JP2015022783A - 磁気テープの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気テープの表面に均一な状態の磁性層側潤滑剤層を簡易な方法で形成することができる、低コスト化を実現した磁気テープの製造方法を得る。
【解決手段】非磁性の支持体3の一方の面に磁性層5が積層形成された磁気テープ本体2と、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面2aに形成された磁性層側潤滑剤層7とを備えた磁気テープ1の製造方法であって、潤滑剤を塗布布に含浸させた含浸塗布布11を作製した後、前記含浸塗布布を加熱し、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に加熱された前記含浸塗布布を走行させながら摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成する。
【選択図】図4
【解決手段】非磁性の支持体3の一方の面に磁性層5が積層形成された磁気テープ本体2と、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面2aに形成された磁性層側潤滑剤層7とを備えた磁気テープ1の製造方法であって、潤滑剤を塗布布に含浸させた含浸塗布布11を作製した後、前記含浸塗布布を加熱し、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に加熱された前記含浸塗布布を走行させながら摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成する。
【選択図】図4
Description
本開示は、情報の記録、再生が可能な磁気テープの製造方法に関し、特に、磁気テープの磁性層の表面に磁性層側潤滑剤層が形成された磁気テープの製造方法に関する。
磁気記録媒体の一つである磁気テープには、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータテープなど様々な用途がある。近年では、データバックアップ用テープとして、ハードディスクデータをバックアップするために、磁気テープが記録媒体として利用されることも多くなっている。
特に、データバックアップ用テープの分野では、バックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴って、磁気テープ1巻当たり800GB以上の記憶容量のものが商品化されるなど、磁気テープの大容量化が進んでいる。また、磁気テープを大容量化する方法として、磁性層の磁化の方向を磁気テープの厚さ方向とする垂直記録方式が提案されている。
従来、コンピュータテープとしては、磁性粉を結合剤樹脂中に分散させた磁性塗料を、可撓性の非磁性体である支持体上に塗布して磁性層が製造される、いわゆる塗布型の磁気テープが用いられている。塗布型の磁気テープにおいて高容量化・高密度化を図るためには、これまで以上に磁性層の膜厚を薄くする必要があり、現在では磁性層の厚さを300nm以下とした磁気テープも知られている。
また、高密度記録化が可能な磁気テープとして、真空蒸着法などによってコバルト系合金を非磁性支持体上に直接被着させて磁性層を製造する、金属磁性薄膜型の磁気テープが提案されている。金属磁性薄膜型の磁気テープは、抗磁力や角形比に優れ、短波長での電磁変換特性にも優れるとともに、磁性層が薄いため厚み損失が小さく、また、磁性材料の充填密度が高いなどの利点を有する。
塗布型、金属磁性薄膜型、いずれの磁気テープにおいても、磁性層の高密度化に対応してスペーシングロスを抑えるために、テープ表面の高い平滑性が求められている。磁性層の表面が平滑になると、磁気ヘッドに対する接触面積が大きくなるために摩擦力が増大し、磁気テープの磁気ヘッドへの張り付きが生じて磁気テープの走行が困難となる。また、磁気ヘッドの磨耗が激しくなるという弊害も生じる。このような磁気テープと磁気ヘッドとの張り付きを防止するために、磁気ヘッドと接触する磁気テープの磁性層側の表面に、潤滑剤を塗布して磁性層側潤滑剤層を形成することが行われている。
磁性層側潤滑剤層は、従来、裁断される前の原反状の磁気テープ表面に、潤滑剤を含有した有機溶剤からなる塗布溶液を、例えばスピンコート法やワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ディップコート法などの液体を平面上に拡散塗布する各種のコーティング方法によって塗布し、乾燥、必要に応じてアニールすることで形成されている。
均一な厚みで、かつ、より平坦化された磁性層側潤滑剤層を得る方法として、潤滑剤を含んだ塗布溶液を乾燥させる際のテープ表面温度を計測、コントロールして、テープ表面の潤滑剤吸着量が最適となるように制御する技術が提案されている(特許文献1参照)。
塗布型磁性層を備えた磁気テープの場合には、磁性層自体や支持体と磁性層との間に形成される非磁性の下層に潤滑剤を含有させることができる。しかし、磁性層の高密度化と薄膜化とが進む現状では、塗布型磁性層を備えた磁気テープにおいても金属磁性薄膜の磁性層を備えた磁気テープと同様に、磁気テープの表面に磁性層側潤滑剤層を形成することが重要となる。
一般の塗膜形成法である各種のコーティング方法を用いた、従来の磁性層側潤滑剤層の形成方法によって磁気テープの表面に均一で薄い磁性層側潤滑剤層を形成するためには、塗布条件の厳密な管理や、例えば特許文献1に記載されているような乾燥時の温度管理などが必要となる。また、従来の磁性層側潤滑剤層の形成方法では、潤滑剤が含まれた余剰の塗布溶液の回収が困難となる場合もある。これらの結果、磁性層側潤滑剤層を形成する製造工程のコストが上昇する。
本開示は、上記従来の課題を解決し、磁気テープの表面に均一な状態の磁性層側潤滑剤層を簡易な方法で形成することができる、低コスト化を実現した磁気テープの製造方法を得ることを目的とする。
上記課題を解決するため本願で開示する磁気テープの製造方法は、非磁性の支持体の一方の面に磁性層が積層形成された磁気テープ本体と、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に形成された磁性層側潤滑剤層とを備えた磁気テープの製造方法であって、潤滑剤を塗布布に含浸させた含浸塗布布を作製した後、前記含浸塗布布を加熱し、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に加熱された前記含浸塗布布を走行させながら摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成することを特徴とする。
本願で開示する磁気テープの製造方法は、磁気テープ本体の磁性層側の表面に形成される磁性層側潤滑剤層を、潤滑剤を含浸させた後に加熱された帯状の含浸塗布布を走行させながら磁気テープ本体に摺接させて転写形成する。このため、粘度の高い潤滑剤を用いて、磁気テープ本体の表面に均一な磁性層側潤滑剤層を容易にかつ無駄なく形成することができる。
本願で開示する磁気テープの製造方法は、非磁性の支持体の一方の面に磁性層が積層形成された磁気テープ本体と、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に形成された磁性層側潤滑剤層とを備えた磁気テープの製造方法であって、潤滑剤を塗布布に含浸させた含浸塗布布を作製した後、前記含浸塗布布を加熱し、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に加熱された前記含浸塗布布を走行させながら摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成する。
上記本願で開示する磁気テープの製造方法は、磁気テープ本体の磁性層が形成された側の表面に、潤滑剤を含浸した後に加熱した帯状の含浸塗布布を走行させながら摺接させて磁性層側潤滑剤層を形成する。このため、融点または流動点が高く常温における粘度が高い潤滑剤を、磁気テープの全長にわたって同じ条件で塗布することができるとともに、潤滑剤層を乾燥させる工程が不要となり、余剰の潤滑剤の回収も容易となる。この結果、磁気テープの表面に均一な状態の磁性層側潤滑剤層を、低コストで形成することができる。
本願で開示する磁気テープの製造方法において、前記含浸塗布布を、含浸させた潤滑剤の流動点よりも10℃以上高い温度に加熱することが好ましい。このようにすることで、含浸塗布布との摺接によって磁気テープ本体の表面に潤滑剤を良好に形成することができる。
また、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側とは反対側の表面に、帯状の前記含浸塗布布を走行させながら摺接させてバックコート側潤滑剤層を形成することが好ましい。このようにすることで、磁性層側潤滑剤層と同様に均一な状態のバックコート側潤滑剤層を、磁気テープ本体の磁性層が形成された側とは反対側の表面に形成することができる。
