JP2015039532A - 二流体消火システム - Google Patents

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靖 北浦
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Abstract

【課題】ガス供給源を開放するだけで消火活動に移行できる二流体消火システムを提供する。【解決手段】二流体消火システム1には、ガスボンベ2、圧力調節器4、エア駆動式ポンプ14及び二流体22を噴射できる二流体用消火具6とが備えられている。ガスボンベ2から供給されるガス16は、圧力調節器4によって圧力調節され、消火用ガスホース8と駆動用ガスホース10との二系統に分岐される。分岐された一方は、消火用ガス16aとして消火用ガスホース8から二流体用消火具6へ送られる。また、分岐された他方は、駆動用ガスホース10を介してエア駆動式ポンプ14の駆動用ガス16bとして送られる。駆動用ガス16bが送られたエア駆動式ポンプ14は、水供給源20から消火用水18を汲み出し、二流体用消火具6へ送る。消火用ガスホース8と駆動用ガスホース10とは、ガスボンベ2側で連通しており、一つの圧力調節器4により圧力管理されている。【選択図】図1

Description

本発明は、水などの消火液に不燃性の圧縮ガスを混合した霧状の二流体を噴射する二流体消火システムに関する。
水だけを噴射する従来の消火方法では水損が大きいため、大量に散布されても、そのうち消火に対して有効に作用する水の割合は僅かである。これは、視点を変えると、消火に寄与しない水によって、室内の器物が無駄に破壊される上、消火時間も長くなるということである。
このため、消火に対して有効に作用する水の割合を大きくすることにより消火効率を向上させ、消火時間の短縮化を図ることができる消火システムが望まれる。
このような問題に鑑みて、水損対策として、少ない水量でも効率良く消火することができる消火システムが考えられている。
このうち、二流体による消火システムについて特許文献1に開示がある。図5は、特許文献1に記載された、従来の二流体噴霧消火システム101の構成を示したブロック図である。図5から分かるように、二流体噴霧消火システム101では、貯水槽103が備えられており、ポンプ104を用いて貯水槽103の水106aが消火用水として送られる。また、ガス105aを供給するためにコンプレッサー又はボンベ102が備えられている。水106a及びガス105aは、液体流量調整装置109及び気体流量調整装置108により、それぞれの流量が調整され、二流体一体型ホース111から気送管105及び液送管106を介して二流体ノズル107へ送られる。二流体ノズル107近傍の上流側では、二流体同時開閉バルブ110が設けられており、水106a及びガス105aの流れに対して遮断及び開放の制御が行われる。
このように構成されているので、消火作業者は、必要に応じて手元の二流体同時開閉バルブ110を操作し、水106a及びガス105aを無駄に消費することなく適切に消火活動を行うことが可能となる。
上記の例とは別に、二流体による消火システムの異なる構成について特許文献2にも開示がある。図6は、特許文献2に記載された従来の高圧水噴霧消火装置201の全体構成を示した図である。この高圧水噴霧消火装置201は、ガスを貯留するガスボンベ202と、消火用の水を貯留する水タンク203とを備えている。そして、ガスボンベ202からノズル204側と水タンク203側へ別々にガスを供給できる構成となっている。すなわち、二流体を噴射するノズル204へ、ガスボンベ202から直接ガスを消火用として供給する一方で、水タンク203内へも高圧のガスが送られる。そして、水タンク203内に送られた高圧のガスによって内圧が上昇し、水タンク203内の水が押し出されてノズル204へ送られる。これにより、ノズル204においてガスと水とを混合して、極微細な霧状の水を噴射することができる。
以上のように、水にガスを混合して霧状の二流体にすると、噴射されるガスの流れに乗って霧状の水を遠方の火点まで到達させることができる。そして、霧状になった水は火炎などとの間で効率良く熱交換できるので、優れた冷却効果が得られる。また、噴射されるガスによる吹き消し効果も認められている。これにより、水損低減を図ると共に、消火時間の短縮が可能となる。
特開2004−73384号公報 特開平11−47298号公報
しかしながら、図5に示した特許文献1に記載の構成では、水106aの供給経路とガス105aの供給経路とがそれぞれ独立に設けられているので、圧力や流量などを個別に管理する必要がある。このため、消火作業に入る前の確認作業も煩雑になり、準備のために一定の時間を要する。
