JP2015004696A - 表示装置 - Google Patents

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一義 櫻木
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Abstract

【課題】二重像による視認性の低下を抑制可能な表示装置を提供する。【解決手段】バックライトから第1の方向に射出され、光反射面で1回反射されて光射出面39aから射出角度βで射出される光を1回反射光L1とし、バックライトから第2の方向に射出され、光反射面で反射されずに光射出面39aから1回反射光L1と同一方向に射出される光を0回反射光L0とし、バックライトから前記第1の方向に射出される光の強度をI1(β)とし、バックライトから前記第2の方向に射出される光の強度をI0(β)とし、I1(β)とI0(β)とのうち強度の小さいほうをIsmall(β)とし、強度の大きいほうをIlarge(β)としたときに、βが50?であるときのIlarge(β)とIsmall(β)との比Ismall(β)/Ilarge(β)の値が0.2以下である。【選択図】図4

Description

本発明は、表示装置に関する。
表示装置の視野角改善方法として、光拡散部材を用いる方法が知られている。例えば、特許文献1には、光拡散部材が光変調素子の視認側に配置されたプロジェクターが開示されている。特許文献1の光拡散部材は、面方向に配列された複数の円錐台状の単位レンズによって構成されており、単位レンズの底面が光入射面、単位レンズの上面が光射出面、単位レンズの側面が光反射面となっている。特許文献1の光拡散部材では、単位レンズの側面に入射した光を全反射させることによって、光拡散部材に垂直に入射した光を広角方向に拡散させている。
特許第4136339号公報
特許文献1の光拡散部材は、プロジェクターに適用されるものであるため、光変調素子からの光(表示光)は光拡散部材に対して概ね垂直に入射する。しかし、バックライトを備えた直視型の表示装置に光拡散部材を適用する場合には、バックライトからの光は極角方向に分布を持って光拡散部材に入射するため、光拡散部材の設計はバックライトからの光の角度分布に基づいて最適化されなければならない。
例えば、バックライトから斜めに射出されて光拡散部材の内部を斜めに通過した光の中には、単位レンズの側面で全反射されて単位レンズの上面から射出された光(1回反射光)と、単位レンズの側面で反射されずにそのまま単位レンズの上面から射出された光(0回反射光)と、が含まれる。このように光のパスが異なる2つの光が同一方向に射出されると、二重像が発生し、表示の視認性が低下する場合がある。
本発明の目的は、二重像による視認性の低下を抑制可能な表示装置を提供することにある。
本発明の表示装置は、バックライトと、前記バックライトから射出された光を変調する光変調素子と、前記光変調素子の視認側に設けられ、前記光変調素子から入射される光の角度分布を入射前よりも広げた状態にして光を射出させる光拡散部材と、を備え、前記光拡散部材は、前記光拡散部材に垂直に入射する光を反射して前記光拡散部材から斜めに射出させる光反射面と、前記光反射面で反射され又は前記光反射面で反射されずに前記光拡散部材の内部を透過した光が射出される光射出面と、を備え、前記バックライトから第1の方向に射出され、前記光反射面で1回反射されて前記光射出面から射出角度βで射出される光を1回反射光とし、前記バックライトから第2の方向に射出され、前記光反射面で反射されずに前記光射出面から前記1回反射光と同一方向に射出される光を0回反射光とし、前記バックライトから前記第1の方向に射出される光の強度をI1(β)とし、前記バックライトから前記第2の方向に射出される光の強度をI0(β)とし、前記I1(β)と前記I0(β)とのうち強度の小さいほうをIsmall(β)とし、強度の大きいほうをIlarge(β)としたときに、前記βが50°であるときの前記Ilarge(β)と前記Ismall(β)との比Ismall(β)/Ilarge(β)の値が0.2以下である。
50°以上70°以下の任意のβにおいて、前記Ismall(β)/Ilarge(β)の値が0.2以下であってもよい。
前記光変調素子は、前記バックライトから射出された光を変調して画像を形成する画像形成面を有し、前記画像形成面の同一箇所から射出され前記光拡散部材の光射出面から射出角度βで射出される前記1回反射光と前記0回反射光の光軸間の距離をW(β)としたときに、前記βが50°であるときの前記Ismall(β)/Ilarge(β)と前記W(β)との積W(β)×Ismall(β)/Ilarge(β)の値が100μm以下であってもよい。
50°以上70°以下の任意の前記βにおいて、前記W(β)×Ismall(β)/Ilarge(β)の値が100μm以下であってもよい。
前記Ismall(β)/Ilarge(β)の値が0.2よりも大きくなる前記βの角度範囲が13°未満であってもよい。
前記バックライトから前記第1の方向に射出された光のうち前記光反射面に入射する光の割合をA1(β)とし、前記バックライトから前記第2の方向に射出された光のうち前記光反射面に入射しない光の割合をA0(β)とし、前記I1(β)と前記A1(β)との積I1(β)×A1(β)を前記1回反射光の強度I1(β)′とし、前記I0(β)と前記A0(β)との積I0(β)×A0(β)を前記0回反射光の強度I0(β)′とし、前記I1(β)′と前記I0(β)′とのうち強度の小さいほうをIsmall(β)′とし、強度の大きいほうをIlarge(β)′としたときに、前記βが50°であるときの前記Ilarge(β)′と前記Ismall(β)′との比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が0.2以下であってもよい。
50°以上70°以下の任意の前記βにおいて、前記Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が0.2以下であってもよい。
前記Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が0.2よりも大きくなる前記βの角度範囲が13°未満であってもよい。
前記光変調素子は、前記バックライトから射出された光を変調して画像を形成する画像形成面を有し、前記画像形成面の同一箇所から射出され前記光拡散部材の光射出面から射出角度βで射出される前記1回反射光と前記0回反射光の光軸間の距離をW(β)とし、前記バックライトから前記第1の方向に射出された光のうち前記光反射面に入射する光の割合をA1(β)とし、前記バックライトから前記第2の方向に射出された光のうち前記光反射面に入射しない光の割合をA0(β)とし、前記I1(β)と前記A1(β)との積I1(β)×A1(β)を前記1回反射光の強度I1(β)′とし、前記I0(β)と前記A0(β)との積I0(β)×A0(β)を前記0回反射光の強度I0(β)′とし、前記I1(β)′と前記I0(β)′とのうち強度の小さいほうをIsmall(β)′とし、強度の大きいほうをIlarge(β)′としたときに、前記βが50°であるときの前記Ilarge(β)′と前記Ismall(β)′との比Ismall(β)′/Ilarge(β)′と前記W(β)との積W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が100μm以下であってもよい。
50°以上70°以下の任意の前記βにおいて、前記W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が100μm以下であってもよい。
前記バックライトは、射出角度が大きくなるに従って射出される光の強度が単調に減少する配光特性を備えていてもよい。
前記バックライトは、射出角度が50°以上で射出される光の全強度が、射出角度が0°で射出される光の強度の10%未満であってもよい。
前記光射出面に対する前記光反射面の傾斜角を前記光反射部材全体で平均化した平均の傾斜角αは73°以上85°以下であってもよい。
前記光拡散部材の前記光変調素子が配置された側とは反対側に、前記光拡散部材から入射した光を拡散させる拡散層が設けられていてもよい。
本発明によれば、二重像による視認性の低下を抑制可能な表示装置が提供される。
