JP2015038325A - 太陽熱を利用する外燃式ブレイトンサイクルエンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽光を熱源として利用しながら高い効率が得られる外燃式ブレイトンサイクルエンジンを提供する。【解決手段】ヘリウムを作動媒体(WM)とする外燃式ブレイトンサイクルエンジン(E)において、前記作動媒体(WM)を圧縮する圧縮機(1)と、前記作動媒体(WM)から動力を取り出すタービン(5)と、前記タービンから排出された作動媒体(WM)を冷却して前記圧縮機(1)に供給する冷却器(39)と、前記圧縮機(1)と前記タービン(5)との間に配置されて、太陽光(SL)を熱源として前記作動媒体(WM)を加熱する加熱器(3)とを設ける。【選択図】図1
Description
本発明は、太陽光を熱源として利用する外燃式ブレイトンサイクルエンジンに関する。
近年、環境問題やエネルギー問題の一解決策として、太陽光を熱源として利用するタービン装置による発電技術、例えば、太陽熱を利用した蒸気タービンやガスタービンが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
しかし、太陽光を利用するこのような設備は、一般に、サンベルト地域のように日照時間が長く、かつ降水量の少ない場所に設置されるので、蒸気タービンの作動媒体や冷却媒体として用いられる水の確保が困難である。また、ガスタービンでは作動媒体および冷却媒体に空気を用いるので、水の確保という課題は生じないものの、太陽光から得られる熱を圧縮空気に伝達する加熱器の耐圧性および耐熱温度に制約があることから、十分なエンジン効率が得られない。
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決するために、太陽光を熱源として利用しながら高い効率が得られる外燃式ブレイトンサイクルエンジンを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る外燃式ブレイトンサイクルエンジンは、ヘリウムを作動媒体とする外燃式ブレイトンサイクルエンジンであって、前記作動媒体を圧縮する圧縮機と、前記作動媒体から動力を取り出すタービンと、前記タービンから排出された作動媒体を冷却して前記圧縮機に供給する冷却器と、前記圧縮機と前記タービンとの間に配置されて、太陽光を熱源として前記作動媒体を加熱する加熱器とを備えている。
この構成によれば、作動媒体として、空気のような2原子分子からなるガスよりも大きいガス定数を有する単原子分子であるヘリウムガスを用いることにより、エンジン内の圧力比を低く設定しても、高い効率を得ることができる。したがって、加熱器の圧力も低く設定することが可能となるので、加熱器の信頼性が向上するとともに、コストを低減することができる。さらに、ヘリウムガスは軽量であるので、高い温度伝導度を有し、太陽光を熱源とする加熱器から高いガス温度で熱回収できることからエンジンの効率が向上する。
本発明の一実施形態において、前記加熱器が、外部の集光装置から太陽光を受けて前記作動媒体を加熱する加熱体を有していることが好ましい。この構成によれば、太陽光のエネルギーを効率的にエンジンに利用することができる。
本発明の一実施形態において、前記圧縮機の低圧圧縮部と高圧圧縮部との間に、前記低圧圧縮部で圧縮された作動媒体を冷却して前記高圧圧縮部に供給する中間冷却器が設けられていることが好ましい。この構成によれば、低圧圧縮部からの圧縮途中の作動媒体を冷却することにより、高圧圧縮部の仕事が減少し、出力が増加し、復熱器での熱交換を組み合わせることでエンジン全体の効率も一層向上する。
本発明に係る外燃式ブレイトンサイクルエンジンによれば、以上のように、太陽光を熱源として利用しながら、極めて高い効率を得ることが可能となる。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる外燃式ブレイトンサイクルエンジン(以下、単に「エンジン」という。)Eを示す概略構成図である。このエンジンEは、主要な構成要素として、作動媒体WMを圧縮する圧縮機1、圧縮機1で圧縮された作動媒体WMを加熱する加熱器3、およびこの圧縮・加熱された作動媒体WMから動力を取り出すタービン5を有している。本実施形態では、エンジンEを、タービン5から排出される作動媒体WMを圧縮機1へ供給して再利用する閉サイクルエンジンとして構成しており、作動媒体WMとしてヘリウムガスを使用している。エンジンEの出力により、発電機7のような負荷が駆動される。
