JP2015087124A - 超電導ケーブルの電流測定方法、及び超電導ケーブルの電流測定装置 - Google Patents

超電導ケーブルの電流測定方法、及び超電導ケーブルの電流測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】超電導ケーブルの各層に電流を流して校正する必要のない超電導ケーブルの電流測定方法を提供する。【解決手段】複数の超電導導体層がフォーマに層状に巻かれた超電導ケーブルの電流測定方法であって、前記複数の超電導導体層の電流経路に対応させ囲むように複数のロゴスキーコイルを配置することと、前記複数のロゴスキーコイルに電流を流して自己インダクタンスを測定することと、前記超電導ケーブルに電流を流し、前記複数のロゴスキーコイルの誘導起電力を計測することと、前記複数のロゴスキーコイルの誘導起電力に基づいて前記複数の超電導導体層の電流比を算出し、前記電流比に基づいて各々の前記超電導導体層の電流値を算出することと、を含む超電導ケーブルの電流測定方法。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、超電導ケーブルの電流測定方法、及び超電導ケーブルの電流測定装置に関する。
超電導ケーブルは、電力需要の増大する地域における送電線容量不足の解消を図るとともに、電力送電時の損失低減を図ることができる技術として注目されている。超電導ケーブルとして、酸化物超電導体を線材に加工したものをフォーマに多層螺旋状に巻きつけて構成された物が知られている。
このような超電導ケーブルにおいては、超電導導体の層間のインピーダンスの相違により、各層を流れる電流値が均一ではなくなる偏流現象が起こりやすい。偏流現象が起こると、電流が特定の超電導導体の層に集中して流れ、この層が損傷してしまう虞がある。また、超電導ケーブルに交流を流す場合において、交流損失は電流値に対して対数的に増加するため、偏流現象が生じると交流損失が増大する。したがって、超電導ケーブルの実用化においては、各層毎の通電電流分布を把握する必要が生じる。
特許文献1には、ロゴスキーコイルを用いて超電導ケーブルの超電導導体各層に流れる電流を測定する方法が開示されている。ロゴスキーコイルは、その内側部に配置された導体に流れる電流値に比例する電圧を出力する(起電力を生じる)ことが知られている。
特開平10−126917号公報
しかしながら、従来の測定方法においては、各層に流れる電流とロゴスキーコイルに発生する電圧の比例定数を取得するために1層ごとに入力を変えて複数回の通電を行い校正する必要があった。この通電による校正は、超電導導体を冷却しながら行う必要があり、しかも数千〜数万Aもの大電流が流れるため、大変な手間となる。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みなされたものであり、超電導ケーブルの各層に電流を流して校正する必要のない超電導ケーブルの各超電導導体層の各層毎の電流を測定する方法を提供することにある。
前記課題を解決するため本発明の超電導ケーブルの電流測定方法は、複数の超電導導体層がフォーマに層状に巻かれた超電導ケーブルの電流測定方法であって、前記複数の超電導導体層の電流経路に対応させ囲むように複数のロゴスキーコイルを配置することと、前記複数のロゴスキーコイルに電流を流して自己インダクタンスを測定することと、前記超電導ケーブルに電流を流し、前記複数のロゴスキーコイルの誘導起電力を計測することと、前記複数のロゴスキーコイルの誘導起電力に基づいて前記複数の超電導導体層の電流比を算出し、前記電流比に基づいて各々の前記超電導導体層の電流値を算出することと、を含む。
本発明によれば、前記各ロゴスキーコイルの自己インダクタンス、巻数、及び超電導ケーブルに通電した際の磁場により発生する電圧から電流比を算出するため、事前に超電導ケーブルに通電するなどして校正を行う必要が無く、測定者の手間を省くことができる。
本発明の超電導ケーブルの電流測定方法は、前記超電導ケーブルの端末において、前記複数の超電導導体層各層を階段状に露出させ、前記複数のロゴスキーコイルを階段状に露出された超電導導体層の各段に配置することができる。
