JP2015072889A - 発光素子 - Google Patents

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亮一 石松
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成行 松波
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知彦 江面
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千波矢 安達
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稔彦 今任
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Takashi Kasahara
崇史 笠原
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美帆 津脇
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Abstract

【課題】一対の電極の間に発光溶液を充填した発光素子の発光効率を高める。
【解決手段】マイクロ流路デバイス2では、流路空間14に発光溶液Lを確実に通過させることができるとともに、電源5により第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18bに電圧を印加することで、流路空間14を流れる発光溶液Lを発光させる。発光材料として遅延蛍光材料を採用し、発光量子収率を高くする。
【選択図】図4

Description

本発明は、一対の電極の間に発光材料と溶媒を含む発光溶液を充填した構造を有する発光素子に関するものである。
一対の電極の間に発光材料を配置した構造を有する素子に関する研究が活発に行われている。その中には、一対の電極の間に発光材料と溶媒を含む発光溶液を充填した構造を有する発光素子(電気化学発光素子)に関するものもある。電気化学発光素子は、陽極と陰極の間に電圧を印加することにより陽極側で酸化反応を進行させるとともに陰極側で還元反応を進行させ、その酸化種と還元種の衝突により生成する励起子から発光を得るものである。発光溶液を用いた電気化学発光素子は、コストがかかる真空蒸着法を用いずに製造することができ、大面積化も容易で、低電圧で駆動可能であることから、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の欠点を克服した発光素子として注目されている。このため近年では、電気化学発光素子を表示装置や面発光光源、さらには免疫測定装置へ応用することが検討されている。
電気化学発光素子には、電気化学発光を示す発光分子を用いることが必要とされる。そのような発光分子として、トリス(2,2'−ビピリジル)ルテニウム[Ru(bpy)3]が、中性溶液で高輝度を得やすい材料として知られている。このため、Ru(bpy)3については多くの報告例があり、近年は免疫測定法への応用も報告されている(特許文献1)。
しかしながら、電気化学発光現象は、電極表面でのみ発光が行われるために高輝度化することが難しい。また、トリス(2,2'−ビピリジル)ルテニウムそのものの蛍光量子収率も6%前後の低い値である(非特許文献1)。トリス(2,2'−ビピリジル)ルテニウムに代わる発光量子収率の高いイリジウム錯体を検討することも試みられているが(非特許文献2)、該イリジウム錯体の価格が高いこともあり、実用化には結びついていない。
特開平10−111293号公報
Phys. Chem. Chem. Phys., 2009, 11, 9850-9860 J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 1614-1615
このように、電気化学発光素子は有機エレクトロルミネッセンス素子の欠点を克服しうるものであるにもかかわらず、高い発光量子収率を実現しうる実用的な発光材料が見出されるに至っていないため、広く普及するに至っていないという課題がある。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題をまったく新しい着眼点から解決することを試みた。すなわち、電気化学発光素子の発光量子収率を飛躍的に高くすることが可能な発光材料を提供することを目的として鋭意検討を進めた。
上記目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、遅延蛍光材料を発光材料として用いることにより電気化学発光素子の発光量子収率を飛躍的に高くすることができることを見出した。本発明者らは、この知見に基づいて以下に記載される本発明を提供するに至った。
[1] 一対の電極の間に発光材料と溶媒を含む発光溶液を充填した発光素子であって、前記発光材料が遅延蛍光材料であることを特徴とする発光素子。
[2] 前記発光材料が熱活性型遅延蛍光材料からなることを特徴とする、[1]に記載の発光素子。
[3] 前記発光材料が下記一般式(1)で表される構造を有する1種以上の化合物からなることを特徴とする、[1]または[2]に記載の発光素子。
[一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは下記一般式(11)で表される基を表し、残りのR1〜R5は水素原子または置換基を表す。]
[一般式(11)において、R21〜R28は、各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、下記<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。
<A> R25およびR26は一緒になって単結合を形成する。
<B> R27およびR28は一緒になって置換もしくは無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。]
[4] R1〜R5の少なくとも1つが置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表すことを特徴とする、[3]に記載の発光素子。
[5] R1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかを表すことを特徴とする、[3]に記載の発光素子。
[6] 前記溶媒が有機溶剤であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の発光素子。
[7] 前記有機溶媒の室温における比誘電率が1.9〜90であることを特徴とする、[6]に記載の発光素子。
[8] 前記有機溶剤が、アルコール、有機ハロゲン化溶剤、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゾンニトリル、シクロヘキサン、n−ヘキサン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ニトロベンゼンおよび1,3−ジオキソランからなる群より選択される1種以上の溶剤であることを特徴とする、[6]または[7]のいずれか1項に記載の発光素子。
[9] 前記発光材料の前記発光溶液中での濃度が0.0001〜1mol/Lであることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の発光素子。
[10] 前記一対の電極の間の距離が100μm以下であることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の発光素子。
[11] 前記一対の電極に直流電圧を印加して前記発光溶液を発光させることを特徴とする、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の発光素子。
[12] 前記一対の電極に交流電圧を印加して前記発光溶液を発光させることを特徴とする、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の発光素子。
[13] 前記発光材料を流すマイクロ流路デバイスを備えた[1]〜[12]のいずれか1項に記載の発光素子であって、
前記マイクロ流路デバイスは、流路空間となる流路溝を接合面に有し、該流路溝を除いた前記接合面にだけ選択的に第1自己組織化単分子膜が形成された第1基板と;前記第1基板の接合面と対向する接合対向面に、第2自己組織化単分子膜が形成された第2基板とを備え;前記第1自己組織化単分子膜の末端官能基と、前記第2自己組織化単分子膜の末端官能基とが結合して前記第1基板および前記第2基板が接合し、前記第1基板および前記第2基板間に中空の前記流路空間が形成されており;前記第1基板には、第1電極が前記流路溝内に形成されており;前記第2基板には、少なくとも一部を前記第1電極と対向させた第2電極が、前記接合対向面に形成されている発光素子。
一対の電極の間に発光材料を配置した構造を有する本発明の発光素子は、発光材料として遅延蛍光材料を採用しているため、同じ構造を有する従来の発光素子よりも発光量子収率を高くすることができる。
マイクロ流路デバイスを用いた発光素子例の全体構成を示す概略図である。 発光原理の説明に供する概略図である。 マイクロ流路デバイスの詳細構成を示す分解斜視図である。 マイクロ流路デバイスの側断面構成を示す断面図である。 第1基板の製造方法の説明に供する概略図である。 第1基板の製造方法の説明に供する概略図である。 第1基板の製造方法の説明に供する概略図である。 第2基板の製造方法の説明に供する概略図である。 第1自己組織化単分子膜及び第2自己組織化単分子膜の成膜方法の説明に供する概略図である。 第1基板及び第2基板の側断面構成を示す断面図である。 第1自己組織化単分子膜と第2自己組織化単分子膜との結合を示す化学式である マイクロ流路デバイスの流路空間の様子を示す超音波顕微鏡のよる写真である。 他の実施の形態による発光素子の全体構成を示す概略図である。 実施例1で用いた電気化学発光の測定装置の概略図である。 化合物301のフォトルミネッセンスの過渡減衰曲線である。 化合物301とRu(bpy)3の電気化学発光強度の変化を比較したグラフである。 化合物301の電気化学発光(ECL)とフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルである。 化合物501の電気化学発光強度の変化を示すグラフである。 化合物501の電気化学発光(ECL)とフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルである。 化合物1の電気化学発光強度の変化を示すグラフである。 化合物1の電気化学発光(ECL)とフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルである。 化合物523の電気化学発光強度の変化を示すグラフである。 化合物523の電気化学発光(ECL)とフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルである。 化合物306のフォトルミネッセンスの過渡減衰曲線である。 化合物306の電気化学発光強度の変化を示すグラフである。 化合物306の電気化学発光(ECL)とフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルである。 化合物304のフォトルミネッセンスの過渡減衰曲線である。 化合物304の電気化学発光強度の変化を示すグラフである。 化合物304の電気化学発光(ECL)とフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルである。 化合物307のフォトルミネッセンスの過渡減衰曲線である。 化合物307の電気化学発光強度の変化を示すグラフである。 化合物307の電気化学発光(ECL)とフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルである。 化合物305のフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルである。 化合物305の電気化学発光(ECL)のスペクトルである。 実施例9で製造した発光素子の構造を説明する斜視図である。 実施例9の発光素子の発光を示す写真である。 実施例10の発光素子の発光を示す写真である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[遅延蛍光材料]
