JP2014520970A - 低粗さ高表面エネルギの抗菌布 - Google Patents

低粗さ高表面エネルギの抗菌布 Download PDF

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Abstract

【解決手段】自己除染布が、高い表面エネルギおよび低い表面粗さを有するテンセルなどの繊維から製造される。新規の精練方法が、実質的にすべての不純物を繊維から取り除き、新規のコーティング処理が、ハロゲン化合物などの抗菌コーティングを布に塗布して、接触した病原体の迅速な不活化を実現する。新規の充填方法が、典型的には塩素への暴露によって、コーティングを活性化または再活性化させる。コーティングには、病原体が生存しうるギャップ領域が実質的に存在しない。繊維の高表面エネルギは、高いコーティング濃度を可能にし、付着した病原体とコーティングとの間の密接な接触を提供する。低表面粗さは、繊維による病原体の捕捉を低減する。多層の実施形態は、最大限の抗病原体コーティング濃度を有するよう構成された外側層と、皮膚接触に適合するように低減されたコーティング濃度を有するよう構成された内側層と、を備える。
【選択図】図10B

Description

関連出願
本願は、2011年7月1日出願の米国仮出願第61/503,985号の利益を主張し、その仮出願は、参照によりすべての目的でその全体が本願に組み込まれる。
政府の権利の記載
本発明の一部は、「NFS認可番号IIP−1047008号」の下、米国政府の資金提供によってなされたものであり、米国政府は、一定の権利を有しうる。
本発明は、防護布に関し、特に、接触した病原体を無力化することができる布に関する。
薬剤耐性病原体は、職場、家庭、および、病院でさえ人に影響を与えうる公衆衛生上の重要な問題である。時に見境なく抗生物質を使用するようになって60年が経ち、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、クロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)、および、その他のグラム陰性病原菌が、最近、病原体抑制の伝統的なアプローチを回避し、技術的解決法を革新する我々の能力に挑んでいる。
2010年2月10日、ロイターは、院内感染だけで算出された推定コストが81億ドルに上ると報告した。同じ日にアーカイブス・オブ・インターナル・メディシン誌に発表された研究から、ロイターは、肺炎患者の手術後の入院が14日間延び、その内11パーセント超が死亡したという研究者による発見を報告した。「これは、このような症例での悲劇だ」と、この研究に従事したシカゴ大学Anup Malani氏は語った。「一部の例では、比較的健康な人がありきたりの手術のために入院する。彼らは、感染対策のミスのために敗血症を発症し、死亡する可能性がある」。研究者達は、毎年170万件の医療関係の感染が診断されていると言う。多くは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌すなわちMRSAなどの薬物耐性菌によるものであり、それらの菌に作用しうる薬剤がごくわずかしかないために、治療のためにより多くの費用がかかる。これらの感染は、病院外でも起こる場合があり、いくつかの研究では、かかる市中感染も増加していることが示されている。ファイザー社による推定では、MRSAだけで年間40億ドルの費用がかかることが示唆された。
人口密度が増え、人および食品の高速輸送が標準的になったので、新たに進化した病原体の型が広くばらまかれ、大きな公衆衛生上の課題になる可能性がある。薬剤耐性菌が蔓延しうる方法の1つは、交差汚染(本明細書では「接触伝播」とも呼ぶ)によるものであり、それにより、病原体が個人の皮膚および/または衣服を汚染し、次いで、個人的な接触を介して人から人へと伝播される。交差汚染のリスクは、労働者が不特定多数の人々と相互作用する公共および組織の環境で特に大きい。例としては、病院の救急外来、病院の感染症治療室、総合病院環境、長期的医療施設、刑務所、輸送スクリーニング(TSA輸送スクリーニングなど)、一部の運動施設、法執行機関、矯正施設、料金所係員、劇場の切符切り、ならびに、救急および消防隊が挙げられる。これらの施設の多くは、すでに深刻な感染症の発生に見舞われており、経験からこれらの病原体は抑制が困難でありうることを知っている。
交差汚染を防ぐための試みは、通例、手洗いおよび/またはハンドジェルならびにバリア手袋および/またはその他の個人用防護具(「PPE」)の使用など、あらゆる範囲の手指衛生プロトコルを含む。例えば、医療環境で、または、有毒生物流出の調査時に、危険な病原体への暴露から個人を保護するために、頻繁に着替えて洗濯できるマスク、手袋、ガウン、および、その他の保護衣などの個人用防護具(「PPE」)が、しばしば用いられる。他の例としては、警察官、刑務官、管理人、空港およびその他の安全施設の保安要員、道路の料金徴収員、ならびに、劇場の切符切りなどが挙げられる。
特に、保護用使い捨て手袋が、しばしば、かかる条件下で着用される。これらのアプローチでは、手袋およびその他の保護衣をまじめに利用して、頻繁に取り替えるように、労働者を訓練する必要がある。接触伝播を抑制する鍵は、これらのプロトコルを積極的に遵守することであると十分理解されている。
しかしながら、これらの衛生プロトコルは、かなりの費用および廃棄物につながると共に、手袋および/またはその他のPPEを殺菌または交換するには、何をしている場合でも繰り返し中断せざるを得ないので、貴重な時間の損失にもつながりうる。実際には、ユーザが、求められる手袋殺菌および/または手袋交換の手順を最低限だけ守ろうと思うかもしれず、また、例えば、他の職務を実行することに没頭するあまりに、手袋の殺菌または交換を時々忘れる可能性もある。残念ながら、医療現場では、管理側が、手順の管理が十分ではないことをすでに学んでいる。あまりに多くの小さい手順上の誤りが起きるため、このアプローチだけに依存することはできない。そして、料金所および改札口などの多くの環境で、手袋を頻繁に交換することは、単に現実的でない。
さらに、保護手袋の頻繁な交換は、汚染された使用済み手袋に触れることから、ユーザの汚染を引き起こしうる。ユーザが汚染された手袋を外した後に手を適切に殺菌できなければ、感染が起こりうる。手の殺菌は、通例、アルコール系の物質を用いて行われるので、かかる殺菌による保護は、1回の手袋交換から次の手袋交換まで持続せず、その結果、手袋交換中に1回だけ手の適切な殺菌に失敗しただけでも、危険な結果につながりうる。
また、使い捨てではない手袋は、通例、手袋の外側表面にアルコール系の製品を塗布することによって殺菌され、これらの殺菌製品は速やかに揮発するので、この手袋殺菌へのアプローチは、殺菌の合間の交差汚染に対する保護を全く提供しない。
1つのアプローチは、持続性の殺菌クリーム(トリクロサンを含むハンドクリームなど)で、手袋交換の合間にユーザの手を殺菌することであり、殺菌クリームは、次の手袋交換中にユーザの手が適切に殺菌されなかった場合に、ある程度の予備的な保護を提供しうる。しかしながら、かかるクリームは、手袋の使用を妨げる可能性がある。また、手袋自体によって擦れることで、クリームがはがれ落ちる傾向もありうる。さらに、このアプローチは、手袋が十分な頻度で殺菌および/または交換されなければ、他者との交差汚染に対する追加の保護を提供しない。
交差汚染を避ける試みは、労働者が、自己除染するために標準的な保護衣ほど頻繁に交換する必要がない手袋、ガウン、および/または、その他の保護衣を着用できる場合には、はるかに成功しうる、ならびに/もしくは、忙しい医師または看護師が、例えば、患者の合間に手袋の交換を時々忘れてしまっても、交差汚染に対する保護を提供し続けることができる。病院、運輸保安、警察、矯正施設、および、その他の公共サービスの多くの職員は、通例、30〜180秒以内に1人の対象者から次の対象者へと移る。したがって、自己除染布が効果を発揮するには、30〜180秒以内に3−logの殺菌レベルまで外部表面上の様々な病原体を破壊できなければならない。
多くの自己除染布が、現在市販されており、銅、銀、または、ヒダントイン付着クロラミンを利用している。しかしながら、これらの布について、栄養型の病原体に対する3−log殺菌時間は、1〜24時間の範囲にあり、これらの現在の提供されている物の内、ほとんどではないにしても多くは、クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)などの芽胞にはほとんどまたは全く作用しない。したがって、これらの布は他の目的には有用でありうるが、交差汚染の抑制には有効でない。
