JP2015066953A - 空気入りタイヤのカーカス形状の決定方法 - Google Patents

空気入りタイヤのカーカス形状の決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】同一偏平率内で、異なるタイヤ幅のカーカスプロファイルを容易且つ迅速に行いうる方法の提供。【解決手段】一の偏平率を有するタイヤ2のうちの代表タイヤ幅のタイヤについて、自然平衡形状理論を適用して、その自然平衡形状カーカス10のプロファイルを得る代表カーカスプロファイル形成ステップと、代表タイヤ幅のタイヤの自然平衡形状カーカスプロファイル上の4つの特定点に対応する、上記代表タイヤ幅のタイヤと同一偏平率を有する他のタイヤ幅のタイヤの4つの特定点であるA点、B点、C点及びD点の各位置、並びに、ベルト12のタイヤ内圧分担率Tbの算出式中の、赤道面でのタイヤ内圧分担率τo及びその減少分aを用い、自然平衡形状理論に基づいてカーカスプロファイルを算出する、カーカスプロファイル算出ステップとを含んでおり、上記τo及びaのそれぞれの値について、タイヤの偏平率毎に選択範囲が用意されている。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤのカーカス形状の決定方法、及び、この方法を適用して製造された空気入りタイヤに関する。
従来、市販用リプレイスタイヤでは、1つのトレッドパターンについて、多数のサイズがラインナップされている。多いものでは、1つのトレッドパターンについて、70サイズを超えるラインナップもある。このタイヤサイズは、規格(例えばJATMA規格)によって定められている。例えば、195/65R15である。195は呼称幅(mm)、65は呼称偏平率、Rはラジアル、15は呼称リム径(インチ)である。このうち、一つの偏平率におけるタイヤ幅の拡張展開の手法として、まず、当該偏平率のうちの代表となるタイヤ幅が選定される。この代表タイヤ幅の金型のプロファイルが設計される。この代表プロファイルと相似形になるように、各タイヤ幅の金型プロファイルが決定される。次いで、必要なゴムゲージが考慮され、タイヤ幅毎のカーカスプロファイルが設計される。カーカスプロファイルとは、カーカスの肉厚の中心線(カーカスライン)によって示される形状を言う。
上記のごとく、タイヤ幅の拡張展開に際しては、個々のタイヤ幅についてカーカスプロファイルの設計を行う必要がある。タイヤ幅の数に応じて設計工数の負荷が増大する。タイヤ幅毎にカーカスプロファイルを設計するので、設計にバラツキが生じるおそれがある。その結果、特定のタイヤ幅のタイヤについて、インフレート前後のカーカスプロファイルの変化が大きくなり、ゴム及びコードに余分なひずみが発生するおそれがある。換言すれば、カーカスプロファイルが、自然平衡形状から外れてしまうおそれがある。
上記自然平衡形状理論に基づいたカーカスプロファイルとは、正規内圧が充填されたとき、カーカスの張力が、タイヤ内圧及びベルト層からの反力以外の力を受けない場合、これらの力と釣り合って形成されるカーカスの平衡形状のことである。この自然平衡形状理論に基づいたカーカスは、内圧の増減により、その全体形状がほぼ相似形に近似して変化する。このことは、内圧の増減に伴うカーカスの変形が均一に近く、小さいということを意味する。内圧の変化に応じてカーカスプロファイルが相似的に変形するという平衡状態が崩れたカーカス、すなわち、自然平衡形状から崩れたカーカスの場合、ひずみや応力の集中のためにタイヤの耐久性が低下するおそれがある。
特開平8−142601号公報には、自然平衡形状理論を適用したラジアルタイヤの製造方法が提案されている。この製造方法では、耐振動性能及び乗り心地性能を向上させるために、タイヤ内圧の変化によるカーカスプロファイルのせり出しを規定している。特開平8−142602号公報にも、自然平衡形状理論を適用したラジアルタイヤの製造方法が提案されている。この製造方法では、耐振動性能及び乗り心地性能を向上させるために、カーカスプロファイルのラジアス(曲率半径)を規定している。
しかし、自然平衡形状理論を適用してカーカスプロファイルを設計する場合であっても、個々のタイヤ幅についてカーカスプロファイルの設計を行うため、タイヤ幅の数に応じて設計工数の負荷が増大する。
特開平8−142601号公報 特開平8−142602号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、タイヤ幅のシリーズを拡張する際、カーカスプロファイルの決定を容易且つ迅速に行いうるカーカスプロファイルの決定方法の提供、及び、この方法を適用して製造された空気入りタイヤの提供を目的としている。
本発明に係るタイヤのカーカスプロファイルの決定方法は、
カーカスと、カーカスに積層されたベルトと、ビードベースを有するビードとを備えたタイヤのカーカスプロファイルを決定する方法であって、
一の偏平率を有するタイヤのうちの代表タイヤ幅のタイヤについて、自然平衡形状理論を適用して、その自然平衡形状カーカスプロファイルを得る、代表カーカスプロファイル形成ステップと、
