JP2015056210A - 電気光学装置、電気光学装置の製造方法、電子機器 - Google Patents

電気光学装置、電気光学装置の製造方法、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】光共振構造における光学的な距離を調整する絶縁膜の膜厚の均一性を高めること。【解決手段】基材10sと、基材10sの上に、電源線14と、膜厚Bd1の部分と膜厚Gd1の部分と膜厚Rd1の部分とを有する第1の絶縁膜28と、画素電極31と、発光機能層32と、対向電極33とが順に形成され、画素電極31は、膜厚Bd1の部分に設けられた第1の画素電極31Bと、膜厚Gd1の部分に設けられた第2の画素電極31Gと、膜厚Rd1の部分に設けられた第3の画素電極31Rとを有し、第1の絶縁膜28は、第1の絶縁膜28のエッチング性を制御するための不純物を含み、不純物の濃度は、膜厚Bd1の部分、膜厚Gd1の部分、膜厚Rd1の部分の順に低くなっていることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、電気光学装置、当該電気光学装置の製造方法、及び当該電気光学装置が搭載された電子機器に関する。
電気光学装置の一例として、例えば有機エレクトロルミネッセンス(以降、有機ELと称す)素子を有する画素がマトリックス状に配置された有機EL装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の有機EL装置は、光共振構造を有し、画素には、光反射層と、透光性絶縁膜(光学的距離調整層)と、第1電極(画素電極)と、発光層と、第2電極(対向電極)とが順に積層されている。第1画素、第2画素、第3画素のそれぞれにおける光学的距離調整層の膜厚は、第1画素>第2画素>第3画素の関係を満たすように設定されている。発光層で発した光は、光反射層と対向電極との間を往復し、光反射層と対向電極との間の光学的距離に応じた共振波長の光が選択的に増幅され、各画素から射出される。
特許文献1に記載の製造方法によれば、上記光学的距離調整層を形成するための透光膜の上に、膜厚が第1画素>第2画素>第3画素の関係を満たすレジスト膜を、階調露光により一括形成する。その後、膜厚が異なるレジスト膜を段階的にアッシングして除去する工程と、アッシングにより露出した透光膜に対して当該レジスト膜をエッチングマスクとしてエッチングする工程とを組み合わせることにより、膜厚が第1画素>第2画素>第3画素の関係を満たす上記光学的距離調整層を形成している。すなわち、透光膜に2回のエッチング処理を施すことで、膜厚が第1画素>第2画素>第3画素の関係を満たす光学的距離調整層を形成している。
特開2009−134067号公報
特許文献1に記載の製造方法では、所望の膜厚で光学的距離調整層を形成すること、すなわち第1画素、第2画素、第3画素における光学的距離調整層の膜厚の精度を高めることが難しいという課題があった。
例えば、同じエッチング条件で複数回のエッチング処理を施した場合、1回目のエッチング処理及び2回目のエッチング処理でエッチング装置や基板の状態が異なるため、1回目のエッチング処理と2回目のエッチング処理とでエッチング量が変動し、エッチングの均一性が悪くなる。このため、2回に分けて透光膜にエッチング処理を施す特許文献1に記載の製造方法では、エッチングの均一性が悪くなり、エッチング量の変動が大きくなるため、第1画素、第2画素、第3画素における光学的距離調整層の膜厚の精度を高めることが難しいという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る電気光学装置は、基板と、前記基板上に形成された光反射層と、前記光反射層を覆い、第1の膜厚の部分と、前記第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分と、前記第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分とを有する絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた画素電極と、前記画素電極を覆う光学機能層と、前記光学機能層を挟み前記画素電極に対向する対向電極と、を含み、前記画素電極は、前記第1の膜厚の部分に設けられた第1の画素電極と、前記第2の膜厚の部分に設けられた第2の画素電極と、前記第3の膜厚の部分に設けられた第3の画素電極と、を有し、前記絶縁膜は、前記絶縁膜のエッチング性を制御するための不純物を含み、前記不純物の濃度は、前記第1の膜厚の部分、前記第2の膜厚の部分、前記第3の膜厚の部分の順に低くなっていることを特徴とする。
本適用例に係る電気光学装置は、光反射層と絶縁膜と画素電極と光学機能層と対向電極とが順に積層された光共振構造を有している。このため、光学機能層で発した光は、光反射層と対向電極との間を往復し、光反射層と対向電極との間の光学的な距離に応じて共振し、特定波長の光が増幅される。光学的な距離は、絶縁膜の膜厚によって変化する。絶縁膜は3種類の膜厚、つまり第1の膜厚の部分と第2の膜厚の部分と第3の膜厚の部分とを有しているので、3種類の共振波長の光が発せられる。例えば、青、緑、赤の3種類の波長の光が増幅されるように、絶縁膜の膜厚を調整することで、光学機能層で発した青、緑、赤の光の色純度を高め、鮮やかな表示を得ることができる。
絶縁膜は、第1の膜厚の部分、第2の膜厚の部分、及び第3の膜厚の部分に、絶縁膜のエッチング性を制御するための不純物を含んでいる。絶縁膜をエッチングして第1の膜厚の部分、第2の膜厚の部分、及び第3の膜厚の部分を形成する場合、当該不純物によって絶縁膜のエッチング性が改善される。このため、当該不純物を含まない絶縁膜をエッチングする場合と比べて、所定の膜厚(第1の膜厚、第2の膜厚、第3の膜厚)の絶縁膜を高精度に形成することができる。よって、第1の膜厚、第2の膜厚及び第3の膜厚の均一性が向上し、光反射層と対向電極との間の光学的な距離の均一性を高めることができる。従って、光共振構造における共振波長の均一性を高め、光学機能層で発した光の色純度を高めることができる。
[適用例2]本適用例に係る電気光学装置は、基板と、前記基板上に形成された光反射層と、前記光反射層を覆い、第1の膜厚の部分と、前記第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分と、前記第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分とを有する絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられた画素電極と、前記画素電極を覆う光学機能層と、前記光学機能層を挟み前記画素電極に対向する対向電極と、を含み、前記画素電極は、前記第1の膜厚の部分に設けられた第1の画素電極と、前記第2の膜厚の部分に設けられた第2の画素電極と、前記第3の膜厚の部分に設けられた第3の画素電極と、を有し、前記第1の膜厚の部分及び前記第2の膜厚の部分は、前記第1の膜厚の部分及び前記第2の膜厚の部分のエッチング性を制御するための不純物を含み、前記不純物の濃度は、前記第1の膜厚の部分、前記第2の膜厚の部分の順に低くなっていることを特徴とする。
本適用例に係る電気光学装置は、光反射層と絶縁膜と画素電極と光学機能層と対向電極とが順に積層された光共振構造を有している。このため、光学機能層で発した光は、光反射層と対向電極との間を往復し、光反射層と対向電極との間の光学的な距離に応じて共振し、特定波長の光が増幅される。光学的な距離は、絶縁膜の膜厚によって変化する。絶縁膜は3種類の膜厚、つまり第1の膜厚の部分と第2の膜厚の部分と第3の膜厚の部分とを有しているので、3種類の共振波長の光が発せられる。例えば、青、緑、赤の3種類の波長の光が増幅されるように、絶縁膜の膜厚を調整することで、光学機能層で発した青、緑、赤の光の色純度を高め、鮮やかな表示を得ることができる。
絶縁膜は、第1の膜厚の部分及び第2の膜厚の部分に、絶縁膜のエッチング性を制御するための不純物を含んでいる。絶縁膜をエッチングして第1の膜厚の部分及び第2の膜厚の部分を形成する場合、当該不純物によって絶縁膜のエッチング性が改善される。このため、当該不純物を含まない絶縁膜をエッチングする場合と比べて、所定の膜厚(第1の膜厚、第2の膜厚)の絶縁膜を高精度に形成することができる。よって、第1の膜厚及び第2の膜厚の均一性が向上し、光反射層と対向電極との間の光学的な距離の均一性を高めることができる。従って、光共振構造における共振波長の均一性が高められ、光学機能層で発した光の色純度を高めることができる。
[適用例3]上記適用例に係る電気光学装置では、前記絶縁膜は、酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのいずれかであり、前記不純物は、ボロン、リン、またはヒ素のいずれかであり、前記不純物の濃度は、1×1020atoms/cm3以下であることが好ましい。
酸化シリコンまたは酸窒化シリコンは光透過性を有し、光学的な距離を調整するための絶縁膜の構成材料として、好適に使用することができる。ボロン、リン、またはヒ素は、絶縁膜を構成する材料のエッチング性を制御するための不純物として、好適に使用することができる。さらに、絶縁膜への過剰な不純物の添加は、絶縁膜のエッチング性や絶縁膜の物性に悪影響を及ぼす恐れがあるので、絶縁膜に導入される不純物の濃度は、1×1020atoms/cm3以下であることが好ましい。
[適用例4]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする。
本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備え、光共振構造によって特定波長の光が増幅され、鮮やかな表示を提供することができる。例えば、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、デジタルカメラの電子ビューファインダー、携帯型情報端末、ナビゲーターなどの表示部を有する電子機器に、上記適用例に記載の電気光学装置を適用することができる。
[適用例5]本適用例に係る電気光学装置の製造方法は、基板上に、光反射層と絶縁膜と画素電極と光学機能層と対向電極とが順に形成された電気光学装置の製造方法であって、前記絶縁膜に、前記絶縁膜のエッチング性を制御する不純物を導入し、前記不純物の濃度が異なる領域を形成する工程と、前記絶縁膜にエッチング処理を施す工程と、を含み、前記不純物の濃度が異なる領域は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記不純物の濃度が低い第2の領域と、前記第2の領域よりも前記不純物の濃度が低い第3の領域と、を有し、前記エッチング処理を施す工程によって、前記第1の領域の前記絶縁膜をエッチングして第1の膜厚の部分を形成し、前記第2の領域の前記絶縁膜をエッチングして前記第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分を形成し、前記第3の領域の前記絶縁膜をエッチングして前記第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分を形成することを特徴とする。
