JP2015007458A - 動吸振器 - Google Patents

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Hiroshi Nakano
寛 中野
弘樹 高原
Hiroki Takahara
弘樹 高原
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Abstract

【課題】新規な動吸振器を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の動吸振器は、回転する工具に配置する動吸振器3であって、前記動吸振器3の長手方向を、前記工具の回転軸の周方向に配置するものである。ここで、動吸振器3は、取付け位置からの長さが0.01〜6000mmの範囲内にあることが好ましい。また、動吸振器3の幅は、0.008〜5000mmの範囲内にあることが好ましい。また、動吸振器3の厚さは、0.01〜500mmの範囲内にあることが好ましい。また、動吸振器3は、その幅に対するその長さの比率が1.2〜100の範囲内にあることが好ましい。また、総質量比は0.01〜0.12の範囲内にあることが好ましい。また、固有振動数比は0.5〜1.0の範囲内にあることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、新規な動吸振器に関する。
小径エンドミルを用いた金型や機械構造部品加工を行う際に、回転する工具・主軸系の振動モードに起因したびびり振動が発生する。びびり振動によって回転する工具が激しく振動し、加工面精度の低下や、振動による工具の破損や摩耗が問題となり、びびり振動の抑制が必要不可欠である。
非特許文献1,2は、3つの片持ちはり型動吸振器を長手方向が工具軸方向となるようコレットホルダに取り付け、びびり振動を抑制する制振装置を提案している。文献1では、切削加工実験を行い、びびり振動抑制効果を確認している。文献2では、3つの片持ちはり型動吸振器を長手方向が工具軸方向となるよう配置した動吸振器のパラメータに対して、数値解析を行い、効果的にびびり振動を抑制するための動吸振器のパラメータを検証している。
中野寛,高原弘樹,園田拓郎,畑尾友紀,回転工具に取り付けた動吸振器によるエンドミル加工時再生びびり振動抑制対策,Dynamics and Design Conference 2010,Dynamicsand Design Conference 2010 CD-ROM講演論文集,日本機械学会,No. 353,pp. 1-6,Sep. 2010. Yutaka Nakano, Hiroki Takahara,Eiji Kondo. Countermeasure against chatter in end milling operations using multipledynamic absorbers, Journal of Sound and Vibration, Elsevier, Vol. 332, No. 6,pp. 1626-1638.
しかしながら、文献1,2で提案する3つの片持ちはり型動吸振器は、コレットホルダの大部分を覆うことで、特に深溝加工などを行う場合には動吸振器が被削材と干渉してしまい、実際に適用可能な加工対象物は少なく、実用上に課題がある。
そのため、このような課題を解決する、新規な動吸振器の開発が望まれている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な動吸振器を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の動吸振器は、回転する工具に配置する動吸振器であって、前記動吸振器の長手方向を、前記工具の回転軸の周方向に配置することを特徴とする。
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明の動吸振器は、回転する工具に配置する動吸振器であって、前記動吸振器の長手方向を、前記工具の回転軸の周方向に配置するので、新規な動吸振器を提供することができる。
