JP2015063564A - 硫化モリブデンアミド錯体の製造および残留活性硫黄の少ない添加剤組成物 - Google Patents
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a)酸性モリブデン化合物を、C4-40脂肪族カルボン酸成分と窒素原子数2乃至10のポリアミンとのアミド反応生成物から誘導した塩基性窒素と反応させる工程、ただし、カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比は約2:1乃至1:1である、
b)工程a)の生成物を、モリブデン1モル当り硫黄1乃至4モルの油溶性硫化モリブデン錯体、および活性硫黄を与える量の硫黄含有化合物と反応させる工程、そして
c)工程b)の生成物を、工程b)の活性硫黄と反応する少なくとも一種の化合物と反応させ、それにより工程b)の生成物中の活性硫黄を減少させる工程。
a)酸性モリブデン化合物を、C4-40脂肪族カルボン酸成分と窒素原子数2乃至10のポリアミンとのアミド反応生成物から誘導した塩基性窒素と反応させる工程、ただし、カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比は約2:1乃至1:1である、
b)工程a)の生成物を、モリブデン1モル当り硫黄1乃至4モルの油溶性硫化モリブデン錯体、および活性硫黄を与える量の硫黄含有化合物と反応させる工程、そして
c)工程b)の生成物を、工程b)の活性硫黄と反応する少なくとも一種の化合物と反応させ、それにより工程b)の生成物中の活性硫黄を減少させる工程。
以下の用語は、本明細書全体にわたって使用するが、特に断らない限り下記の意味である。
H2N(−R−NH)n−H
(式中、Rは、好ましくは炭素原子数2−3のアルキレン基であり、そしてnは、約1乃至11の整数である)
本発明の油溶性添加剤組成物を製造するのに使用されるモリブデン成分は、一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又はオキシ硫化モリブデンであるモリブデン含有化合物である。モリブデン成分には如何なる酸化状態のモリブデンも含まれる。本発明の油溶性添加剤組成物の製造に使用できるモリブデン成分は、モリブデン化合物から誘導することができ、これらに限定されるものではないが、ヘキサカルボニルモリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、他のアルカリ金属モリブデン酸塩、アルカリ土類金属モリブデン酸塩、MoOCl4、MoO2Br2、およびMo2O3Cl6が挙げられる。その他のモリブデン成分としては、三酸化モリブデン、テトラチオモリブデン酸アンモニウム、および二硫化モリブデンが挙げられる。好ましいモリブデン成分は、三酸化モリブデン、およびモリブデン酸やモリブデン酸アンモニウムから誘導されるような成分である。より好ましいモリブデン成分は三酸化モリブデンである。
本発明の油溶性添加剤組成物のモリブデン成分を製造するのに硫黄源が用いられる場合には、代表的な硫黄源として、これらに限定されるものではないが、硫黄、硫化水素、一塩化硫黄、二塩化硫黄、五硫化リン、R2Sx(ただし、Rは炭化水素基、好ましくはC1−C40アルキルであり、そしてxは少なくとも2である)、(NH4)2Sx(ただし、xは少なくとも1である)などの無機硫化物及び多硫化物、チオアセトアミド、チオ尿素、および式:RSH(ただし、Rは上に定義した通りである)のメルカプタン類を挙げることができる。また、従来の硫黄含有酸化防止剤、例えば硫化及び多硫化ワックス類、硫化オレフィン類、硫化カルボン酸エステル類および硫化エステル・オレフィン類、および硫化アルキルフェノール類及びそれらの金属塩も硫化剤として使用できる。
本発明の油溶性添加剤組成物の製造に使用されるアミド類は、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物である。アミドを生成させるカルボン酸成分とアミン成分との反応では、カルボン酸成分とアミン成分の充填モル比は約2:1乃至1:1である。好ましくはカルボン酸成分とアミン成分との充填モル比は、約1.7:1乃至1:1である。別の態様ではカルボン酸成分とアミン成分との充填モル比は、約1.5:1乃至1:1である。また別の態様では充填モル比は、約1.7:1乃至約1.3:1である。
本発明の油溶性添加剤組成物の製造に使用されるカルボン酸成分としては、炭素原子数少なくとも4乃至100、好ましくは炭素原子数4乃至60、より好ましくは炭素原子数4乃至40、更に好ましくは炭素原子数10乃至30の脂肪族及び芳香族カルボン酸類、カルボン酸塩類、無水カルボン酸類またはカルボン酸エステル類を挙げることができる。カルボン酸、カルボン酸塩、無水カルボン酸及びカルボン酸エステルの混合物も本発明の製造に使用することができる。好ましくはカルボン酸成分は脂肪族カルボン酸である。また、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、ペンタコシル酸、セロチン酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、ノナコシル酸、およびメリシン酸からなる群より特に選ばれた飽和脂肪族モノカルボン酸も適している。特に好適な脂肪族カルボン酸の例としては、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびアラキン酸などの脂肪酸を挙げることができる。特に好ましいカルボン酸成分はイソステアリン酸である。