第1実施形態の表示装置の概略構成を示す図である。 光変調素子の断面図である。 光拡散部材の断面図である。 二重像の発生原理を説明する図である。 光軸間の距離と表示光射出角度との関係を示す図である。 1回反射光および0回反射光の表示光射出角度と1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度との関係を示す図である。 光拡散部材に入射した光のうち1回反射光として射出される光の割合と0回反射光として射出される光の割合を説明する図である。 光拡散部材への光の入射角度と、1回反射光として射出される光の割合および0回反射光として射出される光の割合と、の関係を示す図である。 バックライトBL0を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度と、1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の光の強度との関係を示す図である。 バックライトBL1を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度と、1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の強度との関係を示す図である。 バックライトBL0を用いて「SHARP(登録商標)」の文字からなる画像を表示し、その画像を表示光射出角度が50.6°の方向から観察したときの写真である。 バックライトBL1を用いて「SHARP(登録商標)」の文字からなる画像を表示し、その画像を表示光射出角度が50.6°の方向から観察したときの写真である。 バックライトBL2を用いた場合の1回反射光および0回反射光の表示光射出角度と当該1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度との関係を示す図である。 バックライトBL2を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度と1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の光の強度との関係を示す図である。 人間の視角特性と二重像の見え方との関係を説明する図である。 表示光射出角度と二重像パラメーターとの関係を示す図である。 光軸間の距離と表示光射出角度との関係を示す図である。 バックライトBL1を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度と1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度との関係を示す図である。 バックライトBL3を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度と1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度との関係を示す図である。 バックライトBL2を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度と1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度との関係を示す図である。 光拡散部材の製造方法の一例を示す図である。 遮光層のパターンの一例を示す図である。 遮光層のパターンの一例を示す図である。 遮光層のパターンの一例を示す図である。 遮光層のパターンの一例を示す図である。 遮光層のパターンの一例を示す図である。 遮光層のパターンの一例を示す図である。 光入射端面側の斜面の傾斜角と光射出端面側の斜面の傾斜角とが異なるような傾斜角の分布を備えた光拡散部材の一例を示す図である。 光拡散部の斜面の傾斜角の測定方法を説明する図である。 光拡散部の斜面の傾斜角の測定結果の一例を示す図である。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の表示装置1の概略構成を示す図である。
表示装置1は、表示体6と、表示体6の視認側に設けられ、表示体6から入射される光の角度分布を入射前よりも広げた状態にして光を射出させる視野角拡大部材7と、を備えている。
表示体6は、バックライト2と、バックライト2からの光を変調する光変調素子4と、を備えている。
バックライト2は、光の射出方向を制御してz方向に指向性を持たせたバックライト、いわゆる指向性バックライトである。バックライト7は、光変調素子4に対してz方向にコリメートされた光を入射させるようになっている。表示装置1では、バックライト2から光変調素子4に対して垂直に光を入射させ、光変調素子4を透過した光を視野角拡散部材7で広角方向に拡散させることで、広い視野角範囲でコントラストの高い画像を表示できるようになっている。
光変調素子4は、第1偏光板3と、TFT基板9と、液晶層11と、カラーフィルター基板10と、第2偏光板5と、を備えたアクティブマトリクス方式の透過型光変調素子である。カラーフィルター基板10には、例えば、Y方向に延びる赤色、緑色および青色からなる複数のカラーフィルター31が互いに隣接して配置されている。
視野角拡大部材7は、光拡散部材70と、拡散層8と、を備えている。
光拡散部材70は、光透過性の基材39上に複数の光拡散部40を互いに隣接して配置したものである。光拡散部40は、例えば、x方向に延びる逆テーパ形状の突起部として構成されており、光拡散部40に垂直に入射した光の一部をテーパ状の側面で反射し、残りの光の一部をそのまま透過することで、表示体6から入射される光の角度分布を入射前よりも広げた状態にして光を射出させる。基材39の光拡散部40が形成されていない部分には、隣接する光拡散部40間からの光漏れを防止するために、遮光層41が形成されている。拡散層8は、例えばアクリル樹脂等のバインダー樹脂の内部に、球径が0.5〜20μm程度の多数のアクリルビーズ等の光散乱体を分散させたものである。拡散層8は、光拡散部材70から入射した光を等方的に拡散しさらに広角に広げる役割を果たす。
図2は、光変調素子4の断面図である。
光変調素子4は、TFT基板9と、TFT基板9に対向して配置されたカラーフィルター基板10と、TFT基板9とカラーフィルター基板10との間に挟持された液晶層11と、を備えている。TFT基板9とカラーフィルター基板10との間には、これら基板間の間隔を一定に保持するための球状のスペーサー12が配置されている。液晶層11の表示方式としては、VA(Vertical Alignment)方式やIPS(In-Plane Switching)方式など任意の表示方式を用いることができる。
TFT基板9は、ガラス等の透明基板14を基板本体として備えている。透明基板14の液晶層11側の面には、図示略の複数のソースバスラインと図示略の複数のゲートバスラインとが互いに直交する方向に格子状に形成されている。隣接するソースバスラインと隣接するゲートバスラインとによって区画された矩形状の領域が表示の最小単位領域である一つの画素となっている。透明基板14の液晶層11側の面には、各画素に対応して、半導体層15、ゲート絶縁膜20、ゲート電極16、ソース電極17およびドレイン電極18を有する画素スイッチング用のTFT19が形成されている。ソース電極17はソースバスラインに接続されており、ゲート電極16はゲートバスラインに接続されている。
ソース電極17およびドレイン電極18は、ゲート絶縁膜20を覆う第1層間絶縁膜21上に形成されている。ソース電極17およびドレイン電極18は、第1層間絶縁膜21およびゲート絶縁膜20を厚み方向に貫通するコンタクトホール22,23を介して半導体層15のソース領域およびドレイン領域にそれぞれ接続されている。ドレイン電極18上には、ソース電極17、ドレイン電極18および第1層間絶縁膜21を覆う第2層間絶縁膜24が形成され、第2層間絶縁膜24上に画素電極25が形成されている。画素電極25は、第2層間絶縁膜24を厚み方向に貫通するコンタクトホール26を介してドレイン電極18と接続されている。
カラーフィルター基板10は、ガラス等の透明基板29を基板本体として備えている。透明基板29の液晶層11側の面には、ブラックマトリクス30、カラーフィルター31、平坦化層32、対向電極33、配向膜34が順次形成されている。カラーフィルター31には、赤色の色素を含む赤色カラーフィルター(R)、緑色の色素を含む緑色カラーフィルター(G)および青色の色素を含む青色カラーフィルター(B)を含む3種類のカラーフィルターが含まれており、TFT基板9上の一つの画素電極25にR,G,Bのいずれか一つのカラーフィルター31が対向して配置されている。液晶層11を透過した光は、カラーフィルター31によって着色されてカラー画像として射出される。そのため、透明基板29の液晶層11側の面、すなわち、カラーフィルター31と透明基板29との間の界面が、画像が形成される画像形成面となる。
図3は、光拡散部材70の断面図である。
光拡散部材70は、光透過性を有する基材39と、基材39の一面(表示体6側の面)に形成された複数の光透過性の光拡散部40と、基材39の一面において光拡散部40の形成領域以外の領域に形成された遮光層41と、を備えている。光拡散部材70は、図1に示したように、光拡散部40が設けられた側を第2偏光板5に向け、基材39の側を視認側に向けた姿勢で第2偏光板5上に配置されている。
光拡散部40は、基材39から表示体6側に突出する突起形状を有している。光拡散部40の屈折率は、基材39の屈折率と略同等である。基材39上には、y方向に延びる複数のストライプ状の光拡散部40がx方向に互いに間隔を空けて配置されている。光拡散部40は、水平断面(xy断面)の形状が細長い長方形であり、光射出端面となる基材39側の面40aの面積が、光入射端面となる基材39と反対側の面40bの面積よりも小さい逆テーパ状の形状を有している。垂直断面(yz断面)で見ると、光拡散部40は、基材39側の面を上底、基材39とは反対側の面を下底とする台形形状であり、上底が光射出端面40a、下底が光入射端面40b、斜面(側面)が光反射面40cとなっている。光拡散部40に入射した光は、光拡散部40の側面(光反射面40c)で全反射しつつ、光拡散部40の内部に略閉じこめられた状態で導光し、射出される。
複数の光拡散部40は、基材39の主面の法線方向(z方向)から見てランダムに(非周期的に)配置されている。光拡散部40の光入射端面40bの短手方向の幅P1、隣接する光拡散部40間のピッチP2、および、光反射面40cの水平面(xy平面)に対する傾斜角αは、それぞれ所定の分布を持って形成されているが、光拡散部材70全体の平均で見ると、光入射端面40bの幅P1は10μm程度であり、隣接する光拡散部40間のピッチP2は20μm程度であり、光反射面40cの傾斜角αは80°程度である。なお、光反射面40cの傾斜角αは、光拡散部材70に対して垂直に(すなわちz方向に)入射した光が光反射面40cで全反射されるような角度であればよい。また、隣接する光拡散部40同士が少なくとも一部において連結していてもよい。
