の中心から下方(図18(b)下側)に位置ずれして(偏心して)配置される。そのため、固定部材360は、受入口361の周囲に形成される円環状の領域において、受入口361の上方の幅寸法(図18(b)上下方向寸法)が下方の幅寸法に比較して広くされる。
このように、本実施形態では、通過口314及び受入口361を位置ずれ(偏心)させ、その周囲(円環状の領域)の一部に広い(幅寸法が大きくされた)部分を形成すると共に、その広くされた部分に挿通部316,362をそれぞれ配置(穿設)するので、限られたスペースを有効に活用して、大径の孔を穿設できると共に、かかる場合でも、ケース体310及び固定部材360の剛性を確保することができる。
即ち、挿通部316,362は、回転動作ユニット300を第2結合動作ユニット600の表ケース体612(図9又は図42参照)に締結固定するための締結ねじが挿通可能な孔として形成される部位であり、支持する重量が嵩むことから大径の締結ねじが挿通されるため、比較的大径の孔として形成される必要があるところ、上述のように、一部に広い(幅寸法が大きくされた)部分を形成することで、かかる部分を利用して、大径の孔を穿設するスペースを効率的に確保できる。一方で、このような大径の孔を穿設する場合でも、部分的に広くされた領域に孔が穿設されるため、その剛性を確保できる。
図19は、第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353のケース体310による支持構造を模式的に図示する模式図であり、図18の矢印XIX方向視に対応する。なお、図19では、ケース体310が断面視されると共に、第1歯車351及び第2歯車352の一部が部分的に断面視される。
図19に示すように、第1歯車351は、背面側に凹設されたガイド凹部351eに歯車取り付け部312のガイド凸部317が嵌め入れられることで、歯車取り付け部312に回転可能に支持される。また、第1歯車351は、歯車取り付け部312に締結固定される固定部材360によって、歯車取り付け部312から軸方向(図19上側)へ脱落することが規制される。一方、第3歯車353は、駆動モータ340の駆動軸340aに固着される。なお、固着の方法としては、例えば、圧入によるものや接着剤によるものが例示される。
第2歯車352は、第2本体352aに穿設される軸孔352cに歯車取り付け部312の軸部318が挿通されることで、その歯352bが第1歯車351及び第3歯車353の歯351b,353bに歯合された状態で、歯車取り付け部312に回転可能に軸支される。
この場合、上述したように、第1歯車351及び第3歯車353には、それら第1本体351a及び第3本体353aの外周面から径方向外方へ張り出す第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cがそれぞれ形成されており、これら第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、第2歯車352の軸方向端面に重なる位置まで張り出されている。これにより、第2歯車352が、歯車取り付け部312の軸部318から軸方向(図19上側)へ抜け出ることを規制することができる。その結果、抜け止め用の部品を軸部318の先端に配設する必要がないので、その分、部品点数を削減して、部品コストを抑えることができる。また、組み立て時には、第2歯車352については、歯車取り付け部312の軸部318を軸孔352cに挿通させるだけで良く、抜け止めの部品を装着する工程を省略できるので、その分、製造コストを抑えることができる。
本実施形態では、第1歯車351の第1フランジ部351cと第3歯車353の第3フランジ部353cとが第2歯車352に対して異なる2箇所で当接するので、第2歯車352が軸方向へ抜け出ることを確実に規制できるだけでなく、かかる第2歯車352が軸部318に対して傾斜しながら回転することを抑制できる。その結果、第2歯車352の歯352bと第1歯車351及び第3歯車353の歯351b,353bとの歯合状態を適正として、伝達効率の向上と耐久性の向上とを図ることができる。特に、第2歯車352に当接する2箇所は位相を約180度異ならせる位置に設定されるので、上述した効果をより顕著に発揮できる。なお、2箇所の位相は、約160度から約180度の範囲内に設定されることが好ましい。
ここで、第1歯車351及び第3歯車353の第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、歯351b及び歯353bの谷よりも山頂側に張り出されていれば足りる。歯351b及び歯353の谷よりも張り出されていれば、第2歯車352の歯352bの山頂側の端面に当接できるからである。また、第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cの形成に要する材料を抑制して、軽量化および材料コストの削減を図ることができるからである。但し、第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、歯351b及び歯353の山頂側よりも更に径方向外方へ張り出されていることが好ましい。第2歯車352の傾斜をより確実に抑制できるからである。
次いで、図20から図30を参照して、複合動作ユニット400について説明する。
なお、複合動作ユニット400は、上述したように4本の部材(動作部材491,492)を備え(図7及び図13参照)、それら各部材(動作部材491,492)を動作(変位)させるための4つのユニットからなる。即ち、複合動作ユニット400は、背面ケース210の正面視において、開口211aの左側に上下方向に沿って列設される2つのユニットと、開口211aの右側に上下方向に沿って列設される2つのユニットからなる。この場合、各部材(動作部材491,492)を動作(変位)させるための構造(技術思想)は4つのユニットにおいてそれぞれ同一であるので、以下においては、これら4つのユニットのうちの1のユニット(開口211aの右側上方に配設されるユニット、図7及び図13参照)を複合動作ユニット400と称して説明する。
図20は、複合動作ユニット400の正面斜視図である。図20に示すように、複合動作ユニット400は、取り付けベース410の前面側に動作部材491,492が配設され、この動作部材491,492に開閉動作および回転動作を複合的に行わせる(図27参照)。即ち、動作部材491,492は、互いの長手方向を平行とする姿勢で対向配置されており、その対向間隔を拡大縮小させる動作(開閉動作)と、取り付けベース410に配設される基部側を中心として回転する動作(回転動作)とが実行可能に形成される。なお、取り付けベース410の前面には、装飾体として形成される装飾部材411が配設される。
本実施形態では、動作部材491,492の2種類の動作態様(開閉動作および回転動作)を1の駆動モータ430により実行が可能となるように形成される。そのため、2種類の動作態様に対して駆動モータ430を個別に設ける必要がなく、その分、製品コストの削減を図ることができる。かかる構造の詳細構成について、図21から図23を参照して説明する。
図21は、分解した複合動作ユニット400を正面視した複合動作ユニット400の分解正面斜視図である。また、図22は、複合動作ユニット400の一部を分解した状態における複合動作ユニット400の分解斜視図であり、図22左側に図示される構成が正面視されると共に図22右側に図示される構成が背面視される。なお、図21及び図22では、装飾部材411の図示が省略されると共に、図22では、取り付けベース410の図示が省略される。
図21及び図22に示すように、複合動作ユニット400は、背面ケース210(図7参照)に配設される取り付けベース410と、その取り付けベース410に取り付けられる保持ケース420と、その保持ケース420に回転可能に軸支される複数の歯車と、それら複数の歯車を回転駆動力するための駆動力を発生する駆動モータ430と、保持ケース420に基端が回転可能に軸支される裏アーム体471及び表アーム体472と、それら裏アーム体471及び表アーム体472の対向面間に狭装されるスライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と、それら第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の先端に連結される動作部材491、492とを主に備える。
保持ケース420は、取り付けベース410に取り付けられる裏ケース体421と、その裏ケース体421の正面側に対向配置される表ケース体422とを備え、それら裏ケース体421と表ケース体422との対向間に形成される内部空間に複数の歯車が回転可能に軸支されつつ収容される。
保持ケース420には、裏ケース体421の背面側に駆動モータ430が配設されると共に、裏ケース体421及び表ケース体422の対向間には、3本の回転軸(減速軸425、第1軸426及び第2軸427)がそれぞれ駆動モータ430の駆動軸と平行となる姿勢で架設され、これら減速軸425から第2軸427に複数の歯車が回転可能に軸支される。なお、駆動モータ430の駆動軸には、ピニオンギヤ431が固着される。
複数の歯車は、減速軸425に軸支される減速歯車441と、第1軸426に軸支される開閉第1歯車451及び回転第1歯車461と、第2軸427に軸支される開閉第2歯車452及び回転第2歯車462とからなる(図24及び図25参照)。減速歯車441は、大径の歯車441aと、その大径の歯車441aに同軸に一体に形成される小径の歯車441bとを備え、ピニオンギヤ431の回転を減速させつつ開閉第1歯車451へ伝達する。ここで、図23を参照して、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462について説明する。
図23は、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の正面斜視図である。開閉第1歯車451は、本体部451aと、その本体部451aに貫通形成され第1軸426が挿通される挿通孔451bと、その挿通孔451bを中心として本体部451aの外周に全周にわたって刻設される歯451cと、本体部451aの軸方向端面(正面)から突出され挿通孔451bを挟んで位置する一対の連結突部451dと、本体部451aに貫通形成され挿通孔451bの側方に位置する位置決め孔451eとを備える。
回転第1歯車461は、開閉第1歯車451の正面側に配設されその開閉第1歯車451と共に第1軸426(図21及び図22参照)に軸支される歯車であり、本体部461aと、その本体部461aに貫通形成され第1軸426が挿通される挿通孔461bと、その挿通孔461bを中心として本体部461aの外周の一部に刻設される歯461cと、本体部451aに貫通形成され挿通孔461bを挟んで位置する一対の連結孔461dと、本体部451aの外周から径方向外方へ張り出して形成され光センサにより検出される被検出部461eとを備える。
なお、回転第1歯車461の本体部461aは、歯461cの形成領域を除く(即ち、歯461cが非形成とされる)領域の外周面が挿通孔461bの軸を中心とする円筒面(以下「円筒面461a1」と称す)として形成される。円筒面461a1の外径(挿通孔461bの軸からの距離)は、歯461cの歯先円の外径よりも小さく、かつ、歯461cの歯底円の外径よりも大きくされる。これにより、後述するように、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の向上と、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分の剛性の向上との両立を図ることができる。
また、回転第1歯車461の一対の連結孔461dには、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dがそれぞれ内嵌可能に形成され、この内嵌により、開閉第1歯車451に対し回転第1歯車461の回転位置(位相)を位置決めすることができると共に両者を連結して同位相で一体的に回転させることができる。
開閉第2歯車452は、本体部452aと、その本体部452aに貫通形成され第2軸427が挿通される挿通孔452bと、その挿通孔452bを中心として本体部452aの外周の一部に刻設される歯452cと、本体部452aの軸方向端面(正面)から突出される連結突部452dと、本体部452aに貫通形成され位置決め孔452eとを備える。
なお、開閉第2歯車452は、裏ケース体421との間に裏アーム体471を挟み込んだ状態で(即ち、裏アーム体471の正面側に)配設され、その裏アーム体471の軸支孔471aに沿って立設される円筒状の部分に挿通孔452bが回転可能に軸支される(図21及び図22参照)。また、開閉第2歯車452の連結突部452dは、スライドラック部材481の連結溝481cに連結され、この連結を介して、開閉第2歯車452の回転がスライドラック部材481に伝達される(図26参照)。
回転第2歯車462は、本体部462aと、その本体部462aに貫通形成され第2軸427が挿通される挿通孔462bと、その挿通孔462bを中心として本体部462aの外周の一部に刻設される歯462cと、本体部462aの軸方向端面(正面)から突出されると共に内部に孔が貫通形成される一対の連結突部462dと、本体部452aに貫通形成される位置決め孔462eとを備える。
なお、回転第2歯車462の本体部462aは、歯462cの両側に連設されると共に歯が非形成とされる領域の外周面(以下「非形成面462a1」と称す)が挿通孔462b側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を径方向外方側に有する)湾曲面として形成される。詳細には、非形成面462a1の曲率は、回転第1歯車461の円筒面461a1と同一の曲率または若干小さな曲率(即ち、若干大きな半径)に設定される。
また、回転第2歯車462は、開閉第2歯車452の正面側(軸方向に重ねた姿勢)に配設されるが、この開閉第2歯車452とは独立された状態(即ち、異なる位相で相対回転可能な状態)で第2軸427に軸支される。また、回転第2歯車462は、連結突部462dの孔に挿通された締結ねじを表アーム体472の連結突部472e(図22参照)に締結することで、互いの連結突部462d,472eどうしが連結される。よって、かかる連結を介して、回転第2歯車462と表アーム体472(及び裏アーム体471)とを同位相で一体的に回転させることができる。
このように、回転第2歯車462には、その連結突部462dに表アーム体472の連結突部472e(図22参照)が締結固定されるので、連結突部462d,472eを介して両者を複数箇所(本実施形態では2箇所)で連結して、回転第2歯車462及び表アーム体472を一体の構造体として形成できる。その結果、表アーム体472の剛性を利用して回転第2歯車462の剛性を高めることができる。
ここで、後述するように、回転第2歯車462は、その非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461から反力を受けるため(図28から図30参照)、その反力に抗するための剛性を確保する必要がある。この場合、例えば、回転第2歯車462を厚肉化すれば重量が増加し、高剛性の素材を採用すれば材料コストが嵩む。
これに対し、本実施形態の回転第2歯車462によれば、表アーム体472の剛性を利用して(即ち、表アーム体472と一体となることで)、その剛性を高めることができるため、回転第2歯車462の厚肉化や高剛性素材を採用する必要がない。これにより、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化を図りつつ、回転第2歯車462の耐久性の向上を図ることができる。
特に、回転第2歯車462は、その連結突部462dが非形成面462a1の背面側(即ち、組み立て状態において、非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の円筒面461a1と対向する位置、図28から図30参照)に配設されるので、後述するように、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から反力を受ける部分の剛性を表ケース体472等の剛性や金属製の締結ねじを利用して効果的に高めることができる。その結果、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化とその耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
また、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯車比(ギヤ比)は、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯車比(ギヤ比)と同一とされる。よって、後述するように、回転第1歯車461が単位回転角度だけ回転される際に回転第2歯車462が回転される回転角度は、その単位回転角度と同じだけ、開閉第1歯車451が回転される際に回転第2歯車462が回転される回転角度と一致される。
図21及び図22に戻って説明する。組み立て状態では、駆動モータ430のピニオンギヤ431には、減速歯車441の大径の歯車441aが歯合され、減速歯車441の小径の歯車441bには、開閉第1歯車451が歯合されると共に、開閉第2歯車451には、開閉第2歯車452が歯合され、また、回転第1歯車461には、回転第2歯車462が歯合される(図24及び図25参照)。よって、駆動モータ430が回転駆動されると、その回転が、ピニオンギヤ431及び減速歯車441を介して、開閉第1歯車451に伝達され、かかる開閉第1歯車451が回転される。
この場合、上述したように、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とは、連結突部451dの連結孔461dへの内嵌により連結されているので、同位相で一体的に回転可能とされる。即ち、開閉第1歯車451が回転されると、その回転により、回転第1歯車461も回転され、開閉第1歯車451の回転は開閉第2歯車452へ、回転第1歯車461の回転は回転第2歯車462へ、それぞれ伝達される。
なお、本実施形態では、開閉第2歯車452と回転第2歯車462とは、互いに独立されており、異なる位相で相対回転可能とされる(図28から図30参照)。そのため、駆動モータ430の回転駆動力により、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とを一体的に回転させつつも、開閉第2歯車452へは回転駆動力が伝達され、かつ、回転第2歯車462へは回転駆動力が遮断された状態を形成できる。即ち、動作部材491,492の回転動作が停止され、かつ、開閉動作が実行される状態を形成できる。なお、かかる構造および動作の詳細については後述する。
裏ケース体421には、第1軸426及び第2軸427のそれぞれの側方に位置決め孔421a,421bが貫通形成される。また、これら位置決め孔421a,421bに対応して、取り付けベース410にも位置決め孔410a,410bが貫通形成される。即ち、取り付けベース410に裏ケース体421が締結固定されると、位置決め孔421aに対し位置決め孔410aが、位置決め孔421bに対し位置決め孔410bが、それぞれ連通する位置に配置される。
本実施形態では、これら位置決め孔421a,421bと各歯車451,452,462の位置決め孔451e,452e,462eとにそれぞれ円柱状の冶具を挿通させることで、裏ケース体421に対する各歯車451,452,461,462の取り付け位置(位相)、及び、回転第1歯車461及び開閉第1歯車451と回転第2歯車462及び開閉第2歯車452との間の位相(回転位置)を位置決めすることができる。かかる位置決めの方法については後述する。
裏アーム体471は、表アーム体472と共に回転第2歯車462の回転を動作部材491,492へ伝達して、かかる動作部材491,492を回転動作させるための部材であり(図26参照)、第2軸427が挿通される軸支孔471aと、締結ねじ(図示せず)が挿通される複数(本実施形態では4個)の挿通孔471bと、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483をそれぞれ回転可能に軸支する複数(本実施形態では4本)の軸部471cと、断面コ字状の凹溝として裏アーム体471の長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凹溝471dと、軸支孔471aの側方に貫通形成される位置決め孔471eとを備える。
なお、軸支孔471aには、裏ケース体421に配設されるカラー427aが内挿され、これにより、裏アーム体471が裏ケース体421に対し第2軸427を中心として回転可能とされる。また、軸支孔471aを内周面により形成する円筒状の部分は、第2開閉歯車452の挿通孔452bに内挿され、かかる円筒状の部分の外周面により第2開閉歯車452が回転可能に軸支される。
位置決め孔471eは、回転第2歯車462の位置決め孔462及び開閉第2歯車452の位置決め孔452eにそれぞれ対応する位置に貫通形成される。即ち、後述するように、裏アーム体471に表アーム体472が結合(締結固定)されると共に、表アーム体472に回転第2歯車462が結合(締結固定)されると、裏アーム体471の位置決め孔471eと回転第2歯車462の位置決め孔462eとの位相(第2軸427を中心とする回転位置)が一致される。一方、開閉第2歯車452は、その挿通孔452bが裏アーム体471の円筒状の部分に回転可能に軸支されているところ、かかる軸支部分を中心として開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して相対回転され、所定の回転位置に配置されると、その開閉第2歯車452の位置決め孔452eは、裏アーム体471の位置決め孔471e及び回転第2歯車462の位置決め孔462eに対し、その位相(第2軸427を中心とする回転位置)が一致される。
表アーム体472は、第2軸427が挿通される軸支孔472aと、裏アーム体471へ向けて突出されると共に裏アーム体471の挿通孔471bに挿通された締結ねじが先端に締結可能に形成される複数(本実施形態では4本)の嵩上げ締結部472bと、軸部471cの先端を受け入れ可能な凹部である複数(本実施形態では4個)の受入凹部472cと、断面コ字状の凹溝として表アーム体472の長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凹溝472dと、軸支孔472aを挟んで配置され回転第2歯車462の連結突部462dに連結(締結固定)される連結突部472eと、を備える。
なお、軸支孔472aには、表ケース体422に配設されるカラー422aが内挿され、これにより、表アーム体472が表ケース体422に対し第2軸427を中心として回転可能とされる。即ち、表アーム体472は、連結突部462d,472eを介して、回転第2歯車462に連結されているため、回転第2歯車462が回転第1歯車461から回転駆動力を受けて第2軸427を中心として回転されると、その回転第2歯車462と共に表アーム体472(及びその表アーム体472に連結される裏アーム体471)も第2軸427を中心として回転される。
裏アーム体471及び表アーム体472は、裏アーム体471の挿通孔471bに挿通した締結ねじが表アーム体472の嵩上げ締結部472に締結されることで、裏アーム体471の正面と表アーム体472の背面とを互いに対向させた姿勢で結合される。この場合、両者の対向面(正面および背面)の間には、嵩上げ締結部472bの突出高さの分に対応する隙間(空間)が形成される。よって、この隙間を利用して、スライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483を変位可能に配設することができる。
スライドラック部材481は、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と共に開閉第2歯車452の回転を動作部材491,492へ伝達して、かかる動作部材491,492を開閉動作させるための部材であり(図26及び図27参照)、長尺状の本体部481aと、その本体部481aの左右両側にラックギヤとして形成されるラック部481bと、本体部481aの長手方向一端に形成される連結溝481cと、本体部481の正面および背面から断面略矩形に突設されると共に本体部481aの長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凸部481dとを備える。
スライドラック部材481の連結溝481cは、上述したように、開閉第2ギヤ452の連結突部452dが挿通される溝であり、連結突部452dが摺動可能な溝幅を有すると共に本体部481の長手方向に直交する方向に沿って直線状に延設される。また、スライドラック部材481は、組み立て状態では、そのガイド凸部481dが、裏アーム体471及び表アーム体472のガイド凹溝471d,472dに内挿される。そのため、スライドラック部材481が裏アーム体471及び表アーム体472に対してスライド移動可能な方向は、ガイド凹溝471d,472dの延設方向(即ち、裏アーム体471及び表アーム体472の長手方向)に規制される(図26参照)。
第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483は、本体部482a,483aと、その本体部482a,483aの長手方向一端に貫通形成される軸支孔482b,483bと、その軸支孔482b,483bを中心としてピニオンギヤとして形成されるギヤ部482c,483cと、本体部482a,483aの長手方向他端に貫通形成される連結孔482d,483dとを備えて形成され、それぞれ一対がスライドラック部材481の左右両側においてそのギヤ部482c,483cをスライドラック部材481のラック部481bに歯合させた状態で配設される。
軸支孔482b,483bは、組み立て状態において、裏アーム体471の軸部471cが挿通されて軸支される孔であり、これにより、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483は、軸支孔482b,483b(軸部471c)を中心として裏アーム体471及び表アーム体472に対して回転可能とされる。よって、スライドラック部材481を裏アーム体471及び表アーム体472に対してスライド移動させることで、ラック部481b及びギヤ部482c,483cの歯合を介して、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483を回転させることができる。
動作部材491,492は、その背面側から円柱状に突出され第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の連結孔482d,483dに挿通可能に形成される複数(本実施形態では4本)の嵩上げ締結部491a,492aを備える。嵩上げ締結部491a,492aの突出先端は、締結ねじを締結可能に形成される。よって、連結孔482d,483dに嵩上げ締結部491a,492aの突出先端が挿通されると共に、その挿通方向と反対側から突出先端に締結ねじを締結することで、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483に動作部材491,492が連結される。
なお、嵩上げ締結部491a,492aには、その突出先端を除く外周面に、リブ状の部位が張り出して形成されており、そのリブ状の部位の端面が第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の正面に当接される。これにより、嵩上げ締結部491a,492aの突出高さの分だけ、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483から嵩上げされた位置に動作部材491,492を配置できる。よって、スライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と動作部材491,492との間に表アーム体472が配設される構造においても、かかる表アーム体472と干渉することなく、動作部材491,492の開閉動作を行うことができる。
なお、一対の第1ピニオン脚部材482の間には、コイルスプリングからなる付勢ばね484が弾性的に引張変形された状態で配設され、かかる付勢ばね484の弾性回復力を、一対の第1ピニオン脚部材482が互いに近接する方向へ作用させるように構成される。これにより、動作部材491,492を開閉動作において閉じた状態とする際には、付勢ばね484の付勢力を利用して、動作部材491,492どうしを密着させ、隙間が形成されることを抑制できる。
次いで、図24及び図25を参照して、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の位置決め方法について説明する。なお、かかる位置決め方法の説明においては、図21から図23を適宜参照する。
図24及び図25は、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452と回転第1歯車461及び回転第2歯車462とを第1軸426及び第2軸427に組み付ける工程を時系列で説明する複合動作ユニット400の部分拡大正面図である。なお、図24(a)では、減速ギヤ425に減速歯車441が組み付けられた状態が、図24(b)では、図24(a)に図示される状態に対して更に第1軸426に開閉第1歯車451が組み付けられた状態が、図25(a)では、図24(b)に図示される状態に対して更に第2軸427に開閉第2歯車452及び回転第2歯車462が組み付けられた状態が、図25(b)では、図25(a)に図示される状態に対して更に第1軸426に回転第1歯車461が組み付けられた状態が、それぞれ図示される。
ここで、複合動作ユニット400は、上述したように、駆動モータ430の回転駆動力を減速歯車441を介して開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452へ順に伝達することで、その開閉第2歯車452の回転によりスライドラック部材481を変位させ、動作部材491,492の開閉動作を行うと共に、駆動モータ430の回転駆動力を減速歯車441を介して回転第1歯車461及び回転第2歯車462へ順に伝達することで、その回転第2歯車462の回転により裏アーム体471及び表アーム体472を回転させ、動作部材491,492の回転動作を行う。
そのため、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を適正に行う(即ち、部材どうしの干渉や移動範囲のずれの発生を回避する)ためには、開閉第1歯車451に対する開閉第2歯車452の回転位置(位相、歯合位置)、及び、回転第1歯車461に対する回転第2歯車462の回転位置が、それぞれ所定の回転位置に位置決めされた上で、これら各歯車451〜462が保持ケース420にそれぞれ組み付けられている必要がある。
しかしながら、従来の遊技機では、このように、一方の歯車に対する他方の歯車の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めした上で、これら両歯車を組み付けるには、作業者が両歯車の回転位置を目視により調整して組み付ける必要があったため、作業が煩雑であり、作業効率が悪いばかりか、組み付け不良の発生する恐れがあった。
これに対し、本実施形態では、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461に対する開閉第2歯車452及び回転第2歯車462それぞれの相対的な回転位置(位相、歯合位置)と、これら各歯車451,452,461,462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めする位置決め構造を備え、この位置決め構造を利用することで、各歯車451〜462を保持ケース420に組み付ける際に、その作業性を向上させつつ、組み付け不良の発生を回避することが可能に構成される。
具体的には、まず、図24(a)に示すように、減速軸425に減速歯車441を組み付け、ピニオンギヤ431に歯合させる。上述したように、取り付けベース410の位置決め孔410a,410b(図21参照)には裏ケース体421の位置決め孔421a,421bがそれぞれ連通されているので、取り付けベース410の背面側から、位置決め孔410a,410bにそれぞれ冶具(図示せず)を挿通し、かかる冶具を位置決め孔421a,421bから裏ケース体421の正面側に突出させる。なお、冶具は、位置決め孔410a等の内径と同等または若干小さな外径を有する断面円形の円柱状体として形成される。
次いで、裏ケース体421の位置決め孔421aから突出される冶具を、開閉第1歯車451の位置決め孔451eに挿通させつつ、開閉第1歯車451を第1軸426に組み付ける(軸支させる)。これにより、図24(b)に示すように、開閉第1歯車451を減速歯車441に歯合させると共に、開閉第1歯車451の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
この裏ケース体421に対して位置決めされた状態(開閉第1歯車451の位置決め孔451eに冶具が挿通された状態)を維持しつつ、次いで、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を第2軸427に組み付ける(軸支させる)。
なお、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462は、裏アーム体471及び表アーム体472と一体化された状態で作業される。即ち、開閉第2歯車452は、その挿通孔452が裏アーム体471の円筒状の部分が軸支され、回転第2歯車462は、その連結突部462dが表アーム体472の連結突部472eに締結固定された状態で、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462が裏アーム体471と表アーム体472との対向間に介設される。また、裏ケース421の位置決め孔421bに挿通される冶具は、回転第2歯車462の位置決め孔462eに挿通可能となる高さ位置まで裏ケース421の表面から突出される。
この場合、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の第2軸427への組み付けは、裏ケース体421の位置決め孔421bから突出される冶具を、裏アーム体471の位置決め孔471e、開閉第2歯車452の位置決め孔452e及び回転第2歯車462の位置決め孔462eに順に挿通させつつ、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を第2軸427に組み付ける(軸支させる)。これにより、図25(a)に示すように、開閉第2歯車452を開閉第1歯車451に歯合させ、開閉第1歯車451に対する開閉第2歯車452の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めすることができると共に、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
この裏ケース体421に対して位置決めされた状態(少なくとも裏アーム体471の位置決め孔471eに冶具が挿通された状態)を維持しつつ、最後に、第1軸426に軸支されている開閉第1歯車451の連結突部451dを、回転第1歯車461の連結孔461dに挿通させつつ、回転第1歯車461を第1軸426に組み付ける(軸支させる)。これにより、図25(b)に示すように、回転第1歯車461を回転第2歯車462に歯合させると共に、回転第2歯車462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
回転第1歯車461を第1軸426に取り付けた(軸支させた)後は、冶具を裏ケース体421の背面側から抜き取る。これにより、裏ケース体421(第1軸426及び第2軸427)への各歯車451〜462の組み付け(軸支)が完了される。
このように、本実施形態によれば、裏ケース体421の第1軸426及び第2軸427の側方に平行に冶具が立設され、この冶具を位置決め孔451e等に挿通させつつ各歯車451〜462を順に第1軸426及び第2軸427等に組み付ける(軸支させる)ことで、裏ケース体421を基準として、各歯車451〜462の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めすることができる。即ち、第1軸426や第2軸427を各歯車451〜462へ挿通させるのと同時に冶具の挿通も行うことができるので、組み付け作業と位置決め作業とを同時に実行可能として、作業性の向上を図ることができる。
特に、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462については、開閉第2歯車452の位置決め孔452eが貫通孔として形成されるので、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の第2軸427への組み付け(軸支)を同時に行うことができる。特に、本実施形態では、裏アーム体471の位置決め孔471eが貫通孔として形成されるので、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を裏アーム体471及び表アーム体472と一体化した状態で第2軸427へ組み付ける(軸支させる)ことができる。よって、各アーム体471,472と各歯車452,462をそれぞれ位置決めしつつ組み付ける必要がなく、一度の組み付け作業で位置決め作業も完了でき、その作業性の向上を図ることができる。
また、この場合には、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とに対し、それぞれに専用の冶具を準備する必要がなく、共通の冶具を使用することができるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。更に、
開閉第2歯車452及び回転第2歯車462は互いに独立して相対回転可能である必要があるところ、冶具を裏ケース体421の背面側へ脱抜すれば開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を独立して回転可能とすることができる。よって、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462のそれぞれに個別に回転軸を設ける必要がなく、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を共通の回転軸(第2軸427)に軸支させることができるので、かかる点からも製品コストの削減を図ることができる。
一方で、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461は、互いに連結され同位相で一体的に回転可能である必要がある。この場合、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461は、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dを、回転第1歯車461の一対の連結孔461dに挿通(内嵌)させることで、それら両歯車451,461どうしを連結して、その回転位置(位相)の位置決めと、同位相での一体的な回転とを同時に可能とする。即ち、両歯車451,461の回転位置(位相)の位置決めと、一体的な回転のための両歯車451,461どうしの連結とを連結突部451d及び連通孔461dに兼用させることができ、回転位置を位置決めする(即ち、冶具を挿通する)ための貫通孔と、一体的な回転のための連結構造とのそれぞれを個別に設ける必要がない。これにより、両歯車451,461の形状を簡素化して、製造上の歩留まりの向上を図ることができる。また、回転第1歯車461(本体部461a)に貫通して形成される貫通孔の形成数を抑制できるので、その分、剛性を確保して、耐久性の向上を図ることができる。
特に、回転第1歯車461には、一対の連通孔461dが貫通孔として形成されるが、これら一対の連通孔461dには、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dが挿通(内嵌)されるので、その嵌め合い構造により、回転第1歯車461(本体部461a)の剛性の向上を図ることができる。
ここで、本実施形態の位置決め構造によれば、上述の通り、裏ケース体421の正面から冶具を突出させ、この冶具を利用して回転位置の位置決めを行いつつ、各歯車451〜462を順に第1軸426及び第2軸427等に組み付ける(軸支させる)ところ、全ての歯車451〜462の組み付けが完了した後に、裏ケース体421の背面から冶具を脱抜することができる。即ち、各歯車451〜462をそれぞれ組み付ける際には、各歯車451〜462のうちの既に組み付けられている歯車451〜462の位置決め孔451e〜462eに冶具が挿通された状態を維持しつつ、各歯車451〜462のうちの残りの歯車451〜461の組み付け作業を行うことができる。これにより、既に組み付けられている歯車451〜461を作業者が作業中に不用意に回転させてしまうことを回避できるので、作業性の向上を図ることができると共に、位置決めされた回転位置の信頼性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とが第1軸426に、開閉第2歯車452と回転第2歯車462とが第2軸427に、それぞれ同軸に配設されるので、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452との間におけるバックラッシュと、回転第1歯車461及び回転第2歯車462との間におけるバックラッシュとを同じ方向で発生させることができる。これにより、後述するように、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を行う際には(図27から図30参照)、その演出タイミングにずれが生じることを抑制できる。
次いで、図26を参照して、動作部材491,492の開閉動作について説明する。図26(a)から図26(c)は、裏アーム体471に対する開閉第2歯車452及びスライドラック部材481の相対的な変位状態を説明するための複合動作ユニット400の分解正面図であり、動作部材491,492及び表アーム体472が取り外された状態が図示される。なお、図26(a)は、図26(b)に対して、開閉第2歯車452が反時計回り(左回り)に、図26(c)は、図26(b)に対して、開閉第2歯車452が時計回り(右回り)に、それぞれ回転された状態に対応する。
図26(a)から図26(c)に示すように、開閉第2歯車452の挿通孔452bには、裏ケース体271の円筒状の部位(図21及び図22参照)が挿通されており、これにより、開閉第2歯車452は、裏ケース271に対して第2軸427を中心として相対的に回転可能とされる。
一対の第1ピニオン脚部材482は、上述したように、互いの間に架設された付勢ばね484(図22参照)の付勢力により、互いが近接する方向へ付勢された状態で、裏アーム体471の軸部471cに軸支孔482bが回転可能に軸支される。即ち、付勢ばね484の付勢力を受けることで、一対の第1ピニオン脚部材482のうちの図26(b)右側に位置する第1ピニオン脚部材482は軸部471cを中心に反時計回り(左回り)に回転される一方、図26(b)左側に位置する第1ピニオン脚部材482は軸部471cを中心に時計回り(右回り)に回転される。よって、スライドラック部材481は、一対の第1ピニオン脚部材482の回転を介して作用する付勢ばね484の付勢力により、両アーム体471,472のガイド凹部471d,472d(図21及び図22参照)に沿って、下方(開閉第2歯車452から離間する方向、図26(b)下側)にスライド変位される。
よって、図26(b)に示すように、付勢ばね484の付勢力に抗して開閉第2歯車452が回転されていない状態では、開閉第2歯車452は、その連結突部452dがスライドラック部材481により下方(図26(b)下側)へ引き寄せられ、スライド変位の方向(図26(b)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L1とされる。また、一対の第1ピニオン脚部材482は、それらの連結孔482dの間の間隔が間隔W1とされる。
図26(b)に示す状態から、例えば、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に反時計回り(左回り)に回転されると、連結突部452dがスライドラック部材481の連結溝481c内を摺動することで、かかる連結突部452dの移動がスライドラック部材481を付勢ばね484の付勢力に抗しつつ上方(図26(a)上側)へスライド変位させる。
即ち、図26(a)に示すように、開閉第2歯車452が所定の回転位置まで回転されると、スライド変位の方向(図26(a)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され(L2<L1)、その距離L1,L2の差の分だけ、スライドラック部材481が上方へスライド変位される。このスライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、一対の第1ピニオン脚部材482は、互いが離間する方向へ回転され、それらの連結孔482dの間の間隔が拡大されて間隔W2とされる(W1<W2)。
なお、一対の第2ピニオン脚部材483についても、一対の第1ピニオン脚部材482と同様であり、図26(b)に示す状態では、互いに近接する姿勢(それらの連結孔483dの間の間隔が最小となる状態)に配置され、図26(a)に示す状態では、スライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、互いに離間する姿勢(それらの連結孔483dの間の間隔が最大となる状態)に配置される。
図26(a)に示す状態から、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に時計回り(右回り)に回転されると、図26(b)に示す状態に復帰される。この図26(b)に示す状態から、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に時計回り(右回り)に更に回転されると、連結突部452dがスライドラック部材481の連結溝481c内を摺動することで、かかる連結突部452dの移動がスライドラック部材481を付勢ばね484の付勢力に抗しつつ上方(図26(c)上側)へスライド変位させる。 これにより、図26(a)に示す場合と同様に、開閉第2歯車452が所定の回転位置まで回転されると、図26(c)に示すように、スライド変位の方向(図26(c)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され(L2<L1)、その距離L1,L2の差の分だけ、スライドラック部材481が上方へスライド変位される。このスライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、一対の第1ピニオン脚部材482(及び第2ピニオン脚部材483)は、互いが離間する方向へ回転され、それらの連結孔482dの間の間隔が拡大されて間隔W2とされる(W1<W2)。
次いで、図27から図30を参照して、複合動作ユニット400による動作部材491,492の回転動作および開閉動作について説明する。
図27(a)から図27(d)は、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を時系列で図示した複合動作ユニット400の正面図である。なお、図27(a)では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態が、図27(b)では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態が、図27(c)では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態が、図27(d)では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態が、それぞれ図示される。
図28から図30は、開閉第1歯車451と開閉第2歯車452との歯合状態および回転第1歯車461と回転第2歯車462との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニット400の正面模式図である。なお、図28(a)は図27(a)の状態に、図28(b)及び図29(a)は図27(b)の状態に、図29(b)は図27(b)及び図27(c)の間の遷移状態に、図29(c)及び図30(a)は図27(c)の状態に、図30(b)は図27(d)の状態に、それぞれ対応する。また、図28(b)及び図29(a)と図29(c)及び図30(a)とには、それぞれ同一の状態が図示される。
ここで、図28から図30では、裏アーム体471及び表アーム体472が二点鎖線を用いて模式的に図示される。また、図28から図30では、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dのうちの一方の連結突部451dと、回転第1歯車461の一対の連結孔461dのうちの一方の連結孔461dとにそれぞれハッチングを付して図示し、このハッチングを付した連結突部451d及び連結孔461dを後述する回転角度θ0〜θ4の基準として説明する。即ち、開閉第1歯車451及び回転第1歯車462は、ハッチングを付した連結突部451dがハッチングを付した連結孔461dに挿通(内嵌)され、これらが同じ回転位置に配置される。
また、図28から図30では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態(図27(a)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ0と、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態(図27(b)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ1と、動作部材491,492が上昇位置U及び下降位置Dの間に配置され且つ閉鎖された状態(図27(b)及び図27(c)の間の状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ2と、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態(図27(c)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ3と、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態(図27(d)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ4と、それぞれ定義する。
図27(a)及び図28(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置が回転角度θ0にある場合には、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態とされる。即ち、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心に所定の回転位置まで時計回り(右回り)に回転され、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮されることで、スライドラック部材481が上方(第2軸427に近接する方向)へスライド変位された状態(図26(c)に示す状態)とされる。
この場合、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の本体部461aにおける円筒面461a1に、回転第2歯車462の本体部462aにおける非形成面462a1が当接される。上述したように、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1は、第1軸426を中心とする円筒面として形成されると共に、回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1は、第2軸427挿通孔462b側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を第1軸426側に有する)湾曲面であって回転第1歯車461の円筒面461a1と同一の曲率または若干小さな曲率(即ち、若干大きな半径)の湾曲面として形成される。
よって、これら円筒面461a1と非形成面462a1との当接により、回転第2歯車462(即ち、その回転第2歯車462に固定される裏アーム体471及び表アーム体472)の第2軸427を中心とする回転が不能とされる。即ち、円筒面461a1及び非形成面462a1を、第2軸427を中心として回転第2歯車462が回転されることを規制(即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持)するストッパ手段として機能させることができる。
ここで、従来の遊技機において、回転可能に配設される動作部材と、その動作部材に回転駆動力を付与する駆動モータとを備え、駆動モータの回動駆動力により動作部材を所定の回転範囲で回転させるものがある。この場合、例えば、動作部材の回転範囲の終端が上昇位置とされ、その回転範囲の終端に配置された動作部材に重力が作用される場合には、動作部材が重力の作用により回転(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、従来の遊技機では、駆動モータの駆動力を重力(動作部材の重量)に対抗させることで、動作部材の回転(下降)を規制する(即ち、動作部材を回転範囲の終端に保持する)構造であるため、動作部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、本実施形態によれば、動作部材491,492が回転範囲の終端(上昇位置U)に配置されると、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1と回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1とが当接されることで、動作部材491,492の回転動作(回転第2歯車462の回転動)を規制できる。即ち、本実施形態では、上述の通り、動作部材491,492が回転範囲の終端(上昇位置U)に配置されると、動作部材491,492と駆動モータ430とが切り離されるため、駆動モータの回転駆動力を利用して動作部材491,492を上昇位置Uに保持不能となるところ、円筒面461a1及び非形成面462a1の当接を利用して、動作部材491,492を上昇位置Uに機械的に保持できる。その結果、動作部材491,492の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
この場合、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1と回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1とは、互いが当接された場合(即ち、動作部材491,492が上昇位置U(及び、後述する下降位置D)に配置された場合)に、回転第2歯車462の第2軸427を中心とする両方向(右回り及び左回り)への回転を規制可能な形状に形成されるので、回転第2歯車462の第2軸427を中心とする回転を一方向のみ(即ち、動作部材491,492が重力の作用により下降位置Dへ向けて下降される方向のみ)で規制可能な形状に形成される場合と比較して、移動範囲の終端(上昇位置U(及び、後述する下降位置D))に到達した際の動作部材491,492の振動を収束させ、移動範囲の終端に動作部材491,492を速やかに位置決めできる。更に、動作部材491,492をその移動範囲の終端に安定した状態で保持できるので、上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、停止状態にあるべき動作部材491,492が外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)により振動や位置ずれすることを抑制できる。
特に、本実施形態では、回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1は、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1に当接された場合(即ち、動作部材491,492が上昇位置U(及び、後述する下降位置D)に配置された場合)に、回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)を中心として円弧状に湾曲する形状であって、回転第1歯車461の円筒面461a1と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成される。
これにより、回転第2歯車462の非形成面462a1を、回転第1歯車461の円筒面461a1に滑らかに当接させることができると共に、両者を面接触で当接させやすくできる。その結果、円筒面461a1及び非形成面462a1を滑らかに当接させ、動作部材491,492がその移動範囲の終端(上昇位置U(及び、後述する下降位置D))に到達して停止される際の衝撃を緩やにできると共に、円筒面461a1及び非形成面462a1の接触圧力を小さくして、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の耐久性の向上を図ることができる。
ここで、回転第2歯車462は、上述したように、表アーム体472の剛性を利用して(即ち、表アーム体472と一体となることで)、その剛性が高められている。よって、回転第2歯車462の厚肉化や高剛性素材を採用する必要がなく、これにより、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化を図りつつ、回転第2歯車462の耐久性の向上が図られている。
特に、回転第2歯車462は、上述したように、その連結突部462dが非形成面462a1の背面側(即ち、非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の円筒面461a1と対向する位置)に配設されるので、上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から反力を受ける部分の剛性を効果的に高めることができる。その結果、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化とその耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
更に、回転第2歯車462の連結突部462dは、その非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)と対向する位置に配設される。即ち、連結突部462dと第1軸426とを結ぶ直線上に非形成面462a1が配設される。上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から受ける反力は、連結突部462dと第1軸426とを結ぶ直線に沿って作用されるため、回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)と対向する位置に回転第2歯車462の連結突部462dが配設されることで、表アーム体472を利用して、回転第1歯車461(円筒面461a1)から反力を受ける部分の剛性を高める効果をより一層発揮できる。また、転結凸部462dには、金属製の締結ねじが挿通されるため、その点においても、剛性を高めることができる。
図27(a)及び図28(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ0から回転角度θ1へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間で滑り(摺動)が発生するため、回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されず、回転第2歯車462(及び裏アーム体471及び表アーム体472)は回転されない。これにより、動作部材491,492の回転動作を行わなず(即ち、回転動作を停止させた状態として)、動作部材491,492を上昇位置Uに保持することができる。
このように、本実施形態では、回転第1歯車461に円筒面461a1を形成し、その円筒面461a1に回転第2歯車462の非形成面462a1を向かい合わせることで、上述した遮断状態(回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されない状態)を形成する構造なので、回転第1歯車462の剛性の向上を図ることができる。
即ち、回転第1歯車461の全周(円筒面461a1に相当する領域)にわたって歯461cを形成する場合であっても、その歯461cの歯先面に回転第2歯車462の非形成面462a1を向かい合わせて滑らせる(摺動させる)ことで、上述した遮断状態を形成することができる。しかしながら、この場合には、歯461cが形成(凹設)される分、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の低下を招く。これに対し、本実施形態では、回転第2歯車462の非形成面462a1に向かい合う領域に円筒面451a1を形成する(歯451cを形成しない)ので、その分、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の向上を図ることができる。
また、回転第1歯車461の全周(円筒面461a1に相当する領域)にわたって歯461cを形成する場合には、回転第2歯車462の非形成面462a1は、回転第1歯車461の歯461cの歯先面よりも第2軸427側に後退されていることが必要となる。その結果、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分における後退量が大きくなるため、その分、その剛性の低下を招く。
これに対し、本実施形態によれば、回転第1歯車461には円筒面461a1が形成されると共に、その円筒面451a1は、上述したように、歯451cの歯先面と歯底面との間に位置されるため、回転第2歯車462の非形成面462a1の後退量を小さくできる。これにより、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分の突出量を確保して(後退量が大きくなることを抑制して)、回転第2歯車462において、非形成面462a1形成部分の剛性の向上を図ることができる。
特に、回転第2歯車462の非形成面462a1は、上述したように、第2軸427側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を第1軸426側に有する)湾曲面として形成され、歯462cから周方向へ離間するに従って前方(回転第1歯車461側)へ向けて張り出す形状(即ち、第2軸427からの距離が大きくなる形状)とされるので、回転第1歯車461の円筒面461a1に対する摺動(遮断状態の形成)を可能としつつ、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分における突出量を大きくして、その剛性を更に高めることができる。
開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452は、それら開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯451c,452cどうしが歯合されているので、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ0から回転角度θ1へ向けて回転されると、開閉第1歯車451の回転が開閉第2歯車452に伝達され、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心として相対的に反時計回り(左回り)に回転される。
その結果、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L1に拡大され、スライドラック部材481が下方(第2軸427から離間する方向)へスライド変位される(図26(b)参照)。これにより、図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示すように、開放されていた動作部材491,492を閉鎖された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ、開閉動作を実行して、開放されている動作部材491,492を閉鎖させることができる。
図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ1まで回転され、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態では、回転第2歯車462の非形成面462a1が回転第1歯車461の円筒面461a1の終端に達し、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯461c,462cどうしが歯合直前の状態とされる。
よって、図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ1から回転角度θ3へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、それら回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯461c,462cどうしが歯合されることで、回転第1歯車461の回転が回転第2歯車462へ伝達され、回転第2歯車462が裏アーム体471及び表アーム体472と一体となって第2軸427を中心として時計回り(右回り)に回転される。これにより、図29(b)に示すように、動作部材491,492の上昇位置Uから下降位置Dへ向けての回転動作を行うことができる。
一方、上述したように、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯車比(ギヤ比)は、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯車比(ギヤ比)と同一とされるため、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ1から回転角度θ3へ向けて回転されると、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462も同様に同位相で一体的に回転される。即ち、開閉第2歯車452は、裏アーム体471及び表アーム体472に対して相対的に回転されず、図29(b)に示すように、これら回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とが第2軸427を中心として同位相で一体的に回転される。即ち、動作部材491,492の開閉動作を停止する(動作部材491,492を閉鎖された状態に保持する)ことができる。
これにより、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ2から更に回転されると、動作部材491,492を閉鎖された状態に保持しつつ、回転動作を実行して、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ3に達することで、図27(c)並びに図29(c)に示すように、上昇位置Uに配置されていた動作部材491,492を下降位置Dに配置することができる。
図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ3まで回転された状態では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態とされる。この場合、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、互いの歯461c,462cどうしの歯合が解除され、回転第1歯車461の本体部461aにおける円筒面461a1に、回転第2歯車462の本体部462aにおける非形成面462a1が当接される。
即ち、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の互いの歯461c,462cどうしの歯合が解除される(歯合不能とされる)ことで、回転第1歯車461から回転第2歯車462への回転駆動力の伝達を遮断して(遮断状態を形成して)、回転第2歯車462の回転(即ち、動作部材491,492の回転動作)を停止させることができる。
ここで、従来の遊技機では、動作部材の停止は、駆動モータの回転駆動力を動作部材に伝達する歯車の回転位置を検出するセンサ装置を設け、そのセンサ装置により歯車が所定の回転位置まで回転されたことが検出された場合に、或いは、駆動モータの駆動量(回転数やステップ数)を検出(計数)して、その駆動量が所定量に達した場合に、それぞれ動作部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動モータの駆動を停止していた。この場合、例えば、電気的ノイズの影響による回転位置や駆動量の検出不良などに起因して、動作部材が移動範囲の終端に達しているにも関わらず、駆動モータが停止されないことが発生し得る。そのため、従来の遊技機では、移動部材の移動範囲の終端にストッパを設け、駆動モータが適正に停止されない場合には、ストッパによって動作部材の移動を規制する構造であった。しかしながら、このように動作部材の移動をストッパにより規制する構造では、動作部材がストッパに衝突した際に、これら動作部材やストッパの破損を招く恐れがあるだけでなく、駆動モータに過大な負荷が作用して、駆動モータの破損も招く恐れもある。
これに対し、本実施形態によれば、上述の通り、動作部材491,492がその移動範囲の終端(下降位置D)に達すると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯合を解除して(歯合不能として)、駆動モータ430(図21及び図22参照)から動作部材491,492(回転第2歯車462)への回転駆動力の伝達を遮断することができる。これにより、駆動モータ430の回転駆動力が発生され続けている場合であっても、動作部材491,492を停止させることができる。
その結果、動作部材491,492と他の部材との衝突による破損を回避できる。また、仮に、動作部材491,492が他の部材へ衝突されたとしても、動作部材491,492は駆動モータ430から切り離されており(即ち、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯合が解除されており)、駆動モータ430は空転している状態なので、かかる駆動モータ430に過大な負荷が作用することを回避できる。なお、後述するように、動作部材491,492が下降位置Dから上昇位置Uへ向けて回転動作され、上昇位置Uに達する場合においても同様である。
上述したように、円筒面461a1及び非形成面462a1は、互いに対応する形状の湾曲面として形成される。よって、これら円筒面461a1と非形成面462a1との当接により、回転第2歯車462(即ち、その回転第2歯車462に固定される裏アーム体471及び表アーム体472)の第2軸427を中心とする回転が不能とされる。即ち、円筒面461a1及び非形成面462a1を、第2軸427を中心とする回転第2歯車462の回転を規制可能(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持可能)とするストッパ手段として機能させることができる。
図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ3から回転角度θ4へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間で滑り(摺動)が発生するため、回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されず、回転第2歯車462(及び裏アーム体471及び表アーム体472)は回転されない。これにより、動作部材491,492の回転動作を行わず、その回転動作を停止する(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持する)ことができる。
一方、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452は、それら開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯451c,452cどうしが歯合されているので、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ3から回転角度θ4へ向けて回転されると、開閉第1歯車451の回転が開閉第2歯車452に伝達され、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心として相対的に反時計回り(左回り)に回転される。
その結果、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され、スライドラック部材481が上方(第2軸427へ近接する方向)へスライド変位される(図26(c)参照)。これにより、図27(d)及び図30(b)に示すように、閉鎖されていた動作部材491,492を開放された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ、開閉動作を実行して、閉鎖されている動作部材491,492を開放させることができる。
図27(d)及び図30(b)に示すように、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態となった後は、次いで、駆動モータ430(図21及び図22参照)を上述の場合と逆方向に回転駆動して、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ4から回転角度θ0へ向けて回転させることで、上述した動作(開閉動作および回転動作)を逆順で実行できる。
即ち、図27(d)及び図30(b)に示す回転角度θ4の状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ3へ回転させる。これにより、図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示すように、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、動作部材491,492の回転動作を停止させつつ(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ)、開閉第2歯車452の時計回り(右回り)への回転により、連結溝481c及び第2軸427の間の距離を距離L1に拡大して、開放されていた動作部材491,492を閉鎖された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ、開閉動作を実行して、開放されている動作部材491,492を閉鎖させることができる。
次いで、図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示す回転角度θ3の状態から、回転角度θ2を経て、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ1へ回転させる。これにより、図27(b)及び図29(a)に示すように、回転第2歯車462を裏アーム体471及び表アーム体472と一体に反時計回り(左回り)に回転させ、動作部材491,492を下降位置Dから上昇位置Uへ回転動作させると共に、開閉第2歯車452は、裏アーム体471及び表アーム体472に対して相対的に回転させず、これら回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とを第2軸427を中心として同位相で一体的に回転させることができる。即ち、動作部材491,492を閉鎖された状態に保持しつつ、回転動作を実行して、下降位置Dに配置されていた動作部材491,492を上昇位置Uに配置することができる。
このように、本実施形態では、動作部材491,492を下降位置Dから上昇位置Uへ向けて移動させる回転動作を開始する際には、先に、動作部材491,492の開閉動作のみを行った後に、動作部材491,492の回転動作を行う。即ち、駆動モータ430(図21及び図22参照)の回転駆動力が回転第2歯車462へ伝達されることを遮断する遮断状態を形成した後に、駆動モータ430の回転駆動力を回転第2歯車462へ伝達する伝達状態を形成するので、動作部材491,492の回転動作を開始するために駆動モータ430に必要とされる回転駆動力を抑制でき、その結果、駆動モータ430の小型化を図ることができる。
即ち、停止状態(即ち、上昇位置U又は下降位置D)にある動作部材491,492の回転動作を開始する際には、静止している物体を動かすことになるため、動作部材491,492に発生する慣性力を上回る力をかかる動作部材491,492に作用させる必要があり、駆動モータ430に必要とされる回転駆動力が大きくなる。特に、動作部材491,992の回転動作は、かかる動作部材491,492だけでなく、その動作部材491,492の開閉動作を行う機構部分(例えば、スライドラック部材481や各ピニオン脚部材482,483など)やその機構部分を保持する各アーム体471,472なども含めた全体を動かす必要があり、その回転動作を開始する際の慣性力が大きくなる。また、下降位置Dにある動作部材491,492を上昇位置Dへ向けて回転動作させる際には、慣性力に加え、動作部材491,492の重量(重力の作用)にも抗する必要がある。そのため、駆動モータ430の大型化を招く。
一方で、動作部材491,492の回転動作が開始された後は、その動作部材491,492の運動状態を維持しようとする慣性の働きが作用することから、駆動モータ430に必要とされる回転駆動力は、動作部材491,492の回転動作を開始する際に必要とされる回転駆動力と比較して、小さくなる。換言すれば、動作部材491,492の移動が開始された後は、最大出力が不必要に大きな駆動モータ430が使用されている状態にあるといえる。
これに対し、本実施形態によれば、まず、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、回転駆動力が回転第2歯車462には伝達されない状態(遮断状態、図30(b)から図30(a)に遷移する間の状態)において駆動モータ430を回転駆動させることができ、かかる駆動モータ430の駆動状態に勢い(回転第1歯車461側に慣性力)を持たせることができる。その後、回転第1歯車461が回転第2歯車462に歯合される(即ち、伝達状態が形成される)ことで(図29(c)から図29(b)へ遷移する状態を参照)、駆動モータ430の回転駆動に勢いを持たせた状態で、動作部材491,492の回転動作を開始することができる。これにより、駆動モータ430を小型化しても、動作部材491,492の移動を開始することができる。換言すれば、動作部材491,492の回転動作が開始された後に、最大出力が不必要に大きな駆動モータ430が使用されるという状態の発生を抑制できる。
特に、この遮断状態においては、動作部材491,492の開閉動作が行われるが、開閉動作では、駆動モータ430の駆動力により動かす(移動または変位させる)物体は、動作部材491,492のみであり、回転動作の場合のように、動作部材491,492に加えて、その機構部分や各アーム体471,472なども含めた全体を動かす必要がない。そのため、駆動モータ430の負荷は小さく、その駆動状態に十分に勢い(回転第1歯車461側に慣性力)を持たせることができる。
なお、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1とは、歯461c,462cを挟んで両側に形成され、上昇位置U及び下降位置Dの2位置において、円筒面461a1に非形成面462aが当接される状態(遮断状態)を形成することができる。よって、下降位置Dにある動作部材491,492の上昇位置Uへの移動が開始される際だけでなく、上昇位置Uにある動作部材491,492の下降位置Dへの移動が開始される際にも、駆動モータ430の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。
図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示す回転角度θ1の状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ0へ回転させる。これにより、図27(a)及び図28(a)に示すように、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、動作部材491,492の回転動作を停止させつつ(即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ)、開閉第2歯車452の時計回り(右回り)への回転により、連結溝481c及び第2軸427の間の距離を距離L2に短縮して、閉鎖されていた動作部材491,492を開放された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ、開閉動作を実行して、閉鎖されている動作部材491,492を開放させることができる。
以上のように、本実施形態の複合動作ユニット400によれば、第2軸427を中心に回転(回転動作)される裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)と、それら裏アーム体471及び表アーム体472に配設され互いに近接離間する方向へ開閉(開閉動作)される動作部材491,492(第2移動部材)とを備え、動作部材491,492(第2移動部材)の開閉動作を行う間は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)の回転動作を停止させる一方(図28及び図30参照)、動作部材491,492(第2移動部材)の開閉動作を停止させる間は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)の回転動作を行う(図29参照)という複合動作を1の駆動モータ430により実行可能とされる。
ここで、従来の遊技機では、第1移動部材および第2移動部材の移動動作を1の駆動モータにより行う場合、駆動モータが駆動力を発生する状態と駆動力の発生を停止した状態との2つの駆動状態を形成することで、第1移動部材および第2移動部材の動作態様を切り替える構造であったため、第1移動部材および第2移動部材の両者が共に移動するか或いは両者が共に停止するという動作態様のみが形成可能とされ、第1移動部材または第2移動部材の一方を移動させつつ他方を停止させることはできなかった。そのため、第1移動部材または第2移動部材の一方を移動させつつ他方を停止させるためには、第1移動部材を移動させるための駆動モータと第2移動部材を移動させるための駆動モータとをそれぞれ個別に設ける、即ち、合計2個の駆動モータを設ける必要があった。
これに対し、本実施形態では、上述の通り、動作部材491,492(第2移動部材)又は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)のうちの一方を動作させつつ他方を停止させる動作態様を1の駆動モータ430により達成できるので、動作部材491,492の移動および停止による演出効果を高めつつ、駆動モータ430の必要数を低減して、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図31から図45を参照して、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600について説明する。
図31は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の正面図であり、図32は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の正面図である。なお、図31及び図32に図示される第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の配設位置(対向間隔)は、それら両ユニット500,600が背面ケース210に収容された状態における配設位置(対向間隔)に対応する。
図31及び図32に示すように、第1結合動作ユニット500は、スライド機構を介して上下に昇降可能に形成される第1係合部材539を備えると共に、第2結合動作ユニット600は、リンク機構を介して左右に揺動可能に形成される一対の第2結合部材630を備え、第1結合動作ユニット500の下方に第2結合動作ユニット600が所定間隔を隔てて配設される。これら第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の対向間に位置する空間の背面側(図31及び図32紙面奥側)には、第3図柄表示装置81(図2参照)が配設される。
