JP2015030108A - 炭素繊維プリフォームの製造装置および炭素繊維プリフォームの製造方法 - Google Patents

炭素繊維プリフォームの製造装置および炭素繊維プリフォームの製造方法 Download PDF

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絢太郎 長崎
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Tamotsu Suzuki
保 鈴木
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Haruhiko Tsuji
治彦 辻
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Abstract

【課題】通電加熱法を利用して炭素繊維プリフォームを製造する場合において、使用する炭素繊維シートが大面積あっても装置を巨大化することなく、接着に要するエネルギーを低減し、短時間で炭素繊維プリフォームが製造可能な炭素繊維プリフォームの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】複数の炭素繊維シート31〜34からなる積層体50を、向かい合う2つの型21,22で挟み込み、該2つの型21,22表面のいずれか一方から電気を流し積層体を加熱し所望の形状に賦形する際に、型表面の一部が、絶縁層で覆われた絶縁領域と通電可能な通電可能領域からなる部分通電領域を有することを特徴とする、炭素繊維プリフォームの製造装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維プリフォームの製造装置および炭素繊維プリフォームの製造方法に関する。
樹脂の強度を向上させた複合材料として、炭素繊維強化プラスチックが広く知られている。かかる炭素繊維強化プラスチックは、例えば、炭素繊維を含む基材(以下、炭素繊維プリフォーム、または、単にプリフォームともいう)に熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱することにより製造される。また、炭素繊維プリフォームの一種として、複数の炭素繊維シートを積層し、各シート間を接着することで製造するタイプが知られている。積層された複数の炭素繊維シートを接着する方法としては、複数の炭素繊維シートの積層体を、加熱した金型に配置して加圧する方法、通電加熱法、誘導加熱法、超音波溶着法などを例示できる。これらの手法では、炭素繊維シートと炭素繊維シートの層間、もしくは、シート表面に配置された樹脂、または、炭素繊維シートに含浸させた樹脂を加熱および溶融させた後に、冷却して固着させる手法が一般的である。
しかしながら、上述した種々の手法には、それぞれ一長一短があり、従来は、用途に応じて方法を選択せざるをえなかった。例えば、加熱した金型を使用する方法では、金型の温度の上昇および下降に長い時間と大きなエネルギーとを必要とする。一方、通電加熱法、誘導加熱法、超音波溶着法は、比較的短時間で接着が可能である。しかし、超音波溶着法や誘導加熱法では、発信源となる器具(ホーンやコイル)などが必要になり、装置が高価になってしまう。また、超音波溶着法では、平面形状の炭素繊維シートの接着は容易ではあるが、立体的な形状を有する炭素繊維シートに対しては、型への配置が難しく、制約が多い。
それに比べて、通電加熱法では、型自体を電極として使用し、複数の炭素繊維シートの層間の接触抵抗を利用して発熱させるので、使用する装置の構成が簡素である。しかし、通電加熱法により、炭素繊維シートの全面を接着する場合、炭素繊維シートの電気抵抗が小さいために、大電流が流れるので瞬間的に膨大なエネルギーが必要になる。その結果、面積が大きい炭素繊維シートを接着することが困難である。大電流を必要とする場合、エネルギー容量の大きい電源を使用すれば良いが、それでは装置の巨大化、更にはエネルギーの使用量の拡大化となってしまい経済的、環境的な観点から採用しにくい。
炭素繊維シートの全面接着については、炭素繊維の繊維方向に通電し、エネルギー使用率を減らす方式が特許文献1に記載されている。しかし、この方式では、型とは別に通電加熱用の電極を要しなければならず、装置構成が複雑化する可能性がある。
また、型の損耗を抑える目的ではあるが、投入した電流を分散させる方式が特許文献2に記載されている。しかし、この方式では、投入した電流が多方向に分散されてしまい、その分発熱も抑えられ炭素繊維シート同士の接着が出来ない可能性がある。