多くの他の自己除染布技術が長年にわたって開発され、それらの一部は、すでに商品化されており、数例を挙げると、銀コーティングおよびその他の金属化合物、フェノール、キトサン、ならびに、PHMBなどである。しかしながら、これらの布の中には、十分に短い殺菌時間を提供できるものはなく、いずれも洗浄および使用後に性能が低下し、再生可能なものもない。
本明細書の教示は、マスクおよび完全防護服など、様々なタイプのPPE装備に適用可能であること、「手袋」という用語は、本明細書では、文脈上特に手に着用する手袋が求められる場合を除いて、すべてのかかるPPE装備を指すように総称的に用いられることに注意されたい。
したがって、交差汚染およびユーザ汚染に対して持続的な保護を提供し、好ましくは30〜180秒の間の3−log病原体殺菌時間を有し、連続的な長期間の使用のために容易に再生可能である、保護手袋およびその他の保護衣の材料になりうる自己除染布が求められている。
自己除染布が、高い表面エネルギおよび低い表面粗さを有する繊維から製造される。実質的にすべての不純物が繊維から取り除かれ、その後、抗病原体コーティングが、非共有の水素結合またはファンデルワールス力によって付着され、接触した病原体の迅速な不活化を実現する。低い表面粗さは、病原体が繊維に付着する可能性を低くする。高い表面エネルギは、高濃度の抗病原体化合物のコーティングを可能にすると共に、水分がなくても病原体を迅速に不活化できるように、付着したあらゆる病原体を抗病原体化合物と密接に接触させる。繊維から実質的にすべての不純物を取り除くことにより、実質的にギャップのない抗菌コーティングが得られる。かかるギャップを排除できなければ、交差汚染に対して布によって提供される保護が大幅に弱くなる。
高い繊維表面エネルギ
もちろん、抗病原体コーティングを塗布できる多くの有機材料から形成された幅広い繊維が存在する。繊維系材料へのコーティングの濃度は、フィラメントとコーティングとのペアの界面張力に大きく依存する。この界面の熱力学が好ましくない場合、コーティングの濡れが抑制され、水素結合またはファンデルワールス結合に必要な密接な接触が妨げられる。結果として、不完全な濡れにより、抗菌面の密度が不完全または一定しないことになる。
フィラメントコーティングの界面を管理する必要性に加えて、生物病原体とコーティング面との間の相互作用が、抗菌システムの有効性に重要である。液体の水がない場合、抗菌作用は、病原体の細胞膜と活性面との間の密接な接触を必要とする。一般に、より感染力の高い病原体は、皮膚および粘膜への優れた付着性を示す。
実施形態において、本発明の基材は、コーティング前に約68mJ/m2の表面エネルギ(ウォッシュバーン法によって測定)を有し、コーティングおよび充填後に少なくとも60mJ/m2の表面エネルギ(ウォッシュバーン法によって測定)を有する。
コーティングの欠陥
現行の抗菌システムは、生物病原体に対して短い不活化時間を達成できない。接触伝播の管理において決定的に必要なものは、短い不活化時間である。現行のシステムでは、コーティングの欠陥の重要性が理解されていなかったため、短い不活化時間を達成できなかった。本発明に寄与した洞察は以下の通りである:殺生物剤コーティングの被覆にギャップまたは隙間がある場合、平均の抗菌活性を改善することはできるが、抗病原体剤の実効速度は改善されない。細菌の小さいスケールでは、コーティングの欠陥が、二元効果を持つ。活性コーティング領域上の細菌は不活化されるが、非常に高い平均コーティング抗菌活性があっても、基材上の抗菌コーティングの隙間またはギャップに位置する細菌は不活化されない。
多くの抗病原体剤(すなわち、抗菌剤)が抑制領域を持つのが事実である(AATCC M147)。しかしながら、この効果は、長い暴露時間でしか見られない。そのため、現行の抗菌剤は、数時間の暴露時間では非常に効果的な不活化速度を有する。しかしながら、システムが、直接接触および抑制領域の効果の両方に依存する場合、不活化速度はほとんど改善されない。すべての現行の抗菌コーティング方法で、かなりの密度のコーティング欠陥が生じるため、それらの方法の不活化速度は限られている。
逆に、ギャップも隙間もない完全被覆の抗菌システムの重要性を理解したため、本発明は、現在の技術水準よりもはるかに短い不活化時間を実現して、高速の殺菌システムを提供することができる。さらに、このような問題への洞察の結果として、本発明者は、表面エネルギの増大に関するさらなる改善の利点を認識できた。本発明は、病原体と抗病原体剤との直接的な接触に基づくため、表面エネルギを利用して、この界面での濡れ性を改善することができる。布の表面に途切れのない抗菌活性があるため、濡れ性の改善、および、大きい表面積によって提供された接触面積の増大の結果として、活性速度が実質的に改善する。しかしながら、コーティングの欠陥があった場合、高い表面エネルギおよび改善された病原体付着の結果として、ギャップ領域に付着した病原体の伝播が増加するだけである。したがって、コーティングの欠陥が問題の原因であったという本発明者の認識が、本発明を実現する重要な要素になった。
滑らかさ
また、このコーティング欠陥の洞察は、滑らかな表面を持つ繊維を利用することに関するさらなる改善を可能にした。上述の速度の改善が綿およびその他の粗い繊維タイプで達成されると、本発明者は、病原体の表面負荷に対する表面形状の影響を識別することができた。布地が、直接的な接触での不活化を提供すると、表面形状が、病原体負荷を制御しうる。抗菌化合物への病原体の伝播率が、表面形状によって制御される。より低い病原体伝播が、不活化速度を改善する。
精練−糊抜き処理
繊維の表面上の不純物が、繊維への抗菌コーティングの濡れおよびその後の付着を妨げる。したがって、繊維のコーティングの付着を可能にするために、繊維の処理に用いられるワックス、糊、および、潤滑剤、ならびに、その他の不純物を最小限に抑える。多くの連続的な糊抜き処理がある。一般に、それらは、洗浄剤および湿潤成分を含む水性浴を通して浸漬およびパディングを行うことからなる。糊抜き剤の浸漬およびパディングは、実施形態において、低張力またはゼロ張力で行われ、次いで、糊抜き剤によって溶媒和された不純物を除去するために複数回のリンスおよびパディングを行う工程が実行される。通例、残留不純物のレベルは、布地の1重量%未満である。
コーティングおよび乾燥処理
繊維および繊維ウェブをコーティングするためのプロセス工学が、多くの異なる主題領域に発展した。これらは、拡布ロールツーロール法、パディング、ブレードコーティング、ダイレクトおよびリバースロールコーティング、スロットダイ、直接押し出し、ならびに、蒸着など、幅広い方法を含む。ロールツーロール技術は、すべてが拡布式であるわけではなく、特に、ロープコーティングおよびジェットコーティングを含む。これらの連続的な処理タイプは、横方向の限られた張力および繊維束のいくらかの構造的な操作を含む様々な特徴を有する。しかしながら、処理を通してウェブを輸送する必要があることにより、これらの処理が、圧縮機械作用を糸束に加える機会は限られる。
このテーマを続けると、糸束、パッケージ、または、衣類のために開発された一連の非連続的な染色処理がある。これらのバッチ処理は、処理の仕様が様々である。しかしながら、それらは、染色処理中にゼロ張力下で繊維束の構造的な機械作用を可能にするいくつかの方法を含む。ドラムおよびパドルを用いた衣類染色が、このグループでは唯一、糸束へのゼロ張力および圧縮機械作用の両方を可能にする。これらのバッチ処理は、有機溶媒系の浴液と共には用いられないが、95%超の水性浴液で用いられる。
多層布
実施形態において、本発明は、着用者の皮膚への悪影響を心配することなしに、高レベルの生物病原体抑制を提供できる。これらの実施形態は、強力な抗病原体剤コーティングを受け入れつつ高い病原体不活化速度を実現できる外側繊維層と、着用者の皮膚に接触して皮膚接触に適合したより低い強度の抗菌コーティングを受け入れるよう構成された内側層とを備えた多層構造を有する布を製造することにより、この心配に対処する。
本発明の一般的な一態様は、繊維構造であり、45mJ/m2を超える総表面エネルギを有するポリマ基材繊維層と、繊維層の表面に塗布された抗菌コーティングと、を備え、抗菌コーティングは、コーティングされた表面の7μm2当たり、1μm2を超える規模のコーティングギャップが1つ未満である。
実施形態において、抗菌コーティングは、コーティングされた表面の30μm2当たり、1μm2を超えるコーティングギャップが1つ以下である。一部の実施形態において、抗菌コーティングは、コーティングされた表面の150μm2当たり、1μm2を超えるコーティングギャップが1つ以下である。別の実施形態において、抗菌コーティングは、1.0ミクロン未満の厚さを有する。