この場合において、前記含浸塗布布の一方の面を前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成するとともに、前記含浸塗布布の他方の面を前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側とは反対側の表面に摺接させて前記バックコート側潤滑剤層を形成することが好ましい。このようにすることで、塗布布に含浸させた潤滑剤を、磁気テープ本体の両側の表面に効率よく塗布することができる。
また、前記支持体上に前記磁性層を積層形成した磁気テープ本体を所定幅に裁断した後に、前記含浸塗布布を前記磁気テープ本体の表面に摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成することが好ましい。支持体上に磁性層を積層形成した磁気テープ本体を所定幅に裁断する前に潤滑剤が含浸された含浸塗布布を磁性層表面に摺接させて磁性層側潤滑剤層を形成することもできるが、このようにすることで、磁気テープの裁断工程で表面に形成された磁性層側潤滑剤層が剥がれてしまうことを回避でき、より良好な状態の磁性層側潤滑剤層が形成された磁気テープを製造することができる。
さらに、前記磁性層にサーボ信号を記録した後に、前記含浸塗布布を前記磁気テープ本体の表面に摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成することが好ましい。このようにすることで、データの記録再生を行う実使用時により良好な状態の磁性層側潤滑剤層を備えた、磁気テープを製造することができる。
本願で開示する磁気テープの製造方法において、前記塗布布として、織物、または、編み物、または、不織布のいずれかを用いることができる。塗布布として使用可能な、潤滑剤を含浸できる吸収性を有する布のなかで、これらのものを塗布布として用いることが有効である。
また、本願で開示する磁気テープの製造方法において、前記磁気テープ本体と前記含浸塗布布とを、互いに逆方向に走行させた状態で摺接させることが好ましい。このようにすることで、塗布布に含浸された潤滑剤を、均一にかつ効率よく磁気テープ本体の表面に塗布することができる。
さらにまた、前記含浸塗布布が、潤滑剤を塗布する前記磁気テープ本体のテープ幅の120〜200%の幅を備えていることが好ましい。このようにすることで、磁気テープ本体の表面全体に、潤滑剤を塗布することができる。
また、潤滑剤を含む溶液に帯状の前記塗布布を浸した後に、潤滑剤が含浸された前記含浸塗布布をリールに巻き取り、前記磁気テープ本体を走行させる装置に前記リールを取り付けて、前記磁気テープ本体と前記含浸塗布布とをともに走行させながら互いに摺接させることが好ましい。含浸塗布布を一旦リールに巻き取ることで、磁気テープの製造工程における各工程で用いられる装置に、容易に含浸塗布布を走行させながら磁気テープと摺接させる動作系を組み込むことができ、磁気テープの製造工程における各工程中において潤滑剤層の塗布を行うことができる。
さらに、前記含浸塗布布と前記磁気テープ本体との摺接を規制する摺接ガイドピンを用いて前記含浸塗布布を所定の温度に加熱することが好ましい。含浸塗布布を所定の温度に加熱する方法は、熱風を吹きつける方法、赤外線などの光を照射する方法、含浸塗布布が通過する部分に形成された高温室内部を通過させる方法など各種の方法があるが、このようにすることで、磁気テープ本体と摺接している状態の含浸塗布布の温度を正確に制御、管理することができる。
また、前記潤滑剤を、有機溶剤に溶解させて前記塗布布に含浸させ、前記有機溶剤を蒸発させた後に前記含浸塗布布を前記磁気テープ本体に摺接させることが好ましい。このようにすることで、磁気テープ本体の表面に形成された潤滑剤層中に、有機溶剤が不純物として残存することが防止できる。
以下、本願で開示する磁気テープの製造方法の実施形態について、製造される磁気テープが、ハードディスクデータのバックアップを行うデータバックアップ用磁気テープである場合を例に、図面を参照して説明する。
なお、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本願で開示する磁気テープの製造方法、ならびに、製造されるデータバックアップ用磁気テープを説明するために必要な部分のみを簡略化して示したものである。従って、本願で開示する磁気テープの製造方法は、参照する各図に示されていない任意の構成を備えることができる。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率を必ずしも忠実に表したものではない。
(実施の形態)
図1は、本実施形態にかかる磁気テープの製造方法によって製造される磁気テープの構成を示す断面図である。
図1は、本実施形態にかかる磁気テープの製造方法によって製造される磁気テープの構成を示す断面図である。
本実施形態で例示する磁気テープ1は、ハードディスクデータのバックアップ用磁気テープであり、図1に示すように、非磁性の支持体3上に、下層非磁性層4と磁性層である上層磁性層5とが積層されている。また、支持体3の上層磁性層5が形成されている側とは反対の側には、テープ走行性の向上のためにバックコート6が形成されていて、磁気テープ本体2が構成されている。
磁気テープ本体2において、支持体3と上層磁性層5との間に下層非磁性層4を配することで、上層磁性層5の下地層として磁気ヘッドとのヘッド当たりを改善することができるとともに、上層磁性層5の層厚を薄くすることができ、短波長記録に適した磁気テープ1とすることができる。
また、本実施形態で例示する磁気テープ1は、磁気テープ本体2の上層磁性層5側の表面2aに磁性層側潤滑剤層7が、さらに磁気テープ本体2の上層磁性層5が形成されている側とは反対側の表面2bにバックコート側潤滑剤層8が形成されている。なお、バックコート側潤滑剤層8は必要に応じて適宜形成されればよく、本実施形態で説明する製造方法によって製造される磁気テープにおいて必須の構成要素ではない。
上層磁性層5は、例えば、結合剤中に所定材料の磁性粉末を含むものであり、一例として厚さが0.01μm〜0.3μmの層が好ましい。なお、上層磁性層5は、0.01μm〜0.1μmの層であるとより好ましい。
上層磁性層5に含まれる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂等が挙げられる。
また、上記の結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基等と結合し架橋構造を形成する熱硬化性の架橋剤を併用することが好ましい。架橋剤としては、具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;イソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等の水酸基を複数個有する化合物との反応生成物;イソシアネート化合物の縮合生成物等の各種のポリイソシアネートが挙げられる。架橋剤の含有量は、結合剤100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部である。
上層磁性層5中の結合剤の含有量は、磁性粉末100質量部に対して、好ましくは7〜50質量部であり、より好ましく10〜35質量部である。
上層磁性層5に含まれる磁性粉末としては、具体的には、例えば、六方晶系フェライト磁性粉末、強磁性鉄系金属磁性粉末、窒化鉄系磁性粉末等が挙げられる。磁性粉末の平均粒子径は、好ましくは10〜35nmであり、より好ましくは15〜25nmである。磁性粉末の平均粒子径は、針状の場合は平均長軸径を、板状の場合は最も大きな板径を、長軸長と短軸長の比が1〜3.5である球状ないし楕円体状の場合は最大差し渡し径をそれぞれ意味する。
上層磁性層5に含まれる潤滑剤としては、従来公知の10〜30の炭素数を有する脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。これらは単独で、または複数使用してもよい。
さらに、上記脂肪酸とともに、従来公知の脂肪酸エステルや脂肪酸アミドを含有してもよい。脂肪酸エステルとしては、具体的には、例えば、オレイン酸n−ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸n−オクチル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸n−ブチル、ラウリン酸ヘプチル、ミリスチン酸n−ブチル、オレイン酸n−ブトキシエチル、トリメチロールプロパントリオレエート、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸s−ブチル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸ブチルセロソルブ等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、具体的には、例えば、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。これらは単独で、または複数使用してもよい。
磁性層13に潤滑剤を含有させる場合、磁性層13中の磁性粉末、研磨剤等の全粉末の総量100質量部に対して、脂肪酸を0.5〜4質量部、脂肪酸エステルを0.2〜3質量部、脂肪酸アミドを0.5〜5質量部使用することが好ましい。
上記上層磁性層5に含有される磁性粉体の種類、形状、大きさ(粒径)、混入割合等を調整することにより、上層磁性層5の磁気特性を、例えば、垂直方向の保磁力が135〜280kA/m(1,700〜3,500Oe)とすることができる。
