JP2015035759A - 分配/合成器、及び、スタブ付き伝送線路用スタブ部 - Google Patents
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Abstract
【課題】平面構成で2周波対応のウィルキンソン型3方向分配/合成器を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る分配/合成器100は、第2〜第4の端子2〜4と第1の端子1との間それぞれに直列に接続された3組の第1及び第2の伝送線路11〜13,21〜23と、2つの第1の抵抗素子31,32と、2つの第2の抵抗素子41,42と、第1の伝送線路11〜13における第2〜第4の端子2〜4側それぞれに設けられた3つの第1のスタブ部51〜53と、第1の伝送線路11〜13と第2の伝送線路21〜23の間の接続部それぞれに設けられた3つの第2のスタブ部61〜63と、第2の伝送線路21〜23における第1の端子1側に設けられた第3のスタブ部71とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の一実施形態に係る分配/合成器100は、第2〜第4の端子2〜4と第1の端子1との間それぞれに直列に接続された3組の第1及び第2の伝送線路11〜13,21〜23と、2つの第1の抵抗素子31,32と、2つの第2の抵抗素子41,42と、第1の伝送線路11〜13における第2〜第4の端子2〜4側それぞれに設けられた3つの第1のスタブ部51〜53と、第1の伝送線路11〜13と第2の伝送線路21〜23の間の接続部それぞれに設けられた3つの第2のスタブ部61〜63と、第2の伝送線路21〜23における第1の端子1側に設けられた第3のスタブ部71とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、分配/合成器、及び、スタブ付き伝送線路用スタブ部に関する。
通信機器内におけるミキサやアレイアンテナへの信号供給用回路あるいはマイクロ波ミリ波の大電力増幅用回路として、ウィルキンソン電力分配器は有用なマイクロ波ミリ波帯回路素子の一つとなっている。その理由は、同位相で信号を分割し,全ポート整合が得られ,出力端子間アイソレーションがとれるからである。
近年、通信分野における周波数資源の有効利用技術として、マルチバンド/マルチモード回路技術が注目されている。このような状況の中で、平面構成のウィルキンソン型2方向分配器はマイクロ波ミリ波集積回路に適しているため、広帯域化、多ポート化、マルチバンド化、小型化、一般化などに関して多くの研究がなされている。
多ポート化に関しては、平面構成2方向分配器を複数組み合わせる方式が検討されており、例えば、電力配分比を変えることにより2つ又は3つの平面構成2方向分配器を組み合わせる平面構成3方向分配器の回路例が開示されている(非特許文献1〜3参照)。また、非特許文献3、4には、1周波のみの動作で3方向に分配する回路例が開示されている。また、非特許文献5には、単独で平面構成で2周波数に対して3分配する回路例が開示されている。
また、マイクロ波ミリ波集積回路では、複数の回路素子を接続するために、所定の特性インピーダンスに設計された伝送線路が用いられる。
Y. Wu, Y.Liu, Q. Xue, S. Li, andC. Yu, "Analytical design method of multiway dual-band planar power dividerswith arbitrary power division," IEEE Trans. Microwave Theory & Tech., vol. 58, pp.3832-3841, Dec.2010.
I. Sakagami, X. Wang, K. Takahashiand S. Okamura "Generalized, two-way, two-section, dual-band Wilkinson power dividerwith two absorption resistors and its miniaturization," IEEE Trans.Microw. Theory Tech., vol.59, no.11, pp. 2833-2847, Nov. 2011.
M. E. Goldfarb, "Arecombinant, in-phase power divider," IEEE Trans. Microwave Theory &Tech., vol. 39, pp. 1438-1440, Aug. 1991.
J.C. Chiu, J.M. Lin and Y. H.Wang, "A novel planar three-way power divider," IEEE Microw.Wireless Compon. Lett., vol. 16, no. 8, pp. 449-451, Aug. 2006.
C. Feng, G. Zhao, X.F. Liu andF.S. Zhang, "Planar three-way dual-frequency power divider,"Electronics Lett., vol. 44, no. 2, 17th Jan. 2008.
ところで、非特許文献5には、出力端子側からみた反射特性、及び、出力端子間のアイソレーション特性が、ウィルキンソン型分配器として要求される条件を満たしているか否かについて言及されていない。
そこで、本願発明者らは、非特許文献5に開示の回路例について、2周波数(0.9GHz、1.8GHz)のシミュレーション検証を行ったところ、出力端子側からみた反射特性、及び、出力端子間のアイソレーション特性は、設計周波数において十数デシベルから二十数デシベル程度であった。すなわち、非特許文献5に開示の平面構成2周波対応3方向分配器は、ウィルキンソン型分配器として要求される出力端子反射特性及び出力端子間アイソレーション特性の条件を満たしていない。
この点に関し、本願発明者らは、例えば1/4波長の伝送線路として、両端それぞれに終端開放スタブ又は終端短絡スタブを設けたスタブ付き伝送線路を用いると、2周波数で等価となるとの知見を得ており、この種のスタブ付き伝送線路をウィルキンソン型分配器における1/4波長の伝送線路に適用することにより、平面構成で2周波対応のウィルキンソン型3方向分配器を実現できることを見出した。
ところで、2周波の周波数比が大きくなるほど、すなわち、2周波の周波数が離れるほど、スタブ付き伝送線路のうちの伝送線路部分の特性インピーダンスは単調に増加し、スタブ部分の特性インピーダンスは単調に減少することとなる。しかしながら、集積回路内の伝送線路の特性インピーダンスの実現範囲には制約があり(一般に、約20Ω〜150Ωである)、これに起因して、スタブ付き伝送線路では実現可能な2周波の周波数比の範囲に制約が生じてしまう。
そこで、本発明は、平面構成で2周波対応のウィルキンソン型3方向分配/合成器、及び、スタブ付き伝送線路用スタブ部を提供することを目的とする。
上記したように、本願発明者らは、例えば1/4波長の伝送線路として、両端それぞれに終端開放スタブ又は終端短絡スタブを設けたスタブ付き伝送線路を用いると、2周波数で等価となるとの知見を得ている。
そこで、本発明の分配/合成器は、第1の端子に入力される信号を3つの信号に分配して第2〜第4の端子へそれぞれ出力する分配器として機能し、もしくは、第2〜第4の端子にそれぞれ入力される3つの信号を合成して第1の端子へ出力する合成器として機能するウィルキンソン型の分配/合成器であって、(1)第2の端子と第1の端子との間、第3の端子と第1の端子との間、及び、第4の端子と第1の端子との間それぞれに、順に直列に接続された3組の第1及び第2の伝送線路と、(2)第2の端子と第3の端子との間、及び、第3の端子と第4の端子との間それぞれに接続された2つの第1の抵抗素子と、(3)3組の第1及び第2の伝送線路のうちの第2の端子と第1の端子との間に接続された第1及び第2の伝送線路の間の接続部と、3組の第1及び第2の伝送線路のうちの第3の端子と第1の端子との間に接続された第1及び第2の伝送線路の間の接続部との間、及び、3組の第1及び第2の伝送線路のうちの第3の端子と第1の端子との間に接続された第1及び第2の伝送線路の間の接続部と、3組の第1及び第2の伝送線路のうちの第4の端子と第1の端子との間に接続された第1及び第2の伝送線路の間の接続部との間それぞれに接続された2つの第2の抵抗素子と、(4)3組の第1及び第2の伝送線路のうちの3つの第1の伝送線路における第2、第3又は第4の端子側それぞれに設けられた3つの第1のスタブ部と、(5)3組の第1及び第2の伝送線路の間の接続部それぞれに設けられた3つの第2のスタブ部と、(6)3組の第1及び第2の伝送線路のうちの3つの第2の伝送線路における第1の端子側に設けられた第3のスタブ部とを備える。
