好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明は、第一部材1と第二部材2とが相対移動することで作業部3が作動する、若しくは第一部材1と第二部材2とが一定の間隔を保持しながら同方向に移動することで作業部3が作動するように構成することができる。
第一部材1と第二部材2とが相対移動することで作業部3が作動するように構成した場合は、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に力を加えると、第一部材1と第二部材2とが相対移動し、この第一部材1と第二部材2の相対移動により加えられた力が伝達して作業部3が作動し、この作動した作業部3に作動抵抗が生じるまでは、この第一部材1と第二部材2の相対移動に伴い、この第一部材1と第二部材2の一方に設けた可動当接部5と他方に設けた当接受部6とが相対移動する。
この第一部材1と第二部材2の相対移動時の移動量は、作業部3が所定の作業を行う対象物7の大きさや厚み等によって変化し、これにより、可動当接部5の当接受部6に対する相対移動量も変化する。
そして、作業部3に作動抵抗が生じると、第一部材1と第二部材2の一方に可動当接部5と共に設けた可動因部4が変形し、この可動因部4の変形により可動当接部5が当接受部6に接近する方向に可動する。
尚、本発明における作業部3の作動抵抗とは、作業部3が対象物7に対して及ぼす力を意味し、例えば本発明を挟持装置として構成した場合は、作業部3が対象物7を挟持する挟持力を意味し、例えば本発明を押圧装置として構成した場合は、作業部3が対象物を押圧する押圧力を意味するものとし、他に切断装置として構成した場合は切断力、拡開装置として構成した場合は拡開力、締め付け装置として構成した場合は締め付け力、攪拌装置として構成した場合は撹拌力を意味するものとする。
この可動当接部5が当接受部6に接近可動する際、可動当接部5は、作業部3に作動抵抗が生じる前の移動方向と異なる方向に可動して当接受部6に接近し、作業部3の作動抵抗が増大してゆくに連れ可動因部4の変形量が増大し可動当接部5が当接受部6に更に接近してゆき、作業部3の作動抵抗が所定値に達すると、可動当接部5が当接受部6に当接する。
この可動当接部5が当接受部6に当接すると、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に更に力を加えても、この加えた力が作業部3に伝達されなくなる、若しくは移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に更に力を加えた際、この加えた力を作業部3に伝達する伝達比が、可動当接部5が当接受部6に当接する前の伝達比よりも減少した伝達比で作業部3に伝達される。
例えば、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に更に力を加えても、この加えた力が作業部3に伝達されなくなるように構成した場合は、可動当接部5が当接受部6に当接した以降に移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に更に力を加えても、作業部3の作動抵抗が所定値よりも大きくならない、言い換えると、可動当接部5が当接受部6に当接した以降に移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に更に力を加えても、この加えた力が作業部3に伝達されず、作業部3が対象物7に対して発揮する力、例えば挟持力、切断力、拡開力、押圧力、締め付け力、撹拌力等が所定値よりも大きくならないので、例えば、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に作業部3が所定値以上の力を発揮するような大きな力を無造作に加えても、所定の作業を行う対象物7には所定値よりも大きな力を加えることなく所定の作業を行うことができる、或いは、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に作業部3が所定値以上の力を発揮するような大きな力を無造作に加えるだけで、所定の作業を行う対象物7に対して所定値(一定の力)で所定の作業をし続けることができる従来にない極めて実用性に優れた画期的な作業装置となる。
また、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に更に力を加えた際、この加えた力を作業部3に伝達する伝達比が、可動当接部5が当接受部6に当接する前の伝達比よりも減少した伝達比で作業部3に伝達されるように構成した場合は、移動自在に設けた第一部材と第二部材の一方若しくは双方に作業部3が所定値以上の力を発揮するような大きな力を無造作に加えても、対象物7に対して急激に所定値以上の大きな力が掛からず、少しずつデリケートに力を加えてゆくことができる従来にない極めて実用性に優れた画期的な作業装置となる。
しかも、本発明は、可動当接部5が当接受部6に接近する方向を、可動当接部5が当接受部6に対して相対移動する方向と異なる方向としたので、所定の作業の対象となる対象物7の大きさや厚みが変わっても、作業部3が対象物7に対して発揮する力の最大値が一定となる構成、或いは対象物7の大きさや厚みによって作業部3が対象物7に対して発揮する力の最大値を変化させる構成を容易に設計実現可能とすることができる極めて実用性に優れた画期的な作業装置となる。
また、第一部材1と第二部材2とが一定の間隔を保持しながら同方向に移動することで作業部3が作動するように構成した場合は、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方、具体的には可動当接部5を設けた方に力を加えると、この加えた力がもう一方、具体的には当接受部6を設けた方にも伝わり第一部材1と第二部材2とが一定の間隔を保持しながら同方向に移動し、この第一部材1と第二部材2の移動により作業部3が作動し、この作動した作業部3に作動抵抗が生じるまでは、この第一部材1と第二部材2の移動に伴い、この第一部材1と第二部材2の一方に設けた可動当接部5と他方に設けた当接受部6とが、第一部材1、第二部材2同様に一定の間隔を保持しながら同方向に移動する。
そして、作業部3に作動抵抗が生じると、第一部材1と第二部材2の一方に可動当接部5と共に設けた可動因部4が変形し、この可動因部4の変形により可動当接部5が当接受部6に接近する方向に可動する。
具体的には、作業部3に作動抵抗が生じることにより、当接受部6を設けた方の移動が停止する若しくは移動速度が可動当接部5を設けた方よりも低下し、この可動当接部5と当接受部6との移動速度に差が生じることにより可動因部4が変形して可動当接部5と当接受部6との間隔が狭まり、可動当接部5が当接受部6に接近し、作業部3の作動抵抗が増大してゆくに連れ可動因部4の変形量が増大し可動当接部5と当接受部6との間隔がさらに狭まり互いに接近し、作業部3の作動抵抗が所定値に達すると、可動当接部5が当接受部6に当接する。
この可動当接部5が当接受部6に当接すると、可動当接部5を設けた方に更に力を加えても、この加えた力が作業部3に伝達されなくなる。
即ち、可動当接部5が当接受部6に当接すると、可動当接部5を設けた方に更に力を加えても、この加えた力が当接受部6を設けた方に伝わらず、この当接受部6を設けた方が移動しなくなるため、作業部3の作動が停止して対象物7に対する所定の作業が停止することとなる。
従って、可動当接部5を設けた第一部材1と第二部材2の一方に作業部3が所定値以上の力を発揮するような大きな力を無造作に加えても、所定の作業を行う対象物7には所定値よりも大きな力を加えることなく所定の作業を行うことができる。従来にない極めて実用性に優れた画期的な作業装置となる。