本発明の発光素子は、一対の電極の間に発光材料と溶媒を含む発光溶液を充填した構造を有するものであり、その発光材料として遅延蛍光材料(遅延蛍光体)を用いることを特徴とするものである。そこでまず、遅延蛍光材料について説明する。
遅延蛍光とは、通常の蛍光と同じスペクトルをもつものでありながら、通常の蛍光よりも寿命が長い蛍光である。遅延蛍光材料は、このような遅延蛍光を放射する材料を意味する。遅延蛍光材料が放射する遅延蛍光の寿命は、例えば1μs以上であるものや、5μs以上であるものや、10μs以上であるものなど、遅延蛍光材料の種類によって異なる。本発明では、このような性質を有する遅延蛍光材料を発光材料として選択して用いる。本発明で用いる遅延蛍光材料の遅延蛍光放射のメカニズムについては特に制限されない。遅延蛍光は、励起三重項状態から励起一重項状態へ逆項間交差されて放射される蛍光を包含するものであるが、このときの逆項間交差は三重項−三重項消滅によるものであっても、熱エネルギーの吸収によるものであってよい。また遅延蛍光は、エキサイプレックスが関与するものであってもよい。また、本発明で用いる遅延蛍光材料は、熱によって活性化する熱活性型遅延蛍光材料であることが好ましい。
本発明では、発光材料として遅延蛍光材料のみを用いてもよいし、遅延蛍光材料と遅延蛍光を放射しない発光材料を組み合わせて使用してもよい。好ましいのは、遅延蛍光材料のみを用いる態様である。本発明の発光材料として使用する遅延蛍光材料は、1種のみであってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
本発明で用いることができる遅延蛍光材料として、例えば下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を好ましい具体例として挙げることができる。
一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表す。いずれか1つがシアノ基である場合は、R1〜R3のいずれであってもよい。いずれか2つがシアノ基である場合は、R1とR3の組み合わせや、R2とR4の組み合わせを例示することができる。いずれか3つがシアノ基である場合は、R1とR3とR4の組み合わせを例示することができる。
一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つは下記一般式(11)で表される基を表す。2つ以上が一般式(11)で表される基を表すとき、それらは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることがより好ましい。
一般式(11)において、R21〜R28は、各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、下記<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。両方とも満たしている場合がより好ましい。
<A> R25およびR26は一緒になって単結合を形成する。
<B> R27およびR28は一緒になって置換もしくは無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。
一般式(11)で表される基は、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であることが好ましい。すなわち、一般式(1)のR1〜R5のいずれか1つは、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であることが好ましい。一般式(1)のR1〜R5のいずれか2つ以上が、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であることがより好ましい。
一般式(11)で表される基は、例えば下記一般式(12)〜(15)のいずれかで表される構造を有するものであることが好ましい。特に下記一般式(12)で表される構造を有するものであることが好ましい。
一般式(12)〜(15)において、R31〜R38、R41〜R46、R51〜R62およびR71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。一般式(12)〜(15)で表される基が置換基を有するときの置換位置や置換数は特に制限されない。各基の置換数は、0〜6個が好ましく、0〜4個がより好ましく、例えば0〜2個とすることも好ましい。複数の置換基を有するとき、それらは互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることがより好ましい。
一般式(12)で表される基が置換基を有する場合は、R32〜R37のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R32とR37が置換基である場合、R33とR36が置換基である場合、R34とR35が置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(13)で表される基が置換基を有する場合は、R42〜R46のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R42が置換基である場合と、R43が置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(14)で表される基が置換基を有する場合は、R52〜R60のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R52〜R54のいずれかがが置換基である場合、R55〜R60のいずれかが置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(15)で表される基が置換基を有する場合は、R72〜R74およびR77〜R79のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R72とR79が置換基である場合、R73とR78が置換基である場合、R74とR77が置換基である場合、R72、R74、R77およびR79が置換基である場合を好ましく例示することができる。特に、R74とR77が置換基である場合、R72、R74、R77およびR79が置換基である場合をより好ましく例示することができる。このときの置換基は、各々独立に炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、または炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基であることが特に好ましく、炭素数1〜6の無置換のアルキル基、炭素数6〜10の無置換のアリール基、または炭素数6〜10のアリール基で置換された炭素数6〜10のアリール基であることがさらにより好ましい。
一般式(11)のR21〜R28、一般式(12)のR31〜R38、一般式(13)のR41〜R46、一般式(14)のR51〜R62および、一般式(15)のR71〜R80がとりうる置換基として、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数12〜40のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基である。さらに好ましい置換基は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
本明細書でいうアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。アリール基は、単環でも融合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アルコキシ基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソプロピポキシ基を挙げることができる。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は、各々独立に直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。アリール基は、単環でも融合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。ヘテロアリール基も、単環でも融合環でもよく、具体例としてピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、トリアジル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基を挙げることができる。これらのヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して結合する基であっても、ヘテロアリール環を構成する炭素原子を介して結合する基であってもよい。
一般式(1)において、R1〜R5のいずれか1つが一般式(11)で表される基である場合は、R1〜R3のいずれであってもよい。いずれか2つが一般式(11)で表される基である場合は、R1とR3の組み合わせや、R2とR4の組み合わせを例示することができる。いずれか3つが一般式(11)で表される基である場合は、R1とR3とR4の組み合わせを例示することができる。