本発明の油溶性添加剤組成物の製造に使用されるポリアミン成分としては、芳香族、環状及び脂肪族(線状及び分枝)ポリアミン類、およびそれらの混合物が挙げられる。芳香族ポリアミン類の例としては、これらに限定されるものではないが、フェニレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−及び2,6−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノ−p−キシレン、多核及び縮合芳香族ポリアミン類、例えばナフチレン−1,4−ジアミン、ベンジジン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルジアミン、および4,4’−ジアミノアゾベンゼンを挙げることができる。別の態様では、環員数約5乃至32でアミン窒素原子数約2乃至8のポリアミン類が、ポリアミン成分に含まれる。そのようなポリアミン化合物としては、ピペラジン、2−メチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−ヒロドキシエチル)ピペラジン、1,2−ビス−(N−ピペラジニル)エタン、3−アミノピロリジン、N−(2−アミノエチル)ピロリジンのような化合物、並びにトリアザシクロノナン、テトラアザシクロドデカンなどのアザクラウン化合物を挙げることができる。
H2N(−R−NH)n−H
(式中、Rは、好ましくは炭素原子数2−3のアルキレン基であり、そしてnは、1乃至11、更に好ましくは2−5の整数である)
活性硫黄と反応する少なくとも一種の化合物は特に限定はなく、工程b)の反応生成物の活性硫黄分を減少させることができる如何なる化合物も含まれる。ある態様では、活性硫黄と反応できる少なくとも一種の化合物は、少なくとも一種の、ハロゲンを含まない無機塩;少なくとも一種の不飽和化合物、特にはオレフィン類および不飽和脂肪酸類と不飽和脂肪酸誘導体;少なくとも一種の炭化水素亜リン酸エステル、特には亜リン酸トリフェニル及びトリアルキル類;少なくとも一種の塩基性窒素含有化合物、特にはアンモニア、炭化水素アミン類及びポリアミン類;およびそれらの混合物から選ばれる。化合物の塩基性窒素は、ASTM D2896で測定することができる。特に好ましいのは、アミド又はアミン官能基を持つ塩基性窒素化合物である。活性硫黄と反応する様々な化合物の混合物も用いることができる。
本発明の製造は、モリブデン成分と工程a)のアミド成分を一緒にすることにより実施することができる。極性促進剤を任意に反応混合物に加えることができる。アミド成分は、モリブデン成分との反応に先立って生成させることもできるし、あるいはその場でカルボン酸成分とポリアミン成分とから生成させることもできる。一般的に、より好適に、また充填モル比をより細かく制御するために、モリブデンの添加の前にアミド成分を生成させる。モリブデン成分とアミドとの反応生成物を、硫黄成分と反応させることにより硫化することが好ましい。アミド成分の添加に先立って、モリブデン成分を硫黄成分と一緒にして硫化又はオキシ硫化モリブデンを生成させることにより、本発明の製造を実施してもよい。好ましい態様では、モリブデン成分とアミドを反応させて酸化モリブデンとアミドの塩にし、続いて硫黄成分で硫化して硫化又はオキシ硫化モリブデンとアミドの塩にする。反応成分の添加順序は重要ではない。反応は通常、当該分野の熟練者によく知られている方法を用いて大気圧で実施するが、所望によりそれより高い圧力でも低い圧力でも用いることができる。反応混合物を効率よく撹拌することができるように、希釈剤を使用してもよい。代表的な希釈剤は、潤滑油、および炭素と水素だけを含む液体化合物である。混合物が満足に混合できるほど充分に流動的であるなら、希釈剤は必要ではない。モリブデン成分と反応しない希釈剤が望ましい。
多くの場合において、本発明の油溶性添加剤組成物の濃縮物をキャリヤ液を用いて調製することが有利である。これら添加剤濃縮物は、取扱いや輸送の、また潤滑油基油に最後にブレンドして調合済み潤滑剤にするという便利な方法をもたらす。一般に本発明の油溶性添加剤濃縮物は、単独では調合済み潤滑剤としては使用できないか、あるいは適しておらず、油溶性添加剤濃縮物を潤滑油基材油とブレンドして調合済み潤滑剤とする。キャリヤ液が本発明の油溶性添加剤を容易に可溶化して、潤滑油基材油に容易に溶ける油添加剤濃縮物を与えることが望ましい。さらに、キャリヤ液は、例えば高揮発度や高粘度、ヘテロ原子などの不純物を含む、望ましくない如何なる性質も潤滑油基材油に持ち込まないで、そうして最終的に調合済み潤滑剤にすることが望ましい。従って、本発明は更に、不活性キャリヤ液、および本発明に係る油溶性添加剤組成物、全濃縮物に基づき2.0質量%乃至90質量%を含む、油溶性添加剤濃縮組成物を提供する。不活性キャリヤ液は潤滑油であってもよい。
本発明の一態様では、本発明の油溶性添加剤組成物を潤滑粘度の基油に混合して、潤滑油組成物にすることができる。潤滑油組成物は、主要量の潤滑粘度の基油、および少量の上述した本発明の油溶性添加剤組成物を含む。
所望により、他の添加剤が本発明の潤滑油組成物および潤滑油濃縮組成物に含まれていてもよい。これら添加剤としては、抗酸化剤又は酸化防止剤、分散剤、さび止め添加剤、および腐食防止剤等を挙げることができる。また、消泡剤、安定剤、防汚剤、粘着付与剤、チャター防止剤、滴点向上剤、スクォーク防止剤、極圧剤、および悪臭防止剤等も挙げることができる。
本発明に用いることができる清浄剤としては、アルキル又はアルケニル芳香族スルホネート類、カルシウムフェネート、ホウ酸化スルホネート類、多ヒドロキシアルキル又はアルケニル芳香族化合物の硫化又は未硫化金属塩類、アルキル又はアルケニルヒドロキシ芳香族スルホネート類、硫化又は未硫化アルキル又はアルケニルナフテネート類、アルカノール酸の金属塩類、アルキル又はアルケニル多酸の金属塩類、およびそれらの化学的及び物理的混合物を挙げることができる。
その名が意味するように、これら添加剤は可動金属部分の摩耗を低減する。そのような添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ジチオリン酸亜鉛類、カルバメート類、エステル類、およびモリブデン錯体を挙げることができる。
