JP2015006086A - 電力ケーブルのテープ巻き絶縁接続部 - Google Patents

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【課題】所定の絶縁厚を有する断面扇形の電力ケーブル2Aと、それより絶縁厚を薄くした断面円形の絶縁厚低減電力ケーブル2Bとをテープ巻き絶縁により接続する場合に、絶縁厚低減電力ケーブル2B側の接続部絶縁性能を向上させる。【解決手段】絶縁厚低減電力ケーブル2B側のみにゴム弾性収縮力を有するストレスコーン11を装着し、両ケーブルの導体接続部14とその両側のケーブル絶縁体4A、4B並びに前記ストレスコーン11の絶縁筒部12にかけての外周に絶縁テープを巻き付けて接続部テープ巻き絶縁体15を形成する。絶縁厚低減電力ケーブル2Bとストレスコーン11の界面に、ストレスコーン11のゴム弾性収縮力に加えて、ストレスコーンの絶縁筒部12の外周に巻き付けた絶縁テープの巻き付け圧力を付加する。【選択図】図1

Description

本発明は、所定の絶縁厚を有する電力ケーブルと、それより絶縁厚を薄くした絶縁厚低減電力ケーブルとを、テープ巻き絶縁により接続した比較的低電圧用の電力ケーブルの接続部に関するものである。
電力ケーブルは3相分を1本ずつ布設する場合のほかに、3本撚り合わせた状態(CVT:トリプレックス)で管路内に布設する場合がある。一般に電力ケーブルの断面は円形であるが、断面円形ケーブルを3本撚り合わせると当然のことながら撚り合わせ外径が大きくなるので、導体断面積が大きくなると規定の管路内に収まりきれなくなる。このような場合には、管路内のスペースを有効活用し、かつCVT撚り合わせ外径を小さくするために、断面扇形の電力ケーブルを3本撚り合わせたCVTケーブルが使用される。図2(A)にその一例を示す。このCVTケーブル1Aは、断面扇形の架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル2Aを3本撚り合わせ、その外周にシース5を被覆したものである。各電力ケーブル2Aは、断面扇形に成形した導体3Aに電力会社等により定められた所定の厚さの絶縁体4Aを被覆したものである(内部・外部半導電層等は図示省略)。このようなCVTケーブルを使用すれば、導体サイズがある程度大きい場合でも全体の外径を小さくでき、規定の管路内に収納することが可能となる(特許文献1)。
また、ケーブル布設の際に、断面扇形の電力ケーブル同士を接続する場合には、断面円形でないために、ゴム弾性収縮力を利用するストレスコーンを用いても、ケーブル外周面上に均一な面圧を加えることができないことから、ストレスコーンを使用せずに、絶縁テープを巻くことによって接続部の絶縁性能を確保している。
なお、電力ケーブルの接続方式には、テープ巻きジョイント(TJ)、テープ巻きモールドジョイント(TMJ)、ゴムモールドジョイント(RMJ)、押出モールドジョイント(EMJ)、プレハブジョイント(PJ)などが公知であるが、比較的低電圧用の電力ケーブルの接続には、コストの安いTJ方式が適している。
特開平11−329100号公報
断面扇形のケーブルは断面円形のケーブルよりも製造コストが高くなる。そこで最近、導体断面積が同等の断面円形ケーブルを用いて、許容できる範囲で絶縁厚を低減する(薄くする)ことにより、CVT撚り合わせ外径を、断面扇形ケーブルを用いた場合と同等にすることが検討されている。例えば従来、66kV用CVケーブルの場合、絶縁厚は安全を見て9mm以上とされているが、この絶縁厚を6mm以下まで低減できれば前記目的を達成できる。図2(B)に絶縁厚低減ケーブルを用いたCVTケーブルの一例を示す。このCVTケーブル1Bは、断面円形の架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル2Bを3本撚り合わせ、その外周にシース5を被覆したものである。各電力ケーブル2Bは断面円形の導体3Bに絶縁体4Bを被覆したものである(内部・外部半導電層等は図示省略)。導体3Bの断面積は図2(A)のケーブルの導体3Aと同等であるが、絶縁体4Bの厚さを図2(A)のケーブルの絶縁体4Aより薄くすることによって、CVT撚り合わせ外径を、断面扇形ケーブルを用いた場合と同等に抑えている。
