JP2014530614A - 微細藻類の抽出 - Google Patents

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Abstract

ここに、微細藻類バイオマスから脂質含有物を抽出する方法を開示し、該方法は下記工程を備える:(i)微細藻類バイオマスを含む水性混合物をマイクロ波照射処理する工程と、(ii)前記処理された微細藻類バイオマスから脂質含有物を回収する工程。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、“微細藻類の抽出”という名称で2011年10月20日付けで出願されたオーストラリア国特許仮出願2011904343の優先権を主張しており、その全ての開示内容が参照によってここに折り込まれるものである。
本発明は、微細藻類から物質を抽出する方法に関する。
化石燃料は、交通燃料として長期的な公算があるものではない。このことは、化石燃料の燃焼による環境へのマイナス影響とともに、再生不能な化石燃料に代わる再生可能な代替エネルギー源の探索に向かう理由となっている。そのような再生可能エネルギーの一つがバイオ燃料である。バイオ燃料は、再生可能な有機源や原料から製造される燃料である。その言葉は一般に輸送用燃料を指し、エタノール及びバイオディーゼルを含むものである。これまで、バイオディーゼル製造用の主油源は食用農作物であった。しかしながら、食用農作物の使用は同時に環境へのマイナス影響を伴い、輸送に十分な燃料を供給するのは難しそうである。草、穀類作物の残り、森林作物や廃棄物、及びその類といったバイオマスはバイオ燃料の製造に用いることができるが、一般にはバイオエタノールの製造に用いられる。しかしながら、バイオエタノールは燃料源として最適なものではない。
バイオディーゼル製造に適した油を製造し得る再生可能な有機原料として藻類を用いることは、他の再生可能な有機源を用いることと比べていくつかの利点がある。ある藻類は、多量の油又は脂質を産生する。例として、一部の藻類は重量の80%まで油を含み、それ自体として、バイオディーゼル製造のための豊富な油源を供給することができる。さらに、藻類の成長は早く、1年で陸生植物の10から100倍の重量となり、幅広い環境下で成長することができる。
藻類から抽出される油は、トリグリセリドと種々の親油性色素との混合物である。前記油は、エステル交換反応を経て直接的又は間接的にバイオディーゼルに変換されることで、燃料として使用することができる。
残念なことに、藻類から油を製造する方法は、工業規模では困難及び/又は高価であることが示されている。通常、微細藻類バイオマスは、池、タンク、又は器から遠心分離機又はデカンターにポンプで汲み上げられて、当該体積が初期体積の約80%に減少する。その後、前記油の抽出工程に先立って、通常は乾燥工程が行われる。当該乾燥工程には時間と多くのエネルギーが必要なため、当該方法にかかる総費用を増大させている。
藻類からの油の製造は前記バイオマスからの油の抽出を要し、さらには、前記脂質分画を他の混入有機物質から精製することが好ましい。ある方法では、前記油は、有機溶媒を用いた溶媒抽出によって抽出される。例えば、米国特許6,166,231号では、バイオマスからの油の2相溶媒抽出法を記載している。米国特許5,458,897号では、植物原料、動物、及び土壌を非水性溶媒と混合し、該混合物にマイクロ波を照射することで、植物原料、動物、及び土壌から揮発性油を抽出する方法を開示している。
前記乾燥及び/又は溶媒抽出工程は時間を要し、当該抽出費用を増大させる。
藻類から油及び他産物を抽出する方法であって、従来の方法に付随する前記問題の1つ又はそれ以上を解決する方法が必要である。
この明細書において引用される全ての出版物は、参照によってここに折り込まれるものである。本明細書に折り込まれた如何なる資料における議論、行為、原料、装置、品物、及びその類は、単に本発明のコンテクストを提供するだけである。先行技術の一部を形成する又は当該関連分野における一般常識である如何なる事柄については、オーストラリア又はその他の地域において本出願の優先日以前に存在していたのであるから、了承を得る必要はない。
本発明は、経済的に採算の合う、微細藻類から油を製造する新規方法を提供する。詳しくは、本発明は、微細藻類バイオマスから製品価値のある物質を抽出及び分留する方法の研究、特に、湿った微細藻類バイオマスにマイクロ波を照射すると油脂製品が放出され、該油脂製品は途中で乾燥を行わなくても回収できる、という我々の発見から生まれたものである。
本発明は、その一形態として、(i)微細藻類からなる水性混合物にマイクロ波を照射する工程、及び、(ii)前記処理を行った微細藻類バイオマスから産物を含む油を回収する工程を備える、産物を含む油を微細藻類から抽出する方法を提供する。
有利なことに、前記微細藻類バイオマスは通常“湿った”バイオマスである。前記微細藻類バイオマスは、最大90%まで水を含む。当該“湿った”バイオマスから脂質含有物を抽出することは、前記微細藻類バイオマスから如何なる水も除去する必要がないことを意味し、これによって当該抽出方法は大変な高効率となる。なぜならば、別途乾燥工程を行うこと(通常は必要)は、概して時間とエネルギーを大量に要するからである。
いくつかの実施形態においては、前記微細藻類バイオマスは水を約10〜約90重量%含む。
また、我々は、前記バイオマスを含む水性混合物のpHを下げることで、微細藻類バイオマスから炭水化物(炭水化物性物質)を選択的に抽出できることを見出した。よって、本発明により、微細藻類バイオマスから脂質含有物及び炭水化物含有物を抽出する方法が提供される。当該方法は、(i)前記微細藻類バイオマスを含む水性混合物を提供する工程、(ii)前記水性混合物のpHを7未満(pH<7)に調整する工程、(iii)前記微細藻類バイオマスを含む水性混合物を加熱する工程、及び、(iv)前記バイオマスから前記脂質含有物と前記炭水化物含有物を分離する工程、を備えるものである。
さらに、我々は、前記バイオマスを含む水性混合物のpHを上げることで、微細藻類バイオマスからタンパク質(タンパク性物質)を選択的に抽出できることを見出した。よって、本発明により、微細藻類バイオマスから脂質含有物及びタンパク質含有物を抽出する方法も提供される。当該方法は、(i)前記微細藻類バイオマスを含む水性混合物を提供する工程、(ii)前記水性混合物のpHを7より高い値(pH>7)に調整する工程、(iii)前記微細藻類バイオマスを含む水性混合物を加熱する工程、及び、(iv)前記バイオマスから前記脂質含有物と前記タンパク質含有物を分離する工程、を備えるものである。
本書に記載する方法は、連続して行っても良い。そのようなものとして、本発明は、微細藻類バイオマスから脂質含有物、炭水化物含有物、及びタンパク質含有物を選択的に抽出するための方法を提供する。これには、いくつかの理由から利点がある。まず、前記脂質含有物は、実質的に炭水化物性及びタンパク性物質を含まない。次に、前記炭水化物含有物及びタンパク質含有物は、さらなる収益源を供する付加価値生産物である。
いくつかの実施形態では、前記方法は、pH<7で最初の抽出を行った後に、pH>7で1回又はそれ以上抽出を行い、その後前記脂質含有物を回収する工程を備えている。よって、本発明は、微細藻類バイオマスから脂質含有物、炭水化物含有物、及びタンパク質含有物を選択的に抽出するための方法を提供し、該方法は下記工程を備える;
(i)前記微細藻類バイオマスを含む最初の水性混合物を提供する工程;
(ii)前記最初の水性混合物のpHを7未満(pH<7)に調整する工程;
(iii)前記微細藻類バイオマスを含む前記酸性の最初の水性混合物を加熱して、最初の処理混合物を提供する工程;
(iv)前記最初の処理混合物から固体及び液体を分離し、最初の固体及び炭水化物含有液体を提供する工程;
(v)前記最初の固体と水性混合物を混合して、微細藻類バイオマスを含む2番目の水性混合物を提供する工程;
(vi)前記2番目の水性混合物のpHを7より高い値(pH>7)に調整する工程;
(vii)前記微細藻類バイオマスを含む前記アルカリ性の2番目の水性混合物を加熱して、2番目の処理混合物を提供する工程;
(viii)前記2番目の処理混合物から固体及び液体を分離し、2番目の固体及びタンパク質含有液体を提供する工程;
(ix)任意で、前記2番目の固体を用いて工程(v)から(viii)を行い、3番目の固体及びさらなるタンパク質含有液体を提供する工程;
(x)前記2番目の固体又は3番目の固体と水性混合物を混合して、最終の水性混合物を提供する工程;
(xi)前記最終の水性混合物を溶媒で処理する工程;
(xii)前記最終の水性混合物から前記溶媒を分離して、脂質含有物を含む固体を提供する工程。
いくつかの実施形態では、前記工程(ii)で生じる混合物のpHは、約0.5から約2の範囲である。ある特定の実施形態では、前記工程(ii)で生じる混合物のpHは約1である。
いくつかの実施形態では、前記工程(vi)で生じる混合物のpHは、約11から約14の範囲である。ある特定の実施形態では、前記工程(vi)で生じる混合物のpHは約13である。
前記微細藻類バイオマスを含む酸性又はアルカリ性水性混合物の加熱工程は、どのような適切な熱源を用いて行ってもよい。前記加熱工程は、大気圧下又は約大気圧下で行ってもよい。いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスを含む酸性又はアルカリ性水性混合物の加熱工程は、該混合物をマイクロ波照射処理することで行っている。
前記最終の水性混合物の溶媒処理で用いる溶媒は、どのような非水性溶媒であってもよい。
また、本発明は、本書に記載された方法によって産生される産物を提供する。
図1は、酸性及びアルカリ性条件下で、異なるマイクロ波照射時間による炭水化物の抽出効率を比較したプロットである。
図2は、酸性及びアルカリ性条件下で、異なるマイクロ波照射時間によるタンパク質の抽出効率を比較したプロットである。
図3は、酸性条件下のみでマイクロ波抽出を6回行った場合の炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図4は、酸性条件下のみでマイクロ波抽出を6回行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図5は、アルカリ性条件下のみでマイクロ波抽出を6回行った場合の炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図6は、アルカリ性条件下のみでマイクロ波抽出を6回行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図7は、アルカリ性条件下から酸性条件下でマイクロ波抽出を6回行った場合の炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図8は、アルカリ性条件下から酸性条件下でマイクロ波抽出を6回行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図9は、酸性条件下からアルカリ性条件下でマイクロ波抽出を6回行った場合の炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図10は、酸性条件下からアルカリ性条件下でマイクロ波抽出を6回行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図11は、抽出された炭水化物のグルコーススパイキングによる回収試験を示すプロットである。
図12は、抽出された炭水化物のBSAスパイキングによる回収試験を示すプロットである。
図13は、当該抽出バッファーの表面に浮いている、抽出された微細藻類脂質の写真である。
図14は、2.5gから25gのバイオマスについて、酸性条件下からアルカリ性条件下でマイクロ波抽出を6回行った場合の炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図15は、2.5gから25gのバイオマスについて、酸性条件下からアルカリ性条件下でマイクロ波抽出を6回行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図16は、micro−lowry法でマイクロ波抽出を6回行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図17は、micro−lowry法で前記マイクロ波抽出を6回行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図18は、バイオマスとバッファーの比率が1:10から1:5の間で抽出を行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図19は、湿ったバイオマスを用いてマイクロ波抽出を6回行った場合のタンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図20は、湿ったバイオマスを用いてマイクロ波抽出を6回行った場合の炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図21は、湿った、凍結乾燥した、及びオーブン乾燥したバイオマスの脂質含有量解析を示すプロットである。
図22は、藻類バイオマスの化学的性質を示すプロットである。
図23は、湿った藻類バイオマスのマイクロ波抽出条件を最適化した実験計画のフローチャートである。
図24は、湿った藻類バイオマスを用いた場合の灰分不含タンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図25は、湿った藻類バイオマスを用いた場合の灰分不含還元糖の抽出効率を示すプロットである。
図26は、湿った藻類バイオマスを用いた場合の灰分不含炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図27は、マイクロ波抽出を3回行った場合の灰分不含タンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図28は、マイクロ波抽出を3回行った場合の灰分不含炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図29は、マイクロ波抽出を3回行った場合のタンパク質及び炭水化物の回収率を示すプロットである。
図30は、マイクロ波抽出方法における物質のマスバランスを示すプロットである。
