JP2015089366A - 大豆由来糖液の製造方法および化学品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた発酵効率を有する大豆由来糖液の製造方法および化学品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による大豆由来糖液の製造方法は、大豆および/または大豆加工物から大豆由来糖液を製造する方法であって、大豆および/または大豆加工物と、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒とを混合した後固液分離して、大豆由来糖成分および前記極性有機溶媒を含む糖液を得る工程(1)と、工程(1)で得られた糖液から極性有機溶媒を除去して糖懸濁液を得る工程(2)と、工程(2)で得られた糖懸濁液をエステラーゼ処理し、大豆由来糖液を得る工程(3)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明による大豆由来糖液の製造方法は、大豆および/または大豆加工物から大豆由来糖液を製造する方法であって、大豆および/または大豆加工物と、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒とを混合した後固液分離して、大豆由来糖成分および前記極性有機溶媒を含む糖液を得る工程(1)と、工程(1)で得られた糖液から極性有機溶媒を除去して糖懸濁液を得る工程(2)と、工程(2)で得られた糖懸濁液をエステラーゼ処理し、大豆由来糖液を得る工程(3)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、大豆または大豆加工物から大豆由来糖液を製造する方法および化学品の製造方法に関する。
大豆は、植物性タンパク質、油脂に加え、スクロース、ラフィノース、スタキオースなどの糖成分を含んでいる。こうした大豆由来の糖成分を発酵原料として使用し、エタノールやブタノールを生産する方法などが開示されている(非特許文献1参照、非特許文献2参照)。例えば、非特許文献1には、大豆由来の糖類として含まれるオリゴ糖にα−ガラクトシダーゼを添加して加水分解し、微生物が利用可能なグルコース、ガラクトースなどに変換することで、発酵産物の収率が改善することが開示されている。
また、大豆または大豆原料由来抽出物には、ポリフェノールの1種であるイソフラボン、ステロイド、ステロイドアルカロイド・トリテルペンの1種であるサポニン、リン脂質の1種であるレシチンなどの単糖およびオリゴ糖以外の有機化合物が含まれることが知られている。サポニンまたはイソフラボンは、生理活性作用があることから、大豆原料からの分離抽出が検討されている。例えば、大豆モラセスにアセトンを添加し、固液分離した液体側からサポニンを回収する方法(特許文献1参照)や、限外濾過膜を使用してイソフラボンを分離回収する方法(特許文献2参照)などが開示されている。
International Journal of Agricultual and Biological Engineering 2013;6(1)62−68
Journal of Industrial Microbiology & Biotechnology,2001;26(5):290−295
しかしながら、大豆由来糖液には、微生物の増殖や代謝を阻害する物質(以下、発酵阻害物質ともいう。)が懸濁物質からなる固形物に含まれているため、従来の大豆由来糖液を発酵原料として使用する場合、大豆由来糖液に含まれる懸濁物質の存在により、微生物を用いて化学品などの発酵産物の生産効率を更に向上させることが困難であった。
そのため、大豆由来糖液をより有効利用するにあたり、大豆由来糖液を用いて化学品などの発酵産物の収率を更に向上させることができる大豆由来糖液の製造方法が求められている。
本発明は、かかる状況に鑑み、優れた発酵効率を有する大豆由来糖液の製造方法および化学品の製造方法を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明者らは、大豆由来糖液の製造方法について鋭意検討を行った。その結果、大豆由来糖液に含まれる発酵阻害物質を予め除去することで、大豆由来糖液を発酵原料(炭素源)などに用いる場合に、微生物の増殖速度や化学品の生産速度および蓄積濃度を向上させることができることを発見した。この得られた知見に基づいて、大豆由来糖成分を含む糖液にエステラーゼを混合して糖液に残留する発酵阻害物質を分解して除去することにより、大豆由来糖液に残留する発酵阻害物質を低減することができるため、大豆由来糖液の発酵効率を向上させ、化学品など発酵産物の生産速度、蓄積濃度を更に向上させることができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明による大豆由来糖液の製造方法は、大豆および/または大豆加工物から大豆由来糖液を製造する方法であって、前記大豆および/または大豆加工物と、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒とを混合した後、固液分離して大豆由来糖成分および前記極性有機溶媒を含む糖液を得る工程(1)と、前記工程(1)で得られた前記糖液から極性有機溶媒を除去して糖懸濁液を得る工程(2)と、前記工程(2)で得られた前記糖懸濁液をエステラーゼ処理し、大豆由来糖液を得る工程(3)と、を含むことを特徴とする。
本発明においては、前記工程(3)のエステラーゼが、カルボキシルエスタラーゼ、アリルエステラーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、ホスホリパーゼ、リソホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、トロピンエステラーゼ、およびペクチンエステラーゼからなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
本発明においては、前前記工程(3)のエステラーゼが、トリコデルマ属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、フサリウム属、およびアクレモニウム属のいずれか1種であることが好ましい。
本発明においては、前記極性有機溶媒が、エタノールであることが好ましい。
本発明においては、前記工程(1)において、前記大豆および/または大豆加工物と前記含水極性有機溶媒とを混合した際に、下記式(I)により算出される有機溶媒濃度が、50〜90%(w/w)の範囲であることが好ましい。
有機溶媒濃度=添加する含水有機溶媒中の有機溶媒質量/(大豆および/または大豆加工物に含まれる水分質量+添加する含水有機溶媒の全質量) ・・・(I)
有機溶媒濃度=添加する含水有機溶媒中の有機溶媒質量/(大豆および/または大豆加工物に含まれる水分質量+添加する含水有機溶媒の全質量) ・・・(I)
本発明においては、前記工程(2)において、前記糖液を、加熱および/または減圧して極性有機溶媒を除去することが好ましい。
本発明においては、前記工程(3)で得られた前記糖液を、固液分離して精製大豆由来糖液を得る工程(4)を含むことが好ましい。
本発明においては、前記工程(4)において、前記大豆由来糖液のpHを、0.5〜3.5の範囲に調製した後、固液分離することが好ましい。
本発明においては、前記工程(4)で得られた前記精製大豆由来糖液を、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜を用いて、糖濃縮液を得る工程(5)を含むことが好ましい。
