JP2014533495A - 第viii因子の生産のための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、哺乳動物細胞培養において第VIII因子ポリペプチドを生産する方法に関する。
Description
本発明は、第VIII因子ポリペプチドの生産のための方法に関する。
第VIII因子は、重要な血液凝固因子である。第VIII因子タンパク質の減少又は欠損をもたらす第VIII因子遺伝子における突然変異は、再発性出血エピソードを特徴とする遺伝的疾患である血友病Aを引き起こす。血友病Aの治療は、血漿由来の又は組換えの第VIII因子の静脈内注入を必要とする。
血漿由来の第VIII因子は、血友病を治療するために使用することができるが、このアプローチを用いる場合、患者へのウイルスの感染を含む多数の問題が存在している。したがって、組換え的に発現された第VIII因子を投与することが好ましい。
大量の第VIII因子を、細胞培養物から取得することは困難である。第VIII因子は、哺乳動物細胞において非常に低いレベルで発現されることが知られる。また、第VIII因子は、無血清培地又は無タンパク質培地において不安定なタンパク質であることが知られる。様々な物質の添加が、組換え的に生産された第VIII因子の収量を改善するために使用されている。例えば、高強度の緩衝剤を使用することは、第VIII因子の収量を増大させる。しかしながら、この手荒な(harsh)処理は、細胞のその後の再使用を可能としない。
第VIII因子の調節への洞察に関わらず、第VIII因子の収量は、商業的な製造において使用される異種の系における他の組換えタンパク質よりも顕著に低い状態が続いている。WO2008/135501は、第VIII因子のC2ドメインと結合するリガンド(例えば、オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS))を使用して、第VIII因子の収量の改善を取得することを開示する。しかしながら、細胞培養物から単離することができる第VIII因子の収量をさらに増大させるための方法及び組成物が必要とされている。
驚くべきことに、本発明者らは、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と培養細胞を接触させることによって、培養培地中に放出され、その後回収される第VIII因子の量が、実質的に増大することを見出した。特に、第VIII因子の収量は、第VIII因子のC2ドメインと結合する作用剤であるOPLSが培養培地に添加される場合に観察される収量と比較して、顕著に増大する。
したがって、本発明は、第VIII因子ポリペプチドの生産のための方法であって、
a)前記ポリペプチドが発現されるような条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞を培養する工程;及び
b)工程(a)中に又は工程(a)後に、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と前記細胞を接触させる工程
を含む、方法を提供する。
a)前記ポリペプチドが発現されるような条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞を培養する工程;及び
b)工程(a)中に又は工程(a)後に、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と前記細胞を接触させる工程
を含む、方法を提供する。
本発明は、以下のものをさらに提供する:
− 血清を含まず、i)ラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体及び第VIII因子軽鎖から選択される作用剤、並びにii)オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)又は抗アポトーシスタンパク質を含む、細胞培養培地。
− 哺乳動物細胞培養物から単離することができる第VIII因子の収量を増大させるための、ホスファチジルセリンと結合することが可能である化合物の使用。
− 血清を含まず、i)ラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体及び第VIII因子軽鎖から選択される作用剤、並びにii)オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)又は抗アポトーシスタンパク質を含む、細胞培養培地。
− 哺乳動物細胞培養物から単離することができる第VIII因子の収量を増大させるための、ホスファチジルセリンと結合することが可能である化合物の使用。
発明の詳細な説明
本発明は、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と第VIII因子ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞を接触させることが、培養細胞培地からを回収することができる第VIII因子の収量を実質的に増大させるという、予期せぬ知見に由来する。本発明は、したがって、第VIII因子ポリペプチドの生産のための方法であって、a)前記ポリペプチドが発現されるような条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞を培養する工程;及びb)工程(a)中に又は工程(a)後に、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と前記細胞を接触させる工程を含む、方法に関する。
本発明は、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と第VIII因子ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞を接触させることが、培養細胞培地からを回収することができる第VIII因子の収量を実質的に増大させるという、予期せぬ知見に由来する。本発明は、したがって、第VIII因子ポリペプチドの生産のための方法であって、a)前記ポリペプチドが発現されるような条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞を培養する工程;及びb)工程(a)中に又は工程(a)後に、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と前記細胞を接触させる工程を含む、方法に関する。
第VIII因子ポリペプチド
成熟したヒト第VIII因子分子は、A1−A2−B−A3−C1−C2という順序に配列される3つの相同Aドメイン、2つの相同Cドメイン、及びBドメインへとグループ分けすることができる2332個のアミノ酸からなる。B−ドメイン由来の小リンカーと連結される第VIII因子の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)からなる第VIII因子分子(B−ドメイン欠失第VIII因子、又はBDD−FVIII)は、全長(未変性(native))第VIII因子の生物学的活性を保持する。
成熟したヒト第VIII因子分子は、A1−A2−B−A3−C1−C2という順序に配列される3つの相同Aドメイン、2つの相同Cドメイン、及びBドメインへとグループ分けすることができる2332個のアミノ酸からなる。B−ドメイン由来の小リンカーと連結される第VIII因子の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)からなる第VIII因子分子(B−ドメイン欠失第VIII因子、又はBDD−FVIII)は、全長(未変性(native))第VIII因子の生物学的活性を保持する。