このように、本発明は、作業部3の作動抵抗が所定値に達すると、可動当接部5が当接受部6に当接して、加えた力が作業部3に伝達しなくなる、言い換えると、作業部3の作動抵抗が、可動当接部5が当接受部6に当接した時点から増加しなくなる、或いは、作業部3に力を伝達する伝達比が減じる、言い換えると、可動当接部5が当接受部6に当接する前よりも力が伝わり難くなる。
これにより、例えば挟持したり押圧したり締め付けたりする所定の作業の対象となる対象物7に対して、必要以上の力、即ち所定値以上の力を加えることなく所定の作業を行うことができたり、第一部材1、第二部材2には急激に大きな力を加えても、対象物7に急激に大きな力が加わらず、対象物7に力が加えられ過ぎることなく所定の作業を行うことができる極めて実用性に優れた従来ない画期的な作業装置となる。
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
本実施例は、第一部材1と第二部材2とを備えると共にこれらの少なくとも一方を移動自在に設け、加力により第一部材1又は第二部材2が移動し力が伝達することで作動して所定の作業を行う作業部3を備え、第一部材1及び第二部材2は互いに相対移動する構成とし、この第一部材1と第二部材2とが相対移動することで作業部3が作動する、若しくは第一部材1及び第二部材2は共に一定の間隔を保持しながら同方向に移動する構成とし、この第一部材1と第二部材2とが共に一定の間隔を保持しながら同方向に移動することで作業部3が作動して対象物7に対して所定の作業を行うように構成した作業装置である。
具体的には、第一部材1と第二部材2の一方に可動因部4とこの可動因部4の変形により可動する可動当接部5を設け、他方にこの可動当接部5が当接する当接受部6を設け、可動当接部5は、作業部3に作動抵抗が生じるまでは、当接受部6に接近することなく当接受部6に対して相対移動する、又は当接受部6と一定の間隔を保持しながら同方向に移動し、作業部3に作動抵抗が生じると、当接受部6に対して相対移動している場合は、可動因部4の変形により相対移動方向と異なる方向に可動して当接受部6に接近し、当接受部6と一定の間隔を保持しながら同方向に移動している場合は、可動因部4の変形により当接受部6との間隔が狭まり方向に可動して当接受部6に接近し、作業部3の作動抵抗が所定値になった際に当接受部6に当接するように構成している。
この可動当接部5が当接受部6に当接した状態においては、本実施例は、可動当接部5が当接受部6に当接した以降に移動自在に設けた第一部材1又は第二部材2に更に力を加えても、この更に加えた力を作業部3に伝達しない、又は、この更に加えた力を作業部3に伝達する伝達比が、可動当接部5が当接受部6に当接する前の伝達比に比して減じるように構成している。
即ち、本実施例は、作業部3の作動抵抗、例えば作業部3が対象物7を挟持する挟持力や作業部3が対象物7を押圧する押圧力等が所定値に達して、可動因部4の変形により可動当接部5が当接受部6に当接すると、この当接以降に第一部材1又は第二部材2の一方若しくは双方に更に加えた力が作業部3に伝達しなくなる、言い換えると、作業部3の作動抵抗が、可動当接部5が当接受部6に当接した時点から増加しなくなる、或いは、作業部3に力を伝達する伝達比が減じる、言い換えると、可動当接部5が当接受部6に当接する前よりも力が伝わり難くなるように構成し、例えば挟持したり押圧したり締め付けたりする所定の作業の対象となる対象物7に対して、必要以上の力、即ち所定値以上の力を加えることなく所定の作業を行うことができたり、第一部材1、第二部材2には急激に大きな力を加えても、対象物7に急激に大きな力が加わらず、対象物7に力が加えられ過ぎることなく所定の作業を行うことができる構成としている。
以下、本実施例において、第一部材1及び第二部材2を互いに相対移動する構成とし、この第一部材1と第二部材2とが相対移動することで作業部3が作動し対象物7に対して所定の作業を行うように構成した場合について更に具体的に説明する。
本実施例の可動因部4は、弾性体、例えば金属、合成樹脂、ゴム等から成る構成として弾性変形する構成としている。
即ち、本実施例は、作業部3の作動抵抗が所定値になると可動因部4が所定量弾性変形して可動当接部5が当接受部6に当接し、また、この可動当接部5が当接受部6に当接した状態で作業部3の作動抵抗が前記所定値よりも小さくなると、可動因部4の弾性復帰により可動当接部5が当接受部6から離反する構成とし、繰り返し同様の動作を行うことができる構成としている。
また、本実施例は、可動当接部5が当接する当接受部6の当接面6A、又は当接受部6に当接する可動当接部5の当接面5Aを、移動自在に設けた第一部材1又は第二部材2の移動方向に沿って延設し、作業部3に作動抵抗が生じるまでは、可動当接部5は当接受部6の当接面6Aに対して沿設状態で相対移動する、又は、当接受部6は可動当接部5の当接面5Aに対して沿設状態で相対移動し、作業部3に作動抵抗が生じると、可動当接部5は相対移動が停止し相対移動方向と異なる方向に可動して当接受部6に接近する、又は、可動当接部5は相対移動をしながらこの相対移動方向と異なる方向に可動して当接受部6に接近するように構成している。
即ち、本実施例は、作業部3に作動抵抗が生じる前の可動当接部5が当接受部6に対して相対移動する移動方向と、作業部3に作動抵抗が生じて可動当接部5が当接受部6に対して接近可動する方向とが異なる方向となるように構成して、可動因部4の変形により可動当接部5が当接受部6に接近可動し当接するまでの間隔(当接間距離)を所定の間隔に容易に設定することができるように構成し、作業部3で作業する対象となる対象物7の大きさや厚みが変わって当接受部6の当接面6Aに対する可動当接部5の当接位置が変わっても、又は、当接受部6に対する可動当接部5の当接面5Aの当接位置が変わっても、可動当接部5が当接受部6に当接するまでの可動因部4の変形量が変わらずに当接する間隔に設定可能な構成、或いは対象物7の大きさや厚みに応じて夫々異なる所定の変形量で当接する間隔に設定可能な構成とし、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に作業部3が所定値以上の力を発揮するような大きな力を無造作に加えても、所定の作業を行う対象物7には所定値以上の力を加えることなく所定の作業を行うことができる、或いは、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に作業部3が所定値以上の力を発揮するような大きな力を無造作に加えるだけで、所定の作業を行う対象物7に対して所定の力(一定の力)で所定の作業をし続けることができる、或いは、移動自在に設けた第一部材1と第二部材2の一方若しくは双方に作業部3が所定値以上の力を発揮するような大きな力を無造作に加えても、対象物7に対して急激に大きな力が掛からず、少しずつデリケートに力を加えてゆくことができる構成としている。
以下、本実施例を更に詳しく説明するため、本実施例の作業装置を押圧装置として構成した場合について図1〜図3に基づいて詳述する。
本実施例の押圧装置は、第一部材1に当接受部6を設け、この第一部材1に対して相対移動自在に設けた第二部材2に可動因部4とこの可動因部4の変形により第一部材1に設けた当接受部6に接近可動し当接する可動当接部5を設けた構成としている。
また、本実施例は、第二部材2に作業部3を設け、第二部材2の移動によりこの作業部3が作動して対象物7を押圧するように構成している。
具体的には、第一部材1は、正面視方形状の枠体に形成し、対向する左右の縦枠部1Aの内面に当接受部6を互いに対向状態に設けた構成としている。
また、各当接受部6は、可動当接部5が当接する当接面6Aを、この第一部材1の枠内空間部に移動自在に配設した第二部材2の移動方向に沿って延設すると共に、この当接面6Aの長さ方向に沿って複数の凹部を連接状態に並設した構成とし、この凹部に可動当接部5が嵌合するように構成している。
また、第二部材2は、長さ方向途中に、可動因部4の先端部4Aが係合する可動因部先端受部8を設けた棒状体に、操作時に力を加える操作部9を移動自在に設けた構成としている。
