JP2015028365A - 傾斜して設置可能な粒状体を用いたダンパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒状体ダンパは、重力の影響を受けるので傾斜した設置ができない。
【解決手段】ケース1とその両端のエンドキャップ2に囲まれた空間に磁性体粒子を含む磁性粒状体6を充填し、エンドキャップの周囲部に電磁石7または永久磁石8、あるいはその両方を配置することで、前記磁性体粒子に前記エンドキャップ部に引き寄せる力を与え、ピストン5との間で発生する摩擦力を大きくすることで、減衰力を大きくすることを特徴とするダンパ装置。
【選択図】図4
【解決手段】ケース1とその両端のエンドキャップ2に囲まれた空間に磁性体粒子を含む磁性粒状体6を充填し、エンドキャップの周囲部に電磁石7または永久磁石8、あるいはその両方を配置することで、前記磁性体粒子に前記エンドキャップ部に引き寄せる力を与え、ピストン5との間で発生する摩擦力を大きくすることで、減衰力を大きくすることを特徴とするダンパ装置。
【選択図】図4
Description
本発明は、制振装置の粒状体を用いたダンパ装置に関するものである。特に、粒状体に磁性体粒子を用いて、磁石により磁場を印加することで、ダンパ装置に対する重力の影響を小さくすることができる。よって、傾斜して設置できるので、当該ダンパ装置を用いた機械の設計自由度が大きくなる。
剛性を有するケース内に充填された粒状体群の中にピストン(抵抗体)を配し、その動きに応じて粒状体に発生する摩擦を用いて振動を吸収するダンパ(防振装置)が特許文献1で提案されている。
同様のダンパを傾斜させて設置した場合に生じる変位に対する減衰力発生の非対称性をなくす方法としてバネを用いた機構が特許文献2で提案されている。
同様のダンパを傾斜させて設置した場合に生じる変位に対する減衰力発生の非対称性をなくす方法としてバネを用いた機構が特許文献2で提案されている。
粒状体を用いたダンパ装置の基本構成を図13に示す。剛性を有するケース1内に充填された粒状体10(非磁性体の粒子群)の中にピストン5およびロッド4を配し、その動きに応じて粒状体10に発生する摩擦を用いて振動を吸収するダンパ(以下、粒状体ダンパ)では、ケース1の内容積に対する粒状体10の充填率の影響を受けて減衰特性が変化する。即ち、充填率が低くケース内に空隙が多い場合には減衰力は小さくなる。反対に、充填率が高くケース1内に空隙が少ない場合には減衰力は大きくなる。更に、充填率を高くしていくと粒状体の流動性が失われ、ダンパとして機能しなくなる。従って、粒状体ダンパは適当な充填率(適当な空隙がある状態)を選ぶ必要がある。
この場合、粒状体ダンパのケース1内に充填された粒状体10の分布は均等ではなく、粒状体10の密度が小さな領域が存在する。この粒状体10の密度の小さな領域がピストン5の進行方向の前方に存在する場合、粒状体10がピストン5の動きにより移動し、ピストン5前方の領域の粒状体密度がある程度以上になるまでの間は、ダンパの減衰力は非常に小さい。この粒状体10の密度が小さな領域が粒状体ダンパの減衰力に影響する。
従って、例えばピストン5が垂直(鉛直)方向に動くように粒状体ダンパを設置した時、重力の影響を受ける。ピストン5およびロッド4が上向きに動く際に発生する減衰力は、下向きに動く際に発生する減衰力よりも小さくなるといった現象が生じる。即ち、粒状体ダンパの設置する角度やピストン5およびロッド4が動く向きにより、発生する減衰力は変化する。即ち、粒状体ダンパは設置する角度に依存して減衰力が変化する。