上層磁性層5は、少なくとも一層から構成されておればよく、必要により二層以上の多層構成となっていてもよい。また、本実施形態で説明する磁気テープ1では、支持体3と上層磁性層5との間に後述する下層非磁性層4が形成されるため、上層磁性層5の結合剤として、下層非磁性層4の結合剤と同種のものを用いることが好ましい。
下層非磁性層4は、上層磁性層5の下地層として、磁気テープと磁気ヘッドとのヘッド当たりを緩衝するものであり、非磁性の酸化鉄やアルミナなどの非磁性粉末と結合剤を含んでいる。下層非磁性層4に用いられる結合剤や潤滑剤は、上述の上層磁性層5と同様のものを用いることができる。
また、非磁性粉体としてカーボンブラックを含むことができ、この場合電気抵抗が低減され、静電ノイズの発生やテープ走行むらが小さくなる。さらに、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム等を含んでも良い。通常は、カーボンブラックが単独で用いられるか、カーボンブラックと、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム等の他の非磁性粉末とが混合して用いられる。下層非磁性層4は、少なくとも一層から構成されておればよく、必要により、二層以上の多層構成となっていてもよい。下層非磁性層2の厚さとしては、テープ全厚を考慮して、一例として0.3〜2.0μmとすることができる。また、下層非磁性層4のヤング率を上層磁性層3のヤング率の80〜99%とすることで、下層非磁性層4にクッションとしての作用を十分に発揮させることができる。
非磁性の支持体3は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド等からなるプラスチックフィルム等が用いられる。非磁性支持体3の長手方向のヤング率は、好ましくは5.8GPa以上であり、より好ましくは7.1GPa以上である。非磁性支持体3の長手方向のヤング率が5.8GPa以上であれば、走行性を向上させることができる。また、ヘリキャルスキャン方式に用いられる磁気記録媒体では、長手方向のヤング率(MD)と幅方向のヤング率(TD)との比(MD/TD)は、好ましくは0.6〜0.8であり、より好ましく0.65〜0.75であり、更に好ましくは0.7である。上記比の範囲内であれば、磁気ヘッドのトラックの入側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)を抑えることができる。リニアレコーディング方式に用いられる磁気記録媒体では、長手方向のヤング率(MD)と幅方向のヤング率(TD)との比(MD/TD)は、好ましくは0.7〜1.3である。支持体3の厚さは磁気テープの用途によって異なるが、一例として2〜6μmとすることができる。
支持体3の、下層非磁性層4と上層磁性層5とが形成された面とは反対側の面には、走行性向上のためバックコート6が設けられている。バックコート6の厚さは、一例として0.2〜0.8μmとすることができる。バックコート6は、例えば、非磁性粉末と結合剤を含むコート層として形成することができる。また、バックコート6に、強度の向上を目的として酸化鉄やアルミナ粒子を添加することができる。
なお、上記した、支持体3、下層非磁性層4、上層磁性層5、バックコート6で構成される磁気テープ本体2は、上記例示した構成以外にも、従来周知の材料で形成することができる。さらに、上記磁気テープ本体2の構成例において、少なくとも支持体3と上層磁性層5とのみを備えていれば、その他の構成は必要に応じて適宜省略することができ、また、上記例示に記載していない既知の各種構成を備えることもできる。
磁気テープ本体2の製造方法としては、一例として、非磁性の支持体3の表面に、下層非磁性層4、上層磁性層5、および、バックコート6を形成する塗料を調整し、グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布等の従来から知られている塗布方法により、これらを順次塗布、乾燥する従来周知の製造方法を用いることができる。このように、下層非磁性層4を乾燥させた後に上層磁性層5を積層塗布する逐次重層塗布方式の他に、支持体3上に下層非磁性層4を塗布した後、下層非磁性層4を乾燥させることなく湿潤な状態で上層磁性層5を積層塗布する同時重層塗布方式を用いることができる。
このようにして製造された磁気テープ本体2を所定のテープ幅に裁断する。本実施形態で製造する磁気テープ1は、一例としてデータバックアップ用途のLTO(Linear Tape Open)5規格の磁気テープであり、テープ幅は約12.6mmである。
その後、裁断されたテープ本体2の表面に潤滑剤を塗布して、磁性層側潤滑剤層7とバックコート側潤滑剤層8とを形成する。本実施形態の磁気テープの製造方法では、潤滑剤が含浸された帯状の塗布布を走行させた状態で磁気テープ本体2の表面に摺接させて、潤滑剤を磁気テープ本体2の表面に塗布する。
図2は、本実施形態の磁気テープの製造方法において、磁気テープ本体2の表面に潤滑剤を塗布するために使用する塗布布に、潤滑剤を含浸させて含浸塗布布を作製する工程を説明する図である。
図2に示すように、本実施形態では、繰り出し側の第1リール12に巻回された塗布布を巻き取り側の第2リール13に巻き取る途中で、所定の含浸ガイドピン14を用いて含浸容器15内に溜められた潤滑剤のヘキサン溶液16中を潜らせることで、帯状の塗布布に潤滑剤を含浸させて含浸塗布布11を作製する。なお、図2中の矢印は、第1リール12、第2リール13の回転方向と、塗布布または含浸塗布布11の進行方向を示している。
含浸塗布布11を作製するための塗布布は、帯状、別の言い方をすればいわゆるリボン状であり、所定の幅とこの幅に対して十分に大きな長さとを有した布部材である。塗布布は、布を構成する繊維が後述する潤滑剤16を含浸できる吸収性を有するものであり、かつ、繊維が毛羽立ったり切断されて発塵したりしないものが好ましい。なお、繊維を布として構成する方法としては、編み物、織物、不織布などがあるが、後述するように、本実施形態で説明する塗布布に用いる上ではその種類は問わない。
本実施形態では、帯状の塗布布として、テクノス株式会社製の「TECHNO WIPER(テクノワイパー)CRN500(製品名)」を用いた。この「TECHNO WIPER(登録商標)」のような工業用途のワイパーは、吸水性が高くまた毛羽立ちなどが抑えられているため、本実施形態の磁気テープの製造方法において、潤滑剤を磁気テープ本体2の表面に塗布する含浸塗布布11を作製するために用いる塗布布として適している。なお、上記したように、本実施形態で例示する製造される磁気テープ1は、データバックアップ用のLTO5規格の磁気テープで、テープ幅は約12.6mm(1/2インチ)であるため、潤滑剤を塗布するための含浸塗布布11の幅として20mmのものを用いた。
磁気テープ本体2の表面全体に潤滑剤を一度に塗布することができることから、含浸塗布布11の幅は塗布対象である磁気テープ本体2の幅よりも広いことが好ましい。より具体的には、含浸塗布布11の幅が、塗布対象である磁気テープ本体2のテープ幅に対して110〜200%であることが好ましい。含浸塗布布11の幅が、塗布対象である磁気テープ本体2のテープ幅に対して110%より小さいと、後述のように含浸塗布布11を磁気テープの上層磁性層5側の表面や、上層磁性層5側と反対側の表面に接触させる際に、含浸塗布布11や磁気テープの幅方向の振動によって位置がずれてしまい、上層磁性層5側の表面や、上層磁性層5側と反対側の表面の前面に潤滑剤層が形成されない可能性がある。また、含浸塗布布11の幅が、塗布対象である磁気テープ本体2のテープ幅に対して200%より大きいと、含浸塗布布11に含浸された潤滑剤の中で実際に上層磁性層5側の表面や、上層磁性層5側と反対側の表面の潤滑剤形成に使われない潤滑剤が多くなり、無駄が多くなる。
なお、本実施形態で使用した市販品の「TECHNO WIPER CRN500」の全長は16mである。
潤滑剤としては、常温で液体である脂肪酸エステルなどを用いることができる。本実施形態では、熱安定性や潤滑性に優れ、低温流動性が高く高引火点であることなどの好ましい条件を備えていることから、潤滑剤として、日油株式会社製の「ユニスターH−208BRS(製品名)」を用いた。この「ユニスターH−208BRS」は、多価アルコールであるネオペンチル型ポリオールの脂肪酸エステルであり、40℃における動粘度が7.6mm2/s、融点が−50℃のもので、エンジンオイルとして用いられるものである。この「ユニスターH−208BRS」を10w%、粘度調整の溶剤としてヘキサン90w%を混合した潤滑剤のヘキサン溶液16を、含浸容器15内に収容した。
