JP2015059068A - メソポーラス酸化タングステン及びその製造方法、光触媒、並びにメソポーラス酸化タングステン電極 - Google Patents

メソポーラス酸化タングステン及びその製造方法、光触媒、並びにメソポーラス酸化タングステン電極 Download PDF

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Abstract

【課題】水の酸化触媒活性に優れる新たな物質及びその製造法方法、光触媒、並びに前記物質を含有する電極の提供。
【解決手段】過酸化タングステン酸と、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンと、酸と、有機溶媒とを混合し、メソポーラス酸化タングステン前駆体を調製する前駆体調製工程と、前記メソポーラス酸化タングステン前駆体を焼成する焼成工程と、を少なくとも含むメソポーラス酸化タングステンの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、メソポーラス酸化タングステン及びその製造方法、前記メソポーラス酸化タングステンを含有する光触媒、並びに前記メソポーラス酸化タングステンを有するメソポーラス酸化タングステン電極に関する。
エネルギー問題や環境問題を背景として、化石燃料に依存しないクリーンなエネルギー供給システムの開発が望まれている。人工光合成系は、太陽光により高エネルギー物質を生成するクリーンで安全なエネルギー変換システムであるため、将来のエネルギー源として期待されている。前記人工光合成系を構築するためには、高活性かつ安定な水の酸化触媒の開発が重要である。
しかし、水の酸化触媒能を有する分子触媒は、報告例が少なく、数例しか知られていなかった。その上、これまで報告されている水の酸化触媒能を有する分子触媒は、触媒活性が不十分であった(例えば、非特許文献1〜3参照)。
酸化タングステンは、水の酸化が熱力学的に可能な価電子帯エネルギー準位を有する安定な可視域半導体であるため、可視光光分解システムの光アノード材料として期待されている。酸化タングステンに関しては、これまでに、結晶性メソポーラス酸化タングステンが知られている(非特許文献4参照)。
しかし、この提案の技術では、結晶化が不十分で、かつメソ孔のサイズが大きく、水の酸化触媒活性が十分満足できるものではないという問題があった。
なお、十分に結晶化したメソポーラス酸化タングステンは、これまで報告されていない。
したがって、従来の水の酸化触媒よりも触媒活性の高い新たな物質及びその製造方法、光触媒、並びに前記物質を含有する電極の提供が強く求められているのが現状である。
Susan W. et al., J.Am.Chem.Soc., 1982, 104(14), 4029−4030. Thomas J. et al., ibid., 2000, 122, 8464−8473. James K. et al., ibid., 2004, 126, 9786−9795. Brezesinski, D. Fattakhova−Rohlfing, S. Sallard, M. Antonietti, B. M. Smarsly, Small 2006, 2, 1203−1211.
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、水の酸化触媒活性に優れる新たな物質及びその製造方法、光触媒、並びに前記物質を含有する電極を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
即ち、本発明のメソポーラス酸化タングステンの製造方法は、
過酸化タングステン酸と、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンと、酸と、有機溶媒とを混合し、メソポーラス酸化タングステン前駆体を調製する前駆体調製工程と、
前記メソポーラス酸化タングステン前駆体を焼成する焼成工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明のメソポーラス酸化タングステンは、本発明の前記メソポーラス酸化タングステンの製造方法により製造されることを特徴とする。
本発明の光触媒は、前記メソポーラス酸化タングステンを含有し、水の酸化を触媒することを特徴とする。
本発明のメソポーラス酸化タングステン電極は、導電性基体上に、前記メソポーラス酸化タングステンを含有するメソポーラス酸化タングステン層を有することを特徴とする。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、水の酸化触媒活性に優れる新たな物質及びその製造方法、光触媒、並びに前記物質を含有する電極を提供することができる。
図1は、本発明のメソポーラス酸化タングステンの製造方法の一例におけるメソポーラス構造の生成の模式図である。 図2Aは、アモルファスWO/PAL2−16複合体のTEM像である。 図2Bは、450℃で焼成したWO−mesoporeのTEM写真である。 図2Cは、550℃で焼成したWO−mesoporeのTEM写真である。 図3は、種々のWOのX線小角回折パターンである。 図4Aは、550℃で結晶化したメソポーラスWOのHRTEM像である。 図4Bは、550℃で結晶化したメソポーラスWOのSAEDパターンである。 図5は、種々のWOのX線広角回折パターンである。 図6Aは、450℃、空気中でのアモルファスWO/PAL2−16の直接結晶化により調製したWOサンプルの低倍率TEM像である。 図6Bは、450℃、空気中でのアモルファスWO/PAL2−16の直接結晶化により調製したWOサンプルの高倍率TEM像である。 図7Aは、サンプルのN吸着等温線である。 図7Bは、サンプルの細孔サイズ分布を示すグラフである。 