図31は、マイクロ波抽出工程での脂質の回収率及び損失率を示すプロットである。
図32は、異なるpHでマイクロ波抽出を行った場合の灰分不含炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図33は、異なるpHでマイクロ波抽出を行った場合の灰分不含タンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図34は、異なるpHでマイクロ波抽出を行った場合の灰分不含還元糖の抽出効率を示すプロットである。
図35は、異なるpHでマイクロ波抽出を行った場合の総炭水化物及び総タンパク質の回収率を示すプロットである。
図36は、異なる加熱方法を用いた場合の灰分不含タンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図37は、異なる加熱方法を用いた場合の灰分不含炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図38は、炭水化物、タンパク質、及び脂質の総含有量を示すプロットである。
図39は、異なるマイクロ波抽出温度及び時間を用いた場合の灰分不含タンパク質の抽出効率を示すプロットである。
図40は、異なるマイクロ波抽出温度及び時間を用いた場合の灰分不含炭水化物の抽出効率を示すプロットである。
図41は、異なる温度及び時間でマイクロ波抽出を行った場合の消費電力に基づく総タンパク質及び炭水化物の生産性を示すプロットである。
図42は、異なる抽出条件での総消費電力を示すプロットである。
図43は、25mlのサンプルスケールで異なる条件で抽出した場合の消費電力に基づく総タンパク質及び総炭水化物の生産性を示すプロットである。
図44は、異なるサンプルスケールでマイクロ波抽出を行った場合の消費電力に基づく総タンパク質及び総炭水化物の生産性を示すプロットである。
最初の一形態として、本発明は、微細藻類バイオマスから脂質含有物を抽出する方法を提供し、該方法は、(i)微細藻類バイオマスを含む水性混合物をマイクロ波照射処理する工程と、(ii)前記処理された微細藻類バイオマスから脂質含有物を回収する工程を備える。
本願で用いているように、“微細藻類”、“微細藻類の”という語句、及び関連語句は、あらゆる単細胞光合成微生物を意味する。また、微細藻類は、植物性プランクトン、微小植物、又はプランクトン性藻類とも呼ばれるものである。典型的な微細藻類には、緑藻類(緑色植物)及び藍藻類(藍色植物)が含まれる。
本願で用いているように、“バイオマス”という語句は、生命体又は最近まで生命体であったものを意味する。
本願で用いているように、“脂質”という語句は、脂肪、油、ワックス、ステロール、又はトリグリセリドのように、水に不溶だが非極性有機溶媒に可溶で触ると油っぽいあらゆる有機化合物を意味する。
本願で用いているように、“炭水化物”という語句は、砂糖、澱粉、セルロース、又はゴムのように、動物の食事において主エネルギー源となるあらゆる有機化合物を意味する。
本願で用いているように、“タンパク質”という語句は、炭素、水素、酸素、窒素、及び通常は硫黄を含み、1又はそれ以上のアミノ酸鎖からなるあらゆる複合有機高分子化合物を意味する。
前記脂質含有物、そしてオプションとして炭水化物含有物及び/又はタンパク質含有物が抽出される前記微細藻類バイオマスは、水性懸濁液である。前記水性懸濁液は、乾燥バイオマスを水和させることで得てもよい。前記水和は、前記乾燥バイオマスを該バイオマスの再水和に適した温度で一時的に水と接触させることで行ってもよい。例として、前記乾燥バイオマスを約60秒間水に浸すことで、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を得てもよい。
あるいは、前記微細藻類の水性懸濁液は、乾燥工程を経たことがない“湿った”バイオマスであってもよい。先に述べたように、前記乾燥工程は、微細藻類から脂質を抽出する際によく行われるが多くの時間とエネルギーを要する工程であり、それゆえ、“湿った”バイオマスから脂質含有物を直接抽出することには格別の利点がある。
あるいは、前記微細藻類の水性懸濁液は、パーシャルな乾燥工程を経た濃縮藻類ペーストであってもよい。
前記微細藻類の水性懸濁液は、水を約10〜約90重量%含む。
前記微細藻類は、如何なる適切な微細藻類種に由来してもよい。特定の微細藻類種は、当該バイオマスに由来する特定の産物に基づいて選択されてもよい。例として、バイオ燃料は、海洋微細藻類のナンノクロロプシス(Nanochloropsis sp.)に由来してよい。前記微細藻類は、当該特定の種に適したことが知られる条件で培養してもよい。例として、海洋微細藻類のナンノクロロプシスは、適切な培地を添加した海水池で培養してもよい。また、前記微細藻類は、無菌条件下で温度及び光強度を含む多くのパラメーターが制御できる光バイオリアクターシステムを用いて培養することもできる。
前記脂質含有物は、前記バイオマスから放出された後は、前記水性懸濁液の表面に油層を形成してもよい。その後、前記脂質は、前記水性懸濁液から物理的に分離することが可能である。前記油層の前記水層及び前記懸濁液中のあらゆる固形物からの分離を促進するために、任意で、前記水性懸濁液にマイクロ波照射を行い、その後遠心に供してもよい。また、前記脂質含有物を前記水層及び前記懸濁液中のあらゆる固形物から抽出するために、任意で、前記水性懸濁液にマイクロ波照射を行い、その後溶媒抽出に供してもよい。溶媒抽出は、前記脂質含有物が前記バイオマスに結合している場合に特に有益である。適切な溶媒には、非水性溶媒が含まれる。適切な非水性溶媒には、非極性有機液体が含まれる。ヘキサンや石油エーテルのような炭化水素は、この目的に適した非極性有機液である。他の適切な溶媒には、エステル、エーテル、ケトン、並びに窒素化及び塩素化された炭化水素が含まれる。
脂質抽出に加えて、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液のpHを下げることで、前記微細藻類バイオマスから炭水化物性物質も選択的に抽出することができる。よって、本発明により、微細藻類バイオマスから脂質含有物及び炭水化物含有物を抽出する方法が提供され、該方法は、(i)微細藻類バイオマスの水性懸濁液を提供する工程、(ii)前記水性懸濁液のpHを7未満(pH<7)に調整する工程、(iii)前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を加熱する工程、及び、(iv)前記バイオマスから前記脂質含有物と前記炭水化物含有物を分離する工程、を備えるものである。
前記水性懸濁液のpHは、適切な酸を用いて低下させてよい。当該酸は、有機酸又は無機酸であってよい。いくつかの実施形態では、前記酸は無機酸である。前記無機酸は、硫酸、硝酸、塩酸、及びフッ化水素酸からなる群から選択されてよい。いくつかの特別な実施形態では、前記酸は硫酸である。
前記水性懸濁液のpHは、pH6より低下させてもよい。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH5よりも下である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH4よりも下である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH3よりも下である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH2よりも下である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH0.5と約pH3の間である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH0.5と約pH2の間である。
前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を加熱する工程は、如何なる適切な熱源を用いて行ってもよい。多くの熱源が当業者に知られており、この目的に用いることができる。例として、熱浴、オートクレーブ、及びマイクロ波オーブンが含まれる。前記加熱工程は、大気圧下又は大気圧より高い圧力下で行ってもよい。後者の場合には、オートクレーブを用いてもよい。
我々は、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射することで前記加熱工程を行うことの格別な利点を見出した。前記マイクロ波照射を用いることの利点の一つは、当該工程にかかる時間の短縮である。
前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、該微細藻類バイオマスの水性懸濁液を含む容器をマイクロ波オーブン内に設置する工程を備えてよい。あるいは、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液は、連続フローチューブが内部に設置されたマイクロ波オーブンの内部を通過させてもよい。前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液は、前記水性懸濁液から前記脂質含有物を分離させるのに要する時間、マイクロ波に暴露してよい。いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を約1分から約30分間マイクロ波に暴露している。いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を約10分間マイクロ波に暴露している。前記微細藻類バイオマスを前記マイクロ波に暴露する時間は、少なくとも部分的には、前記マイクロ波オーブンの出力に依存するだろう。
いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、最初のマイクロ波電力で該懸濁液の温度が約80℃から約110℃の間に上がるまで照射し、その後、前記最初の電力より弱い2番目のマイクロ波電力を用いて約1分から約30分間前記懸濁液の温度を約80℃から約110℃の間に維持する工程を備えている。ある特定の実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、前記懸濁液を約1000ワットのマイクロ波電力で該懸濁席の温度が約100℃に上がるまで照射し、その後、約200ワットのマイクロ波電力を与えることで該懸濁液の温度を約100℃に約10分間維持する工程を備えている。
前述したように加熱した後、前記脂質含有物は、前記水性懸濁液の最上部の油層中に検出されるだろう。これに対し、前記炭水化物含有物は、前記水溶液中に検出することができる。その場合には、前記油層と前記水性の液体は遠心によって前記固形のバイオマスから分離することができる。これにより、燃料として直接又は間接的な使用に適した油と、炭水化物を含む水溶液が提供される。要するなら、前記炭水化物は、溶媒蒸発法、結晶化法、クロマトグラフィー法等の標準的な技術を用いて前記水溶液から回収してもよい。あるいは、前記脂質含有物は、前記工程の後期において、後に詳述する溶媒抽出法を用いて前記水性懸濁液から抽出してもよい。
また、タンパク質性物質も、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁性のpHを上げることで微細藻類バイオマスから選択的に抽出することが可能である。よって、第3の態様として、本発明は、微細藻類バイオマスからの脂質含有物とタンパク質含有物の抽出方法を提供する。当該方法は、(i)前記微細藻類バイオマスを含む水性懸濁液を提供する工程、(ii)前記水性懸濁液のpHを7より高い値(pH>7)に調整する工程、(iii)前記微細藻類バイオマスを加熱する工程、及び、(iv)前記バイオマスから前記脂質含有物と前記タンパク質含有物を分離する工程、を備えるものである。
前記水性懸濁液のpHは、適切な塩基を用いて上昇させてよい。当該塩基は、有機塩基又は無機塩基であってよい。いくつかの実施形態では、前記塩基は無機塩基である。前記無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムからなる群から選択されてよい。いくつかの特別な実施形態では、前記塩基は水酸化ナトリウムである。
前記水性懸濁液のpHは、pH8より上昇させてもよい。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH9よりも上である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH10よりも上である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH11よりも上である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH12よりも上である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH10と約pH13.5の間である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH11と約pH13.5の間である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH12と約pH13.5の間である。
前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を加熱する工程は、如何なる適切な熱源を用いて行ってもよい。多くの熱源が当業者に知られており、この目的に用いることができる。例として、熱浴、オートクレーブ、及びマイクロ波オーブンが含まれる。前記加熱工程は、大気圧下又は大気圧より高い圧力下で行ってもよい。後者の場合には、オートクレーブを用いてもよい。
前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、該微細藻類バイオマスの水性懸濁液を含む容器をマイクロ波オーブン内に設置する工程を備えてよい。あるいは、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液は、連続フローチューブが内部に設置されたマイクロ波オーブンの内部を通過させてもよい。前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液は、前記水性懸濁液から前記脂質含有物を分離させるのに要する時間、マイクロ波に暴露してよい。いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を約1分から約30分間マイクロ波に暴露している。いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を約10分間マイクロ波に暴露している。前記微細藻類バイオマスを前記マイクロ波に暴露する時間は、少なくとも部分的には、前記マイクロ波オーブンの出力に依存するだろう。
いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、最初のマイクロ波電力で該懸濁液の温度が約80℃から約110℃の間に上がるまで照射し、その後、前記最初の電力より弱い2番目のマイクロ波電力を用いて約1分から約30分間前記懸濁液の温度を約80℃から約110℃の間に維持する工程を備えている。ある特定の実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、前記懸濁液を約1000ワットのマイクロ波電力で該懸濁席の温度が約100℃に上がるまで照射し、その後、約200ワットのマイクロ波電力を与えることで該懸濁液の温度を約100℃に約10分間維持する工程を備えている。
前述したように加熱した後、前記脂質含有物は、前記水性懸濁液の最上部の油層中に検出されるだろう。これに対し、前記タンパク質含有物は、前記水溶液中に検出することができる。その場合には、前記油層と前記水性の液体は遠心によって前記固形のバイオマスから分離することができる。これにより、燃料として直接又は間接的な使用に適した油と、タンパク質を含む水溶液が提供される。要するなら、前記タンパク質は、溶媒蒸発法、結晶化法、クロマトグラフィー法等の標準的な技術を用いて前記水溶液から回収してもよい。あるいは、前記脂質含有物は、前記工程の後期において、後に詳述する溶媒抽出法を用いて前記水性懸濁液から抽出してもよい。
前記酸性及びアルカリ性での抽出は連続して行ってもよい。よって、前記水性懸濁液のpHは低くてもよく、該懸濁液を加熱し、当該混合液を遠心することで、油層、炭水化物を含む水層、及びバイオマスペレットを産生してもよい。その後、前記バイオマスペレットをpH>7の水溶液に懸濁して、2番目の水性懸濁液を得ることができる。当該2番目の水性懸濁液は、加熱した後に該混合物を遠心することで、(もし、存在するならば)脂質を含有する層、タンパク質を含有する水層、及びバイオマスペレットを生じてもよい。当該工程は、要すれば、繰り返し行ってもよい。
いくつかの実施形態では、前記方法は、pH<7での最初の抽出工程、その後に1又はそれ以上のpH>7での抽出工程、その後さらに前記脂質含有物の回収工程を備える。よって、本発明により、微細藻類バイオマスから脂質含有物、炭水化物含有物、及びタンパク質含有物を抽出する方法が提供される。当該方法は、
(i)前記微細藻類バイオマスを含む最初の水性混合物を提供する工程;
(ii)前記最初の水性混合物のpHを7未満(pH<7)に調整する工程;
(iii)前記微細藻類バイオマスを含む前記酸性の最初の水性混合物を加熱して、最初の処理混合物を提供する工程;
(iv)前記最初の処理混合物から固体及び液体を分離して、最初の固体及び炭水化物含有液体を提供する工程;
(v)前記最初の固体と水性混合物を混合して、微細藻類バイオマスを含む2番目の水性混合物を提供する工程;
(vi)前記2番目の水性混合物のpHを7より高い値(pH>7)に調整する工程;
(vii)前記微細藻類バイオマスを含む前記アルカリ性の2番目の水性混合物を加熱して、2番目の処理混合物を提供する工程;
(viii)前記2番目の処理混合物から固体及び液体を分離し、2番目の固体及びタンパク質含有液体を提供する工程;
(ix)任意で、前記2番目の固体を用いて工程(v)から(viii)を行い、3番目の固体及びさらなるタンパク質含有液体を提供する工程;
(x)前記2番目の固体又は3番目の固体と水性混合物を混合して、最終の水性混合物を提供する工程;
(xi)前記最終の水性混合物を溶媒で処理する工程;
(xii)前記最終の水性混合物から前記溶媒を分離して、脂質含有物を含む固体を提供する工程、
を備えるものである。
前記水性懸濁液のpHは、pH6より低下させてもよい。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH5よりも下である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH4よりも下である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH3よりも下である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH2よりも下である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH0.5と約pH3の間である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH0.5と約pH2の間である。いくつかの実施形態では、工程(ii)で生じる前記混合物のpHは、約pH0.5と約pH2の間の範囲である。いくつかの特別な実施形態では、工程(ii)で生じる前記混合物のpHは、約1である。
前記水性懸濁液のpHは、pH8より上昇させてもよい。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH9よりも上である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH10よりも上である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH11よりも上である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH12よりも上である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH10と約pH13.5の間である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH11と約pH13.5の間である。いくつかの実施形態では、前記水性懸濁液のpHは、約pH12と約pH13.5の間である。いくつかの実施形態では、工程(vi)で生じる前記混合物のpHは、約pH11と約pH14の間の範囲である。いくつかの特別な実施形態では、工程(vi)で生じる前記混合物のpHは、約13である。
前記微細藻類バイオマスを含む酸性又はアルカリ性水性混合物を加熱する工程は、如何なる適切な熱源を用いて行ってもよい。前記加熱工程は、大気圧下又は大気圧より高い圧力下で行ってもよい。いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスを含む酸性又はアルカリ性水性混合物を加熱する工程は、該混合物をマイクロ波照射することで行っている。
前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、該微細藻類バイオマスの水性懸濁液を含む容器をマイクロ波オーブン内に設置する工程を備えてよい。あるいは、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液は、連続フローチューブが内部に設置されたマイクロ波オーブンの内部を通過させてもよい。前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液は、前記水性懸濁液から前記脂質含有物を分離させるのに要する時間、マイクロ波に暴露してよい。いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を約1分から約30分間マイクロ波に暴露している。いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液を約10分間マイクロ波に暴露している。前記微細藻類バイオマスを前記マイクロ波に暴露する時間は、少なくとも部分的には、前記マイクロ波オーブンの出力に依存するだろう。
いくつかの実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、最初のマイクロ波電力で該懸濁液の温度が約80℃から約110℃の間に上がるまで照射し、その後、前記最初の電力より弱い2番目のマイクロ波電力を用いて約1分から約30分間前記懸濁液の温度を約80℃から約110℃の間に維持する工程を備えている。ある特定の実施形態では、前記微細藻類バイオマスの水性懸濁液をマイクロ波照射する工程は、前記懸濁液を約1000ワットのマイクロ波電力で該懸濁席の温度が約100℃に上がるまで照射し、その後、約200ワットのマイクロ波電力を与えることで該懸濁液の温度を約100℃に約10分間維持する工程を備えている。
前記最終の水性混合物の溶媒処理工程に用いる溶媒は、どのような非水性溶媒でもよい。
前記微細藻類バイオマスに由来する脂質含有物(油)、炭水化物、及びタンパク質は、幅広い用途に用いることができる。微細藻類油は、多様な機能を有する異なる種類の脂肪酸から構成されている。当該中性脂肪酸、トリアシルグリセロール(TAG)はバイオ燃料に用いることができ、オメガ−3−脂肪酸のDHA及びEPAのような多価不飽和脂肪酸は栄養補助食品として用いることができ、膜脂質はバイオサーファクタント及びバイオ潤滑油として使用してもよい。要すれば、前記脂質含有物をさらに分画及び/又は精製して、特定の脂質又はさらなる用途を生じてもよい。
前記微細藻類由来タンパク質は、ヒト及び動物のための食糧又は飼料用タンパク質補助食品として用いることが可能である。また、微細藻類タンパク質は、生体触媒作用及び生体内変化における新規酵素の非常に重要な源となり得るものである。さらに、これらのタンパク質の加水分解によって、食糧、栄養補助食品、及び薬品に用いることができる機能性ポリペプチド及びオリゴペプチドが供給される。
前記微細藻類由来炭水化物は、バイオポリマー、並びに、バイオエタノール、乳酸、抗生物質といった化学物質の発酵生産のための原料糖として用いることができる。前記微細藻類炭水化物の加水分解により、ヒトのための栄養及び健康製品に用いることができる機能性ポリサッカライド又はオリゴサッカライドが供給される。
以降、以下の実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
海洋微細藻類のナンノクロロプシス(Nanochloropsis sp.)から微細藻類バイオマスを得た。ナンノクロロプシス(Nanochloropsis sp.)を、20pptの海水とF/2培地を含む3000リットルの屋外管路池中で培養した。当該pHは、1−5%の二酸化炭素を用いて概ね7.9から8.2の間に制御した。温度及び照明は、屋外では制御しなかった。
また、前記微細藻類は、光バイオリアクターを用いて、温度と光強度を含む多くのパラメーターが制御された無菌条件下でも培養した。
実施例1 酸性及びアルカリ性条件下での乾燥微細藻類バイオマスからのマイクロ波抽出
材料
バッチ番号29の乾燥微細藻類バイオマスを、南オーストラリア研究開発研究所(South Australian Research and Development Institute, SARDI)から得た。
装置
マイクロ波抽出には、Milestone社製、Start Synth microwave synthesis labstationを用いた。
方法
乾燥バイオマス(2.5g)を50mlの丸平底フラスコに入れた。当該試料に、25mlの0.5M 硫酸溶液又は25mlの0.5M 水酸化ナトリウムを加えた。前記試料を室温で約1時間保温した後、100℃で2、5、10、又は30分間、マイクロ波照射を行った。
その後、前記試料を10,000gで10分間遠心し、当該最上層(脂質)と中間層(炭水化物及びタンパク質)を別々に回収した。
前記脂質抽出物は重量法で、前記炭水化物抽出物はDNS法で、前記タンパク質抽出物はBCA法でそれぞれ解析した。
結果
脂質抽出
前記酸性又はアルカリ性のいずれかの条件下でマイクロ波抽出された脂質の総量を解析するのは困難であった。前記最上層2mlを回収して重量法で解析したところ、2.5gの乾燥バイオマスから抽出された脂質の総量は、10mgより少なかった。しかしながら、当該問題は、抽出をラージスケールで行うことで解決される。
炭水化物及びタンパク質抽出におけるマイクロ波照射時間の最適化
炭水化物及びタンパク質抽出に要する処理条件を最適化するために、マイクロ波抽出を2分、5分、10分、及び30分間行った。
当該結果を図1に示す。前記アルカリ性条件下での抽出は、炭水化物の抽出には不適であった。2、5、10、及び30分の抽出に基づいて計算される炭水化物の含有量は、すべて0.2%より低かった。一方、酸性条件下で2、5、10、及び30分の抽出に基づいて計算される炭水化物の含有量は約4%から5%で、30分の照射で最高値が得られ、2分の照射で最低値が得られた。5分と10分の照射に基づいて計算される炭水化物の含有量には、わずかな違いしかなかった。
図2に示すように、タンパク質の抽出には、酸性条件よりもアルカリ性条件の方が良かった。アルカリ性条件下で2、5、10、及び30分の抽出に基づいて計算されるタンパク質の含有量は4%から6%で、30分の照射で最高値が得られた。酸性条件下で2、5、10、及び30分の抽出に基づいて計算されるタンパク質の含有量は、2%から3%であった。30分の照射で最高値が得られ、10分の照射で2番目に高い値が得られた。
さらに、異なる照射時間によって得られる炭水化物とタンパク質の含有量を比べてみると、違いはわずかであった。しかしながら、炭水化物とタンパク質の両方において抽出効率が高く、且つ、エネルギーと時間を節約するために、さらなる実験では抽出を10分とすることにした。
酸性条件下での反復マイクロ波抽出
前記乾燥微細藻類バイオマスからの炭水化物及びタンパク質の抽出効率を調べるために、前記酸性条件下でのマイクロ波抽出を6回繰り返した。
図3に示すように、6回の酸性抽出を行った後では、乾燥微細藻類バイオマスから抽出された炭水化物の総量は約6.5%であった。最初の抽出で前記乾燥微細藻類バイオマスの重量の約4%に相当する炭水化物、すなわち、当該炭水化物量総抽出量の58.35%が回収され、当該2番目の抽出で当該炭水化物量総抽出量の23.91%が回収された。よって、1番目と2番目の酸性条件下マイクロ波抽出により、前記炭水化物の約85%を抽出することができる。
