JP2015049183A - 表面増強ラマン散乱用基材 - Google Patents
表面増強ラマン散乱用基材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015049183A JP2015049183A JP2013182092A JP2013182092A JP2015049183A JP 2015049183 A JP2015049183 A JP 2015049183A JP 2013182092 A JP2013182092 A JP 2013182092A JP 2013182092 A JP2013182092 A JP 2013182092A JP 2015049183 A JP2015049183 A JP 2015049183A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- raman scattering
- width
- enhanced raman
- thickness
- substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
- Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
Abstract
【課題】優れた表面増強ラマン散乱を発揮する基材を提供する。
【解決手段】ポリエチレングリコールの存在下の水溶液中で、硝酸銀を特定のアミン(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)(TEMED)で還元し、ある一定期間、静置することにより得られる高結晶性で、厚さが50〜1000nm、厚さに対する幅の比(幅/厚さ)が2〜100、幅に対する長さの比(長さ/幅)が2以上である薄層ベルト状銀構造物からなる表面増強ラマン散乱用基材。
【選択図】図1
【解決手段】ポリエチレングリコールの存在下の水溶液中で、硝酸銀を特定のアミン(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)(TEMED)で還元し、ある一定期間、静置することにより得られる高結晶性で、厚さが50〜1000nm、厚さに対する幅の比(幅/厚さ)が2〜100、幅に対する長さの比(長さ/幅)が2以上である薄層ベルト状銀構造物からなる表面増強ラマン散乱用基材。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面増強ラマン散乱測定に用いる基材に関する。
表面増強ラマン散乱(Surface Enhanced Raman Scattering: SERS)は微小金属構造物に光を照射することで発生する、表面プラズモン共鳴(surface Resonance)を利用したラマン散乱の測定法である。SERSによるラマン散乱は、通常のラマン散乱分光法より非常に高感度で、そのシグナル強度は、条件がそろえば基板に吸着した一分子からのラマン散乱光を検出できるほどの高感度である。そのため、SERS測定は、単一分子分光などのような基礎的な分子の挙動の研究から、超微量分析、高感度検出アレイ、高感度センサーなどといった応用研究まで幅広い分野で応用が期待されている。
これまでに、表面増強ラマン散乱に用いられる基材の検討が精力的に行われており、例えば、金属ナノロッド薄膜(特許文献1)、貴金属ナノ粒子/アパタイト複合体(特許文献2)、金属微粒子を多層に形成した多層膜(特許文献3)、貴金属で表面修飾されたナノポーラス金属(特許文献4)、金属微粒子含有高分子フィルム(特許文献5)、金属微粒子を格子状に配列された凹凸部に配置させた基板(特許文献6)、しわのよったナノ多孔質金属泊(特許文献7)などの各種基材が報告されている。しかし、分子センシングとして広がる表面増強ラマン散乱測定用途に対応して、各種形態を有する高感度の表面増強ラマン散乱測定用基材の開発がさらに求められている。
R. Contreras-Caceres, C. Dawson, P. Formanek, D. Fischer, F. Simon, A. Janke, P. Uhlmann, M. Stamm, Polymers as Templates for Au and Au@Ag Bimetallic Nanorods: UV-Vis and Surface Enhanced Raman Spectroscopy. Chem. Mater. 2013, 25, 158-169.