本発明の動吸振器を有する装置の様態を示す部品分解図である。 本発明の動吸振器を有する装置の組立図である。 動吸振器を示す図である。 固定治具を示す図である。 動吸振器ユニットケースを示す図である。 ケース上蓋を示す図である。 固定治具に動吸振器を1枚ずつ取り付けた場合を示す図である。 固定治具に動吸振器を3枚ずつ取り付けた場合を示す図である。 動吸振器の固有振動数と減衰比の測定方法を示す図である。 切削実験方法を示す図である。 実験用被削材を示す図である。 治具を介してマシニングセンタテーブルに固定した被削材を示す図である。 マシニングセンタ本体(主軸ヘッド部分)のy方向の加速度時刻歴波形を示す図である。 動吸振器対策時のびびり振動発生限界軸方向切込み深さを示す図である。 総質量比と固有振動数比の関係を示す図である。 フローチャートを示す図である。 6個の動吸振器の総質量比が6%のときの固有振動数比と減衰比の関係を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の動吸振器は、回転する工具に配置する動吸振器であって、前記動吸振器の長手方向を、前記工具の回転軸の周方向に配置するものである。
実験で求めた動吸振器によるびびり振動抑制効果について説明する。
本発明の動吸振器を有する装置の概略図を図1に示す。エンドミル工具1(工具外径=8mm、全長=60mm、刃長=14mm、刃数=3、材質・形状=ハイススクエアシリーズ)を取り付けるコレットホルダ2の根元に、動吸振器の役目を果たす3枚のはり3を工具回転軸の周方向に配置する。各はり3は中心部分で固定治具4に取り付ける。なお、はりは、動吸振器の一例である。
はり3の形状は、長方形の平面を有する一様な厚さの板状である。はり3の材質は、ステンレス(SUS304-CSP)である。
固定治具4は摩擦締結式カップリング5を介してコレットホルダ2に締結する。固定治具4の底部に動吸振器ユニットケース6を取り付ける。ケース上蓋7を動吸振器ユニットケース6に取り付ける。エンドミル工具1、コレットホルダ2、摩擦締結式カップリング5は市販品を使用し、その型番を表1に示す。なお、コレットホルダ2は、エンドミル工具1を保持するためのコレットおよび縦型マシニングセンタの主軸に取り付けるためのプルスタッドを組み込んでおり、その型番も合わせて表1に示す。
Figure 2015007458
図2にコレットホルダに動吸振器を取り付けた組立図を示す。動吸振器の役目を果たすはり3、固定治具4、動吸振器ユニットケース6、ケース上蓋7の図面を図3、図4、図5、図6に示す。
動吸振器の固有振動数を調整するために、図3に示すはり3の図面において、はりの厚さHおよびはりの長さLを調整することで、びびり振動を抑制するための最適な固有振動数に調整する。固定治具4の3か所の動吸振器取り付け部に、はり3を1枚ずつおよび3枚ずつ取り付けたときの工具先端方向から見た概略図を図7および図8に示す。図7、図8に示すように、はり3の中央部を固定治具4に取り付けることで、はり3の両端が片持ちはり形状となり、1枚のはりで2つの動吸振器として機能するのが特徴である。図7および図8に示した図から動吸振器の数は6個となる。
動吸振器の減衰比は、構造減衰のほかに、図8に示すように、固定治具4の動吸振器取付部の3か所にはり3をそれぞれ3枚重ねで取りつけ、3つのはり3同士の相対運動によって生じる摩擦を利用して動吸振器の減衰比を増加させることが可能である。
参考文献1および参考文献2で提案した従来の動吸振器は、3つの片持ちはり型動吸振器を長手方向が工具軸方向となるよう配置し、動吸振器と取付治具の間に厚さ1mmのゴムシートを挟むことで減衰を付加していた。しかし、ゴムシートでは大きな減衰比が得られないことや、減衰比の値のばらつきが大きくなるという難点があった。これに対して、本発明で提案する、複数枚のはりを重ね合わせて相対摩擦を利用した減衰付加機構では、ゴムシートよりも減衰比を大きく設定できるとともに、減衰比のばらつきが小さいという利点がある。また、はりを3枚重ねることで動吸振器の質量を同時に増加させることでより制振効果を得ることが可能となる。参考文献1で実験によりびびり振動抑制効果を確認し、参考文献2では、3つの片持ちはり型動吸振器を長手方向が工具軸方向となるよう配置した動吸振器のパラメータに対して、数値解析を行い、効果的にびびり振動を抑制するための動吸振器のパラメータを検証している。