本適用例に係る製造方法で製造された電気光学装置は、光反射層と絶縁膜と画素電極と光学機能層と対向電極とが順に積層された光共振構造を有している。このため、光学機能層で発した光は、光反射層と対向電極との間を往復し、光反射層と対向電極との間の光学的な距離に応じて共振し、特定波長の光が増幅される。光学的な距離は、絶縁膜の膜厚によって変化する。絶縁膜は3種類の膜厚、つまり第1の膜厚の部分と第2の膜厚の部分と第3の膜厚の部分とを有しているので、3種類の共振波長の光が発せられる。例えば、青、緑、赤の3種類の波長の光が増幅されるように、絶縁膜の膜厚を調整することで、光学機能層で発した青、緑、赤の光の色純度を高め、鮮やかな表示を得ることができる。
本適用例に係る電気光学装置の製造方法では、絶縁膜のエッチング性(エッチングレート)は、導入された不純物の濃度によって変化し、不純物の濃度が異なる領域(第1の領域、第2の領域、第3の領域)を設けることで、それぞれの領域における絶縁膜のエッチングレートが変化する。詳しくは、不純物が導入された第1の領域、第1の領域よりも少ない不純物が導入された第2の領域、第2の領域よりも少ない不純物が導入された第3の領域の順に、絶縁膜のエッチングレートが小さくなる。不純物の濃度が異なる領域を有する絶縁膜にエッチング処理を施すことで、つまり一括エッチングを施すことで、第1の領域に第1の膜厚の部分を形成し、第2の領域に第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分を形成し、第3の領域に第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分を形成する。
このように、本適用例の製造方法では、1回のエッチング処理で膜厚の異なる部分を有する絶縁膜を形成する。2回のエッチング処理で膜厚の異なる部分を有する絶縁膜を形成する公知技術(特開2009−134067号公報)と比べて、本適用例の製造方法はエッチング処理の回数が少ないため、エッチング処理に起因する膜厚変動が小さくなり、製造工程も簡略化される。さらに、本適用例の製造方法では、絶縁膜のエッチング性を制御する不純物が絶縁膜に導入されているので、公知技術の製造方法と比べて絶縁膜のエッチングの均一性を高めることができる。
従って、本適用例に係る製造方法で製造された電気光学装置は、公知技術に係る製造方法で製造された電気光学装置と比べて、絶縁膜の膜厚の均一性、すなわち光学的な距離の均一性を高めることができるので、光共振構造における共振波長の均一性が高められ、光学機能層で発した光の色純度を高めることができる。
[適用例6]本適用例に係る電気光学装置の製造方法は、基板上に、光反射層と絶縁膜と画素電極と光学機能層と対向電極とが順に形成された電気光学装置の製造方法であって、前記絶縁膜に、前記絶縁膜のエッチング性を制御する不純物を導入し、前記不純物の濃度が異なる領域を形成する工程と、前記絶縁膜にエッチング処理を施す工程と、を含み、前記不純物の濃度が異なる領域は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記不純物の濃度が低い第2の領域と、を有し、前記エッチング処理を施す工程によって、前記第1の領域の前記絶縁膜をエッチングして第1の膜厚の部分を形成し、前記第2の領域の前記絶縁膜をエッチングして前記第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分を形成し、前記不純物を有していない領域の前記絶縁膜をエッチングして前記第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分を形成することを特徴とする。
本適用例に係る製造方法で製造された電気光学装置は、光反射層と絶縁膜と画素電極と光学機能層と対向電極とが順に積層された光共振構造を有している。このため、光学機能層で発した光は、光反射層と対向電極との間を往復し、光反射層と対向電極との間の光学的な距離に応じて共振し、特定波長の光が増幅される。光学的な距離は、絶縁膜の膜厚によって変化する。絶縁膜は3種類の膜厚、つまり第1の膜厚の部分と第2の膜厚の部分と第3の膜厚の部分とを有しているので、3種類の共振波長の光が発せられる。例えば、青、緑、赤の3種類の波長の光が増幅されるように、絶縁膜の膜厚を調整することで、光学機能層で発した青、緑、赤の光の色純度を高め、鮮やかな表示を得ることができる。
本適用例に係る電気光学装置の製造方法では、絶縁膜のエッチング性(エッチングレート)は、不純物の濃度によって変化し、導入された不純物の濃度が異なる領域(第1の領域、第2の領域)を設けることで、それぞれの領域で絶縁膜のエッチングレートが変化する。詳しくは、不純物が導入された第1の領域、第1の領域よりも少ない不純物が導入された第2の領域、不純物を有していない領域の順に、絶縁膜のエッチングレートが小さくなる。不純物の濃度が異なる領域を有する絶縁膜にエッチング処理を施すことで、つまり一括エッチングを施すことで、第1の領域に第1の膜厚の部分を形成し、第2の領域に第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分を形成し、不純物を有していない領域に第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分を形成する。
このように、本適用例の製造方法では、1回のエッチング処理で膜厚の異なる部分を有する絶縁膜を形成することができる。2回のエッチング処理で膜厚の異なる部分を有する絶縁膜を形成する公知技術(特開2009−134067号公報)と比べて。本適用例の製造方法は、エッチング処理回数が少ないため、エッチング処理に起因する膜厚変動が小さくなり、製造工程も簡略化される。さらに、本適用例の製造方法では、絶縁膜のエッチング性を制御する不純物が絶縁膜に導入されているので、公知技術の製造方法と比べてエッチングの均一性を高めることができる。
従って、本適用例に係る製造方法で製造された電気光学装置は、公知技術に係る製造方法で製造された電気光学装置と比べて、絶縁膜の膜厚の均一性、すなわち光学的な距離の均一性を高めることができるので、光共振構造における共振波長の均一性が高められ、光学機能層で発した光の色純度を高めることができる。
[適用例7]上記適用例に係る電気光学装置の製造方法では、ウエットエッチングまたはケミカルドライエッチングによって、前記絶縁膜に前記エッチング処理を施すことが好ましい。
例えば、絶縁膜を機械的に削る物理的なエッチングでは、絶縁膜に導入された不純物の濃度に関係なくエッチングが進行し、絶縁膜に導入された不純物の濃度によって絶縁膜のエッチング性(エッチングレート)が変化しにくくなる。絶縁膜に導入された不純物の濃度によって絶縁膜のエッチング性(エッチングレート)を変化させるためには、絶縁膜を機械的に削る物理的なエッチングではなく、絶縁膜との化学反応で絶縁膜を削る化学的なエッチングが好ましい。よって、ウエットエッチングまたはケミカルドライエッチングなどの化学的なエッチングによって、絶縁膜にエッチング処理を施すことが好ましい。
[適用例8]上記適用例に係る電気光学装置の製造方法では、前記絶縁膜は、酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのいずれかであり、前記不純物は、ボロンまたはリンのいずれかであり、前記不純物の濃度は、1×1020atoms/cm3以下であることが好ましい。
酸化シリコンまたは酸窒化シリコンは光透過性を有し、光学的な距離を調整するための絶縁膜の構成材料として、好適に使用することができる。ボロン、リン、またはヒ素は、絶縁膜を構成する材料のエッチング性を制御するための不純物として、好適に使用することができる。さらに、絶縁膜への過剰な不純物の添加は、絶縁膜の物性やエッチング性に悪影響を及ぼす恐れがあるので、不純物の濃度は1×1020atoms/cm3以下であることが好ましい。
実施形態1に係る有機EL装置の構成を示す概略平面図。 実施形態1に係る有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。 発光画素の概略平面図。 図3のA−A’線に沿った概略断面図。 図3のC−C’線に沿った概略断面図。 図3のD−D’線に沿った概略断面図。 図3のE−E’線に沿った概略断面図。 有機EL装置の製造方法を示す工程フロー。 各工程の状態を模式的に示す概略断面図。 酸化シリコンに導入されたボロン濃度と酸化シリコンのエッチングレートとの関係を示す図。 実施形態2に係る有機EL装置の製造方法を示す工程フロー。 各工程の状態を模式的に示す概略断面図。 ケミカルドライエッチング装置の構成を示す概略図。 ヘッドマウントディスプレイの概略図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならせしめてある。
(実施形態1)
「有機EL装置の概要」
実施形態1に係る有機EL装置100は、電気光学装置の一例であり、表示光の色純度を高めることができる光共振構造を有している。
まず、本実施形態に係る有機EL装置100の概要について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は有機EL装置の構成を示す概略平面図であり、図2は有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である、図3は発光画素の概略平面図である。
なお、図3では、説明に必要な構成要素が図示され、他の構成要素の図示は省略されている。また、図3における二点鎖線は、発光画素20の輪郭を示している。
図1に示すように、有機EL装置100の構成要素である素子基板10には、表示領域Eにマトリックス状に配置された複数の発光画素20B,20G,20R、複数の発光画素20B,20G,20Rを駆動制御する周辺回路(データ線駆動回路101、走査線駆動回路102)、外部回路との電気的な接続を図るための外部接続用端子103などが配置されている。
素子基板10の第1辺に沿って、複数の外部接続用端子103が配列されている。複数の外部接続用端子103と表示領域Eとの間には、データ線駆動回路101が設けられている。該第1辺と直交し互いに対向する他の第2辺、第3辺と表示領域Eとの間には、走査線駆動回路102が設けられている。
以降、該第1辺に沿った方向をX方向、及び該第1辺と直交し互いに対向する他の2辺(第2辺、第3辺)に沿った方向をY方向として説明する。
有機EL装置100は、青色(B)の発光が得られる発光画素20Bと、緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gと、赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rとを有している。さらに、発光画素20Bは画素電極31Bを有し、発光画素20Gは画素電極31Gを有し、発光画素20Rは画素電極31Rを有している。有機EL装置100では、X方向に配置された発光画素20Bと発光画素20Gと発光画素20Rとが表示単位Pとなって、フルカラーの表示が提供される。
なお、画素電極31Bは本発明における「第1の画素電極」の一例であり、画素電極31Gは本発明における「第2の画素電極」の一例であり、画素電極31Rは本発明における「第3の画素電極」の一例である。