様々な実施形態において、抗菌コーティングは、水素結合およびファンデルワールス結合の少なくとも一方を含む非共有結合によって前記繊維層の表面に結合される。
特定の実施形態において、繊維層は、セルロースフィラメントを含む。これらの実施形態の一部において、セルロースフィラメントは、合成セルロースフィラメントである。そして、これらの実施形態の一部において、合成セルロースフィラメントは、綿、ニトロセルロース、ビスコース、リヨセル、および、テンセルの内の少なくとも1つと、少なくとも1つの他の非セルロース繊維とを備える。
いくつかの実施形態において、繊維層は、1000d(デニール)未満の単糸束を含む。別の実施形態において、繊維層は、300d(デニール)未満の単糸束を含む。さらに別の実施形態において、繊維層は、200d(デニール)未満の単糸束を含む。
いくつかの実施形態において、繊維層は、3.9未満の撚り数を有する糸束を含む。別の実施形態において、繊維層は、3.5未満の撚り数を有する糸束を含む。
様々な実施形態において、繊維層は、外面におけるフィラメントの割合が20%を超える糸束を含む。特定の実施形態において、繊維層は、縦方向にインチ当たり30を超える糸および横方向にインチ当たり30を超える糸を含む織り目で構成される。
いくつかの実施形態において、繊維層は、ASTM D737による試験で、400cfm/ft2を超える通気性を有する。別の実施形態において、抗菌コーティングは、コーティング全体の平均でピマ綿の0.5よりも低い平均二次元粗さSaを有する。
さらに別の実施形態において、抗菌コーティングは、動物皮膚モデルと比べて、90秒を超える接触時間にわたって1logを超える総病原体不活化レーティングを有する少なくとも1種類の消耗ハロゲン成分を含む。
本発明の別の一般的な態様は、繊維構造であり、45mJ/m2を超える総表面エネルギを有するポリマ基材繊維層と、繊維層の表面に付着された実質的に途切れのない抗菌コーティングと、を備え、抗菌コーティングは、40mJ/m2を超える表面エネルギを有すると共に、コーティング全体の平均でピマ綿の0.5よりも低い平均二次元粗さSaを有する。
いくつかの実施形態において、抗菌コーティングは、コーティング全体の平均で0.045μmよりも低い平均二次元粗さSaを有する。別の実施形態において、抗菌コーティングは、コーティング全体の平均で0.02μmよりも低い平均二次元粗さSaを有する。
特定の実施形態において、抗菌コーティングは、水素結合およびファンデルワールス結合の少なくとも一方を含む非共有結合によって繊維層の表面に結合される。
様々な実施形態において、繊維層は、合成セルロースフィラメントを含む。そして、これらの実施形態の一部において、合成セルロースフィラメントは、綿、ニトロセルロース、ビスコース、リヨセル、および、テンセルの内の少なくとも1つと、少なくとも1つの他の非セルロース繊維とを備える。
本発明のさらに別の一般的な態様は、繊維構造であり、セルロース系繊維層と、繊維層の表面に塗布された抗菌コーティングと、を備え、抗菌コーティングは、動物皮膚モデルと比べて、90秒を超える接触時間にわたって1logを超える総病原体不活化レーティングを有する少なくとも1種類の消耗ハロゲン成分を含む。
実施形態において、セルロース系繊維層は、コーティング前に約68mJ/m2の表面エネルギ(ウォッシュバーン法によって測定)を有し、コーティングおよび充填後に少なくとも60mJ/m2の表面エネルギ(ウォッシュバーン法によって測定)を有する。
様々な実施形態において、消耗ハロゲン成分は、ハラミン、ハロゲン充填されたN環状化合物(N−cyclic)、ハロゲン充填されたヒダントイン、ハロゲン充填されたDMDMH、ハロゲン充填されたCMDH、および、ハロゲン充填されたグリコールウリルの内の少なくとも1つを含む。
特定の実施形態において、抗菌コーティングは、水素結合およびファンデルワールス結合の少なくとも一方を含む非共有結合によって繊維層の表面に結合される。
いくつかの実施形態において、消耗ハロゲン成分は、少なくとも4000ppmのハロゲン充填まで充填可能である。別の実施形態において、消耗ハロゲン成分は、少なくとも5000ppmのハロゲン充填まで充填可能である。さらに別の実施形態において、消耗ハロゲン成分は、少なくとも6000ppmのハロゲン充填まで充填可能である。
様々な実施形態において、抗菌コーティングは、接触伝播試験プロトコル(CTTP)を用いて測定すると、90秒で伝播された生物病原体の少なくとも97%を不活化できる。
特定の実施形態において、繊維構造は、多層構造であり、さらに、内側向きのポリマ基材層と、内側向きのポリマ基材層の表面に付着された内側抗菌層と、を備え、内側抗菌層は、長期的な皮膚接触に適合している。
これらの実施形態の一部において、内側抗菌層は、600ppm以下の充填までハロゲンを充填可能である消耗ハロゲン成分を含む。
本発明のさらに別の一般的な態様は、繊維構造を製造するための方法であり、繊維構造は、45mJ/m2を超える総表面エネルギを有するポリマ基材繊維層と、繊維層の表面に塗布された抗菌コーティングと、を備え、抗菌コーティングは、コーティングされた表面の7μm2当たり、1μm2を超える規模のコーティングギャップが1つ未満である。その方法は:1000d(デニール)未満の糸束を形成する工程であって、糸束は、3.9未満の撚り数を有する合成セルロースフィラメントの束である、工程と;糸束をゼロ張力で撹拌しつつ精練する工程と;糸束をゼロ張力で撹拌しつつ非連続的な乾燥方法で乾燥させる工程と;縦方向にインチ当たり30を超える糸および横方向にインチ当たり30を超える糸を含む繊維層を乾燥された糸束から作る工程と;布に張力を掛けずに非連続的なバッチ処理を用いて繊維層に抗菌コーティングを塗布する工程と、を備える。
実施形態において、その方法は、さらに、洗浄剤および湿潤成分を含む水性浴を通して複数回の浸漬およびパディングを行うことにより糸束を糊抜きする工程と、その後に、糊抜き剤によって溶媒和された不純物を除去するために複数回のリンスおよびパディングを行う工程と、を備える。
様々な実施形態において、糊抜きおよびリンス後の残留不純物のレベルは、布地の1重量%未満である。
いくつかの実施形態において、抗菌コーティングは、ゼロ張力および圧縮機械作用の両方を繊維層に印加するドラムおよびパドルによる方法を用いて塗布される。別の実施形態において、抗菌コーティングは、10分より長い暴露を含む非連続的なコーティング処理を用いて塗布される。
様々な実施形態において、抗菌コーティングは、コーティング浴液が繊維層の表面上に噴霧されている間に50〜100gの回転加速でジェット処理を行うことによって塗布される。
特定の実施形態において、抗菌コーティングは、水素結合およびファンデルワールス結合の少なくとも一方を含む非共有結合によって繊維層の表面に結合される。
本明細書に記載の特徴および利点は、包括的ではなく、特に、多くのさらなる特徴および利点が、図面、明細書、および、特許請求の範囲によって、当業者に明らかになる。さらに、本明細書で用いられる用語は、主に読みやすさおよび教示を目的に選択されたものであり、本発明の主題の範囲を限定しないことに注意されたい。
異なる倍率のテンセル繊維の画像上にS.aureusおよびE.coliを重ね合わせて、抗菌接触伝播のための機能的スケールを示す一連の図。
テンセル繊維の画像上にS.aureusおよびE.coliを重ね合わせて、繊維フィラメントに見られる粗さのスケールでの相互作用の可能性を示す図。
天然ピマ綿の繊維の拡大画像を示す図。
図3と同じ倍率のテンセル繊維の拡大画像を示す図。
4つの異なる繊維タイプの一連の断面画像を示す図。
テンセルの粗さ測定値データを示す図。
綿の粗さ測定値データを示す図。
綿番手65の繊維束を示す図。
綿番手87の繊維束を示す図。
1000倍率のテンセルおよび綿の繊維の表面上での塩素分布のEDKマップを比較する図。
本発明の一実施形態の方法を示す機能図の前半を示す図。
本発明の一実施形態の方法を示す機能図の後半を示す図。
本発明は、実施形態において、生物病原体の界面制御機構および抗病原体不活化を併用して、交差汚染(本明細書では、接触伝播とも呼ぶ)を抑制する抗菌コーティング布構造である。本発明は、コーティングされた布表面の表面エネルギベクトルを制御して、病原体の水素結合および/またはファンデルワールス結合を強化する。さらに、病原体の総捕捉率が、基材の表面粗さを抑制することによって抑制される。
本発明の作用メカニズムは以下の通りである。布表面の滑らかさが、病原体の捕捉を制限する。繊維の高い表面エネルギにより、捕捉された病原体がよく付着し、はがれ落ちる可能性が低くなるため、接触伝播につながる可能性が低くなる。また、繊維の高い表面エネルギにより、付着した病原体と殺生物剤との接触面積が増大するため、病原体が高速で不活化される可能性が高くなる。