本明細書において使用される場合、「第VIII因子ポリペプチド」は、第VIII因子、及び第VIII因子関連ポリペプチド、好ましくはヒト第VIII因子を包含するがこれらに限定されない。
「第VIII因子ポリペプチド」は、Toole et al., Nature 1984, 312: 342-347に記載されるようなアミノ酸配列を有するポリペプチド(野生型ヒト第VIII因子)、並びに例えばウシ、ブタ、イヌ、マウス及びサケの第VIII因子等の、他の種由来の野生型第VIII因子を含む。好ましくは、第VIII因子ポリペプチドは、ヒト第VIII因子ポリペプチドである。最も好ましくは、ヒト第VIII因子ポリペプチドは、B−ドメイン欠失/切断ヒト第VIII因子である。
変異体を含む第VIII因子関連ポリペプチドは、第VIII因子の生物学的活性に関するアッセイにおいて試験された場合、同じ細胞型において生産された野生型第VIII因子の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、及び少なくとも約130%の比活性を示すものを包含する。
第VIII因子の生物学的活性に関する試験は、当該技術分野において既知である。例えば、1つの技法は、カルシウム及びリン脂質の存在下において第IXa因子による第X因子の活性化を刺激する第VIII因子の試料の能力を試験することを伴う。
B−ドメイン欠失ヒト第VIII因子のポリペプチド配列は、配列番号1に示される。
ベクター
第VIII因子をコードする核酸分子は、挿入される配列と作動可能に連結される制御配列を含み、それによって、標的とされる細胞においてインビボで本発明のポリペプチドの発現を可能とする、発現カセットの形態で提供することができる。これらの発現カセットは、典型的には、ベクター(例えば、プラスミドベクター又は組換えウイルスベクター)内で提供される。したがって、本発明における使用のためのポリペプチドは、細胞へそのようなベクターを送達すること、及びベクターからの転写を起こさせることによって、取得することができる。
第VIII因子をコードする核酸分子は、挿入される配列と作動可能に連結される制御配列を含み、それによって、標的とされる細胞においてインビボで本発明のポリペプチドの発現を可能とする、発現カセットの形態で提供することができる。これらの発現カセットは、典型的には、ベクター(例えば、プラスミドベクター又は組換えウイルスベクター)内で提供される。したがって、本発明における使用のためのポリペプチドは、細胞へそのようなベクターを送達すること、及びベクターからの転写を起こさせることによって、取得することができる。
哺乳動物宿主細胞
本発明の方法は、哺乳動物細胞における第VIII因子の生産を伴う。培養物中における第VIII因子の生産に好適な任意の哺乳動物宿主細胞を、使用することができる。例えば、宿主細胞は、ヒト、マウス又はげっ歯類の細胞由来であり得る。宿主細胞は、第VIII因子以外の目的のポリペプチドを発現するために使用することもできる。例えば、ホスファチジルセリンと結合することが可能であるポリペプチドを、第VIII因子と前記ポリペプチドを同時発現することによって、第VIII因子を発現する哺乳動物細胞と接触させることができる。
本発明の方法は、哺乳動物細胞における第VIII因子の生産を伴う。培養物中における第VIII因子の生産に好適な任意の哺乳動物宿主細胞を、使用することができる。例えば、宿主細胞は、ヒト、マウス又はげっ歯類の細胞由来であり得る。宿主細胞は、第VIII因子以外の目的のポリペプチドを発現するために使用することもできる。例えば、ホスファチジルセリンと結合することが可能であるポリペプチドを、第VIII因子と前記ポリペプチドを同時発現することによって、第VIII因子を発現する哺乳動物細胞と接触させることができる。
2つ以上の目的のポリペプチド、例えば第VIII因子ポリペプチドと、ホスファチジルセリンと結合することが可能であるポリペプチドとの両方が異種発現される細胞株が使用される場合、これらのタンパク質は、単一のベクターから、又は2つの別々のベクターから、発現することができる。タンパク質をコードする配列の2つ以上のコピーが、ベクター中に存在し得る。
現在のところ好ましい細胞は、HEK293、COS、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)及び骨髄腫細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
細胞培養
幾つかの実施形態では、本発明を実施する際に使用される細胞は、懸濁培養物において成長することが可能である。本明細書において使用される場合、懸濁物適格(competent)細胞は、大きく堅い凝集物を形成することなく懸濁物において成長することができる細胞、すなわち、凝集物1つ当たり数個の細胞のみを含む緩い凝集物において単分散状態である又は成長する細胞である。
幾つかの実施形態では、本発明を実施する際に使用される細胞は、懸濁培養物において成長することが可能である。本明細書において使用される場合、懸濁物適格(competent)細胞は、大きく堅い凝集物を形成することなく懸濁物において成長することができる細胞、すなわち、凝集物1つ当たり数個の細胞のみを含む緩い凝集物において単分散状態である又は成長する細胞である。
本発明を実施する際に使用される細胞は、接着(adhesion)細胞(固着(anchorage)依存性細胞又は付着(attachment)依存性細胞としても知られる)であり得る。本明細書において使用される場合、接着細胞は、増殖及び成長に好適な表面に自らを接着又は固着させることを必要とする細胞である。
細胞生存率
細胞生存率は、全細胞試料に基づく生細胞又は死細胞の測定値である。細胞死は、ネクローシス及びアポトーシスという2つの異なる事象に分けることができる。ネクローシスは、疾患又は傷害の結果としての細胞の死である。細胞は膨潤し、それらの形質膜は崩壊し、細胞の内容物が細胞外空間中へと放出され、それらは多くの場合、炎症応答を誘発する。ネクローシスのプロセスは制御されない。他方、アポトーシスは、適当な誘発因子によって刺激されたときに、細胞を自己破壊させるメカニズムである。それは、細胞がもはや必要でないとき、細胞が生物の健康に対する脅威となるとき、又は他の理由で、開始されることがある。
細胞生存率は、全細胞試料に基づく生細胞又は死細胞の測定値である。細胞死は、ネクローシス及びアポトーシスという2つの異なる事象に分けることができる。ネクローシスは、疾患又は傷害の結果としての細胞の死である。細胞は膨潤し、それらの形質膜は崩壊し、細胞の内容物が細胞外空間中へと放出され、それらは多くの場合、炎症応答を誘発する。ネクローシスのプロセスは制御されない。他方、アポトーシスは、適当な誘発因子によって刺激されたときに、細胞を自己破壊させるメカニズムである。それは、細胞がもはや必要でないとき、細胞が生物の健康に対する脅威となるとき、又は他の理由で、開始されることがある。
細胞生存率に関する試験は通常、試料細胞集団を見ること、及び、細胞を染色すること又はどの細胞が生きておりどの細胞が死んでいるかを示すための化学物質を適用することを伴う。細胞生存率を測定するための多数の試験及び方法が存在する。
たいていの正常且つ生存する真核細胞においては、負に荷電したリン脂質ホスファチジルセリン(PS)は、形質膜脂質二重層の細胞質側に位置する。ホスファチジルセリンは、真核細胞のアポトーシス時に内葉(inner leaflet)から外葉(outer leaflet)へと再分配される。アネキシンVは、ホスファチジルセリン(PS)と反応するCa++依存性リン脂質結合タンパク質である。アポトーシスは、蛍光標識されたアネキシンVとともに細胞をインキュベートすることによって、フローサイトメトリーにおいて検出することができる。ネクローシスの早い段階において、細胞膜は破壊された状態となり、アネキシンVは、同様に、これらの細胞の内葉においてPSに接近することができる。