以降の説明では、発光画素20B,20G,20Rや画素電極31B,31G,31Rと称す場合と、これらをまとめて発光画素20や画素電極31と称す場合とがある。
Y方向には、同じ色の発光が得られる発光画素20が配置されている。つまり、青色(B)の発光が得られる発光画素20B、緑色(G)の発光が得られる発光画素20G、及び赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rは、それぞれY方向に繰り返し配置されている。
X方向には、異なる色の発光が得られる発光画素20が、B,G,Rの順に繰り返し配置されている。なお、X方向における発光画素20の配置は、B,G,Rの順でなくてもよく、例えばR,G,Bの順であってもよい。
透光性の第1の絶縁膜28が、外部接続用端子103の形成領域を除く素子基板10の略全面に設けられている。本実施形態では、第1の絶縁膜28の外縁は、素子基板10の外縁と一致するように配置されている。なお透光性の第1の絶縁膜28は、少なくとも表示領域Eに跨って配置されていればよく、例えば第1の絶縁膜28の外縁は、表示領域Eの外縁と素子基板10の外縁との間に配置されていてもよい。
透光性の第1の絶縁膜28は、発光画素20B(画素電極31B)が配置される第1の領域28Bと、発光画素20G(画素電極31G)が配置される第2の領域28Gと、発光画素20R(画素電極31R)が配置される第3の領域28Rとを有している。
第1の領域28Bは、発光画素20Bが配置される領域に対応し、Y方向に延在した矩形状(ストライプ形状)をなしている。第2の領域28Gは、発光画素20Gが配置される領域に対応し、Y方向に延在した矩形状(ストライプ形状)をなしている。第3の領域28Rは、発光画素20Rが配置される領域に対応し、Y方向に延在した矩形状(ストライプ形状)をなしている。第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28RのY方向寸法は、表示領域EのY方向寸法と同じである。
なお、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28RのY方向寸法は、表示領域EのY方向寸法より大きくてもよい。
第1の領域28B、第2の領域28G、第3の領域28Rは、X方向においてこの順に繰り返して配置されている。第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28RのX方向寸法は、発光画素20のX方向寸法と略同じである。
上述したように、発光画素20Bが配置される領域が第1の領域28Bであり、発光画素20Gが配置される領域が第2の領域28Gであり、発光画素20Rが配置される領域が第3の領域28Rである。このため、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの形状は、発光画素20B、発光画素20G、及び発光画素20Rの形状によって変化する。本実施形態では、Y方向に同じ色の発光画素20が配置され、X方向に異なる色の発光画素20が配置され、発光画素20の配置はストライプ配置となっている。このため、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの配置も、ストライプ配置となっている。例えば、発光画素20B、発光画素20G、及び発光画素20Rの配置がジグザグ配置であれば、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの配置もジグザク配置となる。
詳細は後述するが、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rにおける第1の絶縁膜28の膜厚は、それぞれ異なる。つまり、第2の領域28Gにおける第1の絶縁膜28の膜厚は、第1の領域28Bにおける第1の絶縁膜28の膜厚よりも大きくなっている。第3の領域28Rにおける第1の絶縁膜28の膜厚は、第2の領域28Gにおける第1の絶縁膜28の膜厚よりも大きくなっている。このように、第1の絶縁膜28の膜厚は、第1の領域28B、第2の領域28G、第3の領域28Rの順に大きくなっている。
なお、第1の絶縁膜28は、本発明における「絶縁膜」の一例である。第1の領域28Bは本発明における「第1の膜厚の部分」の一例であり、第2の領域28Gは本発明における「第2の膜厚の部分」の一例であり、第3の領域28Rは本発明における「第3の膜厚の部分」の一例である。
図2に示すように、素子基板10には、発光画素20に対応する信号線として、走査線11、データ線12、点灯制御線13、及び電源線14が設けられている。走査線11と点灯制御線13とはX方向に並行して延び、走査線駆動回路102(図1)に接続されている。データ線12と電源線14とはY方向に並行して延びている。データ線12は、データ線駆動回路101(図1)に接続されている。電源線14は、複数配置された外部接続用端子103のうちいずれかに接続されている。
走査線11とデータ線12とで区画された領域には、発光画素20の画素回路を構成する第1トランジスター21と、第2トランジスター22と、第3トランジスター23と、蓄積容量24と、有機EL素子30とが設けられている。
有機EL素子30は、陽極である画素電極31と、陰極である対向電極33と、これら電極の間に挟まれた発光層を含む発光機能層32とを有している。対向電極33は、複数の発光画素20に跨って設けられた共通電極である。対向電極33には、例えば電源線14に与えられる電源電圧Vddに対して低電位の、基準電位VssやGNDの電位などが与えられている。
なお、発光機能層32は、本発明における「光学機能層」の一例である。
第1トランジスター21及び第3トランジスター23は、例えばnチャネル型のトランジスターである。第2トランジスター22は、例えばpチャネル型のトランジスターである。
第1トランジスター21のゲート電極は走査線11に接続され、一方の電流端はデータ線12に接続され、他方の電流端は第2トランジスター22のゲート電極と、蓄積容量24の一方の電極とに接続されている。
第2トランジスター22の一方の電流端は、電源線14に接続されると共に蓄積容量24の他方の電極に接続されている。第2トランジスター22の他方の電流端は、第3トランジスター23の一方の電流端に接続されている。言い換えれば、第2トランジスター22と第3トランジスター23とは一対の電流端のうち1つの電流端を共有している。
第3トランジスター23のゲート電極は点灯制御線13に接続され、他方の電流端は有機EL素子30の画素電極31に接続されている。
第1トランジスター21、第2トランジスター22及び第3トランジスター23のそれぞれにおける一対の電流端は、一方がソースであり、他方がドレインである。
このような画素回路において、走査線駆動回路102から走査線11に供給される走査信号Yiの電圧がHiレベルになると、nチェネル型の第1トランジスター21がオン状態(ON)となる。オン状態(ON)の第1トランジスター21を介してデータ線12と蓄積容量24とが電気的に接続される。そして、データ線駆動回路101からデータ線12にデータ信号が供給されると、データ信号の電圧Vdataと電源線14に与えられた電源電圧Vddとの電位差に応じた電圧が蓄積容量24に保持される。
走査線駆動回路102から走査線11に供給される走査信号Yiの電圧がLowレベルになると、nチェネル型の第1トランジスター21がオフ状態(OFF)となり、第2トランジスター22のゲート・ソース間電圧Vgsは、電圧Vdataが与えられたときの電圧に保持される。また、走査信号YiがLowレベルになった後に、点灯制御線13に供給される点灯制御信号Vgiの電圧がHiレベルとなり、第3トランジスター23がオン状態(ON)となる。そうすると、第2トランジスター22のゲート・ソース間電圧Vgs、つまり蓄積容量24に保持された電圧に応じた電流が、電源線14から第2トランジスター22及び第3トランジスター23を経由して、有機EL素子30に供給される。
有機EL素子30は、有機EL素子30を流れる電流の大きさに応じて発光する。有機EL素子30を流れる電流は、蓄積容量24に保持された電圧(データ線12の電圧Vdataと電源電圧Vddとの電位差)、及び第3トランジスター23がオン状態になる期間の長さによって変化し、有機EL素子30の発光輝度が規定される。つまり、データ信号における電圧Vdataの値により、発光画素20において画像情報に応じた輝度の階調性を与えることができる。
なお、本実施形態において、発光画素20の画素回路は、3つのトランジスター21,22,23を有することに限定されず、例えばスイッチング用トランジスターと駆動用トランジスターとを有する構成(二つのトランジスターを有する構成)としてもよい。また画素回路を構成するトランジスターは、nチャネル型のトランジスターでもよいし、pチャネル型のトランジスターでもよいし、nチャネル型のトランジスター及びpチャネル型のトランジスターの双方を備えるものであってもよい。また、発光画素20の画素回路を構成するトランジスターは、半導体基板にアクティブ層を有するMOS型トランジスターであってもよいし、薄膜トランジスターであってもよいし、電界効果トランジスターであってもよい。
また、走査線11、データ線12以外の信号線である点灯制御線13、電源線14の配置は、トランジスターや蓄積容量24の配置により左右され、これに限定されるものではない。
本実施形態では、発光画素20の画素回路を構成するトランジスターとして、半導体基板にアクティブ層を有するMOS型トランジスターを採用している。
「発光領域」
次に、図3を参照して、発光画素20における発光領域の概要を説明する。
図3に示すように、発光画素20は、中継電極106と画素電極31と第2の絶縁膜29とを有している。第2の絶縁膜29は、画素電極31の上に設けられている(図4参照)。詳しくは、第2の絶縁膜29は、画素電極31の周縁部を覆うように設けられ、画素電極31の一部を露出させる開口29B,29G,29Rを有している。中継電極106は、画素電極31と基材10sとの間に設けられ、第3トランジスター23と画素電極31とを電気的に接続する配線の一部をなしている(図5参照)。
画素電極31B、中継電極106、及び開口29Bは、発光画素20Bの構成要素であり、第1の領域28Bに配置されている。画素電極31G、中継電極106、開口29Gは、発光画素20Gの構成要素であり、第2の領域28Gに配置されている。画素電極31R、中継電極106、開口29Rは、発光画素20Rの構成要素であり、第3の領域28Rに配置されている。
発光画素20B,20G,20Rのそれぞれは、平面視で矩形状となっており、長手方向がY方向に沿って配置されている。同様に、画素電極31B,31G,31Rや開口29B,29G,29Rも、平面視で矩形状となっており、長手方向がY方向に沿って配置されている。
中継電極106は、矩形状の発光画素20の短い一辺に沿って配置され、平面視で画素電極31と重なるように設けられている。