さび止め添加剤は、普段腐食にさらされる物質の腐食を低減する。さび止め添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、およびポリエチレングリコールモノオレエートを挙げることができる。さび止め添加剤として使用できる他の化合物としては、これらに限定されるものではないが、ステアリン酸および他の脂肪酸類、ジカルボン酸類、金属石鹸類、脂肪酸アミン塩類、重質スルホン酸の金属塩類、多価アルコールの部分カルボン酸エステル、およびリン酸エステルを挙げることができる。
抗乳化剤は、エマルジョンの分離を促すために使用される。抗乳化剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体、ポリエトキシル化アルキルフェノール類、ポリエステルアミド類、エトキシル化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアルコール誘導体、および陽イオン又は陰イオン高分子電解質を挙げることができる。様々な種類の重合体の混合物も使用することができる。
追加の摩擦調整剤を、本発明の潤滑油に添加してもよい。摩擦調整剤の例としては、これらに限定されるものではないが、脂肪アルコール類、脂肪酸類、アミン類、エトキシル化アミン類、ホウ酸化エステル類、他のエステル類、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類、およびホスホン酸エステル類を挙げることができる。
酸化防止性と耐摩耗性のような複数の特性を持つ添加剤も、本発明の潤滑油に添加してよい。多機能添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート、硫化オキシモリブデンオルガノホスホロジチオエート、オキシモリブデンモノグリセリド、オキシモリブデンジエチラートアミド、アミン・モリブデン錯体、および硫黄含有モリブデン錯体を挙げることができる。
粘度指数向上剤は、粘度調整剤としても知られていて、潤滑油の粘度温度特性を改善して、油の温度が変化するにつれてその粘度をより安定にする添加剤の部類からなる。粘度指数向上剤を本発明の潤滑油組成物に添加してもよい。粘度指数向上剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリメタクリレート型重合体、エチレン・プロピレン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、リン硫化ポリイソブチレンのアルカリ土類金属塩類、水和スチレン・イソプレン共重合体、ポリイソブチレン、および分散型粘度指数向上剤を挙げることができる。
流動点降下剤は、潤滑油中のろう結晶形成を抑制するように設計され、その結果流動点を下げて低温流動性能を改善する重合体である。流動点降下剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリメチルメタクリレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン重合体、およびアルキル化ポリスチレン類を挙げることができる。
消泡剤は、潤滑油の泡立ち傾向を低減するために使用される。消泡剤の例としては、これらに限定されるものではないが、アルキルメタクリレート重合体、アルキルアクリレート共重合体、およびジメチルシロキサン重合体などの高分子量オルガノシロキサン類を挙げることができる。
金属不活性化剤は、金属が油を酸化させるのを防ぐために金属表面に膜を作る。金属不活性化剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ジサリチリデンプロピレンジアミン、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ビスイミダゾールエーテル類、およびメルカプトベンズイミダゾール類を挙げることができる。
分散剤は、スラッジやカーボン、スス、酸化生成物、他の堆積物前駆体を拡散して凝集するのを防ぎ、結果として堆積物形成を低減し、油酸化を減らし、また粘度上昇を減らす。分散剤の例としては、これらに限定されるものではないが、アルケニルコハク酸イミド類、他の有機化合物で変性したアルケニルコハク酸イミド類、エチレンカーボネート又はホウ酸による後処理で変性したアルケニルコハク酸イミド類、アルカリ金属又は混合アルカリ金属、アルカリ土類金属のホウ酸塩類、水和アルカリ金属ホウ酸塩の分散物、アルカリ土類金属ホウ酸塩の分散物、およびポリアミド無灰分散剤等、またはそのような分散剤の混合物を挙げることができる。
酸化防止剤は、スラッジ及びワニス状堆積物など酸化生成物が金属表面に形成されるのを防ぐことにより、鉱油が劣化する傾向を低減する。本発明に使用できる酸化防止剤の例としては、これらに限定されるものではないが、フェノール型(フェノール系)酸化防止剤、例えば4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−5−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−1−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−10−ブチルベンジル)−スルフィド、およびビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)を挙げることができる。ジフェニルアミン型酸化防止剤としては、これらに限定されるものではないが、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−アルファ−ナフチルアミン、およびアルキル化アルファ−ナフチルアミンを挙げることができる。他の型の酸化防止剤としては、金属ジチオカルバメート(例えば、亜鉛ジチオカルバメート)、およびメチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)が挙げられる。
