JP2015065122A - 炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体およびそれを用いた編物 - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱線の断線リスクを低減する。【解決手段】本発明は、主としてゴム状弾性体からなる外装体10と、その外装体10の内部にあって主として炭素から成る抵抗線20とを備え、抵抗線20が、炭素粒子30が凝集若しくは分散した形態を有することを特徴とする炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1およびそれを用いた編物60に関する。【選択図】図1
Description
本発明は、通電によって発熱可能な炭素抵抗体をゴム状弾性体にて被覆した炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体、およびそれを用いた編物に関する。
従来から、通電によって加温可能なマット、毛布あるいは絨毯などが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなマット等のほとんどは、マット等を構成する薄いシートの間にニクロム線等の比較的電気抵抗の高い金属線を配置し、通電した金属線の発熱を利用してマット等の温度を上昇させる構造を備える。
しかし、上記の従来技術には、次のような問題がある。金属線への通電によりマット等の加温を実現する構造の場合、金属線が破断してしまうと、通電障害が生じるという問題がある。加温マット等の機能を回復するには、断線した金属線を修繕する必要があるが、マット等の内部における破断箇所の特定が困難であり、また、破断箇所を特定できても、破断した金属線の修繕が難しい。また、金属線の鋭利な断面により人に怪我をさせ、あるいは人を感電等させる危険性もある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、発熱線の断線リスクを低減することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一形態は、主としてゴム状弾性体からなる外装体と、その外装体の内部にあって主として炭素から成る抵抗線とを備え、抵抗線が、炭素粒子が凝集若しくは分散した形態を有する炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体である。
本発明の別の形態は、さらに、抵抗線を、外装体の内部空間に埋設される筒状体とした炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体である。
本発明の別の形態は、また、抵抗線を、ゴム状弾性体中に炭素粒子が分散した分散体とした炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体である。
本発明の別の形態は、また、外装体を、抵抗線を埋設する扁平形状のシートとした炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体である。
本発明の別の形態は、また、外装体を、その長さ方向に抵抗線を内在可能な中空部を備えるチューブとした炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体である。
本発明の別の形態は、また、外装体を、主としてシリコーンゴムから構成した炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体である。
本発明の一形態は、上述のいずれかの炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体を二次元若しくは三次元に編んで構成される編物である。
本発明によれば、発熱線の断線リスクを低減した通電加温体を得ることができる。
次に、本発明に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体およびそれを用いた編物の各実施の形態について説明する。
1.炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の構成
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の全体像および断面を示す。
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の全体像および断面を示す。
この実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1は、主としてゴム状弾性体からなる外装体10と、外装体10の内部にあって主として炭素から成る抵抗線20とを備える。ここで、「主としてゴム状弾性体からなる」とは、外装体10の50体積%を超える体積分をゴム状弾性体で占めることを意味する。抵抗線20は、炭素粒子30が凝集若しくは分散した形態を有する。また、外装体10は、その長さ方向に抵抗線20を内在可能な中空部11を備えるチューブである。以下、外装体10と抵抗線20に分けて詳述する。
(1)外装体