図8Aは、450℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法で結晶化した後のメソポーラスWOの上面SEM像である。 図8Bは、550℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法で結晶化した後のメソポーラスWOの上面SEM像である。 図8Cは、450℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法で結晶化した後のメソポーラスWOの60°傾斜SEM像である。 図8Dは、550℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法で結晶化した後のメソポーラスWOの60°傾斜SEM像である。 図9は、サンプルのラマンスペクトルである。 図10は、サンプルのTG分析曲線である。 図11Aは、サンプルのN吸着等温線である。 図11Bは、サンプルの細孔サイズ分布を示すグラフである。 図12は、550℃で結晶化したWO電極のサイクリックボルタモグラムである。 図13は、IPCEのアクションスペクトル及び紫外−可視光拡散反射スペクトルである。 図14Aは、光電流密度−時間曲線である。 図14Bは、O放出量のプロットである。
(メソポーラス酸化タングステンの製造方法)
本発明のメソポーラス酸化タングステンの製造方法は、前駆体調製工程と、焼成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<前駆体調製工程>
前記前駆体調製工程は、過酸化タングステン酸と、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンと、酸と、有機溶媒とを混合し、メソポーラス酸化タングステン前駆体を調製する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−過酸化タングステン酸−−
前記過酸化タングステン酸は、例えば、[WO(O)HO]Oで表される。ここで、nは、1以上の整数である。
前記過酸化タングステン酸は、例えば、過酸化水素と、タングステンとを混合することにより得ることができる。
−ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミン−
本発明においては、前記ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンをPAL2−16と称することがある。
−酸−
前記酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。
−有機溶媒−
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコールなどが挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。
前記有機溶媒は、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンを溶解する有機溶媒であることが好ましい。
前記前駆体調製工程における前記混合は、例えば、攪拌により行うことができる。攪拌方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マグネチックスターラーを用いる方法、攪拌機を用いる方法、手動で攪拌する方法などが挙げられる。
前記撹拌の際には、前駆体の分散性をより高める点から、超音波処理を併用することが好ましい。
前記混合における過酸化タングステン酸と、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンとの割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、モル比(過酸化タングステン酸(タングステン換算):ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミン)で、1:1〜4:1が好ましい。
前記混合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化タングステン酸の水溶液と、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミン及び酸を含有するアルコール溶液とを混合する方法などが挙げられ、更に具体的には、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミン及び酸を含有するアルコール溶液に、過酸化タングステン酸の水溶液を滴下する方法などが挙げられる。
前記撹拌の際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃〜50℃が好ましく、20℃〜40℃がより好ましく、20℃〜25℃が特に好ましい。
前記撹拌の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間〜3時間が好ましく、15分間〜2時間がより好ましい。
前記混合を行った後には、溶媒を除去する除去処理を行うことが、好ましい。
前記除去処理の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜70℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。
前記除去処理の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、12時間〜7日間が好ましく、1日間〜3日間がより好ましい。
<焼成工程>
前記焼成工程としては、前記メソポーラス酸化タングステン前駆体を焼成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記焼成工程を行うことにより、安定にメソポーラス構造を形成することができる。
