JP2015055963A - アレルゲン低減処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アレルゲン濃度測定機関には測定者と測定者端末46が与えられ、当該事業の担当者がお客様建物を訪問して行う除去サービス実施工程S4と、除去サービスを実施する前の状態の濃度測定を行うハウスダストのサンプリング工程S3と、ハウスダストのアレルゲン濃度を測定する濃度測定工程S5と、アレルゲン濃度を記録媒体46に記録する濃度記録工程S6からなり、除去サービス実施工程とサンプリング工程と濃度測定工程と濃度記録工程を経時的に繰り返す反復工程S10からなる。
【選択図】図5
Description
このように、ダニアレルゲンに関する従来技術は、ダニアレルゲンを検出したり、検査したり、不活化する等、ダニアレルゲン汚染対策の個々の課題を解決するものばかりである。これらのアレルゲン対策技術を総合的に活用して、家庭や事業所のアレルゲンを組織的に低減してゆくシステムは未だに構築されていないと云わなければならない。
また、前記アレルゲン除去サービスの前及び/又は後にお客様建物のハウスダストをサンプリングするサンプリング工程が行われる。通常は、前記アレルゲン除去サービスの前にハウスダストのサンプリングが行われる。清掃する前の段階ではハウスダスト中にかなりの量のアレルゲンが堆積しており、この清掃前のアレルゲン量を測定すれば、お客様が清掃前のアレルゲンによる汚染度を認識することができる。前記アレルゲン除去サービスの後にハウスダストのサンプリングを行っても良い。清掃した後の段階ではハウスダスト中のアレルゲン量はかなり低減しており、清掃後のアレルゲン濃度を知ることによって、お客様がアレルゲン除去サービスの実施効果を認識することができる。勿論、アレルゲン除去サービスの前と後の両段階でサンプリングを行っても構わない。このときには、清掃前と清掃後の両段階でのアレルゲン濃度をお客様は知ることができる。これによって、清掃前の高濃度のアレルゲン汚染が清掃により如何にアレルゲン濃度が低減したかを認識でき、お客様がアレルゲン除去サービスの効果を比較認識することが可能になる。
特に、第1回目のアレルゲン除去サービスでは、アレルゲン低減処理システムを適用する前の初期アレルゲン濃度を知る必要があり、アレルゲン除去サービスを実施する前にサンプリング工程を導入することが必要になる。また特に、第1回目のアレルゲン除去サービスでは、お客様にアレルゲン除去サービスの効果を知って頂く必要があり、アレルゲン除去サービスの前と後の両段階でサンプリングを行い、両サンプリングのアレルゲン濃度を測定して、高濃度の前アレルゲン濃度と低濃度の後アレルゲン濃度を比較することによって、アレルゲン低減システムの実施する意味を感得して頂くこともある。この場合には、アレルゲン除去サービスの当日に簡易測定器により前後のアレルゲン濃度をお客様の前で測定し、情報をその場でお客様に提供することが可能になる。
以上のように、サンプリング工程とは、お客様建物の中のハウスダストを収集することである。
また、測定されたアレルゲン濃度dが目標とする設定濃度の範囲内に低減しているかどうかの確認が行われる。ダニアレルゲンの場合には、例えばWHO基準における感作レベルである2μg/FDg〜発作レベルである10μg/FDgの範囲に入っているかどうかが判定される。WHO基準は国連機関が定めた基準であり、個人差はあるが、2μg/FDg以上であればアレルギーを感作するレベルであり、10μg/FDg以上であればアレルギーによる喘息発作が生じるレベルとされている。従って、本発明のアレルゲン低減処理により、ダニアレルゲン濃度が2μg/FDg〜10μg/FDgの範囲内にまで低減すれば、お客様は安心といえる。勿論、ダニアレルゲン濃度を2μg/FDg以下を設定範囲とし、この感作レベル以下にまで低減できれば、最も望ましいアレルゲン低減処理であると云える。
花粉アレルゲンについては、花粉一個で発症する人もいるから、感作レベルや発症レベルといったWHO基準の様な医学的基準は現在のところ存在しない。但し、花粉飛散量の多少を判定する気象庁基準が存在する。1cm2の面積に一日当たり堆積する花粉粒子個数、即ち個数/cm2日の単位で測定され、50個/cm2日以上は非常に飛散量が多く、30〜50個/cm2日であれば多く、10〜30個/cm2日であればやや多く、10個/cm2日以下であれば少ないとされている。そこで、本発明のアレルゲン低減処理の設定範囲としては種々に設定できるが、例えば一日当たりで0.1個/cm2日以下、月当たりで3個/cm2月以下と設定することができる。完全にゼロにすることが困難としても、アレルゲン低減処理の目標範囲を設定範囲とする必要性が有ると考える。
