JP2014517065A - ホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌剤の毒性減少用組成物(Compositioncomprisingphosphstidylcholineasanactiveingredientforattenuatingtoxicityofanticanceragent) - Google Patents
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Abstract
本発明は、ホスファチジルコリンの新たな用途に関するもので、より詳細にはホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌剤の毒性減少用組成物及び抗癌補助剤に関するものである。本発明は、ホスファチジルコリンを有効成分として含む、抗癌剤の毒性減少用組成物を提供する。本発明の組成物は、抗癌剤の毒性を減少させて癌の化学的治療において抗癌剤の毒性により発生するさまざまな副作用を防止又は最小化することができ、抗癌補助剤としての使用が効果的である。
Description
本出願は、2011年06月24日に出願された大韓民国特許出願第10-2011-0061658号に基づく優先権を主張する。前記明細書全体は本出願の参考文献である。
本発明はホスファチジルコリン(phosphstidylcholine)の新たな用途に関するもので、より詳細にはホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌剤の毒性減少用組成物及び抗癌補助剤に関する。
癌(cancer)は全世界的に年間約760万人の死亡原因になる疾病であり、これは全ての死亡原因の13%に相当する数値である。統計庁の“2009年の死亡原因統計年報”によれば、韓国の癌による死亡は28.3%で、全体死亡原因の内1位を占めていて国家次元の癌管理対策が求められている。現在癌を治療する方法には手術、放射線治療、遺伝子治療などさまざまな方法が使用されているが、最も多く使用されている治療方法の内の一つが抗癌剤を投与する化学療法(chemotherapy)である。
抗癌化学療法は全身治療であり、大部分注射や経口で抗癌剤を投与すれば血流により全身に広がる。そこで、局所的な効果よりは全身に広がっている微細転移(micometastasis)に作用する治療である。従って、全身的な副作用が多く、手術や放射線治療に比べてその程度が極めて甚だしいものであった。正常細胞と癌細胞間の薬物に対する感受性の差を利用して抗癌剤が癌細胞に対して選択的に作用するようにするのが化学療法であるが、大部分の抗癌剤が正常細胞と癌細胞を区別できず、用量制限的特性(dose-limiting toxicity)を示すことにその問題点がある。
代表的な抗癌剤であるシスプラチン(cis-diammine-dichloroplatinum[II])は卵巣癌、膀胱炎、肺癌、頭頸部癌、睾丸癌などの治療のための化学療法剤として臨床で広く使用されている(Rosenberg B.,Cancer,55:pp2303-2315,1985)。シスプラチンは活性酸素種を生成して癌細胞を攻撃し、癌細胞でDNAのインターイントラストランド交差結合(inter-intrastrand cross-linking)、DNA付加体形成を誘導して抗癌効果を示すものと知られている。
しかしながら、治療過程の内、薬物の制限された含量以上では聴覚の喪失、神経毒性、腎臓毒性のような副作用が現れて(Mollman et al.,1998:Serenci and McKeage.1999)、高濃度のシスプラチンの投与時には肝毒性もまた、頻繁に観察されるものと知られている(Cerosimo R.J.,ANN,Pharm.,27:pp438-441.1993:Cavalli F et al.,Cancer Treat,Rep.,62:pp2125-2126 1978:Pollera C.F.et al.,J.Clin.Oncol.,5:pp318-319,1987)。
シスプラチンによるこのような副作用は、シスプラチンにより生成された活性酸素種による脂質過酸化の増加(Matsusima H.et al.,J.Lab.Clin.Med.,131:pp518-526,1998:Koc A.et al.,Mol.Biochem.,278(1-2):pp79-84,2005)、組織に存在する抗酸化酵素活性の抑制(Sadzuka Y.et al.,Biochem.Phamacol.,43:pp1873-1875.1992)、グルタチオン(glutathione)の枯渇(Zhang J.G.and Lindup W.E.,Biochem.Phamacol.,45:pp2215-2222.1993) 及び細胞内カルシウム恒常性の崩壊(Zhang J.G.and Lindup W.E.,Toxicology in Vitro.10:pp205-209,1996)と密接な関連がある。