本発明においては、前記工程(3)において、前記糖懸濁液にαガラクトシダーゼおよび/またはインベルターゼを添加して、前記糖懸濁液中のオリゴ糖成分を加水分解する、を混合することが好ましい。
本発明においては、工程(4)において、前記大豆由来糖液にαガラクトシダーゼおよび/またはインベルターゼを添加して、前記大豆由来糖液中の前記大豆由来糖成分を加水分解することが好ましい。
本発明においては、工程(5)において、前記精製大豆由来糖液にαガラクトシダーゼおよび/またはインベルターゼを添加して、前記大豆由来糖液中の前記大豆由来糖成分を加水分解することが好ましい。
本発明の別の態様による化学品の製造方法は、上記いずれかの大豆由来糖液の製造方法を用いて得られた大豆由来糖液を発酵原料として微生物を培養し、化学品を製造することを特徴とする。
本発明においては、前記化学品が、アルコール、または有機酸であることが好ましい。
本発明によれば、糖液に含まれる発酵阻害物質をエステラーゼを用いて分解して除去することで、大豆由来糖液に残留する発酵阻害物質を低減することができるため、大豆および/または大豆加工物から、優れた発酵効率を有する大豆由来糖液を製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<大豆由来糖液の製造方法>
本発明による大豆由来糖液の製造方法は、以下の工程を含むものである。以下、各工程について説明する。
工程(1):大豆および/または大豆加工物と、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒とを混合した後、固液分離して大豆由来糖成分および前記極性有機溶媒を糖液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた前記糖液から極性有機溶媒を除去して糖懸濁液を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた前記糖懸濁液をエステラーゼ処理し、大豆由来糖液を得る工程
本発明による大豆由来糖液の製造方法は、以下の工程を含むものである。以下、各工程について説明する。
工程(1):大豆および/または大豆加工物と、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒とを混合した後、固液分離して大豆由来糖成分および前記極性有機溶媒を糖液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた前記糖液から極性有機溶媒を除去して糖懸濁液を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた前記糖懸濁液をエステラーゼ処理し、大豆由来糖液を得る工程
なお、本明細書において、糖成分とは、水溶性の糖のことをいう。水溶性の糖成分としては、単糖とオリゴ糖との2種に分類される。特に、単糖とは、グルコース、ガラクトースなどの1分子からなる糖である。オリゴ糖とは、2〜10個の単糖がグリコシド結合によって結合した糖類のことをいう。また、大豆由来糖とは、大豆原料に含まれるオリゴ糖の総称であり、主にスクロース、ラフィノース、スタキオースなどを含んで構成されている。この大豆由来糖は、大豆オリゴ糖ともいう。また、大豆とは、生大豆のことであり、皮付きの大豆、皮を除去した大豆のどちらであってもよい。また、予め粉砕してもよい。大豆加工物は、前述した糖を含むものであればよく、大豆を水に浸漬したものや、大豆を熱水で抽出して得られる豆乳、またはその固形残渣であるオカラ、さらに豆乳から酸沈殿等によりタンパク質等を沈殿除去して得られる大豆ホエー、または大豆から溶媒抽出により脂質を抽出除去した残渣である脱脂大豆などが好ましく用いられる。
[工程(1):極性有機溶媒による大豆由来糖成分の回収]
工程(1)では、大豆および/または大豆加工物を、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒に添加して、大豆および/または大豆加工物と、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒とを混合する。これにより、大豆および/または大豆加工物由来のタンパク質を主成分とする沈殿物が含水極性有機溶媒中に形成される。
工程(1)では、大豆および/または大豆加工物を、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒に添加して、大豆および/または大豆加工物と、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒とを混合する。これにより、大豆および/または大豆加工物由来のタンパク質を主成分とする沈殿物が含水極性有機溶媒中に形成される。
含水極性有機溶媒とは、極性有機溶媒と水との混合液である。極性有機溶媒は、大豆中の糖類を溶解でき、かつ大部分のタンパク質が溶解しないものであれば好ましく使用できる。極性有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、アセトニトリル、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、プロパンジオール、ブタンジオールなどが使用できる。大豆由来糖液を食品用途などへ使用するという観点から、極性有機溶媒としては、特にエタノールが好ましく用いられる。
含水極性有機溶媒の濃度は、特に限定されないが、下記式(I):
有機溶媒濃度=添加した含水有機溶媒中の有機溶媒質量/(大豆および/または大豆加工物に含まれた水分質量+添加した含水有機溶媒の全質量) ・・・(I)
により算出される。
有機溶媒濃度=添加した含水有機溶媒中の有機溶媒質量/(大豆および/または大豆加工物に含まれた水分質量+添加した含水有機溶媒の全質量) ・・・(I)
により算出される。
水と極性有機溶媒の比率は、特に限定されないが、上記式(I)により算出される有機溶媒濃度は、50〜90%(w/w)の範囲であることが好ましい。有機溶媒濃度が90%(w/w)以下の場合には、大豆由来糖成分が析出して沈殿することを抑制でき、有機溶媒濃度が50%(w/w)以上の場合には、タンパク質を中心とする不純物の沈殿物が十分形成されるからである。
含水極性有機溶媒の添加量は、特に限定されないが、後述の固液分離後に得られる有機溶媒含有糖液中の糖濃度が1〜30%(w/w)の範囲となる添加量であることが好ましく、10〜25%(w/w)の範囲となる添加量であることがより好ましい。有機溶媒含有糖液中の糖濃度が、1%(w/w)以上の場合には、後段において大豆由来糖を濃縮するためのエネルギーまたはコストを抑制できる。また、有機溶媒含有糖液中の糖濃度が、30%(w/w)以下の場合には、大豆由来糖成分が析出して沈殿することを抑制でき、大豆由来糖の収率が損なわれることを抑制できる。なお、糖濃度は、従来より公知の装置を用いて測定することができ、例えば、高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography:HPLC)を用いて標品との比較により定量し、求めることができる。
また、本明細書において、糖濃度とは、特に断りのない限り、スクロース、ラフィノース、およびスタキオースを含む糖濃度の和をいう。