以上のように、アレルゲンの種類によって設定範囲は種々に決めることができる。アレルゲンには、ダニ、花粉、カビ、犬猫など多種類あるから、夫々に応じてアレルゲン低減処理の目標値を定めておくことは重要である。
第1形態ではアレルゲン濃度は記録媒体に記録されていたが、第2形態では、記録媒体の具体物として会員データベースに記録される。このアレルゲン低減処理システムを利用するお客様は、全て会員として登録され、その全情報は会員データベースに記録される。従って、会員であるお客様はネットワークから自己情報をいつでも閲覧することが可能になる。お客様毎にIDが設定され、IDを入力することによって、各お客様は自己情報を閲覧できるのである。
また、追加工程として、適時にネットワークを介して担当者端末及び/又はお客様端末から前記会員データベースに通信して前記アレルゲン濃度の経時変化を閲覧する閲覧工程が設けられる。適時にとは、前記4工程の時点とは全く無関係に、閲覧工程が実施されることを意味し、担当者やお客様がネットワークに随時入って会員データベースにアクセスできる。担当者は担当するお客様のお客様情報を閲覧でき、お客様はいつでも自己情報を閲覧できる。この情報の一つとしてアレルゲン濃度が有る。従って、担当者及び/又はお客様は、適時に、ネットワークを介して担当者端末及び/又はお客様端末から前記会員データベースに通信でき、アレルゲン濃度の経時変化を閲覧することができる。実施されているアレルゲン低減処理システムの有効性を確認するために必要な閲覧工程である。
この様に、本第2形態のアレルゲン低減処理システムは、前記アレルゲン濃度を確認しながら前記お客様建物のアレルゲンを低減させるアレルゲン低減処理システムである。
そのために、本部が管理するサーバーと、サーバーに接続されたお客様情報を記録する会員データベースと、担当者の担当者端末と、お客様のお客様端末がネットワークを介して接続される。ネットワークを介することにより、本部とお客様と担当者とは、会員データベースを共有し、いつでもネットワークに通信することにより会員データベースにいつでもアクセスすることが可能になる。
本発明の第3の形態によれば、担当者がお客様の建物を訪問してアレルゲン除去サービスを実施する除去サービス実施工程と、前記担当者が前記アレルゲン除去サービスの前及び/又は後にお客様建物のハウスダストをサンプリングするサンプリング工程と、サンプリングされた前記ハウスダストに含有されるアレルゲンのアレルゲン濃度を測定する濃度測定工程と、前記アレルゲン濃度を会員データベースに記録する濃度記録工程が行われるアレルゲン低減処理システムが提供される。これらの4工程、即ち除去サービス実施工程と、サンプリング工程と、濃度測定工程と、濃度記録工程と、反復工程の作用効果については、既に第1形態で説明した内容と同様であるから、ここではその詳細は省略する。
更に、適時に担当者端末及び/又はお客様端末からネットワークを介してサーバーに通信し会員データベースから前記アレルゲン濃度の経時変化を閲覧する閲覧工程を有する点の作用効果については、第2形態において詳細に説明した内容と同様であるから、ここではその説明を省略する。
本部が管理するサーバーと、サーバーに接続されたお客様情報を記録する会員データベースと、加盟店の担当者端末と、お客様のお客様端末がネットワークを介して接続される。お客様を訪問してアレルゲン低減処理を実行する担当者は加盟店の担当者であり、本部は多くの加盟店の中心となって会員データベースの管理や、本部と加盟店の相互間の運営事業に専心する。また、本部と加盟店とお客様の間にネットワークを構築し、三者間の相互通信連携システムを実現する。三者はネットワークとサーバーを介して会員データベースに通信できるようになる。会員データベースには、アレルゲン低減処理システムに関する会員の全ての情報が蓄積され、会員には個別のIDが付けられ、IDを特定することによって会員データベースの会員情報に到達することができる。