以上のことから、炭素繊維シートが大面積を有する場合に置いても、装置の構成は簡素なまま、接着に全体に要するエネルギーを接着に影響の無い範囲で、低減することが求められる。また、プリフォームの製造後の工程にかかる時間を鑑みて、当該プリフォームを短時間で製造可能とすることが求められる。
特開平4−229209号公報 特開平7−164162号公報
河越正羽、他3名、「CFRP継手の電気抵抗を利用した融着法に関する基礎的研究」、第2回複合材料合同会議JCCM−2講,論文集2011,Paper#2B−07
本発明の目的は、通電加熱法を利用して炭素繊維プリフォームを製造する場合において、使用する炭素繊維シートが大面積あっても装置を巨大化することなく、接着に要するエネルギーを低減し、短時間で炭素繊維プリフォームが製造可能な炭素繊維プリフォームの製造装置および製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用するものであるすなわち、
(1)複数の炭素繊維シートからなる積層体を、向かい合う2つの型で挟み込み、該2つの型表面のいずれか一方から前記積層体に電気を流すことで前記複数の炭素繊維シートを加熱し、炭素繊維シートを所望の形状に賦形する炭素繊維プリフォームの製造装置であって、前記型表面の一部が絶縁層で覆われた絶縁領域と、通電可能な通電可能領域からなることを特徴とする、炭素繊維プリフォームの製造装置。
(2)前記型表面において、前記絶縁領域と前記通電可能領域が、交互に配置された部分通電領域を有することを特徴とする(1)に記載の炭素繊維プリフォームの製造装置。
(3)前記部分通電領域において、前記通電可能領域の面積が、全体の30%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の炭素繊維プリフォームの製造装置。
(4)前記絶縁領域として少なくともアルミナを含む前記絶縁層からなることを特徴とする(3)に記載の炭素繊維プリフォームの製造装置。
(5)前記絶縁層が溶射によって前記型表面に設置されることを特徴とする(3)または(4)に記載の炭素繊維プリフォームの製造装置。
(6)数の炭素繊維シートからなる積層体を、向かい合う2つの型で挟み込み、該2つの型表面から前記積層体に電気を流すことで炭素繊維シートを加熱して、前記炭素繊維シートの層間または表層に介在する接着樹脂によってその層間を接着し、炭素繊維シートを所望の形状に賦形する炭素繊維プリフォームの製造方法であって、前記型表面の一部を電気的な絶縁層で覆った絶縁領域を形成することで、残る通電可能領域を限定し、前記2つの型間に電圧を印加することで、限定した前記通電可能領域のみから、前記積層体に電流を流し、前記複数の炭素繊維シートの積層方向と直交する面方向における、前記限定された通電可能領域およびその周辺に対応する領域のみを、接着樹脂を介して接着することを特徴とする炭素繊維プリフォームの製造方法。
(7)前記型表面において、前記絶縁領域と前記通電可能領域が、交互に配置された部分通電領域を有する事を特徴とする(6)に記載の炭素繊維プリフォームの製造方法。
(8)前記部分通電領域において、前記通電可能領域の面積が、全体の30%以下であることを特徴とする(6)または(7)に記載の炭素繊維プリフォームの製造方法。
本発明によれば、通電加熱法を利用して炭素繊維プリフォームを製造する場合において、使用する炭素繊維シートが大面積あっても装置を巨大化することなく、接着に要するエネルギーを低減し、短時間で製造可能な炭素繊維プリフォームの製造装置および製造方法を得ることができる。
本発明に用いられる炭素繊維プリフォーム製造装置の外観概略図である。 炭素繊維プリフォーム製造装置に使用する下型に設けられた部分通電領域を示す模式断面図である。 図2に示す下型を用いてプリフォームを形成するために炭素繊維シートが積層された態様を示す概略断面図である。 図1に示す炭素繊維プリフォーム製造装置に用いられる下型の概略斜視図である。 図4の下型を用いて得られたプリフォームの概略斜視図である。 本発明に用いられる部分通電領域を有する金型の他の実施形態における概略断面図である。
以下に、本発明の炭素繊維プリフォームの製造装置および炭素繊維プリフォームの製造方法の好ましい実施形態を、図を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の説明によって何ら制限されるものではない。
図1は、本発明に用いられる炭素繊維プリフォーム製造装置を示す外観概略図である。該装置は、主に、上型21と下型22の2つからなる金型20、電源41、トランス42、整流器43、電源ケーブル44、45から構成されている。以下、それらの各部位の詳細を説明する。