第2の絶縁膜29が設けられていない部分の画素電極31、つまり開口29B,29G,29Rで露出された画素電極31は、発光機能層32に直接接し、発光機能層32に電流を供給し、発光機能層32を発光させる。このため、第2の絶縁膜29に設けられた開口29B,29G,29Rが、発光画素20B,20G,20Rの発光領域となる。すなわち、第2の絶縁膜29は、発光画素20の発光領域を規定する役割を有している。さらに、第2の絶縁膜29は、隣り合う画素電極31同士を電気的に絶縁する役割も有している。
「有機EL装置の断面構造」
次に、有機EL装置100の断面構造について、図4乃至図7を参照して説明する。
図4は、図3のA−A’線に沿った概略断面図、つまり発光領域を規定する第2の絶縁膜の開口が設けられた領域のX方向の概略断面図である。図5は、図3のC−C’線に沿った概略断面図、つまり青色(B)の発光が得られる発光画素のY方向の概略断面図である。図6は、図3のD−D’線に沿った概略断面図、つまり緑色(G)の発光が得られる発光画素のY方向の概略断面図である。図7は、図3のE−E’線に沿った概略断面図、つまり赤色(R)の発光が得られる発光画素のY方向の概略断面図である。
なお、図4は、画素回路のうち、第1トランジスター21及び第2トランジスター22や、第1トランジスター21及び第2トランジスター22に関連する配線などを示し、第3トランジスター23の図示が省略されている。図5乃至図7は、第2トランジスター22及び第3トランジスター23や、第2トランジスター22及び第3トランジスター23に関連する配線などを示し、第1トランジスター21の図示が省略されている。
最初に、図4を参照して、開口29B,29G,29Rが設けられた領域の断面構造について説明する。
図4に示すように、有機EL装置100は、素子基板10、封止基板70、及び素子基板10と封止基板70とで挟持された樹脂層71などを有している。
封止基板70は、透光性の絶縁基板であり、石英基板やガラス基板などを使用することができる。封止基板70は、表示領域Eに配置された有機EL素子30が傷つかないように保護する役割を有し、表示領域Eよりも広く設けられている。樹脂層71は、素子基板10と封止基板70とを接着する役割を有し、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などを使用することができる。
素子基板10には、画素回路(第1トランジスター21、第2トランジスター22、第3トランジスター23、蓄積容量24、有機EL素子30)、封止層40、及びカラーフィルター50などが設けられている。
発光画素20で発せられた光は、カラーフィルター50を透過して封止基板70の側から射出される。つまり、有機EL装置100は、トップエミッション構造となっている。有機EL装置100がトップエミッション構造であることから、素子基板10の基材10sには、透明な石英基板やガラス基板などに加えて、不透明なセラミック基板や半導体基板などを用いることができる。本実施形態では、基材10sには、シリコン基板(不透明な半導体基板)を使用している。
なお、基材10sは、本発明における「基板」の一例である。
基材10sには、半導体基板にイオンを注入することによって形成されたウェル部10wと、ウェル部10wとは異なる種類のイオンをウェル部10wに注入することにより形成されたアクティブ層であるイオン注入部10dとが設けられている。ウェル部10wは、発光画素20におけるトランジスター21,22,23のチャネルとして機能する。イオン注入部10dは、発光画素20におけるトランジスター21,22,23のソース・ドレインや配線の一部として機能する。
イオン注入部10dやウェル部10wが形成された基材10sの表面を覆うように、絶縁膜10aが設けられている。絶縁膜10aは、トランジスター21,22,23のゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜10aの上には、例えばポリシリコンなどの導電膜からなるゲート電極22gが設けられている。ゲート電極22gは、第2トランジスター22のチャネルとして機能するウェル部10wに対向するように配置されている。他の第1トランジスター21や第3トランジスター23にも、同様にゲート電極が設けられている。
ゲート電極22gを覆うように、第1層間絶縁膜15が設けられている。第1層間絶縁膜15には、例えば第1トランジスター21のドレインや第2トランジスター22のゲート電極22gに至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第1層間絶縁膜15の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、例えば第1トランジスター21のドレイン電極21dと第2トランジスター22のゲート電極22gとに接続される配線が設けられている。
次に、第1層間絶縁膜15や、第1層間絶縁膜15の上の配線を覆うように、第2層間絶縁膜16が設けられている。第2層間絶縁膜16には、第1層間絶縁膜15の上に設けられた配線に至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第2層間絶縁膜16の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、例えば蓄積容量24の一方の電極24aと第2トランジスター22のゲート電極22gとを電気的に接続させるコンタクト部が設けられている。また、蓄積容量24の一方の電極24aと同層にデータ線12が設けられている。データ線12は、図4では図示省略された中継電極(配線)によって、第1トランジスター21のソースに接続されている。
図示を省略するが、少なくとも蓄積容量24の一方の電極24aを覆う誘電体層が設けられている。また、蓄積容量24の他方の電極24bが、誘電体層を挟んで、蓄積容量24の一方の電極24aに対向して設けられている。これにより、これら一対の電極24a,24bと誘電体層とによって、蓄積容量24が形成されている。
蓄積容量24を覆うように、第3層間絶縁膜17が設けられている。第3層間絶縁膜17には、例えば蓄積容量24の他方の電極24bや第2層間絶縁膜16上に形成された配線に至るコンタクトホールが設けられている。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第3層間絶縁膜17の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、電源線14や中継電極14c(図5参照)などが設けられている。本実施形態では、電源線14及び中継電極14cは、光反射性と導電性とを兼ね備えた導電材料、例えばアルミニウムやアルミニウム合金などで構成されている。電源線14及び中継電極14cの膜厚は、概略100nmである。
図示を省略するが、電源線14は表示領域Eの略全面に設けられ、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに開口を有している。電源線14は、画素電極31に対向するように配置され、発光領域(開口29B,29G,29R)で発した光を反射する。中継電極14cは、電源線14の開口の中に設けられている、すなわち発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに島状に設けられている。
なお、電源線14は、本発明における「光反射層」の一例である。
電源線14及び中継電極14cは、第1の絶縁膜28で覆われている。第1の絶縁膜28は、酸化シリコンで構成されている。第1の絶縁膜28を構成する材料は、透光性の絶縁材料であればよく、上述した酸化シリコンの他に、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどを使用することができる。第1の絶縁膜28の膜厚は、発光画素20B(第1の領域28B)、発光画素20G(第2の領域28G)、及び発光画素20R(第3の領域28R)で異なる。詳しくは、発光画素20B(第1の領域28B)に対応して設けられた第1の絶縁膜28の膜厚Bd1は、概略65nmである。発光画素20G(第2の領域28G)に対応して設けられた第1の絶縁膜28の膜厚Gd1は、概略130nmである。発光画素20R(第3の領域28R)に対応して設けられた第1の絶縁膜28の膜厚Rd1は、概略195nmである。
詳細は後述するが、第1の絶縁膜28には、不純物としてボロン(B)が導入されている。不純物としてのボロンの濃度は、発光画素20B(第1の領域28B)に対応して設けられた第1の絶縁膜28、発光画素20G(第2の領域28G)に対応して設けられた第1の絶縁膜28、発光画素20R(第3の領域28R)に対応して設けられた第1の絶縁膜28の順に低くなっている。換言すれば、不純物としてのボロンの濃度は、膜厚Bd1の部分の第1の絶縁膜28、膜厚Gd1の部分の第1の絶縁膜28、膜厚Rd1の部分の第1の絶縁膜28の順に低くなっている。
なお、膜厚Bd1は、本発明における「第1の膜厚」の一例である。膜厚Gd1は、本発明における「第2の膜厚」の一例である。膜厚Rd1は、本発明における「第3の膜厚」の一例である。
画素電極31は、第1の絶縁膜28の上に島状に設けられている。詳しくは、画素電極31Bは膜厚Bd1の第1の絶縁膜28の上に島状に設けられ、画素電極31Gは膜厚Gd1の第1の絶縁膜28の上に島状に設けられ、画素電極31Rは膜厚Rd1の第1の絶縁膜28の上に島状に設けられている。画素電極31は、光透過性を有し、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性材料で形成され、発光機能層32に正孔を供給するための電極となる。画素電極31の膜厚は、概略100nmである。
画素電極31の周縁部を覆うように、第2の絶縁膜29が設けられている。第2の絶縁膜29は、例えば酸化シリコンで構成され、各画素電極31R,31G,31Bのそれぞれを絶縁している。第2の絶縁膜29の膜厚は、概略60nmである。第2の絶縁膜29には、開口29B,29G,29Rが設けられている。開口29B,29G,29Rが設けられた領域が、発光画素20の発光領域となる。なお、第2の絶縁膜29は、有機材料、例えばアクリル系の感光性樹脂を用いて形成してもよい。
画素電極31及び第2の絶縁膜29を覆うように、発光機能層32と、対向電極33と封止層40とが、順に積層されている。
発光機能層32は、画素電極31の側から順に積層された正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、及び電子輸送層などを有している。有機発光層において、画素電極31から供給される正孔と、対向電極33から供給される電子とにより励起子(エキシトン;電子と正孔とがクーロン力にて互いに束縛された状態)が形成され、励起子(エキシトン)が消滅する際(電子と正孔とが再結合する際)にエネルギーの一部が蛍光や燐光となって放出される。つまり、発光機能層32が発光する(光を発する)。発光機能層32の膜厚は、概略110nmである。
有機発光層は、赤色、緑色、及び青色の光成分を有する光を発する。有機発光層は、単層で構成してもよいし、複数の層(例えば、電流が流れると主に青色で発光する青色発光層と、電流が流れると赤色と緑色を含む光を発する黄色発光層)で構成してもよい。
対向電極33は、発光機能層32に電子を供給するための共通電極である。対向電極33は、発光機能層32を覆って設けられ、例えばMgとAgとの合金などで構成され、光透過性と光反射性とを有している。対向電極33の膜厚は、概略10nm〜30nmである。対向電極33の構成材料(MgとAgとの合金など)を薄膜化することで、光反射性の機能に加えて光透過性の機能を付与することができる。
