JP2014515594A - Clostridiumdifficile抗原 - Google Patents

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ジョンストーン、ダレル
ティグ、ボニー
ロペズ、マリアネラ
ジョージ、ジョイー
ハン、シャオビン
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カンジーン コーポレーション
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Abstract

【課題】 脊椎動物被験体におけるClostridium difficile感染の処置または予防のための組成物および方法が提供される。
【解決手段】 前記方法は、Clostridium difficile菌の感染を減少させるかもしくは排除するかもしくはその再発を予防するのに有効な量で組成物を前記脊椎動物被験体に投与することを提供し、かつ/または前記タンパク質に対する免疫応答を誘導する。脊椎動物におけるClostridium difficile感染の処置または予防のための方法も提供される。
【選択図】 図15

Description

本発明は、グラム陽性菌であるClostridium difficileによる脊椎動物被験体における感染の処置または予防のための組成物および方法に関する。感染を減少させるか、排除するか、またはその再発を予防するのに有効な量でタンパク質を前記脊椎動物被験体に投与するための方法が提供される。生物におけるClostridium difficile感染の処置または予防のための方法が提供される。
Clostridium difficileは、ヒト集団の2〜5%に存在するヒトの腸の共生グラム陽性菌である。C.difficileは、休眠中であるがなおも感染性である芽胞および毒素を産生する代謝的に活性な栄養細胞(vegetative cell)として存在する(exisiting)ことができる二相性の生活環を有する。腸に少数のC.difficileが存在するのは無症候性である;しかしながら、特に高齢者では、細菌の異常増殖によって重篤かつ生命を危うくする疾患が生じ得る。抗生物質処置によって正常な腸管内菌叢が完全に除去されると、C.difficileによる異常増殖が生じ得る。したがって、C.difficileは、抗生物質関連下痢の主な原因であり、結腸の広汎性炎症である偽膜性大腸炎をもたらし得る。病原性C.difficile株は、いくつかの公知の毒素を産生する。そのような2つの毒素である腸毒素(entrotoxin)(毒素A)および細胞毒(毒素B)が、感染患者に見られる下痢および炎症に関与する。
入院またはナーシングホームでの滞在は、C.difficile感染に対するリスクを高める。C.difficile獲得の割合は、入院期間が2週間までの患者では13%および入院期間が4週間より長い患者では50%であると見積もられている。したがって、C.difficileは、ありふれた院内病原体であり、世界中の入院患者の罹患および死亡の主な原因である。この生物は、耐熱性の芽胞を形成するので、C.difficileは、長期間にわたって病院またはナーシングホームの環境に残存できる。いったん芽胞を経口摂取してしまうと、それらは、その耐酸性のおかげで胃を通過して生き延びる。芽胞は、結腸に達して胆汁酸に曝露されると栄養細胞に成長し得る。
感染の初回エピソードに対して処置された患者の25%においてC.difficile感染の再発が起きるので、最初の処置の後の当該疾患の再発は、ありがちな問題である。このことは、前記生物が芽胞として、休眠中の抗生物質耐性(antiobiotic−resistant)状態で残存できるという事実が主因である。
C.difficile感染を処置するための現行の治療は、前記生物の生活環の栄養相を標的にしている。これらの処置には、バンコマイシン(vanomycin)またはメトロニダゾールなどの抗生物質が含まれる。フルオロキノロン系抗生物質(例えば、シプロフロキサシンおよびレボフロキサシン)の使用は、困ったことに、C.difficileの新しい強毒性の抗生物質耐性株を出現させた。特に再発の予防のための他の処置は、非病原性生物(例えば、Lactobacillus acidophilusまたはSaccharomyces boulardii)を用いて腸管内菌叢を回復させるプロバイオティクスの使用などの予防的アプローチを含む。代謝機能または重要な病原性因子に影響する変異を同定することによって、Typhimurium系の生ワクチンが開発されている。Clin.Microbiol.Rev.5(1992)328−342.
現在までのワクチンの試みは、AおよびB毒素ならびに栄養細胞表面タンパク質(SLPAs)、代謝的に活性な細菌によって産生されるすべてのタンパク質に焦点を合わせてきた。したがって、現在のすべての治療が、栄養期の細菌による一次感染には対処しているが、休眠中であるがなおも感染性である芽胞からの再発を標的にしていない。C.difficileのますます有毒になっていく薬剤耐性株によって引き起こされる感染症が出現する可能性に鑑みて、この生物の生活環の不応性芽胞期を標的にすることに基づいてC.difficile関連疾患の発生およびその再発を処置または予防するための有効なワクチン組成物または抗体処置に対する満たされていないニーズが残っている。
脊椎動物被験体におけるClostridium difficile感染の処置または予防のための組成物および方法が本明細書中に記載される。
第1の態様において、本発明は、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントに結合する抗体またはフラグメントを含む組成物を提供し、前記芽胞ポリペプチドまたはフラグメントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、またはFliDであり得る。
第2の態様において、本発明は、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントに結合する抗体またはフラグメントを含む組成物を提供し、前記芽胞ポリペプチドまたはフラグメントは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を有し得る。
第3の態様において、本発明は、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントに結合する単離された抗体またはフラグメントを提供し、前記ポリペプチドまたはフラグメントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、またはFliDであり得る。
第4の態様において、本発明は、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントに結合する抗体またはフラグメントを提供し、前記ポリペプチドまたはフラグメントは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を有し得る。
最初の4つの態様の様々な実施形態において、前記抗体またはフラグメントは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、免疫グロブリン分子全体、scFv;キメラ抗体;Fabフラグメント;F(ab’)2;またはジスルフィド連結されたFvであり得る。
最初の4つの態様の他の実施形態において、前記抗体またはフラグメントは、ヒトIgM定常ドメイン;ヒトIgG1定常ドメイン、ヒトIgG2定常ドメイン、ヒトIgG3定常ドメイン、ヒトIgG4定常ドメイン、またはヒトIgA1/2定常ドメインであり得る重鎖免疫グロブリン定常ドメインを有し得る。
最初の4つの態様の他の実施形態において、前記抗体またはフラグメントは、ヒトIgカッパー定常ドメインまたはヒトIgラムダ定常ドメインであり得る軽鎖免疫グロブリン定常ドメインを有し得る。
最初の4つの態様のなおもさらなる実施形態において、前記抗体またはフラグメントは、少なくとも1×10Mまたは少なくとも1×1010Mの親和性定数(Kaff)で抗原に結合し得る。
最初の4つの態様の追加の実施形態において、前記抗体またはそのフラグメントは、芽胞発芽を阻害し得るかまたは遅延させ得る。
第1および第2の態様のいくつかの実施形態において、前記組成物は、C.difficile毒素A、毒素Bに結合する抗体または毒素Aおよび毒素Bに結合する抗体の組み合わせも含み得る。第1および第2の態様の追加の実施形態において、前記組成物は、抗生物質(例えば、メトロニダゾールまたはバンコマイシン)も含み得る。
最初の4つの態様の組成物は、C.difficile関連疾患の処置を必要とする被験体に、前記疾患を減少させるかまたは予防するのに有効な量の前記組成物を投与することによるそのような処置方法において使用され得、その有効な量は、前記被験体の体重1キログラムあたり1〜100ミリグラムの範囲内の量であり得る。前記組成物は、静脈内(IV)、皮下(SC)、筋肉内(IM)、または経口的に投与され得る。
最初の4つの実施形態の他の態様において、前記組成物は、有効量の前記組成物を動物に投与することによる受動免疫の方法において使用され得る。
第5の態様において、本発明は、ある量のC.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアント(それらは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、またはFliDであり得る)および薬学的に許容可能なアジュバントを、被験体において免疫応答を誘導するのに有効な量で前記被験体に投与することによる、前記被験体において免疫応答を誘導する方法を提供する。
第6の態様において、本発明は、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアント(それらは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を有し得る)および薬学的に許容可能なアジュバントを、被験体において免疫応答を誘導するのに有効な量で前記被験体に投与することによる、前記被験体において免疫応答を誘導する方法を提供する。
第7の態様において、本発明は、ある量のC.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアント(それらは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、またはFliDであり得る)および薬学的に許容可能なアジュバントを、処置を必要とする被験体において感染を減少させるかまたは予防するのに有効な量で前記被験体に投与することによる、前記被験体においてC.difficile感染を減少させるかまたは予防する方法を提供する。
第8の態様において、本発明は、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメント(それらは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を有し得る)および薬学的に許容可能なアジュバントを、処置を必要とする被験体において感染を減少させるかまたは予防するのに有効な量で前記被験体に投与することによる、前記被験体においてC.difficile感染を減少させるかまたは予防する方法を提供する。
第5から第8の態様の様々な実施形態において、薬学的に許容可能なアジュバントは、インターロイキン12または熱ショックタンパク質である。他の実施形態において、投与は、経口的、鼻腔内、静脈内、または筋肉内である。他の実施形態において、前記バリアントは、融合タンパク質であり得る変異体である。前記融合タンパク質は、C.difficile毒素AまたはBの配列、例えば、TcdAのN末端触媒ドメイン、TcdBのN末端触媒ドメイン、TcdBのC末端フラグメント4、またはTcdAのC末端受容体結合フラグメントを含み得る。あるいは、前記融合タンパク質は、タンパク質BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、もしくはFliDおよびそれらのフラグメントまたは配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、もしくは配列ID番号10に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質およびそれらのフラグメントのいずれか1つと前記タンパク質の群の別のメンバーとの融合物であり得る。
第9の態様において、本発明は、有効免疫量の単離されたポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物を提供し、前記組成物は、被験体においてC.difficile感染に対する免疫応答を誘導するのに有効であり、前記単離されたポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、またはFliDであり得るC.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントを含む。
第10の態様において、本発明は、有効免疫量の単離されたポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物を提供し、前記組成物は、被験体においてC.difficile感染に対する免疫応答を誘導するのに有効であり、前記単離されたポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を有する。
第9および第10の態様の様々な実施形態において、前記組成物はさらに、水中油型エマルション、ISA−206、QuilA、インターロイキン12、または熱ショックタンパク質であり得る薬学的に許容可能なアジュバントを含む。これらの態様のさらなる実施形態において、前記バリアントは、融合タンパク質であり得る変異体である。前記融合タンパク質は、C.difficile毒素AまたはBの配列、例えば、TcdAのN末端触媒ドメイン、TcdBのN末端触媒ドメイン、TcdBのC末端フラグメント4、またはTcdAのC末端受容体結合フラグメントを含み得る。あるいは、前記融合タンパク質は、タンパク質BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、もしくはFliDおよびそれらのフラグメントまたは配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、もしくは配列ID番号10に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質およびそれらのフラグメントのいずれか1つと前記タンパク質の群の別のメンバーとの融合物であり得る。
第11の態様において、本発明は、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアント(それらは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、またはFliDであり得る)をコードするある量の核酸および薬学的に許容可能なアジュバントを、そのような処置を必要とする被験体において感染を減少させるかまたは予防するのに有効な量で前記被験体に投与することによる、前記被験体においてC.difficile感染を減少させるかまたは予防する方法を提供する。
第12の態様において、本発明は、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を有するC.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントをコードするある量の核酸および薬学的に許容可能なアジュバントを、処置を必要とする被験体において感染を減少させるかまたは予防するのに有効な量で前記被験体に投与することによる、前記被験体においてC.difficile感染を減少させるかまたは予防する方法を提供する。
第11および第12の態様の様々な実施形態において、前記薬学的に許容可能なアジュバントは、水中油型エマルション、ISA−206、QuilA、インターロイキン12、または熱ショックタンパク質であり得る。これらの態様のさらなる実施形態において、前記バリアントは、融合タンパク質であり得る変異体である。前記融合タンパク質は、C.difficile毒素AまたはBの配列、例えば、TcdAのN末端触媒ドメイン、TcdBのN末端触媒ドメイン、TcdBのC末端フラグメント4、またはTcdAのC末端受容体結合フラグメントを含み得る。あるいは、前記融合タンパク質は、タンパク質BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、およびFe−Mn−SODならびにそれらのフラグメントまたは配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、もしくは配列ID番号10に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質およびそれらのフラグメントのいずれか1つと前記タンパク質の群の別のメンバーとの融合物であり得る。
第13の態様において、本発明は、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、またはFliDであり得るC.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントをコードする単離された核酸を提供する。
第14の態様において、本発明は、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントをコードする単離された核酸を提供し、前記核酸は、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列をコードする。
第13および第14の態様の様々な実施形態において、前記バリアントは、融合タンパク質であり得る変異体である。前記融合タンパク質は、C.difficile毒素AまたはBの配列、例えば、TcdAのN末端触媒ドメイン、TcdBのN末端触媒ドメイン、TcdBのC末端フラグメント4、またはTcdAのC末端受容体結合フラグメントを含み得る。あるいは、前記融合タンパク質は、タンパク質BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、もしくはFliDおよびそれらのフラグメントまたは配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、もしくは配列ID番号10に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質およびそれらのフラグメントのいずれか1つと前記タンパク質の群の別のメンバーとの融合物であり得る。
第13および第14の態様のなおもさらなる実施形態において、前記核酸は、細菌または哺乳動物発現ベクターであり得る発現ベクター内に含まれている。哺乳動物発現ベクターの例としては、CMVプロモーターを含むベクターが挙げられる。他の哺乳動物発現ベクターとしては、pcDNA3002NeoまたはpET32aが挙げられる。細菌発現ベクターの例としては、pET32aが挙げられる。これらの態様のいくつかの実施形態において、前記発現ベクターは、宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞での発現の場合、HEK293F、NSO−1、CHO−K1、CHO−S、またはPER.C6、および細菌での発現の場合、E.coli)内に含めることができる。
図1Aは、BclA3−pcDNA3002NeoにBclA3インサートが存在することを確認するためのAscIおよびHpaIによる前記プラスミドの制限消化を示している。前記pcDNA3002Neoプラスミドから取り出されるBclA3の予想サイズは、1.6kbであり、空のpcDNA3002Neoプラスミドは、6.8kbである。(レーン1:未消化のBclA3−pcDNA3002Neoプラスミド;レーン2:消化したBclA3−pcDNA3002Neoプラスミド)。 図1Bは、精製BclA3タンパク質のSDS−PAGEおよびウエスタンブロット解析を示している。BclA3でトランスフェクトされた上清を、Akta Purifierを使用してHisTRAP Niカラムにおいて精製した。溶出したタンパク質を、濃縮前の15μLの体積でSDS−PAGEゲルに充填した(左)。(レーン1:精製BclA3タンパク質)。前記タンパク質の予想サイズは、44kDaである。第2のゲル(右)は、8μgのタンパク質を用いて泳動し、ニトロセルロース膜に転写し、発現されたタンパク質のHisタグに対する抗体をプローブとして探索した(レーン1:精製BclA3タンパク質−8μg)。 図2Aは、Alr−pcDNA3002NeoにAlrインサートが存在することを確認するためのAscIおよびHpaIによる前記プラスミドの制限消化を示している。前記pcDNA3002Neoプラスミドから取り出されるAlrの予想サイズは、1.3kbであり、空のpcDNA3002Neoプラスミドは、6.8kbである。(レーン1:未消化のAlr−pcDNA3002Neoプラスミド;レーン2:消化したAlr−pcDNA3002Neoプラスミド)。 図2Bは、精製Alrタンパク質のSDS−PAGE解析を示している。Alrでトランスフェクトされた上清を、Akta Purifierを使用してHisTRAP Niカラムにおいて精製した。溶出したタンパク質を、ベータ−メルカプトエタノール(2ME)有りおよび無しで、2μgでSDS−PAGEゲルに充填した(左)(レーン1:精製Alrタンパク質−2μg;レーン2:精製Alrタンパク質−2μg+2ME)。前記タンパク質の予想サイズは、45kDaである。タンパク質+/−2MEの差を誇張するために、第2のゲル(右)は約30μgのタンパク質を用いて泳動した(レーン3:精製Alrタンパク質−2μg;レーン4:精製Alrタンパク質−2μg+2ME)。 図2Cは、精製Alrタンパク質のウエスタンブロット解析を示している。Alrでトランスフェクトされた上清を、Akta Purifierを使用してHisTRAP Niカラムにおいて精製した。溶出したタンパク質を、ベータ−メルカプトエタノール(2ME)有りおよび無しで、2μgでSDS−PAGEゲルに充填し、次いで、ニトロセルロース膜に転写し、抗his抗体(1:3000)をプローブとして探索した(レーン2:精製Alrタンパク質−2μg;レーン3:精製Alrタンパク質−2μg+2ME)。前記タンパク質の予想サイズは、45kDaである。 図3Aは、SlpAパラ−pcDNA3002NeoにSlpAパラログインサートが存在することを確認するためのAscIおよびHpaIによる前記プラスミドの制限消化を示している。前記pcDNA3002Neoプラスミドから取り出されるSlpAパラログの予想サイズは、1.9kbであり、空のpcDNA3002Neoプラスミドは、6.8kbである。(レーン1:未消化のSlpAパラ−pcDNA3002Neoプラスミド;レーン2:消化したSlpAパラ−pcDNA3002Neoプラスミド)。 図3Bは、精製SlpAパラログのSDS−PAGEおよびウエスタンブロット解析を示している。SlpAパラログでトランスフェクトされた上清を、Akta Purifierを使用してHisTRAP Niカラムにおいて精製した。溶出したタンパク質を、ベータ−メルカプトエタノール(2ME)有りおよび無しで、2μgでSDS−PAGEゲルに充填した(左および中央)。(レーン1:精製SlpAパラログタンパク質−2μg;レーン2:精製SlpAパラログタンパク質−2μg+2ME)。