前記焼成工程における焼成温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、400℃〜600℃が好ましく、500℃〜600℃がより好ましく、530℃〜570℃が特に好ましい。前記焼成温度が、400℃未満であると、酸化タングステンが十分に結晶化しないことがあり、600℃を超えると、メソポーラス構造が破壊されることがある。前記焼成温度が、前記特に好ましい範囲内であると、結晶性の高いメソポーラス酸化タングステンを形成できる点で有利である。
前記焼成工程は、炭化処理と、燃焼処理とを含むことが好ましい。
前記炭化処理としては、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンを炭化する処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、不活性雰囲気下で行われることが好ましい。前記不活性雰囲気としては、例えば、N雰囲気、Ar雰囲気などが挙げられる。
前記燃焼処理としては、前記炭化処理で得られた炭化物を燃焼させる処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、O含有雰囲気下で行われることが好ましい。前記O含有雰囲気としては、例えば、空気雰囲気、O雰囲気などが挙げられる。
前記炭化処理の加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、400℃〜600℃が好ましく、500℃〜600℃がより好ましく、520℃〜570℃が特に好ましい。前記加熱温度が、400℃未満であると、酸化タングステンが十分に結晶化しないことがあり、600℃を超えると、メソポーラス構造が破壊されることがある。前記加熱温度が、前記特に好ましい範囲内であると、結晶化メソポーラス酸化タングステンの構造を保持してヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンを炭化できる点で有利である。
前記燃焼処理の加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、400℃〜600℃が好ましく、500℃〜600℃がより好ましく、520℃〜570℃が特に好ましい。前記加熱温度が、400℃未満であると、酸化タングステンが十分に結晶化しないことがあり、600℃を超えると、メソポーラス構造が破壊されることがある。前記加熱温度が、前記特に好ましい範囲内であると、結晶化メソポーラス酸化タングステンの構造を保持して炭化物を除去できる点で有利である。
本発明の前記メソポーラス酸化タングステンの製造方法によれば、前記前駆体調製工程により、細孔を有し、自己集合したPAL2−16を前記細孔内に有するメソポーラス酸化タングステン前駆体(アモルファス酸化タングステンメソ複合体)を得る(図1中の左図)。続いて、焼成工程を行うことにより、酸化タングステンを結晶化するとともに、細孔の鋳型となったPAL2−16を除去する。なお、焼成工程においては、始めに、不活性雰囲気下(例えば、N雰囲気下)で加熱してPAL2−16を炭化する(図1中の中央図)ことで、得られる炭化物がメソポーラス構造の支柱となり、メソポーラス構造が維持されると考えらえる。その結果、更にO含有雰囲気下(例えば、O雰囲気下)で前記炭化物の燃焼を行い前記炭化物を除去する(図1中の右図)ことで、炭化物が除去されたメソポーラス酸化タングステンが得られる。
(メソポーラス酸化タングステン)
本発明のメソポーラス酸化タングステンは、本発明の前記メソポーラス酸化タングステンの製造方法により製造されるメソポーラス酸化タングステンである。
前記メソポーラス酸化タングステンは、その電気化学的特性及び構造上の特徴によって、既知の化合物と明確に区別される新規物質である。
本発明において、メソポーラス構造とは、2nm〜50nm程度の細孔が規則的に配列した構造を意味する。
前記メソポーラス酸化タングステンの細孔サイズとしては、2nm〜10nmが好ましく、2nm〜5nmがより好ましい。細孔サイズが大きくなると、水の酸化触媒活性が低くなることがある。
前記細孔サイズは、例えば、Barrett−Joyner−Halenda(BJH)法により確認することができる。
前記メソポーラス酸化タングステンのBET比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100m−1以上が好ましく、100m−1〜250m−1がより好ましく、130m−1〜220m−1が更により好ましく、150m−1〜200m−1が特に好ましい。
<用途>
前記メソポーラス酸化タングステンは、水の可視光分解を行う際の光アノード電極の材料などとして好適に使用することができる。
(光触媒)
本発明の光触媒は、本発明の前記メソポーラス酸化タングステンを少なくとも含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。前記光触媒は、水から光化学的に酸素を生成できる触媒である。
前記光触媒における前記メソポーラス酸化タングステンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、前記光触媒は、前記メソポーラス酸化タングステンのみを含有するものであることが好ましい。
前記メソポーラス酸化タングステンが水の酸化に対する光触媒活性を有するか否かは、例えば、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定などにより確認することができる。
<用途>
前記光触媒は、エネルギー変換、水素生成などの分野において光アノード触媒などとして、好適に使用することができる。
(メソポーラス酸化タングステン電極)