このようにロゴスキーコイルを配置することで、各段に配置されたロゴスキーコイルが、その内側部を通る電流値の総和に対する誘導起電力を生じる。したがって、隣り合うロゴスキーコイルの内側部を通る電流値の差分をとることで、各超電導導体層に流れる電流値を求めることができる。
本発明の超電導ケーブルの電流測定方法は、前記超電導ケーブルの端末において、前記複数の超電導導体層各層から端子部材を引き出し、前記複数のロゴスキーコイルを前記各端子部材に配置することができる。
各超電導導体層から端子部材を引き出し、その周りにロゴスキーコイルを配置することにより、各超電導導体層に流れる電流経路の周囲に個別にロゴスキーコイルを設けることになる。したがって、各超電導導体層に流れる電流による誘導起電力を直接取り出すことができる。
本発明の超電導ケーブルの電流測定方法は、前記電流比を下記式に基づいて算出することができる。
Figure 2015087124
ただし、前記複数のロゴスキーコイルのうち、任意の二つのロゴスキーコイルを選択し、これらのロゴスキーコイルのうち一方の自己インダクタンスをL、巻数をN、このロゴスキーコイルが囲む各層の電流値をI、この電流により発生する誘導起電力をE、とし、他方の自己インダクタンスをL、巻数をN、このロゴスキーコイルが囲む各層の電流値をI、この電流により発生する誘導起電力をE、とする。
本発明の超電導ケーブルの電流測定装置は、複数の超電導導体層がフォーマに層状に巻かれた超電導ケーブルの電流測定装置であって、前記複数の超電導導体層の電流経路に対応させ囲むように設置可能な複数のロゴスキーコイルと、前記超電導ケーブルの電流を測定する電流測定装置と、前記複数のロゴスキーコイルに接続された電圧測定装置と、前記電流測定装置及び前記電圧測定装置に接続され、前記電圧測定装置で測定された前記ロゴスキーコイルの誘導起電力から前記複数の超電導導体層の電流比を算出し、当該電流比と前記電流測定装置で測定された電流値から各々の前記超電導導体層の電流値を求める演算装置と、を有する。
本発明によれば、前記各ロゴスキーコイルの自己インダクタンス、巻数、及び超電導ケーブルに通電した際の磁場により発生する電圧から超電導ケーブル各層の電流比を算出するため、事前に超電導ケーブルに通電するなどして校正を行う必要が無く、測定者の手間を省くことができる。
本発明に係る実施形態において測定対象となる超電導ケーブルの構造を示す模式図である。 本発明に係る実施形態において用いられるロゴスキーコイルの模式図を示す。 本発明に係る実施形態における超電導ケーブルの電流測定装置を示す。 図3に示す実施形態とは、別の実施形態における超電導ケーブルの電流測定装置を示す。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1に本実施形態の電流測定方法において、測定対象の一例である超電導ケーブル1を示す。
この超電導ケーブル1は、大きく分けてケーブルコア9及び断熱管11により形成されている。ケーブルコア9は、撚線からなるフォーマ2の外周にテープ状の超電導線材13を螺旋状に巻回して4層配置して超電導導体層群3を形成している。本明細書では、超電導導体層群3を構成する各層を、内側から第1超電導導体層3a、第2超電導導体層3b、第3超電導導体層3c、第4超電導導体層3dと呼ぶ。各層同士は層間に設けられた絶縁層によって絶縁されている。
本実施形態では、テープ状の超電導線材13として、金属基材上に配向中間層、RE系超電導層、安定化層が形成されたRE123系酸化物超電導線材やAgなどのシースにBi2223などの多芯線が内包されたBi系酸化物超電導線材などを適用できる。また、実際に用いられている超電導線材の寸法は幅3〜10mm、厚さ0.5mm程度である。
超電導導体層群3の外周には、絶縁層4、5が形成され、さらにその外周に2層の超電導シールド層群6が形成されている。ここでは、超電導シールド層群6を構成する各層を内側から第1超電導シールド層6a、第2超電導シールド層6bと呼ぶ。各超電導シールド層6a、6bは、第1〜第4超電導導体層3a、3b、3c、3dと同様に、テープ状の超電導線材13を螺旋状に巻回して形成されており、互いの層は層間に設けられた絶縁層によって絶縁されている。