遮光層41は、ブラックレジスト等の光吸収性を有する有機材料で構成されている。遮光層41の層厚は、光拡散部40の光入射端面40bから光射出端面40aまでの高さよりも小さく設定されている。本実施形態の場合、遮光層41の層厚は一例として150nm程度であり、光拡散部40の光入射端面40bから光射出端面40aまでの高さは一例として75μm程度である。したがって、複数の光拡散部40間の間隙において基材39の一面に接する部分には遮光層41が存在し、それ以外の部分には空気が存在している。
光拡散部材70は水平方向(xy平面)に広がるシート形状を有しており、光拡散部40の光入射端面40bは光拡散部材70の光入射面となっており、光拡散部40の光反射面40cは光拡散部材70の光反射面となっており、基材39の表示体6とは反対側の主面39aは光拡散部材70の光射出面となっている。
図4は、二重像の発生原理を説明する図である。
図4において、「Px」は画素を示しており、「P」は画素Pxのピッチを示しており、「FG」は表示体において画像が形成される画像形成面を示している。符号L1と符号L0は、画像形成面FGの同一箇所から別々の光路を通って光拡散部材70の光射出面39aから同一方向に射出される2つの光を示しており、「W」は、光射出面39aから射出された光L1および光L0の光軸間の距離を示している。
前述のように、表示装置1では、z方向に指向性を有する指向性のバックライトが用いられているが、バックライトから射出される光は完全な平行光ではなく、ある程度の角度分布を持った光となっている。この場合、光射出面39aから斜め方向に射出される光の中には、バックライトから別々の光路を通って互いに同一方向に射出される複数の光が含まれている。代表的な光路としては、バックライトから第1の方向に射出され、光拡散部40の光反射面40cで一回反射されて光射出面39aから所定の射出角度βで射出される光路と、バックライトから第2の方向に射出され、光拡散部40の光反射面40cで1回も反射されずに光射出面39aから所定の射出角度βで射出される光路がある。本実施形態では、前者の光路を通る光を1回反射光L1と呼び、後者の光路を通る光を0回反射光L0と呼ぶ。1回反射光L1と0回反射光L0の光軸間の距離Wが画素PxのピッチPよりも十分に広く、且つ、1回反射光L1と0回反射光L0の強度比が小さいと、観察者において1回反射光L1と0回反射光L0が二重像として認識される。
画像形成面FGの同一箇所から射出された1回反射光L1と0回反射光L0の光軸間の距離W(β)は、下記の式(1)で近似される。式(1)中、θ1は、1回反射光L1の光拡散部材内の進行角(1回反射光L1の光軸と光射出面39aの法線とのなす角)であり、θ0は、0回反射光L0の光拡散部材内の進行角(0回反射光L0の光軸と光射出面39aの法線とのなす角)であり、Tは、画像形成面FGから光射出面39aまでのz方向の距離であり、βは、1回反射光L1と0回反射光L0の光射出面39aからの射出角度(1回反射光L1および0回反射光L0の光軸と光射出面39aの法線とのなす角度;表示光射出角度)であり、αは、光拡散部40の光反射面40cの光射出面39aに対する傾斜角であり、nHは、液晶パネルおよび光拡散部材の屈折率であり、nLは光拡散部40間に介在する空気層(低屈折率部)の屈折率である。
図5は、式(1)において、α=81°、nL=1、nH=1.5、T=900μmとした場合の、光軸間の距離W(β)と表示光射出角度βとの関係を示す図である。なお、光拡散部のz方向の厚みは20μm、下底のy方向の幅は25μm、アスペクト比(光拡散部のz方向の厚み:下底のy方向の幅)は0.8:1とした。
光軸間の距離W(β)は、表示光射出角度βが0°から13.5°の間は0であり、13.5°から52.6°の間は、表示光射出角度βが大きくなるにつれて徐々に大きくなって最大値をとる。表示光射出角度βが52.6°から90°の間は、表示光射出角度βが大きくなるにつれて徐々に小さくなり、90°で0となる。
二重像は1回反射光と0回反射光とが共存しないと発生しない性質のものであり、表示光射出角度βが0°〜13.5°の間は1回反射光が出射されないので二重像は観察されない。表示光射出角度βが13.5°よりも大きくなると、1回反射光と0回反射光の進行角が大きくなるに従って光軸間の距離W(β)も大きくなり、表示光射出角度βが50°付近で最大となって二重像が最も見え易い状態となるが、その後は光軸間の距離W(β)は減少に転じる。光拡散部材内には1回反射光と0回反射光の進行角が0°〜±41.8°の光線しか存在しないため、光拡散部のアスペクト比が0.8:1程度であれば表示光射出角度βが90°に至るまで1回反射光は0回反射光と共存し得る。光拡散部のアスペクト比が大きい場合(例えば2:1程度)には、表示光射出角度βが90°に至る前に0回反射光が存在しなくなり、二重像が観察されなくなる場合もある。
図6は、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度βと1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度θBL(バックライトの光射出面の法線(z軸)とバックライトから射出される光の光軸との成す角度)との関係を示す図である。図6では、バックライトBL0とバックライトBL1の配光分布(バックライト光の射出角度とバックライト光の射出強度との関係を示す分布)を併せて図示している。
前述のように、二重像は1回反射光と0回反射光の光軸間の距離が大きいだけでは見える状態にならない。ある特定の表示光射出角度βにおいて、光軸間の距離W(β)が大きく、かつ二重像の元となる1回反射光と0回反射光の強度が拮抗している場合に初めて見える状態となる。そこで、1回反射光と0回反射光の強度比について検討する。
図6において、0回反射光では基本的にバックライト射出時の射出角度θBLと表示光射出角度βとは等しいので、横軸の値と縦軸の値は常に等しくなっている。1回反射光は、z軸に対して傾斜した光拡散部の光反射面で反射され、さらに光拡散部材の光射出端面と外部の空気層との界面で屈折した光であるので、横軸と縦軸の値は必ずしも等しくならない。図6を見ると、表示光射出角度βで射出される0回反射光と1回反射光の由来を知ることができる。例えば、表示光射出角度β=50°で光拡散部材から射出された光のうち、1回反射光はバックライト射出時の射出角度θBLが20°、0回反射光はバックライト射出時の射出角度θBLが50°の光であることが分かる。
図6には、バックライトの配光分布を併せて図示しているので、1回反射光と0回反射光のバックライト射出時の光の強度をある程度知ることができる。二重像は、ある特定の表示光射出角度βにおいて0回反射光と1回反射光が同時に同程度の強度で観察されるために発生する現象である。そのため、表示光射出角度βにおける0回反射光のバックライト射出時の光の強度と1回反射光のバックライト射出時の光の強度との比が十分に大きければ、強度の小さいほうの光は強度の大きいほうの光の影像として認識されない。
バックライトから第1の方向に射出された光のうち光拡散部材の光反射面で反射されて光拡散部材の光射出面から表示光射出角度βで射出された光を1回反射光とし、バックライトから第2の方向に射出された光のうち光拡散部材の光反射面で反射されずに光拡散部材の光射出面から表示光射出角度βで射出された光を0回反射光とすると、1回反射光と0回反射光の強度比は、バックライトから第1の方向に射出される光の強度I1(β)とバックライトから第2の方向に射出される光の強度I0(β)との強度比として近似することができる。I0(β)とI1(β)のうち、強度の小さいほうをIsmall(β)とし、強度の大きいほうをIlarge(β)とすると、強度比Ismall(β)/Ilarge(β)が十分に小さければ、強度の小さいほうの光は強度の大きいほうの光の影像として認識されない。
図6には、光反射面の傾斜角αが81°の光拡散部材に対して、従来から使われている指向性の低いバックライトBL0から指向性の高いバックライトBL1に換えた場合の強度Ismall(β)と強度Ilarge(β)の変化の様子が図示されている。バックライトBL1は、例えば、50°よりも大きな射出角度θBLで射出された光を光吸収板などにより吸収することにより、広角方向に射出される光の強度をバックライトBL0よりも大きく減じたものである。後述するように、バックライトBL0の場合、表示光射出角度β=50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)がIsmall(β)/Ilarge(β)=16/70=0.22程度で、十分な強度比がなく、二重像が観察されたが、バックライトBL1においてはIsmall(β)/Ilarge(β)=8/70=0.11で、十分な強度比が得られ、二重像は観察されなかった。
このように、バックライトBL1では、広角側に射出される光量をできるだけカットし、表示光射出角度βにおける強度比Ismall(β)/Ilarge(β)が、二重像が最も見え易い50°以上70°以下の表示光射出角度βの全範囲において0.2以下となるようにすることで、斜めからの二重像が見え難くなる効果が認められた。