また、図6に示した特許文献2に記載の構成では、水タンク203から送り出される水の量は送水管上に設けられたバルブにより調節する必要がある。すなわち、通常時は、バルブを閉じておかなくてはならないので、消火活動に入る際に、ガスのバルブと水のバルブとをそれぞれ操作する必要がある。また、消火に適した二流体を生成するためには水圧とガス圧とを適正な値になるように調節する必要があり、非常事態において正確な作業が要求される。
このように、図5及び図6の何れの構成であっても、消火活動に入るまでの流量調節又は確認に時間を要し、初期消火による効果が十分に得られない場合も生じ得る。
そこで、本発明では、上記課題を解決するため、ガスの供給源を開放するだけで、適正な混合比の二流体を生成することのできる二流体消火システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の二流体消火システムは、ガスを貯留するガスボンベと、ガス及び水を混合して二流体を噴射できるノズルを有した消火具と、ガスボンベと消火具との間に繋がれ、ガスの一部を消火用ガスとして消火具へ送る消火用ガスホースと、エア駆動式であって、水を水供給源から消火具へ送るポンプと、ガスボンベとポンプとの間に繋がれ、ガスの一部を駆動用ガスとしてポンプへ送る駆動用ガスホースと、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の二流体消火システムは、上記構成に加えて、消火用ガスホースと駆動用ガスホースとは、ガスボンベ側で連通していることを特徴とする。
また、本発明の二流体消火システムは、上記構成に加えて、水供給源は、水を貯留する水タンクであることを特徴とする。
また、本発明の二流体消火システムは、上記構成に加えて、消火具が、ガス及び水の遮断及び開放の切り換えを同時に行うことができ、ガスと水とからなる二流体の噴射を制御できるトリガを備えていることを特徴とする。
以上のように、本発明に係る二流体消火システムによれば、ボンベのガス圧を解放することにより、消火用ガスと消火用水とが共に消火具へ送られるので、簡易な操作を行うことにより短時間で消火作業に移ることが可能となる。また、ボンベのガスは消火用ガスとポンプの駆動用ガスとして利用されるので、電力を必要としない。
また、本発明に係る二流体消火システムによれば、上記効果に加えて、消火用ガスホースと駆動用ガスホースとのガス圧が等しくなるので、両者の圧力管理が簡素化される。すなわち、圧力調整用の部品点数を削減できる上に、操作時又はメンテナンス時における確認・調整箇所を少なくできるので、確実かつ迅速に消火作業を行うことが可能となる。
また、本発明に係る二流体消火システムによれば、上記効果に加えて、水供給設備のない場所でも設置することができるので、用途が広がる。
また、本発明に係る二流体消火システムによれば、上記構成に加えて、消火具のトリガ操作により、消火用ガスの供給と、水を供給するためのポンプの制御とを同時に行うことができる。これにより、少ない人員で消火作業を行うことが可能となる。
本発明の二流体消火システムの概略を示すブロック図である。 図1の二流体消火システムの具体的構成を示す全体図である。 図2の二流体消火システムの圧力調節器周辺の拡大図である。 図2の二流体消火システムの消火具の拡大図である。 従来の二流体噴霧消火システムの構成を示すブロック図である。 従来の高圧水噴霧消火装置の全体構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る二流体消火システムについて、図を用いて説明する。なお、実質的に同じ構成については同一符号を付して示す。
図1は、本発明に係る二流体消火システム1の概要をブロック図で示している。そして、図2は、二流体消火システム1の具体例についての全体図を示すと共に、図3には、圧力調節器4及びその周辺についての拡大図を示し、図4には、二流体用消火具6の拡大図を示している。
先ず、図1を参照して、本発明の二流体消火システム1は、ガスボンベ2、圧力調節器4、エア駆動式ポンプ14及び二流体用消火具6を備えている(点線で囲まれた構成。)。ガスボンベ2には不燃性のガス(窒素ガスなど)が充填されており、このガスボンベ2から供給されるガスは、圧力調節器4により所定の圧力が得られるように降圧されて、下流側へ送られる。本実施の形態に係る二流体消火システム1では、降圧されたガス圧は、0.5MPa±20%の範囲に収まるように調節されている。なお、大気圧は0.1MPaである。
