JP2015012835A - 脂肪幹細胞採取用器具及び脂肪幹細胞採取方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】体外において脂肪組織から脂肪幹細胞を抽出して貯蔵するための、脂肪幹細胞採取用器具及び脂肪幹細胞採取方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取方法は、上面が開口した、脂肪組織試料を入れるための有底筒状の容器11と、容器11の開口11aに嵌合するとともに、容器11の内側面に沿って底面まで摺動可能な蓋体12と、容器11の底面側の側面に形成され、脂肪吸引管17を挿入し得る径の少なくとも1個の貫通孔13と、を備える脂肪幹細胞採取用器具10を用い、容器11内に脂肪組織試料16を挿入し、貫通孔13に吸引手段22に接続された脂肪吸引管17を挿入し、脂肪組織紙料16から脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取する
【選択図】図3
【解決手段】本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取方法は、上面が開口した、脂肪組織試料を入れるための有底筒状の容器11と、容器11の開口11aに嵌合するとともに、容器11の内側面に沿って底面まで摺動可能な蓋体12と、容器11の底面側の側面に形成され、脂肪吸引管17を挿入し得る径の少なくとも1個の貫通孔13と、を備える脂肪幹細胞採取用器具10を用い、容器11内に脂肪組織試料16を挿入し、貫通孔13に吸引手段22に接続された脂肪吸引管17を挿入し、脂肪組織紙料16から脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取する
【選択図】図3
Description
本発明は、体外において脂肪組織から脂肪幹細胞を抽出して貯蔵するための、脂肪幹細胞採取用器具及び脂肪幹細胞採取方法に関する。
従来、組織を新しく再生することを目指す再生医学の領域において、損傷、疾病あるいは外科的処置などによって失われた人体組織の機能を回復させるために、各種幹細胞の活用が試みられている。
幹細胞は、複数系統の(組織)細胞に分化することのできる多分化能と、分裂増殖をしてもその分化能を維持することのできる自己複製能とを併せ持つ細胞である。幹細胞としては、胚性幹細胞(ES細胞)のように一個体を形成する全ての系統の細胞種へ分化することのできる分化万能性を有する幹細胞の他、成人の体にも、分化万能性はないが、複数系統へ分化できる分化多能性を有する幹細胞(造血幹細胞や、間葉系幹細胞)が存在することが知られている。
しかしながら、胚性幹細胞は発生初期の胚からしか得ることができず、採取時の母体への危険性や倫理的な問題なども加わって、手軽に研究・臨床の場に利用することは難しい。また、成人の体内から採取可能な幹細胞であっても、その存在頻度が非常に低いため、多量に各種幹細胞を得ることは困難である。
このような背景から、近年では、分化後の体細胞から、胚性幹細胞のような分化万能性を有すると共に、分裂増殖をしてもその分化万能性を維持することのできる自己複製能を有する細胞へと人工的に誘導された人工多能性幹細胞細胞に対する社会的ニーズが高まっている。2006年には、日本の研究グループによってマウスの繊維芽細胞から世界初の人工多能性幹細胞の誘導が成功し、この人工多能性幹細胞は当該研究グループによって「iPS細胞」として命名され、広く知られることとなっている。このiPS細胞の誘導の成功を契機として、幹細胞バンクの構想が現実化されつつある。
幹細胞バンクは、各種幹細胞を予め凍結保存してストック・バンク化することで、分化多能性をもった幹細胞としてあるいは分化万能性を持たせ(人工多能性幹細胞化し)て、再生医学に関する研究や臨床現場での必要に応じて供するためのものである。この幹細胞バンクの構想は、iPS細胞関連技術を含む再生医療に関連する技術開発のベースとなるシステムとして、早期の確立が期待されている。
一方、美容外科領域においては、美容を目的として、生体内から脂肪組織を吸引する脂肪吸引装置(例えば、下記特許文献1参照)を用いて、皮下脂肪を低減させる脂肪吸引術が広く行われていた。この脂肪吸引術においては、吸引されて取り出された皮下脂肪組織は一般的に廃棄されていた。しかしながら、近年、皮下脂肪組織にも間葉系幹細胞(以下、皮下脂肪組織中の間葉系幹細胞を「脂肪幹細胞」という。)が存在していることがわかり、再生医療に資する幹細胞の供給源として注目されている。
脂肪組織は、体内で互いに結合しており、そのままの状態では吸引が難しい。そのため、一般的な脂肪吸引装置では、生理食塩水や麻酔液などからなるチューメッセント液を脂肪組織の採取部位に注入し、脂肪吸引管(カニューレ)の先端を体外から動かして脂肪組織を分断しながらチューメッセント液内でほぐし、吸引する方法が用いられている。