このような断面円形の絶縁厚低減電力ケーブルを実用に供する場合、断面扇形の所定の絶縁厚を有する従来の電力ケーブルと、断面円形の絶縁厚低減電力ケーブルとを接続する箇所が生じる。所定の絶縁厚を有するケーブルと、絶縁厚低減電力ケーブルとをテープ巻き絶縁により接続すると、絶縁厚低減ケーブル側は絶縁厚が薄い分だけ外部半導電層(図示せず)の端部付近における電界強度が高まるため、すなわち電界立ち上がり部の電気的ストレス(Emin)が大きくなるため、テープ巻き時に空気・ボイドの発生を避けられないテープ巻き絶縁体では十分な絶縁性能が得られず、絶縁破壊を起こすおそれがある。
本発明の目的は、所定の絶縁厚を有する電力ケーブルと、それより絶縁厚を薄くした断面円形の絶縁厚低減電力ケーブルとをテープ巻き絶縁により接続する場合に、絶縁厚低減電力ケーブル側の接続部絶縁性能を向上させた電力ケーブルの接続部を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、所定の絶縁厚を有する電力ケーブルと、それより絶縁厚を薄くした断面円形の絶縁厚低減電力ケーブルとの接続部であって、
前記絶縁厚低減電力ケーブル側のみにゴム弾性収縮力を有するストレスコーンを装着し、両ケーブルの導体接続部とその両側のケーブル絶縁体並びに前記ストレスコーンの絶縁筒部にかけての外周に絶縁テープを巻き付けて接続部テープ巻き絶縁体を形成したことを特徴とするものである。
本発明においては、絶縁厚低減電力ケーブルとストレスコーンの界面に、ストレスコーンのゴム弾性収縮力に加えて、ストレスコーンの絶縁筒部の外周に巻き付けた絶縁テープの巻き付け圧力を付加することが好ましい。
本発明において、所定の絶縁厚を有する電力ケーブルは断面扇形ケーブルであることが好ましいが、本発明は、所定の絶縁厚を有する断面円形の電力ケーブルと、それより絶縁厚を薄くした断面円形の絶縁厚低減電力ケーブルとの接続部にも適用できる。
本発明によれば、絶縁厚低減電力ケーブル側にゴム弾性収縮力を有するストレスコーンを装着したので、絶縁厚低減電力ケーブル側の立ち上がり部電界ストレスが緩和されるとともに、ストレスコーンには空気・ボイドが含まれるおそれがないので、絶縁厚低減ケーブル側の絶縁性能を向上させることができる。このため、所定の絶縁厚を有する電力ケーブルと、それより絶縁厚を薄くした絶縁厚低減電力ケーブルとの接続部の、絶縁性能の信頼性を高めることができる。
また、絶縁厚低減電力ケーブルとストレスコーンの界面に、ストレスコーンのゴム弾性収縮力に加えて、ストレスコーンの絶縁筒部の外周に巻き付けた絶縁テープの巻き付け圧力を付加することによって、接続部の絶縁性能の信頼性をさらに高めることができる。
本発明に係る電力ケーブル接続部の一実施例を示す縦断面図。 (A)は所定の絶縁厚を有する断面扇形ケーブルを撚り合わせたCVTケーブルの横断面図、(B)は(A)より絶縁厚を薄くした断面円形の絶縁厚低減ケーブルを撚り合わせたCVTケーブルの横断面図。
図1は本発明の一実施例を示す。図において、2Aは所定の絶縁厚を有する断面扇形の電力ケーブル(図2(A)参照)、2Bはそれより絶縁厚を薄くした断面円形の絶縁厚低減電力ケーブル(図2(B)参照)である。両電力ケーブル2A、2Bの接続部の構成を接続工程順に説明すると次のとおりである。
まず、断面扇形電力ケーブル2Aの端部を段剥ぎして、導体3A、内部半導電層6A、ケーブル絶縁体4A、外部半導電層7A、遮蔽層8Aを順次露出させる。同様に、絶縁厚低減電力ケーブル2Bの端部を段剥ぎして、導体3B、内部半導電層6B、ケーブル絶縁体4B、外部半導電層7B、遮蔽層8Bを順次露出させる。