圧縮機1は、低圧圧縮機部1aと高圧圧縮機部1bとからなり、これら低圧圧縮機部1aと高圧圧縮機部1bとの間に、中間冷却器11が設けられている。この中間冷却器11によって低圧圧縮機部1aで圧縮された作動媒体WMを冷却することにより、高圧圧縮機部1bの圧縮仕事が小さくなり、効率が向上する。圧縮機1から排出された高圧の作動媒体WMは、復熱器13を通過した後に、加熱器3へ送られる。復熱器13は、後述するように、タービン5から排出された高温の作動媒体WMの熱を利用して、圧縮機1から加熱器3へ向かう作動媒体WMを予熱する。
圧縮機1とタービン5との間に配置された加熱器3は、エンジンEの外部に設置された太陽光の集光装置17から供給された太陽光SLを受け、これを熱源として作動媒体WMを加熱する。本実施形態では、太陽光集光装置17として、加熱器3に向けて集光するように角度調整可能な多数のミラーMRを用いている。
図2に、加熱器3の構造を示す。加熱器3は、太陽光集光装置17(図1)からの太陽光SLを受ける集光部19、受光ウインドウ21および加熱体23を介して、加熱器3に導入された作動媒体WMを加熱する。ほぼ半球形状を有する受光ウインドウ21は、加熱器3の外周壁を形成する円筒状の容器25の一方の底面25aに、容器25の内部に向かって膨出するように取り付けられている。受光ウインドウ21の外表面21a、つまり容器25の内側を向く面は、太陽光SLを吸収して熱に変換し、作動媒体WMを加熱する加熱体23で覆われており、さらに、加熱体23は、有底円筒形状を有する隔壁27によって覆われている。換言すれば、受光ウインドウ21と、有底円筒形状の隔壁27の開口部27aとの間が、加熱体23によって塞がれている。受光ウインドウ21は、太陽光SLに対して透明であり、かつ高圧の作動媒体WMの圧力に耐え得る強度を有する素材、例えば石英ガラスで形成されている。加熱体23は、耐熱性を有する多孔性の素材、例えば、セラミック発泡体で形成されている。
容器25の他方の底面25bには、圧縮機1で圧縮された作動媒体WMの導入路29を形成する導入管31および加熱器3で加熱された作動媒体WMの排出路33を形成する排出管35が接続されている。排出管35は、容器25の他方の底面25bを貫通して、隔壁27の内方空間に連通している。
導入管31から加熱器3内に導入された作動媒体WMは、容器25の内周面と隔壁27との間の空間Sを通った後に、多孔質の加熱体23の内部に取り込まれる。加熱体23によって加熱された作動媒体WMは、隔壁27の内方空間から排出路33を経て加熱器3の外部に排出され、図1に示すように、タービン5へ送給される。
加熱器3から供給された高温高圧の作動媒体WMは、タービン5を駆動した後、高温・低圧の作動媒体WMとしてタービン5から排出される。このタービン5から排出された作動媒体WMは、最終的に圧縮機1に供給されるが、タービン5から圧縮機1へ作動媒体WMを戻す返送通路37の中途には、前記復熱器13および冷却器39が設けられており、復熱器13を通過することにより、圧縮機1から排出された作動媒体WMによって、高温の作動媒体WMが冷却され、その後冷却器39によってさらに冷却される。冷却された作動媒体WMが、圧縮機1に供給される。
冷却器39としては、一般的に用いられているものを使用することができるが、エンジンEが水の確保が困難な場所に設置されることを考慮して、冷却媒体として水を用いない乾式冷却式の冷却器として構成することが好ましい。
なお、本実施形態の変形例として、図3に示すように、タービン5を高圧タービン部5aと低圧タービン部5bとからなる2段に構成し、高圧タービン部5aと低圧タービン部5bの間に追加の加熱器43を設けてもよい。このように構成して、作動媒体WMを再度加熱することにより、エンジンEの効率がさらに向上する。また、図1のエンジンEにおいて、圧縮機1を1段で構成して中間冷却器を省略してもよい。
以上のように、本実施形態に係るエンジンEでは、作動媒体WMとして、空気のような2原子分子からなるガスよりも大きいガス定数を有する単原子分子であるヘリウムガスを用いている。空気のガス定数が1.4であるのに対して、ヘリウムのガス定数は、1.66である。これにより、エンジンE内の圧力比を低く設定しても、高い効率を得ることができる。したがって、加熱器3の圧力も低く設定することが可能となるので、加熱器3の信頼性が向上するとともに、コストを低減することができる。さらに、ヘリウムガスは軽量であるので、高い温度伝導度を有し、エンジンEの効率が向上する。