粒状体ダンパの減衰力の設置する角度への依存性を低減させる方法として特許文献2でバネ機構を用いることが提案されている。しかし、機械的な可動部が存在するため、故障の原因となりやすい。また、バネ機構を利用した場合、減衰力特性は単なる摩擦ダンパの特性に近いものとなり、粒状体10を利用したダンパの特性(変位に応じて減衰力が大きくなる、いわゆる漸硬型特性)が失われる。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ケース(1)とその両端のエンドキャップ(2)に囲まれた空間に磁性体粒子を含む磁性粒状体(6)が充填され、前記ケース(1)中でピストン(5)がロッド(4)の動きに伴って、前記ケース(1)に対して相対的に変位する構造において、前記エンドキャップ(2)のうち一方または両方の周囲部に磁石(7、8)が配置されていることで、前記磁石によって前記磁性体粒子を前記エンドキャップ(2)側に引き寄せる力が発生し、前記磁性体粒子と前記ピストン(5)との間で発生する摩擦力が前記引き寄せる力によって大きくなることで、減衰力が大きくなることを特徴とするダンパ装置である。
また、請求項2に記載の発明は、ケース(1)とその両端のエンドキャップ(2)内の空間に粒状体(6)が充填され、前記ケース(1)中でピストン(5)がロッド(4)の動きに伴って、前記ケース(1)に対して相対的に変位するダンパ装置であって、前記粒状体(6)は、磁性体粒子を含む磁性粒状体(6)であり、前記エンドキャップ(2)のうち一方または両方の周囲部に、前記磁性体粒子を前記一方または両方のエンドキャップ(2)側に引き寄せる磁石(7、8)を備えたことを特徴とするダンパ装置である。
また、請求項3に記載の発明は、前記磁石(7、8)は電磁石であって、請求項1又は2記載のダンパ装置において、前記電磁石(7)の印加電流を制御することにより、前記減衰力をコントロールする制御装置を備えたことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3記載のダンパ装置において、前記電磁石(7)は、前記エンドキャップ(2)の両方の周囲部に備えられ、前記磁性体粒子を前記両方のエンドキャップ(2)側に引き寄せ、前記制御装置は、前記電磁石(7)への印加電流を前記ピストン(5)の振動と同期させ、前記ピストン(5)の移動前方の前記電磁石(7)のみに印加電流を流し、他方の電磁石には印加電流を流さないようにすることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のダンパ装置において、前記エンドキャップ(2)のうち、上方側に設置されるエンドキャップ(2)の周辺部のみに前記磁石(7、8)を備えたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、ケース(1)とその両端のエンドキャップ(2)内の空間に粒状体(6)が充填され、前記ケース(1)中でピストン(5)がロッド(4)の動きに伴って、前記ケース(1)に対して相対的に変位するダンパ装置であって、前記粒状体(6)は、磁性体粒子を含む磁性粒状体(6)であり、前記エンドキャップ(2)のうち一方または両方の周囲部に、前記磁性体粒子を前記一方または両方のエンドキャップ(2)側に引き寄せる磁石(7、8)を備えたことを特徴とするダンパ装置である。
また、請求項3に記載の発明は、前記磁石(7、8)は電磁石であって、請求項1又は2記載のダンパ装置において、前記電磁石(7)の印加電流を制御することにより、前記減衰力をコントロールする制御装置を備えたことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3記載のダンパ装置において、前記電磁石(7)は、前記エンドキャップ(2)の両方の周囲部に備えられ、前記磁性体粒子を前記両方のエンドキャップ(2)側に引き寄せ、前記制御装置は、前記電磁石(7)への印加電流を前記ピストン(5)の振動と同期させ、前記ピストン(5)の移動前方の前記電磁石(7)のみに印加電流を流し、他方の電磁石には印加電流を流さないようにすることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のダンパ装置において、前記エンドキャップ(2)のうち、上方側に設置されるエンドキャップ(2)の周辺部のみに前記磁石(7、8)を備えたことを特徴とする。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