対向電極33の上には、封止層40が配置されている。封止層40は、水分や酸素などによる発光機能層32や対向電極33の劣化を抑制するパッシベーション膜であり、発光機能層32や対向電極33への水分や酸素の侵入を抑制している。封止層40は、対向電極33の側から順に積層された第1封止層41と緩衝層42と第2封止層43とで構成され、有機EL素子30(表示領域E)を覆い、素子基板10の略全面に設けられている。なお、封止層40には、外部接続用端子103(図1参照)を露出させる開口(図示省略)が設けられている。
第1封止層41は、例えば公知技術のプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて形成されたシリコン酸窒化物で構成され、水分や酸素に対して高いバリア性を有している。第1封止層41の膜厚は、概略200nm〜400nmである。第1封止層41を構成する材料は、上述したシリコン酸窒化物の他に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、及び酸化チタンなどの金属酸化物などを使用することができる。
緩衝層42は、熱安定性に優れた例えばエポキシ系樹脂や塗布型の無機材料(シリコン酸化物など)などで構成されている。緩衝層42の膜厚は、第1封止層41の膜厚よりも大きく、概略1000nm〜5000nmである。緩衝層42は、第1封止層41の欠陥(ピンホール、クラック)や異物などを被覆し、平坦な面を形成する。
第2封止層43は、例えば公知技術のプラズマCVD法などを用いて形成されたシリコン酸窒化物で構成される。第2封止層43の膜厚は、概略300nm〜700nmである。第2封止層43は、第1封止層41と同じ材料で構成され、水分や酸素に対して高いバリア性を有している。
封止層40の上には、発光画素20B,20G,20Rに対応した着色層50B,50G,50Rが設けられている。換言すれば、封止層40の上には、着色層50B,50G,50Rで構成されるカラーフィルター50が設けられている。
次に、図5乃至図7を参照して、発光画素20B,20G,20Rの他の断面構造について説明する。
図5乃至図7に示すように、基材10sには、第2トランジスター22と第3トランジスター23とが共用するウェル部10wが設けられている。当該ウェル部10wには、3つのイオン注入部10dが設けられている。3つのイオン注入部10dのうち中央側に位置するイオン注入部10dは、第2トランジスター22と第3トランジスター23とが共用するドレイン22d(23d)として機能するものである。当該ウェル部10wを覆う絶縁膜10aが設けられる。そして、絶縁膜10aの上には、例えばポリシリコンなどの導電膜からなるゲート電極22g,23g(第2トランジスター22のゲート電極22g、第3トランジスター23のゲート電極23g)が設けられている。ゲート電極22g,23gのそれぞれは、中央側のイオン注入部10dと端側のイオン注入部10dとの間のウェル部10wにおけるチャネルとして機能する部分に対向するように配置されている。
次に、第2トランジスター22のゲート電極22gは、第1層間絶縁膜15と第2層間絶縁膜16とを貫通するコンタクトホールによって、第2層間絶縁膜16上に設けられた蓄積容量24の一方の電極24aに接続されている。第2トランジスター22のソース電極22sは、第1層間絶縁膜15と第2層間絶縁膜16と第3層間絶縁膜17とを貫通するコンタクトホールによって、第3層間絶縁膜17上に設けられた電源線14に接続されている。
第3トランジスター23のゲート電極23gは、第1層間絶縁膜15を貫通するコンタクトホールによって、第1層間絶縁膜15上に設けられた点灯制御線13に接続されている。第1層間絶縁膜15上には、点灯制御線13以外に走査線11が設けられている。走査線11は、図5には図示されていないコンタクトホールを経由して、第1トランジスター21のゲートに接続されている。
第3トランジスター23のソース電極23sは、第1層間絶縁膜15と第2層間絶縁膜16と第3層間絶縁膜17とを貫通するコンタクトホールによって、第3層間絶縁膜17上に設けられた中継電極14cに接続されている。
上述したように、電源線14は、表示領域Eの略全面に設けられ、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに対応して開口を有している。中継電極14cは、電源線14の開口の中に、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに対応して島状に設けられている。中継電極14cは、第1の絶縁膜28で覆われ、コンタクトホール28CTを介して、第1の絶縁膜28の上に設けられた中継電極106に接続されている。
中継電極106は、遮光性の導電材料、例えば窒化チタンで構成される。中継電極106の膜厚は、概略50nmである。中継電極106は、平面視で電源線14の開口を覆うように、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに島状に設けられている。発光機能層32で発した光が、電源線14の開口を通過してトランジスター21,22,23に入射しないように、中継電極106によって遮光されている。中継電極106は、発光機能層32で発した光の入射を遮り、トランジスター21,22,23の誤動作を抑制する役割を有している。
画素電極31は、中継電極106を覆うように設けられている。詳しくは、発光画素20B(第1の領域28B)では、膜厚Bd1の第1の絶縁膜28の上に、中継電極106と画素電極31Bとが順に設けられている(図5)。発光画素20G(第2の領域28G)では、膜厚Gd1の第1の絶縁膜28の上に、中継電極106と画素電極31Gとが順に設けられている(図6)。発光画素20R(第3の領域28R)では、膜厚Rd1の第1の絶縁膜28の上に、中継電極106と画素電極31Rとが順に設けられている(図7)。
画素電極31は、光透過性を有し、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性材料で形成されている。画素電極31の膜厚は、概略100nmである。画素電極31は、中継電極106や中継電極14cなどを経由して、第3トランジスター23のソース電極23sに接続されている。このように、中継電極14c及び中継電極106は、画素電極31と第3トランジスター23とを電気的に接続する配線の一部をなす。
画素電極31の周縁部は、第2の絶縁膜29で覆われている。画素電極31と中継電極106とが重なっている部分を第2の絶縁膜29で覆うことで、当該部分における光学的な距離の違いに起因する発光の色ムラを低減する。
さらに、第2の絶縁膜29の上には、発光機能層32と、対向電極33と、封止層40と、カラーフィルター50とが順に設けられている(積層されている)。
「光共振構造」
発光領域(開口29B,29G,29R)には、基材10s上に、光反射層としての電源線14と、第1の絶縁膜28と、画素電極31と、発光機能層32と、光反射性と光透過性とを有する対向電極33とが順に積層されている。かかる構成によって、発光機能層32で発した光を電源線14と対向電極33との間で往復させ、特定波長の光を共振(増幅)させる。特定波長の光は、電源線14から対向電極33に向かう方向、つまり封止基板70から表示光として射出される。このように、有機EL装置100は、特定波長の光を選択的に増幅させる光共振構造を有している。
以下に光共振構造の概要を説明する。
第1の絶縁膜28は、電源線14と対向電極33との間の光路長(光学的な距離)を調整する役割を有し、第1の絶縁膜28の膜厚に応じて共振波長が変化するようになっている。詳しくは、電源線14から対向電極33までの光学的な距離をD、反射層での反射における位相シフトをφL、対向電極33での反射における位相シフトをφU、定在波のピーク波長をλ、整数をmとすると、光学的な距離Dは、下記の数式(1)を満たすようになっている。
D={(2πm+φL+φU)/4π}λ・・・(1)
発光画素20B,20G,20Rの光共振構造における光学的な距離Dは、B,G,Rの順に大きくなり、電源線14と画素電極31との間に配置された第1の絶縁膜28の膜厚を異ならせることによって調整されている。
発光画素20Bでは、電源線14と画素電極31Bとの間に配置される第1の絶縁膜28は、膜厚Bd1を有している(図5)。発光画素20Gでは、電源線14と画素電極31Gとの間に配置される第1の絶縁膜28は、膜厚Gd1を有している(図6)。発光画素20Rでは、電源線14と画素電極31Rとの間に配置される第1の絶縁膜28は、膜厚Rd1を有している(図7)。第1の絶縁膜28の膜厚は、発光画素20B(膜厚Bd1)、発光画素20G(膜厚Gd1)、発光画素20R(膜厚Rd1)の順に大きくなるため、光学的な距離Dも、発光画素20B、発光画素20G、発光画素20Rの順に大きくなる。
発光画素20Rでは、共振波長(輝度が最大となるピーク波長)が610nmとなるように、光学的な距離Dが設定されている。発光画素20Gでは、共振波長(輝度が最大となるピーク波長)が540nmとなるように、光学的な距離Dが設定されている。発光画素20Bでは、共振波長(輝度が最大となるピーク波長)が470nmとなるように、光学的な距離Dが設定されている。
上記ピーク波長を実現するため、ITOからなる画素電極31B,31G,31Rの膜厚を概略100nmとし、発光機能層32の膜厚を概略110nmとし、上記数式(1)においてm=1として、第1の絶縁膜28の膜厚を算出すると、発光画素20Bでは65nm、発光画素20Gでは130nm、及び発光画素20Rでは195nmとなる。このため、発光画素20B(第1の領域28B)における第1の絶縁膜28の膜厚Bd1は概略65nm、発光画素20G(第2の領域28G)における第1の絶縁膜28の膜厚Gd1は概略130nm、及び発光画素20R(第3の領域28R)における第1の絶縁膜28の膜厚Rd1は概略195nmに設定されている。
その結果、発光画素20Rから610nmをピーク波長とする赤色(R)の光が発せられ、発光画素20Gから540nmをピーク波長とする緑色(G)の光が発せられ、発光画素20Bから470nmをピーク波長とする青色(B)の光が発せられる。
このように、本実施形態に係る有機EL装置100では、上述した光共振構造によって発光画素20から発する光の色純度を高め、鮮やかな表示を提供することができる。
「有機EL装置の製造方法」
次に、図8乃至図10を参照して、有機EL装置100の製造方法を説明する。図8は、有機EL装置の製造方法を示す工程フローである。図9は、図4に対応し、図8に示す各工程の状態を模式的に示す概略断面図である。図10は、酸化シリコンに導入されたボロン濃度と酸化シリコンのエッチングレートとの関係を示す図である。なお、図9では、素子基板10における第1の絶縁膜28よりも下層に設けられた画素回路や配線の図示が省略されている。また、図10では、フッ酸(HF):水=1:100(体積比)を混合したエッチャントを用いて、酸化シリコン28aのエッチングレートが求められている。