しかしながら、酸性条件下でのタンパク質の抽出効率は、炭水化物の当該抽出効率とは異なっていた。最初の抽出で前記乾燥微細藻類バイオマスの重量の約2.6%に相当するタンパク質、すなわち、当該6回の抽出によるタンパク質総抽出量の33.85%が回収された。当該2番目から6番目の抽出で得られる当該値はほぼ同じであった。このことは、乾燥微細藻類バイオマスからタンパク質を抽出するには、酸性条件下でのマイクロ波抽出はあまり効率的ではないことを示している。
アルカリ性条件下での反復マイクロ波抽出
乾燥微細藻類バイオマスからの炭水化物及びタンパク質の抽出効率を調べるために、前記アルカリ性条件下でのマイクロ波抽出を6回繰り返した。
アルカリ性条件下でのマイクロ波抽出は、微細藻類バイオマスからの炭水化物の抽出には適していなかった。6回の繰り返し抽出によって前記乾燥微細藻類バイオマスから抽出される炭水化物の総量は、0.2重量%より少なかった(炭水化物のg/前記乾燥微細藻類バイオマスのg)。しかしながら、図6に示すように、6回の連続したアルカリ性抽出の後に、2.5gの乾燥微細藻類バイオマスから抽出されるタンパク質の総量は約0.28g、すなわち、当該乾燥バイオマスの11%であった。最初の抽出で当該タンパク質総抽出量の約52.72%が回収され、当該2番目の抽出で当該タンパク質総抽出量の20.93%が回収された。よって、1番目と2番目のアルカリ性条件下マイクロ波抽出により、前記タンパク質の約74%を抽出することができる。
アルカリ性から酸性条件下での反復マイクロ波抽出
乾燥微細藻類バイオマスからの炭水化物及びタンパク質の抽出効率を調べるために、アルカリ性条件下から酸性条件下でのマイクロ波抽出を6回繰り返した。最初の抽出はアルカリ性条件下で行い、当該2番目と3番目の抽出では酸性条件に変更した。当該4番目と5番目の抽出は再度アルカリ性条件下で行い、当該6番目の抽出では酸性条件に変更した。
当該結果を図7に示す。前記アルカリ性条件のみ又は酸性条件のみでの抽出と比べて、前記アルカリ性から酸性条件での反復抽出の結果は異なっていた。最初のアルカリ性抽出で前記乾燥バイオマスから抽出された炭水化物は0.2%よりも少なく、この結果はアルカリ性のみで抽出した場合の結果と同じである。しかしながら、酸性条件に変更後、当該2番目と3番目の抽出では、さらに低い炭水化物の抽出効率となった。前記酸性条件のみの抽出では、当該最初と2番目の抽出では約4%と1.5%の炭水化物が得られた。当該アルカリ性抽出を酸性抽出に変更した後の2番目と3番目の抽出はいずれも酸性条件下で行われ、これら2回の抽出で得られた炭水化物量はわずか1.5%と1%であった。さらに、6回の酸性抽出によって得られた炭水化物総量は約6.5%で、6回のアルカリ性から酸性抽出によって得られた炭水化物総量は約3%であった。
タンパク質の抽出結果を図8に示す。前記アルカリ性から酸性での6回の繰り返し抽出に基づいて計算されるタンパク質総量は約14%で、アルカリ性抽出のみ6回行った場合に得られる値よりも高値であった。さらに、当該最初のアルカリ性抽出では前記乾燥微細藻類バイオマスの重量の約6%に相当するタンパク質が得られ、これは当該タンパク質総抽出量の42.15%に相当する。当該2番目と3番目の(酸性)抽出を合わせると、前記乾燥微細藻類バイオマスの重量の約4%分が得られ、この値は前記酸性条件のみの最初と2番目の抽出で得られる値と同様である(図4)。前記2番目と3番目の(酸性)抽出と比較して、当該4番目の(アルカリ性)抽出ではさらにタンパク質が抽出された。
酸性からアルカリ性条件下での反復マイクロ波抽出
乾燥微細藻類バイオマスからの炭水化物及びタンパク質の抽出効率を調べるために、酸性条件下からアルカリ性条件下でのマイクロ波抽出を6回繰り返した。最初の抽出は酸性条件下で行い、当該2番目と3番目の抽出ではアルカリ性条件に変更した。当該4番目と5番目の抽出は再度酸性条件下で行い、当該6番目の抽出ではアルカリ性条件に変更した。
当該結果を図9に示す。酸性条件下での反復抽出による乾燥バイオマスからの炭水化物の抽出成績は、前記アルカリ性条件のみ又は酸性条件のみでの抽出結果(図6)と同様であった。当該炭水化物の大部分は当該最初、4番目、及び5番目の(酸性)抽出によって抽出され、その量は6回の全抽出によって抽出される炭水化物総量の約95%である。しかしながら、当該2番目、3番目、及び6番目の(アルカリ性)抽出は当該乾燥バイオマスのわずか約5%分しか貢献していないが、これら3回の抽出によって計算される炭水化物の実分は、前記アルカリ性抽出のみで得られる結果(図5)よりも高い。
しかしながら、前記酸性からアルカリ性での6回の繰り返し抽出に基づいて計算されるタンパク質総量は約10%で、アルカリ性抽出のみ6回行った場合に得られる値(図6)よりも高く、前記アルカリ性から酸性での抽出によって得られる結果(図8)と同様である。さらに、前記アルカリ性抽出は、タンパク質に関しては、前記酸性抽出よりも良い成績を示した。当該2番目、3番目、及び6番目の(アルカリ性)抽出によって、抽出されたタンパク質の約65%が得られた。
乾燥バイオマスに既知量の脂質、炭水化物、及びタンパク質を添加する(スパイクする)ことによる、脂質、炭水化物、及びタンパク質の回収率試験
前記乾燥微細藻類バイオマスに、4mgの標準タンパク質としてBSA、125mgのグルコース、及び0.260gの菜種油を添加した。その後、“酸性−アルカリ性−アルカリ性−酸性−酸性−アルカリ性”の手順を踏んで、複数回の抽出を行った。コントロール抽出として、タンパク質、グルコール、又は油非添加でも抽出を行った。
脂質回収率の測定は依然として困難であった。0.26gの油を添加した場合でさえ、当該処理後に回収された油の量は少なすぎて解析できなかった。
前記炭水化物の回収率については、前記スパイクした物質からは当該最初の酸性抽出で213.64mg相当のグルコースが回収された。これは、回収量が78.08mgであった前記コントロール抽出(図11)よりも、135.56mg多い値である。当該値は、前記添加したグルコースの量、すなわち、125グラムに非常に近い値である。この結果は、前記添加したグルコースの全量が当該最初の酸性抽出で回収されたことを示している。前記添加したBSAタンパク質と菜種油は、前記添加されたバイオマスから回収されたグルコースの超過分10mg相当に寄与したかもしれない。
前記標準条件(コントロールに用いた条件)下で抽出されたグルコース総量は107.23mgで、同じ条件下の前記方法で得られた値の平均値、すなわち、131.05mg(図9)よりも少ないことは、注目すべきである。
前記タンパク質の回収率については、前記スパイクした物質からの当該最初の酸性抽出で51.5mg相当のBSAが回収された。これは、回収量が38.25mgであった前記コントロール抽出(図12)よりも、13.25mg多い値である。しかしながら、当該抽出の前に添加されたBSA量(4mg)と比較すると、前記試験での値の方が高い。さらに、前記6回の抽出で回収されたタンパク質総量と比べると、前記添加試料は前記コントロール試料よりも多い23.5g相当のBSAを示した。前記添加されたタンパク質の量が少なすぎて、前記反復実験間の差異をカバーできなかったことが考えられる。
実施例2 選択された条件下での抽出工程のスケールアップ
前記マイクロ波抽出において当該炭水化物及びタンパク質の大部分を回収するために、前記酸性からアルカリ性(酸性−アルカリ性−アルカリ性−酸性−酸性−アルカリ性)での反復条件を選択した。図9及び10によれば、6回の抽出によって前記乾燥微細藻類バイオマスから抽出された炭水化物量は5%にも及び、6回の抽出によって前記乾燥微細藻類バイオマスから抽出されたタンパク重量は10%にも及んだ。さらに、図9によれば、前記抽出された炭水化物のうち大部分は当該最初の酸性抽出で抽出することができ、当該2番目と3番目の抽出で抽出される炭水化物はごくわすかであった。タンパク質に関しては、当該最初の酸性抽出が前記抽出されたタンパク質総量の約25%に寄与し、当該2番目と3番目の抽出では各々総抽出タンパク質の約30%と20%が得られた。よって、前記酸性からアルカリ性での抽出条件は、当該炭水化物とタンパク質の抽出効率を最大化するだけでなく、産物の分離を容易にし得るものである。前記最初の酸性抽出の後、当該抽出炭水化物の大部分は除去される。よって、当該2番目と3番目のアルカリ性抽出物は、炭水化物をほとんど含まない。
材料
バッチ番号29の乾燥微細藻類バイオマスを、南オーストラリア研究開発研究所(SARDI)から得た。
装置
マイクロ波抽出には、Milestone社製、Start Synth microwave synthesis labstationを用いた。
方法
乾燥バイオマス(25g)を50mlの平底フラスコに入れた。当該試料に、0.5M 硫酸(250ml)を加え、該試料を室温で約1時間保温した。その後、当該試料をマイクロ波オーブン内で100℃で10分間照射した。
その後、前記試料を10,000gで10分間遠心し、当該最上層(脂質)と中間層(炭水化物及びタンパク質)を別々に回収し、最初の抽出物とした。
当該ペレットを250mlの0.5M 水酸化ナトリウムに再懸濁し、前記マイクロ波照射、遠心とその産物の分離工程を繰り返して、2番目の抽出物を得た。
当該ペレットを再度250mlの0.5M 水酸化ナトリウムに再懸濁し、前記マイクロ波照射、遠心とその産物の分離工程を繰り返して、3番目の抽出物を得た。
当該ペレットを再度250mlの0.5M 硫酸に再懸濁し、前記マイクロ波照射、遠心とその産物の分離工程を繰り返して、4番目の抽出物を得た。
当該ペレットを再度250mlの0.5M 硫酸に再懸濁し、前記マイクロ波照射、遠心とその産物の分離工程を繰り返して、5番目の抽出物を得た。
最終的に、当該ペレットを再度250mlの0.5M 水酸化ナトリウムに再懸濁し、前記マイクロ波照射、遠心とその産物の分離工程を繰り返して、6番目の抽出物を得た。
前記脂質抽出物は重量法で、前記炭水化物抽出物はDNS法で、前記タンパク質抽出物はBCA法でそれぞれ解析した。
結果
脂質抽出物
各抽出後に脂質の層は観察されなかった。よって、当該抽出における脂質総量を増やすために、前記各抽出工程で得られた上清を回収して1つにまとめた。しかしながら、当該試料を室温で一晩静置させた後でも、脂質の層は観察されなかった。当該試料中には多量のバイオマスが浮いており、これによって当該抽出された脂質の視認が困難になっていると考えられた。よって、前記試料の最上層から100mlの試料を回収し、この試料について、重量法による脂質の解析を行った。
前記抽出された脂質が視認しにくかったのは、当該容器の形状のせいでもあった。典型的なビーカーでは、大量の水の上(最上層)にある少量の油を認識するのは困難である。よって、前記試料中の水の量を減らすことなく前記抽出された油を濃縮するために、体積測定用のフラスコを用いた。前記脂質を含有すると考えられる抽出物を、当該試料の容量に従って、適切な体積測定用フラスコに入れた。一晩静置させた後に、少量の油が前記フラスコの側面に認められた(図13)。
炭水化物及びタンパク質抽出物
前記ラージスケールでの炭水化物の抽出結果をスモールスケールでの結果と比較した(図14)。これより、前記炭水化物抽出のスケールアップは好ましいことがわかる。しかしながら、図15に示すように、前記ラージスケールでの当該タンパク質の抽出効率は、前記スモールスケールでの抽出効率と同様であった。
実施例3 異なる微細藻類バイオマス群(バッチ)からの抽出
材料
南オーストラリア研究開発研究所(SARDI)から乾燥微細藻類バイオマスを入手し、60から80℃でオーブン乾燥した。
装置
マイクロ波抽出には、Milestone社製、Start Synth microwave synthesis labstationを用いた。
方法
微細藻類粉末(2.5g)を50mlの平底フラスコに入れた(2セット)。当該試料に0.5M 硫酸(25ml)を加え、該試料を室温で約1時間保温して前記バイオマスを再水和させた。当該試料のpHを測定し、その後、当該試料に対しマイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
・各試料の温度が100℃に上がるまで、該試料に1000ワットのマイクロ波を照射する(通常、25mlの試料に対し、約30秒を要する);
・前記試料に200ワットのマイクロ波を照射して、該試料の温度を10分間100℃に維持する。
その後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却し、遠心用チューブに移して、10,000gで10分間遠心を行った。
当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移し、該体積を測定した。炭水化物及びタンパク質の解析用に、当該上清1mlを1.5ml用遠心チューブに移した。
前記最初の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、2番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記2番目の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、3番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記3番目の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 硫酸溶液に懸濁し、4番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記4番目の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 硫酸溶液に懸濁し、5番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記5番目の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、6番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
結果
表1に示すように、前記異なる条件下の抽出工程でのpHは様々であった。当該最初の抽出工程におけるpHは1.2であった。これは、前記バイオマスは強アルカリ性条件下で収穫され、添加した酸の一部は当該アルカリ性バイオマスによって中和されたからである。前記最初の抽出工程の後、前記2番目と3番目の抽出工程のバッファーとして0.5M 水酸化ナトリウム溶液を加えることにより、当該pHは13に上昇した。前記4番目と5番目は酸性条件下での抽出工程で、当該pHは前記最初の抽出工程におけるpHよりも低い値、すなわち、約0.7に低下した。最終的に、前記6番目の抽出工程におけるpHは、0.5M 水酸化ナトリウム溶液の添加により、13.6に上昇した。