本実施例の可動因部先端受部8は、下がり傾斜面8Aを設けた構成とし、この下がり傾斜面8Aに可動因部4の先端部4Aが係合し、押圧により外方に向かって摺動し得る構成としている。
また、この第二部材2に設けた可動因部4は、帯板状に形成した弾性体(金属、合成樹脂、ゴム等)で構成し、先端部4Aは、コ字状に形成して可動因部先端受部8に係合嵌合する構成とすると共に、可動因部先端受部8の下がり傾斜面8Aと係合する係合傾斜面4Bを設けた構成とし、作業部3に作動抵抗が生じるまでは、可動因部4は、弾性変形が生じず先端部4Aが可動因部先端受部8に係合嵌合した状態を保持し、操作部9を押し操作することにより先端部4Aが可動因部先端受部8を押圧し、この可動因部先端受部8が押圧されることにより第二部材2が下方に移動し、操作部9を引き操作することにより先端部4Aが可動因部先端受部8を上方に引き上げし、この可動因部先端受部8が上方に引き上げられることにより第二部材2が上方に移動するように構成し、また、作業部3に作動抵抗が生じると、弾性変形を生じながら先端部4Aが可動因部先端受部8の下がり傾斜面8Aを摺動する構成としている。
また、可動当接部5は、当接受部6の当接面6Aに設けた凹部と嵌合する凸状に形成し、可動因部4の先端部4Aに外方に向かって突設した構成とし、前述した先端部4Aの摺動動作により当接受部6に接近可動する構成としている。
また、本実施例の作業部3は、対象物7を押圧し得る円盤状に形成し、第二部材2の下端に設け、第二部材2の移動に伴い上下方向に作動する構成としている。
また、本実施例は、上述のように構成した第一部材1、第二部材2、作業部3を作業本体部10とし、この作業本体部10は支持部11に設けた構成とし、この支持部11は、作業する対象物7を載置する載置部12と、この載置部12上に立設した逆L字状に形成した支柱部13とから成る構成とし、本実施例は、この逆L字状の支柱部13の短辺部に、第一部材1、第二部材2、作業部3を備えた作業本体部10を取り付けた構成としている。
上述のように構成した本実施例の押圧装置の作用・効果について以下に説明する。
操作部9に力を加えて押し操作すると、この操作部9に設けた可動因部4の先端部4Aが第二部材2の可動因部先端受部8を押圧し(具体的には、可動因部4の先端部4Aに設けた係合傾斜面4Bが係合する可動因部先端受部8の下がり傾斜面8Aを押圧し)、この可動因部先端受部8が押圧されることにより第二部材2が第一部材1に対して下方に向かって相対移動し、この第二部材2の移動により作業部3が作動する。
この際、作業部3が対象物7に当接するまでは、作業部3には作動抵抗が生じないので、第二部材2に設けた可動因部4は弾性変形せず、この可動因部4の先端部4Aに設けた可動当接部5は、第二部材2の移動に伴い、第一部材1の当接受部6の当接面6Aに沿ってこの当接受部6に接近することなく移動し、具体的には、可動当接部5は、当接受部6の当接面6Aに対して平行移動する。
この操作部9を押し操作することにより、作動した作業部3が対象物7に当接し、この当接状態において、操作部9に更に力を加えて押し操作すると、作業部3に作動抵抗が生じ、この作動抵抗が生じることにより、可動因部4が弾性変形しながらこの可動因部4の先端部4Aが可動因部先端受部8の下がり傾斜面8Aに沿って摺動し、この可動因部4の先端部4Aの摺動動作によりこの可動因部4の先端部4Aに設けた可動当接部5が、この可動当接部5が作業部3に作動抵抗が生じる前まで移動していた移動方向に対して略直交する位置に配設した当接受部6に接近する方向に向かって可動する。
この可動因部4の先端部4Aが摺動する際、可動因部4の先端部4Aの係合傾斜面4Bが係合する可動因部先端受部8の下がり傾斜面8Aを下方側に押圧するので、可動因部4の先端部4Aが外方に向かって摺動動作している間は、操作部9に加えた力が可動因部先端受部8を介して作業部3に伝達され、作業部3が対象物7を押圧する押圧力は増加してゆく。
そして、作業部3の作動抵抗が所定値に達すると、言い換えると、対象物7を押圧する押圧力が所定値に達すると、可動当接部5が当接受部6に当接する。
具体的には、凸状に形成した可動当接部5が、当接受部6の当接面6Aに設けた凹部に嵌合し、可動当接部5は当接受部6に対して係止状態になる。
この可動当接部5が当接受部6に当接し嵌合係止した状態になると、第二部材2の操作部9に更に力を加えても、この加えた力が作業部3に伝達されなくなる。
即ち、可動当接部5が当接受部6に当接した以降に操作部9更に力を加えても、この加えた力が作業部3に伝達されず、作業部3が対象物7に対して発揮する力、即ち、作業部3が対象物7を押圧する押圧力は、可動当接部5が当接受部6に当接した時点の押圧力よりも大きくならないので、例えば、操作部9に作業部3が所定値以上の押圧力を発揮するような大きな力を無造作に加えても、対象物7には所定の押圧力よりも大きな力が加わらず、所定の押圧力で押圧作業を行うことができたり、或いは、操作部9に作業部3が所定値以上の押圧力を発揮するような大きな力を無造作に加えるだけで、対象物7に対して所定の押圧力を保持して一定の力で対象物7を押圧し続ける作業を行うことができる従来にない極めて実用性に優れた画期的な押圧装置となる。
本発明の具体的な実施例2について図4に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、操作部9と可動因部先端受部8との間に弾性体14を配設し、この弾性体14の復帰弾性により、操作部9の戻り動作を確実に行うように構成した場合である。
具体的には、弾性体14としてコイルばねを採用し、操作部9を押し操作するとこのコイルばね14を縮退させながら操作部9が下方に移動し、操作部9の押し操作を解除すると、操作部9はコイルばね14の復帰弾性により上方に押し上げ付勢され元の位置に確実に戻る構成としている。
また、この弾性体14は、操作部9の押し操作時の抵抗にもなり、操作部9の押し操作時に抵抗が加わることで、可動当接部5が当接受部6に当接するタイミングを変更することができるように構成している。
即ち、本実施例は、弾性体14の弾性率を、弾性変形する可動因部4の弾性率よりも大きく設定することにより、可動因部4はこの弾性体14により操作部9により大きな力が加えられないと弾性変形しなくなり、これにより可動当接部5が当接受部6に当接するタイミングは遅くなるので、対象物7に対してより大きな力を加えることができる構成としている。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例3について図5に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、可動当接部5と当接受部6との間隔を調整自在に構成した場合である。
即ち、本実施例は、可動当接部5と当接受部6との間隔を調整することにより、可動当接部5が当接受部6に当接するタイミングを変え、この可動当接部5が当接受部6に当接するタイミングを変えることによって作業部3が対象物7に対して発揮する押圧力の最大値(ピーク値)を容易に変更可能とする構成としたものである。
具体的には、第一部材1の縦枠部1Aに、当接受部6に当接する突起部15を突没可動自在に設け、この突起部15を内方に突出させると、当接受部6が第一部材1の内方側に突出した状態になり、この当接受部6が内方側に突出することで対向する可動当接部5との間隔が狭まるように構成し、この可動当接部5と当接受部6との間隔が狭まることにより、可動当接部5が当接受部6当接するタイミングが変わり(早くなり)、可動当接部5と当接受部6との間隔を狭めない場合に比して、作業部3が対象物7に対して発揮する押圧力の最大値(ピーク値)を小さくすることができる構成としている。
