JP2015003318A - 粉体の混合条件を算出する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】混合工程における新たな定量化指標を提供すること。
【解決手段】粉体を混合するときに用いられる機器の回転数と粉体仕込み比を算出する方法であって、
(i)機器の回転半径、回転数および粉体仕込み比(機器の全容積に対する粉体体積の比)を用いて下記数式:
【数1】

に従ってMPIを算出する工程、次いで
(ii)(i)工程で得られたMPIと同じ値になるように、(1)工程で使用した機器と異なる大きさまたはタイプの機器の回転数および粉体仕込み比を算出する工程、
を包含する、機器の回転数と粉体仕込み比を算出する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、異なる機器であっても同様の物性を有する粉体を提供するための、製造条件の算出方法およびその方法を用いた粉体の製造方法に関する。
一般に医薬品の製剤工程では、開発ステージが進むにつれて生産スケールが大きくなる。滑沢剤混合工程では、複数の混合機や多様なスケールの混合容器が存在しており、スケールの変更のみでなく機器の変更も起こり得る。
一方で、製造パラメータの設定は、これまで経験的に定められた標準条件をもとに、品目ごとに薬物物性および処方特性に応じて、試行錯誤的アプローチにより行なってきた。そのため、スケール変更時の条件設定に時間がかかり、また機器が変更になった場合などは同じ試行錯誤を繰り返すことになるため非効率であった。
この課題を解決するための1つの方法として、混合性能を混合機の大きさと回転速度で表現してスケール変更前後の混合状態を一定にするという考え方のFroude数が用いられることがある。
混合工程の定量化の試みとして、仕込量や粉体物性を考慮した混合速度係数により、スケールアップ時や粒子径、仕込率変更時の条件設定を行う方法を提案している(例えば、非特許文献1参照)。また、カラー粒子を利用して容器回転型混合機内部の状態を観察して混合状態を定量化することを提案している(例えば、非特許文献2〜4参照)。
近年ではNIR等光学系やその他の分析装置を利用した混合終点の検出への試みなどが多く報告されており、プロセス制御という面での進歩が見られる(例えば、非特許文献5〜7参照)。
T. Yano, et al., Chemical Engineering (Japan), 1960, Vol 24, 4, 198-204 D. Brone, et al., AIChE Journal, 44 (1998) 271-278 A. W. Chester, et al., Powder Technology 102 (1999) 85-94 Osama S. Sudah, et al., Powder Technology 126 (2002) 191-200 Hiroshi Nakagawa, et al., International Journal of Pharmaceutics 441 (2013) 402-413 P.A. Hailey, et al., Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 14 (1996) 551-559 A.D. Karande, et al., International Journal of Pharmaceutics 395 (2010) 91-97
Froude数では算出方法の性質上、仕込量(仕込み率)が変化した場合の混合状態の変化には対応できなかった。非特許文献1において、混合速度係数は2成分系の混合均一性についてフォーカスしたものであるため、これを滑沢剤混合などの多成分系の混合に展開するには式を構成する項を修正する必要がある。非特許文献2〜4において、いずれも混合均一性を対象としたものであり、滑沢剤混合では混合均一性と同時に混合による滑沢剤の変性すなわち滑沢性を評価しなければならない。非特許文献5〜7のようなNIR等光学系やその他の分析装置を利用した混合終点の検出、それらのプロセス制御においてはモデルの開発に多くの実験や解析を伴うことから多大な労力を必要とする。また、ある程度まとまったデータを取得した後に適用できるものであり、データの数が少ない場合のスケールアップや機器変更などにはモデルを適用することは困難である。
そこで本発明は、これらを解決するため混合工程における新たな定量化指標を提供することを課題とした。
本発明は、
(1)粉体を混合するときに用いられる機器の回転数と粉体仕込み比を算出する方法であって、
(i)機器の回転半径、回転数および粉体仕込み比(機器の全容積に対する粉体体積の比)を用いて下記数式:
(式中、
k1は機器に依存する変数1であり、
Rmaxは回転半径(m)であり、
Nは回転数(rpm)であり、