本実施形態の磁気テープの製造方法では、図2に示すように、帯状の塗布布を第1リール12から第2リール13に巻き取りながら、全長にわたって順次潤滑剤のヘキサン溶液16内に浸していく。このようにすることで、塗布布の繊維間に潤滑剤が含浸(吸収)されて含浸塗布布11が作製される。特に、図2に示すように、潤滑剤のヘキサン溶液16の内部を潜った後の含浸塗布布11を潤滑剤のヘキサン溶液16が収容された含浸容器15に対して垂直上方に引き上げていくことにより、塗布布の繊維内に含浸されなかった余剰の潤滑剤のヘキサン溶液16は含浸塗布布11を伝って下方の含浸容器15内に戻り、塗布布の全長にわたって所定量の潤滑剤が含浸された含浸塗布布を作製できる。従来の塗膜形成方式において用いられていた原反状の磁気テープ本体の表面に潤滑剤を平面状にコーティングする塗布方法では、磁気テープ本体の両側部から潤滑剤がこぼれてしまうことを回避できなかったが、本実施形態の製造方法によれば、余剰となってこぼれてしまう潤滑剤を実質的になくすことができ、効率よく潤滑剤を利用することができる。
なお、図2に示す本実施形態では、塗布布または含浸塗布布11の走行速度は一例として200mm/minであり、潤滑剤のヘキサン溶液16に浸かっている含浸塗布布11の長さを規定する含浸容器15内に位置する2つの含浸ガイドピン14の間隔は4cmとしている。これら、潤滑剤を含浸させる工程での塗布布または含浸塗布布11の走行速度と潤滑剤のヘキサン溶液16内の含浸ガイドピン14の間隔によって定まる、塗布布が潤滑剤のヘキサン溶液16中に浸かっている時間は、用いる潤滑剤の粘度と使用される塗布布の吸液力等を考慮して適宜定めるべき数値であることは言うまでもない。また、含浸ガイドピン14を2本用いることも必須ではなく、含浸容器内に1本または3本以上の含浸ガイドピンを配置して塗布布に潤滑剤を含浸させることができる。
また、上記のように、本実施形態では潤滑剤のヘキサン溶液16に浸かった後の塗布布11が、ほぼ垂直上方に巻き取られていく構成としている。このような構成とすれば塗布布11に含浸されなかった余剰の潤滑剤のヘキサン溶液16が含浸容器15内に戻りやすいからであるが、含浸塗布布11が斜め上方に巻き取られる構成でも何ら問題はない。また、塗布布の全長にわたって潤滑剤が含浸されればよいことから、本実施形態で示したような第1リール12から第2リール13に巻き取られる途中で塗布布を潤滑剤のヘキサン溶液16に浸す方法に限られず、例えば、塗布布全体を一度に潤滑剤のヘキサン溶液の中に浸してこれを引き上げる、いわゆる「じゃぶ漬け(ザブ漬け)」によって潤滑剤を塗布布に含浸させることもできる。
次に、本実施形態の磁気テープの製造方法における、磁気テープ本体の表面に潤滑剤層を形成する工程について、図3を用いて説明する。
図3は、所定幅に裁断された磁気テープ本体2に対して、磁気テープ表面をクリーニングする磁気テープ巻変え機21において、磁気テープ本体2の上層磁性層5が形成された側の表面2aに磁性層側潤滑剤層7を、磁気テープ本体2の上層磁性層5が形成された側とは反対側の表面2bにバックコート側潤滑剤層8を、それぞれ形成する潤滑剤コーティング領域部分を拡大して示したものである。なお、磁気テープ本体2と潤滑剤が含浸されている帯状の含浸塗布布11との位置関係を明確に示すために、図3において、磁気テープ巻変え機21の構成要素である各種のリールやガイドピン、さらに、これに付随するローラー等は二点鎖線で示している。
磁気テープ巻変え機21において、磁気テープ本体2は、図示しない領域で磁気テープ表面に対するクリーニング処理が施された状態で図3に示す潤滑剤コーティング領域部分に到達する。磁気テープ本体2は、矢印Aとして示すように、図3における下側から潤滑剤コーティング領域部分に到達し、第1のテープローラー22で進行方向が反転された後、第2のテープローラー23を経て、その後テープ巻取り部分に向かう。
含浸塗布布11は、リール24から第1塗布布ガイドピン25を経て、第1の摺接ガイドピン26によって磁気テープ本体2の上層磁性層5側の表面2aに一方の面11aが接触する。その後、第1反転ガイドピン27、第2反転ガイドピン28、第1反転ローラー29、第2反転ローラー30、第3反転ガイドピン31、第4反転ガイドピン32を経ることで、磁気テープ本体2の反対側に回り込むと同時に含浸塗布布11自体も反転する。
この結果、第2の摺接接触ガイドピン33によって、第1の摺接ガイドピン26によって磁気テープ本体2に接触した一方の面11aの裏面に相当する他方の面11bが、磁気テープ本体2の上層磁性層5側とは反対側のバックコート層6が形成されている表面2bに接触する。その後、含浸塗布布11は、第2塗布布ガイドピン34、第3塗布布ガイドピン35を経て、巻き取りリール36に巻き取られる。
なお、図3において、含浸塗布布11の進行方向を適宜矢印Bとして表している。また、それぞれの詳細の説明は割愛するが、塗布布ガイドピン、摺接ガイドピン、反転ガイドピンそれぞれには、適宜ローラーを設けることができ、磁気テープ本体2と含浸塗布布11とのガイドピンにおける軸方向の位置を規制するとともに、磁気テープ本体2と含浸塗布布11とガイドピンとの間に不所望な摩擦力が生じることを回避することができる。
本実施形態の磁気テープの製造方法では、潤滑剤が含浸された帯状の含浸塗布布11が、磁気テープ巻変え機21の潤滑剤コーティング領域において、リール24から巻き取りリール36で巻き取られるまでの間に、一方の面11aと他方の面11bとが裏返って両方の面が磁気テープ本体2の両方の面2a、2bに順次摺接する。このようにすることで、磁気テープ本体2の上層磁性層5側の表面2aに磁性層側潤滑剤層7を、磁気テープ本体2の上層磁性層5とは反対側の表面2bにバックコート側潤滑剤層8を、一連の流れの中でそれぞれ形成することができる。
なお、図3に示す磁気テープ巻変え機21において、潤滑剤コーティング領域で最初に含浸塗布布11が巻回されているリール24として、図2に示した潤滑剤を塗布布に含浸させる装置の巻き取り側の第2リール13をそのまま用いることで、潤滑剤が含浸された状態の含浸塗布布11を巻き取り直す手間無く磁気テープ巻変え機21に装着して、磁気テープ本体2に潤滑剤層を形成することができる。
含浸塗布布11と磁気テープ本体2とが摺接する潤滑剤コーティング領域には、第1摺接角度規制ピン37と第2摺接角度規制ピン38とが配置されていて、図3において矢印Aとして示すように下方から上方へ向かって走行する磁気テープ本体2は、第2の摺接ガイドピン33、および、第1の摺接ガイドピン26に対するテープ巻付け角度が調整されている。
以下、磁気テープ本体の表面に潤滑剤を塗布するための、磁気テープ本体と含浸塗布布との摺接条件について説明する。
図4は、本実施形態の磁気テープの製造方法において、潤滑剤を含浸させた帯状の含浸塗布布と磁気テープ本体とが摺接する部分での摺接状態を説明するための模式図である。なお、図4は、磁気テープ本体と含浸塗布布との主面の延長方向、すなわち、磁気テープ本体と含浸塗布布との接触状態を規制する摺接ガイドピンの軸の延長方向から見た状態を示している。
図4においても、図3と同様に、磁気テープ本体2は図中矢印Aとして示すように下方から上方へ走行している。また、含浸塗布布11は図中矢印Bとして示すように上方から下方に向かって走行している。このように、本実施形態の磁気テープの製造方法では、磁気テープ本体2と含浸塗布布11とが互いに逆方向に走行してすれ違うようにして摺接する。このとき、磁気テープ本体2は、磁気テープ本体2と含浸塗布布11とが摺接する摺接ガイドピン41部分で、含浸塗布布11が接触する面の側に摺接ガイドピン41の接線42に対して巻付け角度αが形成されるように規制されて走行する。また、含浸塗布布11は、磁気テープ本体2と摺接ガイドピン41との間に位置し、摺接ガイドピン41の接線42に対して、磁気テープ本体2の巻付け角度αよりもさらに大きな巻付け角度βを形成するように規制されて走行する。
本実施形態の磁気テープの製造方法では、一例として、潤滑剤コーティング領域における磁気テープ本体2のテープ速度を3〜15m/sとすることができる。磁気テープ本体2のテープ速度が3m/sよりも小さい場合には、磁気テープ本体2の表面に塗布される潤滑剤の量が多すぎて、潤滑剤層を備えた完成後の磁気テープをリールに巻回した際の磁気テープ同士の張り付きや、磁気テープドライブ装置において磁気ヘッドに摺接した際に、磁気テープと磁気ヘッドとの張り付きが生じ易くなる。一方、潤滑剤コーティング領域における磁気テープの走行速度が15m/sより速いと、磁気テープの表面に十分な厚さの磁性層側潤滑剤層が形成できず、磁気テープと磁気ヘッドとの摩擦力を低減するという磁性層側潤滑剤層による効果が十分に得られない。
また、本実施形態の磁気テープの製造方法では、含浸塗布布11の走行速度を、一例として50〜150mm/minとすることができる。含浸塗布布11の走行速度が50mm/minよりも遅いと磁気テープ本体2の表面に形成される磁性層側潤滑剤層の厚さが薄くなって、磁気テープと磁気ヘッドとの摩擦力を低減するという磁性層側潤滑剤層による効果が十分に得られない。また、含浸塗布布11の走行速度が150mm/minよりも速い場合には、磁気テープの表面に塗布される潤滑剤の量が多すぎて、かえって磁気テープ同士または磁気テープと磁気ヘッドとの張り付きが生じ易くなる。
図4に示す、磁気テープ本体2の摺接ガイドピン41に対する巻付け角度αは、一例として10〜60°とすることができる。本実施形態の磁気テープの製造方法では、含浸塗布布11が、磁気テープ本体2と摺接ガイドピン41との間に配置された状態で磁気テープ本体2と摺接させるため、磁気テープ本体2の接触ガイド41に対する巻き付け角αが大きいほど、含浸塗布布11が磁気テープ本体2に対してより強く押しつけられることを意味する。したがって、巻付け角度αが10°よりも小さい場合には、含浸塗布布11が磁気テープ本体2に押しつけられる力が小さく、磁気テープ本体2の表面に所望の厚さの磁性層側潤滑剤層を形成することか困難となる。また、磁性層側潤滑剤層の厚さに、場所によるバラツキが生じやすくなる。一方、巻付け角度αが60°よりも大きな場合には、磁気テープ本体2の表面に塗布される潤滑剤の塗布量が多くなり過ぎてしまう。