外装体10を構成するゴム状弾性体は、熱硬化性エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれでも良い。熱硬化性エラストマーとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等を例示できる。熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPEE)、スチレン系(SBC)、オレフィン系(TPO)、ブタジエン系(RB)あるいはフッ素系(TPF)等のエラストマーを例示できる。また、上述のゴムの複合体から外装体10を構成しても良い。外装体10の構成材料として特に好ましいゴム状弾性体は、主としてシリコーンゴムを含む。ここで、「主としてシリコーンゴム」とは、ゴム状弾性体の50体積%を超える体積分をシリコーンゴムで占めることを意味する。シリコーンゴムは、シリコーンのみを重合させたものの他、シリコーンと有機モノマーとを共重合させたシリコーン変性ポリマーをも含むように広義に解釈される。また、シリコーンゴムは、好ましくは、付加反応硬化型あるいは縮合反応硬化型の液状シリコーンゴムから成るが、ミラブルシリコーンゴムを用いたものでも良い。外装体10は、ゴム状弾性体のみから構成される他、ゴム状弾性体に任意のフィラーを混合したものでも良い。ただし、フィラーをゴム状弾性体に混合する場合には、炭素よりも電気抵抗の高い材料、好ましくは絶縁物をフィラーに用いるのが好ましい。
外装体10を構成するゴム状弾性体は、熱硬化性エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれでも良い。熱硬化性エラストマーとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等を例示できる。熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPEE)、スチレン系(SBC)、オレフィン系(TPO)、ブタジエン系(RB)あるいはフッ素系(TPF)等のエラストマーを例示できる。また、上述のゴムの複合体から外装体10を構成しても良い。外装体10の構成材料として特に好ましいゴム状弾性体は、主としてシリコーンゴムを含む。ここで、「主としてシリコーンゴム」とは、ゴム状弾性体の50体積%を超える体積分をシリコーンゴムで占めることを意味する。シリコーンゴムは、シリコーンのみを重合させたものの他、シリコーンと有機モノマーとを共重合させたシリコーン変性ポリマーをも含むように広義に解釈される。また、シリコーンゴムは、好ましくは、付加反応硬化型あるいは縮合反応硬化型の液状シリコーンゴムから成るが、ミラブルシリコーンゴムを用いたものでも良い。外装体10は、ゴム状弾性体のみから構成される他、ゴム状弾性体に任意のフィラーを混合したものでも良い。ただし、フィラーをゴム状弾性体に混合する場合には、炭素よりも電気抵抗の高い材料、好ましくは絶縁物をフィラーに用いるのが好ましい。
外装体10の中空部11は、抵抗線20の存在領域であって、チューブの形態を有する外装体10の長さ方向に沿って外装体10の内部に形成されている。この実施の形態では、中空部11は、好適には、外装体10の長さ方向の両端を除いて外部に露出していないが、両端以外の箇所で外部に露出していても良い。
(2)抵抗線
抵抗線20は、主として炭素から成る。ここで、「主として炭素から成る」とは、抵抗線20の50体積%を超える体積分を炭素で占めることを意味する。よって、炭素以外の材料、例えば、後述する高分子などが含まれていても抵抗線20を構成できる。炭素粒子30の形態は、等方形であるか異方形であるかを問わない。また、炭素は、非晶質であるか結晶質であるかも問わない。さらに、炭素粒子30の形態は、球状、多角形状、針状、繊維状等のいずれの形態をも含むように、広義に解釈される。また、炭素粒子30の大きさも特に限定されない。炭素粒子30の平均粒径(D50)は、好適には10〜10000nm、さらに好適には50〜2000nm、特に好適には100〜1000nmである。ここで、平均粒径(D50)は、動的光散乱光子相関法によって測定される粒度分布において、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径を意味する。
抵抗線20は、主として炭素から成る。ここで、「主として炭素から成る」とは、抵抗線20の50体積%を超える体積分を炭素で占めることを意味する。よって、炭素以外の材料、例えば、後述する高分子などが含まれていても抵抗線20を構成できる。炭素粒子30の形態は、等方形であるか異方形であるかを問わない。また、炭素は、非晶質であるか結晶質であるかも問わない。さらに、炭素粒子30の形態は、球状、多角形状、針状、繊維状等のいずれの形態をも含むように、広義に解釈される。また、炭素粒子30の大きさも特に限定されない。炭素粒子30の平均粒径(D50)は、好適には10〜10000nm、さらに好適には50〜2000nm、特に好適には100〜1000nmである。ここで、平均粒径(D50)は、動的光散乱光子相関法によって測定される粒度分布において、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径を意味する。
ここで、重要なことは、抵抗線20がバルク状の炭素、すなわち1つの成形体としての体をなす炭素)ではなく、微小な炭素の凝集体若しくは何らかのマトリックス中に分散する分散体であることである。これによって、外装体10の曲げや折れに追従して、巨視的に抵抗線20が変形しつつも、抵抗線20を構成する炭素粒子30が少なくとも部分的に接触して電気抵抗の高い導体としての機能を発揮できるからである。この結果、抵抗線20は、金属線に比べて格段に断線しにくくなる。また、抵抗線20が発熱すると、外装体10が伸び、これによって、抵抗線20を構成する炭素粒子30同士の間隔が広くなる。このため、過度の発熱を抑制する過電流抑制素子としての機能も発揮できる。この機能は、以後の各実施の形態でも同様に得られる。炭素粒子30同士が接触する部位は焼結しているか、分離容易に接触しているかを問わない。ただし、後者の場合には、炭素粒子30同士が高分子(導電性高分子が特に好ましい)を介在してつながっているのが好ましい。