図7は、光拡散部40に入射した光のうち1回反射光L1として射出される光の割合A1と0回反射光L0として射出される光の割合A0を示す図である。図8は、斜面40cの傾斜角αを81°、上底40aのy方向の幅を18μm、下底40bのy方向の幅を24μm、光拡散部40のz方向の厚みを20μmとした場合の、光拡散部40への光の入射角度θと前記割合A0およびA1との関係を示す図である。
なお、A1は、光拡散部40に入射角θで入射した光が光拡散部40の上底40aおよび斜面40cを見込む面積のうち斜面40cを見込む面積の割合と言い換えることができ、A0は、光拡散部40に入射角θで入射した光が光拡散部40の上底40aおよび斜面40cを見込む面積のうち上底40aを見込む面積の割合と言い換えることができる。また、図7において、符号40c′は、光拡散部40の斜面のうち光が入射しない側の斜面を示している。なお、A1およびA0は、表示光射出角度βによって変化するため、以下の説明では、A1およびA0を表示光射出角度βの関数A1(β)およびA0(β)として記載する。
1回反射光L1と0回反射光L0の強度を精度良く議論するには、光拡散部40の内部を斜め方向に進行する光が、光拡散部40の斜面40cおよび上底40aに入射する面積の割合A1(β)およびA0(β)を考慮する必要がある。
図8に示すように、光拡散部40の上底40aを見込む面積の割合A0(β)は、斜面40cに遮られない範囲(入射角度θが0°から9°の範囲)でcos則に従って変化するが、入射角度θが9°よりも大きな角度では減少率が大きくなる。光拡散部40の屈折率が1.5の場合は、考慮する光の入射角度θは±42°の範囲でよい。光拡散部40ではアスペクト比が0.8:1程度となっているので、42°でも上底40aを見込む面積の割合A0(β)はゼロにならないが、アスペクト比が高い場合は42°に至る前に上底40aを見込む面積の割合A0(β)がゼロになる場合もある。
光拡散部40の斜面40cを見込む面積の割合A1(β)は、斜面40cの傾き角である(−(90−α))=−9°を起点として値が大きくなり始め、入射角θが−9°から42°の範囲で、入射角θの増加に伴って徐々に大きくなる。光拡散部40内を進行する光の進行角(=入射角θ)によって光拡散部40の上底40aおよび斜面40cを見込む面積の割合は変化するので、0回反射光および1回反射光の強度もこの面積の割合を考慮して算出することが望ましい。
例えば、下底40bに入射した光のうち、上底40aに入射する光が0回反射光L0となり、斜面40cに入射した光が1回反射光L1となるので、下底40bに入射した光のうち、0回反射光L0となる光の割合はA0(β)となり、1回反射光L1となる光の割合はA1(β)となる。よって、0回反射光L0のバックライト射出時の光の強度I0(β)′は、図6のグラフから得られる強度I0(β)にA0(β)を掛けた値I0(β)×A0(β)として近似でき、1回反射光L1のバックライト射出時の光の強度I1(β)′は、図6のグラフから得られる強度I1(β)にA1(β)を掛けた値I1(β)×A1(β)として近似できる。強度I0(β)′と強度I1(β)′のうち、強度の小さいほうをIsmall(β)′とし、強度の大きいほうをIlarge(β)′とすると、強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′が十分に小さければ、強度の小さいほうの光は強度の大きいほうの光の影像として認識されない。
図9は、バックライトBL0を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度βと、1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の光の強度I0(β)′,I1(β)′との関係を示す図である。図10は、バックライトBL1を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度βと、1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の光の強度I0(β)′,I1(β)′との関係を示す図である。
図9に示すように、バックライトBL0を用いた場合には、表示光射出角度βが30°〜70°の広い範囲で0回反射光と1回反射光の強度が拮抗しており、この角度範囲で二重像が見えてしまう懸念がある。これはバックライトBL0では、図6に示したように、射出角度θBLが50°よりも大きくなっても光が強く射出されており、これが原因となって表示光射出角度βが大きくなっても0回反射光の強度がなかなか低下せず、広い角度範囲において両者の強度が拮抗してしまうことが原因となっている。
図10に示すように、バックライトBL1を用いた場合には、表示光射出角度βが50°よりも大きい角度で0回反射光の強度が減じられ、1回反射光に対して十分小さな強度比となっている。また、0回反射光と1回反射光の強度が拮抗する角度範囲がバックライトBL0を用いた場合よりも狭まっている。これはバックライトBL1では、図6に示したように、広角方向に射出されるバックライト光の強度が光吸収板などにより大きく減じられているため、表示光射出角度βが大きくなったときに0回反射光の強度が速やかに低下し、1回反射光との間で十分な強度比が得られることが原因となっている。この結果、最も二重像が見え易い表示光射出角度β=50°付近における二重像が消失するとともに、二重像が確認される角度範囲が大きく狭まり、二重像の低減に大きな効果が発揮される。
図11は、バックライトBL0を用いて「SHARP(登録商標)」の文字からなる画像を表示し、その画像を表示光射出角度β=50.6°の方向から観察したときの写真である。図12は、バックライトBL1を用いて「SHARP(登録商標)」の文字からなる画像を表示し、その画像を表示光射出角度β=50.6°の方向から観察したときの写真である。なお、β=50.6°の方向から観察した結果は、β=50°の方向から観察した結果と概ね一致するため、以下の説明ではβ=50.6°の方向から観察した結果を、β=50°の方向から観察した結果として評価する。
図11に示すように、バックライトBL0を用いた場合には、「SHARP(登録商標)」の文字が多重にぼやけている。像が明りょうな二重ではなく多重になっているのは、光反射面の傾斜角αが均一ではなく、傾斜角αが光拡散部材の面内で分布を持っているためであると考えられる。一方、図12に示すように、バックライトBL1を用いた場合には、図11において多重化されていた像が消えて、くっきりとした文字が表示された。図11における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は0.23であり、強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′は0.39である。図12における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は、0.11であり、強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′は0.20である。以上のことから、バックライトの配光分布と光拡散部材の配光分布とを制御し、強度比Ismall(β)/Ilarge(β)および強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′を小さく抑えることが、二重像の低減に極めて大きな効果を有することが確認された。
表1は、バックライトBL0を用いて表示した画像の観察方向(1回反射光と0回反射光の表示光射出角度β)を0°から79.8°まで変化させたときの各種パラメーターの値を示している。表2は、バックライトBL1を用いて表示した画像の観察方向を0°から79.8°まで変化させたときの各種パラメーターの値を示している。表1および表2において、表示する画像は、図11および図12と同じ「SHARP(登録商標)」の文字である。太枠は、二(多)重像が見えた範囲を示している。表1および表2において、空欄となっている部分は、1回反射光が存在しないために、パラメーターの値を演算していない部分である。
表1に示すように、バックライトBL0を用いて画像を表示した場合には、表示光射出角度βが30.9°〜70.7°の範囲で二(多)重像が見えることが確認された。このときの強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値は0.25〜0.59で0.2よりも大きく、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値は大部分の範囲で100を超えていた。発明者らの検討によれば、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が100以下であれば、多くの場合二重像は確認できないレベルとなることが分かっている。特に表示光射出角度βが50.6°のときには、図11に示したように二重像がはっきり視認されたが、この角度50.6°では強度比Ismall(β)/Ilarge(β)の値および強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値はいずれも0.2よりも大きく、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値も100を超えていた。なお、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′のパラメーター(二重像パラメーター)の意義については後述する。