一般式(11)で表される基が結合しているベンゼン環の2つのオルト位のうちのいずれか一方はシアノ基であることが好ましい。2つのオルト位の両方がシアノ基であってもよい。また、ベンゼン環に一般式(11)で表される基が2つ以上結合している場合は、それらのうちの少なくとも2つが、一般式(11)で表される基が結合しているベンゼン環の2つのオルト位のうちのいずれか一方はシアノ基であるという条件を満たしていることが好ましい。
一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは上記一般式(11)で表される基を表すが、残りのR1〜R5は水素原子または置換基を表す。
1〜R5がとりうる好ましい置換基として、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。さらに好ましい置換基は、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。さらになお好ましくは、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子である。
一般式(1)において、R1〜R5のうち水素原子であるものは3つ以下であることが好ましく、2つ以下であることがより好ましく、1つ以下であることがさらに好ましく、0であることも好ましい。
好ましい組み合わせとして、例えば、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかである場合を挙げることができる。別の好ましい組み合わせとして、R1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立に置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかである場合を挙げることもできる。別の好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基のいずれかである場合を挙げることもできる。別の好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基である場合を挙げることもできる。別の好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、R1〜R5の少なくとも1つがヒドロキシ基であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基である場合を挙げることもできる。別の好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、R1〜R5の少なくとも1つがハロゲン原子であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基である場合を挙げることもできる。
以下において、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明において用いることができる一般式(1)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下の例示化合物において、一般式(12)〜(15)のいずれかで表される基が分子内に2つ以上存在している場合、それらの基はすべて同一の構造を有する。例えば、表1の化合物1では、一般式(1)のR1、R2、R4およびR5が一般式(12)で表される基であるが、それらの基はいずれも無置換の9−カルバゾリル基である。
一般式(1)で表される化合物の合成法は特に制限されない。一般式(1)で表される化合物の合成は、既知の合成法や条件を適宜組み合わせることにより行うことができる。
例えば、好ましい合成法として、テトラフルオロジシアノベンゼンを用意して、これをカルバゾール、インドール、ジアリールアミン等と反応させる方法を挙げることができる。これによって、一般式(1)のR1〜R5のいずれか1つがシアノ基で、残りがカルバゾリル基、インドリル基またはジアリールアミノ基である化合物を合成することができる。出発物質としてトリフルオロトリシアノベンゼンを用いれば、一般式(1)のR1〜R5のいずれか2つがシアノ基で、残りがカルバゾリル基、インドリル基またはジアリールアミノ基である化合物を合成することができる。また、さらに水を添加して超音波照射する等の工程を実施することにより、ベンゼン環にヒドロキシ基を導入することもできる。
[発光溶液]
本発明の発光素子には、発光材料である遅延蛍光材料を溶媒に溶解させた発光溶液を用いる。
本発明で用いる溶媒は、使用する遅延蛍光材料の溶解性に応じてその種類を選択することができる。通常は、溶媒として有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は、室温における比誘電率が1.9以上であるものを採用することが好ましく、5以上であるものを採用することがより好ましく、10以上であるものを採用することがさらに好ましい。また、上限値については、90以下であるものを採用することが好ましく、50以下であるものを採用することがより好ましく、40以下であるものを採用することがさらに好ましい。
本発明で採用することができる有機溶剤の例として、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、及びクロロナフタレンなどの有機ハロゲン化溶剤、およびトルエン、テトラヒドロフラン、ベンゾンニトリル、シクロヘキサン、n−ヘキサン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ニトロベンゼン、1,3−ジオキソランを挙げることができるが、本発明で用いることができる溶剤はこれらに限定されるものではない。
発光材料の発光溶液中での濃度は、0.0001mol/L以上であることが好ましく、
0.0005mol/L以上であることがより好ましく、0.001mol/L以上であることがさらに好ましい。また、上限値については、1mol/L以下であることが好ましく、0.01mol/L以下であることがさらに好ましい。
発光溶液には、発光材料や溶媒の他に、電気化学発光素子の発光溶液に添加することが可能な添加剤を適宜選択して添加してもよい。例えば、テトラプロピルアンモニウムやペルオキシ2硫酸などを添加することが可能である。発光溶液中におけるこれらの添加剤の添加量は、0.01mol/L以上であることが好ましく、0.1mol/L以上であることがより好ましい。また、上限値については1mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以下であることがより好ましい。
[電極]
本発明の発光素子は、発光溶液を一対の電極の間に充填した構造を有する。一対の電極は、一対の平板状の電極を互いに平行になるように設置したものであってもよいし、一対の櫛型電極を交互に対電極の間に入り込むように配置したものであってもよい。発光溶液からの発光を外部に取り出す必要があるため、一対の電極の少なくとも一方を透明電極とするのが一般的である。
透明電極材料として、ITO(インジウムスズオキシド)、IGZO(インジウムガリウム亜鉛オキシド)、IZO(インジウム亜鉛オキシド)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化錫/アンチモン、酸化インジウム/酸化亜鉛、酸化ガリウム/酸化亜鉛化合物等を挙げることができる。
一方、透明性を問わない電極材料として、金属や導電性樹脂を挙げることができる。金属としては、アルミニウム、パラジウム、白金、錫、鉛、鉄、金、銀、銅、ニッケル、マンガン、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、ルテニウム等を挙げることができ、これらの合金も用いることができる。また、導電性樹脂としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどを挙げることができる。さらに、導電性炭素材料を使用することも可能である。
電極の厚みは、通常5nm以上であり、1mm以下にすることが好ましい。透明性を確保したい場合は、10μm以下にすることが好ましく、5μm以下にすることがより好ましく、1μm以下にすることがさらに好ましい。
電極は、多孔質材料で構成されていてもよい。電気化学発光素子は、陽極と陰極の間に電圧を印加することにより陽極側で酸化反応を進行させるとともに陰極側で還元反応を進行させ、酸化された酸化発光分子と還元された還元発光分子を接触させることにより発光させるものである。このため、酸化発光分子と還元発光分子の発生効率と酸化発光分子と還元発光分子の衝突頻度が高いほど、発光効率は向上する。したがって、電極を多孔質にすれば、電極上での酸化還元反応の速度を速くして発光効率を一段と向上させることが可能になる。例えば、電極形成面の面積(a)に対する電極表面積(s)の比(s/a)を5倍以上にすることが好ましく、10倍以上にすることがより好ましく、50倍以上にすることがさらに好ましい。このような多孔質電極は、例えば導電性微粒子を結着させたり、めっきしたりすることにより形成することができる。
[基板]
電極は、基板上に形成することができる。特にパターン化した電極を採用したい場合は、基板上にパターン化した電極を形成することが好ましい。基板は電極を表面に保持することが可能で、発光溶液が浸透しない材質で形成されていることが好ましい。発光溶液からの発光を外部に取り出す必要があるため、通常は一対の電極の少なくとも一方を透明電極とし、該透明電極を透明基板上に形成することが行われる。透明性は、発光溶液から発光される光を活用することができる程度の透明度であればよく、発光素子の使用目的や使用態様を考慮して適宜決定することができる。通常は、電極を形成した基板の透過率が70%以上となるように設計し、用途によっては80%以上や90%以上にすることが好ましい。
透明基板としては、例えばガラスや透明樹脂を採用することができる。透明樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリシクロオレフィンなどを挙げることができる。
また、透明性を問わない基板としては、例えばガラス、金属、樹脂、あるいはこれらを組み合わせて積層した積層体を採用することができる。金属としては銅、ステンレス、アルミニウムなどを挙げることができ、樹脂としては上記の透明樹脂の他にポリイミド、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)なども挙げることができる。
基板の厚さについては特に制限されず、要求される強度や重量や透明性を考慮して適宜決定することができる。したがって、フィルム状の薄膜であってもよい。基板の厚みは、通常は10μm以上にし、100μm以上や1mm以上であってもよい。また、上限には特に制限はなく、例えば10cm以下、1cm以下としてもよい。
また、基板の水蒸気透過性やガス透過性を下げるために、基板表面にはバリア層を設けてもよい。例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などの無機バリア層や、無機層と有機層の複合層などを基板表面に形成してもよい。これらのバリア層は、蒸着法やスピンコーティングなどの塗布法などを適宜選択したり組み合わせたりして形成することができる。