皮下脂肪組織からの脂肪幹細胞の抽出を考慮した脂肪吸引装置としては、下記特許文献1に記載の脂肪吸引装置の他、下記特許文献2に記載の脂肪組織吸引装置が知られている。脂肪組織からの脂肪幹細胞の分離装置としては、下記特許文献2に記載の細胞分離システムの他、下記特許文献3に記載の細胞分離装置などが知られている。
また、下記特許文献4には、採取された皮下脂肪組織に一定の処理を施すことで脂肪幹細胞の濃度を採取時よりも上昇させた上で、患者の体内に戻すことによって患者を治療するシステムが開示されている。
上記特許文献1及び2に開示されている脂肪吸引装置を用いると、容易に脂肪幹細胞を含む脂肪試料を採取することができる。しかしながら、これらの脂肪吸引装置は、あくまでも生体から直接脂肪幹細胞を採取することを基本としており、脂肪幹細胞を採取するためには脂肪吸引管を生体内に挿入せねばならず、更に皮下脂肪を正しく吸引するためには、挿入された脂肪吸引管の角度や深さを適切に調整する必要がある。
この調整操作は、事実上、多くを術者の経験と勘に頼って盲目的に行われている。そのため、従来の脂肪吸引装置を用いて脂肪幹細胞を採取しようとすると、脂肪吸引管が対象外の組織を傷つけてしまったり、極端な場合は腹壁を貫通して腸管を損傷させてしまうリスクを伴う。このようなリスクは、幹細胞バンク用の幹細胞供給源としては、本来冒す必要のないリスクである。
また、上記特許文献3に記載されている細胞分離装置では、脂肪幹細胞採取用試料としては、別途生体から採取した脂肪組織をハサミなどの鋭利な器具を用いて破砕したものや濾し器などを用いてミンチ状にしたもの、脂肪吸引法によって採取されたものなどが用いられている。このうち、脂肪吸引法によるものは上記特許文献1及び2について述べたものと同様の課題が存在し、脂肪組織の破砕法や濾し器などを用いてミンチ状にする方法は得られる脂肪組織が大きいため、脂肪幹細胞を含む脂肪組織の採取効率が低く、幹細胞バンク用としては採用し難い。
また、上記特許文献4には、生体内の脂肪組織採取方法として、脂肪吸引法及び切除した脂肪組織を用いる方法が示されているが、切除した脂肪組織を用いる方法の具体例については開示されていない。しかも、上位特許文献4に開示されている治療システムは、あくまでも対象患者の直接的な治療のために、患者本人から採取された脂肪組織を基に脂肪幹細胞の濃度を高くして患者の体内に直接戻すものであり、採取された脂肪組織について幹細胞バンクを形成するような利用形態が想定されたものではない。
本発明は、生体から直接皮下脂肪組織を吸引することなく、生体から切除された脂肪組織から効率的に脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することのできる脂肪幹細胞採取用器具及び脂肪幹細胞採取方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取用器具は、
上面が開口した、脂肪組織試料を入れるための有底筒状の容器と、
前記容器の開口に嵌合するとともに、前記容器の内側面に沿って底面まで摺動可能な蓋体と、
前記容器の底面側の側面に形成され、脂肪吸引管を挿入し得る径の少なくとも1個の貫通孔と、
を備える。
上面が開口した、脂肪組織試料を入れるための有底筒状の容器と、
前記容器の開口に嵌合するとともに、前記容器の内側面に沿って底面まで摺動可能な蓋体と、
前記容器の底面側の側面に形成され、脂肪吸引管を挿入し得る径の少なくとも1個の貫通孔と、
を備える。
本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取用器具においては、予め採取した脂肪組織試料を容器内に入れ、その上面側に蓋体を配置し、貫通孔から周知の吸引手段に接続された脂肪吸引管を容器内の脂肪組織試料内に挿入することにより、脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができる。そのため、本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取用器によれば、安全で、容易に脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができるようになる。
この際、脂肪吸引管を往復運動させると、効率的に広い範囲の脂肪組織試料から脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができる。なお、従来の生体内における脂肪吸引法においては、脂肪吸引管から生理食塩水及び麻酔液を含むチューメッセント液を注入することが行われているが、本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取用器具においては、生体外で操作するものであるため、単なる生理食塩水を注入するのみでよい。なお、貫通孔の径は、用いる脂肪吸引管の径よりも僅かに大となるようにし、脂肪吸引管が貫通穴内で中心軸がぶれずに安定した状態で摺動できるようにするとよい。