本明細書に開示する油溶性添加剤組成物を含む潤滑油組成物は、潤滑油の摩擦特性を調整するための液体組成物としても、グリース組成物としても効果があり、それをクランクケース用潤滑剤として使用すれば、本発明の潤滑油で潤滑にした車両に総マイル数の改善をもたらすことができる。
本発明の油溶性添加剤組成物は、潤滑油添加剤としての使用に加えて、水素化処理触媒の前駆体としても想定することができる。本発明の油溶性添加剤組成物は、触媒前駆体として作用することができて、水素と硫黄又は硫黄担持化合物の存在下で炭化水素と接触して分解し、炭化水素質供給原料を水素化処理するための活性触媒になる。本発明の油溶性添加剤組成物を、水素と炭化水素と硫黄又は硫黄担持化合物の存在下で、例えば「油中」条件で分解温度まで加熱して分解し、水素化処理用活性触媒種にすることができる。
(1)一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又はオキシ硫化モリブデンであるモリブデン成分、および
(2)カルボン酸成分とポリアミン成分との充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分の反応生成物を含むアミド。
(1)潤滑粘度の油、および
(2)下記の物質の塩を含む油溶性添加剤組成物:
(a)一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又はオキシ硫化モリブデンであるモリブデン成分、および
(b)カルボン酸成分とポリアミン成分との充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分の反応生成物を含むアミド。
(1)潤滑粘度の油、および
(2)下記の物質の塩を含む油溶性添加剤組成物、約2.0質量%乃至約90質量%:
(a)一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又はオキシ硫化モリブデンであるモリブデン成分、および
(b)カルボン酸成分とポリアミン成分との充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分の反応生成物を含むアミド。
(1)酸化、硫化又はオキシ硫化モリブデンであるか、あるいはそれを生成させることができるモリブデン成分、および
(2)カルボン酸成分とポリアミン成分との充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分の反応生成物を含むアミド。
モリブデン含有反応生成物を硫化して、オキシ硫化モリブデン又は硫化モリブデンとアミドの塩にすることが好ましい。
(1)一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又はオキシ硫化モリブデンであるか、あるいはそれを生成させることができるモリブデン成分、および
(2)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分の反応生成物を含むアミド。
この態様では、硫化又はオキシ硫化モリブデンであるか、あるいはそれを生成させることができるモリブデン成分を更に工程(2)の後に、好適な反応条件で活性硫黄と反応する成分と反応させて、それにより油溶性添加剤組成物の残留活性硫黄を減少させることができるとの、また別の態様もある。
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/テトラエチレンペンタアミン(TEPA)ポリアミドとの塩
ISA/TEPA CMR=3.15:1
丸底フラスコに、イソステアリン酸とテトラエチレンペンタアミンのポリアミド(280g、ISA/TEPA CMR=3.15)、希釈油(エクソン(Exxon)100N、90g)、およびトルエン(100mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(17.5g、0.12モル)、および水(25g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫黄(15g、0.46モル)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧で取り除いた。最終生成物の分析から次のことが分かった:Mo=2.9質量%、S=3.8質量%。
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/テトラエチレンペンタアミン(TEPA)ポリアミドの塩
ISA/TEPA CMR=1.3:1
丸底フラスコに、イソステアリン酸とテトラエチレンペンタアミンのポリアミド(10g、ISA/TEPA CMR=1.3)、希釈油(エクソン100N、6.6g)、およびトルエン(40mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(1.3g、0.009モル)、および水(2g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫黄(0.55g、0.017モル)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧で取り除いた。最終生成物の分析から次のことが分かった:Mo=4.0質量%、S=3質量%。
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/ジエチレントリアミン(DETA)ポリアミドの塩
ISA/DETA CMR=1.7:1