金型20は、上型21と下型22を備えている。金型20は、炭素繊維シート31〜34からなる積層体50を挟み込み加圧することで、その型形状を転写し、炭素繊維プリフォーム70を賦形する。そして、上型21と下型22は、電源ケーブル44、45により、整流器43、トランス42を経て電源41と接続されている。このとき、電源ケーブル44、45の接続位置が上型21と下型22で逆になっていてもよい。上型21、下型22が1つの型内で電気的に絶縁されている場合においては、それぞれに電源ケーブル44、45を取り付けることがあってもよい。さらに安全を鑑みアース線をとりつけてもよい。また電源41とトランス42、整流器43は一つの構造体になっていてもよい。これにより、電源41を用いて、上型21と下型22は電極として使用することができ、電圧を印加することで、炭素繊維シート31〜34からなる積層体50に電気を流すことが可能になる。
上型21と下型22は、任意の凹凸形状を有していることが好ましいが、上型21もしくは下型22のどちらかが凹凸形状を有しており、凹凸形状を有していない他方の型が、加圧した際に凹凸形状に沿ってその形状を変化させてもよい。さらに好ましい形態は、上型21と下型22を合わせた際に対になる形状であることで、上型21と下型22を合わせた際に、積層体の厚み分隙間があいている状態、すなわちキャビティが設けられている状態である。また、上型21と下型22はどちらも一枚ずつで構成されていることが好ましいが、積層体50に転写する形状の複雑さや加圧によって積層体50に皺などが入り品位に影響を及ぼす場合などにおいては、型を分割してもよいし、一枚の型の中に複数の分割型を配し、分割型で所望の型形状を転写した後に一枚型で所望の厚みまで加圧してもよい。その材質は、通電加熱法を利用する上で重要となる、導電性に優れ、かつ、プレスの加圧力に耐えられる剛性を持った材料であることが好ましい。より好ましくは、加熱された積層体50の熱を素早く逃がすために必要な熱伝導性に優れている材料としてアルミニウムが好適に用いられる。それ以外では、アルミ合金または銅や銅合金からなる金属材料も好ましいが、これらに限定されることはなく適した材料を選択することができる。また、金型20の表面に後述する部分通電領域23に通電可能領域24と絶縁領域25が配されるような型の構成になっていればよく、金属材料と絶縁材料を2種類以上組み合わせた構成になっていてもよい。
本製造装置において、電源ケーブル45と接続されたプラス側電極となる下型22から投入された電流が積層体50を通過し、マイナス側の電極となる上型21に接続された電源ケーブル44を経由して電流が流れるようになっている。
電源41は、金型20に電圧を印加し電流を流すための装置である。その電気容量については、適宜選択すればよく直流や交流なども問わない。
トランス42は、電源41から出力された電圧を所望する電流を流す為の電圧に変換する装置である。トランスの性能については、所望する電流によって決定するため、適宜選択される。
整流器43は、トランス42からの交流電流を直流電流に変換する装置である。もともと電源41にトランス42や整流器43の機能が含まれている場合は必ずしも用いる必要はない。
電源ケーブル44、45は、整流器43と金型20を接続し、電流が流れる際の経路となる部品である。その材質は、導電性に優れる材料が好ましい。好ましくは、金属材料であり、さらに好ましくは、導電性、熱伝導性に優れる本実施例の様な銅または銅合金からなる金属材料である。形状は、円柱状や角柱状、細線を編んだもの等が挙げられるが、その形状や材質は装置の構成や使用する電流によって適宜選択されればよい。
図2は、炭素繊維プリフォーム製造装置に使用する下型に設けられた部分通電領域を示す模式断面図である。
本発明では、下型22の型表面に部分通電領域23を有していることが重要である。部分通電領域23は、通電可能領域24と、絶縁層26によって形成される絶縁領域25とからなっており、絶縁領域25によって、下型22の型表面上における通電可能領域24の面積を限定している。本発明において部分通電領域23は下型22の型表面に配されているがこれに限ることは無く上型21の型表面に配されていてもよい。
部分通電領域23の好ましい形態としては、下型22の型表面において通電可能領域24となる下型22の一部の表面と、絶縁領域25を構成する絶縁層26とが、均一な高さになるように形成されているものである。つまり、通電可能領域24と絶縁領域25とが同一平面上に連続して存在していることが好ましい。通電可能領域24と絶縁領域25とが同一平面状に連続して形成されていない場合、下型22の型表面に段差が発生し賦形時に炭素繊維シート31、34が引っかかったり、炭素繊維シート31、34の表面に段差が形成されたりする等、賦形性を阻害するおそれが生ずる。