大豆および/または大豆加工物と含水極性有機溶媒との混合時間は、特に限定されないが、1分〜10時間が好ましく、10分〜3時間であることがより好ましい。混合時間が1分以上の場合には、大豆由来糖成分の抽出が十分であり、混合時間が10時間以下の場合には、大豆由来糖成分の抽出量がそれ以上増大することはなく、十分な時間であるからである。
大豆および/または大豆加工物と含水極性有機溶媒との混合時の温度は、特に限定されるものではないが、10℃〜90℃が好ましく、20℃〜40℃がより好ましい。混合時の温度が10℃以上の場合には、大豆由来糖成分が極性有機溶媒中に析出するのを抑制でき、90℃以下の場合には、大豆由来糖の変性が起きることを抑制できるためである。また、混合時の温度が90℃以下の場合には、メイラード反応により褐変を生じる可能性を低くすることができる。
次に、大豆および/または大豆加工物と含水極性有機溶媒とを混合した後、大豆由来糖成分を含む極性有機溶媒と、沈殿物とを固液分離する。
固液分離の方法は、特に限定されるものではなく、従来より公知の一般の固液分離の方法を使用することができる。固液分離の方法として、例えば、遠心分離、フィルタープレス、ベルトフィルター、自然沈降による分離、メッシュスクリーンによる濾過、不織布による濾過、濾紙による濾過などが挙げられる。極性有機溶媒と沈殿物との固液分離方法は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。中でも粒子状の固形物を効率よく除去でき、かつ除去した固形物を圧搾することにより、より多くの糖液を回収することができるという観点から、フィルタープレスを用いることが最も好ましい。
固液分離の方法を用いて、大豆由来糖成分を含む含水極性有機溶媒から沈殿物を除去した後、含水極性有機溶媒を含む糖液(以下、「有機溶媒含有糖液」ともいう。)を回収する。有機溶媒含有糖液としては、例えば、大豆オリゴ糖などの大豆由来糖成分およびその他不純物を含む極性有機溶媒の上清が好適に用いることができる。
[工程(2):極性有機溶媒の蒸発除去]
工程(2)では、上記工程(1)で得られた糖液から極性有機溶媒を除去して糖懸濁液を得る。
工程(2)では、上記工程(1)で得られた糖液から極性有機溶媒を除去して糖懸濁液を得る。
有機溶媒含有糖液から極性有機溶媒を除去する方法としては、有機溶媒含有糖液を、加熱および/または減圧して、極性有機溶媒を蒸発させて除去する方法が好適に用いられる。極性有機溶媒を蒸発させて除去する方法を用いる場合には、装置は特に限定されるものではなく、エバポレーター、加熱缶、効用缶、多重効用缶など従来より公知の装置を用いて行なうことができる。
極性有機溶媒を蒸発させる場合の温度は、特に限定されるものではないが、10〜100℃が好ましい。温度が10℃以上であれば、極性有機溶媒の蒸発量は十分であり、温度が100℃以下であれば、メイラード反応による褐変を引き起こす可能性を低くすることができるためである。
糖懸濁液に残留する極性有機溶媒の濃度は、特に限定されないが、後述の工程(3)において、酵素であるエステラーゼの反応を阻害しないか失活させない濃度であればよく、10%(vol/vol)以下が好ましく、1%(vol/vol)以下であることがより好ましい。
本工程において、極性有機溶媒を蒸発させて有機溶媒含有糖液から除去した場合、蒸発した極性有機溶媒は、冷却トラップなどにより回収し、再び工程(1)の極性有機溶媒として再利用することができる。
また、本発明において、糖純度とは、下記式(1)の通り糖の質量の合計値(g)を、水溶液中の全蒸発残留物(以下、TSともいう。)の質量(g)によって除した値とする。
糖純度(%)=糖の質量の合計値(g)/水溶液中のTS質量(g) ・・・(1)
糖純度(%)=糖の質量の合計値(g)/水溶液中のTS質量(g) ・・・(1)
[工程(3):糖懸濁液のエステラーゼ処理]
工程(3)では、工程(2)で得られた糖懸濁液にエステラーゼを混合し、糖懸濁液にエステラーゼ処理を施すことにより、大豆由来糖液が得られる。工程(3)において、糖懸濁液中の不純物にエステラーゼを作用させることにより、糖懸濁液に残留する懸濁物質中の発酵阻害物質を分解処理することができる。なお、本明細書では、糖懸濁液にエステラーゼを混合し、糖懸濁液中の不純物にエステラーゼを作用させることを、エステラーゼ処理という。
工程(3)では、工程(2)で得られた糖懸濁液にエステラーゼを混合し、糖懸濁液にエステラーゼ処理を施すことにより、大豆由来糖液が得られる。工程(3)において、糖懸濁液中の不純物にエステラーゼを作用させることにより、糖懸濁液に残留する懸濁物質中の発酵阻害物質を分解処理することができる。なお、本明細書では、糖懸濁液にエステラーゼを混合し、糖懸濁液中の不純物にエステラーゼを作用させることを、エステラーゼ処理という。
また、発酵阻害とは、微生物による糖消費速度の低減、増殖速度の低減、微生物の発酵産物の収率低減など具体的な指標によって示すことができ、精製された糖試薬における微生物の発酵性と比較することによって発酵阻害の程度を比較することが可能である。
本発明において、エステラーゼとは、カルボン酸とアルコールの脱水縮合したエステル結合を加水分解する触媒作用を有する酵素のことをいう。エステラーゼとして、具体的には、カルボキシルエスタラーゼ、アリルエステラーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、ホスホリパーゼ、リソホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、トロピンエステラーゼ、ペクチンエステラーゼなどを例示でき、これらのエステラーゼが好ましく使用することができる。前記エステラーゼは、トリコデルマ属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、フサリウム属、アクレモニウム属のいずれか1種に由来するエステラーゼであることが好ましい。これは、前記微生物由来のエステラーゼは、前述工程(2)で得られた糖懸濁液に対して高い活性を示すためである。エステラーゼは、これらの1種または2種以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
上述の工程(2)で得られた糖懸濁液には、大豆由来糖成分の他に様々な不純物が含まれる。不純物としては脂質が最も多く含まれ、次いで、サポニン、イソフラボン、レシチンなどの両親媒性物質が含まれる。このような両親媒性物質は、微生物の増殖や代謝などを阻害するため、発酵阻害物質ともいう。また、糖懸濁液は、さらに微量のタンパク質を含んでいる。脂質、両親媒性物質、およびタンパク質などのこれら不純物が複合的に作用し、糖懸濁液中に非常に安定なミセル状の懸濁物質を形成しているため、これら不純物と糖とを分離することは困難である。本工程において、糖懸濁液にエステラーゼを添加して混合することにより、エステラーゼが大豆由来のレシチンのエステル結合に作用して、レシチンが加水分解していることなどが推定される。また、エステラーゼが他の化合物の加水分解も同時に起きている可能性がある。よって、糖懸濁液にエステラーゼを混合して、糖懸濁液に含まれる発酵阻害物質にエステラーゼを作用させることにより、発酵阻害物質を分解することができるため、糖懸濁液中の懸濁物質の固液分離の性能を格段に向上させることができる。
本発明において、エステラーゼ処理のpHは、特に限定されないが、エステラーゼの至適pHであることが好ましい。特に、トリコデルマ属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、フサリウム属、アクレモニウム属の場合、至適pHが4〜6の範囲であって、工程(2)で得られる糖懸濁液のpHが通常4.5〜5.5程度であることから、pH調整は適宜必要な場合にのみ行うようにすればよい。