本発明のメソポーラス酸化タングステン電極は、導電性基体上に、本発明の前記メソポーラス酸化タングステンを含有するメソポーラス酸化タングステン層を少なくとも有し、必要に応じて、更にその他の層を有する。
<メソポーラス酸化タングステン層>
前記メソポーラス酸化タングステン層は、少なくとも前記メソポーラス酸化タングステンを含有してなる層であり、更にその他の成分を含んでなるものであってもよい。
前記メソポーラス酸化タングステン層における前記メソポーラス酸化タングステンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記メソポーラス酸化タングステン層は、前記メソポーラス酸化タングステンのみからなるものであってもよい。
前記メソポーラス酸化タングステン層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記メソポーラス酸化タングステン層の厚みは、例えば、光学的手法(エリプソメトリー、光の干渉を利用した分光膜厚計など)、機械的手法(例えば、触診計、AFMなど)を用いることにより測定することができる。
<導電性基体>
前記導電性基体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、錫(Sn)等の金属材料;ITO(In−SnO)、酸化錫(SnO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)にアルミニウム(Al)を添加したZnO:Al等の透明材料などが挙げられる。
また、前記導電性基体は、その表面に、フッ素などがドープされたものであってもよい。
<<メソポーラス酸化タングステン電極の製造方法>>
前記メソポーラス酸化タングステン電極の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記導電性基体に、前記メソポーラス酸化タングステン層を形成する材料を成膜する方法などが挙げられる。
前記メソポーラス酸化タングステン層の成膜には、前記メソポーラス酸化タングステン前駆体を用いることが好ましい。即ち、前記メソポーラス酸化タングステン層を形成する材料には、前記メソポーラス酸化タングステン前駆体が含有されていることが好ましい。
前記成膜の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スキージ法、スピンコート法、キャスト法、ディッピング法、インクジェット法などが挙げられる。
前記成膜後、これを焼成することにより、前記導電性基体上に前記メソポーラス酸化タングステンが析出され、これにより、前記メソポーラス酸化タングステン電極が好適に製造される。
前記メソポーラス酸化タングステン電極は、表面に、前記メソポーラス酸化タングステンを有するため、水の酸化に対する光触媒活性に優れる点で有利である。
<用途>
前記メソポーラス酸化タングステン電極は、光酸素発生用電極として好適に使用することができる。具体的には、所望の水溶液を電解して、陽極で酸素を光化学的に発生させる反応に好適に用いられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<原料>
・タングステン粉末(99%)(和光純薬工業株式会社製)
・過酸化水素(33%、H)(和光純薬工業株式会社製)
・塩酸(35.5%、HCl)(和光純薬工業株式会社製)
・ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミン(PAL2−16)(D. Chandra, A. Bhaumik, Microporous Mesoporous Mater. 2008, 112, 533−541に従って合成)
・フッ素ドープ酸化錫(FTO)ガラス基板(旭硝子株式会社製)
その他の物質については、分析用の物質を用いた。全ての溶液は、Millipore waterで調製した。
<構造のキャラクタリゼーション>
メソポーラス構造と結晶相を特定するための分析は、透過型電子顕微鏡(TEM、JEOL社製、JEOL2010、200kV)及び粉末X線回折(XRD、リガク社製、MiniFlexII、モノクロ化CuKα(λ=1.54Å))により行った。
粒子の形態は、走査型電子顕微鏡(SEM、JEOL社製、JSM−6500F)観察により決定した。
窒素吸着脱着等温線は、BELSORP−miniII(BEL社製)を用いて77Kで測定した。ガス吸着より前に、サンプルを150℃で4時間、真空中で脱ガスした。表面積の計算には、Brunauer−Emmett−Teller(BET)法を用いた。孔のサイズ分布は、Barrett−Joyner−Halenda(BJH)法を用いて、等温線の吸着の枝の分析により得た。
紫外−可視光拡散反射スペクトル(DRS)は、V−670 spectrophotometer(JASCO社製)を用いて測定した。
ラマンスペクトルは、Horiba−Jobin−Yvon LabRAM HR(HORIBA社製)を用いて測定した。
熱重量(TG)分析は、Rigaku TG 8120 analyzer(リガク社製)を用い、5℃/分間の昇温速度で25℃から800℃まで行った。
<光電気化学的測定>
光電気化学的測定は、ポテンシオスタット(potentiostat、北斗電工株式会社製)と二室型電気化学セルを用いて、25℃で行った。パイレックスガラス製のセルを用い、二室はナフィオン膜で分離されている。3電極型システムは、1室内に作用電極及び参照電極として、それぞれFTO/WO及びAg/AgCl電極を用い、他の1室内に対電極としてPtワイヤーを用いた。リン酸緩衝液(PBS,pH=6)0.1Mを電気化学セルの両方の区画に電解液として用いた。電気化学セルは、電気化学測定の前に密封しArで飽和させた。
Co2+イオンの光電気化学的特性の検討においては、Co(NO・6HO凝集体0.1mMを作用電極の電解液中に保持した。