丸底フラスコに、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(250g、ISA/DETA CMR=1.7)、希釈油(エクソン100N、363g)、およびトルエン(200mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(46.3g、0.32モル)、および水(25g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫化アンモニウム(42質量%水溶液54.85mL)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧で取り除いた。最終生成物の分析から次のことが分かった:Mo=3.56質量%、S=2.03質量%。
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/ジエチレントリアミン(DETA)ポリアミドの塩
ISA/DETA CMR=1.3:1
丸底フラスコに、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(400g、ISA/DETA CMR=1.3)、希釈油(エクソン100N、385g)、およびトルエン(200mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(52.1g、0.36モル)、および水(40g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫黄(23.2g、0.72モル)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧で取り除いた。最終生成物の分析から次のことが分かった:Mo=3.6質量%。
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/エチレンジアミン(EDA)ポリアミドの塩
ISA/EDA CMR=1.0:1
丸底フラスコに、エチレンジアミンとイソステアリン酸のポリアミド(118g、ISA/EDA CMR=1.0)、希釈油(エクソン100N、272g)、およびトルエン(360mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(18.9g、0.13モル)、および水(12g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫黄(8.4g、0.26モル)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧で取り除いた。最終生成物の分析から次のことが分かった:Mo=3.0質量%。
実施例1乃至5から下記の配合に従って、MoOxSyとイソステアリン酸/ポリアミンアミドとの塩を含む潤滑油組成物を製造した。
(1)MoOxSyとイソステアリン酸/ポリアミンアミドの塩(各配合物でMo含量=500ppm)
(2)無灰分散剤、4質量%
(3)アルカリ土類金属カルボキシレート清浄剤、3.01質量%
(4)アルカリ土類金属スルホネート清浄剤、0.60質量%
(5)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、0.62質量%
(6)酸化防止剤、1.2質量%
(7)非分散型粘度指数向上剤、4.3質量%
(8)消泡剤、5ppm
(9)残りは潤滑油であった
モリブデンジチオカルバメートを含む潤滑油組成物
モリブデンジチオカルバメート(「サクラルーベ(Sakura Lube)505」、アデカUSAコーポレーション(AdekaUSACorporation、ニュージャージー州サドルリバー)製)0.82質量%が、この潤滑油組成物の唯一のモリブデン源になったこと以外は、上記の配合に従って潤滑油組成物を製造した。Mo含量=500ppm。
オキシ硫化モリブデン/モノコハク酸イミド錯体を含む潤滑油組成物
米国特許第4263152号明細書(キング、外)に記載されているようにして、ポリイソブテニル(分子量約1000)から誘導したオキシ硫化モリブデン・モノコハク酸イミド錯体500ppmが、この潤滑油組成物の唯一のモリブデン源になったこと以外は、上記の配合に従って潤滑油組成物を製造した。
実施例 種別 CMR 摩擦係数(COF)
(ISA:ポリアミン) (最後10分平均)
1 MoOxSy/ISA/ 3.15 0.069
TEPAポリアミド
2 MoOxSy/ISA/ 1.3 0.045
TEPAポリアミド
3 MoOxSy/ISA/ 1.7 0.049
DETAポリアミド
4 MoOxSy/ISA/ 1.3 0.044
DETAポリアミド
5 MoOxSy/ISA/ 1.0 0.042
EDAアミド
6 MoDTC − 0.044
7 MoOxSy・コハク酸 − 0.104
イミド
2Lガラス反応器に、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(467.3g、ISA/DETA CMR=1.7、ASTM D2896で測定したTBN=117mgKOH/g)、およびシェブロン(Chevron)100N基油(911.0g)を充填した。反応器を窒素ガスシールと撹拌をしながら70℃に加熱した。三酸化モリブデン(103.2g、0.72モル)、および水(88.8g)を上記の溶液に加えた。反応温度を90−95℃に上げ3時間保持して、モリブデン酸化反応を完了させた。次いで、激しく撹拌しながら、元素硫黄(34.4g、1.07モル)を反応器に充填した。反応温度を120℃に上げ、そしてN2を流速180−200mL/分で吹き流すように変えた。混合物を120℃で2時間保持して硫化反応を完了させた。生成物の分析から次のことが分かった:Mo=4.0質量%、S=2.0質量%。
実施例8で製造した油溶性硫化モリブデン錯体472.0gを反応器に入れた。次いで、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(14.4g、ISA/DETA CMR=1.7)を、更に反応器に充填して工程c)を開始した。激しく撹拌しながら、上記の混合物を窒素吹流し(180−200mL/分)下で120℃で2時間加熱した。得られた組成物について、ASTM D130試験にて銅板腐食の測定を行い、第2表の結果を得た。