前記タンパク質の予想サイズは、84kDaである。別のゲル(右)において、2μgのタンパク質を用いて泳動し、それをニトロセルロース膜に転写し、発現されたタンパク質のHisタグに対する抗体をプローブとして探索した(レーン4:精製SlpAパラログタンパク質−2μg)。 図4Aは、CD1021−pcDNA3002NeoにCD1021インサートが存在することを確認するためのAscIおよびHpaIによる前記プラスミドの制限消化を示している。前記pcDNA3002Neoプラスミドから取り出されるCD1021の予想サイズは、1.8kbであり、空のpcDNA3002Neoプラスミドは、6.8kbである。(レーン1:未消化のCD1021−pcDNA3002Neoプラスミド;レーン2:消化したCD1021−pcDNA3002Neoプラスミド)。 図4Bは、精製CD1021のSDS−PAGE解析を示している。CD1021でトランスフェクトされた上清を、Akta Purifierを使用してHisTRAP Niカラムにおいて精製した。溶出したタンパク質を、2μgでSDS−PAGEゲルに充填した(レーン1:精製CD1021タンパク質;レーン2:精製CD1021タンパク質+2ME)。グリコシル化無しの前記タンパク質の予想サイズは、65kDaである。 図4Cは、精製CD1021のウエスタンブロット解析を示している。別のゲルを、2μgのタンパク質を用いて泳動し、それをニトロセルロース膜に転写し、発現されたタンパク質のHisタグに対する抗体をプローブとして探索した(左のブロットのレーン1:精製CD1021タンパク質+2ME;右のブロットのレーン1:精製CD1021タンパク質)。 図5は、組換えC.difficile毒素Aフラグメント4および毒素Bフラグメント1領域ならびにTcd AおよびB毒素の全体のSDS−PAGE解析を示している。(A)コロイドブルー染色されたSDS−PAGEゲル上の毒素Aフラグメント4(レーン1)。毒素Aフラグメント4の予想サイズは、114kDaである。(B)抗Hisをプローブとして探索したウエスタン免疫ブロット上の毒素Bフラグメント1(レーン1)。毒素Bフラグメント1の予想サイズは、82kDaである。(C)コロイドブルー染色されたSDS−PAGEゲル上の毒素B全体(レーン1)および毒素A全体(レーン2)。毒素Aに対する予想サイズは、308kDaであり、毒素Bの予想サイズは、270kDaである。 図6は、精製FliDのSDS−PAGEを示している。FliDでトランスフェクトされた上清を、Akta Purifierを使用してHisTRAP Niカラムにおいて精製した。溶出したタンパク質を、2μgでSDS−PAGEゲルに充填した(レーン1:精製FliDタンパク質+2ME;レーン2:精製FliDタンパク質)。グリコシル化無しの前記タンパク質の予想サイズは、55kDaである。 図7は、マウス血清中のCD1021抗体とATCC43255由来の単離されたC.difficile芽胞との結合を検出するELISAの結果を示している。 図8は、マウス血清中のFliD抗体とATCC43255株由来の単離されたC.difficile芽胞との結合を検出するELISAの結果を示している。 図9は、マウス血清中のAlr抗体とATCC43255株由来の単離されたC.difficile芽胞との結合を検出するELISAの結果を示している。 図10は、マウス血清中のBclA3抗体とATCC43255株由来の単離されたC.difficile芽胞との結合を検出するELISAの結果を示している。 図11は、マウス血清中のFliD抗体と精製C.difficile FLiDタンパク質との結合を検出するELISAの結果を示している。 図12は、マウス血清中のAlr抗体と精製C.difficile Alrタンパク質との結合を検出するELISAの結果を示している。 図13は、マウス血清中のBclA3抗体と精製C.difficile BlcA3タンパク質との結合を検出するELISAの結果を示している。 図14は、マウス血清中のCD1021抗体と精製C.difficile CD1021タンパク質との結合を検出するELISAの結果を示している。 図15は、ATCC43255の芽胞発芽に対する抗芽胞抗体の抑制効果を調べる発芽アッセイの結果を示している。 図16は、C.difficile芽胞抗原のクマシーブルー染色を示している。 図17は、ウサギ抗C.difficile芽胞pAbをプローブとして探索したC.difficile芽胞抗原のウエスタンブロットを示している。 図18は、Alrで免疫されたマウス由来の血清をプローブとして探索したC.difficile芽胞抗原のウエスタンブロットを示している。 図19は、BclA3で免疫されたマウス由来の血清をプローブとして探索したC.difficile芽胞抗原のウエスタンブロットを示している。 図20は、CD1021で免疫されたマウス由来の血清をプローブとして探索したC.difficile芽胞抗原のウエスタンブロットを示している。 図21は、FliDで免疫されたマウス由来の血清をプローブとして探索したC.difficile芽胞抗原のウエスタンブロットを示している。
本発明は、概して、グラム陽性生物であるClostridium difficileによる脊椎動物被験体における細菌感染を予防または処置するための組成物および方法に関する。Clostridium difficile感染に対する免疫応答を誘導するための方法が提供される。前記方法は、Clostridium difficile菌の感染または保菌(bacterial carriage)を減少させるか、排除するか、または予防するのに有効な量で、それを必要とする脊椎動物被験体にタンパク質または薬剤を投与する工程を提供する。
被験体においてClostridium difficile菌に対する免疫応答を誘導するための組成物および方法が提供され、前記方法は、単離されたポリペプチド(例えば、Clostridium difficile芽胞抗原)およびアジュバントを含む組成物を、前記被験体において前記免疫応答を誘導するのに有効な量で前記被験体に投与する工程を含む。前記方法は、受動免疫において使用するためまたはClostridium difficileによる感染もしくは感染の再発を予防するワクチンの成分として使用するための抗体の作製のために使用され得る。
本発明は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生体系に限定されず、それらは当然のことながら変化し得ると理解されるべきである。本明細書中で使用される用語は、特定の態様のことだけを説明する目的であって、限定であると意図されていないことも理解されるべきである。本明細書および添付の請求項において使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が明らかに別のことを示していない限り、複数の指示対象を含む。
本明細書中で使用される用語「約」は、量、時間の長さなどのような測定可能な値のことを指しているとき、特定の値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、なおもより好ましくは±1%、さらにより好ましくは±0.1%のばらつきを包含する(そのようなばらつきが、開示される方法を実施するのに適切であるとき)と意味されている。
別段定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似または等価な任意の方法および材料が、本発明を試験するための実施において使用され得るが、好ましい材料および方法が、本明細書中に記載される。
「脊椎動物」、「哺乳動物」、「被験体」、「哺乳動物被験体」、または「患者」は、交換可能に使用され、それらは、哺乳動物(例えば、ヒト患者および非ヒト霊長類)ならびに実験動物(例えば、ウサギ、ラット、およびマウス)、ウシ、ウマ、ヤギ、および他の動物のことを指す。動物には、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物(例えば、マウス、ヒツジ、イヌ、ウシ、鳥類の種、アヒル、ガチョウ、ブタ、ニワトリ、両生類、および爬虫類)が含まれる。
用語「アジュバント」は、特定の抗原または抗原の組み合わせに対する免疫応答を高めるように非特異的な様式で作用する物質、したがって、例えば、任意の所与の組成物において必要な抗原の量および/または目的の抗原に対して適切な免疫応答を発生させるのに必要な注射の頻度を減少させる物質のことを指す。例えば、A.C.Allison J.Reticuloendothel.Soc.(1979)26:619−630を参照のこと。そのようなアジュバントは、下記でさらに説明される。用語「薬学的に許容可能なアジュバント」は、被験体に安全に投与でき、かつ薬学的使用にとって許容可能であるアジュバントのことを指す。
本明細書中で使用されるとき、「コロニー形成」は、哺乳動物の腸管におけるClostridium difficileの存在のことを指す。
「保菌」は、Clostridium difficileなどの細菌が、正常な被験体を病気にさせずに前記被験体において増殖できるプロセスである。保菌は、環境、宿主、および病原体の非常に複雑な相互作用である。様々な因子が、疾患に対して無症候性の保菌を指示する。ゆえに、本発明の観点は、保菌の処置または予防を含む。
「処置する」または「処置」は、(i)感染もしくは再感染の防止、例えば、予防または(ii)目的の疾患の症状の減少もしくは排除、例えば、治療のことを指す。「処置する」または「処置」は、目的のポリペプチド、例えば、Clostridium difficile芽胞抗原またはこれらの抗原に対して生じた抗体を含む組成物の投与のことを指し得る。前記組成物による被験体の処置は、感染のリスクを防止し得るかもしくは低下させ得、かつ/または目的のポリペプチドに対する免疫応答を誘導し得る。処置は、症状の予防的な抑制もしくは軽減(疾患の発生を予防するかもしくは遅延させるか、またはその臨床症状もしくは不顕性症状の顕性化を予防する)または前記疾患が顕れた後の症状の治療的な抑制もしくは軽減であり得る。
「予防する」または「予防」は、ポリペプチドまたは抗体組成物による予防的投与またはワクチン接種のことを指す。
「治療有効量」または「細菌感染を減少させるかまたは排除するのに有効な量」または「有効量」は、Clostridium difficile菌の感染を予防するため、またはClostridium difficile菌の感染に関連する症状の少なくとも1つを軽減する(例えば、緩和する、低減させる、減少させる)ため、またはClostridium difficile抗原に対する免疫応答を誘導するために十分なポリペプチドまたは抗体の量のことを指す。化合物の投与の利益が損害にまさる限り、前記組成物の投与がClostridium difficile菌の感染の症状を排除することは、必須ではない。同様に、Clostridium difficile菌の感染に関する用語「処置する(treat)」および「処置する(treating)」は、本明細書中で使用されるとき、前記被験体の状態のいくらかの軽減または改善が前記組成物の投与によって影響されるだけで、必ずしも前記被験体の感染が治癒することまたはそのすべての臨床的徴候が排除されることを意味しないと意図されている。
本明細書中で使用されるとき、用語「免疫応答」は、免疫細胞の生化学的変化(免疫細胞の遊走、標的細胞の殺滅、ファゴサイトーシス、抗体、免疫応答の他の可溶性エフェクターの産生などを生じる)をもたらす外部または内部の刺激(例えば、抗原、細胞表面受容体、サイトカイン、ケモカイン、および他の細胞)に対する免疫系細胞の応答のことを指す。
「防御免疫」または「防御免疫応答」は、前記被験体が、組成物に対して有効な免疫応答(active immune response)を開始して、その後、Clostridium difficile菌に曝露された際または当該細菌でチャレンジされた際に、前記被験体がその感染と戦うことができることを意味すると意図されている。したがって、防御免疫応答は、通常、Clostridium difficile菌に対するその後の曝露による被験体間の罹患率および死亡率を減少させる。防御免疫応答は、通常、前記被験体におけるClostridium difficile菌によるコロニー形成も減少させる。
「有効な免疫応答」は、抗原、例えば、Clostridium difficile芽胞抗原に対する前記被験体の免疫応答を誘起させる応答(immunogenic response)のことを指す。特に、この用語は、Clostridium difficile菌または抗原に対するその後の曝露からの任意のレベルの防御を意味すると意図されており、前記防御の形態が、死亡率の低下であるか、腹部膨満もしくは下痢などの症状の減少であるか、再発の予防であるか、または前記疾患の他の任意の有害な影響の減少であるかなどに関係なく、また、前記防御が部分的であるか完全であるかを問わず、前記任意のレベルは、被験体の集団においていくらか有益なレベルである。「有効な免疫応答」または「能動免疫」は、「免疫原と遭遇した後の宿主の組織および細胞の関与によって特徴付けられる。それは、一般に、リンパ細網組織における免疫担当細胞の分化および増殖を伴い、それにより、抗体の合成もしくは細胞媒介性反応の発生またはその両方をもたらす」。Herbert B.Herscowitz,「Immunophysiology:Cell Function and Cellular Interactions in Antibody Formation」,Immunology:Basic Processes 117(Joseph A.Bellanti ed.,1985)。言い換えると、有効な免疫応答は、感染によってまたは本発明の場合のように組成物の投与によって免疫原に曝露された後に宿主によって開始される。能動免疫は、「能動免疫された宿主から非免疫宿主への予め形成された物質(例えば、抗体、トランスファー因子、胸腺移植片、インターロイキン−2)の移入」によって獲得される受動免疫と対比され得る。同文献。
「受動免疫」は、概して、予め作製された抗体の形態で1つの個体から別の個体に有効な体液性免疫を移すことを指す。したがって、受動免疫は、抗体の移入によって達成され得る短期間の免疫化の形態であり、当該抗体は、可能性のあるいくつかの形態、例えば、ヒトまたは動物の血漿または血清として、静脈内(IVIG)または筋肉内(IG)で使用するための動物またはヒトのプールされた免疫グロブリンとして、免疫された被験体由来または疾患から回復中のドナー由来の動物またはヒトの高力価のIVIGまたはIGとして、およびモノクローナル抗体として投与され得る。受動移入は、疾患発生の予防のために予防的に、ならびにいくつかのタイプの急性感染の処置において、使用され得る。典型的には、受動免疫から得られた免疫は、短い時間しか継続せず、即時型防御をもたらすが、身体は記憶しないので、その患者は、後で同じ病原体に感染するリスクがある。
ポリペプチド
用語「ポリペプチド」または「ペプチド」は、ポリマーの長さに関係ないアミノ酸のポリマーのことを指す;したがって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの定義の範囲内に含められる。この用語は、ポリペプチドの発現後の修飾も特定しないかまたは排除せず、例えば、グリコシル基、アセチル基、リン酸基、脂質基などの共有結合を含むポリペプチドは、ポリペプチドという用語に明確に包含される。その定義には、アミノ酸の1もしくはそれ以上のアナログ(例えば、天然に存在しないアミノ酸、無関係の生体系にだけ天然に存在するアミノ酸、哺乳動物系由来の改変されたアミノ酸などを含む)、置換された結合を有するポリペプチド、ならびに当該分野で公知の他の修飾(天然に存在する修飾および天然に存在しない修飾の両方)を含むポリペプチドも含まれる。
用語「単離されたタンパク質」、「単離されたポリペプチド」、または「単離されたペプチド」は、その起源または由来の起源の理由で、(1)その天然状態ではそれらを伴っている天然に関連する成分を伴っていないか、(2)同じ種由来の他のタンパク質を含んでいないか、(3)異なる種の細胞によって発現されているか、または(4)天然には存在しない、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドである。したがって、化学的に合成されたまたは本来の起源である細胞と異なる細胞系で合成されたペプチドは、その天然に関連する成分から「単離されている」。タンパク質は、当該分野で周知のタンパク質精製法を用いた単離によっても、天然に関連する成分を実質的に含まない状態にされ得る。
本発明の意味の範囲内の用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、「ペプチド」、「抗原」、または「抗体」は、概して被験体において免疫応答を誘導することができるまたは抗体の場合には抗原に結合することができるという文脈において生物学的活性を示すバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、および誘導体、ならびにそれらのフラグメントを含む。
本発明のポリペプチドは、天然に存在するタンパク質のアミノ酸配列に対応するかまたはバリアントタンパク質に対応する、Clostridium difficile芽胞抗原またはそのフラグメント(fragements)から得られたアミノ酸配列、すなわち、少数のアミノ酸が置換、付加、または欠失されているが本質的には同じ免疫学的特性を保持する天然に存在するタンパク質のアミノ酸配列を含む。さらに、そのように得られた一部は、特にNおよびC末端において、適切な化学反応が行われた後にポリペプチドまたはフラグメントを立体構造的に制約できるようにするおよび/または免疫原性担体に結合できるようにするアミノ酸によってさらに改変され得る。本発明のポリペプチドは、Clostridium difficile芽胞抗原のアミノ酸配列(本質的にその免疫学的特性を損なわずにアミノ酸が欠失、挿入、または置換されている)から得られる機能的に活性なバリアントポリペプチドを包含し、すなわち、そのような機能的に活性なバリアントポリペプチドは、実質的なペプチド生物学的活性を保持する。典型的には、そのような機能的バリアントポリペプチドは、配列ID番号1〜4におけるアミノ酸配列などのアミノ酸配列と相同、好ましくは、高度に相同なアミノ酸配列を有する。
1つの実施形態において、そのような機能的に活性なバリアントポリペプチドは、配列ID番号1〜4から成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を示す。ポリペプチドの場合の配列類似性(配列同一性とも呼ばれる)は、典型的には配列解析ソフトウェアを用いて測定される。タンパク質解析ソフトウェアは、様々な置換、欠失、および他の改変(保存的アミノ酸置換を含む)に割り当てられた類似性の基準を用いて類似の配列をマッチさせる。例えば、GCGは、デフォルトのパラメータを用いて使用することにより、密接な関係があるポリペプチド(例えば、異なる生物種由来の相同ポリペプチド)間または野生型タンパク質とそのムテイン間の配列相同性または配列同一性を決定できる「Gap」および「Bestfit」などのプログラムを有する。例えば、GCG Version6.1を参照のこと。ポリペプチド配列はまた、デフォルトまたは推奨のパラメータを使用する、GCG Version 6.1におけるプログラムであるFASTAを使用して比較され得る。FASTA(例えば、FASTA2およびFASTA3)は、問い合わせ配列と検索配列間の最良の重複領域のアラインメントおよびパーセント配列同一性を提供する(Pearson,Methods Enzymol.183:63−98(1990);Pearson,Methods Mol.Biol.132:185−219(2000))。異なる生物由来の多数の配列を含むデータベースと本発明の配列を比較する際の代替のアルゴリズムは、デフォルトのパラメータを使用する、コンピュータプログラムBLAST、特にblastpまたはtblastnである。例えば、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990);Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389−402(1997)を参照のこと。
機能的に活性なバリアントは、天然に存在する機能的に活性なバリアント(例えば、対立遺伝子バリアント(allelic variants)および種バリアント(species variants))および天然に存在しない機能的に活性なバリアント(例えば、突然変異誘発法または直接合成法によって生成され得るもの)を含む。
機能的に活性なバリアントは、例えば、本明細書中に開示されるClostridrium difficile芽胞抗原のアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を示し得、なおも生物学的活性を保持し得る。この比較がアラインメントを必要とする場合、それらの配列は、相同性が最大になるようにアラインメントされる。生物学的活性、例えば、免疫応答(immune reponse)を誘導する能力が、本明細書中に開示されるClostridrium difficile芽胞抗原と実質的に類似である限り、変異の部位は、前記配列の任意の箇所に存在し得る。表現型的にサイレントなアミノ酸置換を生成する方法に関する指針は、Bowie et al.,Science,247:1306−1310(1990)に提供されており、そこでは、変化に対するアミノ酸配列の寛容を研究するための主要なストラテジーが2つ存在することが教示されている。第1のストラテジーは、進化のプロセス中の自然淘汰によるアミノ酸置換の寛容を利用する。異なる種のアミノ酸配列を比較することによって、種間で保存されているアミノ酸位置が同定され得る。これらの保存されたアミノ酸は、おそらくタンパク質の機能にとって重要である。対照的に、自然淘汰による置換が許容されているアミノ酸位置は、タンパク質の機能にとって重要でない位置であることを示唆する。したがって、アミノ酸置換を許容する位置は、改変ポリペプチドの特定の免疫原性活性を維持しつつ改変できる。
第2のストラテジーは、クローニングされた遺伝子の特定の位置にアミノ酸変化を導入する遺伝子操作を使用して、タンパク質の機能にとって重要な領域を同定する。例えば、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発が使用され得る(Cunningham et al.,Science,244:1081−1085(1989))。次いで、得られたバリアントポリペプチドは、特定の生物学的活性について試験され得る。
Bowieらによると、これらの2つのストラテジーは、驚いたことにタンパク質がアミノ酸置換に寛容であることを明らかにした。当該著者らはさらに、どのアミノ酸の変化が、当該タンパク質におけるある特定のアミノ酸位置において許容的である可能性があるかを示唆している。例えば、最も埋もれているまたは内側の(タンパク質の三次構造内で)アミノ酸残基が、非極性側鎖を要求するのに対し、表面または外側の側鎖の特徴は、広く保存されていることはほとんどない。
タンパク質のアミノ酸に変異を導入する方法は、当業者に周知である。例えば、Ausubel(ed.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Inc.(1994);T.Maniatis,E.F.Fritsch and J.Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))を参照のこと。
変異は、「QuikChange Site−Directed Mutagenesis Kit」(Stratagene)などの商業的に入手可能なキットを使用するかまたは直接、ペプチド合成によっても導入され得る。ペプチドの機能に有意に影響しないアミノ酸を置換することによる、前記ペプチドに対する機能的に活性なバリアントの作製は、当業者によって達成され得る。
