JP2015086086A - 六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法及び六方晶窒化タングステン系焼結体 - Google Patents
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本発明は、以下の構成を有する。
(2)前記原料粉末をカプセルに充填し、前記カプセルを高圧セル内に配置してから、前記高圧セルを前記高圧装置のガスケット内に配置することを特徴とする(1)に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
(4)前記カプセル内に炭化タングステン粉末からなる第2の原料粉末を添加することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
(5)前記カプセル内に焼結助剤粉末を添加することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
(7)前記高圧セル内で前記カプセルを充填用粉末で取り囲んで配置することを特徴とする(1)に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
(9)前記六方晶窒化タングステン結晶の一部が、化学式WNで表される六方晶窒化タングステン結晶のNの一部がCで置き換えられた固溶体であることを特徴とする(8)に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
(10)結晶粒間に焼結助剤Coが介在されていることを特徴とする(8)又は(9)に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
(12)化学式WN(1−x)Cxで表され、式中0<x≦0.99であることを特徴とする(9)に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
(13)化学式WN+yCoで表され、式中0<y≦50wt.%であることを特徴とする(10)に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
(15)径0.5mm以上、厚さ0.1mm以上の板状体であることを特徴とする(8)〜(14)のいずれかに記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
(16)密度が80vol.%以上であることを特徴とする(8)〜(15)のいずれかに記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
<六方晶窒化タングステン系焼結体>
まず、本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体について説明する。
図1は、本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体の一例を示す模式図であって、平面図(a)と、(a)のA−A’線における断面図(b)である。
図1に示すように、本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体11は、平面視略円形状で板状体である。しかし、この平面視形状に限られず、平面視四角形状、平面視多角形状としてもよく、又、厚さを厚くして、例えば、立方体状としてもよい。
図2に示すように、本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体11は、化学式WNで表される六方晶窒化タングステン結晶12が焼結された多結晶体である。これにより、切削工具に加工できる大きさ(径0.5mm以上、厚さ0.1mm以上の板状体)とすることができ、鉄と反応しにくくすることもでき、炭化タングステンと同程度以上の硬度を有するようにもできる。
この六方晶窒化タングステン系焼結体11は、原子比W:N=1:1の化学式WNで表すことができる。
前記六方晶窒化タングステン結晶に、h−W2N3が含まれていてもよい。これでも、硬度を高め、鉄と反応しにくくすることもできる。
図3に示すように、本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体11は、化学式WNで表される六方晶窒化タングステン結晶12のNの一部がCで置き換えられた固溶体13が含まれていてもよい。これにより、WN結晶構造をほぼ維持したまま、WC構造を介在させて、焼結体の硬度を高めることができる。
この六方晶窒化タングステン系焼結体11は、化学式WN(1−x)Cx、式中0<x≦0.99で表すことができる。
本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体11は、結晶粒間に焼結助剤Coが介在されていてもよい。
図4に示す例は、化学式WNで表される六方晶窒化タングステン結晶12のみが焼結されてなる材料の結晶粒間に焼結助剤Co14が介在されている。焼結助剤としてCoを含有することにより、硬度を高めることができる。
このように、Coの濃度は50wt.%以下とすることが好ましい。50wt.%超の場合には、結晶部の割合が少なくなり、硬度が低下する。
図5に示す例は、化学式WNで表される六方晶窒化タングステン結晶12のNの一部がCで置き換えられた固溶体13が含まれて、焼結されてなる材料の結晶粒間に焼結助剤Co14が介在されている。
この六方晶窒化タングステン系焼結体11は、化学式WN(1−x)Cx+yCo、式中0<x≦0.99、0<y≦50wt.%で表すことができる。
次に、本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法について説明する。
本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法は、高圧セル配置工程S1と、加圧加熱工程S2と、を有する。
高圧セル配置工程S1では、六方晶窒化タングステン粉末からなる原料粉末をカプセルに充填し、前記カプセルを高圧セル内に配置してから、前記高圧セルを高圧装置のガスケット内に配置する。
図6に示すように、本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法で用いる高圧加熱装置21は、高圧装置25と高圧セル26とから概略構成される。
ガスケット24中心に、高圧セル26を配置することができる構成とされている。高圧セル26は、略円柱状とされており、その軸方向をシリンダーの環の中心軸方向と重なるように環内に配置する。
2つのアンビル23は、矢印F、Gで示すように、互いに、油圧機構により上下から環内中心に向けて押し付けあうことが可能とされており、ガスケット24中心に配置した高圧セル26に加圧可能とされている。
図7に示すように、本発明の実施形態である六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法で用いる高圧セル26は、筒内にカプセルを配置可能なパイロフィライト円筒36と、円筒36の2つの開口部を塞ぐ2枚の第1の板34と、第1の板34にそれぞれ接面配置する2枚の第2の板33と、第2の板33をそれぞれ環内に嵌合可能な2つの環32と、第2の板33にそれぞれ接面配置する2枚の第3の板31と、を有して、概略構成されている。これにより、内部に配置するカプセルに均一に加圧することができる。
これらを用いることにより、パイロフィライト円筒36内を所定の温度に正確に制御して加熱することができるとともに、パイロフィライト円筒36内に上限方向から均一に、面内バラツキがないように、加圧することができる。
充填用粉末37としては、NaCl+xwt.%ZnO2粉末(0≦x≦20)を挙げることができる。