基板表面に電極を形成する方法は特に制限されず、真空蒸着法、スパッタ法、スピンコート法、スプレー法、ゾルゲル法、めっき法などを適宜選択して採用することができる。また、基板表面に電極層を形成しておいて、選択的エッチングやリソグラフィーなどにより所望の形状に電極をパターニングすることができる。
一対の電極の間に発光溶液を充填した構造単位は、表示装置の1つの画素として機能しうる。照明装置などに利用する場合は、一対の電極のみから構成されるものであっても構わないが、画像表示を目的とする発光素子を製造する場合は、一対の基板上には一対の電極の組を複数形成しておくことが好ましい。このとき、一対の基板上に形成する一対の電極の組の形成パターンは、発光素子の要求性能や使用態様に応じて自由に設計することができる。例えば、2以上の行からなる行電極を対抗する基板どうしが直角になるように配置する単純マトリクス方式を始めとする公知の方式のいずれを採用することも可能であり、その態様は制限されない。
[流路]
本発明の発光素子は、一対の電極の間に充填される発光溶液が流路により導入されるように構成されているものであってもよい。例えば、一対の基板内に一対の電極の組が2組以上形成されており、各組の一対の電極間に充填される発光溶液が互いに流路で連結しているものであってもよい。流路は基板に形成されている一対の電極の組の数や配置によって、自由に設計することができる。すべての電極の組が1つの流路で連結していてもよいし、流路は複数本存在していてもよい。流路の幅(電極間ピッチ)は例えば10mm以下に設計してマイクロ流路とすることも可能であり、コンパクトな発光素子とすることも可能である。流路は、一対の電極間にスペーサーを設置することによって形成してもよい。スペーサーとしては公知の材料を用いることが可能である。また流路は、断面が矩形の板状体や帯状体の中を貫通するものであってもよい。
このように発光素子内に流路を設けることにより、それぞれの一対の電極間に均質な発光溶液を容易に充填したり交換したりすることができる。このため、発光素子の用途に応じて発光溶液を交換することにより、発光色を変えたり、発光強度を変えたり、劣化した溶液を新しい溶液に換えることが容易に行える。また、特定の画素を連結する流路を複数本設けておけば、特定の画素の色や強度だけを選択的に変更させることが可能である。また、複数本の流路を利用して発光溶液をそれぞれ変更することにより、表示装置全体で表示させる画像そのものを変えたり、一部のみを強調表示したりすることも可能である。
[作動]
本発明の発光素子は、一対の電極に電圧を印加することにより発光させる。このとき一対の電極に直流電圧を印加してもよいし、交流電圧を印加してもよい。交流電圧を印加すれば、酸化発光分子と還元発光分子とが衝突して発光するまでに発光溶液を縦断する必要がないため、電極近傍で両者が効率良く衝突して発光する。このため、交流電圧を印加すれば、応答速度が速くて発光効率が高くなる傾向がある。発光溶液の粘度が高い場合には、交流電圧を印加することによる利点はより大きくなる。
交流電圧を印加する場合の周波数は、本発明の発光素子の作動環境や使用目的に応じて決定することができる。通常は50Hz以上にすることが好ましい。上限は例えば1500Hz以下にすることができ、700Hz以下にすることが好ましい。また、交流電圧を印加する場合は、方形波にすることが発光効率を一段と向上させることができる点で好ましい。
[用途]
本発明の発光素子は、高効率発光体として知られているトリス(2,2'−ビピリジル)ルテニウムの発光溶液を用いた電気化学発光素子よりも、格段に高い量子発光収率を達成することができる。また、ルテニウムのような貴金属を使用する必要がなく、高価な製造装置を用いずに簡便な方法で製造することができるため、安価に提供することができる。さらに、本発明の発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子等よりも低電圧で駆動させることが可能であることから、作動コストも抑えることができる。また本発明の発光素子は、電極間ピッチを例えば10mm以下に設計することも可能であることから、コンパクトで携帯可能な発光素子とすることもできる。さらに、本発明の発光素子は、発光溶液を容易に変えることができるため、発光態様の変更が容易で長期間の使用も可能である。
以上の特徴を有することから、本発明の発光素子は様々な用途に効果的に応用されうるものである。例えば、照明装置や面発光光源といった光源としての用途はもちろんのこと、画像を表示させることを目的とした画像表示装置としての用途にも用いられる。さらに、本発明の発光素子を利用して免疫測定などの測定装置とすることも可能である。例えば、マイクロチップ内に平行な2つの透明流路を設けておき、一方に本発明の発光溶液を充填して本発明にしたがって発光させ、もう一方の流路により充填されたレゾルフィンを含む測定用蛍光試料溶液から放射される蛍光を有機フォトダイオードで検出するマイクロ蛍光検出装置とすることが可能である。このような検出装置によれば、少量の試料で高感度の検出が可能である。
[マイクロ流路デバイスを用いた発光素子]
本発明の発光素子には、マイクロ流路デバイスを好ましく採用することができる。
図1は、マイクロ流路デバイス2を用いた発光素子を示し、この発光素子1は、マイクロ流路デバイス2に配線4を介して電源5が接続された構成を有する。ここで、発光素子1は、複数の第1電極11a,11b,11cと複数の第2電極18a,18b,18cとがマイクロ流路デバイス2に設けられており、これら第1電極11a,11b,11cと第2電極18a,18b,18cとに配線を介してそれぞれ個別に電源が設けられている。なお、図1では、説明の便宜上、1つの第1電極11bおよび第2電極18bにだけ配線4を介して共通の電源5を接続した構成とし、その他の第1電極11a,11cおよび第2電極18a,18cに対して接続した電源については省略している。
ここで、この実施の形態の場合、マイクロ流路デバイス2は、全体が偏平状に形成されており、その中に流路空間14が構成される。流路空間14の幅は約10〜2000μm、奥行きは約10〜200mm、厚さ(電極間距離)が約1〜100μmに選定され、全体がマイクロサイズに形成されている。このマイクロ流路デバイス2は、複数の第1電極11a,11b,11cが設けられた第1基板7と、複数の第2電極18a,18b,18cが設けられた第2基板8とが接合された構成を有し、これら第1基板7および第2基板8間に中空の流路空間14が形成されている。ここで、マイクロ流路デバイス2では、第1基板7が支持基板10上に流路形成層12を設けた構成を有しており、この流路形成層12に流路空間14が形成され、支持基板10、流路形成層12および第2基板8により流路空間14が取り囲まれている。
この実施の形態の場合、マイクロ流路デバイス2には、同一構成でなる複数(この場合、3つ)の流路空間14が形成されており、各流路空間14内にそれぞれ発光溶液が流れるように構成されている。なお、この場合、マイクロ流路デバイス2には、直線状に形成された複数の流路空間14が長手方向を平行にして並走するように配置されている。
各流路空間14には、一端に流入口2aが形成されているとともに、他端に流出口2bが形成されており、流入口2aおよび流出口2bに例えばチューブ部材(図示せず)がそれぞれ接続され得る。マイクロ流路デバイス2は、上流側のチューブ部材によって一端の流入口2aから流路空間14に発光溶液が供給されると、当該発光溶液が流路空間14を通過して他端の流出口2bから下流側のチューブ部材に流出し、各流路空間14にそれぞれ異なる発光溶液が流れ得るようになされている。
発光材料を各種有機溶剤に溶かした発光溶液Lを用いたときには、電気化学発光(Electrochemiluminescence:ECL)による発光原理により発光し得る。図2は、このECLによる発光原理の説明に供する概略図である。この場合、発光素子1では、図2に示すように、第1電極11bおよび第2電極18bに対し電源5により電圧が印加され、第1電極11bおよび第2電極18b間の流路空間14にルブレン等の発光溶液Lが流れると、アノードとなる第1電極11bで生成されたカチオンラジカルR+と、カソードとなる第2電極18bで生成されたアニオンラジカルR-とが発光溶液L中で衝突し、基底状態および励起状態の中性分子が生成され、励起状態の中性分子が基底状態に戻る際に発光し得るようになされている。
なお、この発光素子1では、流入口2aから流出口2bに向けて流路空間14を発光溶液Lが常に、或いは断続的に流れており、流路空間14内に劣化した発光溶液Lが留まることなく、新しい発光溶液Lが流路空間14に供給され続け、長時間、最適な発光状態を維持し得るようになされている。
実際上、このマイクロ流路デバイス2は、図3に示すように、第1基板7の流路形成層12上に第2基板8が配置され、下から順に支持基板10、流路形成層12および第2基板8が積層された構成を有する。ここで、第1基板7を構成する支持基板10は、例えばガラスや、ポリエステル(PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート))、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂部材等の各種材料からなり、板状、もしくはシート状で外郭が四辺状に形成され、流路形成層12が積層される一面が平坦に形成されている。なお、マイクロ流路デバイス2は、透明性を有した各種材料にて支持基板10を形成することで、流路空間14を流れる発光溶液Lの発光状態を第1基板7側の外部から視認し得る。
これに加えて支持基板10の一面には、帯状でなる複数の第1電極11a,11b,11cが長手方向を揃えて並走するように配置されており、流路形成層12の溝形成貫通孔15がこれら第1電極11a,11b,11cに対向するように当該流路形成層12が積層され得る。これにより第1基板7には、流路形成層12の溝形成貫通孔15内に支持基板10の第1電極11a,11b,11cが露出し、これら溝形成貫通孔15と第1電極11a,11b,11cとにより断面凹状の流路溝が形成され得る。なお、この第1電極11a,11b,11cは例えばITO、IZO、ZnO等の透明電極の他、金、白金、銀、マグネシウムやリチウム、アルミニウムなどの金属、またそれらの合金にて形成され得る。
流路形成層12は、例えばネガ型感光性樹脂により形成されており、四辺状の外郭寸法が支持基板10の枠内に収まるように形成され、長手方向が支持基板10の長手方向とほぼ平行にして設けられている。また、この流路形成層12には、帯状に形成された溝形成貫通孔15の両端に、流入口2aおよび流出口2bと連通する円形状の拡径領域15a,15bがそれぞれ設けられており、支持基板10上の第1電極11a,11b,11cに当該拡径領域15a,15bも対向するように配置され得る。