第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630をそれぞれ昇降および揺動させることで、図31に示す退避位置または図32に示す結合位置に配置する。図31に示す退避位置では、第1係合部材539が上昇されると共に、一対の第2結合部材630がリンク機構の傾倒により左右に離間され、第3図柄表示装置81(図2参照)の前面側が開放された状態とされる(図6参照)。一方、図32に示す結合位置では、第1係合部材539が下降されると共に、一対の第2結合部材630がリンク機構の起立により互いに近接され、これら第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が第3図柄表示装置81の前面側に配置されると共に互いに結合される(図12参照)。
この場合、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600によれば、左右に隣り合わせに配置された一対の第2結合部材630へ向けて、第1係合部材539が下降され、その第1係合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630のそれぞれの上面630aに当接されることで、互いを近接させる方向への力が一対の第2結合部材630に作用される。これにより、第1係合部材539の下面539eと一対の第2結合部材630の上面630aとを密着させることができるだけでなく、左右に隣り合う一対の第2結合部材630の対向面どうしも密着させることができる。その結果、これら各結合部材539,630を、互いの間に隙間が形成されることを抑制しつつ、結合させることができる。よって、複数の部材を結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
まず、第1結合動作ユニット500について、図33から図41を参照して説明する。
図33(a)は、第1結合動作ユニット500の正面図であり、図33(b)は、図33(a)の矢印XXXb方向視における第1結合動作ユニット500の底面図である。また、図34は、第1結合動作ユニット500の分解正面斜視図であり、図35は、第1結合動作ユニット500の分解背面斜視図である。なお、図35では、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図33から図35に示すように、第1結合動作ユニット500は、基板部材510と、その基板部材510の正面側に配設されると共に駆動力を発生する駆動部520と、その駆動部520が発生する駆動力を受けて上下方向にスライド変位(昇降)されると共に基盤部材510の正面側に配設されるスライド機構部530と、そのスライド機構部530に駆動部520の駆動力を伝達する部材であって基板部材510の背面側に配設される第1リンク部材541と、その第1リンク部材541と対称となる姿勢で基板部材510の背面側に配設される第2リンク部材542と、基板部材510の前面側にスライド機構部530を挟んで左右に配設される一対の嵩上げ部材550と、それら一対の嵩上げ部材550の正面側に配設される装飾部560と、基板部材510の正面側に配設され第2リンク部材542に付勢力を付与する付勢ばね571と、を主に備える。
なお、嵩上げ部材550は、背面側が開放された箱状に形成され、基板部材510の正面側に配設される駆動部520を嵩上げ部材550の内部空間に収容可能とされる。これにより、後述するように、駆動部520を基板部材510の前面側に配設した場合でも、基板部材510の前面側であってスライド機構部530の側方に形成されるデッドスペースを有効に活用でき、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
基板部材510は、正面視横長の矩形板状に形成される部材であり、一対の案内溝511と、それら一対の案内溝511のうちの一方の案内溝511に沿って並設されるラック部512と、一対の案内溝511を挟んで左右に形成される連結溝513,514と、連結溝513の側方に形成される軸支孔515と、基板部材510の正面側および背面側にそれぞれ突設される支持軸516と、を主に備える。
案内溝511は、スライド機構部530の挿通軸531cを基板部材510の正面側から背面側へ挿通させその挿通軸531cと各リンク部材541,542とを基板部材510の背面側において連結可能とするための溝状の開口であり、基板部材510の幅方向略中央において一対が互いに平行を保ちつつ上下方向に沿って直線状に延設される。案内溝511は、その溝幅がスライド機構部530の挿通軸531cの外径寸法よりも大きな寸法に設定され、挿通軸531cを案内溝511の延設方向に沿ってのみ移動可能とする。即ち、スライド機構部530は、その挿通軸531cが案内溝511に案内されることで、案内溝511の延設方向に沿って上下方向に移動(昇降)可能とされる。
ラック部512は、案内溝511の延設方向に沿う平面に複数の歯512aが刻設されたラックギヤとして形成される部位であり、基板部材510の正面側に固着される。基板部材510にスライド機構部520が組み付けられた状態では、そのスライド機構部530のピニオンギヤ537(図38参照)がラック部512の歯512aに歯合される。よって、スライド機構部530が案内溝511の延設方向に沿って移動(昇降)されると、そのスライド機構部530の移動に伴って、ピニオンギヤ537が回転駆動される。
連結溝513は、駆動部520の連結軸526を基板部材510の正面側から背面側へ挿通させその連結軸526と第1リンク部材541とを基板部材510の背面側において連結させるための溝状の開口であり、案内溝511へ向けて凸となる円弧状に湾曲して延設される。詳細には、連結溝513は、軸支孔515の軸心を中心とする円環形状の一部を切り取った形状に形成される。連結溝513は、その溝幅が駆動部520の連結軸526の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定され、連結軸526を連結溝513の延設方向に沿ってのみ移動可能とする。
軸支孔515は、第1リンク部材541の基端側を軸支する支持軸527を挿通させるための開口であり、連結溝513を挟んで案内溝511の反対側に配設される。なお、支持軸527は、後述するように、駆動部520のケース体521に固着され、駆動部520が基板部材510の正面側に配設されることで、支持軸527の先端が軸支孔515を介して基板部材510の背面側に突出される。第1リンク部材541は、軸支孔515を介して突出された支持軸527に基端側が軸支され、かかる支持軸527を中心として回転される。
連結溝514は、第2リンク部材542の係止爪542bを基板部材510の背面側から正面側へ挿通させその係止爪542bに付勢ばね542の端部を基板部材510の正面側において形成させるための溝状の開口であり、案内溝511へ向けて凸となる円弧状に湾曲して延設される。即ち、連結溝514は、第2リンク部材542が支持軸516を中心として回転される際に係止爪542bの移動を許容する大きさの開口として形成される。
支持軸516は、第2リンク部材542及び付勢ばね571を軸支するための軸体であり、上述したように、基板部材510の正面側および背面側にそれぞれ突設される。なお、支持軸516は、一対の案内溝511の中間を通過する仮想直線を対称線として、軸支孔515と線対称となる位置に配設される。第2リンク部材542は、基板部材510の背面側に突設された支持軸516に基端側(軸支孔542a)が軸支され、かかる支持軸516を中心として回転される。また、付勢ばね571は、基板部材510の正面側に突設された支持軸516に保持される。
なお、付勢ばね571は、ねじりコイルばねとして形成され、そのコイル部が支持軸516に保持(ガイド)されると共に、一対の腕部のうちの一方の腕部が第2リンク部材542の係止爪542bに係止され、他方の腕部が基板部材510の係止爪517に係止される。付勢ばね571は、一対の腕部が互いに近接する方向へ弾性変形された状態で配設されており、その弾性回復力により第2リンク部材542の係止爪542bを上方へ押し上げる方向(図34及び図35の上側)へ向けて付勢する。即ち、付勢ばね571の付勢力は、第2リンク部材542を図35に示す姿勢(先端側を案内溝511の上端側に位置させる姿勢)に保持する方向へ作用される。
駆動部520は、スライド機構部530を上下方向にスライド変位(昇降)させるための駆動力を発生するためのユニットであり、基板部材510の正面側であって、スライド機構部530の側方に配設される。ここで、駆動部520について、図36を参照して説明する。
図36は、駆動部520の背面図である。なお、図36では、基板部材510に駆動部520を組み付けた状態における基板部材510の連結溝513及び軸支孔515の位置が二点鎖線を用いて模式的に図示される。
図36に示すように、駆動部520は、ケース体521と、そのケース体521の正面側に配設されると共に駆動軸をケース体521の背面側に突出させる駆動モータ522(図34及び図35参照)と、その駆動モータ522の駆動軸に固着されるピニオンギヤ523と、そのピニオンギヤ523に歯合されると共にケース体521の背面から突設される回転軸524aに回転可能に軸支されるクランク歯車524と、そのクランク歯車524に一端が回転軸525aを介して回転可能に軸支される連接棒525と、その連接棒525の他端から突設される連結軸526と、ケース体521の背面から突設される支持軸527と、を主に備える。なお、駆動モータ522の駆動軸、回転軸524a,525a、連結軸526及び支持軸527は、それぞれ平行に配設される。
連接棒525の一端をクランク歯車524に回転可能に軸支する回転軸525aは、クランク歯車524の回転軸524aに対して偏心する位置に配置され、連接棒525の他端から突設される連結軸526は、上述したように、基板部材510の連結溝513に挿通されその連結溝513の延設方向に沿ってのみ移動可能とされる。そのため、クランク歯車524、回転軸525a及び連接棒525は、クランク歯車524の回転運動を、連接棒525を介して、連結軸526の往復運動に変換するクランク機構を構成する。
即ち、駆動モータ522の回転駆動によりピニオンギヤ523が回転され、その回転によりクランク歯車524が一方向(例えば、矢印A1方向)に回転されると、連結軸526が連結溝513の延設方向に沿って一方向(矢印B1方向)へ変位される一方、駆動モータ522が逆方向に回転駆動され、クランク歯車524が他方向(矢印A2方向)に回転されると、連結軸526の移動方向が逆転され、かかる連結軸526が連結溝513の延設方向に沿って他方向(矢印B2方向)へ変位される。
なお、駆動部520(ケース体521)が基板部材510の正面側に組み付けられた状態では、上述したように、連結軸526及び支持軸527は基板部材510の連結溝513及び支持孔515にそれぞれ挿通され、それら連結軸526の先端および支持軸527の先端をそれぞれ基板部材510の背面側に突出させる(図34及び図35参照)。
この場合、連結軸526は第1リンク部材541の長手方向中間部(連結孔541b)に、支持軸527は第1リンク部材541の基端部(軸支孔541a)に、それぞれ回転可能に連結されるので(図35参照)、駆動モータ522の回転駆動により、連結軸526を連結溝513に沿って変位(矢印B1方向または矢印B2方向)させることで、第1リンク部材541を、支持軸527を中心として回転させることができる。
図33から図35に戻って説明する。第1リンク部材541は、駆動部520の連結軸526とスライド機構部530の挿通軸531cとを連結して、駆動モータ522の駆動力をスライド機構部530に伝達するための部材であり、長尺板状に形成される。第1リンク部材541には、基端部に軸支孔541aが、長手方向中間部に連結孔541bが、基端部の反対側となる先端部に摺動孔541cが、それぞれ形成される。
軸支孔541a及び連結孔541bは、正面視円形状の貫通孔として形成され、駆動部520の軸支軸527及び連結軸526がそれぞれ回転可能に挿通される。一方、摺動孔541cは、第1リンク部材541の長手方向に長径方向を沿わせた正面視長穴形状の貫通孔として形成され、その長穴形状(長径方向)に沿って摺動可能にスライド機構部530の挿通軸531cが挿通される。
よって、第1リンク部材541が支持孔541aを中心として摺動孔541cを上昇させる方向(矢印B1方向、図36参照)へ回転されると、スライド機構部530の挿通軸531cが基板部材510の案内溝511に沿って上方へ変位され、スライド機構部530が上昇される一方、第1リンク部材541が支持孔541aを中心として摺動孔541cを下降させる方向(矢印B2方向、図36参照)へ回転されると、スライド機構部530の挿通軸531cが基板部材510の案内溝511に沿って下方へ変位され、スライド機構部530が下降される(図40及び図41参照)。
ここで、本実施形態では、基板部材510の前面側に連接棒525が、基板部材510の背面側に第1リンク部材541が、それぞれ配設され、これら連接棒525及び第1リンク部材541が基板部材510の連結溝513を介して互いに連結(接続)されるので、これら連接棒525及び第1リンク部材541により形成される駆動力の伝達経路(即ち、クランク歯車524の回転軸524aと連結軸526とを連結する部分(連接棒525)、及び、連結軸526と挿通軸531cとを連結する部分(第1リンク部材541の連結孔541bから摺動孔541cまでの部分)の長さ寸法)が長くなる。そのため、駆動モータ522の駆動力を伝達する際に連接棒525及び第1リンク部材541が変形して、駆動力をスライド機構部530(挿通軸531c)へ安定して伝達できないおそれがある。
これに対し、本実施形態によれば、第1リンク部材541に基端側(軸支孔541a)が、基板部材510の背面において、支持軸527に回転可能に軸支されるので、その支持軸527が固着される駆動部520のケース体521及びそのケース体521が締結固定される基板部材510の剛性を利用して、連接棒525及び第1リンク部材541の全体としての剛性を高めることができる。その結果、駆動モータ522の駆動力を伝達する際に連接棒525及び第1リンク部材541が変形することを抑制して、かかる駆動力をスライド機構部530(挿通軸531c)へ安定して伝達することができる。
特に、本実施形態では、連接棒525及び第1リンク部材541のうちの第1リンク部材541(軸支孔541a)を基板部材510に回転可能に軸支するので、連接棒525を基板部材510に回転可能に軸支する場合と比較して、かかる基板部材510に軸支される箇所からスライド機構部530(挿通軸531c)までの駆動力の伝達経路を短くでき、その結果、駆動力のスライド機構部530(挿通軸531c)への伝達をより一層安定させることができる。
第2リンク部材542は、付勢ばね571とスライド機構部530の挿通軸531cとを連結して、付勢ばね571の付勢力をスライド機構部530に伝達するための部材であり、長尺板状に形成される。第2リンク部材542には、第1リンク部材541と同様に、基端部および先端部に軸支孔542a及び摺動孔542cが、それぞれ形成される。軸支孔542aには、基板部材510の支持軸516が回転可能に挿通され、摺動孔542cには、スライド機構部530の挿通軸531cが挿通される。また、第2リンク部材542の長手方向中間部には、係止爪542bが形成される。係止爪542bは、上述したように、連結溝514を介して、基板部材510の正面側に配置され、付勢ばね571の腕部を係止する。
よって、第2リンク部材542は、第1リンク部材541と共に、スライド機構部530を左右対称に保持するので、かかるスライド機構部530のスライド変位を安定して行わせることができる。また、スライド機構部530には、第2リンク部材542を介して、付勢ばね571の付勢力が上昇方向(第2リンク部材542の先端側(摺動孔542c)を上昇させる方向)に作用されるため、スライド機構部530を上昇させる際には、駆動部520の駆動力を補助することができる。これにより、駆動モータ522の大型化を抑制できる。
なお、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の軸支孔541a,542aに挿通された支持軸527,516には、抜け止めとして、Eリングとして形成される止め輪Eが装着されると共に、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の摺動孔541c,542cに挿通された挿通軸531cには、抜け止めとして、摺動孔541c,542cの溝幅よりも大径の座面(頭部またはワッシャ)を有する締結ねじが締結される(図35参照)。
ここで、第1リンク部材541については、第1リンク部材541の連結孔541bに挿通される連結軸526に対し、抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が省略される。即ち、3本の軸のうちの2本(支持軸527及び挿通軸531c)に抜け止めを施すことで、残りの1本(連結軸526)については、その抜け止めを省略でき、その分、抜け止めに要する部品点数を低減できる。特に、長尺となる第1リンク部材541の基端側および先端側の2本の軸に対して抜け止めを施し、それら基端側および先端側の中間となる位置の軸に対して抜け止めを省略する構造とすることで、抜け止めを省略した軸(連結軸526)が連結孔541bから抜けることを抑制しつつ、第1リンク部材451を安定して回転させることができる。
スライド機構部530は、上述したように、基板部材510の案内溝511に沿って上下方向にスライド変位(昇降)する機構部分であり、その第1係合部材539を、所定位置まで下降させることで、第2結合動作ユニット600の第2結合部材630に結合させる(図32参照)。ここで、図37から図39を参照して、スライド機構部530について説明する。
図37(a)は、スライド機構部530の正面斜視図であり、図37(b)は、スライド機構部530の背面斜視図である。また、図38は、分解したスライド機構部530を正面視したスライド機構部530の正面斜視図であり、図39は、分解したスライド機構部530を背面視したスライド機構部530の背面斜視図である。
図37から図39に示すように、スライド機構部530は、A層ベース板531と、B層ベース板532及びB層装飾体533と、C層ベース板534及びC層装飾体535と、第1ピニオンギヤ537と、第2ピニオンギヤ538と、第1結合部材539と、を備え、駆動部520から第1リンク部材541を介して伝達される駆動力により第1結合部材539を上下にスライド変位(昇降)させる。
なお、本実施形態のスライド機構部530によれば、A層ベース板531と第1結合部材539との間に2組のダブルラック・ピニオン構造が介在され、第1リンク部材541からA層ベース板531が受けた駆動力が、2組のダブルラック・ピニオン構造を介して、第1結合部材539へ伝達されることで、かかる第1結合部材539のスライド変位(昇降)を増速させることができるように構成される。
A層ベース板531は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部531aと、その本体部531aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝531bと、本体部531aの背面から突設されると共に案内溝531bを挟んで左右に並設される複数本(本実施形態では合計6本)の挿通軸531cと、本体部531aの正面側へ突設され第1ピニオンギヤ537を回転可能に軸支する支持軸531dと、を備える。
A層ベース板531は、複数本の挿通軸531cを基板部材510の案内溝511にそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された挿通軸531cの先端に案内溝511の溝幅よりも大径のカラーCを抜け止めとして締結固定することで、基板部材510にスライド変位(昇降)可能に保持される(図35参照)。この場合、支持軸531dに軸支された第1ピニオンギヤ537が、基板部材510のラック部512に歯合される。
なお、本実施形態では、複数本の挿通軸531cのうちの2本の挿通軸531cは、上述したように、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の摺動孔541c,542cに挿通した上でその先端に締結ねじを抜け止めとして締結する。
また、本実施形態では、複数の挿通軸531cは、A層ベース板531の長手方向(図39上下方向)中央よりも上方側(図39上側)にそれぞれ位置する。よって、後述するように、スライド機構部530が自身の重量により基板部材510の正面側で前方へ向けて前傾姿勢となる場合に、その前傾姿勢をカラーCや第1リンク部材541及び第2リンク部材542によって効果的に規制することができ、その結果、スライド機構部530(A層ベース板531)を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
B層ベース板532は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部532aと、その本体部532aに貫通形成される複数の挿通孔532bと、本体部532aの背面から突設される複数の挿通軸532cと、本体部532aの側面にその本体部532aの長手方向に沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部532dと、を備える。
B層ベース板532は、複数本の挿通軸532cをA層ベース板531の案内溝531bにそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された挿通軸532cの先端に締結ねじを抜け止めとして締結することで、A層ベース板531にスライド変位(昇降)可能に保持される。
この場合、B層ベース板532(本体部532a)の側面に配設されたラック部532dが、A層ベース板531(支持軸531d)に軸支された第1ピニオンギヤ537に歯合される。即ち、第1ピニオンギヤ537は、基板部材510のラック部512及びB層ベース板532のラック部532dとの両者に歯合され、これにより、1組目のダブルラック・ピニオン構造が形成される。よって、基板部材510に対してA層ベース板531がスライド変位(昇降)されると、1組目のダブルラック・ピニオン構造を介して、B層ベース板532がA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される。即ち、B層ベース板532は、A層ベース板531よりも増速された状態で、基板部材510に対してスライド変位(昇降)される。
B層装飾体533は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する部材であり、B層ベース板532に固着され、そのB層ベース板532と一体となってスライド変位(昇降)される。詳細には、B層装飾体533は、その背面から突設される複数の挿通軸533aを備え、その挿通軸533aに、B層ベース板532の挿通孔532bに挿通された締結ねじが締結されることで、B層ベース板532の前面側に固着される。
なお、B層装飾体533の複数の挿通軸533aは、第1結合部材539の案内溝539b及びC層ベース板534の案内溝534bに挿通された上で、B層ベース板532に固着される。この場合、B層装飾体533の複数の挿通軸532aのうちの1の挿通軸532aは、第2ピニオンギヤ538を回転可能に軸支する。よって、B層装飾体533及びB層ベース板532がA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される際には、第2ピニオンギヤ538もA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される。
C層ベース板534は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部534aと、その本体部534aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝534bと、本体部534aに貫通形成される複数の挿通孔534cと、本体部532aの前面側において案内溝534bに沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部534dと、を備える。
C層装飾体535は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する部材であり、C層ベース板534に固着され、そのC層ベース板534と一体となってスライド変位(昇降)される。詳細には、C層装飾体535は、その背面から突設される複数の挿通軸535aを備え、その挿通軸535aに、C層ベース板534の挿通孔534cに挿通された締結ねじが締結されることで、C層ベース板534の前面側に固着される。
第1結合部材539は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する共に、第2結合動作ユニット600の一対の第2結合部材630に当接して結合状態を形成するための部材であり(図32参照)、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部539aと、その本体部539aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝539bと、本体部534aの下方に連設される装飾部539cと、本体部532aの背面側において案内溝539bに沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部539dと、を備える。
なお、第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eは、中央へ向けて下降傾斜する2つの平坦面が組み合わされて形成される。即ち、第1結合部材539(装飾部539c)は、その正面視形状が、中央が下降方向(図38下方向)へ向けて突出する逆V字形状に形成される(図40及び図41参照)。この第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eは、上述したように、結合位置において、第2結合部材630の上面630aに当接される(図32参照)。
また、第1結合部材539の下面539eには、その中央に正面視横長矩形状の凹部539e1が凹設される。この凹部539e1には、結合位置において、第2結合部材630の上面630aから突設される凸部630a1が収納(凹凸嵌合)される。この凹凸嵌合により、結合位置において、第1結合部材539に対する一対の第2結合部材630の相対変位(前後方向および左右方向)を規制できる。
C層ベース板534及び第1結合部材539は、それらC層ベース板534及び第1結合部材539の案内溝534b,539bに、B層装飾体533の複数の挿通軸533aがそれぞれ挿通されることで、B層装飾体533及びB層ベース板532の間でそれぞれスライド変位(昇降)可能に保持される。
この場合、B層装飾体533の挿通軸533aに軸支された第2ピニオンギヤ538が、C層ベース板534(本体部534a)の正面側に配設されたラック部534dと、第1結合部材539(本体部539a)の背面側に配設されたラック部539dとの両者に歯合され、これにより、2組目のダブルラック・ピニオン構造が形成される。よって、A層ベース板531に対してB層ベース板532(及びB層装飾体533)がスライド変位(昇降)されると、2組目のダブルラック・ピニオン機構を介して、第1結合部材539がB層ベース板532(及びB層装飾体533)に対してスライド移動される。即ち、第1結合部材539は、B層ベース板532よりも増速された状態で、基板部材510に対してスライド変位(昇降)される。
図33から図35に戻って説明する。上述したように、第1結合部材500は、基板部材510の正面側にスライド機構部530を配設し、そのスライド機構部530(A層ベース板531)の背面から突出される複数(本実施形態では6本)の挿通軸531cを、基板部材510の案内溝511にそれぞれ挿通させ、それら挿通された複数の挿通軸531cのうちの一部(4本)の挿通軸531cにはカラーCを抜け止めとして装着する一方、残り(2本)の挿通軸531cは第1リンク部材541及び第2リンク部材542に連結する(図35参照)。
ここで、従来の遊技機においても、移動部材(スライド機構部530に相当)に複数の挿通軸(挿通軸531cに相当)を設け、それら複数の挿通軸を、基板部材(基板部材510に相当)の案内溝(案内溝511に相当)に挿通させ、駆動手段(駆動部520に相当)の駆動力により、移動部材を案内溝に沿ってスライド変位させる構造のものが知られている。
この場合、移動部材のスライド変位を安定して行わせるためには、案内溝に挿通させる挿通軸の数を多くすることが好ましい。一方で、挿通軸の数を多くすると、その挿通軸を保持する(案内溝からの抜け止めを行う)ための部品(カラーCに相当)の数も増加し、コストが増加する。そのため、移動部材のスライド変位の安定化を可能としつつ、コストを削減する方法が要請されていた。
これに対し、本実施形態によれば、駆動モータ522の駆動力をスライド機構部530(A層ベース板531)に伝達する第1リンク部材541を、スライド機構部530が配設される正面側とは反対側となる基板部材510の背面側に配設し、かかる第1リンク部材541を、基板部材510の案内溝511から突出される複数の挿通軸531cのうちの1の挿通軸531cに連結するので、これら複数の挿通軸531cの案内溝511からの抜け止めを行うための複数のカラーCのうちの1のカラーCを、第1リンク部材541に兼用させることができる。その結果、挿通軸531cの数は確保して、スライド機構部530(A層ベース板531)のスライド変位の安定化を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
特に、本実施形態では、スライド機構部530が配設される正面側とは反対側となる基板部材510の背面側に、第2リンク部材542を第1リンク部材541に対して案内溝511を挟んで対称に配設すると共に、かかる第2リンク部材542を、基板部材510の案内溝511から突出される複数の挿通軸531cのうちの1の挿通軸531cに連結するので、第1リンク部材541及び第2リンク部材542からスライド機構部530が受ける支持反力を対称とすることによる効果(スライド機構部530のスライド変位の安定化)を図ることができるだけでなく、複数のカラーCのうちの1のカラーCを、第2リンク部材542によっても兼用させることができるので、挿通軸531cの数は確保して、スライド機構部530(A層ベース板531)のスライド変位の安定化を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の部品点数を低減して、コストの削減を図ることをより一層達成できる。
このように、本実施形態では、第1リンク部材541及び第2リンク部材542を基板部材510の背面側に配設することで、スライド変位の安定化とコストの削減とを図る。更に、本実施形態では、駆動部520にクランク機構(クランク歯車524、連接棒525及び連結軸526)を構成させると共に、基板部材510に連結溝513を開口形成するので、かかる連結溝513を介して、連結軸526を第1リンク部材541に連結させることで、駆動部520を基板部材510の正面側に配設することができる。これにより、基板部材510の正面側に第1結合動作ユニット500の構成要素を集中させることができるので、限られたスペースを有効に活用して、各構成要素の配置を効率的に行うことができ、その結果、第1結合動作ユニット500の小型化を図ることができる。
特に、第1結合動作ユニット500は、スライド機構部530の前面側に装飾部560が配設されるため、これらスライド機構部530と装飾部560とが前後方向(図33(b)上下方向)に重なり、その分、前後方向の寸法が嵩む。これに対し、本実施形態によれば、上述のように、駆動部520が基板部材510の前面側に配設可能となることで、かかる駆動部520を、基板部材510の前面側であってスライド機構部530の側方に形成されるデッドスペースに配設できる。即ち、スライド機構部530及び駆動部520の比較的寸法が嵩む2要素を左右方向に並設させることができる。これにより、限られたスペースのうちのデッドスペースを有効に活用して、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
更に、この場合には、本実施形態によれば、第1リンク部材541が平板状に形成されると共に、かかる第1リンク部材541が、基板部材510の背面側において、支持軸527を中心として回転される構造であるので、その第1リンク部材541の移動のための空間を平面的とすることができる。即ち、第1リンク部材541の移動のための空間を基板部材510の背面側の平面的なスペースで確保することができ、前後方向(図33(b)上下方向)に大きな空間として確保する必要がない。よって、この点からも、第1結合動作ユニット500の特に前後方向の小型化を図ることができる。
なお、第2リンク部材542についても同様であり、連結溝514を利用することで、付勢ばね571を基板部材510の前面側に配設して、上述したデッドスペースを有効に活用すると共に、その第2リンク部材542の移動のための空間も平面的とすることができ、その結果、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
次いで、図40及び図41を参照して、第1結合動作ユニット500の動作について説明する。なお、この説明においては、図34から図39を適宜参照する。
図40(a)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の正面図であり、図40(b)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の背面図である。図41(a)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の正面図であり、図41(b)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の背面図である。なお、図40及び図41では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図40(a)及び図40(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置にある状態では、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A1方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B1方向へ変位されており(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542は、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを上昇させる方向(図40(b)上方)に回転された姿勢に配置される。よって、スライド機構部530のA層ベース板531(図38及び図39)が基板部材510の案内溝511の上端側(図40(b)上側)に配置され、第1結合部材539が上昇された(退避位置は配置された)状態が形成される。
なお、この場合、上述したように、第2リンク部材542には、付勢ばね571の付勢力が作用されている。かかる付勢ばね571の付勢力は、第2リンク部材542の姿勢を、図40(b)に示す姿勢(即ち、軸支孔542aを中心として摺動孔542cを上昇させる方向に回転された姿勢)に保持する方向に作用される。よって、第1結合部材539を図40(a)に示す退避位置に安定して保持させることができる。特に、退避位置において停止状態にあるべき第1結合部材539に外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)が作用され、かかる第1結合部材539に上下方向への振動が発生される場合でも、付勢ばね571の付勢力を利用して、第1結合部材539の上下方向への振動を速やかに収束させることができる。
図40(a)及び図40(b)に示す状態から、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A2方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B2方向へ変位されると(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542は、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを下降させる方向(図40(b)下方)へ回転される。これにより、スライド機構部530のA層ベース板531が基板部材510の案内溝511に沿って下降され、上述したように、2組のダブルラック・ピニオン機構が作用されることで(図38及び図39参照)、第1結合部材539が下降される。
図41(a)及び図41(b)に示すように、第1リンク部材541及び第2リンク部材542が、その軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを下降させる方向へ更に回転され、スライド機構部530のA層ベース板531(挿通軸539c)が基板部材510の案内溝511の下端側(図41(b)下側)に配置されることで、第1結合部材539が下降された(結合位置は配置された)状態が形成される。
なお、図41(a)及び図41(b)に示す状態から、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A1方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B1方向へ変位されることで(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542が、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを上昇させる方向(図41(b)上方)へ回転される。これにより、スライド機構部530のA層ベース板531が基板部材510の案内溝511に沿って上昇され、上述したように、2組のダブルラック・ピニオン機構が作用されることで(図38及び図39参照)、第1結合部材539が上昇される。その結果、図40(a)及び図40(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置に配置(復帰)される。
本実施形態によれば、スライド機構部530が2組のダブルラック・ピニオン機構を介して第1結合部材539を上下方向にスライド変位させる構造であるので、かかる第1結合部材539のスライド変位を高速化することができる。一方で、第1結合部材539を、図41(a)に示す結合位置から図40(a)の退避位置まで上昇させる際には、第1結合部材539のみでなく、スライド機構部530の他の構成部材のそれぞれも、重力の作用に逆らって上昇させる必要があるため、駆動モータ522(図34及び図35参照)の負荷が大きくなる。
これに対し、本実施形態では、上述したように、付勢ばね571の付勢力が、第2リンク部材542の姿勢を、図40(b)に示す姿勢(即ち、軸支孔542aを中心として摺動孔542cを上昇させる方向に回転された姿勢)に保持する方向に作用させる。よって、第1結合部材539を、重力の作用に逆らって、図41(a)に示す結合位置から図40(a)の退避位置まで上昇させる際には、付勢ばね571の付勢力を補助力として利用することができるので、その分、駆動部520の駆動モータ522に必要とされる駆動力を小さくして、その容量の小型化を図ることができる。
ここで、基板部材510は、その案内溝511の延設方向が鉛直方向(図40及び図41上下方向)に対して若干傾斜した姿勢で配設される。詳細には、案内溝511の下端側を基板部材510の正面側(前方側、図40(a)紙面手前側)へ張り出させた(案内溝511の上端側を基板部材510の背面側(後方側、図40(a)紙面奥側)へ後退させた)姿勢で配設される。これにより、基板部材510の正面側に配設されるスライド機構部530が自身の重量により前傾姿勢(基盤部材510の正面から離間する方向(前方側)へ倒れこむように傾斜される姿勢)となることを抑制できるので、その分、カラーCへの負荷を小さくして、その耐久性の向上を図ることができる。
しかしながら、スライド機構部530はその各要素(例えば、A層ベース板531、B層ベース板532、C層ベース板534など)が重ね合わされて構成されるため、基板部材510の上述した鉛直方向に対する傾斜を大きくし過ぎると、スライド機構部530の各要素どうしが密着されやすくなり、そのスライド変位の際の摺動抵抗が大きくなる。そのため、上述した傾斜を十分大きくすることはできず、よって、カラーCには比較的大きな負荷が作用される。
この場合、本実施形態では、スライド機構部530とそのスライド機構部530の挿通軸531cに連結(接続)される第1リンク部材541及び第2リンク部材542との間に基板部材510が介在されるため、スライド機構部530の前傾姿勢を、カラーCだけではなく、第1リンク部材541及び第2リンク部材542によっても規制することができる。その結果、カラーCへの負荷を抑制して、その耐久性の向上を図ることができると共に、スライド機構部530を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
特に、複数の挿通軸531cは、上述したように、A層ベース板531の長手方向中央よりも上方側にそれぞれ位置する(図39参照)。よって、スライド機構部530が自身の重量により基板部材510の正面側で前方へ向けて前傾姿勢となる場合に、その前傾姿勢をカラーCや第1リンク部材541及び第2リンク部材542によって効果的に規制することができ、その結果、スライド機構部530(A層ベース板531)を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
次いで、第1結合動作ユニット500の下方に配設される第2結合動作ユニット600について(図31及び図32参照)、図42から図45を参照して説明する。
図42は、第2結合動作ユニット600の正面斜視図である。図43(a)は、第2結合動作ユニット600の正面図であり、図43(b)は、第2結合動作ユニット600の背面図である。なお、図43(a)では、表ケース体612の図示が省略される。また、図42及び図43では、一対の第2結合部材630が退避位置に退避された状態が図示される。
図42及び図43に示すように、第2結合動作ユニット600は、裏ケース体611及び表ケース体612と、それら裏ケース体611及び表ケース体612に基端側がそれぞれ回転可能に軸支されるリンク手段(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)と、それら内側リンク部材621及び外側リンク部材622のそれぞれの先端側に回転可能に軸支される第2結合部材630と、内側リンク部材621及び外側リンク部材622を変位させるための駆動力を発生する駆動モータ640と、その駆動モータ640の駆動力を内側リンク部材621及び外側リンク部材622に伝達するための伝達手段(ピニオンギヤ651及び伝達歯車652)と、を主に備えて構成される。
なお、本実施形態では、リンク手段、第2結合部材630、駆動モータ640及び伝達手段からなる組が、裏ケース体611及び表ケース体612の左右にそれぞれ1組ずつ合計一対が配設される。この場合、裏ケース体611及び表ケース体612の左側に配設される組と右側に配設される組とは、裏ケース体611及び表ケース体612の幅方向(図43(a)左右方向)中央を通る仮想線に対して略対称に形成される点や装飾部分の形状が異なる点を除き、実質的に同一の構成であるので、同じ符号を付して説明する。
裏ケース体611及び表ケース体612は、それぞれ樹脂材料から板状に形成される部材であり、所定間隔を隔てつつ互いに向かい合わせに締結固定され、その対向面間(内部空間)にリンク手段(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)と伝達手段(ピニオンギヤ651及び伝達歯車652)とを収容する。
裏ケース体611には、円弧状に湾曲して形成される一対の案内溝611aが開口形成される。案内溝611aは、後述する基端軸621aを中心とする円弧状に湾曲され(即ち、基端軸621aを中心とする円環形状の一部を切り取った形状に形成され)、内側リンク部材621の背面に回転可能に軸支されたカラー621dが内嵌される。案内溝611aの溝幅は、カラー621dの外径寸法よりも若干大きな寸法に形成される。よって、後述するように、内側リンク部材621が基端軸621aを中心として回転される際には、カラー621dが案内溝611aの延設方向に沿って案内されることで、内側リンク部材621(及び外側リンク部材622)の回転を安定させることができる。ひいては、結合位置における第2結合部材630の位置精度を高めることができる。
内側リンク部材621及び外側リンク部材622は、その基端側が基端軸621a及び622aを介して裏ケース体611及び表ケース体612に回転可能に軸支される一方、その先端側が先端軸621b,622bを介して第2結合部材630に回転可能に軸支される。
この場合、内側リンク部材621及び外側リンク部材622は、基端軸621a及び基端軸622aの間の距離と先端軸621b及び先端軸622bの間の距離とが等しくされ、かつ、基端軸621a及び先端軸621bの間の距離と基端軸622a及び先端軸622bの間の距離とが等しくされることで、平行リンク機構として形成される。よって、内側リンク部材621及び外側リンク部材622が基端軸621a,622aを中心に回転されると、第2結合部材630が回転中心を持たずに平行に(即ち、図43(a)に図示する姿勢を維持したまま)移動される。
第2結合部材630は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成すると共に結合位置において第1結合部材539に結合される部材であり(図32参照)、第1結合部材539の下面539eが当接される上面630aと、他方の第2結合部材630が隣り合う際に互いに当接される対向面630bとが形成される。
なお、上面630aは、図43に示す第2結合部材630の正面視において、対向面630b側へ向けて下降傾斜する平坦面として形成され、対向面630bは、鉛直方向に平行な平坦面として形成される。よって、一対の第2結合部材630は、結合位置において、互いの対向面630bどうしが当接されると、一対の第2結合部材630の上面630a側の正面視形状が、中央が凹むV字形状に形成される(図44(b)参照)。これら一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれには、上述したように、結合位置において、第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eが当接される(図32参照)。
また、一対の第2結合部材630の上面630aには、対向面630b側にそれぞれ正面視横長矩形状の凸部630a1が突設される。この凸部630a1は、結合位置において、第1結合部材539の下面539eに凹設される凹部539e1に収納(凹凸嵌合)される。この凹凸嵌合により、上述したように、結合位置において、第1結合部材539に対する一対の第2結合部材630の相対変位(前後方向および左右方向)を規制できる。ここで、凸部630a1は、その厚み寸法が突設先端へ向かうほど小さくされる。そのため、第1結合部材539の下面539eに一対の第2結合部材630の上面630aが結合(当接)される際には、凹部539e1に凸部630a1を挿入(内嵌)させやすくすることができる。
内側リンク部材621の基端側には、歯車部621cが一体に形成される。歯車部621cは、基端軸621aを中心として径方向外方へ張り出す扇形状に形成される部位であり、その扇形状の外周面に複数の歯が刻設される。この歯車部621cには、後述する伝達歯車652が歯合される。
駆動モータ640は、裏ケース体611の背面側に配設され、裏ケース体611の正面側に突出された駆動モータ640の駆動軸には、ピニオンギヤ651が固着される。そのピニオンギヤ651には、伝達歯車652が歯合され、伝達歯車652には、上述したように、内側リンク部材621の歯車部621cが歯合される。
次いで、図44を参照して、第2結合動作ユニット600の動作について説明する。なお、この説明においては、図43(a)を適宜参照する。
図44(a)及び図44(b)は、第2結合動作ユニット600の正面図であり、表ケース体612の図示が省略される。なお、図44(a)では、一対の第2結合部材630が退避位置および結合位置の中間に配置された状態が、図44(b)では、一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
図43(a)に示す退避位置では、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに離間する方向へそれぞれ傾倒され、一対の第2結合部材630が左右に離間される。この図43(a)に示す状態(退避位置)から左右の駆動モータ640がそれぞれ回転駆動され、ピニオンギヤ651が回転されると、その回転が伝達歯車652を介して内側リンク部材621の歯車部621cに伝達され、歯車部621cが基端軸621aを中心に回転される。その結果、左右の内側リンク部材621が基端軸621aを中心にそれぞれ回転され、図44(a)に示すように、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに近接する方向へ起立される。
図44(a)に示す状態から左右の駆動モータ640が更に回転駆動されると、図44(b)に示すように、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに近接する方向へ更に起立され、一対の第2結合部材630が結合位置に配置される。即ち、一対の第2結合部材630が左右に隣り合い、互いの対向面630bどうしが当接される。一方、図44(b)に示す状態から、駆動モータ640が上述の場合とは逆方向に回転駆動されると、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに離間する方向へ傾倒され、図43(a)に示すように、一対の第2結合部材630が退避位置に退避される。
図31及び図32に戻って、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の結合動作について説明する。なお、この説明においては、図45を適宜参照する。図45は、第1結合部材539及び一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600を正面視したモデル図である。
上述したように、第1結合動作ユニット500の第1結合部材539及び第2結合動作ユニット600のの第2結合部材630の結合は、図31に示す状態(退避位置)から、一対の第2結合部材630をリンク機構の起立により互いに近接させて左右に隣り合わせに配置すると共に、その左右に隣り合わせに配置された一対の第2結合部材630へ向けて、第1結合部材539を下降させ、図32に示すように、第1結合部材539の下面539eを一対の第2結合部材630のそれぞれの上面630aに当接させることで、行われる。
ここで、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、図45に示すように、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aの水平面に対する傾斜角度が角度θとされる。そのため、第1結合部材539が鉛直方向(図45上下方向)に沿って下降(スライド変位)された際に、かかる第1結合部材539の下面539eから第2結合部材630の上面630aに作用される鉛直方向の力Fは、下面539e及び上面630aに垂直な方向の力成分Fv(=F×cosθ)と、下面539e及び上面630aに平行な方向の力成分Fp(=F×sinθ)とに分解することができる。なお、ここでは、力Fを、第2結合部材630の上面630aにおける幅方向中央に作用する集中荷重として近似する。
この場合、本実施形態では、下面539e及び上面630aの水平面に対する角度θは、内側リンク部材621及び外側リンク部材622の鉛直方向に対する角度αよりも小さな角度に設定される。更に、本実施形態では、上面630aの幅方向中央を始点として力成分Fvの作用方向が延長されると、その延長線が、外側リンク部材622の基端軸622aよりも内側(内側リンク部材621の基端軸621a側)を通過するように形成される。
これにより、図45に示すように、結合位置において、一対の第2結合部材630が左右に隣り合わせに配置されると共に、それら一対の第2結合部材630の隣り合う方向と略直交する方向(鉛直方向、図45上下方向)から第1結合部材539が第2結合部材630へ向けて下降され、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、一対の第2結合部材630を隣り合う方向において互いに近接させる方向への力を形成することができる。その結果、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aを結合させるだけでなく、一対の第2結合部材630の対向面630bどうしを結合させることができ、複数の部材(第1結合部材539及び一対の第2結合部材630)を結合させることによる演出効果を確保することができる。
即ち、従来の遊技機においても、一対の部材を移動可能に設け、それら一対の部材をそれぞれ異なる退避位置に退避させると共に、その異なる退避位置からそれぞれ移動させて結合位置に配置させることで、一対の部材どうしを結合させるものがある(例えば、特開2012−115300号公報を参照)。この場合、結合位置において、一対の部材の間に隙間が形成されるなど、その結合が適切に行われない場合には、一対の部材どうしを結合させることによる演出効果が損なわれる。しかしながら、上述した従来の遊技機では、一対の部材が対称形状とされるので、かかる一対の部材どうしを向かい合わせで結合させることは比較的容易であるが、3以上の部材どうしを適正に(即ち、隙間の発生を抑制しつつ)結合させることが困難であった。
これに対し、本実施形態によれば、上述したように、結合位置において、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、一対の第2結合部材630を隣り合う方向において互いに近接させる方向への力を形成することができるので、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aとの間に隙間が発生することを抑制できるだけでなく、一対の第2結合部材630の対向面630bどうしの間に隙間が発生することを抑制しつつ、これら各部材どうしを互いに結合させることができる。即ち、3以上の部材どうしを適正に結合させることができ、その結合による演出効果を確保することができる。
この場合、本実施形態では、図32及び図45に示すように、一対の第2結合部材630は、その上面630a側(図32及び図45上側)における正面視形状(図32及び図45に図示する形状)が、中央が下方(図32及び図45下方)へ向けて凹む凹形状とされる一方、第1結合部材539は、下面539e側(図32及び図45下側)における正面視形状(図32及び図45に図示する形状)が、一対の第2結合部材630の形状に対応して、中央が下方(図32及び図45下方)へ向けて突出する突出形状とされる。
そのため、上述のように、基準位置において、第1結合部材539が一対の第2結合部材630へ向けて下降され、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、凹形状および突出形状に起因して、一対の第2結合部材630の間に第1結合部材539が入り込み、かかる第1結合部材539が一対の第2結合部材630を互いに離間する方向へ押し拡げる態様(即ち、互いの対向面630bの間に隙間が形成される態様)を遊技者に想起させる。
これに対し、本実施形態によれば、結合位置において、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されることで、一対の第2結合部材630を互いに近接させる方向への力を形成して、これら一対の第2結合部材630を、互いの対向面630bの間に隙間が発生することを抑制しつつ、結合させることができる。その結果、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
次いで、図46から図57を参照して、円環動作ユニット700について説明する。
図46は、円環形成部材790が退避位置に配置された状態における円環動作ユニット700の正面斜視図であり、図47は、円環形成部材790が結合位置に配置された状態における円環動作ユニット700の正面斜視図である。
図46及び図47に示すように、円環動作ユニット700は、リンク部材770を介して昇降および回転される一対の円環形成部材790を備え、上述したように、開口211a(第3図柄表示装置81(図2参照))の下方であって、回転動作ユニット300の背面側となる位置において、背面ケース210に配設される(図6から図9参照)。円環動作ユニット700は、一対の円環形成部材790を回転させつつ昇降させて、図46に示す退避位置または図47に示す結合位置に配置する。
図46に示す退避位置では、一対の円環形成部材790が左右に離間されつつ下方に下降され、第3図柄表示装置81(図2参照)の前面側が開放された状態とされる(図6参照)。一方、図47に示す結合位置では、一対の円環形成部材790が互いに近接する方向に回転されつつ上方に上昇され、かかる一対の円環形成部材790が結合されることで第3図柄表示装置81の前面側に円環形状を形成する(図10参照)。
この場合、円環動作ユニット700によれば、一対の円環形成部材790が上方に上昇され結合位置に配置されると、かかる円環形成部材790を結合位置(上昇された位置)に機械的に保持できるように形成され、その結果、一対の円環形成部材790を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーを抑制できる。
図48は、分解した円環動作ユニット700を正面視した円環動作ユニット700の分解正面斜視図であり、図49は、分解した円環動作ユニット700を背面視した円環動作ユニット700の分解背面斜視図である。
図48及び図49に示すように、円環動作ユニット700は、中間ケース体710と、その中間ケース体710の背面側に配設される背面ケース体720と、その背面ケース720と反対側となる中間ケース体710の正面側に配設される正面ケース体730と、中間ケース710に配設されると共に回転駆動力を発生する駆動モータ740と、その駆動モータ740の回転駆動力を伝達するための歯車群(第1歯車751〜第6歯車756)と、その歯車群を介して伝達される回転運動を直線運動に変換するラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及び一対のラック762)と、そのラック・ピニオン機構における一対のラック762に基端がそれぞれ回転可能に軸支される一対のリンク部材770と、それら一対のリンク部材770の先端が軸支される昇降ベース体780と、その昇降ベース体780に基端が回転可能に軸支される一対の円環形成部材790とを主に備えて形成される。
中間ケース体710は、背面側に配設される背面ケース体720との間で歯車群およびラック・ピニオン機構を回転可能およびスライド変位可能に保持すると共に、正面側に配設される正面ケース体730との間でリンク部材770の基端をスライド変位可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部711と、その本体部711の開口形成される挿通溝712と、本体部711の上縁から上方へ張り出す張出部713とを主に備える。
挿通溝712は、中間ケース体710(本体部711)の正面側に配設される一対のリンク部材770の挿通軸772をそれぞれ挿通させ、それら挿通させた一対のリンク部材770の挿通軸772を本体部711の背面側において一対のラック762の挿通孔762cにそれぞれ挿通させるための溝状の開口であり、本体部711の長手方向に沿って直線状に延設される。なお、挿通溝712は、その溝幅がリンク部材770の挿通軸772の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定される。
張出部713は、リンク部材770の背面に当接してそのリンク部材770の前後方向(例えば、図56紙面垂直方向)への揺れを抑制するための部位であり、本体部711の長手方向中央において上方へ張り出され、張り出し先端から本体部711の上縁へ向けて末広がりとなる(幅が広くなる)正面視略三角形状に形成されると共に、その正面713aが本体部711の正面711aと面一(段差を有さず滑らかに連接され且つ互いに平行)となるように形成される。
よって、後述するように、リンク部材770が起立状態へ向けて回転(変位)される際には、張出部713の正面713aがリンク部材770の背面に当接することで(図47及び図56参照)、また、リンク部材770が起立状態とされた際には、張出部713の正面713aとケース体730の柱部732との間でリンク部材770を挟み込むことができる(図47参照)。これにより、リンク部材770の姿勢が特に不安定となりやすい起立状態およびその近傍において、リンク部材770に当接できるので、かかるリンク部材770の前後方向への揺れを効果的に抑制できる。
なお、張出部713の縁部は、正面視において円弧状に湾曲して形成される。よって、リンク部材770の起立されるに従って(即ち、その姿勢が不安定となりやすくなるに従って)、リンク部材770の背面に当接可能な張出部713の正面713aの面積を拡大することができ、リンク部材770の前後方向への揺れを効果的に抑制できる一方で、張出部713が正面から視認される面積をより小さくして、外観が損なわれることを抑制することができる。
また、張出部713は、その張り出し方向先端(図48及び図49上側)に形成される頭部713bが正面(前方)へ突出されており、この頭部713bが後述する正面ケース体730の柱部732の頂部に連結される。よって、後述するように、一対のリンク部材770が直立に起立されると、それら一対のリンク部材770の対向間に張出部713の頭部713bが介設される。
背面ケース体720は、中間ケース体710との間で歯車群およびラック・ピニオン機構を回転可能およびスライド可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部721と、その本体部721に開口形成される挿通溝722と、その挿通溝722に平行に並設される先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724と、歯車群(第2歯車752〜第6歯車756)及びピニオンギヤ761をそれぞれ回転可能に軸支する複数の軸725とを主に備える。
挿通溝722は、ラック762の背面から突出されるリンク部材770の挿通軸772(即ち、中間ケース体710の挿通溝712を介してラック762の挿通孔762cに挿通された挿通軸772)をそれぞれ受け入れるための溝状の開口であり、本体部721の長手方向に沿って直線状に延設される。即ち、挿通溝722は、組み立て状態において、中間ケース体710の挿通溝712と正面視において重なる位置に形成される。なお、挿通溝722は、その溝幅がリンク部材770の挿通軸772の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定される。
先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724は、ラック762の先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bをそれぞれ挿通させ、その移動方向を規制するための溝状の開口であり、挿通溝722との間に所定間隔を隔てつつその挿通溝722と平行に並設される。なお、先端ガイド溝723は、その溝幅が後端ガイド溝724の溝幅よりも小さな寸法に設定され、かかる先端ガイド溝723にはラック762の後端ガイド軸762bが挿通不能に形成される。これにより、背面ケース体720へラック762を組み付ける際の組み付け不良を抑制でき、ひいては、組み付け作業の作業性の向上を図ることができる。
正面ケース体730は、中間ケース体710との間で一対のリンク部材770をスライド変位可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部731と、その本体部731の正面に配設されると共に鉛直方向に沿って延設される柱状の柱部732とを主に備える。
本体部731は、その背面731aが、中間ケース体710における本体部711の正面711a及び張出部713の正面713aと平行な平坦面として形成され、後述するように、リンク部材770が傾倒状態と起立状態との間で回転(変位)される際には、かかるリンク部材770の正面および背面に対し、本体部731の背面731aと本体部711の正面711a及び張出部713の正面713aとを当接させる。これにより、リンク部材770の前後方向(例えば、図54の紙面垂直方向)への揺れを効果的に抑制しつつ、かかるリンク部材770を傾倒状態および起立状態の間で回転(変位)させることができる。
柱部732は、案内棒733を内部に保持すると共に中間ケース体710の張出部713との間でリンク部材770を挟み込むための部位であり、正面(図48紙面左手前側)が開放された箱状に形成される。案内棒733は、昇降ベース体780の昇降を案内するための部材であり、金属材料から断面円形の棒状体として形成され、その軸心を鉛直方向に沿わせた姿勢で柱部732の内部に保持される。なお、このように、柱部732を正面が開放された箱状に形成し、その柱部732の内部に案内棒733を収納することで、デッドスペースを利用して案内棒733を配置することが可能となり、円環動作ユニット700全体としての小型化を図ることができる。
案内棒733は、後述するように、昇降ベース体780の被案内部784に挿通されることで、かかる被案内部784を介して、昇降ベース体780の移動方向を鉛直方向(案内棒733の軸心方向)に案内する。この場合、案内棒733は、ラック762の歯面よりも前方(正面側)であって、昇降ベース体780(本体部781)よりも後方(背面側)に配置されるため、後述するように、ラック762に対して昇降ベース体780を正面側にオフセット配置することによる効果の発揮と、昇降ベース体780のスムーズな昇降動作の確保との両立を図ることができる。
駆動モータ740は、中間ケース体710の正面側に配設され、その駆動軸を中間ケース体710(本体部711)の背面側に突出させる。この駆動モータ740の駆動軸には、第1歯車751が固着され、その第1歯車751には、背面ケース体720の複数の軸725にそれぞれ軸支された第2歯車752〜第6歯車756がそれぞれ順に歯合されると共に、第6歯車756には、背面ケース体720の軸725に軸支されたピニオンギヤ761が歯合される。
ラック・ピニオン機構は、上述したように、ピニオンギヤ761と、一対のラック762とからなり、ピニオンギヤ761が背面ケース体720の軸725に回転可能に軸支されると共に、そのピニオンギヤ761を挟んで一対のラック762が互いの歯面を向かい合わせた姿勢で対向配置される。
なお、ラック762には、その長手方向一端および他端に先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bがそれぞれ突設されると共に、後端ガイド軸762bの側方に挿通孔762cが貫通形成される。先端ガイド片762aは、直方体形状の突起として、後端ガイド軸762bは、断面円形の軸体として、それぞれ形成される。これら先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bが、上述したように、背面ケース体720の先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724に挿通されることで、ラック762のスライド変位(直線運動)の方向が両ガイド溝723,724の延設方向に規制される。
一対のリンク部材770は、ラック・ピニオン機構を介して伝達される駆動モータ740の駆動力を昇降ベース体780及び円環形成部材790に伝達するリンク機構を構成するための部材であり、長手方向一側(基端)がラック762に連結されると共に長手方向他側(先端)が昇降ベース体780及び円環形成部材790に連結される。ここで、リンク部材770の詳細構成について、図50を参照して説明する。
図50(a)は、リンク部材770の正面斜視図であり、図50(b)は、リンク部材770の背面斜視図であり、図50(c)は、図50(a)の部分Lcにおけるリンク部材770の部分拡大正面斜視図であり、図50(d)は、図50(a)の矢印Ld方向視におけるリンク部材770の側面図である。
リンク部材770は、長尺板状の本体部771と、その本体部771の長手方向一側(基端)において本体部771の背面から突設される挿通軸772と、その挿通軸772とは反対側となる本体部771の長手方向他側(先端)において本体部771の正面から突設される突設壁部773と、その突設壁部773の突設先端に配設される歯車部774とを備える。
挿通軸772は、上述したように、中間ケース体710の挿通軸712を介して、ラック762の挿通孔762cに挿通される断面円形の軸体である。突設壁部773は、歯車部774の配設位置を本体部771の正面(前方)側へオフセットさせるための部位であり、本体部771の正面から突設高さhで突設される。歯車部774は、中央に貫通形成される軸支孔774aと、その軸支孔774を中心として外周に刻設される複数の歯774bとを備え、軸支孔774aに昇降ベース体780の軸782が挿通(軸支)されると共に、歯774bを介して、円環形成部材790の歯車部792(歯792b)に歯合される。
本実施形態では、歯車部774(歯774b)は、その歯すじの方向が軸方向に平行な平歯車として形成されると共に、歯車部774の歯774bが突設壁部774の壁面全体に延長して刻設される。よって、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより、その歯車部774が、歯合対象である円環形成部材790の歯車部792に対して相対変位された場合でも(図48及び図49参照)、突設壁部774の壁面に延長して刻設されている歯774bを、円環形成部材790の歯車部792(歯792b)に歯合させることができ、その分、これら歯車部774と歯車部792との歯合が外れることを抑制できる。また、上述したたわみやねじれによる相対変位が発生し、歯車部774,792が軸方向に相対変位される場合であっても、突設壁部774の壁面に延長して刻設されている歯774bの分、歯車部774(歯774b)と歯車部792(歯792b)との間の歯合面積を確保できるので、これら各歯774b,772bの偏磨耗を抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。
ここで、例えば、歯車部774の外周面(径方向外方)に本体部771が連結される形状であれば、歯車部774の軸方向端面に座面の面積を確保しやすい。しかしながら、本実施形態では、歯車部774の背面(軸方向端面)に突設壁部773を連結する構造であるため、その突設壁部773の分、歯車部774の軸方向端面に確保可能な座面の面積が減少される。
この場合、突設壁部773は、歯車部774の歯774bが延長して刻設される壁面とは反対側の壁面(軸支孔774aの軸心側の壁面)が、軸支孔774の軸心を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されるので、突設壁部773が歯車部774の背面(軸方向端面)に連結される場合であっても、歯車部774の軸方向端面に座面の面積を確保でき、その分、歯車部774の軸方向端面に配設されるカラーC(図49参照)を大径化することができる。更に、リンク部材770(本体部771、突設壁部773及び歯車部774)を樹脂材料から一体に成形する場合には、突設壁部773において、歯774bが形成される壁面と反対側の壁面を凹曲面として形成することで、突設壁部773だけでなく、本体部771及び歯車部774を含めた全体としての肉厚を均一化でき、その成形性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、突設壁部773には、その全面(すなわち、本体部771の正面との連接部分まで)にわたって歯774bが刻設されるので、歯774bが形成される領域を十分に確保して、円環形成部材790の歯車部792(図48及び図49参照)との歯合が外れることをより確実に抑制できる。また、上述したように、リンク部材770(本体部771、突設壁部773及び歯車部774)を樹脂材料から一体に成形する場合には、突設壁部773の途中までしか歯774bが延長されない場合と被各して、突設壁部773における肉厚をその全体にわたって均一化して、その成形性の一層の向上を図ることができる。
なお、リンク部材770は、上述したように、本体部771の正面から突設壁部773が突設高さhで突設され、その突設壁部773の突設先端に歯車部774が配設れるので、その突設壁部773の突設高さhの分だけ、本体部771から歯車部774を離間させることができる。即ち、組み立て状態において、昇降ベース体780の配設位置を、突設壁部773の突設高さhの分だけ、ラック762から正面(前方)へ離間(オフセット)させることができる(図55及び図57参照)。かかるオフセットによる作用については後述する。
図48及び図49に戻って説明する。昇降ベース体780は、リンク部材770を介して伝達される駆動モータ740の駆動力により退避位置および結合位置の間を上下に昇降される部材であり、本体部780と、その本体部780の背面から突設されリンク部材770の歯車部774(軸支孔774a)を軸支する一対の軸782と、それら一対の軸782の下方に並設され円環形成部材790の歯車部792(軸支孔792a)を軸支する一対の軸783と、それら一対の軸783の下方において本体部781の背面に配設されると共に正面ケース体730の柱部732(案内棒733)によって鉛直方向に案内される被案内部784と、本体部781の背面に配設されるカバー体785とを主に備える。
被案内部784には、案内棒733が挿通可能な挿通孔が複数形成され、その挿通孔に案内棒733が挿通されることで、昇降ベース体780の移動方向が案内棒733の軸心方向に沿う方向のみに規制される。
カバー体785は、リンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792の軸方向端面に対面して配設される部材であり(図51参照)、正面視略台形状の頭部785aと、その頭部の下縁から下方に帯状に延設されると共に頭部785aよりも細幅とされる延設部785bとを備え、これらが金属製の薄板から一体に形成される。後述するように、歯車部774,792に相対変位が発生する場合には、その歯車部774,792の軸方向端面にカバー体785(頭部785a及び延設部785b)が当接されることで、その相対変位を抑制して、歯車部774どうしの歯合状態および歯車774どうしの歯合状態を適正に保つことができる。
なお、リンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792は、それら各歯車部774,792の軸支孔774a,792aに軸782,783をそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された軸782,783の先端に軸支孔774a,792aよりも大径のカラーCを介設しつつ締結ねじを締結固定することで、軸782,783に回転可能に軸支された状態で保持される。
一対の円環形成部材790は、リンク部材770を介して伝達される駆動モータ740の駆動力により回転駆動されると共に結合位置において円環形状を形成するための部材であり、円環形状を略2分割した形状に形成される本体部791と、その本体部791の周方向一側(基端)に配設される歯車部792とを主に備える。歯車部792は、昇降ベース体780に軸支されると共にリンク部材770の歯車部774に歯合される部位であり、中央に貫通形成される軸支孔792aと、その軸支孔792aを中心として外周に刻設される複数の歯792bとを備える。
なお、歯車部792が配設される側とは反対側の本体部791の周方向他側(先端)には、磁石(図示せず)が埋設されており、結合位置において円環形状を形成する際には(図47参照)、円環形成部材790の先端どうしを磁石の磁力を利用して密着させることができる。その結果、一対の円環形成部材790による円環形状の形成を確実に行うことができる。
次いで、図51を参照して、リンク部材770と昇降ベース体780及び円環形成部材790との連結状態について説明する。図51は、円環動作ユニット700の部分拡大背面図である。なお、図51は、昇降ベース体780が退避位置および結合位置の間に配置された状態が図示され、後述する図54の状態に対応する。
図51に示すように、昇降ベース体780には、一対の軸782(図49参照)に一対のリンク部材770の先端(歯車部774)がそれぞれ軸支されると共に、一対の軸783(図49参照)に一対の円環形成部材790の基端(歯車部792)がそれぞれ軸支され、リンク部材770の歯車部774と円環形成部材790の歯車部792とが歯合される。
よって、後述するように、駆動モータ740の回転駆動力がラック・ピニオン機構を介して一対のリンク部材770に伝達され、かかる一対のリンク部材770が歯車部774(軸782、図49参照)を中心として昇降ベース体780に対して回転され、その回転が歯車部774,792どうしの歯合を介して円環形成部材790に伝達されることで、円環形成部材790が歯車部792(軸783、図49参照)を中心として歯車部昇降ベース体780に対して回転される。同時に、一対のリンク部材770が各ケース体710,720,730に対しては起立または傾倒されることで、昇降ベース体780が各ケース体710,720,730に対して昇降される(図52から図57参照)。
ここで、昇降ベース体780は、長尺板状に形成されるリンク部材770の先端に連結され、そのリンク部材770を介して各ケース体710,720,730に対する昇降が行われるため、昇降動作時には、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれによって、昇降ベース体780の前後方向(図51紙面垂直方向)への振動や揺れが発生しやすい。また、円環形成部材790についても、自身が長尺板状に形成されると共に、昇降ベース体780に連結される基端と反対側の先端が自由端とされるため、昇降動作時において、昇降ベース体780に対する振動や揺れを発生させやすい。特に、本実施形態では、円環形成部材790の先端に磁石が埋設されるため、その先端の重量が嵩み、その分、円環形成部材790が振動や揺れを更に発生させやすい。
このような昇降ベース体780の前後方向への振動や揺れは、リンク部材770と昇降ベース体780との間の相対変位を引き起こす。即ち、リンク部材770に一体に形成される歯車部774と円環形成部材790の歯車部792との間の相対変位を引き起こす。同様に、円環形成部材790の昇降ベース体780に対する振動や揺れは、その円環形成部材790に一体に形成される歯車部792とリンク部材770の歯車部774との間の相対変位を引き起こす。そのため、歯車部774,792の歯合状態が不安定となり、駆動力の伝達不良により円環形成部材790の回転動作および昇降ベース体780の昇降動作が適正に行われなくなるばかりか、歯車部774,792の磨耗が促進され、耐久性の低下を招く。
これに対し、本実施形態では、昇降ベース体780の背面にカバー体785を配設し、そのカバー体785をリンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792の軸方向端面に対面させて配設する。これにより、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより昇降ベース体780や円環形成部材790に振動や揺れが発生し、歯車部774,790どうしの間に相対変位が発生しようとしても、それら歯車部774,790の軸方向端面にカバー体785(頭部785a及び延設部785b)を当接させることで、歯車部774,792の間の相対変位を抑制して、その歯合状態を適正に保つことができる。その結果、駆動力の伝達不良を抑制して、円環形成部材790の回転動作および昇降ベース体780の昇降動作を適正に行うことができると共に、歯車部774,792の磨耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、図51に示すように、カバー体785の頭部785aがリンク部材770の歯車部774の上方に配置されると共に、カバー体785の延設部785bがリンク部材770の歯車部774どうしの間、及び、円環形成部材790の歯車部792どうしの間に配置される。よって、歯車部774,792の軸方向端面のうちの、軸782及び軸783(図49参照)を挟んで、リンク部材770の本体部771及び円環形成部材790の本体部791と反対側となる軸方向端面に、カバー体785の頭部785a及び延設部785bを当接させ、それら歯車部774,792の相対変位を効果的に規制できる。
例えば、リンク部材770が起立状態にある或いは起立状態に近い状態(例えば、図51に示す状態)にある場合には、リンク部材770の本体部771に対して軸782(図49参照)を挟んで反対側には、カバー部材785の頭部785aが配置されるので、リンク部材770の本体部771のたわみやねじれに伴う歯車部774の変位を、カバー体785の頭部785aにより効果的に規制できる。同様に、例えば、リンク部材770が傾倒状態(例えば、図52に示す状態)にある或いは傾倒状態に近い状態にある場合には、リンク部材770の本体部771に対して軸782(図49参照)を挟んで反対側には、カバー部材785の延設部785bが配置されるので、リンク部材770の本体部771のたわみやねじれに伴う歯車部774の変位を、カバー体785の延設部785bにより効果的に規制できる。
一方、円環形成部材790については、その回転位置(即ち、リンク部材770が起立状態にあるか傾倒状態にあるか)に関わらず、その歯車部792の左右(図51左方および右方)に円環形成部材790の本体部791が配置されるので、かかる円環形成部材790の本体部792に対して軸783(図49参照)を挟んで反対側に、カバー部材785の延設部785bを配置して、円環形成部材790の本体部791のたわみやねじれに伴う歯車部792の変位を、カバー体785の延設部785bにより効果的に規制できる。
なお、本実施形態では、一対のリンク部材770の各歯車部774は、その下方に位置する円環形成部材790の歯車部792と歯合されるだけでなく、左右に隣接する歯車部774どうしも歯合される。同様に、一対の円環形成部材790の各歯車部792は、その上方に位置するリンク部材770の各歯車部774と歯合されるだけでなく、左右に隣接する歯車部792どうしも歯合される。
これにより、一対の円環形成部材790の回転動作の同期精度の向上を図ることができる。即ち、駆動モータ740の回転駆動力は、ラック・ピニオン機構を介して、一対のリンク部材770に伝達され、更に、これら一対のリンク部材770から一対の円環形成部材790に伝達される(図48及び図49参照)。この場合、ラック・ピニオン機構の一対のラック762はピニオンギヤ761に対して互いに独立している。よって、一対のラック部材770及び一対の円環形成部材790もそれぞれお互いに独立している場合には、ピニオンギヤ761に対するラック762の位相ずれ量(例えば、バックラッシ量や寸法公差)が一対のラック762で異なり、また、ラック762に対するリンク部材770の位相ずれ量(例えば、挿通孔762cに対する挿通軸772のがたつき量)が一対のリンク部材770で異なり、更に、リンク部材770に対する円環形成部材790の位相ずれ量(例えば、軸支孔774a,792aに対する軸782,783のがたつき量、或いは、歯774bに対する歯792bのがたつき量)が一対の円環形成部材790で異なり、これらの位相ずれが積み重なることで、一対の円環形成部材790の回転動作に位相ずれが発生し、同期精度が低下される。
これに対し、本実施形態では、一対のリンク部材770の歯車部774どうしを歯合せ、かつ、一対の円環形成部材790の歯車部792どうしを歯合させるので、上述した位相ずれが駆動力の伝達経路中で発生する場合であっても、かかる位相ずれを円環形成部材790の回転動作に現出させず(即ち、駆動力の伝達経路の最下流において位相ずれを吸収でき)、その結果、円環形成部材790の回転動作における同期精度の向上を図ることができる。
次いで、図52から図57を参照して、円環動作ユニット700の動作について説明する。なお、この説明においては、図46から図51を適宜参照する。
図52は、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図53は、図52のLIII−LIII線における円環動作ユニット700の断面模式図である。図54は、一対の円環形成部材790が退避位置および結合位置の中間となる位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図55は、図54のLV−LV線における円環動作ユニット700の断面模式図である。図56は、一対の円環形成部材790が結合位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図57は、図56のLVII−LVII線における円環動作ユニット700の断面模式図である。
なお、図52から図57では、図面を簡素化して理解を容易とするために、中間ケース体510、背面ケース体520及び正面ケース体530からなる外殻構造、駆動モータ740及び歯車群(第1歯車751〜第6歯車756)からなる駆動構造、或いは、カバー体785などの図示が省略される。但し、図52、図54及び図56では、中間ケース体710の本体部711及び張出部713(正面711a,713a)における上縁の位置、及び、正面ケース体730の本体部731(背面731a)における上縁の位置を、それぞれ二点鎖線を用いて模式的に図示する。