図8に示すように、有機EL装置100を製造する工程は、酸化シリコン28aを堆積する工程(ステップS1)と、酸化シリコン28aに1回目のボロンイオンB+を注入する工程(ステップS2)と、酸化シリコン28aに2回目のボロンイオンB+を注入する工程(ステップS3)と、酸化シリコン28aに3回目のボロンイオンB+を注入する工程(ステップS4)と、酸化シリコン28aをエッチングして第1の絶縁膜28を形成する工程(ステップS5)と、を含んでいる。
なお、ステップS2、ステップS3、及びステップS4は、本発明における「不純物の濃度が異なる領域を形成する工程」の一例である。ステップS5は、本発明における「絶縁膜にエッチング処理を施す工程」の一例である。
ステップS1では、図9(a)に示すように、シランガスを用いたプラズマCVDで酸化シリコン28aを堆積する。酸化シリコン28aは、少なくとも第1の領域28Bと第2の領域28Gと第3の領域28Rとを含む領域に設けられ、酸化シリコン28aの膜厚は、概略240nmである。
ステップS2では、図9(b)に示すように、イオン注入装置を用いて、加速電圧が概略10keVの条件で、ボロンイオンB+を酸化シリコン28aの全面に注入(導入)する。つまり、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの酸化シリコン28aに、不純物としてのボロンを導入する。第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの酸化シリコン28aに注入されるボロンイオンのドーズ量は、概略6.3×1013atoms/cm2である。また、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの酸化シリコン28aに導入されるボロンの濃度は、概略5.5×1018atoms/cm3である。
イオン注入装置は、イオン源部、質量分離部、加速部、基板保持部、測定部などを有している。イオン源部で材料ガス(例えば、ジボラン)をイオン化し、質量分離部で不要な不純物イオンを除去し、必要な不純物イオン(例えば、ボロンイオンB+)を取り出す。加速部でボロンイオンB+に高電圧(加速電圧)を印加して、酸化シリコン28aの中に打ち込むことできるエネルギーを付与する。加速されたボロンイオンB+のビームを、基板保持部で固定された素子基板10に照射し、素子基板10の酸化シリコン28aの中に不純物としてのボロンを注入(導入)する。測定部でボロンイオンB+のビーム電流(ドーズ量)がモニターされ、酸化シリコン28aの中に所定量のボロンを導入することができる。イオン注入装置では、測定部でビーム電流をモニターしながらボロンイオンB+を注入するので、導入されたボロン濃度の面内のばらつきは概略2〜3%以下であり、優れた面内均一性を有する。
イオン注入装置によって、酸化シリコン28aにおけるシリコンと酸素とで構成される格子の中に、ボロンが強制的に打ち込まれるので、シリコンと酸素とで構成される格子の結合が弱くなる。換言すれば、酸化シリコン28aの中にボロンを強制的に導入することで、シリコン及び酸素の結合を弱くし、シリコン及び酸素の結合を切れやすくすることができる。
図10には、フッ酸(HF):水=1:100(体積比)の混合液をエッチャントとした場合の、酸化シリコン28aに注入されたボロン濃度と酸化シリコン28aのエッチングレートとの関係が示されている。以降、フッ酸(HF):水=1:100(体積比)の混合液を酸化シリコンエッチャントと称す。
図10に示すように、酸化シリコン28aに導入されたボロンの濃度が大きくなると、酸化シリコン28aのエッチングレートが大きくなる。上述したように、酸化シリコン28aの中にボロンを強制的に導入すると、シリコン及び酸素の結合が切れやすくなる、すなわち酸化シリコン28aがエッチングされやすくなる。このため、酸化シリコン28aに導入するボロン量(ボロン濃度)が大きくなると、シリコン及び酸素の結合がより切れやすくなり、酸化シリコン28aのエッチングレートが大きくなるものと考えられる。従って、酸化シリコン28aに導入するボロン濃度によって、酸化シリコン28aのエッチングレートを制御することができる。
さらに、同図に示すように、ボロン濃度が概略1×1020atoms/cm3よりも大きくなると、エッチングレートの変化率が大きくなり、エッチングレートは急激に変化する。ボロン濃度が概略1×1020atoms/cm3よりも小さくなると、エッチングレートの変化率が小さくなり、エッチングレートは緩やかに変化する。
後述するステップS5では、ボロン濃度の異なる領域を有する酸化シリコン28aにエッチング処理を施し、酸化シリコン28aに膜厚が異なる部分を形成している。酸化シリコン28aの膜厚は、酸化シリコン28aのエッチング量によって決まる。酸化シリコン28aのエッチング量を高精度に制御するためには、酸化シリコン28aのエッチングレートは小さい方が好ましい。このため、酸化シリコン28aに導入するボロン濃度は、概略1×1020atoms/cm3以下が好ましい。
なお、酸化シリコン28aに導入するボロン濃度は、概略1×1020atoms/cm3よりも大きくてもよい。例えば、酸化シリコン28aに導入するボロン濃度を、概略1×1020atoms/cm3よりも大きくすることで、ステップS5におけるエッチング処理の時間を短縮化することができる。
なお、イオン注入装置を用いて酸化シリコン28aに導入されたボロンは、本発明における「エッチング性を制御するための不純物」の一例である。
ステップS3では、図9(c)に示すように、第3の領域28Rを覆うレジストMを形成した後、イオン注入装置を用いて、加速電圧が概略10keVの条件で、レジストMで覆われていない酸化シリコン28aにボロンイオンB+を注入する。注入されるボロンイオンB+のドーズ量は、概略2.71×1014atoms/cm2である。酸化シリコン28aに導入されるボロン濃度は、概略2.35×1019atoms/cm3である。
酸化シリコン28aにボロンイオンB+を注入した後、レジストMを除去する。
レジストMで覆われた領域は、第3の領域28Rに対応する。レジストMで覆われていない領域は、第1の領域28B及び第2の領域28Gに対応する。このため、ステップS2で導入されたボロンの濃度が、第3の領域28Rの酸化シリコン28aのボロン濃度となる。ステップS2で導入されたボロン濃度とステップS3で導入されたボロン濃度との和が、第1の領域28B及び第2の領域28Gのボロン濃度となる。
ステップS4では、図9(d)に示すように、第2の領域28G及び第3の領域28Rを覆うレジストMを形成した後、イオン注入装置を用いて、加速電圧が概略10keVの条件で、レジストMで覆われていない酸化シリコン28aにボロンイオンB+を注入する。注入されるボロンイオンB+のドーズ量は、概略2.88×1014atoms/cm2である。酸化シリコン28aに導入されるボロン濃度は、概略2.5×1019atoms/cm3である。
酸化シリコン28aにボロンイオンB+を注入した後、レジストMを除去する。
レジストMで覆われた領域は、第2の領域28G及び第3の領域28Rに対応する。レジストMで覆われていない領域は、第1の領域28Bに対応する。
このため、第1の領域28Bの酸化シリコン28aのボロン濃度は、ステップS2で導入されたボロン濃度とステップS3で導入されたボロン濃度とステップS4で導入されたボロン濃度との和であり、概略5.4×1019atoms/cm3となる。第2の領域28Gの酸化シリコン28aのボロン濃度は、ステップS2で導入されたボロン濃度とステップS3で導入されたボロン濃度との和であり、概略2.9×1019atoms/cm3となる。第3の領域28Rの酸化シリコン28aのボロン濃度は、ステップS2で導入されたボロン濃度であり、概略5.5×1018atoms/cm3となる。このように、酸化シリコン28aに導入されたボロン濃度は、第1の領域28B、第2の領域28G、第3の領域28Rの順に小さくなる。
上述したように、ボロン濃度によって酸化シリコン28aのエッチングレートが変化する。図10より、酸化シリコンエッチャントに対する酸化シリコン28aのエッチングレートは、第1の領域28Bで概略58.3nm/分となり、第2の領域28Gで概略36.7nm/分となり、第3の領域28Rで概略15nm/分となる。このように、酸化シリコンエッチャントに対する酸化シリコン28aのエッチングレートは、第1の領域28B、第2の領域28G、第3の領域28Rの順に小さくなる。
なお、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rには、それぞれ1回のイオン注入処理で所定量のボロンを導入してもよい。具体的には、第1の領域28B以外の領域をレジストMで覆い第1の領域28Bに所定量(概略5.4×1019atoms/cm3)のボロンを導入し、第2の領域28G以外の領域をレジストMで覆い第2の領域28Gに所定量(概略2.9×1019atoms/cm3)のボロンを導入し、第3の領域28R以外の領域をレジストMで覆い第3の領域28Rに所定量(概略5.5×1018atoms/cm3)のボロンを導入してもよい。
ステップS5では、図9(e)に示すように、酸化シリコンエッチャントを用いて酸化シリコン28aに3分間のエッチング処理(ウエットエッチング処理)を施し、つまり酸化シリコンエッチャントを用いて第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rの酸化シリコン28aを一括エッチングし、第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rで膜厚が異なる第1の絶縁膜28を形成する。
ステップS5では、素子基板10を回転させながら、酸化シリコン28aに酸化シリコンエッチャントを供給するスピンエッチャーを用いて、ウエットエッチング処理が施されている。なお、素子基板10を酸化シリコンエッチャントに浸漬する方法で、酸化シリコン28aにウエットエッチング処理を施してもよい。
ステップS5によって、第1の領域28Bでは、膜厚175nmの酸化シリコン28aがエッチングされ、膜厚65nmの酸化シリコン28aが形成される。第2の領域28Gでは、膜厚110nmの酸化シリコン28aがエッチングされ、膜厚130nmの酸化シリコン28aが形成される。第3の領域28Rでは、膜厚45nmの酸化シリコン28aがエッチングされ、膜厚195nmの酸化シリコン28aが形成される。その結果、第1の領域28Bの膜厚Bd1が65nmであり、第2の領域28Gの膜厚Gd1が130nmであり、第3の領域28Rの膜厚Rd1が195nmである第1の絶縁膜28が形成される。
ステップS2乃至ステップS4では、加速電圧が概略10keVの条件で、ボロンイオンB+を酸化シリコン28aに注入している。この場合、酸化シリコン28aに導入されたボロンは、酸化シリコン28aの表面(ボロンイオンB+が注入される側の面)から概略200nmの深さまで比較的均一に分布し、酸化シリコン28aの表面から概略200nmを超える深さで急激に少なくなる。すなわち、表面から概略200nmの深さまでは、酸化シリコン28aに導入されたボロン濃度は一定であり、深さが200nmを超えると、酸化シリコン28aに導入されたボロン濃度は急激に減少する。このため、酸化シリコン28aのエッチングレートは、深さが概略200nmまでの領域で略一定(均一)であり、深さが200nmを超える領域で変化する(小さくなる)。従って、エッチングレートが均一な領域の酸化シリコン28aをエッチングして、第1の絶縁膜28を形成することが好ましい。