次に、絶縁厚低減電力ケーブル2Bの外周のみにゴム製のストレスコーン11を装着する(断面扇形電力ケーブル2A側にはストレスコーンを装着しない)。ストレスコーン11は、絶縁ゴム製の絶縁筒部12と半導電ゴム製の半導電筒部13を一体にモールド成形したものである。ストレスコーン11は、外力が加わらないフリーな状態では、内径が絶縁厚低減電力ケーブル2Bの絶縁体4Bの外径より小さくなるように作られている。これを拡径した状態で電力ケーブル2Bの外周の所定の位置に配置し、拡径力を解除するとゴム弾性収縮力により縮径して電力ケーブル2Bの外周に密着する。
次に、導体3A、3Bを銅スリーブにより圧縮接続して導体接続部14を形成する。その後、両ケーブル2A、2Bの導体接続部14とその両側のケーブル絶縁体4A、4B及びストレスコーンの絶縁筒部12にかけての外周に絶縁テープを巻き付けて接続部テープ巻き絶縁体15を形成する。絶縁テープを巻き付ける際には、ストレスコーンの絶縁筒部12の外周に巻き付け圧力を加える。テープ巻き絶縁体15の外周には接続部の遮蔽層16を設ける。なお、ストレスコーン11の外端側から絶縁厚低減電力ケーブル2B上にかけての外周には押さえテープ巻き層17を設ける。このようにするとストレスコーン11の軸線方向の移動を確実に阻止することができる。
以上のように構成された電力ケーブル接続部は、絶縁厚低減電力ケーブル2B側にストレスコーン11が装着されているので、絶縁厚低減電力ケーブル側の立ち上がり部電界ストレスが緩和されるとともに、ストレスコーンを使用したことによって接続部の絶縁厚低減電力ケーブル側に空気・ボイドが含まれるおそれがなくなるので、絶縁厚低減ケーブル側の絶縁性能を向上させることができる。また、絶縁厚低減電力ケーブル2Bとストレスコーン11の界面には、ストレスコーン11のゴム弾性収縮力に加えて、ストレスコーンの絶縁筒部12の外周に巻き付けた絶縁テープの巻き付け圧力が付加されるので、接続部の絶縁性能の信頼性をさらに高めることができる。
上記実施例では、所定の絶縁厚を有する断面扇形の電力ケーブルと、それより絶縁厚を低減した断面円形の電力ケーブルとの接続部について説明したが、本発明は、所定の絶縁厚を有する断面円形の電力ケーブルと、それより絶縁厚を低減した断面円形の電力ケーブルとの接続部に適用しても同様の効果を得ることができる。
1A、1B:トリプレックスケーブル
2A:所定の絶縁厚を有する断面扇形電力ケーブル
2B:断面円形の絶縁厚低減電力ケーブル
3A:断面扇形の導体
3B:断面円形の導体
4A:所定の絶縁厚を有するケーブル絶縁体
4B:絶縁厚を低減したケーブル絶縁体
5:シース
6A、6B:内部半導電層
7A、7B:外部半導電層
8A、8B:遮蔽層
11:ストレスコーン
12:絶縁筒部
13:半導電筒部
14:導体接続部
15:テープ巻き絶縁体
16:接続部の遮蔽層
17:押さえテープ巻き層

Claims (3)

  1. 所定の絶縁厚を有する電力ケーブルと、それより絶縁厚を薄くした断面円形の絶縁厚低減電力ケーブルとの接続部であって、
    前記絶縁厚低減電力ケーブル側のみにゴム弾性収縮力を有するストレスコーンを装着し、両ケーブルの導体接続部とその両側のケーブル絶縁体並びに前記ストレスコーンの絶縁筒部にかけての外周に絶縁テープを巻き付けて接続部テープ巻き絶縁体を形成したことを特徴とする電力ケーブルのテープ巻き絶縁接続部。
  2. 絶縁厚低減電力ケーブルとストレスコーンの界面に、ストレスコーンのゴム弾性収縮力に加えて、ストレスコーンの絶縁筒部の外周に巻き付けた絶縁テープの巻き付け圧力を付加したことを特徴とする請求項1記載の電力ケーブルのテープ巻き絶縁接続部。
  3. 所定の絶縁厚を有する電力ケーブルは断面扇形ケーブルであることを特徴とする請求項1又は2記載の電力ケーブルのテープ巻き絶縁接続部。
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