以下に図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず,本発明で対象となる粒状体を用いたダンパの概要を説明する。図1に示すように、粒状体ダンパ装置の基本構成は、ケース1とその両端のエンドキャップ2に囲まれた空間に粒状体10として磁性粒状体6が充填されており、その中でピストン5がロッド4の動きに伴って、ケース1に対して相対的に変位する構造となっている。ベアリング3は、エンドキャップ2の各々に開けられた穴の内壁に配置され、当該穴に挿通されたロッド4を支持する。更に、両端のエンドキャップ2のうち一方又は両端の周囲部に、磁石が配置されている。この磁石は、すべて電磁石であってもよいし、すべて永久磁石であってもよい。
尚、磁性粒状体6は、磁場に応答する磁性体材料による磁性体粒子6を粒状体10の全部あるいはその一部として用いるものである。
まず,本発明で対象となる粒状体を用いたダンパの概要を説明する。図1に示すように、粒状体ダンパ装置の基本構成は、ケース1とその両端のエンドキャップ2に囲まれた空間に粒状体10として磁性粒状体6が充填されており、その中でピストン5がロッド4の動きに伴って、ケース1に対して相対的に変位する構造となっている。ベアリング3は、エンドキャップ2の各々に開けられた穴の内壁に配置され、当該穴に挿通されたロッド4を支持する。更に、両端のエンドキャップ2のうち一方又は両端の周囲部に、磁石が配置されている。この磁石は、すべて電磁石であってもよいし、すべて永久磁石であってもよい。
尚、磁性粒状体6は、磁場に応答する磁性体材料による磁性体粒子6を粒状体10の全部あるいはその一部として用いるものである。
ケース1、エンドキャップ2、ベアリング3、ロッド4、ピストン5は、図13に同じ符号で表した要素と同等の機能を有する。
図2に、プロトタイプとして作製した粒状体ダンパの構成、寸法等を示す。寸法は、ケース1の内径31 mm、エンドキャップ2間の距離60 mm、ロッド4の径 4 mm、ピストン5部の最大径20 mm、ピストン5の長さ 30 mm、テーパー部傾斜角45°である。磁性粒状体6として、磁性体である粒子径0.5 mmの鋼球(SUJ-2)を充填率60.6 %で封入した。
この粒状体ダンパを用いて、一定周波数3 Hz、一定振幅4 mmの強制加振を加えた場合の減衰力を、水平方向に対する傾斜角を変えて測定した。座標は、ケース1の中心を原点として、水平方向をz軸(右側を正)、垂直方向をr軸(下側を正)とした。また、磁束密度の測定位置範囲を9で示す。測定は、ケース1の中央部より右側へ90mmの範囲で行った。
この粒状体ダンパを用いて、一定周波数3 Hz、一定振幅4 mmの強制加振を加えた場合の減衰力を、水平方向に対する傾斜角を変えて測定した。座標は、ケース1の中心を原点として、水平方向をz軸(右側を正)、垂直方向をr軸(下側を正)とした。また、磁束密度の測定位置範囲を9で示す。測定は、ケース1の中央部より右側へ90mmの範囲で行った。
磁場を印加しない場合、この粒状体ダンパの減衰力−変位曲線は図3のようになる。粒状体ダンパを傾斜させない場合(符号1:傾斜角0°(以下同じ))は、ピストン5の左右への移動に対して減衰力は均等に発生している。しかし、粒状体ダンパを傾斜させて設置した場合(符号2:傾斜角30°、符号3:傾斜角60°、符号4:傾斜角90°(以下同じ))、ピストン5が上方に移動する時(図3の縦軸の下側(以下同じ))には、ほとんど減衰力が得られない。一方、ピストン5が下方に移動する時には、水平時に比べ大きな減衰力が発生する。これは、磁性粒状体6が重力の影響により傾斜した粒状体ダンパの下方に移動し、上方に空隙が発生しているからである。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るダンパは、図4のように電磁石7(円筒状に巻いたコイル)を両側のエンドキャップ2の周辺部の外周部に巻き付けるようにして配置したものである。図4の右側のエンドキャップ2の周辺部の外周部に巻き付けられた電磁石7によって、ロッド4付近に図4中右向きの磁場勾配が発生する。一方、図4の左側のエンドキャップ2の周辺部の外周部に巻き付けられた電磁石7によって、ロッド4付近に図4中左向きの磁場勾配が発生する。本実施形態では,左右の電磁石7には同じ向きに同じ大きさの電流を流している。左右の電磁石に互いに逆向きの電流を流しても,また異なる大きさの電流を流してもよい。なお、図4(1)は図4(2)のA-A断面図である。