膜透過性を検出するための方法は、一般的(common)色素排除方法である。蛍光性の、DNA結合プローブ、例えばヨウ化プロピジウム(PI)及び7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)が、死にかけている細胞に侵入し、DNAを染色する。フローサイトメーターの知識を必要としない色素排除方法は、トリパンブルー及び血球計数器を使用する顕微鏡法のための色素排除手順である。
生存率を決定する他の方法は、代謝が活性な細胞の指標である細胞のATP含有量に基づくものである。CllTiter−GLOキットは、ATPを発光へと変換し、当該発光が、細胞の生存率に比例する。この方法は相対的なものであり、個々の細胞を研究することは可能ではない。
ラージスケール動物細胞培養が、製薬産業によって及びバイオテクノロジー会社によって、治療用タンパク質の生産において広範に使用される。培地枯渇を経験した細胞は、アポトーシス(飢餓誘導性アポトーシス)を介して死に、高いストレスレベル(例えば、pHの急激な低下、又は高濃度の毒素)でのみ、細胞は、ネクローシスを介して死ぬ。
FVIII及びFVIIIaは、その性質から、それらのホスファチジルセリンの露出によって活性化血小板と結合し、この細胞表面上で、FVIIIa/FIXa複合体が、インビボでFXを活性化する。アポトーシス細胞、又はネクローシス細胞由来の膜断片上のホスファチジルセリンも、FVIIIによって結合される。動物細胞培養におけるFVIIIの生産は、死にかけている細胞とのFVIIIの結合をもたらし、その結果として、FVIIIタンパク質は、そこに「捕捉される」。
細胞培地
「細胞培養培地」(又は、単に「培地」)という用語は、以下の分類:
(1)培地の浸透圧に寄与する、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムの塩;(2)通常、炭水化物の形態である、エネルギー源、例えばグルコース;(3)全必須アミノ酸、通常、20種類のアミノ酸の基礎セット;(4)低い濃度で必要とされるビタミン及び/又は他の有機化合物;並びに(5)微量元素(ここで、微量元素は、非常に低い濃度で、通常マイクロモルの範囲で典型的には必要とされる無機化合物と定義される)
の1つ又は複数から少なくとも1成分を典型的には供給する、哺乳動物細胞成長させるために使用される栄養溶液を表す。栄養溶液は、任意で、以下の分類:
(a)ホルモン及び他の成長因子、例えばインスリン、トランスフェリン及び上皮成長因子等;並びに(b)タンパク質及び組織の加水分解産物
のいずれか由来の成分の1つ又は複数が添加される場合がある。好ましくは、細胞培養培地は、動物起源のいかなる成分をも含有しない。
「細胞培養培地」(又は、単に「培地」)という用語は、以下の分類:
(1)培地の浸透圧に寄与する、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム及びカルシウムの塩;(2)通常、炭水化物の形態である、エネルギー源、例えばグルコース;(3)全必須アミノ酸、通常、20種類のアミノ酸の基礎セット;(4)低い濃度で必要とされるビタミン及び/又は他の有機化合物;並びに(5)微量元素(ここで、微量元素は、非常に低い濃度で、通常マイクロモルの範囲で典型的には必要とされる無機化合物と定義される)
の1つ又は複数から少なくとも1成分を典型的には供給する、哺乳動物細胞成長させるために使用される栄養溶液を表す。栄養溶液は、任意で、以下の分類:
(a)ホルモン及び他の成長因子、例えばインスリン、トランスフェリン及び上皮成長因子等;並びに(b)タンパク質及び組織の加水分解産物
のいずれか由来の成分の1つ又は複数が添加される場合がある。好ましくは、細胞培養培地は、動物起源のいかなる成分をも含有しない。
一実施形態では、培地は、動物由来の成分を欠き、タンパク質を欠く(「無タンパク質」)。動物由来の成分及び/又はタンパク質を欠く培地は、商業的供給業者、例えば、Sigma、JRH Biosciences、Gibco、Hyclone及びGemini等から入手可能である。
一実施形態では、細胞培養培地は、血清を含まない。好ましくは、細胞培養培地は、0.25体積%未満の血清を含む。さらなる実施形態では、培地は、タンパク質を全く含まず(「無タンパク質」)、動物由来の成分を欠く。
好ましくは、本発明の方法では、ヒト第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞は、動物由来の成分を含まない細胞培地において培養され、ホスファチジルセリンと結合する作用剤、例えばラクトアドヘリンと、培地に前記作用剤を添加することによって、接触させられる。好ましくは、本発明の方法では、ヒト第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞は、動物由来の成分を含まない細胞培地において培養され、ホスファチジルセリンと結合する作用剤、例えばアネキシンVと、培地に前記作用剤を添加することによって、接触させられる。本発明との関係では、前記作用剤は、0.01〜100μM、例えば0.01〜50μM、0.01〜25μM、0.01〜10μM、若しくは0.01〜1μM、0.01〜0.1μM、0.1〜100μM、0.1〜50μM、0.1〜25μM、0.1〜10μM、0.1〜1μM、1〜100μM、1〜50μM、1〜25μM、1〜10μM、10〜100μM、10〜50μM、又は10〜25μM等の濃度で培養培地に添加され得る。
本発明の方法では、ホスファチジルセリンと結合する1つ又は複数の作用剤を、培養培地に添加することによって、培養細胞と接触させることができる。細胞培地は、また、細胞膜との第VIII因子の結合を低減する、及び/又は第VIII因子の安定性若しくは力価(titer)を改善する付加的な作用剤を含んでいてもよい。例えば、作用剤、例えばオルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)、抗アポトーシスタンパク質又はヘパリンが、培養培地に添加され得る。
本発明の一実施形態では、本発明の方法における使用のための、血清を含まず、i)ラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体及び第VIII因子軽鎖から選択される化合物、並びにii)オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)又は抗アポトーシスタンパク質を含む、細胞培養培地が提供される。最も好ましくは、培養培地は、動物由来の成分を含まず、ラクトアドヘリン及びOPLSを含む。本発明の動物由来の成分を含まない培養培地は、第VIII因子軽鎖及びOPLSを含み得る。典型的には、培養培地におけるOPLSの濃度は、1 M〜100mM、10 M〜50mM、100 M〜50mM、1mM〜50mM、又は1mM〜30mMである。
ラージスケール培養条件
本発明は特に、ラージスケール生産に関わりがある。「ラージスケール生産」という用語は、少なくとも100Lの培養容器を伴う生産を意味する。しかしながら、好ましい実施形態では、スケールは、典型的には、少なくとも250L、例えば少なくとも500L、例えば少なくとも1000L、又はさらには5000L以上である。「ラージスケール(large-scale)」という用語は、「工業スケール(industrial-scale)」及び「生産スケール(production-scale)」という用語と交換可能な用語として、使用することができる。