可視光(λ>420nm)の照射は、作用電極の背面から行った。光源として、UVカットフィルター(L42)と液体フィルター(Liquid Filter、0.2MCuSO)を備えた500Wキセノンランプ(Optical Module X、ウシオ電機株式会社製)を用いた。光強度のアウトプットは、スペクトロ放射メーター(USR−40、ウシオ電機株式会社製)を用いて100mW/cmで較正した。
サイクリックボルタモグラム(cyclic voltammogram、CV)は、0.2V−1.5Vの範囲で50mV/sのスキャン速度で記録した。
光子−対−電流 変換効率(incident photon conversion efficiencies、IPCEs)は、次式より計算した。
IPCE(%)=1241・Ip/(λ・φ)×100 (1)
ここで、Ipは、光電流を示し、λは、フォトンの波長を示し、φは、フォトンの強度を示す。単色照射は、モノクロメーター(M10、Jasco社製)とキセノンランプとを組み合わせて行った。
ガスとOガスの発生を検出するために、光電気触媒作用の前に、Arガスを1時間パージして残っている空気を取り除き、反応系を完全に脱ガスした。作用区画の電解質は5mLとし、ヘッドスペースの体積は87.3mLとした。光電気触媒作用は、0.5Vのバイアス電圧で行った。最初の3分間を暗条件で行い、その後1時間、可視光(λ>420nm)を照射した。定電圧の条件での電気分解の間、光電流を記録した。HとOの発生量は、ガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、TCD検出器と、モルキュラーシーブ5Aと、Arキャリアガスとを備えたGC−8A)を用いて、対電極と作用電極の区画のガス相(ヘッドスペース領域)の分析から決定した。
(調製例)
メソポーラスWOは、タングステン前駆体としての過酸化タングステン酸(PA)と、PAL2−16のエタノール性の自己集合体とから調製した。
タングステン粉末1.46g(8mmmol)にH15mLをゆっくり加え、氷冷浴中で撹拌しながら注意深く溶解した。得られた透明の溶液をホットスターラー上で素早く蒸発させて過剰のHを分解し、結晶性のPA[WO(O)HO]Oを得た。熱水10mL中でPA粉末を再溶解し、70℃で約5mLまで体積を減らした後、PAL2−16(1.33g,4mmol)及びHCl(0.5mL)を含んだエタノール(30mL)に、撹拌及び超音波処理下で、得られた溶液を滴下した。PA溶液約2mLを加えた後、沈殿物が現れ始めた。超音波処理及び撹拌を更に1時間行った後、得られた混合物をシャーレに注ぎ、完全な凝集及びPAの分解によるアモルファスWOメソ複合体の生成のために、50℃で2日間で溶媒を蒸発させた。
In situ界面活性剤熱的炭化法(in situ surfactant−thermal−carbonization method)を採用し、Nフロー中で結晶化温度(450℃及び550℃,昇温速度1℃/分間)を2時間を維持し、PAL2−16の同時炭化を行った。Oフロー下でさらにその温度で4時間焼成し、炭素を燃焼した。In situ界面活性剤熱的炭化法により調製したWOサンプル(表1におけるWO−meropore)は、メソポーラスWOを示した。
また、PAL2−16を炭化しないサンプルを調製した。具体的には、結晶化温度(450℃及び550℃,1℃/分間)で空気中で直接焼成し、6時間その温度を維持し、粒子間(interparticle)WO(表1におけるWO−interparticle)を得た。
また、リファレンスのサンプルを、PAL2−16を加えない同一の合成手順で調製し、それをバルクWO(表1におけるWO−bulk)と名付けた。
(物理化学特性)
異なる結晶化条件で調製したWOサンプルの物理化学特性を表1に示した。
a)d−間隔(d−spacing)は、小角XRDパターンの最大値から計算した。
b)WO/PAL2−16複合体は、N雰囲気下でのIn situ界面活性剤熱的炭化法、及び、続くO雰囲気下での焼成によって、結晶化した。
c)WO/PAL2−16複合体は、空気雰囲気下で直接結晶化した。
d)WO−バルク(bulk)サンプルは、PAL2−16を用いず調製し、In situ界面活性剤熱的炭化法と同様の条件で結晶化した。
<TEM像、及びX線回折>
メソポーラス酸化タングステンサンプルのTEM像を示した。
図2Aは、アモルファスWO/PAL2−16複合体(表1中サンプルNo.1)のTEM像である。
図2Bは、450℃で焼成したWO−mesopore(表1中サンプルNo.2)のTEM写真である。
図2Cは、550℃で焼成したWO−mesopore(表1中サンプルNo.3)のTEM写真である。
アモルファスWO/PAL2−16複合体のTEMは、約3nmでよく整列された2D六方晶系のメソ構造(空間群P6mm)を示した(図2A)。細孔は、低電子密度点に配列した。
In situ界面活性剤熱的炭化法による450℃での結晶化は、短距離秩序をもった2D六方晶系のメソ構造の変形をもたらした(図2B)。
550℃で結晶化している間、整列したメソ構造から無秩序な相への完全な変形が見られた(図2C)。この変形は、ナノ結晶のサイズ増加のためと考えられる。
X線小角回折パターンもまた、2D六方晶系WO/PAL2−16メソ複合体の4つのよく分解された反射が、結晶化後に無秩序なメソ相のシングルピークへと変化していることを示した(図3)。それはTEM観察と同様であった。