一方、表2に示すように、同じ光拡散部材をバックライトBL1と組み合わせた場合には、二(多)重像が見える範囲は30°から40°の範囲であり、広角側での二重像の見え方が大きく改善し、二重像が見える角度範囲が大幅に狭まった。特に表示光射出角度βが50.6°のときには、図12に示したように二重像は視認されなかったが、この角度50.6°では強度比Ismall(β)/Ilarge(β)の値および強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値はいずれも0.2以下であり、かつW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値も100よりも小さな値であった。さらに、二重像が確認されなかった表示光射出角度β=50.6°以上の角度範囲では、強度比Ismall(β)/Ilarge(β)の値および強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値はいずれも0.2以下であり、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値は100以下であり、二重像の見える範囲とこれらのパラメーターとの間に相関関係があることがわかった。
図13は、同じ光拡散部材をバックライトBL2と組み合わせた場合の1回反射光および0回反射光の表示光射出角度βと当該1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度θBLとの関係を示す図である。図13では、バックライトBL1とバックライトBL2の配光分布を併せて図示している。図14は、バックライトBL2を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度βと1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の光の強度I0(β)′,I1(β)′との関係を示す図である。
図13に示すように、バックライトBL2はバックライトBL1に比べて配光分布の半値幅や配光分布の裾の拡がりの角度が狭められている。バックライトBL2の場合、射出角度θBLが30°付近から射出強度が減じられて低い強度となっている。これに伴い表示光射出角度βも30°付近より大きい角度で0回反射光の強度が減じられて1回反射光に対して十分小さな強度比となる。また、図14に示すように、0回反射光と1回反射光の強度が拮抗する角度範囲がバックライトBL1よりもさらに狭まっている。この結果、表示光射出角度β=30°付近から二重像がさらに見え難くなるとともに、その確認される角度範囲が大きく狭まり、二重像低減に大きな効果が発揮される。
表3は、バックライトBL2を用いて表示した画像の観察方向(1回反射光と0回反射光の表示光射出角度β)を0°から79.8°まで変化させたときの各種パラメーターの値を示している。表3において、表示する画像は、図11および図12と同じ「SHARP(登録商標)」の文字である。太枠は、二(多)重像が見えた範囲を示している。表3において、空欄となっている部分は、1回反射光が存在しないために、パラメーターの値を演算していない部分である。
表3に示すように、同じ光拡散部材をバックライトBL2と組み合わせた場合には、さらに二重像の見え方が改善し、ほぼ全域で二重像は確認できなかった。表示光射出角度βが50.6°では二重像は視認されなかったが、この角度50.6°では強度比Ismall(β)/Ilarge(β)の値および強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値はいずれも0.2以下であり、かつW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値も100よりも小さな値であった。発明者らが確認したところ、二重像が改善した角度では強度比Ismall(β)/Ilarge(β)の値および強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値はいずれも0.2よりも小さな値であり、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値は85よりも小さかった。
図15は、人間の視角特性と二重像の見え方との関係を説明する図である。
上述の説明では、1回反射光と0回反射光を1つの眼で見たときの二重像の見え方を議論した。しかし、実際には人は左右の2つの眼で映像を見るので、両眼に二重像が見える条件になっていなければ二重像は確かなものとして認識されず、あまり気にならない。
例えば、人Uがモニター101(パーソナルコンピューターのモニターのほか、スマートフォンやタブレット端末の表示部などを含む)を見る場合を想定して右眼E1と左眼E2が何度異なった角度から映像を見ているのかを計算する。一般的な使用形態として、モニター101と人Uの眼E1,E2との距離をおよそ30cm、人Uの両眼E1,E2の間隔を平均7cmとすると、右眼E1と左眼E2は13°異なる角度から表示画像を見ることになる。よって、二重像を完全に無くしてやらなくとも、それが見える角度範囲を13°以内程度に狭めてやれば、その見え具合は大きく改善する。表1ないし表3において数字以上に二重像改善効果が得られた背景には、このような人の視角特性も影響していると考えられる。
図15では、表示装置をモニター101として利用する場合を説明したので、表示装置と人との距離を30cmとしたが、この距離は、表示装置をどのような形態で利用するかによって変わってくる。例えば、表示装置を据え置き型のテレビとして利用する場合には、表示装置と人との距離は30cmよりも長くなる。二重像は、表示装置と人との距離が長くなるほど見え難くなるが、表示画像を直視するという利用形態では、表示装置と人との距離30cmよりも短くなることは殆どないので、30cmの距離で二重像が見え難くなるように構成されていれば、概ねどのような利用形態で表示装置を利用しても、二重像の発生は抑えられる。
このことから、直視型の表示装置では、Ismall(β)/Ilarge(β)の値またはIsmall(β)′/Ilarge(β)′の値が0.2よりも大きくなる表示光射出角度βの角度範囲は13°未満であることが好ましく、また、W(β)×Ismall(β)/Ilarge(β)の値またはW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が100μmよりも大きくなる表示光射出角度βの角度範囲は13°未満であることが好ましい。なお、「13°未満」とは、連続した表示光射出角度βの範囲が13°未満であることを意味する。こうすることで、仮に二重像が消えない角度範囲が残っていたとしても、二重像を両眼で確認しにくくすることができる。
図16は、表示光射出角度βと二重像パラメーターW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′との関係を示す図である。なお、光拡散部材としては、光反射面の傾斜角αが81°の光拡散部材を用いており、この光拡散部材とバックライトBL0、バックライトBL1およびバックライトBL2とを組み合わせた場合の二重像の見え方については、表1ないし表3に示している。
前述のように、二重像は1回反射光と0回反射光の光軸間の距離が大きいだけでは見える状態にならない。ある特定の表示光射出角度βにおいて、光軸間の距離W(β)が大きく、かつ二重像の元となる1回反射光と0回反射光の強度が拮抗している場合に初めて見える状態となる。よって、二重像の発生程度は、1回反射光と0回反射光との強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′と光軸間の距離W(β)との積W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′によってある程度推定することができる。W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が大きければ二重像ははっきり確認され、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が小さければ小さいほど見え難くなると考えられる。
図16に示すように、αが81°の光拡散部材を用いた場合、バックライトBL0との組み合わせでは、表示光射出角度βが30°〜70°の広い範囲でW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が大きな値を示すが、広角方向の射出光量を減じたバックライトBL1と組み合わせた場合には、50°よりも大きな表示光射出角度βにおいてW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が低減される。また、バックライトの指向性を高めてさらに広角方向の射出光量を減じたバックライトBL2と組み合わせた場合には、より低角側においてW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が低減され、結果として広い視野角範囲でW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が低減された表示装置となる。