本発明は特に、ラージスケール生産に関わりがある。「ラージスケール生産」という用語は、少なくとも100Lの培養容器を伴う生産を意味する。しかしながら、好ましい実施形態では、スケールは、典型的には、少なくとも250L、例えば少なくとも500L、例えば少なくとも1000L、又はさらには5000L以上である。「ラージスケール(large-scale)」という用語は、「工業スケール(industrial-scale)」及び「生産スケール(production-scale)」という用語と交換可能な用語として、使用することができる。
ホスファチジルセリンと結合する作用剤との細胞培養物の接触
本発明の一実施形態では、ホスファチジルセリンと結合する1つ又は複数の作用剤は、第VIII因子を生産する培養細胞と接触させられる。さらに、ホスファチジルセリンと結合する作用剤に加えて、細胞膜との第VIII因子の結合を低減する、及び/又は第VIII因子の安定性若しくは力価を改善する1つ又は複数の付加的な作用剤を、培養細胞と接触させることができる。
本発明の一実施形態では、ホスファチジルセリンと結合する1つ又は複数の作用剤は、第VIII因子を生産する培養細胞と接触させられる。さらに、ホスファチジルセリンと結合する作用剤に加えて、細胞膜との第VIII因子の結合を低減する、及び/又は第VIII因子の安定性若しくは力価を改善する1つ又は複数の付加的な作用剤を、培養細胞と接触させることができる。
ホスファチジルセリンと結合することが可能である任意の作用剤を、本発明の方法において、使用することができる。ホスファチジルセリンと結合する作用剤は、ポリペプチド、抗体、抗体断片、ポリヌクレオチド、小分子若しくは他の作用剤であり得るか、又はポリペプチド、抗体、抗体断片、ポリヌクレオチド、小分子若しくは他の作用剤を含み得る。
典型的に、ホスファチジルセリンと結合する作用剤は、細胞膜上におけるホスファチジルセリンとの第VIII因子の結合を低減することが可能である。作用剤は、第VIII因子と競合して、ホスファチジルセリンと結合することができる。好ましい作用剤は、細胞膜との第VIII因子の結合を、作用剤の非存在下で観察される結合と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%低減する作用剤である。
ホスファチジルセリンと結合する作用剤は、好ましくは、細胞培養物から単離される第VIII因子の収量を増大させる。典型的には、第VIII因子の収量は、細胞培養培地から単離される。したがって、好ましい作用剤は、第VIII因子の収量、又は培養培地中に放出される第VIII因子の量を、作用剤の非存在下における第VIII因子の収量又は放出と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%増大させる作用剤である。
競合的結合アッセイを、細胞膜上においてホスファチジルセリンと競合的に結合する作用剤を同定するために使用することができる。この技法は、細胞膜上においてホスファチジルセリンに対して競合する標識されていない分析物及び標識された分析物の使用を伴う。競合的結合アッセイの一般的な技法は、当該技術分野において既知である。このアッセイは、標的分析物の濃度が増大するにつれて減少するシグナルをもたらす。競合的アッセイアプローチは、細胞膜との結合に関して第VIII因子と競合するその能力によってホスファチジルセリンと結合する作用剤を検出するために使用することができる。例えば、ホスファチジルセリンと結合し、本発明の方法における使用に好適である作用剤を、競合アッセイにおいて、細胞膜との第VIII因子の結合を少なくとも50%低減するその能力によって同定することができる。
本発明の方法における使用のためのアネキシンV(アネキシンA5、又は血管抗凝固αタンパク質)は、天然のアネキシンVポリペプチド、又はホスファチジルセリンと結合することが依然として可能であるその断片若しくは変異体であり得る。変異体ポリペプチドは、種の相同体(homologue)、例えば哺乳動物の相同体(典型的には、ヒト、霊長類、又はマウス、ラット、若しくは他のげっ歯類の相同体)であり得る。好ましくは、アネキシンVは、ヒトアネキシンVである。好適なヒトアネキシンVポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含んでいてもよく、配列番号2のアミノ酸配列からなっていてもよく、又は配列番号2のアミノ酸配列から本質的になっていてもよい。好適なアネキシンV配列は、ホスファチジルセリンと結合することが可能であるこの配列の断片又は変異体であり得る。例えば、アネキシンVの変異体は、置換変異体、欠失変異体若しくは付加変異体、又はその断片であり得る。
好ましくは、天然のアネキシンVの断片又は変異体は、細胞膜上において結合部位に対して第VIII因子と競合することが可能である。典型的には、断片又は変異体は、少なくとも1つの細胞膜結合ドメインを保持する。断片又は変異体は、細胞膜との第VIII因子の結合をブロックするタンパク質−タンパク質複合体の形成に必要とされる少なくとも1つのタンパク質結合ドメインも保持し得る。
本発明の方法における使用のためのラクトアドヘリンは、天然のラクトアドヘリンポリペプチド、又はホスファチジルセリンと結合することが依然として可能であるその断片若しくは変異体であり得る。変異体ポリペプチドは、種の相同体、例えば哺乳動物の相同体(典型的には、ヒト、霊長類、又はマウス、ラット、若しくは他のげっ歯類の相同体)であり得る。好ましくは、ラクトアドヘリンは、ヒトラクトアドヘリンである。好適なヒトラクトアドヘリンポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を含んでいてもよく、配列番号3のアミノ酸配列からなっていてもよく、又は配列番号3のアミノ酸配列から本質的になっていてもよい。好適なラクトアドヘリン配列は、ホスファチジルセリンと結合することが可能であるこの配列の断片又は変異体であり得る。例えば、ラクトアドヘリンの変異体は、置換変異体、欠失変異体若しくは付加変異体、又はその断片であり得る。
本発明の方法における使用のための第VIII因子軽鎖は、第VIII因子のドメインA3−C1−C2を含み得る。第VIII因子軽鎖は、第VIII因子ドメインA3−C1−C2をコードする核酸を組換え的に発現させることによって、生産することができる。代替的に又は付加的に、第VIII因子軽鎖は、第VIII因子ポリペプチドのB−A3接合部(junction)のタンパク質分解処理によって、生産することができる。
第VIII因子軽鎖の断片又は変異体も、断片又は変異体がホスファチジルセリンと結合することが依然として可能であれば、本発明の方法において使用することができる。典型的には、断片又は変異体は、細胞膜上において結合部位に対して第VIII因子と競合することが可能である。典型的には、断片又は変異体は、少なくとも1つの細胞膜結合ドメインを保持する。例えば、断片又は変異体は、ドメインC2を含み得る。最も好ましくは、断片又は変異体は、ドメインC1及びC2を含む。特に、断片又は変異体は、配列番号6によって表されるC2ドメイン配列(ヒト第VIII因子のアミノ酸2173〜2332)、又は最大で20個、最大で10個、最大で5若しくは最大で2個のアミノ酸置換及び/若しくは欠失を含むそのC2ドメインの変異体を含む。断片又は変異体は、ヒト第VIII因子のC2ドメインのアミノ酸配列2303〜2332、又は1個、2個、3個、4個、5個、6個若しくは7個のアミノ酸置換及び/若しくは欠失を含むその配列の変異体を含み得る。