上記代表タイヤ幅のタイヤの自然平衡形状カーカスプロファイル上の4つの特定点に対応する、上記代表タイヤ幅のタイヤと同一偏平率を有する他のタイヤ幅のタイヤの4つの特定点であるA点、B点、C点及びD点の位置を用い、自然平衡形状理論に基づいてカーカスプロファイルを算出する、カーカスプロファイル算出ステップとを含んでおり、
このカーカスプロファイル算出ステップには、カーカスとベルト層との積層範囲において、カーカス上の任意の位置Zにおけるベルト層のタイヤ内圧分担率Tbを算出するための下記算式が用いられており、
Tb = τo − a(ZA−Z)/(ZA−ZB)
上記ZAは、下記A点のZ軸方向の座標位置に一致し、
上記ZBは、下記B点のZ軸方向の座標位置に一致し、
上記A点は、タイヤの周方向に垂直な断面における、タイヤ回転軸とタイヤ赤道面との交点を原点とし、タイヤ回転軸方向をY軸とし、タイヤ半径方向をZ軸とした座標上の、カーカスとタイヤ赤道面との交点であり、
上記B点は、上記座標におけるカーカスのベルト層との離間開始点であり、
上記τoは、上記A点におけるベルト層のタイヤ内圧の分担率であり、
上記aは、上記B点における上記分担率τoの減少分であり、
上記τo及びaのそれぞれの値について、タイヤの偏平率毎に、選択範囲が用意されている。
好ましくは、上記カーカスプロファイル算出ステップにおいて、上記他のタイヤ幅のタイヤの4つの特定点であるA点、B点、C点及びD点のうち、少なくとも3点の各座標位置の選択範囲を、自然平衡形状理論を適用して用意する、特定点の数値範囲設定ステップが含まれている。
好ましくは、上記B点のY座標値B(y)が、各タイヤ幅に対し、範囲を持って設定されており、上記D点のZ座標値D(z)が、各タイヤ幅に対し、範囲を持って設定されている。
好ましくは、上記A点のZ座標値A(z)が、規格に規定された金型内径、トレッドのタイヤ軸方向中央部におけるトレッドゴム肉厚、及び、全ベルト層の厚さによって定められ、
上記C点のY座標値C(y)が、規格に規定された金型総幅の1/2、サイドウォールの厚さ、及び、カーカスがハイターンアップ構造である場合のカーカスの厚さによって定められる。
本発明に係る空気入りタイヤは、
トレッドと、このトレッドの両端それぞれからタイヤ半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、各サイドウォールのタイヤ軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、カーカスのタイヤ半径方向外側に積層されたベルト層とを備えており、
リムに組み付けられ、且つ、内圧が充填されたときの上記カーカスの形状が、自然平衡形状理論に基づいて決定されたものであり、このカーカスの形状を決定するに際し、前述したうちのいずれかのカーカスプロファイルを決定する方法が適用されている。
本発明に係るタイヤのカーカスプロファイルの決定方法では、同一偏平率内でのタイヤ幅のシリーズを拡張する際、異なるタイヤ幅のカーカスプロファイルの決定が容易且つ迅速に行いうる。
図1は、本発明の一実施形態に係るカーカスプロファイルの決定方法が適用されうるタイヤの一例を示す、タイヤ周方向に垂直な断面図である。 図2は、図1のタイヤの、ベルト層のタイヤ内圧分担率を示す概略断面図である。 図3は、図2のタイヤの各偏平率における、赤道面とカーカスとの交点(A点)でのベルト層のタイヤ内圧分担率τoの好ましい範囲と、ベルト層のカーカスからの離間開始点(B点)におけるタイヤ内圧分担率τoの減少分aの好ましい範囲とを示すグラフである。 図4は、図1のタイヤのカーカスとベルト層との離間開始点(B点)を示す、図1のIV部拡大断面図である。 図5は、図1のタイヤのカーカスの最大幅位置の点(C点)を示す、図1のV部拡大断面図である。 図6は、図1のタイヤのカーカスラインと、このタイヤのクリップ幅端を通るタイヤ半径方向の直線との交点(D点)を示す、概略断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、本発明の一実施形態に係るカーカスプロファイルの決定方法が適用されうる空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ半径方向(以下、単に半径方向ともいう)であり、左右方向がタイヤ軸方向(以下、単に軸方向ともいう)であり、紙面と垂直な方向がタイヤ周方向(以下、単に周方向ともいう)である。図1における一点鎖線CLはタイヤ2の子午線断面のセンターラインであり、赤道面をも表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。二点鎖線BLは、タイヤ2のビードベースラインを表す。
このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、インナーライナー14及びチェーファー16を有している。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着されうる。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面20を形成する。トレッド面20には、溝22が刻まれている。この溝22により、トレッドパターンが形成されている。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側端は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール6は、カーカス10の損傷を防止する。