この分配/合成器によれば、3つの第1のスタブ部それぞれが、3つの第1の伝送線路のうちの対応の第1の伝送線路の一端側のスタブを含み、3つの第2のスタブ部それぞれが、3つの第1の伝送線路のうちの対応の第1の伝送線路の他端側のスタブと、3つの第2の伝送線路のうちの対応の第2の伝送線路の一端側のスタブとを並列に含み、第3のスタブ部が、3つの第2の伝送線路すべての他端側のスタブを並列に含むことにより、第1及び第2の伝送線路それぞれが、2周波数で等価となるスタブ付き伝送線路に相当する。したがって、この分配/合成器によれば、平面構成で2周波対応のウィルキンソン型3方向分配/合成器を実現することができる。
ところで、上記したように、2周波の周波数比が大きくなるほど、すなわち、2周波の周波数が離れるほど、スタブ付き伝送線路のうちの伝送線路部分の特性インピーダンスは単調に増加し、スタブ部分の特性インピーダンスは単調に減少することとなる。しかしながら、集積回路内の伝送線路の特性インピーダンスの実現範囲には制約があり(一般に、約20Ω〜150Ωである)、これに起因して、スタブ付き伝送線路では実現可能な2周波の周波数比の範囲に制約が生じる。
そこで、上記した第1、第2及び第3のスタブ部のうちの少なくとも何れかは、直列に接続された伝送線路とインダクタとを含み、インダクタ側において終端短絡されていてもよい。この構成によれば、スタブ部における伝送線路部分の特性インピーダンスを低くすることができ、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
また、上記した第1、第2及び第3のスタブ部のうちの少なくとも何れかは、直列に接続された伝送線路とキャパシタとを含み、キャパシタ側において終端短絡されていてもよい。この構成によれば、スタブ部における伝送線路部分の特性インピーダンスを高くすることができ、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
また、上記した分配/合成器は、第1の端子と第2〜4の端子それぞれとの間の伝送特性の最大平坦条件を導入しない形態であってもよい。この構成によれば、スタブ付き伝送線路における伝送線路部分の特性インピーダンス及びスタブ部分の特性インピーダンスの選択肢が増えるので、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
また、上記した第1、第2及び第3のスタブ部のうちの少なくとも何れかは、直列に接続されたインダクタとキャパシタとを含み、終端短絡されていてもよい。この構成によれば、スタブ部に伝送線路を用いないので、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。このように、本発明のスタブ部は、伝送線路を用いないものも含む概念である。
一方、本発明のスタブ付き伝送線路用スタブ部は、直列に接続された伝送線路とインダクタとを含み、インダクタ側において終端短絡されている。
このスタブ付き伝送線路用スタブ部によれば、2周波対応のスタブ付き伝送線路を得ることができる。更に、このスタブ付き伝送線路用スタブ部によれば、上記したように、スタブ部における伝送線路部分の特性インピーダンスを低くすることができ、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
また、本発明の別のスタブ付き伝送線路用スタブ部は、直列に接続された伝送線路とキャパシタとを含み、キャパシタ側において終端短絡されている。
このスタブ付き伝送線路用スタブ部によれば、2周波対応のスタブ付き伝送線路を得ることができる。更に、このスタブ付き伝送線路用スタブ部によれば、スタブ部における伝送線路部分の特性インピーダンスを高くすることができ、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
本発明によれば、平面構成で2周波対応のウィルキンソン型3方向分配/合成器、及び、スタブ付き伝送線路用スタブ部を実現することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
[従来の分配器]
[従来の分配器]
図31は、従来の分配器を示す回路図である。図31に示す従来の分配器100Xは、平面構成で単一周波数対応のウィルキンソン型3方向分配器であり、第1の端子1に入力される信号を3つの信号に分配して第2〜第4の端子2〜4へそれぞれ出力する。この分配器100Xは、第1〜第4の端子1〜4と、3つの第1の伝送線路11X〜13Xと、3つの第2の伝送線路21X〜23Xと、2つの第1の抵抗素子31,32と、2つの第2の抵抗素子41,42とを備えている。なお、図31では、第1〜第4の端子1〜4それぞれに抵抗値R0(例えば、50Ω)の終端抵抗が接続されている。
第1の伝送線路11X及び第2の伝送線路21Xは、第2の端子2と第1の端子1との間に順に直列に接続されており、第1の伝送線路12X及び第2の伝送線路22Xは、第3の端子3と第1の端子1との間に順に直列に接続されている。また、第1の伝送線路13X及び第2の伝送線路23Xは、第4の端子4と第1の端子1との間に順に直列に接続されている。第1の伝送線路11X〜13Xそれぞれは、単一周波数に対して1/4波長(90°)となっており、特性インピーダンスZ1を有する。一方、第2の伝送線路21X〜23Xそれぞれは、単一周波数に対して1/4波長(90°)となっており、特性インピーダンスZ2を有する。
第1の抵抗素子31は、第2の端子2と第3の端子3との間に接続されており、第1の抵抗素子32は、第3の端子3と第4の端子4との間に接続されている。第1の抵抗素子31,32それぞれの抵抗値はR1である。また、第2の抵抗素子41は、第1及び第2の伝送線路11X,21Xの間の接続部と、第1及び第2の伝送線路12X,22Xの間の接続部との間に接続されており、第2の抵抗素子42は、第1及び第2の伝送線路12X,22Xの間の接続部と、第1及び第2の伝送線路13X,23Xの間の接続部との間に接続されている。第2の抵抗素子41,42それぞれの抵抗値はR2である。
一般に、この種の分配器では、第1の伝送線路11X〜13Xの特性インピーダンスZ1、第2の伝送線路21X〜23Xの特性インピーダンスZ2、第1の抵抗素子31,32の抵抗値R1、及び、第2の抵抗素子41,42の抵抗値R2は、第1の端子1から第2〜第4の端子2〜4それぞれへの伝送特性が以下に示す最大平坦特性を満たすように設計される。
ところで、この分配器100Xは、非特許文献5に開示の回路例に相当し、上述したように、本願発明者らの検証によれば、2周波数に対して、ウィルキンソン型分配器として要求される出力反射特性及び出力端子間アイソレーション特性の条件を満たさない。
[本実施形態の分配器]
[本実施形態の分配器]
図1は、本発明の実施形態に係る分配器を示す回路図である。図1に示す分配器100は、平面構成で2周波数対応のウィルキンソン型3方向分配器であり、従来の分配器100Xにおいて、3つの第1の伝送線路11X〜13X及び3つの第2の伝送線路21X〜23Xに代えて、3つの第1の伝送線路11〜13及び3つの第2の伝送線路21〜23を備えている点で従来の分配器100Xと異なっている。また、この分配器100は、更に、3つの第1のスタブ部51〜53、3つの第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71を備えている点で従来の分配器100Xと異なっている。
第1の伝送線路11及び第2の伝送線路21は、第2の端子2と第1の端子1との間に順に直列に接続されており、第1の伝送線路12及び第2の伝送線路22は、第3の端子3と第1の端子1との間に順に直列に接続されている。また、第1の伝送線路13及び第2の伝送線路23は、第4の端子4と第1の端子1との間に順に直列に接続されている。第1の伝送線路11〜13それぞれは、2周波数の平均周波数に対して1/4波長(90°)となっており、特性インピーダンスZA1を有する。一方、第2の伝送線路21〜23それぞれは、2周波数の平均周波数に対して1/4波長(90°)となっており、特性インピーダンスZA2を有する。
第1のスタブ部51は、第1の伝送線路11における第2の端子2側に設けられており、第2のスタブ部52は、第1の伝送線路12における第3の端子3側に設けられている。また、第3のスタブ部53は、第1の伝送線路13における第4の端子4側に設けられている。また、第2のスタブ部61は、第1及び第2の伝送線路11,21の間の接続部に設けられており、第2のスタブ部62は、第1及び第2の伝送線路12,22の間の接続部に設けられている。また、第2のスタブ部63は、第1及び第2の伝送線路13,23の間の接続部に設けられている。また、第3のスタブ71は、第2の伝送線路21,22,23における第1の端子1側に設けられている。本実施形態では、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71それぞれは、伝送線路で構成される終端開放スタブである。