本発明の方法における使用に好適な抗リン脂質抗体は、ホスファチジルセリンを含む1つ又は複数のリン脂質と結合する任意の抗体を含む。抗リン脂質抗体は、ホスファチジルセリン、及び両親媒性リン脂質、脂質二重層リン脂質、ホスホグリセリド、ホスファチデート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール又はスフィンゴミエリンを含むがこれらに限定されない1つ又は複数の他のリン脂質と結合し得る。典型的には、抗リン脂質抗体は、細胞膜との第VIII因子の結合に関して競合する、細胞膜との第VIII因子の結合を低減する、又は細胞膜との第VIII因子の結合を阻害することが可能である。
抗体は、ヒト、マウス、ラット、ヤギ、ウサギ、モルモット、ニワトリ、ヒツジ又はウマ抗体であり得る。好ましくは、抗リン脂質抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、ラット又はマウス抗体である。
好適な抗リン脂質抗体配列は、ホスファチジルセリンと結合することが可能である、この配列の断片又は変異体であり得る。例えば、天然の抗リン脂質抗体の変異体は、置換変異体、欠失変異体若しくは付加変異体、又はその断片であり得る。
ポリペプチド並びにその変異体及び断片は、上で論じられるように、核酸分子からの発現によって提供され得る。本発明は、したがって、アネキシンV、ラクトアドヘリン、第VIII因子軽鎖、若しくは抗リン脂質抗体、又はその任意の誘導体、断片若しくは変異体をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドにも関する。
作用剤は、細胞膜との第VIII因子の結合を低減又は阻害するのに十分な濃度で、培養培地において提供され得る。典型的には、作用剤は、培養細胞を取り囲む培養培地における第VIII因子の濃度を増大させることが可能である。好ましくは、ホスファチジルセリンと結合する作用剤は、0.001〜1000μM、0.01〜500μM、0.01〜100μM、0.01〜10μM、又は0.1〜100μMの濃度で細胞培養培地に添加することによって、培養細胞と接触させられる。
ホスファチジルセリンと結合する作用剤は、第VIII因子を発現する細胞を培養する期間中に又は当該期間後に、しかし、培養培地からの第VIII因子の単離前に、細胞培養培地に添加される。典型的には、第VIII因子を発現する細胞は、培養培地からの第VIII因子の単離前に、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも4日間、又は少なくとも10日間培養される。ホスファチジルセリンと結合する作用剤は、細胞が最初に培養培地と接触させられるときに対して同時に、実質的に同時に、又は異なる時に、培養細胞と接触させることができる。作用剤は、繰返して、例えば一定間隔の後に、又は、新鮮な培地が培養細胞と接触させられる各時点において、培養培地に添加することができる。作用剤は、培養培地から第VIII因子を単離する直前に添加することができる。
ホスファチジルセリンと結合する1つ又は複数、2つ以上、3つ以上、4つ以上の作用剤が、第VIII因子を発現する培養細胞と接触させられてもよい。例えば、アネキシンV、ラクトアドヘリン、第VIII因子軽鎖及び抗リン脂質抗体から選択される2つの作用剤を、本発明の方法において、使用することができる。
培養培地における第VIII因子ポリペプチドの量は、当該技術分野において既知の技法によって測定することができる。第VIII因子ポリペプチドは、例えば、放射性同位体、放射性ヌクレオチド、蛍光部分、例えばGFP、酵素、アフィニティタグ、例えばビオチン、ヒスチジン若しくはGST、エピトープタグ、抗体、又はポリヌクレオチドを使用して、標識することができる。第VIII因子が標識された場合、収量は、例えば、当該技術分野において既知である分光学的手段、光化学的手段、放射化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段又は電気化学手段によって、培養培地における標識された第VIII因子を単離及び検出することによって、算出することができる。
標識されない場合、第VIII因子は、以下で記載されるように、当該技術分野において既知の技法を使用して、培養培地から単離することができる。第VIII因子ポリペプチドの精製は、抗第VIII因子抗体カラムにおけるアフィニティクロマトグラフィ、及びタンパク質分解的切断による活性化を伴い得る。
第一の態様では、本発明は、したがって、第VIII因子ポリペプチドの生産のための方法であって、
a)前記ポリペプチドが発現されるような条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞を培養する工程;及び
b)工程(a)中に又は工程(a)後に、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と前記細胞を接触させる工程
を含む、に関する。
a)前記ポリペプチドが発現されるような条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞を培養する工程;及び
b)工程(a)中に又は工程(a)後に、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と前記細胞を接触させる工程
を含む、に関する。
一実施形態では、前記方法は、細胞の生存率が少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である時点で、第VIII因子ポリペプチドを回収する工程をさらに含む。
別の実施形態では、前記方法は、2〜3日後に、又は2〜4日後に、例えば2日後に、又は3日後に、又は4日後等に、第VIII因子ポリペプチドを回収する工程をさらに含む。
別の実施形態では、哺乳動物細胞は、細胞培養培地において培養され、第VIII因子ポリペプチドは、ヒト第VIII因子ポリペプチドである。
別の実施形態では、作用剤は、i)第VIII因子と作用剤を同時発現すること、又はii)細胞が培養される培養培地に作用剤を添加することによって、哺乳動物細胞と接触させられる。細胞は、一時的に又は安定的に形質転換された細胞であり得る。
別の実施形態では、作用剤は、ホスファチジルセリンと特異的に結合するタンパク質、好ましくはラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体又は第VIII因子軽鎖である。
別の実施形態では、ラクトアドヘリン、アネキシンV又は第VIII因子軽鎖が、0.01〜100μMの濃度で添加又は同時発現される。
別の実施形態では、細胞膜上においてホスファチジルセリンと結合することが可能である1つ、2つ、3つ又はそれ以上の作用剤が、哺乳動物細胞と接触させられる。
別の実施形態では、ラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体又は第VIII因子軽鎖が、オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)又は抗アポトーシスタンパク質とともに、哺乳動物細胞と接触させられる。
別の実施形態では、哺乳動物細胞は、動物由来の成分を含まない細胞培養培地において培養される。代替的には、本発明に係る方法は、第VIII因子ポリペプチドを単離する工程、及び任意で、医薬組成物中に第VIII因子ポリペプチドを配合する工程をさらに含む。
別の実施形態では、第VIII因子ポリペプチドは、細胞の生存率の低減を実質的に伴わずに、好ましくは細胞の少なくとも75%、又は80%、又は85%、又は90%が生存した状態で、哺乳動物細胞が培養される細胞培養培地から単離される。
別の実施形態では、第VIII因子ポリペプチドを単離した後で、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法において同じ細胞が使用される。