実施例8で製造した油溶性硫化モリブデン錯体419.9gを反応器に入れた。次いで、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(25.2g、ISA/DETA CMR=1.7)を、更に反応器に充填して工程c)を開始した。激しく撹拌しながら、上記の混合物を窒素吹流し(180−200mL/分)下で120℃で2時間加熱した。次に、窒素吹流しを停止し、空気を流速180−200mL/分で導入して混合物に120℃で更に1時間散布した。得られた組成物について、ASTM D130試験にて銅板腐食の測定を行い、第2表の結果を得た。
実施例8で製造した油溶性硫化モリブデン錯体410.2gを反応器に入れた。次いで、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(41.0g、ISA/DETA CMR=1.7)を、更に反応器に充填した。激しく撹拌しながら、上記の混合物を窒素吹流し(180−200mL/分)下で120℃で2時間加熱した。得られた組成物について、ASTM D130試験にて銅板腐食の測定を行い、第2表の結果を得た。
イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(450.0g、ISA/DETA CMR=1.7)、およびシェブロン100N基油(877.2g)を、2Lガラス反応器に充填した。反応器を窒素ガスシールと撹拌をしながら70℃に加熱した。次いで、三酸化モリブデン(99.4g、0.69モル)、および水(85.5g)を上記の溶液に加えた。反応温度を85−90℃に上げ3時間保持して、モリブデン酸化反応を完了させた。元素硫黄(32.7g、1.02モル)を激しく撹拌しながら反応器に充填した。反応温度を120℃に上げ、そしてN2を流速180−200mL/分で吹き流すように変えた。混合物を120℃で2時間保持して硫化反応を完了させた。次に、オレイルアミン(147.2g)を反応器に充填し、そして反応器を120℃に保った。同時に、激しく撹拌しながら空気を流速180−200mL/分で5時間反応器に散布した。分析から次のことが分かった:Mo=4.0質量%、S=2.0質量%。色<3.5(他の潤滑油添加剤および製造したモリブデン含有添加剤をモリブデン質量で500ppm含む油について、ASTM D6045で直接測定した:読取り値が低いほど試料の色が薄い)。
Cu板腐食
実施例 活性硫黄と反応できる 量 100℃ 121℃
化合物の種別 (質量%) 3時間
8 無 − 3B 2C
9 ISA/DETAポリアミド 3 1B 3A
(CMR1.7)
10 ISA/DETAポリアミド 6 1A 1B
(CMR1.7)
11 ISA/DETAポリアミド 10 1A 1B
(CMR1.7)
12 オレイルアミン 10 1A 1A
イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(483.9g、ISA/DETA CMR=1.7)、およびシェブロン100N基油(931.3g)を、2Lガラス反応器に充填した。次いで、反応器を窒素ガスシールと撹拌をしながら70℃に加熱した。三酸化モリブデン(106.9g、0.74モル)、および水(91.9g)を上記の溶液に加えた。反応温度を90−95℃に上げ3時間保持して、モリブデン酸化反応を完了させた。次に、元素硫黄(47.5g、1.48モル)を激しく撹拌しながら反応器に充填した。反応温度を120℃に上げ、そしてN2を流速280−300mL/分で吹き流すように変えた。混合物を120℃で2−3時間保持して硫化反応を完了させた。色は、他の潤滑油添加剤および上記で製造したモリブデン含有添加剤をモリブデン質量で500ppm含む油について、ASTM D6045で直接測定して値<5.5であった:読取り値が低いほど試料の色が薄い。最終生成物について算出して次の通りである:Mo=4.3質量%、S=2.9質量%。
イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(131.3g、ISA/DETA CMR=1.7)、およびシェブロン100N基油(252.6g)を、500mLガラス反応器に充填した。次いで、反応器を窒素ガスシールと撹拌をしながら70℃に加熱した。三酸化モリブデン(29.0g、0.20モル)、および水(24.93g)を上記の溶液に加えた。反応温度を90℃に上げ3時間保持して、モリブデン酸化反応を完了させた。次に、元素硫黄(12.9g、0.40モル)を激しく撹拌しながら反応器に充填した。反応温度を120℃に上げ、そしてN2を流速150−160mL/分で吹き流すように変えた。混合物を120℃で3時間保持して硫化反応を完了させた。色は、他の潤滑油添加剤および上記で製造したモリブデン含有添加剤をモリブデン質量で500ppm含む油について、ASTM D6045で直接測定して値4であった:読取り値が低いほど試料の色が薄い。最終生成物の分析から次のことが判明した:Mo=4.6質量%、S=2.9質量%。
500mLガラス反応器に、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(124.3g、ISA/DETA CMR=1.7)、およびシェブロン100N基油(242.3g)を充填した。反応器を窒素ガスシールと撹拌をしながら70℃に加熱した。三酸化モリブデン(27.5g、0.19モル)、および水(17.7g)を上記の溶液に加えた。反応温度を85−90℃に上げ3時間保持して、モリブデン酸化反応を完了させた。次いで、元素硫黄(9.0g、0.28モル)を激しく撹拌しながら反応器に充填した。反応温度を120℃に上げ、そしてN2を流速140−160mL/分で吹き流すように切り変えた。混合物を120℃で2時間保持して硫化反応を完了させた。次に、オレイルアミン(40.7g)を120℃の反応器に充填した。同時に、激しく撹拌しながら空気を流速90−100mL/分で4時間反応器に通した。色は、他の潤滑油添加剤および上記で製造したモリブデン含有添加剤をモリブデン質量で500ppm含む油について、ASTM D6045で直接測定して値3.5であった:読取り値が低いほど試料の色が薄い。生成物のMo及びS含量を算出して次の通りであった:Mo=4.1質量%、S=2.1質量%。
イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(138.2g、ISA/DETA CMR=1.7)、およびシェブロン100N基油(224.1g)を、500mLガラス反応器に入れた。反応器を窒素ガスシールと撹拌をしながら70℃に加熱した。三酸化モリブデン(30.5g、0.21モル)、および水(26.2g)を上記の溶液に加えた。反応温度を90℃に上げ3時間保持して、モリブデン酸化反応を完了させた。元素硫黄(10.2g、0.32モル)を激しく撹拌しながら反応器に充填した。反応温度を120℃に上げ、そしてN2を流速80−100mL/分で吹き通すように切り変えた。混合物を120℃で2時間保持して硫化反応を完了させた。次いで、オレイルアミン(20.3g)、およびシェブロン100N基油(20.3g)を、120℃の反応器に充填した。同時に、激しく撹拌しながら空気を流速80−100mL/分で4時間反応器に散布した。色は、他の潤滑油添加剤および上記で製造したモリブデン含有添加剤をモリブデン質量で500ppm含む油について、ASTM D6045で直接測定して値4であった:読取り値が低いほど試料の色が薄い。生成物のMo及びS含量を算出して次の通りであった:Mo=4.5質量%、S=2.3質量%。
製造したモリブデン含有添加剤の粘度と色に対する工程c)の効果
ASTM D6045 粘度b 粘度b
実施例 で測定した色 a 60℃(cSt) 70℃(cSt)
14 4.0 1247 339
15 3.5 229 120
16 3.5 520 223
a:他の潤滑油添加剤と製造したモリブデン含有添加剤をモリブデン質量で500ppm含む油について、ASTM D6045で色を直接測定した:読取り値が低いほど試料の色が薄い。
b:製造したモリブデン含有添加剤についてASTM D445で粘度を測定した。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
(1)
下記の工程を含む、活性硫黄の減少した油溶性硫化モリブデン錯体の製造方法:
a)酸性モリブデン化合物を、C 4−40 脂肪族カルボン酸成分と窒素原子数2乃至10のポリアミンとのアミド反応生成物から誘導した塩基性窒素と反応させる工程、ただし、カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比は2:1乃至1:1である、
b)工程a)の生成物を、モリブデン1モル当り硫黄1乃至4モルの油溶性硫化モリブデン錯体、および活性硫黄を与える量の硫黄含有化合物と反応させる工程、そして
c)工程b)の生成物を、工程b)の活性硫黄と反応する少なくとも一種の化合物と反応させ、それにより工程b)の生成物中の活性硫黄を減少させる工程。
(2)
カルボン酸成分とポリアミン成分との充填モル比が1.7:1乃至1:1である(1)に記載の方法。
(3)
カルボン酸成分とポリアミン成分との充填モル比が1.7:1乃至1.3:1である(1)に記載の方法。
(4)
ポリアミンが、下記一般式のポリアルキレンポリアミンである(1)に記載の方法。
H 2 N(−R−NH) n −H
(式中、Rは炭素原子数2−3のアルキレン基であり、そしてnは1乃至11の整数である)
(5)
ポリアミンが、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、ジエチレントリアミン(DETA)、エチレンジアミン(EDA)またはそれらの混合物である(4)に記載の方法。
(6)
工程a)において、塩基性窒素1原子当りモリブデン0.2乃至1原子が存在する(1)に記載の方法。
(7)
工程a)において、塩基性窒素1原子当りモリブデン0.2乃至0.7原子が存在する(6)に記載の方法。
(8)
カルボン酸成分が飽和脂肪族モノカルボン酸である(1)に記載の方法。
(9)
カルボン酸成分が、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびアラキン酸からなる群より選ばれる(8)に記載の方法。
(10)
該工程a)の反応を極性促進剤の存在下で行う(1)に記載の方法。
(11)
極性促進剤が、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ブチルセロソルブ、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、メチルカルビトール、エタノールアミン、水酸化アンモニウム、水酸化アルキルアンモニウム、金属水酸化物、N−メチル−ジエタノール−アミン、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラヒドロフラン、水、無機酸およびそれらの混合物からなる群より選ばれる(10)に記載の方法。
(12)
極性促進剤が水である(11)に記載の方法。
(13)
工程b)を、硫黄、硫化水素、五硫化リン、R 2 S x (ただし、RはC 1−10 アルキルであり、そしてxは少なくとも2である)、無機硫化物又は無機多硫化物、チオアセトアミド、チオ尿素、式:RSH(ただし、RはC 1−10 アルキルである)のメルカプタン類、または硫黄含有酸化防止剤から選ばれた硫黄含有化合物を用いて行う(1)に記載の方法。
(14)
モリブデン成分が、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、MoOCl 4 、MoO 2 Br 2 、Mo 2 O 3 Cl 6 、三酸化モリブデンおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる(1)に記載の方法。