本発明は、大きい表面積および高い滑らかさを有する繊維の選択、布表面(実施形態では、化学的に清浄なOH−官能基化セルロース表面)の準備のための新規な精練処理、ならびに、フィラメント表面の完全なコーティング、高ピックアップ、および、繊維束の完全な浸透を達成する新規のコーティング処理を含む、新規要素の組み合わせに基づくものであり、非共有の水素結合および/またはファンデルワールス力によって持続的な付着を提供する。このコーティングは、抗病原体剤の一貫したコーティングを提供し、抗病原体剤は、実施形態では、ハラミン、もしくは、ハロゲン充填(halogen−charged)されたN環状化合物、ヒダントイン、または、DMDMHなど、基材表面上のハロゲン系殺生物剤である。
ギャップも隙間もない一貫したコーティングが、図1および図2からわかるように、生物病原体のスケールでは重要である。図の参考細菌は、約0.5ミクロンの直径を有しており、このスケールでは、コーティングの欠陥は、まれでなければならない。
図1は、抗菌接触伝播のための機能的スケールを示す一連の図を提示する。異なる倍率でのテンセル基材を示しており、15倍率の画像100では基材全体、100倍率の画像102では糸束、500倍率の画像104では個々のフィラメントが見える。さらなる画像106は、テンセル基材と5,000倍率108の黄色ブドウ球菌(S.aureus)108および大腸菌(E.coli)110の重ね合わせ画像とを比較している。拡大された大腸菌の画像112に見られる綿毛は、大腸菌およびブドウ球菌の付着メカニズムの一部である繊維状の付属器官であることに注意されたい。
図2は、5000倍率で撮影された綿繊維204の画像上に縮尺を合わせて重ねられた大腸菌200および黄色ブドウ球菌202の画像を示す。黄色ブドウ球菌および大腸菌のおよそのスケールが、綿のフィラメント表面上に重ねられている。これは、繊維フィラメントに見られる粗さのスケールで相互作用する可能性を示している。
図2からわかるように、綿フィラメントの典型的な中央のひだ206がコーティングされなければならない。何故なら、その箇所は、殺生物剤がこれらの領域に途切れなく存在しない場合に細菌の伝播を許容するのに適したスケールであるからだ。
様々な実施形態において、抗病原体コーティングは、多くの化合物の内のいずれかを含みうる。いくつかの実施形態において、抗病原体コーティングは、ハロゲン系の殺生物剤を含んでおり、かかる殺生物剤は、ハロゲン充填物を備えたヒダントインまたはDMDMHなど、ハロゲン化N環状化合物、ハロゲン充填グリコールウリル、第4級アンモニウム塩、および/または、その他の化合物であってよい。
接触伝播試験プロトコル(CTTP)を用いて、殺生物剤が90秒間で生物病原体の97%ないし99.9999%を不活化できることがわかり、新規の抗病原体伝播抑制の性能を証明することができた。
繊維フィラメントの表面エネルギ
繊維タイプの選択および処理が、構造の表面エネルギの制御にとって重要である。本発明の実施形態は、高抗菌表面のためにセルロース系繊維を用いる。これらの繊維は極繊維であり、一般にエネルギが高い水酸化された表面を有する。繊維表面の表面エネルギが高いほど、病原体の生体表面の付着が向上する。さらに、エネルギが高いほど、より多くの極繊維が抗菌コーティングのための優れた付着性を有するようになる。何故なら、表面の高エネルギおよび極性が、ファンデルワールス結合による殺生物剤層の強力な付着を提供し、表面上のヒドロキシルサイトが、ハラミン、ハロゲン化N環状化合物、ハロゲン化ヒダントイン、および、ハロゲン化DMDMHを含むハロゲン化抗菌剤などの殺生物剤の水素結合にとって理想的になるからである。
図3および図4を参照すると、実施形態において、本発明は、図3に5000倍率で示した天然セルロース誘導体(ピマ綿繊維など)よりも高い表面エネルギを有することから、合成セルロース誘導体を利用する。同じく5000倍率で示した図4を参照すると、テンセル、すなわちLenzing社製のレーヨン様セルロース誘導体は、ピマ綿よりも大幅に高い60mJ/m2を超える清浄表面エネルギを有する。表面エネルギの昇順にいくつかの繊維を挙げると、ポリエステル、ナイロン、綿、ニトロセルロース、ビスコース、および、リヨセル(テンセル)である。
実施形態において、基材は、コーティング前に約68mJ/m2の表面エネルギ(ウォッシュバーン法によって測定)を有し、コーティングおよび充填後に少なくとも60mJ/m2の表面エネルギ(ウォッシュバーン法によって測定)を有する。
リヨセルタイプの再構成セルロース系繊維の利用には、2つの利点がある。第1に、テンセルタイプは、0.02ミクロン未満のSaを持つ滑らかな円形の断面を有しており、0.09ミクロンより大きいSa粗さを持つ典型的なピマ綿よりもはるかに滑らかである。第2に、リヨセルは、綿に比べて大幅に高い表面エネルギを有する。この表面エネルギの利点は、塩素による充填後に持続し、天然綿の約50%増しである。全体的な濡れの経験および可能な表面エネルギレベルの範囲に基づいて、リヨセルタイプの表面は、綿またはナイロン材料よりも大幅に良好な病原体への濡れ性を生む。
実施形態において、上述の構造は、清浄なOH−官能基化セルロース表面とは異なるタイプの少なくとも1つのさらなる布要素と組み合わせられる。この要素は、制御されたコーティング付着を有するため、制御された充填を有する。これについては、多層布の実施形態を参照して、後に詳述する。
表面粗さ
表面エネルギに加えて、基材の表面形状が、本発明にとって重要である。図5は、綿500、テンセル502、モダール504、および、ビスコース506を含むセルロース系繊維タイプ群を示す図である。Lenzing社によるこれらの顕微鏡写真は、重要なタイプの天然繊維および再構成繊維の断面を示す。これらの画像は、さらに、これらの繊維の表面形状および表面粗さを示す。
本発明は、滑らかな合成セルロースフィラメントによって提供される新規の競合する界面効果を利用する。細菌の付着には粗さが重要な要素であることが、歯学の研究でわかっている(Quirynen M.,Marechal M.,Busscher H.J.による「The influence of surface free energy and surface roughness on early plaque formation」、J.Clin Periodontol 17:138−44,1990を参照)。これらの非常に滑らかなフィラメントの低粗さが、接触伝播における生物病原体の捕捉を制限することが実証されている。生物病原体の付着が少ないため、不活化しなければならないCFUの量が低減される。表面の高エネルギは、フィラメントの粗さに比べると、生物病原体の捕捉に重要ではない。
図6Aは、「filled plot」600、「3D model」602、「profile plot」604、および、「intensity map」606を含め、テンセルの詳細な粗さ分析を示す図である。図6Bは、「filled plot」608、「3D model」610、「profile plot」612、および、「intensity map」614を含め、綿の詳細な分析を示す図である。算術平均粗さSaを用いると、綿の粗さ(0.092ミクロン)がテンセルの粗さ(0.018ミクロン)の5倍であることに注意されたい。
滑らかなフィラメントでも、或る程度は病原体伝播の捕捉が起きる。フィラメント表面の高い表面エネルギの結果として、これらの生物病原体は、表面に湿潤し(表面になじみ)、抗菌コーティングと密接に接触する。この一連の流れは、以下の通りである:
・滑らかなフィラメント表面が、伝播面からの生物病原体の捕捉を制限する
・高いフィラメント表面エネルギにより、病原体の濡れおよび密接な接触が起きる
・速い不活化速度を有する高密度の抗菌コーティングが、病原体生菌のCFUの最終的な伝播を制限する
糸束
図7および図8を参照すると、実施形態では、1000d(デニール)未満の単糸束が用いられる。いくつかの実施形態では、300d未満の単糸束が利用され、特定の実施形態では、200d未満の単糸が利用される。布の張力条件に応じて、いくつかの実施形態において、糸束は、3.9未満の撚り数を有し、別の実施形態において、糸束は、3.5未満の撚り数を有する。特定の実施形態では、糸束の外面におけるフィラメントの割合が、20%より高い。
図7は、糸束当たり約90のフィラメントを有し、フィラメントの第1のリングに糸の面積の約31%が含まれる65の綿番手を示す断面図である。図8は、糸束当たり約60のフィラメントを有し、フィラメントの第1のリングに糸の面積の約40%が含まれる87の綿番手を示す断面図である。
基材
