JP2014518270A - トロイダル医薬製剤 - Google Patents

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Abstract

トロイダル医薬組成物を被験体に投与する方法を提供する。方法は、トロイダル医薬組成物を分注すること、および、トロイダル医薬組成物を被験体の標的器官に接触させることによってトロイダル医薬組成物を投与することを含む。更に、トロイダルエアロゾル送達システムも提供する。

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、米国特許仮出願第61/501,671号(2011年6月27日出願)(参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる)に基づく優先権を主張する。
治療物質の体器官(例えば眼)への投与法では、一般に滴下剤(例えば点眼剤)またはエアロゾルプルームのいずれかを使用して物質が投与される。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、それらの投与形態は、機械的送達並びに標的器官での治療物質の滞留という点で不正確かつ不十分でありうると信じられる。例えば滴下剤では、眼にそのコンパートメントの許容容量を超える多量の液体が施与され、それによって治療物質の損失、用量が制御できないこと、滴下剤が速やかに除去されてしまうこと、および投与に際する不快感が起こりうる。更に、点眼剤の滴下は、多くの人にとって困難な動作である。例えば、点眼が行われると、まばたきによって多量かつ不定量の滴下剤が除去されうる。最後に、多量の液体の点眼は、涙液クリアランスを刺激しうる。これらの因子は、本明細書に記載するように、既存の涙液へ、または標的器官の表面へ、制御された少量の物質を送達することによって回避できる。
眼へのエアロゾル送達に関しては、エアロゾルプルームの形状を制御するのは難しく、エアロゾルプルームを眼表面に確実に沈着させるのは困難である。更に、エアロゾルプルームの圧力は不快感を伴いうる。これは、多くの場合エアロゾル化の過程を眼への投与過程と分離して行うことができず、エアロゾルプルームが急速に移動するためである。このように、プルームとして噴射されるエアロゾルの使用には、プルームの形状の複雑さと投与に伴う協調動作に関する問題がある。更に、眼に対するプルームの方向および距離は、意図する標的に到達する治療物質の量に可変的に影響を与える。
従って本明細書は特に、物質(例えばトロイダル医薬組成物の形態である治療物質)を、 種々の器官(例えば眼、耳、鼻、喉など)に治療的活性物質を投与するのに好適な体積のほぼトロイダル形状である単回用量で送達するための装置及び方法を提供する。また、投与された治療物質のトロイダル体積およびエアロゾル特性を調整する(例えば適合させる)ための装置および方法を提供する。更に、種々の治療的活性物質が好適な用量で投与されることを保証するための製剤管理のための装置および方法を提供する。
第1の観点では、トロイダル医薬組成物を被験体に投与する方法を提供する。方法は、トロイダルエアロゾル送達システムからトロイダル医薬組成物を分注(dispense)することを含み、該トロイダル医薬組成物はエアロゾル化した治療物質を含有する。方法は、トロイダル医薬組成物を被験体の標的器官に接触させることによってトロイダル医薬組成物を投与することを更に含む。
別の観点では、本明細書に記載する方法において使用するためのトロイダルエアロゾル送達システムを提供し、該システムは、エアロゾルチャンバー、該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器、該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス、および該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。
別の観点では、トロイダルエアロゾル送達システムを提供し、該システムは、ガス貯留チャンバー、エアロゾル化した治療物質の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器、該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結したオリフィス(該オリフィスはトロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである)、および該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。
別の観点では、眼科用活性医薬成分をそれを必要とする被験体に投与する方法を提供する。方法は、被験体の眼に有効量のトロイダル医薬組成物を投与することを含み、該トロイダル医薬組成物は眼科用活性医薬成分を含有する。
別の観点では、眼科用活性医薬成分を含有するトロイダル医薬組成物を提供する。
図1A-1Jは、本明細書に記載する方法および装置に有用なトーラスの例である。図1A-1Dの一連のトーラスは、トーラスの大半径の低下と共にトーラス全体のサイズが低下することを示している。図1E-1Gはトーラスの大半径を一定に保ちつつリング半径を増加させた場合のリング部分の「厚化」を示し、図1H-1Jはトーラスの大半径を一定に保ちつつリング半径を減少させた場合のリング部分の「薄化」を示す。 図2A-2Dは、回転軸に沿って観察した種々のトーラスを示す。 図3A-3Dは、等しいトロイダル大半径および等しいトロイダルリング半径を有するトーラスで、エアロゾル化した物質中の粒子密度(すなわち単位体積あたりの粒子数)が増加するに従ってエアロゾル化した物質の量が増加することを示すものである(図3A-3Dで順に最小から最大へ)。凡例:薄灰色から黒色へ:トロイドあたりの粒子濃度が最小から最大へ 典型的なトーラスの回転速度および進行方向速度を示す。これらはトロイドの伝播機構を特徴づける独立したパラメータである。 本明細書に記載するトロイダルエアロゾル送達システムの例を示す。 図6Aは、本明細書に記載するトロイダルエアロゾル送達システムの例で、外部ポート608を更に含むものであり、これを通じてエアロゾル化の前に治療物質を導入することができる。図6Bは、本明細書に記載するトロイダルエアロゾル送達システムの例で、エアロゾルチャンバー603の内部に単回用量充填機能609を更に含むものである。 図6Cは、本明細書に記載するトロイダルエアロゾル送達システムの例で、エアロゾルチャンバー本体に固定かつ流体連結された単回用量計量ボタン601を更に含むものである。 図7Aは、本明細書に記載するトロイダルエアロゾル送達システムの例で、治療物質、賦形剤、および/または高圧ガスを含有する加圧缶を更に含むものである。図7Bは別の態様であり、エアロゾルチャンバーの容積が図7Aに示すものに比較して小さい。 本明細書に記載するトロイダルエアロゾル送達システムの一例で、アクチュエータがエアロゾルチャンバーの遠位端、すなわちオリフィスの反対側に配置されたものである。 図9Aは、本明細書に記載するインライン・エアロゾル発生器を有するトロイダルエアロゾル送達システムの例である。図9Bは別の態様であり、ガス貯留チャンバーの容積が図9Aに示すものに比較して小さい。 図10Aは、ストロボ写真撮影したトロイダル医薬組成物の例である。図10Bは、トロイダル医薬組成物を伝播軸に沿って観察したものである。 トロイダル医薬組成物を本明細書に記載する装置から噴射し、既知のタイミングおよび間隔のストロボフラッシュで時間の経過と共に追跡したものである。 本明細書に記載するトロイダル医薬組成物を半透明の布表面に衝突させた結果を、伝播方向に沿って観察したものである。 トロイダル医薬組成物を時間の経過と共にストロボ撮影したものである。 トロイダル医薬組成物1402をオリフィス1401から噴射させ、伝播軸1403に沿って伝播される様子を写真撮影したものである。 図15Aは、典型的な標的器官(すなわち人工眼球)に向かって伝播される際に観察されるトロイダル医薬組成物を示す。図15Bは、標的器官に衝突する直前のトロイダル医薬組成物を示す。 図15Cは、トロイダル医薬組成物を噴射するオリフィスを標的器官に接近させてもよいことを示す。 図16Aは、0.05%フルオレセイン溶液で調製したトロイダルボーラスをヒトの眼と類似した表面形状を有する標的に衝突させた場合の沈着量とプルーム速度(cm/秒)の依存性を示す。縦軸:フルオレセイン沈着量(ng)。実施例6参照。図16Bは、5%フルオレセイン溶液での沈着量およびプルーン速度の結果を示す。縦軸:フルオレセイン沈着量(μg)。 Sympatec-HELOS装置を用いた粒子サイズ測定実験の結果を示す。実施例7参照。図17Aは0.05%フルオレセイン溶液を使用した。図17Bは5.0%フルオレセイン溶液を使用した。軸(図17A‐17B):X軸:粒子サイズ(μm)(対数表示);左Y軸(四角形):密度分布;右Y軸(菱形):累積分布Q1(%)。 図18A-18Bは、Sympatec-HELOS装置を用いて行った実験での粒子サイズに対する相対光学密度(Y軸)を示す。実施例7参照。図18A:0.05%フルオレセイン溶液;図18B:5.0%フルオレセイン溶液。 真空アッセイシステム中に捕捉されたフルオレセイン量の依存性を、標的に衝突したトロイダルボーラス数(「トロイド数」)の関数として示す。実施例9参照。 エアロゾル化した液体の質量(mg)の依存性をチャンバー充填時間(秒)の関数で示す。
I.定義
「渦」という用語は、一般に当該分野で理解されるように旋回流構造をいい、それらには例えば液体、気体、液体もしくは固体を含有する気体、またはそれに同伴する粒子などがある。渦、特にトロイダル渦の流体力学に関する理解は、文献(例えば本明細書に引用するもの)に記載されている。例えばGlezer, 1988, Phys. Fluid 31:3532-3542; Sullivanら, 2008, J. Fluid Mech 609:319-347;Haller, 2005, J. Fluid Mech. 525:1-26;Akhmetov, 2009, VORTEX RINGS, Springer Berlin Heidelberg(参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる)参照。
渦の例には、自由渦(すなわち直線渦)、強制渦、ヘアピン渦(例えば馬蹄渦)、層流プレート渦(laminar plate vortex)、渦輪(すなわちトロイダル渦)などがある。「自由渦」、「渦糸」、「非回転渦」などの用語は、流体の渦であって、流体の接線速度が回転中心からの距離に反比例して変化するものをいう。これに対し「強制渦」、「回転渦」などは、流体が固体のように回転する渦をいう。「ヘアピン渦」、「馬蹄渦」などの用語は、一般に当該分野で公知のように、流体(例えば大気)に対して運動している物体(例えば翼)に関する渦システムをいう。「渦輪」、「トロイダル渦」などの用語は、トロイダル形状を特徴とする回転流体の領域をいう。トロイダル渦は、同一または異なる流体中を移動するものであってもよい。
「渦糸」という用語は、渦の中心にある線をいい、ここで、渦中の全ての粒子は旋回していると見なすことができる。渦糸は渦を形成する流体の境界で開始および終了するか、または閉じたループを形成してもよい。閉じたループを形成する渦糸はトロイダル渦の特徴である。「渦芯」という用語は、渦糸近傍の領域をいう。理解されるように、渦糸は、当該分野で公知の種々の形状(例えば一般に環状、楕円状、洋ナシ型、多角形など)であってもよい。
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本明細書に開示する方法に有用な流体力学的流体構造にはトロイダル渦がある。従って、「トロイダル医薬組成物」などの用語は、エアロゾル化した活性医薬成分のエアロゾル投与単位(すなわちエアロゾル化した治療物質のトロイダルボーラス)をいい、ここで、エアロゾル投与単位の少なくとも一部は、本明細書に記載する当該分野で公知の一般的なトーラス形状または他の同様の形状をした渦を形成する。このように、ある態様では、トロイダル医薬組成物はトロイダル渦またはその一部であるか、またはそれらを含有し、該トロイダル渦またはその一部はエアロゾル化した活性医薬成分(例えば眼科用活性医薬成分)を含有する。ある態様では、トロイダル医薬組成物は、エアロゾル化した活性医薬成分(例えば眼科用活性医薬成分)を含有するトロイダル渦であるか、またはそれを含有する。理解されるように、本明細書に開示する方法および装置は、物理的(すなわち非理論的)流体構造(トロイダル渦を含む)を企図する。更に理解されるように、流体と環境との連成によって、時間と共に(例えばエネルギーおよび/または角運動量が流体構造から周囲環境へ移動するのに伴って)流体構造の形状変化が起こる。当業者に理解されるように、本明細書に開示する装置を用いてトロイダル医薬組成物を投与する場合、これは、エアロゾル投与単位が該装置(例えばオリフィス)から放出される際にトロイダル医薬組成物であることを意味する。ある態様では、トロイダル医薬組成物は、標的器官(例えば眼)との接触時にトロイダル医薬組成物である。このように、「トーラスまたは他の渦の一般的形状」などの用語は流体構造の一般的な外観を指し、ここで、渦(例えば同伴粒子を有するトロイダル渦)は周囲環境との相互作用により時間と共に変化する。この点に関する変化の様式の例として、例えば渦芯から遠位にある渦の側面からの物質の分散がある。