実験及び解析結果を踏まえ、固有振動数比、減衰比、総質量比、はりの取り付け箇所数、はりの枚数、はりの寸法等に関する最適範囲とその利点は以下のとおりである。
固有振動数比は0.5〜1.0の範囲内にあることが好ましい。また、固有振動数比は0.70〜0.94の範囲内にあることがさらに好ましい。
固有振動数比が0.5以上であると、びびり振動の発生限界となる切込み深さが向上するという利点がある。固有振動数比が0.70以上であると、この効果がより顕著になる。
固有振動数比が1.0以下であると、びびり振動の発生限界となる切込み深さが向上するという利点がある。固有振動数比が0.94以下であると、この効果がより顕著になる。
これに対して、参考文献1,2においては、固有振動数比が1.0より大きい範囲の動吸振器を使用して実験を行っており、解析おいては、動吸振器の総質量比が0.15の場合における固有振動数比の範囲のみ検証しており、本発明で提案している総質量比の範囲では動吸振器によるびびり振動抑制効果を十分に得ることができないという欠点がある。
減衰比は0.01〜30%の範囲内にあることが好ましい。また、減衰比は0.1〜25%の範囲内にあることがさらに好ましい。
減衰比が0.01%以上であると、びびり振動の発生限界となる切込み深さが向上するという利点がある。減衰比が0.1%以上であると、この効果がより顕著になる。
減衰比が30%以下であると、動吸振器の総質量比が0.12以下の小さい場合においても、びびり振動の発生限界となる切込み深さが大きく向上するという利点がある。減衰比が25%以下であると、この効果がより顕著になる。
これに対して、参考文献1,2においては、動吸振器取付部にゴムを挟んで減衰を付加しているため、減衰比の値をコントロールすることが難しく、安定して抑制効果を得ることができないという欠点がある。
総質量比は0.01〜0.12の範囲内にあることが好ましい。また、総質量比は0.03〜0.11の範囲内にあることがさらに好ましい。
総質量比が0.01以上であると、びびり振動が発生する限界の切込み深さを向上させるという利点がある。総質量比が0.03以上であると、この効果がより顕著になる。
総質量比が0.12以下であると、動吸振器を付加したことによる質量増加の影響を小さくでき、回転に伴う工具主軸系のふれ回り振動を最小限に抑えることができるという利点がある。総質量比が0.11以下であると、この効果がより顕著になる。
これに対して、参考文献1,2においては、動吸振器の総質量比が0.15と大きく、動吸振器取付け前に発生していたびびり振動とは別の振動数のびびり振動が新たに発生するという欠点がある。
はりの取付箇所数は3個以上であることが好ましい。はりの取付箇所数が3個以上であると、動吸振器を取り付けたツールホルダの慣性乗積の影響を小さくすることができ、動吸振器を付加したことによるふれ回り振動の増加を最小限におさえることができるという利点がある。
動吸振器の取付箇所1個当たり、動吸振器の枚数は1〜30枚の範囲にあることが好ましい。動吸振器の枚数がこの範囲にあると、びびり振動抑制効果を向上させることができるという利点がある。
動吸振器は、取付け位置からの長さが0.01〜6000mmの範囲内にあることが好ましい。
動吸振器の幅は、0.008〜5000mmの範囲内にあることが好ましい。
動吸振器の厚さは、0.01〜500mmの範囲内にあることが好ましい。
動吸振器は、幅に対する取付け位置からの長さの比率が1.2〜100の範囲内にあることが好ましい。
動吸振器は、その長さ方向(長手方向)を工具回転軸の周方向に配置することが好ましい。