尚、突起部15の代わりに、第一部材1の縦枠部1Aの内面と当接受部6の裏面(当接面6Aの裏側面)との間に厚み調整自在に構成したスペーサを介在させて、当接受部6が内方に突出するようにしても良い。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例4について図6,図7に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、可動当接部5の当接受部6への当接状態を保持するロック機構を備えた場合である。
即ち、本実施例は、このロック機構により、可動当接部5が当接受部6に当接した以降、操作部9に力を加え続けなくても可動当接部5の当接受部6への当接状態を保持して、作業部3が発揮する押圧力を一定状態に保持するように構成したものである。
具体的には、本実施例のロック機構は、バネ部材16と、このバネ部材16を押圧する押圧部17と、この押圧部17に抜け止め状態で貫通配設し先端に可動因部4の先端部4Aと係合する係合部18とから成る構成としている。
より具体的には、係合部18は、可動因部4の先端部4Aに設けた凸状部19と嵌合する嵌合凹部18Aと、この嵌合凹部18Aから離脱した凸状部19が当接係止する当接係止部18Bを設けた構成としている。
図6はロック解除状態を示す図であり、図7はロック状態を示す図である。
本実施例は、図7に示すように、可動当接部5が当接受部6に当接すると、可動因部4の先端部4Aの凸状部19がロック機構の係合部18の嵌合凹部18Aから離脱し、この凸状部19が嵌合凹部18Aから離脱することで係合部18が自在に移動可能な状態となり、バネ部材16の伸長により押圧部17が上方に押し上げられ、この押圧部17の上昇により係合部18も上方に移動するように構成し、更に、この係合部18の上方への移動により可動因部4の先端部4Aの凸状部19が係合部18の当接係止部18Bに当接し、この可動因部4の先端部4Aの凸状部19が係合部18の当接係止部18Bに当接することによって、可動因部先端受部8の下がり傾斜面8Aを上り方向に移動することが不能となり、操作部9に力を加えなくても、可動当接部5が当接受部6に当接した状態が保持される構成としている。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例5について図8〜図10に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、当接受部6の当接面6Aに弾性を有する合成樹脂又はゴムを設け、この弾性を有する合成樹脂又はゴムに可動当接部5が当接するように構成して、可動当接部5が当接受部6に当接すると、可動当接部5と当接受部6との間に摩擦力が生じ、可動当接部5が当接受部6に当接した以降に更に加えた力を作業部3に伝達する伝達比が、可動当接部5が当接受部6に当接する前の伝達比に比して減じるように構成した場合である。
具体的には、第一部材1は、左右の縦枠部1Aの夫々の内面に弾性体(具体的には、合成樹脂又はゴム)から成る当接受部6を対向状態に設けた構成として、可動当接部5が当接受部6に当接すると、図9に示すように、当接受部6が可動当接部5に押圧されて弾性変形し、可動当接部5がこの当接受部6の弾性変形によりくい込み状態で当接係合し、この可動当接部5が当接受部6の当接面6Aの移動に際して摩擦力が生じ、この摩擦力によって操作部9に加えた力を作業部3に伝達する伝達比が、可動当接部5が当接受部6に当接する前の伝達比よりも減じるように構成している。
また、図10は、図9の状態よりも更に可動当接部5が当接受部6にくい込み摩擦力が大きくなった状態を示す図であり、この摩擦力が大きくなることにより可動当接部5が当接受部6の当接面6Aを移動することが不能となり、当接受部6の当接面6Aにくい込み係止状態となるように構成し、この可動当接部5が当接受部6くい込み係止することで、このくい込み係止状態となった以降に操作部9に更に加えた力が作業部3に伝達されなくなり、操作部9により大きな力を加えていっても作業部3は一定の力で対象物7を押圧し続けるように構成している。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例6について図11〜図13に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1の作業装置を挟持装置として構成した場合である。
具体的には、第一部材1と第二部材2とを交差枢着して互いに相対移動する構成とし、対向する第一部材1と第二部材2との先端側部を、対象物7を挟持する挟持部としての作業部3とし、対向する第一部材1と第二部材2の夫々の基端部に設けた操作部9の開閉操作により作業部3が開閉作動して対象物7を挟持したり、挟持した対象物7を離したりするように構成し、更に、作業部3で対象物7を挟持した状態で操作部9に力を加えてゆき、対象物7を挟持する作業部3の挟持力が所定値に達すると、操作部9に更に力を加えていっても、この操作部9に更に加えた力が作業部3に挟持力として伝達されず、作業部3が一定の挟持力で対象物7を挟持し続けることができるように構成したものである。
より具体的に説明すると、第一部材1及び第二部材2は、適宜な材質、例えば、金属又は合成樹脂からなる部材を細長い帯板状に形成し、夫々の先端側部を対象物7を挟持し得る先細り形状に形成し、夫々の基端部にこの先細り形状に形成した対向する第一部材1と第二部材2の各先端側部で構成する作業部3を開閉作動させる操作部9を設けた構成とし、また、第一部材1は当接受部6を設けた構成とし、第二部材2は可動因部4とこの可動因部4の弾性変形によって可動する可動当接部5を設けた構成としている。
更に詳しく説明すると、第一部材1は、この第一部材1と第二部材2とを枢着した枢着部20と基端部に設けた操作部9との間に当接受部6を設けた構成とし、この当接受部6は、この第一部材1の移動方向に沿って延設すると共に、当接面6Aの長さ方向に沿って複数の凹部を連接状態に並設した構成している。
また、第二部材2は、枢着部20と基端部に設けた操作部9との間に可動因部4と可動当接部5を設けた構成とし、可動因部4は、外方に向かって凸となる湾曲形状若しくは円弧状に形成した構成とし、可動当接部5は、この可動因部4の基端部に内方に向かって突出した形状に形成すると共に先端に下方に向けて凸部を設けた構成とし、この凸部は当接受部6の当接面6Aに設けた凹部に嵌合する形状に形成した構成としている。
上述のように構成した本実施例の挟持装置の作用・効果について以下に説明する。
操作部9に力を加えて閉じ操作すると、第一部材1と第二部材2とが互いに接近する方向に移動し、この第一部材1と第二部材2の移動により、第一部材1及び第二部材2の対向する先端側部で構成する作業部3が閉じ方向に作動する。
この際、作業部3が対象物7に当接し対象物7を挟持するまでは、作業部3には作動抵抗が生じないので、第二部材2に設けた可動因部4は弾性変形せず、この可動因部4に連設した可動当接部5は、第一部材1及び第二部材2の移動に伴い、第一部材1の当接受部6の当接面6Aに沿ってこの当接受部6に接近することなく、具体的には当接受部6の当接面6Aに対して平行に移動する。
この操作部9を閉じ操作することにより作動した作業部3が対象物7に当接し対象物7を挟持した状態において、操作部9に更に力を加えて閉じ操作すると、対象物7を挟持することで作業部3に作動抵抗が生じ、この作動抵抗が生じることにより、可動因部4が弾性変形し、この可動因部4の弾性変形により可動当接部5が、この可動当接部5が作業部3に作動抵抗が生じる前まで移動していた移動方向に対して略直交する位置に配設した当接受部6に接近する方向に向かって可動する。
この可動因部が弾性変形している間は、操作部9に加えた力が作業部3に伝達され、作業部3が対象物7を挟持する挟持力は増加してゆく。
そして、作業部3の作動抵抗が所定値に達すると、言い換えると、対象物7を挟持する挟持力が所定値に達すると、可動当接部5が当接受部6に当接する。
具体的には、可動当接部5の先端部に設けた凸部が、当接受部6の当接面6Aに設けた凹部に嵌合し、可動当接部5は当接受部6に対して係止状態になる。