また、本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取用器具においては、前記貫通孔は、複数個形成され、全て同じ径とされていてもよい。このような構成を採用すれば、複数本の同径の脂肪吸引管を用いて同時に操作することができるため、短時間で単一の脂肪組織試料内から広範囲にわたって脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができ、脂肪幹細胞を含む脂肪組織の採取効率が向上する。なお、貫通孔が複数個形成されている場合においては、1本の脂肪吸引管を用いても、単一の脂肪組織試料内から広範囲にわたって脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができるようになるが、採取に時間が掛かること及び脂肪吸引管が挿入されていない貫通孔が存在することになるため、脂肪組織の漏出のおそれや衛生的な課題が生じるため、好ましくない。
また、本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取用器具においては、前記容器は有底角筒形であることが好ましい。このような構成を採用すれば、脂肪幹細胞採取用器具の容器及び蓋体の作製が容易となる。
また、本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取用器具においては、前記蓋体には、外部側に突出する取っ手が形成されていることが好ましい。このような構成を備えていると、蓋体を手で押圧することが容易となるので安定した状態で、脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができるようになり、さらに、採取終了後には取っ手を持って引き上げることによって容易に蓋体及び脂肪組織試料の残渣を取り出すことができる。なお、蓋体を一定圧力で押圧するため、取っ手上に重りを載せることができるようにしてもよく、取っ手及び蓋体としてある程度の質量を有するものを用いてもよい。
さらに、本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取方法は、上記いずれかの脂肪幹細胞採取用器具を用い、前記容器内に脂肪組織試料を挿入して前記蓋体で前記脂肪組織試料を固定し、前記貫通孔に吸引手段に接続された脂肪吸引管を挿入し、前記脂肪組織試料から脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取するものである。本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取方法によれば、安全で、容易に脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができるようになる。
本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取方法においては、前記吸引手段として吸引ポンプ又はシリンジ式吸引装置を用いることができる。これらの吸引手段は、生体内の脂肪吸引法において普通に用いられている。そのため、本発明の一実施形態の脂肪幹細胞採取方法によれば、周知の脂肪吸引術において普通に用いられている吸引ポンプ又はシリンジ式吸引装置をそのまま転用して、脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができるようになる。
以下、本発明の実施形態に係る脂肪幹細胞採取用器具及びその脂肪幹細胞採取用器具を用いた脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取する方法を、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す脂肪幹細胞採取用器具は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこの脂肪幹細胞採取用器具に特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行った脂肪幹細胞採取用器具に対しても均しく適用し得るものである。
なお、この明細書における脂肪吸引管の「先端」ないし「先端側」とは脂肪組織の吸引の際に脂肪組織試料中に挿入される側を意味し、同じく「後端」ないし「後端側」とは脂肪組織の吸引の際に採取者により把持される側ないし脂肪組織の吸引のための吸引手段が接続される側を意味するものとして使用されている。
実施形態の脂肪幹細胞採取用器具10を図1及び図2を参照して説明する。脂肪幹細胞採取用器具10は、上面が開口した、脂肪組織試料を入れるための有底筒状の容器11と、容器11の開口11aに嵌合するとともに、容器11の内側面に沿って底面まで摺動可能な蓋体12とを有している。容器11はここでは角形有底筒状のものが用いられており、蓋体12の形状は容器11の開口と同形状の方形となっている。