カプセル41としては、径0.5mm以上、厚さ0.1mm以上の空洞部を有する容器を用いることが好ましい。これにより、切削工具に加工できる大きさ(径0.5mm以上、厚さ0.1mm以上の板状体)の六方晶窒化タングステン系焼結体を合成できる。容器の形状・大きさを適宜設定することにより、六方晶窒化タングステン系焼結体の形状・大きさを設定できる。
原料粉末42に用いる六方晶窒化タングステン粉末の粒径は20μm以下とすることが好ましい。例えば、篩を用いる。これにより、焼結体の硬度の均一性を高めることができるとともに、焼結体の表面をより平坦にすることができる。
これにより、化学式WNで表される六方晶窒化タングステン結晶12のNの一部がCで置き換えられた固溶体を含む六方晶窒化タングステン系焼結体を合成できる。
Cの一部ないし、大半がNと置換することにより、鉄と反応しにくい窒化タングステン系焼結体を合成できる。
加圧加熱工程S2では、高圧セル26を0.98MPa以上での加圧と1200℃以上での加熱を同時に行う。これにより、密度が80vol%.以上の六方晶窒化タングステン系焼結体を合成することができる。密度が80vol.%以上とすることにより、炭化タングステンと同程度以上の硬度を有する、超硬質材料を合成できる。
また、1200℃未満では完全に焼結させることができない。
まず、原料粉末に用いる六方晶窒化タングステン粉末は、篩を用いて、粒径を20μm以下とした。
次に、この原料粉末を、径5mm、厚さ1.0mmの略円板状の空洞部を有するTa製の容器からなるカプセル内に充填した。
次に、常温常圧に戻してから、カプセル内から実施例1のサンプルである焼結体(WN、1400℃)を取り出した。
焼結温度を1600℃とした他は実施例1と同様にして、実施例2のサンプルである焼結体(WN、1600℃)を製造した。
焼結温度を2000℃とした他は実施例1と同様にして、実施例3のサンプルである焼結体(WN、2000℃)を製造した。
焼結温度を2200℃とした他は実施例1と同様にして、実施例4のサンプルである焼結体(WN、2200℃)を製造した。
原料粉末に焼結助剤としてコバルト粉末を10wt.%添加した他は実施例1と同様にして、実施例5のサンプルである焼結体(WN+10wt.%Co)を製造した。
図8は、化学式WN+10wt.%Coサンプルの外観・大きさを示す写真である。
径が5mm、厚さが1mmの円板状体が得られた。密度は90vol.%であった。
原料粉末に第2の原料粉末としてWC粉末を80wt.%添加した他は実施例1と同様にして、実施例6のサンプルである焼結体(20WN−80WC、1400℃)を製造した。
これは、炭化タングステン(WC)と窒化タングステン(WN)を4:1(mol)で混合焼結したサンプルである。
原料粉末に第2の原料粉末としてWC粉末を80wt.%添加し、焼結温度を1600℃とした他は実施例1と同様にして、実施例7のサンプルである焼結体(20WN−80WC、1600℃)を製造した。
原料粉末に第2の原料粉末としてWC粉末を80wt.%添加し、焼結温度を1800℃とした他は実施例1と同様にして、実施例8のサンプルである焼結体(20WN−80WC、1800℃)を製造した。
原料粉末に第2の原料粉末としてWC粉末を80wt.%添加し、焼結温度を2000℃とした他は実施例1と同様にして、実施例9のサンプルである焼結体(20WN−80WC、2000℃)を製造した。
原料粉末としてWNの代わりにWCを用いた他は実施例1と同様にして、比較例1のサンプルである焼結体(WC、1400℃)を製造した。
図9は、化学式WNサンプルのビッカース硬度の焼結温度依存性を示すグラフである(実施例1〜4)。WN系では、2000℃で焼結した実施例3サンプルの硬度が約9.8GPaと最も高くなった。
図10から、WCとWNの混合焼結体である20WN−80WC(実施例6)のXRDプロファイルから、実施例6サンプルではWCとWNは相分離しておらず、固溶体として焼結していることが判明した。
1400℃と2000℃の温度範囲では、ビッカース硬度と焼結温度との間に、焼結温度の上昇と共に、線形で単純増加する比例関係が見られた。
20WN−80WC系では、2000℃で焼結した実施例9サンプルの硬度が、約21GPaと最も高くなった。
Claims (16)
- 六方晶窒化タングステン粉末からなる原料粉末を高圧装置内に配置する工程と、
前記原料粉末に対して0.98MPa以上での加圧と1200℃以上での加熱を同時に行う工程と、を有することを特徴とする六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。 - 前記原料粉末をカプセルに充填し、前記カプセルを高圧セル内に配置してから、前記高圧セルを前記高圧装置のガスケット内に配置することを特徴とする請求項1に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
- 前記六方晶窒化タングステン粉末の粒径が20μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
- 前記カプセル内に炭化タングステン粉末からなる第2の原料粉末を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
- 前記カプセル内に焼結助剤粉末を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
- 前記焼結助剤粉末がコバルト粉末であることを特徴とする請求項5に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
- 前記高圧セル内で前記カプセルを充填用粉末で取り囲んで配置することを特徴とする請求項1に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体の製造方法。
- 六方晶窒化タングステン結晶が焼結された多結晶体であることを特徴とする六方晶窒化タングステン系焼結体。
- 化学式WNで表される六方晶窒化タングステン結晶のNの一部がCで置き換えられた固溶体が含まれていることを特徴とする請求項8に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
- 結晶粒間に焼結助剤Coが介在されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
- 化学式WNで表されることを特徴とする請求項7に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
- 化学式WN(1−x)Cxで表され、式中0<x≦0.99であることを特徴とする請求項9に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
- 化学式WN+yCoで表され、式中0<y≦50wt.%であることを特徴とする請求項10に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
- 化学式WN(1−x)Cx+yCoで表され、式中0<x≦0.99、0<y≦50wt.%であることを特徴とする請求項10に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
- 径0.5mm以上、厚さ0.1mm以上の板状体であることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
- 密度が80vol.%以上であることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載の六方晶窒化タングステン系焼結体。
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