前記各抽出工程後の上清の体積も様々であった。前記最初の抽出工程後、22.5mlの上清が回収された。これは、当該抽出のために加えたバッファーの体積よりも約2.5ml少ない量である。前記最初の抽出工程は乾燥バイオマスから始めたので、前記抽出バッファーの一部は前記ペレット中で当該バイオマスに吸収されたかもしれない。前記2番目から6番目の抽出工程では、当該上清の体積は加えたバッファーの体積に近かった。
表1:各抽出工程におけるpH値と上清の体積
図16に示すように、6回の反復マイクロ波抽出後、抽出されたタンパク質の総量は前記実験に用いたバイオマスのAFDWの11%であった。当該酸性条件下での抽出、すなわち、最初、4番目、5番目の抽出と比べると、前記アルカリ性条件下で行った2番目と3番目の抽出の方が、タンパク質の抽出効率が高かった。さらに、前記4番目と5番目の抽出(酸性条件)で得られるタンパク質の抽出効率は低かった。これは、当該抽出され得るタンパク質の大部分が前記最初の酸性抽出で抽出されていたためかもしれない。
実施例4 バイオマス量を2.5グラムから5グラムに増やすことによる、抽出バッファー総使用量の減少(当該バイオマスと抽出バッファーの比は1:5)
材料
南オーストラリア研究開発研究所(SARDI)から乾燥微細藻類バイオマスを入手し、60から80℃でオーブン乾燥した。
装置
マイクロ波抽出には、Milestone社製、Start Synth microwave synthesis labstationを用いた。
方法
微細藻類粉末(5g)を50mlの平底フラスコに入れた(2セット)。当該試料に1M 硫酸(25ml)を加えて混合し、その後室温で約1時間保温して前記バイオマスを再水和させた。当該試料のpHを測定し、その後、当該試料に対しマイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
・各試料の温度が100℃に上がるまで、該試料に1000ワットのマイクロ波を照射する(通常、25mlの試料に対し、約30秒を要する);
・前記試料に200ワットのマイクロ波を照射して、該試料の温度を10分間100℃に維持する。
その後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却し、遠心用チューブに移して、10,000gで10分間遠心を行った。
当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移し、該体積を測定した。炭水化物及びタンパク質の解析用に、当該上清1mlを1.5ml用遠心チューブに移した。
前記最初の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、2番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記2番目の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、3番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記3番目の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 硫酸溶液に懸濁し、4番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記4番目の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 硫酸溶液に懸濁し、5番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記5番目の抽出によって得られたペレットを25mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、6番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
結果
表2:各抽出工程におけるpH値と上清の体積(バイオマスと抽出バッファーの比は1:5)
前記使用する抽出バッファー量を変更しなくても、当該バイオマスと抽出バッファーの比を1:10から1:5に上げるために、当該バイオマスの使用量を2倍にした。よって、前記最初の抽出工程でのpHを1付近に維持するために、5gの乾燥バイオマスに、0.5Mの硫酸溶液ではなく、25mlの1M 硫酸溶液を加えた。前記最初の抽出とともに、当該同じ抽出バッファーを前記2番目から6番目の抽出にも用いた。各抽出でのpHは約0.5から約1、又は、約12から13であった。
前記バイオマスとバッファーの比が1:10で行った抽出と比較すると、当該バイオマスとバッファーの比が1:5で行った最初の抽出では、より一層体積損失が生じた。当該最初の抽出後に回収された上清はわずか20mlだったので、これにより、前記抽出バッファーのうち5mlが前記バイオマスに吸収されたことがわかる。前記2番目から6番目の抽出で回収された上清の体積は、依然として25ml程度であった。
結果
図17に示すように、6回の反復マイクロ波抽出後、抽出されたタンパク質の総量は前記実験に用いたバイオマスのAFDWの13%であった。また、今回も、当該アルカリ性条件は、前記酸性条件と比べてタンパク質の抽出効率が良かった。前記バイオマスとバッファーの比が1:10で行った場合のタンパク質の抽出効率と比較すると、当該最初と2番目の抽出を除けば、前記バイオマスとバッファーの比が1:5で行った場合のタンパク質の抽出効率の方が高かった(図18)。
実施例5 湿った微細藻類バイオマスからの直接抽出
材料
微細藻類バイオマスは南オーストラリア研究開発研究所(SARDI)から入手した。
装置
マイクロ波抽出には、Milestone社製、Start Synth microwave synthesis labstationを用いた。
方法
湿った微細藻類(25g)を50mlの平底フラスコに入れた(2セット)。その後、各試料に対し、マイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
・各試料の温度が100℃に上がるまで、該試料に1000ワットのマイクロ波を照射する(通常、25mlの試料に対し、約30秒を要する);
・前記試料に200ワットのマイクロ波を照射して、該試料の温度を10分間100℃に維持する。
その後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却し、遠心用チューブに移して、10,000gで10分間遠心を行った。
当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移し、該体積を測定した。炭水化物及びタンパク質の解析用に、当該上清1mlを1.5ml用遠心チューブに移した。
前記最初の抽出によって得られたペレットを12mlの1M 硫酸に懸濁し、2番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記2番目の抽出によって得られたペレットを15mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、3番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記3番目の抽出によって得られたペレットを13mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、4番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記4番目の抽出によって得られたペレットを12mlの1M 硫酸に懸濁し、5番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記5番目の抽出によって得られたペレットを16mlの1M 硫酸に懸濁し、6番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
前記6番目の抽出によって得られたペレットを17mlの0.5M 水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、7番目の抽出、すなわち、前記最初の抽出工程の繰り返しを行った。
結果
表3:各抽出工程におけるpH値と上清の体積(湿ったバイオマス)
前記最適化したマイクロ波抽出技術を湿った微細藻類バイオマスに適用するには、前述の実施例で説明した方法を修正する必要があった。まず、前記湿ったバイオマスは82.1%の水を含有しているので、当該乾燥の問題を調整しないならば、水は1から5に近い値、すなわち、前記乾燥バイオマスを用いた場合において最適化された抽出条件と近い値である。しかしながら、前記湿ったバイオマスのpHを調製することは困難である。よって、当該最初の抽出は、当該pHの調整をせずに行った。マイクロ波照射及び遠心後、前記バイオマスから8mlの水が分離した。よって、当該2番目の抽出では、前記バイオマスのpHを調製できるようになった。各抽出によって抽出されたタンパク質と炭水化物の量を計算し、且つ、次の抽出のために添加した抽出バッファーの量を計算するために、各抽出工程後に当該抽出物の体積を測定した。
図19及び20に示すように、各抽出工程で回収されたタンパク質及び炭水化物の総量は、乾燥微細藻類バイオマスを用いて得られた該量と同様であった。前記抽出された総タンパク質の回収率は、前記使用した乾燥バイオマスの総重量の約10%で、前記抽出された総炭水化物の回収率は、前記使用した乾燥バイオマスの総重量の約7%であった。さらに、各抽出工程で添加した抽出バッファーの量は、前記乾燥バイオマスの抽出に用いた該量よりも少なかった。よって、各抽出物における当該タンパク質及び炭水化物の含有量は、より高値である。乾燥及び湿った微細藻類バイオマスを用いた場合のタンパク質及び炭水化物の抽出を比較すると、タンパク質と炭水化物の両方について、ほぼ同じ抽出効率となる。さらに、湿ったバイオマスを直接用いた場合には、乾燥工程は不要となる。このことは、前記微細藻類バイオマスを遠心によって収穫した後に得られる湿ったペーストは、乾燥させることなく直接抽出に用いることができることを意味しており、大変有利である。
実施例6 凍結乾燥法を用いた、湿った微細藻類バイオマスの含水率の測定
材料
湿った藻類バイオマスの凍結品は、南オーストラリア研究開発研究所(SARDI)から2011年6月15日に受領した。
方法
1リットル用ビーカーに入れた約200gの前記湿ったバイオマスの重量を測定した。実重量は200.594gであった。
前記空のビーカーの重量を測定した。81.980gであった。
前記凍結バイオマスを室温で30分間置いて解凍させた。その後、液体窒素を用いて当該バイオマスを前記ビーカー内で再度凍結し、薄い氷殻を形成させた。
前記バイオマスを24時間凍結乾燥した。
前記ビーカーとバイオマスを合わせた重量を測定した。134.252gであった。
結果
前記乾燥材料の重量は52.272gであった。前記湿った藻類バイオマスの乾物含量は26.06%であった。前記湿ったバイオマスの含水量は73.94%であった。
実施例7 オーブン乾燥法を用いた、湿った微細藻類バイオマスの含水率の測定
材料
湿った藻類バイオマスの凍結品は、南オーストラリア研究開発研究所(SARDI)から2011年6月15日に受領した。
方法
小さなガラスビーカーに入れた約50gの前記湿った藻類バイオマスの凍結品の重量を測定した。前記バイオマスの実重量は59.139gであった。
前記ビーカーの重量を測定した。47.690gであった。
前記バイオマスを、前記ビーカー内で、60℃で96時間置いて乾燥させた。
前記ビーカーとバイオマスを合わせた重量を測定した。64.1174gであった。
結果
前記乾燥材料の重量は16.737gであった。前記湿った藻類バイオマスの乾物含量は28.30%であった。前記湿ったバイオマスの含水量は71.70%であった。
実施例8 湿った、凍結乾燥した、及びオーブン乾燥した藻類バイオマスの脂質含有率の測定
材料
湿った藻類バイオマスの凍結品は、南オーストラリア研究開発研究所(SARDI)から2011年6月15日に受領した。凍結乾燥藻類バイオマス及びオーブン乾燥藻類バイオマスは、実施例6及び7で説明した方法に従って各々調製した。
装置
遠心は、Allegra x-12R遠心機(Beckman Coulter社製)において、FX6100ローター(Beckman Coulter社製)とクロロホルム耐性遠心チューブ(50ml用)を用いて行った。
使用した真空蒸発装置はBenchtop K(VirTis社製)、凍結乾燥機はLabconcoである。
方法
・湿った藻類バイオマスの凍結品6gを取り、室温に30分間置いて解凍させた。
・前記湿った藻類バイオマスの約2.5gを、50ml用遠心チューブに入れて重量を測定した(a、bの2セット)。実重量は以下の通りであった:
a.2.5819g
b.2.5305g
・前記凍結乾燥した藻類バイオマスの約0.5gを、50ml用遠心チューブに入れて重量を測定した(a、bの2セット)。実重量は以下の通りであった:
a.0.4978g
b.0.5197g
・前記オーブン乾燥した藻類バイオマスの約0.5gを、50ml用遠心チューブに入れて重量を測定した(a、bの2セット)。実重量は以下の通りであった:
a.0.4962g
b.0.5185g
・17.8mlの溶媒(メタノール:クロロホルム:水=2:1:0.8)を湿ったバイオマス試料に加えた。
・22.8mlの溶媒(メタノール:クロロホルム:水=2:1:0.8)を凍結乾燥及びオーブン乾燥したバイオマス試料に加えた。
・全試料をボルテックスにかけ、(5分ごとに手動で攪拌しながら)室温で1時間保温した。
・各試料に追加のクロロホルム6mlと水6mlを加えてボルテックスにかけた。
・全試料を3000gで5分間遠心し、層分離させた。
・下層のクロロホルム層6mlを前もって温めておいたガラスチューブに移し、各チューブの重量を測定した;
湿った藻類バイオマス:a.11.5835g
b.11.2718g
凍結乾燥した藻類バイオマス:a.11.6648g
b.11.5558g
オーブン乾燥した藻類バイオマス:a.11.5857g
b.11.5481g
・真空蒸発装置で6時間処理して前記クロロホルムを蒸発させた。
・前記チューブと脂質抽出物を合わせた重量を測定した。
結果
当該結果は図21に示す。