なお、図3中、a)は、アモルファスWO/PAL2−16複合体のX線小角回折パターンである。b)は、450℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法による結晶化後のサンプルのX線小角回折パターンである。c)は、550℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法による結晶化後のサンプルのX線小角回折パターンである。d)は、空気雰囲気下450℃で直接結晶化後のサンプルのX線小角回折パターンである。e)は、450℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法と同条件で結晶化したバルクWOのX線小角回折パターンである。
メソポーラスWOの代表的な高解像度のTEM(HRTEM)像は、薄い細孔壁が推定された4nm〜6nmのサイズのランダムに配向した小さな粒子から構成されていることを示した(図4A)。同一のメソ構造の制限視野電子回折(Selected−area electron diffraction、SAED)パターンは、ナノ結晶の性質がある多結晶を示唆する、いくつかのよく分解された回折リングと多くの回折スポットを示した(図4B)。
SAEDパターンから計算したd−間隔(d−spacing)は、相が純粋な単斜晶のWO(JCPDS:43−1305)とよく一致していた。
X線広角回折パターンは、高温で単斜晶WOの結晶化度の増加を示唆している(図5)。
なお、図5中、a)は、アモルファスWO/PAL2−16複合体のX線広角回折パターンである。b)は、450℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法による結晶化後のサンプルのX線広角回折パターンである。c)は、550℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法による結晶化後のサンプルのX線広角回折パターンである。d)は、空気雰囲気下450℃で直接結晶化後のサンプルのX線広角回折パターンである。e)は、450℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法と同条件で結晶化したバルクWOのX線広角回折パターンである。
高い結晶化温度(550℃)でのメソ構造の保持は、In situ界面活性剤熱的炭化法に起因する。なぜなら、450℃、空気中での直接結晶化後のWO/PAL2−16のTEM像(図6A及び図6B)は、小さなメソ孔の完全な崩壊と、固定された結晶WO粒子間の大きな粒子間メソ孔のみの存在を示しているためである(X線小角回折ピークではまったく検出されなかった)。
<表面積、及び細孔分布>
In situ界面活性剤熱的炭化法により調製したWOサンプルのN吸着等温線(図7Aにおける「a)」及び「b)」)は、均一な細孔の構造を持ったメソポーラス物質の特徴的なタイプIVを示した(相対圧力、最大P/P=0.75まで)。メソ孔に対するNの吸収量は、毛管凝縮ステップを通じて明らかにし、P/P=約0.2から始めた。P/P>0.75にある、もう一つの鋭いNの吸収量は、2番目の粒子間の孔を示した。H2型ヒステリシスループは、細孔及び粒子表面の粗さに関係していると考えられる。Barrett−Joyner−Halenda(BJH)法により測定した細孔サイズの分布は、テンプレートに起因する小さいメソ孔と、粒子間メソ孔との2峰の多孔性を示した(表1)。
なお、図7A及び図7Bにおいて、a)は、450℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法により調製したWOサンプルを示す。b)は、550℃でのIn situ界面活性剤熱的炭化法により調製したWOサンプルを示す。c)は、空気中450℃で結晶化した粒子間WOサンプルを示す。d)は、450℃で、前記a)と同条件で結晶化したバルクWOサンプルを示す。
図8A〜図8DのSEM像は、粒子間メソ孔がWO粒子間の隙間の空間から生じることを示唆している。WOの小さなメソ孔システムのBET比表面積は、450℃で焼成した場合には197m−1であり、550℃で焼成した場合には158m−1であり、非常に高いものであった。450℃、空気中でのアモルファスWO/PAL2−16の直接結晶化(図7A及び図7Bにおける「c)」)は、粒子間メソ孔のみ(約25nm)を示し、少ないN吸収量(最大P/P0=0.75まで)を示していて、その結果BET比表面積が劇的に減少し(31m−1)した。バルクWOサンプル(図7A及び図7Bにおける「d)」)は、とても小さいBET比表面積(9m−1)を示し、大きな粒子間細孔(約50nm)を示した。結晶WOの大きな密度(7.16gcm−3)を考慮すると、本発明者らの小さなメソ孔WOのBET比表面積は、配列したメソポーラスシリカと比較でき、すでに報告されている他のどんなメソポーラスWOよりも少なくとも2倍以上高く、本発明者らの知る限りでは最大である。
下、550℃で結晶化した代表的なメソポーラスWOのラマンスペクトルは、O下での焼成後に完全に消失する1365cm−1と1590cm−1のアモルファス炭素の2つのブロードな帯を示した(図9)。
なお、図9中、a)は、アモルファス前駆体サンプルを示す。b)は、N雰囲気下550℃、2時間炭化後のサンプルを示す。c)は、N雰囲気下550℃、2時間炭化後、更にO雰囲気下4時間焼成したサンプルを示す。
アモルファスWO/PAL2−16複合体を用いて行ったTG分析は、550℃でN及び空気下でそれぞれ、約16%と約32%の重量ロスを示した(図10)。これらの結果は、N下での高温下での結晶化の間、細孔の内側に大量の炭素が含まれていることを示している。
なお、図10中、a)は、N雰囲気下、b)は、空気雰囲気下、5℃/分間の昇温速度でアモルファスWO/PAL2−16複合体を測定した結果である。
さらに、炭素除去前、N雰囲気下550℃で2時間結晶化されたメソポーラスWOのN吸着等温線(図11A及び図11B)は、最終的なメソポーラスWOに比べて、かなり低いBET比表面積(64m−1)及び小さな細孔サイズ(2.2nm)を示している。それは、炭素質種が、管状の層を形成するメソポーラスチャネルのまわりに存在することを示している(図1の中央図)。内側の炭素質層は、メソポーラス構造の保護支柱として作用し、骨格の結晶化の間の引張応力のオフセットによる望んでないWOの結晶成長を妨げる。最も高い結晶性のWO骨格が形成されると、メソ構造は、熱的に安定で、O下で炭素支柱を燃やした後もよく保持される。