表1ないし表3に示した二重像の確認結果と比較すると、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値と二重像の見え方との間には一定の相関が認められることがわかる。例えば、表2に示したように、バックライトBL1を用いたときには、表示光射出角度βが50.6°以上の角度範囲で二重像が見えなくなり、表3に示したように、バックライトBL2を用いたときには、表示光射出角度βが39.3°以上の角度範囲で二重像が見えなくなる。よって、この結果を図16のグラフと比較すると、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が100以下のときに概ね二重像が認識されなくなることがわかる。
以上のように、本実施形態の表示装置1では、バックライト2の配光分布と光拡散部材70の配光分布とを制御することで、二重像がもっとも見え易い表示光射出角度β=50°付近における1回反射光と0回反射光の強度比を小さく抑えている。そのため、二重像による視認性の低下を抑制可能な表示装置を提供することができる。
また、本実施形態の表示装置1では、光拡散部材70の視認側に拡散層8を設置し、光拡散部材70から入射した光を等方的に拡散している。そのため、拡散層8から同一方向に射出される光の中には、光拡散部材70から表示光射出角度がβで射出された1回反射光および0回反射光のほか、光拡散部材70から表示光射出角度がβとは異なる角度で射出された1回反射光および0回反射光が含まれるようになる。そのため、拡散層8を設けない場合と比較して、二重像が形成されにくくなり、表示の視認性が向上する。
[第2実施形態]
図17は、α=77°,81°,85°、nL=1、nH=1.5、T=900μmとした場合の、光軸間の距離W(β)と表示光射出角度βとの関係を示す図である。なお、光拡散部のz方向の厚みは20μm、下底のy方向の幅は25μm、アスペクト比(光拡散部のz方向の厚み:下底のy方向の幅)は0.8:1とした。
第1実施形態では、傾斜角αが81°の光拡散シートに対してバックライトの出射角度特性を二重像が見え難くなるように最適化する例を述べたが、この最適化は光拡散部材側でも行うことができる。
光軸間の距離W(β)は、前述した式(1)で表されるので、傾斜角αが小さくなる方向は光軸間の距離W(β)を小さくする方向に働く。式(1)から予測される通り、傾斜角αが小さくなる方向は光軸間の距離W(β)を小さくする方向に働く。この方向は二重像が見え難くなる方向である。傾斜角α以外のパラメーターを変化させた場合も、二重像の見え方が変化する。基本的に光軸間の距離W(β)が小さくなる方向への光拡散部材の設計変更は二重像を見えにくくする方向に働くため、例えば、Tは小さい方が好ましく、nHは大きい方が好ましい。
図18は、バックライトBL1を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度βと1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度θBLとの関係を示す図である。図18では、バックライトBL1の配光分布を併せて図示している。
傾斜角αが小さくなると、1回反射光の曲線は図の下方にシフトしてゆき、表示光射出角度β=50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)の値も小さくなる。よって、二重像としては見え難くなる。
例えば、傾斜角αが85°の場合は、表示光射出角度β=50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は、Ismall(β)/Ilarge(β)=8/37=0.21程度で、十分な強度比がなく、二重像が観察されたが、傾斜角αが81°の光拡散部材と組み合わせて用いた場合には、表示光射出角度β=50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は、Ismall(β)/Ilarge(β)=8/70=0.11となり、十分な強度比が得られ、二重像は観察されなかった。傾斜角αが77°の光拡散部材と組み合わせて用いた場合も、表示光射出角度βが50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は、Ismall(β)/Ilarge(β)=8/94 =0.09となり、十分な強度比が得られ、二重像は観察されなかった。
同じバックライトであっても光拡散部の傾斜角αの大きさによっては強度比Ismall(β)/Ilarge(β)が十分に小さくなる場合と小さくならない場合とがある。傾斜角αを小さくすれば強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は小さくなり、二重像は見えにくくなるが、傾斜角αを小さくし過ぎるとバックライトからの射出光が光拡散部材で全反射されて射出しなくなり、表示装置の明るさが低下する。例えばバックライトから射出角度θBL=10°で射出された光は、傾斜角αが73°以下になると全反射により射出できなくなる。
図19は、バックライトBL3を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度βと1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度θBLとの関係を示す図である。図19では、バックライトBL3の配光分布を併せて図示している。
バックライトBL3を傾斜角αが85°の光拡散部材と組み合わせて用いた場合には、表示光射出角度β=50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は、Ismall(β)/Ilarge(β)=6.9/18=0.38程度で、十分な強度比がなく、二重像が観察されたが、バックライトBL3を傾斜角αが77°の光拡散部材と組み合わせて用いた場合には、表示光射出角度β=50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は、Ismall(β)/Ilarge(β)=6.9/90=0.08となり、十分な強度比が得られ、二重像は観察されなかった。
バックライトBL3は、バックライトBL1に比べて配光分布の半値幅が狭いが、配光分布の裾の広がりが広く、広角方向においてもある程度の強さの光が射出されている。そのため、傾斜角αが大きい光拡散部材を用いた場合には、表示光射出角度β=50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は大きくなり、傾斜角αが小さい光拡散部材を用いた場合には、表示光射出角度βが50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は小さくなる。同じバックライトを用いた場合でも、傾斜角αの値によっては強度比Ismall(β)/Ilarge(β)が十分に小さくなる場合と小さくならない場合とがある。バックライトの配光分布に合わせて光拡散部材の傾斜角αを適切に制御すれば、二重像の発生の程度を低減することができる。
以上はバックライトBL1およびバックライトBL3を用いた時の議論であって、より指向性の高いバックライトを用いた場合は、傾斜角αが85°であっても表示光射出角度β=50°において二重像が確認されない場合もあり得る。
図20は、バックライトBL2を用いた場合の、1回反射光および0回反射光の表示光射出角度βと1回反射光および0回反射光のバックライト射出時の射出角度θBLとの関係を示す図である。図20では、バックライトBL2の配光分布を併せて図示している。また、比較のために、バックライトBL3の配光分布を併せて図示している。
バックライトBL2はバックライトBL3に比べて配光分布の半値幅や配光分布の裾の拡がりの角度が狭められている。バックライトBL2では、表示光射出角度βが50°となる0回反射光のバックライト射出時の光の強度は略ゼロである。そのため、傾斜角αが85°の光拡散部材を用いた場合でも、表示光射出角度βが50°における強度比Ismall(β)/Ilarge(β)は十分小さくなり、二重像は観察され難い。
表4、表5および表6は、それぞれ傾斜角αが85°、81°および77°の光拡散部材をバックライトBL3と組み合わせて表示した画像の観察方向(1回反射光と0回反射光の表示光射出角度β)を0°から79.8°まで変化させたときの各種パラメーターの値を示している。表7、表8および表9は、それぞれ傾斜角αが85°、81°および77°の光拡散部材をバックライトBL2と組み合わせて表示した画像の観察方向(1回反射光と0回反射光の表示光射出角度β)を0°から79.8°まで変化させたときの各種パラメーターの値を示している。表4ないし表9において、表示する画像は、図11および図12と同じ「SHARP(登録商標)」の文字である。太枠は、二(多)重像が見えた範囲を示している。表4ないし表9において、空欄となっている部分は、1回反射光が存在しないために、パラメーターの値を演算していない部分である。
まず、バックライトBL3と傾斜角αが85°、81°および77°の光拡散部材とを組み合わせた場合の結果を説明する。