かかる構成に加えて、第1基板7には、流路溝を除いて、第2基板8と対向する流路形成層12の接合面20aに選択的に第1自己組織化単分子膜21aが形成されている。これにより第1基板7は、第2基板8と対向する接合面20aにおける第1自己組織化単分子膜21aの末端官能基に、第2基板8の接合対向面20bに形成された第2自己組織化単分子膜21bの末端官能基が結合し、当該第2基板8が接合され得る。
ここで、第1自己組織化単分子膜21aとしては、末端官能基にエポキシを有する自己組織化単分子で構成されることが好ましく、例えば3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GOPTS、GPTS、GPTMS)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(GPMDES)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一方、第1自己組織化単分子膜21aの末端官能基と結合する第2自己組織化単分子膜21bとしては、末端官能基に−NH2を有する自己組織化単分子で構成されることが好ましく、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
なお、上述した実施の形態においては、末端官能基にエポキシを有する自己組織化単分子膜を第1自己組織化単分子膜21aとして第1基板7に形成し、末端官能基に−NH2を有する自己組織化単分子膜を第2自己組織化単分子膜21bとして第2基板8に形成した場合について述べたが、これとは逆に、末端官能基にエポキシを有する自己組織化単分子膜を第2自己組織化単分子膜として第2基板8に形成し、末端官能基に−NH2を有する自己組織化単分子膜を第1自己組織化単分子膜として第1基板7に形成してもよい。
なお、このような第2自己組織化単分子膜21bが形成される第2基板8は、例えばポリエステル(PET(ポリエチレンテレフタレート)や、PEN(ポリエチレンナフタレート))、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂部材等でなるフィルム状もしくはシート状の各種材料からなり、その外郭が四辺状に形成され、第1基板7の接合面20aに接合される接合対向面20bがほぼ平坦に形成されている。なお、マイクロ流路デバイス2は、透明性を有した各種材料にて第2基板8を形成することで、流路空間14を流れる発光溶液Lの発光状態を第2基板8側の外部から視認し得る。第2基板8の接合対向面20bには、帯状でなる複数の第2電極18a,18b,18cが長手方向を揃えて並走するように配置されており、これら第2電極18a,18b,18cの長手方向が第1基板7の流路溝(すなわち、第1電極11a,11b,11c)の長手方向と直交するように第1基板7に対して配置され得る。
これにより第2基板8は、第1基板7と接合して流路溝の開口を塞いだ際に、第1基板7の流路溝内に第2電極18a,18b,18cの一部を露出させ得るようになされている。かくして、マイクロ流路デバイス2には、第1基板7および第2基板8間に、例えば第1電極11bと一部の第2電極18bとが対向した流路空間14が形成され得る。なお、この第2電極18a,18b,18cは、第1電極11a,11b,11cと同じように、例えばITO、IZO、ZnO等の透明電極の他、金、白金、銀、マグネシウムやリチウム、アルミニウムなどの金属、またそれらの合金にて形成され得る。また、第2基板8には、第2電極18a,18b,18cの周辺所定位置に厚みを貫通した複数の流入口2aおよび流出口2bが設けられている。第2基板8は、これら流入口2aおよび流出口2bが、流路形成層12の拡径領域15a,15bと重なるように流路形成層12に位置決めされ、当該流路形成層12に接合され得る。
因みに、このようなマイクロ流路デバイス2は、支持基板10および第2基板を例えばポリエステル(PET)等の軟質部材で形成し、かつ第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18a,18b,18cも例えばITO等の軟質電極部材で形成することで、使用者が手で湾曲させることもできるシート状のフレキシブルな構成となり得、外力が加わることによる損傷を防止し得る。
ここでマイクロ流路デバイス2は、図1に示したように、第2基板8における第2電極18a,18b,18cの長手方向が、第1基板7における第1電極11a,11b,11cの長手方向と直交するように配置され、第1基板7の一端部が第2基板8の側部から突出した構成を有するとともに、第2基板8の一端部が第1基板7の側部から突出した構成を有する。これによりマイクロ流路デバイス2は、第1基板7の一端部において第1電極11a,11b,11cが第2基板8に重なることなく露出させることができるので、その分、第1電極11a,11b,11cに配線4を容易に接続し得る。また、第2基板8の一端部においても、第2電極18a,18b,18cが第1基板7に重なることなく露出させることができるので、その分、第2電極18a,18b,18cに配線4を容易に接続し得るようになされている。
このような構成を有するマイクロ流路デバイス2は、図1のA−A´部分の側断面構成を示す図4のように、第1基板7の流路溝を除いて接合面20aにだけ選択的に形成された第1自己組織化単分子膜と、第2基板8における接合対向面20bの第2自己組織化単分子膜との末端官能基同士が結合して第1基板7と第2基板8とが接合しており、流路溝が第2基板8と結合することがなく、確実に中空の流路空間14を形成し得、かつ流路空間の特性も変化することなく、第1電極11a,11b,11cや流路形成層12、第2電極18a,18b,18c、第2基板8の有する特性を維持できる。従って、このマイクロ流路デバイス2では、流路空間14に発光溶液Lを確実に通過させることができるとともに、電源5により第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18a,18b,18cに電圧を印加することで、流路空間14を流れる発光溶液Lを発光させ得る。
本発明で好ましく用いることができるマイクロ流路デバイスとして、下記(1)〜(4)のマイクロ流路デバイスを挙げることができる。
(1)流路空間となる流路溝を接合面に有し、該流路溝を除いた前記接合面にだけ選択的に第1自己組織化単分子膜が形成された第1基板と;前記第1基板の接合面と対向する接合対向面に、第2自己組織化単分子膜が形成された第2基板とを備え;前記第1自己組織化単分子膜の末端官能基と、前記第2自己組織化単分子膜の末端官能基とが結合して前記第1基板および前記第2基板が接合し、前記第1基板および前記第2基板間に中空の前記流路空間が形成されていることを特徴とするマイクロ流路デバイス。
(2)前記第2基板には、前記第1基板の前記流路溝に対向する溝対向領域を除いた前記接合対向面にだけ前記第2自己組織化単分子膜が形成されていることを特徴とする(1)に記載のマイクロ流路デバイス。
(3)前記第1基板には、第1電極が前記流路溝内に形成されており;前記第2基板には、少なくとも一部を前記第1電極と対向させた第2電極が、前記接合対向面に形成されていることを特徴とする(1)または(2)に記載のマイクロ流路デバイス。
(4)前記第1電極と前記第2電極とが複数設けられており、前記第1電極および前記第2電極がマトリックス状に配置されていることを特徴とする(3)に記載のマイクロ流路デバイス。
(5)前記第1基板およびまたは前記第2基板には、外部から前記流路空間に発光溶液を流入させる流入口と、前記流路空間の前記発光溶液を外部へ吐出させる流出口とが形成されており;前記第1電極および前記第2電極間に電圧が印加されることで、前記流路空間に流れる前記発光溶液を発光させることを特徴とする(1)〜(4)のうちいずれか1項記載のマイクロ流路デバイス。
[マイクロ流路デバイスの製造]
本発明で採用することができるマイクロ流路デバイスの好ましい製造方法について説明する。ここでは、上記のマイクロ流路デバイス2を例にとってその製造方法を具体的に説明する。
先ず初めに、表面に電極層が形成された板状の支持基板を用意し、この支持基板上の電極層を樹脂マスクパターンによりエッチングして、図5に示すように、支持基板10上に所定形状の第1電極11a,11b,11cを形成する。次いで、第1電極11a,11b,11cが形成された支持基板10上に、例えばネガ型感光性樹脂をスピンコートし、このネガ型感光性樹脂を加熱してプリベークする。次いで、フォトリソグラフィーを行うための露光装置を用いて、図6に示すように、図示しないマスクにより、両端に拡径領域15a,15bを備えた帯状の溝形成貫通孔領域22を露光して可溶化する。
続いて、所定温度にて露光後ベークを行い、現像液で現像し、可溶化した溝形成貫通孔領域22を除去してネガ型感光性樹脂に溝形成貫通孔15を形成した後、さらに所定温度でポストベークし、溝形成貫通孔15の底部に第1電極11a,11b,11cが露出した流路形成層12を支持基板10上に形成する(図示せず)。因みに、流路形成層12は、流路溝の高さや幅を容易に変更できることが望まれることから上述したネガ型感光性樹脂で形成することが好ましく、例えばマイクロケム製(日本化薬)SU−8シリーズやKMPRシリーズ、東京応化工業製TMMR S2000、東レ製フォトニース(感光性ポリイミド)等が用いられる。
これに加えて、例えばダミー樹脂(TSMR:東京応化工業製)等のダミー部材を用意し、図7に示すように、当該ダミー部材23aを流路形成層12の溝形成貫通孔15に注入して所定温度でベークする。このようにして流路溝23内全体をダミー部材23aで覆い、流路溝23内の第1電極11a,11b,11cを外部に非露出状態とさせる。因みに、ダミー部材23aとしては、例えば有機溶剤(アセトン等)に溶解するポジ型レジストである東京応化工業製のTSMRシリーズの他、OFPRシリーズ、Clariant製AZシリーズ等を用いても良い。
また、ダミー部材23aの形成方法としては、流路溝幅が500μm以上で太い場合、ダミー部材23aをシリンジ等で直接なぞり流路溝内にダミー部材23aを設けるようにしてもよい。また、流路幅が細い場合には、基板10上にダミー部材23aをスピンコートした後、マスクを用いてダミー部材を形成したい部分を除いた箇所を露光および現像することでダミー部材23aを形成する方法や、供給口および吐出口を設けた板状部材で流路溝を覆い、当該供給口から流路溝内を介して吐出口からダミー部材23aを送液して流路溝内にダミー部材23aを設け、その後、板状部材を取り外して、流路溝内にだけダミー部材23aを形成するようにしてもよい。
次いで、これとは別に、表面に電極層が形成されたフィルム状の第2基板を用意し、この第2基板上の電極層を樹脂マスクパターンによりエッチングして、図8に示すように、第2基板8上に所定形状の第2電極18a,18b,18cを電極層から形成する。また、この第2基板8には、流路形成層12の溝形成貫通孔15の拡径領域15a,15bに対応する位置に、当該拡径領域15a,15bとほぼ同じ形状および大きさの貫通孔をパンチ加工により穿設し、流入口2aおよび流出口2bを形成する。このようにして、接合対向面20bに第2電極18a,18b,18cが設けられているとともに、流入口2aおよび流出口2bが形成された第2基板8を製造する。