パクリタキセル(Psclitaxel)は、1960年代後半National Cancer Institute(NCI)により、太平洋櫟(イチイ)(Taxus brevifolia)の樹皮から抽出された天然細胞毒性物質で、細胞分裂を抑制する類似分裂抑制剤であって、黒色腫、乳房癌、肺癌のような悪性腫瘍に活性で作用する現在最も注目を浴びている抗癌剤の内の一つである。しかしながら、体内の他の正常細胞にも作用するので他の疾患を誘発することがあって、水に対する溶解度が低いので毒性及び副作用が深刻なことが問題点として指摘されている。
従って、抗癌剤治療による副作用を減少させて治療効果を高めるは抗癌剤投与による毒性を緩和できる抑制剤の開発が必要である。
そこで、本発明者らは抗癌剤毒性を緩和できる新たな物質に対して研究した結果、ホスファチジルコリンが抗癌剤の毒性を緩和することを確認して本発明を完成した。
従って、本発明の目的はホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌剤の毒性減少用組成物を提供することである。
本発明の他の目的はホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌補助剤を提供することである。
本発明のさらに他の目的はホスファチジルコリンを必要とする個体に有効量で投与する段階を含む抗癌剤の毒性減少方法を提供することである。
本発明の他の目的はホスファチジルコリンのホスファチジルコリンを含む抗癌剤毒性減少用組成物製造のための用途を提供することである。
前記の目的を達成するために本発明はホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌剤の毒性減少用組成物を提供する。
本発明の他の目的を達成するために本発明はホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌補助剤を提供する。
本発明の他の目的を達成するために本発明はホスファチジルコリンを必要とする個体に有効量で投与する段階を含む抗癌剤の毒性減少方法を提供する。
本発明のさらに他の目的を達成するために本発明は、ホスファチジルコリンのホスファチジルコリンを含む抗癌剤の毒性減少用の組成物を製造するための用途を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明はホスファチジルコリンを有効成分として含む、抗癌剤の毒性減少用組成物を提供する。
本発明の毒性減少用組成物はホスファチジルコリンを有効成分として含むことを特徴とする。
ホスファチジルコリンは動物、植物、酵母、カビ類に広く存在する燐脂質で、レシチンとも言われ、1,2-ジアシル-L-3-グリセリルホスファチジルコリンに該当する。哺乳動物の膜構成燐脂質であり、主に脳髄、神経、血球、卵黄などに含まれている。植物では大豆、ヒマワリの実、小麦胚芽などに含まれていてバクテリアでは殆ど見出だせない。一般的にグリセロールの1番位置には飽和脂肪酸、2番位置には不飽和脂肪酸が結合されているものが多く、アシル基はC12乃至C22(炭素数12個乃至22個)が大部分である。構成成分であるコリンのpKが約13であるので、この燐脂質は全てのpH域で両方性イオンで存在して界面活性を有する。
本発明のホスファチジルコリンは化学式1と同じ基本構造を有する。
本発明のホスファチジルコリンは前記化学式1と同じ構造を有し、R1は炭素数12個乃至22個の飽和又は不飽和脂肪酸であって、R2は炭素数12個乃至22個の飽和又は不飽和脂肪酸でもありうる。本発明のホスファチジルコリンは単一化合物でもあり、又はR1及びR2アシル基の炭素数が多様な化合物の混合物でもある。
好ましくは本発明のホスファチジルコリンは化学式2と同じ構造を有する化合物が94.0重量%以上の比で含まれている混合物でもある。
本発明のホスファチジルコリンは各種の動、植物、例えば、大豆、ヒマワリの実、小麦胚芽及び卵黄からなる群より選ばれたいずれか一つから抽出して使用することができる。本発明のホスファチジルコリンは好ましくは大豆又は卵黄から分離されたものでもある。又は本発明のホスファチジルコリンは商業的に販売されるものを購入して使用することができる。
本発明の一実施例では大豆(Soybean、学名:Glycine max(L.)Merill)10kgを洗浄、除皮、粉砕後室温でエタノール(E.P)で40分間抽出してホスファチジルコリンを収得した。追加的に、この時得た抽出物をろ過して蛋白質と炭水化物を除去した後、40℃で減圧濃縮し、この濃縮残液を脱鹸、乾燥して水分を除去し、アセトンを添加してアセトン層を分離した残液を得た後、この残液を35℃以下でエタノールを添加して60分間抽出してその抽出液をシリカゲルクロマトグラフィーと酸化アルミニウムクロマトグラフィーを利用して分離し、ホスファチジルコリン(必須燐脂質性物質)4gを得た(収得率:0.04%)。
抗癌剤とは、癌細胞の各種の代謝経路に作用して癌細胞に対して細胞毒性や、生長抑制効果を示す薬剤を総称し、今まで開発された抗癌剤はその作用機転と化学構造により代謝拮抗剤、植物性アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤(topoisomerase inhibitor)、アルキル化剤、抗癌性抗生物質、ホルモン剤、その他薬剤に分類することができる。