この可動当接部5が当接受部6に当接し嵌合係止した状態になると、操作部9に更に力を加えても、この加えた力が作業部3に伝達されなくなる。
即ち、可動当接部5が当接受部6に当接した以降に操作部9更に力を加えても、この加えた力が作業部3に伝達されず、作業部3が対象物7に対して発揮する力、即ち、作業部3が対象物7を挟持する挟持力は、可動当接部5が当接受部6に当接した時点の挟持力よりも大きくならないので、例えば、操作部9に作業部3が所定値以上の挟持力を発揮するような大きな力を無造作に加えても、対象物7には所定の挟持力よりも大きな力が加わらず、所定の挟持力で挟持作業を行うことができたり、或いは、操作部9に作業部3が所定値以上の挟持力を発揮するような大きな力を無造作に加えるだけで、対象物7に対して所定の挟持力を保持して一定の力で対象物7を挟持し続ける作業を行うことができる従来にない極めて実用性に優れた画期的な挟持装置となる。
本発明の具体的な実施例7について図14に基づいて説明する。
本実施例は、実施例6の挟持装置において、当接受部6を異なる構成した場合である。
具体的には、可動当接部5と当接受部6との間隔を、可動当接部5が当接受部6に当接する位置によって変化するように構成したものである。
より具体的には、当接受部6の当接面6Aを内方に向かって下がり傾斜状態に設け、挟持する対象物7が大きく可動当接部5が当接受部6の内側位置で当接する場合は、当接間隔が広くなり、挟持する対象物7が小さく可動当接部5が当接受部6の外側位置で当接する場合は、当接間隔が狭くなるように構成して、挟持する対象物7の大きさが大きくなるほど、言い換えると、対象物7を挟持する際、この対象物7を挟持している作業部3の開度が広がるほど、作業部3が対象物7を挟持する挟持力の最大値(ピーク値)が大きくなるように構成している。
尚、本実施例の構成によれば、可動当接部5と当接受部6との間隔は夫々の当接位置毎に適宜所定の間隔に設定可能となり、上記構成に限らず、例えば、当接受部6の当接面6Aを外方に向かって下がり傾斜状態に設けて、挟持する対象物7の大きさが小さくなるほど、言い換えると、対象物7を挟持する際、この対象物7を挟持している作業部3の開度が狭まるほど、作業部3が対象物7を挟持する挟持力の最大値(ピーク値)が大きくなるように構成しても良い。
その余の構成は、実施例6と同様である。
本発明の具体的な実施例8について図15〜図18に基づいて説明する。
本実施例は、実施例6の挟持装置において、可動当接部5の当接受部6への当接状態を保持するロック機構を備えた場合である。
即ち、本実施例は、このロック機構により、可動当接部5が当接受部6に当接した以降、操作部9に力を加え続けなくても可動当接部5の当接受部6への当接状態を保持して、作業部3が発揮する挟持力を一定状態に保持するように構成したものである。
本実施例のロック機構は、可動当接部5に設けた係止爪部21と、当接受部6に設けた凹条係止受部22とから成り、可動当接部5が当接受部6に当接した際、可動当接部5に設けた係止爪部21が当接受部6に設けた凹条係止受部22に引掛り係止し、可動当接部5の当接受部6への当接状態を保持するように構成している。
図17はロック解除状態を示す図であり、図18はロック状態を示す図である。
これらの図に示すように、本実施例は、作業部3に作動抵抗が生じ可動因部4が弾性変形して可動当接部5が当接受部6に接近し当接する際、可動当接部5の係止爪部21が当接受部6の段差部23を乗り越えて凹条係止受部22に落ち込み係合し、可動因部4の復帰弾性力により係止爪部21の鉤状の先端部が凹条係止受部22の内面に押圧状態で係合して引掛り係止状態を保し、操作部9に力を加えなくても、可動当接部5が当接受部6に当接した状態が保持されるように構成している。
その余の構成は、実施例6と同様である。
本発明の具体的な実施例9について図19〜図21に基づいて説明する。
本実施例は、実施例6の挟持装置において、当接受部6に当接する可動当接部5の当接面5Aをこの可動当接部5を設けた第二部材2の移動方向に沿って延設した構成とし、更に、可動当接部5の当接受部6への当接状態を保持するロック機構も備えた構成とした場合である。
具体的には、可動当接部5は、第二部材2の閉動方向となる内方に向かって突出する形状に形成すると共に、この可動当接部5の当接面5Aを弧状に形成し、作業部3で挟持する対象物7の大きさ(径や厚み等)が変わった場合、当接受部6に当接する可動当接部5の当接位置は変動するが、可動因部4の変形量は変化せず一定の変化量で可動当接部5が当接受部6に当接し得る形状に形成した構成としている。
また更に、本実施例の可動当接部5は、当接面5Aの長さ方向に沿って複数の凹部を連設した構成としている。
また、当接受部6は、先端を凸形状に形成し、可動当接部5の当接面5Aに設けた凹部に嵌合し得るように構成している。
また、この可動当接部5と当接受部6の当接状態を保持するロック機構は、図21に示すように、第一部材1に設けた落ち込み凹部24から成る構成とし、具体的には、可動当接部5が当接受部6に当接すると、可動当接部5が落ち込み凹部24に落ち込み係合し、可動因部4の復帰弾性力により可動当接部5が落ち込み凹部24の側面24Aに押圧状態で係合して係止状態を保し、操作部9に力を加えなくても、可動当接部5が当接受部6に当接した状態が保持されるように構成している。
その余の構成は、実施例6と同様である。
本発明の具体的な実施例10について図22に基づいて説明する。
本実施例は、実施例9の挟持装置において、挟持作業と拡開作業時との両方の作業を可能とすると共に、拡開作業時も作業部3の作動抵抗が所定値に達すると可動当接部5が当接受部6に当接して、当接以降、操作部9に更に加えた力が作業部3に伝達されないように構成した場合である。
具体的には、可動当接部5は、挟持作業において当接受部6に当接する第一当接面5Bと、拡開作業において当接受部6に当接する第二当接面5Cを設けた構成とし、第一当接面5B、第二当接面5Cは夫々、長さ方向に沿って複数の凹部を連接状態に並設した構成している。
また、当接受部6は、第一当接面5Bと当接する第一当接受部6Bと、第二当接面5Cと当接する第二当接受部6Cとから成り、この第一当接受部6Bと第二当接受部6Cとは、可動当接部5が配設可能な間隔をおいて対向状態に設けた構成としている。
その余の構成は、実施例9と同様である。
本発明の具体的な実施例11について図23に基づいて説明する。
本実施例は、実施例9の挟持装置を鏡視下手術用鉗子として構成した場合である。
具体的には、第一部材1と第二部材2とを枢着して、夫々の基端部に設けた操作部9を閉じ操作すると、対向する第一部材1と第二部材2との夫々の先端側部が互いに離反する方向に移動する構成とし、この第一部材1と第二部材2の各先端側部の離反移動により、作業部3が開閉作動するように構成したものである。
より具体的には、第一部材1の先端側部にパイプ状の延長部25を設け、この延長部25の先端に作業部3を設け、この作業部3は、第二部材2の先端側部に設けたワイヤ26の移動により開閉作動する構成としている。
その余の構成は、実施例9と同様である。
本発明の具体的な実施例12について図24に基づいて説明する。
本実施例は、実施例6の挟持装置において、可動因部4の弾性変形を阻止する可動因部変形阻止機構を備えた場合である。
具体的には、可動因部変形阻止機構は、湾曲形状若しくは円弧状に形成した可動因部4の両端部間に架設状態に配設したロックバー27が突っ張り棒の如く作用し、可動因部4の弾性変形を阻止するように構成している。
より具体的には、ロックバー27は、図24に示すように、一側端部を可動因部4の一側端部に設けた軸着部28に軸着し、他側端部を可動因部4の他側端部に設けた係止部29に係脱自在に係止する構成とし、このロックバー27を係止部29に係止し可動因部4の両端部間に架設状態にすることで可動因部4の弾性変形がロックされ、従来の一般的な挟持装置と同様の作用効果、即ち、操作部9に加えた力が作業部3に伝達されなくなったり作業部3に力を伝達する伝達比が減じたりすることなく、操作部9に加えた力に応じた挟持力を作業部3が発揮するように構成し、ロックバー27を係止部29から離脱することで、可動因部4の弾性変形のロックが解除される構成としている。