このため、ステップS5では、エッチングレートが均一な領域の酸化シリコン28aをエッチングして、第1の絶縁膜28を形成している。詳しくは、第1の領域28Bにおいて、表面から175nmまでの酸化シリコン28aをエッチングし、膜厚65nmの酸化シリコン28aを形成している。第2の領域28Gにおいて、表面から110nmまでの酸化シリコン28aをエッチングして、膜厚130nmの酸化シリコン28aを形成している。第3の領域28Rにおいて、表面から膜厚45nmまでの酸化シリコン28aをエッチングして、膜厚195nmの酸化シリコン28aを形成している。
なお、酸化シリコン28aにおけるボロンが比較的均一に存在する深さは、イオン注入装置の加速電圧によって変化する。例えば、加速電圧を大きくすると、加速電圧が小さい場合と比べて、酸化シリコン28aのより深い部分まで、均一にボロンを導入することができる。このため、ステップS5において、エッチングレートが均一な領域の酸化シリコン28aをエッチングすることができるように、ステップS1における成膜条件(酸化シリコン28aの膜厚)や、ステップS2乃至ステップS4におけるイオン注入条件(加速電圧)を調整する必要がある。
このように、本実施形態に係る有機EL装置100の製造方法では、酸化シリコンエッチャントに対して所定のエッチングレートが得られるように、イオン注入装置を用いて酸化シリコン28aに所定量の不純物(ボロン)を導入する。酸化シリコン28aに導入する不純物濃度は、図10に示すグラフから決定される。換言すれば、図10を検量線として、酸化シリコン28aに導入する不純物濃度を求め、イオン注入装置を用いて酸化シリコン28aのエッチングレートの制御に必要な不純物(ボロン)を導入する。続いて、酸化シリコンエッチャントを用いて、不純物の濃度が異なる領域を有する酸化シリコン28aを一括エッチングし、第1の領域28Bの膜厚Bd1が概略65nmであり、第2の領域28Gの膜厚Gd1が概略130nmであり、第3の領域28Rの膜厚Rd1が概略195nmである第1の絶縁膜28を形成する。
このため、本実施形態に係る有機EL装置100の製造方法で製造された第1の絶縁膜28は、エッチングレートを制御する不純物(ボロン)を含み、不純物(ボロン)の濃度は、第1の領域28B、第2の領域28G、第3の領域28Rの順に小さくなる。
以上述べたように、本実施形態に係る製造方法では、以下の効果を得ることができる。
1)イオン注入装置では、酸化シリコン28aのエッチングレートの制御に必要な不純物(ボロン)を選択的に取出し、不純物量をモニターしながら所定量の不純物を注入しているので、酸化シリコン28aの第1の領域28B、第2の領域28G、及び第3の領域28Rに導入する不純物濃度を精度よく制御することができる。酸化シリコン28aに導入する不純物(ボロン)の濃度を精度よく制御することができるので、酸化シリコンエッチャントに対する酸化シリコン28aのエッチングレートも、精度よく制御することができる。
2)酸化シリコン28aに1回のエッチング処理を施すことで膜厚が異なる部分を有する絶縁膜(第1の絶縁膜28)を形成しているので、2回に分けてエッチングする方法で膜厚が異なる部分を有する絶縁膜を形成する公知技術の製造方法(特開2009−134067号公報)と比べて、酸化シリコン28aのエッチング量の変動を小さくすることができる。従って、本実施形態の製造方法によって、公知技術の製造方法(特開2009−134067号公報)と比べて、第1の領域28Bの膜厚Bd1、第2の領域28Gの膜厚Gd1、第3の領域28Rの膜厚Rd1をより高精度に形成することができる。さらに、公知技術の製造方法(特開2009−134067号公報)と比べて、製造工程(エッチング工程)を簡略化することができる。
なお、図10に示す検量線(酸化シリコン28aに導入されたボロン濃度及び酸化シリコン28aのエッチングレートの関係を示すグラフ)は、イオン注入装置や酸化シリコンエッチャントの状態などで変化する恐れがある。このため、膜厚が異なる部分を高精度に形成するためには、図10に示す検量線を定期的に確認(更新)する必要がある。
また、酸化シリコンエッチャントは、上述したフッ酸と水との混合液に限定されず、例えばフッ酸や水の他に、酢酸やフッ化アンモニウムなどを含んでいてもよい。
(実施形態2)
図11は、実施形態2に係る有機EL装置の製造方法を示す工程フローである。図12は、図9に対応し、図11に示す各工程の状態を模式的に示す概略断面図である。
本実施形態に係る有機EL装置は、第1の絶縁膜28の構成が実施形態1と異なり、他の構成は実施形態1と同じである。詳しくは、第1の領域28Bの第1の絶縁膜28、及び第2の領域28Gの第1の絶縁膜28には、第1の絶縁膜28のエッチング性を制御する不純物(ボロン)が導入されている。第3の領域28Rの第1の絶縁膜28には、第1の絶縁膜28のエッチング性を制御する不純物(ボロン)が導入されていない。この点が実施形態1との相違点であり、他の構成は実施形態1と同じである。
以下、図11及び図12を参照して、本実施形態に係る有機EL装置の製造方法の概要を、実施形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態に係る有機EL装置を製造する工程は、酸化シリコン28aを堆積する工程(ステップS11)と、酸化シリコン28aに1回目のボロンイオンB+を注入(導入)する工程(ステップS12)と、酸化シリコン28aに2回目のボロンイオンB+を注入する工程(ステップS13)と、酸化シリコン28aをエッチングして第1の絶縁膜28を形成する工程(ステップS14)と、を含んでいる。
なお、ステップS12及びステップS13は、本発明における「不純物の濃度が異なる領域を形成する工程」の一例である。ステップS14は、本発明における「絶縁膜にエッチング処理を施す工程」の一例である。
ステップS11では、図12(a)に示すように、シランガスを用いたプラズマCVDで、膜厚が概略240nmの酸化シリコン28aを堆積する。
ステップS12では、図12(b)に示すように、第3の領域28Rを覆うレジストMを形成した後、イオン注入装置を用いて、加速電圧が概略10keVの条件で、レジストMで覆われていない領域(第1の領域28B、第2の領域28G)の酸化シリコン28aにボロンイオンB+を注入する。ステップS12で注入されるボロンイオンB+のドーズ量は、概略1.85×1014atoms/cm2である。酸化シリコン28aに導入されるボロン濃度は、概略1.6×1019atoms/cm3である。
酸化シリコン28aにボロンイオンB+を注入した後、レジストMを除去する。
ステップS13では、図12(c)に示すように、第2の領域28G及び第3の領域28Rを覆うレジストMを形成した後、イオン注入装置を用いて、加速電圧が概略10keVの条件で、レジストMで覆われていない領域(第1の領域28B)の酸化シリコン28aにボロンイオンB+を注入する。ステップS13で注入されるボロンイオンB+のドーズ量は、概略1.85×1014atoms/cm2である。酸化シリコン28aに導入されるボロン濃度は、概略1.6×1019atoms/cm3である。
ステップS12及びステップS13によって、第1の領域28Bの酸化シリコン28aのボロン濃度は概略3.2×1019atoms/cm3となり、第2の領域28Gの酸化シリコン28aのボロン濃度は概略1.6×1019atoms/cm3となる。また、第3の領域28Rの酸化シリコン28aには、ボロンイオンB+が注入されていなく、第3の領域28Rの酸化シリコン28aのボロン濃度は略ゼロとなる。図10より、酸化シリコンエッチャントに対する第1の絶縁膜28のエッチングレートは、第1の領域28Bで概略38.9nm/分となり、第2の領域28Gで概略24.4nm/分となり、第3の領域28Rで概略10nm/分となる。
ステップS14では、図12(d)に示すように、酸化シリコン28aに酸化シリコンエッチャントを用いて概略4.5分のウエットエッチング処理(一括エッチング)を施し、膜厚が異なる部分を有する第1の絶縁膜28を形成する。
このウエットエッチング処理で、第1の領域28Bでは、膜厚175nmの酸化シリコン28aがエッチングされ、膜厚65nmの酸化シリコン28aが形成される。第2の領域28Gでは、膜厚110nmの酸化シリコン28aがエッチングされ、膜厚130nmの酸化シリコン28aが形成される。第3の領域28Rでは、膜厚45nmの酸化シリコン28aがエッチングされ、膜厚195nmの酸化シリコン28aが形成される。すなわち、第1の領域28Bの膜厚Bd1が65nmであり、第2の領域28Gの膜厚Gd1が130nmであり、第3の領域28Rの膜厚Rd1が195nmである第1の絶縁膜28が形成される。
このように、本実施形態に係る製造方法では、第1の領域28Bの第1の絶縁膜28及び第2の領域28Gの第1の絶縁膜28はエッチングレートを制御する不純物(ボロン)を含み、第3の領域28Bの第1の絶縁膜28はエッチングレートを制御する不純物(ボロン)を含んでいない。このため、不純物(ボロン)の濃度は、第1の領域28Bの第1の絶縁膜28、第2の領域28Gの第1の絶縁膜28、第3の領域28Rの第1の絶縁膜28の順に小さくなる。
以上述べたように、本実施形態では、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
1)本実施形態のイオン注入工程数は2回であり、実施形態1と比べてイオン注入の工程数が1回少なくすることができる。
(実施形態3)
図13は、ケミカルドライエッチング装置(CDE装置)の構成を示す概略図である。
本実施形態では、酸化シリコン28aにエッチング処理を施す方法が、実施形態1と異なる。詳しくは、酸化シリコン28aに施すエッチング処理は、実施形態1では、スピンエッチャーを用いたウエットエッチングであり、本実施形態では、CDE装置400を用いたドライエッチングである。この点が実施形態1と異なり、他は実施形態1と同じである。
図13に示すように、CDE装置400は、処理チャンバー410と、プラズマ発生装置420とを有している。処理チャンバー410とプラズマ発生装置420とは、輸送管430で接続されている(離間されている)。プラズマ発生装置420には、ガス導入管421及びマイクロ波導波管(図示省略)が接続されている。フッ素を含む反応ガスが、ガス導入管421からプラズマ発生装置420に供給され、プラズマ発生装置420の中でマイクロ波が照射され、励起される。その結果、プラズマ発生装置420の中でフッ素を含む反応ガスがプラズマ化されて、酸化シリコン28aと反応する活性種(イオン、ラジカルF)が発生する。活性種(イオン、ラジカルF)は、輸送管430を経由して、処理チャンバーに供給される。このとき、活性種の中の寿命が短いイオンは、輸送管430の中で失活し、活性種の中の寿命が長いラジカルFのみが処理チャンバーに、選択的に供給される。ラジカルFは、酸化シリコン28aと化学反応して、揮発性の反応生成物を生成する。換言すれば、活性種のラジカルFによって、酸化シリコン28aに化学的なエッチングが施される。処理チャンバー410は、基材10sを載置するステージ411と排気口412とを有している。ステージ411に載置された基材10s(酸化シリコン28a)は、ラジカルFの雰囲気に曝され、酸化シリコン28aがエッチングされて、膜厚が異なる部分を有する第1の絶縁膜28が形成される。