動吸振器の長さ、動吸振器の幅、動吸振器の厚さ、幅に対する取付け位置からの長さの比率、及び動吸振器の長さ方向(長手方向)が好ましい範囲にあるとびびり振動が発生する限界の切込み深さを向上させることができ、深溝加工や穴加工を行なう際に、動吸振器が被削材に干渉することなく加工できるという利点がある。
これに対して、参考文献1,2においては、動吸振器の長手方向が工具回転軸方向にあるため、深溝加工や穴加工を行なう際に、動吸振器が被削材に干渉するという欠点がある。
次に、はりの長さと厚さを調整して製作した動吸振器の固有振動数と減衰比の測定方法について示す。図9に示すように、コレットホルダに動吸振器であるはり3を組み込んだコレットホルダ2を縦型マシニングセンタ(日立精機:VK-45)に取り付け、はり3の先端を小型の金属棒で打撃し、はり3の先端の過渡振動の時刻歴波形を、レーザー変位計(株式会社キーエンス:LKG-30,対象物の振動変位を非接触で測定可能なセンサ)を用いて測定する。レーザー変位計はコントローラ(株式会社キーエンス:LK-G3000V,レーザー変位計の信号を電圧に変換、および信号に含まれるノイズを除去するためのフィルタ機能を有する)に接続され、さらにFFTアナライザ(株式会社小野測器:DS-2000)に接続し、工具振動変位の時刻歴波形を周波数分析し、FFTに接続されたパーソナルコンピュータにアナログ信号データをデジタル信号データに変換して、データを集録する。動吸振器の固有振動数と減衰比の測定実験では、はり3の先端を打撃するため、動吸振器ユニットケース6とケース上蓋7は固定治具4から取り外した状態である。測定した時刻歴波形の周期と対数減衰率を求めて、各動吸振器の固有振動数と減衰比を求める。図9に示した測定機器の型番は表2に示す。
Figure 2015007458
次に、図2に示した動吸振器を組み込んだコレットホルダ2を縦型マシニングセンタに取り付け、びびり振動抑制効果を調べるための切削実験方法を図10に示す。実験に使用した被削材は快削黄銅(JIS3713)で、被削材の形状を図11に示す。被削材は治具を介してマシニングセンタのテーブルに、図10に示すように7度傾けて設置する。切削加工を行う際は、マシニングセンタのテーブルを図10の-x方向に送ることで、加工が進むにつれて軸方向の切込み深さが徐々に増加するように加工する。びびり振動は軸方向切込み深さが一定値以上になると発生するため、この加工方法によって1回の切削加工で効率的にびびり振動の発生限界となる軸方向切込み深さを求めることができる。図10に示すように切削加工中のエンドミル工具1のシャンク部のx,y方向の振動変位を2台のレーザー変位計(株式会社キーエンス:LKG-30,対象物の振動変位を非接触で測定可能なセンサ)で測定し、またマシニングセンタ本体(主軸ヘッド部分)のx,y方向の振動加速度を3軸加速度センサ(株式会社小野測器:NP-3572,対象物の振動加速度を測定可能なセンサ)で測定し、得られた振動データはデータロガー(日本ナショナルインスツルメンツ株式会社:NI PXIe-4492およびNI PXIe-1073,アナログ信号の振動波形データをデジタル信号に変換してパーソナルコンピュータにデータを集録する装置)を介してパソコンに集録される。振動データの測定器の型番を表3に、切削実験の加工条件を表4に示す。切削実験に使用したエンドミルは、表1に示したもので、工具外径=8mm、全長=60mm、刃長=14mm、刃数=3、材質・形状=ハイススクエアシリーズである。
Figure 2015007458
Figure 2015007458
次に、びびり振動の発生限界となる軸方向切込み深さを求める方法を示す。動吸振器によるびびり振動抑制効果を比較するため、固定治具4に、動吸振器であるはり3を付けていない場合と付けた場合で切削実験を行なう。以後、動吸振器無しとは、はり3が付いていない場合を意味する。