その余の構成は、実施例6と同様である。
本発明の具体的な実施例13について図25,図26に基づいて説明する。
本実施例は、実施例6の挟持装置において、可動因部4の構成を異ならせた場合であり、具体的には、可動因部4をヒンジ形態に構成した場合である。
より具体的に説明すると、本実施例の可動因部4は、図25に示すように、可動当接部5と連設するヒンジ部45と、このヒンジ部45に開き付勢を付与する弾性体46とから成る構成とし、常時は弾性体46(本実施例ではコイルばね)によってヒンジ部45が拡開状態に保持され、作業部3に作動抵抗が生じると、このヒンジ部45に開き付勢を付与している弾性体45(コイルばね)が縮退してヒンジ部45が閉動することで可動因部4が変形し、このヒンジ部45の閉動による可動因部4の変形により可動当接部5が当接受部6に接近するように可動する構成としている。
尚、本実施例では、弾性体45としてコイルばねを採用したが、図26に示すように、コイルばねの代わりにトーションばねを採用した構成としても良い。
また、本実施例は、可動因部4を構成する弾性体45の弾性率、具体的には、コイルばねやトーションばねのバネ定数を所望の大きさ(設定値)のものを使用することで、可動因部4の変形度合いを所望の変形度合いに調整し得る構成としている。
即ち、バネ定数の小さいコイルばねやトーションばねを用いれば、可動因部4は容易に変形し、作業部3の作動抵抗が小さい値で可動当接部5が可動し当接受部6に当接するので、作業部3が対象物7に対して発揮し得る最大挟持力も小さくなり、また、バネ定数の大きいコイルばねやトーションばねを用いれば、可動因部4は変形しにくくなるので、作業部3が対象物に対して発揮し得る最大挟持力を大きくすることができることとなり、即ち、本実施例は、この作業部3が発揮し得る最大挟持力の調整を、弾性体45の弾性率(コイルばねやトーションばねのバネ定数)の設定により容易に設計実現可能とする画期的な挟持装置となる。
その他の構成は、実施例6と同様である。
本発明の具体的な実施例14について図27〜図29に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1の作業装置を、攪拌装置として構成した場合である。
具体的には、収容体として構成した第一部材1と、回転軸として構成した第二部材2と、撹拌翼として構成した作業部3とから成る構成としている。
より具体的には、第一部材1(収容体)は、対象物7を収容する有底筒状の収容体に構成し、内周面上部に当接受部6を設けた構成としている。
また、当接受部6は、弾性を有する合成樹脂又はゴムから成る構成、若しくは当接面6Aに弾性を有する合成樹脂又はゴムを設けた構成し、第一部材1(収容体)の内周面上端部に周設した構成としている。
また、第二部材2(回転軸)は、第一部材1(収容体)に対して回転自在に設けた構成し、周面に可動因部4を介して作業部3(撹拌翼)を設け、この作業部3(撹拌翼)の先端に可動当接部5を設けた構成としている。
本実施例の可動因部4は、湾曲形状若しくは円弧状に形成した板状部材から成り、開口部側が回転方向に向くようにして一端部を第二部材2(回転軸)の周面に外方(放射方向)に向けて突設した構成としている。
また、作業部3(撹拌翼)は、方形状に形成した板状部材から成り、第二部材2(回転軸)に突設した可動因部4の他端部に連設した構成としている。
また、可動当接部5は、方形状に形成した板状部材から成り、先端を回転方向と逆方向に向けて作業部3(撹拌翼)の先端部に連設した構成としている。
即ち、本実施例の攪拌装置は、第一部材1(収容体)に収容した対象物7を攪拌処理する際、撹拌により対象物7の粘性が増加し作業部3(撹拌翼)の作動抵抗が所定値に達すると、言い換えると、対象物7の粘性が所定値に達すると、可動因部4の弾性変形により可動した可動当接部5が第一部材1(収容体)の上部内周面に設けた当接受部6に当接することにより、可動当接部5と当接受部6との間に摩擦力が生じ、この生じた摩擦力によって第二部材2(回転軸)の回転動作が停止し攪拌処理を停止する、若しくは、第二部材2(回転軸)の回転動作(回転速度)が低下し対象物7を攪拌する撹拌力を低下させることで、対象物7を必要以上に攪拌せず、対象物7の粘性が所定値以上にならないように構成している。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例15について図30〜図33に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1の作業装置を締め付け装置、具体的には、図30に示すような結束バンドとして構成した場合であり、また、第一部材1と第二部材2とは一体に連設した構成とし、第一部材1に対して第二部材2の一部が相対移動する構成した場合である。
本実施例の結束バンドは、ヘッド部として構成した第一部材1と、バンド部として構成した第二部材2とから成り、第一部材1(ヘッド部)に可動因部4とこの可動因部4の弾性変形により可動する可動当接部5を設け、第二部材2(バンド部)に当接受部6と操作部9とを設けた構成とし、また、この第二部材2(バンド部)が、対象物7を結束する作業部3となる構成としている。
より具体的には、第二部材2(バンド部)は、内面に鋸歯状係合部30(一般的な結束バンドのセレーションに相当)を設け、裏面、具体的には、前記鋸歯状係合部30と背中合わせの位置に当接受部6を設け、また、先端部に操作部9を設けた構成としている。
また、本実施例は、図31に示すように、作業部3に作動抵抗が生じるまでは、一般的な結束バンドと同様、第一部材1(ヘッド部)の爪部31が第二部材2(バンド部)に設けた鋸歯状係合部30に嵌合係合することで第二部材2(バンド部)の戻り方向(弛み方向)への移動を不能とする構成としている。
また、対象物7に掛けまわした第二部材2(バンド部)が対象物7に当接し作業部3に作動抵抗(締め付け力)が生じると、第二部材2(バンド部)の先端部に設けた操作部9を引き操作することにより、第二部材2(バンド部)の基端部と連設した第一部材1(ヘッド部)の下端部が引っ張られ、この第一部材1(ヘッド部)の下端部が引っ張られることで、図32,33に示すように、可動因部4が弾性変形し、この可動因部4の弾性変形により、この可動因部4に設けた可動当接部5が内方に向かって可動し、第二部材2(バンド部)に設けた当接受部6に当接する構成とし、この可動当接部5が当接受部6に当接し、当接受部6の当接面6Aに設けた凹部に嵌合係止することにより、第二部材2(バンド部)を移動不能にし、操作部9に更に力を加えて引き操作しても、第二部材2(バンド部)は移動せず、対象物7を締め付けている作業部3の締め付け力が所定値よりも大きくならない構成としている。
即ち、本実施例は、作業部3の対象物7を締め付ける締め付け力が所定値に達すると、可動当接部5の当接受部6への当接によって作業部3の締め付け動作が不能になり、所定値よりも強い締め付け力で対象物7を締め付けることができないように構成した結束バンドであり、従って、本実施例は、対象物7を締め付け作業する際、締め付け過ぎによって対象物7が破損しないように慎重な締め付け操作を行う必要が無く、無造作に力を加え操作部9を引き操作しても対象物7を締め付ける締め付け力が所定値に達すると、それ以上締め付けることができないよう操作不能となる実用性に優れた従来にない画期的な結束バンドとなる。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例16について図34〜図37に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1の作業装置を注入装置、具体的には、図34に示すような注射器様の注入装置として構成した場合である。