(15)
モリブデン成分が三酸化モリブデンである(14)に記載の方法。
(16)
工程c)で活性硫黄と反応する化合物が、少なくとも一種の、ハロゲンを含まない無機塩、少なくとも一種の不飽和化合物、少なくとも一種の炭化水素亜リン酸エステル、少なくとも一種の塩基性窒素含有化合物およびそれらの混合物から選ばれる(1)に記載の方法。
(17)
少なくとも一種の塩基性窒素含有化合物が、少なくとも一種のアミンまたはアミドからなる群より選ばれる(16)に記載の方法。
(18)
少なくとも一種の塩基性窒素含有化合物が、少なくとも一種の脂肪酸と少なくとも一種のポリアルキレンポリアミンとの反応生成物から選ばれたアミドである(17)に記載の方法。
(19)
工程c)において活性硫黄と反応する化合物が、亜リン酸トリフェニルおよび亜リン酸トリアルキルから選ばれる(1)に記載の方法。
(20)
工程c)において活性硫黄と反応する化合物がアルカリ金属硫化物である(1)に記載の方法。
(21)
潤滑粘度の油、および(1)に記載の方法にて生成した生成物を含む潤滑油組成物。
Claims (21)
- 下記の工程を含む、活性硫黄の減少した油溶性硫化モリブデン錯体の製造方法:
a)酸性モリブデン化合物を、C4−40脂肪族カルボン酸成分と窒素原子数2乃至10のポリアミンとのアミド反応生成物から誘導した塩基性窒素と反応させる工程、ただし、カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比は2:1乃至1:1である、
b)工程a)の生成物を、モリブデン1モル当り硫黄1乃至4モルの油溶性硫化モリブデン錯体、および活性硫黄を与える量の硫黄含有化合物と反応させる工程、そして
c)工程b)の生成物を、工程b)の活性硫黄と反応する少なくとも一種の化合物と反応させ、それにより工程b)の生成物中の活性硫黄を減少させる工程。 - カルボン酸成分とポリアミン成分との充填モル比が1.7:1乃至1:1である請求項1に記載の方法。
- カルボン酸成分とポリアミン成分との充填モル比が1.7:1乃至1.3:1である請求項1に記載の方法。
- ポリアミンが、下記一般式のポリアルキレンポリアミンである請求項1に記載の方法。
H2N(−R−NH)n−H
(式中、Rは炭素原子数2−3のアルキレン基であり、そしてnは1乃至11の整数である) - ポリアミンが、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、ジエチレントリアミン(DETA)、エチレンジアミン(EDA)またはそれらの混合物である請求項4に記載の方法。
- 工程a)において、塩基性窒素1原子当りモリブデン0.2乃至1原子が存在する請求項1に記載の方法。
- 工程a)において、塩基性窒素1原子当りモリブデン0.2乃至0.7原子が存在する請求項6に記載の方法。
- カルボン酸成分が飽和脂肪族モノカルボン酸である請求項1に記載の方法。
- カルボン酸成分が、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびアラキン酸からなる群より選ばれる請求項8に記載の方法。
- 該工程a)の反応を極性促進剤の存在下で行う請求項1に記載の方法。
- 極性促進剤が、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ブチルセロソルブ、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、メチルカルビトール、エタノールアミン、水酸化アンモニウム、水酸化アルキルアンモニウム、金属水酸化物、N−メチル−ジエタノール−アミン、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラヒドロフラン、水、無機酸およびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項10に記載の方法。
- 極性促進剤が水である請求項11に記載の方法。
- 工程b)を、硫黄、硫化水素、五硫化リン、R2Sx(ただし、RはC1−10アルキルであり、そしてxは少なくとも2である)、無機硫化物又は無機多硫化物、チオアセトアミド、チオ尿素、式:RSH(ただし、RはC1−10アルキルである)のメルカプタン類、または硫黄含有酸化防止剤から選ばれた硫黄含有化合物を用いて行う請求項1に記載の方法。
- モリブデン成分が、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、MoOCl4、MoO2Br2、Mo2O3Cl6、三酸化モリブデンおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる請求項1に記載の方法。
- モリブデン成分が三酸化モリブデンである請求項14に記載の方法。
- 工程c)で活性硫黄と反応する化合物が、少なくとも一種の、ハロゲンを含まない無機塩、少なくとも一種の不飽和化合物、少なくとも一種の炭化水素亜リン酸エステル、少なくとも一種の塩基性窒素含有化合物およびそれらの混合物から選ばれる請求項1に記載の方法。
- 少なくとも一種の塩基性窒素含有化合物が、少なくとも一種のアミンまたはアミドからなる群より選ばれる請求項16に記載の方法。
- 少なくとも一種の塩基性窒素含有化合物が、少なくとも一種の脂肪酸と少なくとも一種のポリアルキレンポリアミンとの反応生成物から選ばれたアミドである請求項17に記載の方法。
- 工程c)において活性硫黄と反応する化合物が、亜リン酸トリフェニルおよび亜リン酸トリアルキルから選ばれる請求項1に記載の方法。
- 工程c)において活性硫黄と反応する化合物がアルカリ金属硫化物である請求項1に記載の方法。
- 潤滑粘度の油、および請求項1に記載の方法にて生成した生成物を含む潤滑油組成物。
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