ビード8は、サイドウォール6の半径方向内側に位置している。ビード8は、コア24と、このコア24から半径方向外向きに延びるエイペックス26とを備えている。コア24はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス26は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス26は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、カーカスプライ28からなる。カーカスプライ28は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ28は、コア24の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ28には、主部28aと折り返し部28bとが形成されている。
このカーカスプライ28は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス10が、2枚以上の複数枚のプライから形成されてもよい。
ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側ベルト層30と、内側ベルト層30の半径方向外側に重ね合わされた外側ベルト層32とを含む。図1から明らかなように、軸方向において、内側ベルト層30の幅は外側ベルト層32の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側ベルト層30及び外側ベルト層32のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側ベルト層30のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側ベルト層32のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
インナーライナー14は、カーカス10の内側に位置している。インナーライナー16は、架橋ゴムからなる。インナーライナー14には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー14の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー14は、タイヤの内圧を保持する。
チェーファー16は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー16がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。チェーファー16は、例えば、布とこの布に含浸したゴムとから形成されうる。
図1の両矢印WCは、カーカス10の最大幅を示している。このカーカス10の最大幅WCは、軸方向の直線距離として測られる。この最大幅WCは、カーカス10の厚さの中心から厚さの中心までの距離として測られる。
図1中の両矢印WB1は、外側ベルト層32の幅を示している。両矢印WB2は、内側及び外側の両層30、32からなるベルト12とカーカス10とが離れずに重ね合わされている範囲の幅を示している。詳細に言えば、両矢印WB2の両端は、それぞれ、内側ベルト層30とカーカス10との離間開始点PPを示している。これらの幅WB1、WB2は、いずれもタイヤ2の軸方向の直線距離として測られる。
図1の両矢印WLは、このタイヤ2のクリップ幅を示している。このクリップ幅WLは、軸方向の直線距離として測られる。クリップ幅WLは、通常、規格に規定された正規リムの幅(基準リム幅)より大きく設計される。タイヤは加硫後にシュリンクするからである。しかし、クリップ幅WLが基準リム幅より大きすぎると、リム組みの段階からに既にビード部に圧縮歪みが生じている。従って、荷重負荷時による圧縮歪みの増加に耐えられなくなるおそれがある。クリップ幅WLが正規リム幅より小さすぎると、リム組みしてインフレートしたときに、ビード部が立ってくる(タイヤ半径方向に沿う)傾向となる。
本明細書において正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
以下、上記タイヤ2の設計において重要な工程であるカーカス10のプロファイルの決定方法について説明される。ここでは、同一偏平率内でのタイヤ幅(タイヤの呼称幅)のシリーズを拡張する際のカーカスプロファイルの決定方法が説明される。
カーカスプロファイルの決定には、タイヤ内圧の変化に伴う形状変化が相似的になるように、自然平衡形状理論が適用される。この自然平衡形状理論に基づいたカーカスプロファイルとは、タイヤに正規内圧が充填されたとき、カーカスの張力が、タイヤ内圧とベルト層からの反力以外の力を受けない場合、これらの力と釣り合って形成されるカーカスの平衡形状のことである。本明細書において正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