本発明の別の態様は、血清を含まず、i)ラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体及び第VIII因子軽鎖から選択される作用剤、並びにii)オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)又は抗アポトーシスタンパク質を含む、細胞培養培地に関する。
本発明の別の態様は、哺乳動物細胞培養物から単離することができる第VIII因子の収量を増大させるための、ホスファチジルセリンと結合することが可能である作用剤の使用に関する。
実施例
結合アッセイ
方法
HEK293細胞の細胞膜との、精製されたB−ドメイン欠失第VIII因子(BDD−FVIII)(J. Karlsson and L. Thim, Novo Nordisk A/Sによって親切にも提供された)の親和性を、125I−BDD−FVIII及び非標識BDD−FVIIIを使用する相同競合アッセイによって調査した。細胞を、PBS+1%BSA中で1回洗浄した。5×105個の細胞を、マイクロタイターウェルに分配し、プレートを、4℃まで冷却した。細胞表面のブロッキング中に、BDD−FVIIIの結合を検証した。一定濃度の125I−FVIII(0.5nM)を、エンドサイトーシスを防ぐために4℃で、アネキシンV(0.5μM、Sigma)、オルト−ホスホ−L−セリン(20mM、Sigma)、ヘパリン(100μg/mL、Leo Pharmaceuticals)及び受容体関連タンパク質(RAP)0.5μM(H.H. Petersen, Novo Nordisk A/Sによって親切にも提供された)のいずれかと同時に、添加した。
結合アッセイ
方法
HEK293細胞の細胞膜との、精製されたB−ドメイン欠失第VIII因子(BDD−FVIII)(J. Karlsson and L. Thim, Novo Nordisk A/Sによって親切にも提供された)の親和性を、125I−BDD−FVIII及び非標識BDD−FVIIIを使用する相同競合アッセイによって調査した。細胞を、PBS+1%BSA中で1回洗浄した。5×105個の細胞を、マイクロタイターウェルに分配し、プレートを、4℃まで冷却した。細胞表面のブロッキング中に、BDD−FVIIIの結合を検証した。一定濃度の125I−FVIII(0.5nM)を、エンドサイトーシスを防ぐために4℃で、アネキシンV(0.5μM、Sigma)、オルト−ホスホ−L−セリン(20mM、Sigma)、ヘパリン(100μg/mL、Leo Pharmaceuticals)及び受容体関連タンパク質(RAP)0.5μM(H.H. Petersen, Novo Nordisk A/Sによって親切にも提供された)のいずれかと同時に、添加した。
プレートを、穏やかに振とうしながら4℃で2時間インキュベートした。遠心分離後、結合していない(膜付着していない)125I−FVIIIを除去し、細胞を、氷冷アッセイ緩衝剤(10mM HEPES、150mM NaCl、4mM KCl、11mM グルコース、5mM CaCl2、1mg/ml BSA、pH7.4)中で2回洗浄した。表面に結合した125I−FVIIIを、ガンマ・カウンター上でカウントした。実験を、三連で2回行った。非特異的結合を、12000×過剰の標識されていないBDD第VIII因子の存在下において評価した。
細胞膜相互作用の強力な阻害剤を決定する試みにおいて、1)ホスファチジルセリンをブロッキングすること(アネキシンV)、2)FVIIIのC2ドメインと相互作用すること(OPLS)、3)内部移行その後の分解を促進する受容体、例えばLRP(リポタンパク質受容体関連タンパク質)及びHSPG(ヘパリンスルフェートプロテオグリカン)と相互作用すること(RAP、ヘパリン)におけるそれらの特異的効果に関して知られる4つのタンパク質を試験した。
結果
結果は、以下の表2に示される。
結果は、以下の表2に示される。
アネキシンVは、膜に付着したFVIIIを、約70%低減し、オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)は、膜に付着したFVIIIを、約30%低減した。ヘパリンは、小さいが有意ではない効果を示した。RAPは、効果を示さなかった。
アネキシンVは、膜結合を最も効率的に低減することが可能であったため、本発明者らは、細胞表面上におけるFVIIIのPS結合を阻害するであろう他の化合物の調査を継続した。これは、次の実験において記載される。
FVIII膜置換細胞培養
方法
BDD−FVIIIを安定的に発現するCHO DUKX B11細胞を、50mLフィルターチューブ(TPP、スイス)中の血清を含まない培地において、高密度(1mL当たりの細胞数8×106個)で設定した。以下で言及される添加剤(ラクトアドヘリン、第VIII因子軽鎖及び/又はOPLS)を培養培地に添加し、培養液及び膜結合画分のアッセイに従って、細胞を24時間インキュベートした。
方法
BDD−FVIIIを安定的に発現するCHO DUKX B11細胞を、50mLフィルターチューブ(TPP、スイス)中の血清を含まない培地において、高密度(1mL当たりの細胞数8×106個)で設定した。以下で言及される添加剤(ラクトアドヘリン、第VIII因子軽鎖及び/又はOPLS)を培養培地に添加し、培養液及び膜結合画分のアッセイに従って、細胞を24時間インキュベートした。
結果
結果は、以下の表3A及び3Bに示される。
結果は、以下の表3A及び3Bに示される。
OPLSを添加することによって、FVIIIの活性は、培養培地において4000から6000mU/mLまで増大し、膜上の活性は、比例的に低下しない。これは、添加されたOPLSの安定化効果を示すことができるだろう。ラクトアドヘリンの添加は、培養培地におけるFVIIIの量をさらに増大させ、また、膜に結合したFVIIIの低下が観察される。両方の化合物(ラクトアドヘリン及びOPLS)が添加された場合、ラクトアドヘリン単独の添加と比較して小さな増大が観察されるにすぎない。対照培養と比較して、液相におけるFVIIIの量は、2.2倍増大する。
同様の傾向が、FVIII LCが培地に添加された場合に、観察される。しかしながら、液相におけるFVIIIの収量の増大は、ラクトアドヘリンの添加と比較して、かなり高い。これは、細胞膜由来のFVIIIのより完全な競合をもたらす、添加されたFVIII LCのはるかに高い濃度のために、考え得ることである。この場合、FVIII LC及びOPLSの添加は、液相のFVIII画分にさらにもっと寄与し、全体的な改善は、3倍を超える。
同時発現実験
細胞培養
HEK293細胞を、
50U/mLのペニシリン及び50ug/mLのストレプトマイシンを添加した市販のFreeStyle培地において維持した。細胞を、振とう器において細胞懸濁物として成長させ、5%CO2下37℃、95%相対湿度条件においてインキュベートした。
細胞培養
HEK293細胞を、
50U/mLのペニシリン及び50ug/mLのストレプトマイシンを添加した市販のFreeStyle培地において維持した。細胞を、振とう器において細胞懸濁物として成長させ、5%CO2下37℃、95%相対湿度条件においてインキュベートした。
細胞を、3×105細胞/mLの密度で播種し、3〜4日毎に継代した。トランスフェクション実験のために、細胞培養を、標的密度に到達するまで、スケールアップした。生存する全ての細胞の濃度を、Cedex(Innovartis)解析によって評価した。この機器は、細胞数計測の自動化のための画像解析ソフトウェアを使用する。生存する細胞は、トリパンブルーを排除するそれらの能力に基づいて同定した。
一時的トランスフェクション