本明細書のある態様では、トロイダル医薬組成物は、ほぼトーラス形状であるエアロゾル投与単位を有するか、または含有する。本明細書のある態様では、エアロゾル化した医薬組成物は気体、例えば空気、高圧ガス、不活性ガス(例えばN2、CO2、Arなど)などに懸濁した液体または固体粒子を含有する。高圧ガスの例として、HFA 134a、HFA227ea、および種々の液化ガス(プロパン、ブタン、ジメチルエーテルなど)がある。ある態様では、当該分野で公知のように、気体は高圧ガスを含む。ある態様では、気体は空気および高圧ガスを含む。エアロゾル化した医薬組成物は、当該分野で公知のように、不均質または均質であってもよい。
「医薬組成物」、「医薬成分」、「治療組成物」、「治療物質」などの用語は、一般に疾病または障害の治療または予防のために被験体に投与するのに安全であると考えられる組成物をいう。「被験体」などの用語は、ヒトまたは非ヒト動物、好ましくはヒトをいう。被験体に関して使用する「治療を必要とする」などの用語は、慣例的な意味で、疾病または障害に対応して治療の必要性が認識されることをいう。ある態様では、認識される必要性は、医師または獣医師による診断の結果によるものである。ある態様では、医薬組成物は治療物質、例えば薬剤を含有する。ある態様では、医薬組成物は1つまたはそれ以上の当該分野で公知の添加剤、例えばバッファー、流動化剤、可溶化剤、保存剤などを更に含有する。
本明細書でトロイダル医薬組成物の投与に関して使用する「有効量」などの用語は、治療を必要とする被験体の必要を満たすのに有効なトロイダル医薬組成物中の活性医薬成分の量をいう。「活性医薬成分」という は、慣例的な意味で、疾病または障害の治療に有効であることが当該分野で公知である単一の化学成分(例えば薬剤)または複数の化学成分をいう。「眼科用活性医薬成分」という用語は、眼の疾病または障害の治療に有用であることが知られている活性医薬成分をいう。例えばPHYSICIANS' DESK REFERENCE(登録商標)(2012年。PDR Network社。メリーランド州チェスタータウン)参照。ある態様では、活性医薬成分は眼科用活性医薬成分である。ある態様では、被験体の必要性は眼科疾患の治療である。活性医薬成分、特に眼科用活性医薬成分の量は、当該分野で公知である。
「トロイダルエアロゾル送達システム」などの用語は、本明細書に記載するトロイダル医薬組成物を分注することができるシステムをいう。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムを、本明細書に記載するように調整してもよい。トロイダルエアロゾル送達システムに関する「調整」という用語は、トロイダル医薬組成物の物理的特性(例えばサイズ、回転速度、直線速度など)の調節または調整をいう。「充填済みトロイダルエアロゾル送達システム」などの用語は、薬剤(例えばエアロゾル化した治療物質)を含有し、直ちに分注できる状態になっているトロイダルエアロゾル送達システムをいう。
「エアロゾル発生器」という用語は、医薬的に活性な成分の固体微粒子または液滴を気体媒体中に生成させる装置をいう。ある態様では、気体媒体はガスチャンバー中に含有される。それらの態様では、エアロゾル発生器がガスチャンバーと流体連結しており、それによって、エアロゾル発生器から医薬的活性成分の固体微粒子または液滴を送達する際に、ガスチャンバー内で医薬的活性成分をエアロゾル化させることが可能となる。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムはインライン・エアロゾル発生器を含む。「インライン・エアロゾル発生器」などの用語は、エアロゾル化した治療物質を本明細書に開示する装置のオリフィスに直接送達(例えば制御噴射)するのに適合させたエアロゾル発生器をいう。ある態様では、インライン・エアロゾル発生器を含むトロイダルエアロゾル送達システムを、本明細書に記載するように調整してもよい。インライン・エアロゾル発生器は、一般に本明細書に記載する装置のオリフィスと流体連結しており、それによって気体媒体がオリフィスから排出される際にエアロゾル化した治療物質が気体媒体に送達され、トロイダル医薬製剤が生成される。典型的なインライン・エアロゾル発生器には、(例えば既知のサイズの粒子の噴射に)有用な蒸発/濃縮装置がある。更なるインライン・エアロゾル発生器として加熱/冷却素子があり、これには、例えば気体媒体の密度を変化させ、それによってエアロゾルまたはプルームの空気力学および安定性を改変するためのワイヤーフィラメント(加熱)またはペルチェ素子(冷却)がある。ある態様では、インライン・エアロゾル発生器は治療物質でコーティングされたフィラメントであり、フィラメントが加熱されると治療物質がエアロゾル化される。理解されるように、液体粘性の調節も生成される粒子サイズに影響を与えうる。別の態様では、インライン・エアロゾル発生器は、治療物質がエアロゾルとして分散された後に粒子を形成するのを促進するために、治療物質の光変換または重合化を開始させるための光源を含む。ある態様では、インライン・エアロゾル発生器は複数のオリフィス(例えばジェットノズル)を含み、これによって、治療物質がインライン・エアロゾル発生器を通過する際にトロイダルボーラスに送達される。
本明細書に記載する方法および装置に関する「作動させる」などの用語は、例えばボタンを押す、またはそれ以外の方法でエネルギーを適用することによってトロイダル医薬組成物を生成させる原因動作をいう。ある態様では、作動によってトロイダルエアロゾル送達システムにエネルギーが施与され、それによってトロイダルエアロゾル送達システム内の圧力が一時的に上昇し、トロイダル医薬組成物の噴射が起こる。ある態様では、アクチュエータへのエネルギー施与は、エアロゾルチャンバーへの力(例えば機械的、電気機械的、振動、加熱など)の適用である。ある態様では、力はバルブ(例えば絞り弁)の開放時に高圧ガス(例えば圧縮ガス)によって施与されてもよい。ある態様では、作動は当該分野で公知の電気機械アクチュエータによって行われる。ある態様では、作動はエアロゾル発生器(例えば振動メッシュ式超音波ネブライザー、ベポライザーなど)へのエネルギー施与によって行われ、ここでは、トロイダルエアロゾル送達システム内の圧力が一時的に上昇するのに十分なエネルギーが施与され、それによってトロイダル医薬組成物が噴射される。
「流体連結」という用語は、慣例的な意味で(一般的には装置の要素間の)液体または気体の物理的連結をいう。
「投与する」などの用語は、慣例的な意味で物質(例えば治療物質)の適用をいう。
「標的器官」は、被験体(例えば哺乳動物被験体などの動物被験体(ヒトを含む))の器官をいう。標的器官は外部器官または内部器官(例えば手術中にトロイダル医薬組成物が投与される場合)であってもよい。標的器官には、例えば眼、耳、鼻、および喉、並びに、眼、耳、鼻、および喉の周辺部が含まれる。
II.トーラスの理論
トロイダル形状。「トロイド」、「トーラス(単数)」、「トーラス(複数)」、「トロイダル」という用語はそれぞれ、当該分野で使用される通常の意味に従って本明細書において(例えばトロイダル医薬組成物に関して)使用される。特に、トロイドの一般的形状は、ドーナツ型の物体とほぼ類似したものであり、これは例えば、一般的形状(例えば円、楕円など)をそれと同一平面上にある回転軸を中心に3次元空間内で回転させることによって得られる表面である。一般的な場合および本明細書で使用する場合、一般的形状から回転軸までの距離は、回転軸を中心とした一回転の中で一定でなくてもよい。従って、本明細書で企図されるトーラスには、環状トーラス(すなわち一回転の中で距離が一定である)および他のトーラス(例えば楕円形、洋ナシ型など。これらの形状は、トーラス形成の際、一般的形状から回転軸までの距離が一定でないことを反映している)が含まれる。ある態様では、一般的形状から回転軸までの距離は、軸を中心とした一回転の中でほぼ一定である。ある態様では、トロイドは環状またはほぼ環状である(例えばOリングまたは環状のソレノイド)。
ある態様では、回転軸は一般的形状に接触しておらず、いわゆる「リングトーラス」(例えば内側が空いたOリングまたはドーナツ型)を形成する。ある場合は、回転軸は一般的形状に接しており、いわゆる「ホーントーラス」を形成する。ある場合は、回転軸は一般的形状を横断し、いわゆる「スピンドルトーラス」を形成する。明確に企図されることとして、ある態様では、本明細書に記載するトロイダル医薬組成物はトーラス(例えばリングトーラス)の一部の形状に類似している、すなわち、回転度が2πラジアン未満、例えばπ/2ラジアン(クォータートーラス)、πラジアン(ハーフトーラス)などである回転表面と類似した形状である。更に当該分野で公知のように、回転軸の相対配向および一般的形状によって更なるタイプのトーラス(例えばホーントーラス、スピンドルトーラス、球体、楕円体など)が得られる。特に記載しない限り、本明細書に記載する方法および装置に関して使用する「トーラス(単数)」、「トーラス(複数)」、「トロイダル」などは、実世界に存在するリングトーラスおよびその一部、例えばドーナツ、インナーチューブ、救命浮環、Oリング、本明細書に記載するトロイダルボーラスなどをいう。本明細書で使用する「大半径」、「トロイダル大半径」、「トーラスの高さ」などの用語は回転軸の周りの半径、すなわちトーラス全体のサイズを表す。「リング半径」、「トロイダルリング半径」、「リング厚」、「リング幅」などの用語は、一般的形状の半径、すなわちトーラスを形成するリングの全体のサイズおよび形状を表す。理解されるように、一般的形状が円形ではなく楕円の場合、一般的形状は数学的に複数の半径(例えば楕円の長半径、楕円の短半径など)で表すことができる。それらの理想的トーラスの数学的説明に関係なく、特に記載しない限り本明細書で使用する「リング半径」、「トロイダルリング半径」、「リング厚」などの用語は、トーラスを形成するリングの一般的サイズおよび/または形状を表す。
本明細書に記載する方法および装置に有用なトーラスの例には図1A-1Jに示すものがある。図1A-1Dに示す一連のトーラスは、トーラスの大半径の減少と共にトーラス全体のサイズが減少することを示している。図1E-1Gは、リング半径の増加と共にトーラスのリング部分は「厚化」するが大半径は一定のままであることを示し、図1H-1Jは、リング半径の減少と共にトーラスのリング部分は「薄化」するが大半径は一定のままであることを示している。
図2に示すように、トロイダル大半径およびトロイダルリング半径の調節により、標的器官に衝突するエアロゾル化した治療物質のトロイダルボーラス(すなわちトロイダル医薬組成物)全体のサイズを調節することができる。図2A-2Dは、回転軸(これは伝播軸でもある)に沿って観察したトーラスの例を示す。
当該分野で公知のように、理想的環状トーラス(すなわち、円を回転軸の周りに回転さてできるリングトーラス)の体積は以下の式で表される:
V=2π2Rr2(式1)
式中、「R」は回転軸からトーラスのリング部分を形成する円の中心までの距離であり、「r」はトーラスのリング部分(例えば環状体)の半径である。当該分野で一般的に使用されるように、トロイダル大半径とトロイダルリング半径の比率はトーラスの「アスペクト比」と呼ばれる。ある態様では、本明細書で生成されるトーラスは、ほぼ式1に従う。従って、ある態様では、トロイダル医薬組成物は、エアロゾル化した活性医薬成分を含有する式1に近似可能なトロイダル渦であるか、またはそれを含有する。ある態様では、トロイダル医薬組成物は、エアロゾル化した活性医薬成分を含有する式1のトロイダル渦であるか、またはそれを含有する。
エアロゾル密度
本明細書に記載するトロイダル医薬組成物(本明細書では「トロイダルボーラス」とも称する)中のエアロゾル化した治療物質の密度(例えば粒子数/単位体積)を調節することによって、トロイダル医薬組成物(トロイダルボーラス)として送達されるエアロゾル化した治療物質の量を変化させることができる。例えば図3A-3Dに示すように、等しいトロイダル大半径および等しいトロイダルリング半径を有するトーラスでは、エアロゾル化した治療物質中の粒子密度の増加に伴って、エアロゾル化した治療物質の量が増加する。