(3)製造方法の例示
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1の好適な製造方法としては、例えば、炭素粒子30から成る抵抗線20を用意し、その外周をゴム状弾性体にて覆う方法を例示できる。また、中空部11を有するチューブ状の外装体10を用意し、中空部11に、炭素粒子30、導電性高分子および高揮発性の溶剤を混合した液状混合物を圧入し、溶剤を揮発させて抵抗線20を形成しても良い。この際、導電性高分子を含む液状混合物に代えて、導電性高分子を構成可能なモノマーを含む液状混合物を用い、製造工程中にてモノマーを架橋させて抵抗線20を完成しても良い。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1の好適な製造方法としては、例えば、炭素粒子30から成る抵抗線20を用意し、その外周をゴム状弾性体にて覆う方法を例示できる。また、中空部11を有するチューブ状の外装体10を用意し、中空部11に、炭素粒子30、導電性高分子および高揮発性の溶剤を混合した液状混合物を圧入し、溶剤を揮発させて抵抗線20を形成しても良い。この際、導電性高分子を含む液状混合物に代えて、導電性高分子を構成可能なモノマーを含む液状混合物を用い、製造工程中にてモノマーを架橋させて抵抗線20を完成しても良い。
(第二の実施の形態)
図2は、本発明の第二の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の全体像および断面を示す。
図2は、本発明の第二の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の全体像および断面を示す。
第二の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1aにおいて、第一の実施の形態と共通する部分は、同じ符号を付して、適宜、その説明を省略する。
第二の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1aにおいて、第一の実施の形態と異なる部分は、抵抗線21と抵抗線20の各形態の違いにある。具体的には、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1aは、外装体10の内部空間に埋設される筒状体の形態を持つ抵抗線21を備える。抵抗線21は筒状体であるため、その内部には中空部11が存在する。すなわち、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1aは、外装体10の内部にある中空部11の内壁に、細長い筒状の抵抗線21が接触した形態を有する。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1aの好適な製造方法としては、例えば、炭素粒子30から成る筒状の抵抗線21を用意し、その外周をゴム状弾性体にて覆う方法を例示できる。また、中空部11を有するチューブ状の外装体10を用意し、中空部11に、中空部11より小径の細長い芯材(不図示)を挿入し、炭素粒子30、導電性高分子および高揮発性の溶剤を混合した液状混合物を、芯材と中空部11との隙間に圧入し、溶剤を揮発させて筒状の抵抗線21を形成し、最後に芯材を引き抜いても良い。この際、導電性高分子を含む液状混合物に代えて、導電性高分子を構成可能なモノマーを含む液状混合物を用いても良い点は、第一の実施の形態と同様である。
筒状の抵抗線21を外装体10の内部に配置し、抵抗線21の内部に中空部11を形成すると、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1aは径方向にて柔軟性に富むようになる。このため、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1aを用いて製造される後述の編物あるいはシートは、非常に柔らかく、触り心地の良いものになる。また、中空部11に空気が存在するので、上述の編物やシートの保温性が高くなる。このため、抵抗線21に印加する電圧を低くしても、上述の編物やシートを比較的高い温度に保持できる。
(第三の実施の形態)
図3は、本発明の第三の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の全体像および断面を示す。
図3は、本発明の第三の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の全体像および断面を示す。
第三の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1bにおいて、前述の各実施の形態と共通する部分は、同じ符号を付して、適宜、その説明を省略する。