次いで、図9に示すように、第1基板7のダミー部材23aが設けられた接合面20aと、第2基板8の第2電極18bが設けられた接合対向面20bとに対して、エキシマUVランプにより真空紫外光(VUV/O3)を照射し、第1基板7のダミー部材23a上および接合面20aと、第2基板8の接合対向面20bとにそれぞれ酸素含有基(カルボキシル基、ケトン、ヒドロキシル基等)を導入して親水化させる。なお、酸素含有基の導入には、中心波長172nmのエキシマUV装置を用いたVUVまたはVUV/O3処理の他、低圧水銀ランプを用いたUV/O3処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理などを用いても良い。
次いで、第1自己組織化単分子形成溶液(第1SAM形成溶液)に第1基板を浸漬させて、図10Aに示すように、第1基板7の接合面20aと、ダミー部材23a上とに、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GOPTS)のような末端官能基がエポキシでなる第1自己組織化単分子膜21aを形成する。次いで、アセトン等の除去液で第1基板7をリンスし、接合面20aに付着していない残留自己組織化単分子や、流路溝23内のダミー部材23aを除去する。これにより、第1基板7には、流路溝23の底部に第1電極11a,11b,11cが露出し、かつ流路溝23を除いた接合面20aにだけ選択的に第1自己組織化単分子膜21aを形成し得る。
一方、第2基板8は、第2自己組織化単分子形成溶液(第2SAM形成溶液)に浸漬させて、図10Bに示すように、第2基板8の接合対向面20bに、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)のような末端官能基がアミノ基でなる第2自己組織化単分子膜21bを形成する。次いで、第2基板8をエタノール等でリンスして、接合対向面20bに付着されていない残留自己組織化単分子を除去する。このようにして第2基板8には、露出している第2電極18a,18b,18c上を含め、第2電極18a,18b,18c以外の接合対向面20b全体に第2自己組織化単分子膜21bを形成し得る。
最後に、第1自己組織化単分子膜21aにより接合面20aを表面改質させた第1基板7と、第2自己組織化単分子膜21bにより接合対向面20bを表面改質させた第2基板8とを接触させ、この状態のまま第1基板7および第2基板8に荷重を加えるとともに加熱し、図11に示すように、第1自己組織化単分子膜21aの末端官能基と第2自己組織化単分子膜21bの末端官能基とをエポキシ・アミノ反応によって結合させる。かくして、このような製造方法によって、第1基板7の第1自己組織化単分子膜21aが形成されていない流路溝23を除いた接合面20aと、第2基板8の接合対向面20bとを強固に接合させたマイクロ流路デバイス2を製造できる。また、このような製造方法により製造したマイクロ流路デバイス2では、図12に示すように、第1基板7の箇所を超音波顕微鏡により観察したところ、第1自己組織化単分子膜21aが形成されていない流路溝23全体が白くなっていたことから、当該流路溝23全体が第2基板8に接合することなく中空の流路空間14が確実に形成できていることが確認できた。
因みに、この実施の形態の場合、第2基板8は、第2電極18a,18b,18cが設けられている接合対向面20bが当該第2電極18a,18b,18cの有無に応じて僅かに凹凸状に形成されているものの、変形可能なフィルム状部材で形成され、かつ第1基板7の第1自己組織化単分子膜21aと、接合対向面20bの第2自己組織化単分子膜21bとによる結合により接合されることから、第1基板7の接合面20aに接合対向面20bを密着させて確実に接合し得るようになされている。かくして、マイクロ流路デバイス2では、第1基板7および第2基板8間に隙間が形成されることなく密着して接合し、流入口2aおよび流出口2bだけ外部と連通した流路空間14を、第1基板7および第2基板8間に形成し得るようになされている。
本発明で好ましく用いることができるマイクロ流路デバイスの製造方法として、下記(1)〜(3)の製造方法を挙げることができる。
(1)第1基板の接合面に有する流路溝にダミー部材を形成して、前記流路溝を前記ダミー部材で保護するダミー部材形成ステップと;前記第1基板の前記接合面および前記ダミー部材に第1自己組織化単分子膜を形成する膜形成ステップと;前記ダミー部材を除去し、該流路溝を除いた前記接合面にだけ選択的に前記第1自己組織化単分子膜を形成する選択ステップと;第2基板の接合対向面に形成された第2自己組織化単分子膜と、前記第1基板の前記接合面にだけ形成された前記第1自己組織化単分子膜との末端官能基を結合させて、前記第1基板および前記第2基板を接合し、前記流路溝により前記第1基板および前記第2基板間に中空の流路空間を形成させる接合ステップとを備えることを特徴とするマイクロ流路デバイスの製造方法。
(2)前記第2基板の接合対向面のうち、前記第1基板の前記流路溝に対向する溝対向領域に溝対向ダミー部材を形成して、前記溝対向領域を前記溝対向ダミー部材で保護する第2基板側ダミー部材形成ステップと;前記溝対向ダミー部材および前記接合対向面に第2自己組織化単分子膜を形成する第2基板側膜形成ステップと;前記溝対向ダミー部材を除去し、該溝対向領域を除いた前記接合対向面にだけ選択的に前記第2自己組織化単分子膜を形成する第2基板側選択ステップとを備え;前記接合ステップでは、前記流路溝と前記溝対向領域とを対向させるようにして位置決めし、前記第1基板と前記第2基板とを接合させることを特徴とする(1)に記載のマイクロ流路デバイスの製造方法。
(3)前記ダミー部材形成ステップでは、前記流路溝内に形成されている第1電極を覆うようにして該流路溝に前記ダミー部材を形成し;前記接合ステップでは、前記第2基板の前記接合対向面に第2電極が形成されており、前記第2電極の少なくとも一部を前記第1電極と対向させるようにして前記第1基板および前記第2基板を接合させることを特徴とする(1)または(2)に記載のマイクロ流路デバイスの製造方法。
[他のマイクロ流路デバイス]
上述した実施の形態においては、3つの直線状の流路空間14を設けたマイクロ流路デバイス2を用いて発光素子を作製した場合について述べたが、図13に示すように、直線状の流路空間14a,14c,14d、曲線の流路空間14bの他に、複数の流路空間14b,14c,14dが合流した合流流路空間14e,14gを備えるマイクロ流路デバイス62を用いて発光素子61を作製してもよい。
実際上、このマイクロ流路デバイス62は、例えば4つの流入口63a,63b,63c,63dと、3つの流出口64a,64b,64cとが形成されており、そのうち一対の流入口63aおよび流出口64a間に直線状の流路空間14aを備えている。また、他の流入口63bおよび流出口64b間には、U字状の湾曲部が複数連なり左右に折り返す流路空間14bと、隣接する合流流路空間14eから分岐した分岐流路空間14fが当該流路空間14bと合流した合流流路空間14gとを備えている。さらに、このマイクロ流路デバイス62には、他の2つの流入口63c,63dからそれぞれ延びた流路空間14c,14dと、これら2つの流路空間14c,14dが合流して1つの流出口64cまで延びた合流流路空間14eとを備え、当該合流流路空間14eから分岐した分岐流路空間14fが、隣接する流路空間14bと合流している。
このようなマイクロ流路デバイス62には、各流入口63a,63b,63c,63dにそれぞれ異なるシリンジ44a,44b,44c,44dが接続されており、各シリンジ44a,44b,44c,44dからそれぞれ異なる発光溶液が供給され得るようになされている。また、このマイクロ流路デバイス62は、複数の第1電極および第2電極(図示せず)が設けられており、これら第1電極および第2電極間に流路空間14a,14b,14c,14dおよび合流流路空間14e,14gが配置され、第1電極および第2電極に電圧を印加することで、電圧が印加された第1電極および第2電極間の流路空間14a,14b,14c,14dまたは合流流路空間14e,14gを流れる発光溶液が発光し得るようになされている。かくして、このマイクロ流路デバイス62では、複数種類の発光溶液を合流流路空間14e,14gにより混合させることもでき、かくして、発光溶液単体の発光色で発光させつつ、これら発光溶液単体の発光色を混合させた新たな発光色で合流流路空間14e,14gを連続的に発光させることもできる。
因みに、このような構成を有するマイクロ流路デバイス62であっても、上述した「(2)マイクロ流路デバイスの製造方法」に従って製造することができる。具体的には、流路空間14a,14b,14c,14dや、合流流路空間14e,14gの形状に合わせて複雑な形状でなる流路溝を流路形成層に形成すればよい。そして、この流路溝にダミー部材を設け、この状態のまま第1自己組織化単分子膜を形成し、その後、ダミー部材を除去することで、流路溝を除いた接合面にだけ第1自己組織化単分子膜を形成できる。次いで、第2自己組織化単分子膜が接合対向面に形成された第2基板を用意し、第1基板の第1自己組織化単分子膜と、第2基板の第2自己組織化単分子膜とを結合させることにより、第1基板および第2基板を接合させることでマイクロ流路デバイス62を製造することができる。
また、上述した実施の形態においては、第1基板7および第2基板8間の流路空間14に第1電極11a,11b,11cと第2電極18a,18b,18cとが対向するように設けられた電極埋め込み型のマイクロ流路デバイス2を適用した場合について述べたが、その他の実施の形態として、第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18a,18b,18cを設けることなく、第1基板7および第2基板8間に中空の流路空間14を単に備えたマイクロ流路デバイスを適用してもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、第2基板8の接合対向面20b全てに第2自己組織化単分子膜21bを形成した場合について述べたが、その他の実施の形態として、第2基板8の接合対向面20bのうち、流路溝23と対向する領域を除いた接合対向面20bにだけ第2自己組織化単分子膜21bを形成するようにしてもよく、この場合、第1基板7の流路溝23だけでなく、流路空間14内に位置する第2基板8の接合対向面20bも表面改質が行われないことから、さらに流路空間14内の濡れ性や、表面自由エネルギー、表面官能基等の特性が変化することなく、第1電極11a,11b,11c、流路形成層12、第2電極18a,18b,18cおよび第2基板8の材料そのものの有する特性を流路空間14にて維持できるとともに、当該流路溝23を除いた接合面20aにて第2基板8を確実に接合させることができるので、第1基板7の流路溝と第2基板8の接合による不良を防止し得る。