表4に示すように、バックライトBL3と傾斜角αが85°の光拡散部材とを組み合わせた場合には、表示光射出角度βが30°から70°の範囲で二(多)重像が見えることが確認された。このときの強度比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値は0.50〜0.97で0.2よりも大きく、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値は、二重像が確認された表示光射出角度βの全範囲で100を超えていた。特に表示光射出角度βが50°近傍では二重像がはっきり視認されたが、この角度では、Ismall(β)/Ilarge(β)の値およびIsmall(β)′/Ilarge(β)′の値はいずれも0.2よりも大きく、且つW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値も100を超えていた。
表5に示すように、バックライトBL3と傾斜角αが81°の光拡散部材とを組み合わせた場合も同様に、表示光射出角度βが30°から70°の範囲で二(多)重像が見えることが確認された。このときのIsmall(β)′/Ilarge(β)′の値は0.25〜0.91で0.2よりも大きく、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値もやはり全範囲で100を超えていた。特に表示光射出角度βが50°近傍では二重像がはっきり視認されたが、この角度では、Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値は0.2よりも大きく、かつW(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値も100を超えていた。
一方で、表6に示すように、バックライトBL3と傾斜角αが77°の光拡散部材とを組み合わせた場合は、表示光射出角度βが40°近傍で二(多)重像がうっすらと確認された程度で、二重像としてはその見える角度範囲および見える程度はいずれも大きく改善された。このとき、表示光射出角度βが50°以上におけるIsmall(β)′/Ilarge(β)′の値は0.2よりも小さく、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値もやはり表示光射出角度βが50°以上の全範囲で100を下回っていた。さらに、表示光射出角度βが50°近傍では二重像が確認されなかったが、この角度ではIsmall(β)′/Ilarge(β)′の値が0.18で0.2よりも小さく、かつ、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値も70で100を下回っていた。
傾斜角αが77°の光拡散部材を用いた場合においてこのような差が生じるのは、この光拡散部材が、入射角24で入射した光を90°の方向に拡散させるという高い拡散性を持つことに由来している。二重像は1回反射光と0回反射光の光量が拮抗することによって生じるが、傾斜角αが77°の光拡散部材では、光拡散部材に対して垂直に近い角度で入射した強度の高い光も広角方向に拡散されるため、1回反射光の強度が大きくなり、0回反射光の強度と拮抗し難くなっている。
次に、バックライトBL2と傾斜角αが85°、81°および77°の光拡散部材とを組み合わせた場合の結果を説明する。
表7ないし表9に示すように、バックライトBL2を用いた場合には、どの光拡散部材と組み合わせた場合でも二重像は殆ど視認されず、バックライトBL3を用いた場合に比べて大きな改善効果が得られた。いずれの光拡散部材を用いた場合でも表示光射出角度βが50°近傍におけるIsmall(β)′/Ilarge(β)′の値は0.2よりも小さく、W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値も100を下回っていた。バックライトBL3を用いた場合と比較してこのような差が生じるのは、バックライトBL2の広角方向の射出強度がバックライトBL3よりも抑えられていることに由来している。二重像は1回反射光と0回反射光の光量が拮抗することによって生じるが、バックライトの広角方向の射出強度を抑えることよって広角方向の0回反射光の光量も少なくなるため、1回反射光の光量と拮抗し難くなっている。
図21は、光拡散部材70の製造方法の一例を示す図である。
まず、図21(a)に示すように、例えば10cm角で厚さが100μmのトリアセチルセルロースの基材39を準備し、スピンコート法を用いて、基材39の一面に遮光層材料としてカーボンを含有したブラックネガレジストを塗布し、膜厚150nmの塗膜を形成する。次いで、上記の塗膜を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度90℃で塗膜のプリベークを行う。これにより、ブラックネガレジスト中の溶媒が揮発する。次いで、露光装置を用い、複数の遮光パターンが設けられたフォトマスクを介して前記塗膜に光を照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は100mJ/cmとする。そして、専用の現像液を用いてブラックネガレジストからなる塗膜の現像を行い、100℃で乾燥し、複数の遮光層41を基材39の一面に形成する。隣接する遮光層41間の開口部41aは次工程の光拡散部40の形成領域に対応する。
遮光層41のパターンとしては、例えば、図22に示したものを用いることができる。図22は、遮光層41として、複数のストライプ状の黒色パターンを互いに隙間を空けて平行に形成したものである。黒色パターンのピッチd1(黒色パターンの中心線c1間の間隔)、開口部41aの幅d2および黒色パターンの幅d3のうち少なくとも1つの要素は、黒色パターンの配列方向に対して周期性を持たないように形成されていることが好ましい。これにより、表示体と組み合わせたときに、表示体の画素との間でモアレが発生することを抑制することができる。また、黒色パターンのピッチd1は、表示体の画素のピッチよりも小さいことが好ましい。これにより、画素内に少なくとも1つの光拡散部が形成されるようになるので、例えば、モバイル機器などに用いる画素ピッチが小さい表示体と組み合わせたときに、広視野角化を図ることができる。
遮光層41のパターンとしては、図23に示したものを用いることもできる。図23は、遮光層41として、複数の円形の開口部41aを有する遮光層41を形成したものである。開口部41aは、例えば、仮想線c2で仮想的に区画されたハニカム構造を有する六角形の領域にそれぞれ1つずつ形成されている。開口部41aの直径d4および開口部41aの中心間の間隔d5のうち少なくとも1つの要素は、六角形の配列方向に対して周期性を持たないように形成されていることが好ましい。これにより、表示体と組み合わせたときに、表示体の画素との間でモアレが発生することを抑制することができる。また、開口部41aの中心間の間隔d5は、表示体の画素のピッチよりも小さいことが好ましい。これにより、画素内に少なくとも1つの光拡散部が形成されるようになるので、例えば、モバイル機器などに用いる画素ピッチが小さい表示体と組み合わせたときに、広視野角化を図ることができる。
さらに、遮光層41のパターンとしては、図24ないし図27に示したものを用いることもできる。図24は、遮光層41として、樹木の枝のように不規則に屈曲し若しくは分岐した複数の帯状の黒色パターンを互いに隙間を空けて形成したものである。図25は、遮光層41として、同一の幅を有する複数のストライプ状の黒色パターンを不規則な間隔で互いに平行に形成したものである。図26は、遮光層41として、大きさがばらついた複数の円形の黒色パターンを互いに隙間を空けて不規則な位置に形成したものである。図27は、遮光層41として、大きさがばらついた複数の楕円状の開口部41aを互いに不規則な間隔で配置してなる遮光層を形成したものである。
図24ないし図25の遮光層41は、黒色パターンや開口部41aが不規則に形成されているため、表示体と組み合わせたときに、表示体の画素との間でモアレが発生することを抑制することができる。
図21(a)に戻って、基材39の一面に遮光層41を形成したら、スピンコート法を用いて、スピンコート法を用いて、遮光層41の上面に光拡散部材料としてアクリル樹脂からなる透明ネガレジストを塗布し、膜厚25μmの塗膜48を形成する。次いで、塗膜48を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度95℃で塗膜48のプリベークを行う。これにより、透明ネガレジスト中の溶媒が揮発する。次いで、基材39側から遮光層41をマスクとして塗膜48に拡散光Fを照射し、露光を行う。このとき、波長365nmのi線、波長404nmのh線、波長436nmのg線の混合線を用いた露光装置を使用する。露光量は500mJ/cmとする。また、露光装置から射出された平行光を拡散光Fとして基材39に照射する手段としては、例えば露光装置から射出された光の光路上にヘイズ50程度の拡散板49を配置すればよい。
次に、図21(b)に示すように、塗膜48を形成した基材39をホットプレート上に載置し、温度95℃で塗膜48のポストエクスポージャーベイク(PEB)を行う。次いで、専用の現像液を用いて透明ネガレジストからなる塗膜48の現像を行い、100℃でポストベークし、複数の光拡散部40を基材39の一面に形成する。以上により、光拡散部材70が完成する。
光拡散部材70の全光線透過率は、90%以上が好ましい。全光線透過率が90%以上であると、十分な透明性が得られ、光拡散部材70に求められる光学性能を十分に発揮できる。全光線透過率は、JIS K7361−1の規定によるものである。そして、以上のようにして形成された光拡散部材70を、図1に示した表示体6の最前面に直接貼り付けることによって、表示装置1が完成する。