従って、トーラスの高さ(すなわちトロイダル大半径)およびトーラスのリング部分の厚さ(すなわちトロイダルリング半径)の調節により、本明細書に記載する装置によって噴射されるトーラスを形成するエアロゾルの体積を変化させることができる。それらの調節は、得られるトーラスの体積および表面積に直接影響を及ぼし、それによって、標的器官に沈着されるエアロゾル中に含有される薬物を調節することが可能となる。
トロイダルの伝播機構
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、トロイダルボーラスの3次元的伝播速度は調節可能であると信じられる。本明細書に記載するトロイダルボーラスは、流動気体媒体に同伴された粒子(すなわちエアロゾル化した治療物質)を含有する。エアロゾル化した治療物質の輸送に関係する少なくとも2つのパラメータが制御可能である。第1は進行方向速度(directional velocity)、すなわち、トーラスが全体として移動する速度を制御することができる。第2に、(例えば後述のように機械的力および/またはオリフィスのサイズを調節することによって)トロイドの内部回転速度を制御することができる。これら2つの速度要素を制御し、同伴粒子の慣性特性を調節することができる。例えば、トロイドを非常に低速度で前方に移動させつつ高速度で回転させながら(またはその逆)噴射することができる。図4に示すように、回転速度および進行方向速度は、トロイドの伝播機構を特徴づける独立したパラメータである。トロイダル渦を含む渦伝播の機構に関する流動力学分野からの理論的取り扱いは当該分野で公知であり、例えばGlezer, 1988(同文献);Sullivanら, 2008(同文献);Haller, 2005(同文献);およびAkhmetov, 2009(同文献)に記載されている。
III.方法
流体構造(例えばトロイダルボーラス)中に同伴された物質(例えば治療物質)の秩序的制御および正確な送達(すなわちそれを必要とする被験体への投与)のための方法および装置を提供する。企図される物質には、疾病または障害を治療するための薬剤、疾病または障害を予防するための予防薬、生物学的物質(例えばワクチン、遺伝子治療ベクターなど)、非生物学的ワクチンおよび遺伝子治療ベクター、治療物質の制御放出および/または滞留向上を促進する粒子、および診断試薬がある。
本明細書に開示する装置および方法の(例えば眼科治療に関する)適用例として、ある態様では、治療物質の治療濃度域が狭い症例が含まれる。「治療濃度域」という用語は、当該分野の慣例の通り、その治療物質について確立された安全域を超えずに疾病または障害を有効に治療できる治療物質の用量範囲をいう。安全域を確立する方法は当該分野で公知である。ある態様では、治療物質は有効性および/または毒性が高く、必要とされる用量は非常に低い。ある態様では、涙管を介する治療物質の全身暴露を有益に回避する。ある態様では、二次汚染または再感染のリスクが高く(例えば細菌感染)、本明細書に開示する装置および方法の使用によって(例えば、開示する装置と標的器官との直接的な物理的接触を回避することによって)それらのリスクは軽減される。ある態様では、被験体は身体的協調が困難なため、慣例的な方法(例えば滴下剤)によって治療物質を投与することが身体的に難しい(例えば小児、新生児、昏睡状態、老齢、高齢、身体障害など)。更なる態様では、被験体はまばたきをすることができないため、制御されたクリアランスがなされない。更にある態様では、相対的にサイズの小さいトロイダルボーラスが、標的の周辺部位が濡れるのを防ぐのに有益である(例えば眼科手術において)。ある態様では、治療は当該分野で公知の涙液過剰の眼に対して行われる。ある態様では、被験体は保存剤に敏感であって、保存剤の使用が、治療物質の長期保存を損なうことなく有益に回避される。
第1の観点では、トロイダル医薬組成物を被験体に投与する方法を提供する。方法は、トロイダルエアロゾル送達システムからトロイダル医薬組成物を分注することを含み、該トロイダル医薬組成物はエアロゾル化した治療物質を含有する。方法は、トロイダル医薬組成物を被験体の標的器官に接触させることによってトロイダル医薬組成物を投与することを更に含む。ある態様では、被験体は疾病または障害の予防または治療を必要としている。
ある態様では、トロイダル医薬組成物はリングトーラスに類似した形状である。ある態様では、トロイダル医薬組成物はホーントーラスに類似した形状である。ある態様では、トロイダル医薬組成物はスピンドルトーラスに類似した形状である。ある態様では、トロイダル医薬組成物はリングトーラスの一部、例えばハーフトーラス、クォータートーラスなどの形状である。
ある態様では、トロイダル医薬組成物は物質、例えば治療物質を含有する。ある態様では、治療物質は薬剤(単数)である。ある態様では、治療物質は複数の薬剤である。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、エアロゾルチャンバー、該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器(該エアロゾル発生器は、該エアロゾルチャンバーにエアロゾル化した治療物質を充填するのに適合させたものである)、該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス(該オリフィスは、トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである)、および該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。
ある態様では、分注はトロイダルエアロゾル送達システム、例えば調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システムを用いて行う。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは調節可能である。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムによって、トロイダル医薬組成物のパルス式送達が行われる。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システムである。「調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システム」という用語は、本明細書に記載するように調節することができ、トロイダル医薬組成物のパルス式送達を提供するトロイダルエアロゾル送達システムをいう。ある態様では、分注は標的器官の近傍で行われる。標的器官への接近度は特定の器官、例えばサイズ、接近可能性などに依存する。例えば眼への分注では、トロイダルエアロゾル送達システムから眼までの距離は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20cm、またはそれ以上であってもよい。喉の場合、トロイダルエアロゾル送達システムから喉までの距離は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50cm、またはそれ以上であってもよい。鼻の場合、トロイダルエアロゾル送達システムから鼻までの距離は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10cm、またはそれ以上であってもよい。耳の場合、トロイダルエアロゾル送達システムから耳までの距離は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10cm、またはそれ以上であってもよい。
ある態様では、トロイダル医薬組成物の標的器官への接触は、エアロゾル化した治療物質の概ねトロイド形状をしたボーラスを標的器官に接触させることを含む。
ある態様では、投与は医薬組成物をトロイダル医薬組成物の形態で眼に注入することをいう。ある態様では、投与は器官(例えば耳、鼻、喉、皮膚など)に局所投与することをいう。
ある態様では、分注は、トロイダルエアロゾル送達システムに治療物質を充填し、充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを提供することによって行われる。ある態様では、充填済みトロイダルエアロゾル送達システムは、充填済み調節可能パルス式トロイダルエアロゾル送達システムである。
ある態様では、作動は、アクチュエータの機械的操作によりエアロゾルチャンバー内のエアロゾル化した治療物質の圧力を一時的に上昇させることによって行う。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、エアロゾルチャンバー、該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器(該エアロゾル発生器は、該エアロゾルチャンバーにエアロゾル化した治療物質を充填するのに適合させたものである)、該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス(該オリフィスは、エアロゾル化した治療物質のトロイダルボーラスをトロイダル医薬組成物として噴射するのに適合させたものである)、および該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。ある態様では、トロイダル医薬組成物はリングトーラスである。ある態様では、トロイダル医薬組成物はリングトーラスの一部である。ある態様では、オリフィスは円形である。ある態様では、オリフィスは円形ではなく、例えば正方形、長方形、三角形、星形、半円形などである。
ある態様では、充填は、エアロゾル発生器内にエアロゾル化していない治療物質を送達し、エアロゾル発生器によってエアロゾル化していない治療物質からエアロゾル化した治療物質を生成し、エアロゾル化した治療物質をエアロゾルチャンバーに送達し、それによって充填済みトロイダルエアロゾル送達システム(例えば充填済み調節可能パルス式トロイダルエアロゾル送達システム)を充填することによって行う。ある態様では、充填によって、エアロゾルチャンバー全体がエアロゾル化した治療物質で充満される。ある態様では、充填によって、エアロゾルチャンバーの一部(例えば下部)がエアロゾル化した治療物質で充満される。ある態様では、エアロゾルチャンバーは、エアロゾルチャンバーの一部のみへの充填を促進するのに適合させたバッフルを含む。
ある態様では、作動はアクチュエータへのエネルギー施与によって行う。ある態様では、機械的力を適用することによってアクチュエータにエネルギーを施与する。ある態様では、エネルギー施与によってエアロゾルチャンバー内の圧力が一時的に上昇し、それによってエアロゾルチャンバーのオリフィスを通じてトロイダル医薬組成物の噴射が起こる。ある態様では、アクチュエータへのエネルギー施与は、電気的または電気機械的力の適用によって行われる。ある態様では、アクチュエータへのエネルギー施与は、バルブを開放して圧縮ガス(例えば本明細書に記載する高圧ガス)を放出することによって行われる。ある態様では、作動はエアロゾル発生器(例えば振動メッシュ式超音波ネブライザー、ベポライザーなど)にエネルギーを施与することによって行われ、それによってエアロゾルチャンバー内の圧力が一時的に上昇するのに十分なエネルギーが施与されてトロイダル医薬組成物が噴射される。
ある態様では、機械的力の適用は、オリフィスのサイズおよびエアロゾルチャンバーの容積と組み合わせ、オリフィスを通じて噴射されるトロイダル医薬組成物のトロイダルサイズ、トロイダル速度、または進行方向速度の1つまたはそれ以上を調整(すなわち調節)するように適合させて行う。例えば、エアロゾルチャンバーへの好適な力の適用(すなわちエネルギー施与)と好適なオリフィスサイズとの組み合わせによって、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、4.0、5.0cm、またはそれ以上の高さ(すなわち標的器官への衝突範囲)をもつトロイダル医薬組成物を生成することができる。ある態様では、標的器官は眼であり、トロイダル医薬組成物(すなわちエアロゾル化した治療物質のトロイダルボーラス)の範囲(すなわち高さ)は眼の幅より小さく、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0cm、またはそれ以上である。理解されるように、トロイダル医薬組成物の最大範囲が眼の幅より小さければ、トロイダルボーラス中の治療物質の大部分が眼に入り、眼の周辺皮膚への損失がない。
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、エアロゾルチャンバーが縮小されれば、トロイダル医薬組成物の密度はより高くなると信じられる。従って、ある態様では、組成物の密度をより高くするために、エアロゾルチャンバーはトロイダル医薬組成物の伝播方向がより短い。更に、トロイダル医薬組成物のトロイダル回転速度がより高ければ、標的器官への移動の際にトロイダル医薬組成物の形状が完全なまま(intact)のまま保持されると信じられる。従って、作動の際、最初に急激な衝撃を適用する、すなわち初めに強い力を適用することによって、トロイダル回転速度がより早くなる。更に、オリフィスから噴射された後のトロイダル医薬組成物の進行方向速度は、エアロゾルチャンバーへのエネルギー施与の際に伝達される全力積(すなわち力を時間で積分したもの)に依存する。