絶縁領域25は、絶縁層26の表面上に形成される領域であり、部分通電領域23において通電可能領域24のみに電気が流れるように範囲を限定するための領域である。絶縁層26として空気を選定した場合、つまり、通電可能領域24が突出した場合も、同様に賦形性を阻害するおそれがあるため、通電可能領域24と絶縁領域25とが同一平面上に連続して存在するように、絶縁層26を形成する有体物が配置されていることが好ましい。このように、通電可能領域24と絶縁領域25とが同一平面上に連続して存在することで、積層体50の厚みが面方向に一定に分布しない複雑形状の場合においても、下型22の表面に平坦な部分通電領域23を有していることで、金型20の押し付け量や積層体50との接触の有無に関わらず電気が流れる領域をコントロールすることができる。
絶縁層26の材質は、通電可能領域24からのみ電気を流すことも考えると、一般に絶縁体と定義される体積抵抗が10Ωcm以上の物質が好ましいが、通電可能領域24を含む金型20に使用する材質や炭素繊維シートよりも抵抗の高い材料などでもよい。例えば、紙やガラス、ゴム、木材、セラミックス材料などが好ましい。より好ましくは、耐熱性や耐摩耗性に優れるアルミナである。その配置方法は使用する材料によって適宜選択すればよく、構造部品として取り付けられていたり、不織布や、フィルム上のシート状のものを貼り付けたり、メッキなどの表面処理、スプレーや刷毛などで塗布されていることが好ましい。さらに好ましくは、溶射により被膜を形成されていることが好ましい。絶縁層26は、金型20の表面上だけでなく、型を構成する材質の一つであってもよい。例えば、通電可能領域24の材料となる金属材料と絶縁層26を円柱や角柱の状態で準備し、それらを締結し組み合わせることで一つの型を形成していてもよく、組み合わせた際に表面上に通電可能領域24と絶縁領域25が存在し、部分通電領域23を形成していればよい。
通電可能領域24は、電源41により電圧が印加された際に接触している炭素繊維シートに電流を流す領域になる。その構成は、導電性を良くするために下型22と一体に形成されていることが好ましい。通電可能領域24各々の形状については、円形や矩形、多角形などが挙げられるが、用途に応じて最適な形状を決めることができる。加工の容易さを鑑みて円形や矩形であることが好ましい。さらに好ましくは、炭素繊維シートと均一に接触できる円形形状であることが好ましい。通電可能領域24は、金型20の表面上に直接形成されることが好ましい。金型20の表面上に存在することで金型20自体を電極として利用することができるため、構造を簡単化することができる。
一例として、直径16mm(面積:約201mm)の複数の円形からなる通電可能領域24を形成し、通電可能領域24の全面積を、積層体50を構成する炭素繊維シート31または34の表面積全体の30%以下になるようにすることができる。このような範囲にすると、通電可能領域24と炭素繊維シート34が接触した際に、確実に通電できる範囲内に収めることができる。詳細は後述するが、通電可能領域24の面積を10〜30%にすると、本発明の効果である、使用する複数の炭素繊維シート31〜34が大面積であっても電源41などの装置を巨大化することなく、接着樹脂60を溶融させるのに必要な発熱量を与え、短時間で複数の炭素繊維シート31〜34の層間を接着し、所望の形状を備えた炭素繊維プリフォーム70を供給することができる。
図3は、図2に示す下型を用いてプリフォームを形成するために炭素繊維シートが積層された態様を示す概略断面図である。図3では、図示の便宜上、各構成要素の図示上の大きさおよび厚みと、実際の大きさおよび厚みとは、必ずしも一致していない。
炭素繊維シート31〜34は、炭素繊維プリフォーム70を構成する部材である。炭素繊維シートの形態は、織物、編み物、組み物、不織布、一方向に引き揃えられた強化繊維束をバインダや融着性不織布、プリプレグ、ステッチ糸などで形態を安定化した一方向性シート、短繊維がランダム分散されたマットを使用することが好ましいが、型形状に沿って形状が変化する場合は、その変化に追従しやすい形態である、本実施例の様な炭素繊維を編み込んだシート状の織物であることがより好ましい。炭素繊維シート31〜34の目付は、それぞれの炭素繊維シートが加圧時に接触できる範囲であることが好ましい。