本発明のポリペプチドにおいて行われ得るアミノ酸置換のタイプは、保存的アミノ酸置換である。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸残基が、類似の化学特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換される置換である。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させない。保存的置換によって2もしくはそれ以上のアミノ酸配列が互いに異なる場合、パーセント配列同一性または類似性の程度は、前記置換の保存的性質を補正するために上方調整される。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、Pearson,Methods Mol.Biol.243:307−31(1994)を参照のこと。
類似の化学特性を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン;2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸;および7)硫黄含有側鎖:システインおよびメチオニンが挙げられる。好ましい保存的アミノ酸置換群は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸、およびアスパラギン−グルタミンである。
あるいは、保存的置換は、Gonnet et al.,Science 256:1443−45(1992)に開示されているPAM250対数尤度行列において正の値を有する任意の変更である。「中程度に保存的な」置換は、PAM250対数尤度行列において負でない値を有する任意の変更である。
機能的に活性なバリアントは、ハイブリダイゼーション法を用いても単離され得る。簡潔には、目的のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、例えば、Clostridium difficile芽胞抗原をコードする核酸配列の全部または一部に対して高い相同性を有するDNAを使用して、機能的に活性なペプチドが調製される。ゆえに、本発明のポリペプチドは、機能的に等価であり、かつClostridium difficile芽胞抗原のいずれか1つをコードする核酸またはその相補鎖とハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、実体も含む。当業者は、容易に入手可能なコドン表を使用して、本発明のペプチドをコードする核酸配列を容易に決定できる。よって、これらの核酸配列は、本明細書中に提示されない。
機能的に活性なバリアントをコードする核酸分子は、目的のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗原、または抗体、例えば、Clostridium difficile芽胞抗原をコードする核酸分子DNAの一部をプローブとして使用する、PCRなどの遺伝子増幅法によっても単離され得る。
本発明では、本発明のいくつかのポリペプチド、タンパク質、ペプチド、抗原、または抗体を組み合わせて使用してよいと考えられるべきである。可能性のあるすべてのタイプの組み合わせが構想され得る。例えば、好ましくは、本明細書中に開示されるClostridium difficile芽胞抗原から選択される1種より多いポリペプチドを含む抗原が使用され得る。いくつかの実施形態において、前記抗原は、1もしくはそれ以上の芽胞抗原を、毒素AまたはBなどの栄養細胞から得られる抗原と組み合わせて含み得る。同じ配列が、同じポリペプチド分子上においていくつかのコピーで使用され得るか、または異なるアミノ酸配列のペプチドが同じポリペプチド分子上で使用される;前記異なるペプチドまたはコピーは、互いに直接融合され得るか、または適切なリンカーによって間隔があけられ得る。本明細書中で使用されるとき、用語「多量体化(ポリ)ペプチド」は、異なるまたは同じアミノ酸配列のポリペプチドが単一のポリペプチド分子上に存在する両方のタイプの組み合わせのことを指す。したがって、2〜約20個の同一および/または異なるペプチドが、単一の多量体化ポリペプチド分子上に存在し得る。
本発明の1つの実施形態において、本発明のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または抗原は、天然の起源から得られ、細菌の起源から単離される。したがって、本発明のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または抗原は、標準的なタンパク質精製法を用いて、起源から単離され得る。
あるいは、本発明のペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、化学的に合成され得るかまたは組換えDNA法を用いて生成され得る。例えば、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、当該分野で周知の固相法によって合成され得る。好適な合成は、「T−boc」または「F−moc」法を使用することによって行われ得る。環状ペプチドは、完全に自動化された装置において、周知の「F−moc」法およびポリアミド樹脂を使用する固相法によって合成され得る。あるいは、当業者は、当該プロセスを手動で行うのに必要な研究室手順を承知している。固相合成のための手法および手順は、IRL at Oxford University Pressによって出版されたE.AthertonおよびR.C.Sheppardによる「Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach)(1989)およびD.Andreau et alによる「Methods in Molecular Biology,Vol.35:Peptide Synthesis Protocols」(ed.M.W.Pennington and B.M.Dunn),chapter 7,pp91−171に記載されている。
あるいは、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、当該分野で周知の手法を使用して好適な発現系において発現され得る発現ベクターに導入された後、目的の発現されたペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質が単離または精製され得る。種々の細菌、酵母、植物、哺乳動物、および昆虫の発現系が、当該分野において利用可能であり、そのような任意の発現系を使用できる。選択的に、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、無細胞翻訳系において翻訳され得る。
Clostridium difficile芽胞抗原に対応する核酸配列を用いることにより、オリゴヌクレオチドプローブを設計することもでき、前記核酸配列を用いることにより、他のClostridium difficile変異株または他の細菌種由来の遺伝子についてゲノムまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすることができる。オリゴヌクレオチドプローブおよびDNAライブラリーを調製するためのならびに核酸ハイブリダイゼーションによるそれらのスクリーニングのための基礎的なストラテジーは、当業者に周知である。例えば、DNA Cloning:Vol.I,前出;Nucleic Acid Hybridization,前出;Oligonucleotide Synthesis,前出;Sambrook et al.,前出を参照のこと。スクリーニングされたライブラリー由来のクローンが、ポジティブハイブリダイゼーションによって同定されると、特定のライブラリーインサートが、Clostridium difficile遺伝子またはそのホモログを含むことが、制限酵素解析およびDNA配列決定によって確認され得る。次いで、それらの遺伝子は、標準的な手法、および所望であればPCRアプローチまたは全長配列の一部を欠失させるために使用される制限酵素を用いてさらに単離され得る。
あるいは、目的のタンパク質をコードするDNA配列は、クローニングではなく合成的に調製され得る。当該DNA配列は、特定のアミノ酸配列に対する適切なコドンを用いて設計され得る。一般に、当該配列が発現のために使用される場合、意図される宿主にとって好ましいコドンが選択される。その完全な配列は、標準的な方法によって調製される重複オリゴヌクレオチドから構築され、完全なコード配列に構築される。例えば、Edge(1981)Nature 292:756;Nambair et al.(1984)Science 223:1299;Jay et al.(1984)J.Biol.Chem.259:6311を参照のこと。
いったん所望のタンパク質に対するコード配列が調製または単離されると、それらは、任意の好適なベクターまたはレプリコンにクローニングされ得る。数多くのクローニングベクターが、当業者に公知であり、適切なクローニングベクターの選択は、選択できる問題である。クローニングのための組換えDNAベクターおよびそれらを形質転換できる宿主細胞の例としては、バクテリオファージλ(E.coli)、pBR322(E.coli)、pACYC177(E.coli)、pKT230(グラム陰性菌)、pGV1106(グラム陰性菌)、pLAFR1(グラム陰性菌)、pME290(非E.coliグラム陰性菌)、pHV14(E.coliおよびBacillus subtilis)、pBD9(Bacillus)、pIJ61(Streptomyces)、pUC6(Streptomyces)、YIp5(Saccharomyces)、YCp19(Saccharomyces)、およびウシパピローマウイルス(哺乳動物細胞)が挙げられる。Sambrook et al.,前出;DNA Cloning,前出;B.Perbal,前出を参照のこと。所望のタンパク質をコードするDNA配列は、この発現構築物を含むベクターによって形質転換された宿主細胞においてRNAに転写されるように、前記遺伝子を、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌の発現の場合)、および選択的にオペレーター(本明細書中で「調節」領域と集合的に呼ばれる)の支配下に置くことができる。前記コード配列は、シグナルペプチドまたはリーダー配列を含むことがあるかまたは含むことはない。リーダー配列は、翻訳後プロセシングにおいて宿主によって除去され得る。例えば、米国特許第4,431,739号明細書;同第4,425,437号明細書;同第4,338,397号明細書を参照のこと。ベクターの例としては、pET32a(+)およびpcDNA3002Neoが挙げられる。
宿主細胞の増殖に対してタンパク質配列の発現の制御を可能にする他の制御配列も望ましい場合がある。制御配列は、当業者に公知であり、例としては、調節性化合物の存在を含む化学的または物理的な刺激に応答して遺伝子発現をオンまたはオフにする配列が挙げられる。他のタイプの制御エレメントも、前記ベクター、例えば、エンハンサー配列に存在し得る。
前記調節配列および他の制御配列は、上に記載されたクローニングベクターなどのベクターに挿入する前にコード配列にライゲートされ得る。あるいは、前記コード配列は、調節配列および適切な制限酵素認識部位をすでに含んでいる発現ベクターに直接クローニングされ得る。
場合によっては、コード配列が適切な方向で;すなわち、適切な読み枠を維持するように調節配列に結合され得るように前記コード配列を改変する必要がある場合がある。タンパク質の変異体またはアナログを生成することも望ましい場合がある。変異体またはアナログは、当該タンパク質をコードする配列の一部の欠失、配列の挿入、および/または当該配列内の1もしくはそれ以上のヌクレオチドの置換によって調製され得る。部位特異的突然変異誘発などのヌクレオチド配列を改変するための手法は、例えば、Sambrook et al.,前出;DNA Cloning,前出;Nucleic Acid Hybridization,前出に記載されている。
次いで、前記発現ベクターを使用して、適切な宿主細胞が形質転換される。いくつかの哺乳動物細胞株が当該分野で公知であり、それらは、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株、例えば、これに限定されるものではないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、Madin−Darbyウシ腎臓(「MDBK」)細胞、HEK293F細胞、NSO−1細胞、ならびにその他の細胞を含む。同様に、細菌宿主(例えば、E.coli、Bacillus subtilis、およびStreptococcus spp.)も、本発現構築物とともに使用されることが見出される。本発明において有用な酵母宿主は、これに限定されるものではないが、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombe、およびYarrowia lipolyticaを含む。バキュロウイルス発現ベクターとともに使用するための昆虫細胞は、これに限定されるものではないが、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera fmgiperda、およびTrichoplusia niを含む。
目的のポリヌクレオチド、例えば、Clostridium difficile芽胞抗原を有する発現ベクターは、DNAワクチン接種を必要とする宿主のDNAワクチン接種のために当業者が通常使用するベクターでもあり得る。DNAワクチン接種は、例えば、初回の宿主抗原投与および/または目的の抗原による追加抗原投与のために任意の様式で使用され得る。DNAワクチン接種および関連する手法の全般的な特徴は、当該分野で周知である。DNAベクターの適切な投与量も、免疫応答が目的の抗原に対して発生しているかおよび/または細菌のチャレンジに対する防御が宿主において確立されているかを測定するための詳細に明らかにされた手法を用いて、容易に決定され得る。
選択される発現系および宿主に応じて、上に記載された発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を、目的のタンパク質が発現する条件下で培養することによって、本発明のタンパク質が生成される。次いで、前記タンパク質は、前記宿主細胞から単離され、精製される。適切な増殖条件および回収方法の選択は、当該分野の技術範囲内である。
Clostridium difficile芽胞抗原タンパク質配列は、公知のアミノ酸配列または目的の遺伝子のDNA配列から得られるアミノ酸配列を使用する、固相ペプチド合成などの化学合成によっても生成され得る。そのような方法は、当業者に公知である。例えば、固相ペプチド合成法についてはJ.M.Stewart and J.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd Ed.,Pierce Chemical Co.,Rockford,IL(1984)およびG.Barany and R.B.Merrifield,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,editors E.Gross and J.Meienhofer,Vol.2,Academic Press,New York,(1980),pp.3−254;ならびに伝統的な溶液合成についてはM.Bodansky,Principles of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,Berlin(1984)およびE.Gross and J.Meienhofer,Eds.,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,前出,Vol.1を参照のこと。対象の抗原の小さいフラグメントが目的の被験体において免疫学的応答を惹起することができる場合、ペプチドの化学合成が好ましいことがある。
本発明のポリペプチドは、複数の遺伝子の存在、選択的転写事象、選択的RNAスプライシング事象、ならびに選択的翻訳および翻訳後(postranslational)事象の結果として生じるポリペプチドも含み得る。ポリペプチドは、当該ペプチドが天然の細胞において発現される際に存在するのと実質的に同じ翻訳後修飾を生じる系、例えば、培養細胞、または天然の細胞において発現される際に存在する翻訳後修飾、例えば、グリコシル化もしくは切断の変更もしくは脱落を生じる系において発現され得る。
本発明のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または抗原は、本明細書中に開示されるClostridium difficile芽胞抗原配列の一部ではない他の異なるアミノ酸配列(例えば、アミノ酸リンカーまたはシグナル配列)または免疫原性担体、ならびにタンパク質精製において有用なリガンド(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ヒスチジンタグ、およびブドウ球菌プロテインA)を含む融合タンパク質として生成され得る。本発明の1種より多いポリペプチドは、融合タンパク質として存在し得る。前記異種ポリペプチドは、例えば、本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質のN末端またはC末端に融合され得る。本発明のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または抗原は、相同アミノ酸配列を含む融合タンパク質としても生成され得る。本発明の実施において有用な融合タンパク質の例は、これに限定されるものではないが、本明細書中に記載されるClostridium difficile芽胞抗原と、Clostridium difficile毒素AまたはBの一部、例えば、TcdAのN末端触媒ドメイン、TcdBのN末端触媒ドメイン、またはTcdBのC末端フラグメント4との融合物を含む。前記Clostridium difficile芽胞抗原またはそのフラグメントはまた、本発明における使用に適した融合タンパク質を形成するように互いに融合され得る。
CLOSTRIDIUM芽胞タンパク質
任意の種々のClostridium difficile芽胞タンパク質を本発明の実施において使用してよい。そのような芽胞タンパク質は、最近配列決定されたいくつかの株(a number strains)の全ゲノム配列を含む公知のClostridium difficile配列を検索することによって同定され得る。本発明の実施において有用な芽胞タンパク質のさらなる例は、文献にも記載されている。例えば、Henriques and Moran,Annual Rev.Microbiol.,61:555−88(2007)を参照のこと。Clostridium difficile芽胞タンパク質の代表的な例としては、下記に記載されるものが挙げられる。
BclAタンパク質(BclA1、BclA2、およびBclA3を含む)は、C.difficile芽胞のエキソスポリウムの形成に関わるコラーゲン様タンパク質である。エキソスポリウムは、芽胞殻を取り囲み、芽胞の抵抗性に寄与する。表面に露出したエキソスポリウムタンパク質などの標的は、治療にとって優良な潜在的標的である。例えば、BclAタンパク質は、Bacillus anthracisにおいてオルソログを有し、BclAによる免疫化が、発芽を阻害することによって動物においてB.anthracis芽胞コロニー形成からの防御を示すことが示されている。本発明の実施において使用され得るC.difficileのBclA配列の代表的な例は、これに限定されるものではないが、NCBIアクセッション番号:FN545816(BclA1、A2、およびA3に対して、それぞれ領域402547〜404145;3689444〜3691084;および3807430〜3809466)を有するタンパク質を含む。
C.difficileにおけるAlr(アラニンラセマーゼ)タンパク質は、栄養制限培地中に存在する芽胞の数と発芽を結びつけるクオラムセンシングタイプの機構に関わるエキソスポリウム酵素である。Bacillus種にはオルソロガスタンパク質も存在し、当該タンパク質は、胞子形成の後期に存在することおよび成熟前の発芽を抑制することにより当該細菌の生存を促進するために必要であると示されている。本発明の実施において使用され得るC.difficileのAlr配列の代表的な例は、これに限定されるものではないが、NCBIアクセッション番号:FN545816(領域3936313〜3937470)を有するタンパク質を含む。
SlpAタンパク質は、芽胞上の主な表面抗原であるS層をコードする。SlpAタンパク質は、患者において強力な血清IgG応答を誘導すると示されている(Kelleher D.et al.,J.Med.Micro.,55:69−83(2006)を参照のこと)。当該タンパク質は、N末端(LMW)部分およびC末端(HMW)部分に分けられる。SlpA HMWタンパク質は、高度に保存されているので、標的として魅力的である。
SlpAパラログタンパク質は、高MWのSlpAサブユニットのアミノ酸配列に関係する、C.difficile株630におけるオープンリーディングフレームの大きなファミリー(パラログ)のことを指す。このアミノ酸配列は、Bacillus subtilisの2つの細胞壁結合型タンパク質であるN−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ(CWLB/LytC)およびそのエンハンサー(CWBA/LytB)と45%相同である(保存的置換を含む)。C.difficileの高MWのSLPサブユニットがアミダーゼ活性を示すので、その配列相同性は、機能的相関を有する。B.subtilisから類推して、当該相同ドメインは細胞壁への固着を媒介するので、細胞壁の成分の1クラスを識別すると示唆されている。このことと一致して、多くのslpAパラログが、典型的なシグナル配列をコードすることから、それらが分泌型または膜結合型であると示唆される。これまでに同定された29個のslpAパラログのうち、12個が、slpAを取り囲む密に配置されたクラスターとして位置しており、そのすべてが同じ方向で転写されることから、協調した制御および関連した機能の可能性が示唆される。slpAのすぐ3’の6個のslpA様遺伝子(ORF2〜7)が、栄養成長中に転写されることが示されている。COG2247推定細胞壁結合ドメイン。本発明の実施において使用され得るC.difficileのslpA配列の代表的な例は、これに限定されるものではないが、NCBIアクセッション番号:FN545816(領域3157304〜3159175;3162172〜3164448)を有するタンパク質を含む。推定細胞壁結合ドメインであるCOG2247は、下記の実施例3に示される。
CD1021(CotH)タンパク質は、抗体を産生させるC.difficile芽胞上に見られる仮定タンパク質である。このタンパク質は、表面に露出しているので、治療にとって優良な標的になり得る。本発明の実施において使用され得るC.difficileのCD1021配列の代表的な例は、これに限定されるものではないが、NCBIアクセッション番号:AM180355(領域1191725〜1193632)を有するタンパク質を含む。