この容器11の底面側の側面には、脂肪吸引管を挿入し得る径の少なくとも1個(例えば5個)の貫通孔13が設けられている。この貫通孔13の径は、使用する脂肪吸引管の径よりも僅かに大きくされ、貫通孔13内で脂肪吸引管が貫通孔13の内壁と接触して摺動するようにされている。これにより、脂肪吸引管をぶれずに安定した状態で貫通孔13で摺動させることができるようになる。
貫通孔13が複数個形成されている場合、これらの貫通孔13の径は全て同じとする方が好ましい。脂肪吸引管は、外径が異なるものが複数種市販されており、通常は市販の脂肪吸引管を適宜に選択して使用する。複数個の貫通孔13の径が全て同じである場合、特定径の1本の脂肪吸引管を用いて全ての貫通孔13が形成されている箇所で脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができるし、同径の脂肪吸引管を複数本用いて同時に複数箇所から脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取するようにしてもよい。
脂肪幹細胞を含む脂肪組織の採取効率の点からは、複数個の貫通孔13は全て同じ径のものとし、同径の脂肪吸引管を用いて同時に操作するようにする方がよい。この場合においては、1本の脂肪吸引管を用いても、それぞれの貫通孔13毎に採取操作を行えば、単一の脂肪組織試料内から広範囲にわたって脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができるが、採取に時間が掛かること及び脂肪吸引管が挿入されていない貫通孔13が存在することになるため、脂肪組織の漏出のおそれや衛生的な課題が生じる可能性がある。なお、複数個の貫通孔13の径が適宜に異なる場合、その貫通孔13の径に適合する径を有する脂肪吸引管を選択して使用すればよい。
蓋体12の上面側には、中心部に支柱14が設けられており、支柱14の頂部には取っ手15が形成されている。取っ手15は、蓋体12の把持、押圧及び取り外しのために設けられている。
次に、この脂肪幹細胞採取用器具10を用いて脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取する方法について、図3をも参照して説明する。図1Aに示した状態において、別途生体より採取した脂肪組織試料16を挿入し、さらに脂肪組織試料16の上側から蓋体12を挿入する。図2及び図3はこのときの状態が示されている。蓋体12、支柱14及び取っ手15としてある程度質量が大きいものを使用することにより、これらの自重によって脂肪組織試料16を安定した状態に一定の圧力で押圧することができる。なお、脂肪組織試料16としては、生体から周知の方法によって採取した種々の脂肪組織を使用し得る。
図3に示したように、脂肪吸引管17は、先端側に脂肪組織試料16内へ挿入される管部17aと、後端側に管部17aよりも大径の把持部17bが形成されている。操作者は、脂肪吸引管17の把持部17bを手で把持して脂肪吸引管17を容器11に対して往復運動させることにより、所定の脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取することができる。この把持部の形状は、ここでは簡略化して記載したが、手で握った際に握り易く、滑り難い構成であればよい。なお、ここでは説明の都合上、1本の脂肪吸引管17のみを用いたものとして説明するが、貫通孔13の個数と同じ5本の脂肪吸引管を用い、5本の脂肪吸引管を並列に接続して一体化し、同時に操作してもよい。
脂肪吸引管17の後端側には、吸引チューブ18、三方バルブ19を経てドレインタンク20が接続されている。ドレインタンク20からは排気チューブ21を介して吸引手段22が接続されており、吸引手段22の排気側は適宜にフィルタ(図示省略)などの浄化手段を介して大気中へ排気されるようになされている。吸引手段は、脂肪吸引管用の吸引手段として汎用的に使用されている吸引ポンプ又はシリンジ式吸引装置などを使用することができるが、連続的に吸引し得る吸引ポンプを使用することが好ましい。
また、三方バルブ19には、液体供給チューブ23を介して生理食塩水タンク24に接続されている。生理食塩水タンク24内には、麻酔剤を含まない単なる生理食塩水が貯蔵されている。この生理食塩水は、重力によって三方バルブ19を経て、脂肪吸引管17内に供給されるようになっている。
脂肪組織試料16内では、脂肪組織は互いに結合しており、そのままの状態では吸引が困難である。そのため、生理食塩水を脂肪組織試料16内の採取部位に注入し、脂肪吸引管17の先端を動かし、脂肪組織試料16内の脂肪組織を分断しながら生理食塩水内でほぐし、吸引する方法を採用する。