超電導シールド層群6には、超電導導体層群3に流れる電流と逆方向の電流が流される。これにより、超電導導体層群3に流した電流により発生する電磁界を打ち消し、当該電磁界による影響を超電導ケーブル1の外部に及ぼさないようにしている。
超電導シールド層群6の外周には、さらに金属シールド層7と保護層8が形成され、ケーブルコア9を構成している。
そして、このケーブルコア9を2重管構造の断熱管11の内部に冷媒流通用の間隙10をあけて収容し、全体を保護層12で覆ってなる構造とされている。
図2に本実施形態において用いられるロゴスキーコイルの模式図を示す。ロゴスキーコイル30は、例えば繊維強化プラスチック(FRP)等からなる中空環状の巻枠33と銅線34とを有する。銅線34は、外周にエナメルの絶縁被覆を形成したエナメル線を用いることができる。銅線34は、巻枠33の外周に沿って螺旋状に一様に巻きつけられ、さらに巻枠33の芯内33aを1周巻き戻されている。ロゴスキーコイル30は、その内側部35を通過する電流による磁束変化を検出して、銅線34の両端子31、32間に起電力を発生させる。
図2に示すロゴスキーコイル30において、銅線34が巻回される巻枠33の中心線の半径をR、銅線34の巻断面の半径をa、巻枠33に対する銅線34の巻数をNとする。このときロゴスキーコイル30の内側部35の電流i(t)の変化(時間tに対する変化)により、ロゴスキーコイル30に誘起される電圧(起電力)e(t)は、真空の透磁率をμ0として以下のように表される。
Figure 2015087124
ところで、ロゴスキーコイル30の自己インダクタンスLは、巻き戻しのないコイル(トロイダルコイル)とほぼ同じとみなすことができ以下の式で表される。
Figure 2015087124
したがって、ロゴスキーコイル30の誘導起電力e(t)は、自己インダクタンスLを用いて、次の(式1)で表すことができる。
Figure 2015087124
ここで、ロゴスキーコイル30が囲む領域に流れる電流i(t)が交流電流である場合は、i(t)を以下のように表すことができる。なお、Iは交流電流の振幅、ωは角周波数、θは初期位相を表す。
Figure 2015087124
この電流i(t)を微分して(式1)に代入することで、(式1)は以下のようになる。
Figure 2015087124
この式から分かるように、ロゴスキーコイル30に発生する誘導起電力e(t)は、角周波数ωで振動し、その振幅Eは以下の(式2)で表される。
Figure 2015087124
(式2)に示すように、電磁誘導によるロゴスキーコイル30の起電力e(t)の振幅Eは、電流i(t)の振幅、及びロゴスキーコイル30の自己インダクタンスLに比例し、巻枠33に対する銅線34の巻数Nに反比例する。
本実施形態の超電導ケーブルの電流測定方法は、以上の特性を備えたロゴスキーコイル30を用いて行うものである。
図3は、本実施形態の電流測定方法を用いた電流測定装置を示す図である。
本実施形態の電流測定装置50は、複数のロゴスキーコイル30A、30B、30C、30D、30E、30Fと、これら6つのロゴスキーコイル30A〜30Fに接続された電圧測定器40と、超電導ケーブル1に接続される交流電源41と、交流電源41に設けられた電流測定器41aと、電圧測定器40及び電流測定器41aに接続されたデータ演算処理部43と、を備えている。交流電源41には、超電導ケーブル1の超電導体層にそれぞれ接続される6つの端子部材20A、20B、20C、20D、20E、20Fが設けられている。なお、6つのロゴスキーコイル30A〜30Fは、図2に示すロゴスキーコイル30と同形態である。
超電導ケーブル1の端末において、第1〜第4超電導導体層3a〜3d、並びに第1、第2超電導シールド層6a、6bが、それぞれ所定の長さだけ階段状に露出されている。即ち、超電導ケーブル1の末端に近づくに従って内側の各層が順々に露出された構造となっている。超電導ケーブル1の先端では最内層の第1超電導導体層3aが露出されている。さらに、先端側から順に第2超電導導体層3b、第3超電導導体層3c、第4超電導導体層3d、第1超電導シールド層6a、第2超電導シールド層6bが所定の長さだけ露出されている。