図52及び図53に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された状態では、一対のラック762が互いに離間する方向へ展開されており、その先端側(先端ガイド片762a側)の歯面がピニオンギヤ761に歯合される。よって、一対のラック762の後端側(挿通孔762c)に基端側(挿通軸772)が軸支される一対のリンク部材770は、傾倒された状態とされ、かかる一対のリンク部材770の先端側(歯車部774)が軸支される昇降ベース体780は最下方に配置される。また、一対の円環形成部材790は、互いに離間する方向へ展開され(左右に振り分けられ)ている。
この状態(一対の円環形成部材790が退避位置に配置された状態)から駆動モータ540が駆動され、その回転駆動力が歯車群を介してピニオンギヤ761に伝達されると(図48及び図49参照)、ピニオンギヤ761が図52右回り(時計回り)に回転され、そのピニオンギヤ761の回転に伴い、一対のラック762がその展開長さを短縮する方向(後端側の挿通孔762cを互いに近接させる方向)へ直線運動される。その結果、一対のリンク部材770は、その基端側(挿通軸772)が中央へ向けて(即ち、互いに近接する方向へ向けて)変位されることで、次第に起立される。
その結果、図54及び図55に示すように、昇降ベース体780に対する一対のリンク部材770の相対的な回転が形成され、その回転が歯車部774,792を介して、一対の円環形成部材790に伝達されることで、かかる一対の円環形成部材790が昇降ベース体780に対して相対的に回転され、その一対の円環部材790の先端どうしが近接される。同時に、一対のリンク部材770の起立動作により、ラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及びラック762)に対する昇降ベース体790の相対的な変位が形成され、かかる昇降ベース790が上昇される。
このように、円環動作ユニット700では、ラック・ピニオン機構に基端を軸支させた一対のリンク部材770の先端に昇降ベース体780を軸支して、一対のリンク部材770の起立または傾倒により昇降ベース体780を昇降可能としつつ、更に、昇降ベース体780に基端が軸支された円環形成部材790の歯車部792を、リンク部材770の歯車部774に歯合させることで、昇降ベース体780に対するリンク部材770の相対的な回転により円環形成部材790を回転可能とする。
即ち、駆動モータ740の駆動力を昇降ベース体790へ伝達する手段(昇降させる手段)と、駆動モータ740の駆動力を円環形成部材790へ伝達する手段(回転させる手段)とを、それぞれ個別に設ける必要がなく、リンク部材770に兼用させることができるので、その分、部品点数を削減して、製品コストの低減を図ることができる。また、円環形成部材790の回転運動と上下方向への直線運動とを平行して行うことができ、即ち、円環が定位置で形成されるのではなく、上下方向に位置を変化させつつ円環が順に形成されるので、その演出効果を高めることができる。
一方で、本実施形態では、上述の通り、リンク部材770の歯車部774と円環形成部材790の歯車部792とを歯合させ、これら歯車774,792の歯合を介して、リンク部材770の回転を円環形成部材790に伝達するが、この場合、例えば、図54及び図55に示すように、一対のリンク部材770の起立が進行されると、重心位置が高くなることから、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより、昇降ベース体780(及び、一対の円環形成部材790)の前後方向(図54紙面垂直方向、図55左右方向)への振動や揺れが発生しやすくなる(前後方向への変位量が大きくなる)。
これらリンク部材770(本体部771)又は円環形成部材790(本体部791)のたわみやねじれ或いは前後方向への振動や揺れは、それらリンク部材770及び円環形成部材790に一体に形成された歯車部774,792に影響を与え、歯車部774,792を相対的に変位させることで、それら歯車部774792の歯合が外れるおそれがある。仮に、それら歯車部774,792の歯合が外れることを回避できたとしても、歯合状態(歯合面積)が不安定となり、歯面の一部に面圧が集中することで、歯774b,792bの偏磨耗を招き、耐久性が低下するおそれがあった。
これに対し、本実施形態では、リンク部材770には、本体部771と歯車部774とを連結する突設壁部773の壁面に歯774bが延長して刻設されているので(図50参照)、上述した歯車部774,792の相対変位が発生した場合でも、は774bの延長の分、歯車部774,792どうしの歯合を維持しやすくできる。その結果、歯合が外れることを抑制できるだけでなく、歯合状態を安定化させ、歯774b,792bの偏磨耗を抑制することができ、その耐久性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、図54及び図55に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置および結合位置の中間となる位置に配置され(具体的には、ピニオンギヤ761に対するラック762の相対可動範囲の中間位置にラックが配置され)、一対のリンク部材770の起立角度が所定の角度に達すると、歯車部774の歯774bであって、突設壁部773に刻設される歯774bに連なる歯774bが(図50参照)、円環形成部材790の歯車部792における歯792bとの歯合を開始する。
よって、図54及び図55に示す状態から後述する図56及び図57に示す状態までの範囲(即ち、リンク部材770の起立角度が大きくなるために、昇降ベース体790の前後方向への振動や揺れが発生しやすくなり、歯車774,792の歯合が最も外れやすくなる範囲)において、突設壁部773の壁面に延長して刻設した歯774bを有効に活用できる。その結果、歯車774,792の歯合が外れることの抑制あるいは歯774b,792bの耐久性の向上を効果的に達成できる。
図54及び図55に示す状態から、駆動モータ740の駆動により、ピニオンギヤ761が図52右回り(時計回り)に更に回転され、一対のラック762がその展開長さを更に短縮する方向(後端側の挿通孔762cを互いに近接させる方向)へ直線運動されると、一対のリンク部材770が略垂直に起立される。即ち、昇降ベース体780の軸782(図49参照)とリンク部材770の挿通軸782とを結ぶ方向が略垂直とされる。その結果、図56及び図57に示すように、一対の円環形成部材790が結合位置に配置され、それら一対の円環形成部材790の先端どうしが当接されることで、円環形状が形成される。
この場合、一対の円環形成部材790が結合位置に配置された状態(即ち、一対のリンク部材770が直立状態(鉛直方向に沿う姿勢)まで起立された場合)には、これら一対のリンク部材770の対向面間に、前面ケース体730の柱部732と中間ケース体710の張出部713の連結部分(本実施形態では、張出部713の頭部713b、図48及び図49参照)が介設され、その連結部分(張出部713の頭部713b)の左右の側面が一対のリンク部材770の対向面に当接されるので(図56参照)、円環形状を形成した一対の円環形成部材790及びその一対の円環形成部材790を支える昇降ベース体780の姿勢を結合位置において安定化することができる。
即ち、結合位置では、一対のリンク部材770が直立に起立された状態となり、重心が高くなることで、かかる一対のリンク部材770が挿通軸772を中心として左右(図56左右方向)に回転しやすくなると共に、その一対のリンク部材770の左右の回転を受けてラック762もその直線運動の方向(図56左右方向)へ移動されやすくなる。そのため、それらリンク部材770及びラック762の姿勢の維持が困難となり、その結果、リンク部材770の先端に配設される昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢も不安定となる。
これに対し、本実施形態によれば、一対のリンク部材770の対抗面の間に正面ケース体730(柱部732)と中間ケース体710(張出部713)との連結部分(張出部713の頭部713b)が介設されるので、かかる連結部分(頭部713b)によって、一対のリンク部材770の挿通軸772を中心とする左右方向への回転およびラック762の直線運動の方向への移動を規制することができる。これにより、一対のリンク部材770を起立状態に維持して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を結合位置において安定化できる。
また、リンク部材770は、一対が左右(図52、図54及び図56の左右方向)に略対称に向かい合わせに配置されるので、比較的下方に傾倒された状態(例えば、図52から図55までの間)においては、一対のリンク部材770が挿通軸772を中心として左右(図52及び図54の左右方向)に回転しようとする動作を、向かい合わせに配設された一対のリンク部材770どうしで互いに打ち消し合うことができ、その姿勢の維持が可能となる。
一方で、リンク部材770は、平板形状に形成されることもあり、前後方向(例えば、図54の紙面垂直方向)の変位に対しては、その姿勢の維持が困難である。この場合、本実施形態では、リンク部材770の基端側(挿通軸772側)を、中間ケース体710及び正面ケース体730との対向面で挟み込む。即ち、リンク部材770が傾倒状態と起立状態との間で回転(変位)される際には、かかるリンク部材770の基端側における正面および背面に対し、正面ケース体730(本体部731)の背面731aと中間ケース体710(本体部711)の正面711aとを当接させることができる。これにより、リンク部材770の前後方向(図54の紙面垂直方向)への揺れを効果的に抑制しつつ、かかるリンク部材770を傾倒状態および起立状態の間で安定して回転(変位)させることができる。その結果、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることができる。
特に、本実施形態では、中間ケース体710(本体部711)の幅方向中央部分には張出部713が上方へ向けて張り出し形成され(図48及び図49参照)、かかる張出部713は、図56に示すように、幅方向中央部分に近づくに従って(即ち、リンク部材770が起立されるに従って)、その正面713aの上縁の位置が高くされる(即ち、リンク部材770の背面に当接可能な面積が大きくされる)。
このように、中間ケース体710(本体部711)の正面711aの上縁の位置を全体に高くするのではなく、中央部分のみを部分的に高くすることで、上縁の位置が高くされた中間ケース体710の壁面により外観が損なわれる(或いは、第3図柄表示装置81の配設領域が縮小される)ことを抑制しつつ、リンク部材770が起立状態に近づくほど、張出部713の正面713aとリンク部材770の背面との間の当接可能な面積を広くして、リンク部材770の姿勢を維持する(前後方向への揺れを抑制する)効果を高めることができる。その結果、外観が損なわれることを抑制しつつ、リンク部材770を起立状態近傍において安定して回転(変位)させることができる。即ち、結合位置において昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して保持できると共に、結合位置の近傍において、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることができる。
なお、本実施形態では、図52に示すように、中間ケース体710の張出部713が、その正面713aを、退避位置に退避された(即ち、最下方まで傾倒された)一対のリンク部材770の背面に当接可能な形状に設定される(図46参照)。これにより、結合位置において昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して保持することと、結合位置の近傍において、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることとを目的として、その上縁の高さ位置を高くした部分(張出部713)を利用して、退避位置(最下方)に配置された昇降ベース780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して維持する効果も同時に得ることができる。
なお、図56及び図57に示す状態から、駆動モータ740が上述の場合とは逆方向に回転駆動されると、ピニオンギヤ761が図56左回り(反時計回り)に回転され、そのピニオンギヤ761の回転に伴い、一対のラック762が展開される(即ち、後端側の挿通孔762cを互いに離間させる方向へ直線運動される)。その結果、一対のリンク部材770が徐々に傾倒され、図52及び図53に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置に退避される。
ここで、円環動作部材700では、ラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及び一対のラック762)に、一対のリンク部材770を介して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が作用される。即ち、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、一対のリンク部材770を介して、一対のラック762を展開させる方向へ作用される。そのため、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790が結合位置から下降されるおそれがある。この場合、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量に対し、駆動モータ740の駆動力を対抗させることで、昇降ベース体780の下降を規制する(即ち、昇降ベース体780を結合位置に保持する)構造では、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーが嵩んでしまう。
これに対し、本実施形態では、上述したように、リンク部材770の本体部771と歯車部774との間には突設壁部773が介設され、その突設壁部773の突設高さhの分だけ、本体部711から歯車部774が前方(正面)側へオフセットされている(図50(d)参照)。よって、例えば図55及び図57に示すように、昇降ベース体780は、ラック762の歯面に平行な方向であってラック762の移動方向に直交する方向(即ち、図54及び図56の紙面手前側、図55及び図57の左側)に、リンク部材770の厚み寸法(即ち、本体部771及び歯車部774の厚み寸法と突設壁部773の突設高さhとの合計寸法)の分だけ、ラック762からオフセット(離間)される。
これにより、ラック762には、リンク部材770を介して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、上述したオフセット方向へ向けても作用される。即ち、リンク部材770からラック762に作用される力成分として、昇降ベース体780がオフセットされる方向への力成分を発生させることができ、その分、ラック762をその移動方向へ移動させる力成分を小さくすることができる。その結果、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーを抑制できる。
特に、本実施形態では、図56に示すように、結合位置においては、リンク部材770が鉛直方向に沿う姿勢で起立され、昇降ベース体780の軸782(図49参照)とリンク部材770の挿通軸772とを結ぶ方向がラック762の歯面に略直交される。よって、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、リンク部材770を介して、ラック762に作用される場合に、そのリンク部材770からラック762に作用する力成分として、ラック762を展開させる方向(即ち、起立状態にあるリンク部材770を傾倒させる方向)への力成分が発生することを抑制できる。これにより、駆動モータ740の駆動力を解除しても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持することができ、その結果、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーを抑制できる。
なお、詳細には、本実施形態では、図56に示すように、昇降ベース体780の一対の軸782間の水平方向(図56左右方向)における距離T1が、一対のリンク部材770の挿通軸772間の水平方向における距離T2よりも小さくされる(T1<T2)。これにより、一対のリンク部材770がそれぞれ鉛直方向に対し若干傾斜した姿勢(即ち、一対のリンク部材770がハの字状となる姿勢)で起立される。このように、一対のリンク部材770をハの字状となる姿勢としておくことで、かかる図56に示す状態(結合位置)から退避位置への動作を開始するために、駆動モータ740を上述の場合とは逆方向に回転駆動する際には、その回転駆動による一対のラック762の展開(即ち、一対のリンク部材770の傾倒)を容易かつ確実に開始させることができる。
特に、本実施形態では、円環形成部材790の本体部791の先端には磁石が埋設され、本体部791の先端どうしが磁着されているため、駆動モータ740の駆動力を解除しても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持しやすくできる。一方で、結合位置から退避位置への動作を開始する際には、その磁石の磁着力を解除させる必要がある。この場合、一対のリンク部材770をハの字状となる姿勢としておく(即ち、T1<T2を設定する)ことが、結合位置での結合状態の保持と、結合位置から退避位置への動作開始時の結合状態の解除との両者の確実化を両立するという点で特に有効となる。
ここで、円環形成部材790の本体部791の先端に埋設される磁石を省略しても良い。なお、この場合には、昇降ベース体780の一対の軸782間の水平方向(図56左右方向)における距離T1と、一対のリンク部材770の挿通軸772間の水平方向における距離T2とを略同一とするか(T1=T2)、或いは、前者を後者よりも大きくすることが好ましい(T2<T1)。これにより、駆動モータ740の駆動力を解除した場合であっても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持しやすくできる。
なお、本実施形態では、案内棒733が、ラック762の歯面よりも正面側(図57左側)であって、昇降ベース体780(本体部781)よりも背面側(図57右側)に配置される。また、案内棒733が挿通される昇降ベース体780の被案内部784は、昇降ベース体780(本体部781)の最下方に配置される。即ち、ラック762に対する昇降ベース体780の前方へのオフセットの方向において、リンク部材770の挿通軸772がラック762の挿通孔762cに挿通される部分と、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790からなる構造体の重心位置との間となる位置に、案内棒733が配置され、この案内棒733及び被案内部784を介して、昇降ベース体780の昇降が案内される。かかる配置により、上述したラック762に対して昇降ベース体780を正面側にオフセット配置することによる効果の発揮と、昇降ベース体780のスムーズな昇降動作の確保との両立を図ることができる。
次いで、図58から図64を参照して、揺動動作ユニット800について説明する。
なお、揺動動作ユニット800は、上述したように2本のアーム部材820を備え(図7及び図11参照)、それら両アーム部材820を動作(変位)させるための2つのユニットからなる。即ち、揺動動作ユニット800は、背面ケース210の正面視において、背面ケース210内の上方であって、開口211aを挟んで左右に配設される2つのユニットからなる。この場合、アーム部材820を動作(変位)させるための構造(技術思想)は2つのユニットにおいてそれぞれ同一であるので、以下においては、これら2つのユニットのうちの1のユニット(開口211aの左側に配設されるユニット、図7及び図11参照)を揺動動作ユニット800と称して説明する。
図58は、アーム部材820が退避位置に退避された状態における揺動動作ユニット800の正面斜視図であり、図59は、アーム部材820が張出位置に張り出された状態における揺動動作ユニット800の正面斜視図である。
図58及び図59に示すように、揺動動作ユニット800は、基端が回転可能に軸支されるアーム部材820と、そのアーム部材820に回転駆動力を付与する駆動モータ830とを備え、図58に示す退避位置と、図59に示す張出位置との間でアーム部材820を揺動動作(回転)させる。退避位置では、アーム部材820は、垂直下方へ向けて垂下された姿勢となり、複合動作ユニット400の背面側に退避されることで、遊技者から視認不能とされる一方(図6参照)、張出位置では、アーム部材820は、その先端を上方へ持ち上げて斜め下方へ向けて傾斜する姿勢となり、その先端を第3図柄表示装置81(図5参照)の正面に張り出させる。
この場合、本実施形態では、図59に示す張出位置にアーム部材820が配置されると、後述するように、アーム部材820を機械的に張出位置に保持可能とされる。そのため、アーム部材820が重力の作用(自身の重さ)により退避位置へ向けて回転しないように、駆動モータ830の駆動力を対抗させる必要がなく、その分、アーム部材820を張出位置に保持するために必要とされる駆動モータ830の消費エネルギーを抑制することができる。この詳細構成について、図60から図64を参照して説明する。
図60は、分解された揺動動作ユニット800を正面視した揺動動作ユニット800の分解正面斜視図である。また、図61(a)は、アーム部材820が退避位置に配置された状態における揺動動作ユニット800の背面図であり、図61(b)は、図61(a)の部分LXIbにおける揺動動作ユニット800の部分拡大背面図である。なお、図61(a)及び図61(b)では、取り付けベース810が取り外された状態の揺動動作ユニット800が図示される。
図60及び図61に示すように、揺動動作ユニット800は、背面ケース210(図7参照)に配設される取り付けベース810と、その取り付けベース810に基端が回転可能に軸支されるアーム部材820と、そのアーム部材820を回転駆動するための駆動力を発生する駆動モータ830と、その駆動モータ830が配設されると共に取り付けベース810の正面に配設される表ケース体840と、を主に備えて構成される。
取り付けベース810は、表ケース体840との間にアーム部材820の基端および駆動モータ830を収容するための部材であり、正面視縦長の矩形状に形成される。取り付けベース810は、その正面から突設されると共にアーム部材820を回転可能に軸支するための軸811を備える。
アーム部材820は、長尺形状に形成される本体部821と、その本体部821の基端側に溝状の開口として形成される溝部822と、その溝部822とは反対側となる本体部821の先端側の正面に覆設されると共に装飾体として形成される装飾部823と、その装飾部823及び溝部821の間となる位置において本体部821に貫通形成される軸支孔824と、を主に備えて構成される。
溝部822は、直線状に延設される第1溝822aと、その第1溝822aの一端に連接され円弧状に湾曲して延設される第2溝822bとからなり、これら両溝822a,822bから正面視L字状の溝として形成される。言い換えると、溝部822は、第1溝822aの対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹設された凹部が第2溝822bとされる。
なお、第2溝822bの円弧形状は、突設ピン833が第1溝822aの終点(第1溝822aと第2溝822bとの接続位置)に配置された状態(図63(b)参照)において、駆動モータ830の駆動軸831を中心とする円弧形状に一致される。また、第1溝822a及び第2溝822bの溝幅は、互いに同一の寸法に設定される
アーム部材820は、その軸支孔824に取り付けベース810の軸811を挿通させることで、その基端が取り付けベース810に対して回転可能に軸支される。この場合、アーム部材820には、その本体部821の正面であって、軸支孔824の近傍となる領域に、表ケース体840の当接面部841が当接される(図61(b)参照)。これにより、アーム部材820は、その基端が取り付けベース810及び表ケース体840の対向間に回転可能な状態で保持される。
駆動モータ830は、その駆動軸831に基端が固着されると共に駆動軸831から径方向外方へ延設される板状の駆動アーム832と、その駆動アーム832の先端に突設される突設ピン833とを主に備え、その突設ピン833をアーム部材820の溝部822に挿通させた状態で、表ケース体840の背面に締結ねじにより締結固定される。
突設ピン833は、上述した通り、アーム部材820の溝部822に挿通される部位であり、アーム部材820の溝部822(第1溝822a及び第2溝822b)の溝幅と同等または若干小さな外径の円柱状体として形成される。よって、駆動モータ830の駆動軸831が回転駆動される際には、突設ピン833がアーム部材820の溝部822内をその溝部822の延設方向に沿って移動され、その結果、アーム部材820が軸811を中心として回転される。
次いで、図62から図64を参照して、揺動動作ユニット800の揺動動作について説明する。なお、この説明においては、図61を適宜参照する。
図62から図64は、揺動動作ユニット800のアーム部材820を退避位置から張出位置へ動作させる過程を時系列で説明する図であり、図62(a)、図63(a)及び図64(a)は、揺動動作ユニット800の背面図であり、図62(b)、図63(b)及び図64(b)は、それぞれ図62(a)の部分LXIIb、図63(a)の部分LXIIIb及び図64(a)の部分LXIVbにおける揺動動作ユニット800の部分拡大背面図である。
なお、図62は、駆動モータ830が回転駆動され、アーム部材820が退避位置から張出位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が、図63は、アーム部材820が張出位置に到達した直後の状態が、図64は、アーム部材820が張出位置に到達し、かつ、駆動モータが更に回転駆動された状態が、それぞれ図示される。
図61(a)及び図61(b)に示すように、アーム部材820が退避位置に配置される状態では、アーム部材820は下方へ向けて垂下された姿勢とされ、突設ピン833は、溝部822の第1溝822aにおける始点(第2溝822bに接続される側と反対側の端部、図61(b)右側)に位置される。
なお、この退避位置では、アーム部材820の本体部821の側面から突設される突部821aの突設先端面が、取り付けベース810の側壁における規制面812に所定間隔を隔てて対面される。よって、外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)を受けて、アーム部材820が軸811を中心として回転される場合には、突部821aを規制面812に当接させて、アーム部材820の回転を規制することができ、かかる回転を速やかに収束させることができる。
図61(a)及び図61(b)に示す状態(アーム部材820が退避位置に配置された状態)から駆動モータ830の駆動軸831が回転駆動され、駆動アーム832が図61(b)左回り(反時計回り)に回転されると、突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点(第2溝822bに接続される側、図61(b)左側)へ向けて移動される。
これにより、図62(a)及び図62(b)に示すように、アーム部材820が軸支孔824を中心として図61(b)右回り(時計回り)に回転される。駆動モータ830の駆動軸831が更に回転駆動され、駆動アーム832が図62(b)左回り(反時計回り)に更に回転された結果、突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点に達すると、図63(a)及び図63(b)に示すように、アーム部材820が張出位置に配置される。
ここで、従来の遊技機においても、第1軸(軸811に相当)と、その第1軸を中心に回転される移動部材(アーム部材820に相当)と、その移動部材に駆動力を付与する駆動モータ(駆動モータ830に相当)とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を、第1軸を回転中心として回転させるものがある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、移動部材が上昇位置(張出位置に相当)に配置される場合、その移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。この場合、上述した従来の遊技機では、駆動モータの駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を上昇位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、本実施形態の揺動動作ユニット400によれば、アーム部材820を張出位置に機械的に保持することで、駆動モータ830の駆動力を解除可能として、アーム部材820を張出位置に保持するために要する消費エネルギーを抑制できる。
即ち、本実施形態よれば、図63(a)及び図63(b)に示す状態(突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点に達し、アーム部材820が張出位置に配置された直後の状態)において、駆動モータ830が更に回転駆動される。これにより、駆動アーム832が図62(b)左回り(反時計回り)に更に回転されることで、図64(a)及び図64(b)に示すように、突設ピン833が溝部822の第2溝822b内に移動された(受け入れられた)状態を形成する。
このように、本実施形態では、第1溝822aの終点に第2溝822bが連接されており(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹部が凹設されており)、アーム部材820が張出位置に配置された状態では、突設ピン833が第2溝822b内に移動された(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹設された凹部に突設ピン833が受け入れられた)状態が形成されるので、アーム部材820を張出位置に機械的に保持する(アーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心に回転されることを規制する)ことができる。即ち、駆動モータ830の駆動力を解除されたとしても、アーム部材820を張出位置に機械的に保持でき、その分、アーム部材820を張出位置に保持するために要する駆動モータ830の消費エネルギーを抑制できる。
更に、本実施形態では、図64(a)及び図64(b)に示す状態において、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向に対し、突設ピン833と軸支孔824(軸811)とを結ぶ方向が略直交し、かつ、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向に対し、突設ピン833が位置する部分の第2溝822bの互いに対向する内壁面が略直交するように形成される。
よって、アーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心として回転されると、第2溝822bの内壁面は、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向と一致する方向へ向けて、突設ピン833を押圧するため、アーム部材820が回転され、第2溝822bの内壁面によって突設ピン833が押圧されたとしても、駆動モータ830の駆動軸831を回転させることができない。即ち、アーム部材820を回転させることができない。
従って、駆動モータ830の駆動力が解除されている状態において、例えば、遊技者が遊技機を叩いたり揺らしたりすることで、アーム部材820が揺らされた場合でも、かかるアーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心に回転されることを規制でき、その結果、張出位置に確実に保持しておくことができる。
この場合、上述したように、第2溝822bの円弧形状は、図63(b)に示すように、突設ピン833が第1溝822aの終点(第1溝822aと第2溝822bとの接続位置)に配置された状態において、駆動モータ830の駆動軸831を中心とする円弧形状に一致される。よって、第1溝822bの終点に配置された突設ピン833を第2溝822b内へ移動させる(受け入れさせる)際には(即ち、図63に示す状態から図64に示す状態に遷移する際には)、突設ピン833の移動軌跡と第2溝822bの内壁面の形状とが一致されているので、張出位置に配置されたアーム部材820の姿勢が変動することを回避することができる。
即ち、図63に示すように、アーム部材820が張出位置に配置された後には、かかるアーム部材820の張出位置における姿勢が変動することを抑制しつつ(停止状態に維持しつつ)、突設ピン833を第2溝822b内に移動させ(受け入れさせ)、アーム部材820を張出位置に機械的に保持することができる。
ここで、溝部822は、第1溝部822aの終点から第2溝822bが軸支孔824と反対側(軸支孔824から離間する側)へ向けて延設される形状(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの軸支穴824と反対側の内壁面に凹部が凹設される形状)であっても、本実施形態の場合と同様に、アーム部材820の機械的な保持が可能である。しかしながら、この場合には、アーム部材820が張出位置に配置された後、突設ピン833を第2溝822b内へ移動させる(受け入れさせる)際に、駆動モータ830の回転方向を切り替える必要が生じ、制御が煩雑となると共に、動作の信頼性が低下する。
これに対し、本実施形態では、溝部822は、第1溝部822aの終点から第2溝822bが軸支孔824側(軸支孔824に近接する側)へ向けて延設される形状(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの軸支穴824側の内壁面に凹部が凹設される形状)であるので、駆動モータ830の回転方向を切り替えることなく、アーム部材820を退避位置から張出位置へ配置し、かつ、凹設ピン833を第2溝822b内へ移動させて(受け入れさせて)、アーム部材820を張出位置において機械的に保持する動作を行うことができる。その結果、制御を簡素化できると共に、動作の信頼性を向上させることができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の位置決め孔451e,462eが貫通孔として本体部451a,462aに貫通形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の位置決め孔451e,462eを有底の凹部としても良い。有底の凹部とした場合でも、上記実施形態の場合と同様の方法により、その凹部に冶具を挿入することで、その取り付け位置などの位置決めすることができる一方、貫通孔として形成する場合と比較して、開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の剛性を確保できるので、その耐久性の向上を図ることができる。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の長さを異ならせることで、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高める場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の長さを同一として、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉とすることは当然可能である。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、第1ピニオン脚部材482のギヤ部482c及びラック部481bの間のギヤ比と、第2ピニオン脚部材483のギヤ部483c及びラック部481bの間のギヤ比とが同一である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482のギヤ部482c及びラック部481bの間のギヤ比と、第2ピニオン脚部材483のギヤ部483c及びラック部481bの間のギヤ比とを異なるギヤ比としても良い。これにより、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高めることができる。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の両者がラック部481bと歯合される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482又は第2ピニオン脚部材483のいずれか一方のみをラック部481bと歯合させ、他方についてはラック部481bに歯合させず裏アーム体471及び表アーム体472に回転可能に軸支するのみとしても良い。これにより、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高めることができる。
上記実施形態では、複合動作ユニット400において、動作部材491,492の開閉動作および回転動作として、回転第1歯車461及び開閉第1歯車451を回転角度θ0から回転角度θ4まで連続して回転させる動作を一単位として説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、回転角度θ0〜θ4の範囲内で動作の単位を区切ることは当然可能である。
上記実施形態では、第1結合動作ユニット500において、A層ベース板531の背面に挿通軸531cが3本を一列として二列並設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各列の挿通軸531cの本数は、2本以下であっても良く、或いは、4本以上であっても良い。
上記実施形態では、第1結合動作ユニット500において、A層ベース板531の背面に上下に並ぶ3本の挿通軸531cのうちの中央の挿通軸531cに第1リンク部材541及び第2リンク部材542を連結する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上下に並ぶ3本の挿通軸531cのうちの上側の挿通軸531c又は下側の挿通軸531cに第1リンク部材541及び第2リンク部材542を連結しても良い。
上記実施形態では、第1結合動作ユニット500において、第1リンク部材541の軸支孔541a及び摺動孔541cに挿通される支持軸527及び挿通軸531cに対しては抜け止めとして止め輪Eを装着または締結ねじを締結する一方、連結孔541bに挿通される連結軸526に対しは、抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が省略される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら3ヶ所のうちの少なくとも1ヶ所において抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が施されていれば良い。
<本実施形態における制御処理の詳細説明について>
ここで、図4を参照して、詳細に本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、図10を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図79照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図87参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、特別図柄の保留球を記憶するための4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)からなる特別図柄保留球格納エリア203aが設けられており、特別図柄保留球実行エリアが設けられている。特別図柄保留球格納エリア203aの各エリアには、第1入賞口64または第2入賞口640への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2の各値がそれぞれ格納される。
また、RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる普通図柄保留球格納エリア203bが設けられており、これらの各エリアには、球が左右何れかのスルーゲート67を通過したタイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜299)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜299の値を取り得るカウンタの場合は299)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜299の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜299の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図79参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図87参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される特別図柄大当たり乱数テーブル(図68(a)参照)によって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄大当たり乱数テーブルによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。また、この特別図柄大当たり乱数テーブルは、特別図柄の低確率時(特別図柄の低確率状態である期間)用と、その低確率時より特別図柄の大当たりとなる確率の高い高確率時(特別図柄の高確率状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、大当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、特別図柄の低確率時と特別図柄の高確率時とで、大当たりとなる確率が変更される。尚、特別図柄の高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図68(a)参照)と、特別図柄の低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブル(図68(a)参照)とは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。
ここで、特別図柄保留球格納エリア203aに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数でなければ、即ち、特別図柄の外れとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の外れ時のものとなる。
一方で、特別図柄保留球格納エリア203aに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の大当たりとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の大当たり時のものとなる。この場合、その大当たり時の具体的な表示態様は、同じ特別図柄保留球格納エリア203aに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値が示す表示態様となる。
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり乱数カウンタC1は、0〜299の範囲の2バイトのループカウンタとして構成されている。この第1当たり乱数カウンタC1において、特別図柄の低確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は3個あり、その乱数値である「7」は、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が300ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が3なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/300」となる。
一方で、特別図柄の高確率時に、特別図柄の大当たりとなる乱数値は10個あり、その値である「0〜9」は、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている。このように特別図柄の高確率時には、乱数値の総数が300ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が10なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/30」となる。
また、本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されている。そして、大当たり種別選択テーブル202b(図68(b)参照)に設定される、この第1当たり種別カウンタC2において、乱数値が「0〜59」であった場合の大当たり種別は、「大当たりA(16R確変大当たり)」となる。また、値が「60〜99」であった場合の大当たり種別は、「大当たりB(16R通常大当たり)」となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、第1当たり種別カウンタC2が示す乱数の値によって、2種類の当たり種別(大当たりA、大当たりB)が決定されるように構成されている。尚、第1当たり種別カウンタC2の値(乱数値)から、特別図柄の大当たり種別を決定するための乱数値は、特別図柄大当たり種別テーブル202b(図68(b)参照)により設定されており、このテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆる短時間外れ、長時間外れ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図87参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターン選択テーブル202d(図69(a)〜(b)参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
次に、図69を参照して、主制御装置110のROM202内に設けられている変動パターン選択テーブル202dについて説明する。変動パターン選択テーブル202dは、大当たり用変動パターン選択テーブル202d(図69(a)参照)と外れ用変動パターン選択テーブル202d(図69(b)参照)とを少なくとも有している。なお、本実施形態では、省略したが、時短用、確変用の各遊技状態における専用の変動パターン選択テーブルを設定して、遊技状態によって切り替えるように設定してもよい。
図69(a)に示すように、変動開始する特別図柄1の当否判定結果、変動開始時の特別図柄1の保留球数に対応して、それぞれ、変動種別カウンタCS1の値に基づいて、各変動パターンを選択する構成となっている。ここで、決定される変動パターンは、変動パターンの大まかな種別、変動時間が決定される事となる。「大当たりA」、「大当たりB」共通の当否判定結果が大当たりの場合に選択される変動パターンとして、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」各種が規定されている。各変動パターンに対して、変動種別カウンタCS1の値が割り付けられており、当否判定結果が当たりであれば、取得している変動種別カウンタCS1の値に基づいて、変動パターンが決定される。なお、当否判定結果が当たりである場合には、保留個数の値に関わらず、変動種別カウンタCS1の値に基づいて、変動パターンが選択される。ここで、当否判定結果が当たりである場合には、「ノーマルリーチ」よりも、「スーパーリーチ」となる変動パターンの方が選択され易く設定されている。よって、当否判定結果が当たりである場合には、「スーパーリーチ」の変動パターンが実行されて大当たりとなる頻度が増え、遊技者は、「スーパーリーチ」の変動パターンが選択されると大当たりへの期待を持ちやすい。
なお、「ノーマルリーチ」の大当たりの変動パターンであるノーマルリーチ大当たり変動パターンAは、左図柄列Z1と右図柄列Z3とで同じ図柄で停止表示されるリーチ表示態様を経て、中図柄列Z2が所定時間変動表示した後に、リーチ表示態様の主図柄と同じ図柄で停止表示される変動表示態様である。「ノーマルリーチ」の大当たりの変動パターンは、後述する「スーパーリーチ」の大当たりとなる変動パターンと比較して、比較的に短い変動時間で構成されている。
「スーパーリーチ」の大当たりの変動パターンであるスーパーリーチ大当たり変動パターンA〜Cは、ノーマルリーチ大当たり変動パターンAと同様に、リーチ表示態様で表示され、その後に、キャラクタ等が表示されて、リーチ表示態様で表示されている図柄と同じ図柄で中図柄列Z2が停止表示されるか否の演出が実行される。「スーパーリーチ」の変動パターンは、「ノーマルリーチ」の変動パターンよりも比較的に長い変動時間で構成されている。
次に、図69(b)を参照して、外れ用の変動パターン選択テーブル202dである外れ用変動パターンテーブルについて説明する。特別図柄の当否判定結果が外れである場合に選択される変動パターンとしては、外れ用の変動パターンとして、「短時間外れ(短時間用)」、「長時間外れ(短時間用)」、「ノーマルリーチ外れ」、「スーパーリーチ外れ」が規定されている。「短時間外れ」の変動パターンである短時間外れ変動パターンは、他の変動パターンよりも短い変動時間(800ms)で構成され、リーチ表示態様で表示されることなく、所定時間の間、主図柄が変動表示された後に、左図柄列Z1、右図柄列Z3、中図柄列Z2の順で主図柄が停止表示される表示態様が実行される。「長時間外れ」の変動パターンである長時間外れ変動パターンは、短時間外れ変動パターンよりも長い変動時間(12000ms)で構成されている。「ノーマルリーチ外れ」の変動パターンであるノーマルリーチ外れ変動パターンは、ノーマルリーチ大当たり変動パターンの対して中図柄列Z2がリーチ表示態様の図柄とは異なる図柄で最終的に停止表示されることで異なる表示態様で構成された抽選結果が外れである事を示す表示態様である。このノーマルリーチ外れ変動パターンは、当否判定結果が外れである場合には、後述するスーパーリーチ外れ変動パターンよりも選択され易く構成されている。また、「スーパーリーチ外れ」であるスーパーリーチ外れ変動パターンは、スーパーリーチ大当たり変動パターン各種に対して、最終的に外れを示す表示態様で表示される点で異なる表示態様である。
特別図柄の当否判定結果が外れである場合には、変動開始時の特別図柄の保留個数が0〜2個である場合と3個〜4個である場合とで、選択される変動パターンの割合が異なるように変動種別カウンタCS1が各変動パターンにそれぞれ割り付けされている。
保留個数が0個〜2個である場合には、「短時間外れ」の変動パターンには、変動種別カウンタCS1の値が割り付けられておらず、選択されない構成となっている。これにより、保留個数が0〜2個である時には、選択される変動パターンの変動時間が比較的長くなり、その間に第1始動口64a、第2入賞口640に遊技球を入球させやすくして、特別図柄の変動が停止した期間(遊技の抽選が実行されない期間)が発生してしまうのを抑制できる。
また、保留個数が3個〜4個である場合には、「短時間外れ」の変動パターンが選択される割合が多く設定されている。これにより、保留個数が3個〜4個と上限個数に近い場合には、短い変動パターンが選ばれやすく構成することで、第1入賞口64または第2入賞口640に入球しても、保留個数以上の無効球となってしまう不具合を抑制することができる。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜239の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり239)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかのスルーゲート67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)によって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、普通当たり乱数テーブル202cによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄の当たりと判定する。また、この普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)は、普通図柄の低確率時(普通図柄の通常状態である期間)用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時(普通図柄の時短状態である期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。さらに、普通図柄の当たりの種別は、通常当たりと長時間当たりとが設定されており、それぞれ第2当たり乱数カウンタC4の値が設定されている。
ここで、普通図柄の通常当たりは、通常遊技状態(低確率遊技状態)、大当たり遊技状態では、0.2秒の開放時間で電動役物640aが開放状態に作動される動作が、1回実行される当たりである。また、時短中、確変期間においては、1秒間の開放時間で電動役物640aが開放状態に作動される動作が、2回繰り返される当たりである。一方、長時間当たりは、遊技状態に関わらず、1秒間の開放時間で電動役物640aが開放状態に作動される動作が、2回繰り返される当たりである。
なお、本実施形態では、通常当たりにおける時短中、確変期間で実行される電動役物640aの開放動作と長時間当たりにおける開放動作とを同じに設定したが、それに限らず、長時間当たりを別の開放動作としてもよい。具体的には、例えば3秒間の間、開放状態となる動作を1回行うようにしてもよい。このように構成することで、長時間当たり時に、より第2入賞口640へ球を入球させることができ、通常遊技中に、特別図柄2での変動表示を実行させ易くすることができ、新鮮味のある予告表示等が表示される特別図柄2の変動表示により遊技者に遊技演出の変化を楽しませることができる。
なお、本実施形態では、図68(c)に示すように、普通図柄の低確率時において、取得した第2当たり乱数カウンタC4の値が5から20のいずれかであれば、普通図柄の通常当たりであると判別される。一方、普通図柄の高確率時において、取得した第2当たり乱数カウンタC4の値が5から204のいずれかであれば、普通図柄の通常当たりであると判別される。
このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。よって、低確率時には、電動役物640aが動作される頻度を低くして、第2入賞口640へ入球する頻度を少なくすることができる。従って、第1始動口64aに入球させることが中心となり、遊技者の遊技球の消費を多くして、遊技店側の利益を増大させることができる。一方、高確率となる時短中と確変期間では、電動役物640aが動作する機会を「1/1.2」の確率で与えることができ、第2入賞口640への入球機会を増大させることができる。よって、遊技者の遊技球の消費を抑制して、遊技者に有利な遊技状態を設定することができる。従って、遊技者が、高確率での遊技を目指して遊技をすることができ、より多くの時間遊技を行わせることができる。
パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、球がスルーゲート67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が30秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜20」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示される。その後、第2入賞口640が「0.2秒間×1回」だけ開放される。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の低確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第1始動口64aが「0.2秒間×1回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「0.5秒間×2回」開放しても良い。
一方で、普通図柄の高確率時に、普通図柄の大当たりとなる乱数値は200個あり、その範囲は「5〜204」となっている。これらの乱数値は、高確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図11(a)参照)に格納されている。このように特別図柄の低確率時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が200なので、特別図柄の大当たりとなる確率は、「1/1.2」となる。
パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、球がスルーゲート67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置83において普通図柄の変動表示が3秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜204」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、第2入賞口640が「1秒間×2回」開放される。このように、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第2入賞口640の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1始動口64aへ球が入球し易い状態となる。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の高確率時である場合に、普通図柄の当たりとなったら第2入賞口640が「1秒間×2回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「3秒間×3回」開放しても良い。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜239)、タイマ割込処理(図79参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図87参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
図4に戻り、説明を続ける。RAM203は、図66に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図87参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図88参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図85参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、図67(b)に示すように、特別図柄保留球格納エリア203aと、普通図柄保留球格納エリア203bと、特別図柄保留球数カウンタ203cと、普通図柄保留球数カウンタ203dと、時短中カウンタ203eと、確変フラグ203fと、その他メモリエリア203zとを有している。
特別図柄保留球格納エリア203aは、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
より具体的には、球が第1入賞口64または第2入賞口640へ入賞(始動入賞)したタイミングで、各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、保留第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、特別図柄の抽選が行われる場合には、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリアに記憶されている各カウンタC1〜C3の各値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶された各カウンタC1〜C3の各値に基づいて、特別図柄の抽選などの判定が行われる。
尚、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となる。そこで、他の保留エリア(保留第2エリア〜保留第4エリア)に記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリア(保留第1エリア〜保留第3エリア)に詰めるシフト処理が行われる。本実施形態では、特別図柄保留球格納エリア203aにおいて、入賞のデータが記憶されている保留エリア(第2保留エリア〜第4保留エリア)についてのみデータのシフトが行われる。
普通図柄保留球格納エリア203bは、特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有している。これらの各エリアには、第2当たり乱数カウンタC4が格納される。
より具体的には、球が左右何れかのスルーゲート67を通過したタイミングで、カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、入賞した順序が保持されつつ、入賞に対応するデータが格納される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリアに記憶されているカウンタC4の値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶されたカウンタC4の値に基づいて、普通図柄の当たりの抽選などの判定が行われる。
尚、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となるので、特別図柄保留球格納エリア203aの場合と同様に、他の保留エリアに記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリアに詰めるシフト処理が行われる。また、データのシフトも、入賞のデータが記憶されている保留エリアについてのみ行われる。
特別図柄保留球数カウンタ203cは、第1入賞口64または第2入賞口640への入球(始動入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる特別図柄(第1図柄)の変動表示(第3図柄表示装置81で行われる変動表示)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この特別図柄保留球数カウンタ203cは、初期値がゼロに設定されており、第1入賞口64または第2入賞口640へ球が入球して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図82のS404参照)。一方、特別図柄保留球数カウンタ203cは、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図82のS205参照)。
この特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)は、保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図80のS206、図82のS405参照)。保留球数コマンドは、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が変更される度に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が変更される度に、主制御装置110より送信される保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
尚、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドに基づいて保留球数を管理し、保留球数が変化する度に表示制御装置114に対して、保留球数を通知するための表示用保留球数コマンドを送信する。表示制御装置114は、この表示用保留球数コマンドによって通知された保留球数を基に、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に保留球数図柄を表示する。
普通図柄保留球数カウンタ203dは、スルーゲート67における球の通過に基づいて第2図柄表示装置83で行われる普通図柄(第2図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203dは、初期値がゼロに設定されており、球がスルーゲート67を通過して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図84のS704参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dは、新たに普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される毎に、1減算される(図83のS605参照)。
球が左右何れかのスルーゲート67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)が4未満であれば、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、普通図柄保留球格納エリア203bに記憶される(図84のS705)。一方、球が左右何れかのスルーゲート67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203dの値が4であれば、普通図柄保留球格納エリア203bには新たに何も記憶されない(図84のS703:No)。
時短中カウンタ203eは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203eの値が0であれば、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。この時短中カウンタ203eは、初期値がゼロに設定されており、主制御装置110において特別図柄の抽選が行われ、特別図柄の大当たりと判定される度に、その大当たり種別に応じた値が設定される。即ち、特別図柄の大当たりになった場合には、時短中カウンタ203eの値が幾つであるかに関わらず、大当たり種別に応じた値が新たに設定される。
具体的には、大当たり種別が「大当たりB」であると判定されると、時短中カウンタ203eは100に設定される(図80のS214参照)。その後、時短中カウンタ203eの値が0になるまで、特別図柄の変動演出が終了する毎に1が減算される(図80のS217)。
普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、時短中カウンタ203eの値が参照され、その値が1以上であれば、高確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)に基づいて、普通図柄の抽選が行われる一方、時短中カウンタ203eの値が0であれば、低確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)に基づいて、普通図柄の抽選が行われる(図83のS610,S611参照)。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置83、第2図柄保留ランプ84、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ208や、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図85参照)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。
音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示される背景モードを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、音声出力装置226、ランプ表示装置227を制御し、また、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110からのコマンドや、音声ランプ制御装置113に接続された各種装置等の状況に応じてエラーを判定し、そのエラーの種別を含めてエラーコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114では、受信したエラーコマンドによって示されるエラー種別(例えば、振動エラー)に応じたエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に遅滞無く表示させる制御が行われる。
音声ランプ制御装置113のROM222には、図70(a)に示すように、サブ変動パターン選択テーブル222a、通常背景選択テーブル222b、通常背景予告選択テーブル222c、強制背景予告選択テーブル222dが格納されている。また、音声ランプ制御装置113のRAM223には、図70(b)に示すように、入賞情報格納エリア223a、特別図柄保留球数カウンタ223b、普通図柄保留球数カウンタ223c、変動開始フラグ223d、停止種別選択フラグ223e、演出カウンタ223f、背景選択カウンタ223g、変動態様選択カウンタ223h、時間演出実行フラグ223j、設定時間記憶エリア223k、演出モード記憶エリア223n、通常背景モード記憶エリア223o、その他記憶エリア223zが少なくとも設けられている。
サブ変動パターン選択テーブル222aは、主制御装置110から出力される変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81で表示される特別図柄(第3図柄)の変動表示態様や、音声内容、ランプ等の点灯態様等の変動パターンを選択するためのデータテーブルである。なお、主制御装置110から出力される変動パターンでは、大まかな変動態様である、変動時間、リーチ、非リーチ等が指定されており、その内容に基づいて、音声ランプ制御装置113では詳細な内容が決定される。
図71〜図72を参照して、本実施形態におけるサブ変動パターン選択テーブル222aについて詳細を説明する。このサブ変動パターン選択テーブル222aは、後述する設定されている背景モードの種別(通常背景モードまたは強制背景モード)に対応して、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図71参照)と強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図72参照)とで少なくとも構成されている。なお、その他、時短中や確変中である場合の専用のテーブル等があるが図示とその説明は省略した。
本実施形態では、詳細については後述するが、第3図柄表示装置81に表示される背景により背景モードがそれぞれ設定される。通常背景モードは、モードA〜Dの4種類のモードが抽選により決定されて、そのモードに対応した背景画像が設定される。背景画像の種類としては、モードAとして海(通常A)、モードBとして山(通常B)、モードCとして川(通常C)、モードDとして谷(通常D)の4種類があり、それぞれ第3図柄表示装置81の背景画像として設定される。強制背景モードでは、時間演出期間において表示される背景画像が設定される。時間演出期間中には、海の中の背景画像となり、時間演出期間の残り期間が表示される。
また、本実施形態では、後述するが、選択されている背景モードによりそのモードに対応した予告演出態様が選択されるように構成されている。この予告演出態様は、第3図柄表示装置81で表示される表示態様や音声演出、ランプ等の点灯態様等が設定される。
図71に示すように、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルでは、当否判定結果に対応してそれぞれの変動パターンが変動態様選択カウンタ(図示せず)に基づいて選択されるように構成されている。なお、当否判定結果が外れである場合に選択される変動パターンである短外れと長外れとの変動パターンはそれぞれ1種類のみであるので、選択される変動態様選択カウンタに関わらず、主制御装置110から出力される変動パターンの種別に応じて短外れ、長外れの変動パターンが選択される構成となっている。
図72に示すように、強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルでは、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルと同様に当否判定結果に対応して、それぞれの変動パターンが変動態様選択カウンタの値に基づいて選択されるように構成されている。時間演出期間専用の背景が選択される点で、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルと強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブルとは選択される変動パターンの内容が異なる。なお、選択される変動パターンの変動時間や変動種別(リーチ外れ、ど外れ、リーチ当たり等)には代わりがないが、第3図柄表示装置81に表示される表示態様が異なる。強制背景専用のサブ変動パターン選択テーブルでは、時間演出期間専用の変動パターンであり、具体的には、背景画像に対応して海の中にいる演出が主に表示される。
通常背景選択テーブル222bは、通常背景モードの決定を行うためのデータテーブルである。図73は、この通常背景選択テーブル222bの内容を模式的に示した図である。通常背景選択テーブル222bは、変動パターンの選択を行う場合に、後述する背景選択カウンタ223gの値を取得して、その値と選択する変動パターンの種別(リーチ種別、短・長外れ等)に対応して設定された判定値とを照合することで、その判定値に設定されている通常背景モードを選択する構成となっている。
具体的には、図73に示すように、当否判定結果が当たりで、選択される変動パターンの種別がノーマルリーチである場合には、通常背景モードAの判定値として「0〜15」、通常背景モードBの判定値として「16〜60」、通常背景モードCの判定値として「61〜90」、通常背景モードDの判定値として「91〜100」がそれぞれ設定されている。ここで、背景選択カウンタ223gは、「0〜198」までの範囲でメイン処理において更新されるカウンタ値であるので、判定値として設定されていない背景選択カウンタ223gの値を取得している場合には、通常背景モードの変更は実行されないこととなる。また、現在、通常背景モード記憶エリア223oに設定されている通常背景モードと同じ通常背景モードが選択された場合にも、通常背景モードの変更は実行されない。
また、通常背景選択テーブル222bでは、通常背景モードDは、当否判定が当たりの場合のみに選択されるように判定値が設定されているので、通常背景モードDが選択されて谷の背景が第3図柄表示装置81に表示されると大当たりであることを早期に判別できる。よって、遊技者は、谷の背景に切り替わって表示してくれることを期待して遊技を行うことができ、遊技に早期に飽きてしまうのを抑制できる。
さらに、通常背景選択テーブル222bでは、当否判定結果が当たりであると、外れである場合よりも通常背景モードAが選択され難く設定されており、逆に、通常背景モードB〜Cは、外れである場合よりも当たりである場合の方が選択され易く設定されている。これにより、遊技者は、特別図柄の変動開始時に第3図柄表示装置81の背景画像が通常背景モードB〜Cのいずれかの背景モードに切り替わった場合には、大当たりになるのではと期待することができる。特に、通常背景モードCは、通常背景モードBよりも当否判定結果が大当たりである場合に外れの場合よりも選択され易く設定されているので、通常背景モードDに対応する背景画像が表示されるとさらに大当たりへの期待を遊技者に抱かせることができる。
また、例え、通常背景モードB、Cに対応する背景画像に切り替わって、その特別図柄の変動が外れであったとしても、通常背景モードAに対応する背景画像に切り替わらない限り、大当たりへの期待を継続して遊技者に抱かせることができる。また、例え、通常背景モードAに対応する背景画像が表示された場合にも、当否判定が大当たりであるときに選択されるようにも設定されているので、大当たりへの期待を全く持てず遊技者を失望させてしまうことを抑制できる。
通常背景予告選択テーブル222c(図74(a)参照)は、選択されている通常背景モードに対応した予告表示態様(予告内容)を選択するための選択テーブルである、予告表示態様としては、第3図柄表示装置81に特別図柄が変動されている間に、その変動中の特別図柄の当否判定結果を遊技者に示唆するためのキャラクタ画像や文字等が表示される。また、通常背景予告選択テーブル222cで選択される予告表示態様は、選択されている通常背景モードに対応してそれぞれ専用の予告表示態様が設定されている。
具体的には、通常背景モードAが選択されている場合に選択される通常A専用予告1〜3では、海の生物(例えば、カニ、イルカ等)が選択され、通常B専用予告1〜3では、山の生物(例えば、狸、熊等)が選択され、通常C専用予告1〜3では、川の生物(例えば、メダカ、アメンボ等)が選択され、通常D専用予告1〜3では、谷の生物(例えば、鶴、鷹等)が選択されるように予め設定されている。
図74(a)に示すように、通常背景予告選択テーブル222cでは、通常背景モードのそれぞれに対して、変動中の特別図柄の当否判定結果が当たり、外れに分けて、演出カウンタ223fの判定値がそれぞれの予告表示太陽に対して設定されている。なお、演出カウンタ223fは、「0〜198」の範囲でメイン処理(図87参照)が実行される毎に他のカウンタと同様に更新される(処理の図示は省略)カウンタ値であるが、通常背景予告選択テーブル222cに設定されていないカウンタ値を取得した場合には、予告表示態様が選択されない。また、当否判定結果が当たりである場合の方が外れである場合よりも、予告表示態様は各通常背景モードにおいて選択され易く設定されているので、予告表示態様が選択されることで、遊技者は変動中の特別図柄の抽選結果が当たりではないかと期待できる。よって、予告表示態様の表示を期待して遊技を行うことができる。
なお、この通常背景予告選択テーブル222cに設定されている予告表示態様は、第3図柄表示装置81に強制背景が表示されている場合にも、内部的に選択されている通常背景モードに基づいて選択される構成となっている。このように構成することで、強制背景モードが設定されている場合にも多様な予告表示態様を表示させることができる。よって、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制できる。また、後述するが、強制背景モード専用の予告表示態様も表示されるので、それぞれの予告表示態様を組み合わせて大当たりへの期待度を遊技者が予測することができる。
強制背景予告選択テーブル222d(図74(b)参照)は、強制背景モードが設定されている場合(時間演出期間が設定されている場合)に第3図柄表示装置81に表示する強制背景モード専用の予告表示態様を選択するための選択テーブルである。強制背景モード専用の予告表示態様としては、強制専用予告1〜4がそれぞれ設定されており、魚の群れや、珊瑚等の予告表示態様が設定されている。また、図74(b)に示すように、当否判定結果に対応して演出カウンタ223fの判定値がそれぞれの予告表示態様に対して設定されている。ここで、当否判定結果が当たりである場合の方が外れである場合よりも予告表示態様が選択され易いように設定されているので、遊技者は予告表示態様が選択されることにより変動中の特別図柄の当否判定結果が当たりであることを期待することができる。また、強制背景モードが設定されている場合には、上述したように、通常背景モードの予告表示態様が設定されるので、強制背景モード専用の予告表示態様が選択されなかった場合にも、通常背景モードの予告表示態様が選択されることで大当たりへの期待をより持つことができる。また、多くの種類の予告表示態様が表示され易くなるので、強制背景モードに移行することを期待して遊技を行うことができる。
次に、図70(b)に戻って、音声ランプ制御装置113のMPU221のRAMの内容について説明する。
入賞情報格納エリア223aは、1つの実行エリアと、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。本パチンコ機10では、主制御装置110において始動入賞となった場合に、その始動入賞に応じて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値から、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選が行われた場合に得られる各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が主制御装置110において予測(推定)され、その予測された各種情報が、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ入賞情報コマンドによって通知される。
音声ランプ制御装置113では、入賞情報コマンドが受信されると、その入賞情報コマンドにより通知された各種情報(当否、停止種別、変動パターン)が入賞情報として抽出されて、その入賞情報が、入賞情報格納エリア223aに記憶される。より具体的には、抽出された入賞情報が、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。
また、入賞情報格納エリア223aは、パチンコ機10が特別図柄の大当たりとなった場合にも参照される。本実施形態では、パチンコ機10が特別図柄の大当たりとなり、パチンコ機10が特別遊技状態へ移行すると、第3図柄表示装置81において大当たり演出が行われる。上述したように、大当たり演出は、オープニング演出が行われる期間と、ラウンド演出が行われる期間と、エンディング演出が行われる期間との3つの期間に分けられる。オープニング演出は、これからパチンコ機10が特別遊技状態へ移行して、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが繰り返し開放されることを遊技者に報知するための演出であり、ラウンド演出は、これから開始されるラウンド数を遊技者に報知するための演出である。また、エンディング演出は、特別遊技状態の終了を遊技者に報知すると共に、時短期間表示を行う(大当たり終了後に遊技者に付与される遊技価値(普通図柄の時短期間)を遊技者に報知する)、または、確定演出表示を行う(保留されている特別図柄の抽選において抽選結果が大当たりとなることを遊技者に報知する)ための演出である。
音声ランプ制御装置113では、主制御装置110からのエンディングコマンドを受信すると、入賞情報格納エリア223aを参照して、記憶されている入賞情報の中に、特別図柄の大当たりを示す入賞情報があるかを判定し、特別図柄の大当たりを示す入賞情報がある場合には、その入賞情報に応じた大当たり種別を取得する。
特別図柄保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、特別図柄保留球数カウンタ223bにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1入賞口64または第2入賞口640への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得して、特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する(図30のS1408参照)。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄保留球数カウンタ223bの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄保留球数カウンタ223bの値は、第3図柄表示装置81における保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄保留球数カウンタ223bに格納すると共に、格納後の特別図柄保留球数カウンタ223bの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223bの値分の保留球数図柄を第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、特別図柄保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203aと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81の小領域Ds1に表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203aの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
普通図柄保留球数カウンタ223cは、第2図柄の保留球数をカウントするためのカウンタである。主制御装置110から受信する第2図柄の保留球数コマンドに基づいて、そのコマンドが示す保留球数を記憶する。