本発明の第1実施形態に係るダンパは、図4のように電磁石7(円筒状に巻いたコイル)を両側のエンドキャップ2の周辺部の外周部に巻き付けるようにして配置したものである。図4の右側のエンドキャップ2の周辺部の外周部に巻き付けられた電磁石7によって、ロッド4付近に図4中右向きの磁場勾配が発生する。一方、図4の左側のエンドキャップ2の周辺部の外周部に巻き付けられた電磁石7によって、ロッド4付近に図4中左向きの磁場勾配が発生する。本実施形態では,左右の電磁石7には同じ向きに同じ大きさの電流を流している。左右の電磁石に互いに逆向きの電流を流しても,また異なる大きさの電流を流してもよい。なお、図4(1)は図4(2)のA-A断面図である。
図5に、両端の電磁石7に同じ印加電流(1.4Aと2.8A)を同時に与え測定した磁場の大きさである磁束密度Bの分布を示す。横軸のz座標は、図2に示す測定位置範囲90内の位置を表している。(1)はz方向の成分、(2)はr方向の成分の測定結果である。z方向成分、r方向成分共に、印加電流にほぼ比例して磁束密度Bは大きくなった。
磁束密度Bは、次式で示される。
ここで、Bは磁束密度、Hは磁場強度、Mは 磁化、μ0は真空の透磁率である。
磁場が印加されている場合に磁性粒状体6中の磁性体粒子に作用する力は、以下の2種類である。
第一は、位置ri 、rjにある2つの磁性体粒子の間で発生する力である磁気双極子相互作用力であり、次式で示される。
ここでmiはi番目の磁性体粒子が持つ磁気双極子モーメントで、磁場が印加されると発生し、磁場が印加されない場合には0である。また、太字でないrijは、2つの磁性体粒子間の距離である。よって、磁気双極子相互作用力も、磁場が印加されると発生し、磁場が印加されない場合には0である。磁気双極子相互作用力は、磁性体粒子の間で働く力である。
第二は、磁場勾配によって生じる磁気力であり、次式で示される。
ここで、磁場勾配∇Hは数1より磁束密度Bの勾配に比例すると見なすことができる。
ここで、Bは磁束密度、Hは磁場強度、Mは 磁化、μ0は真空の透磁率である。
磁場が印加されている場合に磁性粒状体6中の磁性体粒子に作用する力は、以下の2種類である。
第一は、位置ri 、rjにある2つの磁性体粒子の間で発生する力である磁気双極子相互作用力であり、次式で示される。
ここでmiはi番目の磁性体粒子が持つ磁気双極子モーメントで、磁場が印加されると発生し、磁場が印加されない場合には0である。また、太字でないrijは、2つの磁性体粒子間の距離である。よって、磁気双極子相互作用力も、磁場が印加されると発生し、磁場が印加されない場合には0である。磁気双極子相互作用力は、磁性体粒子の間で働く力である。
第二は、磁場勾配によって生じる磁気力であり、次式で示される。
ここで、磁場勾配∇Hは数1より磁束密度Bの勾配に比例すると見なすことができる。
図5において、ピストン5の減衰力に寄与する範囲であるz座標軸15〜30mm(15mm:ピストン5の右端部、30mm:右エンドキャップ2の内壁面)に着目すると、z方向成分(水平方向)の磁束密度Bの勾配は大きく、磁性粒状体6をエンドキャップ2部に引き寄せる力与えていることが分かる。引き寄せる力の大きさは、磁束密度Bの勾配の大きさに比例するので、z座標軸15mm位置では小さく、30mm位置で大きくなっている。
r方向成分(半径方向)は、ケース1の円形中心より半径方向に働く力であるが、z方向成分(水平方向)より小さい。
r方向成分(半径方向)は、ケース1の円形中心より半径方向に働く力であるが、z方向成分(水平方向)より小さい。