本発明において、エステラーゼ処理時の糖懸濁液の温度は、使用するエステラーゼの至適温度とすることが好ましく、エステラーゼ処理の温度は、20℃〜70℃の範囲で行なうことが好ましい。
糖懸濁液のpH調整に使用する酸またはアルカリは、特に限定されるものではない。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられ、発酵時の阻害が起こりにくい観点から、硫酸、硝酸、リン酸が好ましく、経済性の観点から、硫酸を用いることがより好ましい。アルカリとしては、経済性の観点から、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムとそれらを含む水溶液が好ましく、膜ファウリングの観点から、1価イオンであるアンモニア、水酸化ナトリウムがより好ましく、発酵時の阻害が起こりにくい観点から、アンモニアがさらに好ましい。
本発明において、エステラーゼの添加量、およびエステラーゼを添加する処理時間は、特に限定されず、大豆由来糖液の発酵性が十分に改善されるように調節すればよい。一般に、エステラーゼの添加量を増やせば、エステラーゼのコストが増大するが、必要な処理時間は短くなり、設備コストが低減できる。一方、エステラーゼの添加量を減らせば、エステラーゼのコストは低減できるが、必要な処理時間は長くなり、設備コストが増大する。そのため、エステラーゼの添加量と処理時間は、適宜調節することが好ましい。
このように、本発明による大豆由来糖液の製造方法は、上記工程(1)〜工程(3)を含んでおり、工程(3)において、糖懸濁液に含まれる懸濁物質を分解し、糖懸濁液から予め除去することができるため、純度および清澄性の高い大豆由来糖液を得ることができる。このため、本発明による大豆由来糖液の製造方法を用いれば、大豆および/または大豆加工物から、優れた発酵効率を有する大豆由来糖液を製造することができる。このようにして得られた大豆由来糖液を発酵原料(炭素源)に用いることで、微生物の増殖速度や、化学品の生産速度および蓄積濃度を向上させることができるため、大豆由来糖液の発酵効率を向上させ、化学品などの発酵産物の収率を更に向上させることができる。また、大豆由来糖液を発酵原料として使用した場合、大豆由来糖液の攪拌などを容易に行なうことができると共に、凝集沈殿を生じることなく、微生物による化学品などの発酵生産を容易に行なうことができる。
化学品の具体例としては、エタノール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロールなどのアルコール類、酢酸、乳酸、ピルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸、クエン酸などの有機酸、イノシン、グアノシンなどのヌクレオシド、イノシン酸、グアニル酸などのヌクレオチド、カダベリンなどのアミン化合物、アミノ酸、核酸など発酵工業において大量生産されている物質などを挙げることができる。こうした化学品は、糖液中の糖成分を炭素源として、その代謝の過程において生体内外に化学品として蓄積生産する。
[工程(4):大豆由来糖液の固液分離による精製]
工程(3)で得られた大豆由来糖液は、上記のような懸濁物質に起因して生じた固形物を含んでいる。そのため、本発明においては、工程(3)で得られた前記大豆由来糖液を、固液分離して、精製大豆由来糖液を得る工程(工程(4))を含むことが好ましい。。工程(4)において、大豆由来糖液に含まれる固形物を除去することによって、大豆由来糖液を原料とする化学品製造時の大豆由来糖液のハンドリング性、または大豆由来糖液の発酵性を更に向上させることができる。
工程(3)で得られた大豆由来糖液は、上記のような懸濁物質に起因して生じた固形物を含んでいる。そのため、本発明においては、工程(3)で得られた前記大豆由来糖液を、固液分離して、精製大豆由来糖液を得る工程(工程(4))を含むことが好ましい。。工程(4)において、大豆由来糖液に含まれる固形物を除去することによって、大豆由来糖液を原料とする化学品製造時の大豆由来糖液のハンドリング性、または大豆由来糖液の発酵性を更に向上させることができる。
固液分離の方法は、特に限定されず、上記工程(1)の固液分離の方法と同様、遠心分離、フィルタープレス、ベルトフィルター、自然沈降による分離、メッシュスクリーンによる濾過、不織布による濾過、ろ紙、精密濾過膜による濾過、およびこれらの組み合わせなどを使用することができる。中でも遠心分離が好ましく、連続的に上清の回収を行うことができる連続遠心機を用いることがより好ましい。連続遠心機としては、スクリューデカンタやデラバル型の遠心機などが好適に用いられる。
前記工程(4)において、大豆由来糖液を固液分離する場合、大豆由来糖液のpHは、0.5〜3の範囲であることが好ましい。大豆由来糖液のpHを上記範囲内とすることにより、大豆由来糖液に含まれる固形物を固液分離する時の大豆由来糖液の固液分離性を向上させることができる。
[工程(5):大豆由来精製糖液の濃縮]
また、本発明においては、工程(4)で得られた大豆由来精製糖液を、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜を用いて濾過する工程(工程(5))を含むことが好ましい。工程(5)において、工程(4)で得られた大豆由来精製糖液を、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜を用いて濾過することにより、非透過液として、非透過側から糖成分が濃縮された糖濃縮液を得ることができる。また、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜の透過液に、大豆由来精製糖液中に残留する塩またはその他低分子の不純物を含めて除去することができる。したがって、工程(4)で得られた大豆由来精製糖液を、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜に通じて処理することによって、大豆由来精製糖液が濃縮および精製されるため、さらに濃度および純度が高い糖濃縮液を得ることができる。
また、本発明においては、工程(4)で得られた大豆由来精製糖液を、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜を用いて濾過する工程(工程(5))を含むことが好ましい。工程(5)において、工程(4)で得られた大豆由来精製糖液を、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜を用いて濾過することにより、非透過液として、非透過側から糖成分が濃縮された糖濃縮液を得ることができる。また、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜の透過液に、大豆由来精製糖液中に残留する塩またはその他低分子の不純物を含めて除去することができる。したがって、工程(4)で得られた大豆由来精製糖液を、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜に通じて処理することによって、大豆由来精製糖液が濃縮および精製されるため、さらに濃度および純度が高い糖濃縮液を得ることができる。