この自然平衡形状理論によれば、カーカスコードに作用する張力が一定となる。したがって、カーカスコードに伸びが生じることを前提とすると、この理論に基づくカーカスプロファイルは、元の形状から相似的に略均一に変形しうることになる。その結果、変形量は小さくなる。自然平衡形状のカーカスラインを設定するための理論式は多数知られている。本実施形態では、酒井秀男著、「タイヤ工学」に紹介された手法が採用される。
まず、一の偏平率のタイヤのうち、代表としての一のタイヤ幅を有するタイヤのカーカスプロファイルを、自然平衡形状理論を適用して得ておく。このカーカスプロファイルは、タイヤの周方向に垂直な断面(以下、子午線断面ともいう)上におけるものである。そして、この偏平率のタイヤの、センターラインCL上のベルトの好ましいタイヤ内圧分担率τo及びその減少分aを選定する。同時に、上記代表タイヤ幅の自然平衡形状のカーカスライン上に、そのカーカスプロファイルを決定しようとする他のタイヤ幅のタイヤの4つの特定点(A、B、C、D)を設定する。例えば、自然平衡形状理論に関連づけられた上記τo及びa、並びに、4つの特定点(A、B、C、D)のうちの少なくとも3点が定まれば、自然平衡形状を有するカーカスプロファイルが定量的に定まる。
図2、図4、図5及び図6に、上記4つの特定点(A、B、C、D)の位置が示されている。A点は、カーカス10とセンターライン(赤道面)CLとの交点の位置である。B点は、カーカス10のベルト12との離間開始点PPの位置である。C点は、カーカス10の最大幅の端部の点の位置である。D点は、上記3点(A、B、C)で定まったカーカスラインCCLと、クリップ幅WLの端部であるビードヒール34を通る半径方向直線RLと、の交点の位置である。
タイヤ2のトレッド部において、カーカス10にベルト12が積層されている。上記A点とD点との間で、この積層領域だけは、カーカス10とともにベルト12もタイヤ内圧を分担するので、ベルト12に張力が生じる。自然平衡形状理論では、ベルト12の内圧分担率Tbが、下式(1)のとおり、その位置のZ軸上の位置Zの関数として表される。なお、Z、ZA及びZBが規定される座標は、子午線断面上の平面座標において、タイヤ回転軸(タイヤの中心軸)RAとタイヤセンターライン(赤道面)CLとの交点が原点であり、タイヤ回転軸方向がY軸であり、タイヤ半径方向がZ軸である。
Tb = τo − a{(ZA−Z)/(ZA−ZB)} (1)
この算式(1)において、τoは、センターラインCL上におけるベルト12のタイヤ内圧分担率である。aは、ベルト12のカーカス10からの離間開始点PPにおけるタイヤ内圧分担率τoの減少分である。ZAは、上記A点のZ軸上の位置である。ZBは、上記B点のZ軸上の位置である。上記τo及びaのいずれも、使用するベルト12に応じて任意に決定することが可能である。
この場合、カーカス10のコードに作用する張力tcと、タイヤ内圧pとの釣り合い条件から、タイヤ回転軸RAを中心位置とした半径zの点における断面曲率半径Rsの間には、下記算式(2)の関係が成立する。
N・tc/2π・z = p・Tc・Rs (2)
ここで、Tcはカーカス10のタイヤ内圧分担率である。カーカス10とベルト12との積層範囲であるA点からB点までは、Tc = 1−Tbである。カーカス10にベルト12等が積層されていないB点からD点までは、Tc = 1となる。
算式(2)中のRsは、幾何学的な関係式である下記算式(3)のように表される。
1/Rs = y/(1+y’23/2 (3)
この算式(3)及び前述のカーカス10の内圧分担率Tcを、上記算式(2)に代入し、積分することにより、カーカスプロファイルが以下の算式(4)及び(5)によって得られる。
トレッド4におけるカーカス10と内側ベルト層30との積層範囲(A点とB点との間)における、カーカス10の形状は、下記算式(4)によって求められる。
y = −∫G(z)dz (4)
サイドウォール(B点とD点との間)6の部分におけるカーカス10の形状は、下記算式(5)によって求められる。
y = −∫G(z)dz − ∫G(z)dz (5)
ここで、G(z)及びG(z)は、いずれもZの関数であり、
(z)=[ZB−ZC+{1−τo+aZA/(ZA−ZB)}(Z−ZB) −2a(Z−ZB)/3(ZA−ZB)] ×
[B−{ZB−ZC+{1−τo+aZA/(ZA−ZB)}
(Z−ZB)−2a(Z−ZB)/3(ZA−ZB)}−1/2 (6)
(z)=(Z−ZC){B−(Z−ZC−1/2 (7)
である。
ここで、
B = ZB−ZC+{1−τo+aZA/(ZA−ZB)}(ZA−ZB
−2a(ZA−ZB)/3(ZA−ZB)] (8)
である。
ここで、τo、a、ZA及びZBは前述したとおりである。ZCは、上記C点のZ軸上の位置である。
上記算式(1)から(8)に対し、適宜、τo、a、ZA、ZB、ZCを与えつつ逐次計算を行うことにより、タイヤ幅毎の自然平衡形状のカーカスプロファイルを決定することができる。上記τo、a、ZA、ZB、ZCの各値の選択について、以下に説明される。