第1〜第4超電導導体層3a〜3d、並びに第1、第2超電導シールド層6a、6bには、それぞれ端子部材20A〜20Fが取り付けられる。
端子部材20Aは、第1超電導導体層3aに取り付けられており、円筒部20aと、当該円筒部20aの外周面から延出された板状の突出端子部20bとを備えている。端子部材20Aの円筒部20aは、第1超電導導体層3aの外周を取り囲むように配置され、当該外周と円筒部20aの内周面は半田を流し込むなどして接続されている。
端子部材20Aとしては、抵抗値が低い金属を任意に用いる事が望ましく、例えば銅製とすることができる。
また、その他の端子部材20B、20C、20D、20E、20Fも、上述した端子部材20Aと同様の構成を有しているが、円筒部20aの内径はそれぞれ接続される層(超電導導体層、又は超電導シールド層)の外径に合わせた大きさとなっている。
第1〜第4超電導導体層3a〜3dに取り付けられた端子部材20A、20B、20C、20Dの突出端子部20bは、交流電源41に接続されている。端子部材20A〜20Dは、交流電源41の内部で互いに電気的に接続され、交流電源41から同位相の交流電流が供給される。交流電源41は電流測定器41aを備えている。電流測定器41aは、超電導ケーブル1に流す電流値(超電導導体層群3に流す電流値の総和)を計測する。
単相交流である場合、この交流電源41は、超電導ケーブル1と同様の構成を有する戻り線(図示略)の超電導導体層に接続され交流回路を形成している。なお、三相交流である場合は、他2つの超電導ケーブル1がこの交流電源41に接続された構成となる。
第1、第2超電導シールド層6a、6bに取り付けられた端子部材20E、20Fは、互いに接続されている。また単相交流である場合、端子部材20E、20Fは超電導ケーブル1と同様の構成を有する戻り線の超電導シールド層に接続されている。
第1、第2超電導シールド層6a、6b(超電導シールド層群6)には、第1〜第4超電導導体層3a〜3d(超電導導体層群3)に流れる交流電流による磁束変化により、超電導導体層群3に流れる交流電流に対し位相が180°ずれ逆位相となった電流が流れる。
6つのロゴスキーコイル30A〜30Fは、第1〜第4超電導導体層3a〜3d、並びに第1、第2超電導シールド層6a、6bの周囲に、各層を取り囲むように配置されている。これらのロゴスキーコイル30A〜30Fの両端子31、32は、電圧測定器40に接続されている。この電圧測定器40により各ロゴスキーコイル30A〜30Fの誘導起電力を測定することができる。
第1超電導導体層3aを囲むように配置されたロゴスキーコイル30Aの内側部35Aには、第1超電導導体層3aのみが配置されており、ロゴスキーコイル30Aに誘導起電力を与えるのは、第1超電導導体層3aに流れる電流となる。
また、第2超電導導体層3bを囲むように配置されたロゴスキーコイル30Bの内側部35Bには、第1超電導導体層3aと第2超電導導体層3bとが配置されることとなる。したがって、このロゴスキーコイル30Bには第1超電導導体層3aと第2超電導導体層3bに流れる電流による誘導起電力が発生する。このように、内側から数えてj番目の超電導導体層の周囲を囲むロゴスキーコイルは、1〜j番目までの全ての超電導導体層に流れる電流の総和により誘導起電力が生じる。
第1超電導シールド層6aを囲むように配置されたロゴスキーコイル30Eの内側部35Eには、第1〜第4超電導導体層3a〜3dに加えて、第1超電導シールド層6aが配置されている。第1超電導シールド層6aには、第1〜第4超電導導体層3a〜3dとは、反対向きの電流が流れている。したがって、第1超電導シールド層6aによる磁場は、第1〜第4超電導導体層3a〜3dによる磁場と逆方向になり、ロゴスキーコイル30Eに発生する誘導起電力は一部キャンセルされることとなる。また、第2超電導シールド層6bを囲むように配置されたロゴスキーコイル30Fに発生する誘導起電力もこれと同様であり、内側部35Fを通る電流の総和が、誘導起電力に影響を与える。