時間の増加とともに被削材は送り速度240mm/minで図10の-x方向に移動し、図12に示すように時間とともに軸方向の切込み深さは増加する。図13は、動吸振器を取り付けていないときの切削加工時のマシニングセンタ本体(主軸ヘッド部分)のy方向の加速度時刻歴波形を示す。図13から計測開始約5秒後に急激に振幅が増加しており、この点でびびり振動が発生していることがわかる。この時の軸方向切込み深さの計算方法は次式で求められる。
軸方向切込み深さ[mm]=(計測時間[s])×(送り速度[mm/s])×tan(被削材傾き角(=7°))
この式を用いて、動吸振器が無い場合の工具回転数2400rpmでのびびり振動発生限界の軸方向切込み深さは約2.35mmとなった。
図14は、動吸振器の質量や固有振動数を変えたときのびびり振動発生限界となる軸方向切込み深さを比較した図である。横軸のA,B,C,Dは、動吸振器の質量、固有振動数、減衰比が異なる組み合わせを表し、縦軸は、それぞれの動吸振器の組み合わせのときのびびり振動発生限界となる軸方向切込み深さである。
また、図中の点線は、動吸振器を付けていないときのびびり振動発生限界となる軸方向切込み深さである。動吸振器の組み合わせA,B,Cは、図7に示すように固定治具4の3か所の動吸振器取付部にそれぞれ1枚ずつはり3を取り付けた場合、組み合わせDは図8に示すように固定治具4の3か所の動吸振器取付部に、はり3をそれぞれ3枚ずつ取り付けた場合である。
組み合わせA,B,Cのはりの長さ、厚さ、幅、質量、動吸振器の固有振動数および減衰比の平均値とそれらの標準偏差を表5に示す。組み合わせA,B,Cそれぞれにおける3つのはりの質量、はりの長さ、厚さ、幅は、等しい。はりの中央部分をボルトで固定されているため、はりの両端が動吸振器と機能し、1つのはりで2つの動吸振器となる。したがって、3枚のはりで6つの動吸振器が構成される。
6つの動吸振器の固有振動数および減衰比は、動吸振器取付時の取付治具とはりの接触面積やはりを固定するネジのトルクの僅かな差でばらつきが現れる。そのため、固有振動数と減衰比は、6つの平均値で表す。
また、組み合わせDは固定治具4の3か所の動吸振器取付部にそれぞれ異なる種類のはりを3枚ずつ取り付けており、図8より各取り付け部のはり3の寸法、固有振動数および減衰比の平均値とそれらの標準偏差を表6に示す。
また、表5、表6には、主系となる工具主軸系の質量(360g)および固有振動数(1500Hz)に対する、6つの動吸振器の総質量比および、平均の固有振動数比を示す。ここで、工具主軸系の質量および固有振動数は、工具先端に加速度センサを取り付け、工具先端をインパクトハンマで打撃したときの周波数応答曲線を用いて算出した。固有振動数比、動吸振器の質量および総質量比は次式により求める。
固有振動数比=(動吸振器の固有振動数)/(主系の固有振動数)
動吸振器の質量=(はりの質量)/6
総質量比=(動吸振器の個数)×(動吸振器の質量)/(主系の質量)
Figure 2015007458
Figure 2015007458
図15は、数値解析によって求めたびびり振動抑制効果を最大にするための動吸振器の固有振動数を見積もるグラフである。横軸は、工具主軸系の質量に対する6個の動吸振器の総質量比、縦軸は、工具主軸系に対する動吸振器の固有振動数比を表す。図15を参照することで、動吸振器の質量および工具主軸系の固有振動数を決定すれば、びびり振動抑制効果を最大にする動吸振器の固有振動数を知ることができる。図15から、動吸振器の固有振動数を工具主軸系の固有振動数よりも少し低くすると、抑制効果が大きいことを示している。
図14から、動吸振器の総質量比が小さい組み合わせA,B,Cのいずれの場合でも動吸振器未対策時に比べ、びびり振動の発生限界となる軸方向切込み深さを向上させることができる。
びびり振動の発生限界となる軸方向切込み深さは、動吸振器未対策時は2.35mm、動吸振器の組み合わせがAの場合は2.94mm、動吸振器の組み合わせがBの場合は3.11mm、動吸振器の組み合わせがCの場合は3.05mmとなった。