図1に示すように、この降圧されたガス16は二系統に分岐される。分岐された一方は、そのまま二流体用消火具6へ送られ、消火用ガス16aとして用いられる。これに対して、分岐された他方は、エア駆動式ポンプ14に送られ、駆動用ガス16bとして用いられる。このエア駆動式ポンプ14にはダイアフラムポンプ等が適している。エア駆動式ポンプ14に駆動用ガス16bが送られると、送水管13を介して水供給源20から取水された消火用水18が、エア駆動式ポンプ14及び送水管12を通って二流体用消火具6へ送られる。
このようにして、送られた消火用ガス16aと消火用水18とが、二流体用消火具6で消火に適した割合で混合され、二流体が噴霧可能となる。
具体的には、40リットル/min±20%で供給される消火用水18に対して、1000リットル/min±20%の比率で消火用ガス16aが供給されるのが望ましい。
図2に二流体消火システム1の具体例を示す。本実施の形態に係る二流体消火システム1は、格納箱24に格納されている。図2では、内部の格納状態が分かるように、左右の扉24d、24eが開いた状態で示されている。図1の構成と比較して、図2の二流体消火システム1には、水供給源20である貯水タンク20が一体的に並設されている。また、不燃性のガス16を充填したガスボンベ2の具体例として窒素ボンベ2が示されている。さらに、エア駆動式ポンプ14の具体例としてダイアフラムポンプ14、そして、二流体用消火具6としては、ガンタイプの二流体用消火具6が示されている。二流体消火システム1及び貯水タンク20を格納する格納箱24は、貯水タンク20を収納するタンク収納部24aと、窒素ボンベ2を収納するボンベ収納部24bと、二流体用消火具6及び一体型ホース11を収納するホース収納部24cとに区画されている。
タンク収納部24aには、アングル材で形成された架台26が設けられ、この架台26の上に貯水タンク20が配置されている。また、貯水タンク20の下方で架台26に囲われた空間には、貯水タンク20の消火用水18を送るダイアフラムポンプ14が配置されている。
ボンベ収納部24bには、窒素ボンベ2が配置されている。この窒素ボンベ2には、圧力調節器4が設けられている。この圧力調節器4の下流側には、経路を2つに分岐する分岐管5(図3を用いて後述する。)が設けられており、消火用ガスホース8と駆動用ガスホース10とが接続されている。
ホース収納部24cには、ホース掛け28が設けられている。このホース掛け28は大きさの異なる3枚の板状部材(載置板28a、28b、28c)で構成されており、上方側の載置板28aに対して下方側の載置板28b、28cが順に小さくなるように構成されている。消火用水18を送るホース(後述する送水管12)と消火用ガスホース8とは、下流側で一体型ホース11によって1本に纏められている。ホース収納部24cでは、この一体型ホース11が、ホース掛け28に引っ掛けるように3重に巻回した状態で収納されている。
これにより、消火作業時には、作業者が二流体用消火具6を掴んで消火位置へ向かう際、一体型ホース11は、巻回された外側の部分と干渉することなく、内側からスムーズに引き出され、迅速に消火地点へ移行することができる。
ここで、図3を参照して、窒素ボンベ2の上端にはバルブ2aが設けられている。そして、バルブ2aの下流側には、上述のように、ガス圧を所定の圧力に降圧するための圧力調節器4が設けられている。また、上述の分岐管5は、この圧力調節器4の下流側近傍に設けられている。このように、窒素ボンベ2の近傍では、消火用ガスホース8と駆動用ガスホース10とを接続する分岐管5は連通しており同圧となっているので、両ホース8、10内のガス圧は、一つの圧力調節器4で管理することが可能である。
本実施の形態に係るダイアフラムポンプ14はエア駆動式(図2参照)であり、駆動用ガスホース10と接続されている。このように、本実施の形態に係るダイアフラムポンプ14は、消火用ガス16aと同圧の駆動用ガス16bによって消火用水18(図1、2参照)を供給できる能力を備えたものが採用されている。
次に、図4を参照して、二流体用消火具6の構造について説明する。二流体用消火具6には、上述のように、消火用ガスホース8とダイアフラムポンプ14から消火用水18を供給する送水管(送水用ホース)12とが接続されている。このように別々に送られてきた消火用水18及び窒素ガス16(消火用ガス16a)は、不使用時(待機状態)においては、内部に遮断手段
として設けられた遮断弁(図示せず)等によって遮断状態となっている。この遮断弁は、トリガ6bを操作することにより開放又は遮断することができる。そして、トリガ6bの操作により遮断弁が開放されると、消火用水18と消火用ガス16a(窒素ガス16の一部)とが消火ノズル6aにおいて混合され、霧状の二流体22として噴射される。