従って、ある態様では、トロイダル医薬組成物は、標的器官との接触時に実質的に完全なまま(intact)である。この関係において「実質的に完全なまま(intact)」という用語は、本明細書に記載する装置のオリフィスから標的器官への移動の際に、エアロゾル化された治療物質の実質的な損失がないことを意味する。例えば、実質的に完全なまま(intact)のトロイダル医薬組成物は、エアロゾル化した治療物質の50%、60%、70%、80%、90%、92%、94%、96%、98%、99%、またはそれ以上を標的器官に送達できる。
ある態様では、分注はトロイダルエアロゾル送達システムを用いて行われる。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは調節可能である。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムによって、トロイダル医薬組成物のパルス式送達が行われる。ある態様では、分注は標的器官の近傍で行われる。標的器官への接近度は特定の器官、例えばサイズ、接近可能性などに依存する。例えば眼への分注では、トロイダルエアロゾル送達システムから眼までの距離は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20cm、またはそれ以上であってもよい。喉の場合、トロイダルエアロゾル送達システムから喉までの距離は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50cm、またはそれ以上であってもよい。鼻の場合、トロイダルエアロゾル送達システムから鼻までの距離は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10cm、またはそれ以上であってもよい。耳の場合、トロイダルエアロゾル送達システムから耳までの距離は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10cm、またはそれ以上であってもよい。
ある態様では、分注は、トロイダルエアロゾル送達システムに治療物質を充填し、充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを提供することによって行われる。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムの充填は、エアロゾル発生器内にエアロゾル化していない治療物質を送達し、エアロゾル発生器からエアロゾル化した治療物質を生成させることによって行う。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムの充填は、インライン・エアロゾル発生器に治療物質を充填する(例えば治療物質でコーティングされたフィラメントを提供する)ことである。
ある態様では、作動は、アクチュエータの機械的操作によりエアロゾルチャンバー内のエアロゾル化した治療物質の圧力を一時的に上昇させることによって行う。ある態様では、作動は、インライン・エアロゾル発生器に機械的または電気的エネルギーを施与し、それによって治療物質をエアロゾル化させることを更に含む。
ある態様では、標的器官は眼、耳、鼻、または喉である。ある態様では、標的器官は眼である。ある態様では、被験体は哺乳動物である。ある態様では、被験体はヒトである。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、ガス貯留チャンバー、エアロゾルチャンバーと流体連結したインライン・エアロゾル発生器(該インライン・エアロゾル発生器は、治療物質をエアロゾル化するのに適合させたものである)、該インライン・エアロゾルチャンバーと流体連結し、該インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結したオリフィス、および該ガス貯留チャンバーと機械的に連結し、該インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結したアクチュエータを含む。
ある態様では、アクチュエータは複数のアクチュエータを含み、該複数のアクチュエータは、ガス貯留チャンバーと機械的に連結した第1のアクチュエータ、およびインライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した第2のアクチュエータを含む。ある態様では、アクチュエータは更にインライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結している。
ある態様では、充填は、インライン・エアロゾル発生器中にエアロゾル化していない治療物質を送達し、インライン・エアロゾル発生器によってエアロゾル化していない治療物質からエアロゾル化した治療物質を生成させることによって行う。ある態様では、充填は、インライン・エアロゾル発生器中に含まれるフィラメントをコーティングすることによって行う。
ある態様では、作動はアクチュエータへのエネルギー施与によって行う。ある態様では、機械的力の適用によってアクチュエータへのエネルギー施与を行う。ある態様では、エネルギー施与によってガス貯留チャンバー内の圧力が一時的に上昇し、それによってガス貯留チャンバーのオリフィスを通じてトロイダルボーラスの噴射が起こる。ある態様では、インライン・エアロゾル発生器によって、エアロゾル化した治療物質がトロイダルボーラス中へ送達される。ある態様では、アクチュエータへのエネルギー施与は、電気的または電気機械的力の適用によって行われる。ある態様では、アクチュエータへのエネルギー施与は、バルブを開放して圧縮ガス(例えば本明細書に記載する高圧ガス)を放出することによって行われる。
ある態様では、機械的力の適用は、オリフィスのサイズおよびガス貯留チャンバーの容積と組み合わせて、オリフィスを通じて噴射されるトロイダル医薬組成物のトロイダルサイズ、トロイダル速度、または進行方向速度の1つまたはそれ以上を調整(すなわち調節)するように適合させて行う。例えば、エアロゾルチャンバーへの好適な力の適用(すなわちエネルギー施与)と好適なオリフィスサイズとの組み合わせによって、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、4.0、5.0cm、またはそれ以上の高さ(すなわち標的器官への衝突範囲)をもつトロイダル医薬組成物を生成することができる。ある態様では、標的器官は眼であり、トロイダル医薬組成物の衝突範囲(すなわち高さ)は眼の幅より小さい、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0cmまたはそれ以上である。
ある態様では、作動はアクチュエータへのエネルギー施与を含む。ある態様では、エネルギー施与はアクチュエータへの機械的力の適用を含む。ある態様では、エネルギー施与の結果、エアロゾルチャンバー内の圧力が上昇する。ある態様では、作動は、本明細書に開示する第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータへのエネルギー施与を含む。ある態様では、トロイダル医薬組成物は、標的器官との接触時に実質的に完全なまま(intact)である。ある態様では、標的器官は眼、耳、鼻、または喉である。ある態様では、標的器官は眼である。ある態様では、被験体は哺乳動物である。ある態様では、被験体はヒトである。
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、ガス貯留チャンバーが縮小されれば、トロイダル医薬組成物の密度はより高くなると信じられる。従って、ある態様では、組成物の密度をより高くするために、ガス貯留チャンバーはトロイダル医薬組成物の伝播方向がより短い。
別の観点では、エアロゾル化した眼科用活性医薬成分を、それを必要とする被験体に投与することを含む。方法は、被験体の眼に有効量のトロイダル医薬組成物を投与することを含み、該トロイダル医薬組成物はエアロゾル化した眼科用活性医薬成分を含有する。ある態様では、被験体は哺乳動物である。ある態様では、被験体はヒトである。「エアロゾル化した眼科用活性医薬成分」などの用語は、慣例的な意味で、当該分野で公知のように眼の疾病または障害の治療に有用であるエアロゾル化した医薬成分をいう。
ある態様では、投与は、トロイダルエアロゾル送達システムを充填することによって充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを提供し;そして、トロイダルエアロゾル送達システムを作動することを含む。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、エアロゾルチャンバー、該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器(該エアロゾル発生器は、該エアロゾルチャンバーにエアロゾル化した眼科用活性医薬成分を充填するのに適合させたものである)、該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス(該オリフィスは、トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである)、および、該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、ガス貯留チャンバー、エアロゾル化した眼科用活性医薬成分の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器、該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結したオリフィス(該オリフィスは、トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである)、および、該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。
IV 装置
別の観点では、本明細書に記載する方法に使用するためのトロイダルエアロゾル送達システムを提供し、該システムは、エアロゾルチャンバー、該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器、該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス、および該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。ある態様では、エアロゾル送達システムは、本明細書に記載する調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システムである。ある態様では、エアロゾル発生器は、エアロゾルチャンバーにエアロゾル化した治療物質を充填するのに適合させたものである。
ある態様では、図5に示すように、トロイダルエアロゾル送達システムはエンクロージャ(すなわちエアロゾルチャンバー503)を含み、ここからオリフィス504を通じてトロイダル医薬組成物(すなわちエアロゾル化した治療物質のトロイダルボーラス)が噴射される。エアロゾルチャンバー503は、該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータの少なくとも一部分を含む、アクチュエータの該部分は、該エアロゾルチャンバーを構成するエンクロージャの少なくとも一部分を構成する(例えば図5の要素501)。ある態様では、図5の要素501は、エアロゾルチャンバー503の一部を構成する柔軟膜である。ある態様では、アクチュエータは、エアロゾル化した治療物質の送達を正確に制御するために、要素501と機械的に連結した要素を更に含む。システムは、該システムによって投与すべきエアロゾル化した治療物質の形成に有用で、また、トロイダル医薬組成物の投与前にシステムを充填するのに有用な、エアロゾル発生器502を更に含む。エアロゾル発生器は、充填された単回用量の治療物質507を含み、これがエアロゾル発生器502の作用によってエアロゾル化される。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、標的器官(例えば眼)とシステムのアラインメントを制御された、再現性のある、そして/またはより快適なものとするために、エアロゾルチャンバー503の外部にあるガイドピース505(例えばアイピース)を更に含む。ある態様では、システムからのエアロゾル化した治療物質の通過を制御するための、または、トロイダルボーラス(すなわちトロイダル医薬組成物)がオリフィスを通じてエアロゾルチャンバー503から噴射された後に空気が再流入するための、1つまたはそれ以上の任意選択のワンウェイバルブ(例えば当該分野で公知のフラップバルブ)を提供する。ある態様では、トロイダル医薬組成物はリングトーラスに類似した形状である。ある態様では、トロイダル医薬組成物はリングトーラスの一部に類似した形状である。ある態様では、オリフィスは円形である。ある態様では、オリフィスは円形ではなく、例えば正方形、長方形、三角形、星形、半円形などである。