変動開始フラグ223dは、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドを受信した場合にオンされ(図91のS1402参照)、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる(図93のS1702参照)。変動開始フラグ223cがオンになると、受信した変動パターンコマンドから抽出された変動パターンに基づいて、表示用変動パターンコマンドが設定される。
ここで設定された表示用変動パターンコマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図90参照)のコマンド出力処理(S1302)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
停止種別選択フラグ223eは、主制御装置110から送信される停止種別コマンドを受信した場合にオンされ(図91のS1405参照)、第3図柄表示装置81における停止種別の設定がなされるときにオフされる(図93のS1707参照)。停止種別選択フラグ223dがオンになると、受信した停止種別コマンドから抽出された停止種別(大当たりの場合には大当たり種別)に基づいて、停止種別をそのまま設定する。
演出カウンタ223fは、音声ランプ制御装置113において、予告表示態様や演出の抽選等を実行する場合に使用する演出用のカウンタ値である。この演出カウンタ223fは、「0〜198」までの範囲で繰り返し更新されるカウンタ値であり、図示は省略したが音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図90参照)により更新処理が実行される。なお、この演出カウンタ223fは、ソフト的にカウントして更新される構成としたが、それに限らず、クロック端子等を利用してカウントするカウンタ回路により更新する構成としてもよい。このように構成することで、MPU221の制御処理に関わらず高速で更新することが可能であるので、同じカウンタ値が毎回選択されるような不具合を抑制できる。
背景選択カウンタ223gは、通常背景モードを通常背景選択テーブル222bより選択するためのカウンタである。この背景選択カウンタ223gは、「0〜198」の範囲で繰り返し更新されるカウンタ値である。なお、この背景選択カウンタ223gは、演出カウンタ223fと同様にメイン処理(図90参照)において更新される処理が実行されるが演出カウンタ223fと同期しないように、更新頻度が異なるように設定されている。これにより、背景選択カウンタ223gと演出カウンタ223fとが同期してしまうのを抑制できる。
変動演出態様選択カウンタ223hは、サブ変動パターン選択テーブル222aより変動パターンを選択する場合に用いられるカウンタである。この変動演出態様選択カウンタ223hは「0〜198」の範囲で繰り返し更新される。なお、この変動演出態様選択カウンタ223hは、メイン処理(図90参照)において更新される処理が実行されるが、演出カウンタ223f、背景選択カウンタ223gとは同期しないように、更新頻度がそれぞれ異なるように設定されている。
設定時間記憶エリア223kは、時間演出を実行する時刻情報が記憶される記憶エリアである。本実施形態では、パチンコ機10に電源が投入されると、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される時間設定処理(図89、S1212)のS1221の処理によりRTC292より現在の時刻情報が取得される。そして、S1224の処理により、その取得した時間から1時間毎に10分間の時間演出を実行するための開始時刻が算出されて、24時間経過するまでの開始時刻がそれぞれ設定時間記憶エリア223kに記憶される。音声ランプ制御装置113のMPU221は、設定時間記憶エリア223kの時刻となると時間演出期間であることを示すモードBを設定して、特別図柄の変動パターンを強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図72参照)より選択するように切り替える。そして、時間演出期間である10分が経過したと判別すると、時間演出期間以外である演出モードAを設定して、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222aから変動パターンを選択するように切り替えられる。
これにより、複数のパチンコ機10を同時に電源が投入可能なように、電源装置に予め接続して、一括して電源を投入することで、各パチンコ機10で同じ電源投入時刻を取得して、同じ時間演出の開始期間を時間設定記憶エリア223kに記憶することができる。よって、各パチンコ機10で同じタイミングで時間演出が開始され、変動パターンの選択や強制背景モードに対応する背景画像(本実施形態では、海中の画像)に切り替えられるので、複数のパチンコ機10に跨って一体感のある演出を行うことができる。
演出モード記憶エリア223nは、時間演出期間以外の演出モードである演出モードA、時間演出期間中の演出モードである演出モードBのどちらかを示すデータが記憶される記憶エリアである。この演出モード記憶エリア223nに設定されているデータにより現在のモードの状態を判別して選択するサブ変動パターン選択テーブル222aの種別が切り替えられる。
通常背景モード記憶エリア223oは、通常背景選択テーブル222bより選択された通常背景モードの種別を示すデータが記憶される記憶エリアである。なお、通常背景モード記憶エリア223oに記憶された通常背景モードに対応する背景画像は、時間演出期間以外である演出モードAが設定されている場合に、第3図柄表示装置81に表示される。時間演出期間内である演出モードBが設定されている場合には、第3図柄表示装置81には、強制背景モードに対応した背景画像が表示されるが、演出モードBが設定されている期間であっても、通常背景モードを切り替える処理は実行されて、通常背景モード記憶エリア223oには、この処理で決定された通常背景モードの種別が記憶される。
本実施形態では、強制背景モードが設定されている演出モードBの期間であっても、通常背景モードの予告表示態様は、通常背景モード記憶エリア223oに設定されているは通常背景モードの種別に基づいて選択され第3図柄表示装置81に表示される。よって、時間演出期間内であっても、通常背景モード記憶エリア223oに記憶されているデータが更新されることで、表示される予告表示態様を切り替えることができ、多様な演出を遊技者に提供できる。従って、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制できるという効果がある。
その他メモリエリア223zは、遊技の処理で使用する各種データや、カウンタ、フラグ等が設定されるエリアである。
RAM223は、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図91参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動表示(変動演出)を制御するものである。この表示制御装置114の詳細については、図75を参照して後述する。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図27参照)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次に、図75を参照して、表示制御装置114の電気的構成について説明する。図75は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
なお、詳細については後述するが、本実施形態において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方で、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有している。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
ここで、本実施形態において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(図95のS1801参照)の終了後に実行される初期化処理(図95のS1802参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(図78参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(図97(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
尚、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235fが設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235b、第3図柄エリア235dが少なくとも設けられている。
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、第1入賞口64への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(図95のS1803,S1804参照)。
ここで、電源投入時変動画像について説明する。表示制御装置114は、電源投入直後に、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送すると、続いて、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。この残りの画像データの転送が行われている間、表示制御装置114は、先に電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて、電源投入時主画像(図示なし)を第3図柄表示装置81に表示させる。
このとき、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、電源投入時主画像の表示画面上に、画面に向かって右下の位置に「○」図柄の電源投入時変動画像と、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は、それを画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合はそれを示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、第1入口球64に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、「○」、「×」を示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動演出画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に第1入口球64に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
図75に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、第1入賞口64への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
また、第3図柄エリア235dには、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄として、木箱といった後方図柄からなる主図柄や、後方図柄とかんな,風呂敷,ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄とからなる主図柄に対応する画像データも常駐される。これらの画像データは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示されるデモ演出に用いられる。これにより、デモ演出が第3図柄表示装置81に表示されると、そのデモ演出において、第3図柄として数字の付されていない主図柄が表示される。よって、遊技者は、数字の付されていない主図柄を第3図柄表示装置81の表示画像から視認することによって、当該パチンコ機10がデモ状態にあることを容易に認識することができる。
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
エラーメッセージ画象エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画象エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、各サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
尚、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233i、描画対象バッファフラグ233j、演出モード記憶エリア233m、背景変更フラグ233nを少なくとも有している。
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア434に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、ラウンド演出、エンディング演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。尚、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。遊技者は、この変動演出における停止図柄を視認することで大当たり種別を認識でき、大当たり種別に応じて付与される遊技価値を容易に判断することができる。
また、第1入賞口64または第2入賞口640は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口であるので、普通図柄の大当たりとなって電動役物が開放され、球が第1入賞口64へ入り易くなると賞球が多くなる。これにより、パチンコ機10は、遊技を行っても、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態になるので、遊技者は、持ち玉が減りにくい状態、又は、持ち玉が減らない状態で特別図柄の大当たりを得られるという期間感を得ることができる。従って、遊技者の遊技への参加意欲を高めることができるので、遊技者に遊技への参加意欲を継続して持たせることができる。
尚、デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
データテーブル格納エリア233bには、ラウンド演出、エンディング演出およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
ここで、図76を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。図76は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。尚、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。尚、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。この背面種別は、通常背景モードA〜D、強制背景モードに対応する背景画像(海、山、川、谷、海中のいずれか)を特定する情報が記載されている。また、背面種別は、上記した背面画像と異なる背面画像を表示させることを特定する場合、どの背面画像を表示させるかを特定する情報も合わせて記載されている。
MPU231は、この背面種別によって、通常背景モードA〜D、強制背景モードのいずれかを表示させることが特定される場合は、演出モードAであれば、通常背景画像記憶エリア223oに設定されている通常背景モード(音声ランプ制御装置113が通常背景モードを更新したことに基づいて出力されたコマンドにより判別)により、演出モードBであれば、強制背景モードに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。一方、上記した背景画像と異なる背面画像を表示させることが特定される場合は、背面種別から表示させるべき背面画像を特定する。
尚、本実施形態では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(図76の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(図78参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
次いで、図77を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。図77は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、各演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
尚、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(図77のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(図77のアドレス「0002H」が該当)。
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
尚、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(図77の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図78参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
例えば、図77の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、図示しない電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(図95参照)の中でオンに設定される(図95のS1805参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(図105(b)のS3405参照)。
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(図97(b)のS2101参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(図97(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図97(b)のS2109参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(図98〜図101参照)および表示設定処理(図102〜図104参照)が実行される。
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(図105(a)のS3301参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(図105(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(図106参照)を実行する。
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図78参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図78参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。尚、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図78参照)に、その転送データ情報を追加する。
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図97(b)のS2103参照)の中で、ポインタ更新処理(図104のS3005参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される。
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図78参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置341の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
ここで、図78を参照して、描画リストの詳細について説明する。図78は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図78に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といった各スプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233jで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、一番最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)で割った値である。
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図97(b)参照)の表示設定処理が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(図102のS3007参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
格納画像データ判別フラグ233iは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
この格納画像データ判別フラグ233iは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(図95のS1802参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233iは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
そして、格納画像データ判別フラグ233iの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(図106参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233iを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM235の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(図106のS3517参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(図106のS3518参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
描画対象バッファフラグ233iは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(図107のS3602参照)。
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
描画対象バッファフラグ233jは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233jの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図97(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われる(図107のS3602参照)。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
演出モード記憶エリア233mは、音声ランプ制御装置113により設定された演出モードに基づいて出力される表示用演出コマンドが示す演出モードに対応するデータが記憶される記憶エリアである。
背面変更フラグ233nは、音声ランプ制御装置113から表示用背面コマンドを受信したことを示すフラグである。この背面変更フラグ233nは、音声ランプ制御装置113から出力される表示用背面コマンドを受信した場合に、表示制御装置113のMPU231により実行される表示用背面コマンド処理(図101、S2213)のS2701の処理によりオンに設定される。一方、通常画像転送設定処理(図106、S3303)のS3414の処理において、オフに設定される。
この背景変更フラグ233nは、背面画像を変更するタイミングであることを判別する為に用いられ、後述する背面画像判別フラグ233oが示す背面画像に表示態様が変更されて第3図柄表示装置81に表示される処理が実行される。
背景画像判別フラグ233oは、音声ランプ制御装置113から出力される表示用背面コマンドが示す背景画像に対応するフラグが記憶される記憶エリアである。本実施形態では、通常背景モードA〜D(海、山、川、谷)のそれぞれに対応する専用の背面画像判別フラグ233oと、強制背景モードに対応する専用の背面画像判別フラグ233oとが予め設定されており、受信したコマンドに対応する背面画像判別フラグ233oがオンに設定される。なお、新たに背面画像判別フラグ233oがオンに設定されることに基づいて、その他の背面画像判別フラグ233oはオフに設定される。
<主制御装置110の制御処理について>
次に、図79から図87のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図79は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では239)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、299,99,239)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37において表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行し(S104)、その後、第1入賞口64への入賞(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、始動入賞処理の詳細は、図80〜図82を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置83において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、スルーゲート67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図84を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図80を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図80は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図79参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37において行う特別図柄(第1図柄)の変動表示や、第3図柄表示装置81において行う第3図柄の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理では、まず、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S201)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
特別図柄の大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S202:No)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を取得する(S203)。次に、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0よりも大きいか否かを判別し(S204)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が0でなければ(S204:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)を1減算し(S205)、演算により変更された特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを設定する(S206)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図87参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄保留球数カウンタ203cの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する。
S206の処理により保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフトする(S207)。S207の処理では、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。S207の処理が実行された後には、特別図柄変動開始処理が実行される(S208)。なお、特別図柄変動開始処理(S208)については、図81を参照して、詳細を後述するが、第1図柄、第3図柄の変動を開始する(動的表示を開始する)処理が実行される。一方、S204の処理において、特別図柄保留球数カウンタ203cの値が0であると判別された場合には(S204:No)、この処理を終了する。
S202の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、第1図柄表示装置37において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S209)。第1図柄表示装置37において実行される変動表示の変動時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この変動時間が経過していなければ(S209:No)、本処理を終了する。
一方、S209の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S209:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様を設定する(S210)。停止図柄の設定は、図81を参照して後述する特別図柄変動開始処理(S208)によって予め行われる。この特別図柄変動開始処理が実行されると、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。より具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて特別図柄の大当たりか否かが決定されると共に、特別図柄の大当たりである場合には、第1当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりAとなるか、大当たりBとなるかが決定される。
尚、本実施形態では、大当たりAになる場合には、第1図柄表示装置37において青色のLEDを点灯させ、大当たりBになる場合には赤色のLEDを点灯させる。また、外れである場合には赤色のLEDと緑色のLEDとを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S210の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37において実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の大当たりであるかを判定する(S211)。今回の抽選結果が特別図柄の大当たりであれば(S211:Yes)、2種類ある特別図柄の大当たり(大当たりA、大当たりB)のうち、大当たり種別が何であるかを判定し(S212)、大当たり種別が大当たりAであれば、大当たり遊技後の遊技状態を確変期間である高確率に設定する(S213)。その後、S215の処理を実行する。大当たり種別が大当たりBであれば、RAM203の時短中カウンタ203eに100を設定する(S214)。その後、S215の処理を実行する。そして、S215の処理において、特別図柄の大当たりの開始を設定し(S215)、本処理を終了する。
S211の処理において、今回の抽選結果が特別図柄の外れであれば(S211:No)、時短中カウンタ203eの値が1以上であるかを判定し(S216)、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば(S216:Yes)、時短中カウンタ203eの値を1減算して(S217)、本処理を終了する。一方、時短中カウンタ203eの値が0であれば(S216:No)、S217の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図81を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動開始処理(S208)について説明する。図81は、特別図柄変動開始処理(S208)を示したフローチャートである。この特別図柄変動開始処理(S208)は、タイマ割込処理(図79参照)の特別図柄変動処理(図80参照)の中で実行される処理であり、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、「特別図柄の大当たり」又は「特別図柄の外れ」の抽選(当否判定)を行うと共に、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる変動演出の演出パターン(変動演出パターン)を決定するための処理である。
特別図柄変動開始処理(S208)では、まず、実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2の各値を取得する(S301)。
次に、現在、遊技状態が確変期間中(高確率遊技状態)であるか判別する(S302)。なお、確変期間であるか否かの判断は、図示を省略した確変フラグがオンであるか判別することにより実行される。この確変フラグは、大当たりAに基づく大当たり遊技終了したことに基づいて、オンに設定される。一方、大当たり遊技の開始に基づいて、オフに設定される。
確変中であると判別された場合は(S302:Yes)、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であるので、S303の処理に移行する。S303の処理では、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S303)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、高確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている30の乱数値と1つ1つ比較する。上述したように、特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「0〜9」の10個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、これらの当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
一方、S302の処理において、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であると判別した場合には(S302:No)、S304の処理を実行する。S304の処理では、S301の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルとに基づいて、特別図柄の大当たりか否かの抽選結果を取得する(S304)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値を、低確率時用の特別図柄大当たり乱数テーブルに格納されている3の乱数値と1つ1つ比較する。特別図柄の大当たりとなる乱数値としては、「7」の1個が設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値と、これらの当たりとなる乱数値とが一致する場合に、特別図柄の大当たりであると判定する。特別図柄の抽選結果を取得したら、S305の処理へ移行する。
S305の処理では、S303またはS304の処理によって取得した特別図柄の抽選結果が、特別図柄の大当たりであるかを判定し(S305)、特別図柄の大当たりであると判定された場合には(S305:Yes)、S301の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値に基づいて、大当たり時の表示態様を設定する(S306)。より具体的には、S301の処理で取得した第1当たり種別カウンタC2の値と、特別図柄大当たり種別テーブルに格納されている乱数値とを比較し、2種類ある特別図柄の大当たり(大当たりA、大当たりB)のうち、大当たり種別が何であるかを判定する。上述したように、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜59」の範囲にあれば、大当たりA(16R大当たり、大当たり遊技後次の大当たりまで確変期間)であると判定し、「60〜99」の範囲にあれば、大当たりB(16R大当たり、普通図柄の時短期間100回)である判定する。
このS306の処理では、判定された大当たり種別(大当たりA、大当たりB)に応じて、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)が設定される。また、大当たり種別に対応した停止図柄を、第3図柄表示装置81において停止表示させるべく、大当たり種別(大当たりA、大当たりB)が停止種別として設定される。
次に、大当たり時の変動パターンを決定する(S307)。S307の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37における変動演出の変動時間(表示時間)が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいて大当たり用変動パターンテーブル202d(図69(a)参照)よりノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。なお、変動種別カウンタCS1の数値と変動時間との関係は、テーブル等により予め規定されている。
例えば、外れ用の変動パターンとしては、「外れ(長時間用)」、「外れ(短時間用)」、「外れノーマルリーチ」各種、「外れスーパーリーチ」各種、「外れスペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりA・大当たりB・大当たりC共用の変動パターンとしては、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定され、大当たりC用の変動パターンとしては、「スペシャルリーチ」各種が規定され、当たり・外れ共用の変動パターンとしては、「共用ノーマルリーチ」各種、「共用スーパーリーチ」各種、「共用スペシャルリーチ」各種が規定されている。
S306の処理において、特別図柄の外れである判定された場合には(S305:No)、外れ時の表示態様を設定する(S308)。S308の処理では、第1図柄表示装置37の表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、特別図柄保留球格納エリア203aの実行エリアに格納されている停止種別選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる停止種別として、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。
ここでは、パチンコ機10が特別図柄の確変状態であれば、S301の処理で取得した停止種別選択カウンタC3の値と、高確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を設定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜89」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「90〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチを設定し、「98,99」であれば前後外れリーチを設定する。一方、パチンコ機10が特別図柄の通常状態であれば、停止種別選択カウンタC3の値と、低確率時用の停止種別選択テーブルに格納されている乱数値とを比較して、停止種別を設定する。具体的には、停止種別選択カウンタC3の値が「0〜79」の範囲にあれば、完全外れを設定し、「80〜97」の範囲にあれば前後外れ以外リーチを設定し、「98,99」であれば前後外れリーチを設定する。
次に、外れ時の変動パターンを決定する(S309)。ここでは、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、S308の処理と同様に、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、変動種別カウンタCS1の値に基づいて外れ用変動パターンテーブル202d(図69(b)参照)より、完全外れ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の図柄変動の変動時間を決定する。
S307の処理またはS309の処理が終わると、次に、S307の処理またはS309の処理で決定した変動パターンを表示制御装置114へ通知するための変動パターンコマンドを設定する(S310)。次いで、S307又はS309の処理で設定された停止種別を表示制御装置114へ通知するための停止種別コマンドを設定する(S311)。これらの変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、メイン処理(図87)のS1001の処理で、これらのコマンドが音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113は、停止種別コマンドをそのまま表示制御装置114へ送信する。S311の処理が終わると、特別図柄変動処理へ戻る。
次に、図82のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(S105)を説明する。図82は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。この始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図79参照)の中で実行され、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞(始動入賞)の有無を判断し、始動入賞があった場合に、各種乱数カウンタが示す値の保留処理と、その保留された各種乱数カウンタが示す値から、特別図柄における抽選結果の先読みを実行するための処理である。
始動入賞処理(図82、S105)が実行されると、まず、球が第1入賞口64または第2入賞口640に入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S401)。ここでは、第1入賞口64への入球を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が第1入賞口64に入賞したと判別されると(S401:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)を取得する(S402)。そして、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S403)。
そして、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞がないか(S401:No)、或いは、第1入賞口64への入賞があっても特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が4未満でなければ(S403:No)、S407の処理へ移行する。一方、第1入賞口64または第2入賞口640への入賞があり(S401:Yes)、且つ、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が4未満であれば(S403:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)を1加算する(S404)。そして、演算により変更された特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを設定する(S405)。
ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図87参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄保留球数カウンタ203cの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄保留球数カウンタ223bに格納する。
S405の処理により保留球数コマンドを設定した後は、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値を、RAM203の特別図柄保留球格納エリア203aの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納する(S406)。尚、S406の処理では、特別図柄保留球カウンタ203cの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
次いで、S407で取得した各カウンタ値と、現在の遊技状態(高確率遊技状態であるか低確率遊技状態であるか)と特別図柄保留球格納エリア203aに格納されている保留球の各データとに基づいて、変動開始時の当否判定結果を判別する(S407)。このS407の処理を特別図柄の当否判定結果が変動開始時に判定されるよりも前に判定されることから抽選結果を先読みするという。
S407の処理における先読みの判定結果が大当たりであるか判別する(S408)。先読みの判定結果が大当たりであると判別された場合には(S408:Yes)、大当たり入賞コマンドを設定する(S409)。この大当たり入賞コマンドは、音声ランプ制御装置113に対して、先読み結果が大当たりであったことを示すものであり、S406で取得した各カウンタ値の情報とその判定結果を示すコマンドが生成される。
一方、S408の処理において、先読み結果が外れであると判別した場合には(S408:No)、停止種別に対応した外れ入賞コマンドを設定する(S410)。この外れ入賞コマンドは音声ランプ制御装置113に対して、先読みの判定結果が外れであることを示すコマンドであり、S406で取得した各カウンタ値の情報も判別可能なコマンドが生成される。S409、S410の処理が実行された後、この処理を終了する。
次に、図83を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S106)について説明する。図83は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。この普通図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図19参照)の中で実行され、第2図柄表示装置83において行う第2図柄の変動表示や、第2入賞口640に付随する電動役物の開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるか否かを判定する(S601)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置83において当たりを示す表示がなされている最中と、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御がなされている最中とが含まれる。判定の結果、普通図柄(第2図柄)の当たり中であれば(S601:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でなければ(S601:No)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S602)、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中でなければ(S602:No)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S603)。次に、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0よりも大きいか否かを判別し(S604)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0であれば(S604:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0でなければ(S604:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1減算する(S605)。
次に、普通図柄保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S606)。S606の処理では、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球格納エリア203bの実行エリアに格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S607)。
次に、RAM203の時短中カウンタ203eの値が1以上であるかを判定する(S608)。尚、時短中カウンタ203eは、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを示すカウンタであり、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であることを示し、時短中カウンタ203eの値が0であれば、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であることを示す。
時短中カウンタ203eの値が1以上である場合は(S608:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S609)。特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S609:Yes)、S611の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、普通図柄の抽選が当たりとなりにくくなるように構成されている。これは、特別図柄の大当たり中(即ち、特別遊技状態中)は、遊技者が特別入賞口65aに入賞させようとして球を打つので、第2入賞口640に付随する電動役物が開放されて、特別入賞口65aに入賞させようとした球が、第2入賞口に入ることをできるだけ抑制するためである。尚、特別入賞口65aは、第2入賞口640の直ぐ下に設けられているので、特別図柄の大当たり中に第2入賞口640に球が入ることを抑制していても、第2入賞口640には球が多く入球する。その結果、殆どの場合、パチンコ機10が特別遊技状態に移行している間に、保留球数は最大(4回)になる。
S609の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S609:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)と基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S610)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、高確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)に格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜204」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,205〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図68(c)参照)。
S608の処理において、時短中カウンタ203eの値が0である場合は(S608:No)、S611の処理へ移行する。S611の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)とに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S611)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、低確率時用の普通当たり乱数テーブル202c(図68(c)参照)に格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜20」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,21〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する。
次に、S610またはS611の処理によって取得した普通図柄の抽選結果が、普通図柄の当たりであるかを判定し(S612)、普通図柄の当たりであると判定された場合には(S612:Yes)、当たり時の表示態様を設定する(S613)。このS613の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されるように設定する。
そして、時短中カウンタ203eの値が1以上であるかを判定し(S614)、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば(S614:Yes)、今現在が、特別図柄の大当たり中であるか否かを判定する(S615)。判定の結果、特別図柄の大当たり中であれば(S615:Yes)、S617の処理に移行する。本実施形態では、特別図柄の大当たり中は、球が第2入賞口640に入ることをできるだけ抑制するために、普通図柄の当たりになった場合でも、普通図柄の外れとなった場合と同様に、電動役物の開放回数および開放時間が設定される。
S615の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S615:No)、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物の開放期間を1秒間に設定すると共に、その開放回数を2回に設定し(S616)、S619の処理へ移行する。S614の処理において、時短中カウンタ203eの値が0である場合は(S614:No)、S617の処理へ移行する。S617の処理では、パチンコ機10が特別図柄の大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、第1始動口64aに付随する電動役物の開放期間を0.2秒間に設定すると共に、その開放回数を1回に設定し(S617)、S619の処理へ移行する。
S612の処理において、普通図柄の外れであると判定された場合には(S612:No)、外れ時の表示態様を設定する(S618)。このS618の処理では、第2図柄表示装置83における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「×」の図柄が点灯表示されるように設定する。外れ時の表示態様の設定が終了したら、S619の処理へ移行する。
S619の処理では、時短中カウンタ203eの値が1以上であるかを判定し(S619)、時短中カウンタ203eの値が1以上であれば(S619:Yes)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を3秒間に設定して(S620)、本処理を終了する。一方、時短中カウンタ203eの値が0であれば(S619:No)、第2図柄表示装置83における変動表示の変動時間を30秒間に設定して(S621)、本処理を終了する。このように、特別図柄の大当たり中を除き、普通図柄の高確率時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、第1始動口64aの解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、第1始動口64aへ球が入球し易い状態となる。
S602の処理において、第2図柄表示装置83の表示態様が変動中であれば(S602:Yes)、第2図柄表示装置83において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S622)。尚、ここでの変動時間は、第2図柄表示装置83において変動表示が開始される前に、S620の処理またはS621の処理によって予め設定された時間である。
S622の処理において、変動時間が経過していなければ(S622:No)、本処理を終了する。一方、S622の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S622:Yes)、第2図柄表示装置83の停止表示を設定する(S623)。S623の処理では、普通図柄の抽選が当たりとなって、S613の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「○」図柄が、第2図柄表示装置83において停止表示(点灯表示)されるように設定される。一方、普通図柄の抽選が外れとなって、S618の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「×」図柄が、第2図柄表示装置83において停止表示(点灯表示)されるように設定される。S623の処理により、停止表示が設定されると、次にメイン処理(図87参照)の第2図柄表示更新処理(S1007参照)が実行された場合に、第2図柄表示装置83における変動表示が終了し、S613の処理またはS618の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)される。
次に、第2図柄表示装置83において実行中の変動表示が開始されたときに、普通図柄変動処理によって行われた普通図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、普通図柄の当たりであるかを判定する(S624)。今回の抽選結果が普通図柄の当たりであれば(S624:Yes)、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御開始を設定し(S625)、本処理を終了する。S625の処理によって、電動役物の開閉制御開始が設定されると、次にメイン処理(図87参照)の電動役物開閉処理(S1005参照)が実行された場合に、電動役物の開閉制御が開始され、S616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで電動役物の開閉制御が継続される。一方、S624の処理において、今回の抽選結果が普通図柄の外れであれば(S624:No)、S625の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図84のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるスルーゲート通過処理(S107)を説明する。図84は、このスルーゲート通過処理(S107)を示すフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図79参照)の中で実行され、スルーゲート67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し保留するための処理である。
スルーゲート通過処理(図84、S107)では、まず、球がスルーゲート67を通過したか否かを判定する(S701)。ここでは、スルーゲート67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球がスルーゲート67を通過したと判定されると(S701:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S702)。そして、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S703)。
球がスルーゲート67を通過していないか(S701:No)、或いは、球がスルーゲート67を通過していても普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が4未満でなければ(S703:No)、本処理を終了する。一方、球がスルーゲート67を通過し(S701:Yes)、且つ、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が4未満であれば(S703:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1加算する(S704)。そして、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第2当たり乱数カウンタC4の値を、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納して(S705)、本処理を終了する。尚、S705の処理では、普通図柄保留球カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
図85は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S801)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図86を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図86は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S902)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S903)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S904)、オンされていれば(S904:Yes)、処理をS912へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S904:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S905)、記憶されていなければ(S905:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS912へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S905:Yes)、RAM判定値を算出し(S906)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S907:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS912へ移行する。なお、図29のS1014の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S912の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S912)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S913,S914)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S913,S914)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S913,S914)を実行する。RAMの初期化処理(S913,S914)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S913)、その後、RAM203の初期値を設定する(S914)。RAM203の初期化処理の実行後は、S910の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S904:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S905:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S907:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S908)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S909)、S910の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
S910の処理では、演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113および表示制御装置114に対して各種演出の実行を許可する。次いで、割込みを許可して(S911)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図86を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図86は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS1001〜S1007の各処理が実行され、その残余時間でS1010,S1011のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、タイマ割込処理(図79参照)の実行中に、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1001)。具体的には、タイマ割込処理(図79参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図80参照)や始動入賞処理(図82参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。また、始動入賞処理で設定された入賞コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止種別コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。また、大当たり制御処理(図87参照)で設定されたラウンド数コマンド、エンディングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1002)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1003)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たり演出の実行や、可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S1004)。大当たり制御処理では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aまたは特定入賞口650aを開放し、特定入賞口65aまたは特定入賞口650aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本実施形態では、大当たり制御処理(S1004)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
次に、第2入賞口640に付随する電動役物の開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1005)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図83参照)のS625の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37の表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1006)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図81参照)のS307の処理またはS309の処理によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37において開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37のLED37aの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図81参照)のS307の処理またはS309の処理によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37において実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動開始処理(図81参照)のS307の処理またはS309の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37に停止表示(点灯表示)する。
次に、第2図柄表示装置83の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1007)。第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置83において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置83では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図83参照)のS623の処理によって第2図柄表示装置83の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置83において実行されている変動表示を終了し、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1008)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1008:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1009)、既に所定時間が経過していれば(S1009:Yes)、処理をS1001へ移行し、上述したS1001以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1009:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1010,S1011)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1010)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では299、239)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1002の処理と同一の方法によって実行する(S1011)。
ここで、S1001〜S1007の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。
また、S1008の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1008:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図85のNMI割込処理が実行されたということなので、S1012以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1012)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1013)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1014)、RAM203のアクセスを禁止して(S1015)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1008の処理は、S1001〜S1007で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1010とS1011の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1001の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1001の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S901)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されたりすることで、S1001の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり、暴走することなく正確な制御をしたりすることができる。
<音声ランプ制御装置113により実行される制御処理>
次に、図88から図94を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図88を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図88は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1201)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1318の電源断処理(図90参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1202)。図88を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図90のS1315参照)、S1318の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1318の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1202:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1318の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1203)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1206の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1203:Yes)、S1204へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1203:No)、S1208へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1203:Yes)、S1204へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1318の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1203:No)、S1208へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1202:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1318の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1204へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1204の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1204)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1205:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1206)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1205:No)、RAM223の異常を報知して(S1207)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S1208の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1208)。電源断フラグはS1318の電源断処理の実行時にオンされる(図90のS1317参照)。つまり、電源断フラグは、S1318の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS1208の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1318の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1208:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1209)、RAM223の初期値を設定した後(S1210)、割込み許可を設定して(S1211)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS1208の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1204からS1206の処理を経由してS1208の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1208:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1209をスキップして、処理をS1210へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1210)、割込み許可を設定して(S1211)、時間設定処理を実行し(S1212)、メイン処理へ移行する。
次に、図89を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行される立ち上げ処理(図88参照)内の一処理である時間設定処理(S1212)について説明する。図89は、この時間設定処理(S1212)の内容を示したフローチャートである。
時間設定処理(図89、S1212)では、まず、RTC292より現在の時刻情報を取得する(S1221)。ここで、音声ランプ制御装置113には、現在時刻を計時することが可能なRTC292が設けられている。このRTC292は、内部にパチンコ機10から電力が供給されなくても作動することが可能な電源手段(ボタン電池等)が設けられている。これにより、パチンコ機10に電力が供給されていない状態であっても、時刻を計時することができる。
また、RTC292は、パチンコ機10が製造される時に、予め各パチンコ機10に取り付けられるRTC292が計時する時刻情報が同期するように所定の治具により時間情報が設定されている。これにより、各パチンコ機10のRTC292で同期した計時情報を計時することができる構成となっている。
S1221の処理で取得した時間情報が期限データ内(本実施形態では、3年以内)であるか判別する(S1222)。時間情報が期限内であると判別した場合には(S1222:Yes)、時間演出実行フラグ223jをオンに設定する(S1223)。取得した時間情報に基づいて、時間演出期間を算出して、設定時間記憶エリア223kに設定する(S1224)。ここで、本実施形態では、1時間毎に時間演出として、時間演出専用の背景画像と変動パターンに切り替える演出が実行される。そのため、S1224の処理では、S1221の処理で取得した時間情報から1時間が経過した時間が最初の時間演出の開始時刻として算出され、その後、10分間の時間演出期間後から、さらに1時間経過した時刻が2回目の時間演出期間として設定される。同様にして、S1221で取得した時刻から24時間後までの間における時間演出の開始時刻が算出されて設定時間記憶エリア223kに記憶される。通常、パチンコ店の営業時間は、9時から23時までの14時間であるので、24時間分の開始時刻を設定しておけば、多少営業時間が長くなっても、対応できる。
なお、本実施形態では、RTC292より電源投入時刻を取得して、その時刻から、時間演出の開始時刻を算出して設定するように構成したが、それに限らず、電源投入時刻を記憶しておき、RTC292の時刻情報を判別して、所定時間(本実施形態では、1時間)が経過した場合に時間演出を実行するように構成してもよい。また、RTC292から取得した電源投入時刻に基づいて、60分のカウンタを設定して、そのカウンタを更新することにより、時間演出の開始タイミングを判別するように構成してもよい。
S1222の処理において、取得した時間情報が期限外のデータであると判別した場合には、この処理を終了する。ここでは、時間演出実行フラグ223jがオフのままであるので、時間演出は実行されない。このように、3年が経過すると時間演出が実行されないように設定されるので、RTC292の内部電源である電池等の電力が低下して、計時の精度が落ちて、各パチンコ機10のRTC292が計時する時刻にばらつきが生じることにより、時間演出の開始タイミングが各パチンコ機10でばらついてしまう不具合を抑制できる。
次に、図90を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図90は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、今回のS1301の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1301)、1m秒以上経過していなければ(S1301:No)、S1302〜S1310の処理を行わずにS1311の処理へ移行する。S1301の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1302〜S1310が主に表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1311の変動表示設定処理や、S1312のコマンド判定処理や、S1313およびS1314のカウンタ値を更新する処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。S1312の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S1311の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S1301の処理で1m秒以上経過していれば(S1301:Yes)、まず、S1303〜S1312の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1302)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1308の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1303)、その後電源投入報知処理を実行する(S1304)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1305の処理へ移行する。
S1305の処理では客待ち演出処理が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1306)。客待ち演出処理では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、特別図柄保留球数カウンタ223bの値に応じて保留ランプ(図示せず)を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1307)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22が操作されたことを通知する枠ボタン操作コマンドを設定する。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理を実行し(S1308)、その後音編集・出力処理を実行する(S1309)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S1309の処理後、液晶演出実行管理処理が実行され(S1310)、S1311の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS1308のランプ編集処理が実行される。なお、S1309の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