本発明の抗癌剤は、例えばオキサリプラチン、イマチニブ、ドセタキセル、ペメトレキシド、ゲピチニブ、テガフル、カペシタビン、エロチジブ、ドキシフルリジン、パクリタキセル、インターフェロンアルファ、ゲムシタビン、フルダラビン、イリノテカン、カルボフラチン、シスフラチン、テキソチア、ドキソルビチン、5-フルオロウラシル、UFT、タモキシペン、コセレルリン、ヘルセプチン、抗-CD20抗体、ループロリド(ルプロン)及びフルタミドでもあって、好ましくはシスプラチン又はパクリタキセルでもある。
シスプラチン(cisplatin,cis-dichlorodiammineplatinum)は代表的な抗癌剤であって、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、頭頸部癌、睾丸癌などの治療のための化学療法剤として臨床で広く使用されている。シスプラチンは活性酸素種を生成して癌細胞を攻撃し、癌細胞からDNAのインターイントラストランド交差結合(inter-intrastrand cross-liking)、DNA付加体形成を誘導して抗癌効果を示すものとして知られており、治療過程中薬物の制限された含量以上では聴覚の喪失、神経毒性、腎臓毒性のような副作用が現れ、高濃度のシスプラチンの投与時には肝毒性もまた、頻繁に観察されるものと知られている。
パクリタキセル(Paclitaxcel)は、癌細胞内で染色体を含むさまざまな物質の運搬と細胞の骨格を維持することに関与する微小管(microtubule)と結合して、癌細胞の染色体移動を妨害して癌細胞を死滅させる活性機作を有する。しかしながら、体内の他の生長細胞にも作用するため、他の疾患を誘発することがあって、水に対する溶解度が低く毒性及び副作用が深刻であることが問題点として指摘されている。
抗癌剤は、薬剤によって細胞内標的が多様であるので、細胞のDNA複製、転写、翻訳過程を遮断するか、又は細胞生存に重要な蛋白質の作用を妨害し、このような細胞内標的への影響は以降、ネクローシス(necrosis)やアポトーシス(apoptosis)の過程を通じて細胞を死滅させる。このような抗癌剤が作用する代謝経路は癌細胞のみに特異なことではなく、正常細胞でも同一なため、抗癌剤投与の際の正常組織の損傷、つまり、毒性はやむを得ない。
本発明において、抗癌剤の毒性は、腎臓毒性、肝毒性、神経毒性、血液毒性、胃腸毒性、肺毒性であって、好ましくは腎臓毒性、血液毒性、神経毒性でもある。
パクリタキセルの副作用として、白血球減少症、神経毒性があると報告されている。(S.M.Lichtman et al.,Ann Oncol;23(3):632-638,2012)
本発明において、抗癌剤は、癌抑制及び治療効能があればいずれのものでも該当し、前記癌はその種類に特別な制限はないが、好ましくは睾丸癌、膀胱癌、前立腺癌、卵巣癌、乳房癌、大腸癌、頭頸部癌、肺癌、食道癌、胃癌及び子宮頸部癌からなる群より選ばれたいずれかである。
本発明の組成物は、抗癌剤の毒性を減少させる効能が優れている。
従って、本発明は、ホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌補助剤を提供する。抗癌補助剤は、抗癌剤の副作用を減少又は抗癌剤の治療効果を増大させる製剤を意味する。本発明の抗癌補助剤は、ホスファチジルコリンを有効成分として含むことを特徴とし、抗癌剤の毒性を減少させる効能が優れている。
本発明の以下のような効能は実施例によく示されている。
本発明の一実施例では、腎臓毒性を起こすものとして知られている抗癌剤であるシスプラチンを注入したラットに本発明の組成物を注射して飼育したあと、血液検査を通じて腎臓機能を測定した。
その結果、シスプラチン処理後、本発明のホスファチジルコリンを注射した群の場合、シスプラチン処理後、ホスファチジルコリンを注射しない対照群に比べて血中クレアチン水準及びBUN(bllod urea nitrogen)水準が低くなったことを確認した(実施例1-2参照)。
本発明の他の一実施例では、前記実施例の実験動物の体重変化を測定した。その結果、シスプラチン処理後、ホスファチジルコリンを注射しない対照群は体重が減少したが、シスプラチン処理後、本発明のホスファチジルコリンを注射した群の場合、体重が増加したことを確認した(実施例1−3参照)。
本発明の他の一実施例では、前記実施例の実験動物の腎臓を摘出して組織観察をした。その結果、シスプラチン処理後、ホスファチジルコリンを注射しない対照群では腎臓の近位部と遠位部の上皮細胞の大部分がシスプラチンの投与により炎症反応による潰死性変化が観察されたが、シスプラチン処理後、本発明のホスファチジルコリンを注射した群の場合、近位部と遠位部チューブルの上皮細胞がおおむね良く維持されていることを確認した(実施例1−4参照)。
前記実施例1はホスファチジルコリンを腹腔注射した場合であって、経口投与の際にも効能があるか否かを確認するために実験(実施例2に記載)を行った。
経口投与の場合も腹腔注射の場合と同様に、シスプラチン処理後、本発明のホスファチジルコリンを投与した群(表4の実験群14〜16)の場合、シスプラチン処理後、ホスファチジルコリンを注射しない対照群(表4の実験群13)に比べて、血中のクレアチニン水準及びBUN(bllod urea nitrogen)水準が低くなったことを確認することができた(実施例2-2及び図4参照)。
さらに、ホスファチジルコリンを経口投与した時、腎臓組織が受ける酸化ストレスを緩和する程度を測定した。