本発明において使用されるナノ濾過膜とは、ナノフィルター(ナノフィルトレーション膜、NF膜)とも呼ばれるものであり、「一価のイオンは透過し、二価のイオンを阻止する膜」と一般に定義される膜である。数ナノメートル程度の微小空隙を有していると考えられる膜で、主として、水中の微小粒子や分子、イオン、塩類等を阻止するために用いられる。
本発明において使用される逆浸透膜とは、RO膜とも呼ばれるものであり、「一価のイオンを含めて脱塩機能を有する膜」と一般に定義される膜である。数オングストロームから数ナノメートル程度の超微小空隙を有していると考えられる膜で、主として海水淡水化や超純水製造などイオン成分除去に用いられる。
本発明で使用されるナノ濾過膜または逆浸透膜の素材には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマー、ポリサルホンなどの高分子素材を使用することができるが、前記1種類の素材で構成される膜に限定されず、複数の膜素材を含む膜であってもよい。
本発明で用いるナノ濾過膜は、スパイラル型の膜エレメントが好ましく使用される。好ましいナノ濾過膜エレメントの具体例としては、例えば、酢酸セルロース系のナノ濾過膜エレメントであるGE Osmonics社製GEsepa、ポリアミドを機能層とするアルファラバル社製ナノ濾過膜エレメントのNF99またはNF99HF、架橋ピペラジンポリアミドを機能層とするフィルムテック社製ナノ濾過膜エレメントのNF−45、NF−90、NF−200、NF−270またはNF−400、または架橋ピペラジンポリアミドを主成分とする東レ株式会社製ナノ濾過膜のUTC60を含む同社製ナノ濾過膜エレメントSU−210、SU−220、SU−600またはSU−610が挙げられ、より好ましくは、上記のNF99またはNF99HF、上記のNF−45、NF−90、NF−200またはNF−400、または、上記のSU−210、SU−220、SU−600またはSU−610であり、さらに好ましくは、上記のSU−210、SU−220、SU−600またはSU−610である。
本発明で使用される逆浸透膜の素材としては、酢酸セルロース系のポリマーを機能層とした複合膜(以下、酢酸セルロース系の逆浸透膜ともいう)またはポリアミドを機能層とした複合膜(以下、ポリアミド系の逆浸透膜ともいう)が挙げられる。ここで、酢酸セルロース系のポリマーとしては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロースの有機酸エステルの単独もしくはこれらの混合物並びに混合エステルを用いたものが挙げられる。ポリアミドとしては、脂肪族および/または芳香族のジアミンをモノマーとする線状ポリマーまたは架橋ポリマーが挙げられる。
本発明で使用される逆浸透膜の具体例としては、例えば、東レ株式会社製ポリアミド系逆浸透膜モジュールである超低圧タイプのSUL−G10、SUL−G20、低圧タイプのSU−710、SU−720、SU−720F、SU−710L、SU−720L、SU−720LF、SU−720R、SU−710P、SU−720Pの他、逆浸透膜としてUTC80を含む高圧タイプのSU−810、SU−820、SU−820L、SU−820FA、同社酢酸セルロース系逆浸透膜SC−L100R、SC−L200R、SC−1100、SC−1200、SC−2100、SC−2200、SC−3100、SC−3200、SC−8100、SC−8200、日東電工株式会社製NTR−759HR、NTR−729HF、NTR−70SWC、ES10−D、ES20−D、ES20−U、ES15−D、ES15−U、LF10−D、アルファラバル製RO98pHt、RO99、HR98PP、CE4040C−30D、GE製GE Sepa、Filmtec製BW30−4040、TW30−4040、XLE−4040、LP−4040、LE−4040、SW30−4040、SW30HRLE−4040、KOCH製TFC−HR、TFC−ULP、TRISEP製ACM−1、ACM−2、ACM−4などが挙げられる。
濾過の方法としては、圧濾過、真空濾過、遠心濾過などがあるが、特に限定されるものではない。また、濾過操作として、定圧濾過、定流量濾過、非定圧非定流量濾過に大別されるが特に限定されない。また、濾過操作としては、懸濁物質に起因して生じる固形分を効率的に除去するために、上記膜のいずれかを2回以上使用する多段的な濾過でもよく、またその際使用する膜の素材および性状に関しても特に限定されるものではない。
また、ナノ濾過膜および逆浸透膜を用いた濾過方法としては、具体的には、例えば、国際公開第2010/067785号に記載されている方法に準じて行うことができる。
[その他の工程:大豆由来糖の加水分解]
本発明において、上記工程(3)において得られる大豆由来糖液、上記工程(4)の固液分離によって得られる大豆由来精製糖液、または上記工程(5)で得られる糖濃縮液は、大豆由来糖成分を含んでいるため、加水分解を行なうことが好ましい。加水分解の方法は、酵素を使用することが好ましく、例えば、α−ガラクトシダーゼ、インベルターゼなどを使用することができる。例えば、酵素として、α−ガラクトシダーゼを添加することにより、ラフィノース(3糖)、スタキオース(4糖)などを加水分解することができ、またインベルターゼを添加することによりスクロースを加水分解することができる。このような大豆由来糖成分を加水分解することによって、微生物の種類によっては大豆由来糖成分の利用効率を高めることができる。
本発明において、上記工程(3)において得られる大豆由来糖液、上記工程(4)の固液分離によって得られる大豆由来精製糖液、または上記工程(5)で得られる糖濃縮液は、大豆由来糖成分を含んでいるため、加水分解を行なうことが好ましい。加水分解の方法は、酵素を使用することが好ましく、例えば、α−ガラクトシダーゼ、インベルターゼなどを使用することができる。例えば、酵素として、α−ガラクトシダーゼを添加することにより、ラフィノース(3糖)、スタキオース(4糖)などを加水分解することができ、またインベルターゼを添加することによりスクロースを加水分解することができる。このような大豆由来糖成分を加水分解することによって、微生物の種類によっては大豆由来糖成分の利用効率を高めることができる。
本発明において使用する、α−ガラクトシダーゼおよび/またはインベルターゼとしては、糸状菌、担子菌、酵母、バクテリアなどの微生物由来の酵素を使用することができる。また、反応条件は、使用する酵素に応じて、最適な反応時間、pH、添加量、温度を適宜設定する。
このように、本発明による大豆由来糖液の製造方法を用いて得られる大豆由来糖液、精製糖液、および糖濃縮液(以下、大豆由来糖液など、という)は、発酵阻害物質の大部分が除去された糖液である。そのため、大豆由来糖液などは、食品、医薬品の原料として使用することができる。また、大豆由来糖液などは、特に、発酵阻害物質が低減されていることから、微生物を使用して発酵生産する発酵産物の発酵原料(炭素源)に使用することができ、微生物を使用して化学品を発酵生産するのに好適に使用することができる。例えば、大豆由来糖液などを発酵原料として、化学品を生産する能力を有する微生物を生育させることで、各種化学品を製造することができる。なお、微生物を生育させるとは、糖液に含まれる糖成分またはアミノ源を微生物の栄養素として利用し、微生物の増殖、生育維持を行うことを意味する。
また、本発明による大豆由来糖液の製造方法を用いて得られる大豆由来糖液などは、発酵産物として、化学品の他に、酵素、抗生物質、組換えタンパク質などの生産にも適用することができる。