なお、図21(b)では、全ての光拡散部40の斜面40cの傾斜角αを同じ角度に揃えて図示しているが、各光拡散部40の斜面40cの傾斜角αは必ずしも同じ角度に揃わない。光拡散部材70の面内に傾斜角αの分布が形成される場合や、一つの光拡散部40の中に光入射端面40b側の斜面の傾斜角と光射出端面40a側の斜面の傾斜角とが異なるような傾斜角αの分布が形成される場合もある。
例えば、図28(a)のように、斜面50cの傾斜角αが光射出端面50a側から光入射端面50b側にかけて徐々に大きくなるような光拡散部50を備えた光拡散部材71や、図28(b)のように、斜面53cの傾斜角が光拡散部53の厚み方向に複数段階で変化した光拡散部53を備えた光拡散部材72が形成される場合もある。図28(b)では、第1光拡散部51と第2光拡散部52とが光拡散部53の厚み方向に隣接して配置され、基材39に近い側(光射出端面53a側)に設けられた第1光拡散部51の斜面51cの傾斜角α1が基材39から遠い側(光入射端面53b側)に設けられた第2拡散部52の斜面52cの傾斜角α2よりも小さくなるように形成されている。
これらの例では、光拡散部の斜面の傾斜角αは一定に定まらないので、傾斜角αの大きさは、光学測定によって平均値やピーク値から判断される。
光学測定としては、図29に示すような測定がおこなわれる。すなわち、光拡散部材71の主面の法線方向から平行光に近い指向性のある光Lpが入射し、直進する光Lp以外に光拡散部の斜面に当たって拡散した光Lsがどの角度φに射出されるかで判定する。
例えば図30のような測定結果が得られた場合、直進光以外にφ=±26°においてピークが確認されているので、スネルの法則から逆算して、光拡散部材71内に最も多く存在する傾斜角αは81.5°であると判定される。すなわち、光拡散部材71は、およそ81.5°の傾斜角αを持つ光拡散部材であると判定される。図29の光学測定で得られる傾斜角αは、各光拡散部の傾斜角を光反射部材全体で平均化した平均の傾斜角である。図29では、入射光Lpの拡がり角が±3°程度の白色平行光を入射して測定を行っているが、単波長のレーザー光源などを用いれば、より正確に傾斜角αの角度分布を求めることができる。なお、図7に示したA1(β)およびA0(β)の大きさは、例えば、図30の測定結果から得られる傾斜角α(図30のピーク値から判断された傾斜角α)と、光拡散部40の厚みと、に基づいて算出される。
[変形形態]
上述の実施形態では、光拡散部の形状を断面が台形のストライプ状の形状としたが、光拡散部の形状はこれに限らず、円錐台や角錐台などの錐体形状としてもよい。また、光拡散部の側面の傾斜角度は、図30に示した例のように光軸を中心として対称でなくてもよい。表示装置の用途や使い方に応じて意図的に非対称な角度分布が要求される場合、例えば画面の上方側だけ、あるいは右側だけに視野角を広げたい等の要求がある場合には、光拡散部の側面の傾斜角αを非対称にしてもよい。この場合にも、傾斜角αに応じて適切な配光分布を持ったバックライトを組み合わせることで、広角方向における二重像の発生を抑制することができる。
本発明は、液晶表示装置などの表示装置の分野に利用することができる。
1…表示装置、2…バックライト、4…光変調素子、8…拡散層、39a…光射出面、40c…光反射面、70…光拡散部材、FG…画像形成面、L0…0回反射光、L1…1回反射光

Claims (14)

  1. バックライトと、
    前記バックライトから射出された光を変調する光変調素子と、
    前記光変調素子の視認側に設けられ、前記光変調素子から入射される光の角度分布を入射前よりも広げた状態にして光を射出させる光拡散部材と、を備え、
    前記光拡散部材は、前記光拡散部材に垂直に入射する光を反射して前記光拡散部材から斜めに射出させる光反射面と、前記光反射面で反射され又は前記光反射面で反射されずに前記光拡散部材の内部を透過した光が射出される光射出面と、を備え、
    前記バックライトから第1の方向に射出され、前記光反射面で1回反射されて前記光射出面から射出角度βで射出される光を1回反射光とし、前記バックライトから第2の方向に射出され、前記光反射面で反射されずに前記光射出面から前記1回反射光と同一方向に射出される光を0回反射光とし、前記バックライトから前記第1の方向に射出される光の強度をI1(β)とし、前記バックライトから前記第2の方向に射出される光の強度をI0(β)とし、前記I1(β)と前記I0(β)とのうち強度の小さいほうをIsmall(β)とし、強度の大きいほうをIlarge(β)としたときに、
    前記βが50°であるときの前記Ilarge(β)と前記Ismall(β)との比Ismall(β)/Ilarge(β)の値が0.2以下である表示装置。
  2. 50°以上70°以下の任意のβにおいて、前記Ismall(β)/Ilarge(β)の値が0.2以下である請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記光変調素子は、前記バックライトから射出された光を変調して画像を形成する画像形成面を有し、
    前記画像形成面の同一箇所から射出され前記光拡散部材の光射出面から射出角度βで射出される前記1回反射光と前記0回反射光の光軸間の距離をW(β)としたときに、
    前記βが50°であるときの前記Ismall(β)/Ilarge(β)と前記W(β)との積W(β)×Ismall(β)/Ilarge(β)の値が100μm以下である請求項1に記載の表示装置。
  4. 50°以上70°以下の任意の前記βにおいて、前記W(β)×Ismall(β)/Ilarge(β)の値が100μm以下である請求項3に記載の表示装置。
  5. 前記Ismall(β)/Ilarge(β)の値が0.2よりも大きくなる前記βの角度範囲が13°未満である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
  6. 前記バックライトから前記第1の方向に射出された光のうち前記光反射面に入射する光の割合をA1(β)とし、前記バックライトから前記第2の方向に射出された光のうち前記光反射面に入射しない光の割合をA0(β)とし、前記I1(β)と前記A1(β)との積I1(β)×A1(β)を前記1回反射光の強度I1(β)′とし、前記I0(β)と前記A0(β)との積I0(β)×A0(β)を前記0回反射光の強度I0(β)′とし、前記I1(β)′と前記I0(β)′とのうち強度の小さいほうをIsmall(β)′とし、強度の大きいほうをIlarge(β)′としたときに、
    前記βが50°であるときの前記Ilarge(β)′と前記Ismall(β)′との比Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が0.2以下である請求項1に記載の表示装置。
  7. 50°以上70°以下の任意の前記βにおいて、前記Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が0.2以下である請求項6に記載の表示装置。
  8. 前記Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が0.2よりも大きくなる前記βの角度範囲が13°未満である請求項6または7に記載の表示装置。
  9. 前記光変調素子は、前記バックライトから射出された光を変調して画像を形成する画像形成面を有し、
    前記画像形成面の同一箇所から射出され前記光拡散部材の光射出面から射出角度βで射出される前記1回反射光と前記0回反射光の光軸間の距離をW(β)とし、前記バックライトから前記第1の方向に射出された光のうち前記光反射面に入射する光の割合をA1(β)とし、前記バックライトから前記第2の方向に射出された光のうち前記光反射面に入射しない光の割合をA0(β)とし、前記I1(β)と前記A1(β)との積I1(β)×A1(β)を前記1回反射光の強度I1(β)′とし、前記I0(β)と前記A0(β)との積I0(β)×A0(β)を前記0回反射光の強度I0(β)′とし、前記I1(β)′と前記I0(β)′とのうち強度の小さいほうをIsmall(β)′とし、強度の大きいほうをIlarge(β)′としたときに、
    前記βが50°であるときの前記Ilarge(β)′と前記Ismall(β)′との比Ismall(β)′/Ilarge(β)′と前記W(β)との積W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が100μm以下である請求項1に記載の表示装置。
  10. 50°以上70°以下の任意の前記βにおいて、前記W(β)×Ismall(β)′/Ilarge(β)′の値が100μm以下である請求項9に記載の表示装置。
  11. 前記バックライトは、射出角度が大きくなるに従って射出される光の強度が単調に減少する配光特性を備えている請求項1ないし10のいずれか1項に記載の表示装置。
  12. 前記バックライトは、射出角度が50°以上で射出される光の全強度が、射出角度が0°で射出される光の強度の10%未満である請求項11に記載の表示装置。
  13. 前記光射出面に対する前記光反射面の傾斜角を前記光反射部材全体で平均化した平均の傾斜角αは73°以上85°以下である請求項1ないし12のいずれか1項に記載の表示装置。
  14. 前記光拡散部材の前記光変調素子が配置された側とは反対側に、前記光拡散部材から入射した光を拡散させる拡散層が設けられている請求項1ないし13のいずれか1項に記載の表示装置。
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