表1及び図3に示されるように、本実施形態では、タイヤの所定の複数の偏平率(80、70、65、60、55、50、45、40、35)毎に、好ましいτo及びaの数値範囲が定められている。τo及びaの数値は、80から35までの各偏平率について、そのタイヤ幅に関わらず、好ましい範囲が定められている。τo及びaは、この表1に示される範囲から選択されるのが好ましい。τo及びaの数値が選択されて決定されることにより、A点からB点までの間の、ベルト12のタイヤ内圧分担率の分布が決定され、カーカスプロファイル及びカーカスに沿ったベルトのプロファイルが決定される。この表1及び図3に示された数値の範囲は、適正な接地形状及び接地圧分布、並びに、プロファイルのせり出し量の均一性が得られる数値として、有限要素法を用いることにより定められた。表1から明らかなように、低偏平率になるほど、τoの値が大きく、aの値が小さくなっている。これは、低偏平率のタイヤほど、ベルトによる拘束力が強く、ベルトの形状がフラットになっていることを意味する。
Figure 2015066953
τoが、表1に示された選択範囲の下限より小さくなると、カーカスプロファイルは外方に凸のラウンド状となり、ベルト12もラウンド状になりすぎる。その結果、トレッド4の軸方向のミドル部からショルダー部にかけて、トレッド4のゲージを厚くする必要が生じる。狙いの接地形状との両立が難しくなるおそれがある。aが表1に示された選択範囲の下限より小さい場合も同じである。一方、τoが表1の選択範囲の上限より大きくなると、カーカスプロファイルはフラット状になりすぎ、ベルト12もフラット状となる。その結果、狙いの接地形状との両立が難しくなるおそれがある。aが表1に示された選択範囲の上限より大きい場合も同じである。
次に、A点、B点、C点及びD点の設定方法が説明される。まず、A点は、カーカスライン上の描画開始点である。A点は、タイヤ回転軸(Y軸)RAとタイヤセンターライン(Z軸)CLとの交点を原点とした座標上の位置として定義することができる。図1に示されるように、A点のY座標位置A(y)は、センターラインCL上に固定されている。A点のZ座標位置A(z)は、センターラインCL上での径で定義される。すなわち、A(z)は、タイヤ幅毎に規格で規定されている金型内径(タイヤ外径に対応)を基に、センターラインCL部におけるトレッドゴムの肉厚、及び、全ベルト層の厚さから、タイヤ幅毎に算出される。一般的には、A(z) = 1/2(規格規定の金型内径)−(センターラインCL部におけるトレッドゴム肉厚 + ベルト12の厚さ)である。上記金型内径が規定されている規格とは、JATMA規格、TRA規格及びETRTO規格である。
B点は、カーカス10における内側ベルト層30との離間開始点PPであり、ベルト12が内圧を分担する範囲の端部の位置である。B点も、A点と同様に、タイヤ回転軸RAとセンターライン(Z軸)CLとの交点を原点とした座標上の位置として定義することができる。B点のY座標位置B(y)は、上記原点からのタイヤ回転軸方向の距離で定義される。B点のZ座標位置B(z)は、タイヤ回転軸RAからのタイヤ半径方向の距離で定義される。B(z)は、上記τo及びaにより、カーカスプロファイル及びカーカス10に積層されたベルト12のプロファイルが一律に決定されるので、その結果として算出される値となる。
表2には、タイヤの呼称幅に対する外側ベルト層32の幅の比の範囲、及び、付加寸法Lが示されている。表2の記載から、本実施形態では、タイヤの所定の複数の偏平率(80、70、65、60、55、50、45、40、35)毎に、好ましいB(y)の数値範囲が容易に算出可能にされている。表2には、80から35までの各偏平率について、そのタイヤ幅に応じた、実質的に好ましいB(y)の数値の範囲が定められているといえる。B(y)は、この表2に示される範囲から算出されるのが好ましい。
B(y)は、外側ベルト層32の端部から、軸方向に所定寸法Lだけ離間した位置である。Lは、軸方向内方にマイナスとされ、外方にプラスとされた付加寸法である。
表2に示されるように、本実施形態では、外側ベルト層32の幅は、タイヤ呼称幅に所定の小係数を乗じた下限値と、タイヤ呼称幅に所定の大係数を乗じた上限値との間の値に設定されるのが好ましいとされる。B(y)の値は、下記算式により求められる。
B(y) = 1/2 × (外側ベルト層32の幅) + L
すなわち、B(y)の値は、外側ベルト層32の下限値と上限値とに規定された選択範囲に対応した、好ましい選択範囲を有している。この表2に記載された比の選択範囲及び付加寸法Lは、各偏平率について、小さい呼称幅から大きい呼称幅(JATMA規格に準拠)まで、接地形状及び接地圧分布が最適となるように、有限要素法を用いて定められた。
以下に、一例として、表2中の数値を用いて、偏平率が65、タイヤ呼称幅が195のタイヤについて、B(y)の値を算出する。表2の記載から、以下のことが解る。すなわち、外側ベルト層32の幅の範囲は、0.708×(タイヤ呼称幅)195=138.06以上であり、0.748×(タイヤ呼称幅)195=145.86以下である。付加寸法Lが−1.0であるから、好ましいB(y)の範囲は、1/2×138.06−1.0=68.03以上であり、1/2×145.86−1.0=71.93以下となる。
Figure 2015066953