なお、図11Aにおいて、●は吸着を示し、○は脱離を示す。
(光電気触媒作用)
550℃で結晶化した様々なWO光アノードを用いた光電気触媒作用(0.1mMリン酸緩衝液中)を表2にまとめた。
a)O生成のファラデー効率
b)Hは、Pt対電極区画で発生した。
c)H生成のファラデー効率
<電極の作製>
WO電極は、ドクターブレードコーティング法を用いて調製した。
コーティング前に、すべての基材をUVオゾン処理(卓上型光表面処理装置 PL16−110(セン特殊光源株式会社製)を使用)により15分間洗浄した。
WO粉末(結晶化前)200mg、ポリエチレングリコール(PEG、Mw=2,000、バインダー)100mg、及びマーポローズ(merpolose、増粘剤)20mgの混合物に、水600μLを加えた。30分間撹拌した後、得られた混合物を1時間超音波処理した後、すべての泡が消え、なめらかなペーストができるまで、6時間〜10時間撹拌した。得られたペーストをドクターブレードコーターでFTO基材上に押し広げ、80℃で15分間乾燥した。2回手順を繰り返した後、電極を表1及び表2に示す結晶化条件で焼成した。コーティングした面積は0.8cm×1.25cmであった。得られたフィルムの厚みは約7μmであった(図8C及び図8D)。
メソポーラスWO電極のサイクリックボルタモグラム(cyclic voltammogram、CV)(図12)において、可視光の照射(λ>420nm)は、2.8と4.7のファクターによる1.5V vs. Ag/AgClで、粒子間WO電極及びバルクWO電極を用いた場合と比較して、より高い2.8mAcm−2のアノード光電流を誘発した。
なお、図12において、a)は、メソポーラスWOを示す。b)は、粒子間WOを示す。c)は、バルクWOを示す。明条件を実線で示し、暗条件を破線で示す。
図13は、異なるFTO/WO電極を用いた0.5V vs. Ag/AgClでのIPCEのアクションスペクトルを示す。光電流は、用いたすべての電極に対し480nm以下で発生し、2.59eV(478nm)のバンドエネルギーギャップに一致した。それは、メソポーラスWOフィルムのバンドギャップの拡散反射スペクトルから推定した(図13)。このことは、光電流がWOフィルムのバンドギャップ励起に基づき起こることを示している。550℃の結晶化温度では、メソポーラスWOの420nmのIPCE(35%)(図13中の「a)」)は、粒子間WOのそれ(13%)(図13中の「c)」)よりも約3倍高く、バルクWOのそれ(5%)(図13中の「d)」)よりも約7倍高い。450℃で結晶化されたメソポーラスWOは、N吸着分析から観察される最も高い表面積(197m−1)とは対照的に、420nmで低いIPCE(21%)(図13中の「b)」)を示している。その結果は、550℃でのメソポーラスWO中での高い結晶性の重要性を示している。
なお、図13中、a)は、550℃で結晶化したメソポーラスWOを示す。b)は、450℃で結晶化したメソポーラスWOを示す。c)は、550℃で結晶化した粒子間WOを示す。d)は、550℃で結晶化したバルクWOを示す。黒い実線は、550℃で結晶化したメソポーラスWOの紫外−可視光拡散反射スペクトルを示す。
異なるFTO/WO電極における光電気触媒作用は、0.5V vs. Ag/AgCl、1時間、定電位条件下、0.1Mリン酸緩衝液(pH=6.0)中で行った。メソポーラスWOの光電流密度−時間特性(図14A中の「b)」)は、1分間で光電流0.66mAcm−2を与え、1時間後0.50mAcm−2まで減少した(24%減少)。1分間での比較的低い初期光電流が、粒子間WO(0.42mAcm−1)(図14A中の「c)」)及びバルクWO(0.19mAcm−1)(図14Aの「d)」)で観察され、CVのデータと一致していた。さらに、光電流は、1時間照射後、粒子間WO(78%)とバルクWO(70%)ではかなり早く減少した。メソポーラスWOに1時間通した電荷量(2.05C)は、粒子間WOのそれ(0.58C)よりも3.5倍高く、バルクWOのそれ(0.31C)よりも6.6倍高かった(表2)。高い電気量の結果、メソポーラスWOは、粒子間WO(0.93μmol)(図14B中の「c)」)、バルクWO(0.35μmol)(図14B中の「d)」)のOの量より明らかに多い量(4.21μmol)(図14B中の「b)」)のOを放出した。メソポーラスWOのO放出のファラデー効果(FEO2)(79%)も、粒子間WO(61%)及びバルクWO(44%)におけるものよりもずっと高かった。
なお、図14A及び図14B中、a)及びb)は、550℃で結晶化したメソポーラスWO電極を示す。c)は、550℃で結晶化した粒子間WO電極を示す。d)は、550℃で焼成したバルクWOを示す。a)の測定においては、電解質溶液にCo2+が存在している。b)、c)、及びd)の測定においては、電解質溶液にCo2+が存在していない。