摺接ガイドピン41部分における、含浸塗布布11と磁気テープ本体2との接触面積は、一例として、6.7〜670mm2とすることができる。含浸塗布布11と磁気テープ本体2との接触面積が6.7mm2よりも小さい場合には、磁気テープ本体2の表面に形成される磁性層側潤滑剤層の厚さが十分ではなくなる。また、含浸塗布布11と磁気テープ本体2との接触面積が670mm2よりも大きい場合には、磁気テープ本体2の表面に塗布される潤滑剤の塗布量が多くなり過ぎてしまう。なお、上記したように、本実施形態では、含浸塗布布11の幅が磁気テープ本体2の幅よりも広いため、磁気テープ本体2の表面全面が含浸塗布布11に接触する。このため、磁気テープ本体2と含浸塗布布11との接触面積は、磁気テープ本体2における含浸塗布布11との接触部分の長さによって定まる。また、図4に示すように、含浸塗布布11は、摺接ガイドピン41と磁気テープ本体2との間に配置されて磁気テープ本体2と摺接するものであり、かつ、上述したように摺接ガイドピン41に対する磁気テープ本体の巻付け角度αには一定の好ましい範囲が存在するため、磁気テープ本体2と含浸塗布布11との接触面積は、摺接ガイドピン41の外周の大きさ、すなわち、これを決定づけることになる摺接ガイドピン41の直径Lによって実質的に定まることになる。これらのことを考慮して、摺接ガイドピン41の直径Lは所定の大きさに定めることが必要となり、具体例として5〜50mmとすることができる。
また、含浸塗布布11と摺接する部分での、含浸塗布布11から磁気テープ本体2に加わる張力(テンション:tension)、すなわち、潤滑剤コーティング領域部分の前後において磁気テープに加わるテンションの差として求められるテンション差は、一例として0.6〜1.5Nとすることができる。テンション差の大きさが0.6Nよりも低い場合には、磁気テープ本体2の表面に塗布される潤滑剤の塗布量が少なくなり、潤滑剤の塗布量の場所によるバラツキが大きくなる。テンション差が1.5Nよりも大きい場合には、磁気テープ本体2自体が長手方向に伸びてダメージを受けてしまうおそれがある。
図3に示す磁気テープ巻変え機21では、潤滑剤コーティング領域に第1摺接角度規制ピン37と第2摺接角度規制ピン38とが配置されている。図3における下方から、潤滑剤コーティング領域に進入した磁気テープ本体2は、第1摺接角度規制ピン37によって一旦図3中の左側に進行方向が変えられた後、進行方向の右側に配置される第2の摺接ガイドピン33に向かうことで所定の巻き付け角が形成される。次に、第2の摺接ガイドピン33によって規制されている状態から、今度は進行方向左側に配置されている第1の摺接ガイドピン26に向かって走行することで、第1の摺接ガイドピン26に対して所定の巻付け角度が形成され、その後進行方向右側に位置する第2摺接角度規制ピン38を経て、図3における上方に抜けていく。
このように、本実施形態の磁気テープ巻変え機21では、磁気テープの進行方向に対して左右に配置された、摺接ガイドピンと摺接角度規制ピンを走行する磁気テープ本体2に対して所定の位置関係となるように配置することによって、摺接ガイドピンの周囲部分で磁気テープ本体2に含浸塗布布11が摺接している状態で、図4で示した所定の巻付け角度αが確保される。
なお、図4に示したような、磁気テープ本体2の図中左側の表面に潤滑剤を塗布する構成は、図3において第1の摺接ガイドピン26における摺接部分に相当する。また、図3に示す磁気テープ巻変え機21における、磁気テープ本体2と含浸塗布布11との具体的な摺接条件は、磁気テープの走行速度が12m/s、磁気テープ本体2と反対の方向に走行する含浸塗布布11の走行速度が100mm/min、第1の摺接ガイドピン26と第2の摺接ガイドピン33とにおける摺接部分でのテープ巻付け角度αが約30°、第1の摺接ガイドピン26と第2の摺接ガイドピン33の直径Lがいずれも10mm、磁気テープ本体2と含浸塗布布11との接触面積が約133mm2、磁気テープ2のテンション差が1.2Nとなっている。これらの含浸塗布布11と磁気テープ本体2との摺接条件は、磁気テープ本体2の厚さ、非磁性支持体3の材質、上層磁性層5の材料や形成方法、潤滑剤が含浸された含浸塗布布11の材料、潤滑剤の含浸量、潤滑剤の材質、粘度、所望の磁性層側潤滑剤層の厚さなどの条件によって、適宜選択されるべきものである。
図5は、本実施形態の磁気テープの製造方法によって製造された磁気テープにおける、磁性層側潤滑剤層の効果を説明する図である。
図5は、LTO5規格の磁気テープについて、実際にドライブ装置においてロードを行って、ロードの繰り返し回数に対するエラーレートの変化を示したものである。
図5(a)は、本実施形態で示した製造方法によって磁性層側潤滑剤層とバックコート側潤滑剤層とを磁気テープ本体の両表面に形成した磁気テープにおけるエラーレートの変化を示している。また、図5(b)は、磁気テープ本体の両面に磁性層側潤滑剤層を形成していない磁気テープにおけるエラーレートの変化を示している。磁気テープ本体の製造条件は同じであり、図5(a)、図5(b)における横軸の繰り返し回数は、LTO5規格どおりの80パスのフルロードを行った回数を、縦軸は磁気テープロード時の出力測定により得られたエラーレートの数値を相対的に示している。
図5(a)に示すように、本実施形態で説明した製造方法により潤滑剤を含浸させた塗布布を磁気テープ本体の表面に摺接させることで磁性層側潤滑剤層を形成した磁気テープでは、規格上のフルライトに相当する25回のロードを行った場合でも、エラーレートがほぼ一定の数値を保ち特に悪化(劣化)は見られない。これに対し、図5(b)に示すように、潤滑剤層が形成されていない磁気テープでは、ロード回数が増えるごとにエラーレートが増加していることがわかる。このことから、本実施形態にかかる製造方法により製造された磁気テープは、磁気テープ本体の表面に所望の磁性層側潤滑剤層が形成されていて、磁気テープと磁気ヘッドとのハリ付きが生じずに磁気ヘッドの磨耗が防止されていることが確認できる。
次に、潤滑剤層を形成する潤滑剤として、融点または流動点が比較的高い材料を用いる場合の、磁気テープの製造方法について説明する。
上記説明において潤滑剤として使用した日油株式会社製の「ユニスターH−208BRS」は、多価アルコールであるネオペンチル型ポリオールの脂肪酸エステルであり、融点が−50℃と低いため常温域では環境温度が変化しても粘度変化は少ない。一方で、融点または流動点が高い潤滑剤を用いる場合は、常温での粘度が高く、また、環境温度によって粘度が大きく変化する傾向にある。このような融点または流動点が高い潤滑剤を用いて磁気テープの磁性層表面に潤滑剤層を形成する場合には、塗布布に潤滑剤を含浸させた後に塗布布を加熱してその温度を上昇させて磁気テープに摺接させる方法(熱アシスト法)を採用することで、良好な潤滑剤層を形成することができる。
融点が高い潤滑剤として、例えば、日油株式会社製の「ユニスターH−445R(商品名)」を使用する。この「ユニスターH−445R」は、ペンタエリスリトールテトラ脂肪酸エステルの潤滑剤で、融点(流動点)が−2.5℃、動粘度は40℃で120mm2/s、100℃で17.2mm2/s、粘度指数157である。
以下、磁気テープとしては、潤滑剤として「ユニスターH−208BRS」を使用した場合と同様に、データバックアップ用途のLTO5規格のテープ幅約12.6mmのものを用いた場合の潤滑剤層の形成方法について具体的に説明する。
まず、潤滑剤材料を塗布布に含浸させて含浸塗布布を作製する工程は、潤滑剤として「ユニスターH−208BRS」を用いた場合と同じである。すなわち、図2に示したように、繰り出し側の第1リール12に巻回された塗布布を、含浸容器15内に溜められた潤滑剤のヘキサン溶液16中を潜らせた後に、巻き取り側の第2リール13に巻き取る。含浸塗布布11として用いられる塗布布も、同様に幅20mm、長さ16mのテクノス株式会社製の「TECHNO WIPER CRN500」を用いた。含浸塗布布11の幅が、塗布対象である磁気テープ本体2のテープ幅に対して110〜200%であることが好ましい点についても、「ユニスターH−208BRS」を用いた場合と同様である。
含浸容器15内には、「ユニスターH−445R」を10w%、粘度調整の溶剤としてのヘキサン90w%を混合したものを収容し、塗布布を第1リール12から第2リール13に巻き取りながら、全長にわたって順次潤滑剤14内に浸して塗布布に含浸(吸収)させて含浸塗布布11とした。塗布布または含浸塗布布11の走行速度は200mm/minであり、2つの含浸ガイドピン14の間隔は4cmとした。
次に、図3に示した磁気テープ巻変え機21において、磁気テープ本体2の上層磁性層5が形成された側の表面2aに磁性層側潤滑剤層7を、磁気テープ本体2の上層磁性層5が形成された側とは反対側の表面2bにバックコート側潤滑剤層8を、含浸塗布布11と磁気テープとを摺接させることにより転写して形成した。