本発明において、精練、抗菌コーティング、および、充填を最適化するために、布基材は、開放的な構造を有する。実施形態は、縦方向に30糸/インチを超える糸数および横方向に30糸/インチを超える糸数を有する基材構造を備える。好ましい布は、400cfm/ft2を超える通気性(ASTM D737による試験)を有する。
様々な実施形態において、これは、織布、ニット、または、不織布の基材を用いて実現される。さらに、いくつかの実施形態において、第2の繊維を用いて、異なる抗菌性および快適性を作り出してもよい。これについては、多層布の実施形態を参照して、後に詳述する。
精練処理
ほぼ完全な表面汚染の除去が、本発明の中心である。本発明の実施形態では、1.0ミクロン未満の厚さを有し、隣接するフィラメントにほとんどまたは全く架橋しないコーティングが施される。繊維、薄膜、または、基材は、不純物およびワックスを持たない必要があり、そうでなければ、洗浄すなわち「精練」処理を用いて、コーティング処理前にあらゆる汚染を除去しなければならない。高性能の抗病原体を実現するには、コーティングは、糸束のフィラメントまたはその他の基材表面にわたって実質的に連続して一貫している必要がある。本発明では、界面活性剤エマルションの高負荷の利用など様々な影響から生じうるコーティングの欠陥が起こらない。本発明でコーティングの欠陥が生じないのは、部分的には、以下の欠陥の発生源を排除した結果である:
a)コーティング浴液と基材表面との間の準最適な湿潤;
b)変化しうる表面の精練表面洗浄;
c)張力によって引き起こされる内部の繊維束表面からの浴液の排除;
d)コーティング中の不十分な撹拌;
e)高い撚り数;
f)大きいフィラメント束;および
g)繊維集合体における極度の締め付け
上に挙げた発生源のいずれかから生じたコーティングの表面欠陥は、2つの影響を有する。第1に、欠陥は、平均抗菌剤コーティング率を減少させ、第2に、付着した病原体と抗菌剤との間の距離について複数の距離範囲を生じさせる。本発明におけるコーティング処理の非常に厳密な制御の結果、非常に高度な殺生物剤コーティング膜の完全性が実現されるため、非常に短い病原体の不活化時間が達成される。
典型的な綿繊維の場合、綿ろう、および、細胞構造内のペクチン成分が、コーティングの親和性および病原体の生物付着に関する綿の性能を制限する低エネルギ成分である。複雑な酵素精練を用いても、綿のこれらの低エネルギ成分は排除できない。完全に再構成した形態のセルロースは、これらの表面成分を持たない。他の繊維と同様に、再構成セルロース系繊維には、処理のためにスピン仕上げが必要である。これらの潤滑剤および充填防止加工は、精練処理の薬剤に十分に注意すれば、精練によって布から効果的に除去されうる。
以下は、本発明の実施形態に含まれる2つの精練処理である。
精練処理#1(範囲精練)
精練が、温度25〜60℃、pH7〜11、ならびに、陰イオン界面活性剤および洗浄剤の組み合わせを用いて施される浴比2:1ないし5:1(浴液対湿潤した物品)の除去工程を終えると、40mJ/m2未満(ウォッシュバーン法で算出)の綿の表面エネルギが実現される。送り速度は、3〜15ypm(ヤード/分)である。リンスが、25〜60℃で3〜7回、2:1ないし5:1の間の浴比で実行され、抽出が、ASTM D2257−2004ソックスレー抽出器を用いて、>10iwgの真空によって、1重量%未満のメタノール抽出限界で実行される。
精練処理#2(高性能の布片または衣類処理)
精練が、温度60℃、pH10、ならびに、陰イオン界面活性剤および洗浄剤の組み合わせを用いて施される浴比5:1(浴液対湿潤した物品)の除去工程を終えると、60ないし68mJ/m2の(ウォッシュバーン法で算出)の表面エネルギが実現される。40分間、ゼロ張力で、横方向および縦方向の両方に繊維束の圧縮を可能にする布片または衣類処理を用いて、撹拌が行われる。利用される水は、脱塩される。リンスが、60℃で3回、5:1の浴比(浴液対湿潤した物品)で実行される。抽出が、ASTM D2257−2004ソックスレー抽出器を用いて、300gで、0.3%重量%未満のメタノール抽出限界で実行される。
低張力、高撹拌のコーティング処理
本発明の実施形態の抗病原体コーティング処理は、コーティングの配合およびコーティングの塗布の両方に新規の特徴を含む。一般に、有機溶媒系のコーティングは、求められる環境規制の結果として利用が制限された。有機溶媒の代替物として広く利用されているのは、界面活性剤に基づく水性エマルションである。この界面活性剤エマルションのアプローチは、抗菌コーティングの配合に用いられる典型的な方法である。しかしながら、本発明の高表面エネルギ抗病原体コーティングの製造には、このアプローチを利用しない。界面活性剤をコーティングに用いると、塗膜に捕らえられて、コーティングの一貫性を低減させ、表面エネルギを下げる。
新規のコーティング材料に加えて、本発明の実施形態には、特別なコーティング処理が含まれる。特に、本発明の実施形態は、繊維束の内部の制限を引き起こしうる連続的なコーティング方法を利用しない。コーティング浴への暴露時間、張力レベル、および、撹拌が、連続的な処理では最適はない。本発明の実施形態では、特別な布片または衣類のコーティング処理が用いられる。実施形態は、糸束に対してゼロ張力で連続的な撹拌を行うと共に、10分を超えるコーティング浴との接触時間を含む。様々な実施形態が、コーティング浴液が布表面上に噴霧されている間に50〜100gの回転加速でジェット処理を行うことを含む。本発明の様々な実施形態は、この長時間の処理の間にコーティングと繊維束との間の密接な接触を可能にして、非共有の水素結合および/またはファンデルワールス結合によって高いコーティング耐久性を提供する。
特定の実施形態では、充填浴の撹拌が、フィラメント束内部の隠れた表面を含め、コーティングの厚さ内にハロゲンが拡散することを可能にすると共に、コーティングの塗布中に張力のかかっていないフィラメント束の機械的操作を提供する。この組み合わせにより、糸束にわたって、各フィラメントの周りに、より連続的なコーティングが形成される。
図9によると、エネルギ分散型X線分光法(EDX)を用いて、表面コーティングの連続性の分析を行うことができる。これは、基材表面の塩素含量を分析することによって達成される。EDXシステムは、ターゲット上の小領域を統合する。EDXプローブで繊維または基材の表面を評価することにより、サンプルごとに塩素含量をプロットして、コーティングの一貫性の指標を与えることができる。実施形態において、本発明のコーティング処理は、30μm2当たり1μm2のコーティングギャップが1未満というコーティングの一貫性(EDXにより決定)を有しており、一部の実施形態では、150μm2当たりコーティングギャップが1未満であり、これは、抗菌処理の現在の技術水準よりもはるかに高い一貫性である。
図9は、綿(Cloroxブランドのフレッシュケアタオルの綿)900およびテンセル(Warwickコーティング)902について20ミクロンのスケールのEDX塩素マップを比較している。また、0.5ミクロンのスケールで連続的なコーティングを示す単フィラメントのテンセルの塩素マップ904、および、1ミクロンのギャップを示す綿の塩素マップ906も図示されており、示された緑のボックスは、殺生物剤と接触しない細菌の空間を許容するのに十分な広さのコーティング空間を推定するために、約0.5ミクロンのスケールになっている。さらに、テンセル上のコーティングの広がり、および、綿のコーティングにおけるギャップをそれぞれ示すサンプルの塩素値のヒストグラム908および910が図示されている。市販のコーティング綿に1.0μmのギャップがあり、本発明に従って準備されたテンセルにギャップがないことに注目されたい。
抗病原体剤の充填処理
実施形態において、抗病原体化合物は、活性切断タイプ(active dis−associating type)の化合物である。実施形態はN−ハラミンを利用し、一部の実施形態は、このタイプの高活性の切断反応を提供するN環状化合物(DMDMHおよび/またはヒダントインなど)を利用する。いくつかの実施形態では、CMDHおよび/またはDMDMHイミド系が用いられる。N−ハラミンの抗菌の有効性は、以下の順であることがわかっている:イミド>アミド>アミン・ハラミン。これは、結合したハロゲンの安定性と逆の順序である。参照:
NTC Project:C05−CR01 1
“Hybrid Micro−porous Membranes Intended for Protective Clothing“
プロジェクトチーム:
リーダー:S.Kay Obendorf,Cornell University,textile chemistry
メンバー:Gang Sun,UC Davis,textile and polymer chemistry,functional materials.