ある態様では、システムは、エアロゾル化すべき治療物質をエアロゾルチャンバー内に導入するための要素を含む。ある態様では、図6Aに示すように、エアロゾル発生器602は充填ポート608と連結されており、エアロゾル化の前にこれを通して治療物質が導入される。理解されるように、図6A-6Cに示すシステムは、図5に示す任意の他の要素を更に含んでもよい。図に示すその他の要素の説明:オリフィス(604);エアロゾルチャンバー(603);アクチュエータ(601)。
ある態様では、エアロゾル発生器は、当該分野で公知の振動メッシュ式超音波ネブライザーである。ある態様では、エアロゾル発生器はベポライザーである。ある態様では、エアロゾル発生器は治療物質を含有する加圧されたシステムからのポート、例えば当該分野で公知の計量バルブである。ある態様では、エアロゾル発生器は、固形(例えば乾燥粉末)で提供される治療物質を分散させるのに有用な圧電素子である。
ある態様では、例えば図6Aに示すように、エアロゾル発生器602は単回用量充填チャンバー608と連結しており、この機能はエアロゾル化の前に治療物質を外部から充填するのに有用である。ある態様では、機能608を通じて液体の治療物質をエアロゾル発生器に施与する。ある態様では、機能608を通じて乾燥状態の治療物質をエアロゾル発生器に施与する。
ある態様では、例えば図6Bに示すように、エアロゾル発生器602は単回用量充填機能609と連結されており、そのいずれもエアロゾルチャンバー603の内部にある。図に示すその他の要素の説明:オリフィス(604);アクチュエータ(601)。
ある態様では、例えば図6Cに示すように、トロイダルエアロゾル送達システムは単回用量計量ボタン601を更に含み、該ボタンは、エアロゾルチャンバー本体に固定かつ流体連結されたアクチュエータの機能を果たす。図に示すその他の要素の説明:エアロゾルチャンバー(603);オリフィス(604);充填された単回用量の治療物質(607);エアロゾル発生器(602);任意選択のガイドピース(605)。
上記の態様に加え、ある態様では、治療物質はカプセル封入された液体(例えば一定の容量および充填量を有するブリスターパック)の形態でエアロゾル発生器に施与されてもよい。ある態様では、治療物質はジェルカプセルの形態でエアロゾル発生器に施与されてもよい。ある態様では、治療物質は乾燥粉末の形態でエアロゾル発生器に提供され、該粉末が任意の当該分野で公知の種々の装置(例えば圧電素子、メッシュ式超音波ネブライザーなど)によってエアロゾル化されてもよい。
ある態様では、例えば図7Aに示すように、トロイダルエアロゾル送達システムは、治療物質、賦形剤、および/または高圧ガスを含有する加圧缶708を更に含む。高圧ガスを使用する態様では、チャンバーへのエネルギー施与は、作動に応答した高圧ガスの作用(例えば開放バルブを始動させ、高圧ガスの作用下でチャンバーを充満させること)によって行う。図に示すその他の要素の説明:アクチュエータ(701);エアロゾル発生器(702);エアロゾルチャンバー(703);オリフィス(704);任意選択のガイドピース(705)。
図7Bに別の態様を示す。この態様では、エアロゾルチャンバーの容積が図7Aに示すものに比較して小さい。この態様では、内部に位置するエアロゾルチャンバーが更に図示されている。図に示すその他の要素の説明:アクチュエータ(701);エアロゾル発生器(702);エアロゾルチャンバー(703);オリフィス(704);任意選択のガイドピース(705);充填された単回用量の治療物質(707)。
ある態様では、例えば図8に示すように、アクチュエータは、エアロゾルチャンバーの遠位端、すなわちオリフィスの反対側に配置されている。図に示すその他の要素の説明:エアロゾルチャンバー(803);アクチュエータ(801);ワンウェイバルブ(806);エアロゾル発生器(802);充填された単回用量の治療物質(807);オリフィス(804);任意選択のガイドピース(805)。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、本明細書に記載するような眼とのアラインメントのための眼用ガイドピース(例えば要素805)を更に含む。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、別の標的器官(例えば耳、喉、鼻、気管支、皮膚など)へのトロイダル医薬組成物の投与を容易にするのに適したガイドを更に含む。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムのオリフィスのサイズを便宜かつ有利に変化させてもよい。ある態様では、オリフィスのサイズは調節可能なアイリスによって決定される。ある態様では、オリフィスのサイズは製造の際に好適なサイズ選択によって決定される。ある態様では、オリフィスは種々のサイズのいずれであってもよい。本明細書に記載する観点または態様に加え、ある態様では、オリフィスのサイズは0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、4.0、5.0cm、またはそれ以上であってもよい。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、オリフィスと流体連結した第1のバルブを含み、該第1のバルブはエアロゾル化した治療物質の通過を制御するのに適合させたものである。例えば、第1のバルブが無い状態でトロイダル医薬組成物をトロイダルボーラスの形態で噴射すると、エアロゾルチャンバーの内部圧力は一時的に大気圧より低くなる。従って、圧力を均一にするために空気が迅速にエアロゾルチャンバー内に流入しうるが、オリフィスに配置された第1のバルブが空気のエアロゾルチャンバーへの流入を阻止する。
同様に、ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、エアロゾルチャンバーと流体連結した第2のバルブを更に含む。トロイダル医薬組成物の噴射の際、第2のバルブを通じて空気が流入することにより、エアロゾルチャンバー内の圧力を大気と平衡化することができる。
ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムはコントローラを更に含み、該コントローラは、トロイダル医薬組成物を噴射させるのに必要な力(例えば機械的力)を再現性良く提供するのに適合させたものである。ある態様では、コントローラは、エアロゾル発生器の機能を作動と同期させてトロイダル医薬組成物の噴射を起こすのに更に適合させたものである。ある態様では、コントローラはロックアウト機構を含み、該ロックアウト機構は、トロイダルエアロゾル送達システムの機能、例えばトロイダル医薬組成物が規定速度より高い速度で反復投与されるのを阻止できる。
別の観点では、トロイダルエアロゾル送達システムを提供し、該システムは、ガス貯留チャンバー、エアロゾル化した治療物質の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器、該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結したオリフィス(該オリフィスはトロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである)、および該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。
ある態様では、図9A-9Bに示すように、トロイダルエアロゾル送達システムはエンクロージャ(すなわちガス貯留チャンバー903)を含み、ここからインライン・エアロゾル発生器904を通じてガスのトロイダルボーラスが噴射される。ガス貯留チャンバー903は、該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータの少なくとも一部分を含み、アクチュエータの該部分は該ガス貯留チャンバーを構成するエンクロージャの少なくとも一部分を構成する(図9A-9Bの要素901)。ある態様では、図9A-9Bの要素901は、ガス貯留チャンバー903の一部を構成する柔軟膜である。ある態様では、アクチュエータは、ガスボーラスの生成を正確に制御するために、要素901と機械的に連結した要素を更に含む。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、標的器官(例えば眼)とシステムのアラインメントを制御された、再現性のある、そして/またはより快適なものとするために、ガス貯留チャンバー903の外部にあるガイドピース905を更に含む。
ある態様では、インライン・エアロゾル発生器904(図9A-9B)は、ガス貯留チャンバー903から噴射されたトロイダルボーラス中に治療物質を噴射する。ある態様では、インライン・エアロゾル発生器904は蒸発/濃縮装置である。ある態様では、インライン・エアロゾル発生器は治療物質でコーティングされたフィラメントであり、フィラメントが加熱されると治療物質がエアロゾル化される。ある態様では、インライン・エアロゾル発生器は複数のオリフィス(例えばジェットノズル)を含み、これによって、治療物質がガス貯留チャンバーから生成されたトロイダルボーラスに送達される。
ある態様では、システムからのエアロゾル化した治療物質の通過を制御するための、または、トロイダルボーラス(すなわちトロイダル医薬組成物)がオリフィスを通じてガス貯留チャンバー903から噴射された後に空気が再流入するための、1つまたはそれ以上の任意選択のワンウェイバルブ(例えばフラップバルブ)を提供する。ある態様では、トロイダル医薬組成物はリングトーラスに類似した形状である。ある態様では、トロイダル医薬組成物はリングトーラスの一部に類似した形状である。ある態様では、オリフィスは円形である。ある態様では、オリフィスは円形ではなく、例えば正方形、長方形、三角形、星形、半円形などである。
ある態様では、ガス貯留チャンバーの容積がより小さい。図9Aおよび9B参照。
ある態様では、アクチュエータは複数のアクチュエータを含み、該複数のアクチュエータは、ガス貯留チャンバーと機械的に連結した第1のアクチュエータ、およびインライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した第2のアクチュエータを含む。
ある態様では、アクチュエータは更にインライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結している。ある態様では、システムは調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システムである。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは眼とのアラインメントのための眼用ガイドピースを更に含む。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、オリフィスと流体連結した第1のバルブを更に含み、該第1のバルブはエアロゾル化した治療物質の通過を制御するのに適合させたものである。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、ガス貯留チャンバーと流体連結した第2のバルブを更に含み、該第2のバルブは空気の通過を制御するのに適合させたものである。ある態様では、アクチュエータはコントローラを含み、該コントローラは機械的力を再現性良く提供するのに適合させたものである。ある態様では、コントローラは、更にインライン・エアロゾル発生器の機能をアクチュエータの機能と同期させるのに適合させたものである。ある態様では、コントローラはロックアウト機構を含み、該ロックアウト機構は、トロイダルエアロゾル送達システムの機能、例えばトロイダル医薬組成物が規定速度より高い速度で反復投与されるのを阻止できる。