磁気テープ巻変え機21の構成も、潤滑剤として「ユニスターH−208BRS」を用いた場合と基本的には同じであるが、第1の摺接ガイドピン26、第2の摺接ガイドピン33に微細な孔を開けて、この孔から湯煎により約45℃に暖めたエアーを放出することで、第1の摺接ガイドピン26、第2の摺接ガイドピン33に接触する含浸塗布布11の温度を上昇させた。
図6、および、図7は、本実施形態の磁気テープの製造方法に用いた磁気テープ巻変え機21における、第1の摺接ガイドピン26部分の温度を測定したサーモグラフィの画面を示している。図6は、摺接ガイドピン26部分を含浸塗布布11のみが走行している状態、図7が、摺接ガイドピン26部分を含浸塗布布11と磁気テープ本体2が走行している状態のサーモグラフィの画面である。
図6に示すように、摺接ガイドピン26に形成した孔から吹き出す暖められたエアーによって含浸塗布布11の温度が上昇し、摺接ガイドピン26の上側部分に接触している「a」部分での塗布布11の温度は約40℃、摺接ガイドピン26の側面「b」部分で最高温度である約43℃、下側の「c」部分で約40℃となっている。摺接ガイド26から少し離れた「d」部分では、含浸塗布布11の温度は約34℃まで下がっている。
このような状態の含浸塗布布11に摺接させた場合、磁気テープ本体2の温度は、図7に示すように、含浸塗布布11と接触している「B」、「C」の部分で約30℃、摺接ガイド26の上下方向に少し離れた「A」、「D」の部分で27℃〜29℃となっている。
なお、磁気テープ巻変え機21において、磁気テープ本体2や含浸塗布布11の走行系であるリール、ローラー、ガイドなどの構成、また、磁気テープ本体2と含浸塗布布11の走行方向や速度、互いに摺接する部分でのテープ巻付け角度、互いの接触面積などの各条件は、潤滑剤として「ユニスターH−208BRS」を用いた場合と同じとすることができる。
このように、磁気テープ本体2と摺接する部分での含浸塗布布11の温度を約43℃となるようにして、含浸塗布府11が摺接している状態での磁気テープ本体2の温度を約40℃とすることで、粘度の高い潤滑剤である「ユニスターH−445R」を用いた場合でも、磁気テープ本体2の表面に所望の厚さで潤滑剤層を形成することができる。
図8は、本実施形態にかかる磁気テープの製造方法により潤滑剤層が形成された磁気テープの、潤滑剤層の厚さを比較して示したものである。
なお、潤滑剤層の厚さは、TSA(Tape Spacing Analyzer)を用いて測定した。
具体的には、図9に示すように、ガラスプレート61に磁気テープ62の磁性層側の表面が接するように密着させ、ロードセル64を介して精密ステージ65に設置したウレタン製の半球63によりガラスプレート61に押しつける。このときウレタン製半球の凹圧力は、実際にテープドライブで使用される際に磁気テープが受けるヘッド圧に相当する圧力0.4〜1.0atmとする。
この状態で、ストロボスコープ66から一定波長の光を、ガラスプレート61を通して磁気テープ62の磁性層側表面の一定領域(例えば、240000〜280000μm2)に照射する。そして、この領域の凹凸で生じた干渉縞から算出した、ガラスプレート61と、磁気テープ62の磁性層側の各ポイント間との距離を濃度表示した画像を、CCDカメラ67で撮像し、システムコントローラ67を経てモニター69に表示させる。
ここで、表示された領域を50000ポイント以上、一例として66000ポイントに分割した各ポイントのガラスプレート61からの距離のヒストグラムを作成し、これをさらにローパスフィルター(LPF)処理によって滑らかにし、スペーシング量と各スペーシング量での頻度との関係からなるヒストグラムを得る。得られたピーク値が、ガラスプレート61と磁気テープ62の磁性層側表面とのスペーシングと認識される。
このようにして、磁性層上に潤滑剤が形成されている状態の磁気テープと、ヘキサンにより潤滑剤層を除去した状態の磁気テープとを測定して、ガラスプレート61と磁気テープ62の磁性層側とのスペーシングの増加量を形成された潤滑剤層の厚みと判断することができる。
上記TSAにより測定された、磁気テープ本体2の磁性層側表面に形成された潤滑剤層の厚さを示した図8において、図8(1)は、含浸塗布布11による潤滑剤層形成処理を行わなかった磁気テープのヘキサンによる洗浄前後のスペーシングの変化量を、図8(2)は、含浸塗布布を加熱しないで常温のまま摺接させた磁気テープのヘキサンによる洗浄前後のスペーシングの変化量を、図8(3)は、潤滑剤を含浸させた後、含浸塗布布の温度を約43℃に加熱した状態で摺接させた磁気テープのヘキサンによる洗浄前後のスペーシングの変化量を、それぞれ示している。
図8(1)として示す、潤滑剤層形成処理を行わない場合のスペーシング変化量は3nmである。(1)に示す磁気テープは、潤滑剤層の形成処理を行っていないため、この3nmという値は、磁気テープ本体2の上層磁性層5の上部に付着していた、下層磁性層4からしみ出てきた潤滑剤成分やその他の異物がヘキサンで溶解したことにより増加したスペーシング量を表していると考えられる。
図8において(2)として示す磁気テープでは、ヘキサンでの洗浄前後のスペーシング変化量は3nmで、(1)に示す潤滑剤塗布処理を行わなかった場合とほぼ等しい値となった。これは、潤滑剤として用いた「ユニスターH−445R」の融点が高いため、含浸塗布布11の温度を上昇させないで常温の状態で磁気テープ本体2と摺接させても、磁気テープ本体21の表面にほとんど潤滑剤層が転写形成されていなかったことを表している。
これに対して、含浸塗布布の温度を約43℃にした状態で磁気テープと摺接させた、(3)の場合には、ヘキサンによる洗浄の前後でスペーシング量が5nmとなっている。この結果から、「ユニスターH−445R」のような融点が高い潤滑剤を用いる場合には、含浸塗布布11の温度を高くした状態で磁気テープ本体2と摺接させることによって、厚さ2nmの磁性層側潤滑剤層7が形成されたことがわかる。
図10は、本実施形態で潤滑剤層として用いた、融点が高く常温時の粘度が高い「ユニスターH−445R」の温度(℃)と粘度(η)との関係を示す。
図10に示すように、「ユニスターH−445R」の粘度は、15℃〜20℃前後の常温域で0.3Pa/s程度であるが、本実施形態において磁気テープ本体2と摺接させた含浸塗布布11の温度である43℃では、粘度が0.1Pa/s以下となっている。このことから、図8(3)として示した含浸塗布布11の温度を高くして磁気テープ本体2に摺接させた場合には、含浸塗布布11に含浸されている潤滑剤の温度が上昇してその粘度が低下したため、含浸塗布布11から磁気テープ本体2の表面への潤滑剤の転写による塗布が良好に行われたことがわかる。
以上説明したように、塗布布に潤滑剤を含浸させて含浸塗布布を作製した後に、含浸塗布布を加熱し、潤滑剤の温度が高くなった状態で含浸塗布布と磁気テープ本体とを摺接させることで、融点または流動点が高く、常温領域での粘度が高い潤滑剤であっても、含浸塗布布を用いて磁気テープ本体の表面に潤滑剤層を転写塗布することができる。
なお、含浸塗布布を加熱する手段としては、上記で例示した摺接ガイドピンに微細な開口を設けてここから暖めたエアーを吹き出させる方法以外に、摺接ガイドピンを例えば銅などの熱伝導性の高い部材で形成するとともに、摺接ガイドピンの内部にヒーターを配置して摺接ガイドピンを暖めこの熱を含浸塗布布に伝達させる方法を採用することができる。このように、摺接ガイドピンの温度を高くする方法によれば、磁気テープと摺接する状態における含浸塗布布の温度を正確に制御することができる。このため、磁気テープ本体の表面に転写形成される際の潤滑剤の温度を、所望の温度にコントロールしやすくなる。
また、図3に示した磁気テープ巻変え機において、磁気テープ本体と摺接する含浸塗布布を加熱する方法以外の方法として、例えば、磁気テープと摺接される直前の含浸塗布布が通過する高温室を配置形成することが考えられる。この高温室内部の温度をヒーターや高温のエアーなどにより加熱することで、高温室を通過した含浸塗布布と含浸塗布布に含浸させた潤滑剤の温度を高くすることができ、粘度の高い潤滑剤であっても、含浸塗布布と磁気テープ本体とを摺接させる方法により所望の厚さの潤滑剤層を転写形成することができる。
さらに、磁気テープ巻変え機に高温室を形成せずに、ヒーターやランプなどの輻射熱で含浸塗布布の温度を上昇させる方法、巻変え機に装着する前に巻回されているリールごと含浸塗布布を暖める方法、さらには、磁気テープに含浸塗布布を摺接させる装置全体を加熱する方法なども考えられる。
また、上記実施形態では、磁気テープ本体の磁性層が形成されている側の表面に磁性層側潤滑剤層を形成する第1の摺接ガイドピンと、磁性層が形成されていない側の表面にバックコート側潤滑剤層を形成する第2の摺接ガイドピンとの両方で含浸塗布布を加熱するものを示した。しかし、例えば、磁性層側潤滑剤層を形成する際に加熱されたために、バックコート側潤滑剤層を形成する際の含浸塗布布の温度が、転写により塗布する条件として所望される温度範囲内となっているのであれば、第2の摺接ガイドピンで改めて含浸塗布布を加熱する必要はない。また、摺接ガイドピンを用いずに含浸塗布布を加熱する方法によっても、一度の加熱でバックコート側潤滑剤層を形成するまでの含浸塗布布の温度を所望の範囲に維持することができる場合がある。