本発明が解決しようとする課題は、優れた表面増強ラマン散乱特性を発揮する基材を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、薄層ベルト状形態を有する銀構造物、特に、ポリエチレングリコール存在下の水溶液中で、銀化合物を特定のアミン(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)で還元し、静置して得られる薄層ベルト状形態を有する銀構造物が優れた表面増強ラマン散乱を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、薄層ベルト状形態を有する高結晶性銀構造物からなる表面増強ラマン散乱用基材を提供する。
また、本発明は、ポリエチレングリコールを含む水溶液中で、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンにより銀化合物を還元し、静置することで得られることを特徴とする請求項1記載の表面増強ラマン散乱用基材を提供する。
更に、本発明は、厚さが50〜1000nm、厚さに対する幅の比(幅/厚さ)が2〜100、幅に対する長さの比(長さ/幅)が2以上であることを特徴とする請求項2記載の表面増強ラマン散乱用基材 を提供する。
本発明によると、薄層ベルト状形態を有する銀構造物を表面増強ラマン散乱用基材として用いることによって、高い感度を有する表面増強ラマン散乱測定が可能となる。
本発明では、薄層ベルト状形態を有する銀構造物を表面増強ラマン散乱用基材として用いることが必須であり、特に、ポリエチレングリコール存在下の水溶液中でTEMEDにより銀化合物を還元し、静置して得られる薄層ベルト状銀構造物を基材として用いることが有効である。
本発明における、薄層ベルト状形態を有する銀構造物は、下記の方法で調製したものが好ましく用いられる。高分子量(例えば、分子量が1,000,000g/mol)のポリエチレングリコール水溶液(1質量%)に硝酸銀(1M水溶液を500μL)を加えて均一透明な水溶液を調製し、次いで、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)250μLを滴下・撹拌した。直後に、液は黒色となり、この黒色液を温和な条件(例えば30℃、暗所)で10日間静置して保持することにより、目的とする薄層ベルト状形態を有する銀構造物が得られる。これを、遠心分離などにより回収した後、水およびエタノールで数回洗浄することで、高い純度の薄層ベルト状銀構造物が得られる。
本発明における、薄層ベルト状形態を有する銀構造物は、下記の方法で調製したものが好ましく用いられる。高分子量(例えば、分子量が1,000,000g/mol)のポリエチレングリコール水溶液(1質量%)に硝酸銀(1M水溶液を500μL)を加えて均一透明な水溶液を調製し、次いで、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)250μLを滴下・撹拌した。直後に、液は黒色となり、この黒色液を温和な条件(例えば30℃、暗所)で10日間静置して保持することにより、目的とする薄層ベルト状形態を有する銀構造物が得られる。これを、遠心分離などにより回収した後、水およびエタノールで数回洗浄することで、高い純度の薄層ベルト状銀構造物が得られる。
本発明では、薄層ベルト状銀構造物の形態的な特徴として、厚みに対する幅の比が2〜100であり、厚みが50〜1000nmであり、幅に対する長さの比が2以上である薄層ベルト状銀構造物を用いることが特に有効である。
本発明により得られる薄層ベルト状銀構造物は、表面が平滑であり、走査型電子顕微鏡観察(5,000倍)では明確な凹凸が観測されない。しかし、表面平滑性にもかかわらず、その表面に吸着させたラマン活性物質(ローダミン6G)は、極めて高い表面増強ラマン散乱を示した。理由は必ずしも明確でないが、本銀構造物は、銀のナノ粒子が出発物質であり、且つ、それらが(表面平滑になるほど)極めて緻密に集合し薄層ベルト状形態を形成していることから、表面に吸着されたラマン活性物質が極めて高感度にラマン散乱を示すものと考えられる。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
ポリエチレングリコール0.1gを10gの水に十分に溶解させた後、1Mの硝酸銀水溶液500μLを添加し、5分間撹拌した。次いで、得られた水溶液を強く撹拌しながらTEMED250μLを滴下した。TEMEDを添加後、水溶液はただちに黒色となり、Ag+イオンが還元されたことがわかる。引き続き、黒色液を25℃で暗所に静置し、10日間保持した。その結果、結晶性の光沢のある長い銀構造物が形成しているのが観測された。それを遠心分離で回収後、数回、水とエタノールで洗浄し、有機物を取り除いた。得られた銀構造物を走査型電子顕微鏡で観察した結果、厚み=400nm、幅=20μm、(幅/厚み)比=50、長さ=約1500μmの薄層ベルト状銀構造物であることが確認された。また、高結晶性は、透過型電子顕微鏡測定および広角X線回折測定から確認された。得られた薄層ベルト状銀構造物を水に分散させた後、ガラス板上に塗布し、乾燥することで、ガラス板上に配置した。その上に、ローダミン6G(濃度=8×10−5mol/L)を20μL/cm2となるように塗布し、乾燥させた。その表面のラマン散乱測定を行った。一般に、このようにローダミン6Gの濃度が極めて低い場合は、そのままガラス板上に塗布してから、ラマン散乱測定を行っても、ローダミン6Gは検出されなかった(図1(a):比較例1)。しかし、薄層ベルト状銀構造物を配置した基板上にローダミン6Gを同濃度で塗布・吸着させた場合は、図1(b)に示すように、極めて高感度にローダミン6Gのラマンピークが観測された。これらのピーク(例:615、779、1189、1316、1365、1510、1577、1652cm−1)は非特許文献1との比較によりローダミン6Gのそれと一致した。
(実施例1、比較例1)