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本明細書に記載する方法および装置の設計および使用においては、多くの因子を考慮しなければならないと信じられる。特に、これらの因子にはエアロゾルチャンバー内のエアロゾル発生器の配置が含まれる。エアロゾルチャンバーの後方、すなわちオリフィスから遠位側にエアロゾル発生器を配置すると、良好にエアロゾル化が起こると信じられる。しかしながら、エアロゾル発生器をオリフィスの近くに配置するほど、粒子の分布がより均質となる。更に、エアロゾルチャンバーの長さおよび周囲長を調節することによって、特定の標的器官(例えば眼)に最適なトロイダル医薬組成物を生成することができる。更に、エアロゾルチャンバーのエネルギー施与の程度は最適化のためのパラメータである。例えば本明細書に記載するように、時間の関数としてアクチュエータに適用される力を、得られるトロイダル医薬組成物のトロイダルサイズ、トロイダル体積、および進行方向速度に関して最適化してもよい。
V 更なる態様
別の観点では、眼科用活性医薬成分を含有するトロイダル医薬組成物を提供する。ある態様では、トロイダル医薬組成物はトロイダルエアロゾル送達システムから分注される。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムはエアロゾルチャンバー、該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器(該エアロゾル発生器は、エアロゾル化された眼科用活性医薬成分をエアロゾルチャンバーに充填するのに適合させたものである)、該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス(該オリフィスは、該トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである)、および、該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。ある態様では、トロイダルエアロゾル送達システムは、ガス貯留チャンバー、エアロゾル化した眼科用活性医薬成分を送達するのに適合させたインライン・エアロゾル発生器、該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結したオリフィス(該オリフィスは、トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである)、および、該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む。
理解されるように、本明細書に記載する方法および装置は、種々の用途に使用できる。ある態様では、物質(例えば治療物質)を被験体の標的器官から離れた位置から便宜に送達する。遠隔投与は、例えば投与装置(例えばオリフィスまたは治療物質レザバー)の汚染を防止するのに有用である。汚染が好ましく防止される事例として、感染症の治療またはワクチン投与がある。更に、遠隔投与は、例えば装置または治療物質レザバーを汚染させずに複数回投与を行う場合に有益である。更に、医薬組成物の生成の際に粒子密度を調整できるので、治療物質を、他の投与方法(例えばエアロゾルプルーム法)より高濃度でレザバーに貯留させることができる。更に、レザバー中の治療物質の濃度が高ければ、(例えばより高濃度である治療物質の浸透圧効果によって)微生物の増殖が阻害されるため、保存剤無しでの保存が可能となる。
ある態様では、動物用治療物質の投与を験体(例えば家畜または野生動物)から1、2、3、4、5、10、15、20 25、30、40、50、更には60フィート離れた位置で行う。
ある態様では、自己防衛のための投与を行い、ここで、投与される物質は被験体(例えばヒトまたは野生動物)の動作(例えば威嚇行動)を阻止するために設計された有害物質である。
VI.実施例
実施例1 幾何学的パラメータの決定
本明細書に記載する方法および装置から生成されるトロイダルボーラスの幅および高さは、種々の方法、例えば高速(例えばストロボ)写真解析によって調査することができる。図10Aに示すように、幅は、十分な速さの高速写真を目視検査することによって算出できる。図10Aでは、トーラスの幅は約1インチであり、これはトーラスの垂直範囲に相当する。同様に、トーラスの高さ(伝播軸、すなわち本明細書に記載する回転軸)に沿って観察した場合のトーラスの最も幅が広い範囲に相当する)を目視によって測定できる。図10Bに示すように、トーラス全体の高さは約1.8cmであり、リング部分は約0.4cmである。従って、回転軸に沿って見た場合のトーラスの内部空隙は約1.0cmである。
実施例2 トーラスの方向性運動の測定
本明細書に記載するトーラスの方向性運動(例えば速度、分散など)は、当該分野で公知の種々の方法(例えばストロボ写真撮影)によって測定できる。例えば図11に示すように、トーラスを本明細書に記載する装置から噴射し、既知のタイミングおよび間隔のストロボフラッシュで時間の経過と共に追跡する。従って、既知の時間および距離でトーラスを観察することができ、これによって伝播の速度を算出できる。
実施例3 トーラスサイズパラメータの精密測定
種々の方法を使用して、本明細書に記載するトーラスの全体の高さを正確かつ精密に測定することができる。例えば図12に、本明細書に記載するトーラスを半透明の布表面に衝突させた結果を示す。図12に示すように、トーラスの高さは約1.8cmである。実施例1も参照のこと。
実施例4 トロイダル体積の測定
本明細書に記載する装置から噴射されるトーラスのトロイダル体積は、当該分野で公知の種々の方法によって測定できる。例えば図13に示すように、エアロゾル化した物質のトロイダルボーラスを含むトーラス(例えば本実施例では劇場用の煙)を本明細書に記載する装置のオリフィスで噴射した(図13の右端)。トーラスが時間と共に右から左へ伝播されるところをストロボ写真で観察した。得られたトーラスを式1で解析したところ、トロイダル大半径は1.25cm、トロイダルリング半径は0.5cm、生成された体積は6.19cm3であった。更に、図13示すように、トロイダル大半径およびトロイダルリング半径は伝播の際に時間と共に変化しうるが、生成されるトーラスの体積は一定であり、これは、エアロゾル化された物質の密度が一定であって実質的に分散しないと仮定するとトロイダルボーラスの量は不変であることから期待される通りである。
更なるトロイダルボーラスの例を図14に示す。図では、トロイダルボーラス1402がオリフィス1401から噴射され、伝播軸1403に沿って伝播する様子が写真撮影されている。
実施例5 標的器官への衝突
エアロゾル化した治療物質のトロイダルボーラスを標的器官に送達することができる。図15Aに示すように、好適なサイズのトロイダルボーラスが、例示的な代替標的器官(すなわち人工眼球)に向かって伝播する様子が観察される。図15Bは、標的器官に衝突する直前のトロイダルボーラスを示す。図15Cに示すように、トロイダルボーラスを噴射するオリフィスは、標的器官にかなり接近していてもよい。
実施例6 トロイド沈着サンプルの分析
種々の方法を使用して、本明細書に記載する方法および装置によって標的器官に沈着したエアロゾル化した物質の量を定量できる。
ある実験では、トロイダルボーラス中に同伴させたエアロゾル化した物質は蛍光物質(すなわちフルオレセイン)を含有し、これをアッセイして沈着の程度を測定することができた。トロイダルボーラスの複数回投与を行い、結果の平均値を算出した。供与源は、本明細書に記載するトロイダルボーラスを供給する装置である。標的は結晶表面であり、これをフルオレセインの沈着に関して定量的に洗浄およびアッセイ(すなわち蛍光測定)した。以下の表1に示すように、エアロゾル化した物質の沈着は当該分野で公知の分析法で測定できる。
トロイダルボーラス中に同伴させた化合物の標的への沈着を測定する別の実験では、0.05%フルオレセイン溶液をエアロゾルチャンバー中へエアロゾル化し、種々の力で装置を作動させ、薬剤を負荷されたトロイダルボーラスを種々の速度で形成および伝播させた。これらの速度は、当該分野で公知のビデオ撮影法を用いて記録/測定した。これらのトロイドを、ヒトの眼と類似した表面形状を有する表面(すなわち人工眼球装置)に衝突させた。トロイダルを表面に衝突させた後、活性物質(すなわちフルオレセイン)を好適な溶媒で抽出し、蛍光分光法によってフルオレセイン含量を定量した。図16Aに示すように、噴射速度を沈着量に対してプロットし、フルオレセインの沈着に関するキャラクタリゼーションを行った。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、これらの条件下では、プルーム速度が高いほどフルオレセインの沈着は低くなる。
図16Bは、5%フルオレセイン溶液を用いた類似の実験を示す。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、これらの条件下では、プルーム速度が速いほどフルオレセインの沈着量は高くなる。
実施例7 エアロゾル粒子のサイズ測定
例えばレーザー回折法を用いたエアロゾル粒子のサイズ測定は、本明細書に開示するトロイダル医薬組成物を形成する粒子の密度および/または粒子サイズ分布のキャラクタリゼーションに有用である。
第1の実験では、トーラスに負荷される薬剤の幾何学的粒子サイズおよび光学密度を測定するために、当該分野で公知の吸入エアロゾル試験装置を搭載したSympatec-HELOS装置を用いた。サンプルを調製するために、フルオレセインNaの生理食塩水(0.9% NaCl)溶液を調製した。この溶液を装置のエアロゾル発生器(AG)に負荷した。AGのスイッチを入れ、エアロゾルをエアロゾルチャンバー中に充満させた。チャンバーが充満した時点でAGのスイッチを切った。トロイダルエアロゾル送達システムの投与ボタンを作動し、データ収集ソフトウェアをオンにして、エアロゾルのトロイダルパルスを噴射し、Sympatec装置のレーザービームを通過させた。その後、Sympatec-HELOSソフトウェアによってx10、x50、x90(当該分野で公知の粒子サイズ分布)、密度分布、および累積分布を算出した。
図17Aは0.05%フルオレセインでの結果であり、粒子サイズ(対数軸)に対する密度分布(左軸)および濃度分布(右軸)を示す。これらのデータでは、x10=1.06μm、x50=5.28μm、およびx90=12.73μmであった。
図17Bは5.0%フルオレセインでの結果であり、粒子サイズ(対数軸)に対する密度分布(左軸)および濃度分布(右軸)を示す。これらのデータでは、x10=1.18μm、x50=4.23μm、およびx90=8.44μmであった。
別の実験では、Sympatec-HELOS装置をトロイダルエアロゾル送達システムと共に使用し、トロイダルボーラスの更なる検討を行った。図18Aは、0.05%フルオレセイン溶液のトロイダルボーラスの相対光学密度を粒子サイズ(幾何学的サイズ)の関数で表したものである。これらの所見では、x10=1.12μm、x50=5.55μm、およびx90=13.37μmであった。図18Bは、5.0%フルオレセイン溶液のトロイダルボーラスの相対光学密度を粒子サイズの関数で表したものである。これらの所見では、x10=1.31μm、x50=4.46μm、およびx90=8.76μmであった。
実施例8 投与含量分析
本明細書に記載するトロイダル医薬組成物の投与含量均一性を、薬学会で公知の方法で測定した。薬剤の代替としてフルオレセイン(0.05%)を用いた一連のトロイダル医薬組成物サンプルを、投与含量均一性装置へ噴射した。当該分野で公知のように、投与含量均一性装置は誘導管を提供し、該管は遠位端にフィルターおよび真空システムを有し、これは該管中に噴射された含有物をフィルター上に捕捉するように設計されたものである。噴射回数は10回とした。希釈容量は10mLとした。希釈係数は2である。ある実験では、蛍光単位数は52,622であり、これは1595.49ng/mLフルオレセインの総濃度に相当する。トロイダル医薬組成物の噴射10回の総量は1594.9ngであり、トロイダル医薬組成物の噴射1回あたりの量は159.5ngであった。
実施例9 トロイダル薬剤負荷アッセイ
トロイダルエアロゾル送達システムから噴射される各ボーラス中の活性物質(例えばフルオレセイン)の量を測定するために、真空下でエアロゾルを保持するための好適なフィルターをサンプル採取管に取り付けた。既知投与数のトロイダルボーラスをサンプルフィルターへ噴射し、抽出およびアッセイを行った。各単位に含有されるフルオレセインの量は非常に高い再現性を示し、投与単位数に比例して増加した。この製剤では、各トロイドの負荷量は0.05%溶液で43.75ng、5%溶液で2.13μgであった。図19に示すように、検出されたフルオレセイン量は、捕捉されたトロイダルボーラス数と共に単調増加した。
実施例10 液体のエアロゾル化速度実験
液体のエアロゾル化の程度および速度を、上記のトロイダルエアロゾル送達システムのチャンバー充填時間の関数として検討した。図20に示すように、エアロゾル化した液体の量は、チャンバー充填時間とほぼ一次関数を示す。
<態様>