B(y)が、表2から算出される上限値より大きい場合、τo及びaも共に大きくなる。また、ビード部ではカーカスラインの曲率半径が小さくなる。その結果、カーカスラインが、目標とするD点より内側を通るラインとなってしまう。タイヤ幅によっては、ベルト層のタイヤ半径方向内側にクッション層を確保し得ないおそれがある。逆にB(y)が、表2から算出される上限値より狭いと、ビード部のカーカスラインがD点より外側を通ることになる。このように、B(y)の範囲は、カーカスラインがD点を通るために重要な点になる。また、タイヤ幅に見合ったベルト幅を確保しにくくなるおそれがある。
C点は、カーカスの最大幅の端部の点である。C点も、A点及びB点と同様に、タイヤ回転軸(Y軸)RAとタイヤセンターライン(Z軸)CLとの交点を原点とした座標上の位置として定義することができる。C点のY座標位置C(y)は、上記原点からのタイヤ回転軸方向の距離で定義される。C点のZ座標位置C(z)は、上記原点からのタイヤ半径方向の距離で定義される。C点のZ軸方向位置C(z)は、前述のB(z)と同様に、上記τo及びaにより、カーカスプロファイル及びカーカス10に積層されたベルト12のプロファイルが一律に決定されるので、その結果として算出される値となる。
C(y)は、規格で規定されている金型総幅(タイヤの幅に対応)WMを基に、サイドウォール6の厚さTSと、カーカス10が、図1に示されるようなハイターンアップ構造のときはカーカス10の厚さTCとから算出される。すなわち、一般的には、C(y) = 規格規定の金型総幅WM×1/2 − (サイドウォールの厚さTS + カーカス10がハイターンアップ構造である場合のカーカス10の厚さTC)、である。上記金型内径が規定されている規格とは、JATMA規格、TRA規格及びETRTO規格である。
C(y)が上記算式から得られる値より大きいと、タイヤが規格規定から外れることを意味している。逆にC(y)が上記算式から得られる値より小さいと、タイヤの実際の幅が規定の呼び幅より狭くなり、内圧分担率τo(表1)の範囲を満たさなくなる。以上のA(y、z)、B(y、z)、C(y、z)が定まると、自然平衡形状ラインを画くことができる。
図6に示されるように、D点は、上記A点、B点及びC点によって定まったカーカスラインCCLと、クリップ幅WL端であるビードヒール34を通る半径方向の直線RLとの交点に一致する。D点は、カーカス10がビード8と内圧を分担する範囲の上端近傍の位置とされる。従って、B点からD点までの間は、カーカスのみがタイヤ内圧を受ける範囲となり、膜理論を適用することができる範囲である。
D点は、AからCの各点とは異なり、ビードベースライン(Y軸)BLとタイヤセンターライン(Z軸)CLとの交点を原点とした座標上の位置として定義することができる。D点のY座標位置D(y)は、上記原点からのタイヤ回転軸方向の距離で定義される。D(y)は、クリップ幅WLの端部の位置と一致する。D点のZ座標位置D(z)は、上記原点からのタイヤ半径方向の距離で定義される。
D点を特定するための基礎になるタイヤのクリップ幅WLは、このタイヤが組み付けられるリムのリム幅に応じて決定される。通常、クリップ幅WLは、規格に規定された基準リム幅より大きく設計される。しかし、クリップ幅WLが基準リム幅より大きすぎると、リム組みの段階からに既にビード部に圧縮歪みが生じる。従って、荷重負荷による圧縮歪みの増加に耐えられなくなるおそれがある。逆に、クリップ幅WLから基準リム幅を減じた差が小さすぎると、リム組みしてインフレートしたときに、ビード部が立ってくる(タイヤ半径方向に沿う)傾向となる。このため、D(z)が高くなる(タイヤ半径方向の外方へ移動する)。
表3には、上記「クリップ幅WL−基準リム幅」の適正な値αを考慮して、上記D(z)を求めるための算式が示されている。ここでは、この算式によって求められた算出値を、便宜上D(z)cと記す。この算式は、偏平率毎に規定されている。本実施形態では、偏平率が80、70、65、60、55、50、45、40及び35の各タイヤについて、算式が規定されている。
表3に示されるように、本実施形態では、算出値D(z)cは、タイヤ呼称幅に所定の複数の係数を加減し且つ乗じることにより、算出される。さらに、この算式には、前述のクリップ幅WLから基準リム幅を減じた差αが含まれている。表4に示されるように、この値αには、偏平率毎に適正な範囲が規定されている。さらに、表5には、好ましいD(z)の範囲が規定されている。すなわち、表5には、表3及び表4の規定に基づいて算出されたD(z)cに幅を持たせることにより、好ましいD(z)の範囲が規定されている。
上記αが上記好ましい範囲より小さいと、すなわち、D(y)が好ましい範囲より小さいと、ビードトゥビードの距離が小さくなる。リムのハンプ間距離より狭いと、エアーを入れにくくなり、リム組み作業性が低下する。逆に、αが上記好ましい範囲より大きいと、すなわち、D(y)が好ましい範囲より大きいと、実リム幅との差が大きくなり、リム組み時にビード部に初期歪が残留しやすくなる。その結果、ビード部の耐久性が低下する。
以下に、一例として、偏平率が65、タイヤ呼称幅が195のタイヤについて、例えば、αとして1.0を選択した場合、D(z)の値を好ましい範囲を算出する。