National Textile Center Annual Report:2005年11月
実施形態において、抗病原体コーティングは、4000ppm以上のハロゲン充填という並外れたレベルまで水性ハロゲンを充填されたハロゲンコーティングである。いくつかの実施形態でのDMDMHおよび/またはヒダントインおよび/またはグリコールウリルの利用は、これらのN環状化合物へのハロゲンの結合を可能にする。
以下は、本発明の実施形態で用いられる充填方法のいくつかの例である。
例A
本発明の実施形態における抗病原体コーティングの充填および再充填の基本的な方法は、大気温度で滴定可能な塩素200ppmを含む次亜塩素酸ナトリウムの水溶液(Clorox社)を利用し、10〜60秒の接触時間の間、布を低張力に維持して連続的に撹拌し、その後、余分な溶液を抽出して、布をすすいで乾燥させる。
例B
いくつかの実施形態では、400ppmの塩素水溶液が、塩素ガスおよび脱塩水から準備される。この溶液のpHは、塩酸を加えることによって4ないし6に調整される。次いで、例Aの方法に従って布が処理される。
例C
別の実施形態では、400ppmの臭素水溶液が、塩素ガスおよび脱塩水から準備される。この溶液のpHは、塩酸を加えることによって4ないし6に調整される。次いで、例Aと同様に、布が処理される。
例D
さらに別の実施形態では、200ppmの臭素および200ppmの塩素の水溶液が、塩素ガスおよび脱塩水から準備される。この溶液のpHは、塩酸を加えることによって4ないし6に調整される。次いで、例Aと同様に、布が処理される。
例E
またさらに別の実施形態では、まず、上記の例の1つに従って充填処理を施した後に、湿った布を適切な囲いの中に吊して、15分間、塩素ガスに暴露させる。
多層布
接触伝播の抑制のために非常に短い不活化時間を実現するには、外側の抗病原体剤(例えば、ハロゲン)の充填レベルを非常に高くする必要がある。実施形態の充填レベルは、5分未満、一部の実施形態では2分未満で、病原体を不活化するのに十分な高さである。これらの作用レベルでは、着用者の皮膚が感作される可能性がある。
実施形態において、本発明は、着用者の皮膚への悪影響を心配することなしに、このレベルの生物病原体抑制を提供できる。これらの実施形態は、強力な抗病原体剤コーティングを受け入れつつ高い病原体不活化速度を実現できる外側繊維層と、着用者の皮膚に接触して皮膚接触に適合したより低い強度の抗菌コーティングを受け入れるよう構成された内側層とを備えた多層構造を有する布を製造することにより、この心配に対処する。
多層織布構造を製造するには、多数のアプローチがある。最も広く利用されている方法は、縦糸面および横糸面を含む布の2つの面を作る織布パターンに関する。あや織りまたはしゅす織りが、この特性を有する最もよく知られたパターンである。これらの構造では、織り目内の浮き織りによって、縦糸または横糸のいずれかが布の片側を支配することが可能になる。縦糸および横糸で2つの異なる糸タイプが用いられた場合、その効果は、2層構造を作る効果である。
編み処理において、あまりよく知られていない方法が添え糸編みであり、一方の糸タイプをニットの片側に、そして、他方の糸を布の反対側に維持するように、2つの糸タイプを編み針に供給する方法である。
フェルトを用いると、2つの異なる層を備えた不織布を作ることもできる。このアプローチでは、異なる繊維で形成された2層の織布が、接着またはニードリングによって結合され、単一の2層織布を形成する。
基材の皮膚側
いくつかの多層の実施形態において、外側層および内側層は、抗菌活性が同じではない。実施形態において、抗病原体コーティングは、繊維束に張力を掛けずに、構造内のフィラメント束および交差点を圧縮して広げる機械的作用を用いて、飽和モードで塗布される。このコーティング方法は、布地の全表面にコーティングを施すが、実施形態では、布地は、コーティングの受け入れを制御される。布地の2つの面における繊維タイプを設計することにより、抗菌コーティングのコーティング率が制御および変更される。
以下の表は、一実施形態に適用される詳細を提供しており、内側層は、テクスチャード加工PET繊維であり、構造の外側層は、セルロース系繊維(レーヨンまたはテンセルフィラメント繊維など)である。
コーティングのピックアップを制御し、充填を制限することが、充填と、着用者への皮膚の影響とに関する問題を排除する。動物モデルでの皮膚の研究が、滴定可能な塩素を200ppmないし600ppmに制限したDMDMH系で処理および充填された布地で行われた。これらの研究は、このように低いハロゲンレベルでは、皮膚炎が起こらないことを示している。
総合的な例
図10Aおよび図10Bは、本発明の実施形態で自己除染布を製造する方法に適用できる工程および決定を示す機能図である。
以下の総合的な例が、本発明の実施形態に含まれる。
システム例#1
DMDMHヒダントインと、工業的なテンセル−ナイロン複合基材との組み合わせ、そして、高度な病原体表面付着抑制、および、ファンデルワールス結合によるセルロースの付着のための高いCl充填(4000〜5000ppm)を示す高度なコーティング処理
・精練処理#2による精練
インチ当たり3.5の撚り数で断面当たり約177のフィラメントを有する(すなわち、フィラメント当たり1.0デニール)ように、30/1すなわち177デニールのテンセル繊維から形成された基材と、インチ当たり6の撚り数の210デニールのナイロン糸(すなわち、フィラメント当たり2.5デニール)とを組み合わせて、ナイロン糸が構造の片側に添え糸編みされるように、基本重量140g/m2を有するインチ当たり15コースのジャージニットの基材を形成する。
DMDMHヒダントインコーティングGlydant XL1000を用いて、水100%に対して固形物5%、湿重量の布地に対する浴液の浴比が20:1になるような水の重量%でコーティング混合物を作り、コーティング内に5分間ニットを浸漬して撹拌する。15gで抽出して、抽出後に乾重量の6.5%のウェットピックアップになるようにし、強制空気オーブンで10分間120℃で乾燥させ、強制空気オーブンで5分間150℃で硬化させる。次いで、撹拌しながら15分間脱塩水でリンスして、15gで抽出する。
例aによる充填:結果としてコーティングおよび充填された布構造は、4000ppmないし5000ppmの滴定可能なCl充填物を有する。
これは、細い糸、開放的な構造、高度なコーティング方法の結果として、フィラメントセルロース誘導体との併用により、生物病原体である黄色ブドウ球菌の付着抑制を実現すると共に、時間x1でlogx2の減少というAATCC M100の結果、および、90秒で4.5logのCTTPを達成する高度な処理である。生物病原体であるサルモネラ菌を用いると、時間x1でlog x2というAATCC M100の結果、および、90秒で5.8logのCTTPの結果が達成される。
システム例#2
基本的な実施形態に含まれる例:基本的なコーティング処理によるナイロン単層構造および400〜600ppmの結果。SEMSおよびピックアップデータ。
・精練処理#1による精練
インチ当たり0の撚り数で最外のグループに約13のフィラメントを有する13フィラメントの30デニールナイロン糸を基材に形成し、それを、基本重量30g/m2を有する100epi×100epiのリップストップ織りに形成する。
5%のシロキサン・ヒダントインエマルションコーティング(Halosource社BA−1、約20%の界面活性剤)水溶液で、布の湿重量に対する浴液の浴比が20:1になるように、コーティング混合物を作る。布地をコーティング内に1分間浸漬するが、撹拌しない。15gで抽出し、強制空気オーブンで70℃で乾燥させ、強制空気オーブンで2分間137℃で硬化させる。次いで、撹拌しながら15分間脱塩水でリンスして、15gで抽出する。乾重量の1〜2%のドライピックアップ。
次いで、例Aによって充填される。結果としてのコーティングおよび充填された布構造は、100ppmの滴定可能なCl充填物を有する。この例で綿を代わりに使うと、500ppmの塩素充填という結果になる。
24時間で3〜6logの減少というAATCC M100の結果。
600ppm未満の充填レベルの他の工業的および実験的な確認:
・Halosource社からライセンス供与を受けて生産されているCloroxブランドの尿漏れ防止パッドは、400ppmの充填を有しており、我々が基本的なコーティング処理で達成された結果を裏付ける。
・ゴム手袋のナティック兵士センターのハラミンコーティングは、これらの予想外の結果を達成できなかった。
・ノメックスタイプ430の糸に関する我々自身の研究では、200〜500ppmという結果だった。
・空軍研究所(ティンダルのAFRL)が様々な処理方法でコーティングおよび充填した布では、最大でも600ppmであった。
システム例#3
BA−Nシロキサン・ヒダントインと、工業的な綿基材との組み合わせ、そして、ヒドロキシルセルロース結合による5000〜6000ppmの高度なコーティング処理。
・精練処理#2による精練
3.8の撚り数で断面当たり約88のフィラメントを有する(推定で、フィラメント当たり1デニール)ように、ピマ繊維の60/2の綿糸から形成した基材を、基本質量140g/m2を有するインチ当たり18コースのジャージニットに形成する。
14%のシロキサン・ヒダントインコーティング(Halosource社BA−N)を70%エタノール30%水の中に入れ、湿重量の布に対する浴液の浴比が20:1になるように、コーティング混合物を作る。ニットをコーティングの中に5分間浸漬して撹拌する。15gで抽出して、抽出後に乾重量の17.5%のウェットピックアップになるようにし、強制空気オーブンで25分間80℃で乾燥させ、強制空気オーブンで6分間137℃で硬化させる。次いで、撹拌しながら15分間脱塩水でリンスして、15gで抽出する。乾重量の1.5%のドライピックアップ。
次いで、例Aによって充填される。結果としてコーティングおよび充填された布構造は、200ppmないし400ppmの滴定可能なCl充填物を有する。
結果としてコーティングおよび充填された布構造は、5000ppmないし6000ppmの滴定可能なCl充填物を有する。
この高度な処理は、細い糸、開放的な構造、高度なコーティング方法の結果として、フィラメントセルロース誘導体との併用により、生物病原体の付着抑制を実現する。
システム例#4
DMDMHヒダントインと工業的なテンセル単組成基材との組み合わせ、そして、高度な病原体表面付着抑制、および、ファンデルワールス結合によるセルロースの付着のための高い充填(5000〜6000ppm)を示す高度なコーティング処理
・精練処理#2による精練