例えば、反応性イオンエッチング装置(RI装置)では、フッ素を含む反応ガスがプラズマ化されて生成する活性種のイオンも、反応に寄与する。具体的には、活性種のイオンはRIE装置の処理チャンバー内の電界で加速されて、エッチング対象物に衝突し、機械的な衝撃による物理的なエッチングが進行する。この物理的なエッチングでは、不純物の濃度に関係なく、均一にエッチングが進行する。このため、物理的なエッチングでは、ボロン濃度が大きくなると酸化シリコン28aのエッチングレートが大きくなるという図10に示す関係を得ることが難しい。
本発明では、酸化シリコン28aにエッチング性を制御する不純物を導入し、当該不純物によって酸化シリコン28aのエッチングレートを変化させることが重要である。このような関係を得るためには、化学的なエッチング(等方性エッチング)を施すことが好ましい。実施形態1のウエットエッチング(ステップS5)や、本実施形態のCDE装置400を用いたケミカルドライエッチングによって、上記化学的なエッチングを施すことができる。
(実施形態4)
「電子機器」
図14は、電子機器の一例としてのヘッドマウントディスプレイの概略図である。
図14に示すように、ヘッドマウントディスプレイ1000は、左右の目に対応して設けられた2つの表示部1001を有している。観察者Mはヘッドマウントディスプレイ1000を眼鏡のように頭部に装着することにより、表示部1001に表示された文字や画像などを見ることができる。例えば、左右の表示部1001に視差を考慮した画像を表示すれば、立体的な映像を見て楽しむこともできる。
表示部1001には、実施形態1の有機EL装置100、あるいは実施形態2または実施形態3の製造方法で製造された有機EL装置が搭載されている。当該有機EL装置は、光共振構造を有し、光学的な距離を調整する絶縁膜の膜厚の均一性が高められているので、発光画素20B,20G,20Rで発せられる光の色純度が高められ、鮮やかな表示が提供される。従って、表示部1001に当該有機EL装置を搭載することで、鮮やかな表示のヘッドマウントディスプレイ1000を提供することができる。
なお、当該有機EL装置が搭載される電子機器は、ヘッドマウントディスプレイ1000に限定されない。例えば、ヘッドアップディスプレイや、デジタルカメラの電子ビューファインダー、携帯型情報端末、ナビゲーターなどの表示部を有する電子機器に搭載してもよい。さらに、表示部に限定されず、本発明を照明装置や露光装置にも適用することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び該電気光学装置が搭載された電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)
本発明に係る電気光学装置は、上述した有機EL装置に限定されず、例えば液晶装置であってもよい。本発明に係る絶縁膜(第1の絶縁膜28)が適用された液晶装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
(変形例2)
第1の絶縁膜28の構成材料は、酸化シリコンに限定されず、例えば酸窒化シリコンであってもよい。さらに、第1の絶縁膜28のエッチング性(エッチングレート)を制御する不純物は、ボロンに限定されず、例えばリンやヒ素であってもよい。
(変形例3)
機械要素部品、センサー、アクチュエーター、電子回路などを半導体基板や絶縁基板などの上に形成するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、及び半導体デバイスなどに、本発明の絶縁膜を適用させることができる。例えば、本発明に係る電気光学装置の製造方法を使用すれば、MEMSや半導体デバイスなどに配置される、互いに異なる容量値を有する複数容量素子の絶縁膜を一括形成することができる。例えば、本発明に係る電気光学装置の製造方法を使用すれば、複数の電源(複数の耐圧)を要するCMOS−ICおける複数の膜厚(複数の耐圧)の絶縁膜を一括形成することができる。
本発明に係る電気光学装置の製造方法は、複数の膜厚を有する絶縁膜を一括形成するために好適であり、複数回のエッチングで膜厚を調整する方法と比べて膜厚の均一性を高めることができる。さらに、本発明に係る電気光学装置の製造方法で製造された絶縁膜を有するデバイスも、本発明の技術範囲に含まれる。
10…素子基板、10a…絶縁膜、10d…イオン注入部、10s…基材、10w…ウェル部、11…走査線、12…データ線、13…点灯制御線、14…電源線、14c…中継電極、15…第1層間絶縁膜、16…第2層間絶縁膜、17…第3層間絶縁膜、20,20B,20G,20R…発光画素、21…第1トランジスター、21d…ドレイン電極、22…第2トランジスター、22g…ゲート電極、22s…ソース電極、23…第3トランジスター、23g…ゲート電極、23s…ソース電極、24…蓄積容量、24a…一方の電極、24b…他方の電極、28…第1の絶縁膜、28B…第1の領域、28G…第2の領域、28R…第3の領域、29…第2の絶縁膜、29B,29G,29R…開口、30…有機EL素子、31B,31G,31R,31…画素電極、32…発光機能層、33…対向電極、40…封止層、41…第1封止層、42…緩衝層、43…第2封止層、50…カラーフィルター、50B,50G,50R…着色層、71…樹脂層、70…封止基板、100…有機EL装置、101…データ線駆動回路、102…走査線駆動回路、103…外部接続用端子、106…中継電極。

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された光反射層と、
    前記光反射層を覆い、第1の膜厚の部分と、前記第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分と、前記第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分とを有する絶縁膜と、
    前記絶縁膜の上に設けられた画素電極と、
    前記画素電極を覆う光学機能層と、
    前記光学機能層を挟み、前記画素電極に対向する対向電極と、
    を含み、
    前記画素電極は、前記第1の膜厚の部分に設けられた第1の画素電極と、前記第2の膜厚の部分に設けられた第2の画素電極と、前記第3の膜厚の部分に設けられた第3の画素電極と、を有し、
    前記絶縁膜は、前記絶縁膜のエッチング性を制御するための不純物を含み、
    前記不純物の濃度は、前記第1の膜厚の部分、前記第2の膜厚の部分、前記第3の膜厚の部分の順に低くなっていることを特徴とする電気光学装置。
  2. 基板と、
    前記基板上に形成された光反射層と、
    前記光反射層を覆い、第1の膜厚の部分と、前記第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分と、前記第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分とを有する絶縁膜と、
    前記絶縁膜の上に設けられた画素電極と、
    前記画素電極を覆う光学機能層と、
    前記光学機能層を挟み、前記画素電極に対向する対向電極と、
    を含み、
    前記画素電極は、前記第1の膜厚の部分に設けられた第1の画素電極と、前記第2の膜厚の部分に設けられた第2の画素電極と、前記第3の膜厚の部分に設けられた第3の画素電極と、を有し、
    前記第1の膜厚の部分及び前記第2の膜厚の部分は、前記第1の膜厚の部分及び前記第2の膜厚の部分のエッチング性を制御するための不純物を含み、
    前記不純物の濃度は、前記第1の膜厚の部分、前記第2の膜厚の部分の順に低くなっていることを特徴とする電気光学装置。
  3. 前記絶縁膜は、酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのいずれかであり、
    前記不純物は、ボロン、リン、またはヒ素のいずれかであり、
    前記不純物の濃度は、1×1020atoms/cm3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気光学装置を有していることを特徴とする電子機器。
  5. 基板上に、光反射層と、絶縁膜と、画素電極と、光学機能層と、対向電極とが順に形成された電気光学装置の製造方法であって、
    前記絶縁膜に、前記絶縁膜のエッチング性を制御する不純物を導入し、前記不純物の濃度が異なる領域を形成する工程と、
    前記絶縁膜にエッチング処理を施す工程と、
    を含み、
    前記不純物の濃度が異なる領域は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記不純物の濃度が低い第2の領域と、前記第2の領域よりも前記不純物の濃度が低い第3の領域と、を有し、
    前記エッチング処理を施す工程によって、前記第1の領域の前記絶縁膜をエッチングして第1の膜厚の部分を形成し、前記第2の領域の前記絶縁膜をエッチングして前記第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分を形成し、前記第3の領域の前記絶縁膜をエッチングして前記第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  6. 基板上に、光反射層と、絶縁膜と、画素電極と、光学機能層と、対向電極とが順に形成された電気光学装置の製造方法であって、
    前記絶縁膜に、前記絶縁膜のエッチング性を制御する不純物を導入し、前記不純物の濃度が異なる領域を形成する工程と、
    前記絶縁膜にエッチング処理を施す工程と、
    を含み、
    前記不純物の濃度が異なる領域は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記不純物の濃度が低い第2の領域と、を有し、
    前記エッチング処理を施す工程によって、前記第1の領域の前記絶縁膜をエッチングして第1の膜厚の部分を形成し、前記第2の領域の前記絶縁膜をエッチングして前記第1の膜厚の部分よりも厚い第2の膜厚の部分を形成し、前記不純物を有していない領域の前記絶縁膜をエッチングして前記第2の膜厚の部分よりも厚い第3の膜厚の部分を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  7. ウエットエッチングまたはケミカルドライエッチングによって、前記絶縁膜に前記エッチング処理を施すことを特徴とする請求項5または6に記載の電気光学装置の製造方法。
  8. 前記絶縁膜は、酸化シリコンまたは酸窒化シリコンのいずれかであり、
    前記不純物は、ボロンまたはリンのいずれかであり、
    前記不純物の濃度は、1×1020atoms/cm3以下であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の電気光学装置の製造方法。
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