脂質過酸化物の代表的分解産物であるMDA(マロンジアルデヒド、malondialdehyde))を定量した結果、シスプラチンだけを処理した実験群(グループ13)よりも本発明のホスファチジルコリンを共に投与した実験群(グループ13乃至16)のMDAレーベルが顕著に低かった(実施例2-3の(1)及び図5参照)。
生体膜は多量の不飽和脂肪酸を含んでいて、脂質過酸化により脂質分子の構造的変化が広い範囲にわたって起こると、生体膜流動性の減少、膜転移の減少、イオン透過性の増加、細胞小器官内容物の漏出などが起こり、結局は細胞機能の低下と細胞の死滅を招く。脂質過酸化物とそれの分解産物の中には生体に有害な成分らがあり、大食細胞機能の抑制、蛋白質合成抑制、酵素の不活性、トロンビン(thrombin)過多生成などのような有害作用が報告されている(Halliwell,B.ET,AL.,Philos Trans R Soc 1b biol Sci.Dec 17:311(1152):pp659-671.1985)。
グルタチオン(glutathione,GSH)を定量した結果、シスプラチンだけを処理した実験群(グループ13)よりも本発明のホスファチジルコリンを共に投与した実験群(グループ14乃至16)のGSHの濃度が有意的に高かった(実施例2-3の(2)及び図 6参照)。
GHSはグルタチオン スルフィドリル(glutathione sulfhydryl)の一般的な名称であって、グリシン(glycine)、グルタミン、システイン(cystein)の3種のアミノ酸が結合されて作った形態のトリペプチド(tripeptide)で、体内で自然的に生成される。GSHは全身の細胞から作られ、外部から入ってきた毒性物質や体内で生成される酸化物質であるラジカルを人体内で安定化させるか、又は体外に排出させる作用をする極めて重要な抗酸化物質の内の一つである。
抗酸化酵素のカタラーゼ(catclase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx,glutathione peroxidase)、スーパーオキシド ディスムターゼ(superoxide dismutase)の腎臓組織内の活性を測定した結果、シスプラチンのみを処理した対照群(グループ13)よりもホスファチジルコリンと共に投与した実験群(グループ14乃至16)の前記三つの抗酸化酵素活性が有意的に高かった(実施例2-3の(3)及び図7参照)。
さらに、本発明の実施例3及び図8において、ホスファチジルコリンのパクリタキセルの毒性を減少させることを確認することができた。致死率50%になるようにするパクリタキセルの投与量(LD50)が、ホスファチジルコリンを投与するほど増加することを発見することができる。
本発明の組成物は、抗癌剤の毒性に対する抑制活性を有するホスファチジルコリンを有効成分として含み、薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含むことができる。
さらに、前記組成物の投与形態は、これらの許容可能な塩の形態で使用することができ、単独又は別の薬学的活性化合物と結合又は適切な集合で使用することができる。
本発明の組成物は、それぞれ通常の方法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤及び滅菌注射用液の形態で剤形化して使用することができる。有効成分としてホスファチジルコリンを含む組成物に含まれる担体、賦形剤及び希釈剤には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、未定質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油が挙げられる。
製剤化する場合には、普通使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調剤される。経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれて、このような固形製剤はホスファチジルコリンに少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉。カルシウムカーボネート、スクロース又はラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤する。さらに、単純な賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤なども使用される。経口のための液状製剤には懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、広く使用される単純希釈剤の水、リキッドパラフィン以外にさまざまな賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。