gは重力加速度(m/s2)であり、
aはフィッティングパラメータ1であり、
k2は機器に依存する変数2であり、
Fは粉体仕込み比であり、そして
bはフィッティングパラメータ2である。)
に従ってMPIを算出する工程、次いで
(ii)(i)工程で得られたMPIと同じ値になるように、(1)工程で使用した機器と異なる大きさまたはタイプの機器の回転数および粉体仕込み比を算出する工程、
を包含する、機器の回転数と粉体仕込み比を算出する方法;
(2)k1が0より大きく2以下である、前記(1)に記載の方法;
(3)k2が-3〜4である、前記(1)または(2)に記載の方法;
(4)aが0より大きく1以下である、前記(1)〜(3)いずれか1項に記載の方法;
(5)bが0より大きく1以下である、前記(1〜4いずれか1項に記載の方法;
(6)k1が0.056〜1.031であり、aは0.450〜1.000であり、k2は-4.50〜3.36あり、bは0.553〜1.000である、前記(1)に記載の方法;
(7)機器がV blenderであり、k1が0.084であり、k2が-2.60であり、aが0.497であり、bが0.553である、前記(1)に記載の方法;
(8)機器がContainer blenderであり、k1が1.031であり、k2が-4.50であり、aが1.000であり、bが0.872である、前記(1)に記載の方法;
(9)機器がBin blenderであり、k1が0.056であり、k2が3.36であり、aが0.450であり、bが1.000である、前記(1)に記載の方法;
(10)粉体を混合するときに用いられる機器の回転数と粉体仕込み比と混合時間を算出する方法であって、
(i)機器の回転半径、回転数および粉体仕込み比(機器の全容積に対する粉体体積の比)を用いて下記数式:
(式中、
k1は機器に依存する変数1であり、
Rmaxは回転半径(m)であり、
Nは回転数(rpm)であり、
gは重力加速度(m/s2)であり、
aはフィッティングパラメータ1であり、
k2は機器に依存する変数2であり、
Fは粉体仕込み比であり、そして
bはフィッティングパラメータ2であり、
Tは混合時間(min)である。)
に従ってMAを算出する工程、次いで
(ii)(i)工程で得られたMAと同じ値になるように、(1)工程で使用した機器と異なる大きさまたはタイプの機器の回転数および粉体仕込み比を算出する工程、
を包含する、機器の回転数と粉体仕込み比と混合時間を算出する方法;
(11)k1が0より大きく2以下である、前記(10)に記載の方法;
(12)k2が-3〜4である、前記(10)または(11)に記載の方法;
(13)aが0より大きく1以下である、前記(10)〜(12)いずれか1項に記載の方法;
(14)bが0より大きく1以下である、前記(10)〜(13)いずれか1項に記載の方法;
(15)k1が0.056〜1.031であり、aは0.450〜1.000であり、k2は-4.50〜3.36あり、bは0.553〜1.000である、前記(10)に記載の方法;
(16)機器がV blenderであり、k1が0.084であり、k2が-2.60であり、aが0.497であり、bが0.553である、前記(10)に記載の方法;
(17)機器がContainer blenderであり、k1が1.031であり、k2が-4.50であり、aが1.000であり、bが0.872である、前記(10)に記載の方法;
(18)機器がBin blenderであり、k1が0.056であり、k2が3.36であり、aが0.450であり、bが1.000である、前記(10)に記載の方法;
(19)前記(1)〜(9)いずれか1項に記載の方法により算出された、回転数および粉体仕込み比を用いて粉体を混合して混合粉体を製造する方法;
(20)前記(19)に記載の方法により得られた混合粉体;
(21)前記(10)〜(18)いずれか1項に記載の方法により算出された、回転数、粉体仕込み比および混合時間を用いて粉体を混合して混合粉体を製造する方法;ならびに
(22)前記(21)に記載の方法により得られた混合粉体;
を提供する。
本発明によれば、処方、製法、機器スケールなどが異なっている場合に、過度の実験を行うことなく同等の混合状態を得るための混合条件を算出できる。
図1は、仕込み比0.52でBin blenderを用いて粉体を混合した場合の混合時間と接触角の関係を表した図である。 図2は、仕込み比0.52でBin blenderを用いて粉体を混合し、得られた粉体を打錠して得られた錠剤の硬度と接触角の関係を表した図である。 図3は、混合時間と錠剤硬度の関係を混合機ごとに表した図である。図3aはV blender、図3bはContainer blender、図3cはBin blenderである。 図4は、k1,aおよびbをすべて1とした場合のMAと錠剤硬度の関係を混合機ごとに表した図である。図4aはV blender、図4bはContainer blender、図4cはBin blenderである。 図5は、MAが10の場合の錠剤硬度と仕込み比の関係を混合機ごとに表した図である。図5aはV blender、図5bはContainer blender、図4cはBin blenderである。 図6は、所定のパラメータを導入したMAと錠剤硬度の関係を表した図である。