ポリエチレングリコール0.1gを10gの水に十分に溶解させた後、1Mの硝酸銀水溶液500μLを添加し、5分間撹拌した。次いで、得られた水溶液を強く撹拌しながらTEMED250μLを滴下した。TEMEDを添加後、水溶液はただちに黒色となり、Ag+イオンが還元されたことがわかる。引き続き、黒色液を25℃で暗所に静置し、10日間保持した。その結果、結晶性の光沢のある長い銀構造物が形成しているのが観測された。それを遠心分離で回収後、数回、水とエタノールで洗浄し、有機物を取り除いた。得られた銀構造物を走査型電子顕微鏡で観察した結果、厚み=400nm、幅=20μm、(幅/厚み)比=50、長さ=約1500μmの薄層ベルト状銀構造物であることが確認された。また、高結晶性は、透過型電子顕微鏡測定および広角X線回折測定から確認された。得られた薄層ベルト状銀構造物を水に分散させた後、ガラス板上に塗布し、乾燥することで、ガラス板上に配置した。その上に、ローダミン6G(濃度=8×10−5mol/L)を20μL/cm2となるように塗布し、乾燥させた。その表面のラマン散乱測定を行った。一般に、このようにローダミン6Gの濃度が極めて低い場合は、そのままガラス板上に塗布してから、ラマン散乱測定を行っても、ローダミン6Gは検出されなかった(図1(a):比較例1)。しかし、薄層ベルト状銀構造物を配置した基板上にローダミン6Gを同濃度で塗布・吸着させた場合は、図1(b)に示すように、極めて高感度にローダミン6Gのラマンピークが観測された。これらのピーク(例:615、779、1189、1316、1365、1510、1577、1652cm−1)は非特許文献1との比較によりローダミン6Gのそれと一致した。
Claims (3)
- 薄層ベルト状形態を有する高結晶性銀構造物からなる表面増強ラマン散乱用基材。
- ポリエチレングリコールを含む水溶液中で、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンにより銀化合物を還元し、静置することで得られることを特徴とする請求項1記載の表面増強ラマン散乱用基材。
- 厚さが50〜1000nm、厚さに対する幅の比(幅/厚さ)が2〜100、幅に対する長さの比(長さ/幅)が2以上であることを特徴とする請求項1または2記載の表面増強ラマン散乱用基材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013182092A JP2015049183A (ja) | 2013-09-03 | 2013-09-03 | 表面増強ラマン散乱用基材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013182092A JP2015049183A (ja) | 2013-09-03 | 2013-09-03 | 表面増強ラマン散乱用基材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015049183A true JP2015049183A (ja) | 2015-03-16 |
Family
ID=52699309
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013182092A Pending JP2015049183A (ja) | 2013-09-03 | 2013-09-03 | 表面増強ラマン散乱用基材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015049183A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20180059739A (ko) * | 2018-05-28 | 2018-06-05 | 울산과학기술원 | 라만분광기반 바이오센서의 제조방법 |
CN111766229A (zh) * | 2020-07-15 | 2020-10-13 | 济南大学 | 一种基于海胆状复合纳米材料的印迹拉曼传感器的制备 |
-
2013
- 2013-09-03 JP JP2013182092A patent/JP2015049183A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20180059739A (ko) * | 2018-05-28 | 2018-06-05 | 울산과학기술원 | 라만분광기반 바이오센서의 제조방법 |
CN111766229A (zh) * | 2020-07-15 | 2020-10-13 | 济南大学 | 一种基于海胆状复合纳米材料的印迹拉曼传感器的制备 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Karthick Kannan et al. | Recent advances in 2D inorganic nanomaterials for SERS sensing | |
Zhang et al. | Graphene oxide-wrapped flower-like sliver particles for surface-enhanced Raman spectroscopy and their applications in polychlorinated biphenyls detection | |
Doron-Mor et al. | Ultrathin gold island films on silanized glass. Morphology and optical properties | |
Yang et al. | Controllable in situ fabrication of portable AuNP/mussel-inspired polydopamine molecularly imprinted SERS substrate for selective enrichment and recognition of phthalate plasticizers | |