本発明の組成物は非経口で投与することができ、非経口投与は皮下注射、静脈注射、筋肉内注射又は胸部内注射注入方式による。非経口投与用剤形に製剤化するためには、本発明のホスファチジルコリンを安定剤又は緩衝剤とともに水で混合し、溶液又は懸濁液に製造して、これをアンプル又はバイアルの単位投与型に製剤化する。本発明の組成物の有効成分であるホスファチジルコリンの投与量は特に制限されるものではないが、抗癌剤の種類及び投与量、投与期間などによって異なり、抗癌剤総投与重量対比約1倍乃至500倍重量が投与されるのが好ましく、より好ましくは約1倍乃至200倍重量である。本発明の組成物は、抗癌剤投与前又は後に単独で投与することができ、抗癌剤と混合して抗癌剤組成物として共に投与することもできる。
本発明の組成物の好ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者により適切に選択することができる。しかしながら、好ましい効果のために、本発明の薬学的組成物は1日0.0001乃至100mg/kgで、好ましくは0.001乃至100mg/kgで投与するのが良い。投与は1日1度投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。前記投与量はいかなる面からも本発明の範囲を限定するものではない。
本明細書の“個体”とは、哺乳動物とくにヒトを含む動物を意味し、これは動物由来の細胞、組織、又は器官でもある。個体は治療が必要な患者でもある。
本発明は、ホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌剤の毒性減少用組成物を提供する。本発明の組成物は、抗癌剤の毒性を減少させて癌の化学的治療において抗癌剤の毒性により発生するさまざまな副作用を防止又は最小化することができ、抗癌補助剤として使用するのに効果的である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
ただし、下記実施例は本発明を例示するのみであり、本発明の内容は下記実施例に限定されない。
<実施例1>
シスプラチンによる腎臓毒性軽減効果−腹腔注射
シスプラチンによる腎臓毒性軽減効果−腹腔注射
<1−1>シスプラチン及びホスファチジルコリンの製造及び実験動物に適用
シスプラチン(cisplatin,cis-dichlorodiammineplatinum、以下“CDDP”と称す)は、Ildong製薬のシスパーチン注射液を使用した。ホスファチジルコリン(phosphstidylcholine、以下“PC”と称す)は、次のように製造した。まず大豆10kgを洗浄、除皮、粉砕後室温でエタノール(E.P)で40分間抽出した。この時得た抽出物をろ過して蛋白質と炭水化物を除去し、40℃で減圧濃縮した。この濃縮残液を脱鹸、乾燥して水分を除去し、アセトンを加えてアセトン層を分離した残液を得た。この残液を35℃以下でエタノールを加えて60分間抽出し、その抽出液をシリカゲルクロマトグラフィーと、酸化アルミニウムクロマトグラフィーを利用して分離し、ホスファチジルコリン(必須燐脂質性物質)4g(収得率:0.04%)を得る方法で製造して使用した。
シスプラチン(cisplatin,cis-dichlorodiammineplatinum、以下“CDDP”と称す)は、Ildong製薬のシスパーチン注射液を使用した。ホスファチジルコリン(phosphstidylcholine、以下“PC”と称す)は、次のように製造した。まず大豆10kgを洗浄、除皮、粉砕後室温でエタノール(E.P)で40分間抽出した。この時得た抽出物をろ過して蛋白質と炭水化物を除去し、40℃で減圧濃縮した。この濃縮残液を脱鹸、乾燥して水分を除去し、アセトンを加えてアセトン層を分離した残液を得た。この残液を35℃以下でエタノールを加えて60分間抽出し、その抽出液をシリカゲルクロマトグラフィーと、酸化アルミニウムクロマトグラフィーを利用して分離し、ホスファチジルコリン(必須燐脂質性物質)4g(収得率:0.04%)を得る方法で製造して使用した。
実験動物に投与した最終ホスファチジルコリン製剤は、前記方法で製造したホスファチジルコリンを粒子度が均一なマイクロエマルジョン形態で製剤化し、投与量にしたがって投与した。
6週齢の雄SDラット(albino S.D rat)を購入して1週間安定させ、表1の6群に分けて実験した。飼育環境は24±2℃で12時間明暗周期を維持し、無抗生剤一般固形飼料を使用した。実験に使用されたラットの体重は200g乃至220gであった。
全てのグループにおいて投与方式は腹腔注射にした。
グループ1で生理食塩水を投与してグループ3,4,5及び6にCDDPを注射して1時間経過後グループ2,4,5及び6にPCを注射した。
6日間体重変化を測定しながら飼育後ラットを安楽死させて、カーディアック パンクチャー(cardiac pumcture)で血液5ccを採取し、腎臓を摘出して実験に使用した。
グループ1で生理食塩水を投与してグループ3,4,5及び6にCDDPを注射して1時間経過後グループ2,4,5及び6にPCを注射した。
6日間体重変化を測定しながら飼育後ラットを安楽死させて、カーディアック パンクチャー(cardiac pumcture)で血液5ccを採取し、腎臓を摘出して実験に使用した。
<1−2>腎臓機能検査
前記実施例1−1で採取した血液を3000rpmで10分間遠心分離して、血清(serum)を分離した。
前記実施例1−1で採取した血液を3000rpmで10分間遠心分離して、血清(serum)を分離した。
腎臓毒性が誘発されると腎臓機能低下により、ろ過できなかった尿素窒素とクレアチニン数値が増加するようになる。