態様1 トロイダル医薬組成物を被験体に投与するための方法であって、該方法は以下:トロイダルエアロゾル送達システムからトロイダル医薬組成物を分注すること(該トロイダル医薬組成物はエアロゾル化した治療物質を含有する);および、該トロイダル医薬組成物を該被験体の標的器官に接触させることによって該トロイダル医薬組成物を投与することを含む。
態様2 該分注が以下:トロイダルエアロゾル送達システムを充填することによって充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを提供すること;および該充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを作動することを含む、態様1記載の方法。
態様3 該トロイダルエアロゾル送達システムが以下:エアロゾルチャンバー;該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器(該エアロゾル発生器は、該エアロゾルチャンバーに該エアロゾル化した治療物質を充填するのに適合させたものである);該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス(該オリフィスは、該トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである);および、該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む、態様1または2に記載の方法。
態様4 該充填が該エアロゾル発生器内にエアロゾル化していない治療物質を施与すること;および、該エアロゾル発生器によって該エアロゾル化していない治療物質から該エアロゾル化した治療物質を生成し、該エアロゾル化した治療物質を該エアロゾルチャンバーに送達することによって該充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを充填することを含む、態様3記載の方法。
態様5 該作動が該アクチュエータへのエネルギー施与を含む、態様3記載の方法。
態様6 該エネルギー施与が該アクチュエータへの機械的力の適用を含む、態様5記載の方法。
態様7 該エネルギー施与の結果、該エアロゾルチャンバー内の圧力が上昇する、態様5記載の方法。
態様8 該トロイダル医薬組成物が該標的器官との接触時に実質的に完全なまま(intact)である、態様1から7のいずれかに記載される方法。
態様9 該標的器官が眼、耳、鼻、または喉である、態様1から8のいずれかに記載される方法。
態様10 該標的器官が眼である、態様9記載の方法。
態様11 該被験体が哺乳動物である、態様9記載の方法。
態様12 該被験体がヒトである、態様11記載の方法。
態様13 該トロイダルエアロゾル送達システムが以下:ガス貯留チャンバー;該エアロゾル化した治療物質の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器;該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結したオリフィス(該オリフィスは該トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである);および、該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む、態様1または2のいずれかに記載される方法。
態様14 該アクチュエータが複数のアクチュエータを含み、該複数のアクチュエータが該ガス貯留チャンバーと機械的に連結した第1のアクチュエータおよび該インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した第2のアクチュエータを含む、態様13記載の方法。
態様15 該アクチュエータが該インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した、態様13記載の方法。
態様16 該作動が該アクチュエータへのエネルギー施与を含む、態様13記載の方法。
態様17 該エネルギー施与が該アクチュエータへの機械的力の適用を含む、態様16記載の方法。
態様18 該エネルギー施与の結果、該エアロゾルチャンバー内の圧力が上昇する、態様16記載の方法。
態様19 該作動が該第1のアクチュエータおよび該第2のアクチュエータへのエネルギー施与を含む、態様14記載の方法。
態様20 該トロイダル医薬組成物が該標的器官との接触時に実質的に完全なまま(intact)である、態様13から19のいずれかに記載される方法。
態様21 該標的器官が眼、耳、鼻、または喉である、態様13から20のいずれかに記載される方法。
態様22 該標的器官が眼である、態様21記載の方法。
態様23 該被験体が哺乳動物である、態様21記載の方法。
態様24 該被験体がヒトである、態様23記載の方法。
態様25 トロイダルエアロゾル送達システムであり、以下:エアロゾルチャンバー;該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器;該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス;および、該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む、上記システム。
態様26 該システムが調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システムである、態様25記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
態様27 該エアロゾル発生器が該エアロゾルチャンバーにエアロゾル化した治療物質を充填するのに適合させたものである、態様25または26のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様28 眼とのアラインメントのための眼用ガイドピースを更に含む、態様25から27のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様29 該オリフィスと流体連結した第1のバルブを更に含み、該第1のバルブがエアロゾル化した治療物質の通過を制御するのに適合させたものである、態様25から28のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様30 該エアロゾルチャンバーと流体連結した第2のバルブを更に含み、該第2のバルブが空気の通過を制御するのに適合させたものである、態様25から29のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様31 該アクチュエータがコントローラを含み、該コントローラが機械的力を再現性良く提供することに適合させたものである、態様25から30のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様32 該コントローラが更に該エアロゾル発生器の機能を該アクチュエータの機能と同期させるのに適合させたものである、態様31記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
態様33 該コントローラがロックアウト機構を含む、態様31記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
態様34 トロイダルエアロゾル送達システムであり、以下:ガス貯留チャンバー;エアロゾル化した治療物質の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器;該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結したオリフィス(該オリフィスはトロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである);および、該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む、上記システム。
態様35 該アクチュエータが複数のアクチュエータを含み、該複数のアクチュエータが該ガス貯留チャンバーと機械的に連結した第1のアクチュエータおよび該インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した第2のアクチュエータを含む、態様34記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
態様36 該アクチュエータが更に該インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した、態様34記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
態様37 該システムが調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システムである、態様34から36のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様38 眼とのアラインメントのための眼用ガイドピースを更に含む、態様34から37のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様39 該オリフィスと流体連結した第1のバルブを更に含み、該第1のバルブがエアロゾル化した治療物質の通過を制御するのに適合させたものである、態様34から38のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様40 該ガス貯留チャンバーと流体連結した第2のバルブを更に含み、該第2のバルブが空気の通過を制御するのに適合させたものである、態様34から39のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様41 該アクチュエータがコントローラを含み、該コントローラが機械的力を再現性良く適用するのに適合させたものである、態様34から40のいずれかに記載されるトロイダルエアロゾル送達システム。
態様42 該コントローラが更に該インライン・エアロゾル発生器の機能を該アクチュエータの機能と同期させるのに適合させたものである、態様41記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
態様43 エアロゾル化した眼科用活性医薬成分をそれを必要とする被験体に投与する方法であり、該方法が有効量のトロイダル医薬組成物を該被験体の眼に投与することを含み、該トロイダル医薬組成物が該エアロゾル化した眼科用活性医薬成分を含有する、上記方法。
態様44 該被験体が哺乳動物である、態様43記載の方法。
態様45 該被験体がヒトである、態様44記載の方法。
態様46 該投与が以下:トロイダルエアロゾル送達システムを充填することによって充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを提供すること;および、該トロイダルエアロゾル送達システムを作動することを含む、態様43から45のいずれかに記載される方法。
態様47 該トロイダルエアロゾル送達システムが以下:エアロゾルチャンバー;該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器(該エアロゾル発生器は該エアロゾルチャンバーに該エアロゾル化した眼科用活性医薬成分を充填するのに適合させたものである);該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス(該オリフィスは該トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである);および、該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む、態様46記載の方法。
態様48 該トロイダルエアロゾル送達システムが以下:ガス貯留チャンバー;該エアロゾル化した眼科用活性医薬成分の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器;該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結したオリフィス(該オリフィスは該トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたものである);および、該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータを含む、態様46記載の方法。
態様49 眼科用活性医薬成分を含有するトロイダル医薬組成物。

Claims (49)

  1. トロイダル医薬組成物を被験体に投与するための方法であって、
    エアロゾル化した治療物質を含有するトロイダル医薬組成物をトロイダルエアロゾル送達システムから分注すること;および、