こうした化学品、酵素、抗生物質、組換えタンパク質などの製造に使用する微生物は、目的の化学品などを効率的に生産可能な微生物であればよく、例えば、大腸菌、酵母、糸状菌、担子菌などの微生物を使用することができる。
以下、本発明の大豆由来糖液の製造方法に関し、さらに詳細に説明するために実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、糖濃度、オリゴ糖純度、タンパク質濃度、エタノール濃度、および乳酸濃度は、以下のようにして測定した。
[参考例1:糖濃度の測定]
各実施例、比較例において得られた糖液(水溶液)に含まれる単糖(グルコース、ガラクトース、フルクトース、スクロース、ラフィノース、およびスタキオース)の各濃度は、下記に示す高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography:HPLC)条件で分析し、標品との比較により定量した。
(HPLC条件)
機器:ACQUITY UPLC システム(Waters社製)
カラム:ACQUITY UPLC BEH Amide 1.7μm 2.1×100mm Column(Waters社製)
移動相:A液;80%アセトニトリル+0.2%TEA、B液;30%アセトニトリル+0.2%TEA
流速:0.12mL/min
温度:35℃
各実施例、比較例において得られた糖液(水溶液)に含まれる単糖(グルコース、ガラクトース、フルクトース、スクロース、ラフィノース、およびスタキオース)の各濃度は、下記に示す高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography:HPLC)条件で分析し、標品との比較により定量した。
(HPLC条件)
機器:ACQUITY UPLC システム(Waters社製)
カラム:ACQUITY UPLC BEH Amide 1.7μm 2.1×100mm Column(Waters社製)
移動相:A液;80%アセトニトリル+0.2%TEA、B液;30%アセトニトリル+0.2%TEA
流速:0.12mL/min
温度:35℃
[参考例2:糖純度の測定]
糖純度(%)は、下記式(1)の通り、上記参考例1に記載の方法によって測定した各糖(スクロース、ラフィノース、スタキオース)の質量(g)の合計値を、水溶液中の全蒸発残留物(TS)の質量(g)によって除した値とした。水溶液中のTS質量は、赤外式水分計(FD−720、Kett社製)を使用して測定した。なお、TS質量を全水溶液の質量で除した値を、TS濃度(%(w/w))という。
糖純度(%)=各糖(スクロース、ラフィノース、スタキオース)の質量の合計値(g)/水溶液中のTS質量(g) ・・・(1)
糖純度(%)は、下記式(1)の通り、上記参考例1に記載の方法によって測定した各糖(スクロース、ラフィノース、スタキオース)の質量(g)の合計値を、水溶液中の全蒸発残留物(TS)の質量(g)によって除した値とした。水溶液中のTS質量は、赤外式水分計(FD−720、Kett社製)を使用して測定した。なお、TS質量を全水溶液の質量で除した値を、TS濃度(%(w/w))という。
糖純度(%)=各糖(スクロース、ラフィノース、スタキオース)の質量の合計値(g)/水溶液中のTS質量(g) ・・・(1)
[参考例3:濁度の測定]
水溶液の濁度は、濁度計(ポータブル濁度計、2100P、Hach社製)を使用して測定した(単位は、NTU)。なお、本装置の濁度の測定上限は、1000NTUであるため、以下の実施例および比較例では、濁度の測定上限を超えるものは全て「1000(NTU)以上」と記載した。
水溶液の濁度は、濁度計(ポータブル濁度計、2100P、Hach社製)を使用して測定した(単位は、NTU)。なお、本装置の濁度の測定上限は、1000NTUであるため、以下の実施例および比較例では、濁度の測定上限を超えるものは全て「1000(NTU)以上」と記載した。
[参考例4:大豆由来糖液を使用したエタノールおよび乳酸の発酵生産]
(前培養)
下記YPD培地2mLを試験管に投入し、121℃にて20分間オートクレーブ殺菌した。放冷後、クリーンベンチ内にて、下記YPD寒天培地でのプレート培養(30℃、24時間)して形成された酵母のコロニー1つを、白金耳を使用して植菌した。これを、振とう装置(TAITEC社製 BIO−SHAKER BR−40LF)を用いて、30℃、120rpmで24時間振とう培養し、前培養液を得た。
YPD培地:酵母エキス1%(w/vol)、バクトペプトン(Difco社製)2%(w/vol)、グルコース2%(w/vol)
YPD寒天培地:上記YPD培地組成に加え、寒天2%(w/vol)を含む。
(本培養1:エタノールの発酵生産)
発酵原料となる大豆由来糖液に、水酸化カリウム水溶液(5mol/L)を加えてpH5.5となるように調整した。このうち10mLを、上記前培養液0.5mLとともに試験管に投入・混合した。これを、30℃、120rpmにて43時間振とう培養した。
(本培養2:乳酸の発酵生産)
発酵原料となる大豆由来糖液に、水酸化カリウム水溶液(5mol/L)を加えてpH5.5となるように調整し、更に炭酸カルシウムを2%(w/vol)の終濃度となるように添加した。このうち10mLを、上記前培養液0.5mLとともに試験管に投入して混合した。これを30℃、120rpmにて68時間振とう培養した。
(前培養)
下記YPD培地2mLを試験管に投入し、121℃にて20分間オートクレーブ殺菌した。放冷後、クリーンベンチ内にて、下記YPD寒天培地でのプレート培養(30℃、24時間)して形成された酵母のコロニー1つを、白金耳を使用して植菌した。これを、振とう装置(TAITEC社製 BIO−SHAKER BR−40LF)を用いて、30℃、120rpmで24時間振とう培養し、前培養液を得た。
YPD培地:酵母エキス1%(w/vol)、バクトペプトン(Difco社製)2%(w/vol)、グルコース2%(w/vol)
YPD寒天培地:上記YPD培地組成に加え、寒天2%(w/vol)を含む。
(本培養1:エタノールの発酵生産)
発酵原料となる大豆由来糖液に、水酸化カリウム水溶液(5mol/L)を加えてpH5.5となるように調整した。このうち10mLを、上記前培養液0.5mLとともに試験管に投入・混合した。これを、30℃、120rpmにて43時間振とう培養した。
(本培養2:乳酸の発酵生産)
発酵原料となる大豆由来糖液に、水酸化カリウム水溶液(5mol/L)を加えてpH5.5となるように調整し、更に炭酸カルシウムを2%(w/vol)の終濃度となるように添加した。このうち10mLを、上記前培養液0.5mLとともに試験管に投入して混合した。これを30℃、120rpmにて68時間振とう培養した。
[参考例5:エタノール濃度の測定]
水溶液中のエタノール濃度は、下記に示すガスクロマトグラフィー(GC)条件で、水素塩イオン化検出器により検出して算出し、標品との比較により定量した。
機器:Sh imadzu GC−2010(株式会社島津製作所製)
カラム:TC−1(内径0.53mm、長さ15m、膜厚1.50μm(GL サイエンス株式会社製)
検出方法:水素炎イオン化検出器(FID)
水溶液中のエタノール濃度は、下記に示すガスクロマトグラフィー(GC)条件で、水素塩イオン化検出器により検出して算出し、標品との比較により定量した。
機器:Sh imadzu GC−2010(株式会社島津製作所製)
カラム:TC−1(内径0.53mm、長さ15m、膜厚1.50μm(GL サイエンス株式会社製)