積層体50は、炭素繊維シート31〜34を積層することで構成されており、炭素繊維プリフォームの製造装置を用い所定の工程を経て、炭素繊維プリフォーム70となる。積層体50は、賦形しやすさを鑑みて金型20に挟み込む前に炭素繊維シート31〜34の層間を事前に仮固着や糸で縫ってしてあってもよい。また、積層体50は炭素繊維シートだけでなく、後述する接着樹脂60をシート状に加工したものなどが、その層間や表層に介在していてもよい。これとは別に、積層体50は平面形状でも事前に3次元形状に形を整えてあってもよい。加圧方法はエアシリンダーや油圧シリンダであることが好ましい。加圧は上型21、下型22、または上型21と下型22の両方から行うことが好ましい。積層した炭素繊維シート31〜34が動かぬように加圧を予備加圧と本加圧の2段階に分け上型21を用いて行うことが更に好ましい。
接着樹脂60は、炭素繊維シート31〜34の各層間に介在させ、隣接する炭素繊維シートを相互に固着させるものである。接着樹脂60はタッキファイヤとも呼ばれ、加熱により溶融され、さらに冷却固化されることで各層間を接着する役割をするものが好ましい。その材料は、熱硬化性樹脂を使用することであることが好ましい。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などであるが、これらの材料に限られるものではなく種々の熱硬化性樹脂を使用することが好ましく、更にはこれらの熱硬化性樹脂を組み合わせて使用することも好ましい。また、熱硬化性樹脂に代えて、熱可塑性樹脂を使用することもできる。例えば、ポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などであるが、またこれらの材料に限られるものではなく種々の熱可塑性樹脂を組み合わせて使用することも好ましい。
また、接着樹脂60の形状は、炭素繊維シート31〜34に配置される方式によって適宜選択されることが好ましい。繊維状や液体状で事前に炭素繊維シート31〜34の各繊維に含浸されていることが好ましい。その形状によっては、炭素繊維シート31〜34の中に接着樹脂繊維として引き揃えたり、織物の補助糸(縦糸、または、横糸)として接着樹脂繊維を使用したり、炭素繊維シート31〜34にスティッチングを実施していることも好ましい。この他にも、粒子状で、炭素繊維シート31〜34の各層間に分散化されていることも好ましい態様である。このとき接着樹脂60は、炭素繊維シート上を全て覆うことなく配されていることが好ましい。接着樹脂60は、絶縁材料であり炭素繊維シート上をすべて覆ってしまうと積層方向に電気が流れなくなってしまうためである。
炭素繊維プリフォーム70は、多段構造を有している。具体的には、炭素繊維プリフォーム70は、4つの炭素繊維シート31〜34を積層した構造を有している。炭素繊維シート31〜34を積層する方向を積層方向ともいう。炭素繊維プリフォーム70において、炭素繊維シート31〜34の各層は、面方向において、通電可能領域24およびその周辺に対応する位置のみで、接着樹脂60を介して接着されている。つまり、通電可能領域24およびその周辺に対応する位置に存在する接着樹脂60のみが、溶融および冷却固化されて、接着機能を発揮している。その他の接着樹脂60は、溶融されていないために、接着機能を発揮していない。図1および図3では、接着機能を発揮している接着樹脂60に対してのみ黒色で塗りつぶしている。
本発明のような炭素繊維プリフォーム製造装置を用いることで、複雑な金型形状、または積層体50の内部に炭素繊維シート以外の絶縁材料からなるシート等を使用することなく、部分的な通電によって、炭素繊維プリフォーム70の形態を保持可能にしつつ、少ない通電容量で接着可能とすることができる。例えば、金型表面に複数の突起(凹凸)を形成して電気抵抗の差を設けたり、積層体50の内部に通電可能な領域のみ空隙を設けたシート等を挟み込んだりする必要がないため、積層体50の表面に不要な凹凸形状が形成されることもなく、賦形性の自由度が確保される。さらに、少ない通電コスト、炭素繊維シート31〜34と接着樹脂60のみの材料で炭素繊維プリフォーム70を製造することが可能となる。
次に、炭素繊維プリフォーム70の製造方法について、図を用いて説明する。
図4は、図1に示す炭素繊維プリフォーム製造装置に用いられる下型の概略斜視図である。下型22のほぼ中央に突起が設けられており、突起の頂部を含む複数箇所に円形の通電可能領域24が形成されており、それ以外の下型表面は絶縁領域25となっている。
炭素繊維プリフォーム70の製造にあたり、まず炭素繊維シート31〜34を用意する。この段階では、炭素繊維シート31〜34は炭素繊維プリフォーム70の形状は有しておらず、全面が平坦な矩形形状を有している。このとき、炭素繊維シート31〜34は金型20の面積と同一で無くても良いが、金型20の面積と同等もしくは大きいことが好ましい。