本明細書において、「機器」としては、粉体の混合に用いられる機器であれば特に限定されないが、例えば、V blender、Container blender、Bin blenderなどが挙げられる。
本明細書において、「MPI」は、Mixing Performance Indexの略であり、定量化の指標として用いられる。MPIは以下の数式により求めることができる。
(式中、
k1は機器に依存する変数1であり、
Rmaxは回転半径(m)であり、
Nは回転数(rpm)であり、
gは重力加速度(m/s2)であり、
aはフィッティングパラメータ1であり、
k2は機器に依存する変数2であり、
Fは粉体仕込み比であり、そして
bはフィッティングパラメータ2である。)
本明細書において、「k1」および「k2」は、機器に依存する変数である。k1およびk2は、後述する実施例に記載の方法で容易に求めることができる。k1は好ましくは0より大きく2以下であり、k2は好ましくは4以下である。V blenderを使用する場合、k1およびk2は、それぞれ0.084および-2.60である。Container blenderを使用する場合、k1およびk2は、それぞれ1.031および-4.50である。Bin blenderを使用する場合、k1およびk2は、それぞれ0.056および3.36である。
本明細書において、「Rmax」は、機器の最大回転半径(m)である。
本明細書において、「N」は、機器の回転数(rpm)である。
本明細書において、「g」は重力加速度(m/s2)であり、9.8(m/s2)である。
本明細書において、「a」および「b」はフィッティングパラメータである。aは好ましくは0より大きく1以下であり、bは好ましくは0より大きく1以下である。V blenderを使用する場合、aおよびbは、それぞれ0.497および0.553である。Container blenderを使用する場合、aおよびbは、それぞれ1.000および0.872である。Bin blenderを使用する場合、aおよびbは、それぞれ0.450および1.000である。
本明細書において、「粉体仕込み比」とは、機器の全容積に対する粉体体積の比をいう。例えば、機器の全容積が100Lであり、機器に入れられる粉体の体積が50Lである場合、粉体仕込み比は0.5である。
本明細書において、「MA」は、Mixing Abilityの略であり、MPIに混合時間(min)を乗して得られる値である。MAは以下の数式により求めることができる。
(式中、
k1は機器に依存する変数1であり、
Rmaxは回転半径(m)であり、
Nは回転数(rpm)であり、
gは重力加速度(m/s2)であり、
aはフィッティングパラメータ1であり、
k2は機器に依存する変数2であり、
Fは粉体仕込み比であり、そして
bはフィッティングパラメータ2であり、
Tは混合時間(min)である。)
本明細書において、「T」は粉体の混合時間(min)である。
ある実験から得られた混合粉体の物性と同じような物性を、その実験で用いた機器とはスケールの異なる機器または種類の異なる機器で得るために、本発明を利用する。
まず、実験から得たデータを元に上記のMPIまたはMAを算出する。次いで、同じMPIまたはMAになるように、前記実験で用いた機器とはスケールの異なる機器または種類の異なる機器の回転数、粉体仕込み比、混合時間を算出して、それらの条件に従い粉体を混合する。
粉体混合に使用される原料としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、着色剤、滑沢剤などが挙げられるがこれらに限定されない。賦形剤としては、D-マンニトール、乳糖、部分アルファー化デンプン、トウモロコシデンプンなどが挙げられる。崩壊剤としては、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースなどが挙げられる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。着色剤としては、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄などが挙げられる。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