実施例9 湿った、凍結乾燥した、及びオーブン乾燥した藻類バイオマスから抽出された脂質のプロフィール解析
材料
湿った、凍結乾燥した、及びオーブン乾燥した藻類バイオマスから前記脂質抽出物を得た。
方法
脂質プロフィール解析は、NCRISによって、ガスクロマトグラフィーを用いて行われた。当該結果を表4に示す。
表4:バイオマス及び抽出物の脂質プロフィール
実施例10 藻類バイオマスの炭水化物総含有量解析
材料
凍結乾燥した藻類バイオマスを実施例6の方法に従って調製した。必要に応じてフェノール試薬(フェノール:ミリQ水=4:1w/v)を調製した。
方法
以下の要領で検量線を作成した:
>グルコース1mgを100mlのミリQ水に溶かして、0.1g/Lのグルコース原液を作製した。
>下表に詳説したように、グルコースの標準液を大きなガラスチューブ内に作製した。

グルコース原液の量 ミリQ水(ml) グルコース濃度(g/l)
(0.1g/L、ml)
0.00 2.00 0.00
0.20 1.80 0.01
0.40 1.60 0.02
0.60 1.40 0.03
0.80 1.20 0.04
1.00 1.00 0.05

>2mlのミリQ水を8gのフェノールに加えて、フェノール試薬(ミリQ水中に80%、w/w)を調製した。
>各試料2mlを大きな試験チューブに入れた。
>各試料及び標準液に、前記フェノール試薬0.05mlを加えた。
>混合してボルテックスにかけた。
>各試料及び標準液に、濃硫酸5mlを加えた。当該濃硫酸は、前記試験チューブに素早く入れるべきである。良く混合するために、前記酸の流れを、前記試験チューブの側面でなく、当該表面に対して生じさせるとよい(この操作は、前記硫酸を水性試料に加える際に生じる熱によって引き起こされる)。
>混合してボルテックスにかけた。
>チューブを10分間静置した後、25℃の水槽中で10分間保温した(すなわち、それらを室温に冷却した)。
>当該吸光度を測定する前に、前記試験チューブを再度ボルテックスにかけた。
>各試料及び標準液を水晶製キュベットに入れて、前記0g/Lの標準液をブランクとした。
>490nmの吸光度を測定した。
>当該廃液をガラスの廃液ボトルに捨てた。
>前記検量線から得られた方程式を用いて、当該炭水化物総含有量を計算した。

・凍結乾燥したバイオマス0.1gを1mlのミリQ水に懸濁した(3セット)。実重量は以下の通りであった:
a.0.1021g
b.0.0999g
c.0.1005g
・各試料をミリQ水を用いて1:1000に希釈した(総体積は1ml)。
・各試料を激しくボルテックスにかけた。
・各試料0.4mlを、蓋付の大きなガラス製試験チューブに移した。
・ブランクとして、ミリQ水0.4mlを、蓋付の大きなガラス製試験チューブに移した。
・各試料に、0.01mlのフェノール試薬(80%)を加えた。
・各試料を激しくボルテックスにかけた。
・各試料に、濃硫酸1mlを加えた。
・全試料を、室温に10分間置いた。
・全試料を、25℃で10分間保温した。
・各試料及びブランクを水晶製キュベットに入れて、490nmの吸光度を測定した。
前記検量線から得られた方程式を用いて、当該炭水化物総含有量を計算した。
結果
前記藻類バイオマスの炭水化物総含有量は、21.39%±1.67と決定された。
実施例11 藻類バイオマスのタンパク質総含有量解析
材料
凍結乾燥した藻類バイオマスを実施例6の方法に従って調製した。
方法
試料をNCRISに送り、TKNアナライザーを用いたタンパク質総含有量解析を行ってもらった。
結果
前記藻類バイオマスのタンパク質総含有量は、30.10%±1.66と決定された。
実施例12 藻類バイオマスの総灰分量解析
材料
凍結乾燥した藻類バイオマスを実施例6の方法に従って調製した。
方法
試料をNCRISに送り、総灰分量解析を行ってもらった。
結果
前記藻類バイオマスの総灰分量は、16.96%±0.27と決定された。
要約
前記藻類バイオマスの炭水化物、タンパク質、及び脂質の総含有量は、フェノール及び硫酸法、TKN法、及びBligh and Dyer法という3つの独立した解析方法を用いることで明らかとなった。さらに、前記灰分量の結果を合わせると、当該総乾物含量はほぼ95%である(図22)。前記藻類バイオマスの化学的特性の違いは小さく、当該結果は信頼できるものと結論できる。その一方で、本願の藻類バイオマスの一次代謝産物のプロフィールは、新しいマイクロ波溶媒−不含抽出技術を最適化するための抽出効率の基準値として直接用いることができるだろう。
実施例13 湿った藻類バイオマスを用いたマイクロ波溶媒−不含抽出条件の最適化
当該実験デザインを図23に示す。
前述の結果によると、前記湿った藻類バイオマスのバッチは74%の水分と26%の乾物を含有していた。よって、前記湿ったバイオマスの固体と液体の比は、約1:3.5であった。しかしながら、前記湿ったバイオマスを直接用いてマイクロ波抽出試験を数回行うと、前記固体含有率が高いと、当該エネルギー変換効率と同様に、前記抽出工程での攪拌効率が下がる結果となった。その一方で、そのことは、前記産物の回収と以降の抽出の再開をも困難にした。これらの技術的問題を解決して固体と液体の比を規格化し、更なる工程が開発できるように、前記バイオマスを、固体と液体の比が1:10となるように希釈した。本来の湿ったバイオマスと比べると、当該バイオマスは一段と混合し易く、移し易かった。
実施例14 マイクロ波による加熱時間の最適化
材料
湿った藻類バイオマスの凍結品は、SARDIから2011年6月15日に受領した。
装置
マイクロ波抽出には、Milestone社製、Start Synth microwave synthesis labstationを用いた。
方法
・7×10gの湿ったバイオマスの重量を正確に測り、50mlの平底フラスコに入れた。各試料の実重量は以下の通りであった:
a.2−1(pH1で2分加熱):9.9565g
b.10−1(pH1で10分加熱):9.9564g
c.20−1(pH1で20分加熱):10.0357g
d.30−1(pH1で30分加熱):10.0845g
e.2−13(pH13で2分加熱):9.9564g
f.10−13(pH13で10分加熱):10.0357g
g.20−13(pH13で20分加熱):10.0845g
・18.6mlの0.5M 硫酸溶液を試料2−1、10−1、20−1、及び30−1に加えて良く混合した(当該固体と液体の比は1:10になる)。
・10M 水酸化カリウムを用いて、各試料のpHを1に調整した。
・18.6mlの0.5M 水酸化ナトリウムを試料2−13、10−13、20−13、及び30−1に加えて良く混合した(当該固体と液体の比は1:10になる)。
・5M 硫酸溶液を用いて、各試料のpHを13に調整した。
・前記試料に対しマイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
>各試料の温度が100℃に上がるまで、該試料に1000ワットのマイクロ波を照射する。
>各試料に200ワットのマイクロ波を照射し続けて、該試料の温度を100℃に2、10、20、30分間維持する。
・前記工程後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却した。
・前記試料を遠心用チューブに移して、8,000gで10分間遠心した。
・当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移して体積を測定した。当該体積は、以下の通りであった:
a.2−1(pH1で2分加熱):17.5ml
b.10−1(pH1で10分加熱):17.0ml
c.20−1(pH1で20分加熱):20.0ml
d.30−1(pH1で30分加熱):19.0ml
e.2−13(pH13で2分加熱):17.5ml
f.10−13(pH13で10分加熱):19.0ml
g.20−13(pH13で20分加熱):19.0ml
・試料2−1、10−1、20−1、及び30−1の各ペレットを、当該除去した上清の体積に応じて、0.5M 水酸化ナトリウム溶液に再懸濁した。
・5M 硫酸溶液を用いて、前記各試料のpHを13に調整した。
・試料2−13、10−13、20−13、及び30−13のペレットを、除去した上清の体積に応じて、0.5M 硫酸溶液に再懸濁した。
・10M 水酸化カリウム溶液を用いて、前記各試料のpHを1に調整した。
・前記試料に対しマイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
>各試料の温度が100℃に上がるまで、該試料に1000ワットのマイクロ波を照射する。
>各試料に200ワットのマイクロ波を照射し続けて、該試料の温度を100℃に2、10、20、30分間維持する。
・前記工程後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却した。
・前記試料を遠心用チューブに移して、8,000gで10分間遠心した。
・当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移して体積を測定した。当該体積は、以下の通りであった:
a.2−1−13(pH13で2分加熱):17.5ml
b.10−1−13(pH13で10分加熱):17.0ml
c.20−1−13(pH13で20分加熱):20.0ml
d.30−1−13(pH13で30分加熱):19.0ml
e.2−13−1(pH1で2分加熱):17.5ml
f.10−13−1(pH1で10分加熱):19.0ml
g.20−13−1(pH1で20分加熱):19.0ml
・さらなる解析に用いるために、前記各試料のペレットを−20℃で保存した。
・各試料の総炭水化物、タンパク質、及び還元糖の抽出効率を解析した。
実施例14.1 micro−lowry法を用いた、実施例14で得られたマイクロ波抽出物のタンパク質抽出効率の解析
材料
当該マイクロ波抽出物は、実施例14の試料:2−1、10−1、20−1、30−1、2−1−13、10−1−13、20−1−13、2−13、10−13、20−13、2−13−1、10−31−1、及び20−13−1である。
総タンパク質キット、micro-lowry, peterson’s modification(Sigma社コード:TP0300及びL3540)を用いた。
方法
・検量線を作製した:
>下表に従い、0.4mg/mlのBSAタンパク質標準溶液を1.5ml用遠心チューブ中で水に希釈した(3セット):

タンパク質標準溶液(ml) 水(ml) タンパク質濃度(mg/ml)
0.05 0.35 0.05
0.1 0.3 0.1
0.2 0.2 0.2
0.3 0.1 0.3
0.4 0 0.4

>0.4mlのミリQ水を当該ブランクとした。
>0.4mlの前記lowry試薬溶液を前記標準溶液及びブランクに加えた。
>溶液を室温に20分間置いた。
>すぐに素早く混合し、0.2mlの前記folin&ciocalteu‘sフェノール試薬の希釈標準溶液を各チューブに加えた。
>30分間発色させた。
>各標準溶液及びブランク0.3mlを96−ウェルプレートに移し、620nmの吸光度を測定した。

・実験4のマイクロ波抽出工程で得られた各試料について、1.5mlチューブ中で、1:100に希釈した(総体積は0.4ml)。
>1:10の希釈:前記試料0.1ml+ミリQ水0.9ml
>1:100の希釈:10倍希釈した試料0.04ml+ミリQ水0.36ml
・0.4mlのミリQ水を当該ブランクとした。
・0.4mlの前記lowry試薬溶液を前記標準溶液及びブランクに加えた。
・溶液を室温に20分間置いた。
・すぐに素早く混合し、0.2mlの前記folin&ciocalteu‘sフェノール試薬の希釈標準溶液を各チューブに加えた。
・30分間発色させた。
・各標準溶液及びブランク0.3mlを96−ウェルプレートに移し、620nmの吸光度を測定した。
・前記検量線に従い、各試料の総タンパク質含有量を計算することができる;当該総還元力を計算することができる;当該総タンパク質抽出効率を計算することができる。
結果
当該結果を図24に示す。当該結果は、最初の抽出をアルカリ性条件で行った場合の総灰分不含タンパク質の抽出効率は、最初の抽出を酸性条件で行った場合の当該総抽出効率よりも低くなることを示している。前記最初の抽出を酸性条件で20分間行った場合には、前記藻類バイオマスの有機物の回収率は総計で約18%であった。しかしながら、前記最初の抽出をアルカリ性条件で20分間行った場合には、総計で、前記藻類バイオマスの有機物の約10%しか回収されなかった。
図24に示されるように、前記灰分不含タンパク質の抽出効率は、抽出時間が2分から20分の範囲では、該時間が長くなるにつれて明らかに上昇した。前記最初の抽出での当該効率だけでなく、前記2番目の抽出における当該効率もまた上昇した。しかしながら、前記最初の酸性抽出では抽出時間が短い他の抽出と比べて少量のタンパク質しか回収されないので、抽出時間が延びても前記灰分不含タンパク質の回収効率はわずかに低下した。そのような長時間加熱、極低pH、及び高抽出温度では、当該タンパク質が損傷してタンパク質アッセイでは検出できなかったのかもしれない。
実施例14.2 DNSアッセイを用いた、実施例14で得られたマイクロ波抽出物の還元糖抽出効率の解析
材料
当該マイクロ波抽出物は、実施例14の試料:2−1、10−1、20−1、30−1、2−1−13、10−1−13、20−1−13、2−13、10−13、20−13、2−13−1、10−31−1、及び20−13−1である。
方法
・検量線を作製した:
>下表に従い、グルコース1mg/mlを1.5ml用チューブ中で水に希釈した(3セット)。

タンパク質標準溶液(ml) 水(ml) グルコース濃度(mg/ml)
0.0 1.0 0.0
0.2 0.8 0.2
0.4 0.6 0.4
0.6 0.4 0.6
0.8 0.2 0.8
1.0 0.0 1.0

>ミリQ水を当該ブランクとした。
>0.1mlの各標準溶液とブランクを、1.5ml用遠心チューブに移した。
>全標準溶液とブランクを90℃に加熱した。
>30秒おきに、0.05mlの0.5M 水酸化カリウムと0.1mlのDNS試薬を加えた。
>全標準溶液とブランクを90℃で5分間保温した。
>全標準溶液とブランクを氷上で20分間冷却した。
>520nmの吸光度を測定した。
・試料2−1、10−1、20−1、30−1、2−1−13、10−1−13、20−1−13、2−13、2−13−1、10−31−1、及び20−13−1について、1:10の希釈物を作製した。
>1:10の希釈:前記試料0.1ml+ミリQ水0.9ml