IunHは、C.difficileがオルソログを有するBacillus anthracisのエキソスポリウムに見られる酵素であるイノシン加水分解酵素をコードする。この酵素は、芽胞(sopre)発芽の開始において役割を有すると示唆されている。本発明の実施において使用され得るC.difficileのIunH配列の代表的な例は、これに限定されるものではないが、NCBIアクセッション番号:FN545816(領域1866580〜1867548)を有するタンパク質を含む。
Fe−Mn−SODまたはスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は、スーパーオキシドから酸素および過酸化水素への不均化を触媒するがゆえに細胞における重要な抗酸化防御である酵素の1クラスである。多くの細菌が、鉄およびマンガンを有する当該酵素の形態を含む。本発明の実施において使用され得るC.difficileのFe−Mn−SOD配列の代表的な例は、これに限定されるものではないが、NCBIアクセッション番号:NC_013316(領域1802293〜1802997)を有するタンパク質を含む。
fliD遺伝子は、C.difficileの鞭毛のキャップタンパク質(FliD)をコードする。このタンパク質は、インビトロおよびインビボにおいて接着性を有すると示されており、特に、粘液への接着において役割を有すると示されている。FliDに対する抗体レベルが、CDADを有する患者の群に対してコントロール群において有意に高かったことが示されていることから、当該タンパク質が、宿主の防御機構において役割を果たし得る免疫応答を誘導できると示唆される。別の研究は、当該タンパク質が、試験された17個の臨床分離株のうち15個に存在すると示したことから、それがほとんどの株に存在すると示唆される。同じ研究は、異なる臨床分離株を有する17人の患者のうち、15人がFliDに対する抗体を有することも示した。本発明の実施において使用され得るC.difficileのFliD配列の代表的な例は、これに限定されるものではないが、NCBIアクセッション番号:Q9AHP4、AF297024、AF297025、AF297026、AF297027、およびAF297028を有するタンパク質を含む。
表1は、本発明の実施において使用され得るClostridium difficile芽胞抗原タンパク質の例示的なアミノ酸配列を提供している。下記に提供される例示的な配列のバリアントおよびフラグメントもまた本発明によって包含されることが理解される。
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表2は、表1のタンパク質をコードする核酸配列を提供している。
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宿主の免疫化および抗体の作製
いくつかの実施形態において、いったんClostridium difficile芽胞抗原が過剰発現され、精製されると、その抗原は、免疫応答を誘発するために宿主に送達するための免疫原として調製される。前記宿主は、生物工学的スクリーニングアッセイにおいて有用であり、かつ免疫原を投与されたときに回収可能な抗体を産生できる、当該分野で公知の任意の動物(例えば、これに限定されるものではないが、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、ウマ、サル、ヒヒ、およびヒト)であり得る。1つの態様において、前記宿主は、トランスジェニックであり、ヒト抗体を産生し、例えば、ヒト抗体レパートリーを発現するマウスであり、それによって、ヒトの治療法の開発が大きく促進される。
本明細書中で使用されるとき、用語「抗体」は、任意の免疫グロブリンまたはインタクトな分子、ならびに特定のエピトープに結合するそれらのフラグメントのことを指す。そのような抗体は、これに限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、一本鎖、抗体全体のFab、Fab’、F(ab)’フラグメント、および/またはF(v)部分、ならびにそれらのバリアントを含む。IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMを含むすべてのアイソタイプがこの用語に包含される。
本明細書中で使用されるとき、用語「抗体フラグメント」は、具体的には、親抗体の抗原結合機能を保持する、当該抗体の完全配列の不完全なまたは単離された部分のことを指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント;ダイアボディ;鎖状抗体;一本鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含む。
インタクトな「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互に連結された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書中でHCVRまたはVHと省略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメインCH、CH、およびCHを含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中でLCVRまたはVと省略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメインCを含む。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が組み入れられている相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分され得る。VおよびVの各々は、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって、以下の順序で配置されている3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、宿主の組織または因子(免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む)への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。抗体という用語は、結合能を保持する、インタクトな抗体の抗原結合部分を含む。結合の例は、(i)V、V、C、およびCH1ドメインから成る一価フラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインから成るFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVおよびVドメインから成るFvフラグメント、(v)VHドメインから成るdAbフラグメント(Ward et al.,Nature,341:544−546(1989));および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「一本鎖抗体」または「一本鎖Fv(scFv)」は、Fvフラグメントの2つのドメインVおよびVの抗体融合分子のことを指す。Fvフラグメントの2つのドメインVおよびVは、別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を用いて、それらを単一のタンパク質鎖として生成させることができる合成リンカーによって連結され得、その単一のタンパク質鎖では、VおよびV領域が対になって一価分子(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Bird et al.,Science,242:423−426(1988);およびHuston et al.,Proc Natl Acad Sci USA,85:5879−5883(1988)を参照のこと)を形成している。そのような一本鎖抗体は、用語「抗体」フラグメントの言及に含められ、組換え法またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって調製され得る。
本明細書中で使用されるとき、用語「ヒト配列抗体」は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域(存在する場合)を有する抗体を含む。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムもしくは部位特異的な突然変異誘発またはインビボにおける体細胞変異によって導入される変異)を有し得る。そのような抗体は、例えば、PCT国際公開第01/14424号パンフレットおよび同第00/37504号パンフレットに記載されているように、非ヒトトランスジェニック動物において産生され得る。しかしながら、用語「ヒト配列抗体」は、本明細書中で使用されるとき、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体(例えば、ヒト化抗体)を含むと意図されていない。
また、組換え免疫グロブリンも生成され得る。Cabilly,米国特許第4,816,567号明細書(この参照によりその全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる);およびQueen et al.,Proc Natl Acad Sci USA,86:10029−10033(1989)を参照のこと。
本明細書中で使用されるとき、用語「モノクローナル抗体」は、単一の分子組成の抗体分子の調製物のことを指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。したがって、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域(存在する場合)を有する、単一の結合特異性を示す抗体のことを指す。1つの態様において、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウスから得られる、不死化細胞に融合されたB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
本明細書中で使用されるとき、用語「抗原」は、抗体の産生を促し、免疫応答を引き起こすことができる物質のことを指す。それは、本開示において、用語「免疫原」と交換可能に使用され得る。厳密に言えば、免疫原は、免疫系から応答を誘発する物質であるのに対し、抗原は、特定の抗体に結合する物質と定義される。抗原またはそのフラグメントは、特定の抗体と接触する分子(すなわち、エピトープ)であり得る。あるタンパク質またはあるタンパク質のフラグメントが、宿主動物を免疫するために使用されるとき、当該タンパク質の数多くの領域が、抗原(当該タンパク質上の所与の領域または3次元構造)に特異的に結合する抗体の産生を誘導し得る(すなわち、免疫応答を誘発し得る)。抗原は、これに限定されるものではないが、Clostridium difficile芽胞タンパク質およびそれらのフラグメントを含み得る。
本明細書中で使用されるとき、用語「ヒト化抗体」は、当該抗体が、よりヒト抗体に酷似し、かつなおも元の結合能を保持するように、非抗原結合領域中および/または抗原結合領域中のアミノ酸配列が変更された少なくとも1つの抗体分子のことを指す。
さらに、適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともにスプライシングすることによって「キメラ抗体」(Morrison,et al.,Proc Natl Acad Sci,81:6851−6855(1984),この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を作製するために開発された手法を使用することができる。例えば、自己誘導物質に特異的なマウス抗体分子由来の遺伝子が、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともにスプライシングされ得る。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子、例えば、マウスmAbに由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する分子である。
さらに、ヒト化抗体を作製するための手法が開発されている(例えば、米国特許第5,585,089号明細書および米国特許第5,225,539号明細書(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。免疫グロブリン軽鎖または重鎖可変領域は、相補性決定領域(complementarity determining regions:CDRs)と呼ばれる3つの超可変領域によって割り込まれる「フレームワーク」領域から成る。簡潔には、ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1もしくはそれ以上のCDRおよびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する、非ヒト種由来の抗体分子である。
あるいは、一本鎖抗体を作製するために報告された手法が、本開示の免疫原性結合体に対する一本鎖抗体を作製するために適合され得る。一本鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖および軽鎖フラグメントを連結することによって形成され、その結果、一本鎖ポリペプチドが生じる。抗体分子のFabおよびF(ab’)2部分は、周知の方法によって実質的にインタクトな抗体分子に対するそれぞれパパインおよびペプシンのタンパク分解性反応によって調製され得る。例えば、米国特許第4,342,566号明細書を参照のこと。Fab’抗体分子部分も、周知であり、それは、メルカプトエタノールを用いるような2つの重鎖部分を連結しているジスルフィド結合の還元、および得られたタンパク質メルカプタンの、ヨードアセトアミドなどの試薬によるアルキル化に従って、F(ab’)2部分から生成される。
抗体アッセイ
宿主を免疫し、免疫原に対する免疫応答を誘発させた後、所望の抗体が産生されているかを判定するためにスクリーニングアッセイを行うことができる。そのようなアッセイは、目的の抗体をアッセイしてその特異性および親和性を確かめる工程およびそれらの抗体が他のタンパク質と交差反応するかを判定する工程を含み得る。
用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、抗原とその対応する抗体との間の相互作用のことを指す。前記相互作用は、結合分子(すなわち、抗原またはエピトープ)によって認識されるタンパク質の特定の構造の存在に依存する。結合が特異的であるためには、その結合は、バックグラウンド抗原ではなく目的のエピトープの抗体結合性を必要とするはずである。
いったん抗体が産生されると、それらは、目的の抗原に特異的であることを確かめるためおよび他の抗原と任意の交差反応性を示すかを判定するためにアッセイされる。そのようなアッセイを行う1つの方法は、米国出願公開第2004/0126829号(その内容は、明確にこの参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような血清スクリーニングアッセイである。しかしながら、品質管理のためにアッセイする他の方法は、当業者の技術範囲内であり、ゆえに、それらも本開示の範囲内である。
本開示の抗体またはその抗原結合フラグメント、バリアント、もしくは誘導体は、抗原に対する結合親和性に関しても記載または明記され得る。抗原に対する抗体の親和性は、任意の好適な方法を用いて実験的に測定され得る(例えば、Berzofsky et al.,「Antibody−Antigen Interactions」,In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,N.Y.(1984);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,N.Y.(1992);および本明細書中に記載される方法を参照のこと)。種々の条件下(例えば、塩濃度、pH)で測定される場合、測定された特定の抗体抗原相互作用の親和性は、変動し得る。したがって、親和性の測定値および他の抗原結合パラメータ(例えば、K、K、K)は、好ましくは、抗体および抗原の標準液ならびに標準化された緩衝液を用いて得られる。
親和性結合定数(Kaff)は、以下の式:
Figure 2014515594
を用いて決定することができ、ここで:
Figure 2014515594
である。
[mAb]は、未結合の抗原部位(free antigen sites)の濃度であり、[mAg]は、2つの異なる抗原濃度(すなわち、[mAg]および[mAg’])において測定されたときの、未結合のモノクローナル結合部位(free monoclonal binding sites)の濃度である(Beatty et al.,J Imm Meth,100:173−179(1987))。
抗体に対する用語「高親和性」は、少なくとも約1×10リットル/モルまたは少なくとも約1×10リットル/モルまたは少なくとも約1×10リットル/モルまたは少なくとも約1×1010リットル/モルまたは少なくとも約1×1011リットル/モルまたは少なくとも約1×1012リットル/モルまたは少なくとも約1×1013リットル/モルまたは少なくとも約1×1014リットル/モルまたはそれ以上の平衡結合定数(Kaff)のことを指す。「高親和性」結合は、抗体アイソタイプごとに異なり得る。平衡解離定数であるKは、抗体親和性を記載するために使用される用語でもあり、Kaffの逆数である。
アジュバント
本発明の組成物は、Clostridium difficile芽胞抗原タンパク質の1もしくはそれ以上の免疫原性をさらに高めるアジュバントを含み得る。そのようなアジュバントは、ペプチドまたはペプチドの組み合わせに対する免疫応答を高めるように作用し、ゆえに本組成物中で必要な抗原の量および/または適切な免疫応答を発生させるために必要な注射の頻度を減少させる、任意の化合物を含む。好適なアジュバントは、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおける使用に適したものを含む。ヒトにおいて使用され得る公知の好適なアジュバントの例は、必ずしもこれに限定されるものではないが、ミョウバン、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、MF59(4.3%w/vスクアレン、0.5%w/vポリソルベート80(Tween80)、0.5%w/vトリオレイン酸ソルビタン(Span85))、CpG含有核酸、QS21(サポニンアジュバント)、MPL(モノホスホリルリピドA)、3DMPL(3−O−脱アシル化MPL)、Aquilla抽出物、ISCOMS(例えば、Sjolander et al.(1998)J.Leukocyte Biol.64:713;国際公開90/03184号パンフレット、同第96/11711号パンフレット、同第00/48630号パンフレット、同第98/36772号パンフレット、同第00/41720号パンフレット、同第06/134423号パンフレット、および同第07/026190号パンフレットを参照のこと)、LT/CT変異体、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLG)微小粒子、QuilA、インターロイキンなどを含む。これに限定されるものではないが動物実験を含む動物用途の場合、フロイント、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP11637、nor−MDPと呼ばれる)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP19835A、MTP−PEと呼ばれる)、ならびに細菌から抽出された3つの成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコール酸、および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/Tween80エマルション中に含むRIBIを使用することができる。
本組成物の有効性を高めるさらに例示的なアジュバントは、これに限定されるものではないが、(1)水中油型エマルション製剤(ムラミルペプチド(下記を参照のこと)または細菌細胞壁成分などの他の特定の免疫刺激物質を含むかまたは含まない)、例えば、(a)マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に製剤化される、5%スクアレン、0.5%Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、および0.5%Span85(トリオレイン酸ソルビタン)を含む(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(MTP−PE)に共有結合されたムラミルトリペプチドを選択的に含む)、MF59(国際公開第90/14837号パンフレット;Vaccine design:the subunit and adjuvant approach,eds.Powell & Newman,Plenum Press 1995のChapter10)、(b)サブミクロンエマルションにマイクロ流動体化されるかまたはより大きな粒径のエマルションを生成するようにボルテックスされる、10%スクアラン、0.4%Tween80、5%プルロニック保護ポリマーL121、およびthr−MDPを含む、SAF、ならびに(c)2%スクアレン、0.2%Tween80、および1もしくはそれ以上の細菌細胞壁成分(例えば、モノホスホリルリピド(monophosphorylipid)A(MPL)、トレハロースジミコール酸(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくは、MPL+CWS(DETOX))を含む、RIBIアジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem,モンタナ州Hamilton);(2)サポニンアジュバント(例えば、QS21、STIMULON(Cambridge Bioscience,マサチューセッツ州Worcester)、Abisco(Isconova,スウェーデン)、またはIscomatrix(Commonwealth Serum Laboratories,オーストラリア))が使用され得るか、またはそれらから生成される粒子(例えば、ISCOMs(免疫刺激複合体)(このISCOMSはさらなる界面活性剤を欠く場合がある))、例えば、国際公開00/07621号パンフレット;(3)フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA);(4)サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(国際公開99/44636号パンフレット)など)、インターフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など);(5)選択的に、肺炎球菌のサッカリドとともに使用されるとき実質的にミョウバンの非存在下での、モノホスホリルリピドA(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)、例えば、GB−2220221、EP−A−0689454、例えば、国際公開00/56358号パンフレット;(6)例えば、QS21および/または水中油型エマルションと3dMPLとの組み合わせ、例えば、EP−A−0835318、EP−A−0735898、EP−A−0761231;(7)CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド[Krieg