分離された血清でBUN(blood urea nitrogen)及びクレアチニンを測定した。
分離された血清でBUN(blood urea nitrogen)及びクレアチニンを測定した。
BUNの測定は、BUN測定用キット(Yong dong製薬)を使用して次の通り行った。ウレア剤0.1mlを緩衝液20mlに混合して酵素緩衝液を造り、2個の試験管にそれぞれ加えて、一つの試験管には試験する血清サンプル0.02mlを加え、他の一つの試験管には対照用に基準液(ウレア-N 60mg/100mlが含有された液)0.02mlを加えて37℃で15分間培養した。その後にそれぞれの試験管に発色液2mlずつを加えて37℃で再び5分間培養した後で、570nmで吸光度を測定して生成されたBUNの量を測定した。
クレアチニンの測定は、クレアチニン測定用キットを使用して次の通り行った。試験する血清サンプル0.5mlにタングステン溶液4mlを加え、この混合物を振盪して10分間放置した。その後、1500Xgで10分間遠心分離して上澄液を分離した。分離された上澄液、クレアチニン標準液及び蒸留水(供試験用)を、それぞれ3mlずつ試験管に加え、それぞれの試験管にピクレート溶液1mlずつを加えた。その後、各試験管に1.4N NaOH0.5mlを加えて振盪し、正確に15分後に515nmで吸光度を測定した。
CDDP5mg/kgを腹腔内に投与するとCDDPは深刻な腎臓毒性を示す。
血中クレアチニン水準とBUNは腎臓毒性の指標である。
血中クレアチニンとBUNを測定した結果、図1及び図2に示した通り、CDDPは有意的なクレアチニンとBUNの上昇を招いた。一方、PCをCDDPと併用して投与すれば、600mg/kg以上の濃度で、CDDPによる腎臓毒性が減少する結果を確認した。
<1−3>体重変化率及び致死率測定
試験期間中、実験群の体重を測定した。
その結果、表2に示した通り、試験期間中、対照群(グループ1)の体重は9.2%増加した。一方、CDDP投与群(グループ3)は、体重が約7.1%減少したことを確認した。これはCDDP毒性により体重が減少したものと解釈される。
CDDPにPCを併用投与した群(グループ4,5)の体重は、約2.3%、約4.5%それぞれ増加したことを確認した。これにより、PCのCDDPの腎臓毒性による体重低下を抑制する効果が優れていることを確認した。
CDDPによるラットの致死用量は6mg/kgである。表3の通りに実験群を造り、薬物を投与して6日後致死率を計算した。投与方法、実験動物飼育方法などは実施例1−1と同一にした。
その結果、表3に示した通り、CDDPを投与しない群(グループ7,8)は100%生存したが、CDDPを投与した群(グループ9)は全て試験期間中斃死した。しかし、PCを600mg/kgの用量で併用投与した群(グループ10)の場合、致死率が33.3%まで減少するのを確認した。
<1−4>腎臓組織の形態学的変化観察
前記実施例1−1で収得したラットの腎臓を10%中性ホルマリンに固定して、マイクロテクニックで薄片化した後、一般的な組織処理過程を経てヘマトキシリン&エオシン染色を実施し、染色されたそれぞれの腎臓組織を光学顕微鏡で観察した。
観察の結果、CDDPだけを5mg/kgの用量で投与した群(グループ3)の場合、腎臓の近位部と遠位部の上皮細胞の大部分から炎症反応による潰死性変化が現れたことを確認し(図3B参照)、CDDP5mg/kgとPC 600mg/kgを併用投与した群(グループ10)の場合、正常組織に比べて損傷が確認されるが、近位部と遠位部チューブルの上皮細胞がおおむね良く維持されていることを確認した(図3C参照)。
これにより、PCがCDDPの腎臓毒性を有意的に緩和する効果があることを確認した。
<実施例2>
シスプラチンによる腎臓毒性軽減効果−経口投与
シスプラチンによる腎臓毒性軽減効果−経口投与
<2−1>シスプラチン及びホスファチジルコリンの製造及び実験動物に適用
シスプラチンとホスファチジルコリンは、前記実施例1と同じものを使用した。ただ、実験動物に投与した最終ホスファチジルコリン製剤は、蒸留水に100mg/mlの濃度に分散させて利用した。
6週齢の雄のWistar-Hannoverラット(Nara-biotechnology,Korea)を36匹購入して1週間安定させて表4の6個の群に分けて実験した。飼育環境は 22±2℃、12時間明暗周期を維持し、一般固形食(Purina,Kore)を与えた。実験に使用されたラットの体重は200g乃至220gであった。安定化させた後、ホスファチジルコリンを経口投与する前に1日間絶食させた。
全てのグループにおいて、投与方式は生理食塩水とシスプラチンは腹腔注射、ホスファチジルコリンは経口投与した。ホスファチジルコリンは1度に投与せずに、3回に分けて投与した。その時期はシスプラチン投与18時間前、シスプラチン投与後30分及び6時間である。
6日間飼育後、ラットを麻酔して犠牲にした後、大静脈から血液を採取して腎臓を摘出した。
<2−2>腎臓機能検査
前記実施例2−1で採取した血液を4000rpmで10分間遠心分離分離して血清を分離し、BUN(blood urea nitrogen)及びクレアチニンを測定した。