次に、図2を参照して、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71の導出方法について説明する。図2(a)には、従来の分配器100Xにおける第1の伝送線路11X〜13X及び第2の伝送線路21X〜23X、すなわち単一周波数対応の伝送線路が示されており、図2(b)には、2周波対応の終端開放スタブ付き伝送線路が示されている。
ここで、図2(a)における伝送線路は、単一周波数で1/4波長となる特性インピーダンスZk(k=1,2)の伝送線路である。一方、図2(b)における伝送線路は、上側周波数f1、下側周波数f2の平均周波数f0で1/4波長となる特性インピーダンスZAk(k=1,2)の伝送線路であり、図2(b)における終端開放スタブは、上側周波数f1、下側周波数f2の平均周波数f0で1/4波長となる特性インピーダンスZBk(k=1,2)の終端開放スタブである。なお、k=1のとき第1の伝送線路に対応し、k=2のとき第2の伝送線路に対応する。
図2(a)に示す伝送線路と、図2(b)に示す終端開放スタブ付き伝送線路とは、次の関係式を満たす場合に等価となる。
これらの上式(3)、(4)を用い、図31に示す第1の伝送線路11X〜13X及び第2の伝送線路21X〜23Xそれぞれを、図2(b)に示す終端開放スタブ付き伝送線路に置き換えると、本実施形態の分配器100が得られる。
これらの上式(3)、(4)を用い、図31に示す第1の伝送線路11X〜13X及び第2の伝送線路21X〜23Xそれぞれを、図2(b)に示す終端開放スタブ付き伝送線路に置き換えると、本実施形態の分配器100が得られる。
これより、第1のスタブ部51〜53それぞれは、第1の伝送線路11〜13のうちの対応の第1の伝送線路の一端側の終端開放スタブを含み、特性インピーダンスZB1を有する。また、第2のスタブ部61〜63それぞれは、第1の伝送線路11〜13のうちの対応の第1の伝送線路の他端側の終端開放スタブと、第2の伝送線路21〜23のうちの対応の第2の伝送線路の一端側の終端開放スタブとを並列に含み、特性インピーダンスZB1//ZB2を有する。また、第3のスタブ部71は、第2の伝送線路21〜23すべての他端側の終端開放スタブを並列に含み、特性インピーダンスZB2/3を有する。
なお、これらの特性インピーダンスZB1、ZB2は、上式(4)より決定される。また、第1の伝送線路11〜13の特性インピーダンスZA1、及び、第2の伝送線路21〜23の特性インピーダンスZA2は、上式(3)より決定される。
なお、図2(b)に示す2周波対応の終端開放スタブ付き伝送線路に代えて、図2(c)に示す2周波対応の終端短絡スタブ付き伝送線路を適用してもよい。図2(c)に示す終端短絡スタブは、上側周波数f1、下側周波数f2の平均周波数f0で1/2波長となる特性インピーダンスZSk(k=1,2)の終端短絡スタブである。この場合、等価関係式として、上式(4)に代えて下式(6)を適用する。
本願発明者らは、例えば1/4波長の伝送線路として、両端それぞれに終端開放スタブ又は終端短絡スタブを設けたスタブ付き伝送線路を用いると、2周波数で等価となるとの知見を得ている。本実施形態の分配器100によれば、図31に示す従来の分配器100Xにおける第1の伝送線路11X〜13X及び第2の伝送線路21X〜23Xそれぞれを、図2(b)に示すスタブ付き伝送線路に置き換えるので、平面構成で2周波対応のウィルキンソン型3方向分配器を実現することができる。
以下では、本実施形態の分配器100の2周波対応性について検証する。
(i)RFIDシステムにおける2周波f1=915MHz、f2=2450MHzに対応する場合
(i)RFIDシステムにおける2周波f1=915MHz、f2=2450MHzに対応する場合
表1に、伝送線路及びスタブ部それぞれの特性インピーダンスと寸法との計算結果を示す。なお、寸法算出では、誘電体厚0.787mm、銅箔厚0.018mm、比誘電率2.2、誘電正接tanδ=0.0009とした。
図3に、表1の寸法に基づいて試作した分配器を示す。図3では、ZB2/3=66.4Ωのスタブを2分割し、2ZB2/3=132.8Ωの2本のスタブに置き換えている。また、回路中央に位置するZB1//ZB2=72.9Ωも2分割し、2ZB1//ZB2=145.8Ωの2本のスタブに置き換えている。また、R1=200Ω(理論値200)、R2=68Ω(理論値65)である。
図4(a)は、第1の端子1における反射特性S11のシミュレーション結果及び測定結果であり、図4(b)は、第2の端子2における反射特性S22のシミュレーション結果及び測定結果であり、図4(c)は、第3の端子3における反射特性S33のシミュレーション結果及び測定結果である(第4の端子の反射特性は、同様のため省略)。また、図5(a)は、第2の端子2と第3の端子3との間のアイソレーション特性S32のシミュレーション結果及び測定結果であり、図5(b)は、第2の端子2と第4の端子4との間のアイソレーション特性S42のシミュレーション結果及び測定結果である。また、図6(a)は、第1の端子1から第2〜第4の端子2〜4それぞれへの伝送特性S21、S31、S41の利得特性のシミュレーション結果及び測定結果であり、図6(b)は、各伝送特性S21、S31、S41の位相特性の測定結果である。
図4によれば、所定の周波数で全ての端子が整合していることがわかる。また、図5によれば、出力端子間のアイソレーションがとれていることがわかる。また、図6によれば、伝送特性の所定の周波数における−4.77dBにより電力が均等に3分割配分されていることがわかる。また、図4〜6に示すように、本実施形態の分配器100によれば、ウィルキンソン電力分配器として要求される入出力端子整合、所定の分配特性、出力端子間アイソレーション、等位相分配の条件がすべて2周波で成立することが、シミュレーション及び実験により確認できた。
(ii)GSM(Global System for MobileCommunication)システムにおける2周波数f1=900MHz、f2=1800MHzに対応する場合
(ii)GSM(Global System for MobileCommunication)システムにおける2周波数f1=900MHz、f2=1800MHzに対応する場合
伝送線路及びスタブ部それぞれの特性インピーダンスの計算結果は以下のとおりである。
ZA1=76.0Ω
ZA2=131.6Ω
ZB1=228.0Ω
ZB1//ZB2=144.5Ω
ZB2/3=131.6Ω
ZA1=76.0Ω
ZA2=131.6Ω
ZB1=228.0Ω
ZB1//ZB2=144.5Ω
ZB2/3=131.6Ω
一般に、マイクロ波ミリ波帯回路では、実現可能なマイクロストリップラインの特性インピーダンスは約20Ω〜150Ωとされている。これより、ZB1=228.0Ωは、マイクロ波ミリ波帯回路におけるマイクロストリップラインでは実現できない値である。
ここで、図7は、上式(3),(4),(6)において周波数比uの変化に対するZkで規格化したインピーダンスを示す。2周波の周波数比が大きくなるほど、すなわち、2周波の周波数が離れるほど、上式(3)(すなわち、スタブ付き伝送線路の伝送線路部分の特性インピーダンス)は単調に増加する関数であり、上式(4)、(6)(すなわち、スタブ付き伝送線路のスタブ部分の特性インピーダンス)は単調に減少する関数であるので、マイクロ波ミリ波帯回路内の伝送線路の特性インピーダンスの実現範囲により、図2(b)、(c)に示すスタブ付き伝送線路では実現可能な周波数比uの範囲に制約が生じる。
この点に関し、本願発明者らは、本実施形態に係る第1〜第4の変形例を考案する。
[第1の変形例の分配器、及び、本実施形態のスタブ付き伝送線路用スタブ部]
[第1の変形例の分配器、及び、本実施形態のスタブ付き伝送線路用スタブ部]
第1の変形例に係る分配器100は、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のうちの少なくとも何れかが、図8(b)に示すように、直列に接続された伝送線路TとインダクタLとを含み、インダクタL側において終端短絡されている点で、本実施形態と異なっている。このように、第1の変形例の第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のうちの少なくとも何れかにおける伝送線路Tは、インダクタLを用いて終端されている。