また、本発明の第4の形態によれば、担当者がお客様の建物を訪問してアレルゲン除去サービスを実施する除去サービス実施工程と、前記担当者が前記アレルゲン除去サービスの前及び/又は後にお客様建物のハウスダストをサンプリングするサンプリング工程と、サンプリングされた前記ハウスダストに含有されるアレルゲンのアレルゲン濃度を測定する濃度測定工程と、前記アレルゲン濃度を会員データベースに記録する濃度記録工程が行われるアレルゲン低減処理システムが提供される。これらの4工程、即ち除去サービス実施工程と、サンプリング工程と、濃度測定工程と、濃度記録工程の作用効果については、既に第1形態で説明した内容と同様であるから、ここではその詳細は省略する。
更に、適時に加盟店担当者端末及び/又はお客様端末からネットワークを介してサーバーに通信し会員データベースから前記アレルゲン濃度の経時変化を閲覧する閲覧工程を有する点の作用効果については、担当者が加盟店担当者に替わるだけで、第2形態において詳細に説明した内容と同様であるから、ここではその説明を省略する。
一回のアレルゲン低減処理により前記設定範囲内にすることが困難でも、反復することにより設定範囲内にまで低減させることは可能である。前記4工程は一回のアレルゲン低減処理を意味しており、このアレルゲン低減処理を定期的又は非定期的に、即ち経時的に反復してお客様建物のアレルゲン濃度を次第に低減させるのである。まず、前記4工程からなる一回のアレルゲン低減処理を実施しただけで、お客様建物のアレルゲン濃度はかなり低減する。このアレルゲン低減処理システムでは、アレルゲン濃度が漠然と低下すればよいとは考えておらず、到達目標としてアレルゲン濃度の設定範囲を設ける。アレルゲン濃度が前記設定範囲に入った段階で到達目標を達成したことになる。しかし、設定範囲に入った段階でアレルゲン低減処理を止めると次第にアレルゲン濃度は増加する。そこで、アレルゲン濃度が設定範囲に入り、その状態を維持するためにも反復工程が実施される。従って、反復工程には二つの役割が有る。第1の役割は、アレルゲン濃度が高い値から設定範囲に入るまでの反復工程である。第2の役割は、設定範囲に入ったアレルゲン濃度を持続するための反復工程である。
この様に、本第5形態のアレルゲン低減処理システムは、反復することによって前記アレルゲン濃度を確認しながら前記お客様建物のアレルゲンを低減させるアレルゲン低減処理システムである。
お客様建物からハウスダストを初回サンプリングする初回サンプリング工程では、アレルゲン除去サービスを実施する前のお客様建物のアレルゲン濃度を測定するために行われる。この際に、従来使用している布団を布団丸洗いに出し、一時的にアレルゲン除去された布団を貸し出し、また防ダニ加工された防ダニ布団カバーで前記貸与布団をカバーして使用してもらう等のサービスも付加的に行っても良い。寝室の布団にダニアレルゲンが集中していることが多いからである。
次に、初回サンプリングされた前記ハウスダストに含有されるアレルゲンの初回アレルゲン濃度を測定する初回濃度測定工程が設けられる。初回ハウスダストにはダニアレルゲン等のアレルゲンが高濃度に堆積している可能性がある。この初回濃度測定工程は、初回訪問時にお客様建物の中でお客様が見ているその場で担当者が行うことが望ましい。その場で濃度測定を行うため、簡易測定法が採用される。簡易測定法は後述するように厳密な測定では無いが、お客様建物のアレルゲン汚染の概要を知ることはできる。例えば、アレルゲンがダニアレルゲンの簡易測定法の場合には、販売されている商品名としてダニスキャン(アサヒアンドヘルスケア株式会社製)、マイティチェッカー(住化エンビロサイエンス株式会社製)が存在する。担当者によりその場で短時間に測定が可能な簡易精密測定法も初回濃度測定に使用できることは云うまでもない。
更に、初回訪問時にその場で測定された初回アレルゲン濃度をお客様に知らせる初回濃度報知工程が含まれる。この初回濃度報知工程により、お客様は初回訪問時にお客様建物の初回アレルゲン濃度を知ることができる。我が家のアレルゲン濃度がかなり高濃度であることを知ると、お客様は本発明に係るアレルゲン低減処理システムの実施を契約する可能性が有り、契約するかどうかに関するお客様の判断材料にもなる。しかも、アレルゲン低減処理を全く実施していない段階で、アレルゲン濃度の出発値、即ち初期値を記録することは、今後のアレルゲン低減処理にとって有効である。