S1311の処理では、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1311)。このコマンド判定処理(S1311)の詳細については、図91を参照して後述する。次いで、変動表示設定処理が実行される(S1312)。この変動表示設定処理(S1312)では、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドが生成されて設定される。その結果、そのコマンドが表示制御装置114に送信される。尚、この変動表示設定処理の詳細については、図93を参照して後述する。S1312の処理が終わると、同期演出管理処理を実行する(S1313)。この同期演出管理処理(S1313)については、図94を参照して後述する。
S1313の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1317)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1315の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1317:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1319)、電源断処理を実行する(S1320)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1321)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1317の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1317:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1318)、RAM223が破壊されていなければ(S1318:No)、S1301の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1318:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図91を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1311)について説明する。図91は、このコマンド判定処理(S1311)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1311)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図90参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。
コマンド判定処理では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信したか否かを判定する(S1401)。変動パターンコマンドを受信した場合には(S1401:Yes)、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dをオンし(S1402)、変動パターン選択処理を実行する(S1403)。
ここで、図92を参照して、変動パターン選択処理(S1403)の詳細について説明する。図92は、この変動パターン選択処理(S1403)を示したフローチャートである。
変動パターン選択処理(S1403)では、まず、演出カウンタ223fの値を取得する(S1501)。次に、背景選択カウンタ223gの値を取得する。その後、取得した背景選択カウンタ223gの値に基づいて、通常背景選択テーブル223b(図73参照)より背景モードの種別について選択する(S1503)。なお、ここでは、現在選択されている通常背景モードと同じ背景モードが選択された場合には、同じ背景モードが設定される。一方、異なる背景モードが選択された場合には、その背景モードが設定されて、表示されている背景の変更が設定される。一方、背景モードの設定がない背景選択カウンタであった場合にも背景モードの変更は行われず、現在設定されている背景モードがそのまま維持される。
S1503の処理において、通常背景モード記憶エリア223oに記憶されている通常背景モードと異なる通常背景モードが選択されたか、即ち、通常背景モードの変更があったか判別する(S1504)。通常背景モードの変更が抽選されたと判別した場合には(S1504:Yes)、S1503の処理で選択された通常背景モードを通常背景モード記憶エリア223oに設定(記憶)する(S1505)。選択された通常背景モードを示す(S1505の処理で新たに通常背景モード記憶エリア223oに設定された通常背景モードを示す)表示用背景コマンドを設定する(S1506)。その後、S1507の処理を実行する。一方、S1504の処理において、通常背景モードに変更がないと判別した場合には(S1504:No)、S1507の処理を実行する。
S1507の処理では、現在、演出モード記憶エリア223nに設定されている演出モードが演出モードA(時間演出期間以外の遊技状態)であるか判別する。演出モードAが設定されていると判別した場合には(S1507:Yes)、変動態様選択カウンタ223hの値を取得して、その値に基づいて、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図71参照)より主制御装置110から受信している変動パターンコマンドが示す種別に対応した変動パターンを選択する(S1508)。選択されている通常背景モード(通常背景モード記憶エリア223nに記憶されている通常背景モード)と演出カウンタ223fの値とに基づいて、通常背景予告選択テーブル222c(図74(a)参照)より予告演出態様を選択して設定する(S1509)。その後、この処理を終了する。
一方、S1507の処理において、設定されている演出モードが演出モードAでない、即ち、演出モードBであると判別した場合には(S1507:No)、変動態様選択カウンタ223hを取得して、その値に基づいて、強制背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図72参照)より主制御装置110から受信している変動パターンコマンドが示す種別に対応した変動パターンを選択する(S1510)。選択されている通常背景モード(通常背景モード記憶エリア223nに記憶されている通常背景モード)と演出カウンタ223fの値とに基づいて、通常背景予告選択テーブル222c(図74(a)参照)より予告演出態様を選択して設定する(S1511)。選択されている演出カウンタ223fの値に基づいて、強制背景予告選択テーブル222d(図74(b)参照)より予告演出態様を選択して設定する(S1512)。
このように、演出モードBが設定されている時間演出期間中には、強制背景モードに対応する背景画像に切り替えて表示されているが、通常背景モードに対応する予告演出も、強制背景モードに対応する予告演出もそれぞれ選択されて表示されることが可能となっている。これにより、強制背景モード中であっても多様な予告演出を表示することができる。よって、遊技者が時間演出期間で退屈してしまう不具合を抑制できる。
また、S1507以降の処理に示したように、時間演出期間中である場合には、強制背景モード専用の予告演出と、通常背景モード専用の予告演出がそれぞれ選択される。ここで、時間演出期間中においても、変動パターンの設定時に、通常背景モードの変更処理が行われるので、時間演出期間中にも選択される予告の種別を切り替えることが可能となり、変化に富んだ予告演出を時間演出期間中にも表示させることができる。よって、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうのを防止できる。
次に、図91に戻って説明を続ける。S1401の処理において、変動パターンコマンドを受信していない場合には(S1401:No)、次いで、主制御装置110より停止種別コマンドを受信したか否かを判定する(S1404)。そして、停止種別コマンドを受信した場合には(S1404:Yes)、RAM223の停止種別選択フラグ223dをオンに設定し(S1405)、受信した停止種別コマンドから停止種別を抽出して(S1406)、メイン処理に戻る。ここで抽出された停止種別は、RAM223に記憶され、後述の変動表示設定処理(図93参照)が実行される場合に参照される。そして、表示制御装置114に対して変動演出の停止種別を通知する表示用停止種別コマンドを設定するために用いられる。
一方、停止種別コマンドを受信していない場合には(S1404:No)、次いで、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1407)。そして、保留球数コマンドを受信した場合には(S1407:Yes)、保留球数コマンド受信処理を実行する(S1408)。
S1407の処理において、保留球数コマンドを受信していない場合には(S1407:No)、次いで、主制御装置110より入賞コマンドを受信したか否かを判定する(S1409)。そして、入賞コマンドを受信した場合には(S1409:Yes)、受信した入賞コマンドが示す入賞情報を入賞情報格納エリア223fに格納する(S1410)。その後、メイン処理に戻る。上述したように、本パチンコ機10では、球が第1入賞口64または第2入賞口640へ入賞(始動入賞)すると、主制御装置110において各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得された各カウンタC1〜C3の各値が、特別図柄1保留球格納エリア203a、特別図柄2保留球数格納エリア203bにそれぞれ記憶される。また、主制御装置110において各カウンタC1〜C2、CS1の各値が取得されると直ちに、本来の特別図柄の大当たり抽選とは別に、取得された各カウンタC1〜C2の各値から、その本来の抽選が行われた場合に得られる各種情報が先読み(予測)される。そして、主制御装置110において先読みが終了すると、先読みにより得られた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を含む入賞コマンドが、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信される。
S1409の処理において、入賞コマンドを受信していない場合には(S1409:No)、その他のコマンドを受信したか否かを判定し、その受信したコマンドに応じた処理を実行して(S1419)、メイン処理に戻る。例えば、その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行う。
次に、図93を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S1312)について説明する。図93は、この変動表示設定処理(S1312)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(S1312)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図90参照)の中で実行され、第3図柄表示装置81において変動演出を実行させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し設定する。
変動表示設定処理(図93,S1312)では、まず、RAM223に設けられた変動開始フラグ223dがオンか否かを判別する(S1701)。そして、変動開始フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1701:No)、主制御装置110より変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S1706の処理へ移行する。一方、変動開始フラグ223dがオンであると判別された場合(S1701:Yes)、変動開始フラグ223dをオフし(S1702)、次いで、コマンド判定処理(図91参照)のS1403の処理において、変動パターンコマンドから抽出した変動演出における変動パターン種別を、RAM223より取得する(S1703)。
そして、取得した変動パターン種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用変動パターンコマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1704)。表示制御装置114では、この表示用変動パターンコマンドを受信することによって、この表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンで、第3図柄表示装置81において第3図柄の変動表示が行われるように、その変動演出の表示制御が開始される。
次いで、入賞情報格納エリア223aに格納されたデータをシフトする(S1705)。S1705の処理では、入賞情報格納エリア223aの第1エリア〜第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、第1エリア→実行エリア、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、S1706の処理へ移行する。
S1706の処理では、RAM233に設けられた停止種別選択フラグ223dがオンか否かを判別する(S1706)。そして、停止種別選択フラグ223dがオンではない(即ち、オフである)と判別された場合(S1706:No)、主制御装置110より停止種別コマンドを受信していない状態であるので、この変動表示設定処理を終了し、メイン処理に戻る。一方、停止種別選択フラグ223dがオンであると判別された場合(S1706:Yes)、停止種別選択フラグ223dをオフし(S1707)、次いで、コマンド判定処理(図91参照)のS1406の処理において、停止種別コマンドから抽出された変動演出における停止種別を、RAM223より取得する(S1708)。主制御装置110からの停止種別コマンドによって指示された停止種別をそのまま、第3図柄表示装置81における変動演出の停止種別として設定する(S1708)。その設定された停止種別に基づいて、表示制御装置114へ通知するための表示用停止種別コマンドを生成して、そのコマンドを表示制御装置114へ送信するために設定する(S1709)。表示制御装置114では、この表示用停止種別コマンドを受信することによって、この表示用停止種別コマンドによって示される停止種別に応じた停止図柄が、第3図柄表示装置81で停止表示されるように、変動演出の停止表示が制御される。
次に、図94を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理(図90参照)内の一処理である同期演出管理処理(S1313)について説明する。図94は、この同期演出管理処理(S1313)の内容を示したフローチャートである。この同期演出管理処理(S1313)では、RTC292より時間情報を判別して、現在の演出モードが演出モードAの期間(時間演出期間外)であるか、演出モードBの期間(時間演出期間内)であるか判別して、演出モードの切替を実行する処理を実行する。
同期演出管理処理(図94、S1313)では、まず、時間演出実行フラグ223jがオンに設定されているか判別する(S1710)。時間演出実行フラグ223jがオフであると判別した場合には(S1710:No)、この処理を終了する。一方、時間演出実行フラグ223jがオンであると判別した場合には(S1710:Yes)、RTC292より「時、分」の時間情報を取得する(S1711)。演出モードBが設定されているか判別する(S1712)。演出モードBが設定されていない、即ち、演出モードAが設定されていると判別した場合には(S1712:No)、S1711で取得した時間情報(時刻情報)は、設定時間記憶エリア223kに記憶されている時間演出期間の開始タイミングであるか判別する(S1713)。時間演出期間の開始タイミングであると判別した場合には(S1713:Yes)、演出モード記憶エリア223nに演出モードBに対応するデータを設定する(S1714)。表示制御装置114に対して、演出モードBに移行したことを示す表示用演出コマンドを設定する(S1715)。表示制御装置114に対して、強制背景モードに対応した背景画像に変更するように指示する表示用背景コマンドを設定する(S1716)。その後、この処理を終了する。
一方、S1712の処理において、演出モード記憶エリア223nに設定されている演出モードが演出モードBであると判別した場合には(S1712:Yes)、取得した時間情報は演出開始期間(演出開始のタイミングから10分間の期間)外であるか判別する(S1717)。演出開始期間外であると判別した場合には(S1717:Yes)、演出モードAに対応したデータを演出モード記憶エリア223nに設定する(S1718)。演出モードAに移行したことを表示制御装置114に対して通知するための表示用演出コマンドを設定する(S1719)。設定されている通常背景モードに対応した背景画像に変更することを表示制御装置114に対して通知するための表示用背景コマンドを設定する(S1720)。
次に、図95から図107を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。尚、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
まず、図95を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。図95は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源回路115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、本実施形態のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S1801)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
ここで、図96を参照して、ブート処理(S1801)について説明する。図96は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S1801)を示すフローチャートである。
上述したように、本実施形態では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S1901)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S1902)。これにより、MPU231は、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
また、S1902の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
S1902の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S1903)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S1904)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(図95のS1801参照)の終了後に実行すべき初期化処理(図95のS1802参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S1905)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
このように、ブート処理(S1801)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
尚、図96に示すブート処理では、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S1901の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S1902の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S1903〜S1905の処理を実行するようにしてもよい。
また、S1901の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S1901及びS1902の処理を含めて複数回繰り返した後、S1903〜S1905の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
また、本実施形態では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S1901及びS1902の処理を行わずに、S1903〜S1905の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
ここで、図95の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S1802)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。尚、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S1803)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S1803の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S1804)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラは、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
S1804の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S1805)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(図105(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(図105(a)のS3302参照)。
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(図97(b)参照)において、図11に示す電源投入時画像(電源投入時主画像や電源投入時変動画像)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(図97(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図97(b)のS2109参照)が実行される。
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置114に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、第1入賞口64へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、図示しない電源投入時変動画像をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているので、その転送に時間がかかるので、電源投入後、電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
S1805の処理の後、割込許可を設定し(S1806)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S1806の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
次いで、図97(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。図97(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S2001)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
次いで、図97(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。図97(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リスト(図78参照)を作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、図97(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S2101)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S2101:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、上記した電源投入時画像ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S2102)を実行し、次いで、表示設定処理(S2103)を実行する。
コマンド判定処理(S2102)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。尚、このコマンド判定処理の詳細については、図98〜図101を参照して後述する。
表示設定処理(S2103)では、コマンド判定処理(S2102)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。尚、この表示設定処理の詳細については、図102〜図104を参照して後述する。
表示設定処理が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S2104)。このタスク処理では、表示設定処理(S2103)もしくは簡易表示設定処理(S2109)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次に、転送設定処理を実行する(S2105)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面画像変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。尚、転送設定処理の詳細については、図105および図106を参照して後述する。
次いで、描画処理を実行する(S2106)。この描画処理では、タスク処理(S2104)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S2105)により設定された転送指示とから、図78に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する。尚、描画処理の詳細については、図107を参照して後述する。
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S2107)。そして、V割込処理を終了する。S2107の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、大当たりC、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ、チャンス目)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
一方、S2101の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S2101:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、電源投入時画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S2108)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S2109)を実行して、S2104の処理へ移行する。
次いで、図98〜図101を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S2102)の詳細について説明する。まず、図37は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
このコマンド判定処理では、図98に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S2201)、未処理の新規コマンドがなければ(S2201:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S2201:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(S2103)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S2202)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S2203)。
そして、未処理のコマンドの中に、まず、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別し(S2204)、表示用変動パターンコマンドがあれば(S2204:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S2205)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図99(a)を参照して、変動パターンコマンド処理(S2205)の詳細について説明する。図99(a)は、変動パターンコマンド処理を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S2301)。
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S2301の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
これに対し、本実施形態のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
次いで、S2301で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S2302)。そして、各変動パターンに対応する変動表示データテーブル毎に設けられたデータテーブル判別フラグのうち、S2301の処理によって設定された変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオンすると共に、その他の変動表示データテーブルに対応するデータテーブル判別フラグをオフに設定する(S2303)。表示設定処理では、S2303の処理によって設定されるデータテーブル判別フラグを参照することによって、表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルが、どの変動パターンに対応するものであるかを容易に判断することができる。
次いで、S2301の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S2304)、ポインタ233fを0に初期化する(S2305)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S2306)、変動パターンコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S2305の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S2301の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S2302の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、表示設定処理では、S2304の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
ここで、図98の説明に戻る。S2204の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S2204:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S2206)、表示用変動種別コマンドがあれば(S2206:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S2207)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図99(b)を参照して、停止種別コマンド処理(S2207)の詳細について説明する。図99(b)は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止種別コマンド処理では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(大当たりA、大当たりB、リーチ、完全外れのいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S2401)、その停止種別テーブルと、V割込処理(図97(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S2402)。
そして、各停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S2402の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオフに設定する(S2403)。
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S2402の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(S2104)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S2403によって設定された停止図柄判別フラグからS2402の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。尚、第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
図98に戻り、説明を続ける。S2206の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別されると(S2206:No)、表示用演出コマンドがあるか判別する(S2208)。表示用演出コマンドがあると判別した場合には(S2208:Yes)、表示用演出コマンド処理を実行する(S2209)。
ここで、図100(a)を参照して、表示用演出コマンド処理(S2209)について説明する。図100(a)は、この表示用演出コマンド処理(S2209)の内容を示したフローチャートである。
表示用演出コマンド処理(図100(a)、S2209)では、まず、受信したコマンドに対応する演出モードを演出モード記憶エリア233mに設定する(S2501)。その後、この処理を終了する。
次に、図97の説明に戻る。S2208の処理において、表示用演出コマンドがないと判別した場合には(S2208:No)、表示用予告コマンドがあるか判別する(S2210)。表示用予告コマンドがあると判別した場合には(S2210:Yes)、表示用予告コマンド処理を実行する(S2211)。
ここで、図100(b)を参照して、表示用予告コマンド処理(S2211)について説明する。図100(b)は、表示用予告コマンド処理(S2211)の内容を示したフローチャートである。
表示用予告コマンド処理(図100(b)、S2211)では、まず、受信したコマンドに対応する予告表示態様の表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する(S2601)。
図98に戻り説明を続ける。S2212の処理で表示用予告コマンドがないと判別した場合には(S2210:No)、表示用背景コマンドを受信しているか判別する(S2212)。表示用背景コマンドを受信していると判別した場合には(S2212:Yes)、表示用背景コマンド処理を実行する(S2213)。
ここで、図101(a)を参照して、表示用背景コマンド処理(S2213)について説明する。図101(a)は、この表示用背景コマンド処理(S2213)の内容を示したフローチャートである。表示用背景コマンド処理(図101、S2213)では、まず、背景変更フラグ233nをオンに設定する(S2701)。この背景変更フラグ233nをオンに設定することにより、背景画像を変更するタイミングであることが判別できる。
受信したコマンドが強制背景モードに対応する背景画像に変更することを示すコマンドであるか判別する(S2702)。強制背景モードに対応する背景画像に変更することを示すコマンドであると判別した場合には(S2702:Yes)、強制背景モードに対応する背面画像の背面画像判別フラグ233oをオンに設定する(S2703)。その後、この処理を終了する。一方、S2702の処理において、強制背景モードを示すコマンドでない、即ち、通常背景モードに対応する背景画像に変更することを示すコマンドであると判別した場合には(S2702:No)、演出モードAに設定されているか判別する(S2704)。演出モードAが設定されていると判別した場合には(S2704:Yes)、変更後の背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233oをオンに設定する(S1705)。その後、この処理を終了する。一方、S2704の処理において、演出モードAが設定されていないと判別した場合には(S2704:No)、この処理を終了する。
図98に戻って説明を続ける。S2212の処理において、表示用背景コマンドがないと判別した場合には(S2212:No)、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S2214)、エラーコマンドがあれば(S2214:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S2215)、S2201の処理へ戻る。
ここで、図101(b)を参照して、エラーコマンド処理(S2215)の詳細について説明する。図41(b)は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置114より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S2801)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S2802)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
表示設定処理では、S2801の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S2802の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
尚、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S2902に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
ここで、図98の説明に戻る。S2214の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S2214:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S2219)、S2201の処理へ戻る。
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS2201の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S2201:Yes)、再びS2202〜S2219の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S2201〜S2218の処理が繰り返し実行され、S2201の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
尚、V割込処理(図97(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S2109)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、図11に示す電源投入時画像を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(図99(a)参照)および停止種別コマンド処理(図99(b)参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(図99(a)参照)では、S2301の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主動画像エリア235aおよび電源投入時変動動画像エリア235bに格納されているので、S2302の処理では、転送データテーブルバッファ233bにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
次いで、図102〜図104を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S2103)の詳細について説明する。図102は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
この表示設定処理では、図102に示すように、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S3001)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S3001:No)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されていないと判断して、S3002〜S3004の処理をスキップし、S3005の処理へ移行する。一方、新規フラグがオンであれば(S3001:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理おいて新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S3002)、S3003〜S3004の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
S3003の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S3003)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S3003:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S3004)。
ここで、図103を参照して、警告画像設定処理の詳細について説明する。図43は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S3101)。
タスク処理では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
そして、警告画像設定処理では、S3101の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S3102)、表示設定処理に戻る。
ここで、図102の説明に戻る。警告画像設定処理(S3004)の後、又は、S3003の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S3003:No)、次いで、S3005の処理へ移行する。
S3005では、ポインタ更新処理を実行する(S3005)。ここで、図104を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。図104は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S3201)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
S3201の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S3202)。その結果、End情報であれば(S3202:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S3203)、デモ用表示データテーブルであれば(S3203:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3204)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S3205)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
一方、S3203の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S3203:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S3206)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S3202の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S3202:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
ここで、図102に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を展開する(S3006)。タスク処理では、先に展開された警告画像などと共に、S3006の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S3007)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S3008)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S3008:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S3008:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S3009)。
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S3009:Yes)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3010)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3011)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S3012)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S3013)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S3014)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S3015)、V割込処理に戻る。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233bに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種態様な演出画像を第3図柄表示81に表示させることができる。
尚、S3015の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S2104)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S3015によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、S3009の処理において、確定表示フラグがオンではなくオフであれば(S3009:No)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S3016)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S3016:Yes)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S3017)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S3018)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S3019)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S3020)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S3021)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンド、または、ファンファーレコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
S3016の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S3016:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
尚、V割込処理(図97(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S2109)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像の一方の画像(「○」または「×」)を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
次いで、図105及び図106を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S2105)の詳細について説明する。まず、図105(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S3301)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S3301:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S3302)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、図105(b)を参照して後述する。
一方、S3301の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S3301:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S3303)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、図106を参照して後述する。
次いで、図105(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2105)の一処理である常駐画像転送設定処理(S3302)について説明する。図105(b)は、この常駐画像転送設定処理(S3302)を示すフローチャートである。
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S3401)、転送指示を送信していれば(S3401:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S3402)。このS3402の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S3402の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S3402:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S3402:Yes)、S3403の処理へ移行する。また、S3401の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S3401:No)、S3403の処理へ移行する。
S3403の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S3403)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S3403:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S3404)、常駐画像転送設定処理を終了する。
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM236の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM236の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S3403の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S3403:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S3405)、常駐画像転送設定処理を終了する。これにより、V割込処理(図97(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(図97(b)のS2108参照)および簡易表示設定処理(図97(b)のS2109参照)ではなく、コマンド判定処理(図98〜図101参照)および表示設定処理(図102〜図104参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(図106参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(図105(a)のS3301:No参照)。
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像および電源投入時変動画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、背面画像や、第3図柄、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
次いで、図106を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S2105)の一処理である通常画像転送設定処理(S3303)について説明する。図106は、この通常画像転送設定処理(S3303)を示すフローチャートである。
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S2103)のポインタ更新処理(S3005)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S3501)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S3502)、転送データ情報であれば(S3502:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S3503)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S3504)、S3505の処理へ移行する。
また、S3502の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S3502:No)、S3503及びS3504の処理をスキップして、S3505の処理へ移行する。S3505の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S3505)、転送指示を設定していれば(S3505:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S3506)。
このS3506の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S3506の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S3506:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S3506:Yes)、S3507の処理へ移行する。また、S3505の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S3505:No)、S3507の処理へ移行する。
S3507の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S3507)、転送開始フラグがオンであれば(S3507:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S3508)、S3503の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S3517の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S3507:No)、背景変更フラグ223nはオンであるか判別する(S3509)。背景変更フラグ233nがオンであると判別した場合には(S3509:Yes)、背景変更フラグ233nをオフに設定し(S3510)、オンに設定されていつ背面画像判別フラグ233oに基づいて、対応する背面画像を特定して、転送対象画像データに設定する(S3511)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグ233oに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S3512)、S3513の処理へ移行する。
S3513の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S3513)。このS3513の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233iを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233iより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
そして、S3513の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S3513:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
一方、S3517の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S3513:Yes)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S3514)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。尚、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S3514の処理の後、格納画像データ判別フラグ233iを更新し(S3515)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233iの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で、表示用停止種別コマンドに対応する処理が実行され、その結果、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報が大当たりの停止種別であると判別された場合は、ファンファーレ演出において使用する画像データを遅滞なくキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。また、先に実行されたコマンド判定処理の中で背面画像変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データのうち、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納されていない画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
また、本実施形態では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
次いで、図107を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の描画処理(S2106)の詳細について説明する。図107は、この描画処理を示すフローチャートである。
描画処理では、タスク処理(S2104)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別ならびにそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータ(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報)、及び、転送設定処理(S2105)により設定された転送指示から、図78に示す描画リストを生成する(S3601)。即ち、S3601の処理では、タスク処理(S2104)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別から、各スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを特定し、その特定された格納RAM種別とアドレスとに対して、タスク処理で決定されたそのスプライトに必要なパラメータを対応付ける。そして、各スプライトを、1フレーム分の画像の中で最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えた上で、その並び替え後のスプライト順に、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)として、スプライトの画像データが格納されている格納RAM種別ならびにアドレスおよびそのスプライトの描画に必要なパラメータを記述することで、描画リストを生成する。また、転送設定処理(S2105)により転送指示が設定された場合は、その描画リストの末尾に、転送データ情報として、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを追記する。
尚、上述したように、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
描画リストを生成すると、その生成した描画リストと、描画対象バッファフラグ233jによって特定される描画対象バッファ情報とを画像コントローラへ送信する(S3602)。ここでは、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は、描画対象バッファ情報として第1フレームバッファ236bに描画された画像を展開するよう指示する情報を含め、描画対象バッファフラグ233jが1である場合は、描画対象バッファ情報として第2フレームバッファ236cに描画された画像を展開するよう指示する情報を含める。
画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに基づいて、その描画リストの先頭に記述されたスプライトから順に画像を描画し、それを描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファに上書きによって展開する。これにより、描画リストによって生成された1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができる。
また、描画リストに転送データ情報が含まれている場合は、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出し、その格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスまでに格納された画像データを順にキャラクタROM234から読み出してバッファRAM237aに一時的に格納した後、通常用ビデオRAM236が未使用状態にあるときを見計らって、バッファRAM237aに格納した画像データを通常用ビデオRAM236の転送先先頭アドレスによって示されるエリアに順次転送する。そして、この通常用ビデオRAM236に格納された画像データは、その後にMPU231より送信される描画リストに基づいて使用され、描画リストに従った画像の描画が行われる。
尚、画像コントローラ237は、描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像の画像情報を読み出して、駆動信号と共にその画像情報を第3図柄表示装置81に送信する。これにより、第3図柄表示装置81に対して、フレームバッファに展開した画像を表示させることができる。また、一方のフレームバッファに描画した画像を展開しながら、一方のフレームバッファから展開した画像を第3図柄表示81に表示させることができ、描画処理と表示処理とを同時並列的に処理することができる。
描画処理は、S3602の処理の後、描画対象バッファフラグ233jを更新する(S3603)。そして、描画処理を終了して、V割込処理に戻る。描画対象バッファフラグ233jの更新は、その値を反転させることにより、即ち、値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。
ここで、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図97(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われることになる。これにより、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。よって、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。よって、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
また、上記実施形態では、音声ランプ制御装置113と、表示制御装置114とを別々に設けているが、代わりに、それぞれの装置113,114を一体化し、一つの装置として設けても良い。
また、上記実施形態では、まず、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へコマンドが送信され、音声ランプ制御装置113によりコマンドが受信されると、音声ランプ制御装置113において表示制御装置114へ送信すべきコマンドが決定され、その後、音声ランプ制御装置113から表示制御装置114へコマンドが送信されるように構成されている。これに対して、まず、主制御装置110から表示制御装置114へコマンドが送信し、表示制御装置114によりコマンドが受信されたら、表示制御装置114において音声ランプ制御装置113へ送信すべきコマンドを決定させ、その後、表示制御装置114から音声ランプ制御装置113へコマンドを送信するように構成しても良い。
また、上記実施形態では、画像コントローラ237がキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ画像データを転送する処理を実行する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、MPU231が直接キャラクタROM234にアクセスし、キャラクタROM234から画像データを読み出して、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送してもよい。そして、この場合、MPU231がキャラクタROM234から読み出した画像データを一旦バッファRAM237aに格納し、次いで、MPU231が、転送先の常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が未使用であるか否かを判別して、未使用であれば、バッファRAM237aから転送先の常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ画像データを転送するようにしてもよい。
この場合、転送先の常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が未使用であるか否かの判別は、画像コントローラ237が常駐用ビデオRAM235にアクセスしていること(即ち、使用中であること)を示す常駐用ビデオRAMアクセスフラグ(図示せず)と、画像コントローラ237が通常用ビデオRAM236にアクセスしていること(即ち、使用中であること)を示す通常用ビデオRAMアクセスフラグ(図示せず)とを画像コントローラ237に設け、MPU231が転送先のバッファRAMに対応するアクセスフラグを確認することで行うようにしてもよい。
或いは、画像コントローラ237と常駐用ビデオRAM235との間で送受信される信号、或いは、画像コントローラ237と通常用ビデオRAM236との間で送受信される信号をMPU231によって監視し、その信号の状態から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が未使用であるか否かを確認してもよい。或いは、画像コントローラ237が常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に対してアクセスを開始する場合や、アクセスを終了する場合に、随時、その情報を画像コントローラ237からMPU231に通知することによって、MPU231はその通知に基づいて常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が未使用であるか否かを判断してもよい。
或いは、画像コントローラ237が第3図柄表示装置81を走査する場合に、その走査がブランク期間中であるか否かを、MPU231が画像コントローラ237の駆動状態を確認するか若しくは画像コントローラ237からの通知によって把握し、走査状態がブランク期間にある場合は、各ビデオRAM235,236が未使用中であると判断してもよい。これにより、画像コントローラ237は第3図柄表示装置81の走査状態だけを確認して、未使用中であるか否かを判断するので、その判断を簡単に行うことができる。
また、この場合、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブル、又は、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fで示されるアドレスにNullデータではない転送データ情報が存在する場合に、その転送データ情報に従って、キャラクタROM234から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236へ転送する処理を開始するようにしてもよい。ここで、表示データテーブル等に従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236に格納されるように、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って画像データを転送することにより、表示データテーブル等に従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず通常用ビデオRAM236に格納させておくことができる。そして、その通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
なお、キャラクタROM234から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236へ転送する処理は、MPU231によって実行される表示メイン処理またはメイン処理のループの中で行うようにしてもよい。これにより、MPU231において、コマンド割込処理やV割込処理といった表示制御装置114における重要な処理が行われていない時間を利用して、画像データの転送処理を実行することができる。また、コマンド割込処理やV割込処理は、表示メイン処理などよりも優先して実行される処理であるので、コマンド割込処理やV割込処理に影響を与えることなく、MPU231が画像データの転送処理を実行することができる。
上記実施形態において、MPU231は、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のそれぞれが持つアドレスを用いて、各ビデオRAMを管理するのではなく、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236とで共通に用いられるアドレス体系の中で、各ビデオRAM毎に異なるアドレス領域を割り当てて、それぞれのビデオRAMを管理してもよい。このようにすれば、MPU231から画像コントローラ237に対して、アクセスしたいビデオRAM(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を直接指定することなく、単にアドレスを指定するだけで、そのアドレスで指定された領域が常駐用ビデオRAM235に対するものであるのか、通常用ビデオRAM236に対するものであるのかを画像コントローラ237が判断することができる。即ち、MPU231から画像コントローラ237に対して、アクセスすべきビデオRAMとそのビデオRAMの領域のアドレスとを指定する場合に、単に共通のアドレス体系の中で設定されたアドレスを指定すればよいので、その指定を行う命令の構成を単純化することができる。例えば、MPU231から画像コントローラ237に対して送信され描画リストにおいて、スプライトのデータの格納先を示す情報として、格納RAM種別を含めることなく、単に共通のアドレス体系の中で設定されたアドレスを用いて格納先のアドレスを指定するだけでよいので、その描画リストの構成を単純化することができる。
上記実施形態では、キャラクタROM234をMPU231と画像コントローラ237の接続される内部バス(バスライン240)に直接接続して設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、キャラクタROM234を画像コントローラ237に直接接続して設けてもよい。また、キャラクタROM234の入出力仕様を、マスクROMの入出力仕様に変換するブリッジ回路を設け、そのブリッジ回路を介してキャラクタROM234を内部バス(バスライン240)または画像コントローラ237に接続して設けてもよい。
このブリッジ回路を設けることにより、キャラクタROMとして一般的なマスクROMを用いることを前提に設計された既存の画像コントローラ237又は内部バス(バスライン240)をそのまま使用して、NAND型フラッシュメモリ234aにより構成されたキャラクタROM234を接続することができる。尚、キャラクタROM234が画像コントローラ237やブリッジ回路を介して接続される場合であっても、MPU231からキャラクタROM234に直接アクセスできるように構成してもよい。
上記実施形態では、キャラクタROM234がNAND型フラッシュメモリ234aで構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、大容量で且つ安価な不揮発性の記憶手段、例えば、ハードディスクなどによって構成されてもよい。このような大容量で且つ安価な記憶手段は、一般的に読み出し速度が遅いが、表示制御装置114を上記実施形態で説明した構成とすることにより、表示させたい時間に画像を問題なく表示させることができる。
上記実施形態では、キャラクタROM234にNOR型ROM234dを設け、その第1プログラム格納エリア234d1にMPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、NAND型フラッシュメモリ234aよりも高速に読み出し動作が可能な不揮発性の記憶媒体によって構成されたメモリに第1プログラム格納エリアを設けて、そのエリアにMPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納するようにしてもよい。例えば、NOR型ROM234dに代えて、FeRAM(Ferroelectric RAM)、MRAM(Magnetoresistive RAM)又はPRAM(Phase change RAM)などをキャラクタROM234に設け、それに第1プログラム格納エリアを設けて、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納してもよい。
また、上記実施形態では、内部バス(バスライン240)に接続されたNOR型ROM234dに第1プログラム格納エリア234d1を設け、そのエリアにMPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、NAND型フラッシュメモリ234aよりも高速に読み出し動作が可能な不揮発性の記憶媒体によって構成されたメモリを内部バス(バスライン240)に接続し、そのメモリに第1プログラム格納エリアを設けて、そのエリアにMPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納するようにしてもよい。例えば、NOR型ROM234dに代えて、FeRAM(Ferroelectric RAM)、MRAM(Magnetoresistive RAM)又はPRAM(Phase change RAM)などを内部バス(バスライン240)に設け、それに第1プログラム格納エリアを設けて、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納してもよい。
上記実施形態では、ROMコントローラ234bにおいて、内部バス(バスライン240)のアドレスが「0000H」に指定されたことを検知すると、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムをバッファRAM234cへセットした上で、指定されたアドレスに対応するデータ(命令コード)をバッファRAM234cから読み出して、内部バス(バスライン240)を介してMPU231へ出力する場合について説明した。これに対し、ROMコントローラ234bが電源装置115から電源が投入されたことを検出すると、ROMコントローラ234bが第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムをバッファRAM234cへセットしておき、次いで、ROMコントローラ234bにおいて内部バス(バスライン240)のアドレスが「0000H」に指定されたことを検知すると、指定されたアドレスに対応するデータ(命令コード)をバッファRAM234cから読み出して、内部バス(バスライン240)を介してMPU231へ出力してもよい。この場合、MPU231がシステムリセット解除後に内部バス(バスライン240)に対してアドレス「0000H」を指定すると、既にバッファRAM234cに第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムがセットされているか、セットされる途中であるので、キャラクタROM234は、アドレス「0000H」がMPU231によって指定されてからより少ないディレイで対応するデータ(命令コード)を出力することができる。従って、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231において表示メイン処理の起動を短時間で行うことができる。その結果、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における補助演出部または第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
また、ROMコントローラ234bは、内部バス(バスライン240)に指定されたアドレスが、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されている制御プログラムを指定するものであると検知すると、第1プログラム記憶エリア234d1から直接、指定されたアドレスに対応するデータ(命令コード)を読み出し、内部バス(バスライン240)を介してMPU231に対して出力するようにしてもよい。これにより、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231において表示メイン処理の起動を短時間で行うことができる。その結果、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における補助演出部または第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。また、この場合、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されている制御プログラム(ブートプログラム)をバッファRAM234cにセットする処理を行わないようにしてもよい。これにより、キャラクタROM234における電力消費を抑制することができる。
上記実施形態では、常駐用ビデオRAM235を画像コントローラ237に接続して設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、MPU231とキャラクタROM234と画像コントローラ237とが接続される内部バス(バスライン240)に直接接続して設けてもよい。また、キャラクタROM234が上記ブリッジ回路を介して内部バス(バスライン240)または画像コントローラ237に接続される場合、そのブリッジ回路に常駐用ビデオRAM235を接続して設けてもよい。ブリッジ回路に常駐用ビデオRAM235を接続するように構成すれば、既存の画像コントローラ237又は内部バス(バスライン240)が、常駐用ビデオRAM235を直接接続可能に構成されていなくても、常駐用ビデオRAM235を表示制御装置114に容易に設けることができる。
上記実施形態では、表示制御装置114に1つの常駐用ビデオRAM235と1つの通常用ビデオRAM236とを設ける場合について説明したが、各種ビデオRAMの数はこれに限定されるものではなく、より多くのビデオRAMを設けてもよい。また、常駐用ビデオRAMを複数設け、それぞれに各種モードなどに応じた画像に対応する画像データを常駐させておき、そのモードに応じて使用する常駐用ビデオRAMを選択するようにしてもよい。
上記実施形態では、常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236を、1ポート型(入出力ポートが1ポート)のDRAMによって構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、マルチポート型のRAMを用いてもよい。これにより、常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236への書き込みと読み出しを同時に行うことができるので、例えば、通常用ビデオRAM236から画像データを読み出して画像の描画を行いながら、キャラクタROM234から読み出された画像データを通常用ビデオRAM236へ書き込む処理を並列処理することができる。よって、画像データの書き込みによって描画処理が遅延するおそれを抑制することができる。
また、上記実施形態では、常駐用ビデオRAM235と通常用ビデオRAM236とを別のメモリによって構成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、1つのRAMを常駐領域と通常領域とに分割し、それぞれの領域に対して、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のそれぞれと同一の内容が記憶されるようにしてもよい。尚、1つのRAMで常駐領域と通常領域とを構成する場合、そのメモリの入出力ポートが、常駐領域および通常領域のうち一方の領域によって、読み出し又は書き込み処理で占有されることを防止するため、マルチポート型のRAMを用いるのが望ましい。
上記実施形態における常駐用ビデオRAM235に格納される画像データの種類は一例であり、その種類は、第3図柄表示装置81に表示させる画像の内容に応じて適宜設定されるものであってもよい。この場合、主制御装置110または音声ランプ制御装置113から受信した受信コマンドやその他外部からの入力に応じて、即座に第3図柄表示装置81へ表示すべき画像に対応する画像データを少なくとも常駐用ビデオRAM235へ常駐させるのが好ましい。