第三の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1bにおいて、第二の実施の形態と異なる部分は、抵抗線21の内部にゴム状弾性体が充填されているか否かにある。具体的には、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1bは、外装体10の内部空間の内壁に形成される筒状体の形態を持つ抵抗線21を備え、かつその筒状の抵抗線21の内部にゴム状弾性体25を充填している。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1bの好適な製造方法としては、例えば、炭素粒子30から成る筒状の抵抗線21を用意し、その内部に細長い円柱形状のゴム状弾性体25を充填し、かつ抵抗線21の外周をゴム状弾性体にて覆って外装体10を形成する方法を例示できる。また、中空部11を有するチューブ状の外装体10を用意し、中空部11に、中空部11より小径の細長いゴム状弾性体25(芯材)を挿入し、炭素粒子30、導電性高分子および高揮発性の溶剤を混合した液状混合物を、ゴム状弾性体25と中空部11との隙間に圧入し、溶剤を揮発させて筒状の抵抗線21を形成しても良い。この際、導電性高分子を含む液状混合物に代えて、導電性高分子を構成可能なモノマーを含む液状混合物を用いても良い点は、前述の実施の形態と同様である。
筒状の抵抗線21を外装体10の内部に形成し、抵抗線21の内部にゴム状弾性体25を充填すると、中実状の抵抗線20を外装体10の内部に備える第一の実施の形態に比べ、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1bは径方向にて柔軟性に富むようになる。このため、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1bを用いて製造される後述の編物あるいはシートは、非常に柔らかく、触り心地の良いものになる。
(第四の実施の形態)
図4は、本発明の第四の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の全体像および断面を示す。
図4は、本発明の第四の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の全体像および断面を示す。
第四の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1cにおいて、前述の各実施の形態と共通する部分は、同じ符号を付して、適宜、その説明を省略する。
第四の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1cにおいて、第一の実施の形態と異なる部分は、抵抗線20に代えて、ゴム状弾性体中に炭素粒子30が分散した分散体としての抵抗線22を外装体10の中空部11に充填している点にある。具体的には、抵抗線22は、炭素粒子30の集合体ではなく、ゴム状弾性体と炭素粒子30との混合物から成る。抵抗線22は、通電可能に構成するため、炭素粒子30の部分的なネットワークが途切れないような量でゴム状弾性体中に存在する必要がある。抵抗線22の体積に占める炭素粒子30の体積の比率は、好ましくは10〜95%、より好ましくは20〜60%である。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1cの好適な製造方法としては、例えば、炭素粒子30とゴム状弾性体との細長い混合体を用意し、その外周をゴム状弾性体にて覆って外装体10を形成する方法を例示できる。また、中空部11を有するチューブ状の外装体10を用意し、中空部11に、炭素粒子30を含む液状で未硬化状態のゴム材料を、中空部11に充填し、当該ゴム材料を加硫化して抵抗線22を形成しても良い。
ゴム状弾性体を含む抵抗線22を外装体10の内部に形成すると、中実状の抵抗線20を外装体10の内部に備える第一の実施の形態に比べ、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1cは径方向にて柔軟性に富むようになる。このため、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1cを用いて製造される後述の編物あるいはシートは、非常に柔らかく、触り心地の良いものになる。また、抵抗線22内の炭素粒子30はネットワークを構築した状態にてゴム状弾性体の内部に分散しているので、外装体10の曲げや折れに追従して、巨視的に抵抗線22が変形しつつも、抵抗線22は高い導体としての機能を発揮できる。この結果、抵抗線22は、金属線に比べて格段に断線しにくくなる。
(第五の実施の形態)
図5は、本発明の第五の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の部分透過平面図(5A)、同平面図のA−A線断面図(5B)および同断面図中の領域Bの拡大断面図(5C)をそれぞれ示す。
図5は、本発明の第五の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の部分透過平面図(5A)、同平面図のA−A線断面図(5B)および同断面図中の領域Bの拡大断面図(5C)をそれぞれ示す。
第五の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40において、前述の各実施の形態と共通する部分は、同じ符号を付して、適宜、その説明を省略する。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40は、主としてゴム状弾性体からなる外装体50と、外装体50の内部にあって主として炭素から成る抵抗線21とを備える。この実施の形態における抵抗線21の内部構造は、第二の実施の形態にて説明した抵抗線21と同一であるが、その断面が矩形である点で第二の実施の形態と異なる。ただし、この実施の形態において、断面が略円形の抵抗線21を用いても良い。外装体50は、抵抗線21を埋設する扁平形状のシートである。外装体50を構成する材料は、上述の各実施の形態における外装体10を構成する材料と同様である。抵抗線21は、外装体50中において、図5中、上下方向に往復して埋設され、その両端に端子41を形成している。