よって、各エンドキャップ2の周囲部に電磁石7を配置して磁場を発生させたことにより、磁性粒状体6には、各エンドキャップ2に近いほど大きく、各エンドキャップ2に向かった水平方向の力が働くことになる。よって、磁性粒状体6には各エンドキャップ2側に引き寄せられる力が働くとともに磁気双極子相互作用力によっても引き寄せられるので、傾斜して設置した磁性粒状体ダンパの上側にも磁性粒状体6が存在して空隙が存在しにくくなる。
図6に、本実施形態の減衰力−変位曲線を示す。図6(1)は印加電流1.4Aの場合を表し、図6(2)は印加電流2.8Aの場合を表す。傾斜角を変化させた場合(符号2、3、4)、ピストン5が上向(図6の縦軸の下側)に減衰力が発生する。磁場が無い場合(図3)には無かった減衰力である。印加電流1.4Aの場合、ピストン5が上向き時の減衰力は、下向き時の減衰力より小さい。これは磁束密度Bにより発生する磁性粒状体6を両エンドキャップ2へ引き寄せる力が、粒状磁性体6の重力より相対的に小さいことを示している。
一方、印加電流2.8Aの場合、発生する磁束密度Bの勾配が大きいため、磁性粒状体6を両エンドキャップ2へ引き寄せる力が大きくなり、磁性粒状体6の重力の影響は相対的に小さくなる。よって、ピストン5が上方および下方の移動時、ほぼ同じ大きさの減衰力が発生している。即ち、印加電流をコントロールすることで磁束密度の大きさをコントロールでき、結果として磁性粒状体ダンパとしての減衰力もコントロールできる。以上より、垂直(鉛直)も含めた傾斜して設置ができる磁性粒状体ダンパが構築できる。この場合、ダンパ装置は、両電磁石7への印加電流を制御する制御装置を備える。
図7に、電磁石7の代わりに永久磁石8を使った場合の実施例を示す。電磁石のように電気を必要としない利点がある。各永久磁石8がロッド4付近に発生させる磁束密度の方向は、図4の電磁石7と同じである。同図の永久磁石8は、図7(2)に示すように、図4の電磁石7と同様の円筒状であるが、図7(3)に示すように、複数の永久磁石をエンドキャップ2の外周に配置して構成しても良い。なお、図7(1)は図7(2)または図7(3)のB-B断面図である。
図8に永久磁石8を使った他の実施例を示す。エンドキャップ2の外側に永久磁石8を配置するものである。図8(2)に示すように、永久磁石8の形状は円筒状であり、例えばゴム状の永久磁石である。各永久磁石8がロッド4付近に発生させる磁束密度の方向は、図4で同じ位置にある電磁石7と同じである。
また、図8(3)に示すように、直方体形状の永久磁石を、1個又は複数個で構成しても良い。また、図8(4)に示すように、円柱形状の永久磁石を、1個又は複数で構成しても良い。なお、図8(1)は図8(2)、図8(3)、または図8(4)のC-C断面図である。
また、図8(3)に示すように、直方体形状の永久磁石を、1個又は複数個で構成しても良い。また、図8(4)に示すように、円柱形状の永久磁石を、1個又は複数で構成しても良い。なお、図8(1)は図8(2)、図8(3)、または図8(4)のC-C断面図である。
図9に永久磁石を使った他の実施例を示す。エンドキャップ2の内側、即ちケース1の内部に設置するものである。永久磁石8の形状は円筒状であるが、複数の直方体形状や円柱形状の永久磁石で構成しても良い。
以上、図7乃至9の実施例によれば、エンドキャップ2の周辺部に設置した永久磁石の磁場により、磁性粒状体6を両エンドキャップ2へ引き寄せることにより、磁性粒状体の重力の影響を相対的に小さくできる磁性粒状体ダンパを構築することができる。よって、永久磁石を用いることで垂直(鉛直)も含めた傾斜設置ができる磁性粒状体ダンパが構築できる。
また、図示はしないが電磁石7と永久磁石8の両方を設置することもできる。即ち、図4に示す電磁石7と図7、図8又は図9に示す永久磁石の両方を、エンドキャップ2の周辺部へ設置することもできる。つまり、電磁石7と永久磁石8とは混在して用いられてもよい。
ケース1と一方のエンドキャップ2は、一体で構成することもできる。