検出方法:水素炎イオン化検出器(FID)
[参考例6:乳酸濃度の測定]
水溶液中の乳酸濃度は、下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。
カラム:Shim−Pack SPR−H(株式会社島津製作所製)
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/分)
反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/分)
検出方法:電気伝導度
温度:45℃
水溶液中の乳酸濃度は、下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。
カラム:Shim−Pack SPR−H(株式会社島津製作所製)
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/分)
反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/分)
検出方法:電気伝導度
温度:45℃
<実施例1:大豆由来糖液の製造>
(工程(1):極性有機溶媒による大豆由来糖成分の回収)
無調整豆乳と96%(vol/vol)エタノールとを、液量比で3:7の割合で混合した後、十分に攪拌した。これを、遠心分離装置を用いて8000Gで、1分間、遠心分離した後、上清として、有機溶媒含有糖液を回収した。
(工程(1):極性有機溶媒による大豆由来糖成分の回収)
無調整豆乳と96%(vol/vol)エタノールとを、液量比で3:7の割合で混合した後、十分に攪拌した。これを、遠心分離装置を用いて8000Gで、1分間、遠心分離した後、上清として、有機溶媒含有糖液を回収した。
(工程(2):極性有機溶媒の蒸発除去)
上記工程(1)で得られた上清のうちの600mLを、1L容積のナスフラスコに投入し、ロータリーエバポレータ(NVC−2100、EYELA社製)および湯浴(SB−1000、EYELA社製)を使用して、50℃、230hPaの条件下減圧濃縮を行った。濃縮は、液量が150mLになるまで行い、残った液を糖懸濁液として回収した。なお、必要量の糖懸濁液が得られるまで本工程を繰り返し行った。得られた糖懸濁液中の糖濃度、糖純度、濁度、および固形物濃度(TS濃度)を、参考例1〜3に記載の方法で測定した結果を、表1に示す。
上記工程(1)で得られた上清のうちの600mLを、1L容積のナスフラスコに投入し、ロータリーエバポレータ(NVC−2100、EYELA社製)および湯浴(SB−1000、EYELA社製)を使用して、50℃、230hPaの条件下減圧濃縮を行った。濃縮は、液量が150mLになるまで行い、残った液を糖懸濁液として回収した。なお、必要量の糖懸濁液が得られるまで本工程を繰り返し行った。得られた糖懸濁液中の糖濃度、糖純度、濁度、および固形物濃度(TS濃度)を、参考例1〜3に記載の方法で測定した結果を、表1に示す。
(工程(3):大豆由来糖液の作製)
上記工程(2)で得られた糖懸濁液を水で希釈し、固形物濃度が35%になるように調整した。硫酸(3mol/L)を使用してpH5.0に調整してよく攪拌した後、液量1Lに対して、表2に示す各種エステラーゼを添加した(最終濃度10mg酵素/L懸濁液)。反応は、50℃、24時間保温することで行なった。各エステラーゼ処理で得られた大豆由来糖液を、大豆ES1、大豆ES2、大豆ES3、大豆ES4として、以下、実施例に使用した。
上記工程(2)で得られた糖懸濁液を水で希釈し、固形物濃度が35%になるように調整した。硫酸(3mol/L)を使用してpH5.0に調整してよく攪拌した後、液量1Lに対して、表2に示す各種エステラーゼを添加した(最終濃度10mg酵素/L懸濁液)。反応は、50℃、24時間保温することで行なった。各エステラーゼ処理で得られた大豆由来糖液を、大豆ES1、大豆ES2、大豆ES3、大豆ES4として、以下、実施例に使用した。
<実施例2:工程(4)の大豆由来糖液の固液分離>
前記実施例1で得られた大豆由来糖液(大豆ES1、大豆ES2、大豆ES3、大豆ES4)の固液分離を行なった。固液分離は、遠心分離機を使用して行い、8000Gとして10分行なった。遠心分離後、得られた上清を、大豆ES1(SL)、大豆ES2(SL)、大豆ES3(SL)、大豆ES4(SL)として、以下の実施例に使用した。
前記実施例1で得られた大豆由来糖液(大豆ES1、大豆ES2、大豆ES3、大豆ES4)の固液分離を行なった。固液分離は、遠心分離機を使用して行い、8000Gとして10分行なった。遠心分離後、得られた上清を、大豆ES1(SL)、大豆ES2(SL)、大豆ES3(SL)、大豆ES4(SL)として、以下の実施例に使用した。
<比較例1:工程(3)(エステラーゼ処理)を行わない場合>
比較例として、工程(3)のエステラーゼ処理を実施しない大豆由来糖液(大豆NC)、アミラーゼ処理を行なった大豆由来糖液(大豆AM)、およびエンドグルカナーゼ処理をした大豆由来糖液(大豆EG)を、それぞれ以下の手順で調整した。
比較例として、工程(3)のエステラーゼ処理を実施しない大豆由来糖液(大豆NC)、アミラーゼ処理を行なった大豆由来糖液(大豆AM)、およびエンドグルカナーゼ処理をした大豆由来糖液(大豆EG)を、それぞれ以下の手順で調整した。
工程(1)および工程(2)は、実施例1に準じて行なった。工程(3)において、大豆NCは、工程(3)のエステラーゼを添加することなく、実施例1と同じく、50℃で24時間保温することによって調整した。大豆AMおよび大豆EGは、グルコアミラーゼ(E−GAMP、Megazyme社製)、およびエンドグルカナーゼ(E−CELAN、Megazyme社製)をそれぞれ添加し、実施例1と同様に、50℃で24時間保温することによって調整した。
<実施例3:大豆由来糖液からのエタノールの発酵生産>
参考例4に記載のエタノールの発酵生産方法において、酵母として、サッカロマイセス・セレビシエOC2株(ATCC 46276)、キャンディダ・トロピカリスNBRC0199株、キャンディダ・ユーティリスNBRC0988株の3種を用い、かつそれぞれについて、原料として、実施例1に記載の工程(3)で得られる大豆由来糖液、および実施例2に記載の固液分離後の大豆由来糖液のそれぞれ4種と、比較例1で得られる大豆由来糖液(大豆NC、大豆AM、および大豆EG)の3種とを使用した場合、すなわち、合計11通りの場合について、エタノールの発酵生産を行なった。
参考例4に記載のエタノールの発酵生産方法において、酵母として、サッカロマイセス・セレビシエOC2株(ATCC 46276)、キャンディダ・トロピカリスNBRC0199株、キャンディダ・ユーティリスNBRC0988株の3種を用い、かつそれぞれについて、原料として、実施例1に記載の工程(3)で得られる大豆由来糖液、および実施例2に記載の固液分離後の大豆由来糖液のそれぞれ4種と、比較例1で得られる大豆由来糖液(大豆NC、大豆AM、および大豆EG)の3種とを使用した場合、すなわち、合計11通りの場合について、エタノールの発酵生産を行なった。
3種の微生物のそれぞれをYPDプレート(2%グルコース、1%酵母エキス、2%ペプトン、2%精製寒天、121℃−20min高圧蒸気滅菌)にグリセロールストックとして保存していた菌を播種してコロニー形成させた。2mLのYPD(2%グルコース、1%酵母エキス、2%ペプトン、121℃−20min高圧蒸気滅菌)培地を入れた試験管に白金耳を用いてプレート上のコロニーを植菌し、30℃、120min−1で振とう培養した(前培養)。各大豆由来糖液を10mL入れた試験管に前培養液を5%植菌し、30℃、120min−1で振とう培養した(本培養)。24時間後に試験管を回収し、各糖濃度およびエタノール濃度を、参考例1、5に従ってそれぞれ測定した結果を、表3〜表5に示す。