インチ当たり3.5の撚り数で最外のグループに断面当たり約177のフィラメントを有する30/1すなわち177デニールのテンセル繊維(すなわち、フィラメント当たり1.0デニール)で基材を形成し、基本重量70g/m2を有するインチ当たり15コースのジャージニットを形成する。
DMDMHヒダントインコーティングGlydant XL1000を用いて、水100%に対して固形物5%、湿重量の布地に対する浴液の浴比が20:1になるような水の重量%でコーティング混合物を作り、コーティング内に5分間ニットを浸漬して撹拌する。15gで抽出して、抽出後に乾重量の6.9%のウェットピックアップになるようにし、強制空気オーブンで10分間120℃で乾燥させ、強制空気オーブンで5分間150℃で硬化させる。次いで、撹拌しながら15分間脱塩水でリンスして、15gで抽出する。
例Aによる充填。結果としてコーティングおよび充填された布構造は、5000ppmないし6000ppmの滴定可能なCl充填物を有する。
これは、細い糸、開放的な構造、高度なコーティング方法の結果として、フィラメントセルロース誘導体との併用により、生物病原体である大腸菌の付着抑制を実現すると共に、時間x1でlog x2の減少というAATCC M100の結果、および、90秒で7.4logのCTTPを達成する高度な処理である。
システム例#5
DMDMHヒダントインと、工業的なテンセル−ナイロン複合基材との組み合わせ、そして、高度な病原体表面付着抑制、および、ファンデルワールス結合によるセルロースの付着のための2500ppmより高い充填を示す高度なコーティング処理
・精練処理#2による精練
インチ当たり3.5の撚り数で断面当たり約177のフィラメントを有する(すなわち、フィラメント当たり1.0デニール)ように、30/1すなわち177デニールのテンセル繊維から形成された基材と、インチ当たり6の撚り数の210デニールのナイロン糸(すなわち、フィラメント当たり2.5デニール)とを組み合わせて、ナイロン糸が構造の片側に添え糸編みされるように、基本重量140g/m2を有するインチ当たり15コースのジャージニットの基材を形成する。
・例#3と同様のコーティングおよび充填
結果としてコーティングおよび充填された布構造は、2500ppmより高い滴定可能なCl充填物を有する。
システム例#6
フェノールグリコールウリルと、工業的なテンセル−ナイロン複合基材との組み合わせ、そして、高度な病原体表面付着抑制、および、ファンデルワールス結合によるセルロースの付着のための2500ppmより高い充填を示す高度なコーティング処理
・例#3による基材
・精練処理#2による精練
システム例#7
第4級アンモニウム非充填可能殺生物剤と、複合基材との組み合わせ。第4級アンモニウム化合物3−(トリメトキシシリル)−(プロピルジメチルオクタデシル)塩化アンモニウム(Si−QAC)は、表面に共有結合した時に抗菌活性を持つことがわかっている。
・精練処理#2による精練
システム例#8
ペプチド非再充填可能殺生物剤と、複合基材との組み合わせ
・精練処理#2による精練
1μm未満の粗さの表面測定
ISO25178の方法に従って光度計を用いて、表面粗さを評価することができる。表面形状を明らかにする多くの測定システムがある。繊維の場合、Saすなわち平均粗さは、平均を引くことによる平面歪みの補正を含むことが好ましい。好ましい実施形態では、これは、0.045μm未満のSaである。
ウォッシュバーン法
ウォッシュバーン技術は、n−ヘキサンをプローブ液として用いて、布材料における複数の1インチ四方の正方形に対して実行された。ウォッシュバーン試験のためのプローブ液の重要な特性は以下の通りである。
1インチ四方の領域で試験を繰り返し、同封のサンプル分析報告に示された生データを取り、結果として以下の接触角の値を得た。
上記の報告における接触角の取得データと、Van Ossの理論とを用いて、以下の表面エネルギの値を計算できる。
細菌試験の問題
論文「An Overview of Antimicrobial Testing for Textile Applications」、H.Wayne Swofford著、Microban International社(AATCC Review November/December 2010 pp51−55)、AATCC Review November/December 2010に、抗菌試験の問題についての要旨が掲載されている。以下は、この論文からの抜粋である。
「布地の抗菌処理は、悪臭防止および劣化防止、ならびに、細菌およびカビによる劣化からの保護に効果をもたらす。しかしながら、研究所間での試験結果の差異、および、明記されていない不適切な試験方法による性能の主張が、抗菌市場で絶えず混乱を招いている。異なる抗菌技術に関して利用可能な比較情報が、しばしば、試験方法の違い、不適切な方法、時に実行方法での単純な混乱、および、専門技能レベルの違いによって誤解を招いている。2つの研究所がAATCC TM100またはJIS L 1902を引用したというだけで、実際にそれらの研究所が、正確に同じ方法でプロトコルを実行しているわけではない。試験の質は、悲惨なほど悪く、ブラインドラウンドロビン試験では、信頼できる定量試験プロトコルを実行できるのは、評価対象の研究所の半数に満たなかった。確かな比較を行う唯一の方法は、同じ研究所で同じ一連の試験を用いて比較試験を行う方法である。研究室間で違いが生じた場合、結果の理解を可能にするのは、試験プロトコルの詳細な見直しだけである。」
これらの試験に関する問題は、きちんと定義されていない試験方法が不活化速度の比較に用いられた場合には、さらに深刻になる。試験の暴露時間が長いと、或る程度は結果が安定する。短い暴露時間の試験における試験プロトコルの影響により、研究室間の相互関係の問題が誇張される。
基本的な飽和抗菌試験方法
表6に挙げたAATCC方法100およびその他の方法はすべて、密接な関係のある方法であり、培養液またはその他の培地に病原体を植えてATSを接種することを含む。不活化時間(通例は、1時間ないし24時間)を置いて、次に、病原体を抽出してペトリ皿に植え、増殖期間後にCFUをカウントする。これらの方法は、接触伝播の状況での病原体の急速な不活化を評価するのに適していない。実際、AATCC M100は、15分未満の短い試験時間では再現性に問題がある。
これらの方法は、接触伝播の典型とはならない大きい飽和液の負荷を用いる。この非常に大きい負荷は、CFUカウントの6logまでの減少を測定できる試験を行うという要求が動機になっている。実際の接触伝播の大多数では、細菌負荷は、繊維束を飽和させるのに十分ではない。さらに、方法100における中和工程および液体抽出工程は、接触伝播の評価を許容しない。これらの既存の方法では、病原体は、抽出されるが伝播されない。接触伝播を効果的に評価するために、我々は、方法に抽出工程を加えず、結果的に、新しい方法が、3logを超えるCFUカウントの感度を持たないことを受け入れた。
接触伝播試験プロセスCTTPの説明
接触伝播の界面挙動を測定するために、動物皮膚モデルの病原体伝播を候補ATS物質と比較する方法を開発した。この方法は、ハンドジェルおよび手洗いタイプの抗菌剤のためのEN1500およびEN1499の方法および概念に基づいている。これらENの方法は、皮膚伝播である。被験者を利用する複雑さを回避するために、動物皮膚モデルの利用を選んだ。
CTTP
CTTP法では、30〜3μlの細菌負荷を100mm寒天培地に塗布する。この負荷は、1.5×108CFU/mlを含む培養液である。負荷の体積は、動物皮膚伝播の基準値に基づいて各微生物に対して確立される。この基準CFU伝播は、伝播プレート上でのカウント限界内に収まる必要がある。動物皮膚モデルは、脂肪および毛を取り除いたなめしていない生の豚皮膚から準備される。15×80mmの豚皮膚サンプルを用いて、皮膚モデルが、8g/cm2の接触負荷を有する負荷バイオフィルム内に印刷される。次いで、同じ接触負荷を用いて、皮膚モデルが、伝播寒天培地上に印刷される。大腸菌の試験では、ソルビトールを含むマッコンキー寒天培地(SMAC)が用いられ、黄色ブドウ球菌の試験では、マンニット食塩寒天培地(MSA)が用いられる。同じプロセスが、抗菌処理されたサンプル、および、抗菌処理されていない対照サンプルに対して繰り返される。36℃で24時間培養した後、CFUカウント値を用いて、処理済サンプルと未処理サンプルとを比較することにより、抗菌効果に関するデータを取得し、皮膚モデルデータを未処理サンプルと比較することにより、表面エネルギおよび形状の影響に関するデータを取得する。皮膚モデルの結果と未処理サンプルとを比較することにより、表面挙動および抗菌処理の両方を組み合わせた効果に関するデータが得られる。これら3つの比較に加えて、試験の一貫性を保証するために、負荷プレートがカウントされる。
滴定可能ハロゲン試験
ヨード滴定のプロセスにより、ハロゲンの検証が実現される。布地の表面上の滴定可能な塩素のレベルを定量的に表す手段として、ヨード還元滴定が実行される。少なくとも4cm×4cmを計測して、処理済の布地から材料サンプルを切り出し、重さを計った後に、250mlの三角フラスコに入れる。0.05Nの硫酸(H2SO4)35mlを材料サンプルを入れたフラスコに追加する。次いで、ヨウ素カリウム粉末(KI)0.3gをフラスコに追加する。磁石撹拌子および撹拌プレートを用いると、サンプルを完全に混ぜることができ、溶液は、黄色になる。0.001Nの濃度に標準化されたチオ硫酸ナトリウム(Na223)を用いて、ビュレットからフラスコに一定の滴下をゆっくりと行う。黄色がほとんど消えるまで、Na223を加え続ける。溶液中にかすかな黄色だけが残るようになったら、指標として働くように、デンプンを5滴加えると、溶液は青色に変わる。青色を検出できなくなるまで、Na223を加え続ける。滴定剤の最終的な体積を記録すると、以下の式から、存在する塩素の濃度を決定できる:
塩素濃度(ppm)={(Na2S2O3体積(mL))(.001)(35)(1000)}/{(2)(材料サンプル重量)} (1)
本発明の技術に適用できる標準的な試験の一部を、上で引用したAATCCレビュー論文から抜粋した以下の表に提示する。
本発明の実施形態に関するこれまでの記載は、図解および説明を目的としたものである。本発明を網羅する意図も、開示されている通りの形態に本発明を限定する意図もない。本開示に照らして、多くの変形例および変更例が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明に限定されず、添付の特許請求の範囲によって限定される。

Claims (41)

  1. 繊維構造であって、
    45mJ/m2を超える総表面エネルギを有するポリマ基材繊維層と、