本実施例は、注射筒として構成した第一部材1と、プランジャとして構成した第二部材2とから成り、第一部材1(注射筒)に可動因部4と可動当接部5を設け、第二部材2(プランジャ)に当接受部6を設けた構成としている。
具体的には、可動因部4と可動当接部5は、第一部材1(注射筒)に着脱自在に設けたクランプ状取付部32に設けて、第一部材1(注射筒)に対して着脱自在に設けた構成とし、より具体的には、クランプ状取付部32に可動因部4を設け、この可動因部4に第二部材2(プランジャ)に設けた操作部9を押し操作する際、フランジの代わりに指を係止する指掛け部33を設け、この指掛け部33に可動当接部5を設けた構成とし、作業部3に作動抵抗が生じると、この指掛け部33に掛かる力が増加し、可動因部4が弾性変形して可動当接部5が当接受部6に接近する方向に可動する構成としている。
即ち、本実施例は、第一部材1(注射筒)は、従来の一般的な注射筒を用いることができ、この第一部材1(注射筒)に別体の可動因部4、可動当接部5及び指掛け部33を設けたクランプ状取付部32を着脱自在に設けた構成としている
また、本実施例は、第二部材2(プランジャ)自体が当接受部6となる構成とし、図37に示すように、可動当接部5が当接受部6としての第二部材2(プランジャ)の側面に当接する構成とし、当接時は、可動当接部5の先端が当接受部6としての第二部材2(プランジャ)にくい込み係止する構成としている。
本実施例の用途について説明すると、例えば、バルーンカテーテルのバルーンを膨らますポンプとして使用することができる。
即ち、本実施例は、第一部材1(注射筒)内の空気を第二部材2(プランジャ)により押し出しバルーンを膨らませてゆくと、バルーンの膨張に伴い第一部材1(注射筒)内の空気を押し出す作業部3、具体的には第二部材2(プランジャ)の先端部(ガスケット)の作動抵抗が大きくなり、バルーンが所定の大きさまで膨らみ、作業部3の作動抵抗が所定値に達すると、可動因部4の弾性変形によって可動した可動当接部5が当接受部6に当接係止して、第二部材2(プランジャ)の押し操作を不能とすることができ、これにより、バルーンへの空気の送り込みが終了し、バルーンの膨らみ状態を見ずとも、バルーンが適切な拡張圧で血管を拡張することができる画期的な注入装置となる。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例17について図38〜図41に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1の作業装置を吸引装置、具体的には、図38に示すような注射器様の吸引装置に構成した場合である。
本実施例は、注射筒として構成した第一部材1と、プランジャとして構成した第二部材2とから成り、第一部材1(注射筒)に当接受部6を設け、第二部材2(プランジャ)に可動因部4とこの可動因部4の弾性変形により可動する可動当接部5を設けた構成としている。
具体的には、第一部材1(注射筒)は、既存の一般的な注射器の注射筒を用い、圧入により被嵌係合する圧入被嵌係合部34を設けた方形枠状の取付基体部35を着脱自在に設けた構成とし、この取付基体部35の左右縦枠部35Aの夫々の内面に当接受部6を対向状態に設けた構成とし、また、この当接受部6は、縦枠部35Aの長さ方向に長さを有し、当接面6Aに縦枠部35Aの長さ方向に沿って複数の凹部を連接状態に並設した構成としている。
また、第二部材2(プランジャ)は、既存の一般的な注射器のプランジャを用い、基端部のフランジ36に可動因部4とこの可動因部4の弾性変形により可動する可動当接部5、及び第二部材2(プランジャ)を移動操作する操作部9を着脱自在に設けた構成としている。
具体的には、可動因部4は、図40に示すように、平面視三角形状の枠状体に形成し、この枠状三角形の底辺部に、第二部材2(プランジャ)のフランジ36に着脱自在に係止する係止爪部38を設けた構成とすると共に、左右両斜辺部が弾性変形し、この弾性変形により夫々の斜辺部の先端部が外方に向かって移動する(各先端部が互いに離反方向に移動する)構成としている。
また、可動当接部5は、先端部を凸状に形成し、前記可動因部4の左右両斜辺部の先端部に前記先端部を外方に向けて突設した構成としている。
また、操作部9は、枠状三角形の内部空間に配設し、枠状三角形に形成した可動因部4の左右両斜辺部に沿って移動しこの左右両斜辺部を押し広げる押し広げ当接部37を具備した構成としている。
本実施例は、図40,41に示すように、吸引作業時、操作部9を引き操作すると第一部材1(注射筒)に移動自在に設けた第二部材2(プランジャ)が引き方向に移動する構成とし、また、この吸引作業において、吸引抵抗が所定値よりも大きくなると、操作部9の押し広げ当接部37が可動因部4を押し広げながら移動し、この押し広げ当接部37による押し広げにより可動因部4が弾性変形し、この可動因部4の弾性変形により可動当接部5が当接受部6に当接し、この可動当接部5が当接受部6に当接することで、操作部9が引き操作不能となり、吸引作業が停止し、この可動当接部5が当接受部6に当接している状態においては、更に操作部9に大きな力を加えて引き操作しても、この操作部9に加えた力が第二部材2(プランジャ)を移動させる力として伝達されず、吸引作業不能状態が保持される構成としている。
また、本実施例は、可動因部4を弾性率の異なる他の可動因部4に付け替え自在な構成としており、この可動因部4を所望の弾性率のものに付け替えることで、作業部3が対象物7に対して発揮し得る最大吸引力を自在に調整し得る構成としている。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例18について図42〜図44に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1の作業装置を生検鉗子として構成した場合であり、本体部として構成した第一部材1と、スライダー部として構成した第二部材2と、第二部材2に連設したワイヤ39の動作により開閉作動する作業部3とから成る構成としている。
具体的には、第一部材1(本体部)は、周面に当接受部6を設けると共に、第二部材2(スライダー部)のスライド移動をガイドするガイド部40(具体的にはガイド溝)を設け、更に、先端部にフレキシブル挿入管41を設け、基端部に操作部9を操作する際の指掛け係止部42を設けた構成としている。
また、第二部材2(スライダー部)は、可動因部4とこの可動因部4の弾性変形により可動する可動当接部5、及び操作部9を設け、第一部材1(本体部)にスライド移動自在に設けた構成としている。
より具体的には、操作部9は、第一操作部9Aと、第二操作部9Bとから成り、第一操作部9Aは、可動因部4を介して第二部材2(スライダー部)に設けると共に、先端部に可動当接部5を連設した構成とし、また、第二操作部9Bは、第一操作部9Aと異なり、可動因部4及び可動当接部5を具備せず、第二部材2(スライダー部)に変形不能状態に固設した構成としている。
即ち、本実施例は、第一操作部9Aの操作により作業部3を作動させた際は、作業部3に作動抵抗が生じると、この第一操作部9Aと連接する可動因部4が弾性変形し、この可動因部4の弾性変形により第一操作部9Aに連設した可動当接部5が当接受部6に当接して、この可動当接部5が当接受部6に当接した以降、第一操作部9Aに更に力を加えても、この更に加えた力が作業部3に伝達されない構成とし、また、第二操作部9Bの操作により作業部3を作動させた際は、可動当接部5の当接受部6への当接動作が生じないので、従来の一般的な生検鉗子と同様の作用効果、即ち、第二操作部9Bに加えた力が作業部3に伝達されなくなったり作業部3に力を伝達する伝達比が減じたりすることなく、第二操作部9Bに加えた力に応じた挟持力を作業部3が発揮する構成としている。