潤滑剤を含浸させた含浸塗布布の加熱温度としては、含浸させた潤滑剤の融点または流動点に対して10℃以上の温度差が生じるようにすることで、潤滑剤の安定した流動性を維持でき、含浸塗布布から磁気テープの磁性層表面へ形成される潤滑剤層の厚さを大きなバラツキを生じさせること無く転写形成することができる。一方、磁気テープ本体と摺接させる際の含浸塗布布および潤滑剤の温度が高すぎると、含浸塗布布と摺接した磁気テープ本体の温度が高くなりすぎて、形成されている磁性層の磁気特性の変化や、磁気テープ自体の伸びや強度の低下などの弊害が生じるおそれがある。このような観点から、加熱した状態の含浸塗布布および含浸塗布布に含浸されている潤滑剤の温度は、含浸塗布布を裁断されていない原反状態の磁気テープに摺接させて原反状の磁気テープに潤滑剤層を形成する場合で60℃程度、上記実施形態として説明した場合のように、含浸塗布布を裁断された状態の磁気テープに摺接させて潤滑剤層を形成する場合は50℃程度以下とすることが好ましい。
これらの点を考慮すると、本開示の製造方法で製造される磁気テープに用いることができる潤滑剤としては、20℃から50℃の範囲に融点または流動点を有する潤滑剤、特に、25℃〜45℃において液体である潤滑剤であって、熱安定性や潤滑性に優れ、高引火点であるものが好ましい。
このような温度範囲に融点または流動点を有する潤滑剤として、脂肪酸アルキルエステルやポリオールエステルを用いることができる。脂肪酸のアルキルエステルの一例としては、ラウリン酸ドデシル(融点21℃)、ステアリン酸オクタデシル(融点37℃)、ミリスチン酸テトラデシル(融点31.5℃)、バルミチン酸プロピル(融点20.4℃)、バルミチン酸オクチル(融点22.5℃)、パルミチン酸デシル(融点30℃)、パルミチン酸ドデシル(融点41℃)、パルミチン酸テトラデシル(融点49.5℃)、ステアリン酸プロピル(融点30.5℃)、ステアリン酸ブチル(融点27.5℃)、ステアリン酸アミル(融点30℃)、ステアリン酸オクチル(融点31.8℃)などが挙げられる。これらの潤滑剤は、それぞれ単独で用いる以外にも、2種または3種以上を混合して用いることもできる。なお、上記におけるそれぞれの潤滑剤の融点は、「改訂三版 油脂化学便覧」に基づくものである。
また、上記実施形態では、潤滑剤を塗布布に含浸させて含浸塗布布を作製する際に潤滑剤を溶解させる有機溶剤としてヘキサンを用いる例を示した。このように、潤滑剤を塗布布に含浸させる際に用いることができる有機溶剤としては、ヘキサン以外にも、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは混合して使用され、またトルエンなどの芳香族溶媒と混合して使用されてもよい。
なお、上記例示した「ユニスターH−208BRS」のような融点の低い潤滑剤を用いて潤滑剤層を形成した場合には、磁気テープと磁気ヘッドとの動摩擦を低減させる効果が高いことが、一方、「ユニスターH−445R」のような融点が比較的高く、含浸塗布布を加熱することで良好に転写形成できる潤滑剤により形成された潤滑剤層は、磁気テープと磁気ヘッドとの静止摩擦を低減させる効果が高いことがわかった。このため、潤滑剤層として、融点または流動点の高い潤滑剤を用いるか低い潤滑剤を用いるかは、磁気テープ本体の材質や強度、磁気ヘッドから受ける押圧力の大きさや磁気ヘッドの材料などを考慮して、磁気テープと磁気ヘッドとの動摩擦と静止摩擦のどちらをより低減させたいかなどを踏まえて選択することが好ましい。また、融点または流動点の低い潤滑剤と、融点または流動点の高い潤滑剤とを混合して用いることで、磁気ヘッドと磁気テープとの動摩擦および静止摩擦とをともに低減する効果を備えた潤滑剤層を磁気テープの表面に形成できる可能性がある。このように、融点また流動点の低い潤滑剤と、融点または流動点の高い潤滑剤とを混合して用いる場合でも、潤滑剤が磁気テープ表面に十分に転写形成されるように、潤滑剤を含浸させた後の含浸塗布布を加熱することが好ましい。
以上説明した、潤滑剤を含浸させた後の含浸塗布布を加熱する方法(熱アシスト法)によれば、例えば、溶剤を用いて潤滑剤の粘度を下げて磁気テープ本体の表面に転写形成されやすくする場合と比較して、潤滑剤の変質など特性の変化を回避できる。また、潤滑剤を含浸させた後の含浸塗布布を加熱することで、潤滑剤を塗布布に含浸させる際に用いた溶剤を確実に蒸散させることが可能となる。
塗布布に含浸させる際に用いられた有機溶剤が残留している潤滑剤によって磁気テープ表面に潤滑剤層を形成した場合には、後に潤滑剤層が変質して剥がれやすくなったりするなどの不都合が生じやすくなる。実際には、塗布布に潤滑剤を含浸させる際に用いられる有機溶剤は、磁気テープ本体と摺接されるまでの間にほとんどが自然に蒸散するが、より確実に有機溶剤を蒸散させるためには、潤滑剤を塗布布に含浸させた後に、含浸塗布布の温度を高くして有機溶剤を蒸散させる工程を設けることがより有効である。ここで、塗布布に含浸させた粘度の高い潤滑剤を磁気テープ本体の表面に転写しやすくするために含浸塗布布の温度を上昇させる、上記の熱アシスト法を用いた場合には、潤滑剤の温度を上昇させるための加熱時に、同時に潤滑剤に含まれている有機溶剤を確実に蒸散させることができる。このため、熱アシスト法を採用することで、有機溶剤を蒸散させるために塗布布を加熱する工程を別途設けなくても、良好な潤滑剤層を磁気テープ表面に形成することができるという更なる効果を得ることができる。
上記実施形態では、磁気テープ本体の表面に磁性層側潤滑剤層を形成するための潤滑剤を含浸させる帯状の塗布布として、繊維が織物として布を構成している部材を用いた。しかし、本実施形態の製造方法において、帯状の塗布布として用いることができる布は、繊維が織物として布を形成するものには限られず、繊維が編み物として帯状の布を形成しているものや、不織布として帯状の布が形成されているものなど、布を構成する繊維の間に所望量の潤滑剤を含浸でき、かつ、帯状の布として構成されて磁気テープ本体に対して摺接させることができるものであれば、その構成方法に限定はない。
図11は、織物、編み物、不織布として布を構成した帯状の布である塗布布の繊維状態を示す顕微鏡による拡大写真である。図11(a)が織物を、図11(b)が編み物を、図11(c)が不織布のそれぞれの繊維の状態を示していて、図中に示したスケールが、200μmを示している。
図12は、製造された磁気テープに対して磁気ヘッドによりデータの記録再生を行った場合に、磁気テープ本体に潤滑剤を塗布する塗布布の構成の違いによる、磁気ヘッドとの間に生じる動摩擦の大きさについて、磁気テープのテープ速度を変化させて比較した測定値を示している。
なお、図12に測定値を示した磁気テープと磁気ヘッドとの動摩擦の大きさは、実際に磁気テープをドライブ装置において、磁気ヘッドと磁気テープとが摺接する記録再生モードで走行させた際の、磁気テープと磁気ヘッドとの負荷テンション(ΔT)として求めた。図13は、この負荷テンションを求める原理を説明するものであり、磁気テープ2をテイクアップリール81によってカートリッジ側リール82から巻き取りながら、磁気ヘッド83と摺接させている状態を示している。図13に示すように、テイクアップリール81が矢印aで示す方向に回転すると、カートリッジ側リール82も矢印bの方向に回転し、磁気テープは、磁気ヘッド73に摺接しながら矢印cの方向に走行する。このときのテイクアップリール81の巻き取りテンションT1と、カートリッジ側リール82のバックテンションT2とを、それぞれのリールのリールモータの電流値から求め、T1−T2により求めたΔTの値を、負荷テンションとして検出した。
図12に示すように、織物による布を塗布布として用いて潤滑剤層を形成した磁気テープ71、編み物による布を塗布布として用いて潤滑剤層を形成した磁気テープ72、不織布を塗布布として用いて潤滑剤層を形成した磁気テープ73は、いずれも潤滑剤層が形成されていない磁気テープ74と比較して、磁気テープと磁気ヘッドとの動摩擦が低減している。また、これら3種の布の中でも、織物を塗布布として用いて潤滑剤層を形成した磁気テープ73では、テープ走行速度に関わらず最も磁気テープと磁気ヘッドとの動摩擦の値が小さく、特に、テープ走行速度が速くなるほど、その差が顕著に表れている。
このように、帯状の塗布布に潤滑剤を含浸させた含浸塗布布とし、この含浸塗布布を磁気テープの表面に摺接させる方法により磁気テープの表面に潤滑剤層を形成することができるが、塗布布としては繊維を織物として布を構成したものを用いることが最も好ましいことがわかる。なお、図12の測定において、織物である塗布布として、上記したテクノス株式会社製の「TECHNO WIPER CRN500(製品名)」を用いた。また、編み物である帯状の布としては、同じくテクノス株式会社製の「CRYSTAL WIPER(クリスタルワイパー)CRW200(製品名)」を用いた。また、不織布としては、アズワン株式会社製の「不織布ワイパー」を用いた。
なお、塗布布は、いずれも幅が20mm、長さが16mの帯状のものを用い、図2および図3に示した製造方法に従って潤滑剤を磁気テープ本体の両方の表面にコーティングした。
なお、本実施形態で説明した磁気テープの製造方法において、潤滑剤をコーティングする際に用いられる帯状の塗布布は、上記例示したものに限定されない。しかし、吸水性が高く、また毛羽立ちなどが抑えられている製品であることから、布の構成にかかわらず工業用途のワイパーを用いることが好適である。