まず、容器11内に脂肪組織試料16を入れ、蓋体12が脂肪組織試料16に当接するようにした後、脂肪吸引管17の管部17aの先端を貫通孔13を通して脂肪組織試料16内に挿入する。この状態で三方バルブ19を切り替え、生理食塩水タンク24内の生理食塩水を自重によって液体供給チューブ23、三方バルブ19及び脂肪吸引管17の管部17aを経て、脂肪組織試料16内に注入する。次いで、脂肪吸引管17の把持部17bを手で把持しながら往復運動させ、脂肪吸引管17の管部17aの先端を脂肪組織試料16内で動かして、脂肪組織試料16内の脂肪組織を分断する。
その後、三方バルブ19を切換るとともに吸引手段22を作動させ、ドレインタンク20内を負圧にする。これにより、脂肪吸引管17の管部17aの先端から、生理食塩水とともに分散された脂肪組織がドレインタンク20内に流入する。ドレインタンク20内に吸引された脂肪組織25は、通常の脂肪組織とともに脂肪幹細胞を含んでいる。これらの脂肪吸引操作を単一の貫通孔13毎に複数回繰り返し、さらに、全ての貫通孔13に対して同様に繰り返すことにより、ドレインタンク20内に脂肪組織試料16の脂肪幹細胞を含む脂肪組織25を、効率的に広い範囲の脂肪組織試料16から採取することができる。
ドレインタンク20内に吸引された脂肪組織25は、別途所定の分別工程を経ることにより、脂肪幹細胞を選択的に採取することができ、脂肪幹細胞の細胞バンク用に供給することができるようになる。
上記実施形態では、容器11として有底角筒形のものを使用したが、これに限らず、有底円筒形のものであってもよい。この場合においては、脂肪組織試料の広い範囲から脂肪幹細胞を含む脂肪組織を吸引できるようにするため、脂肪吸引管を挿入するための貫通孔を円筒形の外周の全周にわたってほぼ均等に複数個形成することが好ましい。また、上記実施形態では、貫通孔13を複数個設けた例を示したが、貫通孔13は少なくとも1個形成されていればよい。しかしながら、脂肪組織試料の広い範囲から脂肪幹細胞を含む脂肪組織を吸引できるようにするためには、複数個形成した方がよい。
上記実施形態では、蓋体12、支柱14及び取っ手15としてある程度質量が大きいものを使用することにより、これらの自重によって脂肪組織試料16を一定圧力で押圧するようにした例を示したが、蓋体12ないし取っ手15上に所定の重りを載せるようにしてもよい。さらには、必ずしも一定の圧力で脂肪組織試料16を押圧する必要がない場合、単に操作者が手で取っ手15を押圧するようにしても構わない。
10…脂肪幹細胞採取用器具 11…容器 11a…開口
12…蓋体 13…貫通孔 14…支柱
15…取っ手 16…脂肪組織試料 17…脂肪吸引管
17a…管部 17b…把持部 18…吸引チューブ
19…三方バルブ 20…ドレインタンク 21…排気チューブ
22…吸引手段 23…液体供給チューブ 24…生理食塩水タンク
25…脂肪組織
12…蓋体 13…貫通孔 14…支柱
15…取っ手 16…脂肪組織試料 17…脂肪吸引管
17a…管部 17b…把持部 18…吸引チューブ
19…三方バルブ 20…ドレインタンク 21…排気チューブ
22…吸引手段 23…液体供給チューブ 24…生理食塩水タンク
25…脂肪組織
Claims (7)
- 上面が開口した、脂肪組織試料を入れるための有底筒状の容器と、
前記容器の開口に嵌合するとともに、前記容器の内側面に沿って底面まで摺動可能な蓋体と、
前記容器の底面側の側面に形成され、脂肪吸引管を挿入し得る径の少なくとも1個の貫通孔と、
を備える、脂肪幹細胞採取用器具。 - 前記貫通孔は、複数個形成され、全て同じ径とされている、請求項1に記載の脂肪幹細胞採取用器具。
- 前記容器は有底角筒形である、請求項1又は2に記載の脂肪幹細胞採取用器具。
- 前記蓋体には、外部側に突出する取っ手が形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪幹細胞採取用器具。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪幹細胞採取用器具を用い、前記容器内に脂肪組織試料を挿入して前記蓋体で前記脂肪組織試料を固定し、前記貫通孔に吸引手段に接続された脂肪吸引管を挿入し、前記脂肪組織試料から脂肪幹細胞を含む脂肪組織を採取する、脂肪幹細胞採取方法。
- 前記吸引手段として吸引ポンプ又はシリンジ式吸引装置を用いた、請求項5に記載の脂肪幹細胞採取方法。
- 前記脂肪吸引管を往復運動させる、請求項5又は6に記載の脂肪幹細胞採取方法。
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Cited By (3)
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2013
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