Vaccine 2000,19,618−622;Krieg Curr opin Mol Ther2001 3:15−24;Roman et al.,Nat.Med.,1997,3,849−854;Weiner et al.,PNAS USA,1997,94,10833−10837;Davis et al,J.Immunol,1998,160,870−876;Chu et al.,J.Exp.Med,1997,186,1623−1631;Lipford et al,Ear.J.Immunol.,1997,27,2340−2344;Moldoveami e/ al.,Vaccine,1988,16,1216−1224、Krieg et al.,Nature,1995,374,546−549;Klinman et al.,PNAS USA,1996,93,2879−2883;Ballas et al,J.Immunol,1996,157,1840−1845;Cowdery et al,J.Immunol,1996,156,4570−4575;Halpern et al,Cell Immunol,1996,167,72−78;Yamamoto et al,Jpn.J.Cancer Res.,1988,79,866−873;Stacey et al,J.Immunol,1996,157,2116−2122;Messina et al,J.Immunol,1991,147,1759−1764;Yi et al,J.Immunol,1996,157,4918−4925;Yi et al,J.Immunol,1996,157,5394−5402;Yi et al,J.Immunol,1998,160,4755−4761;およびYi et al,J.Immunol,1998,160,5898−5906;国際特許出願国際公開96/02555号パンフレット、同第98/16247号パンフレット、同第98/18810号パンフレット、同第98/40100号パンフレット、同第98/55495号パンフレット、同第98/37919号パンフレット、および同第98/52581号パンフレット]、すなわち、少なくとも1つのCGジヌクレオチド(当該シトシンはメチル化されていない)を含むオリゴヌクレオチド;(8)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル、例えば、国際公開第99/52549号パンフレット;(9)オクトキシノールと組み合わされるポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性物質(国際公開第01/21207号パンフレット)またはオクトキシノールなどの少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性物質と組み合わされるポリオキシエチレンアルキルエーテルもしくはエステル界面活性物質(国際公開第01/21152号パンフレット);(10)サポニンおよび免疫賦活性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)(国際公開第00/62800号パンフレット);(11)免疫賦活薬および金属塩粒子、例えば、国際公開第00/23105号パンフレット;(12)サポニンおよび水中油型エマルション、例えば、国際公開第99/11241号パンフレット;(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IM2(選択的に+ステロール)、例えば、国際公開第98/57659号パンフレット;(14)N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−25アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル(isoglutarninyl)−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)を含む、ムラミルペプチドなどの本組成物の有効性を高める免疫刺激物質として作用する他の物質、(15)天然のまたは合成された、toll様受容体(TLR)に対するリガンド(例えば、Kanzler et al 2007,Nature Medicine 13,p1552−9に記載されているような)(ポリI:CなどのTLR3リガンド、ならびにHiltonolおよびAmpligenなどの類似の化合物を含む)を含む。
アジュバントは、例えば、乳化剤、ムラミルジペプチド、アブリジン(avridine)、水性アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム、キトサン系アジュバント、および任意の様々なサポニン)、油、および当該分野で公知の他の物質(例えば、Amphigen、LPS、細菌細胞壁抽出物、細菌DNA、合成オリゴヌクレオチド、およびそれらの組み合わせ)(Schijns et al.,Curr.Opi.Immunol.(2000)12:456)、Mycobacterialphlei(M.phlei)細胞壁抽出物(MCWE)(米国特許第4,744,984号明細書)、M.phlei DNA(M−DNA)、M−DNA−M.phlei細胞壁複合体(MCC)も含み得る。例えば、本明細書中で乳化剤として働き得る化合物は、天然および合成の乳化剤、ならびに陰イオン性、陽イオン性、および非イオン性の化合物を含む。前記合成の化合物のうち、陰イオン性乳化剤は、例えば、ラウリン酸およびオレイン酸のカリウム、ナトリウム、およびアンモニウム塩、脂肪酸のカルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩(すなわち、金属石鹸)、ならびにラウリル硫酸ナトリウムなどの有機スルホネートを含む。合成陽イオン性物質は、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(cetyltrhethylammonlum bromide)を含み、合成非イオン性物質は、グリセリルエステル(例えば、モノステアリン酸グリセリル)、ポリオキシエチレングリコールエステルおよびエーテル、ならびにソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノパルミチン酸ソルビタン)およびそれらのポリオキシエチレン誘導体(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)によって例証される。天然の乳化剤には、アカシア、ゼラチン、レシチン、およびコレステロールが含まれる。
他の好適なアジュバントは、油性成分(例えば、単一の油、油の混合物、油中水型エマルション、または水中油型エマルション)を用いて形成され得る。前記油は、鉱油、植物油、または動物油であり得る。鉱油または油性成分が鉱油である水中油型エマルションが、好ましい。この点において、「鉱油」は、蒸留法によってペトロラタムから得られる液体炭化水素の混合物と本明細書中で定義される;当該用語は、「流動パラフィン」、「流動ワセリン」、および「白色鉱油」と同義である。当該用語は、「軽油」、すなわち、ペトロラタムの蒸留によって同様に得られるが白色鉱油よりもわずかに低い比重を有する油を含むとも意図されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,前出を参照のこと。特に好ましい油性成分は、MVP Laboratories,ネブラスカ州Ralstonから入手可能なEMULSIGEN PLUS(商標)という商品名で販売されている水中油型エマルション(軽油ならびに保存剤として0.05%ホルマリンおよび30mcg/mLゲンタマイシンを含む)である。好適な動物油は、例えば、タラ肝油、ハリバ油(halibut oil)、メンハーデン油、オレンジラフィー油、およびサメ肝油(これらのすべてが、商業的に入手可能である)を含む。好適な植物油は、これに限定されるものではないが、カノーラ油、アーモンド油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、落花生油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油などを含む。
あるいは、いくつかの脂肪族窒素塩基がアジュバントとして前記ワクチン製剤とともに使用され得る。例えば、公知の免疫学的アジュバントには、アミン類(mines)、四級アンモニウム化合物、グアニジン、ベンズアミジン、およびチオウロニウム(Gall,D.(1966)Immunology 11:369−386)が含まれる。具体的な化合物としては、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)(Kodakから入手可能)およびN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジイン(「アブリジン」)が挙げられる。免疫学的アジュバントとしてのDDAの使用は、報告されている;例えば、Kodak Laboratory Chemicals Bulletin 56(1):1−5(1986);Adv.Drug Deliv.Rev.5(3):163−187(1990);J.Controlled Release 7:123−132(1988);Clin.Exp.Immunol.78(2):256−262(1989);J.Immunol.Methods 97(2):159−164(1987);Immunology 58(2):245−250(1986);およびInt.Arch.Allergy Appl.Immunol.68(3):201−208(1982)を参照のこと。アブリジンは、周知のアジュバントでもある。例えば、ワクチンアジュバントとしての、概してΝ,Ν−高級アルキル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンの使用および特にアブリジンの使用を記載しているWolff,IIIらに対する米国特許第4,310,550号明細書を参照のこと。Babiukに対する米国特許第5,151,267号明細書およびBabiuk et al.(1986)Virology 159:57−66もまた、ワクチンアジュバントとしてのアブリジンの使用に関する。
前記ワクチンとともに使用するためのアジュバントは、DDAを含むEMULSIGEN PLUS(商標)アジュバントの改変型である「VSA3」である(米国特許第5,951,988号明細書(この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
本発明の観点におけるペプチドの1もしくはそれ以上を含む組成物は、当業者に周知の手法(これに限定されるものではないが、混合、超音波処理、およびマイクロ流動化(microfluidation)を含む)を用いて本組成物調製物および前記アジュバントを均一かつ完全に混和することによって調製され得る。前記アジュバントは、好ましくは、本組成物の約10〜50%(v/v)、より好ましくは約20〜40%(v/v)、最も好ましくは約20〜30%もしくは35%(v/v)、またはこれらの範囲内の任意の整数を構成する。
医薬組成物
本発明の観点は、有効免疫量の単離されたClostridium difficile芽胞抗原タンパク質またはそのような抗原性タンパク質をコードする単離された核酸および薬学的に許容可能な担体を含む組成物を提供し、前記組成物は、脊椎動物被験体においてClostridium difficile菌の感染を減少させるか、排除するか、または予防するのに有効である。さらなる態様は、Clostridium difficile感染に対する受動免疫を提供するための、Clostridium difficile芽胞抗原タンパク質に対する抗体を含む医薬組成物を提供する。
本発明の組成物は、注射可能物質として、液体の溶液もしくは懸濁液として、または注射前に液体ビヒクルで溶解もしくは懸濁するのに適した固体の形態として、通常、調製される。前記調製物は、乳化される固体の形態、またはリポソームビヒクルもしくは持続送達のために使用される他の粒状担体に被包された活性成分としても調製され得る。例えば、前記ワクチンは、油性エマルション、油中水型エマルション、水中油中水型エマルション、部位特異的エマルション、長時間残存(long−residence)エマルション、粘着性エマルション、マイクロエマルション、ナノエマルション、リポソーム、微小粒子、ミクロスフェア、ナノスフェア、ナノ粒子、および様々な天然または合成ポリマー(例えば、非吸収性不透過性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体およびHytrel(登録商標)共重合体)、膨潤性ポリマー(例えば、ヒドロゲル)、または吸収性ポリマー(例えば、コラーゲンおよびある特定のポリ酸またはポリエステル(例えば、ワクチンの徐放を可能にする吸収性縫合糸を作製するために使用されるもの))の形態であり得る。
ポリペプチドは、哺乳動物被験体に送達するための組成物に製剤化される。当該組成物は、単独で、および/または薬学的に許容可能なビヒクルもしくは賦形剤と混合された状態で、投与される。好適なビヒクルは、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。さらに、前記ビヒクルは、組成物の場合はその組成物の有効性を高める微量の補助物質(例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、またはアジュバント)を含み得る。好適なアジュバントは、上に記載されたものである。本発明の組成物は、補助的物質(例えば、薬理学的物質、サイトカイン、または他の生物学的応答変更物質(biological response modifiers))も含み得る。
さらに、例えば、1もしくはそれ以上のClostridium difficile芽胞抗原を含む組成物は、中性または塩の形態の組成物に製剤化され得る。薬学的に許容可能な塩は、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)とともに形成される酸付加塩(活性なポリペプチドの遊離アミノ基とともに形成される)を含む。遊離カルボキシル基から形成される塩は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄)および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)からも得ることができる。
そのような剤形を調製する実際の方法は、公知であるか、または当業者に明らかだろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,ペンシルベニア州Easton,最新版を参照のこと。
本組成物は、有効量のタンパク質を含むように製剤化され、その正確な量は、当業者によって容易に決定され、前記量は、処置される動物および当該動物の免疫系が抗体を合成する能力に依存する。投与される組成物または製剤は、処置される被験体において所望の状態を達成するのに適切な量の1もしくはそれ以上の分泌タンパク質を含む。本発明の場合、タンパク質を含む組成物の治療有効量は、約0.05〜1500μgのタンパク質、好ましくは約10〜1000μgのタンパク質、より好ましくは約30〜500μg、最も好ましくは約40〜300pg、またはこれらの値の間の任意の整数を含む。例えば、本発明のペプチドは、約0.1μg〜約200mg、例えば、約0.1μg〜約5μg、約5μg〜約10μg、約10μg〜約25μg、約25μg〜約50μg、約50μg〜約100μg、約100μg〜約500μg、約500μg〜約1mg、約1mg〜約2mgの用量で被験体に投与され得、例えば、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、2ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、および/または1年後に選択的な追加免疫が行われる。予防目的の場合、各投与におけるペプチドの量は、典型的な被ワクチン接種者において有意な有害副作用無しに免疫防御応答を誘導する量として選択される。初回のワクチン接種の後、適切な間隔をあけて被験体に1回または数回の追加免疫を行うことがある。任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路および排出速度、薬物の組み合わせ、ならびに治療を受けている特定の疾患の重症度を含む)に依存することが理解される。
投与経路は、これに限定されるものではないが、経口的、局所的、皮下、筋肉内、静脈内、皮下、皮内、経皮的、および真皮下を含む。投与経路に応じて、1投与あたりの体積は、好ましくは約0.001〜10ml、より好ましくは約0.01〜5ml、最も好ましくは約0.1〜3mlである。組成物は、被験体の年齢、体重、および状態、使用される特定のワクチン製剤、ならびに投与経路にとって適切なスケジュールおよび時間にわたって、単回処置または複数回処置(追加免疫)で投与され得る。
いくつかの実施形態において、本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物の単回投与が行われる。他の実施形態において、本発明に係るポリペプチドまたは医薬組成物の複数回投与が行われる。投与の頻度は、種々の因子のいずれか、例えば、症状の重症度、所望の免疫防御の程度、当該組成物が予防目的で使用されるのかまたは治療目的で使用されるのかなどに応じて変動し得る。例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係るペプチドまたは医薬組成物は、1ヶ月に1回、1ヶ月に2回、1ヶ月に3回、1週間おきに(qow)、1週間に1回(qw)、1週間に2回(biw)、1週間に3回(tiw)、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1日おきに(qod)、毎日(qd)、1日に2回(qid)、または1日に3回(tid)投与される。本発明の組成物が、予防目的で使用されるとき、それらは一般に、初回刺激および追加刺激の投与の両方のために投与される。追加刺激の投与は、適切に間隔があけられるか、または好ましくは、年1回もしくは循環する抗体のレベルが所望のレベル未満に低下するようなときに投与されることが予想される。追加刺激の投与は、当初の免疫原性担体分子の非存在下における前記ペプチドから成ることがある。そのような追加免疫構築物は、代替の免疫原性担体を含んでもよいし、いかなる担体も含まなくてもよい。そのような追加免疫組成物は、アジュバント有りまたは無しで製剤化され得る。
本発明に係るポリペプチドの投与の持続時間、例えば、ペプチドが投与される期間は、種々の因子のいずれか、例えば、患者の応答などに応じて変動し得る。例えば、ポリペプチドは、約1日〜約1週間、約2週間〜約4週間、約1ヶ月〜約2ヶ月、約2ヶ月〜約4ヶ月、約4ヶ月〜約6ヶ月、約6ヶ月〜約8ヶ月、約8ヶ月〜約1年、約1年〜約2年、もしくは約2年〜約4年の範囲の期間、またはそれ以上にわたって投与され得る。
任意の好適な医薬送達手段を使用して、脊椎動物被験体に本組成物を送達することができる。例えば、従来の針注射器、スプリングまたは圧縮ガス(空気)注射器(Smootに対する米国特許第1,605,763号明細書;Laurensに対する同第3,788,315号明細書;Clarkらに対する同第3,853,125号明細書;Morrowらに対する同第4,596,556号明細書;およびDunlapに対する同第5,062,830号明細書)、液体ジェット注射器(Schererに対する米国特許第2,754,818号明細書;Gordonに対する同第3,330,276号明細書;およびLindcanerらに対する同第4,518,385号明細書)、および粒子注射器(McCabeらに対する米国特許第5,149,655号明細書およびSanfordらに対する同第5,204,253号明細書)のすべてが、本組成物の送達にとって適切である。
ジェット注射器が使用される場合、液体ワクチン組成物の単回ジェットが、高圧かつ高速、例えば、1200〜1400PSIで排出されることにより、皮膚に穴を開け、免疫化に適した深さまで浸透する。
前記組成物または核酸またはポリペプチドまたは抗体は、薬学的に許容可能な担体(賦形剤)と併用されることにより、薬理学的組成物を形成し得る。薬学的に許容可能な担体は、本発明の医薬組成物の吸収速度またはクリアランス速度を例えば安定させるか、または高めるかもしくは減じるように作用する生理的に許容可能な化合物を含み得る。生理的に許容可能な化合物は、例えば、炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、またはデキストラン)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸またはグルタチオン)、キレート剤、低分子量タンパク質、前記ペプチドもしくはポリペプチドのクリアランスもしくは加水分解を減少させる組成物、または賦形剤、あるいは他の安定剤および/または緩衝剤を含み得る。界面活性剤もまた、リポソーム担体を含む医薬組成物の吸収を安定させるためまたは高めるかもしくは減じるために使用され得る。薬学的に許容可能な担体ならびにペプチドおよびポリペプチドに対する製剤は、当業者に公知であり、科学文献および特許文献に詳細に記載されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Science,Mack Publishing Company,ペンシルベニア州Easton(「Remington’s」)の最新版を参照のこと。
他の生理的に許容可能な化合物は、湿潤剤、乳化剤、分散剤、または微生物の増殖もしくは作用を防止するために特に有用な保存剤を含む。様々な保存剤が周知であり、それには、例えば、フェノールおよびアスコルビン酸が含まれる。当業者は、生理的に許容可能な化合物を含む薬学的に許容可能な担体の選択が、例えば、本発明のペプチドまたはポリペプチドの投与経路およびその特定の生理化学的な特徴に依存することを認識するだろう。
1つの態様において、前記組成物が水溶性である場合、前記組成物または核酸、ペプチド、ポリペプチド、もしくは抗体の溶液は、薬学的に許容可能な担体、例えば、水性担体に溶解される。経腸的、非経口的、または経粘膜的な薬物送達のための製剤において使用され得る水溶液の例としては、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ハンクス溶液、リンガー溶液、デキストロース/食塩水、グルコース溶液などが挙げられる。前記製剤は、生理学的状態に近づけるために必要であるとき、薬学的に許容可能な補助物質(例えば、緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤、界面活性剤など)を含み得る。添加物は、殺菌剤または安定剤などのさらなる活性成分も含み得る。例えば、前記溶液は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、またはオレイン酸トリエタノールアミンを含み得る。これらの組成物は、従来の周知の滅菌法によって滅菌され得るか、または濾過滅菌され得る。得られた水溶液は、そのまま使用するために包装され得るか、または凍結乾燥され得、その凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌された水溶液と混和される。これらの製剤中のペプチドの濃度は、大きく変動することがあり、選択される特定の投与様式および患者のニーズに従って、主に、液量、粘性、体重などに基づいて選択される。