以下では、図8を参照して、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71の導出方法について説明する。図8(a)は、本実施形態の終端開放スタブであって、特性アドミッタンスYB、周波数fi(i=1,2)にて電気角θiの終端開放スタブを示し、図8(b)は、第1の変形例のインダクタ終端短絡スタブ(本実施形態のスタブ付き伝送線路用スタブ部)であって、特性アドミッタンスYC、周波数fiにて電気角θCiのインダクタ終端伝送線路TとインダクタLとを含むインダクタ終端短絡スタブを示す。
ここで、ZB=1/YB、ZC=1/YCとする。また、回路がコンパクトサイズであることを前提に、下側周波数f1に対する電気角θ1は、
であると仮定する。この仮定は、図8(a)の終端開放スタブが平均周波数f0=(f1+f2)/2において線路長90°であることと等価である。したがって、電気角θ1は、θ2=uθ1より、以下のように表される。ここで電気角θ2は上側周波数f2に対応する。
であると仮定する。この仮定は、図8(a)の終端開放スタブが平均周波数f0=(f1+f2)/2において線路長90°であることと等価である。したがって、電気角θ1は、θ2=uθ1より、以下のように表される。ここで電気角θ2は上側周波数f2に対応する。
次に、図8(a)に示す終端開放スタブの入力アドミッタンスと、図8(b)に示すインダクタ終端短絡スタブの入力アドミッタンスとが、2周波数f=f1,f2で等しくなるとする。この条件より、2つの等価条件式が得られる。一方の等価条件式より、下式が得られる。
また、もう一方の等価条件式は、下記式のように表される。
上式(8)より、下式が求まる。
上式(9)よりYcが求まると、上式(7b)よりLが求まる。
また、もう一方の等価条件式は、下記式のように表される。
上式(8)より、下式が求まる。
上式(9)よりYcが求まると、上式(7b)よりLが求まる。
次に、終端開放スタブのインピーダンスZBとインダクタ終端短絡スタブにおけるインダクタ終端伝送線路のインピーダンスZCとのインピーダンス変換係数TLを、以下のように定義する。
なお、上式(7a)を満たすθC1とθC2の組み合わせは複数考えられる。本実施形態では、回路のコンパクト性の観点から次の2通りについて考える。
(1)0<θC1<π/4、θC1+θC2=π/2の場合
(1)0<θC1<π/4、θC1+θC2=π/2の場合
この場合、上式(9)によってYc<0となり実現不可である。
(2)0<θC1<3π/4、θC1+θC2=3π/2の場合
(2)0<θC1<3π/4、θC1+θC2=3π/2の場合
平均周波数f0=(f1+f2)/2に対するインダクタ終端伝送線路Tの電気長θC0及びθC1は、以下のように表される。
ここで、
(2.1)0<θC1<π/4の時、tanθC1<1かつ√u>1より、Yc<0となり実現不可である。
(2.2)π/4<θC1<π/2の時、θC1が大きくなると、uは小さくなるので、式(9)を満たす解がある。y=tanθc1‐√u=0 を数値的に求めると、u=3.39が得られる。θC1=π/2はu=2に対応するので、2<u<3.39が実現範囲となる。
(2.3)u=2、θC1=π/2、θC2=πの時、u=2の時はθC1=π/2、θC2=πと選ぶ必要があり、これは、上式(7a)に対して特殊解であり、この時の導出手順を以下に示す。
ここで、
(2.1)0<θC1<π/4の時、tanθC1<1かつ√u>1より、Yc<0となり実現不可である。
(2.2)π/4<θC1<π/2の時、θC1が大きくなると、uは小さくなるので、式(9)を満たす解がある。y=tanθc1‐√u=0 を数値的に求めると、u=3.39が得られる。θC1=π/2はu=2に対応するので、2<u<3.39が実現範囲となる。
(2.3)u=2、θC1=π/2、θC2=πの時、u=2の時はθC1=π/2、θC2=πと選ぶ必要があり、これは、上式(7a)に対して特殊解であり、この時の導出手順を以下に示す。
終端開放スタブの入力アドミッタンスをYin B、インダクタ終端短絡スタブの入力アドミッタンスをYin Cとすると、Yin B、Yin Cは以下のように表される。
これらの式(12a)、(12b)より、下式が求まる。
これらの式(12a)、(12b)より、下式が求まる。
インダクタ終端伝送線路の平均周波数における電気角θC0は、
θC0=(θC1+θC2)/2=3π/4
となる。
(2.4)π/2<θC1<3π/4の時、1<u<2、tanθC1<−1より、上式(9)の分子1+√utanθC1<0となり、Yc>0となり実現可である。
θC0=(θC1+θC2)/2=3π/4
となる。
(2.4)π/2<θC1<3π/4の時、1<u<2、tanθC1<−1より、上式(9)の分子1+√utanθC1<0となり、Yc>0となり実現可である。
以上、θC1+θC2=3π/2の場合をまとめると、
1<u<3.39、すなわち、θC1=3π/{2(u+1)}より
3π/(2・4.49)=60.13°<θC1<3π/4=135°
の範囲で実現可能である。
1<u<3.39、すなわち、θC1=3π/{2(u+1)}より
3π/(2・4.49)=60.13°<θC1<3π/4=135°
の範囲で実現可能である。
図9は、上式(10)について、上記した(1)0<θC1<π/4、θC1+θC2=π/2の場合、及び、(2)0<θC1<3π/4、θC1+θC2=3π/2の場合について図示したものである。ただし、θC1+θC2=π/2の場合は実現不可であるので図9には示されていない。図9によれば、90度終端開放スタブのインピーダンスが、約55%〜10%以下まで低インピーダンス化されることが分かる。これにより、第1の変形例によれば、図7のu=約1.5〜3の領域、すなわち、スタブの特性インピーダンスZBkが高インピーダンスである領域において、約50%以下に低インピーダンス化されることがわかる。
このように、第1の変形例の分配器100及びインダクタ終端短絡スタブ(本実施形態のスタブ付き伝送線路用スタブ部)によれば、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のうちの高インピーダンスのスタブ部における伝送線路部分の特性インピーダンスを低くすることができ、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
以下では、第1の変形例の分配器100及びインダクタ終端短絡スタブのインピーダンス低減効果について検証する。本実施形態において実現できなかった、(2)GSMシステムにおける2周波数f1=900MHz、f2=1800MHzに対応する場合のZB1=228.0Ωについて検証する。
(高インピーダンス伝送線路の条件)
使用周波数:f1=900MHz、f2=1800MHz
終端開放スタブの特性インピーダンス:ZB1=228.0Ω
終端開放スタブの電気長:f0=(f1+f2)/2において90°
(第1の変形例のインダクタ終端短絡スタブに関する計算結果)
インダクタ終端伝送線路Tの特性インピーダンス:ZC=93.06Ω
インダクタLのインダクタンス:L=11.64nH
(高インピーダンス伝送線路の条件)
使用周波数:f1=900MHz、f2=1800MHz
終端開放スタブの特性インピーダンス:ZB1=228.0Ω
終端開放スタブの電気長:f0=(f1+f2)/2において90°
(第1の変形例のインダクタ終端短絡スタブに関する計算結果)
インダクタ終端伝送線路Tの特性インピーダンス:ZC=93.06Ω
インダクタLのインダクタンス:L=11.64nH
このように、第1の変形例によれば、終端開放スタブのみの実現に要する特性インピーダンス値ZB1=228.0Ωを、特性インピーダンス値ZC=93.06Ωの伝送線路で実現できることとなる。また、後述する第2の変形例のLC回路に変換した手法ではインダクタンス値L=23.3nHのインダクタが必要であるに対して、この第1の変形例ではインダクタのインダクタンスはその値の半分のL=11.64nHとなる。インダクタンス値が小さくできることは高周波通信回路の設計や集積化において大きな優位性を有している。また、この第1の変形例の特徴は、マイクロ波からミリ波へとより高い周波数帯に適用できる。
図10は、第1の変形例の分配器のシミュレーション回路図であり、図11は、第1の端子1における反射特性S11、第2の端子2における反射特性S22、及び、第3の端子3における反射特性S33のシミュレーション結果である(第4の端子の反射特性は、同様のため省略)。また、図12は、第2の端子2と第3の端子3との間のアイソレーション特性S23、第2の端子2と第4の端子4との間のアイソレーション特性S24、第1の端子1から第2及び第3の端子2,3それぞれへの伝送特性S21、S31のシミュレーション結果である。なお、S21、S31の伝送特性は全く同じであるため、図では両者が重なっており、S21のみが表示されている。