測定された各ロゴスキーコイル30A〜30Fの誘導起電力は、データ演算処理部43に出力される。
データ演算処理部43は、既知のパラメータである各ロゴスキーコイル30A〜30Fの自己インダクタンスL、巻数N、並びに、電圧測定器40により測定された誘導起電力、電流測定器41aにより測定された電流値を基に演算し電流を算出する。このデータ演算処理部43における演算方法を含めた測定方法を以下に説明する。
超電導ケーブル1に、交流電源41により通電を行うと、超電導ケーブル1を構成する各層に交流電流が流れ、各ロゴスキーコイル30A〜30Fには、(式2)に示す振幅Eで振動する誘導起電力が生じる。
ここで、内側から数えてm番目の超電導導体層(第m超電導導体層)を囲むロゴスキーコイルの自己インダクタンスをL、巻数をN、発生する電圧(起電力)の振幅をEとする。また、この第m超電導導体層の内側部を通る電流の振幅をIとする。これにより、(式2)は、以下の(式3)のように書き換えることができる。
同様に、n番目(n≠m)の超電導導体層(第n超電導導体層)を囲むロゴスキーコイルを考え(式2)を以下の(式4)のように書き換える。なお、第n超電導導体層を囲むロゴスキーコイルの自己インダクタンスをL、巻数をN、発生する電圧(起電力)の振幅をEnとし、この第m超電導導体層の内側部を通る電流の振幅をInとする。
Figure 2015087124
Figure 2015087124
(式3)、(式4)からE、Eの比をとり、ωを除すと以下の(式5)を導くことができる。
Figure 2015087124
(式5)は、第m超電導導体層を囲むロゴスキーコイル、及び第n超電導導体層を囲むロゴスキーコイルの自己インダクタンスL、L、巻数N、N、起電力の振幅E、Eが分かっていれば、I、Iの比を算出可能であることを意味する。
なお、Iとは、内側から1番目からm番目までの超電導導体層に流れる電流値の振幅の総和であり、Iとは、内側から1番目からn番目までの超電導導体層に流れる電流値の振幅の総和である。
したがって、(式5)を用いて、データ演算処理部43において、各ロゴスキーコイル30A〜30Fが囲む領域に流れる電流値の振幅の比を算出できる。
また、交流電源41には、超電導ケーブル1の超電導導体層群3に流す電流値の総和を計測する電流測定器41aが設けられている。したがって、第1超電導導体層3aに流れる電流値の振幅をI、第2超電導導体層3bに流れる電流値の振幅をI、第3超電導導体層3cに流れる電流値の振幅をI、第4超電導導体層3dに流れる電流値の振幅をIとして、電流測定器41aは、I+I+I+Iを計測できる(なお、電流測定器41aは経時的に変化する電流値そのものを測定している)。この電流測定器41aで求めた電流値の振幅の総和(I+I+I+I)と各電流値の振幅の比から、各ロゴスキーコイル30A〜30Fが囲む領域に流れる電流値の振幅を求めることができる。
具体的な算出方法の一例を説明する。まず、図3におけるロゴスキーコイル30Cとロゴスキーコイル30Dに着目する。ロゴスキーコイル30C、30Dの自己インダクタンス、巻数、発生する誘導起電力の振幅の比から、(式5)を基に第1〜第3超電導導体層3a〜3cに流れる総電流の振幅(I+I+I)と、第1〜第4超電導導体層3a〜3dに流れる総電流の振幅(I+I+I+I)の比(I+I+I)/(I+I+I+I)を求める。この比と電流測定器41aにより測定された電流値の振幅の総和(I+I+I+I)から、第4超電導導体層3dに流れる電流値の振幅Iを算出する。
次に同様の算出手順で、ロゴスキーコイル30B、30Cに着目し、第3超電導導体層3cに流れる電流値の振幅Iを算出する。この手順を繰り返し、第1超電導導体層3a、第2超電導導体層3bに流れる電流値の振幅I、Iを算出する。
また、ロゴスキーコイル30D、30Eに着目し、同様の算出手順で、第1超電導シールド層6aに流れる電流値の振幅を算出できる。さらに、ロゴスキーコイル30E、30Fに着目し、第2超電導シールド層6aに流れる電流値の振幅を算出できる。