上記実施形態では、キャラクタROM234に格納された画像データの一部を常駐用ビデオRAM235へ転送し、常駐させる場合について説明したが、キャラクタROM234に格納された全ての画像データを常駐用ビデオRAM235へ転送してもよい。この場合、常駐用ビデオRAM235に非常駐のキャラクタROM234に格納された画像データは存在しないので、通常用ビデオRAM236は、画像コントローラ237による描画によって得られた描画画像データを格納するための専用メモリとして用いてもよい。
上記実施形態では、常駐用ビデオRAM235は、電源投入中、上書きされずにその内容が保持され続ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、主制御装置110または音声ランプ制御装置113から受信したコマンドに基づき、第3図柄表示装置81に表示させる画像を大きく異ならせる場合など、所定の契機に基づいて、常駐用ビデオRAM235に常駐させる画像データを上書きして更新するようにしてもよい。この場合、第3図柄表示装置81に表示させる画像を変更する間、移行期間として所定の移行画像を表示させてもよい。また、その移行画像に対応する画像データは、電源投入時に常駐用ビデオRAM235に格納され、その他の常駐用画像が更新されるときにも更新されずに常駐用ビデオRAM235に保持され続けるようにしておいてもよい。また、その移行画像を表示させている間に、MPU231が直接キャラクタROM234にアクセスして新たに常駐すべき画像データを読み出し、その読み出した画像データを、バッファRAM237aを介して、常駐用ビデオRAM235の未使用中(即ち、移行画像に対応する画像データが読み出されていない期間中)に転送するようにしてもよい。或いは、その移行画像を表示させている間に、MPU231が画像コントローラ237に対して新たに常駐すべき画像データの転送指示(転送データ情報)を送信し、画像コントローラ237が、その転送指令(転送データ情報)に従ってキャラクタROM234から常駐すべき画像データを読み出し、バッファRAM237aを介して、常駐用ビデオRAM235の未使用中(即ち、移行画像に対応する画像データが読み出されていない期間中)に転送するようにしてもよい。
また、常駐用ビデオRAM235を更新する場合、予め移行画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送しておき、通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて移行画像を第3図柄表示装置81に表示させもよい。そして、その移行画像が表示されている間に、MPU231が直接キャラクタROM234にアクセスして、新たに常駐すべき画像データを読み出し、その読み出した画像データを、バッファRAM237aを介して転送するようにしてもよい。或いは、MPU231より常駐すべき画像データの転送指示を受けた画像コントローラ237がキャラクタROM234にアクセスして、新たに常駐すべき画像データを読み出し、その読み出した画像データを、バッファRAM237aを介して転送するようにしてもよい。移行画像を表示させている間に、常駐用ビデオRAM235の内容を更新することにより、遊技者に違和感を持たせることなく、その常駐用ビデオRAM235の更新を行うことができる。
上記実施形態において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データを全て常駐した後、停電解消時に常駐用ビデオRAM235のデータが正常か否かを判定するためのRAM判定値を記憶させておき、電源投入後に表示制御装置114のMPU231で実行される表示メイン処理またはメイン処理の中で、電源投入時主画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送開始する前に、RAM判定値を確認し、そのRAM判定値が正常な値であれば、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが正常に格納され続けていることを意味するので、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送を非実行とするように構成してもよい。この場合、簡易画像表示フラグをオフにすることで、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送を非実行となるようにしてもよい。これにより、瞬停の発生によって、表示制御装置114にシステムリセットが入力され、MPU231によって表示メイン処理またはメイン処理の実行が開始された場合であっても、常駐用ビデオRAM235のデータが正常に格納されている場合は、無駄にキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に画像データが転送されるのを防ぐことができ、停電復帰にかかる時間を短縮することができる。特に、キャラクタROM234は、読み出し速度の遅いキャラクタROM234aによって構成されているので、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に画像データを転送する場合には長い時間を要する。これに対し、本変形例のように常駐用ビデオRAM235にRAM判定値を記憶させることで、瞬停などにより常駐用ビデオRAM235のデータが正常に残っている場合は、その画像データの転送に要する時間を短縮できるので、第3図柄表示装置81に対して、即座に通常の演出画像を表示させることができる。よって、遊技者に即座に遊技を開始させることができる。なお、RAM判定値は、例えば常駐用ビデオRAM235に記憶される画像データのチェックサム値であってもよい。また、このRAM判定値に代えて、常駐用ビデオRAM235の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりデータの有効性を判断するようにしても良い。
上記実施形態では、バッファRAM237aを画像コントローラ237内に設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、画像コントローラ237の外に設けてもよい。例えば、バッファRAMを単独で構成し、内部バス(バスライン240)に直接接続するように構成してもよい。また、キャラクタROM234が上記ブリッジ回路を介して内部バス(バスライン240)または画像コントローラ237に接続される場合、そのブリッジ回路内にバッファRAMを設けてもよい。更に、そのバッファRAMを有するブリッジ回路に常駐用ビデオRAM235が直接接続されてもよい。この場合、ブリッジ回路に接続されたキャラクタROM234から、ブリッジ回路に設けられたバッファRAMを介して、常駐用ビデオRAM235へ画像データを転送できるので、データ信号のやりとりが多い内部バス(バスライン240)に影響されることなく、効率的に転送を行うことができる。
上記実施形態では、バッファRAM237aの記憶容量を、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分とする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、適宜設定されるものであってもよい。例えば、第3図柄表示装置81が有する表示画面の走査期間のうち、実際の画像が表示される表示領域以外の走査領域であるブランク領域上を走査している期間(ブランク期間)中に、バッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ画像データの転送が完了できる程度のデータ容量を、バッファRAM237aの記憶容量としてもよい。これにより、バッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、このブランク期間に生じる各ビデオRAM235,236の未使用期間を利用することで、確実に行うことができる。
上記実施形態では、バッファRAM237aを1つ設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、バッファRAMを2つまたはそれ以上設けてもよい。この場合、一のバッファRAMにキャラクタROM234から読み出された画像データを格納している間に、別のバッファRAMから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ格納された画像データを転送するように構成してもよい。また、1つのバッファRAMの中で領域を2つ又はそれ以上に分割し、一の領域にキャラクタROM234から読み出された画像データを格納している間に、画像データが格納されている別の領域から常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ、その画像データを転送するように構成してもよい。いずれの場合であっても、キャラクタROM234から読み出された画像データのバッファRAMへの書き込みと、バッファRAMに書き込まれた画像データの常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への転送とを並列して処理できるので、その処理にかかる時間を短縮できる。
上記実施形態では、電源投入時主画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送する場合について説明したが、この電源投入時主画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送してもよい。これにより、通常用ビデオRAM236に格納された電源投入時主画像に対応する画像データを用いて、電源投入時主画像を表示させながら、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ常駐すべき画像データを転送することができる。そして、この間、常駐用ビデオRAM235からは画像データが読み出されないので、常駐用ビデオRAM235の使用状態を監視することなく、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ画像データを転送できるので、その画像データの転送を早く完了させることができると共に、処理の簡素化を図ることができる。
同様に、上記実施形態では、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送する場合について説明したが、この電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送してもよい。これにより、通常用ビデオRAM236に格納された電源投入時主画像や電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて、第3図柄表示装置81に電源投入時画像を表示させながら、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ常駐すべき画像データを転送することができる。そして、この間、常駐用ビデオRAM235からは画像データが読み出されないので、常駐用ビデオRAM235の使用状態を監視することなく、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ画像データを転送できるので、その画像データの転送を早く完了させることができると共に、処理の簡素化を図ることができる。
上記実施形態では、電源投入時主画像に対応する画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介して常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送する場合について説明したが、電源投入時主画像に対応する画像データを転送する間は、常駐用ビデオRAM235から画像データの読み出しが行われないので、電源投入時主画像に対応する画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介さずに常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ直接転送してもよい。また、電源投入時主画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送し、通常用ビデオRAM236に格納された電源投入時主画像に対応する画像データを用いて電源投入時主画像を表示させることなどにより、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ常駐すべき画像データを転送する間、常駐用ビデオRAM235から画像データの読み出しが行われないように構成されている場合は、常駐すべき画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介さずに常駐用ビデオRAM235へ直接転送してもよい。これにより、バッファRAM237aを介さずに、より早く画像データの転送を終えることができる。
同様に、上記実施形態では、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介して常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送する場合について説明したが、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを転送する間は、常駐用ビデオRAM235から画像データの読み出しが行われないので、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介さずに常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ直接転送してもよい。また、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入後にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送し、通常用ビデオRAM236に格納された電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて第3図柄表示装置81に電源投入時画像を表示させることなどにより、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ常駐すべき画像データを転送する間、常駐用ビデオRAM235から画像データの読み出しが行われないように構成されている場合は、常駐すべき画像データをキャラクタROM234からバッファRAM237aを介さずに常駐用ビデオRAM235へ直接転送してもよい。これにより、バッファRAM237aを介さずに、より早く画像データの転送を終えることができる。
上記実施形態では、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合に、音声ランプ制御装置113により背面画像変更コマンドや枠ボタン操作コマンドが生成され、表示制御装置114によってその背面画像変更コマンドや枠ボタン操作コマンドに基づき、第3図柄表示装置81に表示される背面画像やスーパーリーチの演出態様を変更する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より受信したコマンドの内容に基づいて、遊技機10の遊技状態を把握し、その遊技状態に応じて、例えば、遊技状態の変更にあわせて、背面画像変更コマンドや遊技状態コマンドを生成してもよい。これにより、表示制御装置114では、その背面画像変更コマンドや遊技状態コマンドに基づき、遊技状態に応じて背面画像やスーパーリーチの演出態様を変更することができる。また、表示制御装置114が直接遊技機10の遊技状態を把握し、その遊技状態に応じて、背面画像やスーパーリーチの演出態様を変更してもよい。そして、変更後の背面画像、または、変更後の演出態様のスーパーリーチに対応する背面画像の少なくとも一部の範囲に対応する画像データが常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されることによって、その常駐された範囲から、その背面画像を、背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて即座に表示させることができる。
また、表示制御装置114は、表示データテーブル、転送データテーブル、追加データテーブルや合成データテーブルの規定に従って背面画像を変更してもよい。この場合、変更後の背面画像に対応する画像データは、転送データテーブル、合成データテーブルや表示データテーブルに記載された転送データ情報に従って、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ予め転送されるように構成してもよい。ここで、転送データテーブル、合成データテーブルや表示データテーブルに記載された転送データ情報によって背面画像の画像データを転送する場合、元々の背面画像が格納された通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアに新たな背面画像が格納されるように転送データテーブルの転送データ情報を規定してもよいし、元々の背面画像が格納された通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアとは別のエリアに新たな背面画像が格納されるように転送データテーブルの転送データ情報を規定してもよい。後者の場合、背面画像を遊技者によって選択されて表示されていた元の背面画像に戻す際に、改めて元の背面画像に対応する画像データを転送する必要がないので、表示制御装置114の処理負荷の増大を抑制することができる。
また、上記実施形態では、振動センサの出力信号を音声ランプ制御装置113に入力し、音声ランプ制御装置113にて振動エラーが検出された場合、エラーコマンドを表示制御装置114へ送信することにより、表示制御装置114にて第3図柄表示装置81へ即座に警告画像を表示させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、振動センサの出力信号を主制御装置110へ入力し、主制御装置110にて振動エラーを検出して、主制御装置110からそのエラーを通知するエラーコマンドを音声ランプ制御装置113および表示制御装置114のいずれかへ送信するようにしてもよい。そして、音声ランプ制御装置113に対してエラーコマンドが送信される場合は、音声ランプ制御装置113がそのエラーコマンドを受けて、表示制御装置114へ更にそのエラーを通知するエラーコマンドを送信するようにしてもよい。
一方、振動センサの出力信号を表示制御装置114に入力し、表示制御装置114にて振動エラーの有無を検出するように構成してもよい。そして、振動エラーが検出された場合、エラー発生フラグをオンにし、更に、振動エラーに対応するエラー判別フラグをオンすることによって、表示設定処理においてエラー発生フラグがオンであることを判別した場合に警告画像設定処理を実行することで、第3図柄表示装置81へ即座に警告画像を表示させてもよい。この場合、これにより、音声ランプ制御装置113から表示制御装置114へのエラーコマンドの送受信が不要となるため、より早く警告画像を第3図柄表示装置81へ表示させることができる。
また、上記実施形態では、振動センサが遊技板13の裏面に取り付けられている場合について説明したが、振動センサに代えて、若しくは、振動センサと共に、磁石センサが遊技板13の裏面に取り付けられてもよい。この磁石センサは、磁石などの磁界によって球の流れが変えられ、意図的に入球口への入球が行われることを抑制するために、遊技板に加えられた磁界を検出するためのセンサであり、磁石センサの出力信号は、主制御装置110,音声ランプ制御装置113および表示制御装置114のいずれかに入力されるようにしてもよい。そして、磁石センサの出力信号が主制御装置110に入力される場合は、その磁石センサの出力信号に基づき主制御装置110によって遊技板13に磁界が加えられたと判断されると、その磁界エラーを伝えるエラーコマンドが主制御装置110から音声ランプ制御装置113経由で、または、直接、表示制御装置114に対して送信されるようにしてもよい。また、磁石センサの出力信号が音声ランプ制御装置113に入力される場合は、その磁石センサの出力信号に基づき音声ランプ制御装置113によって遊技板13に磁界が加えられたと判断されると、その磁界エラーを伝えるエラーコマンドが音声ランプ制御装置113から表示制御装置114に対して送信されるようにしてもよい。そして、表示制御装置113の常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画象エリア235fには、磁界エラーを第3図柄表示装置81の表示によって報知するためのエラーメッセージ画像に対応する画像データが常駐されるように構成し、主制御装置110又は音声ランプ制御装置113から磁界エラーを伝えるエラーコマンドを受信すると、表示制御装置113は、第3図柄表示装置81にその警告画像を表示するようにしてもよい。また、磁石センサの出力信号が表示制御装置110に入力される場合は、その磁石センサの出力信号に基づき表示制御装置114によって遊技板13に磁界が加えられたと判断されると、表示制御装置113は、エラー発生フラグをオンすると共に、磁界エラーに対応するエラー種別フラグをオンに設定することで、第3図柄表示装置81にその警告画像を表示するようにしてもよい。これにより、表示制御装置114は、主制御装置110又は音声ランプ制御装置113からのエラーコマンドを受信し、或いは、磁石センサからの出力信号に基づいて、磁界エラーの発生を把握すると、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成した場合であっても、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画像エリア235fに常駐されているエラーメッセージ画像を用いて、遅滞なく磁界エラーを報知するエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に表示させることができる。よって、遊技者により遊技板に対して磁界が加えられると、第3図柄表示装置81によるエラーメッセージ画像の表示によって、その磁界エラーが即座に報知されるので、遊技者に対して不正な行動を抑止させることができる。
一の演出における一部または全部の色調を変化させるために必要な描画内容を追加データテーブル又は表示データテーブルによって規定する場合、その追加データテーブル又は表示データテーブルでは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間において、色調を変化させるスプライトの種別と、そのスプライトにおける変化後の色調を指定する色情報とを規定するものであってもよい。そして、MPU231は、表示データテーブルバッファ452dに設定された表示データテーブルに規定される追加描画内容においてポインタ233fにより示されるアドレスに色調を変化させるスプライトの種別と、そのスプライトにおける変化後の色調を指定する色情報とが規定されていた場合、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに規定される描画内容においてポインタ233fにより示されるアドレスに規定された対応のスプライト種別の色情報を、表示データテーブルの追加描画内容により規定された色情報に置き換えて、描画リストを作成するようにしてもよい。これにより、画像コントローラ237では、追加データテーブルによって規定された色情報に基づいて、そのスプライトの色調を変化させながら画像の描画を行うことができる。
また、一の演出において表示される画像を変更して表示させるために必要な描画内容が表示データテーブルによって規定される場合、その表示データテーブルでは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間において、置き換え対象のスプライト種別と、新たに表示すべきスプライト種別と、その新たに表示すべきスプライトの描画情報とを規定するものであってもよい。そして、MPU231は、表示データテーブルバッファ452dに設定された表示データテーブルに規定される追加描画内容において、ポインタ233fにより示されるアドレスに、置き換え対象のスプライト種別と、新たに表示すべきスプライト種別と、その新たに表示すべきスプライトの描画情報とが規定されていた場合、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに規定される描画内容において、ポインタ233fにより示されるアドレスに規定された各種スプライトのうち、置き換え対象のスプライトに代えて、新たに表示すべきスプライト種別と、そのスプライトの描画情報とを描画リストに含めるようにしてもよい。これにより、画像コントローラ237では、新たに表示すべきスプライトを含む画像の描画を行うことができる。
また、上記実施形態では、表示データテーブルにおいて、その表示データテーブルに規定された描画内容に従って画像を描画する場合に必要となる画像データの転送データ情報を含める場合について説明したが、それに加えて、表示データテーブルに規定された追加描画内容に従って画像を描画する場合に必要となる画像データの転送データ情報(追加転送データ情報)を含めてもよい。この場合、追加転送データ情報は、各アドレス毎に、その追加表示可能な演出を識別するための識別情報(「追加演出1」、「追加演出2」・・・等)に対応付けて、追加描画内容と共にまたは追加描画内容とは別個に規定されるものであってもよい。そして、MPU231は、追加して表示すべき演出を決定すると、その決定された演出に対応する識別情報に対応付けられた追加描画内容と追加転送データ情報とを含めて、描画リストを作成するように構成してもよい。
これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、追加描画内容に従った描画で用いられるスプライトの画像データを、その画像データが用いられる前に予め通常用ビデオRAM236に転送しておくことができる。よって、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、追加して表示すべき演出を容易に且つ確実に第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、表示データテーブルに規定された追加転送データ情報を用いることによって、追加描画内容に基づく画像の描画を指示しながら、必要な画像データを通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、追加描画内容によって多くのスプライトの描画を指定することができる。よって、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種態様な演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。
上記実施形態では、遊技者にスーパーリーチを選択させる変動パターンに対応する表示テーブルにおいて、遊技者により選択され得る全てのスーパーリーチに対応する描画内容を表示データテーブル内に規定しておき、遊技者によって選択されたスーパーリーチに対応する描画内容だけを特定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、選択されたスーパーリーチに対応する描画内容を、表示データテーブルに追記するようにしてもよい。これによって、遊技者により選択されたスーパーリーチの描画内容を容易に特定することができる。また、表示データテーブルに全てのスーパーリーチに対応する描画内容を規定しておく必要がないので、表示データテーブルのデータサーズが大きくなることを抑制できる。
上記実施形態では、表示データテーブルに、描画内容と、転送データ情報とを含める場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、表示データテーブルには、描画内容と転送データ情報とを規定し、追加して表示すべき演出の追加描画内容は、追加データテーブルに規定してもよい。この場合、ワークRAM233には、追加データテーブルバッファを設け、追加して表示すべき演出が決定された場合に、その演出に対応する追加データテーブルを追加データテーブルバッファに設定するようにしてもよい。また、その追加データテーブルは、追加描画内容だけでなく、その追加描画内容に従って行われる画像の描画に必要な画像データの転送データ情報(追加転送データ情報)を含めて規定するものであってもよい。これにより、追加データテーブルを用いて追加して表示すべき演出の描画内容と、その描画に必要な画像の転送データ情報とを特定することができるので、追加データテーブルおよび追加用転送データテーブルからそれぞれ描画内容と転送データ情報とを特定する場合と比較して、その特定に要する処理の負荷を軽くすることができる。
上記実施形態では、表示制御装置114において、表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターン毎に表示データテーブルを用意する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、変動演出を、例えば、「変動立ち上げ」、「高速変動」、「予告演出」、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」といった各要素毎に表示データテーブルを用意し、表示用変動パターンコマンドに示される変動パターンに応じてその変動演出に必要な要素を特定した上で、その特定された変動演出に必要な用紙に対応する表示データテーブルを1つにまとめて、その変動パターンに対応する最終定期な表示データテーブルを生成するようにしてもよい。「変動立ち上げ」、「高速変動」、「ノーマルリーチ」などは、それぞれの変動パターンに共通した表示が行われる場合が多い。よって、このように変動演出を要素化し、それぞれの要素に対応して表示データテーブルを用意することで、データテーブルを効率的に持たせることができる。
上記実施形態では、表示データテーブルおよび転送データテーブルで、共通のポインタ233fを用いて、そのポインタ233fによって示されるアドレスから描画内容や転送データ情報を特定する場合について説明したが、それぞれのデータテーブルに対して、ポインタを用意してもよい。
上記実施形態では、画像コントローラ237が、描画処理を終了する1フレーム分の画像の表示間隔毎(上記実施形態では20ミリ秒毎)に、V割込信号をMPU231に対して送信する場合について説明したが、画像コントローラ237は、第3図柄表示装置81を駆動して1フレーム分の画像を表示させる度に、このV割込信号をMPU231に対して送信するようにしてもよい。第3図柄表示装置81の駆動は、常に1フレーム分の画像を常に等時間間隔(20ミリ秒間隔)で表示されるように行われるので、1フレーム分の画像の表示毎にV割込信号を送信することで、その時間間隔を計時しなくても正確に保つことができる。
上記実施形態では、画像コントローラ237は、MPU231から送信される描画対象バッファ情報に基づいて、描画した画像を展開すべきフレームバッファを特定すると共に、もう一方のフレームバッファから先に展開された画像情報を読み出して、第3図柄表示装置81に送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、画像コントローラ237が、描画リストを受信する毎に、描画した画像を展開すべきフレームバッファを交互に選択するようにし、その選択されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像情報を読み出して、第3図柄表示装置81に送信するようにしてもよい。また、画像コントローラ237が、第3図柄表示装置81に1フレーム分の画像情報を送信する度に、描画した画像を展開すべきフレームバッファと、第3図柄表示装置81に対して画像情報を出力するフレームバッファとを入れ替えるようにしてもよい。
上記実施形態では、確定表示演出に対応する確定表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定された後、その確定表示演出が終了するまでに、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より変動パターンコマンド(表示用変動パターンコマンド)及びデモコマンド(表示用デモコマンド)のいずれも受信しなかった場合は、デモ演出に対応するデモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する場合について説明したが、これを、再び確定表示演出に対応する確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するようにしてもよい。また、この場合、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より変動パターンコマンド(表示用変動パターンコマンド)及びデモコマンド(表示用デモコマンド)のいずれかが受信されるまで、確定表示演出が終了するたびに、確定表示演出に対応する確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに再設定するようにしてもよい。これにより、主制御装置110から変動パターンコマンド又はデモコマンドを受信するまで、第3図柄表示装置81に確定表示演出を表示させ続けることができる。
上記実施形態では、デモ演出が、背面画像を変化させると共に「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄を停止表示させるものである場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、数字の付された主図柄または数字の付されていない主図柄からなる第3図柄を、半透明状態で停止表示させるものであってもよい。また、第3図柄を表示させずに背面画像だけを変化させるものであってもよい。また、変動表示で用いられる第3図柄や背面画像とは全く異なるキャラクタや背面画像を表示させるものであってもよい。
上記実施形態では、表示制御手段114において、電源投入後にまず電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送し、その転送完了後に電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させてから、残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、表示制御手段114において、電源投入後にまず電源投入時主画像に対応する画像データのみをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送し、その転送完了後に電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させてから、電源投入時変動画像に対応する画像データを含む常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するようにしてもよい。これにより、電源投入時主画像を電源投入後により早く第3図柄表示装置81へ表示させることができるので、遊技者やホール関係者、又は、製造時の工場等における動作チェックにおいて、パチンコ機10が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができる。
また、この場合、MPU231が、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送完了を監視するようにしてもよい。これにより、電源投入時変動画像エリア235bに電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されて以降に、音声ランプ制御装置113より表示用変動パターンコマンドを受信すれば、その表示用変動パターンコマンドに基づき、電源投入時変動画像エリア235bに格納された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて、簡易的な変動表示を第3図柄表示装置81に表示させることができる。なお、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させた直後に行うのが望ましい。これにより、電源投入時変動画像による変動表示をより早く行えるようにすることができる。
上記実施形態において、表示データテーブルおよび転送データテーブルは、20ミリ秒を1単位として表した時間に対応して、その時間に描画すべき画像の内容(描画内容)や、その時間に転送すべき画像データの情報(転送データ情報)を規定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、所定の時間間隔毎に表示内容を規定するものであればよい。この所定の時間間隔は、第3図柄表示装置81のフレームレートにあわせて設定するようにしてもよい。例えば、第3図柄表示装置81のフレームレートが30fps、即ち、第3図柄表示装置81が、1秒間に30フレームの画像を表示するものである場合は、第3図柄表示装置81は1/30秒毎に1フレームの画像が表示されるので、表示データテーブルは、1/30秒間隔毎に表示内容を規定するものにしてもよい。
また、表示データテーブルにおいて、所定の時間間隔毎に規定される描画すべきスプライト種別として、そのスプライト種別そのものを指示するのではなく、そのスプライト種別に対応する画像データが格納されたキャラクタROM234のアドレスを規定するものであってもよい。表示制御装置114では、第3図柄表示装置81に表示すべきスプライト種別に対応する画像データをキャラクタROM234から読み出すため、各スプライト種別に対応付けて、そのスプライト種別の画像データが格納されたキャラクタROM234のアドレスを管理している。よって、表示データテーブルにおいて、所定の時間間隔毎に規定される表示内容として、そのスプライト種別に対応する画像データが格納されたキャラクタROM234のアドレスを規定すれば、各スプライト種別に対応付けて、スプライトを特定する情報とキャラクタROM234のアドレスとの両方を管理する必要がなくなるため、処理負担の軽減を図ることができる。
上記実施形態では、表示制御装置114のワークRAM233に格納画像データ判別フラグ233iを設け、スプライト毎に、対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを記憶させる場合について説明したが、これに代えて、画像格納エリア236aに格納されているスプライト種別を示す情報をワークRAM233に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、所定のスプライト種別の画像データを転送指示する場合に、ワークRAM233に記憶された画像格納エリア236aに格納されているスプライト種別を示す情報を参照して、その所定の画像データが既に画像格納エリア236aに格納されているか否かを判別し、格納されていなければ、その所定のスプライト種別の画像データの転送指示を設定してもよい。また、MPU231は、所定のスプライト種別の画像データの転送指示を設定した場合、その転送指示が設定されたスプライト種別を示す情報をワークRAM233に格納すると共に、そのスプライト種別の画像データが格納される画像格納エリア236aのサブエリアに格納されていたスプライト種別を示す情報を消去するようにしてもよい。
上記実施形態では、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ所定のスプライト種別の画像データを転送する際に、格納画像データ判別フラグ233iに基づいて、そのスプライト種別の画像データが通常用ビデオRAM236に格納されているか否かを判断し、通常用ビデオRAM236に、その所定のスプライト種別の画像データが格納されていれば、その転送処理を非実行とする処理を、MPU231が行う場合について説明したが、この処理を、画像コントローラ237が行うようにしてもよい。この場合、画像コントローラ237に設けられたワークRAMに、格納画像データ判別フラグ233iと同等のフラグを用意して、各スプライト毎に、対応する画像データが通常用ビデオRAM236に格納されているかどうかを記憶させてもよい。また、画像コントローラ237に設けられたワークRAMに、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているスプライト種別を記憶させるようにしてもよい。なお、この場合、MPU231は、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への所定のスプライト種別の画像データの転送が必要であれば、通常用ビデオRAM236における画像データの格納状態に関わらず、画像コントローラ237に対して、その画像データの転送データ情報を送信するようにしてもよい。
上記実施形態では、複数の背面画像のうち、「背面A」に対応する画像データのみを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2以上の背面画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐させるようにしてもよい。例えば、一部のスーパーリーチで用いられる背面画像の画像データを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐させてもよい。特に、出現頻度が高い又は高いと予想されるスーパーリーチの背面画像を常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐させることにより、キャラクタROM737から通常用ビデオRAM536への画像データの転送処理が実行される回数を抑制することができる。
上記実施形態では、転送データテーブル又は表示データテーブルによって、ポインタ233fで示されるアドレスに対応付けて画像データの転送指令が規定され、MPU231は、その表示ポインタにより規定される所定の時間にその転送指令で指示された画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送するように画像コントローラ237を制御する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、表示データテーブルの先頭に、その表示データテーブルにおいて必要となるスプライト種別に関する情報を記載し、MPU231は、その表示データテーブルの先頭に記載された情報に基づいて、必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送するように画像コントローラ237を制御してもよい。若しくは、音声ランプ制御装置113から受信したコマンドに基づき、MPU231がそのコマンドに対応して第3図柄表示装置81に表示すべきスプライト種別を判断して、その画像種別の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送するように画像コントローラ237を制御してもよい。
上記実施形態では、「島ステージ」の背面画像である背面Cにおいて、その画像の一部の色調が時間と共に変化する場合について説明したが、画像全体の色調が時間と共に変化するものであってもよい。また、背面画像として、時間の経過と共にスクロールしたり、色調が変化したりするものだけではなく、また、そのような背面画像に代えて、時間の経過と共に、登場する物体(例えば、人物)が移動したり、変化したりするようなものであってもよい。
上記実施形態では、変動演出が行われる第3図柄表示装置81にて連続予告演出も実行する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、パチンコ機10に第3図柄表示装置81とは別の第4図柄表示装置を設け、第3図柄表示装置81で実行される変動演出と合わせて、第4図柄表示装置に第4図柄を表示させることによって、連続予告演出を実行してもよい。この場合、第4図柄表示装置の制御を表示制御装置114で行ってもよいし、音声ランプ制御装置113で行ってもよい。また、各種演出に応じて作動する役物をパチンコ機10に設け、その役物を変動演出と合わせて所定の態様で作動させることによって、連続予告演出を実行してもよい。また、音声ランプ制御装置113の制御により、パチンコ機10の音声出力装置226から連続予告演出用の音声を出力させることによって、連続予告演出を実行してもよいし、パチンコ機10の電飾部29〜33を変動演出と合わせて点灯または点滅させることによって、連続予告演出を実行してもよい。
これにより、第3図柄表示装置81(および第1図柄表示装置37)において変動演出が行われる度に、連続して第4図柄表示装置に図柄が表示されたり、役物が所定の態様で作動したり、音声出力装置226から音声が出力されたり、若しくは、電飾部29〜33が点灯または点滅することによって、遊技者に対して大当たりの期待感を持たせることができる。また、遊技者は、通常、変動演出が行われる第3図柄表示装置81を注視して遊技を継続して行うが、第3図柄表示装置81とは別の第4図柄表示装置による図柄の表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、若しくは電飾部29〜33の点灯・点滅によって連続予告演出が行われるので、遊技者に対して、通常とは異なる演出が行われたことを容易に認識させることができる。また、連続予告演出を、第4図柄表示装置による図柄の表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、または電飾部29〜33の点灯・点滅といった簡単な制御で容易に連続予告演出を行わせることができる。
また、連続予告演出を音声出力装置226からの音声出力や、電飾部29〜33の点灯または点滅によって行えば、その連続予告演出の制御は音声ランプ制御装置113によって行われるので、始動入賞時における当否判定や変動開始時の抽選処理を主制御装置110に行わせ、連続予告演出を音声ランプ制御装置113に行わせ、変動演出を表示制御装置114に行わせることで、パチンコ機10により連続予告演出を行う場合、それぞれの制御装置に各処理を分担させることができる。よって、1つの制御装置に負荷が集中するのを防ぐことができるので、各制御装置のMPUに求められる性能を低く抑えることができる。
尚、第3図柄表示装置81における連続予告演出用の図柄の表示、第4図柄表示装置における連続予告演出用の図柄の表示、役物の所定の態様での作動、音声出力装置226からの音声出力、及び、電飾部29〜33の点灯または点滅のうち、少なくとも2以上を組み合わせ、それぞれを連動させて制御することにより、連続予告演出を実行してもよい。これにより、より多彩な連続予告演出を実行させることができる。また、連続予告演出の実行方法(第3図柄表示装置81による表示、第4図柄表示装置による表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、電飾部29〜33の点灯または点滅、又は、それらの組み合わせ)を変えることで、連続予告演出終了後の遊技状態(15R確変大当たり、2R確変大当たり、時短大当たり、外れ)に応じて選定される連続予告演出態様を複数用意してもよい。
また、上記実施形態では、連続予告演出が行われる場合に、変動演出とは別の連続予告演出用の画像が第3図柄表示装置81に表示される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連続予告演出を、変動演出が終了したときに表示される停止図柄として、所定の図柄の組み合わせである、所謂「チャンス目」を表示させることによって行ってもよい。この場合、表示制御装置113のMPU221で実行されるコマンド判定処理の停止種別コマンド処理(図37参照)の中で、チャンス目に対応する停止図柄判別フラグをオンにすると共に、その他の停止図柄判別フラグをオフに設定するようにしてもよい。コマンド判定処理では、停止識別コマンド処理の後に連続予告コマンド処理を実行するので、表示用停止識別コマンドの受信によって設定された停止図柄に代えて、チャンス目が停止図柄として設定されるので、変動停止時にチャンス目を確定表示させることができる。そして、第3図柄表示装置81において、変動演出ごとに停止図柄としてチャンス目が連続して表示されれば、遊技者に対して、最終的に大当たりが得られる期待感を持たせることができる。
上記実施形態では、主制御装置110が、音声ランプ制御装置113に対して通知する始動入賞時に取得した各種カウンタ(第1当たり乱数カウンタC1,第1当たり種別カウンタC2,停止種別選択カウンタC3)の情報を、保留球数コマンドに含める場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、別のコマンドによって、始動入賞時に取得した各種カウンタ(第1当たり乱数カウンタC1,第1当たり種別カウンタC2,停止種別選択カウンタC3)の情報を音声ランプ制御装置113に通知してもよい。
上記実施形態において、主制御装置110は、入賞コマンドに、始動入賞時に取得した各種カウンタ(第1当たり乱数カウンタC1,第1当たり種別カウンタC2,停止種別選択カウンタC3)に基づいて行われる特別図柄の抽選結果を示す各種情報(当否、停止種別、変動パターン)を含めた上で、音声ランプ制御装置113に対してその入賞コマンドを送信し、音声ランプ制御装置113は、入賞コマンドに含められた各種情報(当否、停止種別、変動パターン)に従って、入賞コマンドが送信された時点で保留された保留球に対応して行われる特別図柄の抽選結果や変動演出後の停止種別を推定し、その推定結果と、その時点で保留されている保留球数に基づいて、連続予告演出を行うか否かを決定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、主制御装置110は、始動入賞時に取得した各種カウンタの値から、その始動入賞に対応する各種カウンタ(第1当たり乱数カウンタC1,第1当たり種別カウンタC2,停止種別選択カウンタC3)の値を入賞コマンドに含めて音声ランプ制御装置113に通知し、音声ランプ制御装置113は、その通知された各種カウンタ値に基づいて、連続予告演出を行うか否かを決定してもよい。また、主制御装置110は、始動入賞時に取得した各種カウンタの値から推定した、その始動入賞に対応する特別図柄の抽選結果や変動演出後の停止種別に基づいて連続予告演出を行ってもよいか否かを判断して、少なくとも判断結果を入賞コマンドに含めて音声ランプ制御装置113に通知し、音声ランプ制御装置113はその判断結果を基に、最終的に連続予告演出を行うか否かを決定してもよい。更に、主制御装置110で連続予告演出を行うか否かを判断し、その判断結果を入賞コマンドに含めて音声ランプ制御装置113へ通知し、音声ランプ制御装置113は、連続予告演出の演出態様だけを決定するようにしてもよい。入賞コマンドに含める情報として、推定した始動入賞に対応する特別図柄の抽選結果や変動演出後の停止種別に関する情報、連続予告演出を行ってもよいか否かの情報、又は、連続予告演出を行うか否かの情報とすることによって、各種カウンタの値を含める場合と比較して、入賞コマンドのコマンドサイズを小さくすることができる。尚、推定した始動入賞に対応する抽選の結果や変動演出後の停止種別に関する情報、連続予告演出を行ってもよいか否かの情報、又は、連続予告演出を行うか否かの情報は、入賞コマンドとは別のコマンドによって、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されてもよい。
また、音声ランプ制御装置113において、コマンド判定処理(図33参照)の中で実行される連続予告判定処理(S1410)によって連続予告演出の実行が決定され、また、その連続予告演出態様が決定された段階で、その連続予告演出の実行決定と連続予告演出態様とを表示制御装置114へ通知するコマンドを、表示制御装置114に対して送信するようにしてもよい。そして、表示制御装置114では、このコマンドの受信を契機として、その連続予告態様で使用される連続予告画像種別の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送するように送信指示を設定してもよい。これにより、連続予告演出が行われる変動演出が開始される前から、連続予告態様で使用される連続予告画像種別の画像データのキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への転送を開始させることができるので、連続予告演出によってその連続予告画像種別に対応する画像データが用いられる前に、確実にその画像データを通常用ビデオRAM236へ格納しておくことができる。
また、表示制御装置114は、連続予告演出で用いられる画像データを、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた連続予告演出画像専用のサブエリアに格納するようにしてもよい。これにより、連続予告演出で用いられる画像データが、他の画像データによって上書きされるのを防ぐことができるので、所望の連続予告画像種別に対応する画像データが通常用ビデオRAM236に格納されている確率を高くすることができる。よって、連続予告演出で用いられる画像データが繰り返し転送されるのを抑制することができる。
また、音声ランプ制御装置113より送信される停止種別コマンドに、最後の連続予告演出であることを通知する信号を含めてもよい。これにより、表示制御装置114において、連続予告演出の表示が最後であることを認識できるので、連続予告演出が行われている間は、その連続予告演出で用いられる通常用ビデオRAM236に格納された画像データが上書きされないように制御を行っている場合、その上書き制御の解除を容易に行うことができる。
また、上記実施形態においては、表示用変動パターンコマンドに連続予告演出の実施と連続予告画像種別とに関する情報を含める場合は、変動パターン毎に連続予告画像に非対応の表示データテーブルと、各連続予告画像種別毎に対応した表示データテーブルとを用意し、表示制御装置114は、表示用変動パターンコマンドによって示される変動パターンおよび連続予告画像種別に応じて、対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するようにしてもよい。即ち、表示データテーブルには、変動パターンに対応する描画内容と、連続予告画像種別に対応した連続予告演出の描画内容とが共に含まれたものを用いてもよい。尚、この場合は、連続予告種別に対応した追加データテーブルの設定は必要ない。よって、設定すべきデータテーブルを少なくすることができるので、処理負担の増加を抑えることができる。尚、この場合、連続予告画像種別に対応した画像データの転送指示は、表示用変動パターンコマンドの受信に合わせて行われるようにしてもよい。これにより、転送データテーブルについては、変動パターン毎に1つ用意すればよいので、データテーブルが増加することを抑制できる。
上記実施形態において、連続予告演出が行われる変動演出の停止図柄は、主制御装置110によって定められた停止図柄(前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れリーチ)に基づいて、音声ランプ制御装置113によって設定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、音声ランプ制御装置113によって連続予告演出の実行が決定された場合に、保留されていた最後の変動演出の停止図柄が大当たりでなければ、その最後の変動演出の停止図柄を、主制御装置110により定められた停止図柄ではなく、前後外れリーチ態様の停止図柄に置き換えて設定するようにしてよい。これにより、連続予告演出が行われる最後の変動演出の停止図柄は、主制御装置110により定められた停止図柄ではなく、必ず前後外れリーチとなるので、遊技者に対して高い期待感を持たせることができる。
上記実施形態において、保留されていた全ての変動演出と共に連続予告演出を行う場合に、各変動演出は、それぞれの変動開始時に行われる抽選結果に基づく演出態様で行われることになるが、この場合、保留されていた最後の変動演出以外の変動演出の演出態様を外れ変動演出に変更するように構成してもよい。そして、音声ランプ制御装置113において表示用変動パターンコマンドを生成する処理(図37のS1704参照)によって、連続予告演出の設定状況と、連続予告演出の実行回数に応じて変動パターンを変更するようにしてもよい。尚、変動演出後の停止図柄が大当たりである場合には、変動演出の演出態様を更新せず、主制御装置110によって定められた変動パターンに基づき、変動演出の演出態様をそのまま表示するようにしてもよい。ここで、連続予告演出が連続して行われても、対応する変動演出の態様が例えばスーパーリーチ変動演出であるにも関わらず結果として大当たりが現出しない状況が続けば、遊技者の期待感を後退させてしまうおそれがあるが、連続予告演出が連続して行われると共に、最後に実行される変動演出以外の変動演出が連続して外れ変動演出で行われることによって、最後に実行される変動演出に対して、遊技者により高い期待感を持たせることができる。
上記実施形態では、連続予告演出の実行が決定された場合に、常に第3図柄表示装置81において連続予告演出を実行する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、連続予告演出の実行が決定された状況で、枠ボタン22が遊技者によって押下された場合に、連続予告演出を第3図柄表示装置81において実行するようにしてもよい。
上記実施形態では、変動演出を実行する場合に、全図柄Z1〜Z3を遊技者が視認不可な程度に高速にスクロールする高速変動を表示させる場合について説明したが、この高速変動の表示に代えて、全図柄Z1〜Z3をそれぞれ視認不可な程度に縮小して表示したり、全図柄Z1〜Z3をそれぞれ多数の白い点がランダムに表示されるスノーノイズ状の画像として表示してもよい。
上記実施形態において、球が入球した場合に特別図柄の大当たりの抽選が開始される第1始動口64aが遊技盤13に1つ配設されている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、それぞれ独立して入球が検出されて大当たりの抽選が開始される複数(例えば、2つ)の第1入球口が遊技盤13に配設されていてもよい。この場合、各第1入球口において保留があった場合に主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ送信する保留球数コマンドには、いずれの第1入球口による保留であるかを示す情報を含めてもよい。また、変動を開始する場合に主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ送信する変動パターンコマンドにも、いずれの第1入球口により保留された変動演出であるかを示す情報を含めてもよい。これにより、音声ランプ制御装置113において、第1入球口毎にそれぞれ保留球数カウンタを用意しておき、保留球数コマンドを受信した場合、その保留球数コマンドに示された第1入球口に対する保留球数カウンタに保留球数を設定し、変動パターンコマンドを受信した場合、その変動パターンコマンドに示された第1入球口に対する保留球数カウンタを1減らせば、第1入球口毎に保留球数をカウントすることができる。
また、複数の第1入球口が設けられている場合、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信した場合に連続予告演出の開始を決定すると、その時点で全ての第1入球口により保留されている変動演出(保留球)にわたって、連続予告演出を実行させてもよい。また、複数の第1入球口が設けられており、一の第1入球口に保留されている変動演出を優先的に実行するパチンコ機においては、その優先的に変動演出が実行される第1入球口に入球された場合に限り、連続予告演出の開始を決定するようにしてもよい。これにより、優先度の低い第1入球口に保留された変動演出に対して連続予告演出が開始されないので、優先度の低い第1入球口に保留された変動演出に対して連続予告演出が開始され、優先度の高い第1入球口に絶え間なく変動演出が保留される場合に、連続予告演出がなかなか終了しないという事態が生じるのを抑えることができる。
上記実施形態では、主制御装置110において特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が更新される度(即ち、増加した場合や、減少した場合にそれぞれ)に、保留球数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、主制御装置110において特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N)が増加する場合だけ、保留数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する。また、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信された変動パターンコマンドを受信すると、特別図柄保留球数カウンタ223bの値を1減らすように構成する。これにより、主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ保留数コマンドを送信する回数と、音声ランプ制御装置113が保留数コマンドを受信する回数とをそれぞれ減らすことができるので、主制御装置110および音声ランプ制御装置113の制御的負担を軽減することができる。
上記実施形態では、音声ランプ制御装置113において、入賞コマンドを受信した場合に連続予告演出の開始が決定されると、その時点で保留されていた全ての変動演出について連続予告演出を実行する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連続予告演出の開始が決定された場合に、更に個々の変動演出において、連続予告演出を実行するか否かを決定してもよい。これにより、変動演出ごとに連続予告演出が出現したりしなかったりするので、遊技者に対して、連続予告演出の出現に対する期待感を持たせることができ、遊技者を飽きさせない演出を行うことができる。この場合、音声ランプ制御装置113のMPU221によって連続予告判定処理(図31参照)が実行される度に更新され、個々の変動演出において連続予告演出を実行するか否かを決定するためのカウンタを設けてもよい。そして、その連続予告判定処理において、連続予告演出を行う場合に(S1517:Yes)、個々の変動演出において連続予告演出を実行するか否かを決定するためのカウンタの値が所定の値に限り、連続予告演出を開始するようにしても良い。また、この場合、対応する変動演出に対して連続予告演出実行を設定するカウンタの所定の値の数(範囲)を、条件に応じて変更してもよい。この条件としては、例えば、連続予告演出を開始するか否かを判断する時の特別図柄保留球数カウンタ223bの値や、残りの連続予告演出の実行回数、判断が行われる変動演出の変動パターン、一連の連続予告演出終了後の遊技状態(大当たりA、大当たりB、大当たりC、外れ)、若しくは、これらの2以上の組み合わせなどが挙げられる。これにより、条件に応じて、各変動演出において連続予告演出の実行が決定される確率が変更されるので、遊技者に対して、各変動演出における連続予告演出の出現割合に注目させることができる。
上記実施形態では、主制御装置110から各コマンドが音声ランプ制御装置113に対して送信され、その音声ランプ制御装置113から表示制御装置114に対して表示の指示がなされるよう構成したが、主制御装置110から表示制御装置114に直接コマンドを送信するものとしてもよい。また、表示制御装置に音声ランプ制御装置を接続して、表示制御装置から各音声の出力とランプの点灯を指示するコマンドを音声ランプ制御装置に送信するよう構成してもよい。さらに、音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1の制御装置として構成するものとしてもよい。音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1つの制御装置として構成する場合、エラー発生コマンドといった音声ランプ制御装置113で生成して表示制御装置114に通知したコマンドに代えて、連続予告フラグやエラー発生フラグといった各種フラグを生成し、そのフラグに基づいて、表示データテーブルや、転送データテーブルを表示データテーブルバッファ233dや、転送データテーブルバッファ233eに設定したり、警告画像などの各種画像データを生成したり、必要な画像データの転送指示を設定したりしてもよい。
上記実施形態においては、第1始動口64aへの入賞およびスルーゲート67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定してもよい。また、第1始動口64aへの入賞に基づく変動表示の保留球数を、第3図柄表示装置81の一部において、数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしてもよく、第1図柄表示装置37とは別体でランプ等の発光部材を設け、該発光部材によって保留球数を通知するように構成してもよい。
また、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、縦方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであってもよい。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。
<第2実施形態におけるパチンコ機10>
次に、図108〜図117を参照して、第2実施形態におけるパチンコ機10について説明する。本第2実施形態におけるパチンコ機10の構成では、上述の第1実施形態におけるパチンコ機10の構成に、回転部材が回動する演出の場合に第3図柄表示装置81で表示される主図柄の変動表示の停止タイミングと回動部材が所定の停止位置で停止するタイミングとを合わせる制御が実行される点で相違する。なお、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
<第2実施形態におけるパチンコ機10の演出について>
次に、図108〜図110を参照して、本第2実施形態における演出内容について説明する。図108は、本第2実施形態において疑似連続予告が実行される場合の一例についてタイムチャートである。本実施形態では、音声ランプ制御装置113が主制御装置110より出力される入賞コマンドに基づいて、疑似変動を実行するか否かの抽選を実行する。ここで、疑似変動とは、特別図柄の1の変動を複数回の特別図柄の変動であるかのように擬似的に見せる変動のことである。疑似変動では、第3図柄が1の特別図柄の変動時間の中で、複数回、変動開始と仮の変動停止をした後に完全に停止する。これにより、遊技者は、複数回の変動が実行しているように見えることができる。また、疑似変動において、疑似変動される回数(特別図柄が変動開始する回数)は、当否判定結果が大当たりである方が、外れである場合よりも多い回数が設定され易いように構成したので、疑似変動であることを認識している遊技者であっても、1変動中に特別図柄が何回変動するか(何回の疑似変動が設定された疑似変動であるか)を楽しみに遊技を行うことができる。
図108に示した、疑似変動では、疑似変動の回数が4回に設定された場合の例を示したタイムチャートである。特別図柄の変動開始が設定されると変動開始を初めて、所定期間変動表示された後に、所定時間変動した後に、仮停止される。この場合、第3図柄は「335」等のチャンス目で仮停止される。仮停止中は、第3図柄がわずかに、揺れて表示される揺れ変動で表示される。なお、この仮停止されている状態であっても第1図柄の動的表示は変わらず継続されている。所定期間(2秒程度)仮停止した後に、2回目の疑似変動が開始される(疑似変動1で示した変動)。
図109(a)は、疑似変動1で示した疑似変動が開始された場合の、第3図柄表示装置81と回動部材300とを示した図である。ここで、第3図柄が変動開始されてまもなく(0.5秒後等)すると、図108(b)に示すように、回動部材300が回動を開始する。ここで、第3図柄が2回目の疑似変動を開始してから、少し遅延して、回動部材300の回動が開始されるのは、この後、変動時間が経過して第3図柄が仮停止されるタイミングと、回動部材300が高速状態で所定位置(本実施形態では、「2」が表示されている位置が真上となる位置)に停止する(図110参照)タイミングとが一致するようにするために、変動時間に合わせて調整された時間遅延して回動部材300の回転が開始される。
図110に示すように、疑似変動1で設定されている疑似変動時間が経過すると、第3図柄は、「335」のチャンス目を示す組み合わせで表示される。なお、本実施形態では、チャンス目は第3図柄の左図柄と、中図柄とが同じ図柄であり、右図柄のみが異なる組み合わせをチャンス目に設定している。チャンス目については、リーチ目に設定してもよいし、大当たり以外の組み合わせであれば適宜設定してよい。
第3図柄がチャンス目で仮停止されるタイミングで、回動部材300は高速状態のまま真上に「2」が停止する位置で停止される。そして、第3図柄表示装置81には、疑似変動が継続されることを示す「継続」の文字が表示される。また、回動部材300の表面に示した数字は疑似変動を実行した回数を示しており、当該変動の中で何回目の疑似変動が行われたかを判別できるように構成されている。
本実施形態では、入賞コマンドを受信した場合に、特別図柄の1変動において、主図柄を所定時間で複数回変動表示させる疑似変動を実行するか否かの抽選が実行される。疑似変動が実行されると決定された場合には、予め主制御装置110により決定された変動時間内において抽選で決定された回数で主図柄が変動表示される。なお、特別図柄の変動表示時間が経過するまでは、主図柄が停止する場合には、揺れ変動されて仮停止の状態で停止表示された後に、再度変動表示される。
なお、疑似変動における変動時間は、疑似変動回数により、特別図柄の変動時間を超えない時間にそれぞれの変動時間が抽選により設定される。本実施形態では、疑似変動の最大回数は4回であるので、予め主制御装置110で選択されている変動パターンの種別に割り振られている変動時間を4で割った時間以下の時間が1回の疑似変動の時間として抽選により設定されるように構成されている。そして、それぞれ、疑似変動の抽選で設定された回数に対して変動時間が設定されて、最終回の疑似変動については、これまで選択された疑似変動の変動時間の合計を特別図柄の変動時間より減算した時間が変動時間として設定される。
また、各疑似変動が開始される場合には、その回数を遊技者に報知するように、回動部材330が所定位置で停止される。回動部材330には、表側に疑似変動の回数を示す数字が設けられており、その数字が表示されている位置を最上部にして停止表示された場合に、その位置に表示されている数字が現在の疑似変動の回数を示している。
回動部材330は、毎回、同じ回転速度となるように制御されている。よって、疑似変動のそれぞれの変動時間が異なると、疑似変動の停止タイミングと回動部材330の停止タイミングとを合わすことが困難な場合がある。しかしながら、本実施形態では、疑似変動の時間に合わせて、それぞれ回転部材330の回動開始タイミングを遅延させて設定することで、疑似変動の停止タイミングと回転部材330を所定位置で停止させるタイミングとを一致させることができる。
なお、本実施形態では、回動開始タイミングを遅延させることで、タイミングを合わせるように制御したが、それに限らず、回動部材の回動速度を疑似変動の変動時間に合わせて可変させるようにすることで、タイミングを合わせるように構成してもよい。
また、回動速度を可変させて合わせることで、タイミングを合わせる場合には、回動速度を疑似変動の回数が多くなる毎に早くするように設定してもよい。このように設定することで、疑似変動の回数を疑似変動の回動速度で遊技者に報知することができる。
<第2実施形態における電気的構成について>
次に、図111〜図113を参照して、本第2実施形態における電気的構成について説明する。第2実施形態における電気的構成では、第1実施形態における電気的構成に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222とRAM223との内容がそれぞれ変更されている点で相違する。なお、その他の構成については、第1実施形態と同一の構成であるので、その図示と説明を省略する。
図111(a)は、第2実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221におけるRAM222の内容を模式的に示した模式図である。本第2実施形態におけるROM222は第1実施形態に対して、疑似変動選択テーブル222eと疑似変動秒数選択テーブル222fとが追加されている。
図112を参照して、疑似変動選択テーブル222eについて説明する。疑似変動選択テーブル222eは、入賞コマンドを受信した場合に、その入賞コマンドがリーチとなる変動パターンを示していると、取得した演出カウンタ223fの値に基づいて、疑似変動を実行するか否かが抽選により実行される。
詳細には、図112に示すように、疑似変動選択テーブル222eは、当否判定結果が当たり、外れのそれぞれに対応して、リーチ種別毎にそれぞれ疑似変動回数が設定されている。抽選結果が当たり、外れに共通して、ノーマルリーチでは、疑似変動回数は2回が最高回数となっている。また、当たりである場合で、スーパーリーチとスペシャルリーチについては最高回数が4回となっており、外れである場合には、3回となっている。これにより、疑似変動回数が4回となった場合には、遊技者は、当否判定結果が大当たりであることを認識することができる。よって、遊技者は、疑似変動が開始されると、疑似変動が継続して実行されて、4回まで継続しないかと期待して遊技を行うことができる。
また、図112に示すように、各リーチ種別毎に、それぞれ疑似変動回数が複数設定されており、その回数に対して、それぞれ演出カウンタ223fの判定値が割り付けされている。そして、取得した演出カウンタ223fの値と判定値とが一致した場合に、その判定値に設定されている疑似変動回数が設定される構成となっている。また、判定値に設定されていない演出カウンタ223fの値が取得された場合には、疑似変動を実行しないと抽選される。
また、当否判定結果が当たりである方が、疑似変動が選択され易いように、判定値の数が多く設定されている。これにより、疑似変動が開始されると遊技者は大当たりへの期待を持って遊技を行うことができる。よって、遊技者は、疑似変動が開始されることを期待して遊技を行うことができ、疑似変動が開始されるのを目標にして遊技を行うことができる。
次に、図113を参照して、疑似変動秒数選択テーブル222fについて説明する。図113は、この疑似変動秒数選択テーブル222fを模式的に示した図である。疑似変動秒数選択テーブル222fは、疑似変動の変動秒数(疑似変動選択テーブル222eにより選択された疑似変動の回数それぞれに対する変動秒数)を決定するための選択テーブルである。この疑似変動秒数選択テーブル222fには複数の疑似変動秒数がリーチ種別に対して設定されている。ノーマルリーチとスーパーリーチについては、共通して、5000ms,7000ms,10000ms,12000msがそれぞれ設定されており、各疑似変動秒数に対して演出カウンタ223fの判定値が割り付けされている。また、スペシャルリーチに対しては、5000ms,7000ms,10000ms,12000ms,16000msがそれぞれ設定されており、各疑似変動秒数に対して、それぞれ判定値が割り付けされている。
ここで、疑似変動秒数選択テーブル222fでは、各リーチで設定される最高回数の疑似変動回数が選択されて、その回数すべてに対して、最長の疑似変動秒数が選択されたとしても、特別図柄の変動秒数を超えないように設定されている。
この疑似変動秒数選択テーブル222fは、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する通常演出選択処理(図116、S1520)のS1523の処理において、取得した演出カウンタ223fの値に、後述するランダムカウンタ223tの値を加算して、更新した値に基づいて、S1524の処理より疑似変動回数に対応した疑似変動秒数が選択される。ここで、S1523の処理では、ランダムカウンタ223tの値(0〜99のいずれか)の値が加算された場合に、演出カウンタ223fの上限値を超えると、その加算した値から、198を減算した値で更新される。具体敵には、取得している演出カウンタ223fの値が「190」で、ランダムカウンタ223tの値が「20」であれば、190+20=210であり、上限値である「198」を超えたので、210−198=12となり、演出カウンタ223fの値が12に更新されて設定される。また、設定された疑似変動の回数と同じだけ、疑似変動秒数が回数毎にそれぞれ設定される。
次に、図111(b)を参照して、第2実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。図111(b)は、このRAM223の内容を模式的に示した模式図である。第3実施形態におけるRAM223は、第1実施形態におけるRAM223に対して、疑似変動フラグ223p、疑似変動回数記憶エリア223r、疑似変動秒数記憶エリア223s、ランダムカウンタ223tがそれぞれ追加されている。その他の構成については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
疑似変動フラグ223pは、疑似変動を実行することが決定されていることを示すフラグである。この疑似変動フラグ223pは、対応する入賞情報に対してオンに設定されるものであり、変動開始時に疑似変動を実行するか否かを判別できるように構成されている。この疑似変動フラグ223pは、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する入賞コマンド処理(図117、S1430)のS1425の処理により疑似変動を実行すると抽選された場合にオンに設定される。また、通常演出選択処理(図116、S1520)のS1521の処理により、疑似変動フラグがオンであると判別されると、自動的にオフに設定される。
疑似変動回数記憶エリア223rは、疑似変動回数を記憶するための記憶エリアである。音声ランプ制御装置113のMPU221が実行する入賞コマンド処理(図117、S1430)のS1423の処理により疑似変動選択テーブル222eより疑似変動回数が選択されると、その選択された回数が記憶される。
疑似変動秒数記憶エリア223sは、疑似変動の変動秒数が回数毎に記憶される記憶エリアである。例えば4回の疑似変動が選択されている場合には、1日目〜4回目までの疑似変動の変動秒数がそれぞれ記憶される。
ランダムカウンタ223tは、演出カウンタ223fの値に加算して、演出カウンタ223fの値をランダムな値にするためのカウンタである。図示は省略したが、電気的な乱数回路によりカウントされる値がこのランダムカウンタ223tに記憶される。
<第2実施形態における制御処理について>
次に、図114〜図117を参照して、本第2実施形態において実行される制御処理について説明する。本第2実施形態では、第1実施形態に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行するコマンド判定処理(図91、S1311)がコマンド判定処理2(図114、S1330)に変更されている点で相違する。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、図示とその説明を省略する。
図114を参照して、本第2実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理2(S1330)について説明する。図114は、このコマンド判定処理2(S1330)の内容を示したフローチャートである。コマンド判定処理2(図114、S1330)は、第1実施形態におけるコマンド判定処理(図91、S1311)に対して、変動パターン選択処理(図92、S1403)が変動パターン選択処理2(図115、S1430)に、S1410の処理が入賞コマンド受信処理(図117、S1430)にそれぞれ変更されている点で相違する。その他の処理については、同一の処理が実行される。
S1402の処理が実行された後に、変動パターン選択処理2が実行される(S1420)。図115を参照して、この変動パターン選択処理2(S1420)について説明する。図115は、この変動パターン選択処理2(S1420)の内容を示したフローチャートである。変動パターン選択処理2(S1420)は、第1実施形態における変動パターン選択処理(S1403)に対して、S1508〜S1509までの処理が削除され、通常演出選択処理(図116、S1520)が追加されている点で相違する。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
S1507の処理において、演出モードAが設定されている、即ち、時間演出期間以外の遊技状態であると判別された場合には、通常演出選択処理を実行する(S1520)。図116を参照して、この通常演出選択処理(S1520)について説明する。図116は、この通常演出選択処理(S1520)の内容を示したフローチャートである。
通常演出選択処理(図116、S1520)では、まず、疑似変動フラグ223pがオンに設定されているか判別する(S1521)。疑似変動フラグ223pがオフに設定されていると判別した場合、即ち、疑似変動を実行すると決定されていない変動であると判別した場合には(S1521:No)、変動態様選択カウンタ223hの値を取得して、対応するサブ変動パターン選択テーブル222aより変動パターンを選択して設定する(S1522)。通常背景モード記憶エリア223oに設定されている通常背景モードの種別と、取得した演出カウンタ223fの値とに基づいて、予告演出を通常背景予告選択テーブル222cより選択する(S1523)。その後、この処理を終了する。
一方、S1521の処理において、疑似変動フラグ223pがオンであると判別した場合、即ち、疑似変動を実行すると決定されていると判別した場合には(S1521:Yes)、後述する入賞コマンド受信処理(図117、S1430)のS1425の処理において、疑似変動回数記憶エリア223rに記憶されている疑似変動回数を読み出す(S1524)。
読み出した疑似変動回数が0であるか判別する(S1525)。読み出した疑似変動回数が0より大きい値であると判別した場合には(S1525:No)、読み出した疑似変動回数から1減算して更新する(S1526)。演出カウンタ223fの値にランダムカウンタ223rの値を加算して更新する。この場合、加算した値が演出カウンタ223fの上限値である198を超えた場合には、その値から198を減算した値を更新した値として設定する。
なお、ランダムカウンタ223rの値は、音声ランプ制御装置113のMPU221の処理速度よりも何百倍も速い高速でカウンタ値を「0〜99」の範囲で更新しているので、S1527の処理をする毎に取得するランダムカウンタ223rの値は異なる値に更新されることが可能である。よって、演出カウンタ223fの値を可変させることができ、疑似変動回数毎に異なる変動時間を選択することが可能となる。よって、ランダムな変動時間で疑似変動を回数毎に行うことができる。
S1527の処理を実行した後には、S1527の処理で更新した演出カウンタ223fの値に基づいて、疑似変動秒数選択テーブル222fより疑似変動秒数を選択して、疑似変動秒数記憶エリア233tに疑似変動の回数(1の変動内の何回目の疑似変動であるか)に対応させて疑似変動秒数が設定される(S1528)。設定された疑似変動秒数に対応した回動役物可動データシナリオを設定した疑似変動に対応して設定する(S1529)。
ここでは、決定された疑似変動秒数に対応して、疑似変動回数に対応した位置で回動役物300を停止するための稼働データが設定される。詳細には、2回目の疑似変動であり、疑似変動秒数として7000msが設定されている場合には、7000msの疑似変動の間、高速で回動部材300を回動させた後に、第3図柄の中図柄(中図柄が最後に仮停止される)が仮停止されるタイミングと同期して、回動役物300の「2」が示してある位置を真上にして停止表示させる駆動データが設定される。本実施形態では、停止タイミングを同期させるために、回動部材300の回動開始位置(回動が開始される時にどの位置(どの数字またはダイヤ図柄が真上で停止されているか)と停止位置と疑似変動時間とに対応して、回動部材300を回動開始させるタイミングのデータが設定される。
よって、回動部材300は、回動開始するタイミンが第3図柄の変動が開始してから、設定された時間分遅延して回動開始することとなる。S1529では、この遅延時間が設定される。
その後、S1521の処理に戻り、S1526で更新した疑似変動回数が0であるか判別して、0であると判別されるまで、繰り返し、S1526〜S1529の処理を実行する。これにより、設定された疑似変動回数について、すべて、疑似変動秒数とそれに合わせた回動部材300の稼働データが設定される。疑似変動回数を0であると判別した場合には(S1525:Yes)、この処理を終了する。
次に、図117を参照して、本第2実施形態におけるコマンド判定処理2(図114、S1330)内のS1409の処理で入賞コマンドを受信していると判別した場合(S1409:Yes)に実行される入賞コマンド受信処理(S1430)について説明する。図117は、この入賞コマンド受信処理(S1430)の内容を示したフローチャートである。
入賞コマンド受信処理(図117、S1430)では、まず、受信した入賞コマンドは、リーチ種別の変動パターン(ノーマルリーチ、スーパーリーチ、スペシャルリーチ)が選択される入賞が発生したことを示す入賞コマンドであるか判別する(S1421)。受信した入賞コマンドがリーチ種別を示す入賞コマンドであると判別した場合には(S1421:Yes)、演出カウンタ223fの値を取得する(S1422)。その取得した演出カウンタ223fの値、受信した入賞コマンドが示す当否判定結果、リーチ種別に基づいて、疑似変動選択テーブル222eより疑似変動の抽選を実行する(S1423)。ここでは、疑似変動回数が設定された演出カウンタ223fを取得する場合には、対応する疑似変動回数を疑似変動回数記憶エリア223rに記憶する。