また、本実施形態で説明した磁気テープの製造方法において、潤滑剤を含有させた後に磁気テープと摺接させて潤滑剤を磁気テープの上層磁性層表面にコーティングした含浸塗布布は、磁気テープ本体のエッジと接触した部分に黒い帯が形成されていた。この黒い帯は、磁気テープよりも幅の広い含浸塗布布が磁気テープと摺接した際に、磁気テープの幅よりも広い部分が磁気テープの側面を包むように変形して接触したため、磁気テープの側面から脱落した上層磁性層内の磁性粉体成分などが付着したものと考えられる。このため、磁気テープの両方の表面に1枚の含浸塗布布を用いて潤滑剤層を形成する場合には、図3に示したように、含浸塗布布の両方の表面を利用すると、含浸塗布布の上層磁性層と接触する面に付着した磁性粉体成分などが、上層磁性層側と反対側の表面に再付着することを防止でき、好ましい。
また、磁気テープ本体が、所定幅に裁断された後に含浸塗布布を磁気テープ本体に摺接させて潤滑剤層を形成する本実施形態で示した製造方法によれば、磁気テープ本体の両側のエッジ部分のクリーニング効果を期待することができる。なお、磁気テープ本体と摺接させることで、含浸塗布布に含浸させた潤滑剤は磁気テープ本体の表面に転写されてコーティング層を形成したと考えられるため、一度潤滑剤層のコーティングに使用した含浸塗布布は、再度潤滑剤を含浸させた後に使用することが好ましい。この際、上記のような磁気テープのエッジ部分のクリーニング効果の代償として含浸塗布布に汚れが付着してしまうため、含浸塗布布の使用回数は、その汚れの程度を勘案しながら1回以上の所定回数に制限することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態で示す磁気テープの製造方法によれば、簡易な方法でありながら、磁気テープ本体の表面に所望の潤滑剤層を形成することができる。特に、磁気テープの表面に形成される潤滑剤層の厚さを、磁気テープの走行速度、帯状の含浸塗布布の材料、含浸塗布布の走行速度、磁気テープと含浸塗布布との摺接条件の調整によって定めることができ、一度条件を定めると同じ条件での潤滑剤層を磁気テープの全長にわたって、無駄なく形成することができる。
また、上記実施形態では、磁気テープを所定幅に裁断した後に磁気テープ表面にクリーニング処理を施す磁気テープ巻変え機において潤滑剤層を形成する例を示したが、含浸塗布布の幅などを調整することによって、磁気テープ本体が完成した後の原反の状態から、裁断した後、例えば磁性層にサーボデータが記録された磁気テープの製造工程としての最終段階まで、いずれのタイミングでも潤滑剤層を形成することができる。このため、完成後の実用状態で十分な厚さの潤滑剤層を確保することや、コスト面などを考慮して、組み合わせることが最も有利な所望の他工程において潤滑剤層を形成することもでき、磁気テープの製造工程の簡素化や低コスト化を実現することができる。特に、磁気テープはテープドライブ装置やローディング装置などに掛けられて走行させられるたびに、その表面がガイドピンやローラー、磁気ヘッドなどと接触して表面の潤滑剤層が剥がれていく。このため、磁気テープの製造工程において、なるべく最終段階に近い工程で潤滑剤層を形成することが、実使用開始時により厚く均一な状態の潤滑剤層を維持することができ、この点において本願で開示する磁気テープの製造方法は極めて有用である。
なお、図3では、磁気テープ本体の両方の表面に連続して潤滑剤層を形成する構成を示したが、本願で開示する磁気テープの製造方法はこれに限られず、磁気テープ本体の一方の表面にのみ潤滑剤層を形成することや、磁気テープ本体のそれぞれの表面に、別々に潤滑剤層を形成することができる。
また、図3では、含浸塗布布の両面を磁気テープ本体の両方の表面にそれぞれ摺接させて潤滑剤層を塗布する構成を示したが、含浸塗布布の一つの表面のみで磁気テープ本体の両方の表面に潤滑剤層を形成することもでき、また、1枚の含浸塗布布を用いて、連続して複数の磁気テープの表面に潤滑剤層を形成することができる。なお、図3に例示した、含浸塗布布の表面と裏面とを反転させる構成はあくまでも一例であり、反転のためのガイドピンやローラーの別の構成を利用できることは言うまでもない。
また、本実施形態では、磁気テープ本体と含浸塗布布とが、互いに逆方向に走行しながら摺接する例を示したが、磁気テープ本体と含浸塗布布とが同じ方向に走行している状態で摺接する構成としても、磁気テープ本体の表面に潤滑剤層を形成することができる。さらに、本実施形態では、磁気テープ本体と含浸塗布布との摺接条件を、摺接ガイドピンを用い、含浸塗布布が摺接ガイドピンと磁気テープ本体との間を走行させることにより規定する例を示したが、摺接ガイドピンの周部分以外で磁気テープと含浸塗布布とが摺接するようにして、互いの摺接条件を制御することも可能である。
また、上記実施形態では、製造される磁気テープとして、データバックアップ用途のLTO5規格の磁気テープを例示したが、本願で開示する磁気テープの製造方法は磁気テープの種類に関係なく、他の用途、他の規格の磁気テープの製造にも適用することができる。
本願で開示する磁気テープの製造方法は、磁気テープ本体が形成された後のいずれの製造工程においても潤滑剤層を形成することができる。また、乾燥工程が不要で、磁気テープの表面に形成される潤滑剤の厚さを一定のもの管理することが容易である。このため、コンピュータのハードディスク内データのバックアップ用途をはじめとする各種用途の磁気テープの製造方法として有用である。
1 磁気テープ
2 磁気テープ本体
2a 磁性層側の表面
3 支持体
5 上層磁性層(磁性層)
7 磁性層側潤滑剤層
11 含浸塗布布
2 磁気テープ本体
2a 磁性層側の表面
3 支持体
5 上層磁性層(磁性層)
7 磁性層側潤滑剤層
11 含浸塗布布
Claims (12)
- 非磁性の支持体の一方の面に磁性層が積層形成された磁気テープ本体と、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に形成された磁性層側潤滑剤層とを備えた磁気テープの製造方法であって、
潤滑剤を塗布布に含浸させた含浸塗布布を作製した後、前記含浸塗布布を加熱し、前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に加熱された前記含浸塗布布を走行させながら摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成することを特徴とする磁気テープの製造方法。 - 前記含浸塗布布を、含浸させた潤滑剤の流動点よりも10℃以上高い温度に加熱する請求項1に記載の磁気テープの製造方法。
- 前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側とは反対側の表面に、帯状の前記含浸塗布布を走行させながら摺接させてバックコート側潤滑剤層を形成する請求項1または2に記載の磁気テープの製造方法。
- 前記含浸塗布布の一方の面を前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側の表面に摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成するとともに、前記含浸塗布布の他方の面を前記磁気テープ本体の前記磁性層が形成された側とは反対側の表面に摺接させて前記バックコート側潤滑剤層を形成する請求項3に記載の磁気テープの製造方法。
- 前記支持体上に前記磁性層を積層形成した磁気テープ本体を所定幅に裁断した後に、前記含浸塗布布を前記磁気テープ本体の表面に摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成する請求項1〜4のいずれかに記載の磁気テープの製造方法。
- 前記磁性層にサーボ信号を記録した後に、前記含浸塗布布を前記磁気テープ本体の表面に摺接させて前記磁性層側潤滑剤層を形成する請求項5に記載の磁気テープの製造方法。
- 前記塗布布として、織物、または、編み物、または、不織布のいずれかを用いる請求項1〜6のいずれかに記載の磁気テープの製造方法。
- 前記磁気テープ本体と前記含浸塗布布とを、互いに逆方向に走行させた状態で摺接させる請求項1〜7のいずれかに記載の磁気テープの製造方法。
- 前記含浸塗布布が、潤滑剤を塗布する前記磁気テープ本体のテープ幅の120〜200%の幅を備えている請求項1〜8のいずれかに記載の磁気テープの製造方法。
- 潤滑剤を含む溶液に帯状の前記塗布布を浸した後に、潤滑剤が含浸された前記含浸塗布布をリールに巻き取り、前記磁気テープ本体を走行させる装置に前記リールを取り付けて、前記磁気テープ本体と前記含浸塗布布とをともに走行させながら互いに摺接させる請求項1〜9のいずれかに記載の磁気テープの製造方法。
- 前記含浸塗布布と前記磁気テープ本体との摺接を規制する摺接ガイドピンを用いて前記含浸塗布布を所定の温度に加熱する請求項1〜10のいずれかに記載の磁気テープの製造方法。
- 前記潤滑剤を、有機溶剤に溶解させて前記塗布布に含浸させて前記含浸塗布布を作製し、前記有機溶剤を蒸発させた後に前記含浸塗布布を前記磁気テープ本体に摺接させる請求項1〜11のいずれかに記載の磁気テープの製造方法。
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