経腸的(経口)投与の場合は、固体製剤が使用され得る。それらは、例えば、丸剤、錠剤、散剤、またはカプセルとして製剤化され得る。固体組成物の場合、例えば、製薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む従来の無毒性固体担体が使用され得る。経口投与の場合、通常使用される賦形剤(例えば、先に列挙された担体)のいずれかおよび一般に10%〜95%の活性成分(例えば、ペプチド)を組み込むことによって、薬学的に許容可能な無毒性組成物が形成される。非固体製剤も、経腸的投与のために使用できる。前記担体は、石油、動物油、植物油、または合成起源の油を含む様々な油、例えば、落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などから選択され得る。好適な医薬賦形剤としては、例えば、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、穀粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールが挙げられる。
組成物または核酸、ポリペプチド、もしくは抗体は、経口的に投与されるとき、消化から保護され得る。これは、前記核酸、ポリペプチド、もしくは抗体をある組成物と複合体化してそれを酸性のおよび酵素的な加水分解に対して抵抗性にすることによって、または前記核酸、ペプチド、もしくはポリペプチドをリポソームなどの適切に抵抗性の担体の中に詰めることによって、達成できる。消化から化合物を保護する手段は、当該分野で周知である。例えば、Fix,Pharm Res.13:1760−1764,1996;Samanen,J.Pharm.Pharmacol.48:119−135,1996;治療薬の経口送達のための脂質組成物を記載している米国特許第5,391,377号明細書を参照のこと(リポソーム送達は、下記でさらに詳細に論じられる)。
全身投与は、経粘膜的または経皮的手段によるものでもあり得る。経粘膜的または経皮的投与の場合、浸透されるバリアに対して適切な浸透剤が、前記製剤中で使用され得る。そのような浸透剤は、当該分野で広く公知であり、それらとしては、例えば、経粘膜的投与の場合、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が挙げられる。さらに、浸透を促進するために界面活性剤が使用され得る。経粘膜的投与は、点鼻薬によるものまたは坐剤を使用するものであり得る。例えば、Sayani,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.13:85−184,1996を参照のこと。局所的な経皮的投与の場合、前記薬剤は、軟膏、クリーム、膏薬、粉末、およびゲルに製剤化される。経皮的送達系は、例えば、パッチも含み得る。
本発明の観点としての組成物または核酸、ポリペプチド、もしくは抗体は、前記製剤を内部に送達できる持続送達または徐放機序でも投与され得る。例えば、生分解性(biodegradeable)ミクロスフェアもしくはカプセルまたはペプチドの持続送達が可能な他の生分解性ポリマー構造が、本発明の製剤に含められ得る(例えば、Putney,Nat.Biotechnol.16:153−157,1998を参照のこと)。
吸入の場合、本発明の観点としての組成物または核酸、核酸、ポリペプチド、もしくは抗体は、当該分野で公知の任意のシステム(乾燥粉末エアロゾル、液体送達系、空気ジェット噴霧器、噴霧システムなどを含む)を用いて送達され得る。例えば、Patton,Biotechniques 16:141−143,1998;例えば、Dura Pharmaceuticals(カリフォルニア州San Diego)、Aradigrn(カリフォルニア州Hayward)、Aerogen(カリフォルニア州Santa Clara)、Inhale Therapeutic Systems(カリフォルニア州San Carlos)などによる、ポリペプチド高分子用の製品および吸入送達系を参照のこと。例えば、前記医薬製剤は、エアロゾルまたはミストの形態で投与され得る。エアロゾル投与の場合、前記製剤は、微粉化された形態で、界面活性物質および噴霧剤とともに供給され得る。別の態様では、呼吸組織に前記製剤を送達するためのデバイスは、前記製剤を気化させる吸入器である。他の液体送達系としては、例えば、空気ジェット噴霧器が挙げられる。
本発明の医薬を調製する際、薬物動態および体内分布を変化させるために種々の製剤の改変を用いることおよび操作することができる。薬物動態および体内分布を変化させるためのいくつかの方法が、当業者に公知である。そのような方法の例としては、物質(例えば、タンパク質、脂質(例えば、リポソーム、下記を参照のこと)、炭水化物、または合成ポリマー(上で論じられたもの))から構成されるベシクル中での本発明の組成物の保護が挙げられる。薬物動態の一般的な考察については、例えば、Remington’s,Chapter37〜39を参照のこと。
本発明の組成物または核酸、ポリペプチド、もしくは抗体は、当該分野で公知の任意の手段によって、例えば、全身的、局部的、または局所的に(例えば、腫瘍に直接または腫瘍に向かって);動脈内、鞘内(IT)、静脈内(IV)、非経口、胸膜腔内、局所的、経口、または局所投与、皮下、気管内(例えば、エアロゾルによって)、または経粘膜的(例えば、頬側、膀胱、膣、子宮、直腸、鼻の粘膜)に、単独でまたは医薬組成物として送達され得る。投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に公知であるかまたは明らかであり、科学文献および特許文献に詳細に記載されている。例えば、Remington’sを参照のこと。例えば、特定の器官に焦点を合わせた「局部的作用」の場合、1つの投与様式は、例えば、特定の器官、例えば、脳およびCNSに焦点を合わせた動脈内または鞘内(IT)注射を含む(例えば、Gurun,Anesth Analg.85:317−323,1997を参照のこと)。例えば、本発明の核酸、ペプチド、またはポリペプチドを直接脳に送達することが望まれる場合で好ましい場合、頚動脈内注射。高い全身投与量が必要である場合、非経口投与が好ましい送達経路である。非経口的に投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に公知であるかまたは明らかであり、例えば、Remington’sに詳細に記載されている。Bai,J.Neuroimmunol.80:65−75,1997;Warren,J.Neurol.Sci.152:31−38,1997;Tonegawa,J.Exp.Med.186:507−515,1997もまた参照のこと。
1つの態様において、本発明の組成物または核酸、ポリペプチド、もしくは抗体を含む医薬製剤は、脂質単層または二重層、例えば、リポソームに組み込まれる。例えば、米国特許第6,110,490号明細書;同第6,096,716号明細書;同第5,283,185号明細書;同第5,279,833号明細書を参照のこと。本発明の観点は、本発明の水溶性の核酸、ペプチド、またはポリペプチドが、前記単層または二重層の表面に付着した製剤も提供する。例えば、ヒドラジド−PEG−(ジステアロイルホスファチジル)エタノールアミン含有リポソームにペプチドが付着され得る(例えば、Zalipsky,Bioconjug.Chem.6:705−708,1995を参照のこと)。リポソームまたは任意の形態の脂質膜(例えば、平面脂質膜またはインタクトな細胞、例えば、赤血球の細胞膜)が使用され得る。リポソーム製剤は、静脈内、経皮的(例えば、Vutla,J.Pharm.Sci.85:5−8,1996を参照のこと)、経粘膜的、または経口的な投与を含む任意の手段によるものであり得る。本発明は、本発明の核酸、ペプチド、および/またはポリペプチドがミセルおよび/またはリポソーム内に組み込まれた医薬品も提供する(例えば、Suntres,J.Pharm.Pharmacol.46:23−28,1994;Woodle,Pharm.Res.9:260−265,1992を参照のこと)。リポソームおよびリポソーム製剤は、標準的な方法に従って調製され得、それらは、当該分野で周知でもある。例えば、Remington’s;Akimaru,Cytokines Mol.Ther.1:197−210,1995;Alving,Immunol.Rev.145:5−31,1995;Szoka,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467,1980、米国特許第4,235,871号明細書、同第4,501,728号明細書、および同第4,837,028号明細書を参照のこと。
1つの態様において、前記組成物は、身体からの急速な排出から前記タンパク質を保護する担体を用いて調製される(例えば、植込錠およびマイクロカプセル化された送達系を含む放出制御製剤)。生分解性の生体適合性ポリマー(例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)が使用され得る。そのような製剤を調製するための方法は、当業者に明らかである。当該材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Incから商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、薬学的に許容可能な担体として使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号明細書に記載されているような当業者に公知の方法に従って調製され得る。
投与を容易にするためおよび投与量を均一にするために、投薬単位形態(dosage unit form)で経口または非経口組成物を製剤化することが有益である。本明細書中で使用される投薬単位形態は、処置される被験体に対する単位投与量として適した物理的に別個の単位のことを指す;各単位は、要求される薬学的担体と共同して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性な化合物を含む。
そのような化合物の毒性および治療効果は、例えば、LD50(集団の50%に対する致死量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を測定するために、細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順によって測定され得る。毒性効果と治療効果の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50比として表現され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を使用することができるが、非感染細胞に対する潜在的な損害を最小にし、それにより、副作用を減少させるために、そのような化合物を罹患組織の部位に標的化する送達系を設計するように注意すべきである。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトにおいて使用するためのある範囲の投与量を製剤化する際に使用され得る。そのような化合物の投与量は、好ましくは、ほとんどまたはまったく毒性無しにED50を含む循環濃度の範囲内に入る。その投与量は、使用される剤形および用いられる投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。本発明の方法において使用される任意の化合物の場合、治療的に有効な用量は、最初は細胞培養アッセイから見積もられ得る。例えば、炎症または望ましくない炎症を伴う障害の動物モデルにおいて、細胞培養物において測定されたIC50(すなわち、最大半量の症状阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度の範囲を達成する用量が製剤化され得る。そのような情報を用いることにより、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、一般に標識された物質の例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。研究、例えば、前臨床プロトコルにおいて有用な動物モデルは、当該分野で公知であり、例えば、Sonderstrup(Springer,Sem.Immunopathol.25:35−45,2003)およびNikula et al.,Inhal.Toxicol.4(12):123−53,2000)に記載されたものなどの炎症性障害についての動物モデルである。
本明細書中で定義されるとき、抗体などのワクチン組成物、タンパク質、またはポリペプチドの治療有効量(すなわち、有効な投与量)は、約0.001〜30mg/kg体重、例えば、約0.01〜25mg/kg体重、約0.1〜20mg/kg体重、または約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kg、もしくは5〜6mg/kg体重の範囲である。前記タンパク質またはポリペプチドは、約1〜10週間、例えば、2〜8週間、約3〜7週間、または約4、5、もしくは6週間にわたって、1日または1週間あたり1回または数回投与され得る。場合によっては、前記投与量は、数ヶ月間またはそれ以上にわたって必要とされ得る。当業者は、ある特定の因子(これに限定されるものではないが、疾患または障害の重症度、以前の処置、被験体の全般的な健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含む)が、被験体を効果的に処置するために必要とされる投与量およびタイミングに影響し得ることを認識するだろう。さらに、治療有効量の薬剤(例えば、タンパク質またはポリペプチド(抗体を含む))での被験体の処置は、単回の処置を含み得るか、または好ましくは、ひと続きの処置を含み得る。
抗体の場合、前記投与量は、一般に、約10mg/kg体重(例えば、10mg/kg〜20mg/kg)である。部分的ヒト抗体および完全ヒト抗体は、一般に、ヒトの体内で他の抗体よりも長い半減期を有する。したがって、より少ない投与量およびより低い頻度の投与が可能であることが多い。脂質化などの修飾を用いることにより、抗体を安定化すること、ならびに取り込みおよび組織透過(例えば、脳への)を増加させることができる。抗体を脂質化するための方法は、Cruikshank et al.,J.Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology,14:193,1997)に記載されている。
本発明の観点は、有効免疫量の単離されたClostridium difficile芽胞抗原タンパク質および薬学的に許容可能な担体を含む組成物を包含し、前記組成物は、Clostridium difficile菌の感染を減少させるかまたは排除するために脊椎動物被験体において有効である。
前記医薬組成物は、投与のための指示書とともに、容器、パック、またはディスペンサーに含められ得る。
本明細書中に記載される化合物は、本明細書中に記載される任意の処置方法において使用するための医薬の調製のために使用され得る。
前記医薬組成物は、通常、滅菌された実質的に等張性のものとして、かつ米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)の適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)のすべての規制を全面順守して、製剤化される。
処置レジメン:薬物動態
本発明の医薬組成物態様は、投与方法に応じて種々の単位剤形で投与され得る。典型的なワクチン組成物または核酸、ペプチド、およびポリペプチド、ならびに抗体医薬組成物に対する投与量は、当業者に周知である。そのような投与量は、典型的には助言的な性質のものであり、特定の治療的背景または患者の寛容に応じて調整される。これを達成するのに適切な核酸、ペプチド、またはポリペプチドの量は、「治療的に有効な用量」と定義される。この用途にとって有効な投与スケジュールおよび投与量、すなわち、「投与レジメン」は、種々の因子(疾患または状態のステージ、疾患または状態の重症度、患者の全般的な健康状態、患者の身体状態、年齢、医薬製剤、および活性物質の濃度などを含む)に依存する。ある患者に対する投与レジメンを計算する際、投与様式も考慮される。前記投与レジメンは、薬物動態、すなわち、医薬組成物の吸収速度、バイオアベイラビリティ、代謝、クリアランスなども考慮しなければならない。例えば、最新のRemington’s;Egleton,Peptides 18:1431−1439,1997;Langer,Science 249:1527−1533,1990を参照のこと。
治療上の用途では、Clostridium difficile菌の感染のリスクがあるかまたは活動性感染に罹患している患者に、当該状態またはある疾患および/もしくはその合併症を少なくとも部分的に停止するかまたは妨害するのに十分な量で組成物が投与される。例えば、1つの態様において、静脈内(IV)投与に対する可溶性ペプチド医薬組成物の投与量を含むワクチン組成物は、数時間(典型的には、1、3、または6時間)にわたって投与される約0.01mg/hr〜約1.0mg/hrであり得、それは、数週間にわたって間欠サイクルで反復され得る。特に当該薬物が血流ではなく隔離された部位(例えば、体腔または器官の内腔、例えば、脳脊髄液(CSF))に投与されるとき、上記よりもかなり高い投与量(例えば、約10mg/mlまでの範囲)が使用され得る。
処置方法
本発明の組成物を投与することによって、ある障害のリスクがある(またはそれに対して感受性の)被験体を処置する予防的方法と治療的方法の両方、またはClostridium difficile菌の感染を予防もしくは処置する方法も本明細書中に記載される。
予防的方法
本発明の観点は、有効免疫量のタンパク質および薬学的に許容可能な担体を含む組成物を投与することによって、被験体において、Clostridium difficile菌の感染もしくは保菌またはその両方を予防または処置するための方法に関し、前記組成物は、脊椎動物被験体においてClostridium difficile菌の感染を減少させるかまたは排除するために有効である。Clostridium difficile菌の感染および保菌によって引き起こされるかもしくはそれに関与する障害または望ましくない症状のリスクがある被験体は、例えば、本明細書中に記載されるかまたは当該分野で公知であるような診断または予後診断アッセイの任意の組み合わせによって識別され得る。通常、そのような障害は、胃腸障害(例えば、腹部膨満、下痢、および腹痛)を伴う。予防薬としての前記物質の投与は、前記物質の非存在下の症状と比べて前記症状が予防されるか、遅延されるか、または減少するように、症状が顕れる前に行われ得る。
治療的方法
本発明の観点は、有効免疫量のタンパク質および薬学的に許容可能な担体を含む組成物を投与することによって、被験体において、Clostridium difficile菌の感染または保菌を予防または処置するための方法に関し、前記組成物は、脊椎動物被験体においてClostridium difficile菌の感染を減少させるかまたは排除するために有効である。別の実施形態において、有効量の抗体および薬学的に許容可能な担体を含む組成物を投与することによって、被験体において、Clostridium difficile菌の感染または保菌を予防または処置するための方法に関し、前記組成物は、脊椎動物被験体においてClostridium difficile菌の感染を減少させるかまたは排除するために有効である。
キット
本発明は、前記組成物、例えば、核酸、発現カセット、ベクター、細胞、ポリペプチド、および抗体を有するキットを提供する。前記キットは、本明細書中に記載されるような本発明の方法および使用法を教示する指示材料も有し得る。
本発明を実施するための特定の態様の以下の例は、例証目的のためだけに提供されており、決して本発明の範囲を限定すると意図されていない。
実施例1:C.difficile BclA3タンパク質の発現および精製
強毒性株R20291由来のC.difficile BclA3配列を、NCBI公的データベース(アクセッション番号:FN545816(領域:3807430〜3809466))から得た。標準的な分子生物学的方法を用いて、BclA3遺伝子のシグナルペプチドおよび膜貫通領域を除去し、HAVT20リーダー配列、Hisタグ、およびKozak配列を付加した後、AscIおよびHpaI制限酵素部位を用いて、当該構築物をpcDNA3002Neoプラスミドにクローニングした(配列ID番号23)。続いて、BclA3の前記配列を哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化した。
BclA3に対応するプラスミドDNAを、Qiagen製のEndoFree Gigaキットを使用して、グリセロールストックから増殖させた培養物から抽出した。前記プラスミドDNAの同一性を、AscIおよびHpaI制限酵素による制限消化によって確認した(図1Aを参照のこと)。
BclA3タンパク質の大規模発現のためにHEK293F細胞において大規模トランスフェクション(300ml)を行った。合計3×10細胞を300μgのBclA3プラスミドDNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後および7日後に遠心分離によって上清を回収した。トランスフェクトされた上清を、0.22μmフィルターで濾過し、AktaPurifier FPLCを使用してNiカラム(HisTRAP HP,GE Healthcare)で精製した(FPLC手順については表3を参照のこと)。溶出されたタンパク質の緩衝液をD−PBSに交換し、BCAアッセイによってタンパク質濃度を測定した。合計16mgのタンパク質が、300mlの培養物から精製された。精製されたタンパク質を、サイズ測定のためにSDS−PAGEで泳動し、ニトロセルロース膜に転写し、それを、抗Hisタグ抗体をプローブとして探索することにより、Hisタグを含む正しいサイズのタンパク質が得られていたかを確認した(図1Bを参照のこと)。予測サイズよりも大きいタンパク質が得られ、それはおそらく、当該タンパク質が哺乳動物細胞内での発現によってグリコシル化されたことに起因することを本発明者らは見出した。当該タンパク質の同一性をさらに確認するために、質量分析を使用した。
表3:トランスフェクトされた上清のHisTRAP HP精製のための手順
Figure 2014515594
Figure 2014515594
実施例2:C.difficile Alrタンパク質の発現および精製
強毒性株R20291由来のC.difficile Alr配列を、NCBI公的データベース(アクセッション番号:FN545816(領域:3936313〜3937470))から得た。標準的な分子生物学的方法を用いて、Alr遺伝子のシグナルペプチドおよび膜貫通領域を除去し、HAVT20リーダー配列、Hisタグ、およびKozak配列を付加した後、AscIおよびHpaI制限酵素部位を用いて、当該構築物をpcDNA3002Neoプラスミドにクローニングした(配列ID番号24)。続いて、Alrの前記配列を哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化した。
Alrに対応するプラスミドDNAを、Qiagen製のEndoFree Gigaキットを使用して、グリセロールストックから増殖させた培養物から抽出した。前記プラスミドDNAの同一性を、AscIおよびHpaI制限酵素による制限消化によって確認した(図2Aを参照のこと)。