A,B,Cのそれぞれの組み合わせの動吸振器を取り付けることによってびびり振動抑制効果が得られた理由として、主系の固有振動数が変化し、びびり振動の発生条件が変化したことが挙げられる。図15の解析結果と比較すると、組み合わせA,B,Cの動吸振器の総質量比=0.036の場合に最もびびり振動抑制効果が得られる固有振動数比は0.86であり、組み合わせBの動吸振器の固有振動数比が0.94で、最適値に最も近いため、びびり振動抑制効果が高い。
動吸振器の組み合わせDの場合の動吸振器の総質量比が0.108、固有振動数比は0.79であるのに対して、動吸振器の総質量比が0.108における最適な固有振動数比は図15から0.81であり、最適固有振動数比に近いため、びびり振動抑制効果が非常に高いことがわかる。
動吸振器の組み合わせがDの場合のびびり振動の発生限界となる軸方向切込み深さは、4.31mmとなった。
また、動吸振器の質量や減衰比が大きい方がびびり振動抑制効果が高いことが解析結果から明らかになっており、組み合わせDの動吸振器は、組み合わせA,B,Cの動吸振器を取り付けた場合のびびり振動発生限界の軸方向切込み深さに比べて、約1.4倍程度、動吸振器を付けていないときに比べて約1.8倍程度向上させることができる。
本発明の動吸振器の形状は、長方形の平面を有する一様な厚さの板状に限定されるものではない。このほか動吸振器の形状としては、振動系を構成できる、たとえば皿ばねとおもり、先端に重りの付いたはり、はりの長手方向に幅や板厚が変化するものなどを採用することができる。
本発明の動吸振器の材質としては、鉄、ステンレススチール、アルミニウム、チタンなど金属材料や炭素繊維やガラス繊維などで強化された複合材料、ポリカーボネイドなどの樹脂材料などを採用することができる。
本発明の動吸振器は、エンドミル工具、ドリル、研削砥石等の回転する工具を用いて機械加工を行う工作機械に適用することができる。
数値解析で求めたびびり振動抑制効果が高い動吸振器の固有振動数について説明する。
図15に示すグラフは、参考文献1に記載された以下に示す手順で数値シミュレーションを行って求めた。
参考文献1に記載した工具主軸系を2自由度集中質量系、各動吸振器をばね、質量、ダッシュポッドでモデル化し、それらの運動方程式を導出する。参考文献1では動吸振器の個数が3つの場合の運動方程式を導出しているが、動吸振器の個数を6個にした場合は、個数を3から6に読み替えることで導出できる。
次に、求めた運動方程式から特性方程式を導く。計算に使用したパラメータの値を表7に示す。
Figure 2015007458
次に図16に示すフローチャートに従って図17の結果を計算する過程を示す。まずS1で、動吸振器の減衰比の初期値ζst=0%を入力し、S2に移り入力した減衰比の大きさζiが減衰比の上限値ζend=30%を超えていないか判別する。超えている場合は計算終了となり、超えていない場合はS4で動吸振器の固有振動数の初期値Ωst=750Hzを入力する。次に、S5に移り、入力した動吸振器の固有振動数Ωiが上限値Ωend=1650Hzを超えていた場合は、S3に移り、動吸振器の減衰比ζiに増分値Δζ=1%を加えて、S2に移動する。超えていない場合は、S6に移動して軸方向切込み深さの初期値ast=0mmを入力して、S7に移動する。S7で、入力した軸方向切込み深さaが上限値aend=30mmを超えている場合は、S14に移り、動吸振器の固有振動数Ωiに増分値ΔΩ=25Hzを加えて、S5に移動する。超えていない場合はS8に移動し、工具回転角の初期値φst=0度を入力し、S9に移動する。S9で、入力した工具回転角φが上限値φex=90度を超えている場合は、S13に移り、軸方向切込み深さaに増分値Δa=0.02mmを加えて、S7に移動する。超えていない場合はS10に移動し、特性方程式の解を求める。得られた特性方程式の解は複素数となり、その実部Re[λ]と虚部Im[λ]の符号を調べ、符号がそれぞれ正となったとき、S15に移動し、そのときの動吸振器の固有振動数Ωiを図17の横軸に、減衰比ζiを縦軸に、軸方向切込み深さaを色の濃淡で表して図17に表示する。色が黒くなるにつれて、aが小さくなる。S15で結果を出力した後、次のパラメータの計算を行うため、S14に移動する。実部Re[λ]と虚部Im[λ]の符号が負であった場合はS12に移動し、工具回転角φに増分値Δφ=1度を加えて、S8に移動する。