第16改正日本薬局方粒度測定法第2法 ふるい分け法により粒度を測定する時、本発明に使用される粉体の平均粒子径(X50)としては、特に限定されないが、好ましくは、20〜1000μmであり、より好ましくは、50〜300μmである。
第16改正日本薬局方かさ密度及びタップ密度測定法の第1法により比容積を算出する時、本発明に使用される粉体のかさ比容積としては、特に限定されないが、好ましくは、1.2〜5.0cm3/gであり、より好ましくは、1.8〜3.6cm3/gである。
本発明は、例えば医薬品の製造に用いられる。活性成分、賦形剤、崩壊剤および結合剤を、例えば、流動層造粒機に入れて混合して造粒して顆粒を製造する(以下、造粒工程という場合がある)。得られた顆粒と滑沢剤を、例えば、あるスケールのV blenderに入れて混合する(以下、滑沢剤混合工程という場合がある)。得られた混合粉末を打錠機を用いて錠剤に形成する(以下、打錠工程という場合がある)。または、活性成分、賦形剤、崩壊剤および結合剤を、例えば、あるスケールのV blenderに入れて混合した後、滑沢剤さらに加えて混合する。得られた混合粉末を打錠機を用いて錠剤に形成する。
別のスケールまたは機器で滑沢剤混合工程を実施するときに、前述の滑沢剤混合工程で算出したMPIまたはMAと同じ値が得られるように、回転数、粉体仕込み比または混合時間を調節することで、前述の滑沢剤工程で得られた混合粉末と同様の物性を有する混合粉末を得ることができる。
本発明は、滑沢剤混合工程に用いられることが好ましいが、原料を単に混合する工程にも用いることもできる。
(実施例1)MPIおよびMAを求める式の作成
1-1.混合機
V blender(TCV-30)、Container blender(TB-36L)およびBin blender(MC-20)を用いた。各混合機の容量と最大回転半径を表1に示す。
1-2.原材料等
表2に示す組成で、D-マンニトール(Pearitol 50C、Roquette社)および部分アルファー化デンプン(PCS PC-10、旭化成ケミカルズ社)、クロスポビドン(INF-10、ISP社)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L、日本曹達)を、流動層造粒機にて造粒して顆粒を得た。得られた顆粒の物性は表3に示すとおりである。
1-3.混合
表4に示す組成で、ステアリン酸マグネシウム(HyQual Code5712, Mallinckrodt社)と1-2で得られた顆粒を表5に示す条件の下で混合した。
5分間混合を行った後、混合機を一旦停止して蓋を開け、サンプリングを行った。サンプリングを行った後、再度混合機の蓋を閉め、次の混合時間まで追加で混合を行い、再度サンプリングを行った。この操作を繰り返し行った。結果として、混合時間は、5、10、20、30、60、90または120 minであった。
1-4.接触角の測定
Contact Angle System OCA15 Plus(dataphysics Instruments GmbH, Filderstadt製)を用いて、混合粉末の接触角を測定した。測定方法は次の通りである:混合した顆粒をプレパラートに貼付した両面テープ上にスパーテルを使って乗せ、余分な顆粒を払い落として300μm程度の均一な顆粒層にした。一定速度で動作するマイクロシリンジにより顆粒層上に精製水を1滴滴下した。滴下直後の水滴画像をCCDカメラにて撮影し、取り込んだ画像から液滴の接触角を測定した。
1-5.打錠および硬度の測定
混合粉末を表6に示す条件でAutograph(SHIMADZU製, AG-I 20kN)により錠剤に形成した。得られた錠剤の硬度をErweka製硬度計(型式:TBH20)を用いて測定した。
1-6.混合時間と接触角、接触角と硬度の関係
まず、混合時間の異なる顆粒の濡れ性を評価するために、仕込み比0.52のBin blenderで混合した混合顆粒の接触角を測定し、疎水性である滑沢剤の展延状態を評価できるかどうか確認した(図1)。この結果から、混合時間が長くなると混合顆粒の接触角は大きくなり、液滴の高さも高くなる傾向を示した。このことから、滑沢剤が展延することによって顆粒の疎水性が増していることが確認された。すなわち、混合顆粒の接触角により滑沢剤の混合状態を評価することが可能であると判断できた。
次に、この混合顆粒の接触角と錠剤硬度の関係について確認した。図2から分かるように仕込み比0.52におけるBin blenderでの混合において、混合顆粒の接触角とその顆粒を用いて製した錠剤の硬度は線形の相関があることを確認した。したがって、滑沢剤の混合状態は錠剤硬度を代用特性として評価可能であると判断し、以降の混合状態の評価については錠剤硬度を用いることとした。
1-7. 混合時間の違いによる硬度の変化