BUNは、Urease-GLDH法(Laboratory reference values.Urea nitrogen(BUN).Rochester,Minn.:Mayo Foundation for Medical Education and Research;Nov.2010)を、クレアチニンはジャフェ法(Jaffe法、Lamb E et al.,tiez textbook ofclinical chemistry and molecular diagnosis,St.louis;elsevier saunders,2006;791-801)を利用して、Beckman CoulterのAU5421自動分析機で含量を測定した。
前記二つの物質の測定結果は図4に記載した。図4でシスプラチンはクレアチニンとBUNの上昇を招き、ホスファチジルコリンをシスプラチンと共に投与すれば、クレアチニンとBUNの含量が減少することを確認することができる。減少程度はホスファチジルコリンの投与量が多いほど大きい。
<2−3>腎臓組織の酸化ストレス測定
前記実施例2−1で摘出した腎臓を取出して直ちに生理食塩水で洗浄し、ハサミで細切した後、0.1M Tris-HCl buffer(pH7.4)で均質化した。均質化はTeflon glass homogenizer(Bandelin,Germany)で施行し、1:10(w/v)倍に希釈した。均質化した試料は実験前まで−70℃で保管した。
(1)脂質過酸化物(Lipid peroxidation)定量
脂質過酸化物の分解産物は、多くの種類のカーボニル(carbonyl)化合物を含むが、代表的な物質がマロンジアルデヒド(malondialdehyde,MDA)であるので、MDAの定量を通じて脂質過酸化物の程度を評価することができる。
脂質過酸化物の分解産物は、多くの種類のカーボニル(carbonyl)化合物を含むが、代表的な物質がマロンジアルデヒド(malondialdehyde,MDA)であるので、MDAの定量を通じて脂質過酸化物の程度を評価することができる。
MDA定量のためにBuege&Aust法(1978)を利用した。つまり、前記腎臓組織均質液を12,000g,4℃、15分の条件で遠心分離して0.3mlの上澄液を除去した後、8%trichloroacetie acid(TCA)0.9mlと混合した。前記混合物を10,000g,4℃、5分の条件で再度遠心分離した。
生成された上澄液から1mlを分離して1%TBA(thiobarbituric acid)0.25mlを混合した後、100℃の加熱ブロック(heating block)で20分間加熱した。加熱終了直後、水で速かに室温まで冷却させて、n−ブタノール2mlを入れて90秒間振盪し、3,000g,4℃、5分の条件で遠心分離した。遠心分離後、TBA反応物質が存在するn−ブタノール層で1mlを分離して532nmで吸光度を測定した。MDAの標準検量線(Standard curve)を利用して、これの吸光度値を用いて組織の重量当りのMDA量を測定した。
図5において、シスプラチンのみ処理したグループ13のMDAレベルは、グループ11と比較した時、極めて高かったが、ホスファチジルコリンを投与した実験群のMDAレベルは、グループ11と比較してみれば顕著に減少したことを確認できた。
(2)GSH(Glutathione、グルタチオン)定量
前記実施例2−3で準備した腎臓組織均質液内のGSH含量は、Beutlerなどの方法(Beutler,DURON ET,AL.1963)を変形して測定した。前記方法は、DTNB(5'5-dithiobis-2-nitro-benzoic acid)とGHSが反応すれば、2-nitro-5-benzoic acid(黄色)を生成する現象を利用したものである。従って、GSH濃度は412nmでの吸光度を測定して求めることができる。
前記実施例2−3で準備した腎臓組織均質液内のGSH含量は、Beutlerなどの方法(Beutler,DURON ET,AL.1963)を変形して測定した。前記方法は、DTNB(5'5-dithiobis-2-nitro-benzoic acid)とGHSが反応すれば、2-nitro-5-benzoic acid(黄色)を生成する現象を利用したものである。従って、GSH濃度は412nmでの吸光度を測定して求めることができる。
つまり、前記均質液から600g,5min(遠心分離)でミトコンドリアを分離した後、5% metaphosphoric acid(MPA)溶液を添加して5分間蛋白質を沈殿させる。沈殿された蛋白質を分離して1M Phosphate buffer(pH7.0)を1:4の体積比で均質化してDTNBを8:5(蛋白質とDTNB体積比)に下げた後、黄色に発色させる。415nmで吸光度を測定した後、標準検量線により計算した。
シスプラチンのみを投与したグループ13の場合、グルタチオンの濃度が正常対照群グループ11に比べて顕著に低いが、ホスファチジルコリンを投与したグループ14乃至16の場合、グルタチオンの濃度がグループ13に比べて有意的に増加したことを確認することができた(図6参照)。
(3)カタラーゼ(catalase)、GPx(Glutathione peroxidase)、SOD(superoxide dismutase)活性測定
前記実施例2−3の腎臓組織内の抗酸化酵素であるカタラーゼ(catalase)、GPx、SODの活性を市販のキットを利用して測定した。