従って、前記初回サンプリング工程は、初回アレルゲン除去サービスを実施する前の初回前サンプリング工程と、初回除去サービス実施工程と、初回除去サービスを実施した後の初回後サンプリング工程からなる。これに対応して前記初回濃度測定工程も初回前サンプリング工程と初回後サンプリング工程によりサンプリングされた二つのハウスダストについて実施される。この濃度測定工程も、初回訪問時にお客様建物の内部で、お客様が見ているその場で実施することが必要であるので、簡易測定法を用いて担当者がその場で実施することが要請される。初回前ハウスダストのアレルゲン濃度は初回前アレルゲン濃度と称され、初回後ハウスダストのアレルゲン濃度は初回後アレルゲン濃度と称される。初回アレルゲン除去サービスを実施する前後のアレルゲン濃度を知ることにより、お客様はアレルゲン除去サービスの必要性を知悉することができる。一般的に言って、初回前アレルゲン濃度はかなり高く、初回後アレルゲン濃度はかなり低くなり、お客様が行う本発明のアレルゲン低減処理システムの契約に客観的な証拠を与えることができる。初回前アレルゲン濃度と初回後アレルゲン濃度の両者が契約前にお客様に通知されると、お客様の契約の強い動機づけになり、お客様の契約促進に効果的である。
一般的に、ハウスダストアレルゲンの約70%はダニ生体とダニ死骸とダニ糞からなるダニアレルゲンだと云われている。ダニアレルゲンは糞由来のDer1と虫体由来のDer2に分かれる。Der1もヤケヒョウヒダニのDerp1とコナヒョウヒダニのDerf1に分かれ、同様にDer2もヤケヒョウヒダニのDerp2とコナヒョウヒダニのDerf2に分かれている。そこで、本発明において精密測定のダニアレルゲン濃度はDer1を測定して為される。ダニアレルゲンを低減するには、こまめな清掃によりハウスダストを低減させることである。
花粉アレルゲンはスギ花粉、ヒノキ花粉、カモガヤ花粉、ブタクサ花粉などたくさん存在し、花粉粒子自体が花粉アレルゲンと考えられる。花粉の種類によって発生時期が異なり、季節性花粉アレルゲンから通年性花粉アレルゲンまで広く存在する。花粉アレルゲンを低減するには、花粉を建物内に侵入させない努力と、こまめな清掃によりハウスダストを低減させる以外にない。
カビアレルゲンはカビ自体であり、カビアレルギーを真菌アレルギーとも呼んでいる。カビには、グラドスポリウム、スファエロスパーマム、ペリニシリウム、アスペルギルス、アルテルナリア、カンジダ、マラセチア等が有り、条件により大量発生する。カビ粒子を吸引したり、カビと皮膚接触したりすることにより発症する。カビアレルゲンを低減するには、建物内の湿度を制御する努力と、こまめな清掃によりハウスダストを低減させる方法が最善である。
犬アレルギーとは、第1に犬そのものにより起こるアレルギーと、第2に犬のフケを餌として繁殖するヒョウヒダニによって起こるアレルギーである。従って、犬アレルゲンとは犬のフケであり、こまめな清掃と犬の洗浄により犬のフケと毛をハウスダストとして回収低減させる方法が最善である。
猫アレルゲンとは、体毛、皮屑(皮膚のクズのことで、人間でいえばフケ、垢のようなもの)、唾液、尿の4種類である。唾液と尿は雑巾で拭きとることによって解決する。問題なのは体毛、皮屑であり、これらはハウスダストとして回収できるため、猫アレルゲンを低減するには、こまめな清掃によりハウスダストを低減させる方法が最善である。
以上から、第10形態に掲げた各種アレルゲンは、ハウスダストとして回収でき、回収しないままにしておくと、アレルギーを引き起こす可能性が有る。従って、これらの各種アレルゲンは本発明のアレルゲン低減処理システムにより効率的に低減させることができる。
そこで、ダニスキャンはダニアレルゲン濃度を濃度1〜濃度4の4段階で測定できる。濃度4は非常汚染濃度、濃度3は中汚染濃度、濃度2は軽汚染濃度、濃度1はダニ汚染測定限度以下である。本発明システムによりアレルゲン濃度を最低限でも軽汚染濃度以下に低減することが必要であり、濃度1まで低減できれば最も好ましい。
また、マイティチェッカーもダニアレルゲン濃度を濃度1〜濃度4の4段階で測定できる。濃度4は非常汚染濃度、濃度3は中汚染濃度、濃度2は軽汚染濃度、濃度1はダニ汚染測定限度以下である。マイティチェッカーでは、濃度1〜濃度2が低減目標であり、濃度1まで低減できれば最も好ましい。
花粉アレルゲンの本体は花粉粒子に含まれるCryj1、Cryj2等の特定タンパク質と考えられるが、最も単純には花粉粒子そのものが花粉アレルゲンと考えても間違いが無い。この考え方では、花粉アレルゲン濃度は、単位時間に単位面積に堆積した花粉粒子の個数で定義される。従って、花粉アレルゲン濃度の単位は、個数/cm2日や個数/cm2週や個数/cm2月などで与えられる。前述したように、ダニアレルゲンでは感作レベルや発作レベルのダニアレルゲン濃度がWHO基準で定められている。他方、花粉アレルゲンでは感作レベルや発作レベルのダニアレルゲン濃度は定義されていない。その理由は、スギ花粉の放出が多い日でも発作が起こる人もあれば、全く発作が起こらない人もいる。1個の花粉粒子で発作が起こる人もあれば、100個の花粉粒子で発作が初めて起こる人もいるからである。