各ロゴスキーコイル30A〜30Fは、順々に外の超電導導体層を囲むように配置されている。したがって、一つ内側の超電導導体層を囲む電流値からの差分によって、任意のロゴスキーコイルが囲む最外層の超電導導体層に流れる電流値の振幅を算出することができる。即ち、各層の超電導導体層に流れる電流値の振幅を算出できる。各層に流れる電流の振幅が分かるということは、電流値そのものを把握できることを意味する。
なお、第1、第2超電導シールド層6a、6bを取り囲むように配置されたロゴスキーコイル30E、30Fは、その他のロゴスキーコイル30A〜30Fと逆位相の誘導起電力が発生する。ロゴスキーコイル30E、30Fの誘導起電力の振幅は、負の値として計算を行うことで、(式5)を用いて、第1、第2超電導シールド層6a、6bの電流値の振幅を負の値として算出できる。
次に、超電導ケーブルの各層に流れる電流を測定する手順について説明する。
まず、巻数が既知であるロゴスキーコイル30A〜30F(図2に示すロゴスキーコイル30と同形態)を複数作製し、これらを図3に示すロゴスキーコイル30A〜30Fとする。
各ロゴスキーコイル30A〜30Fの巻数は、測定精度を高めるために250ターン以上であることが望ましい。また、各ロゴスキーコイル30A〜30Fの巻数は、換算処理を簡易にするためには同じとすることが好ましい。ロゴスキーコイル30A〜30Fの巻数は、巻枠33に銅線34を巻きつける際に数えながら巻きつけることもできるが、巻きつけた後に抵抗値から銅線34の長さを計測し、当該銅線34の長さから巻数を換算しても良い。
次に、図3に示すように、超電導ケーブル1の端部を加工し、所定の距離だけ各層が順々に露出された構造とし、各ロゴスキーコイル30A〜30Fを露出された各層の周囲に配置する。
この状態で、各ロゴスキーコイル30A〜30Fに順に電流を流し自己インダクタンスを測定する校正手順を実行する。
ロゴスキーコイルの自己インダクタンスは、ロゴスキーコイルの形状に敏感であるため、超電導ケーブル1の端部において、各ロゴスキーコイル30A〜30Fを配置して固定した後に測定を行うことが好ましい。また、超電導ケーブル1の冷却を行うと、各ロゴスキーコイル30A〜30Fがわずかに縮み自己インダクタンスが変わるため、ロゴスキーコイル30A〜30Fの自己インダクタンスの測定においても冷却を行うことが好ましい。
次に、各ロゴスキーコイル30A〜30Fの両端子31、32を電圧測定器40に接続する。さらに、露出された第1〜第4超電導導体層3a〜3d、並びに第1、第2超電導シールド層6a、6bに、それぞれ端子部材20A〜20Fを半田を介して固定する。これらの端子部材20A〜20Fは、交流電源41に接続されている。
以上の手順により、超電導ケーブル1の各層に流れる電流測定の前準備が完了する。次に、超電導ケーブル1を冷却しながら通電を行う。この通電は、交流電源41により端子部材20A〜20Fを介して各超電導導体層、及び超電導シールド層に対して行われる。
超電導ケーブル1に交流電流の通電を行うと、各層の周囲配置されたロゴスキーコイル30A〜30Fに誘導起電力が発生する。この誘導起電力(電圧)の値を、各ロゴスキーコイルに接続された電圧測定器40により測定することができる。
交流電源41に設けられた電流測定器41aによる電流値の測定データと、電圧測定器40による各ロゴスキーコイルの誘導起電力(電圧)の測定データは、電気信号としてデータ演算処理部43に送られる。データ演算処理部43は、予め各ロゴスキーコイルの巻線及び自己インダクタンスが入力されており、これらを基に演算を行い超電導ケーブル1の各超電導導体層及び超電導シールド層にそれぞれ流れる電流の分布を出力する。
図4に、別の実施形態の電流測定方法により測定する電流測定装置51の概略図を示す。電流測定装置51は、上述した電流測定装置50と比較してロゴスキーコイル30A〜30Fの配置が異なる。即ち電流測定装置51において、各ロゴスキーコイル30A〜30Fは、端子部材20A〜20Fの突出端子部20bに取り付けられている。
この突出端子部20bは、交流電源41と各超電導導体層及び超電導シールド層を橋渡しするように、接続しており、各層に流れる電流と同値の電流が流れている。したがって、端子部材20A〜20Fの突出端子部20bを覆うように、ロゴスキーコイル30A〜30Fを配置することで、各層に流れる電流値を直接測定することができ、計算手順を簡素にできる。