表1に示す混合機を用いて、仕込み比と混合時間を変化させた時の混合時間と錠剤硬度の関係について評価した。図3に示した結果から、どの混合機においても混合時間が長くなるにつれて硬度の低下が確認でき、混合の進行により滑沢剤の影響が現れていることを確認した。混合機が異なると混合時間が同じであっても硬度の値や変化の大きさに差があることから、混合機によって混合性能に違いがあることが分かった。
1-8.滑沢性を予測する式の作成
図3に示されるように混合機または仕込み比が変化したとしても、同一の混合状態を得る条件を探索する方法を検討した。その方法の検討においては、Froude数による同一機器間でのスケール変更時の条件設定方法をベースとし、この方法に機器変更を想定した項を追加した。さらに、仕込み比が変更した場合を想定して仕込み比の影響に対応する項を盛り込んだ混合性能指数(MPI)を作成することを試みた。まず、滑沢性に対する混合条件の影響を重み付けし、式(1)のように表現した。
ここで、k1、Rmax、N、g、F、aおよびbは上述の通りである。このMPIと混合時間を組み合わせたMixing Ability(MA)で混合後の品質が決定される。
ここで、Tは上述の通りである。まずk1,aおよびbをすべて1として、図3のデータを用いてMAを求めた(図4)。図4の結果から、錠剤硬度とMAには対数関係があることが分かった。また、仕込量(率)が変化すると錠剤硬度とMAの関係は、傾きは変化せずプロットが並行移動していることが確認された。このことは、MAと仕込み率には相関関係があることを示唆する。
そこで、MAと錠剤硬度の関係から近似直線の傾きと切片を求め、同一MA値(MA=10)における錠剤硬度と仕込み比の関係をプロットした(図5)。図5から、V blenderおよびContainer blenderでは同一MAにおいて錠剤硬度と仕込み比は直線関係があり、仕込み比が小さいほど硬度が低く、混合状態が進んでいることを示した。一方、Bin blenderでは、図4および図5の結果から、仕込み比の範囲全体としては明確な関係性は示さなかった。しかしながら、仕込み比が0.35〜0.72の範囲では仕込み比と硬度は負の相関、すなわち仕込み比が高いと混合性能が高くなる傾向が認められた。仕込み比が0.88になると混合状態が悪くなる傾向が確認された。このBin blenderにおける仕込み比に対する混合状態変化の傾向は、P.E. Arratia, et al., Powder Technology 161 (2006) 202-208による実験データと同様の傾向を示した。
図4および図5の結果をまとめると以下のようになる。
(1)錠剤硬度とMA値は対数関係を示す。
(2)同一MA値において、錠剤硬度と仕込み比の関係はV blenderおよびContainer blenderでは正の相関があり、Bin blenderでは仕込み比0.35〜0.72の範囲において負の相関を示す。
上記の関係から、以下の関係式が成り立つ。
上記2式から、MAを算出する際の仕込み比の項は指数関数として次式で表される。
ここで、k2は(3)式および(4)式の傾きから混合機毎に決定される定数である。この(5)式の関係から、(1)式の仕込み率の項は次式で表される。
ただし、Bin blenderについては、上記関係式が成り立つのは仕込み比0.35〜0.72の範囲である。各混合機の(3)式および(4)式の傾きは、図4および図5中に破線で示した仕込み比範囲のプロットの傾きから表7の値となる。
k1,aおよびbの値を実測値とのフィッティングにより求めた。前提条件は、錠剤硬度とMAをプロットした時、近似曲線の相関係数が最大となるようにした。ただし、係数k1,aおよびbについて、MA値がこれらの係数に依存しすぎないようにフィッティングの範囲を0〜1とした。各混合機においてフィッティングに用いるデータは、各混合機の実用上の仕込み比の範囲を考慮し、V blenderにおける仕込み比は0.20〜0.85、Container blenderにおける仕込み比は0.20〜0.83とし、Bin blenderにおける仕込み比は図5の結果から、直線関係が成り立つ0.35〜0.70とした。フィッティングにはMicrosoft(登録商標) Excel(登録商標)のwhat-if分析ツールを利用した。
フィッティングパラメータの計算結果を表8に、また、この時の錠剤硬度とMAとの関係を図6に示す。
上記の条件でのフィッティングの結果、実験値と計算値の相関係数は、0.887と良好な相関を示した。一方で各混合機の相関係数を見ると、V blenderにおいて相関係数が全体の平均値よりも低い値となった。なぜならば、仕込み比が適性仕込み範囲を超える0.20の長時間混合において、混合過多による滑沢剤の再分散が示唆される硬度上昇起こっているため、全体の相関係数が低下する結果となったからである。実際の製造における仕込み比の範囲(0.30〜0.60)を想定すると、MAと錠剤硬度は良好な相関関係を示していることから、十分な精度を有している。