図11によれば、所定の周波数で全ての端子が整合していることがわかる。また、図12によれば、出力端子間のアイソレーションがとれ、伝送特性の所定の周波数における−4.77dBにより電力が均等に3分割配分されていることがわかる。
次に、表2に、伝送線路及びスタブ部それぞれの特性インピーダンスと寸法との計算結果を示す。
ここで、ZB1dはZB1=228.0Ωから変換した後の値93.1である。寸法算出では、上記同様、誘電体厚0.787mm、銅箔厚0.018mm、比誘電率2.2、誘電正接tanδ=0.0009とした。
ここで、ZB1dはZB1=228.0Ωから変換した後の値93.1である。寸法算出では、上記同様、誘電体厚0.787mm、銅箔厚0.018mm、比誘電率2.2、誘電正接tanδ=0.0009とした。
図13に、表2の寸法に基づいて試作した分配器を示す。図13では、上記同様、R1=200Ω(理論値200)、R2=68Ω(理論値65)である。また、インダクタLとしては12nH(理論値11.6nH)である。
図14(a)は、第1の端子1における反射特性S11のシミュレーション結果及び測定結果であり、図14(b)は、第2の端子2における反射特性S22のシミュレーション結果及び測定結果であり、図14(c)は、第3の端子3における反射特性S33のシミュレーション結果及び測定結果である(第4の端子の反射特性は、同様のため省略)。また、図15(a)は、第2の端子2と第3の端子3との間のアイソレーション特性S32のシミュレーション結果及び測定結果であり、図15(b)は、第2の端子2と第4の端子4との間のアイソレーション特性S42のシミュレーション結果及び測定結果である。また、図16(a)は、第1の端子1から第2〜第4の端子2〜4それぞれへの伝送特性S21、S31、S41の利得特性のシミュレーション結果及び測定結果であり、図16(b)は、各伝送特性S21、S31、S41の位相特性の測定結果である。
図14〜16に示すように、反射特性、アイソレーション特性は全ての端子で−20dB以上の性能が得られ良好な結果を得た。また、分配特性では3分配の理論値−4.77dBからの最大ずれが端子1から端子2への伝送のf=f2で起こり、ここでの理論値とのずれは0.56dBであった。全体的に理論と測定が一致する極めて良好な結果を得た。
[第2の変形例]
[第2の変形例]
第2の変形例に係る分配器100は、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のうちの少なくとも何れかが、図17(b)に示すように、直列に接続されたインダクタLとキャパシタCを含み、終端短絡されている点で、本実施形態と異なっている。
以下では、図17を参照して、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71の導出方法について説明する。図17(a)は、本実施形態の終端開放スタブであって、特性アドミッタンスYB、周波数fi(i=1,2)にて電気角θiの終端開放スタブを示し、図17(b)は、第2の変形例の直列LC終端短絡スタブを示す。
図17(a)に示す終端開放スタブの入力アドミッタンスと、図17(b)に示す直列LC終端短絡スタブの入力アドミッタンスとが、2周波数f=f1,f2で等しくなるとする。この条件より、下式のように2つの等価条件式が得られる。
この第2の変形例の分配器100によれば、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のうちの高インピーダンスのスタブ部に伝送線路を用いないのでスタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
以下では、第2の変形例の分配器100のインピーダンス低減効果について検証する。本実施形態において実現できなかった、(2)GSMシステムにおける2周波数f1=900MHz、f2=1800MHzに対応する場合のZB1=228.0Ωについて検証する。
(高インピーダンス伝送線路の条件)
使用周波数:f1=900MHz、f2=1800MHz
終端開放スタブの特性インピーダンス:ZB1=228.0Ω
終端開放スタブの電気長:f0=(f1+f2)/2において90°
(第2の変形例の直列LC終端短絡スタブに関する計算結果)
キャパシタCのキャパシタンス:C=0.67pF
インダクタLのインダクタンス:L=23.3nH
このように、第2の変形例によれば、終端開放スタブのみの実現に要する特性インピーダンス値ZB1=228.0Ωを、直列LC回路で実現できることとなる。
(高インピーダンス伝送線路の条件)
使用周波数:f1=900MHz、f2=1800MHz
終端開放スタブの特性インピーダンス:ZB1=228.0Ω
終端開放スタブの電気長:f0=(f1+f2)/2において90°
(第2の変形例の直列LC終端短絡スタブに関する計算結果)
キャパシタCのキャパシタンス:C=0.67pF
インダクタLのインダクタンス:L=23.3nH
このように、第2の変形例によれば、終端開放スタブのみの実現に要する特性インピーダンス値ZB1=228.0Ωを、直列LC回路で実現できることとなる。
図18は、第2の変形例の分配器のシミュレーション回路図であり、図19は、第1の端子1における反射特性S11、第2の端子2における反射特性S22、及び、第3の端子3における反射特性S33のシミュレーション結果である(第4の端子の反射特性は、同様のため省略)。また、図20は、第2の端子2と第3の端子3との間のアイソレーション特性S23、第2の端子2と第4の端子4との間のアイソレーション特性S24、第1の端子1から第2及び第3の端子2,3それぞれへの伝送特性S12、S13のシミュレーション結果である。なお、S21、S31の伝送特性は全く同じであるため、図では両者が重なっており、S21のみが表示されている。
図19によれば、所定の周波数で全ての端子が整合していることがわかる。また、図20によれば、出力端子間のアイソレーションがとれ、伝送特性の所定の周波数における−4.77dBにより電力が均等に3分割配分されていることがわかる。
[第3の変形例]
[第3の変形例]
第3の変形例に係る分配器100は、第1の端子と第2〜第4の端子それぞれとの間の伝送特性に最大平坦特性を与える上式(1)及び(2)を導入しない点で、本実施形態と異なっている。
この場合、第1の伝送線路11X〜13Xの特性インピーダンスZ1、第2の伝送線路21X〜23Xの特性インピーダンスZ2、第1の抵抗素子31,32の抵抗値R1、及び、第2の抵抗素子41,42の抵抗値R2は、上式(1)及び(2)に代えて下式の関係を満たせばよい。
図21は、特性インピーダンスZ1、Z2の関係を示す図である。上式(1)及び(2)による伝送特性の最大平坦特性を導入する場合、例えば、図21に示すZ2=√3Z1の直線上のP(65.8、114)点を選択することとなる。一方、上式(16)により伝送特性の最大平坦特性を導入しない場合、図21に示すP点を含むZ2=√3Z1の直線上の任意の値すべてを選択可能となる。
このように、第3の変形例の分配器100によれば、スタブ付き伝送線路における伝送線路部分の特性インピーダンス及びスタブ部分の特性インピーダンスの選択肢が増えるので、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のみならず3つの第1の伝送線路11〜13及び3つの第2の伝送線路21〜23のうちの高インピーダンスの伝送線路部分の特性インピーダンスを低くあるいは高くすることができ、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
以下では、上式(16)の導出方法について説明する。
(1)端子2(または端子4)における反射、透過応答
(1)端子2(または端子4)における反射、透過応答
図31の端子2,3,4への入射波電圧として、次の3通りを考える。
(i)偶モード入力:E/3, E/3,E/3
(ii)奇モードa入力:E/2, 0, -E/2
(iii)奇モードb入力:E/6, -E/3, E/6
(1−1)偶モード入力:E/3, E/3, E/3 の場合
(i)偶モード入力:E/3, E/3,E/3
(ii)奇モードa入力:E/2, 0, -E/2
(iii)奇モードb入力:E/6, -E/3, E/6
(1−1)偶モード入力:E/3, E/3, E/3 の場合
端子2,3,4に同相同電圧の信号が入るので、どの端子2,3,4から見ても図22(a)の等価回路が得られる。Γevは偶モード入力(E/3, E/3, E/3)に対する端子2,3,4における反射係数である。Z1、Z2の決定は負荷R0と3R0間の整合を取る2区間変成器の設計に帰着し、2区間変成器を最大平坦特性とするZ1、Z2は上式(1)によって与えられる。