    前記繊維層の表面に塗布された抗菌コーティングと、
    を備え、
    前記抗菌コーティングは、コーティングされた表面の7μm2当たり、1μm2を超える規模のコーティングギャップが1つ未満である、繊維構造。
  2. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、コーティングされた表面の30μm2当たり、1μm2を超えるコーティングギャップが1つ以下である、繊維構造。
  3. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、コーティングされた表面の150μm2当たり、1μm2を超えるコーティングギャップが1つ以下である、繊維構造。
  4. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、1.0ミクロン未満の厚さを有する、繊維構造。
  5. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、水素結合およびファンデルワールス結合の少なくとも一方を含む非共有結合によって前記繊維層の表面に結合される、繊維構造。
  6. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、セルロースフィラメントを含む、繊維構造。
  7. 請求項6に記載の繊維構造であって、前記セルロースフィラメントは、合成セルロースフィラメントである、繊維構造。
  8. 請求項7に記載の繊維構造であって、前記合成セルロースフィラメントは、綿、ニトロセルロース、ビスコース、リヨセル、および、テンセルの内の少なくとも1つと、少なくとも1つの他の非セルロース繊維とを備える、繊維構造。
  9. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、1000d(デニール)未満の単糸束を含む、繊維構造。
  10. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、300d(デニール)未満の単糸束を含む、繊維構造。
  11. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、200d(デニール)未満の単糸束を含む、繊維構造。
  12. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、3.9未満の撚り数を有する糸束を含む、繊維構造。
  13. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、3.5未満の撚り数を有する糸束を含む、繊維構造。
  14. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、外面におけるフィラメントの割合が20%を超える糸束を含む、繊維構造。
  15. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、縦方向にインチ当たり30を超える糸および横方向にインチ当たり30を超える糸を含む織り目で構成される、繊維構造。
  16. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、ASTM D737による試験で、400cfm/ft2を超える通気性を有する、繊維構造。
  17. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、コーティング全体の平均でピマ綿の0.5よりも低い平均二次元粗さSaを有する、繊維構造。
  18. 請求項1に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、動物皮膚モデルと比べて、90秒を超える接触時間にわたって1logを超える総病原体不活化レーティングを有する少なくとも1種類の消耗ハロゲン成分を含む、繊維構造。
  19. 繊維構造であって、
    45mJ/m2を超える総表面エネルギを有するポリマ基材繊維層と、
    前記繊維層の表面に付着された実質的に途切れのない抗菌コーティングと、
    を備え、
    前記抗菌コーティングは、40mJ/m2を超える表面エネルギを有すると共に、コーティング全体の平均でピマ綿の0.5よりも低い平均二次元粗さSaを有する、繊維構造。
  20. 請求項19に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、コーティング全体の平均で0.045μmよりも低い平均二次元粗さSaを有する、繊維構造。
  21. 請求項19に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、コーティング全体の平均で0.02μmよりも低い平均二次元粗さSaを有する、繊維構造。
  22. 請求項19に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、水素結合およびファンデルワールス結合の少なくとも一方を含む非共有結合によって前記繊維層の表面に結合される、繊維構造。
  23. 請求項19に記載の繊維構造であって、前記繊維層は、合成セルロースフィラメントを含む、繊維構造。
  24. 請求項23に記載の繊維構造であって、前記合成セルロースフィラメントは、綿、ニトロセルロース、ビスコース、リヨセル、および、テンセルの内の少なくとも1つと、少なくとも1つの他の非セルロース繊維とを備える、繊維構造。
  25. 繊維構造であって、
    セルロース系繊維層と、
    前記繊維層の表面に塗布された抗菌コーティングと、
    を備え、
    前記抗菌コーティングは、動物皮膚モデルと比べて、90秒を超える接触時間にわたって1logを超える総病原体不活化レーティングを有する少なくとも1種類の消耗ハロゲン成分を含む、繊維構造。
  26. 請求項25に記載の繊維構造であって、前記セルロース系繊維層は、コーティング前に約68mJ/m2の表面エネルギ(ウォッシュバーン法によって測定)を有し、コーティングおよび充填後に少なくとも60mJ/m2の表面エネルギ(ウォッシュバーン法によって測定)を有する、繊維構造。
  27. 請求項25に記載の繊維構造であって、前記消耗ハロゲン成分は、ハラミン、ハロゲン充填されたN環状化合物、ハロゲン充填されたヒダントイン、ハロゲン充填されたDMDMH、ハロゲン充填されたCMDH、および、ハロゲン充填されたグリコールウリルの内の少なくとも1つを含む、繊維構造。
  28. 請求項25に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、水素結合およびファンデルワールス結合の少なくとも一方を含む非共有結合によって前記繊維層の表面に結合される、繊維構造。
  29. 請求項25に記載の繊維構造であって、前記消耗ハロゲン成分は、少なくとも4000ppmのハロゲン充填まで充填可能である、繊維構造。
  30. 請求項25に記載の繊維構造であって、前記消耗ハロゲン成分は、少なくとも5000ppmのハロゲン充填まで充填可能である、繊維構造。
  31. 請求項25に記載の繊維構造であって、前記消耗ハロゲン成分は、少なくとも6000ppmのハロゲン充填まで充填可能である、繊維構造。
  32. 請求項25に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、接触伝播試験プロトコル(CTTP)を用いて測定すると、90秒で伝播された生物病原体の少なくとも97%を不活化できる、繊維構造。
  33. 請求項25に記載の繊維構造であって、前記繊維構造は、多層構造であり、さらに、
    内側向きのポリマ基材層と、
    前記内側向きのポリマ基材層の表面に付着された内側抗菌層と、
    を備え、
    前記内側抗菌層は、長期的な皮膚接触に適合している、繊維構造。
  34. 請求項33に記載の衣類であって、前記内側抗菌層は、600ppm以下の充填までハロゲンを充填可能である消耗ハロゲン成分を含む、衣類。
  35. 繊維構造を製造するための方法であって、前記繊維構造は、
    45mJ/m2を超える総表面エネルギを有するポリマ基材繊維層と、
    前記繊維層の表面に塗布された抗菌コーティングと、
    を備え、
    前記抗菌コーティングは、コーティングされた表面の7μm2当たり、1μm2を超える規模のコーティングギャップが1つ未満であり、
    前記方法は、
    1000d(デニール)未満の糸束を形成する工程であって、前記糸束は、3.9未満の撚り数を有する合成セルロースフィラメントの束である、工程と、
    前記糸束をゼロ張力で撹拌しつつ精練する工程と、
    前記糸束をゼロ張力で撹拌しつつ非連続的な乾燥方法で乾燥させる工程と、
    縦方向にインチ当たり30を超える糸および横方向にインチ当たり30を超える糸を含む繊維層を前記乾燥された糸束から作る工程と、
    布に張力を掛けずに非連続的なバッチ処理を用いて前記繊維層に前記抗菌コーティングを塗布する工程と、
    を備える、方法。
  36. 請求項35に記載の方法であって、さらに、
    洗浄剤および湿潤成分を含む水性浴を通して複数回の浸漬およびパディングを行うことにより前記糸束を糊抜きする工程と、
    その後に、糊抜き剤によって溶媒和された不純物を除去するために複数回のリンスおよびパディングを行う工程と、
    を備える、方法。
  37. 請求項36に記載の方法であって、糊抜きおよびリンス後の残留不純物のレベルが、布地の1重量%未満である、方法。
  38. 請求項35に記載の方法であって、前記抗菌コーティングは、ゼロ張力および圧縮機械作用の両方を前記繊維層に印加するドラムおよびパドルによる方法を用いて塗布される、方法。
  39. 請求項35に記載の方法であって、前記抗菌コーティングは、10分より長い暴露を含む非連続的なコーティング処理を用いて塗布される、方法。
  40. 請求項35に記載の方法であって、前記抗菌コーティングは、コーティング浴液が前記繊維層の表面上に噴霧されている間に50〜100gの回転加速でジェット処理を行うことによって塗布される、方法。
  41. 請求項35に記載の繊維構造であって、前記抗菌コーティングは、水素結合およびファンデルワールス結合の少なくとも一方を含む非共有結合によって前記繊維層の表面に結合される、繊維構造。
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