小さなメソ孔構造(550℃)でのWO光アノードの高い光電気化学(PEC)水酸化特性は、高表面積(159m−1)及びナノサイズの結晶性細孔壁(約4nm〜約6nm)に起因している。これは、N吸着とHRTEMの結果より証明される。電解質溶液とWO表面との間にある接触面での大量の水の酸化サイトは、高表面積により提供され、ナノサイズ細孔壁における短いキャリア拡散の長さは、再結合より先に水の酸化に関与する光生成正孔の確率を上げる。メソポーラスWOのより高い光安定性とFEO2とは、光電気触媒作用の間、WO表面の不活性化をほとんど生じさせない。水酸化のゆっくりとした反応速度は、表面の正孔の蓄積をもたらし、不活性な過酸化タングステン化合物の形成をもたらす。しかし、メソポーラスWOの高い表面対体積の比は、表面での蓄積された正孔の濃度を効果的に減少させ、望ましくない過酸化化合物の形成を抑圧する。この提案される機構は、電解質緩衝液中のCo2+イオンの付加により、メソポーラスWOの光安定性と触媒活性の改善によって、支持される(図14Aの「a)」)(最近の研究では、電解質溶液中のCo2+イオンがヘマタイト(赤鉱石)光アノードでの水の酸化に対する光電気触媒作用を強めることを示している。)。0.1mM Co2+イオンの存在下で、0.80mAcm−1(1分間)の高い初期光電流が観察され、光電流の95%は、1時間の光電気触媒作用後も維持されている。光電気触媒作用の間、O放出量(5.84μmol, FEO2 81%, 2.79C)(図14Bの「a)」)は、メソポーラスWOシステム中にCo2+イオンを加えない場合(図14Bの「b)」)より、1.4倍高かった。このことは、電解質溶液中のCo2+イオン(過酸化物の化合物の形成を抑制するCo2+イオン)によってWO表面での水の酸化反応が促進されていることに起因している。
(まとめ)
以上のことをまとめると、酸化半導体の小さなメソ孔における第1の高い温度(550℃)の結晶化は、かなり高い表面積及びWO光アノード中の短い固相キャリア拡散経路を達成することを実証した。高い結晶性を持つメソポーラスWOは、In situ界面活性剤熱的炭化法の1段階のプロセスを用いることにより得られ、得られたWO光アノード電極は、可視光による水の光電気化学的酸化特性を劇的に改善させた。本発明者らの製造手法のエッセンスは、その簡易性を含み、高い太陽エネルギー変換特性のような、他の多様なアプリケーションに対し、他に得られていない結晶性の小さなメソ孔構造物の発展に広く応用されることが期待される。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 過酸化タングステン酸と、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンと、酸と、有機溶媒とを混合し、メソポーラス酸化タングステン前駆体を調製する前駆体調製工程と、
前記メソポーラス酸化タングステン前駆体を焼成する焼成工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするメソポーラス酸化タングステンの製造方法である。
<2> 焼成工程における焼成温度が、400℃〜600℃である前記<1>に記載のメソポーラス酸化タングステンの製造方法である。
<3> 焼成工程が、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンを炭化する炭化処理と、前記炭化処理で得られた炭化物を燃焼させる燃焼処理とを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のメソポーラス酸化タングステンの製造方法である。
<4> 炭化処理が、N雰囲気下で行われ、燃焼処理が、O雰囲気下で行われる前記<3>に記載のメソポーラス酸化タングステンの製造方法である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のメソポーラス酸化タングステンの製造方法により製造されることを特徴とするメソポーラス酸化タングステンである。
<6> 前記<5>に記載のメソポーラス酸化タングステンを含有し、水の酸化を触媒することを特徴とする光触媒である。
<7> 導電性基体上に、前記<5>に記載のメソポーラス酸化タングステンを含有するメソポーラス酸化タングステン層を有することを特徴とするメソポーラス酸化タングステン電極である。
本発明のメソポーラス酸化タングステンは、水の酸化触媒活性に優れるため、水の可視光分解を行う際の光アノード電極の材料などとして好適に使用することができる。また、前記メソポーラス酸化タングステンを含有する本発明の光触媒は、エネルギー変換、水素生成などの分野において光アノード触媒などとして、好適に使用することができる。また、本発明のメソポーラス酸化タングステン電極は、光酸素発生用電極として好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 過酸化タングステン酸と、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンと、酸と、有機溶媒とを混合し、メソポーラス酸化タングステン前駆体を調製する前駆体調製工程と、
    前記メソポーラス酸化タングステン前駆体を焼成する焼成工程と、
    を少なくとも含むことを特徴とするメソポーラス酸化タングステンの製造方法。
  2. 焼成工程における焼成温度が、400℃〜600℃である請求項1に記載のメソポーラス酸化タングステンの製造方法。
  3. 焼成工程が、ヘキサデシル−2−ピリジニルメチルアミンを炭化する炭化処理と、前記炭化処理で得られた炭化物を燃焼させる燃焼処理とを含む請求項1から2のいずれかに記載のメソポーラス酸化タングステンの製造方法。
  4. 炭化処理が、不活性雰囲気下で行われ、燃焼処理が、O含有雰囲気下で行われる請求項3に記載のメソポーラス酸化タングステンの製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のメソポーラス酸化タングステンの製造方法により製造されることを特徴とするメソポーラス酸化タングステン。
  6. 請求項5に記載のメソポーラス酸化タングステンを含有し、水の酸化を触媒することを特徴とする光触媒。
  7. 導電性基体上に、請求項5に記載のメソポーラス酸化タングステンを含有するメソポーラス酸化タングステン層を有することを特徴とするメソポーラス酸化タングステン電極。
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