なお、マイクロ流路デバイスを用いた発光素子は、ワンチップ上に形成されたマイクロ流路デバイスの流路経路内にて単色または複数色の発光溶液を発光させることが可能であるため、例えばフルカラーディスプレイや、照明として使用できる。
また、発光素子のその他の用途としては、蛍光検出センサなどにおいて励起光を照射するミクロンスケールの光源としても使用することができる。すなわち、この場合、発光素子では、マイクロ流路デバイスにおいて、ミクロンスケール幅に形成された流路経路14で発光溶液を選択し、可視光領域(350〜850nm)の様々な光を発光させることが可能になるため、特定波長領域の対象試料蛍光量を測定するための励起光源として使用できる。
また、マイクロ流路デバイスは、所望形状で、かつマイクロサイズでなる中空の流路空間を確実に作製できることから、例えば分析装置において液体や気体等の各種流体を分析する際に、これら流体を流路空間に閉じ込めたり、或いは流路空間に流したりする際のデバイスとしても使用できる。すなわち、この場合、マイクロ流路デバイスでは、例えば、基板に流路空間の1種として設けた微小な反応室や混合室、流路に、分析対象となる血液やDNA等その他種々の液体や気体でなる生体試料を流すことも可能であるため、これら液体や気体を分析するマイクロTAS(Total Analysis Systems)やイムノアッセイに用いる流路デバイスとしても使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
以下の手順にしたがって、電気化学発光素子を作製して測定を行った。
モレキュラシーブであらかじめ脱水しておいたアセトニトリル2mlを用いて、0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファートを含む化合物301の溶液を調製した(化合物301の濃度は1mM)。この溶液を円筒型のガラスセルに移し、図14に示すように白金ディスク(直径1.6mm)の作用電極106、白金線の対極103、銀イオン|銀電極の参照電極102を配置した(3電極式)。その後10分程度乾燥窒素ガス105でバブリングして溶存酸素を取り除いた。
作製したガラスセル104をシリコンフォトダイオード107(面積1cm2)の真上に配置した。この時、作用電極106とフォトダイオード107までの距離は約1cmとした。十分に脱酸素した後、作用電極に1.7Vの交流電圧を印加し、作用極上でアニオンラジカルとカチオンラジカルを同時に生成し、電極近傍でイオン消滅をおこすことによって電気化学発光を確認した。この時の周波数は5〜250Hzであった。
使用した化合物301が遅延蛍光材料であることを確認するために、化合物301の上記アセトニトリル溶液を用いて、300K、250K、200Kの各温度におけるフォトルミネッセンスの過渡減衰曲線を測定した。図15に示すように、各温度において、発光寿命が短い成分と長い成分が観測され、これら2成分の発光スペクトルは一致した。このことから、発光寿命が長い成分は遅延蛍光であることが確認された。また、温度変化に伴って遅延蛍光成分が変化することから、化合物301は熱活性型の遅延蛍光であることも確認された。
上記の化合物301を用いた発光素子と、化合物301のかわりに比較対照材料としてRu(bpy)3を用いて製造した発光素子を用いて、同じ手順にしたがって電気化学発光(ECL)を測定した結果を図16に示す。ここでは、100ミリ秒まで1.7Vを印加し、100ミリ秒以降は1.8Vを印加したときの電気化学発光ピーク波長(λECL)における電気化学発光強度の変化を測定している。化合物301の電気化学発光強度はRu(bpy)3の電気化学発光強度に対して、4倍以上も向上していた。これまでに報告されている電気化学発光の中で化合物301は最高の強度を示すことが確認された。
実施例1で採用した化合物301のアセトニトリル溶液と、化合物301のジクロロメタン溶液を用いて、比較対照のため波長370nmの励起光を照射してフォトルミネッセンス(PL)を測定した。これらの発光スペクトルを、実施例1の電気化学発光スペクトルとともに図17に示す。
また、アセトニトリル溶液について、電気化学発光強度を測定し、発光量子収率をRu(bpy)3の系と比較して算出した。その結果、アセトニトリル溶液の電気化学発光強度は42〜56μW/cm2で発光量子収率は0.18であったのに対して、ジクロロメタン溶液では電気化学発光強度はその3倍程度であり発光量子収率は0.54へと約3倍も向上していた。
(実施例2)
実施例1で用いた化合物301の代わりに化合物501を用いて、ジクロロメタン溶液とアセトニトリル溶液の各発光素子を製造し、実施例1と同様に試験を行った。図18に、100ミリ秒まで1.75Vを印加し、100ミリ秒以降は1.8Vを印加したときの電気化学発光強度の変化を示す。また、図19に発光スペクトルを示す。
(実施例3)
実施例1で用いた化合物301の代わりに化合物1を用いて、ジクロロメタン溶液の発光素子を製造し、実施例1と同様に試験を行った。図20に、100ミリ秒まで1.75Vを印加し、100ミリ秒以降は1.8Vを印加したときの電気化学発光強度の変化を示す。また、図21に発光スペクトルを示す。
(実施例4)
実施例1で用いた化合物301の代わりに化合物523を用いて、ジクロロメタン溶液とアセトニトリル溶液の各発光素子を製造し、実施例1と同様に試験を行った。図22に、100ミリ秒まで1.75Vを印加し、100ミリ秒以降は1.8Vを印加したときの電気化学発光強度の変化を示す。また、図23に発光スペクトルを示す。
(実施例5)
実施例1で用いた化合物301の代わりに化合物306を用いて、ジクロロメタン溶液とアセトニトリル溶液の各発光素子を製造し、実施例1と同様に試験を行った。図24に各溶液のフォトルミネッセンス過渡減衰曲線を示す。図25に、100ミリ秒まで1.75Vを印加し、100ミリ秒以降は1.8Vを印加したときの電気化学発光強度の変化を示す。また、図26に発光スペクトルを示す。
表7に実施例1〜5におけるフォトルミネッセンスピーク波長(λPL)、電気化学発光ピーク波長(λECL)、フォトルミネッセンス量子効率(PLQY)、フォトルミネッセンスの非遅延成分の発光効率(Φp)、フォトルミネッセンスの遅延成分の発光効率(Φd)、電気化学発光効率(ΦECL)を示す。ΦECLは、Ru(bpy)3 2+を0.05として算出した。
(実施例6)
実施例1で用いた化合物301の代わりに化合物304を用いて、ジクロロメタン溶液とジクロロメタン/アセトニトリル(1:1)溶液の各発光素子を製造し、実施例1と同様に試験を行った。図27に各溶液のフォトルミネッセンス過渡減衰曲線を示す。図28に、100ミリ秒まで−1.6Vを印加し、100ミリ秒以降は1.7Vを印加したときの電気化学発光強度の変化を示す。また、図29に発光スペクトルを示す。発光効率はジクロロメタン溶液が31%、ジクロロメタン/アセトニトリル(1:1)溶液が12%であった。
(実施例7)
実施例1で用いた化合物301の代わりに化合物307を用いて、ジクロロメタン溶液とアセトニトリル溶液の各発光素子を製造し、実施例1と同様に試験を行った。図30に各溶液のフォトルミネッセンス過渡減衰曲線を示す。図31に、100ミリ秒まで−1.6Vを印加し、100ミリ秒以降は1.7Vを印加したときの電気化学発光強度の変化を示す。また、図32に発光スペクトルを示す。発光効率はジクロロメタン溶液が16%、アセトニトリル溶液が3%であった。
(実施例8)
実施例1で用いた化合物301の代わりに化合物305を用いて、ジクロロメタン溶液とアセトニトリル溶液の各発光素子を製造し、実施例1と同様に試験を行った。図33にフォトルミネッセンス(PL)のスペクトルを示し、図34に電気化学発光(ECL)のスペクトルを示す。ECL発光効率はジクロロメタン溶液が0.5%、アセトニトリル溶液が0.02%であった。
(実施例9)
本実施例において、図35に示す構造を有する発光素子を製造して、発光試験を行った。
厚さ870nmのネガ型フォトレジストSUS−8のスペーサー114が形成されたITO基板113とガラス111上にITOを形成したITO基板112を、ITOが互いに向き合うように配置して固定した。このとき発光面積は100mm×200mmのサイズになるように組み立てた。o−ジクロロベンゼン/アセトニトリル混合溶液(体積比2/1)に化合物301を5mMとなるように溶解させ、1,2−ジフェノキシエタンを0.18Mとなるように溶解させて発光溶液とした。この発光溶液をセル中に充填し、5Vの直流電圧を印加したところ、図36に示すように発光が認められた。
(実施例10)
本実施例において、マイクロ流路デバイスを備えた発光素子を製造して、発光試験を行った。
一面に厚さ100nmのITOが形成された厚さ700μmのガラス基板を支持基板10としたITO−ガラス基板を用意した。次いで、東京応化工業(株)社製のポジ型感光性樹脂TSMRによって、ITO上に樹脂マスクパターンを形成した。次いで、王水(硝酸、塩酸、純水の混合液)をエッチング液として用い、ITOをエッチングした後、樹脂マスクパターンをアセトン浸漬で除去した。これにより、図5に示すような帯状でなる3つの第1電極11a,11b,11cが一面に並走するように形成された支持基板10を製造した。
次いで、耐薬品性および機械特性に優れるネガ型感光性樹脂(SU−8 3005:日本化薬(株)社製)を6μmの厚みでスピンコートし、このネガ型感光性樹脂をホットプレート上で70℃に加熱してプリベークした後、露光装置であるマスクアライナ(MA6:カールズース製)を用いて、マスクにより、溝形成貫通孔15となる溝形成貫通孔領域22だけを40mW/cm2で6秒間露光して、図6に示すように、溝形成貫通孔領域22を可溶化させた。続いて120℃で露光後ベークを行い、現像液(SU−8ディベロッパー:日本化薬(株)社製)で現像し、可溶化した溝形成貫通孔領域22を除去してネガ型感光性樹脂に溝形成貫通孔15を形成した後、さらに150℃でハードベークすることで、溝形成貫通孔15の底部に第1電極11a,11b,11cが露出した流路形成層12を支持基板10上に形成した。
次いで、TSMR(東京応化工業(株)製)でなる樹脂材をダミー部材23aとして用意し、図7に示すように、このTSMRを流路形成層12の溝形成貫通孔15に注入し、ホットプレート上にて110℃で5分間ベークした。このようにして流路溝23内全体をダミー部材23aで覆い、流路溝23内の第1電極11a,11b,11cを外部に非露出状態とし、この状態でエキシマUVランプにより真空紫外光(VUV/O3)を照射して流路形成層12およびダミー部材23a上に酸素含有基を形成した。
次いで、純水で溶解した1%(v/v)の3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GOPTS)溶液を第1自己組織化単分子形成溶液(第1SAM形成溶液)として用意し、第1SAM形成溶液に第1基板7を20分間浸漬させ、第1基板7の接合面20aとダミー部材23a上とに末端官能基がエポキシでなるGOPTSを膜状に設けた第1自己組織化単分子膜21aを形成した。次いで、第1基板7を第1SAM形成溶液から引き揚げた後、この第1基板7をアセトンでリンスして、接合面20aに付着されていない残留自己組織化単分子と、流路溝23を覆ったダミー部材23aとを除去し、その後アセトンを除去するためイソプロピルアルコールおよび純水でリンスした。これにより、流路溝23の底部に第1電極11a,11b,11cが露出し、かつ流路溝23を除いた接合面20aにだけ選択的に第1自己組織化単分子膜21aが形成された第1基板7を製造した。