以上、図7乃至9の実施例によれば、エンドキャップ2の周辺部に設置した永久磁石の磁場により、磁性粒状体6を両エンドキャップ2へ引き寄せることにより、磁性粒状体の重力の影響を相対的に小さくできる磁性粒状体ダンパを構築することができる。よって、永久磁石を用いることで垂直(鉛直)も含めた傾斜設置ができる磁性粒状体ダンパが構築できる。
また、図示はしないが電磁石7と永久磁石8の両方を設置することもできる。即ち、図4に示す電磁石7と図7、図8又は図9に示す永久磁石の両方を、エンドキャップ2の周辺部へ設置することもできる。つまり、電磁石7と永久磁石8とは混在して用いられてもよい。
ケース1と一方のエンドキャップ2は、一体で構成することもできる。
図4に示す電磁石7の印加電流をコントロールする制御装置を備えることにより、この制御装置を用いて減衰力をコントロールすることができる。前述のように、印加電流をコントロールすることで磁束密度Bの大きさをコントロールでき、結果として磁性粒状体ダンパとしての減衰力もコントロールできる。即ち、垂直(鉛直)も含めた傾斜して設置ができる磁性粒状体ダンパにおいて、必要とされる減衰力を任意に設定ができる効果がある。また、粒状体ダンパを設置した後でも減衰力の変更が可能である。
また、上記制御装置を用いて、電磁石7への印加電流をピストン5の振動と同期させ、ピストン5の移動前方の電磁石7のみに印加電流を流し、他方の電磁石には印加電流を流さないように制御してもよい。即ち、粒状体を引き寄せる必要のない側の電磁石に電流を流さないことで省エネルギー化を図ることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、両方のエンドキャップ2の周辺部に電磁石7又は永久磁石8を設置することで、磁性粒状体ダンパの設置方向をフリーとしている。しかし、第1実施形態の磁性粒状体ダンパを傾斜して設置した場合、下側のエンドキャップ2近傍の電磁石7又は永久磁石8は、事実上不要となる。
これに着目して、第2実施形態では、片方のエンドキャップ2の周辺部にのみ電磁石7又は永久磁石8をつけ、この端部を水平より上方側に設置することを特徴とする本実施形態に係る磁性粒状体ダンパを例示する。
第1実施形態では、両方のエンドキャップ2の周辺部に電磁石7又は永久磁石8を設置することで、磁性粒状体ダンパの設置方向をフリーとしている。しかし、第1実施形態の磁性粒状体ダンパを傾斜して設置した場合、下側のエンドキャップ2近傍の電磁石7又は永久磁石8は、事実上不要となる。
これに着目して、第2実施形態では、片方のエンドキャップ2の周辺部にのみ電磁石7又は永久磁石8をつけ、この端部を水平より上方側に設置することを特徴とする本実施形態に係る磁性粒状体ダンパを例示する。
図10に本実施形態に係る磁性粒状体ダンパの構成を示す。
図11に、本実施形態の電磁石7に印加電流(1.4Aと2.8A)を与え測定した磁場(磁束密度)の分布を示す。図5と比較すると、(1)に示すz方向の成分は、図5とほぼ同じ値となるが、(2)に示すr方向の成分は、図5に比べ増加している。両端に電磁石を設定すると、互いの磁場が干渉するためである。
ピストン5の減衰力に寄与する範囲であるz座標軸15〜30mm(15mm:ピストン5の右端部、30mm:右エンドキャップ2の内壁面)に着目すると、z方向成分(水平方向)の磁束密度Bの勾配は大きく、磁性粒状体6を、エンドキャップ2へ引き寄せる力を与えていることが分かる。これは、エンドキャップ2の周囲に電磁石7を配置して磁場を発生させたことによる効果である。
図12に、減衰力−変位曲線を示す。傾斜角を変化させた場合(符号2、3、4)、ピストン5が上向きに移動する(図6、12の縦軸の下側)時に発生する減衰力を、図6と比較する。印加電流を1.4A、2.8Aにした場合、両方とも図6より小さくなる。従って、必要とする減衰力が、比較的小さい場合に有効である。コスト的に有利であるので、設置方向の設計的な制約が解消できるならば、有効な磁性粒状体ダンパとなる。
図11に、本実施形態の電磁石7に印加電流(1.4Aと2.8A)を与え測定した磁場(磁束密度)の分布を示す。図5と比較すると、(1)に示すz方向の成分は、図5とほぼ同じ値となるが、(2)に示すr方向の成分は、図5に比べ増加している。両端に電磁石を設定すると、互いの磁場が干渉するためである。