次に、図1に示すように、炭素繊維シート31〜34を順に下型22の上に積層する。この際、炭素繊維シート31〜34の層間には、接着樹脂60を介して積層体50が形成されている。炭素繊維シート31〜34の層間は、直接的には、つまり、接着樹脂60を介していない状態では、接触していないように図示している。しかし、炭素繊維シート31〜34としてシート状の織物を使用する場合、隣接する炭素繊維シートの炭素繊維束は完全に同一方向に配向されておらず、炭素繊維束の凹凸形状により、部分的に相互に接触している箇所が設けられている。このように接触箇所を有することで、炭素繊維の有する導電性により、積層体50の積層方向に電気が流れるようになる。
上型21と下型22の間に、接着樹脂60が層間に介在する炭素繊維シート31〜34を積層した後、積層体50を上型21と下型22で、挟み込み加圧する。この加圧により、さらに炭素繊維シート同士の接触箇所が増加する。この状態で電源41を用いて電圧を印加することで、電源ケーブル45を通り、下型22の表面に存在する通電可能領域24から積層体50に通電される。電気は、炭素繊維シート34側から積層体50を通過し上型21、電源ケーブル45と流れる。この際、積層体50を構成する炭素繊維シート31〜34の層間が最も電気抵抗が高いため、抵抗発熱の原理により、各層間で発熱が起きる。この発熱により、各層間に介在する接着樹脂60が溶融、固着することで炭素繊維シート31〜34が接着され、炭素繊維プリフォーム70が製造される。このとき、金型20の有する型形状が転写され、接着樹脂60の固着によって形状が保持される。
図5は、図4に示された下型22を利用して作製された炭素繊維プリフォーム70の概略図を示している。図では詳細を省略するが、平坦部71だけでなく、略中央の突出部72にもシワは形成されず、また持ち運ぶ際も層間のズレや突出部72等の形態が崩れることのない炭素繊維プリフォーム70となっている。
なお、得られた炭素繊維プリフォーム70は、炭素繊維強化プラスチックを製造する際に使用される。かかる炭素繊維強化プラスチックは、例えば、RTM(Resin Transfer Molding)法を使用して製造することができる。具体的には、炭素繊維プリフォーム70を、炭素繊維プリフォーム70の形状に対応する形状を有するキャビティを備えた型内に配置し、キャビティ内に熱硬化性樹脂を注入して、炭素繊維プリフォーム70の内部に熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱硬化させることによって、炭素繊維強化プラスチックが完成する。このため、炭素繊維プリフォーム70の形状は、完成品としての炭素繊維強化プラスチックの形状に対応した形状となっている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、この様な実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取ることができる。例えば上述した例の構成要素や、実施形態中の要素は、本願の課題の少なくとも一部を解決可能な態様、または、上述した各効果の少なくとも一部を奏する態様において、適宜、組み合わせ、省略、上位概念化を行うことが可能である。
種々の構成の一例として、図6に本発明における部分通電領域の他の実施形態における概略図を示す。図6に示す金型20は、過度の立面(以下、立面と記載)を含んでいる。この場合、全面を接着せずとも立面以外の面を接着することができれば炭素繊維プリフォーム70の形状を保持することができる。従って図6の様な部分通電領域23の構成にしても同様の効果を得ることができる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明について説明するが、本発明は実施例について何ら制限されるものではない。
図4に示す下型を組み込んだ、図1に示す炭素繊維プリフォーム製造装置を用いて炭素繊維プリフォームを製造した。
(実験条件)
炭素繊維シート31〜34の面積:40,000mm
1つの通電可能領域24の面積:約200mm(直径16mm)
通電時間:3秒
実施例では、通電可能領域24の設置数を変え、表1のように通電可能領域24の面積を変えて通電容量を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2015030108
表1に示すように、通電可能領域24の面積の増加に従い、通電容量が増加する結果となった。接着樹脂60を溶融するのに必要な発熱量は、ジュールの法則より求めることができる。また、本実施例における通電時の抵抗値は、部分通電領域23と炭素繊維シート34の接触抵抗、および積層体50の抵抗によって決定する。ここで、部分通電領域23と炭素繊維シートとの接触抵抗は、部分通電領域23における通電可能領域24の面積によって決まる。またこの接触抵抗は、体積抵抗の関係式より求めることができる。体積抵抗の関係式において、その抵抗値は、接触面積に反比例して減少していくことから、表1に示す様に必要電流値もほぼ反比例して減少していくことが認められた。