また、これとは別に、一面に厚さ350nmのITOが厚さ120μmのPENフィルムに形成されたITO−PENフィルムを第2基板8として用意した。次いで、この第2基板8上のITOを樹脂マスクパターンによりエッチングして、図8に示すように、帯状でなる3つの第2電極18a,18b,18cをITOから形成した。次いで、この第2基板8において、流路形成層12における溝形成貫通孔15の拡径領域15a,15bに対応する位置に、当該拡径領域15a,15bとほぼ同じ形状および大きさの貫通孔をパンチ加工により穿設して流入口2aおよび流出口2bを形成した。このようにして、接合対向面20bに第2電極18a,18b,18cが設けられているとともに、流入口2aおよび流出口2bが形成された第2基板8を製造した。
そして、第2基板8の接合対向面20bにも、エキシマUVランプにより真空紫外光(VUV/O3)を照射し、当該接合対向面20bに酸素含有基を形成した。次いで、純水で溶解した5%(v/v)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)溶液を第2自己組織化単分子形成溶液(第2SAM形成溶液)として生成し、この第2SAM形成溶液に第2基板8を20分間浸漬させて、第2基板8の接合対向面20bに末端官能基がアミノ基でなるAPTESを膜状に設けた第2自己組織化単分子膜21bを形成した。次いで、第2基板8を第2SAM形成溶液から引き揚げた後、この第2基板8をエタノールでリンスして、接合対向面20bに付着されていない残留自己組織化単分子を除去し、かくして露出している第2電極18a,18b,18c上を含め、接合対向面20bに第2自己組織化単分子膜21bが形成された第2基板8を製造した。
最後に、第1基板7の第1自己組織化単分子膜21aと、第2基板8の第2自己組織化単分子膜21bとを接触させ、この状態のまま接合装置(EVG520HE:EV group社製)によって荷重1.5MPa、温度140℃、保持時間5分で荷重を加え、第1自己組織化単分子膜21aと第2自己組織化単分子膜21bとを結合させて第1基板7および第2基板8を接合し、深さが6μm、幅が1000μmの3つの流路空間14と、電極面積が1×2mm2のマイクロ流路デバイス2を製造した。
化合物301を、o−ジクロロベンゼン/アセトニトリル混合溶液(体積比2/1)に溶解させて実施例9と同じ発光溶液を調製した。この発光溶液を流路空間に流し、電極より電圧を印加することにより発光溶液を発光させた(図37)。3つの流路空間のうち、発光溶液を流す流路空間を選択することにより、所望の位置で発光させることができた。また、電圧を印加する電極を選択することによっても、所望の位置で発光させることができた。
このマイクロ流路デバイス2では、流路溝23内に第1自己組織化単分子膜21aが形成されていないので、流路溝23の濡れ性や、表面自由エネルギー、表面官能基等の特性が変化することなく、流路溝23の材質そのものの有する特性を維持できるとともに、当該流路溝23を除いた接合面20aだけで第2基板8と確実に接合させることができるので、第1基板7の流路溝と第2基板8の接合による不良を防止し得る。
また、このマイクロ流路デバイス2では、第1電極11a,11b,11cを流路溝23内に露出するように形成し、かつ第2基板8の接合対向面20bに第1電極11a,11b,11cと少なくとも一部が対向する第2電極18a,18b,18cを設け、これら第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18a,18b,18cが流路空間14を挟んで対向するように配置するようにした。これにより、マイクロ流路デバイス2では、第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18a,18b,18cに電圧を印加することで、これら第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18a,18b,18c間の流路空間14に流れる発光溶液Lを発光させることができる。
また、このマイクロ流路デバイス2では、流路空間14と外部とを連通させる流入口2aおよび流出口2bを設けたことにより、当該流入口2aから流路空間14に発光溶液Lを供給できるとともに、流路空間14に供給された発光溶液Lを流出口2bから外部へ流出でき、かくして流路空間14に劣化した発光溶液Lが留まることなく、常に新しい発光溶液Lを流路空間14内に与え、当該流路空間14内にて発光溶液Lを発光させ続けることができる。
さらに、このマイクロ流路デバイス2では、第1電極11a,11b,11cと第2電極18a,18b,18cとが複数設けられており、これら第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18a,18b,18cがマトリックス状に配置されていることから、電源5によって電圧を印加する第1電極11a,11b,11cおよび第2電極18a,18b,18cを選定することで、電圧が印加された流路空間14を流れる発光溶液Lだけを発光させることができる。
一対の電極の間に発光材料を配置した構造を有する本発明の発光素子は、発光材料として遅延蛍光材料を採用しているため、同じ構造を有する従来の発光素子よりも発光量子収率を高くすることができる。また、簡便な方法で製造し、安価に駆動させることができ、コンパクト化も可能である。さらに、発光溶液を容易に交換できる設計とすることも可能であり、表示態様の変更やメンテナンスも容易である。このため、本発明の発光素子は、光源や画像表示装置としての用途や、測定装置としての応用も期待され、幅広い産業上の利用性を有するものである。
2 マイクロ流路デバイス
7 第1基板
8 第2基板
11a,11b,11c 第1電極
14 流路空間
18a,18b,18c 第2電極
20a 接合面
20b 接合対向面
21a 第1自己組織化単分子膜
21b 第2自己組織化単分子膜
23 流路溝
23a ダミー部材
L 発光性液体
101 ポテンショスタット
102 参照電極
103 対極
104 セル
105 窒素ガス
106 作用電極
107 フォトダイオード

Claims (13)

  1. 一対の電極の間に発光材料と溶媒を含む発光溶液を充填した発光素子であって、前記発光材料が遅延蛍光材料であることを特徴とする発光素子。
  2. 前記発光材料が熱活性型遅延蛍光材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記発光材料が下記一般式(1)で表される構造を有する1種以上の化合物からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の発光素子。
    [一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは下記一般式(11)で表される基を表し、残りのR1〜R5は水素原子または置換基を表す。]
    [一般式(11)において、R21〜R28は、各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、下記<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。
    <A> R25およびR26は一緒になって単結合を形成する。
    <B> R27およびR28は一緒になって置換もしくは無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。]
  4. 1〜R5の少なくとも1つが置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表すことを特徴とする、請求項3に記載の発光素子。
  5. 1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかを表すことを特徴とする、請求項3に記載の発光素子。
  6. 前記溶媒が有機溶剤であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光素子。
  7. 前記有機溶媒の室温における比誘電率が1.9〜90であることを特徴とする、請求項6に記載の発光素子。
  8. 前記有機溶剤が、アルコール、有機ハロゲン化溶剤、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゾンニトリル、シクロヘキサン、n−ヘキサン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ニトロベンゼンおよび1,3−ジオキソランからなる群より選択される1種以上の溶剤であることを特徴とする、請求項6または7のいずれか1項に記載の発光素子。
  9. 前記発光材料の前記発光溶液中での濃度が0.0001〜1mol/Lであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光素子。
  10. 前記一対の電極の間の距離が100μm以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光素子。
  11. 前記一対の電極に直流電圧を印加して前記発光溶液を発光させることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光素子。
  12. 前記一対の電極に交流電圧を印加して前記発光溶液を発光させることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光素子。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光素子であって、
    前記発光素子は、前記発光材料を流すマイクロ流路デバイスを備えた
    前記マイクロ流路デバイスは、流路空間となる流路溝を接合面に有し、該流路溝を除いた前記接合面にだけ選択的に第1自己組織化単分子膜が形成された第1基板と;前記第1基板の接合面と対向する接合対向面に、第2自己組織化単分子膜が形成された第2基板とを備え;前記第1自己組織化単分子膜の末端官能基と、前記第2自己組織化単分子膜の末端官能基とが結合して前記第1基板および前記第2基板が接合し、前記第1基板および前記第2基板間に中空の前記流路空間が形成されており;前記第1基板には、第1電極が前記流路溝内に形成されており;前記第2基板には、少なくとも一部を前記第1電極と対向させた第2電極が、前記接合対向面に形成されている発光素子。
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