Alrタンパク質の大規模発現のためにHEK293F細胞において大規模トランスフェクション(300ml)を行った。合計3×10細胞を300μgのAlrプラスミドDNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後および7日後に遠心分離(室温において3000rpmで15分間)によって上清を回収した。トランスフェクトされた上清を、0.22μmフィルターで濾過し、AktaPurifier FPLCを使用してNiカラム(HisTRAP HP,GE Healthcare)で精製した(FPLC手順については表3を参照のこと)。溶出されたタンパク質の緩衝液をD−PBSに交換し、BCAアッセイによってタンパク質濃度を測定した。合計34mgのタンパク質が、300mlの培養物から精製された。溶出されたタンパク質が、当該タンパク質が濃縮されるにつれて濃くなる異なる黄色であるという事実は興味深かった。精製されたタンパク質を、サイズ測定のためにSDS−PAGEで泳動し、ニトロセルロース膜に転写し、それを、抗Hisタグ抗体をプローブとして探索することにより、Hisタグを含む正しいサイズのタンパク質が得られていたかを確認した(図2Cを参照のこと)。当該タンパク質は、正しいサイズに泳動したが、前記抗Hisタグ抗体に結合せず、これは当該タンパク質のフォールディングに起因し得ることを本発明者らは見出した。本発明者らは、より大きいバンドが非還元サンプルにおいて観察され、当該ゲルがベータ−メルカプトエタノールで処理されたサンプルでは正しいサイズのバンドに分離されたので、タンパク質の凝集が生じている可能性があることを証明した(図2B)。当該タンパク質の同一性を確認するために、質量分析を使用した。
実施例3:C.difficile SlpAパラログタンパク質の発現および精製
強毒性株R20291由来のC.difficile SlpAパラログ配列を、NCBI公的データベース(アクセッション番号:FN545816(領域:3157304〜3159175))から得た。標準的な分子生物学的方法を用いて、SlpAパラログ遺伝子のシグナルペプチドおよび膜貫通領域を除去し、HAVT20リーダー配列、Hisタグ、およびKozak配列を付加した後、AscIおよびHpaI制限酵素部位を用いて、当該構築物をpcDNA3002Neoプラスミドにクローニングした(配列ID番号25)。続いて、SlpAパラログの前記配列を哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化した。
SlpAパラログに対応するプラスミドDNAを、Qiagen製のEndoFree Gigaキットを使用して、グリセロールストックから増殖させた培養物から抽出した。前記プラスミドDNAの同一性を、AscIおよびHpaI制限酵素による制限消化によって確認した(図3Aを参照のこと)。
SlpAパラログタンパク質の大規模発現のためにHEK293F細胞において大規模トランスフェクション(300ml)を行った。合計3×10細胞を300μgのSlpAパラログプラスミドDNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後および7日後に遠心分離(室温において3000rpmで15分間)によって上清を回収した。トランスフェクトされた上清を、0.22μmフィルターで濾過し、AktaPurifier FPLCを使用してNiカラム(HisTRAP HP,GE Healthcare)で精製した(FPLC手順については表3を参照のこと)。溶出されたタンパク質の緩衝液をD−PBSに交換し、BCAアッセイによってタンパク質濃度を測定した。合計14mgのタンパク質が、300mlの培養物から精製された。精製されたタンパク質を、サイズ測定のためにSDS−PAGEで泳動し、ニトロセルロース膜に転写し、それを、抗Hisタグ抗体をプローブとして探索することにより、Hisタグを含む正しいサイズのタンパク質が得られていたかを確認した(図3Bを参照のこと)。当該タンパク質は、84kDaという正しいサイズに泳動したが、前記抗Hisタグ抗体に結合せず、これは当該タンパク質のフォールディングに起因し得ることを本発明者らは見出した。当該タンパク質の同一性を確認するために、質量分析を使用した。
実施例4:C.difficile CD1021タンパク質の発現および精製
C.difficile CD1021核酸配列を、NCBI公的データベース(アクセッション番号:AM180355(領域:1191725〜1193632;国際公開第2009/108652号パンフレットもまた参照のこと)から得た。標準的な分子生物学的方法を用いて、CD1021遺伝子のシグナルペプチドおよび膜貫通領域を除去し、HAVT20リーダー配列、Hisタグ、およびKozak配列を付加した後、AscIおよびHpaI制限酵素部位を用いて、当該構築物をpcDNA3002Neoプラスミドにクローニングした(配列ID番号26)。続いて、CD1021の前記核酸配列を哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化した。
CD1021に対応するプラスミドDNAを、Qiagen製のEndoFree Gigaキットを使用して、グリセロールストックから増殖させた培養物から抽出した。前記プラスミドDNAの同一性を、AscIおよびHpaI制限酵素による制限消化によって確認した(図4Aを参照のこと)。
CD1021タンパク質の大規模発現のためにHEK293F細胞において大規模トランスフェクション(300ml)を行った。合計3×10細胞を300μgのCD1021プラスミドDNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後および7日後に遠心分離(室温において3000rpmで15分間)によって上清を回収した。トランスフェクトされた上清を、0.22μmフィルターで濾過し、AktaPurifier FPLCを使用してNiカラム(HisTRAP HP,GE Healthcare)で精製した(FPLC手順については表3を参照のこと)。溶出されたタンパク質の緩衝液をD−PBSに交換し、BCAアッセイによってタンパク質濃度を測定した。合計10mgのタンパク質が、300mlの培養物から精製された。精製されたタンパク質を、サイズ測定のためにSDS−PAGEで泳動し、ニトロセルロース膜に転写し、それを、抗Hisタグ抗体をプローブとして探索することにより、Hisタグを含む正しいサイズのタンパク質が得られていたかを確認した(図4Cを参照のこと)。予測サイズより大きいタンパク質が得られ、それはおそらく、当該タンパク質が哺乳動物細胞内での発現によってグリコシル化されたことに起因することを本発明者らは見出した。当該タンパク質の同一性をさらに確認するために、質量分析を使用した。
実施例5:C.difficile FliDタンパク質の発現および精製
FliD遺伝子をC.difficileのR20291株から取り出し、それは、いくつかの株(ATCC43255、630、およびCD196)の間で88%保存されていると判定された。標準的な分子生物学的方法を用いて、FliD遺伝子のシグナルペプチドおよび膜貫通領域を除去し、HAVT20リーダー配列、Hisタグ、およびKozak配列を付加した後、AscIおよびHpaI制限酵素部位を用いて、当該配列をpcDNA3002Neoプラスミドにクローニングした(配列ID番号30)。続いて、FliDの前記核酸配列を哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化した。
前記プラスミドDNAを、グリセロールストックから増殖させた培養物から抽出した。前記プラスミドDNAを、Qiagen製のEndoFree Gigaキットを使用して抽出した。大量のFliDタンパク質を得るためにHEK293F細胞において大規模トランスフェクション(300ml)を行った。合計3×10細胞を300μgのFliDプラスミドDNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後および7日後に遠心分離(室温において3000rpmで15分間)によって上清を回収した。トランスフェクトされた細胞の上清を、0.22μmフィルターで濾過し、AktaPurifier FPLCを使用してNiカラム(HisTRAP HP,GE Healthcare)に通した(FPLC手順については表3を参照のこと)。溶出されたタンパク質の緩衝液をD−PBSに交換し、BCAアッセイによって濃度を測定した。合計68mgのタンパク質が、300mlの培養物から精製された。精製されたタンパク質をSDS−PAGEゲルにおいて泳動して、そのサイズを確認した(図6を参照のこと)。当該タンパク質は、55kDaであると予測されたが、しかしながら、予想された約65kDaよりも大きいサイズに泳動した。そのより大きいサイズは、当該タンパク質が哺乳動物細胞によってグリコシル化されたことに起因し得るかまたは二量体化に起因し得る。質量分析によって、当該タンパク質が、FliDタンパク質であると同定された。
実施例6:マウスにおけるC.difficile芽胞抗原に対する抗体の作製
抗体産生のために、リン酸緩衝食塩水(PBS;pH7.2)中の2〜50μgの組換えタンパク質(または筋肉内(im)注射による、抗原をコードするDNA)と、投与経路に応じて、等体積のフロイント完全アジュバント(Difco,BD Biosciences,カナダオンタリオ州Oakville)または別の好適なアジュバントとを混合したものを、5〜12週齢のBALB/cマウスの対(Charles River,マサチューセッツ州Wilmingtonまたは別の供給源由来)の皮下または腹腔内に接種する(1日目)。PBS中の2〜25μgの組換えタンパク質(またはim注射によるDNA)と等量の好適なアジュバント(フロイント不完全アジュバント(Difco)とを混合したものを、21、35、および50日目に皮下(またはip)に追加免疫注射する。当該マウスに、PBS中の0.5〜5μgの組換えタンパク質の最後の追加免疫をip、iv(またはDNAの場合はim)で行い、3日後に屠殺する。
好適な96ウェルまたは類似のプレート(例えば、MaxiSorpTM,Nalge−NUNC,ニューヨーク州Rochester)を使用して、Berry et al.(2004)に記載されているように、前記接種プロトコル中に前記マウスから回収された血清を使用する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)または他の好適なアッセイによって、前記抗原または芽胞全体に対する血清IgG応答をモニターする。当該アッセイプレートは、組換え抗原またはネガティブコントロールとしてウシ血清アルブミン(BSA)もしくは別の好適なタンパク質で、各々1ウェルあたり75〜1000ngでコーティングされる。いったん十分なIgG力価が検出されたら(例えば、ELISAアッセイにおける、バックグラウンドよりも少なくとも3〜5倍高い405nmにおけるOD)、当該マウスに最後のプッシュブースト(push boost)を投与し、屠殺する。脾臓および/またはリンパ節を単離し、記載されているように(Berry et al.,2004)ハイブリドーマの作製および増殖を行う。続いて、mAbの回収、濃縮およびアイソタイピングを、以前に記載されているように(Berry et al.,2004)行う。
あるいは、CD38+またはCD138+リンパ芽球を、単一細胞選別またはバルク選別(FACSによるか、または適切なカラムを用いて)を用いて単離し、回収されたRNAを、ファージまたはカセットを使用する、mAbに対する発現スクリーニングのために使用する。免疫血清および免疫前血清(PBS中の0.2%BSAで1:2000希釈されたもの)を、それぞれポジティブおよびネガティブコントロールとして使用する。HiTrapTM Protein G HPまたは別の好適なカラムを製造者の指示書(Amersham Biosciences,スウェーデンUppsala)に従って使用して、前記mAbを精製する。緩衝液をPBSに交換した後、Micro BCA Protein Assayキットを製造者の指示書(Pierce,イリノイ州Rockford)に従って使用して、mAb濃度を測定する。必要に応じて、適切なB細胞感作を示唆する高力価IgG応答を誘発するためにトランスジェニックマウスにさらなる追加免疫を投与することができる。
実施例7:ウサギにおけるC.difficile芽胞抗原に対する抗体の作製
抗体産生のために、2匹のウサギにおいて、0日目に事前採血を行った後、リン酸緩衝食塩水(PBS;pH7.2)中の50〜200μgの組換えタンパク質と等体積のフロイント完全アジュバントとを混合したものを皮下に(SQ)免疫する。PBS中の20〜100μgの組換えタンパク質と等量のフロイント不完全アジュバントとを混合したものを、28、47、および66日目に皮下に追加免疫する。当該ウサギの異なる4つの部位に;後四半身に2ヶ所および肩甲骨に2ヶ所免疫する。穏やかな乳化を可能にするルアーロック(luer−lok)コネクターを使用して免疫注射を調製する。当該ウサギにおいて、59日目に試験採血および78日目に最後の採血を行う。前記最後の採血は、当該動物が麻酔下である状態で行う。
好適な96ウェルプレート(例えば、MaxiSorpTM,Nalge−NUNC,ニューヨーク州Rochester)を用いて、試験採血中にウサギから回収された血清を使用する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)または他の好適なアッセイによって、前記タンパク質に対する血清Ab応答をモニターする。前記プレートは、組換えタンパク質またはネガティブコントロールとしてウシ血清アルブミン(BSA)もしくは他のタンパク質で、両方とも1ウェルあたり75〜1000ngでコーティングされる。免疫血清および免疫前血清(PBS中の0.2%BSAで1:2000希釈されたもの)は、それぞれポジティブおよびネガティブコントロールとして機能する。いったん十分なAb価が検出されたら(ELISAアッセイにおける、バックグラウンドよりも少なくとも3〜5倍高い405nmにおけるOD)、当該ウサギに最後の追加免疫を投与し、最後の採血を行う。前記力価が十分でない場合、当該ウサギは、さらなる追加免疫を投与される。プロテインAカラムを使用して前記最後の採血からpAbを精製し、その後、緩衝液をPBSに交換し、pAb濃度を測定する。
実施例8:ハムスターにおけるClostridium difficile芽胞抗原(能動免疫)の防御作用の試験
ゴールデンシリアンハムスター(雌,6〜7週齢)を、芽胞抗原をコードするDNA(10μg/ハムスター)で2回(V1、V2、それぞれ1および28日目)およびそれぞれの組換えタンパク質(10μg/ハムスター)で1回(V3,35日目)、免疫する(i.d.)。下記の線図を参照のこと。抗体産生を試験するために各ワクチン接種後に採血を行う(ELISA)。最後のワクチン接種の1週間後、ハムスターをクリンダマイシン(30mg/kg,経口)で処置する。抗生物質処置の12時間後に、動物の経口胃内に(orogastrically)C.difficileB1株の100個の芽胞(0.2mlの食塩水中)をチャレンジし、臨床的徴候について毎日モニターする。不可逆的な瀕死状態を示している任意の動物を人道的理由のために安楽死させ、残りの生存ハムスターをチャレンジの7日後に安楽死させる。臨床的徴候、生存率、および安楽死させた時点において盲腸に回収された芽胞の数を測定することによって、防御を評価する。防御抗原は、当該日数にわたって、回収される芽胞の数の減少ならびに芽胞の排出(spore shedding)の減少を引き起こし、生存の改善をもたらすと予測される。
Figure 2014515594
実施例9:ハムスターにおけるClostridium difficile芽胞抗原に対する抗体の防御作用の試験
A.初回チャレンジモデル
芽胞抗原に対するmAbの防御能を試験するために、合計4日間にわたって(C.difficile芽胞の投与の72、48、24、および0時間前に)単独または併用でi.p.送達される前記抗体(50mg/kg/日)でハムスターを処置する。C.difficileのB1株の100個の芽胞の経口胃内送達の12時間前にクリンダマイシンを動物の腹腔内に注射する。すべてのハムスターが疾患のために死亡するかまたは疾患の症状が無くなるまで、死亡について毎日ハムスターを観察する。抗体が単独で提供されるとき、それらは、生存を50%上昇させると予測され、この防御は、5日目の後に減弱し得る(20%)。抗体処置は、剖検時の便中のCFUを1log減少させるとも予測される。さらに、併用療法は、2日目に防御を95%に高め、ならびに当該研究全体にわたって有意な防御(50%)をもたらし、CFUを2log減少させると予測される。
B.再発モデル
C.difficileを排除する抗生物質での処置は、栄養型細菌を殺滅するが、芽胞を残す。これは、再発性感染の根底にある主な問題であり、患者は、抗生物質処置間にCDADのエピソードを有する。前記抗体が再発の状況において死亡を阻止するか否かを判定するために、ハムスター再発モデルを用いることができる(Babcock et al.,2009)。このモデルでは、C.difficile疾患から保護するバンコマイシンでハムスターを処置するが、バンコマイシン処置が中断されると、ハムスターは、疾患を再発する。ハムスターに上記のようにクリンダマイシンを投与し、12時間後に、C.difficileのB1株の芽胞を経口胃内にチャレンジする(100,000CFU)。芽胞をチャレンジした日およびその後2日間にわたって毎日、バンコマイシン(10mg/kg/日)を提供する。芽胞チャレンジ後の2〜6日目にmAbの組み合わせで(50mg/kg/日)ハムスターを処置する。前記組み合わせによる処置は、バンコマイシンだけを投与されたハムスターの40%と比べて、前記ハムスターの70%において再発を阻止すると予測される。処置は、細菌の排出を減少させるとも予測される(バンコマイシン(vancoumycin)単独群における1logに対して2log)。前記mAbが個別に使用されたときも、生存が改善されると予測されるが、45%という生存および便中に回収されるCFUの1logという低下であり、それほど有意ではない。
実施例10:mAbを産生させるための芽胞抗原によるマウスの免疫化
mAbを産生させるために芽胞抗原でマウスを免疫した。各抗原群は、4匹のマウスを有し、それらに、5μg/マウスのCpGを含む70%PBS+30%Emulsigen中の10μg/マウスの精製抗原をi.p.で免疫/追加免疫した。前記マウスにおいて、最初の免疫の後、1週間あたり1回にて3回追加免疫を行った。最後の採血の前に、前記マウスにおいて最後の追加免疫(PBS中、4μg/マウス)を行った。次いで、芽胞抗原に対するmAbを含む血清を特徴付ける。
実施例11:インビトロでの芽胞抗原mAbの特徴付け
1)ELISA検出。このアッセイは、C.difficile芽胞抗原で免疫されたマウス由来の抗体と芽胞抗原および芽胞全体との結合を試験するために行われた。抗C.difficile芽胞(ATCC43255)ポリクローナル抗体を、当該アッセイに対するポジティブコントロールとして使用する。
a)芽胞全体のELISA。芽胞のアリコートを解凍し、コーティング緩衝液で10芽胞/mlの濃度に希釈した。100μlの体積の芽胞(10芽胞/ウェル)を96ウェルELISAプレートの各ウェルに加えた。前記プレートを密閉し、室温で一晩放置した。
翌日、前記プレートを、1回の洗浄あたり300μl/ウェルのPBSTを用いて3回洗浄して、付着していない任意の芽胞を除去した。密閉されたプレートを、PBS pH7.4中の5%脱脂乳(300μl/ウェル)を用いて37℃で1.5時間、ブロッキングした。ブロッキングの後、前記プレートを、1回の洗浄あたり300μl/ウェルのPBSTを用いて3回洗浄して、ブロッキング緩衝液を除去した。1次抗体(免疫されたマウス由来のマウス血清)を、1/100の希釈から開始して1:2で段階希釈した。ポジティブコントロールとして使用した抗C.difficile芽胞ポリクローナルAb(pAb)は、1/1000に希釈した。前記抗体希釈物を前記プレートの適切なウェルに充填した(100μl/ウェル)。前記プレートを密閉し、37℃で1時間放置してインキュベートした。1°Abインキュベートの後、前記プレートを、1回の洗浄あたり300μl/ウェルのPBSTを用いて3回洗浄して、未結合1°Abを除去した。任意の結合1°Abを検出するために、適切な2次抗体を、推奨される製造者の希釈で使用し、前記プレートの適切なウェルに充填した(100μl/ウェル)。前記プレートを密閉し、37℃で1時間放置してインキュベートした。2°Abインキュベートの後、前記プレートを、1回の洗浄あたり300μl/ウェルのPBSTを用いて3回洗浄して、未結合2°Abを除去した。任意の結合抗体を検出するために、ペルオキシダーゼ基質を各ウェルに充填し(100μl/ウェル)、10〜30分間、室温の暗所に放置してインキュベートした。インキュベート後、停止液(50μl/ウェル)を使用して反応を停止し、前記プレートを450nmで読み出した。
結果:芽胞全体のELISAは、図7、8、9、および10に示されるように、様々な芽胞抗体が、単離されたC.difficile芽胞株ATCC43255に結合したことを示した。
b)芽胞抗原のELISA。前記芽胞抗原を、0.03μg/μLの濃度にコーティング緩衝液で希釈した。100μlの体積の前記希釈物を96ウェルELISAプレートの各ウェルに加えた。前記プレートを密閉し、室温で一晩放置した。
翌日、前記プレートを、1回の洗浄あたり300μl/ウェルのPBSを用いて3回洗浄して、任意の未結合抗原を除去した。密閉されたプレートを、1%BSA(300μl/ウェル)を用いて室温で少なくとも1.5時間、ブロッキングした。ブロッキングの後、前記プレートを、1回の洗浄あたり300μl/ウェルのPBSを用いて3回洗浄して、ブロッキング緩衝液を除去した。1次抗体(免疫されたマウス由来のマウス血清)を、1/50の希釈から開始して1:2で段階希釈した。ポジティブコントロールとして使用した抗C.difficile芽胞ポリクローナルAb(pAb)は、1/50の希釈から開始して1:2で段階希釈した。前記抗体希釈物を前記プレートの適切なウェルに充填した(100μl/ウェル)。前記プレートを密閉し、室温で少なくとも1時間放置してインキュベートした。1°Abインキュベートの後、前記プレートを、1回の洗浄あたり300μl/ウェルのPBSを用いて3回洗浄して、未結合1°Abを除去した。任意の結合1°Abを検出するために、適切な2次抗体を、推奨される製造者の希釈で使用し、前記プレートの適切なウェルに充填した(100μl/ウェル)。前記プレートを密閉し、室温で少なくとも1時間放置してインキュベートした。2°Abインキュベートの後、前記プレートを、1回の洗浄あたり300μl/ウェルのPBSTを用いて3回洗浄して、未結合2°Abを除去した。任意の結合抗体を検出するために、アルカリホスファターゼ基質を各ウェルに充填し(100μl/ウェル)、少なくとも1時間、室温の暗所に放置してインキュベートした。前記プレートを405nmで読み出した。
結果:前記芽胞抗原のELISAの結果は、図11〜14に示されるように、マウスにおいて産生された芽胞抗体が精製C.difficile芽胞抗原に結合することを示唆する。
2)発芽アッセイ。このアッセイは、C.difficile芽胞抗原で免疫されたマウスから得られた血清を芽胞発芽の阻害についてスクリーニングするために行われた。当該アッセイの前提は、芽胞が発芽する時間とともに、読み出されるO.D.が低下するはずであるということである。血清中の抗体が発芽を阻害する場合、O.D.は未処理の芽胞と比べて経時的にゆっくり低下するはずである。当該アッセイに対するポジティブコントロールとして抗C.difficile芽胞(ATCC43255)ポリクローナル抗体を使用する。