以上のような構成により、窒素ボンベ2のバルブ2aを開くだけで、消火に適した混合比を満たすように消火用ガス16a及び消火用水18が二流体用消火具6へ供給可能な状態となる。したがって、作業者は、バルブ2aを開放すれば消火作業のための準備が完了し、その後は、二流体用消火具6のトリガ6bを操作するだけで即座に二流体22を噴霧可能な状態となる。このように本実施の形態に係る二流体消火システム1によれば、消火作業に移行する前の準備に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
また、上述のように、消火準備について複雑な作業を要しないので、緊急時であっても正確かつ安全に作業を行うことができる。すなわち、経験の乏しい作業者であっても直観的な操作にて容易に消火作業を行うことができ、少人数で対応することも可能である。
さらに、消火用のガスの一部を利用して、水を供給するためのポンプを駆動できるので、電力設備のない場所であっても広く設置が可能である。このため、電力供給が断たれるような大規模災害時においても、本実施に係る二流体消火システム1であれば、安全且つ確実に消火作業を行うことができる。
なお、本実施の形態では、二流体消火システム1に貯水タンク20を備えた構成を例として示したが、水道設備が整えられている場合は、貯水タンク20を備えていなくても構わない。この場合、水道設備とダイアフラムポンプ14とを接続すると、圧力調節器4で設定された所定の圧力で送られる駆動用ガス16bの圧力に基づいて、所定の供給量の消火用水18が送水管12から送られる。すなわち、水供給源の形態に関わらず、消火用ガス16aと消火用水18との混合比は一定に保たれ、消火に適した二流体22を同様に噴射することが可能となる。
また、本実施の形態では、格納箱24に設置された据え置き型の二流体消火システム1を例として示したが、移動可能に構成しても構わない。さらに、貯水池等の水源が確保されており、水を十分に利用できる施設などにおいては、貯水タンク20を備えず軽量に構成することも可能である。
また、本実施の形態では、消火用ガスホース8と駆動用ガスホース10とは、窒素ボンベ2側で連通し、一つの圧力調節器4で管理できる構成を例として示した。しかし、消火用ガスホース8と駆動用ガスホース10とにそれぞれ異なる圧力調節器を設け、互いに独立して圧力管理する構成であっても構わない。この場合、ポンプの供給量について調整幅が広がるので、接続されるホースの長さや、消火ノズルの能力に応じて柔軟に組み合わせて対応することが可能となる。
本発明の二流体消火システムは、二流体ノズルを有する消火具、ガスボンベ及びエア駆動式のポンプを必須の構成としており、電力供給を要することなく、ガスボンベのガス圧を利用して消火用水を送水できる。これにより、貯水池や水道設備など取水できるところであれば、貯水タンクを備えずとも、可動式の二流体消火システムとして利用することができる。
1 二流体消火システム
2 窒素ボンベ(ガスボンベ)
2a バルブ
4 圧力調節器
5 分岐管
6 二流体用消火具
6a 消火ノズル
6b トリガ
8 消火用ガスホース
10 駆動用ガスホース
11 一体型ホース
12、13 送水管
14 ダイアフラムポンプ(エア駆動式ポンプ)
16 窒素ガス(ガス)
16a 消火用ガス
16b 駆動用ガス
18 消火用水
20 貯水タンク(水供給源)
22 二流体
24 格納箱
24a タンク収納部
24b ボンベ収納部
24c ホース収納部
24d、24e 扉
26 架台
28 ホース掛け
28a、28b、28c 載置板

Claims (4)

  1. ガスを貯留するガスボンベと、
    前記ガス及び水を混合して二流体を噴射できるノズルを有した消火具と、
    前記ガスボンベと前記消火具との間に繋がれ、前記ガスの一部を消火用ガスとして前記消火具へ送る消火用ガスホースと、
    エア駆動式であって、前記水を水供給源から前記消火具へ送るポンプと、
    前記ガスボンベと前記ポンプとの間に繋がれ、前記ガスの一部を駆動用ガスとして前記ポンプへ送る駆動用ガスホースと、
    を備えたことを特徴とする二流体消火システム。
  2. 前記消火用ガスホースと前記駆動用ガスホースとは、前記ガスボンベ側で連通していることを特徴とする請求項1に記載の二流体消火システム。
  3. 前記水供給源は、前記水を貯留する水タンクであることを特徴とする請求項1又は2に記載の二流体消火システム。
  4. 前記消火具は、前記ガス及び前記水に対する遮断及び開放の切り換えを同時に行うことができ、前記ガスと前記水とからなる二流体の噴射を制御できるトリガを備えていることを特徴とする請求項3に記載の二流体消火システム。
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