一方、花粉飛散の多い時期に花粉アレルギー発症も多いことから、気象庁は花粉飛散の多少のランク基準を示している。そのランク基準は、個数/cm2日の単位で、0〜9個は少ない、10〜29個はやや多い、30〜49個は多い、50個以上は非常に多い、である。花粉採集器として、ダーラム型花粉採集器が日本で最も普及している重力法採集器である。花粉が風によって運ばれ、スライドガラスに自然に落下したところを採集する。他にはロータリー型花粉採集器、バーカード型花粉採集器、カスケードインパクター、パーソナルエアサンプラー、ロトロッドサンプラー等が有る。ワセリンを塗ったスライドガラスを採集器にセットし、24時間後に回収し、カルベラ液により染色して顕微鏡検査を行う。
以上の様な方法では、担当者がアレルゲン低減処理を行う日に直ぐに実施して結果をお客様に報告できないから、1日以上の後日に花粉アレルゲン濃度をお客様に報告することになる。
しかし、1時間や2時間程度の短時間で花粉をスライドガラス上に捕集できる場合には、個数/cm2時間の単位で花粉個数濃度を花粉アレルゲン濃度としてお客様にその場で報告することができる。
アレルゲン濃度の精密測定法としてELISA法が使用される。ELISA法は酵素結合免疫吸着法と訳される公知の測定法であり、抗原抗体反応を利用して採集されたハウスダスト中のアレルゲン抗原をその抗体と結合させてアレルゲン抗原量を精密に計測して、ファインダスト1g中のアレルゲン量をngで導出し、アレルゲン濃度をng/FDgで計測するものである。今、ダニアレルゲン濃度のELISA法による測定手順の大枠を説明する。
一例として、まず寝室の面積1m2からハウスダストを徹底的に掃除機で集め、掃除機の紙パックからハウスダストをシャーレに丁寧にかき出す。このハウスダストを目開き300μmの篩にかけ、25分間振動させて荒ゴミの塊を細かく解す。このハウスダストから荒ゴミを分離してファインダストだけにする。このファインダスト10mgを採集して抽出液1mlを注入し、一晩静置する。この抽出液1mlに含まれるダニアレルゲン抗原であるDer1抗原をELISA法によりDer1抗体と反応させて発色させ、Der1抗原の質量をng単位で測定する。ELISA法の手順は公知であり、その詳細は省略する。ファインダスト10mg中のDer1抗原の質量がng単位で測定されるから、ファインダスト1g中のDer1の質量がng単位で測定されることになる。従って、ダニアレルゲン濃度がng/FDg単位で計測される。
花粉アレルゲンについては、花粉一個で発症する人もいるから、感作レベルや発症レベルといったWHO基準の様な医学的基準は現在のところ存在しない。花粉のアレルゲン低減処理の設定範囲としては種々に設定できるが、例えば一日当たりで0.1個/cm2日以下、月当たりで3個/cm2月以下と設定することができる。完全にゼロにすることが困難としても、アレルゲン低減処理の目標範囲を設定範囲とする必要性が有ると考える。
以上のように、アレルゲンの種類によって設定範囲は種々に決めることができる。アレルゲンには、ダニ、花粉、カビ、犬猫など多種類あるから、夫々に応じてアレルゲン低減処理の目標値を定めておくことは必要である。
第2実施形態は図2に示されており、図6は図2で示されたブロック構成のフロー図である。ステップS13はサンプリング工程、ステップS14は除去サービス実施工程、ステップS15は濃度測定工程、ステップS16は濃度記録工程、ステップS17は濃度確認工程、ステップS18は設定範囲内かどうかの判別工程、ステップS19は設定範囲を維持するかどうかの判別工程、ステップS20は反復工程である。これらのステップS13〜S20の夫々は、既に図1において詳述したステップS3〜ステップS10の夫々に一対一に対応し、それらの構成・作用・効果は同一であるから、ステップS13〜S20の説明を省略する。ここでは異なった符号及び異なった構成・作用・効果について以下に説明する。