S1424の抽選結果が疑似変動ありであるか、即ち、疑似変動回数記憶エリア223rに疑似変動回数が設定されているか判別する(S1424)。疑似変動なしと判別した場合には(S1424:No)、この処理を終了する。一方、疑似変動ありと判別した場合には(S1424:Yes)、対応する入賞情報格納エリア223aに対応した疑似変動フラグ223pをオンに設定する(S1425)。その後、この処理を終了する。
<第3実施形態におけるパチンコ機10について>
次に、図118〜図128を参照して、第3実施形態におけるパチンコ機10について説明する。本実施形態におけるパチンコ機10では、第1実施形態におけるパチンコ機10に対して、大当たり変動である場合にその大当たり変動とその後の大当たり遊技中の演出とを利用して、バトル演出を第3図柄表示装置81に表示する構成である点と、枠ボタン22を特別図柄の変動中に連打する演出が選択される構成が加えられている点とで相違する。なお、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、図118〜図120を参照して、本第3実施形態におけるバトル演出について説明する。本第3実施形態におけるバトル演出は、当否判定結果が大当たりである特別図柄の変動態様とその変動態様の後に実行される大当たり遊技機期間で表示される大当たり遊技表示とでキャラクタ(主人公と敵)の戦いを表示して、その勝敗の結果等により抽選された大当たりの種別を報知するものである。
図118は、本第3実施形態におけるバトル演出表示態様の変動時間の構成を示したタイムチャートである。図118は、特別図柄の当否判定結果が当たりで、その特別図柄の変動表示の後には、大当たり遊技が実行されることが確定している場合の例を示してある。ここでは、大当たりとなる特別図柄の変動時間がバトル演出の前半期間として設定されている。この前半期間では、図119(a)に示すように、第3図柄表示装置81に主人公と敵が対峙して、どちらが先に攻撃するかという演出が表示される。この場合には、第3図柄は、第3図柄表示装置81の表示領域の右上に縮小されて変動表示される。これにより、遊技者は、特別図柄の変動中であることを認識できる。その後、縮小された第3図柄は、大当たりを示すぞろ目の組み合わせで表示される。なお、本第3実施形態では、第3図柄の数字の種別によっては、大当たり種別を報知していない。このように構成することで、遊技者は、大当たりとなった場合に、大当たり種別が大当たりAであるか大当たりBであるかを判別できないので、バトル演出の勝敗の結果により大当たりAであるか大当たりBであるかを報知する構成となっている。主人公が勝利すれば、大当たりAであり、敵が勝利すれば、大当たりBであることを遊技者は認識できる構成となっている。
図118に示す大当たり遊技期間では、図119(b)に示すようなバトル演出の後半の表示態様が表示される。バトル演出の後半では、図119(b)に示すように、主人公が攻撃権を得て攻撃を行う表示態様が表示される例と、図120に示すように敵が攻撃権を得て攻撃を開始する表示態様が表示される例とが設定されている。
図119(a)に示すように、主人公が攻撃する例では、主人公が攻撃することで、敵を倒すことができれば、大当たりの種別が大当たりA(16R確変大当たり)であることを示す「攻撃で倒せたら確変昇格!!」という文字が表示される。一方、図120に示すように、敵が攻撃する例では、主人公が敵から攻撃されることで、主人公が敵からの攻撃を防ぎ倒されなかったら大当たりの種別が大当たりA(16R確変大当たり)であることを示す「攻撃を防げたら確変昇格!!」という文字が表示される。
このように、主人公、敵のどちらが攻撃権を得ても大当たりAであることが報知される可能性がある演出に構成したので、遊技者は、大当たり遊技後の遊技状態が高確率遊技状態(確変)に設定されることへの期待を持って遊技を行うことができる。
ここで、遊技状態が高確率遊技状態に設定されている場合においては、次に、大当たりとなるまでは、高確率遊技状態が維持されているので、遊技者としては、大当たりが付与されることは当たり前となってしまう。遊技者の関心は、次の、大当たりで大当たり種別が大当たりA(16R確変大当たり)であるか、大当たりB(16R通常大当たり)であるかに向けられる。遊技者としては、大当たりAが決定されることで、高確率遊技状態(確変)が次の大当たり後にも継続して付与されることを期待して遊技を行っている。
本実施形態では、高確率遊技状態が付与されている場合に、当否判定結果が大当たりとなる特別図柄の変動期間と、その後に実行される大当たり遊技の時間とを合わせて、一つの演出(バトル演出)として、大当たりAであるか、大当たりBであるかを第3図柄表示装置81で表示するように構成したので、その演出にかけられる時間を長く設定することができ、演出の内容をより多様にすることができる。
また、従来の構成では、特別図柄の変動期間で大当たりの報知を行い、その後、大当たり遊技中に大当たりAであるか、大当たりBであるかの報知演出を行っていた。この構成では、遊技者は、確変遊技状態であると、特別図柄の変動では、大当たりの報知には、関心が薄いので、興味が低下しており、特別図柄の変動期間が退屈となってしまう不具合がった。しかしながら、本実施形態では、特別図柄の変動期間と大当たり遊技の期間とを合わせて大当たりAであるか、大当たりBであるかの報知演出(バトル演出)を実行するようにしたので、遊技者が退屈する不具合を抑制できる。
次に、図121(a)〜(b)を参照して、本実施形態におけるボタン演出について説明する。ボタン演出とは、特別図柄の変動パターンの一種であり、枠ボタン22を押下することで、第3図柄表示装置81の演出表示態様が可変する演出である。図121(a)に示すように、第3図柄の変動表示中に、枠ボタン22を連打するように遊技者に促す表示態様が表示される。そして、枠ボタン22の形を模した図柄の下方には、枠ボタン22を押下できる残り時間を示す残時間インジケータMが表示される。残時間の減少に基づいて、残時間インジケータMの表示色が可変するように構成されている。本実施形態では、残時間の期間を赤色の表示色として、残時間が減少すると、その分が白色に可変されて(赤色で表示された部分が減少)するように可変して表示される(図121(b)参照)。
また、残時間インジケータMの左側には、枠ボタン22を長押しすることで、自動的に連打しているのと同じ状態に制御(判別)されることを示す「長押しでオート連打」に文字が表示されている。そして、表示領域の上部には、枠ボタン22が連打することに基づいて色が可変するインジケータが表示されている。このインジケータには目盛りが表示されており、その目盛りが変動中の特別図柄の当否判定結果が当たりであることへの期待度に設定されている。枠ボタン22を連打して、インジケータの目盛りがより大きい値の所まで色が可変(白色から赤色に可変)して表示されると遊技者は、変動中の特別図柄に対する当否判定が当たりではないかと期待することができる。
また、図121(b)に示すように、枠ボタン22が長押し(3秒または1秒間連続して枠ボタン22を押下)すると、枠ボタン22を模した図柄の上に長押しを検出して、自動的に連打している状態に設定されていることを示す「オート連打中」の文字が表示される。なお、本実施形態では、長押しと判定される枠ボタン22の押下期間は、枠ボタン22の操作が有効と判定される残時間によって可変して設定される。具体的には、残時間が5秒以下となると、それまで3秒間連続して枠ボタン22が押下されていた場合に、長押しと判別されていた設定が、1秒間連続して枠ボタン22が押下されると長押しと判別されるように切り替えて設定される。これにより、残時間が残り少なくなってから枠ボタン22を長押ししても、インジケータをより多く貯めることができ、ボタン演出を楽しむことができる。
なお本実施形態では、残時間によって、枠ボタン22を長押ししたと判別する判定時間を変えるように構成したが、それに限らず、インジケータを可変させる量を増加させたり、可変させるスピードを早く構成するようにしてもよい。また、残時間が所定値(例えば、3秒以下)等になった場合に、枠ボタン22が操作されると、インジケータが可変される値であった最大値や、所定値(例えば、目盛りMAXまで表示される演出が選択されていれば、目盛り1まで等)までインジケータを可変させて表示するように構成してもよい。
<第3実施形態における電気的構成について>
次に、図122〜図123を参照して、本第3実施形態における電気的構成について説明する。本第3実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成は、第1実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222の内容と、RAM223の内容とが変更されている点で相違する。その他の構成については、同一の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
図122(a)は、本第3実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222の内容を模式的に示した模式図である。第3実施形態におけるROM222は、第1実施形態におけるROM222に対して、融合演出選択テーブル222gと融合変動パターン選択テーブル222hとがそれぞれ追加されている。その他の構成は、第1実施形態と同一の構成であるので、その詳細な説明を省略する。
融合演出選択テーブル222gは、大当たり中のラウンド表示態様を選択するための選択テーブルである。図123(a)は、この融合演出選択テーブル222gの内容を模式的に示した模式図である。図123(a)に示すように、大当たり種別に対応して、それぞれ複数のラウンド表示態様が設定されている。大当たりA(16R確変大当たり)である場合には、主人公が最終的に勝利する表示態様で設定されたラウンド表示態様が設定されており、大当たりB(16R通常大当たり)であれば、主人公が最終的に敗北する表示態様で設定されたラウンド表示態様が設定されている。
また、融合演出選択テーブル222fでは、大当たり遊技が開始される前に実行された大当たりを報知した特別図柄の変動パターンに対応して、それぞれラウンド表示態様が設定されている。これにより、特別図柄の変動内容に対応したラウンド表示態様を選択することができるので、演出の辻褄を合わせることができるように構成されている。各前変動の変動パターンの内容に対して複数のラウンド表示態様が設定されており、そのそれぞれに演出カウンタ223fの値が割り付けされている。具体的には、後述する特別図柄のバトル演出(融合演出)の変動パターンを選択するための融合変動パターン選択テーブル222gの説明をする際に、説明する。
融合変動パターン選択テーブル222gは、特別図柄のバトル演出の変動パターンを選択するための選択テーブルである。図123(b)は、融合変動パターン選択テーブル222gの内容を示した模式図である。本実施形態では、バトル演出の変動パターンは特別図柄の当否判定結果が大当たりである場合に選択されるように設定されている。大当たり種別に対応させて、それぞれバトル演出の変動パターンが設定されている。そして、各バトル演出に対して、変動態様選択カウンタ223hの判定値が割り付けされている。
具体的には、敵攻撃開始変動パターンA,Bは、敵が攻撃を仕掛けるバトル演出である。この敵攻撃開始変動パターンA,Bは、ノーマルリーチの種別に対応するものであり、主制御装置110からノーマルリーチを示す変動パターンコマンドが出力された場合に選択される。主人公攻撃開始変動パターンA,Bは、主人公が攻撃を仕掛けるバトル演出である。この主人公攻撃開始変動パターンA,Bは、スーパーリーチの種別に対応する変動パターンであり、主制御装置110からスーパーリーチを示す変動パターンコマンドを受信した場合に選択される。同時攻撃開始変動パターンA,Bは、主人公と敵とが同時に攻撃を仕掛けるバトル演出である。この同時攻撃開始変動パターンA,Bは、スペシャルリーチの種別に対応する変動パターンであり、主制御装置110からスペシャルリーチを示す変動パターンコマンドを受信した場合に選択される変動パターンである。
また、本実施形態では、この融合変動パターン選択テーブル222gより選択された変動パターンの種別に基づいて、大当たり中のラウンド表示態様が前述した、融合演出選択テーブル222fより選択される。図123(a)に示すように、敵攻撃開始変動パターンA,Bのどちらかが選択されていた場合には、大当たり種別が大当たりAであれば、演出カウンタ223fの値に基づいて、逆転演出A,Bのどちらかが選択される。このラウンド演出では、敵の攻撃を耐えて主人公が勝利するラウンド演出が表示される。一方、大当たりBである場合には、敵勝利演出A,Bのどちらかが演出カウンタ223fの値に基づいて選択される。この敵勝利演出A,Bでは、主人公が敵に勝利するラウンド演出が表示される。
主人公攻撃開始変動パターンA,Bのどちらかが選択されていた場合には、大当たりAであれば、通常勝利演出A,Bのどちらかが演出カウンタ223fの値に基づいて選択される。この通常勝利演出A,Bでは、主人公が攻撃を仕掛けてそのまま敵を倒すラウンド演出が表示される。一方、大当たりBであれば、主人公負け演出A,Bのどちらかが演出カウンタ223fの値に基づいて選択される。この主人公負け演出A,Bは、主人公が攻撃を仕掛けても、敵を倒すことができなかったことを示すラウンド表示態様が表示される。
同時攻撃開始変動パターンA,Bのどちらかが選択されていた場合には、大当たりAであれば主人公攻撃勝利演出A、敵攻撃逆転勝利演出Bのどちらかが演出カウンタ223fが表示される。同時攻撃開始変動パターンA,Bでは、主人公と敵とが同時に互いに攻撃を仕掛けているので、主人公が攻撃権を最終的に得て勝利する主人公攻撃勝利演出Aと敵が最終的に攻撃権を得るが、その攻撃に主人公が耐えて勝利する敵攻撃逆転勝利演出Bとが表示される。一方、大当たりBであれば、敵攻撃勝利演出Aまたは主人公攻撃逆転負け演出Bが演出カウンタ223fの値に基づいて選択される。敵攻撃勝利演出Aは、最終的に敵が攻撃権を得て勝利するラウンド演出が表示される。主人公攻撃逆転負け演出Bは、最終的に主人公が攻撃権を得るが、敵がその攻撃に耐えて主人公が負けてしまうラウンド演出が表示される。
このように、特別図柄の変動パターンとその後に表示されるラウンド演出とをストーリーが繋がるように選択されるので、遊技者は、一連の演出として変動パターンの演出とラウンド演出とを楽しむことができる。
また、本実施形態では、特別図柄の変動パターンによる表示態様とラウンド演出とのつながりは、黒い画面を表示する(画面をブラックアウト)ことによってつなげているが、それに限らず、繋ぎ専用の画像を選択するように構成してもよい。このように構成することで、より、特別図柄の変動表示態様(変動パターン)とラウンド演出の表示態様とを繋がりのある表示演出で表示できる。
図122(b)は、第3実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223の内容を模式的に示した模式図である。第3実施形態におけるRAM223は、第1実施形態におけるRAM223に対して、融合演出フラグ223uとSW有効時間記憶エリア223vとSW押下カウンタ223wとがそれぞれ追加されている。その他の構成については、第1実施形態と同一の構成であるので、その詳細な説明を省略する。
融合演出フラグ223uは、融合変動パターン選択テーブル222gより変動パターンが選択されたことを示すフラグである。融合変動パターン選択テーブル222gよりバトル演出の変動パターンが選択されたことに基づいて、この融合演出フラグ223uがオンにされることで、その後に実行される大当たりのラウンド表示態様では、融合演出選択テーブル222fよりラウンド表示態様が選択される処理が実行される。
SW有効時間記憶エリア223vは、枠ボタン22が操作された場合にその操作が有効と判別される有効時間が記憶される記憶エリアである。このSW有効時間記憶エリア223vは、図121(a)〜(b)に示したSW演出が行われる変動パターンが選択されたことに基づいて、その変動パターンに対応した有効時間が設定される。
SW押下カウンタ223wは、枠ボタン22を押下している時間を判別するものである。なお、枠ボタン22を連打している場合にも、SW押下カウンタ223wは加算して更新されるので、連打している期間をカウントしているカウンタでもある。
<第3実施形態における制御処理>
次に、図124〜図129を参照して、本第3実施形態におけるパチンコ機10の制御処理について説明する。第3実施形態における制御処理は、第1実施形態に対して、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図91、S1311)がコマンド判定処理3(図125、S1340)に、変更されている。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明を省略する。
図124を参照して、主制御装置110のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1004)について説明する。図124は、この大当たり制御処理(S1004)の内容を示したフローチャートである。
大当たり制御処理(図124、S1004)では、まず、大当たり開始のタイミングであるか判別する(S1101)。大当たり開始のタイミングであると判別した場合には(S1101:Yes)、大当たりの開始を音声ランプ制御装置113により通知するためのオープニングコマンドを設定する(S1102)。大当たり開始のタイミングでないと判別した場合には(S1103:No)、この処理を終了する。一方、大当たり開始のタイミングでないと判別した場合には(S1101:No)、大当たり遊技中であるか判別する(S1103)。大当たり遊技中であると判別した場合には(S1103:Yes)、新たなラウンド開始のタイミングであるか判別する(S1104)。新たなラウンド開始のタイミングであると判別した場合には(S1104:Yes)、第1可変入賞装置65または第2可変入賞装置650のいずれかを開放する処理を実行する(S1105)。新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定する。なお、本実施形態では、通常遊技状態で大当たりした場合には、第1可変入賞装置65が開放され、高確率遊技状態で大当たりした場合には、第2可変入賞装置650が開放するように設定される。
一方、新たなラウンドの開始タイミングでないと判別した場合には(S1104:No)、開放中の第1可変入賞装置65または第2可変入賞装置650を閉鎖する条件(10球入賞したか、30秒が経過したか)が成立しているか判別する(S1107)。閉鎖する条件が成立したと判別した場合には、開放中の第1可変入賞装置65または第2可変入賞装置650を閉鎖する処理を実行する(S1108)。一方、閉鎖する条件が成立していないと判別した場合には(S1107:No)、この処理を終了する。
次に、図125を参照して、本第3実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理3(S1340)について説明する。図125は、このコマンド判定処理3(S1340)の内容を示したフローチャートである。第3実施形態におけるコマンド判定処理3(図125、S1340)は、第1実施形態におけるコマンド判定処理(図91、S1311)に対して、変動パターン選択処理(図92、S1403)が変動パターン選択処理3(S1440)に変更され、S1412〜S1413までの各処理がそれぞれ追加されている。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明を省略する。
変動パターン選択処理3(S1440)は、第1実施形態における変動パターン選択処理(図92、S1403)のS1508〜S1509の処理が通常演出選択処理2(図126、S1530)に変更されている点で第1実施形態と相違する。その他の処理については、同一の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
次に、図126を参照して、第3実施形態における変動パターン選択処理3(S1440)内の処理である通常演出選択処理2(S1530)について説明する。図126は、この通常演出選択処理2(S1530)の内容を示したフローチャートである。この通常演出選択処理2(S1530)は、S1507の処理(図92参照)において、演出モードAが設定されている(時間演出期間以外である)と判別した場合(S1507:Yes)、実行される処理である。
通常演出選択処理2(図126、S1530)では、まず、当否判定結果が大当たりであるか判別する(S1531)。当否判定結果が外れであると判別した場合には(S1531:No)、変動態様選択カウンタ223hの値を取得して、対応する変動パターンを通常背景専用のサブ変動パターン選択テーブル222a(図71参照)より選択する(S1532)。選択されている通常背景モード種別と演出カウンタ223fの値とに基づいて、予告演出を通常背景予告選択テーブル222c(図74(a)参照)より選択して設定する(S1533)。その後、この処理を終了する。
一方、S1531の処理において、当否判定結果が大当たりであると判別した場合には(S1531:Yes)、変動態様選択カウンタ223hの値を取得して、その値に対応する変動パターンを融合変動パターン選択テーブル222g(図123(b)参照)より選択する(S1534)。融合演出フラグ223uをオンに設定する(S1535)。その後、この処理を終了する。
このように、本実施形態では、当否判定結果が大当たりであるバトル演出専用の変動パターンが選択される。これにより、遊技者は、バトル演出が開始されることで、大当たりしたことを判別できる。そして、そのバトル演出の内容により大当たり種別が報知されるので、大当たり種別の報知に集中して遊技を行うことができる。
図125に戻って説明を続ける。S1409の処理において、入賞コマンドを受信していないと判別した場合には(S1409:No)、大当たり遊技のコマンドを受信しているか判別する(S1412)。ここで、大当たり遊技のコマンドとは、オープニングコマンド、ラウンド数コマンドが該当する。大当たり遊技のコマンドを受信していると判別した場合には(S1412:Yes)、大当たり演出処理を実行する(S1413)。この大当たり演出処理(S1413)については、図127を参照して説明する。
図127は、この大当たり演出処理(S1413)の内容を示したフローチャートである。この大当たり中に表示するラウンド表示態様等の設定が実行される。
大当たり演出処理(図127、S1413)では、まず、融合演出フラグ223uをオンであるか判別する(S1541)。融合演出フラグ223uがオフである、即ち、バトル演出の変動パターンが選択されて大当たりしたものでないと判別した場合には(S1541:No)、受信したコマンドに基づいて、ラウンド表示態様を表示することを指示する表示用コマンドを設定する(S1542)。
一方、融合演出フラグ223uがオンであると判別した場合には(S1541:Yes)、融合演出処理を実行する(S1544)。この融合演出処理(S1544)については、図128を参照して説明する。
図128は、融合大当たり演出処理(S1544)を示すフローチャートである。大当たり演出処理(図128、S1544)では、まず、受信したコマンドがオープニングコマンドであるか判別する(S1551)。受信したコマンドがオープニングコマンドであると判別した場合には、演出カウンタ223fの値を取得する(S1552)。取得した演出カウンタ223fの値と大当たり種別とに基づいて、融合演出選択テーブル222f(図123(a))よりラウンド表示態様(バトル演出)を選択する(S1553)。
選択したラウンド表示態様に設定されているオープニング時のラウンド表示態様を設定し、対応した表示用コマンドを設定する(S1554)。その後、この処理を終了する。
一方、受信したコマンドがオープニングコマンドでないと判別した場合には(S1551:No)、受信したコマンドはラウンド数コマンドであるので、選択されているラウンド表示態様よりそのラウンド数コマンドが示すラウンド数に対応したラウンド表示態様を設定し、それに対応した表示用コマンドを設定する(S1556)。その後、この処理を終了する。このように、ラウンドに対応した、表示態様が順に表示されるので、大当たり遊技の進行に合わせて表示を行うことができる。
次に、図129を参照して、本第3実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のメイン処理(図90)内の一処理である枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)について説明する。図129は、この枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)の内容を示したフローチャートである。
枠ボタン入力監視・演出処理(図129、S1307)では、まず、SW有効時間が0より大きい値であるか判別する。SW有効時間が0であると判別した場合には、SW有効時間記憶エリア223vの値をリセットする(S1732)。その後、この処理を終了する。
一方、SW有効時間が0より大きい値であると判別した場合には(S1731:Yes)、SW有効時間を経過時間分減算して更新する(S1733)。SW有効時間が5秒以下であるか判別する(S1734)。SW有効時間が5秒以下であると判別した場合には(S1734:Yes)、長押し判断値を1秒に設定する(S1735)。一方、SW有効時間が5秒以下でないと判別した場合には(S1734:No)、長押し判断値に3秒を設定する(S1736)。
S1737の処理では、枠ボタン22が押下されたか判別する(S1737)。枠ボタン22が押下されたと判別した場合には(S1737:Yes)、SW押下カウンタ223wの値を1加算する。SW押下カウンタ223wの値は、S1735またはS1736の処理で設定されている長押し判断値以上であるか判別する(S1740)。長押し判断値以上であると判別した場合には(S1740:Yes)、SWインジケータを変動パターンに設定されている演出値の範囲で1加算させる(S1741)。更新したSWインジケータを表示するための表示用コマンドを設定する(S1742)。その後、この処理を終了する。
一方、S1740の処理でSW押下カウンタ223wが長押し判断値以下であると判別した場合には(S1740:No)、この処理を終了する。一方、S1737の処理において、枠ボタン22が押下されていないと判別した場合には(S1737:No)、枠ボタン22が押下されていない期間が所定時間(本実施形態では、0.5秒間)以上であるか判別する(S1743)。所定時間以上であると判別した場合には(S1743:Yes)、SW押下カウンタを初期値である0にリセットする(S1739)。一方、所定時間未満であると判別した場合には(S1743:No)、この処理を終了する。
このように、本実施形態では、枠ボタン22が押下されてから0.5秒以内に押下されていれば、連打しているとして、SW押下カウンタ223wの値を1加算して更新する。そして、長押し判定値以上となると、SWインジケータを可変させるように設定される。なお、SWインジケータが可変する量は、変動パターン毎に予め設定されており、当否判定結果の期待度を表すように設定されている。
よって、遊技者は、長押ししても、連打をしても、インジケータを可変させることができる。さらに、長押し判断値は、SW有効時間によって可変して設定されるので、SW有効時間が残り少なくなっても、インジケータを可変させる演出を遊技者に見せることができる。なお、SW有効時間の値により、インジケータを可変させる速度を早くするように設定してもよい。
本実施形態では、大当たり変動において、バトル演出の前半演出を表示して、その後の大当たり遊技においてバトル演出の後半演出を表示するように構成した。このように構成することで、特別図柄の変動時間を短く構成しても、バトル演出の演出時間を十分に設定することができ、遊技者に時間効率の良い遊技を提供でき、さらに遊技の興趣を向上させた遊技機を提供することができる。
なお、本実施形態では、大当たり変動で実行されるバトル演出の前半演出では、主人公と敵とのどちらが攻撃権をとることができるかの演出を実行して、その後の大当たり演出において、主人公が攻撃する場合には、敵を倒すことができれば、大当たりの種別が大当たりA(確変)であることを示し、倒すことができなければ大当たりB(通常大当たり)であることを報知するように構成した。また、敵が攻撃する場合には、敵からの攻撃を防ぐことができれば、大当たりAであることを報知し、攻撃を防げなければ、大当たりBであることを報知する構成とした。
なお、本実施形態では、特別図柄の変動パターン(バトル演出)と大当たり遊技のラウンド表示態様とをそれぞれ選択する構成としたが、それに限らず、大当たりの当否判定結果に基づいて、特別図柄の変動パターンを選択する場合には、その後に実行される大当たり遊技の時間も含んだ演出時間を算出して、その演出時間に対応したバトル演出を選択するように構成してもよい。このように構成することで、バトル演出を選択する回数を減らすことができ、制御を容易に行うことができる。
<第4実施形態におけるパチンコ機10について>
図130〜図133を参照して、第4実施形態におけるパチンコ機10について説明する。本実施形態では、第3実施形態において説明したバトル演出について、主人公が敵に対して攻撃する技の履歴により、敵に与えるダメージを可変させる点で第3実施形態とは相違する。
本第4実施形態では、敵の種類を複数設定して、各敵に対して、主人公が攻撃して敵を倒すことができた技(頭突き、剣での攻撃等)と倒した敵とが履歴として記憶される。同じ敵に対して、その履歴に残っている技が実行された場合には、敵に与えるダメージを大きくするように構成した。よって、主人公が成長していくように遊技者は感じることができ、一度出た技が再度選択されても飽きることなく楽しむことができる。
また、本実施形態では、技の履歴を記憶するように構成したが、それに限らず、攻撃した場所(敵の頭、胴体、足等)を記憶しておき、履歴に記憶されている攻撃箇所は、敵の弱点となるように設定するように構成してもよい。このように構成することで、演出の数が多くなく、同じ演出が選択される場合にも、遊技者は飽きずにその演出を楽しむことができる。
次に、図130〜131を参照して、第4実施形態における第3図柄表示装置81に表示される特別図柄の変動中と、大当たり遊技中に表示されるバトル演出について説明する。図130(a)は、第3図柄表示装置81において、特別図柄(第3図柄)の変動表示が実行されている場合に、演出表示態様(変動パターン)として表示されるバトル演出の表示態様の一例を示した図である。本実施形態では、敵と出会うことができた表示態様を表示することで遊技者に大当たりであることを報知している。なお、縮小して表示された第3図柄はこの場合、大当たりであることを示す「777」のぞろ目で停止表示される。
第3図柄表示装置81の表示領域の左上には、これまでのバトル演出において、戦って倒した敵の履歴とその時倒した技が上下に並列して表示されている。これにより、遊技者は、次に同じ敵と戦うバトル演出が表示された場合には、一度倒している敵であることを認識できる。さらに、倒した敵の数も認識することができる。
また、本実施形態では、敵を倒した場合には、その敵を倒した技がその敵の弱点として、次回から設定される。制御的には、その弱点となった技が選択されて表示されると、敵の残り体力を示すライフポイント(HP)で示されたインジケータが通常の2倍減るように設定される。これにより遊技者は、バトル演出が表示されて、一度戦った敵が選択されて表示されたとしても、敵の弱点である技を主人公が実行しないかと期待して遊技を行うことができ、同じ敵であることで飽きてしまう不具合を抑制できる。よって、敵の数を少なく設定していても、同じ敵を使い回すことができる。
図130(b)は、大当たり遊技中に主人公が剣を使った攻撃により敵である角獣を倒した場合の表示態様を示した図である。本実施形態では、主人公が敵に勝利する演出を大当たりラウンド中に表示することで、大当たりの種別が大当たりA(16R確変大当たり)であることが報知されるように構成されている。また、表示領域の左上の履歴が表示されているエリアには、敵の種別を示す「角獣」が表示されて、その下に倒した技の種類を示す「剣」の文字が表示されている。
また、図131(a)は、主人公が角獣を頭突きによって倒した場合の表示態様を示した図である。この場合には、表示領域の履歴を表示する左上に、敵の種別を示す「角獣」が表示され、その下に倒した技を示す「頭突き」が表示されている。さらに、図130(c)は、主人公がキックにより敵である角獣を倒した場合の表示態様を示した図である。この場合にも、表示領域の左上には、倒した敵の種別である「角獣」の下に、倒した技の種別を示す「キック」の文字が表示される。図130(b)〜図131(b)に示した表示態様のように、以前の履歴に加えて、今回の履歴が表示されるので、遊技者は、これまでの履歴をわかり易く認識できる。
なお、本実施形態では、選択される変動パターンの種別により、敵の種類や表示される技の種類等は予め決められている(変動パターンにより設定されている)構成としたが、それに限らず、敵の種別を遊技者が枠ボタン22を操作することにより選択できたり、攻撃する場合に技の種別を一覧より選択できるように構成してもよい。このように構成することで、遊技者は、一度倒した敵を倒し易い敵と認識して、再度、同じ敵を選んで遊技したり、すべての敵を倒すことを目標にして遊技を行ったりすることで、遊技に早期に飽きてしまう不具合を抑制できる。また、技が選択できる場合に、相手の弱点となる技が含まれているかを期待して遊技を行うことができ、遊技の興趣を向上させることができる。技を選択できる構成では、当否判定結果が確変である場合に、確変でない場合よりも敵の弱点となる技が一覧に含まれ易く構成することで、遊技者は演出を確変が付与されることへの期待とを結びつけて遊技を行うことができる。
<第4実施形態における電気的構成>
次に、図132を参照して、本第4実施形態における電気的構成について説明する。本第4実施形態における電気的構成は、第1実施形態における電気的構成に対して、音声ランプ制御装置113のROM222の内容と、RAM223の内容とが変更されている点で相違する。その他の構成については、第1実施形態と同一の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
図132(a)は、本第4実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のROM222の内容を模式的に示した模式図である。第4実施形態におけるROM222は、第1実施形態におけるROM222に対して、通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222aの内容が変更され、大当たり演出選択テーブル222hが追加されている。
本第4実施形態における通常背景モード専用のサブ変動パターン選択テーブル222aでは、第3図柄表示装置81で表示される変動パターンの表示態様が図130(a)に示すようなバトル演出の表示態様に変更されている。ここで、当否判定結果が大当たりである場合には、特別図柄がぞろ目で揃い、敵と出会う表示態様が表示される。遊技者は、敵と出会うことで、大当たりであることを認識して、バトル演出が開始されることを判別できる。
大当たり演出選択テーブル222hは、大当たり遊技における各ラウンド演出で表示するバトル演出を選択するための選択テーブルである。ここでは、図130(b)〜図131(b)に示したような様々なバトル演出の表示態様が現在のラウンド回数と演出カウンタと大当たり種別とに基づいて選択されるように設定されている。大当たり種別が大当たりAである場合には、図130(b)〜図131(b)に示したように、主人公が勝利する演出が最終的には選択されるように設定されている。一方、大当たり種別が大当たりBである場合には、図示を省略したが、主人公が敵に負けてしまう演出が最終的には、選択されるように設定されている。即ち、勝敗が必ず決定するラウンド数(本実施形態では、15R目)が開始される場合に選択されるバトル演出はすべて勝敗が決定するバトル演出態様に設定されている。バトル演出により敵のライフポイントが0となった場合には、そのラウンドで大当たりAが決定されていれば、主人公が勝利する表示態様が設定され、大当たりBであれば、敵が逃走してしまう表示態様が表示されるように設定されている。また、15ラウンドの前のラウンドで、主人公のライフポイントが0となった場合には、決定されている大当たり種別が大当たりAである場合には、主人公が復活してライフポイントが最大値に増える演出表示態様が表示され、大当たりBである場合には、主人公が敗北してしまう表示態様が表示される。
次に、図132(b)を参照して、本第4実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。図132(b)は、RAM223の内容を模式的に示した図である。第4実施形態におけるRAM223は、第1実施形態におけるRAM223に対して、履歴記憶エリア223x、ライフポイント記憶エリア223yがそれぞれ追加されている。その他の構成は第1実施形態と同一である。
履歴記憶エリア223xは、バトル演出において、倒した敵の情報と、その敵を倒した技との情報がそれぞれ対応して順番に記憶される記憶エリアである。この履歴記憶エリア223xは、電源断されると初期化されて、初期値(履歴がない状態)にリセットされる。
ライフポイント記憶エリア223yは、主人公と敵のライフポイントに対応する値をそれぞれ記憶する記憶エリアである。主人公のライフポイントは、予めバトル開始時に設定される。また、敵のライフポイントもバトル開始時に敵の種別に基づいて固有値が設定される。
<第4実施形態における制御処理について>
図133を参照して、本第4実施形態における制御処理について説明する。本第4実施形態では、第1実施形態に対して、コマンド判定処理(図91、S1311)がコマンド判定処理4(図示せず)に変更されている点で第1実施形態と相違する。その他の構成については、第1実施形態と同一の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
本第4実施形態におけるコマンド判定処理4(図示)せずは、第1実施形態におけるコマンド判定処理(図91、S1311)に対して、第3実施形態におけるコマンド判定処理3(図125、S1340)のS1412の処理と、大当たり演出処理(S1413)が大当たり演出処理2(図133、S1460)に変更された処理とがそれぞれ追加されている点で、第1実施形態とは相違する。その他の処理については、第1実施形態と同一の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
次に、図133を参照して、本第4実施形態における音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるコマンド判定処理4(図示せず)内の一処理である大当たり演出処理2(S1460)について説明する。図133は、この大当たり演出処理2(S1460)の内容を示したフローチャートである。
大当たり演出処理2(図133、S1460)では、まず、受信したコマンドはオープニングコマンドであるか判別する(S1561)。受信したコマンドがオープニングコマンドであると判別した場合には(S1561:Yes)、履歴記憶エリア223xより演出履歴を読み出して、敵の弱点を設定する(S1562)。演出カウンタ223fの値を取得して、大当たり演出選択テーブル222hよりラウンド数と取得した演出カウンタの値と、判定されている大当たり種別とに基づいて、大当たり演出パターン(バトル演出の表示態様)を決定する(S1563)。S1563の処理で決定された大当たり演出パターンおよびS1562で読み出した演出履歴に対応した表示用コマンドを設定する(S1564)。
このように、大当たり開始時のオープニングコマンドを受信した場合には、これまでのバトル演出での履歴を読み出して、その履歴を表示制御装置113に対してコマンドにより通知する。よって、表示制御装置113は、履歴情報を判別して、第3図柄表示装置81に履歴を報知する表示態様を表示できる。その後、この処理を終了する。また、おオープニングコマンドを受信した場合には、1R目のラウンド演出として、開始時に対応したバトル演出が大当たり演出選択テーブル222hより選択されるように構成されているので、ラウンドが進むにつれて、ストーリー性のあるバトル演出を行うことができる。ここで、ストーリー性のあるバトル演出とは、例えば、1R目では、両者がにらみ合いどちらが攻撃を仕掛けるのかという演出をし、2R目〜4R目では、最初に仕掛けた方の攻撃の演出が行われ、5R目〜7R目では、攻撃を受けた相手が攻撃に耐えることができるかという演出が行われる。その間に、敵のライフポイントが0となると、決定されている大当たり種別により大当たりAであれば、主人公が勝利する表示態様が表示され、大当たりBであれば、敵が逃走する表示態様が表示されて、バトル演出が終了する。そして、大当たりラウンドの演出としては、キャラクタ等が表示される通常のラウンド演出が実行される。このように、各ラウンドにバトル演出の流れが設定されており、最終的には15R目で勝敗が決する演出が必ず設定されることで、遊技者は、主人公が勝つことができるかという演出について、楽しみながら見ることができる。また、大当たりの種別が大当たりAである方が、大当たりBである場合よりも、主人公が攻撃を仕掛ける演出が選択され易かったり、敵からの攻撃を耐える(ライフポイントが減らない)演出が選択され易かったりするように構成されている。これにより、遊技者は、大当たり遊技の15R前の途中の演出により、大当たり種別が大当たりAであるか否かを予測することができ、大当たり遊技をより楽しむことができる。
一方、S1561の処理において、受信したコマンドが大当たりコマンドでないと判別した場合には(S1561:No)、演出カウンタ223fの値を取得して、その取得した値、大当たり種別、ラウンド数に基づいて、次のラウンドで表示するバトル演出を大当たり演出選択テーブル222hより選択(決定)する(S1565)。
選択された演出内容は、S1562の処理において敵の弱点に設定されている攻撃であるか判別する(S1566)。敵の弱点に設定されている攻撃であると判別した場合には(S1566:Yes)、決定された演出内容に基づいて、敵のライフポイントを通常の2倍で減算してライフポイント記憶エリア223yに記憶する(S1567)。一方、S1566の処理において、選択された演出内容が敵の弱点に対する攻撃でないと判別した場合には、決定された演出内容に基づいて、敵のライフポイントを通常の1倍で減算するように設定する(S1568)。ここでは、敵が攻撃を受ける場合には、ライフポイントが減算されてライフポイント記憶エリア223yに設定されるが、敵が主人公を攻撃する演出である場合には、主人公のライフポイントの減算が実行される。
敵のライフポイントが0より大きい値であるか判別する(S1569)。敵のライフポイントが0以下であると判別した場合には(S1569:No)、今回決定されている大当たり種別は大当たりA(16R確変大当たり)であるか判別する(S1570)。決定されている大当たり種別が大当たりA(16R確変大当たり)であると判別した場合には(S1570:Yes)、勝利の演出内容を示す表示用コマンドを設定する(S1571)。このコマンドを表示制御装置113が受信すると、第3図柄表示装置81に図130(b)〜図131(b)に示したような勝利の演出内容を示す表示用コマンドを設定する(S1571)。敵を倒した技を、敵の弱点として設定し、勝利した敵に対応して履歴記憶エリア223xに記憶する(S1572)。その後、この処理を終了する。一方、S1570の処理において、大当たり種別が大当たりB(16R通常大当たり)であると判別した場合には(S1570:No)、敵が逃走した表示態様を示す表示用コマンドを設定する(S1573)。遊技者は、敵が逃走した表示態様が第3図柄表示装置81に表示されると、大当たり種別が大当たりBであることを認識できる。
一方、S1569の処理において、敵のライフポイントが0より大きい値であると判別した場合には(S1569:Yes)、主人公のライフポイントは0より大きい値であるか判別する(S1574)。主人公のライフポイントが0以下の値であると判別した場合には(S1574:No)、大当たり種別が大当たりAであるか判別する(S1575)。大当たり種別が確変であると判別した場合には(S1575:Yes)、遊技者が復活して元気になる演出内容を示す表示用コマンドを設定する(S1576)。ここでは、主人公のライフポイントも最大値に更新してライフポイント記憶エリア223yに設定される。
一方、S1575の処理において、大当たり種別が大当たりBであると判別した場合には(S1575:No)、主人公の敗北を示す表示態様を第3図柄表示装置81に表示するように指示する表示用コマンドを設定する(S1577)。また、S1574の処理において、主人公のライフポイントが0より大きい値であると判別した場合には(S1574:Yes)、この処理を終了する。
このように、遊技者は、ラウンド毎に決定される演出によりライフポイントが増減し、ライフポイントが0になった場合には、決定されている大当たり種別に基づいて、演出が切り替わって表示させることで、遊技者があたかもバトルの結果により大当たり種別が決定されているような気持ちになることができる。
<第5実施形態におけるパチンコ機10について>
次に、図134〜図135を参照して、第5実施形態におけるパチンコ機10について説明する。図134(a)は、複合動作ユニットが動作する前の状態を示している。第3図柄表示装置81には、斜め、中央ラインの4ラインがリーチ状態で表示されている。ここで、図134(b)に示すように、複合動作ユニットが第3図柄表示装置81の表示領域側に向けて回動して、それぞれ、左右上下に表示されている第3図柄(4図柄、2図柄)を覆うように可変される。
その後、図135に示すように、複合動作ユニットが左右上下図柄を隠さない位置に可変されると、図柄が通常図柄(4図柄、2図柄)から確変図柄(1図柄、7図柄)にそれぞれ変えて表示される。このように、複合動作ユニットが動作することにより、第3図柄の種別が遊技者に有利な図柄へと変更されるので、遊技者は複合動作ユニットが動作することを期待して遊技を行うことができる。
また、本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、スロットマシンやパチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしてもよい。
パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップスイッチの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
なお、本実施形態では、主制御装置、音声ランプ制御装置、表示制御装置等に制御装置を分けて構成したが、一つの制御装置のみにまとめて構成してもよい。
なお、上記した各実施形態の一部または全部をそれぞれ組み合わせて構成してもよい。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段の駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達状態と、前記駆動手段から前記移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを形成可能とされ、少なくとも前記第1位置にある前記移動部材の前記第2位置への移動が開始される際には、前記遮断状態が形成された後に前記伝達状態が形成されることを特徴とする遊技機A1。
遊技機A1によれば、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、伝達手段により遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されるので、移動部材の移動を開始するために駆動手段に必要とされる駆動力を抑制でき、その結果、駆動手段の小型化を図ることができる。
即ち、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、静止している物体を動かすことになるため、移動開始時に移動部材に発生する慣性力を上回る力をかかる移動部材に作用させる必要があり、駆動手段に必要とされる駆動力が大きくなる。その結果、駆動手段の大型化を招いていた(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。一方で、移動部材の移動が開始された後は、その移動部材の運動状態を維持しようとする慣性の働きが作用することから、駆動手段に必要とされる駆動力は、移動部材の移動を開始する際に必要とされる駆動力と比較して、小さくなる。換言すれば、移動部材の移動が開始された後は、最大出力が不必要に大きな駆動手段が使用されている状態にあるといえる。
これに対し、遊技機A1では、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、伝達手段により遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されるので、駆動手段が発生可能な駆動力が小さくても、移動部材の移動を開始させることができる。即ち、伝達手段により先に遮断状態が形成されることで、無負荷状態で駆動手段に駆動力を発生させることができ、その駆動手段の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。その後、伝達手段により伝達状態が形成される(遮断状態から伝達状態に切り替えられる)ことで、駆動手段は、駆動状態に勢いがついた状態(慣性力が大きな状態)で、移動手段へ駆動力を伝達させることができる。これにより、駆動手段を小型化しても、移動部材の移動を開始させることができる。換言すれば、移動部材の移動が開始された後に、最大出力が不必要に大きな駆動手段が使用されている状態を抑制できる。
遊技機A1において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される駆動手段側部材と、その駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される移動部材側部材と、を備え、駆動手段側部材または移動部材側部材の少なくとも一方は、前記歯が非形成とされ前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方と歯合不能とされる非形成部を備えることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、伝達手段は、駆動手段側部材および移動部材側部材が歯合可能に形成されるので、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転されると、その駆動手段側部材に歯合される移動部材側部材が回転され、この移動部材側部材の回転を介して、移動部材へ駆動力が伝達される(伝達状態が形成される)。この場合、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方には、歯が非形成とされる非形成部が形成されるので、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転され、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に非形成部が配置されると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされ、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断される(遮断状態が形成される)。
よって、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、先に非形成部を利用して遮断状態を形成することで、駆動手段側部材を空転させることができるので、駆動手段を無負荷状態で駆動させることができ、駆動手段の駆動状態に勢い(駆動手段側部材に慣性力)を持たせることができる。その後、空転する駆動手段側部材を移動部材側部材に歯合させる(即ち、伝達状態を形成する)ことで、駆動手段は、駆動状態に勢いがついた状態で、移動手段の駆動を開始することができる。これにより、駆動手段を小型化しても、移動部材の移動を開始することができる。
このように、遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、伝達手段は、駆動手段側部材および移動部材側部材からなり、それら駆動手段側部材または移動部材側部材の少なくとも一方に歯が非形成とされる非形成部を設ける構成なので、駆動手段側部材と移動部材側部材との間の相対的な回転位置(非形成部の回転位置)に応じて、遮断状態と伝達状態とを切り替えることができる。即ち、かかる状態の切り替えを達成するための構成に、アクチュエータ装置を必要とせず、歯車のみから構成できるため、構造を簡素化して、製品コストの削減を図ることができる。
ここで、駆動手段側部材および移動部材側部材に形成される歯は、相手の歯との歯合を介して、動力の伝達に用いられる機械要素である。この場合、歯の歯すじの形状には限定されない。例えば、次に例示される歯車の歯を、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯に適用することができる。歯車としては、例えば、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、かさ歯車、まがりばかさ歯車、ねじ歯車、冠歯車、マイタ歯車、内歯車、ハイポイドギヤ、ウォームギヤなどが例示される。以下に示す各種発明の概念においても同様である。
遊技機A2において、前記駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが前記非形成部を備え、それら駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、前記遮断状態が形成されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが非形成部を備え、それら駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、遮断状態が形成されるので、駆動手段側部材および移動部材側部材の非形成部における外径を確保して、それら駆動手段側部材および移動部材側部材の剛性の向上を図ることができる。
即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方のみが非形成部を備える(即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方には周方向の全周にわたって歯が形成される)場合には、非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯との歯合を避けることができる位置まで後退されていることが必要となる。具体的には、非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の歯における谷底よりも回転軸側へ後退されていることが必要となる。その結果、非形成部における後退量が大きくなるため、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の非形成部における外径が小さくなり、その分、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の剛性の低下を招く。
これに対し、遊技機A3によれば、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが非形成部を備えるので、これら両非形成部は、向かい合う非形成部に対して干渉しない位置まで後退していれば足りる。具体的には、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯における谷底と山頂との間に両非形成部を位置させることができ、谷底よりも回転軸側へ後退させる必要がない。その結果、非形成部における後退量を小さくできる分、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれの非形成部における外径を確保して、それら駆動手段側部材および移動部材側部材の剛性の向上を図ることができる。
遊技機A3において、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部は、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方における非形成部は、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯から周方向へ離間するに従って前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部へ向けて張り出す形状とされることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが備える非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部が駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方における非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯から周方向へ離間するに従って駆動手段側部材または移動部材側部材の一方に形成される非形成部へ向けて張り出す形状(即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の回転軸からの距離が大きくなる形状)とされるので、これら両非形成部どうしの干渉を回避して、遮断状態の形成を可能としつつ、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の非形成部における外径を大きくして、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の剛性を更に高めることができる。
遊技機A3又はA4において、前記駆動手段側部材および移動部材側部材は、第1の位相位置および前記第1の位相位置とは異なる位相位置である第2の位相位置のそれぞれにおいて、前記駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、前記遮断状態が形成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A3又はA4の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材は、第1の位相位置および第2の位相位置の2ヶ所において、遮断状態を形成することができるので、第1の位相位置および第2の位相位置を移動部材の第1位置および第2位置に対応させることで、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際だけでなく、第2位置にある移動部材の第1位置への移動が開始される際にも、遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されることで、駆動手段の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。即ち、駆動手段が発生可能な駆動力が小さくても、移動部材が第1位置にある場合および第2位置にある場合の双方において、移動部材の移動を開始させることができる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記移動部材は、第1移動部材と第2移動部材とを備え、前記伝達手段は、前記駆動手段の駆動力を前記第2移動部材へ伝達する伝達状態と、前記駆動手段から前記第1移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを同時に形成可能とされることを特徴とする遊技機B1。
遊技機B1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動力が伝達手段により第1移動部材および第2移動部材へ伝達され、これら第1移動部材および第2移動部材が移動される。この場合、伝達手段は、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達する伝達状態と、駆動手段から第1移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを同時に形成可能とされるので、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材の移動を1の駆動手段により行う場合、従来品では、駆動手段が駆動力を発生する状態と駆動力の発生を停止した状態との2つの駆動状態を形成することで、第1移動部材および第2移動部材の動作態様を切り替える構造であるため、第1移動部材および第2移動部材の両者が共に移動するか或いは両者が共に停止する動作態様のみが形成可能とされ、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させることはできなかった。そのため、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させるためには、第1移動部材を移動させるための駆動手段と第2移動部材を移動させるための駆動手段とをそれぞれ個別に設ける必要があった(例えば、特開2011−139766号公報を参照)。
これに対し、遊技機B1によれば、上述の通り、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できるので、第1移動部材および第2移動部材の移動および停止による演出効果を発揮可能としつつ、駆動手段の数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機B1において、前記伝達手段は、前記駆動手段が発生する駆動力を前記第1移動部材へ伝達する第1伝達部材と、前記駆動手段が発生する駆動力を前記第2移動部材へ伝達する第2伝達部材とを備え、前記第1伝達部材は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される第1駆動手段側部材と、その第1駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記第1駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記第1移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される第1移動部材側部材と、を備え、第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の少なくとも一方は、前記歯が非形成とされ前記第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の他方と歯合不能とされる非形成部を備えることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動力が、第1伝達部材により第1移動部材へ伝達されると共に第2伝達部材により第2移動部材へ伝達され、第1移動部材および第2移動部材がそれぞれ移動される。
この場合、第1伝達部材は、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材が歯合可能に形成されるので、駆動手段の駆動力により第1駆動手段側部材が回転されると、その第1駆動手段側部材に歯合される第1移動部材側部材が回転され、この第1移動部材側部材の回転を介して、第1移動部材へ駆動力が伝達され、第1移動部材が移動される。また、第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の一方は、歯が非形成とされる非形成部を備えるので、駆動手段の駆動力により第1駆動手段側部材が回転され、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材の歯合位置に非形成部が配置されると、第1駆動手段側部材と第1移動部材側部材とが歯合不能とされ、駆動手段から第1移動部材への駆動力の伝達が遮断される(遮断状態が形成される)。即ち、この第1伝達部材による遮断状態の形成は、第2伝達部材による第2移動部材への駆動力の伝達とは独立して行うことができる。これにより、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。
このように、遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、第1伝達部材は、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材からなり、それら第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の少なくとも一方に歯を非形成として非形成部を設ける構成なので、第1駆動手段側部材と第1移動部材側部材との間の相対的な回転位置(非形成部の回転位置)に応じて、遮断状態と伝達状態とを切り替えることができる。即ち、かかる状態の切り替えを達成するための構成に、アクチュエータ装置を必要とせず、歯車のみから構成できるため、構造を簡素化して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機B2において、前記第2伝達部材は、前記駆動手段の駆動力を前記第1移動部材へ伝達する伝達状態が前記第1伝達部材により形成されている際に、前記駆動手段から前記第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、第2伝達部材は、駆動手段の駆動力を第1移動部材へ伝達する伝達状態が前記第1伝達部材により形成されている際に、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされるので、第1移動部材を移動させつつ第2移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。即ち、遊技機B2の奏する効果(即ち、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できるという効果)に加え、第1移動部材を移動させつつ第2移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。これにより、駆動手段の数を低減して、製品コストの削減を図りつつ、第1移動部材および第2移動部材の移動および停止の動作態様のバリエーションを増加して、その演出効果を高めることができる。
遊技機B3において、前記第2伝達部材は、溝状の溝部およびその溝部に沿って移動可能に形成されるピン部を備えると共に、それら溝部およびピン部が前記駆動手段から前記第2移動部材までの駆動力の伝達経路中に配設され、前記ピン部が前記溝部に沿って移動されることで、前記駆動手段の駆動力を前記第2移動部材へ伝達する伝達状態を形成可能とされ、前記ピン部が前記溝部に対して停止されることで、前記駆動手段から前記第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、ピン部が溝部に沿って移動されることで、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達する伝達状態を形成可能とされる一方、ピン部が溝部に対して停止されることで、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされるので、駆動手段の駆動力を第1移動部材へ伝達する伝達状態が第1伝達部材により形成されている(即ち、第1移動部材が移動されている)際には、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断して、第2移動部材を停止させる一方、駆動手段から第1移動部材への駆動力が第1伝達部材により遮断されている(即ち、第1移動部材が停止されている)際には、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達して、第2移動部材を移動させることができる。
遊技機B4において、前記第2伝達部材は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される第2駆動手段側部材と、その第2駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記第2駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記第2移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成されると共に前記溝部またはピン部の一方が配設される第2移動部材側部材と、を備え、前記第2駆動手段側部材が前記第1伝達部材の第1駆動手段側部材と同軸に配設されると共に、前記第2移動部材側部材が前記第1伝達部材の第1移動部材側部材と同軸に配設されることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B4の奏する効果に加え、第2伝達部材の第2駆動手段側部材および第2移動部材側部材が第1伝達部材の第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材とそれぞれ同軸に配設されるので、第2伝達部材の第2駆動手段側部材および第2移動部材側部材の間におけるバックラッシュと、第1伝達部材の第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材の間におけるバックラッシュとを同じ方向で発生させることができ、これにより、第1移動部材と第2移動部材との演出タイミングにずれが生じることを抑制できる。
なお、遊技機B5において、前記第1伝達部材の第1駆動手段側部材に前記第2伝達部材の第2駆動手段側部材が固着される構成としても良い。これによれば、第1伝達部材の第1駆動手段側部材に第2伝達部材の第2駆動手段側部材が固着されるので、第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材の両者へ駆動手段の駆動力をそれぞれ伝達するための部材を必要とせず、第1駆動手段側部材または第2駆動手段側部材のいずれか一方へ伝達する部材があれば足りる。よって、部品点数を削減して、或いは、部品を小型化して、製品コストの削減を図ることができる。
ここで、第1駆動手段側部材に第2駆動手段側部材に固着されるとは、これら第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材の回転が同期すれば足りる趣旨である。よって、第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材は、別体に形成され、それらが固着される構成でも良く、一体に形成されていても良い。別体に形成される場合、両者の固着方法としては、例えば、接着材による接着、超音波による溶着、ねじによる締結、一方に設けた突部を他方に設けた凹部や穴に内嵌させる方法、これらを組み合わせた方法などが例示される。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される駆動手段側部材と、その駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される移動部材側部材と、を備え、前記駆動手段側部材および移動部材側部材は、前記歯が非形成とされ互いに歯合不能とされる非形成部をそれぞれ備え、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に互いの非形成部が配置されると、前記移動部材側部材の非形成部が前記駆動手段側部材の非形成部に当接可能に形成されることを特徴とする遊技機C1。
遊技機C1によれば、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転されると、その駆動手段側部材に歯合される移動部材側部材が回転され、この移動部材側部材の回転に伴い、移動部材が移動される。駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が更に回転され、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に互いの非形成部が配置されると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされる。これにより、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断され(遮断状態が形成され)、移動部材が停止される。即ち、移動部材がその移動範囲の終端に配置される。この場合、移動部材側部材の非形成部が駆動手段側部材の非形成部に当接可能に形成されるので、かかる移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる方向への移動部材側部材の回転を規制できる。即ち、移動部材の移動を規制できる。
この場合、移動部材の停止は、従来、次のように行われていた。即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の回転位置を検出するセンサ装置を設け、そのセンサ装置により駆動手段側部材または移動部材側部材の所定の回転位置までの回転が検出された場合に、移動部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動手段の駆動を停止する。或いは、駆動手段の駆動量(例えば、駆動手段をステップモータで構成する場合のステップ数)を検出(計数)して、その駆動量が所定量に達した場合に、移動部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動手段の駆動を停止する(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、例えば、電気的ノイズの影響による回転位置や駆動量の検出不良などに起因して、移動部材が移動範囲の終端に達しているにも関わらず、駆動手段が停止されないことが発生し得る。そのため、従来の遊技機では、移動部材の移動範囲の終端にストッパを設け、駆動手段が適正に停止されない場合には、ストッパによって移動部材の移動を規制する構造であった。しかしながら、このように移動部材の移動をストッパにより規制する構造では、移動部材がストッパに衝突した際に、これら移動部材やストッパの破損を招く恐れがあるだけでなく、駆動手段に過大な負荷が作用して、駆動手段の破損も招く恐れもある。
これに対し、遊技機C1によれば、上述の通り、移動部材がその移動範囲の終端に達すると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされることで、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断されるので、駆動手段の駆動力が発生され続けている場合であっても、移動部材を停止させることができる。よって、移動部材と他の部材との衝突による破損を回避できる。また、仮に、移動部材が他の部材へ衝突されたとしても、移動部材は駆動手段から切り離されており、駆動手段は空転している状態なので、かかる駆動手段に過大な負荷が作用することを回避できる。
また、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材に駆動力を付与する駆動手段とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を所定の移動範囲で移動させる遊技機がある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。
この場合、例えば、移動部材の移動範囲の終端が上昇位置とされ、その移動範囲の終端に配置された移動部材に重力が作用される場合には、移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を移動範囲の終端に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機C1によれば、上述の通り、移動部材が移動範囲の終端に配置されると、移動部材側部材の非形成部が駆動手段側部材の非形成部に当接されることで、移動部材側部材の回転(移動部材の移動)を規制できる。即ち、遊技機C1では、移動部材が移動範囲の終端に配置されると、移動部材と駆動手段とが切り離されるため、駆動手段の駆動力を利用して移動部材を終端に保持不能となるところ、非形成部の当接を利用して、移動部材を移動範囲の終端に機械的に保持できる。その結果、移動部材の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
遊技機C1において、前記駆動手段側部材の非形成部および前記移動部材側部材の非形成部は、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置され、互いが当接された場合に、前記移動部材側部材の両方向への回転を規制可能な形状に形成されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部は、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置され、互いが当接された場合(即ち、移動手段がその移動範囲の終端に配置された場合)に、移動部材側部材の両方向への回転を規制可能な形状に形成されるので、移動部材側部材の回転を一方向のみ(例えば、移動部材が重力の作用により移動される方向のみ)で規制可能な形状に形成される場合と比較して、移動範囲の終端に到達した際の移動部材の振動を収束させ、移動範囲の終端に移動部材を速やかに位置決めできると共に、移動部材をその移動範囲の終端に安定した状態で保持できるので、停止状態にあるべき移動部材が外力(例えば、遊技者が遊技盤を叩く又は揺らすことで発生する外力)により振動や位置ずれすることを抑制できる。
遊技機C2において、前記駆動手段側部材の非形成部は、その駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、前記移動部材側部材の非形成部は、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置された場合に、前記駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状であって前記駆動手段側部材の非形成部の円弧と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成されることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、駆動手段側部材の非形成部は、その駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、移動部材側部材の非形成部は、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置された場合に、駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状であって駆動手段側部材の非形成部の円弧と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成されるので、駆動手段側部材の非形成部に移動部材側部材の非形成部を滑らかに当接させることができると共に、両者を面接触で当接させやすくできる。これにより、非形成部どうしを滑らかに当接させ、移動部材がその移動範囲の終端に到達して停止される際の衝撃を緩やにできると共に、非形成部どうしの接触圧力を小さくして、駆動手段側部材および移動部材側部材の耐久性の向上を図ることができる。
また、駆動手段側部材の非形成部と移動部材側部材の非形成部とが同心の円弧状に湾曲されるので、駆動手段側部材の回転位置(位相)によらず、移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接可能として、移動部材側部材の両方向への回転を規制可能とできる。即ち、移動部材がその移動範囲の終端に到達した後に駆動側歯車が更に回転されたとしても、移動部材側部材の回転を両方向において規制でき、その結果、移動部材をその移動範囲の終端に保持することができる。
遊技機C1からC3のいずれかにおいて、前記移動部材側部材は、複数の被締結部を備え、前記移動部材は、前記複数の被締結部を介して前記異動部材側歯車に締結固定されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、移動部材が複数の被締結部を介して移動部材側部材に締結固定されるので、これら複数箇所で連結された移動部材側部材および移動部材により一の構造体を形成できる。即ち、移動部材の剛性を利用して移動部材側部材の剛性を高めることができる。即ち、移動部材側部材は、その非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に駆動手段側部材から反力を受けるため、その反力に抗するための剛性を確保する必要がある一方、例えば、厚肉化すれば重量が増加し、高剛性の素材を採用すれば材料コストが嵩むところ、遊技機C4によれば、移動部材の剛性を利用して(即ち、移動部材と一体となることで)、移動部材側部材の剛性を高めるため、移動部材側部材の厚肉化や高剛性素材の採用をする必要がない。これにより、移動部材側部材の軽量化および低コスト化を図りつつ、移動部材側部材の耐久性の向上を図ることができる。
遊技機C4において、前記移動部材側部材は、前記被締結部が前記移動部材側部材の非形成部を挟んで前記駆動手段側部材と対向する位置に配設されることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C4において、移動部材側部材は、被締結部が、移動部材側部材の非形成部を挟んで駆動手段側部材と対向する位置に配設されるので、移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に駆動手段側部材から反力を受ける部分の剛性を効果的に高めることができる。その結果、移動部材側部材の軽量化および低コスト化と移動部材側部材の耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
なお、移動部材歯車の被締結部は、移動部材側部材の非形成部を挟んで駆動手段側部材の回転軸と対向する位置に配設されることがより好ましい。移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に移動部材側部材が受ける反力は、駆動手段側部材の回転軸と移動部材側部材の非形成部とを結ぶ線に沿って作用されるため、駆動手段側部材の回転軸と対向する位置に被締結部が配設されることで、駆動手段側部材から反力を受ける部分の剛性を高める効果をより一層発揮できるからである。
第1位置および第2位置の間で第1軸を中心に回転可能に形成される移動部材と、その移動部材を回転させるための駆動力を発生する駆動手段とを備えた遊技機において、前記駆動手段から伝達される駆動力により第2軸を中心に回転される回転部材と、その回転部材に配設されると共に前記第2軸に対して偏心して位置するピン部材とを備え、前記移動部材は、前記ピン部材を内壁面に沿って案内する溝状の案内溝部を備え、前記案内溝部は、その案内溝部の内壁面に凹設されると共に前記ピン部材を受入可能に形成される凹部を備え、少なくとも前記第1位置では、前記ピン部材が前記凹部に受け入れられることで、前記移動部材が前記第1位置に機械的に保持されることを特徴とする遊技機D1。
遊技機D1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動手段から伝達される駆動力により回転部材が第2軸を中心に回転され、その回転部材に配設されたピン部材が移動部材の案内溝部に沿って案内される。ピン部材は回転部材の第2軸から偏心して位置するので、ピン部材が案内溝部の内壁面に沿って案内されることに伴って、移動部材が第1位置と第2位置との間で第1軸を中心に回転される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1軸と、その第1軸を中心に回転される移動部材と、その移動部材に駆動力を付与する駆動手段とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を第1位置と第2位置との間で第1軸を回転中心として回転させる遊技機がある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、例えば、第1位置が上昇位置とされる場合、第1位置に配置された移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を第1位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機D1によれば、少なくとも第1位置では、案内溝部の内壁面に凹設された凹部にピン部材が受け入れられることで、移動部材が第1位置に機械的に保持される。即ち、駆動手段の駆動力を解除としても、移動部材を第1位置に機械的に保持できるので、その分、駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
更に、案内溝部の内壁面に凹設した凹部にピン部材を受け入れさせて、移動部材を第1位置に機械的に保持する構造なので、案内溝部の内壁面のみにより移動部材を第1位置に機械的に保持する構造と比較して、案内溝部および回転部材の配置の自由度を高めることができる。
なお、凹部は、有底である必要はなく、貫通していても良い。即ち、案内溝部に連通すると共に互いに対向する内壁面を有していれば足りる。以下に示す各種発明の概念においても同様である。