その余の構成は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例19について図45〜図48に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1の作業装置を、第一部材1及び第二部材2は共に一定の間隔を保持しながら同方向に移動する構成とし、この第一部材1と第二部材2とが共に一定の間隔を保持しながら同方向に移動することで作業部3が作動して対象物7に対して所定の作業を行うように構成した場合であり、具体的には、対象物7を締め付け固定する、図45に示すようなナットとして構成した場合である。
具体的には、本実施例は、同径、同ピッチのナットに形成した第一部材1と第二部材2を所定の間隔をおいて並設し、この並設状態の第一部材1と第二部材2とを弾性変形可能な可動因部4で連結し一体化した構成としている。
より具体的には、並設状態の対向する第一部材1の底面若しくは上面と、第二部材2の底面若しくは上面の一方を可動当接部5、他方を当接受部6とし、更に、対象物7に当接し対象物7を締め付けにより押圧する面を作業部3とした構成とし、本実施例においては、締め付け作業時、移動方向の進行方向側に位置する方、即ち、対象物7に当接する方を第一部材1とし、この第一部材1の第二部材2と対向する上面若しくは底面を当接受部6とし、また、この当接受部6となる上面若しくは底面の反対面となる底面若しくは上面を作業部3としている。
また、移動方向の進行方向逆側に位置する方を第二部材2とし、この第二部材2の第一部材1との対向する上面若しくは底面を可動当接部5とした構成としている。
また、第一部材1と第二部材2を連結する可動因部4は、図46に示すような螺旋状に形成した構成とし、一端部を第一部材1に設けた可動因部連接部43に連設し、他端部を第二部材2に設けた可動因部連接部43に連設し、第一部材1、第二部材間に架設した構成としている。
更に詳細に説明すると、図46に示すように、本実施例は、ボルト44に移動自在に螺着した第一部材1と第二部材2の一方、具体的には第二部材2に力を加え螺動させると、この第二部材2に加えた力が可動因部4を介して第一部材1にも伝わり、第一部材1と第二部材2とが可動因部4によって一定の間隔を保持しながら同方向に移動し、この第一部材1と第二部材2の移動により作業部3(第一部材1の上面若しくは底面)が作動し、この作動した作業部3に作動抵抗が生じるまでは、言い換えると、作業部3が対象物7に当接するまでは、この第一部材1と第二部材2の移動に伴い、この第一部材1に設けた当接受部6と第二部材2に設けた可動当接部5とが、第一部材1、第二部材2同様に一定の間隔を保持しながら同方向に移動する構成としている。
また、本実施例は、作業部3が対象物7に当接し作動抵抗が生じると、第一部材1と第二部材2を連結する可動因部4が弾性変形し、この可動因部4の弾性変形により可動当接部5が当接受部6に接近する方向に可動する構成とし、具体的には、第一部材1の作業部3が対象物7に当接することで移動が停止する若しくは移動速度が第二部材2よりも低下し、可動当接部5と当接受部6との移動速度に差が生じることにより可動因部4が変形して可動当接部5と当接受部6との間隔が狭まり、可動当接部5が当接受部6に接近する構成としている。
また、本実施例は、作業部3の作動抵抗が増大してゆくに連れ可動因部4の変形量が増大し可動当接部5と当接受部6との間隔がさらに狭まり互いに接近し、作業部3の作動抵抗が所定値に達すると、可動当接部5が当接受部6に当接する構成とし、この可動当接部5が当接受部6に当接すると、第二部材2に更に力を加えても、第二部材2が螺動せず、これにより、この第二部材2に加えた力が第一部材1、具体的には、作業部3に伝達されない構成としている。
即ち、本実施例は、第二部材2の可動当接部5が第一部材1の当接受部6に当接することで、第二部材2が締め付け方向に螺動不能となり、この第二部材2の螺動不能により、この第二部材2に加えた力が第一部材1に伝達されなくなり、第一部材1の作業部3の対象物7に対する締め付け(押圧)作業が停止する構成としている。
従って、本実施例は、可動当接部5を設けた第一部材1と第二部材2の一方に作業部3が所定値以上の力を発揮するような大きな力を無造作に加えても、対象物7に対して所定値よりも大きな力が加わることが無く、よって、締め付け過ぎによる対象物7の破損が生じるような不具合の発生も無く、安心して締め付け作業を行うことができる従来にない極めて実用性に優れた画期的な作業装置(ナット)となる。
尚、本実施例は、螺旋状に形成した可動因部4の径を調整したり、弾性率の異なる可動因部4を連設可能な構成とし、これにより、作業部3が対象物7に対して発揮し得る最大締め付け力(押圧力)を自在に調整し得る構成としている。
以上のように、本発明は、上述した実施例として形態を変え、様々な用途に利用可能な画期的な作業装置であり、また、本発明は、実施例1〜19に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
また、図10は、図9の状態よりも更に可動当接部5が当接受部6にくい込み摩擦力が大きくなった状態を示す図であり、この摩擦力が大きくなることにより可動当接部5が当接受部6の当接面6Aを移動することが不能となり、当接受部6の当接面6Aにくい込み係止状態となるように構成し、この可動当接部5が当接受部6の当接面6Aにくい込み係止することで、このくい込み係止状態となった以降に操作部9に更に加えた力が作業部3に伝達されなくなり、操作部9により大きな力を加えていっても作業部3は一定の力で対象物7を押圧し続けるように構成している。
これらの図に示すように、本実施例は、作業部3に作動抵抗が生じ可動因部4が弾性変形して可動当接部5が当接受部6に接近し当接する際、可動当接部5の係止爪部21が当接受部6の段差部23を乗り越えて凹条係止受部22に落ち込み係合し、可動因部4の復帰弾性力により係止爪部21の鉤状の先端部が凹条係止受部22の内面に押圧状態で係合して引掛り係止状態を保ち、操作部9に力を加えなくても、可動当接部5が当接受部6に当接した状態が保持されるように構成している。
また、この可動当接部5と当接受部6の当接状態を保持するロック機構は、図21に示すように、第一部材1に設けた落ち込み凹部24から成る構成とし、具体的には、可動当接部5が当接受部6に当接すると、可動当接部5が落ち込み凹部24に落ち込み係合し、可動因部4の復帰弾性力により可動当接部5が落ち込み凹部24の側面24Aに押圧状態で係合して係止状態を保ち、操作部9に力を加えなくても、可動当接部5が当接受部6に当接した状態が保持されるように構成している。
具体的には、可動当接部5は、挟持作業において当接受部6に当接する第一当接面5Bと、拡開作業において当接受部6に当接する第二当接面5Cを設けた構成とし、第一当接面5B、第二当接面5Cは夫々、長さ方向に沿って複数の凹部を連接状態に並設した構成としている。
より具体的に説明すると、本実施例の可動因部4は、図25に示すように、可動当接部5と連設するヒンジ部45と、このヒンジ部45に開き付勢を付与する弾性体46とから成る構成とし、常時は弾性体46(本実施例ではコイルばね)によってヒンジ部45が拡開状態に保持され、作業部3に作動抵抗が生じると、このヒンジ部45に開き付勢を付与している弾性体46(コイルばね)が縮退してヒンジ部45が閉動することで可動因部4が変形し、このヒンジ部45の閉動による可動因部4の変形により可動当接部5が当接受部6に接近するように可動する構成としている。
即ち、バネ定数の小さいコイルばねやトーションばねを用いれば、可動因部4は容易に変形し、作業部3の作動抵抗が小さい値で可動当接部5が可動し当接受部6に当接するので、作業部3が対象物7に対して発揮し得る最大挟持力も小さくなり、また、バネ定数の大きいコイルばねやトーションばねを用いれば、可動因部4は変形しにくくなるので、作業部3が対象物に対して発揮し得る最大挟持力を大きくすることができることとなり、即ち、本実施例は、この作業部3が発揮し得る最大挟持力の調整を、弾性体46の弾性率(コイルばねやトーションばねのバネ定数)の設定により容易に設計実現可能とする画期的な挟持装置となる。