第3実施形態は図3に示されており、図7は図3で示されたブロック構成のフロー図である。ステップS23はサンプリング工程、ステップS24は除去サービス実施工程、ステップS25は濃度測定工程、ステップS26は濃度記録工程、ステップS27は濃度確認工程、ステップS28は設定範囲内かどうかの判別工程、ステップS29は設定範囲を維持するかどうかの判別工程、ステップS30は反復工程である。これらのステップS23〜S30の夫々は、既に図1において詳述したステップS3〜ステップS10の夫々に一対一に対応し、それらの構成・作用・効果は同一であるから、ステップS23〜S30の説明を省略する。また、閲覧工程S60は図6の閲覧工程S60と同一であるから、この詳細説明も省略する。ここでは異なった符号及び異なった構成・作用・効果について第2実施形態の図6と比較して以下に説明する。
次に、ステップS22によりネットワークの構築が行われる。本部サーバー52と、会員データベース50と、担当者端末24と、お客様端末14と測定者端末44の間にネットワーク60が構築される。従って、お客様12と担当者22と測定者42は、ネットワーク60を介して会員データベース50に到達でき、お客様12のアレルゲン濃度の変遷を常に知ることができる。
第4実施形態は図4に示されており、図8は図4で示されたブロック構成のフロー図である。ステップS33はサンプリング工程、ステップS34は除去サービス実施工程、ステップS35は濃度測定工程、ステップS36は濃度記録工程、ステップS37は濃度確認工程、ステップS38は設定範囲内かどうかの判別工程、ステップS39は設定範囲を維持するかどうかの判別工程、ステップS40は反復工程である。これらのステップS33〜S40の夫々は、既に図5において詳述したステップS3〜ステップS10の夫々に一対一に対応し、それらの構成・作用・効果は同一であるから、ステップS33〜S40の説明を省略する。ここでは異なった符号及び異なった構成・作用・効果について第2実施形態の図6と比較して以下に説明する。
次に、ステップS32によりネットワークの構築が行われる。本部サーバー52と、会員データベース50と、加盟店担当者端末74と、お客様端末14と測定者端末44の間にネットワーク60が構築される。従って、お客様12と加盟店担当者72と測定者42は、ネットワーク60を介して会員データベース50に到達でき、お客様12のアレルゲン濃度の変遷を常に知ることができる。
更に、閲覧工程S61においては、適時に加盟店担当者端末74及び/又はお客様端末14からネットワーク60を介して会員データベース50に通信してお客様建物10のアレルゲン濃度の経時変化を閲覧することができる。
医師閲覧工程を示すステップS62では、医師32から紹介された患者であるお客様12の場合に、医師32が適時に医師端末34からネットワーク60を介して会員データベース50に通信してお客様12のアレルゲン濃度の経時変化を閲覧できる。医師32はアレルギー症状の緩和を目指して常に患者を治療しており、お客様12が常に居住するお客様建物10のアレルゲン濃度が如何に低減された環境にあるかを知ることが重要である。治療と環境改善の両方から患者を治療することが必要であるので、この医師閲覧工程S62が設けられている。
の形態に示すように、前記初回サンプリング工程を、初回除去サービスを実施する前の初回前サンプリング工程と、初回除去サービス実施工程と、初回除去サービスを実施した後の初回後サンプリング工程から構成してもよい。この場合には、前記初回濃度測定工程を初回前サンプリング工程と初回後サンプリング工程によりサンプリングされた二つのハウスダストについて濃度測定を行うようにする。
初回除去サービス実施工程は、アレルゲン汚染していると考えられるお客様建物に対し効果的なアレルゲン除去を実現するために、念入りなアレルゲン除去サービスが提供される。初回除去サービスを実施する前と実施した後で、夫々ハウスダストがサンプリングされる。初回前サンプリング工程で初回前ハウスダストがサンプリングされ、初回後サンプリング工程で初回除去サービスを実施した後の初回後ハウスダストがサンプリングされる。次に、初回訪問時にお客様が見ているその場で行われる初回濃度測定工程では初回前ハウスダストと初回後ハウスダストの両者のアレルゲン濃度が簡易測定法で測定される。初回前ハウスダストのアレルゲン濃度は初回前アレルゲン濃度と称され、初回後ハウスダストのアレルゲン濃度は初回後アレルゲン濃度と称される。初回訪問時にその場で、初回前アレルゲン濃度と初回後アレルゲン濃度がお客様に通知され、初回除去サービスを実施する前後のアレルゲン濃度の変化が明瞭に判るように設定される。これによって、本発明のアレルゲン低減処理システムが如何に有効であるかがお客様に知らされる。初回前アレルゲン濃度と初回後アレルゲン濃度の両者が契約前にお客様に通知されると、お客様の契約の強い動機づけになり、お客様の契約促進に効果的である。