以上に説明した各実施形態の超電導ケーブルの電流測定方法、並びに電流測定装置によれば、各ロゴスキーコイルの自己インダクタンス、巻数、及び超電導ケーブルに通電した際の磁場により発生する電圧から電流比を算出する。したがって、事前に超電導ケーブルに通電するなどして校正を行う必要が無く、測定者の手間を省くことができる。
以上に、本発明の各実施形態を説明したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
1…超電導ケーブル、2…フォーマ、3…超電導導体層群、3a…第1超電導導体層、3b…第2超電導導体層、3c…第3超電導導体層、3d…第4超電導導体層、6…超電導シールド層群、6a…第1超電導シールド層、6b…第2超電導シールド層、13…超電導線材、20A、20B、20C、20D、20E、20F…端子部材、30A、30B、30C、30D、30E、30F…ロゴスキーコイル、31、32…端子、34…銅線、35、35A、35B、35E、35F…内側部、40…電圧測定器、41…交流電源、41a…電流測定器、43…データ演算処理部、50…電流測定装置、51…電流測定装置

Claims (5)

  1. 複数の超電導導体層がフォーマに層状に巻かれた超電導ケーブルの電流測定方法であって、
    前記複数の超電導導体層の電流経路に対応させ囲むように複数のロゴスキーコイルを配置することと、
    前記複数のロゴスキーコイルに電流を流して自己インダクタンスを測定することと、
    前記超電導ケーブルに電流を流し、前記複数のロゴスキーコイルの誘導起電力を計測することと、
    前記複数のロゴスキーコイルの誘導起電力に基づいて前記複数の超電導導体層の電流比を算出し、前記電流比に基づいて各々の前記超電導導体層の電流値を算出することと、
    を含む超電導ケーブルの電流測定方法。
  2. 前記超電導ケーブルの端末において、前記複数の超電導導体層各層を階段状に露出させ、
    前記複数のロゴスキーコイルを階段状に露出された超電導導体層の各段に配置する請求項1に記載の超電導ケーブルの電流測定方法。
  3. 前記超電導ケーブルの端末において、前記複数の超電導導体層各層から端子部材を引き出し、
    前記複数のロゴスキーコイルを前記各端子部材に配置する請求項1に記載の超電導ケーブルの電流測定方法。
  4. 前記電流比を下記式に基づいて算出する、請求項1〜3の何れか一項に記載の超電導ケーブルの電流測定方法。
    Figure 2015087124
    ただし、前記複数のロゴスキーコイルのうち、任意の二つのロゴスキーコイルを選択し、これらのロゴスキーコイルのうち一方の自己インダクタンスをL、巻数をN、このロゴスキーコイルが囲む各層の電流値をI、この電流により発生する誘導起電力をE、とし、他方の自己インダクタンスをL、巻数をN、このロゴスキーコイルが囲む各層の電流値をI、この電流により発生する誘導起電力をE、とする。
  5. 複数の超電導導体層がフォーマに層状に巻かれた超電導ケーブルの電流測定装置であって、
    前記複数の超電導導体層の電流経路に対応させ囲むように設置可能な複数のロゴスキーコイルと、
    前記超電導ケーブルの電流を測定する電流測定装置と、
    前記複数のロゴスキーコイルに接続された電圧測定装置と、
    前記電流測定装置及び前記電圧測定装置に接続され、前記電圧測定装置で測定された前記ロゴスキーコイルの誘導起電力から前記複数の超電導導体層の電流比を算出し、当該電流比と前記電流測定装置で測定された電流値から各々の前記超電導導体層の電流値を求める演算装置と、
    を有する超電導ケーブルの電流測定装置。
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CN113419100A (zh) * 2021-06-21 2021-09-21 国网上海市电力公司 一种超导电缆各层电流分布的测试方法

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