以上のようにして動吸振器の減衰比0〜30%まで1%刻みで、動吸振器の固有振動数は、750Hz〜1650Hzまで25Hz刻みで、合計31×37=1147通りの動吸振器の減衰比と固有振動数の組み合わせでびびり振動発生限界となる軸方向切込み深さを求めてグラフにしたものが図17となる。表8に逐次代入計算に使用した変動パラメータを示す。
Figure 2015007458
図17の横軸は動吸振器の固有振動数を工具主軸系の固有振動数で割った固有振動数比、縦軸は動吸振器の減衰比である。図17は、工具主軸系の質量に対する6個の動吸振器の合計質量との総質量比が6%の場合の計算結果である。なお、6個の動吸振器の固有振動数と減衰比はすべて等しい場合で計算している。色が白くなるにつれて、びびり振動発生限界の軸方向切込み深さが大きくなる。
図17から、動吸振器の総質量比が6%のとき、動吸振器の固有振動数比が0.92、減衰比が20%の組み合わせのとき、びびり振動の発生限界の切込み深さが最大となる。同様にして、動吸振器の総質量比が1%、3%、6%、9%、12%、15%の計6通りの場合に対する、それぞれのびびり振動発生限界の軸方向切込み深さを最大にする動吸振器の固有振動数を求めた結果をプロットすることで図15が得られる。
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
[参考文献]
[1]Yutaka Nakano, Hiroki Takahara, Eiji
Kondo. Countermeasure against chatter in end milling operations using multiple
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pp. 1-6,Sep. 2010.
1‥‥エンドミル工具、2‥‥コレットホルダ、3‥‥はり、4‥‥固定治具、5‥‥摩擦締結式カップリング、6‥‥動吸振器ユニットケース、7‥‥ケース上蓋

Claims (11)

  1. 回転する工具に配置する動吸振器であって、
    前記動吸振器の長手方向を、前記工具の回転軸の周方向に配置する
    ことを特徴とする動吸振器。
  2. 動吸振器は、取付け位置からの長さが0.01〜6000mmの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項1記載の動吸振器。
  3. 動吸振器の幅は、0.008〜5000mmの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項2記載の動吸振器。
  4. 動吸振器の厚さは、0.01〜500mmの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項3記載の動吸振器。
  5. 動吸振器は、幅に対する取付け位置からの長さの比率が1.2〜100の範囲内にある
    ことを特徴とする請求項4記載の動吸振器。
  6. 総質量比は0.01〜0.12の範囲内にある
    ことを特徴とする請求項5記載の動吸振器。
  7. 固有振動数比は0.5〜1.0の範囲内にある
    ことを特徴とする請求項6記載の動吸振器。
  8. 減衰比は0.01〜30%の範囲内にある
    ことを特徴とする請求項7記載の動吸振器。
  9. 動吸振器の取付箇所1個当たり、前記動吸振器の枚数は1〜30枚の範囲にある
    ことを特徴とする請求項8記載の動吸振器。
  10. 動吸振器の材質は、金属材料、複合材料、または樹脂材料である
    ことを特徴とする請求項9記載の動吸振器。
  11. 回転する工具は、エンドミル工具、ドリル、または研削砥石である
    ことを特徴とする請求項10記載の動吸振器。
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