実際に、モニターP01のご家庭を訪問し、アレルゲンの中でもその約70%を占めるダニアレルゲンに的を絞って、本発明に係るアレルゲン低減処理システムを実行した。一定値以下にダニアレルゲン濃度を低減させる必要が有るから、ダニアレルゲンに関する設定範囲を以下のように決定した。
花粉アレルゲンは花粉そのものであり、3月から6月に飛散が集中するスギ花粉やヒノキ花粉に対し、イネ科植物の花粉は5月から11月位まで長期に飛散する。この実施例2では、特にスギ花粉やヒノキ花粉が飛来する5月と6月に本発明のアレルゲン低減処理を行って、本発明に係るアレルゲン低減処理システムが有効であることを試験した。また、一定値以下に花粉アレルゲン濃度を低減させる必要が有るから、花粉アレルゲンに関する設定範囲を例えば以下のように決定した。この設定範囲は汚染程度に対し自在に設定できることは云うまでもない。
以上から、花粉アレルゲンに対しても本発明のアレルゲン低減処理システムが有効であることが実証された。
12 お客様
14 お客様端末
22 担当者
24 担当者端末
30 病院
32 医師
34 医師端末
40 アレルゲン濃度測定機関
42 測定者
44 測定者端末
46 記録媒体
50 会員データベース
52 サーバー
60 ネットワーク
70 加盟店
72 加盟店担当者
74 加盟店担当者端末
80 本部
A1〜A3 対応矢印
A4〜A16 通信矢印
S3〜S62 ステップ
Claims (12)
- お客様の建物を訪問してアレルゲン除去サービスを実施する除去サービス実施工程と、前記アレルゲン除去サービスの前及び/又は後にお客様建物のハウスダストをサンプリングするサンプリング工程と、サンプリングされた前記ハウスダストに含有されるアレルゲンのアレルゲン濃度を測定する濃度測定工程と、前記アレルゲン濃度を記録媒体に記録する濃度記録工程からなり、前記アレルゲン濃度を確認しながら前記お客様建物のアレルゲンを低減させることを特徴とするアレルゲン低減処理システム。
- 担当者がお客様の建物を訪問してアレルゲン除去サービスを実施する除去サービス実施工程と、前記担当者が前記アレルゲン除去サービスの前及び/又は後にお客様建物のハウスダストをサンプリングするサンプリング工程と、サンプリングされた前記ハウスダストに含有されるアレルゲンのアレルゲン濃度を測定する濃度測定工程と、前記アレルゲン濃度を会員データベースに記録する濃度記録工程からなり、適時にネットワークを介して担当者端末及び/又はお客様端末から前記会員データベースに通信して前記アレルゲン濃度の経時変化を閲覧する閲覧工程から構成され、前記アレルゲン濃度を確認しながら前記お客様建物のアレルゲンを次第に低減させることを特徴とするアレルゲン低減処理システム。
- 本部が運営するアレルゲン低減処理システムで、本部が契約したお客様の建物に潜在するアレルゲンを次第に低減させるアレルゲン低減処理システムであり、本部が管理するサーバーと、サーバーに接続されたお客様情報を記録する会員データベースと、担当者の担当者端末と、お客様のお客様端末がネットワークを介して接続され、前記担当者がお客様建物を訪問してアレルゲン除去サービスを実施する除去サービス実施工程と、前記担当者が前記アレルゲン除去サービスの前及び/又は後にお客様建物のハウスダストをサンプリングするサンプリング工程と、サンプリングされた前記ハウスダストに含有されるアレルゲンのアレルゲン濃度を測定する濃度測定工程と、前記アレルゲン濃度を会員データベースに記録する濃度記録工程からなり、適時に担当者端末及び/又はお客様端末からネットワークを介してサーバーに通信し会員データベースから前記アレルゲン濃度の経時変化を閲覧する閲覧工程から構成されることを特徴とするアレルゲン低減処理システム。
- 本部が運営するアレルゲン低減処理システムに加盟店が属し、本部及び/又は加盟店が契約したお客様の建物に潜在するアレルゲンを次第に低減させるアレルゲン低減処理システムであり、本部が管理するサーバーと、サーバーに接続されたお客様情報を記録する会員データベースと、加盟店の担当者端末と、お客様のお客様端末がネットワークを介して接続され、加盟店担当者がお客様建物を訪問してアレルゲン除去サービスを実施する除去サービス実施工程と、前記加盟店担当者がアレルゲン除去サービスの前及び/又は後にハウスダストをサンプリングするサンプリング工程と、サンプリングされた前記ハウスダストに含有されるアレルゲンのアレルゲン濃度を測定する濃度測定工程と、前記アレルゲン濃度を会員データベースに記録する濃度記録工程からなり、適時に加盟店担当者端末及び/又はお客様端末からネットワークを介してサーバーに通信し会員データベースから前記アレルゲン濃度の経時変化を閲覧する閲覧工程から構成されることを特徴とするアレルゲン低減処理システム。