当該両端子41間に電圧を印加することにより、抵抗線21がその抵抗に起因して発熱する。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40の好適な製造方法としては、例えば、炭素粒子30から成る筒状の抵抗線21を用意し、外装体50の厚さの約50%の厚さを持つゴム状弾性体から成る薄いフィルム上に、抵抗線21を敷き、その上から同じ薄いフィルムを被せる方法を例示できる。当該方法に代えて、未硬化状態のゴム材料から成る2枚の薄いフィルムの間に抵抗線21を挟み、当該フィルムを加硫化する方法を用いても良い。また、抵抗線21を製造する場合には、第二の実施の形態にて説明したように、炭素粒子30、導電性高分子および高揮発性の溶剤を混合した液状混合物を用意し、溶剤を揮発させて筒状の抵抗線21を形成することができる。この際、導電性高分子を含む液状混合物に代えて、導電性高分子を構成可能なモノマーを含む液状混合物を用いても良い。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40に備える抵抗線21に代えて、第一の実施の形態における抵抗線20あるいは第四の実施の形態における抵抗線22を用いても良い。その場合、外装体50の厚さの約50%の厚さを持つゴム状弾性体から成る薄いフィルム上に、炭素粒子30、導電性高分子および高揮発性の溶剤を混合した液状混合物をインクとして用い、抵抗線20,22の経路に沿って印刷し、その上から同じく薄いフィルムを被せる方法を例示できる。当該方法に代えて、未硬化状態のゴム材料から成る2枚の薄いフィルムの間に上記インクを用いて印刷形成した抵抗線20,22を挟み、当該フィルムを加硫化する方法を用いても良い。
筒状の抵抗線21を外装体50の内部に配置し、抵抗線21の内部に中空部11を形成すると、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40は、いずれの方向からの圧力に対しても容易に弾性変形し、柔軟性に富むようになる。このため、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40は、非常に柔らかく、触り心地の良いものになる。また、中空部11に空気が存在するので、上述の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40の保温性が高くなる。このため、抵抗線21に印加する電圧を低くしても、上述の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40を比較的高い温度に保持できる。
2.炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体を用いた編物
図6は、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体を用いた編物の平面図を示す。
図6は、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体を用いた編物の平面図を示す。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体を用いた編物60の説明において、前述の各実施の形態と共通する部分は、同じ符号を付して、適宜、その説明を省略する。
ここで例示する編物60は、繊維あるいは紐の形態を持つ炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1を縦および横方向に約90度をなすように絡め合わせ、二次元に編んだものである。縦方向および横方向に配置される各炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1は、その両端に端子41を有する。この端子41間に電圧を印加することにより、各炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1中の抵抗線20を発熱させることができる。なお、縦方向の各炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1と横方向のそれとは、90度以外の任意の角度をなすように編むこともできる。
図7は、図6以外の編物の構成例(7A、7B)を模式的に示す。
炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1は、前述のように、縦および横に多数本配置されなくても良い。例えば、1本の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1を折り返し状態にして、2本の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1を縦方向および横方向から絡めて編物60を製造しても良い(7Aを参照)。また、1本のみの炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1を用いて編物60を製造しても良い(7Bを参照)。
第一〜第四の各実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体1,1a,1b,1cのみで編物60を製造する他、それら1,1a,1b,1cの任意の組み合わせにて編物60を製造しても良い。さらには、編物は、二次元形状(平面的なもの)の他、三次元形状(立体的なもの)でも良い。二次元の編物としては、例えば、枕カバー、シーツ、ソファーカバー、絨毯、ハンカチ、タオル、自動車内装用シート、衣類、スポーツ用品などを例示できる。三次元の編物としては、枕、寝袋、小物入れなどを例示できる。