ピストン5の減衰力に寄与する範囲であるz座標軸15〜30mm(15mm:ピストン5の右端部、30mm:右エンドキャップ2の内壁面)に着目すると、z方向成分(水平方向)の磁束密度Bの勾配は大きく、磁性粒状体6を、エンドキャップ2へ引き寄せる力を与えていることが分かる。これは、エンドキャップ2の周囲に電磁石7を配置して磁場を発生させたことによる効果である。
図12に、減衰力−変位曲線を示す。傾斜角を変化させた場合(符号2、3、4)、ピストン5が上向きに移動する(図6、12の縦軸の下側)時に発生する減衰力を、図6と比較する。印加電流を1.4A、2.8Aにした場合、両方とも図6より小さくなる。従って、必要とする減衰力が、比較的小さい場合に有効である。コスト的に有利であるので、設置方向の設計的な制約が解消できるならば、有効な磁性粒状体ダンパとなる。
なお、設置方向の設計的な制約が解消できない場合は、第1実施形態のようにケース1の両端部に磁石7、8を備えることで、どのような設置方向であっても対応可能である。設置方向の設計的な制約が解消できない場合としては、例えば、設置方向があらかじめ決まっていない場合や、使用時に設置位置が逐次変化するような場合が考えられる。
重力の影響のない傾斜して設置可能な粒状体ダンパは、減衰力が大きく、また減衰力を設置後にも可変な制振装置として、例えば、エンジン、モータ等の制振、列車、自動車等の制振、地震の制振にも利用が可能である。
1 ケース
2 エンドキャップ
3 ベアリング
4 ロッド
5 ピストン
6 磁性粒状体
7 電磁石
8 永久磁石
9 磁束密度の測定位置
10 粒状体
2 エンドキャップ
3 ベアリング
4 ロッド
5 ピストン
6 磁性粒状体
7 電磁石
8 永久磁石
9 磁束密度の測定位置
10 粒状体
Claims (5)
- ケース(1)とその両端のエンドキャップ(2)に囲まれた空間に磁性体粒子を含む磁性粒状体(6)が充填され、前記ケース(1)中でピストン(5)がロッド(4)の動きに伴って、前記ケース(1)に対して相対的に変位する構造において、
前記エンドキャップ(2)のうち一方または両方の周囲部に磁石(7、8)が配置されていることで、前記磁石によって前記磁性体粒子を前記エンドキャップ(2)側に引き寄せる力が発生し、前記磁性体粒子と前記ピストン(5)との間で発生する摩擦力が前記引き寄せる力によって大きくなることで、減衰力が大きくなることを特徴とするダンパ装置。 - ケース(1)とその両端のエンドキャップ(2)内の空間に粒状体(6)が充填され、前記ケース(1)中でピストン(5)がロッド(4)の動きに伴って、前記ケース(1)に対して相対的に変位するダンパ装置であって、
前記粒状体(6)は、磁性体粒子を含む磁性粒状体(6)であり、
前記エンドキャップ(2)のうち一方または両方の周囲部に、前記磁性体粒子を前記一方または両方のエンドキャップ(2)側に引き寄せる磁石(7、8)を備えたことを特徴とするダンパ装置。 - 前記磁石(7、8)は電磁石であって、
前記電磁石(7)の印加電流を制御することにより、前記減衰力をコントロールする制御装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のダンパ装置。 - 前記電磁石(7)は、前記エンドキャップ(2)の両方の周囲部に備えられ、前記磁性体粒子を前記両方のエンドキャップ(2)側に引き寄せ、
前記制御装置は、前記電磁石(7)への印加電流を前記ピストン(5)の振動と同期させ、前記ピストン(5)の移動前方の前記電磁石(7)のみに印加電流を流し、他方の電磁石には印加電流を流さないようにする請求項3記載のダンパ装置。 - 前記エンドキャップ(2)のうち、上方側に設置されるエンドキャップ(2)の周辺部のみに前記磁石(7、8)を備え請求項1乃至4のいずれか1つに記載のダンパ装置。
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