(1−2)奇モードa入力:E/2,0, -E/2の場合
(1−2)奇モードa入力:E/2,0, -E/2の場合
端子3は接地され、図31の回路は端子2,4から見た回路に分断され、ともに等価回路は図22(b)となる。Γod−aは奇モードa入力(E/2, 0, -E/2)に対する端子2,4における反射係数である。
(1−3)奇モードb入力:E/6,-E/3, E/6の場合
(1−3)奇モードb入力:E/6,-E/3, E/6の場合
1:−2:1の配分比の入射波入力により端子2,3、4から見た等価回路はともに等しく図22(c)となる。Γod−bは奇モードb入力(E/6, -E/3, E/6)に対する端子2、3、4における反射係数である。
次に、これらの3種の入力の重ね合わせを考える。この時、
端子2への入射波:E(1/3+1/2+1/6)=E
端子3への入射波:E(1/3+0-1/3)=0
端子4への入射波:E(1/3-1/2+1/6)=0
となり端子2には入力があり、他の端子3,4には入力がない状態を表す。しかしながら、上記3種の入力に対しての反射波は存在するので、端子2、3、4における重ね合わせによる全反射波成分をE2r,E3r,E4rとすると、下式が得られる。
端子2への入射波:E(1/3+1/2+1/6)=E
端子3への入射波:E(1/3+0-1/3)=0
端子4への入射波:E(1/3-1/2+1/6)=0
となり端子2には入力があり、他の端子3,4には入力がない状態を表す。しかしながら、上記3種の入力に対しての反射波は存在するので、端子2、3、4における重ね合わせによる全反射波成分をE2r,E3r,E4rとすると、下式が得られる。
ここで、S22、S32、S42は散乱パラメータであり、回路の対称性よりS22=S44、S32=S34となる。
(2)端子3における反射応答
(2)端子3における反射応答
図31の端子2,3,4への入射波電圧として第3の奇モード入力を考える。
(iv)奇モードc入力:-E/3, 2E/3, -E/3
(iv)奇モードc入力:-E/3, 2E/3, -E/3
奇モードbの端子2,3,4への入射波電圧比は1:−2:1であり、奇モードcの端子2,3,4への入射波電圧比は−1:2:−1であり奇モードbと極性が反対になっているだけなので、奇モードcに対する等価回路は端子2,3,4から見て同じであり、図22(c)の奇モードb等価回路と同じになる。
端子3における反射応答を求めるには、偶モード入力:E/3, E/3, E/3 と奇モードc入力:-E/3, 2E/3, -E/3との重ね合わせを考える。この時、
端子2への入射波:E(1/3-1/3)=0
端子3への入射波:E(1/3+2/3)=E
端子4への入射波:E(1/3-1/3)=0
となり端子3には入力があり、他の端子2,4には入力がない状態を表す。先の説明と同じく2種の入力に対しての反射波は存在するので、端子2、3、4における重ね合わせによる全反射波成分をE2r−c、E3r−c、E4r−cとすると、下式が得られる。
(3)端子1−2間(または、1−3間、1−4間)透過応答
端子2への入射波:E(1/3-1/3)=0
端子3への入射波:E(1/3+2/3)=E
端子4への入射波:E(1/3-1/3)=0
となり端子3には入力があり、他の端子2,4には入力がない状態を表す。先の説明と同じく2種の入力に対しての反射波は存在するので、端子2、3、4における重ね合わせによる全反射波成分をE2r−c、E3r−c、E4r−cとすると、下式が得られる。
(3)端子1−2間(または、1−3間、1−4間)透過応答
図22(a)の全ての素子値を1/3にすると図31の端子1から見た等価回路が得られる。これを図22(d)に示す。図22(d)の端子1側から負荷R0/3への透過係数をTevとする。この時、図22(a)の負荷R0、3R0間の透過係数もTevである。図22(d)の負荷R0/3への透過電力が図31では3分割されると考えると、図31の3分配器の端子1から端子2(または3,4)への透過係数(伝送特性)Sk1はSk1=Tev/√3(k=2,3,4)によって与えられる。
以上より、図31の回路の全ての特性が決定した。
(4)設計条件の導出
(4−1)図31の回路の2周波動作(デュアルバンド動作)の不可能性
以上より、図31の回路の全ての特性が決定した。
(4)設計条件の導出
(4−1)図31の回路の2周波動作(デュアルバンド動作)の不可能性
図22(b)の奇モードa入力等価回路の反射係数Γod−aは下式より得られる。
θは図31の単位区間当り電気長。
θは図31の単位区間当り電気長。
図22(b)の奇モードa入力等価回路の反射係数Γod−aの分子Nγod−aの実部、虚部を零とする条件から広帯域化の設計式あるいは二周波設計式が下式より得られる。
ここでθZは二周波設計における下側周波数f1に対する単位区間当り電気角(θZ=θ1)。
ここでθZは二周波設計における下側周波数f1に対する単位区間当り電気角(θZ=θ1)。
図31の回路が全ポート整合とアイソレーション条件を満たし2周波動作(デュアルバンド動作)をするためには同じZ1、Z2、θZにおいて図22(c)の奇モードb等価回路の反射係数Γod−bも零にならなければならない。これは上式(21a)が同時にR2/3に等しくならなければならないことを意味し、図31の回路の2周波動作は不可能となる。そこで、図31の回路が1周波動作(シングルバンド動作)する条件を求める。
(4−2)図31の回路の1周波動作(シングルバンド動作)条件
(4−2)図31の回路の1周波動作(シングルバンド動作)条件
3種の入力モード(偶モード、奇モードa、奇モードb)に対する反射係数が設計周波数で零となる条件を求める。図22(a)の偶モード入力等価回路の各単位区間がシングルバンドの設計周波数で90°であるとして、この等価回路が整合する条件は、
である。1周波動作ではp=0であるので、式(20b)より下式が求まる。
奇モードb入力等価回路の反射係数Γod−bではGiを3Gi(i=1,2)に置き換えるので、下式が求まる。
上式(22),(23)より、下式が得られる。
である。1周波動作ではp=0であるので、式(20b)より下式が求まる。
奇モードb入力等価回路の反射係数Γod−bではGiを3Gi(i=1,2)に置き換えるので、下式が求まる。
上式(22),(23)より、下式が得られる。
次に、第3の変形例の分配器100のインピーダンス低減効果について検証する。本実施形態において実現できなかった、(2)GSMシステムにおける2周波数f1=900MHz、f2=1800MHzに対応する場合のZB1=228.0Ωについて検証する。
(高インピーダンス伝送線路の条件)
使用周波数:f1=900MHz、f2=1800MHz
終端開放スタブの特性インピーダンス:ZB1=228.0Ω
終端開放スタブの電気長:f0=(f1+f2)/2において90°
(第3の変形例による低インピーダンス化シングルバンド平面構造3分配器の素子値算出)
(高インピーダンス伝送線路の条件)
使用周波数:f1=900MHz、f2=1800MHz
終端開放スタブの特性インピーダンス:ZB1=228.0Ω
終端開放スタブの電気長:f0=(f1+f2)/2において90°
(第3の変形例による低インピーダンス化シングルバンド平面構造3分配器の素子値算出)
図21において、
Z1=40、Z2=40√3
を選択する。この時、上式(17)より、
R1=200、R2=24
を得る。
(第3の変形例のデュアルバンド平面構造3分配器の素子値算出)
Z1=40、Z2=40√3
を選択する。この時、上式(17)より、
R1=200、R2=24
を得る。
(第3の変形例のデュアルバンド平面構造3分配器の素子値算出)
上記した本実施形態の素子値を用いて、
ZA1=46.2Ω
ZA2=80.0Ω
ZB1=138.6Ω
ZB1//ZB2=87.8Ω
ZB2/3=80Ω
を得る。
ZA1=46.2Ω
ZA2=80.0Ω
ZB1=138.6Ω
ZB1//ZB2=87.8Ω
ZB2/3=80Ω
を得る。
このように、第3の変形例によれば、終端開放スタブのみの実現に要する特性インピーダンス値ZB1=228.0Ωを、特性インピーダンス値ZB1=138.6Ωの伝送線路で実現できることとなる。
図23は、第3の変形例の分配器のシミュレーション回路図であり、図24は、第1の端子1における反射特性S11、第2の端子2における反射特性S22、及び、第3の端子3における反射特性S33のシミュレーション結果である(第4の端子の反射特性は、同様のため省略)。また、図25は、第2の端子2と第3の端子3との間のアイソレーション特性S23、第2の端子2と第4の端子4との間のアイソレーション特性S24、第1の端子1から第2及び第3の端子2,3それぞれへの伝送特性S21、S31のシミュレーション結果である。なお、S21、S31の伝送特性は全く同じであるため、図では両者が重なっており、S21のみが表示されている。