- 前記除去サービス実施工程と前記サンプリング工程と前記濃度測定工程と前記濃度記録工程を経時的に繰り返す反復工程が付加される請求項1〜4のいずれかに記載されるアレルゲン低減処理システム。
- アレルゲン除去サービスを最初に実施する第1回目の除去サービス実施工程の前に、初回訪問工程が設けられ、前記初回訪問工程は、お客様建物からハウスダストを初回サンプリングする初回サンプリング工程と、初回サンプリングされた前記ハウスダストに含有されるアレルゲンの初回アレルゲン濃度を測定する初回濃度測定工程と、前記初回濃度測定工程で測定された初回アレルゲン濃度をお客様に知らせる初回濃度報知工程から構成される請求項1〜5のいずれかに記載のアレルゲン低減処理システム。
- 前記初回訪問工程に初回アレルゲン除去サービスを実施する初回除去サービス実施工程が付加され、前記初回サンプリング工程は、初回アレルゲン除去サービスを実施する前の初回前サンプリング工程と、初回アレルゲン除去サービスを実施した後の初回後サンプリング工程からなり、前記初回濃度測定工程は初回前サンプリング工程と初回後サンプリング工程によりサンプリングされた二つのハウスダストについて実施される請求項6に記載のアレルゲン低減処理システム。
- 除去サービス実施工程と次回の除去サービス実施工程の間に、お客様建物内部をモップや掃除機などにより清掃し、お客様建物内部の空気を空気清浄機により清浄化し、丸洗いした寝具を使用し、防ダニカバーを設置し、のいずれか一つ以上をお客様自身が日常的に行う請求項1〜7のいずれかに記載のアレルゲン低減処理システム。
- 前記お客様が医師から紹介されたお客様であり、適時に医師端末から前記ネットワークを介して前記サーバーに通信し前記会員データベースから前記紹介されたお客様に関する前記アレルゲン濃度の経時変化を閲覧する医師閲覧工程が含まれる請求項2〜8のいずれかに記載のアレルゲン低減処理システム。
- 前記アレルゲンは、ダニアレルゲン、花粉粒子である花粉アレルゲン、カビアレルゲン、犬猫アレルゲンの一種以上である請求項1〜9のいずれかに記載のアレルゲン低減処理システム。
- 前記濃度測定工程における前記アレルゲン濃度の測定が簡易測定法によって実施され、しかも前記簡易測定法の実施が前記ハウスダストをサンプリングした当日にお客様建物の内部で行われ、その当日に前記アレルゲン濃度をお客様に提示する請求項1〜10のいずれかに記載のアレルゲン低減処理システム。
- 前記サンプリング工程によりサンプリングされた前記ハウスダストを持ち帰り、前記サンプリングの実施日より後日に、前記濃度測定工程における前記アレルゲン濃度の測定が精密測定法によって実施される請求項1〜10のいずれかに記載のアレルゲン低減処理システム。
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JP2002328970A (ja) * | 2001-04-27 | 2002-11-15 | Asahi Kasei Corp | 建築物のメンテナンスプログラム管理システム及び管理方法 |
JP2007026393A (ja) * | 2005-07-21 | 2007-02-01 | Advance Co Ltd | アレルギー対策システム |
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2013
- 2013-09-11 JP JP2013188118A patent/JP2015055963A/ja active Pending
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Title |
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西田 博: "先ずは個人衛生−食品衛生の延長線上で−", 食品工業, vol. 第50巻 第17号, JPN6018009004, 15 August 2007 (2007-08-15), JP, pages 101 - 106, ISSN: 0003757390 * |
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