表3〜表5から明らかなように、いずれの酵母を使用した場合も、原料としてエステラーゼ処理を行なった実施例1および実施例2の糖液の方が、エステラーゼ処理を行なっていない比較例1の糖液よりもエタノールの蓄積濃度が共に高くなった。また、エステラーゼ処理を行なった実施例1よりも、エステラーゼ処理後に固液分離を行なった実施例2の糖液の方が、エタノールの蓄積濃度が更に高くなった。よって、エステラーゼ処理を行なって得られた糖液を用いることで、エタノールの蓄積濃度を高くすることができることが確認された。
<実施例3:大豆由来糖液からのD−乳酸の発酵生産>
参考例4に記載の乳酸の発酵生産方法において、酵母として国際公開公報第2010/140602号に記載の方法で作製したD−乳酸生産酵母を使用し、大豆由来糖液として、実施例1に記載の工程(3)で得られる大豆由来糖液、および実施例2に記載の固液分離後の精製糖液のそれぞれ4種と、比較例1で得られる大豆由来糖液(大豆NC、大豆AM、および大豆EG)の3種とを使用した場合、すなわち、合計11通りの場合について、乳酸の発酵生産を行なった。
参考例4に記載の乳酸の発酵生産方法において、酵母として国際公開公報第2010/140602号に記載の方法で作製したD−乳酸生産酵母を使用し、大豆由来糖液として、実施例1に記載の工程(3)で得られる大豆由来糖液、および実施例2に記載の固液分離後の精製糖液のそれぞれ4種と、比較例1で得られる大豆由来糖液(大豆NC、大豆AM、および大豆EG)の3種とを使用した場合、すなわち、合計11通りの場合について、乳酸の発酵生産を行なった。
YPDプレートにグリセロールストックとして保存していた上記D−乳酸酵母を播種してコロニー形成させた。2mLのYPD培地を入れた試験管に白金耳を用いてプレート上のコロニーを植菌し、30℃、120min−1で振とう培養した(前培養)。各大豆由来糖液9mLと200g/Lの炭酸カルシウム懸濁液1mLとを添加した試験管に前培養液を5%植菌し、30℃、120min−1で振とう培養した(本培養)。24時間後に試験管を回収し、参考例1に記載の方法で各糖濃度を測定し、乳酸濃度を参考例6に従って測定した結果を、表6に示す。
表6から明らかなように、いずれの酵母を使用した場合も、原料としてエステラーゼ処理を行なった実施例1および実施例2の糖液の方が、エステラーゼ処理を行なっていない比較例1の糖液よりも乳酸の蓄積濃度が共に高くなった。また、エステラーゼ処理を行なった実施例1よりも、エステラーゼ処理後に固液分離を行なった実施例2の糖液の方が、乳酸の蓄積濃度が更に高くなった。よって、エステラーゼ処理を行なって得られた糖液を用いることで、乳酸の蓄積濃度を高くすることができることが確認された。
Claims (14)
- 大豆および/または大豆加工物から大豆由来糖液を製造する方法であって、
前記大豆および/または大豆加工物と、極性有機溶媒および水を含む含水極性有機溶媒とを混合した後、固液分離して大豆由来糖成分および前記極性有機溶媒を含む糖液を得る工程(1)と、
前記工程(1)で得られた前記糖液から前記極性有機溶媒を除去して糖懸濁液を得る工程(2)と、
前記工程(2)で得られた前記糖懸濁液をエステラーゼ処理し、大豆由来糖液を得る工程(3)と、
を含むことを特徴とする、大豆由来糖液の製造方法。 - 前記工程(3)のエステラーゼが、カルボキシルエスタラーゼ、アリルエステラーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、ホスホリパーゼ、リソホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、トロピンエステラーゼ、およびペクチンエステラーゼからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 前記工程(3)のエステラーゼが、トリコデルマ属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、フサリウム属、およびアクレモニウム属のいずれか1種である、請求項1または2のいずれかに記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 前記極性有機溶媒が、エタノールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 前記工程(1)において、前記大豆および/または大豆加工物と前記含水極性有機溶媒とを混合した際に、下記式(I)により算出される有機溶媒濃度が、50〜90%(w/w)の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の大豆由来糖液の製造方法。
有機溶媒濃度=添加する含水有機溶媒中の有機溶媒質量/(大豆および/または大豆加工物に含まれる水分質量+添加する含水有機溶媒の全質量) ・・・(I) - 前記工程(2)において、前記糖液を、加熱および/または減圧して極性有機溶媒を除去する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 前記工程(3)で得られた前記大豆由来糖液を、固液分離して精製大豆由来糖液を得る工程(4)を含む、請求項1〜6のいずれか1に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 前記工程(4)において、前記大豆由来糖液のpHを、0.5〜3.5の範囲に調製した後、固液分離する、請求項7に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 前記工程(4)で得られた前記精製大豆由来糖液をナノ濾過膜および/または逆浸透膜を用いて、糖濃縮液を得る工程(5)を含む、請求項7または8に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 工程(3)において、前記糖懸濁液にαガラクトシダーゼおよび/またはインベルターゼを混合して、前記糖懸濁液中の前記大豆由来糖成分を加水分解する、請求項1〜9のいずれか1に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 工程(4)において、前記大豆由来糖液にαガラクトシダーゼおよび/またはインベルターゼを混合して、前記大豆由来糖液中の前記大豆由来糖成分を加水分解する、請求項7〜10のいずれか1に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 工程(5)において、前記精製大豆由来糖液にαガラクトシダーゼおよび/またはインベルターゼを混合して、前記精製大豆由来糖液中の前記大豆由来糖成分を加水分解する、請求項9〜11のいずれか1に記載の大豆由来糖液の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の大豆由来糖液の製造方法を用いて得られた大豆由来糖液を発酵原料として微生物を培養し、化学品を製造することを特徴とする、化学品の製造方法。
- 前記化学品が、アルコール、または有機酸である、請求項13に記載の化学品の製造方法。
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