前記実施例2−3の腎臓組織内の抗酸化酵素であるカタラーゼ(catalase)、GPx、SODの活性を市販のキットを利用して測定した。
カタラーゼはH202を水と酸素に分解するので、H202が分解されて減少する吸光度を測定してCAT活性を測定した。カタラーゼ(CAT)活性を測定するためにcatalase assay kit(Sigma,CAT#100)を利用した。
GPx(グルタチオンペルオキシダーゼ)活性はGlutathione peroxidase cellular activity assay kit CGP-1(Sigma Aldrich,Cat#CGP1)を利用して測定した。前記キットはグルタチオン(GSH)の酵素により生成された酸化型グルタチオン(GSSG)をGlutathione reductaseとNADPHを利用して還元させる時、消耗されるNADPHを測定する原理を利用したものである。340nmでNADPHの吸光度減少によりGPx活性を測定した。GPx酵素活性は蛋白質1mg当り基質であるNADPHを1mmol/minの速度で減少させることを1Unitで示した。
SOD(スーパーオキシド ディスムダーゼ)活性はSODdetermination kit 19160(Fluka/sigma Aldrich)を利用して測定した。SOD活性は蛋白質1mg当りxanthine oxidase活性を50%抑制させるSOD量を1Uにして450nmで吸光度を測定した。
前記実験結果は図7に示した。シスプラチンだけを入れたグループ13の場合、グループ11に比べて前記抗酸化酵素の活性が顕著に減少されたが、ホスファチジルコリン(PC)を入れたグループ14乃至16は、PCの量が増加するほどカタラーゼ活性が有意的に増加することを確認した。
(4)統計処理
実験結果は平均値±SEで示した。統計的分析はスチューデントT−テスト(Student t-test)を使用した。P値が0.05未満であれば有意性があるものと評価した。
実験結果は平均値±SEで示した。統計的分析はスチューデントT−テスト(Student t-test)を使用した。P値が0.05未満であれば有意性があるものと評価した。
<実施例3>
パクリタキセルによる致死率減少効果
パクリタキセルによる致死率減少効果
6週齢のICRマウス(セムタコ、韓国)を購入して下記表5の15個群に分けた。20時間かけて24±2℃、12時間明暗周期で無抗生剤一般固形飼料を与えながら安定化させた。実験に使用されたマウスの体重は25gであった。安定化後、実施例1−1で使用したものと同一なホスファチジルコリンをマウスに腹腔注射した。4時間後、タキソール(TaxolTM、BMS、paclitaxel 6mg/ml)を下記表4に表示された量ほどのパクリタキセルが投与されるように量を調節してマウスに腹腔注射した。
タキソールを投与して24時間経過後、マウスの致死率を測定した。測定した致死率のデータでA,B,Cグループ別LD50(致死率が50%の時のパクリタキセル投与量)値を測定した結果を図8に示した。
ホスファチジルコリンを多く投与するほど、LD50値は増加する傾向を示す。従って、ホスファチジルコリンがパクリタキセルの毒性を緩和することが分った。
<製剤例1.注射剤の製造>
ホスファチジルコリン100mg
注射用蒸留水適量
一塩基リン酸ナトリウム 2.4mg
二塩基リン酸ナトリウム 2.26mg
pH調節剤適量
ホスファチジルコリン100mg
注射用蒸留水適量
一塩基リン酸ナトリウム 2.4mg
二塩基リン酸ナトリウム 2.26mg
pH調節剤適量
通常の注射剤の製造方法によりホスファチジルコリン、一塩基リン酸ナトリウム及び二塩基リン酸ナトリウムを注射用蒸留水に混合してpHを約7.5に調節し、全体を注射用蒸留水で2ml容量のアンプルに充填して滅菌させ注射剤を製造した。
以上説明した通り、本発明は、ホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌剤の毒性減少用組成物を提供する。本発明の組成物は抗癌剤の毒性を減少させ、癌の化学的治療において、抗癌剤の毒性により発生するさまざまな副作用を防止又は最小化することができ、産業上の利用可能性が高い。
Claims (8)
- ホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌剤の毒性減少用組成物。
- 前記抗癌剤は、シスプラチン又はパクリタキセルであることを特徴とする第1項記載の組成物。
- 前記抗癌剤の毒性は、腎臓毒性、血液毒性、神経毒性から一つ以上選ばれることを特徴とする第1項記載の組成物。
- 前記ホスファチジルコリンは、投与される抗癌剤1重量部当り1乃至500重量部の比率で含まれることを特徴とする第1項記載の組成物。
- 前記ホスファチジルコリンは卵又は大豆から分離されたことを特徴とする第1項記載の組成物。
- ホスファチジルコリンを有効成分として含む抗癌補助剤。
- ホスファチジルコリンを必要とする個体に有効量で投与する段階を含む抗癌剤の毒性減少方法。
- ホスファチジルコリンを含む抗癌剤毒性減少用の組成物製造のためのホスファチジルコリンの用途。
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