D(z)c = 0.899×(0.116×195+2.556)+1.620×1.0+0.920 = 25.17である。D(z)の値の好ましい範囲は、上記算出値D(z)c±4の範囲であるので、21.17mm以上、29.17mm以下となる。
Figure 2015066953
Figure 2015066953
Figure 2015066953
上記D(z)が好ましい範囲より大きい(D点が高すぎる)と、ビードエイペックスの高さを高くし、厚さを厚くする必要が生じる。その結果、縦バネ定数が高くなり、乗り心地が悪くなる。D(z)が好ましい範囲より小さい(D点が低すぎる)と、ビードエイペックスを低く薄くしなければならない。その結果、横バネ定数が低くなり、操縦安定性が低下する。
前述したように、本実施形態では、酒井秀男著、「タイヤ工学」に紹介された手法が採用される。この手法では、前述の算式(1)の他、算式(4)及び算式(5)により、標準リムに装着されたときのタイヤの、カーカスプロファイルを画くことができる。上記算式(1)から(8)に対し、A点、B点、C点及びD点を特定するカーカス径(タイヤ半径方向の径)rc、カーカス幅WC、ベルト幅BW、リム幅、クリップ幅WL、ベルトの内圧分担率Tbを、適宜与えることにより、タイヤ幅毎の自然平衡形状のカーカスプロファイルを決定することができる。その際、本発明では、予め、自然平衡形状理論に基づいて得られたカーカスプロファイル上に、タイヤ幅毎の上記4点(A、B、C、D)を、平面座標として設定することにより、タイヤの呼称幅と偏平率とを指定して、容易にタイヤ幅毎の自然平衡形状のカーカスプロファイルを決定することができる。
前述したように、自然平衡形状理論に関連づけられた上記τo及びa、並びに、4つの特定点(A、B、C、D)のうちの少なくとも3点が定まれば、自然平衡形状を有するカーカスプロファイルが定量的に定まる。また、カーカスプロファイルの算出ステップにおいて、未定乗数である前述したτo、a、A(y)、A(z)、B(y)、B(z)、C(y)、C(z)、D(y)及びD(z)のうち、少なくとも7個が自然平衡形状理論に関連づけられて定まれば、自然平衡形状を有するカーカスプロファイルが定量的に定まる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
以下に実施例及び比較例として挙げられたタイヤは、全てのタイヤのサイズが、195/65R15である。各タイヤについて、その接地形状及び接地圧分布が測定された。接地形状は、ファクターFSF(Foot Print Shape Factor)により評価された。評価は5点満点の指数によりなされた。数値が大きいほど好ましい。各タイヤについて、台上摩耗エネルギー試験装置により、耐偏摩耗性能を評価するための公知の試験が行われた。タイヤのトレッドの、クラウン部の摩耗エネルギーとショルダー部の摩耗エネルギーとの比に基づいて評価された。評価は5点満点の指数によりなされた。数値が大きいほど好ましい。各タイヤについて、設計段階において、規定内圧を充填することによるカーカスプロファイルのせり出し量を算出した。このせり出し量の算出は、有限要素法によった。特に、バットレス部のせり出し量とビード部のせり出し量とが算出された。両部分のせり出し量の比により、カーカスプロファイルの変形の均一性が評価された。比が1に近いほど好ましい。各タイヤについて、試験車両を用いた実車走行試験により、乗り心地性能が評価された。評価は、試験車両のドライバーによる、悪路走行時の突き上げに関する官能評価である。評価は5点満点の指数によりなされた。数値が大きいほど好ましい。各タイヤについて、試験車両を用いた実車走行試験により、耐ロードノイズ性能が評価された。試験車両の運転席の所定位置に設置された計測器により、走行中の音圧レベルが測定された。評価は5点満点の指数によりなされた。数値が大きいほど好ましい。
[実施例1]
実施例1として、図1に示される基本構造を備えたタイヤが製作された。このタイヤのカーカスの設計段階における、前述のτo、a、B(y)及びD(z)の値は表6に示されている。接地形状、カーカスプロファイルのせり出し量、耐偏摩耗性能、乗り心地性能及び耐ロードノイズ性能の評価結果は表6に示されている。
[実施例2]
実施例2として、図1に示される基本構造を備えたタイヤが製作された。このタイヤのカーカスの設計段階における、前述のτo、a、B(y)及びD(z)の値は表6に示されている。その他の構成及び評価試験の要領は、実施例1と同じである。接地形状、カーカスプロファイルのせり出し量、耐偏摩耗性能、乗り心地性能及び耐ロードノイズ性能の評価結果は表6に示されている。
[比較例1−4]
比較例1から4として、図1に示される基本構造を備えたタイヤが製作された。このタイヤのカーカスの設計段階における、前述のτo、a、B(y)及びD(z)の値は表6に示されている。その他の構成及び評価試験の要領は、実施例1と同じである。接地形状、カーカスプロファイルのせり出し量、耐偏摩耗性能、乗り心地性能及び耐ロードノイズ性能の評価結果は表6に示されている。
[実施例3−7]
実施例3から7として、図1に示される基本構造を備えたタイヤが製作された。このタイヤのカーカスの設計段階における、前述のτo、a、B(y)及びD(z)の値は表6に示されている。その他の構成及び評価試験の要領は、実施例1と同じである。接地形状、カーカスプロファイルのせり出し量、耐偏摩耗性能、乗り心地性能及び耐ロードノイズ性能の評価結果は表7に示されている。