プラスミドDNAを、製造業者の推奨に従って、293fectinによって、HKB11細胞中にトランスフェクトした。調整された培地を、懸濁培養物の穏やかな遠心分離の後で、表示された日に回収した。細胞ペレットを、0.5M NaClを含有するFreeStyle培地中に再懸濁し、穏やかな遠心分離の後、細胞膜に付着したFVIIIを表す試料を採取した。試料を、解析まで、−80℃で保存した。
プラスミドDNAを、製造業者の推奨に従って、293fectinによって、HKB11細胞中にトランスフェクトした。調整された培地を、懸濁培養物の穏やかな遠心分離の後で、表示された日に回収した。細胞ペレットを、0.5M NaClを含有するFreeStyle培地中に再懸濁し、穏やかな遠心分離の後、細胞膜に付着したFVIIIを表す試料を採取した。試料を、解析まで、−80℃で保存した。
第VIII因子活性及び抗原分析
FVIII凝固活性を、2段階発色アッセイ(Coamatic Factor VIII分析キット、Chromogenix)によって、測定した。第VIII因子:Agアッセイを、Affinity Biologicals(F8C−EIA)のポリクローナル抗体を使用して行った。両方のアッセイを、製造業者の取扱説明書に従って、標準として自社製(in-house)B−ドメイン欠失親和性精製第VIII因子を用いて行った。
FVIII凝固活性を、2段階発色アッセイ(Coamatic Factor VIII分析キット、Chromogenix)によって、測定した。第VIII因子:Agアッセイを、Affinity Biologicals(F8C−EIA)のポリクローナル抗体を使用して行った。両方のアッセイを、製造業者の取扱説明書に従って、標準として自社製(in-house)B−ドメイン欠失親和性精製第VIII因子を用いて行った。
結果
F8をコードする発現プラスミドを、HKB11細胞においてラクトアドヘリンと、及びヒト成長ホルモンのC末端と融合したラクトアドヘリン(hGH−ラクトアドヘリン)と、一時的に同時発現させた。また、F8を、hGH−ラクトアドヘリンC1C2(hGHのC末端と融合したラクトアドヘリンのC1C2ドメイン)及びhFc−ラクトアドヘリンC1C2(ヒトFcのC末端と融合したラクトアドヘリンのC1C2ドメイン)と同時発現させた。融合パートナーは、ラクトアドヘリン又はそのドメインの発現の増大を促進する可能性があるそれらの能力に関して選択した。HKB11細胞において、3日目に、ラクトアドヘリン及びhGH−ラクトアドヘリンによって、並びにまた、より低い程度ではあるが、hGH−ラクトアドヘリンC1C2及びhFc−ラクトアドヘリンC1C2によって、F8が効果的に置換されたことが見出された(表4A及び4B)。しかしながら、細胞の生存率が3日目の約90%から約80%まで低下した4日目には、ラクトアドヘリンの同時発現は、もはや、F8を上清中に維持することはできず、F8は、F8単独による発現と等しく、細胞表面上に主に位置した(表4A、4B及び4C)。
F8をコードする発現プラスミドを、HKB11細胞においてラクトアドヘリンと、及びヒト成長ホルモンのC末端と融合したラクトアドヘリン(hGH−ラクトアドヘリン)と、一時的に同時発現させた。また、F8を、hGH−ラクトアドヘリンC1C2(hGHのC末端と融合したラクトアドヘリンのC1C2ドメイン)及びhFc−ラクトアドヘリンC1C2(ヒトFcのC末端と融合したラクトアドヘリンのC1C2ドメイン)と同時発現させた。融合パートナーは、ラクトアドヘリン又はそのドメインの発現の増大を促進する可能性があるそれらの能力に関して選択した。HKB11細胞において、3日目に、ラクトアドヘリン及びhGH−ラクトアドヘリンによって、並びにまた、より低い程度ではあるが、hGH−ラクトアドヘリンC1C2及びhFc−ラクトアドヘリンC1C2によって、F8が効果的に置換されたことが見出された(表4A及び4B)。しかしながら、細胞の生存率が3日目の約90%から約80%まで低下した4日目には、ラクトアドヘリンの同時発現は、もはや、F8を上清中に維持することはできず、F8は、F8単独による発現と等しく、細胞表面上に主に位置した(表4A、4B及び4C)。
結論
これらの結果は、ラクトアドヘリン(又は、N末端融合パートナーと融合したラクトアドヘリン、又は、N末端融合パートナーを伴うラクトアドヘリンのC1C2ドメイン)との同時発現が、3日目に、細胞膜上に局在する状態から、上清中に位置する状態へと、F8を変化させることができることを示す。本発明者らは、これは、ラクトアドヘリンが、HKB11細胞上のPS結合部位をブロックし、それによって、F8が同部位と結合するのを防いだことの結果であると考える。結果として、F8は、上清中へと効果的に置換される。結果は、4日目に、ラクトアドヘリンとの同時発現が、F8の局在性に対するいかなる効果をも、もはや有しないことも示す。本発明者らは、これが、発現された量のラクトアドヘリンが遮蔽することができる部位の数を増大させる、PS結合部位の数と相関する可能性が高い、約80%という相対的に低い生存率の結果であると考える。また、したがって、4日目に、F8が結合する、細胞上における未結合の(free)PS結合部位が存在する可能性がある。
これらの結果は、ラクトアドヘリン(又は、N末端融合パートナーと融合したラクトアドヘリン、又は、N末端融合パートナーを伴うラクトアドヘリンのC1C2ドメイン)との同時発現が、3日目に、細胞膜上に局在する状態から、上清中に位置する状態へと、F8を変化させることができることを示す。本発明者らは、これは、ラクトアドヘリンが、HKB11細胞上のPS結合部位をブロックし、それによって、F8が同部位と結合するのを防いだことの結果であると考える。結果として、F8は、上清中へと効果的に置換される。結果は、4日目に、ラクトアドヘリンとの同時発現が、F8の局在性に対するいかなる効果をも、もはや有しないことも示す。本発明者らは、これが、発現された量のラクトアドヘリンが遮蔽することができる部位の数を増大させる、PS結合部位の数と相関する可能性が高い、約80%という相対的に低い生存率の結果であると考える。また、したがって、4日目に、F8が結合する、細胞上における未結合の(free)PS結合部位が存在する可能性がある。
表5:ラクトアドヘリン(配列番号7)及びFVIIIをコードするプラスミドによって安定的にトランスフェクトされたクローン。「COA」は、FVIII活性の尺度である(この種の発色アッセイ(例えば、ChromogenixのCOATEST SPFVIIIアッセイ#82408663)は、当該技術分野において既知である)。したがって、上清における高いレベルのCOAは、上清中に高い比率のFVIIIが存在することを意味する。「洗浄」において測定されたCOAのレベルは、細胞膜と結合又は付着したFVIIIを放出させるために高塩培地を用いて細胞が洗浄されたときに抽出されたFVIIIの量に等しい。低い「洗浄」COAレベルは、したがって、あまり多くのFVIIIが細胞膜に付着してはいないことを示す。8つのクローンが、さらなる特徴づけのために選択された(表6)。
表6:8つのクローンを、表5から選択した。クローン「1C9」は、対照であり、細胞は、FVIIIのみを用いて(ラクトアドヘリンを用いずに)安定的にトランスフェクトされた。上清中に存在するFVIIIの量は、ラクトアドヘリンプラスミドを用いて安定的にトランスフェクトされたクローンにおいて顕著に増大する。最後の2つのカラムによれば、FVIII抗原(標準FVIII ELISAを使用して測定された)ほど多くは、上清中に存在する活性なFVIII(COA活性アッセイを使用して)は、存在しない。この比率は、安定化剤、例えばOPLSの添加によって、改善することができる。
安定な細胞株の作製