なお、本発明には含まれないが、作動媒体としてヘリウムガスの代わりにアルゴンガスを用いることもできる。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 圧縮機
3 加熱器
5 タービン
7 発電機
23 加熱体
39 冷却器
E 外燃式ブレイトンサイクルエンジン
WM 作動媒体
3 加熱器
5 タービン
7 発電機
23 加熱体
39 冷却器
E 外燃式ブレイトンサイクルエンジン
WM 作動媒体
Claims (3)
- ヘリウムを作動媒体とする外燃式ブレイトンサイクルエンジンであって、
前記作動媒体を圧縮する圧縮機と、
前記作動媒体から動力を取り出すタービンと、
前記タービンから排出された作動媒体を冷却して前記圧縮機に供給する冷却器と、
前記圧縮機と前記タービンとの間に配置されて、太陽光を熱源として前記作動媒体を加熱する加熱器と
を備える外燃式ブレイトンサイクルエンジン。 - 請求項1において、前記加熱器は、外部の集光装置から太陽光を受けて前記作動媒体を加熱する加熱体を有する外燃式ブレイトンサイクルエンジン。
- 請求項1または2において、前記圧縮機の低圧圧縮部と高圧圧縮部との間に、前記低圧圧縮部で圧縮された作動媒体を冷却して前記高圧圧縮部に供給する中間冷却器が設けられている外燃式ブレイトンサイクルエンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012040246A JP2015038325A (ja) | 2012-02-27 | 2012-02-27 | 太陽熱を利用する外燃式ブレイトンサイクルエンジン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012040246A JP2015038325A (ja) | 2012-02-27 | 2012-02-27 | 太陽熱を利用する外燃式ブレイトンサイクルエンジン |
Publications (1)
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JP2015038325A true JP2015038325A (ja) | 2015-02-26 |
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ID=52631517
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2012040246A Pending JP2015038325A (ja) | 2012-02-27 | 2012-02-27 | 太陽熱を利用する外燃式ブレイトンサイクルエンジン |
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JP (1) | JP2015038325A (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09103766A (ja) * | 1995-10-13 | 1997-04-22 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 海水淡水化装置 |
JPWO2006025449A1 (ja) * | 2004-08-31 | 2008-05-08 | 国立大学法人東京工業大学 | 太陽光集熱器、太陽光集光用反射装置、太陽光集光システムおよび太陽光エネルギ利用システム |
-
2012
- 2012-02-27 JP JP2012040246A patent/JP2015038325A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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JPWO2006025449A1 (ja) * | 2004-08-31 | 2008-05-08 | 国立大学法人東京工業大学 | 太陽光集熱器、太陽光集光用反射装置、太陽光集光システムおよび太陽光エネルギ利用システム |
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