Figure 2015066953
Figure 2015066953
表6及び表7に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べてせり出し量の均一性に関する評価が高い。その結果、接地形状、接地圧分布及び耐偏摩耗性能に関する評価も高い。また、乗り心地性能及び耐ロードノイズ性能については、実施例と比較例との差はないといえる。
以上説明されたカーカスプロファイルの決定方法は、種々の乗用車に適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・インナーライナー
16・・・チェーファー
20・・・トレッド面
22・・・溝
24・・・コア
26・・・エイペックス
28・・・カーカスプライ
30・・・内側ベルト層
32・・・外側ベルト層
34・・・ビードヒール
BL・・・ビードベースライン
CL・・・センターライン
CCL・・・カーカスライン
PP・・・(カーカスとベルトとの)離間開始点
RA・・・タイヤ回転軸
RL・・・クリップ幅端を通る半径方向の直線
TC・・・カーカスの厚さ
TS・・・サイドウォールゴムの厚さ
WB1・・・外側ベルト層の幅
WB2・・・内側ベルト層とカーカスとの積層幅
WC・・・カーカスの最大幅
WL・・・クリップ幅
WM・・・金型総幅

Claims (5)

  1. カーカスと、カーカスに積層されたベルトと、ビードベースを有するビードとを備えたタイヤのカーカスプロファイルを決定する方法であって、
    一の偏平率を有するタイヤのうちの代表タイヤ幅のタイヤについて、自然平衡形状理論を適用して、その自然平衡形状カーカスプロファイルを得る、代表カーカスプロファイル形成ステップと、
    上記代表タイヤ幅のタイヤの自然平衡形状カーカスプロファイル上の4つの特定点に対応する、上記代表タイヤ幅のタイヤと同一偏平率を有する他のタイヤ幅のタイヤの4つの特定点であるA点、B点、C点及びD点の位置を用い、自然平衡形状理論に基づいてカーカスプロファイルを算出する、カーカスプロファイル算出ステップとを含んでおり、
    このカーカスプロファイル算出ステップには、カーカスとベルト層との積層範囲において、カーカス上の任意の位置Zにおけるベルト層のタイヤ内圧分担率Tbを算出するための下記算式が用いられており、
    Tb = τo − a(ZA−Z)/(ZA−ZB)
    上記ZAは、下記A点のZ軸方向の座標位置に一致し、
    上記ZBは、下記B点のZ軸方向の座標位置に一致し、
    上記A点は、タイヤの周方向に垂直な断面における、タイヤ回転軸とタイヤ赤道面との交点を原点とし、タイヤ回転軸方向をY軸とし、タイヤ半径方向をZ軸とした座標上の、カーカスとタイヤ赤道面との交点であり、
    上記B点は、上記座標におけるカーカスのベルト層との離間開始点であり、
    上記τoは、上記A点におけるベルト層のタイヤ内圧の分担率であり、
    上記aは、上記B点における上記分担率τoの減少分であり、
    上記τo及びaのそれぞれの値について、タイヤの偏平率毎に、選択範囲が用意されている、カーカスプロファイルを決定する方法。
  2. 上記カーカスプロファイル算出ステップにおいて、上記他のタイヤ幅のタイヤの4つの特定点であるA点、B点、C点及びD点のうち、少なくとも3点の各座標位置の選択範囲を、自然平衡形状理論を適用して用意する、特定点の数値範囲設定ステップが含まれている、請求項1に記載のカーカスプロファイルを決定する方法。
  3. 上記B点のY座標値B(y)が、各タイヤ幅に対し、範囲を持って設定されており、上記D点のZ座標値D(z)が、各タイヤ幅に対し、範囲を持って設定されている、請求項1または2に記載のカーカスプロファイルを決定する方法。
  4. 上記A点のZ座標値A(z)が、規格に規定された金型内径、トレッドのタイヤ軸方向中央部におけるトレッドゴム肉厚、及び、全ベルト層の厚さによって定められ、
    上記C点のY座標値C(y)が、規格に規定された金型総幅の1/2、サイドウォールの厚さ、及び、カーカスがハイターンアップ構造である場合のカーカスの厚さによって定められる請求項1から3のいずれかに記載のカーカスプロファイルを決定する方法。
  5. トレッドと、このトレッドの両端それぞれからタイヤ半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、各サイドウォールのタイヤ軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、カーカスのタイヤ半径方向外側に積層されたベルト層とを備えており、
    リムに組み付けられ、且つ、内圧が充填されたときの上記カーカスの形状が、自然平衡形状理論に基づいて決定されたものであり、このカーカスの形状を決定するに際し、請求項1から4のいずれかに記載のカーカスプロファイルを決定する方法が適用された、空気入りタイヤ。
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