図24によれば、所定の周波数で全ての端子が整合していることがわかる。また、図25によれば、出力端子間のアイソレーションがとれ、伝送特性の所定の周波数における−4.77dBにより電力が均等に3分割配分されていることがわかる。
[第4の変形例の分配器、及び、本実施形態の別のスタブ付き伝送線路用スタブ部]
[第4の変形例の分配器、及び、本実施形態の別のスタブ付き伝送線路用スタブ部]
第4の変形例に係る分配器100は、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のうちの少なくとも何れかが、図26(b)に示すように、直列に接続された伝送線路TとキャパシタCとを含み、キャパシタC側において終端短絡されている点で、本実施形態と異なっている。このように、第4の変形例の第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のうちの少なくとも何れかにおける伝送線路Tは、キャパシタCを用いて終端されている。
以下では、図26を参照して、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71の導出方法について説明する。図26(a)は、本実施形態の終端開放スタブであって、特性アドミッタンスYB、周波数fi(i=1,2)にて電気角θiの終端開放スタブを示し、図26(b)は、第4の変形例のキャパシタ終端短絡スタブ(本実施形態の別のスタブ付き伝送線路用スタブ部)であって、特性アドミッタンスYD、周波数fiにて電気角θDiのキャパシタ終端伝送線路TとキャパシタCとを含むキャパシタ終端短絡スタブを示す。
ここで、ZB=1/YB、ZD=1/YDとする。また、回路がコンパクトサイズであることを前提に、下側周波数f1に対する電気角θ1は、
であると仮定する。この仮定は、図26(a)の終端開放スタブが平均周波数f0=(f1+f2)/2において線路長90°であることと等価である。したがって、電気角θ1は以下のように表される。
であると仮定する。この仮定は、図26(a)の終端開放スタブが平均周波数f0=(f1+f2)/2において線路長90°であることと等価である。したがって、電気角θ1は以下のように表される。
次に、図26(a)に示す終端開放スタブの入力アドミッタンスと、図26(b)に示すキャパシタ終端短絡スタブの入力アドミッタンスが、2周波数f=f1,f2で等しくなるとする。すると、2つの等価条件式が得られる。一方の等価条件式は、下記式のように表される。
また、もう一方の等価条件式は、f=f1の時にθ1=(0.5π−φ)の関係を用い、下記式のように表される。
また、もう一方の等価条件式は、f=f1の時にθ1=(0.5π−φ)の関係を用い、下記式のように表される。
次に、上式(24)において、
とし、これらの式(26a)、(26b)を満たすようにC、YD、θD1、θD2を選ぶ。
とし、これらの式(26a)、(26b)を満たすようにC、YD、θD1、θD2を選ぶ。
例えば、上式(26b)を上式(25)に適用すると、下式が求まる。
上式(26b)、(27)からインピーダンスが定まるので、終端開放スタブのインピーダンスZBとキャパシタ終端短絡スタブにおけるキャパシタ終端伝送線路のインピーダンスZDとのインピーダンス変換係数TCを、以下のように定義する。
上式(26b)、(27)からインピーダンスが定まるので、終端開放スタブのインピーダンスZBとキャパシタ終端短絡スタブにおけるキャパシタ終端伝送線路のインピーダンスZDとのインピーダンス変換係数TCを、以下のように定義する。
なお、上式(26a)を満たすθD1、θD2の組み合わせは複数考えられる。本実施形態では、回路のコンパクト性の観点から次の2通りについて考える。
(1)0<θD1<π/4、θD1+θD2=π/2の場合
(1)0<θD1<π/4、θD1+θD2=π/2の場合
平均周波数f0=(f1+f2)/2に対するキャパシタ終端伝送線路の電気長θD0及びθD1は、θD2=uθD1を用いて、以下のように表される。
ここで、u>1より、0<θD1<π/4となり、上式(27)では常にC>0が成立する。これは、u>1の範囲で図26(b)の素子値が全て正となることを意味している。
(2)0<θD1<3π/4、θD1+θD2=3π/2の場合
ここで、u>1より、0<θD1<π/4となり、上式(27)では常にC>0が成立する。これは、u>1の範囲で図26(b)の素子値が全て正となることを意味している。
(2)0<θD1<3π/4、θD1+θD2=3π/2の場合
平均周波数f0=(f1+f2)/2に対するキャパシタ終端伝送線路Tの電気長θD0及びθD1は、以下のように表される。
ここで、
(2.1)π/2<θD1<3π/4ではC<0となる。これは、1<u<2が実現されないことを意味する。
(2.2)θD1=π/2の時、θD2=πでありu=2に該当し、式(26a)に対して特殊な場合となる。図26(a)、(b)から直接等価条件を求めると実現不可であることがわかる。
(2.3)0<θD1<π/2のとき上式(27)において(√u-tanθD1)が正となる必要があり、√u-tanθD1=0 を数値的に解くとu>3.39が実現範囲となる。
ここで、
(2.1)π/2<θD1<3π/4ではC<0となる。これは、1<u<2が実現されないことを意味する。
(2.2)θD1=π/2の時、θD2=πでありu=2に該当し、式(26a)に対して特殊な場合となる。図26(a)、(b)から直接等価条件を求めると実現不可であることがわかる。
(2.3)0<θD1<π/2のとき上式(27)において(√u-tanθD1)が正となる必要があり、√u-tanθD1=0 を数値的に解くとu>3.39が実現範囲となる。
以上、θD1+θD2=3π/2の場合をまとめると、
u>3.39、すなわち、上式(29b)よりθD1<60.13°
の範囲で素子値が正となる意味で実現可能である。
u>3.39、すなわち、上式(29b)よりθD1<60.13°
の範囲で素子値が正となる意味で実現可能である。
図27は、上式(28)について、上記した(1)0<θC1<π/4、θC1+θC2=π/2の場合、及び、(2)0<θC1<3π/4、θC1+θC2=3π/2の場合について図示したものである。図27によれば、45度キャパシタ終端短絡スタブは、終端開放スタブのインピーダンスを若干上げ、線路長を半分とする効果があることがわかる。また、135度キャパシタ終端短絡スタブは、図27に示す周波数比uの範囲で、終端開放スタブのインピーダンスを3倍以上に上げる効果があることがわかる。
このように、第4の変形例の分配器100及びキャパシタ終端短絡スタブ(本実施形態の別のスタブ付き伝送線路用スタブ部)によれば、第1のスタブ部51〜53、第2のスタブ部61〜63、及び、第3のスタブ部71のうちの低インピーダンスのスタブ部における伝送線路部分の特性インピーダンスを高くすることができ、スタブ付き伝送線路の実現可能な2周波の周波数比の範囲を広げることができる。
以下では、第4の変形例の分配器100及びキャパシタ終端短絡スタブのインピーダンス増加効果について検証する。
使用周波数:f1=600MHz、f2=2450MHz
(図1に示す本実施形態の伝送線路に関する計算結果)
ZA1=113.57Ω
ZA2=196.71Ω
ZB1=57.40Ω
ZB1//ZB2=36.39Ω
ZB2/3=33.14Ω
(第3の変形例によるインピーダンス変換の適用)
使用周波数:f1=600MHz、f2=2450MHz
(図1に示す本実施形態の伝送線路に関する計算結果)
ZA1=113.57Ω
ZA2=196.71Ω
ZB1=57.40Ω
ZB1//ZB2=36.39Ω
ZB2/3=33.14Ω
(第3の変形例によるインピーダンス変換の適用)
ZA2=196.71Ωはマイクロストリップ線路による実現が難しいため、インピーダンス変換係数αを導入して低インピーダンス化を図る。ここではZA2=196.71Ωを変換してZA2d=150Ωとすることを考える。変換係数αは
α=150/ZA2=0.76256
である。インピーダンス変換後の素子値は以下の通りである。
ZA1d=86.60Ω
ZA2d=150Ω
ZB1d=43.77Ω
ZB1d//ZB2d=27.75Ω
ZB2d/3=25.27Ω
α=150/ZA2=0.76256
である。インピーダンス変換後の素子値は以下の通りである。
ZA1d=86.60Ω
ZA2d=150Ω
ZB1d=43.77Ω
ZB1d//ZB2d=27.75Ω
ZB2d/3=25.27Ω
ここで、図3、13の試作例からわかるように複雑な回路構造の中で線路幅の広い低インピーダンス線路を配置することは困難である。また、線路幅が広いことにより理論値から算出される線路長を接続点において正確に定めることが難しくなり製作誤差が増大する。