・試料10−13、20−13については、希釈しなかった。
・ミリQ水を当該ブランクとした。
・0.1mlの各標準溶液とブランクを、1.5ml用遠心チューブに移した。
・全標準溶液とブランクを90℃に加熱した。
・30秒おきに、0.05mlの0.5M 水酸化カリウムと0.1mlのDNS試薬を加えた。
・全標準溶液とブランクを90℃で5分間保温した。
・全標準溶液とブランクを氷上で20分間冷却した。
・0.75mlのミリQ水を各試料とブランクに加えた。
・520nmの吸光度を測定した。
・前記検量線に従い、各試料の総タンパク質含有量を計算することができる;当該回収されたタンパク質の総量を計算することができる;当該還元糖の抽出効率を計算することができる。
結果
当該結果を図25に示す。前記タンパク質抽出と同様に、最初の抽出をアルカリ性条件で行った場合の総灰分不含タンパク質の抽出効率は、最初の抽出を酸性条件で行った場合の当該総抽出効率よりも低かった。前記最初の抽出を酸性条件で20分間行った場合には、前記藻類バイオマスの有機物の回収率は総計で約11%であった。しかしながら、前記最初の抽出をアルカリ性条件で20分間行った場合には、総計で、前記藻類バイオマスの有機物の約5%しか回収されなかった。図25に示されるように、アルカリ性条件下では還元糖の抽出効率が低いために、当該抽出された総灰分不含還元糖は実質的に前記最初の酸性抽出で抽出されたものである。前記灰分不含還元糖の抽出効率は、抽出時間が2分から20分の範囲では、該時間が長くなるにつれて明らかに上昇した。しかしながら、前記最初の酸性抽出では加熱時間が20分の抽出よりも少量の還元糖しか回収されないので、抽出時間が延びても前記灰分不含還元糖の回収効率はわずかに低下した。
実施例14.3 フェノール及び硫酸アッセイを用いた、実施例14で得られたマイクロ波抽出物の総炭水化物抽出効率の解析
材料
当該マイクロ波抽出物は、実施例14の試料:2−1、10−1、20−1、30−1、2−1−13、10−1−13、20−1−13、2−13、10−13、20−13、2−13−1、10−31−1、及び20−13−1である。
方法
実施例14.2に記載した方法に従い、各抽出物の総炭水化物含有量を計算することができる;当該回収された総炭水化物質量を計算することができる;当該炭水化物の抽出効率を計算することができる。
結果
当該結果を図26に示す。前記タンパク質及び還元糖抽出と同様に、最初の抽出をアルカリ性条件で行った場合の総灰分不含炭水化物の抽出効率は、最初の抽出を酸性条件で行った場合の当該総抽出効率よりも低かった。前記最初の抽出を酸性条件で20分間行った場合には、前記藻類バイオマスの有機物の回収率は総計で約21%であった。図26に示されるように、アルカリ性条件下では炭水化物の抽出効率が高いために、当該抽出された総灰分不含炭水化物は実質的に前記最初の酸性抽出で抽出されたものである。前記最初の抽出をアルカリ性条件で行うと多少の炭水化物が抽出されたが、酸性条件下で抽出した場合ほどではない。前記灰分不含炭水化物の抽出効率は、抽出時間が2分から20分の範囲では、該時間が長くなるにつれて明らかに上昇した。しかしながら、前記最初の酸性抽出では加熱時間が20分の抽出よりも少量の還元糖しか回収されないので、抽出時間が延びても前記灰分不含炭水化物の回収効率は低下した。
前記タンパク質、還元糖、及び炭水化物の抽出効率は、異なる抽出時間及びpH条件では異なっていた。しかしながら、図24、25、及び26に示されるように、前記灰分不含タンパク質、還元糖、及び炭水化物の抽出効率は、抽出時間が20分の場合に最高値を示した。より長い抽出時間、すなわち、30分では、より少ない量のタンパク質、還元糖、及び炭水化物が抽出された。前記最初の抽出をアルカリ性条件で、前記2番目の抽出を酸性条件で行った場合には、総タンパク質、還元糖、及び炭水化物の抽出効率は一段と低かった。よって、前記最初の抽出を酸性条件下で行うことは有利と考えられる。このことは、前記炭水化物の回収量を増やすだけでなく、恐らくは当該細胞壁の炭水化物骨格を除去することにより、前記タンパク質の抽出効率の上昇も促す。
実施例15 2番目の抽出の残留物を用いて3番目の抽出を行うことによる、灰分不含タンパク質及び炭水化物の抽出効率の最適化
材料
当該マイクロ波抽出物は、実施例14の試料:2−1−13、10−1−13、及び20−1−13である。また、当該2番目の抽出で生じた残留物も用いた。
方法
・前記試料2−1−13、10−1−13、及び20−1−13の残留物に、当該2番目の抽出物の体積に応じた量の0.5M 水酸化ナトリウム溶液を加えて良く混合した。
・5M 硫酸溶液を用いて、各試料のpHを13に調整した。
・前記試料に対しマイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
>各試料の温度が100℃に上がるまで、該試料に1000ワットのマイクロ波を照射する。
>各試料に200ワットのマイクロ波を照射して、該試料の温度を2、10、20分間100℃に維持する。
・前記工程後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却した。
・前記試料を遠心用チューブに移して、8,000gで10分間遠心した。
・当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移して体積を測定した。上清の体積は以下の通りであった:
a.2−1−13−13(pH13で2分加熱):22.5ml
b.10−1−13−13(pH13で10分加熱):19.0ml
c.20−1−13−13(pH13で20分加熱):19.0ml
・さらなる解析に用いるために、前記各試料のペレットを−20℃で保存した。
・各試料の総炭水化物及びタンパク質の抽出効率を解析した。
結果
当該結果を図27、28、及び29に示す。前記3番目の抽出を行った場合には、前記総灰分不含タンパク質の抽出効率は、当該バイオマスの有機物含量に対する値として約17%から約21%に上昇した(図27)。しかしながら、当該総灰分不含炭水化物の抽出効率は、それほど上昇しなかった。さらに、酸性条件で20分抽出を行った後に2回のアルカリ性抽出を行った場合には、総タンパク質及び炭水化物の回収(回収されたタンパク質又は炭水化物のg/前記バイオマス中のタンパク質又は炭水化物の実分値のg)が高かった(図28)。3回の抽出を通して、約70%のタンパク質及び約80%の炭水化物が回収された。さらに、当該各抽出における選択性も良かった。前記最初の酸性抽出物は主に炭水化物と微量のタンパク質を含み、前記2番目と3番目のアルカリ性抽出物は主にタンパク質と少量の炭水化物を含んでいた。
実施例16 マイクロ波抽出法での物質のマスバランス解析と、マイクロ波抽出法での残存脂質解析
材料
実施例15の3番目のマイクロ波抽出で生じた残留物を用いた。
方法
・液体窒素を用いて、全ての残留物、前記各試料のペレットを凍結した。
・凍結乾燥機を48時間用いて、全ての残留物を凍結乾燥した。
・乾燥した各ペレットの重量を測定した:
2−1−13−13:1.13g
10−1−13−13:1.15g
20−1−13−13:0.76g
・各試料0.1gについて、Bligh and Dyer法を用いて当該脂質含有量を解析した。
結果
当該結果を図30に示す。図30に示されるように、異なる抽出時間で行った全ての複数回マイクロ波抽出工程は、80%を超える物質回収率を示した。わずか15%から20%のバイオマスが、当該全ての抽出工程を通して失われた。加熱時間が長くなってタンパク質と炭水化物の抽出効率が上がると、前記残留物の量が減り、最終的には、2分、10分、及び20分抽出による総物質回収率が非常に近似した。
前記タンパク質及び炭水化物の大部分が3回のマイクロ波抽出後には除去されていたので、我々は、当該抽出工程において放出された脂質が検出できるのではないかと考えた。しかしながら、前記タンパク質抽出物又は炭水化物抽出物中に放出された脂質の量を測定することは困難であった。前記工程で失われた脂質の量を決定するために、前記残留物中に残存している脂質の量を測定した。図31に示されるように、当該脂質回収率の最高値は約83%で、前記加熱時間が10分の抽出によって得られた。当該脂質回収率の最低値は約43%で、前記加熱時間が20分の抽出によって得られた。加熱時間が長くなってタンパク質と炭水化物の抽出効率が上がると、当該残存脂質量は減少したと考えられる。炭水化物を除去した後は、前記脂質を当該容器壁の内側に検出することはもはやできず、よって、前記抽出物中に放出されたと思われる。しかしながら、前記加熱時間が2分の抽出工程で得られた脂質残存量は、前記加熱時間が10分の抽出工程で得られた脂質残存量より少ないが、前記加熱時間が20分の抽出工程で得られた脂質残存量よりは多かった。
実施例17 pH0.5、2、11、及び14を用いた場合の、マイクロ波pH条件の最適化
材料
湿った藻類バイオマスの凍結品は、SARDIから2011年6月15日に受領した。
方法
・湿ったバイオマスの重量を正確に測定し、50ml用平底フラスコに入れた。各試料の実重量は以下の通りであった:
a.0.5a(pH0.5で20分加熱):10.0357g
b.0.5b(pH0.5で20分加熱):10.0427g
c.2a(pH2で20分加熱):9.8774g
d.2b(pH2で20分加熱):9.54475g
・18.6mlの0.5M 硫酸溶液を試料、0.5a、0.5b、2a及び2bに加えて良く混合した。
・5M 硫酸溶液を用いて、前記試料0.5a及び0.5bのpHを0.5に調整した。
・10M 水酸化ナトリウム溶液を用いて、前記試料2a及び2bのpHを2に調整した。
・前記試料に対しマイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
>各試料の温度が100℃に上がるまで、該試料に1000ワットのマイクロ波を照射する。
>各試料に200ワットのマイクロ波を照射して、該試料の温度を100℃に2、10、20、30分間維持する。
・前記工程後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却した。
・前記試料を遠心用チューブに移して、8,000gで10分間遠心した。
・当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移して体積を測定した。当該上清の体積は、以下の通りであった:
a.0.5a(pH0.5で20分加熱):20ml
b.0.5b(pH0.5で20分加熱):17.5ml
c.2a(pH2で20分加熱):19ml
d.2b(pH2で20分加熱):19ml
・試料0.5a、0.5b、2a、及び2bの各ペレットを、当該除去した上清の体積に応じて、0.5M 水酸化ナトリウム溶液に再懸濁した。
・5M 硫酸溶液を用いて、前記試料0.5a及び2aのpHを11に調整した。
・10M 水酸化カリウム溶液を用いて、前記試料0.5b及び2bのpHを14に調整した。

・前記試料に対し、当該2番目の抽出として、マイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
>各試料の温度が100℃に上がるまで、該試料に1000ワットのマイクロ波を照射する。
>各試料に200ワットのマイクロ波を照射して、該試料の温度を100℃に2、10、20、30分間維持する。
・前記工程後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却した。
・前記試料を遠心用チューブに移して、8,000gで10分間遠心した。
・当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移して体積を測定した。当該上清の体積は、以下の通りであった:
a.0.5a−11(pH11で20分加熱):20ml
b.0.5b−14(pH14で10分加熱):17.5ml
c.2a−11(pH11で20分加熱):19ml
d.2b−14(pH14で20分加熱):19ml
・さらなる解析に用いるために、前記各試料のペレットを−20℃で保存した。
・各抽出物の総炭水化物、タンパク質、及び還元糖の抽出効率を解析した。
結果
前述の実験に用いたpH条件、すなわち、pH1とpH13、と比較するために、より低いpHとより高いpH条件を検討した。さらに、以前の結果を踏まえると、最適な加熱時間として20分の加熱が選択された。よって、当該抽出におけるpH条件の最適化は、20分加熱に基づいて行う。炭水化物の抽出については、pH2での抽出よりも、より低いpHでの抽出効率の方が高かった。それは、また、以前の解析においてpH1での抽出効率よりも低かった。pH0.5とpH14で抽出を行った場合に、最も高い総炭水化物抽出効率が得られた。
タンパク質の抽出については、pH2とpH11で抽出を行った場合に、最も低い抽出効率を示した。さらに、pH2とpH14での抽出では、当該2番目のアルカリ性抽出をpH14で行うことにより、より高い抽出効率が得られた。しかしながら、pH1とpH13で行った以前の解析は、pH0.5及びpH14というさらに強い条件下での抽出と比較しても、依然として最も高いタンパク質抽出効率を示した。
還元糖の抽出については、pH2とpH11で抽出を行った場合とpH2とpH14で抽出を行った場合に、最も低い抽出効率を示した。このことは、特定のpH以上では、還元糖を抽出することは非常に困難であることを示している。さらに、pH11とpH14では、当該抽出された還元糖の量は少なかった。pH0.5とpH14で行った場合に、最も高い還元糖抽出効率が得られた。
炭水化物とタンパク質の回収に関しては、これまでのところ、最も高いタンパク質抽出効率が得られたのは、依然として、pH1とpH13で抽出した以前の解析である。しかしながら、pH0.5とpH11で行った場合には、90%を超える総炭水化物回収率が得られている。
実施例18 加熱方法の比較
材料
湿った藻類バイオマスの凍結品は、SARDIから2011年6月15日に受領した。
方法
試料は、これまでの実施例の方法を用いて、pH1(最初の抽出)、pH13(2番目の抽出)、及びpH13(3番目の抽出)で抽出した。しかしながら、ホットプレート上で20分間加熱、オートクレーブ内で20分間加熱、及びマイクロ波オーブン内で20分間加熱、と名付けた3つの異なる加熱方法を検討した。
既に設定した前述の方法を用いて、当該灰分不含タンパク質、灰分不含炭水化物及び還元糖の抽出効率を決定した。
結果
当該結果は表5、6、及び7、並びに図36、37、及び38に示す。
表5:灰分不含タンパク質の抽出効率