BDD−FVIIIを安定的に発現する細胞株1C9を、プラスミド#2140を用いてトランスフェクトした。#2140は、FLAGエピトープとその後のラクトアドヘリンからなる融合構築物をコードし、また、ネオマイシン耐性遺伝子を有する。1C9細胞に対して、エレクトロポレーションを行い、500ug/mlのG418を用いて選択した。トランスフェクション及び選択は、無血清培地B−CM208において実施した。
BDD−FVIIIを安定的に発現する細胞株1C9を、プラスミド#2140を用いてトランスフェクトした。#2140は、FLAGエピトープとその後のラクトアドヘリンからなる融合構築物をコードし、また、ネオマイシン耐性遺伝子を有する。1C9細胞に対して、エレクトロポレーションを行い、500ug/mlのG418を用いて選択した。トランスフェクション及び選択は、無血清培地B−CM208において実施した。
スクリーニング
3週間の選択の後、細胞を、限界希釈によってクローニングし、24ウェルプレートに移した。上清及び「洗浄」試料を、これらの24ウェルプレートにおける50のクローンから回収した。表(50のクローン)から分かるように、全てのクローンが、洗浄画分よりも上清中により多くのFVIIIを発現するようであった。洗浄画分を、0.55M NaClを添加したB−CM208の溶液に細胞を曝すことによって、調製した。
3週間の選択の後、細胞を、限界希釈によってクローニングし、24ウェルプレートに移した。上清及び「洗浄」試料を、これらの24ウェルプレートにおける50のクローンから回収した。表(50のクローン)から分かるように、全てのクローンが、洗浄画分よりも上清中により多くのFVIIIを発現するようであった。洗浄画分を、0.55M NaClを添加したB−CM208の溶液に細胞を曝すことによって、調製した。
表(10のクローン)において、これらのクローンのうちの幾つか及び1C9クローンを、2〜3週間の期間にわたって、シェーカーフラスコ中の30mlの培地において成長させた。COA活性及びELISA収量の平均値が示される。FLAG−エピトープに対するELISAアッセイからの結果も示される。1C9クローン由来の上清は、予想された通り、FLAG ELISAにおいていかなる応答をも示さないことを観察することができる。G418を用いて安定的に選択された他のクローンが、種々のレベルのFLAGエピトープを発現することも観察することができる。したがって、本発明者らは、FLAG−ラクトアドヘリンの発現と、上清におけるFVIIIの局在性の増大との間の相関関係を見出す。
方法:
FLAG ELISA
上清又は洗浄試料を、抗FLAG高感度M2コーティング96ウェルプレート(カタログ番号P2973−1EA、SIGMA)に適用した。60分間のインキュベーション後、プレートを、PBSにおいて洗浄し、ラクトアドヘリンに対する抗体(カタログ番号H00004240−D01P、ABNOVA)を添加した。さらなる60分間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、抗ウサギ−HRP結合型抗体を用いて発色させ、吸光度を450nmで読み取った。
FLAG ELISA
上清又は洗浄試料を、抗FLAG高感度M2コーティング96ウェルプレート(カタログ番号P2973−1EA、SIGMA)に適用した。60分間のインキュベーション後、プレートを、PBSにおいて洗浄し、ラクトアドヘリンに対する抗体(カタログ番号H00004240−D01P、ABNOVA)を添加した。さらなる60分間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、抗ウサギ−HRP結合型抗体を用いて発色させ、吸光度を450nmで読み取った。
Claims (14)
- 第VIII因子ポリペプチドの生産のための方法であって、
a)前記ポリペプチドが発現されるような条件下で、第VIII因子ポリペプチドを発現することが可能である哺乳動物細胞を培養する工程;及び
b)工程(a)中に又は工程(a)後に、ホスファチジルセリンと結合する作用剤と前記細胞を接触させる工程
を含む、方法。 - 前記細胞の生存率が少なくとも80%である時点で前記第VIII因子ポリペプチドを回収する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 2〜3日後に前記第VIII因子ポリペプチドを回収する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記哺乳動物細胞が、細胞培養培地において培養され、前記第VIII因子ポリペプチドが、ヒト第VIII因子ポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
- i)第VIII因子と前記作用剤を同時発現すること、又はii)前記細胞が培養される培養培地に前記作用剤を添加することによって、前記作用剤が、前記哺乳動物細胞と接触させられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記作用剤が、ホスファチジルセリンと特異的に結合するタンパク質、好ましくはラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体又は第VIII因子軽鎖である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ラクトアドヘリン、アネキシンV又は第VIII因子軽鎖が、0.01〜100μMの濃度で添加又は同時発現される、請求項6に記載の方法。
- 細胞膜上においてホスファチジルセリンと結合することが可能である1つ、2つ、3つ又はそれ以上の作用剤が、前記哺乳動物細胞と接触させられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- ラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体又は第VIII因子軽鎖が、オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)又は抗アポトーシスタンパク質とともに、前記哺乳動物細胞と接触させられる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記哺乳動物細胞が、動物由来の成分を含まない細胞培養培地において培養され、前記方法が、前記第VIII因子ポリペプチドを単離する工程、及び、医薬組成物中に前記第VIII因子ポリペプチドを配合する工程をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記細胞の生存率の低減を実質的に伴わずに、好ましくは前記細胞の少なくとも85%が生存した状態で、前記第VIII因子ポリペプチドが、前記哺乳動物細胞が培養される細胞培養培地から単離される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第VIII因子ポリペプチドを単離した後で、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法において同じ細胞が使用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 血清を含まず、i)ラクトアドヘリン、アネキシンV、抗リン脂質抗体及び第VIII因子軽鎖から選択される作用剤、並びにii)オルト−ホスホ−L−セリン(OPLS)又は抗アポトーシスタンパク質を含む、細胞培養培地。
- 哺乳動物細胞培養物から単離することができる第VIII因子の収量を増大させるための、ホスファチジルセリンと結合することが可能である作用剤の使用。
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