遊技機D1において、少なくとも前記第1位置では、前記凹部の内壁面が、前記第1軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略平行となり、かつ、前記第2軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略直交することを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、少なくとも第1位置では、凹部の内壁面が、第1軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略平行となる向きに配置され、かつ、第2軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略直交する向きに配置されるので、駆動手段の駆動力を解除した状態であっても、移動部材の第1軸を中心とする回転は、第2軸とピン部材とを結ぶ方向と平行となる方向へピン部材を凹部の内壁面が押圧することとなるため、かかる移動部材の回転に伴うピン部材の押圧によっては、回転部材の第2軸を中心とする回転を形成することができない。これにより、移動部材の第1位置における保持をより強固に行うことができる。よって、例えば、遊技者が遊技機を叩いたり揺らしたりすることで、移動部材が揺らされた場合でも、移動部材を第1位置に確実に保持することができ、重力方向下方へ向けて移動(下降)してしまうことを抑制できる。
遊技機D1又はD2において、前記凹部の内壁面は、前記移動部材が第1位置に配置された状態において前記回転部材の第2軸を中心とする円弧状に湾曲して形成されることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、凹部の内壁面は、移動部材が第1位置に配置された状態において回転部材の第2軸を中心とする円弧状に湾曲して形成されるので、移動部材が第1位置に配置された後、かかる移動部材の姿勢が変動することを抑制しつつ、ピン部材を凹部に受け入れさせることができる。
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記凹部は、前記案内溝部の対向する内壁面であって、前記移動部材が前記第2位置から第1位置へ移動される際に前記ピン部材が摺動する側の内壁面に凹設されることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、凹部は、案内溝部の対向する内壁面であって、移動部材が第2位置から第1位置へ移動される際にピン部材が摺動する側の内壁面に凹設されるので、駆動手段の駆動方向(回転部材の回転方向)を切り替えることなく、移動部材を第2位置から第1位置へ移動させ、かつ、凹部にピン部材を受け入れさせて、移動部材を第1位置に保持させることができる。
遊技機D1からD4のいずれかにおいて、前記凹部は、前記案内溝部の対向する内壁面であって、前記第1軸に近い側の内壁面に凹設されることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D1からD4のいずれかの奏する効果に加え、凹部は、案内溝部の対向する内壁面であって、第1軸に近い側の内壁面に凹設されるので、案内溝部と第1軸との間のデッドスペースとなる領域に凹部を配設でき、その分、小型化を図ることができる。更に、このように凹部が第1軸側に配設されることで、移動部材が第1位置に配置された状態における第1軸とピン部材との間の距離をより短くできるので、移動部材の第1軸を中心とする回転に伴い凹部の内壁面がピン部材を押圧する力を小さくできる。これにより、移動部材の第1位置における保持をより強固に行うことができる。
スライド移動可能に形成される移動部材と、その移動部材をスライド移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記移動部材のスライド移動の方向に沿って延設される開口として形成されるスライド孔を有するベース部材を備え、前記移動部材は、前記ベース部材のスライド孔に挿通される複数の突出部を備え、前記伝達手段は、前記移動部材が配設される前記ベース部材の一面側と反対側となる前記ベース部材の他面側に配設され前記駆動手段の駆動力を前記移動部材へ伝達するリンク部材を備え、そのリンク部材が、前記ベース部材のスライド孔を介して前記ベース部材の他面側に突出される前記移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも1の突出部に接続されることを特徴とする遊技機E1。
遊技機E1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動手段から伝達される駆動力により伝達手段のリンク部材が変位され、そのリンク部材の変位が移動部材の突出部に伝達される。これにより、移動部材の突出部がスライド孔に沿って移動されることで、移動部材がスライド移動される。
ここで、パチンコ等の遊技機において、スライド移動可能に形成される移動部材と、その移動部材をスライド移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、その駆動手段の駆動力を伝達手段により移動部材に伝達して、移動部材をスライド移動させる遊技機がある(例えば、特開2004−229885号公報を参照)。この場合、移動部材のスライド移動を安定して行わせるためには、スライド孔に挿通させる突出部の数を多くすることが好ましい。一方で、突出部の数を多くすると、その突出部を保持する(スライド孔からの抜け止めを行う)ための部品の数も増加し、コストが増加する。そのため、移動部材のスライド移動を安定化させつつ、コストを削減する方法が要請されていた。
これに対し、遊技機E1によれば、伝達手段が、駆動手段の駆動力を移動部材へ伝達するリンク部材を備え、そのリンク部材が、移動部材が配設されるベース部材の一面側と反対側となるベース部材の他面側に配設され、ベース部材のスライド孔を介してベース部材の他面側に突出される移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも1の突出部に接続されるので、突出部を保持するための部品のうちの少なくとも1の部品をリンク部材に兼用させることができる。その結果、突出部の数は確保して、移動部材の安定したスライド移動を可能としつつ、突出部を保持するための部品の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
遊技機E1において、前記伝達手段は、前記リンク部材に接続され前記駆動手段から伝達される駆動力を前記リンク部材に伝達する接続部材を備え、前記ベース部材は、開口として形成される接続孔を備え、前記駆動手段と前記伝達手段の接続部材とが前記ベース部材の一面側に配設されると共に前記ベース部材の接続孔を介して前記接続部材が前記リンク部材に接続されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、リンク部材に接続され駆動手段から伝達される駆動力をリンク部材に伝達する接続部材を伝達手段が備えると共に、開口として形成される接続孔をベース部材が備え、ベース部材の接続孔を介して接続部材がリンク部材に接続されるので、駆動手段と伝達手段の接続部材とを移動部材と共にベース部材の一面側に配設することができる。これにより、ベース部材の一面側に構成部材を集中させる(即ち、ベース部材の他面側への構成部材の配設を抑制する)ことができ、その結果、スペースを効率的に使用して、全体としての小型化を図ることができる。
遊技機E2において、前記伝達手段のリンク部材は、前記ベース部材の他面側において前記ベース部材に回転可能に軸支されることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、駆動手段の駆動力を移動部材へ安定して伝達することができる。即ち、伝達手段は、ベース部材の一面側に接続部材が、ベース部材の他面側にリンク部材が、それぞれ配設され、これら接続部材およびリンク部材がベース部材の接続孔を介して接続されるので、これら接続部材およびリンク部材により形成される駆動力の伝達経路が長くなる。そのため、駆動手段の駆動力を伝達する際に接続部材およびリンク部材が変形して、移動部材へ安定して伝達できないおそれがある。これに対し、リンク部材が、ベース部材の他面側においてそのベース部材に回転可能に軸支されるので、ベース部材の剛性を利用して、接続部材およびリンク部材の全体としての剛性を高めることができ、その結果、駆動手段の駆動力を接続部材およびリンク部材を介して移動部材へ安定して伝達することができる。
特に、遊技機E3では、接続部材およびリンク部材のうちのリンク部材をベース部材に回転可能に軸支するので、接続部材をベース部材に回転可能に軸支する場合と比較して、かかるベース部材への軸支箇所から移動部材の突出部までの距離を短くでき、その結果、駆動手段の駆動力の移動部材への伝達の安定化をより少ない軸支箇所で達成することができる。
遊技機E1からE3のいずれかにおいて、前記ベース部材は、板状に形成されると共に前記スライド孔の延設方向を垂直方向する姿勢に配置され、そのベース部材のスライド孔に沿って前記移動部材が垂直方向にスライド移動されることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E1からE3のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材が、板状に形成されると共にスライド孔の延設方向を垂直方向する姿勢に配置され、そのベース部材のスライド孔に沿って移動部材が垂直方向にスライド移動されるので、リンク部材をベース部材の他面側に配設する構成を有効として、移動部材を安定してスライド移動させることができる。即ち、ベース部材がスライド孔の延設方向を垂直方向とする姿勢に配置される場合には、移動部材は重力の作用によりベース部材の一面側から離間する方向へ向けて前傾姿勢となるところ、移動部材に接続されるリンク部材と移動部材との間にはベース部材が介在されるため、移動部材の前傾姿勢を、突出部を保持するための部品だけでなく、リンク部材によっても規制することができ、その結果、移動部材を安定した状態でスライド移動させることができる。
遊技機E4において、前記リンク部材は、前記移動部材の少なくとも中央よりも上方側に位置する突出部に接続されることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、リンク部材は、移動部材の少なくとも中央よりも上方側に位置する突出部に接続されるので、重力の作用によりベース部材の一面側から離間する方向へ向けて前傾姿勢となる移動部材に対し、移動部材の前傾姿勢をリンク部材により効果的に規制することができ、その結果、移動部材を更に安定した状態でスライド移動させることができる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設され前記ピニオンの回転に伴い水平方向へ変位されるラックと、そのラックに一端が接続されると共に前記移動部材に他端が接続され前記ラックの水平方向への移動に伴い起立または傾倒されるリンク部材と、を備え、前記リンク部材の起立により前記移動部材が上昇位置に配置されると共に前記リンク部材の傾倒により前記移動部材が下降位置に配置され、前記移動部材の上昇位置では、前記リンク部材の一端および他端を結ぶ方向が前記ラックの歯面および前記ラックの移動方向のそれぞれに直交する平面内に位置されることを特徴とする遊技機F1。
遊技機F1によれば、駆動手段の駆動力によりピニオンが回転され、そのピニオンの回転によりラックが水平方向一側へ変位されると、そのラックの水平方向一側への変位に伴いリンク部材が傾倒され、リンク部材が傾倒されるに従って移動部材が下方位置へ向けて下方へ移動(下降)される一方、ピニオンの回転によりラックが水平方向他側へ変位されると、そのラックの水平方向他側への変位に伴いリンク部材が起立され、リンク部材が起立されるに従って移動部材が上昇位置へ向けて上方へ移動(上昇)される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材に付与する駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、伝達手段が駆動力の伝達経路の一部にラック・ピニオンを含んで形成される遊技機がある(例えば、特開2012−065923号公報を参照)。この場合、移動部材が上昇位置に配置された場合には、移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を上昇位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機F1によれば、移動部材の上昇位置では、リンク部材の一端および他端を結ぶ方向がラックの歯面およびラックの移動方向のそれぞれに直交する平面内に位置されるので、リンク部材からラックに作用する力成分として、ラックを水平方向へ移動させる方向への力成分が発生することを抑制できる。これにより、駆動手段の駆動力を解除しても、移動部材を上昇位置に保持することができ、その結果、移動部材の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
遊技機F1において、前記伝達手段のピニオン及びラックがそれぞれ回転可能および移動可能に配設されるベース部材を備え、前記伝達手段は、少なくとも前記ラックおよびリンク部材をそれぞれ一対備えると共に前記リンク部材が前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設され、前記ベース部材は、前記移動部材が上昇位置に配置された場合に前記一対のリンク部材の対向面間に介設されると共に前記一対のリンク部材の対向面に当接可能に形成される介設部を備えることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、移動部材が上昇位置に配置された場合に、一対のリンク部材の対向面間に介設されると共に一対のリンク部材の対向面に当接可能に形成される介設部をベース部材が備えるので、移動部材の姿勢を上昇位置において安定化できる。即ち、上昇位置では、一対のリンク部材が起立されるためその姿勢の維持が困難となり、移動部材の姿勢が不安定となりやすいところ、一対のリンク部材の対抗面の間に介設部が介設されることで、かかる介設部によって、一対のリンク部材の対向方向(即ち、ラックの移動方向)への変位を規制することができる。これにより、一対のリンク部材を起立状態に維持して、移動部材の姿勢を上昇位置において安定化できる。
遊技機F1又はF2において、前記伝達手段のピニオン及びラックがそれぞれ回転可能および移動可能に配設されるベース部材を備え、前記伝達手段は、少なくとも前記ラックおよびリンク部材をそれぞれ一対備えると共に前記リンク部材が前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設され、前記ベース部材は、前記ラックの移動方向に沿って延設されると共に互いに所定間隔を隔てて対向配置される一対の対向壁部を備え、それら一対の対向壁部の対向面間に前記一対のリンク部材の一端側がそれぞれ介設されることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F1又はF2の奏する効果に加え、ラックの移動方向に沿って延設されると共に互いに所定間隔を隔てて対向配置される一対の対向壁部をベース部材が備えるので、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。即ち、リンク部材は、一対がラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設されるので、ラックの移動方向に対しては向かい合わせに配設された一対のリンク部材どうしで互いの変位を打ち消し合うことができ、その姿勢の維持が可能である。一方で、リンク部材は、ラックの移動方向に直交する方向に対しては、移動部材がオフセットされていることから、外乱の入力に伴い重心位置の変動が発生し易く、その姿勢の維持が困難であるところ、一対の対向壁部の対向面間に一対のリンク部材の一端側がそれぞれ介設されることで、これら一対の対向壁部によって、一対のリンク部材のラックの移動方向に直交する方向への変位を規制することができる。これにより、一対のリンク部材の姿勢を維持して、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。
遊技機F3において、前記ベース部材の一対の対向壁部の少なくとも一方は、前記移動部材が上昇位置へ近づくに従って、その立設高さが高くされることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、移動部材が上昇位置へ近づくに従って(即ち、リンク部材が起立されるに従って)、対向壁部の立設高さが高くされる(即ち、対向壁部に対しリンク部材の一端側に対面にする面積が大きくなる)ので、外観の向上を図りつつ、移動部材の移動の安定化を図ることができる。即ち、対向壁部の立設高さを全体にわたって高くするのではなく、部分的に高くすることで、対向壁部により外観が損なわれることを抑制でき、かつ、リンク部材が起立される(即ち、移動部材を安定した姿勢で移動させることが困難になる状態になる)ほど、対向壁部によってリンク部材の姿勢を維持する効果を高めることができる。その結果、外観が損なわれることを抑制しつつ、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。
なお、この場合、ベース部材の一対の対向壁部の少なくとも一方であって、前記立設高さが高くされた部分は、移動部材が下降位置に配置された状態(即ち、リンク部材が倒伏された状態)において、リンク部材の他端側(移動部材に接続される側)に対面可能な立設高さに設定されることが好ましい。この構成によれば、移動部材の移動中の姿勢を安定化するために立設高さを高くした部分を利用して、下降位置に配置された移動部材の姿勢を維持する効果も同時に得ることができる。
遊技機F1からF4のいずれかにおいて、前記ラックの歯面に直交する方向へ延設される延設部材を備えると共に、前記移動部材は、前記延設部材に摺動可能に連結され前記延設部材の延設方向に沿って案内される案内部を備え、前記移動部材が前記ラックの歯面に平行な方向であって前記ラックの移動方向に直交する方向へオフセットされ、前記延設部材は、前記移動部材がオフセットされる方向において前記リンク部材と移動部材の重心位置との間に配設されることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F1からF4のいずれかにおいて、ラックの歯面に直交する方向に延設されると共にその延設方向に沿って移動部材の案内部を案内する延設部材を備え、その延設部材は、移動部材がオフセットされる方向において、リンク部材と移動部材の重心位置との間に配設されるので、移動部材をオフセットさせる効果(即ち、移動部材の保持に必要な消費エネルギーの抑制)を発揮させつつ、移動部材のスムーズな移動を確保することができる。
なお、リンク部材を一対設けると共にそれら一対のリンク部材の対向間に介設部を設ける場合には、かかる介設部の内部に延設部材を配設することが好ましい。一対のリンク部材が向かい合う中央部分に延設部材が配置され、移動部材の移動の案内効果を高めつつ、デッドスペースとなる介設部の内部を有効活用して、全体としての小型化を図ることができるからである。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達部材は、少なくとも一部に歯を有すると共に前記移動部材が連結される第1伝達部材と、その第1伝達部材の歯に歯合可能な歯を少なくとも一部に有する第2伝達部材と、その第2伝達部材に連結され前記駆動手段の駆動力を前記第2伝達部材へ伝達する連結部材と、を備え、前記連結部材には、前記第2伝達部材の歯に連続する歯が形成されることを特徴とする遊技機G1。
遊技機G1によれば、駆動手段の駆動力が連結部材を介して第2伝達部材に伝達されると、第2伝達部材が回転され、その第2伝達部材の回転が互いの歯の歯合を介して第1伝達部材に伝達され、第1伝達部材が回転される。その結果、第1伝達部材に連結される移動部材が第1伝達部材の回転に伴って移動される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、移動部材が連結された第1伝達部材と、その第1伝達部材に歯合されその歯合を介して駆動手段の駆動力を第1伝達部材へ伝達する第2伝達部材とにより駆動手段の一部が形成される遊技機がある(例えば、特開2011−110376号公報を参照)。この場合、駆動手段の駆動力により第2伝達部材が回転され、その第2伝達部材に歯合される第1伝達部材が回転されることで、その第1伝達部材に連結された移動部材が第1伝達部材の回転に伴い移動される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、移動部材が第1伝達部材に連結されているため、駆動手段の駆動力により第1伝達部材および第2伝達部材を回転させて、移動部材を移動させている際に、移動部材に揺れが発生すると、その移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位され、第2伝達部材との歯合が外れるおそれがあった。第1伝達部材および第2伝達部材の歯合が外れることを回避できたとしても、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位される分、第2伝達部材の歯との歯合面積が減少して、歯面の一部に面圧が集中することで、歯の偏磨耗を招き、耐久性が低下するおそれがあった。
これに対し、遊技機G1によれば、連結部材には、第2伝達部材の歯に連続する歯が形成されるので、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位された場合でも、その第1伝達部材の歯を、連結部材に形成される歯に歯合させることができる。これにより、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることを抑制できる。また、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位される場合に、第1伝達部材の歯と第2伝達部材および連結部材の歯との歯合面積を確保できるので、これら各歯の偏磨耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
なお、第1伝達部材の歯および第2伝達部材の歯は、それぞれ全周にわたって形成されている必要はなく、周方向の一部に形成されていれば足りる。以下においても同様である。また、他の歯車においても同様である。
遊技機G1において、前記連結部材は、前記第2伝達部材の軸方向端面からその第2伝達部材の軸方向に沿って立設されると共に前記歯が形成される歯形成部と、その歯形成部の立設先端に接続される本体部とを備え、前記歯形成部は、前記歯が形成される側と反対側の面が前記第2伝達部材の軸を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、連結部材の歯形成部は、第2伝達部材の軸方向端面からその第2伝達部材の軸方向に沿って立設され、第2伝達部材の歯に連続する歯が形成される側と反対側の面が第2伝達部材の軸を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されるので、かかる連結部材の歯形成部を第2伝達部材の軸方向端面に連結する場合であっても、第2伝達部材の軸方向端面の面積を確保でき、その分、第2伝達部材の軸方向端面に装着される固定部材を大径化できる。また、第2伝達部材および連結部材が樹脂材料から一体に成形される場合には、上述のように歯が形成される面と反対側の面を凹曲面として形成されることで、歯形成部における肉厚を均一化して、その成形性の向上を図ることができる。
遊技機G2において、前記連結部材の歯形成部には、前記第2伝達部材の軸方向端面から前記本体部までの範囲にわたって前記歯が形成されることを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、遊技機G2の奏する効果に加え、連結部材の歯形成部には、第2伝達部材の軸方向端面から本体部までの範囲にわたって歯が形成されるので、歯が形成される領域を十分に確保して、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることをより確実に抑制できる。また、第2伝達部材および連結部材が樹脂材料から一体に成形される場合には、上述のように歯形成部の全体にわたって歯が形成されることで、かかる歯形成部における肉厚をその全体にわたって均一化して、その成形性の向上を図ることができる。
遊技機G1からG3のいずれかにおいて、前記第1伝達部材および第2伝達部材が配設されると共に移動可能に形成される第2移動部材と、その第2移動部材を直線方向に案内する案内部材と、を備え、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合され前記ピニオンの回転に伴い変位されるラックと、を備えると共に、前記連結部材は、前記ラックに一端が接続されると共に前記第2伝達部材に他端が接続されることを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G1からG3のいずれかの奏する効果に加え、第1伝達部材および第2伝達部材が配設される第2移動部材を備え、その第2移動部材が案内部材により直線方向に案内され、伝達手段が、駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合されると共にピニオンの回転に伴い変位されるラックとを備え、連結部材は、ラックに一端が接続されると共に第2伝達部材に他端が接続されるので、駆動手段の駆動力によりラック・ピニオンを動作させることで、連結部材を変位させ、かかる連結部材の変位に伴い、第2伝達部材の回転と第2移動部材の直線移動とを同時に行うことができる。即ち、第2伝達部材に歯合される第1伝達部材には移動部材が連結されているので、移動部材を回転させつつ、その移動部材を第2移動部材と共に直線移動させることができ、その結果、演出効果を高めることができる。また、駆動手段の駆動力の移動部材への伝達と第2移動部材への伝達とを1の部材(連結部材)に兼用させることができるので、部品点数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機G4において、前記ラックは、前記ピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設され前記ピニオンの回転に伴い水平方向へ変位され、前記第2移動部材は、前記ラックの水平方向への変位に伴い上下方向に前記案内部材によって案内され、前記連結部材は、前記第2移動部材が上昇位置に配置された際に、前記歯形成部に形成される歯が前記第1伝達部材の歯に対応する位置に配設されることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、ラックは、ピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設されピニオンの回転に伴い水平方向へ変位され、第2移動部材は、ラックの水平方向への変位に伴い上下方向に案内部材によって案内されるので、駆動手段の駆動力によりピニオンが回転され、そのピニオンの回転によりラックが水平方向一側へ変位されると、そのラックの水平方向一側への変位に伴い連結部材が傾倒され、連結部材が傾倒されるに従って第2移動部材が下方位置へ向けて下方へ移動(下降)される一方、ピニオンの回転によりラックが水平方向他側へ変位されると、そのラックの水平方向他側への変位に伴い連結部材が起立され、連結部材が起立されるに従って第2移動部材が上昇位置へ向けて上方へ移動(上昇)される。
この場合、第2移動部材が上昇位置に配置された状態では、連結部材が起立されるためその姿勢の維持が困難となり、第2移動部材の姿勢が不安定となる。これに伴い、第2移動部材に配設される移動部材の姿勢が更に不安定となる。そのため、第2移動部材の揺れが移動部材の揺れを更に顕著とさせ、かかる移動部材の揺れに伴う第1伝達部材の変位が大きくなる。即ち、第2移動部材が上昇位置に配置された状態では、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れやすい。
これに対し、遊技機G5によれば、遊技機G4の奏する効果に加え、連結部材は、第2移動部材が上昇位置に配置された際に、歯形成部に形成される歯が第1伝達部材の歯に対応する位置に配設されるので、移動部材の揺れに伴う第1伝達部材の変位が大きくなり、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が最も外れやすくなる状態において、歯形成部に形成される歯を有効に活用できる。これにより、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることを効果的に抑制できる。
なお、遊技機G4又はG5において、前記伝達手段が、前記ラック、そのラックに一端が接続される連結部材、その連結部材の他端が接続される第2伝達部材、その第2伝達部材に歯合される第1伝達部材、及び、その第1伝達部材に連結される移動部材からなる組を一対備えると共に、一方の組の第1伝達部材および第2伝達部材が他方の組の第1伝達部材および第2伝達部材にそれぞれ歯合された状態で、一方の組と他方の組とが前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設されるように構成しても良い。これによれば、一方の組における移動部材と他方の組における移動部材との同期精度の向上を図ることができる。また、第1伝達部材どうしのみ又は第2伝達部材どうしのみが歯合される形態であっても移動部材の同期精度の向上を図ることができるところ、第1伝達部材と第2伝達部材とがそれぞれ歯合されることで、歯合箇所(歯合面積)を多くして、その分、歯面の面圧を分散させることができるので、耐久性の向上を図ることができる。
移動可能に形成される複数の移動部材と、それら複数の移動部材をそれぞれ移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を前記複数の移動部材へそれぞれ伝達する伝達手段と、を備え、前記複数の移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる前記退避位置から移動されて基準位置に配置されることで前記複数の移動部材が結合される遊技機において、前記複数の移動部材は、互いに近接する方向へ移動され前記基準位置において隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材と、それら第1移動部材および第2移動部材の隣り合う方向と略直交する方向から前記第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接される第3移動部材と、を備え、前記第3移動部材が前記基準位置において前記第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、前記第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材が結合されることを特徴とすることを特徴とする遊技機H1。
遊技機H1によれば、駆動手段の駆動力が伝達手段によって第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材に伝達されることで、それら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる退避位置から移動されて基準位置に配置される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される複数の移動部材と、それら複数の移動部材をそれぞれ移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を前記複数の移動部材へそれぞれ伝達する伝達手段とを備え、複数の移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる退避位置から移動されて基準位置に配置されることで複数の移動部材が結合される遊技機がある(例えば、特開2012−115300号公報を参照)。この場合、基準位置における複数の移動部材の結合が適切に行われていないと、これら複数の移動部材を結合させることによる演出効果が損なわれる。しかしながら、上述した従来の遊技機のように、対称形状の一対の移動部材どうしを向かい合わせで結合させることは比較的容易であるが、3以上の移動部材を結合させることが困難であった。
これに対し、遊技機H1によれば、基準位置において、第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置されると共に、それら第1移動部材および第2移動部材の隣り合う方向と略直交する方向から第1移動部材および第2移動部材へ向けて移動された第3移動部材が第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接されると、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成されるので、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を適切に結合させることができる。その結果、複数の移動部材を結合させることによる演出効果を確保することができる。
遊技機H1において、前記第1移動部材および第2移動部材が第1当接部分および第2当接部分をそれぞれ備えると共に、それら第1当接部分および第2当接部分のそれぞれに当接される第3当接部分を前記第3移動部材が備え、前記第3移動部材の第3当接部分が前記第1移動部材および第2移動部材の第1当接部分および第2当接部分にそれぞれ当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、前記第1移動部材および第2移動部材は、前記第3移動部材に対面する側の外観形状が、前記第1当接部分および第2当接部分により形成されると共に前記第1移動部材および第2移動部材どうしの当接面へ向けて凹む凹形状とされる一方、前記第3移動部材は、前記第1移動部材および第2移動部材に対面する側の外観形状が、前記第3当接部分により形成されると共に前記第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出する突出形状とされることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、基準位置において第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置され、それら第1移動部材および第2移動部材の第1当接部分および第2当接部分に対して第3移動部材の第3当接部分が当接されると、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、これにより、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材が結合される。
この場合、第1移動部材および第2移動部材は、第3移動部材に対面する側の外観形状(第1当接部分および第2当接部分の組み合わせ)が、中央が凹む凹形状とされる一方、第3移動部材は、第1移動部材および第2移動部材に対面する側の外観形状(第3当接部分)が、第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出される突出形状とされるので、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を、退避位置から基準位置へ移動させ、基準位置において結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との互いの対面する側の外観形状が、上述のように、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材が凹形状とされ、その凹形状へ向けて移動される第3移動部材が突出形状とされる形態では、退避位置から基準位置へ配置される際に、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材の間へ第3移動部材が入り込み、第1移動部材および第2移動部材を互いに離間する方向へ押し拡げる態様を遊技者に想起させるところ、遊技機H2によれば、基準位置において第3移動部材(第3当接部分)が第1移動部材および第2移動部材(第1当接部分および第2当接部分)に当接されることで、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成して、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を結合させることができる。これにより、遊技機H1の奏する効果に加え、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
なお、遊技機H2においては、第1移動部材および第2移動部材がベース部材に第1リンク機構および第2リンク機構によりそれぞれ支持されると共に、基準位置において第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置された状態では、第1リンク機構および第2リンク機構がベース部材側に対して第1移動部材および第2移動部材側の間隔が狭くされるハの字状に配置されることが好ましい。第1リンク機構と第2リンク機構とがなす角度に対し、第1当接部分および第2当接部分と第3当接部分とがなす角度を設定することで、基準位置において、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成できるからである。
遊技機H1において、前記第1移動部材および第2移動部材は、前記第3移動部材に対面する側の外観形状が、それら第1移動部材および第2移動部材どうしの当接面へ向けて凹む凹形状とされる一方、前記第3移動部材は、前記第1移動部材および第2移動部材に対面する側の外観形状が、前記第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出する突出形状とされることを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、第1移動部材および第2移動部材は、第3移動部材に対面する側の外観形状が、中央が凹む凹形状とされる一方、第3移動部材は、第1移動部材および第2移動部材に対面する側の外観形状が、第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出される突出形状とされるので、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を、退避位置から基準位置へ移動させ、基準位置において結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との互いの対面する側の外観形状が、上述のように、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材が凹形状とされ、その凹形状へ向けて移動される第3移動部材が突出形状とされる形態では、退避位置から基準位置へ配置される際に、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材の間へ第3移動部材が入り込み、第1移動部材および第2移動部材を互いに離間する方向へ押し拡げる態様を遊技者に想起させるところ、遊技機H3によれば、基準位置において第3移動部材が当接されることで、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成して、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を結合させることができる。これにより、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
遊技機H3において、前記第1移動部材および第2移動部材が第1当接面および第2当接面を備えると共に、それら第1当接面および第2当接面のそれぞれに当接される第3当接面を前記第3移動部材が備え、前記第3当接面と前記第1当接面および第2当接面とのうちの少なくとも一方は、前記第3移動部材が前記基準位置へ向けて移動される際の進行方向側ほど末広がりとなる傾斜面として形成され、第3当接面が第1当接面および第2当接面の両側から当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材が互いに近接させる方向へ変位されることを特徴とする遊技機H4。
遊技機H4によれば、遊技機H3の奏する効果に加え、第3当接面と第1当接面および第2当接面とのうちの少なくとも一方は、第3移動部材が基準位置へ向けて移動される際の進行方向側ほど末広がりとなる傾斜面として形成され、第3当接面が第1当接面および第2当接面の両側から当接されることで、第1移動部材および第2移動部材が互いに近接させる方向へ変位されるので、かかる第1移動部材および第2移動部材の互いに近接する方向への変位を確実に行わせることができる。そのため、第1移動部材および第2移動部材を移動可能とする構造を簡素化できると共に、その構造の設計の自由度を高めることができる。
遊技機H4において、前記第1当接面および第2当接面は、前記第1移動部材および第2移動部材の外観形状を形成する部分の背面側にそれぞれ配設されると共に、第3当接面は、前記第3移動部材の外観形状を形成する部分の背面側に配設されることを特徴とする遊技機H5。
遊技機H5によれば、遊技機H4の奏する効果に加え、第1移動部材および第2移動部材の外観形状を形成する部分の背面側に第1当接面および第2当接面がそれぞれ配設されると共に、第3移動部材の外観形状を形成する部分の背面側に第3当接面が配設されるので、これら第1当接面、第2当接面および第3当接面が遊技者に視認されることを抑制できる。よって、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材とにおける外観形状として凹形状と突出形状とを設定することで、遊技者の予想と異なる態様で動作させる効果を高めることができる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備え、前記伝達手段が、第1伝達部材と、その第1伝達部材に対して所定の位相で歯合される第2伝達部材とを備えた遊技機において、前記第1伝達部材に対する前記第2伝達部材の歯合位置を前記所定の位相に位置決めする位置決め手段を備えることを特徴とする遊技機I1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、伝達手段が、第1伝達部材と、その第1伝達部材に対して所定の位相で歯合される第2伝達部材とを備えた遊技機がある(例えば、特開2009−125092号公報を参照)。この遊技機によれば、駆動手段の駆動力により第1伝達部材または第2伝達部材の一方が回転されると、その一方の回転により第1伝達部材または第2伝達部材の他方が回転され、その他方の回転により移動部材が移動される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、第1伝達部材に対して第2伝達部材が所定の位相で歯合されていない場合には、移動部材の移動範囲にずれが生じる。そのため、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付ける(歯合させる)際には、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めした上で組み付ける必要があり、その位置決め作業が煩雑であった。
これに対し、遊技機I1によれば、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めする位置決め手段を備えるので、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付ける(歯合させる)際には、かかる位置決め手段を利用して、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付けることができる。即ち、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めする際に、その位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。
なお、上述した通り、第1伝達部材の歯および第2伝達部材の歯は、それぞれ全周にわたって形成されている必要はなく、周方向の一部に形成されていれば足りる。
遊技機I1において、第1伝達部材および第2伝達部材が回転可能に軸支されるベース部材を備え、前記位置決め手段は、前記ベース部材に形成される第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部とそれら第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部に対応する位置において前記第1伝達部材および第2伝達部材にそれぞれ形成される第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部とにより構成されることを特徴とする遊技機I2。
遊技機I2によれば、遊技機I1の奏する効果に加え、ベース部材に第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が形成されると共に、それら第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部に対応する位置において第1伝達部材および第2伝達部材に第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部がそれぞれ形成されるので、第1ベース位置決め部に第1伝達部材位置決め部を一致させると共に、第2ベース位置決め部に第2伝達部材位置決め部を一致させつつ、第1伝達部材および第2伝達部材をベース部材に組み付けることで、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めすることができる。その結果、位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。
特に、第1ベース位置決め部または第1伝達部材位置決め部の少なくとも一方、及び、第2ベース位置決め部または第2伝達部材位置決め部の少なくとも一方が貫通孔として形成される場合には、かかる一方の貫通孔に冶具を挿通させると共にその挿通させた冶具の先端を他方に当接(又は挿通)させることで、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めする位置決め作業をより簡易に且つ正確に行うことができる。
遊技機I2において、前記ベース部材は、そのベース部材の正面へ向けて突設され前記第1伝達部材および第2伝達部材に挿通される第1軸および第2軸を備え、前記第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されることを特徴とする遊技機I3。
遊技機I3によれば、遊技機I2の奏する効果に加え、ベース部材の正面から突出され第1伝達部材および第2伝達部材に挿通される第1軸および第2軸をベース部材が備える場合に、第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されるので、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めしつつ、これら第1伝達部材および第2伝達部材をベース部材に組み付ける際に、それら位置決め作業と組み付け作業とを同時に行うことを可能として、その作業性の向上を図ることができる。
即ち、遊技機I3によれば、第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されるので、ベース部材の背面から第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部へ冶具を挿通させることで、かかる冶具を、第1軸および第2軸と共に、ベース部材の正面から突出させることができる。これにより、ベース部材の正面から第1伝達部材および第2伝達部材を第1軸および第2軸にそれぞれ組み付ける(挿通させる)作業と同時に、冶具の先端を第1伝達部材および第2伝達部材の第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部に当接(又は挿通)させる位置決め作業を行うことができる。その結果、位置決め作業と組み付け作業とを同時に行うことができ、その分、作業性の向上を図ることができる。
遊技機I2又はI3において、前記第1伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材の互いに対応する位置に前記第1伝達部材位置決め部が貫通孔としてそれぞれ形成されることを特徴とする遊技機I4。
遊技機I4によれば、遊技機I2又はI3の奏する効果に加え、第1伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材の互いに対応する位置に第1伝達部材位置決め部が貫通孔としてそれぞれ形成されるので、これら一対の歯車の位置決め作業を同時に行うことができ、その分、位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。また、これら一対の歯車の位置決め作業を共通の冶具を用いて行うことができるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。更に、一対の歯車どうしを結合する必要がないので、これら一対の歯車を相対回転可能に共通の軸に軸支させることができる。なお、第2伝達部材においても同様に構成しても良い。
遊技機I2からI4のいずれかにおいて、前記第2伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材は、一方の部材から突出される突出部と、その突出部を受け入れるために他方の部材に凹設される凹部とを備えると共に、それら一対の部材のうちの前記ベース部材側に配置される部材に前記第2伝達部材位置決め部が形成されることを特徴とする遊技機I5。
遊技機I5によれば、遊技機I2からI4のいずれかにおいて、第2伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材のうちのベース部材側に配置される部材に第2伝達部材位置決め部が形成されるので、かかる第2伝達部材位置決め部を利用することで、一対の部材のうちのベース部材側に配置される部材を所定の位相に位置決めすることができる。この場合、一対の部材どうしは、一方の部材の突出部を他方の部材の凹部に受け入れさせることにより、これら一対の部材を、所定の位相に位置決めできると共に、相対回転不能(即ち、同期して回転可能)に共通の軸に軸支させることができる。特に、一対の部材どうしは、突出部が凹部に受け入れられて嵌合されるので、その分、全体としての剛性を高めることができる。
なお、凹部は、有底である必要はなく、貫通孔として形成されていても良い。即ち、凹部は、一対の部材を同軸に重ねる際に、連結突部を受け入れて周方向(回転方向)の位置決めが可能に形成されていれば足りる。
液晶表示装置と、その液晶表示装置よりも下方に配設される複数の入賞口と、それら複数の入賞口に入賞されず流下した遊技球を遊技領域から排出するアウト口と、を備えた遊技機において、前記複数の入賞口のうちの第1の入賞口は、前記遊技領域の下縁との間に遊技球の通過を不能とする位置まで前記遊技領域の下縁に近接して又は前記遊技領域の下縁に当接して配設され、前記アウト口は、前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向一側に配設される第1のアウト口と、前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向他側に配設される第2のアウト口と、を備えることを特徴とする遊技機J1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置と、その液晶表示装置よりも下方に配設される複数の入賞口と、それら複数の入賞口に入賞されず流下した遊技球を遊技領域から排出するアウト口とを備えた遊技機がある(例えば、特開2012−143268号公報を参照)。近年では、演出効果を高めるために、液晶表示装置の大型化が要請される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、液晶表示装置を大型化するために、かかる液晶表示装置の下側縁部の位置を下方へ下げると、その分、入賞口の位置も下方へ下げる必要があるところ、入賞口の位置が下方へ下がり過ぎると、入賞口の下方(遊技領域の下縁、例えば、内レールとの間)に遊技球が流下するためのスペースを確保できなくなる。即ち、入賞口に入賞されずに流下した遊技球をアウト口から排出できなくなる。そのため、入賞口の位置を下方へ下げるには限界があり、その結果、液晶表示装置を十分に大型化することができなかった。
これに対し、遊技機J1によれば、アウト口は、複数の入賞口のうちの第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側に配設される第1のアウト口と、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向他側に配設される第2のアウト口とを備えるので、第1の入賞口に入賞されずにその第1の入賞口よりも幅方向一側に流下した遊技球については第1のアウト口により遊技領域から排出できる一方、第1の入賞口に入賞されずにその第1の入賞口よりも幅方向他側に流下した遊技球については第2のアウト口により遊技領域から排出できる。これにより、第1の入賞口の下方(遊技領域の下縁、例えば、内レールとの間)に遊技球が流下するためのスペースを確保する必要がない。よって、かかる第1の入賞口の位置を、より下方へ(即ち、遊技領域の下縁との間に遊技球の通過を不能とする位置まで)下げることができるので、その分、液晶表示装置を大型化することができる。
遊技機J1において、前記複数の入賞口のうちの第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出が行われる演出部材を備え、前面側に前記遊技領域が形成される遊技盤が光透過性材料からなり、前記演出部材が前記遊技盤の背面側において前記第2の入賞口に対応する位置に配設されると共に、前記第2の入賞口および演出部材が前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向一側または幅方向他側に配設されることを特徴とする遊技機J2。
遊技機J2によれば、遊技機J1の奏する効果に加え、複数の入賞口のうちの第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出が行われる演出部材を備え、その演出部材は、光透過性材料からなる遊技盤の背面側において第2の入賞口に対応する位置に配設されるので、第2の入賞口へ遊技球が入賞される場面を視認する遊技者に対しその場面の背後において演出部材による演出も同時に視認させることができ、第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出を効果的に行うことができる。
この場合、第2の入賞口および演出部材は、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側または幅方向他側に配設されるので、かかる第2の入賞口および演出部材の位置を下方へ下げることができ、その分、液晶表示装置の下側縁部の位置を下方へ下げることができる。その結果、演出部材を配設した場合であっても、液晶表示装置を大型化することができる。
即ち、第2の入賞口に対応する位置において遊技盤の背面側に演出部材を配設することは、かかる演出部材が液晶表示装置と干渉するため、液晶表示装置の大型化を阻害することになる。これに対し、上述したように、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側および幅方向他側に第1のアウト口および第2のアウト口が配設されることで、かかる第1の入賞口の位置を下方へ下げることができるだけでなく、かかる第1の入賞口の遊技領域の幅方向一側または幅方他側における配設位置の自由度を確保できるので、その分、第2の入賞口および演出部材の配設スペースを確保できることとなり、その結果、遊技機J2によれば、第2の入賞口に対応する位置において遊技盤の背面側に演出部材を配設するレイアウトが可能となった。
遊技機J2において、前記第2の入賞口が前記遊技領域の幅方向略中央に配設されることを特徴とする遊技機J3。
遊技機J3によれば、遊技機J2の奏する効果に加え、第2の入賞口が遊技領域の幅方向略中央に配設されるので、液晶表示装置の大型化を図りつつ、遊技領域の限られたスペースを有効に活用して、演出部材を配設するためのスペースをより広く確保できる。即ち、かかるレイアウトにより、液晶表示装置および演出部材の双方の大型化を効率的に行うことができる。また、第2の入賞口が遊技領域の幅方向略中央に配設されることで、かかる第2の入賞口までの遊技球の流下経路を長くすることができる。これにより、第2の入賞口へ遊技球を入賞させるための遊技性を高めることができると共に、その第2の入賞口への入賞に伴う演出部材による演出への期待感を高めることができる。
遊技機J2又はJ3において、前記遊技盤の背面側に配設される第2の演出部材を備え、その第2の演出部材は、正面視において、少なくとも一部が前記演出部材に重なる位置に配設されることを特徴とする遊技機J4。
遊技機J4によれば、遊技機J2又はJ3の奏する効果に加え、遊技盤の背面側に配設される第2の演出部材を備え、その第2の演出部材は、正面視において、少なくとも一部が演出部材に重なる位置に配設されるので、遊技盤が光透過性材料から形成される場合に、第2の演出部材の必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を演出部材により遊技者から遮蔽することができる。これにより、第2の演出部材は、全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
遊技機J2からJ4のいずれかにおいて、前記演出部材は、前記第2の入賞口を中心として回転可能な円形に形成されることを特徴とする遊技機J5。
遊技機J5によれば、遊技機J2からJ4のいずれかの奏する効果に加え、演出部材は、第2の入賞口を中心として回転可能な円形に形成されるので、第2の入賞口を取り囲む領域の全体において演出を行うことができ、その第2の入賞口への入賞に伴う演出の演出効果を高めることができる。
この場合、第2の入賞口は、その上方および下方の双方に遊技球を流下させるためのスペースが確保できる位置に配設される必要があり、かつ、第2の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側または幅方向他側であって遊技領域の下方となる位置に第1の入賞口が配設されるため、演出部材が第2の入賞口を中心とする円形に形成されることで、第2の入賞口の周囲に確保できるスペースを最大限有効に活用でき、その結果、演出部材の面積を大きくして、その演出効果を高めることができる。
<特徴K群>(SPGT中に、通常背景時の予告表示態様を表示)
所定の抽選条件の成立に基づいて抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果を示す識別情報を表示する表示手段と、その表示手段に表示する識別情報を動的表示する動的表示手段と、遊技機への電力供給が断された状態でも計時可能な計時手段とを備えた遊技機において、前記計時手段の時間情報が定められた設定時間情報であるかを判別する時間情報判別手段と、その時間情報判別手段により前記設定時間情報であると判別したことに基づいて、通常時に設定されている第1演出状態から第2演出状態に所定期間の間、切り替える状態切替手段と、前記表示手段に表示される複数の背景画像であって、前記第1演出状態と前記第2演出状態とのそれぞれに対応付けられた背景画像を選択する背景選択手段と、その背景選択手段により選択された前記背景画像の種別に応じて、前記表示手段に前記識別情報が動的表示されている間に、前記表示手段に表示する演出態様を、その背景画像に対応付けられた複数の演出の中から1の演出を選択可能な演出選択手段と、を備え、その演出選択手段は、前記第1演出状態が設定されている場合には、第1演出態様群の中より前記演出態様を選択するものであり、前記第2演出状態が設定されている場合には、前記第1演出態様群と前記第2演出態様群とからそれぞれ前記演出態様を選択するものであることを特徴とする遊技機K1。
遊技機K1によれば、所定の抽選条件の成立に基づいて抽選が抽選手段により実行される。その抽選手段による抽選結果を示す識別情報が表示手段により表示される。その表示手段に表示する識別情報が動的表示手段により動的表示される。遊技機への電力供給が断された状態でも計時手段により計時される。計時手段の時間情報が定められた設定時間情報であるかが時間情報判別手段により判別される。その時間情報判別手段により設定時間情報であると判別したことに基づいて、通常時に設定されている第1演出状態から第2演出状態に所定期間の間、状態切替手段により切り替えられる。表示手段に表示される複数の背景画像であって、第1演出状態と第2演出状態とのそれぞれに対応付けられた背景画像が背景選択手段により選択される。その背景選択手段により選択された背景画像の種別に応じて、表示手段に識別情報が動的表示されている間に、表示手段に表示する演出態様を、その背景画像に対応付けられた複数の演出の中から1の演出が演出選択手段により選択される。第1演出状態が設定されている場合には、第1演出態様群の中より演出態様を選択するものであり、第2演出状態が設定されている場合には、第1演出態様群と前記第2演出態様群とからそれぞれ演出態様が演出態様選択手段により選択される。これにより、第2演出状態が設定されている場合にも多様な演出態様が選択されるので、遊技の演出を多様にすることができる。よって、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制できるという効果がある。
遊技機K1において、前記背景選択手段は、前記第1演出状態が設定されていることに基づいて、前記複数の異なる第1演出状態専用の背景画像の中より1の背景画像を選択し、前記第2演出状態が設定されていることに基づいて、前記第1演出状態専用の背景画像と前記第2演出状態専用の背景画像とを選択し、前記第2演出状態が選択されている場合には、前記第2演出状態の背景画像が強制的に前記表示手段に表示されるものであることを特徴とする遊技機K2。
遊技機K2によれば、遊技機K1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、背景選択手段は、第1演出状態が設定されていることに基づいて、複数の異なる第1演出状態専用の背景画像の中より1の背景画像が背景選択手段により選択される。第2演出状態が設定されていることに基づいて、第1演出状態専用の背景画像と第2演出状態専用の背景画像とが背景選択手段により選択される。第2演出状態が選択されている場合には、第2演出状態の背景画像が強制的に前記表示手段に表示される。これにより、計時手段により計時された時間が設定時間となると、複数の遊技機で同期したタイミングで専用の背景画像に変更することができる。よって、遊技者にインパクトのある演出を提供することが可能となるという効果がある。
遊技機K1またはK2において、前記演出選択手段は、前記第1演出状態が設定されている場合には、前記背景選択手段により選択されている前記背景画像に基づいた専用の演出態様を選択し、前記第2演出状態が設定されている場合には、前記背景選択手段により選択されている前記第1演出状態専用の背景画像に対応する専用の演出態様と、前記第2演出状態専用の背景画像に対応する専用の演出態様とをそれぞれ選択するものであることを特徴とする遊技機K3。
遊技機K3によれば、遊技機K1またはK2の奏する効果に加え、第1演出状態が設定されている場合には、背景選択手段により選択されている背景画像に基づいた専用の演出態様が選択される。第2演出状態が設定されている場合には、背景選択手段により選択されている第1演出状態専用の背景画像に対応する専用の演出態様と、第2演出状態専用の背景画像に対応する専用の演出態様とがそれぞれ演出選択手段により選択されるので、第2演出状態が設定されている場合にも多様な演出を遊技者に提供できるという効果がある。
<特徴L群>(大当たり変動と大当たりのラウンド演出とに跨ってバトル演出を実行)
抽選条件の成立に基づいて、当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報を表示可能な表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、前記表示手段に特定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により特典遊技が実行された後に設定される第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を決定する遊技状態決定手段と、を有した遊技機において、前記当否判定結果が前記特定の当否判定結果である場合に、前記動的表示手段により動的表示される前記識別情報の動的表示態様として、第1動的表示態様を決定する動的表示態様決定手段と、前記特典遊技実行手段が特典遊技を実行している間に、前記表示手段に演出態様を表示させる演出態様表示手段と、その演出態様表示手段により表示される前記演出態様を前記遊技状態決定手段により決定される前記遊技状態の種別に基づいて選択する演出態様選択手段と、を有し、前記第1動的表示態様と前記演出態様とは、互いに組み合わせて表示されることにより、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を報知する報知表示態様となるものであることを特徴とする遊技機L1。
遊技機L1によれば、抽選条件の成立に基づいて、当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報が表示手段による表示される。その表示手段に表示される識別情報が動的表示手段により動的表示される。表示手段に特定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。その特典遊技実行手段により特典遊技が実行された後に設定される第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態とのどちらか一方が遊技状態設定手段により設定される。その遊技状態設定手段により設定される遊技状態が遊技状態決定手段により決定される。当否判定結果が特定の当否判定結果である場合に、動的表示手段により動的表示される識別情報の動的表示態様として、第1動的表示態様が動的表示態様決定手段により決定される。特典遊技実行手段が特典遊技を実行している間に、表示手段に演出態様が演出態様表示手段により表示される。その演出態様表示手段により表示される演出態様が遊技状態決定手段により決定される遊技状態の種別に基づいて演出態様選択手段により選択される。第1動的表示態様と演出態様とは、互いに組み合わせて表示されることにより、遊技状態決定手段により決定された遊技状態を報知する報知表示態様となる。これにより、決定された遊技状態を報知する演出期間を長く設定することができる。よって、多様な演出を行うことができる。従って、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制できるという効果がある。
抽選条件の成立に基づいて、当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報を表示可能な表示手段と、その表示手段に表示される前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、その動的表示手段により前記識別情報を動的表示する時間を決定する動的表示時間決定手段と、前記表示手段に特定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により前記特典遊技が実行されている期間に前記表示手段に演出態様を表示する演出態様表示手段と、前記特典遊技実行手段により特典遊技が実行された後に設定される第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を決定する遊技状態決定手段と、を有した遊技機において、前記当否判定結果が前記特定の当否判定結果である場合に、前記動的表示時間決定手段に決定されている動的表示時間に前記演出態様表示手段により前記演出態様が表示される表示時間とを含んだ合成表示時間を決定する合成表示時間決定手段と、その合成表示時間決定手段により決定された合成表示時間に対応して、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を示す状態情報の動的表示態様を決定する動的表示態様決定手段とを有するものであることを特徴とする遊技機L2。
遊技機L2によれば、抽選条件の成立に基づいて、当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報が表示手段に表示される。その表示手段に表示される識別情報が動的表示手段により動的表示される。その動的表示手段により前記識別情報を動的表示する時間が動的表示時間決定手段により決定される。表示手段に特定の当否判定結果を示す識別情報が表示された後に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。その特典遊技実行手段により特典遊技が実行されている期間に表示手段に演出態様が演出態様表示手段により表示される。特典遊技実行手段により特典遊技が実行された後に設定される第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも有利な第2遊技状態とのどちらか一方が遊技状態設定手段により設定される。その遊技状態設定手段により設定される遊技状態が遊技状態決定手段により決定される。当否判定結果が特定の当否判定結果である場合に、動的表示時間決定手段に決定されている動的表示時間に演出態様表示手段により演出態様が表示される表示時間とを含んだ合成表示時間が合成表示時間決定手段のより決定される。その合成表示時間決定手段により決定された合成表示時間に対応して、遊技状態決定手段により決定された遊技状態を示す状態情報の動的表示態様が動的表示態様決定手段により決定される。これにより、決定された遊技状態を報知する演出期間を長く設定することができる。よって、多様な演出を行うことができる。従って、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制できるという効果がある。
<特徴M群>(疑似変動回数を示す回動役物の停止タイミングを仮停止タイミングと同期させる)
始動条件の成立が検出された場合に情報を取得する取得手段と、その取得手段により取得された前記情報を記憶する記憶手段と、抽選条件の成立に基づいて、前記取得手段により取得された前記情報に基づいて、当否判定する当否判定手段と、その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報を表示可能な表示手段と、その表示手段に表示する前記識別情報を動的表示する動的表示手段と、を有した遊技機において、前記識別情報の動的表示において実行する複数種類の表示態様の中から前記表示手段で行わせる前記識別情報の表示態様を選択する選択手段を備え、前記表示態様には、一の識別情報の動的表示の中で擬似的な動的表示を所定回数行う表示態様である擬似連続態様を含み、その擬似連続態様を実行している場合に、現在行われている擬似的な動的表示が、擬似連続態様が開始されてから何度目の擬似的な動的表示かを報知する報知態様が前面側に付された回動可能な回転手段と、その回転手段を回転して、疑似連続態様のそれぞれの動的表示時間と同期して所定の報知態様を示す位置で停止させる回転制御手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機M1。
遊技機M1によれば、始動条件の成立が検出された場合に情報が取得手段により取得される。その取得手段により取得された情報が記憶手段により記憶される。抽選条件の成立に基づいて、取得手段により取得された情報に基づいて、当否判定手段により当否判定される。その当否判定手段による当否判定結果を示す識別情報が表示手段により表示される。その表示手段に表示する識別情報が動的表示手段により動的表示される。識別情報の動的表示において実行する複数種類の表示態様の中から表示手段で行わせる識別情報の表示態様が選択手段により選択される。表示態様には、一の識別情報の動的表示の中で擬似的な動的表示を所定回数行う表示態様である擬似連続態様が含まれている。その擬似連続態様を実行している場合に、現在行われている擬似的な動的表示が、擬似連続態様が開始されてから何度目の擬似的な動的表示かを報知する報知態様が前面側に付された回動可能な回転手段を回転して疑似連続態様のそれぞれの動的表示時間と同期して所定の報知態様を示す位置で回転制御手段により停止される。これにより、疑似変動の停止と回転手段に停止タイミングを合わせることができる。よって、遊技者が疑似変動の回数の報知と疑似変動の停止タイミングのずれにより、違和感を感じる不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機M1において、前記回転手段は、円形状の回転部を有し、その回転部の前面側の円周面に前記報知態様として、疑似変動の回数を示す図柄が付与されており、前記回転制御手段は、疑似変動の回数を示す図柄が所定の停止位置に前記疑似変動態様の停止タイミングと同期して停止するように制御するものであることを特徴とする遊技機M2。
遊技機M2によれば、遊技機M1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、円形状の回転部を有し、その回転部の前面側の円周面に報知態様として、疑似変動の回数を示す図柄が回転手段に付与されている。疑似変動の回数を示す図柄が所定の停止位置に疑似変動態様の停止タイミングと同期して停止するように回転制御手段により制御される。よって、遊技者にわかり易く疑似変動の回数を報知できるという効果がある。
遊技機M1またはM2において、前記回転手段が疑似変動の動的表示時間の終了タイミングで所定の停止位置で停止させることができるように前記回転手段の回転開始時期を判別する判別手段を有し、前記回転制御手段は、前記判別手段により判別された前記回転開始時期に従って前記回転手段の回転を開始するものであることを特徴とする遊技機M3。
遊技機M3によれば、遊技機M1またはM2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、回転手段が疑似変動の動的表示時間の終了タイミングで所定の停止位置で停止させることができるように回転手段の回転開始時期が判別手段により判別される。判別手段により判別された回転開始時期に従って回転手段の回転が回転制御手段により開始される。これにより、回転手段に停止位置が所定の位置となるように制御できる。よって、回転手段の制御を容易にできるという効果がある。
遊技機M1〜M3のいずれかにおいて、前記回転制御手段は、前記回転手段を回転させる場合に、低速度状態を経て高速度状態で回転させ、その高速度状態から所定位置に停止させる制御を実行するものであることを特徴とする遊技機M4。
遊技機M4によれば、遊技機M1からM3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、回転手段を回転させる場合に、低速度状態を経て高速度状態で回転させ、その高速度状態から所定位置に停止させる制御が回転制御手段により実行される。よって、回転手段を高速の状態から停止されるので、遊技者に迫力のある報知を行うことができるという効果がある。
<特徴N群>(SW長押し演出で、SW有効時間の残時間によりSWチャージ演出の可変速度を可変させる。)
始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定結果が所定の結果であることに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、を有し、遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が操作された場合にその操作が有効と判別される有効期間を設定する有効期間設定手段と、その有効期間設定手段によって前記有効期間が設定されている場合に、操作されたことに基づいて操作条件が成立したかを判別する操作判別手段と、その操作判別手段により前記操作条件が成立したと判別されたことに基づいて、所定の演出を実行する演出実行手段と、前記操作条件を前記有効期間の残り期間に基づいて可変して設定する条件可変設定手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機N1。
遊技機N1によれば、始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定結果が所定の結果であることに基づいて、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。遊技者が操作可能な操作手段と、その操作手段が操作された場合にその操作が有効と判別される有効期間が有効期間設定手段により設定される。その有効期間設定手段によって有効期間が設定されている場合に、操作されたことに基づいて操作条件が成立したかが操作判別手段により判別される。その操作判別手段により操作条件が成立したと判別されたことに基づいて、所定の演出が演出実行手段により実行される。操作条件が有効期間の残り期間に基づいて可変して条件可変設定手段により設定される。これにより、有効期間の残り期間に基づいて、操作条件を可変して設定されるので、演出が実行される条件を可変させることができる。よって、遊技者に有効時間の残り期間が変化することで、異なる遊技を体感させることができる。従って、遊技者が遊技に早期に飽きてしまう不具合を抑制できるという効果がある。
遊技機N1において、前記操作判別手段は、前記有効期間内に前記操作手段が所定期間以上の間、継続して操作されたと判別した場合に、前記操作条件が成立したと判別するものであり、前記条件可変設定手段は、前記有効期間の残り期間に応じて所定期間を可変して設定するものであることを特徴とする遊技機N2。
遊技機N2によれば、遊技機N1の奏する効果に加え、操作判別手段は、有効期間内に操作手段が所定期間以上の間、継続して操作されたと判別した場合に、操作条件が成立したと操作判別手段により判別される。有効期間の残り期間に応じて所定期間を可変して条件可変手段により設定される。よって、有効期間の残り期間が少なくなっても、容易に操作条件を満たすことが可能となるので、遊技者が演出を楽しむことができるという効果がある。
<特徴O群>(バトル演出の過去の履歴により敵の弱点、主人公の得意技等を設定する)
始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定を実行する当否判定手段と、その当否判定手段による判定結果を示す識別情報を表示する表示手段と、その表示手段に表示する前記識別情報の演出態様を決定する演出態様決定手段と、その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報を決定する表示情報決定手段と、その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、前記表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典を遊技者に与える特典付与手段と、前記履歴情報記憶手段に記憶された表示情報が表示されることに基づいて前記特典付与手段により与えられる特典を可変する特典可変制御手段とを有することを特徴とする遊技機O1。
遊技機O1によれば、始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定が当否判定手段により実行される。その当否判定手段による判定結果を示す識別情報が表示手段により表示される。その表示手段に表示する識別情報の演出態様が演出態様決定手段により決定される。その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報が表示情報決定手段により決定される。その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別が履歴情報として履歴情報記憶手段により記憶される。表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典が遊技者に特典付与手段により与えられる。履歴情報記憶手段に記憶された表示情報が表示されることに基づいて特典付与手段により与えられる特典が特典可変制御手段により可変される。これにより、履歴情報に基づいて、特典が可変して設定されるので、遊技を長く行うことで特典を可変されることを楽しむことができる。よって、遊技者がより長期間遊技を行うように促すことができるという効果がある。
遊技機O1において、前記表示手段に前記当否判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を所定の抽選に基づいて決定する遊技状態決定手段と、を有し、前記特典付与手段は、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様を付与するものであることを特徴とする遊技機O2。
遊技機O2によれば、遊技機O1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、表示手段に当否判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技が特典遊技実行手段により実行される。その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方が遊技状態設定手段により設定される。その遊技状態設定手段により設定される遊技状態が所定の抽選に基づいて遊技状態決定手段決定される。遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様が特典付与手段により付与される。よって、遊技者は、履歴情報に基づいて、報知態様が報知されるか否かの特典が可変するので、遊技をより長く行うことで、報知態様が報知されるようにして遊技を行うことができるという効果がある。
遊技機A1からA5,B1からB5,C1からC5,D1からD5,E1からE5,F1からF5,G1からG5,H1からH5,I1からI5,J1からJ5、K1からK3、L1からL2、M1からM4、N1からN2、O1からO2のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA5,B1からB5,C1からC5,D1からD5,E1からE5,F1からF5,G1からG5,H1からH5,I1からI5,J1からJ5、K1からK3、L1からL2、M1からM4、N1からN2、O1からO2のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA5,B1からB5,C1からC5,D1からD5,E1からE5,F1からF5,G1からG5,H1からH5,I1からI5,J1からJ5、K1からK3、L1からL2、M1からM4、N1からN2、O1からO2のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
10 パチンコ機(遊技機)
81 第3図柄表示装置(表示手段)
223x 履歴情報記憶手段
S305 判定手段
S1566 特典可変制御手段
S1576,S1577 特典付与手段の一部
S1703 演出態様決定手段

Claims (2)

  1. 始動条件の成立に基づいて、遊技の当否判定を実行する当否判定手段と、
    その当否判定手段による判定結果を示す識別情報を表示する表示手段と、
    その表示手段に表示する前記識別情報の演出態様を決定する演出態様決定手段と、
    その演出表示態様決定手段により決定された演出態様が特定の演出態様である場合に、複数の表示情報から1の表示情報を決定する表示情報決定手段と、
    その表示情報決定手段により決定された表示情報の種別を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、
    前記表示情報決定手段により決定された表示情報が表示されることに基づいて、特典を遊技者に与える特典付与手段と、
    前記履歴情報記憶手段に記憶された表示情報が表示されることに基づいて前記特典付与手段により与えられる特典を可変する特典可変制御手段とを有することを特徴とする遊技機。
  2. 前記表示手段に前記当否判定手段による判定結果が特定の判定結果であることを示す識別情報が表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、
    その特典遊技実行手段により実行された特典遊技の後に移行する遊技状態を第1遊技状態とその第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とのどちらか一方を設定する遊技状態設定手段と、
    その遊技状態設定手段により設定される遊技状態を所定の抽選に基づいて決定する遊技状態決定手段と、を有し、
    前記特典付与手段は、前記遊技状態決定手段により決定された遊技状態を、その遊技状態が設定されるよりも前に報知する報知態様を付与するものであることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
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