表6:灰分不含総炭水化物の抽出効率
表7:還元糖の抽出効率
各ケースにおいて、ホットプレート上での加熱は、オートクレーブ又はマイクロ波オーブン内での加熱よりも、低い効率結果となった。
実施例19 比較的低温且つ長時間処理でのマイクロ波温度及び時間の条件の最適化
材料
湿った藻類バイオマスの凍結品は、SARDIから2011年6月15日に受領した。
方法
・4×10gの湿ったバイオマスの重量を正確に測定し、50ml用平底フラスコに入れた。各試料の実重量は以下の通りであった:
a.60a(pH1、60℃で20分加熱):10.5987g
b.60b(pH1、60℃で60分加熱):10.1785g
c.80a(pH1、80℃で20分加熱):10.5544g
d.80b(pH1、80℃で60分加熱):10.2584g
・18.6mlの0.5M 硫酸溶液を試料、0.5a、0.5b、2a及び2bに加えて良く混合した。
・18.6mlの5M 硫酸溶液を試料、60a、60b、80a、及び80bに加えて良く混合した(当該固体と液体の比は1:10になる)。
・5M 硫酸溶液を用いて、各試料のpHを1に調整した。
・前記試料に対しマイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
>試料60aの温度が60℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して20分間加熱し続ける。
>試料60bの温度が60℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して60分間加熱し続ける。
>試料80aの温度が80℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して20分間加熱し続ける。
>試料80bの温度が80℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して60分間加熱し続ける。
・前記工程後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却した。
・前記試料を遠心用チューブに移して、8,000gで10分間遠心した。
・当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移して体積を測定した。当該上清の体積は、以下の通りであった:
a.60a(pH1、60℃で20分加熱):20ml
b.60b(pH1、60℃で60分加熱):19ml
c.80a(pH1、80℃で20分加熱):20ml
d.80b(pH1、80℃で60分加熱):20ml
・試料60a、60b、80a、及び80bの各ペレットを、当該除去した上清の体積に応じて、0.5M 水酸化ナトリウム溶液に再懸濁した。
・5M 硫酸溶液を用いて、前記各試料のpHを13に調整した。
・前記試料に対し、当該2番目の抽出として、マイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
>試料60aの温度が60℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して20分間加熱し続ける。
>試料60bの温度が60℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して60分間加熱し続ける。
>試料80aの温度が80℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して20分間加熱し続ける。
>試料80bの温度が80℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して60分間加熱し続ける。
・前記工程後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却した。
・前記試料を遠心用チューブに移して、8,000gで10分間遠心した。
・当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移して体積を測定した。当該上清の体積は、以下の通りであった:
a.60a(pH1、60℃で20分加熱):21ml
b.60b(pH1、60℃で60分加熱):19ml
c.80a(pH1、80℃で20分加熱):20ml
d.80b(pH1、80℃で60分加熱):21ml
・試料60a、60b、80a、及び80bの各ペレットを、当該除去した上清の体積に応じて、0.5M 水酸化ナトリウム溶液に再懸濁した。
・5M 硫酸溶液を用いて、前記各試料のpHを13に調整した。
・前記試料に対し、当該2番目の抽出として、マイクロ波オーブン内で下記処理を施した;
>試料60aの温度が60℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して20分間加熱し続ける。
>試料60bの温度が60℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して60分間加熱し続ける。
>試料80aの温度が80℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して20分間加熱し続ける。
>試料80bの温度が80℃に上がるまで1000ワットのマイクロ波を該試料に照射し、200ワットのマイクロ波を照射して60分間加熱し続ける。
・前記工程後、前記試料を水槽中で3から5分間冷却した。
・前記試料を遠心用チューブに移して、8,000gで10分間遠心した。
・当該上清を25ml用体積測定用シリンダーに移して体積を測定した。当該上清の体積は、以下の通りであった:
a.60a(pH1、60℃で20分加熱):20ml
b.60b(pH1、60℃で60分加熱):19ml
c.80a(pH1、80℃で20分加熱):20ml
d.80b(pH1、80℃で60分加熱):20ml
・さらなる解析に用いるために、前記各試料のペレットを−20℃で保存した。
・各抽出物の総炭水化物、タンパク質、及び還元糖の抽出効率を解析した。
結果
図39に示すように、より低温、すなわち、60℃及び80℃での20分抽出では、前記灰分不含タンパク質の抽出はいずれも前記バイオマスの総重量の15%付近という同程度の効率を示した。前記100℃での20分抽出と比べると、より低温での灰分不含タンパク質の抽出効率は低かった。さらに、当該時間を60分に延長した60℃での低温抽出では、依然として、前記60℃、20分抽出で得られた結果と同様の抽出効率を示した。80℃、60分抽出での灰分不含タンパク質の抽出効率は、前記80℃、20分抽出で得られた結果よりも一段と低かった。よって、抽出時間を延長し且つ抽出温度を下げることでは、前記灰分不含タンパク質の抽出効率は改善されなかった。
図40に示すように、より低温、すなわち、60℃及び80℃で20分及び60分の抽出では、前記灰分不含総炭水化物の抽出はいずれも前記バイオマスの総重量の2%付近という同程度の効率を示した。前記100℃での20分抽出と比べると、より低温での灰分不含炭水化物の抽出効率は一段と低かった。前記低温での最初の酸性抽出での抽出効率がより低効率であったことは明らかである。よって、抽出時間を延長し且つ抽出温度を下げることでは、前記灰分不含総炭水化物の抽出効率は改善されなかった。
異なる抽出温度及び時間での消費電力に基づいたタンパク質及び炭水化物の生産性を計算し、当該結果を図41に示した。前記より低温でより長時間で抽出を行った場合の消費電力に基づいた総炭水化物の生産性は、当該総炭水化物の抽出の収率が低かったので、前記最適化した条件での生産性よりも低かった。さらに、抽出温度を下げ且つ抽出時間を延長することでは、総消費電力に基づいたタンパク質抽出の生産性は、依然として改善されなかった。
実施例20 消費電力の推定と、総タンパク質及び炭水化物の生産性
本書において説明した、湿った微細藻類バイオマスとマイクロ波抽出ユニットを用いて、抽出温度100℃、抽出時間20分、pHは1及び13、及び3回の反復抽出を行った方法での消費電力を推定した。計算の結果、電力消費が最も大きかったのは、前記マイクロ波工程でなく、遠心工程であることが明らかになった。前記遠心工程で消費する電力は、前記マイクロ波工程で消費する総電力の約90%を消費する。図42は、2、10、20、及び30分のマイクロ波抽出の総消費電力が、互いに非常に近い値であることを示している。しかしながら、当該マイクロ波で加熱する工程は、前記ホットプレートを用いた従来の加熱工程よりも、消費電力は少なかった。
さらに、異なる抽出条件での消費電力に基づいた総タンパク質及び炭水化物の生産性を計算し、当該結果を図43と44に示した。
本書において広く示された発明の精神と範囲から逸脱することなく、具体的な実施態様として示された本発明に対し、多くのバリエーション及び/又は変更を行うことができることは、当業者においては明らかである。よって、本発明に係る実施例は、すべての点において例示とみなされるべきであり、本発明を制約するものではない。
本明細書を通し、“含む/備える(comprise)”あるいは“含む/備える(comprises)”又は“含んでいる/備えている(comprising)”といった当該変化形は、明示された要素、整数又はステップ、あるいは要素群、複数の整数又は複数のステップを含有することを意味し、他のあらゆる要素、整数又はステップ、あるいは要素群、複数の整数又は複数のステップを排除することを意味するものではない、と理解されるべきである。

Claims (15)

  1. 微細藻類バイオマスから脂質含有物を抽出する方法であって、下記工程:
    (i)微細藻類バイオマスを含む水性混合物をマイクロ波照射処理する工程と、
    (ii)前記処理された微細藻類バイオマスから脂質含有物を回収する工程、
    を備える、微細藻類バイオマスから脂質含有物を抽出する方法。
  2. 前記微細藻類バイオマスが、水を約90重量%まで含む湿ったバイオマスである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記微細藻類バイオマスが、水を約10〜約90重量%含む湿ったバイオマスである、請求項2に記載の方法。
  4. 微細藻類バイオマスから脂質含有物及び炭水化物含有物を抽出する方法であって、下記工程:
    (i)前記微細藻類バイオマスを含む水性混合物を提供する工程、
    (ii)前記水性混合物のpHを7未満(pH<7)に調整する工程、
    (iii)前記微細藻類バイオマスを含む水性混合物を加熱する工程、及び、
    (iv)前記バイオマスから前記脂質含有物と前記炭水化物含有物を分離する工程、
    を備える、微細藻類バイオマスから脂質含有物及び炭水化物含有物を抽出する方法。
  5. 微細藻類バイオマスから脂質含有物及びタンパク質含有物を抽出する方法であって、下記工程:
    (i)前記微細藻類バイオマスを含む水性混合物を提供する工程、
    (ii)前記水性混合物のpHを7より高い値(pH>7)に調整する工程、
    (iii)前記微細藻類バイオマスを含む水性混合物を加熱する工程、及び、
    (iv)前記バイオマスから前記脂質含有物と前記タンパク質含有物を分離する工程、
    を備える、微細藻類バイオマスから脂質含有物及びタンパク質含有物を抽出する方法。
  6. 微細藻類バイオマスから脂質含有物、炭水化物含有物、及びタンパク質含有物を抽出する方法であって、下記工程:
    (i)前記微細藻類バイオマスを含む最初の水性混合物を提供する工程;
    (ii)前記最初の水性混合物のpHを7未満(pH<7)に調整する工程;
    (iii)前記微細藻類バイオマスを含む前記酸性の最初の水性混合物を加熱して、最初の処理混合物を提供する工程;
    (iv)前記最初の処理混合物から固体及び液体を分離し、最初の固体及び炭水化物含有液体を提供する工程;
    (v)前記最初の固体と水性混合物を混合して、微細藻類バイオマスを含む2番目の水性混合物を提供する工程;
    (vi)前記2番目の水性混合物のpHを7より高い値(pH>7)に調整する工程;
    (vii)前記微細藻類バイオマスを含む前記アルカリ性の2番目の水性混合物を加熱して、2番目の処理混合物を提供する工程;
    (viii)前記2番目の処理混合物から固体及び液体を分離し、2番目の固体及びタンパク質含有液体を提供する工程;
    (ix)任意で、前記2番目の固体を用いて工程(v)から(viii)を行い、3番目の固体及びさらなるタンパク質含有液体を提供する工程;
    (x)前記2番目の固体又は3番目の固体と水性混合物を混合して、最終の水性混合物を提供する工程;
    (xi)前記最終の水性混合物を溶媒で処理する工程;
    (xii)前記最終の水性混合物から前記溶媒を分離して、脂質含有物を含む固体を提供する工程、
    を備える、微細藻類バイオマスから脂質含有物及びタンパク質含有物を抽出する方法。
  7. 前記工程(ii)で得られる混合物のpHが約0.5から約2の範囲内である、請求項4又は6に記載の方法。
  8. 前記工程(ii)で得られる混合物のpHが約1である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記工程(iv)で得られる混合物のpHが約11から約14の範囲内である、請求項5又は6に記載の方法。
  10. 前記工程(iv)で得られる混合物のpHが約13である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記微細藻類バイオマスを含有する酸性又はアルカリ性の水性混合物を加熱する工程が、当該混合物をマイクロ波照射処理することで行われる、請求項4−10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記加熱工程の一つ又はそれ以上が大気圧下で行われる、請求項4−11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記加熱工程の一つ又はそれ以上が、大気圧よりも高い圧力下で行われる、請求項4−11のいずれかに記載の方法。
  14. 請求項1−13のいずれかに記載の方法によって製造される産物。
  15. 請求項1、請求項4、請求項5、又は請求項6のいずれかに記載された方法、及び、前記実施例に実質的に説明された方法。
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