3.その他の実施の形態
以上、本発明の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体およびそれを用いた編物の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、種々変形して実施可能である。
以上、本発明の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体およびそれを用いた編物の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、種々変形して実施可能である。
図8は、第五の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体の変形例の透過平面図を示す。
図8の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体80は、格子状の外装体70の内部に、2本の抵抗線21(炭素粒子30から構成)を図7の(7A)の形態に配置した構造を備える。外装体70の材料は、上述の各実施の形態における外装体10,50と同様である。各抵抗線21の両端には、電圧印加用の端子41が備えられている。両抵抗線21は、互いに短絡しないように、交点付近において立体交差されている。このような外装体70を用いると、上述の編物60と同様の使用を実現できる。また、外装体70は、編物60に比べてその厚さを薄くできるので、薄厚の網目構造の発熱シートを形成しやすいという長所がある。
また、抵抗線20,21,22は、その径方向断面を略円形あるいは略矩形とする線であるが、当該断面形状を、楕円、三角形、五角形以上の多角形あるいは不定形状とする線でも良い。第五の実施の形態において、抵抗線21を、シート状の外装体50の面内均一に配置する他、一部に配置しても良い。また、抵抗線21の経路は、短絡しない限り、上下往復以外の如何なる形態の経路であっても良い。また、炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体およびそれを用いた編物の上記各実施の形態は、互いに組み合わせ可能な範疇において、その構成部を任意に組み合わせることが可能である。例えば、第五の実施の形態に係る炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体40を細長くし、これを編んで、編物60と類似の構造を持つ編物を製造しても良い。その場合、抵抗線21は、編物60を構成する外装体10中、ジグザク状の経路で埋設される。
また、抵抗線20,21,22は、外装体10,50中に1本のみではなく、2本以上配置しても良い。例えば、シート状の外装体50中において、抵抗線21を、短絡しないように複数段に埋設することができる。
本発明は、発熱ゴム成形体として利用できる。
1,1a,1b,1c 40,80 炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体
10,50,70 外装体
11 中空部
20,21,22 抵抗線
30 炭素粒子
60 編物
10,50,70 外装体
11 中空部
20,21,22 抵抗線
30 炭素粒子
60 編物
Claims (7)
- 主としてゴム状弾性体からなる外装体と、
当該外装体の内部にあって主として炭素から成る抵抗線と、
を備え、
上記抵抗線は、炭素粒子が凝集若しくは分散した形態を有することを特徴とする炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体。 - 前記抵抗線は、前記外装体の内部空間に埋設される筒状体であることを特徴とする請求項1に記載の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体。
- 前記抵抗線は、ゴム状弾性体中に炭素粒子が分散した分散体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体。
- 前記外装体は、前記抵抗線を埋設する扁平形状のシートであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体。
- 前記外装体は、その長さ方向に前記抵抗線を内在可能な中空部を備えるチューブであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体。
- 前記外装体は、主としてシリコーンゴムから構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の炭素抵抗体被覆ゴム状弾性体を二次元若しくは三次元に編んで構成されることを特徴とする編物。
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JPH01172296U (ja) * | 1988-05-26 | 1989-12-06 | ||
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JP2000120036A (ja) * | 1998-10-15 | 2000-04-25 | Kurimoto Ltd | 階段用融雪マット |
-
2013
- 2013-09-26 JP JP2013199611A patent/JP2015065122A/ja active Pending
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