(実施例2〜10)MPIまたはMAによってシミュレートした混合工程の確認
実施例1で設定したMPIまたはMAの妥当性を検証するために表9および10に示す複数の製剤を調製した後、MAと錠剤硬度の関係を確認した。その結果を表11に示す。表9および10における略号は次の通りである。
FBG:流動層造粒
DC:直接打錠
HSG:高速撹拌造粒
VB:V blender
CB:Container blender
BB:Bin blender
表11における相対誤差(Relative error)は次のように算出した。
いずれの製剤も錠剤硬度とMAは良好な相関を示し、相対誤差も小さかった。従って、実施例1で設定したMPIは幅広く利用できるパラメータであることがわかる。
本発明は、1つの実験データさえあれば、スケールや製造条件が変化した時に粉体の物性がどのように変化するかを予測することができるとともに、同等の混合状態を得るためにはどのような条件に設定すればよいかの手がかりを与えてくれることできる。従って、本発明は、例えば、医薬品の製造に利用することができる。

Claims (16)

  1. 粉体を混合するときに用いられる機器の回転数と粉体仕込み比を算出する方法であって、
    (1)機器の回転半径、回転数および粉体仕込み比(機器の全容積に対する粉体体積の比)を用いて下記数式:
    (式中、
    k1は機器に依存する変数1であり、
    Rmaxは回転半径(m)であり、
    Nは回転数(rpm)であり、
    gは重力加速度(m/s2)であり、
    aはフィッティングパラメータ1であり、
    k2は機器に依存する変数2であり、
    Fは粉体仕込み比であり、そして
    bはフィッティングパラメータ2である。)
    に従ってMPIを算出する工程、次いで
    (2)(1)工程で得られたMPIと同じ値になるように、(1)工程で使用した機器と異なる大きさまたはタイプの機器の回転数および粉体仕込み比を算出する工程、
    を包含する、機器の回転数と粉体仕込み比を算出する方法。
  2. k1が0より大きく2以下である、請求項1に記載の方法。
  3. k2が4以下である、請求項1または2に記載の方法。
  4. aが0より大きく1以下である、請求項1〜3いずれか1項に記載の方法。
  5. bが0より大きく1以下である、請求項1〜4いずれか1項に記載の方法。
  6. k1が0.056〜1.031であり、aは0.450〜1.000であり、k2は-4.50〜3.36あり、bは0.553〜1.000である、請求項1に記載の方法。
  7. 粉体を混合するときに用いられる機器の回転数と粉体仕込み比と混合時間を算出する方法であって、
    (1)機器の回転半径、回転数および粉体仕込み比(機器の全容積に対する粉体体積の比)を用いて下記数式:
    (式中、
    k1は機器に依存する変数1であり、
    Rmaxは回転半径(m)であり、
    Nは回転数(rpm)であり、
    gは重力加速度(m/s2)であり、
    aはフィッティングパラメータ1であり、
    k2は機器に依存する変数2であり、
    Fは粉体仕込み比であり、そして
    bはフィッティングパラメータ2であり、
    Tは混合時間(min)である。)
    に従ってMAを算出する工程、次いで
    (2)(1)工程で得られたMAと同じ値になるように、(1)工程で使用した機器と異なる大きさまたはタイプの機器の回転数および粉体仕込み比を算出する工程、
    を包含する、機器の回転数と粉体仕込み比と混合時間を算出する方法。
  8. k1が0より大きく2以下である、請求項7に記載の方法。
  9. k2が4以下である、請求項7または8に記載の方法。
  10. aが0より大きく1以下である、請求項7〜9いずれか1項に記載の方法。
  11. bが0より大きく1以下である、請求項7〜10いずれか1項に記載の方法。
  12. k1が0.056〜1.031であり、aは0.450〜1.000であり、k2は-4.50〜3.36あり、bは0.553〜1.000である、請求項7に記載の方法。
  13. 請求項1〜6いずれか1項に記載の方法により算出された、回転数および粉体仕込み比を用いて粉体を混合して混合粉体を製造する方法。
  14. 請求項13に記載の方法により得られた混合粉体。
  15. 請求項7〜12いずれか1項に記載の方法により算出された、回転数、粉体仕込み比および混合時間を用いて粉体を混合して混合粉体を製造する方法。
  16. 請求項15に記載の方法により得られた混合粉体。
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