表1に示す結果からすると、通電可能領域24が10%、30%、50%、100%と変化させると、必要となる電流はそれぞれ、300A、1000A、1500A、3000Aとなった。通電可能領域24が100%、すなわち下型22表面全体が通電可能領域となった場合には、必要電流が3000Aに達するため、電源の容量を1ランク上げる必要が生じ、炭素繊維プリフォーム製造装置自体が大型化することになる。また、通電加熱法の場合、電源ケーブル44、45も発熱するのでこの発熱量に応じて太くせねばならず、1000Aを超えてくると電源ケーブル44、45も太くする必要があり、装置の巨大化が避けられなくなる。
したがって、本実施例の様に通電可能領域24を調整することで、積層体50に必要な発熱量をコントロールすることができ、省エネルギー化することが可能になる。また、炭素繊維プリフォーム製造装置も小型、小容量化することができ、装置に対する減価償却費等の固定費削減によるコスト低減にも寄与できる。
本発明は、炭素繊維プリフォームの製造装置に限らず、複数の導電体からなる積層体の接着、接合装置に応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
20 金型
21 上型
22 下型
23 部分通電領域
24 通電可能領域
25 絶縁領域
26 絶縁層
31〜34 炭素繊維シート
40 通電加熱プリフォーム装置
41 電源
42 トランス
43 整流器
44 電源ケーブル
45 電源ケーブル
50 積層体
60 接着樹脂
70 炭素繊維プリフォーム
71 平坦部
72 突出部
73 基端部
74 先端部

Claims (8)

  1. 複数の炭素繊維シートからなる積層体を、向かい合う2つの型で挟み込み、該2つの型表面のいずれか一方から前記積層体に電気を流すことで前記複数の炭素繊維シートを加熱し、炭素繊維シートを所望の形状に賦形する炭素繊維プリフォームの製造装置であって、前記型表面の一部が絶縁層で覆われた絶縁領域と、通電可能な通電可能領域からなることを特徴とする、炭素繊維プリフォームの製造装置。
  2. 前記型表面において、前記絶縁領域と前記通電可能領域が、交互に配置された部分通電領域を有することを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維プリフォームの製造装置。
  3. 前記部分通電領域において、前記通電可能領域の面積が、全体の30%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維プリフォームの製造装置。
  4. 前記絶縁領域として少なくともアルミナを含む前記絶縁層からなることを特徴とする請求項3に記載の炭素繊維プリフォームの製造装置。
  5. 前記絶縁層が溶射によって前記型表面に設置されることを特徴とする請求項3または4に記載の炭素繊維プリフォームの製造装置。
  6. 複数の炭素繊維シートからなる積層体を、向かい合う2つの型で挟み込み、該2つの型表面から前記積層体に電気を流すことで炭素繊維シートを加熱して、前記炭素繊維シートの層間または表層に介在する接着樹脂によってその層間を接着し、炭素繊維シートを所望の形状に賦形する炭素繊維プリフォームの製造方法であって、前記型表面の一部を電気的な絶縁層で覆った絶縁領域を形成することで、残る通電可能領域を限定し、前記2つの型間に電圧を印加することで、限定した前記通電可能領域のみから、前記積層体に電流を流し、前記複数の炭素繊維シートの積層方向と直交する面方向における、前記限定された通電可能領域およびその周辺に対応する領域のみを、接着樹脂を介して接着することを特徴とする炭素繊維プリフォームの製造方法。
  7. 前記型表面において、前記絶縁領域と前記通電可能領域が、交互に配置された部分通電領域を有する事を特徴とする請求項6に記載の炭素繊維プリフォームの製造方法。
  8. 前記部分通電領域において、前記通電可能領域の面積が、全体の30%以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の炭素繊維プリフォームの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016203397A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 東邦テナックス株式会社 プリプレグ製造方法

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