Driskell et al. | The use of aligned silver nanorod arrays prepared by oblique angle deposition as surface enhanced Raman scattering substrates | |
Alvarez-Puebla et al. | Nanoimprinted SERS-active substrates with tunable surface plasmon resonances | |
Kumar et al. | Surface-enhanced raman scattering: Introduction and applications | |
Wang et al. | The surface-enhanced Raman scattering from ZnO nanorod arrays and its application for chemosensors | |
Bankowska et al. | Au–Cu alloyed plasmonic layer on nanostructured GaN for SERS application | |
Safa et al. | Investigation of reduced graphene oxide effects on ultra-violet detection of ZnO thin film | |
Zhang et al. | Roles of graphene nanogap for the AgNFs electrodeposition on the woven Cu net as flexible substrate and its application in SERS | |
Chakraborty et al. | Atomically precise silver clusters as new SERS substrates | |
Wang et al. | Floating silver film: A flexible surface-enhanced Raman spectroscopy substrate for direct liquid phase detection at gas–liquid interfaces | |
Majee et al. | Surface-enhanced Raman scattering detection based on an interconnected network of vertically oriented semiconducting few-layer MoS2 nanosheets | |
Liao et al. | Preparation of heteroatom doped poly (o-phenylenediamine) fluorescent nanospheres: Tunable fluorescent spectrum and sensing performance | |
Praig et al. | Seed-mediated electrochemical growth of gold nanostructures on indium tin oxide thin films | |
Zhao et al. | Silver nanoparticles deposited inverse opal film as a highly active and uniform SERS substrate | |
Li et al. | Preparation of a self-cleanable molecularly imprinted sensor based on surface-enhanced Raman spectroscopy for selective detection of R6G | |
Banchelli et al. | Controlled graphene oxide assembly on silver nanocube monolayers for SERS detection: dependence on nanocube packing procedure | |
Yu et al. | A metal–dielectric–graphene sandwich for surface enhanced Raman spectroscopy | |
He et al. | Facile construction of silver nanocubes/graphene oxide composites for highly sensitive SERS detection of multiple organic contaminants by a portable Raman spectrometer | |
Jiang et al. | Quantitative and recyclable SERS detection induced by tunable Raman internal standard from embedded silicon nanoparticles | |
Chen et al. | Improved SERS Intensity from Silver‐Coated Black Silicon by Tuning Surface Plasmons | |
Wang et al. | Performance evaluation of novel Ag@ GO-biomaterial SERS substrates for the ultrasensitive detection of neomycin in foods | |
Liu et al. | Novel Ag decorated biomorphic SnO2 inspired by natural 3D nanostructures as SERS substrates |