    該トロイダル医薬組成物を該被験体の標的器官に接触させることによって該トロイダル医薬組成物を投与すること
    を含む、上記方法。
  2. 前記分注が、
    トロイダルエアロゾル送達システムを充填することによって充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを提供すること;および
    該充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを作動すること
    を含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記トロイダルエアロゾル送達システムが、
    エアロゾルチャンバー;
    該エアロゾルチャンバーと流体連結し、該エアロゾルチャンバーに前記エアロゾル化した治療物質を充填するのに適合させたエアロゾル発生器;
    該エアロゾルチャンバーと流体連結し、前記トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたオリフィス;および、
    該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータ
    を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記充填が、
    前記エアロゾル発生器内にエアロゾル化していない治療物質を施与すること;および、
    該エアロゾル発生器によって該エアロゾル化していない治療物質から前記エアロゾル化した治療物質を生成し、該エアロゾル化した治療物質を前記エアロゾルチャンバーに送達することによって前記充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを充填すること
    を含む、請求項3記載の方法。
  5. 前記作動が前記アクチュエータへのエネルギー施与を含む、請求項3記載の方法。
  6. 前記エネルギー施与が前記アクチュエータへの機械的力の適用を含む、請求項5記載の方法。
  7. 前記エネルギー施与の結果、前記エアロゾルチャンバー内の圧力が上昇する、請求項5記載の方法。
  8. 前記トロイダル医薬組成物が該標的器官との接触時に実質的に完全なまま(intact)である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記標的器官が眼、耳、鼻、または喉である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記標的器官が眼である、請求項9記載の方法。
  11. 前記被験体が哺乳動物である、請求項9記載の方法。
  12. 前記被験体がヒトである、請求項11記載の方法。
  13. 前記トロイダルエアロゾル送達システムが、
    ガス貯留チャンバー;
    前記エアロゾル化した治療物質の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器;
    該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結し、前記トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたオリフィス;および
    該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータ
    を含む、請求項1または2に記載の方法。
  14. 前記アクチュエータが複数のアクチュエータを含み、該複数のアクチュエータが前記ガス貯留チャンバーと機械的に連結した第1のアクチュエータおよび前記インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した第2のアクチュエータを含む、請求項13記載の方法。
  15. 前記アクチュエータがさらに前記インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した、請求項13記載の方法。
  16. 前記作動が該アクチュエータへのエネルギー施与を含む、請求項13記載の方法。
  17. 前記エネルギー施与が該アクチュエータへの機械的力の適用を含む、請求項16記載の方法。
  18. 前記エネルギー施与の結果、該エアロゾルチャンバー内の圧力が上昇する、請求項16記載の方法。
  19. 前記作動が該第1のアクチュエータおよび該第2のアクチュエータへのエネルギー施与を含む、請求項14記載の方法。
  20. 前記トロイダル医薬組成物が該標的器官との接触時に実質的に完全なまま(intact)である、請求項13から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記標的器官が眼、耳、鼻、または喉である、請求項13から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記標的器官が眼である、請求項21記載の方法。
  23. 前記被験体が哺乳動物である、請求項21記載の方法。
  24. 前記被験体がヒトである、請求項23記載の方法。
  25. トロイダルエアロゾル送達システムであり、
    エアロゾルチャンバー;
    該エアロゾルチャンバーと流体連結したエアロゾル発生器;
    該エアロゾルチャンバーと流体連結したオリフィス;および、
    該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータ
    を含む、上記システム。
  26. 前記システムが調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システムである、請求項25記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  27. 前記エアロゾル発生器が前記エアロゾルチャンバーにエアロゾル化した治療物質を充填するのに適合させたものである、請求項25または26に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  28. 眼とのアラインメントのための眼用ガイドピースを更に含む、請求項25から27のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  29. 前記オリフィスと流体連結した第1のバルブを更に含み、該第1のバルブがエアロゾル化した治療物質の通過を制御するのに適合させたものである、請求項25から28のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  30. 前記エアロゾルチャンバーと流体連結した第2のバルブを更に含み、該第2のバルブが空気の通過を制御するのに適合させたものである、請求項25から29のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  31. 前記アクチュエータがコントローラを含み、該コントローラが機械的力を再現性良く提供することに適合させたものである、請求項25から30のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  32. 前記コントローラが更に該エアロゾル発生器の機能を該アクチュエータの機能と同期させるのに適合させたものである、請求項31記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  33. 前記コントローラがロックアウト機構を含む、請求項31記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  34. トロイダルエアロゾル送達システムであり、
    ガス貯留チャンバー;
    エアロゾル化した治療物質の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器;
    該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結し、トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたオリフィス;および、
    該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータ
    を含む、上記システム。
  35. 前記アクチュエータが複数のアクチュエータを含み、該複数のアクチュエータが前記ガス貯留チャンバーと機械的に連結した第1のアクチュエータおよび前記インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した第2のアクチュエータを含む、請求項34記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  36. 前記アクチュエータが更に該インライン・エアロゾル発生器と機械的または電気的に連結した、請求項34記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  37. 前記システムが調節可能なパルス式トロイダルエアロゾル送達システムである、請求項34から36のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  38. 眼とのアラインメントのための眼用ガイドピースを更に含む、請求項34から37のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  39. 前記オリフィスと流体連結した第1のバルブを更に含み、該第1のバルブがエアロゾル化した治療物質の通過を制御するのに適合させたものである、請求項34から38のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  40. 前記ガス貯留チャンバーと流体連結した第2のバルブを更に含み、該第2のバルブが空気の通過を制御するのに適合させたものである、請求項34から39のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  41. 前記アクチュエータがコントローラを含み、該コントローラが機械的力を再現性良く適用するのに適合させたものである、請求項34から40のいずれか一項に記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  42. 前記コントローラが更に該インライン・エアロゾル発生器の機能を該アクチュエータの機能と同期させるのに適合させたものである、請求項41記載のトロイダルエアロゾル送達システム。
  43. エアロゾル化した眼科用活性医薬成分をそれを必要とする被験体に投与する方法であり、該方法が有効量のトロイダル医薬組成物を該被験体の眼に投与することを含み、該トロイダル医薬組成物が該エアロゾル化した眼科用活性医薬成分を含有する、上記方法。
  44. 前記被験体が哺乳動物である、請求項43記載の方法。
  45. 前記被験体がヒトである、請求項44記載の方法。
  46. 前記投与が、
    トロイダルエアロゾル送達システムを充填することによって充填済みトロイダルエアロゾル送達システムを提供すること;および、
    該トロイダルエアロゾル送達システムを作動すること
    を含む、請求項43から45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記トロイダルエアロゾル送達システムが、
    エアロゾルチャンバー;
    該エアロゾルチャンバーと流体連結し、該エアロゾルチャンバーに前記エアロゾル化した眼科用活性医薬成分を充填するのに適合させたエアロゾル発生器;
    該エアロゾルチャンバーと流体連結し、前記トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたオリフィス;および、
    該エアロゾルチャンバーと機械的に連結したアクチュエータ
    を含む、請求項46記載の方法。
  48. 前記トロイダルエアロゾル送達システムが、
    ガス貯留チャンバー;
    前記エアロゾル化した眼科用活性医薬成分の送達に適合させたインライン・エアロゾル発生器;
    該ガス貯留チャンバーおよび該インライン・エアロゾル発生器と流体連結し、前記トロイダル医薬組成物の噴射に適合させたオリフィス;および、
    該ガス貯留チャンバーと機械的に連結したアクチュエータ
    を含む、請求項46記載の方法。
  49. 眼科用活性医薬成分を含有するトロイダル医薬組成物。
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