(第4の変形例のキャパシタ終端短絡スタブへの変換)
(第4の変形例のキャパシタ終端短絡スタブへの変換)
比較的低インピーダンスであるZB1d=43.77Ω、ZB1d//ZB2d=27.75Ω、及び、ZB2d/3=25.27Ωについて更にインピーダンス変換を行う。
(1)ZB1d=43.77Ω、f=f0でθ0=π/2の開放スタブを変換すると、
ZB1dd=59.53、f=f0でθD0=π/4、
C=2.21pF
となる。なお、回路の中央伝送路部分に用いる変換スタブを2分割し、
ZB1ddm=2×59.53=119.06Ω、f=f0でθD0=π/4、
C=0.5×2.21=1.11pF
とする。
(2)ZB1d//ZB2d=27.75Ω、f=f0でθ0=π/2の開放スタブを変換すると、
(ZB1d//ZB2d)dd=37.74Ω、f=f0でθD0=π/4、
C=3.48pF
となる。なお、回路の中央伝送路部分に用いる変換スタブを2分割し、
(ZB1d//ZB2d)ddm=2×37.74=75.48Ω、f=f0でθD0=π/4、
C=0.5×3.48=1.74pF
とする。
(3)ZB2d/3=25.27Ω、f=f0でθD0=π/4の開放スタブを2分割した後に変換する。最初に2分割すると50.54Ωになる。これをインピーダンス変換すると、68.74Ω、f=f0でθD0=π/4、C=1.91pFとなる。
(1)ZB1d=43.77Ω、f=f0でθ0=π/2の開放スタブを変換すると、
ZB1dd=59.53、f=f0でθD0=π/4、
C=2.21pF
となる。なお、回路の中央伝送路部分に用いる変換スタブを2分割し、
ZB1ddm=2×59.53=119.06Ω、f=f0でθD0=π/4、
C=0.5×2.21=1.11pF
とする。
(2)ZB1d//ZB2d=27.75Ω、f=f0でθ0=π/2の開放スタブを変換すると、
(ZB1d//ZB2d)dd=37.74Ω、f=f0でθD0=π/4、
C=3.48pF
となる。なお、回路の中央伝送路部分に用いる変換スタブを2分割し、
(ZB1d//ZB2d)ddm=2×37.74=75.48Ω、f=f0でθD0=π/4、
C=0.5×3.48=1.74pF
とする。
(3)ZB2d/3=25.27Ω、f=f0でθD0=π/4の開放スタブを2分割した後に変換する。最初に2分割すると50.54Ωになる。これをインピーダンス変換すると、68.74Ω、f=f0でθD0=π/4、C=1.91pFとなる。
このように、第4の変形例によれば、低インピーダンスのスタブ部における伝送線路部分の特性インピーダンスを高くすることができることとなる。
上記例では、ZA2=196.71Ωが高すぎるため第3の変形例を適用してZA2d=150Ωとしたが、他のスタブインピーダンスが低くなりすぎるため第4の変形例を適用して、これらの値をより高い値とした。図28は、この変形例の分配器のシミュレーション回路図であり、図29は、第1の端子1における反射特性S11、第2の端子2における反射特性S22、及び、第3の端子3における反射特性S33のシミュレーション結果である(第4の端子の反射特性は、同様のため省略)。また、図30は、第2の端子2と第3の端子3との間のアイソレーション特性S23、第2の端子2と第4の端子4との間のアイソレーション特性S24、第1の端子1から第2及び第3の端子2,3それぞれへの伝送特性S12、S13のシミュレーション結果である。なお、S21、S31の伝送特性は全く同じであるため、図では両者が重なっており、S21のみが表示されている。
図29によれば、所定の周波数で全ての端子が整合していることがわかる。また、図30によれば、出力端子間のアイソレーションがとれ、伝送特性の所定の周波数における−4.77dBにより電力が均等に3分割配分されていることがわかる。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、第1の端子1に入力される信号を3つの信号に分配して第2〜第4の端子2〜4へそれぞれ出力する分配器100を例示したが、本発明の特徴は、第2〜第4の端子2〜4にそれぞれ入力される3つの信号を合成して第1の端子1へ出力する合成器にも適用可能である。
また、本実施形態では、π型のスタブ付き伝送線路のためのスタブ部を例示したが、本発明のスタブ部の特徴は、T型のスタブ付き伝送線路のためのスタブ部、及び、L型のスタブ付き伝送線路のためのスタブ部などの様々な態様のスタブ付き伝送線路のためのスタブ部に適用可能である。
また、本発明のスタブ付き伝送線路用スタブ部の電気角は、本実施形態に限定されない。例えば、本発明のスタブ部の電気角は、90°、−90°(1/4波長)、180°、−180°(1/2波長)など、様々な態様であってもよい。
100,100X…分配器(分配/合成器)、1…第1の端子、2…第2の端子、3…第3の端子、4…第4の端子、11〜13,11X〜13X…第1の伝送線路、21〜23,21X〜23X…第2の伝送線路、31,32…第1の抵抗素子、41,42…第2の抵抗素子、51〜53…第1のスタブ部、61〜63…第2のスタブ部、71…第3のスタブ部、R0…負荷、T…インダクタ終端伝送線路又はキャパシタ終端伝送線路、L…インダクタ、C…キャパシタ、T及びL…インダクタ終端短絡スタブ(スタブ付き伝送線路用スタブ部)、T及びC…キャパシタ終端短絡スタブ(スタブ付き伝送線路用スタブ部)。
Claims (7)
- 第1の端子に入力される信号を3つの信号に分配して第2〜第4の端子へそれぞれ出力する分配器として機能し、もしくは、前記第2〜第4の端子にそれぞれ入力される3つの信号を合成して前記第1の端子へ出力する合成器として機能するウィルキンソン型の分配/合成器であって、
前記第2の端子と前記第1の端子との間、前記第3の端子と前記第1の端子との間、及び、前記第4の端子と前記第1の端子との間それぞれに、順に直列に接続された3組の第1及び第2の伝送線路と、
前記第2の端子と前記第3の端子との間、及び、前記第3の端子と前記第4の端子との間それぞれに接続された2つの第1の抵抗素子と、
前記3組の第1及び第2の伝送線路のうちの前記第2の端子と前記第1の端子との間に接続された第1及び第2の伝送線路の間の接続部と、前記3組の第1及び第2の伝送線路のうちの前記第3の端子と前記第1の端子との間に接続された第1及び第2の伝送線路の間の接続部との間、及び、前記3組の第1及び第2の伝送線路のうちの前記第3の端子と前記第1の端子との間に接続された第1及び第2の伝送線路の間の接続部と、前記3組の第1及び第2の伝送線路のうちの前記第4の端子と前記第1の端子との間に接続された第1及び第2の伝送線路の間の接続部との間それぞれに接続された2つの第2の抵抗素子と、
前記3組の第1及び第2の伝送線路のうちの3つの第1の伝送線路における前記第2、第3又は第4の端子側それぞれに設けられた3つの第1のスタブ部と、
前記3組の第1及び第2の伝送線路の間の接続部それぞれに設けられた3つの第2のスタブ部と、
前記3組の第1及び第2の伝送線路のうちの3つの第2の伝送線路における前記第1の端子側に設けられた第3のスタブ部と、
を備える、分配/合成器。 - 前記第1、第2及び第3のスタブ部のうちの少なくとも何れかは、直列に接続された伝送線路とインダクタとを含み、前記インダクタ側において終端短絡されている、
請求項1に記載の分配/合成器。 - 前記第1、第2及び第3のスタブ部のうちの少なくとも何れかは、直列に接続された伝送線路とキャパシタとを含み、前記キャパシタ側において終端短絡されている、
請求項1に記載の分配/合成器。 - 前記第1の端子と前記第2〜4の端子それぞれとの間の伝送特性の最大平坦条件を導入しない、
請求項1に記載の分配/合成器。 - 前記第1、第2及び第3のスタブ部のうちの少なくとも何れかは、直列に接続されたインダクタとキャパシタとを含み、終端短絡されている、
請求項1に記載の分配/合成器。 - 2周波対応のスタブ付き伝送線路用スタブ部であって、
直列に接続された伝送線路とインダクタとを含み、前記インダクタ側において終端短絡されている、
スタブ付き伝送線路用スタブ部。 - 2周波対応のスタブ付き伝送線路用スタブ部であって、
直列に接続された伝送線路とキャパシタとを含み、前記キャパシタ側において終端短絡されている、
スタブ付き伝送線路用スタブ部。
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-
2013
- 2013-08-09 JP JP2013166549A patent/JP2015035759A/ja active Pending
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