精製されたばかりの芽胞を使用して芽胞懸濁液(10芽胞/処置)を調製し、それを60℃の水浴において20分間、加熱によって活性化し、次いで、室温に冷却した。前記芽胞を2分間超音波処理して、任意の凝集塊を破壊する。200μlの体積の前記懸濁液を新しいチューブに移し、1μlのpAbを加えた。前記チューブを氷上で30分間インキュベートした。次いで、前記チューブに発芽培地(800μlのBHIT−G)を加え、内容物をキュベットに移した。前記キュベットを、1時間にわたって10分毎に読み出す(O.D.@600nm)。読み出しと読み出しの間、前記キュベットをシェーカー上において(50rpm)37℃でインキュベートする。
結果:前記pAbを用いた発芽アッセイは、芽胞を認識する抗体が、発芽の開始を遅延させることができることを示す(図15)。
実施例12:ウエスタンブロット試験
C.difficile芽胞抗原で免疫されたマウス由来の抗体の、芽胞表面上に発現されたタンパク質に対する認識を試験するために、ウエスタンブロットを行った。
SDS抽出緩衝液および尿素抽出緩衝液を使用することによって、ATCC43255芽胞からタンパク質抽出物を調製した。前記タンパク質抽出物を、4つの組換え芽胞抗原タンパク質の混合物とともに2枚の12%SDS−PAGEゲルにおいて泳動した。一方のゲルは、クマシーブルーで染色してタンパク質バンドを可視化した;他方のゲルは、ニトロセルロース膜に転写し、抗芽胞全体ポリクローナルAbでブロットした。尿素抽出物を、別個のSDS−PAGEゲルにおいて泳動した;各個別のゲルを、異なる芽胞抗原で免疫されたマウス由来の血清でブロットした。
a)タンパク質抽出。ATCC43255芽胞(3×10)をPBSで洗浄し、1mLのSDS抽出緩衝液(62.5mM Tris−HCl,pH6.8;25%グリセロール;2%SDS;5%β−メルカプトエタノール、および0.01%ブロモフェノールブルー)で再懸濁し;サンプルを15分間煮沸し、0.2μmフィルターに通して芽胞を除去した。
ATCC43255芽胞(3×10)をPBSで洗浄し、1mLの尿素抽出緩衝液(50mM Tris−HCl中の、8M尿素および10%β−メルカプトエタノール)で再懸濁し;サンプルを10分毎にボルテックスして30℃で2時間インキュベートし、0.2μmフィルターに通して芽胞を除去した。
b)ウエスタンブロット:i)転写:事前浸漬されるフィルターパッド、ニトロセルロース、およびWhatman紙を、1×転写緩衝液中に20分間置いた。前記ゲルを、1×転写緩衝液中の前記フィルターパッド、ニトロセルロース、およびWhatman紙と5分間平衡化した。2〜8℃で1時間、100Vにおいて転写を行った。ii)染色:前記膜を、室温において1時間、5%脱脂乳でブロッキングした。前記膜を室温のTBS−Tで3×10分間洗浄した。前記膜を、タンパク質の面を上にして、20mLの1°抗体(1:1000)溶液の入った容器に入れ、2〜8℃で18〜24時間インキュベートした。前記膜を室温のTBS−Tで3×10分間洗浄した。次いで、前記膜を、タンパク質の面を上にして、20mLの2°抗体(1:10000)溶液の入った容器に入れ、室温で2時間インキュベートした。前記膜を室温のTBS−Tで3×10分間洗浄した。iii)検出:SIGMAFAST(商標)BCIP(登録商標)/NBT錠を冷凍庫から取り出し、室温に温めた。2錠を20mL(2×)のLWに入れ、溶解するまでボルテックスした。前記膜を、SIGMAFAST(商標)BCIP(登録商標)/NBTとともに、およそ30秒間または所望の強度に達するまでインキュベートした。次いで、過剰染色を防ぐために、前記膜を大量のLWで洗浄した。前記膜を乾燥させ、この後の参照のために光を避けて保管した。
結果:前記ウエスタンブロットは、図16〜21に示されるように、C.difficile芽胞抗原で免疫されたマウスにおいて産生された抗体が、芽胞タンパク質を認識することを示した。
本発明の特定の態様が記載および例証されてきたが、そのような態様は、単なる本発明の例証であって、添付の請求項に従って解釈される本発明を限定しないとみなされるべきである。
本明細書で引用された刊行物および特許出願のすべてが、各個別の刊行物または特許出願がすべての目的のためにこの参照により組み込まれると明確かつ個別に示されたかのように、この参照によりその全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる。
前述の本発明は、理解を明瞭にする目的で例証および例のつもりでいくらか詳細に記載されたが、本発明の教示に鑑みて、添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および改変を行うことができることが当業者には容易に明らかになるだろう。

Claims (72)

  1. C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントに結合する抗体またはそのフラグメントを含む組成物であって、前記ポリペプチドまたはそのフラグメントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDから成る群から選択される組成物。
  2. C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントに結合する抗体またはそのフラグメントを含む組成物であって、前記ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を含む組成物。
  3. C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントに結合する単離された抗体またはそのフラグメントであって、前記ポリペプチドまたはそのフラグメントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDから成るから選択される単離された抗体またはそのフラグメント。
  4. C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントに結合する抗体またはそのフラグメントであって、前記ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を含む抗体またはそのフラグメント。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、前記抗体またはそのフラグメントはポリクローナル抗体である抗体またはそのフラグメント。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、前記抗体またはそのフラグメントはモノクローナル抗体である抗体またはそのフラグメント。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、前記抗体またはそのフラグメントはヒト抗体である抗体またはそのフラグメント。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、前記抗体またはそのフラグメントは、(a)免疫グロブリン分子全体;(b)scFv;(c)キメラ抗体;(d)Fabフラグメント;(e)F(ab’)2;および(f)ジスルフィド連結されたFvから成る群から選択されるものである抗体またはそのフラグメント。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、(a)ヒトIgM定常ドメイン;(b)ヒトIgG1定常ドメイン;(c)ヒトIgG2定常ドメイン;(d)ヒトIgG3定常ドメイン;(e)ヒトIgG4定常ドメイン;および(f)ヒトIgA1/2定常ドメインから成る群から選択される重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含むものである抗体またはそのフラグメント。
  10. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、(a)ヒトIgカッパー定常ドメイン;および(b)ヒトIgラムダ定常ドメインから成る群から選択される軽鎖免疫グロブリン定常ドメインを含むものである抗体またはそのフラグメント。
  11. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、前記抗体またはそのフラグメントは少なくとも1×10Mの親和性定数(Kaff)で抗原に結合するものである抗体またはそのフラグメント。
  12. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、前記抗体またはそのフラグメントは少なくとも1×1010Mの親和性定数(Kaff)で抗原に結合するものである抗体またはそのフラグメント。
  13. 請求項1〜2のいずれか一項記載の組成物において、さらに、
    C.difficile毒素A、毒素Bに結合する抗体、ならびに毒素Aおよび毒素Bに結合する抗体の組み合わせから成る群から選択されるメンバーを含むものである組成物。
  14. 請求項1〜2のいずれか一項記載の組成物において、さらに、
    抗生物質を含むものである組成物。
  15. 請求項14記載の組成物において、前記抗生物質はメトロニダゾールまたはバンコマイシンである組成物。
  16. C.difficile関連疾患の処置方法であって、それを必要とする被験体に、前記疾患を減少させるかまたは予防するのに有効な量の請求項1〜2のいずれか一項記載の組成物を投与する工程を含む方法。
  17. C.difficile関連疾患の処置方法であって、それを必要とする被験体に、前記疾患を減少させるかまたは予防するのに有効な量の請求項3〜4のいずれか一項記載の組成物を投与する工程を含む方法。
  18. C.difficile関連疾患の処置方法であって、それを必要とする被験体に、前記疾患を減少させるかまたは予防するのに有効な量の請求項13記載の組成物を投与する工程を含む方法。
  19. 請求項16記載の方法において、前記組成物は静脈内(IV)、皮下(SC)、筋肉内(IM)、または経口的に投与されるものである方法。
  20. 請求項17記載の方法において、前記組成物は静脈内(IV)、皮下(SC)、または筋肉内(IM)、または経口的に投与されるものである方法。
  21. 請求項18記載の方法において、前記組成物は静脈内(IV)、皮下(SC)、または筋肉内(IM)、または経口的に投与されるものである方法。
  22. 請求項16記載の方法において、前記組成物は前記被験体の体重の1キログラムあたり1〜100ミリグラムの範囲内の量で投与されるものである方法。
  23. 請求項17記載の方法において、前記組成物は前記被験体の体重の1キログラムあたり1〜100ミリグラムの範囲内の量で投与されるものである方法。
  24. 請求項18記載の方法において、前記組成物は前記被験体の体重の1キログラムあたり1〜100ミリグラムの範囲内の量で投与されるものである方法。
  25. 受動免疫の方法であって、有効量の請求項1〜2のいずれか一項記載の組成物を動物に投与する工程を含む方法。
  26. 受動免疫の方法であって、有効量の請求項3〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントを動物に投与する工程を含む方法。
  27. 被験体において免疫応答を誘導する方法であって、ある量のC.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアント、および薬学的に許容可能なアジュバントを、前記被験体において免疫応答を誘導するのに有効な量で前記被験体に投与する工程を含み、前記ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDから成る群から選択される方法。
  28. 被験体において免疫応答を誘導する方法であって、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアント、および薬学的に許容可能なアジュバントを、前記被験体において免疫応答を誘導するのに有効な量で前記被験体に投与する工程を含み、前記ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を含む方法。
  29. C.difficile感染を減少させるかまたは予防する必要のある被験体においてC.difficile感染を減少させるかまたは予防する方法であって、ある量のC.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアント、および薬学的に許容可能なアジュバントを、前記被験体において感染を減少させるかまたは予防するのに有効な量で前記被験体に投与する工程を含み、前記ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDから成る群から選択される方法。
  30. C.difficile感染を減少させるかまたは予防する必要のある被験体においてC.difficile感染を減少させるかまたは予防する方法であって、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメント、および薬学的に許容可能なアジュバントを、前記被験体において感染を減少させるかまたは予防するのに有効な量で前記被験体に投与する工程を含み、前記ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を含む方法。
  31. 請求項27〜30のいずれか一項記載の方法において、前記薬学的に許容可能なアジュバントはインターロイキン12または熱ショックタンパク質である方法。
  32. 請求項27〜30のいずれか一項記載の方法において、前記投与は経口的、鼻腔内、静脈内、または筋肉内である方法。
  33. 請求項27〜30のいずれか一項記載の方法において、前記バリアントは変異体である方法。
  34. 請求項27〜30のいずれか一項記載の方法において、前記バリアントは融合タンパク質である方法。
  35. 請求項34記載の方法において、前記融合タンパク質はC.difficile毒素AまたはBの配列を含むものである方法。
  36. 請求項35記載の方法において、前記C.difficile毒素AまたはBの配列はTcdBのN末端触媒ドメイン、TcdBのC末端フラグメント4、およびTcdAのC末端受容体結合フラグメントから成る群から選択されるものである方法。
  37. 請求項34記載の方法において、前記融合タンパク質は、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDならびにそれらのフラグメントから成る群のメンバー、または配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、および配列ID番号10ならびにそれらのフラグメントから成る群のメンバーと前記群の別のメンバーとの融合物である方法。
  38. 有効免疫量の単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアント、および薬学的に許容可能な担体を含む組成物であって、前記組成物は、被験体においてC.difficile感染に対する免疫応答を誘導するのに有効であり、前記単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDから成る群から選択されるC.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントを含む組成物。
  39. 有効免疫量の単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアント、および薬学的に許容可能な担体を含む組成物であって、前記組成物は、被験体においてC.difficile感染に対する免疫応答を誘導するのに有効であり、前記単離されたポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアントは、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列を含む組成物。
  40. 請求項38または39記載の組成物において、前記組成物は薬学的に許容可能なアジュバントをさらに含むものである組成物。
  41. 請求項40記載の組成物において、前記薬学的に許容可能なアジュバントは水中油型エマルションを含むものである組成物。
  42. 請求項40記載の組成物において、前記薬学的に許容可能なアジュバントはISA−206およびQuilAである組成物。
  43. 請求項40記載の組成物において、前記薬学的に許容可能なアジュバントはインターロイキン12または熱ショックタンパク質である組成物。
  44. 請求項38または39記載の方法において、前記バリアントは変異体である方法。
  45. 請求項38または39記載の方法において、前記バリアントは融合タンパク質である方法。
  46. 請求項45記載の方法において、前記融合タンパク質はC.difficile毒素AまたはBの配列を含むものである方法。
  47. 請求項46記載の方法において、前記C.difficile毒素AまたはBの配列は、TcdAのN末端触媒ドメイン、TcdBのN末端触媒ドメイン、TcdBのC末端フラグメント4、およびTcdAのC末端受容体結合フラグメントから成る群から選択されるものである方法。
  48. 請求項45記載の方法において、前記融合タンパク質は、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDならびにそれらのフラグメントから成る群のメンバー、または配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、および配列ID番号10ならびにそれらのフラグメントから成る群のメンバーと前記群の別のメンバーとの融合物である方法。
  49. C.difficile感染を減少させるかまたは予防する必要のある被験体においてC.difficile感染を減少させるかまたは予防する方法であって、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアントをコードするある量の核酸、および薬学的に許容可能なアジュバントを、前記被験体において感染を減少させるかまたは予防するのに有効な量で前記被験体に投与する工程を含み、前記ポリペプチドまたはフラグメントまたはバリアントは、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDから成る群から選択される方法。
  50. C.difficile感染を減少させるかまたは予防する必要のある被験体においてC.difficile感染を減少させるかまたは予防する方法であって、C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアントをコードするある量の核酸、および薬学的に許容可能なアジュバントを、前記被験体において感染を減少させるかまたは予防するのに有効な量で前記被験体に投与する工程を含み、前記核酸は、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列をコードする方法。
  51. 請求項49または50記載の方法において、前記バリアントは変異体である方法。
  52. 請求項49または50記載の方法において、前記バリアントは融合タンパク質である方法。
  53. 請求項52記載の方法において、前記融合タンパク質はC.difficile毒素AまたはBの配列を含むものである方法。
  54. 請求項53記載の方法において、前記C.difficile毒素AまたはBの配列は、TcdAのN末端触媒ドメイン、TcdBのN末端触媒ドメイン、TcdBのC末端フラグメント4、およびTcdAのC末端受容体結合フラグメントから成る群から選択されるものである方法。
  55. 請求項52記載の方法において、前記融合タンパク質は、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDから成る群のメンバー、または配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、および配列ID番号10から成る群のメンバーと前記群の別のメンバーとの融合物である方法。
  56. BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDから成る群から選択されるC.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアントをコードする単離された核酸。
  57. C.difficile芽胞ポリペプチドまたはそのフラグメントまたはバリアントをコードする単離された核酸であって、前記核酸は、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、または配列ID番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80〜95%同一のアミノ酸配列をコードする単離された核酸。
  58. 請求項56または57記載の核酸において、前記バリアントは変異体である核酸。
  59. 請求項56または57記載の核酸において、前記バリアントは融合タンパク質である核酸。
  60. 請求項59記載の核酸において、前記融合タンパク質は前記C.difficile毒素AまたはBの配列を含むものである核酸。
  61. 請求項60記載の核酸において、前記C.difficile毒素AまたはBの配列は、TcdAのN末端触媒ドメイン、TcdBのN末端触媒ドメイン、TcdBのC末端フラグメント4、およびTcdAのC末端受容体結合フラグメントから成る群から選択されるものである核酸。
  62. 請求項59記載の核酸において、前記融合タンパク質は、BclA1、BclA2、BclA3、Alr、SlpAパラログ、SlpA HMW、CD1021、IunH、Fe−Mn−SOD、およびFliDならびにそれらのフラグメントから成る群のメンバー、または配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4、配列ID番号5、配列ID番号6、配列ID番号7、配列ID番号8、配列ID番号9、および配列ID番号10ならびにそれらのフラグメントから成る群のメンバーと前記群の別のメンバーとの融合物である核酸。
  63. 請求項56または57記載の核酸を含む発現ベクター。
  64. 請求項63記載の発現ベクターにおいて、前記発現ベクターは哺乳動物発現ベクターである発現ベクター。
  65. 請求項64記載の発現ベクターにおいて、前記哺乳動物発現ベクターはCMVプロモーターを含むものである発現ベクター。
  66. 請求項63記載の発現ベクターにおいて、前記発現ベクターはpcDNA3002NeoまたはpET32aである発現ベクター。
  67. 請求項63記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  68. 請求項67記載の宿主細胞において、前記宿主細胞は、HEK293F、NSO−1、CHO−K1、CHO−S、またはPER.C6である宿主細胞。
  69. 請求項63記載の発現ベクターにおいて、前記発現ベクターは細菌発現ベクターである発現ベクター。
  70. 請求項69記載の発現ベクターにおいて、前記発現ベクターはpET32aである発現ベクター。
  71. 請求項67記載の宿主細胞において、前記宿主細胞はE.coliである宿主細胞。
  72. 請求項1〜4のいずれか一項記載の抗体またはそのフラグメントにおいて、前記抗体またはそのフラグメントは芽胞発芽を阻害するかまたは遅延させるものである抗体またはそのフラグメント。
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